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2014年5月12日 第4回 がん患者・経験者の就労支援のあり方に関する検討会議事録

○日時

平成26年5月12日(月) 16:00~18:00


○場所

厚生労働省 専用第14会議室(22階)


○議題

(1)がん患者・経験者の就労支援におけるその他の取り組みについて
(2)小児がん経験者の就労支援について
(3)その他

○議事

○江副がん対策推進官 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第4回「がん患者・経験者の就労支援のあり方に関する検討会」を開催いたします。

 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 初めに、本日の構成員の出欠状況でございますが、本日は櫻井公恵構成員から御欠席との連絡をいただいております。また、砂原構成員につきましては、若干遅れるという御連絡をいただいております。

 また、本日は参考人といたしまして、公益財団法人がんの子供を守る会の樋口明子参考人。

 それから、愛媛県立中央病院小児医療センター長の石田也寸志参考人に御出席いただいております。

 続きまして、本日の議題に沿って加わりましたオブザーバーの紹介をさせていただきます。

 雇用均等・児童家庭局母子保健課の木下栄作課長補佐です。

 社会・援護局障害保健福祉部企画課の田中桜課長補佐です。

 同じく障害保健福祉部障害福祉課の平川雅浩課長補佐です。

 職業安定局雇用開発部障害者雇用対策課地域就労支援室の竹中郁子室長補佐です。

 どうぞよろしくお願いします。

 それでは、以後の進行は堀田座長にお願いいたします。

○堀田座長 皆様こんにちは。ようこそお集まりいただきました。本日も、どうぞよろしくお願いいたします。

 では、最初に、事務局から資料の確認をお願いいたします。

○江副がん対策推進官 それでは、資料の御確認をお願いいたします。

 座席表、議事次第に続きまして、

 資料1 関連する制度について

 資料2 小児がんの晩期合併症について

 資料3 小児がん経験者の就労におけるニーズ・課題

 資料4 小児がん経験者の自立・就労実態調査と支援システムの構築

 資料5 小児がん経験者の就労支援について(論点)

 資料6 産業保健活動総合支援事業のご案内

 参考資料1 がん患者・経験者の就労支援のあり方に関する検討会開催要綱

 参考資料2 小児がんの就労について

 となっております。

 また、机上配付としまして、石田参考人御提出の追加資料がございますが、こちらは会議終了後に回収させていただきたいと思います。

 以上でございますが、資料に不足・落丁等がございましたら、事務局までお申し出ください。

 以上をもちまして、カメラをおさめていただきますようにお願いいたします。

○堀田座長 それでは、早速、本日の議題に入りますけれども、落丁等はよろしいですか。ありがとうございます。

 今回は、小児がんの経験者の就労支援についての議題でございます。これにまでにがん患者の就労支援につきまして、医療機関あるいは職場、その他に関しまして順次御議論していただいてまいりましたけれども、今回は特に小児がん経験者の就労支援についての議論を深めてまいりたいと思います。

 まず最初に、前回御議論いただきました制度につきまして、今回、小児がん経験者が活用可能な制度を中心に、資料1「関連する制度について」の説明をオブザーバーの担当から御説明いただきたいと思います。

 まず最初に、社会・援護局障害保健福祉部企画課から、よろしくお願いいたします。

○社会・援護局障害保健福祉部企画課長補佐 よろしくお願いいたします。

 障害保健福祉部からは身体障害者手帳について、それから、障害者総合支援法における障害福祉サービスについて御説明させていただきます。

 まず、資料の最初のページをごらんください。身体障害者手帳制度の概要ですけれども、交付の対象者は、身体障害者福祉法別表に挙げる身体上の障害がある者とされております。これは身体上の障害となった原因疾患等は問わずに、一定の障害が永続していることが要件となります。ここにございますように、1~9の各機能の障害に基づいた手帳制度がございます。

 また、障害の程度につきましては、障害の種類別に重度の側から1~6級の等級が定められております。

 平成24年度末現在の交付者数は5231,570人で、1~6級までの内訳は、ここに示してあるとおりになります。

 次に、障害の種別ごとの等級について示したものが、この表になります。例えば、上の視覚障害ですと1~6級、聴覚障害ですと2級、3級、4級、6級といったように、障害の種別ごとに等級が定められております。

 次に、障害者総合支援法における障害福祉サービスについて御説明いたします。

 障害者総合支援法の給付事業としましては、こちらに提示してございますように、介護給付、訓練等給付、自立支援医療、補装具、地域生活支援事業等がございます。その中で、障害福祉サービスのうち介護給付、訓練等給付について詳細を御説明いたします。

 介護給付につきましては、訪問系、日中活動系、施設系といったようなサービスがございます。訓練等給付につきましては、居住系、訓練系・就労系というサービスがございます。

 本日は就労支援の会議ですので、この中で障害者総合支援法における就労系障害福祉サービスについて御説明いたします。

 3種類ございまして、就労移行支援事業、就労継続支援A型事業、就労継続支援B型事業とございます。就労移行支援事業は、就労を希望する65歳未満の障害者で、通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれる者が対象となっております。就労継続支援A型事業は、通常の事業所に雇用されることが困難であり、雇用契約に基づく就労が可能である者に対して、雇用契約の締結等による就労の機会の提供及び生産活動の機会の提供、その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練等の支援を行う事業です。就労継続支援B型事業は、通常の事業所に雇用されることが困難であり、雇用契約に基づく就労が困難である者に対して、就労の機会の提供及び生産活動の機会の提供、その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練、その他の必要な支援を行う事業となっております。AとBで異なりますのは、Aは雇用契約の締結等による就労の機会の提供というのが含まれているところでございます。

 最後に、障害福祉サービス等の利用者負担に関することを御説明いたします。

 平成18年4月から障害者自立支援法が施行されましたことで、定率負担を原則として所得に応じて一月当たりの負担上限額が設定されましたが、平成22年4月から法律上も応能負担を原則とする、負担のサービス料及び所得に応じて負担を決めることが明確化しまして、現在、低所得者、すなわち市町村民税非課税の方に対しましては、利用者負担は無料となっております。

 なお、下の黄色い四角にございますように、障害者の負担上限月額については、世帯全体ではなく、本人及び配偶者のみの所得で判断しておりますので、実際のところはほとんどの方から負担をいただいていないというところが実情でございます。

 以上です。

○堀田座長 ありがとうございました。

 それでは、続きまして、職業安定局からお願いいたします。

○職業安定局総務課首席職業指導官室長補佐 よろしくお願いいたします。資料は、引き続き9ページ以降の資料に基づいて御説明申し上げます。

 「小児がん経験者の就労支援について(活用しうる主な施策)」と書いてございます。ハローワークでは、一般的に普通の求職者の方々に対しても、通常の職業相談や職業紹介のほかに、その方々が希望すれば、例えば、就職のためのセミナーであるとか、履歴書の書き方であるとか、さまざまな支援を行っております。当然、小児がん経験者の方々にも御本人の希望によって、そういう支援も行っているところですが、それとは別に、こういう施策があるよということで並べてございます。

 9ページには、5つの点線で囲われた四角がございます。これらについて後ほど以降の資料に沿って御説明申し上げますが、下の横長のチーム支援から始まる3つの四角については、晩期合併症などで障害認定を受けている小児がん経験者などが対象となります。

 では、10ページから説明申し上げます。

10ページは「がん患者等に対する就労支援モデル事業」とあります。こちらについては、平成25年度から開始した事業でございまして、現在平成26年度は全国12カ所でモデル的に事業を行っております。これはハローワークに専門の相談員を配置しまして、がん診療連携拠点病院などと連携して就労支援を進めていくということでございます。これは相談支援センターにハローワークの職員が出張して職業相談を行ったり、あとは就職を容易にさせるような資料等を提供したり、情報を提供したりということで、病院と連携しながら就労支援を行っているという施策でございます。

 次に、11ページ、トライアル雇用の説明になります。こちらについては、働いた経験が少ないなどで、通常の雇用に不安のある方を対象に、常用雇用への移行を前提として3ヶ月間トライアル、試行的に雇用していただくという事業です。試行的に雇用していただいている事業所に対しては、奨励金という形で助成金を支給しながら事業を進めるということでございます。

 トライアル雇用の対象者はということで、中ほどに1~6で書いてございます。これはこれに該当する方々であれば全て対象になりますので、小児がん経験者で1~6に該当すればトライアル雇用の対象になるという意味でございます。

 また、ここには書いてございませんけれども、障害者を対象としたトライアル雇用もございますので、スキームはほぼ一緒でございますが、1~6と障害者を対象にトライアル雇用を実施しているということになります。

12ページはトライアル雇用の続きですので、13ページをお願いいたします。障害者就労に向けたハローワークを中心としたチーム支援ということで、これは障害者一人一人、個別個別に対して、ハローワークが中心となって、さまざまな支援機関とチームを組んで障害者の職場定着や職業生活の安定を支えていくというスキームの事業になります。

 小さい文字で恐縮ですが、下の※1、※2に「可能な限り、障害者の就業・生活支援センターがチームに参加し、生活面での支援を継続的に実施」とあります。これは単に、職場に就職すれば終わりというわけではなくて、例えば、お金の使い方であるとか、生活面でのさまざまな支援もあわせて行うことが必要であろうということから、チーム支援の中で支えていくということです。

 また、支援対象者が医療機関を利用している場合というのは、医療機関もチームに参加して支援を行うという仕組みになっております。

 続きまして、14ページです。職場適応援助者、これは通りはジョブコーチのほうがいいと思いますけれども、ジョブコーチによる支援です。こらちは、障害者の方々が就職した後にきちんと職場に定着していただくための支援になります。

 支援内容というのは、ジョブコーチが障害者が就職した事業所に飛び込んでいきまして、例えば、この図にありますように、事業主に対しては雇用管理に関する助言を行ったり、どういう配置にすべきか、どういう勤務形態にすべきかという助言を行います。また同時に、障害者に対しては、業務遂行力の向上支援とありますけれども、今抱えている、課題となっている仕事をどういうふうにこなしていけばいいのか、仕事の仕方、こなし方について助言をしたり、健康管理、生活リズムの構築支援とあります。生活の仕方、勤務時間が朝何時から夜何時であれば時間の過ごし方、余暇はどうすればいいか、そういう過ごし方、時間の使い方についても支援も行う。

 下のほうに「標準的な支援の流れ」という矢印が書いてございますが、初めは集中的に支援を行います。それが徐々に移行支援ということで最後にフォローアップ、だんだんフェードアウトしていくような形で支援を行う。これを大体標準的には2~4カ月間の期間を通じて支援を行っていくという形の事業になっております。

 最後になりますが、15ページ、特定求職者雇用開発助成金です。このページには2つ、特定就職困難者雇用開発助成金と高齢者雇用開発特別奨励金とありますが、今回該当するのは上になろうかと思います。こちらは、障害者など就職困難者をハローワークなどの紹介などによって、雇用保険の一般被保険者として雇い入れる事業主さんに対して、賃金相当額の一部の助成を一定期間行うという助成金になります。

 以上のような支援を通じまして、恐縮ですが9ページに戻りますが、下に矢印がありますけれども、ハローワークの窓口できめ細かな相談・カウンセリングを実施するとともに、個々の状況に応じて以上のような支援を組み合わせて、効果的な就労支援を行っていくということをハローワークは目指しており、現在も事業を進めているところです。

 以上です。ありがとうございました。

○堀田座長 ありがとうございました。

 それでは、続きまして、資料1-3でございますけれども、雇用均等・児童家庭局母子保健課から、よろしくお願いいたします。

○雇用均等・児童家庭局母子保健課長補佐 お手元の資料1-3のスライド番号16からになります。小児慢性特定疾患治療研究事業の概要について御説明させていただきます。

 小児慢性疾患のうち、小児がんなど特定の疾患について、その医療費の助成を目的としてこの事業を行っております。古くは昭和43年からスタートしており、平成17年から児童福祉法に基づく法律の補助事業として実施しているところです。

 現在大きく11の疾患群、疾患数で514の疾患を対象としております。

 平成24年度の給付実績としまして、約11万人の方が利用されており、総事業費として254.8億円程度となっております。

 対象疾患の11の疾患群は、それぞれ1~11にありますように、1に悪性新生物を一つの疾患群として対象としているところです。

 こちらの事業につきましては、現在見直しを進めており、スライド17ですが、小児慢性特定疾患児への支援の検討という形で、平成24年から約12回にわたりまして検討を行っております。この中で今取り組んでおります事業の見直しを行っており、昨年12月に見直しの報告書のとりまとめを行ったところです。

 その報告のとりまとめを受け、現在の通常国会に児童福祉法の改正法案の提出を行っているところです。

 スライド18をお開きください。昨年12月にまとめました専門委員会の報告書の概要です。

 まず、1つ目として、公平で安定的な医療費助成の仕組みの構築を掲げております。現在の医療費助成が裁量的経費で若干不安定な制度となっていたこともございまして、それを義務的な経費として位置づけることで安定的な制度としていきたいという見直しを報告の中でまとめております。

 2つ目として、研究の推進と医療の質の向上で、指定医療機関でありますとか、医療連携体制の構築、研究の推進を大きく掲げてございます。

 3つ目として、慢性疾患児の特性を踏まえた健全育成・社会参加の促進、地域関係者が一体となった自立支援の充実を掲げてございます。この中で特に2つ目、3つ目になりますが、2つ目として、地域における総合的な支援の推進で、地域の関係者から成る協議会の創設でありますとか、地域資源を活用した支援を今後取り組んでいきたいと考えております。

 3つ目としまして、成人移行に当たっての支援で、自立支援医療等による支援につなげるほか、患者の自立促進のための総合的な支援の強化も取り組んでいきたいと考えております。詳細は、後ほど御説明いたしたいと思います。

 この報告書を受けまして、今通常国会にスライド19の法案を提出しているところです。法案の中心は、まず()基本方針の策定を掲げております。良質かつ適切な小児慢性特定疾患医療支援の実施、その他疾病児童等の健全な育成に係る施策の推進を図るための基本的な方針を今後定めることとしております。

 2つ目として、公平かつ安定的な医療費助成となるように、今回、見直し法案の中で義務的な経費化を念頭に、今、制度の見直しを行っているところです。

 3つ目に関しまして、自立支援事業の実施も法律に位置づけております。具体的に申しますと、現在、自立支援事業の1つ目としては、相談支援を行っておりますが、それ以外に入院事業として、まず1つ目としてレスパイト、2つ目で相互交流支援、3つ目として就労支援、4つ目として家族支援といったものを法律の事業として位置づけることとしております。

 4つ目として、治療のさらなる推進も法律の中で盛り込んでいます。現在、国会で御審議いただいているところですが、施行期日は来年1月1日を予定しています。

 続きまして、スライド20をごらんください。現在、小児慢性特定疾患治療を利用されている方の20歳以上の就労制度の利用等の状況ということで、厚生労働科学研究の調査結果を一部お持ちしています。

20歳以上になった方の中で現在日常生活の自立状況ですが、対象839名に対するアンケートの結果、特に障害がない方が505名、何らかの障害を有するが日常生活は自立している方が210名、屋内ではおおむね自立、しかし、介助なしには外出不可という方が約8%います。

 次の就労状況は、仕事ありが54%、仕事なしが43%となっております。

 また、43%の未就労者の状況に関しましては、学生や主婦といった方で働く必要がない方が40%いる一方で、症状が重く就労が困難な方も一定程度いるという状況が見てとれるかと思います。

 スライド21にいきますと、11の疾患群ごとの状況をお示ししています。

 まず、右上のグラフになりますが、身体障害者手帳の所有率で、疾患群ごと、疾病の特性を踏まえ、状況が大きく異なっており、神経筋疾患に関しましては約96%の方が手帳を保有されている一方で、慢性呼吸器疾患、糖尿病等につきましては20%以下という状況で、各疾患群ごとにその状況は大きく異なっている状況が見てとれるかと思います。

 また、左下を見ていただきますと、疾患群の手帳の所有状況と逆の関係になりますが、神経筋疾患につきましては就労が困難な状況が見てとれるかと思います。悪性新生物の方は、この調査結果におきましては約半数の方が就労に就かれている状況が見てとれるかと思います。

 こういった状況を踏まえ、最後スライド22になりますが、今回の小児慢性特定疾患の制度の見直しで、医療費助成の見直しに加えまして、自立支援事業も大きく見直しを行っていきたいと考えております。その内容が、こちらのスライドになっております。大きく2つ設けております。1つ目が、地域支援協議会の運営をお願いしたいと思っており、実施主体として、県もしくは指定都市、中核市が中心となり、関係者が集まってどういった支援が行えるかという協議をする場を設けていただきたいと考えております。

 協議会の役割としましては、地域の現状と課題をまず把握していただき、加えて、地域で活用できる資源の把握、地域における課題の明確化、それを踏まえてどういった支援が必要かを協議会の場で、関係者、当事者の方に入っていただいて相談いただき、その内容を踏まえて事業化を行っていただきたいと考えております。

 具体的に自立支援事業の内容としまして2になりますが、慢性的な疾病を抱える児童及びその家族の負担軽減、長期療養している児童の自立や成長支援について、地域の資源を利用してどういったことができるかを考えていただいた上で、必須の事業としては、相談支援事業を必須としまして、それ以外、一時預かりですとか、相互交流支援、就職支援、介護者支援といったものにつきましては、任意の事業として地域の状況を踏まえながら各地域ごとにどういった事業が必要か、どういった事業ができるかを御相談いただきながら今後取り組んでいければと考えております。

 以上です。

○堀田座長 ありがとうございました。今、3つの担当から関連する小児がん、特に小児慢性特定疾患に関係する利用可能な制度、関連する制度について、駆け足で説明していただきました。

 詳細はなかなか細かいところもあるわけですが、ただいまの説明に何か確認や御質問があれば、まず最初に受けたいと思います。特に、児童福祉法はまだ国会にかかっているところという話ですので、そういう未確定な部分もありますけれども、ただいまの説明に追加の発言や質問がありましたら、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。

 池田構成員どうぞ。

○池田構成員 トライアル雇用について1点質問したいのですが、患者さんを受け入れる側の事業主の掘り起こしというのですか、患者さんも多種多様な職業に就きたいという御希望があると思うのですが、それに対応できるような事業主さんの掘り起こしというのが具体的に行われているのだろうかと思うのですが、いかがでしょうか。

○職業安定局雇用開発企画課長補佐 ただいまの御質問につきまして、お答えさせていただきます。

 トライアル雇用奨励金につきましては、まず、トライアル雇用の実施を行うかどうか、そうした対象の事業主の方について個別に求人を集める形にしておりまして、まず、そういったトライアル雇用について御理解をいただける事業主の方であるかどうかを確認しながら求人をお出しいただいています。また実際に、トライアル雇用ということになりますと、当然個々の求職者の方を3カ月受け入れていただいてということになりますので、実際にその方を紹介するに当たって、その方がきちんと事業所の中で就労していただくことになりますので、そのあたりのことは当然確認しながらトライアル雇用につなげまして、最終的には常用雇用に移行できるようにハローワークのほうでフォローしながら担当しているということでございます。

○池田構成員 お聞きしましたのは、小児がんと言われると社会的な認知とか認識というのは低い気がして、そういう患者さんたちを受け入れる事業主や企業側の数も少ないのではないかという印象があるものですから、お聞きしたのですけれども。

○職業安定局雇用開発企画課長補佐 きちんとしたお答えになるかというところはあるのですけれども、トライアル雇用の対象となる求職者の方々、もちろん小児がんの方もいらっしゃると思いますし、そのほかの御病気の方、もちろん障害者の方もいらっしゃると思います。そうした方々がさまざまいらっしゃる中で、トライアル雇用奨励金自体はそうしたさまざまな求職者の方全て対象となっているところでございますので、確かに個々の求職者の方の特性を見た上で紹介して事業主の方につなげていかなければいけないということは、小児がんの方もちろんそうですし、そのほかのさまざまな御事情をお持ちの求職者の方もそうでございますので、最終的に個々の求職者の方を事業主に紹介するに当たっては、そうした特性などもきちんと踏まえた上でハローワークとしては支援を行っていきたいと考えているところでございます。

○堀田座長 ありがとうございました。

 そのほかいかがでしょうか。ただいまのは3カ月に限って事業主に対する助成があるというわけですよね。

○職業安定局雇用開発企画課長補佐 トライアル雇用奨励金の仕組みといたしましては、そういうものになっております。

○堀田座長 これは、例えば、トライアル雇用をやったけれども、うまくマッチしなかったという場合には、再びトライすることもできるのですか。

○職業安定局雇用開発企画課長補佐 そちらの部分は確認させていただいてよろしいでしょうか。申しわけありません。

○堀田座長 ジョブコーチの派遣については、派遣元と職場の関係というのは雇用関係なのか、あくまで無償での派遣なのか、どういう関係なのですか。

○職業安定局障害者雇用対策課地域就労支援室長補佐 ジョブコーチについてお答えさせていただきます。

 ジョブコーチは、無償ということで行っております、高齢障害求職者雇用支援機構の地方組織である障害者職業センターから派遣されるジョブコーチが企業に参りまして、障害者の方、事業主の方双方に支援を行うことになっております。

 そのほか企業が自らジョブコーチ支援を行われる場合には、それに対して助成金をお出しするという制度も設けているところでございます。

○堀田座長 ありがとうございました。

 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。また後で関係するところがありましたら出していただくことにいたしまして、きょうは参考人の方もいらしておりますので、次に、小児がんの経験者の就労における課題の一つであります晩期合併症について、事務局から資料2に基づいて説明をお願いします。

○江副がん対策推進官 それでは、資料2をごらんください。「小児がんの晩期合併症について」ということで、これからの参考人の資料の中にもよく出てきておりますので、確認の趣旨で概要を資料としてまとめております。

 小児がんの中では、病気そのものが治癒したと見られる場合でも、がんそのものからの影響や薬物療法、放射線治療など治療の影響によって生じる合併症が見られます。これを晩期合併症と呼んでおります。晩期合併症には、主に身長発育障害等の成長発達の異常、また白質脳症、てんかん等の中枢神経系の異常、それから、心機能異常、呼吸機能異常等の臓器異常、また、白血病、脳腫瘍等の続発腫瘍、いわゆる二次がんと呼ばれるようなものがございます。

 晩期合併症の多くは、がんの種類、治療の内容、治療を受けたときの年齢などに関係します。ほとんどの晩期合併症は年齢に伴って発症しやすくなって、治療終了後何十年も経過してから症状が現れることもあるという特徴があるとされております。

 資料2の説明は以上です。

○堀田座長 ありがとうございました。

 いろいろな言い方がありますが、晩期合併症ということで統一して話を進めたいと思います。これは晩期ですから、あくまで病気そのものや治療に関連してということですけれども、手術などでの欠損というのはここには当たらないという理解でいいですか。

○江副がん対策推進官 便宜上、そうさせていただければと思います。

○堀田座長 この説明につきまして、何か御意見があれば。石田参考人どうぞ。

○石田参考人 特に整形外科疾患は、骨肉腫等で切断ということがありますので、そうなると身体的な後遺症を持って、しかし、最近は非常に人工骨頭とか人工的ないろいろなものも発達していますので、全く正常な生活ができる方も多いのですが、そういう治療に伴う、手術に伴うものもある意味含んでいると我々は理解しております。

○堀田座長 それは例えば、身体障害という位置づけになる。欠損すると元に戻ることは基本的にないので、そういう整理になっていると理解したのですけれども、晩期合併症の中にこれを含むか含まないかというのは、議論のあるところかもしれません。一応、今は別枠としておきます。

○江副がん対策推進官 済みません、厳密な行政上の定義等ではございませんので、文脈に応じて使い分けていただければと思います。

○堀田座長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。

 それでは、今ありました制度の問題、それから、晩期合併症についての理解を一致させた上で、次に小児がんの経験者の就労支援につきまして、本日お二人の参考人にお越しいただいております。お二人からの説明及び事務局からの資料5の説明の後にまとめて質疑応答を行いたいと思います。

 それでは、まず、樋口参考人から資料3に基づいて説明をお願いいたします。

○樋口参考人 がんの子供を守る会のソーシャルワーカーの樋口と申します。こういった、がん患者・経験者の就労支援のあり方の中に、小児がんを入れていただいたことに感謝申し上げます。

 私の自己紹介を兼ねて、まず初めに、私どもの会の御紹介をさせていただきたいと思います。私どもの会は、今年で46年を迎える小児がんの患者・家族会でもあり、また、小児がんの患者・家族への支援団体でもございます。

 先ほど来から小児がんについてのお話はございましたので省略させていただきますが、今では治癒が可能な病気とさえも言われるようになっております。

 私どもの会、有職の職員は東京と大阪におりまして、全国21支部はボランティアで活動の運営を行っております。親の会としてのピアサポートと、私どものようなソーシャルワーカーなどの専門職者や支援団体としての機能の両軸で活動を行っているというのが、恐らく日本でも珍しい団体のあり方で、特徴だと思っております。

 主な事業内容は3ページ目に書かせていただきました。

 4ページにありますように、さまざまな場面、フェーズが小児がん患者・家族にはございますので、それぞれの小児がん患者・家族の方が必要なときに必要に応じて、そばにいられるようにという支援を考えながら事業展開をしております。

 その1つに、5ページにあります相談事業がございます。これは1973年設立当初来行っている事業でございまして、ピアサポートではなく、専門職者が行う相談事業として行っております。ここには2012年度のデータを持ってまいりましたが、小児がん経験者御本人からの相談というのも受けております。

 その主な内容が6ページにあります。今は医療の向上に伴い、残存腫瘍を抱えながら治療を長期にされている方もいらっしゃいまして、20歳を超えても小児がんの治療を継続されている方もおられます。ですので、治療の内容や親の年齢も上になってまいりますので、経済的なことの相談などもあるほか、本日のテーマになってまいるかと思いますが、心身の問題に関することや将来のことというような御不安や漠然とした不安感というものも私どもの会には寄せられてまいります。

 7ページにありますように、個々の相談の中で私ども対応させていただいておりましたが、小児がん経験者御自身からの相談が増加傾向にあったことと、何らかの事業展開を具体的にしたほうがいいのではないかということで、1997年ごろから事業化して自立就労支援というものを行っております。

 ただ、私ども本部の東京でしか支援ができておりませんでしたので、関東に居住している方であれば直接支援ができますが、あとの方は電話相談のみの対応であったということ。電話をかけてくださったり、助けを求めてくださっている方はいいのですが、そうではない、もしかしたら潜在している、引きこもっている方もいらっしゃるのではないかというところも大きな課題となり、まずは実態を踏まえて、どういった具体的な施策が必要なのかを検討しようと8ページにあります3つの調査研究を行いました。

 本日膨大な資料を用意してしまったのですが、26ページ以降が1番にあります真部班の調査研究の主な結果になりますので、後でお目通しいただければありがたいです。

 まず、20082010年の3か年において、働き盛りや子育て世代のがん患者やがん経験者、小児がんの患者を持つ家族の支援のあり方についての研究に参加いたしまして、実態調査を行い、また、言葉の定義というものがありましたので、定義を行って、具体的にどういうものが考えられるか、支援策があるかを模索することをテーマにして3年間研究をしてまいりました。

10ページにありますように、1973年から行っております相談履歴の解析、また、就労経験が実際にある小児がん経験者に実態をお話しいただく面接調査、また、過去に行われていた内閣府の青少年の社会的自立に関する意識調査と、一般青少年と比較検討ができるように同じ内容のものを作成して、自立に関する意識調査のウェブアンケートを小児がん経験者向けに行いました。

 また、国内外の小児がんの自立就労支援をしている他施設や団体を検索したのですが、ないというのが現状でして、小児がん以外の慢性疾患の支援をされている他施設や団体の視察調査を行い実態を把握して、その後に、就労支援システムを仮説として立てて、パイロットスタディーとして実践研究を行わせていただきました。

 その結果を12ページにお示ししてあります。これらの細かい調査については後ほど、先ほど申し上げた資料を見ていただければと思います。

 当初、私どもは何らかの小児がん経験者に特化した事業をしなくてはいけないのではないか、就労支援施設を立ち上げなければいけないのではないかという仮説をもとにしてさせていただいたのですが、やってみると小児がん経験者だからというような明らかな傾向は実はなくて、むしろポジティブな傾向がありました。小児がん経験者の子たちは一般青少年に比べて社会に還元したい、お金を稼ぐために就労したいのではなくて、小慢の事業を国民の皆様からいただいて自分たちは今こうやって命を助けてもらっているわけだから、その社会へ貢献をしたい、また、お世話になった医療従事者の方へお礼の気持ちも込めてその姿を見せたいというような貢献意欲の高さが見られました。

 ただ、小児がんを経験したというのは過去の経験にはなりませんので、今、実際にどうしても対峙しなくてはいけない課題というのがあり、そこの経験を分かち合う仲間の存在の必要性ですとか、健康不安の軽減のために小規模フォローアップの問題やトランジションの必要性、また、小児がんについては、やはり親がキーパーソンになっていることも多いものですから、親に対して子どもと親の自立というものも含めて教育や支援、相談できる場所の必要性も示唆されました。

 また、小児がんに特化した就労施設は当時はなかったのですが、他団体の施設や団体さんを視察させていただくことで、小児がんの経験者が活用できるもの、仲間に入れていただいて一緒に育てていただけるものもあるということもわかりました。また、実際に実践研究をしたことで、小児がん経験者自身にも自分が小児がんだったからというような理由を自分につけて、それを逃げ道にしているのではないかというような言葉も語られたり、自分ができること、できないことが明確化していない、自分ができないことやできることをきちんと相手に伝えて助けを求めるということも、1人で何でもやることが自立ではないという自律というものが目指すところではないかということが、この真部班の中で私どもが学んだことです。

 あわせて2011年度に、小児がん患者・家族の実態調査を行いまして、1415ページに主な結果を出させていただいておりますが、5割は何らかの問題を抱えておりました。しかし、工夫して就労を継続しているという方もいらして、全く就労できていないという方はむしろ少数で、工夫しながらというところが今の大きな課題ではないかと思いますので、ここで検討していただいている成人のがん患者さんが就労しながら、がんの闘病生活を送っていらっしゃるというところと合致するものもあるのではないかと、ここでは感じております。

 最後に、20112013年度、小澤班へ参加をさせていただきまして、また新たな自立・就労を検討させていただきました。この結果については、また石田先生から御発表いただくかと思いますので、私どものところでは学んだこととして17ページに書かせていただきましたが、実際に小児がんに特化した就労支援があるというようなことが報道されたことで、すごく反響が大きかったことを実感しました。ただ、一方で、小児がん経験者は就労ができないというような誤った認識が広まったという危惧もいたしました。

 一方で、小児がん経験者の雇用をしてくださった雇用主の方から、社会に出れば1人の人間であって、小児がん経験者だから自分は雇用しているのではなく、働く仲間としての適正を見極めてその子を雇用したいというお言葉をいただいて、とても当たり前のことではあるのですが、私たちにとってはとても支えられるお言葉でもございました。

 また、昨年度いわゆる2010年に施行された子ども・若者育成支援推進法で策定されて、全国にある地域若者ステーション、サポステと呼ばれているものですが、サポステさんの事業主が主に参加されている研修に私も参加させていただいて、事業主さんと1週間お話や研修をともにさせていただいた中で、小児がん経験者を抱えている問題も引きこもっている一般の若者の問題も実はとても似たものがあるということを感じました。小児がん経験者だからと言っていることで、むしろ小児がん経験者の自立を妨げるものもあるのではないかということを実感して帰ってまいりました。

 今申し上げましたように、小児がん経験者だけということを余り特化し過ぎることが、小児がん経験者イコール就労困難というスティグマを生みかねないということ。また、小児がん経験者だけではなくて、先ほど来お話がありました既存のさまざまな施策やサービスを活用しながらやっていくことも小児がん経験者の支援としてはいいことではないかということを、これらの研究にあわせて学んだことです。

1819ページを省略させていただきまして、20ページに主なフローを書かせていただきました。ここで言う小児がん経験者は、イメージとしては就労したことがない、これから就労しようとしている前にがんを罹患した方をイメージしておりますので、小児慢性特定疾患の対象となる年齢の方以外にも、恐らく大学生で発症したAYA世代と言われるような年齢の方もここには含まれてくるかと思いますが、小児がん経験者の多くの方は一般就労ができています。小児がん経験者イコール就労困難者だというスティグマの排除のために、大きな社会啓発というものが必要だと思いますし、ただ、民間保険に入れないということでローンを組めないですとか、就労を継続しながら通院をしなくてはいけないという事情もありますので、ここは企業さんへの理解ということを今後も促していかなくてはいけないという問題もあります。

 そして、人数が少ないとはいえ就労が困難な方も、できないという方と意思がない方に二分されます。そこには十分なインテークとスクリーニングが必要かと思います。

 できない方に対しては、先ほど申し上げたように、治療をしながら学校生活を送ったり、就労したりという方も中にはいらっしゃいます。ですので、抗腫瘍治療中もしくは重篤な晩期合併症・後遺症があるという理由でできていない方、その中にも障害者手帳がある方とない方、ある方に関しては、できるだけこういった制度があって活用できるサービスがあるということを理解していただくために啓発していくことが大事かと思いますし、身体だけではなく、最近では高次脳機能障害のサービスを受けられる小児がん経験者の方もふえてきていますので、そういった意味でも自立支援というところが十分に活用できる範囲かとも思っています。

 ただ、今の障害者手帳の対象の枠には外れてしまう、そうでいながらも重篤な晩期合併症を抱える小児がん経験者が中にはいらっしゃいます。そういった方に対しては、晩期合併症に対する社会保障の新たな整備対象の拡大や範囲の拡大というものをぜひ検討していただきたいとも考えております。

 また、就労ができない方、意思がない方、自信がないや就労しても続かないというような方の中には、自律支援というものが必要だと私どもは考えておりまして、サポステさんなどのお力や、ほかの団体やサービスのお力を借りることが大事だとも思っています。

 また一方で、小児がんはこの30年の間に医療が大きく変わっておりますので、世代によって違うというのも一つ大きな理由だと思います。今現年齢40代以上の方の中には、自分が小児がんだったということを告知されていない方も中にはいらっしゃるという現状があることや、晩期合併症の実態が明らかになっていない時代に治療をしている30代以上の方、今こういった施策や注目を浴びている中で治療をされている方というのは、自立就労支援というものの考え方も大きく違うということも留意してなくてはいけないと考えております。

21ページに書かせていただいておりますのが、いわゆる自律支援、就労困難な方の意思がない方や、自信がない、就労してもなかなか続かないという方に対しては、ホップ、ステップ、ジャンプと3段階の支援が必要だと私どもとしては考えております。実際に、委員でいらっしゃいます桜井さんのところに、小児がん経験者の方をインターンシップとして預かっていただいたりですとか、多くの企業さんの御理解をいただいて模擬面接をしていただいたりということもございますし、また今現在作成している小児がん経験者向けのガイドブックには、さまざまなサービスの活用が可能だということを広報できるようにということを考えております。

 同時に、保護者へのサポートも必要だと申し上げましたが、就労に困難を抱えている保護者向けのグループワークをさせていただいたり、保護者の方も仕事を辞めてしまう方もいらっしゃるものですから、保護者の方向けの就労ガイドというものも今作成しているところです。

2324ページですが、今、社会制度の中にもいろいろな動きがありまして、このがん対策の中ではがんと就労というものが入ってきていますし、特定疾患・難病対策の中には難病患者就職サポーターが導入されるという動きもあります。ただ、小児がんは小児期においては難病ではあるものの、20歳以上を超えると難病ではないと範囲から外れてしまうためにこの制度が使えないという困難さを抱えておりますので、重篤な晩期合併症が何とかここの対象に入らないかということは今もお願いさせていただいているところでもあります。

 また、小慢の自立支援事業が予算化されて、先ほど御説明いただいた事業が展開されることにはなっていますが、これはあくまでも20歳までのサービス提供という御説明もありますので、就労メニューとして20歳までで、そこから先が途絶えてしまうと、せっかくしていただいた自立支援も途絶えてしまうという問題もあり、実は小児がんはいろいろな制度がありながらもはざまに落ち込んでしまっているという大きな課題を抱えていると認識しております。

 駆け足でまいりましたが、このように、これからの小児がん経験者の支援は今までは小児がんの患者・家族会ですとか、小児がんにかかわっている医療従事者の方を中心にやってまいりましたが、そうではなくて広くいろいろな方のお力や、既存のサービスなどを活用しながら、彼らの将来を決定していくということが大事だと考えております。

 以上です。ありがとうございました。

○堀田座長 ありがとうございました。

 御質問や議論は後でまとめてさせていただくことにいたします。続きまして、石田参考人から資料4に基づいての御説明をお願いいたします。

○石田参考人 愛媛県立中央病院から来ました石田といいます。資料は、4と最後にある非公開のものと両方見ながらお願いいたします。非公開と書いてあるのは患者さんの情報あるいは顔写真が入っていますので、申しわけないのですが、そういう形にさせていただきました。よろしくお願いします。

 先ほど、樋口さんから説明していただいたように、我々は小澤班でこの取り組みをしていますので、それを中心にお話ししたいと思います。

 スライド2は先ほど来の繰り返しになりますけれども、がんの子供を守る会の調査でも、かなり小児がん経験者の方々というのは、前向きの、特に社会に役立ちたいという意思が非常に強いということが確認されましたので、そういう方々が自立して自己実現の一つとして就労がちゃんと実現できるように支援するというのは、非常に重要だろうということで今回の取り組みをしております。

 スライド3ですが、これまで小澤班の前に幾つか我々は社会的偏見とか実際の就労面接の時点でのいろいろなバリアーがあるのではないかということで、幾つかの調査をしてきました。スライド3の論文は、日本小児科学会に提出したものですが、この調査の内容としては、アブストラクトに簡単に書いていますけれども、200の高校・大学と200の会社に調査をしてみたところ、数パーセントですが、小児がんということが記載されていたら、それで不合格にするとか面接まで至らないということが書いてあるところがありましたので、文部科学省、厚生労働省がきちんとその辺を法律で定めているので、それをちゃんと周知したいということをまとめております。

 スライド4の論文は、2,000社の上場企業と2,000社の非上場企業、あと47都道府県に調査を行って、実際に既往歴等を要求するのかどうかをお聞きしたところ、公的なところでは実際の就職の面接試験の前はそういうものは要求しないで、就職を決めた後に適正配置をするときに使うというようなお答えだったのですが、上場企業の一部では、その前にそういうものを求めるというところが一部あったということを報告しております。

 そういう研究を踏まえて、今回スライド5に書いてあるような小澤班で、20112013年にわたってチャイルドサポートの一環として、小児がん経験者の自立・就労支援ということで調査しました。ここには先ほどお話しいただいた樋口さん、横川さんによる就労支援プロジェクトが入っております。

 今回お話ししするのは、その後の小児がん経験者の就労に関する実態調査ということで、ハートリンクワーキングプロジェクトと書いてありますが、スライド6から始まるものです。

 この内容は、スライド7に書いてあるように既に論文化しておりますので、別刷りがまだできていないので、きょうは十数部コピーして持ってきておりますので、もし御関心がある方は、今事務局にお預けしておりますので、読んでいただけたらと思います。

 概略を説明しますと、研究方法としては横断研究でありまして、自記式あるいはウェブ入力のアンケート調査です。

 対象者は、ハートリンクという小児がん経験者の方々の共済保険に加入している方、あるいは加入に関して問い合わせをいただいた方を対象に調査をさせていただいています。ただ、脳腫瘍の患者さんというのは、かなり就労の困難さがあるだろうということで、特に3番目で、小児脳腫瘍の会を含むネットワークの方にも一部、数十名に協力していただきました。

 こちらから調査の依頼をして、内容を小児がん経験者に郵送で返送していただくという形で協力していただきました。

 スライド9になりますけれども、240名余りの回答が得られましたが、その中で既に障害者手帳を持っている方が29名、12%いました。210名は手帳を持っていないとお答えになったのですが、先ほど樋口さんのお話にもあったように、今のところ障害者手帳の対象にはならないけれども、障害者手帳があったらどうにかということがあるということで、残りの210名の方にお聞きしたところ、15人ができれば手帳はあったほうがということで必要であると答えた方が7%いたということで、この29名と15名を足して44名の方を手帳が不要と答えられた方と2群に分けて比較検討したのがスライド10です。

 いろいろなバックグラウンドを比較しまして統計学的に見たところ、多変量解析というのがχ2乗のところにありますけれども、ロジスティック回帰と書いてある一番右に、最終的に多変量解析でいろいろなものを調整した結果を示しておりますが、やはり手帳が必要と答えた方の一番の要因は晩期合併症です。晩期合併症ありという方は、ない方に比べて29倍手帳が必要と答えている割合が高い。続いて多いのが、脳腫瘍あるいは骨軟部腫瘍、リンパ腫という固形腫瘍の方々が手帳を必要としている。あと、もう一つわかったのが、学歴で中卒、高卒という方々は、やはり手帳を必要としている方が多いということが結果としてわかりました。

 続きまして、スライド11は、学生の方が一部含まれていましたので、学生の方を除いて165人の方が18歳以上で既に就職の年齢になっているということで、その165名の男女の分布をお見せしています。右側には、その中で就職している、あるいは未就職であるかをお聞きしたら、19%、33名の方が未就職ということがわかりました。

 未就職の方々の特徴を明らかにするということで、スライド12のような統計学的な結果が出まして、実際に未就職の33名は就職されている131名とどういう点が違うかを検討した結果、晩期合併症ありと答えている要因が一番強くて、2.59というオッズ比ですので、晩期合併症がある方はない方に比べて2.6倍ぐらい就職できていない。それ以外には、予想されたごとく脳腫瘍の方が2.25ということで非常に高い。ただ、これは統計学的な有意差ではないのですけれども、やはり脳腫瘍の方は少し就職には困難さを抱えていることがわかります。

 あと、学歴では中卒の方のオッズ比が高いということで、中卒あるいは中退されたような方は非常に就職に当たっては困難さを抱えていることがわかりました。

 スライド13は、就労していない経験者のみにいろいろお聞きしました。現在就労していない理由ということで、就労していない33名で数は少ないのですが、晩期合併症ありの人とない人と2群に分けて調査したところ、晩期合併症ありと答えている左側の方は予想されたごとく、就職活動したけれども採用されなかったとか、晩期合併症のために就職が無理であると答えている方が非常に多いのですが、先ほど樋口さんが言われたように、晩期合併症がないにもかかわらず就労の意思がないという方がおられて、その他と書いてありますけれども、この中には自分に合わない仕事だったら嫌だということや、就職に関して非常に切羽詰まった感じになっていないという方がおられて、晩期合併症がないにもかかわらずなかなか就労できない1群がいると。ただ、大部分の3分の2方は、晩期合併症があることによって就労が非常に困難だと答えている方も多いことがわかりましたし、晩期合併症がある方の大部分は、仕事をしていないことに対して大変不安であると答えておられます。それに対して晩期合併症がない方は、不安とは余り答えられていないということで、やはりバックグラウンドはこの2群で大きく違うことがわかりました。ただ、一番下に書いてありますように、理解ある就労の場があれば働きたいという意思は持っておられるということが確認されました。

 次にスライド15で、仕事への影響に関してお聞きしたところ、晩期合併症がある方とない方で非常に影響の度合いは違います。合併症がある赤い群のほうは、仕事に非常に影響があると答えている方が多いのですが、ただ、これは後でどういう影響ですかと御質問したところ、マイナス面の仕事への悪影響だけではありませんでした。その辺が後のスライドに示されております。

54名の方が仕事への影響がかなり、あるいは非常に影響していると答えられましたけれども、その中で41名の方にいろいろな記載をしていただきました。その中でマイナス面での影響を答えているのが76%の方、41名中31人ですけれども、体力面できついとか疲れが残りやすいということ、あるいは身体的合併症があって仕事にかなり差し支えがある、あるいは社会での偏見が非常に強くて正社員になれないということがいろいろ書いてありました。

 それ以外に、今回特徴的だったのは、41人中10人、25%ぐらいの方の中には、医療関係の職場で働いている人が非常に特徴的で、小児がんの経験自身が非常にプラスに影響したと。病気を経験して看護師になった人が5人におられましたし、それ以外にいろいろな医療関係で働いていることが、小児がんの経験をプラスの面として生かせていると答えております。具体的には、そこに書いてあるような内容でした。

 続きまして、33名の未就労者です。実際に学生ではなくて現在働いていない方々に、なぜ今働いていないのか理由をお聞きしたところ、身体的な合併症、これは先ほどもありました。あと一部、小児がんで治療終了後から何年もたっているような方でも、再発の心配がある、もしくは実際に再発したために正社員として採用されなかったとか、休みがとれなくて病院に通えないということが書かれておりましたし、これは多分小児がんに非常に特徴的なものだろうと思いますが、社会性・コミュニケーションの問題があって、幼少時に病気になったこと、あるいはいろいろなことで社会性が獲得できていないと本人が自覚しておられるのか、コミュニケーションをとりにくい、あるいは受け入れてくれるところがないとか、いろいろなことが書かれておりました。この辺が、小児がんとしては非常に問題の面ではないかと思いました。

 続きまして、我々はこの後、小澤班でハートリンクというプロジェクトをしまして、ワーキングプロジェクトということで実際に小児がんの就労支援をやっていますので、そのことを御発表します。

 平成24年8月にこの調査をしたところ、33名の方が就労できていなかったわけですけれども、その方々は半分以上の方が親に生計を支えていただいていることがわかりましたので、この方々の自立を促すためにも就労支援をしていこうということで、非公開の資料を見ていただきながらと思いますが、就労支援ということで平成2410月にハートリンクワーキングプロジェクトを立ち上げて、写真にあります新潟日報社の1階にハートリンク喫茶というのを設けました。その下に採用状況と書いてありますけれども、4月1日から5名の小児がん経験者、内訳は2338歳のALL(急性リンパ性白血病)あるいは甲状腺がんあるいは移植後の患者さんを含んでいます。種々の晩期合併症を持っておられる方が多いのですが、一番下の方だけ特に晩期合併症はなく、子どもさんを3人もうけられている方で、それ以外の方は晩期合併症を持っていて、就労が困難であるという方を採用しまして、この5名の方に就労支援を行っています。

 実際の写真を簡単に紹介したいと思います。ハートリンク喫茶が4月にオープンしまして、本当に一画をお借りしてやっています。

 その下が実際の写真ですけれども、カウンター側にいる方が小児がん経験者で、この方が接客をしている姿です。右側は、この方は140センチメートル台で身長が低くて、いろいろなものをとるのも非常に困難ということで踏み台をつくったり、あるいはコーヒーにケーキやクッキーをつけて出すということで、その辺を実際にみんなでやっていくオーブンのところとか、次のページですが、コーヒーメーカーは、コカ・コーラ社から寄贈を受けてやっております。

 この方々は実際にはパソコンも使えませんでしたし、なかなかそういう仕事に慣れていなかったということもあって、毎日感じたことを1行でいいから書きなさいということを、副理事長の林さんという方が生活指導をしております。暇なときにはパソコンを練習するとか、あるいは右下の男の子は実際に小学校、中学校とずっと小児がんで、そのころは院内学級もなかったために全然勉強していなかったということで、文字すら書けないというレベルだったので就職はなかなか難しいということで、新潟日報社の新聞を毎日写させて文字を勉強するとともに、基礎的な学力をつけるようなことをやっております。

 もとの資料に戻りますが、新潟県から助成を受けましてカリキュラムを組みながらやったところ、訓練者の変化としては、コーヒーを持ってきて渡すという本当に簡単な喫茶の作業ではあるのですけれども、そういうものをある程度覚えてくると人間関係が不穏になってきたり、職業訓練をスタートしたけれども、小児がんは一人一人違うし、問題もいろいろ違うということがわかってきて、10月ぐらいには個々の能力に応じていろいろなことができるようになってきています。

 あと、いろいろなことに自信が出てきたとか、資格を一生懸命取って、次のステップに進もうという子が出てきたということが12月ぐらいからの変化でした。

 実際に課題としては、今回5名の方を採用して試みをやったところ、皆さん晩期合併症がありながら初めての就労であったという経験から、少しずつ前向きに自分たちの将来を考え始めたということとか、実際には経営が成り立たないということもあって、いろいろな寄附あるいは県からの補助を受けながらやっていますけれども、これらの経営は行政などの助成なくしては難しいだろうということを感じました。

 「課題と結果2」に書いていますけれども、医療の目覚ましい進歩のおかげで、こういう方々が社会から孤立するのをなるべく防いで、小児がん経験者の中に10%ぐらい就労がなかなか難しい方がいるとすると、3,000人ぐらいはいるのではないかと。実際にはほとんどの方が就労できているという現実がありながら、一部の身体的にはそれほど問題ない方も含めて社会性がなかったり、いろいろなことで就労の経験を持てないという方々に、一つのきっかけとして、こういう試みというのは役に立つのではないというのが今回の結論です。

 最後になりますが、今回こういう経験を4月5日にメディアシップのほうで患者あるいは御家族からいろいろ発表をしていただきました。そのいろいろなお話をお聞きして、先ほど樋口さんが言ってくれたことと同じような結論になるのですけれども、問題としては身体的合併症が高度である方に関しては、障害者手帳の充実を含めて自立的な生活が送れるように支援していかないといけない。ただ、社会性の不足や経験などの不足に関しては、小児がんに特化した施設をふやす方向もありますし、先ほど守る会からお話があったように、ハローワークなどの既存の施設を利用して、もう少し小児がんに関する情報提供をして、周知を図る方向の両輪でやっていかないといけないのではないかと思いますし、先ほど厚労省から話していただいた社会資源の活用に関しては、我々はまだまだ認識不足で知らないことがいっぱいありましたので、そういうことを医療関係者にも十分周知する必要があるかなと思います。

 最後になりますけれども、やはり親の意識というのが非常に大きくて、小児がん経験者というのはいつまでも保護すべき存在ということで、自立を逆に親が妨げている実態が今回非常に明らかになりましたし、今回の5名の方は親の意識がかなり変わったということを発表でお聞きしましたので、やはりこういうことをきっかけに、親自身が変わってきて子ども自身も自立につながるということが非常に理解できました。

 以上です。

○堀田座長 ありがとうございました。

 ただいま小児がん経験者の就労支援につきまして、その現状あるいは課題やニーズ、そしてまた、先進的な取り組み等についても御紹介いただきました。大変心に迫るような内容であったわけですが、ここで資料5の説明をいただいてから議論に入りたいと思います。よろしくお願いします。

○江副がん対策推進官 資料5を御確認ください。「小児がん経験者の就労支援について(論点)」というものでございます。

 前段は、これまでと同様の構成ですけれども、小児がん患者・経験者の就労支援のための取り組みとして、どのようなものが効果的と考えられるか、どのようなものが実施しやすいと考えるか。また、取り組みを促進するために、どのような方法が有効かといった観点で御議論いただければと思います。

 論点として例示しておりますのが2点ございまして、例えば、小児がんについての普及啓発が必要ではないか。その際、小児がんと大人のがんの相違点等について着目してはどうか。2点目としまして、小児がん晩期合併症を抱える患者について、特に対策が必要ではないかということで、冒頭の各施策との関係もございますけれども、相談窓口の整備と周知、障害者手帳を取得することのメリットの周知、自立を促す支援策の検討、ジョブコーチ等の就労支援メニューの活用等が考えられるのではないかと思っておりますが、これに限定せずに幅広く御議論いただければと思います。

 資料5の説明は以上です。

○堀田座長 ただいま論点について説明していただきましたけれども、これ以外にも幾つかの論点があろうかと思いますけれども、それは議論の中で深めていただくことにしたいと思います。

 それでは、まずきょう、お二方から御意見をいただいておりますので、樋口参考人、石田参考人の御発表に質問あるいは御意見をいただければと思います。いかがでしょうか。

 桜井構成員どうぞ。

○桜井構成員 きょうは貴重なお話をありがとうございました。事務局も含めて3点ほどお聞きしたいことがあるのですけれども、まずは、樋口さんの資料3の17ページにあった、全国160カ所の地域若者ステーション、サポステなのですけれども、これは小児がんの方も利用できるという施設になるのでしょうか。

○樋口参考人 特に対象は定められていないので、必要な方はすべからく皆さんが活用できるということでしたし、ただ、サポステさんによっても特性がすごく異なりますので、得意な分野と得意ではない分野というのがどうやらあるようで、その地域のそれぞれの特性に合ったサポステさんを選んでいくということは必要かもしれませんが、小児がん経験者がサポステさんにお世話になることは十分可能だと、事業主の方もおっしゃっていましたし、私どもも実感しています。

○桜井構成員 ありがとうございます。

 2つ目なのですけれども、石田先生の資料の10ページに、職業訓練の指導内容ということで書いてあるのですが、この職業訓練の指導内容というのは、例えばサポステであったり、きょう御紹介があったトライアル雇用であったり、ジョブコーチのいわゆるソーシャルスキルトレーニングのプログラムといったところと何か違いはあるのでしょうか。

○石田参考人 これに関しては新潟県からの委託事業で、本当に今回初めて試みたということで、これを指導している方が事業主で実際にいろいろな経営をしている方なので、そういうものをバックグラウンドにして、本当に基本的な接客態度とか敬語を使ってちゃんとできるかというところから始まっての訓練なので、実際には小児がんに特徴的なものというのは特にはないと思います。一般的なことになっていると思います。

○桜井構成員 事務局にお聞きします。この内容というのは、ジョブコーチとかそういうところでも一般的に行われている内容なのでしょうか。

○職業安定局障害者雇用対策課地域就労支援室長補佐 ジョブコーチに関しては、それぞれの方がお持ちの課題によって支援の内容が異なってまいります。例えば、知的障害の方であれば作業が難しいということなので、どういうふうにお示しすれば作業を適切にしていただけるかということについてジョブコーチが指導するということがありますし、精神障害の方であれば、周りの方とコミュニケーションをとるのが難しいというような課題がありましたら、そこをどうしていくかということで支援をしていくことになりますので、その方、その方がお持ちの課題に応じて支援の内容が変わってくるという形になります。

○桜井構成員 そういう意味では、今回も同じような経験値に基づいたプログラムということが言えるのでしょうね。あと、石田先生に3つ目なのですけれども、11ページに訓練者の変化というのがあります。先ほど赤字経営等々の話もありましたが、多分経営というようなことを考えると、利用する側の人たち、例えば、ここのコーヒーが他と比べてとってもおいしいとか。経営者だとそういうことを考えてしまうのですが、そういう部分の利用された方の満足度とか、あるいは一緒に働いた同僚の方のモチベーションとか、そういう部分は何か調査はあるのでしょうか。

○石田参考人 調査自身はしていないのですが、新潟日報社は社長さんを含めて小児がん経験者のいろいろな問題に対して非常に関心が高くて、いろいろなことで小児がん経験者の就労支援としてのハートリンク喫茶なんですよということを皆さんに周知していただいて、実際によくメディアシップでいろいろな小児がんのシンポジウムとかやるおかげもあるのですけれども、そういうところで一般の利用されている方々から励ましの言葉とかいろいろいただいているということで、非常に理解をしていただいているということはあります。ただ、味とかいろいろな特性を出せるところまでには、まだ至っていないというのが現状です。

○堀田座長 そのほかいかがでしょうか。高橋構成員どうぞ。

○高橋構成員 コメントなんですけれども、どうもありがとうございました。私は、若い友人たちの顔を思い浮かべてお話を伺っていたのですけれども、若い友人の医師で小児がん経験者が3~4名いて、一緒に仕事をしております。多分、私自身の年代になりますと、なかなか告知をされていなかったころだと思いますが。本当に若い時期に小児がん経験を持つ友人たちは、医師として働いているときに、何のために働くか、どういうふうに社会貢献するかという認識が非常にしっかりしておりまして、社会が無理のない工夫をすることで、意欲と能力のある社会貢献者がふえるんだなということを実感します。そういう工夫がなければ社会の依存者になってしまうかもしれない方々に、工夫をすることで貢献者になっていただく。そして、彼らは非常に貢献したいという意思を持っているというのが、とても重要なポイントだと思いましたし、この検討会で具体的な方策について明らかにしなければいけないことだと思いました。

 小児がんと成人がんの違いを考えるよりも、むしろ共通点が非常に大きいということを改めて実感しました。特に、これだけさまざまな状況があるのに、小児がんだ、何とかがんだと、がんが一枚岩としてとらえられているということです。がん体験の多様性について、きちんと発信していくということが大事だと思いました。

○堀田座長 ありがとうございました。

 そのほか御意見ございますか。池田構成員どうぞ。

○池田構成員 まず、両参考人に大変貴重な話を聞かせていただいたことに感謝申し上げたいと思います。

 樋口さんに1つ質問があるのですが、晩期合併症がありながら障害者手帳をとれない状況があるということで、それは具体的に言うとどういうものでしょうか。

○樋口参考人 障害者手帳の一番の対象は固定していることということが手帳の中にあったりですとか、やはり四肢欠損の方が一番メジャーな障害者手帳の対象であるということが歴史的にもあることから、内部障害は最近ふえてきていますけれども、小児がんの晩期合併症で内臓疾患になっている方、腎機能障害ですとか、内分泌障害というような方は含まれないというのが、ここの中で一番大きいものだとは感じています。

○池田構成員 それから、石田先生にお聞きしたいのですが、学業を途中であきらめざるを得なくなって、それがハンディとなってなかなか社会参加ができないというお話がありましたけれども、やはり就学から就労まで継続的な支援、側面では心理的なサポートや精神的なサポートが必要だと思うのですが、まさにそういうことをがんの子供を守る会がずっと継続してやっていらっしゃると思うのですが、それを社会的な仕組みや制度に切りかえていくにはどうしたらいいかを考えるのですが、その辺に関してはいかがでしょうか。

○石田参考人 実際にこの調査をした方々がもう30歳とか40歳なので、樋口さんも言われたように、今の時代に治療している方は大分変わっています。それは院内学級が整備されたり、いろいろな面で入院中も勉強をちゃんとできているというところから言うと、ほとんど学業に関しては遅れないで進んでいますので、今後は大分これは変わってくると思いますし、実際に文部科学省から、義務教育期間中の院内学級での学業の継続は絶対に必要だということを強く言っていただいたおかげで、ほとんどの大きな病院では院内学級が整っていますので、あとは高校が多分今後の問題かなということで、小学校、中学校で中卒では厳しいので、高校の院内学級の整備あるいはAYA世代のところが今後大きな問題になるのかなと思っています。

○堀田座長 そのほかいかがでしょうか。

 今の問題に関連して、小児がん経験者の多くの方は問題なく就職もできるのだけれども、一部それが困難な方があって、それらの方は手帳の対象にもならないということでサポートが必要だという部分と、もう一つは、非常に意識が高くて働く意欲があるのだけれども、それを受け入れるほうの問題はどうなのかという2つの問題を提起されたと思います。要するに、小児がん経験者イコール就職困難者であるというスティグマを張られてしまう状況というのは、今でもそれがかなりの主要な問題としてクローズアップされているのでしょうか。そこを具体的に教えていただければと思います。

○石田参考人 実際には、こういう調査を出して報告すると、それが逆にそういう社会的な認識を生んでしまっているところがあって、我々も本当に痛しかゆしのところはあります。実際には身近に小児がん経験者がいたり、いろいろなことを知っておられる方はそこまでのことを思われないのですが、小児がんは幸か不幸か非常に数が少ないために、ほとんど小児がんの方を見たこともない、接したこともないという方に関しては、やはり一部の報道を聞くと、小児がん経験者というのは病気が治ってもちゃんと生活していけないんだね、あるいは普通になれないんだねと思われているところが一部あるかと思います。その辺は、我々の情報提供のあり方にも問題があるのかもしれませんけれども、成人がんの方は身近にいっぱいおられると思うので、がんになってもみんな元気でやっておられたり、いろいろなことを見られていると思うのですが、小児がんの方は本当に周りにいないものですから、一部の情報だけを聞いて先入観を持ってしまうというところはあるのではないかと思います。

○堀田座長 雇用側に関係している、あるいは医療関係者の方で何か御意見があれば、そういう受け入れの問題に関して、一部の就労に苦労したケースの報道はそれが逆に、小児がん経験者は就業困難だというイメージにつながっていかないようにするのはどうしたらいいかということも含めて、受け入れ側はどうでしょうか。

 湯澤構成員、お願いします。

○湯澤構成員 雇用のときというところだと思いますけれども、既往歴を採用条件にするということは少ないと思います。雇用のときに既往歴は、その職業にもよるかもしれませんけれども、それだけで採用・不採用の判断には至らないところだと思っております。

 私は石田先生の御発表で、9ページのスライド18でも未就労者の働いていない理由があると思うのですけれども、その中で社会性・コミュニケーションというところ、ストレスに弱く、人間関係でうまくいかない。病気をしたことによって細かいことが気になる。人目をすごく気にする。コミュニケーションがとれないというあたりというのは、多分継続した就労であるとか雇用という部分で、私は一番大事なところかなと思うんです。これが育っていく、できるようになるためには、樋口さんが御発表になったように、自立支援、いわゆる自分でどんなことをやりたいかとか、どんなふうに配慮してもらいたいかというところを少なからずコミュニケーションをとっていけるお力が必要なのかなと思いますので、今、未就労の方については、自立支援というところでお力を入れて御支援いただければと思いました。

○堀田座長 実際、大企業などだと、こういう人は余り来ないのですか。

 宮本構成員どうぞ。

○宮本構成員 大企業で身体障害者の法定雇用枠というのがあるので、身体障害者もしくは精神障害のほうでもいいのですけれども、障害者手帳をお持ちの方はある一定数入ってこなければいけないというのがございます。今は法定雇用率が2%以上となっていますので、従業員50人以上のところには1人以上いるとなると、その50人以上の企業には実は産業医が必ずいるということになりますので、そういう意味では、最初の関連する制度という資料1のスライド14に、ジョブコーチがアクションをとる対象が、事業主、同僚あるいは障害者、家族になっていますが、もし、この方が手帳をお持ちであれば、就業として狙う先が50人以上の法定雇用率に引っかかるところであれば、産業保健スタッフを入れてもいいのかなと思いました。

 実際には、手帳をお持ちの方で入ってくるといったら、例えば、整形外科的な疾患ですとか、てんかんですとか、心疾患をお持ちの方はちらほら入っておられるのですけれども、小児がんというと先ほどおっしゃったように、総数が少ないせいなのか、あるいは実は小児がんであっても現時点で障害がないから普通に入社されている方もいらっしゃるのか、そういう意味では今目立って対処しているという事例がないのですけれども、今時点で何らかのハンディがあるのであれば、手帳をとれるようにするというは一つの手かなと思った次第です。

○堀田座長 ありがとうございます。

 伊藤構成員、お願いします。

○伊藤構成員 今日は本当に貴重なお話を伺えて、非常にありがたかったと思っております。中でも石田先生の御報告の中で、実際に就労されている方の中に、自分の疾患の経験がプラスに影響しているというように評価されている方が4分の1ほどいらっしゃるという話だったので、これは医療関係の職場という話ですけれども、必ずしもそういう職場に限ったことではないのではないか、様々な職場で、実際の仕事に自分の経験が生きてくるということはあるのではないかと、漠然とですけれども想像しております。そういうような意味でも、言い方が適切かわからないですけれども、企業においても、プラスの戦力といいますか、そういうようなとらえ方もできるのではないかと思います。

 その中で、1つ伺いたいのですが、石田先生の資料の13ページ、一番最後の結論のところなのですけれども、2)でハートリンクカフェのような小児がんに特化した施設を増やすという対応が必要ではないかという御提起があるわけですが、実際企業において採用されることを想像すると、いろいろな事情を抱えた方を採用するという、社会的な要請もある中で、小児がん経験者に特化した対応が必要なのか、それともその他の、例えば障害ですとか、抱えているさまざまな事情を抱えている方を、1つの事業所で採用して対応することが可能なものなのか、小児がんに特化することに特別な必要性るのかという事情を、もう少し教えていただければありがたいと思います。

○石田参考人 今の件に関しましては、先ほど御指摘いただいたコミュニケーションとか社会性というところが大きくかかわっていると思うのですが、実際にある程度の社会性ができて、ほかの障害の方も含めて十分にコミュニケーションがとれる力ができた人は、ハローワークを含めていろいろな施設を利用するということで十分だろうと思うのですが、そこまでいかないというか、実際には同じ病気で困った仲間と一緒にやっていったらどうにかできる、それでコミュニケーションの力がほかの人とも広げていけるという前段階のときには、小児がんに特化したところが適している方も一部おられるのではないかと。もちろん、そこでとまってしまうといつまで経っても社会性は身につきませんので、その後広げていって、一般のほかの方々も含めた形での支援を利用するということでいいのだろうと思いますが、最初からハローワークに行ってできるかというと、なかなか困難な方が実際におられると。そのときに、先ほど樋口さんも言われましたけれども、仲間を非常に大切にする小児がん経験者なので、仲間がいて一緒にやっていって、少人数だけれどもそこからスタートできるというのは、今回の5人を見ていたら非常に大きいと思いました。

○堀田座長 ありがとうございました。

 桜井構成員どうぞ。

○桜井構成員 先ほど樋口さんの資料の21ページ。私たちのところも小児がん経験者の人たちをインターンシップとして受け入れてやっております。1人50日間、会社に来てもらって、名刺の渡し方からパソコンの開け閉め、いろいろなことをやるのですけれども、目標としては100人ぐらいの働く大人に会わせたいなと思って、あちこち連れ回したりもしております。

 その中で、私たちは小児がん経験者を小児がん経験者としては見ていません。一緒に働く仲間として見ております。社会に出れば、大人も子どもも社会人なんです。でも病院でも社会でも、「小児がん経験者だから・・・」そういう目では見てしまうというところがあります。企業側として思ったのは、その人のコミュニケーションの問題も含めて社会的な未熟さから来てしまうのか、それとも器質的なところから来ているのかの見極めがすごく必要なのかなと思いました。いわゆる障害者手帳の障害というのは医学的な障害で、社会というのは社会的な障害というのが別な枠であるんですよね。企業側としては、そこを適正にマッチしていくための見極めの期間みたいなものが必要です。本人も自分はカフェが向いている、自分は事務が向いているという、トライアルできるような期間というのを企業側としては持てる余裕というか、その後押しがあるとすごくうれしいなと思います。

 そういう点で、先ほど一番最初に堀田座長もおっしゃられたのですけれども、トライアル雇用ですとか、こういう助成金があるという話は意外に企業側には届いていないです。私も全然知らなくて、きょう櫻井公恵さんはお休みなのですけれども、彼女から助成金一覧の冊子を見せられて初めて知ったんです。企業側に対して、そういう見極める期間なり、助成金があるんだよということをもっと発信していただきたいなというのがすごく思ったところですし、逆に利用する小児がん経験者の人あるいは家族に対しても、こんなものがあるんだよ、登録してごらんというのをどんどん言ってほしいなというのを思っているところです。

 あと、このトライアルを経験して思ったのは、先ほどちょっと石田先生にもお聞きしましたが、周りの同僚への影響です。同僚の心が上がったり下がったりものすごく変動しました。やはり支援者としての感覚もあるので、何とかしたい、でも、何とかして一生懸命やったことがあっさり忘れられてしまったり、突然来なくなってしまったり、急に休まれてしまったりというコミュニケーションミスはやはりあるわけです。そのコミュニケーションミスというものが、同僚に与えるモチベーションへの影響はものすごく大きいなと思いました。その辺も含めて個人の力を上げるのと、社会的な支援、情報を整理するという両輪というのはすごく必要だなと思いました。

○堀田座長 その辺に関して、樋口参考人、あるいは石田参考人はどうですか。

○樋口参考人 先ほど小児がんに特化したという話にもリンクしてくると思うのですが、小児がん経験者の子どもたちや御家族が利用できるものがこんなにあるということを余り知られていないというのは、私どもの反省ではあるのですけれども、そういうこともあって、特に小児がんに特化したものを求められる方というのは、自分たちが小児がんを経験した人だから、こういう理由で就労できないんじゃないかと思われている方は、幾ら小児がんの方も使えるサービスがありますと言っても使わないというような現状もあるので、私たちの感覚としては、そういう広報をしていただくことで、恐らく特化したものがそのうち必要にならなくなるのではないかと持っておりますし、今回、桜井さんと一緒にやらせていただいたことで、実はその方は数年来私どもの事務所にも働きには来ていたのですけれども、子どものころからのつき合いなので、彼らがどういうことを言えば理解しやすいのかという事情は、私たちは知らず知らずの間に知っていたのですが、その常識が桜井さんのところでは非常識だったというようなことが明確になって、同僚の方たちの疲弊のお言葉もミーティングをして聞かせていただくことで、逆にこういう小児がんの子たちはこういう特性があって、こういう医学的な事情があって、こういうことができないんですということをお伝えしたら、安心していただけたというような事情もありましたので、トライアル雇用やジョブコーチを十分に活用することで、小児がんの子どもたちの一般就労への道というのが開けるのではないかとは感じています。

○堀田座長 ありがとうございます。

 そのほかの御意見ございますか。川本構成員どうぞ。

○川本構成員 貴重なお話ありがとうございました。石田先生の資料で、仕事に就かれたのがナースの方が多いということで、約1割でございました。看護師を志望してくる場合には、看護師さんにすごくいい看護をしてもらって、そのようになりたいということで希望することが多いので、そういう意味では非常に大切に扱わなければいけない方たちなんだと改めて感じました。

 ただ、よく御存じだと思いますが、看護の職場は非常に環境が厳しい状況でございます。職場環境の改善は、こういう方たちも目指していただくので、とても大切ではないかと改めて感じたところです。きょう関係者の方々がいらっしゃっていますので、ぜひ、また御支援いただければと思います。

○堀田座長 ありがとうございます。

 道永構成員、今のお話で感じるところをお願いします。

○道永構成員 医療関係者の中でお仕事がしやすいというのは、非常に動機としてあるのはわかるような気がします。先ほどからお話を伺っていまして、個人差がとってもあるなということをまず思いました。小児がん経験者ということで、一つには話ができなくて、あと本当に就労したい方にどういった支援ができるかということがこれからやらなくてはいけないことだと思いますし、あと、障害者認定を受けることができる方は積極的に受けるようにすれば、ジョブコーチも受けられるわけですし、ジョブの前にもしかしたら学習のコーチというものも必要なのかもしれないので、ぜひ、そういった方向で国のほうでも働きかけていただければと思います。

○堀田座長 そうですね、大変貴重な意見だと思います。

 先ほどからお二方がおっしゃっていましたけれども、親と子の自立といいますか、その辺についても、例えば、先ほど桜井構成員からありましたように、就職しても出勤して来たり来なかったり、ぽっと休んでしまったりするというのも、その辺に多少問題があるのかもしれない。親としては、この子は小児のときにさんざん大変な目に遭ってきた子なんだから、もう余分なことはさせたくないという気持もあるのかもしれないけれども、その辺の親離れ・子離れの取り組みみたいなものはあるのでしょうか。

○樋口参考人 おっしゃるように、その年齢に来るまでの間、親御さんは、ちょっと子どもが頭が痛いとか具合が悪いと言ったら、無理しないで学校休んでいいのよというような生活がずっと続いているので、働いてもちょっと頭が痛かったり、ちょっと体調が悪かったりすると、休んでいいものだと思っている傾向はあるんですね。それが決して悪いことではなくて、体調不良のときには休むことも大事だとは思うのですが、親御さんも休んだらと、余りにも仕事が大変だと、そんなに無理して働かなくてもいいんじゃないというふうに、言い方は悪いですが足を引っ張るというようなことが見られることもありますので、なるべく親御さんには黙っていてということを私たちは伝えるしかありません。

 あと、もう一つ、私どもの事業の特徴としてピアというものがありますので、実際に就労されている親御さんから就労困難なお子さんをお持ちの親御さんに対して、ここは親が我慢しなくてはいけないところなんだということを言っていただいたり、親御さんが愚痴ったりする場ができるというところは、すごく有用だとは感じていますし、そういう場がないと、親御さんはどうしても子どもしか見ていないので、親御さんが向ける方向を定めるというのも大事なことだとは感じています。

○堀田座長 石田先生も、先ほど5人の方のコーヒーショップ勤務の話で、親御さんの意識が変わったとおっしゃっていましたけれども、親に対して何か特別なアプローチはしているのですか。

○石田参考人 実際にこのハートリンクのプロジェクトの指導者というのが、小児がん経験者の親の方がやられているんですね。そういう意味では、親が自分の子を育てるかのように5人の子どもたちに対して、いろいろな社会性とか基本的な敬語の使い方から一生懸命教えつつ、その子たちの親に対しても2カ月に1回は面談しながら意識改革をしていただいているというのがあって、子どもたちも変わると同時に親も変わってきて、親が変わってくると、また子どもたちも就労に対する意識が変わってきているというのは非常に感じます。本当に1年しかないですけれども、親自身も変わってきていました。今回の発表を聞いて強くそう思いました。

○堀田座長 ありがとうございます。

 ほかに御意見はよろしいでしょうか。桜井構成員どうぞ。

○桜井構成員 きょう、参考資料2を提出させていただいているのですけれども、先ほど樋口さんが非常にわかりやすいフローチャートをつくっていただいたので十分かなと思ってもおります。これは私どもが小児がん経験者の就労に実際にかかわって感じたことです。小児がん経験をバネにできるか、できないかというところがあるのだな。では、バネにできないときは何が原因なのだろう、就学なのか、罹患年齢なのか、家庭環境なのか、それとも晩期後遺症なのかというところをきちんと見極めて、必要に応じて手帳をとるというところはあるのかなと思うのと、2番に福祉的就労というのを入れたのですが、事務局からいただいている資料1「関連する制度について」の6ページにもありますが、この訓練や就労、就労移行支援のあたりは手帳がないと全く参加できないんです。手帳がなくても、ちょっとした社会的な障害がある。でも、本人としてはやはり働きたい、「トライアルしたい」という意欲を持っている人の適正を見極めるための時間が企業側も持てる、本人も持てるというのはものすごく貴重なんですね。なので、できれば私は、就労か訓練という、意欲や背中を押すような制度に関しては、手帳のあるなしということで区切ってほしくないと非常に感じているところです。2ページと3ページは事務局資料とも重複しますが、私のほうも書いているところです。

 それから、きょう話には出てきていないのですけれども、家族の就労の問題も多少影響はしてきております。がん患者さんの家族の就労がどうなるか、御家族ががんになられたときにどういうふうになるかということから考えると、今、利用できる制度というのが小児だと育児休暇制度、大人も含めると介護休暇制度のあたりしかないんです。育児休暇制度は子が1歳に達するまでの間なので、この間に罹患している小児がんの人でないと家族は休めない。では、介護はどうなんだというと、これも非常に難しくて、5ページ目に平成2310月9日に前回の「がん対策推進協議会」の前患者委員から提出させていただいた資料なのですけれども、このときにも、がん患者に対する介護保険の適正化に向けての意見書を出させていただいております。どういうことかというと、がんの患者さんは、いわゆる余命が6カ月以内になると介護申請できるのですけれども、申請したとしても要認定の程度が低いというのと、申請してから二次判定までの日数平均が1カ月を超えてしまっていて、ほとんど使えないまま亡くなっているという現状があるんです。これを何とかしてくださいねという意見書を、がん対策推進協議会の中でもずっと出ている話ですので、こういうところも、適正に推進していってほしいなというのが患者としての考えです。

○堀田座長 今、介護認定だとか、あるいはトライアル雇用やいろいろなものに参加しようと思っても、手帳がないと難しいという問題等を指摘されました。厚労側のほうで何かその辺に関して、そういう認識でいいのかどうかという御発言をいただくことはありますか。

○社会・援護局障害保健福祉部企画課長補佐 障害保健福祉部企画課からお答えいたします。

 現在も手帳がない方でも、130疾患に関しましては、障害者総合支援法の福祉サービスが利用できることになっております。それは、難病等の130疾患となっておりまして、現在、難病の新しい法案を審議していただいているところですけれども、そういった審議の検討結果を踏まえまして、障害保健福祉部においても障害福祉サービスの観点も考慮しながら、今後、障害福祉サービスの対象疾患について検討していく予定であります。

○堀田座長 ありがとうございます。

 ほかの論点でも何かつけ加えることがありますか。池田構成員どうぞ。

○池田構成員 ちょっと戻るのですけれども、論点の例の小児がんについての普及啓発が改めて必要ではないかと思います。特に、小児がんという1つの病名があるわけではなくて、実際には多種多様な病気があって、患者さんがそれぞれいろいろな問題を抱えていると。しかも、それぞれが希少疾患で、お子さんのときに大変強力な治療を受けているけれども、治癒率も高いというようなことを改めて社会に知っていただくことで、社会が患者さんあるいは御家族を温かく見守れるような雰囲気を醸成するといいますか、そういうことは改めて重要だろうと考えます。そうすると、先ほども出ました社会性やコミュニケーション、成熟しているべき部分でまだ未成熟な部分が残っているということに関しても、社会としても温かく見守ってあげられるのではないかということを考えます。

○堀田座長 ありがとうございました。

 全般を通じて何か御意見ございますか。お願いします。

○職業安定局雇用開発企画課長補佐 職業安定局でございますけれども、本日の会議の中で何人かの構成員の方々からお話をいただきましたトライアルでございますとか、ジョブコーチといったものについてですけれども、障害者の方を対象にしている部分ももちろんございまして、手帳を持っている方の区分というものもございますけれども、必ずしもトライアル雇用奨励金ですとか、ジョブコーチの制度に関しましては、手帳をお持ちであるかどうかということには必ずしも限定されておりません。その点は御説明させていただきます。

○堀田座長 ハローワークからの紹介は必要なのですか。

○職業安定局雇用開発企画課長補佐 若干今年度から制度の変更などもございまして、以前はハローワークを通じた紹介が条件になっている部分もあったのですが、今年度から一定度国が同意などをした民間の職業紹介事業者の方を通じた就職であっても対象となるような制度変更がなされております。

 また、先ほど座長から1点御質問いただいたトライアルの関係で、トライアルを利用されて、その後結局、常用雇用に移行できなかった場合のその後の利用がどうなるのかということですけれども、こちらはトライアルでございますので、当然うまくいかないケースもあります。なので、例えば、労働者の方に関しましては、そこに何か特段の制約がかかってくるわけではございません。事業主の方につきましては、1回そういったことがあったからといって、すぐに何かということではないのですが、常用雇用できなかった件数が一定件数ある、あるいはトライアル雇用を受け入れていただいた事業主の方には、その後例えば報告などをいただいて協力いただくことになっているのですが、そうした協力をいただけないといったものが一定回数あって、さらにその事業主の方がうまくいったケース、要するに、常用雇用ができたようなケース、そうしたものよりも、そういったケースのほうが多いような場合については、その後の助成金の申請をお断りするといったような条件などもございます。

○堀田座長 わかりました。制度をきちんと活用してほしいということだと思います。

 ほかに全般を通じて、きょうは小児がん経験者の就職支援についてのテーマですけれども、きょうの全体を通じて何かございますか。高橋構成員どうぞ。

○高橋構成員 きょう全体を通じましして、やはり成人の悪性腫瘍と小児の悪性腫瘍の共通点が非常に多いということは、以前から思っておりましたけれども、改めて思いました。このテーマに取り組んでとても思いますのは、前にも申し上げたかもしれませんけれども、関係者が支援をするというのも本当に不可欠で大事なのですけれども、一番中心におられる御本人がどう思って、どうしたいかということです。例えば自分は小児がん経験者だ、自分は何とかがん経験者だけれども、だからどういうふうに働きたいか、ということだと思うんです。それを何かフォームに書くのか書かないのか、既往歴に書かなくてはいけないのですかという御質問は本当にたくさん来るのですけれども、それを書いたことで夢のようにさまざまなサポートか空から降ってくるわけではなく、既往歴を書かなくてもいい状況もあるのかもしれないですよね。ですから、結局この状況を御自分でどういうふうに説明していくかという、御自身の対応力がとても問われる場面が大きいということは、小児がんも成人がんも同じではないかと思います。

 ただ、それを御本人だけに任せているというのは本当に酷な話で、小児がんも成人がんもさまざまな偏見があるわけで、疫学的な事実がどんなに進んでも、社会のイメージというのは多分20年ぐらい遅れて変わってくるわけですから、そのはざまにいる方々は本当に大変ですよね。だからこそ御本人たちが中心にありつつ、周りは何をする必要があるかということ、本当に抽象的なのですけれども、それを改めてきょう感じた次第です。

○堀田座長 最後に伊藤構成員どうぞ。

○伊藤構成員 手短に3つコメントと、あと、もしお時間があれば教えていただければということが1つあります。

 コメントとしましては、石田先生の資料のスライド18、未就労者の働いていない理由の「再発の心配」の3つ目で、再発のときに休みがとれない、休みをとらせてもらえないということが、働かない理由、働いていない理由ということになっているようです。これは誤解も多分あるのでしょうけれども、就労する前の段階できちんと休みがとれるということが当然ながら周知されている職場環境が大切だということを改めて感じました。

 それから、今日は小児がんの対応に関する議論ですが、スライド38の結論の一番最後のところに、成人がんとの連携という課題があります。年齢を経過することで、小児がんに対する支援措置の要件に達して、支援措置がなくなってしまうというようなことが問題意識としてあるのだと思います。小児がんの特徴をきちんと議論する必要があるとは思いますが、年齢で切っていくことがまた別の課題を生むという点についても、さらに検討が必要なのではないかと思いました。

 それから、教育面のサポートの話がありました。今日の資料の中では学歴と就職との関係が明確に出ています。これは一般的にもそう言われておりますが、今日の小児がん経験者についても顕著に表れています。それが先ほどの院内学級という環境の問題なのか、各個人の症状の問題なのか、何が課題なのかということが、今日は時間がないかもしれませんけれども、もし差し支えなければ教えていただければと思います。

 以上です。

○堀田座長 石田先生からコメントをいただけますか。

○石田参考人 最後の問題に関しては、確かに脳腫瘍とか一部の腫瘍に関しては、放射線を照射するあるいは手術で非常に大切な脳の一部をとらざるを得ないというようなことがあるような疾患に関しては、かなり器質的な問題がある疾患があるのは間違いないです。ただ、大部分の小児疾患に関してはそういう後遺症の問題もわかってきて、急性リンパ性白血病では放射線を一切使わないというようなことで、時代としてはそういういろいろな医学的な問題は少なくなってきて、どちらかというと社会的な問題あるいは院内学級ができたり、いろいろな環境を整えることによって解決できる部分もふえてきているとは思っています。

○堀田座長 ありがとうございました。

 いろいろまだ御意見があるかもしれませんが、きょうのところはお時間も迫ってまいりましたので、このあたりにしたいと思います。次回以降、またこの問題も含めてとりまとめの議論に入りたいと思いますので、引き続き御検討をよろしくお願いしたいと思います。

 では、事務局から連絡事項等をお願いします。

○江副がん対策推進官 一応その前に、資料6の補足説明を若干させていただければと思いますが、もしお時間がよろしければ、よろしくお願いします。

○労働基準局労働衛生課産業保健支援室長補佐 それでは、前回、職場における就労支援ということで産業保健活動につきまして御紹介いただきましたので、その中で今年度から事業体制が変わっているということがございますので、資料6につきまして労働衛生課から簡潔に御説明させていただければと思います。

 これまで産業保健活動につきましては、資料6の上にございますが、3つの事業に分かれて行ってございました。地域産業保健センター、これは労働者数50人未満の事業所に対する産業保健サービスということでございまして、厚生労働省からの委託事業ということで、主に都道府県医師会に委託をお願いいたしまして事業を進めてきたところでございます。

 また、産業保健推進センターにつきましては、独立行政法人の労働者健康福祉機構の事業として行ってまいりました。

 また、メンタルヘルス対策支援センターにつきましては、これも国の委託事業ということで、主に労働者健康福祉機構に委託という形で行ってきたわけでございます。

 これまで3つ事業がございましたけれども、これらを一元的にワンストップサービスとして総合的に支援する、あるいは管理部門等を効率化するといった問題意識の中で、今年度、平成26年度よりこの3つの事業を統合いたしまして、産業保健活動総合支援事業ということで行ってございます。こちらのパンフレットにもございますけれども、労働者健康福祉機構が実施主体となりまして、地域の医師会などの御協力のもと事業を運営しているところでございます。

 組織といたしましては一番下にございます、産業保健支援センターを都道府県ごとに設置いたしまして事業全体を統括して、事業者、産業保健スタッフ等への支援を行ってございます。また、支援センターのそれぞれのところに地域窓口を置きまして、これがおおむね労働基準監督署管轄区域ごとに設置されてございます。以前の地域産業保健センターに相当するもので、主に50人未満の事業所を支援ということでございますが、以前は医師会にお願いして事業を行っていたという形式でございますが、今年度からは労働者健康福祉機構が実施主体となって地域の医師会の御協力をいただいて事業を行っているといった形態になっているところでございます。

 裏面にそれぞれのサービス内容を書いてございます。またお時間のあるときにごらんいただければと思います。

 以上でございます。

○堀田座長 ありがとうございました。

 新しい事業の形態に移行しているけれども、今までのものを一元的にワンストップで管理できるということのようです。よろしいでしょうか。

 それでは、事務局から引き続きお願いします。

○江副がん対策推進官 次回の検討会につきましては、6月23日月曜日、16時より開催予定としております。その際、本検討会の報告書の素案についてお示ししまして御議論いただく予定としております。このため、これまで御議論いただきました各種課題・ニーズ、取り組み、全て含めまして追加の御意見がある方におかれましては、事務局までできればきょうから1週間程度を目安にいただければ、なるべく事前に反映させていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○堀田座長 それでは、時間もまいりましたので、本日の会議をこれで終了いたします。構成員あるいは参考人の皆様、どうもありがとうございました。


(了)

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