ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 障害保健福祉部が実施する検討会等> 障害児支援の在り方に関する検討会> 第5回障害児支援の在り方に関する検討会(議事録)(2014年5月9日)




2014年5月9日 第5回障害児支援の在り方に関する検討会(議事録)

社会・援護局 障害保健福祉部 障害福祉課 障害児・発達障害者支援室

○日時

平成26年5月9日(金)
15:00~17:00


○場所

厚生労働省 専用第22会議室(18階)


○出席者

【構成員】

加藤構成員  田中 齋構成員  朝貝構成員  岡田構成員  片桐構成員  田中 正博構成員  石橋構成員  高木構成員  市川構成員  柏女構成員  大塚構成員  渡辺構成員  柘植構成員  佐藤構成員  大濱構成員  田畑構成員

○議題

・関係団体からのヒアリング 等

○議事

【障害児支援の在り方に関する検討会(第5回)】

○柏女座長 定刻になりましたので、ただいまから第 5 回「障害児支援の在り方に関する検討会」を開催したいと思います。

 ちょうど 5 5 日の「こどもの日」に朝日新聞の「声」欄で、障害を持った子どもを療育施設に通わせている保護者の方から、「療育施設 安定運営へ支援を」という投稿がありましたので、目を皿のようにして読みました。厳しい環境の中で、療育施設の方々が精一杯御尽力をいただいているので、その処遇について特段の配慮をお願いしたいという趣旨の内容でした。そのためにも、この会議が果す役割はとても大きいのではないかと思います。

3 回目から続けてまいりました関連団体等に関するインタビュー、ヒアリングも本日が最後となります。本日はまた、 6 つの団体の方にお出でいただき、お声を聞かせていただける形になっています。お出でいただいた皆様方に厚く御礼申し上げたいと思います。ありがとうございます。

 それでは最初に、事務局から本日の構成員の出席状況、資料の確認をお願いします。

○阿萬障害児・発達障害者支援室長 本日の構成員の出席状況です。柘植構成員から 1 時間遅れての御出席という連絡を頂いています。朝貝構成員については、連絡は頂いておりませんが少し遅れられている状況です。大南構成員、辻井構成員、宮田構成員からは欠席の連絡を頂いています。また、大南構成員の代理として、沖山参考人に御出席いただいています。よろしくお願いいたします。ただいま朝貝構成員がいらっしゃいました。

 続いて資料の確認をさせていただきます。資料 1 6 を配布しております。それぞれ、後ほど紹介させていただく本日のヒアリング対象団体から提出いただいたものです。順序についても、後ほどのヒアリングのとおりとなっています。資料の不足がありましたら事務局までお願いいたします。

 なお、今回、提出資料に加えて、全国訪問看護事業協会から 2 種類、日本訪問看護財団から2種類、全国重症心身障害日中活動支援協議会から 1 種類、別途、机上配布資料を配布させていただいています。これについては部数の関係があり、構成員の方々のみの配布とさせていただいております。よろしくお願いいたします。

○柏女座長 よろしいでしょうか。足りないことが分かれば、その都度おっしゃっていただければと思います。

 本日は、今ほど申し上げたように、前回に引き続いて関係団体からのヒアリングを行うことになっています。スケジュール等について事務局から御説明をお願いします。

○阿萬障害児・発達障害者支援室長 まず始めに、本日お越しいただいている関係団体の方々を御紹介させていただきます。まず、全国重症心身障害日中活動支援協議会様、一般社団法人全国訪問看護事業協会様、公益財団法人日本訪問看護財団様。あとは構成員の方々の関係ですが、一般社団法人全国肢体不自由児者父母の会連合会様、社会福祉法人全日本手をつなぐ育成会様、公益財団法人日本知的障害者福祉協会様。以上の 6 団体の方々に本日ヒアリングをさせていただくこととなっています。

 本日の進め方ですが、最初に、先ほど申し上げた前半の 3 団体、後半で、後半の 3 団体と、 2 つのグループに分けてヒアリングを実施させていただきます。 1 団体 10 分程度で御発言を頂き、説明後、 5 分程度の質問の時間とさせていただきます。発言、質疑、それぞれ時間がきましたら事務局より合図をさせていただきますのでよろしくお願いいたします。

 それではまず、ヒアリング前半の 3 団体の方々はヒアリングの席にお着きいただくようよろしくお願いいたします。

○柏女座長 それでは早速、ヒアリングを実施していきたいと思います。 3 団体の皆様方には御遠方のところをお出でいただきまして本当にありがとうございました。これから、熱心にお話をしていただきますが、時間がくると途中で無情なことにチンという音が鳴りますが、是非御協力をよろしくお願いします。最初に、全国重症心身障害日中活動支援協議会様より意見表明をお願いいたします。

○全国重症心身障害日中活動支援協議会 御紹介いただきました全国重症心身障害日中活動支援協議会から意見を述べさせていただきます。パワーポイントのコピーは、お手元の資料 3 の後にとじてありますので、どちらかを御覧ください。

6 年前に、柏女霊峰先生が座長を務められた障害児支援の見直しに関する検討会に私も加えていただきました。その報告書で、重症心身障害児者について、「在宅での支援を進めていくため、医療的なケアを提供できる短期入所や訪問看護、通園事業の充実などについて検討すべきである」と記載を頂きました。現在、重症心身障害児者は全国に 4 万人と推計されています。そのうち狭義の重症心身障害児者約 1 4,000 人が公法人立並びに国立病院機構 198 か所の重症心身障害児病棟の約 1 9,000 床を利用して入所生活を続けています。一方、在宅の重症児者は少なくとも約 2 6,000 人で、入所の 2 倍近くと推計されています。

 重症児の日中活動の場を語る際に、地域格差についてしっかりと認識していただかねばなりません。例えば、重症児の入所ベッドは人口 1 万人当たりで最も多い佐賀県の 6.1 ベッドと、最も少ない愛知県の 0.5 ベッドとの間には 12 倍以上の差があります。それは、当然のこととして在宅重症児の人数と、そこでの暮しの在り様にも大きな影を落としています。

 重症心身障害通園事業の歴史は、平成元年に全国 5 か所のモデル事業としてスタートし、平成 5 年には定員 5 名の小規模、 B 型のいわゆる地域密着の福祉型が加わりました。そして平成 8 年に一般事業化されるとともに、国の当面の整備目標として 300 か所が掲げられました。当時の重症児通園事業の課題としては、予算措置事業であったため、いつ何時それがなくなってしまうか不安定な状況下にありました。更に、国の 300 か所の整備目標に対して、なかなかそこに到達しませんでした。全国どこでも身近な所で通える重症児通園の願いに対し、現実は程遠いと言わざるを得ませんでした。

4 番目には、児童期から成人期に至る児者一貫と医療の確保の問題があります。人工呼吸器等を付けた「超重症児」「準超重症児」が在宅でも増え続け、重症児通園の利用者の約 3 割を占めるに至っています。

 国の整備目標 300 か所に至る経緯を示しております。目標をクリアできたのは、やっと 8 年後の平成 16 年になってでした。それは、 A 15 名定員で、年平均 1,200 1,500 万円の赤字、 B 5 名定員で 300 500 万円の赤字を余儀なくされていたことが背景として挙げられます。

2012 4 月に「つなぎ法」が導入された際に、重症児通園が法定施設として位置付けられ、関係者はほっと安堵したところです。 A 型・ B 型という枠組みが撤廃され、日中活動支援事業所へと一本化されるとともに、定員についても柔軟化が図られることになりました。「児・者一貫」についても、児童発達と生活介護の併設という形での確保が可能になったわけでもあります。そして、昨年 4 月には「障害者総合支援法」に移行しています。

 現在、全国重症心身障害日中活動支援協議会に加入している 216 事業所を見ると、児童だけの児童発達支援事業所並びにセンターは 15 か所と、全体の 7 %程度にとどまっていますが、成人を対象とする生活介護と児童発達の併設が 104 か所で、両者を合わせると 119 か所、半数以上が児童発達に関わっています。重症児日中活動を利用している人は、制度改革により、 6,000 から 7,000 人へと増えています。そのうち 6 歳以下は 11.8 %、 6 18 歳が 14.7 %、合わせて 26.5 %です。 6 歳未満では PostNICU の超重症児が増え続けています。学齢児に対しても PT OT ST などの専門療育面での期待に加えて、放課後や土曜、日曜、休日、そして長期休暇期間中にかけがえのない役割を果たしています。

 過去 3 年間、私どもは厚生科学研究に取り組み、成果と課題並びに国への提言を取りまとめております。最終年度の報告書は構成員の皆様方のお手元にお届けいただいていることは先ほど御紹介があったとおりです。また、 3 年間のまとめ部分は資料 3 に掲載していただいています。まず、「つなぎ法」以前には赤字が全体の 7 割を占めていましたが、総合支援法移行後は、それが 5 割に減少しています。特に 1 日定員 15 ないし 20 名以上の成人対象の生活介護は、収支が一定程度改善できています。ただし、超重症児、準超重症児と送迎に積極的に取り組んでいる所は、赤字の改善を見ておりません。更に、 5 ないし 10 名以下の定員で、特に児童発達支援事業所と地方の人口過疎地域では、それ以前よりも経営困難となり、撤退の危機に瀕する所が出てきています。実際に、図 6 2013 年に 312 か所だったのが、翌年、 308 か所へと減少しています。残念なことです。このことは、身近な日中活動の場がなくなったため、在宅生活の継続を諦め、入所を決断せざるを得なくなる危険性を秘めていると危惧しております。

 「児童発達支援事業所」での経営上の問題の大きな原因の 1 つとして、報酬単価設定の不備が挙げられます。成人の生活介護では、定員に関係なく 1,635 単位の一律です。ところが、児童発達では、定員 5 名は 1,997 単位と高めに設定されていますが、それが定員 10 名になると 1,018 単位へと大きく半減し、 15 名で更に減額になります。重症児の支援並びに療育は個別対応中心で、スケールメリットはほとんど認められません。その上、地域ニーズに応じて定員を増やす必要があっても、単価の半減を考えると定員増に踏み切れない。つまり、地域ニードに適切に対応するのを、阻む要因になっているケースも少なくありません。

 「日中活動支援事業所」は単なる日中の生活の場としてだけでなく、そこには専門性への期待が大きく寄せられています。「超重症児」、「準超重症児」が増加する中で、タイムスタディによると看護師の関わりは、その他の重症児の約 10 倍の時間を必要としています。療育活動面では、「超重症児」、「準超重症児」は理学療法と感覚入力が、そして医療度が軽くなるに従い、作業療法等のニードが増加すると報告されています。対応としては、超重症児加算と準超重症児加算を、それぞれ 1 1 1,500 単位と 1,000 単位にしていただきたい。看護師並びに PT OT ST 等の加配部分については、福祉職との給与差額の保障を願いたいと思います。他のタイムスタディ調査では、 1 15 名で運営費 5,200 万円が 1 つの目安になると報告されています。

 その他の課題と対応としては、送迎利用 1 1 日当たり 300 単位を。欠席については 9 割保障を。また、定員 5 名での放課後等デイサービスの職員配置については、 5 人に 1 人を基準にしていただくことが急がれます。

 モデル事業時代からの 23 年の実績と国立病院機構の成果としては、単なる日中活動の場でなく、療育の場としての役割を果たしている。旧 A B 型を基準にすると当面、全国 700 か所程度が必要で、将来は 1,000 か所必要と予測される。「超重症児」、「準超重症児」が近くの医療のない日中活動で受け入れられず、医療のある重症児日中活動に、やむなく長時間かけて遠隔通院を余儀なくされているなどです。

 将来の重症児の姿はどうなるのか。 10 年後を予測してみました。この部分はしっかりしたバックデータが必要と考え、厚生科学研究に申請しましたが、今回、残念ながら採択されませんでしたので、私、末光の個人的な、それも大づかみの数字と受け取りいただければ幸いです。 PostNICU の超重症児も可能な限り在宅生活を御家族は望んでいます。特別支援学校を卒業する重症児は、年平均 1,300 人です。 10 年間で約 1 3,000 人になる計算です。一方、重症児者の寿命の延長に伴い、家族の在宅介護も限界に近付きつつあります。重症児者に即したグループホームの整備やショートステイ、緊急医療入院の受け皿、そして重症児に慣れた専門の訪問看護師、介護士、リハビリテーションスタッフの充実とともに、日中活動の場の整備をしっかりと図ることが急がれます。

 その際、重症児日中活動のうち医療面を中心に、地域の拠点となる事業所又はセンターは、医療機能を持たない重症児日中活動支援事業所はもちろん、知的障害や肢体不自由児等の中に 1 2 名の重症児を受け入れてくださっている事業所に、看護師や PT OT ST 等を派遣し、バックアップできる体制づくりと、それをコーディネートする重症児専門のコーディネーターの配置が望まれます。

 以上の在宅支援を着実に進め、新たな長期入所を最少限にとどめることができれば、大都会を中心とした新増設を加えても、 9,000 床から 1 万床程度で対応できる。そして、在宅地域生活は 3 万人から 3 5,000 人程度になる。そのような試算を、私はしております。

 財源については、在宅支援を充実させれば、結果として長期入所の費用は抑制でき、トータルしてみると、現在の重症児にかけている約 2,200 億円は約 2,100 億円程度にとどまり、 100 億円程度の余裕が見込まれると推計しております。最後のパワーポイントと資料 3 は後ほど御覧くだされば幸いです。以上です。ありがとうございました。

○柏女座長 ありがとうございました。ポイントを本当に丁寧に御説明いただきました。ただいまの御説明について御質問等があれば御発言をお願いいたします。

○大塚構成員 末光先生、どうもありがとうございました。重症児の方が地域で生活していくとき、末光先生のパワーポイントに「地域ネットワークのための支援体系」というのがあります。その下に「医療機能をもつ重症心身障害日中活動事業所はバックアップ機能と『重症児専門コーディネーター』を設置する」と。例えば、この「重症児専門コーディネーター」はいろいろなサービスを調整したり、御本人や御家族の相談に乗るということだと思うのですが、どんな機能、どんな仕事があるとお考えでしょうか。

○全国重症心身障害日中活動支援協議会 御承知のように、かつては重症心身障害児措置ということで、都道府県の児童相談所等がそれぞれのニードに応じた、いわゆる入所施設、あるいは在宅支援について、一定の機能を果たしていただいたのが、そうでなくなりました。前は、御本人、家族とサービス提供側との直接の契約ということで、良い面はたくさんあるのですが、そういうコーディネーターする所がないと、そういうサービスから完全に落ちこぼれたまま、全く孤立無縁の状態になる。その結果として、大変悲しいことではありますが、長年、家族で年長になった重症心身障害のお世話をしていたけれども、お母さんが亡くなった途端に、お父さん 1 人では対応できないと。実際には、それに対して、かつてであれば児童相談所等が対応していただいたのが、それができないため、我が子の命を断つといったような状況に追い込まれる例があります。そういう意味で、本当に御家族に添った対応を総合的にやっていただく。そういうものが要るのではないか。それも、特に重症心身障害にとっては医療と福祉、両面が要ります。それから、教育との連携、その辺りについての十分な理解、知識、それから力量を持った方にそういう支援をしていただきたいと思っております。

○朝貝構成員 末光先生から重症児入所ベッドの都道府県格差という表を見せていただいて、私も実感として県によって相当ベッドの数に差があると 思います 。私の長野県では、 当センターも 重症心身障害児を扱って いますが 、単発的にほかの県の児童相談所から「空いているでしょうか」という問合せがあったり します 。今後、地方は子どもが本当に少なくなりますので、そういうマッチングがスムーズに県を越えてできるような形になればいいのではないかと思っているのですが、いかがでしょうか。

○全国重症心身障害日中活動支援協議会 やはり、基本的には御家族あるいは長年住み慣れた地域に近い所でと。それが 1 つは都道府県の中でということだと思うのですが、実際にはそうでない。例えば分かりやすい例で言えば、県境におられる方にとっては、県の中の離れた所よりも県を越えた隣のすぐ近くにあるということもありますので、やはり、ある程度都道府県にこだわるのではなく、場合によっては、あるブロック、広域の都道府県でと考える必要があるかと思います。例えば東京出身の方が、東北や中・四国になどということは不適切なのではないかと思っております。できるだけ住み慣れた場所に近い所、それを都道府県が 1 つの目安でこうなります。今、先生がおっしゃったように、現実にはその時代、時代で県を越えて現実に入所される方がおられる。それが、重症児入所ベッド都道府県格差の中にも反映されているのではないかと思っております。それを増幅するような形で、今後、対応するのは必ずしも望ましいことではないのではないかと思っておりますが、柔軟な対応は要ると思っております。

○佐藤構成員 数字上のことで教えていただきたいのですが、旧来の A 型・ B 型は、今はそう言わないわけですが、両方を足して 308 か所あるというお話で、そのうち医療型が 65 か所、かつて A 型は医療がある所しか設置できなかったわけですから。一方、全国のいわゆる国公立の入所型の施設が 198 か所あるようですが、このうちの何か所ぐらいが、この 65 か所に入るのですか。

○全国重症心身障害日中活動支援協議会 現在、国公立が 74 か所だと思います。公法人立が 120 数か所、合わせて 198 か所です。

○佐藤構成員 公法人というのは社会福祉法人ですか。

○全国重症心身障害日中活動支援協議会 社会福祉法人及び都道府県立や市立があります。

○佐藤構成員 そうですか。

○全国重症心身障害日中活動支援協議会 ですから、 198 か所のうち 65 か所が通園でやっていただいているということになります。

○佐藤構成員 非常に運営は難しい所だから、ある意味で言えば国立あるいは公立の所で、とりあえず、あまねく義務設置のようなことをしていただくということで、一定、解決できるのではないかと思うのですが。

○全国重症心身障害日中活動支援協議会 義務設置ということですか。

○佐藤構成員 義務的にです。

○全国重症心身障害日中活動支援協議会 義務的にですか。

○佐藤構成員 義務的に、そういう所はこの事業をやらないと駄目というふうに、それは民間の社会福祉法人にそれを押し付けることは難しいかと思いますが、少なくとも国公立のそういう施設には何らかそういうことが講じられないかどうか。あるいは、それを講じることによって現状を変えることがどういうふうに可能かということについて、お考えを教えていただきたいと思います。

○全国重症心身障害日中活動支援協議会 国立のほうに対して私が言うのは、ちょっと適切ではないかもしれませんが、私自身がもう 47 年間、いわゆる民間、社会福祉法人立の重症児施設に昭和 42 年から関わってまいりました。民間である我々のほうが地域のそういうニードに応えて、緊急一時入院や訪問療育など、そしてこの重症児通園に取り組んでまいりました。モデル事業 5 か所は、いずれも社会福祉法人です。いずれも先ほど申し上げた大きな赤字を抱えながら社会的な責任としてやらなければいけないということでやってきたわけです。その間に、私の立場では、国立の関係者には国立なのだから是非頑張ってほしいと申し上げたのですが、かつては、国立は政策医療に限定していると。だから地域のそういうことには対応できないようになっているのだとおっしゃられる。それから、職員の配置についても、国家公務員総定員法の枠で柔軟にやれないのだというお話でした。

 ところが、「独立行政法人」になりましたので、そういう縛りは取れたのだから是非頑張ってほしいということを強く要請させていただきました。当時、国立のそういう病院機構の重鎮の代表西間先生も「そう思う」ということで、先導的にやっていただいて、現在 29 か所がやっています。 74 か所中 29 か所です。これはやはり、民間も十分ではないのですが、それ以上に国立のほうは不十分だと思っています。大いに頑張っていただきたい。できれば、安心してやれるような条件を与えてあげてほしいし、我々にも与えてほしいというのが趣旨です。

○佐藤構成員 ありがとうございました。何かやらせ質問みたいで恐縮でした。

○柏女座長 ありがとうございます。まだ御質問はあるかもしれませんが、時間が来ていますのでこれで終了とさせていただきたいと思います。もし最後に時間が余りましたら追加的な御質問もしていただけるかと思います。

 続いて、全国訪問看護事業協会より意見表明をお願いいたします。

○一般社団法人全国訪問看護事業協会 訪問看護事業協会の会長の伊藤です。お手元の資料に沿って説明をしたいと思います。訪問看護というサービスは、平成 4 年に老人を対象にして制度化されましたが、その後年齢の制限がなくなり現在では高齢者だけではなく、小児、障害を持った方、精神疾患の方、非常に対象が多様化しています。 7,500 か所ありますが、私どもは今回、訪問看護のサイドから見た重症心身障害児の在宅療養生活の実態と支援の在り方について、少し報告をしたいと思います。

 資料 2 ページです。平成 20 年度に障害者自立支援調査プロジェクトとして、研究費を頂き実態調査をしています。対象者としては、重度心身障害児・者 25 歳までの方で、調査対象としては当協会会員の訪問看護事業所 3,577 か所に対し調査をし、 28.5 %の事業所から回答がありました。4は家族とサービスを利用している利用者でして、 1,020 か所の訪問看護ステーションで 1,204 人の重度心身障害児・者からの回答があったということです。

 次のページです。 1,204 人について、年齢構成では 7 15 歳が一番多く、また、通学している施設については通学している人たちはトータルで 844 人ですが、特別支援学級が一番多かったということです。

 障害の発症時期について 4 ページの資料ですが、出生時が 58.6 %、小児期が 37.7 %という状況です。

 次のページです。病因ですが、重症心身障害児・者が 90.5 %です。その内訳としては脳性まひ、てんかん低酸素症又は仮死。このような実態でした。一方、神経筋疾患については、 1,204 人のうち 415 人です。てんかん、筋ジストロフィー症ということです。

1,204 人の方が、どのような医療処置が利用されているか。 6 ページ目の資料ですが、「医療処置が必要な利用状況」となっていますが、これは医療処置等の利用状況で一番多いのが吸引の 47.4 %。経管栄養、吸入、気管切開部の処置、気管カニューレの管理・交換等となっています。

 次のページです。家族の構成がどのようになっているか、これは 1,204 人の実態ですが、主たる養育者が母親で、副たる養育者が父親だった。このようなのが一般的な状況です。

 平日の過ごし方について、年齢階級別にこのように見てみると、 0 6 歳までは夕方の 6 時から翌日の 10 時まで自宅で家族と過ごすということで、訪問看護師などの訪問の時間帯というのが昼間 10 時から 18 時の間です。

 年齢階級別に見ると、 7 15 歳、このような形でここにホームヘルプ (14 時以降 ) となっていますがミスプリントで、 (16 時以降 ) に訂正をいただきたいと思います。 16 18 歳、 19 歳以上の所もホームヘルプが 16 時以降の形に訂正をいただきたいと思います。 1,204 人の方について、訪問看護以外にどのような社会資源やサービスの利用実態かということです。

 次のページです。平成 20 7 9 月の 3 か月間の利用状況を 1,204 人の複数回答での利用状況です。そうすると、訪問看護ステーションを利用されている方が一番多く、そのほか特別支援学級、療育センター、居宅介護という実態でした。

 次のページです。これも複数回答ですが、主な家族の方が困ったときに、どのような所に相談をしているかということの相談先の複数回答で 1 5 位までを選択していただいたわけですが、訪問看護ステーションが 9.5 %と一番多く、そのほか特別支援学級、療育センター等でした。

 次のページです。在宅で重度の方が、利用をしたいが利用できない社会資源やサービスがどのようなものがあるか、これも 1,204 人の方に複数回答でお聞きしました。やはり 1 位が短期入所を利用をしたいけれど、断わられた理由が満床であるなど。人工呼吸器を使用。つまり医療ニーズが高いから、そのような方はなかなか受け入れ難いということです。

 まず施設側から言うと、医療職を配置してないということです。そのようなことで短期入所、デイサービス、移動支援、居宅介護。このようなものがなかなか希望どおり利用ができない実態にあるということです。

 次のページです。御家族に対して、今後「社会資源などに望むこと」ということで、 12 13 ページにいろいろ書いてあります。これは調査報告書の元々の中ではその部分だけ、これ以外にもたくさん聞いているので、今日は机上配布資料としてその部分だけコピーしたものを別途配布しています。

 やはり大きな問題は、この在宅生活の支援基盤の整備が不十分ということで、医療処置がある子どものサービスが圧倒的に不足をしていることやケアマネージャーの高齢者のような仕組みが必要ではないかなど。移動支援のときに看護師が付き添ってほしいなど、終業後の居場所の確保、卒業後の生活支援などが挙げられていました。

 次のページです。医療処置を必要とする在宅生活の障害児・者と訪問看護の関係です。これは 1,204 人の方に平成 20 9 月中の 1 か月間の訪問看護の利用状況をお聞きしまして、 1 か月で利用をした方が約 48 %、 5 割弱です。資料には入っていませんが、利用をされた方の利用回数は平均すると 1 か月に 7.6 回です。 1 回の滞在時間が平均をすると 1.3 時間という状況です。訪問看護をいつから開始をしたかは 1 3 歳、 7 15 歳のときに開始をしまして、全体の 1,200 人を平均をすると、開始の時期が 7.5 歳というところになります。

 次のページです。訪問看護ステーションから見て、訪問看護実施上の課題としていくつか挙げています。 1 つは、 1 回の訪問時間が非常に長時間に及ぶということが他の利用者、高齢者やいろいろサービスを受ける人の違い。先ほど 1 回の滞在時間を 1.3 時間と言いましたが、 2 時間以上必要とする訪問看護の回数が約 11 %あるということです。通所・通学の場合は、訪問時間スケジュール調整が非常に難しいことや、施設や学校への訪問が認められていないということが課題として挙げられました。

 次のページです。研究報告書では結果のまとめという形で出しておりますが、これも全体の文章は 2 ページほどですが、本日机上配布をしています。指摘をされているのは、今、非常に病院の平均在院日数が短縮しています。在宅で生活をする重症心身障害児の地域の受け皿をどのようにして作るかという中で、 1 つの問題は小児科経験がある看護師。訪問看護ステーションの 3 割しかいなくて、そのような人材をどのようにして養成をしていくのかということが大きな課題です。

 次の所も、そのようなことで地域にいかに多職種にまたがる受け皿を作っていくのか。

 最後の事例は、先ほど紹介があったように NICU を退所した後、在宅に帰るときなかなか帰れないという人たちが非常に増えているのが事例の 1 例です。私は、たまたま「健やか親子 21 」の全体の座長もさせていただいていますが、多くの日本の補償保険の指標が改善に向かって世界のトップクラスになっている。いわゆる異常分娩と言うか、特に NICU に入る子どもたちが増えているという問題に対し、国全体としてどのように対応をしていくのかということが、今回、訪問看護のサイドから見ても大きな課題であるということを申し上げたいと思います。以上です。

○柏女座長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明について御質問等がありましたらお願いをしたいと思います。いかがでしょうか。

○石橋構成員 ありがとうございました。相談先の数字のことですが、これも 1,204 人の方に問いかけた数字だと思いますが、 100 にならないものですから、何か「その他」の所が数字がないというのは、ここを差し引きをすると「その他」、要するに相談をしていないということを表している表なのでしょうか。

○一般社団法人全国訪問看護事業協会 恐れ入ります。たくさんの相談場所があり、書き切れなかったとのことであり、マルチで答えていただいているので、いくつか答えていった中で多いのがそのパーセンテージになりました。

○柏女座長 よろしいでしょうか。

○加藤構成員 ありがとうございました。ちょっと教えていただきたいのですが、訪問看護ステーションというのが、我が国においてはそれなりに設置をされてきているというのは分かりますが、実際箇所数としては、どれぐらいのエリアメイキングの中に全体としていくつぐらいあるのか、その事業規模というのは、どのぐらいの規模でやられているのか、その辺について情報をいただければ。

○一般社団法人全国訪問看護事業協会 今申し上げたように、全国で約 7,500 か所です。訪問看護ステーションの平均の所は、 3 人や 4 人の非常に小規模の所が多いということです。訪問看護ステーションの中で、重症心身障害児の所で訪問可能なステーションというのは比較的に常勤看護師が 7 8 人いて、なおかつ小児科の経験のある看護師がいる。そのような所は重症心身障害児・者に対応をしているという実態です。

 平成 20 年の時点では、まだ 3,500 か所ぐらいでしたので、どれぐらいの圏域に 1 つというのはなかなか難しいですが、非常に訪問看護の事業所の設置状況も都道府県格差があり、言ってみれば、在宅での条件整備がどちらかと言えば遅れて訪問看護ステーションの少ない県では、お年寄りの死亡の率が病院で死亡する割合が非常に高いという綺麗な相関関係が出ています。 7,500 か所に、約全体で 3 万人がちょっと超えるぐらいではないかと思っています。

○加藤構成員 ありがとうございました。

○柏女座長 よろしいでしょうか、ほかにはいかがでしょうか。

○大塚委員 大塚です。どうもありがとうございました。「医療処置が必要な利用状況」として吸引、経管栄養、吸入、気管切開部の処置など、このようなところはある。多分、小児科の訪問看護自体が少ないこともあるかもしれませんが、これから重心の方についてどんどん訪問看護を推進していくことの観点からいくと、例えば看護教育の中に重心の方もきちんと支援できる、あるいは措置できる。そのようなことを学んでいただきたいということがあるなど、あるいはこの分野にどのようにたくさんの看護師の方が訪問看護に入っていただけるか、その方策はどのように考えていらっしゃいますか。

○一般社団法人全国訪問看護事業協会 私どもは今、訪問看護事業協会としては高齢者から始まりましたが、非常に多様なニーズに対応ができるように少し大型化して、 24 時間対応ができるようにしたい。

 特に障害者については、先ほど申し上げたようにいろいろ障害児・者に対応できる、特に小児科経験のある看護師の再教育のようなことも必要ではないかということで、それは訪問看護事業協会として、また皆様方と連携をしながら対応策を考えていきたいと思っています。

 特に最近取り組んでいるのは、精神障害者の訪問看護が非常に需要が増えており、講習会の参加希望者が満席で断りきれないほどたくさん来ていただいています。特に、今回国の政策に沿って、重症心身障害児の地域でのケアの必要性から訪問看護が対応できるような形に研修会、人材の養成が必要ではないかと思っています。

○一般社団法人全国訪問看護事業協会 一言だけ追加すると、この統計は平成 20 年で 5 年前の統計ですが、この 5 年間での動きが実は激しく、特に NICU からのベビーちゃんたちと退院が非常に増えています。研究事業費もいただいているのですが、それ以降ないもので、その統計が取れていません。実態をきちんと把握をすることが必要であります。その後の訪問看護ステーションも、実はやむを得ず経験がなくても、近所でやっている、小児をやっている所に学びに行ってやるようになったり、ずいぶん訪問看護ステーション側でも取組が広がっているのが実態です。

○柏女座長 ありがとうございました。まだ御質問もあるかもしれませんが時間がきましたのでここまでにしたいと思います。ありがとうございました。それでは、続きまして、日本訪問看護財団より意見表明をお願いします。よろしくお願いします。

○公益財団法人日本訪問看護財団 日本訪問看護財団の療養通所介護推進委員会委員長をしております。安藤と申します。よろしくお願いします。「養療通所介護における児童発達支援事業のしくみ」からお話させていただきます。

 療養通所介護というのは、介護保険のサービスです。平成 14 年に障害者の家族の方から訪問看護ステーションが私たちを支える仕組みを作ってほしいという要望があってそれに応えてできたのが療養通所介護です。平成 24 年に児童発達支援事業等がこの療養通所介護の 9 名の定員の中の 5 名の別途枠で法定事業となりました。私たちは平成 14 年から約 10 年の実績があって、やっと児童の方も療養通所に来ていただけるようになったと、ほっとしているところです。

 この事業の特徴としては、主治医、訪問看護ステーション、そして療養通所介護が常に連携・協働を強化してやっていること。それから、この療養通所介護は看護師が管理者であって、ほかの通所と違うところは、安全・サービス提供管理委員会を 6 か月に 1 回以上開催しなくてはいけないことになっております。このサービス提供管理委員会には、決められた医師、包括支援センター、訪問看護ステーション、療養通所介護、さらに児童発達支援事業が法定になりましてからは、そこに障害児・者の相談員、そして行政の方を招いて、意見交換や内容を報告しているところが、療養通所における児童発達支援事業の仕組みの特徴となっております。

 療養通所介護は、資料に示しておりますように、利用者対看護・介護職員は 1.5 1 と非常に手厚い配置基準になっております。本人の QOL と家族のレスパイトを目的として運営をしております。重症心身障害児・者の医療的ケアの現状としては、平成 22 年に老健事業の通所介護の多機能化に関する調査研究の報告書より一部抜粋させていただいたのですが、先ほどの全国事業協会からもお話があったように、一番多いのは吸引、経管栄養、気切、人工呼吸器のように、超重度の方が通所されております。当事業所においても、 14 人の障害児・者の方が通所されております。そのうち半分、 7 名が小児です。その 7 名全員が人工呼吸器の管理が必要で、多い日には 1 4 名の人工呼吸器の方が通所されております。

 今から 2 事例を 1 日のケアの流れとして、簡単に説明させていただきます。 A さんは 8 か月の NICU に入院されておりまして、その後訪問看護と療養通所を利用されておりました。 1 日の流れを見ていただいたらお分かりのように、介護職、理学療法士、また看護職というように、それぞれの専門的分野で、この A さんの療育、発育をアセスメントしまして、取り組んでおります。この A さんは今 2 歳を超えまして、次に就学を目指して小さな集団から、より大きな集団でお友だち作りをするということで、この 3 月に児童発達支援センターに通所は移行しました。訪問看護のみが今対応している状況です。

B さんです。この B さんは見ていただいたらお分かりのように、超重度で、医療的ケアが必要な方です。ケアのほとんどが看護師を必要とする状態でありまして、お母さんもこの状況でいつも、毎日ということは本当に大変なことなので、私たちの通所の重要性をより感じております。この方を少し写真で紹介します。バギーで送迎をしまして、入浴ではこの B さんの人工呼吸器のホースが長くできるので、看護師 1 名と介護職1名体制で入浴していますが、人工呼吸器によっては、浴室にホースが引けないので、看護師 1 名はアンビューバッグを扱うというように、看護師 2 名と介護職1名との 3 名体制で入浴する場合もあります。この B さんは自分で痰が出せない状況なので、看護師 2 名がカフアシストという排痰の機械を使って、それぞれ呼吸器管理を行っているように、 A さんと B さんの差がすごく大きい。そういう中で通所されております。

 療養通所介護における児童発達支援事業等の課題としては、まず希望する時間に送迎が困難である。これは療養通所介護創設のためのモデルのときから送迎が課題になっております。個別送迎で、ときには交通事情も伴いまして、御希望する時間になかなか送迎ができない。そうすると、 1 台が遅れると、少数の台数しか持っておりませんから、全てが遅れてしまう。また、高齢者に対する送迎車ですので、小児が使用するバギーなどの固定に時間や工夫を要するなどの困難さがあります。

2 番目には医療的ケア・送迎に対する評価がない。重症心身障害児で 5 名というところに、高い単価だから、全部含まれていると言われますが、送迎には看護師が同乗して、 2 名体制の個別送迎です。特に、先ほども申しましたように、人工呼吸器の場合は、看護師 2 名と介護職員1名の 3 名体制を要します。また、気管切開部のケア、吸引などいろいろな面で、専門的なケアを実施しており小児看護の専門性が求められるというところで、もう少し評価をしていただきたいという要望・課題が上がっております。

 次に、利用希望者が本当に多くなっております。定員 5 名を 6 名に変更すると、基本報酬が減算となって、運営は困難となっております。また、キャンセル料が欠席加算というところで、評価は頂いておりますが、ものすごく評価が低いので、なかなか運営上では厳しい。それと介護職員が吸引という一定の研修を受けまして、吸引ができるようになりました。それに対して、吸引等の医療行為に対して、介護職員には主治医から指示書が交付されておりますが、看護師の診療の補助に対しては指示書がありません。私どもとしては、訪問看護指示書と各事業所で作成している医師への確認書による連携にて、今まで医療ケアを提供してきました。

 その連携用紙の例ですが、特に送迎又は服薬、吸引に対して、医療面に対して、医師からの説明を全てこちらがメモをして、そして最後にドクターに確認をして、よければドクターのサインと印鑑をもらう。また、吸引に対する確認書も定期的に取っております。緊急時の受け入れ、嘱託医など、ちゃんとおりますが、皆さんやはり主治医を求められます。その分は、主治医と連携用紙を用いて、緊急時の対応を確認しています。というように、このような形で、今は安全、安心な通所サービスを療養通所介護という所でやっております。

 今後、「重症心身障害児の受け入れ体制を充実させるために」は、課題になっておりました送迎に関する評価を、できれば保険給付として頂きたい。又は外部送迎サービスの整備、利用者負担の軽減を希望します。障害児の個別送迎に対する加算の設定などもお願いしたいと思います。また、入浴などに特別管理や専門性を要するというところでの評価、安全に医療処置を実施するために、主治医から看護師への指示ができる仕組みも考えていただきたいと思います。

 小刻みに受入枠を拡大する設定、今の定員 5 名以上、 10 名未満ではなくて、 6 名、 7 名などの重症心身障害、特に重度な医療ニードの高い方をお受けする場合は、そういう小刻みな受入枠の拡大をお願いしたいと思います。また、キャンセルに対する事業者負担の軽減です。

 今は約 80 か所の療養通所があります。これは 2012 年の回答なので、まだ少ないのですが、今は徐々に増えています。そういうサービスを増やすためには、やはり制度がものすごく複雑です。制度に関する知識不足を解消するために、私どもも研修会を普及させたいと考えております。また、利用者 6 名以上のスペース、備品などの整備支援、事業所開設の支援なども検討いただければと思います。

 奈良県 300 万、愛媛県は 1 事業 200 万というように、療養通所における児童発達支援事業を拡大するために支援している県も出始めました。また、保育士、児童相談員の確保困難の解消、重症心身障害児の発達支援に対する知識・技術の不足解消として、私どもは研修会を開催し体験学習の受入れもして、徐々に増やしていきたいと思います。そういう機会を増やしていこうと思っております。

 また、最後になりますが、指定を申請したり、担当者の協議に時間を要して、行政の理解がなかなかできていないという現状があります。例えば、ある県はこのベッドは障害児にしか使ってはいけない。療養通所の中のこのベッドは障害枠だと。そうすると、今日は障害枠は少ないから、そこに療養通所を入れたり、又は障害児が多いから療養通所を減らすなど受入れが柔軟にできないこともあります。また、理学療法士が絶対必要など都道府県によって、行政官の考えが違います。できれば、こういう重症心身障害児の方が柔軟に地域の通所を利用できるように、行政担当官への周知をお願いしたいと思います。以上です。

 資料をほかに二部用意しておりますので、詳しくはそちらの資料を見ていただきたいと思います。終わります。ありがとうございました。

○柏女座長 はい、ありがとうございました。それでは、ただいまの説明について、御質問等がありましたら、御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。

○大塚構成員 定員が療養通所介護 9 名と書いてあります。例えば、 1 日のケアの中で、 A さん、 B さんについて週何日を利用なさっているか。それから、先ほど定員が規模によって、 5 名から 6 名に変更すると、本報酬は減算となるということ、このようなことは週何日も使う方もいらっしゃるし、 1 日、 2 日もある。そういうことを加味しながら、事業所として一番上ができるような定員設定みたいなのができるのかどうか。そういう可能性があるかを 1 つお聞きしたいと思います。

 もう 1 つは A さん、 B さんの例として、写真が出ていますが、多分看護で通所介護を受け入れたときに、やはり利用者の生活の質、楽しみなど、そもそも事業の目的は看護だけではなく、おもちゃで遊ぶ、 CD を流すなどのことはあるのですが、看護を基本としたプラスアルファの本人の療育、楽しみというか、育成というか、そういう観点をどう考えていらっしゃるか。お願いします。

○柏女座長  2 点ありました。お願いします。

○公益財団法人日本訪問看護財団 ありがとうございます。 A さんの場合は、週に 2 回、 B さんの場合は週 3 回受け入れております。 A さんの場合は先ほど言いましたように、介護の目、そしてリハの目、看護の目とそれぞれの専門性を発揮しています。ここにも書いてありますように、摂食訓練や療育ということでは、療育センターなどに受診時に一緒に趣いて連携を取って、発育、発達を取り入れた看護を提供しております。だからこそ、いつまでも小さな通所サービスではなくて、もうここまで来たのだったら、次は児童発達支援センターに移行をするようにしています。ただし、ポンと移行をするのではなくて、状態が悪ければ、いつでも帰ってもいいよというので、訪問看護はそのまま続けるという形でやっております。

B さんの場合はなかなかそのように就学は望めない。本当に生命をいかにして母親とともに守っていくか、自宅で過ごせるかが重要になっています。どうしても、看護がかかわる事例はこのような重い事例になっております。だから、そういう部分では看護がリーダーシップを発揮したり、またその子の療育の場面では介護、児童支援委員がリーダーシップを発揮したりというように、訪問看護とも連携を取りながら、その子の状態に対する発育支援を行っている状況です。

○柏女座長 よろしいですか。

○大塚構成員  2 つ答えていただいたと思うのですが、週何日と、それではうまく週何日使っているということと、定員との関係において、減算されないような。

○公益財団法人日本訪問看護財団 定員の分は家族の急な要望でというのに、一時的な分はいいという形です。それは十分理解して、それぞれニーズに応じてやっております。ただし、ある県はものすごくニーズが多くなって、それでやはりお断りするのは申し訳ないということで、 6 名の定員に変更したのだそうです。そうすると、先ほど資料にもありましたように、ガクっと下がって、 2 か月頑張ったのだけど、もう運営ができないというので、また 5 人に戻したと。だから、それぞれの地域にそれなりのニーズがあります。吸引が必要、人工呼吸器を付けている、経管栄養というと、なかなか通所できない。児童発達支援というサービスでもっと受けられるように 6 人枠、7人枠など設定を拡げていただけるならもっと私たちも受け入れるのにというところです。

○柏女座長 よろしいでしょうか。

○加藤構成員 先ほどの協会さんと両方にお尋ねします。私はこの世界について余り詳しくはないので、教えていただきたい。この訪問看護ステーションの活動と、療養通所介護の事業所とは、それぞれに箇所数が多くなると、質がなかなか揃わないなど、あるいは質を担保すると、箇所数が少なくて、なかなか必要なサービスが得られないというような、その辺やはりお互い矛盾するというか、そういう状況にあるかと思うのです。これ一元化したら、どういうことになるのですか。何か支障があるのですか。あるとすれば、どういう支障があるのですか。

○公益財団法人日本訪問看護財団 一元化ですか。

○加藤構成員 この看護ステーションとそれぞれ団体があるように、事業所がそれぞれ事業を行っているわけです。

○公益財団法人日本訪問看護財団 はい。

○加藤構成員 それはそれぞれに目的があってやられているわけですが、何となく聞いていると似たようなことをやられているような気がします。地域の中にそちらは箇所数は十分ではない。こちらは 7,000 何箇所もあるみたいです。こちらは小さな規模で、そちらはそれなりの規模でというような。

○公益財団法人日本訪問看護財団 訪問看護ステーションというのがそれなりの規模を持って、それなりの障害児者の訪問看護を持っているところは、療養通所を併設している事業所が。いいですか。

○加藤構成員 それは別々でなければいけないところなのです。

○一般社団法人全国訪問看護協会 訪問看護事業所というのは、主として前提は訪問看護師を置いて、家庭に訪問看護へ行く事業所です。療養通所介護というのは、在宅でいる障害者を療養通所介護という別の事業で昼間そこに通所して、お世話をするということです。ですから、訪問看護事業所の中には、療養通所介護を併設している所もあります。それから、全くの自宅に行くだけのステーションから、更に福祉系のサービスまで、一体として多目的、多機能の事業所の形態になっている。いろいろ今の医療と福祉にまたがるサービスを複合的にやっていく動きにはなっております。そこは一緒に多様な形態が今出てきていると御理解いただきたいと思います。私どものほうは訪問看護事業所の全国の社団法人という形だと思います。

○加藤構成員 それで一体化すると何か、どういう支障があるのですか。訪問看護ステーションも療養通所介護事業をやる。あるいは療養通所介護事業所も訪問介護をするなどという。

○公益財団法人日本訪問看護財団 いや、訪問看護も持っているのです。

○加藤構成員 全てではないでしょう。

○公益財団法人日本訪問看護財団 全てですか。

○加藤構成員 だから、そういう方向に行かないと、それぞれ勝手にやっていくと。

○公益財団法人日本訪問看護財団 そのように、今いろいろな形はありますが、今地域でそういう多機能というか、広がりを持つようにこちらも頑張っているところです。そのようになれば、本当にいいと思います。

○一般社団法人全国訪問看護事業協会 追加でいいでしょうか。訪問看護ステーションは訪問看護だけですが、いろいろな事業ということでいうと、療養通所介護は、日帰りの所だけの重度の方たちを預っているわけですが、これは介護保険のサービスです。高齢者が主だった所に小児の方たちも入れるようになったというところです。介護保険の中で別に複合型サービスが 2 年前にできたのです。これは日帰りでも OK 、お泊まりでも OK 。お宅に伺うこともできるという、高齢者向けなのですが、ここでも小児の方たちもお預りできるようになると、いわゆるショートと言われた部分もできるし、日帰りもできるしという、臨機応変にできるサービスになるかと思うわけです。だから、介護保険であるサービスですが、この介護保険の対象者ではない方たちも受け入れるようなものを同時に地域にたくさん作れません。作っていくことが大事ではないかと思っています。

○加藤構成員 ありがとうございました。

○柏女座長 それでは、まだ御質問もあるかもしれませんが、時間になりましたので、ここで終了とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。それでは、 3 団体の方、ありがとうございました。

                      ( ヒアリング団体の入れ替え )

○柏女座長 よろしいでしょうか。それでは、ヒアリングを続けさせていただきます。

 続きまして、「全国肢体不自由児者父母の会連合会」より意見表明をお願いします。どうぞよろしくお願いします。

○一般社団法人全国肢体不自由児者父母の会連合会 よろしくお願いします。「全国肢体不自由児者父母の会連合会」、常務理事の上野と申します。検討委員として石橋がこの検討会に出ておりますので、前半を私のほうで、本日、提示した資料を基に概略を説明させていただき、後半で、検討委員でもある石橋のほうから、父母の会の意見として、 2 つに分けて発表したいと思います。

 まず、資料 4 です。今回、第 1 回目から地方公共団体、それから、 3 回にわたる団体等のヒアリング、重症心身障害者を守る会さんであったり、全国肢体不自由児施設運営協議会さんであったり、我々、肢体不自由の子どもを持つ全国の親の会の立場としまして、今回の検討会の主な検討課題について、前半では取りまとめて、その視点について述べます。

 お手元の資料、今回の「支援の基本理念」につきまして、障害基本法に準じて、子どもは 18 歳未満とすると。これらは社会を構成する一員であることを認め施策を構築するということです。

 支援の対象となる「障害児」をどのように捉えるかということに対しましては、今申し上げたとおり、 18 歳未満で、生活のしづらさを感じている子どもと私どもは捉えております。また、そのためにも機能向上を含めた療育が必要であるとも考えております。

3 番目としまして、「療育」「児童発達支援」などの概念をどのように考えるかについて、機能が形だけとならないように工夫する必要が重要であると考えております。

 また、「共生社会」を目指す観点から、障害児の地域生活の支援をどのように考えるかですが、地域で生活していくためには保護者のレスパイト、前半の 3 団体さんの所にもありましたように、やはり親に対するレスパイト、必要な短期入所であったり、特に肢体不自由児 ( 特に医療的ケアの必要な児童も含む ) を受け入れる場所、施設が少ないのが現状です。通学、通院への支援も不足していることが現状となっております。

 また、障害児支援の中で家族支援の位置付けはどのように考えるかということで、これも 3 回の各団体からもありましたとおり、核家族化となり、保護者への支援 ( 家族、地域 ) 体制が脆弱になっているのが社会全般のものです。保護者への支援策が最も重要だと考えるとともに、兄弟姉妹への支援も必要だと私どもは考えております。

2 ページ目、障害児支援を行う人材の専門性として何が必要かです。これについては、まずは家族に寄り添うことができる人材 ( 多方面に紹介できる=コーディネーター ) としての人材が必要であり、特に相談機関への配慮が必要と考えております。前半の 3 団体さんのいろいろな意見の中でも、相談支援の窓口、本日の資料では、私ども団体としてもいろいろな形で大いに参考になりました。

(2) としまして、子育て支援全体の中での障害児の支援の位置付けとして、これについては、気づかぬうちに支援が半ば強要となっている場合も考えられるということが挙げられます。訪問支援の確立など、家族への支援が最も必要であると、親の会の立場として求められております。

 また、早期発見・早期療育については、特に肢体に不自由があることが分かった場合、医師はなかなか疾病名、診断名を言わないのが現状です。身障手帳の申請時の診断書で初めて知る場合があることが、高齢化した親の中でも、また、今の若い親御さんの中でもあるのが現状です。障害の種別によって異なってくると思いますが、そのとき、中には丁寧に説明する医師と、両親の感情を考慮しない医師がいるのも現状です。また、このように、障害があることに対する受容が遅れ・早期療育の始まりが遅くなり、機能補完に差が生じていることも現実的にあります。これまで、早期発見で保健検診の充実を要望してきましたが、保健医、それに関する看護師については障害に対する知識が不足しており、「様子を見ましょう」といって先送りされるケースが多かったのが現実です。早期療育とともに、父親や母親が子どもの障害を早期に受容できるようにする施策が必要と考えます。

 繰返しになりますが、先ほどの 3 団体さんの主要なデータによって、この辺は大分改善されてきているとはいっても、我が子の障害を受容する時点でのサポートがまだまだ必要だと考えております。

 ライフステージを一貫して、支援としましては、個別支援計画を作成し、主要な人材を育てる、また、一般的な子育て支援については、当会としてはまだまだ議論ができていない状況です。

3 番目、教育施策との関係での障害児支援の位置付けです。これらについてもいろいろと課題がありますが、教員の定員数枠から補助指導員や看護師をはずして、安心・安全に学べるようにすべきだということが、私ども、それから、私どもの関連団体、連携団体である「全国肢体不自由児 PTA 連合会」からの意見としても挙げられております。

4 番目、グランドデザインについてです。ライフステージごとの課題として、周産期の中では、障害児の生命の選別とならないような、きちんとした制度の整備が必要と考えております。

 周産期保障については、一時の保障制度はなくて、安心して出産できる、いわゆるセーフティーネットとしての恒久的な制度となることを望んでおります。

 また、先ほど来、 3 回にわたって出ていますが、 NICU から、一般の父母としては在宅に移行についてのスキームがまだまだ認識が薄いのが現状です。遺伝子検査についても、詳しい遺伝子異常を検査できる体制がないことと、遺伝子異常を家族が受け入れられる相談体制も必要と考えております。

 乳幼児期につきましては、障害に対して気になる子どもがいる場合につなげていける体制が現在は不十分であるという認識、また、発達障害などは診断が不十分で、次への連携ができていないことが挙げられております。特に、幼稚園や保育園の指導体制に生かされていないことが、会員の中からの声でも挙げられております。これらは発達支援センターとして、中核としまして、できる限りワンストップで支援ができる体制が必要とも考えております。

 就学・学齢期について、複数担任など、教師数の充実が必要ということ、それから、医療・教育の連携については特別な配慮が必要な児童に対して、医療サイドからの情報提供並びに連携した教育・支援体制が必要と考えております。

2 番目の「論点」として、支援類型別につきまして、児童発達センターの役割、その他諸々の件ですが、会員の若い親御さん、それから、年配の会員も含めて、児童発達センターという名称自体がまだまだ浸透していないのも現実です。これは改革等によって制度が目まぐるしく変遷し、我々、従事している人間はある程度の認識がありますが、今後は一般の方々に周知・啓発等の充実が最も重要なことではないかと考えております。

 また、 2 番目の、保育所等訪問支援事業につきましても、これについては必須としなくてもよいという感じがします。

3 番目、「他分野も含めた関連機関との連携」についてですが、入所を含めた相談が「手続き」となっている、連携が取れていないのが現状と感じております。

4 番目、「指定基準や関連通知等において」の位置付けについて。医療的ケアを必要とする子どもが増えていることが現状にあります。これらに十分対応できる制度となることが最も重要と考えております。

 その他の通所支援の在り方については、見合う人材が揃わないということが親の声として挙げられ、また、特に途中からでは受け入れてもらえないという声も寄せられております。

 放課後デイサービスについては、医療的ケアを必要とする子どもがなかなか受け入れられないことが現状です。

 また、新たな政策に対して肢体不自由児者はなかなか受入れていただけない。特に訪問看護ステーション等々の充実、医療的ケアの対応が必要と考えております。

 また、障害児入所支援の在り方についてですが、福祉型でも医療型でも特に対応ができていないという声がありますので、早急に職員の養成を整えてまいりたいということです。

 前半で時間を取り過ぎましたので、あとは提出した資料をまた見ていただいて、後半については石橋のほうから、スクリーンのほうで内容を出しておりますので、よろしくお願いします。

○一般社団法人全国肢体不自由児者父母の会連合会 私のほうから、親の立場を加味して意見を少し述べさせていただきます。私たち親は、予備知識も何もない中で突然に身体に不自由のある子どもを持つ親となるわけで、療育とか発達支援という言葉は後から付いてくることであって、その時点では、身体の不自由は病気という認識で、これは治ると信じて幾つもの病院を回り、その積重ねの中で脳に障害を持ったことを理解し、少しでも日常生活に向けての機能を改善すればよいのではないかということで、いろいろな訓練処方を試みる、子どもが障害を持ったことを受け止め、それで、親子で歩み出すと。前半でもお話しましたように、地域に相談機能があるように見えても、持った直後からサービスにつながるまでの相談はあるようで、というよりも、私どもが会議後に意見交換をしていても、全くない状況ではないかと思います。良い医師というのは技術を持っている医師ではなくて、今後を指し示すことができる情報を持っている医師が頼りになる医師と理解しております。

 家族支援についてですが、昔と比べると家族の単位は非常に小さくなっていると思います。親子で支える家族が小さくなっております。また、出生と同時に離婚というケースも増えておりますし、晩婚のために、同時に両親の介護に直面するケースも増えております。家族支援とは「家族への支援」でしょうか、それとも、「家族が支援」でしょうか。前述のとおり、家族が支援というのは難しい状況になっていると思います。障害のある子どもを授かった時点でその家族、特に両親も含めて当事者であると位置付けていただければと思います。よい家族支援があって、初めて障害児も育まれるのではないでしょうか。

 それから、子ども支援制度の子育て支援のほうですが、障害児支援の考えは、健常児との統合保育・教育は必要と感じております。ですが、障害児支援は相当な努力が必要です。軽度の障害児を育てる家族には保育や学童支援の充実がかなうこともありますが、 24 時間の見守りや介護を必要とする障害児を育てる家族への支援が一般的な子育て支援で解決できるとは思えません。母親が就労するために昼間の支援が利用できたとしても、仕事から戻ってからの保障は何もありません。健常児なら夜間の世話はほとんど必要としませんが、障害児はそういうわけにはいきません。子育て論として、一般的な支援では全く不十分と感じます。

 時間の関係で、医療型発達支援センターが大きな医療圏や福祉圏内にしか整備されないものであれば、これまで御説明にありました、訪問医療、訪問看護を含む在宅医療制度の充実をもっと進めるべきと考えます。障害特有性は個々に存在し、大きな圏域でのセンター的な配置では個別の課題には対応しきれないと思います。それよりも、地域に根差した医療機関などで支援できることが望ましいと考えます。

 最後に、医療との連携が問題なのではなくて、医療も当事者、家族を支える 1 つの手段であると理解していくことが必要と考えます。度々出ております、 NICU からの地域に移行するとき、何のレクチャーもなしに出されている現状を改善することが必要だと思いますし、重症心身障害児は最も支援が必要な対象です。言い換えれば、重症心身障害児者への支援が完結できる社会となれば、他の障害児者は全て支援できる社会と言えると思います。ありがとうございます。

○柏女座長 ありがとうございました。ただいまの御説明について御質問等がありましたら、御発言をお願いします。

 よろしいですか。では大塚さん、お願いします。

○大塚構成員 大塚です。どうもありがとうございました。肢体不自由児の方の支援ということで、個々の方向性かもしれませんが、 1 つ、非常に大きなものは、教育との関係が深いものがあるのではないかと思います。整肢療護園という形において全国に、かつてはそれを中心に、寄宿舎などを通して、肢体不自由の方が専門的な治療を受けると、あるいは教育を受けると。そこから隣に肢体不自由児養護学校があって、特別支援学校があってというような形態があると思います。このような形態が、今の権利条約を批准した後、障害児の子どもの権利、最善の利益、あるいは合理的配慮も含めて、肢体不自由児の方こそ率先して、まずは通常学級とか地域の学校へという方向性があるかと思います。もちろん福祉的な連携も含めてなのでしょうが、その辺はどのようにお考えですか。肢体不自由児の方はやはり教育の問題が非常に大きいのではないかという認識です。

○柏女座長 いかがですか。何かありましたら。

○一般社団法人全国肢体不自由児者父母の会連合会 重心のお子さんで、医療的ケアもある意味では、ものすごく密接に医療に関わっているお子さんは、私の住んでいる近くでは全て訪問学級ですね。日々というか、ある意味では就学している時間の中に医療というものがさほど、要しないと言ったら語弊がありますが、経管とか胃ろうの面ぐらいでしたら、そこが肢体不自由児校、そこまでいかないという方だったら特殊学級、特殊学級については地域間の差がものすごくあると思います。それはやはり、カバーできる人材を持っているか持っていないかということで、先ほどのお医者さんと同じ。先生のほうはまだ、定員数が決められておりますから、なかなか難しい地域もありますし、そこに工夫をして、地域で人員を配置して、対応している地域もありますから。全てが全て、昔のような整肢療護園というような形態は。できるだけ地域で出たいという思いを持っておられると、私はそう理解しております。

○柏女座長 よろしいですか。まだ御質問もあるかもしれませんが、石橋さんは委員としても御参画されていらっしゃるので、今後の議論の中でまた石橋さんに御質問していただければと思います。ありがとうございました。

 続きまして、「全日本手をつなぐ育成会」より意見表明をお願いします。よろしくお願いします。

○社会福祉法人全日本手をつなぐ育成会 全日本手をつなぐ育成会常務の田中です。御提議いただいた項目に沿って説明していきたいと思います。まず、障害児支援の基本理念ですが、平成 24 年からの基本改正として、児童福祉法を基礎として、子どもの権利擁護という視点での基本理念になりましたので、特別な配慮と伴う支援を受ける権利を有しているという視点で、障害児福祉に関しては取り扱うべきだと理解しております。ただ、特別な支援だとしても、それを受ける場は地域での共生社会を前提にしての生活基盤で、必要な教育や支援もニーズに沿った選択肢を用意するということで取り組むべきだと考えます。

 次に、支援の対象の「障害児」をどのように捉えるかですが、発達期にある子どもの個人差を考えますと、手帳の支給基準を障害として捉えるのではなく、何らかの障害によって支援が必要だという考え方に沿って、いわゆる不登校やいじめ、虐待なども背景に障害を抱えているのではないかというような視点で考慮していく必要があるだろうと思っております。

 また、「療育」「児童発達支援」ですが、療育に関しては治療・教育という言葉が先行しますので、ここは目的と期限を定めるということで、子どもの育ち全般を捉えると、「児童発達支援」がふさわしいと考えており、議論が必要だと思っております。

 次に、「共生社会」の視点からの支援に関してです。インテグレーション、インクルーシブ、メインストリームと進んできた今日の流れの中で、原則的なインクルーシブだけではなく、本人の暮らしを主体にしての共生社会の実現を目指す際に、必要に応じた専門的な支援は選択的に利用できるように構築していく必要があるだろうと思います。また、障害児支援の家族支援の位置付けですが、児童期において自己肯定感を育む家族自身が自己肯定感を持てるような対応が必要だということで、ペアレントメンターやレスパイト、きょうだい児支援などの具体的な支援もありますが、特に育成会の立場では、家族同士のピアカウンセリング。ここに、家族自身の自己肯定感を高める支援としての検討が必要だと思っております。

 次に、人材育成に関してです。人材育成に関しては、ここに掲げた 5 つの視点での専門性に加え、特に児童発達支援と放課後デイという、今日的に非常に注目を浴びている部分に関しては、児童発達支援に関しては先ほどの全般的な子育ちを支援することと、放課後デイに関しては 2 つの要素があり、本人の社会参加としての児童館的な関わりと、親の就労保障という視点での学童保育、この 2 つに関しての専門性の違いを踏まえた資格の検討が必要だろうと思っております。

 次に、子育て支援全体の中での位置付けになります。先ほどお伝えした児童福祉法を前提にしたということになりますので、基本的には児童福祉法での関わりを前提にするべきです。ただ、中央の対応としてもまだ十分ではない。そして地方自治体においても、子育て支援の担当課に障害児の枠を全て移行することが非常に難しい状況があると理解しております。この動きに関しては、積極的な対応が必要だろうと思っております。特に、子ども・子育て支援制度で制度が想定されている居宅訪問型保育については、先ほど話題になった医療依存度が高いお子さんにも対応が可能な視点で、内容を深めていくべきだろうと思っております。

 そして、早期発見・早期療育ですが、特に早期発見・早期療育では、「早く見つけて早く療育」という言葉に少し強迫感が強い思いを抱かれる方がいるかもしれませんので、ここでは「取り残され感」や「出遅れ感」と表現しましたが、葛藤を助長するようなことがないような仕組みを構築していく必要があるだろうと思っております。

 また、ライフステージを通じて一貫した支援ですが、特に今は情報が横つながりで持ちにくい個人情報保護法の壁がありますので、「サポートファイル」のような親御さんが情報を持ち歩けるような仕組みが少しずつ芽生えはじめていますが、ローカルルールすぎるので、せめて県単位などで情報共有できるような仕組みの模索が必要だろうと思っております。また、子育て支援や児童養護施設に関しては、障害特性に応じて専門性が対応できるような職員の向上が必要だと思っております。

 教育施策との関係ですが、特別支援教育との関係においては、特に今、障害児支援利用計画 ( サービス等利用計画 ) と個別の教育支援計画の連携が必須であるにも関わらず、なかなか噛み合わせが難しい状況があるということになっておりますので、卒後の大きな節目における関わりと、放課後や長期休暇の現状でのサービスの利用の関係で、特に教育との連携を図った場合には、計画相談に何らかのインセンティブが働くような加算を検討していただければと思っております。

 また、教育現場での支援制度の関与の在り方についても、今お伝えしたようなサービスの利用の相互通交が行われております。特に、一義的には教育サイドにおいて学校での受入れがなされるような配慮が、障害者の権利条約にも批准した関係での合理的配慮という難しい言葉での検討が必要になってきておりますので、それらについて特に同年代との関わりが図れるような仕組みが必要になるだろうと思います。

 次に、論点として位置付けられた部分に関してです。地域におけるセンターの位置付けに関しては、相談機能や保育所訪問機能を活用してのアウトリーチを強化していくべきだろうと思っております。そして、子育て施策の一環の中では、センター機能がネットワークを構築するための教育機関や保育機関との連携を具体的に事案を通して、特に虐待などのレアケースが横行しはじめていますので、それらについての検討の場を設置していくべきだろうと思っております。

 そのような中で、センターの職員が有すべき専門性については、 4 つほど掲げさせていただきました。これに加えて、保育士、臨床心理士、社会福祉士などの専門性の特化と、コメディカル的な作業理学療法士、訪問看護師などの活用も図っていくべきだろうと思っております。

 また、保育所訪問支援に関してですが、これに関してはアウトリーチ支援による地域資源の活性化ということで、評価を高めた上で着実に全国展開をしていただくような対応が望ましいと思います。

 それに伴う関連予算に関してですが、「発達が気になる」保護者の段階では、自らの支給を申請することが難しいために、巡回相談支援などでの把握された関係をつないでいくような仕組みを残していっていただければと思っております。

 また、他分野との関係ですが、支給決定が市町村へ移管されたことで、児童相談所の役割が少し希薄な部分がありますので、児童発達支援センターが定着するまでの相互補完を図っていくべきだろうと思っております。

 また、その他の通所支援の在り方についてですが、医療型の児童発達支援センターについては、先ほど述べられたような形での必要性が高まっておりますので、早期に医療支援を組み込んでいけるような連携を作っていただきたいと思います。

 また、放課後等デイサービスについてですが、先ほどもお伝えしたような児童館的対応と学童保育的な対応がありますので、それぞれ小・中・校とライフサイクルごとによっても求めるものが違ってくるという視点での整備をして、今、闇雲に放課後デイが伸びつつある状況に対して、子育て放棄というような揶揄する声もありますが、必要な資源として活用できる視点を持っていただければと思います。

 新たな課題への対応です。保育所訪問支援に関しては、児童発達期の通所の入り口として非常に重要なのですが、なかなか仕組みが複雑なので簡素化して使いやすいものを作っていただければと思います。

 また、入所支援の在り方については、まだ十分なデータが得られていないというような声もありますので、是非実態把握をした上で、特に虐待児に関しては大型の対応での支援ではなく、家庭的なファミリーホームや里親などの整備にも視点を持っていただければと思います。

 相談支援に関しては、特に児童に関しては、「障害児相談支援の体制整備」という所にまとめさせていただきましたが、市町村での担当課の整備も重要と考えております。障害児対応の行政窓口で、障害児という位置付けになった瞬間に、児ではなくて者のほうの窓口に回されるようなケースもまだあると聞いておりますので、きちんと整備をしていただければと思います。

 最後に、「重症心身障害児の支援の在り方」は飛ばさせていただいて、今日話題になりました医療依存度が高いお子さんに関しては、現在介護保険制度の「通所療養介護」というような仕組みが先ほども話題になりましたが、これの充実を図ると、障害児に関しての受入れも可能になっていくのではないかと期待しておりますので、是非視点を当てていただければと思います。途中端折りましたが、報告を終えたいと思います。

○柏女座長 それでは、ただいまの説明について御質問等がありましたら、発言をお願いいたします。

○柘植構成員  3 ページですが、ライフステージを通じた一貫した支援を進めるために何を行うべきかということで、「サポートファイル」を使われはじめているが、ローカル単位すぎるということで、県単位で形式を整えたりできないかということなのですね。先ほど質問をすればよかったのですが、 2 ページの肢体不自由ですが、各段階、時期でモニタリングを行い、そのときの人材を育てたらどうかという、人を使ってやっていこうというアイディアなのですが、そうではなく、 1,700 800 ある市町村で使われはじめているのだけれども、そうではなくて、県単位で作れば人の配置や大がかりなことをしなくてもいけるのだというお考えですか。

○社会福祉法人全日本手をつなぐ育成会 正直、そんなに深く考えていなくて、枠として国で一遍にやるのはなかなか難しいだろうということと、今御指摘があった中での考えで言えば、正直言えば様式を一元化することに余り大きな意味はないと思うのですが、一元化することで使いやすくなるときに県レベルの教育委員会が動くのではないかというような単純な発想です。

○柘植構成員 そうですね。市町村レベルで非常にうまくいっている所もあれば、なかなか苦戦しているものもあるとすると、それを支えてあげなければいけないとすると、県がいいのかなということですね。

○社会福祉法人全日本手をつなぐ育成会 という、短絡的な発想です。

○柘植構成員 そのときに、新たな人材になるかどうか分からないけれども、その地域、地域でうまくいっているかどうかを見極めるような役割を持った人がいるといいのかなということを感じました。ありがとうございました。

○市川構成員 今の柘植構成員のお話にもつながるのですが、今、いろいろな所でファイルを作られていて、少しずつ内容が違うようなものを私たちはよく見ます。日本には「母子手帳」というすばらしいものがあり、これは国単位でやっているわけですね。何かそのようにしていかないと、引っ越したら全然違うことをやっているような現状があるわけですね。ですから、県単位などと言わないで、もっと国単位ぐらいにしていかないと、せっかく作ったファイルが皆少しずつ違っていて役立たないというか、使いものにならないというようなことも起きるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○社会福祉法人全日本手をつなぐ育成会 跳び箱と一緒で、踏み台を使ってちょっとずつということで、県というふうに上げれば国という話になるかと思いましたので、その受入れはやぶさかではないと思います。

○柏女座長 ほかにいかがでしょうか。

○加藤構成員 述べられたかもしれないのですが、改めてお聞きします。放課後デイの爆発的なニーズの拡大、事業所の拡大という状況があるのですが、これは前回もどこかの団体に質問させていただいたのですが、やはり学校の校門で待ち構えていて、そのまま事業所に移送して、また終わったら家庭に返す形態での今の在りようについては、先ほど御指摘されたと思うのですが、同世代の子どもたち、地域の子どもたちとの触れ合いや出会いなど、やはり子どもは子どもの中で学び合うというようなこともあると思うのですね。そういう意味でも、そういう体制は私としては子ども側に立つと行き過ぎではないかと思うのですね。ところが、親のニーズという意味でいくと、かなりニーズが高いから結果としてこういうことになっているのだと思うのですが、その辺りについてはどのような認識をお持ちですか。

○社会福祉法人全日本手をつなぐ育成会 もともとの入り口は、親御さんが思い立って放課後デイに申し込むということで、本人があそこに行きたいのだという例は非常に少ないと思うのですね。その親御さんの都合の中には、本人の社会参加の場を得たい、ここでは「児童館的対応」と書かせていただきましたが、そのような視点で人との関わりを求めていく場合と、「私」の事情を受け止めてこの時間をいわゆるレスパイトしたいというようなことになっている、そこの整理が今日の流れでいいますと、本来であれば相談事業できちんと整理されて、ニーズが明確になっていく必要があるのだと思うのです。ただ、そこを余りぎりぎり掘り下げていくのもいかがなものかということもあるので、やはり事業所や本人の暮らしぶり全般を見ながら、事業所が抱え込んでいるような、いわゆる学校に迎えに行って、ただ居室になっているような所に何時間か過ごしているだけというような事業所の質の問題をチェックする視点と、御本人の暮らしぶりにおいてこのような関わりが本当に適切なのかという視点の両方から整理していかないと、最終的には託す親の姿勢みたいなところでチェックが入ると、全体的に子育て放棄となってしまうので、それは余りにも短絡的な結論だろうと理解しています。放課後デイが始まってまだ 3 年たっていませんので、そろそろ見直しをする時期にきているのかなとは思っています。

○加藤構成員 あとは、親の都合というのは、そういう意味で 2 つのタイプがあるという御指摘ですが、もう 1 つはやはり子どもの育ちに対するバージョンアップというか、より期待度を高めた支援が放課後に欲しいと。それは裏を返せば、学校に対する不満の裏返しかと思うのですが、そういう部分もあるのではないかと思うのですね。ですから、そういう意味では 2 つではなくて、 3 つ。それも親の都合と言えば親の都合かもしれませんが。

○社会福祉法人全日本手をつなぐ育成会 調査していくときには、 3 つぐらいあったほうがいいと思いますが。

○柏女座長 まだ質問はあるかもしれませんが、時間が押しております。ありがとうございました。最後に、日本知的障害者福祉協会様より、意見表明をお願いしたいと思います。なお、私の進行の不手際から時間を 10 分ほどオーバーしてしまう可能性がありますので、御容赦をいただければと思います。それでは、お願いします。

○公益財団法人日本知的障害者福祉協会 日本知的障害者福祉協会の児童発達支援部会の副部会長をしております米川と申します。よろしくお願いいたします。私どもの協会は、障害支援に関しては通所支援と入所支援の 2 つの部門があります。本日は、入所支援については水流から、通所支援については私から、そして今回の在り方表の中に障害児相談が入ったということで、それについても私から少しお話をしたいと思います。

 お手元の資料ですが、我々福祉協会は時間の制約があるということで、パワーポイントの資料とワードの書式で資料を付けさせていただいております。そのワードの資料の中に、今回のテーマである主な検討課題について、縷々詳細に思いを書かせていただいておりますので、後ほど見ていただければ大変有り難いと思います。私から、パワーポイントの資料について説明したいと思います。

 まず 6 の「児童発達支援センターの今後の在り方」の所で、役割を少し考えています。我々としては、早期支援、療育支援、移行支援、医療支援の 4 つの役割があるのではないかと捉えています。早期支援は、母子保健の気づきや気になる段階、そして子育て相談から障害受容への厳しい時期、障害児等療育支援事業の拡充と障害相談支援事業との連携を、きちんとしたもので不可欠なものにしていきたいと思っております。ワードの資料の 2 ページの3ですが、「ライフステージを通じて一貫した支援を進めるに当たり何を行うべきか」の所に書いてありますが、「療育支援コーディネーター」を我々は考えています。この療育支援コーディネーターが、今申しました母子保健の中での気づきや受容への難しさというところで、保護者の方に寄り添ったり、また多様な機関との連携・調整にこのコーディネーターが必要ではないかと考えております。

 移行支援なのですが、平成 24 年当初はセンターに位置付けが必置とされていました保育所等訪問と障害児相談の連携です。これまで、我々通園関係は、就学時期の 6 歳が卒園と考えておりましたが、個々の子どもの成長・発達段階に応じて、小集団での療育を行う児童発達支援センターから、集団生活での保育や幼児教育を行う保育所や幼稚園等にスムーズに移行できる地域支援をより明確にする必要があるのではないかと考えております。それには、先ほど申しました療育支援コーディネーターの配置がやはり必要となると考えております。そして、障害種別の一元化に伴って、療育機能の向上や医療支援における医療機関との連携強化が重要と考えております。

 また、人材養成について、センターである施設の中心的な役割の 1 つと捉えてはおります。そういう中で、他の児童発達支援事業所等の職員の人材育成や、職員研修も協力をする必要があると考えてはおりますが、現実には人材養成よりも人材確保が急務であるという認識です。

 次のページの下の欄は、一応「発達段階と児童発達支援センターの役割」という形で図を書かせていただいております。児童発達支援センターである施設の役割というのは、やはり乳幼児期の子ども支援と捉えるべきかと思っております。そして、中核的な機能として、障害児相談を位置付け、基本機能として児童発達支援、地域支援機能として保育所等訪問などを標準機能としてセンターに位置付けてはどうかと考えております。

 また、乳幼児期の保育、「幼児教育」と呼ばれる一般施策の中で、より配慮を要する支援の呼称としては、「教育」という名称は違和感がないのではないかと感じております。そのほかの障害児通所支援の在り方については、ワードの文章に書いておりますので、お読みいただければと思っております。この役割図の中で、いろいろと具体的に見ていきますと、それぞれ 6 歳を迎える時や、中学生を迎える時の中で、いろいろな齟齬が見えてくるということを具体的にワードで書いておりますので、お読みいただければと思います。

 要望事項 ( ) ですが、食事提供加算が来年 3 月で終わると明記されております。そういう中で、我々子どもを育てる保護者の身、また保育所や幼稚園、そしてこれからできうるであろう施設型給付の幼稚園を選ぶところ等は、やはり子どもの給食費が 650 円になるのは、とてもとても我々から言い出しにくいと。現実に、今回の認定こども園が 1 190 円と書いてあったと思いますので、やはりここの食事提供加算の適用期限撤廃については、是非御猶余をお願いできればと思っております。

 最後になりますが、障害支援の中核的役割の相談支援ですが、やはり大人の相談とは大きく異なることを認識していただきたいと思います。子どもへの支援の前に、障害受容が必要なのは保護者だと我々考えています。パワーポイントの 21 ページの 1) に書いておりますが、障害児の相談支援といいましても、乳幼児期、学童期、思春期、青年期などの中で多様な支援があること。また、幅広い課題の中で相談員の資質や内容の濃密さを考慮した制度設計として、利用計画作成の役割が考慮されるよう再構築をお願いいたします。以上で、通所支援と障害相談については終わらせていただき、次に入所支援について水流から申し上げたいと思います。

○公益財団法人日本知的障害者福祉協会 障害児入所施設の今後の在り方について、意見を述べさせていただきます。平成 24 年の児童福祉法の改正により、障害児の入所支援は、重度、重複障害や被虐待児の対応を図るほか、自立、地域生活移行のための支援を充実させるものと位置付けられました。これらを踏まえて、障害児入所施設が今後持つべき機能として、 4 つの機能とそれぞれの課題を整理しております。

1 つは、社会的養護機能です。親の死亡、疾病、障害その他、様々な理由によって家庭から離れざるを得ない子ども、あるいは離さざるを得ない子どもを、家庭に代わってしっかり養育をするという大事な役割があります。課題としては、大集団での生活からより家庭に近い小規模グループケア、あるいは地域におけるグループホームやファミリーホーム、里親の支援といったものを踏まえて、社会的養護が必要な障害のある子どもにおいても、地域から分離をしないような取組が必要であると考えます。

2 番目は、発達支援機能です。入所している児童の状況は、重度・重複障害、あるいは行動障害、発達障害、被虐待等、非常に多様な状態の児童が入所してきております。それらに対しての、専門的支援機能を持つこと。課題としては、多様な状態像を示す児童に対するハード面の整備や専門性のある人材の育成が考えられます。

3 点目は、自立支援機能です。これも法改正により、 20 歳以上の入所期間の延長規定が廃止されたために、障害児入所施設においては完全通過型施設となりました。 18 歳、あるいは最高 20 歳まで、それ以降児童が地域生活や一般就労などにスムーズに円滑に移行できるような自立支援機能をしっかり持つべきだと思います。課題としては、障害者施策とのスムーズな連携、そのための相談支援体制、あるいは行政責任の明確化などが必要と考えます。

4 つ目は、地域支援機能です。自宅で生活をしている子ども、その家庭にとって、短期入所や日中一時支援、放課後デイ等、必要なサービスを必要なとき、必要なだけ利用して、地域生活を維持する拠点施設としての機能を持つべきだと思います。それらをイメージした図が、ここに示してあります。考え方としては、入所支援だけを行うのではなく、地域支援機能を明確に位置付け、障害のある子ども、そしてその家族を支援する地域における拠点施設としての機能を持つものとして位置付け、入所機能に関しては小規模グループケアへの移行、また、地域分散の観点から障害児のグループホームの創設、あるいはファミリーホームや里親において障害のある子どもを支援できる体制の充実、センター機能としての在宅支援機能、また一般児童施策としての保育園・幼稚園や学校との連携、また自立支援機能として自立援助ホームの創設や、そこを経た上でのグループホームや一般就労への移行などといった様々な多機能を持つ拠点としての障害児の入所施設として位置付け、それを充実させていくことが必要かと思います。

 残りの資料については、時間がありませんので御覧いただければと思います。以上で終わります。

○柏女座長 それでは、ただいまの説明について御質問等がありましたら、発言をお願いいたします。

○大塚構成員  2 つほど意見をお伺いしたいのですが、やはり児童発達支援センターの役割は、この検討会の本質、議論でもあるかもしれませんが、この機能をこれからどう考えるかということかもしれません。もちろん、知的障害児の通園施設は長い歴史があり、いろいろな指導や支援で実績があるわけです。できれば、保育所等においてどんな子どもにおいても支援が受けられる、そのために保育所支援や保育士にそういうノウハウを学んでいただいてということは理想であるわけです。もちろん、それはなかなか困難だということもあるかもしれませんが、そういうものを推し進めていくときに、では児童発達支援センターの中で残る支援の機能は何なのでしょうか。最後まで残るのは何なのかをお聞きしたいと思います。

 それから、入所についても、いつも考えていたのですが、やはり児童養護施設等の整理が必要かなと。同じような入所されている方々の対応がある。そして、社会的養護が必要だということも含めて、同じようなニーズがあるときに、どのような連携をしていくかはもちろんあるかもしれませんが、もしかしたらこの図も含めて社会的養護の子どもたちの在り方については、一元化してもいいのではないかと。むしろ、障害児加算のような形でしっかりしていったほうが、まず子どもを育てる観点からいえば、第一義的で本質的で、そちらから先にやっていったほうがいいということも含めてお聞きしたいと思います。

○公益在団法人日本知的障害者福祉協会 今言われましたように、アウトリーチをやって、あと何が残ってくるかだろうと思います。 1 つは、アウトリーチをするためには、人材を養成しておかなければいけません。これは、直近の課題で、現実に我々は今、通園の中で養成学校等で卒業されている方は、スキルがゼロベースなのですね。やはり、 10 年前の先生方と今を比べますと、逆にマイナスのスキルかなというところがあります。ですから、我々が通園で行う療育のスキルを、どう 3 年間で担保していくかを考えています。保育所等訪問に出る職員というのは、ある意味非常に有能な職員でなければいけない。現実のところも、園長クラスです。園長クラスをおいて、初めて向こうで多様な相談に対応できる。先方は先方で、やはり保育所・幼稚園の施設長との対応がありますし、現場の先生、そして保護者の方といういろいろなジャンルとの対応になりますと、やはり主任では難しく、園長クラスの者が行かなければいけないということで、まず人材をどう育てていくかは、これから我々センターが担うべきではないかと思っております。

 もう 1 つは、やはり母子保健や、ちょっと気になるな、という段階での入り口部分の受け皿は、やはりセンターできちんと幅広く受け止めておいてあげなければいけないかなと。やはり、保護者の方それぞれの価値観で、我が子の状態を受け止められるわけですから、そういう上では経験則の広いものを持っている我々の職員が個々できちんと相談、連携をしていきながらアドバイスをしていくことが大事ではないかと思います。

 もう 1 つは、移行へ向けて、その子の成長、発達段階に応じて、もうそろそろ集団保育へ、もうそろそろ幼児教育へ移行ができるような下支えの力を我々は持っていかなければいけないのかなというところを、これからの通園の新たな、きちんとした明確なもので持たなければいけないのかなと考えております。

○公益在団法人日本知的障害者福祉協会 児童養護施設との連携、あるいは将来的な一元化はという御質問ですが、まず共通の土俵でしっかり議論をしなければいけないと強く思っております。ただ、社会適応に関しては、我々の障害児施設よりも何段階も早く家庭的養護へのシフトというものが先行して議論をされて、具体的なプランとしても始まっていると。ところが、我が方はまだそこまでは至ってはいない段階ですので、まずはそこを創設した上で、共通基盤で議論をして、どこに共通点があるのか、あるいはそれぞれに異なる差異がある点はどこなのか、その辺りを議論するためにも、まずは障害児の部分に関してもより家庭に近い、家庭的養護へのシフトというものを明確な方向性と打ち出した上で議論をしていくべき。将来的に、もし一元化となれば、それはまたその段階によって議論すべきではないかなと思います。

○柏女座長 ありがとうございました。ほかによろしいでしょうか。議論を切ってしまうのも申し訳ない気もするのですが、時間が過ぎておりますので、よろしいでしょうか。それでは、特に御質問がなければではなくて、ないようにしてしまった気がいたしますが、今日はここまでとさせていただきます。御協力をいただきました事業者の皆様方に、心より感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました。頂いた御意見は、この議論の中で精一杯いかしていきたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 これまで多くの団体からヒアリングをしてまいりましたが、ヒアリングは今日が最後となります。次回以降の予定について、事務局から説明をお願いいたします。

○阿萬障害児・発達障害者支援室長 事務局です。皆様、本日はお忙しいところ、熱心に御議論いただきまして、ありがとうございました。次回、第 6 回の会合については、既に御案内しておりますが、 5 20 ( ) に厚生労働省の会議室で開催をいたします。皆様におかれましては、日程の確保をよろしくお願いいたします。また、前回もお伝えいたしましたが、 5 16 ( ) に社会保障審議会障害者部会があります。その場において、この検討会で行われました 3 回の団体ヒアリングの内容について報告をさせていただき、部会の委員の方々からの意見も頂いた上で、本検討会の報告書のたたき台について事務局として作成に入りたいと考えております。具体的な資料については、座長とも御相談の上で事務局で作成をして、 16 日の障害者部会に提出させていただき、またそれについては 5 20 日時点で皆様にも御報告させていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○柏女座長 次回 5 20 日は、ヒアリングをしてきた団体の方々の御意見をまとめたもの、あるいはこれまでの議論を踏まえた、いわば本検討会の報告書のたたき台について事務局から提出をしていただき、御議論もいただきます。 1 回では終わらないと思いますので、その後数回の御議論を経て、報告書にまとめていくという作業になるかと思います。次回から、いわば白熱した議論が続くことになるかと思いますが、皆様方の御協力をよろしくお願いいたします。それでは、本日はこれをもちまして閉会とさせていただきます。時間を過ぎてしまい、申し訳ございませんでした。ありがとうございました。


(了)
<照会先>

社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課
障害児・発達障害者支援室 障害児支援係
〒100-8916
東京都千代田区霞が関1-2-2
電話: 03-5253-1111(内線3037)
FAX: 03-3591-8914

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 障害保健福祉部が実施する検討会等> 障害児支援の在り方に関する検討会> 第5回障害児支援の在り方に関する検討会(議事録)(2014年5月9日)

ページの先頭へ戻る