ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(医療機器・再生医療等製品安全対策部会)> 薬事・食品衛生審議会 医療機器安全対策部会 議事録(2013年12月18日)




2013年12月18日 薬事・食品衛生審議会 医療機器安全対策部会 議事録

○日時

平成25年12月18日(水)10:00~


○場所

厚生労働省専用第22会議室


○出席者

出席委員(16名)五十音順

石 井 則 久、  内 田 恵理子、 川 原 信 隆、◎笠 貫    宏、
釘 宮 豊 城、  佐 藤 景 二、 杉 山    肇、  高 杉 敬 久、
高 谷 節 雄、  土 屋 文 人、 那須野 修 一、 新 見 伸 吾、
西 澤 真理子、 西 田 輝 夫、 横 井 英 人、  渡 邉 治 雄
(注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(5名)五十音順

○荒 井 保 明、 井 部 俊 子、 小 野   稔、 瀬古口 精 良、
  根 本     幾

行政機関出席者

成 田 昌 稔 (大臣官房審議官)
森 口    裕 (安全対策課長)
広 瀬    誠 (安全使用推進室長)
山 本 弘 史 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)

○議事

○事務局 それでは、定刻になりましたので、ただ今から「平成25年度第2回薬事・食品衛生審議会医療機器安全対策部会」を開催いたします。

 本日の部会は、従前の取扱いと同様、公開で行うこととしております。カメラ撮りは議事に入る前までとさせていただいておりますので、マスコミ関係者の方がいらっしゃいましたら、御理解と御協力のほどよろしくお願いいたします。

 本日は、荒井委員、井部委員、小野委員、瀬古口委員、根本委員より御欠席の御連絡を頂いており、釘宮委員と杉山委員、高谷委員より、遅れるとの御連絡を頂いております。現時点で、部会委員21名中13名の委員に御出席をいただいておりまして、定足数に達しておりますことを御報告いたします。

 また、本年1月に薬事・食品衛生審議会の委員の改選が行われましたことは、前回部会においても御紹介させていただきましたが、部会長代理の指名がまだ行われておりませんでした。大変遅くなり恐縮ですが、本部会にて委員の皆様の御了承を得たいと思っております。規定により部会長から御指名いただくことになっておりまして、笠貫部会長から、荒井委員にお願いしたい旨、御連絡頂いております。荒井委員は本日御欠席ですが、選出された際には御承諾いただける旨のお返事は頂戴しております。荒井委員にお願いするということでいかがでしょうか。

 よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、議事に入らせていただきますので、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。以後の議事進行は、笠貫部会長にお願いいたします。

○笠貫部会長 おはようございます。平成25年度第2回医療機器安全対策部会の議事に入らせていただきます。はじめに、事務局から資料の確認をお願いいたします。

○事務局 資料の確認をさせていただきます。本日の資料は、順に、座席表、委員名簿、議事次第、資料一覧を配布しております。資料一覧に資料番号が振ってあります。資料1-1「気管切開用マスクに係る使用上の注意の改訂について」、資料1-2「自動体外式除細動器(AED)の適切な管理等の実施について(再周知)」、資料2-1「医療機器の不具合等報告について」、資料2-2「医療機器不具合等報告」、資料2-3「医療機器外国措置報告」、資料2-4「医療機器研究報告」、資料3-1「感染症定期報告感染症別文献一覧表」、資料3-2「感染症定期報告の報告状況」、参考資料1「PMDA医療安全情報No.39トラキマスク取扱い時の注意について」、参考資料2「厚生労働科学研究『医療機器安全情報の電子化推進に関する研究』について」です。こちらについては、委員限りとさせていただきますので、御了承ください。それ以外の資料について、何かありましたらお願いいたします。

 また、大変申し訳ありませんが、委員名簿に訂正がありますので、訂正させていただきます。委員名簿の笠貫部会長の肩書ですが、早稲田大学特命教授と記載されておりますが、現在は東京女子医科大学の学長でいらっしゃいます。申し訳ございません。訂正させていただきます。

○笠貫部会長 本日は、審議事項はなしということですので、報告事項より入らせていただきます。本来であれば、議題1から始めさせていただくところですが、本日は横井委員が御都合により途中で御退席されますので、議事の順番を変更させていただきます。横井委員からの御発言が予定されております、議題4の2つ目の議題から始めさせていただきます。それでは、事務局から御説明をお願いいたします。

○事務局 本日は、本部会委員の香川大学の横井先生より「厚生労働科学研究医療機器安全情報の電子化推進に関する研究」について御紹介いただきます。初めにお断りですが、今回の御発表は検討段階の内容も含まれますので、スライドはスクリーンにて御覧いただき、配布資料は委員のみとさせていただきますので、御了承ください。

 本研究は、平成23年度からの3か年の研究となっておりますが、この前に平成20年度からの3か年の研究として行われていた、医療機器の不具合用語の標準化及びコード化に関する研究から引き続いて、本邦における不具合用語の整理や効率化について検討されているものです。本部会においても、同一事象に対する用語の不整合については以前より話題になっているところですので、今回は本部会にも関係の深い研究ということで、現在の研究の進捗状況等について御説明いただけることになりました。それでは、横井先生、お願いいたします。

○横井委員 御紹介ありがとうございました。まず、この発表の機会を与えてくださった笠貫部会長に御礼申し上げます。ありがとうございます。本日は、厚生労働科学研究医療機器安全情報の電子化推進に関する研究について、その内容を御紹介させていただきます。

 参考資料2を御覧ください。まず、委員の先生方にはお馴染みの不具合報告ですが、今、事務局から御説明がありましたとおり、用語の統一化がなされていないことによって、実はこの不具合をまとめて何件と書かれていますが、これは事務局の非常に地道な作業の下に成り立っております。後ほどお示ししますが、現在このような報告は電子的に行われることが一般的になっていますが、不具合や健康被害を表す用語は統一されておらず、企業ごとに異なった表現、ひどいときには同じ事象であるにもかかわらず、企業の中の担当者ごとに言いぶりが違っているといった状況があるのが現状です。そのような状況を何とかしたいということで、先ほど御説明いただいたような科学研究が動きまして、その過程で、今画面に出しておりますように「国内における医療機器の不具合等に関する用語集の検討」ということで、日本医療機器産業連合会(医機連)のPMS委員会の下で、不具合コーディングワーキンググループをお作りいただいて、検討を行ってきたところです。日本国内だけではなくて、国際的にも整合性を取れるように、アメリカのFDAの用語集に不具合コードというのがあるのですが、これとの整合性や、ISOの医療機器の不具合用語集との整合性なども検討しながら、検討を行ってまいりました。さらに、電子的な不具合報告の様式を、今の不具合報告の仕組みから少し変更していく必要もあるであろうということで、そういう検討をしています。最後に、不具合用語集を用いた不具合報告のパイロットテストを現在行っておりまして、その経過を通して不具合用語集の改善点や電子報告の改善点を探っているという状況になっています。

 次のページですが、こちらは医機連のワーキンググループのメンバーの方です。医機連の中の大部分の業界団体の方に御参加いただいて、精力的に作業を進めていただいております。

 次のスライドは「ボトムアップ式用語集作成」と書いてありますが、通常用語集というのは、まとめる団体がまとめて「これを使ってください」と言って、皆さんにトップダウンで渡すというやり方が多いのですが、御存じのように、医療機器というのは、包帯から核医学の機械まで非常に範囲が広いです。そういうものは、それぞれの分野ごとに、各業界団体の実際の担当者にボトムアップ式に作っていただく方が、より使いやすいものになるのではないかということで、こちらにあるように、各業界団体の製品群に応じて、不具合と健康被害や、その不具合が起きた部品などを選んで準備していただいて、用語集を作ろうという試みを行ってまいりました。

 次のページは、用語統一の例です。例えば血管内カテーテルに用いるガイドワイヤ、こちらは今、心臓カテーテルなどで非常に多用されるわけですが、このダメージに関する不具合としては、離断・断裂など、主に6つの用語が使用されています。実際にはかなり似ていることを示しているということで、次のページを見ていただきますと、その記述例があるように破断、切断、破損と微妙に似ている言葉が、微妙に定義が違う形で使われていることが分かりました。そういうものを各業界団体の中でコンセンサスを決めて、こういうときにはこういう言葉を使いましょうということで、精密な精緻な不具合報告を行えるように作業を行ってきたという形になります。

 次のページを見ますと、添付文書では破損が一番多かったのですが、この辺をきちんと整理をして言葉の定義をきちんと付けて用語集を作っていただいたわけです。

 次のページは、その整理をした結果、どういう用語を使ったらいいか、その用語にはそれぞれきちんと定義を付けて、担当者のレベルで見れば分かりやすく分類ができる用語集を作ってきました。

 次のページです。用語集作成としては、10月の時点で36件ということで、現在、更に追加のものが出ている状態で、各団体から続々と用語集の完成したものを送っていただいているところです。

 次のページは、その進捗状況をどのように考えたらいいかということです。用語集としては機器ごとに対応して作っているという言い方をしましたが、医療機器というのは、一般的名称では4,000以上あるわけですが、実際にはそのうちの300と少しにしか対応していないという報告になっています。ただし、不具合報告が非常に多い機器とそうではない機器には、かなりばらつきがありますので、実際報告されている不具合報告のうち、どのぐらいをカバーできているかというと、現時点では80%を超える報告はカバーできていると認識しています。今後これが増えて、かなりの不具合報告は本用語集でカバーできるであろうと認識しております。

 次のページは、不具合報告への電子化の状況です。年々増えてきまして、現在は報告受理件数レベルで70%を超える報告が電子的になされています。この1年間を見ても、幾つかの医療機器に関して、非常にめざましく報告の電子化率が上がっているという状況になっています。このような背景を受けて、より精密な用語集をコンピューターの上で動かしていくことには、非常に意義があるだろうと考えて、次のページに出ているパイロット用のシステムを現在お配りして、テストを行っているところです。

 画面を御覧ください。実際のシステムです。左上に医療機器の分類が入っています。ここの辺りが不具合の用語、この辺りが健康被害の用語ですが、これを動かすと、用語集が変わっていくのが御覧いただけるかと思います。このように各団体が自分の得意な医療機器に関して精密な用語集を作ってきてくださったという経緯があります。これを受けて、現在パイロットテストを行っており、各団体から集められた用語集案をインストールして検索をかけられるようなシステムを準備して、過去の報告事例を、用語集を用いてコード化する過程の妥当性を検証中です。これが全体像です。

 最後にこのプロジェクトに関わってくださったすべての方々、また応援してくださったすべての方々に心から御礼申し上げます。この作業は、医療機器の安全対策を迅速にかつ正確に行う一助になるかと思っています。ただし、用語集というのは生き物です。今後、新医療機器の登場や医療機器の進歩に伴い、用語の使われ方は変化、進化していきます。したがって、この用語集も継続的に改訂をしていかなければいけません。医療では、ついつい開発の方に脚光を浴びて、このような安全対策の地道な努力はなかなか顧みられることがないのですが、医療の安全・安心を支えているのは、このような地道な努力だと思っております。今後もこのような活動に御理解と御協力を切に願って発表を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

○笠貫部会長 先生ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問、御意見がありましたら、お願いいたします。

 これは非常に大事なことを、電子化へ向けて、まず国内のコーディングワーキンググループということで進められています。これから更に進展させていただきたいと思います。大変難しい問題をたくさん含んでいると思いますが、御質問、御意見はありませんか。

○西澤委員 これは私も非常に重要だと思います。重要なのは医療従事者の教育ということで、もともと現場でこういうのを普及させるときに、先生方のお考えでは、例えば教育の段階で用語の統一を普及させられるのか、どのように考えておられるのかお聞かせください。

○横井委員 確かに非常に難しいところがあることは事実です。医療従事者も、学会などで用語がきちんと整理できておらずに混乱するようなケースは、各分野であるかと思っております。今後、考えていかなければいけないことは、こういう用語集をきちんと普及させて、今の時点では、先ほどお見せしたように、検索などはとても大変なので、コンピューターをバックグラウンドにしなければ動かないものです。そういうことをうまく使えるようなシステムを、電子カルテの中に持てるような形を考えていくと、多分医療従事者もこういうものが身近に使えるようになるのかと思います。先ほどお見せしたように、今までの用語集や分類用語集は、モノによっては定義がきちんと書かれずに、ただ用語が羅列されている用語集が結構あります。そうすると、人によって考え方、捉え方が違って、結局、各医療従事者から上がってきた報告は、実は定義が違って集計されている可能性があります。そういうところで実際には精密な情報収集がしにくいという背景がありますので、今回お見せしたように、各団体の方々に非常に御苦労をおかけしたのですが、きちんと定義を入れて用語集を作っていただくという作業をしていただいたので、今後、電子カルテなどにこういうものを適用していくことも含めて、考えていければと思っています。

○笠貫部会長 不具合報告の中には、医療機器の特徴としては、モノそのものの不具合と、ヒューマンですね、使う側の問題と、点検を含めた環境の問題とが混合していますね。それは非常に難しいところだと思います。例えば、このガイドワイヤのダメージにしても、破損ひとつを取っても、それが技術的なものなのか、ガイドワイヤそのものに問題があったのか、こういう問題は不具合報告の中にはすべて入ってこなくてはいけません。その原因を分析しなければいけない。そういうときに、用語集には原因まで含まれてこないのだろうとは思います。医療機器の場合には、モノの不具合についての原因がきちんと電子化されてこなければいけないということだと思います。それが大事だとすると、例えば先ほどパイロットテストのシステムを見せていただきましたが、この中にはモノ、ヒト、管理、そういうものがきちんと書けるような仕組みになっているのでしょうか。

○横井委員 今ここに御紹介したのは、不具合と健康被害がメインになっています。おっしゃるとおり、原因を検討していく過程を表現するために、調査結果用語というのが検討段階に入っています。こちらに関しては、最後細かくなっていくと、判断が非常に難しい領域に入っていきます。ただ、先生がおっしゃったように、機器自体の問題とヒューマンの問題、それからその管理の問題で、どこにまず問題があったのかというのが集計できるようなことを検討しております。

○笠貫部会長 そうしますと、不具合報告の場合は、企業からの不具合報告と、医療機関からの不具合報告と、同じように出すようにという指導は進めていると思いますが、医療機関からの不具合報告はなかなか出てこない。そうすると、医療機関からの不具合報告のための不具合用語集というものは考えておられるのでしょうか。

○横井委員 先ほど申しましたように、電子カルテにこういうものが適用できるといいなというのは私の希望としてはあるのですが、なかなか一足跳びにとは言いにくいのかと思っています。現在考えているのは、少しジャンルは違うのですが、治験のデータを集めるときにも電子的に情報を集めるのが最近は普通になってきています。治験のときに有害事象は起きるわけですので、そこの情報収集の仕方にもこういう仕組みを使えないかということは、別の研究としてはやっています。

○笠貫部会長 今回は企業からの不具合報告ということですね。不具合報告は企業からの不具合報告と、医療機関からの不具合報告と、それは同じ患者さんに対して両方の報告が出てきたときに、初めてヒトかモノか管理かという原因分析ができるのです。それは安全対策としては非常に大事なことなので、厚生労働省にお願いすることになるかもしれませんが、医療機関からの不具合報告はどうあるべきかということを検討して、それを念頭に入れながら、先生の方でも考えていただけたら有り難いと思います。

 もう1つは、先ほど健康被害が出ていましたが、ここの安全対策部会でも問題になっているのは転帰なのです。企業からの報告の場合の転帰というのをどう書くかというのは難しい面があるかと思います。転帰を分かる範囲の中でどのように書き込むのか。その転帰の定義をどうするのか。例えば不具合が発生したときに、どのぐらいの期間の転帰まで見て書くのかとか、転帰についても、是非検討いただけたら有り難いと思います。いつもここで委員の先生方から、転帰はどうかと言われ、今の時点では転帰は分からないので分析のしようがないのですが、是非お願いできたらと思います。ほかにありますか。

○土屋委員 このことはすごく重要なことで、法学部の学生に医療機器の回収情報のデータをテキストマイニングで全部やらせたことがあります。そこで出てくる言葉が、同じなのかどうかという判断がなかなか付きにくいということで、標準化が必ずしもできていないのだということを実感したところであります。今、部会長が言われたように、使う側からの報告と、作る側の報告と、実際使っている患者からの不具合情報が来る。そういうことで言葉がいろいろ違ってくると思います。これは何がどうなのかとか、そういうことがきちんとできてくると、最近は薬剤師も病棟に常駐するようになって、輸液ポンプであるとか、そういう機器についても、かなり出てきております。やはり機器に関しては、言葉については素人ですから、本当にそういう意味でこういうことが進むことがすごく大事だし、何せ種類が広いですから、そのときに永続的に要望をコントロールできる仕組みが必要なのかと思います。

○笠貫部会長 ありがとうございます。ほかにはありますか。

 横井委員のされている作業が、安全対策部会にとって、極めて大事だということは、皆さん同じお考えだと思いますので、是非、精力的にかつ効率的にかつ効果的な、次の報告をお待ちしたいと期待しております。よろしくお願いいたします。

○横井委員 ありがとうございました。

○笠貫部会長 それでは、特にほかにございませんでしたら、議題を元に戻させていただきます。議題1について、事務局から御説明をお願いいたします。

○事務局 それでは、議題1「医療機器の市販後安全対策について」、資料1-11-2に沿って御説明いたします。

 資料1-1を御覧ください。「気管切開用マスクに係る使用上の注意の改訂について」という通知です。1ページと2ページに関しては、厚生労働省から各都道府県に対して、気管切開用マスク(トラキマスク)の製造販売業者に使用上の注意の改訂を指示する通知を発出したことをお知らせしたものです。また、本通知に併せて、PMDA医療安全情報も発出されておりますので、参考資料1を併せて御覧ください。こちらは絵が載っていて、少し分かりやすいものになっています。

 3~5ページは、厚生労働省からトラキマスクを扱う製造販売業者8社に対して、使用上の注意の改訂及び医療機関への情報提供を指示するものです。具体的には、参考資料1を御覧いただくと分かりやすいと思います。気管切開チューブを装着中の自発呼吸のある患者に対して、酸素等の供給を行うためにトラキマスクを使用していた際に、トラキマスクがずれてしまって、参考資料1の一番上の図のような状態になり、気管切開チューブのコネクタ口が塞がれたために、患者が呼吸できない状態となってしまい、チアノーゼ症状を認めたという事例が報告されております。この事例については、同じ構造を有する製品に共通して起こり得る事象と考えられたため、製造販売業者8社に対して、そういった事故に注意するとともに、起こり得るリスクを考慮して、本品の使用を検討すること、また、使用する際は患者の状態に応じて、生体情報モニタを併用すること等を添付文書に記載するよう指示したものです。

 続きまして資料1-2を御覧ください。資料1-2は、自動体外式除細動器(AED)の適切な管理等の実施について、再周知をする通知となっています。自動体外式除細動器(ADE)については、いざ使用しようというときに使えないという状況が発生しないように、日常的な点検や、バッテリーや除細動パッドなどの交換時期の管理を適切に行うように、平成21年4月の通知で周知を図ってきました。こちらは、資料1-210/21ページ以降に添付しております。AEDの製造販売業者に対しては、消耗品の交換時期を記載した表示ラベルの配布、日常点検の重要性や実施方法に関する情報提供を求め、AEDの設置者に対しては、インジケーターランプの確認や表示ラベルによる消耗品の管理を求めてまいりました。このような状況の中、総務省の行政相談に対して、AEDの管理が徹底されていないことが指摘され、総務省の調査においても、そのような結果が得られたことから、あっせんという形で厚生労働省に対して必要な措置を求められました。これを受けて、製造販売業者に対してアンケートを実施し、その結果は資料1-2の2ページ、3ページにあります。こちらのアンケートを実施して、その結果も踏まえて、平成21年の通知の再周知を図るとともに、維持管理のサポートとなるように各種サービスの活用や開発、提供を進めるようお願いしたものです。また、参考1として、資料の8~9ページ示しております。こちらは本通知の発出に合わせて、厚生労働省ホームページ上において公開しているAED維持管理に関するリーフレットを、より分かりやすく、また最新の情報に更新したものです。このようなリーフレットを用いて、より適切な維持管理の啓蒙に役立てていただきたいという趣旨です。資料の説明は以上です。

○笠貫部会長 ありがとうございました。それでは、ただ今の事務局からの御報告で質問はございますか。

 AEDの管理というのは以前から問題になってきたところだと思いますが、今回、製造販売業者に対するアンケートの調査は、大変大きな意味を持っていると思います。AEDは一般の人が使われるということで、購入者又は設置者は、通常の医療機器でいきますと、生命に関わる医療機器としては医療機関に当たるわけですが、それが一般の人だということで、その管理が非常に難しい。それで管理についての重要性の意識の不足あるいは時間とともに薄れてくるということは避け難く、非常に難しい問題だと思います。ここで先ほどAEDの各会社の取組事例として、必要な情報をメール等で送るとか、AEDに自己診断を行った情報を発信する機能を付けるとか、いろいろな方策が取られていると思いますが、こういうものについてどういう方法がいいかということを製造販売業者の中で共通の取組をしていくという動きはあるのでしょうか。

○事務局 共通の取組ということで、各社で話合いをして行っているというところに関しては、このサービスの開発に関しては製造販売業者それぞれの事情がありますので、各社でそれぞれ取組が行われているところです。ただ、耐用期間等の用語の定義などに関しては工業会で話合いをしていただいており、適切な維持管理について、必要な情報に関しては工業会でできるだけすり合わせを行っていただいて、その情報は厚生労働省にも話していただき、適宜ホームページ上で公開をしているところです。

○笠貫部会長 製造販売業者の管理について、24時間体制で取り組んでいるところもあると聞いています。非常に大変な努力をされているということについて、購入者、設置者は、必ずしも施設によって違いがあるかどうかは、製造販売業者から見ると、余り傾向はないということです。これももう少し具体的な実態調査をされて、どういう形で購入者、設置者に対するきめ細やかな対策を取られるかという両面から検討していただけたらと思いますので、引き続き、製造販売業者は大変だと思いますが、厚生労働省が、是非指導の方も続けていただけたらと思いますので、よろしくお願いいたします。

○安全使用推進室長 どうもありがとうございました。維持管理というのは、一義的には購入された側といいますか、自治体とか行政機関だったりする場合もありますし、会社だったりする場合もありますが、そこがきちんと意識を持って対応いただくというのは非常に重要なことですので、製造販売業者の方にはいろいろ御苦労をおかけするところはあるかと思いますが、引き続きそのようなところに十分に対応できるようにお願いしていきたいと思います。

○笠貫部会長 よろしくお願いいたします。そのほかにありますか。

 あと、トラキマスクについてはPMDAの医療安全情報の1ページの絵が非常に分かりやすいと思いますが、PMDAのこれからのこういった努力も是非続けて、分かりやすいものを、パッと目に付くようにしていただけると有り難いと感じます。ほかにはありませんか。

 特にないようでしたら、議題2に移らせていただきます。事務局から御説明をお願いいたします。

○事務局 議題2「医療機器の不具合等報告について」、資料2-1~資料2-4に沿って御説明いたします。資料2-1の1ページ、「薬事法第77条の4の4の規定に基づく薬事・食品衛生審議会への不具合・感染症報告について」です。1として、本部会への報告に関する薬事法第77条の4の4の規定を記載しています。2として、平成25年度の前半6か月である平成25年4月1日~平成25年9月30日までの報告状況について御報告いたします。ここから先は、少しこれまでと資料構成を変えていますので御説明いたします。資料2-1の2ページは、これまでと同様、医療機器の不具合報告件数についてまとめた資料ですが、3ページ以降に関しては、資料2-2の分厚い資料の内容が非常に分かりづらいということで、前回の部会で御指摘もありましたので、こちらも踏まえ、これまで口頭で御説明させていただいていた内容を要約したものを作成しています。こちらが資料2-1の3ページ以降になります。以降は資料2-2と併せて御覧ください。

 資料2-1の2ページから御説明させていただきます。医療機器の不具合等報告について、各項目の報告件数を示しています。不具合報告の件数については、12,690件で前回8月の部会で報告いたしました、平成24年度下半期の件数は11,210件でしたので、1,480件増加しています。今回の12,690件の内訳は、8つの分類で言いますと、多いのは「3.処置用・施設用機器等」の5,906件、それから「4.生体機能補助・代行機器」の5,719件で、この2つで全体の90%以上を占めています。国内報告と海外報告の件数は、国内報告6,149件、外国報告6,541件です。

 3ページには過去3年分の不具合報告件数の推移をグラフで示しています。全体の報告件数は徐々に増加する傾向にはありますが、不具合が前年よりも多く起こったというよりは、企業による不具合報告が適切に行われなかった事例が、ここ数年散見されておりまして、所定の報告時期から遅れてまとめて報告されるケースがあったことや、その他より適切に不具合報告が行われるようになったことに起因していると考えられます。

 また2ページに戻って、2つ目の感染症報告件数に関しては、これまで同様にありませんでした。以下、外国処置報告としては866件、研究報告として5件、感染症定期報告として39件の報告がありました。医療関係者からの不具合等報告については277件が報告されています。外国措置報告は250件増加していますが、それ以外の件数は前回から大きな変動はありません。

 続きまして、資料2-2の一番上に注意事項として、不具合報告リストの見方が記載されています。この報告については、医療機器との因果関係が不明なものも含め、製造販売業者等から報告されたものになります。報告に関する分類は()()まで8分類されていまして、一覧の掲載順については、発生場所で国内と外国に分け、それぞれで一般的名称の50音順で掲載しています。件数については、提出された報告書の件数を示したものになっており、同一の症例で複数の医療機器が関与している場合には、複数の企業からそれぞれ報告されることがありますので、このような場合には同一の症例を重複してカウントすることになります。このような場合があると報告件数がそのまま症例数にはならない場合があります。表の一番右側の、「企業による対応」の欄には対応措置の項目として、原則として、平成25年9月30日時点での措置の内容を簡潔に記載しています。「回収(改修)」と記載しているのは、製品を医療現場等から引き上げる回収をした場合、または修理や検査の実施等を行った改修の措置を取ったことを示しています。「情報提供」と記載したものは、添付文書の改訂あるいは書面による注意喚起文書を医療機関等に配布したなどの措置を取ったものです。この中には既に添付文書等で関連する注意喚起の記述がなされているものも含んでいます。「調査中」というのは、調査継続中であるものを示しています。「空欄」に関しては、情報が不足しているなど、調査が困難なものが該当します。

 次に、「目次」が記載されていまして、その次から表の下にページ番号と一覧を記載しています。以降、時間の関係上、資料2-1に戻って、4ページ以降を用いて御説明いたします。詳細については資料2-2も併せて御覧ください。

 資料2-1の4ページ以降です。各分類における国内の不具合報告件数と、その中でも特に報告件数の多かった品目の一般的名称、その際の主な不具合又は健康被害状況をピックアップして記載しています。表の右側にあります、主な不具合又は健康被害状況の欄ですが、こちらは基本的には主な不具合事象を記載していますが、不具合状況がない又は不明という場合もありますので、その場合については健康被害状況を記載しています。

 分類()に関して、報告件数は全体で15件、国内では5件報告されています。分類()としては、内視鏡、血液分析装置などの「生体監視・臨床検査機器等」について、全体では175件、国内では91件報告されています。分類()は、インスリン注入器やカテーテルといった「処置用・施設用機器等」です。報告件数は5,906件、前回からは外国で約700件増加していまして、そのまま全体で約700件増加しています。国内では2,980件ですが、そのうちの半数近くの1,423件が、中心循環系血管内超音波カテーテルとなっています。こちらはこれまでの御報告と同様なのですが、画像が消失するといった不具合について報告されているところですが、機器の特性上避けられないというものです。分類()は、心臓ペースメーカや冠動脈ステントなどの「生体機能補助・代行機器」を記載しています。こちらは5,719件の報告で、全体の約45%を占めています。先ほどの分類()と合わせると全体の報告件数の約92%ということで、大半がこの2つの分類となっています。前回からは、国内が約300件、外国が約230件、全体では約530件増加していまして、前々回の水準に戻っているような状況です。特筆すべき事例は特段ありませんが、資料2-1の4ページにお示ししていますように、国内報告では、冠動脈ステント、整形外科用骨セメント、大動脈用ステントグラフトなどで多くの報告が挙がっている状況です。外国報告としても同様にこれらの報告が多く見受けられる傾向にあります。分類()については、体内に留置するペースメーカとか、冠動脈ステントやステントグラフトのようなリスクの高い医療機器が多く分類されているということですので、報告件数は多くなっていますが、骨セメントやステントグラフトにおいては、ペースメーカのような機械物とは異なり、機器の不具合というよりは、健康被害の形で同種の報告がある状況となっています。分類()としては、手術用の電気メスやドリルなどの「治療・鋼製機器等」で683件報告されています。国内、外国ともに140150件ほど増加しています。特筆すべき事項はありません。分類()は、「歯科用機器・材料」で6件報告されていて、うち国内報告は1件です。分類()の「眼科用機器」、眼内レンズやソフトコンタクトレンズなどの不具合は全体で146件、うち国内報告は128件です。国内報告の多くを占めているのは眼内レンズのカルシウム沈着ですが、こちらはボシュロムジャパン株式会社の、平成13年に販売中止になった旧来製品であるハイドロヴュー眼内レンズが、既に植え込まれた患者の不具合として報告されているために、毎回同程度の不具合報告が未だにされているというところで、現在では既に対応済みの案件となっています。また、分類()としては、「衛生材料・家庭用機器等」で40件の報告がきていますが、国内報告は6件となっています。

 続きまして、ここからは平成23年度以降、新医療機器として承認された品目の国内での不具合報告の状況について御紹介いたします。資料2-1の6ページです。資料2-2の該当箇所も併せて御覧いただければと思います。平成23年度に承認されて、今回国内不具合報告がありましたのは、胎児シャント、Penumbraシステム、アルコンエクスプレス緑内障フィルトレーションデバイス、キャプシュア-FIX MRIリード、メドトロニックAdvisa MRIZilver PTX薬剤溶出型末梢血管用ステントの6品目となっています。胎児シャントやアルコンエクスプレスなどのドレナージデバイスでは、閉塞等の既知の不具合、PenumbraシステムやZilver PTXステントについても既知の健康被害、キャプシュア-FIXやメドトロニックAdvisa等のMRI対応型として承認されたものに関しても、MRI対応ではないものと同様の既知の健康被害の範囲に今は留まっていて、既に添付文書等における情報提供がされており、使用されているところです。平成24年度、25年度に承認されて、今回、国内不具合報告があったのは、MOMAウルトラ、植込み型補助人工心臓HeartMateII、カワスミNajuta胸部ステントグラフトシステム、プロマスエレメントプラスステントシステム、サピエンXTとなっていますが、販売開始後間もないものも含まれていますので、健康被害の情報を注意深く収集している状況です。いずれの品目についても、これら承認時に学会が連携しており、使用に当たっての基準が設けられる等、これらの品目の使用に当たっては慎重な対応がされているところで、市販後の不具合や健康被害については、今後も関連学会と協力しながら対応していきたいと思っております。

 続いて資料2-2-1です。こちらは毎年1回報告させていただいていますが、医療機器過去5年間の不具合報告の公表状況です。国内での平成24年度までの過去5年間の不具合報告の公表状況についてまとめたものです。平成24年度は全体の不具合報告件数は増加している一方で、死亡報告数については前年度からほぼ横這いの状況でした。

 次に3ページ以降を御覧ください。機器との因果関係が否定できないA評価の一般的名称ごとの報告件数を示しています。比較的報告件数が多いものを御紹介いたします。冠動脈ステントについては、平成22年度で死亡報告数のうちの多くは、Cypherステントの血栓症レジストリー「RESTART」での死亡報告例で、発生は平成20年度以前のものが、平成22年度に報告されたという事情があり、少し多くなっていますが、平成23年度、平成24年度は、平成21年度とほぼ同数となっています。大動脈用ステントグラフトについても年々死亡報告数が増加しているところですが、これは使用数が増加していることや、また、対象患者の高齢化や病変の複雑化に伴って、外科手術に耐えられないリスクの高い症例での治療も増えてきているという事情があります。その他、平成24年度に初めて登場する一般的名称も散見されますが、その中でも大腸用ステント、こちらは4ページの上から5つ目の、9件が機器との因果関係が否定できない死亡事例として評価されています。本ステントは悪性腫瘍の進行による消化管の閉塞や狭窄を拡張するために使用するものですが、癌の浸潤や放射線療法、化学療法によって組織が脆弱となっている症例において、本ステントの留置による消化管穿孔を起こさぬよう、適用の判断を慎重に行うことを注意喚起する内容を、使用上の注意の改訂を指示する通知として、平成2411月7日に発出されているところです。

 資料2-3は「医療機器外国措置報告」です。医療機器に関する外国措置報告については、企業が海外でも同じ製品を製造販売する場合に、海外の規制当局などで取られた措置について、日本の行政当局にも報告をするというものです。これも不具合報告と同じく、平成25年度上半期で866件の報告がきています。海外で措置を行った結果について、日本の対象製品がない場合を除き、概ね日本においても同様の対応を取っている状況です。時間の関係上、それぞれの説明は省略させていただきますが、死亡又は重篤な健康被害のおそれのある分類として、クラスI回収を行ったものについて御紹介します。

 1ページの3番、4番、アイソライン2CR、アイソライン2CTについては、米国や欧州各国で回収となっていまして、日本でも同じく回収を行っているものです。これらはいずれも植込み型除細動器や心臓ペースメーカに使うリードで、銅線の絶縁被覆が摩耗や損傷するなどして、銅線が露出したり、内部で銅線同士の接触が起こったりするおそれがあるというものです。25ページの630番~632番の、RIATA ICDリード等の3製品については、カナダが国内向け情報提供を行ったもので、日本での追加の措置は要さないというものです。

 続いて、資料2-4「医療機器研究報告」です。こちらはグルコース測定において有機リン中毒を治療するために使用される薬剤であるプラリドキシム塩の臨床検査の結果に与える影響について、血液サンプルを用いてここに記載される5製品により測定を行った実験結果についての研究報告です。この論文では、プラリドキシムヨウ化メチル又はヨウ化カリウムを添加した血液サンプルにおいて、濃度依存的に測定値が増加したのですが、プラリドキシム塩化メチル又は塩化カリウムにおいて影響が認められなかったことから、ヨウ素イオンの影響が考察されているところです。プラリドキシムヨウ化メチルの血糖値への影響については、参考としてこの後ろに添付した通知があります。こちらは、平成19年9月7日付けの薬食安発第0907001号の通知です。「血糖測定機器に係る『使用上の注意』の改訂指示等について」というものが発出されており、血糖測定機器の添付文書において、「プラリドキシムヨウ化メチル投与中の患者に注意する」旨が記載され、既に医療機関へ情報提供をしているところです。資料の御説明は以上になります。

○笠貫部会長 どうもありがとうございます。膨大な資料についておまとめいただいたということで、事務局は大変な作業だったと思います。特に、資料2-1はこれまでこの部会で各委員から頂いた要望について、今事務局で得られる情報について、ぎりぎりできる範囲内で全て整理をしていただいたということを踏まえて、皆さんから御意見、御質問を頂きたいと思います。いかがでしょうか。ありませんでしょうか。

 資料2-1と資料2-2-1の死亡症例の因果関係評価の内訳で、私もこのメンバーの1人で検討をさせていただいていまして、Cという因果関係が評価できないものと、この医療機器の不具合の評価がいかに難しいかがこれでお分かりになると思います。ここで一番多いのが、冠動脈ステントです。大動脈ステントの方は入っていますが、冠動脈ステントは、不具合報告の方では比較的少ないかとは思いますが、死亡症例は非常に多いので、是非、資料2-1の所にも冠動脈ステントを入れていただくと有り難いかと思います。先ほどCypherの話も出ましたが、ドラッグエルーティングステントの1つの問題点としては、時間とともに増えてくるという可能性は否定できないので、是非、冠動脈ステントについては死亡例だけではなくて、不具合報告の方でも特殊に扱っていただけたらと思います。

 それから、ペースメーカで、予測より早いERI表示というので、メドトロニックの1社だけですが、これについては何か対応はしたのでしょうか。196と非常に多いのですが、ERIが早いということは、健康被害としては余り問題ないと思いますが、これに対してどういう注意喚起をされたか、会社としての対応はどうされたかを教えていただけたらと思います。

○機構 機構よりお答えいたします。日本メドトロニック社のエンリズムというペースメーカです。平成22年の段階で、この製品の電池の問題から、クラスIIの自主回収を実施しているものです。当該事例は、電池電圧が選択的交換指標(ERI)に近くなった場合に、予測よりも早く電池が消耗する事象です。当該事象により、患者に対し何か健康被害が発生したとの情報はなく、すでに当該事象は周知され、該当するペースメーカに対しソフトウェアの更新を行うことで修正が可能であり、現在、企業が対応中です。

○笠貫部会長 資料2-1の、2-2「新医療機器の国内不具合報告」の表ですが、これは非常に重要なおまとめをいただいたと思うのですが、この中で平成24年の例えばHeartMateで、左の(14)は症例数ですね。14例で7例の大量出血というのは非常に多いように思うのですが、これは多分J-MACSにいって検討されていると思うのですが、これについての評価はどのようにされているのでしょうか。

○機構 植込み型人工心臓に関しては、市販後レジストリーのJ-MACSにより、有害事象の方を評価させていただいています。このHeartMateIIは国内不具合の14件のうち、大量出血、主要な感染、呼吸不全と、既知の避けられない事象ですが、1例の患者で複数の事象が発生しているケースもあります。

○笠貫部会長 そうすると、14例中7例というのではなくて、1例で何回か大量出血を起こしたという意味の7件と、そういうことですか。

○機構 左側の(14)というのは、14症例ではなく、14件の不具合ということです。

○笠貫部会長 分かりました。そうすると、新医療機器の3年分となりますと、ここに挙げられている機器の場合に、販売数はPMDAの方で把握はできるのでしょうか。リスクをどう考えるかというときには、健康被害の重症度の問題と頻度の問題を我々としてはある程度把握した上で、安全対策をどうするかを考えたいと思うのですが、それは難しいでしょうか。

○機構 この2-2の表にあります新医療機器のほとんどが、市販後調査が義務付けられています。個々の製品によって症例数は異なりますけれども、再審査のための使用成績調査が行われておりますので、有害事象のイベントの発生率等の把握は可能です。

○笠貫部会長 可能でしたら、新医療機器の新規承認後3年以内の機器については、発症頻度が分かるようにしていただきますと、この部会でもリスク評価をするときに、どのように捉えたらいいかということが非常に分かりやすいと思います。これからお願いできますでしょうか。

○安全使用推進室長 機器も医薬品とかもそうですけれども、承認の際の条件で、比較的全例に近いようなものが、企業に調査みたいなものが義務付けられたものであれば、恐らく使われた機器の数と、それによって起きた不具合の数が把握できます。そういうものになっていない場合には、恐らく出荷数量から推計する形になってしまい、余り正確な発生率は出ない状況です。ただ、調査の中できちんとなるべく全症例が把握できるようなものが義務付けられているものに関しては、部会長御指摘のような、起きた不具合と使用患者数がある程度企業の方でも把握できると思いますので、発生率みたいなものは出てくるかと思います。

○笠貫部会長 出荷数で必ずしも正確ではないかもしれないですが、ここでリスクを評価しようと思うときに、参考値でもいいと思うのです。これはそれほど多く出ている機器ではないように思いますので、3年間分で付けていただけるかどうかを検討していただきたいと思います。

○安全使用推進室長 検討させていただきます。

○笠貫部会長 それ以外にはありませんでしょうか。

 それでは、次の議題3に移ります。

○事務局 申し訳ありません。資料2に関して1点訂正があります。資料2-2の一番上のページの「4)企業による対応」の所ですが、「平成25年3月31日時点」と記載してしまっておりますが、「9月30日」の間違いですので、おわびして訂正させていただきます。大変失礼いたしました。

○笠貫部会長 それでは、議題3について、御説明をお願いいたします。

○事務局 議題3「医療機器の感染症定期報告について」、資料3-1と資料3-2により御報告いたします。感染症定期報告は薬事法に基づき、製造販売業者が製品又はその材料による感染症に関する論文等を報告するものです。今回は、本年4月~9月末までに報告されました感染症定期報告を取りまとめており、合計で39件の報告がありました。資料3-1「報告文献別一覧表」及び資料3-2「感染症定期報告の報告状況」があり、ともに感染症定期報告を基に、医薬品医療機器総合機構において整理しております。しかし、資料3-2には、企業から感染症定期報告ごとに整理しているもので、同一文献が複数回掲載されていたり、前回の本部会で報告済みのものもありますので、新規の文献等について整理しています、資料3-1を用いて報告をさせていただきたいと思います。

  資料3-1を御覧ください。本年4月~9月末までに報告された感染症に関する新規の文献や報道発表資料等について、感染症ごとにまとめておりまして、今回は53件ありました。比較的報告が多かったものは1/7ページの一番下から3/7ページまでに報告の概要があります、インフルエンザに関するものが16件です。次が4/7ページから始まるBSEに関するもので9件。続いてE型肝炎に関するもの、連鎖球菌に関するものがそれぞれ6件となっています。今回も、国立感染症研究所の渡邉委員、石井委員、国立医薬品食品衛生研究所の内田委員に、事前に内容の御確認をいただいています。また、渡邉委員と石井委員には、御所属の国立感染症研究所の先生方にも確認を依頼していただいております。事前に御確認いただいた委員からは、医療機器の安全対策上、直ちに措置を講ずる必要がある文献等は特に見られないということですが、石井委員からコメントがある旨を伺っています。説明は以上です。

○笠貫部会長 ありがとうございます。本件については石井委員、内田委員、渡邉委員に、事前に御覧いただいているということですが、石井委員からコメントをお願いします。

○石井委員 私の方から、資料3-1の7ページの49番「クロストリジウム・ディフィシル」について、コメントをさせていただきます。この細菌はヒトや動物の腸内に生息していまして、抗生物質対応投与時などには菌交代現象として増殖し、下痢や偽膜性大腸炎の原因になることがあります。この49番の内容ですが、クロストリジウム・ディフィシルは、家畜からヒトへの伝播事例がヨーロッパであったとの報告です。幸い、日本ではこのような事例はありませんけれども、今後、家畜からヒト、あるいはヒトからヒトへの感染についての注意が必要かと思います。以上です。

○笠貫部会長 ありがとうございました。ほかに御意見等ありますでしょうか。

 特にありませんでしたら、議題4に移ります。議題4については、先ほど議事を変更して、先に説明があったところですが、ほかに事務局の方から何かありますか。

○事務局 議題4「その他」の1つ目、参考資料1の「PMDA医療安全情報」についてですが、議題1の際に併せて御説明をさせていただきましたので、先に御説明いたしました内容ですべてになります。また、2つ目については、本日最初に御報告後、御意見を頂いたところです。その他はありません。

○笠貫部会長 では、全体を通して御質問、御意見はありますでしょうか。

 不具合報告については、事務局の方でおまとめいただいていましたので、皆さん非常に分かりやすく、御理解いただけたと思うのですが、特に全体を通してなければ、本日予定していました報告事項はこれで終了となります。よろしいでしょうか。

 事務局から、次回の部会の日程等について、御連絡をお願いします。

○事務局 次回の部会の日程については例年どおり、平成26年7月頃を予定しておりますが、別途、部会での審議等が必要な議題が生じました場合には、開催予定が早まることがありますので御承知おき願います。なお、日程調整等につきましては、事務局より先生方の御都合を伺って決めさせていただきたいと思います。以上です。

○笠貫部会長 ありがとうございます。これで「平成25年度第2回医療機器安全対策部会」を閉会とさせていただきます。御協力ありがとうございました。


(了)

備考
本部会は、公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 安全対策課安全使用推進室 室長補佐 高畑(内線2751)

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