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2013年12月25日 中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会 第15回議事録

○日時

平成25年12月25日(水)13:34~15:05


○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)


○出席者

関原健夫部会長 印南一路部会長代理 西村万里子委員 森田朗委員
矢内邦夫委員 白川修二委員 花井十伍委員
石山惠司委員 田中伸一委員 伊藤文郎委員
鈴木邦彦委員 安達秀樹委員 万代恭嗣委員 長瀬輝誼委員
堀憲郎委員 三浦洋嗣委員
土屋裕専門委員 田村誠専門委員  昌子久仁子専門委員 加茂谷佳明専門委員
池田俊也参考人 福田敬参考人 田倉智之参考人
<事務局>
神田審議官 宇都宮医療課長 佐々木医療課企画官
竹林保険医療企画調査室長 近澤薬剤管理官 田口歯科医療管理官 他

○議題

○ 我が国に当てはめた場合の具体例を用いた検討や今後検討が必要な項目等について

○議事

○関原部会長

 それでは、皆さんおそろいでございますので、大分お疲れでございますが、これから第15回の「中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会」を始めたいと思います。

 まず委員の出席状況ですが、局長以外は、全員がお見えになっています。

 それでは、前回の議論を踏まえまして、今後の検討項目や具体例等について、事務局及び参考人から資料が提出されておりますので、一括して説明をお願いいたします。説明の後、質疑に入りたいと思います。

 まず企画官からお願いします。

○佐々木医療課企画官

 医療課企画官でございます。

 それでは、中医協費-1でございます。

 これは前回の議論の内容ということで、評価対象技術の範囲、評価実施体制等々をまとめておりますが、この内容につきましては、中医協費-2の今後の検討の中に含まれておりますので、これは後ほど御参照いただきまして、中医協費-2で御説明をさせていただきたいと思っております。

 中医協費-2は「費用対効果評価の今後の検討について(案)」でございます。

 「1.基本的考え方」でございますが、これは従来から議論しております、新規医療材料や医薬品の保険適用の評価に際しまして、可能な範囲で費用対効果の概念を入れるということで、議論をしていただいているということでございます。

26年度以降の検討については、下記2のとおりとしてはどうかとしております。

 「2.具体的内容」でございます。

 「(1)データ・分析の提出に基づく具体例を用いた検討について」でございます。

 具体的な医薬品、医療機器等を例とした検討を行う際には、企業が収集したデータ及びそのデータに基づく分析を提出し、提出されたデータ・分析をもとに検討を行うということで、着実に検討を進めることができるのではないかという指摘等がございましたので、医薬品、医療機器について、企業に費用対効果が評価可能となるようなデータ・分析の提出を要請することとし、それに基づく検討を行うと書いております。

 ただし、提出されたデータ・分析の評価結果については、保険収載の可否の決定や保険償還価格への反映は行わず、当面、検討材料として使用するにとどめてはどうかとしております。

 2ページ目をお願いいたします。「○3データ・分析の提出を求める対象」でございます。

 (ア)として、収載から一定期間が経過している医薬品、医療機器であって、費用や市場の大きさ、海外の公的組織における費用対効果評価の実績等を踏まえて、本部会において選定したものについて、提出を要請していくというのが1つ。

 それから、新規収載される医薬品、医療機器であって、原価計算方式、画期性加算、有用性加算によって算定された品目のうち、必要なものについては、海外の公的組織における費用対効果評価の実績等を踏まえまして、データの集積・分析の実施可能性等を勘案した上で、提出を要請していくということも書いてあります。

 提出されたデータの分析に関しましてが○4でございまして、当面は、本日も御出席いただいておりますが、本部会の参考人等が提出データを用いた再分析等の検証を行いまして、その結果について、費用対効果評価の導入を本部会で検討する際の検討材料に用いることとするとしております。これは当面の措置ですが、提出されたデータ等の検証の仕組みも検討していくこととしております。

 ○5のところは、提出を求めるデータ・分析に関しましては、効果指標としまして、QALY、生存年等々、当該医薬品、医療機器の効果を最もよくあらわすと考えられる指標を選択する。複数もある。

 費用の範囲としては、公的医療費のみを原則としながら、介護費用等も同時に提出することを可能とする。

 比較対照としては、最も置きかわり得ると想定されるものを原則としております。

 3ページでございます。効果データの取り扱いでございますが、システマティックレビューなど、エビデンスレベルの高いデータを優先するとしております。

 費用データの取り扱いにつきましては、単価については、診療報酬点数表、薬価基準等を用いることとしまして、我が国の診療実態を適切に反映していると思われるデータを用いて、計算をするとしております。

 また、データ・分析の提出を求める際は、企業側の準備期間に配慮しまして、数カ月程度の猶予を置くということも書かせていただいております。

 「(2)提出されたデータ・分析を用いた検討の内容について」は、分析の手法、具体的な評価の活用方法としては、さまざまな指標、質調整生存年等がございますけれども、これらを組み合わせて検討するとさせていただいております。

 また、具体的に反映するやり方についても、今後、具体例を用いながら、検討するとしております。

 ガイドライン等でございますが、諸外国でもガイドライン等を用いて設定しまして、費用対効果評価を実施しておるところでございまして、一定程度のガイドライン等の整備が必要としております。

 ちなみに、今回、参考資料としまして、一番最後につけておりますけれども「医療経済評価研究における分析私法に関するガイドライン」ということで、本日、参考人として御出席いただいております、池田参考人、田倉参考人、福田参考人も参加された研究班がございまして、この中で、そういったガイドラインが既にございます。これはあくまでも研究でございますが、こうしたものをたたき台にしながら、具体的なものをつくっていってはどうかということでございます。

 4ページでございます。評価でございますが、諸外国においては、アプレイザルを実施しておりまして、これは非常に重要ということでございます。

 今後、具体例の検討の中で、アプレイザルと同様の検討を行うことにしますが、本部会においてやるということでどうかということでございます。

 「(3)評価対象技術の範囲について」でございますが、諸外国の実施状況を参照しますと、対象技術としては、医薬品、医療機器が中心でありまして、基本的に医薬品、医療機器ということで考えていく。

 ○2ですけれども、ただし、先進医療は前回も御議論がありましたが、一部については、そういった議論もしてはどうかということなので、検討対象の一部としております。

 「(4)実施体制等について」でございますが、諸外国では独立した組織等も設定してやっておるところでございます。

 5ページにまたがりますけれども、そういった評価体制についても、並行して検討していくこととしております。

 「(5)費用対効果評価の導入時期について」は、医療技術の保険適用の評価に際し、費用対効果の観点を導入する時期について、具体例の検討も踏まえながら、平成28年度診療報酬改定における試行的導入も視野に入れながら、引き続き検討してはどうかとしております。

 「(6)その他」ですが、我が国の保険医療制度との整合性でありますとか、今の増分費用効果比に用いられるようなものに加えて、ドイツで検討されている効率性フロンティア法についても、必要に応じて検討するとしております。

 今後の検討の方向については、以上でございます。

 具体例につきましては、参考人から御説明をお願いいたします。

○関原部会長

 池田参考人、続いて田倉参考人、お願いいたします。

○池田参考人

 池田でございます。

 それでは、今回、具体例につきまして、説明をさせていただきます。

 「医療機器 具体例(薬剤溶出性ステントA)」と書いてございます、参考人提出資料○1をごらんください。

 費用対効果を計算するに当たっての手順でございますが、これは前回までに説明があったものでございますので、割愛をさせていただきますが、念のため、1枚目のスライドで右のほうにグラフを書いてございます。効率性フロンティア法では、費用と効果を縦横逆に書くことになってございますが、考え方は同様でございます。

 2枚目でございますが、今回の分析の基本的な考え方としては、議論の中間的な整理に従って、分析をしてございます。

 3枚目でございます。「1.対象疾患と対象技術の背景」でございます。

 時間が大変押しておりますので、4枚目、5枚目に今回の対象疾患について説明がございますが、今回は虚血性心疾患と呼ばれる病態のうち、狭心症という疾患を対象に分析をしております。

 6枚目でございます。狭心症に対する治療でございますが、今回、対象と考えました医療技術としまして、(1)経皮的バルーン血管形成術という方法、これはバルーンと省略いたします。

 (2)経皮的冠動脈ステント留置術は、バルーンを行った後に、ステントという金属の筒を留置して、再狭窄が起きないように、血管を支えるという技術でございます。

 これにも2通りの材料がございまして、1つ目が、ベアメタルステント、これからBMSと呼ばせていただきますが、通常のものです。

 2つ目は、薬剤溶出性ステント、これはDESと呼ばせていただきます。こちらはステントから薬剤が溶出することによって、再狭窄を起こりにくくしたという、より再狭窄を防ぐ効果の強いものでございます。

 7枚目でございますが、今、お話した3つの治療の特徴ということで、一番下に書いておりますDESの場合は、再狭窄が起こりにくいというメリットはございますが、一方で、ステント血栓症という、ステントの中に血栓ができて、血管が詰まるという事象がより起きやすいことがあり、これを防ぐための強力な抗血小板薬治療が追加的に必要となり、この分の費用がかかってくるということがございます。

 8枚目でございますが、今回比較をいたしましたのは、ステント治療の対象となる狭心症の患者さんに対しまして、通常のベアメタルステント、BMSを使った治療と、薬剤溶出性のDESを使ったステント治療、この2つの費用と効果を比較するという検討してございます。特にDESを使った場合には、より強力な抗血小板薬の投与による費用が発生するということが特徴としてございます。

 9枚目「2.費用対効果評価の方法」でございます。

10枚目にございますように、これは繰り返しになりますが、対象患者は狭心症の患者さんで、ステント留置術が必要となる人です。

 評価技術は、DESでございます。

 データの取り扱いにつきましては、11枚目にございますが、詳細は割愛をさせていただきます。

 比較対照技術につきましては、通常の金属ステントであるベアメタルステント、BMSでございます。

 効果指標としては、再狭窄率、生存年、質調整生存年(QALY)の3種類を検討してございます。これにつきましての詳細は、13枚目にございます。

 費用の範囲としては、公的医療費のみを対象に推計を行いました。

 時間の関係で、11枚目、12枚目、13枚目に関しましては、後ほどごらんいただければと思います。

14枚目、効果指標ですが、今回ガイドラインあるいはDESに関するシステマティックレビュー、メタアナリシスの結果などを見たところ、通常のベアメタルステント、BMSに比べまして、薬剤溶出性のDESでは、再狭窄の抑制効果は優れている。しかしながら、生存率の改善、血栓症の増加、QOLの改善といった指標につきましては、明確なエビデンスはないということが、調査の結果、明らかとなってございます。

15枚目は、時間の関係で割愛いたします。

16枚目、17枚目、18枚目でございますが、こちらは今回分析対象といたしました、薬剤溶出性ステント、DESの中の個別の製品Aに関して行われました、メタアナリシスの結果を示したものでございます。

16枚目の再狭窄抑制効果は、統計的に有意に再狭窄の発生が抑えられるというデータが示されております。

17枚目、血栓症に関しましましては、メタアナリシスの結果、統計的な有意差はないということで、今回は差がないという前提で推計をしてございます。

18枚目は、生存率でございますが、製品Aのメタアナリシスの結果を見ますと、死亡率の減少効果というものは、統計的に有意な差はないということで、今回は従来型のBMS、ベアメタルステントとDESの間には、生存率の差はないという前提で分析をしてございます。

19枚目、質調整成長年、QALYの算出でございますが、後ほどもしあれば、御質問をいただければと思いますが、時間の関係で割愛をいたしますけれども、今回は、量、ステントの間で、QALYの差は有意ではない、差はないという前提で計算をしてございます。

20枚目、費用の計算方法の考え方でございますが、従来型のBMSに比べまして、DESではどれだけの追加的な費用がかかるかということで、○1ステント留置費用については、追加的な費用が発生をしております。

 ○2留置後に強力な抗血小板薬の治療が必要になるということで、それについても増加をいたします。

 一方、○3再狭窄が起こった場合の追加的な治療に関しましては、再狭窄率が減るので、DESのほうが費用は少ないということです。

 ○1と○2では費用がふえますが、○3で費用が減るということで、その差し引きを計算したというのが、考え方になります。

21枚目でございますが、ステント留置費用では、BMSよりもDESのほうがかかります。

 再狭窄の発生率はDESのほうが少なくなりますので、再狭窄が発生した場合のステント、バルーン、バイパス手術といった追加的な治療費がどれだけ減少するかという推計をしております。

 また、一番下にございます、抗血小板薬の費用に関しましても、DESのほうは、ベアメタルステントに比べまして、抗血小板薬ベータを追加的に投与する費用が発生するということで、計算をしてございます。

22枚目でございますが、ステント留置費用に関しましては、ステントそのものの価格の違いと、処置の場合にステントを幾つ使うかということも勘案した上で、DESを使った場合は追加的に約14万円費用がかかるという推計結果でございます。

23枚目、留置後の抗血小板薬の費用でございますが、これもBMSに比べてDESのほうが、10万円ほど追加的な薬剤費がかかるという推計結果になっております。

24枚目は、通常型のBMSに比べまして、DESのほうが再狭窄が減るわけでございますが、再狭窄が起きた場合、1件当たり、ステントの再挿入あるいはバイパス手術が行われるわけですが、平均的には144万円、再狭窄が起きた場合には費用がかかると推計をいたしました。したがいまして、ステントを留置した患者さん1人当たりにしますと、BMSを入れた場合に比べて、DESを入れた場合は、差額として14万円節約できるという推計結果になっております。

 以上の費用の推計結果、効果のデータをまとめまして、費用対効果の評価を行いました。

26枚目で示しておりますのは、効果指標として、今回3通り考えているんですが、再狭窄抑制率を効果指標とした場合には、再狭窄が起こるまでの費用を推計していくということで、費用の分析期間は再狭窄が起きるまでの費用になります。

27枚目がその結果でございます。右下に書いてございますように、通常型のベアメタルステントに比べまして、DESを使った場合には、ステントの留置費用は14万円追加でかかります。抗血小板薬の費用が10万円追加でかかります。すなわち、24万円が増分の費用になります。

 一方で、再狭窄の要請効果としては、9.9%再狭窄が起こりにくいという結果になります。これは費用対効果ですので、割り算をいたしますと、再狭窄1件を予防するのに対して、追加的に243万円の費用がかかるという結果になります。これがICER、増分費用効果比の結果になります。

28枚目でありますが、こちらで効果指標をLY、生存年、生存期間とした場合の結果と、QALY、質調整生存年、この両者についての結果を示してございます。これらにつきましては、費用の推計の期間が生涯となりますので、右下の費用のイメージのグラフにございますように、先ほど検討したステント留置費用の差が14万円、抗血小板薬の費用が追加で10万円、それに加えまして、再狭窄が発生した場合に費用が節約になる1人当たり14万円の費用の減少、これも全て勘案するということで、BMS、通常型に比べまして、DESを使った場合には、差し引きで10万円の費用の増加になります。

 一方で、生存期間、質調整生存年の両方とも、今回は差はないという推計となってございますので、結果的には効果の増分はなく、費用は10万円の追加というのが、今回の推計結果となっております。

 次は効率性フロンティアについて、分析をした結果でございます。

30枚目が分析の前提でございます。効率性フロンティアに関しましては、3つないしはそれ以上の医療技術について、総体的な費用と効果の関係を図示しないと、フロンティアというのは分析できないものですから、1つの臨床試験の中で、3つ以上の医療技術を同時に比較をしたものがございませんので、今回は30枚目に書きましたように、一定の条件を置いた上での分析ということで、御理解をいただきたいと思います。

31枚目がその結果でございます。最初に説明しましたように、フロンティアを書くときには、通常、横軸が費用、縦軸が効果となっておりますので、今回は横軸がバルーンに比べて、通常型のベアメタルステント、BMS、さらには薬剤溶出性、DESを使った場合、どれだけ費用の差があるかということが横軸です。

 縦軸はそれぞれについての再狭窄が起きない、つまり上にいけばいくほど、効果が高いということでございますが、再狭窄の非発生率を縦軸にとって図示しております。

 バルーンに比べて、通常型のベアメタルステントは13万円の費用の増加でございますが、再狭窄の非発生率が改善をしております。

 さらにベアメタルステントに比べて、DESになりますと、24万円追加の費用が発生しますが、さらに再狭窄の非発生率が改善をしております。

 仮にドイツで提案されております、効率性フロンティアの延長線上に新しい技術の治療費用が乗るべきであるという考え方で計算をいたしますと、薬剤溶出性ステント、DESに関連した治療費用が数万円安く設定されるということが、1つの考え方になるということでございます。

 以上です。

○関原部会長

 それでは、続いて田倉参考人にお願いいたします。

○田倉参考人

 参考人の田倉でございます。

 「医薬品 具体例(乳癌に対する分子標的薬B)」について御説明させていただきます。

 資料の構成は、目次にありますとおり、アジェンダが4つとなっております。

 2ページ「1.対象疾患と対象技術の背景」であります。

 スライドの3番目になりますが、最初に乳がんの標準的な治療における分子標的薬Bの位置づけについて、共有をさせていただきます。

 御存じのとおり、乳がんの標準治療では、外科療法の可否がポイントになります。すなわち、遠隔転移のない原発性乳がんなどのステージ1~3は、治癒を目標に手術適用となり、必要に応じて、放射線化学療法及び内分泌両方が行われております。

 一方、乳腺領域以外に遠隔転移のあるステージ4などは、延命及び症状緩和を目的に先進療法が選択され、一次化学療法として、標準化学療法に分子標的薬が併用されております。

 4ページ、各療法の意味合いについては、繰り返しとなりますので、割愛させていただきます。

 「2.費用対効果評価の方法」につきまして、スライドの6で御説明をさせていただきます。

 費用効果分析の枠組みの概略でございますけれども、対象の患者は一次化学療法を行う手術不能の乳がん患者、評価技術は、分子標的薬Bとさせていただきました。こちらは標準化学療法への上乗せ併用をしているものであります。

 データの取り扱いですけれども、参考にしましたデータは、後ほど御説明しますが、システマティックレビューにより、ランダム化比較試験を同定しております。

 比較対照技術は、標準化学療法のみで、効果指標は、無増悪生存年、全生存年、質調整生存年としております。

 費用の範囲ですが、公的医療費のみに限定しております。

 スライドの7番にデータの取り扱いについての御説明がありますが、具体的なものは、スライドの8で御説明をさせていただきます。

 最初にシステマティックレビューのプロセスですが、試験方法や対象技術を整理すると、4件のランダム化比較試験が同定されておりました。

 4件のランダム化比較試験の概要は、スライド9にございますが、標準化学療法を比較対照としたものが1つ、抗がん剤を対象としたものが2つ、内分泌療法を対象としたものが1つで、今回は症例数の最も多い2010年のRCTデータをソースとさせていただきました。

 スライドを1つ割愛させていただいて、11番の効果指標について、御説明をさせていただきます。

 表に書いておりますとおり、効果指標が幾つかありますが、今回がん治療であるとともに、分子標的薬Bの特性を考慮し、腫瘍縮小率と有害事情の発生率を除く3つの効果指標、OSPFSQALYを採択させていただいております。

12ページでございますが、効果指標のうち、全生存年と無増悪生存年の算定について、簡単に御説明させていただきます。

 スライド12の真ん中、右のほうに説明がありますが、一般にPFS等については、患者ごとのデータに基づき、生存曲線を作成します。また、必要であれば、統計的手法により、生存曲線を延長しております。

 左側の図にありますとおり、上がPFSの生存曲線でございますが、左下の標準化学療法と上の分子標的薬B+標準化学療法の生存曲線の間、2つの対象技術の間の生存曲線で挟まれる面積が、対象となるPFSという算定になっております。

 ただ、このような患者ごとのデータがないので、今回は他の計算方法で算定をしております。その方法について、御説明をさせていただきます。

 スライド14番をごらんいただけますでしょうか。OS及びPFSについての算定結果でございますが、データソースは、先ほどスライドの9で御説明したRCT論文のエビデンスから、PFSOSの中央値を抽出しております。

 表の中に各数値をまとめさせていただいておりますが、それらの数値をもとに、真ん中の図、左側がPFSで、横がOSですが、記載の図のように、生存曲線を推計しております。PFSOSそれぞれについて、2本の生存曲線で挟まれた面積、網かけの部分から平均期間を求めた結果、下段の表にまとめておりますが、分子標的薬B+標準化学療法の場合は、平均PFS10.7カ月、平均OS35.3カ月となっております。

 一方、相対する標準化学療法ですが、PFS6.7カ月、OS29.1カ月で、その差分、増分がPFSで4カ月、OS6.2カ月となっておりました。

 スライドの15になりますが、QALYの算出方法を述べさせていただきます。

 四角囲いの中に、今回の考え方を記載させていただいておりますが、今回は治療法による増悪するまでの時間の違いに着目して、QALYを算出しております。つまり増悪するとQOLが下がるため、長期で考慮すると、増悪までの時間が長いほうが、結果として獲得されるQALYが大きくなるという考え方でございます。

 具体的に御説明させていただきますが、その前にスライドの16をごらんいただけますでしょうか。QALYを算出するために必要なもう一つのファクター、QOL値について、御説明をさせていただきます。

 本来であれば、国内で実測されたデータに基づき評価を行うことが望ましいですが、我が国にはデータが存在しておりません。また、新たにQOLを測定するのも時間的な制約がございましたので、今回は海外の先行調査を参考にQOL値を求めております。

 その結果、増悪前の平均QOL値が0.75、例えば好中球減少症のグレートが悪化することなどを理由に、増悪することで、QOL値が0.44下がるという値を今回は活用させていただいております。

 以上のような整理を行って、各群の無増悪生存年及び生存年、増悪前後の平均QOL値から、各群のQALYを算出しております。

 そのイメージがスライドの17のグラフになりますが、上の図は分子標的薬Bが併用された群であります。縦軸はQOL値、横軸は時間、生存年とさせていただいて、例えば薄い網かけの増悪の前の状態は、QOL値が0.75で、増悪するまでの期間が10.7カ月、その両者から0.67というQALYを算出しております。

 続いて、増悪後、10.7カ月から余命35.3カ月まで、この間のQOL値は下がっておりますので、0.44の増悪後のQOL値を使って、積分値を求めております。結果として0.9QALYとなっています。

 増悪前と増悪後のQALYを合算したものを下の表にまとめておりますが、分子標的薬Bを併用した場合、1.57の獲得できるQALY、同様に標準化学療法のみの場合は1.24になりますので、その差分、増分になりますが、0.33QALYとして算出をしております。

 続いて、費用の算出方法について、御説明をさせていただきます。

 費用の範囲でございますが、基本的には増悪前と後に大別して、分析をさせていただきました。

 増悪前の費用については、2番目に書かれている標準化学療法のケースをごらんいただきますが、列の左から2つ目、内訳というところに、各診療行為、治療行為の月次の医療費がございます。これはDPCとか、診療報酬点数表の値を載せておりますが、その単価と、各化学療法の期間、または無増悪までの期間ごとの平均医療費を記載させていただいております。それらの期間と単価を計算することによって、標準化学療法の場合は76万円となっています。

 一方、分子標的薬のケースは、それに分子標的薬のお薬代が乗りますので、上の表の内訳の分子標的薬Bは、1カ月目が24万円、2カ月以降が月14万円ということで、同様に左側に期間と各単価の関係について整理をさせていただいておりますが、それらを合算して252万円という数字を算出しております。

 以上から、スライド19の右上に、標準化学療法に対する分子標的薬Bを併用する場合の増分費用を整理させていただいております。増悪前が177万円、増悪することによって、その後、10万円の差がつき、トータルの期間で187万円の費用増という形になっておりました。

 続いて、スライド20から「3.費用対効果評価の結果」でございます。

 スライドの21では、最初に無増悪生存年、PFSの分析結果を整理させていただいております。

 スライドの右上の式は、無増悪生存年に関する費用効果比でございますが、増分効果が0.33年に対して、増分費用が177万円となります。結果として、無増悪生存1年延長当たり535万円となっておりました。

 スライド22は、残りの2つの指標、LYQALYの効果指標を算定したものについて、同様に式を上のほうに載せております。

LYについては、増分効果が0.52年、増分費用が187万円ですので、1年延命当たり361万円となります。

 下のQALYですが、こちらは先ほどから御説明しておりますが、増分効果が0.33QALYで、増分費用が187万円となりますので、1QALY獲得当たり565万円という結果となっております。

 最後「4.効率性フロンティア」について、御説明をさせていただきます。

24ページをごらんいただけますでしょうか。こちらに効率性フロンティアの分析の概略を書かせていただいております。基本的なものについては、今までの分析と全く同じですが、今回フロンティアの分析ということで、(2)の比較対照技術のところは、対象数をふやすため、旧世代の化学療法を追加しております。

 2番目に実施する際の限界について書いておりますが、各群を比較した臨床試験のデータは用いておりません。つまり、比較試験ではないデータを用いておりますので、参考的なイメージとして、この後、ごらんいただければと思います。

 スライドの25番に効率性フロンティアで、PFSについての例示をさせていただいております。縦軸にPFS、横軸は費用とさせていただいて、各数値については、下段の表に載せておりますが、旧世代の化学療法が左下にあって、その右上に標準化学療法のみがプロットされています。

 それに対して、今回ターゲットである分子標的薬Bの併用ですが、右上にありまして、先ほども少し御説明がありましたが、例えば矢印の長さだけ治療費用が変化すると、効率性フロンティアの延長線上に移動するという解釈があります。

 スライド2627は、残りの生存年とQALYについても、同様の分析をさせていただきましたが、ごらんいただくとわかるとおり、傾向については同じでありますので、詳細な説明は省かせていただきます。

 以上、私からの御説明とさせていただきます。

○関原部会長

 どうもありがとうございました。

 企画官と2人の参考人からの御説明も含めて、一括して、御質問や御意見等がございましたら、よろしくお願いいたします。

 安達委員、どうぞ。

○安達委員

 参考人の先生方、データが同じ性格で、なかなか取りにくいところを、いろんな推計もしていただいて、可能な限り仮想の計算式を出していただきまして、ありがとうございました。相当御尽力をいただいたと思いますので、大変だったと思います。重ねて御礼を申し上げます。

 その上で、企画官に1つ質問ですが、薬剤溶出性ステントを承認したときに、有用性加算がついています。この有用性加算は何に対してついていたんでしょうか。

○関原部会長

 企画官、お願いします。

○佐々木医療課企画官

 最初に申請があったときは、先ほどの参考人の資料にございましたけれども、再狭窄率が有意に低いというデータをもって、その時点では、そういうことであるから、恐らく生存率なども上回るであろうという一定の推測で、画期性があるという評価を審議していただいたと記憶しております。

○関原部会長

 どうぞ。

○安達委員

 その後の生存年などは、ある程度使ってみて、例数をふやしてみないと、数字が出ないので、言わば事後検証みたいなことになるのはやむを得ないと思いますが、少なくともその時点で薬剤溶出性ステント、DESを使う場合には、抗血小板薬ベータが併用される必要があるということはわかっていたと思いますが、その条件は有用性加算をつけるときには、一切考慮されていないということでよろしいんでしょうか。

○関原部会長

 企画官、どうぞ。

○佐々木医療課企画官

 その時点の申請の中にも、抗血小板薬が必要ということは書いてありましたが、そういった費用を考えても、再狭窄率が低いということから見て、有用であろうという判断だったと記憶しております。

○安達委員

 ちょっと待ってください。抗血小板薬の併用が必要であるということは、条件として、数値的に有用性加算をつけるときに、一緒に勘案した結果ですかということをお聞きしました。

○関原部会長

 企画官、どうぞ。

○佐々木医療課企画官

 抗血小板薬を使うこと自体は、前提条件としてあるということは、材料の審査の情報としてはございましたが、それがあるからマイナスにするとか、そういう用い方ではなく、純粋に既存技術と比較して、再狭窄率が低いということをもって評価をしたと記憶しております。

○関原部会長

 よろしいですか。

○安達委員

 最後に池田参考人に今の状況についてお伺いをいたしますけれども、最終的な生存年のチェック等は、ある程度使ってみて、例数を上げないとわからないでしょう。それは最初に私が申し上げたとおりですけれども、少なくとも承認の時点において、DESはそのものの値段が高い。だけれども、再狭窄率は低いから有用性はある。一方では、それに付随して、非常に高価な抗血小板薬ベータを使わなければいけないわけです。そういうことまで含めて、少なくとも有用性加算の議論がされるべきであった。これはレトロスペクティブにではなくて、当初の有用性加算算定の時点においても、それがあるべきだったとお考えになりますか、どうでしょうかという御意見をお伺いしたいと思います。

○関原部会長

 池田参考人、お願いします。

○池田参考人

 この製品自体の価格の算定につきましては、不勉強で十分理解しておりませんが、今後に向けましては、追加して発生する関連医療費についての考慮をしていくことが、必要ではないかと考えております。

○関原部会長

 安達委員、どうぞ。

○安達委員

 お答えいただいたのかどうかが、よくわからないんですが、承認の時点で、つまりLYは少数の例数はあるんでしょうけれども、不十分だとしても、抗血小板薬は再狭窄が低いという点で有効である。薬剤溶出性ステントは、再狭窄が低いという点で有用である。だけれども、ステント自体の価格は高い。その2つの比較の中で有用性加算をつけたわけですけれども、それに加えて、抗血小板薬ベータを当初から併用しなければならないという条件がついている。そのことについては、有用性加算の算定のところでは、実際には議論されていないというか、考慮されていないと思いますが、それは当初から考慮されるべきであったかどうかということについて、参考人の御意見を伺いたいということを申し上げました。

○関原部会長

 池田参考人、お願いします。

○池田参考人

 今後、仮に費用対効果評価を政策決定に利用していくのであれば、そうした関連費用については、含めて考慮すべきと考えます。

○安達委員

 相当慎重にお答えいただいているので、あれですけれども、当初、有用性加算をつけるときには、その分も考慮した上での検討であるべきだったと思います。薬剤溶出性ステントについては、私が中医協委員になるずっと前に承認されたものでありますけれども、承認から1年ぐらい経ってから、特に京都大学の循環器内科等において、ステント治療を担当する複数の方々から、効果に対して必要が高過ぎる、こういう値段の設定はどうして起こるんでしょうかという、たくさんの御意見、メールをいただいておりました。当時、私は的確にお答えするだけのデータを持っておりませんでしたが、その御意見の中には、いわゆる抗血小板薬ベータの併用も含めて、費用が高いという御意見だったと思います。費用対効果の議論をする以前の段階でも、そういうことが考慮されるべきであったのではないかと思いますということを、意見として申し上げておきます。

○関原部会長

 ほかにいかがですか。鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員

 今回、非常に丁寧にまとめていただきました。また、実例も含めた紹介もあり、さらにガイドラインのひな形のようなものまで出て、非常によかったと思います。

 その上で、幾つか意見や質問をさせていただきたいと思います。

 中医協費-2の1ページでございます。「2.具体的内容」の(1)のさらに○1でございますが、今後データを企業に出させるという方向が書かれております。実際にはそういうことになるのでしょうが、企業におんぶに抱っこということになりますと、当然企業は自社に有利なデータを出してくると思いますので、それを使った分析・検討のみになってしまわないように、事務局というか、厚労省内部でも検討する体制をつくることが必要ではないかと思います。

 例えば医療課だけでやろうとされているのかどうか知りませんけれども、PMDAという組織もありますので、そういったところとの情報交換だとか、あるいはこの中にも実例のところで出てきていますけれども、実際の患者さんのデータではなくても、出版物から入手できるような二次データでの分析を行うとか、そういったことを通して、客観性をいかに担保するかということを、ガイドラインもこれからきちっとつくっていくということですので、そういったところでの扱いも含めて、検討していく必要があるだろうと思います。これは意見でございます。

 それから、4ページの「(3)評価対象技術の範囲について」の○2でございます。これは先進医療として実施している医療者等の技術の一部に、費用対効果評価の考え方を適用する可能性があるのではないかという指摘があったということですが、前回は限定するという意味合いが強い書き方だったのですが、今回は、その後に、当面、先進医療として実施している医療者等の技術を対象にということで、さらっと書かれておりますので、限定という意味合いを、もう少し強調したような書きぶりをしていただいたほうが、よろしいのではないかと思います。

 例えば○2の3行目のところです。当面、先進医療として実施している医療者等の技術に限定してとか、そういう書きぶりにしたらどうかと思います。これは意見というか、要望でございます。

 5ページ目の一番上の○2の、評価組織のあり方ですが、これは非常に重要になってくると思いますので、後からということではなくて、ここにも並行して書いてありますが、こういった評価を実施する組織のあり方ということも、同時並行で行ってほしいし、こういったものの中身についても、ガイドラインをつくられるときには、そちらで同時並行で検討していただきたいと思います。

 その下の「(5)費用対効果評価の導入時期について」でございます。ここにははっきり平成28年度診療報酬改定と書かれておりますが、これも後で文章のみが残りますと、28年度改定ありきということにもなりかねませんので、例えば次々回改定における試行的導入も視野に入れながらという文章に直すとか、もう少し検討をじっくりして、準備が整った段階で、はっきりさせていくことが必要ではないかと思います。これも要望でございます。

 もう一つ、ガイドラインのひな形のようなものを示していただきましたが、中医協費-2を見ますと、効果指標としては、何を使ってもいいという感じに書かれているのですが、ガイドラインを見ますと、12ページのところですが、アウトカム指標の選択の6.1には、可能な限り疾患や技術によらず使用できる共通尺度として、質調整生存年、QALYを用いた分析を含めることを推奨するということが書かれております。ガイドラインを参考にしようとすると、結局、前の議論に戻ってしまうということにもなりかねませんので、このガイドラインをどういう扱いにするのか。あくまでも参考にとどめるのか、それともこれにある程度沿って進めるのか、これについても、こういうものができてしまった以上、はっきりさせておいたほうがよろしいのではないかと思います。これは質問でございます。

 さらに薬価専門部会や保険医療材料専門部会でイノベーションの評価に対して、+100%までの評価をすることになるわけですが、それに対して、定量的な基準を入れることになりました。こういう考え方というのは、費用対効果の議論と共通するものがあると思います。同じようなものを別個に進めていくことにもなると言えると思いますが、それらの整合性については、どのようにお考えなのか、御意見をお聞かせいただきたいと思います。これも質問でございます。

 以上でございます。

○関原部会長

 企画官、最初の4つは御意見ということで、ガイドラインにおけるQALYの扱いの話、その後のイノベーションの評価と今回のものとの整合性について、この2つについて、お答えをお願いします。

○佐々木医療課企画官

 医療課企画官でございます。

 中医協費-2の3ページのガイドライン等のことでございます。今回、参考資料としてお示ししていただいておりますので、私も触れさせていただきましたが、研究班で研究用にガイドラインとして策定をされたものでございます。あくまでもこれはそういう段階のものでございますので、本部会の議論を踏まえてつくったものではございませんから、今後こういったものを参考にしながら、費用対効果評価を導入するに当たってのものをつくっていくための1つの参考資料として、きょうは提示をさせていただいたという位置づけでございます。

 もう一つは、今、御指摘のありました、保険医療材料専門部会等におきまして、原価計算方式におけるところの50%を100%にするということで、その指標を導入してはどうかという議論との関連でございますが、あくまでも今回は26年度の見直しに向けて、導入するに当たっては、そういう指標が要るということで、今、準備をしているものでありまして、費用対効果評価については、先ほども議論がありましたが、26年改定ではなく、次回以降の改定に向けて準備を進めている段階でございますので、まずは現状の知見の中で、26年4月以降のものをつくらせていただいて、将来的に費用対効果評価とどう絡めていくかというところは、またこの部会もしくは中医協全体で議論いただければと思っているところでございます。

○関原部会長

 鈴木委員、よろしゅうございますか。

○鈴木委員

 中医協費-2のところです。

○関原部会長

 次は別の質問ということですね。

○鈴木委員

 今、お話しになったことで、お答えいただいていないものもあります。全部答えろということではないのですけれども、4点ほど中医協費-2の中でお話しされたのですが、それについて、企画官の御意見なりお考えがあれば、教えていただきたいと思います。

○関原部会長

 それでは、最初の4つの御意見について、もしコメントがあれば、よろしくお願いします。

○佐々木医療課企画官

 医療課企画官でございます。

 幾つか御意見があったと思うのですが、1つ、4ページ目でございましたでしょうか、先進医療の取り扱いというところで、具体的な修文のような意見が出てまいったかと思います。そこにつきましては、この部会でよろしいということであれば、そのような形で修文するというのは、可能かと思っております。

 また、5ページの導入時期ですけれども、先生が次々回とおっしゃっているのであれば、恐らく平成28年度のことではないかと思いますので、そういうことであれば、現状の書きぶりでも同じ意味ではないかと思います。

○鈴木委員

 次々回以降と言ったのです。

○佐々木医療課企画官

 ここに書いておりますのは、(2)の具体的な検討結果も踏まえまして、28年度診療報酬改定における試行的導入も視野に入れながら、検討するとなっております。これは1つの目標として、28年と書いておりますけれども、検討を続けていった結果として、どのぐらいのものができるかというところも含んでいると思われますので、そういう意味では、御指摘の内容が入っているのではないかと思っております。

○関原部会長

 余り納得しておられないようですね。

○鈴木委員

 次々回以降でよろしければ、そのようにしていただきたいと思います。

 あと、そのほかに2点ございます。

 1ページの2.の(1)の○1について、いわゆる企業のデータ以外のデータの扱いについては、どのようにお考えなのか、御意見をお伺いしたいと思います。

 それから、5ページの一番上の○2の評価組織のあり方について、本気で考えていこうという気があるのかどうかということも、確認させていただきたいと思います。以前の文章では、独立性・公平性・透明性ということが書いてあったのに、途中から独立性というのが文章から消えているということもあり、いま一つ、その辺はどのようなお考えでいるのかが見えないということもありますので、現時点でのお考えをはっきりと打ち出していただければと思います。

○関原部会長

 幾つか御意見があったのですが、修文で「28年度」から「次々回以降」に書きかえろというのが、鈴木委員の御意見です。それについて、皆さんいかがかということでございます。

 白川委員、どうぞ。

○白川委員

 ここは書きぶりが甘過ぎると、後で意見を申し上げようと思っていたのですが、導入も視野に入れながらという書き方ではなく、試行的導入を目指してとか、そういうことで期間を区切らないと、正直申し上げて、2年間の議論を踏まえれば、今回のこの文章の位置づけはよくわかりません。2年間の総括みたいなもので、これを総会に報告して、来年4月の改定までは、費用対効果の議論はストップという位置づけのような気もするのですが、このペースでやっていますと、いつこれが導入できるかわからない。そのうち、委員や事務局の交代がありますから、遅々として進まないということにもなりかねませんので、ターゲットは28年4月の改定のときに最低でも試行的導入を図ることを目標にすべきであると思っております。

○関原部会長

 花井委員、どうぞ。

○花井十伍委員

 今の件に関しましては、私も白川委員と同意見です。

 試行的導入を視野に入れながらというのは、引き過ぎではないかと思いました。その理由を述べます。先ほど安達委員から指摘があったステントのケースを見ても、例えば薬剤溶出性ステントというのは、そのときの評価では、ある種イノベイティブなものだと受け止めて、それに加算をつけたということだと思います。

 今、薬価のほうでも、次期改定に向けてイノベーションとか、有用性の高いものをちゃんと評価していこうということを進めている中で、先ほどの事務局の説明の関係性は、型通りでありますけれども、結局そういったイノベーションを受け止めていって、本当に患者にいいものを、または精神的なものをちゃんと評価するということを進めていくのであれば、評価する土台を早く整えなければ、事務局の説明どおり進めば、これが両方進んでしまうと、整合させるのは、後になればなるほど困難になるので、できる範囲で、できるだけ早期に費用対効果を実装していくということをすべきだと思います。そうしないと、最終的には整合していかなくなるので、鈴木委員は若干反論があるかもしれませんが、御理解いただいて、やるという方向が望ましいのではないかと思います。費用対効果のシステムそのもののブラッシュアップは、その後、可能だと思いますので、ある程度目標を決めて、時期を決めてやるべきだと申し上げたいと思います。

 以上です。

○関原部会長

 鈴木委員、いかがでございます。

○鈴木委員

 そんなに違わないとは思うんですが、数字を入れてしまっていいのかという気がします。数字が一人歩きしないように、消しておいたほうがいいのではないかというのが私の意見でございます。

 もう一つございましたけれども、医療者等の技術を一部ということですが、これは限定してというニュアンスを、もう少し文章に入れていただきたいということでございますので、これについても御検討いただければと思います。

○関原部会長

 1号側からは、逆に「試行的」を外して、もうちょっと強くというニュアンスも出ているわけで、それを踏まえて、視野ということだと余りにも広いから、目標とか、ここは最終的に修文をしていただきたいと思います。この文章の一言一句をここで確定しなければいかぬということではないので、基本は28年度からやるということを目標にということで文章をつくって、年が明けたら、もう一度、皆さんにお渡しするということでよろしいですか。

 企画官、どうぞ。

○佐々木医療課企画官

 医療課企画官でございます。

 先ほど1号側の委員の先生方から御指摘がありましたとおり、お約束では、年内に総会まで上げさせていただくということでございましたが、そこは間に合いませんでしたが、今の視野、目標という話であれば、ぜひ今日決めていただきたい。1月以降も個別の項目の審議で中医協のお時間をいただかなければいけませんので、持ち越すというよりは、できれば御議論を深めていただければというのが希望でございます。

○関原部会長

 わかりました。

 原案はこうなっているということで、1号側から、もうちょっと明確にしてもいいのではないかという御意見がありましたが、これはどうしますか。

 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員

 もし数字を残せということであれば、平成28年の前に「例えば」を入れればどうですか。

○関原部会長

 「例えば」というのは、同じですね。要するに引き続き検討していったらどうかということ自体が、例えばの話ですからね。

 ほかに御意見ありますか。万代委員、どうぞ。

○万代委員

 1つは、今の5ページの(5)の上に、評価組織のあり方が書いてありまして、鈴木委員も言われたように、評価組織をどうするかということも、試行的導入にも関連してくると思います。当然1号側の皆様がおっしゃるように、26年改定の前に、何らかの具体的なものを幾つか導入という目標があったわけですから、そこについて、ある程度目標を設定しておいたほうがいいのではないかと思います。

 大分勉強させていただきましたので、全体像がわかってきたところでございますし、ここの議論については、白川委員がおっしゃるように、試行的導入を目指して、引き続き検討していってはどうかという形でも、私は十分納得できると思っております。

○関原部会長

 それでは、今の御意見を踏まえまして「導入を目指して」ということで、ここで決めさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○鈴木委員

 さらに強い意味合いにしていくということですか。それは私の主張とは全く逆になると思います。

○関原部会長

 導入を視野に入れながらということと、つまり28年度をめどにということとほぼ同じです。

○鈴木委員

 全般的にバランスがとれた検討ではないのです。実際は評価組織のあり方の検討がかなり抜けているのです。これを曖昧にしたまま、試行的導入を急いでいるような気がするので、もう少しバランスのとれた進め方をする必要があると考えております。そういう意味で言っておりますので、全体の書きぶりをもう少し修正していただければ、了解できる可能性はあると思います。

○関原部会長

 今の御意見は、事務局提案も強過ぎる、もっとこれをトーンダウンしろという御意見ですか。

○鈴木委員

 百歩譲って、このままでもやむを得ないという気がだんだんしてきました。

○関原部会長

 1号側、矢内委員、どうぞ。

○矢内委員

 繰り返しのようになりますが、26年度以降、2年間の検討期間があって28年ということだと思うので、その間にある程度の方向を出すというのが、責任ある議論をする立場として、計画的にそのような期間を置いて、そこでできるだけの努力をしようというのが、いいのではないかと思います。したがって、先ほどから出ている意見と同様、28年度の診療報酬改定における試行的導入を目指してとか、あるいは目的としてというような形でまとめていただきたいと思います。

○関原部会長

 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員

 前回の改定のときにもこういう議論があって、早く早くという話がありましたが、結果的に十何回議論をしましたけれども、私はそれだけの成果があったと思います。また同じことが言えるのではないかと思って、そういうことを言っているのであって、議論が進めば、先へ進めていいと思うのですが、結局改定が終わると、いつも少し間が空いてしまいます。そういうときにもきちっと検討する、あるいは今バランスがとれていない部分もきちっと議論するということであれば、今の書きぶりでよろしいということも考えられると思います。

○関原部会長

 改定が終わった後、何もしないで、ぶらぶらするということは全くなくて、これは28年度を目指して、真剣かつなるべく早く議論を深めていくというのは、大前提の話であります。

 今のイシューは「導入も視野に入れて」という事務局の提案がありますが、それをどうしてもめどにしなければいけないのかか。結局そんなに違わないから、2号側もこういうことならばということでどうかです。

 印南部会長代理、どうぞ。

○印南部会長代理

 鈴木委員が言われているのは、バランスのとれた議論を行うということが重要なポイントなので、文章の細かいところはいろいろあるでしょうけれども、評価組織のあり方の検討も含めて、28年でなくても、次々回でも構わないので、導入を目指してと書けばよろしいのではないでしょうか。

○鈴木委員

 本格的なガイドラインも必要です。

○印南部会長代理

 どちらにしろ、それがないと実施できないと思います。

○鈴木委員

 そうですね。

○関原部会長

 評価組織のあり方について、導入までに検討すると記載されているわけで、これは大いに検討したらいいと思います。検討しないなんてことは、どこにも書いてないわけですし、大いにやろう。このまま読めば、そういうことだと思っています。

 どうぞ。

○花井十伍委員

 具体的文章を決めるということであれば、提案があるんですけれども、(5)の書きぶりは「上記(2)の結果も踏まえ」と(2)だけを特出しにしています。鈴木委員が指摘されている「(4)の実施体制について」は、(2)と特出しすることによって、これを受けていないようになっているので、そこはちゃんと(4)も踏まえるとか、もしくは上記全部とすれば、まさに鈴木委員が指摘のところが、ここに含意される。そういうことを書いた上で、試行的導入を目指してとするということでは、鈴木委員、いかがでございましょうか。

○鈴木委員

 くどいようですが、それを入れていただいた上で、この文章でいかがかと思います。

○関原部会長

 この場で文章を決められない感じなので、そんなに難しいあれではないので、可能であれば、事務局と私で相談をして、あるいは会長とも相談した上で文案をつくって、皆さんにお回しして、御了解を得る。よほど問題があるということであれば別ですが、今の議論を聞いていても、大もめするような話でもないので、基本は頑張ってちゃんとやるべきことはやって、なるべく早く実行しましょうということについては、アグリーされているわけですから、それを踏まえてやらせていただくということで、この議論はこれで終わることにいたします。

 それから、評価組織のところで、鈴木委員から何回も出ていますが、それについて、もう一度コメントがあれば、企画官、お願いします。

○佐々木医療課企画官

 医療課企画官でございます。

 評価組織に関しましては、具体例の検討と並行して検討を行っていくということは、4ページから5ページにかけまして、書かせていただいております。

 ただし、評価組織ができないと具体的な検討ができないということであると、問題があるということなので、2ページの○4でございますけれども、提出されたデータについては、当面、参考人等で御検討いただいて、その内容を本部会で、本日のような形になると思うのですけれども、具体的な資料にして、また御議論いただくということを考えておりますので、そういう意味では、組織のあり方も当然検討対象だと考えておるところでございます。

○関原部会長

 鈴木委員、よろしゅうございますか。

○鈴木委員

 そういうことがわかる書きぶりにしていただければ、よろしいと思います。

○関原部会長

 ほかにございますか。石山委員、どうぞ。

○石山委員

 ここまで資料をいろいろつくっていただいて、ありがとうございます。

 特に医薬品の具体例でお聞きしたいんですけれども、スライド16QALYの値のところです。本来であれば、実測されたデータに基づくのが望ましいというのは当たり前です。我が国におけるデータは存在しない、時間的に困難であったとのことですが、今までの議論で、日本版のQALYなどをつくりたいという議論がありました。そういう中で、逆に見ますと、時間的に余裕などがあれば、データを集めてできるという理解でよろしいんですか。

○関原部会長

 これは、田倉参考人、お願いします。

○田倉参考人

 時間的なというか、いろんな条件が整えば、データをきちっと収集し、分析することはできるということになります。

○石山委員

 そうすると、データをどういうふうに収集するかについては、いろいろ関係機関が決めることになると思いますが、それがきちっと特定され、かつ提供していただければ、日本でもできるという理解でよろしいわけですか。

○田倉参考人

 例えば臨床研究においても、臨床試験のいわゆる倫理委員会等の手続、について、基本的には関係者がそういう準備をしていけばよいと思っております。

○石山委員

 この分析の結果で、最後のほうに、効率性フロンティアによる分析が載っています。ここに旧世代の化学療法と書いてあります。私は素人で申しわけないんですけれども、この旧世代の化学療法というのは、例えば乳がんの場合だと特定できるんですか。また、それだけでは不十分で、データ自体が収集できないと、フロンティアの分析はできませんね。その辺も含めてどうなんですか。

○田倉参考人

 この領域における技術イノベーションのプロセスとか、動向によって、いろんな議論があろうかと思いますけれども、過去にそういうエビデンスがなければ、ここにプロットすることはできませんので、基本的には物理的な議論が難しくなります。

 一方で、ほかのデータを代替した幅のある議論になりますが、シュミレーション等を許容しながら、議論していくこともあり得ると思っております。

○関原部会長

 よろしゅうございますか。

 ほかにございますか。白川委員、どうぞ。

○白川委員

 きょうの費-2につきましては、全体として、こういう検討の進め方でよろしいと、評価しております。

 ただ、心配なのは、今も石山委員から話がありました、データの収集の件でございます。前回製薬業界あるいは医療材料の業界に伺いますと、費用対効果の分析に資するデータの提出が難しいという説明でした。これが、評価に当たっては、最も重要な部分だと考えられますので、ここは、相当工夫をしていただかないといけない。これは事務局もそうでございますし、製薬業界あるいは材料の業界の方々もそうだと思いますが、参考人の先生方の意見も聞きながら、早目にこういうデータ提出でということを固めて、それを業界にも連絡をしたうえで、協力を仰ぐようなことを進めていただくようにお願いいたします。

○関原部会長

 それに関して、土屋専門委員、お願いいたします。

○土屋専門委員

 ありがとうございます。

 業界として、この案を見て、大方こういう方向でいきたいということは理解できるのですが、例えば具体的にどのようなデータを今後出していくかというところは、イメージが十分ではないところがございます。

 もちろん石山委員がおっしゃっていたように、これから臨床試験をやるものであれば、そういうプロトコルを組んでできますが、それは5年、10年先のデータになりますので、そうしますと、これで理解しますのは、海外でやってきたデータを出すという、2の1の○3だと思いますが、そこにおいても、我々企業が出しているデータでいいのか、例えば英国などは、我々が出したデータをもとに、当局が計算をして、我々の意見を入れないで、当局のジャッジメントでされるというスタイルですので、その辺についても、もう少し事務局の方と相談させていただきたいと思います。

 また、簡単に日本の費用の診療報酬の点数等々を中に入れて計算と言われても、海外へ我々が出しているデータは、外部コンサルタントとか、研究機関を使って出していて、社内にそれを直接できるスタッフを抱えていない場合も多いと思いますので、その辺もいろいろ検討する必要があります。今日は時間も押しておりますので、今後、事務局の方と相談させていただきたいと思います。

○関原部会長

 よろしくお願いいたします。

 万代委員、どうぞ。

○万代委員

 今のデータの提出のところでございますけれども、中医協費-2の2ページでは、先ほど鈴木委員からも指摘がありましたように、企業からデータを提出していただくということが書いてございまして、それについてはいろんな問題点、あるいは今後の方針について、今、皆様が述べたとおりでございますけれども、ただ、書きぶりからすると、企業からのデータがありきという感じに見えます。

 一方、参考人の先生方は、わかりやすい資料をありがとうございました。参考人の先生方の資料の費用対効果の判定をする順番を見ますと、データについては、システマティックレビューで、できればメタアナリシスを用いるということが望ましいということで、従来も説明していただいていましたし、今回の資料もそんなふうになっていまして、そこのところの整合性が、いま一つ、とれないと思っているところでございます。これについては、非常に難しいだろうと思いますので、今後も何らかの検討をしていく必要があると思います。

 そこで、参考人の先生方に幾つか質問がございますが、今の観点で、先生方の発表の順番と、特に2ページの「○3データ・分析の提出を求める対象」の書きぶりについては、どんな印象をお持ちになるのかということをお伺いしたいと思っております。ここのところにメタアナリシスを初めとしたシステマティックレビューを用いてという文言がないことについて、少し不足な気がいたしますけれども、その点についてはいかがでしょうか。

○関原部会長

 これお二人にコメントをいただきます。あるいは福田先生からコメントをいただいても結構でございます。

○池田参考人

 それでは、まず池田から回答させていただきます。

 今、御指摘の点は、例えば新規収載品であれば、既存の臨床試験、臨床研究等が必ずしも十分でない、十分な数がないということもありますので、恐らくシステマティックレビューをしましても、実際に承認の際に参考にした臨床試験、治験のデータしか存在しないということはあり得るかと思います。

 一方、中医協費-2の2ページの(ア)にございますように、収載から一定期間が経過している医薬品、医療機器に関しましては、承認の際に参考とされた治験、臨床試験以外にも、国内外でさまざまな臨床データ、特に長期的な予後、経過を見たものなども蓄積されている可能性がございますので、その場合にはシステマティックレビュー、あるいは今回ステントの例で御紹介をした、メタアナリシスを参考に分析をしていくことも可能になろうかと思います。

○万代委員

 そんなようなお答えになるかと思いますが、基本的に費用対効果を考えるに当たっては、これまでの議論では、新しい技術に対して、それを用いるということがございますので、もちろんそれをするための手法として、既存の収載されている技術を評価していくということで、評価の手法が固まっていくとは思いますけれども、その点では、先ほど来、皆様もおっしゃっているように、相当御苦労がある。そういう意味では、評価組織についても、きちんとした議論が必要だと考えております。

 あと2つ、質問をよろしいですか。

○関原部会長

 どうぞ。

○万代委員

効果を判定するときに、例えばQALYでもLYでも同じことだと思いますけれども、一定程度期間が過ぎないと、数値が出ないんだろうと思うんですが、数値を出すに当たって、今、申し上げた新しい技術については、十分に期間が経っていない可能性も考えられると思いまして、そういうときに、QALYとかLYの信頼性については、どんなふうに考えればよろしいのかというのが1つ目でございます。

 2つ目は細かい点でございますけれども、田倉先生に示していただいたQOLは、具体的にどういった指標でQOLを判定したのか。

 具体的には16枚目のスライドでございます。このQOLはどういった手法で用いたのかということを、2つ目の質問としてお伺いしたいと思います。

○関原部会長

 最初は先ほどのデバイスのステントケースに似ているわけですけれども、新しく収載して、期間が経っていないものについて、どう考えるかということについて、先にお願いします。

 福田先生、どうぞ。

○福田参考人

 福田でございます。

 御指摘のとおり、新規に入ってくるような技術については、データが限られていますので、諸外国でのアプローチを見ていると、あくまでも観察期間だけで分析をするというのが1つのやり方です。

 もう一つは、観察期間でのデータをもとに、ある程度仮定を置きながら、それ以降のものを推計するというやり方です。ただし、その場合には、当然不確実性が増しますので、それについては、感度分析といいますか、推計の方法を変えたりということで、幾つかの方法をやって、現時点で最大限使えるデータで検討されています。

 さらに加えさせていただきますと、数年後に新しいエビデンス等が出てきた場合に見直すというのは、通常どの国でもやっておりますので、そのような対応だと考えます。

○関原部会長

 2番目の質問について、田倉参考人、どうぞ。

○田倉参考人

 スライドについての御説明ですけれども、参考にしましたQOL値のデータですが、イギリスで100人の一般の対象者に、乳がんの状態の変化、シナリオを提示して、いわゆるスタンダードギャンブル法という効用値を求める方法でデータをとっております。臨床研究とは別にこのように効用値、いわゆるQALYの算出の根拠となるQOLデータをとることはできますので、先ほどの御質問ともかかわりますけれども、既存のスタディーの中で、例えばこういったQALYのデータを追加で論じてていくことも、物理的に条件を整えながらやっていくことはできると考えております。

○関原部会長

 よろしゅうございますか。

 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員

 今の万代先生のお話とも関連するのですが、海外の例を見ると、実際には新規の収載のときに、こういったデータを出すのが通常ですので、そういったことが、2年後なら2年後までに可能かどうか。現場の土屋さんもいらっしゃっていますので、その辺の御意見をお伺いしたいのですけれども、いかがでしょうか。むしろ目標を設定されたほうがいいとおっしゃるなら、それも参考になる御意見だと思います。

○関原部会長

 土屋専門委員、どうぞ。

○土屋専門委員

 試行の意味とか、中身にもよると思っております。何ができるかという、ベストのものを頑張っていきたいとは思いますが、それはできるものがどこまでかということがございます。

 今、先生がおっしゃっていましたが、私の知る限り、海外ではもともと新規収載というか、そのときにアセスメントは情報が少ないので、得られにくいということで、むしろ振り返って、5年経ったものとか、そういうことで英国などはやっていて、ところが、最近は許可を取った後にすぐにやるようにということで、シングルテクノロジーアセスメントに変わったと理解しております。今はまだ半々なのか、そこは参考人の先生方のほうが詳しいと思いますが、最初の収載時からデータを揃えるというのは、かなりチャレンジングな目標ではあると思います。

○関原部会長

 そういうことでございます。

 田村専門委員、お願いします。

○関原部会長

 そういうことだと思います。

 田村専門委員、お願いします。

○田村専門委員

 医療機器の具体例について、手短にコメントをさせていただきます。

 医療機器については、費用対効果評価に耐え得るようなデータが一般的には余りないということは、繰り返し申し上げ来たと思いますが、それに加えて、仮にデータがあったとしても、データが3年、4年、5年蓄積されている間に、医療機器は改善・改良をしますので、その間に物がかわって、世代がかわるということで、せっかく出てきたデータの使い方が難しいという問題があるということを申し上げてきました。

 今回の具体例では、7ページにありますように、薬剤溶出性ステント、DESのデメリットというのは、ステント血栓症が起きやすい。これは市場に出てから徐々にわかり、それを改善・改良するために、ステントの厚さを薄くし、塗布する薬の量を減らし、その結果、池田先生の資料にもありますが、今、第1世代のステントはほとんど使われていません。第2世代のステントになっています。

 第2世代のステントになって何が起こったかというと、ステント血栓症が少なくなって、当初、ステント血栓症はベアメタルステント、BMSに比べて多かったのですが、今はDESのほうがステント血症が少ないというデータが出始めています。ただし、まだ本当に確立しているかどうかはわかりません。

 さらにステント血栓症が少なくなると、抗血小板薬も長く飲まなくていいことになって、ここでは1年となっていますが、今は6カ月、3カ月と変化をしつつある途上でございます。

 そういうことですので、今回の例は、医療機器の場合、当初に十分なデータがなくて、時間が経ってからだと、改善・改良が進んでしまい、そのデータをどう使えばいいかという、非常に難しい問題を示していると思います。

 以上でございます。

○関原部会長

 ほかにございますか。

 それでは、時間も3時になりましたので、いろんな御意見がありましたが、先ほどの28年度、その辺りの書きぶりのところだけを、数日以内に調整した上で、皆さんにお送りいたしますので、それでもって、基本的にはきょう事務局から提案のありました中医協費-2に沿って、今後、進めていきたいということでよろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)

○関原部会長

 それでは、今日の部会はこれで終わらせていただきます。

 次回の日程はまだわからないですね。

○佐々木医療課企画官

 医療課企画官でございます。

 次回は未定でございますが、また御連絡させていただきます。ありがとうございます。

○関原部会長

 それでは、本日はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門部会)> 中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会 第15回議事録(2013年12月25日)

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