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2013年12月17日 薬事・食品衛生審議会 指定薬物会 議事録

○日時

平成25年12月17日(火)16:00~


○場所

厚生労働省共用第9会議室


○出席者

出席委員(9名)五十音順

  桐 井 義 則、◎鈴 木   勉、 関 野 祐 子、 妹 尾 栄 一、
  曽 良 一 郎、  鍋 島 俊 隆、 花 尻 瑠 理、 宮 田 直 樹、
○和 田    清
(注)◎部会長 ○部会長代理
他参考人1名

欠席委員(3名)五十音順

石郷岡   純、 成 瀬 暢 也、 藤 岡 淳 子

行政機関出席者

成 田 昌 稔 (大臣官房審議官)
赤 川 治 郎 (監視指導・麻薬対策課長)
稲 川 武 宣 (監視指導室長・麻薬対策企画官)

○議事

○監視指導・麻薬対策課長 定刻となりましたので、ただ今から「薬事・食品衛生審議会指定薬物部会」を開催させていただきます。

 本日は、大変お忙しい中、委員の先生方には御出席いただき、誠にありがとうございます。

 本日は、石郷岡委員、成瀬委員、藤岡委員から御欠席の御連絡を頂いております。現在のところ、当部会の委員数12名のうち9名の御出席をいただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。

 本部会の公開・非公開の取扱いについては、総会における議論の結果、会議を公開することにより、委員の自由な発言が制限され、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあると判断されたことから、非公開とされています。

 また、会議の議事録の公開については、発言者氏名を公にすることで発言者等に対して外部からの圧力や干渉、危害が及ぶおそれが生じることから、発言者氏名を除いた議事録を公開することとされておりますので、あらかじめ御了承いただきたいと存じます。

 それでは、以後の議事進行は、鈴木部会長にお願いいたします。

○鈴木部会長 最初に、事務局より資料の確認をお願いいたします。

○事務局 資料の確認をいたします。本日の資料ですが、資料が1と2、参考資料が1~4、参考文献が1~13です。事前送付していた資料のほか、参考資料1と参考資料4、参考文献10、それから「薬事法改正について」という資料を本日配布しております。以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございます。資料がお手元にない場合はお知らせ願います。

 よろしいでしょうか。それでは、初めに指定薬物に係る薬事法改正について説明をお願いいたします。

○事務局 本日配布した「薬事法改正について」という資料を御覧ください。先日公布された指定薬物に関する薬事法改正について御説明します。指定薬物については、これまで製造・販売等を禁止するということで、流通を規制して供給を断ち、国民に入手させずに乱用を防止するという制度をとっておりました。ところが、指定薬物やその類似の成分と、類似の成分を含む違法ドラッグ、いわゆる脱法ドラッグが乱用されている実態があり、これは「使用しても罰せられない」という意識の下で公然と販売され、青少年を中心に使用されている状況であったと考えております。使用者本人だけではなく、他人へ被害が及ぶ事例も発生しており、社会問題となっていたということです。このために、指定薬物について所持・使用等を規制することによって、厳しく対応するとともに、「使用しても罰せられない」という意識の下で、これが安易に使用されるのを防ぐということを目的として薬事法を改正したものです。

 改正の条文としては、裏側に改正案とありますが、このような形で改正をされております。罰則については、所持・使用等をした者に対しての罰則として、「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金を科す」ということです。この罰則は、参考までに下の参考の部分でほかの薬物所持に関する罰則を記載しましたが、それに比べると小さいものとなっております。この改正は1213日に公布されており、施行は6か月以内とされております。

 また、薬事法改正ではありませんが、同日1213日にカチノン系の包括指定について省令が公布され、これにより指定薬物の数は現在1,362物質となっております。以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございます。委員の先生方から、本件について質問等はありますか。

□□委員 改正内容の指定薬物の所持・使用を禁止することの下に、「医療等の用途は除外する」ということが書かれていますが、学術目的で使用する場合は、これに当てはまると考えてよろしいですか。

○事務局 これまで、指定薬物について製造・販売が一部認められたものがありましたが、それについては引き続き使うことが認められています。また、学術用途に関して言うと、国の機関や学校においての研究についてはこれまでも認められているので、引き続き認められることになります。

□□委員 何か麻薬使用に関する届出、あるいは監査のような手続等は必要ないのでしょうか。

○事務局 必要はありません。

□□委員 わかりました。ありがとうございました。

○鈴木部会長 ほかに質問はありませんか。

 それでは、議事に移ります。本日の議事は「指定薬物の指定について」です。審議物質について、事務局より説明をお願いします。

○事務局 今回御審議をいただきたい物質については、国や都道府県の試買調査によって成品の分析を行った結果、国内で流通が認められた物質です。資料1は各物質の名称、別名、構造式を1~10までそれぞれ記載しております。これらの物質について、指定薬物として指定をし、規制対象とする必要があるか否かについて御審議をいただきたいと思っております。

 資料2は、各物質について行われた国内外の各種動物実験や基礎研究等のうち、中枢神経系への影響を中心として取りまとめたものです。10物質ありますが、ある程度まとめて説明します。

 最初の3物質について、御説明いたします。資料2-1を御覧下さい。構造類似物質として、麻薬のα-PVP、指定薬物のα-PHPPを挙げております。中枢神経系への作用として、運動活性に対する影響を調査した報告があり、マウスに本物質を投与し、投与後120分間の運動量を測定した結果、用量依存的な運動促進作用が認められたものです。本物質が中枢興奮作用を有することが明らかになっております。また、この運動促進作用に関しては、ドパミンD1受容体拮抗薬、ドパミンD2受容体拮抗薬の前処置によって有意に抑制されたということです。

 資料2-2、「3,4-Dimethoxy-α-PVP」です。構造類似物質として、指定薬物の4-MeO-α-PVP、麻薬のMDPVを挙げております。中枢神経系への作用として、モノアミン再取込阻害作用に関する報告があります。モノアミンのトランスポーターを発現させたヒト胎児由来腎臓細胞を用いて、本物質によるモノアミンの50%取込阻害濃度を算出しており、その結果、セロトニンの再取込阻害作用が確認されております。

 資料2-3、「α-PBP piperidine analog」です。構造類似物質として、指定薬物のα-PBP、麻薬のα-PVPを挙げております。中枢神経系への作用として、中枢・自律神経症状を観察した報告があります。マウスに本物質を1kg当たり2mg20mg100mg経口投与して、投与後の神経症状を観察しております。2mg投与群では、投与後30分の観察時に耳介反射、角膜反射、払いのけ反応、瞳孔散大が認められたということです。20mg投与群、100mg投与群でも同様の反応が認められ、100mg投与群では軟便も認められたということです。これらの症状については、メタンフェタミン投与後の症状と類似しているものの、その作用はメタンフェタミンよりは弱かったということです。また、中枢神経作用の判定試験ということで、脳内のモノアミン変化を見た報告がございます。こちらでは、マウスに本物質を20mg経口投与して、脳内のモノアミンについてマイクロダイアリシス法によって測定をしており、投与直後からドパミン、セロトニン、ノルエピネフリン、各モノアミンが有意に増加し、本物質がモノアミン神経伝達物質作動性神経系に作用することが明らかとなっております。海外での流通の報告として、2012年にスペインで本物質の流通が確認されております。

 以上、これら3物質について、いずれも指定薬物に指定して差し支えないと考えますが、御審議のほどお願いいたします。

○鈴木部会長 ありがとうございます。まず、文献3の出典は何でしょうか。

○事務局 こちらは、□□□で実験をした結果の報告書です。

○鈴木部会長 分かりました。ありがとうございます。事務局より説明のあった3物質について、委員の先生方から御意見を頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。

□□委員 2番目の3,4-Dimethoxy-α-PVPは、セロトニンのトランスポーターだけの取込阻害なのですが、多くの依存あるいは乱用される薬物は、多かれ少なかれドパミントランスポーターの取込阻害をほとんどと言っていいほど伴っていると思うのです。このようにセロトニントランスポーターだけですと、選択的セロトニン取込阻害剤ということで、抗鬱剤として使われているSSRIと薬理学的にはプロフィールは同じではないかと思うのです。この薬物が乱用・依存のリスクがあるということについては、どのようにお考えでしょうか。

○事務局 本物質に関してはセロトニンの再取込阻害作用しか出ていませんが、実際に流通している脱法ドラッグの製品の中から本物質が検出されているということで、多かれ少なかれ、これを摂取することを目的とした製品があることから乱用がされているという実態があります。そのことから今回この物質について指定ということで御審議をお願いすることにしたわけです。少なからずモノアミンに対して影響があるというところで、指定ができないかということで、今回これをお示ししております。

□□委員 ただ今、流通について少しお話がありましたが、□□□□□□□□□□□□で行っている流通実態調査の結果を簡単に御説明します。今年1213日にカチノン系化合物が包括指定されましたが、1つ目の化合物α-POPと、2つ目の化合物3,4-Dimethoxy-α-PVPは、その包括から外れた化合物として、今年の夏頃から流通が認められている化合物です。α-POPに関しては、今年の8月末頃から、液体若しくは粉末の製品として7製品から検出されております。また、2番目の3,4-Dimethoxy-α-PVPに関しては、液体、粉末、若しくは乾燥植物片にまぶしたような形で、今年の6月頃から10製品から検出されております。3番目の化合物α-PBP piperidine analogについては、少なくとも、□□□□□□□□□□□□の買上げ試験では検出はしておりません。以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございます。流通実態とアミンに対する作用ということですが、ほかに御意見はありませんか。

□□委員 ただ今、□□委員から説明いただきましたが、本日配布された参考資料1に製品の形状が出ていますが、3番目の物質は、これは検出されていないということで形状が書かれていないということでしょうか。

□□委員 □□□□□□□□□□□□の買上げ試験においては、今回は検出していないので、製品形状については、御報告しておりません。

○事務局 こちらは東京都で既に知事指定薬物として指定しているものですが、東京都で何らかの形でこれをキャッチしたということだと思われます。国内での流通は、□□□□□□□□□□□□の方では確認されていないということですが、海外ではスペインで流通が確認されておりますので、日本になかったとしても、国内に流通する前にこれを指定するということで意義があるものと考えます。

○事務局 1つ補足ですが、これは東京都や大阪府の知事指定になっていますが、その時点で国内の流通がそれらの自治体で検出されていないもの、いわゆる海外流通として予防的に指定をする形で扱われたもので、それ以降の国内の流通は我々も承知しておりませんので、現在、国内では流通がないものということで御審議をいただければと思っています。

○鈴木部会長 ありがとうございます。他にはいかかでしょうか。

□□委員 東京都は、日本で流通していないものも積極的に実験をやられるような体制ができているのでしょうか。今のお話を聞いていると、東京都は国より進んでいる感じを受けたのですが。

○事務局 東京都で、研究所がありますので、ある程度動物実験などはできるような体制はあります。

□□委員 まだ日本で流通していないようなものも先取りしてやるような体制ができているのでしょうか。

○事務局 情報としては、欧州で発見されたものは公開されるので、その中から選んでということはあると思います。

□□委員 積極的にやっているわけですね。

○事務局 今回、新しくそういうやり方をとったのだと思います。

□□委員 国とうまく組んで、棲み分けて、化合物を分けて検討する体制を作られると、能率的かと思います。

○事務局 東京都で試験をして指定をしたものについては、実験データを提供いただいて、我々も指定するかどうかを検討するようにしています。今回はそういった形で御審議いただくようにしたわけですが、そのような形で連携を取っております。

○鈴木部会長 非常に大きな課題だと思いますし、是非そういう形で進めていただければと思います。

□□委員 セロトニントランスポーターに対する取込阻害だけですと、抗鬱薬のSSRIと基本的には変わらないわけで、抗鬱薬のIC 50 は、資料を本日は御提示できませんが、恐らく1桁ぐらいだと思います。それよりもかなりポテンシャルは低いもので、使われているものの中に、これがあったことをもってしてされるのであれば、根拠として認めないわけでもありませんが、このデータをもってすると、抗鬱剤すべてが規制対象になりませんか。

○事務局 今回御提案した物質は、何らかの形で乱用の実態が見られたものについて出したものです。その意味で、正規の医薬品用途で使われているものについては、基本的には指定薬物にはしないということですので、すべて類似のものが指定薬物に指定される形にはならないかと思います。

○鈴木部会長 中枢作用の蓋然性と流通実態の2点で指定するということで、医薬品の場合にはまた別になるので、それは入らないと思います。

□□委員 ですから、中枢神経に対する蓋然性がセロトニントランスポーターのみの取込阻害であるかと言われると、ないと言わざるを得ないのではないでしょうか。

○鈴木部会長 先生が言われるのは、末梢でもということですか。

□□委員 SSRIは乱用・依存のリスクがないということで承認されているわけですし、それと薬理学的なプロフィールは、この薬物は同じものというか、よりポテンシャルが低いわけですから、そうなると、これをもって依存・乱用のリスクがあると言えるのかというのが私の質問です。余りそれに対してお答えいただけてないような気がします。

○監視指導・麻薬対策課長 麻薬及び向精神薬取締法で規制するのは、基本的には依存性が明らかなものと考えており、薬事法における指定薬物については、依存性は必ずしも明らかではないのだけれども、中枢神経系の作用がある、蓋然性が高い。また、実際に乱用の恐れがあるということをもって指定薬物にするという制度なので、先生が御指摘の依存性という観点から言うと、必ずしも明らかでないのだけれども、指定薬物には指定しているのが現状です。仮に指定薬物になったとしても、依存性が明らかに証明されれば麻薬及び向精神薬取締法になります。あるいは、医薬品としてさらに開発されて、依存性が示されないということであれば、それは麻薬及び向精神薬取締法の麻薬なり向精神薬には該当しない医薬品ということで、承認されるということかと思います。

□□委員 これは、おっしゃるとおりだと思うので、むしろ委員の先生方と御議論したいのですが、学術的な意味でセロトニントランスポーターの取込阻害のみをもって規制対象とすべきかどうか。これまでの議論で、ドパミンの取込阻害が少なくともあるものをこれまで規制対象として、それが1つの条件だったように思うのですが、これはそれが欠けていると。私は、今までそういう薬剤を審議したことがないので、それを申し上げているわけです。

□□委員 □□委員の主張の確認ですが、流通確認ということで言えば、2番の物質も抗鬱剤で使われているSSRIも世の中に出ているということで同じだと。しかも、今回2番の物質がここに挙がってきている理由は、正に選択的なセロトニンの再取込阻害という一点であると。ただし、いわゆるSSRI、医薬品に比べれば、そもそもIC 50 が小さい。では、どうしてこれが挙がるのだという話ですね。

□□委員 おっしゃるとおりです。

○鈴木部会長 第33回ECDDミーティング(Expert Committee on Drug Dependence)の報告書で、SSRIの依存がかなり報告されています。あとはDiscontinuous syndromeといったことも言われているので、SSRIに依存がないとは言いきれないと思います。この委員会としては、薬事法で中枢興奮作用や抑制作用あるいは幻覚の蓋然性があって、流通実態があれば指定薬物として指定する形で取り決めているので、それに該当すれば指定しても良いかと思いますが、いかがでしょうか。

□□委員 ほかの先生がそうお考えなら、私は結構です。

□□委員 確かに□□委員がおっしゃるように、実際に流通していても、親化合物の活性が弱いものに対してどう考えるかは、非常に重要な問題だと思います。ただ、今回の3,4-Dimethoxy-α-PVPの場合は、明らかに包括から外れた構造で、包括指定と前後して出てきています。また、3,4-Dimethoxy体は、3,4-dihydroxy体に代謝される可能性があると思いますが、その代謝物も活性が弱いとは限らないと思います。例えば、参考資料2で、3,4-dihydroxy体はドパミンの取込阻害がかなり強い化合物になっています。そういう意味も含めると、必ずしも親化合物の活性が弱いからといって、実際に流通実態があり、しかも取締りを逃れるような形で流通しているものを指定しないで良いのか、単純には言えないのではないかと考えております。

○鈴木部会長 他はいかがでしょうか。□□委員、よろしいでしょうか。

□□委員 3番目の薬物ですが、こちらも図でドパミンも増えているのだと説明されていますが、本当に増えているのですか。これは□□□でしょうか。見る限り、ほとんど増えていないようにしか見えないのです。1.1倍に増えているのですが、どのように統計したら、こんな僅かなものが統計的に有意になるのか分かりません。また、詳しくは文献3に出ていますが、自律神経症状に対する薬効が主に報告されていて、一般的な依存・乱用に至るようなもの、報酬系、快情動につながるようなものは、余りはっきりしたものではないというのは少し引っ掛かるところです。ですから、1つはドパミンが本当に増えているのか。ただ、先ほど鈴木部会長がおっしゃったように、セロトニンが増えていたらそれも1つありだということでしたら、この議論はなしになりますが。

○鈴木部会長 事務局から何か追加はありますか。

○事務局 □□□のものについては、著しいドパミンのレベルの上昇はないのですが、有意差がついているというところで、統計的に意義がある差が見られているので、そういう意味でここは増えていると考えております。

○鈴木部会長 基本は、スピーディーにこういう物質を世の中に出さないようにしていくために、今、御議論いただいているわけですが、確かに依存ということを正確に検討していくのであれば、いろいろ矛盾点なども出てきていると思います。法的な先ほど申し上げたような中枢作用の蓋然性と、流通実態の面から考えて判断せざるを得ないかと思います。そういうことで、これを先に進めてよろしいかどうか御意見を頂ければと思います。

□□委員 少し基準を変えて、取締りを早くしようという考え方でいきたいということですね。

○鈴木部会長 そのために指定薬物が設けられたので、それを今この委員会で判断して、指定薬物にすべきであるということを御判断いただければ良いと思います。

□□委員 確かに薬理学的には、□□先生がおっしゃるように中枢作用はほとんどないと思って見ていました。2番目の化合物としても、そういうことは全然ありませんでしたから、先取りして指定していくということであれば、基準を何に置くかということで、例えば事務局がお示しになったような、既に指定されているものと構造が類似しているし、海外で流通しているとか、□□□□□□□□□□□□で流通していることもDetectされているとか、そういうことをクリアしているかどうか。この前、構造式で包括指定もしましたが、あのときは薬理作用を全く考えないでやっていました。流通実態はあるということですから、そこを考えて、プラス薬理作用があればいいという考え方に変えるかどうかということですね。今までも薬理作用は必死になって追いかけていて、なかなかクリアできないところがありましたから、そういう考え方も1つではないかと私も思いますが、薬理学的には本当に□□先生のおっしゃるとおりだと理解はしています。

○鈴木部会長 包括指定でいろいろと御検討いただいた□□先生は、御意見ありませんか。

□□参考人 この指定薬物の選択に当たっては、流通実態があることが非常に重要だと思います。国内でなくても、海外で流通実態があるということで、我が国に入ってくる危険性があることは十分考えられます。流通という意味では、海外の流通も流通実態として捉えていく必要があるのではないかと考えております。構造からのアプローチとしては、類似構造でどこまで活性が推測できるのかを考えながら、もう1つは代謝物等も影響するのかどうか。その辺りも考えながら、中枢作用に当たる効果が疑われるかどうかを判断していく必要があると思います。そういった意味では、今回の案件は難しいところも確かにあるとは思いますが、流通は海外で実態としてあると判断して、我が国での流通を先取りして抑止する形で、今回も規制の方向で検討していく必要があると考えます。

□□委員 事務局に確認です。2番目の物質について、先ほどの□□委員のお話では包括指定を逃れる形で浮上してきているということですが、カチノン系の包括指定の省令としてこれを明らかにした時間と、2番目の物質が検出されたときとの前後関係はどうなるのでしょうか。

○事務局 検出されたのは、先ほどの□□委員のお話では6月頃からということですので、時期としては検討中の状況でこれが出てきているということになろうかと思います。

□□委員 店頭に出てきた時点では、まだこれは包括指定されていないということですか。

○事務局 対象にはしていなかったと思います。

□□委員 どうしてそんなことを確認しているかというと、薬理作用だけ考えると、□□委員が言われるとおりだと個人的には思うので、何らかの別の理由を付記するなり追加しないと解決しないのではないかと思います。流通面でどうだとか、これの持っている特殊性を、指定するならば理由付けに使った方がいいかというのが私の考えです。

○鈴木部会長 先ほどの□□委員の御報告によると、10件の流通実態があるわけです。今回3物質挙がっていて、そのうちの2番の物質が、一番流通実態があるということを勘案して、さらに中枢作用としては□□委員が言われるようにIC 50 から見ても弱いと思いますが、例えば代謝活性のあるものがあるのかもしれないし、何らかの原因があってこれだけの流通実態があるのではないかと思います。指定に踏み切るためのデータとしては、これしかないかと思います。

□□委員 □□□□の解析結果はないのですか。

○鈴木部会長 □□委員、□□□□はないですね。

□□委員 はい。

□□委員 包括指定となり、薬理試験成績では指定できないばかりか、薬理試験が追い付いていかないという事態になってきています。包括指定の根拠が□□□□のデータですから、例えばこういうものなら□□□□のデータ等も付けると、類似化合物との類似性が根拠になるのではないかと思います。これだけだと根拠が弱くなるというのは、□□委員の御指摘のとおりではないかと感じますし、□□委員のおっしゃることは非常によく分かります。今までの判断の仕方とこれからの判断の仕方は変わってきているので、資料の点では、何らかのものを付けた方がいいのではないかというのが私の意見です。

○監視指導・麻薬対策課長 これは見送るべきだという御意見なのでしょうか。

□□委員 的外れかもしれませんが、非常に多様な合成麻薬が出ていて、作っている側も全部科学者がタッチしているわけではないと思いますし、要はこの□□がやっている実験結果では、どちらかというと安全性というか、危険性ではないものを証明する結果になっている可能性はあると思うのです。ただ、次々と網を掛けていくので、供給側も良いものが供給できない、ポテンシャルの高いものが供給できなくなる可能性は今後も引き続きあると思うのです。かなり精密に実験したもので指定してきた経過も一方ではありますが、その流れと今回は別になっているのです。これを1回見逃して、社会的実験のような形で、ポテンシャルのないものでも、どういう心理で説明していいか分かりませんが、若者の遊び心や好奇心といったもので、科学的に裏付けのないものでも、何とか遊びみたいになるのかどうかを確かめるのも1つの手かと思います。あるいは、もう1回実験をやり直してもらって、再度そのポテンシャルについて裏付けを取るのも1案かと思います。

○鈴木部会長 反対に、流通実態があって、速やかに指定をしない場合の問題も考えなければいけない面もあると思います。後でデータを補強することも考えられるのではないかと思いますが、ほかの委員の先生方はいかがでしょうか。

□□委員 決してこれを見送ったらどうかという提案をしたわけではないので、誤解のないように補足します。いろいろなリスクなり要因があると思うので、多くの先生方が言われたように、このデータだけをもって指定に持っていくのは、我々の立場としては役目を果たしたことにはならないと感じているだけで、流通実態があることを主眼に置いた判断であれば、総合的に判断していただいて結構だと思っております。

○鈴木部会長 前回の包括指定でこれが漏れてしまったわけですが、その辺りの考察については、□□先生から何かありますか。

□□参考人 このα-PVPシリーズの化合物については、こういったものが当時はリストアップされていなかったので、評価の範囲に入らなかったということです。

○鈴木部会長 そうすると、□□委員から、薬理的な作用の面で弱過ぎるのではないかという御提案、さらに流通実態としては、この3物質の中では最も多く検出されているというところを勘案して、この委員会としてはどのように判断するかということですが、いかがでしょうか。

□□委員 我々がやっている中枢神経の蓋然性は、動物実験や細胞モデルですから、実際にヒトでどういう代謝があって、どういうことが起こるかは既に予測できていない状態ですが、少なくとも流通実態の中でヒトに対してどういう作用があったかが、分かっているかどうかということを質問したいと思います。買取り調査で見つかったというのは流通実態ですが、実際にヒトでこの薬物の作用が認められたかどうか、報告があるかどうかということを質問させていただきます。

□□委員 このような脱法ドラッグに関しては、ヒトに対して単独でこの化合物がどのような作用があるかという評価は非常に難しいと思います。入れ替わり立ち替わりいろいろな化合物が出てくるので、これらの化合物に対して常に何らかのデータが揃っているということはありません。2番の化合物については、確かに文献2に記載されているIC 50 値が、セロトニンに対してかなり低いものとなっていますし、ドパミンに関しては10μmol以上と、ほとんど活性がない状態になっているので、今回見送って今後の流通の推移を見守るのも1つの手かと思います。一方で、先ほども述べたように、3,4-Dimethoxy体ですが、この脱メチル体である3,4-dihydroxy体に関しては、α-PVPと同レベルの強いドパミンに対するKi値が出ています。そういう意味では、実際にin vivoでどういう作用を及ぼすかは想像がつかないところがあると思いますし、11月に入ってもかなり検出されているので、今回指定しておいた方がいいかとも思っております。結論が出ておらず申し訳ありませんが、今後、このように親化合物については活性が実際に認められないものに対して、部会としてどのように考えていくか、はっきりした方がいいのではないかと思っております。

○鈴木部会長 事務局はいかがでしょうか。

○事務局 □□先生の御意見に追加するところはないのですが、ヒトに対してどういう作用があるかの情報は我々も持っていません。事故などが起きたものからこれが出たというような情報にも触れていないので、そちらのところは、検出されたという情報で御審議いただければと考えております。

○鈴木部会長 今、□□委員の方からは、二面性の御提案があったと思うのですが、11月に入ってからも増加傾向にあるということですね。ですから、そこの捉え方が一番重要なのではないかと思います。そういうことを考えて、薬理学的な面に関しては、例えば現在、この純品はあるのですか。

□□委員 はい。

○鈴木部会長 それでしたら、実験をやろうと思えばすぐにでもできるわけですか。

□□委員 可能かと思います。

□□委員 実際、我々の任務としては、健康を守るとか、危険性から国民を守るということがあるので、それからいくと、やはりこういう危険があって流通が認められているものに関しては、おしなべて早く指定薬物にしてしまうのが、非常に目的にかなってはいるのです。ただ、議論のポイントとして、薬理作用などを専門家としてきちんと議論しなくてはいけないという、委員としての任務というのもまたあって、そうすると、こういうのはどうするのかという話になります。ただ、例えば、もし純品があって、薬理試験をしましょうと言っても、今のモデルで出るかどうかは、実際にこの取込み自体が弱いですから非常に疑問になりますね。そうすると、では科学的根拠は出るのかというと出ないという方向に行くのではないかと思います。そうすると、やはり流通がこのぐらいになったら、もう流通実態だけを我々委員で認めて、これは指定薬物にしましょうという根拠も1つあってもいいということを決めていただければ、それでいいのではないかと思います。

□□委員 ですから、指定理由に薬理作用などを余り書かないとか、流通がこれぐらいの頻度であるとか、構造式がよく似ているとか、そういうところを強調して指定理由として書いてやっていけばいいのではないでしょうか。

○鈴木部会長 事務局はいかがでしょうか。

○監視指導・麻薬対策課長 大変な御議論を頂きましてありがとうございます。私どもとしては、そもそも薬事法で指定薬物制度を設けたのは、もともと何らかの中枢神経系の薬理作用があって、そうすると医薬品的であるわけなのです。そういったものが医薬品でないものとして流通している場合に、1つは無承認無許可医薬品の禁止規定に触れるという形での規制がまず考えられるのです。そうすると、そういった薬理作用を一つ一つ徹底的に行政側が調べていかなければならないということもありまして、そういう意味で、薬理作用というか中枢神経作用については、基本的には蓋然性ということで指定薬物の制度があります。

 私どもがもう1つ気にしているのは、流通がなかなか途絶えない状況があるものは、ヒトに対して使った場合に、何か得られる作用があるから使い続ける人がいるのではないかという推論も成り立ちます。そういった意味で、仮にここで指定をしないで、何らかの危害あるいは他害行為が発生した場合に、やはり行政の責任が相当問われるのではないかと思っております。そういう意味では、薬理作用については蓋然性というところで、大変恐縮ですが、先生方にお認めいただいて、指定のときは、私どももそういうことで市場での指定後の動きなども見て、管理をさせていただくということでお認めいただければと思います。よろしくお願いいたします。

○鈴木部会長 ありがとうございます。そうすると、流通実態がかなりあるということ、それから、薬理的な面としては弱い面は確かにありますが、その中枢作用の蓋然性が一応あるということで、これを指定する方向で御提案いただいたと思います。ただ今の御提案に関して、御質問等ありますか。よろしいでしょうか。

□□委員 何らかの流通上の特殊性など、何らかのことを入れないといけない気がします。当然、有害なものはなんとか規制したいというのは大前提ではあります。

□□委員 やはり「中枢神経の蓋然性があります」と私たちで言えるかどうかは、これは私たち委員会としては言えないというのが結論なのではないかと、薬理学者の先生方の顔色を見ていても思うのです。それでも流通実態を1つの理由として規制をかけられるというような、何か改定などを加えていかないと駄目だということになるのではないかと思います。流通実態があるということは、おっしゃるとおり、ヒトがそれに依存したくなるというか、何か気持ち良くなる実態があるから、何となく流通が途絶えないのだという理由も非常によく納得できるのですが、ここで「蓋然性がありました」という結論を出すことはできないような気がします。いかがでしょうか。

○鈴木部会長 蓋然性といってもどこまで認められるかということだと思います。

□□委員 少なくともセロトニンの再取込阻害作用が確認されたという、ここだけをもって蓋然性があると言うしかないということでしょうか。

○鈴木部会長 今回はそれしかないですね。

□□委員 それで、このトランスポーターのIC 50 が、作用があると考えれば、中枢神経の蓋然性はあると判定できるということになります。

○鈴木部会長 提案はそういうことですね。ですから、非常に弱いのだけれども、一応作用の可能性があるということで、今後、この辺りは注意してもう少し強化していただくような形で、この物質に関しては流通実態の方を少し強く受け止めて、それで指定の方向でいくというのはいかがでしょうか。今後、またこういう問題が出てくる可能性がありますので、その辺りに関しては、蓋然性といっても、もう少し強めのデータを出していただく形でいかがでしょうか。

□□委員 この物質、単独で入っている脱法ドラッグはないのですね。例えば、ほかのこういう物質といつもペアになっているとか、あるいはこの物質自体の薬理作用が何らかの形で増強され得るペアとなるべき物質があるとか、その辺で、どういう物質同士が検出されているかを、データがありましたら、見せていただければ、少しは考え方も変わってくるのではないかという気もします。その辺はどうなのでしょうか。

□□委員 私どもが分析をした製品の例から言えば、この物質単独で粉末として販売されているものはありませんでした。どういう組合せが最も見られるかということに関しては、それは実に様々としかお答えできません。カチノン系の化合物若しくは合成カンナビノイドと一緒に入っているものもあります。様々な製品があります。

○鈴木部会長 それを受けていかがでしょうか。□□委員いかがですか。

□□委員 先生の御提案でよろしいと思います。

○鈴木部会長 いかがでしょうか。御意見は大体出尽したのではないかと思いますが、多分、委員の方々自身がかなり揺れておられるのではないかと思います。今後、指定薬物として提案される物質については、是非この辺りをもう少し強化していただきたい。今回は、流通実態を特に強調して委員会は評価したという形で、中枢作用の蓋然性に関しては、セロトニンのトランスポーターに多少なりとも作用するということで、これを認める形でまとめさせていただいてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。3番目の御議論を頂かないといけないのですね。□□委員お願いします。

□□委員 私は2と3を誤解していたかもしれません。ただ、3についても、セロトニンスペシフィックではないというのは分かるのですが、こちらは先ほどから何回も議論している薬理学的な見地からというのは、3番の資料からは合格というか危険、黄信号ということでよろしいのでしょうか。

○鈴木部会長 事務局の方はいかがでしょうか。

○事務局 そのような形で考えております。

○鈴木部会長 先ほど□□委員から御指摘のあった、統計上ドパミンが有意な変化が出ているけれども、本当に意味のある変化なのかどうかということがあると思います。また、ほかのノルアドレナリンやセロトニンの変化も出ているということで、蓋然性という意味ではよろしいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

□□委員、何かありませんか。

□□委員 結構です。

○鈴木部会長 よろしいでしょうか。

 それでは、御了解を得たということで、ただ今御審議いただいた3物質は、いずれも薬事法第2条第14項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。引き続き、事務局より説明をお願いいたします。

○事務局 続いて4物質まとめて御説明いたします。資料2-4、「25B-NBOMe」です。構造類似物質として、指定薬物のブロムの所がヨウ素になっているものと、クロルになっているものを挙げております。中枢神経系への作用として、□□□□□□□□□による活性の予測がされている報告があります。□□□□を用いて本物質の5-HT 2A の受容体に対するアゴニストとしての効力、それから固有活性を算出していて、麻薬又は指定薬物である構造類似物質と同様の値を示している結果が得られています。また、5-HT 2A 受容体に対する親和性及び活性化に関する報告もあり、こちらはその受容体を発現させたバイオ細胞を用いて、本物質の受容体への親和性とホスホイノシチド加水分解を指標にした受容体の活性化を評価しておりまして、本物質については受容体の強力なアゴニストであるということが明らかとなったということです。また、海外での流通の実態が報告されていまして、2012年、スウェーデンにおいて本物質の流通が確認されています。

 資料2-5です。こちらは「25H-NBOMe」ということで、先ほどの物質のブロムの所が水素になっているものです。構造類似物質としては、先ほどのものと同じような形で25I-NBOMe2C-C-NBOMeのいずれも指定薬物を挙げております。中枢神経系への作用として、□□□□□□□□□による生物活性予測がされており、□□□□を用いて本物質の受容体に対するアゴニストとしての効力、固有活性を算出しています。麻薬又は指定薬物である構造類似物質と同様の値を示したということです。また、5-HT 2A 受容体に対する親和性及び活性化に関する報告ですが、受容体を発現させたバイオ細胞を用いて、本物質の受容体への親和性、それからホスホイノシチド加水分解を指標にした受容体の活性化を評価しております。本物質は受容体のアゴニストであるということが明らかになったということです。

 資料2-6、「5-APDB」です。構造類似物質として麻薬のMDA、指定薬物のMMDA-2を挙げております。中枢神経系への作用ですが、モノアミン取込阻害作用に関する報告があり、ラット脳から調製したシナプトソームを用いて、本物質によるモノアミンの取込阻害作用を検討しています。50%取込阻害濃度を算出した結果、各モノアミンの取込阻害作用が確認されています。海外において流通が確認されていまして、2012年、ブルガリアにおいて本物質の流通が確認されています。

 資料2-7、「N-methyl-2-AI」です。構造類似物質として、指定薬物の2-AI、5-IAIを挙げております。中枢神経系への作用として、CB受容体への親和性に関する報告があります。マウスに本物質を投与し、ホットプレート反応時間及び探索行動を観測したところ、鎮痛作用及び探索行動の抑制が認められたということです。また、本物質は、中枢のノルアドレナリン神経系に高い選択性を有する可能性が考察されています。国内の流通状況ですが、国内での流通が確認されていまして、資料に示した本年10月の事件に関連した物質ということです。

 以上4物質について指定薬物とすることが適当と考えておりますので、御審議のほどお願いいたします。

○鈴木部会長 ありがとうございます。事務局より説明のありました4物質について、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。

□□委員 それでは、□□□□□□□□□□□□で行っている流通実態調査の結果について簡単に御説明いたします。まず、最初の化合物25B-NBOMeですが、こちらは7製品から検出されています。この製品に関してはかなり特徴的で、LSDやPCPのように、1cm角ぐらいの紙片に、この化合物単独の溶液を染み込ませた形で販売されています。実際この化合物の作用も、LSD等と同様にセロトニン5-HT 2A 受容体に対し非常に強いアゴニスト作用を持ち、同様の幻覚作用が推測されており、かなり問題となる化合物ではないかと思います。また、この化合物については、米国においても今年の1115日から暫定的スケジュール1化合物として規制されています。

 次に25H-NBOMeですが、25-NBOMeと類似の構造を持っています。□□□□□□□□□□□□□の調査では今までに10製品から検出されています。こちらはペーパーシートという形ではなく、ほかの化合物との混合物として検出されています。

 3番目の化合物、5-APDBですが、こちらの化合物は、今までに5製品から検出されています。そのうち1製品からは単独の化合物として検出されています。以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございます。委員の先生方、いかがでしょうか。

□□委員 1つ教えてください。4番目の物質ですが、ペーパー状ということなのですが、揮発性はどうなのですか。

□□委員 恐らく塩酸塩の形で溶液にして染み込ませていると考えられますので、それをシート状で放置したからといって濃度が薄まる訳ではないと考えております。

□□委員 最初の3つは、随分と強い薬理作用があると思うのですが、最後のN-methyl-2-AIの中枢系への作用等ということで、CB 1 受容体への親和性に関する報告と書いてありますが、この文献9で、そのようなことがどこに書いてありますか。アドレナージックやドパミナージックアクションを見たいという目的でやっていると思うのです。ベータフェネチルアミンの誘導体だから、カンナビノイド受容体への親和性に関する報告というのは、少しミスマッチだと思うのです。

○事務局 このまま読んでしまいましたが、()と書いてあるタイトルが間違っています。資料を作成する段階でミスをしてしまいました。申し訳ございません。

□□委員 それと、表ではhot-plateexploratory act.が書いてありますが、この文献ではrotational behaviorというのもあるのです。rotational behaviorは、やはりドパミナジックな活性を表していますから、蓋然性を示すためには、それを表に引用しておいた方がいいと思います。

○事務局 失礼しました。資料のところでそれを引用しておりませんでした。

□□委員 それをこの表に追加して入れておいた方がいいと思います。

○鈴木部会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

 よろしいでしょうか。それでは発言が出尽したと思いますので、審議をまとめさせていただきます。ただ今御審議いただいた4物質は、いずれも薬事法第2条第14項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。引き続き、事務局より説明をお願いいたします。

○事務局 残りの3物質について御説明いたします。資料2-8、「NNE1 indazole analog」です。構造類似物質として、指定薬物のNNE1、5F-NNE1を挙げております。中枢神経系への作用として、CB 1 受容体への親和性に関する報告があります。本物質のカンナビノイド受容体に対する親和性について、陽性対照物質を用いて、受容体に対する本物質のdose-response curveを作成して、トレーサーとレセプターの結合を50%阻害する濃度を算出しております。その結果、麻薬であるJWH-018よりも強い親和性が認められたということです。また、運動活性に関する影響への報告として、ラットに本物質を投与して、投与後24時間の運動量を測定した結果、Δ9-THCと比べて弱いものの、投与後6時間までの自発運動量に有意な減少が認められたということです。

 資料2-9、「A-836339」です。こちらに関しては、これまで指定薬物などに指定された物質で類似した構造のものはありませんでした。中枢神経系への作用等として、カンナビノイド受容体への親和性に関する報告があり、ヒトCB 1 受容体を発現させたバイオ細胞を用いて、本物質とCB 1 受容体の親和性(Ki値)CP55,940との競合置換反応によって測定したところ、Ki値は指定薬物のJWH-015AM1241よりも小さく、より強い親和性を有することが示されています。

 資料2-10、「3,4-Dichloromethylphenidate」です。こちらは、構造類似物質として向精神薬のメチルフェニデート、指定薬物のエチルフェニデートを挙げております。中枢神経系への作用として、ドパミン取込阻害作用に関する報告があり、ラット脳から調製したシナプトソームを用いて、本物質によるドパミン取込阻害作用について検討しております。50%取込阻害濃度を算出した結果、ドパミン取込阻害作用が確認されたということです。

 以上3物質について指定薬物とすることが適当と考えますが、御審議のほどお願いいたします。

○鈴木部会長 ありがとうございます。事務局より説明のありました3物質について、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。

□□委員 それでは、□□□□□□□□□□□□で行っている流通実態調査の結果について、簡単に御説明いたします。最初のNNE1 indazole analogですが、この化合物は、今年の3月に合成カンナビノイドのナフトルインドール系化合物が包括指定された直後に初めて検出されました。4月から12月、つい先日まで断続的に16製品から検出されている化合物です。

 また、3番目の3,4-Dichloromethylphenidateですが、こちらの化合物については2製品から検出されていますが、その2製品いずれも白色粉末状の製品で、純品に近い化合物として検出されています。以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございます。委員の先生方、いかがでしょうか。

□□委員 化合物9ですが、A-836339は文献10にも付いているように、これはアボットが作っている化合物で、構造的にCN二重結合の所がZ型のものがここで書かれていますが、実際に市場で流通しているものも、Z体なのかどうかは、どこかで確認できたのでしょうか。

□□委員 こちらの化合物については、実は□□□□□□□□□□□□では検出しておりませんが、□□□の方で検出している化合物です。□□□の検出時の資料を見せていただきましたが、X線結晶解析を行って、いわゆるZ型であることは確認しているようです。

□□委員 多分、作ると両方混ざってくると思うのです。ですから、どうやっているのか。反対側のE体のデータは全然ないのですか。

□□委員 それはございません。

○鈴木部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 ありがとうございました。発言が出尽したと思いますので、審議をまとめます。ただ今御審議いただいた3物質は、いずれも薬事法第2条第14項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。それでは、事務局より本件に関わる今後の手続、スケジュール等について説明をお願いいたします。

○事務局 ありがとうございました。今後のスケジュール等について御説明いたします。本日の結果については、来年3月24日に開催予定の薬事分科会で報告させていただく予定です。本日の結果を受けて、パブリックコメント、WTO通報等の必要な手続を行い、指定薬物を指定するための省令改正の手続を進める予定です。

 また、いわゆる正規用途については、今のところ、今回御審議いただいた10物質のうち、物質番号7のN-methyl-2-AIで、化学合成用途での有用性があるという情報を確認しております。いずれにしても、パブリックコメントをいたしますので、その結果を受けて、可能な限り適正使用に支障を来さないように対応していきたいと考えております。以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございました。本日の議題は以上です。それでは、事務局から、その他の連絡事項があればお願いいたします。

○事務局 次回の部会の日程については、また決まり次第、御連絡させていただきます。また、本日の部会の資料については回収させていただきますので、そのまま机の上に置いていただければと思います。以上です。

○鈴木部会長 すべて回収ですか。

○事務局 薬事法改正の説明資料は、回収いたしません。お持ちいただいて結構です。

○鈴木部会長 委員の先生方、本日は御審議ありがとうございました。以上をもちまして、平成25年度第4回指定薬物部会を閉会いたします。ありがとうございました。


(了)

備考
本部会は、公開することにより、委員の自由な発言が制限され公正かつ中立な審議に著しい支障をおよぼすおそれがあるため、非公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 監視指導・麻薬対策課 課長補佐 渕岡(内線2779)

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