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2014年3月7日 第61回労働政策審議会障害者雇用分科会 議事録

職業安定局高齢・障害者雇用対策部障害者雇用対策課

○日時

平成26年3月7日(金)
14時00分~16時00分


○場所

中央労働委員会 労働委員会会館第612会議室(6階)


○出席者

【公益代表】阿部(正)委員、菊池委員、武石委員、中川委員、松爲委員、山川委員
【労働者代表】伊藤委員、榎本委員、桑原委員、斗内委員、冨高委員
【使用者代表】栗原委員、高橋委員、平岡委員、本郷委員
【障害者代表】阿部(一)委員、竹下委員、堤委員
【事務局】内田高齢・障害者雇用対策部長、藤枝障害者雇用対策課長、金田地域就労支援室長、松永調査官、田窪主任障害者雇用専門官、境障害者雇用対策課長補佐

○議題

(1)障害者雇用対策基本方針の策定について(諮問)
(2)「地域の就労支援の在り方に関する研究会(第2次)」について(報告)
(3)その他

○議事

○山川分科会長 

ただいまから、「第 61 回労働政策審議会障害者雇用分科会」を開催します。委員の皆様方、お忙しいところ御参集いただきまして、大変ありがとうございます。御発言の際は、前回同様、お手を挙げてお名前を言っていただいて、御発言をお願いします。本日の御欠席は、塩野委員、宮武委員です。岡崎職業安定局長は、本日、国会用務のため欠席されています。

議事に入ります。本日の議題は、議事次第にありますように、 (1) 障害者雇用対策基本方針の策定についての諮問、 (2) 地域の就労支援の在り方に関する研究会 ( 2 ) についての報告、 (3) その他となっています。議題 1 の「障害者雇用対策基本方針の策定」について、事務局から、前回の検討を踏まえて資料が提出されていますので、御説明をお願いします。

○障害者雇用対策課調査官 

障害者雇用対策課調査官の松永です。

1 つ目の議題、障害者雇用対策基本方針案について説明申し上げます。基本方針について、前回、分科会で御議論いただきまして、いただきました御意見を踏まえて正式に資料 1 の形で諮問をさせていただいております。これからの説明については、前回の御議論から修正した部分について主な所を説明いたします。資料は、配布しております資料の後ろのほうの参考資料 1 「新旧対照表」です。 最初の主な変更点は、 7 ページです。主な修正点は赤字にしておりますので、そちらを御覧ください。 7 ページの上から 3 段落目「加えて」の段落です。そこの 3 行目の「特に」のくだりですが、事務局案では「精神障害者等」という形にしていたのですが、斗内委員から、「等」について具体的に記載すべきではないかという御指摘をいただきまして、「精神障害者や発達障害者等」という形に修正させていただいております。

次の修正は、 8 ページを御覧ください。 5 「専門的知識を有する人材の育成」です。ここの 1 段落目について、これも斗内委員から、精神障害者についても記載すべきだという御指摘を頂きましたことを踏まえて、「精神障害者を中心とした障害者の就労意欲が高まっているとともに」という表現を追記させていただいております。

次の段落、「このため」の所ですが、ここも「精神障害者等」のくだりの所で、先ほどと同様、「等」について具体的に記載すべきという御指摘を踏まえて、「精神障害者や視覚障害者、聴覚障害者など」という形に修正させていただいております。

次の修正は、 13 ページです。第 4 「障害者の雇用の促進及びその職業の安定を図るため講じようとする施策の基本となるべき事項」の柱書きです。柱書きの中の表現で、前回の案では「ノーマライゼーション」という表現を使っておりましたが、こちらについては竹下委員から、ノーマライゼーションの表現は、今、あまり使っていないのではないかという御指摘をいただいたことを踏まえて、最新の障害者基本計画の表現を引用いたしまして、そこにありますとおり「全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の理念を一層浸透させる」という形に修正させていただいております。

次に、 1 「障害者雇用率制度の達成指導の強化」の 2 段落目です。前回の案では、「この場合、必要に応じて」ということになっておりましたが、竹下委員から、表現を変えたほうがいいのではないかという御指摘をいただきましたので、「障害者雇用の更なる促進に当たっては」という形に修正しております。

次の修正が 14 ページです。 2 段落目の「また」以下です。前回の事務局案では、中小企業における職場実習や企業見学会等という形にしておりましたが、宮武委員の御指摘を踏まえて、中小企業における職場実習や企業に加えまして、「就労移行支援事業所、特別支援学校等を見学する機会」という形に修正させていただいております。

あとの説明は割愛させていただきますが、法令的な観点から言い回し等の平仄を整えるといったことのチェックを行い、形式的ですが字句の修正を行っています。私からの説明は以上です。

○山川分科会長 

ただいま御説明をいただきましたとおり、本日付けで厚生労働大臣から労働政策審議会に、「障害者雇用対策基本方針」の諮問がなされたところです。当分科会として本件について議論を行って、その検討結果を労働政策審議会に報告させていただきたいと思います。事前に各委員に御覧いただいていると思いますが、特段の御意見がありましたらお願いします。

○伊藤委員 

伊藤です。前回の分科会で労働側として何点か意見を申し上げさせていただきました。御検討いただいて、一部追加修正もいただき、おおむね御対応いただいたことについて、感謝申し上げたいと思います。本諮問案件については、今回の資料 1 の内容で労働側としては了承したいと思います。その上で要望を申し上げます。

前回の分科会でも申し上げましたが、この基本方針を策定するということ自体が目的ではなくて、これが障害者の雇用促進や、雇用の安定を図るための出発点となるものだと理解しております。基本方針に基づいて具体的な施策を策定して、それを着実に実行していくことが重要ですので、この計画を踏まえて実行できているのかということについての検証を定期的に行っていくことが重要だと思います。

基本方針の実効性を高めるためにも、厚労省の 2014 年度の目標への適切な反映とその評価をはじめ、当分科会において定期的にチェックを行い、 PDCA サイクルといった形で改善が図られる仕組みを是非整備していただくことを要望しておきたいと思います。          また、 2016 4 月の合理的配慮の提供義務と差別禁止の施行に併せて、この基本方針を適切に見直すということについても、改めて要請をさせていただきます。

○山川分科会長 

ただいま要望ということで御発言がありましたが、これまでの検討結果との関係で、事務局からは特段何かありますか。

○障害者雇用対策課長 

障害者雇用対策課長の藤枝です。今、伊藤委員の御指摘のとおり、この基本方針は方針を作ることが目的ではなくて、今後、これに沿って施策をどう運営していくかということですので、私どもは、これを踏まえた形で今後の予算要求、あるいは施策の実施について、しっかりと取り組んでまいります。また、目標設定等に際しましては、その進捗状況等を当審議会に報告させていただいて、皆様から御意見をいただきながら進めてまいりたいと思っております。

また、御指摘のありました第 3 の部分については、今後、合理的配慮の提供、あるいは差別禁止に関する指針を策定していただく際に、また必要が出てまいれば、この方針についても見直しをお諮りする必要があるかと思っております。

○山川分科会長 

そのほかに御意見等はありますか。よろしいでしょうか。御説明いただきました基本方針そのものについては、特段の御異議、御意見がなかったと思われますので、事務局から御説明のありました基本方針の内容については、妥当ということになるかと思います。そこで、当分科会としては、厚生労働省案をそれぞれ「妥当」と認めて、労働政策審議会会長に報告申し上げたいと考えますが、いかがでしょうか。

                                 ( 異議なし )

○山川分科会長 

ありがとうございます。お手元の案がありますが、報告案の配布をお願いします。

                                ( 報告文 ( ) 配布 )

○山川分科会長 

よろしいでしょうか。失礼しました。基本方針の案がお手元にありまして、報告文 ( ) を配布いただいたということです。報告文(案)にありますとおり、厚生労働省案は妥当と認めるとすることでよろしいでしょうか。

                                 ( 異議なし )

○山川分科会長 

ありがとうございました。それでは、そのようにさせていただきます。今後、この報告の内容を労働政策審議会会長宛てに報告して、労働政策審議会会長から厚生労働大臣に対して答申をするという運びになります。

次の議題に移ります。議題 2 「地域の就労支援の在り方に関する研究会 ( 2 ) 」についてです。この点も事務局から資料が提出されていますので、御説明をお願いします。

○地域就労支援室長 

地域就労支援室長の金田です。「地域の就労支援の在り方に関する研究会 (2 ) 」の報告書の概要について、説明いたします。資料 2 を御覧ください。

この研究会の趣旨といたしまして、昨年の障害者雇用促進法の改正に先立って、障害者雇用分科会の意見書において、障害者就業・生活支援センター制度やジョブコーチ制度については、企業等からのニーズが高い一方で、量的な拡大・質的な充実の双方の面について課題を抱えており、検討が必要であると御指摘いただいたこと。また、平成 23 年から平成 24 年にかけて、第 1 次の研究会の「地域の就労支援の在り方に関する研究会」が開催され、地域の就労支援機関全般について御議論いただいたことを踏まえ、ジョブコーチ、障害者就業・生活支援センターの制度の在り方等について、第 2 次の研究会として検討を行うこととなったものです。

したがって、検討事項として、ジョブコーチ支援の在り方、障害者就業・生活支援センターの在り方に重点を置いて検討していただきました。参集者は、ジョブコーチ支援を行っている法人や企業の方、ジョブコーチ養成機関の方、障害者就業・支援センターで実際に支援を行っておられる方、また、それらの方々からの支援を活用されておられる企業の方、最後に学識経験者の方々に御参集いただきました。本分科会の委員でもいらっしゃる松爲先生に座長をお務めいただき、昨年 10 月から 7 回にわたり御議論いただいてまいりましたところ、今般、その報告書が取りまとめられ、 3 4 日に報道発表させていただきましたので、この場をお借りしまして報告いたします。

報告書全文は、資料 3 としております。また、ジョブコーチ、障害者就業・生活支援センター、私どもはこのセンターのことを「ナカポツセンター」と略称しておりますので、「ナカポツセンター」にさせていただきたいと思います。そのジョブコーチと、ナカポツセンターの概要については、参考資料 2 として添付しております。適宜、それらを御参照いただきながら、概要について資料 2 2 ページから説明させていただきます。

総論についてです。最初に、障害者雇用を取り巻く現状ですが、雇用障害者数が 10 年連続で過去最高を更新しており、ハローワークの職業紹介でも就職件数が継続的に伸びるとともに、特に精神障害者の占める割合が高くなってきていること。さらに、障害者雇用促進法の改正により、平成 30 年から精神障害者が法定雇用率の算定基礎に追加されることとされており、今後、症状に波がある精神障害者のため、定着支援の必要性が高くなり、就業継続上の課題に対する早期かつ確実な対応が重要な状況であること。

このため、職場定着に当たっては、障害者の特徴を理解し、日常的な業務支援を行う中で、障害者本人に変化があった場合に適切に対処することが必要であること。特に、精神障害者の支援には、専門的な知見が不可欠であり、企業だけで対応するのは困難であることから、就労支援機関の重要性はますます高まっており、支援能力の向上を図ることが必要であること。とはいえ、個々の就労支援機関、例えばハローワーク、就労移行支援事業所、 A 型・ B 型継続支援事業所など、特色にいろいろ違いがあることから、地域障害者職業センターや労働局も含めた就労支援機関全体が連携し、有機的に活動できるようにすることも必要であることとされております。

これらを踏まえ定着支援を強化していくためには、企業ニーズに迅速に対応できる体制の構築が必要であり、企業が相談先に迷う場合など、ナカポツセンターが第一次的な相談窓口として、定着支援の必要があれば自ら行うほか、ほかの機関につなぐなどのコーディネート機能を担うことが必要であるが、障害者を送り出す側のハローワークや就労移行支援事業所等は、それぞれ個々の障害者を支援してきたという経緯があるものですから、それらを踏まえ対応する必要がある。それとともに、必要に応じて、ナカポツセンターにつないで、迅速に支援が受けられるようにすることが必要とされております。さらに、定着支援は、企業内で障害者の就業について知識のある方が行えば、より効果が期待できることから、こうしたことに企業が取り組みやすくする支援策が必要であるとともに、国が障害者に対する理解の促進のための周知・啓発を行う必要があるとされました。

以上を踏まえ、 4 ページから各論といたしまして、ジョブコーチについて説明していきます。ジョブコーチが特定の障害への対応を強化するためには、ジョブコーチを養成する研修、ジョブコーチ養成研修において、精神障害に関する内容の一層の充実・強化が必要である。医療機関からの助言を必要とする場合もあるため、医療機関を活用した支援ができるようにすることが必要であるとされました。また、精神障害については、医療機関に勤務する精神保健福祉士 (PSW) 等の専門家や、視覚障害・聴覚障害については、支援方法の知識を有する障害者支援機関や専門家の方々の活用が有効である。したがって、その活動を容易にすることが必要であるとされました。

具体的に申し上げますと、医療機関や視覚障害者団体・聴覚障害者団体が、ジョブコーチ支援を行う団体として認定されるためには、過去に一定以上の就労支援実績が必要ということが要件となっているために認定されにくい状況があり、その要件を見直せば、ジョブコーチ支援が一層効果的に行われるのではないかという議論があったものです。

また、ジョブコーチが必要なときに外部の専門家を活用できる体制の構築が必要とされました。これは、例えば視覚障害の場合には就労支援機器やソフトの活用に当たって、また聴覚障害の場合には手話通訳の活用など、まずは必要なときにジョブコーチがそれらの外部の専門家の活用ができるようにすることが必要というものです。

ジョブコーチの支援能力の向上のためには、経験豊富なジョブコーチが地域のジョブコーチへの指導・助言を行う機能を持たせることが必要であり、また、地域全体のジョブコーチ支援能力の底上げを図るためには、経験豊富なジョブコーチが継続して配置されていることが重要であると。そのためには、各障害保健福祉圏域に設置されているナカポツセンターに経験豊富なジョブコーチを配置することが有効であること。また、精神障害のほか、発達障害・高次脳機能障害・難病等についても対応できるよう、それらの研修を充実させることが必要とされました。

5 ページです。企業ニーズへの対応についてです。企業が雇用している障害者が不調を来した場合、ハローワークとか、就労移行支援事業所などの送り出し機関が迅速に支援に入ることが 1 つは重要なのです。例えば、企業がどこに相談すべきか迷う場合には、先ほど申し上げましたように、ナカポツセンターが第一次的な相談窓口としての機能を担うべきではないか。また、ナカポツセンターが必要に応じて他の機関と連携してコーディネートを迅速・的確に行うためには、経験豊富なジョブコーチのような十分な知識と経験を有する方が、これに当たることが適当ではないかという御指摘をいただきました。これに関連して本文には記述はされておりますが、地域で企業に最も身近な存在はハローワークなので、ハローワークの支援能力の向上を引き続き図ることも重要であるとする意見もあったということを付け加えさせていただきます。

ジョブコーチの養成促進ですが、現行の養成研修が連続した 6 日間程度となっているので、例えば分割して受講できるなどの柔軟化を検討すること、また、大臣が指定している民間のジョブコーチ養成機関が現在 6 つありますが、その指定要件の緩和等の見直しの検討もすべきであるが、その際には研修の質を一定以上に保つことが必要不可欠であること、また、企業にもジョブコーチの有効性・重要性について理解してもらう取組も必要ではないかとの御指摘をいただきました。

その上で、企業の中で企業文化等に通じた方がジョブコーチ支援をすることが効果的であること。また、新たに障害者雇用に取り組み始めた企業に対しても、ジョブコーチ養成研修の受講資格要件の緩和などを図って対応していく必要があるのではないか。さらには、障害者雇用促進法に基づき、障害者を 5 人以上雇用する場合、障害者職業生活相談員の配置が義務付けられておりますが、その相談員の専門性を更に高め、ジョブコーチとしての役割を果たせるように促すことも重要であるとされました。

6 ページ、ナカポツセンターについて説明させていただきます。ジョブコーチと同様にナカポツセンターについても、精神障害者や発達障害、高次脳機能障害、難病等についても研修を充実する必要があること、精神科医や精神保健福祉士 (PSW) 等の外部専門家の活用促進を図ることも必要であること。その上で、障害者の職場定着支援を自ら行いつつ、地域の社会資源との連携を図るコーディネート機能を果たすことが重要であること。また、これも総論にありましたように、企業からの第一次的な相談窓口となること。そのため、問題の所在を速やかに把握して、必要に応じて、ナカポツセンター自らが支援に入ることもできる。そのためには、経験豊富なジョブコーチを配置することが効果的であるとされております。

また、ナカポツセンターの就職件数などの実績に地域的な差が生じている状況で、これは地域の社会資源とか、個々のナカポツセンターの支援のプロセスの濃淡なども大きく影響しているので、実績数値だけで単純に評価できないのではないか。したがって、地域特性を加味した評価方法を検討することも必要ではないか。さらに、ナカポツセンター全体の底上げを図るためには、センター間の情報共有とか、ネットワーク形成のための更なる充実が必要であるとされております。

最後に、ナカポツセンターは、全障害保健福祉圏域の 362 圏域に設置することを目指しておりますが、 1 月現在で 319 センターが設置されています。残る圏域にセンターが設置されるまでの間は、例えば、新規設置要件を緩和した小規模センターを作っていくとか、未設置圏域を臨時的にカバーする近隣センターへの人員体制の充実など、今年度まで取り組んでおりますが、それらの体制整備に、引き続き一層取り組んでいく必要があるとともに、特に大都市圏域には複数設置することも検討する必要があるのではないかという御意見を頂戴いたしました。以上が、地域就労支援の在り方に関する研究会 ( 2 ) 報告書の概要です。

○山川分科会長 

ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして御質問、御意見がございましたらお願いいたします。

○冨高委員 

冨高です。 2 点ほど意見、要望をお伝えしたいと思います。

まず、ジョブコーチ支援の在り方です。報告書にもあるとおり、障害者の円滑な就職と職場への適応、その後に発生するであろう様々な課題への対応を図る上で非常に有効な制度だと思っておりますし、その充実強化が必要であるという考え方は、私たちとしてもそうであろうと思っております。

参考資料 2 2 ページでジョブコーチの種類を御説明いただいているのですが、これを見ますと、非常に人数が少ないと思いますし、現状、全国で 1,230 人ということです。特に、先ほど資料 2 5 ページでも御説明いただきましたが、「ジョブコーチ支援に当たっては、企業内の文化等に通じていて、企業内で活動するジョブコーチの活用が図られることがより効果的」とありますように、私どもとしても、第 2 号ジョブコーチを増やしていくことを考える必要があると思っております。第 2 号ジョブコーチについては、助成金の対象となる支援を行っている実人数が 139 名ということで、非常に少ないというのが印象です。このジョブコーチの配置を加速化していくために、中小企業も含めて配置が進んでいくような、よりきめ細やかな方策を是非御検討いただきたいと思っております。これがまず 1 点目です。

もう 1 点が障害者就業・生活支援センターですが、組合の中でヒアリング等をしていると、障害者を雇用した後に、就業面だけではなくて、生活面の相談にも乗っているというようなお話も聞きます。就業面と生活面の一体的な相談支援ということで考えると、この支援センターの果たす役割は非常に大きいと思っております。このセンターの設置数は確実に増えてきているとは思うのですが、全ての地域できちんとした支援が行われるように、是非早急に全障害保健福祉圏域への設置を実現していただきたいと思います。また、それだけではなくて、支援の質、量を充実させるために現行の人員体制を見直して、できればその職員やジョブコーチなどの増員も含めて御検討いただくようお願いしておきたいと思います。以上、 2 点です。

○山川分科会長

ありがとうございました。御意見ということで 2 点頂きました。では金田室長、どうぞ。

○地域就労支援室長 

地域就労支援室長の金田です。ありがとうございました。第 2 号の 139 名が少ないのではないか、もっと企業の中で活動するジョブコーチの促進が必要ではないかというような御意見について申し上げます。

参考資料 2 139 名とありますのは、ジョブコーチの助成金をもらいながらジョブコーチ活動をやっているという第 2 号ジョブコーチの数です。現実には、第 2 号ジョブコーチを 750 人ぐらい養成してきております。助成金はもらっていないけれども障害者のことを理解して企業の中でジョブコーチ的な支援を行っていただいている方も相当数おられようかと思いますので、それはそれでジョブコーチの養成の効果はあったのではないかと思っておりますが、御指摘のように、今後、企業の中で活動する第 2 号ジョブコーチを活動しやすくするように、私ども国としても何らかの方策を検討していかなければならないと思っております。

それと、ナカポツセンターは全ての圏域に設置することを目標としております。これは一部、地方自治体、都道府県の負担も伴って、都道府県知事が指定するということになっております。それぞれの都道府県の財政状況によっても、これはなかなか指定できないというような場合とか、例えば、地域に社会資源が少なくてニーズはあるけれどもなかなか受託する法人がいないというような所もあります。私どもとしては、先ほども申し上げましたように、 362 圏域の設置を目標としつつ、更に質的なもの、量的なもの、人数体制、そういうことも十分踏まえて今後必要な措置を講じてまいりたいと考えております。

○山川分科会長 

ありがとうございました。ほかに御意見、御質問はございますか。

○堤委員 

精神の堤です。まず 1 つは、 3 ページ目の「定着支援の強化の方向性」の一番下に「企業が取り組みやすい支援策が必要」とうたってあるのですが、具体的にどういう支援策を考えておられるのか、参考までに教えていただきたいということが 1 つです。

それから、 4 ページ目の「ジョブコーチの対応能力の向上」の「特定の障害への対応強化」の下に「精神障害者の支援に関しては、医療機関を活用した支援も必要」とあります。確かにここにうたってあるとおりだと思います。これは県によって、精神障害者の雇用拡大を進めるために精神障害者の就労支援ということでお医者さんが中心になって、こういうシンポジウムや講演会などを今やっております。これは、これから非常に効果が出てくるのではないかと思いますので、非常に重要ではないかと思いますので、一応お願いしておきたいと思います。具体的にどの県でどういうことをやっているということは申し上げませんが、精神科医や医療機関の就労支援はこれから期待できると、私たち家族会でそのような意見が出ておりますので伝えておきます。

それから、 5 ページ目の下の「企業内でのジョブコーチ活用促進」の真ん中の○で「新たに障害者雇用に取り組み始めた企業等であってもジョブコーチの知識を獲得することは有用であり、養成研修の受講資格要件の緩和等を図る必要」とうたってあります。粗製濫造というようなことではないのですが、やはり極端な緩和は図ってほしくないと思います。というのは、精神の場合はどうしても不安定な状態になることもあり得ますので、できるだけその精神特性を理解した方がその資格要件になろうかと思いますし、「緩和等」というのはどういうことか理解できませんが、あまり緩和をするのはいかがなものかとちょっと思ったものですから意見として出させていただきます。

それから、最後のページ、「ナカポツセンターについて」の「特定の障害への対応強化」の下、「精神障害者の支援については、精神科医、精神保健福祉士 (PSW) 等の外部専門家の活用促進を図ることも必要」とうたってあります。確かにそのとおりだと思います。実際は、お忙しいからでしょうが、精神科医さんが就労支援、就労促進にあまり積極的でないように見受けられます。そういった精神科医さんたちができるだけこういった就労支援をやっていただくためのセミナーか何か、あるいは働き掛けが必要ではないかと思います。精神科医さんの所で就労支援をやっていただければ、あるいは活用促進を図っていただければ、より精神障害者の雇用拡大に結び付くと思われます。

○山川分科会長 

ありがとうございました。総論部分の定着支援に関しては、御質問が 1 点あったと思います。ジョブコーチにつきましては要望と、情報提供も頂きました。ナカポツセンターにつきましては御要望ということになろうかと思いますが、質問につきまして、あるいはそのほかにつきましても。では、御質問がありましたので、まず事務局から、お答えいただけますか。

○地域就労支援室長 

地域就労支援室長の金田です。まず 1 点目、 3 ページの企業内の支援策です。ここは総論で申し上げておりますが、 3 ページの 3 つ目の○で「企業内で障害者の就業について知識のある方が行えば、より有効に機能することが期待できる」と。これは、私どもで想定していますのが、第 2 号ジョブコーチの方は企業の中でジョブコーチ活動をやる、また、ジョブコーチ的な活動もやることができる、ただ、先ほども活動人数が少ないではないかという御指摘がありましたように、今後、私どもが企業の中でジョブコーチ的な活動をされる方が増えていくような取組が国として必要なのではないかという趣旨です。

2 点目、精神に関して、医療機関がジョブコーチ、ナカポツセンターについて、それぞれ、 2 点目、 4 点目としてお話がございました。現在、一部の医療機関が就労支援について非常に熱心に取り組んでおられて、それが今、徐々にではありますが、就労支援に取り組んでいく医療機関が増えていきつつあるというような状況ではないかと思いますが、まだ端緒に付いた状況ではないかと。したがって、私どももそこは促進する必要があろうということで、平成 25 年度から医療機関と連携した就労支援モデル事業というものを医療機関等に委託しまして、それを地域において普及・啓発していただこうということにも取り組んでおります。

それと、 5 ページで御指摘がございました、下から 2 番目、「新たに障害者雇用に取り組みはじめた企業等であっても」云々、「受講資格要件の緩和等を図る必要がある」と。現在、第 2 号ジョブコーチ支援を行う団体としての認定基準というものがあります。例えば 3 年以上の就労支援の実績があること、そういうところに対して、ジョブコーチをやっていいですよ、ジョブコーチ支援について認定しましょうということで認定しているのです。ただ、今後、障害者雇用が一層拡大していくに連れて、初めて取り組むような企業に対してそこの門戸を閉ざしていいのかという議論が研究会の中でありましたので、それを踏まえて検討させていただきたいと思っております。

○山川分科会長 

ありがとうございました。それでは、特にございませんでしたら、今、竹下委員から。

○竹下委員 

結構です。

○山川分科会長 

よろしいですか。

○竹下委員 

はい。

○栗原委員 

栗原です。教えていただきたいのですが、ジョブコーチを例えば中小企業で持っていないと何か不利益があるのでしょうか。それと、例えばこれに書いてあるのは、職場適応援助者助成金は頂けなくなるのでしょうか。また、障害者職業生活相談員は今までずっとありまして、それから今、ジョブコーチが出てきてということで、ジョブコーチと障害者職業生活相談員との境目はどういうことになるのかと。もう 1 つ、これは少し違うかも分からないのですが、今、ジョブコーチの資格を取るための申込みは各県でやられているというお話で、うちでも申し込んだのですが、これは、いついつというのがホームページを見ないと分からないのですね。障害者職業生活相談員の場合は、こういう講習がありますという連絡があったのですが、それがない。知らないと全然、これは、必要に迫られないと受けるというようなことがあまり起こらないのではないかと、その辺についていかがでしょうか。

○山川分科会長 

御質問がございましたので、金田室長、お願いします。

○地域就労支援室長 

地域就労支援室長の金田です。中小企業が持っていないと不利益となるかと。特に不利益とはなりません。研究会の中の議論でもあったのですが、中小企業が第 2 号ジョブコーチを抱えることはなかなか難しい面もあるのではなかろうかと。そういうときには、第 1 号ジョブコーチが社会福祉関係の機関、就労移行支援事業所等におります。また、私どもの独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の地方組織である地域障害者職業センターが各県にありまして、そこに配置型ジョブコーチという者がおります。要望がございましたら、先ほども申し上げましたように、どうすればいいのかというようなときに、まずはナカポツセンターに御相談いただいた上、ナカポツセンターが例えば地域センターにつなぐとか、就労移行支援事業所につなぐとか、そういったことによって第 1 号ジョブコーチが中小企業のジョブコーチ支援に当たることができるということです。

それと、先ほど申し上げましたように、ジョブコーチ助成金はジョブコーチ支援の団体に認定されないともらえないというしくみになっておりますので就労支援をやったことがない人がいるような企業は今までできなかったのですが、その要件を緩和して、初めて障害者雇用に取り組むような企業もジョブコーチ支援の団体になれるように要件を緩和すべきではないかというような御意見も今回、研究会で頂きました。

それと、ジョブコーチと障害者職業生活相談員との境目がよく分からないというようなことで御指摘いただきました。こちらも研究会の中で議論がありました。障害者職業生活相談員の資格研修は 2 日間なのです。恐らく 2 日間だけでは入門の入門的なところしかできないだろうと、だから、ジョブコーチ研修は 6 日間程度ですのでそれを上乗せできるような、もし希望がありましたら、障害者職業生活相談員の資格を持っていてジョブコーチの資格を取りたいということであれば、養成研修の受講要件を緩和してもいいのではなかろうかという研究会の御議論がございました。

先ほど、ジョブコーチの申込みはどこでやったらいいのかというのがあまりはっきり知られていないと。こちらも研究会で議論がございまして、ジョブコーチ制度についてもっと周知、理解を広めていくべきではないかというような御指摘を頂いております。今頂いた御指摘も踏まえて、今後、周知に努めてまいりたいと思います。私どもの独立行政法人のホームページで募集していますのと、あと、民間の養成機関がございまして、そちらでも養成をやっておりますので、その点につきましても周知に努めてまいりたいと思っております。

○山川分科会長 

ありがとうございました。よろしいでしょうか。では、阿部一彦委員からまず。

○阿部 ( ) 委員 

日身連の阿部と言います。ナカポツセンターの役割はとても大事なことということが今、お話で理解できました。資料 2 6 ページにありますが、ナカポツセンターの実績の適正な評価がありますし、あとは、参考資料 2 3 ページでしょうか、図で示してありまして、ここに平成 24 年度実績、対象者、就職件数とか就職率などとあります、現状ではどういう評価が行われているのか。それから、参考資料の 3 ページにある平成 24 年度実績の就職件数がナカポツセンターに関わった方の実績であるとすれば、どういう形で関わっているのか。また、必ずしもナカポツセンターに関わらないで就労している方もいらっしゃいますよね。そのような方の継続支援などにも関わっているのかどうか、その辺で評価のことと。それから、そもそもナカポツセンターは県が関わっているので、これは委託化して管理か何かということなのかどうかということとその継続性ということ、実績評価の下にどのようにしてこの継続性が維持されているのか、これはセンターの力を高めるためにも大事なことだと思って質問させていただきました。よろしくお願いします。

○山川分科会長 

御質問ですが、金田室長、お願いいたします。

○地域就労支援室長 

地域就労支援室長の金田です。ナカポツセンターの現状の評価という点で、私ども、いろいろ指標を取っております。例えば就職件数とか、職場実習あっせん件数等々、いろいろな方向からデータを集めております。今回の研究会の中での御議論として、私どもはどうしても外見的な実績、数値にこだわりがちなのですが、ナカポツセンターの方、又はほかの委員の方々からも、例えば精神障害者の就業前の準備訓練をきちんとやったら定着率が高まると。実際に、 6 か月経過して精神障害者の定着が 100 %あるようなナカポツセンターもあります。そういう所は数は出ないのです。就職件数としての数は出ないけれども定着率が非常に高いというような所があります。ですから、一概に数字だけで判断するのはちょっと危険なのではないかという研究会の中での議論がありました。

これは、先ほどの御説明の中でも申し上げましたが、地域の社会資源の状況によっても大きく左右されるものです。例えば精神障害者の専門の施設が、県などで持っているような施設がある所は精神障害者の就職件数があまり伸びていないので、どうしてだということで深く突っ込んでいったら、横にそういう県の精神障害保健福祉施設があったというようなこともありますので、一概に数字だけをもって実績を判断するのは難しいのではないかという研究会の中でも御議論がございました。就職実績というものを掲げております。これにつきましては、ナカポツセンターの登録者で、ほとんどの場合がハローワークも一緒になってやっているというような状況ですので、ナカポツセンターを関与してナカポツセンターの登録者が就職した件数と御理解いただければと思います。

それと、ナカポツセンターの継続性について御意見がございました。こちらについても研究会で多くの意見を頂きました。ナカポツセンターが安定的に運営していくためにはその実施体制を確保することと安定的な財源が必要であるということでしたので、これについては、私ども、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

○山川分科会長 

ありがとうございました。それでは、先ほど伊藤委員からお手が挙がりましたのでお願いします。

○伊藤委員 

伊藤です。 1 点要望させていただきたいと思います。

今日、地域の就労支援の在り方に関する研究会の第 2 次の報告を頂いたわけですが、もう一方の差別禁止と合理的配慮の指針研究会も並行して検討を重ねているところです。地域の就労支援の在り方に関する検討会では、ジョブコーチをはじめ、企業での活動をより支援していくような対応力の強化や配置数の問題など、積極的な提言もあるわけですので、こういった報告書の内容をもう一方の指針研究会でも活かすような形で、是非研究会の運営を行っていただきたいという要望をさせていただきます。

○山川分科会長 

ありがとうございました。御要望ということでしたが、事務局からは何かございますか。

○障害者雇用対策課長 

課長の藤枝です。もう一方の研究会として、差別の禁止、合理的配慮の提供の在り方について、今後、どういった指針を定めるかということで検討をお願いしております。ここでは、改正法に基づいて大臣がどういった指針を定めていくべきかという議論を中心にしていただいておりますが、当然、企業が今後、法律に基づいて合理的配慮を提供するに当たっては行政としてのいろいろな支援もしていかなければいけない。これは今、研究会でも御意見として頂いておりますので、今回の地域の就労支援での具体的な提言なども踏まえた総合的な対策を、これは指針作りとは別途、行政としてもしっかり考えていかなければいけないと思っております。当然、研究会でも、こういった議論も踏まえながら更に検討を深めていただきたいと思っております。

○山川分科会長 

ありがとうございます。ほかにはどなたか、ございますでしょうか。それでは、ほかに特段の御発言もないようでしたら本議題につきましては終了させていただきます。ほかに特になければ本日の議事は終了になります。今後の分科会の予定ですが、この点も事務局からお願いいたします。

○障害者雇用対策課長補佐 

事務局です。次回日程は未定です。また御相談させていただければと思います。

○山川分科会長 

ありがとうございました。それでは、次回日程は未定で、また御連絡ということでした。それでは、本日の分科会はこれで終わりたいと思います。お忙しい中、御審議をいただきありがとうございました。議事録の署名ですが、労働者代表は榎本委員、使用者代表は高橋委員、障害者代表は竹下委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。では、本日はこれで終了いたします。


(了)

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