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2014年4月10日 2014年4月10日                第1回偽造医薬品・指定薬物対策推進会議

医薬食品局

○日時

平成26年4月10日(木) 14:00~16:00


○場所

航空会館大ホール


○議事

○赤川監麻課長 定刻となりましたので、ただいまより第1回偽造医薬品・指定薬物対策推進会議を開催させていただきます。座長が決定するまでは、事務局である監視指導・麻薬対策課において議事進行を務めさせていただきます。私は監視指導・麻薬対策課長の赤川でございます。よろしくお願いいたします。

 本日は大変お忙しい中、構成員の先生方には御出席を賜りまして、厚く御礼申し上げます。それでは、医薬食品局長の今別府より御挨拶を申し上げます。

○今別府医薬食品局長 医薬食品局長の今別府でございます。本日はお忙しい皆さんにこうしてお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 私ども、昨年12月に成立いたしました薬事法改正におきまして2つの中身があります。1つが指定薬物の規制強化、もう1つが一般用医薬品のインターネット販売の解禁です。前者については41日から既に施行しておりますが、後者の施行は612日を予定しております。薬物対策といいますのは、ともすればイタチごっこ的にもなります。日頃から関係者と一緒に対策に取り組んでおりますが、612日を境にまた新しいステージに入るのだろうということを懸念しております。そういう意味で従来からの対策を質的にも量的にも強化しなければならない、昔ふうの言い方をすると「まなじりを決して」ということですが、そういう心掛けで対応しようと思っております。

 今日皆様方に集まっていただきましたのは、こうして関係者の皆様に一堂に会していただいて、まず現状認識を共有し、知恵を出し合って、更に対策を一体として推進していくという、いわばその一歩の日、起点の日と位置付けをしております。願わくば、バタフライ効果で海外の違法サイトを一蹴できるようなことを期待して、まずは、本日の議論が実りあるようにお願いいたしましてキックオフ宣言といたします。よろしくお願いいたします。

○赤川監麻課長 それでは、本日の出席構成員を紹介いたします。お名前を申し上げましたら、恐縮ですが、その場で結構ですが、御起立いただければと存じます。五十音順にさせていただきます。

 まず、安藤まこと構成員です。家田荘子構成員です。猪狩康孝構成員です。市原正人構成員です。今福吉和構成員は遅れておりますので、続きまして、生出泉太郎構成員です。片木美穂構成員です。木村和子構成員です。黒木由美子構成員です。桑子博行構成員です。金野志保構成員です。早乙女芳明構成員です。寒川裕士構成員です。田中秀一構成員です。西島正弘構成員です。花尻瑠理構成員です。道永麻里構成員です。矢野昌彦構成員です。吉田梨沙構成員です。和田清構成員です。なお、奥田晴宏構成員と田中雅美構成員のお二人におかれましては、所用により欠席です。

 以上、構成員の皆様におかれましては、どうぞよろしくお願いいたします。また、本会議におきましてはオブザーバーとして警察庁より参加をいただいておりますことを申し添えさせていただきます。

 続きまして、事務局の紹介をいたします。医薬担当審議官の成田です。医薬食品局総務課長の鎌田です。私は、先ほど御挨拶させていただきました赤川です。横にいる監視指導室長の稻川です。同じく課長補佐の日下部です。課長補佐の渕岡です。違法ドラッグ監視専門官の後藤です。同じく違法ドラッグ監視専門官の安部です。以上、よろしくお願いいたします。

 次に、資料の確認をさせていただきます。お手元の資料を御覧ください。

 まず、「第1回偽造医薬品・指定薬物対策推進会議議事次第」「座席図」です。続きまして、資料が1から6まで、6種類あります。資料1としまして本推進会議の開催要綱、資料2としまして本推進会議の構成員名簿、資料3としまして木村構成員から御提出いただいております「世界と日本の偽造医薬品の現状」、資料4としまして猪狩構成員から御提出いただいております「偽造医薬品への取組 製薬企業の立場から」、資料5としまして「偽造医薬品及び指定薬物に対する厚生労働省の取組」、資料6としまして「薬物乱用防止啓発のためのfacebook及びtwitterの活用について」、以上です。不足等がございましたら、お申し出いただければと思います。よろしいですか。

 次に、本会議の開設経緯、目的及び検討内容などにつきまして、事務局より説明いたします。資料1を御覧いただければと思います。開催要綱です。

 まず、「1.目的」です。先ほど今別府局長からも御挨拶申し上げたとおり、経緯等については省略させていただきますが、偽造医薬品や指定薬物等に関する適正化方策につきまして、有識者、医薬品の製造・販売、メディア、行政の関係者が一体となって協働で対策の一層の推進を図ることを目的としております。

 今、今福構成員が来られましたので、御挨拶をよろしくお願いします。

 それでは、資料1を続けさせていただきます。「2.会議で議論し取り組む事項」は2つあります。1つは、偽造医薬品及び指定薬物等に関する情報収集、広報・啓発、個人輸入の制度運用の適正化の方策。もう1つは、偽造医薬品及び指定薬物等の対策についての関係者の取組内容の共有並びに関係者の協働による取組の推進となっております。

 「3.構成員等」です。別紙に構成員のリストがありますが、これにより構成するということです。(2)ですが、「本会議に座長を置き、構成員の互選によってこれを定める」ということですので、後ほど、互選により選出していただきます。本会議につきましては、必要に応じて構成員以外の専門家、有識者から意見を聞いたり、あるいは関係省庁のオブザーバーとしての参加を認めることができるとさせていただいております。

 「4.会議の開催」です。本会議は医薬食品局長が開催するということです。また、(4)にありますように、本会議につきましては特定の者に不当な利益又は不利益をもたらすおそれがある場合等を除き、原則、公開とさせていただきます。会議資料及び議事録は、後日公開いたします。したがいまして議事録につきましては、会議後、構成員の皆様に確認をとらせていただきまして公開させていただくということになります。

 「5.運営その他」です。本会議の庶務につきましては、私ども医薬食品局監視指導・麻薬対策課が行うということです。

 以上、資料1の説明です。よろしいでしょうか。それでは、座長の選出をいたしたく存じます。

 本推進会議の開催要綱3(2)の規定により座長は構成員からの互選となっておりますので、本推進会議の検討内容を踏まえ、ふさわしい方を御推薦いただければと考えますが、いかがでしょうか。

○木村構成員 昭和薬科大学学長の西島正弘先生を御推薦させていただきたいと思います。

○赤川監麻課長 ほかにございますでしょうか。それでは、ただいま木村構成員より座長に西島構成員を推薦する旨の御発言をいただきましたが、いかがでしょうか。

( 異議なし)

○赤川監麻課長 それでは、「異議なし」と扱わせていただきます。それでは西島構成員に本会議の座長をお願いしたいと思います。西島構成員、どうぞ座長席にお移りください。

( 西島座長着席)

○赤川監麻課長 それでは、これから先の議事進行につきましては西島座長にお願いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。

○西島座長 ただいま座長に選ばれました昭和薬科大学の西島と申します。どうぞよろしくお願いいたします。本日は時間が大変限られておりますが、いろいろな分野の構成員の方々から御意見を伺うことが主な目的かと思っておりますので、限られた時間、効率良く、有効な会議にしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 皆さんのお手元に議題がございますが、1番目として「偽造医薬品・指定薬物対策について」です。本日は、ここにありますように、まず3名の方々からお話を伺って、その後、質疑応答をしていただきます。その後、いろいろな立場からの御意見があるかと思いますので、各構成員からそれらをお話いただいて、この会議においていろいろな情報を共有するということで進めたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 はじめに、木村和子構成員からの御報告ということで「世界と日本の偽造医薬品の現状」ということでお話をいただきたいと思います。木村構成員、よろしくお願いいたします。

○木村構成員 金沢大学の木村でございます。皆様、はじめまして。先ほど今別府局長から612日から偽造医薬品問題等について襟を正してお取り組みになるというお言葉がございましたが、私は1996年から偽造医薬品に取り組んでおりまして、そうですかみたいな感じで伺っておりました。WHOWHO偽造医薬品プロジェクトのコーディネーターとして仕事を始めたのがこの仕事に首を突っ込んだ最初です。それ以降、金沢大学に移りましても研究室のテーマとして偽造医薬品を取り上げております。今日はたった10分しかありませんので網羅的に、現状はどうなっているか、世界的にどんな対策が打たれようとしているかということを大急ぎで御紹介させていただきたいと思います。

 内容。今日お話させていただくことは皆様のお手元に資料3として配られておりますので、先へ急ぎます。

 まず共通理解としまして、偽造医薬品の定義について。実はこの「定義」につきましては、各国、それぞれ、ばらばらの定義をしております。これがWHOが作った、WHOで今使われているWorking Definitionというものです。ちょっと難しい言い方になっておりますが、同一性や起源に関して故意に虚偽の記載をした医薬品。普通の言葉で言うと、表示と中身が違っている。その表示がわざと中身について嘘をついているというものが偽造医薬品です。それは、先発品はもちろんありますし、ジェネリックもあります。偽造医薬品といえども、きちんとした正しい成分が入っているものもあります。それから成分が間違っているもの、あるいは成分がないものもあります。正しい成分が入っていても含量が違っているもの、というようなものがあります。表示が偽りである、これが特徴付けるもので、何よりも大事なことは犯罪のツールだと。偽造医薬品を作る、流すということは犯罪です。

 それと比較してよく使われる言葉は、英語では「Substandard Medicines」と言いますが、「規格外医薬品」とか「品質不良医薬品」と言っております。これは政府の許可を受けた製薬会社、医薬品を作る製薬会社はどこの国でも必ず政府の許可を受けなければいけないのですが、その許可を受けた正規の製薬会社によって製造された正規の医薬品だけれども規格基準を満たさない。医薬品はみな規格や基準が決まっていますが、腕が悪くて、あるいは何か故障があって基準を満たさなくなってしまったという技術的問題。これも国際的には、むしろ問題の大きさとしてはこちらのほうがサイズとしては大きいと言われております。ただ、取組が違うのでこれを混同すると対策を間違う、無駄な努力をすることになります。こちらは技術的問題なので、しっかりやりましょうということで指導をしていただく。

 一方、偽造医薬品を製造することは犯罪なので、ポリスパワーで取り組むということになります。よく聞かれるのは、「偽造医薬品はどのぐらいあるのですか」と私は何回も何回も聞かれていてお答えしたいのですが、今申しましたように、偽造医薬品自体が犯罪の産物なので正確に評価することは困難です。調査も十分行われていないというのが現状です。散発的に疫学調査のようなことを日本ではどれぐらいあるか分かりませんが、途上国などで買上げ調査などが行われています。私もそれをやっています。ただ、いろいろ、どのぐらいの大きさかということを言おうという努力はされています。WHO2012年に出したファクトシートというものでは、先進国では市場価値の1%未満、規制や取締りの緩いアフリカ、アジアの一部、南米、移行期の国ではもっとずっと多いという。分かったような分からないような言い方ですが、多分、この言い方が一番正しいのだろうと私は思っています。

 ただ、これだと聞いた気がしないということです。イタリアのFDAに相当する機関と欧州委員会が一緒に出した書物ですと、グローバルな正規の医薬品産業の1-10%ぐらいに達すると。10%とすると、890ビリオンドルの10%、89ビリオンドルなので800億ドル、大体8兆円ぐらいです。とすると日本の医薬品の売上げと同じぐらいです。もう1つ、アメリカの組織が出した見積りだと75億ドルです。これも、オーダーがここと大体合うのです。もう1つ出している所も、数字は半分ぐらいですがオーダーは大体合ってくるので、日本の正規の医療用の医薬品の販売額が全部偽造品だというぐらいの額が出回っているという見積りが多いということです。

 偽造医薬品が何で問題かといいますと、世の中には、医薬品に限らず、偽造品というものは、ハンドバッグとかいろいろありますが、車の部品などもあってそれも大変なのですが、偽造医薬品はWHOなどでも重要な問題として取り上げており、それはなぜかというと、健康に直結するからです。その被害者がどのぐらい出ているのか、文献で調べてみました。文献で調べたといいましても、生命科学領域の学術論文を集めたデータベースで検索したところ、24件見つかりました。被害者数が5,600人ぐらい、そのうち亡くなっていることが記載されていたのが3,500人、62.5%なので、亡くなっている方の割合はかなり高いということになります。ただ、この24件が多いと見るか少ないと見るか、評価は分かれると思うのですが、飽くまでもPubmedに収載されている学術論文に収載されている論文の中で拾えたものです。

 偽造医薬品の非常に大きな特徴は、何らか健康被害があったときにその原因が偽造医薬品かどうか、ほとんどの場合分からない。ですから実は、有効成分が入っていなくて、治るべきものが治らなくて健康を損なってしまったものも見過ごされているという可能性のほうが、ここで挙げられているよりはずっと多いということです。しかも、学術論文として生き残ってくるというのは、審判する方のお眼鏡にかなう論文だけしか残ってこないので、実際にはもっともっと多い、桁違いに多いと考えております。

 今のデータベースで拾った24件の中で、偽造医薬品というのは20世紀の頃は途上国の問題だと考えられておりましたが、学術論文を拾ってみますと、3分の1ぐらいは、いわゆる先進国と言われる高所得国の報告でした。Pubmedのデータの中には日本からの報告はありませんでした。

 偽造医薬品はどういうものが健康被害を起こしているかというと、表示されていない成分が入っている。この主なものはジエチレングリコールというものです。エチレングリコールとかプロピレングリコールとか、安いので、本来使う成分の代わりに使っている。自動車の不凍液などに使われるものですが、それで大勢の方が健康を損ない、命を落とすということがあります。あるいは有効成分がなかったり、あるいは少ししか入っていなかったために健康被害が起きた。あるいは、たくさん入り過ぎていて健康被害が起きたという事例もあります。

 日本では全く関係ないと思われていた時代がありましたが、1990年になる前ぐらいに新聞記事で、日本でもホパテという脳血管改善薬の偽造品が作られたという古い古い新聞記事がありますが、それ以降、私も余り見たことがなかったのですが、ここ数年、ED治療薬で出るようになりました。その間の時代は、こういうこととは関係ないと思われていたのですが、最近、主に個人輸入という経路を通じて入ってくるようになりました。海外から個人輸入。個人輸入だけではなくて、どうも犯罪グループが資金源にしているというようなことで、大量に輸入されるというような事例も発見されております。それで、完成品として入ってくるものもありますが、パーツ輸入をして国内で完成させて販売するというようなものもあります。こういったものは余計に発見が難しいということになります。それから、日本に輸出してくるのに、実は海外に日本人がいて、その日本人が関与しているというような事例も知られております。なので今の日本は、決して偽造品から免役されているという状況ではありません。

 これは税関の資料ですが、税関で偽造医薬品ということでどのぐらい差し止められたかという錠数です。一番多いところが2012年、39万錠です。差止めの対象になるのは、会社が税関に差し止めてほしいと要求しない限り税関は見ませんので、たとえ偽造品が入ってきてもそれは見ていないので通っているということですが、左側に書いてあるような医薬品が税関に申し立てられていて、これの偽造品が入ってくれば差し止めるという手続です。2006年以前はこういった差止めの申立てが行われていなかったのでここの統計がなくて、実際、入ってきていなかったというわけではないと思っております。また、この統計は税関で差し止めた錠数なので、これで全て差し止めているわけではなくてこういう、これはあれなのですが。私も試買ということで実態を調査しておりますが、試買をすると、全部、私の手元に入ってくる。つまり、差し止められていないということなのです。ですからまだまだ税関は、全部差し止めるほど余力がないという状況です。

 これは厚生労働科学研究で実態調査をやったときに入手した偽造品です。これは差止め申立てをしている対象ではないのでスルーで入ってきてしまうのですが、痩せ薬です。この一番左側が本物でロシュ社が作っている「Xenical」というものです。これは当然ながら、オーリスタットという成分が表示量きちんと入っております。隣のこれが、やはりXenicalですと書いてあるのですが、分析をしてみるとデンプンしか入っていなくて、痩せる成分は入っていない。だから痩せる代わりに太ってしまうというものです。

 これを見ていただくと、MFDというのはmanufacturing date、製造年月日ですが、2009年に買いまして、本物は200811月に製造されていた。この偽物は20112月です。2009年に買ったのですが2011年の製造。先付けの日付ですね。EXPというのはexpiry dateで有効期限ですが、本物は201111月、偽物は20112月。この偽物の製造年月日と有効期限は同じ時です。これはプエルトリコから入ってきたものですが、これが偽物、代表的な偽物です。偽物というと、大体こういうものがすぐに頭に浮かぶのですが、これは典型的なものです。隣のものは「Zenigal」という「Xenical」のジェネリックと考えられるのですが、これもオーリスタットが同じだけ含まれていると記載されておりますが実際はオーリスタットが入っていなくて、訳の分からない不明成分が入っているというものです。これは怖いです。その不明成分が健康にどういう影響を及ぼすか分かりませんので大変怖いものです。

 これは体外診断薬です。今言いましたように、日本では承認されていませんが、HIVに感染しているかどうかということを自分で検査することができるというものです。ちょっと昔の研究なのですが、こういったものも偽物が出回っていて、これも日本で入手することができるということでお示ししたものです。2006年と2008年にこの左側にある偽物が入手されました。中身は、書いてあります、本物で、これで手の指を傷つけると血が出ますので、その血をここにたらしてバッファを入れて展開すると、線が1本であればネガティブ、2本であればポジティブということになる、簡易検査なのですけれども。絵をよく見ていただきますと、箱に使い方の絵が描いてあるのですが、ちょっと違いますね。実はこの中身の構成も、こちらの偽物は、これは全部タイソンバイオテックという台湾の会社の、一つ一つにタイソンのものだということが書いてあるのですが、中身は、こちらの偽物は寄せ集めです。偽物が出たということでタイソンバイオテックが2008年には装丁を変えましたが、偽物のほうは、相変わらず同じものが出ていたというようなものです。ですから、偽物は医薬品だけではなくて、医療用具とか体外診断薬などにもあるということです、それも入ってきているということです。

 一般の消費者の方が偽物にさらされる危険性は、日本の場合は個人輸入が最大の窓口になるのです。個人輸入をされている消費者はどういうつもりでされているのか、調査をしたことがあります。個人輸入では偽造品や不良品があるということを、買ったことがある経験者は実はよく知っているのです、買ったことのない人よりよく知っているのですが買っている。それで、そういうところで重大な健康被害が出ているということも知っている、聞いたことがある。そういうことに手を出していない人に比べてきちんと知っている。ところが、医療者、医師や薬剤師の指導なく医療用の医薬品を使用することは危険だという意識に関しては低いという結果になっています。それから、今後も医薬品の個人輸入をしてみたいか。経験者は、経験していない人に比べて、今後もしてみたいという方の割合が明らかに高いということになっております。

 ここから見えることは、要は、消費者の教育・啓発が非常に大事だということです。経験者でも「今後、個人輸入はもう行わない」とおっしゃった方がいます。どういう方かというと、個人輸入をした医薬品で実際に副作用が発現してしまったという方は、もう行わないということをおっしゃっています。実際、副作用が発現したというのは個人にとって非常に大きなインパクトがあることですので、知っていながら買うという消費者が結構いたのですが、強力な教育・啓発が必要だということを示唆していると思っております。

20世紀には途上国の問題だとされた偽造品も今、先進国に相当蔓延しておりまして、米国、EUがここ数年、急激に対策を強めてきたという御紹介です。

 米国は議会で会計検査院に「インターネット薬局」について報告書をまとめるようにと、昨年指示して、今年出てきたものです。その「インターネット薬局」について、大半は外国から操作していると。当局は取締りを強化して詐欺サイトから購入しないように消費者を教育しているのだけれども、詐欺サイトは巧みに正規サイトと見せかけて、消費者にとっては見分けが困難だというような報告をまとめております。

 それから、つい最近、昨年の11月に医薬品の流通網(Drug Supply Chain)を保護する、そこに偽造品が紛れ込まないようにする法律を作りました。それで2023年、10年かけて医薬品が個包装レベルで流通の経歴が確認できるようにするということを法律で決めたので、ここ10年でアメリカの医薬品の流通に対して偽造品が入ってくる、その対応が変わってくると思われます。

 それから、偽造品が入ってくるポイントは流通だと、国としても流通業者をきちんと把握できるようにということで、卸とか、運送業とか、倉庫業とか、そういったところの許可基準を標準化したい、許可の対象にする。卸はもともとそうですが、運送業や倉庫業なども許可の対象にする、ということをやることにしました。

 欧州につきましては、1つは条約が出来ました。これは欧州評議会のメンバー国が中心になって作った条約ですが、日本はオブザーバー国です。5か国批准すると発効するのですが、1か月前の状況ですと既に3か国批准していて、あと2か国批准すれば発効するという状況ですが、初めての国際的な偽造品の条約です。

 それからEUでは、欧州連合のほうですね、偽造医薬品の法律が出来まして、その中で個包装の、安全装置というか、安全表示と言ったほうがいいと思いますが、安全表示をすることになりました。これも、2017年には個包装に安全表示が付けられて、顧客が薬局で薬を買うとそれが本物かどうかチェックできるようになる。これはアメリカもEUも処方箋薬を対象に行われる措置ですが、そういうことが法律で決められております。ですから各国、これの実施に向けて今、動いているという状況です。

 偽造医薬品の防止技術を開発する企業が日本で結構増えておりまして、たくさんの一流の企業が防止技術を作っております。一方、日本の製薬企業もここにきて偽造品に対して非常に警戒心を高めておいでになりまして、どうやったらいいのか、どうしたら防止できるかというようなことを考えています。ところが、その両者をつなぐ仕組みがなかったので両者の情報交換、お見合いクラブと言ったらあれですが、お見合いの場のような研究会を立ち上げまして時々、フォーラムをやったり、あるいは今後、座談会をやったりというようなことを考えておりますが、立ち上げてやりました。今度、418日に第2回のフォーラムをやります、という御紹介をさせていただきます。

 最後になりますが、私が申し上げたいのは、日本も偽造医薬品禍を免れていません。消費者は、国内の正規の医療提供施設から専門家の助言のもとで医薬品を入手していただきたいと思っております。インターネットで買う場合、これが一番問題なのですが、先ほど612日からというお話がありましたが、国内で許可を受けた正規販売サイト以外のインターネットサイトでは購入しないように。要は、「個人輸入代行業です」というようなことで出している所は全然許可は取っていないので、今、私が申し上げた問題は個人輸入代行業サイトの問題ですので、そういう所に手を出さないようにすることが非常に大事です。私の経験ですと、偽造薬や不良薬が出やすい医薬品はやはり集中しているのです。特定の医薬品が出やすいので、特にそういうものを入手されたい場合は特に特に注意が必要です。ただ、それ以外の医薬品も、絶対に偽造品が出ないという保証はありません。以上です。どうもありがとうございました。

○西島座長 木村構成員、どうもありがとうございました。今日、3名の方からお話をいただくわけですが、今の木村構成員に対する御質問も含めまして、3名のお話を伺ってからまとめて御質問を受けるということにしたいと思います。したがいまして、早速ですが次のお話ということで、猪狩構成員から「偽造医薬品への取組 製薬企業の立場から」ということでお話、御報告をお願いいたします。

○猪狩構成員 御紹介、ありがとうございます。私は、日本製薬工業協会品質委員会副委員長の猪狩と申します。紙のほうを見ながら、よろしくお願いします。私も今、武田薬品に所属しております。木村先生の歴史ほどは古くないのですが、割と早めに、20042005年ぐらいから、弊社武田薬品も、まず問題の大きさに気付きまして、いろいろな対策をとっております。先ほど木村先生から御紹介がありましたように、日本の企業もいろいろなグローバル化を進めていまして、日本のみならず、世界各国に進出しますと、偽造医薬品というものに直面します。

1ページ目は、「身近に迫る偽造医薬品の実際」です。これは、いわゆるED薬で、日本でED薬を発売されている企業の方々からお借りしたスライドです。一番上から、バイアグラ、レビトラ、シアリスということで、正規品は左側にありますが、偽造品は、右側にありますように、例えば「バイアグラ」の場合でも、青色で、見た目はほとんど分かりません。ただし、バイアグラの場合でも100mgというものは国内では製品化されておらず、さらに、300mgというものは世界的に正規品として流通していません。100mg300mgというものがなぜ存在するか。恐らく、中身がいっぱい入っていると効き目が強いだろうという、患者さんの心理に付け込んだものだと思います。もしこれがインターネットに出ますと、患者さんは、100mgとか300mgも実際に売られていると考えて、買ってしまう可能性はあります。そういうことを狙った可能性があります。「レビトラ」の場合でも、偽造品の一番右に「カプセル剤」というものがありますが、カプセル剤というものは正規品ではない。ただ、これも、サイトや、どこかの店頭にポーンと出ていますと、レビトラというものにもカプセル剤があるのだと誤解してしまいます。「シアリス」についても、偽造品と正規品は見た目ではほとんど分かりませんが、50mg100mgというのは正規品にはないということになります。下に書いてあるとおり、偽造品は正規品に極めて類似した外観のものがあり、一見して、言葉は悪いですが、素人の方では判別しにくい。そして、たくさん入っているものはいかにも効きそうだということになります。

 次のページは、偽造医薬品を作る場所はどこかということです。これも、先ほど木村教授から話がありましたように、犯罪の世界ですので、突き止めることはなかなか難しいです。その突き止められた中の1つの例で、これは、イーライリリー様から御提供いただいたものですが、左側が打錠機械です。これは錠剤を作るものですが、一見してお分かりになりますように、こんな汚い環境で、汚い機械で作っているのかという状況です。下のほうは包装の機械です。打錠する所は汚いのですが、外観上はきれいです。包装は非常にきれいに作っておかないといけない。汚いと、患者さんも変だなと思うということで、包装の機械は最新の機械を入れていることが多いようです。これは偽造医薬品の製造現場の一例ですが、医薬品のように法律を守って作っているというわけではございません。

 次のページでは、「身近に迫る偽造医薬品」ということで、いろいろな例を挙げています。海外の場合ですが、ED薬、先ほど言いましたバイアグラ、シアリス等以外にも、抗がん剤や生活習慣病の治療薬の偽造医薬品が出回っています。「アバスチン」というものは、アメリカで偽造品の流通が判明しています。そこに書いてありますように、スイスのロシュ社と米のジェネンテックが、アバスチンの偽造医薬品が米国内で流通したことを2010年に発表しています。

2番目は日本ですが、インターネットを介した医薬品の違法販売ということで、無許可で販売した輸入代行業者が逮捕されています。約2億円を売り上げているという記事になっています。

3番目は、ネットで模造バイアグラを販売しているというものです。これは、法律違反ということです。「組長」と書いてあるのは暴力団の組長ですが、偽造品を中国から輸入して、稼いだお金が約2,800万円ということです。輸入しても税関で引っ掛からずにスルーしてきますと、非常に安く仕入れたものを高い値段で売ることができるということで、犯罪組織にとっての資金源となり得る。先ほど木村先生が言われたことと合致します。

 一番下に書いてありますように、日本では、偽造医薬品というとED薬ではないのかと思われがちですが、インターネットが普及してきますと、抗がん剤、生活習慣病の治療薬等の偽造医薬品が流通する可能性が高まってきます。今ここに摘発されたものは、表面化した氷山の一角と考えています。

 次のページは、製薬企業の偽造医薬品に対する考え方です。非常に一般化した考え方ですが、基本的には、製薬企業の使命としては、患者さんに有効かつ安全な医薬品をお届けすることが我々の使命です。一方、偽造医薬品が出回ってしまいますと、先ほどの木村先生のお話と少しかぶりますが、有効成分が不足したり、欠損したり、あるいは過剰なものがある。これは、患者さんの治療には役立つことができない。さらに、有害物質が混入されている場合がある。正しい薬だと思って服用したところが、変な成分が入っていて、それが特に有害物質の場合は副作用が起きる、極端な場合には死亡するということが起こります。それから、有効期限・用量表示の改ざん、水増し。有効期限が本来なら3年のところを、4年、5年と改ざんをすると、その分長く売ることができて、偽造医薬品業者はもうかる。それから、用量表示を勝手に変えることによって、高い値段で売る。あるいは、もともと50mg入っていたものを、別のものを水増しして半分にする。そうすると、もともとの値段の2倍稼ぐことができる。犯罪業者のいろいろな手段があるのですが、そういうことが行われる可能性があります。

 さらに、偽造医薬品とは少し違うかもしれませんが、正規品が不正に流通されるということがあります。日本の中ではこのようなことはまず起きないと思いますが、海外では、正規品が不正流通される、正規の流通経路から外れていろいろな所で販売される、あるいは、国境を越えて中東の国からアメリカで販売されるということが起きていまして、実際に摘発をしています。その場合には、医薬品というものは取扱いに非常に注意しなければいけないのですが、劣悪な環境下、例えば温度が非常に高い所、湿度が高い所で保存されてしまいますと、有効成分が失活する恐れがあり、正しい薬効を発効できなくなります。

 偽造医薬品が流通すると、先ほど言ったようなことが起きるのですが、製薬企業の使命が果たせなくなるということを、もう1回繰り返します。1番目に、偽造医薬品によって、正規の医薬品であれば治療できたはずの患者さんの治療機会の損失が起きる。2番目に、偽造医薬品により患者に健康被害が発生する可能性がある。3番目に、製薬企業への経済的な悪影響が出る。正規に医薬品を販売して得る収益等が得られなくなりますので、例えば新薬の開発が遅れる可能性があります。それから、最後に、正規品との区別が困難等の理由で、当該製品の市場からの回収を余儀なくされる可能性があります。その結果として、社会的混乱を来す。例えば、自分が飲んでいる薬は本物なのか偽造品なのかと、患者さんも疑惑を持ってしまう。それから、本来患者さんに供給すべき医薬品が供給できなくなり、その結果として治療の機会を失う。そのようなことが懸念されます。

 このように、製薬企業にとっても患者さんにとっても悪いことが多いので、製薬企業としては対策をとる必要がある。それを簡単にまとめたものです。1番目ですが、偽造医薬品・改ざん・不正流通を未然に防ぐということで、まず1つ目として、偽造されない工夫、偽造防止技術というものを製薬企業の医薬品の中に盛り込む。その結果として、正規品と偽造医薬品の真贋判定、本物なのか偽物なのかという判定を容易にする。2つ目としては、医薬品の流通経路は非常にセキュリティが高い状態にあるのですが、それを確保する必要がある。先ほどから言っていますように、日本国内の正規の流通経路は堅固なのですが、海外は問題がある場合がある。日本の国内においても、正規の流通経路から外れてしまうと、正規品として流通しているものにいつの間にか偽造品が混ざり込んでしまう、それが正規の流通経路に流れ込んでしまう等のリスクもあります。

2番目ですが、偽造医薬品を見付け出して取締りに協力するということを我々はやっています。まず1つ目として、偽造品あるいは不正流通品を探し出す。2つ目として、製薬企業間の連携。3つ目として、当局及び警察への捜査の協力や報告。これは、製薬企業各社が個々でやっていても、相手が違法にやっていますとなかなか見付けにくい。ところが、企業間で協力してやっていきますと、例えば1社が見付けたところに他社の製品があったら、その該当する会社に連絡するというような協力関係を築いて、最終的には当局及び警察に連絡して取り締まっていただける。そういうことを行っています。それから、最後に、これは大事なことなのですが、製薬企業の社員にも、偽造医薬品というものがあって、それを防がなければいけないという教育をしたり、医療関係者や患者さんに対する啓発を行っています。

 次は、「偽造防止技術:基本方針」と銘打っていますが、1つの考え方です。左側に、どんな技術があるのかを幾つか並べています。潜像、特殊なインク、UV発光など、いろいろなものが並んでいます。右は、セキュリティレベル、それぞれの技術がどれぐらいの防止技術の強さを持っているかを測ったもので、横軸がコストです。商品ですので、当然コストも考えなければいけない。一番下に書いてありますが、「対象製品のリスクに応じた偽造防止技術を導入する」と。非常に高価で、かつ、その製品が偽造されてしまうと患者さんの生命に直結するという場合には、コストを度外視してでも導入しなければいけないと考えています。

 先ほど申しました基本方針の中の、偽造・不正流通品を探し出すということでは、我々はインターネットを調査しています。いわゆるインターネット薬局です。これは、日本のということではありません。インターネットにアクセスしますと、世界中にインターネット薬局というものがあります。それをグローバルな観点から調査しますと、かなりの数の非合法なものの存在が報告されています。1つの調査結果では、90%以上が違法であるというような報告もあります。これは調査の仕方によっても違ってきますが、インターネットというものは、偽造医薬品の注目すべき流通経路です。

 我々はどのようなことをやっているかといいますと、まず自社のものでやるのですが、違法販売情報を収集・分析し、その販売業者の背後関係・ネットワークを調査し、どの部分に対策をとるべきかということを特定します。そして、効果的にそのオンライン販売を中止させる方法を決定する。サービスプロバイダーにサイトの閉鎖を要請する。決済の方法であるクレジットカードの会社に連絡する。さらに、必要に応じて強制措置をとる。こういうことを行っています。

 先ほど、製薬企業間の連携が重要であると言いましたが、PSI(Pharmaceutical Security Institute)という組織がありまして、これを通じた活動が活発に行われています。これは、2001年に米国で設立された非営利組織ですが、リリーさん、ファイザーさんなどの主要な世界の企業28社が現在メンバーになっていまして、企業と警察当局の橋渡しをして、捜査に協力しています。日本では、アステラスさん、エーザイさん、大塚さん、弊社武田が加盟しています。各社の事例をまとめた偽造医薬品に関する情報を発信していまして、下の写真は2012年のものですが、このようなレポートを毎年発信して、世界の企業間での協力関係を築いています。捜査に協力すると言いましたが、例えば中東の国のどこかの企業が捜査を始めて、他社の製品が見付かると、すぐ連絡が来る。そういうことをお互いにやっています。

 先ほどから啓発活動ということを強調していましたが、これは、ED治療薬を製造販売しておられる、ファイザーさん、バイエルさん、日本イーライリリーさん、日本新薬さんの活動のものをお借りしたものです。インターネット購入の危険を周知する活動を、この4社でやられています。1つはホームページを運営する。意識調査を実施して、結果をホームページ上に公開する。教育講演会を実施する。ポスターを作製して配布する。そのようなことをやられています。右側がポスターです。先ほどの木村教授からの発表に合致しますが、インターネットからED治療薬を購入すると、自分だけは大丈夫だと思っていませんかということで、実際に試験購入して調べますと、半分以上が偽造品であると。そのような結果も、ホームページを御覧いただくと記載してあります。

 次は、社会への情報発信ということです。私は製薬企業代表としての情報提供ですが、これは、たまたま木村教授に御講演いただいたときの写真がありましたので、その写真と、木村教授のコメントを掲載したものです。「グローバル製薬企業にふさわしいCSRの取組」と書いてありまして、「CSR」とは企業の社会的責任と書いてあります。本来であれば患者さんの病気の治療、健康の増進に役立つべき医薬品に対して偽造医薬品が出てきて、それを放置するということは、企業の方針としては駄目でして、企業の社会的責任として偽造医薬品に取り組むべきである、ということを発信しています。

 次は、日本製薬工業協会(製薬協)の会員企業の取組をまとめたものです。1つ目は、国際的な製薬企業の連合体であるIFPMAと、アメリカ、ヨーロッパの製薬企業の連合体とともに共同声明を発表しています。これは、インターネット薬局からもたらされる偽造医薬品の取締りの強化です。2番目は会員企業に対する実態調査の実施、3番目は偽造医薬品撲滅の活動の開始、4番目は公開講演会等を随時開催するということです。

 最後に、「まとめ」です。製薬企業が患者さんに有効で安全な医薬品を安定してお届けするためには、偽造医薬品の脅威への対策を強化する必要がある。繰り返しになりますが、市場がグローバル化しており、日本だけにとどまらない。それから、ものの流通が正にグローバルになっているので、網羅的な偽造・不正対策等を実施する必要がある。医療関係者、患者さんへの啓発。それから、これも木村教授の発表との整合性がありますが、処方薬は医療機関から買う、怪しい製品はメーカーに相談する、規制当局、取締当局への働き掛けの強化といったことに、製薬企業として取り組んでいます。

○西島座長 どうもありがとうございました。続きまして、事務局から、「偽造医薬品及び指定薬物に対する行政の取組について」ということで、お話をお願いします。

○稻川監視室長 資料5に従いまして、厚労省の取組をお話させていただきます。2ページですが、厚労省も、インターネットで実際に買ってみて調べるという調査をしています。平成23年度に、健康食品として強壮用、痩身用とうたっているものを調べましたところ、医薬品からしか検出されてはいけない成分が、このような形で検出されました。そういう意味では、かなり出回っているということだと思います。

3ページ、4ページは、お二人の先生のお話とかぶりますので、定義等、問題等については省略させていただきます。

5ページは「偽造医薬品に対する注意喚起」です。厚労省で、内外の情報を踏まえ、偽造医薬品等が出ているということであれば、このように省のホームページに掲げ、注意喚起をしているということです。中身については、お二人の先生からございましたように、EDの関係、強壮関係、抗がん剤、痩身用の薬ということで、ここにも注意喚起をしています。

6ページは、インターネットで販売するサイトの監視です。これまでは、厚生労働省、都道府県でインターネットのホームページを監視していましたが、限られた体制の中でしたので、十分にできていないところがありました。ただ、もし薬事法に違反するようなサイトを発見した場合には、国内のもので住所が分かるものであれば、都道府県等にお願いして、改善指導をしていただきました。海外の場合は、薬事法は国内法なので、その適用は海外のサイトには及びませんので、警告メールを発信し、可能であればプロバイダーに削除していただくという取組をしてきていました。

7ページは、個人輸入です。日本の薬事法は基本的に流通、製造や販売を取り締まる法律で、ある意味、個人が自己責任で買われるということについては、薬事法の射程の外になってはいるのですが、そういうものの実態調査をしたところ、複数回答ですが、購入方法ではインターネットが86%、輸入代行業者が67%という結果が出ています。

8ページは、去年の12月の臨時国会で成立した法律です。1番目は、医薬品の販売規制です。一般用医薬品については、適切なルールの下で、全てネット販売を可能にする。ただし、医療用から一般用に移ったばかりの医薬品や劇薬については3年間で移行するということで、3年間は対面で販売をする。いわゆるインターネット販売はできないということです。なお、処方薬については引き続き対面販売というルールができました。この新しいルールが、612日から施行されるということです。

2番目の指定薬物の関係については、これまでは製造販売等しか規制していなかったのですが、所持・使用を禁止するということで、罰則を掛けるということです。これは41日から施行されています。

9ページは、インターネットでの販売ルールを決める委員会の議論をまとめたポンチ絵です。専門家が適切に情報提供を行って販売する、店舗というベースがあるところで販売するということに加え、偽造医薬品や偽販売サイトへの対応もしっかりしていかなければいけないというのが、この検討会の結論でした。そういうことに取り組まなければいけないということです。

 次のページは、平成26年度からこのようなことでやっていきたいということです。先ほど、木村構成員から、きちんと許可を得たサイトで買いなさい、ということがありました。インターネット販売をする場合には都道府県に届出をしなければいけないのですが、その情報を厚労省で集めて、厚労省のホームページに、全てのネット販売を行う事業所一覧を載せる。それによって、ここであれば許可を受けて届出をしている業者だということが分かるようにする。そのようなことをやりたいと思っています。

 右側は、薬事監視のお話です。大きく分けて2つの柱があります。○1は、今年度から、厚労省や都道府県だけではなくて、新たに外部の専門の業者にお願いし、インターネットのパトロールをするということです。例えば、特定の言葉を入れて、引っ掛かったものについて調べて、それが薬事法違反であれば対応をする。このような事業が1つです。○2は、国民の皆さんへの普及・啓発です。「あやしいヤクブツ連絡ネット」という場を活用して、そういう情報の普及・啓発を図っていこうと考えています。

 その結果、国内の販売サイトが違法な状況であれば、都道府県にお願いして監視指導していただき、それでも改善しないようなケースであれば、プロバイダー団体等にお願いして削除してもらう。海外については、薬事法の直接の規制は及びませんが、海外から日本向けに日本語で売っているサイトに対しては、警告メールなどを出し、改善がなければ、海外のプロバイダーとも連携しながら削除するようなことができないかと考えています。

11ページは今のことを言葉にしただけなので省略しますが、1点だけ。下の「報告書を受けた対応」に「平成2641日より開始する予定」と書いてありますが、これは既に開始をしています。能動監視作業がもう既に開始されているということで、訂正をさせていただきます。

12ページは、「あやしいヤクブツ連絡ネット」です。啓発ホームページとコールセンターで情報収集を行って、それを適切に消費者等に啓発していこうという事業をやっています。13ページが、その連絡ネットのホームページの写しです。

14ページですが、これから無許可の販売サイトが見付かった場合には、厚労省のホームページで積極的に公表していこうということです。こういうものに対しては厳しく対応していこうと思っています。15ページですが、通報窓口等を設け、何かあったらそこに通報していただければ行政が動くということをやっていこうと思っています。

16ページに「個人輸入」という言葉が出ています。原則、日本では、他人に対して授与・販売する場合には許可を受けた業者が行うことになっています。実際に海外から輸入をする場合があるのですが、その場合には、輸入の時点で、本当に個人で使うものなのかということを判断しています。

 個人で使用するのが明らかな量、例えば1か月分ぐらいの量でしたら、税関を通ることになります。ただ、個人が多量に輸入して、とても1人で使うとは思えない場合や、医師が患者に使用する場合、あるいは、ちょっと危ない医薬品まがいのものを輸入する場合については、個別に、他人への販売・譲渡をしないということを確認する手続をとります。これを「薬監証明」と言っていますが、それを持って税関から通関されるという状況になっています。現実問題としては、先ほど木村先生がおっしゃったように、入ってきている状況があるので、その辺りをどうしていくかというのは、かなり重たい課題だと受け止めています。

17ページ以降は、脱法ドラッグ、いわゆる指定薬物の関係です。現在、覚醒剤や大麻に化学構造を似せて作られた物質などが「合法ハーブ」とか「お香」という形で、いかにも違法ではないような感じで売られていることがあって、若者を中心に乱用が見られているということがあります。これによって健康被害が発生したり、これを切っ掛けに麻薬や覚醒剤につながっていく恐れがあるということで、指定薬物として指定して、監視・指導を行っているということです。

 具体的には、飲んだ方が路上で暴れて保護されたあと亡くなるケースや、吸引した方が運転して交通事故を起こし、一般の市民の方に危害を加えてしまうということも起きています。そういう意味で、これは看過できない状況になっているということです。

18ページは、脱法ドラッグの現状と取組です。こちらもインターネットで売られるケースがあって、広域的に売られている、暴力団等の犯罪組織の資金源になっていることがあるということです。化学構造を少し変えただけで新たな乱用物質がどんどんできてしまっているということがあるので、イタチごっこ状態が続いているということです。さらに、合法ドラッグを使っても罰せられないとか、国民に十分知られていないということがあります。

 我々としては、指定薬物に指定しますと、これまでも製造・輸入等が禁止され、今年の4月からは所持・使用が禁止されますので、これをできるだけ速やかに指定をしていくということです。平成244月は68物質でしたが、2年たった現在では1,370物質まで増えてきています。

 次のページに「包括指定」ということがあります。昔学校で習った亀の子の図が書いてありますが、その亀の子の構造を少し変えるだけで、どんどん作り変えてしまうので、こういう構造のもので少し変わるようなものをまとめて全部指定してしまおうということで、包括指定ということをやっています。

 去年の通常国会で、いわゆる麻薬取締官及び都道府県の麻薬取締員に対しても、指定薬物に対する取締権限が付与されました。これは去年の101日から施行されていまして、各都道府県の警察などと連携をとりながらやっているということがありますし、今年の4月からは指定薬物の所持・使用が禁止されるという状況です。

20ページは、「指定薬物について」です。薬事法上、指定薬物というもの、具体的には精神毒性、幻覚や中枢神経の興奮・抑制を行うような蓋然性が高いものについては、指定薬物として指定して、製造、輸入、販売等の流通にかかる行為を禁止してきました。今年の41日からは、単に流通だけではなく、所持や使用をすること自体を禁止することにしました。これからは、こういうものをより迅速に取り締まっていきたいというのが、私どもの今の状況でございます。

○西島座長 ありがとうございました。今、3人の方から御報告いただきましたが、その御報告について質疑応答ということで、しばらく時間を頂きたいと思っております。中身としては偽造医薬品と指定薬物がありましたので、それぞれを分けて進めていきたいと思います。まず、偽造医薬品に係る木村構成員及び猪狩構成員からのお話、あるいは事務局からのお話について、何か御質問、御意見等がございましたらお願いします。

○生出構成員 薬剤師会の生出です。いよいよ612日から一般用医薬品のインターネット等の特定販売が解禁されますが、昨年の111日から続いていた不法な状態ということに終止符が打たれるということでは評価できるのですが、国民の皆さんに健康被害が及ばぬように、日本薬剤師会では、これまでも対面による販売の重要性、有用性を訴えてきておりました。ただ、国にお願いなのですが、今後、改正薬事法がどうしてこのようになっているのか、また、厚生労働省から説明があった9ページにあるような専門家の関与であったり、店舗での販売であったりというネット販売のルールについて、是非、国民向け啓発活動に予算を取っていただいて、十分な啓発活動をしていただきたいと思っております。

 思い起こすと、20113月にアナログのテレビ放送が終わりますよというのが、総務省だと思うのですが、毎日コマーシャルをやっていたのですが、そこまで金を掛けてほしいことはほしいのですが、是非、そのような形での啓発活動をお願いしたいと思っております。また、偽造医薬品についても、日本では卸の流通が毛細血管のようにきちんとされていて、店舗で販売されることは、薬事法そのものは、私は売り逃げができないための法律だと思っていますので、その法律に鑑みて、監視の強化もお願いしつつ、啓発活動を是非強化していただきたいとお願い申し上げます。

○西島座長 ありがとうございました。これについて事務局から何かお答えがありましたらお願いしたいと思います。

○稻川監視室長 今、御指摘いただきまして、確かに地デジくらい予算があるか知りませんが、できる範囲でやる。あとは都道府県と連携しながら、監視をやっていきたいと思っております。

○西島座長 そのほか、どうぞ。

○矢野構成員 三菱UFJの矢野と申します。今の御質問にも関連してなのですが、木村先生の13ページに、強力な教育・啓発が必要ということで、これは具体的にどうやっていくのかというところが、今日の大きな課題だろうと思います。これは意見なのですが、最終的には消費者のリスク感性をいかに磨いていくのかが重要だということ。あと、見えづらいものを見やすくする見える化の問題があって、これが基本的に偽造医薬品かもしれないといった疑いのあるものをしっかり見える化する。それは技術サポートなのかどうか分かりませんが、そういったことで、例えば木村先生及び猪狩様のほうで、何かそういう見える化に向けた話と、リスクアプローチ、リスクは多分ゼロにはならないので、最終的には出るのですが、129300にあるようなハインリッヒの法則で、多分氷山の一角になっていて、いろいろな問題が起きている中で、そういった300というリスクをヒヤリハット的に見つけて、買わない、買わせないというような、そういうリスク感性の教育・啓蒙ということに関しては、どういう方向があり得るかというところを、御意見があれば、他の先生方でも結構ですが、一番重要なポイントかと思いますので、お話しいただければと思います。

○西島座長 それでは木村構成員から御意見がありましたらお願いします。

○木村構成員 実は一朝一夕にできる方法はなかなかないのではないかと思っています。1つは、日本人は非常に教育レベルが高いのですが、薬のことは全然知らない。大学を出たような人でも、薬学部や医学部を出ている方は別として、理系でも、工学部系を出ている方は薬のことを全然知らないのです。例えば、糖尿病の薬を飲んでいるから、好きなだけ甘いものを食べてもいいとか、そういうように思っていらっしゃって、これはやはりそもそも国民に対する薬の教育がすごく少ないのではないか。ですから、去年、一昨年ぐらいから中学の指導要領の中に入って始まりましたが、それをもっと小学校や中学、高校と何回もやるとか、内容も深めるとか、そこがまず一番大事かなと。そして薬はきちんと飲まないと大変なことになるし、きちんとした薬を買わないといけないというところを、そこで教育すべきだろうと思っております。

○西島座長 猪狩構成員から何かございますか。

○猪狩構成員 木村先生と私は同意見なのですが、個人的な意見としては、日本の場合は皆さん教育レベルが高いのですが、薬に関しては医師、薬剤師等の専門家に任せているということがあって、薬はもう我々は考えなくてもいいのではないかというような、もしかしてそういう発想があったのかなという気がいたします。それとインターネットが最近普及してきて、私もときどき使うのですが、医療用はもちろんできませんが、先ほどあったOTCに関しても、今は薬局に行って相談して、それがインターネットで買えるという事態になったときに、どれだけ危機意識、リスク意識が保てるか、そこはやはり啓発していくしかないと考えています。

 それともう1つは、肝炎の被害のときに出ました、薬害教育を企業においてもやるということで、製薬企業の中でもいろいろな手段を用いまして薬害教育をやっているのですが、まさに中学校の教科書にも薬害が出ている。薬害というのは別に薬が危ないと言っているわけではなくて、薬を使う場合に非常に注意をしなければいけない、リスクを持ったものであるという、そういう教育を徹底していく必要があるかと考えています。もちろん製薬企業においても、先ほど申しました社会に対する啓発活動を引き続き行っていく必要があると考えています。

○西島座長 私からです。木村先生からのお話で、中学校、あるいは高等学校での教育の場ということになるのですが、私は薬科大学におりますが、昔は薬科大学を出ると教職員の資格を取る人が結構いたのですが、今はうちの学校では、そういう制度がなくなって、薬学を出た人の教育の場への進出が全然ないのです。それは大変困ったことだと思っております。木村先生の大学ではどうですか。

○木村構成員 薬学部の人は教職を取るなどと考えていませんし、教職の単位を取るためのそんな暇はないです。国家試験を受けるのでもう手いっぱいです。

○西島座長 でも、以前は取っていた人がいるのですよね。

○木村構成員 わずかですがいましたね。

○西島座長 それが全くなくなったというのは、大変私は問題だと日頃思っています。

そのほか、強力な教育について、何か御意見はございますでしょうか。

○片木構成員 がん患者会の片木です。私は患者の目線からお話させていただきたいと思うのですが、2011年の医薬品等制度改正検討部会のときに、偽造医薬品に対してはきちんと対策を何らかの形ですべきではないかという意見を言わせていただいていたので、やっと3年たってこういう場がもたれたことは、ものすごい前進だなとまず感謝申し上げたいと思います。私たちがん患者というのは、長年ドラッグラグという問題と向き合ってきて、海外で承認されたお薬を自分の生命と向き合ったときに、どうしても輸入をしてでも使いたいという患者はものすごく多いです。だから、個人輸入というものに対して、余り抵抗なく輸入してしまうという患者がいらっしゃる一方で、私などは代表として海外の患者会とやり取りをする際に、海外の患者会からはベバシズマブで偽造品が出ているという話とか、そういうことを患者会も啓発していこうよというような意見が既に出始めているという現状があって、すごく危機感を持っているのです。個人輸入を選んだ患者に、危ない薬もあるんだよ、輸入代行業者は本当に信用できるのか、輸入したお薬は本当に正規品なのかということを確認しても、患者は、そういう話ってあるんですかと、全くもって偽造品が混じっているという意識がまずない。日本にあるそういう輸入代行というホームページを出している所が悪さをするはずがない、ましてや自分がそういうものに引っ掛かるはずがないという、そういう意識をお持ちのような気がするのです。ですから、強力な教育・啓発が必要だと思うのですが、教育・啓発だけで防げるのかというと、ものすごく疑問を持っています。

 例えば日本製薬協さんなどもテレビ局の方と一緒に、臨床試験、薬ができる仕組みをもっと知って、治験に協力しようというような意味合いの番組をやっていても、やはり見ている患者は興味がある患者だけであって、一般の方はそこに興味をなかなか持ってもらえないのだということを、インターネットとかを見ていて感じたりしていて。テレビを利用しても、アンテナに引っ掛けてくれる患者はすごく少ないかなと感じるので、教育・啓発をするのと並行して、やはり制度もきちんとやっていかないといけない。その上で、例えば個人輸入に関して、何らかの制度で偽造品が紛れ込まないようにするということをやっていく一方、やはり薬が必要な患者はどうしてもいるので、その際に、患者が正規品の薬にアクセスできるという仕組みを作っていくことが必要です。

 例えば厚生労働省などは先進医療に関して、もっとスピーディに取り組んでいこうではないかということで、先日抗がん剤部門でも立ち上げていただいて、がん患者としては感謝しているのですが、そういうものに関して、患者がもっとアクセスしやすくなったりとか、そういうところにきちんと正規品の薬でやってもらえるのだということを、もっと認識してやっていただくようなこと、それが難病にももっと広がっていくようなことをやっていかないと駄目。いわゆる未承認のものとか個人輸入を今患者がせざるを得ないようなものに関しては、きちんと医療の現場で治験や臨床試験という形でやっていただけるような、そういう仕組みを作っていかないといけないと思います。

 すごく長くなりましたが、教育・啓発と、臨床試験をやっている医師でも、倫理に関して教育をしなければいけないと、もう10年前から言っているのに、未だに倫理指針違反が起きている。何の教育をやっているのだと私などは憤りを感じるのですが、教育・啓発をやっていこうといっても、全然教育されていないという現状が、教育がなかなか浸透しないというような現状がある中で、教育・啓発、教育・啓発というようなきれい事でしかないのではないかと思うこともあるので、そういう教育・啓発の方法を研究するような、研究者が焼け太りするようなものではなく、実際に本当に教育をやつていかなければいけないという意気込みで、ここは議論しなくてはいけないと思うのですが、それが意見です。

○西島座長 ありがとうございました。それではまず、3人の方への御質問ということではもうよろしいですかね。

○片木構成員 すみません、教育・啓発とともに、そういう制度の必要性は先生方が感じていらっしゃるかというところを、もっと詳しく、どういう制度が必要と感じていらっしゃるのか、逆に聞きたいです。教育に関してはものすごく御意見を頂いたので。

○西島座長 どうしましょうか。今の点は、御質問の後に意見交換ということにしたいと思いますので、今は3人の方に対しての御質問ということでお受けしたいと思います。

○生出構成員 木村先生にお尋ねしたいのですが、アメリカの偽造医薬品対策等々があって、例えばドメインームにドット・ファーマシーという名前を付けると、そこは国際薬剤師薬学連合が承認した薬局だから、絶対に大丈夫ですよとか、あとはもう1つ、なかなか日本に偽造医薬品がこないのは、日本語の文字が偽造しにくいのではないかと個人的には思っていたのですが、その辺、現在の状況について教えていただきたいと思います。日本語表記の偽物はいっぱい出ているのですか。

○木村構成員 個人輸入とか、暴力団が絡んで特定の医薬品を大量に輸入するとか、そういうことを除いては日本は比較的まだ恵まれた状況にあるかとは思っています。ただ、私が心配しているのは、アメリカとヨーロッパが急激に規制を強化したので、その効果がもう近々に数年のうちに上がってくると思いますので、そうなるとアメリカやヨーロッパからはじかれてしまって、次はどこで稼ごうかというと、どこに行くのかなということで、今後は今までのようにのん気ではいられないかなということは心配しています。

○西島座長 人聞きですが、今、生出構成員がおっしゃったように、日本語だと今のところラベルなどもインターナショナル的には作りにくい、ということは聞いたことがありますが、木村先生、そんなことがありますでしょうか。

○木村構成員 海外に私は医薬品のサンプリングに毎年行っていますが、そこで日本語の表記のある薬を売っているのですが、パッと日本人が見ると、見るからに偽物の日本語です。そういう意味で、日本人でない人が一生懸命に頑張って作ると、なかなか難しいのかなと思います。

○西島座長 時間が限られておりますので、今、偽造医薬品について質問を承りましたが、厚生労働省から指定薬物のお話がございましたが、指定薬物について、何か御質問があったらお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○生出構成員 不正薬物を所持しただけでもということに41日からなったということは、非常に評価できると思いますが、だんだん薬物というのが低年齢化しているかと思うのです。そういう意味で、我々日本薬剤師会ではホームページでも紹介しておりますが、全国に17,000ある学校の学校薬剤師が中心になって、薬物乱用防止であったり、小中校生におけるくすり教育の一環としての勉強会であったり講習会であったり、更には政令指定都市薬剤師会というのがあるのですが、一斉に薬物乱用防止キャンペヘーンを、これは横浜の例ですが、こういうのを作って、とにかくゲートウェードラッグになるような軽いものと思って手を出して、どんどんひどくなっていくよというようなことを、これこそ教育が一番大事ではないかと思っております。そこで1つ厚労省にお尋ねしたいのは、薬物乱用防止センターというのがあり、そこでキャラバンカーとかがあって、いろいろな防止活動をされていると思うのですが、そのような現状がもし分かれば、どのようになっているかということ。子供たちにきちんと教育していくためには、厚生労働省と文部科学省と、警察庁も一緒なのかもしれませんが、連携して進めていかないとと思います。私から言いたいのは、もっと学校薬剤師をうまく活用していただきますと、いろいろな子供たちへの教育がスムーズにできるかなと思っています。

○西島座長 厚生労働省からお答えをお願いします。

○稻川監視室長 ちょっと今正確な数字を持っていませんが、この薬物乱用防止予防センターが、私どもの委託事業として各都道府県の小中学校等に行って、いろいろな啓発活動を行っておりまして、恐らく去年1年間だと1,000校ぐらい行っているはずです。今年は入札の関係で業者が変わってしまったので、また違うやり方になると思いますが、そういうことでやっているということだけお伝えしておきます。

○生出構成員 こういう大事な時期に、確か予算がどんどん削られていっているようなことを聞いたものですから、これは国の政策としては逆の方向にいっているのではないかと思って、もっと強烈に予算立てをしながら、大事な事業だということをアピールしてもらいたいなと思って、発言しました。

○西島座長 ほかに指定医薬品について。

○家田構成員 今のことに付け加えるような形になるかと思いますが、いろいろな薬物の防止のキャンペーンの催し物があり、そこで予算がもう少し広く使われたらいいなと思うことがあります。それと、生徒たちがそういうキャンペーンに来てくれることがあるのですが、お利口さんばかり来て、選ばれた人ばかり来てしまう。本当にその話を聞いてもらったり、教育を受けてもらいたい子たちが来ない。選ばれたお利口さんの生徒ばかりがちゃんと座っている。そういうのでなくて、もっと本当に学校の生徒全員に教育が行き渡るようにしていただきたい。親たちも、うちの子に限って、うちの子は関係ありませんとか、うちの子は奥手ですからとか言って、親が拒絶をしている場合もありますので、薬物教育の大切さをもっともっと広めていただきたいと思います。

○西島座長 ほかに何か御質問はございますか。私も先ほどの乱用防止センターのキャラバンカーが減らされているという話は聞いていて、非常に残念だと思うのですが、是非、今減らされそうになっている予算について、この場の皆さんの総意だと思うのですが、断固、何とか盛り返すようにしていただければと強く思っています。

 それでは御質問ということに関しては、以上で切り上げまして、大変時間が限られていますが、これから意見交換ということで話を進めたいと思いますが、これについても偽造医薬品と指定薬物を分けていきたいと思います。教育問題ということでかなり共通しているところが多いので、特に分けることができないようであれば、それは仕方がないと思いますので、一応、まず偽造医薬品について、今日のお集まりの構成員の方々から、御意見をお願いしたいと思います。既に御意見のようなものをいただいた方もおりますが、その方も含めまして五十音順にいきたいと思いますが、安藤構成員から何かありましたら。

○安藤構成員 本日のお話を伺いまして、偽造医薬品というのはいろいろなものがあるということを理解いたしました。偽造医薬品があるということはそれだけニーズがあるということで、がん患者さんのように、日本で認められていないお薬がどうしても欲しいという方もいらっしゃれば、安易に痩せたいとか、昨今は美容と医療が混同しているような感じが私はしていて、そのあたりのモラルの欠如も、こういった偽造医薬品が蔓延する理由の一つなのかなと思います。実態として偽造医薬品というのをもう少しカテゴライズするというか、それに対する対策を組んでいくのがいいのではないかと感じました。

○西島座長 家田構成員、先ほど教育について御意見を頂きましたけれども、ほかに何かありましたら。

○家田構成員 更に教育で申し上げると、薬物のほうでは「大麻なのだから、大丈夫」というのがずっと蔓延してしまっています。合法だから大丈夫ということで、ティーンの子たちが手を出しているというのがありますから、指定薬物についていっぱい宣伝をしていただきたいと思います。それが広まっていけば自然と頭にも入ってくると思います。

 それともう1つ、私はバイアグラの取材をかつてしました。そのときに、使っている人たちに、なぜ使うのかインタビューをしていったのです。「どういうのを使っているの」と聞くと、「300mgだ、100mgだ、ネットで買った、友達に頼んだ、息子に頼んだ」などと言っていました。まず対面で買いにくい。それからお医者さんの所に行きにくい。恥ずかしいという理由から、偽造医薬品に手を出してしまう人がとても多いと取材していて思いました。もう少しお医者さんに行きやすいような状況と、そういうものを扱っていますと、髪の毛の薬とかも扱っていますというのと同じように、製薬会社にもお金を使っていただいて、もっと宣伝ポスターなどを医院に貼っていただけたら話をしやすいかなと思うのです。インターネットも見ない、雑誌なども見ない人たちが結構、EDに関しては使っている方が多いなと感じたものですから、自然に目に入るような工夫をしていただいて、あと相談しやすいお医者さんがもっと増えるといいなと思います。

○西島座長 貴重な御意見だと思います。何か追加はございますか。

○猪狩構成員 今の家田構成員のお話に追加ではないのですが、バイアグラ等のED4社、弊社ではないですが、ED4社に関しては気をつけてくださいということはやって、あと記憶が曖昧ですけれども、こういう所で扱えますというのをインターネットでは言っているのです。今のポスターを貼るというのは、もしかしていい方法かもしれません。

 あと追加で、ちょうど今、資料6も見ていたのですが、偽造医薬品の1つのルートとしてインターネットだけでなく、Social Network Service(SNS)ということで、facebooktwitter1つのルートになりつつあって、かなり今、こちらに我々も目を向けています。こういうところも今後、監視の対象にしていこうと私どもの会社では考えています。これは指定薬物にも関係しますけれども。

○西島座長 ありがとうございます。市原構成員から。

○市原構成員 薬の教育の問題というのは、やはり難しいなと思っているところです。私は薬学出身なのですが、実際に自分のことを考えてみると、薬というのを意識したのは確かに大学に入った頃からです。その前は風邪が治るものとかそんな程度でした。そういう意味では、ようやく薬害教育が義務教育の中に入ってきたという時期でもありますので、そういう国民みんなが関心が持てるような機会を増やしていくという、草の根みたいなことをやっていく。また、日本人はとても性善説の人が多くて、悪いことをしている人はいないだろうみたいな感じも結構あるのではないかと思います。そこは啓発をしていき、危ないものもあるということを、より多くの機会に言い続けることが大事なのかなと思ったところです。

○西島座長 ありがとうございました。今福構成員。

○今福構成員 私は多分、この中で唯一、取り締まられる側にいるのではないかと思いますが、木村先生から犯罪の温床になり得るというか、個人輸入代行業者の1社ですけれども、私どもは厚生局の薬監証明を取得して、原則的には日本で承認されていない医薬品を、お医者様だけにお届けするということをしています。私どもの会社に個人の方から、こういう薬剤を輸入したいという問合せが結構ありますが、私どもではお手伝いできませんとお断りしている状況にあります。また海外の製薬会社からも、私どもは代理店権を取得しているものもあって、逆に日本の市場で当社の偽薬が出ているようだけれども、これを調べてくれないかと言われることが結構多いです。そのような中、処方箋薬というのは医師だけにしか海外でも販売していないという状況を丁寧に説明し、気軽に一般の方が買えるというのは海外でもないという教育は必要ではないかと、取り締まられる側でもそう思っていますので、是非、拡充していただければと思っています。

○西島座長 今の点で、お断りしたということですけれども、そのときには単純に断るだけですか。更に何か別な方法があるとか、そういうサジェスチョンをしてあげるようなことはされないのでしょうか。

○今福構成員 私どもは医療関係者ではないので、そういうような薬効についても御説明できませんし、違法な調達方法を助長するような方法はしないようにという御指導も受けていますので、基本的には海外で処方箋薬というのはお医者様でしか入手できないものですし、それを調達するというのは、お考えになったほうがいいのではないですかという程度しか御説明していません。

○西島座長 生出構成員、何かありますか。

○生出構成員 私が本とか家電品の買物をネットでしようと思っていても、最近、一番怖いのは、偽サイトが蔓延しているから、私どもの会社の偽サイトに気をつけてくださいという表示ばかり出るので、そのような監視の強化がこれからますます必要になってくるのかなと思っています。6月からはOTCのインターネットも解禁になりますが、医療用医薬品のネット販売だけは、絶対できないようなシステムを作っていかないといけないと思っています。

○片木構成員 片木です。一応、質問のつもりで先ほども質問させてもらったと思いますが、意見と取られてしまったので意見と取っていただいて結構ですけれども、私たちは教育・啓発だけでは無理だと思っているのです。患者さんの話を聞いたり海外の患者会ともやったり、そこの中で規制というのと、逆に患者さんにいかに薬を届けるかという制度のほうを考えないとやっていけなくて、ここが教育・啓発の話だけをするのだったら意味がないのではないかぐらいに思っています。以上です。

○西島座長 今のは制度を作るということですよね、教育だけではなくて。

○片木構成員 制度としてどういうものが必要なのか、そういうところにもコミットしていくというか、意見出しをしていかないと意味がないのではないですか。もちろん、教育・啓発も必要だと思っていますが、それと並行して制度づくりとかをもっとしていかないと防げない。私が一番望んでいるのは患者さんを守ることなのです。苦しんでいる患者さんを守ることと、早く適切な治療を受けてほしいということなのです。そこを考えたときに、教育・啓発だけではあかんというふうに思っているという、それだけなのです。

○西島座長 具体的には、先ほど正規品にアクセスするにはどうしたらいいかという、そういう方向での制度ということも1つということですかね。

○片木構成員 思いますし、例えば個人輸入に対しても海外では制限している国がある一方で、コンパショネート・ユースというものが保たれていたりとかするのです。そういう制度についても意見を出していかないと、患者さんを救う、困っている人を救うということにはならない、助けるということにはならないというふうに思うし、私もがんになりましたけれども、どんどん患者は闇に潜っていくと思います。どんな手を使っても薬にアクセスしたいとなっていくと思うので、逆に悪化するのではないかと思っている次第です。

○西島座長 厚労省のほうから、何か今の点につきまして考えがありましたら、お願いします。

○赤川監麻課長 私の立場から余りコメントをするべきものでもないかもしれませんが、私、前職で審査管理課長をやっていましたので、アクセス問題というのは医師主導の治験といった、正に薬事法の世界の中でどういうふうに未承認薬等を患者さんに届けられるか。そういう道筋が描けるかということで徐々にではありますけれども、今、制度的な対応も、そういう面で模索しているところです。また、一方で臨床研究の問題も御案内のとおりのような状況ですけれども、一方でそういう研究の進め方の適正化という問題もあろうかと思いますので、今後、そういった未承認薬等のニーズも踏まえて、私どもも適切に対応させていただきたいと思っています。

○西島座長 木村構成員、追加で何かございましたら。

○木村構成員 私は個人輸入の医薬品の調査を厚生労働科学研究でやらせていただいて、今日は偽造医薬品の話だけしましたけれども、個人輸入される医薬品の問題点は偽造だけではないのです。全然資格のない人がいきなり外国の末端商品を売ってきたり、そもそも誰も評価していないような物を薬として売ってきたりとか、非常に対応が悪いです。医薬品がインターネットという、近年、急に伸びてきたツールを使って国際的に自由に流通している。これは、各国がせっかく作っている薬事法という制度を踏みにじっているし、全くないがしろに流れているもので、日本だけで何とかできるものではないですから、是非、国際協力のもとに、ネット上で国際流通する医薬品のセキュリティを確保することに努力する必要があると思っています。

 私は片木構成員が言われたことに賛成で、必要もない人が遊び心で、あるいは医者に行くのが恥ずかしいからということでネットの個人輸入に頼ることは、極力できないようにするぐらいのつもりでいいと思いますが、一方で、本当に医療上必要とされる方がちゃんと手に入るような仕組みを作って、どこどこにその相談を持って行けば対応してくれるという所を作るとか、何かそういう二分化をする必要があると思っています。以上です。

○西島座長 ありがとうございました。桑子構成員、お願いいたします。

○桑子構成員 私は違法・有害情報相談センターの立場で、今回の会合に出させていただいていますが、ネット関係については違法・有害情報が氾濫しているというのは御承知のとおりです。国としての相談センター、実際は総務省の委託という形をとっていますが、例えば学校の誹謗中傷とかネットいじめ等の問題も含めて、そういったものを受けている機関の立場で今回、出させていただいています。また通信業界の立場で、これまでインターネット関係の違法・有害全般のガイドラインとか、契約約款等の取りまとめをしてきていますので、その立場でもこの会合に出させていただければと思っています。

 ネットについては御案内のとおり、現在、スマホが急増していますから、急増に伴って子供たちを含めて低年齢化という状況の中で、本当に様々な問題が出ていると考えています。今回のこの会合については、薬事法の改正に伴い、ちょうど6月からネット販売というものが動き出すわけですから、ある意味で先ほどから議論に出ている教育・啓発という観点で、このタイミングが正にいいタイミングかなと考えていて、キャンペーン等を含めてしっかりと国民に周知し、理解いただくということに役立てる必要があるかなと考えています。

 それから、インターネットについては、御案内のとおり非常にグローバルな問題でもあります。本日のデータを拝見していても、国内の問題より海外サイトの問題のほうが多いのが実態と考えています。特に海外サイトということになると取締り等を含めて非常に難しい現状があるかと思います。したがって、今後、いわゆる偽造医薬品、指定薬物という話で議論するとなれば海外の状況がどうなっているのか、どんな取組をしているのかも非常に参考になるところだと思っていますので、その辺も含めて、こうした場で議論ができればよろしいかなと考えています。取りあえず以上です。

○西島座長 今のグローバルになっているという点で、グローバルということに向けた対策として何か考えられるところがありましたら、御意見を頂きたいと思います。

○桑子構成員 グローバルということになりますと、私自身、総務省や警察庁を含めていろいろな会合に出させていただいて議論してきていますが、その点に関しては非常に難しい。それぞれの国ごとに法規制の仕組み等も異なるところがありますので、それがネックになっているという問題が非常に多いのが現状と考えています。各国とも、今、この辺の問題で悩んでいるのが現状かと思います。

○西島座長 それでは次、金野構成員。

○金野構成員 言いたいことは、教育の重要性ということは私も同じなのですが、法律家の立場から考えますと、例えば大麻を使っていいか、所持していいかどうか。違法性の認識がなくても法律的に言えば、事実だけを認識していれば、それは有罪であるという考え方になるわけです。同じようなことを例えば著作権侵害のケースでよく思うのですが、何が著作権侵害行為かどうか。教育を受ける機会がないまま大人になり、いきなり「あなたのやったことは違法です」として逮捕されるのは非常に問題だと思っています。やはり義務教育の小学校や中学校のときに、何が指定薬物で、それをどうしてはいけないということを教わる機会が全国民にないと、これは問題であると考えています。

 そうすると、キャラバンカーを使ってキャンペーンをやるのも重要ですが、それは全ての子供たちに対して隅々まで行きわたらないと、私は意味がないと思っています。そうすると予算がという話になりがちですが、インターネットを悪者扱いしないで、例えばそういうPRDVD1枚作ってオンデマンドで流すことをすれば、そのDVDを作る費用だけで、そこから先はかからないと思います。例えば学校の体育館で大きなプロジェクターで全員に見せる。それもオンデマンドで流せば流すところはタダなので、そんなにお金のかかることではないと思います。こうやって広い意味での法教育を隅々まで、全ての子供たちに届けていったらいいのになと日頃から思っています。是非、そのような形で全ての子供にこういったことを知る機会を与えていただければと思っています。

○西島座長 ありがとうございます。確かに今時、安くできますよね。そういうことを使っての教育、普及、啓発というのはどんどんやっていけばいいかと思います。

○金野構成員 そうですね。今、DVDとかオンデマンドと言いましたけれども、極端な話、ニコニコ動画とかYouTubeにアップして、それを見るだけでもいいのかなと思っていますので、安くやる方法はいろいろあるのではないかと思います。

○西島座長 それでは次、お願いいたします。

○早乙女構成員 東京都の早乙女です。私からは東京都の悩みを2つほど。今、金野先生も教育を、いろいろな所に向けて発信していったらいいのではないかというお話をされました。先ほど家田先生が、本来必要な所に届いていないのではないかというお話をチラッとされていました。東京都でも、薬の購入方法とか違法(脱法)ドラッグについて、いろいろな啓発活動をやっていますけれども、本来必要な方に届いていないのではないかという悩みがあります。特に学校にアクセスできないような方にはなかなか届きにくい。今、行政が中心で啓発活動をやっているのは、どうしても小学校、中学校、高校、大学といった所が中心になってしまいますので、そこがひとつ悩みがあります。東京都でもニコニコ動画やYouTubeなどを、今後活用しようと考えていますけれども、そこがまず1つ悩みです。

 もう1つ、先ほど予算の話が出ていましたが、東京都でも、こういった啓発活動の予算を少しでも増額してもらおうと予算担当と折衝するのですが、そうすると、成果を見える形で出せと言われるのです。極端な話、数字で出せと、これは非常に悩ましいのです。ですから、こういった会を通じてまた何かいいアドバイスを頂けたらと思っています。

○西島座長 ありがとうございます。それでは寒川構成員、お願いいたします。

○寒川構成員 私は大阪府で薬事を担当する薬務課長をやっていますが、東京都さんの悩みと同じようなものを抱えているということがあります。ただ、今回、この偽造医薬品、それから指定薬物の関係ですけれども、薬事のほうで担当してくれていた流通規制ですね、製造から販売に至るまでの業務に関する規制の部分ですが、非常に堅固な規制であったと私は思っています。そのお陰で医薬品の販売店等では、専門家から患者さんへ薬品を出すことが行われていましたから、それを前提に組み立てられた法律だと思っています。ですから、偽造医薬品が正規の流通過程を通って来ることは稀であって、日本ではほとんどないという現状だったと思っていますが、ネット販売が認められることになってくると、結局、販売店サイドまでは規制の網に乗っていますけれども、そこから先の部分です。直に医薬品を患者さんに渡すところについては、許可を受けていない方々が間に介在してくる状況になってきていますから、そういう意味では規制が緩くなってくることを国民に伝えておかないと、そういう状態なのだということが分からないです。特に医薬品については有効性にしろ安全性にしろ、自分で商品を見て分かるものではありませんから、その部分については一定の専門家の介在が必要であったと思っていますし、そういう意味での啓発の重要性は分かります。

 我々も、偽造医薬品については実態上、そんなになかったということでセキュリティを進めていない部分がありますが、あとで出るでしょうけれども、指定薬物の関係では合法ドラッグと言われた、違法ドラッグですけれども、それについての啓発が重要であるという考え方のもとで、大阪府では知事の指示の下、府下の小中高に100パーセント、薬物濫用防止教室を開催するという方針で進めていて、この何年間、ずっと100パーセント達成してきていますし、その中で薬物についての問題点を伝えていくということで頑張ってきています。

 ただ、その中で、教育の現場でいろいろなことが教育の問題として語られています。薬に限らずドラッグの関係もありますが、例えば栄養学の問題もあるし、そういうのを教育現場でやってほしいとなっていて、1人の先生がそういう知識を全て理解した上でやっていけるかといったら、現実問題としてそういう現状ではありません。ですから、大阪府としては薬物の問題や偽造医薬品について、おくすり教育という中で地域の薬剤師会の先生方、特に学校薬剤師の先生がいらっしゃいますから、その方々に学校に出張っていただき、講師として活躍していただけるようにということです。偽造医薬品の関係ではありませんが、特に薬物乱用防止については、大阪府はそういう方針になっていますから、平成23年度と24年度の2年間にわたり、学校薬剤師さんが、そういう教育ができるように研修しようということで実施させていただきました。ですから、大阪府としては学校薬剤師の先生方が、今後どういうふうに活動していただけるのか、そこに向けてのサポートをやっていく予定にしています。

 規制が徐々に緩んできている中で、結局は自己責任を追及していくような形になっていっているのだろうと思っています。日本人はなかなか自己責任という国民性ではありませんから、そこをどう伝えていくのかというのは、我々、取締りをやっていきながらやっていかないといけない部分だろうと思っていますが、なかなかこれはしんどいなと。上流できっちりした規制をかけておられて、下のほうではなかなか問題が起こらないというのが効率的なものでなかったかと思っていますが、上流の規制が緩んでくることによって、下のほうでいろいろな問題が起こってくる。そういうことが起こらないように監視なりを徹底してできるかというと、そういう状況ではありません。大量に予算や人員をかけてやるというのであれば可能でしょうけれども、そういうものでもありませんから、事が起こったときにいかに適切に対応していくかというところで、都道府県としては力を入れていくしかないと思っています。そういう現状でございます。

○西島座長 ありがとうございました。田中構成員、お願いいたします。

○田中()構成員 読売新聞の田中と言います。例えば覚醒剤であればそれに手を出すこと自体が犯罪であり、暴力団の資金源になっていることをほとんどの人が認識しているので、普通の人であれば手を出さないわけです。脱法ドラッグについては、従来はそうした認識は薄かったのですが、法改正で所持すること自体が違法であるとなったことは大きな前進だと思います。それはもっと広く知ってもらわなければいけないことだと思います。ところが、偽造医薬品については、そういった認識はほとんどないのではないかと思います。例えば先ほど猪狩さんが示されたように、偽造医薬品というのはこんな汚い機械で作られているのだということを知れば誰も使おうと思わないわけですし、それが暴力団の資金源になっていることが分かればもっとみんな注意すると思います。あるいは木村先生がお示しになったように、偽造医薬品でこれだけ健康被害が出ているのだということが認識されれば、もっと注意すると思います。ところが、そういうことはほとんど知られていないのが実情です。

 木村先生のお話では、偽造医薬品は主に海外で作られているということでしたが、日本でも輸入してそれを完成品にしているというお話がありました。私もそういうことは初めて知りました。そういった実態を、捜査当局なり行政当局はもっと明らかにすべきだと思いますし、その明らかになった情報を広く国民に知ってもらうことが非常に大事だと感じました。

○西島座長 多分、我が国では、まだそれほど偽造医薬品が問題になっていないということで、新聞紙上でもそれほど話題にはならないと思うのですが、読売新聞のほうではその辺はどうでしょうか。

○田中()構成員 まだ、そういうことはあまり記事になっていないと思います。今日、いろいろ実態について教えていただきたいと思ったのですが、そういったことをもっと勉強していきたいと思っています。

○西島座長 それでは花尻構成員、お願いいたします。

○花尻構成員 国立医薬品食品衛生研究所の花尻と申します。私どもの職場ではこの偽造医薬品に関する仕事として、厚生労働省の委託で強壮用若しくは痩身用の製品のインターネット買上げ製品について、その含有成分調査を行っています。海外から個人輸入した製品において、表示している成分と実際に入っている成分が、違うということがあることに非常に危機感を持っています。そういう製品が実際にインターネットでどのような形で売られているかということを、前を辿って見てみるのですが、そのネットのサイトに行く前に、こういう海外輸入にはこういう危険性があるという警告を一度も見ることなく、購入サイトに行けてしまいます。もちろん偽造医薬品の危険性に対する専門のサイトはたくさんあるのですが、普通に買うときにはいきなりそういうサイトに行ってしまうと思いますので、サイトに行く前に、検索の段階で、そういう危険性があるという警告がどこかに出てくると良いかと思います。

 また、一方で、先ほど片木構成員からも出ましたが、正規に本当に必要としている医薬品の個人輸入と、いわゆるレクレーショナル的に買ってみようという個人輸入を、具体的には申し上げられませんけれども、どういう形かで区別できないものかとも考えています。以上です。

○西島座長 今、悪いサイトがたくさんあるということで、良いサイトだということをクレジットする方法は何かないのでしょうか、桑子構成員。

○桑子構成員 多分、今考えられるものとしては、なかなかそれは難しいでしょうと。ひとつよくあるケースは、それなりの団体とか組織が、これは信用できるものですよというようなことを、安全・安心マーク的に出すというところかと思いますけれども、ネット上においては御案内のとおり本当に次から次へとサイトが出てきている。そして、いわゆるリアルな社会と違い、本当に数時間ないし数分で簡単にできてしまう。できては消え、できては消えという状況にもあるわけですから、現状としてはなかなかその辺は難しいところと考えています。

○西島座長 ありがとうございます。それでは道永構成員、お願いいたします。

○道永構成員 日本医師会の道永と申します。実は昨年の9月ですが、日本医師会と米国研究製薬工業協会と共催シンポジウムを開催しました。3つのテーマでお話をしたのですが、その中で偽造医薬品への取組ということもテーマに取り上げています。その中で米国研究製薬工業協会の方が、偽造医薬品に対するグローバルな取組をテーマに講演を行っています。インターネットの普及に伴い、ここ数年、世界各国で急速に偽造医薬品が社会問題化している点や、問題の所在を地域別に見ると、中国、インドを筆頭にアジアが突出して多い点を指摘し、こうした問題への国際社会の対応として、アメリカにおけるインターネット薬局認証プログラム導入等の事例を紹介しています。今の御質問に関わるかもしれませんが、こういった厳しい認証制度を作るといいのかなと思いました。

 あと、片木構成員からの抗がん剤の問題ですが、本当に正規品であっても、がん患者さんが個人輸入しなければならないという状態は、絶対間違っていると思っていますので、これはドラッグラグの問題だけではなく、厚労省が中心になって、もちろん医師会も協力させていただきますが、そちらのほうで話をしていただきたいと思っています。

 インターネットについては、学校保健も担当していますが、今、インターネット依存ということで、子供たちが良い悪いが分からずインターネットでいろいろな情報をもらって、例えば指定薬物が面白そうだなみたいなので、入ってしまうところがあるのではないかと思っています。インターネットは確かに便利ですが、使い方によっては非常にまずいということを、また啓発・教育ということになってしまいますが、それがとても大事だと思っています。

 がん教育というのも、今、学校保健で問題になっていますが、いわゆる医薬品に対する教育というのも、先ほどお話がありましたようにDVDみたいなものを作成し、各学校で小さい頃から何回も何回も教えていく必要があるのかなと思っています。以上です。

○西島座長 ありがとうございました。それでは矢野構成員、お願いいたします。

○矢野構成員 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの矢野と申します。先ほどお話させていただいたように2つの視点があると思っていて、1つは教育・啓蒙の視点で御質問もさせていただきましたが、これに関しては一方的なPRではなかなか難しいということで、先ほど金野先生のお話にもありましたように本当は双方向が一番よくて、そういうツールの開発が非常に重要です。いわゆるリスク感性の啓蒙・教育を定着させるためには、実際にそれを使ったときの事故の被害、事件の被害がリアルに体験できるようなDVDでもいいですけれども、それに対して意見を持って双方向でフィードバックができるようなツールの開発です。そのためにはSNSを含めた開発が必要ですし、リスク感性の醸成教育ということで、予算の問題ではないですが、何かいいツールを利用してリスク感性の教育・啓蒙を双方向で行っていくところが、多分、この偽造防止技術及び脱法ドラッグに対するリスクマネジメント教育というか、そういうことが非常に重要ではないかと思っています。

 それから、片木さんからお話があったように教育の側面だけでは駄目で、制度という面を考えていったときには認証制度の活用というのは、今、道永構成員からもありましたように非常に重要な位置付けになるのではないか。医薬の中でのいろいろなプロセス認証というのもありますし、インターネットサイトの運営会社も含めて正規の真正性を担保できる業者であることの認証制度が、プロセス認証としては一番やりやすい。

 あと、武田さんのお話のいろいろな既存技術で、今は偽造防止技術も我々は研究しているのですが、RFIDを含めて、ホログラムを含めて、生体認証、顔の認証、成分の認証などいろいろな偽造防止技術が、今、発展段階にあると思います。それのハイブリッド技術をうまく活用して最終的には物の認証が一番重要で、そのためには製造過程などいろいろな過程でアウトプットに対し、正規品であればそれを登録しておいてトレーサビリティが確保でき、例えば患者様が最終的にスマホで見ると「正規品です」とか「偽物です」とか、疑わしいものを見える化させるのが理想だろうと思います。こういうものを一歩一歩進めていくための皆様方の協力体制が一番重要で、技術と、そういう制度設計を国も含めてこれからいろいろ検討し、最終的には安全・安心を社会システムとして作っていくのが非常に重要ではないか。この二面性があるのではないかと思います。

○西島座長 ありがとうございました。そういう本当に技術的なところの開発が望まれるところですので、どうぞこれからも力強くお願いしたいと思います。それでは吉田構成員から御意見をお願いいたします。

○吉田構成員 国民生活センターには消費者からのいろいろな相談が集まってくるのですが、その中にも、そんなに数は多くないですけれども、こういった偽造医薬品に関するものがあります。中には、通信販売でED治療薬が安かったから安易に買ってみたというような、明らかに教育・啓発が行き届いていないと思われるものもありますので、教育・啓発は十分にしていただきたいと思います。その際には、偽造医薬品を使用することによりこんな健康被害が起きているということを示していただくと、より効果的かと思います。あとは、がん治療薬に関する相談もありますので、本当に必要な方にきちんとした形で薬が使えるような制度を作っていただけたらと思いました。

○西島座長 ありがとうございます。それでは和田構成員、お願いいたします。

○和田構成員 和田と申します。私は、国立精神・神経医療研究センターと言いまして、いわゆる精神科ないしは神経科の患者さんたちを診ると同時に、その疾患について研究する立場にいるわけですけれども、私自身、精神科の医師です。そもそも専門が、使ってはならない薬物を使う、それによって精神的におかしくなった方々を診るというのが本来の仕事なわけですけれども、それと同時に、日本の場合にどういう薬物が使われているのか、どういう方々が使っているのかということも調べてきました。

 今日も出ていましたが、第一に教育・啓発が一番重要だと思います。ただ、総論的に誰でもそう思うわけです。私ははっきり言って総論はもう十分だと、各論に動いていただきたいというのが結論です。どういうことかというと、医薬品にしても薬物にしても、あらゆる年代の方々が満遍なく医薬品、薬物を使うわけではない。この医薬品はこういう方々が、どうやら欲しがっていて手を出してしまう。この年代あるいはこういう社会的な集団の方ということがいろいろあるのでして、それに基づいて啓発・教育も変えるべきである、あるいは集中すべきであるというのが私の考えです。

 具体的には、一番手っ取り早いのは学校教育です。これは既に文部科学省は随分前から「薬物乱用防止教室」というのをやっています。これは行政用語ないし事業名そのものなのです。学校薬剤師の方々などが、講師として行かれているわけですね。これは文部科学省と協働してどんどん進めるべきであると思います。

 一方で、先ほども出ていました。あえて言うならばなかなか学校というルートに乗らない方、あるいは漏れてしまう方をどうするかということです。考えてみますと今の世の中、かなりの方々が自動車の免許を取りに行きます。そうなってくると自動車の免許試験場あるいは教習所ですね、そういう所で教育を展開していくのは非常に有効なのだろうということで、そういう形で進めていく。やはり各論的な動きが今後は重要になってくるのだろうと考えています。それが1つです。

 もう1つ、教育・啓発というのはイベント的にやりましたというだけでは駄目で、これはずっと繰り返して続けていく。継続こそ力だという当たり前のことでしょうけれども、そういう視点でやっていく必要があるというのが持論です。

 もう1つ問題があって、私が医師として言いたいのは、脱法ドラッグあるいは指定薬物、場合によっては偽造医薬品も同じことになってくるのですが、かなりのものは使っているうちに薬物依存と言って、はまってやめられない状態になってしまう。困ったことにそういう薬理作用があるわけです。日本の場合には「使ったら駄目だよ」という駄目絶対の視点は世界一だと思います。これは間違いありません。ところが、一旦はまってしまうと抜け出す道がないというのも、私は先進諸国の中で最貧国だと思います。最も貧しい国です。システムがないのです。実際問題、脱法ドラッグで患者さんがどんどん病院に来ましたが、そういう方々を診る病院すらないのです。これは本当に大変なことで、この問題というのは、昔から「手を出したら駄目だよ」とみんな思っているわけです。ところが、出しておかしくなってしまう人間がいるから問題になっているのです。駄目絶対で全てが解決すればこんな話は全然要らないわけです。ということで、車の両輪だと思います。教育・啓発で駄目絶対を含めてきちんと教育しながら、その対象群に応じて啓発・教育をやる。それが1つです。同時に、それでもいろいろな意味で医療が必要になった人たちに関して、どうするかを考えていくのが車の両輪かなと思います。今日もその辺のことを強く感じたということです。以上です。

○西島座長 ありがとうございました。本当に貴重な御意見だと思いますが、車の免許のところで大変痛ましい事故があったわけですけれども、そういうことをきちんと啓発するとか、大変貴重な御意見かと思います。また継続性ということも大変に大事ですし、あと病院が必要だということですね。ありがとうございました。本当に私の不手際で時間がもう既に20分超過していますが、先生方、あと10分ほどいただいてよろしいでしょうか。あと10分で指定薬物について意見交換したいと思います。もう既にオーバーラップするところがあると思いますけれども、指定薬物につきまして御意見がございましたら御自由に御発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。花尻構成員が御専門ですので、まず口火を切ってください。

○花尻構成員 国立医薬品食品衛生研究所の花尻と申します。私どもの職場では以前より、いわゆる脱法ドラッグと呼ばれるものに関して、その流通実態調査を長年しております。規制に必要なデータを行政に提出するために、現在、どういう化合物が出現し、どういう化合物が流通しているか、また規制によってどのように流通が変化していくかということを調べています。

 指定薬物指定によって、今まで流通していた薬物の流通は、一部の薬物を除いて止まるのですが、その代わり、指定をした薬物に非常に似た薬物や、その他の薬物が新たに流通するということが繰り返されています。4月から指定薬物の所持や使用に関して規制ができましたが、それは指定薬物に関しての所持・使用の規制であり、まだ未規制の化合物についてはどうしても法律を抜けてしまうということがあります。そういうものに関しては、「実際に、今、1,300以上の化合物が指定薬物になっているので、あなたが買った製品の中に規制化合物が入っている可能性が非常に大きい」ということについてもう少しアピールしていく必要があるのではないかと思っています。

 また、近年、医療現場において脱法ドラッグが起因した中毒症状で病院に運ばれる例が多いのですが、このように化合物の種類が増えると、分析・同定が追いつかず、どういう化合物が原因で運ばれたのかということが、結局、最後まで分からないまま退院して行ってしまうと聞きます。ですから、日本においては、どういう薬物によって、どのような中毒症状が出て救急搬送されたかという情報が、海外に比べてなかなか集まりづらい状況があると思います。そういう救急の患者さんに対して、生体試料中の薬物を分析できる体制とともに、情報収集をシステマティックに行うシステムの強化が必要なのではないかと考えています。以上です。

○西島座長 ありがとうございます。和田先生、先ほどの御意見に尽きてしまうかもしれませんが、加えて何かございますか。

○和田構成員 花尻構成員が最後に言われたシステム作りは非常に重要だと思います。私も脱法ドラッグないしは指定薬物の規制に関わってきていますが、よく「なぜ取り締まれないのだ、あんなに害が出ているじゃないか」と言われて、ごもっともだと思います。実際問題、取り締まるためにはデータ作りということが必要なわけです。その薬物を使うと、この成分が入っていて、こういう害が出るというデータを作る必要があります。ところが、その成分というもの自体、本来は正規に存在しない薬物が、今、出ているわけです。脱法ドラッグというのはそういうものなのです。そうすると、そういう薬物を作ることから始める必要があるわけです。実はアメリカでは、そういう薬物を国の研究所がかなり持っていて、実験に必要な場合には国が全米の研究者に配給するシステムができています。日本の場合にはそれがない。買上げで見つかった薬物のデータを1つ出すだけでも相当の時間を要して遅々として進まない。システムが全然できていません。

 それから、患者さんを診た場合にも、アメリカの場合はDAWNシステムと言いますけれども、全米の救急病院と契約を結び、そういう薬物絡みの患者さんが来た場合は、その検体をきちんと検査し、尿あるいは血液にどういう薬物が入っているか検査した上で情報を収集していくシステムができています。残念ながら日本はこれもありません。そういう意味でシステムをきちんと考えていくことが非常に重要かなと思います。以上です。

○西島座長 その辺になると厚労省のほうになるかと思いますが、何か御意見あるいは対策のようなものについて、お考えがあったらと思いますが、いかがでしょうか。

○赤川監麻課長 ないわけではないのですが、流通品を調べて化合物を同定し、それについて中枢作用がどのくらいあるのかを調べた上で指定する。そういったところはあるのですが、ではシステマティックになっているかというところ、あと実際の障害事例といったものの収集という点になってまいりますと、確かにまだまだそういうところは手が付いていないところだと思います。そういったところも含めて私どももできるだけのことはさせていただきたいと思いますが、それについても先立つものは予算の獲得等が必要であるということで、そこは必要性と予算としての合理性というか、そういったところは説明責任も負いますし結果責任も負いますので、そういったところをちゃんとやった上で予算化をできるだけ図っていきたいと思っています。

○西島座長 ありがとうございます。指定薬物について、ほかの構成員の方から何か加えての御発言はございますか。もしないようでしたら、後半、時間が足りなくなりましたけれども30分も過ぎてしまいました。事務局から何かまとめて御発言がありましたらお願いしたいと思いますが、何かございますか。

○赤川監麻課長 本日は、本当にありがとうございました。様々に広範囲な観点から貴重な御意見を頂いたと思っています。私どもの今後の施策にできる限り反映してまいりたいと考えていますので、本日は本当にありがとうございました。

○西島座長 是非、今日の御意見をまとめていただいて、施策に反映していただくということ。6月からネットで一般薬が始まりますので、皆さん、本当に危惧されていると思います。是非、健康被害がないように、今日の御意見に基づいて対策を立てていただきたいと思います。それでは、30分延びて申し訳ありませんでしたけれども、以上で今日の委員会を閉会といたします。ありがとうございました。

 

 


(了)
<照会先>

厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課総務係

(電話): 03-5253ー1111(内線2761)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医薬・生活衛生局が実施する検討会等> 偽造医薬品・指定薬物対策推進会議> 2014年4月10日                第1回偽造医薬品・指定薬物対策推進会議(2014年4月10日)

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