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2014年1月28日 第7回改正障害者雇用促進法に基づく差別禁止・合理的配慮の提供の指針の在り方に関する研究会 議事録

職業安定局高齢・障害者雇用対策部障害者雇用対策課

○日時

平成26年1月28日(火)
13時00分~15時00分


○場所

厚生労働省専用第23会議室


○出席者

【委員】山川座長、阿部(一)委員、阿部(正)委員、伊藤委員、北野委員、栗原委員、小出委員、塩野委員、武石委員、富永委員、加藤代理、高山代理

【事務局】内田高齢・障害者雇用対策部長、藤枝障害者雇用対策課長、松永調査官、田窪主任障害者雇用専門官、境障害者雇用対策課長補佐、寺岡障害者雇用専門官

○議題

1.合理的配慮の枠組みと今後の論点
2.合理的配慮指針について
3.その他

○議事

○山川座長

ただいまから、第 7 回「改正障害者雇用促進法に基づく差別禁止・合理的配慮の提供の指針の在り方に関する研究会」を開催いたします。本日の欠席委員は、市川委員、田中委員、本郷委員でございます。市川委員の代理として加藤様、それから、本郷委員の代理として高山様に御出席をいただいております。

本日は、議事次第にございますように、第 1 回から第 4 回までの意見に基づきました合理的配慮の枠組みに関する論点の整理、それから、合理的配慮の指針の論点ですが、そのうち、「指針の構成について」「基本的な考え方について」「相談体制の整備等について」という 3 つの点につきまして、議題の 2 で御議論いただく予定になっております。それから、いつもどおり、発言をされますときは、手を挙げてお名前を言って発言をお願いいたします。

それでは、早速、議題 1 に入りたいと思います。資料が提出されておりますので、御説明をお願いします。それから、参考資料 1 といたしまして、御欠席の田中委員から御意見が提出されております。こちらも併せて事務局から説明をお願いいたします。では、境さん、よろしくお願いいたします。

○障害者雇用対策課長補佐

課長補佐の境です。それでは、順次御説明をいたします。

まず、資料 1 を御覧ください。「合理的配慮の枠組みと今後の論点」については、第 1 回目の研究会において配布しておりましたが、各団体からのヒアリングを踏まえて追記をしています。ヒアリングにおいて、法的な枠組みに関して何点か御意見をいただいたので、それを踏まえた追記となっています。追記箇所には波線を引いています。順次御説明します。

まず、「 1. 合理的配慮の枠組み」の (3) 、対象となる事業主の範囲の四角の中を御覧ください。ヒアリングにおきまして派遣に関する御指摘がありましたので、今般の法改正を行うに当たり、障害者雇用分科会でまとめていただいた意見書の該当箇所を改めて記載しています。読み上げます。「また、派遣労働の取扱いについて、派遣先事業主は現行の労働者派遣法に基づく責任を負いつつ、当面、派遣元事業主に障害を理由とする差別の禁止及び合理的配慮の提供義務を課すことが適当である」とされまして、合理的配慮の提供義務は派遣元事業主が負うものとされたところです。

次ページです。一番下の所になります。 (8) として、「合理的配慮指針で定める内容」を新たな項目として設けました。これから、合理的配慮に関する指針について御議論いただきますが、この指針が障害者雇用促進法に基づくものであり、その内容についても障害者雇用促進法に定められていることから、合理的配慮指針の法的枠組みについて、改正後の障害者雇用促進法の条文を改めて整理しました。合理的配慮指針の関係条文ですが、まず、第 36 条の 2 、第 36 条の 3 と第 36 条の 4 において「合理的配慮」について定めています。このうち、第 36 条の 2 が募集及び採用時におけるもの、第 36 条の 3 が採用後の職場における合理的配慮に関するものです。第 36 条の 4 が相談体制の整備等について規定されたものです。合理的配慮指針の策定の根拠規定は第 36 条の 5 となっています。この第 36 条の 5 において、「厚生労働大臣は、前三条」、これがただいま申し上げた第 36 条の 2 から第 36 条の 4 までを指します。の規定に基づき指針を定めるとされています。

資料 2 です。「合理的配慮指針に係る今後の主な論点」とタイトルを付けていますが、資料 1 にある、研究会で御議論をいただきたい事項に沿ってヒアリングでいただいた御意見をまとめ、それぞれについての考え方のたたき台を事務局で御用意しました。

まず、 1 の指針の構成についてです。指針の構成案を事務局で示していましたが、この点については、武石委員、経団連の方から、手続を定めるべきとの御意見をいただいたので、合理的配慮を行うまでの手続を「合理的配慮の手続」として 1 つ新たに項目を立ててはどうかと考えています。その際の内容については、後ほどまた御説明します。

2 ページです。 2 の「『基本的な考え方』について」です。ここでは、基本的な考え方において記載すべき事項として、「対象となる障害者の範囲」「対象となる事業主の範囲」「合理的配慮の提供の考え方」の他に、どのようなものが考えられるかということでした。その他記載すべき事項については、育成会の方からは、見えない障害については直接、当事者に接することで共感が生まれ、障害理解が進む。このような障害特性について指針に明記すべきといった御意見。連合の方から、事業主や職場に働く労働者の障害に対する正しい理解の促進と情報の共有が重要、といった御意見をいただきました。また、経団連の方から、障害者による申告がなく、善管注意義務を払っても事業主が障害の有無を知り得なかった場合に合理的配慮を提供していなくても、法違反に問われないことといった御意見をいただきました。

これら大きく 2 つの御意見について、それぞれ以下のように考えています。まず、障害の理解の促進に関しては、同様な御意見が差別禁止指針で御議論いただいた際にも出てきました。その際の御議論を踏まえて、合理的配慮の提供が円滑になされる観点から、障害者も共に働く 1 人の社員であり、事業主や同じ職場で働く者が障害特性に関する正しい知識の取得や理解を深めることが重要であることを指針に記載してはどうか、と考えています。 2 つ目の御意見については、合理的配慮の提供は事業主の義務であるが、採用後の合理的配慮について、事業主が必要な注意を払っても、その雇用する労働者が障害者であることを知り得なかった場合には合理的配慮の提供義務違反を問われないこと、と指針に記載してはどうかと考えています。なお、補足しますと、「採用後の合理的配慮」としているのは、四角の下に※で記載していますとおり、募集及び採用時の合理的配慮は、そもそも障害者の申出が必要とされていることによるものです。

3 ページです。合理的配慮の提供の考え方についてです。職場等における支障を改善するための合理的配慮の措置に関しては、複数の選択肢が考えられることもありますが、そのような場合に、どのように合理的配慮の提供を行うのか、また、障害者が希望する合理的配慮が過重な負担であった場合はどうなるのか、といった点についての整理です。ろうあ連盟、日盲連、それぞれの方からは、過重な負担の場合は代替措置が必要との御意見。日商の方からは、複数の選択肢がある場合は、障害者の意向を尊重した上でより事業主が提供しやすい措置を取ることが認められるべきとの御意見。経団連の方からは、話合いの中で決定すべきとの御意見等がありました。これらを踏まえて、過重な負担にならない範囲で、職場において支障となっている事情等を改善する合理的配慮に係る措置が複数あったとき、事業主は、障害者との話合いの下、その意向を十分に尊重した上で、より提供しやすい措置を取ることは差し支えないことを指針に記載してはどうかと考えています。また、障害者が希望する合理的配慮に係る措置が過重な負担であった場合ですが、 2 つ目のマルにあるとおり、なお、障害者が希望する合理的配慮に係る措置が過重な負担であった場合についても上記と同様である、と考えています。

4 ページです。先ほど、指針の構成についてのところで、合理的配慮の手続を項目として立ててはどうかとしましたが、実際に、合理的配慮の手続を項目として立てた場合に、記載すべき内容として次のようなものが考えられるのではないかということで、その内容を記述したものです。合理的配慮の手続については、まず、募集及び採用時におけるものと、採用後の職場におけるものの 2 つに分けて記載しています。それぞれ、 (1) (2) としています。更に、 (1) (2) をそれぞれ 3 つの局面に分けて記載しています。 3 つの局面とは、合理的配慮の提供の契機となる局面、合理的配慮の措置について話し合う局面、合理的配慮を確定する局面です。それぞれ御説明します。

まず、 (1) 募集及び採用時における合理的配慮の提供についてです。合理的配慮の提供の契機である障害者からの合理的配慮の申出です。ここは、募集採用時ですので、障害者からの申出を受けて合理的配慮の提供を行うことから、このようなタイトルにしています。募集及び採用時における合理的配慮については、合理的配慮が必要な障害者は、事業主に対して、募集及び採用に当たって支障となっている事情及びその改善のために障害者が希望する措置の内容を事業主に対して申し出ること。その際、障害者によっては、なかなか希望する措置の内容を具体的に伝えることが困難なこともあるので、そのような場合には、支障となっている事情を明らかにすることで足りるとしています。

なお、合理的配慮に係る措置の内容によっては一定の時間がかかる場合があります。例えば、筆記試験等に当たって別室を用意するとか、そういうことなどもあるかと思いますが、そういう内容のものを前日に事業主に伝えられても時間的にどうしようもないといったことが考えられます。そのため、障害者は十分な時間的余裕を持って事業主に申し出ることが求められるとしています。

次に、合理的配慮に係る措置の内容に関する話合いです。障害者からの合理的配慮に関する事業主への申出を受けた場合、募集及び採用に当たって支障となっている事情が確認されれば、事業主と障害者は合理的配慮としてどのような措置を行うかについて話合いを行うこととしています。なお、希望する措置の内容を具体的に障害者が伝えられなかった場合には、事業主は実施可能な措置を示して話合いを行うとしています。

次に、合理的配慮の確定です。合理的配慮に係る措置について当事者間で話合いを行いますが、その話合いを受けて、合理的配慮の提供義務を負う事業主が障害者の意向を十分に尊重しつつ、障害者との話合いを踏まえ具体的にどのような措置を講じるかを判断し、措置の内容を障害者に伝えることとしています。その際、障害者から問合せがあった場合には、当該措置を講じることとした理由、障害者から申出があった具体的な措置が過重な負担に当たると判断した場合には、その理由を含みますが、障害者に説明するとしています。

なお、先ほど、合理的配慮の基本的考え方で御説明した内容をここでも記載してはどうかと考えています。具体的には、過重な負担にならない範囲で、募集及び採用に当たって支障となっている事情を改善する合理的配慮に係る措置が複数あったとき、事業主は、障害者との話合いの下、その意向を十分に尊重した上で、より提供しやすい措置をとることは差し支えないとしています。

次に、 (2) 職場における合理的配慮の提供についてです。これは、採用後の局面になるので、募集採用時と異なり、障害者からの申出が必須とされていません。そのため、まずは、事業主からの職場における支障となっている事情の有無の確認としています。職場における合理的配慮の提供の契機は 3 つのパターンがあると考えています。まず 1 つ目は、事業主が採用を決める段階で、採用者が障害者であることを把握している場合。 2 つ目は、採用段階では採用者が障害者であることを認識しておらず、採用後に、例えば、本人からの申出等により障害者であることを把握した場合。 3 つ目に、障害を持たれていなかった労働者が障害者になった場合、いわゆる中途障害の場合です。

それぞれどのように確認するかということですが、 1 つ目の、労働者が障害者であることを当初から把握している場合には、事業主は、雇入れ時までに障害者に対して職場における支障となっている事情の有無を確認することとしています。 2 つ目と 3 つ目ですが、雇入れ時までに事業主が障害者であることを把握できなかった場合については、障害者であることを把握した際に、雇入れ時に障害者でなかった場合については、すなわち、中途障害の場合については、障害者となったことを事業主が把握した際に、事業主は職場において支障となっている事情の有無を確認するとしています。さらに、障害の状態や職場の状況が変化することもあるため、事業主は、必要に応じて定期的に職場において支障となっている事情の有無を確認するとしています。

なお、事業主から確認がないと合理的配慮は提供されないのかということになりますが、この点については、障害者は、事業主からの確認を待たず、事業主に対して自ら職場において支障となっている事情を申し出て差し支えないとしてはどうかと考えています。事業主は、職場において支障となっている事情があれば、その改善のために障害者が希望する措置の内容を確認することとしています。この場合も、障害者が希望する措置を具体的に伝えられない場合は、支障となっている事情を明らかにすることで足りるとしています。合理的配慮に係る措置の内容に関する話合いと、合理的配慮の確定は、募集及び採用時における場合と同様です。

5 ページ、最後のマルです。合理的配慮の手続において、障害者の意向を確認することが困難なこともあるので、そのような場合に家族等が補佐することについて記載しています。

6 ページです。「合理的配慮の内容」に関しては、次回御議論いただきたいと考えています。

7 ページの「過重な負担」についても同様です。

8 ページです。「相談体制への整備等」についてです。ここは、相談体制の整備の具体的方法、プライバシーの保護、合理的配慮に関し相談したこと等を理由とする不利益取扱いの禁止の周知を記載することでよいかとしていました。おおむね、そのとおりでよいとの御意見でした。

9 ページです。指針の「相談体制の整備等」に以下の事項を記載してはどうかと考えています。マル1として、相談に応じ、適切に対処するために必要な体制の整備です。ここでは、相談への対応のための窓口、具体的には、対応者や対応部署を定めることや、外部機関に委託することを想定していますが、そういう窓口をあらかじめ定め、周知するとしています。また、相談窓口の担当者が、相談に対し、その内容や相談者の状況に応じ適切に対応できるようにすることとしています。

マル2として、職場における合理的配慮に関する相談があったときの適切な対応です。ここでは、職場において支障となっている事情の有無を迅速に確認することと、職場において支障となっている事情が確認された場合、合理的配慮の手続を適切に行うことと記載してはどうかと考えています。

マル3として、職場における合理的配慮に係る相談者の情報は、プライバシーに属するので、相談者のプライバシーを保護するために必要な措置を講ずるとともに、その旨を周知することとしています。

マル4として、障害者が職場における合理的配慮に関し相談したことを理由として、解雇その他の不利益な取扱いをしてはならない旨を定め、周知・啓発することとしています。

最後に、参考資料 1 を御覧ください。本日御欠席の田中委員から提出いただいたペーパーです。簡単に御紹介します。詳細は参考資料 1 を御確認ください。まず、合理的配慮の手続に、障害者が求める配慮と事業主が提供可能とする配慮とが相違した場合に、労働局長の紛争解決援助制度の前に、ハローワーク等の第三者機関と連携して、協議・調整を図るべきとの御意見です。次に、納付金制度に対するものですが、事業主が利用しやすい納付金制度とするため、可能な範囲で助成の種類を統合し、手続を簡略化することを要望するとの御意見です。

最後に、「相談体制の整備」等に関するものです。相談窓口に、事業主が雇用する障害者の障害特性を理解する第三者機関の連絡先を備え置き、連携できるような体制を整備しておくことが必要との御意見です。事務局からは以上です。

○山川座長 

ありがとうございました。ただいま資料 1 及び資料 2 、参考資料 1 について、御説明いただきました。資料 1 については、網掛けの部分で分科会の意見書を記載し、改正法の条文を記載したということで、論点整理に当たっての確認的な事項が追加されたということですので、特に問題ないのではないかと思います。ここで特に御発言、御質問等がありましたらお願いしたいと思います。

中心となりますのは、資料 2 ということになります。参考資料 1 として、田中委員の御意見も御説明をいただきました。それでは、資料 2 について御質問、御意見をお願いします。

○小出委員

育成会の小出です。資料 2 、あるいはこの条文の中にも雇用側と当事者との話合いでという文章がいろいろありますが、知的障害の場合はコミュニケーション障害ということで話し合うことが非常に苦手というか、できない方もいます。でも働けるという特性を持ちます。

その場合、合理的配慮に当たって、多くの場合はその養護者、保護者あるいは支援者が同行して、そこに立ち会ってということをいたします。そのことが 5 ページの最後に「合理的配慮の手続において、障害者の意向を確認することが困難な場合、家族等に障害者を補佐することを求めて差し支えないこと」と。それに当たるということで、この合理的配慮の手続だけではなく、雇用されて働いている間に話合いが必要な場合も、そういうことをしても差し支えないかということが基本事項の中に盛り込まれているということでよろしいでしょうかという、確認です。

○山川座長

御質問ということですか。

○小出委員

そうです。

○山川座長

それでは、事務局はいかがでしょうか。

○調査官

障害者雇用対策課調査官の松永です。今、 5 ページのところを御指摘いただきましたが、なお書きも含めて、一応こういうことを指針に盛り込んではどうかということで、議論のたたき台として提示したもので、なお書き、最後の部分も含めて、こういうことで入れてはどうかということですので、そういう前提で御議論いただければと思います。

○小出委員

ありがとうございます。もう 1 つそれに関連して。そうしますと、これを求められて、雇用者側が保護者は同行してくださいということになりますと、本来勤める当事者 ( 本人 ) を抜きというか、雇用者と保護者との話合いということで、本人不在となる恐れがあることが予想されます。本人不在とならないように、あくまでも本人の補佐、補助・支援となるように雇用者側あるいは保護者側、私どももそうですが、支援者側も心得なければいけない、本人主体であるということを何らかの形で指針として盛り込んでいただけたらと思います。

○山川座長

今の小出委員の御発言は御要望ということでしょうかね。補佐という言葉の中におっしゃられたような趣旨は入っているのではないかと思います。では確認を事務局のほうでもお願いします。

○障害者雇用対策課長補佐

労使に関することですので、当然使用者側、労働者、本来本人同士で決めるべき問題で、それが大前提です。そういう意味も込めて、ここであくまでも補佐という言葉を付けさせていただきましたので、まさしく委員御指摘の問題意識に合致した表現ではないかと考えています。

○山川座長

よろしいですか。それでは、ただいまの点ももちろん含めてですが、ほかに何か御意見、御質問がありましたらお願いします。

○栗原委員

栗原です。ただいまの補佐を付けるということは知的障害の場合は、非常にいいと思います。なぜかというと、自分で思いを言えない、適切なことが言えない。その代弁を御家族なり支援者が「こういう話があるのだけど、どうでしょうか」という話を企業に持ってきていただく。それで企業のほうで確認するというのが流れだと思います。

それと、企業からは「実は障害を持った作業者が、仕事面、生活面、で問題があった場合相談の窓口に」なっていただけるという事では、お互いに補佐、支援者を入れるというのは、私は非常にいいと思います。

○阿部 ( ) 委員

ただいまのことにも関連するのですが、例えば就労移行支援事業所から一般就労をした場合には、アフターフォローという期間が 6 か月あって、そのときにもここで読めるということですよね。何となく今は家族ということになりましたが、移行支援事業所で、その方の特性というか力を発揮するための環境というのも知っていますから、多分そのようになるのかなと思うことの 1 つの確認です。

もう 1 つは、合理的配慮について、今日の話でいいのかどうか分かりませんが、例えば身体障害があると、例えば足を使わなければいけないのを手を使うように機器を改造したりするなどの改造をすることも、合理的配慮になると思うのですが、ともすると改造関係が不正改造と捉えられないように専門的な福祉工学の人や、この規定というよりも、この合理的配慮について周知するときに、様々な職能団体とか専門団体の関与の下に、合理的配慮について、企業だけで負担を考えるのではなく、もっと合理的配慮の選択肢を応援する社会環境を作っていただければと思います。以上です。

○山川座長

1 点目は、先ほどの補佐に関する御質問で、第 2 点目の例えばの話として、機器の改造に関して、様々な職能団体等からの支援も考慮されるということで、多分次回のテーマに関わると思いますが、補足をお願いできますか。不正改造というのはどういうことですか。

○阿部 ( ) 委員

これまでも実際の現場からお聞きしますと、改造して使いやすくするということで、それが不正改造という指摘を受けたりする場合があるので、職場だけで改造すると問題が起きると思うので、安全性ということから専門的なところから補足していただければと思いました。次回、私は出席できるかどうか分からないので、そのことはお話させてください。

○山川座長

今回特に御発言いただくということで。これは、言わば合理的配慮の実施、内容に関して、あるいは手続とも関係があるかもしれませんが、支援に関する要望ということでしょうかね。

○阿部 ( ) 委員

はい。そのときに様々な然るべき団体も関与できるように広報活動をしていただければ。職場では、使いやすいように改造したりすると、指摘されたという例もあるということを聞きましたので、お話させていただきました。

○山川座長

御質問の点もありましたので、境さん、お願いいたします。

○障害者雇用対策課長補佐

まず 1 点目ですが、御発言いただきましたとおり、就労移行支援事業所がフォローアップで 6 か月あるということですので、そういったフォローアップの中で、いろいろな事業主との調整をしていくということはあるのではないかと思っております。

2 点目ですが、合理的配慮は事業主の提供義務とはされていますが、だからと言って、事業主だけで何かをするというよりも、今後の話にもなりますが、何らかの公的支援のバックアップとか、具体的に障害特性でどういったことをしたらいいのかとか、そういった御相談に応じる体制も必要になってくるのではないかと思っています。これは合理的配慮の提供義務に関わる話だけではなくて、障害者が職場に定着していくに当たっては、そういった地域の就労支援機関のバックアップが重要になってくるものと考えます。

○障害者雇用対策課長

課長の藤枝です。先ほどの阿部委員のお話は、今、境が申し上げたように、今後合理的配慮を具体的に行って頂く段階で、いろいろな情報提供の一環として職能団体というか、専門機関の経験、ノウハウも提供してほしいという要請だと思います。我々も今後どういう形で指針をまとめるかは、それはそれとして、いろいろな意味での情報提供は法の施行に向けてやっていかなければいけない。その中で、いろいろなやり方があるのではないかと思っておりますので、具体例なども個別に教えていただければ、その周知の仕方を考えていきたいと思っております。よろしくお願いします。

○阿部 ( ) 委員

合理的配慮と今回の趣旨で、様々な方々を巻き込んで働きやすい環境を作っていくために、とても良い広報活動が行われることを期待しておりますので、巻き込むということでも大事なことだと思います。

○山川座長

それでは、その点も事務局で御検討いただくということでよろしいでしょうか。今の点は個別的な内容のほかに、配慮の手続の中でどういうことが、支援も含めてなされていくかという全体的な構造に関わるのかなという印象を持ったところで、課長の発言も、そういう趣旨も含めて検討されるということかと思います。ほかにいかがですか。

○伊藤委員

伊藤です。 4 ページについて、合理的配慮の手続に関する質問と意見になります。募集・採用時における所で、まず 1 つ目のポツの 3 段落目に「なお」というのがありますが、「合理的配慮に係る措置の内容によっては、一定の時間がかかる場合がある」ということが考えられるので、「障害者は十分な時間的余裕を持って事業主に申し出ることが求められること」と書いてあります。採用行為は様々あると想像します。公募されているものを知って応募する場合もあるかと思います。また、個別に事業主との話合いの中で、面談してみましょうかというケースもあると思います。

そのように考えますと、十分な時間的余裕を持って申し出るということが、イメージがしにくかったのです。公示された時点で「十分な時間的余裕を持って申し込んでくれなければ対応できませんよ」と言われても、それは無理なことだと思いますし、もしかしたら、そういう意味ではなくて、そのような合理的配慮をするためには、採用行為自体が後倒しになりますよ、そういうことも了解してくださいね、ということも含む意味なのか。そうだとしても、いつになっても採用行為をしてもらえないということも発生しかねないと思いますので、一定の歯止めも必要になるかもしれませんし、どういったことをイメージしているのかを教えていただきたいと思います。

○山川座長

ただいまの伊藤委員の御質問は、 4 ページ目の「合理的配慮の手続について」の 1 つ目のマルの (1) 1 つ目のポツの 3 段落目の、申出について「十分な時間的余裕を持って」という部分の具体的なイメージについての御質問かと思います。これは事務局にお願いします。

○障害者雇用対策課長補佐

課長補佐の境です。確かに募集・採用の対応は様々であろうというのは、御指摘のとおりかと思います。これはもしかしたら表現の問題なのかもしれません。我々がここで確認したいというか、書いておきたいと思いましたのは、典型例としては、例えば公募がなされても面接日あるいは採用試験日が決まっている場合もあるかと思います。そういった状況において、いわゆる決まった試験の前日に、大掛かりなことが必要となるような合理的配慮を具体的に申し込まれたときに、 1 週間前におっしゃっていただければ何とかできたのにという実態があろうかと思います。

結果からすると、障害者からすれば、前日になってしまったがゆえに、もっと早く言っていれば出来たであろうことも、してもらえないということが実態としてどうしても出てくるかと思います。そういう状態は障害者にとっても好ましくないと思っておりますので、ここは、もし早い段階で応募するといったことが、本人として意識できているのであれば、早めにおっしゃってくださいということを確認的に書いたものです。

そういう問題意識に基づいておりますので、例えば随時面接を行うといったことについても、合理的配慮に時間がかかり、その合理的配慮を受けなければなかなか面接ができない状態があるのであれば、どうしても準備に要する時間の後に面接をということもあろうかと思います。それは随時話合いの中で決まっていくことだと思いますので、端的には、ある程度時間的制約がある中で、早くおっしゃることができるのであれば、早くおっしゃっていただいたほうが事業主も準備がスムーズに行くということで書いています。まさしくそれが手続として書くべきことではないかという考えです。

○山川座長

よろしいですか。

○伊藤委員

趣旨は理解しました。いただいた説明がこの資料の表現で十分理解できるかどうかという点については、今、直ちに判断しかねるところもありますので、引き続きの議論の中で考えたいと思います。

○山川座長

今の伊藤委員の御発言に関して、表現の細かい書きぶりについては、最終的に改めて検討する機会があろうかと思います。

もう 1 つ、これまでも言及されていることですが、指針そのものと、それを更に分かりやすくするためのイメージ、あるいは説明なども別途お考えいただくという御議論があったかと思いますので、それも含めて御検討いただけるのではないかと思っております。ほかに何かありますか。

○北野委員

みんなねっとの北野です。

資料 1 1 ページの 1 (1) の合理的配慮の基本的な考え方ですが、ここに書いてある合理的配慮というのは、最初から細部まで固定した内容のものにすることは適当ではないということは重々理解しております。当然、次に作られる文書の中には入ってくると思いますが、合理的配慮というのは、これから私たちが決めるところの基本的な考え方に基づいて、障害者の個々の事情と事業主側の相互理解の中で、可能な限り提供されるべきものである。つまり、基本的な考え方に基づいてやるのだということを明確に明記するような論理展開をしていただけたらと思います。

同じく 2 ページですが、最初の分科会の意見書に対して意見を述べるのはいけないのかも知れませんがが、分科会意見書の 6 行目に「なお、過度の負担については、合理的配慮と同様に非常に個別性が強い」とあって、個別性が強いということはよく理解しているのですが、ここでわざわざ「非常に」と書いているのは私には気になります。障害者というのは一人一人個別性が強い、各企業にも個別性がある。個別性と個別性を掛け合わせると、非常に個別性が強いということになるのかも知れませんが。支援とか合理的配慮というのは、一定のカテゴライズをして、普遍的に必要なものをカテゴライズしなければ支援ができませんので、「非常に」という表現が、ちょっと私には気になったところです。もちろんこれはそういう意味なのでしょうが。資料 1 について、私が思ったところです。

資料 2 1 ページの合理的配慮の手続ですが、これは大事なものを入れていただいたということで、合理的配慮の手続については良かったなと思っています。 1 の趣旨から 5 まで並んでいますが、合理的配慮の手続というのを、順番としてどこに入れるつもりなのか、説明していただけたらと思います。

3 ページの一番下の括弧ですが、いわゆる合理的配慮に係る措置が複数あったときにどうするかという非常に大事な問題です。最初のいろいろな団体の御意見の中で、経団連から「同一の効果に限ることなく、話合いの中で決定すべき」と。同一の効果に限るということは、同一と言ったら、複数という意味はありませんので、複数ということは同一ではないということです。これは合理的配慮に対する有効性が問題になりますので、同一ではなく、「同等の効果を有する」とか「必要な効果を有する」という表記がなければ効果性がなくなりますので、「措置について同等の効果を有する」あるいは「必要な効果を有する」という表現を入れていただきたいと思います。

アメリカの ADA などでも、最初にそこまで考えて、なおかつ過剰な負担をどうするかという問題で、議論としてはレディリーアチーバブルというか、簡便に効果が達成できる手段・方法という概念がその次に出てくるのです。この表記だけでいいのかどうかは、少し気になったところです。

その部分については、 4 ページの合理的配慮の手続のところで、同じように合理的配慮の確定のなお書きで、「必要な効果を有する措置」であるとか、「同等な効果を有する措置」という表記にしていただけたらと思っています。今言ったように簡便な達成可能なものを、それが終わったあとで、かつ想定するかどうかについても御検討いただけたらと思います。

手続の最後で、合理的配慮の確定というのが 5 ページにあります。確定が困難な場合というところで、田中委員から、「困難な場合にはこのようにしたらどうか」という意見が出ています。手続をしたあとで、なおかつというところですが、これをどう考えるのかということです。つまり、手続というものをどのように理解するかということだと思います。障害者本人にとっても、雇用側にとっても分かりやすい一連のプロセスのフローチャートを示すものであると理解してよいのであれば、話合いがうまくいく場合が前提ですが、どうしても話合いがうまくいかなかった場合についても、手続上の表現・表記として組み入れる必要があると思われます。アメリカでもカナダでも、こういう手続が出てくると必ずうまくいった場合と、うまくいかない場合というのが出てきます。うまくいかない場合にどうするかというのは、私が知っている限りでは、どの国でもフローチャートに、手続論には出てきますので、それが要るのではないかと思います。

そうすると、田中委員が書いているように、田中委員の上の部分と下の部分は置いておいて、 (1) の真ん中辺りに文案の 1 例というのがあります。この文案の 1 例をどう考えるか、どのように使うかということです。「障害者が求める配慮と、事業主が提供し得る配慮とが相違し、両者間における協議が整わない場合には、当該障害者の障害特性を理解した第三者機関 ( ハローワーク、ジョブコーチ等 ) に協力を求める。協力を求められた第三者機関は、当該障害者がその有する能力を有効に発揮するために必要と考えられる『合理的配慮』の内容を検討し、当該障害者及び事業主に提示する。事業主は、提示された『合理的配慮』の実施を検討し、その実施が『過重な負担』を伴うと判断した場合には」と。もちろんできるということが原則ですので、基本的にやる。「『過重な負担』を伴うと判断した場合には、当該障害者及び第三者機関に対して、その旨の説明を行う。なお、この説明の際には、事業主は、マル1提示された『合理的配慮』の実施に際して、利用可能な納付金制度や、公的支援の利用を検討したこと、マル2これらの支援を得ても、なお、事業主に『過重な負担』が伴うこと、の説明を行う」。この部分をどういう形で取り入れるか、変形するかは別ですが、こういう手続上の、うまく話がいかなかった場合の文章を入れる必要があるのではないかと思っています。

最後に 9 ページの相談・支援ですが、これは基本的にいいと思います。マル1の 2 つ目の「相談窓口の担当者が、相談に対し、その内容や相談者の状況に応じ適切に対応できるようにすること」というのは、ちょっと具体性に欠けていると思われます。できるようにすることという中身ですが、「適切に対応できるように、必要な研修の確保等を図ること」と。つまり、研修の確保等をやったらどうかということで、具体的な表記を入れたらどうかなと思った次第です。以上です。

○山川座長

7 つ、あるいは分け方によっては 6 つの点の御質問、ないし御指摘で、最初の 2 つは分科会意見書との関係で、基本的な考え方と合理的配慮の内容のつながり

○北野委員

私の意見です。

○山川座長

つながりを明確にしてはどうかということです。 2 番目は合理的配慮、ないし過重な負担が非常に個別性が強いという表現についての御意見でした。 3 番目は指針そのものの話ですが、新たに付け加えられた合理的配慮の手続という項目が、構成の中、現在のところは第 1 ~第 5 までですが、これのどこに位置付けられるのか、あるいは新たな柱という形になるのかという御質問と理解しました。 4 番目、ないし 5 番目は複数の配慮の措置が考えられる場合にどうするのかということで、具体的には同一の効果という表現ぶりについて、同等という表現など、御議論いただければということでした。 6 番目は手続に関して、事業主と障害者側の話合いがうまくいかなかった場合に、どういう対応になるのかということも含めてはどうかということでした。最後は、相談に関する最後の項目ですが、適切な対応について、適切な対応のための研修も含められるのではないかといった御意見と理解しました。特に同一の効果という点、話合いがうまくいかなかった場合とか、全体としてほかの委員の方々の御意見も伺えればとは思いますが、御質問の点もありましたので、事務局であらかじめ御説明がありましたらお願いします。

○障害者雇用対策課長補佐

課長補佐の境です。それぞれ御説明いたします。まず 1 点目の意見の御趣旨は、合理的配慮というのは障害者の個々の事情と事業主側との相互理解の中で可能な限り提供されるべき性質、というところが考え方として指針に示されるべきではないかと理解しました。

資料 1 の別紙の 5 ページ、「合理的配慮指針の構成 ( ) 」です。第 2 の基本的な考え方の下に括弧で書いていますが、ここで、「合理的配慮が障害者の個々の事情と事業主側との相互理解の中で提供されること等を記載」としておりますので、まさ正しくこれを書くという前提で、このほかに何かございますかということで議論を提起させていただいたものと理解しております。

2 点目は「非常に」というワーディングがどうだったかということですが、確かに合理的配慮の内容そのものも非常に個別性がありますし、おっしゃるとおり、それが過重な負担かどうかを判断するときの判断要素も、非常に様々な要素が考えられると思います。そういったことを掛け合わせると、このような表現になったのかと思っています。いずれにせよ、過重な負担をどのように考えていくかについては、次回に改めて御議論していただければと思っています。

3 点目の「手続」を入れる場所ですが、第 2 の基本的考え方と第 3 の合理的配慮の内容の間ぐらいではなかろうかと考えています。もちろんこれは、この研究会の場でもここではないという御意見があれば、おっしゃっていただければと思っています。事務局は何となくこの辺ではないかと考えていました。

複数あった場合の効果の話ですが、ここはまさしくその措置が、それを解消するために必要なものでなければならないということです。そのため、ここの文章もあえて単純に「合理的配慮」としないで、「職場において支障となっている事情等を改善する合理的配慮」としております。正しく改善するものである、そういうものが複数あるときということです。効果という言葉も抽象的な表現になってきますので、「改善するものが複数あるとき」と分かりやすく表記してはどうかと考えています。

5 点目の田中委員の御意見を踏まえた点ですが、今回この指針をどのように考えるかということにもつながってくるかと思っています。狭い意味で申し上げれば、合理的配慮に係る指針というのは、あくまでも法律上、事業主が適切に合理的配慮を提供していくために定めるものということで、この指針は適切にうまくやっていただくことを前提として、それをするにはどういうことを行えばいいかを指針に記載したいと考えています。紛争が生じた場合の手続をこの指針に書くことがどうなのかという問題意識がありました。一方では実際問題として、両当事者間でなかなか合意が得られず、紛争になる場合もあろうかと思います。そういった場合にどうすればいいかというフローチャートのようなものが必要であるということは御指摘のとおりで、先ほど座長の言葉にもあったかと思いますが、この指針だけで何か合理的配慮の一連の説明が完結するものではありませんので、紛争が起きた場合のフローチャートなどは、行政がパンフレット等で分かりやすく示していく必要があると考えています。

○障害者雇用対策課長

課長の藤枝です。先ほど境が申し上げましたように、合理的配慮は、差別禁止の部分もそうでしたが、最終的に事業主と障害者の方の話合いがうまくいかなかったときにどうするかという話は、今日は条文等は用意していませんが、紛争解決の手続が別途法律上定まっていますので、そちらのステージに移っていただく。法律上はそういう仕組みになっています。紛争解決の 3 段階を境から説明します。

○障害者雇用対策課長補佐

事務局の境です。今の紛争の解決の援助は、「第 3 章の 2 紛争の解決」としています。紛争の解決について、一番目に想定していますのは、第 74 条の 4 ですが、労使が企業内で自主的に解決することを求めています。その上でどうしても当事者間でなかなか調整ができないといったときに、考えられているのが、都道府県労働局長に対して必要な助言・指導又は勧告を求めるという手続があります。あるいは、労働局長は、申請があった場合には、都道府県労働局に置かれている紛争調整委員会の調停に委ねることもあります。大きくこの 3 つの紛争解決がありますので、それらについては、分かりやすくフローチャートにすることが重要であると考えております。

○北野委員

今言われたことは、おっしゃるとおりだと思うのです。つまり、雇用促進法第 74 条の 4 項で苦情処理の機関を置くことを新しくうたっておられますので、苦情処理の機関を企業の中に置かれると。恐らく田中委員のおっしゃっているのは、その仕組みと今おっしゃった 3 番目、都道府県の労働局長の調停委員会による手続に。行く前に、メディエーションの仕組みとしてこういうものを置いたらどうかと、恐らく真ん中の仕組みとして提起されていると思いますので、それは御検討願えたらという意味です。

○障害者雇用対策課長補佐

事務局の境です。今の点ですが、まずは法律上、紛争の解決がこれだけ明確にされているということ。それと、この点については、分科会意見書でも、第三者機関の関与について御議論がありまして、企業内で自主的に解決しない場合は、外部の第三者機関による解決を図るべきとされています。それを受けての労働局長の紛争解決援助ですので、そういった経緯を考えたときに、それ以外にまた新たに何か設けられるのかというイメージになることが、いかがなものかということが少しあります。あと、今、ここで挙げていただいている例でジョブコーチ等があると思いますが、話合いをしておられる中で、事業主がどういうことをしたらいいか分からないから参考に意見を聞いてみたい、と自主的に御判断されたときに、ジョブコーチの方にお知恵を借りるとか、そういったこともあろうかと思っています。

行政としましては、ショブコーチ等の外部の就労支援機関が事業主の求めに応じまして、しっかり御相談できる体制をつくり上げていく。そういったことが、まずは重要ではないかと考えています。

○伊藤委員

伊藤です。相談体制の整備に関連しますので意見を言わせていただきたいと思います。 11 7 日に連合からのヒアリングがありまして、そのときに申し上げたことですが、紛争解決方法としての 1 つのチャンネルとして、労働組合と会社との労使協議も機能すると考えていますので、今、具体的にどのように書くかというお話がある中で、是非、労働組合の役割の部分も明示をしていただけるとありがたいと思います。

○山川座長

この点は合理的配慮の問題か、それとも紛争解決の問題かという、そのどのあたりに位置付けるかという難しい点も含んでいるかもしれませんが。

○障害者雇用対策課長補佐

今の点について関連する条文があるかと思いましたので、御紹介だけさせていただきます。先ほど第 74 条の 4 で「苦情の自主的解決」としていますが、そういった苦情処理機関のようなものを作ることも選択肢の 1 つとして規定されており「事業主を代表する者及び当該事業所の労働者を代表する者を構成員とする当該事業所の労働者の苦情を処理するための機関」とされておりますので、そういったものも法律上、既に規定があるということだけ紹介させていただければと思います。

○富永委員

富永でございます。田中委員の意見書についていろいろという話ですが、資料 2 5 ページの一番下で、合理的な配慮の手続について、御家族等に補佐をすることを求めても差し支えないという話があって、合理的な配慮をどう確定させるかということについては、こちらのほうで書いてあるのではないかと思います。またこの意見書だと、自主的解決を図る前に 1 回外に出て、また自主的解決を中で図って、また外に、ということになってしまいます。わざわざ書く必要はないのかと思います。

配慮の確定手続として、当事者が任意で知恵を借りたいということで、外部の方に、我々はこう考えているけれども、ほかにどのような知恵があるか、と聞くのは差し支えないと思いますが、紛争の解決手続として、ここまで書くことはやらなくていいのではないかと、個人的には思います。また、内容としても、原案だと、障害者が求める配慮と事業主が提供している配慮が相違する場合、第三者機関に協力を求めるとしてあります。主語がないので、労働者が求めるのか使用者が求めるのか分からないですが、第三者機関で両方納得するのならいいですが、どちらか一方だけに立場が片寄るのだったら、それは、それこそ紛争解決には程遠くなってしまうかと思います。

○山川座長

今の富永委員の御意見は、紛争解決というよりも、言わば、合理的配慮の手続の中で、第三者機関というよりも、専門性のある期間で適切なものがあれば、支援や協力を求めるという形に位置付けられるということでしょうか。

○富永委員

もちろん当事者が任意でやる場合にはいいのですが、協力を求めないといけないとか、合理的配慮の確定の前にこれだけの手続を踏まないと合理的な配慮は提供できないとなったら、かえってどうかと、個人的にはそういう印象を持ちました。

○山川座長

必要がある場合には任意的な協力要請という御趣旨でしょうか。

○富永委員

はい。

○武石委員

紛争解決については別途法律の規定があるので、あまりここで書いてしまうのはどうかという気が私もするのです。ただ、最後のなお書きが「障害者の意向を確認することが困難な場合」ということになっているので、ここをもう少し、例えば、先ほどもあった専門家の意見を聞くこともあるかもしれないので、「適切な合理的配慮を提供する上で、その判断に当たって」とか。ここは「意向を確認することが困難な場合」と限定的になっているので、もう少しほかの場合も想定した書きぶりでもいいのかという気がしました。

○山川座長

同様に手続の中で必要があれば、紛争解決機関ではない所から支援を求めると。そういう趣旨と理解してよろしいでしょうか。この点はいろいろ御意見があるかもしれませんので、ほかの委員の皆様方、何かありましたら。

○栗原委員

栗原です。いろいろとお話を伺うと、その内容には、なるほどとうなずくことは多いのですが、ただ、今回の合理的配慮にしても大前提なのは企業にとって過度な負担にならないという範囲、それが大前提だと思うのです。ですから、あまり細かいことを入れられてしまうと、前にもお話しましたように、企業にも大企業から中小企業まで対応体力の違いがあるわけですから、そのあたりも考慮していただかないと。例えば先ほどの資格の件は、聴講、講習を受けるのは構わないと思うのですが、資格がないと駄目だと考えられてしまうとまずいと思います。あまり細かい事を言われては企業としては困ってしまうという感じがします。

○山川座長

そのほか何かありますか。先ほどの北野委員のご意見、田中委員の意見書も、恐らく新たな紛争解決、プロセスみたいなものを作るべきだという御意見ではなかったと思いますので、現在のプロセスの中でどういう流れに位置付けるかということであったかと思います。紛争解決のプロセスか、それとも合理的配慮のプロセスかという問題はあるわけですが、先ほど武石委員あるいは富永委員からも若干出たかもしれませんが、何か支援といいますか話合いがつかないときに、アドバイスを求めることでしたら、合理的配慮の中に入るかもしれないという感じもしますので、そこはこれからの議論になるかもしれませんので、御検討いただけるでしょうか。

○障害者雇用対策課長

課長の藤枝です。言わずもがなで補足させていただきますと、先ほど説明した紛争解決の援助の 1 つの手法として、都道府県の労働局長が助言・指導・勧告をすることができるとなっていまして、完全に障害者と事業主の意見が対立して紛争状態になっている場合も当然想定されていますが、そうでない段階でも、当然、いろいろな就労支援機関や専門機関を紹介したりとか、あるいは、労働局長ですのでハローワークに対する指揮ができますので、ハローワークに同席をさせるとか、いろいろなやり方はあると思っていまして、そこはそういうことも含めた労働局長の助言・指導・勧告ということで理解いただければと思っています。

○山川座長

よろしいでしょうか。

○北野委員

今の栗原委員の御発言ですが、私は相談支援のところで研修等という話をしたのですが、栗原委員は資格とおっしゃいましたが、資格ではなくて、お互いに勉強していくために、研修する機会等はきっちり要るのではないかと申し上げただけでして、特別にこれをやるための資格とか、制度とか、そういうことは考えていません。

○山川座長

以上、手続的な点の中で、話合いがうまくいかなかったところにおいてどうするかという議論で、かなりいろいろ御意見を頂きましたが、ほかの点について何か御質問、御意見がありましたら、お願いします。例えば、同等の、同一のといった、 3 ページについても御意見を頂いていますが、この点については特にありませんか。

○富永委員

富永です。 3 ページの下のほうの表現ですが、同等な効果というのは、要するに事情を改善する効果のことではないかと思います。これは第 36 条の 2 とかの条文どおりなので、まさに事情を解決する効果を持つ措置が何か幾つかある場合、ということなので、これでいいのではないかと個人的には思います。ただ個人的な意見です。

○山川座長

先ほど事務局からも御説明はありましたが、職場において支障となっている事情等を改善するという形容詞が、法律において必要な効果を持っているという趣旨、「効果」という言葉は若干使いづらい面があるというお話はありましたが、そういう趣旨の形容詞だという御理解だったですね。もちろん、その点以外でも結構ですが、何かありましたらお願いします。

○伊藤委員

伊藤です。まだ議論が続くようでしたら後で結構ですが、私が申し上げたいのは、次回の議論のために資料を出していただけないかという要望ですが、よろしいでしょうか。

○山川座長

どうぞ。

○伊藤委員

次回は過重な負担も議論することになると思いますが、田中委員からのペーパーで、合理的配慮の実施に際して、利用可能な納付金制度や公的支援の利用を検討したことの説明が必要だと書かれています。私もそう思っていまして、現状の助成金制度、公的支援の資料として一覧できるものを御用意いただいて、それの利用実績というか執行状況も含めて、次回の過重な負担についての議論に資する形で提供していただければありがたいと思います。

○山川座長

事務局に次回の資料提出の御要望ということですが、よろしいでしょうか。これまでも議論の中で様々な支援制度とのコンビネーションで、それが利用しやすいように周知されるという点は、いろいろ御意見があったかと思いますので、次回、資料等を御用意いただければと思います。

○北野委員

今の関連で言いますと、次回には合理的配慮で資料 1 (4) で出てくる枠組みとして、マル1施設・設備の整備、マル2人的支援、マル3職場のマネジメントに関する配慮という 3 つの項目について、何か一定のものが出てくると理解してよろしいのでしょうか。質問です。

○障害者雇用対策課長補佐

課長補佐の境です。次回ですが、これから資料等をどのようにしていくべきか検討させていただきますが、具体的な合理的配慮事例はどういうものが考えられるかを、この研究会においてヒアリングしました。そこで障害種別ごとに出てきた例をまとめる資料が必要ではないかと考えています。その上でどのように資料を作るかは、どう御議論していただくのがいいのかも含めて検討させていただきたいと考えています。

○山川座長

よろしいでしょうか。次回は合理的配慮の中身、過重な負担について、かなり具体的に御検討いただくことになりそうです。次回の話をして、何となく議論が収束しつつあるわけですが、何か今日のテーマ、あるいは、次回についての先ほどのような御要望等でも結構ですが、ありますか。

特にありませんでしたら、時間は早めですが、今日は合理的配慮の指針の一部の御議論ということで、また次回引き続き御議論をいただきたいと考えています。それでは、今日の御意見については、事務局で適宜取りまとめていただいて、今後の議論に反映させていくことを検討いただければと思います。次回は合理的配慮の内容、過重な負担について、御議論をお願いしたいと思います。次回日程について、事務局からお願いします。

○障害者雇用対策課長補佐

事務局の境です。次回は第 8 回になりますが、 2 24 ( )14 時から 16 時の開催になります。場所は、共用第 8 会議室、 19 階になります。

○山川座長

これをもちまして本日の研究会は終了いたします。お忙しいところ、ありがとうございました。


(了)

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