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2014年4月17日 第1回 臨床研究に係る制度の在り方に関する検討会 議事録
医政局研究開発振興課
○日時
平成26年4月17日(木)18:00~19:30
○場所
厚生労働省6階 専用23会議室
○出席者
【委員】
遠藤座長 | 楠岡委員 | 児玉委員 | 近藤委員 | 大門委員 |
武藤(香)委員 | 武藤(徹)委員 | 望月委員 | 山口委員 | 山本委員 |
【事務局】
原局長 (厚生労働省医政局) |
神田審議官 (厚生労働省大臣官房) |
成田審議官 (厚生労働省大臣官房) |
土生課長 (厚生労働省医政局総務課) |
一瀬課長 (厚生労働省医政局研究開発振興課) |
城課長 (厚生労働省医政局経済課) |
佐藤課長 (厚生労働省医薬食品局審査管理課) |
赤川課長 (厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課) |
河野治験推進室長 (厚生労働省医政局研究開発振興課) |
稲川監視指導室長 (厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課) |
広瀬安全使用推進室長 (厚生労働省医薬食品局安全対策課) |
中山研究企画官 (厚生労働省大臣官房厚生科学課) |
○議題
1)臨床研究を取り巻く状況等について
2)今後の検討の進め方について
3)その他
○配布資料
資料1-1 | 臨床研究事案に関する最近の報道 |
資料1-2 | 高血圧症治療薬ディオバンの臨床研究事案 |
資料1-3 | 臨床研究に関する倫理指針の見直しの状況について |
資料2 | 臨床研究に係る制度の在り方に関する検討事項(案) |
資料3 | 今後のスケジュール(案)について |
参考資料1 | 高血圧症治療薬の臨床研究事案を踏まえた対応及び再発防止策について(報告書)平成26年4月11日 |
参考資料2 | 臨床研究に関する倫理指針(平成20年7月31日) |
参考資料3 | 日本学術会議(提言)「我が国の研究者主導臨床試験に係る問題点と今後の対応策」平成26年3月27日 |
参考資料4 | 日本製薬工業協会透明性確保等に関する日本製薬工業協会の取組み状況について」平成26年3月27日 |
参考資料5 | 医薬品に係る臨床試験を巡る各国の制度比較 |
○議事
○一瀬課長 定刻となりましたので、第1回「臨床研究に係る制度の在り方に関する検討会」を始めます。委員の皆様方におかれましては大変お忙しい中、本検討会に御出席いただきましてありがとうございます。開会に先立ち、医政局長の原より御挨拶申し上げます。
○原局長 先生方、お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。御承知のように昨年、ノバルティスファーマ社の降圧剤ディオバンに関する臨床研究について、幾つかの大学で恣意的なデータ操作や利益相反の問題点が明るみになりました。このために昨年8月、私どもでも「高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員会」を立ち上げて、今後の対応や再発防止策について検討を進めてきました。昨年10月に中間的な取りまとめを行い、3月末の委員会でもその後の状況を踏まえて、報告書案の議論を行っていただきました。その中で、我が国の臨床研究に対する信頼回復のためには、早急な対応が必要であり、そのための制度に関わる検討について、国は今年の秋を目途に、検討を進めるべきであると指摘されています。これを踏まえて今回、「臨床研究に係る制度の在り方に関する検討会」を立ち上げたところです。
具体的には臨床研究の質の確保をどうするか、被験者の保護をどうするか、また利益相反や透明性の確保についてどうするかなどの論点を考えております。それらの中での法制度、あるいはその他の手法でどうやってこの点を解決していくかということについて、検討いただきたいと考えております。極めて新しい話で、法制度として成り立つのかという点も含めて、いろいろと議論があろうかと思います。それぞれのお立場から活発な御議論を頂きますようお願い申し上げまして、私の挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○一瀬課長 本日は第1回目の検討会ですので、座長が決まるまでの間、私、研究開発振興課長の一瀬が進行を務めます。まず、委員の皆様の御紹介をさせていただきます。委員名簿に沿って御紹介します。
学習院大学経済学部教授、遠藤久夫委員です。独立行政法人国立病院機構理事長、桐野高明様は御欠席です。独立行政法人国立病院機構大阪医療センター院長、楠岡英雄委員です。新星総合法律事務所弁護士・医師、児玉安司委員です。独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事長、近藤達也委員です。兵庫医科大学医学部准教授、大門貴志委員です。東京大学医科学研究所教授、武藤香織委員です。公益財団法人がん研究会メディカルディレクター・名誉委員長、武藤徹一郎委員です。東京理科大学薬学部教授、望月正隆委員です。NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長、山口育子委員です。東京大学法学部法学政治学研究科教授、山本隆司委員です。
引き続き、事務局の主なメンバーの紹介をさせていただきます。ただいま御挨拶申し上げた医政局長の原です。大臣官房審議官の成田です。そのほかの事務局からの出席者については、座席表で御確認いただければと存じます。また、本日は医政局のほかに大臣官房厚生科学課、医薬食品局、老健局、文部科学省からも関係者が出席しております。
次に配布資料の確認をいたします。議事次第の一番上に配布資料一覧を記載しておりますので、それに沿って御確認ください。議事次第の次に、それぞれ1枚で座席表、開催要綱、委員名簿があります。その後に資料1-1、1-2、1-3とあり、資料2、資料3と続きます。それから参考資料1から参考資料5まであります。不足や落丁等がありましたら、事務局までお知らせをお願いいたします。
続いて座長の選任をお願いしたいと存じます。本検討会の開催要綱3の(2)に基づき、座長は委員の互選により定めることとされております。どなたか御推薦する方、自薦他薦等がありましたらお願い申し上げます。
○楠岡委員 本件に関しては法律面のみならず、医療制度あるいは臨床研究の状況など、いろいろなものが関わりますので、そのいずれにも非常に造詣の深い遠藤先生を座長に推薦したいと思います。
○一瀬課長 ただいま、遠藤委員を御推薦する御意見をいただきました。皆様、いかがでしょうか。
(異議なし)
○一瀬課長 御異議がないということですので、遠藤委員に座長をお願いいたします。以降の議事進行につきましては、遠藤座長にお願いいたします。これより議事に入りますので、審議の円滑な実施のために、撮影はここまでとさせていただきます。カメラの御退室をお願い申し上げます。
○遠藤座長 議事に入る前に、一言御挨拶をさせていただきたいと思います。既に原局長からもお話がございましたように、臨床研究そのものは医療の発展にとって不可欠であるわけで、人々が医学から便益を得るためには、避けて通れない非常に重要な研究ですけれども、最近は御案内のとおり、臨床研究をめぐる様々な不祥事が明らかになっています。
そういう流れの中で、臨床研究に関する規制の在り方を見直そうという動きが出てきているということです。臨床研究の中でも医薬品の治験などについては、国際的な視点から非常に厳しい規制が課せられているわけですけれども、そうでないものにつきましては、指針であるとかガイドラインというものは存在しておりますが、しかし厳しい規制が課せられているものは、必ずしも多くはない。総じて研究者のプロフェッショナルオートノミーが尊重され、あるいは製薬企業などの企業倫理に委ねるといった、いわば性善説が前提とされてきたと思います。
確かに現行のスキームでも、大半の臨床研究は問題なく行われているわけです。しかし一方で、限られた事例だとしましても、最近の不祥事は臨床研究に関する規制の枠組みの見直しを迫っているようにも思われます。もちろん臨床研究と言いましても、様々なものがございます。また、過剰な規制というのは研究開発の自由度を低下させて、パフォーマンスの低下を招くこともございます。本当に国民の便益を向上させる仕組み、どのような規制の枠組みが適切なのかというのは、実は大変難しい課題だと思うわけですが、それがこの検討会のミッションということです。私自身は大変浅学非才の身でございます。それぞれの御専門の委員の皆様のお力を得て、この難しい課題に筋道を付けられればと考えておりますので、御協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
まず、開催要綱の3の(3)の規定に基づき、私の職務を代理していただく方を座長が選任できることになっておりますので、私から本日は御欠席しておられる桐野委員にお願いしたいと思います。実際にお引受けいただけるかどうかについては、事務局から桐野委員へ確認していただくようにお願いします。
それでは議事に入りたいと思います。議題1、「臨床研究を取り巻く状況と対応について」です。委員の皆様も報道等で、あらましは既に御存じのことと思います。資料1-1から1-3として、事務局のほうで様々な事案を整理してまとめてもらっております。議論に先立ち、概要を説明していただこうと思います。
○南川補佐 まず資料1-1を御確認ください。臨床研究事案に関する最近の報道をまとめております。まずディオバンの事案については、本検討会の発足の契機にもなっておりますので、詳細については後ほど御説明させていただきます。本事案においては研究データの改ざん、研究機関と製薬企業との関係の在り方、医薬品の広告に関することが現時点での主な懸案事項として指摘されております。
次に白血病治療薬、タシグナ事案です。ノバルティス社の白血病治療薬、タシグナに係る医師主導の臨床研究において、本来渡るはずではない全ての患者データがノバルティス社に渡っていたことなど、実質的にノバルティス社が臨床研究に深く関与していたことが、東大の中間報告及びノバルティス社の第三者委員会の報告書で明らかになっております。本事案については、研究機関と製薬企業との関係の在り方、患者の個人情報保護、秘密保持の問題が主な懸案事項として指摘されております。
次にCASE-J事案です。武田薬品工業の高血圧症治療薬ブロプレスについて、既存の高血圧症治療薬との比較で、心血管系疾患の発生に統計学的な有意差がないにもかかわらず、一定期間経過後には有意差があるかのような誤解を招きかねない広告があったことが発覚しました。本事案では医薬品の広告について、主な懸案事項として指摘されております。
次にJ-ADNI事案です。アルツハイマー病におけるアミロイドPETを中心としたバイオマーカーの確立を目的とした臨床研究において、データ改ざん等の不正があるのではないかとの報道がありました。本事案については、本研究の関係者間に見解の相違があることから、現在、代表研究者の所属する東京大学において事実関係を調査しているところです。
続いて資料1-2、「高血圧症治療薬ディオバンの臨床研究事案」について御確認ください。本事案は京都大学医師等より、東京慈恵医科大学、京都府立医科大学及び千葉大学が中心となって実施されたノバルティス社の降圧剤ディオバンに関する研究論文について、血圧値に係る疑義が指摘されました。これを受けて平成24年に学会誌等が関係論文について、相次いで撤回しております。その後、今回の研究にノバルティス社の当時の社員が大阪市立大学非常勤講師の肩書で関わっていたとの指摘があったことから、平成25年5月、厚生労働省よりノバルティス社に対し、事実関係の調査及び再発防止について指導するとともに、以降、関連大学に対しても調査等の実施につき指導しております。その結果として、京都府立医科大学及び東京慈恵医科大学は、データの操作が認められたとの内部調査結果を公表しております。一方、ノバルティス社は当時の社員による意図的なデータ操作等を行ったことを示す証拠は発見できなかった、との内部調査結果を公表しております。これが平成25年の7月です。
次のページを御確認ください。これらの経緯を踏まえ、厚生労働省において平成25年8月より「高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員会」を設置し、状況の把握及び再発防止策に関する検討を開始しました。大まかに申し上げますと、関係者からのヒアリングの実施を踏まえ、平成25年10月に中間とりまとめを公表し、平成26年4月11日に報告書が公表されております。報告書は参考資料1として添付しております。なお、現時点で千葉大学の調査については最終的な報告はなされておりませんが、臨床研究の信頼回復に必要な対応方策の検討を更に進めるために、この時点の報告書を取りまとめたものであり、検討委員会として最終取りまとめではない旨、申し添えさせていただきます。
本検討委員会を行っている間に、文部科学省と厚生労働省が協力して医療機関と研究機関に対し、臨床研究の適切な実施に係る自主点検の実施及び報告を依頼し、平成25年12月にその集計結果の公表も行っております。それについては後ほど別の資料で御説明させていただきたいと思います。
次のページです。本ページには先ほど御説明した検討委員会の目的、主な検討項目、構成員、開催実績が記載されておりますので、御確認いただけたら幸いです。
次のページを御確認ください。これは本検討委員会の報告書の概要について記載したものです。まず、事案の背景と問題の所在について、大きく5つ指摘されております。1つ目は、本研究の始まった経緯が、関係者のヒアリングなどにより、医学的研究課題の解明に向けられたものとは言えない臨床研究であり、被験者保護の観点から問題であること。2つ目は、これらの臨床研究を実施するに当たって、ノバルティス社員の労務提供があったことが指摘されていますが、交通費等もノバルティス社が支給していたことなども指摘されており、個人と言うよりはノバルティス社として、今回の事案に関与していること。3つ目は、研究論文にノバルティス社からの労務提供があったにもかかわらず、論文によってはその記載がなかったこと、及びノバルティス社の元社員も当初は別の肩書で関与していたことなども指摘されているため、大学及びノバルティス社双方において、利益相反管理上の問題であること。4つ目は、データ操作があることについては内部調査で指摘されていますが、データ操作に関わっていないことの説明責任をノバルティス社及び大学関係者の双方が十分に果たしておらず、我が国の医学界に対する信頼性が大きく低下したことに関する責任を双方で負うべきであること。そして5つ目として、臨床研究の実施責任者・倫理審査会の不十分な対応、また、資料廃棄により検証が不能であることの御指摘を受けています。
これらの状況を踏まえた今後の対応と再発防止策については、大きく2つ指摘されております。法制度に関する検討を今年秋までをめどに進めることと、「臨床研究に関する倫理指針」の見直しの一環として必要な対応を図ることです。具体的な内容については(2)にあるとおり、臨床研究の質の確保と被験者保護の観点という意味で、倫理審査委員会の機能強化、研究責任者の責務の明確化、教育・研修の徹底、データの改ざん防止体制の構築、資料の保管管理に関する体制・ルールの整備などが指摘されているとともに、(3)にあるとおり、製薬企業の透明性の確保及び製薬企業のガバナンス等についての指摘があります。
その他の重要課題については、データの操作があり取下げとなった論文に基づいて広告を行っていること等から、薬事法に基づく対応が必要であること、また、学会のガイドラインが本論文を引用していること等もあり、学会における利益相反の問題などについての指摘も、報告書においてされております。
それでは次の資料1-3を御確認ください。「臨床研究に関する倫理指針の見直しの状況について」です。次のページにある横のポンチ絵を御確認いただければと思います。文部科学省と厚生労働省、それぞれの「疫学研究に関する倫理指針の見直しに関する専門委員会」、厚生労働省の「臨床研究の倫理指針の見直しに係る専門委員会」の3つの委員会が、平成25年2月より合同会議を開催し、同年8月に中間とりまとめを、本年2月に指針草案を提出し、現在御議論いただいているところです。
1つ前のページに戻ってください。これらの検討の経過において、ディオバンに係る検討委員会の中間とりまとめが公表され、それらの指摘も踏まえて現在、この資料の下半分にある見直しの方向性で御議論を頂いています。見直しの方向性については(1)「臨床研究の質の確保と被験者保護」は、倫理委員会の機能強化や研究責任者の責務の明確化については、従来の記載を充実することによる方向性で見直します。データ改ざん防止体制の構築については、モニタリング・監査の規定を新設すること、資料の保管管理に対する体制・ルール整備に関する規定を新設すること等が議論されております。(2)「研究機関の利益相反の管理体制」については、改めて利益相反に関する規定を新設する等の対応を行っております。なお、現行の倫理指針は平成20年7月に全部改正されているものを、参考資料2に付けています。事務局からの説明は以上です。
○遠藤座長 事務局から3つの資料についての御説明がありましたけれども、相互に関連し合っている部分もありますので、ただいまの御説明について、3つのうちのどれでも結構ですので、委員の皆様から御質問、御意見等があれば承りたいと思います。
○武藤(香)委員 口火の質問をさせていただきます。臨床研究に関する倫理指針と疫学研究に関する倫理指針の見直しは、ほぼ大詰めを迎えておられるような印象を持っているのですが、本検討会での議論との関係性を御説明いただけますか。
○遠藤座長 重要な御質問かと思いますので、事務局、お願いします。
○高江補佐 今回の事案が発覚する前から、臨床研究の指針と疫学研究の倫理指針については動向も含めて検討するという形で、検討が進められてきたところです。検討を進める中で、ディオバン事案やその他の事案が出てきて、あちらの検討の会議体である合同会議の場においても、研究の質の確保や研究機関の利益相反の管理体制についても、今回新たに見直し及び新設するということで、資料1-3で示したとおりです。
今後はこちらの取りまとめに向けて、合同会議で検討を進めさせていただいて、倫理指針が一本化した形で、最終的に告示される形になってきます。ただ、こちらの検討会ではそのような指針の見直しも含めて、現在ある指針でできる部分、担保される部分と、それではまだ足りない部分も全部含めた形で御議論を頂いて、倫理指針が変わったのでこちらでは検討していただかなくてもいいという話では全くなく、一から御議論いただくという関係です。ですから倫理指針は坦々と作業を進めていただきますが、この委員会での結論を含めて更なる改定なり、更なる違う措置といった結論を頂ければと考えております。
○遠藤座長 武藤香織委員、よろしいですか。
○武藤(香)委員 はい。
○遠藤座長 事務局から御説明がありましたように、我々はより幅広い視点からの議論をして、提言を求められているというように理解できると思います。
○山口委員 私も武藤委員と同じ所を疑問に思ったのです。そうしますと、例えば倫理委員会でも議論がされている同じ内容について、この検討会でも問題意識を持てば、発言したり議論することは認められるということでしょうか。
○高江補佐 もちろん、そのように考えておりますので、お願いできればと考えております。
○遠藤座長 ほかに何かございますか。資料も内容も少し多うございますので、お目通しいただきながら、また何かあれば、会議の途中で御質問や御意見を頂くという形にします。既に議論の中で「今後の当部会でのミッションについてのお話が出ておりますので、議題2である今後の検討の進め方に踏み込んで、また御議論いただいたほうが深みが出るかと思いますので、議題2の「今後の検討の進め方について」を説明していただきたいと思います。事務局から案が出ておりますので、事務局から御説明いただきたいと思います。
○南川補佐 資料2について御説明いたします。「臨床研究に係る制度の在り方に関する検討事項(案)」を3つ挙げております。現在、臨床研究については「臨床研究に関する倫理指針」を遵守するように指導することで、適正な臨床研究の推進を図っており、この指針についても見直しを進めているところですが、このような枠組みだけでは対応できない事項は、一体何かということです。2つ目は、臨床研究に一定の法規制を導入することによって、臨床研究の推進とのバランスをどう考えるかという点です。この点については先ほどの報告書においても、臨床研究の実施機関等に対する影響も考慮した上で、検討を進めるべきという形でされているところです。3つ目は、具体的な検討項目として先ほどから指摘されているように、臨床研究の質の確保及び被験者の保護、製薬企業の資金提供・労務提供にあたっての透明性の確保、臨床研究の実施機関における利益相反の管理について、検討事項として挙げているところです。
○遠藤座長 本検討会の使命と申しましょうか目的、検討事項を具体的に事務局が提案しているわけです。これについてあるいは、先ほどの説明についてでも結構ですが、御意見、御質問があれば承ります。関連して、今後議論をするに当たって留意すべき点、あるいは事務局への要望等も、初めですので是非承りたいと思います。もし、そういうものがあれば御発言ください。そういう意味では何でも結構ですが、いかがでしょうか。
○楠岡委員 先ほども、指針と今回の検討との関連のお話が出ていました。まず、「臨床研究」という言葉自身が非常に幅広い領域を含んでいます。御承知のとおり、単純な観察研究というか、既存のデータを基に、患者さんの経過を追うだけのものから、今一番問題になっている臨床試験と言われる、お薬等をランダマイズして投与してその効果を見るという研究まで、臨床研究という言葉自身が非常に幅広いものを含んでおります。
今見直している指針の場合は、疫学研究と臨床研究の指針を合体させる。非常によく似ているところが多いので、二本立てというのは不都合があるので一本化しようということで進んでいるわけです。私もその検討会に加わっております。これは私自身の個人的見解かもしれませんが、検討会の基本的な考え方は、疫学研究、臨床研究に関わる指針のベースが1つあって、研究の種類によっては少し緩めてもいいところがあるだろうと。逆に研究の種類によっては、それだけでは足りなくて少し追加するべきところがあるだろうという形をとることになりそうです。今はベースを決めて、緩めるところと強化するところをどうするかを議論しています。
その中で、特に強化すべきところは、いわゆる臨床試験のところで、薬などを使って患者さんにリスクを負っていただいて、薬の効果等を見るところは、他の研究と同じレベルではなくて少し追加しなければいけないところかと思います。ここの部分に関しては、臨床研究というか、特に臨床試験に関わるところの関係者の間ではずっと昔から議論があるところで、治験と言われる、薬の承認申請のためにデータを集める、臨床試験の1つですが、治験に関する部分と、医師が自主的に行う臨床試験、今は治験の中に医師主導治験という治験と全く同じタイプをとるものがありますが、その医師主導の臨床試験とは、日本では別々になっていて、治験は薬事法に基づく法律で縛られる。一方、一般的な臨床研究、臨床試験は指針しかない。ところが、海外では全く同一というわけではありませんけれども、要はヒトに何か薬などを投与するものに関しては同じレベルで規制する。そこに乖離があるので、前から日本でも早く欧米並みにそこはそろえる必要があるのではないかという議論はずっとありました。
その中で、今回このような問題が出てきたので、臨床試験という指針レベルで行っているところを、もう少し考える必要があるのではないかというのが今のテーマと私も認識しています。ここのところはまだきっちりは煮詰まってはいない。欧米も国によって少しずつ制度が違いますし、そのうちどこを我々としては見習ったらいいのか。もう1つは、「臨床研究」という言葉で括ってしまうと、そんなに厳しくしなくてもいいものと、絶対に厳しくしなくてはいけないものがゴッチャになってしまって、話がかえってややこしくなってしまうので、今「臨床研究」と言われている部分でも、ここではそのうちのどの部分を中心にということを明らかにしておかないと、話が独り歩きして、しなくてもいい規制をする必要があるかというような逆の議論にもなってしまうところがあるのではないかと思います。
○遠藤座長 事務局どうぞ。
○一瀬課長 楠岡委員の御発言に関連して資料の紹介をさせていただきます。参考資料5「医薬品に係る臨床試験をめぐる各国の制度比較」、こちらはディオバンの委員会のときに、国立がん研究センターの藤原委員から御発表いただいたものです。米国、英国、フランス及び日本の制度を比較して書いてあります。日本は、治験と臨床研究と分けておりますが、この臨床研究が楠岡委員の言うところの臨床試験になるかと思います。米国、英国、フランスでは治験と臨床試験を分けずにやっております。日本では、治験と臨床試験が分かれた形での規制が行われています。こちらについて詳しくは別の機会に御説明できればいいと考えております。
○遠藤座長 楠岡委員からの御指摘は非常に重要なわけです。臨床研究というのは一番広い概念です。そこに臨床試験というのがあって、更に言うならばその中に治験というものがあるという話です。それに関する規制の在り方を考えるときには何を議論しているのかを明確にしないと、余計なものに過剰な規制をかける可能性もあるということです。その辺のところは、ある段階で事務局に整理をしていただいて、議論をしていったほうがよろしいのかと思います。非常に重要な御指摘を頂きました。それに関連してでも結構ですし、そうでなくても結構です。それでは武藤徹一郎委員、それから山口委員の順番でお願いいたします。
○武藤(徹)委員 私は外科出身で、こういう分野には誠に素人に近いものですからインプレッションを申し上げます。恐らくこの委員会の目指す方向は、倫理指針とか今までの規則を見直して、足りないところを補ってということで、非常に細かいいろいろなことが議論されると思うのです。大体こういうときにはそういう傾向になります。
しかし考えてみると、ここに資料として出ている指針があります。かなり立派な分厚いもので、ちょっと目を通しただけでも「いやー、大変だな」と思うぐらいのものが書かれております。それに、更に詳しいものが出来上がるに違いないのですけれども、こういう立派な指針があるにもかかわらず、こういう事件が起こるということは反省しなければいけないのではないかと考えます。あるにもかかわらず起こってしまったということで、結局この指針が役に立っていない、断じてしまえばそういうことになるわけです。もっと難しいものを作っても、やはり起こるものは起こるのではないか。
むしろ現場の人たちにとっては、こういう細かいものがあると大変やりにくくて、面倒で煩わしいということもあり得るのではないかということです。私は、どうやればいいかということを言っているわけでもないし、これを見直すことは必要だと思います。こういう事件が起こるということ、この起こったことを私は新聞でちょっと見たぐらいで、「またやったのかな」と思いました。送ってもらった資料を読んでみますと、これはひどいなと正直思いました。なんで5つの大学が、しかも一流の大学が引っ掛かってしまったのか。1つの会社に引っ掛かってしまったということを考えると、これは指針の問題ではなくて、何か別な所に原因があるのではないかと思うのです。
1つの提案として、将来の予防のために、学生時代から利益相反とか治験ということをきちんと講義することが必要ではないか。私どもが学生の段階では、一言もそんなことは聞いたことはありません。ですから、それが必要ではないか。利益相反については、私どもの外科系の学会では、外科系の医者はこういう仕事が余りないわけです。化学療法だけはあります。学会の発表には、誰も彼も利益相反はありませんとスライドに出します。まるで定期券のようなもので、それを出せばよろしいという感じなのです。若い外科医が、利益相反になるような仕事をしているはずがないから関係ないのです。だけれども、出せばそれでいいのだという、利益相反に対する認識が非常に軽くなってしまっています。
欧米では、一流の研究者になると利益相反がたくさんあります。あるほうが研究をしているという認識のはずなのです。日本はそうではないという雰囲気があって、そういうことをもうちょっと認識をしっかり持たせる。すぐに効果は現れないかもしれないけれども、将来的に考えると、やはり若いうちから教育することが非常に重要ではないかと思います。雑駁なインプレッションで申し訳ありません。
○遠藤座長 したがって、こういう倫理規範をいくら細かく作っても、守るか守らないかという問題があります。1つの解決策として、武藤委員がおっしゃった教育の充実ということがあるわけです。他にもいろいろあって、ペナルティを科すとかいろいろな考え方があると思います。それは法的規制という形になっていくのでしょうけれども、そういうことも含めて御議論いただくことになっています。
○山口委員 先ほどから、「被験者保護」という言葉が出てきて、このメンバーの中で私が唯一患者ですので、そういう立場から意見と感じていることを述べさせていただきます。
今回の、ディオバンに関しては非常に大規模な研究ということで、多くの患者さんが参加されました。さまざまな問題が発覚した結果を見たときに、多くの被験者は一体何のための参加だったのかと、非常に大きな疑問が残ると思いながら事前に資料を読ませていただきました。例えば、ノバルティス社の報告書の中に、元社員が市大の非常勤講師の身分を使えば許されると思い込んでいたとか、会社も同様に解釈していたと書かれていました。大きな製薬企業の報告書として、そのような恥ずかしいことが堂々と書かれていること自体に問題の深刻さを感じました。
私もこういう活動をしていますと、さまざまな方面からいろいろな声が入ってまいります。一部、製薬会社にお勤めの方がどの部分を指してか分かりませんけれども、ディオバンの問題が発覚した際に「みんなやっている」「そこを指摘されたらやっていけない」というような声も聞こえてまいります。今回の問題を見ても、何かどこかで慣習化されていたり、曖昧なままになっていたりして、なあなあになっていることが原因の一つではないかと感じています。例えば「研究をサポートする」ということ一つをとっても、どの範囲までのサポートなのかが行き過ぎていった結果が今回の事件なのかとも読ませていただきました。
今回こういう見直しの場を持つ機会がせっかく設けられたので、製薬会社と研究機関と、どの部分が曖昧なまま放置してきたのかを明確にあぶり出すというか、問題点を明確化する必要があるのではないかということを、まずこの検討会でお願いしたいと思います。
私自身、ある国立大学の倫理委員会に入っております。その経験と、入っていることで、他の大学の倫理委員会の有り様をいろいろ耳にします。今回も倫理委員会が1つの歯止めにならなかったことからすると、倫理委員会の持つ役割の大きさを今一度見直す必要があるのではないかと思っています。例えば、外部委員の積極的な登用を渋るような大学があるとも聞きます。また、例えば私が入っている大学でも、一度もお会いしたことがない委員がいます。平気で欠席していても、定足数が足りていたらそのことが問題にならない。事前に配られている資料があるのに、明らかに事前に目を通していないかのようにお見受けするような委員の方がおられたりもします。
私が入っている大学は意見がたくさん出る委員会ですが、他病院では「倫理委員会を開いてもほとんど意見が出ないんだよ」というような倫理委員会の委員長が嘆いているところもあるようにお聞きしています。逆に倫理委員で諮られる申請数が多くなると、ただ捌いているような委員会の有り様を感じることもあります。また、実際に倫理委員の研修が必要だと言われて、こういうことを本日はレクチャーしますという話がありますけれども、一方的に情報を伝えただけで研修を受けたことになってしまっている。そういう今挙げただけでもかなり多くのことを倫理委員会に参加しながら、あるいはいろいろな意見を聞きながら感じてきております。結果としてこういうことが出てきたことからすると、実際に倫理委員会の機能をしっかり果たすような決まりにしていかないと、せっかくの倫理委員会が何の歯止めにもならなかったら意味がないのではないかと思っています。どうすればしっかりと機能を果たす倫理委員会になるのかを議論していきたいと思っております。
○遠藤座長 企業と医療機関、あるいは医師との間の関係で曖昧になっているところを少しクリーンにするべきだと。今後の議論の中ではそういうことの整理が必要ではないかということ。もう1つは、倫理委員会の機能強化ということが非常に重要なので、そういう視点からの議論をしていきたいという御意見だったと思います。
○近藤委員 PMDAというのは薬事の中枢になっておりますけれども、その点からお話させていただきます。治験についてですが、これはお薬にしろ医療機器にしろ、その有効性と安全性と品質の確保をどう評価するか。しかも、多くの人々に使っていただくものですから、それは国民全体に対してコンプライアンスを持ってそれを評価していかなければならない。多くの製薬企業にしろ、医療機器メーカーにしろ、どうしたら有効なものになるか一生懸命工夫しているのだろうと思うのです。安全性についても同じです、品質についても同じです。臨床研究でも同じことをやっているのかもしれません。
ただ、薬事における治験というのは、本当にそのようにやったのかどうかを確かめるわけです。信頼性確認を必ずやるわけです。その中において、不正なことが絶対に起こらないような仕組みを取り込んであるわけです。つまり、パブリックヘルスという立場で研究をしっかり見守っているわけです。一体、臨床研究はどうなのかというと、お医者さんが例えばこういう治療法があると世の中の役に立つよねと思ったときに、患者さんと1対1でコンプライアンスを持って、相手も納得していただくような格好で研究を始めるわけです。よく説得してやるわけですけれども、ここにおいても同じように、品質、有効性、安全性というのはあるのだろうと思うのです。そこでは、パーソナルなヘルスというか、インディビデュアルヘルスになる。パブリックヘルスではないのです。ですから、1対1の関係の治療法の確立、又はその病院単位ぐらいのことで答えが出てくるのだろうと思います。しかしながら、そこでそのクオリティはどうやって維持しているのかどうかとなったときに、その辺のところは倫理委員会がそこまで追いかけていっているかどうか。
間違いなく入口はしっかりやっているのだろうと思うのです。患者さんにはそういう説明をちゃんとしているよねと。この文章は患者さんに理解できる文章かどうか。本当に患者さんのことを考えているかどうか、恐らく倫理委員会は見てくれていると思います。しかし、そのデータを集めた後でどういう処理をして答えを出しているのかというのは全くやられていないわけです。ディオバンの事件が正にそこにあるのですけれども、そのデータが後で薬事に絡むようなデータに使われていくわけです。それは、薬事から見るとちょっと問題があります。そこはすでにパブリックヘルスの領域です。インディビデュアルヘルスのときはお互いの確認で済む。パブリックヘルスになった瞬間、これは多くの国民や人々に対する影響がありますから、責任を持った所でやっていかなければならない。
そういう観点を持って、もしも臨床研究の精度を高めるというのであれば、1対1のときはまだいいのかもしれないけれども、パブリックヘルスに絡むときには、やはりそれなりの考え方をしっかりまとめていかなければいけないと。つまり、そのデータが信頼性の確認ができるかどうか。それをしっかりやっていく姿勢を取っていかなければいけない。欧米はそこをしっかり確認する仕組みで成り立っています。INDだってそうですから。そういう意味で、日本の制度の中でその辺のところが、遠藤先生も、原先生もおっしゃいましたが、性善説なのです。薬事は性悪説なのです。意地悪ではないのですけれども、その辺のところをしっかりと入れ込んで見直すべきところは見直すのが正しいのかと思います。
○遠藤座長 重要な御指摘が幾つかあったのかと思います。医薬品に関連する臨床研究の場合でも、治験に関してはきちんとしたルールがあるということで非常に検証可能であるわけです。薬事承認に行く前の研究で、それが臨床研究という名の下でやられているようなものについては、プライベートなヘルスであるというところで、その辺にあやふやなところがあるのだということですよね。
○近藤委員 はい。
○遠藤座長 もう1つは、ディオバンのケースのように、既に上市されているものの追加的効能を調べるというケースにおいても、また治験のような厳しいものがなかったということです。そこの規制のギャップをどう考えるのかということです。しかし、余り強くしてしまうと、今度は研究のインセンティブみたいなものがなくなる可能性もあるので、どのように考えるのかという非常に難しい問題をこれから検討していくと。そういう意味で、何を議論しているのかというのは、楠岡委員がおっしゃったように、非常に重要な視点なのかと思いました。
○望月委員 私は、薬学教育協議会という組織で教育に携わっています。10年前から、薬学教育は6年制になりました。その時に、新しいモデル・コアカリキュラムを作りました。それは、医学のモデル・コア、歯学のモデル・コアに倣って作ったというのが正直なところです。その頃の医療人の問題点は何かというと、やはり倫理教育がなっていないということと、コミュニケーションができない。それが、薬学も含めて医療人共通の問題でありました。
そのために、現在の新しい薬学教育の中では、まず6年間にわたってヒューマニズムを学ぶ。その中には生命倫理、医療倫理、それから研究倫理も含むということで進んできています。武藤先生が、「そんなのは学生時代からやらなければ駄目だよ」とおっしゃったとおりだと思うのです。新しい人たちはそういうのを学びつつある。ただ、それがどう活きているかというのをみると、これからさらに再検討しなければならない。そのために、新しいモデル・コアカリキュラムを作っていて、平成27年4月の新入生から始まります。そこには更に強く研究倫理、医療倫理が含まれています。
研究倫理については、目下大きな問題となっており、本当にこれが研究かどうかという議論までしている状態です。研究倫理が若い人間だけではなくて、いろいろな研究者についてそれぞれバラバラであるという点が非常に大きな問題であると思います。
そういう若い人たちだけではなくて、もしかしたら若くない人たちの再教育、倫理教育が必要ではないか。研究倫理、医療倫理というのを、もう一度、教育と言ったらおかしいのですが、研修というようなことを、このような検討会の場で声高に言い出すことが必要かと思います。
ディオバンの事件では、医療統計とか生物統計を用いて解析する人が非常に少ないのが問題です。少ないからこそ、自分たちのよく知っている研究者ではできずに、ついつい企業から紹介されて、その人にお願いし、言われたとおりになるというのが弱い点であります。この前の薬事法の改正のときにも申し上げたのですけれども、そのようなレギュラトリーサイエンスの一角というのは、教育でも一番弱いところだと思うのです。薬学は特に弱いと思うのです。その席で申し上げたのは、国衛研(国立医薬品食品衛生研究所)とPMDAは、日本のレギュラトリーサイエンスを教育する、ある意味で責任があり、医療統計や生物統計の教育をするべき1つの拠点です。最近は積極的に外に出て教育を進めておりますが、それを更に広げていただきたい。
倫理とレギュラトリーサイエンスの2つが広く行き渡って、若い人たちができるようになれば、若くない人もそうしなければいけないという雰囲気になると思います。是非そういう方向に教育の面からも見直していただきたいと考えております。
○遠藤座長 教育の問題で、倫理の問題と並んで統計的な技法の修得の重要性、今回のケースにはそこのところが1つの穴になったということもあって御指摘を頂きました。
○児玉委員 この間、臨床研究に関連して様々な法的な対応について御相談を頂く機会が多数あります。今般の資料を読ませていただくと、改めて大変深刻な問題だという感を強くしました。様々なアプローチがある中で、私としては3つ大きな問題があると思っております。1つ目はConflict of Interestの問題、2つ目は臨床研究に関するモニタリングの問題、3つ目は臨床研究に関するpatiant advocacyの問題が重要だと思っています。
1つ目の、Conflict of Interestに関しては、これまでありました「臨床研究に関する倫理指針」のどこに位置付けられているかというと、インフォームド・コンセント、被験者に対する説明事項の中に位置付けられていると思います。参考資料2の18ページですけれども、そこでの記載を見ると、「当該臨床研究に係る資金源、起こり得る利害の衝突及び研究者等の関連組織との関わり」という表現で、Conflict of Interestの問題を捉えております。ここで注意を喚起しておきたいのは、利益相反の問題を、「起こってはならない利害の衝突」と記載されているのではなく、「いかなる場合も起こり得る利害の衝突」と位置付けられていることを注意喚起したいと思います。
もともと18ページの下の、次の項目のインフォームド・コンセントの手続の細則の所に記載がありますけれども、Conflict of Interestの問題について、我が国でのレギュレーションの在り方についての先鞭を付けたのは、平成14年11月1日の文部科学省科学技術・学術審議会技術・研究基盤部会の産学連携推進委員会の利益相反ワーキンググループの報告書ということです。産学連携推進という立場から、利益相反という新しい課題についてどのようなシステムを設けたらよいかということを、平成14年の段階でアナウンスメントが行われたのですけれども、正直なところ現在のような状況を必ずしも想定しておらず、かつルールそのものは必ずしも明確でなく、どのような事例に、どのような規制手段を適用していくかということも必ずしも明確ではなかったように思っております。そういう意味で、利益相反についてもう一度基本的な概念整理を行った上で、どのような状況で、どのような規制を行うか、行わないかよく吟味をする必要があるのではないかと思っております。
2つ目のモニタリングについてですが、これもどのようなシステムを整備していくか、ビジョンはいろいろ多岐にわたるわけです。1点だけに絞るとするのであれば、この間様々な臨床研究に対する疑念が表明されている中で、なかなか一般国民目線ですっきりした気持ちになれないのは、本当に改ざんが行われたかどうかという基礎データが、きちんと把握できていないところに問題があるのではないかと思います。
10年ほど前を想起すると、医療不信ということが大変厳しく指摘された時代がありました。その時も、医療に関連する診療記録の改ざんということが大変問題になったように思います。その当時の議論の中で、取り分け紙のデータから電子データに移行していく中で、電子カルテの在り方については見読性、見て読める状態にすること。保存性、保存されたデータが失われないようにすること。真正性、記載した入力者や、変更履歴を明らかにしていくこと。こういうことが、次第にルールとして整備されてきたように思います。あらゆるものに等し並みにそういう考え方を適用するのは困難だとしても、基礎データをモニタリングの対象として、何らかの形で保存性、見読性、真正性が維持されるような形で、何らかのシステムを作り、ルールを作り、それに必要な公的な予算を付けていくような形で支援・育成をしていく必要があるのではないかということを感想として持っています。
○大門委員 先ほどから生物統計家の話題が出ておりますが、私自身は生物統計学を専門としており、そのような立場で本検討会に携わらせていただくことになりました。特にデータの操作や改ざんといった問題に関しましては、データ管理、モニタリング、監査、さらに、それらに付け加えたい点としましては、今回のディオバンで問題になったように、生物統計家でない方が解析に携わったところでして、生物統計家が責任をもっての統計解析が重要だと思います。これらによって恐らく十分回避できた問題でしょうし、これらはGCPにも既に規定されているところです。
完成に向かっていると伺っております、臨床研究に関する倫理指針の改訂版では、特にモニタリング、監査という点が新たに追加されたということで、これは非常に大きな一歩だと思います。しかしながら、データ管理と統計家による統計解析の関与に関しては余り書かれていないのではないかと危惧しており、その点は要検討の材料かと思います。また、臨床研究に関する倫理指針そのものがうまく活用されていくためには、諸先生方がご指摘されたように、教育が土台になった上でもう1つ重要な点は、その倫理指針が遵守されているかどうかの点検機構の確立ではないかと思います。それは試験内部で言えば、モニタリングや監査で担保されるでしょうし、試験外の立場からすると倫理審査委員会、もう一歩外の立場からすると別の第三者の機関による点検があってもいいのではないかと考えております。
○遠藤座長 今回のディオバンのケースでは、名だたる大学の中で、統計の専門家が必ずしも十分でなかったということが1つの理由だとなっています。生物統計学の専門家の育成はどういう状態なのですか。
○大門委員 これは、従来からの課題でして、育成のための生物統計学教室は一部の国立大学や私立大学に存在している状況ですが、今なお足りない状況であることは間違いありません。生物統計の先生方が多々おられるわけですけれども、その方々自体が手一杯の状況でして、やはり育成は喫緊の課題だと考えます。それから、育成にあたる人材が所属するポストの問題も改善していく必要があるかと思います。
○遠藤座長 そうですね、ポストがなければ、工学部でも経済学部でも統計学者を必要としていますから、そちらの分野に近い統計の勉強をしてということになってしまいますね。
○楠岡委員 今回の問題を考える場合に、体制ということと、利益相反の2点が密接に絡んでいるのですけれども、ここのところを今後どうするかというのが一番のポイントになるかと思います。先ほど、企業が行う治験と医師主導治験と、それから医師が主導的に行う臨床試験の3つが日本では少しずつ違う取扱いになっていると申し上げました。体制としても、企業が行う治験の場合には潤沢な資金があり、それをサポートするスタッフも会社の中にたくさんいますし、今問題になっているようなモニタリングとか監査というのも、十分それができる体制があって進んでいる状況があります。
それに対して医師主導治験の場合には、これは一部厚生労働科学研究費でお金が出ておりますけれども、規模としては企業が行う治験よりも額としてはかなり少なくて、結果的に十分なサポート体制をするにはまだちょっと足りないというか、担当する医師が手弁当でやらなければいけないようなところがまだあります。しかも統計となると、これは医師主導治験ですから最終的に統計の専門家でないと意味がありませんので、そこはまだある程度の資金の中で外部に統計を依頼できるような状況にある。
今問題になっている、医師が主導している臨床試験の場合になると、今回も別に研究代表者を擁護するわけではありませんけれども、スタッフといっても医局員の2人か3人しかいないような所でデータの収集とか、データのモニタリング、データのクリーニングをやるというように、非常に規模的に違うところでやることが1つ大きな問題で、ある程度そういうシステムがないとなかなかできない。そういうところに負担がかかっていたのではないかというのが1つ考えられます。
先ほどの統計に関しても、外部に頼むほど資金がないということで、知っている人についつい頼んでしまう、あるいは申し出があるとそれに乗ってしまうところがあるということで、やはり体制的にどの辺のレベルを目標とするかはありますけれども、臨床試験をしようと思うと、それなりの体制が必要になってくる。そういう意味で今は臨床研究中核病院など、大学等にそういう機能を持たせようということでやっているわけです。そういうものがないと、なかなか公明に、公正に臨床試験をするのは難しいということで、1つは体制をどうやっていくかというのがあります。
利益相反の問題ですが、治験の場合は企業が依頼しているわけですから、利益相反ははっきりしているわけです。医師主導治験の場合も、もちろん公的資金で行っている部分もありますが、医師が開発した薬ばかりではなくて、既存の薬をメーカーから提供を受けてやっているような医師主導治験もあります。その時には、薬の提供者が誰であるかということはきっちり明示されてやっているので、そういう意味でも利益相反に関してはかなりオープンにされている。
ところが、医師主導の臨床試験においては、今回の論文も研究資金は大学から出たと書かれているわけです。今の制度だと奨学寄附金は一旦大学へ行って、実際は用途が決まっているような状況があっても、見かけ上は一旦大学が受け取って、それが大学の資金として研究者に渡る形になっていたので、利益相反が非常にはっきりしないというか、そこで隠されてしまっている。そのような形で利益相反のところがある意味で隠されていくようなところがあるかと思います。その点に関しては、今は依頼者側の製薬メーカーも透明性を高めるような方向に行っているので、そこは今後は少し改善されていくかと思います。
ですから体制の問題と、利益相反のところを今後どうやっていくかというのが一番大きなところです。ただ最初の議論にもありましたけれども、その規制を強めればなくなるかというと決してそうではなくて、それによってだんだんできなくなってくる部分もあるでしょうし、仮に規制のレベルを上げても、それに付いていけるだけの研究者が本当にいるのかどうか。やはり、体制と同時に、並行して教育のほうも進めていかないと、枠はできたけれども、中で働く人がいないみたいなことになってしまいますので、そこも1つ考えておかなければいけないかと思います。
もう1つは、日本における利益相反の考え方が、利益相反があってはいけないみたいな捉え方があって、それで学会のスライドもなし、なし、なしとなるわけです。ないわけはなくて、どこかにあるわけです。透明性ということで、それがあることが悪いことではなくて、隠すことが悪いという辺りの社会的な認識も広めていく必要がある。痛くもない腹を探られるから、ないことにしておこうみたいな、逆の方向に行ってしまいます。アメリカはSunshine Actということで、20ドル以上の金品の授受は全部届け出なければいけないことになっています。それは極端だとは思いますけれども、利益相反に対する社会的な考え方も少し変えていかないと、今回の問題はなかなか難しいかと思います。
ちなみに、治験ぐらいに制度がきっちりできていれば問題ないかというと、実は2年ぐらい前に治験でデータ改ざんのあった事例がありましたので、ただ単に制度を強化すればそれでなくなるという話でもないと思います。
○武藤(香)委員 楠岡委員より、既に多数の重要な論点を御指摘いただいたのですが、私もさらに意見を述べさせていただきます。私の立場は、勤務先の研究所では、研究倫理支援といいまして、主に研究計画立案段階での倫理的な課題に対して助言をする業務を進めており、倫理審査委員会の事務局を応援したり、研究者や患者・被験者からの相談に乗ったりしています。それから、世の中に出回っているインフォームド・コンセントの冊子が余りに長く難解なため、そのエッセンスを分かりやすくお伝えするための説明補助資料の開発をしております。たとえば、絵本やフローチャートのようなもの、また、聴覚に頼られる視覚障害の方でも分かりやすく理解していただけるようなものです。
さて、この検討会の中での議論に適しているかどうか、3点ほど気になっていることがあります。1点目は、再生医療等の安全性の確保等に関する法律についてです。この法律では、臨床試験も対象に含まれておりますが、そちらで「特定認定再生医療等委員会」といういわば倫理審査委員会のようなものが検討されています。現在、様々な事柄を準備中かと存じますが、そちらのことと、この臨床研究全般でに法制度を検討する場合のバランスや整合性については、勉強していても今ひとつこれからどうなっていくのかが分かりづらいところがあります。この検討会で法制度を検討していく際に、この法律との関係も非常に大きいのではないかというのが1点目です。
2点目は、既に多数の委員からご指摘がありますが、研究実施体制が、一定水準以上ない所は研究しては駄目だとすべきか、すべきでないかというのが悩ましいと思います。先ほど来の生物統計家もそうですし、私のような研究倫理支援をする人材も圧倒的に少ないのが現状であるとともに、日本全国にいるわけではなくて、一定の恵まれた施設にだけいます。研究倫理支援職に限って言えば、養成するための教育機関があるわけではなく、研究倫理というテーマに関心をもった人、あるいは、人事異動で仕方なく倫理審査委員会の事務局をやることになった人が業務にあたっており、そのバックグラウンドは様々です。しかし、近年少しずつ増えていることが個人的なつながりで分かってきて、昨年から30人ぐらいを集めて勉強会をやっと始めました。お宅の施設でもそうなのですか、うちもこうなのですよとか、指針には書かれていない運用上の情報交換を草の根で進めながら、倫理審査委員会の質を上げようとしています。こういう人材が育たないと、山口委員が御指摘になった倫理審査委員会の質は絶対に上がらないと確信しています。
倫理審査委員会への批判をよく耳にしますが、質の高い倫理審査委員会を目指すには、委員長、委員、研究倫理支援職、事務局員、関係者全員がやる気と誇りを持って臨むには、どんなインセンティブがあればよいのか、少し前向きなサイクルで、倫理審査委員会を見守っていくようなことも考慮いただけるような仕組みを議論したいと思います。
3番目は、patiant advocacyと児玉委員がおっしゃったこととも関連して、被験者となられる方々、あるいは患者さんたちに、研究デザインを作る段階からどう関わっていただくか、あるいは被験者となられた後に、自分が貢献したはずの研究がその後どうなったのかということを、どうやってお知らせするかについても議論が必要です。個人的には研究者側に被験者への情報提供に関して何らかの責務を持たせない限り、そのような文化を醸成していくのは難しいと考えます。患者参加型の臨床試験の文化を日本でも作っていくべきだと思っております。患者さんたちにも目を養っていただいて、どういう研究なら信頼できるのかを患者さん自身にも考えていただきたいと思います。
実は日本の患者会活動の中には、諸外国の製薬企業から資金が入ることによって、ようやく活動が支えられているところも多いです。また、患者会のなかには研究費を助成できるところもありますが、そこから研究費をもらっていると、それは一見クリーンに見えますが、原資が製薬企業である場合もあります。先ほどCOIの話がありましたけれども、このような現状そのものがダメということではなく、透明にすることが大事だという意味で、患者会活動も臨床研究を支える制度の一部としてきちんと認識した上で、制度を検討すべきではないかと思いました。
○遠藤座長 3つのお話がありました。1つ目は再生医療に関連する法律が既にあるということです。この検討会で議論する上で非常に重要な参考になるかと思いますので、いつかまた御説明いただければと思います。利益相反の問題が楠岡委員からも児玉委員からも出ました。児玉委員は、利益相反の概念整理をする必要があるのではないかという御指摘をされておりましたけれども何かお考えはありますか。
○児玉委員 資金提供を受けることそのものが問題だ、という考え方をギリギリ煎じ詰めていくと、zero toleranceルールに次第に接近していき、産学連携という形で健全な、アカデミアとインダストリーの間の連携の上での学術の発展は望めなくなってしまいます。ただ、現状でこれだけ大きな問題が指摘されている中では、ルール作りと、このような問題を繰り返さないための方策を考えていく必要がある。
言葉の問題で気になるのは、企業から資金をもらうことを直ちに利益相反で禁止すべきことみたいなニュアンスで言葉を遣われることには違和感があります。もともと平成14年のワーキンググループの報告書では、産学連携の中で必然的に生じてくる利益相反の問題をきちんと管理して、国民に理解していただく状況を作っていくためにどのような情報提供が必要か、という観点から整理されていたかと思います。言葉の遣い方も含めて整理が必要かということで発言いたしました。
○遠藤座長 楠岡委員と同じようなことですね。要するにお金の流れの透明性が分かることが重要なのである。また、患者会に対する製薬会社からの寄付も今は開示されております。そういう意味で透明性は少しずつクリアになってきているということだと思います。
○山口委員 患者も賢くなってくださいというお話がありましたので、そのことについてです。利益相反とかCOIという言葉自体がほとんど一般的には知られていないことだと思います。今回の事件も、製薬会社からお金をもらってやっていたのだ、だから悪いことなのだというような報道を見て、多くの国民はそこが悪いというような決め付けをしてしまっていると思うのです。私も、利益相反というのはあって当然だと思いますし、臨床研究自体、資金提供を受けなければできないことも含め、今回これだけ注目されている委員会ですので、しっかり国民に周知する機会にする必要があると思います。例えば、COIというのはどういうことなのか、臨床研究ということが私たち国民の側から見てもとても大事なことで、それをしっかり進めていくためには何が必要なのかを発信するような場にこの委員会がなって、もう少し正しい理解を被験者になる側に広めていく必要があるのではないかと、本日の皆さんのお話を聞いていて思いました。是非そういうことができるような取組にもつなげていただきたいと思います。
○山本委員 この問題は非常に難しい問題だと認識しています。最初にも、これが法制度として成り立つのかというお話もありました。どこまで法的な規制を行って、どこから先は必ずしも法的な、あるいは強制力までは持たない自主的な規律で行うべきかという境目の問題が非常に難しいところで、この場で個別に考えていくしかないのではないかと思います。非常に大きく言えば、被験者保護、あるいは薬事法上の規制に関わっていく部分、あるいは個人情報保護といった角度からの法的な規律はできるだろう。そういう角度から、どこまで法的に規制をすべきかといったことを考えていかなくてはいけないのではないかと思います。
他方で研究活動そのものを直接その内容を規定するような規制になると、これを法的にやることになると、非常に慎重にやるべきであるということがあります。実際上、そこのところの境目といいますか、どちらに考えるのかというところの判断が非常に微妙になるだろうと考えています。それは、今後個別にいろいろな御意見を伺いながら私自身も考えていきたいと思っています。
○遠藤座長 よろしくお願いいたします。正に一番難しいところだと思います。今後、法律の御専門家としていろいろ御発言いただければと思います。
○近藤委員 サイエンスの話をしていきます。然るべきこういう会においては、科学的に物事を決めていかなければならないだろうと思います。薬事の世界では、レギュラトリーサイエンスという言葉があります。これは非常にはやっているのですけれども、皆さん方にとってはまだ抽象的な言葉としてしか聞こえていないかもしれません。しかしながら、科学といってもピンからキリまであって、マッドサイエンスも科学です。ですから、科学であればいいというものではなくて、やはり倫理感に伴った科学でなければならない。
先ほどから武藤先生をはじめ、皆さん方が教育の中に倫理を入れていかなければならないと。物事を誰のためにやっているか、他人のため、社会のためということが前提で科学的判断をしていかなければならないと、これがレギュラトリーサイエンスなのです。だから、バックグラウンドは倫理的な科学だと思います。そういう中で、例えば私たちが大学にいた頃、いわゆる産官学が組むというのはとんでもない話だったのです。つまり、これはおいしい実を3つのセクターが享受することになるわけです。しかし、そこには国民が欠けているのです。
つまり、大事なことは、国民目線で産官学が組めば問題ない。それはどういうことかというと、透明性を確保することです。今日、PMDAでは薬事戦略相談を始めました。いろいろな発明・発見のシーズ、社会的に役に立つようなものに育てていく。それに、我々が持っているノウハウを提供するわけです。そのときに、これがレギュラトリーサイエンスではなくて、単なる産官学の組合せだったらCOIそのものなのです。それをあえてやっているのは、これは非常に大事なことであるからやっているわけであって、そこでレギュラトリーサイエンスといって、倫理感のある科学としてそれを提供しているからできるわけです。
薬事の業務は、基本的にはレギュラトリーサイエンスでやるのですけれども、同じように臨床研究もレギュラトリーサイエンスでやっていかないとうまくいかないだろう。レギュラトリーサイエンスという言葉は、日本から世界中にどんどん広がっていっている学問で、これを無視していくと、改めて日本が自分で発明・発見したものに取り残されていくようなことになるかもしれないので、是非こういう世界でもしっかりと取り入れていただいて、倫理感のある科学としてしっかり育てていただきたいと思います。
○遠藤座長 このセッションについては予定していた時間になりました。このような議論は、いつの段階でもウエルカムですので、本日はこのぐらいにさせていただきます。議題3の「今後のスケジュール(案)について」に移ります。事務局から説明をお願いいたします。
○南川補佐 資料3「今後のスケジュール(案)について」です。4月においては、現在御議論いただいている「日本の臨床研究を取り巻く状況と対応について」と「今後の検討事項(案)」に関する御討議をいただいたものと認識しております。5月から夏にかけて、「国内外の臨床研究・治験ルール等の説明」ということで、先ほど参考資料5の説明がありましたけれども、更に調査をしておりますので、その辺を含めた説明をしていきたいと考えております。
そして、臨床研究に関する関係者からの意見聴取として、参考資料3に日本学術会議、参考資料4に日本製薬工業協会から出されている各種御提言や、取組状況についての資料を付けておりますが、これらの状況について意見聴取を行っていきたいと思っております。それらのヒアリング等も踏まえた上で論点整理をさせていただき、夏から秋にかけて個別の論点に関する議論を複数回行い、秋頃に議論の整理、報告書案の議論、そして報告書の取りまとめという形のスケジュールを案として検討しております。
○遠藤座長 本日、事務局にはいろいろ宿題が出されましたので、それへの対応も含めてお願いいたします。事務局提案のスケジュール案はこのようになっておりますけれども、何か御質問等はありますか。
○武藤(徹)委員 教育の話が出ていましたけれども、学生時代に教育しても、それが一人前になって実際に社会に出て働けるのに20年かかるわけです。ですから、今の状態を20年待っているわけにはいかない。やはり、国民の皆さんにちゃんと認識してもらうことが必要であるということになると、本日はメディアの方がたくさんいらっしゃっていますけれども、やはりメディアの責任は大きいと思うのです。こういう事件が起こると、面白おかしくあれが出て、トカゲの尻尾切り的なことが行われて、これをもっとイグジャーナリーにするのが週刊誌ということで、国民は「治験なんかに協力するもんじゃないわ」という反応になってしまいかねないのです。メディアの方がこういう会議に出席されたら、我々の真意をしっかり国民の皆さんに伝えていただく努力をもうちょっとやっていただきたい。皆さんにらんだ顔をしているけれども、是非よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 最後に何かありますか。よろしいでしょうか。次回以降は、このスケジュールに沿うような形で進めさせていただきます。事務局から連絡があればお願いいたします。
○一瀬課長 次回の開催日時、場所等については改めて事務局から御連絡させていただきます。本日の議事録については、作成次第、委員の皆様に御確認をお願いいたします。その後に公開させていただきます。
○遠藤座長 本日は第1回ということでしたけれども、非常に奥深い議論ができたのかと思います。どうもありがとうございました。本日はこれにて閉会いたします。
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電話: | 03-5253-1111(内線2542、2687) |
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