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2013年8月7日 第3回肺移植の基準等に関する作業班議事録

健康局疾病対策課臓器移植対策室

○日時

平成25年8月7日(水)17:00~


○場所

厚生労働省専用第17会議室(16階)


○議題

1 肺レシピエント選択基準の見直しについて
2 その他

○議事

○廣瀬補佐 では、定刻より12分早いですが、早速ではございますが、ただいまより、第3回「肺移植の基準等に関する作業班」を開催いたします。本日は、金子先生、あと河野先生、お二人から御欠席の御連絡をいただいております。開会に先立ちまして、本来であれば、健康局長佐藤から、御挨拶を申し上げるべきところですが、ただいま公務の都合上遅れておりますので、また、途中でこちらに到着次第御挨拶させていただきますことを御容赦ください。

 続きまして、事務局の紹介に移ります。室長の泉でございます。

○泉室長 泉と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

○廣瀬補佐 室長補佐の吉田でございます。 

○吉田室長補佐 吉田でございます。よろしくお願いいたします。

○廣瀬補佐 室長補佐の田中でございます。

○田中室長補佐 田中でございます。よろしくお願いいたします。

○廣瀬補佐 最後に、私、室長補佐の廣瀬でございます。以上でございます。頭撮りはここまでとさせていただきます。恐れ入りますが、報道関係者の方の御退室をお願いいたします。先生方におかれましては、報道機関の方々の退室終了まで少々お待ちください。

(報道関係者退室)

○廣瀬補佐 それでは、以降の議事進行は久保班長にお願いしたいと思います。久保先生、よろしくお願いいたします。

○久保班長 第3回になりますが、3年ぶりの肺移植の基準等に関する作業班でございます。私ごとですが、4月から大学を去りまして違う所に移っているのですが、任期は平成2641日までと聞いておりますので、私が座長を務めます。よろしくお願いいたします。

 では、事務局から資料の確認をお願いいたします。

○廣瀬補佐 事務局です。お手元の資料にあります議事次第に配布資料一覧と参考資料の一覧がありますので、資料がそろっているかどうかの御確認をお願いします。資料の不足や乱丁、落丁等がありましたら、お近くの事務局員に御声掛けください。よろしいでしょうか。

○泉室長 途中でも、お気づきになればどうぞお手をお上げください。

○廣瀬補佐 お願いします。

○久保班長 では、始めたいと思います。今日は、資料1にあるように、2つ議題があります。1つは「待機期間の見直しについて」です。生存率に着目した調整です。これは、呼吸器学会と呼吸器外科学会の全体ドナー肺配分方法検討ワーキンググループ会議が、私もこの班員の一員でしたが、計4回ほど行いまして、適切な待機期間を上乗せするという案が出ました。それについて議論をしていただくということです。

 もう1つが「縮小肺」、縮小肺という言葉がいいのかどうか別として、ドナーの方の肺を部分的に移植できないかということで、「縮小肺の移植について」という2つです。

 では、1つずつ進めます。最初に、待機期間についてです。この資料を事務局から説明をお願いします。

○廣瀬補佐 それでは、事務局から説明します。お手元の資料1の「肺レシピエントの選択基準の見直しについて」を確認してください。先ほど、久保先生から御説明があったとおり、現在のレシピエント選択基準上、待機期間を勘案して優先順位を決定しているところです。こういったことから、現行の待機期間について、学会から御提案のあったような対応が可能かどうか、本日の議論で検討をいただきたいと考えています。

 まず初めに、スライドの2枚目の「(2)基本的な考え方」を御覧ください。こちらに、私ども事務局として、先生方に今回の議論の前提としていただきたいことが書いてあります。1つは、1ポツにあるとおり、原疾患の間で移植期間に差がある現状があれば、それを是正をしていただきたいということが1つです。また、2点目です。そういった現状の是正をすることによって、候補者全体として従来以上の生存率が得られるなど、成果が期待されるような場合には、結果としてドナーさんへの御意思を最大限尊重することになると考えています。

 ただ、一方で、現在御承知のとおり、脳死下で提供されるドナー肺の数には一定の限度があります。こういった状況の中で考えると、例えばこれまでに肺の提供を受けていた病態の患者、こういった方には、逆に提供される肺が今後少なくなる可能性も考えないといけないので、こういうことについて留意をいただきたいと考えています。

 現在の資料としていくつか御用意しています。3ページ目以降の資料から順次御説明します。既にメールで事前送付もしていますので、少し駆け足で説明していきます。

 まず、3枚目の資料です。現在では、原疾患によらず、待機期間の長い方、こういう方が優先順位が高くなっている、一言で申し上げると、そういう状況です。

4枚目です。肺移植の候補者の方ですが、やはり待機中に一定程度の方が死亡されている、40%ですが、死亡されているという現状です。平均待機期間が赤枠で囲ってあるとおり、「改正法施行後約27.1か月」というデータをいただいています。

5枚目です。これは、登録者の原疾患と実際に移植を受けた患者の原疾患をそれぞれ比較をしたものです。ぱっと見て分かるとおり、分布が多少異なっていまして、例えば特発性間質性肺炎の方は、登録者の中で一番多い疾患ですが、一方で、移植を受けた方で一番大きい疾患は肺リンパ脈管筋腫症、こういった分布になっています。

6枚目です。転帰全体を見たときに、やはり、登録中に亡くなる場合といっても、若干疾患ごとに差があるようでして、例えば特発性間質性肺炎ですとか気管支拡張症、びまん性汎細気管支炎、こういうものについては、約6割の方が待機中に死亡されている実態を示しています。

7枚目です。こちらは、既に関係の先生方は御承知かもしれませんが、登録中に亡くなる方を含めて、「疾患別累積生存率」を計算したものです。例えば全体を見ると、平均待機期間の27.1か月の間に、全部の方ですと、0.54%という数字なのですが、例えば間質性肺炎群登録者ですとか気管支拡張症群登録者、これらの方々は累積生存率が平均よりも悪い、低いということです。

8枚目です。これは、特に「間質性肺炎群」と呼ばれているものについて、「特発性間質性肺炎」と「その他の間質性肺炎」、その2つに分けて集計をしたものです。

 ここから先は、移植後の成績を示したグラフです。スライドの9枚目のグラフで、縦に真っ直ぐ2000日の後に赤い線を引っ張っていますが、この赤い線を引っ張っている辺りで見ますと、例えば特発性間質性肺炎とか気管支拡張症、LAMですとか、PHと言われる、こういった疾患については、大体おおむね良好なと言いますか、移植後生存率がほぼ一致をしている、差が見られないという状況です。一方で、「(2) その他の間質性肺炎」ですが、こちらは、移植後でも、途中で線が切れてしまっているのですが、他の疾患と比較をしますと、肺移植後の生存率が必ずしも良くはないという状況です。

 もう少しこれを死亡リスクという概念で整理をしたものが10枚目のスライドです。移植をすることによって明確に死亡リスクが下がっている疾患を考えると、顕著に見られるのは特発性間質性肺炎です。一方で、その他の間質性肺炎に関して言いますと、確かに移植をすることによって死亡リスクは下がっていることが分かりますが、特発性間質性肺炎とは傾向が異なる印象があります。

11枚目のスライドです。ここから、これまで御説明をした種々のデータに基づいて、レシピエント選択基準における待機期間を具体的に今後どのように見直していくかについて、事務局としての対応案をまとめたものです。そちらにあるとおり、特発性間質性肺炎と、気管支拡張症群の中の気管支拡張症、びまん性汎細気管支炎、嚢胞性線維症、これらの4つの疾患の候補者については、特発性間質性肺炎の方には12か月、気管支拡張症群の候補者の方には6か月、それぞれ待機期間を加算することによって優先順位を決定していく、今後こういった形の手続をしてはどうかと考えています。

 このような変更を行う際に、私どもとしては、あらかじめ先生方の御意見を伺っておきたいところを、12枚目のスライドにある「5つの論点」で示しました。こちらは、私ども事務局からの疑問点も1つ含まれていますが、基本的には、お手元の資料2がありますが、事前に先生方にメールで御相談をさせていただいた中で、先生方から出てきた御意見を事務局なりに咀嚼をしまして、それに沿って、あらかじめ先生方の御意見を聞いておきたいと思う5つの点にまとめたものです。

1点目は、先ほどから御説明をしていますとおり、特発性間質性肺炎群のうち、特発性間質性肺炎のみに限って待機期間の加算の対象とすると、先ほど対応案でお願いをしたところです。そもそも、この2つ、「特発性間質性肺炎」及び「その他の間質性肺炎」、それらを区別をして取り扱うべきかどうかについて御意見をいただければと考えています。

2点目です。先ほどから御説明をした際に既にお気付きかとは思うのですが、全て移植後のデータか、若しくは移植希望の登録をした時点以降のデータ、これらに基づく議論をさせていただいています。こういったことを踏まえて、一部の先生方からなのですが、例えば発症から移植適応をうけるまでの期間の臨床結果についてのデータがあったほうがいいのではないかという御意見がありましたが、これらの基礎データがなかなかないという御指摘もありましたので、そういう中で、今回の対応案が可能かどうかの御意見がいただければと思っています。

3点目は、それぞれ加算をする期間の程度として、12か月、6か月、こういう数字が妥当なのかどうかについて御意見をいただければと思います。

4点目です。これまでに一定数の肺の提供を受けていたものの代表的な疾患として、5枚目の資料にあるとおり、例えばLAMとか、これらの疾患で肺の提供を受けているわけですが、こういった疾患の方々に、例えば私どもの対応案のとおりやることによって、生存率に影響が出るようなことがないか、そこら辺を少し懸念をしていることがありますので、これらの疾患の方々の累積生存率に及ぼす影響、これはメールでも聞きましたが、もう一度御意見をいただければと思っています。

5点目です。こういった、私どもの提案にある対応案にあるようなことで、登録者全体の累積生存率の改善、候補者全体に与える効果が期待できるのかどうか、この5つについて御議論いただければと考えています。お願いいたします。

○久保班長 12か月と6か月にした理由がスライドの番号で、1314151617ページに書いてあるのですが、説明をお願いします。

○廣瀬補佐 13ページ以降です。こちらは、対応案のとおりやるとどのようになるかというイメージ図です。13ページは、もう一度同じ資料を再掲ということで出しています。現在は、原疾患によらず、待機期間の長さのみで優先順位が決定していますが、例えばこういった同じ患者でも、今回提案した待機期間の加算を行うことによって、特発性間質性肺炎の方の移植の機会が、これまでよりは増えるのではないか、そういったことをイメージ図にしたものです。

1516ページ以降の資料です。こちらは12か月、6か月、それぞれ上乗せしたらどれくらい生存率の改善が見込めるかを、これもまた、仮想の資料と言いますか、イメージ、理論上の資料です。例えば今現在は、特発性間質性肺炎に関して言いますと、15ページの資料の左のグラフにあるとおり、赤い線のものなのですが、これに12か月上乗せすると、黄緑色の点線にあるところにまで生存率が改善するということを、説明したものです。同じように、気管支拡張症群の方についても、現在のデータですと、この赤い線のとおりなのですが、こちら6か月上乗せをすると、黄緑色の点線ですね、こちらにまで改善することが理論上整理されている状況です。

16ページも、(参考)と付いていますが、同じように生存率の改善が気管支拡張症とか間質性肺炎群それぞれで見込まれる、こういうイメージ図です。

○久保班長 「対応案」と「検討すべき論点」に入る前に、今の資料の説明で、何か質問とか追加とかありますか。よろしいですか。

 では、11ページの「(1)対応案」です。ここにありますように、「現状で、他の疾患と比較して登録後の累積生存率が低いが、移植によって死亡危険度の改善が期待できる特発性間質性肺炎及び気管支拡張症群(気管支拡張症、びまん性汎細気管支炎、嚢胞性線維症)の候補者について、登録後に、他の疾患と同等の生存率を達成できるよう、優先順位の決定上、特発性間質性肺炎の候補者には12か月、気管支拡張群の候補者には6か月の加算をすることが考えられる」というのが事務局からの案です。

 それについて、「(2) 検討すべき論点」があります。1つは、間質性肺炎群ではなくて、特発性間質性肺炎としたと。一応、間質性肺炎群とすると、特発性間質性肺炎とその他の間質性肺炎の2つが入ってくるわけですが、それを考慮しない。今回は、今の図でいきますと、「その他の間質性肺炎群」は移植しても余り生存率がよくないと。スライドの9ページ、「肺移植登録者の肺移植後(生体、脳死下)生存曲線」で、「その他の間質性肺炎(2)」が、そのように移植しても極端に生存率が低いということが主なこと。あと、10ページです。「相対死亡危険度」も、その他の間質性肺炎では余りよくならないということが理由として、特発性間質性肺炎だけとしています。まず、これについて御意見をお聞かせ願いたいと思いますが、いかがでしょうか。

○巽班員 1つ質問があります。分類上「特発性間質性肺炎」の中に、「閉塞性細気管支炎」がその中の1つに入っています。そうすると、申請側として、「その他の間質性肺炎」と申請する場合と、「閉塞性細気管支炎」と申請する場合は、区別されて申請を行っているのでしょうか。この辺の、申請する側の意識はどういう現状になっているのですか。

○廣瀬補佐 移植希望の登録時の登録のときに、どういう疾患名を登録して。

○巽班員 病名をどう選ぶかですね。どちらを選んでいるのですか。

○久保班長 中央肺移植適応検討委員会からの仕事もずっとやったのですが、それの感触では、閉塞性細気管支炎は別に登録してきます。特発性間質性肺炎ではなくて。だから、別個に分けて登録してきますので、閉塞性細気管支炎は今回のこの見直しには入っていないことになります。

○巽班員 この「閉塞性細気管支炎」というのは、呼吸器内科領域で診ていて最も困るのは、「骨髄移植後の閉塞性細気管支炎」になると思います。それとは別に、「特発性閉塞性細気管支炎」もあるのですが、骨髄移植後では原疾患としての血液疾患の影響が入ってきますね。その辺りは考えなくていいのですか。

○久保班長 私も、先ほど言いました、「ドナー肺配分方法検討ワーキンググループ」に入っていたのですが、この閉塞性細気管支炎はこの気管支拡張群には入ってはいない、入れていないのですね。

○巽班員 そうですね。原疾患としての血液疾患がありますね。

○久保班長 はい。

○巽班員 そ原疾患としての血液疾患に、生命予後は引きずられる可能性はありますね。そういう場合も一緒くたのコード表で扱っていいかという問題等は。

○久保班長 そのこともあって、今回は気管支拡張症群には入ってはいない。

○巽班員 ということなのですね。

○久保班長 はい。

○巽班員 そうですか。

○廣瀬補佐 待機期間の加算の対象には入っていないです。

○巽班員 入っていないですね。そうですね。もう1つ多分議論があるかなと思うのは、「肺リンパ脈管筋腫症」というのは、病名に肺は入らないのですが。

○廣瀬補佐 ないです、そうです。

○巽班員 「リンパ脈管筋腫症」ですね。これはなぜかと言うと、良性の嚢胞性疾患ではなくて、「low grade malignancy」という考え方に今なっています。いわゆる、悪性腫瘍ではないけれども、全身の病気になります。肺移植を考えるときに、肺に最も大きな問題がある病気の場合と、肺に大きな病気があるのだけれど、全身にもいろいろな病気がある病気というのがある。それらを一緒に「リンパ脈管筋腫症」に入れていいのでしょうか。

○久保班長 LAM、「リンパ脈管筋腫症」です。

○巽班員 LAMは、現時点では確かに肺移植するとすごく成績がいいですね。

○久保班長 はい。

○巽班員 これは皆さんよく分かっているのですが。長期予後で見たときに、LAMは「low grade malignancy」なので、肺病変以外で亡くなることも多いはずです。

○久保班長 ああ、そうですか。

○巽班員 そういう可能性と、閉塞性細気管支炎でも肺移植はしたけれども、もともとの血液疾患で亡くなるとか、その辺が肺移植そのものの成績というよりも、原病の影響が予後に関係してきます。

○廣瀬補佐 はい。

○久保班長 そうですね。

○巽班員 そのようなことは言わなくてもいい。

○久保班長 多分、移植後の生存率のカーブの所には、詳しい死因とかは記載はないのですね、恐らく。

○廣瀬補佐 していないです。先生がおっしゃるとおり、移植後どういう生存曲線をたどったかは9枚目のスライドですが、例えば「その他の間質性肺炎」とか、先生御指摘の「閉塞性細気管支炎」は移植後の生存率も余りよくないのですが、具体的に何で亡くなったのかは、これはちょっと手元にありません。

○近藤班員 従来の肺移植実施後に亡くなる方、例えば肺リンパ脈管筋腫症の予後を見た場合に、いわゆるリンパ脈管筋腫症に伴ういろいろな合併症などで亡くなっているのかと言えば、それはほとんどないと思います。それから、血液疾患の再発の有無や寛解期間など、もちろん、移植の適応となるかどうかを判定するときにはかなり厳しく見られますので、移植後に、例えば原病が再発して亡くなったというのは、これもほとんどないと思います。奥村先生、いかがでしょうか。

○奥村班員 骨髄移植後の症例に関しては、やはり、悪性リンパ腫が再発したという症例の経験はあるのです。ただ、それほど多数症例は経験していないので、統計学的にどうこうというのはなかなか難しいのですが、京都大学が全国の集計をしたはずなのです、去年ぐらいでしたか、トランスプランテーションかどこかでパブリッシュされていますが、一応、日本の成績としては、骨髄移植後の化学療法に対する肺移植というのは、まあまあそれなりの成績を出していると理解しています。

○久保班長 では、この最初の検討すべき論点で、特発性間質性肺炎だけでよろしいですか、病名を限定しても。

○奥村班員 1つ、先生よろしいですか。この特発性間質性肺炎の患者とその他の間質性肺炎、これを分類して生存曲線を最終的に見ていますが、本当に、これは恐らくほとんどは、せいぜいバイオプシーか画像診断だけなので、その後の、例えば病理診断で、実際にこの患者たちがどういう間質性肺炎だったかまではきちんと解析されていない可能性があるのではないかなと思うのですが。

○久保班長 中央肺移植適応検討委員会のときの検討では、診断基準に従ってやっていますので、特発性肺線維症以外は、組織がしっかりしてて特発性間質性肺炎と診断しています。そうでないのをその他の間質性肺炎と言いますか、それはもうかなりバラバラです。特発性間質性肺炎はある程度はその診断は正しいと考えていただいていいのではないかと思いますが。

○奥村班員 分かりました。

○近藤班員 1つよろしいでしょうか。この10ページの「相対死亡危険度」というのも、これは肺移植を受けていない登録者の死亡危険度を1としているものでしょうか。

○久保班長 そうです。

○近藤班員 ということは、つまり、これはゼロに近いほど死亡危険度は少ないということですね。

○廣瀬補佐 そうです。移植により死亡リスクが下がっている度合が大きい。

○近藤班員 ゼロに近いほうがリスクが大きいというわけではありませんね。

○廣瀬補佐 いえ、リスクは下がります。

○近藤班員 下がるということですね。

○廣瀬補佐 はい。

○近藤班員 つまり、待機している人に比べてリスクが下がるということですね。

○廣瀬補佐 はい、待っている方に比べて、そうです。

○近藤班員 そうしますと、その他の間質性肺炎についても、相対リスクという点では移植は死亡のリスクを十分下げていると理解できますね。

○廣瀬補佐 はい、一定の効果は確かにあります。

○近藤班員 そもそも待機している人の予後が非常に悪いことによって、移植後の生存曲線が他よりも下であっても死亡の相対リスクを下げていると理解してよろしいですね。

○廣瀬補佐 はい。

○久保班長 よろしいですか、この論点1は。

○佐地班員 簡単に質問よろしいですか。全部、いわゆる死体提供片肺移植ですか、グラフは。だけれど、特発性肺動脈性高血圧だけは両肺ですね。これだけは両肺になりますね。あとは全部、屍体提供片肺移植ですね、基本は。

○近藤班員 気管支拡張症は両肺移植の適応になります。

○佐地班員 両肺ですか。だからこれ混じっていますね。

○廣瀬補佐 混じっています。

○佐地班員 それだと、またちょっと予後は違ったりしますね。

○廣瀬補佐 屍体と生体のですね。

○佐地班員 両肺のPHは絶対的に予後はいいので、両肺はがっちりやりますから。というのと片肺と、また予後の、ちょっとだけ狂いますね、そういうのは。

○久保班長 それでは、PHは両肺と片肺と分けるのですか。

○奥村班員 基本的には両肺移植です。

○近藤班員 術式による差はなかったような気がします。

○奥村班員 片肺と両肺で。

○近藤班員 ただ、短期的には両肺では生存率はやや低くなります。

○奥村班員 長期生存率の5年生存率からいうと、両肺移植も片肺移植も術式別に見たらほとんど変わりません。ただ、病気の疾患の性質上、肺動脈高血圧症の場合は心不全が伴っているので、術後管理とか、それから術中の体外循環の問題とか、そういったことがあるので、術直後1か月ぐらいの死亡リスクは極めて高いという問題があります。だから、そういう意味で、病気の種類や疾患の特性上、肺高血圧症に対する両肺移植の成績は一瞬ものすごく下がります。それで長期成績はまあまあ保たれるという性質があります。

○久保班長 「検討すべき論点」の1つ目はよろしいでしょうか。では、次の論点に移る前に、佐藤健康局長がお見えになりましたので、一言御挨拶をよろしくお願いします。

○佐藤局長 遅れてまいりまして、大変恐縮に存じます。今、御紹介をいただきましたけれども、私、72日付けで、前任の矢島局長に続きましてこの職にあります佐藤敏信です。改めてよろしくお願いいたします。せっかくの機会ですので、お話をさせていただきます。

 私は、20年ほど前、疾病対策課におりまして、臓器移植も、そうですね、半年以上はやったと思いますけれども、その頃は、ようやく移植関係学会合同委員会で心臓に関するドナーやレシピエントの基準が決められている状態でございました。20年ぶりに戻って来てみますと、こういう状況で、肺についても細かく、今まさにありましたように、5年生存率等も含めて御検討をいただいているということで、正直言いますと、隔世の感があるなと思います。また、一方で、臓器移植法が改正されるまでの間は非常に厳しいルールで、脳死からの臓器移植がなかなか進まない状態で、この間、こうして先生方にお力添えをいただいてここまで進んできて、当時のことをいろいろと思い出している次第でございます。 今日は肺の移植ということで、とりわけレシピエントの選択基準ということですから、なかなか、今お伺いしているだけでも、私もパパッと見ましても、生存率が必ずしも芳しくないなあと思ってちょっと拝見をしていたわけですが、そうした中でいろいろ御検討をいただいて、またそれが、選択基準の中の待機期間をどう考慮するかにつながるのだろうと思います。

 本日はお忙しい中、またお暑い中、そして、終了の時間も少し遅いようでございますけれども、どうか御議論を進めていただきますようお願いをいたしまして、簡単でございますが、挨拶に代えさせていただきます。よろしくお願いします。

○久保班長 では、続いて「検討すべき論点」の2つ目に移ります。今日はお見えになっていないのですけれども、河野先生からいただいた意見があります。今日出ている資料というのは、肺移植の適応になってからの予後などはありますが、発症から肺移植適応を受けるまでの期間のデータはなくて、肺移植適応症例の予後予測に有用な研究成績はなかったのかというのが彼の意見です。これらの基礎疾患の資料がない中で特定の原疾患、特発性間質性肺炎、気管支拡張群の原疾患の候補者について、待機期間を加算することについてはどう考えるかという意見をいただいております。

 先ほども電話で意見交換をしました。要は、例えばCOPDであっても特発性の間質性肺炎であっても、肺移植の適応にするには、呼吸不全がどの程度までくれば適応するということになっているのです。ただ、病気によってはかなり進行の早いものもあるし、かなりゆっくりしたものもありますので、それをみんな一緒くたにするのはいかがかというのが彼の意見です。

 ただ、現時点では登録してからの成績しかないというのが現状ですので、将来的にはそれも十分に加味して、例えばLAMの疾患ですと、呼吸不全の程度もこれぐらいとか、もう少し詳しく移植の適応の診断基準を作っていく必要があろうかと思うのです。しかし現時点ではこれ以上のデータがないのではないかと思うのです。巽先生、内科医としていかがでしょうか。

○巽班員 これは非常に貴重な御指摘です。多分、結論は出ないと思うのです。特発性間質性肺炎でもCOPDでも同じですけれども、いわゆるラピッドリーデクライナーと言って、同じ病名が付いても、急速に機能が悪くなって亡くなる部分と、ある程度ゆっくり悪くなる部分があります。先生方が移植の適応だというように申請するのは、比較的ゆっくり進んで、呼吸不全の状態がある程度続いた方を申請に出してくるというのが、今の現状だろうと思うのです。

 ただ、スローリーデクライナーというゆっくり進行してくる群の中でも、一定ではなくて急激にあるところから下がってしまう群があります。本来移植の成績が良くなるのは、当然急激に落ちる群にうまく移植ができれば、全体の数字としては改善してくるという問題があります。これは日本の医学研究の問題点だと思うのです。いろいろな機能データを横断面ではなくて、本当は縦断的にどう変化したかを適応基準にうまく加味されれば、より公平感が出てくるかなと。ある一断面でどうだと。例えば12か月足すとか6か月足すという話になると、河野先生の御指摘になってしまうのだと思うのです。そこは誰も分からないというか、その人の予後は推測できないので、非常に難しいかと思います。しかし、この御指摘は本当に正しくそのとおりで、我々の医学のウイークポイントを突いてきたところだと思います。

○久保班長 現時点ではこのデータを出すのは難しいのではないかと思うので、やはり移植の適応が決まってからの予後で判断しないと。奥村先生はいかがですか。

○奥村班員 私たちは近畿肺移植検討会ということで、中央へ申請の前に大阪、兵庫、京都、奈良なども含めて、2か月20例ずつぐらい検討させてもらっています。そのときに病歴も全部見せていただくのですけれども、先生がおっしゃるように、非常に早く進むものとゆっくりなものと、随分あるということは感じています。そのときの資料などをよく見れば、いつ頃どういう症状で発症したかというのは、全部調べることは可能ではあると思うのです。近畿肺移植検討会では、これまでに200例とか300例ほど調べていますので、その気になって調べれば分かるかもしれませんし、データベースも作れるかもしれませんが、かなりの労力はかかると思います。

○巽班員 そうです。一番の懸念点は、こういう基礎データが分からないという点で、河野先生は懸念されている。例えば、特発性間質性肺炎は12か月プラスだということになると、いろいろな医療者が従来よりももっと早く、特発性間質性肺炎の申請を出してしまうという気になって、みんなが申請し出すと、全体的な問題が出てくるというところはあるかと思います。

○近藤班員 ただ、現実的にはそれぞれの施設で判断をしているわけではなく、中央で一括して判断しているわけですので、そういった点で不公平さが増大するということは考えなくてもいいのではないかと思います。そういう意味で、この中央一括判定のシステムは、判定する作業は大変ですけれども、非常に大事なものだと思います。それから、生命予後という意味では、確かにおっしゃるとおりですが、非常に進行がゆっくりで生命予後としては良いにしても、日常生活が全く送れない状態がずっと続いていくわけですから、そのような人を通常の社会生活に復帰させるという観点でも、考えなくてはならないかなと思います。

○久保班長 参考資料1の「肺移植希望者(レシピエント)選択基準」の4ページの最後、「3. その他」の「(2)基礎疾患、重症度などによる医学的緊急度は、将来考慮されるべきである」と書いてありますので、そういうデータが積み重なれば、これは将来的に変わる可能性もあり得るということです。将来的には発症からの移植の適応までが本当は一番いいのでしょうけれども、現時点ではやむを得ないかなということです。よろしいでしょうか。

(各班員了承)

○久保班長 では、3つ目の議論にいきます。今日の一番のポイントである「特発性間質性肺炎を12か月、気管支拡張症群を6か月とする」という案はよろしいでしょうか。特に呼吸器外科学会の先生方は、これで妥当でしょうか。

○近藤班員 要望した疾病の待機中の生存率を考慮しても、これらの疾病に待機期間の上乗せをすることは妥当であると考えますし、上乗せする期間に関しても、学会の方で様々なデータの検討をした上で出された数値ですので、妥当であると考えます。

○久保班長 では、こちらのほうで。

○近藤班員 一応資料から言えば、そういう計算になる可能性があります。

○廣瀬補佐 では、事務局から一言補足いたします。こういった御提案の際の参考になればということで、スライドの17枚目の資料です。今回御提案いただいた呼吸器外科学会、呼吸器内科学会からそれぞれ足し算法、掛け算法というように検討をしていただいたという資料をいただいておりますので、こういった慎重な検討がなされているということは、私どもとしても認識しております。先生方も学会の中で十分な検討が行われたということで、12か月、6か月それぞれ御了解いただくということでよろしいでしょうか。

○久保班長 よろしいでしょうか。

○川合班員 肺移植の待機期間、当時もUNOS6か月、IPFはボーナスを乗っけていたと思うのです。その件を確かこういった審議会で発表したときに、日本はデータがないからやってみて、どれぐらいの期間をボーナスとして立てればいいかを決めていきましょうという話になったと思うのです。それで今、ここで出てきているのかなという気がしますので、データが12か月と6か月ということであれば、それが適正であろうと思います。先ほど巽先生もおっしゃっていたように、個々のケースの違いを考慮するので非常に大変で、結局はこういった累積生存率という、マスとしてのグラフを見て順応していくしかないかなと思います。

○久保班長 では、本班会議としてはこの案でいいだろうということでよろしいでしょうか。

(各班員了承)

○久保班長 それでは、その次の論点です。特に日本の肺移植では肺リンパ脈管筋腫症、LAM、と肺動脈性肺高血圧症、PAH2つと、この特発性間質性肺炎が多いのですけれども、LAMPAHなどの登録後の累積生存率に及ぼす影響は、それほどないと考えていいかという厚労省からの疑問です。これは無いと考えてよろしいですか。

○近藤班員 全くないということはないと思います。この生存曲線をどうやって作られているのか、多分、移植を実施した場合はセンサーデータになっているのでしょうか。

○久保班長 先生、何番ですか。9ですか。

○近藤班員 8ページです。移植実施例を除いているわけではないでしょうね。500何名という数字になっていますから、移植実施例も全て含まれているのでしょうね。そうしますと、移植した時点で打切りデータになっている解析であると思います。そうだとすると、やはり生存率は少しは変わるでしょうね。ただ、そもそもLAMPHは結構長い期間を待てますので。

○久保班長 待てますし、治療方法も出てきましたしね。

○近藤班員 ですので、生存率に大きく影響を及ぼす、というところの、大きくというのがどのぐらいかというのはよく分かりませんけれども、おそらくあまり目立った影響を与えることはないのではないかと思います。

○奥村班員 LAMに関しては、かなり待てるような印象はあるのですけれども、心配なのはPAHに関しては、心不全が結構進んでから手術になっている症例があるということです。実は、そういうケースで我々は非常にしんどい思いをしているときがあるので、手術成績そのものが下がってこないかということだけは、若干懸念するのです。手術までは待機できても、そのときのステータスが今よりも悪くなっていると、術後の心不全の改善が十分ではなく、そのために手術成績が下がってくるということだけが懸念されます。この点に関しては、また1年か2年後に検討するといったことは考えていただいたほうがいいかと思います。

○川合班員 要は肺移植で良かったものが、心肺移植になってしまうということですね。昔はPAHの心肺移植をやっていたけれども、両肺でいけるということで両肺になってきて、待機時間が長いとまた心肺に戻ってしまうのではないかと。

○奥村班員 ええ。現実的に心肺移植は、日本ではほとんど不可能だと思います。そうなると逆に移植の機会を逃すことになり得ます。そうなると患者さんたちの生存権などに影響してくるので、大きな問題にならないように祈っているのです。

○川合班員 ただ、PAHの術後のイニシャルドロップが待機時間が長いことによるものなのか、テクニカルなものなのかというのは、微妙なところがあると思うのです。

○近藤班員 恐らく、登録の時点が既に遅くなっているのでしょう。昔に比べますとPAHの内科的治療の選択肢がかなり多くなっていますし、登録の条件が内科的治療を尽くしてからということになっていますから、登録する以前の期間がそもそも以前よりはるかに長くなっている可能性があるのです。その辺はよく考えないといけないかもしれません。

○佐地班員 PAHは日本でも5年生存が96.4%ということで、内科治療で世界的にも90%を5年で超したわけです。移植の予後と比べると、アメリカでも選択しないようなゼロに近い数しか行われていないので、まだ何とかやっていける。確かに悪いのは先生がおっしゃるように、登録時期が遅れてくるということです。

○近藤班員 結局、そういうことで内科的治療が功を奏さないものだけが移植に回ってくるのですが。

○佐地班員 必死に頑張るのですが。

○近藤班員 かなり厳しい状況ということになるのではないでしょうか。

○巽班員 このスライド番号の10の「肺動脈性肺高血圧症」と「肺リンパ脈管筋腫症」の相対死亡危険度が平均1ですよね。ほとんど変わらない。ということは、本当の最重症の方にやっているということを意味していると考えてよろしいのですよね。

○廣瀬補佐 はい。

○巽班員 もうギリギリまでということで。そうすると多分、LAMPAHの患者さんの生命予後には、余り大きくは影響しないということになると思うのです。

○久保班長 LAMはラパマイシンの投与を始めれば、内科的にかなりコントロールできる可能性も出てきますので、これは一応限定的としてよろしいですか。

○巽班員 そうですね。もう1つは「肺動脈性肺高血圧症」と診断されている中で、「PVOD」と言っている肺静脈閉塞症が広く認知されるようになってきた場合には。

○久保班長 そうですね。それもまた考えなければいけないですね。

○巽班員 あの患者さんたちに移植をすると、予後は良くなるのですよね。

○久保班長 ただ、現時点では診断が難しいですよね。

○巽班員 現時点では診断が難しいのですけれども。

○近藤班員 東北大学でも2例ほどあると思いますが、PVODと診断されたケースは、術後の回復が早いようです。

○巽班員 比較的早期にやることになって、移植の成績も良くなると思うのです。その辺りは影響するかなと思うのです。

○久保班長 しかし、その症例は12例しかないのではないですか。

○巽班員 近藤先生は2例だと。

○久保班長 肺移植をしたのが2例ですか。

○近藤班員 1例は生体肺移植、もう1例は脳死肺移植でした。

○久保班長 それはどういうように診断したのですか。肺生検ですか。

○近藤班員 術前の画像診断で疑い、あとは切除した臓器の組織所見で診断しました。

○佐地班員 確かPAH全体の12%しかないということで少ないですよね。

○久保班長 では、今の意見でほぼ限定でいいだろうということでいいですね。

(各班員了承)

○久保班長 では、最後です。全体の登録後の累積生存率の改善など、候補者全体に与える効果が期待できるかということですが、当然期待できると思ってこういうように作ったわけですから、これはよろしいですね。

(各班員了承)

○久保班長 その他にございませんか。せっかく先生方から前もって意見をいただいておりますので、議論していないところがありましたら、今言っていただければと思います。よろしいですか。

(意見なし)

○久保班長 では、11ページの「(1)対応案」ですけれども、スライドにあるように了承するということでよろしいでしょうか。

(各班員了承)

○久保班長 では、そのようにさせていただきます。次が難しいのではないかと、私も内科医として思うのですけれども、「2. 縮小肺移植について」です。ドナー肺が移植に至る可能性があるということで、これも18ページのスライドから、事務局より説明をお願いします。

○廣瀬補佐 資料118ページ以降から、縮小肺移植についての説明に移ります。既に先生方は御承知だと思いますが、最近も岡山大学で中葉移植が試みられたことが、大々的に報道されたところです。最近、脳死下のドナーから提供された肺についても、肺の一部を切除するような形で、少し小さめにした肺を移植する術式が可能であるという知見をお示しいただいたところです。こういった新しい術式を、今後レシピエント基準の中で、どうやって位置付けていくかということについて、御議論いただければと思います。

 私どもの基本的な考え方を先に御説明いたします。18枚目のスライドの(2)にあるとおりですが、まず1点目は、最新の医学的知見を踏まえつつ、安全性と公平性を確保しながら、現在移植に至っていないドナー肺を最大限にいかす方向で、基準を見直していただければと考えています。

 もう1点は、現行の選択基準の中で、新たな術式、ここでは、「縮小肺移植」といっていますが、縮小肺移植を可能とするような場合には、現在の医学的知見に照らせば、異常所見のない肺を移植した場合と同等の安全性を確保することができることを前提としたいと考えています。

 現状の説明で、先生方は既に御承知のことだと思いますので、こちらも駆け足で説明いたします。19枚目のスライド以降です。現在の「レシピエント選択基準」の説明ですが、まず、適合基準というものがありまして、血液型と肺の大きさが適応条件に合致した方を、まず候補者としてリストアップします。さらに、そのリストアップされた方の中から、(1)から(4)とありますが、親族は置いておきまして、血液型が一致をする方、待機期間が長い方、肺の大きさということでいうと、特に、成人同士、小児同士といった移植を優先しましょうという形で、順位付けをして、候補者を決定していきます。こういうプロセスをお願いしています。

20枚目は参考ですので、21枚目に移ります。こちらは脳死下で肺の提供の承諾を頂いた139人のドナーのうち、実際にどれぐらいの肺が移植に至ったのかを調べた数字です。移植に至ったものは、71とか25とかあるのですが、40とか25、これらの肺については、肺の一部がドナーの意思にもかかわらず、移植に至っていないという現状が明らかになっています。

22ページに、縮小肺のイメージ図がありますが、これは先ほど御説明したとおりで、外科の先生もおいでですので、御承知かと思います。例えば肺炎があるような部分を切除しまして移植をします。こういった術式のイメージです。

23枚目です。先ほどから、縮小肺の移植を可能にするということで申し上げていますが、現行のレシピエント選択基準では、縮小肺の移植が可能なレシピエントを選べるという基準にはなっていません。具体的にいうと、「レシピエント選択基準」でいいますと、23枚目のスライドでいいますと、大きさがドナーに適合する候補者だけが選ばれる仕組みになっていまして、縮小肺移植の対象となるような、ドナーと大きさが適合しないようなレシピエントはそもそも意思確認をされず、候補者リストに挙がってこない仕組みになっています。

24枚目に、具体的に候補者リストのイメージを示しています。これは、今のものです。今のものですと、「肺の大きさ」が適合するような方にしか、意思確認がされていませんので、その下の半分、大きさが適合しないけれども、もしかしたら縮小肺移植が可能かもしれないレシピエントの方には、意思確認すらされていないという状況です。

25枚目です。岡山大学から頂いた「脳死下の肺移植」のデータです。こちらの大学の中で、ドナー肺に異常所見のあったものに一部処置をする形で移植をしているというデータを頂きました。赤枠の所を御覧いただきたいのですが、「異常所見のある肺を移植した場合」「異常所見のない肺を移植した場合」、それぞれを比較しまして、術後の合併症、感染症の発生の頻度を調べています。私どもの認識としては、余り大きな差はないのかなと拝見しています。

 「術後の生存率」に関しても、異常所見のある肺を移植した例でも、生存率は1年、3年とも100%ということで、少なくとも、異常所見のない肺と比べても、悪い結果ではなさそうだと拝見しました。

 これらを踏まえて、繰り返しになってしまいますが、私たちの対応案は26ページにあるとおりです。まず、縮小肺移植が可能な候補者になりますが、現行のレシピエント基準であれば適合外となってしまうような方であっても、縮小肺の移植が可能であれば、これらの方を候補者としてはどうかという御提案です。

 具体的に、適合外とされる方がたくさん出てきてしまうと考えますので、優先順位の付け方を整理いたしました。2つ目の○です。一番優先されるのが肺の大きさが適合する方、2番目は血液型がドナーと一致する方、待機期間の長い者。これらの要素を加味し、優先順位を付けていくという考え方にしてはどうかと考えています。

 一番目の議題と同様に、私どもで先生方の意見を聞いてみたいと思っているところとか、あとは先生方に事前にメールでヒアリングをした中で出てきた御意見を踏まえまして、論点を5つほど挙げています。その際になのですが、お手元に机上配布のカラーの横長の資料を追加していますので、こちらを併せて御覧ください。

 「(2)検討すべき論点」の説明に移ります。スライドの27枚目、(1)ですが、本当に再三の確認で恐縮ですが、医学的に、いわゆる異常所見と言われるような肺を移植をしても、安全性が確保できるのかどうか。しつこいようなのですが、もう一度御議論いただければと思っております。

2点目です。(2)と(4)は少し分かりにくいのですが、一気に説明いたします。先ほどの横長の資料を御確認ください。繰り返していますとおり、今まではドナーに大きさが適合するレシピエントにだけ、候補者となっていただいていたのですが、私どもの提案は、今後は、ドナーに大きさが適合しないような方であっても、レシピエントとなるようにしていただきたいというお願いです。「大きさが適合外」といっても、年齢ですとか、いろいろな分け方があるかと思いますので、適合外とされるレシピエントの中で、どの方を候補者リストにアップして、どの方は候補者リストにアップしないのか。また、アップをする方の中でも、優先順位をどのように付けていくのか。こういう話について、先生方の御意見を頂きたいと考えています。

 横長の資料に戻ります。「大きさ適合外のレシピエント」というのを年齢により分類すると、AD4パターンに分類されます。まず、ABです。これはドナーよりも体格が小さなレシピエントで、こういう方も「大きさ適合外」ですが、その中に、成人とか小児の方がいらっしゃいます。また、「大きさ適合外」といっても、今度はドナーよりも体格が大きな方というのが、CDの方です。これも、成人、小児のそれぞれに分類されます。これらの方々で、どの方をリストに挙げて、どの方の優先順位を高くするのかといった御議論をしていただきたいという意味で、資料1の「検討すべき論点」の(2)と(4)を書かせていただいた次第です。

 (3)は一般論の話になってしまうのですが、「優先順位の決定に際して、肺の大きさ、血液型、待機期間、いずれの項目をどのような順番で優先するか」ということを、改めて御議論いただければと思います。

 (5)は、どちらかというと子どもの話に戻ってしまうのですが、小児に移植をする場合には、小児はその後に成長していくことが前提ですので、1回移植をした後には、もう一度移植をする、再移植が不可欠です。一方で、これは私どもが申し上げることではないのかもしれないのですが、現状では、ドナーの数に比べて、待機者は多くいらっしゃるという状況ですので、再移植の機会を必ず保証できるかというと、保証はできない状態です。そのような中で、今回のような縮小肺移植を進めることについて、どのように考えるか。こちらも忌憚のない御意見を頂ければと考えています。

29ページ以降の資料は、私どもがお願いしている対応案をイメージ図にしたものです。29枚目の資料は、黄緑色の部分が、候補者リストに加えられる方ということで、23枚目のスライドと比較をすることになるのですが、黄緑色の部分が増えていることがお分かりになるかと思います。このような形で、ドナーに肺の大きさが適合しないようなレシピエントの方も候補者になれるということで、候補者の数が増えることをイメージ図にしたものです。

30枚目は、「検討すべき論点」の(3)に少し関わりのあるところです。私どもとしては、優先順位の決定に際し考慮する順番として、まずは肺の大きさ、血液型、待機期間、この順番に優先をしてはどうかと考えましたので、実際にこれらの順番でリストを作ったときに、どのようなイメージになるかを図にしたものです。説明は以上です。

○久保班長 資料について、質問等はございますか。

○巽班員 2125を比べて、21の下に、<ドナーの医学的理由>(重複あり)となっています。25の岡山大学の「ドナー肺の異常所見」に、「胸部レントゲン異常所見 17」とあります。これは、理由としてはダブッているというか、岡山大学の17例というのは、21枚目の「ドナーの医学的理由」、例えば肺炎があったとか、無気肺があったとか、そういうものを含んでいるのでしょうか。それとも、これは全く違う次元の話をしているのでしょうか。

○廣瀬補佐 まずは、資料の基としている母集団から説明します。21枚目のスライドは、単に「脳死下移植」全体の話なので、必ずしも岡山大学の話に限ったものではありません。むしろ、脳死下で提供されたけれども、移植に至らなかった肺の説明です。

 一方で、25枚目の資料は、岡山大学で実際に移植に至った肺の中にも、実際には、多少なりとも異常所見がありましたというような資料です。

○巽班員 例えば肺炎があったり、無気肺があったりしても、21枚目のものと程度が全然違うと理解してよろしいですか。

○廣瀬補佐 はい、そのようなことを推測しております。

○近藤班員 要望の中身については、サイズマッチを外すということですが、その後この案をまとめた方ともう少しやり取りをして内容の確認をしたのですが、その結果、要望書の書き方が今一つまとまっていないことに気づきました。

 よく読みますと、内容が2つに分かれていることがわかります。1つは、今までの基準でレシピエント選択をした場合に、提供肺に陰影があるとか、無気肺になっているとか、何らかの理由でどの施設も受けなかった場合に、サイズとしては合致しないのだけれども、その機会を逃すと命が危ういと判断される人には、少々のリスクを犯してでもやれるようにできないか、といった考えの要望です。つまり、従来の基準で移植希望者がいない場合に、サイズマッチを外して、少しリスクがあるけれども移植を希望する人に移植をするという内容のものです。

 もう1つは、同じくサイズマッチを外してということにはなりますが、提供肺を一部削り、ボリュームは小さくなりますが、小さなボリュームでも十分と思われる体格の小さな小児へ移植ができるようにしたいという内容、以上の2つの内容が含まれています。

 そのようなことで、その後もいろいろ話し合って検討を重ねましたが、前者の場合、では、どういう範囲まで認めるのかということになりますと、非常に話が複雑になってしまい、候補者を決められなくなることもあろうかと思いますので、要望をする立場としましては、どちらかというと、後者に話を絞って御検討いただければと考えております。

 すなわち、この図でいきますと、「体格の小さいドナーから大きなレシピエントに移植」という右側の部分は、前者の要望のイメージとして提示されていると思うのですが、それを念頭に置いて、岡山大学はこのデータを出してきたと思います。多少無理をしてでも移植ができるのではないかということで出してきたもので、必ずしも小児には当てはまるものではありません。

○久保班長 どうしましょうか、「検討すべき論点」からいきますか。

○近藤班員 論点を整理しないとならないかと思います。

○奥村班員 追加で情報提供させていただきます。21番目のスライドは、全然使えなかったということですが、25枚目の中で岡山大学が使ったという、影のある、いわゆるMarginal Donorという症例の中には、ほかの移植施設が全部declineして、とうとう最終的には、ずっと下の順位だけれども、岡山大学が使えるかもしれないので使いますといった症例が、こういう結果であると考えていただいたほうがいいです。

 多分、問題になったのは、サイズマッチのことばかり言っていると、その中ではもう全ての施設がdeclineしたけれども、サイズマッチを外したら、うちだったら使いますといった症例があった場合、それが無駄にならないようにサイズマッチを外して、それでも使いますかというのでドナー情報を回して、使うようにする選択肢を増やすかどうかという目的で、そういう意味で近藤先生が言われたように、2つの側面があるということです。

○近藤班員 その点を議論し始めると、かなりの時間を要するであろうと思います。もう少し、どういったルールでやるのかといった点を煮詰めてからでないと、具体的な話に進むことは難しいのではないかと思います。

○久保班長 結局、岡山大学しかできないということになるのですか。

○奥村班員 要するに、その施設の態度として、岡山大学はMarginal Donorでも使っていこうという態度が、ほかの肺移植施設よりもより強いという背景があると理解していただいたらいいと思います。

○佐多班員 レシピエント基準の中に書き込むとなると、移植可能施設の中に凹凸があっていいのかという議論が出てくるのではないかと思うのですが、その辺はいいのですか。これは岡山の例で大丈夫だと、余り変わらないというデータは私もびっくりしたのですが。

○近藤班員 それは結局、サイズマッチの中でやっている結果に過ぎません。したがって、サイズマッチを外しても、同じ結果が得られるかどうかは分かりません。

 そういうことがある、ということと、サイズマッチを外していいということになると、サイズマッチそのものにどういう意味があるのかということになりますので、この場での議論は難しいだろうと考えます。

○久保班長 ざっとやってみましょうか。スライドの27、「検討すべき論点」の(2)です。「医学的異常所見のある肺を移植しても、安全性が確保できるか」、21のスライドを見ていまして、65例中41例に肺炎があってということですが、左肺は駄目だけれども、右肺を使えるかというのは、感染症の専門家からしますと、医学的にはどうなのでしょうか。

○佐多班員 細かいことは抜きにしても、一般的に肺炎があれば、主病変を取ったとしても周りはどうなのだという議論は必ず出てくるので、そういった場合に、当然リスクは通常のものとは全然違うと考えられるのではないかと私は思いますし、それを全くリスクがないものと同等に扱うわけにはいかないと思います。

○久保班長 無気肺でしたら、それ以外の肺は正常だろうと理解されますが。

○近藤班員 それは縮小するという場合の論点だと思います。今、論じようとしているのは、サイズマッチを外して、そういう異常部分も含めて移植をしてもいいかというお話になります。

○久保班長 それは(2)と(4)ですか。

○近藤班員 はい。確かに、医学的に異常所見のある肺を移植しても、安全性が確保できるかといえば、確保できると断定はできません。

○佐多班員 実際問題として、今、先生がおっしゃったように、ほかの施設が駄目だと言っていて、最後に岡山でやった結果がこれだったということですよね。ということは、ほかの施設はみんなリスクを感じていたということでしょう。

○近藤班員 それは非常に難しいことです。レシピエントがどういう患者であるかにもよるのです。要するに、しばらくは待機できる患者が選択されたのか、もう待つことのできない患者が選択されたのかによっても状況が異なりますので、簡単には判断できないのです。

○奥村班員 全ての施設がdeclineして、最終的に岡山大学が急いでいる症例があるから使ったという症例は、このn=17の中の一部だと思います。実際のところは、全く異常所見のない肺などを移植できるケースのほうが少ないわけで、そういう意味では、どこの施設でもMarginal Donorはある程度使っていると思います。

○近藤班員 使っています。

○久保班長 現在も、ある程度縮小肺はやっているのですか。

○近藤班員 それはやっておりません。アメリカでは、脳死提供の20%ぐらいで肺が移植できると報告されていますが、日本ではこれまで80%を超えています。それだけ拡大して利用していると考えてよいと思いますが、それをさらに拡大しようという話になろうかなと思います。

○久保班長 異常所見のある肺を移植して、この25でいくと、それほど差はないので、縮小肺でも同じだろうという考えでよろしいですか。

○近藤班員 縮小肺というのは、例えば上葉は駄目だが下葉は移植できますということになります。両肺移植であれば、異常部分を切断して、両肺移植を行うでしょうが、片肺移植の場合、移植する片肺の一部に影があっても片肺移植を行うかと言われますと、行わないと思います。ただ、これを、更に異常部分を削って、小さい肺で十分なレシピエントに移植をするかという話です。

○久保班長 この1番の回答ということだと、いろいろな条件が入ってくれば、いろいろなことを考えるのでしょうけれども、このままの答えは、本当にそうなのですかという気がします。

○近藤班員 1番については縮小ではなくて、先ほど申しました2つのことの前者の扱い、異常部分を含めて移植してしまっていいかというお話になります。「安全性が確保できる」とは言えないでしょうし、適応を決め難いという問題がありますので、今ここで議論するのは難しいと思います。

○川合班員 アメリカでやっていて、ドナーのセレクションというのはだんだん縮まってきたのです。最初は非常に悲惨な思いをしたのです。1991年ぐらいにスタートして、やっても死んでしまう、やっても死んでしまう、アキュート・デテリオレーションばかりだったのです。3例に1例ぐらい開胸して、直接肺生検してやらなければいけないような状況が続いていて、ドナー基準を厳しくしていって、だんだんよくなっていったという歴史もあります。あとはMarginal DonorMarginal Recipientという最悪の組合せだと思います。

 医学的な理由もあるけれども、日本の移植医療を守るという意味合いから、余り過激になっていくと、結果が悪くなると、それこそ心臓移植などはそれを考えて、年齢なども、肺の人たちは頭がいいなと思ったのは、高齢のドナーまでオーケーにしていると。心臓の場合は最初に60歳で、最近これは延びました。そういった形で、あの頃の移植チームというのは、とにかくプロテクトをしようという意識が強かったのです。移植の成績がある程度落ち着いてきたから、ここで拡大するのも1つの考え方なのかもしれませんけれども、リスクを負うかなというところはあります。

○久保班長 近藤先生と奥村先生が是非やりたいとおっしゃるのか、それとももう少し議論を。

○廣瀬補佐 確認なのですが、1点目の(1)で、御意見を伺いたかったことというのは、大きさの適合いかんに関わらず、肺炎がもともとあるような肺を、一部切除して移植をすること、その医療技術そのものについて、安全性は確保できるのでしょうかと。実は、そういうことの御意見を伺いたいという趣旨でございました。その点について、すみませんが。

○久保班長 今、川合先生がおっしゃった点に関してはどうですか。

○近藤班員 縮小して、残った部分が確実に大丈夫なのか、という話は、もちろんありますが、小児ということで言いますと、小児に対する臓器提供が全くと言っていいほどないという現状を打開するための生体肺移植の推進という方向を、部分的に分割した肺移植を可能にするということで少しでも抑えたいということです。生体肺移植にしろ、脳死肺移植にしろ、小さな肺の移植では、大人になったらまた某か考えなくてはいけないのは同じことですが、生体移植というのは、移植の本来の姿ではないと思いますので、できるだけこういったやり方で適応範囲を広げ、生体移植以外の方法で救うことはできないかということなのです。

 実際に、東北大学のこれまでの経験でも、肺炎と思われる部分を切除して移植したケースはあります。絶対に大丈夫だとは、どのような場合でも言えないと思うのですが、できそうなケースを総合的に判断して、実施することは可能と思います。

○廣瀬補佐 そうしますと、私どもの問題意識に対する答えとしましては、移植施設側が適切な判断をすることによって、安全なドナーと安全なレシピエントの組合せを模索しながら、安全性を保っていくことは可能であろうという理解でよろしいでしょうか。非常に一般論のような話で申し訳ないのですが。

○近藤班員 今でもそうです。

○久保班長 既に行われています。

○廣瀬補佐 その取組を引き続き継続していくということでよろしいですか。

○佐地班員 予測肺活量が65とか、最低60以上ないと、それさえクリアすれば、トリミングをすることに関しては技術的にも、問題はないということでいいのですよね。

○奥村班員 技術的には問題ないですね。生体肺移植は、移植施設はほとんど全部やっておりますし、生体肺移植のほうが、グラフトを摘出するのが難しい、厳しい条件でやっているので、それよりも摘出肺全体で、下葉を取ってきて移植するほうが、吻合操作などずっとゆとりがあるので、まだ楽なので、技術的にはむしろより楽ではないかなと思います。

○近藤班員 1肺葉移植の事例も、結構な数はあります。右か左の1肺葉移植で、4歳ぐらいに実施をして、現在10歳ぐらいまで成長されておられる方もいますので、手技的な問題と有効性については、移植した肺がきちんと機能してくれれば、そう大きな問題を起こすことはないのでないかと思います。

○久保班長 個人的には、以前に腎臓のほうでも、病気のある部分を取ってという移植をして、かなり大きな問題になりましたよね。

○近藤班員 病腎移植とは、全く考え方が違うと思います。病腎移植は、そもそも摘出してはいけない腎臓を摘出することが問題になったわけで、部分的な切除で済むものをなぜ全部摘出するのだという話です。

○久保班長 私の意見は撤回します。

○泉室長 (1)の所なのですが、「医学的異常所見のある肺であっても、異常の部分を適切に切除することにより、肺移植の安全性は確保できるか」と言い換えた場合には、お答えはどのようなものになりますか。

○近藤班員 確保できる場合があると言えます。

○泉室長 それは正に臨床的な判断でしょうか。

○近藤班員 臨床的判断でしかありません。

○泉室長 それは、現に行っている肺移植と同じであるということですね。

○近藤班員 現に行っている肺移植も、どの程度までやれるのかは、その施設の判断になります。

○泉室長 資料は少し言葉が足りなくて、「医学的異常所見のある肺をそのまま移植しても安全性が確保できるか」というように読めて、議論をミスリードしたかもしれません。恐縮でございます。

○佐多班員 どこの施設でも、その判断は大体同じようにできるのですか。

○近藤班員 できます。

○佐多班員 例えば先生はできて、結果もよかったけれども、ほかの施設でも。岡山へ持って行ったら、何でもうまくいくのかどうか。そういうような差があっていいのかという、基準に書いた場合に、そういう問題が出てくるのではないかと思います。どこでも大体同じような成績になるのだと。それが安全性が確保できるという意味だと思ったのです。

○近藤班員 それは間違いだと思います。どの施設でも同じような症例について肺移植を行っているのかということになりますが、必ずしも同じではありません。同様に、日本の成績がアメリカよりも良いから日本のほうが優れている、ということも言い切れないわけです。いろいろな要素が絡んできますので、全ての施設が同じ成績にならないとおかしいというのは、議論としてはおかしいと思います。

○佐多班員 これはレシピエント基準なので、これをベースに考えていくというものですよね。そういう性格を持っているものですから、なるべくは、理想としては同じような形になってほしいという、その最低ラインが決まっていると考えれば、今みたいな質問は、あながち、おかしいとは私は思わないのですが。

○近藤班員 これまで肺移植を行ってきた施設の成績は、そう大きくは変わりません。実施数が多い所と少ない所がありますが、ある程度の数を行っている所の成績はほとんど差がないということは言えます。ただ、部分肺の移植については今後のことですので、やってみないと分かりませんが。

○佐多班員 ただ、担当の先生が判断しているだけではなくて、その辺の判断が平均化されるようなシステムはほかにあるのですか。ほかの移植などでは、例えば代表の先生方が議論して決めている所もあるのですが、肺の場合もあるのですか。

○近藤班員 今はメディカルコンサルタントという仕組みがあります。提供者の脳死下での管理において、心臓の先生と肺の先生が、適切な管理の助言を行っています。同時に、現場において提供者のコンディションを診て、レシピエント候補者となる施設に適切な情報を提供できるようなシステムになっています。それ以上のcontributionはなかなか難しいという現状がありますが、ただ単に、移植施設がレントゲンやCTだけを見て決めているわけではないということです。

○久保班長 厳密に言えば、医学的臨床所見がある肺の正常と思われる一部を移植するということですよね。

○近藤班員 はい。

○巽班員 岡山大学の成績を見ると、胸部レントゲン異常所見のあった肺を移植して、うまくいったという成績ですよね。

○近藤班員 そうです。

○巽班員 ということは、移植した後に、異常所見を治療できる、ないしは移植した後に、異常所見が自然に寛解すると臨床的に判断できる場合は、安全性が確保できるということでいいのではないですか。それはまずいですか。

○近藤班員 そもそも要望において仮定している場合というのは、レシピエント選択の1巡目で、サイズマッチほか、全て条件を満たしている、全てに打診して、誰も受けないということが条件なのです。

○巽班員 ということは、肺炎などがあるのですよね。

○近藤班員 少しぐらいの影があってもやるという所はやるのです。

○巽班員 そうですよね。それは、多分抗菌薬とかを術後は必ず使いますから、ないしは自然経過で治ると医学的に判断したということですか。

○近藤班員 移植する場合は、ですね。

○巽班員 やる場合はそうですよね。

○近藤班員 そうではなく、どこも受けなかった場合に、この条件で残った肺を使えると判断するかどうかということですよね。例えば上葉が駄目でも下葉だけなら使えるか、ということです。

○巽班員 それは移植の経験のある先生が判断されるのが、一番正しいと思うのですが。

○近藤班員 もちろん、かなり症例は限られると思います。現在でも、提供肺の利用率はかなり高いわけですから、利用されないものはそもそもそんなに多くはないわけで、その中で、さらに一部使えるかということになりますと、相当数は限られると思います。ただ、年に1件あるかないかというような場合であっても、全くないよりはいいだろうという考え方になるかと思います。

○久保班長 例えば21のスライドの中に、「移植に至らなかった理由」で、「ドナーとレシピエントの体格差」がありますが、こういうのはそのまますぐに使えますよね、こういう方法でよければ。

○近藤班員 ああ、こういうものもあるのですね。

○久保班長 ドナーとレシピエントの体格差があって、1例は移植に至らなかったのですが、これは問題ないと思います。問題は医学的理由ということです。それがもうほとんどですから。これは一部だけの問題なので。

 「討論すべき論点」の1、これは医学的異常所見があって、移植を断念したわけですよね。

○巽班員 いや、でも岡山大学が異常所見のある例を移植して。

○廣瀬補佐 岡山大学が行ったのは、「移植に至ったドナー」と入っている例です。

○近藤班員 そのような岡山大学でも駄目だとするような例についての縮小肺移植はどうかということですね。

○巽班員 岡山大学が駄目だというような症例は駄目。

○近藤班員 いえ、そういうもので、縮小肺移植に使えるものがないかということです。

○佐地班員 これはトリミングしていない例ですよね。

○近藤班員 トリミングしていません。

○佐地班員 今後はトリミングして、使えるかどうかを判断する。

○近藤班員 そうです。
○巽班員 そういうことなのですね。それは現在使われないで、破棄というか、そういうことになってしまうのですね。

○近藤班員 はい。

○巽班員 それをうまく部分的にでも、小さな子どもになら使えるのではないかというのが。

○近藤班員 はい、破棄するのは勿体無いです。

○巽班員 面倒だと言えば面倒なのですが、勿体無いです。

○久保班長 どれぐらいの可能性がありますか。

○近藤班員 数ですか。

○久保班長 はい。

○近藤班員 数的にはかなり限られるでしょうね。どんな場合でもできるというものではありませんから。

○奥村班員 このぐらいありますと明確に言えるほどはないですね。

○久保班長 例えば明らかに右肺は無気肺で、左肺は大丈夫だという場合は。

○近藤班員 それは片肺移植の中でのお話です。

○久保班長 そういう場合は片肺を使うのですよね。

○奥村班員 片肺が全くレントゲン上正常で、気管支鏡的にも問題がなかったら、それは片肺移植はできます。だから、例えば右片肺はオーケーで、左片肺の上葉に陰影があるとか、その場合の左下葉は使えるという場合に、それを断念するか、あるいは子どもに移植するかとか、大きな人から小さな人に移植するかということになると思います。

○廣瀬補佐 佐多先生から御質問のあった部分についても、念のため議論の経過を確認したいのですが、佐多先生の御質問を私なりに整理しますと、21枚目にあるスライドにありますとおり、例えば両肺でいえば、40人のドナーの肺に、肺炎、無気肺といったものがあるという理由で、全ての移植施設が受諾しなかった肺というわけですが、こういう肺の一部を、これからは活用させていただけるかもしれないということもあるので、レシピエント選択基準の中で読んでいきましょうということになるわけですが、レシピエント選択基準に読み込むということは、そういった移植を標準的な医療と見なせるのか確認する趣旨で、問題提起があったものと、私は理解をしております。

 その部分については、お答えはどのようになりますでしょうか。表現が適切かどうか分かりませんが、先生方が先ほどおっしゃったとおり、40人の方のドナーの肺というのは比較的、indicationが広いような移植施設においても、断わられた方の肺ということになりますが、事務局からこういう肺を活用できるような方法を提案いたしましたが、それを標準的な医療として、「レシピエント選択基準」の中に書いてもよいのかという、御見解として取りまとめを頂けると大変有り難いです。

○近藤班員 逐一の利用状況が分かりませんので、何とも言えませんが、40例というのは恐らく両肺ともに移植できないという状況かなと思われます。したがって、これを使うというよりも、25例の片肺、例えば左は使えたけれども右は使えなかったもので右にどの程度の問題があったのかにもよりますが、多分この25例の中に、適応となるものが含まれるのかなと思います。

○廣瀬補佐 どちらかというと、40人の方というよりは、25人の方の右なり左なりの片方の肺。

○近藤班員 両肺移植では、どこかに部分的な異常があっても、結構頑張って移植してしまいます。

○久保班長 21番目というのは、「ドナーの医学的理由」で、片肺を移植しなかったのが25というのは、そういう意味でいいのですか。そうすると、片方の肺は正常にもかかわらず、移植しなかったと。

○近藤班員 それはあります。右だけしか使えない、左しか使えないというケースはしばしばあります。 ただ、先ほど川合先生もおっしゃいましたが、とにかく、どんどん行け行けということになってしまい、移植成績がそれで悪くなってしまったのでは、全く本来の目的に合致するものではありませんので、実施する側としては、もともと肺移植を始めるときもそうでしたが、相当慎重に行うと思います。まず間違いなくうまくいくと思うものしか手を付けないと思います。

○佐多班員 その辺は文書で作れませんか。できるというのと、こういう場合にできるというのとは、全然意味が違ってくると思うのです。

○廣瀬補佐 そうですね。

○近藤班員 実際、今の肺移植のドナーの適応基準も、比較的大雑把なもので、基本的にはそんなに細かくは決めていません。

○佐多班員 余り細かく、ガチガチにしないほうがいいのでしょうけれども、今の議論からは、外科側の先生も適応が広がってしまっては困るというのであれば、どこかに縛りを掛けたほうがいいのではないかとは思います。

○近藤班員 部分肺の移植についてですか。

○佐多班員 片肺の一部を使うという。

○久保班長 こういうように、「異常所見のある肺を」と書いてしまうと、非常に文章的に語弊があるのですが、あっても、そのうちの正常と思われる一部、その正常と思われる一部をどうやって判断するかですよね。

○近藤班員 それは文章には書けないと思います。

○佐多班員 難しいでしょうね。

○近藤班員 そのために、現場に行ってから気管支鏡をしたりして慎重に判断するわけで、また、最後の最後は開胸をして肺の状況を直接見て触って、移植が可能かどうかを最終的に決めるわけですので、文章で規定するのは難しい。

○久保班長 論点は1番目と「肺の大きさ」をどうやって判断するかの2つだと思うのです。今日は7時までなので、「縮小肺について」は、もう少し議論を深めたほうがいいのではないかなと思います。呼吸器外科学会でも、もう少ししっかりと揉んでもらって、ある程度疑問点、あるいは肺の大きさもこのようにするという。

○近藤班員 大きさを決めるのは無理かなと思います。

○久保班長 いや、ここにはこういう案がありますが。

○近藤班員 小児の肺の適当な大きさというのは難しい問題です。

○久保班長 だから、小児に入れるのを優先するとか。

○近藤班員 ああ、そういうことは議論をしたほうがいいと思います。

○久保班長 それをある程度議論していただいて、私ら内科医がうんぬんする問題ではありませんので、案の議論をもう少し煮詰めてもらって、この班会議は来年の4月まで続くのですよね。

○廣瀬補佐 任期はそうなっております。

○久保班長 任期までに結論を出せばいいのかなと思いますので、今日拙速に決めなくてもいいのかなと思いますが、よろしいでしょうか。7時まで時間がありますので、いろいろな意見を出してもらって、それを呼吸器外科学会で。

○近藤班員 現実的に1肺葉だけということになりますでしょうから、小児以外に適応は考えられないでしょうね。

○久保班長 そうですよね。だから、ある程度そのように決めてもいいのかなと思うのです。

○奥村班員 片肺は1肺なのですよね。

○近藤班員 そうです。

○久保班長 レシピエントはどういう疾患になるのですか。普通の病気はほとんど適応なのですか。

○近藤班員 東北大学で1肺葉移植を行ったのは、BOと先天的なものでした。

○奥村班員 間質性肺炎の経験はありますし。

○近藤班員 外科の医者が普段目にすることがないような名前の病気がありますが、先生たちは御存じでしょうか。

○奥村班員 ありますね。この前やった子も、何か難しい名前が付いていました。

○巽班員 今、近藤先生のおっしゃったことを入れるのでよろしいのではないですか。肺葉移植が適応になる場合は、小児のレシピエントを優先することを。それはまずいですか。

○泉室長 「小児」というのは年齢のことを指しております。非常に小さな成人の方を少し念頭に置いたらいいということはあるのと、もう1つは、小児と成人を、何故小児を優先するのかということについては、よく考えないといけないと思っています。小児と成人をあえて分ける理由は、現在の医学的な知見からでは、答えが出てこないので、今の事務局案では、小児と成人の区別というのは優先順位付けの中には入ってきていません。

○巽班員 成人とか小児と分けないで、「体格の小さなレシピエント」とすればいいのではないでしょうか。

○泉室長 適合外のレシピエントといっても、こちらの右と左、体の小さなドナーから大きな疾病のドナーの移植もあるし、体格の大きなドナーから小さなレシピエントへの移植もあるだろうけれども、問題になるのは、体格の大きなドナーから小さなレシピエントに向かってという、左側の事例だけを検討すればよいので、事務局としては、右側の場合について、リストに載せる必要まではないのではないかと考えていまして、御議論していただきたいと思います。大小ということを考えたときに、大人と子どもということで分けるほどの合理的な理由があるか。

○近藤班員 分けなくていいと思います。

○泉室長 サイズとして、どうしても1葉だけ使うという話だとすれば、適応の対象になるレシピエントの方は、結論において小児の方ばかりと。

○近藤班員 レシピエント登録をするときは、術式も含めて登録しております。ですから、例えばですが、このような分割肺の術式のようなものを登録時に選択できるようにし、そういう機会があったときに移植を受けるかどうかを、最初からチェックできるようにしておいたうえで、あとはシステム上その場になってどうやって選択をするのか、ということになるのでしょうか。

○泉室長 例えばということですね。ただ、今、この場でお話を伺った範囲内では、大きさは適合しているという、ドナーとレシピエント間でも、場合によっては部分肺切除を行って移植しているという事例も現にあって、それが現行ではルール違反ではないわけです。

 そういうことを考えると、肺の大きさの適合範囲ということだけをルール上は考える。ただ、適合外のレシピエント、体の小さなレシピエントに移植するということは、ほぼ縮小肺移植を前提とした移植になってしまうので、そういった形でケリをつけるのが1つの在り方です。レシピエントは、ほぼ100%近く、小児の方々になると。

○近藤班員 結果としてですね。

○泉室長 結果としてということですね。一方で倫理的な視点から考えますと、成人と小児を分けるという意見もあり、分けないという意見もあるのかと思いますが、レシピエント選択基準に載せるほどのことはないという。

○久保班長 小児に移植した場合に将来的に再移植が必要になりますが、それはどのように考えればよろしいですか。

○泉室長 それは資料の(5)の所についてですが、ここも是非御議論いただきたいと思っています。

○近藤班員 再移植が必要になることは、まず間違いないと言っていいかなと思います。

○佐地班員 片肺肺葉なら必要ですよね。

○近藤班員 どのくらいレシピエントが成長するかにもよりますが、再移植が必要になることがほとんどなのではないでしょうか。そのときは、脳死肺移植の登録をしてもらうことになりますね。

○久保班長 もう1回ですか。

○近藤班員 はい。

○泉室長 皆さん、御専門の方を前に、本当に素人の議論で申し訳ありませんが、一旦移植の医療を開始した一方で、子どもであれば今後成長することも分かっています。通常の医療関係者にとってみれば、この患者に次に再移植をしなければと思い、また、現に担当していらっしゃる患者なので、診る責任もあるという状態の中で、一方で再移植の保証があるわけはないということになります。医療関係の実際に診療に当たられる方々は非常につらい立場に立たれるのではないかと、素人考えながら思っております。

 そうした事態が起きうることを踏まえても、あえて、なおこの縮小肺移植の機会を広げたほうがいいかどうかという、事務局案になっています。

○近藤班員 現在の肺移植患者についても、全員がうまくいっているというわけではなくて、もちろん命を失っている方もいますが。また、徐々に移植した肺の機能が悪くなっていき、再移植に持っていかなくてはならないという人もおります。これまでにも晩期の問題で再移植を実施した人は2-3人くおりますが、これから数が増えてくる可能性があります。

 ただ、おっしゃるるように、全ての人が必ずまた移植できるかというと、そういうわけではなく、再度登録もしなければなりません。そういうことを考えますと、小児のことについても同じことではないかと思います。もちろん、生体肺移植を実施するときには、それで一生大丈夫だという話をしているわけではありませんので、それも含めて理解してもらうしかないだろうと思います。

○泉室長 インフォームドコンセントの問題に還元されるのかもしれないと思いつつも、最初から移植しなくて、できませんでしたということではなくて、一旦は移植をしています。そこについて段階があるのかな、ないのかなというところについての、私どもからの投げ掛けでございました。

○久保班長 「縮小肺移植」という言葉、これで適当ですか。

○近藤班員 言葉は、縮小でも分割でもどちらでもよろしいかと思います。

○巽班員 「分割」のほうがよくて、「縮小」はピンとこない。

○泉室長 私どもの室内で議論したときは、当初は「分割肺移植」という用語を使ったのですが、分割すると、1つの右肺を2人の方に持っていくようなイメージになりまして、現実においては、そんなことはほぼあり得ないということでしたので、あえて「縮小」ということにいたしました。もちろん「縮小」という言葉自体も、ギュッと縮めるというイメージもあるのですが、事務局として用語についてのこだわりは全くございませんが、誤解のないネーミングがあれば、是非。

○久保班長 移植される先生方から、もっといい言葉があれば、考えていただいて。

○巽班員 「分肺移植」はいかがですか。

○泉室長 なるほど。

○巽班員 肺葉移植ですが、「肺葉」と言ってしまうと、一般人が分からないから、「部分肺移植」とすると、そうしたほうが。単なるイメージです。やっていることは同じだと思いますが、「部分肺移植」という言葉を使ったほうが。

○久保班長 一般の人に分かるようにしなければいけませんので、言葉は適切に選んだほうがいいと思います。

 議題2の「縮小肺移植について」は、今、様々な意見が出ましたので、呼吸器学会のほうで、近藤先生、奥村先生に、今の意見を踏まえて、もう一度整理していただいて、どういう方に移植するかも決めていただいて、もう一度提案してもらって、この班会議で議論したいと思うのですが、そういう方向でよろしいでしょうか。

(異議なし)

○久保班長 お手数ですが、かなり大事な問題なのでよろしくお願いします。

○泉室長 事務局の整理も必ずしも十分でなかった点があろうかと思いますので、もう一度論点整理をさせていただいて、その資料を班員の皆様に配布させていただいて、その時点で、なお再度実施するかどうかをもう一度班長と相談しながらということで、いかがでしょうか。もしかするとうまく整理できるかもしれないという、若干の希望を持っております。

 それから、恐縮でございますが、「検討すべき論点」の(3)ですが、ある意味、前提としてしまって議論しているような気もするのですが、要するにサイズの適合している肺と同じことなのですが、同じルールを適合していない肺にも当てはめるということだけなのですが、それでよろしいでしょうか。

○久保班長 (3)の優先順位の決定に際しては、同じでいいかと。

○泉室長 それを絵にすると、30枚目のスライドになります。

○近藤班員 実際に実施するとなった場合に、どういうやり方にするのかというのは、また先の議論になるかと思います。何らかの方法で意思確認をできるようにしておかなければならないのと、1巡目を見て候補者がないときにあらためて候補者探しをするのか、それとも1巡目からそれも含めて候補者探しをするのか、ネットワークの作業としてどちらがやりやすいのかなども検討して決めなければいけないかなと思いますが、そういうことではないですか。

○巽班員 先生がおっしゃっているのは、ネットワークの作業はまた別問題で、室長がおっしゃるこの順番で、肺の大きさ、血液型、待機期間で問題ないというのが、今までの議論だと思います。

○泉室長 クリニカルに問題ないかという確認でございます。

○巽班員 クリニカルに問題ないということでよろしいのではないかと思うのです。近藤先生がおっしゃったネットワークの話は、また別問題だと思います。

○泉室長 ネットワークのほうは、多分運用できると思います。

○近藤班員 肺の大きさは確かに問題ではありますが、肺の大きさで候補者を選ぶというのは、なかなか難しいかもしれません。

○巽班員 言葉上はそうなるのではないですか。言葉上の順位付けとすると、血液型よりは肺の大きさが、優先順位としては上にくる。

○泉室長 そうですね。部分切除をしないで済む肺の。

○巽班員 体格の小さな方。言葉としては、「肺の大きさ」というのが最初にきていいのではないかなと。そうではないですか。外科の先生方から。

○近藤班員 サイズマッチという意味にはなりませんね。

○巽班員 サイズマッチしなければ、肺移植にはならないですよね。

○廣瀬補佐 そうです。

○近藤班員 小さくした肺について、どうやってサイズマッチするかというのちょっとまた別の議論かと思います。恐らく小さい子が選ばれるのでしょうが、その小さい子と目の前にある肺葉と、大きさがマッチするのかどうかということについては、計算式があるわけではありません。

 もしそういうサイズマッチが必要だというのであれば、しっかり議論をしておかなくてはならないかなと思います。

○巽班員 そうですね。それはやはり外科の先生で議論しなければ。

○久保班長 議題2の「縮小肺移植について」は。

○泉室長 今の30枚目のスライド、優先順位を112番目まで付けています。このイメージは、12については、現行のレシピエント選択基準と同じです。下半分の712番目の方々が、今回の事務局からの提案に従えば、優先順位712番目に、今までの方々に劣後して上がってくるということです。

 あと、「肺の大きさ」は適合外としてありますが、適合外は、小から大の場合は別で、大から小の場合だけを考えておりますが、その場合においては、どのぐらいサイズが違うのか、適合外の幅については度外視して、単に適合外を全部並べてやっていると。

 それはドナー肺を見ていただいて、実際のレシピエントにどの中葉なり、下葉なり、上葉なりが適合するか否かは、その時点で現場の医師の方に判断いただくというイメージです。

○久保班長 議題2については、泉室長、大変ですが、しっかりと。

○泉室長 個別に御相談させていただいて、論点整理をもう一度させていただきます。その上で資料を御覧いただいて、再度開催の必要がありやなしや、久保班長ともう一度御相談させていただきます。

○久保班長 ほかにございますか。

○廣瀬補佐 本日は長時間にわたる御議論、ありがとうございました。先ほど先生におまとめいただきましたとおり、特に、「縮小肺移植」の部分ですが、新たな論点の御提示が幾つかございましたので、大変お手数ではございますが、再度お集まりいただきたいと考えておりますので、改めて日程について、後日御相談をいたします。御協力、どうぞよろしくお願いいたします。

○久保班長 今日はありがとうございました。


(了)
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代表: 03(5253)1111
内線: 2362・2365

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