ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(科学技術部会疫学研究に関する倫理指針の見直しに係る専門委員会・臨床研究に関する倫理指針の見直しに係る専門委員会)> 第10回疫学研究に関する倫理指針及び臨床研究に関する倫理指針の見直しに係る合同会議 議事録(2014年3月26日)




2014年3月26日 第10回疫学研究に関する倫理指針及び臨床研究に関する倫理指針の見直しに係る合同会議 議事録

医政局研究開発振興課

○日時

平成26年3月26日(水)9:30~12:00


○場所

三田共用会議所 講堂


○出席者

委員

福井座長 楠岡座長代理 中村座長代理 跡見委員 磯部委員
位田委員 今村委員 門脇委員 川村委員 久保委員
児玉委員 後藤委員 祖父江委員 田代委員 玉腰委員
津金委員 土屋委員 直江委員 中島委員 永水委員
藤原委員 丸山委員 山縣委員

事務局

小松局長 (文部科学省研究振興局)
板倉課長 (文部科学省研究振興局振興企画課)
伊藤安全対策官 (文部科学省研究振興局生命倫理・安全対策室)
宮脇室長補佐 (文部科学省研究振興局生命倫理・安全対策室)
三浦技術総括審議官 (厚生労働省)
宮嵜課長 (厚生労働省大臣官房厚生科学課)
中山研究企画官 (厚生労働省大臣官房厚生科学課)
工藤課長補佐 (厚生労働省大臣官房厚生科学課)
一瀬課長 (厚生労働省医政局研究開発振興課)
高江課長補佐 (厚生労働省医政局研究開発振興課)

○議題

1 統合指針(草案)について
2 その他

○配布資料

議事次第 議事次第
座席表 座席表
委員名簿 疫学研究に関する倫理指針及び臨床研究に関する倫理指針の見直しに係る合同会議委員名簿
資料1 統合指針(草案)
資料2 指針各章(草案)の論点概要
資料3 第9回合同会議の意見概要等
資料4-1 倫理指針の適用と審査のまとめ等(川村委員提出資料)
資料4-2 侵襲概念に関連した統合指針の規定(田代委員提出資料)
資料4-3 疫学研究に係る倫理審査委員会の実態把握と臨床研究に係る倫理審査委員会等との比較研究(玉腰委員提出資料)
参考資料1 第9回疫学研究に関する倫理指針及び臨床研究に関する倫理指針の見直しに係る合同会議議事録
参考資料2 統合指針(草案)と現行指針の対比表

○議事

【宮脇室長補佐】  おはようございます。まだお席に着かれていない先生方もいらっしゃいますが、定刻となりましたので、第10回疫学研究に関する倫理指針及び臨床研究に関する倫理指針の見直しに係る合同会議を始めさせていただきたいと思います。本日は、年度末のお忙しい中御出席を頂きまして、ありがとうございます。

 本日は、真田委員、新保委員、知野委員、花井委員、宮田委員、渡邉委員より御欠席の連絡をあらかじめ頂戴してございます。

 それから、事務局に異動がございましたので、御紹介させていただきます。

 文部科学省研究振興局振興企画課、板倉課長でございます。

【板倉課長】  板倉でございます。よろしくお願いいたします。

【宮脇室長補佐】  次に、お手元配付資料の確認をさせていただきます。お手元、1枚紙で本日の議事次第、こちらに配付資料一覧がございます。それから、同じく1枚紙で、本日の座席着席表でございます。続きまして、本合同会議の委員名簿、1枚紙のものでございます。

 それから、資料でございますが、資料右肩上にそれぞれ資料番号を記載してございます。資料1、資料2、資料3。資料4につきましては3種類ございます。枝番がございます。まず1枚紙横向きの資料、資料41。資料42、こちらも1枚紙の資料。そして、資料43の資料がございます。

 続きまして、参考資料2種類ございます。参考資料1、それから、横とじの参考資料2がございます。

 それから、机上配付資料と致しましては、いつものものでございますが、紙ファイルで関係書類をつづったものを机上に配付させていただいてございます。

 配付資料につきましては以上でございます。

 それから、前回までの会議資料につきましては、私のところでございますが、事務局席に資料がございますので、必要に応じて御参照いただきたいと存じます。

 以上でございますが、資料の不備不足等ございましたら、事務局の方にお知らせいただけたらと存じます。よろしくお願いいたします。

 どうもありがとうございます。

 それでは、傍聴の方にお願いいたしますが、会議の冒頭の模様の撮影につきましてはこちらまでとさせていただきたいと思います。会議の円滑な進行のため、御協力をよろしくお願いいたします。

 それでは、福井先生、よろしくお願いいたします。

【福井座長】  それでは、議事に入りたいと思います。前回、統合指針の案文をお示しし、御議論いただくとともに、会議の後にも御意見を頂きました。これらを踏まえて事務局と調整し、案文の修正をしております。できれば修正案を基に本日で統合指針の取りまとめを終えられればと思っております。どうぞ御協力をお願いいたします。

 まず、議題1の統合指針(草案)についてでございます。まずは、前回からの修正部分について事務局から説明を頂きます。なお、今回は統合指針のタイトルについて議論の時間をとった上で、指針本文の議論に入りたいと思います。

 それでは、前回合同会議からの修正箇所について事務局から説明をお願いします。

【工藤課長補佐】  資料15ページ目、前文につきましては、前回の会議での御議論や、その後事務局の方へ送付いただいた委員の方からの御意見などを踏まえまして、更なる記載整備を図ってございます。

6ページ目からの第1章につきまして、前回の会議で提示しておりました案文では、負担とリスクにつきまして、専ら侵襲に関連付けた記載ぶりとなっておりました。しかしながら、侵襲の定義規定に関連いたしまして、前回御議論いただいた内容や、その後事務局へ送付いただいた御意見などを踏まえまして、必ずしも侵襲に伴って生じるものに限らないことと致しまして、基本方針の○3、それと、脚注の※印23を記載いたしております。

 あとは、他の指針の適用範囲に含まれる研究への本指針の適用につきましては、前回会議での御議論から、「当該指針に規定されていない事項について本指針の規定を適用するものとする」と規定することとしております。

 また、本指針の適用対象外とする研究のうち、「既に連結不可能匿名化されている情報のみを用いる研究」の記載ぶりにつきまして、前回会議での御議論に鑑みまして、資料27ページ目で、現行の疫学研究倫理指針と臨床研究倫理指針における規定ぶりを対比し精査いたしまして、両指針とも適用対象外となっておりますのは、研究に用いられようとする以前から連結不可能匿名化された状態で存在する場合であるということをお示ししております。それを踏まえまして、次の8ページ目の方で、統合指針における規定ぶりと致しましては、「既に連結不可能匿名化されている情報」とするのが適当ではないかということでお示ししております。

 研究機関が対応表を保有せずに連結可能匿名化された情報のみを用いる場合についても指針の適用対象外としてはどうかという御意見を一部の委員の方から頂いておりますけれども、資料29ページ目の下の段から10ページ目の上段にかけて記載してございますように、今回の見直しで直ちに指針の適用対象外を拡大することにつきましては慎重を期するべきではなかろうかということで整理いたしました。

 ちなみに現在、政府のIT総合戦略本部におきまして、個人に関するデータの利活用に関して現行の個人情報保護制度の見直しが検討されている状況にございます。また、医療等情報の利活用と保護に関する法制度につきましては、今回の研究倫理指針の見直しの間に特段具体的な進展は見られませんでした。その一方で、昨年12月にがん登録推進法が成立いたしまして、この法律の規定に基づいて、がん登録データベースの登録情報について研究へ利用できる環境が整備されつつあります。

 こうした状況を踏まえまして統合指針では、インフォームド・コンセントの手続に関する規定、資料1の方に戻りますが、25ページから26ページ目にかけまして、「法令の規定に基づき、収集され、又は提供される既存試料・情報について提供を行う場合又は当該提供を受ける場合にあっては、この限りでない」と追記することとしております。

 こうした規定や、今回の指針見直しで盛り込むこととしております試料・情報の収集・分譲を行う機関の規定などによりまして、インフォームド・コンセントや倫理審査委員会に係る手続を簡略化することが可能となっておりまして、指針の適用対象外となっていなくても研究者側の負担軽減が図られているということもございます。

 資料1に戻りまして、8ページ目からが用語の定義でございます。侵襲の定義規定に関して、前回会議での御議論を踏まえて、侵襲それ自体につきましては、「研究目的で研究対象者の身体・精神に日常生活で被る範囲を超える非生理的作用を及ぼす行為」と定義しております。本日、案1、案2と二パターンをお示ししておりますけれども、その違いと致しましては、続く後段の部分でございまして、すなわち、第2章以降の規定において場合分けを行う際に、侵襲と併せてリスクも加味した場合分けをするか否かということでございます。

 事務局と致しましては、現行指針で「最小限の危険」という言葉を用いてリスクを考慮した場合分けがなされているということで、それを踏襲する形でこれまで検討してまいりましたけれども、リスクと一口に言っても、危害が起きる確率とか実際に起きたときの危害の大きさは様々でございます。研究の現場における運用の明解さといった観点から、また、先ほど御説明いたしましたようにリスクは必ずしも侵襲に伴ってもたらされるものばかりでないということなども勘案いたしました結果、文言上は、侵襲の有無や軽微な侵襲か否かということで場合分けをする案1の方が適当でないかとの考えに至りまして、以降の案文につきましては、案1の規定ぶりに基づいたものとしてございます。

 文言上は、場合分けにリスクということが現れてまいりませんけれども、侵襲に伴ってもたらされるリスクについては反映された場合分けとなります。また、リスクにつきましては、場合分けで文言上現れなくなったとしても、研究の実施に伴う負担や利益とともに、研究計画における総合的評価やインフォームド・コンセントでの説明事項におきまして規定されております。

 資料110ページ目、(10)研究者等の定義規定につきましては、前回の会議での御議論を踏まえ、研究機関の長は研究者等に含まれないものとして整理してございます。

12ページ目では、第8章の第20、モニタリング及び監査の実施に関する規定を設けていることに伴いまして、用語の定義にモニタリング及び監査をそれぞれ(22)(23)として追加しておりまして、いずれもGCP省令におけるモニタリング及び監査の定義と整合を図ったものとなってございます。

 その他の修正箇所につきましては、前回会議での御指摘等を踏まえた記載上の整備でございます。

【高江課長補佐】  続きまして、第2章でございます。12ページの一番下に表題がございますが、場所はまた整理をさせていただこうと思います。

 まずは13ページ、第4、研究者等の基本責務でございます。プライバシー、人権に包含するという形で修正するとともに、(2)と致しまして、原則としてあらかじめインフォームド・コンセントを受けるという点を特出しさせていただいてございます。あとは、(3)から(5)2につきましては、その意見等を踏まえまして字句の修正の方をさせていただいてございます。

 続きまして、14ページをおめくりいただければと思います。第5の研究責任者の責務でございますけれども、こちらの1(1)から実施の許可という形で明確化させていただいてございます。また、(2)におきまして、研究の倫理的妥当性及び科学的合理性が確保されるよう研究計画を作成するという形で、研究者等の責務にあったものをこちらの方で明確化しているという形になってございます。また、(3)は、先ほど説明ありましたとおり、リスク、侵襲の概念をこのとおり整理させていただいてございます。(4)(5)は字句の修正を行ってございます。

2(2)でございますが、語句の修正をさせていただいてございます。こちらの方では、倫理的妥当性又は科学的合理性を損なう事実・情報又はそのおそれがある情報の規定でございますが、(3)と致しまして、研究の実施の適正性又は研究結果の信頼を損なう事実・情報又はこれを損なうおそれについて定義の方を新たに起こしてございます。

 次、15ページでございます。(5)でございますが、侵襲を伴う研究において、研究に関連する重篤な有害事象が発生したときという形で条件付けを明確化させていただいてございます。また更に、研究計画に定めるところにより研究機関の長に報告するということで、例えば既知のもので要らないとかそういったものは研究計画できちんと定められるように修正の方をさせていただいてございます。また、(8)ですけれども、こちらも侵襲を伴う研究の実施における重篤な有害事象の発生に係る情報等という形で対象を明確化させていただいてございます。

 また、15ページの一番下、第61(3)でございますが、先ほど申し上げましたとおり、研究者等から研究機関の長を抜きましたので、ここのところは、研究機関の長として、情報を漏らしてはいけないとか、こういった責務を新たに置いてございます。

 次のページ、16ページの2(5)でございますが、こちらも研究者等の区別の関係で、研究機関の長のところに、新たに教育・研修を受ける義務の方を追記させていただいてございます。

 続きまして、17ページでございます。3(3)(4)、こちらの方新設させていただいてございます。こちら、倫理審査委員会の方で調査を行う規定を立ててございまして、それを受ける形で、研究機関の長の責務として協力の規定を追記してございます。また、(4)でございますが、こちら、報告するという規定はございましたけれども、研究機関の長が報告を受けたときに何をするかという規定がございませんでしたので、整合性を図るという意味で規定の方をさせていただいてございます。その他、語句の修正、修辞上の修正の方をさせていただいているところでございます。

 第2章は以上です。

【伊藤安全対策官】  引き続きまして、第3章について御説明申し上げます。まず、18ページでございますけれども、2番目の倫理審査委員会への付議の(1)につきまして、前回、緊急に研究を実施する場合に倫理審査委員会の意見を聞く前に長が許可を決定することができると。その場合の事後の対応につきまして、いろいろと御意見があったところです。この部分については、倫理審査委員会の意見を尊重しつつも研究機関の長に決定権がある旨をより明確化した書き振りに記載を変更しております。

 続きまして、第8の研究計画書の記載事項について、19ページでございます。こちらにつきましては、指針本文に義務的な事項を書かせていただいておりますけれども、注58番につきまして、ガイダンスで示す例示事項、例えば効果・安全評価委員会や独立モニタリング委員会を設置した場合の組織の役割等についてガイダンスで示すことを書いております。

 それから、20ページです。こちらも前回御議論がありましたけれども、代諾者等からインフォームド・コンセントを受ける場合の手続について、もう少し分かりやすく記載をした方がいいということでしたので、代諾者からコンセント及びアセントを得る場合、こちらにつきましての記載を整理させていただいております。

 引き続きまして、21ページです。研究に関する登録・公表ということです。まず1番の研究の概要等の登録につきまして、侵襲を伴う研究であって介入を伴うもの、こちらについては、「かつ」ということではなくて、介入を伴うものであればおよそ登録するという方がいいのではないかという話もございましたけれども、一方でそちらの方についてはどうかという話もございました。今回のこの指針の案につきましては、前回のような形に整理させていただいておりますけれども、少し御議論いただければと思います。それから、2番目の研究結果の公表につきまして、22ページの注76の方で、公表の方法についてガイダンスで示すということを書かせていただいております。

 第3章は以上です。

【高江課長補佐】  続きまして、22ページから第4章でございます。倫理審査委員会の章でございます。こちら、2番のところでございますけれども、「手順書」を「規程」に替える等、所要の言葉の整理の方をさせていただいてございます。

 こちらの2(2)のところで、保管の年限を5年としてございます。こちら、第8章との兼ね合いもあるという形で、前回の会議でも年限どうするかという点については保留という形で委員会はなっていたかと思いますので、こちら、第8章と併せて御議論を後ほどいただければと考えてございます。

23ページ、第11、倫理審査委員会の役割・責務のところでございます。1(2)と致しまして、こちら、倫理的観点及び科学的観点から必要な調査を倫理審査委員会が行うという規定を置いてございましたが、先ほど研究責任者等のところでも、倫理的観点及び科学的観点と併せまして、当該研究の実施の適正性及び研究結果の信頼性を確保するためという形でここ二つ挙げてございましたので、それと並びで調査規程の方をGCPの規定も参照しながら新たに立てさせていただいてございます。

 続きまして、24ページ、2(1)3でございますが、こちら、「研究対象者等の観点も含めて一般の立場から意見を述べることができる者」という形にさせていただきました。こちら、実際にどういうことなのだというのは、※87になりますが、ガイダンスの方で例示をさせていただければと考えてございます。

 その次、2(2)(3)の書きぶりでございますが、こちらの方は、頂いた御意見等も踏まえまして、再度、語句の整理と場合分けの方を明確化、整理させていただいてございます。基本的に研究者の方は同席はできない。ただ、説明ができる場合もある。研究機関の長の方は、審議又は意見の決定に参加してはいけない。また、同意を得た上で同席することができるという形で整理の方今回させていただいてございます。

25ページでございますけれども、4の他の研究機関が実施する研究に関する審査につきまして、記載が分かりづらいということがございましたので、分かりやすく記載の方変更させていただいてございます。

 第4章は以上でございます。

【伊藤安全対策官】  引き続きまして、第5章のインフォームド・コンセント、まずは第12のコンセントを受ける手続からです。25ページの1番について、原則、まずコンセントを受けなければならないということでございますけれども、「ただし」以下で、法令に基づきその提供などが行われる場合はこの限りではない。これは、先ほども例示がありましたがん登録の推進等に関する法律などを想定しているものでございます。

 続きまして、26ページです。こちら、侵襲を伴う研究などにおきましてコンセントを受けなければならないということでございますけれども、文書でコンセントを受ける場合の細かな規定と致しまして、注96で、立会人に関する事項とか、あるいは麻痺等により同意を与えることができるけれども署名ができない場合の同意の方法などを示す、ということを書かせていただいております。

 それから、27ページ、()3ですけれども、コンセントを受けるところの例外におきまして、前回、社会的に重要性の高い研究ということは少し抽象的だという御意見もございましたので、今回、「公衆衛生の向上のため」というような形で全体を整理させていただいております。

 引き続きまして、28ページです。こちらの上の方ですけれども、既存試料を提供する場合であって研究機関でない者が提供を行う場合に、提供を行う機関の長が一定程度の関与あるいは把握することが必要であるという意見がございました。そこの部分につきましては、提供を長が定めるところによって行わなければならないという規定ぶりにさせていただいております。

 それから、29ページの(4)、こちらの方につきましては、既存試料の提供を受けて研究を実施する場合の規定です。こちらについては提供を受ける場合に、その提供行為が(3)の手続がとられていること及びその同意の内容等を確認して行うということを書かせていただいております。

 引き続きまして、3番の説明事項です。こちらも委員の先生方からいろいろ御意見が出たところでございます。例えば7番のところは、撤回ができる旨をコンセントで示す。ただし、撤回に応じられないことがある場合には、その旨及びその理由を書くこと。

30ページですけれども、15、通常の診療を超えた医療行為を行う研究の場合は、他の治療方法等に関する事項。

 それから、18番、こちらの方は、侵襲かつ介入を伴う研究の場合において、研究対象者の求めに応じて、研究計画や研究方法に関する資料の入手、閲覧ができるときにはその旨を示すこと。

 あるいは、21番ですけれども、医薬品又は医療機器の有効性・安全性に関する研究の場合において、モニタリングや監査を実施する者あるいは倫理審査委員会においてそういったものをいろいろと調べる場合もございますので、その場合は個人情報などの資料情報を閲覧する場合があること、そういったものをコンセントで示すことを書かせていただいております。

 それから、31ページの同意の撤回でございます。こちら、32ページの方で、同意の撤回の例外規定、こちらは倫理審査委員会の意見を聞いて長が許可した場合であって、申請等に従わない旨、その理由について研究者が研究対象者等に通知するということを条件として書かせていただいております。

 第12は以上です。

【工藤課長補佐】  続いて、資料132ページ目、第13、代諾者等からインフォームド・コンセントを受ける場合の手続につきまして。前回の会議でこの部分まで御議論に至らず、会議後に御議論あれば事務局へお送りいただくことになっておりましたが、一部軽微な文言整備のほかは特段の御意見なく、前回の会議でお示しした案文から内容的な変更はございません。

 続いて、34ページ目から、第6章、個人情報等につきましても、この部分も前回の会議で議論に至らず、会議後に御意見あれば事務局にお送りいただくことになっておりました。しかしながら、特段の御意見なく、前回の会議でお示しした案文から内容的な変更はございません。修正箇所はいずれも記載上の整備でございます。

 なお、35ページ目の中ほど、第151(2)の中で「以下「保有する個人情報等」という」という記載をしておりますが、その上の(1)で先に、「保有する個人情報等」という記載が出てきております。これは最初に記載の出てくる箇所で、すなわち、(1)の方で「以下「保有する個人情報等」という」と記載しておくのが正しい作法でございまして、事務局の不備で申し訳ございませんが、この部分につきまして追加で記載を直させていただければと存じます。

【高江課長補佐】  続きまして、第7章でございます。7章、8章につきましても、前回議論いただけませんでしたが、様々な御意見を頂きまして誠にありがとうございます。その御意見の方をこちらの事務局の方でいろいろと反映をさせていただいてございます。

 まず第7章、38ページ目から39ページ目でございます。重篤な有害事象への対応ということで、そもそも侵襲を伴う研究が対象となるのであろうということ、また、有害事象の報告とかそういったものに関しては、すべからく因果関係の有り無しにかかわらずするのではなく、当該研究に関連する重篤な有害事象の発生についていろいろアクションを求めるという形での御意見が出てございますので、その形で修正の方させていただいてございます。

 続きまして、40ページの一番上、(3)のところで、注釈の※147を追加させていただてございます。こちら、多施設共同研究の場合に各施設がばらばらと厚生労働大臣に報告するということは規定がないと考えられますので、それを避けるための、まとめて出せますという規定の方を置かせていただいてございます。

 続きまして、同じく40ページ、第8章、研究結果の信頼性確保でございます。こちらの方、第19に関しましては、読みやすいように文章の方を修辞上訂正をさせていただいてございます。

 あとは、41ページでございますが、こちらの(7)、こちらも保存の期間が提供後5年というのがございますので、こちらの方、御議論の方よろしくお願いできればと考えてございます。

 また、第20、モニタリング・監査でございます。(2)と致しまして、研究責任者は原則としてモニタリング・監査の対象となる当該研究の実施に携わる者にモニタリング・監査を行わせてはいけないという形にさせていただいてございます。ただし、実際に現況を鑑みますと、ちょっとでも関与した方が絶対に何もできないということになると、今の体制で本当にできるのかというような御指摘もございましたので、ただし書と致しまして、研究の実施に携わる者のうち、自らの研究機関以外のモニタリングを行う場合においてはその限りではないとさせていただきました。

 具体的に※153でございますけれども、他の共同研究機関におけるモニタリングを実施する場合には、当該研究の実施に関わる研究者等、具体的に医師と歯科医師の方は除かせていただいて、CRCさんとかそういった方がモニタリング・監査を実施しても可という形で、現状と第三者性のところの案分をここの方で図らせていただいていますので、御議論の方、後ほどいただければと考えてございます。

 あとは、(3)と致しまして、モニタリング・監査を行う者に対する指導・管理の規定を研究責任者に課すものを置いてございます。

(4)と致しまして、新たに、モニタリング・監査を行う者に関する、情報を漏えいしてはいけないという責務を置いてございます。

 あとは、42ページでございますけれども、研究機関の長の責務として、モニタリング・監査の実施に協力するとともに、当該実施に必要な措置を講じるという旨を付け加えさせていただいてございます。

 事務局からの説明は以上でございます。

【福井座長】  ありがとうございました。全体をさっと説明していただいた上で、本日はまず、統合指針のタイトルについて議論の時間を20分程度とりたいと思います。

 事務局から、資料を作成していただいておりますので、説明をお願いいたします。

【工藤課長補佐】  資料23ページ目をごらんください。「人を対象とする医学系研究」という表現ぶりにつきましては、昨年の9月の中間まとめ以来、仮称として用いてまいりましたところ、その表現ぶりにつきまして改めて検討することとなってございます。中間取りまとめで挙げられておりました表現の例や、統合指針(草案)における当該用語の定義の内容などを踏まえまして、また、統合指針の標題にはめ込んでみた場合どうなるかといった検討も重要と考えまして、事務局からは、案1から案3までの3パターンを御提示しております。

 案1は、疫学研究倫理指針と臨床研究倫理指針を統合した研究倫理指針であるということを標題として最も明解に表すことができるものでございます。案2は、中間取りまとめ、以来仮称として用いてきた表現でございますが、現行の疫学研究倫理指針の対象となっている研究、人の健康に関する様々な研究が必ずしも十分反映されていないとの御指摘がございます。案3は、中間取りまとめに際しまして当初、事務局より提示しておりました表現をベースにしたものでございます。中間取りまとめの際の議論と致しまして、公衆衛生学系は医学系に含まれるのではないか、あるいは逆に医学系は公衆衛生学系に含まれるのではないかといった意見もございまして、その議論が収束せずに、暫定的に「人を対象とする医学系研究」という表現で仮置きとした経緯がございます。

 資料24ページ目には、現行指針における疫学研究、臨床研究の定義について、それぞれの記載ぶりを抜粋してございますので、そちらもごらんいただきながら御検討、御議論よろしくお願いいたします。

【福井座長】  ありがとうございます。

 いかがでしょうか、委員の先生方。

 津金先生、どうぞ。

【津金委員】  私は、案1の「疫学研究・臨床研究に関する倫理指針」がいいと思います。やはり明らかに今までの疫学研究の指針と臨床研究の指針を統合したというようなことで非常に分かりやすいということですね。疫学研究が手法で、臨床研究は研究の場であるというところが問題点なのですけれども、これが別々の指針だったらやはり問題なのですけれども、同じ指針になるので、その中に入り込むという意味でそこは問題が生じないだろうと。

 それから、人を対象とする云々とかもう少し大きなことになってしまうと、やっぱりゲノム指針とかもっとほかのものも取り込んだ暁にはそういうふうなこともあり得ると思うのですけれども、ここはあくまでもやっぱり疫学研究と臨床研究を統合したというようなことの意味合いから、私は案1がいいと思います。

【福井座長】  いかがでしょうか。

 山縣委員、どうぞ。

【山縣委員】  私も津金委員の意見に賛成です。疫学研究というものをやっぱりここで十分理解する必要があって、これはあくまでも手法で、この指針は、人を対象にして行う研究に対してどういうふうなことを考えなければいけないかということの指針であって、例えば疫学研究の多くが、一般的な健康な人を対象にする場合もありますし、それから、患者さんを対象にする場合もある。患者さんを対象にする場合は、それは臨床疫学というものになっている。つまり、ここで話しているのは、そういうことに対してどんなことを考えなければいけないかということだと思います。

WHOのシオムスの出したものも最初にやっぱり疫学研究が出ているというのは、こういった疫学的な手法を用いたときにやっぱりいろいろなことを考えなければいけないということがあったので指針が出たわけですし、なかなか疫学ということに対する言葉の理解の点で反対の意見があるのかもしれませんが、やはりここはそういうことをきちんと踏まえた上での研究指針としての名称を考えるべきだと思っております。

【福井座長】  ほかにはいかがでしょうか。

 藤原委員、どうぞ。

【藤原委員】  従来から申し上げていますけれども、シンプルに案2で「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」と。医科学研究とか、臨床研究とか、臨床試験とか、看護研究とか、公衆衛生研究とか、皆さんいろいろなステークホルダーの話をし出すと切りがないので。あとは、案2に、ヘルシンキ宣言の和訳では「人間を対象とした」となっていますから、「人を対象とする」でなくて、「人間を対象とする医学系研究に関する倫理指針」とシンプルにするのが私は一番いいと思います。

【福井座長】  跡見委員、どうぞ。

【跡見委員】  私も今の藤原委員の意見に賛成です。「人を対象とする医学系研究」——人間でもいいと思うのですが、これはやっぱり極めて基本的な指針だろうと思うのです。いろいろなところ、いろいろなものが応用されないときには必ずこれを参照にしたいというような基本的なものですので、僕は2がいいのでないかと思います。

【福井座長】  ほかには。

 田代委員、どうぞ。

【田代委員】  以前から申し上げているように、案2が最も包括的だと思います。ただし、事務局案にも書かれていますが、もし「医学系」という言葉がどうしても引っ掛かるのであれば、「人を対象とする研究に関する倫理指針」というふうにして、中身では当然、公衆衛生とか疫学とか看護とか医学というものに限定されるということを書けばいい。ここに形容詞を付けるともめるのであれば、取るというのが一つの考え方です。実際、2012年に改正されたフランスの被験者保護法も、タイトルは「人を対象とする研究規制法」となっていて、中身は医学系に限るという形になっているので、そういう形もありかと思いますが、基本的には案2が良いと思っています。

【福井座長】  多数決をとらなければ駄目な話なのか、歩み寄りはなかなかないようで。

 山縣委員、どうぞ。

【山縣委員】  例えばそういうふうにした場合に、資料18ページの注12の中で「例えば」というところにいわゆる疫学という言葉が入らないのは、それは学問の分野ではなく手法だからであって、まさにこれはそういった手法に対して行っている研究という意味で、やっぱり「疫学研究に対する指針」というのはむしろ非常に包括的で妥当であろうと考えております。

【福井座長】  いかがでしょうか。なかなか難しく、恐らく一つ何か不備を言い始めますと、必ずほかのものも不備を指摘されるようなそういう構造になっていると思います。山縣先生は、疫学が包括的とのお話ですけれども、一方では、人を対象としているからこのような倫理的な考え方が出てくるという意味では、人がもっと包括的な考えではないかとも考えられると思います。

 丸山先生、いかがでしょうか。

【丸山委員】  先生方のおっしゃる意見、それぞれ根拠があってなるほどなと思うのですが、3の案とか、あるいは疫学と出すと、先ほど山縣先生もおっしゃいましたように、まだそれほど広く受入れられている言葉でないというところがあって、だからこそ使うのだというのも一つの考えなのですが、広く知られていないところで入り口のところで回避されるというようなことを考えると、その言葉に余りこだわることはないかなというふうに思います。

 案1でも案2でも、あるいは田代先生がおっしゃった、案2の「人を対象とする」というところにとどめるのでもいずれでも私はいいのでないかと。3は公衆衛生が突出しているような感じがし、その辺りでちょっといろいろな見方ができるので、ここはやめておいた方がいいかなというぐらいの意見を持っております。ありがとうございます。

【福井座長】  ありがとうございます。

 ほかには。

 川村委員、どうぞ。

【川村委員】  疫学研究・臨床研究の指針を統合してできたということで、その由来を示す意味でも案1はよく理解できるのですが、疫学研究と書いてしまうとその対立概念である質的研究がややかすむということや、臨床研究と書いてしまうとフィールドの研究がややかすむというような気がします。それから、疫学と臨床が手法と場という異なる座標なので、それを同時に書くと対立概念みたいにとられる可能性があるということで、何となく収まりの悪さを感じます。

 それからもう一つは、案2の方ではほかのゲノムとかその他の特化した指針のことが含まれていないのでということですが、我々の気持ちとしては、これは人を対象としたあらゆる種類の研究の基本指針であるという認識を持っているので、基盤であるということから、包括的な名称でも良いのではないかと考えています。

【福井座長】  ありがとうございます。

 今村委員、どうぞ。

【今村委員】  私は案1がいいのではないかなと思っております。この場はあくまでも疫学研究と臨床研究に関する統合ということで組織された会議だと思っております。再生医療とか遺伝子医療とかこういったようなものについてはやっぱり別個の指針があるということです。基盤になる研究という考え方もできるかもしれませんが、「人を対象とする」という書きぶりにすると、やはりそのほかの分野についての権限といいますか、そういったようなものを侵襲するような感覚も包含されるというふうな感じもありますので、あくまでもやはりこの会議の趣旨を踏まえた上で、案1が妥当だろうと思います。

【福井座長】  ありがとうございます。

 後藤委員、どうぞ。

【後藤委員】  案1の場合、やはり疫学研究、臨床研究とは何かというのを改めて定義をしなければいけないということで、そうすると、先ほど出てきました、例えば臨床試験との関係とかそういう用語が適切に用いられるかどうかということが問題になると思います。

 ずっとこれ、「医学系」を付けるかどうかは別として、「人を対象とする」という、そういう仮称で議論をしてきているので、議論自体が「人を対象とする」という頭の中で進んできているような気がします。この中に臨床研究とか医学研究という言葉が多分ほとんど使われていないということがあるときに、二つの指針を統合したという意味があるにせよ、タイトルだけそういう言葉を使うというと余計混乱を招くということがあって、私は2がいいと思います。

 今後、人文社会科学系の研究に対してもこの指針を基本とするという動きが多分出てくると思いますので、そういう意味で「人を対象とする」。私は「医学系」がなくてもいいのかなという気はしますけれども、タイトルはできるだけシンプルにした方が良くて、人を対象とするということが明確になるような案2が一番適切かなと思います。

【福井座長】  ありがとうございます。

 津金委員、どうぞ。

【津金委員】  「人を対象とする研究」もいいのですけれども、それはやっぱり最終的な我々のゴールだと思うのです。後でちょっと御紹介しますけれども、アメリカはまさにHuman Subject Researchという言い方をしていて、法律できちっと規定してもっと非常に、ざっくりと言ってはあれですけれども、この、指針、やっぱり細か過ぎて、そういうことを考えると、「人を対象とする研究」と言うにはまだ成熟していないのでないかなと考えます。

【福井座長】  位田委員、どうぞ。

【位田委員】  二つポイントがあると思うのですが、「疫学研究・臨床研究に関する倫理指針」という今までの二つを一つにしたんだという話については、前回でしたか前々回でしたか、疫学研究という言葉が消えてもいいのですかと私、御質問して、全体で掛かるからそれは構わないのだということでした。そこでまた新たに、疫学研究・臨床研究というのを表に出してきて、しかし、もう既に御意見出ていましたけれども、案文の中には「疫学研究」という言葉が入っていないと逆に混乱を招く可能性がある。

 それから、案2の方が、先ほどちょっと御説明いただいたんですが、資料16ページの本指針の適用範囲というところで、これ、前回私が御意見を出して、丸山先生の案が分かりやすいということで収まったと思いますが、第1章、第21のただし書のところで、基本的にこの指針があらゆる医学研究のベースになって、その上に再生医療なりゲノムなりそのほかの研究が立っているのだということです。なので、ほかの指針もあるのだからということで疫学研究・臨床研究という名前を使ってしまうと、今までのように全部指針が並び立っているような印象を与えます。これがベースになるのだという意味では案23なのです。

 案3にしてしまうと、公衆衛生学というのが入ると、医学系というのはある意味では狭い概念になってしまって、医学系・公衆衛生学系と並ぶと、前にも出ていましたけれども、看護学とか社会福祉とかそういうものを並べないといけなくなってしまうような気がしますので、「医学系」という言葉自体に広い意味での医学に関連するあらゆるタイプの研究ということを含めるという理解で、案2というのが一番座りがいいのではないかなと。

 他方で、田代委員がおっしゃったような、「人を対象とする研究に関する指針」と言ってしまうと、今度は人文社会科学の人たちが、「え? 私たちも今からこれに入らないといけないのか」という印象をちょっと与えてしまいます。あんまり先のことを考えなくても、現時点では広い意味での医学系研究というので、案2がいいかなと思います。

【福井座長】  ありがとうございます。

 門脇委員、どうぞ。

【門脇委員】  私も今の位田委員の意見に賛成です。この委員会の議論そのものは、最初から人を対象とした医学系研究ということで進んでまいりましたし、実際にこの中身を見ましても、疫学研究や臨床研究という言葉はなるべく使わないような形で進めてきていると思います。

 問題になるのは人を対象とした医学系研究の範囲ですけれども、5ページの前文で、こまでの二つの指針を統合したという趣旨が明確に書かれていますし、それから、6ページの※印の6で人文科学との関係についても書かれていますし、7では他のゲノム指針等との関連についても書かれていますので、タイトルがどのようなことを示すのかということについて、既にこの中でも説明をされているということも含めて、私は2番目の「人を対象とする医学系研究」がいいのではないかと思います。

【福井座長】  ありがとうございます。

 いかがでしょうか。

 楠岡先生、お願いします。

【楠岡座長代理】  私も位田先生の御意見、賛成です。やはり指針のタイトルというのはメッセージ性が一番強いものであるべきです。これまでのいろいろな議論の中で、特定の分野に関しての指針があって、しかし、そこで定められていない、臨床研究や疫学研究に関する部分は最低限この指針を守っていただくという、他の指針がこの上に乗っかるとまでは言っていないですけれども、並列して必ず見ていただくべき指針であるという意味では、やっぱりメッセージ性の強いタイトルであるべきだと思います。そういう意味では、「人を対象とする医学系研究」というのがやはりメッセージ性がはっきりしている。

 それに対して、1番ですと、従来のような縦割り的な印象を与えてしまって、今後使用する側からすると、少し広がりが狭くなってしまうのではないかと。ただ、現在の指針が完璧なものでないことは、これだけ議論してもなかなかまとまらないので明らかなのですが、これは一つのスタートラインであって、これに更に必要なものを付け加えていく。最終的には法律のようなものも必要なのかもしれませんけれども、そういう意味での基盤にあるというところを意味する意味では、2番が一番いいのではないかと思います。

【福井座長】  今村委員、どうぞ。

【今村委員】  例えば法律でいえば、個別法と基本法というような考え方で案2が支持されているようにも思うのですけれども、それだけの権限といいますか、そういうものがこの会議に与えられているのかどうか。要するに、個別法、個別のガイドライン、倫理指針に網を掛けるような形で「人を対象とする医学系研究」というものにしようということですけれども、要するに、このことは少なくとも聞いてくださいよということをこの場で言うほどの状況なのかな、ほかの個別の倫理指針、ガイドラインを縛ってしまうほど与えられているのかなという危惧がございます。

【福井座長】  ほかにはいかがでしょうか。

 山縣委員、どうぞ。

【山縣委員】  今、先生方がおっしゃっている、まさに今対象としている研究そのものが疫学研究の定義だということを最後に申し上げておきたいと思います。それから、昨日、一昨日でしたか、これは報道で見たんですが、日医連の学会の中でもああいう問題が起きるというのは、基本的に疫学というものの手法を十分に理解していない研究者が行ったためだというようなことがその中で述べられたりしているということを一応最後に申し上げておいて、これは決をとるのかどうなるか分かりませんが、疫学ということをやはりきちんと理解しておくことの重要性を追加しておきたいと思います。以上です。

【福井座長】  ありがとうございます。申し訳ないのですけれども、時間のこともございますので、できましたら、今まで、私自身がとりあえず「人を対象とする医学系研究」でやりましょうと言っておきながら、最後になって、このタイトルで議論したからこれにしましょうというのはおかしな話ではございますが、確かに文言なども含めまして、これでようやく意見が収束するところまで参りましたので、特別なことがなければ、案2の方向で今回はまとめさせていただきたいと思います。「人を対象とする医学系研究」ということで行きたいと思いますが、いかがでしょうか。

 一つだけ、資料18ページの注12のところで、もしこの言葉での、「人を対象とする医学系研究」という定義をこういうふうに変えておいた方がいい、又は注釈を更に付けて明確にした方がいいという御意見がございましたら、ここで調整できないかと思いますが、いかがでしょう。

 津金先生、どうぞ。

【津金委員】  そういう方に落ち着くんであると、やっぱり疫学研究の指針と臨床研究の指針を統合したということが分かるように、せめて副題とかそういうような形で何か分かるようにした方がよりいいかなとは思います。

【福井座長】  田代委員、どうぞ。

【田代委員】  今の点、既におっしゃられていた方もいたと思うのですけれども、やはり前文ではっきり書いてあるので、それでいいのかなと。ただ疫学的な手法の重要性ということは、今福井先生がおっしゃったように、注のところで疫学的な手法を用いたものというのが入るということがはっきり分かるように書いていただくという形が良いと思いました。

【福井座長】  いろいろ御意見があると思いますけれども、その方向で調整させていただきたいと思います。

 それでは次に、統合指針の草案について、全体を通して御議論いただきたいと思います。議論に入ります前に、川村委員、田代委員より補足資料を提出していただいております。また、玉腰委員より、第8回合同会議に提出していただいた疫学研究に係る倫理審査委員会の実態把握と臨床研究に係る臨床審査委員会等との比較研究の結果がまとまっておりますので、補足がありましたらお願いしたいと思います。

 それでは最初に、川村委員からよろしくお願いします。

【川村委員】  文字から実際の適用をうまく分類する、あるいは整理するというのはなかなか容易でないので、私のいつもの癖ではありますが、理解の助けとするために、資料41、表裏、フローチャートあるいは適用の表を用意しました。この中で、一部検討を要する事項があるので、皆さんの御意見をお聞きしたいと思います。

 まず表(おもて)の倫理指針の適用と審査のまとめの方ですが、研究かなと思う検討事例に対して、これが研究なのか、あるいは診療とか保健事業、教育の一環とみなすのかということですが、これについては、今回は新たに議論したものではなくて、5年前の疫学指針の見直しのときの議論を踏まえて書いたものです。診療の延長と考えられるような、例えば検査の精度管理とか、患者さんの追跡、5年生存率を各施設で出すというようなことまでは診療の一環というふうにしております。

 それから、研究であったとして、指針の適用か非適用かですが、これは本指針に書かれていることをそのまま転記しております。指針の適用となった場合に、倫理審査に付するかどうかということですが、ここの書き方がちょっと検討を要するかと思います。まず、無記名のアンケート調査のような、最初から個人データを取らないという、ただ取るときには個人に接しているので、その場では個人データを扱い得るのですが、集めた資料からはもう個人に戻ることができない、侵襲性もなく、本人の任意性にも委ねられているような調査は、指針の適用にはなるけれども審査をしなくてよいという意味で、審査不要というカテゴリーを設けたもの、つまり、事実上届出だけでよいという形になります。

 審査が必要なものについては、通常審査と迅速審査という2分類に分けて、迅速審査は、指針の規定にありますように、多施設共同研究の分担とか軽微な変更、それから、侵襲も介入もない研究というふうにしております。

 この表(おもて)は、先ほどの一つ前の無記名のアンケート調査や委託等を含めて、通常審査、迅速審査、審査不要という3カテゴリーに分けた書き方もありますし、また、アンケート調査などは多施設共同研究の分担などと同列に並べて迅速審査に含めるという考え方もあろうかと思います。ここを確認が必要かと思います。

 次いで裏側ですが、これはインフォームド・コンセントの手続で、重いものから並べております。侵襲、介入、それから、試料の新規性ということで並べておりまして、イエス、ノーで枝を分けた。これもフローチャートにしてもいいのですけれども、フローチャートにすると非常に大きなグラフになってしまうので、表形式をとっております。文書、それから、口頭プラス記録、情報公開プラス拒否の機会、そもそも不要という4段階の、以前にここで議論された類型化ということで並べています。

 この中で、先ほど事務局からの説明にありましたのが、真ん中辺りの縦のカラムになりますが、「付帯条件」というところに、連結可能性のある自施設既存人体試料を使った場合に、取得目的と関連し、かつ公衆衛生の向上のための特別な必要性、これを特別の事由とスペースに収めるために短く書いておりますが、この場合こういうふうに分けられると思います。ここだけがちょっと特殊な分類になっています。あとは大体、対象者に対する影響の大きさなどで重さ別に分けています。

 これは用語の定義とも少し関係するのですけれども、侵襲ということを最も重要視した指針ですが、これは侵襲というのは人を傷付けるということですが、そもそも医学とか保健事業というのは、傷付いた体や心を直すとか癒すというところからスタートするのですけれども、それに真っ向から対立するようなことを行うと。侵襲は医療の中でもありますけれども、通常の医療の目的である、傷付いた体や心を治すあるいは癒すところの真反対なことをするという意味で最も重いという重さを与えております。

 次いで介入なのですが、通常の医療というのは医師・患者関係で決まるものですけれども、そのルールではなくて、研究者が医療内容を決めるという意味で、これはやはり通常の医療の範囲を逸脱するということから、2番目の重さということになっています。

 あとは、人体試料という尊厳を保つべき対象を新たに採るとか既存とか、あるいは情報という人体そのものではないもの、というふうに重み付けをして、このレベルについて決められたものを整理し直したものです。これは理解の助けとして提示させていただきました。

【福井座長】  ありがとうございます。

 それでは、田代委員、よろしくお願いします。

【田代委員】  私の方も、自分の意見は別途出していますので、意見ではなく、あくまでも議論の助けのための表として、資料42を自分の頭の整理を兼ねて作りました。ここではその説明をさせていただきます。

 資料42は侵襲概念に関連した統合指針の規定についてまとめたものです。今、川村先生からもお話があったのですが、今回の指針では侵襲概念が非常に大きく効いており、私自身は前回の会議で侵襲概念の内容を「中間取りまとめ」から変えることに反対しました。それは、この概念を変えると指針の中身が動いてしまうので、それが一体何に影響するのかということについて、この委員会で合意をしないと変えてはいけないと思ったからです。そこで一体どこに具体的に効いてくるのかということについて、私の頭の整理を兼ねてこの表を作りました。

 まず、基本的に侵襲に関してこの指針では三つの異なる規定を持っています。、一番左側が「軽微な侵襲を超える侵襲を伴う研究」です。真ん中が「軽微な侵襲を伴う研究」で、一番右側が「侵襲を伴い研究」という、三つのカテゴリーに分けているわけです。この中でとりわけ判断が難しいのが、当然真ん中の「軽微な侵襲を伴う研究」になってくるわけです。これについては既にいろいろ議論で例示が出てまいりましたけれども、前回までですと、少量の採血や被曝のようなものはここに入ってきます。今回、注17で少し加えられたのは、追加の採血、上乗せでする採血であったり、あるいはMRIによる撮像のようなものもここに入れていいのではないかということで、かなり具体的に固まってきたように思います。

 この三つのカテゴリーがどのように効いてくるかということなのですが、左のリストのところで見ますと、一番上にインフォームド・コンセントがあります。インフォームド・コンセントに関しては、先ほど川村先生の方から詳しい御説明がありましたが、私が、太字にしているところですが、「侵襲有りか無しか」というところで、一番境界線が大きく効いています。

 仮に今回の定義で「侵襲を伴わない研究」となれば、基本的に文書同意は必須ではなくなりますし、ほかに条件はありますが、未成年の同意だけで研究実施が可能になります。それに対して、「軽微な侵襲を伴う研究」にとどまれば、手続の簡略化が可能になりますけれども、「軽微な侵襲にとどまらない」となれば、手続の簡略化は一切不可能になります。「軽微な侵襲を超える侵襲を伴う研究」で手続が簡略化できるのは救急だけということになっていますので、そういうことだと考えられます。

 二つ目の要素が倫理審査ですが、ここで一番大きな違いは、「軽微な侵襲にとどまるかとどまらないか」というところの線です。ただこれは介入か観察かという要素も効いてくるのですが、軽微な侵襲を伴う研究で観察研究である場合には迅速審査が可能という規定になっています。その他、重篤な有害事象の報告とか研究の登録、補償について効いてくる線というのも、「軽微な侵襲にとどまるかとどまらない」かというところです。

 この委員会で侵襲の定義を見直す際には、この表を見ながら、これが動いていくんだけれどもそれでいいのか、ということを確認するということが一つと、この表自体が本当にこれでいいのかということ、この規定が本当にいいのかということを見ることが必要だと思います。

 前回議論もありましたけれども、研究登録に関していいますと、現在では、介入研究で、しかも軽微な侵襲を超える侵襲を伴うものだけが事前に登録するという形になっています。こういった規定を含めてこの中で議論していければいいのかなと考えています。私の方からは以上です。

【福井座長】  ありがとうございます。

 それでは、玉腰委員、よろしくお願いします。

【玉腰委員】  前々回中間報告をさせていただきました、調査研究の結果を報告書にまとめましたので、本日お配りいたしました。

 内容としてはまた見ていただければと思いますが、前回も御報告いたしましたように、現状で指針に準拠しない運用をされている施設が幾つかはあるということ、それから、そうであったとしてもというか、それ自体は良くないのですけれども、やはり一つの施設の努力だけでどんどん良くなっていくというものではないので、この指針を今回改訂するに当たって、より分かりやすくするとか、あるいは資源の確保とか環境整備をしていく必要があるだろうと考えております。

 この報告書の後ろの方に、単集計の結果、それから、自由記載欄で頂きました御意見、全て載せてありますので、また参考にしていただければと思います。以上です。

【福井座長】  ありがとうございます。

 それでは、これから1時間15分程度の時間を、資料1、資料2をベースに御議論いただければと思います。前回の会議で途中までしか議論が行われなかった第6章辺り以降を、まず最初に御意見を伺いたいと思います。

 丸山委員、どうぞ。

【丸山委員】  すみません、今の福井先生の順番なのですが、前回一応落ち着いたと思った、そのように私は受け取ったんですが、前半部分についても大きく変更がなされている箇所がありますので……。

【福井座長】  最初からの方がいいということでしょうか?

【丸山委員】  ええ。その辺り、先ほど事務局から御説明いただいたところを簡単にでももう1回触れさせてもらえれば有り難いと思います。

【福井座長】  分かりました。どうぞ、それでは、最初から行きましょう。

【丸山委員】  前文なのですが、前文の最後のパラグラフのこれ、前回も出ました、倫理委員会と機関の長の権限あるいは責任の関係についてで、かなり大きく改められているというか変更が加えられているところの伏線になっていると思うのですが、2行目から5行目にかけて消されているのですね。

 ここは、指針はこれまで最初から、倫理審査委員会と、それから、インフォームド・コンセントと、個人情報の保護という3本柱を中心に、あとは追加の要件がいろいろ加わって作られてきたものだと理解して、多分この理解は間違ってないと思うのですがその倫理委員会の役割のところが大きく削除されているというので、これは後の関係でも、「承認」が注86のところで「適当とする」というような言葉に替わっているというようなところもあり、倫理委員会の役割を変化させるようなところがうかがえるので、これはやっぱり元のところをそのまま残していただきたいと思うのですが、そういう意見です。

【福井座長】  ありがとうございます。

 事務局から何か意見ございますか。

【工藤課長補佐】  資料15ページ目の前文の三つ目の段落で削除している部分がございます趣旨と致しましては、本指針で規定している内容はこの3行余りの記載内容だけで包括されないのでないかということで、なるべくここは簡潔にまとめることと致しまして、次のページの6ページ目に記載のとおり、目的及び基本方針において、丸山委員御指摘のような倫理審査委員会による審査について丸の4番目でしっかり掲げられておりますので、前文中で特に書き下しておかなくても、シンプルにまとめた方がよろしいのかなということで割愛させていただいたという次第でございます。

【福井座長】  どうぞ。

【丸山委員】  それには異論があります。後の方にも同じようなトーンがあってそれらにつながるのですが、今おっしゃった6ページの4番、これは手続なのですね。実体について書かれていない。先ほどの5ページの第3パラグラフのところは、研究計画に基づき研究を適正に実施することを求めており、機関の長は研究計画の適否を倫理委員会の意見を聴いて判断するということで、適正性の確保というところを打ち出しております。後の方、私、確認してみたんですが、そういう実体の適正性を確保するという役割は書かれていないので、ここでうたっておくことが必要だと思います。後の方いろいろ書かれているのですが、手続とか観点とかいうようなところしか書かれていないと思います。

【福井座長】  このことだけがこの指針の内容ではないという理由で削除するというのは余り説得力がないかも分かりません。最も重要なポイントという意味でここに書き出すのは何ら構わないのではないかと思います。いかがでしょうか。丸山先生の御意見は入れて、この倫理指針で最も肝になる部分だという意味で、前文に書くこと自体は構わないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

 位田委員、どうぞ。

【位田委員】  丸山先生のおっしゃる趣旨はよく分かります。ただ、ここでは重要なのは、こういう文言ではなくて、丸山先生が先ほどおっしゃったように、この指針が倫理審査とインフォームド・コンセントと個人情報の保護という、ある意味では3本柱の上に立っているということ、それが、先ほど2度目におっしゃった、研究の適正な実施であると、それを目的としてそういう3本柱になるのだということだろうと思いますが、そのことがこの文章で全部表現されているかというと恐らくそうではない。

 むしろ書くのであれば、本指針は研究の適正な実施のために、例えば倫理審査、インフォームド・コンセント、個人情報保護を3本の柱としていると、そういう一般的な言い方であれば私は入れることには賛成しますが、この文言そのものは、ある意味では前文というより本文のどこかに入るような書き方なので、丸山先生の趣旨を生かすのであれば、もう少し一般的な、つまり、前文らしい内容で書けばいいかなという気がします。

【福井座長】  いかがでしょうか。

 丸山委員、どうぞ。

【丸山委員】  研究の適正な実施の確保ということなのですが、それは大きく言えば、個人情報の保護、それから、インフォームド・コンセントも併せて大きく研究の適正な実施ということになるのですが、研究計画自体の適正さ、妥当性というようなところだと、その審査をする、判断をするのは倫理委員会だと思います。三つの道具というか、インフォームド・コンセント、個人情報保護、倫理審査委員会の審査というようなものに掛けるというのは、それ自体は加えることには異論ないのですが、倫理委員会の役割として研究計画の実体的な適性性の判断ということを文言化、記述化することが望ましいのでないかと考えます。

【福井座長】  位田委員、どうぞ。

【位田委員】  ですから、その辺は表現の問題で、私自身の感覚では、前文の中にこういう書き方は少し適当ではないのではないかと。むしろ本文に入れるような内容、表現なので、そういう意味で、先ほど申し上げたように、例えば研究の適正な実施のために、インフォームド・コンセントと個人情報保護を旨とし、倫理審査委員会の適切な審査を受けると、そういう書き方の方が前文としては適当かなと思います。要するに、表現をもう少し一般的に、柱をはっきりさせた方がいいという趣旨です。

【丸山委員】  それは、ですから、異論はないのですが、これまでの指針も、例えば疫学指針でも、研究計画の適否について倫理審査委員会が判断する云々の言葉が前文に入っておりますので、そこはやっぱり一つの肝だと思うのです。そのところは前文に入れるだけの価値はあるのでないかと思います。

【位田委員】  ですから、私は表現の問題と申し上げているので。研究計画の倫理委員会による適切な審査は必要であるということは入れればいいと思いますけれども、この文言はそういう言い方を、もっと本文の内容にふさわしいような表現になっているので、少し違うかなと申し上げている。別にけんかをするつもりはありませんので、もう少し表現を前文らしい表現にしていただければいいと思います。

【福井座長】  この前文にそのような内容のことを書くことが適切か適切でないかというお話ですけれども、本文にも必ず書くということと、前文らしい言葉に変えた案をまた先生方に見ていただいて、その上で判断していただくということにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。特に丸山先生と位田先生にはまたこの部分を見ていただきたいと思います。内容的には、前文にも入れてよろしいということであれば入れる方向で、また文言を見ていただくということで、丸山先生、いかがでしょうか。よろしいですか。

【丸山委員】  よろしくお願いします。

【福井座長】  じゃ、そのようにまた事務局とも相談いたしまして文章を作って、見ていただきたいと思います。

 それでは、第1章から、赤字が多くて大変ですけれども、いかがでしょうか。前回の御議論を踏まえまして、いろいろ訂正をしたところもあります。

 津金委員、どうぞ。

【津金委員】  なかなか理解していただけないと思うのですけれども、資料3の意見のところにも提出しているのですけれども、適用範囲の話です。まずは、早い段階で問題提起すべきだったのをこの期に及んでしまったことを非常に反省しています。ただ、私が提言していることは、米国の状況を御紹介させていただきますけれども、多くの疫学研究の先進国では法律などできちっと規定になっていることであり、これまで国際共同研究をする際に我々が多くの手続に時間と労力を費やされてきた経験から問題提起させていただいているということです。これは単に研究をやりやすくしたいという意図ではなくて、インフォームド・コンセントを含めて、適切な手続によって取得されたデータの有効活用を促進するという観点からの意見であるということを御理解いただければと考えています。

 それから、意見としては、36ページに示していますけれども、最初の上の方に言っているのは、やはり匿名化であればある程度指針の適用外にしてもいいのでないかということです。指針に基づいて適切に収集された情報を、指針に基づいて適切に提供を受けた匿名化された情報のみを用いる研究は、今回言っているような、いわゆる人を対象とした研究には該当しない。すなわち、個人情報保護やそういう倫理的な問題は生じ得ないので、指針の適用除外にしてはいかがかということなのです。

 このような意見をあえて出させていただいた経緯を意見の1ページ目の下の最初の段落に具体例として記載させていただいているのですけれども、我々が国際共同研究に……。

【福井座長】  先生、資料のどこを見ればいいのでしょうか。

【津金委員】  すみません、資料336ページです。

【福井座長】  資料336

【津金委員】  はい。津金委員提出意見と書いてあります。

【福井座長】  はい。

【津金委員】  よろしいでしょうか。下のところに「具体的には」と書いてありますけれども、我々、国際共同研究において、こちらの倫理指針に掛けるために、相手に対して日本の指針に従って研究計画書やIRBの承認を依頼すると、そうすると、向こうでは、いわゆる匿名化されていて、かつ個別のIRB承認の下で収集された試料・情報を用いる研究なのでそういうものは存在しないと言われて、板挟みに遭って、我々が同時にまた研究計画を作って、向こうからもらったいわゆるIRBの審査の対象外であるという手紙とかステートメントを作成してもらって付けて、倫理審査を通しているというような状況なのです。

 その後ろの方に、43ページに、これはアメリカの法律、45 CFR 46という、Human Subject Researchに基づいて、この研究がNonHuman Subjectであるか、あるいはNonResearchであるかということの、その確認をするときに出すものです。1は研究の概要を書いていて、2はリサーチかどうかということのチェックポイントですので、ここは省略します。3Human Subjectかどうかというようなことを決めている項目です。45 CFR 46に基づいて、生存している個人を対象にしているということと、もう一つは、研究というのは、人に対して介入したりとか、あるいは例えばインタビューするとかアンケートを配るとか、そういうインタラクションをすることがHuman Subject Researchであると。もう一つは、要するに、個人情報を扱うのが人を対象とした研究ですよと定義しています。

 それで、次のページの44ページに、ABCDというようなことで、法律の適用かどうかということを判断するチェックポイントを書いています。Aは、さっき言ったような、人に対する介入とかインタラクションしますか。ノー。それから、これは個人情報を含んでいますか。ノーと。それから、データとか実は試料も一緒なのですけれども、研究者からもらう情報には個人情報が含まれていますか。これがノー。それから、Dは、対応表が存在していますか。実際我々が対応表を持っていますので、ここはイエスになるのですね。ただ、対応表を持っていても、ちゃんとアクセスできないというアグリーメントができていますか。これが、要するに、イエスであれば、Human Subject Researchではないので、法律の対象外であると。ですので、IRB審査をしないというようなことになっているわけです。

 ですので、こういうような状況なので、現状においては、疫学研究の倫理指針においては、匿名化された情報のみを扱うものは付議不要として扱われているのです。今回それがなくなっているというような状況もあるのですけれども、基本的に人を対象とした研究でないものに関しては、指針の適用外にしてもいいのでないかと。

 それで、事務局がまとめていただいた資料28ページなのですけれども、その下のところに、「他者に連結不可能匿名化させてから取得することによって、同意を受けることが十分可能であるにもかかわらず同意を受けずに提供することが可能となり」と書いているのですけれども、それはあり得ないのですよね。もらう相手が研究機関であれば、当然指針に基づいて適切な同意をとっていますのでそういうことはあり得ないし、相手が単なる試料・情報提供機関であれば、研究の当事者になりますから、当然そんなことはしてはいけなくて、当然指針の適用になるということだと思います。

 それで、結局、今の11ページの上のところに、既に連結不可能匿名化されたものは指針の適用範囲外と書いていますけれども、左の10ページの上にある1番、実際対応表を提供しない形、これは今は必ずしもICを受けることを要さないという。提供を受ける研究機関側がICを取得するというのはもともと無理な話で、要するに、提供機関でIRBで正当に取得されて、あるいは情報の提供に関しても同意を得ているものに関しては、連結不可能匿名化されたものと同じように扱ってもいいのでないかなと考えているわけです。以上です。

【福井座長】  ありがとうございます。

 丸山委員、どうぞ。

【丸山委員】  今、津金先生の引用されたアメリカのいわゆるコモンルールの匿名化による審査対象でなくなるというルールについてなのですが、アメリカではやっぱりまずかったというので、今の指針、コモンルール改正の、米国厚生省の担当部局から出された予備案では、そこはジェネラルコンセントを得ることで対応しようということで案が出されている。案に対して不満は研究者側に強いというようなところはありますけれども。その辺りも踏まえて国立がん研究センターの包括同意などが用意されているのでないかと思いますので、今、そのコモンルールの規定を持ち出して、連結不可能匿名化することによって指針の適用外にするというのは、引用の仕方としては不適切でないかと考えます。以上です。

【津金委員】  違います。要するに、ちゃんとインフォームド・コンセントを得て、試料をちゃんと収集する。それは試料を提供する機関がちゃんと収集する。要するに、コンセントを得ることは間違いないのです。そこから提供を受けて、匿名化された情報を使うだけですので、提供を受けた側は当然、インフォームド・コンセントを得るとかそういう次元の話でないですよね。提供を受けた研究機関がちゃんと同意を得て、場合によっては提供に関する同意も得て、IRBに承認をしてもらっている、そういうものを提供して、更に2次データ的な形で研究に活用するという、こういうことですので、対象者からインフォームド・コンセントをとるのは当たり前です。それは前提です。

【丸山委員】  分かりました。VanderbiltBioVUのことが引用されているのかと、Vanderbiltのところでちょっと誤解しました。

【津金委員】  Vanderbiltだけでなくて、そのもう一つ、NCIとハーバードのやつもやはり確認書として、これはHuman Subjectでないというような形で、これは、要するに、特定の大学の話でないです。アメリカの法律の話です。

【福井座長】  今村委員、どうぞ。

【今村委員】  先ほどのこの研究自体の名称をどうするかということにもちょっと関わってはくるのですけれども、本指針の適用範囲です。津金先生も今ここで言われていますけれども、ビッグデータの利活用というときに、例えばレセプトを用いた人を対象とする医学研究、こういったようなものにまでこのガイドラインが適用されるのかどうかというのがちょっとこれでは不明瞭なのですよね。そういったナショナルデータみたいなものを使って研究をするときに、こういうふうな倫理審査委員会を設置してやるのかどうかということなのですけれども、そこのところはどうなのでしょうかね。人を対象とした医学研究というような言い方をすればそういうものも入ってくるように思うのですが、そこのところをちょっと確認させてください。例えば経産省がやるそういうふうな研究とか、あるいは内閣全体がかかわってくるようなものであるとか、こういったようなものにもかかわってくるのかどうかということです。

【福井座長】  ありがとうございます。これは前回、資料1ですと7ページの、先ほどの適用範囲のところになりますけれども、2の既に連結不可能匿名化されているという、その「既に」が入るのか入らないのかという議論とも何か関わっていたと思いますが。

【津金委員】  だから、今言ったことは、そういう研究でも、要するに、研究者が研究計画を立てて、ここに指針どおりにきちっと書いてIRBに通さなければいけないというのが今の指針ですよね。

 それから、さっきちょっと言い忘れたんですけれども、既に連結不可能匿名化の例として、国民健康栄養調査のデータが出ているのですけれども、これは例として全く不適切で、ある大学が国民健康栄養調査の対象者の追跡をしていますから、そこに行けば連結可能です。

【福井座長】  この点につきまして、事務局の方から何かございますか。

【工藤課長補佐】  事務局と致しましては、資料210ページ目の上段に記載しておりますように、「連結不可能匿名化された情報のみを用いる研究」という記載ぶりとすることの適否と併せて、津金委員から提起されたような、「対応表を自らの研究機関において保有せず、連結可能匿名化された情報のみを用いる研究」について指針の適用外とすることが適当か否かという部分に関しての検討につきましては、今回この場で十分議論が尽くせるかどうかというとなかなか難しいのではないかなと。

 先ほどデータ利活用に関連する最近の状況をご説明いたしましたように、がん登録推進法といった、特定の分野に関しての個別法という形での法整備はされてきておりますけれども、医療等の情報の利活用に関する法制度という一般的な形、あるいは個人情報保護制度自体の全般的な見直しというところはまだ政府として検討段階にございますので、現時点においては、現行指針の範囲を踏襲する形で今回、統合指針としてはいかがかというところでございます。

【津金委員】  この10ページの下のところで、必ずしもICを受けることは必要としないと書いていますよね、提供のところ。これは、提供を受ける研究機関の研究者が必ずしもICを受けることを要さないと言っているのですか。それとも、提供元の収集・分譲を行う機関が提供に関して必ずしもICを提供することは要さないということなのでしょうか。

【工藤課長補佐】  10ページの下段のチャートの、収集・分譲を行う機関から研究機関の方に伸びている矢印のところでの提供につきましては、受け取る研究機関側が必ずもICを受けることを要さないということでございます。

【津金委員】  そうすると、提供する側がちゃんとICとか、場合によっては提供するというICまでとっているわけですよね。そのときに、受け取る研究機関側がICを得るとか、そういう話は別の問題ですよね。

【工藤課長補佐】  収集・分譲を行う機関が研究対象者から直接情報を取得する場合が、左側に研究対象者から矢印を引いている部分、あるいは別の既存試料・情報の提供を行う機関から、そちらで保有されている既存試料・情報の提供を受ける場合は、上から下がってきている矢印ということで場合が分かれますけれども、いずれにしても研究対象者から直接取得したところでインフォームド・コンセントを受けていただく必要があるということでございます。

【津金委員】  間接的に受ける研究機関、一番右の研究機関も、ある意味ではこの指針では、元の研究対象者に戻って、IC、インフォームド・コンセントを得るのが原則ということですか。

【工藤課長補佐】  いえ、そうではございません。試料・情報を取得したところで研究対象者とインフォームド・コンセントの手続が直接なされることによって、その提供を受け、2次利用して研究を実施する研究機関ではインフォームド・コンセントの手続を要しないという旨が第5章のインフォームド・コンセントの手続で定められております。提供を受けて研究を行うインフォームド・コンセントの手続としては、そこは簡略化といいますか、免除されてますが、指針の適用対象という大もとから外すか否かということは、またそれとはレベルの異なる議論かなというところでございます。

【福井座長】  先ほどの先生の御質問の……。

【今村委員】  先ほどの質問に答えていただいてない。例えば文科省や厚労省が関わりない、経産省が行う、人を対象とした医学的研究、例えばレセプトみたいなものを使用したビッグデータの利活用、こういうものについてこの適用範囲に入るのかどうか。

【工藤課長補佐】  この指針がということでございますか。

【今村委員】  はい。

【工藤課長補佐】  実施主体がどこであれ、国の機関が実施する、あるいは民間の研究機関が実施するのであれ、適用範囲としては第1章の第2で規定しているものが適用されます。適用対象外についても同様でございます。法律の規定に基づき実施される研究とか、法律に基づく基準の適用範囲に含まれる研究、あるいは試料・情報として人体から取得された試料のうちウの1で書いてあるようなものを用いる場合、あるいはウの2の既に連結不可能匿名化されている情報のみを用いる場合、いずれも現行指針の規定を踏襲したものでありますが、これらについてはいずれも適用対象外となります。基本的には、その前段、6ページ目で書いておりますように、日本の研究機関、国の機関であれ民間の機関であれいずれにしても、それらによって実施される又は国内において実施される人を対象とした医学系研究を適用対象するというところには変わりないです。

【今村委員】  間違いないですね。

【工藤課長補佐】  はい。

【今村委員】  これ、法律でないですよね。政令でも省令でもないですよね。倫理指針ですよね。

【工藤課長補佐】  そうです。

【今村委員】  それでもいいのですね。経産省が例えば同じように利活用をやって、こうしたときには、「これに縛られない」というふうに言っても、「それは違反ですよ」と言ってくれるのですね。

【工藤課長補佐】  法律の規定に基づいて実施すものであるとまた異なりますけれども、そうでない研究については適用を受けることになります。それは文部科学省の実施するものか、厚生労働省が実施するものかといった、実施省庁による違いはございません。

【津金委員】  ですから、匿名化されたレセプト情報をもらって研究者が研究するときには、要するに、研究計画を立てて、IRBに申請して、そこにインフォームド・コンセント云々という話が出てくるわけです。

【福井座長】  どうぞ。

【伊藤安全対策官】  今村先生のおっしゃっているのは、産業利用にビッグデータとしてレセプトを利用するということなのかなと思っております。それが、民間機関で経産省の所管の何か業界みたいなところが利用するにしても、医療に関する医学系の研究であるとするのであれば、この指針の対象として当然従ってくださいということは文科省、厚労省として言えると思っています。ただ、産業利用というところであるならば、この指針の対象外として、また別のルールとしていろいろと整理されていくものだと思っております。

【今村委員】  産業か、あるいは研究かというのは立場によって見方が非常に違うので、それは産業利用するための基礎的な研究だと、そういうふうな見方もできるということからすると、法律であるか、あるいはガイドラインか、どこが所管かということについては、非常にグレーゾーンが出てくる可能性が極めて高いのでないかと思います。

【福井座長】  いかがでしょうか。何か御意見ございますか。

 これはあくまでも学術的な意義を有する研究、それから、もう一つが社会的な意義を擁する研究の実施というのがこの指針の対象にはなっております。

【今村委員】  先ほどからまた、すみません、申し上げておりますけれども、この名称自体が疫学研究とか臨床研究だとかそういうものに特定してあれば納得もできるのですけれども、「人を対象とした医学系研究」ということになれば、非常に大きな網掛けということになって、結局、何のことを言っているのかよく分からないというようなことになることをちょっと懸念しています。

【福井座長】  医学、公衆衛生以外のところにもかなりこれが使われているという、その現状を踏まえて、より広く網掛けしようということで、議論が進んできましたので。

【今村委員】  日医としての立場については、それはそれで非常に納得できる部分もあるのですけれども、しかし、冒頭申し上げましたように、この会議自体にそれだけの権限が与えられているのかどうか。それは勝手に決めたことだろうと、所管の違う自分たちは知らないよと言われる可能性がどうなのかという、そういうふうな懸念なのです。

【福井座長】  どうぞ。

【伊藤安全対策官】  今でもそのような問題はあるとは思っています。個人情報の関連で特にそれが問題になるとは思うのですけれども、個人情報の法令がいろいろとございます。それとは別に、産業分野、これは経産省だけではありませんけれども、いろいろな分野において各省の担当の部分においては、個人情報に関するガイドラインがいろいろ定められております。

 例えば文科や厚労における医学系の研究についてはこういった指針もその一部としていろいろ整理されているところでございますし、経産省におきましても、産業分野、経産省の所管の分野において個人情報に関するガイドラインがいろいろ定められておりますので、当然これに該当しないというようなところで、近いような分野、こういったものにおきましても、ガイドライン及び個人情報の法令、こういったところにおいていろいろとルールが定まっていると思っております。

【今村委員】  分かりました。中央省庁においても、その省庁によってかなり考え方が違う、意見の対立があるということを懸念して、あえて申し上げました。

【福井座長】  ありがとうございます。

 祖父江委員、どうぞ。

【祖父江委員】  津金委員と事務局とのやりとりの話に戻っていいですか。私もちゃんと理解しているかどうか分からないのですけれども、資料210ページの図が示しているのは、主にはデータの収集に関わるようなところを意識して図に解説しておられるのに対して、津金委員が言っておられるのは、既にもう集まってしまったデータを共同で利用しようというところに観点を置いておられるのだと思います。

 そこについて、津金委員は、倫理指針の適用から外してそれは自由に使うべしというような意見を言っておられるのだと思いますけれども、それを指針から外してしまうのでなくて、一応枠の中に置いておいて、手続に関しては簡素化するというやり方もあるのだと思います。

 そこに関して、既に連結不可能匿名化になっているかどうかというところにポイントを置いてやるのか、そこをもうちょっと緩めてというところで議論になっているのだと私は思ったんですけれども、私は個人的にはやっぱり、既に連結不可能匿名化になっているものは適用範囲から外してもいいですけれども、匿名化、それも連結可能というようなところでのものであれば、できるだけ倫理指針の中で扱って、手続を簡素化するという方向でやった方がいいのでないかなと思います。

【福井座長】  田代委員、どうぞ。

【田代委員】  手続の簡素化の一つの案ですけれども、先ほど川村先生からの案でもあった届出という手が一つがあるとは思うのです。迅速審査でもなくて、倫理委員会が一応は把握するという形で届出をしておくという、それは一つの形としては、審査よりは軽いという、そういう位置付けというのはあり得るとは思います。

【福井座長】  楠岡先生、どうぞ。

【楠岡座長代理】  データを提供する医療機関側の立場からすると、オプトアウトであれ何であれ、IRBに届け出て、インフォームド・コンセントを取る手続は必要になってくるわけで、そうすると、収集機関側から提出依頼があった場合は、提供機関側はそこでこの指針が適用され一連の審査をしなければいけない。

 そのときに、多分現場の方で一番問題になるのは、提供先が倫理審査を受けているかどうかということです。もしそこが簡略化した手続であったとしても倫理審査を受けていれば、その後、現場の方は非常にスムーズにいく。そうでなければ、提供先がどう使うかまで提供元で審査をする必要性が出てくるという、非常に不便な場合もあり得るという状況です。したがって、適用にはしておくけれども、簡易審査のようなもので、提供元の方も審査委員会の何らかのアプルーバルを得るなり、あるいは届出でいいのであれば届出なりをしていただく方が、研究全体の流れとしてはスムーズに行くだろうと思います。

 もう一つは、倫理委員会の審査の中で、今回、付議不要がなくなって全部迅速審査になりました。迅速審査の中で、従来の承認、ここでは適当という判断になっていますけれども、そうなりますと、研究が続いている間はずっと継続的な審査を受け続けなければいけないというのが今の指針の構造なので、適当である、しかし、今後倫理審査委員会に報告する義務はないというような、条件付きの結論もあり得るということをガイダンスの中のどこかで示しておいていただきたい。すると、現状の付議不要と全く同じような形になって、届出にほぼ近い、しかし、倫理審査委員会としてはそれはちゃんと認めているという形になる。ちょっとプラクティカルな話で恐縮ですけれども、そういうような形で整理していただければ、もう少し現実的に解決できるのではないかと思います。

【福井座長】  ありがとうございます。

 はい、どうぞ。

【津金委員】  ですから、アメリカの場合、NonHuman SubjectであるということをIRBに確認して、IRBの審査対象外ですよというようなことのドキュメントをもらうというようなことをやっていますね。それから、ハーバードのやつも、Statementというふうに書いて、我々を納得させるためにということなのですけれども、こういうものを作ってもらって、クリアランスとしては、NonHuman SubjectなのでIRBは関係ないというようなものを、そういう文書を我々もらったりとかするのです。一応、ハーバード大学に届け出ることができるみたいです。

【楠岡座長代理】  したがって、IRBなりがそれを認識することが重要です。適用除外というと、研究者が勝手に判断して、全くどこにも届けない、勝手に研究を始めるみたいなイメージが出てきて、現実にそういうことをする人も出てくる可能性もある。届出制度なり何なり、別枠でこの指針の中にそういうことも含めて決めておく必要があるのではないか。ただ、今回の議論の中ではそこまで行けなかったので、運用上の問題としてしばらく見るというのも一つの方法ではないかと思います。

【福井座長】  直江先生、どうぞ。

【直江委員】  全く賛成です。川村委員が提出された資料41を見ていたんですけれども、これまでの話で、適用になるかどうかという議論がされてきておりましたし、今、楠岡先生から指摘あったように、適用外、不適用というふうにして判断したものも、研究機関としてはどんな研究がされているかということを把握しておく必要はあるだろうということが1点。

 それから、二つ目、この川村委員が書かれた倫理委員会への届出というのはこれまで議論はされたことがなかったと思うので、この2点目の、届出をどんなものをするのかということについては、きちっと意見をすり合わせておく必要があるのではないかと思いました。

【福井座長】  ありがとうございます。津金先生おっしゃることもよく分かりますが、議論全体としましては、やはり手続上の運用でできるだけ対応する方向で今回の指針はまとめさせていただきたいと思います。ただ直江先生、楠本先生がおっしゃいましたように、届出ということ自体を今回この倫理指針には入れてなかったと思います。したがって、迅速審査の中の手続でそのような扱いをしていただくということを考えていただく方向ではいかがでしょうか。

 川村先生、どうぞ。

【川村委員】  以前の指針には、倫理委員会が指名した者によって、審査の対象とするかどうかを判断すると。今回その文言が消えて、迅速審査に含まれたわけですが、迅速審査の補足事項にするか、あるいは独立させるかは全体の文章の構成によりますが、実質的に、倫理委員会は万が一の場合、指針の適用であれば責任を問われる可能性もあるので、承知しておいて、それで、審査自体が不要であるか審査するかというのは、マンパワーの効率的利用といいますか、倫理委員の負担のことも考えますと、エネルギーは重点的に特に重要な課題に傾注した方がいいと思いますので、そういう審査にも届出というのをこのフローチャートでは組み込んでおります。

【福井座長】  何らかの形で倫理審査委員会が把握しておくということは必要だと思いますので、それをどういう形でガイダンス的に書き込むかというのはまた相談したいと思います。

 事務局、どうぞ。

【伊藤安全対策官】  今は付議不要的なものについて、届出というような形に改変し直す形では整理しておりません。このような形で、例えば無記名アンケートとかデータ処理なんかについて届出とするのも一つの案だとは思っておりますけれども、この場合に、例えば倫理審査委員会、今、外部の倫理審査委員会でもいいというような形で整理しております。倫理審査委員会の責務として、倫理的観点だけでなくて科学的観点からも見ましょうねということも書かせていただいております。

 このような届出の事項として書かれているような事項、恐らく倫理的観点から見たときにはそれほど問題がないだろうという形で問題点が阻却されるのかなというものだけを届出みたいな形にすると思っていますけれども、これをもって科学的観点についても見たというふうになるのかどうなのか。倫理審査委員会の責務の中で今回明確に書かせていただいておりますので、その辺のところをどう考えておられるのかを先生方から御意見いただければと思います。

【福井座長】  いかがでしょうか。いずれにしても倫理委員会の方にはちゃんと提出して、それで何らかの形でやはりレビューをしたということは手続上必要だということで……、楠岡委員。

【楠岡座長代理】  もともと迅速審査の対象にするもの、それから、今回、届出的なものにするのか、従来の付議不要にするものかに関しては、例えばアンケート調査とか、内容がある程度定まっているものです。フルの研究計画を迅速審査でできるのは、既に他のところで承認が取れているような場合とか、幾つか条件が付いていて、コンプリヘンシブな、科学性、倫理性を全部チェックすべきような研究が、どこも通らずに迅速審査だけで通ってしまうという構図には今なっていないと思うので、その点に関しては今の体制で保証はされていると思うのです。どこか少なくとも1箇所ではそこまでちゃんと見ているところがあるか、あるいは単純なアンケート調査でこのアンケート内容であればそれほどリスクがあるようなアンケートではないということの判断かと思います。

【伊藤安全対策官】  よろしいですか。

【福井座長】  どうぞ。

【伊藤安全対策官】  前回までの議論の中で、例えばそもそも科学的な意義とかそういったところのないものは、倫理的判断がある以前に、やっぱりやるべきではないのかというような話なんかもございました。倫理審査委員会の責務として、届出というものがあったときに、このような手続をもって科学的観点も倫理審査委員会は見たということになるのかどうかというところが気になるところでございます。

【福井座長】  田代委員。

【田代委員】  私の理解ではそれはならないと思うのです。届出的なものはやはり審査免除の判断だと思うので、それは結局、倫理審査委員会で本格的に判断する以前に、本当に簡単な資料で、基本的にはリスクも負担もほぼないというふうに判断した場合には審査を免除するという仕組みになっているので、それは当然見たことにはならない。

 まさに今、伊藤さんが御指摘されたとおり、倫理委員会が全ての研究、ほとんどリスクや負担がないものについても科学性を見るのだという建てつけにするのであれば、全て見なければいけなくなります。けれども、それはやはり現実的ではないので、基本的に研究対象者に対するリスクや負担がほぼゼロに近いと思われるものについては、倫理審査委員会が本格的に科学的な妥当性を判断する前に免除の判断ができるという、今の話はそういう流れでないかとは理解しています。

【福井座長】  はい、どうぞ。

【津金委員】  すみません、科学性も担保しなければいけないのは、やっぱり一番最初に介入するとか情報を取るとか、そういうところの部分においては倫理性も科学性も担保しなければいけないと思うのです。だけど、一度取ったデータが匿名化されて、データとして活用されるときにおいては、もちろん有効に利用されるためには科学的というのがとても重要だと思うのですけれども、そこの段階では科学性とか倫理性というものはもうあんまり大きな問題でなくなってくるのでないかなと思います。

【福井座長】  丸山委員、どうぞ。

【丸山委員】  いつまでも議論が続いているので、言わないでおこうかと思ったんですが、最初に津金先生はインフォームド・コンセントは取っているというふうに繰り返しおっしゃいましたけれども、そのインフォームド・コンセントというのは、当初の相手、提供先に対して、研究利用なり診療の、特に研究利用の方を強調されましたけれども、インフォームド・コンセントは得られているのですね。その後の2次利用の部分については、ジェネラルコンセントでなければ得られていないということで、やはりさっきのジェネラルコンセントの議論、現在ではコモンルールの匿名化によって倫理委員会の倫理審査の対象にしないということは在り方として是非が問われているというような状況はあると思います。

【津金委員】  いや、目的の範囲内です。同意の取られた目的の範囲内で、要するに、利用するということが基本的に原則です。

【丸山委員】  それは相手方にですね……。

【津金委員】  それから、提供に関するインフォームド・コンセントも取られているということがある程度原則です。

【福井座長】  位田委員、どうぞ。

【位田委員】  川村先生が御提案された倫理委員会の届出という制度をもし作るのであれば、それはやっぱりここでもう一度ちゃんと議論をしておかないといけない。というのは、届出でいいのか、若しくは倫理審査に掛けるのか、という判断をどこかでしないといけないので。これ、研究者がやってしまうと、本当は審査に掛けないといけないものが届出になってしまって、倫理委員会は知っているけれども中身は必ずしも精査していないことになってしまいますし、それから、もし届出もしないでやってしまったときに、どういうサンクションがあるのかという問題もあります。もし届出という制度を作るのであれば、やっぱりきちっと考えないといけない。

 でも、それは多分次の改正のときにするか、若しくは何らかの形で案を出していただかないと、今議論しているだけで、じゃ、届出制度を作りましょうというわけにはいかないのでないかと思います。

【福井座長】  付議不要は駄目だということで今回やってきました。届出の場合も、机の上に置けばいいのか、誰も見なくても届出になるというのはちょっとおかしな話だと思いますので、何らかの形で倫理委員会がそれなりに、非常に簡単な審査でもいいですので、目を通す必要があるということで今までやってきたと思います。ですから、ここで届出をオーケーだとしてしまうと、また議論が元に戻って、やり直す必要が出てくると思います。

 跡見委員、どうぞ。

【跡見委員】  そのとおりだと思います。先ほど副委員長のおっしゃったような、迅速審査の段階で、そこで田代先生がおっしゃるように、審査委員会でこれは不要だと判断すると、そこで引くのが現実的なのでないでしょうか。

【福井座長】  いかがでしょう。

 後藤委員、どうぞ。

【後藤委員】  やっぱり現状として研究についてかなりいろいろな疑義が出ている状況において、研究者がある意味届出かどうかということを判断するような仕組みを作っておくというのは、研究全体に対する信頼性の確保としては望ましくないと思います。できる限り広く網を掛けておいて、先ほどから議論が出ていますように、手続の段階でもう少し簡略化するという方向に行くのが現時点の最善の方法ではないかと思います。

【福井座長】  ありがとうございます。その方向でまとめたいと思います。津金先生がおっしゃったことも分かりますので、何らかの形で、例えばそういう事柄も考えて、迅速審査の手順をこう考えるぐらいのガイダンスは作れるかもしれません。

 いかがですか。事務局の方で何かございますでしょうか。よろしい?

 はい、どうぞ。

【高江課長補佐】  ただいまの議論は、最後、後藤先生まとめられた方向で、津金先生がおっしゃられているところの研究がこの指針ができたがためにできなくなるみたいなことにならないように、案を作って、ガイダンスの方をまたちょっと御相談させていただければと思います。

【福井座長】  ありがとうございます。

 それでは、次に進みたいと思います。第1章のところから始めましたが、資料18ページの真ん中付近の(2)の侵襲のところに、案1と案2がございます。事務局と致しましては、案1をベースにこの後の内容は考えたものになっているということでございます。これについては何か御意見ございますでしょうか。案1のままで行ってよろしいでしょうか。

 はい、どうぞ。

【児玉委員】  すみません、児玉です。案1でいいと思うのですけれども、「非生理的作用」という言葉が少し分かりにくいため、説明が必要かと思います。それで、注16は、「非生理的作用」の説明かと思うのですが、恐らくもともとは「負担」だったところを「非生理的作用」と置き換えただけのため、内容自体が本文と同じになっているので、改めて定義する必要があるのではないかと思います。以上です。

【福井座長】  いかがでしょうか、非生理的作用について。

 川村委員、どうぞ。

【川村委員】  これは苦肉の策なのでかえって分かりにくくなってしまっているのですが、もともとは生体を傷付けることというふうに何度かお話しさせていただいています。ただ、生体を傷付けるという言葉、あるいは傷付けるという和語でなくて、損傷を与えるというようなことが考えられますけれども、そういう用語がなじむかどうかということで迂回しているうちにこういう表現になったんです。これは合意が得られれば、収まりのいい言葉に換えていただいて、分かりやすく、少なくともガイダンスのレベルでは平たい言葉で示さなければいけないと思っています。

 それから、ここに「不快を与える質問」というのがあるのですけれども、侵襲というのは、快か不快かとかいうこととは関係がないので、やはり、具体的に書くとすると、心的外傷を惹起するということになろうかと思いますし、普遍的には、心を傷付けるとか、あるいは心ないというともっと漠然としてしまうから良くないでしょうけれども、傷付けるというのが本質だと思っております。

【磯部委員】  よろしいでしょうか。

【福井座長】  磯部委員、どうぞ。

【磯部委員】  磯部です。私も案2はやめて、案1が良いと思っております。田代先生も前からおっしゃっているように、ここはとにかくどういう手厚い手続をするのか、そうしないのかという、まさに道具概念としてどういう言葉をここに当てはめるかという話であろうと思います。きちんとしたインフォームド・コンセントを取るべき行為は何ぞやということに関わるわけです。

 その意味では、法律家からすると、端的に傷害を及ぼすというふうにだけ言えばいいのではないかと思います。つまり、刑法の傷害罪というのは身体の生理機能の障害というふうに判例上は考えられていて、多分それが今、川村先生がおっしゃったことを一番端的に示している用語ではないかと思います。

 更に言えば、もちろん、床屋さんが眉毛を間違って切り落としたときに傷害かとか、いや、それは暴行なのかというような議論はございます。そういう意味で、身体の完全性を侵害することというのも傷害というふうな考え方もありますけれども、とにかく身体の生理機能の障害ということを中核に置いた用語に少しすっきりさせていただければいいなということを感想として持ちました。すみません、以上です。

【福井座長】  これには、身体だけでなくて精神が入っている場合も、ショウガイというショウは傷の方のショウでしょうか。

【磯部委員】  生理機能のショウガイというときのショウガイは……。

【福井座長】  違いますね。

【磯部委員】  違う方です。傷でない方です。

【福井座長】  障るという方ですね。

【磯部委員】  障る方です。

【福井座長】  もしそういうふうな言葉でよろしければ換えるということでいかがでしょうか。何か。

 丸山委員、どうぞ。

【丸山委員】  ここの注の14で例えばと挙げられているのですが、別の例としては、性的事項、セクシャルなマターに対してのアンケート調査なんかについても侵襲度が高いなと思うところがあって、それで、そういうときは、傷を付けるという言葉でもいいか、あるいは今、先生がおっしゃった、差し障りのあるという言葉でもいいか難しいところですね。そういうところをちょっとイメージしました。

【福井座長】  田代委員、どうぞ。

【田代委員】  私もここは、「日常生活で被る範囲を超える非生理的作用」よりは、「人為的に傷害を及ぼす又は及ぼすおそれのある」といった言い方の方がいいような気がします。また、精神的ということについてなかなか難しい面もあるのでないかということを前回申し上げましたが、もし入れるのであれば、やはり軽微な侵襲にとどまる精神的な侵襲というのをはっきり例示してあげないといけないと思います。というのも、軽微な侵襲にとどまらないとなると、全て文書でのインフォームド・コンセントが原則となって、簡略化が一切できないという状況になるからです。ですから軽微な侵襲にとどまらない場合には、文書で同意が取れない研究はやってはいけないということになりますから、やはり具体的な例として、軽微な侵襲にとどまる、肉体的なものに関しては、もう既に具体例が出ているので相当明確になってきていると思うので、そこをちょっと考えていただく必要があるのかなと思って意見も出させていただきました。以上です。

【福井座長】  いかがでしょうか。精神面での軽微な損傷に相当するようなものを具体的に何か挙げられますでしょうか。大変難しいとは思いますけれども。

 どうぞ。

【田代委員】  一つは、中身で考えると難しいので、例えばここの注14に挙げられているような、過去のつらい体験を聞くような質問でも、例えば質問紙を使ったものというのは、基本的には文書同意を取らないと思うのですね。ですので、質問紙を使ったもので、あくまでも相手に回答の自由が完全に委ねられているものは軽微な侵襲とみなして差し支えないとか、そういったことを加えてもらえれば良いかと思います。直接対面する場合には、恐らく文書同意というのは取れるので、あんまり大きな問題にはならないかなとは思います。これは苦肉の策なのですけれども、そこは相手の回答に完全に委ねられているようなものに関しては軽微な侵襲とみなせる場合があるというような言い方をしておけば、一応特定の研究を禁止することにはならないかなとは思っています。

【福井座長】  ありがとうございます。

 丸山委員、どうぞ。

【丸山委員】  今の田代委員と同じ趣旨なのですが、両方あり得ると、軽微であるものも、軽微でない普通の場合もあるということをこの注で示せればいいのでないかと思います。

【福井座長】  ありがとうございます。それでは、その方向で、案1で文言を、ただいま頂いた御意見を基にもう1回案を出すということでお願いしたいと思います。文言を整理するということで。

 それ以外のところはいかがでしょうか。

 どうぞ、位田委員。

【位田委員】  11ページの(16)インフォームド・アセントなのですが、「客観的に判断される」という表現があるのですけれども、客観的にというのがどうやれば客観的なのかという。もう少し具体的に。ここは仮に客観的に判断されると書いたとしても、注かガイダンスで、例えば医師を含むチームで判断するとか、その辺の判断の根拠なり基礎になるようなことをやっぱり何か書いてあげないと、例えば1人のお医者さん若しくは研究者が、これは客観的にアセントが必要だとか必要ではないとかというだけでは客観性が担保できないかなと思いますので、そこを少し考えていただければと思います。

【福井座長】  どうぞ。

【工藤課長補佐】  その点につきましては、資料133ページ目の脚注※129に追記する形で、客観的に判断されるとはどういうことを指しているかという解説を付け加えさせていただいております。必ずしも医師に限らないのでないかとは考えておりますが、その研究に携わっていない人から見ても妥当だという判断が下せるということが客観性と思います。

【位田委員】  よろしいでしょうか。

【福井座長】  どうぞ。

【位田委員】  要するに、客観的に判断するプロセスがはっきりしていればいいわけで、お医者さんであれ、若しくは研究者であれ、若しくはそのほかの人であれ、誰かがこういう理由で代諾が必要だとか能力がないとかという判断をしましたということが分かればいいのですが、ここの33ページの赤字に書かれている趣旨は分かるのですけれども、これだとプロセスは分からないですよね。

【福井座長】  どうぞ。

【楠岡座長代理】  アセントの前段階に必ず代諾者が存在しているはずであり、その代諾者の選定に関しては、プロトコルの中に、なぜ代諾者を選ばないといけないかとか、代諾者に該当するのはどういう者かは書かれるので、今、先生おっしゃるようなことは、そちらの方で明示されるのではないかと思います。

【福井座長】  田代委員、どうぞ。

【田代委員】  今の位田先生の、判断能力の有無の判断をどうするかということは大事な点だと思います。通常行われているのは、確かにおっしゃるように、複数の人が判断するというのが一番多いと思うのですが、それだけに限定するというよりは、日本では余り普及していませんけれども、尺度もありますし、そういうものを使われている方も一部にはいらっしゃるので、例示としては、複数の人間が判断するとか、確立したツールを使って評価するとか、幾つか挙げてあげてもいいのかなと思いました。

【福井座長】  よろしいでしょうか。臨床的にも同意能力についてコンピテンスがあるかどうかという判断はいつも問題にはなることでして、そのプロセスを書き込める範囲内で書くということで相談したいと思います。

 丸山委員、どうぞ。

【丸山委員】  今の点は異論ないのですが、新たに加わった、賛意を承諾というふうに改められたところなのですが、承諾という言葉は、かつて精神保健法だったか精神衛生法だったかで、同意とインターチェンジャブリーに使われたような例、法律がそういう使い方をしたからそれでほかも一緒だということではないのですけれども、そういうようなところが一般的に言えますので、ここはやっぱり承諾という言葉はコンセントということを想起させる、思わせるので、使われない方がいいと思います。

 アセント自体が訳しづらい、当初からこれ問題になっていますが、そういう言葉で、承諾よりは賛意の方が目新しいというか聞き慣れない、それだから、承諾という言葉を使われたと思うのですが、承諾の方はあまりにポピュラーというか、これまで伝統的には我が国では同意という言葉よりも承諾という言葉を使ってきたところがありますので、避けた方がいいと思います。

【福井座長】  いかがでしょうか。承諾なのか、賛意なのか、受入れなのか、いろいろ分からない……。

 位田先生、どうぞ。

【位田委員】  これも言葉の感覚みたいなところがあって、賛意というのは少し積極的ない意味が入ってしまって、それはまた良くないのではないかなという逆の感覚もあります。承諾が混同される可能性があるとすると、賛意ではなくて何か、今、福井座長がおっしゃったような、受入れでも私は構いませんけれども。

【福井座長】  いかがでしょうか。非常に細かい点ですが。

 田代委員、どうぞ。

【田代委員】  私の理解では、アセントというのは積極的なもののはずだと思うので、賛意でいいのでないかと思いまず。今まで私の方では、賛意という言葉を使われていたので、当然ポジティブなものであって、以前にも議論しましたけれども、異議がないことではないという理解でした。中立的な言葉というよりはもう少し強い意味だと思っていました。

【福井座長】  位田先生、いかがですか。

【位田委員】  ポジティブという言葉もなかなか訳しにくいので、積極的と訳するのか、肯定的と訳するのかで感覚が違います。要するに、拒否をしないという状況がアセントに含まれているのかなという気がします。それを余りに積極的に「賛意」だと、じゃあ、やってくださいという感覚になってしまう。このぐらいの私の言葉の感覚なので、先生方の感覚とずれているかもしれませんけれども、賛意という言葉の中には、そういう積極的なという感覚があるかなと思っているだけです。

【田代委員】  ですので、私はアセントというのはそういう意味だと思っていました。

【福井座長】  今村委員、どうぞ。

【今村委員】  後で申し上げようとも思ったんですけれども、32ページなのですが、同意の撤回のところで、「ただし」以降の一番最後のところ、「その理由について研究者等が研究対象者等に通知したときは」と書いてございますけれども、通知するだけでなくて、やはり承諾あるいは賛意あるいは了承、納得、こういったような文言を挿入することが適当ではないかということで、今、議論になっている、どの文言を使うかということについては後で御議論いただきたいと思います。通知するだけではちょっと問題ではないかなと思います。

【福井座長】  そうですか。ありがとうございます。

 すみません、先ほどのことからまず……。

 後藤委員、どうぞ。

【後藤委員】  今の議論をあれすると、11ページのアセントのところですけれども、当該研究を実施又は継続の決定を理解し、拒否をしない意向を表すというふうにすると、一番、さっき言った積極的なものかというものも含むし。承諾というのはやっぱり先ほどから出ていますように、私ども、コンセントを思われるので、拒否をしない意思を示す、意向を示すというような形にしたらいかがでしょうか。

【福井座長】  どういう文言がいいのですか。

【後藤委員】  ですから、理解し、拒否をしない意向を表すことをいうと。

【田代委員】  繰り返しのようで申し訳ないのですが、戻って私もいろいろ文献を調べたいのですが、アセントというのはそういう意味で使われているのでしょうか。拒否をしないということと、積極的にいいと言うというのは全然違う話であって、インフォームド・アセントが必要であるという議論は、積極的に子供が「分かった。私はそれに参加してもいいよ」ということを言うということであり、それは異議申立てをしないということとは違うという理解だったのですが。

【後藤委員】  つまり、法的には承諾はできないけれども、子供が「いいよ」と言うことであれば、やっぱり「いいよ」という話になれば、賛意なのか……。賛意でも私もいいと思うのですが、だから、拒否はしないプラス、もうちょっと積極的にいいよと言うわけですから、私も日本語のボキャブラリーが少ないのであれですけれども、やっぱり賛意でいいのでないかと思います。承諾よりは賛意の方がいいと思います。

【田代委員】  というのも、ここのアセントは結局、努力義務ですので、必ずしもこれがないとできないというものにはなってもいません。しかし、やはりあった方がいいものとしては、子供自身が嫌でないという、つまり、黙っているという状態ではなくて、「分かった。それに関しては協力する」という、そういう話を努力義務としては課すということなので、私自身は賛意がいいのかなと思っています。

【福井座長】  磯部委員、どうぞ。

【磯部委員】  終わらせたいと思いますけれども、同意、承諾、インフォームド・コンセントというイメージだというのはそのとおりです。それ以外の言葉を使うべきだろうと思います。これはインフォームド・コンセントを与えられる能力があればインフォームド・コンセントになり得るのだけど、そういう能力がない人がどういう意思表示をするかの話なので、これは積極的な意味であるでしょうし、今まで一番ポピュラーなのは賛意という訳なのではないかと思うので、私はこう思うということをここで言うよりは、できるだけ一般の方が紛れがない言葉、賛意を採用するべきだと思います。

【福井座長】  それでは、位田先生、賛意ということでよろしくお願いいたします。

 ほかのところ、今、11ページ辺りまで参りました。12ページ、第1章の最後のページについて特にございませんでしょうか。

【直江委員】  よろしいですか。

【福井座長】  直江委員、どうぞ。

【直江委員】  これ、後で出てくる、最後のところのモニタリング・監査のことがありますので、そこで議論した方がいいのかもしれませんけれども、(22)のモニタリング、それから、(23)の監査というのが12ページにございますけれども、これ、どうですか、今日時間大丈夫ですか。

【福井座長】  あと数分だけ。

【直江委員】  数分だけですか。

【福井座長】  どうぞ、おっしゃっていただいた方がいいと思います。

【直江委員】  要するに、これ、まだ議論が途中で終わっていますので、後半の、とにかく臨床研究に最も大事な、今回付け加えられるモニタリング・監査については、まだここで一度も議論もされていないと思うのです。

 これは用語のことだけですので、もう少し本質論に入ってから議論した方がいいのかなと思うのですが、一つの(22)のモニタリングですけれども、モニタリングはICHGCPでは、いわゆるプロトコルどおりきちっと行われているかどうかということの質の向上のためのことだと理解しておりますけれども、例えばここで細かく見ますと、「研究の進捗状況並びに」という言葉が入っているのですけれども、研究の進捗状況をモニタリングの定義の中に入れるのはこれはどうなのかなと。あって駄目だとは思いませんけれども、少なくとも倫理委員会には臨床研究の進捗というのは報告することが必要であるとこの指針改訂ではずっときていますので、改めてここでモニタリングの中に進捗状況を入れる必要があるのかどうかというようなことです。

 それから、モニタリング・監査、後でこれ、述べようと思っていたんですけれども、もともとICHGCPの考え方では、例えば治験責任医師とか、それから、治験の実施機関、それから、治験の依頼者があって、質の担保のために治験の依頼者が実施者、医療機関に対して行わせるというような、誰が誰に対して行うものかということがICHGCPは割ときちっと書いてあると思うのです。

 ここで、後に出てきます41ページのところ、第20章に初めてモニタリングということが出てくるのです。(1)、だから、研究責任者は定めるところによりモニタリング及び監査を実施しなければならないというふうにやりまして、ここがやはりICHGCPだと、モニタリング及び監査を実施されるようにしなければならないというのが正確というか、私も専門家でないのですけれども、そこは、つまり、研究の実施者が自らモニタリングをして自ら監査をするというのは、これ、どう見てもおかしいのでないかというような文言もありまして、ここはもう少しきちっと整理をした方がいい。そのことが第1点。

 それから、第2点は、やはりモニタリング・監査が出てきたということについては、もう少しここで時間をとって議論をしていただきたいなというのが2点目でございます。今日は時間がないので、無理だと思いますが。

【福井座長】  ありがとうございます。そうですね。

 それでは、大分時間も押してまいりました。本日は残念ながら議論が終わりませんでしたので、次回も引き続き、統合指針について議論したいと思います。また、日程なども含めまして事務局の方から御説明お願いします。

【宮脇室長補佐】  ありがとうございます。事務局でございます。まず冒頭、事務局の異動者を紹介させていただきましたが、その際席を外しておりましたので、改めて紹介させていただきたいと思います。

 文部科学省研究振興局の小松局長でございます。

【小松局長】  1月に就任を致しました。熱心かつ真摯な御議論ありがとうございます。どうぞよろしく御指導のほどお願いいたします。

【宮脇室長補佐】  続きまして、事務局からの連絡事項でございます。ただいま福井先生からもおっしゃっていただきましたように、次回の日程につきましては、本日の御議論を踏まえまして、また改めて調整の上、御連絡させていただきたいと存じます。

 本日の議事録につきましては、作成次第、委員の皆様方に御確認をお願いいたしまして、その後、公開の手続を踏まさせていただきたいと思います。併せてよろしくお願いいたします。

 本日机上配付の資料につきましてはそのまま、お持ち帰りにならずにお願いいたします。

 事務局からの御連絡事項は以上でございます。

【福井座長】  ありがとうございました。

 それでは、本日は以上で閉会と致します。どうもありがとうございました。


(了)
<問い合わせ先>

医政局研究開発振興課:高江、吉岡

電話: 03-5253-1111(内線2542、4163)

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