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2014年3月19日 第34回労働政策審議会 議事録

政策統括官付労働政策担当参事官室

○日時

平成26年3月19日(水)
10:00~12:00


○場所

厚生労働省省議室(9階)


○出席者

【公益代表委員】

樋口会長、阿部委員、鎌田委員、小杉委員、田島委員、土橋委員、宮本委員、山川委員

【労働者代表委員】

相原委員、逢見委員、神津委員、冨高委員、永芳委員、南部委員、野田委員、畠山委員、眞中委員、山浦委員

【使用者代表委員】

岡田委員、川本委員、吉川委員、坂戸委員、鳥原委員、三浦委員、宮原委員、渡邊委員

○議題

(1)平成26年度厚生労働省予算(案)について
(2)雇用政策研究会報告について
(3)分科会及び部会等における審議状況について
(4)法案の国会審議状況について
(5)その他

○議事

○樋口会長

 それでは、定刻でございますので、ただいまから、第34回「労働政策審議会」を開催いたします。よろしくお願いいたします。

 議事に入る前に、労働者代表委員の交代が3月10日付で行われております。お手元に資料1「委員名簿」を配付しておりますので、新たに委員に就任された方を御紹介いたします。
 JEC連合会長の永芳委員でございます。

 日本労働組合総連合会副事務局長の南部委員でございます。

 情報産業労働組合連合会中央執行委員長の野田委員でございます。

 全国電力関連産業労働組合総連合組織局次長の畠山委員でございます。

 新たに委員に就任なされました方には、任命の辞令を机の上に配付させていただいております。よろしくお願いいたします。

 それでは、議事に移ります。

 本日の議題は5つございます。

 まず、第1に「平成26年度厚生労働省予算(案)について」。第2に「雇用政策研究会報告について」。第3に「分科会及び部会等における審議状況について」。第4に「法案の国会審議状況について」。第5に「その他」でございます。

 最初に、議題1「平成26年度厚生労働省予算(案)について」事務局から説明をお願いいたします。

 

○藤澤労働政策担当参事官 

それでは、私から資料2、平成26年度予算(案)につきまして、御説明を申し上げます。

 資料の2といたしまして、紫色の冊子と概要という資料、さらに資料2「関係資料」ということで、改めて3種類を委員の皆様のお手元に配付をさせていただいておりますけれども、この平成26年度予算の概要という横長の概要資料で御説明を申し上げたいと思います。よろしくお願いをいたします。

 早速でございますが、1枚おめくりをいただきますと、右下にページ番号が振ってございますけれども、1ページには「平成26年度厚生労働省予算案(一般会計)の全体像」ということでございます。

26年度予算案は上の矢印の先にありますように、307,430億円でございます。社会保障関係費の内訳が下の2ページに、年金から雇用までございますけれども、このうち、雇用は一番下の欄にございますように、26年度予算案で1,822億円でございます。

 さらにおめくりをいただきまして、3ページには、26年度予算案のうち、特別会計の全体像としてお示しをしてございます。労働保険特会、年金特会、それから、東日本大震災復興特会とございますけれども、労働保険特会の特別会計の平成26年度予算案は、ここにございますように3兆7,000億円でございます。

 以上が全体でございます。

 4ページ以降で「社会保障・税一体改革による社会保障の充実・安定化」でございます。おめくりをいただきますと、5ページでありますが、一番上にありますように、消費税率引上げ分による増収分は全て社会保障の充実・安定化に向けるということでございますが、雇用関係が1つ含まれておりまして、6ページの表をごらんいただきますと、一番左側の子ども・子育て支援の充実の右側の3つ目の箱の事業内容の育児休業中の経済的支援の強化ということで、ここに1つ含まれているものでございます。

 その内容は、次のページの8ページの一番下にございますけれども、育児休業中の経済的支援の強化ということで、育児休業給付の給付率の引き上げを行うというものでございます。

 以上が社会保障の充実関係でございますけれども、14ページ以降が平成26年度の厚生労働省予算案の主要施策でございます。

 これもおめくりいただきまして、15ページに全体像の概要がございます。箱が3つございまして「全員参加の社会」の実現、2番目が「健康長寿社会」の実現、3番目が被災地の復興・防災の強化とございますけれども、雇用、労働関係の施策は主にこの1番目の箱の「全員参加の社会」の実現の中に盛り込まれております。その概要につきまして、以下、御説明を申し上げたいと思います。

16ページ以降で、今、申し上げました大きな1番の「全員参加の社会」の実現ということでございますけれども、以降、補正予算での施策を点線の枠囲みで示してございます。関係の部分をあわせて御説明を申し上げたいと思います。

16ページのタイトルにございますように1番の「全員参加の社会」の実現ということでございますけれども、一番最初は「女性・若者・子育て支援」でございます。

 この女性関係の施策が17ページの下から2つ目以降でございます。企業におけるポジティブ・アクションの取組促進、これは助成措置の創設でありますとか、先進的な事例の収集・情報提供を行うということでございます。また、次の項目は、育児休業中の経済的支援の強化ということで、これは先ほど申し上げたものでございます。

18ページにまいりまして、一番上でございますが、仕事と育児の両立支援策の推進ということで、育休復帰支援プランの策定・利用支援でありますとか、仕事と育児が両立可能な再就職支援事業を行うというものでございます。

 2点目が若者の活躍推進であります。最初がフリーター等の正規雇用化支援の充実ということで、わかものハローワークの充実など。また、若者の使い捨てが疑われる企業等への対応策の強化でありますけれども、相談ダイヤルの設置や相談窓口の設置などを行います。

 さらに、就職活動に困難性を有する学生等に対する職業訓練あるいは産官学による地域コンソーシアムの構築といったような事業を盛り込んでおります。

19ページの上にまいりまして、ここまでが若者対策の続きでありますが、キャリア教育等の推進ということで、キャリア教育のためのプログラム開発あるいは「目指せマイスター」プロジェクトなどを推進してまいります。

 点線の枠囲みでありますが、平成25年度補正予算といたしまして、若者育成支援事業の推進ということで、地域若者サポートステーション事業を来年度も実施をいたします。

 次は、「高齢者・障害者の活躍推進」であります。

 ここは労働施策と福祉施策を一緒に書いてございますが、生涯現役社会の実現ということでは、シルバー人材センターによる就業機会の拡大等を推進いたします。また、障害者の就労支援・社会参加の推進では、○が5つございますけれども、2つ目の○にありますように「チーム支援」あるいは「障害者トライアル雇用事業」を改革・拡充といったような内容を盛り込んだものでございます。

 大きな柱の次は21ページ、22ページの見開きでございます。21ページのタイトルにございますように「雇用・セーフティネットの整備」ということで、失業なき労働移動の実現でありますが、点線の枠囲みにございますように、補正予算案で労働移動支援助成金あるいは産業雇用安定センターのあっせん機能の強化など前倒しをして実施をいたします。

 成長分野などでの雇用創出あるいは人材育成の推進ということで、成長分野への実践的な職業訓練あるいは求職者支援制度の推進。また、点線の枠囲みでございますが、地域人づくり事業創設を行います。

 若者等の中長期的なキャリア形成の支援ということで、非正規雇用労働者である若者等の専門的・実践的な教育訓練の受講による中長期的なキャリア形成の促進など。点線の枠囲みの中にありますように、民間人材ビジネスの活用による労働市場の機能強化ということで紹介予定派遣を活用して、正社員就職を実現する就職支援モデルの検証・構築などを行います。

22ページが多様な働き方の実現でありますが、多様な正社員モデルの普及・促進、あるいは最低賃金の引上げのための環境整備であります。最低賃金につきましては、下の点線の枠囲みにございますように、補正予算でも措置をしているものでございます。

 大きな雇用、労働関係施策は以上でございますが、あと、復興関係で1つございます。29ページをお願いをしたいと思いますが、「3 被災地の復興・防災の強化」ということで、このページの下のほうに点線の枠囲みで補正予算案で措置をいたしましたものといたしまして、産業政策と一体となった被災地の雇用支援、復興特会ということでありますが、事業復興型の雇用創出事業につきまして、積み増し、それから、事業の実施期限を1年延長するというものでございます。

 以上、簡単ではございますが、来年度予算案の主要事項について、御説明を申し上げました。

 

○樋口会長

 ただいまの説明につきまして、御意見、御質問がございましたら、御発言をお願いいたします。

 

○宮原委員

 私から3点申し上げたいと思います。第1は、この紫の資料2の27ページ、失業なき労働移動の実現についてであります。

 ここで重要なことは、労働市場のマッチング機能を高めるための基盤を強化することだと思いますが。その観点から、この産業雇用安定センターのあっせん機能の拡充が盛り込まれていることを高く評価したいと思います。今後ともセンターによるきめ細かな支援を一層充実していくことが望まれると思います。

 また、成長分野への労働移動の促進を図るためには、必要な能力の開発と雇用の受け皿が不可欠となりますので、(4)の成長分野などで求められる人材育成の推進、28ページにあります(5)の成長分野などでの雇用創出の推進といった施策は大変重要だと思います。これらの施策の展開に当たりましては、PDCAサイクルをきちんと回して、効率的、効果的な施策としていただきたいと思います。

 さらに、今回の予算とは直接関係ないかとは思いますが、最近は建設業、技能労働者の不足が深刻な問題となっております。こうした人材不足分野への労働移動をどのように図っていくかということも検討していく必要があるかと思います。

 第2は、同じく資料2の67ページ、非正規雇用対策の総合的な推進についてであります。重要な視点として求められるのは、いわゆる不本意非正規、不本意ながら長期にわたり非正規労働者として働いている人たちに政策支援の対象を絞るということだと思います。その上で、不本意非正規労働者の能力開発、キャリアアップ支援を充実させていく際には、企業側に過度な負担を求めることは難しいということを十分踏まえて対応していただきたいと思います。

 最後に、今後の障害者雇用促進法への対応であります。先ほど御説明の中では特に触れられませんでしたけれども、現在、改正法の施行に向けて、有識者による研究会において、障害を理由とする差別の禁止の内容あるいは事業主に求められる合理的配慮に関する指針の策定が進められています。障害者雇用を促進する観点からは、企業に一律的な取り組みを求めることはかえって逆効果となることが危惧されますので、障害者の特性を踏まえながら、企業現場が柔軟に対応できるようにしていくことが大変重要と思います。今後、研究会での取りまとめを受けて、この労政審で議論する予定と伺っております。現場の関係者にとって、有益で示唆に富む内容にしていただきたいと思います。

 

○眞中委員 

私の立場からも失業なき労働移動の実現という項目について、少し発言させていただきます。

 資料2の27ページに、失業なき労働移動の実現という大項目、そして、労働移動支援助成金の抜本的拡充など、そして、今年度から大幅な予算の上積みがされております。

 資料4-2の13ページに記載されておりますけれども、右の中段に対象者1人当たり60万円、1事業所につき500人を上限ということで記載されておりますが、最高で3億円という巨額な助成金が支給されることになります。特に、今回、大企業も助成の対象に加わるということになりましたので、この助成金が企業の安易なリストラを助長することになるのではないかという疑念が拭えません。本助成金が適切に運用されるよう、徹底を図るとともに、今回の拡充措置について効果の検証をきちっと行っていただくようにお願いをしたいと思います。

 さらに、昨年6月に閣議決定をされました日本再興戦略では、行き過ぎた雇用維持型から労働移動支援型への政策シフトというものが打ち出されまして、現在の政府の雇用・労働政策の方向性は労働移動を重視する傾向にありますけれども、我々とすれば雇用調整助成金を中心とした雇用の維持も極めて重要な政策ではないかと思っております。

 日本のものづくりを支えているのは、現場における技能・技術を持った人材ということでありまして、これらのしっかりとした雇用を守るという中で、現場の技術を習得し、技能を伝承していくということが不可欠ではなかろうかと思っております。特に中小企業においては、いわゆる景気後退局面において、この雇用調整助成金、いわゆる雇調金の活用によって雇用を維持してきたということは事実ではないかと思っております。

 今後もこの雇調金の政策的重要性は何ら変わるものではないと思っていますし、景気後退時の支給要件の緩和など、今後も機動的かつ柔軟な対応を行っていただきたいと思っております。

 加えまして、昨年12月から雇調金の運用が変わっておりますので、我々連合構成組織は、それに対する効果の検証並びに万が一、いわゆるリーマンショックのような急激かつ大幅な景気変動時には柔軟に対応してほしい旨の団体署名に取り組みまして、経営者の皆さんにも賛同いただき、組合側にも賛同してもらって、本年3月11日に約6,000筆の団体署名を田村厚生労働大臣に直接お渡しをし、大臣からも、そういったときには弾力的に対応しましょうというお言葉をいただいているということもあわせて御報告申し上げ、私の発言に代えたいと思います。

○岡田委員 

私からは、先ほど御説明がありましたサマリーでいいますと、8ページ及び17ページ、紫のほうの資料でいいますと、31ページにあります女性の活躍推進に関連して意見を申し上げたいと思っております。

 女性が活躍できる社会を構築していくことは長年の課題でもありますし、日本にとって重要な課題だと思います。近年は日本でもM字カーブはかなり緩和されつつあると思いますけれども、まだまだ、欧米に比べれば、活躍し続けるという点では弱いと思っております。

 御説明にありましたとおり、来年度予算案においては、男女がともに仕事と子育てを両立できる環境の整備という中で、育児休業給付の給付率の引き上げが挙げられております。これによって、男女双方育児休業を取得しやすくなり、所得減少などを理由になかなか取得が進まない男性の育児参加にも効果があるということを期待したいと思っています。ただ、一方で、非常に多くの予算が計上されておりますので、その効果等については十分に検証していただきたいと思っております。男性の育児休業取得の向上と、女性の継続就業、ここの効果をぜひ検証していただきたいと思っております。

 また、仕事と子育ての両立という点におきましては、両立支援対策、次世代法の期間延長を織り込んだ改正法案が今国会に提出されると聞いております。もともと、この次世代法は2015年3月末までの時限立法でございますので、企業はそれを前提に取り組みを進めてきたところです。改正法が成立し、次世代法が延長されることとなりましたら、現在、企業が推進しております取り組みが生かされて、新しいスキームへ円滑に移行ができるように、その周知も含めまして経過措置については十分に御検討いただきたいと考えております。

○相原委員 

雇用保険の関係で2点申し上げたいと思います。今通常国会には、雇用保険法改正法案として提出されまして、現在、審議が行われております。この改正法案につきましては、昨年末に取りまとめられました雇用保険部会報告及び本年1月16日に答申がなされております、雇用保険法の一部を改正する法律案要綱等々を踏まえて作成されたものだと承知をしております。

 まず、その上で、1点目ですが、基本手当の給付水準について1点申し上げたいと思います。

 雇用保険部会の論議におきましては、労働側として、2000年及び2003年の法改正により引き下げられた基本手当の給付水準の引上げを今回の見直しの第一義に据えるべきだということを繰り返し申し上げてまいりました。しかしながら、雇用保険部会報告には、基本手当の改善は盛り込まれておりません。引き続き、今後のあり方について検討すべきだとされたことにつきましては、極めて遺憾だと言わざるを得ないと承知をしております。

 労働政策審議会が取りまとめた報告書でありますので、その内容はもちろん尊重すべきと考えますけれども、今後も引き続き、労働側としては基本手当の改善を早期に実現すべきだという点を主張してまいりたいと思います。

 2点目ですけれども、国庫負担の関係について、1点申し上げます。

 国庫負担につきましては、御案内のとおり、現在、当分の間として、本来の負担額の55%に引き下げられております。国庫負担については、雇用保険部会報告におきまして、「求職者支援制度に係る財源を含めて、雇用保険法附則の『できるだけ速やかに安定した財源を確保した上で、国庫負担に関する暫定措置を廃止するものとする』との規定に基づく措置を講ずるべき」とされたわけですが、改正法案には国庫負担に関する暫定措置の廃止は盛り込まれておりません。国庫負担につきましては、雇用政策に関する国の責任を示すものだとも承知しておりまして、求職者支援制度も含めて、1日も早く法律の本則に戻すべきであるということは言うまでもありません。厚生労働省におかれましては、ぜひとも現行の暫定措置を廃止する道筋をつけてお示しをいただきたいと思います。

○冨高委員 

相原委員の今の発言に関連して、私からも意見を述べたいと思います。

 この雇用保険法改正法案の中に盛り込まれている中長期的なキャリア形成支援措置は、1年間の職業能力開発行政の予算が約1,600億円という状況の中で、雇用保険財政への影響が年間で約890億円の支出増、個人への給付という意味でいいますと、最大で144万円という現行の教育訓練給付とは比べものにならないような巨額な給付がされる大がかりな仕組みになっていると思っております。それにもかかわらず、施行に向けた準備期間がこの措置の施行日である今年の10月1日まであと半年余りしかありません。もちろん、その準備は、改正法の成立が前提であるとは思いますけれども、それを置いてもやはりその進捗は現在大幅に遅れていると言わざるを得ないと考えております。

 この措置の施行日には、ユニバーサルサービスとして、全国どの地域においてもきちんと提供されるように、この措置で実施することとされているキャリア・コンサルティングの担い手であるキャリア・コンサルタントの養成、確保とともに、この措置の対象とする教育訓練の指定基準も速やかに策定をしていただきたいと思っておりますし、施行に向けた体制を早急に整備いただきたいと思っております。

 また、先ほど申しましたように、かなり大がかりな仕組みだという認識でございますので、そうである以上、対象とする教育訓練については、当然のことながら現行よりもかなり厳格なチェックを行えるような体制にしなければいけないと思っておりまして、全国の対象教育訓練をくまなくチェックできるようにすることが必要だと思っております。

 現在、国の全国ユニバーサルサービス体制における行政組織でいいますと、労働基準行政につきましては労働基準監督署、そして、職業安定行政についてはハローワークがあるかと思いますけれども、職業能力開発行政についてはありませんので、この措置を契機としまして、中長期的には職業能力開発行政もユニバーサルサービスとしての施行体制を全国で展開することが重要だと考えております。

 行政の肥大化をやみくもに志向するわけではないのですけれども、やはり厚生労働省におかれましては、体制の整備に必要な人員や予算の確保により一層の取り組みをお願いしたいと思います。


○鳥原委員 

資料2の29ページの多様な働き方の実現及び27ページの失業なき労働移動の実現に関しまして、2点申し上げたいと思います。

 まず、労働者派遣制度についてでございます。改正法案の最大のポイントは、期間制限のあり方を業務単位から人単位に改めることでありますが、これにより、現行制度の最大の問題である26業務に該当するかどうかをめぐる現場での混乱が生じなくなるなど、制度のわかりやすさが高まって、望ましい方向であると認識しております。

 今回の改正は、大幅な規制緩和との声もありますが、派遣事業を全て許可制にするといった事業規制の強化や、派遣労働者に対する雇用安定措置の導入、キャリアアップ促進に向けた取り組みの強化なども盛り込まれており、バランスのとれたものになっていると認識しております。

 ただし、大幅な見直しであることから、改正法案が成立した際には、十分な周知をお願いしたいと思います。

 なお、建義の中では、労働契約申込みみなし制度や、グループ企業内派遣の8割規制、さらには離職後1年以内の派遣労働者としての受け入れの禁止や、日雇派遣の原則禁止といった2012年改正法について、引き続き、審議会で検討を行うとされております。これらの規制が導入されたことで、既に現場に多くの混乱が生じておりますので、改正法案が成立した暁には、速やかに見直しの議論を開始していただきたいと思います。

 もう一点は、現行の教育訓練給付を拡充する形で設けられます中長期的なキャリア形成支援措置に係ることでございます。この施策への期待は高いと考えますが、労使の保険料を財源に高額の給付を行う制度となることから、教育訓練の指定基準策定に当たっては、確実にキャリアアップやキャリアチェンジにつながることが見込まれる者に限定するなど十分な検討をお願いしたいと存じます。

 また、教育訓練給付の枠組みとして、現行の対象講座に、訓練期間が原則2年までの専門、実践的な教育訓練が新たに加わることになるため、両者のすみ分けを図る必要があると思います。現行の教育訓練給付について、指定講座の修了者に対するアンケートを見ますと、趣味・教養に役立つという回答が決して少なくありません。真に職業能力の開発に資する講座のみが対象となるよう既存の講座についても見直しを行っていただきたいと考えております。


○樋口会長 

労使それぞれ、3名の委員から御質問を受けましたが、ここまでのところで、何か事務局から御回答ございますでしょうか。お願いします。


○岡崎職業安定局長 

安定局関係で幾つか御指摘がございました。

 1つ目は宮原委員、眞中委員等から、労働移動の関係で御指摘をいただいております。この関係につきまして、産業競争力会議、日本再興戦略におきましては、行き過ぎた雇用維持政策から労働移動支援ということでありますが、私どもの考え方としましては、やはりそれまで働いていた企業でキャリアがつながるということ自体については非常に重要だろうと思っておりまして、そういった意味で、雇用調整助成金につきましても、経済が急速に変化した時期等々におきましては有効な施策と考えております。

 ただ、リーマンショックの後に、大幅に要件を緩和したというような状況からは、現在の雇用情勢では脱しているだろうということでありまして、基本的には、リーマンショック前の基準に戻しているということでございます。ただ、これは眞中委員からも御指摘ありましたように、大臣も3月11日に御答弁申し上げましたけれども、やはり経済の変化に応じては機動的に対応すべきと考えてございます。ただ、その上で、一方では、産業構造そのものが大きく変わっていくような状況の中では、やはり産業間、あるいは企業間の労働移動、これ自体は重要だろうと思っております。そういう中で、御指摘がありましたように、やはり成長産業をどう支えていくかということとの関係をしっかりと見据えつつでありますが、やはりどうしてもそれまでの企業等で働けないというような場合につきましては、速やかに次の産業に移っていただくということ自体も雇用施策としては重要だろうと考えてございます。

 その中で、産業雇用センターにもこれまでも十分に御活躍いただいておりますが、さらに機能を発揮していただくということで、そこの充実を図るとともに、労働移動支援助成金も大幅な拡充をしています。これは安易なリストラを促進するというよりは、やはりどうしても離職せざるを得ない方が生じた場合につきまして、ハローワークも一生懸命やっておりますが、人材ビジネスを活用する形の中で、早期の再就職をしていただく、こういう意図でございます。

 これにつきましては、再就職援助計画の対象者につきまして支援するという形でありますが、その際には、当該送り出し企業におきまして、労働組合の同意を要するというような形にしている等、労使間でしっかり話し合いをした後で離職を余儀なくされる方を支援していくということでございますので、その点は御理解いただきたいと思っております。

PDCAサイクル等をしっかりやるようにということでありますが、これは当然のことと受けとめております。施策の効果がしっかり出ているかどうか、あるいは眞中委員から御指摘のあるような懸念の状況がないかどうか、そういったものを含めながら対応していきたいと考えております。

 建設人材のお話がありました。これについては、私どもは今後の日本経済において重要だろうと考えておりまして、国交省でも同じ考え方を持っております。国交省でも、建設人材確保のため、副大臣をトップにしたプロジェクトチームが立ち上がっているということでありますが、私どもはそこにオブザーバーで参加をするとともに、建設に限らず、介護、保育等、人材不足が懸念される部分がありますので、佐藤副大臣をトップにする人手不足産業の対策の会議をつくって対応することにしております。この点につきましては、状況を見ながらしっかりとした対応をしていきたいと考えています。

 非正規労働の対策でございますが、これについては1,800万から1,900万人非正規の方がいるということでありますが、非正規の方の中にも、例えば定年後に嘱託になって非正規になっている方でありますとか、家庭の主婦の方でパートをしている方、あるいは学生のアルバイト等、さまざまな方が含まれております。

 私どもは非正規全体を大くくりにするということではなくて、やはりその中で、本当は正規になりたいのにいろいろな事情で非正規にとどまっている、こういう方をどうやって支援していくかというのが非常に重要だと思っておりますので、そこのところはポイントを決めてやっていくということ。そして、企業にも御努力をということは必要だとは思いますので、いろいろな助成措置を含めて対応していくという形でやっていきたいと考えております。

 障害者の関係につきましては、昨年、改正障害者雇用促進法が成立しておりますが、この施行に当たりまして、特に新たに導入されます差別禁止、合理的配慮の提供につきましては、企業、労働組合、労働者、あるいは障害者団体、それぞれから御関心をいただいております。これにつきましては、法律を出す前の障害者雇用分科会におきましても、やはり一律にというよりは、障害者の方々もいろいろな状況を抱えている、それを企業の中でどうやって話し合いながら、必要な配慮措置を進めていくかということが基本的な考え方としては重要だろうというお話でございました。ただ、そういう中で、ある程度、指針になるようなものも必要だということでありますので、そこのとこは御懸念のないように、企業がそれぞれ障害者の方と話し合いながら進められていくような姿になるように、今後、分科会で議論する中でも注意して進めていきたいと考えております。

 雇用保険の関係でございました基本手当の引上げにつきましては、これは雇用保険部会の中で、さまざま議論があった中で、ああいう結論でございますが、部会報告にもありますように、引き続き検討ということになっておりますので、そこのところは、今回はああいう形でございますが、認識はしているということでございます。

 国庫負担につきましては、私どもも問題意識は非常に強く持っておりまして、毎年、財務省とはいろいろな形で交渉しておりますが、私どもの力不足もありまして、現在のところ、なかなか安定財源が見つからないということでございます。これにつきましては、今後ともしっかりと努力していきたいと考えております。

 労働者派遣法につきまして鳥原委員からありましたが、派遣法、大きな改正でございますので、周知につきましてはしっかりやっていかなければいけないと思っております。24年改正の見直しにつきましては、これは需給部会でさまざま御議論がありましたけれども、やはりまだ施行から日が浅い中で、情報の蓄積を待って、もう一回議論すべきだということであります。今回の派遣法の成立の後に、また、その辺につきましては、需給部会の中で御議論していただくということで進めていきたいと考えております。

 

○杉浦職業能力開発局長 

 冨高委員と鳥原委員から、教育訓練給付の関係で御指摘がありました。

 まず、冨高委員のお話でございますけれども、今、国会に雇用保険法の改正がかかっておりますが、成立後、速やかに対象訓練の指定基準について審議会の分科会で御議論いただくべく、今、準備を進めているところでございます。キャリア・コンサルタントの養成、確保のための研修等の施行体制の準備についても進めております。

 こういったことを含め、10月からの施行に向けて準備を行っていきたいと思っております。

 それから、チェック体制のお話がございました。大変、こういった不適正な事象が出ますと、いろいろな影響がありますから、本省やハローワーク等が実態調査を行って、例えば、必要ならば指定の取り消しを行う等のことを行っていきたいと思いますが、その辺も十分、体制を整えていきたいと思っております。

 能力開発施策に関しまして、地方の実施体制のお話がございました。今年の4月から、各労働局に地方訓練受講者支援課室を設置することとしておりまして、現在でもハローワークのレベルで訓練の誘導、あるいは企業に対する能力開発施策の支援等の紹介等についてお願いをしてやってもらっているところでございますけれども、今後、さらに能力開発行政と安定行政の緊密な連絡体制の整備を進めてまいりたいと思っております。

 鳥原委員のお話にございました指定基準の策定、先ほどのお答えと重複するかもしれませんが、今後、法成立後、速やかに審議会で御議論いただいてまいりますけれども、その就職可能性が高い仕事において必要とされる能力の教育訓練ですとか、その効果がキャリアにおいて長く生かせる能力の教育訓練という基本的な考え方でございますので、そういったものに合った形で訓練の厳選をしまして、より専門的、実践的なものに絞って対象にする方向で考えていきたいと思っております。

 既存の講座の指定につきましても、御指摘のように、アンケートで見ますと、ややまだ趣味的なものも役立っているというような回答もございますが、毎年、半年に1回、新規のものを受け付けたり、更新をしたりする見直しをやっておりますが、そこの段階におきましても、本当に職業に役立っているのかという一定の基準を設けまして、厳正に審査をしながら実施をしているところでございまして、そういったことも十分踏まえながら、今後、行っていきたいと考えております。


○石井雇用均等・児童家庭局長 

岡田委員から、女性の活躍推進の関係で御質問、御意見等を頂戴いたしました。

 女性の活躍推進は、今、成長戦略の中核に位置づけられておりまして、私どもは気合を入れてやっていかなければと思っているところでございます。

 とりわけ、委員の御指摘のありました女性の継続就業、あるいは男性の育休取得促進、これも大きなテーマ、課題でございます。

 次世代法の10年間の延長ということで、審議会で御了承いただき、法案を既に提出させていただいたわけでございますが、課題としましても、女性の継続就業、男性の育休取得、これは1つの、10年間振り返ってみての課題として位置づけられているものでございます。

 次世代法は施行させていただいて、今、101人以上規模の企業は計画の提出の策定義務がかかっておりまして、大変、企業、労使の協力を得て、98%の企業に計画を提出していただいております。やはり計画を提出いただいたおかげで、男性の育児休暇取得も進むとか、そういう効果は出てきているわけでございまして、さらに10年間延長を認められれば、これは非常にいいきっかけでございますので、しっかり周知をして、この動きが少なくとも減速することがないよう、経過措置も含めてしっかり対応していきたいと思っております。とりわけ、男性の育休取得につきましては、育児休業給付の引上げとセットでスタートできることになれば、非常に周知のタイミングとしましても、改めて前回の育介法の改正で、パパ・ママ育休プラスとか、幾つかの改正項目がございましたが、これを再度取り上げて、集中的な周知を展開して、育休給付の効果をうまく使いながら、男性の育休取得促進にも努めてまいりたいと思っております。


○樋口会長 

それでは、引き続き、御質問、御意見を受けたいと思います。


○神津委員 

私から2つ申し上げさせていただきたいと思います。

 まず1つは、資料2、紫の表紙の資料でいえば29ページの下のところでありますけれども、多様な働き方の実現の中の労働者派遣制度の見直しについてであります。

 先ほどから触れられておりますけれども、私どもとしても、この内容は1999年改正にも匹敵するような抜本的な改正だという認識を持っておりますし、また、現時点でこの法案ということでいえば、この内容では労働者保護の後退を招く恐れが大きいと言わざるを得ないと認識をしています。

 特に期間制限についてでありますけれども、抜本的に見直すとされておりますが、期間制限の到来後も、過半数労働組合等への意見聴取のみで有期雇用派遣を継続的に受け入れることができるなど、期間制限を実質的に撤廃するものだと言わざるを得ないと思います。

 これでは派遣労働は臨時的・一時的とする派遣法の大原則を担保できないと言わざるを得ないと思います。

 また、そもそも、この派遣労働は臨時的・一時的という原則が法律上明確になっていないわけであります。改正法案の提案理由説明の中にはその原則が含まれているようでありますけれども、法律上明確でなければ、そもそも派遣法が依って立つ原則が何であるのかが不明確であります。さらに、派遣労働者の処遇改善策も踏み込み不足であります。

 私ども労働側が主張してまいりました均等待遇は、法案上何ら規定がないわけであります。現実の問題として、極めて大きな待遇の格差があるという実態をどう踏まえるのかという問題でもあろうかと思います。派遣労働者の賃金などを具体的に上げていくためにも、均等待遇、諸外国ではさまざまな形でこの問題に正面から取り組んでいると認識をしております。この均等待遇の実現に向けて一歩でも二歩でも踏み出す努力をすべきであると考えます。

 こうした期間制限や、処遇改善策といった主要論点につきまして、労働側としては、1月末の建議で反対意見を付さざるを得なかったわけでありますが、反対意見を付した部分に関する懸念が払拭されないまま、改正法案が成立をすれば、まさに我が国に常態的な間接雇用法制が導入されることになりかねず、また、低処遇を放置したまま派遣労働が拡大する懸念が大きいと考えます。今、申し上げました懸念点が払拭されるよう、国会審議で慎重に論議を深めていただくということが必要だと思います。そのことを期待したいと思います。

 もう一点なのですが、これはそもそもの話なのでありますけれども、現在、政府の中で、産業競争力会議や規制改革会議などにおいて、さまざまな議論がされておりますが、そのもとで雇用・労働問題も重要な検討対象とされております。こうした動きにつきましては、この労働政策審議会においても、私どもから苦言を呈してきたところですが、改めて一言申し上げておきたいと思います。

 とりわけ手続きの問題でありまして、労働者保護ルールのあり方を含むこの国の雇用・労働政策の方向性が、この労働政策審議会の議論を経ることなく、一部の有識者あるいは企業関係者のみで構成される、先ほど申し上げた規制改革会議や産業競争力会議といった、非公開の政府の会議体で一方的に議論をされているという現状については、ILOの三者構成原則に照らして極めて遺憾と言わざるを得ないと考えます。

 また、そもそもそういった状況、問題意識を持っておるわけですが、加えまして、今年の1月20日に産業競争力会議が取りまとめた「成長戦略進化のための今後の検討方針」の中には、「経済政策と労働政策を一体的、整合的に捉えた総理主導の政策の基本方針を策定する仕組みを検討しつつ、雇用・労働市場改革に取り組む」ということが明記をされております。この記述については、先ほど申し上げたILOの三者構成原則の根底を揺るがしかねないものでありまして、到底看過できるものではないと考えております。

 今の状況は、政府の諸会議で具体的な方針を決定した上で、その細部の検討だけを労政審に担わせるといった実質的な審議機会を奪う形になっている、こういった運営はぜひ改めていただくべきだと思います。労働者側代表と使用者側代表が参加する会議体における議論が十分に保障されるべきであるということを重ねて主張しておきたいと思います。


○三浦委員 

今の御意見とも関係しますけれども、29ページの労働時間法制の見直しについて、私から2点申し上げたいと思います。

 初めに、この労働時間法制の1点目として、現在、労働条件分科会で議論が行われているわけですけれども、労働者の活躍と企業の競争力向上を促すために、法制の弾力化は非常に大事な問題だと考えております。

 現在、弾力化のための制度の1つとして企画業務型裁量労働制がありますけれども、厚労省の調査でも、この制度の導入企業は0.8%あるいは適用労働者は0.3%にとどまっておりまして、十分に活用されているとはいえません。したがって、この制度の活用を促すためにも、労働者の健康確保措置の充実を図りつつ、対象業務でありますとか、あるいは対象労働者の拡大など、法制上の要件の見直しをしてくことが不可欠だと思います。

 また、これとは別に、裁量制の高い労働者が主体的に生き生きと働いていくためには、十分な健康確保措置を前提に労働時間等の規定を外すような見直しも必要だと考えています。

 先ほども規制改革会議あるいは産業競争力会議の話が出ましたけれども、規制改革会議からは適用除外制度の新設について提案されており、この提案をベースに労働政策審議会の労働条件分科会で議論を深めていく、進めていくということも検討に値するのではないかと、我々としては考えております。厚労省としても、ぜひ、こうした制度の実現に向けて取り組みをお願いしたいと思います。

 2つ目は、これとも関係しますけれども、今月7日に国会に提出されました専門知識等を有する有期雇用労働者に対する特別措置法についてでございます。

 今回の特別措置法により、対象となる労働者の能力発揮や雇用機会の拡大が期待され、我々としても高く評価できる措置だと考えております。ただ、企業の準備あるいは労働者への周知を考えれば、一定の準備期間は、ぜひ必要でございますので、できるだけ早く法案が成立するようよろしくお願いしたいと思います。

 なお、法案成立後には、特例制度の詳細を本審議会で詰めることになっておりますが、その際には、対象業務や年収要件などについて、企業の実態を十分に把握していただくようにお願いしたいと思います。

 例えば高度専門労働者の対象業務については、労基法14条第1項第1号の大臣告示を参考に検討するということになっているわけですけれども、この告示は大部分が国家資格を中心に規定されています。しかし、企業の雇用実態は変化してきておりまして、国家資格のない分野でも、例えば研究者でありますとか、あるいはプロジェクトマネジャーなど、高い専門性を持って、プロフェッショナルとして有期契約で働いている方がたくさんいらっしゃいます。したがって、こういう方が含まれるように、実際の雇用実態を見ながら検討していただければと思います。


○野田委員 

労働時間法制の見直しに係る使用者側の御意見もございましたので、労働側の意見として、とりわけ過重労働の解消に向けた取り組みの促進について申し上げておきたいと思います。

 予算案でいきますと、29ページ、さらに33ページになります。

 労働時間規制については御案内のとおりでございまして、労働者の身体・精神の保護、そして、家庭生活・社会生活を営むための生活時間の保障という重要な機能を持っていると思っておりますし、また、現行の労働時間法制においては、実労働時間を規制することによって労働から解放される時間を保障しているというところでございます。

 このような中で、労働条件分科会では、来年の労働基準法改正を視野に、労働時間法制のあり方についての検討が進められておりますけれども、検討に当たっては、労働者の健康・安全の確保と生活時間保障の観点を基本とすべきということを、労働側としては、基本スタンスとして考えておりますので、そのことをまず申し上げておきたいと思います。

 その上で、厚生労働省が昨年9月に実施をされました若者の使い捨てが疑われる企業等への重点監督の実施状況を見てみますと、違法な時間外労働があった者が実は4割強となっておりまして、最低基準を定めております労働基準法について、適切な執行を支えるという観点が大事だろうと思っておりますのと、その対策は重要であると考えているところでありまして、人員の不足が指摘をされております労働基準監督官の増員を含めた監督行政の強化について要請をさせていただきたいと思います。

 また、労働時間の現状を見てみますと、週の労働時間が60時間以上という労働者の割合は、30歳代の男性で18.2%という高い水準が報告をされているところでございまして、精神的不調を訴える人でございますとか、過労死・過労自殺の増加傾向、さらには過重な負荷による脳・心臓疾患に関連をいたします労災も2年連続で増加をしているという現状でございます。

 したがいまして、労働者の健康・安全の確保とワークライフバランスを重視する観点からの長時間労働の是正は喫緊の課題であると認識をしているところでございまして、労働時間法制においては、睡眠時間や生活時間を考慮した上で、24時間につき原則として連続11時間の休息時間を確保するという勤務間インターバル規制や、最長労働時間の規制を導入することが必要であると考えているところでございます。

 加えまして、月60時間超の割増率における中小企業における適用猶予措置についての速やかな解消についても必要であると思っておりまして、この点についても強く要請をさせていただきたいと思います。

 なお、先ほどからもございますように、政府の諸会議においても、弾力的な労働時間制度に関するさまざまな論議があることも承知をいたしておりますけれども、しかしながら、現行の労働法制においても、弾力的な労働時間制度は十分に確立・整備されているという認識を持っております。既に約5割の労働者が変形労働時間制の適用を受けておりますし、約1割の皆さんが裁量労働制などのみなし労働時間制の適用を受けているという現状がございます。

 したがいまして、ホワイトカラーエグゼンプションなど、賃金と時間を切り離す形の新たな制度を導入する必要はないと考えているところでございまして、あわせて、長時間労働を助長するということは明らかでございますので、導入すべきでないということについては、明確に申し上げておきたいと思います。


○樋口会長 

労働時間関係でございますか。


○渡邊委員 

労働時間法制の見直しについて、御意見を申し上げたいと思います。

 現在、労働条件分科会では、月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率の見直しが議論されておりますけれども、一律に割増賃金率を引き上げても長時間労働の抑制にはつながらないと考えております。

 例えば、運輸業を営む中小企業からは、ドライバーは荷積み、積み下ろしのための待ち時間が長く、長時間労働にならざるを得ない。また、運転手のなり手も不足しており、人手不足が長時間労働に拍車をかけているといった切実な声を聞いております。また、製造業や建設業などからは、長時間労働を抑制するにも、自社の業務の効率化だけでは限界があり、発注元、取引先との慣行を含めて見直さなければ改善につながらないといった声も上がっております。

 したがいまして、有効な対策を考える上では、なぜ長時間労働につながっているかを業種別や企業規模別に分析し、その上で個別に対策を講じていくことが必要であると私は考えております。

 

○永芳委員 

有期労働契約の転換ルールの特例等についての予算措置について、伺いたいと思います。

 議題としては3と4にかかわりますので、資料4-2の3ページに項目としてはありますけれども、予算措置にかかわりますので、ここで発言させていただきたいと思います。

 この転換ルールの特例等につきましては、高度専門有期契約労働者と定年後、引き続き雇用される有期契約労働者について、労働契約法第18条の無期転換申込権限発生までの期間に関する特例を設けることを内容とする特別措置法が今通常国会に提出されております。

 特例等について、審議を行いました特別部会におきまして、労働側委員は3点について発言をしております。

 1点目は、労働契約に関する基本的な民事ルールに定める労働契約法の規定については、労働契約に関する全ての労働者に適用されるべきである。一部の者に限って特例を講ずることは慎重であるべきこと。

 2点目として、仮に特例を講ずる場合、対象者等は無期転換ルールの趣旨、本旨に反しない形に限定されるべきであること。

 3点目としまして、労働契約法は、労働者と使用者の権利義務関係を規律する法律であることから、特例の適用に当たっては、行政庁が関与する仕組みとすることには慎重であるべきことなどを一貫して主張してまいりました。

 その上で、国家戦略特区法附則第2条において、労働政策審議会で無期転換ルールの特例を検討するよう要請されていたことにも鑑みまして、今回に限っては特例を議論すること自体はやむを得ないという捉え方をいたしまして、特別部会において議論を行った結果、建議を取りまとめるに至っております。

 ただし、先に述べましたとおり、労働契約に関する基本的な民事ルールを定める労働契約法の規定については、労働契約関係に当たる全ての労働者に適用されるべきであり、特例を設ける議論は今回限りとするべきであることを改めて強く主張しておきたいと思います。

 その上で、無期転換ルールの円滑な施行については、無期転換申込権の発生直前の雇止めが生じないよう、実効性があるものとする取り組みが重要であると考えております。

 その裏づけとなる予算措置も当然不可欠でありまして、建議では厚生労働行政において、1つとして、無期転換ルールや雇止め法理について周知を図るとともに、効果的な周知方法を検討すること。

 2点目として、企業における無期転換の取り組みの好事例等や、無期転換を進める際の留意点等をまとめて、周知に活用すること。

 3点目としまして、非正規労働者の企業内でのキャリアアップ等を促進するため、正規雇用または無期転換、人材育成などの取り組みを行う事業者を支援する助成金の活用を進めることなどが明記されております。

 最後になりましたが、これらの取り組みにつきまして、平成26年度の予算案にどのように反映されているか確認をいたしたいと思います。


○川本委員 

2点申し上げたいと思います。

 まず資料2の32ページ、5のところで、テレワークの普及・推進が取り上げられています。テレワーク自体は、仕事と子育ての両立を図る観点から、重要度が高まりつつあることは十分理解しているところでございます。

 今回、その重要性に鑑みまして、前年のおよそ10倍の額の予算措置がなされていますけれども、ここで問題なのは、その大部分が労災勘定から支出されている点であろうと思います。

 確かに、在宅での就業ゆえに、健康管理に関係がないと言うつもりはございませんが、テレワークの予算の大半を労災勘定が負担しているということには違和感があるということを申し上げておきたいと思います。本来、労災保険制度は業務上災害に遭われた方への保険給付、社会復帰を促進するためのものでございます。その原点に立ち返って、特別勘定の支出に当たっては慎重に検討いただきたいと思っているところでございます。

 次に、安全衛生について意見を申し上げておきたいと思います。

 労働安全衛生法は、昨年の安全衛生分科会の建議をもとに、法律案が整えられて国会に上程されたところでございます。

 安全衛生は企業活動の根幹をなす部分でありまして、環境の変化等に伴って法的対応が必要となるということは理解しているところでございます。

 ただ、法の執行に当たりましては、企業を一律に捉えるのではなく、それぞれの現場の状況を十分把握した上で、柔軟性のある対応をお願いしたいということを申し上げておきたいと思います。

 

○樋口会長 

労働時間関係と有期関係、さらには今のテレワークで御質問を受けましたが、それに関連しましてございますか。


○畠山委員 

テレワークに関しましては、資料の32ページには、適正な労働条件下でのテレワークの普及・促進をさせると記載があります。昨年12月に高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部で決定されました「IT利活用の裾野拡大のための規制制度改革集中アクションプラン」の中にある「各項目における対処方針<テーマ3>」の中には、「労働者が希望する場合に所定労働時間内の深夜労働の割増の柔軟化」であるとか、「遠隔雇用をする場合の最低賃金基準の見直し」といったことが入っております。

 また、女性の就業継続のためのテレワーク導入の促進が言われていますが、「テレワーク」そのものの区分も多くありまして、その実態分析については不十分ではないかと考えております。

 テレワークの予算が実態把握、検証といったものに使われる予定であるのかどうかという御質問と、労働者の意見も十分聴取していただきたい、慎重な上にも検討を踏まえた予算の執行をお願いしたいと考えております。

 

○樋口会長 

それでは、事務局から回答をお願いしたいと思います。

 

○熊谷政策統括官(労働担当) 

私からは、神津委員からお話のございました現在のいろいろな政府の会議で労働政策が議論されていることに関する御意見について、申し上げたいと思います。

 委員からもお話がございましたように、現在、政府におきましては、産業競争力会議を初めといたしまして規制改革会議など、幾つかのところで議論がされているわけでございますけれども、それぞれの会議の設置目的に従いまして、さまざまな専門家、有識者に参集いただいて、広く御議論がなされているものと受けとめておるというところでございます。

 委員からもお話がございましたように、改めて申し上げるまでもないわけでございますけれども、雇用労働政策につきましては、ILOの三者構成原則の趣旨を十分に踏まえまして、当事者であります労使の参画を得て、十分に議論を尽くしていくということが極めて重要であると認識をいたしております。

 今後とも労働法制の見直しなど、雇用労働政策に関する重要事項につきましては、公労使三者で構成されております本審議会の各分科会等の場におきまして、しっかり御議論をいただいた上で対応をしてまいりたいと考えております。

 

○大西審議官(労働条件政策担当) 

それでは、労働基準局でございます。

 まず、労働時間法制につきましては、産業競争力会議の御議論あるいは規制改革会議の御議論を含めまして、いろいろ御意見を頂戴したところでございます。

 そうした中で、この労働時間の規制を外す論点につきまして御意見をいただきましたし、また、割増賃金の中小企業の猶予について、どのようにするかというようなことにつきましても御意見をいただいたところでございます。そのほか、インターバル規制あるいは量的上限規制の話などについても、御意見を頂戴したところでございます。

 現在、労働条件分科会におきまして、企画裁量労働制の見直しを初めとする労働時間法制についても、総合的な御議論をいただいているところでございます。産業競争力を向上させるとか、事業活動の柔軟性の確保とか、あるいは労働者の健康の確保でありますとか、ワークライフバランスといった観点があると思いますので、そういったところを踏まえながら検討していく必要があると考えておりますし、今後とも、労働条件分科会において、引き続き御議論を頂戴できればと考えているところでございます。

 また、そのほか、労働時間に関係いたしましては、いわゆる監督指導の強化について御意見をいただきました。労働基準監督官の増員につきましてでございますが、非常に行財政事情が厳しい中、当局の御理解をいただきまして、若干なりとも増員が実現しているところでございますので、今後とも引き続き、そういったことにつきまして努力してまいりたいと考えているところでございます。

 また、有期労働法制についても御議論をいただきました。法案の成立につきましては、私どもといたしましても、早期成立を国会にお願いしていきたいと考えております。また、対象業務や年収要件につきましては、特別部会におきまして、今後、審議会で御議論するとされておりますので、そのような中で御議論を重ねていただきたいと考えているところでございます。

 また、有期労働に関する予算についても確認するとのことで、御意見をいただいたところでございます。

 労働契約法の周知徹底につきましては、私どもといたしましても大変重要なことであると考えております。平成25年度の予算におきましては、無期転換に取り組む企業の好事例の収集を行ったところであり、これらについて、引き続き周知をしていきたいと思いますし、また、26年度の予算案におきましても、改正労働契約法の周知のセミナーという予算を計上しております。こういったものを積極的に活用して、この労働契約法のルールが浸透するように努めてまいりたいと考えています。

 また、非正規雇用労働者のキャリアアップの関係でございますが、これはキャリアアップ助成金というものがあって、無期転換や正社員化の支援を行っているところでございます。平成25年度補正予算で、まずは制度要求をいたしまして、平成26年度の予算でも必要な予算額を計上しているところでございますので、こちらにつきましても積極的に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

 テレワークにつきまして、社会復帰促進事業で実施している理由ということでございますが、これにつきましては、私どもといたしましては、例えば終日在宅でテレワークをした場合に、通勤災害の減少が図られる。あるいはテレワークというものがワークライフバランスに資することもあり、過重労働による健康障害の防止が図られるというような観点から、社会復帰促進事業にかなう事業ではないのかなと考えているところでございます。

 また、テレワークに関しまして、過重労働、長時間労働になりやすいという御指摘もございました。これはアンケート調査の中でもそういうような回答されている方も多いと考えているところでございますが、テレワークにつきましては、仕事と生活の調和についての観点から推進をするというのが求められているところでございますので、やはりそういった適正な労働状況のもとでテレワークを推進するというのが考え方の基本だろうと思います。

 そうしたことで、委員の御指摘にあったテレワークについて、深夜割賃の問題でありますとか、最低賃金の適用の問題とか、そういった御議論があることは、私ども承知しているところでございますけれども、この実証実験におきましては、何か予断を持って実験をするということではなくて、このモデル実証事業の中では、本当にどういうことが普及の阻害要因になっているのかということを、労働者の保護というかワークライフバランスの観点に立って取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

 また、安全衛生法に関する御意見もございました。これにつきましては、省令の内容等につきましては、安全衛生分科会で御議論いただくというようなことで、労使の皆様と十分相談させていただきたいと考えております。また、現場の状況をということでございますが、例えばストレスチェックの制度につきまして、既に審議会等でも意見を頂戴しているところでございますが、先進的に取り組んでいる企業の好事例などの現場の状況をよく把握して、企業の実情に応じた効果的な措置が可能になるように配慮していきたいと考えているところでございます。

 

○岡崎職業安定局長 

神津委員から派遣法の関係で御指摘がありました。これにつきましては、御承知のように、需給部会で労使それぞれ御意見がある中で、それぞれ3点ずつの御意見つきでありますが、建議をまとめていただきました。それに基づきまして、法案要綱を諮問いたしまして、これもおおむね妥当ということで出させていただいたものでございます。

 その中で、臨時的・一時的の話は法案に反映されてないではないかというお話も法案要綱の審議の中でもありましたけれども、考え方自体は建議で明記されているということでありますし、提案の理由説明等々、これからでありますが、そういうことを含めまして、そういう考え方はしっかりと示していきたいと思っています。

 期間制限、均等待遇等々それぞれ御意見がある中でああいう形でまとめていただいた法案でございます。今後、国会での審議もありますので、そういう中で考え方をお示ししながら、御理解をいただけるようにしていきたいと考えています。

 

○樋口会長 

それでは、引き続きお願いしたいと思います。時間も大分過ぎておりますので、手短かにお願いしたいと思います。


○南部委員 

私からは女性の活躍促進について意見を述べさせていただきたいと思っております。

 女性の就業継続と活躍促進のために、男性の育児休業の促進が重要だと考えております。そこで、資料の2の31ページにございますイクメンプロジェクトの拡充等により、男性の育休取得促進のための環境整備ということでございますが、具体的な内容をまずはお聞かせいただきたいと考えております。

 また、ポジティブ・アクションの推進につきましても、この間、両立支援助成金の上乗せとしまして、ポジティブ・アクション加算があったと考えておりますが、この加算の利用状況について、まずはお聞かせいただきたいと考えております。

 あわせまして、今回、ポジティブ・アクションに取り組む企業を支援するための助成措置の創造ということで新たな助成金が創設されておりますが、先ほどのポジティブ・アクション加算に加えての創設なのかということの確認をしたいと考えております。

 加えまして、先ほども少しお話がございましたように、産業競争力会議におきまして、今年1月20日に取りまとめられました「成長戦略進化のための今後の検討方針」の中で、女性の活躍促進に関しまして「ベビーシッターやハウスキーパー等の家事・育児支援サービス」について、「人材供給の拡大のための方策等について検討する」ということがございました。あわせまして、同じ方針の中に、「外国人の受入環境の整備・技能実習制度の見直し」もあわせて書かれておりました。これについて、現在、議論が進んでいるとは思うのですけれども、先ほどもございましたように、三者構成であります会議の尊重をあわせてお願いしたいことと、当事者の意見をしっかりと踏まえた上での議論の進捗をしていただきたいと考えておりますので、これは要請でございますが、現時点でお答いただけることがございましたら、あわせてお願いしたいと思います。

 

○逢見委員 

私からは2点申し上げたいと思います。

 1つは、この資料2の28ページに、ハローワークの求人情報の開放というのが出ておりますし、33ページには、若者の使い捨てが疑われる企業への対応というのがございますが、これらに関連して、いわゆるブラック企業問題というのがございまして、この中で、求人票に記載されていた賃金や就業時間が実際の労働時間と異なっているというトラブルが相次いで出てきております。連合でも電話による労働相談をやっておりますが、そこでも求人票で示された労働条件と実際の労働条件が異なるという相談が出ております。また、労働局への苦情等でもそういうものが来ていると聞いております。

 ハローワークへ行くと、労働契約の問題なのでハローワークではこうした問題はなかなか取り上げられない。一方で、労働基準監督署に行くと、求人票はハローワークの問題だということで、厚生労働省内でもたらい回しのところがあるのではないのかと思います。

 特に問題なのは固定残業代、あるいは雇用形態、それから、試用期間といったことが求人票の中できちんと記載されていないということがあって、そうなると、ハローワークがこれをもとにして民間に情報提供するといった場合に、それがきちんとやはり信用される求人票でないといけないわけですが、今、起こっているような問題について放置したままで求人情報を外部に公表しても問題がさらに広まるということになりかねない。そういう意味で、トラブルが多発しないような改善、これは制度面、運用面含めてそういった検討をお願いしたいと思います。

 もう一点は、産業競争力会議等で、今、議論されている外国人労働者の受け入れ拡大という問題でございます。

 1月20日に、産業競争力会議で、成長戦略進化のための今後の検討方針が取りまとめられておりますが、ここでは、労働人口の減少を踏まえて、外国人労働者の活用のあり方について国民的議論を進める、あるいは技能実習制度を活用した介護分野等の外国人材の受け入れが言われておりますし、また、建設分野での人手不足解消のための外国人労働者の導入とか、あるいはベビーシッターとか、家事使用人とか、そういった分野でも外国人を入れてはどうかという議論があると聞いております。

 こうした外国人労働者を受け入れるというのは、目先の問題ではなくて、やはり我が国の労働市場のあり方を、あるいは労働市場のみならず、社会、国民生活への影響、こういったものも見据えながら検討していかなければいけないということだと思いますが、まずは、厚生労働省がこうした、今、いろいろな政府部内で検討されている外国人労働力受け入れ問題について、どのように考えているのかということと、それから、産業競争力会議などでまとめたものを見ると、高度人材のみならず、単純労働者の受け入れをも持続的な成長達成のためだったらやむを得ないというような感覚で議論されているような感じがいたしますが、果たして、単純労働者の受け入れを認めるべきなのかどうか。これは大変大きな問題だと思います。そうしたところについて、まさに短期的視点や過不足感だけで議論するのではなくて、やはり処遇の改善、そして、中長期的な労働市場のあり方ということをきちんと見据えた議論をすべきだということを申し上げておきたいと思います。

 

○吉川委員 

お願い事項として発言させていただきたく思います。

 今、私ども中小企業が求人を出しても、中小企業のところには、なかなか求めているような方からは応募がなく、人材を補充できないという現状があります。一方で、生活保護の受給者が大変多くなっております。なかには、受給するためにむしろ積極的に仕事に就こうとしないというような現状にあるとのお話も聞いております。この点については自治体との関係があって、厚生労働省だけの問題ではないかと思いますが、35ページの重層的なセーフティネットの構築のところにもございますように、もう少し生活保護受給者の人たちに積極的に働いていただけるよう、求人企業とのマッチングを推進していただきたいと存じます。

 もう一点は、ベビーシッターとかハウスキーパーの方々についてです。最近、ネットを通じて子供を預けた結果、子供が亡くなったという、余りにも私たちにとっては衝撃的な事件が起きましたが、そのあたりの認可というのはどうなっているのでしょうか。ベビーシッターの仕事は、自分がやりたいと思えば、勝手にネット上に出してできるものなのでしょうか。そのあたりの仕組みは、きちんと許可制にしていかないと、今回のような事件がまた起きないないとは限らないと思いますので、そのあたりのことも御考慮いただけたらと思いまして、希望として発言させていただきました。

 

○樋口会長 

それでは、事務局から回答をお願いいたします。


○岡崎職業安定局長 

1つは求人情報の関係でございますが、これにつきましては、求人票そのものが正確でなければいけないというのはおっしゃるとおりであります。ハローワークにおきましても、どのぐらいそういう苦情があるかといいますと、7,000件ぐらい苦情が年間であったという状況でございます。中には、求人票そのものに問題があった場合もあれば、やや求職者の方の思いと違うというような場合もあるというふうには理解しておりますが、やはり問題のある求人票もあるということは真摯に受けとめなければいけないと思っています。

 そういう状況も明らかになりましたので、1つはハローワークの求人受付部門におきまして、もう一回、チェックのやり方につきまして、再度指示をしたとともに、やはりそういう問題を顕在化させていくことが重要だろうと思っておりますので、実は来週からでありますが、ハローワーク求人ホットラインということで、専用の番号を設けまして、そこで、そういう苦情や不満のある求職者の方からの問題を集約するという形にして、それを踏まえて、さらに対応していきたいと考えているということであります。

 生活保護受給者の話でありますが、これにつきましては、厚生労働省全体としまして、やはり働けるのに生活保護を受給されている方については、何とか働いていただくというのは重要だろうと思っております。昨年、生活困窮者の自立支援法の法律も通りまして、これから施行でありますが、そういう中で、自治体におきましても、働ける方々につきましてはそういう方向に持っていくということ、それから、ハローワークにおきましても、これに協力してやっていくことは重要だろうと思っています。

 現在、生活保護受給者等の就職支援ということで、約2,000名の相談員を配置しております。自治体とも協力しまして、市役所等の中にも常設の窓口を設けたり、あるいは自治体のほうである程度、就職意欲を喚起した方について、ハローワークに自治体の相談員の方に連れてきていただく、そういういろいろな形の中で就職に向けた取り組みをしております。

 中小企業の求人になかなか応募がないということにつきましては、ハローワークにおきましても、応募が少ない企業につきましては、なぜその応募がないかということをある程度分析をしてお話をすると、やはり条件とか、いろいろなところで、地域の中でやや処遇がどうかというようなこともありますし、あるいは求職者へのアピールの仕方みたいなことで変わることもあります。そういった求人者向けのアドバイスもしっかりやるようにという指示もしておりますので、そういったことを含めて対応していきたいと考えております。

 逢見委員、南部委員から、外国人のお話がございました。これにつきましては、厚生労働省としましては、高度の技術、専門家につきましては積極的に受け入れるべきだろうということ、単純な作業に従事される方につきましては、労働市場への影響等も含め、総合的に判断していく必要があるということでございます。

 現在、産業競争力会議等々いろいろな場で外国人の問題が取り上げられているのは事実でありますが、1月の段階の整理を踏まえまして、6月に向けて、これから議論が進められていくという状況であります。東京オリンピックに向けた建設労働者の不足問題等々、いろいろなところで議論されておりますが、厚生労働省としましては、安易に外国人に頼るということではなくて、1つはやはりそれぞれの分野で、日本人の処遇を含めて日本人が働きたくなるような職場環境をどうやって整えていくかといったことをまずやっていくべきであり、その上で、どうするかということを考えるべきだということであります。

 東京オリンピックの閣僚会議の中でも、厚生労働大臣からは、やはり全体として、アベノミクスで賃金を引き上げの方向になっているのに水を差すような入れ方はまずいというようなこと等申し上げておりますが、そういった考え方のもとで、政府部内での議論に対応していきたいと考えております。

 

○成田雇用均等政策課長 

雇用均等政策課の成田と申します。局長が所用のため退席いたしましたので、私から南部委員の御指摘について、御回答させていただきたいと思います。

 男性の育児休業の取得促進や、男女ともに働き方の見直しをすることは非常に重要な課題であると思っておりまして、これにつきましては、雇用均等法分科会の次世代法のご議論の中でもございましたし、建議にも盛り込んでいただいていると理解をしております。

 来年度でございますけれども、男性の育児休業取得促進ということで、パパ・ママ育休プラスなども含めまして、育児・介護休業法の周知徹底、イクメンプロジェクトといたしまして、従来から、例えば、イクメン宣言やイクメンサポーター宣言の募集などをやっておりますけれども、今年度はフェイスブックとの連携を行ったり、男性の育児参加を積極的に促進しつつ、業務改善を図る企業を表彰する「イクメン企業アワード」を創設したところでございます。

 来年度は、この「イクメン企業アワード」の本格実施、アワード受賞企業の取り組み事例をまとめた事例集の作成、企業の人事労務担当者を対象としたセミナーの実施やイクメンの星による大学出前講座の開催などを予定しております。

 ポジティブ・アクションの関係でございますけれども、委員御指摘のとおり、本年度から、ポジティブ・アクションに取り組む企業に対する中小企業両立支援助成金の上乗せ制度を実施させていただいております。

 この助成金につきましては、支給申請期間が、今年度は2月1日から3月末日となっており、まだ全体的な集計ができていないということを御理解いただければと思います。

 また、来年度につきましては、新しく助成金を創設させていただきたいと考えておりまして、この「ポジティブ・アクション能力アップ助成金」は、事業主が女性の職域拡大や管理職登用等について目標を設定し、厚生労働省の「情報ポータルサイト」にそれを公表していただいて、その上で一定の研修プログラムを実施し、目標を達成していただいた事業主に対して支給することを考えております。


○樋口会長 

よろしいですか。ほかにいかがでしょう。

 

○畠山委員 

パートタイム労働の均等・均衡待遇の確保の推進に関しまして、確認をさせていただきます。今回の予算案には、パートタイム労働者の均等・均衡待遇に積極的な企業の表彰制度の創設といったことが入ってきておりますけれども、この制度がどういった制度なのかということを教えていただきたいということと、今回、パートタイム労働法改正法案が国会に提出されておりますけれども、法律改正とこの表彰制度がどのようにリンクしていくのかということを、法案の状況も含めまして、表彰制度の立ち上げの見通しなどについてお伺いしたいと思います。

 

○成田雇用均等政策課長 

パートタイム労働者の均等・均衡待遇の取組推進に向けた社会的気運の醸成を図るため、パートタイム労働者の雇用管理改善に積極的に取り組んでいる企業を表彰する制度を創設することとしております。この制度は、既にある「均等・両立推進企業表彰」などを参考として、26年度に表彰基準を策定し、公募を行って、27年度から表彰を実施する予定でございます。

 一方、パートタイム労働法改正案につきましては、2月14日に国会に提出して、3月14日に、衆議院厚生労働委員会で提案理由説明を行ったところでございまして、今後、審議が行われる見込みであると理解しております。

 この改正法案が成立した場合には、改正法の円滑な施行とあわせて、表彰制度を活用し、パートタイム労働者の均等・均衡待遇の取組を推進していきたいと考えております。


○樋口会長 

ほかになければ、次の議題に移りたいと思います。

 議題2「雇用政策研究会報告について」事務局から説明をお願いします。

 

○岡崎職業安定事務局長 

それでは、資料3をごらんいただきたいと思います。

 雇用政策研究会は樋口会長が座長を務めていただきましたが、今後5年間どういう雇用施策を進めていくかということについて、まとめていただいたものでございます。

 1ページの一番上にありますように、全体としましては「仕事を通じた一人ひとりの成長と社会全体の成長の好循環」という考え方を提示しています。

 そのうえで、次のところにありますように、この実現のために、1つは社会全体で人材の最適配置、最大活用を図っていく、もう一つは、意識をもって「全員参加の社会」を実現していく、こういう2つの考え方を示していただきました。

 そのうえで、下にありますように、労働市場のインフラの戦略的強化を図っていくべきであろうとされております。ここにつきましては、次のページに外部労働市場と内部労働市場の関係が整理してありますが、先ほども御議論がありましたけれども、雇用維持か労働移動かということにつきましては、ここは内部労働市場、外部労働市場それぞれに課題と役割があるということでありまして、下にありますように、その両方のベストミックスを図っていく、各企業がその戦略に基づいてベストミックスを図っていく、こういう考え方で整理されております。

 1ページに戻っていただきまして、それを前提としまして、そうは言っても外部労働市場も機能させるようにするためには、能力開発、能力評価制度をきちっと整備していくということと、マッチング機能、これはハローワークのみならず、民間人材ビジネスを含めて、全体としてのマッチング機能を最大化していくという考え方で整理していただいています。

 それから、3にありますように、労働移動を実現していくためにも、先ほど、これも御議論がありましたけれども、良質な雇用機会の創出は非常に重要だということでありますので、産業政策の中で雇用ということを意識したような形で進めていく必要があるということ、製造業就業者数は減っておりますが、やはり製造業そのものは、日本の将来でも強みである、これは成長の軸として育成していくことが重要であるということ、サービス業、介護、あるいは建設等労働集約型の産業につきまして、人手不足の問題もありますが、そこについては業所管省庁、あるいはその業界自身におきましても魅力ある職場づくり、やはり若い方々がその産業で働きたいというような職場づくりが必要だということを御指摘いただいています。

 右側の4にありますように、そういう中では企業におきます雇用管理のあり方も非常に重要だし、その中で、企業内での労使コミュニケーションの活性化も必要だ、こういうような考え方をお示しいただいています。

 それとともに、全員参加ということにつきましては、下の5にありますが、1つは、多様な働き方ということを実現していくということと、正社員がいつでも残業するという考え方については変えていく必要があるだろうということを言っていただいています。それとともに、その下にありますが、若者、高齢者、女性、男性、障害者、その他、生活保護を受給されている方々、あるいは外国人等々、それぞれに応じて必要な対策を講じていくというようなことでありまして、具体的なそれぞれごとにつきましては、7ページにそれぞれ書いてございますが、時間の関係で一つ一つコメントすることは避けさせていただきたいと思っております。

 最後に、8ページですが、毎回、雇用政策研究会では、労働力需給のシミュレーションをいたしております。今回は2012年を基準としまして、2020年と2030年のシミュレーション結果を出しております。

 それぞれ経済成長、労働参加が進まないケースと進むケース、2つ示してあります。

2020年で見ていただきますと、政策がうまくいけば、労働者数につきましては、現在とほぼ変わらない、若干ふえるということでありますが、ここがうまくいかない場合には300万人強の減になるということであります。

2030年になりますと、これは人口構造の変化もありますので、政策がうまくいっても160万人ぐらいの減ということでございますが、うまくいかないと800万人以上の減が見込まれるということであります。

 したがいまして、それぞれ右側にあるような形で物事が進むように対策を講じていく必要があるということだと考えているということであります。

 報告書そのものにつきましては、既に委員の皆様方のお手元にお届けしてありますので、きょうはこの概要で御説明させていただきました。

 

○樋口会長 

ありがとうございました。

 ただいまの説明につきまして、御質問、御意見ございますでしょうか。

 よろしければ、議題3に移ります。「分科会及び部会等における審議状況」及び議題4、これもあわせまして「法案の国会審議状況について」事務局から説明をお願いいたします。

 

○大西審議官(労働条件政策担当)

 まず資料4-1に基づきまして、労働基準局所管の分科会等の審議状況について、御説明をさせていただきます。

 まず、安全衛生分科会における労働安全衛生法改正法案の御審議の関係でございます。

 安全衛生法の改正案につきましては、安全衛生分科会におきまして、平成25年6月から26年2月にかけまして御検討いただきました。その結果、資料4-1の3ページの概要にありますとおり、この6点につきまして取りまとめをいただきまして、2月4日に法案要綱の答申をいただいたところでございます。

 その後でございますけれども、3月11日に閣議決定されるまでの間に、答申とは異なる内容で若干の法案修正をしたわけでございますので、その経緯について御説明をさせていただきたいと思います。

 2月4日の答申をいただきました後、与党内でさまざまな議論が行われたわけでございます。その中で特にストレスチェックの制度につきましては、5点ほど御意見をいただいたわけでございます。1つは、産業医の選任義務はないなど、体制が整備されていない小規模事業所にストレスチェックの実施を義務づけた場合に適切に実施されないのではないかという懸念。あるいはストレスチェックは医師や保健師以外の専門職であっても実施可能ではないかという御意見。あるいは医師や保健師の中には必ずしも精神保健の分野に明るくない方々にも資質の向上が必要であるという御意見。あるいはストレスチェックを受けた労働者の方が、事業主に面接指導を申し出る以外に相談体制が必要ではないかという御意見。あるいはストレスチェックを受けたくないという労働者にまで受診を義務づける必要が本当にあるのだろうか、そういうような以上の御意見があったところでございます。

 厚生労働省といたしましても、2月4日に審議会で御答申いただいて、厚労省も3者で議論を重ねた、そういった合意であるということにつきまして十分認識しておるわけではございますが、今、申し上げたような意見を踏まえまして、具体的には資料の4ページにございますように、法案を修正いたしました。

 具体的には、小規模事業所における実施体制につきまして、産業医の選任の義務のない50人未満の事業所につきましては努力義務とする、これは附則に規定を置いたわけでございます。また、ストレスチェックの実施者につきましては、医師、保健師だけでなく、厚生労働省で定める者を加えるという条文修正を行いまして、省令で定める者につきましては一定の研修を受けた看護師、精神保健福祉士を含めるという内容でございます。

 続きましては、産業医への研修あるいは労働者への相談でございますが、国として、ストレスチェックを行う人に対して、精神保健に関する研修の充実・強化に努める旨の条文を加えました。また、ストレスチェックを受けた労働者に対し、企業内外の相談・情報提供の整備に努めるといった条文も追加いたしました。さらに、労働者に対してストレスチェックの受診を義務づける条文につきましては削除いたしました。

 こういった修正をさせていただきまして、3月11日に閣議決定され、13日に国会に提出されたということでございます。

 以上のような経緯でございますが、私どもといたしましては、今後とも、この労働政策審議会の答申については十分尊重させていただく、そういった考えでございますので何とぞ御理解のほど、よろしくお願いいたします。

 そのほかの事項、2番目でございますけれども、専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法案につきましては、資料の5ページでございます。

 労働条件分科会と職業安定部会の合同の特別部会で御審議をいただいたところでございます。

 御議論を踏まえまして、高度専門職と定年後に引き続いて雇用される高齢者の労働契約法の無期転換ルールの特例につきまして、特別措置法案を3月7日に国会に提出したところでございます。

 続きまして、資料の6ページでございますが、労働時間法制の見直しでございます。

 これにつきましては、先ほど来、御意見を頂戴しているところでございますが、労働時間法制につきまして、総合的な検討を現在、労働条件分科会で御審議いただいているところでございます。

 資料7ページにつきましては、行政不服審査法の改正に伴う所要の改正につきまして、労災保険部会で御審議いただきました。

 また、資料8ページと9ページにつきましては、労働条件分科会、安全衛生分科会において、2013年度の労働政策の実施にかかる中間評価を行っていただいたところでございますので、今後、意見を踏まえて内容が確定次第、公表する予定でございます。


○岡崎職業安定局長 

それでは、安定局でありますが、資料の4-2をごらんいただきたいと思います。

 法律関係が2つあります。雇用保険制度の改正、これは先ほど来御議論がありますが、育児休業給付の拡充、教育訓練給付の拡充等の関係であります。

 昨年5月以来、雇用保険部会で御議論いただきまして、12月に部会報告をまとめていただきました。これを踏まえまして、法律案要綱についてはおおむね妥当という結論をいただきまして、法案を国会に提出しております。国会におきましては、昨日衆議院の本会議で可決され、今、参議院に送られているという状況でございます。

 労働者派遣制度につきまして、これも既に御意見ありましたけれども、そこにありますように、期間制限のあり方等の見直しということで、昨年8月以来、労働力需給調整部会で御議論いただきまして、1月29日に報告はまとまっております。これが分科会でも受け入れられまして、建議という形でまとめていただいております。それを踏まえた法案要綱を諮問いたしまして、分科会におきましておおむね妥当ということで、現在、国会に法案を提出しているという状況でございます。

 次のページ、雇用政策基本方針、これは中期的な雇用施策の方向性を示すものでありますが、先ほど御説明しました雇用政策研究会報告をもとにしまして案を作成して、分科会で御議論いただきまして、一部修正をした上で、4月1日で告示をする予定でございます。

 障害者の関係につきましては、障害者雇用対策基本方針を障害者雇用促進法に基づきまして策定することになっております。26年度から29年度の4年間の方針につきまして、障害者雇用分科会で御議論いただきまして、妥当ということで答申がなされているということでございます。

 そのほか、中間評価等を行っておりますし、その他にありますような幾つかの助成金の見直し、補正予算関連等につきましては、そこにある形で既に3月1日に施行しているということであります。

 有期雇用労働者の特例につきましては、基準局から説明があったとおりでありますが、合同部会ということでありますので、安定分科会もかかわっているということでございます。

 

○杉浦職業能力開発局長 

資料の4-3でございます。能開分科会は4つの項目について、御審議をいただきました。

 1つ目の雇用保険制度、中長期的なキャリア形成を支援するための措置につきましては、今、安定局から話がありました部分と並行しまして、対象となる訓練の内容について御審議をいただいたところでございまして、1227日に分科会の報告書をいただいたところでございます。雇用保険法の改正内容にその辺が盛り込まれて、今後、また指定基準を定めていきたいと思っております。

 2番目の求職者支援制度の見直しでございますけれども、これも雇用保険部会と並行しまして、制度が2310月の施行から2年以上経過して実績が蓄積されたこと。求職者支援法附則の施行後3年の見直しという規定がございますので、内容についての見直しの検討をいただきました。この際、訓練の質、量の確保の観点から、多面的な要素も加味しながら、コースの質を評価するということとか、安定した就職を実現する観点から、雇用保険の適用される就職で制度の評価を行うことが重要だというような意見をいただきまして、これも1227日に分科会の報告書をいただいたところでございます。

 3点目は、ポリテクセンター・ポリテクカレッジの都道府県への譲渡の状況ということでございます。これは、今年度末の移管期限に向けて、今後のポリテクセンター・ポリテクカレッジのあり方について、論点をもとに議論を行っていただきました。

 内容としましては、引き続き国、高障求機構が運営をする。高障求機構の地方組織一元化や施設のあり方について、不断の見直しを実施する。都道府県と連携強化できるよう新たな仕組みを創設するといったような内容で報告を取りまとめていただきました。本年2月21日に、厚生労働省からこの趣旨の今後の方針を公表させていただいたところでございます。

 最後、4点目は、キャリア形成促進助成金とキャリアアップ助成金の拡充でございます。

 2月26日に、雇用保険法の施行規則改正要綱について、諮問・答申が行われました。キャリア形成促進助成金については、団体等の実施型の訓練、育休中や復職後等の能力向上型の訓練ということをメニューの中に盛り込むとともに、成長分野等人材育成型の訓練ですとか、グローバル人材育成型の訓練について、助成対象を大企業に拡充をする。グローバル人材育成型の訓練の対象に海外訓練を追加するという内容でございます。キャリアアップ助成金の人材育成型の訓練について、経費助成額を引き上げるといったような内容でございます。

 

○成田雇用均等政策課長 

それでは、資料4-4の雇用均等分科会関係でございます。

 最初のページでございますけれども、まず、男女雇用機会均等法施行規則の改正等についてでございます。

 これは、平成18年の均等法改正法附則の検討規定に基づきまして、平成2410月から11回にわたりまして雇用均等分科会で御議論いただき、昨年9月に報告書を取りまとめていただいております。この報告を踏まえまして、均等法施行規則の一部改正省令案要綱等を11月に諮問させていただきまして、12月におおむね妥当という答申をいただきましたので、1224日付けで関係の省令改正等を行ったところでございます。

 内容は、資料1にございますけれども、間接差別となりうる措置の範囲の見直し、セクシュアルハラスメントの予防、事後対応の徹底のためのセクハラ指針の見直し、コース別雇用管理についての指針の制定等となっております。

 施行は7月1日でございますので、施行に向けまして、法の確実な履行確保について、周知徹底に取り組んでいきたいと考えております。

 2つ目が、次世代育成支援対策推進法の改正の関係でございます。

 次世代育成支援対策推進法につきましては、平成26年度末までの時限法でございますので、昨年10月から、雇用均等分科会において、同法の延長・強化について御議論をいただいたところでございます。

 資料2になりますけれども、1210日に、この法律の10年間の延長、新たな認定制度の創設などを内容とする検討結果を取りまとめて、建議をいただいたところでございます。

 本年1月23日に、同法案要綱について答申をいただいたことから、改正法案を今通常国会に提出したところでございます。法案の早期成立に向けて努力していきたいと考えております。

 3つ目がパートタイム労働法の改正の関係でございます。

 これにつきましては、平成19年のパートタイム労働法改正法附則に置かれた施行3年後の見直しに向けた検討規定に基づきまして、平成23年9月から検討をいただきまして、24年6月21日に建議を行っていただきました。本年1月23日に、同法案要綱について答申をいただいたことから、パートタイム労働者の均等・均衡待遇の確保や雇用の管理の改善等さらなる充実を内容とする改正法案を今通常国会に提出したところでございます。これらの内容は資料3になります。これにつきましても、早期成立に向けて努力をしていきたいと考えております。

 4点目が、事業所内保育施設設置・運営等支援助成金の支給要領の改正の関係でございます。

 これにつきましては、昨年4月の「待機児童解消加速化プラン」や、昨年6月の「日本再興戦略」を踏まえまして、12月5日に閣議決定されました「好循環実現のための経済対策」の一環として、前倒しをして実施するということで、内容は資料4でございますけれども、昨年1220日の雇用均等分科会に御報告をいたしまして、支給要領を改正いたしまして、一部支給要件の緩和を行ったところでございます。

 

○樋口会長 

それでは、最後に資料5について、藤澤参事官からお願いします。

 

○藤澤労働政策担当参事官 

 第186回通常国会における法案審議状況についてでございますが、これまで御説明申し上げましたように、労政審、各分科会等での審議を経まして、関係の法律案を国会に提出をしてございます。1番目の雇用保険法の一部を改正する法律案から6番目の労働安全衛生法の一部を改正する法律案まで、それぞれ全て今通常国会に提出をし、現在、いずれも国会で審議が行われているところでございます。

 議題3と議題4につきまして、事務局からの説明は以上でございます。

 

○樋口会長 

以上の説明につきまして、御意見、御質問がございましたら、お願いいたします。


○山浦委員 

今、報告がございました労働安全衛生法改正法案、とりわけストレスチェックの修正について、発言をさせていただきたいと思います。

 修正前のこの改正法案に盛り込まれた内容については、ILOの三者構成原則に基づいて、この労働政策審議会において議論を重ねた末に取りまとめられた建議、及び建議に基づいて作成されて答申を行った法律案要綱に基づくものであると認識をしています。本来であれば、法律案要綱に即した改正法案を国会に提出し、国会審議において議論を深めるべきであるにもかかわらず、法案内容の重要な部分がこの労働政策審議会の答申後に修正されたということは、労働政策審議会の軽視あるいは形骸化につながりかねない問題であると考えております。

 2月4日の安全衛生分科会でおおむね妥当と答申した法律案要綱には、全ての事業主に対し、ストレスチェックの実施を義務づけるとともに、全ての労働者に対してストレスチェックの受診を義務づけることなどが盛り込まれていたわけでございますが、これらの内容については、この分科会でメンタルヘルス対策が特に遅れている中小企業での取り組み強化を重点に論点として議論し、今、申し上げました建議の取りまとめに至ったという経過がございます。今回の修正によって、従業員50人未満の事業所についてはストレスチェックの実施が努力義務とされて、労働者の受診義務の規定が削除されたことは、建議の趣旨と異なる内容のものであり、中身についても後退をしていると言わざるを得ないと思います。

 しかしながら、一方で、2011年に提出されたこの安衛法の改正法案については、2012年の衆議院解散によって廃案となった経緯もございます。労働者の命や健康に直結するこの労働安全衛生施策の一層の強化を図るためには、労働安全衛生法改正法案を早期に成立させることも必要でございます。この審議会が答申した内容は尊重されるべきであることを強く申し上げた上で、この改正法案の早期成立を図っていただきたい。このことを要請しておきたいと思います。

 

○樋口会長 

ほかによろしいですか。


○吉川委員 

先ほど、介護・医療のところは資料のご説明がありませんでしたが、恐縮ですけれども、資料2の37ページに安心で質の高い医療・介護サービスの提供という記載があります。大変ありがたいことですが、これをそのまま実行していくと支出が膨大に膨らんでいくものと存じます。国の予算が大変ひっ迫してくるというような推計も、民間でなされております。この点につきまして、抜本的な改革として何らかのお考えがございましたら、お答えいただけたら大変ありがたいと思いますので、よろしくお願いします。

 

○樋口会長 

現時点において、事務局から、お願いします。

 

○大西審議官(労働条件政策担当) 

労働政策審議会の御答申について、山浦委員の御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましても、今後とも十分に尊重してまいりたいと考えておりますので、何とぞ御理解をしていただきたいと思います。

 また、労働安全衛生法の改正法案につきましても、大変重要な内容を含んでおりますので、早期の成立を目指して最大限、国会にお願いしてまいりたいと考えております。

 

○樋口会長 

現時点において、医療、介護について、これは御要望ということでよろしいですか。

 

○吉川委員 

はい。

 

○樋口会長 

 ほかによろしいでしょうか。

 なければ、その他の項目でございますが、その他の項目で何かございますでしょうか。

 よろしければ、本日はこのあたりで閉会させていただきたいと思います。

 最後に、本日の会議に関する議事録につきまして、本審議会の運営規則、運営規定第6条により、会長のほか2人の委員に署名をお願いすることになっております。労働者側代表委員の相原委員、使用者代表委員の坂戸委員に、署名人として御署名いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、本日の会議は以上で終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

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調整第2係 内線(7716)
代表: 03-5253-1111

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