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2014年2月21日 厚生労働省独立行政法人評価委員会地域医療機能推進部会(第1回)

○日時

平成26年2月21日(金) 15:59~17:16


○場所

厚生労働省専用第12会議室(12階)


○出席者

福井部会長、坂井部会長代理、押淵委員、柿崎委員、藤本委員

○議事

(以下、議事録)


○政策評価官

 それでは定刻より若干早いですが、全員おそろいのようですので、ただいまから第1回独立行政法人評価委員会地域医療機能推進部会を開催いたします。委員の皆様におかれましては、大変御多忙の中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。

 当部会は昨年の7月、第33回厚生労働省独立行政法人評価委員会総会におきまして設置された新しい部会です。年金・健康保険福祉施設整理機構を改組して、平成264月に設立される地域医療機能推進機構に係る審議を所掌することとされております。本日は部会設置後第1回目の会合となりますので、後ほど委員の皆様方に部会長を選出いただきますが、それまでの間、政策評価官の私、原口のほうで議事進行を務めさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。

 議事に入る前に、本部会の開催に当たりまして、政策評価審議官の山沖から一言御挨拶をさせていただきます。

 

○政策評価審議官

 政策評価審議官の山沖です。どうぞよろしくお願いいたします。皆様方には、御多忙のところお集まりいただきまして、また、委員、臨時委員に御就任いただきまして誠にありがとうございます。

 この部会自体は、昨年7月に開催された本委員会の総会で設置が決まった新しい部会で、8つ目になります。これまで年金福祉施設等の整理を目的とした年金・健康保険福祉施設整理機構を改組して、地域における医療・介護機能を提供するため、病院や介護老人保健施設等の運営を主な目的とする地域医療機能推進機構として、本年41日に設立されることとなっております。

 このため、従来は施設譲渡の観点から年金部会において審議をしておりましたが、今後は病院等の運営に重点が移ることになりますので当部会を新設し、御審議いただくことにしたところです。本日は当部会における初仕事として、新機構の中期目標・中期計画等の御審議をお願いしたいと思います。

 新機構は、これまで委託先が運営しておりました57病院等を直営し、また、約2万人の職員を抱える法人となります。救急医療、災害時における医療、へき地医療、あるいは周産期医療、小児医療の5事業や、あるいはリハビリテーションなど地域医療への積極的な貢献とともに、57病院の一体的な運営による経営改善が極めて重要であると考えております。皆様方には、このような視点に立って、中期目標・中期計画等について御審議をお願い申し上げて、私からの御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 

○政策評価官

 続きまして、委員の御紹介に移ります。皆様には、厚生労働省独立行政法人評価委員会委員、又は臨時委員として、平成25630日付けで厚生労働大臣の任命が発令されております。また、昨年の7月に開催された委員会総会におきまして、地域医療機能推進部会への分属が決定しております。

 それではお手元にお配りしている資料1-1に沿って、50音順に御紹介いたします。まず、公認会計士の亀岡保夫委員、本日は欠席です。亀岡市病院事業管理者の坂井茂子委員、聖路加国際病院院長の福井次矢委員です。続きまして、臨時委員です。公益社団法人全国国民健康保険診療施設協議会副会長の押淵徹委員、共同通信社編集委員の柿崎明二委員、NPO法人地域医療を育てる会理事長の藤本晴枝委員です。最後に事務局を御紹介します。左におりますのが室長補佐の和田です。

 それでは、議事に入ります。まず、議事につきましては4点あります。第1点目の部会長の互選、部会長代理の指名についてです。最初に本部会の部会長の選出をお願いします。選出手続を御説明します。お手元の資料1-2を御覧ください。裏面になりますが、厚生労働省独立行政法人評価委員会令の第5条第3項におきまして、「部会に部会長を置き、当該部会に属する委員の互選により選出する」と規定されております。したがいまして、委員の皆様方の互選により選出することになりますが、いかがでしょうか。

 

○坂井委員

 互選ということなので推薦をさせていただきたいと思います。学識と経験が大変豊富ですし、この分野での見識も幅広いものをお持ちということで、福井委員にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

(各委員了承)

 

○政策評価官

 それでは、異議がないということですので、これ以降は福井部会長に部会長席へ御移動いただいた後、以後の議事進行をよろしくお願いします。

 

○福井部会長

 それでは部会長を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。最初に、部会長代理を指名させていただきます。部会長代理は、先ほど御紹介がありました評価委員会令第5条第5項において「部会長に事故があるときは、当該部会に属する委員のうちから部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理する」と規定されております。したがいまして、私から指名させていただきます。御経験と御見識から坂井委員に、本部会の部会長代理をお願いしたいと思います。坂井委員、よろしいでしょうか。

 

○坂井部会長代理

 それでは御指名ですので部会長代理を務めさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

 

○福井部会長

 ありがとうございます。それでは、部会長代理は坂井委員とさせていただきます。こちらの席へどうぞ御移動をお願いします。次の議事に移ります。議事(2)地域医療機能推進部会の役割と今後のスケジュール等について、事務局より説明をお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 地域医療機能推進部会の役割と今後のスケジュール等について御説明いたします。資料1-3を御覧ください。まず「地域医療機能推進部会の役割」についてです。独立行政法人評価委員会では、通則法に基づき、資料の中の1、2に書かれているとおり、法人の業務実績に関する評価や、通則法や個別の法律等により権限が属する事項の処理を行うことになります。具体的には、2の下に記載されております。

 最初に「業務開始時」の1つ目のポツの、業務方法書の認可があります。独立行政法人は業務開始の際に、業務方法書を作成し、または変更する場合、主務大臣の認可を受けることとなっております。主務大臣が認可をしようとする際には、あらかじめ評価委員会の意見を聴かなければならないこととされております。

 また、2つ目のポツの「中期目標の策定」については、主務大臣が3年~5年の期間で、独立行政法人が達成すべき業務運営に関する目標を定め、これを法人に指示することになっており、主務大臣がこの目標を定め、あるいは変更する場合には、あらかじめ評価委員会の意見を聴かなければならないこととなっております。

 続いて、3つ目のポツの「中期計画の認可」ですが、これは独立行政法人が大臣が定める中期目標の指示を受けた際、これに基づいて中期計画を策定あるいは変更する場合に、主務大臣の認可を受けるという手続があります。主務大臣がこの認可をしようとする際には、あらかじめ評価委員会の意見を聴かなければならないこととなっております。

4つ目のポツの「長期借入金等の認可」については、地域医療機能推進機構において、建物や設備の整備などが必要になる場合においては、整備に必要な費用に充てるために、厚生労働大臣の認可を受けて、長期借入金あるいは債券の発行を行うことができることになっております。厚生労働大臣がこの認可をしようとする際には、あらかじめ評価委員会の意見を聴かなければならないこととされております。また、長期借入金や債券の償還計画の認可を受ける際にも、同じ手続が発生します。

 以上が、法人の業務開始時、今回と来月の頭に開催される部会で審議していただき、意見を出していただく事項となります。

 また、「毎事業年度終了時(平成27年度以降)」とありますが、このような手続を経て法人が発足し、毎事業年度、法人として活動した事業実績がその翌年の6月末に大臣に対して報告されます。この報告に基づいて、各事業年度の実績の評価をこの部会でお願いする形になります。併せて法人の財務諸表も報告がなされますが、この財務諸表についても大臣が承認するという手続がありますので、その承認の際に、評価委員会で審議していただくという手続になります。

 その下の「中期目標期間終了時」の手続については、中期目標期間の多くの場合が5年となっておりますが、この目標期間の終了時には先ほどの毎事業年度の評価とは別に、評価期間分、5年計画であれば5年分の実績評価と、その次の中期目標期間に向けた組織と業務全般の見直し内容についても、この部会で審議していただく形になります。

 そのほかの審議事項としては、法人の不要財産の処分や、あるいは役員報酬の支給基準の承認に関して御意見を頂くことなどもありますが、詳しくは資料1-33ページ以降に別添12としてまとめておりますので、後ほど御確認いただければと思います。

 次に「これまでの審議経過」についてです。先ほど山沖からも説明がありましたように、本部会については昨年7月の総会において設置されており、昨年8月、12月に開催された総会での審議を経て、地域医療機能推進機構への改組を踏まえた年金・健康保険福祉施設整理機構の組織・業務全般の見直し内容について、厚生労働大臣が決定したところです。こちらの資料については、資料の4枚目以降に掲載しております。

2ページに、部会の当面のスケジュールを記載しておりますが、先ほどの組織・業務全般の見直し内容を踏まえて、本日より当部会において中期目標と中期計画を審議していただくことになります。本日は第1回ということで、これから地域医療機能推進機構の概要、中期目標()と中期計画()について法人所管課から説明をしていただいて、委員の皆様方からの御意見、御質問を頂く形になっております。

 また、35日に開催予定の第2回目では、本日頂いた御意見等により、中期目標()と中期計画()の修正が必要な場合においては、修正された中期目標()と中期計画()について、再度御審議いただき、委員会としての意見を取りまとめていただくこととしております。

 このほかに業務の方法書()や、長期借入金、債券発行計画()と償還計画()についても、2回目で審議を頂く予定です。そのほか、役員報酬規程の審議や、業務実績評価については、平成26年度以降に御審議いただく形になります。事務局からは以上です。

 

○福井部会長

 ただいまの御説明について、何か御質問はありませんか。よろしいでしょうか。続きまして、議事(3)地域医療機能推進機構の概要について、法人所管課より説明をお願いいたします。

 

○年金局事業企画課社会保険病院等対策室長

 年金局の社会保険病院対策室長の重元と申します。資料2-1に基づいて、地域医療機能推進機構の概要を御説明いたします。資料2-1、地域医療機能推進機構については、1「設立目的」のところに、JCHOということで、「Japan community Healthcare Organization」の略称を置いております。今後はJCHOという言い方で説明をさせていただきます。

 今回、法人が改組されることになった経緯的なところから御説明します。6「その他特記事項」の1つ目のポツの所です。独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構を「RFO」と呼んでおります。これはもともと保険料財源で設置された年金福祉施設等につきまして、整理合理化を図るための組織として平成17年に設置された独立行政法人です。こちらが平成23年に成立した法律により、RFOを病院等の運営を行うJCHOに改組するという内容の法律が成立したということです。このJCHOについては、RFOから社会保険病院、厚生年金病院、船員保険病院を引き継いで直営することになります。

 社会保険病院については、先ほど申し上げたように、もともと保険料財源で国が設置した病院ということです。実際の運営は民法法人に委託していたわけですが、先ほど申し上げたように、年金医療制度改革の議論の中で、この病院を含む年金福祉施設の整理合理化を図るということが議論になり、社会保険病院等については、平成2010月に国からRFOに出資されました。その出資をされた以降は、病院の土地・建物はRFOが所有する。実際の病院運営は民法法人に委託するという形で運営をしておりましたが、今申し上げた平成236月の法律で、病院を直営するJCHOがそれを直営するということになったという経緯があるということです。

 こういう経緯の下で設立されたJCHOですが、資料の1「設立目的」で、新しいJCHOというのは、病院、老健施設の運営を行い、救急・災害医療・へき地・周産期・小児医療、リハビリ、その他地域で必要とされる医療機能の確保を図り、もって公衆衛生の向上等に寄与することを目的とするものです。

 若干、補足をさせていただきますと、57の病院、26の老健施設を全国ネットワークで運営することになります。このネットワークで様々な症例、事例、実践が法人でまず集積されるということです。このJCHOは、そうした実績を積み重ねて、社会保障制度改革国民会議の報告書に出ている地域完結型医療や、地域包括ケアの実践を、独法としてJCHOがミッションの1つとして果たしていくことを大きな目的としていると理解しております。

2「改組時期」については、平成2641日にRFOを改組して設置されるということです。3「役職員数」については、役員数13名は法律で法定されております。職員数は、病院現場の職員も含めて約2.8万人ということです。4「業務の概要」については、1の設置目的を達成するため、病院等の設置・運営並びにこれに附帯する業務を行うということです。5「組織の規模」については、41日の予定として、57病院、26の老健施設を持っていくことになります。6「その他特記事項」の2つ目のポツについては、このJCHOには、国のほうからは、いわゆる運営費交付金は出ないということになっております。3つ目のポツについては、法律の中に書いてありますが、JCHOは病院等のうち譲渡後も地域で必要とされる医療・介護を提供する機能を確保されるものについては、譲渡することができるという規定になっております。これまでの社会保険病院をめぐる経緯なども踏まえて、平成23年度9月、これは議員立法でしたが、様々な議論を経てこのような規定が入ったという経緯があります。新しい機構の概要については以上です。

 

○福井部会長

 ただいまの御説明について、委員の皆様から何か御質問はありませんか。よろしいでしょうか。それでは、本題の議事に入りたいと思います。議事(4)の地域医療機能推進機構の中期目標()と中期計画()についての審議です。まず、法人所管課から中期目標()と中期計画()について御説明を頂き、その後、質疑応答を行いたいと思います。各委員におかれましては、御意見にかかわらず、御質問も含め、幅広に御発言いただき、闊達な御議論を頂ければと思います。それでは、法人所管課より説明をお願いします。

 

○年金局事業企画課社会保険病院等対策室長

 引き続きまして、地域医療機能推進機構(JCHO)の中期目標()と中期計画()の御説明を申し上げます。資料2-2で中期目標案と中期計画案の概要を整理していますので、この資料2-2を使って私のほうから説明させていただきます。

 その前に一言なのですが、中期目標案と中期計画案につきましては、現在、まだ関係省庁との調整の途上のものでもありますので、若干、変更する部分があるかもしれませんけれども、現段階の案ということで、本日、御説明させていただきます。

 中期目標案ですが、この中期目標案は、冒頭に説明がありましたように大臣から法人に対して指示するものです。その中期目標案の計画期間はタイトルの下に括弧で入っていますが、平成264月~平成313月までの5年間で、5年を1期とする目標です。

 中身としては、1つ目の大きな柱が「国民に対して提供するサービスその他業務の質の向上に関する事項」です。おおもととなる1「診療事業等」については、1に地域で必要とされる医療の提供とありますように、これは地域の実情に応じて他の医療機関との連携も図りながら、地域での取組が十分でない分野の補完を積極的に行う。実際の病院の運営に当たっては、協議会等の開催により広く病院の利用者、その他、地元行政や地元医療関係者といった関係者の意見を参考に、地域の実情に応じた運営を行ってもらう。地域医療機構(JCHO)の病院として満たすべき要件を定め、これらの要件を満たした運営を行う。ここに「要件」とあるのは、後ほど中期計画のほうで御説明申し上げますが、地域医療の支援に関する機能であるとか、5事業、リハビリ、その他に関する機能の要件を定め、それを各病院に満たしてもらう運営を行っていただきます。

 2は質の高い医療の提供です。ここに「5疾病・5事業」とあるのは、これまでそれぞれの病院で取組をしていただいていますけれども、それらの取組を発展していただくということ。リハビリ、健診への取組の強化。特に健診については従来、社会保険病院に熱心に取り組んでいただいていますので、これらの取組を引き続き強化していただき、効果的な健診や保健指導を実施していただく。ネットワークを生かしたへき地や医師不足地域への協力では、57病院のネットワークを持っていますから、必ずしも医師の数に余裕があるわけではありませんが、できる範囲で可能な限りの協力をしていくということ。

 3の高齢社会に対応した地域包括ケアの実施ですが、約半数の病院、26の老健施設が付属しているといった特色がありますので、医療サービスに加え、老人保健施設サービスあるいは通所リハ、訪問リハ、訪問看護、こういった複合的なサービスを一体的に提供する拠点として、地域包括ケアを推進していただきます。

2「調査研究事業」ですが、地域医療機能の向上に資するような調査研究を行い、その成果を地域に情報発信、還元していただきます。

3「教育研修事業」は、JCHOが担う医療等に対する使命感をもった質の高い職員を確保する研修をする。また地域医療の現場においては、いろいろな職種と連携し多様なサービスを包括的に行う医師の役割が期待されているところですので、こうした役割を担える総合的な診療能力を有する医師の育成を行う。そのほか、地域の医療・介護従事者に対する研修事業の充実を図っていく。

4「その他事業」として、患者の視点に立った良質かつ安心な医療の提供。災害、重大危機発生時における活動等にも取り組んでいただくということです。

2番目の大きな柱である「業務運営の効率化に関する事項」としては、JCHOが効率性や透明性、説明責任が求められる独立行政法人という趣旨を十分に踏まえた運営を行っていただくとともに、運営費交付金が出ない法人として、財政的に自立した運営が求められますので、1「業務運営体制」については6項目挙げていますが、それぞれの項目についての取組をやっていただきます。特に3の院内統制や会計処理、4のコンプライアンスの徹底については、全社連病院時代に不適切な財務会計処理があったことの反省も踏まえ、より強力に取り組んでいくことが必要になってくると思います。

2「業務運営の見直しによる収支改善」については、1経営意識と経営力の向上、2収益性の向上、3運営コストの削減を図っていくことにより、次の3番目の柱である財務内容の改善につなげていただくということで、具体的には各年度の経常収支率、これは法人全体としてということですが、その経常収支率を100%以上とすること。この中期目標期間内における財務内容の改善を図るとともに、各病院においても収支の改善、経営改善を含めた事業計画を策定していただくこととしています。

 最後の柱である「その他業務運営に関する重要事項」については、ここにありますように、中期計画で数値目標を設定すること。病院等の譲渡は、先ほど法人の概要のところでも御説明しましが、機構が法律における譲渡に関する規定を踏まえた適切な対応を行うということで、現段階で具体的に譲渡の計画や具体的な目標があるわけではありませんが、仮にそのような状況が出たら、法律に基づいて適切な対応を行うということです。以上が中期目標案の概略です。

2ページ以降で中期計画()、これは大臣から指示された中期目標を達成するための計画として法人が定めるものです。この概略を御説明します。計画期間についてはタイトルの下に括弧で入っている中期目標と同様、15年の計画です。

1「診療事業等」ですが、(1)が基本的な考え方です。各病院や老健施設がこれまで果たしてきた取組の充実はもとより、地域での取組が十分でない分野について、他の医療機関とも連携しながら積極的に補完するように努める。こういう基本的な考え方で、診療事業に取り組んでいくということです。

(2)ですが、各病院に期待される診療機能として、地域で必要とされる医療及び介護を的確に提供する観点から、全ての病院で、この下にある1から4を満たす運営を行う。この具体的な中身については次の3ページで御説明させていただきます。

 地域で必要とされる医療を提供する機能の確保として、囲ってある箱が4つあります。一番下にある横長の箱が地域医療支援に係る機能で、これは全病院共通のもので1から4を満たしていただきます。1は紹介率・逆紹介率で、地域の医療機関間の連携を見る指標です。これは具体的な数値目標を中期計画の中で定めています。2が救急医療を提供できる能力を有すること。3が施設や医療機器などの共同利用できる体制を構築していること。4が地域の住民や医療従事者などに対する研修事業をやっていただくということ。こういった1から4の要件を満たすことを全病院共通の機能としています。

 その上に3つ箱が並んでいますが、2の5事業では、ここに書いている1救急医療、2災害医療、3へき地医療、4周産期医療、5小児医療について、これは中期計画の中に具体的に一定レベル以上の要件を書いているわけですが、各病院はこの中のいずれか1つ以上の事業をやっていただくことを計画に書きます。3のリハビリテーションについても、1急性期・回復期、2維持期について、病院ごとにいずれか1つをやっていただきます。4はその他で、1地域包括ケアに関する取組、2地域において必要な医師の育成、総合的な診療能力を有する医師の養成ということですが、これについては全病院共通の要件として満たしていただく。これが地域医療に関する機能についてです。

4ページですが、今申し上げたのは病院ごとの話でした。今度は機構全体としての取組で(3)です。1)5事業ですが、これは救急患者数等の増加、医師不足地域への支援等ということで、5事業それぞれ書いているわけです。救急医療、周産期医療、小児医療に関しては、中期目標期間中に達成すべき数値目標を中期計画の中に書き込んでいます。救急医療に関しては平成25年度と比較して、今後、5年間で救急車による救急患者の受入れ数を5%増やすといった数値目標です。周産期医療については、分娩数、ハイリスクの分娩数、母体救急の受入れ数について、各々25年度と比較し、今後5年間で3%増やすという数値目標です。小児医療についても救急車による小児救急患者の受入れ数について、平成25年度と比較し、今後5年間で5%増を目指す。こういった数値目標を中期計画の中に書き込んでいるところです。

2)のリハビリテーションですが、これは市町村事業へのリハビリ専門職の派遣等に取り組んでいくということ。3)5疾病については、ここにあるような各疾病に対する医療の充実、特に高齢社会を迎えている中で、認知症対策の強化について取り組んでいくということです。4)の健診・保健指導については、生活習慣病をはじめとする予防・健康管理対策の実施。5)の地域連携クリティカルパスについては、その実施病院数を増加させるということ。6)の臨床評価指標については、国立病院機構で作っているものなどを参考に、平成27年度を目途に標準的な指標を、このJCHOでも策定していくことを中期計画の中に記載しています。

(4)高齢社会に対応した地域包括ケアの実施については、JCHOの病院がその地域の在宅医療施設やサービス事業所と連携・協力し、医療と介護の連携体制の強化を図ることや、老健施設を持っていますので、その様々な複合的サービスの提供を通じて地域包括ケアの推進に努めていくといった基本的な考え方です。具体的なものとして、1)の地域包括支援センターについては、その積極的な運営を図っていく。2)の老健施設については、医療ニーズの高い方を積極的に受入れ、また看取りへの対応等も行う。3)の訪問看護・在宅医療については、その体制の強化や在宅療養者の急変時の受入れ等を積極的に行っていく。4)の認知症対策についても、ここに書いてあるような取組を積極的に進めていくということです。

5ページで、2「調査研究事業」ですが、1)の地域医療機能の向上に係る調査研究の推進については、このJCHOが、医療データ、介護データ、健診データ等全国57病院、26介護老健施設のデータを持つことになりますので、そのデータを有効活用して地域の課題解決に資する調査研究を行う。また、その調査研究の成果をモデルとして、地域に情報発信していくといったことに取り組んでいく。2)の臨床研究及び治験の推進としては、エビデンスに基づく医療の推進のための研究や治験に積極的に取り組んでいくということです。

3「教育研修事業」については、57病院のネットワークを活用して地域の医療機関とも連携し、この機構の特色を生かしたプログラムによる人材育成に努めていくといった基本的な考え方に基づき、1)質の高い人材の育成・確保、2)地域の医療・介護職に対する教育研修、3)地域住民に対する教育活動、公開講座の実施に積極的に取り組んでいくということです。

4「その他の事業」では、1)の患者の視点に立った良質かつ安心な医療の提供。これは診療ガイドラインを活用した医療の提供に取り組むことをはじめとして、2)の医療事故、院内感染の防止の推進、3)の災害、重大危機発生時における活動にも取り組んでいきます。4)の洋上医療体制の確保の取組は、従来、船員保険会が運営していた船員保険の病院で実施していたものについて、地域医療機構(JCHO)でも引き続き取り組むということです。

 ここにある船舶衛生管理者養成事業というのは、船に乗り込んでいる方で船員の健康管理やいろいろ保健指導を行う役割を担っている方です。無線医療事業というのは、船の上で患者さんが発生したときに、陸上の医師が船舶に乗り組んでいる船舶衛生管理者に、無線医療システムで救急措置等の指示や医療助言を行う事業です。こういった事業にも引き続き取り組むということです。

 最後の6ページで、5「業務運営」に関して、(1)業務運営の効率化については、1)の効率的な業務運営の確立ということで、ここは中期目標の記載とかなり被る部分がありますが、効率的、弾力的な組織の構築は適正な職員配置等といったことです。業績等の評価は病院・職員の実績等の評価。内部統制、会計処理、コンプライアンス・監査、これは特に適正な会計処理を確保する観点から、全ての病院で毎年度、外部監査を実施していただくことを考えているところです。そのほか広報、IT化についての取組も進めていきます。

2)の業務運営の見直しや効率化による収支改善は、右側にありますように給与水準の適正化、人件費率の適正化、経営意識の改革、個別病院ごとの経営戦略といったことで、これは本部のほうでも各病院に積極的に指導、関与していき、法人全体としての収益性の向上や業務運営コストの改善を図っていくということです。

(2)予算、収支計画及び資金計画については、1)が経営の改善で、目標期間中全ての年度で法人全体として経常収支の黒字化を目指すということ。2)が長期借入金の償還確実性の確保で、建物投資等に係る長期借入金の償還確実性を法人としてきちんと確保していくということです。

(3)その他業務運営に関する重要事項として、先ほどの中期目標にもあった1)の病院等の譲渡については、法律を踏まえた適切な対応を行っていくということです。こういったことで中期計画全体として定めています。

 資料2-32-4が、それぞれ中期目標、中期計画案の文章編です。資料2-5が中期目標と中期計画案について比較対照した対照表です。資料2-3から2-5について、詳細な説明は省略させていただこうと思います。以上です。よろしくお願いいたします。

 

○福井部会長

 ただいま御説明がありました中期目標()、中期計画()について、御意見、御質問等ありましたらよろしくお願いします。

 

○押淵委員

 資料2-21「診療事業等」の2に「ネットワークを活かした」という文言がありますが、これは地域医療推進機構の中だけのネットワークを指しておられるのかどうかということを1つお聞きしたいです。もう1つ、調査研究、研修事業、3です。「総合的な診療能力を有する医師の育成」となっておりますが、これはこれから始まる総合診療専門医の育成にまでつながることを意味しておられるのかどうか。まず、これをお聞きしたいと思います。

 

○福井部会長

 よろしくお願いします。

 

○年金局事業企画課社会保険病院等対策室長

1点目のネットワークに関しては、御質問がJCHO57病院の中だけの医師不足への協力かということでしょうかという御趣旨であれば、そういうことではなくて、JCHO以外のへき地とか医師不足地域の医療機関に対する支援も積極的に考えていくという趣旨です。2点目の総合的な診療能力を有する医師の育成というのは、これは後々いわゆる総合診療専門医の養成にもつながっていくということですが、現段階では研修の仕組みとか、そういうのはまだ確定しているものではありませんので、一応、中期目標や中期計画の中では「総合的な診療能力を有する医師の育成」という言い方にしているということです。

 

○押淵委員

 そうしますと、先ほどお話になられました総合診療専門医を育成することを指向するということであれば、これまで総合診療専門医の外形がしっかり固まったわけではないわけですが、私が存じますところはプライマリ・ケア学会等が出しております1つの概念を参考にして申させていただければ、推進機構の中で保有する診療機能だけでは、恐らく総合診療専門医の育成にまではつながらないのではないか。すなわち私が申したいのは、診療所等に勤務をする医師等が求められていると思いますので、そういったところを念頭に置いてネットワークを形成する場合は、診療所機能等も担える医師を育成するという目標を入れていただければ、へき地や離島や中山間地域での医師不足の解消にもつながるし、あるいは国が今求めております超高齢社会に果たすべき役割の医師が生まれてくるものと期待しているところです。

 

○福井部会長

 ただいまの御意見について、尾身理事長、何かありますか。

 

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長

 今の押淵委員の御指摘、つまりネットワークをほかの機構の外まで広げるか、特にいわゆる総合診療医は、まずは機構内のネットワークを作る、そこを強固して、いろいろな意思疎通をするのは当然だと思います。今回の地域医療機能推進機構は、志は地域医療の連携の要的な役割を果たしたいということですから、当然、志を同じにする、例えば委員の所の国保の診療所、あるいはそれ以外の公的医療機関で同じように地域医療を、志を同じにしてやってきた人たちとは、いろいろなところで連携をする必要があるのだと私は思っております。

 

○藤本委員

 それに関して質問なのですが、今、機構に所属している病院で、単独でドクターを育成するプログラムを持っておられる所と、ほかの医療機関、機構に所属していない医療機関と連携をして育成プログラムを持っている医療機関というのは、どのぐらいの割合なのでしょうか。

 

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長

 先ほど押淵委員からも、例えば総合医の診療、プライマリ・ケア学会のガイドラインというか、今の議論を踏まえて、診療所等々もやったらいいのではないかという御指摘だと思うのですが、もう既に我々の機構でも6つだと思いますが、プライマリ・ケア学会の考えに基づいて、うちの機構の中はもとより、外の人たちもネットワークを作って、外部の診療所、あるいは病院などのリソースを活用して育てたいというあれにもなっています。実際には、へき地の診療所等では、実績も57の病院の6つぐらいは既にそういうところをやっていますので、外部とのネットワークはますますこれからも強化していければと思っています。

 

○柿崎委員

 目標を達成するに当たって、一部、協議会という書き方をされていますが、全国一律の同じような状況で、例えば都市部だけ病院を持っていて、ある程度対応が均一化されている病院を持っているのであれば、統一的な運営が、目標も、それをブレークダウンする場合のやり方もできるのですが、ここの社会保険病院の場合は地域の状況が様々で、病院自体も様々だし、地域も様々だと。だけれども、目標はそれぞれの地域に求められているものをやっていく、補完するとなると、バラバラな地域のニーズをどこで吸収して、どういう形でJCHOが対応することになるのかがいまいち。ニーズの吸収と、それを一般化するというのですかね。全体の目標に挙げていって、もう1回落としていくというのがどのようになるのかを、ちょっとお聞きしたいです。それは協議会ということがそうなのかもしれませんけれども。

 

○年金局事業企画課社会保険病院等対策室長

 また補足があれば法人のほうから補足してもらえればいいと思うのですが、それぞれの病院、57、ほぼ全国にあるわけですので、いろいろな病院の立地状況とか、地域が抱えている課題は様々であるということはおっしゃるとおりだと思います。各病院は、それぞれ自分の所の病院が抱えている課題などを基に、どういった医療を提供していくのかということを、それぞれ事業計画なり何なりで作っていくと。あるいは、地域の協議会の意見も聴きながら、そういった御意見も反映させながら進めていくということです。それをまた本部のほうでも、各病院のいろいろな取組をきちんと把握というか、つかんで、地域の取組と法人としての果たすべき役割、ミッションの整合性を調整していくという形で、本部がそこの調整を担っていくという形で、JCHOが果たすべきミッションが全体としてうまくいくように調整をしていくのかなと考えております。

 

○柿崎委員

 一番末端のといいますか、地域でどういうものが不足しているか、求められるのかというのは、どういう形で集約するのですか。誰を相手にするのでしょうか。病院側がやるのか、それとも上部のこちらのほうがやるのか。

 

○年金局事業企画課社会保険病院等対策室長

 やはり地域のことですので、それは病院現場といいますか、そこでないと正確なところはリアルには分からないのだろうなと思いますので、そこはそれぞれの病院がそれぞれの地域、それは地元の自治体なり地元のそのほかの医療機関とも連携をしながら、ニーズを把握していって、それを病院の運営に反映をさせていくと。そこは本部中央からというわけにはいかないのかなと思います。

 

○年金・健康保険福祉施設整理機構審議役

 今、年金局からもお話がありましたが、正に名前に「地域医療機能推進機構」というように「地域」が付いています。今、柿崎委員からお話があったように、全57病院、それぞれ地域の状況も違います。そういう意味では、この独立行政法人は少し珍しいかと思いますが、地域連絡協議会を作ることが法律に書かれておりまして、各病院ごとに地域連絡協議会を作ることになっております。当然、自治体関係、地域の医師会、先ほど押淵先生からあった地域の診療所の皆さん、あるいは私どもJCHOの特色は介護事業も含め、健診も含めて、正に地域包括ケアを施行していくということですので、地域の介護関係の事業者の方々、病院を実際に利用される方々にもメンバーに加わってもらって、病院ごとに地域連絡協議会を設置いたすことが法律上の要請になっております。そういうことを通じて、地域のニーズをキャッチして病院運営をしていくことになろうかと思います。

 そういうことを各病院が積み上げていく中で、先ほど来ありますJCHOとしてのミッション、地域包括ケアとか、総合診療医を養成していくとか、あるいはへき地や離島の支援をしていくところにつなげていくことになるのではないかと考えております。

 

○藤本委員

 その協議会の中には、いわゆる保険者というか、保険料を出す方たちは入られるのでしょうか。そうしないと、例えば私たちの地域は正に医師不足で大変な地域なのですが、結局、患者たちの医療が地域で完結していないのです。外のほうにかなりかかっている。そうすると、そういった補足というのは、地域の医療機関の方たちだけを集めても、患者のニーズは把握できなくて、国民健康保険であるとか、住民がどこに保険料を払っているかというところで、住民のニーズを把握していかないといけないという実情があるのです。ですので、今の協議会の中に、そういった本当の住民のニーズを把握するような所管の方たちが入られるかどうか、ちょっと伺いたいのです。

 

○年金・健康保険福祉施設整理機構審議役

 この連絡協議会には、当然、利用者として患者の皆さんというのは、ある意味では保険料を払っている被保険者の方々でもあると思いますので、医療提供側だけではなくて、医療の受け手側、すなわち医療保険でいえば被保険者に当たる方々にも入っていただくということで考えております。具体的には、これからいろいろ定めてから病院のほうには案内したいと思っておりますが、基本的には利用者も入ると。

 

○藤本委員

 質問の仕方が悪かったのかもしれないのですが、患者ではなくて、地域の患者たちがどういう所に医療をかかっているかということを把握している、例えば行政の保健師とか、そういう方たちは入られますかという質問だったのです。

 

○年金・健康保険福祉施設整理機構審議役

 失礼いたしました。当然、保険者として自治体は入ってきますので、実際の中には例えば介護担当業務の人もいるかも分かりませんが、保健所の保健師とか、そういう方々が自治体の代表として入ってくることもありますし、当然、自治体というのは押淵先生が御案内のとおり、国民健康保険の保険者でもありますので、そういう立場でも自治体が入ってくることはあろうかと思っています。

 

○藤本委員

 ありがとうございました。

 

○福井部会長

 私も意見を述べさせていただきます。先ほどから話題に上がっていますように、地域での取組が十分でない分野を知ることに関して、公衆衛生の分野では地域診断という考え方があります。コミュニティダイグノーシス。それを1つの病院だけでやるのは結構荷が重いのではないかと思います。したがって、本部がどのぐらいのスタッフで運営されるのか、私は知りませんが、やはり本部もある程度関わって、地域全体のデータを引き出して、それでもってその地域に取組が十分でない分野を見い出して行くということも考えてもらえればと思います。

 

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長

 今の福井先生のお話ですが、実は先ほど柿崎委員からニーズをどう掘り起こすかというのは、私は2通りあると。藤本委員が御質問された、先ほどの地域の連絡協議会のようなところから、現場というか、地域のニーズを把握すると同時に、スケールメリットを生かして本部全体がやらなくてはいけないというのは、今、福井部会長がおっしゃったコミュニティ全体のダイゴノーシスをどうするかというので、例えば1つの卑近な例で、今日のにも書かれていますが、資料2-2の上のボックスの2番目の調査研究事業ということで、地域医療機能向上にする調査研究がありますね。ここは正に機構全体としてやる必要があるし、2番目の大きなボックスの業務運営の効率化の1の6にITの推進があります。

 福井部会長ももう御存じのように、JCHOの病院では毎年160万人、健診をやっているのです。この健診の160万人のデータと診療のデータは、データはあるのですが、今まで突合がされていなかったですよね。これはある1つの地域というよりも、日本の医療制度全体の問題で、ここは例えばそういう調査研究をし、ITを活用して健診データと診療データの突合をして、これからあるべき診療、健診の姿なども、私はコミュニティダイゴノーシスの一環としてやらなくてはいけないと思っております。

 

○押淵委員

 今の理事長のお話の中に付け加えさせていただきますのは、私ども国保診療施設協議会の取組の中で、健診のデータ、健診の受診歴等、介護度が非常に関連があることが少しずつ分かってまいりました。したがって、この機構の1つのミッションとして、国民の相互扶助制度であります国民皆保険制度と介護保険制度を維持・発展させていくといった使命を持った取組を、普段の業務の中で取り込んでいただければ、更に日本の福祉制度が発展していくのではないかと期待しているところです。

 

○柿崎委員

 ニーズをすくい上げましたと。こういう分野が足りない。文字どおり読むと、それを積極的に補完すると。補完するときに資源がない場合は、持出しで手当てするのでしょうか。それともないときは諦めるということでしょうか。つまり、評価するときに補完できませんでしたと。それは資源を持出ししないというのであれば仕方がないのですが、持ち出してもやるという前提に立つとすれば、補完できないことはなくなりますので。

 

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長

 今の柿崎委員のお話は、ここにも今日、中期目標の所で先ほど重元室長から機構全体としての数値目標。具体的にはこちらのペーパーはいかなかったのですが、こちらのペーパーにいくと、例えば救急が何パーセントやるとか、具体的な目標値が中期計画には書かれているわけですよね。柿崎委員は、今そのリソースがあるのか、ないのかということで違ってくるのではないかというお話ですよね。

 ここに書かれている中期計画は我々が責任を持って書かなくてはいけないので、例えば救急何パーセントというのは、実は現状のリソースを考慮し、しかも職員がその気で一生懸命頑張れれば何とか到達できるという目標で、新たなリソースを国から交付金をもらってくるという仕立てになっていないのです。1つ具体的な例をいいますと、医師不足地域へ派遣するということがありますよね。我々のJCHO病院の57も、そんなに医者が余っているわけではなくて、むしろ御多分に洩れず不足しているのです。

 それでもその中で例えば最近ですが、ほぼ決定したと思うので、こういう席でも言っていいと思いますが、東京都から伊豆七島の新島に行ってくださいという要請がきました。これについては、東京都内の2つの病院が半年ごと、ローテーションを組んで行くということになりました。さらに今、検討中ですが、福島の被災地にJCHO全体として、支援をしたいと考えています。そんなに潤沢に資源があるわけではありませんが、機構全体が今あるリソースを限界まで活用して、何とかみんなで知恵を絞ってやろうと、今そのように考えています。

 

○坂井部会長代理

 確認です。私も見たときから協議会の関係のことが気になっておりまして、先ほどから聞いておりましたら、57各病院でそれぞれ協議会を作っていくことになるのですが、都道府県の中には57の病院がある所とない所と、複数の所もあると思うのです。厚生年金とか、船員とか、社保があるとか。そういう場合も、それぞれ個別でされるのか、あるいはもう少し地域的に包括した考え方をされるのか。

 先ほど審議役がおっしゃっていましたように、介護の問題も26の保健施設がありますので、そういう所はどういうリンクのされ方をなさるのか聞かせていただきたいと思います。

 それとこれは交付金が出ない自立的な運営を求められる部分ですね。しかし、先ほどから地域医療を担っていく、支援をしていく、そしてサポートもしていく、あるいは市町村のリハにも職員を派遣していく。かつ、適正な職員配置を考えていくという。これはこれから国がしようとしていることとか、あるいは病院機能の問題とか、いろいろなことを考えたときに、病院運営はかなり厳しい状況が生じてまいります。そういった部分は、戦略としてどういったことをお考えかというのがあれば、ちょっと教えていただきたいと思います。

 

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長

 大まかな話をしますと、現時点では57の病院のうちの3分の2が、毎年度のPLといいますか、損益の会計では黒字になっていて、残りの3分の1が赤字です。しかし、今日、事務局からの話がありましたように、機構全体としてだけではなくて、各病院にとっても経常収支は黒字にしようと思っています。その方法は、2つの方法しかありませんで、今それを各院長に徹底的にしてもらうように、今日も院長会議がありまして、全院長にそのことを申し上げてきました。

1つは、職員の配置などで、看護師の部分が少し多すぎたり、ベッドはあるのですが、必ずしも稼働していないというような、改善すべきところがかなりあります。それについては徹底的に分析をして、効率的な運営と、同時にこれは先ほどの連絡協議会でもそうですが、いわゆる紹介率・逆紹介率、地域との連携を強めれば、各病院に来ていただいている患者の数も増える。そうすると、医療収益も増す。そちらは攻めですよね。と同時に、守りも両方やって、基本的には各病院が早いうちに自立的な経営、つまり赤字をなくすことになるように今、計画しています。毎月の決算の報告をしてもらいますから、途中で何かおかしいところがあったら、我々は当然そこの病院に、一体どうしてそうなっているかということを十分分析して、必要があれば指導に入ると。この辺はかなり強い覚悟で本部もいますし、各病院もそういうメッセージは伝わっていると思います。

 

○年金・健康保険福祉施設整理機構審議役

 今の地域連絡協議会の御質問に対してですが、先ほど57病院ごとと申し上げましたが、実は26の老健施設は57の病院のどこかに併設されている形です。したがって、病院単位ということを考えておりますが、地域によっては1つの自治体の中に2つ病院があるという場合もありますので、そういう所については効率的に一緒に運営するとか、そういうことをこれからの具体的な作業の中で検討していきたいと思っております。

 

○福井部会長

 資料2-23ページで、「病院毎にいずれか1つ以上の事業」という記載がありますが、これとの関連で、先ほど救急患者の受入れ人数5%以上とか、小児の3%とか、いろいろ数値が出てきましたが、これは機構の中の例えば救急医療をやると決めた病院だけについての数値なのか、それとも機構全体で5%プラスとか3%プラスという数値を言っているのか、そこのところはいかがですか。最後に評価するところで問題になるかもしれませんので。

 

○年金局事業企画課社会保険病院等対策室長

 私の先ほどの説明が悪かったのかもしれませんが、5%、3%というのは、資料2-2で申し上げれば3ページではなくて4ページの(3)機構全体としての取組の1)5事業とありますが、この救急患者数等の増加と。これは代表選手しか書いていないので、救急患者数しか書いていませんが、この部分で5%、3%と申し上げました。すみません。説明が分かりにくかったかもしれません。

 

○福井部会長

 全体ですね。

 

○年金局事業企画課社会保険病院等対策室長

 はい、機構全体としてです。

 

○藤本委員

 例えば資料2-24の「その他の事業」にも書かれているのですが、「患者の視点に立った良質かつ安心な医療の提供」ということで、この「安心な」という言葉が資料2-2以外の所でも時々出てくるのですが、安心な医療というのは具体的にはどういう医療を目指しておられて、どのように評価をされるのかを伺いたいのですけれども。

 

○年金・健康保険福祉施設整理機構審議役

 患者の視点に立った良質かつ安心な医療の提供に「診療ガイドラインを活用した医療の提供」と書いてあります。これについては、例えば臨床評価指標を国立病院機構ならやっています。例えば褥瘡の対策をどのぐらいやっているかとか、あるいは脳梗塞の患者の場合はできるだけ早期リハを開始するとか、国立病院機構ならそういう率を指標として提示していますが、そういう臨床評価指標をきちんと作って、患者の皆さん方に安心できる医療を行っていこうということです。これは正に、これからそういうお手本を見倣って着手していこうということです。患者の皆さん方に安心というのは、具体的な医療内容として、そういう対策をきちんとやっていくと。早くリハビリを開始するとか、褥瘡対策をきっちりやるとか、あるいは患者の皆さんの満足度という測定指標がありますが、満足度を高めていくということを考えています。

 

○柿崎委員

 こだわって申し訳ありませんが、協議会に出ていくのは、病院のどなたになるのですか。

 

○年金・健康保険福祉施設整理機構審議役

 具体的に例えば院長などとは決めておりませんが、一般的には院長等がなるのではないかと思われております。そこは病院の状況を踏まえて病院のほうで対応していくことになろうかと思いますが、詳細はこれからまた具体的に検討して詰めたいと思います。

 

○柿崎委員

 計画を作るときにだけ協議会をやるのですか。それとも年1回とか。

 

○年金・健康保険福祉施設整理機構審議役

 これは常設の形になります。どのぐらいの頻度で開くかは別として、各病院に恒常的に置くことになると思います。

 

○柿崎委員

 自治体は必ず入るのですね。

 

○年金・健康保険福祉施設整理機構審議役

 自治体は必須として考えております。

 

○柿崎委員

 市町村。

 

○年金・健康保険福祉施設整理機構審議役

 市町村あるいは県、どちらかだと思います。

 

○福井部会長

 先ほどの数値の所についてですが、これが機構全体の数値というのは分かりました。地域によっては随分、少子高齢化が進んでいて、人口が減りつつある所もあります。トータルとして5%とか、そういう数値は本当に大丈夫なのですね。

 

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長

 福井部会長の質問は正に鋭い質問で、そういう3%とか5%という数字を出してきたのは根拠があります。実は今のRFOの本部が各病院にかなり詳細に現状をまず把握しています。現状で例えば救急医療、災害医療、周産期、それぞれ現行でどれだけの病院がどういうことをやっているというのは、我々はつぶさに分かっております。それと今、状況・ニーズはそれぞれ違いますよね。そのニーズとのギャップがどれだけあるのかということも当然、考慮しています。少しギャップが強くて、そこの地域においてリソースは足りないのだけれども、ニーズが高い所には少し高いハードルを。そういうことの全てを考慮し、しかも全国的に平均を取ったものがこれですので、現状をどう分析し、更にニーズを考慮し、実行が全く不可能では意味がありませんから、頑張れば実行できるというところで、3%、5%。そういう意味では、現状を十分考慮した上で作ってあるということです。

 

○福井部会長

 そうであれば結構です。後で評価するときに、数値が目立って、評価の前面に出てしまうものですから、是非、十分考えた上で数値目標を設定されたほうがいいと思います。

 

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長

 はい。それと同時に、今、全体の話に議論がいっていますが、中期計画のこれをもう1回見ていただけると、病院個別でもクリアしなければいけないところも書いてありますので、そこについては必ずしも数値はあれしていませんが、両方見て、最終的には全体の目標を達成するという仕組みになっております。

 

○福井部会長

 ありがとうございます。藤本委員、どうぞ。

 

○藤本委員

 多分、数値を目標設定してというところの一番大事なところは、グループの中でベンチマークがお互いにできるとか、その数値を改善するためにどのような工夫、あるいは努力をしたかということを、そのグループの中のほかの医療機関に情報共有することとか、数字をきっかけとしてどういうことができたかというあたりが、医療の質を上げていくための一番大事なところだと思うのですね。その辺のことがグループであると比較的できやすいと。

 そして、こちらの機構の場合は、医療機関が日本全国に広がっていますので、全体的に日本の医療を底上げしていくために、すごく有効な機会になっていくと思います。指標もそうなのですが、指標によってどのような改善をしたかとか、その辺のことをできれば機構の外に情報発信していただいて、ほかの医療機関が参考にできるようなものを作っていただければ大変よろしいのではないかと思います。よろしくお願いします。

 

○福井部会長

 随分時間が押してまいりましたので、本日の議論はここまでとしたいと思います。案としては概ねこれを認めるという方向だと思いますが、本日、説明していただいた流れで、これは概ね認めていただくということでよろしいでしょうか。

(各委員了承)

 

○福井部会長

 ありがとうございます。最後に事務局から次回の予定について、連絡をお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 次回の開催ですが、35()13時半から、場所は本日と同様、厚生労働省専用12会議室になります。内容については、中期目標、中期計画の確定と業務方法書()、長期借入金・債券発行計画()及び償還計画()に係る審議を予定しております。事務局からは以上です。

 

○福井部会長

 それでは、本日はこれで終了とさせていただきます。活発な御意見、ありがとうございました。

 


(了)

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