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2014年2月13日 第6回労働市場政策における職業能力評価制度のあり方に関する研究会議事録

職業能力開発局能力評価課

○日時

平成26年2月13日(木)10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎第5号館共用第9会議室(19階) 
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号)


○出席者

参集者

今野参集者(座長)
阿部参集者
大久保参集者
北浦参集者
黒澤参集者
笹井参集者
内藤参集者
松浦参集者

事務局

杉浦職業能力開発局長
伊藤能力評価課長
篠嵜主任技能検定官
小野能力評価課企画調整専門官
牧野職業安定局派遣・有期労働対策部企画課雇用支援企画官
岡労働基準局労働条件政策課労働条件確保改善対策室長

○議題

(1)報告書(案)について
(2)その他

○議事

○今野座長 ただいまから、第6回「労働市場政策における職業能力評価制度のあり方に関する研究会」を開会いたします。本日はこれまでの議論等を踏まえ、事務局で資料及び骨子案を用意していただいておりますので、それを説明していただいて、その後、議論したいと思います。

 まず、事務局から委員の出欠状況と資料の確認をお願いします。

○小野専門官 おはようございます。本日、谷口委員は欠席との御連絡をいただいております。

 続きまして、配布資料の確認をさせていただきます。資料1は前回の議論の概要、資料2、資料3はそれぞれ前回資料4及び5として提出させていただいた資料の能力評価体系整備の全体像イメージ、技能検定と業界検定の関係整理を、前回の議論を踏まえて修正したものです。資料4~資料6には、今回報告書骨子案の概要と骨子案本体、そして参考資料となっています。参考資料1は、先日取りまとめられた雇用政策研究会報告書の当研究会に関係する抜粋。参考資料2は、「多様な正社員」の普及・拡大のための有識者懇談会の関係資料です。資料は以上です。

○今野座長 資料の説明をお願いします。

○伊藤課長 それでは、私のほうから資料を一括して御説明申し上げたいと思います。最初に資料1です。こちらは前回、第5回研究会で御議論いただきましたポイントを私どものほうで整理をした内容です。前々会の研究会でお示しした論点資料、また前回御提示させていただいた検定等の全体構造に係る資料など、職業能力評価制度のあり方について御議論いただく上での「たたき台」資料です。全般に基づいて、労働市場政策における職業能力評価制度のあり方に関わり、いわば政策提言編の全般にわたり御議論いただいたところです。技能検定と業界検定の関係、あるいはそれらを含めた職業能力評価の体制のあり方、その考え方の整理といった視点。また、次のページに、職業能力評価と教育訓練や受給調整機関との関わり、こうした観点からポイントとなる考え方についてそれぞれ貴重な御意見をいただきました。これら前回までにいただいた御議論を、資料4以下に報告書骨子案として整理させていただきましたので、本日はこれを中心に御議論いただきたいと考えております。前回の資料の5として御提示をさせていただきました職業能力見える化、技能検定制度と新たな業界検定の関係構想図について、前回は特にこの資料を中心に幅広い御議論いただいたということで、骨子案について御説明申し上げます前に、前回の資料5を、いわばバージョンアップしました資料2の考え方について、改めて御説明を差し上げた上で、骨子案に係る御説明を申し上げたいと思っております。必要に応じて前回の資料5も比較参照いただければと思います。大きくは2つの観点で、この資料に関しての考え方の加筆、整理をさせていただきました。

1点目は職業能力評価の仕組み、検定等の性格、いわば規定をいたします業種・職種ごとの職務、あるいは職業能力の根源的な特性。何を軸にして評価検定のあり方をグルーピングしていくかということに関し、前回の資料では、本日の資料でいうところの1,3に相当する制度・技術・規格等に規定される度合が大きく、したがって職業能力、予め明確、あるいは普遍性が大きいのか、その逆なのかといった軸です。それから、3に相当する顧客・労働者自らの生命・安全確保の観点からの厳格な能力評価の必要性という2つの軸について、右から左まで全体をカバーする形でこの軸を御提示させていただいたところです。これに対し、1,3、特に3に関しては、能力評価という観点からの業種職種のグルーピング上の弁別性という観点からすると、特に3に関しては一番右まで効いているわけではないのではないか。一番左側のグループ、医療・福祉等のライセンス型と、それ以外の技能検定でカバーをしている、ものづくり技能職等の一部に関しては、その特徴付ける弁別性であるけれども、右側には必ずしも効いてはないのではないかと、こうした御趣旨の御意見をいただいたこともありまして、3の軸のポジションを整理し直ししました。それから、この2点以外に、前回の御議論の中で、例えば社会補償政策等との観点からの人材育成への国の政策上の直接関与の必要性という視点。また、今回の議論の中心ターゲットの新たな業界検定に直接関わる部分として、労働市場における流動性、能力開発に係る外部性が大きいことに非常に大きな特徴があり、企業個人ともに能力開発評価のインセンティブが効きにくく流通し難いといった特性、こうした4つほどの軸に基づいて、グルーピングの考え方は基本的に前回と同様ですが、一番左側から医療・福祉専門職/運輸職/技術職等と。また、ものづくり技能職/知的専門職等、左記以外の対人サービス等、事務型職種、その他として大まかな4つのグルーピングをさせていただいています。これが大きな1点目です。

2点目としては、本研究会の議論の中心である、新たの業界検定の必要性について、順立てて明確に考え方を整理する必要があるのではないかという趣旨での多岐にわたる御議論をいただきました。それを踏まえ、非常に線が錯綜していて恐縮ですけれども、左3つのグルーピング全体に係るような形で、緑の枠を設定させていただいています。このエリアが、検定等公的職業資格による信頼性ある職業能力評価の仕組みが成り立ち、また、必要性が認められる領域と言えるのではないか。その右側に検定等整備の十分要件として、職業能力の客観・共通性、階層性、又は地域的広がりという視点を示させていただいています。こうした要件を満たす領域がこの緑色の領域です。ただ、その中で左から3つ目、新たな業界検定ということでカバーしている領域に関しては、左2つのグルーピングに比べて、これまでの労働市場構造の中では、検定等の必要性が相対的にはこれまで低かったと。ここから右上の点線のほうに飛びまして、近年の産業構造、労働市場構造変化の中で、左から3つ目の領域、流動性あるいは能力開発に係る外部性とに特徴づけられる領域に関し、労働市場における比重そのものが拡大しているということです。それから非正規雇用労働者などのキャリア形成上の課題が、より顕著化している等との観点から、新たな検定等の整備の必要性が高まっているということで、元々、十分要件は成り立っていたけれども、相対的には必要性が低かったところ、今ほど申し上げたような考え方で、この分野でも必要性が高まってきたということです。矢印が少し隠れた形になっていますけれども、新たな検定整備の必要性が認められる領域がここです。前回も申し上げましたように、26年度予算案の中に既に業界検定スタートアップ支援、予算事業としての位置付けはしているところですが、本研究会における御議論、提言を踏まえ、本領域において、この新たな業界検定の仕組み、質保証の仕組みの整備を図りながら対象分野や水準の拡大を図っていくことが必要ではないだろうかということを左側の技能検定と対置させながらお示しをした図です。

 個別に、少し補強をした点を何点か申し上げますと、前回の資料では既存の民間との職業資格を一番右側のエリアだけに付けていましたけれども、既存の資格については新たな業界検定の仕組みを作ろうとしている分野でも一定存在をするということで、ドットで広がりを表現をしました。それから、これら仕組みについての労働市場におけるカバレッジイメージも大変重要ではないかということで、取りあえず技能検定に関しては一番最初の研究会で御提示をしましたように、制度上は全就業者数ストックの34%程度をカバーということで、これは既に加筆を入れさせていただいています。新たな業界検定のエリアに関しては、これまでの能力評価基準の整備の状況等を踏まえ、今申し上げました技能検定と同じような就業者数ストックベースのカバレッジというように考えると、大体この新たな業界検定で30%弱ぐらいをカバーし得るのではないかという試算を今行っています。もし、こういう数字の精査ができた場合には、より明確に付けることも検討していきたいと考えています。

 また、ただいま申し上げましたような業界検定の構想と現行の技能検定制度の関係が、より具体的にプラクティカルに整理をした資料、これも前回の縦長の資料でお示ししていましたけれども、今ほど申しましたような考え方を反映した形で3の主要な対象分野、5評価方法、更には7名称独占と検定の効果という観点で、少し具体化をした記述内容で、改めて整理をさせていただいています。

 以上のような前回の御議論を踏まえての考え方、整理を踏まえて、更に資料の4、資料5ですが、私ども事務局のほうで整理をさせていただきました報告書骨子案と、それを非常に無理くりですが、1枚におさめたものが7ページの概要に当たる資料です。

 今日は資料5の報告書骨子案に沿って、そのポイントとなる事項を御確認いただきたい事項を中心に御説明申し上げたいと思います。最初に、全体の構成を御確認いただければと思っております。以下の一番下の通しページで御説明いたします。9ページの「1 はじめに」が本研究会の開催のねらい、背景に相当する部分です。次の10ページの「2 検討の基本的視点」は、前半のほうで御議論いただきましたが、関連するこれまでの議論のポイント、あるいは本研究会における重点分野設定の考え方といった諸点です。また、12ページ以下の「3 職業能力評価やその関連制度の現状・課題分析」ということで、技能検定制度を初めとする現行の能力評価の仕組み、あるいはヒアリングなどもさせていただきました諸外国における職業能力評価制度の概況、我が国におけるインプリケーションといった点について整理させていただき、更に20ページ以降が「4 今後の職業能力評価制度のあり方」として、ただいま申し上げましたような、前回も御議論いただいた今後の能力評価制度のあり方の考え方、あるいは具体的な留意点という内容を整理させていただいたものです。

9ページに戻りまして、「1 はじめに」として、本研究会の開催の背景、ねらいに相当する労働市場の構造的変化。また、(2)労働市場における能力評価の位置付けということで、産業競争力会議。また、後ほど参考資料でも若干触れさせていただきますが、つい先日に報告書を取りまとめなされました雇用政策研究会等々の場で議論されています今後の労働市場政策の方向性。ここにありますような「『柔軟で多様な働き方ができる社会』の構築」、「成長を可能とする雇用政策」、「人材の最適配置と最大活用」、「外部労働市場の整備」等のいずれのポイント視点からも能力開発その成果である職業能力の適正な評価・見える化、更には能力開発と能力評価の整合的な整理と整備、マッチング、キャリアアップへの結び付けといった循環形成の重要性が確認をされているということです。

 また、下の○に、能力評価制度、外部労働市場の観点でも本来、役立つべきものを期待されているものではあるけれども、産業構造の変化、様々な要因によって求められる能力、保有する能力ともに変化し、見えにくくなっている。また、労働異動の可能性が高く、人材育成投資の過小性等が生じがちで、キャリアアップの機会が乏しくなりがちな非正規雇用労働者等に有効に機能しがたい現状、こういった点を確認させていただいた上で、「日本再興戦略」における能力評価の仕組みを整備し、職業能力の「見える化」を促進といった政府全体としての方針などを掲げさせていただき、これら諸点を本研究開催のねらい、背景というようにまとめさせていただいている内容です。

 次の10ページから、「2 検討の基本的視点」です。(1)職業能力評価やその評価に係る近年の議論・検討の概観ということで当初における「非正規労働者の能力開発抜本強化に関する検討会」あるいは内閣府における「成長のための人的資源の活用の今後の方向性について」といった各種の報告書、提言などにおいた人的資本を適切に評価する社会のあり方、キャリアアップ実現の観点からの能力評価の「ものさし」の必要性といった点を確認させていただいています。

 次の、労働市場政策上の評価の対象とすべき職業能力の構図、要素の捉え方に関しては、第1回にも御提示をしましたが、今日の資料で言いますと、参考資料として33ページに添付しています職業能力のいわゆる大系図により整理をさせていただいた構造分析を文章化させていただいたのが10ページから11ページにかけての職業能力の構造論です。

 その上で更に11ページに、(3)労働市場政策上の職業能力評価制度のあり方検討の重点分野設定の整理として、当初、たたき台として、階段図を御提示し、非常に幅広い御議論をいただいた上で、更に労働市場政策上の職業能力評価施策の「必要性・緊急性」、更に次のページの「有効性」「実効性」。この3つの観点から労働市場政策上の能力評価のあり方の重点分野設定の考え方を、時間を掛けて御議論いただきました。11ページの下段のように「必要性・緊急性」という観点からは、とりわけ「キャリア形成上の重大な課題を抱える非正規雇用労働者層」をターゲットに、これら層が、中途採用で就職する可能性の高い「ジョブ型労働市場を形成する業種・職種」かつ「業界内共通の知識・技能」といった分野を重点とすることが考えられるのではないかという点です。

 また、次の12ページにかけて、今申しました非正規労働者に関わる人材育成投資の過小性能力の流通のしにくさ、見えにくさの二重の観点からこの外部性を解消するための国関与の必然性。また、非正規労働者だけではなく、新規休職者、子育て女性、ミドル、再就職を目指すシニア等、キャリア形成上の課題を抱える各層にも可能な限り、こうした仕組みが活用されるべきという点を整理しています。

 また、施策の「有効性」という観点からは、エントリーレベル以上概ねミドルまで。あるいは企業内キャリアアップや同一業種・職種内企業間の労働移動で、特に、ジョブ型労働市場分野、具体的にはここにあるような各分野や仕組みが有効な分野として想定されるのではないかということです。更に、「実効性」として実際にできるかどうかという観点からも、いくつかの留意点をここに示しています。

 次の12ページ以下は、「3 職業能力評価やその関連制度の現状・課題分析」です。参考資料の34ページ以下にそれに対する主な資料を添付しております。現行の職業能力開発促進法上も職業訓練と職業能力検定が、いわば二本柱になっているという構成です。更には、離職者を対象とした能力開発、雇用政策上密接に連動した制度設計となっており、更に能力評価については、評価基準と、これに準拠した職業能力検定という重層構造を採っている点。また、13ページの真ん中より少し下に、「第9次職業能力開発基本計画」の中でも能力評価システムの整備が重要な課題に位置付けられ、かつ、教育訓練体系との結び付けの重要性が指摘されていると整理しております。

 次の14ページ以下に、具体的な仕組みについて、それぞれ制度のポイントや活用実態などについて示しています。技能検定制度に関しては、第1回以降に御提示したカバレッジ等のデータも含め、活用状況等の主要なデータを示しています。15ページ以下には、(3)として技能検定制度を補完する制度としての技能審査認定制度あるいは社内検定認定制度という仕組み。今日はちょっとボリュームの関係で、それに係る記述は省略していますけれども、最終的にはこの部分もきちんと整理したいと思っております。また、(4)として能力検定の基盤となる職業能力評価基準や高齢・障害・求職者雇用支援機構で開発をしている「生涯職業能力開発体系」の目的、理念や整備の状況。更には、キャリア段位やITスキル標準(ITSS)、こちらのほうも本日の骨子上は一旦割愛させていただいていますけれども、キャリア段位に関しては既存の職業資格との相互認証という観点も含めての新規入職、キャリアアップともに使えるキャリアラダーとしての意図、こういった点について最終的にはしっかり整理をしていきたいと思っております。

16ページ以下が、今申しました個別の制度を内包した国内の職業資格制度全体像の俯瞰です。参考資料の43ページが主に相当するものです。職業資格に関しては16ページの下の「一定の職務遂行に必要な知識・技能等の能力の水準を国等の第三者が社会的に公証し、その知識・技能を行使する特定の職業行為が社会的に円滑に行われるようにする仕組み」という一般的な定義を置かせていただいた上で、次の17ページにかけて、この職業資格についての分類の考え方、付与者の観点からの国家資格、公的資格、民間資格に分類。また、資格の効力の観点からは、業務独占、国際的には、License(免許)と言われるもの、いわゆるCertificationQualification、こうした考え方に分類。更には、資格取得者に帰属する効果とは少し別の視点ですが、必置資格という職業資格の分類の考え方、視点というものをおさらいさせていただいた上で、17ページから18ページにかけて、先ほどの概念図で整理した資格検定等のあり方を規定する職務、職業能力の特性に関わる軸の考え方を、改めて整理させていただいています。

18ページ以下に、(6)として職業資格等職業能力評価の活用実態と課題ということで、職業能力基本調査、あるいは本研究会で実施しましたヒアリング等の結果を含めて、様々な民間資格、また、技能検定制度に絞った活用実態と課題について整理しています。参考資料の4445ページに相当します。各種民間資格、技能検定資格を含め、企業内の能力開発の目標設定、動機付け等の観点からは効果を上げています。ただ、この研究会で労働市場政策におけるということで、直接御議論いただいていますマッチングとの要件としての活用は限定的であるといった点を現状として押さえた上で、それぞれ民間資格、技能検定に関わる課題についても示しております。

19ページ以下に、(7)諸外国における能力評価制度やその枠組みに係る現状等々とあります。2012年のJILPT調査に加え、この研究会の中でも有識者ヒアリングを実施させていただきました。こちらも各国別の状況はボリューム等の観点で割愛させていただいていますが、全体の共通の考え方として、19ページ中段の「資格枠組み」が、EUにおける「EQF」の確立等なども背景として、多数の国で段階的に整理されていること。また、その背景として、転職増大等を背景とする中で、より効率的、的確なマッチング上の必要性の観点から、職業能力の共通的、客観的基準の整備が求められているという観点。技能労働者の社会・経済的地位を表わすという意味での「ものさし」の必要性という観点。EU雇用政策ですが、域内の労働移動の自由化などの方向性の下での観点をお示しした上で、次の20ページです。これら先進各国間でも資格枠組みのデザインは一様ではなく、それぞれの国の必要性の下で多様な設計がなされています。ただその中で、教育訓練と評価制度の連動性が大変重視されていること。求人・選考要件への位置付けは、一部の業種・職種に限定されているという点については、各国でかなりの程度、共通しています。特にこの能力評価と教育訓練との連動性の重視といった点は、我が国における制度設計・運用上も大いに参考とすべきではないかという点。更に中段の、「業種・職種横断で、枠組みそのものの体系性・網羅性」を求める、あるいは「学位との連動性」を重視するという各国において共通のアプローチに関しては、全体背景が異なる我が国にあっては、必ずしも当てはまらないのではないかといった点についても触れております。

20ページ中段以下は、「4 今後の能力評価制度のあり方」です。ここは提言編です。最初の○の部分ですが、前半のほうで申しました再興戦略等に示された政策課題や方向性、今ほどの1から3で整理した現状・課題等を踏まえるならば、評価基準、能力検定制度の労働市場政策上の特に重要な意義・役割として、労働者の教育訓練等の目標、マッチングを効率的に行うためのインデックス(指標)、採用から配置、処遇等を一貫して行う共通言語・枠組み、特に非正規労働者等のキャリアアップのラダーといった観点が重要ではないかということを改めて強調させていただいています。その上で、例の軸の考え方を2021ページにかけて改めてお示しした上で、4つのグルーピングに分類しています。ただし、21ページの真ん中より少し上ですが、職業資格制度の設計は、この基本的軸以外の要因によって規定される場合もあるとしています。また、4つのグルーピング自体が厳密排他的ではないということにも補足的に触れております。中断の部分ですが、その上で対人サービス向け、事務系専門職等のグループを見てみた場合、現状では、公的市場性を備えた評価の整備に至っていない。ただ、近年労働市場における比重が拡大し、非正規雇用労働者等のキャリア形成上の課題が顕在化している、こういった視点から、これらの分野をターゲットとした新たな業界検定として、採用・人事の主体であり、人材ニーズを直接把握する業界等が主体となって開発・運用をする。そこに国が弾力性を確保した関与の下で質保証を行っていく。そうしたことによって、職業能力評価の「ものさし」を設定するという方向性が考えられるのではないかという点。そういう基本的な考え方を示した上で、その下にありますように、まずは多様かつ実践的な評価可能なツールの整備、モデル事例の創出・発信が必要ではないかという方向性を、この(1)で示しています。

 次の(2)で、業界検定方式に絞っての制度設計・運用のポイント・考え方を示しています。21ページの一番下から次のページにかけて、26年度予算案に盛り込まれている「業界検定スタートアップ支援事業」の実績・成果の検証等を踏まえながら、対象分野の拡大等に併せ、国の関与の下での質保証、あるいは拡充を図っていくという基本的な方向性を示し、純粋民間型の現在の検定と、国の関与の下で質保証を図っていくという業界検定、ここまでの部分で2つの言葉概念が混在しているということで、ここで一旦、こうした要素を備えた検定を、以下では業界検定あるいは業界検定方式ということで、言葉の上で整理をさせていただいています。

 その上でいくつかのポイントですが、最初がターゲットです。能力開発に係る外部性が高く、インセンティブが効きにくい分野で、現在は公的な検定等職業資格制度の確立に至っていない。かつ、ジョブ型労働市場において、有用で、また、成長性、雇用吸収力が期待される分野というターゲット設定の考え方をお示ししています。また、検定の開発運用の主体としては先ほども申しましたような、顧客・人材ニーズを直接把握し、また、採用人事の主体となるという意味で、業界団体が主体となり、かつ必要に応じて教育訓練専門機関等の協力を得て、採用選考・人事等でも基準として積極的に活用する方針を予め明確化した上で取組をしていくことがポイントではないかという点です。

 また、次が、検定の手法です。前回も少し御議論いただいたような一般的な検定の手法に加え、教育訓練歴や仕事ぶりの評価、作品という分野ごと、あるいは在職者が初めてその分野に就業する方といった属性に応じての多様で、可能な限り実践的な評価手法を組み合わせる必要性があります。あるいは、能力が変化することでの、何がしかの継続的な質保証の仕組みの必要性について研究させていただいています。

 次が、「国()の関与」という観点です。これらの検定がアウトサイダーも含め、受検機会の開放性を確保する。労働市場において活用されるため、また、多くの受検者、企業その他の関係者の信頼・普及をしていく上で、検定そのもの、また合格者の能力水準について、国()が何らかの実質的、外形的な質保証を行う仕組みが必要ではないか。更に国()の関与の仕方として、現行の技能検定と同等の基準を画一的に当てはめるというよりは、弾力性を内包したプロセス指向の基準あるいは基準の当てはめ方が妥当ではないかという点について、次のページにかけて触れております。また、検定合格の社会的効果、合格者の称号等に関しても、国()の関わり方、普及等の観点から、具体的な検討が求められるという点。更には運用上の留意点として、企業と職業能力の評価との組み合わせといった視点。財政面、技術面も含めての国の関与による「外部性」の克服。運営上のオープン性の確保。ハローワーク等の就職支援機関の積極的な活用といった諸点について触れております。

23ページの(3)は、技能検定制度等、現行能力評価制度の位置付けも含めての評価制度の全体体系のあり方です。「職業能力の見える化」という目的を達成する上で、業界検定方式に加えて技能検定を含めた様々な職業能力評価の仕組みについての体系化、最低限の質保証基準、資格の比較可能性の関与、ユーザーの信頼性の確保という視点が重要ではないかということです。

 より具体的には、キャリアラダーとして活用することは必然的に必要になってくるわけですが、概ね共通的な階層性の設定であるとか、検定手法・運用に関わる最低限満たすべき要件、こういった各種検定制度の共通的な質保証の基準を設定した上で、その適合・履行について、国()が何らかの形で、事前・事後の関与する仕組みが必要ではないかという、基本的な考え方の上で、具体的な技能検定制度に関わる課題に関しては、次の23ページにかけて、現在、技能検定制度が活用されている「ものづくり分野」等を念頭に置いて、生産現場の技術、技能の原理原則に関わる理解、こういった観点での有用性、今後とも国家検定制度としての継続的運用が求められるのではないかといった点。それに加えて、もともと相対的には内部市場性の高い領域をターゲットにしているものではあるけれども、今後、この技能検定制度に関しても、採用選考等の外部市場型の活用にも耐え得るものとする必要があるのではないかといった観点から、試験実施方式、検定内容の改訂。現行制度でも、この技能検定の「入り口」に当たる3級職種の拡大等々の見直し、拡充という視点について触れております。また、前回も少し御議論いただきましたが、現行の技能検定制度の指定試験機関方式、あるいは認定技能審査等の対象となっている職種・業種あるいはそこでの検定の仕組みに関して、先ほど申しました業界検定の仕組みが整備された場合、それとの類似性が認められる領域があることも事実で、業界検定制度の仕組み、整備後、こうした既存の仕組みとの関係整理が必要ではないかという点についても触れています。

25ページ以下が能力評価と教育訓練、キャリア・コンサルティング等、関連施策との関連付けについての提言案として整理させていただいております。能力評価は、もともと職業訓練と「入口、出口」の両面で一体的な仕組みであり、必要な能力(人材像)を明確化した上で、その養成のための教育訓練があり、その成果評価としての能力評価があるといった基本的な考え方をお示した上で、この能力評価と教育訓練プログラムについて、可能な限り一体的な開発・運用を図っていくということです。これらの取組に関し、国の支援等を通じて、必要な分野での計画的なプログラム設定を行うべきではないかという点。また、教育訓練プログラム終了を検定(受検)の要件に位置付け、あるいはその逆の制度上のリンケージ強化が必要ではないか。更には、こうした教育訓練受講とその成果の評価としての検定をキャリアアップの道筋として、非正規雇用労働者、若者、女性、ミドル等の求職者各層に対して、「典型的な組み合わせ」典型的なキャリアパスとして示すことによって、より有効な誘導が図られるのではないかという点。検定の試行的な就労や雇用後の訓練を支援する仕組みも効果的に組み合わせていくことの意義という点です。

 また、この間、資料で提示していますが、教育訓練に関わる質保証、ISOの動向等とこの能力評価の質保証の仕組みについて、相乗効果を持った取組みが必要ではないかという点。この能力評価を具体的なキャリアアップのツールとして有効に活用していく上で、キャリア・コンサルティング、あるいは次のページにかけてのジョブ・カード、あるいは現在議論されています見直しの姿、キャリアパスポートとの関わりで、これらに盛り込むコンテンツという観点から有効に活用していくという方向性。更には、ハローワークを含めての職業紹介機関におけるマッチング上の能力評価の的確な活用の必要性についても言及しております。

 次の「多様な正社員モデルにおける業界検定の活用」は、もともと日本再興戦略において、この業界検定等による「職業能力の見える化」「『多様な正社員』モデルの普及・促進」にも有効・活用すべきという提言と方向性が示されています。現在、労働基準局が事務局となり、今の座長、こちらのほうの座長もお務めですが、多様な正社員の普及拡大のための有識者懇談会といった場での議論が現在進められています。本段階の議論を通じての職務限定正社員なども含めての多様な正社員モデルの普及を図っていく上でも、この「職業能力の見える化」を図る業界検定との「ものさし」やツールを整備することで相乗効果が期待されるののではないかといった点をここで示しています。

 最後に、その他、包括的な課題ということで、次の27ページにかけて、外部市場だけではなく、企業の人事管理上、内部市場でも一貫して、連続して活用されるべきという点。職業能力評価に関わる様々な専門人材の計画的な養成が必要であるという点。教育の仕組みとの連携確保が必要であるという点。能力評価を有効に継続的に活用するための評価の仕組みや基準を整備すべきであるという点。また、今回の研究会の中では、主にジョブ型市場における業種職種固有の能力に着目をして御議論を頂いたわけですけれども、労働市場政策における能力評価のあり方全体を考える上では、ここにあるような、より幅広い観点からの検討がなされ、労働市場政策は、もとより人材育成政策にも的確に反映されることが期待されるのではないかということを最後の部分で盛り込ませていただいています。以上が大変駆け足の説明になってしまいましたが、骨子案整理、私どものほうでポイントと考えているところです。

 以下は、一部引用させていただきましたが、これを補充するような参考資料です。一番最後の51ページ以下に、研究会骨子の中でも引用させていただいています。雇用政策研究会報告書、本研究会の中では阿部先生がこちらの研究会の委員にもなっておられますが、つい先日26日に今後の労働市場政策の方向性の取りまとめがなされたということで、次の52ページにかけて、本能力評価制度あり方研究会における検討の論点といったことについても掻い摘んで、この雇用政策研究会の中でも紹介をしてもらっているということです。また、骨子案の最後のほうで触れさせていただきましたが、「多元的で安心できる働き方」の導入促進という観点で、現在開催されています「『多様な正社員』の普及・拡大のための有識者懇談会」の概要に関しても、最後の2枚に示しております。こちらのほうには、今野先生、また、黒澤先生が委員として御参画されておられます。以上、事務局からの資料説明です。御審議よろしくお願い申し上げます。

○今野座長 本日の主なテーマは、この骨子案を議論することですが、長いので、全体の構成としては、前段の議論、提言の本丸の部分、関連分野に関わる提言部分と、大体この大きく3つになっています。お手元の資料では、前段は13なので、通し番号の911ページぐらいまで。12ページの4からが提言の本丸。15ージの(4)以降が関連分野等の提言になりますので、大きく3つに分けて議論しようと思います。もう一度言いますと、前段の13、提言編の4(1)(3)、最後に、提言編4(4)。そういう分け方で議論をさせていただきたいと思います。

 議論に入る前に、本日は新たに資料2と資料3について説明していただきましたので、この資料について御質問があればお聞きします。それから、提言編に入りたいと思います。まず、資料2と資料3、特に資料2について、バージョンアップしたものを説明していただきましたので、この点について御質問があれば、どうぞ。

○松浦参集者 気になったのは、資料2の上の矢印2,3,4の所です。3は顧客・自らの生命・安全確保の観点から、4は外部性が大きいから、ということですが、これらは両方とも2の理由なのではないかと思います。つまり、人材育成への国の政策上の直接関与の必要性がなぜ大きいかという理由が、34なのではないかという気がします。そういう意味で、2の矢印が左だけになっている点に違和感がありました。○今野座長 どうですか。

○伊藤課長 松浦委員の御指摘のように、234は必ずしも完全に独立した軸ではないと私どもも認識しています。2の人材育成への国の関与の着眼点として、3のような視点、いわゆる社会保障政策上の人材育成の必要性といった辺りは、3でかなりの程度を説明できる部分があると思います。ただ、3からはみ出して、人材育成への国の関与の必要性として、これは全く違う視点ですが、前回の研究会でも触れましたように、労働政策を推進する基盤として、例えばキャリア・コンサルタントの養成の視点や、景況にも左右されますが、国のインフラ整備の観点で、建設人材の不足が顕在化した場合に、そういった分野での人材育成の取組の必要性などもあります。ですから、完全に内包ではありませんが、23の関連付けがあることは事実です。また、24に関しても、4にあるような、流動性、外部性が大きいために国が関与していかなければいけない必要がある。これも、そういう筋があることは事実だと我々も認識しています。

2に関しては、国が労働者の能力水準に関与していく、質保証に関与していくということももちろんありますが、具体的な人材養成として、これだけの需要があり、それを満たすために労働政策も含めた政府の様々な取組によって、計画的な人材育成を行っていくという必要性が一般的に存在することも含めての考え方です。そういう意味では、24も関連はしていますが、完全内包ではない。その辺りに関して、もしほかの委員の皆様も御異存がなければ、234の関係について誤解を与えないような表現を、この図の上での整理はなかなか難しいかもしれませんが、現在の骨子案の中では単純並列のようになっていますが、そこは完全に独立ではないという辺りの誤解を招かないような表現を工夫したいと思います。

○今野座長 前回の議論の内容からすれば、2は、3とは全く関係なくてもいいのだということなのです。例えば、我が国の産業は、将来を考えると、製造業を強化しなければいけない。そこの人材について集中的に社会的に投資しなければいけない。したがって、自らの生命・安全とは関係なくても政策上はそこが必要なのだという、2はそういう趣旨ですね。

○伊藤課長 そういう別の視点もあり得る。

○今野座長 前回の議論で出てきたのは、そういうニュアンスですね、この2は。そうだと私は理解しているのですが。松浦さん、よろしいですか。

○松浦参集者 One of themとして3があるという感じなのですか。それとも、全く違うという感じになるのでしょうか。

○今野座長 でも、「人材育成への国の政策上の直接の関与」と言ってしまうと全部入ってしまいます。

○松浦参集者 全部入ってしまいます。

○今野座長 全部入ってしまう。

○松浦参集者 そうなのです。

○今野座長 全部が、それをどうにか説明したい変数なのですから。そういうことを言ってしまうと。

○松浦参集者 そうです。ですから、この表現だと全部だと誤解されてしまうのではないかという気がします。

○今野座長 そうすると、ここの表現を。

○伊藤課長 表現と、それから、お話があったように、国が何がしか関わる必要があるという意味では、能力開発法自体が特定の業種・職種ということではなく、あまねく様々な業種・職種を対象とした能開法上の目的に沿っての能力検定や訓練について規定をしているわけなので、2の軸が全部をカバーするということになってくるのです。先ほども申し上げたように、職業能力評価の性格を規定するという意味でのcritical性と言いますか、弁別性という観点で、特に効いている部分は、2では、一番左の領域と、次の現在の技能検定でカバーしている領域が主なのでしょう、ということです。更に言えば、今の座長のお話と大体重なりますが、直接関与の必要性は、一般的に質保証に関与することが必要だという以上に、国がイニシアチブを取って、先ほど申し上げたように、この分野で何年後に何万人養成といった、より具体的な取組が求められるような分野を念頭に置いて記載しています。

○今野座長 そういうことですね。

○伊藤課長 そういう意味では、右側が全く無関係ではありませんが、効いているのは左側ということだろうというように、一応、整理をしています。

○今野座長 ということは、いずれにしても、この表現が広過ぎるということですね。もう少し、そういうニュアンスになるように。

○伊藤課長 意味が特定できるような表現に。承知いたしました。

○今野座長 ほかに、どうでしょうか。

○大久保参集者 同じ資料2についてです。業界検定と技能検定が台形で示されていますが、この高さの違いが気になっています。確認したいのですが、技能検定の3級というのは、何年かの実務経験がなくても、どこかの教育機関で実習程度のものが含まれた教育を受けていれば、その仕事の経験がなくても取れる、エントリーレベルだということですね。

○伊藤課長 はい。

○大久保参集者 そうすると、そこの面は業界検定も同じで、合っているのですね。

○伊藤課長 はい。

○大久保参集者 そういうエントリーレベルから始まって、ラダーが形成されて、2級になり、1級になり、特というものがあるケースもあるのですね。その上の、業界検定が技能検定の上に行くところは小さいということを、これは表現しているのですか。

○伊藤課長 作図の意図の観点で説明いたします。まず、ボトムラインに関しては、これは差別化しているという意図は全くありません。言うなれば現在の技能検定3級に相当するラインで、これが今の技能検定と新たな業界検定構想の共通の概念的なボトムラインです。作図上、全く同じ高さにすると線が重なって見えないので、ほんの少しだけ高くしているという、そういうテクニカルな理由です。

 トップラインに関しては、実は少し意図があって高さを変えています。求められる能力の水準に関して、もちろん、技能検定の対象領域と業界検定の対象領域に差がある、技能検定のほうが上だと思っているわけではありません。ただ、水色で示したゾーン、企業特性、多様性が顕著で検定による能力評価が困難であったり、又は、意味を成しにくい分野は、一番右側にあると同時に、技能検定や業界検定の領域でも、ハイレベル部分では非常に個別性が高くなって、検定的な手法では評価が難しいであろうという部分です。そういう領域が、もともと、評価される能力の多様性・柔軟性が技能検定よりも大きいと思われる業界検定のゾーンで少し広くなる分だけ、検定的な手法で評価し得る高さの限界が技能検定よりも業界検定構想のほうが少し低くなる可能性があるのではないかという意図で、この図の上ではトップラインに少し差を設けています。作図の意図としてはそういうことです。

○大久保参集者 その意図は必要なのでしょうか。

○今野座長 今の点については、業界検定というのはどのように検定するのかは具体的にフィックスされていないのですから、同じにしておいたほうがいいのではないでしょうか。高さが違うのは、ちょっと。

○伊藤課長 ですから、手法の工夫によっては、かなり高いレベルまで検定的な手法で評価できる可能性はある。

○今野座長 かもしれないし。

○伊藤課長 その可能性を最初から否定するスタンスに立つべきではないのではないかという御趣旨ですね。

○今野座長 はい。

○伊藤課長 なるほど。

○今野座長 それほど厳密な絵でもないので、大体同じにしておけばいいのではないですか。

○伊藤課長 説明しない限りは分からない。

○大久保参集者 こんな所まで気にしないかもしれませんが。

○今野座長 ほかに、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、骨子案に移りましょう。先ほど言ったように、9ページの「はじめに」、2ページの「2 検討の基本的視点」、4ページの「3 職業能力評価やその関連制度の現状・課題分析」、これが12ページまで続きます。ここまでが前段というか、前提の議論です。まず、この範囲内で皆さんの御意見を頂きたいと思います。何でも結構なので、どうぞ。

○北浦参集者 大変よく書き込んであると思います。これはもともと労働市場政策という枠組みの中で議論しているので、これはこれでストーリーとしてはよく出来ています。競争力会議などいろいろなものが出ていて、それらを見てみると、現在一番大きな問題は生産性の向上の問題です。特にここでターゲットになる業界検定は、サービスを念頭に置いて、そこの生産性向上が今回非常に大きなテーマになっていますし、先日の政労使の三者会議においてもそこがかなり強調されています。具体的に産業政策上のものを書き込む必要はありませんが、生産性向上の観点においての能力アップは必要であるし、そのためには、まず能力の評価をきちんとすることによって、その道筋を作っていく。その辺のストーリーを少し叙述しておかないと、この枠の中で議論する分にはいいのですが、外から見たときに、やや狭い印象を与えてしまいます。非常に国家的な課題ですから、そこが見えるように、その点を少し何か加えていただけるとよろしいと思います。

○伊藤課長 北浦委員から御指摘のあった点については、当然、「日本再興戦略」や、通しの10ページ中段の「成長のための人的資源の活用の今後の方向性について」などは、政労使の中でも前提として強調される点です。この骨子の中での引用の仕方が狭くなってしまったということだと思いますので、御指摘のあったような点は本研究会の議論の大前提で、重要な点の1つだと思いますので、そういった点がしっかり見えるような書き方に改めたいと思います。

○今野座長 そういう点からすると、9ページの最初の(1)に、この辺にバンッとそういうものを入れてしまうという方法もありますね。それで、詳細を後ろに入れてもいいのですが。

○伊藤課長 なるほど。

○今野座長 そうすると、表題も変わるかもしれませんが。それはお任せしますが、こうしないと生産性は上がらないぞという話ですね。

○北浦参集者 そうです。

○伊藤課長 はい。

○今野座長 ほかに、いかがでしょうか。

○大久保参集者 14ページの下のほうに、技能検定制度について説明している所がありますが、確認です。技能検定制度は全体の領域の34%をカバーしているという説明がありましたが、もともとは技能検定制度というのはもう少し大きな領域をカバーしていたのです。就業構造が変わるにしたがって、技能検定がカバレッジする所が小さくなってきた。逆に言えば、今回対象としている領域というのは、就業人口が拡大し続けてきていて、かつ、今後も更に拡大するだろうと想定されている領域なのですね。

○伊藤課長 事実関係に属する話ですが、より正確に申し上げますと、昭和34年に技能検定制度が発足した時点では10数職種でスタートしていますので、その時点では今よりもカバレッジが低かったのですが、その後の技能検定制度の段階的な整備の中で、対象職種が拡大し、かつ、高度成長期にあっては、製造業、また、製造業に従事する技能者のストック、フロー両面でのシェアは今よりも高かったわけです。本日紹介いたしました現行のカバレッジ推計を過去の時点に当てはめての正確な試算までは行っていませんが、恐らく過去においては技能検定制度の就業者数で見た制度的カバレッジはより低かった。それが、制度としてはシュリンクはしていませんが、就業構造の変化の中で結果的に狭まってきて、その分、業界検定制度がカバーしようとしている領域の就業者カバレッジが増えてきているという構造であると、同様の認識を持っています。

○大久保参集者 もう1点、技能検定についての確認です。真ん中ぐらいに、「平成24年度の能力開発基本調査によると、労働者の職業意識や職業能力向上に役立つ」が86.8%で最も多いというように技能検定が説明されていますが、技能検定の利点についても、技能検定が下のほうに広げていったり、職域を広げていったりすることによって、もう少し多様になってきているのではないかと思っています。この能開基本調査も、これは複数回答なので、これが一番多いということなのだろうと思います。つまり、下のほうに広げていけば、先ほど言ったように、新たにその領域にチャレンジする新規エントリーの人たちの参入を円滑にするという効果も果たしているのだろうし、もう1つ、この後にちょろっと出てくる1級とか特という上のほうのレベルを取っている人たちがたくさんいる事業所にとっては、そのこと自体が品質を顧客に説明するために非常に重要な要素を担っている。そのことを技能検定を従業員に取らせることの狙いにしている事業所もきっとあるはずです。

 逆に言うと、ここに書かれている86%というのはベーシックな目的ではあるものの、下のほうと上のほうの所の技能検定の利点が広がってきているのではなかろうか。この2つ両方の、エントリーレベルの参入の円滑化と企業としての競争力として顧客にPRできるという要素はとても大事な要素だと思っていますので、まずここで、そのことをきちんと書くことがいいのではないかと思いますが。

○伊藤課長 現行の能開基本調査の中では、もともと意図されていた、また、グレード等にかかわらず普遍的に当てはまる効能という観点から選択肢を設定していることもあり、ここではこのような整理にしています。先ほど関連する御質問もありましたが、現行の技能検定3級に関して言うと、学校在学中の能力開発の目標であり、かつ、入職又は採用のメルクマールとしての活用が期待される。これに関しては、現在正に拡大途上であり、都道府県方式の技能検定受験者・合格者全体としては横這いの中で、3級に関しては着実かつ大幅に伸長している分野です。そういった意味では、エントリーレベルでの技能検定の効能については、私どもも近年改めてそこに着眼し、正に伸びてきている領域です。

 また、ハイエンドの部分での効能・効力についても、大久保委員からお話があったとおり、企業の立場からして、一般的な能力開発や職業意識向上とは少し別の視点で有用な視点であると、私どもも今回のヒアリングなどを通じて認識しています。ここの部分に書くのがいいのか、後半でも技能検定制度の今後の意味付けについて記述している項がありますので、そちらで記述するのがいいのか、今の大久保委員の御指摘の趣旨も踏まえて検討したいと思います。

○北浦参集者 今の所で、やはり、技能検定の評価を強く出し過ぎているという感じがします。今回そこまで丁寧に議論しているわけではないので、そこは慎重に書くべき所はそう書いたほうがいいと思います。特に8%論というのは、母数が全就労者数に対しての技能士というのですが、業態的に結構変わっています。いろいろな職種を持っていて、その職種ということで厳密に測っている場合と、そうでない場合とがあるのではないかと思うのです。そういうものを混ぜこぜにして、少ない、少ないという印象だけを与えてしまいますので。現場を見てみると、その職種に関してはかなりきちんと取っている。1級などを取っていればかなりハイレベルであって、それが期間工としてかなり大きな力を持っているという要素もあります。その辺も含めて、数字の扱いを、一人歩きしないように慎重にしたほうがよろしいと思います。

○伊藤課長 承知しました。

○今野座長 ほかに、いかがでしょうか。

○阿部参集者 2ページの、2(1)について幾つかあるのですが、一番大きいものから言うと、一番下のポツの「ジョブ型労働市場を形成していくため」という言葉は、少し誤解を生むとまずいのではないかという気がします。というのは、ジョブ型労働市場を形成していこうというのが労働市場政策のメインテーマではないと思うのです。もちろん、結果としてジョブ型労働市場が形成されていくことはあり得ると思いますが、政策としてジョブ型労働市場を形成していこうという趣旨ではないような気がしています。この辺りの表現ぶりを少し変えたほうが誤解を生まないのではないかと思います。具体的には、1ページの1(1)3番目の○に後段部分に、「ジョブ型労働市場の拡大に対応した個人の円滑なキャリアアップや転職支援が必要」だと書いてあるので、ここを生かして、今、指摘している2ページ目の部分には、「個人の円滑なキャリアアップや転職支援のため、ハローワークや民間職業紹介機関などにおいても、職業能力評価制度を積極的に活用すべき」ということでいいのではないかと思います。これは個人的な意見なので、皆さんの意見を調整していただきたいと思います。

 それから、同じ所の一番目のポツですが。

○今野座長 2ページの一番上ですか。

○阿部参集者 2(1)のポツです。「蓄積された人的資本を適切に評価する社会のあり方が重要」とありますが、評価するだけではなく、人的資本を活用するという視点も大事だと思います。「評価し、かつ、活用する」と書いたほうがいい。

 次のポツの所でも、「円滑に労働移動することができるようにすることによって」ということだけではないと思います。外部労働市場で移動するだけではなくて、社内でも異動やキャリアアップというのは大事な視点だと思いますので、その辺りも書き加えていただきたいと思います。

○伊藤課長 阿部委員から御指摘のあった部分は、「非正規雇用労働者の能力開発抜本強化検討会報告書」や「成長のための人的資源活用の今後の方向性についての報告書」のポイントについて、この研究会の議論との関わりが深いと思われる部分を抜粋・要約して整理したものです。3点ほど具体的に御指摘いただいた2点目の「人的資本評価」という観点に関して、より正確に申し上げると、「成長のための人的資源活用の今後の方向性についての報告書」の中では、「社会全体として人的資本の蓄積を適切に評価し、処遇に結び付けるシステムを整理することが望ましい」というように、評価だけではなく、ある種の活用と言いますか、それを処遇に結び付けることについても言及されています。そういう意味では、阿部委員の御指摘、それから、この後の各委員の関連する御指摘を踏まえ、こうした起用の職業能力評価に関わる主要な議論について、この研究会の議論、問題意識をできるだけ正確に表現するという観点で、もう一度、関連する原点も見直して、この研究会の問題意識が狭く捉えられないように工夫したいと思います。

○黒澤参集者 大変よくまとめられて、網羅されています。ありがとうございます。特に、経済学・効率性の観点から「過小」とか「外部性」という用語を使われていることは、能力開発の分野では画期的と言うか、とても有り難いと思います。通しの11ページの一番最後のポツの所の「外部性」という用語の使い方について異和感があるので、そこについてもう一度考えていただきたいと思います。何に異和感を感じるかというと、「雇用形態から企業・本人ともに教育訓練に透資インセンティブが効きにくく」とあり、それに対して「外部性」があって、「同時に」があって、「能力情報が流通しない」とありますが、能力情報が流通しないので、その続きにある処遇に結び付かない、だから外部性が生じるのですよね。ですから、これは並列ではない。そこに異和感を感じました。

 もう1つ、「同時に」とある「二重の意味での2つ」というのは、「インセンティブが効きにくい」ことと「流通」という観点の2つのことを言っているのだと思いますが、「投資のインセンティブが効きにくい」ということ自体は必ずしも公的介入の根拠にはならない。特に、例えば企業が特殊的な訓練をやることに対して、離職確率が高いので投資インセンティブが萎えますと言っても、それは余り投資されませんが、それをもって公的に支援しましょうという根拠にはならない。ただ、過小になる、効率的なレベルに比べて低くなることに対しては介入の余地があるわけで、根拠があるのです。その理由は何かというと、それは実は、企業がやる場合と個人がやる場合とでは変わってくるのです。そこは少し整理したほうがいいのではないか。

 ここで主な対象としている労働者、特に非正規労働者は、企業が余りやってくれないから本人が能力投資をやらないといけない。だけれども、それがやりにくい、それが過小になるのはどうしてかというと、要因が3つあるのです。そのうちの1つで一番大事だと思われるのが、この能力情報です。自分が投資してもそれが祉場できちんと認識されない、自分がお金を払って時間を掛けてやっても、それが認識されないから、だからやるのをやめたという、その部分です。その理由をなくすためには、こういった能力評価をするとか、トライアル雇用をするとか、そういうことが解決策の1つとして考えられる。

2つ目は、資金制約です。時間制約もありますが。やろうとしてもお金がないということ。3つ目が、自分が何をやっていいのか分からない。キャリアラダーにしても企業にしても、こういうものがあなたにはマッチしているのではないか、こういうものをやればこれぐらい展望が見えますというような、その辺が分からない。この3つがないことによって、個人が能力に投資しようとする行為自体が過小になる。

 それに対して、企業にとってみれば、企業が労働者への能力投資をしたくなくなるというのは、離職確率が高いということです、特に非正社員の場合には。だけれども、非正社員でも、使うためには汎用的な訓練もしなくてはいけない。また、実際にたくさんしている。しているのだけれども、皆、辞めてしまう。辞めたら辞めたで、転職先の企業はその人たちの高まった生産性に見合った賃金を払っていない。そこに外部性が生じるのです。実際に、研究でも、非正社員の離職確率が高い企業であればあるほど、実はそういう所はたくさんの能力投資をしているのです。その辺で、やはり非正社員の中では、特に能力投資をしている企業であるほど外部性が高いということが分かるのです。ですから、企業が能力投資をすることの過小性が大体は外部性に起因しているのに対して、個人の過小性は外部性だけではないということについて、少し整理して書いていただかないと。せっかくこういった用語を使っているのに、その辺りが少しフィットしない。

 通しの10ページでも、先ほどから議論のあった「2 基本的姿勢」の中の最後の2つのポツに、2つの要因、相応の処遇が確保されていないということと、非対称性というか、その辺りについても散りばめられているので、その辺りの用語を使って、もう少し整理していただきたいと思います。

 特に、個人が行うことが過小になるといった、能力情報が整備されていないこと以外の部分については、最初の所で是非触れていただきたいということには、もう1つ理由があります。この報告書のもう1つのすばらしい点は、最後のほうの提言の所で体系全体について触れている所だと思います。ここはとても大事です。体系全体では、こういった能力評価をきちんと樹立していくこととともに、そのポリシーミックスとして、例えば資金制約を緩和していくようなやり方を同時に並行してやっていかなければいけないということにもつながっていくと思いますので、是非その辺りを御配慮いただきたいと思います。

○今野座長 よろしいでしょうか。

○伊藤課長 いろいろとアドバイスを頂きながら、意図がより明確になるように。

○今野座長 最後は見てもらえばいいのではないでしょうか。言った以上は責任を持って。

○黒澤参集者 いえいえ。

○今野座長 何をしていいか分からないというのは、それに関連しては、キャリア・カウンセリングとか、そういうものまで入っていますね。

○伊藤課長 入っています。

○今野座長 それと、資金制約の問題ですね。ほかに、いかがでしょうか。

○大久保参集者 以下の文言で、資格の民間とか書いてありますが。

○今野座長 何ページですか。

○大久保参集者 17ページです。そこに、国家資格、公的資格、民間資格とさらっと書いてありますが、職業能力資格の全体の話をしているところなので、もう少し書いたほうがいいのではないかと思っています。民間資格は、おおむね1,000種類ぐらいの職業関連資格があり、現在でもなお増え続けている状況です。かなりの部分が、今回対象としようとしている対人サービス職とか事務系専門職の領域に分類されるものです。そういうものがある一方で、今、業界検定を作ろうとしているわけですから、民間資格の現状の特性については、一言ぐらい触れたほうがいいのではないかと思います。

 これは私の理解ですが、民間資格というのは、1つは特定の職業に必要な知識の一部を資格化したものが多く、主に自己啓発のねらいに則して使われているものです。たいていの場合は、その知識を提供するような民間のスクールというか、教育ビジネスと結び付いて展開されている。ただ、これは飽くまでも仕事をするための知識であり、更にその知識の一部ですので、それはそのまま転就職に即つながると言えば、そうではないものが多いと思います。

 もう1つ、職能団体や業界団体が絡んでいる民間資格というのもあって、そういうものは今回の業界検定のねらいと近いものだと思います。ただし、全てその領域全体に浸透しているわけではなくて、部分的であったり、参加している企業が一部であったりということもあって、まだ、必ずしも一般化というところまではいっていない。どう書くのか難しいですが、民間資格の現状に触れたほうがいいかなと思うのですが、どうでしょうか。

○今野座長 そうすると、公的資格も書かなければいけないというか。また、国家資格もいろいろなものがあって、今回は技能検定しか書いていない。そうすると、それとの兼ね合いもあるなと思いながら、お話を聞いていたのですが

 最初、この作りは技能検定とか、厚労省がやっている検定を言って、全体の職業資格はこうですよという話ですよね。

○伊藤課長 一番左側のほうに主に寄っているわけですが、そういう存在ももちろん前提にはしているわけです。

○今野座長 今の大久保さんの話は、全体を17ページで国家資格、公定資格、民間資格とある。多分、技能検定は、この中のここだよという話になったときに、全体の民間資格についても、現状はどうなっているのかを書いたほうがいいのではないかという話ですよね。

○大久保参集者 民間がやればいいじゃないかという質問に対して、ちゃんと説明するためにも、現状をどういうふうに理解しているのかと書いたほうがいいのではないかと思いますが。

○伊藤課長 労働市場政策上の活用における、いわば機能的な限界があると。それぞれの検定の運用主体との関係もありますので、余りにもネガティブな書き方はもちろんできないと思いますが、限界性みたいなことを浮き立たせるという努力ですかね。

○今野座長 入れるとしたら、国家資格、公的資格、民間資格、3つあります。国家資格、公的資格については、皆さん知っているでしょうから、民間資格だけを少し説明しましょうかいう感じで入れないと、全部説明しなければいけなくなってしまいます。

○伊藤課長 イメージ的には、座長、大久保委員の御指摘を踏まえますと、17ページの2つ目の○にあるような、国家・公的・民間という分類をした上で、国家資格の数については、今、その上に来ておりますが、これは総務省の報告書にもありまして300で、これは法令根拠ですので数字は確定しております。

 民間資格については、必ずしも有限的にカウントされているということではありませんが、数年前に文科省において検定試験評価の在り方有識者会議といった検討の場が設けられる中で、民間資格数について、おおむね1,000種類以上、詳細に見ると、グレード等も念頭に置いたと理解しておりますが5,000種といった数字があります。一般的に1,000だ、2,000だと言われている数字とは、そう大きな乖離はありませんので、私どももこの辺りの数字なのだろうなと。ですから、国家と民間資格の数を抑えた上で、今、大久保委員から御指摘があったような民間資格。非常に多様ですが、なかなかそれを簡潔に記述することは容易ではないのですが、今回の業界検定構想との関わりで、それと暗に対比するような意図で、今の民間資格の性格付けといいますか、機能的限界について簡潔に記述することは一定可能ではないかと思います。委員の皆様方は、そういうことも入れたほうがいいということであれば、そこは工夫してみたいと思います。

○北浦参集者 通しページの12ページ、4ページ、ここの所で、これは先ほどの大久保委員の図の所の指摘にあったことと多分かぶってくると思います。それで変わる可能性はありますが、4ページの○の2つ目、あるいは3つ目の所に、「日本再興戦略で示された『業界検定』等の手法を前提に」というのが2回出てくるのです。業界検定等の手法を前提にということが、そこで決めつけてしまっている感じになっているので、これは先ほどの話のように、想定はあるのだろうと思うのですが、まだ決まっていない部分もあるし、手法を前提にというのは、ちょっと行き過ぎではないかと思います。多分、要請としての非正規であるとか、労働市場政策的観点とか、見える化の必要性があるというのは、そのとおり前に書いてあるのですが、その部分については、これからに委ねられているので、この辺は書き振りを変えたほうがよろしいかと思います。

○今野座長 主体性がないですよね。

○北浦参集者 大久保委員の所のハイエンドの所が、多分絡んでいると思うのです。

○今野座長 まだあると思いますが、切ります。本丸の12ページ以降、通しページは20ページです。これについて、先ほど言いましたように、(1)から(3)についてお願いします。

○大久保参集者 先ほど業界検定について、多様性という話がありましたが、理解しにくい所があります。新しく対処しようとしている領域について、なぜ技能検定を拡大するのではなくて、業界検定という方式を使うのか。

 つまり、その領域については、もっと企業や事業の現場に近い所で育成したり、認定したりすることが合理的だと考えるからです。そこの説明をもっとしてほしいなという感じはしています。つまり、なぜ今の技能検定のやり方で国がやるよりも、業界検定という方式で、この領域についてやったほうがいいのかというのは、どうも、ちゃんと説明されていないような感じがしており、そこの確認をしたいと思います。

○伊藤課長 今、大久保委員が御指摘をされている点に関して言いますと、この骨子案を見ますと、例えば、通しページ21ページの中段、業界検定構想の基本的な考え方といった部分で、「採用・人事管理の主体であり、人材ニーズを直接把握する立場にある業界等が主体となって」あるいは、後の各論のほうには、22ページの中段、「採用選考・人事でもその基準として積極的に活用する方針を予め明確化の上」という記述も書かせていただいております。今お話がありましたように、技能検定の対象分野とは、評価しようとする能力、あるいは業種、職種の固有性に起因する求めやニーズが違うから、検定の設計も違えていかないといけない。今の技能検定制度そのままでは当てはまらないという考え方は、今、大久保委員から御指摘があったのは、そのとおりだと思います。ただ、違えるべき着眼点、必然性として、21ページでは、「採用・人事管理の主体であり、人材ニーズを直接把握」と書いてあります。この「人材ニーズを直接把握」というのは、より丁寧に書くならば、大久保委員のお話のように、直接現場を持っていますと。この対象分野というのは、職業能力が制度や規格によって決まるのではなく、顧客、もっと言えば、顧客数を規定する業態や、企業経営のポリシー等によっても左右される。そういう形状の意図であったりとか、あるいは人材ニーズを規定する顧客と日々接している中で、図るべき、また必要とされる能力を自ずと業界として、あるいは個々の企業としてその認識をし、かつ評価の必要性を企業自身、業界自身が認知しているとか、いろいろな意味合いがあると思います。

 そういう意味では、21ページ、あるいは22ページの表現では、業界検定という新しい仕組みを作る必然性が引き立ってこないということならば、大久保委員の御指摘も踏まえて、更にここは肉付けをしたいと思います。

○大久保参集者 それでは、何を書いたらいいのかという話になるのですが。私のイメージは、ものづくりの技術みたいなものと違って、対人サービスにおける技術というのは、まだ極めて定型化されていない要素が大きくて、非常に短い時間で変化、進化し続けている状況だと思います。そういう意味で、もっと現場に近くなければいけない。その技能の変化とスピードという問題が1つあると思います。

 もう1つは、ものづくりなどは、完成させた製品状態で顧客に提供するわけですが、対人サービスというのは顧客と対面しているときに、顧客と一緒に作るのがサービスの品質になるのです。そういう意味では、その技能を磨くことに関しても、実際に顧客と向き合っている現場の中で、職業能力が開発されていることは非常に大きいのです。形として目に見えない所なので、育成との関係を考えると、やはり現場を持っている所でやらないと、実質的には評価しにくいということが特性としてある感じがします。例えば、そういうことを少し書き込んでもいいのかなという印象です。

○黒澤参集者 今、大久保委員がおっしゃったことは、正にそのとおりで、伊藤課長のおっしゃったこともあれなですが、21ページの下から4つ目の○に、今のことを盛り込み、下から3つ目の○に、いわゆる「業種・職種固有」かつ「業界共通性の高い能力」という形で書いてありますが、この根拠をもう少し用語を用いて膨らませるならば、実際に見ても同じような職種だったりとか、業種で転職、離転職を繰り返す方が多いわけです。それは何かと言うと、そのグループの単位で資格なり、能力開発なりをするということは、正に外部性を内部化することにつながるのです。だからこそ、業界単位でやる、職種単位でやるというか、場合によると思いますが、そういった根拠を示すことができるかと思います。

○笹井参集者 今のお二人のお話に関連しますが、検定も含めて資格の中身が、企業が求めているものとマッチングしていないと、社会的に評価されないわけです。結局、そこが一番難しいと思うのです。ですから、資格を作るのはそんな難しくないけれども、それが社会的に通用する力を持つのかどうかというところが大きな問題です。それをどういうふうに担保させるか、その第1歩が見える化だと思います。そこは大久保先生が言われたように、もう少し丁寧に記述をしていただきたい。ですから、業界検定や企業側に近いところでやる必要があることを丁寧に説明していかなければいけないかと思います。実際にプロセスの話は後で出てきますが、検定内容を決めるときには、現場の人が現場で求めているものを形にしていくことで、検定の中身が進められていく形にしていかないといけないかと思います。それを政策としてどういうふうに担保させるかというのはまたありますが、報告書としては、そういうことに言及することが必要だと思います。以上です。

○今野座長 今日説明された資料2というのは、それを書いているのではないですか。つまり、これは変数が4つ書いてありますが、この変数が大きければ大きいほど左へ行くとか。大久保さんが言われたのは1ですよね。一応、きれにい出てきたかどうかは分からないですが、既に変数は考えられて、こういう変数の組み合わせだったら、技能検定は左側へ行って、こういう組み合わせだったら右側へ行ってというのは、ある程度フレームワークは考えられている。

 更に、これは一種の政府の関与の程度の必要性みたいになるのだけれども、それ以外に効率性のコンセプトや実効性のコンセプトのインデックスは明示しているので、そういうものを組み合わせて考えると、この分野は技能検定みたいに少しきつい形になって、この分野は少し緩めにやったほうがいいのだという切り分けではないかと思います。

○伊藤課長 大まかには、正に座長さんが言われたとおりです。

○今野座長 それが全体のフレームワークで、それを例示すると、先ほどみたいな文章になってくる。

○伊藤課長 より具体的にということです。こういう特徴を備えたものに。

○今野座長 そういうふうに考えると、ここの所は最初のフレームワークが読み手の中でスッと入ってこないから分かりにくいという感じがするので、そこを少し工夫すればいいかと思います。

○伊藤課長 骨子案ベースで言いますと、21ページの中段を中心に、具体的な御示唆を頂きましたが、文脈的に言うと、12ページの下の部分から、正に座長がおっしゃったように、軸の話をしておりますので、その軸の話とグルーピングごとの能力評価の在り方、特性の話がうまくつながっていく。そういう意味では、この考え方を生かしつつ、より具体的に左から3番目の分野で業界が主体となった検定の開発に行うことの必然性を、ここを読んでも得心していただけるような分かりやすく、具体性を持った表現を試みてみることかと思っています。

○今野座長 資料2は、職務内容とか、職業能力の安定度が高まれば、左へ行ったほうがいいということですよね。

○伊藤課長 そういうことです。

○今野座長 国の政策上の必要性があれば左へ行ったほうがいい。生命・安全だったら左へ行ったほうがいい。外部性が大きければ右へ行くのですか。

○伊藤課長 右です。

○今野座長 左へ行くのではないですか。これは何となく左から右に行けば行くほど、政府の関与の程度は緩めていきますというコンセプトですよね。

○伊藤課長 はい。

○黒澤参集者 いや、そうではないですよね。1の見える化がしやすい、医療とかでもそうですが、そういう所というのは外部性が少ないですよね。ですが。

○今野座長 安全性とか生命だったら。

○黒澤参集者 そういう根拠から必要だと。今まで「見える化」が、しにくいからこそ、技能検定なり、民間の中でもなかなか整合性があるような意味でできなかった所は、やはり、外部性が大きいからこちらは新しくやるという意味で必要性は高い。

○今野座長 そうすると、非常に単純に考えると、この4つの変数で、それぞれ点数を付けた総合点が大きいと左とか、総合点が小さいと右というのではなく、多分、組み合わせで、こういう状況のときはこっちへ行く、こういうときはこっちというのはこの絵ですよね。

○伊藤課長 今、黒澤先生がおっしゃったように、必ずしも単純に足し上げてということでもないなと、前回までの議論を通じて私は思い至ったということです。

○今野座長 例えば、第三者が見ると、この絵が、業界検定が、なぜここの位置にあるのか。それが大久保さんが言われたことも、黒澤さんが言われたことも、結局、そのことですよね。そこをもう少し補強すればいいのですよね。

○伊藤課長 そうですよね。ですから、具体的な業界、企業現場の関わり方の必要性というのは文章編で補強しつつ、その前提となる考え方の枠組みは、もう一度資料2も、今のような御議論を踏まえて見直すべきだと。見直してみます。

○今野座長 ですから、質問の仕方としては、業界検定というのは、サービス・対人サービス等に対応しますと書いてありますが、何で、そうなのですかという、「何で」というのをどこかに書くわけですね。

○伊藤課長 他のグループと峻別する基本的な要因は何なのか。

○内藤参集者 今の御議論に関連してですが、これは全体を通して排読したときに、前の部分で現状の把握と現行の職業能力評価制度の問題点の分析が入りますと、主眼がどこか分かり難くなるように思います。通し番号で3ページから4ページにかけての議論とか、どちらかというと、ジョブ型の労働市場に馴染むと思われる、もっとはっきり言えば、非正規的な労働者の方々の処遇を本検討の対象とすると言っていながら、その前段として現行の職業能力評価制度の在り方の分析が長く入るので、正に座長がおっしゃる本丸部分、本論を論ずる部分は20ページに入ってからようやく出てくることになります。非常に全体が長いので、今、座長、黒澤委員や大久保委員がおっしゃったことをまとめたときに、何が問題点であって、なぜこれをやらねばいけないのかという主題を再度確認する必要はありませんか。例えば、通し番号20ページの4(1)の前辺りに、一種の総論的な形でまず論点をまとめた、何かを入れておいてから、「そのためには、これが必要」という形で4(1)を始めないと、単にページ数だけ見た時に前提が20ページで、本論が4ページから5ページというボリューム的アンバランスになります。

 ですから、ここでもう一度、本文の所で前段を押さえての総論を入れないと。実はここにいる諸委員の先生方など会議の場では分かっていることなのに、読んだときに圧倒的に印象が違うと思ったのです。それもあってか実はポンチ絵の資料2を拝見した時、私はこの分野の専門ではないものですから、すごく迷ったのです。確かに安全性確保とか、厳格な能力を評価して非常にクローズズな分野を作らねばならないという意味で見るならば、資料2の図の左側が一番政府の関与する部分です。しかし、今回、ここで議論をしているのは、今後政策的にどこに注力するかという話だと思うのです。

 そう考えたときに、関与の仕方とか、レベルというか、イスカの嘴のように話がかみ合わないと思ったのです。そこをどう表わすか、もう一度、本丸とおっしゃった4(1)の前に一種の総論を入れておいてはいかがでしょうか。

○今野座長 分かりやすいね。ページ数も増えますしね。この資料2が重要なのですよね。これを初めて見た人は分からないですよね。

○伊藤課長 解説なしで見て御理解いただけるかというと、なかなか難しい部分はあるのかなと率直に思います。

○大久保参集者 今のお話に関連する話ですが、それを書くときに、もう1つちゃんと分かりやすく書きたいと思うポイントがあります。それは新しい職業資格は、普及、浸透するかどうかが全てだと思うのです。そういう観点で見たときに、業界検定は国がコミットして、場合によっては、名称独占という方式を使うことによって、信頼性を担保して普及促進をやるために力を発揮することと、業界団体のような、実際に職域をカバーする企業を抱えている団体が、そのことについて音頭をとることによって、活用される現場に近い所で普及浸透を図っていく。

 つまり、国の特性と業界団体の特性の両方が、それぞれ持っている良い所をかき合わせて普及浸透についてのパワーを持つのだという趣旨のことがどこかに入ったほうがいいような気がします。

○今野座長 そういうのは、どこかに入っていないのですか。

○伊藤課長 並べて書いているつもりではあるのですが、そこを組み合わせているという部分は強調されているかというと、まだ十分ではないかと、今の話を聞いて思いました。

○今野座長 分かりました。

○阿部参集者 議論し忘れた感があるので、なかなか言いづらいのですが、業界の範囲をどうするかというのは結構重要な気がするのです。というのは、余り蛸壺型になると、そこから脱け出せなくなってしまって、産業構造の転換や、それに追随してマッチングが全然うまくいかなくなったりする可能性もあるのです。

 例えば、80年代、90年代のフランスでは、免許がほとんどの職種に付いていたせいで、職種転換がうまくできなくて失業者が出てしまったという例もあったと思います。ですから、そこをどう考えるか。業界の幅、あるいは産業だと大きいですが、そこをどういうふうにするか。多分、これは運用の問題だと思うので、そこは留意して、一番最適なのはどこか分かりませんが、幅は考えたほうがいいかなという気はしました。

 業界という所が、自分たちはこの業界だと言ってやることはいいですが、それが返って職種転換を難しくすることはあり得るという問題点も考えておく必要があるかもしれません。

○伊藤課長 今、阿部委員が御指摘された点は大変必要なポイントだと思います。今の御指摘の趣旨としては、例えば、新たに業界検定を整備しようと思っている全体の幅だけではなくて、実際に業界検定の開発・運用に携わる業界のロット。むしろそちらに重点を置いての話かと思います。

 そこで考えるべき点というのは幾つかあると思います。1つは、実際の担い手がないと、開発・運用に着手できないことになってしまいます。そういう意味では、現実の団体の構成の影響を受ける側面があることは事実であろうと思います。同時に、委員の皆様御案内のように、団体に関しては、必ずしも業種と11ということだけではなく、より具体的な細かい業態、その他のいろいろな要素によって細分化しているケースも全くないわけではなく、細分化し過ぎた形で運用された場合、むしろ検定を使っての労働市場がセグメント化してうまく機能しないということも大いにあり得ると、私ども問題意識としては持っております。

 例えば、これまでの取組で言いますと、参考資料の41ページでお示ししておりますが、能力評価基準。これまで10年に渡って業界団体と連携して取り組む中では、正に今申し上げたような問題意識で、業界ロットが小さくなり過ぎない、労働市場のセグメント化による活用内容が生まれないという意味で、ここにあるように、かなり幅広い業界、あるいはそれに依拠する職種を設定した上で開発を進めてきたところです。私どももでき得るならば、今後のスタートアップ支援、更には研究会での御議論を踏まえた、より具体的な制度設計に当たっても、その前提としては、今、阿部委員から御指摘のあったようなことを十分念頭に置いて、できるだけ大きな括りで開発・運用し、労働市場においても効果的に活用できるようにという意図でやっていきたいと。今申し上げましたが、具体的な団体の構成の影響を受ける部分がありますので、必ずこういう形でという特定をしにくい部分があって、報告書の中では、団体ごとのそういった幅についてはあまり言及していないということが率直なところです。

○今野座長 理屈で言うと、ベストは、労働市場の形に合っているのが一番いい。それだけですよね。

○伊藤課長 基本的にはそうです。

○今野座長 あとは、それが合っているかどうかというのは、業界の切り方もそうですが、職種の切り方もあるわけです。そういうことは事前に分かるわけがないので、今の技能検定もそうですが、適宜見直すとか、ちゃんとチェックするとか、そういうことを入れておく以外ないですよね。あとは原則をそういうふうにして、それ以外はないと思います。ほかに書きようがないね。

○阿部参集者 書きようがないだけではなく、例えば、資料2の図の所で、2は人材育成の国の政策上の直接関与の必要性と書いてあり、直接関与が意味するところが、皆さんの話を聞いていてよく分からなくなってきたのですが。直接関与というのは、ただ単に国が運営するだけではなく、免許として認めるか、認めないかというところまで入っていくと思うのです。ですから、がちがちにやり出すと、適宜変えるだけでは済まない話になるという意味で言うと、直接関与の程度という大きさが関わってくるように思うのです。私が意図するところは幅もそうですが、余りがちがちにやると柔軟性がなくなってしまって、むしろ使いものにならなくなる可能性もあるのではないかということです。

○今野座長 それはそのとおりですが、それよりは、ここでできるのは、そういう原則を言うことは言えますが、やはり柔軟性を考えろよとか、見直しをちゃんとしろよとか、幅の切り方は最適にしろよというふうには書けますが、そこから先は制度の設計上のときにどうするかという問題がありますよね。

○阿部参集者 具体的な運用は、そこに任せる。

○伊藤課長 ここの制度の話。

○今野座長 そのときに、こういう点は気を付けてくださいよということを、ここで書いておくことだと思いますが。

○伊藤課長 書かせていただくとするならば、通しページの22ページの中段が、業界検定の制度設計の二面のうち、開発・運用の主体について記述している部分もありますので。ここではどちらかというと、国が主体ではなく、業界寄り、具体的には業界団体が必要に応じ、教育訓練機関等の協力を得るということにとどまっております。今、お話がありましたロット論に関わる基本的な考え方みたいなことについては、もう少し補強することは必要かと思います。

○北浦参集者 今の領域問題というのは非常に重要だと思います。これは後のほうで出てきますが、技能検定なり、既存の制度との「すみ分けの議論」が出てきてしまうのです。先ほどのあるべき論としては、各委員がおっしゃったような方向でいいと思います。例えば、技能検定も業界とのリンクがなかったらどうなのかと言ったら、実効性を図る意味では絶対必要なのです。非定形なものも入っている。そういうものの中で相対的になると、現実の姿からいくと混ざっているような状態です。なおかつ中間領域もいろいろある。こういう実態がありますから、そこのところを精査してしまうと、本当に全部ガラポンの世界になって、難しくなってしまう。

 この出発点は、見える化されていなかった所を見える化しましょうということで、それが動機付けなので、余り、かっちりとして、これはこの分野にしか馴染まないとか、馴染むという書き方ではなくて、やはり、作れるところはどんどん作りましょうということで進めるというスタンスのほうが、私はいいのかなという気がします。余り、そこを厳格にすると。

 先ほどからの議論で抜けてしまうのは、事務系専門職なども例示で書いてありますが、果たしてそれは該当するのか、できるのかなと思ってしまうわけです。ただ、これもどこかの業界団体があって、リードオフして、説明ができたら作られていく。そういうように実勢を尊重しながら作っていくものですから、その辺の縛りがかからないようにしておかないといけない。そのことは先ほどいった他の「すみ分け論」のところに踏み込んでしまって、かえって業界検定を作りづらくしてしまうことになるのではないかと思います。これは意見で結構です。

○松浦参集者 

先ほど北浦委員がおっしゃった「縛り」に関連して、私が1点気になっているところがあります。これは今議論していいのかどうか分かりませんが、申し上げておきたいのは、通し番号の24ページ以降の「職業能力評価と職業訓練、キャリア・コンサルティング、ジョブ・カード、ハローワークのマッチング等関連施策との効果的な関連づけのあり方」についてです。

 より現場に近い所で弾力的にスピーディに作ることができるということが、新しい業界検定の強みであることは、これまでのご議論でもご指摘があったところだと思います。しかしながら、既存の公的制度等のしがらみというか、関連付けをここに書いてしまうことによって、後から業務検定を作る際に、ジョブ・カードとの連動性をどう考えたらいいのだろうとか、民間教育訓練機関に関する既存のガイドラインをどう活用すべきか、等について悩むことにならないかやや心配です。つまり、既存の制度等との関連性に縛られれば縛られるほど、新しい発想や現場ならではのアイディアが出しづらくなる懸念を持っております。もちろん職業訓練と職業評価を連動させなければいけないという基本的なスタンスは守らなければいけませんし、別途、質確保の仕組みも考えなければいけないのですが、なるべくしがらみというか、既存のものとの関連付けから、あえて自由にしておいたほうが、後で業務検定を考えるときに現場ならではのものが作りやすいのではないかと思っております。

○今野座長 それでは、松浦さんが大きな(4)に入りましたので、あと10分、最後の所です。通しで24ページ以降、松浦さんから御意見を頂きました。ほかにもどうぞ。

○大久保参集者 通しの27ページに、教育行政との連携の話が書いてあります。「学校教育課程や入学試験での職業資格等の位置付け、これを踏まえた検定の受検要件の設定等の総合的な観点から検討が求められるもの」と、何回読んでもなかなか頭に入ってこないのですが。学校の教育との連携は、これから作る職業資格制度の上では非常に重要なテーマだと思います。業界検定を想定したときに、例えば専修学校とか大学とか、そういう所のカリキュラムの中で、業界検定の3級なら3級に相当する教育を取り入れてもらい、必要であれば適宜、コープ教育なり、インターンシップなりで実施を補なってもらったときには、その卒業資格で3級を同時に認定する。そういうようなつながりを作っていくことは、設計上、大事なポイントではないかと思います。ここに書いてあることは、そういうことを言っているかどうかよく分かりませんが、その辺りの連携を今後の課題としては書いておく必要はあるかと思います。

○伊藤課長 ここで書いている意図は、今、大久保委員がおっしゃったことは、これを踏まえた検定の受検要件の設定、特定の教育訓練プログラムを修了した場合には、受検要件を満たしますとか、あるいはこの部分はパスということを念頭に置いています。それ以外に技能検定の3級については、既にそういった観点で文科省への働きかけは行っておりますが、工業高校、専修学校の教育目標に丸々職種技能検定3級合格を位置付けてもらうとか。

 今、文科行政でも議論が始まったばかりですが、高等教育機関への入学試験の要件の1つとして、検定などの職業資格を位置付けるという議論も、文科行政の中でも行われております。そういう総合的な視点から、訓練と評価という話は前段で書いてありますが、教育と評価についても、様々な観点の関連付けをすべきではないかという意図です。ですから、大久保委員がおっしゃった方向性と、ここで書いてあることはずれてはいないとは思っておりますが、分かりやすさというか、最終的なまとめに当たっては、文科省とも少し相談をした上で、ここの記述ぶりは整理させていただければと思います。

 松浦委員から御指摘があった点は、御趣旨の意図は大変よく分かります。ここで書かせていただいているジョブ・カード、あるいはキャリアパスポート構想、それと密接に連動するキャリア・コンサルティングなどに関しても、今あるものを全く固定的にという発想ではなくて、「雇用・人材分科会」の議論などでも、これら取組の雇用・人材戦略の観点からの充実ということも提議を頂いて、それぞれの議論に着手しているところです。

 そういう意味では、そちらのほうだけ先にカチッと合って、そこに業界検定を当てはめていくという考え方は、元よりありませんので、労働市場政策という観点から、それぞれ実効性があるものを作ったり、見直したりする中で、それをうまくつなげていくという発想です。

○今野座長 松浦さんが言っているのは、業界検定をやるときに、ジョブ・カードを絶対に使えとか、そういうのはやめてよということです。

○伊藤課長 例えば、そういうことですよね。

○松浦参集者 そこまでは言っていないとは思うのですが。

○今野座長 そうではなくて、お互いに協力し合うとか、そういうことだよな。

○松浦参集者 関連付けを緩やかな感じで、絶対というものでなければいいと思うのですが。

○伊藤課長 個種対応に。

○今野座長 その代わり、使えれば使っていただいていいわけですからね。ほかにいかがでしょうか。

○北浦参集者 通し番号の26ページ、18ページで、(6)の一番最初の所です。これが非常に重要な課題で、これを現実に企業の人事労務管理につなげていくかということ。ただ、そんなことは政府が幾ら言っても、それは企業が考えることであって、結論が出せないわけです。しかし、今回、業界検定が一番念頭にあるかもしれませんが、技能検定も含めて、それをどう企業が生かしていくのかということを、例えば、業界ならば、業界と一緒になって普及なり、考えていくという方向付けを、今後の政策の方向付けとして、少し匂うような形を書いていただいたらいいのではないかと思います。そのときに、もう1つ忘れてはいけないのは、ずっと企業ベースで書いてあるのですが、労働市場を考えるのであれば、労働組合もこういったものに対しての意識をもう少し持ってもらう必要があるだろうと思います。現実にこういうことに関心がある労働組合も幾つかあるわけですので、そういった所も含めて、業界団体とは言っておりますが、そういう業界に関わる、広く団体なり、労働組合なり、そういった所と一緒になって、これをどう生かしていくのかということです。

 取りわけ、一番私が重要だと思うのは、そういった処遇が、技能検定も十分にやっていないのですが、一体どうなっているのか、なかなか把握されていない。その調査は政府の役割だと私は思っていますので、是非、賃金の実態について、賃金構造基本統計調査も含めて、いろいろな形で考えていただければと思います。以上です。

○黒澤参集者 先ほどの続きになりますが、通し番号24ページの最後、下のほうから続いている所は、最初のポツ、特に25ページの2番目の○になりますが、このポツの部分に、やはり、こういった支援をすることの個人への根拠といいますか、その辺はある程度は記述していただいた上で、こういったことを書いていただくと、より説得力が増すのではないかと。

 特に、「入口・出口」と言ったときに、入口の最入口というか、どういう訓練を受けたらいいのかというところのアドバイスというか、コンサルトというか、それも非常に大事なわけで、その部分はここには見られないようなので、是非その部分を付け加えていただきたいと思います。

25ページの○の所で、典型的な組み合わせということで、その辺がそういうことのニュアンスだと思いますが、その辺りももう少ししていただきたい。それから、先ほどの話で、金践的、経済的な支援ということについても、是非付け加えていただきたい。これは資格というものが樹立されればされるほど、能力情報の所有権が、企業から労働者に移るわけですので、ますます企業は訓練しなくなります。そうすると、やはり労働者が自分でやりやすいような支援というものは、今まで以上に、この資格制度が成功すればするほど、今まで以上に支援が必要になるということについてのポリシーミックスの重要性については、是非、言及していただければと思います。

○笹井参集者 先ほど、検定の中身と企業が求めている中身がマッチングすることが大事だと申し上げましたが、教育訓練機関と一体として考える。これは25ページの上のほうに書いてありますが、そうだとするのであれば、やはり、教育機関が考えている人材像というのは中身です。むしろ、見える化された資質、能力の中身と、検定の中身と企業が求めている中身が、同質性というか連動していかなければいけないと思います。その共有が重要だということは、どこかに言及しておいたほうがいいのではないかと思います。以上です。

○今野座長 先ほど黒澤さんが言われた個人に対して、こういう訓練をしたらいいぞという、一種の相談機能みたいなものは、今おっしゃられたことと非常に近いですよね。

○伊藤課長 例えば公的訓練受講に関しては、受講指示、あるいは就職支援を前提としてキャリア・コンサルティングを行う仕組みは出来上がってくるわけです。そういった仕組みを能力評価の仕組み・整備に合わせて当てはめていく、あるいはより充実させていくというイメージなのかなと思います。

○今野座長 そうですね。ほかにいかがですか。

○大久保参集者 25ページの下から2つ目のキャリア・コンサルティングの話が書いてある所ですが、例えば、「的確なマッチングに困難性が伴うハイエンド層、産業・職種間転職といったケース」と言って、その後に「キャリア・コンサルティング」と出てきますが、これはミスマッチの感じがします。つまり、そういう人たちが産業とか職域間を跨いでやるということは、今度は採用する企業側との調整みたいなこともする話になってくるので、個人にカウンセリングする話と別の話だと思うのです。それを全部キャリア・コンサルタントができるかのように書くのは、少し書き過ぎな感じがします。感想です。

○伊藤課長 ここで書いてある高度なキャリア・コンサルティングというのは、今のキャリア・コンサルタントの養成能力評価の仕組みでできているとは、必ずしも私どもは思っておりません。かつ、コンサルティングはカウンセリングではありませんので、対企業側のアプローチということも念頭に置いて、今後、こういう部分のマッチングを的確に果たしていく上では、こういう機能が必要ではないかという意図で書いたつもりではあるのですが。誤解を生むという、今の大久保委員の御指摘の意味合いも分かりましたので、少し表現を工夫してみたいと思います。

○今野座長 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。ジョブ型労働市場といった部分ですが、ジョブ型労働市場というのが私はよく分からなくて。最後は余計なことを言いましたが、終わりにさせていただきます。もう一度お読みになって、もし、気になることがあったらメール等で差し上げてもよろしいですね。

○伊藤課長 恐縮ですが、是非、よろしくお願いいたします。

○今野座長 これで反映して、もう一度整理をしていただくことになります。それで更に議論していただくということになりますので、整理をしていただく都合からしたら、もし皆さんからメールを頂くのであれば、いつ頃までと言ったほうが効率がいいのではないですか。

○伊藤課長 例えば、来週中で、お願いすることは可能でしょうか。

○今野座長 もしありましたら、来週中ということでお願いします。

○伊藤課長 今日、具体的な御意見として頂戴している部分は、もちろん早速反映の作業は始めたいと思います。それ以外に、もし御指摘があればということでお願いします。

○今野座長 それでは、次回の開催について事務局からお願いします。

○小野専門官 次回については、310()10時~12時を予定しております。場所等、正式な案内は追って御連絡させていただきます。以上です。

○今野座長 それでは、終わりたいと思います。ありがとうございました。


(了)

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