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2014年3月20日 第10回社会保障審議会介護給付費分科会介護事業経営調査委員会議事録

老健局老人保健課

○日時

平成26年3月20日(木)15:00~17:00


○場所

全国都市会館 第二会議室(3階)
東京都千代田区平河町2-4-2


○出席者

熊坂、田中、千葉、藤井、堀田、渡部(敬称略)

○議題

1,平成25年度介護従事者処遇状況等調査の結果について
2,その他

○議事

○松岡介護保険データ分析室長 藤井委員がまだお越しになっておられませんが、定刻になりましたので、第10回「社会保障審議会介護給付分科会介護事業経営調査委員会」を開催させていただきます。

 初めに、本日の委員の出欠状況ですが、全ての委員の御出席いただくということで伺っております。藤井委員は若干おくれているようでございます。

 それでは、冒頭のカメラ撮影はここまでとさせていただきます。

 

(カメラ退室)

 

○松岡介護保険データ分析室長 それでは、議事に入る前に、お手元の資料について確認させていただきます。皆様のお手元には座席表がありまして、議事次第がございます。

 次のページに委員名簿がございます。

 めくっていただきまして、資料1から3までございます。資料1は「平成25年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要(案)」でございます。

 資料2は「平成25年度介護従事者処遇状況等調査結果の概況(案)」でございます。

 資料3、1枚紙で両面になっております。「平成25年度介護従事者処遇状況等調査結果のまとめ(総括)(案)」でございます。

 皆様、資料の不足等がございましたら事務局までお申しつけくださいますようにお願いしたいと思っております。

 以降の進行を田中委員長にお願いいたします。

 

○田中委員長 委員の皆様、年度末のお忙しい中お集まりいただきまして、どうもありがとうございました。

 早速ですが、本日の議題「平成25年度介護従事者処遇状況等調査の結果について」、事務局から説明をお願いします。

 

○説明者 それでは、資料の説明をさせていただきます。本日は、資料1、資料2、資料3を御用意いたしておりますが、調査結果の概要につきまして、資料1により御説明をさせていただきます。

 その後、資料2のほうは省略させていただきまして、資料3、まとめの案を続けて御説明させていただきます。

 資料1をごらんください。

 1ページ目、今回の調査につきましては、介護従事者の処遇の状況と処遇改善加算の影響等の評価を行うとともに、次期報酬改定のための基礎資料を得ることを目的として実施いたしました。

 調査の対象につきましては、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、訪問介護事業所、通所介護事業所、認知症対応型共同生活介護事業所及び居宅介護支援事業所の7サービスにつきまして、調査日に当該施設事業所に在籍した介護従事者を調査の対象といたしております。

 調査の方法等でございますが、調査日は平成2510月1日としております。調査対象施設・事業所に平成24年と25年、ともに在籍している介護従事者について、各年における9月分の給与等について調査を行っております。

 回収状況でございますが、調査票の配布につきましては、約9,000の施設事業所に配布いたしております。有効回答率は82.2%となっております。

 なお、従事者票で回答のあった者のうち、集計の対象になりました従事者数は約4万8,000となっております。

 2ページ「介護職員処遇改善加算の届出状況」でございますが、平成25年に処遇改善加算の届け出をしている事業所の割合は87.2%となっております。サービス別に見ますと、介護老人福祉施設、認知症対応型共同生活介護事業所、介護老人保健施設が比較的高い割合となっております。

 3ページ「介護職員処遇改善加算の届出状況」でございますが、介護職員処遇改善加算のIIIIII、それぞれの届け出の割合を見ますと、加算(I)の割合が93.8%と高くなっております。

 4ページ、処遇改善加算の簡単な説明をつけさせていただいております。「3.加算の算定要件」のところでございますが、当該加算につきましては、必須要件としてIの(1)(2)(3)を全て満たす必要があります。

IIキャリアパス要件、III定量的要件を設けておりますが、「1.加算の種類」のところを見ていただきますと、処遇改善加算のIIIIIIに書いてありますとおり、キャリアパス要件、定量的要件をそれぞれ満たすか否かによりまして、減算がかかる仕組みとなってございます。

続きまして、5ページ「介護従事者の給与等の状況」でございます。平成25年4月から9月までの半年間に給与等を引き上げた事業所の割合は、全体の61.8%となっておりまして、1年以内に引き上げる予定を加えますと、全体の約7割となっております。

 6ページ「給与等の引き上げの実施方法」でございます。平成25年4月から9月までの間に、給与等を引き上げたもしくは1年以内に引き上げる予定の事業所において、給与等の引き上げの実施方法を聞いております。定期昇給を実施または予定している事業所の割合が77.3%と最も高くなっております。それに続きまして、各種手当の引き上げまたは新設(予定)が18.4%となっております。

 7ページ「介護従事者の平均給与額の状況」でございます。平成25年に処遇改善加算の届け出をしている事業所における介護職員(月給の者)の平均給与額は常勤の者で276,940円。1年前の同時期と比べまして、7,180円の増となっております。

 なお、欄外の注3でございます。今回の調査結果におきましては、集計対象数が30未満の集計値につきましては、個々のデータの影響が大きくなっている可能性がありますので、参考数値であるということを※として平均給与額のところに付してございます。

 また、後ほど出てまいりますが、前回の調査結果と同様に、集計対象数が1桁、10未満の集計値につきましては、全て数値を伏せて「-」ということで表記しております。集計数がゼロのものについてはゼロと入っております。

 8ページ「介護従事者の平均給与額の状況」、こちらは時給の者でございます。平成25年に処遇改善加算の届け出をしている事業所における介護職員(時給の者)の平均給与額は、9万450円でありまして、1年前と比べ940円の増となっております。

 9ページ「介護従事者の基本給額の状況」でございます。基本給、レートの状況でございますが、まず月給の者でございます。平成25年に処遇改善加算の届け出をしている事業所における介護職員(月給の者)の基本給額は常勤で177,090円でありまして、1年前と比べ2,400円の増となっております。

10ページ、同様に「介護従事者の基本給額の状況」、今度は時給の者でございます。時給の者の基本給額につきましては、非常勤の者で1,090円であり、1年前と比べて10円の増となっております。

11ページ、平成25年に介護職員処遇改善加算の届け出をした事業所における介護職員(時給の者)の平均給与額を時給の基本給別、いわゆる時給単価別に見ますと、非常勤の者では時給が高くなっても1月の平均給与額は必ずしも高くなっていないという状況が見られます。

 これにつきましては、資料2の15ページを見ていただきますと、各サービスごとに集計が載ってございます。16ページの上に訪問介護事業所がございますが、サービス別に見ますと訪問介護事業所におきまして、今、申し上げた傾向が出ているかと思います。

 資料1にお戻りいただきまして、12ページ、ここからは介護職員に限った集計でございますが、介護職員の平均給与額について事業所属性、職員属性等によりまして集計を行った結果でございます。

12ページは「施設・事業所の法人種別にみた介護職員の平均給与額の状況」でございます。これを見ますと、月給・常勤の者では法人種別にかかわらず1年前と比べ平均給与額は増えております。また、法人ごとの平均給与額自体を見ますと、他法人に比べ営利法人で平均給与額が若干低くなっているという結果が出ております。

13ページ「施設・事業所の規模別にみた介護職員の平均給与額の状況」でございます。介護老人福祉施設の規模別と訪問介護事業所の1カ月の延べ訪問回数別でございますが、いずれも規模にかかわらず1年前と比べ給与は増となっております。

14ページ「職位別にみた介護職員の平均給与額の状況」でございます。結果としては、管理職に比べ管理職でない者のほうが給与の増加額は大きい傾向となっております。

15ページ「勤続年数別にみた介護職員の平均給与額の状況」でございます。これを見ますと、勤続年数1年の者、調査時点で2年目の者の給与の増加額が大きくなっており、特に月給・常勤の者でその傾向が大きく出ております。

16ページ「保有資格別にみた介護職員の平均給与額の状況」でございます。これを見ますと、月給・常勤、時給・非常勤の者、いずれも保有資格なしの者に比べてありの者の平均給与額が高く、増加額も大きくなっております。

 ここまでが給与額の結果でございます。

 以降、17ページ、18ページ、19ページが給与以外の処遇改善状況の結果でございます。17ページが処遇全般の設問でございますが、こちらの結果を見ますと、職員の増員による業務負担の軽減で改善あり、または改善予定の割合が若干高くなっております。

18ページ、教育・研修関係でございます。こちらの結果としましては、資格取得や能力向上に向けた教育・研修機会の充実や対象者の拡大で改善あり、または予定の割合が高くなっております。

 最後に19ページ、職場環境の改善に関する設問でございます。こちらの結果としましては、腰痛対策、メンタルケア等を含めた健康管理の充実で改善あり、または予定の割合が高くなっております。

25年度の調査結果の概略としては以上のとおりでございます。

 続きまして、資料3の説明をさせていただきます。

 資料の最後につけております1枚紙表裏でございますが、事務局の案といたしまして、今回の25年度の調査結果のまとめを整理させていただきました。

 大きく1と2で分けておりまして、まず1として「介護従事者の給与等による処遇改善の取組み」についてでございます。

 「(1)処遇改善加算の届出状況」でございます。処遇改善加算については、普及、定着してきているものと考えられる。理由といたしまして、1点目が87.2%の施設事業所が加算の届け出をしております。1年前の前回24年度調査では86.7%でございました。

 理由の2点目といたしまして、キャリアパス要件を満たすことが条件となります介護職員処遇改善加算(I)の割合が93.8%と最も高くなっております。なお、前回1年前の調査では91.7%でございました。

 次に「(2)給与等の引き上げの状況」でございます。介護従事者の給与等の状況を見ますと、給与等を引き上げたと回答した施設・事業所のうち、定期昇給を実施または予定の割合が77.3%と最も高く、さらにこれまで調査を4回行っておりますが、これまでの調査結果からも一貫して上昇しております。1回目の調査が21年で3%改定後に行った調査でございますが、回を重ねるにつれ、定昇を行っている割合が上がってきております。

 続きまして「(3)介護職員の給与等」でございます。今回の調査結果で介護職員の給与等を見ますと、月給・常勤の者の平均給与額が7,180円の増、時給・非常勤の者の平均基本給額が10円の増と、勤続1年以上の者の給与等がいずれも増加しております。月給・常勤の介護職員の平均給与額を見ますと、以下のような点が結果として出ております。施設・事業所の法人種別にかかわらず増加している。法人種別によっては給与額に差があります。他の法人に比べ、営利法人で給与額が低く出ております。

 2点目、施設・事業所の規模にかかわらず平均給与額が増加しております。

 3点目、勤続1年の者(2年目の者)の増加額が特に大きいという結果が出ております。

 4点目、保有資格なしに比べ保有資格のありの者の額が大きく、増加額も大きい。以上のような特徴が見られているところであります。

 なお、時給・非常勤の介護職員につきましては、時給単価が高くなっても平均給与額は必ずしも高くなっていないという結果が出ております。

 以上の結果を踏まえ、「(4)まとめ」としております。施設・事業所における処遇改善の取り組みが着実に浸透しているのではないかと考えております。また、介護職員処遇改善加算の創設とその後のさらなる加算の普及によりまして、安定的かつ継続的な処遇改善につながっているものと考えられるとしております。

 以上が、給与の関係でございまして、次に2としまして、給与等の引き上げ以外の処遇改善の状況でございます。給与等の引き上げ以外の処遇改善の状況を見ると、昇給または昇進・昇格要件の明確化、賃金体系等の人事制度の整備、こういった設問で改善なしの割合が高くなっております。したがいまして、キャリアパスの確率に向けた取り組みにつきましては、依然として改善の余地があるものと考えられるのではないか。このようなまとめの案とさせていただいております。

 資料3の御説明は以上でございます。

 事務局からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

 

○田中委員長 ありがとうございました。

 では、ただいま説明いただいた資料1、資料3を2つに分けて議論いたします。初めに、調査結果の概要及び概況について、主に資料1を使ったわけですが、これについての御質問、御意見、読み方の自分なりの見解などありましたらお願いいたします。

 熊坂委員、どうぞ。

 

○熊坂委員 説明ありがとうございました。

 全般的には着実に改善してきているということをこの資料からうかがい知ることができました。そこで質問ですが、処遇改善加算の届け出をしていない施設、或いは改善の努力をしていない施設の割合は減ってきてはいますけれども一定の割合でありますね。その一番の理由というのは施設の経営が苦しいということなのでしょうか。

 

○説明者 給与等を引き下げたところの理由というのは、設問上設けていないのですが、処遇改善加算の対象となっているサービスについて、処遇改善加算の届け出を行っていないところにつきましては、その理由について集計をしてございます。介護療養型の医療施設ですと加算の届け出を行わない理由として多いのが加算の対象の制約のため困難が41.7%、これは複数回答でございますが、2番目が加算を取得するに当たっての事務作業が煩雑が34.8%、27年度以降の加算の取り扱いが不明が22.8%ということで、届け出を行わない理由としての回答としては以上3点の割合が高くなっております。

 

○熊坂委員 ありがとうございました。

職員からすれば、経営者に加算を取ってもらいたいというのが筋だと思うのですが、先程のご説明を聞いて、これからの動向が分からないのでやらないというのがありましたね。職員処遇改善加算というものは非常にいいと思うのですが、これに関しましては制度的にある程度の恒久性を担保しないと、特に経営者側にとってはモチベーションがアップしていかないと感じます。

 

○田中委員長 堀田委員、どうぞ。

 

○堀田委員 ありがとうございます。

 例年同じことを申し上げているかもしれないのですけれども、資料1の11ページ、関連して資料3の1ページの一番下なのですが、時間給の者についても介護職員の平均給与額の状況というものが挙げてくださっていますが、結局、これはレートが上がっても時間数をふやさないと平均給与額が上がらないという意味だと思うのですけれども、これはあえて載せなくてもいいのではないかという気がするということが1つです。

 もしこれを載せたままにするのであれば、そして、資料3を次に分科会に出すとかということであれば、資料3の1ページの一番下の「時給・非常勤の介護職員については、時給が高くなっても平均給与額は必ずしも高くなっていない」というのは、これだけと意味がよくわからないので、時給が高くなっても労働時間数を調整するなどを通じてとか、このまま残すのであれば補足していただいたほうが、誤解を生まなくていいのではないかと思います。

 同じような発想なのですけれども、資料1の12ページとか15ページ、16ページもなのですが、平均給与額というものは基本的にはこのように1年前とことしでその差というものを見るときに、月給・常勤の者についてはすとんと皆様の頭に落ちると思うのですけれども、時間給の人あるいは月給でも非常勤の方に関しては、労働時間数との関係が出てきてしまうので、これがこのままひとり歩きしないといいけれどもと思います。なので、この後の公表の際に、ここの部分、平均給与額に関しては月給常勤に絞ってもいいのではないかというのが2点目です。

 3点目ですけれども、資料1の12ページの法人種別のところです。これは資料3でも指摘いただいているところなのですが、法人種別に見ると営利法人の平均給与額が低くなっていると書かれているのですけれども、これは実際にやってみないとわからないのですが、法人主体による違いというよりも想像ですけれども、例えば12ページの一番左のところを見ていただくと、常勤の者で平成25年9月のところで地方公共団体というものが一番高く見えているわけですけれども、法人主体によるものなのか、例えば地方公共団体に属している方々、勤続年数が長い方が多くてとか、営利法人は当たり前ですけれども参入できる年月が限られているわけなので、相対的に見て低く見えているとか、法人主体ではないいろいろな要因が重なっているものと簡単に想像されるものでもあるので、少なくとも赤線を引いて営利法人の平均給与額が低くなっているとつけて、資料3でもそのように入れると、やや誤解を生むあるいは営利法人でも努力されているところもあると思うので、営利法人イコール低いみたいな印象が持たれてしまう出し方は余りよくないのではないかと思います。

 以上です。

 

○田中委員長 3点御指摘がありましたが、事務局から何かお答えありますか。

 

○説明者 説明のほうではしょってしまったので恐縮でございますが、基本的にN数につきましては資料2のほうを見ていただきますと、給与額だけではなくてそれぞれ集計数がそれぞれの区分ごとに載ってございます。

 

○堀田委員 N数は言っていないのです。

 

○説明者 すみません。時間数も含めて載ってございますので、資料2のほうの当該集計表を見ていただきますと、例えば資料1の15ページ、勤続年数別の関係ですと、資料2の27ページ以降に元の集計表が出てございます。こちらで見ていただきますと、平均給与額の増減とそれに対応する実労働時間数の増減というものを集計しております。

 

○田中委員長 課長、どうぞ。

 

○迫井老人保健課長 若干補足をさせていただきますと、堀田委員御指摘の点、非常勤の方の処遇、給与をどう見るのかということは私どもとしては、昨年度もご指摘いただいた、単に月給で非常勤の方を見るのはミスリーディングであるということをむしろ踏まえて、どういうふうに処遇を考えるのか、常勤の方については月給で見て、仮に非常勤の方を見るのであればレートで見るべきであるということでした。従って事実関係としてこの表は載せさせていただいておりますけれども、資料3の(3)の記載ぶりのところで、最初のパラグラフに月給・常勤の方が七千幾らと、時給・非常勤の方がと、この2つを基本的には一番重要な指標をみなして、給与について評価させていただくという趣旨で記載させていただいているつもりです。

 また、確かにいろんな税制の問題で、特にパートの方はかえって給与額が上がってしまいますと、それぞれの家計にとって不利になるという趣旨でレートが上がっても時給を調整するというのは以前からも御指摘がありました。そのことを逆にきちんとお示しする必要があるのかと思いまして、先ほどの御指摘があったこれは要らないのではないかという11ページの図ですけれども、むしろそういう事情があるということをお示しした上で、時給で評価するのが適切ではないかというバックデータのつもりで出させていただいております。ですから、むしろ御指摘の趣旨はそれをまとめた資料3の書きぶりが少し言葉足らずだと思われますので、そこの部分についてしっかり評価がわかるように記載を追加させていただくことで対応させていただいたらどうかということでございます。

 2点目、法人種別の件、これは御指摘のとおりだと思います。現時点でこれまでの調査あるいは分析の様式でまとめていますけれども、時間的制約もあるのですが、もとデータに戻ってどれぐらいその辺を解析できるか少し努力をさせていただいて、資料3の総括につきましては、まだ案の段階でございますので、最終案を取りまとめるまでにどの程度のことができるのかということは事務局として努力をさせていただきたいと思っております。

 以上です。

 

○堀田委員 ありがとうございます。

 前半のところについては、レートのところで見ていただくようにしたのはすばらしくて、ぜひ2つ目のほうの非常勤についてはレートが上がっても平均給与額は上がらないのだということはそれはそれで重要なことなのですけれども、今のような背景を知らなくてもわかるように、資料として出すならば資料3も追加ですし、概要資料についても資料2のほうに入っている総労働時間の線を足していただけると意味が通じやすいかと思います。今後分科会とかに出していかれるときには、概要のほうに非常勤の平均給与額の状況について何らか表を残すのではあれば、非常勤に関してはこちらには入っている実労働時間数の数字も入れ込んでいただくと、見る人が意味がわかると思います。

 

○迫井老人保健課長 そのようにさせていただきます。

 

○田中委員長 どうぞ。

 

○熊坂委員 堀田委員の御質問に絡みますけれども、非常勤につきましては、私の医院でもそうなのですが、103万といういわゆる扶養控除の壁が引っかかって、それを超えるのであれば大幅に給与アップしてくれということになるのです。ですから、15ページの補足資料でも時給が上がっても実労働時間は減るということになっていますね。将来的に介護職員の不足が予想される中で、例外というものを認めにくいのかもしれませんが、今課長さんが税制の問題と言われましたように、この辺のところがポイントになってくるのではないかとデータを見て思ったのですけれども、コメントをいただければと思います。

 

○田中委員長 課長、どうぞ。

 

○迫井老人保健課長 老人保健課長でございます。

 御指摘、今、いみじくもコメントの中でおっしゃっているのですが、確かに実態として数字でも見ていただきましたし、先ほどの御指摘の中にもありましたので、そのこと自体が影響しているということは確かだろうと思います。それを踏まえてどうするかという話は次のステップとして議論する必要があるとは思うのですが、さまざまな職業分野といいますか就業分野といいますか、税制全体の話になりますし、私どもとしましてはここでそういったことをどうするのかということは、引き続き検討すべき課題ではなかろうかと考えております。

 

○田中委員長 社会的課題ですね。103万、130万ゆえに労働が不足してしまうことは明らかなので、それをどうするか。老健局が考えることよりは税制の話なので、日本全体だと思います。それから、営利法人の給与が見かけ上、平均値で見ると低いけれども、その理由をきちんと明らかにしておかないと、ミスリーディングになるとの御指摘も正しい。それも取りまとめの仕方としてお願いします。

 渡部委員、どうぞ。

 

○渡部委員 介護職員の給与等の増加額の水準なのですけれども、平均給与でやると7,180円。基本給で2,000円台。非常勤の方は平均給与で940円。レートでいうと10円という水準なのですが、これをどのように考えるかということが大事かと思っております。

 最近、ベアというものが新聞等で言われておりまして、私の知る限りでいうと電気大手でいうと月額2,000円台。自動車はほとんどが大手ですから、3,000円台。この7,180円というのはベアだけではなく、昇給等も含んでのお話だと思うのですが、そういった他業種との比較でいうと、現行の給与の2.5%ぐらいの総額アップというのでしょうか、そういう水準だと思っています。

 先ほどの電気、自動車でいうと、2,000円、3,000円というのは、平均給与にしますと1%台の増加だと思うのです。そうすると、増加額だけで考えるべきではなく、総額で考えるべきだと思うのですが、今回の処遇改善の水準というものは十分な増加が行われたのではないかと感じております。これは意見でございます。

 そういったところを資料3で、先ほどから総額で見るべきなのか、レートで見るべきなのかという議論がありますが、この資料3につきましても月額常勤の者については平均給与額を7,180円と平均基本給を2,400円台と併記、その下の時給非常勤の者というところについては、レートの10円と月額の940円と併記されて、総括されたほうがよりわかりやすいのではないかと思っております。

 まとめ方の表記とレートの水準、それについて意見を述べさせていただきました。

 

○田中委員長 ありがとうございます。

 

○説明者 確認をさせていただきたいのですが、事務局の案としましては、月給・常勤につきましては1カ月の給与額、時給・非常勤の10円は基本給額レート、ここを先ほど課長も申し上げましたが、まとめとしてはトピックなところとして整理をさせていただいたのですが、これでよろしいという御意見と伺ってよろしいですか。

 

○渡部委員 私の意見は、平均給与額7,180円というのは、常勤の方でいっても残業代とか時間の割合も入っていると思うのです。ですから、平均給与額7,180円と、純粋なレートでいくと資料1の9ページの2,400円ということになる。それはどちらを主として書くか別にしまして、両方示してかつ非常勤の方もレートでいうと10円だと、月給でいうと940円と書いたほうが、処遇改善の状況がより的確に伝わるのではないかということです。

 どちらかというと、この資料3でいうと平均給与額は月給の方でいうと残業と賞与も含むのかもしませんが、常勤の方も時間の要素がないとは言い切れないと思うのです。ですから、純粋なレートアップということであれば、平均給与の基本給額、2,400円というものも書くべきでしょうし、総額を両方書いて、レートも両方書くというのがより的確に伝わりやすいのではないかと思っております。

 

○田中委員長 課長、どうぞ。

 

○迫井老人保健課長 細かいことではあるのですが、今、専門官が確認させていただいた点は私も戸惑っている部分があるのですが、常勤の方について両方併記するということで状況を御説明するということで理解できるのですけれども、資料3は基本的にはアセスメントといいますか、どういうふうにそれを総括するのかというまとめでございますので、事実関係は資料1あるいは資料2も含めて数字は出ておりますので、数字を表記することというよりはどちらかというと、どういう意味合いがあるのかということを中心にまとめさせていただくという趣旨でつくっております。

 ですから、常勤の方についてというのはそれでわかるのですが、先ほどの堀田委員の御指摘を踏まえますと、非常勤の方については従来から御指摘を受けておりますので、あくまでレートで見るのが適切であろうとまとめさせていただいているのですが、その場合であっても月額の給与を記載すべきだと渡部委員はおっしゃっているように聞こえるのです。

 

○渡部委員 私の意見はそうです。

 

○堀田委員 今の渡部委員の御指摘は、資料3のほうにも7,180円というものが給与額に占める割合が計算できていないのですが、2.5%とかということを入れたほうがいいのではないかということですか。

 

○渡部委員 7,180円という総額とかつ純粋なレートである2,400円。これを書くべきではないか。

 

○堀田委員 プラス、それが常勤の人だったら276,000円に占める割合というものも入れてはどうかという御提案ですか。

 

○渡部委員 パーセンテージは申し上げておりません。

 

○堀田委員 わかりました。

 

○渡部委員 基本給も示すべきではないかということです。

 

○田中委員長 実際に1と3を分けて議論するのは難しいようです。1を読むと3の書き方も出てきます。今の課長の御説明は、3はファクトの紹介ではなく読み方のところにできるだけ特化したいとの指摘です。数字そのものは1にさかのぼって見ていただいたほうが、結局同じものになってしまうので、要約された情報のほうがいいのではないか、が課長の説明でした。

 どうぞ。

 

○千葉委員 確認なのですけれども、前に堀田委員が非常勤の方の時給単価でいこうといったのは、結局請求していた総額の額がある時間数を掛けた後の数字になるので、そこの違いというか、撹乱要因になるので比較しにくいという御指摘があったと思っているのです。そういう意味では、本当に変わったかどうかを比較するところは、時給のところはレートでやるしかないし、総額として比較するに越したことはないでしょうけれども、全てが同じ労働条件で働いているというわけではないので、改善した状態というものを相対として見るというよりは、本当に改善したのかどいうか見るということが主眼だとするのであれば、時給のところはレートで、月給のほうはそういう問題がないので額としてどれぐらい改善したのかということを見ようということを議論したと少なくとも自分は理解していて、それはそれで1つの見方なのではないかと私は思っていたのですけれども、違いますか。

 

○渡部委員 平均給与額には残業等の時間的に要素も入りますし、諸手当も入ると思うのです。7,180円という例えば賃金増加というものが、世間相場と比べてどうなのかという議論になったときに、ベアと比べる必要はないと思うのですけれども、それと比較すべきなのは9ページでいう月給の者でいう基本給額の増加ではないかと思っているのです。ですから、2,400円というものはちゃんと明示したほうがよいのではないかという意見でございます。

 

○千葉委員 意味はわかったような気がするのですが、要は、比較対象を一般産業の給与改善の相場の表現ぶりと、それを言おうとするとむしろ月給の者のほうもレートでやるべきではないかという御主張のように聞こえたのですが、そうでしょうか。

 

○渡部委員 そうです。

 

○千葉委員 そうすると、7,180ではなくて2,400のほうで書くべきと聞こえたのです。

 

○渡部委員 7,180円と2,400円は併記すべきではないかということです。

 

○千葉委員 7,180円を書くのを指摘される理由は、今の話だと、一般のベアとかの話とか所定外と手当の話が入ってしまうので、一般の産業と比較するにはレートのほうがいいのではないかと理解してしまったのですが、それは誤解ですか。

 

○渡部委員 誤解ではないと思います。

 

○千葉委員 そういうふうに比較するのだったら、多分レートで全部通してしまえばいい

だろうけれども、ここではレートというものよりはそういう労働条件を含めて改善したのかということを全体として捉えようとしているものなのではないかと理解したので、だとすれば、本当は時給などもそうできればいいのですけれども、そこは個別事情が余りにもいろんなバリエーションがあり過ぎるから、やむなくレートのほうにいって、本来は7,180円のほうではないのかというのが、自分なりの今までの文脈の理解だったのですけれども、先生はどうお考えですか。

 

○堀田委員 確認で、渡部さんがおっしゃっているのは資料3のほうに現在は月給・常勤の者については、こちらの資料1の7ページにある平均給与額の7,180円ということだけが載っているのだけれども、同じくこちらでいうところの9ページの基本給額の月給・常勤の2,400円というものも資料3に入れてはどうかということですか。それは全く反対はありません。

 時間給で非常勤の者についての資料3に抜き出すものについては、平均基本給額10円増というもので別に書くと。

 

○渡部委員 それもレートとしては正しいと思いますし、もう一つは、940円も併記すべきではないか。

 

○堀田委員 940円も入れてはどうかと。

 

○渡部委員 そういうことです。

 

○堀田委員 わかりました。

 

○藤井委員 私は、940円はコンヒュージングだと思うのです。というのは、明らかに今、堀田さんが議論をされていたような時給が高いと時間数を減らすという傾向が見えているわけですから、何が起こって940円が上がっているかというものがこれだけだと見えませんので、10円以外は出せないのではないかと思うのです。現に940円1人当たりふえているのはわかるのですけれども、より働いてふえたのかもしれないし、時給がふえて労働時間を減らしてこの程度におさまっていたのかもしれないし、940円という意味がよくわからないということなのだと思います。

 仮に、時給レートが上がっていてもこれが減る可能性だってあるわけです。減っても併記するのかという話になるので、私も堀田さんと同様に今、御指摘があったように月給のものについては両方併記したほうが意味がわかると思うのですが、時給に関して940円を出さなくてもいいのではないかと思います。

 

○熊坂委員 私も基本的に今の藤井委員の意見に賛成です。渡部委員がおっしゃったこと、堀田委員が賛成したことについて、私も当然基本給は書くべきだと思います。ただ、時給に関しては不確定要素が強いので、上がったということしか書けないのではないかと思います。

 

○田中委員長 議論ありがとうございました。

 では、時給のほうはピュアなレートだけにしておいて、その結果としての労働時間の変化を含む可能性のある数字はまとめには書かないでおくことにいたしましょう。議論、ありがとうございます。

 ほかの点でも結構です。

 

○藤井委員 2点ございます。資料1なのですけれども、資料3にも同じことが書いてあるので結局資料3の話も言うことになるのですが、15ページ、アンダーラインで「勤続年数1年の者の増加額が大きくなっており」と書かれているのですが、一般的に定昇の幅は短くなる傾向にはあると思うのですけれども、1年目が2万6,790円で、2年目が9,430円、こういう方ほど幅が狭くなるというのはそう多くないのでないかと思うことと、1年目ですから、最初の賞与は余りもらえていないという結果として、2万6,790円が出ているとすれば、これは勤続1年の者の増額が大きいということをアンダーラインとしてしかも資料3に載せることの意味が、ミスリーディングではないかという気がいたします。

 むしろ、私は最近ですと10年レベルで定昇をかなり下げるところが多いように聞いているのですけれども、定昇は年数に従って金額は狭くなっているけれども、10年以上でも5,000円レベルであるという指摘でいいのではないかと思います。

 2点目の16ページなのですが、これが苦しいのですが、これもアンダーラインされているところと資料3は同じことが書いてあるのですけれども、おっしゃるように保有資格ありのほうが6,870円になるのですが、ここに並んでいる保有資格というのは介護職員が介護をしていく上で当然のキャリアとして求められるというのは、1つは介護福祉士だと思うのです。社会福祉士は違うのではないかということと、介護支援専門員も違うのではないかとおっしゃる方がいると思うのですが、少なくとも介護福祉士を見ますと4,400円ということで、保有資格なしと比べると上がっていない。これは誠に残念なのですが、残念なのですが社会福祉士をあわせた上で保有資格ありが6,870円と指摘するのも都合のいいところだけ言っているような感じもしなくはないので、むしろ介護福祉士が4,400円しか上がっていないということは、それはそれで問題でもあると思いますので、指摘してもいいと思いますので、保有資格ありの6,870円は余り表に出さなくてもいいのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

 

○田中委員長 前者は確かに最初の夏のボーナスがほとんどないでしょうから、その反映にすぎない。よって、これは定期昇給の反映ではないとの御指摘は正しいような気がします。

 どうぞ。

 

○堀田委員 1点目はまさにそのとおりだと思います。

 2点目なのですが、私、調査票の設計を定かに覚えていないのですが、そもそもこの保有資格別ということ自体がいろいろと誤解を生むかもしれないと思って、同じ調査対象の方がこの1年間の間にこの資格を取った人もいれば、もともと24年9月の段階から持っていた人もいるので、新たに介護福祉士、それぞれの資格を取ったから上がったのか、ずっと持っている人なのかということが全部混ざってしまっています。

 たしか、それぞれの人がこの1年以内に資格を取ったかどうかということは聞いていなかったと記憶しているので、だとすると、この紙全体を出さないほうが、かつ資料3にも保有資格、どちらにしてもいつ取ったかがわからないので、これはちょっといろいろと誤解を生むかと思います。

 

○千葉委員 関連して、上がった下がったというところは確かにそういう要素があると思うので、こういう読み方をしていいのかわからないのですが、16ページの表で言えば、例えば保有資格ありの介護福祉士が絶対額で25年9月が291,000円。なしの人が248,000円ということで、保有資格そのものについて評価されているという部分しかないという感じです。これが逆転することはまずないと思うのですけれども、それだけ資格を取るために頑張ったところは評価されている。そこにすぎないのかという気がするのです。上がった下がったというのは確かにいろんな要素があるかもしれません。

 

○田中委員長 2点、御指摘がありまして、1年目から2年目にあたかも定期昇給がたくさんあるように書くのは間違いで、単にボーナスの範囲の違いにすぎないのではないかという点と、もう一つは、資格別に見たときに資格別の給与差は意味があるかもしれないけれども、資格があるほうが上がったと書くのはミスリーディングではないか。この2つはどうですか。

 

○説明者 事務局でございます。

 この調査の設計自体が平均給与額に諸手当、ボーナスも1カ月分を含めた設計としておりますので、ここの集計に限らず全て給与額はそのことが前提になっておりますので、その前提に立って数字を見ていただければ、勤続1年の方が額として上がっているということを客観的なデータの説明として行っております。

定期昇給の幅が2年目の方がほかに比べて高いという分析はできませんので、必ずしも資料1の15ページの記載でミスリーディングということにはならないのではないかと思います。

 

○迫井老人保健課長 現在の書きぶりについては、今、説明させていただいたような理解で書きましたが、御指摘のとおり、そもそも1年目が給与の上げ幅が大きくなっていて、その中には極めて合理的な説明として当然1年目には賞与はつかないわけですから、その部分が入ってこの数字になっているという記載を追加することは少なくとも必要だと思いますので、データとしてそれが分離できないというものはもう一回確認しますが、恐らくそうだと思いますから、プラスアルファの解析でそこをきれいに分けられないと思いますが、記載は工夫させていただきたいと思っております。

 

○千葉委員 それについて言うのであれば、あとは2万6,000円に注目しろというふうに議論を持っていくのか、2年以上のところの先ほど藤井委員のおっしゃった意外に先に行っても寝ていないよということを言うのか、どちらに着目するかという議論の持っていき方も考える必要があるのではないかと思います。

 

○田中委員長 熊坂委員、どうぞ。

 

○熊坂委員 今の1の(3)の下2つ、勤続1年目の者の増加が特に大きいということ、保有資格なしの者に比べて保有資格ありの者の増加が大きいということ、これは当たり前ですね。今、課長さんは書き方を考えるといいましたけれども、やはり工夫したほうがいいと思います。職種とすれば、介護福祉士が大事ですから、介護福祉士が明らかに上がっていくみたいな、社会福祉士やケアマネも大事ですけれども、現場というと介護福祉士ということになると思います。特に若い方はこれを目指してやっているわけなので、処遇が改善した或いは将来改善されていくということが見える方向に、制度が進んでいけばいいと私は思っています。

 

○田中委員長 ありがとうございます。

 先ほども1年目から2年目に高くなったところには赤い線は引く必要はないとのご意見ですね。まとめのほうでは1年目から2年目はボーナスの反映があって上がって見える事実はわかるけれどもね。

 課長、どうぞ。

 

○迫井老人保健課長 今、確認をさせていただくと申し上げましたが、もともとのデータでそこが分離して分析できるかどうか改めて確認させていただきます。基本的には定量的な事実に基づいて記載させていただくべきだと思いますから、そこの部分を見た上で記載するということを目指したいと思います。

 ただ、この時期でこの状況ですので、どこまでできるかわかりませんが、少なくとも現行の数字を使うにしても、今みたいな御指摘はきちんと記載しておかないと、ミスリーディングになりますので、最低限そこはさせていただいた上で、どれぐらいプラスアルファ定量的な地固めといいますか、根拠を持たせるかは事務局のほうで工夫させていただきたいと思っております。

 

○田中委員長 それで結構です。

 千葉委員、どうぞ。

 

○千葉委員 後ろのほうの話で、3も含めてなのですが、資料1で申し上げますと処遇全般移行の17以降の話で申し上げたいと思ったところが1カ所ありまして、1つは資料3の出だしのところから見ると、前回調査との比較でいろいろ書いていらっしゃる。今回、調査というのは制度的に何か大きな変化がない中で調査されているので、ある意味基本的には何か大きな変化がないけれども、改善した足跡だけが純粋にとれるという時期だったのかと思っています。そういう意味では、それがきれいに出てきているということは、この調査の精度もある程度サンプル数もあるし、信頼に足る一定の水準に来ているのかと思っています。それが大前提で、その上で資料3の後ろ側にあるのですが、処遇改善の状況という2番を見ますと、ここにもキャリアパスの確立に向けた取り組みは依然として云々ということが書いてあって、さはさりながら資料3の1ページ目に戻っていただくと、1の(1)のところで処遇改善加算(I)が多いというのは事実としてそうだと思うのですが、これはキャリアパス要件を満たしているという前提ではあるものの、結局キャリアパス要件というものはそこの説明資料にもあったように、簡便法と本格的な要件IIIかということでどちらがとれて、私の知り得る限りでいうとほとんどが簡便法のキャリアパス要件が適用されているやに聞き及んでいます。

 今回、そこの事実はこの調査からはとれないと思うのですが、少なくとも後ろの17ページにあるここにも指摘があったように、昇給・昇進の要件の明確化とか、賃金体系、制度の整備といったものはキャリアパスに相通じるような事項だと思うのですが、そこについて改善なしというか、もしくは改善ありだけれども、今後なのでまだやっていないというものが例えばそれぞれ2割近くあったりとかしているわけですから、そういう意味ではまだまだ改善の余地は十分あるし、逆にもうちょっとこの調査だけではなくて引っ張った話になってしまうかもしませんが、今、かなり一般の産業の労働市場が改善傾向を示すということは、過去の事例からいっても早晩この介護の分野は人手不足というものが再燃し始めていると考えています。そういう中では、少しでも加算をとるからということも当然必要なのですが、職員を確保するという意味でも働きやすい職場ということをつくっていく上で、このキャリアパスというものは本当の意味のもの、すなわち簡便法のものではないものをきちんとつくっていくべき時期に来ているのではないかという気がしています。加算Iをとっているということと、後ろのものをどう捉えていくかということは問題提起をする必要があるのではなかろうかという気がしております。これを資料3の中に書くかどうかは別ですが、そういう事実関係を2つ組み合せるとそういう実態が私には読み取れたので、ちょっと指摘したいと思います。

 

○田中委員長 むしろ現在の経済情勢を考えたらとても大切な点ですね。ありがとうございます。

 藤井委員、どうぞ。

 

○藤井委員 同じところの図なのですが、資料1の17ページで資料3の2ページなのですが、資料3の2ページを見させていただくと、改善なしの割合が高いのが昇給または昇進・昇格要件の明確化と、賃金体系等の人事制度の整備ということなのですが、資料1に戻りますと、どの数字をもって改善なしが多いといっておられるのかが、改善なしが合計のところを見ますと夜勤の見直し、有給云々で、その次が非正規から正規の77.3%だと思うのですけれども、私が見ている数字が違っていると思いますので、どこかということを教えていただきたいことと、改善なしのところで従来より実施、今回内容等の変更なしは既に実施されたわけですので、クリアしているのではないかという読み方があるとすれば、今、一番クリアできていないのは右側の数字でいいますと、23.4%の職員の増による業務負担の軽減。

 ところが、これも今回は改善ありというものが多いということで、クリアできていないものが改善されるようになったとも読めるので、この資料3を読みますと依然として改善の余地が高いと見えるのですけれども、私は厚生労働省が頑張って処遇改善交付金加算の維持はされているのですが、真水をふやしているわけでもない中で事業所の方は確実に昇給されている。さらにこれを見ても改善なしというものが従来・今回やっていないというのが2割もあるということをどう読むかは置いておきまして、やはり着実にやっておられるというポジティブな評価をしたほうが、苦労に報いるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

 まず、どこの数字をもって資料3のことを読めばいいのか教えていただけますか。

 

○田中委員長 どうぞ。

 

○説明者 お答えいたします。

 資料3の書きぶりとして、改善なしの割合が高くなっておりというところが確かに正確ではない表記になっていたと思っております。キャリアパスの部分でまとめに取り上げましたのは、資料1の17ページの表で見ますと、一番右側の欄「改善なし」で「従来及び今回実施しておらず、今後も予定なし」。ここの数字がそれぞれ一番下の20.7%と下から3つ目の19.7%というところがございます。

 もう一つ、「改善ありもしくは改善予定」のところで、表の真ん中なのですけれども「従来及び今回実施していないが、今後実施予定」というところ、ここの数字で同様に一番下の項目が14.3%、下から3番目の項目が15.5%ですので、これを合わせますとそれぞれ35%程度ある。このあたりからいわゆるキャリアパスの整備というところが、現時点で取り組まれていないというところの数字として言えるのではないかと、考え方としては以上のようなことで整理をさせていただいております。

 

○藤井委員 よくわかりました。そうでしたら、表を右に再掲をつくっていただいて、これまで実施していないとでもつくって足した値を書いていただくとつながると思いますが、いかがでしょうか。それを指摘されるのは、私の趣旨とは違うのですけれども、それを指摘されるのは客観的な数字だと思います。

 

○熊坂委員 私はこの文章を素直に読んだのですけれども、確かに今、藤井委員がおっしゃったように改善なしの割合が高くなっているというのは誤解を招きます。改善というのは、経営者からすれば改善が終わるということはあり得ないので、常に改善していくということなので、改善なしということ自体の問題を含んでいるので、改善の割合が高くなっているということで、依然として2割もいると思ったのです。だから、改善の余地があるものと考えられるとしても私は当然だと思ったので、今、藤井委員が指摘されたことを踏まえて変えた上で、2割もいるのですよということを強調していただければと思います。

 

○堀田委員 同じことを指摘しようと思ったら、ほぼおっしゃっていただいたのですけれども、後半に藤井委員がおっしゃった、しかし、私は改善しているということもきちんと資料3のほうに抜いていただきたいと思いまして、もともと調査票に後ろをくっつけるときの経緯もそうだったと思うのですけれども、賃金だけではなくて、処遇改善というのは実は多様なもので、職場の働きやすさの全体の改善に向けていろいろとやっているかどうかを見ようということでやっていて、結構バリエーションに富んだ取り組みをそれぞれやろうとしている気配が見てとれると思うので、そのことについても資料3でも1行入れていただきたいと思います。

 

○田中委員長 これは必要でしょうね。介護報酬体系が変わらない中で、定期昇給は行われ、処遇改善も行っているところはあると評価していいでしょうね。

 ほかに御指摘や御質問はございますか。

 課長、どうぞ。

 

○迫井老人保健課長 今までの議論で幾つか御指摘いただいた中に、同じような形式で調査をしてきて集計をしてきた関係で、例えば赤い枠とか下線の引き方は基本的には従来の記載の仕方を踏襲しております。それは我々も悩みながらなのですが、あえてそれを変えますと何で変えたのかということも含めて、一定の考え方が必要かと思ってきたのですが、今回、資料3のような形でまとめをつけさせていただいておりますし、それぞれのチャートの中で一言二言ではありますけれども、こういったことが特徴的だという記載をさせていただいています。今、いろいろいただいた指摘を踏まえて当然整理をさせていただきたいと思っていますので、そういった御指摘に応じて、今、赤枠をつけたり下線を引いたりしておりますけれども、基本的には何に着目してだからどう言えるのだという対応関係を踏まえてもう一回整理させていただきたいと思っています。現状では、機械的に一番高いところに枠をつけるとかそういうふうになっています。ですが、最終的にはそこはミスリーディングになりかねないので、全体の整合をもう一回とらせていただきたいと思っております。

 よろしゅうございますね。

 

○田中委員長 最初にこの統計をとったときには、まずは一番大きな数に赤い枠をつけるところから始まりましたが、毎年しているうちに皆さんの読み方が深くなってきて、より正しい、単に数字が大きいところを強調するだけが読み方ではないことがわかってきたので、工夫をお願いいたします。

 堀田委員、どうぞ。

 

○堀田委員 今、これまでの経緯の話があったので、そちらにいってしまっていいのかどうかわからないのですけれども、今後に向けた期待として、この調査を数年間続けてきていますが、これをもって何をどう言ったらいいのか、どう解釈したらいいのかということがなかなか難しいところもあって、もうすぐ次の改定も来ていますけれども、中長期的には従事者の処遇のあり方というものと本当は経営のモデルとか雇用管理のモデルというもの、そして、本来の介護サービスの質みたいなものを結びつけて議論する必要があるもので、この介護従事者の処遇というものをどのようなさまざまな経営のモデル、雇用管理のモデル、介護サービスの質とかと結びつけながら議論していく基礎資料になるような調査をしていくのかということを、一度しっかり議論する機会があってもいいのではないかと期待しています。

 

○田中委員長 藤井委員、どうぞ。

 

○藤井委員 私も全く賛成でございます。かなりコストをかけてきっちりとした有効回答が得られている非常に精度の高い調査だと思いますし、これまでの目的に合致した内容ですし、しかも、事業所の方々が努力しているものも見えるということで、調査そのものは成功していると思うのですが、介護従事者の処遇というものをもう少し大きく捉えたときに、処遇というものを考えたときにここから読み取れるものが余りにも少ないと思うのです。

 現在、賃金センサスという形で福祉施設職員とホームヘルパーと区分けがしてありまして、そこから分析できなくはないのですが、まず福祉施設職員というものがどこからどこまでを含んでいるのかいないのかもわかりにくいデータでございますし、実感といたしまして、確かに東京近郊ですと故池田先生がよくおっしゃっていた世帯扶養生活給みたいなものが介護職員は得られていないのではないか。むしろ家計補助給の水準は超えているけれどもという話はあったと思うのですが、実感として地方都市ぐらいに行きますと、介護職員として働くことは比較的安定していて、給料もそんなに悪くないのではないかと言われている方が多いですし、私もそう思うのです。このあたりを今の1単位当たりの単位数というのはどうしても現状追認型ですので、あるべき姿になっていないように思うのです。ですから、例えば介護職員の確保が難しいとか処遇とかの問題も、ひょっとしたら大都市問題かもしませんし、そういった何が今、課題になっているのだろうかということを明確にした上で、なおかつ本当に介護従事者がどのように処遇されているのか。

 もう一つ論点があるとすれば、今、残念ながら介護職員というのは誰でもなれるということでございますから、一般の労働市場に当然引っ張られる話で、誰でもなれる職員を給料に上げるというのは変な話だと思うのです。しかし、専門職労働市場と言われる先ほど熊坂委員が介護福祉士を大事にしたいとおっしゃっておられましたけれども、今の介護福祉士でいいかどうかわかりませんし、段位制みたいなものもありますが、ある一定の技術、専門性を確保した人間が専門職労働市場になったときにどのような処遇がされていて、それとそうでない、きのうまで違う仕事をやっていてきょう就職した人の給与をごっちゃにしないで論じられないかどうかということは、結構大きな話だと思います。

 看護労働も30年ぐらい前までは給料が安いということで診療報酬、当時は診療報酬全体を上げていましてけれども、基本看護点数を一番上げたときには10%近く上げたと思うのです。それで看護職の給料が上がったかというと余り上がらなかったです。当時の看護職というのは景気がよくなってほかの給料がいいと、御主人が働いてくれるので奥さんが働かないとか、家計補助的な働き方をされる看護師が非常に多かった。そこで看護の側が専門性、専門職としてのということを打ち出されて、今の一般の労働市場にそんなに左右されない、専門職として給与体系になっていると思います。それを考えますと、1つは専門職としてきちんとした技術を持っていて、特に話が広がりますけれども、今の要介護認定というものは1分間タイムスタディーであらゆる介護行為を同等に考えていますけれども、専門職でなければできないことと、私でもできそうなこととあると思うのです。私でもできそうなことというのは、きのうまで大学の教員しかできないような人間でもやれることですから、給料が安くてもしようがない。そういう分け方をしないで全員の給料を上げるということは明らかに無理がありますので、地方と東京の問題と専門職とそうでない問題を議論できるようなデータをしっかりとっていただければと思います。

 以上です。

 

○田中委員長 どうぞ。

 

○熊坂委員 今の藤井委員の意見をお聞きして、私もぜひ言いたくなりました。将来の介護のことを考えた場合に必ずそこにいくと思うのです。都市と地方の問題そして専門性がどれだけ担保されているか。医療に関しては全く混乱がないというのは、資格イコール専門性となっていますので、資格ごとの一定の給与レベルは当然保障されているわけですね。しかし介護に関してはそこまでいっていない。それは歴史が2000年から始まってまだ浅いですから、そういうことなのかもしませんけれども、ここをつめていくことによって、この給与体系というものが決まってくると思います。まさに藤井委員の御指摘のとおり、それを考えていくことが介護の将来につながっていくと感じました。

 

○田中委員長 賛成です。

 この委員会の任務を超えた大きい話でしたけれども、介護保険制度という公的な制度を通じて支払う相手はプロフェッショナルでなくてはならないと思うし、安易な外国人労働力論などに結びつかないためにも、専門性を高めて、そこに処遇する。その上でなら国籍がいろいろあってもいいかもしれないけれども、単に足りないからといった議論につなげないためには、今、言われたことはとても大切だと感じました。

 3の報告のまとめにどこまで入れるかは別として、我々として論じたことに意味があると思います。

 渡部委員、どうぞ。

 

○渡部委員 こちらの介護従事者の処遇改善状況の調査ということに関して、今後の意見なのですけれども、1つは知りたいという情報がございまして、今の介護職員処遇改善加算という総額が、いわば呼び水になって介護職員等の給与総額がどれだけ上がったのか。要は加算の財源と法人の経営者サイドの経営努力による処遇改善、それは果たしてどれぐらいのものなのか。100加算があって100賃金アップということであれば心もとないと思っておりまして、そういったデータはとれないものなのかということを今後検討していたただければと意見を申し上げます。

 

○田中委員長 今後この調査をどうしていくかについて今、皆さんおっしゃっているから、それは今回の報告とは別に事務局や関係者でさらに話し合って決めていくとの理解でよろしいのですか。

 

○迫井老人保健課長 老人保健課長でございます。

 御指摘のとおりだと思います。あくまで直近の分科会に御報告をする今回の調査のまとめとしての資料1、資料3と、今後この調査をどうしていくのかということは、私ども事務局も含めて考えていかなければいけないのですが、その際にぜひ、いろんな御指摘をいただいた内容を参考にさせていただきたいと思っておりますので、引き続きの検討課題と、今回の調査をどう生かすか。この2つの局面を分けて整理していただければと思います。

 

○田中委員長 緊急調査的に始まったいきさつがありますけれども、ある程度定着してきて、データがとれるようになったらもう少し経営の要素とか、定着とかも含めて加筆を考えましょうという御指摘があったことは記憶しておいてください。

 本日、御議論いただいた介護給付費分科会にまとめる報告については、皆さんからいただいた御意見をもとに、3についてはいろいろ書き加えたり書き直したりする必要があります。その部分については、事務局とも相談しますが、委員長一任でよろしゅうございますか。

 

(「異議なし」と声あり)

 

○田中委員長 そうさせていただきます。

 本日、ほかに何かよろしゅうございますか。

 よろしければ、今回の調査の内容に関する分析と今後のあり方について議論いただきまして、ありがとうございました。これにて閉会いたします。年度末のお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございました。


(了)

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