ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 健康局が実施する検討会等> がん患者・経験者の就労支援のあり方に関する検討会> 第2回 がん患者・経験者の就労支援のあり方に関する検討会議事録(2014年3月10日)




2014年3月10日 第2回 がん患者・経験者の就労支援のあり方に関する検討会議事録

○日時

3月10日(月)16:30~18:30


○場所

厚生労働省 17階 第18~20会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○議題

(1)がん患者等の就労に関するニーズ・課題について
(2)がん患者・経験者の治療と職業生活の両立等の支援について

○議事

○林がん対策推進官 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第2回「がん患者・経験者の就労支援のあり方に関する検討会」を開催いたします。

 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきましてまことにありがとうございます。

 本日は、全ての構成員に御出席をいただいております。

 また、本日は聖路加国際病院ブレストセンター長の山内英子先生にも参考人として御出席をいただいております。

 それでは、以後の進行は、堀田座長にお願いいたします。

○堀田座長 皆様、本日もどうぞよろしくお願いいたします。

 先回第1回に引き続きまして、今回は第2回目ということで、かなり日程も詰まっておりますけれども、活発な議論を進めたいと思っております。

 それでは、まず最初に、事務局から資料の確認をお願いします。

○林がん対策推進官 資料でございます。

 座席表、議事次第に続きまして、

 資料1 がん患者・経験者の就労支援における課題とニーズに関する検討(案)

 資料2 医療機関における取り組みについて(論点)

 資料3 キャンサーサバイバーシップ 治療と職業生活の両立に向けたがん拠点病院における介入モデルの検討と医療経済などを用いたアウトカム評価 ~働き盛りのがん対策の一助として~ (山内参考人提出資料)

 参考資料1 がん患者・経験者の就労支援のあり方に関する検討会開催要綱

 参考資料2 がん対策推進基本計画

 参考資料3 がん患者の就労や就労支援に関する現状

 参考資料4 治療と職業生活の両立等の支援に関する検討会報告書

 参考資料5 がん治療スタッフによる就労支援 (高橋構成員提出資料)

 それから、構成員の皆様方には桜井なおみ構成員からの提出資料を机上に配付いたしております。

 以上でございます。資料に不足、落丁等がございましたら、事務局までお申しつけください。

 また、ただいまをもちまして、冒頭の撮影は終了とさせていただきますので、御協力をお願いいたします。

○堀田座長 それでは、早速ですが、本日の審議に入ります。

 まず最初に、事務局から資料1「がん患者・経験者の就労支援における課題とニーズに関する検討(案)」の説明をお願いします。

○事務局 では、資料1をごらんください。この資料は、前回第1回目の検討会でいただきました御意見、さらに資料をもとに、こちらのほうで取りまとめさせていただきました。

 まず御確認いただきたいと思いますが、1ページの「1.がん患者、労働者側からみた課題・ニーズ」。そして、4ページになりますが「2.医療機関側からみた課題・ニーズ」。5ページには「3.企業側からみた課題・ニーズ」。そして、最終ページの6ページには「4.その他の課題・ニーズ」と、大きく4つに分けさせていただきました。

 基本となりますのは「1.がん患者、労働者側からみた課題・ニーズ」となりますが、それだけではなく、関係の機関等からの課題・ニーズということで、2.から4.という形で取りまとめさせていただきました。

 まず、1ページの「1.がん患者、労働者側からみた課題・ニーズ」をごらんください。こちらも(1)から(6)まで項目を設けております。

 「(1)心身の状況に関すること」。具体的には、病状や治療により、直接的に、身体的な問題や心理的な問題が生じ、患者の就労力に低下が生じる。その背景としましては、がんやその治療による症状や後遺症、副作用等が生じる。あるいは集中力の低下、就労意欲の低下や、その他の心理的な問題が生じるといったことが背景に挙げられます。

 次に、がんにかかったことにより、不安や、就労の継続や求職に対する自信の低下が生じる。また、そのために、企業の配慮・支援が必要であることを職場に伝えることができないといった心身の状況に関する課題が挙げられます。

 「(2)情報・理解に関すること」です。こちらは病状・治療や、今後の見通しに関して、知識・理解が不足している。また、今後の見通しについて、職場に伝えることが難しい。その背景としまして、その仕事への影響等に対する知識・理解が不足している。あるいは今後の見通しについて、上司への伝え方がわからないといった背景が挙げられます。

 次に、就労に関する利用可能な規則や制度について、知識・理解が不足している。

 さらに、1回目の検討会の中でも重点的に課題として挙げられておりましたが、相談先がない、または周知されていないため、どこに相談していいのかわからない。また、相談しても、適切な支援を受けられない等の意見が出ております。

 「(3)医療に関すること」です。こちらは、診療時間が平日昼間に限定されるなど、患者が治療を最優先することを前提とした医療の提供体制がとられているということ。その背景としまして、入院連絡が突然来るなど、医療の提供体制が、患者が治療を最優先することを前提としており、就労を犠牲にせざるを得ないといった背景があるということです。

 「(4)職場に関すること」です。通院を継続する際に柔軟に取得できる休暇が乏しいなど、労働時間・休暇制度が、治療への制約となる。

 また、職場において、治療上必要な健康管理への配慮が必ずしも十分でない。

 さらに、企業や同僚の理解が乏しいといった課題が挙げられています。

 「(5)経済的な困難」で、こちらは異動や雇用形態の変化、退職等により、収入が低下するということ。

 「(6)患者の状況に応じた課題」です。小児がん経験者には成人で罹患するがんとは異なった特徴があり、また、課題やニーズの個別性も高いといったこと。特に小児がんでは、晩期合併症や二次がんの発生による就労困難、そして、就労以前に就学支援が不十分であるなど、小児がんに特有の深刻な課題があるという背景が挙げられます。

 さらに、正規雇用、非正規雇用、自営業などにより、課題やニーズが異なっているといった課題が指摘されております。

 続きまして、4ページです。こちらは「2.医療機関側からみた課題・ニーズ」としまして、がん患者を、就労する「生活者」として捉えておらず、患者の就労のニーズに気づいていない。また、がん患者の就労に関する相談に対応することが難しいといった課題が指摘されております。

 5ページ目です。「3.企業側からみた課題・ニーズ」としまして、まず「がん」が私傷病であるとの基本的な認識から、手厚い対応をとることが難しい。

 そして、がんへの罹患により就労力が低下した労働者の配属先など、就業上の取り扱いが難しいといったこと。

 企業内における対応の体制が不十分であり、がん患者のニーズにきめ細かく応えることが難しい。

 さらに、プライバシー等の問題もあり、病名・病状など、労働者の健康状態の情報の把握が難しいといった課題が指摘されております。

 6ページ目です。「4.その他の課題・ニーズ」としまして、そもそも国民全体のがんに対する認識が正確でなく、がんが実際よりも重い疾患と誤解され、がん患者の就労の可能性が実際よりも低く評価される一因となっている。

 さらに、がん患者の就労支援において、患者と関連のあるさまざまな職種の関係者間の連携が乏しいなど、社会資源が十分に活用されていないといった御意見がありました。

 以上です。

○堀田座長 ありがとうございます。

 ただいまの資料1は、前回の検討会で参考人からの発表をもとに皆さんで議論した中身がまとめられております。このまとめは、基本的には今後報告書をつくっていくときの骨格になるものでありますので、これをきちんと詰めてまいりたいと思います。少し時間をとって、この資料1についてお話を伺いたいと思います。

 まずは、この資料につきまして補足等がありましたら発言をいただきたいのですが、全体といいますとちょっとまとまりがつきませんので、最初に「1.がん患者、労働者側からみた課題・ニーズ」といったところでお話を伺いたいと思います。身体的なこと、心理的なこと、あるいは情報に関しまして、この3つぐらいでまず御意見をいただくことがありましたら遠慮なくお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。

 桜井なおみ構成員、どうぞ。

○桜井なおみ構成員 ありがとうございます。

 患者の声から見たときに、柔軟な働き方、あるいは職場のがんに対する理解促進と、もう一つ、やはり制度による支援というものは必ず上がってくるのです。ここの全体の中を見ても、国側として何をやるかという、国の制度上の課題であったり、ニーズというものが記載されておりませんので、法制度の改正というところまでは難しいかもしれないのですけれども、レシピとしては提案があってもいいのではないかなと思っております。

○堀田座長 確かに、先回は余り、そのところは議論されませんでしたね。視点としては重要なので、これは追加して、また御意見をいただきたいと思います。

 この点につきまして、何か追加の発言等はありますでしょうか。

○伊藤構成員 この点というのは。

○堀田座長 国の関わりというところです。

 よろしいでしょうか。ここは1項目設けて記載するという形に持ってまいりたいと思いますが。

○櫻井公恵構成員 ぜひお願いします。

○堀田座長 では、そのようにしたいと思います。

 伊藤構成員は何か、ほかの点ですか。

○伊藤構成員 そうです。

○堀田座長 結構です。どうぞ。

○伊藤構成員 伊藤です。

 「(1)心身の状況に関すること」ということで、2つ目の四角囲いのところに、職場に対して必要な配慮や支援を伝えることができないという点について、1つ目のポツのところで、自身のキャリアに不利になるとか、同僚に迷惑がかかり申しわけないという例示的なことが書かれております。

 同様の認識を持っておりますが、どちらかといいますと、前回発言させていただきましたように、年次有給休暇の取得自体が、今、なかなか取得率が改善していない状況にあります。今、大体47.1%というのが平成24年の数字ですけれども、これも非常に業種ごとに差が大きくありますし、その中で年次有給休暇取得に対するためらいというものを厚労省のほうで意識調査をとっているものを見ますと、ためらいを感じる理由として一番大きいのが、みんなに迷惑がかかるというのが71%という数字があるのですが、昇格や査定に影響があるというのは9.9%で、7倍ぐらい差がありまして、むしろ同僚に迷惑がかかり申しわけないという気持ちのほうが非常に強く出て、なかなか取得が進んでいない実情にあると思います。

 ここは、がん患者の支援・配慮についてということで、年次有給休暇の取得の理由と全く同じとは言えないかもしれませんけれども、やはり周りの方への影響を気にしてなかなか取得ができないということのほうが強くあるのではないかと思いますので、細かい話ですが、どちらかといいますと、そういった同僚に迷惑がかかり申しわけないというほうが前に出てきて、そういったところをとりやすくするという支援を、言いやすくする必要があるのだと思います。

 以上です。

○堀田座長 ありがとうございます。

 その点につきましては、3ページにもありますけれども、どちらかといいますと、これは労働者側の不安とか心理的な要素ということになろうかと思いますので、後でもまた、そこは触れたいと思います。

 それでは、情報とか理解につきましてはいかがでしょうか。

 ここは、また後で振り返っていただいても結構ですので、何かありましたらよろしくお願いします。

 その次の4つ目の○のところですが、就労に関する利用可能な規則や制度について、周知が必ずしも十分でないという意味かと思います。それから、相談先といったところでいかがでしょうか。

 どうぞ。

○伊藤構成員 伊藤です。

 細かいことかもしれませんが、ここは「知識・理解が不足している」ということで、働いている側に十分な理解力がないかのような表現になっていますが、どちらかといいますと、情報が不足しているということもあるのではないかと思いますので「情報・知識・理解が不足している」ということのほうがよろしいのではないかと思います。

 細かい話で恐縮です。

○堀田座長 その次の○のところにもありますように、これはどちらかといいますと相談・支援といったところかもしれませんけれども、一方で理解が不足というのは情報が足りないという、両方の作用かと思います。ここのあたりも少し充実させていきたいと思います。

 ほかに御意見はいかがでしょうか。特に雇用側といいますか、会社側の方の御意見があれば、ぜひお願いします。

 湯澤さん、先回はお休みだったので、何かありましたら積極的によろしくお願いします。今のところで何か御発言はありませんか。

○湯澤構成員 湯澤です。ありがとうございます。

 事前にお休みをする情報を得ておくということは、実際、仕事をしている上ではかなり難しいです。毎日仕事をすることで精いっぱいで、初めて病気になったときにどういう補助制度があるのだろうかとか、社会保障があるのだろうかとか、初めてそれに目を向けることになるのです。

 一番、情報としてわかりやすいのが、同僚で病気になられて復帰している人が身近にいると、これは何の情報よりも明確に周りには周知ができます。そのあたりでは、復職する方がたくさん出てくると、おのずとそういった雰囲気といいますか、理解が深まるというところはあるのではないかなと思っております。

○堀田座長 たまたま同僚がいれば非常に心強いですけれども、初めてなってしまったときにどういう制度や保障があるかということ一般の労働者はほとんど知らないですね。がんと診断されて慌てていろいろ相談するけれども、まずは病気のことでパニックになってしまって、そう簡単にそのアクセスまで行かないというのがあるのかもしれません。

 実際に体験された方もいらっしゃるかと思いますが、いかがですか。

 桜井なおみ構成員、どうぞ。

○桜井なおみ構成員 初期のときは決めなければいけないことがいっぱいあり過ぎて、順番の整理がつかない状態にはなります。手術日を決めなければいけない、治療方法を決めなくてはいけない、その中で働くことを決めなくてはいけないというのは、後回しでもいいことなのですけれども、ついつい先に、働くか、働かないかというのを決めたがってしまうところはあるので、そこでちょっと待ったという一言があると大分違うのではないかと思っています。

○堀田座長 早まってやめてしまったりすることもあるということですね。

○桜井なおみ構成員 はい。

○堀田座長 ほかの方はいかがですか。よろしいでしょうか。

 宮本構成員、どうぞ。

○宮本構成員 宮本でございます。

 平成17年ぐらいだったと思うのですけれども、労働契約法というものができておりまして、今ですと最初に労働契約の中身として、例えば求職の制度ですとか、例えば病気になったときにどうするかということも提示することになっていますので、そこをうまく活用することを念頭に入れると、労働契約の中身ですとか、自分がどういうふうな権利を持っているかということは労働者に知らしめることができるのではないかと思った次第でございます。

○堀田座長 ありがとうございます。

 ほかに御意見は。

 山内参考人、どうぞ。

○山内参考人 本日参考人として参加させていただいております、聖路加国際病院の乳腺外科ブレストセンター長の山内と申します。

 私は日々、やはり患者さんの立場に立っている側としてなのですけれども、ですから、企業側からの方々の御意見というのが、もしかしたら、非常にそちらとかけ離れてしまっているかもしれないのですが、この「3.企業側からみた課題・ニーズ」のところで「○ 『がん』が私傷病であるとの基本的な認識から、手厚い対応をとることが難しい」というコメントがあるのです。これは、例えば労災とかで病気になった方に比べてということの御意見なのでしょうか。

○堀田座長 それはどなたにお伺いしているのでしょうか。

○山内参考人 こちらの意見が出た企業側の、といいますのは、やはり非常にがんの患者さんということに対して、企業側もどのように扱ったらいいかということはあるとは思うのです。

 実際に今、非常に国の中でがんのサバイバーがふえてきて、例えば今まで一生懸命トレーニングをしてきた人たちががんということで、能力は多少、ある程度の期間は落ちるけれども、また戻れるのですが、そこでやめなければいけないという、リソースを失ってしまうという考え方とか、あとはがんの経験者の方々も世の中に非常にふえてきていて、その企業において、がんの経験者だからこそ何か違ったアイデアとか、この間もANAの会社の方とお話ししていたのですが、やはり客室乗務員の方でがんを患われている方々も多くて、そういった方々が戻ることによって、例えばがん患者さんに対する配慮の視点ができるのではないか。

 そういった考え方を企業側がしていただくという、ちょっとしたパラダイムシフトみたいなことは、きれいごとといいますか、何かそういったものになってしまうのでしょうか。その辺を企業側から参加していらっしゃる方に御意見をお伺いできたらと思うのです

○堀田座長 その件につきましては、後で企業というところでそのフレーズがありますので、そこで深めていただくとして、とりあえず、今のところは経験者側の課題というところで整理をさせていただきたいと思いますので、またそこでお願いします。

 患者もしくは労働者側から見たときの課題として、医療とか職場に関することと今のは関係が深いのでありますけれども、そこで何か御意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。

 どうぞ。

○桜井なおみ構成員 医療に関することなのですけれども、2ページに「○ 診療時間が平日昼間に限定される等、患者が治療を最優先することを前提とした医療の提供体制がとられている」ということで、夜間診療ですとか休日診療ですとか、そういうところを言っているのだと思うのです。

 これは山内先生にお聞きしたいのですが、たしか聖路加は、土曜日に診察をするようになったと思うのですけれども、実際、患者さんの声としてどんな感じですか。

○山内参考人 今年度から、うちの病院ではそういった患者さんのために土曜日、例えばオンコロジーセンターとかを少しずつあけるような試みをしてきているのです。実際問題、非常にそういうニーズが、うちは特に外来で抗がん剤やホルモン剤の処方とか、そういった方々が物すごく多いですから、すごくニーズがあって、土曜日のオンコロジーセンターとかがいっぱいになってしまうかと思ったらば、ふたをあけてみたら、案外、やはり土日は、例えばお子さんがいる方なんかは、お子さんがいるので、土日まで預けてくる手配ができないとか、むしろ平日のほうが仕事から半休をとってきて来やすいとか、そのような御意見が結構多くて、思ったより土曜日に来院される方は非常に少ないのです。

 患者さんの実際の意見を聞いてみましても、土日があいているから土日に行きなさいと反対に会社から言われてしまったら、体を休めなければいけない土日も通院に使って、ほかの日にちも休めなくて、今、こちら側で患者さん側の意見で、会社に非常に言い出しづらいということがありましたけれども、そこが、きょうは抗がん剤の点滴なので半休とらせてくださいということは、ある程度、休みをとれるという確実なことなのに、それが反対に、土曜日にあいているのだから土曜日に行かなければいけないのに、平日に休みがとれなくなったら、とてもではないけれども、体がもたないという御意見もありました。

 私は、女性の就労問題とかもやっているのですが、例えば国が制度として病児保育を整えたから、では、病気の子供がいたら女性は休んではいけないのか。そういう病児保育があるのだから、病気の子供がいても休まずに仕事をしなさいという形に、反対にそういった形で患者さんにデメリットになってしまう可能性も考えていかなければいけないなとは思いました。

○堀田座長 確かに、重要な指摘です。制度をつくったのが逆に強制になってしまうという面もないわけではないということですね。これは運用の問題としては非常に重要だと思います。

 どうぞ。

○高橋構成員 構成員の高橋でございます。

 この診療時間が平日昼間に限定されている問題というのはとても大きいと思います。基本計画でも文言としては、「医療者への過度の負担に配慮した上で平日昼間以外にも診療枠を広げるように努めることが望ましい」のように間接的に書いてありましたが、医療者への過度の負担に配慮するというのは大変難しいことだと思います。

 やはり医療のボトムラインというのは、適切な医療を安全に提供するということだと思います。例えば平日夜間にも放射線療法が受けられるようにするとか、そういうことが実現すれば、これは明らかに恩恵であると思うのですが、それを広げるときに、医療者が代休をとれるのか、医療者にきちんと金銭的な手当がつくのか。診療時間の拡大を本気で考えるのであれば、その辺の具体的な手当てについて検討が必要だと思います。

○堀田座長 今のは提供側の話で、利用側としては時間外治療ができても、それが逆に職場は普通の日は休まないで、時間外や土日に受診すべきだみたいな話に展開してはいけないとは思います。

 一方で、例えば連休なんかが入ってきて、何日か休んでしまうと、化学療法や放射線治療の予定がなかなか立てないということがあったときに、それを途中でもできるようなことをやることで、医療の質を下げないで提供できるということはあるかもしれません。その場合には、提供側のほうの労働強化にならないにはどうしたらいいかという問題が起こってくるかと思います。ありがとうございます。

 川本構成員、どうぞ。

○川本構成員 日本看護協会の川本でございます。

 今の問題につきまして、私どももやはり日中にしか通えないというのは大変、診療時間というものを考えていかなければいけないのではないかなというふうな課題として捉えております。

 ただ、外来化学療法とか外来放射線療法など長くかかる場合には、特にだんだん休まれると、結局それが欠勤につながっていくという形で、そういうふうに至るケースが多いと聞いておりますので、課題かと思います。人工透析等は夜間にできるような治療体制が整ってきつつありますので、そのようなところの工夫とかそこに出てきた背景などは今後の参考になるのではないかというふうに捉えております。

 ただし、夜間に開く場合とかは、安全上の問題等のことは大きな課題になるかというふうに考えておりますので、その辺も多く含めながら検討していくべきことだと感じております。

○堀田座長 ありがとうございます。

 医療提供側のことについては、結構まだ議論の余地がありそうでありますが、少し先に進めさせていただいて、職場に関することというところで、患者さんあるいは労働者側から見たという問題点の整理になっていますが、御意見をいただければと思います。いかがですか。

 先ほどの3ページの上に「企業や同僚の理解が乏しい」と書いてございますけれども、逆に相談できる同僚がいると非常に心強いという、二面ありますね。そこら辺は、湯澤さんはどんなふうにお考えになりますか。

○湯澤構成員 各企業の中で決まっている休暇制度というものの枠の中でやることが、今、一般的だと思うのですけれども、その中で言いますと、やはり就業規則にのっとったお休みであれば周囲の理解は大変得やすいです。

 その方の御病状に合わせてお休みを設定することはまず難しいことでありますので、その方が与えられているお休みの中でどう治療スケジュールを立てていくのかとか、その治療スケジュールが今の職場では難しい場合に、部署を変えればできるのかとか、限りあるお休みでございますので、その中で工夫をするということは患者さん側にも求められると思うのです。

 しかし、その工夫に関しては職場の事業主と相談した上でというのが必ず必要になってくると思いますので、そのあたりでは患者さんからの情報提供は必要になるかなと思います。

○堀田座長 ありがとうございます。

 山内先生、先ほどの続きで、この部分ですね。職場との関係でどういう課題があるかということについて御意見をいただきたいのです。

○山内参考人 やはり企業側の考えも、もちろん、お互いに患者さん側と医療、みんなで連携をとっていかなければいけないと思っておりますけれども、がん患者さんだからこそというのを考えていただいたり、今までのリソースを、戻ることによってそれをさらに活用できるという観点と、もう一つは、こちらの最初の○に書いてあるように、完治するまで休むように求められるということが、患者さんによっては企業側のほうから手術といいますか、診断される前と全く同じようになってから仕事に戻りなさいというアドバイスを受けたということをよく患者さんから御相談を受けるのです。

 ですから、診断される前と全く同じように戻ることは非常に難しいことがあって、そこで自信をなくしてやめられてしまう方々がいて、湯澤さんとかその辺のアドバイスとかは、やはり会社の体制として、あと、宮本先生とか産業医の立場として、完全に戻るまでは復帰は遠慮するような形にはなっているのでしょうか。

○堀田座長 いかがですか。

 宮本構成員、どうぞ。

○宮本構成員 そういうことはまずなくて、戻りたいときに戻れるように考えています。当然、できないということばかり気にしてしまうとよろしくない。今、できることは何ですかという、そのできる能力を活用するのが産業保健だと思っていますので、そこについては問題ないと思っています。

 ただ、実際に経験していると、職場の上司とかも多分、配慮するつもりで、十分治るまで休んでいいんだよと言ったつもりが逆にとられてしまったりとか、その辺のそごは相当にあるなというのは感じておりますので、やはり制度ですとか発言の趣旨がちゃんとわかるように、相互のコミュニケーションをうまくとらせるように仲立ちをすることも産業保健スタッフは必要だなと思っています。

○堀田座長 湯澤構成員、どうぞ。

○湯澤構成員 今、先生がおっしゃられたとおり、産業保健スタッフがいる職場であれば、やはり中間に入って、病状の状態などを見ながらお仕事をしていただくことは可能かと思います。しかしながら、そういった産業保健スタッフがいない職場であるとか、それから、がんになられた方が身近にいないということになりますと、どのように対応していいのかがわからないというところは実際にあると思うのです。

 そこになりますと、どうしていいかわからないので、本当に健康になってきてから戻ってきてねという言葉が今のような、やはり健康にならないと戻れないよというふうに患者さん側はとられると思います。そのあたりでは、そういったふうに言われてしまった方の御意見が出てくるのは理解ができるかなと思います。

○堀田座長 ありがとうございます。

 どうぞ。

○櫻井公恵構成員 櫻井です。

 中小企業の立場から発言させていただきますと、今の言葉、企業主・事業主が知らないから、元気になるまで来なくていいよという発言をすることは大いにあると思います。ですので、やはり知らないがんに対して知識がなかったり、どういう配慮が必要で、どういうふうに一緒に仕事をしていくことができるのかということをきちんと提供できるような、勉強会であるとか、セミナーであるとか、シンポジウムであるとか、そういった広報というのはとても必要だと思っていますし、ぜひやっていただきたいと思います。

○堀田座長 ありがとうございます。

 どうぞ。

○伊藤構成員 働く側から言えば、もちろん、会社側からすれば情報がないということもあるのでしょうけれども、やはりここで会社に対して、自分の状況ですとか、あと、医療上の説明までも患者が会社に対して説明して納得してもらわないといけないと、それで休暇の期間も決まってくるということにもなりますし、そうなりますと、自分のことを全部説明して、難しい話も全部説明してということで、患者にとって非常に負担が重い話だと思うのです。

 今、産業保健スタッフがいる会社という話で、そういうところは本当に期待が高いところでありますけれども、後にも出てまいりますが、非正規雇用の話が出ています。これは今、雇用者の4割ですから、環境が整った会社や、また、比較的恵まれている労働者を前提にしたような考え方には余り立たないほうがいいのかなと。この後のところに全部、非正規ということでまとめられてしまっていますけれども、非常にそういう説明に負担が重いということは十分認識しておく必要があると思います。

○堀田座長 ありがとうございます。

 少し先のほうにも踏み込んでいただいたのですけれども、そんなに順番にこだわらなくても結構ですから、患者、労働者というところで残りの御意見をいただければと思います。

 桜井なおみ構成員、お願いします。

○桜井なおみ構成員 ありがとうございます。

 先ほど湯澤構成員がおっしゃられましたけれども、やはり会社というのは規則にのっとって、規則の上で動くのが会社なのです。そう見たときに、企業独自の就業規則もありますし、公的な制度という部分もあって、公的な制度としては傷病休暇制度とか、あるいは家族の付き添いのためという視点からは介護休暇制度とか、この後、非常に使いにくい状況にはなっているのではないかなと思います。

 なので、最初に私が言わさせていただいたように、やはり公的な制度の運用です。そのあたりについても踏み込んでいく必要が、この職場に関しては必要なのではないかというところと、もう一つ加えれば、規則の運用ですよ。就業規則は大原則ですので、それをどれだけ配慮して運用していくのかという、そこの部分ですよ。企業側のほうの配慮の部分なんかも、もっとグッドプラクティスが集まってくるといいのかなと思います。

 あと、目標としては、やはり職場でのがん教育ですよ。がんを知るというような、これは検診の受診率を上げていく上でもすごく大切なことではないかなと思いますし、その結果として企業内で、私はがんを経験していますということが言えるような社会になってくれば、企業内のピアサポーターみたいな方ができてきて、非常にいい歯車ができてくるのかなと思います。

 ありがとうございます。

○堀田座長 高橋構成員、どうぞ。

○高橋構成員 ありがとうございます。2点、意見があります。

 1点目は、今、桜井なおみ構成員がおっしゃったように、家族の問題です。私どもの研究班でやったデータでも、ご家族の退職率は御本人と同じか、それ以上であったということで、これは非常に大きな問題ですので、家族という視点は大事だと思います。

 もう一つなのですけれども、先ほど伊藤構成員のほうから、本当に大変な状況で、自分が企業に医療状況などを全て説明するのはしんどいことだという御発言がありまして、本当にそのとおりだと思うのです。その一方で、恐らく一番説明ができるのは御本人ではないかという考え方もあります。それは医療者、医師、主治医は何とか役に立ちたいとは思っていても、その患者さんがどのような職場で、どのような形で働いていて、同僚や上司はどういう人かということは見えないわけです。

 そこでやはり一番説明ができるのは御本人であって、この仕事をしてみて常々思うのですけれども、酷な部分はあるのですが、何とか御本人の説明力をうまく上げられるようなサポートが必要です。医療者からも必要ですし、産業保健スタッフが間にいれば理想的ですけれども、職場側と治療者側が御本人の了解を持った上で情報共有できるような、それが今よりも楽にできるようなシステムというものは必須であると思います。

 それはわかっているのですが、それを具体的にどう実現するかというところがまだ試行錯誤で、こういう検討会でもぜひ考えたいと思います。

○堀田座長 ありがとうございます。

 今、くしくも、この4ページの医療機関側の捉え方というところも含めて、そちらのほうに話題が移っていたわけでありますけれども、確かにそういった個別的な就労問題なんかを診療時間内に相談するのははばかられるとか、あるいは医療側から言えば、そういうことはちょっと横に置いておいて治療の話みたいなことになりやすいのは確かですね。

 ですから、就労問題に対して医療機関側としてどういう対応や、あるいはサポートができるのかというところについて、何か御意見を賜ればと思いますが、いかがでしょうか。

 どうぞ。

○宮本構成員 宮本です。

 医療機関側からといいますか、情報をもらう医療従事者側も兼ねてなのですけれども、やはり産業保健スタッフがいるところ、特に産業医がいるところですと、診療情報提供という形で、専門家の言葉をそのまま使っていいので、もらえると、こちらのほうでしんしゃくして企業側に伝えるですとか、本人に対していろいろ説明も追加してできるということがあろうかと思います。現状、まだ診療情報提供を産業保健スタッフにというのは保険が使えない状態になっておりますので、その辺の公的な制度が、サポートがあれば、産業保健職に診療情報提供としていただけることがあるかと思っています。

 もう一点は、これが産業医がいるところであったらいいですが、小さいところはどうするのかという場合に、地域産業保健センターの医師、産業医宛てに出したとして、それも保険が使えますし、例えば地域センターのほうでどなたかに見ていただいて代弁していただくとか、企業側の説明を重ねてやっていただけるという制度がもしあるのであれば、とてもいいかなと。

 ただ、これは産業医側の、特に地域の産業保健センターの先生方への負担が大きくなってしまう懸念もあって、トレードオフだと思っておりますが、そういう今の段階での保険が使えないという制約は情報のやりとりにちょっと支障があるかなと思っているところです。

○堀田座長 そのあたりは、国側としては何かコメントはありますか。

 どうぞ。

○椎葉がん対策・健康増進課長 医療機関から産業医に対する、そういった診療情報提供につきましては、中医協のほうでいろいろとそういったことも含めて議論していただいているところでございますが、なかなかそういったことが診療報酬上で認められていないということで、でき得ればこういった会議の中の意見ということで、中医協といいますか、保険局医療課のほうにもお伝えして、そちらのほうで議論していただくようにということでそこはやっていきたいと思っております。

○堀田座長 報告書の中にこういうことを書き込めば、直接かどうかはわかりませんが、中医協に対しても一定の意見にはなるということですので、ぜひこういった建設的な前向きの意見をいただければと思います。

 どうぞ。

○桜井なおみ構成員 ありがとうございます。

 今の診療情報提供に関してなのですけれども、悪い見方で見てしまうと、それを理由にして解雇に持っていくこともできてしまうのです。私はそこを恐れています。なので、やはり本人の同意等々を得た上でというような一言を加えていただきたいなと思います。

 それと同時に、産業医のスタッフ、常勤なりなんなり、あるいはがんの知識をきちんと持っていらっしゃる先生はまだまだ少ないのが現状だと思いますので、そういったときに、やはり主治医の診断書は物すごくきいてくるのです。

 このときに、実際に私のところへ相談に来ている患者さん等々でも、診断書の書き方が医学的な情報提供になってしまう。要は、脳、骨、肝臓、肺、転移、治療中。これですと、職場のほうとしては何に配慮していいのかというところがわからないのです。なので、そういった診断書の書き方のトレーニングといいますか、そのあたりの連携というものが私は、情報だけを丸ごと送るよりは、そこのシステムづくりが必要なのではないかなと思います。

 例えば脳に転移していたとしても、治療を受けた後で、例えば通勤時間帯にふらつき等々が起きる可能性があるので、勤務時間の時短勤務に要するとか、そういう一言があったほうが有効な診断書として職場は使えるのではないかなと思うのです。

 湯澤構成員、このあたりはどうでしょうか。

○堀田座長 その辺は、確かに医療側がそこまで配慮して書かないと、なかなか産業医側とか雇用者側のほうでは、その情報だけでは何ともならないから、もう一回問い合わせみたいな話になるのですか。

 どうぞ。

○湯澤構成員 今、桜井なおみ構成員から、それから、先ほど伊藤構成員からもお話があったと思うのですけれども、まず患者さん御本人が中心で、自分の情報をどのように伝えるかという責任には患者さんにあると私は思っています。職場にそういう産業保健スタッフのような者がいれば、患者さんと一緒に考えて、医療側の情報を会社も共有するというふうにしています。そこには、患者さん自身が一番理解していただきたいので、例えば今後どういう治療をなさいますかといったときに、本人が理解していなければ、では、次の診察でこんなことを聞いてみたらどうでしょうかとか、このあたりが不安ですねなどという話をします。

 逆もあります。患者さんが主治医の先生に、私、こういう仕事をしているんです。それで、どんなふうに職場に話したらいいかわからないんですけれども、先生、どうですかと、主治医の先生に一言御相談するということも私は必要だと思うのです。患者さんお一人にならない、させないことがやはり必要だと思いますし、それは医療側でもサポートはできると思いますし、職場側でも、それから、これが御家族でできないということはないと私は思っていまして、本人がどうしたいかというのを誰に伝えるか、どういうふうに伝えて情報を得るかが大切なのかなと思っていますので、お一人にせずに、一緒になって考えていく体制づくりが必要なのかなと思います。

 それから、今、桜井なおみ構成員がおっしゃった、病名とかどれぐらい治療が必要だというだけでは、やはり企業側はどんな配慮をしていいのかがわからないのです。その場合には、実際あった例ですけれども、当行なんかでは脳腫瘍の方で2回手術をして、高次脳機能障害になってしまった方なんかについては、御本人から主治医の先生に自分の仕事を言っていただいて、結果的には国立リハビリテーションセンターで機能検査をして、障害者認定はいただいたのですけれども、詳しく、どういうことはできて、どういうことはできないかと。そういった診断書を職場に主治医から提出いただいて、その上で配置をするということもしています。ですから、情報があって、その方が働くために必要なことがどれだけ整えられるかというところまで来ることは大事かなと思います。

○堀田座長 ありがとうございます。

 実際、正確な情報がないと、企業側としても判断しにくい、配慮もしにくいということがあって、その情報をどうやって共有するかという話ですね。

 宮本構成員は産業医としてそういう場面はしょっちゅうぶつかると思いますけれども、いかがですか。

○宮本構成員 ありがとうございます。

 まず、例えばがんの治療に入った、あるいはお休みした、復帰したいという場合、復帰を考えたいという場合には、こちらからお手紙を書いて、これこれについて情報をいただきたいと。あるいは本人にも、自分で説明してほしいというふうに言ってくださいと言って、主治医の先生から診療情報提供の形としていただくことにしています。

 先ほど言った、保険が使えないというのは確かなのですけれども、そこは今のところ、御本人の負担でやっていただいて、それをいただくときに、これは産業医しか見ませんというふうに言ってありますので、会社に見せることはないということで私のほうでいただいて、御本人さんと情報共有しながら、どういうふうに働きたいかということ、あるいは今、あなたが不安に思っていることは何かということも全部お話しの上で、こちらから事業者側に意見書を出すという形をとっています。

 ですので、これはメンタルのときもそうなのですが、企業側が見ていい情報と見てはいけない情報をきちんと区分けして、診断書は企業側に出しますが、診療情報提供としてこちら医療スタッフに来たものはお見せしないという徹底をして情報コントロールをしております。ですので、これはそういう制度をつくってしまえば御懸念には及ばないのかなと思ってもいます。

○堀田座長 ありがとうございます。

 では、川本構成員お願いします。

○川本構成員 この問題は、先ほどから出ておりますように、医師の診断書が主な情報源であるということで、患者様が結局、自分がどういうふうにしていきたいかということを自分の意思で、情報に含めて述べなければいけない状況であると思うのですけれども、そうなりますと「2.医療機関側からみた課題・ニーズ」にも書いてありますように、医療機関の中で就労に関してどういうふうに話していったらいいのであろうか。今の状況はどうであろうかというふうに相談する窓口がないので、自分にかかわる情報をどのように考え、どのように伝えていけばいいかということができないのではないかなと思います。

 今、モデルケースでいろいろな社労士の方とか病院の中に入ってきていただいているようなことが始まっておりますので、いかに病院にいたときに、自分がどのように、自分の情報をどう考えるかというふうに相談する窓口をやはりしっかりつくっていかなければいけないのではないかなと思います。

○堀田座長 相談支援センターは本来ならそういう役割を果たすべきところで、そういうところに産業カウンセラーとか社労士の方も配属というふうにはなりつつあるのですけれども、まだそれが周知されていませんし、どのように利用されているかの実態も余りよくわかっていないと思います。

 道永構成員、いかがですか。

○道永構成員 すごく問題が難しいのですけれども、まず産業保健スタッフがいる企業の方は、前回も申し上げましたが、本当に恵まれていると思うのです。例えば、先ほどから診断書の話が出ていますが、メンタルヘルス対策ということで、今、精神科の主治医の先生から、企業の産業医、もしくは産業保健センターでもいいのですが、診断書を書いて、病名を書いてしまうと、逆に復職ができなくなってしまうということもあって、今、日本医師会では、精神科の先生方から産業医の先生への診療情報提供というのは診療報酬のほうでぜひ扱っていただきたいということを、今、申し上げているところです。やはりそういうことが制度化されてくると、患者さんの負担も少なくなってきますし、皆さんがきっちりとした診断書を書けるようになると思うのです。

 あと、先ほどからずっと出ていますが、患者さんがどうしたいかということがまず最初だと思うのです。それで主治医の先生に、今は自分の体力にまだ自信がないけれども、少しずつ始めたいという申し出があれば、主治医の先生は病名だけでなく、今、こういう治療をやっていて、これくらいだった復帰できるはずだということを、診断書といいますか、指示書みたいな感じでしょうか。そういうものを出すようなシステムにすればいいのかなと思っています。ですから、そうすれば産業医の先生自身がいない企業でも会社と患者さんがうまくやっていけるのかなと思っています。

○堀田座長 ありがとうございます。

 いろいろ意見をいただいて、もうそろそろ時間も、次の議題に移る必要もございますので、またこれを肉づけして、毎回議論して詰めていくということですので、よろしくお願いいたします。

 それでは、がん患者・経験者が働く上でのニーズや課題について、もう一回、次の回にこのまとめを少し肉づけしていただくといたしまして、続きまして、議題の「(2)がん患者・経験者の治療と職業生活の両立等の支援について」に入りたいと思います。

 これにつきましては、今回はまず医療機関における取り組み、好事例ということで御紹介いただきたいと思います。

 まず事務局のほうで、医療機関における取り組みの論点というところを御説明いただけますか。

○林がん対策推進官 では、資料2をごらんください。

 資料2は、これまでさまざまな御意見をいただいておりますが、今回はまず医療機関における取り組みということで、どのような取り組みができるかということについて具体的にお話をいただければと思っております。

 こちらに事務局のほうで、例としまして6点、論点として挙げさせていただいております。

 1つ目は、医療従事者や相談員の就労支援に関する知識・スキルの向上。

 2点目としまして、就労に関する相談支援体制の整備。こちらは、がん相談支援センター等への就労に詳しい相談員の配置、また、就労関連のリーフレットやマニュアルの整備、相談窓口の周知などが挙げられると思います。

 3点目としまして、診療時等に、がん患者の就労に関するニーズを確認したり、就労を諦めないよう伝える取り組みをすること。

 4点目としまして、診療時等に、治療や副作用の見通しを明確に伝える取り組み。

 5点目としまして、土曜・休日や夜間における、化学療法・放射線療法等の外来診療の実施。

 6点目は、その他ということで挙げさせていただきました。

 以上です。

○堀田座長 こういった論点は、先ほどからも既に御意見をいただいていますので、きょうは予定しております医療機関の先進的な、あるいは好事例ということで、山内参考人からの発表を受けたいと思います。

 資料3に基づいて、よろしくお願いいたします。

○山内参考人 よろしくお願いいたします。先ほど御紹介いただきました、聖路加国際病院の乳腺外科ブレストセンター長の山内英子でございます。資料3に基づいて、お話をさせていただきたいと思います。

 私は日々、乳腺外科医として、社会の中でも、就労の中でも、割と非正規雇用の方々が多かったりとか、就労に関しても割と弱い立場にある、また、しかも乳がんというのは働き盛り、30代、40代で非常に多いですから、そういった方々の患者さんを日々、目の前にして、彼女たちが就労に関する問題を何となく抱えているのがわかりながら、そのボールが背中のところでちらちらと見え隠れしているのがわかりながら、とかく医療従事者は就労に関して全く知識がございません。

 そういった意味で、そのボールを拾ってあげられなかった。そして、そのボールを拾ってあげても、自分がその全てを抱え切れない。医師が抱え切れなくて、そのボールを投げる場所をつくりたいという思いから、今回、厚生労働省のほうの研究班ということで立ち上げさせていただきました。私が研究代表者で、研究分担者の方々、また、委託として櫻井さんの会社のほうにも入っていただきまして、今まで彼女たちがつくったノウハウなどももとにいろいろと一緒にやらせていただきました。

 まず、最初のページに、どのようなことを行ったか。たくさんのことを行ってきましたので、平成24年9月から約1年半の研究班ではありましたけれども、とにかく多角的にいろいろなことを行ってこようと思っておりました。

 3ページのほうで、まず【就労相談に関する病院介入モデル】ということで御説明させていただきます。

 4ページに参りまして、先ほど申し上げましたように、私自身が、医療者自身が就労に関する知識がないことから、その患者さんに、仕事はどうしているのかということを聞いてあげることができないという実情があると思いましたので、医療者のための就労に関する講習会を行いました。午前中は座学で、労働基準法とかさまざまな休暇制度など、全く医療者は知識がございませんので、そういったことを講義していただき、午後はロールプレーで、患者さんに対して、どのように相談に乗るかということを勉強させていただきました。

 5ページになりますけれども、これによって聖路加国際病院で平成2412月に行い、その後、岡山大学、四国がんセンター、順天堂大学、昭和大学で開催させていただきました。それによって、何よりも医療者は全く就労の知識がありませんでしたけれども、これは前後の比較になります。受講前と受講後で知識が全く向上したということが確認されました。

 その後、おのおのの施設で、この講習会を受けたことによって、患者さんに対して、仕事をどうしているのですかということを聞く勇気が持てたとか、そちらに対して興味が湧いたという効果が明らかに認められております。私もそれを実感しました一人であります。

 その後、私どもは、その拾い上げたボールをどこに投げればいいのか。相談支援センターに丸投げしても、相談支援センターの支援員自身も知識がありません。誰がやるのか。そういったことから、就労リングという取り組みを行わさせていただきました。

 これは、6ページになります。がんサバイバーの就労に関する悩みに対するグループ介入による問題解決の場をつくりました。これはファシリテーター2名、患者さん5~10名がともにグループとして同じ席に着き、就労のことを勉強したり、意見を交換したりします。これを1時間、そして3回連続で3週行いました。

 そのときにテキストを用いて、こちらにテキストがこの写真にも出ていますけれども、こちらのほうにこのようなテキストを用いて、患者さんが分冊で持ちやすいように、女性でもバッグの中に入れやすいように、この大きさにして、この中にさまざまな就労に関する知識のまとめ。

 また、この中に先ほど御指摘がありましたように、患者さん自身が利用できる制度のチェックシートとか、あとは御自分の治療がどういうところにあって、どういったことを会社側に言わなければいけないのか。御自分の治療ノート、就労に関する留意点はどうしたらいいかなどを患者さん自身がまとめていただくような項目もつくっております。

 そのようなことをファシリテーターと一緒に3回行いながら、就労に関する問題解決や労働に関する法律や制度の知識の習得を求めていきました。

 ファシリテーターは、7ページになりますけれども、まず当院で2012年度から行って、最初は精神科医と看護師、看護師とメディカルソーシャルワーカー、看護師と社労士、3種類の組み合わせで聖路加国際病院で行いました。その後、その3種類、病院によっては精神科医がいなかったり、社労士を導入することが難しい病院もあります。ですから、どの職種でも同じように行えるようにということ。その効果をこの3種類の職種で確認して、いずれも確認がされました。その3種類の職種でいずれでも行えるように、ファシリテーターマニュアルというものも作成させていただきました。皆さんお仕事もありながら治療をやっている忙しい方々ですから、必ず1時間で終えるように時間配分なども工夫して行いました。

 その後、聖路加国際病院では、ソーシャルワーカーとナースで就労リングを継続して実施しました。このようなパンフレットを患者さんに私どもは外来で配っております。こちらのほうのパンフレットに日程などを配って、これで医療連携室のほうの担当の看護師がこれをまとめて参加していただくように、私どもはこれができたおかげで、外来で患者さんに就労のことを聞いて悩んでいらっしゃる方にこちらを紹介して、ボールをそちらに投げることができるようになって、非常に私どもも就労に関する質問がしやすくなりました。

 8ページ目を見ていただけますでしょうか。こちらのほうは聖路加国際病院で行った、ナースとソーシャルワーカーでの患者さんの効果の検討結果です。聖路加国際病院で既に60名以上が参加しておりまして、この左下のほうにある写真は、これは社労士の方と看護師がやっている風景ですけれども、このような形で和気あいあいと、お茶を飲みながらやっております。

 その中で、患者さん御自身の就労に関する知識の前後比較を行ったところ、患者さん御自身も病気になるまでは全く就労の知識は当然ない方が多いです。このことで、勉強することによって知識がふえた。就労に関する御自身の問題解決技法に関しても、前後で改善が見られました。また、情緒状態の前後比較。これはPOMSという試験で行いましたけれども、これでも情緒状態の改善傾向が認められています。

 その後、9ページに行っていただきたいと思います。これを聖路加病院だからできるということではなくて、テキストブックも作成して、ファシリテーターマニュアルも作成いたしましたので、これを他施設共同研究として全国のほかの病院でも行えるように、全国25施設から2人1組で50名がファシリテーター養成講座に参加していただきました。主に相談支援センター勤務の看護師やメディカルソーシャルワーカー、医師など、先ほども申し上げましたように、病院の形態によってさまざまですので、この就労リングをやってくださるお二人で参加していただきました。

50名の参加があって、全国25施設のうち、10ページに行っていただきますでしょうか。こちらのほう、各施設での倫理委員会の承認を得て、こちらのテキスト、また、ファシリテーターマニュアルなど、全てをそちらのほうにもお渡しして、現在、全国で6カ所の病院で同じような就労リングというものを行っていただき、効果を検討していただきました。

 トータルの参加患者数が30名のところでの集計ですけれども、聖路加国際病院で行ったものと同じように、就労に関する知識の前後比較、問題解決の前後比較、また、患者さん自身の情緒状態の前後比較の明らかな効果がほかの施設で行っても確認できました。この参加してくださった6カ所の施設は、長崎や四国や、さまざまなところになっております。

 このようなことから、11ページで、がん拠点病院など医療現場における就労支援モデルということで、私ども、最初やったときには、ほかのグループ療法に比べて患者さん自身の情緒的な支援になるとは思わなかったのですけれども、意外にも患者さん自身の就労に関する知識、問題解決技法の向上だけでなく、情緒的支援になることもわかりました。

 また、当院では現在、社労士や産業カウンセラーなどと一緒に組んだ状態での就労リングというものを行っていますけれども、そういった形で医療者と就労の専門家が同時に同じ場所でそこにいることによっての効果というものが期待されると思われています。

 この就労リングというものは、患者向けのテキスト、ファシリテーターマニュアルを含めて、どこの施設でもできるように構造化いたしました。また、ファシリテーター養成講座は1日の養成講座への参加でも習得できて、その効果はまた普遍的であることが実証されたということになります。

 続いて、今、話題になっております社労士や院外の就労専門家との連携モデルの検討に関してお話しさせていただきたいと思います。

13ページになりますけれども、やはり今まで、先ほどから議論されているように、社労士などの専門家の方々には、反対にがん患者さんに対する知識がない。今、がん患者さんがどういう治療を受けてきて、どういうことになるのか。がんというものは治るものではなくて、治療を終えてからも通院が長くかかる。そのようなことの知識をやはり就労の専門家の方々にわかっていただく必要があるということで、院外の就労専門家の方々に対する就労支援サポーター養成講座を行わさせていただきました。

 午前中は、医療者に向けてやったものとは反対に、今度は、この方々は就労の専門家で、就労の知識は十分にございますので、私どものほうから、がん患者さんとはどういった心理状態にあるのか、今の治療はどのような流れにあるのか。そういったことを午前中、座学で行わさせていただきました。午後は、やはりロールプレーという形で、患者約1名に2名が相談に乗ったり、4名に2名、この就労リングというものを体験していただいたりということで行っていただきました。

 9月29日に行い、ちょうど公示したときがお盆休みとかと重なりましたけれども、非常に、今、社会で注目されることの反響の大きさを実感しましたが、全国から、青森や長崎などからも社会保険労務士の方、ハローワーク従事者の方、産業カウンセラーなど95名の参加があって、非常に熱気にあふれておりました。その後、名古屋、大阪、東京などでも、このサポーター養成講座は開催いたしました。

14ページで、反対にこういう院外の就労の専門家の方々に対しては、講義がわかったかどうかということで、前後でがんと患者さんの心の関係に関して理解が深まったかどうかというテストを行わさせていただきました。それで前後比較を行ったところ、この講義を聞いたことによって皆さん理解が深まったという点数の評価があらわれました。そのようなことから、これに参加していただいた方々と、現在、聖路加では社労士・産業カウンセラーとともに就労リングを行っております。

 次いで、16ページに行かせていただきます。私どもの研究班では、患者さんから仕事をやめなければいけなかった。今まで高橋都先生の研究班や桜井なおみさんのところの調査などから、どの程度の方々が仕事をやめたかという実態はわかっていましたけれども、実際にどんなことが理由で患者さんがやめたのかということが、また、どのくらいの日数お休みをしているのかなどという具体的なことに関するアンケート調査を行いました。

100名の乳がん患者さんを対象に行ったものなのですが、この16ページの仕事をやめた人という割合などは今までの報告と変わらないとは思うのですけれども、17ページの就労継続への影響要因ということを、就労継続に影響を及ぼしたと思われる事項を影響が多い順から選んでいただきました。

 その中で、私は非常に意外だったのは、案外、社会制度的要因を選んだ方々は少なくて、むしろ患者さんにとっては倦怠感やむくみなどの医学的要因、また、働く意欲やモチベーションの低下、働くことがストレスに感じたなどの心理的要因を挙げている方々が非常に多いということを理解して、まだまだ医療機関で改善していかなければいけないことがたくさんあるなと思いました。

 次いで、19ページに行っていただきますと、今度は経済の年間の労働損失に関して、こちらのほうの検討も行いました。2011年度は厚生労働省や総務省の発表結果を用いて、がんに罹患していることにより仕事や家事ができないことによる年間の労働損失というものの推計を行いました。

 まず、当然、患者さんは受療日に病院に来たりする通院のための労働損失というものがあります。これを見積もったところでは、トータルで日本全国で4,500億円。また、受療日以外の労働損失の推計で、仮にもし、その方々ががんの治療やさまざまなことにより仕事ができないことになった場合、1兆3,800億円ということで、最大で1兆8,000億円という見積もりになりました。

 その後、20ページに行っていただきますと、これがどのように推計したかというグラフになりますけれども、横軸のほうが就業率係数と生産性係数というふうになっています。誰も仕事を休まないで、生産性も今までと同じ1であった場合が、この一番右の1になります。それによって生産性が落ちて、また、休みをとることによって、この金額がどんどん上がってまいります。

 これによって、受療日以外の労働損失を今回、前にお話ししましたアンケート調査からどのくらい、実際に生産力が落ちて、就業率がどのくらい減っているかということから計算しましたところ、ちょうど、この矢印のところあたりになります。この場合、乳がんの労働損失金額は491億円となりました。

21ページに行っていただいて、受療による労働損失の推計は551億円。また、今回アンケート調査からの実際を考慮した場合の、受療日以外の労働損失の推計が491億円。乳がんというものは、やはり働き世代に非常にかかること、また、通院なども長くかかることから、前のページのグラフで見ていただいてわかるように、労働損失が一番多く出る疾患ということも今回わかりましたので、例えばそれを計算させていただきますと、乳がんに罹患していることにより、仕事や家事ができないことによる年間の労働損失は1,042億円になりました。これは非常に大きな額で、今、がん患者さんの日本でかかっている治療費などにも匹敵するぐらいの大きなことになります。

 次いで、23ページに行っていただくと今度は、先ほど申し上げましたように、患者さん自身が働きたいのに働けないのは、今、皆さんがお考えいただいているような社会制度の問題以外にも身体的要因が思ったよりあるということを先ほどのアンケート調査からお話いたしましたが、そちらのほうの検討も行いました。患者さんがホルモン治療をやっていることによるだけで倦怠感とか抑鬱・不安などがあって、それによって労働能力が落ちているということも今回の検討で明らかになりました。

 また、24ページになりまずけれども、今回、化学療法誘発性認知機能障害というものも、今、このがん患者さんの就労において非常に注目されております。化学療法を受けることによって、記銘力の低下など、注意力の低下、それが患者さん自身の非常に負担になって、仕事に戻っても、以前と同じように仕事ができない。なぜなのだろう。そういう疑問から仕事をやめられる方もたくさんいらっしゃいます。そういったもの。

 また、抗がん剤に伴う手足のしびれ。例えばタイプをする仕事などは、タイプをすることによって、今までとタイプのスピードが落ちることにより仕事の能力が落ちたので、仕事をやめざるを得なかった。そういった声も聞きます。そういった身体的要因を今回、この研究班でも検討いたしました。

 まだ、この点に関しては、今後どのくらいの期間、それが続くのか。それに対するアドバイスはどのようにしたらいいのか。また、それに対する治療法はどうなのか。今後、また新しい研究班を立ち上げて検討していきたいと思っております。

 次いで、26ページです。これは全国のがん診療連携拠点病院の相談支援センターに対して、一体、今の実情として、働くことに関する相談対応状況がどの程度あるのかということをアンケートをとった結果です。

 思ったより、働くことに関する相談対応というものはそれほど数が多くなく、多分、まだこの時点では患者さん御自身に、そういうことに関して相談支援センターに行けばいいということの周知がされていないということもあるのだとは思います。働くことという中には、金銭的なことに関する相談で働くことにつながったということも含まれています。

 ですから、27ページになりますけれども、病院内のスタッフが対応すべきと考える「働くこと」に関する対応や支援に関して、相談支援センターの方々にアンケートを行いましたところ、特に今、相談支援センターに期待したいと思っている「12)院外の就業に関する関係者(社会保険労務士、産業カウンセラー、産業医、産業保健師・看護師、人事・労務担当者等)との関係づくりを行う」。今、皆さんはこれを相談支援センターで行っていくべきなのではないかと考えていますが、それを行うべきと考えているのは54.5%にとどまっております。ですから、相談支援センター自身、今、やることがたくさんあります。そういった面での、相談支援センターがどこまで活用されてくるのか。相談支援センター自身のキャパシティーはそういったこともまだまだ問題になってくると思います。

29ページですけれども、企業側に関しては、今後企業がすべきこと。企業側に対して、私ども医療者が受けたものと同じような就労支援セミナーなど。また、私ども医療者が受けたもの。そして、院外の就労の専門家が受けたもの。そういったものをマージしたような形の就労支援セミナーというものを今後ますます行っていく必要があるのではないかということを、このアンケートの中からも痛感いたしました。

 最後にまとめとして30ページになりますけれども、今回、駆け足にはなりましたが、さまざまな角度からいろいろな検討をさせていただきました。その中で私どもが今後の課題として感じたことを30ページにまとめさせていただいております。

 医療従事者に関しては、何よりも私も声をかけられなかった、ボールを拾い上げることができなかった。それの必要性を医療従事者に訴えていくこと。それを、ボールを拾ったときに投げる場所を医療現場に整えていくこと。また、医療者として身体的要因の解明がまだまだ必要であるということ。それから、患者への情報提供の努力。先ほど来、話題になっておりましたように、雇用側との連絡を誰が行うのか。先ほど診療情報提供書のお話もありましたけれども、診療情報提供書の内容に関して、どういった形で具体的に医療者側、医療者側も本当に日々、書類の山にも囲まれておりまして、より効率がよく、うまく書けるようなやり方、そういったものも非常に検討していく必要があると思います。

 がん相談支援センターも院内に設けられてはおりますけれども、就労専門家との連携窓口としての機能が可能か。

 また、院外の就労専門家に関しては、まだまだ社会保険労務士の方々全てにがん患者さんに関する知識及び理解が到達したとは思っておりません。そういったもの。また、院外の就労専門家との連携を誰がどのように連携するのか。相談支援センターに専門家が、例えば座っているだけで、それは活用されるのか。現在は、それは今、国の補助金という形で幾つかの施設で行われていますけれども、それが社労士の方々にお聞きしましたところ、費用はかなりかかります。それをそういう制度がなくなった場合、その個別相談などの費用は患者さん自身が持つのか。そういったことも必要になってくると思います。

 また、企業はがん患者さんへの理解を同じように持っていただくことと、先ほど申し上げましたように、がん経験者の能力を生かすような、そんな考え方もしていただけたらなということ。それから、柔軟な就労環境というものの検討が必要だと思われました。

 そして、何よりも患者さん自身、情報収集を行っていただくことと、また、やめてしまった方々がかなりいらっしゃいますので、やめる前に検討するような、そこでの拾い上げ。それから、先ほど高橋都先生もおっしゃいましたけれども、患者さん自身のコミュニケーション能力を高めながら、やはり患者さん自身が御自分のことを、御自分がどうしたいかということを伝えていっていただくことが、患者力を高めていただくことが非常に重要だなと思いました。

 今回、31ページになりますけれども、就労リングということを先ほど御紹介させていただきましたが、これらの課題の点から考えて、今回就労リングというものを、私自身も参加させていただく、また、そういった場があるということで明らかに、声かけを行って、ボールを拾いやすくなりました。私自身も声がかけられないし、それを投げる場所がないという罪の意識から医療者も、医師も看護師もそういったものをケアできる場所があるということで、とても解放になりました。

 また、就労専門家とのコラボで情報提供を行いやすいですし、実際に私も就労リングという場に参加させていただいて、患者さん御自身が何に悩み、何をしてほしいのかという生の声を実際に拾い上げることができ、より支援につながりました。また、患者さん自身がお話ししてくださる身体的要因もここでピックアップすることができました。

 就労の専門家にとっては、これも参加していただいた方々ががん患者さんから、座学での勉強ではなく、生の声を聞くことで知識が高まりました。医療者とともにサポートできることで、わからない医療情報をそこでお話しすることができる。

 患者さんの中では、相談支援センターに社労士さんがいても、怖くてそんなものは1人で相談には行けない。何を言われるかわからない。そういう声もありました。この中で、この就労リングという形で、その社労士さんとつながることによって、その後の個別相談につながっていったということもあります。

 そして、患者さん自身が就労に関する知識・問題解決技法だけでなく、お互いの情緒的支援も行うことができました。個別相談にもつながっていきました。また、何よりもピアサポート的な意味もあり、患者さんが、御自分のアドバイスがほかの方に用いられたということで非常にコーピングにもなりました。そして患者さんからの声では、医療現場でそういうことが行われていることへの安心感が何よりもあったということがありました。

32ページに、好事例ということで簡単にお話しさせていただきます。

40歳の女性で、未婚でした。乳がんということで、まず、この方は実は医療関係者、医療職でした。そして、乳がんというふうに診断されたのですけれども、4月から転職の予定であったので、3月末日で退職をすることになって、国保の手続をするということで、この治療をどうしようということでソーシャルワーカーに相談に来ました。

 4月から新しい就職が決まっておりました。そちらの病院のほうに、今後乳がんで治療するということを通達しましたらば、新しい雇用先の病院より、治療専念を理由に内定を取り消しされ、無職となりました。この患者さんは非常に悩まれて、そのときに私のほうから就労リングを紹介して、そちらのほうに参加いたしました。

 そのときに、社労士もその就労リングに参加しておりましたので、社労士と数回、個別相談につながりました。この内定取り消しということは非常に不当ではあるから、社労士と一緒になって、ある程度の交渉をしようかということも検討いたしました。そのとき、私は医療者として、その方を助けるためにどういったことを書いてあげたらいいのかがわかりませんでしたけれども、社労士からのアドバイスをいただいて、どういった内容を書いてというようなこともきちんと具体的な、そういった診断書の書き方がわかることができました。

 ただ、その後、御本人は、そういったことをするよりも、今は治療に専念して、そして、それが落ちついてから、また就職活動を行いたいということで結論がつきましたので、新しく仕事を見つけることを決心して、抗がん剤治療、手術などを行いました。

 その後、治療が一段落した段階で就職活動を行い、この就労リングでは、再就職のときの履歴書の書き方、また、再就職のときにどこまで言ったほうがいいのかなどという知識も共有しておりますので、それらの知識を活用し、新しい病院での就職が決まることになりました。

 この方は、就労リングにつながったこと。また、それから社労士さんとの個別相談につながったこと。その後も当院では相談支援センターの看護師が1名、就労リングに参加しておりますので、そういった形でつながれたことを非常に喜んでおられました。

 最後の33ページに、就労リング参加者からの声を自由記載から抜粋したものを挙げさせていただいております。今、まとめさせていただいたようなこと、さまざまなことがこちらのほうに生の声で書いてありますので、参考にしていただけたらと思います。

 駆け足になりましたけれども、当院の研究班で行わさせていただきました。まさに医療現場での、本当に常に患者さんのこのことを何とかしたいと思いながらできなかった私が、この1年半で大分、環境的にも改善されてくることになりました。

 当院では、今、患者さん全てに、看護師が最初のときに問診をいたします。問診票の中に、職業のこと、仕事の有無、職種、雇用形態、具体的な作業内容、安心して相談できる職場の上司、産業医の有無、夜勤業務の有無、フレックス・時短勤務の有無、出張の有無、休日・休暇制度の有無など、こういったことを全員の方に問診票で看護師が聞くような体制も整ってきております。そのような形で、医療現場でどんどん、そのような形でできることを行っていきたいと思っております。

 どうもありがとうございました。

○堀田座長 ありがとうございました。

 大変明快にお話しいただいて、問題点がかなり整理されています。実際、就労リングを好事例といいますか、その成果も含めて発表いただいたわけであります。

 まずは、意見交換をする前に、今の御発表に何か特別に、ここは聞いて確認しておきたいこと、質問しておきたいことがありましたら、よろしくお願いします。

 どうぞ。

○高橋構成員 ありがとうございました。

 就労リングを実際にオペレートするときに、ファシリテーターとして入る方はいろいろなお立場の方がいるわけですけれども、例えば臨床の外来の看護師さんとか、そういう何か別なお仕事も持っていらっしゃる方なのですか。それとも、就労リングのようなアクティビティーに、業務時間内に特化できるようなお立場の方ですか。

○山内参考人 いえ、現在、聖路加国際病院で行っている看護師は、相談支援センターの看護師1人が常にいる。あと、メディカルソーシャルワーカーという形になっております。

 今後、そちらのほうも検討いただかなければいけないと思っておりますけれども、この全国25の病院から来ていただいたときに、御質問の中でもそういった形で、皆さんは働きながら治療を受けていらっしゃる方ですので、今、夜の6時半から7時半までの1時間で行っています。ですから、全く現在のところではボランティアワークという形になってしまっています。

 そういった形で、それをどうインセンティブをつけていくかとか、そういった形のことも、決してずっとボランティアでということはもたなくもなってきますので、今はみんな熱意があってやってくださっていますが、ほかの病院の御質問からもそういったことがありましたので、今後そういったことは考えていかなければいけないとは思っております。

○堀田座長 ありがとうございました。

 ちょっと確認させていただきたいのですが、先生は乳がんの専門家でいらっしゃいますけれども、この就労リングというものは別にがん種を特定しているわけではなくて、全がん種を対象にしていらっしゃるのですか。

○山内参考人 はい。一応、全がん種を対象にしております。私どもの病院では乳がんの患者さんが非常に多いですので、乳がんの患者さんの参加の方が多いですけれども、ほかの四国がんセンターや岡山大学、ほかの病院でやったときには、それ以外の患者さんも多く参加されました。

○堀田座長 そうすると、乳がんの患者さん以外でも同じように就労リングによる教育効果が確認できると。こういうことなのですね。

○山内参考人 ほかの施設からの35名の患者さんの中には、今、具体的に何がんが何名ということは記載してありませんけれども、そういった形で参加していただきました。

 ただ、傾向といたしましては、男性がやはりなかなか、こういったみんなで話したりすることに参加しづらいということもありますので、その辺のところを今後どういうふうにしていくかということも一つは問題はあるとは思います。

○堀田座長 おっしゃるとおりで、男性はそういうことをなかなか話したがらない、あるいはそういうことを話題にすることへの抵抗感がある人も結構おられますものね。

 ありがとうございます。非常にいい形で、医療側と労働サポート側、両方のリングができているというのは大変重要だと思いました。

 何か、ほかに御質問等はありますでしょうか。

 どうぞ。

○伊藤構成員 ありがとうございました。

 まず、非常に皆さん、就労リングという形で法律や制度、社内制度等を理解していくということ。それが顕著にこういう効果を上げているということを聞いて、非常にこれは、それこそ患者に対してといいますか、医療従事者にとって本当に重要なのではないかなと思うぐらいなのです。

 1つお聞きしたいのは、社会保険労務士の役割を非常に重視しているといいますか、関係を持っているようなのですが、割と我々の理解では、社会保険労務士というものは就労の専門家という扱いになっていますけれども、もともとは人事労務管理の専門家という位置づけのものですので、この社会保険労務士に就労リングに入ってもらうことが、その後にどのように患者さんとの関係が出てくるのかということが若干、まだイメージできていないところがあります。

 ですので、今後のこの取り組みがどんどん広がっていくときに、どんな社会保険労務士と患者がどういうつながりを持つことが想定されるのかということをちょっと教えていただければと思います。

○山内参考人 御質問ありがとうございます。

 社会保険労務士は、確かに本当にさまざまな労使問題ということになったときに非常に活躍してくださる方々だとは思うのですけれども、ただでさえ壁が非常に高いと思うのです。社会保険労務士の事務所に行ったりとか、そういった形で行くのが非常に壁が高くて、ただ、この就労リングというモデルに関しては社会保険労務士に限定したわけではなくて、ハローワークの方とか産業カウンセラーなどが入っていただいてもいいと思っているのです。

 ただ、社会保険労務士の方が、例えば相談支援センターにいるので、社会保険労務士の個別相談がありますということで掲示をしても、患者さんは余り、さらに壁が高くて、行かないと思うのです。その一歩手前の、もう少しハードルを低くした形でのモデルとしていいのではないかというふうに提示しておりますので、必ずしも就労リングが社会保険労務士がいなくてはいけないというものではないとは思っております。

 反対に、社会保険労務士の方々は今、ずっと聖路加の就労リングに参加していただいているのですけれども、やはりがん患者さんの生の声というものを聞く機会は非常になくて、幾ら座学でお話をさせていただいても、実際のいろいろな声を聞くことによって、社会保険労務士の方々が非常に勉強になった、今後どのような形でがん患者さんの就労支援を自分たちがやっていけばいいかということのきっかけになったという声はいただいております。

○堀田座長 ありがとうございます。

 そのほかに何か、今の山内参考人の御発表に御質問はないでしょうか。

 どうぞ。

○川本構成員 どうも、貴重なお話をありがとうございました。

 看護職が一番窓口に立っているということで、看護というものは今まで患者さんの生活の視点を大事にする仕事でございますので、働き方とか生活環境とか、いろいろ聞いていたのですけれども、先ほど先生が項目を挙げられましたことというのはやはり欠けていたように思いますので、今後はいろいろな病態とか就労にかかわるような悩みとか、具体的な課題を整理して、そして系統的に解決するような仕組みをつくって、そのような教育をしていかなければいけないなと改めて思いました。

 どうもありがとうございました。

○山内参考人 看護師の方々は、今、おっしゃったように、医師はどうしても病気を治すことに注目してしまうのですけれども、看護師の方々は患者さんの生活や患者さんそのものに目を向けていらっしゃる方々が非常にいらっしゃって、今、医療が非常に複雑化して、看護師も医学ばかりに目を向けなければいけなくて、医療をそういった患者さんの生活に目を向けられないというジレンマを皆さんは抱えていたのです。当院でこれをやって、これに参加していただくことで、やっとそれを自分たちが解決することの一旦、支援ができる場ができたということで、そういった看護師の満足感といいますか、やはりそういったものも非常にありました。

 ありがとうございます。

○堀田座長 大変重要な指摘をいただきました。

 今の山内参考人の御発表を踏まえて、医療機関における就労支援のいろいろな課題、あるいはその問題の解決の取り組みといったことについて、これ以外にもいろいろな取り組みがあるかと思います。御紹介いただければと思います。御発言をお願いします。

 では、まず桜井なおみ構成員、どうぞ。

○桜井なおみ構成員 ありがとうございます。

 机上配付でお配りさせていただいているのですけれども「臓器別にみた就労状況の変化」というものがございます。これは2010年にがんの患者さん855人に対して行った調査の結果をもとにして、Nを611で再算定したものになります。

 この中で見ていただけると、先ほどの山内先生の取り組みは乳腺を中心にしたものでして、乳がんというのはこの調査の失業といいますか、離職の平均値から見るとほぼ同じぐらいになってくるような形になります。この中で、非常に結果が悪いものが婦人科系なのです。卵巣がん、子宮がん、このあたりが非常に離職が多いということになります。

 このあたりというのは、多分、資料1のほうで先ほど言っていた、心身の状況に関することにおいて、先ほど山内先生からもお話があったのですけれども、やはり術後の後遺症です。それから、ニューロパシーの問題ですとか、キモブレインの話。こういうところ、認知機能等々に関する低下というものが往々にして反映されているのではないかと考えられます。

 このあたりについては、多分、医学的な情報はまだまだ、今、出てきたばかりで、わからない部分はたくさんあると思うのですけれども、これは小児がんにおいても非常に重要な関連性を持っている事項になりますので、引き続き、この医学的な診断、それの方法と含めて対応策のほうを、制度的な対応も含めて、やっていただきたいなと思います。

 裏返していただいて、次のページは病期です。進行の度合い等を見た就労状況の変化というものも、この結果から割り出しをしているのです。

 意外なのは0期で、多分、早期発見して0期の状態でしたら離職は少ないのではないかと思われるかもしれないのですけれども、IV期の方でも働くことはできています。これは多分、小まめにコミュニケーションをシステムとして、産業医の先生も含めてやりとりをした結果だと私は思うのです。なので、やはりこういった部分についても職場との連携というものは非常に重要なのではないかなと思います。

 それと同時に、II期とIII期の部分で数字が結構変わってくるのです。これはやはり、先ほどの化学療法の有無というあたりは結構絡んできているのかなと思っています。特に今、真ん中にある紫色の部分で、これは休職中の方なのですが、これがどちらに入ってしまうのか。離職してしまうのか、それとも、雇用継続につながるのかという、本当にこの分かれ目にある人たちをどれだけ救っていくのかというのは医療現場においてできることなのではないかなと思いますので、ぜひ、このあたりを今後、医療現場のほうでやっていただければなと思います。

 多分、高橋先生のほうからこの後、発表があると思うのですけれども、医療現場でできるちょっとしたことというのはいろいろあるのではないかなと思います。

 以上です。

○堀田座長 ありがとうございました。

 それでは、高橋構成員お願いします。資料に基づいて説明してください。

○高橋構成員 ありがとうございます。

 参考資料5を提示させていただきました。実は昨年の12月に私どもの研究班でシンポジウムをしたのですけれども、そこで御発表いただきました名古屋第二赤十字病院の赤羽先生から提示していただいたスライドの抜粋を、医療機関からの好事例として持ってまいりました。赤羽先生は名古屋第二赤十字病院に異動されましたが、この実践につきましては愛知県がんセンター愛知病院にいらしたときの実践です。

 具体的な取り組みをお話しさせていただきます。3ページのところで、先ほど来、お話がありましたけれども、やはりがんの確定診断がついたときに早まってやめる方が多い。

 そして、この4ページ目のところで、3年間、2010年から2012年の間に愛知病院で乳がんの診断を受けられた方の199名中、これは無職の方も四十数名入っていらっしゃるのです。ですから、140150名の有職者のうち33名が入院前にやめてしまった。それを調べて、愛知病院の乳腺科ではこれは大変だと思われたということで、医局を挙げて、確定診断のときから「早まってやめないでください」というふうに必ず全員で言おうと決めたのだそうです。

 5ページ目にあるように、確定診断がついたところで「仕事は、すぐに辞める必要はありません。就労できるかどうかも含めて一緒に考えていきましょう」と言いそえるようになさったそうです。

 6ページ目なのですけれども、これは関連病院も含めての医師アンケートだそうです。就労について患者さんから質問や相談を受けたことがありますかということについて、さまざまな治療のタイミング別に整理なさっているのですが、特に化学療法が始まる前などには就労に関する質問があるのだそうです。しかし、診断の段階での質問は半分ちょっとしかなく、まだまだ患者さん御自身が、この段階では就労ということが御自身の優先順位に上がってきていない可能性もあるので、特に確定診断がついたときに、医療者のほうから「早まらないでください」という働きかけをしたということでした。

 7ページですけれども、愛知病院のほうでは、特にこれは乳がんですが、初期治療の場合には、おおよその休業期間を推測できるということで、余り細かいことはお話しせず、おおよその推測期間を提示なさっているそうです。

 そして、9ページ目や10ページ目ですけれども、患者さんや御家族に見通しがわかるように、できるだけ治療計画書を文書でお渡しする。

 めくっていただいて、12ページですが、先ほど山内先生からも入院の段階で問診票をというお話がありましたが、やはり愛知病院でも同じような試みをやっておられまして、乳腺の病気で入られるときに、きき腕とか職種、雇用形態、職務内容、具体的な作業内容、通勤の内容、いろいろなポイントについて、少なくとも入院中までにはチェックをして、それを診療録に一緒にとじておくそうです。

 ですから、愛知病院の取り組みとしましては、特に何か新しいプログラムを始めたわけではないけれども、実際に患者さんの就労状況を調べてみたところ、早期にやめているということが明らかだったので、診療科を挙げて、このような取り組みをしているということでした。

 以上です。

○堀田座長 ありがとうございました。

 今、お二方から実際のアンケートとか実態に基づいてお話しいただいて、どちらかといいますと、この話題は乳腺の話題になります。乳がんが働く世代に好発するということもあって、熱心な人が多いのかなという気もしますが、どうなのでしょうか。医療機関側として、こういう取り組みがいかにできるかということについて、ほかに何か情報をいただければ。

 では、まず高橋構成員、追加がありましたらどうぞ。

○高橋構成員 済みません、情報といいますか、意見でもよろしいでしょうか。

○堀田座長 はい。

○高橋構成員 今までいろいろディスカッションを伺ってきまして、やはりステークホルダーがこの検討会で既に明らかになってきているということがとても意義深いなと思いました。それで、医療者、患者さん御自身、あと、もちろん職場関係者、一般市民というのもあるのかもしれないのですけれども、できるところから、それぞれのステークホルダーに向けたアクションが求められているのだと思います。

 できるところからと申しましたのは、やはりこれは取り組んでみて、病院差、個人差、熱意、温度の差というものはありまして、いきなり理想的な状況を目指すというのは現実的ではないのかもしれない。ただ、小さいことでもかなり時間をかければ大きな変化が出ますし、あと、新しい試みができる余裕がある病院はどんどんやって、それを全国的に広めればいいのだと思います。

 そのときにポイントが2つあると思ったのですけれども、やはり情報を楽に共有するシステムが必要であって、それは先ほどから出ているように、職場が知りたい情報と、医療側が持っている情報をお互いに楽に共有できるシステムが必要であると思いました。

 もう一つは、経営メリットといいますか、病院では、先ほども保険点数収載の話が出ましたけれども、このアクションをとることで病院経営的にどのようなメリットがあるのかというのは必ず問題になるわけで、そこがクリアされれば、熱意と問題意識が高い一部の医療者だけではなく、一気に広まっていくのではないかなと思いました。

 一人一人の内面を変えるのは相当難しいと思うのですけれども、何か医療経営上のメリットがあることで一気に状況が変わる可能性はあるだろうと。そう考えた次第です。

○堀田座長 今の話題は、雇用側にとってこういった取り組みとかがメリットになるのかどうか。逆に、そんな捉え方というのは企業側にないのかどうかということについてはいかがでしょうね。

 要するに、就労支援とかいろいろなことをやることが企業側にとっても労働者にとってもメリットになるという、お互いにそういう関係でないとなかなかうまく進んでいきませんね。そういった問題についてはいかがでしょうか。

 では、櫻井公恵構成員どうぞ。

○櫻井公恵構成員 そういった取り組みをしていただけるといいです。私も、例えば患者さんの情報を聞きたいときに、本当は一番早いのは、主治医の先生に電話をして、この患者さんはこうやって働きたいと言っているのですけれども、先生、できると思いますかと言って、大丈夫だと思うよと言われればそれで済む話で、そういうふうな簡単に、シンプルに進めていければ一番いいのになと思うのです。

 しかし、やはりそういった診療情報提供がどうこうという難しい話になってくると、ちょっと私ではわからないところも多いですし、私が知りたいのは、この働きたいと言っている目の前の人が一緒に働くことができるかなと、どうかなと。そのためには何ができるかなというのは、それは私が一生懸命考えますので、その患者さんの状態がどうなのかということをなるべくシンプルに知れたらばとてもありがたいなと思います。

○堀田座長 実際、診療情報は得ようと思ったら得られるのですか。例えば産業医という立場から、患者さんがみずからそれを求めている場合はコミュニケーションがとりやすいでしょうけれども、勝手に聞くわけにもいかないところはありますね。そのあたりはどうされていますか。

○宮本構成員 まず、本人が就業したいとか相談が来てくれるところからアクションが始まるのですけれども、そうした場合にその情報が、今、口頭で言われるだけでは不足、あるいは本当に正しいかどうかわからないという場合、主治医の先生にお手紙を書いて、返事をもらってよろしいかということを聞いてやるという、そういう意味では診療情報提供になると思っています。

 従業員の上司の方が情報をとってよいかということは、よく会社の上司の方から言われるのですけれども、そういう場合も、では、本人とちょっと話をさせていただいて、上司の方が主治医のところに行ってお話を聞く、同席するということで本当に大丈夫かということを聞いて、本人がよいと言うのであれば、その手の手はずをとっていただくことはまれにあるのですが、大抵の場合は、産業医がいるところでは産業医が仲立ちをするほうが説明もしやすいですし、主治医の先生の手間でもないということで、そういうふうにさせていただいております。

○堀田座長 医療機関側としては、会社の上司とか同僚みたいな人が電話をかけてきて、あの患者はどういう状態ですかと言われても、普通は答えられませんね。

 どうぞ。

○山内参考人 先ほどから産業医の方々とか、あと、会社の方々との医療者側からの診療情報提供書というお話が出ているのですけれども、私どもも現在の診療情報提供書で真っさらな紙に書けと言われても、具体的に何を書いたらいいか、全くわからないのです。

 こちらのほうの、私どももこの就労リングのときに使わせていただいたテキストや、あと、桜井なおみさんのところでもつくっていたものや、あとは前に厚生労働省のほうでもモデル事業でみずほ総研とやられたときにつくられたシートとか、具体的にどういう仕事で、この人は何が何時間ぐらいできてとか、そういう情報提供のツールみたいなものがもう少し、単なる診療情報提供書ではなくて、そういったものがきちんとあったほうが私どもも記載がしやすいと思うのです。ですから、そういった形のものをつくっていくべきなのではないかなとは思っております。

 先ほど、本当に高橋都先生からあったように、これを行っていくために、熱意だけではやっていけないところがありますので、そういった形のどう広げていくか、どこの病院でも広がっていくためには、やはり国の制度というものが非常に重要で、医療者の負担だけがふえていかないようにするためにも、例えば緩和ケアの好事例を見ていると、緩和ケアのワークショップに医師が出ることで、出た医師と看護師がいれば、ある程度の診療報酬があったりとか、あと、緩和ケアチーム加算というものがあったりとか、そういった形で、緩和ケアも非常に患者さんの痛みに関心がある、熱意があるところだけで最初はやっていたと思うのです。

 それが、今、非常に全国に広がってきているという好事例がありますので、そういった形とか、やはりこの辺は国の制度とか、そういった形の病院側への何らかのインセンティブがなければ、きっと熱意だけでは、相談支援センターもすごくいっぱいいっぱいですし、なかなか前には進まないのではないかなとは思っております。

○堀田座長 桜井なおみ構成員、どうぞ。

○桜井なおみ構成員 ありがとうございます。

 今のお話を聞いていて、主人公は患者さんであってほしいなということはすごく思います。情報を提供するにしても何にしても、やはり患者さんが自分の治療を理解して、なおかつ職場にもプレゼンテーションできる能力を持っていくことは一番先決しなくてはいけないところなのかなと思います。そういった意味で、今の診療情報の提供は、確かに真っ白のところに書くのはすごく大変だと思います。でも、産業医の先生に連携できるかといいますと、そこもちょっとハードルがあるのかなと思います。なので、一番早いのは本人がどうするのかというところを、就労リングなり相談支援センターなりで整理していければ一番早い解決方法にはなるのかなとは思っております。

 先ほどお話がありました治療と職業生活の両立の検討会のとき、私たちは3年間携わらせていただいたのですけれども、患者さんの中で産業医の先生に自分の情報を開示していいですよとおっしゃられた方は1人だけだったのです。もともとコーディネーターが間に入って、産業医の方と主治医の方と御本人と、3人の働き方と働く希望を全部整理して、就労カルテというものを出そうというふうにやっていたのですが、そこに対しては患者さんは1人しか、それは企業から紹介された患者さんしか参加しなかったのです。やはりそういう雇われる側としての産業医の方へのイメージですとか、そういうところも少しずつ変えていかないと、すぐにはできないことなのかなと思います。

○堀田座長 どうぞ。

○湯澤構成員 今、桜井なおみさんからお話しいただいて、私も実際、職場のほうで御病気、がんの方を支援させていただいている中では、まさにそこは一番大事なところだと思っております。

 病気から治療が終わりまして、復職されました。ただ、それから先は日々、就労状況は変わります。体調も変わります。その中で言いますと、都度都度、御自身が自分の状態をどのように伝えられるか。支援してほしいものをやはり職場に伝えなければ、本当に高橋先生ともいつもお話ししますけれども、天から手は降ってこないのです。こちらも内容がわかれば、求めていただいているものがわかればお助けすることを検討することはできると思います。診療情報の提供というところはあるのですけれども、それがもし可能であるとしても、患者さんに必ずこういう情報を産業医の先生にお出ししますとか、やはりそこら辺の了解といいますか、どういう情報を出してほしいですかというところもお話しいただければうれしいなと思います。

 あと、先ほど高橋先生から赤羽先生のお話があったのですが、私もこのシンポジウムに出させていただいたのです。診断を受けてからおやめになる方がこんなにたくさんいらっしゃるのだということにまず衝撃を受けたのですけれども、それと同時に、ドクターが、仕事はすぐにやめなくていいよと。この一言をかけていただけるだけで、ちょっと検討する時間が持てている。これは病気を治すということだけではなくて、その患者さんの人生も支える力をやはり医療現場というものはお持ちだなと痛感したところでございます。なので、一言かけることで就労というところの支援ができるのであれば、こういった活動はぜひ広げていただきたいなと思いました。

○堀田座長 どうぞ。

○伊藤構成員 ちょっと違う話で、医療機関における取り組みということでお聞きしたいことがあります。

 先ほどの参考資料5で、高橋先生に御紹介いただいた資料の11ページで「患者の就労について診療上配慮しますか?」ということで、相当、4分の3ぐらいは何らかの配慮をするということになっているのですけれども、それは非常にすばらしいことなのだろうとは思っているのです。

 しかし、実際、本当にできるのか、されているのかという若干の疑問がありまして、ここで言うところの4分の1相当の部分、ほとんど配慮しない、配慮しないという、これが配慮しない、あるいはできない理由ということを医療機関サイドからの課題として御紹介いただけないかなと思いまして、高橋先生あるいは医療の先生方に御紹介いただければと思います。

○堀田座長 御意見はありますか。

 どうぞ。

○高橋構成員 ありがとうございます。

 こういうところがアンケートの限界でして、「配慮する」と言っても何をもって配慮しているとするのか、本人しかわからないということですね。恐らくそれを補完する意味で下の質問があるのだと思いますけれども、以下の内容を患者さんのお聞きしますかと聞くと、具体的な作業内容を8割くらいは聞いている。これは本当かなと思うのですけれども、あと、勤務体系や職場環境で4割、3割と減ってきて、通勤手段となると14%と。意外と通勤というものは大事なのですが、その辺もやはりかなり限界があるのではないかなと思います。

 ただ、今の御質問とちょっと関係するかと思うのですけれども、私は、治療医は就労の専門家になる必要はないと思うのです。これは本当に個人的な意見なのですが、治療医は就労の専門家になるのではなくて、しっかり治療をしてほしい。ただ、そのときに治療のスケジュールや予想される副作用などをわかりやすく、根気強く御本人にお伝えすることが御本人の説明力を上げて、ひいては御本人が働きやすくなって、職場から配慮を引き出しやすくなる。そこだと思うのです。

 なので、何らかの形で情報共有をするときにも、私は職場に就業配慮のアドバイスをすることまでを治療医に求めるのはちょっとどうかなと思っていまして、治療医が下手にアドバイスをすると、間に産業保健スタッフの方々がいらっしゃらないような職場のときには、とんちんかんなアドバイスがひとり歩きをする危険性だってあるわけです。

 ですから、やはりいろいろなステークホルダーがいて、問題意識も熱意もさまざまですけれども、本来その人がやるべき仕事をしっかりして、それがどういうふうに御本人の就労支援につながるのかというのを意識してもらうのが大事ではないかなと思いました。

○堀田座長 どうぞ。

○桜井なおみ構成員 ありがとうございます。

 机上配付させていただいた資料で「病期別にみた就労状況の変化」というものがあるのです。

 これは山内先生にもお聞きしたいのですが、III期はかなり就労状況は変化しているのです。やはり医療現場というものは、私は基本的には根治を目指す場所だと思っています。目の前にある命を救う場所だと思いますので、やはり医療者の方は、最初はそれを目指すのが通常なのかなと思っています。そういった意味で、このIII期の方はまだまだ局所ですので、根治を目指した治療というものがかなりきつく行われるのかなと思っています。

 ただ、IV期になってくれば、これはどのように生きるかという課題になってくるので、コミュニケーション等々が変わってくるのかなと思っているのですけれども、そのあたりの情報共有等々も含めて、医療現場のほうでどう変わってくるのかというのを。

○山内参考人 確かに御指摘のとおりで、IV期になると定員制で、がん種によっても違ってくる場合もありますけれども、その方のライフスタイルに合わせた治療の選択肢ということを行う場合が多いです。がんの治療医としてそういったことを考えながら行って、むしろ早期の場合のことのほうが補助的な化学療法というものはもうやらなければいけないものが決まってきていて、そういった形の化学療法と、転移の場合に行う化学療法とでは選択肢もいろいろと違ってきますし、選択の仕方も違ってくるということはあると思います。

○堀田座長 ありがとうございます。

 確認ですか。

○伊藤構成員 はい。

○堀田座長 どなたにですか。

○伊藤構成員 もともと高橋先生の資料ですので、お聞きしたかったのは、なぜ配慮できないとか配慮しないかというのが、患者サイドからは、例えば仕事の都合で休診日とか夜間とかに診てもらいたいと言ったけれども、うちの医療機関はその時間はやっていないのですよとか、あるいは日程で、化学療法でその日程も決まっているのだけれども、それを変えてほしいというのは、治療上、もうそれを変えることはできないからそういうものには応じられないのだということなのか。

 要は、少し無理な要求といいますか、希望だからできないのか。それとも、病院の体制の問題なのかとか、そういったところがわかるといいなと思ってお聞きしたのです。

○堀田座長 例えば手術なんかは短期間で終わりますけれども、その後、化学療法を追加するとかという場合には、標準的な治療が決まっていますね。ですから、そうすると何曜日のいつに、どこで次の治療が入るかというのはレギュラーに、順調に行けばほとんど決まっているので、その日は休んでいただかなくてはいけないということになります。それが例えば仕事の都合で1週間延ばしというのは、普通は余り医療側は考えないと思います。

○桜井なおみ構成員 患者も考えないです。やはりそれどころではないので、こういう一言が多分、すごく大切なのだろうなと思います。のめり込んでしまっているので、そこに、仕事のことは後でもいいんだよという一言を言ってもらえると、何か荷物を一つ、ちょっと横に置いておけるような気持ちにすごくなれるのではないかなと思います。

 先ほど来、出ている夜間診療等々については、私は二次医療圏にある病院等々が自分の病院の個性を出すという意味で、例えばうちは夜間の診療を、10時まで化学療法を受けられますということで、クリティカルパスの範囲内でやっていただけると、それは患者にとってのメリットというものが出てくる。ですから、選択肢としてあればいいのかなと思います。

○堀田座長 山内参考人、どうぞ。

○山内参考人 先ほど高橋都先生がおっしゃったように、本当にがんの治療医として治療のことを一番に考えていきながら、でも、治療する相手は患者さん、人間です。それを見ながら、でも、就労の専門家ではありませんが、そういった形のボールを拾い上げるのは、やはり医療者が行うべきなのではないか。

 先ほどの、患者さんへの声かけの必要性とか一言聞いてあげるという形で、ボールを拾い上げるのはやはり私たちがしなければ、ぼろぼろ、あちこちでボールが漏れていると思いますので、そういったことをぜひみんなができるようにして広めていっていただきたいと思います。

 あと、ボールを拾い上げても、就労の専門家ではないですから、それを抱え込むことはできません。ですから、医療現場でそれを回せるシステムというものをぜひつくっていただきたいと思います。

○堀田座長 では、砂原構成員、どうぞよろしくお願いします。

○砂原構成員 ずっと黙っておりましたので、最後に一言お話しさせていただきたいと思います。

 前回も申し上げましたけれども、企業は従業員が非常に大事だと思っているということがまず最初に申し上げたいことでして、いろいろなアンケート等でも解雇されたという表現が多く、心を痛めております。実はそういうケースがないと言い切れるわけではないかもしれませんが、基本は就業規則にのっとって、有給休暇がなくなってしまって、やむなく退職というケースなのだと思います。

 やはり会社としての就業規則を従業員に遵守させる必要がありますから、特定の人だけ休んでいても許されるということにならないような、周りも受け入れられるような説明を本人からしていただきたいと思います。また、産業医・産業保健スタッフがいれば、その共有はより容易になると思いますし、情報共有さえすれば、産業医・産業保健スタッフがいない職場も、病院の医療相談室等も含めた、いろいろなファシリティを使いながら対処することで、がん患者・経験者の方々が安心して働ける可能性が高まり、企業としても前向きに対処できる可能性が高まって行くのかなと思います。

 ご存知の通り、日本企業の多くは国際競争にさらされております。対策をうつということはコストが発生するということになります。そのコストを誰がどのような形で負担するかがポイントで、企業が負担するコストだけが膨らむ形ですと、企業としてなかなか最後は受け入れるということが難しい形になる可能性があります。みんなが一歩ずつ歩み寄る中で、うまく解決できるような方策を見出せるといいなということを、今日聞いていて感じました。

○堀田座長 ありがとうございました。

 桜井なおみ構成員、どうぞ。

○桜井なおみ構成員 1点だけ、駆け込みで済みません。

 山内先生のところでつくったテキストをつくったときに、海外の患者さん向けに配付されている資料とかをかなり読み込まさせていただいたのですけれども、サバイバーシップツールキットとか、いろいろあるのです。

 その中に、自分がボスにどういうふうに就労のことを説明したらいいのかとか、新しく仕事を探すときにどういうことを知っておかなくてはいけないのか、初期治療のときにどんなことを聞き出さなければいけないか、化学療法のときは何を聞き出さなければいけないかが全部まとまっているのです。

 それを先ほどのハンドブックのほうには全部織り込んでいるので、やはりそういうところからインフォームドコンセントですね。患者さんも同意して、医療者も説明をして、なおかつ企業もそれを同意してやっていくという調和づくりがすごく必要なのではないかなと思っています。

○堀田座長 ありがとうございました。

 大分時間も迫って、ちょっと延長しておりますので、この辺で閉めたいと思います。きょうは大変重要な指摘がいろいろありました。患者力、あるいはコミュニケーション力をどう高めるか。それは一方的に高めろと言っても高まるものではないので、実際に高めるためのツールとか、好事例を横に展開するようにすることが大切であると感じました。企業では、そういった取り組みが実際に企業にとってもメリットになるのかどうかというのをきちんと詰めていただきたいと思います。

 そうでないと、どこかに無理にしわ寄せが行っていると、これはなかなかうまく展開しないと思いますし、国のほうでも例えば診療報酬なども含めて、今後考えるべきことはいろいろあるのではないかと思います。事務局できょうの議論をまとめさせていただいて、次回にまた御意見を賜りたいと思います。

 本日はまだ言い足りないところがあったかもしれませんけれども、これにて閉会といたしたいと思います。どうもありがとうございました。

 あと、事務局のほうから何か次回等について。

○林がん対策推進官 次回でございますけれども、本日は医療機関での取り組みを中心に御議論いただきましたので、次回は職場側での取り組みを中心に、あるいは医療機関・職場に含まれないその他の取り組みも含めて御議論いただくような資料を用意させていただきたいと思っております。

 日程調整をさせていただいて、日程についてはまた御連絡をいたします。

 どうもありがとうございました。

○堀田座長 それでは、どうもありがとうございました。


(了)

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