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2014年3月20日 第20回レセプト情報等の提供に関する有識者会議 議事録

○日時

平成26年3月20日(木)12時59分~14時24分


○場所

厚生労働省専用第22会議室
東京都千代田区霞が関1-2-2


○議題

議事次第
1.DPCデータの提供について
2.前回有識者会議での議論を踏まえた民間利用に関する今後の方向性について
3.レセプト情報・特定健診等情報データの利活用の促進に係る中間とりまとめ(案)について
4.その他

○議事

○山本座長 それでは、定刻少し前ですけれども、構成員の方がおそろいでございますので、ただいまより第20回「レセプト情報等の提供に関する有識者会議」を開催いたします。

 構成員の皆様には、年度末の御多忙の折、また、あいにくの雨模様の中お集まりいただき、厚く御礼を申し上げます。

 会議に先立ちまして、本日の構成員の出席状況について事務局からお願いいたします。

○佐久間室長 それでは、本日の構成員の出欠状況について御報告をさせていただきます。

 本日御欠席予定の構成員の先生方ですが、稲垣構成員、頭金構成員、松田構成員、三浦構成員、武藤構成員、府川構成員が御欠席と承っております。また、宮島構成員でございますけれども、若干遅れて御出席されるということでございます。

 出席人数につきましては、会議の開催要件を満たしてございます。

 以上でございます。

○山本座長 ありがとうございます。

 それでは、会議の開催要件を満たしているとのことでございますので、早速議事に入らせていただきます。

 本日の議題は、議事次第の1、2、3、4ですけれども、まず最初の1「DPCデータの提供について」ということで、事務局から御説明をお願いいたします。

○医療課 保険局医療課でございます。

 それでは、お手元の資料に基づきまして御説明を差し上げます。

 資料1「DPCデータの提供について」と書かれたパワーポイントの資料を御覧いただければと思います。

 おめくりいただきまして、スライド番号の3でございますけれども、「これまでの概要等」ということで簡単に御説明を差し上げます。

 昨年の6月7日のこの会議におきまして、研究班のほうから第三者提供を行う上での問題点等についての研究結果を報告させていただいたかと存じます。その中で、特に個票データについてでございますけれども、未解決の問題もまだ多く残っておるところで、試行的なデータ提供を試みて課題や問題点を明らかにすることが望ましいとされたことを受けまして、2番目の四角でございますけれども、9月20日の有識者会議審査分科会におきまして、研究班より提出された集計表と個票それぞれの模擬申出書につきまして審査を行っていただいたところでございます。この結果、集計表1件、個票1件の合計2件について承認をいただきまして、実際にデータの提供を行ったところでございます。

 本日、午前中に有識者会議審査分科会でこの2件について御審議をいただいたところでございまして、それらの結果を受けまして、本日、この試行的データ提供を通じた検証結果についての報告をいたしますとともに、問題や課題を明らかにして、今後のガイドライン策定に向けましてのDPCデータの提供のあり方を検討するということが予定されておるところでございます。

 スライド番号4以降でございますけれども、採用された2つの模擬提供の結果報告となってございます。本日は、午前中に審査分科会で御審議いただいたということもございますけれども、時間の関係でこちらについては軽く触れさせていただく程度とさせていただければと思います。

 集計表のデータでございますけれども、スライド番号5でございますが、DPCデータを用いた若年性胆管がんの記述疫学研究ということで、概要はスライド番号5のとおりとなってございます。

 詳しいデータはスライド番号8以降にありまして、このような形で集計を行うことができたということでございます。下に四角でコメント等がついてございますけれども、こちらにつきましては、研究班の先生方からのコメントをそのままここに載せさせていただいているところでございますので、御参考にしていただければと思います。

 また、個票データでございますけれども、こちらについてはスライド番号13以降になります。

 こちらは患者居住地二次医療県単位で見ました地域別医療パフォーマンスの分析ということでございまして、心筋梗塞、心不全、脳梗塞の3つの疾患につきまして、患者さんの居住地の二次医療圏別に分析をしたところでございます。データの例といたしましては、例えばスライド番号15にございますような形で、二次医療圏別にここに書かれている割合につきまして高いほうから並べると、地域によって安定しているものと少し地域差があるもの等のデータが出てきましたということです。これはあくまでも一部分のみとなりますが、これを、ちょっと見にくいですけれども、スライド番号13のような形で医療圏の地図に当てはめた色別の分析なんかも今回はやっていただいているところでございます。

 また、スライド番号16以降でございますけれども、これらの模擬提供を通じまして、研究班から、ここに書いてありますような患者さんの特定の可能性ですとかデータの安全性、セキュリティ等について御意見を頂戴しておるところでございますけれども、こちらを受けまして、事務局のほうで現状の整理を行ってございますので、こちらについては説明を割愛させていただきます。

 ちょっと飛びますけれども、「4.今後の対応(案)」ということで、スライド番号31を御覧いただければと思います。

 簡単な概要のみの説明で大変申しわけございません。研究班からいろいろな意見を頂戴したところでございますが、それらを受けて事務局側で、現状の整理ということで問題点を幾つか挙げさせていただいておるところでございます。

 まず、「1」でございます。特に個票データの提供に関して、研究の意義を阻害せずに、かつデータ管理の安全性の確保を行うことが非常に重要なのですけれども、この普遍的な審査基準を直ちにつくることは少し難しいのではないかと考えられております。また、NDBデータと比較したDPCデータ特有の問題点といたしましては、DPCデータにつきましては、退院患者調査ということでホームページにかなり詳細なデータも既に公表されてございますので、それらと組み合わせをすることで、データをお渡しした以上のデータまで踏み込んでしまっている可能性が否定できないということ。また、病院数がNDBデータとDPCデータでかなり違うということでございますので、少ない医療機関について詳細な情報を提供することについてのリスクがあるのではないかということ。また、個票をお渡しする場合は、様式1については患者さんの個人情報の特定が可能なかなり濃密な情報が含まれているということで、その情報の管理の仕方についてしっかりとした基準をつくらなくてはいけないのではないかという問題点があるかと考えております。

 続いて、「2」でございます。DPCデータ提供でございますけれども、現在は模擬データの提出ということでございますが、本省の中でも体制の整備を行っておるところで、そちらについても少し考慮をする必要があるのではないかと考えておるということ。

 また、「3」でございますが、繰り返しになりますけれども、個票データはかなり個人情報が含まれているということで、その管理が非常に大切になってございまして、取り扱う研究者の先生方にとっても大きな負担となり得るのではないかと考えておるところでございます。

 これらを受けまして、スライド番号32でございますけれども、「模擬提供を踏まえた今後の方針(案)」といたしまして、まず1つ目でございますが、平成26年度より、本格的な運用に向けた準備段階といたしまして、個票データではなく、比較的安全性が高いと考えられる集計表の提供をまず開始することとしてはいかがと考えておるところでございます。

 また、2つ目でございますが、個票データの取り扱いでございますけれども、オンサイトセンターにおける提供やサンプリングデータによる提供等を用いて、こちらについては個人情報の管理の仕方、それに伴うリスク等も十分に考慮した上で、今後も引き続きどのように提供することがよいのかについて検討を進めていただくこととしてはいかがかと考えておるところでございます。

 考え方については、今、私が申し上げたようなことが下に書いてございますので、御覧いただければと思ってございます。

 これらの2つの大きな方針を踏まえまして、スライド番号33でございますけれども、「集計表の提供の方向性」ということで、こちらに図を書かせていただいております。

 平成26年度上半期をめどにいたしまして、ガイドライン等について今後明確化した上で募集を開始してはいかがかと考えております。その際でございますけれども、NDBデータの提供の際の優先順位の考え方がございますので、それに倣いまして、DPCデータについても同じような考え方で提供の優先順位を決めてはいかがかと考えてございます。

 参考までに、御存じだと存じますけれども、スライド番号3435で、「審査基準の明確化1」ということで、優先順位の考え方についてNDBデータのほうで既に示されてございますので、こちらをDPCデータ側でも参考にいたしまして優先順位をつけていくことを具体的に考えておるところでございます。

 続いて、スライド番号36「集計表データの提供にかかる論点1」ということで、下に左側と右側で矢印の図が描かれてございますけれども、集計表のデータであっても、提供の際に最小集計単位が非常に小さい場合に、どの段階でマスクをかけるのかということが一つ論点に上げられるかと思ってございます。保険局医療課から申請者にお渡しするときに既に数の小さいものについてマスクをかけるか、それとも、申請者の方々に小さい数もそのまま渡すのですけれども、公表の際に申請者の方が責任を持ってしっかりとマスクをかけていただくということで、2つパターンが考えられると考えてございます。

 先ほども申し上げましたとおり、まず平成26年度より本格的な運用に向けた準備段階として運用を始めてはいかがかと考えてございますので、まず最初は安全性を高く担保して、問題点を明らかにした上で徐々に制度を広げていくほうがいいのではないかと考えてございます。下の2つのラインがございますが、このうちの左側、そのまま公表されても問題がないデータについてお渡しするということで、まずこの制度についての問題点を明らかにした上で、今後の考え方についてこちらで御検討いただくという流れではいかがでしょうかと考えておるところでございます。

 また、スライド番号37でございます。「医療機関別情報の公表にかかる問題」ということでございますが、既にDPCデータでは個別医療機関の情報についてかなり詳細なデータが公表されておるところでございます。ただし、退院患者調査と整合性のとれないような情報について公表してしまうと医療機関にとって不利益となってしまう可能性も十分にはらんでいるところでございますが、これらのバランスを見つつ、一方でNDBデータの提供においては医療機関に関する最小集計単位は3、DPCデータについては最小集計単位が5というように、ちょっと食い違いがあるところもございますので、DPCの公表の基準については、NDBと合わせて最小集計単位を3とすることでいかがでしょうかと思っているところでございます。

 続いて、スライド番号38でございますが、「集計データの提供にかかる論点3」といたしまして、外部データを用いた集計と組み合わせてこのデータを使う場合についての考え方でございます。申請者独自で持っている外部データと突合する場合に、より個人情報に結びつくリスクが高くなるのではないかと考えておるところでございます。一方で、もとのデータについてもしっかりと管理をされたもので、また、組み合わせの仕方についても、恐らく使われる研究のやり方によって大きく異なる事例があるのではないかと思っております。場合によっては安全性において問題がないと考えられる事例ももちろんあると思ってございますので、こちらについては、まず試行的な集計を始める際には、個別に判断をした上で、どのようなものについて提供していくのがよいのかということについて判断しながら制度を開始してはいかがかと考えておるところでございます。

 続いて、スライド番号39でございます。2つの論点がこちらに書かれてございますけれども、これは細かいデータの提出の仕方でございますが、まず「『内訳』に係るデータの取り扱い」ということで、「患者数」と「うち男性患者数」という書きぶりになってございますが、これを除くと女性患者数のデータも全てわかってしまうような状況でございますので、このように内訳に係るデータについては原則として、患者数と男性患者数ではなくて、男性患者数を申請する場合は女性患者数についてもあわせて申請をいただきたいと考えておるところが1点目。

 また、「『割合』に係るデータの取り扱い」でございますが、数が少ない疾患でも割合としては表に出てしまう可能性も十分にあるのですけれども、基本的に割合の考え方は分母の数と分子の数の組み合わせで出るものだと考えられます。また、この中の分子の数が小さい場合には、分母と掛け算をすると、場合によっては本来は公表しない10未満の数についても表に出る可能性もございますので、パーセンテージでの申請ではなくて、分母と分子の値、あくまでも実数ベースでの申請をいただきたいと思っておるところでございます。

 続いて、スライド番号40でございます。「行政利用の場合の審査方法について」でございますけれども、NDBデータの提供に関するガイドラインにおいては、こちらに書かれてございますとおり、省内の各部局が利用する場合、これらのガイドラインでは以下においては有識者会議の審査を省略することができると定められているということで、その基準が(1)と(2)に書かれておるところでございます。

DPCデータもNDBと同様に、今後、各部局が策定する予定であるガイドラインに規定されたものにつきましては、有識者会議の審査を省略することとしてはいかがかと考えてございます。ただし、どのようなものが使われているかということで、有識者会議における審査と同等の内容の審査について事務局で実施するとともに、こちらの会議に対して申出内容を報告させていただき、必要に応じて利用の成果についても御報告をさせていただきたいと考えておるところでございます。

 続いて、スライド番号41でございますが、「3 厚生労働省から提出される申出の審査について」ということで、現状もここに書かれておるようなものについて提供を行っているところでございますけれども、NDBと同様の取り扱いをしながら対応を進めてまいりたいと思ってございます。

 最後に、スライド番号42でございますけれども、本日は、ちょっと早口になりましたが、模擬提供を踏まえまして幾つかの論点と今後の方向性について御提案を差し上げたところでございまして、こちらについて大まかな方向性をぜひ御議論いただきたいと思ってございます。本日の議論を踏まえまして、26年度以降にガイドラインや申請方法等についての策定を行った上で、秋口ごろから集計表の申出の提出や審査等を開始していければと思っておるところでございます。

 これより後ろは参考資料でございますので、説明は省略させていただきます。

 事務局からは以上でございます。

○山本座長 ありがとうございました。

 ただいまの事務局からの御説明に関しまして、御意見、御質問がありましたらどうぞよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。

○石川構成員 よろしいですか。

○山本座長 どうぞ。

○石川構成員 途中の報告なのですけれども、37のところです。

 前のほうでもあるのですが、それは後回しにしまして、「医療機関別情報の公表にかかる問題」ですけれども、基本的にはNDBの議論の中では医療機関コードは原則開示しないことになっております。それについては、一つは患者さんにかかわる個人情報の問題と照合すると識別できるということです。それともう一つ、医療機関側のいろいろなプライバシーの問題といいますか、機関そのもの、あるいはそこで働く医師等の問題があるということで原則公開しないことになっております。DPCデータにおいても、その原則はやはり守っていただきたいというのを要望したいと思います。そうでないと、基本的にはいろいろなところでの競争原理みたいなものが働いてしまいますし、ちょっとまずいことが起こると推測しますので、よろしくお願いしたいと思います。

○山本座長 ありがとうございます。

 現在、医療機関を特定して公表するということは、NDBと同じで考えていないのですけれども、医療機関が特定できる最小集計単位が今は5で模擬申出をお受けしましたが、これがNDBの場合は3ですので、これを同じにしてはどうかという御提案ですけれども、この辺はいかがでしょうか。

○石川構成員 そういうところでいろいろと配慮はわかっているのですけれども、「医療機関別情報の公表にかかる問題」のところの最初のポツです。ここには、医療機関は特定されても問題がないのではないかという意見があるということです。これに対して我々としてはちょっと危惧する文言だなと考えております。

○山本座長 具体的には、要するに対象病院が1,800しかない。病院に限って言うと全体の4分の1ぐらいにしかならないわけですけれども、その中で、5という値は、やや対象病院が少ないことを理由にしてNDBよりも少し大きな値にしたのです。それが、やはり5であると、1,800の5ですから相当粗い集計になるので、同じ基準の3ではいかがなものかという御提案です。決して個別の医療機関が特定されることに問題がないということではないとは思うのですけれども、DPC病院の場合、さまざまなデータが公表されていますので、NDBに比べれば、特に規模の大きな病院ですと、おおよそ検討がつく可能性は確かにあると思うのです。

 どうぞ。

○医療課 石川先生から御指摘いただいたところ、日本語の書きぶりについても御指摘をいただいたかと思ってございます。医療機関は特定されても問題がないというのは、あくまでも退院患者調査の公表されている範囲の中でという意味でございまして、全て丸裸にするという意味とはちょっと違うということでございますけれども、書きぶりが誤解を招くような形になってございまして、大変失礼いたしました。

○山本座長 ほかにいかがでしょうか。

 どうぞ。

○猪口構成員 基本的には集計表で終わらすということになるのですか。

○医療課 まず平成26年度については集計表から始めるということでございまして、その際に、もう少し踏み込んでも大丈夫だろうとかいうことで御議論をいただけるかと思いますので、個票につきましては、今後、実績を積み重ねた上で評価を行っていく。場合によっては、そちらに行ったほうがいいのか、行かないほうがいいのかということについても御議論をいただきたいと思っておるところでございます。

○山本座長 伏見班からの御報告では、個票を扱うには相当程度の高いセキュリティレベルが要求されるので、研究者レベルでそれを準備することは極めて難しい。したがって、そういったことがあらかじめ準備されているようなオンサイトセンターをつくっていただいて、そこでの研究が可能にならない限りは実質的に個票を使った研究は困難ではないかという御報告をいただいているのです。ですから、個票を提供するとかしないとかの是非を今決めるわけではないですけれども、少なくともそういった環境整備をしない限りはなかなか難しいという結論を報告していただいています。

 オンサイトセンターは、伏見班のレポートにはかなりはっきりと書かれているのですけれども、こういったものを厚労省として御用意いただける、あるいは厚労省が用意するのではないにしても何らかの目途があるかということはいかがですか。

○医療課 現状では、どのようなものをおつくりするのかどうかということについて、具体的なものについては検討段階にもまだなっていないと考えてございますけれども、今後いろいろ問題点が出てきた上での体制整備に必要な条件等も提供を行いながらはっきりしてくるかと思いますので、そういう議論を受けた上で検討していきたいと考えておるところでございます。

○山本座長 いかがでしょうか。

 これは、来年度予定されているNDBのオンサイトセンターをここに使っていただくみたいな構想ではないですけれども、そういう可能性みたいなものはあるのでしょうか。

○佐久間室長 現時点でまだ予算もとれていないところでありますので、来年度、NDBでは設備整備を進めていきます。仮にDPCのほうでオンサイトセンターを配置していくということであれば、そういったことも選択肢の一つとして可能性はあると思います。

○山本座長 ほかはいかがでしょうか。

 それでは、特に御意見がないようでしたら、スライド番号42の「今後のスケジュール(案)」に従いまして、これから来年度上半期にかけてガイドラインとか申請方法の整備を行った上で、9月か10月ごろから申出をしていただいて審査をするというスケジュールに一応なっております。あくまでも集計表ですけれども、このように進めさせていただいてよろしいでしょうか。具体的に先ほど医療課からお話があった集計表でも幾つかの考慮すべき点があるということは、26年度上半期にそこをしっかり検討してガイドラインをつくることにさせていただきたいと思いますけれども、そのような方針で進めさせていただいてよろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○山本座長 ありがとうございます。

 それでは、そのように進めさせていただきたいと思います。

 それでは、次の議題に移りたいと思います。2番目の「前回有識者会議での議論を踏まえた民間利用に関する今後の方向性について」、事務局から説明をお願いいたします。

○佐久間室長 資料2、横紙のほうを御覧ください。

 めくっていただいて、2ページ目でございます。

 まず「前回有識者会議での合意事項についての確認」で、おさらいからでございます。

 4つほど矢印がございますが、まず1つ目の矢印で、レセプトの民間利用につきましては、前回の有識者会議で、その利用目的と提供データの種類等に関して一定の合意が得られたのではないかと考えるところでございます。具体的にどういうことかといいますと、下のレ点のところにありますけれども、利用目的は、本来目的以外でのデータ提供と同様に、公益性の高いものとして厚労大臣が承認した場合に提供するということが1つ。提供データの種類については、定型表もしくは半定型集計表ということで、いわゆる集計表情報を提供する、ここについては合意が得られたと考えてございます。

 一方で、この合意事項に基づきまして、民間利用していく場合の具体的な手順についてはまだ十分に議論がされていません。具体的には、例えば申出に対する有識者による審査をどのようにしていくのか。また、定型表、半定型集計表を集計するのですが、この集計の方法、集計は誰が行っていくのか、こういったようなところについて十分に議論がされておりません。

 一方で、3つ目の矢印ですが、申出者の要件、データの分析主体ですとか利用形態、公表内容についての議論が十分ではなかったということでございます。具体的にどういうことかというと、申出者の要件については、業界の中央団体のみとするのか、民間企業等の個別組織を認めることとするのかというところについて。また、分析主体・利用形態では、シンクタンクそのものを分析主体として認めることとするのかどうか。また、公表内容についても、学術論文とは異なりますので、どのような形態で公表していくのか、こういったことが課題として残ってございます。

 あわせて、試行期間の設定の関係ですが、試行期間を設定して行っていくことについては一定の合意は得られてございますけれども、具体的な期間の設定ですとか試行期間におけます検討課題等について完全に整理されていないということで、本日、こういった内容についての議論を進めていただきたいと思ってございます。

 1枚めくっていただきまして、こちらは前回出させていただいた民間利用者に求める条件と申請の流れでございます。左上のほうに黒塗りになっているところがございますが、ここが「概ね合意に至った事項」と「十分な合意に至らなかった事項」で、検討する必要があることが右側のところにまだ残っているということでございます。今申し上げた内容と同じですので、省略をさせていただきます。

 4ページを御覧ください。

 今回、「試行期間の設定およびその間の提供方法について(案)」ということで、私どものほうから御提案させていただいている部分でございます。

 下の破線の中を御覧ください。

 まず、【試行期間の設定について】でございます。研究者向けのレセプトの第三者提供をこれまで試行期間を経て行ってきたわけでございますが、その場合の試行期間は2年間という期間を設定して提供してございました。今回の民間利用の検討に当たりまして、これまでの第三者提供の知見の蓄積もございますので、可能であれば、ことしの4月から2015年3月までの1年間としてはどうかという御提案が1点でございます。

 次の【試行期間における模擬申出・審査の実施について】でございます。レセプト情報等の第三者提供の試行期間におきましては、有識者会議構成員の先生方の御協力をいただきながら模擬申出・審査を実施してございます。ということで、今回の民間利用の検討におきましても同様に、初期の申出及び審査については模擬的なものとして位置づけて、審査自体は原則公開としてはいかがかという御提案でございます。また、これは先ほど申し上げたとおり、レセプトそのものの第三者提供の場合は有識者会議構成員の先生に申出者になっていただいたわけでございますが、今回、それに倣うということではないのですけれども、初回の模擬申出に限りまして、申出者は前々回の有識者会議のヒアリングで意見聴取を行った者に限定してはどうかということでございます。比較的ニーズがはっきりしているということ、それと組織的なところも含めて、こういった限定をかけてはいかがかという御提案でございます。実際の具体的な手順を定めていく検討については、こういった模擬申出・審査の知見を踏まえて検討を行っていってはどうかということでございます。

 3番目でございますが、【申出者からの要望内容の半定型集計表化を支援する有識者会議ワーキンググループの設置について】と書いてございます。こちらのほうは、前回も少し御議論がございましたけれども、レセプト情報の分析に知見を有していたり、またはガイドライン上で研究の主たる部分を外部委託することが認められていない研究者等と違いまして、今回、民間が申出者の主体となった場合に、申出者の要望を受けてレセプト情報等から半定型集計表を作成する際に、学術的支援が必要となる可能性がございます。これはそれぞれの団体のヒアリングのときにおいても、こういった御要望が一部ございました。

 今回の申出の中身を承諾した上でという形になると思うのですが、その内容について精査をする。この有識者会議の下にワーキンググループを設置いたしまして、レセプト情報の分析に知見を有する学識経験者を加えて、申出者の要望、内容に基づいた集計表の詳細はここで検討する体制をつくって行っていってはいかがかという御提案でございます。ワーキンググループのメンバーでございますけれども、こちらの中には有識者会議構成員の先生にも入っていただくことと、それを前提に、全体の人選については座長に一任していただいて、人選をお願いしてはいかがかと考えてございます。

 4つ目でございますけれども、【試行期間における、有識者会議審査およびワーキンググループによる学術的支援との関係について】でございます。この手順でございますけれども、1.2.3.とございますが、まず有識者会議審査分科会で申出内容についての審査を行い、その承諾、不承諾の判断を行います。承諾された申出につきまして、ワーキンググループにおいて実際に要望を具体的に整理して、集計表、半定型集計表を作成するための分析手法はどのようなことができるかということも含めて、実現可能性も含めて検討を進める、そのワーキンググループでの検討結果をもとに集計を行っていく、このような手順を考えてございます。

 ここが試行期間の設定とその提供方法ということでございます。

 今申し上げた手順と考え方のところが次のページでございますけれども、5ページ目です。

 これは前回、民間に提供する場合に想定される集計表の提供パターンということでお示しした中で、今申し上げたところは、下段の網がけになっているところが今回のスキームになると考えてございます。ここでの課題でございますけれども、ワーキンググループを設置して集計表を提供すること自体も想定されるパターンの一つとして位置づけられるのではなかということでございます。ただ、今回の試行期間においてこういった形態で提供するということはあるのですけれども、仮に申出件数が非常に多くなった場合については、ワーキンググループにかかる負荷も含めて、こういったことを検討する必要があるかなと考えてございます。これは参考でございます。

 1枚めくっていただきまして、6ページを御覧ください。

 こちらは「申出者の要件についての検討のすすめ方(案)」でございます。

 先ほど少しお話し申し上げましたが、レセプト情報等の利用を申出できる者について、民間企業等の個別組織を申出者として認めることとするのかどうか、中央団体に限定するのかという議論が前回もございました。長所、短所につきましては、枠線の中の上段に書いてございます。

 【初回模擬申出・審査における申出者の限定について】御提案させていただきたいと思っています。

 今回、第18回有識者会議のヒアリングで意見提供を行った者に限定されるとしたらということでございます。レ点のところを御覧いただくと、日本製薬工業協会及び日本医療機器テクノロジー協会については、中央団体としての位置づけが可能かなと考えてございます。また、三菱総合研究所については、個別組織としての位置づけで整理することが可能なのではないかと。ただ、三菱総研はシンクタンクとしての位置づけとなるのですけれども、実際に直接のデータ分析を行うのではなく、半定型集計表を求めて申出するという立場になります。また、三菱総研が単独で申出すること、あるいはほかの民間企業の要望を支援する形態で申出することも可能ではないかと考えてございます。ということで、この3者について限定してはいかがかという御提案です。

 具体的に何を検討するかということでございますけれども、アンダーラインでございますが、民間企業のニーズ把握、半定型集計表を作成する体制、その作成手法、公表方法、利用者からの意見の収集、こういったことに検討事項を絞って行っていってはいかがかということでございます。こういった模擬申出での実績を踏まえた上で、申出者の要件と申出受付手続等々について課題を整理して、具体的な検討を進めていってはいかがかという御提案でございます。

 1ページめくっていただきまして、7ページは「成果物の事前確認、公表方法等の検討のすすめ方(案)」でございます。

 まず、成果物の事前確認について求めることについては合意が得られたと思います。ただ、有識者会議で事前確認を必須とするのか、事務局の確認のみとするかについて、十分に合意を得られていなかったような感じがしております。それと、成果物の公表方法につきましても、何らかの形で公表を民間利用者に求めることについてはおおむね合意が得られたと考えてございます。ただ、民間利用者の場合、先ほども申し上げたとおり、論文や著作物による公表が一般的ではないということがございますので、その具体的な方法について十分に議論されていないということでございます。

 そこで、今回の御提案で、枠線の中の2つ目の括弧からでございますが、【試行期間中の申出における、成果物の事前確認について】ということで、試行期間におきましては、民間利用者が求める半定型集計表がどのようなものかを確認する意味でも、有識者会議の場で成果物に対する事前確認を必須としてはどうかという御提案でございます。

 次の括弧でございますが、【民間利用者による公表方法について】ですけれども、こちらについても試行期間においては申出者によるウエブサイトでの公表を必須とすることとあわせて、有識者会議での確認を経た全ての成果物を公表対象とする形ではどうかという御提案をさせていただきます。いずれも試行期間の経験を踏まえて、実際に試行期間終了後、事前確認を必須とするべきかどうかについては、また検討していただきたいと思ってございます。

 1ページめくっていただいて、8ページでございますが、これが、今まで申し上げたところを議論していただいた中でおおむねのスケジュールということでございます。

13年度の3月でございますが、左側の「有識者会議」が本日の会議でございます。4月以降でございますが、ワーキンググループのメンバーを選定し、一方で申出者の方々に申出内容を整理していただいて、申出を確定していただく。6月か7月ぐらいでございますけれども、ワーキンググループ自体を設置して模擬申出の審査を行っていく。こちらの審査が終わった後に、ワーキンググループで情報共有しながら、申請内容を十分に反映させた集計表について検討していくということでございます。その後、集計表を作成して、このスケジュールですと12月ぐらいになってございますけれども、有識者会議のほうで再度確認をさせていただいて、その後、結果を提供して公表する、このようなイメージをしてございます。可能であればでございますけれども、こういった経験を踏まえて検討を進めていって、15年度の4月から通常運用という形で進められればと考えてございます。

 スケジュールとしては以上でございます。

 最後は、また後ほど御説明申し上げますので、資料の説明は以上でございます。

○山本座長 ありがとうございました。

 ただいまの御説明に関しまして御意見、御質問がありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。

 どうぞ。

○新保構成員 慶応大学の新保です。

 今回、このような形で前回の議論を踏まえて、今後、試行期間を設けてデータを提供することには非常に賛成であります。

 ただし、この試行期間は、あくまで本当の試しの期間ということではなくて、試行期間の意味といたしまして、試行期間に必要な具体的な検討課題、まだ完全に整理されていないと2ページに記載されている部分でありますけれども、具体的に試行期間において課題を整理する上で、実際に申出を受けてみて必要な検討事項を検討する期間という位置づけにしていただければと思っております。

 その理由は3つありまして、全体の申出の流れから今後のデータの提供をどのように行うのかということについて検討するに当たって、中央団体は具体的にどういう範囲なのかとか、申出件数が予想以上にふえた場合に、このワーキンググループを活用した取り組みがワークするのかということとか、この集計表のデータについても提供するに当たって、非常に作成作業が多く発生する場合には具体的にどのような対応が必要なのかという大きく3つの点です。例えば中央団体の範囲について見ても、どの範囲で認めるかということについて、従来からこういったデータの提供に当たっては、公益性がある場合にはその基準を低くするといった試みがなされているわけでありますけれども、その一方で、公益性という場合に、公益の基準というものがどういうところにあるのかと。例えば団体については財団法人、社団法人など、公益法人改革以降、非常に明確に公益性というものが問われる取り組みが行われておりますので、そういったものも参考に、業界の中央団体については公益性の基準などを設ける必要があるのか否かとか、そういうところがまず1つ目の点であります。

 2つ目の申出がふえる場合の対応については、従来からこういった申出に当たっては、当初予定していたよりも非常に多くの反響があった場合に申出の件数がふえるという事例があるかと思います。そういった場合に、例えば同一の申出であるとか類似の申出がある場合について、試行期間ですので、せっかく試行期間中にそういった申出があることについては、パターン化できるものについては例えばテンプレートを作成するなどして、申出内容のテンプレートであるとか、過去の申出と類似または同一の申出についての対応が定型的にできるような対応が必要ではないかと思っております。

 最後に3つ目ですけれども、先日の資料でも、もう60億件を超えるような、まさに日本国内にあるデータとしても先陣を切って文字どおりのビッグデータになっているわけであります。そうすると、このデータを集計する作業については、ビッグデータの活用を行うことができる民間の事業者も最近は多く出てきております。しかしながら、民間の事業者にそのまま委託することについては、かなりさまざまな問題があるわけでありますので、この点については、そういった集計作業を民間の事業者に委託することができるのかどうかと。残念ながら現行の法制度では、委託先について、民間事業者が民間事業者に委託するときには監督責任が及びますけれども、行政機関については実は監督責任がないのです。ですから、委託先に情報を提供したとしても、あくまで行政機関については委託先への、つまり提供先への措置要求ということで、きちんとやってくださいという要求をするにとどまるのが現行の法的な義務の内容となっております。

 この点は今後も、例えば法制度の見直しがあっても、行政機関の義務が重くなるということは現状想定されておりません。そうしますと、そういった業務について、現実問題として、やはり委託をするほうがいいということも今後は十分あり得ると思いますけれども、その際に、委託がそもそも可能か、委託をするに当たって従来の基準から考えた場合にどのような対応が必要かといったようなことも検討が必要ではないかと思っております。

 以上です。

○山本座長 ありがとうございました。

 何か事務局からございますか。よろしいですか。

○佐久間室長 1点だけ。

 先生がおっしゃった3番目のデータの解析と集計作業のほうの委託の関係ですけれども、現在でもNDBの運営管理という形で我々は富士通、富士電機のほうに委託をしています。ですから、集計作業自体は基本的には運用の委託先が行うという形に今はなっております。学術的な支援とかの部分についてどうするかということが、今回ペーパーに書かせていただいた部分でございます。

 以上、参考でございます。

○山本座長 ありがとうございます。

 ほかはいかがでしょうか。

 試行期間でこの3者に限定すると、試行期間で本当に全ての課題が検討できるのかという問題があって、それは机上で議論をしなければいけないみたいなことにもなりかねないかとは思いますが、かといって、最初から大風呂敷を広げてしまうと、試行期間でワーキンググループが潰れてしまうことにもなりかねないので、この試行期間についてはもう少し流動的に考えてもいいのではないかなという気がするのですけれども、いかがでしょうか。初めから1年と区切らないで、まずはこれをやってみて、その都度、試行期間を有識者会議で考えていくという形のほうが現実的ではないかなと思いますけれども。

 どうぞ。

○新保委員 この点につきまして、恐らく来年の今ごろは通常国会で個人情報保護法関係法の改正が終わっているものと思われます。ただ、やはり政治的に今後どのように検討がなされるのかと、最終的に通常国会で通るかどうかということについては全く未知数であります。ですから、今後、大きな法制度の転換期を来年のちょうど今ごろ恐らく迎えているだろうと思われるわけですので、試行期間については、現状の法制度の見直しの動向も踏まえて、例えばその動きが来年まだ続いているようであれば、それに先駆けてこちらで結論を出す必要は恐らくないでしょうし、結論が出ているのであれば、それに対応して必要な検討事項を最終的に詰めるということでもよいかと思います。ですから、現在の法制度の見直しの動向も踏まえて、試行期間については柔軟に対応されてはいかがかと思います。

○山本座長 ほかに御意見はいかがでしょうか。

 どうぞ。

○貝谷構成員 私も基本的には、この1年というのは、完全に試行期間内の課題が整理できる期間として十分かというと、本当に終わるのかなという思いが若干あります。

 1つだけ事務局に、もし差し支えなければ教えていただければと思いますが、あえて1年にしたところの何か政府内での検討の成果が求められている事情が背景にあるのか、特にそういうことはなくて今回は1年でとりあえずということなのか。もしそういう外的な要因がなければ、今のスケジュール案でいきますと、来年の3月には通常運用への課題対応を検討するという一番上の箱になっていますけれども、ここの中でもう一回最終的に試行期間のあり方、あるいはその1つ前でもいいかもしれませんけれども、もう一回そこで改めて再チェックするというぐらいのほうが、私自身はいいのかなと思います。

○山本座長 どうぞ。

○佐久間室長 今回、民間への提供に関して検討するに当たっての背景でございますけれども、しばらく前の有識者会議、秋口ですかね、申し上げたと思いますが、1つは日本再興戦略の中でデータの利活用というお話がございまして、その中に民間も含めてということがございました。私どものほうで今のところスケジュール的に、縛られているわけではないのですが、来年度中に検討するとなっています。そういったこともありまして、試行期間ということでございますけれども、民間企業の方々にも御提供させていただいている形になりますので、そこの部分は一定程度担保される可能性はあると思いますが、そういったような状況はございます。ということで、一定程度の検討結果は必要になろうかなという状況でございます。

○山本座長 検討結果を出せばいいということで、その検討結果をどうこうするというものではないでしょうから、これは先ほど新保先生が言われた中で、例えば提供先の問題についてなどは、試行期間の場合は業界団体、三菱総研は個別かもしれませんけれども、例えば製薬協なんかの場合に、中央団体を通じてしか出せないとするのか、あるいは個別の企業からも認めるのかみたいな話は結構深い問題で、そう簡単に結論が出る話ではないと思いますし、さまざまな方の意見を聞かないといけないと思います。そういう意味では、一応1年をめどにやっていきますけれども、その都度見直していくという形で進めるほうがいいのではないかと思いますが、いかがでしょうかね。

 どうぞ、冨山先生。

○冨山構成員 私も同じように思います。先ほど新保構成員の言ったように、個人情報保護法の部分はやはり非常に気になります。民間活用という国のお考えは理解できるのですけれども、個人情報保護が決まらないうちにこの結論を出すというのは考えられないので、柔軟な対応をお願いしたいと思います。

○山本座長 ほかに御意見はございませんでしょうか。

 どうぞ、石川先生。

○石川構成員 この間、各業界団体の方たちからいろいろと、このような使い方があるというプレゼンテーションを受けたわけですけれども、私なんかからするとイメージが全然湧きませんで、それがさらに定型表あるいは集計表で、そういうものを使ってどういうことができるのか、研究のデザインが全然浮かばないのです。ですから、そういうことも含めて、この試行期間できちんと審議するということをしないと、これがどのように使われるのか自体もわからない。それと、今の個人情報保護の問題もありますので、この間の合意したような方向で実際に研究デザインしてもらって出していただくということでないと、なかなか結論は出ないかなと思います。

○山本座長 ありがとうございます。

 ほかはいかがでしょうか。

 資料で少し、7ページの成果物とはどういうものを意味しているのですか。これは提供する半定型集計表のことを指しているのか、あるいは、集計表を提供したことによっていろいろなレポートが出ると思うのですけれども、白書をつくったりレポートを出したりすることが可能だと思うのですが、そういうものを指しているのか。半定型集計表のことですか。

○加藤(源)補佐 済みません、ちょっと説明が足りなかったかもしれませんが、座長がおっしゃられるとおり、ここで公表としているのは、いわゆる最初に申出を受け付けて、それを半定型集計表にした、その集計表のことを指しています。利用者からのレポート、それから、例えば公開されたもののさらなる利用に関しては、ここでは特に意識はしておりません。

 ただし、模擬申出の期間は、例えば業界団体などで、任意ではありますが、できればユーザー側から、こういうデータは非常に使いやすかったとか、非常に役に立ったとか、役に立たないとかいう意見も集めていただいて、それも有識者会議で議論して、本当にきちんとよりよい形で民間利用を検討する材料にしていけたらなと思っております。先生のおっしゃられる観点で言いますと、半定型集計表より先のものに関しての公表は特に求めるものではございません。

○山本座長 わかりました。

 ほかに御意見はいかがでしょうか。

 今、事務局からの最初の説明にもありましたように、まだ十分ここの有識者会議で合意されていないことに関しましては、この資料の2ページ目で、審査は、ワーキンググループをつくって、有識者会議で提供するかどうかを審議した後、実際に提供するとなると、その提供の仕方をワーキンググループを使って進めていくということ。それから、試行期間の間はワーキンググループと事務局とが協力して定型表をつくっていくことにするということでよろしゅうございますかね。

 その次の3つのレ点ですけれども、申出者の要件は試行期間を通じて検討するということで、いずれもそうですね。試行期間を通じてこれを検討することにさせていただきたいと思いますけれども、それはそれでよろしゅうございますね。

 それでは、8ページのスケジュールに沿って、ただし、試行期間の一番最後は、試行を進めながら検討するというようにさせていただくことで進めてまいりたいと思いますけれども、それはそれでよろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○山本座長 それでは、一応このスケジュール案に沿って進めていくと。ただし、試行期間の後ろで検討することにさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

 それでは、議事の3番目、「レセプト情報・特定健診等情報データの利活用の促進に係る中間とりまとめ(案)について」につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

○佐久間室長 資料3、A4縦紙のホチキスどめのものを御覧ください。

 こちらは、前回、中間とりまとめの項目だけをお示しさせていただいた部分がございますが、それを文章化したものです。これは一昨年から昨年にかけて有識者会議の報告書をまとめていただきまして、それ以降に御議論いただいた中で、特にデータの利活用の促進に係る部分について文章化して整理したという位置づけのものでございます。

 読み上げさせていただきます。

レセプト情報・特定健診等情報データの利活用の促進に係る中間とりまとめ(案)

 

1 背景・経緯

○ レセプトデータ及び特定健診等のデータは、平成21年からレセプト情報・特定健診等情報データベースに収集されており、平成26年2月末時点で、レセプト情報は約72億件、特定健診等情報は約9,000万件が格納されている。

 

○ このデータの利用については、平成20年に施行された「高齢者の医療の確保に関する法律」(以下「高確法」という。)第16条の規定に基づき、医療費適正化計画の作成、実施及び評価に資するため、厚生労働省が一定の事項について、調査及び分析を行うことが定められている。また、この目的以外の目的による利用(以下「第三者提供」という。)については、政策に資する研究等一定の目的を有するもの及び学術研究に資するものであって、公益性が高いものについて、個別審査を経た上でデータを提供することとされており、平成23年度から2年間の試行期間を経て、平成25年度から通常運用しているところである。

 

○ 第三者提供については、これまでに試行期間を含めて23件の提供を行っているところ、順次、これらの研究成果も公表されており、徐々にではあるが、このデータの利活用が進んできている。

 

○ また、レセプト情報・特定健診等情報データの利活用の促進については、平成25年1月にとりまとめた「レセプト情報・特定健診等情報データの第三者提供の在り方に関する報告書」において、オンサイトセンターの設置などデータ利活用の促進策を指摘してきたところ。

 

○ 一方、平成25年6月にまとめられた日本再興戦略等において、「医療の質の向上や研究基盤の強化を進めるため、国が保有するレセプト等データの利活用を促進する。」という指摘があったところ。

 

○ このため、本有識者会議において、レセプト情報・特定健診等情報データの利活用の促進について、利用者及び説明会参加者に対するアンケート、利用者及び民間組織からのヒアリングなどを実施し、議論を重ねてきた。今般、その主要な事項について、中間的にとりまとめたので、報告するものである。

 

2 レセプト情報等の利活用の促進策

(1)事務手続きに係る利便性の向上

○ レセプト情報等の申出に係る必要書類のうち、申出添付書類等については、提供するデータの種類に応じて、手続き及び必要書類の設定を行うべきである。具体的には、サンプリングデータセットのセキュリティ要件の緩和措置に伴い、倫理委員会による承諾書は添付すべきものから削除するなど、申出に必要な書類の整理、簡素化等を行うべきである。

 

○ 申出に必要な書類のうち、所属機関の存在証明等に必要な 様式1 登記事項証明書等の提出については、レセプト情報等のデータの提供は契約に基づくものであることから、契約に当たりそれぞれの存在証明等を確認する必要があるが、これらの書類の準備が非常に困難である場合には、申出者の印鑑証明を、実印が押印された身分証明書等の写しを添えて提出することで代替できることとする。

 

○ サンプリングデータセットの公表物に係る事前確認の手続きについては、現行では、特別抽出と同様に基本的には事務局へ報告し、必要に応じて有識者会議(審査分科会)への報告を行うこととされているが、サンプリングデータセットは探索的研究を認めていることから、公表に際しての事前の確認は原則として事務局のみで行うこととし、特に必要な場合を除き有識者における事前確認は求めないこととする。

 

○ 集計表情報の申出については、現行のガイドラインの規定では事務局の審査の上、有識者会議に報告することとされているが、実際の運用では入念的に有識者会議(審査分科会)における審査を実施しているところである。この取扱いについては、集計表情報から個人を特定することはほぼ不可能であるものの、他データとの照合により、照合したデータの個人が特定される可能性を否定できないことから、これまでの運用のとおり、有識者会議(審査分科会)による審査を行うこととする。

 

○ 研究終了前の新規申出については、現在、原則認めていないところであるが、データ利用中の申出者が、データ分析を一定程度終えている場合には、研究終了前に申出を行えることとし、継続的に利用できるようにすべきである。

 

(2)説明会開催と審査頻度の改善

○ レセプト情報等の第三者提供に係る説明会については、現在、3月及び9月の年2回開催しているところであるが、研究者等への利便性の向上のため、平成26年3月を目処に説明会開催内容のWEBによる提供の準備を進めており、このWEBによる提供に併せて、現在申出者に課している説明会参加義務を緩和し、申出者に要件として求めないこととする。

 

○ また、説明会開催内容のWEBによる提供に併せて、相談事項が常時発生すると想定されることから、研究者等への利便性の向上のため、申出相談を常時受け付け、同時に申出受付期間についても常時とすべきである。

 

○ 審査頻度については、これまでの試行期間で60数件程度、平成25年度も20件程度であることから、当面は現行の審査頻度を維持することとし、今後の申出件数の増加の程度に応じて審査頻度を増やすなど、改善を図っていくことが適当である。

 

(3)厚生労働省内部部局の申出の手続きの簡素化

○ 厚生労働省内部部局からの申出については、これまでガイドラインの規定では有識者会議の審査を省略することができるとされていたものの、実際の運用においては、入念的にすべての申出について有識者会議(審査分科会)の審査を経て行っていたところであるが、これまでの経緯等を踏まえ、今後、厚生労働省内部部局がガイドラインに規定された目的で利用する場合は、有識者会議(審査分科会)の審査を省略する運用を行うこととする。ただし、利用に際しては事務局において、現在行われている有識者会議(審査分科会)における審査と同等の審査を実施するとともに、有識者会議(審査分科会)に申出内容を報告することとする。また、必要に応じて利用の成果についても有識者会議(審査分科会)に報告を行うこととする。

 

○ また、この取扱いを行う上で、ガイドラインで求めている一部の要件については、厚生労働省内部部局に該当しない場合もあることから、今後、厚生労働省内部部局の申出様式を整理していくべきである。

 

○ なお、厚生労働省以外の国の行政機関及び都道府県からの申出については、その申出内容等の確認が一部難しい場合もあることから、引き続き、有識者会議(審査分科会)における審査を実施することとする。

 

3 提供するデータの利便性の向上等

(1)データの利便性の向上

○ 母集団情報、匿名化コード等サンプリングデータセットの基礎情報については、提供を行っていなかったところであるが、研究者からの要望を踏まえ、サンプリングデータセットの基礎情報を提供すべきである。

 

○ サンプリングデータセットの公表基準については、これまで特別抽出における公表基準と同じ基準を適用してきたところであるが、地域情報や希少疾病などの情報を削除した十分に個人特定可能性を低くする処理を施した匿名性の高いデータセットであることに鑑み、現在適用されている公表基準の適用外とすることとする。

 

○ また、サンプリングデータセットについては、探索的研究を認めていることから、公表に際しての事前の確認は原則として事務局のみで行うこととし、特に必要な場合を除き有識者における事前確認は求めないこととする。

 

○ 基本データセットについては、平成25年度厚生科学研究費補助金「汎用性の高いレセプト基本データセット作成に関する研究」(研究代表者医療経済研究機構 満武巨裕)において作成され、17回及び18回有識者会議に報告されたところであり、提供を開始したところである。

 

○ 基本データセットの利用に係る手続き及びセキュリティ要件については、基本的にサンプリングデータセットの手続き及びセキュリティ要件と同等の要件を求めるべきである。なお、基本情報に付加が可能となる基本データセットDについては、そのセキュリティ要件をどこまで求めるかについて、申出内容を個別に審査する必要がある。

 

○ レセプト情報・特定健診等情報データベースは、平成26年度に機器更改することとなっており、現在、新システムの開発・設計が進められているところである。新システムにおいては、オンサイトセンターにおいて研究者等が利用可能な分析ツール等を提供するなど、研究者への利便性の向上に資するものとなっている。新システムにおける対応を含め、引き続き、研究者等への利便性の向上策の推進に努めるべきである。

 

(2)セキュリティ要件の緩和

○ サンプリングデータセットのセキュリティ要件については、これまで特別抽出における要件と同じ要件を適用してきたところであるが、サンプリングデータセットは、地域情報や希少疾病などの情報を削除した十分に個人特定可能性を低くする処理を施した匿名性の高いデータセットであることに鑑み、現在適用されている要件を緩和すべきである。具体的には、サンプリングデータセットを利用する端末については、外部のインターネット等の接続は禁止し、端末の利用者管理(ログ管理)、端末の施錠は実施するが、端末を保管する部屋については、入退室に係る制限などは行わない等の条件とするのが適当である。

 

○ また、集計表情報の利用に係るセキュリティ要件については、これまで明確にされていなかったところであるが、サンプリングデータセットのセキュリティ要件と同様の取扱いとすべきである。

 

(3)データ利用環境の提供

○ オンサイトセンターについては、平成26年度政府予算原案に計上しているところであるが、引き続き、オンサイトセンターの整備を着実に進めていくべきである。なお、オンサイトセンターの整備に当たり、レセプト等情報データベースの機器更改に併せて、引き続き、オンサイトセンターにおけるPPDMPrivacy Preserving Data Minding)について検討を進めていくべきである。

 

(4)データ提供の迅速化

○ レセプト等データの提供に係る作業等については、これまでに事務手続きの煩雑さ、事務審査、集計作業等により一定程度の時間を要していたところであるが、事務手続きの一部を外部に委託するなどの対応を図ってきたところ。また、集計作業についても、一定程度頻繁に用いられるデータセットなどを作成し、集計時間の短縮を図ってきたところ。一方、平成26年度のデータベースの機器更改に当たっては、より処理速度の速い機器が導入され、また、集計時間の短縮が図られる対策が講じられることとなっている。引き続き、確実にデータベースの機器更改の作業を進め、データ提供の迅速化が着実に図られるよう対応すべきである。

 

4 データ利用に係る情報提供、周知及び教育研修体制

(1)データ利用に係る情報提供、周知

○ レセプト等データに係る情報提供については、これまでに、第三者提供に関するガイドライン、マニュアルの作成及び提供、事前説明会資料のWEBによる提供、第三者提供に関する説明会の開催など適宜実施してきたところであるが、引き続き、説明会開催内容のWEBによる提供を含め、必要な施策を実施すべきである。

 

○ また、事前相談については、これまでに事務局で対応してきたところであるが、研究者等からの相談を確実に受けられるよう、第三者提供事務の外部委託による相談体制の強化やオンサイトセンターの整備に伴う相談体制の充実を図っていくべきである。

 

(2)教育研修体制の充実

○ 研究者からの要望のある教育用ツール、教育用データセット等については、現在、それぞれマニュアル、練習用データセットを公開しているところであるが、データ数が少ないなど課題が多いことから、今後、教育用のデータセットを作成し、研究者に提供すべきである。

 

○ また、既利用者の知見を研究者間で共有するため、説明会の開催に併せて既利用者の講演を開催してきたところであるが、研究者の育成等のためにも、引き続き、既利用者の講演、シンポジウムなどの開催を実施すべきである。

 

5 NDBの活用の範囲について(※)

○ NDBの活用の範囲については、民間組織からのヒアリング等を踏まえ、まず集計表情報について、試行的に提供を行うこととする。試行的な提供に当たり、その利用目的については、従来の第三者提供の目的に基づき、個別に審査を行うこととする。また、試行的な提供における集計方法等については、有識者会議にワーキンググループを設置し、専門的な検討を行うなどの方策により実施することとする。

 

○ 試行期間後の集計表情報の提供については、試行的な提供における課題等を踏まえて、申請方法、提供方法等具体的な検討を進めることとする。

 

○ なお、サンプリングデータセット、基本データセット、特別抽出などの個票データの提供については、個人情報に準ずる情報に係る個人情報保護の取扱いについての検討状況や、集計表情報の提供の状況を踏まえ、その必要性等を勘案のうえ、引き続き検討することとする。

 

6 その他(※)

○ 個人情報保護と罰則に係る検討については、平成25年12月に、内閣府において「パーソナルデータ個人情報保護に関する検討会」報告書がとりまとめられたところであり、この報告書を踏まえた行政機関が保有するパーソナルデータの取扱いに係る今後の検討を睨みつつ、引き続き検討を継続する必要がある。

 

○ また、手数料の徴収についても、データ管理及びデータ作成等に係る経費を勘案しつつ、引き続き検討を継続する必要がある

としています。

 長く御説明申し上げましたが、中間とりまとめ(案)は以上でございます。

○山本座長 ありがとうございます。

 この中間とりまとめ(案)につきまして御意見がありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。

○冨山構成員 全体の流れは特に問題ないと思うのですけれども、できればオンサイトセンターのことをもう少し書いていただきたかったと思います。つまり、1枚目の丸ポチの4番目に25年の報告書にオンサイトセンター設置などということが書いてあるのと、あとは3枚目の(3)データ利用環境の提供というところ、その2カ所にオンサイトセンターが書いてあるのですけれども、先ほど言った民間利用等を含めた部分、また、個別データのセキュリティ確保の部分、そういうことを考えた場合、オンサイトセンターは欠かせないと思いますので、やはりここの部分はもう少し詳しく書いてもいいのかなという気がしました。

○山本座長 事務局のほうではいかがですか。

○佐久間室長 書き加えるのは問題ないと思います。具体的にどういう形で強く書き加えるかというところはございますので、もし御意見がありましたら。

○冨山構成員 今後さらにナショナルデータベースの利活用の促進をするに当たって、セキュリティを担保するためにはオンサイトセンター等の設置が必要だと考えらえるとか、そのように何か入れていただいたほうがいいのかなと。

○山本座長 もう少し重要性をちゃんと書いていただけるといいのではないかなと思います。

 ほかはいかがでしょうか。

○新保構成員 細かな文言の修正のみですけれども、「5 その他」のところについて、今回、個人情報保護の罰則の検討については特に入っておりませんでしたので、個人情報の取扱いに係る検討でよいかと思います。

 それから、パーソナルデータの報告書は内閣府ではなくて内閣官房のIT総合戦略本部ですので、IT総合戦略本部の決定として表記をしていただき報告書のタイトルも、こちらも念の為に御確認をいただいたほうがよいかと思います。

 以上です。

○山本座長 報告書ではなくて、制度見直し方針というタイトルで本部決定されたように思いますね。技術検討ワーキングの報告書はあるのですけれども。

 ほかはいかがでしょうか。

 もう提供も60件ほど進めてきて、一部は成果が出ていると思うのですけれども、最近私はレセプト情報等の提供に関するホームページをチェックしていなかったのですが、成果に関するリンクといいますか、そういうものは大分充実してきているのでしょうか。

○佐久間室長 成果に関することは、有識者会議の場で何回か前に御報告させていただいた部分があるのですが、そこの部分だけで、今、ウエブによる提供はしてございません。

○山本座長 もちろん成果は出された方の了承が要ると思いますけれども、可能であれば、やはりこのデータベースがこんなに役立っているということをぜひ皆さんに知っておいてもらうことが大事だと思います。整備をお願いしたいということがここには書かれていないのですが、これも多分大事な利活用促進だと思いますので、あればいいのですけれども、お願いします。

 ほかはいかがでしょうか。

 どうぞ、宮島構成員。

○宮島構成員 しばらく欠席している間に物すごく議論が進んだなと思います。

 直してほしいというよりは今後の議論だと思うのですけれども、サンプルデータとか基本データセットをつくるのに、ある程度国のコストとか負荷がかかると思うのですが、一つは、一体どのぐらい国に実際キャパがあって、どのぐらいかけるつもりなのか。国のお金というのは結局は国民のお金でもあるので、どのぐらいのものをやっていくのかということは今後の一つの課題かなと思います。

 そういう意味では、4の最後の丸ポツで、言葉を加えるほどのこともないのですけれども、特に必要性の部分が、ニーズがあるからといって、単に民間企業にとってやってもらえば楽だからサンプルデータをつくってくださいとなって、それで国にコストがかかって、その成果物が国民から見てよく見えないという状況だと、なかなか納得が得られないと思います。文言を変えるとしたら、例えばこの「必要性等」のところを「必要性や意義」とするなど、変えていただくのがいいと思います。ここから先は、かけるコストに対して、石川さんもさっきおっしゃったように、私も成果物が頭の中で余りうまく浮かばない部分もありまして、国民が納得できるようなちゃんとした成果を挙げながら、それに適切な労力とお金をかけていくという検討をこれからもしていくのがいいのかなと思います。

○山本座長 ありがとうございます。大変重要な視点ですね。

 何か事務局からございますでしょうか。よろしいですか。

 ほかはいかがでしょうか。

 どうぞ。

○近藤構成員 余り本題に関係ないかもしれないですけれども、急に「その他」の中で手数料徴収の話がぽんと出てきたのですが、これは余り議論されていなかったと思うのです。まとめの中で入れるということは、何か方向性というか考え方があったのかと思いまして、ちょっとその辺をお聞きしたい。

○佐久間室長 昨年、有識者会議の報告書をおまとめいただいて、その中で手数料について検討することになっています。今回、試行期間でありますけれども、民間に提供するということでございまして、集計表をまずということでございますけれども、そういったようなところと、先ほど宮島構成員がおっしゃったようなコストとの関係がかかわってくる可能性があるので、今回の中間まとめ、報告書ではないのですけれども、この中に一文記載させていただいたということでございます。

○山本座長 どうぞ。

○近藤構成員 そうすると、例えば先ほど宮島構成員も言われましたけれども、公益性とか公平性と手数料という考え方がバーターになるというか、手数料さえ払えばというような形にならないように今後検討していただければいいかと思います。これは意見だけです。

○山本座長 ありがとうございます。

 あくまでも手数料といいますか、実際の工数といいますか、そういうことだと思うのです。これはこの有識者会議が始まった時点から実はずっと議論されていて、例えば研究目的であったとしても、いろいろな場合に一定の負担があるのは当然なので、申し込むだけでただというのは実はそんなにないことですので、その辺も含めて検討を。ただ、そのためには、ここには余り書かれていませんけれども、今の高齢者の医療の確保に関する法律だけをベースに運用していると、なかなか難しいことになろうかと思うのです。

 ほかはいかがでしょうか。

 どうぞ、新保先生。

○新保構成員 確かに手数料について今まで詳細に検討は、今の段階ではしていなかったと思うのですけれども、この件について、従来から情報公開等の関係では、情報公開制度では300円という、単に請求の手数料になりますが、医療分野で従来から問題となってきたところとしては、実費をどこまで徴収するかということが問題となっております。例えばカルテの開示などについて、レントゲン写真などがある場合に、それをそのまま開示できない場合に複製を作成することについて、かなり実費を要するような場合について、法律では実費を勘案してと書かれておりますので、この実費については、どこまで実費かということについて従来から議論がなされております。実費徴収となりますと、場合によっては非常に高額の実費請求されることもございますので、この点については、手数料、それから実費を勘案した場合の開示に係る手数料という、事務手数料と実費の部分を分けて検討することが今後必要だと思います。

○山本座長 ありがとうございます。

 ほかはいかがでしょうか。

 どうぞ。

○猪口構成員 きょう議論されたようなDPCデータの利活用については触れないわけですか。

○佐久間室長 今回はあくまでもNDBデータの利活用という形でまとめておりますので、今回は入れておりません。本日議論されて、今後、このように方向性が一定程度決まっておりますので、必要であれば、そこの部分を含めて書き加えることは可能でございます。

○猪口構成員 DPCデータが欲しいというのはいろいろな研究者からも非常に出ていますので、少し触れておいたほうが、まだすぐではないけれども出ていくのだなというのがわかったほうがいいかなと思います。

○山本座長 DPCの場合は、まずデータベースをつくらないといけないですね。今は完全に外出しなので、ないのです。

 ほかはいかがでしょうか。よろしゅうございますか。

 それでは、「その他」のところの文言というか名前の確認と、可能であればDPCの今の検討について少し書き加えていただくということで、これを今年度末、我々の中間とりまとめとさせていただいてよろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)

○山本座長 それでは、そのようにさせていただきます。ありがとうございました。

 あとは「その他」ですけれども、事務局のほうで何かございますでしょうか。

○佐久間室長 特にはございませんけれども、スケジュールでございます。資料が資料2の最後になってしまっているのですが、資料2の一番最後のページを御覧ください。

 今回、「その他:今後の予定について」ということで、本日、有識者会議を開催させていただいてございます。先ほど試行期間のほうで御説明申し上げたとおり、4月にワーキンググループを立ち上げるための準備をしていきますので、おおむね6月前後に第21回有識者会議と第3回審査分科会を開催します。可能であれば9月ごろに第4回有識者会議審査分科会ということで、一応こういうスケジュールを予定してございますけれども、一方で、その他必要に応じ検討事項の追加の可能性がありますので、場合によっては臨時で開催することもあり得るということだけ申し上げたいと思います。

 以上でございます。

○山本座長 ありがとうございました。

 それでは、これで本日の議事は全て終了でございます。御協力ありがとうございました。1部の分科会からいらっしゃる方は、朝からずっとで大変お疲れさまでございました。これで本日は閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。


(了)

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