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2014年1月10日 第2回保育所における屋外階段設置要件に関する検討会議事録

雇用均等・児童家庭局保育課

○日時

平成26年1月10日(金)16:00~18:00


○場所

厚生労働省12階 専用第12会議室


○出席者

メンバー

萩原一郎 氏 (独立行政法人建築研究所 防火研究グループ長)
佐野友紀 氏 (早稲田大学人間科学学術院 准教授)
高橋 紘 氏 (社会福祉法人至誠学舎立川 至誠第二保育園顧問、同法人保育事業本部事務局長、至誠保育総合研究所長)
古川容子 氏 (一般財団法人日本建築センター 評定部 設備防災課長代理)
町田直樹 氏 (東京都福祉保健局 少子社会対策部 保育支援課 保育計画係長)
山田常圭 氏(消防庁消防研究センター 技術研究部長)

オブザーバー

守谷専門官 (総務省 消防庁予防課)
野原課長補佐(国土交通省 住宅局建築指導課)

事務局

橋本保育課長、南幼保連携推進室長、堀保育課長補佐、馬場保育指導専門官

○議題

(1)保育所における屋外階段設置要件(見直し案)について
(2)保育室等を高層階に設置するに当たって留意すべき事項(案)について
(3)その他

○議事

○萩原座長

 定刻となりましたので、第 2 回「保育所における屋外階段設置要件に関する検討会」を開始いたします。

 本日は、お忙しい中をお集まりいただき、ありがとうございました。出欠の確認ですが、野原さんは出席予定ですね。

 

○堀課長補佐

 はい。少し遅れておられるようです。

 

○萩原座長

 前回は山田さんが御欠席でしたので、一言、御挨拶をいただければと思います。

 

○山田部長

 消防庁で技術研究部長をしております山田と申します。よろしくお願いいたします。

 

○萩原座長

 よろしくお願いいたします。今日は、守谷さんが途中で退席されるということですので、よろしくお願いいたします。

 まず、資料の確認をお願いします。大きくは二つありまして、横使いの「保育所における屋外階段設置要件について(見直し案 ) 」、もう一つは参考資料で、関係条文等の抜粋です。この 2 点でございます。漏れ等がありましたら、事務局までご連絡ください。よろしいでしょうか。

 それでは、議事次第に従って議事を進めさせていただきたいと思います。今回は、前回の議論を踏まえて「保育所における屋外階段の設置要件に関する見直し案」と高層階に保育室等を設置する件について少し議論がありましたので、その際に留意すべき点について御議論いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 事務局から、資料の説明をお願いいたします。

 

○堀課長補佐

 それでは、私から横長の「保育所における屋外階段設置要件について ( 見直し案 ) 」という資料について、主に説明をさせていただきたいと思います。資料の 1 6 ページ目までは前回お配りした資料でございますが、おさらいをさせていただきます。 6 ページ目でございますが、前回「見直しの検討」ということで、 4 階以上に保育室等を設置する場合に、避難用として屋外避難階段のみが認められておりますが、これと同等の安全性を有するものとして、どのようなものが認められるかということで御議論いただいたところでございます。

 特に、 3 階に保育室等を設置する場合に認められている以下の傾斜路等、特別避難階段に準じた屋内避難階段、特別避難階段といったものについて認められるかどうかということについて御議論いただいたところでございます。

7 ページをお開きいただければと思います。前回の検討会におけます主な意見を要約したものでございます。○1として「基準の見直し関係」ということでまとめさせていただいております。いろいろな意見が出たところでございますけれども、高層の場合でも安全を確保できる手立てがあれば、屋外避難階段である必要はないのではないかというご意見や、一般的には特別避難階段の方が安全性は高いけれども、特別避難階段であれば、煙の侵入を防止できるので良いのではないかという御意見がございました。

 それから、どういった階段がついているかについては、消防法上では特段の影響はない。屋外階段は、煙がすぐに排出されるという利点があり、階段の中が煙に侵されるということがないのが利点である。避難に防火扉が破られるほどの時間がかからないのであれば、屋外階段でなくてもよいのではないかという御意見がございました。

 また、屋外階段は、外からどういう状況かが分かりやすく消防の対応がしやすい一方で、出火場所によっては煙をかぶってしまうこともあり、使いづらくなるということもある。状況によっては特別避難階段の方が煙に対する安全性は高いという御意見がございました。

 また、特別避難階段に準じた屋内避難階段及び特別避難階段は、階段室の前に付室等があるので、少なくとも階段の直前に安全な区画があるということになる。

 また、廊下と保育室の間の防煙区画が完全に閉鎖されているかどうか分からない状況だと、煙が漏れてくる可能性もある。そういうことを考えると、階段室前に付室等があるようなものになっていれば安心であるということでございました。

 屋外階段のデメリットといたしまして、実際には風、雨、雪などの影響を受けて避難に使えない。あるいは、子どもたちが恐怖心を覚える場合があるので避難に使えないということであれば、有効に活用されない可能性があるのではないかという御意見がございました。

 それから、傾斜路等についての御意見として三つ挙げさせていただいています。まず、傾斜路 ( スロープ ) については、火災時のバリアフリーの観点から推奨されていたり、高齢者福祉施設において、避難用にバルコニーや傾斜路を使うことが推奨されたりしているものがあるということでございました。また、傾斜路等の「等」である「滑り台」については、物理的には安全に下りられるようなものになっていたとしても、子どもたちが恐怖心を感じずに安全に避難できるのかといった観点で問題があるのではないか。あるいは、誰かが常についていないといけないし、一人が滑り終わるまで待っていないといけないために時間が 3 4 倍かかり、特に高層階においてはあまり現実的ではないといった御意見がございました。

 以上を踏まえまして、 8 ページでございますけれども「認可保育所の設備運営基準についての見直し案」でございます。同等の安全性を有するものとして、どういったものが認められるかということでございます。「 4 階以上」の避難用のところでございますけれども、 3 階に保育室等を設置する場合に認められている施設・設備のうち、傾斜路等の「等」 ( 非常用滑り台 ) を除いた上で、以下のような案について検討してはどうかということで、二つの案を記載させていただいております。一つは、傾斜路と特別避難階段に準じた屋内避難階段又は特別避難階段を加える案。「又は」といたしまして、傾斜路と特別避難階段を加える案について御議論いただいてはどうかということでお出ししているものでございます。

 続きまして、 9 ページ目は「第 1 回検討会における主な意見」の○2といたしまして、そもそも保育室等を高層階に設置することについてどう考えるかといった御意見がございました。それを安全にするためには、どういうことが必要かを考える必要があるのではないかという御意見。

 また、高層階への保育室等の設置ということについては、前回の平成 14 年の見直しの際にも、外に出られるまでの時間ということも考慮して、あまり規定は見直さないということもあったように思うので、そういった面での検討も必要ではないかといったご意見。

 それから、現状では屋外階段を 4 階以上に設置することが難しいために、高層階に保育室等を設置しづらい状況となっているが、基準を見直すことによって、何階まででも無制限につくれるようになる可能性がある。 4 階以上の非常に高層の階での避難を考慮して、保育室等がどこにあっても安全になるような対策が必要になるのではないかといった御意見がございました。

 そういった御意見も踏まえまして、○3として「保育室等を高層階に設置するに当たって留意すべき事項」としてまとめております。 1 番目といたしまして、保育園等では通常、クラス別に保育士が介助し避難誘導し、避難中も人数確認が必要であるため、その分避難時間が長くなることを十分考慮に入れる必要がある。また、保育士の人数の基準に基づいた避難計画の事前検討が必要であるということです。

 また、子どもが慣れている日常動線による避難が望ましい。日常的に利用しない避難階段の使用に対する配慮として、避難訓練をして子どもが階段に慣れておくこと、子どもが使いやすい手摺りの設置や階段の蹴上げを低くすること、下が見えないように素通しを防止することなどが必要ではないかといった御意見がございました。

 また、避難遅れを考慮して、水平避難方法や安全に区画された場所を用意して、そこまで逃げるというような方法。あるいは、非常用エレベーターによる救助・利用を考慮に入れた検討が必要という御意見がございました。

 高層ビルの場合、特に自力避難する中で最も能力の低い 2 歳児は、一層下りるだけでも難しいので、何層も下ろしていくのは現実的には難しい。保育士の指示にも従わない場合もあるので、人手が必要になる。一層か二層下ろしたら、安全なところへ避難できるようにするか、階段室に入ってしまえばあとはゆっくり避難できるという状況が必要ということでございました。

 また、複合ビルの場合、途中階の場合には、他の階からの人の合流により安全性に問題が生じる可能性があるといった御指摘がございました。

10 ページ目に続きますが、高層階では合流の問題があるため、別経路をつくるか、時間をずらす必要がある。その場合に子どもたちを先にするのか、大人を先にするのか考える必要があるが、子どもたちを先にすると多くの人たちが避難するのに時間がかかるので現実的ではない。そのため、子どもたちが安全な場所で出火階かその下の階で待機することが考えられる。そのような火災や煙、熱から守られる場所をつくることが一つの方法として考えられる。ただし、その場合、子どもたちが後から逃げるということに対する社会的・心理的影響をどう考えるかが問題であるということでございました。

 また、出火場所から安全区画と呼ばれる廊下や階段室に煙が入ってくるまでに避難が完了することが求められる。その時間は階全体および部屋の広さや天井の高さによって変わってくるということ。

 また、乳児 (0 1 ) の場合は抱っこ・おんぶ等の移動の準備に時間がかかる。幼児 (2 5 ) の場合は保育士等の介助が必要で、集合、確認などの準備時間を要する。避難を始めてからも、ふらふらするなど真っすぐ行ってくれないので時間がかかる。その階からの避難ということで、階段室に全員が入るまでには 5 10 分以内に収めたいという御意見でございました。

 また、訓練において、階段室の防火区画が破られるほどの時間はかかっていないが、階段内の混雑により階段室の前での待機の時間が長くなってしまっている。階段室の安全性とともに、階段室の前に安全な空間が必要であるという御指摘がございました。

 最後に、保育所ではお昼寝の時間があり、かなり深く眠ってしまうので、お昼寝の時間に何かあったときには昼寝中から昼寝明けの一定の時間帯までは避難がより大変になるので留意が必要という御意見がございました。

 ○4「その他」といたしまして、認可外保育施設の関係と地下に保育室を設置する場合の関係の話がございましたので、まとめております。認可外保育施設の場合、開設された後に届出を受けることになるので、安全性の確保について配慮が行き届きにくい。ある程度明確な基準が示されるとよいといった御意見。

 認可外保育施設については、避難上安全でないような場合でも、消防法令上違反とまではいえないケースで届出がされている施設があり、消防署の指導にも限界があるといった御意見。

 また、 10 年前の議論では認可の基準と認可外の基準とがあって、認可外の基準にも満たないものは事業をやめてもらうという整理をした。また、どういうものが危ないかということを広く一般の人が知ることが大事という御意見がございました。

 また、児童福祉施設の設備運営基準には保育室等を地下階に設置する場合の規定がないが、地下階に設置したいという事業者側の希望があり、基準が設けられると指導がしやすいといった御意見があったところでございます。

 こういったことを踏まえまして、 11 ページ目でございます。認可外保育施設に対する指導監督につきましては「認可外保育施設に対する指導監督の実施について」という通知によって行われておりまして、この中に認可外保育施設指導監督基準が定められているところでございます。参考資料をご覧いただければと思います。 26 ページ目から「認可外保育施設に対する指導監督の実施について」といったものを載せておりまして、 31 ページに「認可外保育施設指導監督基準」が記されているところでございます。

 ページをめくっていただきますと、最後の 36 ページ・ 37 ページに「認可保育所と認可外保育施設の設置基準等について」ということで比較表を載せさせていただいているところでございます。もともと認可保育所につきましては認可権者の認可を受けて設置するということで、それに対して運営費の補助ですとか、施設整備の補助といったものが支弁されるといったものになってございます。一方の認可外保育施設につきましては、届出をして運営していくということで、基本的には自前で運営していくといった大きな違いがあるところでございます。

 それぞれの認可の基準あるいは指導監督の基準につきまして「職員」のところをご覧いただきますと、認可保育所につきましては配置基準が決まっておりまして、職員は保育士のみとなっております。認可外保育施設につきましては、 11 時間については最低基準に規定する数以上、 11 時間を超えるところにつきましては児童が 1 人である場合を除き、常時 2 人以上の配置が必要とされておりますけれども、その保育者につきましては 3 分の 1 以上が保育士又は看護師となっているところでございます。

 また、「設備」につきましては、認可保育所は 2 歳未満は乳児室 1.65平方メートル ですとか、ほふく室 3.3平方メートル 以上、 2 歳以上は保育室又は遊戯室 1.98平方メートル 以上などといったことが規定されていますけれども、認可外保育施設につきましては保育室 1.65平方メートル 以上となっているものでございます。

 また、「非常災害に対する処置」といたしましては、基本的に同様の規定がされているところでございます。

 現在、議論していただいております「保育室等を 2 階以上に設ける場合の条件」ということで、左右を比べていただきますと、保育室等を 2 階以上に設ける場合に避難階段の基準が「常用」と「避難用」で、「避難用」のところが少し異なっているところでございます。認可外保育施設につきましては「屋内避難階段又は特別避難階段」とされているところが認可保育所につきましては「特別避難階段に準じた屋内避難階段又は特別避難階段」ということで、より高い基準になっている。 3 階以上のところも同様の基準になっているところでございます。認可外保育施設につきましても建築基準法の上乗せになっておりますが、認可保育所についてはさらに上乗せがされているといった基準になっているということでございます。次の 37 ページ目をご覧いただければと思います。 4 階以上の部分につきましては、階段の基準は基本的に同じということになっているところでございます。

 「児童の処遇」については、認可保育所は保育所保育指針に従うとされておりまして、認可外保育施設は保育所保育指針に準じた形となっているところでございます。

 「運営費等」では、先ほど申し上げたように認可保育所につきましては国あるいは地方自治体からの保育所運営費の支弁の対象となっておりまして、施設整備費等の補助もあるということで、認可外保育施設につきましては原則として保護者からの保育料で運営しておりまして、施設整備費等の補助もないということでございます。

 「施設数」といたしましては、認可保育所が今は 2 4,000 か所、利用児童数が 220 万人ほどということで、認可外保育施設につきましては施設数が 7,740 か所、入所児童数が 18 4,959 人となっているところでございます。

 注書きといたしまして、これは認可外保育施設指導監督基準にも記載があるものでございますけれども、指導監督基準の趣旨としましては劣悪な認可外保育施設を排除するためのものであって、当該基準に適合する認可外保育施設であっても保育所の児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を満たすことが望ましいと記載されているところでございます。

 以上が認可保育所と認可外保育施設の違いといったものでございまして、これを踏まえまして資料の 11 ページでございます。当該基準におけます保育室を 4 階以上に設ける場合の条件についてどのように考えるかということで、認可外保育施設の指導監督基準では、現行でも 4 階以上のところは同じ基準になっているわけでございますけれども、これも踏まえまして「避難用」のところにつきましては屋外避難階段に加えて二案を記載させていただいているところでございます。これは認可保育所と同様に考えてはどうかということで、傾斜路と特別避難階段に準じた屋内避難階段又は特別避難階段。又は、傾斜路と特別避難階段を加えるといった案で記載させていただいております。これにつきまして御議論いただければと考えているところでございます。

 次の 12 ページ、 13 ページは「保育室等を地階に設置する場合に関係する建築基準法による規制」ということでございます。児童福祉法上は地下階に設置する場合の上乗せの基準は特段ないわけでございますので、地下に設置する場合には、 12 ページにあるような居室の採光及び換気といった規定や、 13 ページの二方向避難、直通階段の設置といった規定が適用になるということで御紹介させていただければと思います。

 次の 14 ページは「保育室等を高層階に設置するに当たって留意すべき事項」ということで、先ほど御紹介いたしましたけれども前回の検討会でいただきました御意見をまとめさせていただいております。基準の見直しに当たりましては厚生労働省令を改正することになりますけれども、それとともに各自治体にも改正の通知を送ることが通常でございます。その通知に「保育室等を高層階に設置するに当たって留意すべき事項」といったものを記載してお知らせする。また、これを保育所等にも伝えていただいて、これを踏まえて避難訓練等を実施していただくということも考えられるところでございます。

1 3 番がございますが、まず 1 番は高層階に設置する場合に共通のものでございますけれども「災害への備えと避難訓練の実施」ということで、○1につきましては保育所保育指針にも記載されていることでございますが、火災や地震等の災害発生に備え、避難訓練計画や職員の役割分担の確認、緊急時の対応等についてマニュアルを作成し、その周知を図ること。○2としまして、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準においては、避難及び消火に対する訓練は、少なくとも毎月 1 回は行わなければならないとされており、各地方自治体の条例に基づき、定期的に避難及び消火に対する訓練を確実に実施することとさせていただいております。

2 番目といたしまして「避難訓練実施に当たっての留意点」ということで、 (1) では共通的な事項を、 (2) では「保育所を高層階に設置する場合の留意点」ということで分けてまとめております。

 まず、 (1) の共通事項の○1といたしましては、「避難訓練計画を策定するに当たっては、実際に火災や地震等が起こった場合を想定するとともに、実際の保育士人数に基づいた実用性の高いものとすること。その際、通常、保育所においてはクラス別 ( 日常的に保育を行っている単位別 ) に保育士が介助し、避難誘導を行い、避難中の人数確認も必要であるため、その分避難時間が長くなること。また、お昼寝の時間帯は特に避難に時間がかかることに留意すること」とさせていただいております。○2といたしまして、「避難訓練を実施する際には、園児及び保育士等が実際に避難に利用するルートを使って訓練を行うとともに、消防署や近隣の地域住民、同じビルの他の入居者や家庭との連携の下に行うこと」が必要であるといったことでございます。○3といたしまして、「避難経路については、乳幼児が慣れている日常動線による避難が望ましく、通常は使わない非常用階段の利用についても日ごろの訓練等を通じて慣れておくこと。また、高層階の場合には、非常用エレベーターによる救助・利用を考慮に入れて避難計画の検討を行う必要がある」といったことを記載させていただいております。

(2) といたしまして「保育所を高層階に設置する場合の留意点」ということでございます。先ほどの御意見の中にございましたけれども、高層階・複合ビルの場合、階段室等において他の入居者と合流し、迅速な避難が妨げられる可能性があることから、以下の点に留意することとさせていただいております。○1といたしまして、まずは「避難経路の確保に当たっての留意点」ということで、イ「当該建物内において乳幼児が安全に待避し、外部からの救助を待つことができるスペースを確保し、事前に把握するとともに、当該スペースでの待避を想定した避難訓練を実施しておくこと」。ロとして「複合ビルの場合には他の入居者と別の階段が使えるようにしておくなど、乳幼児が安全に避難できる階段を事前に確認しておくこと」などに留意していただきたいということでございます。

 また、○2といたしまして「避難の際の留意点」でございます。まず、先ほども出ていましたけれども「近隣の地域住民や同じビルの他の入居者と連携し、円滑な避難ができるようにすること。特に、近隣の地域住民や同じビルの他の入居者と乳幼児が日ごろから顔見知りになっておくと円滑な避難ができる」ということでございます。また、「年齢の高い乳幼児から避難させることが円滑な避難につながる。特に、階段室の手前で乳幼児が滞留してしまわないようにすることが必要である」と記載させていただいております。

3 番目がハード面に関する「階段設置に関する留意点」ということで、二つ挙げさせていただいております。○1といたしまして「乳幼児が安全かつ円滑に降りることができるように、階段室の手すりの高さや大きさ、階段の蹴上げの高さ等に留意するとともに、乳幼児が恐怖心を覚えないよう、下が見えないように素通し防止を図ることが望ましい」ということでございます。

 ○2といたしまして「特別避難階段に準じた屋内避難階段」につきましても、バルコニー又は外気に向かって開くことができる窓もしくは排煙設備を有する付室を通じて屋内と階段室とを連絡することにより、乳幼児が一定時間待避できるようにすることが望ましいと記載させていただいているところでございます。

 以上、長くなりましたけれども資料の説明とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 

○萩原座長

 ありがとうございました。それでは、ただ今の説明について御意見・御質問をいただければと思います。御意見については、大きく分けて前半の「認可保育所または認可外保育施設の基準の見直しに関するもの」と、もう一つは「高層階に保育室等を設置するに当たって留意すべき事項」という二つに分かれるかと思います。

 できれば順番に質疑を行いたいので、まずは認可保育所あるいは認可外保育施設の基準についての御意見から伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○山田部長

 前回説明があったのではないかと思いますが、今回の変更の中で「特別避難階段に準じた屋内避難階段」という形で 14 ページにも書かれていますけれども、これの定義というのは、ここに書いてあるような内容ということでよろしいのでしょうか。それとも、別途どこかで定義されているのでしょうか。

 

○堀課長補佐

 「特別避難階段に準じた屋内避難階段」については、 6 ページの○2の ( ) に記載されておりまして、ここにイコールで結ばれているのは、実際の児童福祉法の厚生労働省令に定められている 3 階部分の規定でございますけれども、「建築基準法施行令第百二十三条第一項各号に規定する構造の屋内階段 ( ただし、当該階段の構造は、建築物の一階から三階までの部分に限り、屋内と階段室とは、バルコニー又は付室を通じて連絡することとし、かつ、同条第三項第二号、第三号及び第九号を満たすものとする ) 」とされています。

 参考までに、後ろの 15 ページの下の方に建築基準法施行令第百二十三条の規定がございますけれども、この第一項の屋内避難階段に「バルコニー又は付室を通じて連絡する」とし、かつ、同条第三項第二号、第三号及び第九号という 16 ページにございます規定を準用することになっているものでございます。

 

○萩原座長

 ほとんど特別避難階段の構造だけれども、排煙がついていないのと。

 

○山田部長

 屋外のバルコニー等を利用していますよね。

 

○萩原座長

 本当だったら階全部をそうしないといけないのだけれども、 3 階までやっておけばよい。使うところだけをやっていればよい。平成 14 年の改正のときにそういうものを認めましょうと。そのように改正した。それを今回も使おうと。

 

(野原補佐入室)

 

○萩原座長

 野原さんも前回欠席なので一言、御挨拶をお願いします。

 

○野原課長補佐(国土交通省 )

 国土交通省住宅局建築指導課の野原と申します。建築基準法の中の防火避難の規定の仕事をさせていただいています。どうぞよろしくお願いします。

 

○萩原座長

 ちょうど今、事務局からの説明が一通り終わったところで、質疑に入ったところです。

 

○佐野准教授

 今の特別避難階段に準じた屋内避難階段についての質問ですけれど、こちらでは 1 3 階までという形で 3 階までを対象にされているわけですが、今回は 4 階以上を対象にするということで、これはその階まで全てを対象にするということでよろしいかというのが 1 点。

 それから、いわゆる特別避難階段と今言った「準じた」というものとの違いというのは排煙設備だと思いますが、排煙をとるということはかなり安全性が高まるということがあると思いますが、その辺りについて「準じた」というものの考え方を少し高めたり、そういう考え方というのがあり得るのかどうかということをお伺いしたいのですが、いかがでしょうか。

 

○萩原座長

 「あり得る」というのは、どういうことを聞きたいのですか。

 

○佐野准教授

 例えば「特別避難階段相当のもの」ではないけれども排煙をとるというような、これは付室ですから排煙のないものということになりますが、排煙のあるようなものというのもあり得る。つまり、特別避難階段相当のものがそこの階まで上がっているというような、つまり、もう一つの案の方では「特別避難階段」と書いてありましたけれども、これは逆に申し上げるとその当該階まででよいのか。その上までいくのかというところもお伺いしたいところです。

 

○堀課長補佐

 その点も御議論いただければと思いますけれども、 3 階の規定に準じるとすれば保育室等のある当該階までそういった階段の構造が必要になるということではないかと思います。ただ、今の高層階に設置する場合の留意点などを考えると、例えば上下何階という考え方があるのかどうか。ここは御意見をいただければと思います。

 

○佐野准教授

 分かりました。

 

○萩原座長

 まさに御意見をいただきたいところです。以前は 3 階までだったので 3 階にしか保育所がなくても 3 階までやってくださいねということだけれども、特別避難階段が義務付けられるのは 15 階以上だから、そこまで 1 階から前室を設けろというのかというのは少し考える必要があるかもしれません。

 

○佐野准教授

 そうしますと、特別避難階段に準じた屋内階段と特別避難階段の間に、仮に考えるとすると、もう一つ段階があるようなことも考えられて、単純に排煙設備で排煙をとるということですけれども、つまり当該階まで排煙設備をとったものにする。あるいは、もう 1 点は排煙設備のとり方が特別避難階段であれば専用の排煙をとらないといけないと思いますが、そうではなくて部分的に他の部分と兼用排煙をとるとか。そういうことも段階としてはあり得ると思いますが、そういうことも踏まえて三つのレベルがあるのではないかというのが一つの提案です。どれにしたらよいかというのは、また議論かと思います。

 

○萩原座長

 「特別避難階段に準じた屋内階段」というのは考え方を示しているだけであって、具体的にどういうものであればよいかというのは、先ほど言った 6 ページのものは前の見直しのときに用意しましたけれども、これと同じレベルのものを今回も用意しなければいけないのですか。ある程度こういうものを幾つか用意しないと、実際には判断しにくい。

 

○堀課長補佐

 先ほどご紹介しました 6 ページの規定は「バルコニー又は付室を通じて連絡することとし」ということと第二号、第三号、第九号を満たすということで特別避難階段の規定の第一号は満たさなくてもよい、排煙設備がなくてもよいということになっていますので、そこは恐らく前回の議論の中ではそういったことまでは求めないということだったのではないかと思います。ですので、今回の検討でそういったものまで求めるということであれば、特別避難階段に準じた屋内避難階段というのもいろいろなタイプがあり得るということではないかと思いますが、そういったことも含めて検討課題だと思っております。第一号を準用すると特別避難階段と特別避難階段に準じた屋内避難階段はどこが違ってくるのかというところについて、もし分かれば御教示いただければと思います。

 

○山田部長

 例えば、もし設計者がこれをうまく解釈してやると、最近あまり使われていないのですが階段室だけ加圧して煙が入らないようにするタイプのものがあるのですが、それなりに安全性というのがあって設置もしやすいのですが、今までは制度上の問題があって使われていない。そういったものもよしとするかどうかを考えないといけないです。逆に、そういうものによって圧力が高まって、子どもが扉を開けられないという問題も含めて、設計者として非常にやりやすいというところでは階段室加圧タイプのものがあって、ぜひ認めてほしいという要望が出てくるのではないかという気がします。

 

○萩原座長

 多分、特別避難階段に準じた屋内避難階段という仕様をバシッと決めてしまって、それ以外は駄目ということにしてしまうと少し困ることがあるかもしれないということです。その辺は運用ができるのですか。

 多分、階段に煙を入れない仕掛けは幾つかあって、建築基準法の方で性能を評価してもらってオーケーになるようなものはあるけれども、そういうものであってもよしとすればよいのではないかとは思います。

 

○橋本保育課長

 恐らく今おっしゃっていただいていたような加圧式のものを仮に認めるということであるとすれば、今回の 8 ページに示している見直し案の中に一つの選択肢として書いておかないと、恐らくここに挙がっているもののいずれかということになってくるので、運用だけというわけにはいきにくいのではないかと思います。

 

○萩原座長

 加圧したものは特別避難階段の構造に合致していますか。合致していないですよね。細かい話になってしまいますが。要するに加圧をした建物の中に保育所をつけようとしたら、これに適合していると読めるのだろうか。

 

○古川課長代理

 建築基準法との関係だけでいえば、避難安全検証をやるといったやり方でクリアすることはできるのですが、そこを法文として第百二十三条を引っ張ってくるのか。それとも、第百二十三条に書いてあることをやり方として書いておくのか。法令なのかどうなのかというところで、そこは少し違ってきます。

 

○萩原座長

 だから、ここで引っ張ってしまうと合わないですよね。

 

○古川課長代理

 そうなのです。だから、私は基本的には、なぜそこを「準じたもの」にしなければいけないのかというところを、むしろ説明として追記した方が良いのではないかと思っています。なぜかというと、煙を入れたくないからであって。なぜ煙が入ってはいけないかというと、そこは子どもたちが長い間待つ可能性がある空間だからというところだと思いますが、前のものと変わってしまうとは思いますが、この書き方で建築基準法のことを何も知らない人が見たときに、特別避難階段に準じた階段は、なぜそうしなければいけないのかが多分分からないと思います。だから、ここに書くのか後ろの留意すべき事項なのか分かりませんが、精神論というか、そこをきちんとしておいて、とにかく安全に待つ空間をつくるということで、安全に待つためには煙が入ってはいけないのだということをまず押さえておいた上で、その中の選択肢としては加圧もあるかもしれないし、普通の排煙設備もあるかもしれないということではないかと思います。

 

○萩原座長

 考え方は正しいと思いますが、認可するかどうかという事務手続きをしている人にそこまで求めるのは厳しいので、告示に合っているか。または、性能評価を受けている避難安全検証の評価を受けていることとしなければ無理ではないかと思います。保育所を認可するのに建物全体のことを面倒みてくれといわれても大変ではないかと思います。

 

○古川課長代理

 そうですね。もう一つ考え方として、当該階までなのかどうなのかという話に関しては、当該階出火であれば確かにそこの付室だけ排煙をとっておけばよいのですが、階段を安全に守るという趣旨からいくと、例えば他の階で出火したときに階段室に煙が入りにくくなるという意味では、他の階も全部前室があって、願わくば全部排煙があった方が、より安全になることは確かだと思います。そのリスクをどこまで考えるかで、基本的に階段室は縦穴区画なので遮煙性能がついた扉が基本はついていると思いますので、そこがあって、さらにもう一つ空間があって、そこにも扉があってということであれば煙が入ってくる可能性は非常に低いのですけれども、そこをどこまで見込むかというところは一つあると思いました。

 

○萩原座長

 ざっくり言えば地上からその階まで、ですね。

 

○古川課長代理

 やってほしいと私は思います。

 

○萩原座長

 階段全部ではないけれども保育所を設置する階までは付室、前室を設けるという方が理屈は合う。

 

○守谷専門官(総務省消防庁)

 ハードの関係ではないのですけれども、 14 ページの「保育室等を高層階に設置するに当たって留意すべき事項」について、どうやって担保するのかお伺いしたい。時間の関係があるので、そこだけが気になったところです。

 

○堀課長補佐

 設備基準は条例で定めてそれを基に認可をするという形になりますので、そこは守らなければならないことになるわけですが、「留意すべき事項」で考えておりますのは、自治体の方に省令改正をしたときに発出する施行通知などで、高層階に設置する場合にはこういった留意事項がありますということで通知させていただくということを考えております。また、保育所にもこういったことに留意して避難訓練等を実施していただくといったこともあり得ると思っております。

 

○萩原座長

 よろしいですか。高層階に保育所をつくったときにどのように避難させればうまくいくかというのは、あまりきちんとできていないので、取りあえずこれは「きちんと考えてやってくださいね」という意味で、実際の訓練をしてうまくいくかどうかを考えてから認可を出しましょうという意図で作っていると思います。そうすると、具体的にどこまで逃がさなければいけないのかということを考えないといけなくなるし、本当に 1 階まですぐに逃がすのかということを考えてもらって、それが実現できそうであれば階段や他の基準以外のことも考えてもらった上でつくるならつくってもらおうと。二つ目の議論になってしまいましたけれど。

 

○守谷専門官(総務省消防庁)

 今回の資料については、そういったところだけが気になったところです。今後これをさらに具体的に進めていくという観点で、どのように具体化していくのかということだったので。あとは特段大きな意見等はありません。

 

○萩原座長

 ありがとうございました。

 

○橋本保育課長

 今の点は認可基準の議論であり、認可に当たってのいろいろな留意事項であると同時に、これを継続的に認可権者として定期的に指導監査などいろいろな形で見ていくことになりますので、そのときに実際の避難訓練をどのようにやっているかなど、いろいろなことを指導していく上での拠りどころにもなるだろうと思っています。

 

○萩原座長

 それでは、最初の論点に戻ってよろしいですか。

 

○佐野准教授

 先ほどから申し上げている件についてですけれども、何を申し上げたいかというと、結局一時的に待機する場所をうまく確保するということが今回の非常に大事なポイントだと考えておりまして、その場所の安全性を確保する必要がある。資料の中にもありますけれども、子どもの避難に時間がかかるとか高層階、これは非常に高い場所でということもあり得るということですので、その場所の安全性を担保したい。その場合に排煙がないようなものでも大丈夫なのかというのが申し上げたい点でございます。これを法規上どのように取り扱ってはめていくかというところは、また議論だと思いますが、そのような観点でその部分について安全性をしっかり担保できるようなものができるのか。

 それから、先ほど加圧防煙というお話がありまして、これはご存じの方も多いと思いますが、階段に圧力をかけることで、そこのところから空気が漏れ出てきますから煙が入らないということです。その場合でも必ず前室を確保するということが大事だと思います。つまり、加圧すれば階段には煙が入らないのですが、それとセットでそういう場所を確保して安全性を担保するということが大事ではないかと考えます。以上です。

 

○萩原座長

 この点について、何か御意見はありますでしょうか。この点に限らなくてもよいのですが、佐野さんの意見をそのまま受けると、少なくとも 4 階以上は特別避難階段になるということですか。

 

○佐野准教授

 そういうことの御提案で、それを少し緩和したものとして例えば排煙のみをとるような形ということはあり得るのかどうかということを最初に申し上げたかったというところですが、特別避難階段ということが理想的であると思います。

 

○萩原座長

 ただ、建築基準法から、かなり上乗せをするようなことになりますよね。

 

○橋本保育課長

 先ほどの加圧防煙というのは、建築基準法の中でその性能基準が定まっているような部分があるのでしょうか。

 

○野原課長補佐(国土交通省 )

 建築基準法の中に排煙設備の構造の規定がありまして、例えば排気量などの性能を求める基準があって、それを満たすものがつけられることになります。

 

○堀課長補佐

 今の基準というのは特別避難階段の規定の第百二十三条第三項第一号の「この排煙設備 ( 国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものに限る ) 」とされている排煙設備に入ってくるものもあるということですか。

 

○野原課長補佐(国土交通省 )

 はい。

 

○萩原座長

 他には。

 

○野原課長補佐(国土交通省 )

 よろしいですか。加圧や減圧などで若干気になっているのは、今の基準法を否定するわけではないのですが、扉が開きにくくなるということがあります。だから、特別避難階段を加圧して避難方向に階段から出る分には恐らく問題はないのでしょうけれども、階段室に入っていく扉が開きにくくなる。そうすると、もしパニック状態になった方がいらっしゃったら、「ここは鍵が掛かっている」などと混乱を生じる原因にもなるのではないかという思いがあって、機械式の排煙設備を設ける場合はこのあたりの留意が必要になります。それをどのように書くかということがありますが、実際に開きにくくなるということがあるようですので、単純に加圧すればよいということにはならないのではないかと思います。

 

○萩原座長

 開きにくくなることについては圧力逃がしや圧力調整ダンパーなどを使って一定の範囲に収めることはできます。ただ、それを後からやろうとすると大変なので、これをやるときに保育所のために何かやるというよりは、あらかじめ設計された建物に入るときにはそういった階段でもよしとするということではないかと思います。そこが読めるようになっていればよいと思います。それを全部「特別避難階段に準じた」と読むのか。「特別避難階段と同等の排煙設備を設けた階段」と書くのかというのが書き方の感じではないかと思います。

 少し加圧の方に偏り過ぎていますけれども、その他の基準の見直しについて、今は単純に 8 ページの「特別避難階段に準じた屋内避難階段」を追加したものと追加しないでただ「特別避難階段」と言い切っているものと 2 種類が示されているのですが、論調としては「準じた」をつけておいた方が選択肢は多いのではないかと思いますけれども。この点を含めて、まだ御発言いただいていない町田さんは、いかがでしょうか。

 

○町田係長

 今も 3 階の場合は、 2 階もそうですが、特別避難階段に準じた屋内避難階段という規定がありますが、現実問題として私どもが認可を行うときに、これを適用して認めるという例はほとんどなく、ある程度大きなビルに保育所が入居するといったケースが多いものですから、特別避難階段になってしまっているといったことがあります。今回は 4 階以上のところについて「特別避難階段に準じた屋内避難階段」ということにしたとして、それが「特別避難階段」とした場合とどれぐらい設置者への負担が変わってくるものなのか。実質的に排煙設備を設けたり何なりすれば特別避難階段とさほど変わらないということであれば、すっきりと特別避難階段と言ってしまってもよいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

 

○山田部長

 新しく造ったりするときにはほとんど問題ないのですが、既存の駅ビルなどであまり階数が高くないところに保育所をつくろうとしたときに、多分特別避難階段がついていないからそれをどのように設計しようとすると、一番簡単なのは既存の階段があってその階段室の前に一つ付室をつくりましょう。排煙をとるのが大変だから、階段室の階段のてっぺんのところにファンを置いて空気を送り込めば、それで入らない。それが設計者としては一番やりやすいのです。だから、既存のものを利用しようという意味では結構需要があるのではないかと思っています。だから、そこはしっかりと基準の中で織り込んでいくのかどうするのかを考えておかなければいけないのではないかと思っています。

 

○萩原座長

 ありがとうございます。

 

○高橋所長

 実際に保育園を運営していくと、ハードの面である程度きちんとしたものがあれば、例えば避難など緊急時に割と安心して対応しやすい。緩やかになれば、その部分を現場でそのときにいる職員が判断しなくてはいけない部分が結構出てくるわけです。そういった点から考えるとどうなのか。どちらが良いのかよく分かりませんが、そういう点での基準というものを優先して考えていただけるとよいのではないかと思っています。

 

○萩原座長

 この点について、意見は出尽くした感じでしょうか。では、佐野さんの方から。

 

○佐野准教授

 少し用語の整理をさせていただきたいと思います。特別避難階段は今まで 3 階まででしたので、その階までということで基本的にやっていたと思いますが、上までいっていないものを建築基準法上は特別避難階段と呼べないと思いますが、呼んでよいのかどうかという話が一つ。

 それから、先ほどからしつこいようですが、議論の中で私が申し上げたいのは、「特別避難階段に準じた屋内避難階段」にもう一つ別のレベルがあるとすると、それは違う名前を付けるということもあり得るのではないか。つまり、何を申し上げているかというと、以前に 3 階以下の部分には及ぼさないけれども 4 階以上のところで特別避難階段ではないけれどもそれに準じ方が違ったような階段、例えば排煙をとるとか加圧がどうか分かりませんが、そのような考え方もあると思います。そのように考えると、もう一つ違う議論ができるのではないかと思いますが、その辺りはいかがでしょうか。

 

○萩原座長

 特別避難階段以外のものは全部「準じた」ものだと私は理解していて、「準じた」という中身をどれだけ具体的に書けるか。今は昔書いた排煙なり前室だけがあるけれども、そこに必要に応じて増やせばよいのではないかと思っていて、上まで排煙がついていないものは特別避難階段ではないので、扱うとしても「準じた」ものにしかならない。

 

○佐野准教授

 そうしますと、 3 階へも基準が遡及していくことになるので 3 階までの基準と分けて特別避難階段に準じたというものが整理できないかと考えているのです。つまり 3 階のもの、今回は基準を追加するというイメージですか。変更ではなくて追加ですね。分かりました。

 

○萩原座長

 今まで認めたものと、他のものでもよければ準じた構造をどんどん書いていけばよいのでしょう。

 

○佐野准教授

 もう少し厳しいものという準じ方があるのではないかと思いました。

 

○萩原座長

 基準の中身ですよね。それがまだ全部出きっていないとは思います。古川さんは、もう一言。

 

○古川課長代理

 二言、よろしいですか。一つは、いろいろな基準を付け加えたいと思っている一番の理由は、あまり高層階に安易に保育施設を入れてほしくないということを非常に思っていまして、今までの 4 階の基準に屋外避難階段があったということが、そういう意図がなかったにしても図らずもあまり高層階にできないような抑止力になっていたとすれば、それを踏襲するような階段にしてほしいと思います。ですので、確かに需要が非常に高いのはよく分かるのですが、設計者の負担も少なくしなければいけないと思いますけれども、それならば、そうではなくて 1 階に入れることを考えてほしいと思うわけです。やむを得ず 4 階以上に入れるのであれば、それなりのことをしてくださいということが伝わるような基準にできないかというのが一言目です。

 もう一つは、もし排煙設備などの話がこれから出てくるとしたら、避難訓練のときにぜひ、毎月とは言いませんけれども、 1 年に 1 回でもよいので、それを動かした形で避難訓練をしてほしいというところを、これは留意事項の方になるかもしれませんが付け加えてほしい。実際に避難訓練をやったときに階段室の扉が重くて園児は開けられませんから、誰かが開けないといけないということが初めて分かりました。そうすると、そこで押さえている人が 1 人必要ですということも初めて分かりましたというようなことが、やってみて分かることがたくさんあるのです。実は排煙設備を回してみると、話がそれますけれども現場検査に行くとよくありますが、排煙不良で引き過ぎてしまって、天井が落っこちてしまったり扉が開かなかったり、いろいろなことが起きたりするのです。そうすると、基準で書いてあるとおりに設計しても、実際にそのとおりのことが起こらないことがあるにはあるのです。そうすると、実際の設備を使って常時訓練をやっておくということは非常に重要だと思いますので、そこはぜひお願いしたいと思います。以上です。

 

○萩原座長

 全体のトーンは、重きが違うにしても同じような考え方ではある。安易に高層階につくっては困るということだけであって。ただ、表現の仕方としてただ階段の基準のところだけで縛るのは変な気がしますので、基準としては割とすんなりと書いておいて、それでも高層階につくるときにはこういうことをやっておかないと駄目ですよということで縛ってあげた方がよいのではないかと私は思っています。

 

○堀課長補佐

1 点だけ御紹介ですけれども、参考資料 5 ページに平成 14 年、 10 年前の改正のときの「児童福祉施設最低基準の一部改正について」という通知をお付けしております。 5 ページの第 2 「保育所の設備基準について」というところの (2) で「保育室等は特別の理由のない場合は 1 階に設けることが望ましい」とされてございます。ですので、先ほど古川さんがおっしゃったように 1 階、あるいは低層階に設けることが望ましいという御趣旨は十分理解できるところでございますが、今回の検討というのはどちらかというと安全性が確保されるかどうかという観点からの検討ではないかと思っているところでございます。

 それから、もう 1 点。先ほどの「準じた」の中身がどうなのかということですが、「特別避難階段に準じた屋内避難階段」といっているのは法律上の用語ではなくて、先ほど座長もおっしゃっていましたが便宜上言っているだけのものでございます。その中身を規定しているのは、先ほど御紹介した 6 ページの規定ぶりになっているということでございます。

 

○萩原座長

 階段の見直しについては、あらかた意見が出尽くしたと思いますけれど。

 

○山田部長

 もう 1 点だけ、聞きたいのですが。「準じた」のではなくて、 4 階以上で傾斜路と書いてあるのですが、何となく 2 3 階ぐらいまでだと傾斜路というイメージが湧くのですが、 4 階以上の傾斜路というのは、どういうものなのでしょうか。

 

○堀課長補佐

 一応スロープという形で説明はされておりまして、 4 階以上というのはグルグルずっと下っていくようなものになるのではないかと思っております。

 

○山田部長

 以前ですと屋外傾斜路という形で「屋外」といっていたのですが、今回は屋外がとれているので、これは屋内外を問わずに傾斜路であればよいということですか。 8 ページの見直し案のところに青い字で屋外避難階段と傾斜路と書いてあるので。以前ですと屋外傾斜路等と書かれているようですが、そうでもないですか。

 

○堀課長補佐

 実際の規定が 3 ページ・ 4 ページ目にございまして、傾斜路のところは先ほどの「特別避難階段に準じた屋内避難階段」と同じように、そのように呼んでいるというだけで実際の規定が 3 ページ目の 2 階であれば避難用の第三項のところにございますが「建築基準法第二条第七号の二に規定する準耐火構造の屋外傾斜路又はこれに準ずる設備」ということでございまして、 4 ページ目の 3 階の避難用のところも「建築基準法第二条第七号に規定する耐火構造の屋外傾斜路又はこれに準ずる設備」というものを傾斜路といっておりますので、基本的にはこの規定に準じた形で規定するという意味では屋外傾斜路ということになるのではないかと思います。

 

○萩原座長

 よろしいでしょうか。あまり 4 階以上で傾斜路というのはなさそうですが。

 

○山田部長

 吹き抜け空間を使ってグルグルと、東京国際フォーラムのような感じですか。

 

○萩原座長

 ないことはない。九州にありますよね。そういうものでも読めるというだけのことで、あまりお勧めというわけではないけれども、あえて削らなくてもよいのではないか。論点としては、認可保育所と認可外保育施設とで差をつけるかどうかという話です。 4 階以上については提案では差がないのですけれども、従来は 2 階・ 3 階については認可保育所と認可外保育施設とで差をつけていることについて、何か特段の御意見はありますか。

 

○佐野准教授

 安全性の問題というのは認可・認可外を問わず担保すべきであると私は考えております。その理由の一つは利用者の方を考えますと、認可・認可外が自由に選べる。あえて認可外を選んでいるわけではありませんので、特に子どもの生命に関わる問題ですから、それについては同じ基準、同等の基準を担保すべきであろう。これは今回の諮問事項ではないと思いますが、 3 階以下について差がついているということについても実際には同等にすべきであろうというのが個人的な意見ではあります。

 

○萩原座長

 今回の見直しの諮問で対象の 4 階以上については差がついていない。それについては異論はない。ただ、既に 2 階と 3 階については差がついているけれども、それはできればない方がよいのではないかというご意見だと思います。そもそも建築基準法上は両方とも合致しているので、ぎりぎり言い始めると建築基準法をもう少し強化すべきではないかという話になりかねないので、あまりここには立ち入ってはこなかったのですが、それ以上の御意見はないですか。

 

○町田係長

 追加して整備すべきというところでは前回、地階ということで申し上げたのですが、今回は 4 階以上ということで、ある程度高層にも保育所を設置できるとなった場合、それと比較して地下の取扱いというのはどうなのかということが事業所側からもいろいろ問題提起がなされるのではないかと思っております。そうした場合に、今回は建築基準法の規定が紹介されておりますけれども、地階の場合は面積が小さければ二つの方向の避難、 2 方向避難が要らないということになるのではないか。 50平方メートル という基準がありますけれども、 50平方メートル 未満の場合には階段が二つなくてもよいということになろうかと思いますが、保育所においては、 2 階以上については必ずこの基準に基づいて二つ以上の階段なりが設けられることになっていることと整合しないのではないかと思いまして、できればここのところも基準化すべきではないかと思いますが、今回は難しいということでしょうか。

 

○萩原座長

 どうでしょうか。一応今の規定では地階であっても基本的な考え方は適用する。だから、二つ階段があって建築基準法上で採光や換気などを満たしていれば、そこは使えるのだけれども。

 

○町田係長

 そうですね。階段のところが保育所においては経路を二つ確保するという精神で上乗せの規定が設けられているのであれば、地階の部分についても設けるべきではないかと思います。

 

○萩原座長

 具体的な例を思い出すと、建築基準法上は地階だけれども実際には地上にあるものについて階段がないという話をし始めると、逆に厄介になるのです。それから、地下掘りをしていて、建物としての階段は一つしかないかもしれないけれども、空堀の外にある階段は建築の階段なのかどうかよく分からないとすると、そういうところで引っ掛かるのも、細かく基準を書いてしまうとそこが引っ掛かってできないというのも困るので、今の段階でそこまで今回の作業はできないけれども、気持ちとしてはきちんと 2 方向の避難がとれて建築基準法でも保育室として使われるのであれば、そこも認めてよいような気がします。

 

○町田係長

 分かりました。

 

○萩原座長

 その程度でよろしいでしょうか。では、階段の方の見直しについては、ほぼ意見が出尽くした。収束はしていないかもしれなせんけれども、意見は出尽くしたと思いますので、皆さまの御意見を基にして事務局でもう一回修正して、改めて皆さまにお諮りした上で取りまとめたいと思います。そういう方向で、よろしいでしょうか。

 

(「異議なし」の声あり)

 

○萩原座長

 ありがとうございます。それでは、もう一つの今日の資料 14 ページ「保育室等を高層階に設置するに当たって留意すべき事項」について、先ほど守谷さんから少し御意見をいただきましたが、その他にこういったこともということがあれば、お願いします。

 

○山田部長

 高層における場合は、保育室のような事務所ビルのところに別の用途の施設が入るという状態ですと防火管理上の問題が問題になりまして、消防法で人数を基にして防火管理者を設けることという規定がありますから、その辺りで全体の中での共同防火管理体制をどうするかといったところの内容については今後、消防庁と調整をしていただければと思っております。本当は守谷さんが言うような話だったのですが、よろしくお願いします。

 

○萩原座長

 今までの共同防火管理体制に加えてということですか。今あるものを保育所もきちんと入ってやってねということですか。

 

○山田部長

 そうです。

 

○萩原座長

14 ページに前回の御意見や、佐野さんや古川さんの研究レポートを基にして割と細かく書けるところは細かく書いているので、逆に気にはなっているのですが。

 

○高橋所長

 前回、昼寝のときの事例が出たと思いますが、保育所は今、長時間化で 11 時間開所しているのが標準という形になってきているのですが、お昼寝のときでも例えば昼間ですと園長や調理員・用務員など保育士以外の職員も消火や通報・避難・誘導に当たることができるのですが、例えば早朝や夕方、調理員などが平常勤務で帰った後に、それこそ保育士だけという時間も起こり得るわけです。ですから、そういうときも想定しての避難訓練等についても若干触れた方がよいのではないかと思いました。

 

○佐野准教授

 研究成果を取り入れていただいてどうもありがとうございました。その中で 1 点気になることがありまして、 (2) の○2のロですが、年齢の高い乳幼児から避難させると円滑な避難ができるというのは確かにそうですが、この方法が必ずしもベストであるとは限りませんので、もし可能であればこの条項は削除していただけるとありがたいと思います。

 それから、もう 1 点追加で。少ししつこいようですが、先ほどの法令につきましては事務局で調整ということで理解したわけですが、しつこく申し上げているように一時的な避難場所の安全性確保が非常に大事になりますので、可能であれば、そこの部分に排煙をとるということが必要、安全性を高めると考えております。これは 14 ページの 3 の○2に書いていただいているので、どのような運用等になるか分かりませんが、できるだけ安全性の高いスペースを確保できるようなことが実施できるように考えていただければと思っております。以上です。

 

○萩原座長

 先ほど少し言いかけたのですけれども、高層も含めてですが保育所からうまく避難させる基準がきちんとうまく整理されているとはまだ思えないので、気になる点はたくさんあるのです。ですので、研究レポートから良さそうなことをつまみ食い的に書くと、ある条件の下ではこれが一番良いということになって、他に気になる点もいろいろあるのが抜け落ちているとも見える。そうすると、書いてあることだけやればよいのですねと思われるのも少し誤解を招くので、本当はガイドライン的なものが別にあって、その中の重要なことをここに書くというのが一番望ましい姿ですが、それはまだないので、こういうことを考えましょうという例示的な文章であることを分かるようにした方が良いのではないかと思います。今の「年齢の高い乳幼児から避難させる」などが例示だと思えば、円滑な避難ができるようにやってください。そのためには階段のところだと自分で歩ける年長の者から行った方がそういった混乱を生じさせないということが分かっています。そういうことがありますという伝え方をすればよいのです。

 ですから、細かいところにまだ気になるところはありますが、最初に訓練をすることをきちんと考えて認可のことをやりましょうというのが大きなところなので、ここで一語一句チェックするようなことではなく、今言ったようなあまり細かく書き過ぎるのはどうかというご意見をいただければと思います。他にもお気付きのことがあるかもしれませんが。

 

○古川課長代理

1 点、追加でお願いしたいのは、災害時には常時とは違う経路を使って避難する可能性があります。そうすると、違うところから出てくるので、つまり保護者との合流というか引き渡しの場所をきちんと定めておかないと最終的に会えなくなってしまう可能性があるという話に加えて、出て行った先で最後に点呼する場所がない場合もあるような気がします。駅前の繁華街に建っているようなところだと最終避難場所というかそれが結構難しいのではないか。それをどのように書くかは非常に難しいのですが、保護者と円滑に連絡がとれるような場所を確保する。子どもが高層階に取り残されていると思うと保護者もパニックになる可能性があって、そこをうまくさばけるようなことが一言入っているとよいと思います。

 

○高橋所長

 現場では、必ず消防計画を各園で作っています。非常時の場合に第一次避難場所をどこそこと明確に示していますし、それは入園の説明会のときに保護者にも伝えてあるはずです。ですから、これは高層階に限らず、そのような配慮はされていると私は承知しております。

 

○萩原座長

 そういう前提になっているところが分かった上で読む場合と、そういう前提をどこまで書き込まなければいけないのかというのが今はまだ曖昧ではないかと思っています。先ほど高橋さんが言われたお昼寝の話も保育所の開所時間の中でいろいろな状態があるので、それぞれについてまず考えましょうというのがあった方が良いと思います。ただ、お昼寝だけのことを考えればよいと思われると、少しおかしくなる。ここはどうしてもこうあってほしい「望ましい」論になりがちなので、意見を聞けば聞くほど、どんどん膨らみそうです。

 

○山田部長

 別に何かを加えるということではありません。最初の備えの中で対応等について「マニュアルを作成し、周知を図る」とさらりと書いてあるのですが、実はマニュアル作成は大変で消防庁でも防災管理者というか地震のときにどのように対応するかというマニュアルを作成してくださいと義務化したのですが、その際にマニュアル作成のガイドラインを別途検討してそれを提示したりしているので、そういうものがこの後、追って検討されると非常に親切ではないかと思っております。実質的に実効あるものになるのではないかと思っております。以上です。

 

○萩原座長

 それを省庁が率先してやるのか。学会で自前で作っていくのか。事業者の方でひな型のようなものを用意するのか。どこでもよいと思いますが、そういうものが決まって、それが周知されてくると、それに加えて高層のときは特にこういうことを注意しましょうとなっていくと思います。

 

○高橋所長

 参考までに、今は一昨年の震災以来、 BCP をそれぞれの保育園で作ろうという動きがありまして、そのような中で実際にどのようにやっていたかという話を聞きながら実際の場面で今までの消防計画に加えてそれを手直ししようという動きが出てきております。実際に消防計画の中で変わるものがあれば最寄りの消防署に行って、それを届け出たり指導を受けたりということがあります。

 

○萩原座長

 ありがとうございます。その他に御意見・御質問等はございますでしょうか。

 

○町田係長

 今回の「留意すべき事項」は、留意すべきということなので、行政の方で指導していくところの基準になりにくいということと、事業者の方も特に認可外保育施設の場合は開設後 1 か月以内に届け出るという規定なものですから、自分の都合のよいように解釈して確認するというところについて確認したけれどもなかったとか、運用される可能性があると思いまして、特にこの中でも守らなければいけない点について「留意すべき事項」ではなくて例えば基準の方へもっていくなど、そういったことも考えられないものかと思います。例えば (2) の○1のイというところですが「安全に待避し、外部からの救助を待つことができるスペースを確保」、これが基準として馴染むのかどうかよく分からないのですが、もし馴染まないのであれば、もう少し具体的にどういうことをいっているのかということを「留意すべき事項」に書き込む。あるいは、いろいろ書き込めるのであれば基準化するということも考えられると思いますし、同じく下のロでも、複合ビルの場合に専用階段、専用とまではいかないかもしれないけれども、どれぐらい専用であるべきなのかという辺りを基準化できるか。あるいは「留意すべき事項」のところでもう少し書き込むか。 3 の○1にある「階段室の手すりの高さや大きさ」この辺が学会などで基準やガイドラインのようなものがあればよいのですが、どういったことを具体的に守ればよいのか。基準的なものがもしあるのでしたら何らかの形でお示しいただくといったようなことがお願いしたい事項ですが、いかがでしょうか。

 

○萩原座長

 これを基準にするまでには、かなり時間がかかりそうな気がします。今回のそもそものこの検討会の趣旨は前半の階段の見直しだったものですから、これについては深く用意というか十分な資料や議論する時間はなかったのですが、階段を見直すと高層にできてしまうので少なくともこういうことだけは気を付けてくださいねということだけをまずリストアップした。おっしゃるように、これを認可のときに使うとすると具体的に決まっていないものですから、これだけだと困るというのはよく分かりますので、必要に応じて今後考えていくのでしょうか。どうですか。

 

○高橋所長

 階段の件については私も発言しようかと思っていたのですが、そうすると今回の規制緩和という流れから逆行するのではないかと思って控えていたのです。この前いただいた資料の医療法施行規則によると、階段の幅や蹴上げの高さは 0.2メートル 以下とか、踏み面は 0.24メートル とか。そのような規定が既に他の規定にはあるのです。屋内階段とか実際に保育園専用の建物を造るときには、それよりももう少し実際的に 15センチメートル にしようとか、造る例は私たちは承知しているのですけれども、この前伺ったら、そういう基準というのは特に建築基準法上も定めていないということなので、他の複合施設の場合には外階段まで要求すると、それはできなくなる。

 古川さんの意図するところからすれば「つくれなくてよかったね」という話に、もしかしたらなるかもしれませんけれども、その辺は、今は待機児が多いから、そういうところにつくらざるを得ないという話からすると、どちらを取ればよいかというのは難しいところだと思います。以上です。

 

○橋本保育課長

 病院などを想定しますと、まさに病院としての建物を建てる。 5 階建て、 6 階建て、 10 階建てというようなものを含めて想定される。それに対して、保育所の基準として考えたときには、既存の複合ビルといったものの中の一部に保育所が入っていくというのが典型的には想定されるので、そうしますと、例えば蹴上げとか、その手の話について厳しい保育所独自の基準というものを設けた場合、逆に店子で入っていく保育所がビルそのものの構造を変えるような話というのは、現実的にはしにくいだろうというところもございまして、ここはどう書くかを考えたときに「望ましい」というベースにしておくのが精いっぱいではないかということを私どもは議論したところでございます。

 

○萩原座長

 それに加えて、小さい子ども専用のものであれば、実際に設計しているのであるのですけれども、それを大人が使うと、また別の問題が生じるということで、共用が難しいのです。ですから、今ある階段を子どもが使うのであれば、せめて手摺りぐらいは付けて下りられるようにするとか、下が見えて恐くないようにするというような配慮をお願いするぐらいのことではないかと思います。

 もちろん、専用の階段が造れれば、それに越したことはないというのは書いておいてよいのですけれども、具体的に幼児専用の階段までは少し難しいのではないかと思います。

 その他は、よろしいでしょうか。

 

○高橋所長

 ちょっと余分なことですけれども、 14 ページの一番上の 1 の○1のところに「避難訓練計画」と書いてありますけれども、これは保育所の運営基準によると避難消火訓練については毎月やらなくてはいけないという基準になっていますので、「消火」を入れた方が良いのではないでしょうか。

 

○萩原座長

 それは言葉を合わせておいた方が、誤解がないかもしれない。

 

○高橋所長

 実際には、保育園では「避難・消火・通報」の 3 点セットでいつも訓練するようにしています。

 

○萩原座長

 はい。他に、お気付きの点はございますでしょうか。

 こちらもあらかた意見は出尽くしたと思います。いろいろなアイデアや御指摘がありましたので、それを基に事務局で修正していただいて、改めて皆さまにお送りして御意見をいただき、取りまとめる方向で進めたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。

 

(「異議なし」の声あり)

 

○萩原座長

 ありがとうございます。 2 回にわたって貴重な意見をたくさんいただきまして、ありがとうございました。

 その他に、全体を通じて言っておきたいということがあれば、お願いいたします。

 

○町田係長

 今回は、このような形で見直しを行うということで、私どもとしましては建築や消防など、さまざまな見地から子どもたちの安全な避難に配慮したものをということで検討してきたと思いますが、高層階の場合、特に 1 階まで避難せずに途中階で救助を待つということも視野に入れたときに、この辺を一般の方にどれだけ理解していただけるか。一般に避難については、小学校での避難訓練もそうですけれども、校庭に逃げるといったところがあって、速やかに 1 階まで避難できることが安心・安全だという共通認識だと思いますけれども、高層階に設置することの安全性を懸念する声に、どのように答えていけばよいのかという辺りを確認できればと思います。

 

○萩原座長

 実は保育所に限らず、老人ホームも同じなのです。あれも下まで逃げるというか、階段を下りることすら難しい人たちが多いので、そういう人たちの安全を守るためには、もちろん地上までのルートは用意するけれども、同じフロアや直近に待機できる場所を用意するというのが基本的な戦略だと思います。それについて、まだ十分に周知しきれていない。

 ただ、実際の老人ホームの避難訓練でも、そこまでしかできないのです。隣のところへ逃げて、病院の水平区画のような所へ集めて、そこで待つというようなことを実際の避難訓練でもしている。そういうところから一般に広めていって、必ずしも地上まで逃げなくても安全を確保できる。もちろん、逃げられればよいけれども、そういうところで安全を保つというのが、これからは標準化していくので、それと動きを共にするのではないかと私は思っていますけれども、佐野さんなど学会でそういうことを研究しているグループとしては、どうお思いでしょうか。

 

○佐野准教授

 今回の見直しの検討の中にもありますけれども、一時的に避難できるスペースを確保する。ただ、実際の運用は非常に難しいのではないかと考えております。今回の基準の付室というのは、面積を特に決めているわけでもありませんし、全員が入れるという保証はこの基準の中ではまだ得られていない状況だと思います。ですから、その辺りも含めて、今後も継続的に検討する必要があるのではないかと思います。

 それから、先ほども申し上げていますけれど、もう一つ付け加えると、待機場所というのは、その階もそうですし下りていったところの待機場所を使う可能性もあるということ。その考え方が良いとすれば、ですが。そういう意味で安全性を確保した場所をつくっておく必要があるだろうと思います。一緒に逃げて安全であれば、それでよろしいですし、最悪逃げられなくてもそういう所で待てるという考え方が根本にあると考えております。

 

○萩原座長

 ですから、まだまだいろいろとやることはあるのですけれども、今回の検討の骨子としては、まず階段の基準を見直して、高層階にもできるようにはなるけれども、少なくともこういうことは考えておいてほしいというものをリストアップしたというところにとどまるのではないかと思います。

 もう少し時間はありますけれども、他に御意見がなければ、これで議論の時間は終わりにしようと思います。皆さまには、いろいろな御意見をいただき、ありがとうございました。本日の議論を踏まえて、事務局で取りまとめの案を作成して皆さまにお諮りいただくことにしたいと思います。この検討会は 2 回の予定ではありますけれども、そのまとめ方次第では、もう 1 回検討会を開催するかもしれません。それについては、事務局と相談したいと思いますので、その節はよろしくお願いいたします。

 それでは、最後に事務局から何かありましたら、よろしくお願いします。

 

○橋本保育課長

 本日もいろいろな御意見をいただきまして、ありがとうございました。先ほど、座長からお話がございましたように、もう 1 回やるかどうかというところにつきましては座長と相談させていただきまして、改めて御連絡を差し上げたいと思います。

 いずれにしましても、本日の御意見を踏まえまして議論の取りまとめ案「たたき台」を私どもで作りまして皆さま方とはメール等で御相談させていただければと思っております。そういった取りまとめの状況等を見ながら、次回を開催するかどうかを判断させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

○萩原座長

 それでは、以上で第 2 回検討会を終了させていただきたいと思います。皆さま、御協力ありがとうございました。

 


(了)

厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課

03-5253-1111(内線:7918)


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