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2014年2月24日 第3回 児童虐待防止医療ネットワーク事業に関する検討会

雇用均等・児童家庭局母子保健課

○日時

平成26年2月24日(月)13:00~14:50


○場所

(社福)恩賜財団母子愛育会
子ども家庭総合研究所棟
4階研修室


○出席者

委員

奥山座長 市川委員
臼井委員 内海委員
木下委員 桜山委員
佐々木(隆)委員 佐々木(俊)委員
井上委員 平野委員
笠委員

事務局

桑島母子保健課長 渡利課長補佐
木下課長補佐 亀田課長補佐
川松児童福祉専門官

○議題

1.開会
2.議事
(1)「児童虐待防止医療ネットワーク事業推進の手引き」(案)について
(2)その他
3.閉会

○議事

○渡利課長補佐 それでは、定刻より5分ほど過ぎました。また、お見えになっていない委員の方もおられますが、ただいまから第3回「児童虐待防止医療ネットワーク事業に関する検討会」を開催いたします。

 委員の皆様には、御多忙中の中、お集まりいただき、誠にありがとうございます。

 まずは、法人役員改正等に伴いまして、委員の交代についてお知らせしたいと思います。

 公益社団法人日本歯科医師会より、佐藤保委員の後任として、佐々木俊則様でございます。

 次に、公益社団法人日本小児科学会より、大阪医科大学小児科発達小児科准教授、田中英高委員の後任に、東京都立小児総合医療センター救命・集中治療部救命救急科医長、井上信明様にお願いしております。

 なお、本日は、今村委員、小林委員から御欠席という連絡をいただいております。

 また、佐々木俊則委員は所用のため、途中退席する場合がある旨、伺っております。

 また、一般社団法人の日本小児科医会理事の内海委員でございますが、1時間ほど遅れるという御連絡をいただいているところでございます。

 それでは、カメラの撮影はここまでとさせていただきます。

 

(カメラ退室)

 

○渡利課長補佐 傍聴される皆様におかれましては、傍聴時の注意事項遵守をよろしくお願いいたします。

 それでは、座長、よろしくお願いいたします。

○奥山座長 ありがとうございます。

 まず最初に、私からも、年度末のお忙しいときにお集まりいただきまして、ありがとうございました。感謝いたしたいと思います。

 これまで多くの先生方から貴重な意見を賜ってきたわけですけれども、本日はこの検討会のまとめの会という位置づけでございますので、どうぞ御協力をよろしくお願いいたします。

 まず、事務局から資料について御説明いただいて確認したいと思います。

 どうぞよろしくお願いいたします。

○渡利課長補佐 お手元の資料でございますが、まず最初に議事次第がございます。

 裏面は座席表になっております。

 資料としては、資料1として、「児童虐待防止医療ネットワーク事業推進の手引き」(案)がございます。

 また、委員提出資料として、小林委員提出の「児童虐待防止医療ネットワーク事業推進の手引き」(案)についてでございます。

 あと、3点ほど参考資料として用意させてもらっております。

 また、前回までの資料につきましては、お手元のファイルに綴じております。

 資料は以上でございますが、不足等がございましたら事務局までお申しつけください。

○奥山座長 よろしいでしょうか。

 では、早速、議事に入っていきたいと思います。

 まず、議題1の「児童虐待防止医療ネットワーク事業推進の手引き」についてでございます。

 前回からいろいろ議論していただいてきたのですけれども、少し時間も経過しておりますので、手引き(案)の内容に入るまでに、これまでの経緯について事務局から御説明いただきたいと思います。

 よろしくお願いいたします。

○亀田課長補佐 それでは、事務局から説明させていただきます。

 本検討会は、平成24年度より開始された児童虐待防止医療ネットワーク事業の推進のために、学識経験者、実務者等の参集を得て、助言いただくことを目的に、平成24年9月、平成25年2月と2回実施してきております。

 検討会として報告をまとめるに当たり、当該事業の推進に向け、より具体的な進め方を記載する必要があると考え、前回お示しした骨子案から記載内容をより具体化し、児童虐待防止医療ネットワーク事業推進の手引き(案)としてはどうかと考え、手引き(案)を作成いたしました。

 今回、この手引き(案)について御意見いただき、取りまとめていただきたいと思います。

 今回の検討会での議論を円滑に進めるため、手引き(案)について各委員から御意見をいただき、その内容を反映したものを資料1として示させていただいております。

○奥山座長 ありがとうございました。

 今、御説明がありましたように、現場での体制づくりが具体的に進むようにということで、検討会としてまとめるに当たりまして、報告書という形ではなく、手引きという形でまとめたいということでございまして、そのようにいたしたいと思っております。

 よろしくお願いいたします。

 では、資料1について、事務局から御説明をお願いいたします。

○亀田課長補佐 資料1を1枚おめくりいただき、目次をごらんください。

 構成として、「1(1) はじめに」から「2(※1) 児童虐待防止医療ネットワーク事業の推進にあたって」が1から7までで構成され、「3(※1) 終わりに」までが本文となっております。巻末に参考1から4まで記載されております。

 今回、議論に際しまして、1から2の2まで、2の3と2の4、2の5から最後までの3つに分けて御意見を伺っていければと思います。

 資料1の「児童虐待防止医療ネットワーク事業推進の手引き」(案)のまずは、1から2までの部分を説明したいと思います。

 もう1枚おめくりいただき、「はじめに」のページをお願いします。

 この「はじめに」で手引きをまとめるまでのいきさつや手引きの概要について記載しております。

 初めに、今までの経緯も含みますので、中身についてここでは紹介したいと思います。

 1行目からお読みいたします。我が国における児童虐待への取り組みは、平成12年の児童虐待の防止等に関する法律の制定を受け、取り組みを進めてきたところです。

 しかしながら、相談件数は年々増加しており、平成11年度に比べ、平成24年度は5.7倍に増加し6万6,701件となっております。

 地域全体で児童虐待を防止する体制を整備することが求められる中、小児医療の現場でも、十分に対応ができていないという課題があります。

 このような状況を踏まえ、児童虐待対応のネットワークづくりや保健医療従事者の教育等を行い、児童虐待対応の向上を図ることを目的に、「児童虐待防止医療ネットワーク事業」を平成24年度に開始いたしました。

 検討会についてですが、この度、児童虐待防止医療ネットワーク事業に関する検討会において、本事業推進のため、今まで検討会の中で得られた知見や助言等について取りまとめをさせていただきます。

 続きまして、本手引きの内容になりますが、医療機関においては、院内で子ども虐待に対応する組織(病院内子ども虐待対応組織)を立ち上げる場合の参考として、もしくは、より有効な組織を構築して、それを維持するための参考として用いることを期待し作成されております。虐待に対応する組織が構築され、ネットワークが構築されることによって、発生した児童虐待への対応だけでなく、その体制やネットワークを活用して、関係機関と協力し、児童虐待を未然に防止することも可能となると考えます。

 また、自治体の児童虐待担当部門においては、医療機関の役割や病院内子ども虐待対応組織、地域でネットワークを構築する際の留意点等を踏まえつつ、関係者と協力して、児童虐待防止医療ネットワークの整備に取り組んでいただきたいと記載させていただきました。

 続きまして、2(※1)の項目に移ります。

 「2(※1) 児童虐待防止医療ネットワーク事業の推進にあたって」。こちらでは実際の内容について具体的に記載しております。

 まず、冒頭にネットワーク事業の概要について、ここでまとめ、説明させていただいております。

 「1 児童虐待防止対策における医療機関の位置付け」をごらんください。

 医療機関が児童虐待防止対策全体の中でどのような位置づけにあるかについてここでは整理させて、記載させていただいております。

 その冒頭で、医療機関が児童虐待を早期に発見しやすい立場であって、早期発見に努めるべきであるというところを冒頭に述べさせていただいております。

 それに際して、四角囲いの部分で【虐待の通告の対象となる子どもについて】、こちらは厚生労働省の「子ども虐待対応の手引き」より抜粋したものですが、子ども虐待の早期発見を図るためには、広く通告が行われることが望ましいと記載しております。

 また、囲いの一番下のパラグラフになりますけれども、児童虐待防止法の趣旨に基づくものであれば、それが結果として誤りであったとしても、通告によって刑事上、民事上の責任を問われることは基本的にないということを記載させていただいております。

 その下の2つのパラグラフにおきまして、虐待対応における医療機関の特徴ということで、医療機関は子どもが医学的な診断や加療を必要とするほどの重篤な事例にかかわるという特徴、また、要保護児童や養育支援を特に必要とする過程を把握しやすい立場にあると医療機関の特徴について記させていただいております。

 次のページをおめくりください。

 医療機関と要保護児童対策地域協議会の関係に関しましてここでは記載させていただいております。

 医療機関は要保護児童対策地域協議会、以下、要対協と略させていただきますが、要対協の構成員であることをこちらでも記載させていただいております。

 要対協の参加者には、図の下のところに書いてあるとおり、協議会参加者の守秘義務がかけられていたり、支援内容を一元的に把握する機関の選定という役割を担っております。しかし、要対協において医療機関の参加割合がいまだ不十分であるといえます。

 また、医療機関が要対協に関与する部分について、厚生労働省の「子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について」(第9次報告)の中で、以下の4つの点、「望まない妊娠に対する相談体制の充実等」「妊娠期、出産後早期からの支援のための医療機関との連携強化」「養育支援を必要とする家庭の把握・支援のための体制整備」「乳幼児健康診査や予防接種を受けていない家庭等への対応」等が指摘されており、産婦人科医、小児科医、精神科医の参画が要対協には不可欠であると記載しております。

 続きまして、次のページ、(2)一時保護の委託を受ける施設としての医療機関。ここでは児童虐待に関する医療機関の位置づけとして、一時保護委託を受ける機関としても重要であることを記載させていただいております。

 この3つのパラグラフの中で、委託一時保護に当たっては、児童相談所や場合によっては警察組織とも相談し、行うことになるということを記載しております。

 続きまして、大きな1から移りまして「2 病院内子ども虐待対応組織や地域ネットワークの有用性と意義」ということで、今までは位置づけに関して説明してきましたが、ここでは、組織構築の有用性と意義について整理させていただきました。

 医療機関が虐待対応組織を構築する上での動機づけとしても、やはり有用性や意義を理解することは重要であり、ここに記載させていただいております。

 次のページを1枚おめくりいただいて、5ページとなりますが、具体的には、院内子ども虐待対応組織や地域ネットワークを構築することによって、1(2)医療機関における虐待対応の専門性の向上や職員の意識の向上につながること。2(2)他医療機関との連携、地域の対応力の向上につながること。3(2)多職種・多機関との連携体制の確立と、それによる判断の精度の向上につながること。4(2)医療機関の職員の負担の軽減につながること。5(2)子どもの安全確保と虐待予防を意識した体制に取り組めること。このような5点の意義や利点についてこちらでは記載させていただいております。

 ここで一旦区切りまして、今まで説明した内容に関して御意見をいただければと思います。

 どうぞよろしくお願いします。

○奥山座長 ありがとうございました。

 児童虐待防止医療ネットワーク事業の推進あるいは虐待防止の医療体制の整備。これは児童虐待防止法の中にも書かれていることですけれども、そういう観点から手引きがつくられていることを基本に置いていただいて、その上で何か御意見等がございましたらお受けしたいと思うのですが、いかがでしょうか。御質問でもいいのですが。

 最初の段階で位置づけが書かれているということですね。そして、ネットワークのことが書かれているということになるわけですけれども、いかがでしょうか。

 よろしいですか。

○市川委員 北九州市立八幡病院の市川でございます。

 3ページ目の要対協のところで、自分の北九州市を例に挙げたら、医師会の先生に入っていただいていますけれども、かなり現場とは離れてしまっておられるという現状がありますので、このコーディネーターが必ず参画する形の文言を一つ入れていただければ、随分違うのではないかなと思います。北九州市では、私が要対協の議長をしていて、別個に医師会の先生も入っておられますけれども、そうではないところもたくさんあって、医師会だけが入って、医師会は余り現場とは近くないという印象を私は持っていますので、ぜひコーディネーターの方、基幹病院がセッティングされて、コーディネーターの参画が望ましいみたいな文章を入れていただければと思います。

○奥山座長 ありがとうございます。

 いかがでしょうか。

 例えば最後のほうに当該事業を始めるに当たってというか、医療ネットワークをつくった場合は、積極的にそこに参加するということを入れるなどが考えられるかもしれません。

○亀田課長補佐 では、座長と相談の上、検討させていただきたいと思います。

○奥山座長 よろしくお願いします。

○佐々木(隆)委員 今の御意見に対して、長野県の場合で考えますと、例えばうちの管内だけで愛媛県より広いのです。10圏域あって、県に1つできると思うのですけれども、全部そこからコーディネーターが来るというのを必置にしてしまうと、大変なので、望ましいとか、そういう柔らかい言葉にしていただくといいかなと思います。

○奥山座長 そうですね。考えてみたら、政令市の場合は1市だけで全部完結することが多いかと思います。ただ、それでも1つの市の中に要対協が幾つかあるところもありますね。そこに全部出ていくことになると、確かに非常に大変になるのではないかという御意見ですね。

○亀田課長補佐 その点に関しましては、要対協との協力が重要という記載がありますが、事業申請した中核となる医療機関が県内に1つで、そこが都道府県内全ての要対協に出席するのは不可能ではないか。そういう御指摘だと思うのですが、本手引きに関しては、事業申請をする医療機関に限らず、医療圏ごとの子どもの虐待の診療の中核となる医療機関等に子ども虐待対応組織の構築の参考としていただくために作成させていただいており、また、その中から事業申請をする医療機関が出てきていただければと考えておりまして、事業に応募した医療機関が都道府県全ての地域の要対協に参加することは、基本的には想定はしていないところでありますが、その辺に関しましては、地域の実情にあわせて御対応いただければと考えております。

○奥山座長 少なくとも地元の要対協には参加してほしいですね。

 木下先生、どうぞ。

○木下委員 私は産婦人科でございますが、最近では、妊娠に悩む相談窓口をつくった関係もございまして、産婦人科医が要対協に入っているケースがふえてまいりました。要対協の会議に行って、皆様方共通にして言うことは、一体これはどういう会なのか。つまり、いろいろな事例があって、こういう事例があった、こういう事例があったということばかりの会で、そこから次に何につながっていくかという意味での役割はよくわからないという声を聞きます。つまり、行っても余り役立たないではないか。産婦人科が入りなさいといって、入ったところで何が役立つかという声が聞こえてまいりまして、全体のネットワークの中で、要対協というのは、本当の役割は一体何なのだろうか。そこの責任者の役割はどういうことをなさって、具体的な虐待児の予防対策、治療も含めましてですけれども、そういったことで、どういう役割があって、指示をしていくというのが明確ではないというのがみんなの声でございます。これは次の病院等の中でそういう場所をつくることもあるみたいでございます。全体の中にとって、あたかも要対協に報告すれば全てうまくいくのかというととんでもない話でございまして、そういうのが実態のような感じがいたします。その意味で、よりよくするために、このあり方を明確に今後、ここにあるというのはわかっているのでありますけれども、全体のネットワークの中でどういう役割があって、どういう有効性を担っているのかということもわかる記載になっていかないと指針にならないのではないかと思いますが。

○奥山座長 具体的には、13ページのほうに「要保護児童対策地域協議会への参加」ということで、かなり要対協について詳しく書いてあるので、そこで議論させていただいてもよろしいでしょうか。

 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。

 では、先に進めさせていただいて、また最後のほうでお気づきのことがあったら、御質問、御意見をいただきたいと思います。

 では、引き続き、事務局のほうから御説明をお願いいたします。

○亀田課長補佐 続きまして、「3 病院内子ども虐待対応組織の設置にあたって」というところから説明を再開させていただきたいと思います。

 「3 病院内子ども虐待対応組織の設置にあたって」では、病院内子ども虐待対応組織の構築にあたっての留意点と、特に中心メンバーとなるリーダーとコーディネーターに求められるところについてできる限り詳細に記載をしております。

 まず、(1)病院内子ども虐待対応組織の構築にあたっての留意点というところで、組織構築にあたっての留意点を6点記載させていただいております。

 1)病院内の一組織として承認された組織とする。病院長の承認を受けて、病院の一組織とするという点です。2)リーダー医師とコーディネーターを主軸に病院内子ども虐待対応組織を構築する。中核となるのは、その組織の特にコアメンバーとなるのが、リーダーとコーディネーター。3)人材育成や研修会等を通じて技術を継承する。4)院内・院外ともに相談しやすい体制づくりに努める。5)組織による対応で、担当者・職員の負担軽減に努める。6)リーダー医師とコーディネーターの育成の6点をここでは説明させていただきました。こうした点に留意して、虐待対応組織の立ち上げや強化の参考にしていただければと思います。

 続きまして、(2)リーダー医師に必要とされる能力や役割について。ここでは中心的存在となっているリーダー医師とコーディネーターに必要とされる能力や役割について記載させていただいております。

 冒頭の部分、病院内子ども虐待対応組織が有効に機能するためには、メンバーの力を集結する働きかけと動機づけを行い、目標を定めマネージメントを精力的に行うリーダーが必要です。組織立ち上げの際、リーダーとして院内の虐待対応組織の整備を担っていく人物を選任することにより、組織の形骸化を防ぎ、虐待に関する業務の集約化を進めることで、院内の集約化、専門性が経年的に向上していくことが期待されます。

 1)リーダー医師に必要とされる能力としまして、1点目、組織のマネージメントに長けていること。2点目、虐待に対する医学的専門知識の向上に努め、医学的専門知識に基づいて評価を行うこと。また、わかりやすくその情報を提供すること。次の点になりますが、地域リソースを把握して、連携を図ること。また、病院と地域両方でリーダーシップがとれること。続いて、最後の点になりますが、研究協力ができる点がリーダーに求められるところです。

 次のページの一番上の部分、○で書いてあるところですけれども、本事業の中核となる病院、すなわち事業を申請してくるような病院におけるリーダー医師には、下記のような条件を満たすようになることを期待したいと思います。ある程度、虐待に関する臨床経験を持ち、地域と病院内子ども虐待対応組織の機能の評価と改善を行って、共有できること。また、医学的な情報を福祉行政機関に対し適切に提供できること。研究に関して精力的に行うことができること。このような点を記載させていただいております。

 2)リーダー医師の役割としましては、ピックアップして説明させていただくと、診療体制やマニュアルの整備、データベースの作成や研修会等、院内の体制の構築をすること。また、地域ネットワークの構築として、要保護児童対策地域協議会等に積極的に参加をして、医学的助言や意見等を行っていただくこと。また、個別事例に関しましては、虐待の対応に当たって組織として対応し、また、職員の負担の軽減と診療の継続性に配慮して柔軟に対応いただければと。この点に関して、後述の国立成育医療センターの取り組み等が例となると考えております。

 続きまして、次の8ページのコーディネーターに必要とされる能力や役割について説明させていただきます。

 コーディネーターはリーダー医師と協力し、院内子ども虐待対応組織を構築し、院内・院外の連携の中心となる病院内子ども虐待対応組織のキーパーソンです。医療ソーシャルワーカーや調整能力に長けた看護師長等が候補となりますが、病院によってはチームリーダーの医師等が兼ねる場合もあります。児童虐待に関する連絡調整は、通常の看護職や医師の職域ではない能力も求められるので、その場合は院内の医療ソーシャルワーカーと協力関係を確立しておく必要があります。

 コーディネーターに必要とされる能力としましては、ピックアップしますと、ポツ1の子ども虐待関連の資源。地域でどういうところが活用できるかに関して精通して、その資源を活用することができる。病歴聴取や安全にかかわるアセスメント(特に社会的リスクに関するアセスメント)を行うことができる。また、関係機関との連絡調整が可能である。こういったことが求められます。

 リーダー医師のところと同様に、当該事業に申請してくる機関で望まれるということを、以下に記載させていただいております。

 2)コーディネーターの役割ですが、院内体制の構築や地域ネットワークの拡大については、リーダーと協力して、リーダーの補佐的な役割を担っておりますが、次のページ、個別症例の対応については、連絡調整の中心となるのはコーディネーターであります。

 「ウ 個別事例への対応」を読ませていただくと、院内事例発生時に児童相談所等関連機関との連絡調整を行う。地域の医療機関からの虐待事例の相談の対応や、行政機関などの多機関との連絡調整を行う。児童虐待の初動において迅速に対応が必要で、正式に病院内子ども虐待対応組織のメンバーを全員参集することが困難なときに、虐待対応のための少人数のワーキンググループを組織して、リーダー医師とともに必要メンバーを招集して、主治医やリーダー医師の意思決定を支援していくといったところが求められます。

 続きまして、次の項目に移ります。今までは院内虐待対応組織の構築のノウハウに関して記載させていただきましたが、次はそれを広げていく「4.地域のネットワークの拡大に当たっての方策」について記載させていただいております。

 (1)地域ネットワークについてというところで、まずは、冒頭のところで、小児患者への対応の中核となる医療機関は、自身の施設で認知した虐待症例への対応のみならず、地域の医療機関や児童相談所、教育機関といった関係機関と連携し、相談しやすい体制づくりに努めていただきたいと記載しております。

 1)の部分で医療機関同士の連携に関して記載させていただいております。

 地域のネットワークにも医療機関同士の連携と自治体の関連組織との連携、要対協も活用した連携があると思いますが、まずは、医療機関というところで、その要点としまして、ア、相談窓口を一本化し対応する。イ、研修会を開催し、連携・虐待対応の向上に努める。ウ、地域リソースを活用し、連携により虐待の対応をする。すなわち、どこに何科の医療機関があるか把握し、関係機関の長等とやりとりをして、その連携により虐待の対応をすること。この3点が地域の医療機関同士の連携に関して重要であると御指摘いただいておりますので、記載させていただいております。

 続きまして、2)地域の関係機関と医療機関の連携の促進。地域の医療機関として児童相談所、警察組織、市町村と医療機関の連携についてここでは記載させていただいております。

 それぞれの機関について連携が必要とされる場面と連携の方策、各機関の役割についてここでは整理させていただいております。

 まず、児童相談所との連携に関してですが、連携の場面として、医療機関からは医学的な適応以外のところで入院の判断が必要なとき。また、医療機関以外からの相談に乗る場合も考えられるというところが連携が必要とされる場面、1(2)の部分で記載をさせていただいております。

 続いて、次の11ページ、2 (2)のところで、円滑な連携のための具体的な方策として、ここに記載されている3点は全ての機関と共通する部分もあるのですけれども、やはり日ごろより要保護児童対策地域協議会等を通して顔の見える関係を構築していくことが重要であるというのが1点目。また、2点目として、医療機関が主催する研修会や勉強会等に参加者を招くことも望ましい。3点目としては、児童虐待事案が発生したときに連携できるように、医療機関と児童相談所双方の窓口及び連絡先を明記して共有しておく。こういったことを具体的な方策として記載させていただきました。

 また、児童相談所の役割について四角で囲った部分に記載させていただいております。

 イ、警察組織との連携というところで、連携が必要とされる場面に関しましては、事件性が疑われる場合、連携が必要になります。逆に、医学的判断のために警察から協力を求められることもありますので、そういうときには連携して対応していただきたいということを記載させていただいております。

 2(2)に関しましても、先ほどの児童相談所と同じで、要対協を中心とした情報の交換や研修会や勉強会、また、窓口、連絡先の明確化等が重要であるということを記載させていただき、最後に警察組織の役割について四角内に記載させていただいております。

 ウ、市町村の連携になります。市町村との連携に関しては、特に産前の段階でハイリスク家庭を発見した場合や、受診時に乳幼児健診未受診であった場合と、また、乳幼児健診や乳幼児歯科健診等で介入の必要性を認めた場合に特に連携が求められるということを2つのパラグラフで書かせていただいております。

 2(2)円滑な連携のための具体的な方策。こちらもほかの自治体組織と同様ですが、4として追記させていただいているのが、特に母児保健分野において市町村が担う機能や、提供しているサービスについて医療機関がよく把握して、うまく活用していただくことは非常に重要であるということを追記して、記載させていただきました。

 最後に市町村の役割について、四角内にまとめております。

 次のページをお願いいたします。

 要保護児童対策地域協議会への参加ということで、やはり要対協は非常に重要であるということから、特出ししてここで記載させていただいております。

 連携の場として要対協は特に重要であり、要対協では、多種多様な職種が関係機関として参加して、要保護児童等の把握や対応方針について共有するための場となっております。

 要対協の機能として、図の下に書いてあるところですけれども、民間媒体等も参加した、幅広い関係機関での情報共有を図ることができる。調整機関に情報が集約されるため、的確な援助方針の策定や役割分担、援助の進行管理ができる。各関係機関がそれぞれの特色を活かしながら要保護児童とその家庭を援助できる。といった機能があります。

 特に医療機関が果たす要保護児童対策地域協議会での役割は以下のように述べさせていただいております。

 1として、協議会の実務者会議等において、児童虐待に対して、医学的な視点での意見を述べること。また、2、虐待症例の医療的な側面の知識の向上のための教育を担うこと。3、特定妊婦への支援のために連携体制を構築すること。4、要保護児童対策地域協議会の枠組みを利用して、必要な情報を整理した上で医療機関同士や関係機関との情報共有と連携を行うことが医療機関が果たす役割と記載させていただきました。

 続いて、(2)児童相談所・市町村等、関係機関と情報交換をする場合の留意点。これは虐待対応組織内外にかかわらずですが、医療機関へ診療情報を提供する場合の留意点としてここに記載させていただいております。

 医療機関が児童相談所等に虐待症例を相談する場合、必要とする情報としては以下のようなものがあります。

 1として、被虐待児がその医療機関にかかった経緯や理由。2、医療機関が虐待を疑った理由。3、保護者が医師や医療機関の職員に行った説明、医師の説明に対する保護者の反応。4、子どもの現在の医学的な危険度。5、医学的な予後について。こういったものを共有していただければと考えております。

 次の四角囲いですけれども、医療機関は医師等の医療従事者の守秘義務や個人情報保護の観点から、児童相談所または市区町村への情報提供、特に要対協の外で連携をする場合ですけれども、これについて消極的になる場合があります。しかし、この通知等で示されているとおり、児童虐待の防止や対応のために関連ある事柄についての情報提供は問題となりませんので、ここで特に記載させていただいております。

 (2)そのほか協議すべき事項への例や検討会の開催、外来対応をする場合等について、これ以下で記載させていただいております。

 こちらをごらんいただきたいと思うのですけれども、協議すべき事項の例として、保護者への告知をどのようにするか。警察との連携をどのようにするか。また、事例の検討会を開催することや、外来で対応する場合には頻回な連絡を心がけること等が記載されております。

 手引きの内容を一旦ここで切らせていただきたいと思いますが、ここに関連する事項が非常に多いということで、小林委員の提出資料をごらんいただきたいと思います。

 協議に際しまして、欠席の小林美智子委員から御意見をいただいております。それについて読み上げさせていただきます。

「児童虐待防止医療ネットワーク事業推進の手引き」(案)について

検討委員 小林美智子 (2014/02/24

 2月24日の検討会議を欠席させていただきますので、(案)について下記に意見を申し上げます。

 はじめに

 医療が児童虐待に関与するには、1(2)院内組織が必須であり、2(2)医療機関間でのネットワークの構築が望ましく、3(2)医療機関ネットと多機関ネットとの連携構築が必須です。今まで一部の方の御努力で造っていたこれらを、各地に広がるために、国の手引きができることの意義は大きいと思います。

 ただ、一部気になる点について下記に記しました、御検討いただければ幸いです。

 1.中核病院が虐待医療を担うには、医師等の増員、専用ベット確保等の体制整備が必要です。

 ・中心病院候補病院で、虐待に対応するリーダー医師候補は、虐待以外の診療対象の専門医療の担い手として多忙です。虐待医療は医師も、即時対応が必要で、患者対応にも院内調整にも関係機関対応にも多くの時間を要する診療で、医療ネット対応にはさらに対応時間を要します。同一医師が両者を担うことは不可能に近と思います。

 ・中核病院候補の病院は、空きベットがいつもなく、緊急の入院に対応しきれない可能性があります。虐待の入院は即時性が必要ですので、(救急医療や感染症対応のように)空きベットの確保が必要です。

 ・医療費負担に関しても、一時保護は公的負担になりますが、その周辺には(その後に)一時保護措置がならなくても入院が必要な児が存在します。その親負担の医療費がネックになり(親の不払い等)、医療機関管理者は受入れに消極的になります。

 ・看護体制も、被虐待児は児のケア・親対応・関係機関への対応時間が多いために、強化が必要です。施設での子どもの情緒行動問題や親の対応困難と同じような混乱が病院でも頻発し、生死に関わる病気で入院中の他児への影響があり、受入れ困難が生じます。

 2.コーデイネーターはMSWか看護師に加えて、保健師も対象になると思います。

 ・利点は、医療の内容を理解しやすく、地域ネットとのケースワークもできる職種であることです。

 3.リーダー医師やコーデイネーター養成のための研修が不可欠です。

 ・リーダー医師を養成する上での高度医療のための研修を実施する必要があります。

 その場合、医療機関で行うことにより、検査設備、診察室、カルテシステムや医療カンファレンスの設備を活用できるという利点があります。また、実施にあたっては、関連学会や研究会等の協力を得て行われるのが良いと考えます。

 4.発生予防や在宅児再発予防支援には、医療-保健連携が重要ですが、英国のように看護ネットワーク構築(病院看護師と助産師と保健師の連携システム)が、よりきめ細かい連携を可能にします。

 ・発生予防や在宅児再発予防の支援には、子どもと家族の健康状態や育児についての詳細な医療と保健の情報交換が必要であり、育児状況は看護師が把握していることが多く、医師よりも連携を取りやすいメリットがあります。わが国でも検討する必要があると考えます。

 以上です。よろしくお願いいたします。

 以上が意見でした。

○奥山座長 よろしいですか。ありがとうございました。

 今までのところで何か御質問、御意見はございますでしょうか。

14ページの(2)の1)関係機関への診療情報は、児童相談所にだけではないのですね。関係機関というのは、児童相談所・市町村等と考えていいですね。

○亀田課長補佐 はい。

○奥山座長 ミスプリントだと思いますが、7ページの「国立成育医療センター」は「国立成育医療研究センター」で「研究」を入れてください。よろしくお願いします。

○亀田課長補佐 訂正いたします。

○奥山座長 井上先生、よろしくお願いします。

○井上委員 都立小児総合医療センターの井上と申します。

 1つ質問で、リーダー医師というのは、中核となる病院に必ずいることという、その病院に備えつけというか、常駐されている医師を想定されているのか、その地域にお一人おられたら、その地域の中で、病院の垣根を超えてでも、例えば中核病院に出向してやるとか、そういったことを想定されているのか。どういうスタイルでの診療か。医師は異動してしまうので、中核病院に必ずいることとしてしまうと、もし異動してしまうと、中核病院の機能が果たせなくなってしまう可能性があるかなと思ったのです。そのあたりはどうなのでしょうか。

○亀田課長補佐 基本的には、その病院に常勤でいる方を想定しております。ただ、連携に関しては、やはり病院のことだけではなく、地域の医療機関に場合によっては出向いていって、教育等を行う。もしくは中核となる病院に人を集めて教育を行う。診療の継続性という点でも、異動してしまうところは挙げられているところで、そのためにも院内の研修等で虐待に対応するための診療の知識等の引き続きというか教育を行っていくことが重要であることを記載させていただいております。それが6ページの3)の内容になりますけれども、人材育成や研修会等を通じて技術を継承するという形で記載をさせていただいております。やはり院内の教育は診療の継続性に関しても重要ではないかということで、こちらに記載をさせていただいております。

○奥山座長 ありがとうございました。

 井上先生、それでよろしいですか。

○井上委員 大変だろうなという気はするのです。そんなにたくさん人材がいるわけではないので、求められている能力で、非常にすばらしい能力で、こんな人になれたらいいなと思うのですけれども、なかなか大変だろうなという気はします。

 ありがとうございます。

○奥山座長 佐々木先生、どうぞ。

○佐々木(隆)委員 2点お願いします。

 リーダー医師の能力のところで、6ページの一番下に研究協力ができるという書き方があります。その次のページの○の上のほうのところにも、学会発表などの学術活動を精力的に行うことができると。これは手引きとしては若干違和感がある気がするので、何か特別な意図があるかどうかが1点です。

 2点目は、小林先生の御意見にもあったように、病院がこの体制を今の医療報酬のままで受けてくれるかどうか。特に医療報酬というか、医療保険が変わりますね。うちの管内の基幹病院になるところを想定しても、かなり経済的に苦しくなるのに、こういうことが今のままでできるかどうかという心配が少しあるのでお聞きします。

○奥山座長 事務局のほうから何かありますか。

○亀田課長補佐 まずは、1点目、研究に関して、ですけれども、やはり虐待の診療に関するデータを収集して、発表するのは非常に重要なことだと考えておりまして、必須ではないところでは、研究協力という形で、どちらも努力規定ではあるのですが、特に本事業に申請していただくところでは、主体的に研究発表などをしていただき、そうでなくとも、地域の医療圏の中では中核として機能する病院に関しましては、少なくとも研究協力ができるところを目指していただければ。

○佐々木(隆)委員 臨床の虐待の研究班か何かをつくろうとして、こういうことを話しているのか、ただ一般的にいろいろな学会で発表しろということを言っているのか。研究協力という言葉が、今、先生のおっしゃったニュアンスとちょっと違う捉え方を私はしたので、ちょっと言い方を変えていただいたほうが、もしそういうことであれば、変えていただいたほうがいいかなと。

○亀田課長補佐 検討させていただきます。

 2点目、医療費に関する部分に関しましては、一部に関しましては、後ほど説明させていただく部分で、保険診療内で連携を図れる制度はありますので、後ほど紹介したいと思います。それ以外の部分に関しましては、今後、相談させていただければと思います。

○奥山座長 木下先生、どうぞ。

○木下委員 私も今、全く同じことを考えておりまして、病院の中で虐待対応組織と。診療科では新しい診療科をつくるのか、虐待科とでもいうのか。虐待されるほうは子どもでありますから、子どもが小児科のドクターたちが診て、これはおかしいぞということで、今度、親のほうはどうするのか。親のほうを病院につれてきて、果たして来るのかなと。そして、また別個に精神科の中にどこかのセクションを設けるのかとか、具体的にいざつくれとなったときに、誰がどういう考え方でやっていくかということが、モデルがあれば、なるほどなというイメージはわくのですけれども、本当にできるのかなという感じがいたしております。

 病院サイドからいたしますと、診療報酬で今、保険点数でどうやってできるのかなと。全く私費でもってこれをやるかといったら、親はまず来ないのではないかなと思いますし、ありがた迷惑というかもしれませんという意味では、専門家の集まりであるということにおいては、私はそうなのですけれども、組織としてやはり病院、今日の厳しい中でどういう診療報酬上のメリットも現実的に含めてどういう組織が最も望ましいのかなという、手引きとなりますと、みんなにやりなさいといって、飛びつくかなというと、非常に難しいのではないかなという気がいたしております。

 ただ、専門家というのは、親を対象にするのだろうと思うのですけれども、小児科でできるのか。精神科の先生が本当にこれに関心を持ってやってくれるのかなという意味で、チームをつくっていくのもまた大変なことでありまして、リーダー医師は一体誰がやるのかという意味では、文章としては書けますけれども、現場では本当に難しい感じがするものでありまして、これだけ大きな紙面を割いて、手引きとなると実行力がないと余り意味がないだけに、もうちょっと具体性があるほうがわかりやすいなという気がいたします。

 その意味で、全体を考えて、ネットワークの中での病院の役割というか、病院の先生が役割を持っていくことは非常に大事だろうと思うのですけれども、位置づけとして、要対協との関係においてどういうことになっていくのかなとか、ほかの組織との関連についてもまだ見えてこない部分があるので、もうちょっと具体的な御説明があるほうがわかりやすいと思います。

○奥山座長 ありがとうございます。

 第1点に関しましては、まず発見をして、そして子どもを危ないところに陥らせないというのが第一段階。その先の親のケアは多分、恐らく第二段階になるのだろうと思うのです。まだ、第一段階のところでの手引きとお考えいただいたほうがいいかなと思います。

 診療報酬に関しては私のほうからは答えにくいのですけれども、事務局のほうから何かありますか。

○亀田課長補佐 先ほどの回答と一緒になってしまいますが、情報交換に関しましては、保険制度を利用した方法を後ほど紹介させていただきます。そのほかの点に関しては、1つは、本事業の補助金という形でついておりますので、それを活用いただきたいと思います。それ以外のことに関しましては、今後また相談という形になっていくところで、まずは、この事業の推進に関して進めていければと考えております。

○奥山座長 ありがとうございました。

 ちょっと具体的なところで気になったのですけれども、平野さんからお答えいただければと思うのですが、コーディネーターのところが法廷証言を行うことができると書いてあるのですが、これは本当に大丈夫でしょうか。御説明を聞いていて、私も今まで見逃していたのですが、ちょっと気になったのです。8ページのところで、コーディネーターで本事業を受けた場合、受けたところのコーディネーターさんは法廷証言を行うことができるというのが書いてあるのですけれども、どちらかというと、医師のほうが法廷証言は求められることが多いかなとは思うのですが、医師のほうには書いていないので、その辺はどうでしょう。

○井上委員 質問しようと思ったところではあるのですけれども、ただ、ほかの例えば成育の先生方とか、北九州市ではリーダーの役割をしている先生が実際に法廷の証言をされているのか。もしされているのであれば、リーダーの役割として、8ページの一番上のその後の対応の中に法廷の証言が含まれるのかなと思いつつお聞きしたのです。

○奥山座長 法廷証言と書くよりも、司法に関連する書類を作成することができるという、意見書の作成という表現におさめておいたほうがいいのかなと思った次第です。意見書は結構作成していますね。28条裁判になるときなどは、かなり医師が意見書を作成するというのは期待されているので、それはあると思うのですけれども、法廷証言はかなり厳しいかもしれません。

○平野委員 すごく厳しいと思います。

 今のことに関係してですけれども、法廷証言は多分、うちの病院でもワーカーから出ることはありません。幾つか関連してですが、コーディネーターの社会福祉士資格を持つ経験年数3年以上のMSWと具体的に書かれているのですけれども、多分、公的病院だと、結構異動で児童相談所からいらっしゃる場合もあったり、ほかの機関からの異動で来られる場合もあったりして、実際、ワーカー経験がかなり豊かであっても、小児病院に来たときに、3年間やってもコーディネーターの役割はとれないと正直思います。自分自身の経験からも、ほかの病院を見ても、小児病院でせめて5年以上、業務に精通しているということがないと、恐らくコーディネーターの役割は担っていけないように思いますので、そこは御検討いただければと思います。

 あわせまして、リーダー医師とコーディネーターのことが書かれているのですけれども、現場サイドで考えますと、多分、リーダー医師とコーディネーターが核になるのは間違いないのですけれども、恐らくそれだけで組織は動かなくて、病院の中で虐待対応のレベルが質的に担保されていて、そこが継続されていくための条件としては、やはりチームとしてどう質を担保するのかという発想をもっと手引きの中に盛り込んでいただけたほうが実質的なものになるのかなと感じますので、さっき先生が言ってくださった意見書なども、リーダー医師の名前だけではなくて、実際に埼玉の小児医療センターでは、ほかの診療科のそれぞれ専門を持ったドクターが記載して、それを病院長決済を受けて、最終的には病院長名で出してということを行っております。

○奥山座長 木下先生、どうぞ。

○木下委員 さっきからマイナスなことばかりを言っているようで、もうちょっとポジティブなことをさっきから考えているわけですけれども、実は、この話のポイントは、コーディネーターの方が一番大事なのではないかと思っています。リーダー医師といって、医師に何の役割があるのと。一生懸命やっている先生も、コーディネーター的なことの役割を持つ医師でも構わないのですけれども、医師などというのは、具体的に小児の体を診てあげる、心を診てあげることと、親に対して医学的な対応をすること以上に、先ほどお話がございましたように、このポイントは、地域のサポート、加入してくださる皆様と、あるいは病院、医療関係者、行政の方、さまざまな方ときちっとチームを組んで、この事例に対してどうしていったら救えるかなということがきちっと見られる方がポイントなのではないかという気がしていたのです。これは私は経験がなくて、頭の中だけの話でございますけれども、そういったことから、医師というのは、余り表に出しても役立たないのではないかという気がしまして、そういうことよりは、ある役割を演じてもらうのは医師で結構ですけれども、本当の意味では、チームのリーダーというのでしょうか、そういう役割をきちっと明確にして、その人の力によって物事が進んでいくという方向のほうが現実的ではないかという気がしていて、さっきからお話を聞いていてずっと思っていたのですけれども、皆様からの御意見を伺いたいのですが。

○奥山座長 ありがとうございます。

 ほかの方々の御意見はいかがですか。

 恐らくコーディネーターだけでも無理だし、医師だけでも無理なのだと思うのです。この2つが合わさって何とかなっていく。例えば平野さん1人でやっても多分、難しくて、そこにリーダーになってくれる医者が1人いるかいないかというところが大きいのだと思うので、両方セットでここは書かれているのかなと思いました。

 臼井さん、何か御意見ありますか。

○臼井委員 今、おっしゃったように、チームとしてということで、ただ、チームになったときにやはり核になるリーダーの人がいて、そのリーダーが多くの病院だと、北九州市立病院でも成育でも、小児総合でも、結構、医者がリーダー的な、チームの上に立つ人は、そういう形になることが多いので、そのリーダーとこのリーダー医師が混在してしまっているかなと。実際であれば、今、おっしゃったように、全員で、本当に人数が少ない中で、ケースワーカーとか、いろいろな人が集まって、このケースに対してどうしようかと。病院である一部の医者がそれを発見して、その発見した時点で、そこの中でこういう状態だけれどもというものを、通常だとCAPSだったり、何かに上げたときに、それをどういう形で地域で考えていくかというと、リーダー医師という言葉と、チームでもっていって、代表としてこう考えようという、ちょっと混在、名前としての言い方のあれがあるかなと思ったのですが。

○奥山座長 つまり、チームがある中のリーダーであるという。リーダーがチームをつくるのではなくてという考え方ですね。

○笠委員 杉並区立高井戸保健センターの笠です。

 今、お話をお聞きして、区市町村から病院に連絡をとる際には、リーダー医師や各診療科で構成されるチームリーダー等、どこに連絡をとったら一番、院内全体への周知や意見の集約をしていただきやすいのか、ネットワークをとりやすいのかをいつも考えて連絡をとらせていただいています。医療機関の中のネットワークのコーディネーターと、地域とつなげていくコーディネートという両方があって、その中で誰が核になっているのか、院内の組織がどう動いているかということが大きいのではないかと思いました。

 また、地域のネットワークですが、医療機関同士のネットワークの他に、地域には子育て家庭を支えている母子保健や子育て支援のネットワークがあるので、そのネットワークをどう橋渡しをしていただくかということも大切だと思います。1人のコーディネーターの方が地域の全部、それぞれのネットワークをつくるのは難しいので、どこのスイッチを押したらうまくネットワークがつながるのかと考え、地域につないでいただければと思います。医療ネットワークは全体のネットワークの中の一部であると思うので、地域のネットワークのコーディネーター役として、保健医療専門職である保健師等と連携を図っていただくことで、よりネットワークが強化されていくのではないかと思います。

○奥山座長 ありがとうございます。

 今までのお話を伺っていると、どなたかが多分、御発表の中で使ってくださったと思うのですけれども、全体の地域のネットワークがあって、医療機関のネットワークがあって、病院の中のネットワークがあってみたいな図がありましたね。ああいう図をどこかに入れておいたほうがわかりいいのかもしれないという気がしましたので、後で相談させていただきたいと思います。

 あと、もう一つだけ気になったところがありまして、連携のところですが、例えば10ページの地域の関係機関と医療機関の連携の促進。児童相談所との連携。桜山さんのほうから、連携はこの点だけでよろしいでしょうか。もう少し何か書いたほうがいいことがありそうな気もしないではないのですけれども、いかがでしょうか。

○桜山委員 網羅しようと思えばいろいろ書けるのかもしれませんけれども、先ほど亀田さんから説明がありました「はじめに」のところであったこの手引きの性格からすると、院内でいろいろなものを立ち上げるときの参考ということであれば、私はこのぐらいでもよろしいのかなという気もしたのですが。

○奥山座長 わかりました。ありがとうございます。

 特に入院させる、させないというのがかなり中核になっているので、それだけでいいかなとちょっと思っただけなのですが。

 実際、児童相談所に通告をして、児童相談所が判断に役立つような医療的な情報を与えるとかというところが連携の一番先かなとも思わないではないのですが。

○桜山委員 先生のおっしゃるのは、11ページの1、2行目のあたりのことですか。「重症度判断や、入院適応」。

○奥山座長 アの1(2)の「連携が必要とされる場面」というところです。

○桜山委員 1(2)のところの「保護者からの入院同意などの判断が必要になる」とありますね。あるいはその流れの中で、11ページのほうへ行くと「重症度判断や、入院適応、今後の治療方針等について判断することが求められる」というのがありますが、児童相談所が判断を求められるときに、実際には医療機関の判断を尊重せざるを得ない。児童相談所は診療機能を持っておりませんので。一部のところはドクターもおりますけれども、実際には診療機能を持っておりませんから、そういう意味では、この書きっぷりでいいのかなと私は思ったのですが。

○奥山座長 アの1(2)の下の2行目からは、医療機関以外の通告の場合なのですね。それを児童相談所から医療機関に紹介をするというところが書かれているのだと思うのです。上が医療機関からの御相談の場合なのですけれども、医療機関からの御相談の場合が入院の適応に限られているので、児童相談所としてはそれでよろしいでしょうかという御質問ですが。

○桜山委員 限定的に入院だけではないだろうとおっしゃられているのですね。それは私はそうだろうと思います。奥山先生のおっしゃるとおりだと思いますが、書いていないからそれはやらないのだと私は読まなかったのですが、もしそれならば、入院に限ることがなくというのはおっしゃるとおりだと思います。

○奥山座長 そうすると、連携が必要とされる場面の例みたいな感じでもいいのかもしれないですね。

 よろしいでしょうか。ほかに御意見はありませんか。

 あと、先ほど木下委員から、要対協に出ていかれた先生が何をやっているのかわからないということがあったのですけれども、13ページのところをごらんいただいて、実際にお出になっているのが、代表者会議なのか、実務者会議なのか、個別検討会議なのかによってかなり違うのですが、先ほどのお話ですと、多分、実務者会議にお出になっているのかなと思うのですけれども、それでよろしいですか。

○木下委員 恐らくそうだと思いますけれども、詳しくは私も。

○奥山座長 ここに書かれているようなことが目的とされているのですけれども、確かに例えば特定妊婦さんのことがないと、その実務者会議が2時間、3時間あっても、特定妊婦さんが1ケースもないときに産婦人科の先生に来ていただいても、恐らく何のことやらわからないということで終わってしまうことは確かにあるのだと思うのです。その辺のところは、多分、中心となる機関が決められるようになってきているので、そこがどういうときに産婦人科の先生をお呼びするかをきちっとマネージすることが重要なのであって、これは医療機関の手引きですので、余りこの中に組み込むことではないと思うのですが、そちらのほうをそれぞれの地域でお願いしていくことになるのではないかなと思うのですが。

○木下委員 ありがとうございます。

 そういう個別的なこともさることながら、例えばほかの場合でもそうでありますけれども、児童虐待の場合に要対協にこういう事例がありますと紹介して、そこでどういう議論をされて、お互いにそこから新しい情報を持って、あるいは困ったことを相談に行ったときにどういう方向性のものが出てくるかが、果たして要対協だけでできるのか。皆様方関係者が集まることにおいては情報共有はそれなりのことができるかもしれませんけれども、それだけだったら、普段、身内でやっているところをみんなに報告するだけということだったら、一体全体、どういう情報が得られて、何のためになっているのかなという印象になってはいないかなという意味でございます。

 ですから、そういった大きな組織を持つことは、仕組みとしては情報を共有し、意識を共有しという意味においては大事かもしれませんけれども、個別のそれぞれの事例についての問題でもありましょうし、それを具体的にさらに発展させていくという意味においてどういう役割があるのかがなかなか見えてこない。ですから、そこにおける責任者はどういう視点でもってやっているのかなというのがよくわからないという意味でございます。

○奥山座長 ありがとうございました。

 では、桜山委員、簡単に。

○桜山委員 要対協についての今の木下委員の御発言はうなずける点もあるのですが、実は、こういう組織があることによって非常に私どもが助かりますのは、ふだんは確かに要対協を開かなくても、例えば児童相談所と医療機関、児童相談所と市町村あるいは警察を巻き込んでいろいろな連携がとれているわけですけれども、11ページの2(2)のところにありますように、ここは児童相談所だけ書いてありますが、上から5行目「児童相談所との連携を図るためには日頃より要保護児童対策地域協議会等を通して顔の見える関係を構築しておくことが重要である」という、これがあって日々の連携がとりやすくなるという点と、また、13ページの色刷りになっております図といいますか、四角になっているものがありますが、ここの下のほうにさりげなく小さく書いてあるのですけれども、青いところに「個別ケース検討会議」というものがありまして、その下に※で「協議会は、関係機関等に対し、資料又は情報の提供、意見の開陳その他必要な協力を求めることができる」とありますが、情報を出して、先ほど病院が出すときに法律上の問題は基本的にないということが亀田さんから説明がありましたが、いろいろな機関に対して情報を求めるときに、守秘義務の関係でどうのというものが、要保護児童対策地域協議会に守秘義務がかけられておりますので大丈夫ですよ、提供してくださいということが言えるというのが要保護児童対策地域協議会の強い点だと私は思っております。ですから、会議などで、特に代表者会議などは、今、奥山先生もおっしゃったように、必ずしも全てが関係あることではないのですが、その辺が実際の効果としてはあるのだということを御理解いただければと思います。

○奥山座長 ありがとうございます。

 そうしましたら、3)要保護児童対策地域協議会への参加というところにどこかで守秘義務のことをきちっと書いておいたほうがいいかもしれないですね。最後に守秘義務の説明をしていただくということで入れておいたほうが医者にはわかりいいかもしれないということです。

 よろしくお願いします。

 では、最後まで御説明をお願いいたしたいと思います。

○亀田課長補佐 続きまして、2の5以下の部分に関して説明させていただきます。

 「5 病院内子ども虐待対応組織の取り組み例」。こちらでは、検討会で取り上げさせていただいた3医療機関の取り組みについて記載させていただいております。

 それぞれがその医療機関の実情に応じた体制で取り組んでいただいており、これらは子ども虐待対応組織の構築の参考にしていただければと。主となる診療科に関しても医療機関よって、場合によってまちまちであるというところで、地域の特性にあった体制を構築していただければということで、どれか参考にしていただければということで、全て取り上げさせていただいております。具体的な中身に関しましては、今までの検討会で言及されていることですので、割愛させていただきたいと思います。

 続きまして、「6 妊娠期からの医療機関との連携の取り組み例」というところで、特定妊婦への対応の重要性が前回までの検討会の中でも、今回でも指摘されているところであります。各自治体で取り組んでいただいているところではありますが、ここで地域の取り組み例として、北海道の養育者支援保健・医療連携システム事業について紹介をさせていただきたいと思います。

 こちらの目的としては、養育者が精神的にも身体的にも最も支援を必要としている妊娠、出産期において、早期に適切な支援に結びつけ育児不安を軽減し、乳幼児虐待を予防することができるよう、医療機関と地域保健機関が連携し、支援を必要としている家庭を積極的に把握する体制を整備して、児童虐待発生の予防を図ることを目的とされており、内容としましては、主には、養育者の同意のもと「養育支援連絡票」、こちらは診療情報提供料250点がついておりますが、医療機関から市町村、保健所へ発出し、市町村、保健所が支援し結果を報告するというものになっております。

 参考資料3をごらんください。「養育支援連絡票」に関しまして、通知で「妊娠・出産・育児期に養育支援を特に必要とする家庭に係る保健・医療・福祉の連携体制の整備について」という通知の中でこの制度を説明させていただいており、7ページのところに具体的な連絡票の形式について添付させていただいております。こういった制度をうまく活用していただいて、北海道では取り組んでいただいているところですので、ほかの地域に関しても同様に取り組んでいただければということで例示させていただいております。

 成果といたしましては、医療機関側からの連絡によって、妊娠中、周産期等、速やかに支援が開始されるようになった。医療機関においてもEPDS等のスクリーニングツールが導入されるようになり、養育支援が必要なリスクの情報交換と共有がしやすくなった。圏域の研修会や運営会議により、管内の医療機関との連携が強化された。システムが導入されたことにより保健所管轄外であっても情報や支援が双方向で実施され、周産期から子育ての支援が強化された等が挙げられております。

 次の21ページに連絡票の事業を平成16年から行っていらっしゃると伺っていますが、年々しっかり普及しているということで、うまく活用されている例ということで例示させていただきました。

 続きまして、「7 自治体において児童虐待防止医療ネットワーク事業を取り組むにあたって」というところで、取り組みむに当たって自治体に留意いただきたい点について言及しております。

 特に、手引き書の後ろについております参考1-3の部分に事業申請する際の参考を記しております。

25ページになります。上の部分に記載させていただいているとおり、本事業は国庫補助が半分ですけれども、460万円を基準額として国庫補助額230万円等がついている事業であります。具体的な申請のときの記述例をここに記載させていただいたので、こういうものを参考に医療機関と自治体とで協力して、こういったものを作成していただいて、申請に至っていただければと考えて記載させていただいております。

 最後、22ページにお戻りいただいて、「3(※1) 終わりに」というところで、児童虐待防止医療ネットワークの機能上の重要性についてと、ネットワークが整備された結果、本当の目的であるところの児童の保護、特定妊婦の支援や虐待件数や虐待死の減少につながることが重要であることについて記載し、結びとさせていただいております。

 以下は参考資料となっておりまして、23ページ、参考1、児童虐待対策の関連事項というところで、関連の法律事項や事業の概要等。

27ページからは参考2となりますが、虐待の診療に関する事項。本手引きはあくまで虐待対応組織の構築とネットワークの構築に関しての手引きなので、参考に落とさせていただいているのですけれども、実際の診療に関して注意する点等を記載させていただいております。歯科診療に関しての具体的な点に関しても、5として「歯科的特徴と対応」というところで、一般社団法人日本小児歯科学会の「子ども虐待防止対応ガイドライン」から抜粋させていただいて記しております。

 また、参考3は、2の5の項目の北九州市での取り組み例の中で利用される相談書等についてこちらに添付させていただきました。

 最後に、参考4としまして、本手引きを作成するために引用したもの等の文献に関して記載させていただいております。

 手引きの内容としましては、以上になります。

○奥山座長 ありがとうございました。

 それでは、最後の部分あるいは全体部分で御質問、御意見ございますでしょうか。

 木下先生、お願いします。

○木下委員 6番の「妊娠期からの医療機関との連携の取り組み例」ということでここに記載のとおりでございますけれども、私たち産婦人科医会としましては、この問題は非常に大事なこととして考えております。妊婦ですから虐待というところにいくわけではないのでありますけれども、妊娠時期における心のケアにきちっと対応することによて、生まれた児に対しても、産後鬱病も含めて、その傾向があるようであれば、早目に手をつけてあげることで虐待までいかない、あるいはネグレクトにいかないということになっていくという考え方から、妊娠の初期にもう既に妊婦健診等のところでスクリーニング的な調査票をもって、全ての診療、分娩を取り扱う機関ではそういったことで対応することをやろうと思っております。

 問題となったケースはここにありますような調査票、「養育支援連絡票」は保健所に持っていけばいいという仕組みができ上がっているわけでありますけれども、大事なことは、保健所に行ったときに、我々が日常的に助産師でありますとか、医師が対応できる範囲のものである限りにおいては、はっきり申し上げて、保健所の方がプロであるはずがないのでありまして、いいだろうけれども、それ以上に精神科的な、ある程度対応していただきたいケースが当然あるわけでありますから、それに対してどうするかが最大の問題でございましたので、現在、精神科の学術団体の方と話し合っておりまして、特に精神神経科学会の理事長先生とも相談して、今後、精神科の中に妊産婦の悩みに対してどういう対応をしていくのがいいのか協議会をつくろうというところまで来ておりますだけに、そこから新しい精神科と産婦人科との妊婦さんを診る上における対応をどう構築していくかというところまで話を進めていきたいと思っております。

 したがって、保健所のところの話、一般的に問題があったケースはそちらにお願いするとしても、大事なことは、受ける側の方たちがある程度、精神科的な素養を持って、プロフェッショナルとして対応できる研修を受けてもらいたいとつくづく思っております。要対協にそうった特定妊婦を、連絡をして、こういう方がいるのでよろしくといったときに、対応する方々はプロかというと、そういう方もいらっしゃるかと思いますが、ほとんどは心優しい、何とかしてあげましょうという方たちばかりであろうと思いますだけに、やはり虐待の親に対する対応あるいは心の悩みを抱えた妊婦に対して、母親に対して、きちんとしたプロフェッショナルとしての、全く精神科とは違いますけれども、そういった訓練を受けた方たちをいかに養成していくかも今後の対応として大事ではないかなという気がいたします。それによって随分変わるのではないかという気がいたしますだけに、今後、こういった方たちを診る方たちの訓練でしょうか。研修といいますか、そのシステムをつくることも私たちのこの会の1つの役割になってきやしないかなと思いますだけに、それはぜひお願いしたいと思います。ちょっと余計なことを申しましたが。

 そのようなことで、妊産婦に関する問題は、今、形にしていこうということで、ことしからまた具体的に始めて、また1年か2年後には御報告できるだろうと思います。

○奥山座長 ありがとうございました。

 前のほうになると思うのですけれども、リーダー医師の地域への研修に関しても、病院として、特に事業を受けた場合にはやってほしいということが書かれているので、その中でも発展していけばいいかなと思います。

 また、この問題はここでお話するのは医療の体制整備ですけれども、医療だけではなく、さまざまなところが一緒に体制整備が上がっていかないと、子どもを助けることには確かにつながっていかないのですが、まず、ここでは医療のことに限って考えていきたいと思います。

 ほかにございますか。

○佐々木(隆)委員 木下先生が今、保健所の保健師のことを言及してくださいましたので、余り脱線しないように話をしますと、地域保健法で、ちょっと前まで母子保健は市町村におりていっておるのですね。今、やっとまた保健所が手を出せるようになってきましたので、北海道みたいな取り組みは各地でやっておりますが、先生がおっしゃるように、プロを育てろというところは、保健所長会も気をつけていかなければいけないなと思いました。

 ありがとうございます。

○奥山座長 ありがとうございます。

 先ほど申しましたように、発見して、とにかく守るのだというところをまず第一に確立しなければならないというところで、この事業及び手引きが作成されるわけですけれども、この先いろいろなところでいろいろな問題につながっていくと思うので、また発展させていかなければいけない問題だと思います。

 ほかに御意見ございますか。

 どうぞ、臼井先生。

○臼井委員 添付資料の中で「身体的問題を評価・治療する」というところで、あえて身体的問題を評価する、治療すると、27ページにこういう形で項目を挙げるのであれば、やけどを挙げてもらったほうが、皮膚科とするのか、小児科の中に入れるのか。虐待といった場合にいろいろなやけどのお子さんが結構いらっしゃるので、もしこういう形で挙げるのであれば、やけどを入れていただきたいと思ったので。

○奥山座長 27ページの1の1)身体的問題を評価・治療するというところに、皮膚科を入れると考えていいのですか。

○臼井委員 そうですね。皮膚科なり、小児科でやけど、たばこのあとであったりとか、虐待の場合、やけどで出方として出ることがあるので、そういうところがここに挙げられていなかったので、参考資料としてするのであれば、どこかで挙げてもらえるとと思いました。

○奥山座長 どこかに入れていきたいと思います。小児科がかかわるのは、発育不良だけではなくて、全てにかかわるので、そこに入るのかなと思いますが。

 ほかにいかがでしょうか。

 内海先生、どうぞ。

○内海委員 せっかく手引きができているのと、例が挙がっているので、この手引きに沿うと、この3つの医療機関では、どれがリーダー医師になって、どれがコーディネーターというように動いているのかイメージを添えていただくと照らし合わせながら、わかりやすいのかなと思うのですが。

○奥山座長 そこが難しいところかもしれません。

○内海委員 それがないと手引きをつくっても何か。手引きには書かれているけれども、この実例では、リーダー医師は時には担当の脳外科がなっているよとか、そうではなくて、全体のチームで動いているよとか、うちではそうではなくて、担当の医師とリーダーは違うのだとか、そういう構図が見えてこないと、すごくわかりやすいようでわかりにくいのかなと思うのですが、

○奥山座長 ここは確かに1つ大きな問題かなと思うのですけれども、御発表いただいた中にあったかなと思うのですが、要するに虐待対応チームもそれぞれの病院によって3段階ぐらいにチームのあり方を分けているのです。恐らくここの成育とか埼玉、北九州市は、どちらかというと、トップレベルのほうで、いろいろな科に入っているチームをつくるべしという、一番トップのレベルのほうの話なのだと思うのです。リーダー医師とコーディネーターで2人でやりましょうと、比較的小さい病院をイメージした対応のあり方になってくるので、ここに恐らくびたっとは当てはまらないのですね。

○内海委員 当てはまるところはないのですか。

○亀田課長補佐 今回の事例発表の中では当てはめていません。

○内海委員 探していないのですか。そうすると、あわない。

○奥山座長 市川先生のところはどうですか。

○市川委員 当てはまるといえば当てはまるかもしれないですけれども、北九州市はいわゆる地域との連携を強調して発表させていただきましたので、院内では、チームをつくって、そのチームのトップという形で、私がリーダーという形でずっとやっていますので、そういう意味では、そこにコーディネーターが入っていただければすごく仕事がしやすいなという思いで、この事業はすごくウエルカムという感じで思っているのです。院内の部分はここの事例では余り出さずに、地域との連携を強調した形で出させていただいているということになります。

○奥山座長 ありがとうございます。

 埼玉のほうはどうですか。例えばCAATの代表医師はいるのですか。

○平野委員 CATTの小児医療センターの代表医師というのは歴代おりますけれども、たまたまこれまでは6年間、脳外科の医師がリーダーだったこともあって、実務のレベルでも、あと、関係機関との関係でも中心的な役割だったのですが、またドクターが交代したことで、リーダー医師は後方支援に回っている感じなのですが。

○奥山座長 かなり医師の特性によって変わるということですか。

 成育は先ほど見ていて、どうしようかなと思っていたのですけれども、発表したときと今とでは組織が少し違うかもしれないのです。ですから、ここのところに、御発表いただいたときの日付を入れていただこうと思っていたところなのです。今は子ども生活安全対策室という室をつくって、事故の問題と虐待の問題をやる部署ができています。もちろん兼任ですけれども。うちの場合には、リーダーの医師が一人で全部を行うという考え方ではなくて、小児総合診療の医師は全員ができなければいけないという考え方で、オンコール医師がリーダーにその場、その場でなっていくという体制に切りかえているのです。なので、ちょっと体制が違うかもしれません。リーダー医師がいるとリーダー医師が転勤でいなくなるとつぶれる危険性もあるので、どちらかというと、リーダーなるものがなくてもできる体制にというのを、今、成育では試みている最中ということになるので、ちょっと難しいかもしれません。

 北九州市は院長がリーダー医師であるということをどこかに、リーダー医師が院長、コーディネーターはないですか。

○市川委員 ないです。

○奥山座長 成育医療センターでは、リーダー医師はオンコール医師がリーダーとなる。コーディネーターはMSWである。埼玉のほうは、リーダー医師はCAATの代表医師である。そして、コーディネーターはMSWであるというところをどこかに四角くくくって入れるという形でやりましょうか。

○内海委員 どんな形にせよ、子供を守る組織を院内につくるのだということが強調されればいいのかなと思います。

○奥山座長 ありがとうございます。

 では、そういう形で、手引きに合った形で、誰がリーダー医師で、誰がコーディネーターになっているかというところを入れてみましょう。

 ほかに全体を含めていかがでしょうか。

○笠委員 「はじめに」のところに発生した児童虐待への対応だけでなく、その体制やネットワークを活用して児童虐待を未然に防止することも可能になっていくというところがあり、とても重要な視点だと思いました。やはり医療のネットワークで虐待を早く発見して、安全に子どもをしていくというところはもちろん第一段階ですが、そのことが先々の重症化の防止ですとか、次世代の虐待の予防につながっているというところで、妊娠期から思春期まで、全部がトータルでつながっていくことがやはり大事だと思います。その部分のところについては、母子保健という視点はきちっと入れ込んでいくことが大事だと思っています。今回の議論は、第一段階ということで理解しているのですけれども、終わりのところにそういった意味の児童虐待の予防の視点ですとか、母子保健の原点に戻って予防対策を進めていくことを添えていただければと思います。

○奥山座長 ありがとうございました。

 特に「終わりに」のところは少し膨らませてもいいのかもしれないですね。

 ほかにいかがでしょうか。

○平野委員 1つは、25ページのところにある、もともとが都道府県が事業申請をして、460万円を基準額として、半分が国庫負担ということで始まっている事業ですが、現在の実績を教えていただきたいのと、なかなか埼玉でやはり動かないのです。事業として広がっていって、最終的に子どもが守られる体制を広げていけたらいいと思うのですけれども、多分、手引きができてもなかなか自治体が動かないだろうなと。むしろ、現場で頑張っている医療機関に何らかのサポートがないのだろうかということをこの会議に出てくるときにチームの先生方から言われてまいりました。どうやったら自治体を動かし、この事業をやっていけるのかというあたりで御意見をいただければありがたいです。

○奥山座長 手引きの問題とはちょっと離れるかもしれないのですが、事務局、よろしくお願いいたします。

○亀田課長補佐 事業の実施に関しましては、平成25年度の実施箇所数は3カ所で、具体的には愛知県、香川県、福岡県で実施をしております。取り組みのヒントになるかと思いますけれども、申請してきた都道府県がどういうやりとりを経て申請まで至ったかをヒアリングしていまして、三者三様であって、都道府県の中で県側が児童虐待の取り組みが進んでいる病院を抜擢して、病院側と調整して申請に至った例と、病院側から当事業に申請したいと都道府県に申し出があった例。また、病院の選定を都道府県から都道府県医師会に相談をして、医師会の中で協議をいただいて、医師会の小委員会の中で議論していただいた上で、最終的には市の医師会との調整を経て、対象病院を絞っていった等を聞いております。何かの参考になればと思います。

○奥山座長 ありがとうございました。

 ほかにいかがでしょうか。

○市川委員 今の話は、福岡県は政令都市が2つありましたので、政令都市もできるとしていただいて、結局、4カ所の基幹病院をつくる。政令都市のほうは予算化で、北九州市は来年度から実施しますけれども、福岡県は県がやっている病院が2カ所です。ブロック分けで2カ所でやっていますので、これはそのように県のほうに強くアピールされたらいいのではないかと思いますが。

○奥山座長 政令市もいいのですね。

○亀田課長補佐 入っております。

○奥山座長 そうすると、埼玉でも、さいたま市もありますので、政令市にも働きかけるという手もあるかもしれないです。

 では、いろいろ御意見をいただいたのですけれども、きょう、御意見をいただいたものを事務局と一緒にまとめさせていただいて、最終的な表現等は私のほうに御一任いただいてもよろしゅうございましょうか。

(「異議なし」と声あり)

○奥山座長 ありがとうございます。

 では、そのようにさせていただきたいと思います。

 長い間、本当にいろいろと貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。

 これにより、医療が子どもたちを救うための一歩となればと思います。

 ありがとうございました。

 では、事務局のほうにお返ししたいと思います。

 よろしくお願いいたします。

○渡利課長補佐 奥山座長、円滑な議事の進行をいただきまして、まことにありがとうございました。

 事務局を代表いたしまして、桑島母子保健課長より、御挨拶を申し上げます。

○桑島母子保健課長 委員の皆様方、本当に長時間にわたりまして、熱心な御議論、誠にありがとうございます。

 平成24年9月、ちょうど私が着任をいたしまして1カ月以内に第1回目が行われたわけでございます。そこから既に3回目ということで、平成25年2月と今回の3回目ということで、もう少し早くまとめさせていただきたかったのですが、いろいろ諸事情がございまして、今回に至ってございます。

 本日の御議論を聞かせていただいても、まだまだいろいろな御議論をもっとしていただいて、この医療機関のネットワークをもっと充実させていかなければいけないということをつくづく感じさせていただいたところでございます。

 そういう意味では、全国でまだ、平成24年9月の時は0カ所ということで、そういう非常に強い問題意識の中でこれは立ち上がったわけでございますけれども、その中で、今、全国で3カ所と御報告を申し上げました。これがある意味で、全国にないと、そういう意味では、医療機関側の先生方の場をもっと充実させていかなければいけないのだなということは、全国共通した問題、課題ではないかなと考えてございます。

 ただ、今の御議論の中で幾つもございました、奥山先生のお言葉をかりるならば、まだ第一段階目ということもございました。そういう意味では、さらにステップが上がっていくことが今後望まれるわけでございますし、そうした事業展開も私どもとしても支援させていただきたいと考える次第でございます。

 いずれにいたしましても、本日、大きくまとめに向かって議論いただきましたので、これをまとめまして、全国に手引きを使って展開できるように積極的に普及啓発も図ってまいりたいと考えてございます。

 本日はどうもありがとうございました。御苦労さまでございました。

○渡利課長補佐 これをもちまして「児童虐待防止医療ネットワーク事業に関する検討会」を終了いたしたいと思います。

 委員の皆様方、3回にわたりまして非常に活発な御意見、御議論をどうもありがとうございました。

 以上でございます。

 

注 (1) ローマ数字
   (2) 数字に○


(了)
<照会先>

雇用均等・児童家庭局母子保健課母子保健係
電話: 03-5253-1111(内7938)

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