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2013年12月25日 第4回「日本人の食事摂取基準(2015年版)」策定検討会 議事録

健康局がん対策・健康増進課栄養指導室

○日時

平成25年12月25日(水)10:00~12:00


○場所

厚生労働省専用第23会議室


○出席者

構成員<五十音順・敬称略>

雨海 照祥 (武庫川女子大学教授)
勝川 史憲 (慶應義塾大学スポーツ医学研究センター教授)
門脇 孝 (東京大学大学院医学系研究科教授 )
河野 雄平 (独立行政法人国立循環器病研究センター生活習慣病部門長)
木戸 康博 (京都府立大学大学院教授)
熊谷 裕通 (静岡県立大学教授)
児玉 浩子 (帝京平成大学教授)
古野 純典  (独立行政法人国立健康・栄養研究所理事長)
佐々木 敏 (東京大学大学院教授)
佐々木 雅也  (滋賀医科大学附属病院栄養治療部病院教授)
柴田 克己 (滋賀県立大学教授)
柴田 重信 (早稲田大学教授)
曽根 博仁 (新潟大学大学院教授)
多田 紀夫 (東京慈恵会医科大学教授)
中村 丁次  (神奈川県立保健福祉大学学長)
菱田 明 (浜松医科大学名誉教授)
深柄 和彦 (東京大学附属病院手術部准教授)

事務局

佐藤 敏信 (健康局長)
椎葉 茂樹 (がん対策・健康増進課長)
河野 美穂 (栄養指導室長)
芳賀 めぐみ (栄養指導室長補佐)
野田 博之 (たばこ対策専門官)

○議題

(1)策定の基本的事項について
(2)策定する指標と値について
(3)日本人の食事摂取基準(2015年版)報告書構成(案)について
(4)その他

○議事

 

○河野栄養指導室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第4回「日本人の食事摂取基準(2015年版)」策定検討会を開催いたします。

 構成員の皆様方には、御多忙のところ御出席いただきまして、ありがとうございます。

検討会の開催に当たり、健康局長の佐藤から御挨拶申し上げます。

○佐藤健康局長 皆さん、おはようございます。厚生労働省健康局長の佐藤敏信でございます。いろいろお世話になります。

 本日は、「日本人の食事摂取基準(2015年版)」の第4回を開催いたしましたところ、師走の大変お忙しい中お集まりいただきまして、大変ありがとうございます。御礼を申し上げます。

私から申し上げるまでもありませんが、「日本人の食事摂取基準」の検討会、2月に開催いたしまして、第3回目が4月ということですが、それ以降少し間隔があきましたが、その間にワーキンググループ、座長の佐々木先生ほかに御指導いただきまして御検討いただいていたということで、きょうは、ワーキンググループの座長からこの間の策定の基本的事項、指標と値について御報告いただき、御論議をいただくことになろうかと思います。限られた時間ではございますが、御討議よろしくお願いいたしまして、これが2015年版の食事摂取基準の策定につながればと考えております。

どうかよろしくお願いいたします。

○河野栄養指導室長 本日は、葛谷構成員、寺本構成員におかれましては、御都合により御欠席です。

引き続き、配付資料の確認をさせていただきます。

 策定検討会の議事次第、座席図、構成員名簿をおめくりいただきまして、資料1としまして「日本人の食事摂取基準(2015年版)の策定方針について(案)」。

資料2としまして、「策定の基本的事項について(案)」。

資料3としまして、「策定する指標と値について(案)」。

資料4としまして、「日本人の食事摂取基準(2015年版)報告書構成(案)について」。

資料5としまして、「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定スケジュール(案)について」。

参考資料1として、「『日本人の食事摂基準』策定検討会開催要綱」。

参考資料2として、「『日本人の食事摂基準』策定検討会ワーキンググループ開催要綱等」となっております。

机上配付のフラットファイルにつきましては、3回までの検討会の資料を配付させていただいております。

不足はありませんでしょうか。

それでは、これ以降の進行につきましては、菱田座長にお願いいたします。

菱田座長 皆さん、おはようございます。

 それでは、まず初めに、4月に行われました第3回の検討会において策定方針が整理されていますので、資料1「日本人の食事摂取基準(2015年版)の策定方針について」、事務局より説明をお願いいたします。

○河野栄養指導室長 それでは、資料1「日本人の食事摂取基準(2015年版)の策定方針について(案)」でございます。

 1ページ中ほどにありますとおり、日本人の食事摂取基準(2015年版)策定の方向性については、図1に示しているとおりです。3回までの検討会で御議論いただいた内容を文書にて簡潔に整理をしております。

「今回の策定に当たっては、高齢化の進展や糖尿病等有病者数の増加を踏まえ、平成25年度に開始した健康日本21(第二次)において主要な生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底を図ることが基本的方向として掲げられていることから、健康の保持・増進とともに、生活習慣病の予防については、発症予防とともに、重症化予防も視野に入れ、策定を行うこととした」ということで、図の中ほど「生活習慣病の重症化予防」というところが赤字で整理をされております。

 最後の段落ですが、「また、科学的根拠に基づく策定を行うことを基本とし、現時点で根拠は十分ではないが、重要な課題については、今後、実践や研究を推進していくことで、根拠の集積を図る必要があることから、研究課題の整理も行うこととした」ということになっておりますので、今後、報告書(案)については、こういった課題についても整理されていくこととなります。

 続きまして、2ページに入らせていただきます。

4点ほど大きな事項を整理させていただいております。

1 対象とする個人並びに集団の範囲

食事摂取基準の対象は、健康な個人ならびに健康な人を中心として構成されている集団とし、高血圧、脂質異常、高血糖、腎機能低下に関するリスクを有していても自立した日常生活を営んでいる者を含む。具体的には、歩行や家事などの身体活動を行っている者であり、体格(BMI)が標準より著しく外れていない者とする。なお、血圧、脂質異常、高血糖、腎機能低下に関するリスクを有する者とは、該当の検査値が基準範囲内、もしくは保健指導レベルにある者とする

というこの方針に基づきまして今回レビュー等の作業を行っていただいております。

2 策定の対象とするエネルギー及び栄養素の基準

健康増進法に基づき、厚生労働大臣が定めるものとされている図2に示した熱量及び栄養素について策定の対象とした。

あわせて、健康の維持・増進に不可欠であり、そのための摂取量が定量的にみて、科学的に十分に信頼できるものと判断される栄養素があるかについて、検討した。

とされております。

3 指標の目的と種類

エネルギーの指標は、エネルギー摂取の過不足の回避を目的とする指標を設定する。

栄養素の指標は、3つの目的から成る5つの指標で構成する。

ということで、具体的には3ページの図3にお示ししたとおり、摂取不足の回避、過剰摂取による健康障害の回避、生活習慣病予防の3つの目的に対して、摂取不足の回避については、「推定平均必要量」「推奨量」を推定できない場合の代替指標として、「目安量」を設定する。

過剰摂取による健康障害からの回避を目的として、「耐容上限量」を設定する。

生活習慣病の予防を目的として、「目標量」を設定する。

という内容になっております。

最後、「4 年齢区分」につきましては、日本人の食事摂取基準(2010年版)と同様の年齢区分を基本としますが、2つ目の段落にありますとおり、「高齢者を成人から分けて考える必要がある場合は、70歳以上を高齢者とするが、高齢者についてさらに詳細な年齢区分の設定が必要と考えられる場合があるか、検討する」ということになっておりましたので、この点についてもレビュー結果を踏まえて、本日御報告をいただくことになります。

以上でございます。

○菱田座長 ありがとうございました。

方針につきましては、確認の意味ということで説明していただきましたけれども、何か御質問がございますでしょうか。よろしゅうございますか。

よろしければ、本日の議論に移らせていただきます。

策定検討会ワーキンググループでは、6月から11月まで計6回会議を開催し、策定方針を踏まえて作業を進めていただきました。

本日は、整理いただいた事項について、ワーキンググループ座長の佐々木構成員より、「策定の基本的事項について」と「策定する指標と値について」御報告いただき、主な改正点について御議論いただきたいと思います。

 なお、今後の検討会のスケジュール、検討事項等につきましては、資料5に記載しておりますので、それを参考にしていただき、本日の議論をしていただければと思います。

 それでは、まず資料2の「策定の基本的事項について(案)」、説明をお願いいたします。

○佐々木(敏)構成員 それでは、最初に、資料2「策定の基本的事項について(案)」を使いまして、ワーキンググループの座長の佐々木より御報告を申し上げます。

 6回にわたるワーキンググループの会議を通じましてきょうの資料をつくりました。

まず初めに、ワーキンググループのメンバーの先生方、そしてこの作業にかかわっていただいた非常にたくさんの専門家の方々に改めてお礼申し上げます。

 しかしながら、きょうのところは、けさ時点までの策定事項であります。きょうの御議論を踏まえて、最終稿に向けてつくり上げていきたいとワーキンググループ全員が考えておりますので、よろしくお願いいたします。

最初が「策定の基本的事項について」でございます。資料に従いましてポイントのみ御説明申し上げます。

「策定の方法について」は、ここにございますように、系統的レビューを用いて行うということで進めてまいりました。これは現行の2010年版、2005年版と同様でございます。

しかしながら、栄養というものは、ほかの医療分野の研究領域と異なりまして、エビデンスレベルを判断し、明示する方法というところが、人間栄養学並びに公衆栄養学、予防栄養学では必ずしも十分に確立をしておりません。

加えて、今回非常に大きな課題となりましたのは、収集される、また収集されたエビデンスレベルが栄養素間でどうしてもばらついてしまうという問題でした。この標準化をどうするかというところについて、6回の会議を通じて何回も議論を重ね、標準化に努めたところでございます。

このような実情を踏まえまして、メタアナリシスなどの定量的な情報の統合が行われている場合には、基本的にそれらを優先的に参考とする。

しかしながら、それのみに頼るわけではなく、それぞれの内容を詳細に検討し、現時点で利用可能な情報、信頼度の高い情報を用いるということに留意をいたしました。

そういう意味で、栄養の難しさというところがございます。その意味で、どうしても若干のでこぼこや問題点が残っているところは否めません。それも今後の課題というところに含めたいと私たちは考えております。

続きまして、「基準値改定の採択方針」でございます。

「推定平均必要量」、この指標の名称は変わりません。

これは、十分な科学的根拠が得られた場合に新たな値を設定したり、値の変更をしております。

また、エンドポイントが変更になるという栄養素もございました。そういうものも変更しております。

それから、現在「基準体位」と称している日本人の基準としております体位、身長並びに体格、性・年齢階級別のものですけれども、これを「参照体位」というふうに名称の変更をしたいと考えております。これは後ほど申し上げます。

これを用いて性・年齢階級別に推定平均必要量を決めていくという算定作業を行います。ここが変更になったことによりまして、日本人の体位が徐々に変わっていきますので、そのために少しずつ値が変更されるという影響を推定平均必要量を初め全ての指標が受けております。

 ページをおめくりください。

 「推奨量」でございます。

これは推定平均必要量から計算するものでございます。その場合に変動係数が変更になるということが幾つかの栄養素でございました。基本的には2010年版のものを踏襲してございます。

その次は「目安量」でございます。

これは、本来であれば、推定平均必要量を決めるべき不足の回避のための指標でございますが、栄養素の特徴上、推定平均必要量を定めることができない、そのための研究、実験ができないというものに関して、目安量を算定しております。

その方法に関しても従来を踏襲するという形をとりましたが、定義をもう少し明確にしようということで、ここに書き上げたような考え方で進めてまいりました。

すなわち、現在は、その栄養素の摂取において十分な量を摂取している集団の摂取量の調査データを用いて、その中央値というところがありますが、そこから少し概念を拡大、また厳密化しまして、少し文言をふやしております。

続きまして、「耐容上限量」でございます。

これも名称並びに考え方は2010年版をそのまま踏襲するということにいたしました。

 しかしながら、新たな知見が得られたという栄養素もございます。

また、ここで特殊な集団または特殊な実験により決められるということも多い耐容上限量でございまして、不確実性要因の決定のために不確実性因子(UF)という係数を用います。これが変更になったものもございます。そのために耐容上限量(UL)が変更になっております。

最後が「目標量」でございます。

これも名称変更はしないということであります。

しかしながら、近年、生活習慣病の一次予防並びに重症化予防に関する研究論文、並びにそのメタアナリシスは世界的に急増しております。今回はそれを新たに収集、整理、そしてつくり直すという作業をいたしました。そのためにこの部分の作業が大きくなりました。

そして、国民の摂取実態を十分に見まして、当面摂取すべき目標とする量として目標量を設定、算定しております。

次のページをお願いします。

「年齢区分」でございます。先ほど事務局より説明していただいておりますが、年齢区分そのものは現行のものを踏襲する、変更はしないという決定をしたいと考えております。

エネルギー及びたんぱく質については、乳児のところを3区分用いるということも現行どおりにしたいと考えております。

そして、検討会で検討するようにという指示をいただきました70歳以上または高齢者の区分をどうするかということですが、これはワーキンググループメンバーの中の葛谷先生を中心にレビュー並びに討論をいたしました。

しかしながら、食事摂取基準だけではなくて、ほかのガイドライン、また、ほかのいろいろな医療関係のものとの整合性を十分に図るべきと。落ちついて十分に整合性を図りながら、かつエビデンスをそこに落とし込んでいく作業をする必要があろうということで、今回は情報の収集と討論にとどめるということにしたいと考えております。

したがって、70歳以上という年齢階級は、今回は変えない。しかしながら、今後の課題として継続し、検討を重ねていきたいと考えております。

 続きまして、先ほど少しだけ申し上げました「参照体位」でございます。

 現在は「基準体位」と呼んでおります。それを参照するための数値、体位という意味で、「参照体位」と名称変更をしたいと考えております。

この背景には、基準としますと、それがよいのではないか、そこを目指すのではないかという理解、解釈も成り立つのではないか。それに対して、これはあくまでも現在の日本人のデータから得られた値、50パーセンタイルを用いますが、中央値であるということで、そこにはよいとか悪いとか、目標とかいう意味は全く持たせないということでございます。リファレンスという意味で「参照」という言葉に変更したいと私たちは考えました。

計算方法でございますが、乳児・小児と成人で用いたデータが異なります。乳児と小児につきましては、日本小児内分泌学会・日本成長学会合同標準値委員会から出されております体位を参照いたしました。

厚生労働省の国民健康・栄養調査等のデータとも突き合わせまして、大きな乖離や問題がないということも同時に確かめております。

4ページ、成人でございます。

成人は、平成22年と23年の国民健康・栄養調査におけるそれぞれの性並びに年齢階級における身長と体重の中央値を計算しております。これも現行の2010年版と変わっておりません。

 表2の後に参考表1、参考表2をつけておりまして、ここを見ていただきたいのですけれども、従来中央値だけを出しますと、その値だけがあたかも一つの値として流れていくということがあります。ところが、実際には分布があります。個人と集団を直接比較することはできません。したがって、分布があるということを理解していただく目的で、今回25パーセンタイル、75パーセンタイルをこのデータベースより引き出し、参照していただけるようにという配慮をしたいと考えました。

 ここまでが資料2「策定の基本的事項について(案)」の説明でございます。

以上です。

○菱田座長 ありがとうございました。

それでは、議論に入りたいと思います。

「策定の基本的事項について」の論点は大きく3点、「策定の方法」「年齢区分」「参照体位」がございます。

1点目の「策定の方法」についてですが、今回の特徴としては、レビューの手順を明確にし、レビュー方法を詳細に記述することになっています。

また、基準値改定の採択方針について、従来から作業は行っていましたが、報告書の記載はございませんでしたので、今回初めてルール化し、明記することとされています。

策定方法について、御質問や御意見がございましたら、お願いしたいと思います。

よろしゅうございますか。

それでは、第2の論点「年齢区分について」に移りたいと思います。

特に高齢者について、80歳以上の区分の設定が可能かどうかということを検討していただくということになっておりましたけれども、今回検討された結果、70歳以上の高齢者においては、詳細な年齢区分の設定のための十分な知見が得られなかったため、この点は引き続きの課題として、今回は策定根拠とした文献における年齢範囲に留意して、必要に応じて特記することというふうにされております。

 この点につきまして御議論いただければと思います。

 この点につきましてもよろしゅうございますか。

それでは、3点目の「参照体位について」御議論いただければと思います。これは名称変更ということで、今、佐々木構成員のほうから説明がございました。そしてまた、参照体位というのはどこから持ってきたかということについての説明がございまして、乳児・小児については、日本小児内分泌学会・日本成長学会合同標準値委員会によるものを用いられ、成人については、2010年版での方針を踏襲して、原則として利用可能な直近データの中央値を参照体位として用いることということになっております。

この名称変更等につきましても御意見いかがでございましょうか。曽根構成員、お願いします。

○曽根構成員 今、御説明いただいた参照体位についてですけれども、佐々木先生のほうから、良し悪しとか目標とかいったような意味は特に持たせない、単なる基準になる体位であり、「基準体位」から名前が変わったものというような御説明があったのですが、その「目的」のところを拝見しますと、「健全な発育並びに健康の保持・増進、生活習慣病の予防のための参照値として提示」という説明がされています。この説明と共に国民に示されると、目標値的にとらえられてしまうような気がします。

先生が今おっしゃった良悪とか目標の意味を持たせないということと、この「目的」との整合性について、もう少し御説明をいただければと思います。つまり、単に現状の平均的体格ということでありますと、例えば、現在の中年男性の平均は本来あるべき数値よりオーバーという部分もございますし、一方で、若年女性の平均というと、世界的に見てアンダーだという部分もあるわけなので、その平均的な体格を「健全な発育並びに健康の保持・増進、生活習慣病の予防のための参照値」という形で「参照体位」として提示してよろしいのかどうか。そのあたりについてちょっと御説明いただけるとありがたいと思います。

○菱田座長 佐々木構成員、お願いします。

○佐々木(敏)構成員 おっしゃるとおりですね。本来は、こういう体位が望ましいという方向性や目標、ゴールのようなものを持たせる、そういう意味を含めた体位を表示できれば望ましいというふうに私は考えます。

しかしながら、それを数字として挙げるだけの根拠が十分に得られない。

この後のエネルギーのところで説明を簡単に申し上げようと考えていたのですけれども、現在の体重を維持するというところがエネルギーの必要量の定義に入っております。そうすると、現在の性・年齢階級、体位の状況のいかんにかかわらず、現行を維持するということを考え、今のままの体位をまずここに示す。そうして、それをどちらの方向に向けていくかというのは、きょうの課題ではないのですが、活用のところでそれぞれの食事摂取基準を使う専門家の方々、どちらの方向性にどのように用いるかということを考えて使ってほしいというふうにしたい。そのために、ここは純粋に現在の日本人の体位の代表値であるということにとどめたいと考えております。

したがいまして、曽根先生が言われたように、2行目から3行目にかけての文言は修正すべきであると私は考えます。

○曽根構成員 例えば「健全な発育及び健康の保持・増進、生活習慣病の予防を考える上での参考値」とか、そういった文言を少しだけ追加すれば、特に誤解は生じないのではないかなと思います。

○佐々木(敏)構成員 そうですね。

○菱田座長 ありがとうございました。

具体的な表現については、今の議論を踏まえてワーキンググループで検討していただくことにしたいと思います。

どうぞお願いいたします。

○古野構成員 先生、従来から使われていた「基準値」という言葉を今回使わなくした理由とかもここに書いてもらっていたほうがいいです。従来は「基準値」という言葉を使っていたけれども、こういう理由で今回から「参照値」という言葉にしたということを明確に書いておかないと、突然出されて当惑すると思います。

○菱田座長 どうぞ。

○佐々木(敏)構成員 そのほうが目的にちゃんとコントラストがついて、解釈しやすいですかね。

○菱田座長 どうぞ。

○古野構成員 それともう一点は、表2に上げている乳幼児の分というのは平成12年で、もう10年前です。大人だけ直近ので、これは最近のデータはないのですね。

○佐々木(敏)構成員 そのあたりについて、事務局から御説明いただくことは可能ですか。

○芳賀栄養指導室長補佐 それでは、事務局から説明させていただきます。

 小児に関しましては、先ほど曽根構成員からも標準的な値や目的について御指摘がありましたが、小児の体格評価に関して、標準的になり得る値の検討結果が、日本小児内分泌学会および日本成長学会の合同標準値委員会から既に示されております。今回はそちらの値を採用する方針ということで、ワーキンググループで御議論いただいております。

○佐々木(敏)構成員 なぜ小児の年度がこの年度なのかという質問です。

○芳賀栄養指導室長補佐 学会から示されている考え方によれば、成人身長や成熟のセキュラートレンドや、肥満増加傾向などについて検討した結果、2000年の値を標準値として用いることとしています。このように、学会で検討し、示されているものを引用するということで整理しています。

○佐々木(敏)構成員 これは児玉先生にお願いをしていたことなので、追加発言をお願いいたします。

○児玉構成員 今、事務局から説明があったとおりなのですが、学童に関しては、毎年身長、体重の平均値というのは、学校で計測したので出ていますが、乳幼児に関しましては、10年に一度全国的な調査が厚生労働省でなされておりまして、直近では2010年のデータがありますが、日本小児内分泌学会・日本成長学会合同標準値委員会で、2000年(平成12年)のデータを使用することになったようです。先ほど事務局からありましたように、詳細の検討が行われてそのように決定されています。

よろしいですか。

○古野構成員 はい。

細かいことですけれども、2010年版の11ページをあけていただくと、同じデータを使っているのであれば、なぜ数字が違うのでしょうか。体重が6.46.3とか、3番目が8.511ページと4ページを比較してくれますか。

○芳賀栄養指導室長補佐 事務局からお答えします。

2010年版で使用しているものは、数値の平滑化等の処理は行っていない中央値になります。

こちらの学会の値に関しては、調査対象人数が限られていることによる偶然誤差をLMS法により平滑化し補正を行った値になっているので、値が少し違います。

○古野構成員 ありがとうございました。勉強になります。

○菱田座長 ほかによろしゅうございますか。どうぞ。

○児玉構成員 策定の方法につきまして、先ほど佐々木先生のほうから、「目安量」の2行目「この場合、複数の報告において、最も摂取量が少ない集団の中央値を用いることが望ましい」と。これは多分2010年版のときの説明にはなかったように思いますし、2010年版の目安量というのは、必ずしもこの方法で数字が出されていないと思うのですが、ここのところを変更された理由を教えていただきたいのですが。

○佐々木(敏)構成員 これは目安量の定義によります。目安量の定義の中の「十分な量」が確保できるというところは、当該栄養素に関する欠乏が観察されない集団の摂取量分布を用い、その中央値をもって目安量とするという定義がございます。

本来であれば、中央値というほど高いところを使う必要はございません。しかしながら、ほかの統計量として適切なものが存在しないという理由と、安全性を考えて中央値を用いる。そのために「十分な量」というふうに記述がなされております。ということは、もしも複数の集団で同様なデータが存在した場合、当然ながら算定されてくる中央値も2つございます。どちらを使うべきかというと、これは当該栄養素の不足が観察されない集団が2つあるわけで、そうすると、その場合は中央値の低いほうの集団でもって十分であるということが理論的に言えるというふうに目安量では考えられます。

したがいまして、今回これを書きましたが、実はこれは目安量そのものの定義の文章の原文といいますか、説明をする教科書的なところには既に記述がされてございます。

2010 年版はその記述をしていなかったというふうに御理解いただきたいと思います。

○菱田座長 よろしゅうございますか。

○児玉構成員 はい。

○菱田座長 もしよろしければ、「策定の基本的事項について」の議論を終わらせていただきたいと思います。いろいろ御指摘いただいた点、ありがとうございました。ワーキンググループでこの御意見を踏まえた形でのものにしていただければと思います。

 続きまして、資料3「策定する指標と値について(案)」の御説明をお願いいたします。

○佐々木(敏)構成員 では、続きまして、資料3「策定する指標と値について」を用いて説明をさせていただきます。

 「指標の概要」でございます。

 最初がエネルギーでございまして、エネルギーの指標は2010年版と同じでありますが、内容の記述を変えました。ポイントとなる部分だけ読み上げます。

まず、エネルギーの定義自身は変えてございません。これはWHOの定義と全く同じものを使っております。

その次なのですが、性・年齢階級・身体活動レベル別に適正な必要エネルギー量を設定することは実際には困難であります。

 その一方で、必要エネルギー量の過不足は、体重の変化から比較的に正確に推定することができます。

したがいまして、これは2005年版並びに2010年版も文言としては記述がされているのですけれども、エネルギーの過不足の指標としては、エネルギーの絶対値ではなく、体重の変化で評価をすることが好ましい。今回この文言を採用いたしたいと考えております。

そういたしますと、どの体重がよいのかという話になります。

ここで追加をさせてください。2010年版、現行のものでは「一次予防」と呼んでおります。しかし、今回は重症化予防を検討項目に加えることにより、現行の2010年版の「一次予防」を「発症予防」と名称を変更して記述を進めております。

生活習慣病の発症予防の観点から、望ましいBMIについては、何を用いるかが問題なのですけれども、ここでは暫定的に総死亡率、死因を問わない死亡率が最低になるBMIをもって最も健康的な体重と捉えるというように考えました。

しかしながら、重症化予防の場合は、各疾患というもののウエートが大きくなってきます。しかし、ここでは、その以前に死因を問わないという総死亡率を用いて全体の望ましいBMIを算出しようというふうに試みました。

そのBMIも提示して、もう一つ従来の推定エネルギー必要量というものを提示するということを考えました。

しかしながら、推定エネルギー必要量の概念というのは重要ではありますが、それをそのまま個人または集団に適用すると、かなり使いにくいところがございます。

そこで、今回は推定エネルギー必要量というものの算定もいたしました。この後、御説明申し上げます。その表も従来どおりつくっております。けれども、これを参照値として提示することにとどめたいと私たちは考えております。

次が栄養素でございます。これは先ほど既に御説明申し上げました。

 推定平均必要量(EAR)、推奨量(RDA)、目安量(AI)、耐容上限量(UL)、目標量(DG)ということで、これは特に変えてございません。

 今回、少し強調したいところがございます。

推定平均必要量というのは、不足による健康障害を回避する目的でつくっております。

しかし、ここで言う「不足」というものが、必ずしも古典的な欠乏症を生じることだけを意味するものではない、そういう設定方法を用いている栄養素がございます。ところが、そのあたりの記述が十分に明確ではないという御意見もいただきました。

そこで、今回はどういう指標を用いてEARを定めたのか。古典的な欠乏症とどこが異なるのか。可能な場合には、必要量となる値の違いはどの程度なのかというところも書き加えるように努めております。

これは推奨量も同様でございます。

目安量と耐容上限量に関しましては、先ほどの説明にとどめさせてください。

目標量でございます。目標量も先ほど御説明申し上げたとおりでございますが、目標量は、この概念を理解するのは難しいかもしれないということで、今回、図を1つ挿入しまして、その説明をするということにしております。

しかしながら、そのつくられ方、目的は従来のものとは変えてございません。

以上でございます。

○菱田座長 ありがとうございました。

 それでは、議論に入りたいと思います。

大きな変更点としまして「エネルギーの指標について」がありますが、資料3の6ページに参考資料1としてエネルギー(案)の要約がございます。より個人に対応できるよう、エネルギーの過不足の指標としては、従前のようにエネルギーの絶対値ではなく、体重の変化で評価することとしています。

そのためには望ましい体格をあらかじめ定める必要がありますので、今回は生活習慣病の発症予防の観点から、暫定的に死因を問わない死亡率が最低になるBMIを最も健康的な体重と捉え、「望ましいBMI」と考えることにしています。望ましいBMIの範囲については、11ページの表5になります。

まず、エネルギーについて、御質問や御意見がありましたら、お願いいたします。この部分は議論をしていただく必要があるかと思います。よろしくお願いします。どうぞ。

○古野構成員 さーっと行かないで、説明が必要な部分があると思います。

私は、これがきのう届いて、きのうしか読めなかったということにも不満があるのですけれども。

○河野栄養指導室長 進行についてですが、エネルギーの要約のところまで御説明をいただかないと、委員の先生方は初めてごらんになる内容ということになりますので、御指摘のように、資料がぎりぎりに送られていることもあり、大変申しわけないのですが、ワーキンググループ長のほうから6ページから14ページまで一旦説明いただいてからの議論のほうがよろしいかと思いますので、よろしくお願いいたします。

○佐々木(敏)構成員 よろしいですか。

○菱田座長 お願いします。

○佐々木(敏)構成員 それでは、参考資料のほうを御説明申し上げます。6ページをごらんください。

 エネルギーでございます。エネルギーはエネルギーの必要量を指標とします。これは、簡単に申し上げますと、体重の変化がないという状態を保つためのエネルギーの摂取量である。それはイコール消費量となります。

 ということは、このエネルギーに関しましては「範囲」というものは存在せず、「充足」という概念もなく、「適正」という概念のみが存在いたします。

それをどう推定するかというところが次の2であります。エネルギー必要量の推定方法であります。

エネルギーの必要量を推定するのは、体重が一定の条件下におきまして、現在では二重標識水法を用いて測定をするというのが唯一の方法でございます。習慣的なという意味でございます。それ以外に正確に測定する方法というのは、現行のところありません。

ところが、二重標識水というのは研究目的のものでございまして、現場で実際に使うというわけにはいきません。したがって、これはエネルギー必要量を決めるためには使いますが、食事摂取基準を使うというためには使いません。

そうすると、エネルギーの必要量を推定するためのほかの試みが必要になってまいります。

大きく2つに大別できると考えました。

1つが食事アセスメントによって得られる、そこから計算がされるエネルギーの摂取量を用いる方法でございます。

もう一つは、身長、体重、身体活動レベルなどを用いて推定式をつくり、その推定式から推定するという方法であります。

前者の食事アセスメントによって得られるエネルギー摂取量というものは、測定誤差がかなり大きいという問題が従来から指摘されております。

特に現実問題として大きな問題になるのは過小申告、少な目に答えてしまうという問題。もう一つが日間変動、日によって食べるエネルギー摂取量が大きく異なるという問題であります。

 今回は、実際にそれがどの程度あるのかということをエネルギーのグループでレビューをしまして、まとめました。これは従来からたくさんの研究がございますので、それをまとめた形になります。

次の7ページの図2をごらんください。

これが種々の食事アセスメント法を用いてエネルギー量を調べ、そしてゴールドスタンダードとしての二重標識水法で測定したものとの比を研究ごとにあらわしたものであります。すなわち、それぞれの研究の平均値となります。それをたくさんプロットしたものでございます。

 ほぼ全てのものが100%より小さくなっており、場合によっては、かなりBMIの高い集団を用いた研究では60%から80%程度。要するに、2割から4割程度の過小申告が生じているということになります。

これは系統誤差でありますので、実際にこういうものを使うときにはかなりの注意が必要であるということになります。

そのほか必要事項を書き込んでおります。

もう一つは推定式を用いる方法でございます。これは年齢、体重、身長、身体活動レベル、または基礎代謝量を一度求めて、それに身体活動レベルを掛けるという方法もございます。たくさんの方法が提唱され、使われておりますが、当然ながらそれぞれに推定誤差はございます。

今回それがどの程度あるかというレビューもいたしましたところ、これもなかなか個人に適用する、またはある特定の集団に適用するのは難しい、ある程度の限界があり得るということを記述しております。

これらの結果から、エネルギーの過不足をこれら2つの方法で推定し、実際に用いるのはハードルが相当高かろうと考えました。

その一方で、体重を測定することは現場では非常に簡単でございます。

その体重の変化を測定すれば、エネルギーの過不足を見ることができます。しかしながら、それはイコール摂取量ではございません。あくまでも体重の変化にとどまります。しかしながら、前述のアセスメントや推定式による方法に比べますと体重の変化を正確に捉えられるという意味で正確であるというふうに考えました。

そこで、体重の管理というところを次に持ってまいりました。身長と体重をはかって、その結果に基づいて変化させるべきエネルギーの摂取量または供給量を算出させて、それで業務に当たってほしいというわけであります。そのためには望ましい体格というものをあらかじめ定めておかねばなりません。

というわけで、体格の管理。具体的には、成人期の場合は体重の管理となりますが、それがエネルギー管理として重要になってくるというわけでございます。

そこで、発症予防の観点に立ちまして、どのような体格、成人期の場合は体重または肥満度が発症予防にとって望ましいのかということをまとめました。

ここで総死亡率をアウトカムとして用いております。

繰り返しになりますが、重症化予防の場合は、それぞれの疾患の特性を考えて使わねばなりませんので、直接これを用いるわけにはいかないというのは当然でございます。

結果でございますが、10ページをごらんください。

10 ページの表3で日本人の代表的な2つのコホート研究における結果をまとめました。これ以外にも研究が日本で活発に行われておりまして、それらも本文中では参照しております。

また、常に問題になるのが、日本人の体格は、研究の非常に多い欧米諸国の集団に比べると平均的な体重が少ない、BMIが小さいということがございます。そのために、どうしても欧米のデータをそのまま引用し、用いることはできず、日本人または体格や生活習慣、遺伝背景も比較的類似する東アジアの集団が重要になってまいります。

表4では、東アジアの代表的な4つのコホート研究の結果をまとめてみました。

これら6つの研究の結果、比較的類似の近い結果が得られるということがわかりました。

11 ページをごらんください。

図3は、アメリカ人の白人146万人のコホート研究でございますが、10年間の追跡であります。これはこれだけを用いたという意味では決してございません。たくさんの研究をレビューした結果、図としてお見せするには最も適切ではないかという理由でこれを選んで、図示しているということであります。

要点は、年齢階級別に集計いたしますと、総死亡率が最も低くなるというところが、わずかですけれども異なるということ。横軸は肥満度、BMIでございますが、BMIが高いところ、25以上で年齢を見ますと、年齢階級によって相対的な死亡率、ハザード比がかなり異なるということがわかりました。

その一方で、どの年齢でも総死亡率が最も低くなるというところは、およそ20から、少し高目に見積もっても27.4、低目に見積もっても24.9というところでそろってございました。

このようなデータをまとめまして表5をつくってございます。

BMI、肥満度と総死亡率を直接に結びつけてよい悪いという表現をするのはよくないことであると思いますが、一つの結果としてこの表をお示ししようかと考えております。すなわち、1849歳のところで総死亡率を最も低くしているBMI5069歳、70歳以上のところでこのようなBMIのところで最も総死亡率が低くなっているという事実があるということです。

しかし、これはたばこを吸っている人と吸っていない人で異なります。大きくはありませんが。

このようなことも本文では一応の記載をしておりますが、これらをまとめて望ましいBMIを考えようというものであります。

繰り返しになりますが、BMI以外の要因も総死亡率に当然ながら非常に大きな影響を及ぼす。特に個人で見た場合は大きな影響を及ぼします。したがいまして、あくまでもこれは肥満度、BMI、体格から見た一つの考え方であるというところにとどめたいと考えております。

これは発症予防でございます。

12 ページの中段以降は重症化予防であります。

重症化予防は、今回種々受けました4つの疾患、高血圧、高血糖、脂質異常、慢性腎臓病に関しまして、それぞれ疾病の性格がございます。したがって、それごとにレビューをする必要がございます。ここは肥満そのものを目的とするガイドライン、食事摂取基準ではございませんので、やや記述を少な目にとどめております。

しかしながら、重症化予防のところは、きょうの最後のほうに出てくると思うのですけれども、食事摂取基準の中には疾患別のところの記述を含めたいと私たちは考えておりまして、そちらで記述をしたいと考えております。

13 ページをごらんください。問題は、体重をふやしたり、減らしたり、特に人口として多いのは減らしたいほうだと思いますが、では、減らすときにどれぐらいのエネルギー量を減らせばよいのかということでございます。これに関しては、たくさんのコントロールド・トライアルがございまして、しかしながら、コントロールド・トライアルはかなり難しいのでありますが、それらをレビューし、また、レビューの論文をやりまして、エネルギー摂取量を下げた場合の体重の変化がどういうものであるかということのレビューをいたしました。

その結果、13ページの(5)エネルギー摂取制限と体重減少(減量)との関係というものの式を用いまして、そこから計算ができるようにと考えました。

これはどういうことかといいますと、簡単にはエネルギー摂取量を減らせば体重がそのまま減っていくのですが、体重が減っていくと必要エネルギーが減りますので、ある一定量のエネルギー摂取量を減らしていても体重は直線的には減ってまいりません。徐々になだらかになっていって、最終的には漸近線を描いて、あるところに収束をしてとまってしまいます。

その一つの例を図4に示してございます。

例としての数値を入れた文章が図4のすぐ上のところにあります。例えば「7%減のエネルギー制限によって体重は緩やかに減少し、5%の減量に達したところでエネルギー出納は平衡状態となり、以後はその体重が維持されることになる」という文言を入れました。

これによって、エネルギー制限をして体重がどのように動いていくかということを活用していただく方が計算できるだろうというふうに配慮いたしました。

しかしながら、これも非常に大きな個人差がございます。また、エネルギーの摂取量、給与量の計算は現実的にはかなり難しいだろうと考えております。その意味でも、記述はいたしましたが、このエネルギーのところは十分に不確実性を御理解の上で使っていただきたいという注意書きも加えております。

きょうは概要についてですので、そこまでは含めてございません。

続きまして、14ページをごらんください。

14 ページに2つの参考の表をつくりました。

1つ目は、先ほど申し上げました望ましいと考えられるBMIの範囲からエネルギー必要量を推計したものでございます。性別、年齢、身体活動レベルごとに推定エネルギー必要量の範囲を書きました。ここでの目的は、範囲は広いのだということを見ていただきたいということでございます。

その次が参考表1-2であります。これが現行の2010年版と同じ形式を持ちます推定エネルギー必要量の表でございます。この表の括弧内に書いてございますのが現在の2010年版の数値を書き込んでございます。最終的にはこれは取りますが、きょうは比較のために入れてございます。

この目的ですけれども、今、どれぐらい食べているかわからないという人たちに集団給食等の計画を行って、給食を給与しなければならないということがございます。その集団の体格がわからないという場合には、先ほどの体重から入るということはできません。したがって、そのような計画を立てる場合には、どうしてもこのような表が必要になってまいります。そういう目的がございます。

もう一つ目的がございまして、エネルギー代謝に関連する栄養素がございます。その栄養素の必要量を算定するためにはエネルギーの必要量が必要になります。そのために参考表1-2が必要になるということでございます。

私たちも、3つのもの、1つ目は体重、2つ目は体重とエネルギーの必要量を掛け合わせたもの、3つ目は従来からの推定エネルギー必要量の表でございますが、これらをどのように使い分けていくか、使い分けていただきたいかというところは、活用のところで十分に注意をして記述をしたいと考えておりますが、きょうはその部分は割愛をさせてください。次回のところの論点に持っていきたいと考えております。

次のページからは栄養素の算定をした数値だけが並んでございます。実際にはこの算定に至るまでの記述があります。記述のスタイルに関しましては、後で説明のお時間をいただけると思います。

相当はしょりますが、ごく簡単に変更点のみお示ししたいと考えております。

最初がたんぱく質です。大きな変更はございません。赤がついているところが変更点でございます。全ての栄養素についてそうでございます。

ぽつぽつと赤が出ているところの理由は、参照体位の変更の影響を受けていると考えていただくのが最も相当すると考えます。一部は考え方の変更、用いた論文の違いといいますか、その累積ということによります。

次は脂質でございます。脂質は%エネルギーで決めてございます。

脂質の目標量はエネルギーバランスのところでもう一度説明をしますので、後にさせてください。

次のページは飽和脂肪酸でございます。

ここでの変更点は、6歳以上17歳以下、小児のところに目標量を当てたい、算定したいと考えております。小児期からこの栄養素が関連する疾患の発症予防が重要であるということは国際的にも随分強調されております。直接の死因または発症にかかわるような研究は難しいのでありますけれども、血清脂質等を用いたそういう研究は相当数累積してまいっております。したがって、そのような世界の情勢と研究の累積を用いまして小児のところに数字を当てたいと考えております。

他の国のガイドライン等を参照しまして整合性を考え、また論理の整合性も考えまして数字を当てております。しかしながら、1歳から5歳までのところは、まだ十分に数字を算定するだけの根拠が乏しいのではないかと私たちは考えて、ここは算定を控えたいと考えております。

小児、6歳から17歳までの目標量の数値の追加に関しましては、それ以外にほかの栄養素もございます。出てきたところで御説明申し上げます。

 次がn-6系脂肪酸・n-3系脂肪酸でございます。

現行の2010年版は目安量と目標量というものが混在していまして、やや解釈、活用しづらい状況になっているという印象を受けております。そしてまた、諸外国の状況を見まして、今回は目安量を決めるということに統一をしたいと考えました。

この理由は何かと申しますと、目安量というものは、推定平均必要量が決められない場合に決めるものであり、目標量よりも以前に決めるべきものが推定平均必要量です。そして推定平均必要量を決められない場合の代替として決めるべきものが目安量でございます。したがって、目標量以前に目安量は決めるべきと私たちは考えました。そこで、今回は目安量を算定しております。

 目標量に関しましては、レビューをし、文章としては記述をしております。ほかの国の流れ等を見まして今後の研究課題の一つに挙げたいと考えております。

次のページはコレステロールでございます。

 コレステロールは、現在は目標量が18歳以上で当てられております。しかしながら、レビューをいたしまして、さらに疾患のほうの先生方との御議論を踏まえまして、コレステロールの目標量、どの程度食べるのがよろしいかということに相当の開きがある。この開きは、たくさんのレビューでも討論され、考察されておりました。それを考えますと、我が国としてこの目標量を数値として提示するのは難しいのではないかという結論に至りました。

そこで、ここまでのいきさつを本文で記載した上で、今回はコレステロールに関しては目標量の数値は定めないとしたいと考えております。

しかしながら、動脈硬化性疾患を有する場合には、その摂取量に留意が必要である、科学的にそれは言えるはずであると考えております。このようなことは本文中にしっかりと記述をするというふうに心がけると私たちは考えました。

次は炭水化物でございます。炭水化物も、総エネルギーの中でのパーセンテージ、%エネルギーとして算定がされます。これはエネルギーバランスのところと重複しますので、そこで説明をさせてください。ここでは省きます。

次は食物繊維でございます。

食物繊維も相当数の論文が出てまいりまして、かなりエビデンスの累積が見られた栄養素でございます。しかしながら、結果としまして算定方法は変えずに算定をしております。先ほどの飽和脂肪酸と同じように、研究の累積並びに諸外国でのガイドラインへの含められ方、また政府等の健康教育での重みづけを考えまして、食物繊維も飽和脂肪酸と同様に小児のところの数字を当てるべきと考えました。これも他の国のガイドラインに倣い、かつそのエビデンスレベルを考えた上でございます。

飽和脂肪酸と同様でございまして、1~5歳までのところは算定が難しいと考えました。

同様に、6歳から17歳も直接の疾患への関与ではなく、その中間のところのいろいろな研究の、定量的というよりは定性的な統合をし、数値としては成人から体格を考えて外挿をするという方法を用いております。今回その方法を統一するということをかなり徹底して行いまして、外挿を行った栄養素に関しては全て同じ外挿方法を用いる。例外がある場合はその栄養素ごとに記述をするというふうにしております。

次のページに「主要栄養素バランス」と書いてございますが、実はこれは「エネルギーバランス」のことでございます。エネルギーバランスということで御指示をいただいておりましたが、エネルギーバランスというのは、エネルギーのバランスをあらわすということとは違う。これはマクロ栄養素、マクロニュートリエント・バランスのことでございます。それに当たる日本語はないかということで考えましたものが「主要栄養素バランス」という言葉であります。この言葉が適切かどうかは御議論いただく必要があるかもしれません。

私たちは、英語の名称、それ以外との誤解を生まないようにという意味で幾つかの候補を挙げた上で、この名称をきょう提案したいということで持ってまいりました。

数値でございます。たんぱく質、脂質、炭水化物のバランスでございます。たんぱく質は、推定平均必要量並びに推奨量が定められます。その上でのこの値となります。脂質は、先ほどの脂質のところと直接リンクしておりまして、ここに再掲、書かれることとなります。

炭水化物は、従来から引き算で決められております。炭水化物の必要量というのは、これより非常に少のうございますので、このバランスを考える場合には、炭水化物単独で決めるのではなくて、全体からの引き算として決めることになります。その結果として、ここに掲げましたような数値を提案したいと考えております。

ちなみに、脂質の中では飽和脂肪酸の目標上限量を注意されたしということ。炭水化物のところには「アルコールを含む。ただし、アルコールの摂取を勧めるものではない」ということ。並びに食物繊維の目標量の下限に注意することという脚注を付したいと考えております。

次にお進みください。以下、ミクロ栄養素でございます。

○菱田座長 佐々木構成員、時間の関係もございますし、今、十分改定の理由と方針というのは御説明いただいたかと思いますので、あとのことについては、目をお通しいただいて、ワーキンググループに御意見をいただくような形でお願いをさせていただいてもよろしゅうございますか。

○佐々木(敏)構成員 はい。この中のミクロ栄養素で数値が動いているものを赤字で示してございますので、ごらんいただいて、御意見をいただければと思います。

 ありがとうございます。

○菱田座長 ありがとうございました。

エネルギーの点、栄養素の点についての主な改定の部分のお話がありましたけれども、いろいろ議論があると思いますので、引き続き御議論いただければと思います。門脇構成員、どうぞ。

○門脇構成員 全般的に科学的に検討していただいて、関係者の御尽力に感謝申し上げます。

 私がとても気になりましたのは11ページの表5です。最近、厚生労働省の発表でも糖尿病の予備軍の数が減ってきています。特に肥満に対する対策が高齢者も含めてなされたことが非常に大きいことがわかっています。

 また、国の方針として、健康日本21では肥満(BMI25以上)の抑制ということを一貫して掲げていますし、現在、特定健診・保健指導でも腹囲とBMI25、基準値を下回るようにということで、国民的な取り組みが行われています。

 また、糖尿病と肥満度の関係について、全年齢層に亘ってBMI25を超えると糖尿病の発症率が著しく高まることには、多くのエビデンスがあります。また、糖尿病学会でもBMI25未満を推奨していますし、肥満学会ではBMI25以上でリスクファクターがある場合、肥満症としてBMI25未満に減量させることを取り組みの中心に据えています。

ところが、この表を見ると、70歳以上で望ましいBMI22.527.4と。25を大きく上回る値を望ましいというふうに言っているのは、これまでの多くの科学的エビデンス、あるいは我が国の生活習慣病対策と相入れないものと思います。

もちろん、中年までは肥満が問題ですし、高齢者では肥満とともにサルコペニアが問題です。したがいまして、望ましいBMIの下限を年齢ごとに18.520.022.5と上げてきた点については評価すべきだと思いますが、逆に言うと、ある程度サルコペニアがある70歳以上の患者さんでBMI25を超えているということは、内臓脂肪が相当あるということを意味するわけで、これを望ましいとすることは不適切と思います。

 それからもう1点、今、国の特定健診で使われている内臓脂肪の基準値である腹囲についての記載が見られないことも再検討していただきたい。我が国には、腹囲や内臓脂肪と心血管イベントとの関連について関するさまざまなデータがありますし、最近の世界あるいは日本における研究成果を考慮して内臓脂肪に関する記載を加えていただければと思います。

○菱田座長 ありがとうございました。

 どうぞ。

○古野構成員 門脇先生に対する先生の回答は不要なのですか。

○佐々木(敏)構成員 門脇先生のおっしゃるとおりで、私たちもこれについては非常に悩んでいるところなのです。単に体重と総死亡率だけ見ると、このような関係になります。しかしながら、糖尿病は、門脇先生がおっしゃったとおりでございます。単に肥満だけで片づけるのはよくないというのは私たちも十分にわかっています。

ここで私たちが悩んだのは、これが食事摂取基準であり、エネルギーの基準であるということであります。これが肥満の基準であれば、内臓脂肪の問題を取り上げるのは至極当然のことでございます。

エネルギーの基準において、それをどのように扱うかというところを十分に考えるべきであると理解をしております。おっしゃることは私たちも既に考え、どうしたらいいかと考えております。

ありがとうございました。

○菱田座長 どうぞ。

○古野構成員 エネルギーの過不足を体重の変化で見るというのは、重症化予防という観点から評価していいと思います。この点は非常に印象深い検討結果だと考えております。特に1213ページの説明になるほどと感心しました。

 ただ、感心できない点は、資料3の1ページ目と後ろの付随する説明のところで、体重の変化で評価するということがこの基準の大前提になっていることです。

それと、従来から使われている推定エネルギー必要量という概念が重要だとおっしゃっているけれども、特に活動量が推定できないから使わないと断言されている。

2010 年版はなかなかよく書けていると感心していたのです。特に二重標識水法というすぐれた検査法があって、その研究成果を活用して、推定エネルギー必要量(EER)の基準値が策定されています。

世界的にもEERが使われていて、日本だけが使わないというのは非常におかしいと思うのです。2005年とか2010年ではPALとかいう概念を活用して出しているのに、今回は出さないという積極的な根拠がどこにありますか。

2010 年の結果はほとんど信用できないから、それを使わないということですか。でも、2010年のものがどれだけ信用できないかということがどこにも書いていない。

二重標識水法の研究は随分進んでいると思います。2010年の策定版に日本人のデータが結構載せられていますけれども、これ以降、二重標識水法によって身体活動レベルを評価している研究は検討されているのでしょうか。それが一番懸念するところです。

○佐々木(敏)構成員 二重標識水法の研究は、まず諸外国では非常にふえておりまして、かなりあります。日本におきましても幾つかの研究が出てきております。それも加味して参考表1-2をつくるという作業はしております。

 二重標識水によって推定エネルギー必要量を算定するというところまでは科学として進めることができる。

問題はその次です。

○古野構成員 その次というと、どの文章ですか。

○佐々木(敏)構成員 今回十分に書かれていないので、申しわけないのです。

 実際にこれを使おうとすると、その人、その集団がどれぐらいエネルギーを摂取しているかということをどうやって推定するのかという部分なのです。つまり、ここは、こういう性別とこういう年齢とこういう身体活動レベルの人は、この程度のエネルギーを必要としているという研究成果があるという意味です。

 それに対して、今、その業務をしようとしている集団がどの程度のエネルギーを必要としている人または人たちであるかということを推定しなければなりません。そのためにこの数字を直接当てるということは誤差が大きいというわけです。

そこで問題になったのが身体活動レベルなのです。実は日本で基礎代謝量の研究がかなりございまして、基礎代謝量はかなりわかっております。そうすると、もしも身体活動レベルがわかれば、それを用いてエネルギー必要量を推定することができます。それが推定式を用いる方法です。

ところが、残念ながら身体活動レベルを推定するということが非常に困難である、また、誤差が大きいという研究成果がございました。そのために、数字は書けるのだけれども、これをうまく使うことが難しいと私たちは考えるものであります。

○菱田座長 木戸構成員、どうぞ。

○木戸構成員 1つは、佐々木先生もおっしゃいましたけれども、14ページにありますように、参考表1-2というのは、食事をつくったり、計画を立てるときに、目安として必要なエネルギーの推定必要量、同時にエネルギー代謝がかかわる栄養素のための数値としても必要であるということで、数値を出しております。

 古野先生がおっしゃられますように、現在、WHOの定義、現在使われている諸外国のEERの考え方等を含めて、2010年版で用いていました推定式の一つになるわけですが、PALと基礎代謝量からEERを推定して、この表のような形に提案をする。

ただし、この数値を用いていろんなことをした場合の評価をどうするかというところで非常に問題になりまして、そこのところが佐々木先生御提案の、体重をもとにし、あるいはBMIをもとにし、評価し、個々の推定エネルギー必要量を定めていく。そういう形で用いる。

結論から言いますと、参考表1-2の数値がありますが、これは一つの推定エネルギー必要量としてその根拠、つまり、現在最も信頼があるであろうと思われる二重標識水法を用いた推定を用いるという考え方もあるのではないかと思います。

○菱田座長 ありがとうございました。

 全体に時間が限られておりますので、またワーキンググループとの間で議論を進めていただくということにしたいと思いますが、この時点での皆様方の意見をいろいろ出していただくことが必要ですので、できるだけ多くの方から発言をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○佐々木(雅)構成員 PALの説明、前回のはわかりやすくまとめられているし、ここはやはり追記したほうがいいと私は思います。

 もう一点です。14ページの推定エネルギー必要量を実際活用するときに、体重当たりの換算がないと非常に使いにくいという現場の声は大きいです。ですから、今回、特に体重管理ということを重視されるのであれば、体重当たりのエネルギー量を併記されたほうが活用しやすいのではないかと私は思うのですけれども、中村先生、そのあたりはいかがでしょう。

○菱田座長 どうぞ。

○中村構成員 摂取エネルギーも消費エネルギーも科学的につかむことができない。だから、体重変動によってエネルギーの出納を見ようという方法は以前から、管理栄養士が実践活動の中で使っていたのですが、これを食事摂取基準に導入するというアイデアは、すばらしいと感心しました。

ただ、これを用いる場合に、これにも限界点もあるのだろうと思います。例えば小児とか高齢者のように生理的に体重が変動するとか、

エネルギー代謝そのものが異常状態になっているときに、体重変動で表現されているのかどうか。先ほど門脇先生の話にもあったように、体重というのは、骨格と筋肉と水分と皮膚を合計したものがあって、主たるエネルギー貯蔵をしているのは体脂肪なので、むくみや脱水などがあったときには、この方法は成り立たないのです。

したがって、この方法が適用できる限界点を提示しなければいけないのではないかというのが第一点です。

もう一つでは、1日のエネルギー必要量を算定しなくていいか、体重差だけで大丈夫かというと、実はエネルギー依存型で栄養素摂取量を決めているところがあります。例えば三大栄養素は、エネルギー比率として決めています。ビタミンB群というのはエネルギー依存性の強いビタミンなので、1日に必要なエネルギー摂取量に対する量で決めます。

したがって、エネルギー差で評価する方法と1日のエネルギー必要量を算定するのを併用し、どういうときにはこの方法を使い、どういうときにはこの方法が使えるということを、少し丁寧に書く必要があります。このままで出てしまうと、現場は混乱すると思います。

○菱田座長 ありがとうございました。

 ほかに御意見があればいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○雨海構成員 各論はいろいろあると思うのですけれども、結論から言うと、今回の変更点のエネルギー差による評価方法は、非常に大きなパラダイムシフトであり、この部分について私は賛成いたします。その主な理由は、現実にヒトを対象にして見ている場合に、実際にエネルギー摂取量だけとっても非常に困難なことです。現在、私がやっているのは、患者さんのエネルギー摂取量を算出するのではなく、今よりもどれぐらいふやすか、減らすか、その結果として体重がどうなったかということです。要するに今回の2015年版の変更点と同じ方法論が、実践的であり、この方法論を臨床では使っています。

 したがって2015年版の出発点としては、佐々木委員長を中心にして、碩学の先生方が最終案まで詰められたので、これが現在の最高かなという気がしています。

 また細かいことで申しわけないのですが、2つ質問があります。

 1つは、佐々木委員長に御説明いただきたいのは、自己申告の問題点として過小申告が非常に前面に出ていますけれども、過大申告は余り問題視する必要はないのかということ。

 もう一点は、「マクロ栄養素」を「主要栄養素」という文言に置きかえていますが、そちらがベターな理由を教えていただきたいのです。

○佐々木(敏)構成員 過大申告は問題にならないのかということですか。

○雨海構成員 はい、実際に2015年版に表記するときにですね。

○佐々木(敏)構成員 表記上は、過大、過小申告があると記述しています。その中で、過小申告のほうが問題として大きいという記述をしております。個人的に見たり、ある集団においては過大申告になっているという報告、論文もございます。

 「主要栄養素」という名前については、私たちも悩んでいるところで、マクロという考え方もありました。けれども、片仮名で「マクロ」ということにしてよいのかどうかと悩むところがありました。「マクロ栄養素」とするのか、「主要栄養素」とするのか。ただ、「主要」とすると、「マクロ」とは意味が異なりますので、このあたりは先生方からぜひコメントや御意見をいただければと思います。私からお願いしたいところです。ありがとうございます。

○雨海構成員 個人的には「マクロ」のほうが使いやすいのですけれども、ほかの先生の御意見も参考にしていただき、最終的な表記方法を決めていただきたいと思います。

○菱田座長 ありがとうございました。

 今のエネルギーの主要のことにつきましては、非常に大きな変更点でもございますので、

いろいろ御指摘いただいた点を反映させていただいて、変更していただくということも必要かと思います。

もう一つ、門脇先生のほうから出ていました高齢者のBMI25以上の推奨ということに関して、もともと高齢者においてはサルコペニアの問題が非常に大きな問題であるという議論があったことを背景にされているというところもあるかと思いますが、この点につきましても、できれば御意見をいただければと思います。曽根委員、お願いいたします。

○曽根構成員 門脇先生がおっしゃったのは非常に大事な点だと思うのですけれども、佐々木先生のほうでも6つ以上のデータからこれをつくられたのですが、どうしてそのずれが出てくるのかということの一つが、総死亡率を用いているからという部分もあるかなと思うのです。

BMIとの関連と言うことですと、アウトカムとして総死亡率を使った研究と共に、心血管死亡または心血管疾患や糖尿病の発症を使った研究も非常に多くあるのですけれども、後者を使うと、BMIの目標値がもう少し低いレンジになってくる。それに総死亡率のみを使うと、例えば動脈硬化疾患などで寝たきりになるような方とか、糖尿病なって今後そういう動脈硬化疾患のリスクが上がってくるような方など、総死亡率だけではカバーできないリスクいうのを過小評価する部分もあるかなと思うのです。

 佐々木先生のグループでは、これまで既にたくさんの労力を費やされていて、さらに追加の検討をご提案するというのは非常に心苦しいのですが、例えば心血管疾患または糖尿病の発症のようなものでもこの表をつくって、そちらでも同様に検討されれば、現在の学会等の基準などとも整合性がとれてくるのではないかなと感じました。

○菱田座長 どうぞ。

○門脇構成員  今、曽根先生から御発言がありましたように、我が国で取り組んできた、あるいは糖尿病学会、肥満学会で取り組んできたBMI25は、高齢者も含めて、糖尿病を初めとする肥満関連疾患にとっては多くの根拠のある値ですから、そのエビデンスを重視してほしいと思います。

 曽根先生の意見に全く賛成で、総死亡率で見ると、死亡を起こすような病気になったために、体重が減った場合も込み込みになってきますので、BMIが少ないから死亡率が高いというわけではなくて、病気による体重減少の結果死亡率が高いという因果の逆転が当然含まれているわけです。

その点も考えると、総死亡率と違った形での糖尿病、あるいは心血管の肥満関連疾患という形で見ていただけると、BMI25ということがカットオフポイントになっていくのではないかなと思いますので、引き続き御検討いただければと思います。

○菱田座長 ありがとうございます。

 佐々木先生、どうぞ。

○佐々木(敏)構成員 簡単にお答えというか、コメントを。

 曽根先生、門脇先生、お二人がおっしゃることはそのとおりでございます。疾患を循環器系に特定いたしますと、最低の死亡率を示すところはBMIが低いほうに明らかにシフトいたします。

 私たちが注意したいと思いますのは、それぞれの疾患を特定して予防するためにはこういうBMIが望ましいのだということをぜひ記述したい。今、曽根先生から御指摘いただきましたようなことはやるべきで、やりたいと考えております。

その上で、疾患を特定しないものと併記をし、そしてある1つのことに走り過ぎないようにという注意は十分にすべきだと私どもは考えております。

ありがとうございます。

○菱田座長 どうぞ。

○河野構成員 私も門脇先生の御意見に全く賛成です。もちろん、総死亡率というのは非常に大事ですので、高齢者の25以上を許容しないわけではございませんけれども、生活習慣病全体で言いますと、特定の疾患というよりかなり広い範囲になりますので、生活習慣病の発症予防、重症化予防には、高齢者になっても25未満が望ましいということをぜひつけ加えていただければと思います。

○菱田座長 ありがとうございました。

この点につきましては議論が多いところかと思いますが、どこに問題点があるかという点についてはいろいろご意見をいただいたと思います。それらの意見を考慮し、表5だけがひとり歩きしないような形での表現、その他のことをワーキンググループで検討していただきたいと思います。どうぞ。

○古野構成員 佐々木先生、余り1つのことに走り過ぎないように注意しますということをおっしゃっているので安心しているのですが、14ページの参考表1-1と参考表1-2のBMIの範囲から算定したエネルギー必要量というのは、範囲が非常に広過ぎて、実際上活用できないでしょう。この点についても先走らないように御一考いただきたいと思います。よろしくお願いします。

○菱田座長 ありがとうございました。

 どうぞ。

○勝川構成員 参考表1-1は、70歳以上に関しまして、望ましいBMIの範囲の上限を27.4で設定しておりますので、基礎代謝基準値をそのまま用いますと、エネルギー必要量がかなり大きな値になり、先生のご指摘のとおりだろうと思います。

 国立健康・栄養研究所による基礎代謝の予測式、体重と身長と年齢で求められる式がございますので、これを使うと、範囲をもっと小さくすることが可能であろうと思います。この辺に関しては再考したいと思います。

○菱田座長 ありがとうございました。

 この点につきましての議論はここで終わらせていただいて、栄養素のところで議論、御意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。

 それぞれのところの変更値については、それなりの改定の基本的な考え方に基づいて、そしてまた新しいエビデンスレベルが加わったものについて改定されているということかと思います。

 どうぞ。

○門脇構成員 22ページの「主要栄養素バランスの食事摂取基準」についてです。これは炭水化物が5060というのは29歳までで、30歳からは5565となっています。

脂質の摂取は、30歳未満では30未満が上限で、30歳以上では25未満が上限だということと関連していると思うのですけれども、このように年齢ごとに脂質と炭水化物の関係を変えられた根拠が私には理解しにくくて、これについても、いわゆる生活習慣病ということを考えると、炭水化物が5060あるいは5065というぐらいの範囲は持たせて、脂質については、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の割合などについてもほかで書かれていますので、脂質の内容に留意するということまで含めれば、これは20以上30未満という考え方もできるのではないかなと思うのですが、そのあたりはいかがでしょうか。

○佐々木(敏)構成員 門脇先生の御質問は、未満のところが25ではなく、30でもあり得るのではないかということですか。

○門脇構成員 ええ。炭水化物が55以上となっているところは50と。例えば糖尿病学会はこれを5060というふうにしています。

○佐々木(敏)構成員 わかりました。

○門脇構成員 炭水化物の摂取割合を年齢30から変えていますね。そこの理由です。

○佐々木(敏)構成員 わかりました。強い根拠があるのかと問われると、強い根拠とまでは言えないという回答になります。

 では、なぜこうなったのかと申しますと、総死亡率とBMIの関係に関するメタアナリシスが出ておりまして、そのメタアナリシスで28%エネルギーよりふえると、たしか肥満との関係が出てくる、またはそれに類するメタアナリシスが幾つかあったように思います。

そして、国際的な議論の情報も含めて考えましたところ、30という数字はつくれる。

その次です。30より低いところが有意かもしれない。けれども、そこのエビデンスが十分でないというのが国際的コンセンサスであるというふうに私たちはまとめました。

そうすると、30からどこまで下げるのかがわからない。

その次です。日本は2005年版、2010年版、その前の栄養所要量の時代から、25%エネルギー未満とするという数字を用いてまいりました。

25 をやめて30に変えるための積極的根拠はあるか、そのエビデンスがあるかと問われると、そこが弱いというところです。

私たちも悩んで、かなりの議論をいたしました。30未満にするという根拠はある。けれども、30であって、2829または25でないという根拠が乏しい。その間をどこに決めるかというところで、今までの数字を変えるための積極的なエビデンスとは言い切れないのではないかと考えて、きょうはこの数字をお出ししたという経緯がございます。

これは私たちも悩んでいるところです。

○門脇構成員 それに関連して、たんぱく質の上限が20ということですね。例えば高齢者で問題になっている虚弱、サルコペニアの場合に、たんぱく質の量をもう少しふやしていいのではないかという考え方もあると思うのです。

社会全般の食習慣の変化によって、炭水化物をエネルギー摂取比率で55%以上とるというのは、実態に合わないような方も非常に多くなっていると思うのです。そういう点で、炭水化物は50%以上がいいのではないかと思って、その差の5%の分について、たんぱく質と脂質のほうに割り振れないかと。

実際には30歳未満の場合には脂質に割り振っているのです。

脂質についても、エネルギーに対する比率だけではなくて、その中身が問題だということで、この勧告の中では主要栄養素の中身についていろいろ具体的なことも記載されているので、そこまで踏まえれば考慮の余地があるのではないかなと考えたわけです。

私もどのようにするのが一番いいのかわからないのですけれども、ディスカッションのポイントとして提示させていただきたいと思います。

○菱田座長 ありがとうございます。

 この点、どこの数値がいいか、具体的な話になってきます。今の御意見を踏まえていただいて、また関連する先生方にもお聞きいただいて、ワーキンググループの案として最終的なものをつくっていただければと思いますが、よろしゅうございますか。

 どうぞ。

○児玉構成員 1点よろしいでしょうか。

今の表、主要栄養素バランスについては、今回、1歳からたんぱく質、脂質、炭水化物の比率ということで、学校などで献立を立てるときに参考になると思うのですが、1歳から思春期の非常に急激に体が大きくなる時期に13以上20未満というたんぱく質は、外挿法で計算されたものなのでしょうか。外挿法でもならないですね。バランスを見るので。

たんぱく質の量、13以上20未満というのは、どういう根拠かということも含めて検討していただけたらと思います。

○菱田座長 木戸先生、御意見ありますか。

○木戸構成員 これは外挿法ではなくて、実際にたんぱく質のEARRDA、上限については20%としましたが、それは発症予防、重症化予防等を含めたエビデンスからそういうふうに出しております。もう一度検討はいたしますが、外挿ではございません。

○菱田座長 ありがとうございます。

 どうぞ。

○雨海構成員 エネルギー以外で今回の大きな変更点は、小児で飽和脂肪酸の%エネルギーが出されているところだと思います。実際に小児の外来で、現在の小児の患者さんたちを診ておりますと、脂肪肝とか肥満というのが非常に多いのです。そういう意味では、非常に炯眼であると思います。そこでご質問したい点ですが、実際にこれを表記していただいて、使う側の立場として、どういうふうに飽和脂肪酸の摂取グラム数、あるいはエネルギー・パーセンテージを算出するのか、という具体的な方法論までお示しされるのかどうかということです。それがこの趣旨に反するかどうかわからない。それは小児に限りません。それが質問の1つです。

さらにもう一点は、今回の各論ではリサーチクエスチョンからレビューをされておりますが、2015年版の最終バージョンにはリサーチクエスチョンも明記されるかどうかということです。

例えば褥瘡などのガイドラインだと、クリニカル・クエスチョンの表記があって、それに対するアンサーがあり、ガイドラインを使う側としては非常に使い勝手がいいものになっています。同様に2015年版も、使う側の立場からすると、今お話しした飽和脂肪酸のパーセンテージをどうやって出すかとか、実際にリサーチクエスチョンを表記するかというのがちょっと気になるので、方針をちょっと御提示いただければと思うのですが。

○菱田座長 どうぞ。

○佐々木(敏)構成員 では、手短にお答えいたします。

 1つ目の質問ですが、きょうは、つくり方と値の算定のところまでの議論と御説明とお考えください。これをどう使うかのところは次回の検討会で御説明申し上げて、御議論いただきたいと思います。

リサーチクエスチョンは、使っていただく人たちにとっては有用なものであると考えております。

しかしながら、食事摂取基準というもののつくられ方、諸外国のガイドラインを見ていますと、本編の中にはリサーチクエスチョンを含めているところはないようです。

ここからは私個人の意見になりますが、食事摂取基準は使用目的がかなり広うございます。したがって、その目的別にリサーチクエスチョンのようなものをまとめたものが出せればよいかなと。これは単なる思いつきでございます。

○雨海構成員 検討してください。

○菱田座長 ありがとうございました。

 議論がまだ出ておりませんでしたけれども、コレステロールの食事摂取基準については目標量を設定しないというところが今回大きな変更点かと思いますが、この点につきまして、何か御意見ございますでしょうか。どうぞ。

○多田構成員 コレステロールに関してはかなり議論があったところなのです。

まず、2010年版が何でこういう形になったかというと、中をごらんになればわかるのですけれども、目標値と書いてありながら、上限目標値、ULという形で出ているのです。コレステロールに関しては、DGなのですが、どのぐらいとれば安全かということなのですけれども、下限がなかなか出てこない。というのは、コレステロールそのものは我々の体でつくってくれますので、下限値は出ない。どれだけとらなくてはいけないかというデータは非常に少のうございます。そういうことで、今回記述にとどめて、目標値は出さなかったということでございます。

○菱田座長 ありがとうございます。

 ということで、よろしいですか。どうぞ。

○佐々木(敏)構成員 1つだけです。ナトリウムについてです。ナトリウムは、2005年版、2010年版と従って少し下がっております。今回はその方針を踏襲いたしまして、そして日本人のナトリウム摂取量が少しずつ減少してきているという国民健康・栄養調査のデータを用いまして、目標量を少しだけ下げたいと考えております。36ページにございます。

そして、脚注にも書いてございますが、最近、WHOが新しいガイドラインをナトリウムとカリウムに関して出しました。そこでかなり強く減塩の必要性と、その数値を厳しく設定してまいりました。そういうものも鑑みる必要があると考えまして、総合的に検討した結果、実施可能性も十分に考慮した上で、食事摂取基準としては、高血圧学会やWHOより数字は大きいものの、現行の2010年版より目標量を少し下げたいと考えております。

以上です。

○菱田座長 どうぞ。

○門脇構成員 20ページの表を見ていただきたいのですけれども、先ほど私はこの表に気がつきませんで、炭水化物の食事摂取基準が2010年のときは全ての年齢層で50以上になっているのです。それが今回、30歳以上で55以上になっているのです。

 私はこれに非常に違和感を覚えるのです。というのは、国民全体の炭水化物の摂取量というのは減っている状況です。その実態と非常にかけ離れていて、例えば糖尿病学会は5060を推奨していますけれども、もっと炭水化物の低い食事をとっている人が多いのだから、50という下限をもっと切り下げよという意見を多くの方からいただいている状況なのです。

極端な低糖質はいろいろな危険があることは間違いないのですが、国民全体として炭水化物の摂取量が以前に比べれば減っている状況で、2015年版で新たに30歳以上で50から55に上げる根拠について、ちょっと理解できないのです。

○門脇構成員 そうなのです。ただ、今まで2005年版、2010年版では全ての年齢層で50だった。これを今回5上げたというところの根拠がわからないということです。

○門脇構成員 そうなのです。ただ、今までは全ての年齢層で50だった。これを5上げたというところの根拠がわからないということです。

○菱田座長 その点の御指摘は、ワーキンググループのほうで重く受けとめていただくことにしたいと思います。どうぞ。

○河野構成員 ナトリウムについて、ちょっとコメントをさせていただきたい。

 今回の改定は、高血圧学会としては非常にウェルカムで、妥当だと思います。

 高血圧の治療ガイドラインが来年改定ですけれども、これもWHOとかを受けて5グラム未満にするかという議論はあったのですが、現実に高血圧の患者さんの90%は6グラム未満を守れていないということもありまして、6グラム未満をいかに徹底するかということで、この基準は、学会ではそのままにする予定でございます。

○菱田座長 それでは、いろいろ御意見があるかと思いますが、時間も少し過ぎておりますので、ここで資料3の議論は終わらせていただきます。

またいろんな御意見がございましたら、事務局のほうに御連絡いただいて、それをワーキンググループのほうで検討していただくということでお願いしたいと思います。

それでは、全体の構成案、資料4につきまして、事務局から説明していただいた後ということで、お願いします。

○河野栄養指導室長 時間の関係もございますので、資料4と資料5をあわせて説明させていただきます。

資料4につきましては、次回以降御検討いただく日本人の食事摂取基準の報告書の構成案となります。

総論から始まりまして、2ページの各論というところで、従来であればここまでの構成となるのですが、今回は重症化予防ということで、生活習慣病とエネルギー・栄養素との関連についても別途参考資料として取りまとめたらどうかというワーキンググループの御意見もございまして、この部分は参考資料として各疾患ごとに2ページの下でございますような形の記載例でお示しすることでどうかということです。

具体的には3ページ、4ページ以降にお示ししてございますが、各疾患の解説の行く前に、そもそも今回検討するに至った、3ページのところに書いてありまます全体の考え方を記述した上で、各疾患ごとの記述をするというのが4ページの御提案です。

また、内容的にはかなり膨大になるということを踏まえまして、5ページ、6ページにつきましては、(1)、(2)、(3)、(4)ということで、各疾患ごとに発症予防と重症化予防と栄養素摂取との関連について全体の関連の概要を示した上で、そこの部分に必要な記述を科学的根拠とともに記載していくという参考資料という形でどうかという今回の構成案の御提案でございます。

また、今後のスケジュールでございますが、資料5にお示ししてありますとおり、きょうの議論を踏まえまして、第5回検討会(2月3日)には、先ほど来お話がありますように、「活用の基本的事項について」も主要な部分ですので、ここについて御議論いただいた後、報告書(案)についての御議論をいただければと考えております。

さらに、第6回は3月14日ということで、こちらで報告書(案)の取りまとめを予定しております。

また、2月3日は15時から17時に開催予定ですので、あわせてよろしくお願いいたします。

 事務局からは以上でございます。

○菱田座長 この点につきまして、佐々木先生のほうから追加、御意見ございますか。

○佐々木(敏)構成員 特にたくさんはございません。今、事務局から御説明いただいたとおりの構成案を考えております。

今回新しく加わった重症化予防なのですけれども、参考資料としてそれぞれの疾患別に執筆をし、加えたいと考えております。

読み手が栄養素と疾患との関係をわかりやすくするために、重要なところにできるだけ絞っていただいて、その重要度を勘案していただいて図をつくり、文章を書いて、読み手の便を図るということをしたいと考えております。

少し戻ってしまいますが、事務局の資料の2ページで示していただきましたように、〈栄養素の記載例〉〈疾患の記載例〉というように項目を定めまして、全体の文章を標準化した形で読みやすいようにしたいなと考えております。

○菱田座長 どうぞ。

○門脇構成員 私の理解不足なのかもしれませんけれども、食事摂取基準をつくるというのは、国民生活あるいは国民の疾病にとって非常に大きなことですので、これまでワーキンググループからこの委員へのいろいろなフィードバックがもう少しタイムリーにいろいろな時点であったほうがよかったのではないかと思います。

もっと思うのは、これは中間的なところでパブリックコメントをいただく手続の必要性について検討をお願いいたします。関連の学会もたくさんあるわけですし、例えば学会から意見を言うとすれば、そういうパブリックコメントを通じて言うのが恐らく一番適切な方法だと思います。

そのような形を経ることによって、我が国のいろいろな学識経験者、あるいは一般の国民、あるいは現場の方のいろいろな意見をここに反映するということが手続上適切だと思いますけれども、いかがでしょうか。

○菱田座長 ただいまの点につきまして、事務局のほうから何か御意見ありますか。

○河野栄養指導室長 これまでの食事摂取基準の枠組みから言うと、2の各論までというところになりますので、今、学会との調整が必要だという御意見をいただいた部分が、資料3でお示しした各指標の栄養素の基準の値においても発症予防、重症化予防の観点として含まれているので、そこまでで食事摂取基準が整理されることでよいとした場合も、ご指摘いただいたような手順での調整が必要かということが考えられます。

参考資料については、各栄養素に発症予防、重症化予防のところに入れ込んでしまうという食事摂取基準の枠組みにしますと、疾患ごとの視点で見たときにわかりにくいのではないかというお声があるので、参考資料につきましては、疾患ごとの特別なことを書くのではなく、今、ごらんいただいた資料3の策定する指標と値に関連した記述を盛り込む程度のものというふうに想定しているものです。

ただ、現時点で委員の先生方に検討会報告書の全文を見ているわけではありませんので、きょうの御議論を踏まえ修正した内容をごらんいただいて、御意見を聞く程度や方法について、次回御検討をいただけたらと思いますので、その点についてもよろしくお願いいたします。

○菱田座長 今の御意見はもっともだと思いますので、その点を踏まえた形で次回の会議の議論に反映していただければと思います。

 きょう予定しておりますことにつきましては以上でございますが、御意見がありましたら、どうぞ。

○深柄構成員 そもそも食事摂取基準が健康な日本人を対象としたものであるということなので、ちょっと外れるかと思いますけれども、例えば参考資料の最後のほうに、急性疾患であるとか、何らかの炎症やストレスを受けたような方がとるべき栄養の摂取量、あるいは例えばがんの術後の患者さん、今、がんの治療がかなり改善してきまして、例えば消化器系のがんの手術を受けて、その後、再発もなく長生きされている方もいっぱいいらっしゃるので、例えばそういったことを参考資料の片隅にでも加えていただければと思いました。

○菱田座長 御意見としてお伺いした上で、次回御返答できればと思います。

 それでは、時間も過ぎておりますので、本日はこれで閉会とさせていただきます。大変多くの貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。


(了)

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