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2014年2月13日 第7回 「健やか親子21」の最終評価等に関する検討会

雇用均等・児童家庭局母子保健課

○日時

平成26年2月13日(木)9:30~12:30


○場所

三田共用会議所 大会議室


○出席者

委員

五十嵐委員(座長) 青木委員
秋山委員 出石委員
市川委員 伊東委員
今村委員 川崎委員
小林委員 迫委員
佐藤委員 島田委員
中板委員 成田委員(木村東京都西多摩保健所長)
久永委員 山縣委員
横山委員

オブザーバー

健康局がん対策・健康増進課 高山課長補佐
医政局指導課 中林専門官
社会・援護局障害保健福祉部障害児・発達障害者支援室 日詰専門官
雇用均等・児童家庭局総務課 川鍋虐待防止対策室長
雇用均等・児童家庭局 少子化対策企画室 水畑室長補佐

事務局

桑島母子保健課長
渡利課長補佐
内山課長補佐
木下課長補佐

○議題

(1)次期計画における指標及び目標等の設定について
(2)次期計画報告書の骨子(案)について
(3)その他

○議事

○渡利課長補佐 それでは、定刻となりましたので、只今から第7回「『健やか親子21』の最終評価等に関する検討会」を開催いたします。

 委員の皆様には、お忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。

 本日は、奥山委員、篁委員の2名から欠席との連絡をいただいております。

 また、成田委員の代理で、東京都西多摩保健所長の木村様に出席いただいております。よろしくお願いいたします。

 私ども事務局の母子保健課長の桑島でございますが、所用により途中退席させていただきますので、御容赦いただければと思っております。

 カメラの撮影はここまでとさせていただきます。

 傍聴される皆様におかれては、傍聴の注意事項遵守をよろしくお願いいたします。

 それでは、議事に移りたいと思います。座長、どうぞよろしくお願いいたします。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 皆さん、おはようございます。議事に入ります。

 まず、資料につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。

○渡利課長補佐 お手元の資料でございますが、最初に議事次第、それと座席表を用意させてもらっております。

 資料は7点ございます。資料1~資料7でございます。資料1は、A3のものをA4に折り畳んでいるものです。縦のものと横のものがありますが、資料7の骨子案まででございます。

 それと、参考資料につきましては1~4までを添付しております。

 また、中板委員からの御提出資料が1点あります。

 前回までの資料につきましては、お手元のファイルに綴じてあります。

 資料は以上ですが、不足等がございましたら、事務局までお申しつけいただければと思います。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 資料につきましては、皆さんよろしいでしょうか。

 それでは、まず、議題1に入りたいと思います。次期計画における指標及び目標等の設定についてについて御議論いただきたいと思います。

 まず、今日は、前回までの検討会の議論が残っておりますので、「妊娠期からの児童虐待防止対策」と「学童期・思春期から成人期に向けた保健対策」について、初めに議論していきたいと思います。

 議論に入ります前に、中板委員から、妊娠期からの児童虐待防止対策に関連しまして、「ハイリスク親支援グループ」についての資料の御提出がありましたので、御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○中板委員 日本看護協会の中板と申します。

 虐待予防対策の中の一環として、「ハイリスク親支援グループ」について説明させていただきます。お手元に資料を御用意ください。

 1ページ目の下のスライド、ハイリスク親支援グループの位置づけと対象について。 ハイリスク親支援グループというのは、グループアプローチの中でサポートグループ型をとっております。これは、最近あちこちの自治体で散見される親教育のグループとは異にするものになります。グループアプローチについては、各自治体でいろいろ工夫されて実施されているところですけれども、ターゲットに見合ったグループの手法をとることがとても重要になります。

 次のページをご覧ください。これは、若干古いですけれども、通知を2つ上げております。2002年6月には、虐待発生のハイリスク要因を見逃さないということと、その要因がある場合については、発生から予防する取り組みを保健所、市町村が連携のもとに組織的に推進されたいということが期待されて、ハイリスクの親に対する支援というものが明記されております。また、2012年7月におきましては、要保護だけではなく要支援の児童、そして特定妊婦への早期支援ということが明記されており、望まない妊娠、それから妊娠期からの支援と同時に、保健師には、虐待や精神保健等、母子保健に従事する保健師が精神保健等に関する知識や技術を持ち、総力挙げて取り組むということが記載されております。

 次のページをご覧ください。虐待周辺の親を支援する際の原則を言うまでもありませんけれどもあえて説明させていただきます。ハイリスクアプローチの虐待予防において大変重要なことは、「育児指導」あるいは「保健指導」ではなく「育児支援」であるということです。アメリカの小児科医ケンプは、次のように言っております。「誰かが『親の相談者になる』ということで親の心理社会的孤立を解く。その援助関係を軸に生活ストレスの実質的軽減を図る。子供の心身の健康を他の大人が子供に直接かかわることで改善していく。これらの援助の経過を通して、親の負担が軽減した後で、親の育児を変えていく行動を働きかける」。これは、日本においてまだまだ母性神話が根強い中で、親に「誰かを頼っていい」ということを伝えながら親をサポートしていく、この順序を守ることがとても重要な視点だと思っております。

 次の資料です。「指導ではなく支援」ということで、小林美智子先生が「虐待が起きている家庭では、経済的背景や生活苦や育児負担のために相談機関に通う余裕もないことが多く、育児についての指導的助言はほとんど意味がなく、かえって親のストレスを増やし、虐待を悪化させるか援助拒否につながっていく」と申されております。

 次の資料ですが、虐待をする親あるいは虐待周辺にいる親への援助に当たっての大原則についてまとめています。援助者自身が母性を押しつけてはいないか。説得・説明、時に叱責していないか。アドバイスを押しつけて頑張りなさいと励ましていないか。孤立無援感を看過していないか。きちんと家族背景、それから、その家族が住む環境を精査しながら支援をしているか。これまでの努力、頑張ってきたことに耳を傾けているか。母親をやらなくていい時間をつくっていいということをきちんと専門家が伝えているか。そして、そのための具体策を一緒に考えているか。育児負担を軽減もしくは免除されて正当だということを保証しているか。私たちが1人で抱え込んでいないか。「ハイリスク親支援グループ」は、この大原則を全て網羅しており、プロの援助者が提供するというよりも、グループの中でピアカウンセリング機能をうまく働かせて、他のメンバーからエンパワーされるという強力な援助関係をとることができます。

 次の資料です。グループアプローチには幾つか種類がございまして、セラピーグループ、トレーニンググループ、グロースグループ、サポートグループ、セルフヘルプグループ等がございます。このセラピーグループにつきましては、まさに治療を目的とするということで、医療機関、カウンセリング機関等が行われているグループでございます。

 トレーニンググループは、教育・訓練を目的としており、ソーシャルスキルトレーニングやペアレントトレーニングがあります。また、グロースグループは、個人の人間的成長を促すものであり、これはエンカウンターグループと言われているものでもあります。サポートグループが、ハイリスク親支援グループに該当しますけれども、成長も治療も改善も主たる目的とはせず、自身が問題と向き合いながら、その問題と折り合いをつけて何とか生き延びていくことを目的としております。

 次の資料をご覧ください。このサポートグループを、保健所あるいは市町村の保健センターで行う理由、意義について説明させていただきます。まず、グループ運営、その開設につきましては専門家の責任で行われることが妥当であるということと、最終的にグループの中で生じた問題につきまして、責任をとるのは専門家が引き受けることが大前提になることが、セルフヘルプグループやいわゆる自助グループ、自主グループとは違うところになり、集団精神学会等でも認知されてきております。まさに保健所等が行ってきた、「健やか親子21」に記載されてきた指標の一つである、ハイリスク親支援グループがこのサポートグループに該当します。これは、運営方法からみましても、保健機関が実施することが妥当であると考えております。保健機関あるいは保健師は、行政の利点を生かせる医療職であり、特に精神保健的なアプローチ技法を持ちながら母子保健に責任を持って従事している職種です。保健機関という行政が、このグループのターゲットとなりやすい、いわゆる経済的な困窮状態にもあるハイリスクファミリーを導入しやすいというところにも利点があります。また、そのファミリーが危機的状況になった場合に、速やかに、家庭訪問などを通して個別対応あるいは児童相談所等の行政機関とともに介入していくことがより可能です。次の資料、我が国の母子保健システムを通じても、その理由は上げられると思っております。日本の母子保健の仕組みは非常にすぐれており、この仕組みを実施主体である市町村が担い、その実施主体である自治体には、必ず保健師が配置されております。いわゆる保健師が家庭訪問するという、母子保健の全体を視野に入れたシステムが全国の市町村に構築されているということを踏まえましても、自治体において、このハイリスク親支援グループを担うことが、重要なことではないかと考えております。

次の資料をご覧ください。親支援グループが適切に虐待予防の効果を発揮するために、乳幼児健診などの母子保健活動一般との連携を通じて実施する体制をつくり上げていく仕組みが必要になると考えます。地区担当の保健師によるアセスメントと個別の支援計画、グループへの適応の有無などの判断があって、初めてグループが有効に機能するものであり、グループだけが単独で存在するというものではなく、個別対応と連動した形でより効果を発揮するものであると考えております。まさに、「グループに参加したい人」を誘導するのではなく、医療職あるいは福祉職からみて、「グループに参加していただきたい人」を、あえて参加してもらえるように誘導していくのが、このハイリスク親支援グループになっております。

 現在、多く実施されているNPNobody’s Perfect)というものがありますが、こちらは親教育プログラムであり、ポピュレーションアプローチによる親教育によって、親業を向上させることとして、虐待予防の一般的なグループ活動と理解されております。中には虐待してしまう親向けにこのグループを実施している自治体もありますけれども、先ほどの小林先生のお話にありますように、虐待している親に親教育をするということは、マイナスな部分もあり、対象(ターゲット)をしっかり見分けた上でのグループ支援が非常に重要になると考えております。これまで行われてきた、ハイリスク親支援グループを自治体の中で、保健所の支援のもとに実施されることを指標として上げていただきたいと思いまして、今日はお話をさせていただきました。

 

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 それでは、只今の御説明に関しまして何か御質問、御意見ございますしょうか。どうぞ。

○佐藤委員 よくわからないところと、また参考として御紹介したいことがあるのですけれども、福祉、歯科に関わることで1つ事例がありまして、2010年に江戸川区で起こった児童虐待による死亡事故というのがありました。そこで開業している歯科医師が、当時、その児童の口腔内、口の中のむし歯等の状況から、この虐待の可能性というものを通報していたことがあったということが、この事後に判明したというケースが実はあったのですね。これは、この児童のむし歯といわゆる虐待、ネグレクトの範疇に入ることだと思いますけれども、その関係が示されていると。

 例えばこれは、要するにむし歯とネグレクトの関係とかは、虐待の早期発見になるのかもしれないのですけれども、こういうケースは、いわゆるハイリスクなのか、それ以前の一般的なことなのか、どう捉えたらいいのか、もし何か参考になることをお聞かせいただければと思います。

○中板委員 市町村の母子保健システムには歯科健診が含まれており、乳幼児健診を通して口腔内の清潔の保持等を把握することは虐待を発見する一つの機会として捉えています。非常に虫歯が多いとか、健診に来るとわかっていながら口腔内に食物残渣が多いという状態などを1つの切り口として注意しながら見ていくということを、ほとんどの自治体でされていると思います。そこから、さらに話を伺いながら家族背景や家族環境等を精査し、いわゆる本当にネグレクトなのかどうか、という判断をしていくというプロセスをとるのが一般的ではあると思います。

○五十嵐座長 よろしいですか。他にございますか。それでは、どうぞ。

○成田委員(木村東京都西多摩保健所長) 先ほどのハイリスク親支援グループについて、少し市町村の母子保健の分野につきまして加えさせていただきたいと思います。現在、虐待に関しましては、出産後ゼロ日目とか、早期に虐待される、また死亡するということが、実際の事例の中で報告されておりまして、現在、区市町村の中では、特定妊婦ということで、望まない妊娠、あるいは10代の妊娠、あるいはひとり親というようなところで、そのような方について、妊婦健診等、あるいは妊娠届というようなことの中で、特定妊婦として疑われる場合には、妊婦のときからもう支援するということを実際に行っております。実際それによって、外国の報告例でも、特定妊婦を妊婦のときから支援することによって出産後の虐待が減るということが実際報告されているところでございまして、区市町村の中では、そういうことを今目指しているところでございます。

 以上です。

○五十嵐座長 ありがとうございます。今の御指摘は、産婦人科医の先生方も非常に力を入れてやっていると聞いておりますけれども、山縣委員、どうぞ。

○山縣委員 1つだけですが、ここで言う、例えばハイリスクの親は、一般集団でいくと、現状では何%ぐらいに当たるのでしょうか。

○五十嵐座長 わかりますか。

○中板委員 ハイリスクの基準の捉え方との関連で見なければなりませんが、乳児健診時に、育児に不安があるとか、親自身が意識はしていないけれども医療者から見てはハイリスクと考えられるケースも含めまして、これまでに行った簡易の調査では、3割ぐらいがハイリスクの親と考えられます。その中で、実際にこういった親支援グループに適応するかどうかということも含めて考えますと対象者はぐっと減っていきます。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 どうぞ。

○青木委員 新小岩中学校の青木でございます。

 今日は、目から鱗というか、虐待親への援助に当たっての大原則というところを見て、援助者自身が母性を押しつけていないかとか、頑張れと言ってはいけないというところで、現実は、学校としては、母性ではなくて、女性として走っていくお母さんに対して、「自分の子供をしっかりなさい」と叱咤激励をする場面がすごく多いのです。「自分の子供にしっかり向かい合って、育てなければいけませんよ」と指導することが多い中では、それは逆効果だということを、これを見て、勉強させていただきましたそれは、やはり時と場合でしょうか。

○中板委員 時と場合によると思います。事情があるということが大前提となり、その事情を酌んだ上で支援をしていくということになると思います。

○五十嵐座長 どうぞ。

○秋山委員 中板委員に教えていただきたいのですけれども、このハイリスク親支援グループというのは、聞いていましたら、育てにくさを感じる親に寄り添う支援と連動できる、活用できるのではないかと思ったのですが、いかがでしょうか。

○中板委員 自治体で実施しているハイリスク親支援グループの対象を広く捉えているところもございます。その中には、発達障害ということを認識する前の段階で、何となく育てにくい、何となくうまくいかないという、自分自身の子育てをネガティブ評価しやすいということからいらいらが募りといった親御さんたちが、このグループに入り、その中で自分自身と向き合っていく、あるいは子どもを見ていく余裕をつくり上げていくという意味では活用されております。先日、秋山先生がお話しされた「育てにくさ」を踏まえまして、やはりこれも連動した形でとても重要だと思いましたので、今日はお話の機会をいただくことにいたしました。ありがとうございます。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 まだ御意見があるかもしれませんけれども、時間も押しておりますので、次の課題に入ります。

 まず、次期計画における指標及び目標等の設定につきましての議論をこれから進めたいと思います。事務局から、妊娠期間の児童虐待防止対策につきまして、資料1と2を使いまして説明をしてください。

○木下課長補佐 事務局でございます。

A3の横紙になりますが、資料1の10ページ、また資料2の39ページから説明を進めさせていただければと思います。

 まず、資料1の10ページに重点課題2妊娠期からの児童虐待防止対策の全体像をお示ししております。健康水準の指標が2つ、健康行動の指標として3つ、環境整備の指標として6~12までを上げております。また、右半分には、具体的な取組方策の例示で、いただいた御意見等を踏まえながら、具体的な取組方策の例示を上げています。

 では、個々の指標について御説明させていただければと思います。資料2の39ページをご覧ください。

 指標番号1「児童虐待による死亡数」になります。こちらは、心中以外のものと心中の死亡数を指標として上げており、中間評価、最終評価いずれもそれぞれが減少という目標を掲げております。ただ、調査方法は、厚生労働省で検討を行っております「子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について」の報告書に上げられています件数で今後評価を行っていきたいと考えております。

 繰り返しになりますが、心中と心中以外の件数を分けて示し、児童相談所の相談対応件数が、毎年度増加していますが、死亡数に関しましては横ばいという現状もあることを踏まえ、今後、1件でも減少することを目標とすることを考えております。

 次ページをご覧ください。指標番号2「子どもを虐待していると思う親の割合」になります。こちらにつきましては、下のグラフをご覧いただきますと、現行把握しているものとしましては、「子どもを虐待しているのではないかと思う母親の割合」で、母親の割合を現行の研究班等の調査で把握していますが、今回の新たな指標としては、母親ではなくて、「子どもを虐待していると思う親」という形で変更の御提案をさせていただいております。

 調査方法の中には、設問案として、「あなた、または、あなたのパートナーは、子どもを虐待しているのではないかと思うことはありますか」ということで、本人もしくはそのパートナーも含めた形で調査を行っていければという案を御提示させていただいております。

 親の割合に関しましては、現在、目標値を定めるに当たりましてベースラインがございますので、今後、調査後に設定していきたいと考えております。

41ページをご覧ください。指標番号3になります。こちらは「乳幼児健診の受診率」を再掲させていただいております。内容は前回御検討いただいておりますので、割愛させていただきます。

 続きまして、42ページをご覧ください。指標番号4になります。「児童虐待防止法で国民に求められた児童虐待の通告義務を知っている国民の割合」を新たな指標として掲げています。調査方法は今後検討したいと思っておりますが、設問案は、御提示している形になっております。

 参考としまして、2つほど自治体でこれまで調査されたものがございまして、下段になりますが、兵庫県で平成25年度に県民の意識調査に取り組まれておりまして、その3つ目に、児童虐待の通告の義務に関しまして、「知っている」もしくは「詳しく知らないが、聞いたことがある」を合計しますと約70%。右の千葉県の平成18年3月の調査になりますが、通告の義務の認知度について、「通告・相談先も含め知っていた」の割合が20.4%、「通告・相談先は知らないが通告の義務があることは知っていた」のが22.8%と、現行において参考となるデータはあるところです。これを踏まえまして、今後、全体の調査を行った上で目標値等の設定を行っていきたいと考えております。

 続きまして、43ページをご覧ください。指標番号5「乳幼児揺さぶられ症候群(SBS)を知っている親の割合」になります。こちらも新しい指標として御提案させていただいております。これまで検討会の中で資料等の御説明をさせていただいているところではございますが、乳幼児揺さぶられ症候群が発生する背景に、泣きやませようとしても泣きやまない乳幼児に特有の泣き行動があり、乳児への「揺さぶり」は、乳幼児健診時のアンケート調査で約4%発生しているとのデータもある。また、その他国内外のデータを見ても同様と、決してまれではないことで、「揺さぶり」の背景に、育児不安や育児ストレスといったごく普通の家庭に存在する要因があることがわかってきております。そういうことも踏まえまして、乳幼児揺さぶられ症候群の知識を全ての親が認識することで、こういったことに対する対処行動を含めまして広く啓発することが必要であると考えております。

 こちらにつきましても、現状のベースラインが無いこともございまして、今後調査を行った上で、目標値の設定を行っていきたいと考えております。

44ページをご覧ください。指標番号6になります。「妊娠届出時にアンケートを実施する等して、妊婦の身体的・精神的・社会的状況について把握している市区町村の割合」を新しく御提案させていただいております。ベースライン値参考として、平成24年度の研究班の調査を掲げております。調査方法の中の参考の欄を見ていただきますと、結果になりますが、「妊娠届出書に、届出項目やアンケートを追加している」割合が46.4%、「妊娠届出書とは別に、アンケートに記入してもらっている」回答の割合が46.2%と、この合計値を用いまして、現状92.6%というベースライン値を設けておりますが、回収率が65%程度で、今後、全体の値がどのぐらいになるかを見た上で、目標値等の設定を行っていきたいと考えております。

 また、この場合、小さい自治体でありますと、必ずしもアンケートを用いずとも面接等で把握している実態もあると考えておりまして、どのような取り組みで把握していくか、また、場合によっては、各都道府県全体もしくは広い範囲でこのアンケートを共用するなどして取り組みを進められている事例も伺っておりますので、そういった事例もあわせて紹介していければと考えております。

45ページをご覧ください。指標番号7になります。「対象家庭全てに対し、乳児家庭全戸訪問事業を実施している市区町村の割合」、こちらも新しい指標になります。まず、目標値に関しましては、今後、ベースライン調査後に設定していきたいと考えております。現在把握しております、事業で実際に訪問した家庭の数と戸数は、対象家庭に対して全て訪問できた市区町村が、現在373カ所、25.7%となっております。ただ、都道府県別で見た場合には、最も高い都道府県で97%、最も低い都道府県で76.1%というデータを得ております。

 「乳児家庭全戸訪問事業の実施率の年次推移」は、年を追うごとに、全国の平均値、都道府県別の実施割合も増加傾向にあるところですが、今後この各市町村単位で見た場合に100%を達成できている市町村の数を目標値として、割合が増えていくことを目指していければと考えております。

 乳幼児家庭全戸訪問事業の概要につきましては簡単にまとめております。事業の目的は、生後4カ月までの乳児のいる全ての家庭を訪問し、乳児のいる家庭と地域社会をつなぐ最初の機会とすることを目的としております。事業の内容は、今申しました生後4カ月までの乳児のいる全ての家庭を訪問して支援を行うことになります。また、その結果、支援が必要と判断された家庭については、その後、ケース会議を行うなどして、養育支援訪問事業を初めとしたサービスにつなげることを目的としております。

 続きまして、次のページ、指標番号8になります。まず、指標番号7と関連する指標になっておりますが、乳児家庭全戸訪問事業で要支援とわかった家庭に対して、その次のサービスになります「養育支援訪問事業を実施している市区町村の割合」を指標番号8で掲げております。ベースライン値を今後調査した後に目標値の設定を行っていきたいと考えております。

 事業も簡単に御説明いたしますと、「養育支援訪問事業の実施率の年次推移」も年々増加傾向になっております。事業の目的は、全戸訪問の中でリスクがあると考えられた家庭に対し、子育てに対しての不安や孤立感を抱える家庭を対象として、具体的な養育に関する助言・指導を訪問して実施することを目的としております。

 具体的な事業内容としましては、産褥期の母子に対する育児支援や簡単な家事等の援助、また、未熟児や多胎児といった家庭の育児支援、栄養指導を事業の中でやっているという状況になっております。

 7番、8番いずれも、必要と認められる方、または対象となる方を全て達成しているという市区町村をふやしていきたいと考えております。

 続きまして、47ページをご覧ください。先ほど中板委員から御説明いただきましたグループ活動に関する指標になります。「特定妊婦、要支援家庭、要保護家庭等支援の必要な親に対して、グループ活動等による支援をしている県型保健所の割合」を指標として掲げさせていただいております。

 現行ベースライン値がないところですが、現在、私ども母子保健課で把握しているものとしまして、「育児不安・虐待親のグループの活動の支援を実施している保健所の割合」を調査の中で把握していますが、最終評価におきましても、今、中板先生からも御紹介がありましたこの育児不安と虐待親の活動は別々のものということで、分けて把握すべきということで、今回新しい指標としましては、指標を改めて設定してはどうかと考えておりますところです。

 続きまして、48ページをご覧ください。指標番号10になります。「要保護児童対策地域協議会の実務者会議、若しくはケース検討会議に、産婦人科医療機関の関係職種が参画している市区町村の割合」を新しく掲げてございます。いわゆる要対協の構成の中で、産科医療機関の関係の方々に参画していただきたいということで掲げております。

 参考データとしまして、現在の「要保護児童対策地域協議会への関係機関の参画状況」になっています。地域協議会の設置数は、現在、全ての自治体において設置されていますが、構成を見ますと、医師会の先生方が参画されているのが約6割という状況ですが、産科医療機関に限ってみますと約10%、また、産科医会につきましては3%、看護協会につきましては1%ということで、現在、産科の医療機関との連携が重要という認識はあるのですが、まだ十分に御参画いただけていないという状況もありまして、こういったものを今後向上させていければと考えております。

49ページになります。指標番号の11になります。こちらは、「関係団体の協力を得て、児童虐待に関する広報・啓発活動を実施している地方公共団体の割合」を新たに掲げております。各自治体の方ではそれぞれさまざまな広報活動、啓発活動に取り組んでいただいているところではございますが、関係団体の協力を得ながら、さらなる普及・啓発活動が行われていけばと考えておりまして、各自治体で取り組んでいるさまざまな他の団体との連携事業を掲げてございます。さらに広がっていくことによって、児童虐待に関する普及・啓発が広がっていけばということで、各自治体の取り組みを促していきたいと考えております。

 最後、50ページをご覧ください。指標番号12になります。「児童虐待に対応する体制を整えている医療機関の数」を新しく掲げてございます。こちらも、現状の医療機関の数を把握できてございませんが、今後、調査するに当たっては、調査方法の中に設問案として掲げておりますが、次に掲げますような1~4のような条件を定めた上で、こういった体制が整っている医療機関の数を把握していきたいと考えております。医療機関での児童虐待への対応は児童虐待の対策の中でも大変重要な位置を占めているところです。現状、国の方で児童虐待防止医療ネットワーク事業を開始しているところで、医療機関の数を指標の中に位置づけることによって、さらに医療機関の取り組みを推進できるのではないかと考えております。

 参考として愛知県で調査された平成25年度の医療機関の対応状況のデータをつけております。調査対象となりました86の医療機関のうち、院内の対応組織が整備されているのが32カ所、約37.2%ということと、設置した理由を見ますと、一番割合の高いところでは、「臓器移植法への対応」ということもございますが、2番目に多い理由として、「もれなく早期発見するため」に設置したという御回答もいただいています。

 また、「児童虐待対応院内マニュアルの有無について」で、マニュアルが「設置済み」が28ございます。マニュアルの整備とあわせて今後促進していければと考えております。

 指標の説明は以上であります。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 それでは、只今の御説明につきまして、御質問、御意見、いかがでしょうか。

○今村委員 色々な指標を掲げていただいております。数年前から比べると当局の対応も随分進んできたなというのが実感です。これを着実にやっていただければと思います。

 1つ付け加えてみてはどうかと思う指標があるのですけれども、望まない妊娠の問題というのは、児童虐待と不可分の関係にあると思います。望まない妊娠をして、しかも、どうしても出産せざるを得なかった、そういう児がどういうふうになるか。これは、できるだけ小さいときに里親に引き取っていただいて、そして、家庭の中で育てる、これが非常に重要だと言われておりますけれども、そういったような意味で、里親、特に特別養子縁組を含めて早期の里親の実現した件数といいますか、そういうものは非常にきちっとしたデータも多分あると思いますし、指標としてはいいものになるのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○木下課長補佐 恐らくデータそのものは、同じ局内の他の課で把握していると思いますので、データをどのように活用できるかというのと、現状の把握も含めてまずは整理させていただければと思っています。その上で、指標として入れられるか、もしくは、場合によっては、具体的な取り組みで対応できればと考えております。

○五十嵐座長 御指摘ありがとうございました。

 どうぞ。

○中板委員 指標番号の8番、養育支援が必要と認めた家庭に対する養育支援訪問事業についてですが、これはガイドライン作成の時に携わらせていただき、養育支援訪問事業の対象は妊娠期も入っていたのではないかと記憶しております。いわゆる望まない妊娠、若年の妊婦、妊娠期の鬱等も含めて、妊娠期からサポートするという、公的なサービスとして妊娠期からの支援策が非常に乏しい中で、とても重要なことと思っております。この参考資料の中の目的あるいは事業内容のところをもう一度確認いただいて、妊娠期からも含められるのであれば、書いていただいた方がよいかと思います。

○五十嵐座長 どうぞ。

○木下課長補佐 妊娠期からの問題は、最初から入ってきたものではなくて、特定妊婦という言葉も含めて、途中から出てきているという形になっています。中板委員のお話にもありますように、養育支援訪問事業も最初から対象を妊娠期からとはしてなかったと思うのですが、平成20年の改正で特定妊婦を要対協の対象にするという改正もあり、その関係で、今のお話を含めて、養育支援訪問事業の中に入っていると思いますので、表現についてはもう一度整理させていただいて考えたいと思います。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 どうぞ。

○川崎委員 ちょっと幾つか、言ってもよろしいですか。

○五十嵐座長 では、1個ずつお願いします。

○川崎委員  最初に、指標番号2「子どもを虐待していると思う親の割合」について。これがかなり大きな指標の1つになっており、その割合が少なくなるということを目標にしています。その点は確かにそうかと思うのですけれども、ただ、虐待をしている人というのは、なかなか虐待を認めません。否認したり、正直に答えなかったりということもあり得ると思いますので、この指標には微妙な問題があるかなという気がします。したがって、そうした点も念頭に活用を検討していただければと思います。

  次に、ちょっと細かなことですけれども、この指標の「調査方法」での設問案で、3~4か月児での「追加質問」の中に、「……激しく揺さぶったことは何度ぐらいありましたか」とあります。こうすると、何度か揺さぶるのはあって当たり前のように思われないかという印象を持ちました。そこで、できるなら「何度ぐらい」を削除して、「……激しく揺さぶったことはありましたか」という問いにしたほうがよくないかなと思いました。

○五十嵐座長 この辺は、事務局、検討していただけますか。

○木下課長補佐 研究班と御相談させていただきながら、検討させていただきたいと思います。

○五十嵐座長 次の御指摘をどうぞ。

○川崎委員  指標番号の4・5についてです。4は、虐待防止法で定められた「国民の通告義務を知っているか」を取り上げ、5では「SBSを知っているか」について尋ねています。乳幼児健診での質問ですから、SBSを取り上げているのは確かによくわかりますし、賛成ですが、もう一つ尋ねたいものとして、児童虐待防止法が定義する虐待の4つの種類があります。虐待を疑って通告するには(子どもを虐待しないためには)何が虐待であるかを知っておかなくてはなりませんから、法律に書いてある身体的虐待、ネグレクト、心理的虐待、性的虐待について、知っているのかどうかを質問してもいいのかなと思いました。

  なお、資料には兵庫県と千葉県の2つの調査がありましたが、愛知県豊橋市の市民意識調査でも虐待問題が取り上げられています。一つの項目だけでなく、「こういうものは虐待と思いますか」とか、「通告先は知っていますか」「虐待について気がつきましたか」「気づいた人は通告をしましたか」などとかなり多くの質問をしていますので、参考になるかなという気がします。

○木下課長補佐 調査の設問は今回、案として御提示させていただいているというところもございます。調査の全体設計の中で、設問数に恐らく限りが出てくると思いますので、個々の虐待に関する設問にどの程度ボリュームをとれるかということを全体の中で検討させていただければと思っております。

○五十嵐座長 ありがとうございます。どうぞ。

○川崎委員  もう一点、乳幼児健診の受診率を聞いていますが、未受診は虐待リスクが高いと言われているので、これは当然だと思います。

  ところで、これに関連して、資料1「次期計画における指標及び具体的な取組方策等について(案)」を見ますと、10ページに「国の行う方策」の例として「乳幼児健康診査の今後の在り方の検討(児童虐待への対応等)」ということが出てきます。健康診査という名称にはなっていますが、私は、家族背景とかについても、どこまで調査する胃腸があるのか、あるいはできるのかと言った点についても検討していただければと思います。先ほど江戸川区の事件が例示されていましたけれども、あの事例では、15歳で出産した母親に替わって、しばらく祖母が養育していました。そこでの健診では、おばあちゃんも一生懸命育てているし、子どもの発達も特に問題ないということで、母子保健の関わりは終了していたかと思います。そして、転居した後、事件が起こりました。ですので、乳幼児健康診査の中で家族背景にも着目し、どこまで調査できるのかはわかりませんが、虐待防止を考えるのであれば、少なくともそのあたりについての把握は必要ですから、今後の取り組みの中で、少し考えていくことが必要ではないかと思います。

  それともう一つは、やはり未受診の対策をどうするのかということについて考える必要があると思います。今、特に大きな問題となっているのは、転居事例です。母子保健分野の話を聞きますと、住民票がある人については、きちんと案内を送って追いかけますが、転居してしまうと、自分たちのエリアから出てしまったということで、転居先自治体へのつなぎは、必ずしも十分とは言えないような気がします。未受診の中で、特に転居している事例に対して、お互いの連携をどうしていくのかといったことについての取り組みとか施策を打ち立てていかない限り、乳幼児の虐待防止、あるいは死亡事例を減らすことは難しいようにも思います。その辺についても、御検討いただければと思います。

 

○虐待防止対策室 今の未受診のお話ですけれども、政策的なことを申し上げると、まだ政策に結びついているわけではないのですが、乳幼児健診未受診の場合、要するに子供の居場所がよくわからない、今、県境のお話が出ましたけれども、その点も含めて、実はこれから調査をかけようと思っています。それは、未受診も含めてですけれども、子供の居場所というのが、どういうふうに、どういうルートで、どういう形で確認できているのかというのをまず調べないといけないと思っていまして、その中で、非常に工夫して効果的にやっているところについては、そういう事例も集めたいと思っています。その上で施策に結びつけていきたいとは思っていますが、今回、まだ指標という形ではないのですが、その方向性で考えております。

○五十嵐座長 よろしいでしょうか。どうぞ。

○秋山委員 指標10についてですけれども、厚生労働省の第9次報告でも精神疾患を持つ家庭の支援が必要だと報告されていましたし、東京都でも、虐待で死亡事例の検討の中でも、精神疾患を持つ親の対応というか検証が数多くあります。そこで、この指標10の中に、産婦人科医とともに精神科医の参加というものも必要ではないかと思っています。ぜひお願いしたいと思います。

 それから、これは今言っていただきましたが、居所不明児のことは、ぜひ国でお願いしたいと思っております。お願いします。

○五十嵐座長 どうぞ。

○虐待防止対策室 御指摘のとおり、精神疾患、精神的な課題のあるお母さんに対する対応は非常に大事だということは、我々も聞いて、よく承知しております。今回この産婦人科医を初めとしたこの文言を入れたのは、実は、特定妊婦ということがもう法定化されて、しかも、しばらく時間がたっている中で、市町村サイド、行政サイドがなかなか参加に意欲的でないところもあるので、今回、まずはここの部分でしっかり参加をしていただくと。市町村の方にきちっとこの指標ができれば、全てこうなっているのだからということで進められるというのが1つです。

 精神疾患の話は、これは国立成育医療研究センターの立花医師に、どういうふうに連携できるかというのを今、調査研究されていることもあって、これも大変大事な話なので、これは、どういう形で要対協のネットワークに結びつけていくかということも含めてこれから考えたいと思っています。今回はここには載せておりませんが、何も全然考えていないというわけではありませんので、よろしくお願いします。

○五十嵐座長 どうぞ。

○成田委員(木村東京都西多摩保健所長) 特定妊婦のことなのですけれども、先ほどの産婦人科医と区市町村の母子保健の窓口との連携体制は非常に重要だと考えております。それで、私ども西多摩保健所の管轄内では、やはり産科医療機関と市町村の窓口を担っている役所の方について、連携会議というものを持っておりまして、双方に連絡体制というものをとっております。そのように、できるだけ産科医と、そして区市町村の母子保健の窓口との連絡体制、そして、そこの中で特定妊婦が、どちらが先にそれを知るかということはありますけれども、どちらが先であったとしても、お互いに連絡を取り合って、そこには個人情報ということにつきましては、除外されるということでございますので、お互いに妊婦のときから連絡をし合って、先ほどの、指導ではなくて支援を行っていくということが非常に重要なかぎだと思っております。そのような中では、先ほどの精神疾患をお持ちの母親等についても、どちらからか連絡が入れられれば何らかの支援の糸口ができるのではないかと思っております。

 それから、2点目の未受診者ですけれども、乳幼児健診の未受診者につきましては、私が前、区の保健所におりましたときは、受診のはがきを出しまして、それに対して未受診だった場合は、2回~3回は、何回かはがきを出しまして受診するよう促しまして、それでも受診しない場合には、実際に訪問いたしまして最後まで追うということで、最終的に、もう転居しているということもございまして、そのような場合は、転居先がわかる場合には、転居先の方にその情報について連絡し合うというところまで追っておりました。

 そのように、未受診者に対して、それぞれの自治体の中でどこまで追うことができるかというところは、やはりその自治体の力とか経済とか人員とか色々ございますので、ただ、そういう未受診者を追っていく手段はあると思います。

 以上です。

○五十嵐座長 どうぞ。

○出石委員 全国保健師長会の出石です。

 今、未受診者を追う、居所不明児の話が出ておりますけれども、さまざまな取り組みがあると御発言が今ありましたが、1つちょっと大事な問題が起きておりまして、居所不明児の中に、DV等で逃げているというパターンも実はあったりするのですが、その場合、ブロックがかかってしまって、どちらに引っ越されたかも正直わからない状況が発生しております。DVが起きているということ自体が、やはり子供が育っていくという環境では非常にリスクが高いかと考えておりますが、そのDV法の絡みもございまして、現場で苦労している保健師たちは、そこでその先を追うことができない。でも、その方たちは、恐らくリスクが高いだろうというところの1つの壁をどうやって今後解決していくのかというところも、ちょっと視点として、今回とはまた違う視点かもしれませんが、ぜひ御配慮いただけたらうれしいなと思います。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 よろしいでしょうか。どうぞ。

○中板委員 この「健やか親子21」を推進する上で重要なこととして、「健康日本21」の方は、健診データを情報共有できるような仕組みというものをつくりつつあると思いますけれども、母子保健システムの中では、自治体完結型になっています。特に、虐待の家族については転居が非常に著明ですので、その情報をどう管理していくかということについて、個人情報の面で難しい問題があるとは思いますけれども、情報管理システムを検討する時期なのではないかと思っております。

 また、先ほど要対協の中での産婦人科医と精神科医ということがありましたけれども、特に事例を踏まえた個別ケース会議等では、精神科医が地域の中で参画していただくというのが非常に多いです。大変御苦労していただきながら事例検討に参加いただいておりますので、それを一般化していくこともとても重要だと思うので、ぜひ御検討いただきたい。私も先ほどの秋山先生の意見に賛成です。

 さらに、特定妊婦のことについては、特定妊婦で虐待リスクが高い親御さんについては、やはり精神科的なサポートがとても重要になる妊婦が多く、こちらも指標に一次候補として上げさせていただいたのですけれども、病院内の虐待防止委員会(CAPS)、そちらの中で特定妊婦を扱うという病院がどのぐらいあるかということがとても重要になるかと思いますので御検討いただければと思います。

 以上です。

○五十嵐座長 色々と御指摘ありがとうございました。

 他にあるかもしれませんけれども、また後でお話しする時間もありますので、次に進みたいと思います。

 次は、「学童期・思春期から成人期に向けた保健対策」についてディスカッションしたいと思います。事務局から説明をお願いいたします。

○木下課長補佐 資料1の1ページと資料2の方も1ページをお開きください。「学童期・思春期から成人期に向けた保健対策」で、従来、割となじみのある課題が並んでいるかと思います。健康水準の指標は1~5番目、健康行動の指標は6~9番目、環境整備が10番目、11番目という形で整理させていただいております。

 具体的な取組方策も右に列挙しております。特に、この課題は、取組方策も、次のページにわたり数多く御意見をいただきながら列挙しています。

 個々の指標の説明に入らせていただきます。資料2の1ページをご覧ください。

 指標番号1になります。「十代の自殺死亡率」になります。人口動態統計を用いましてベースライン値、さらに最終目標を減少傾向へということで、10歳~14歳、15歳~19歳と分けて目標を掲げております。こちらの考え方は、自殺総合対策大綱、平成24年8月閣議決定されたものがございますが、若年層における自殺の問題につきましても深刻さを増しており、重要な課題と位置づけられております。その中で目標に関しては、年齢を区切ったわけではなくて、「自殺死亡率を平成17年と比べて20%以上減少させる」という全体の目標が掲げられているところでして、方向を合わせるという形で、具体的な数字は掲げないものの、減少傾向という形で目標を定めさせていただいております。

 現行の推移の状況のグラフを載せておりますが、年を追うごとに、10歳~14歳、15歳~19歳と増加している傾向が見てとれるかと思います。いずれにつきましても、今後の目標としましては、減少傾向へという目標を設定させていただいております。

 次のページをご覧ください。指標番号2になります。「十代の人工妊娠中絶率」になります。ベースライン値が、衛生行政報告例を用いまして7.1、中間評価、5年後を6.5、最終評価6.0と目標値を定めております。現行の「健やか親子21」の目標値を6.5と定めておりましたが、現状、この水準まで到達していない状況にございます。

 グラフを見ていただくと、平成7年、6年から急激に増えまして、その後、平成13年ごろにピークを迎え、その後、また急速に落ちてきているという状況で、現行の水準としましては、上昇する前の水準に近づいている状況と考えております。この減少傾向をさらに進めて、まずは、現行の計画の目標値である6.5を中間評価時で達成した上で、さらに、減少を継続するということで最終評価6.0にしてはと考えているところです。

 続きまして、3ページをご覧ください。指標番号3になります。「十代の性感染症罹患率」になります。感染症発生動向調査を用いまして、性感染症の定点報告の中の10歳~14歳及び15歳~19歳の報告数を合計した数を用いております。全国の定点数で割った値で定点1カ所あたりの報告数を算出して、把握してはどうかと考えております。減少傾向へという目標を掲げております。

 グラフを見ていただきますと、平成14年にピークがあった後、順調に減少しているところですが、この減少傾向は現在落ちついてきているというところで、まずは、この今の落ちついているものをさらに減少を目指したいと考えております。具体的な数値は掲げておりませんが、減少傾向という目標を掲げさせているところです。

 4ページをお開きください。指標番号4が「痩身傾向」、指標番号5が「肥満傾向」の児童の割合になっております。現在のベースライン値が2.0を、中間評価で1.5、最終評価で1.0という目標を掲げています。平成12年の日本人小児の体格から算定した身長別標準体重を基準に、肥満度がマイナス20%以下の児の割合というものを掲げております。

 痩せの傾向児の出現率を小学校5年生、中学校2年生、高校2年生と3つの学年のそれぞれ男女でデータですが、痩身の傾向が、妊娠・出産や将来の骨粗鬆症などに関係することで、男子よりも特に女子で課題が重要であることと、妊娠・出産という年齢に近い時点での痩せというもののデータに着目したいと考えており、今回指標に用いる値としましては、高校2年生の女子の割合を目標としてはどうかと考えております。また、実際、そういったデータの評価、分析をする際には、小学生もしくは中学生の男女それぞれもあわせて評価を行っていきたいと考えております。目標は、高校2年生の女子としてはどうかと考えております。

 5ページをご覧ください。指標番号5になります。「児童・生徒における肥満傾向児の割合」になります。データソース等は同じになっておりまして、グラフを見ていただきますと、同様に、小学校5年生の男女、中学校2年生の男女、高校2年生の男女、いずれもデータをとることはできます。今回の最終評価の中におきましても、肥満の傾向の低年齢化も見てとれることで、肥満に関しましては、小学校5年生の男女の合計値を用いた目標値を用いてはどうかと考えております。ベースラインが9.5で、最終評価が7、中間評価は5年後で8%と設定しています。肥満は、そういった考え方で目標値を設定しています。

 6ページをご覧ください。指標番号6が「喫煙率」、指標番号7が「飲酒率」になります。厚生労働科学研究の実態調査で把握を行っています。目標の考え方は、「健康日本21」と平仄を合わせ、未成年者の喫煙に関しましてはなくすという目標が定められていることで、0%を目指すという目標を掲げたいと思っております。

 グラフを見ていただきますと、近年、喫煙率は改善が大変顕著なこともありまして、直線的にグラフを引いていきますと、現時点で達成してしまいそうな勢いで改善はしたところですが、このままの勢いでいくのか、この後、改善傾向が停滞化するのかというのは十分注意していく必要があると考えておりますが、目標としてはゼロという形で掲げさせていただければと考えております。

 次に、7ページをご覧ください。飲酒率になっております。調査方法は、研究班の実態調査で把握することとしております。「健康日本21」と目標を合わせる形で「未成年者の飲酒をなくす」ということにされていることから、数値としましては0%を目指すという目標を掲げさせていただいております。こちらの改善の傾向は、たばこよりも若干緩やかですが、直線的に延ばすと、やはりこれもゼロに限りなく近づいていくという傾向は見てとれますが、恐らくこの改善も今後停滞する危険性も十分あると考えておりまして、十分注視していく必要があるだろうと考えております。

 次に、8ページをご覧ください。指標番号8になります。「朝食を欠食する子どもの割合」になります。こちらは、平成22年度の児童生徒の食事状況等調査で測定しております小学校5年生及び中学校2年生の値をベースラインとして掲げております。「必ず毎日食べる」以外の割合をもって朝食を欠食する子供の割合として算出しております。今後評価するに当たっては、本人だけではなくて、親の朝食の摂取状況というものも影響することが考えられるため、評価する際には、親の朝食の欠食状況もあわせて検討を行っていきたいと考えております。

 現行の推移を見つつ、とりあえず、まずは中間評価の段階で、小学校5年生については5%、中学校2年生は7%まで減らすという目標を掲げて、その後は、中間評価時での達成状況を踏まえてさらなる目標を高めることができるかどうかというところを検討していきたいと考えており、今回、中間評価時の目標のみを掲げさせていただいているところです。

 9ページをご覧ください。こちらは新しい指標になります。「歯肉に炎症がある十代の割合」を掲げております。ベースライン値は25.7%で、10年後の最終目標を20%として、その中間評価で5年後は、その半分の減少を目指した形にしております。

 歯肉炎の現状の状況は、グラフがありますように、平成11年、17年、23年と微増もしくは横ばいという推移を示しているところでございます。学齢期の歯科保健の向上を図る上で、歯肉炎の予防は重要な課題と考えており、成人期以降の歯周病対策にもつながる大きな健康課題と考えており、10代の歯肉炎の割合を減らすことを今回の指標の中で掲げさせています。

 次、10ページをご覧ください。環境整備の指標になります。指標番号10「学校保健委員会を開催している小学校、中学校、高等学校の割合」になります。ベースライン値が現在91.6%で、中間評価までに100%の達成を目指したいと考えております。現行の「健やか親子21」は、公立の小学校、中学校における学校保健委員会の設置率を把握していますが、設置状況だけではなくて、開催状況も把握してはどうかとの御意見を受けまして、今回、開催状況を指標として掲げています。

 開催状況は、グラフをつけていますが、ゼロ回の開催のところが一部ございます。多くは1回程度開催いただいているところで、2回以上開催いただいているところもあるところで、まずはこのゼロを減らして、中間評価までには全ての学校で開催いただくという状況を目指したいと考えております。その後については、中間評価時の評価を踏まえて、さらなる次の指標はどういうものが適切かを考えていきたいと考えております。

11ページをご覧ください。最後になりますが、指標番号11「地域と学校が連携した健康等に関する講習会の開催状況」という新しい指標を掲げてございます。具体的な質問項目については調査の中で検討していきたいと思っておりますが、健康課題として考えていますのは、生活習慣もしくは食生活、薬物乱用防止、情報のリテラシー、性についての課題といったものについて、地域と学校で連携した講習会等の開催を促していきたいと考えております。最終評価の際で調査した内容としまして、こういった課題につきましては重要と認識されている一方で、取り組んでいないという地方公共団体が約4割あったというところで、こういった課題に対する問題意識は高いものの、なかなかそういった講習会の開催につながっていないというところが課題として掲げられたこともございまして、講習会の開催を促していければと考えております。

 以上になります。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 それでは、只今の御説明につきまして、何か御質問、御意見ありますでしょうか。

○迫委員 二、三質問と、それから意見を述べさせていただこうと思っております。

 まず、最初に、痩身傾向児童と、それから肥満傾向児の割合、指標番号の4番及び5番のところでございます。これについて、それぞれ痩身傾向児については高校2年生、そして、肥満傾向児については小学校5年生という年齢で指標としていくというお話だったと思います。これのデータの取り扱いなのですけれども、そのそれぞれの子供たちが、例えば痩身傾向であれば、小学校5年生、そして中学2年生、高校2年生と、この何年間かの間の推移、変化というものを、参考的な形でもいいのですけれども、把握できるのかどうかというところでございます。痩身が一体どこから始まってくるのかとか、肥満がどこから変化していくのか、そういうあたりが次の対策に対して非常に重要なデータになるのかなと思っておりまして、ある断面で切るというよりも、連続性を持って見ていくことも一つ必要なのかなとは思いました。

 まず、肥満と痩身については以上でございます。

 続けてしまってよろしいですか。

○五十嵐座長 どうぞ。今のは御指摘ということでよろしいですか。それでは、どうぞ。

○迫委員 次に、朝食欠食の子供割合と、それから親に対する家族そろって食事をするこれは参考データという形になろうかと思いますけれども、それに対して、例えば学校であれば、「早寝早起き朝御飯」という子供に対する直接的な働きかけをされている、これは地域も一緒にしているかと思います。親に対する働きかけというところを、それを今度広げていかないと、そこは充実できないのではないか。そういうところで、取り組み方策の例示のあたりに、そういう具体的なものを入れていただくことができないだろうかというところが1つの提案でございます。

 最後になりますけれども、関連した形で環境整備の指標の中で、学校保健委員会に対する期待は非常に大きなものがあろうかと思っております。学校保健委員会の開催状況という形で把握をされるとすると、これはある意味、学校での全体的な取り組みのシンボリック的なものとして学校保健委員会を掲げるのかなとも思っているわけであります。さまざまな取り組み、自殺の問題から健康問題まで、非常に幅広い取り組みを学校保健委員会で取り組んでいくという形になると、開催状況だけで把握していくのは非常に難しいものもあろうかと思いますし、その内容的なものももっと充実、調査していくことも必要なのではないか。

 さらに、地域と学校が連携した健康等に関する講習会の開催状況と。ここでは、学校と連携という形になっておりますが、可能であれば「学校等」という形にしていただいて、地域主体であれば、地域と学校、地域と保育所、地域と幼稚園という形で、より早い時期から子供たちの健康問題、生活習慣の定着に至るまでの支援ということが可能になるのではないかと思っておりますので、その辺も御検討いただければありがたいと思っております。

 以上です。

○五十嵐座長 御指摘どうもありがとうございました。

 他はいかがでしょうか。どうぞ。

○成田委員(木村東京都西多摩保健所長) 指標6とか7の十代の喫煙率や飲酒率が非常に下がってきていることは大変うれしいと思うのですけれども、それで、今までにない指標の中で、突然ということで大変申しわけないのですけれども、今、違法ドラッグとかハーブにつきまして、10代、20代のお子さんが増えているというところでございます。そのような中では、どこかにそういうそちらについての何か文言が入らないかなと思うのですけれども、いかがでしょうか。

 以上です。

○五十嵐座長 違法ドラッグ等を含めたドラッグの使用経験者とか、経験率とか、そういうものがということですね。資料があるのでしょうか。いかがですか。

○木下課長補佐 恐らくないと思われます。今まで薬物の取り組みで学校と地域と連携した普及・啓発といった指標は掲げておりましたが、各地域と学校の中で実施できているという最終評価になったところで、今回、取り組み例としては残しておりますけれども、指標からは外していると。一方で、委員御指摘の、使用実績のようなものは、データとしては持ち合わせていないです。

○五十嵐座長 精神神経センターの薬物の専門家の方などにちょっと伺ってみるのも1つの手かもしれませんけれども、そこら辺は検討課題ということでよろしいですね。

○木下課長補佐 まず、どこまでできるのかというところを、研究者の方々なりに意見を伺った上でないと、いきなり指標としては難しいかと思います。

○五十嵐座長 他にいかがでしょうか。どうぞ。

○横山委員 喫煙と飲酒のところなのですけれども、経年的に改善してきているのは明らかに見えるのですが、ただ、喫煙のところで、この図の見方ですけれども、中1男子で、例えば平成15年だと4%ぐらいで、この世代は6年後に高3になるわけで、そうすると大体平成20年超えたあたりだと喫煙率10%ぐらいということで、その間に4~10%ぐらいまで上がっているという傾向がこれから読み取れるわけなのですけれども、そういう視点で、学年が上がるに従って喫煙率の上昇速度が経年的にどう変化してきているかという視点から参考データという形で分析してみると、学年が上がることによる喫煙率等の増加の改善の程度が、より改善していれば、さらに喫煙率も下がっていくだろうというような推理もできるかと思いますので、そんな分析も参考としてやってみた方がいいではないかと思います。飲酒に関しても同様です。

 先ほども御意見がありましたけれども、痩身傾向児の割合とか、このあたりも、世代間で学年とともにどう変化していくかというあたりの視点が必要かなと思いました。

○五十嵐座長 御指摘ありがとうございました。

 どうぞ、島田委員。

○島田委員 指標11の地域と学校が連携した健康等に関する講習会の開催状況です。この質問項目については、今後検討なさるということですが、やはりこの学生時代から妊娠、出産に対する正しい知識、人工妊娠中絶に対する心身への影響、それから避妊について等、性に対する調査項目に関しましては、従来の性感染症予防対策だけではなくて、妊娠、出産に関して早いうちから正しい知識を提供して、適切な健康行動がとれる状況かどうかを把握する内容を盛り込んでいただきたいと思っております。

○五十嵐座長 御指摘ありがとうございました。

 どうぞ。

○青木委員 では、2番目から。指標2のグラフの中の平成7年ぐらいから急激に人工妊娠中絶が急増していますね。極端に上がっていて、また極端に戻っているのですが、この原因は何なのかということがとても気になります。

 それから次の指標3については、エイズのことはどうか、という懸念をしています。学習指導要領でも性感染症でエイズを取り上げているので、そことについても忘れてはいけないかと思います。

 次の指標番号6と7ですが、これは喫煙率と飲酒率ゼロ%。現状は、家庭内の喫煙とか家庭内の飲酒というところで非常に不安があります。本当にゼロ%を目指せるのだろうかとか、親の啓発をしっかりやっていかないと、あるいは子供自身にももっと指導していかないと、見えない部分での飲酒等があると思います。特に飲酒の方が心配なのですが、喫煙率もなかなかなくなっていかないのではないかとは考えています。

 次の指標10の学校保健委員会なのですが、現状としては、設置はもうほとんどの学校でされていますが、開催も、本校の場合は年に1回やっているのですが、実を言うと日程を設定するのに、養護教諭がとても困ります。どうして困るかというと、校医さんの診療の時間のあいているときに設定して御意見をいただこうと思うと、本当に設定するのが厳しくて、1月に本校でもやったのですが、結局校医さんは参加ゼロで、PTAとスクールカウンセラー、養護教諭、管理職その他でやりました。土曜日にやったのです、ストレスマネジメントをスクールカウンセラーが保護者に啓発・指導することになってしまって、校医さんからの貴重な御意見をいただくことが難しかったです。

 そういう意味では、現場では、校医さんの御都合を聞くのがとても大変だということをお含みいただいて、やはり内容を改善できるように何かしらの働きかけがあると、学校としては設定しやすいと思います。日時設定の問題でも本当に悩んでいます、もっと校医さんから子供の健康課題について御意見をいただきたいので、組織というかシステムがうまくいけばいいなと思っています。

 それから、指標11の学校と地域との健康に関する講習会ですが、薬物乱用防止について最近では情報教育モラルについて、区市町村都からやりなさいという指示があって、薬物乱用は、必ず年に1回やるということにはなっています。ただ、学校現場は今、授業の確保というところで、新学習指導要領変わり授業時数が増えてきて、こういう講習会講演会に割く時間が減ってきています。総合学習の時間を使ってやっていたのですが、総合の時間が減りまして、70時間が最低限だったのが、1年生で50時間、2・3年生で70時間ということの中で色々取り組みをします。こういう講演会に割く時間が、学校現場は授業確保の意味で非常に難しくなってきています。学校と地域と連携しながら、とありますが、現場では、やはり学校で開くことが一番効果的ではありますが、保護者もいつも招いてはいるのです、保護者の参加はすごく少ないです子供たちに教育するには、やはり学校で、そこに地域の方関係諸機関が来てくださって講演会等を開くのが効果的かと思いますので、こういう時間の確保があると本当に学校も行事として取り組みやすいと思います。

 以上です。

○五十嵐座長 色々御指摘をいただきました。ありがとうございました。

 ではここまででこの議論につきましては終了します。これまでに基盤課題が3つ、重要課題が2つ、合わせて5つの課題につきまして議論をいただきました。事務局から、前回の検討会での議論を踏まえまして修正箇所が幾つかあると伺っておりますので、まず始めに、資料1と資料2、それから参考資料も含めて補足説明をしていただきまして、その後で、全て5つの課題につきまして御意見等をいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

○木下課長補佐 事務局でございます。前回までの宿題としていただいたものを幾つか、まず御説明したいと思います。参考資料2をお手元に御用意ください。

 以前、事務局から御提示した資料の一つでございますが、「在胎週数別出生割合の年次推移」で、27週までが、グラフがつぶれていて数値が見えないとの御指摘がございまして、その部分だけを取り出したのが下になりまして、「全出生数中の妊娠28週未満での出生割合」で、1979年から近年までのデータの推移をお示ししているところで、割合としましては、その%を見ていただきますと非常に少ない割合ではございますが、年を追うごとに割合が増えている状況が見てとれるかと思います。

 もう一ページおめくりください。児童精神科医の地域差の御指摘もいただいたところでございまして、都道府県別の人数を学会のデータをいただき、お示ししているところです。上段が「日本児童青年精神医学会員のうちの精神科医数」で、全国全ての都道府県に複数いる状況ではございますが、やはり都市部の方に非常に多くいる状況が見てとれるかと思います。下段になりますが、「日本児童青年精神医学会認定医数」は、全国で今、公開を御了解いただいております194名の方の分布になっておりますが、見ていただくとわかるかと思いますが、上段のそもそも精神科医の数と相関するような形で、東京、神奈川、京都で多くなっており、一方で1名もいない自治体も相当数あるという状況が見てとれて、委員から御指摘があったように、地域差が非常に大きな課題の一つと考えております。

 それでは、前回、今村委員から御指摘がありましたスマートライフの取り組みの予算に関しまして、資料は御用意していないのですけれども、額としましては、平成26年度の予算要求段階で1.2億円で、さまざまなアワードの取り組みでありますとか、普及・啓発といった総合的なホームページの準備とか、色々なものを含めましてトータル1.2億円という予算要求をしています。

 前回、委員の御指摘でございました合計特殊出生率を目標としてはどうかという御意見もいただいたところですが、事務局で検討させていただいたところですが、合計特殊出生率は、データの意味するところが、1人の女性の方が生涯に産む子供の数という意味合いをもっていることもございまして、その情報が正しく国民の方々に伝わるかどうかというところと、そういった指標がどういう印象持たれるかというところも中で十分検討したところではございます。事務局で御提案させていただいています「個人の希望する子どもの数」、もしくは「個人の希望する子どもの数と出生子ども数の差」という指標の形で、他の政府内の施策とも整合性がとれている形で目標とさせていただければと考えております。

 前回までの宿題に関しましては、以上になります。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 それでは、只今の宿題に対する御報告も含めまして、全ての課題、5つですね、これについて何か改めて御意見、御質問がありますでしょうか。どうぞ。

○木下課長補佐 参考資料1の説明でございまして、参考資料1は、推進協議会に85団体加盟いただいているところですが、各団体の御協力をいただきまして、前回の検討会から今回まで、非常に時間が短かったところですけれども、各団体に現行のこの各指標について、どういった御意見があるかというものを募集させていただいて、非常に多数の御意見をいただいたところで、今後検討する際に、各委員で見ていただきながら御意見をいただければと思っております。

 以上になります。

○五十嵐座長 どうもありがとうございました。

 全体を通して、もう一度お伺いしますが、何か御質問、御意見ございますか。

○山縣委員 2点ございます。1つは、基盤課題Aの中で、資料1のところで、前回もちょっとお話ししたのですが、これは、まだ指標に入れるには至っていないのですが、やはり考えていかなければいけない問題として「情報通信機器による健康障害」というものがあって、それに関して、資料1の1ページ目のところの主な推進主体、国のところの調査研究活動の推進の中に、ぜひそういう文言を入れていただいて、各専門団体がそういったようなことについて研究をし、それに基づいて、ひょっとしたら次の中間評価あたりでこういった問題についても指標を考えなければいけなくなるのではないかと考えておりますので、それをまず記載していただければというのが1点です。

 それから、2点目は、今、御紹介のあった参考資料1をぱっとめくった瞬間に飛び込んできたのが、この睡眠の問題でありまして、確かに今回、この「健やか親子」の中で、子供の生活習慣については、食育の問題や身体活動の問題については少し議論があったと思うのですが、一方でこういった睡眠に関してはあまり議論をしていなくて、これについては、やはりその指標に入れるかどうかは今後の検討だと思うのですが、少し議論しておいた方がいいのではないかと思います。

 以上です。

○五十嵐座長 ありがとうございました。大変重要な課題だと思いますけれども、ちょっとこれも検討していただけますでしょうか。ITの影響と、それから、子供の睡眠時間ですか。質と時間だと思いますけれども。

 ありがとうございました。

 他に、よろしいですか。

 では、次期の計画における指標、それから目標等につきましては、本日、委員から御意見をいただきましたので、これを踏まえて事務局でまた整理をさせていただきたいと思います。

 それから、次に、課題と指標の構成について議論していただきたいのですけれども、前回までの議論を踏まえまして、指標の構成については、再度、事務局から修正案を作成していただきましたので、これにつきまして、まず説明をしていただきます。

○木下課長補佐 お手元に資料3と資料4を御用意ください。

 先に資料4をお開きいただきますと、これまで御説明してきた各大きな課題を少しイメージ化したものを御用意しております。こちらの絵に沿って御説明いたしますと、大きくライフステージを2つに分けまして、基盤課題A、基盤課題Bで、基盤課題Aは「学童期・思春期から成人期に向けた保健対策」、基盤課題B「切れ目ない妊産婦・乳幼児保健対策の充実」というライフステージを意識した2つの課題を掲げております。その全体を支えるような形で「子供の健やかな成長を見守り育む地域づくり」と地域の基盤づくりを基盤課題Cという形で考えております。

 それぞれの中から、特にさまざまな課題でありますとか、肥満、痩せ、また産後の鬱とか不妊といった課題がある中で、今回、特に重点課題として2つ考えております。1つが、「育てにくさ」を感じる親に寄り添う支援、2つ目として、妊娠期からの児童虐待防止対策を、さまざまな課題がある中の特に重点課題として掲げさせていただいているというようなイメージを持っております。それらを通じて、「すべての子どもが健やかに育つ社会」の実現を目指したいというイメージを掲げております。

 資料3に戻っていただきまして、今、申しましたような内容各課題の説明として、基盤課題A~C、重点課題の1、2という形で、前回御説明した内容を改めて整理させていただいております。

 その裏面になりますが、指標の構成は、前回委員からいただいた御意見も踏まえまして、リスクという表現はネガティブなイメージが強いという御指摘をいただいたことも踏まえまして、前回までお示しした指標名のところを「健康行動の指標」という名称に変えまして、「健康水準の指標」「健康行動の指標」「環境整備の指標」という3つのカテゴリーに分けまして、それ以外の指標として「参考とする指標」という形で整理を改めてさせていただいています。

 全体の構成につきましての御説明は以上となります。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 山縣先生、何か補足することがございますか。

○山縣委員 今の最後のところの指標の文言に関しまして、研究班としては、この母子保健領域である「健やか親子21」についての子育て支援というものは、やはり命を中心とする健康支援だろうということで、「健康」という言葉をきちんと明示するという意味で、例えば指標の文言にも「健康」というものをきちんと入れると。それから、資料4の全体のイメージ図がありましたが、ここにも、最終的にこの3つの母子保健のこれまでやってきたことの基盤の上に、さらに重点課題、色々な課題をもちろんやっていく中で、重点課題があって、そして、基本的に子育ての健康支援で「すべての子ども」、先ほど未受診の話がありましたが、そういったことを含めて、とにかく全ての子供をきちんとサポートできる社会という意味でキーワードになっていると思います。

 例えば、先ほど指標の中で未受診対策のことがありましたが、実は基盤課題Cの中に未受診対策について市町村が具体的に取り組むというものも指標に入っておりまして、それは、具体的にどういうふうにするか御意見がたくさん出ましたが、そういうことを踏まえて、その中にも指標として入っているということで、こういう図になるのかなと思っております。

 ただ1点、これは、実は時間軸というものが入るといいかなと最初は思っていたのですが、横に時間軸を置いて、切れ目ない妊産婦のこれが先に来るのか、基盤課題Aとした、これが左側にあるので、やはりこれが先でいいのかということはあると思いますが、やはり横軸に時間軸があって、そして全体で支えていくというようなイメージも、ちょっと加えられればいいかなとも思っております。

 以上です。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 それでは、山縣先生の補足も含めまして、全体について何か委員の方から御意見、御質問がありますでしょうか。

 それでは、これから10分ぐらい休憩をしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、1120分まで休憩したいと思います。よろしくお願いします。

 

(休  憩)

 

○五十嵐座長 それでは、皆さんおそろいですので議事を始めたいと思います。

 これまで個々の指標について御議論いただいたわけですけれども、5つある課題の中で、おのおのの指標がどういう関係になっているかにつきましてイメージを図にしていただきましたので、事務局から説明をしていただきます。

○木下課長補佐 資料5と6を御用意ください。

 資料5は、資料1のA3の横紙になった資料を少し模式図化したものになります。指標の項目でありますとかカテゴリー分けはA3の資料と同じ内容になっておりますが、「基盤課題Aの目標」はこの資料でのみお示ししているところで、目標を文章で、書いているところですが、基盤課題Aは「思春期の心身の健康の大切さを知り、夢の実現のために自ら健康の向上に努め、それを社会が支える」という目標を掲げております。全体目標につきましては全て共通になっており、「すべての子どもが健やかに育つ社会」を全体目標として掲げております。特にここで御意見をいただきたいと思っておりますのは、基盤課題Aの目標としてどうかというところについて御意見をいただければと思っております。

 次ページ以降、各課題について目標を掲げており、1枚おめくりいただきますと、基盤課題Bの目標は「安心・安全な妊娠・出産・育児のための切れ目ない妊産婦・乳幼児保健対策の充実」を基盤課題Bの目標としております。

 続きまして、3ページになりますが、基盤課題Cの目標は、「妊産婦や子どもの成長を見守り親子を孤立させない社会」を基盤課題Cの目標としております。

 続きまして、重点課題1の目標につきましては、「子どもの多様性を尊重し、それを支える社会」、最後になりますが、重点課題2の目標は、「児童虐待のない社会の構築」を目標に掲げております。

 各課題の目指すべき姿、目標について御意見をいただければと思っております。

 あわせて、資料6をご覧ください。

 資料6は、各指標の健康水準の指標につきまして、それ以外の指標がどういう関係になっているか整理してございます。他の指標との関係もございますが、特にこういった取り組みを促すことによって、健康水準の指標の達成を目指してはどうかという構成を考えて、作成しているところです。

 まず、1ページ目をご覧いただきますと、一番上に十代の自殺死亡率という健康水準の指標に関しまして、達成するために、他の健康行動の指標、環境整備の指標、さらには個々の具体的な取り組みというものがどういう関係になっているかというところを整理しています。特に黒字は、具体的な取り組みに該当するところで、四角の囲みがあるところが指標に掲げているものと整理をさせていただいております。それぞれの学校の場でありますとか保健の場、医療、地域、またそれぞれの団体でどういった取り組みを促すことによって、この健康水準の指標を達成できるかという形で整理しています。事務局案として今回初めてお示ししているところで、色々な御意見をいただきながら内容を見直していければと思っております。

 次ページ以降、次のページがA-2の十代の人工妊娠中絶に関してどういうような指標が関係しているか、次のA-3は、性感染症の罹患率について、他の指標がどう関係しているかを掲げております。内容の方はまださまざまな精査が必要とは考えておりますが、今回、最初のイメージという形で御提示させていただいております。

 次の4ページ、5ページが、痩身傾向と肥満傾向の関係する指標で、次の6ページから、基盤課題Bに移りまして、まず、妊産婦の死亡率、次ページが低出生体重児の割合に関係するさまざまな指標はどういうものがあるか、また、関係する取り組みとしてどういうものが考えられるかというものを整理させていただいております。8ページが、妊娠・出産について満足している者の割合、9ページに行きますと、むし歯のない3歳児の割合に関係する指標、取り組みとしてどういうものがあるかという形で整理させていただいております。

10ページからは基盤課題Cに移りまして、まず、C-1が、この地域で子育てをしたいと思う親の割合を掲げております。そして、次の11ページに行きますと、C-2、妊娠中、仕事を続けることに対して職場から配慮されたと思う就労妊婦の割合。

12ページに行きますと、重点課題に移りまして、D-1、D-2と順になっておりまして、最後、14ページ、15ページで重点課題2であります妊娠期からの児童虐待防止策のE-1、E-2という形で、各それぞれの健康水準の指標を達成するために、他の施策、他の指標がどういうふうに関連しているかという視点で整理させていただいている資料になります。

 初めてこういう形で整理させていただいたので、また色々な御意見をいただきながら、今後見直していきたいと考えております。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 では、山縣先生、何か補足がありますでしょうか。

○山縣委員 特にはないのですが、ここは資料1の右側のところの具体的な取組方策の例示などが、一部このように入って目標を達成するということで色々入っているということであります。

 以上です。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 それでは、何か御質問、御意見ありますでしょうか。

○久永委員 最初に、資料5の方なのですけれども、4ページで重点課題1の目標というところに「子どもの多様性を尊重し、それを支える社会」という文言があるのですが、子供の多様性を尊重するというのは、もちろん当然必要なことだとは思うのですが、親の方も色々多様だと思いますので、子供に限定しなくてもいいのではないかと思いました。ちょっと意見として言わせていただきました。

 以上です。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 他はいかがでしょうか。

○成田委員(木村東京都西多摩保健所長) やはりこの資料5の5ページ目の妊娠期からの児童虐待防止対策の中の環境整備の指標の中に、繰り返しになって申しわけないのですけれども、特定妊婦等について市区町村と参加医療機関と連携している割合というようなものが文言として入らないかなという意見です。

○五十嵐座長 御意見として、では、承りたいと思います。

 他はいかがでしょうか。

 今回の検討会までで次期計画についてのおのおのの論点につきましては一通り御議論いただきました。次回以降に、次期計画に向けた報告書の取りまとめに向けた議論に移りたいと考えております。報告書のイメージにつきましては、第5回の検討会で御議論いただいた次期計画の基本的な方向性等に、これまでの議論あるいはおのおのの指標、目標に関する内容を加えていきまして報告書にしたいと今、考えているところです。そういう方針ですけれども、議題2の方の、そういうわけで次期計画報告書の骨子案というものについて説明をしていただきます。

○木下課長補佐 資料7を御用意ください。

 只今五十嵐座長から御説明いただきましたように、これまで個々の論点、各指標でありますとか目標は、事務局で資料を御用意させていただきまして、各委員から活発な御議論をいただいたところでございます。これまでいただいた御意見を、今後、取りまとめに向けて進めていきたいと考えておりまして、今回、取りまとめにあたります報告書の骨子案という形で資料7を御用意させていただいております。骨子案で、どういう構成になるかというイメージが共有できればと思って資料を御用意させていただいております。

 まず、資料7の1ページになりますが、現状で、母子保健及び育児を取り巻く状況について現状の整理を行いたいと考えております。(1)として、母子保健の水準を示すさまざまな指標に関して現状のデータを客観的な事実に基づいて評価していきたいと思っております。出生数の変化でありますとか、早期産の増加している傾向、低出生体重児の割合の変化といった、これまでの最終評価の中で分析いただいた内容といったものを盛り込んでいければと考えております。

 (2)としまして、晩婚化と未婚率の上昇という現状につきまして、これまで資料の中でお示しさせていただきました婚姻の数や率、また晩婚化、晩産化の進行の状況といったデータについて現状の分析を行っていければと思っております。

 また、(3)として、子育て世代の状況の中で、理想子ども数の推移でありますとか、さまざまな状況の一つとして完全失業率の変化、また、非正規雇用の変化といったところも、子育て世代の抱える課題の一つの背景的な部分としてあるのではないかと考えております。

 (4)としまして、これまで指摘があった中にもあります、近年新たに顕在化しているものとして、子供の貧困の問題でありますとか、2つ目、先ほども御意見がありましたように、情報リテラシーの観点と関係するかと思いますがインターネットの普及、また、不妊症に関する状況につきましてもこの中で整理ができればと思っており、特に、この(4)その他というところは、これまでの(1)、(2)、(3)の中で整理がなかなか難しい、もしくは近年明らかになってきているようなものをこの中に盛り込んでいければと思っております。

 現状をまず整理した上で、この10年間の取り組みの中で、最終評価の中でも御説明いたしましたが、母子保健に関連する他の計画というものも、この十数年の間で大きく変わっているところで、1つは、次世代育成支援対策推進法の制定でありますとか、子ども・子育てビジョン、もしくは子ども・子育て関連3法の制定といったこともあり、また、関係の深い計画としましては、「健康日本21(第二次)」が平成25年度からスタートしていることと、また、他の医療計画等との関係もございまして、そういった他の関連する計画について現状どうなっているかというところも、改めて整理させていただければと思っております。

 その上で、現状こういった社会における母子保健対策の意義というところで現状をまず整理できればと考えております。

 1ページおめくりください。大きな章の第2の中で、これまで、この検討会の前半の課題でありました最終評価で得られた知見を次期計画につなげていくというところで、第2の中で、最終評価の報告書の中で得られました新たな課題、分析の結果から見えてきた課題といったものを、まず整理してはどうかと考えております。

 その中で、最終評価報告書の中の内容を盛り込むことになるかと思いますが、1つ目として、母子保健事業の推進のための課題として大きく3つあったかと思います。(1)として、その母子保健に関する計画の策定や取り組みに地方公共団体間の格差があること、(2)として、さまざまな新たな課題が出現したことに対応するべく「母子保健」の関係業務が複雑化しきていること、(3)は、母子保健事業に関するさまざまな情報がある中で、十分利活用されていないといったことが、事業推進の中に当たっての課題として掲げられているかと思います。

 2つ目は、現行の計画の中で大きく4つの課題がありますが、その中の69の指標の分析を経た中で見えてきた課題が、最終評価報告書の中では大きく6つほど上げられておりました。(1)が思春期保健対策の充実、(2)として周産期・小児救急・小児在宅医療の充実、(3)として母子保健事業間の有機的な連携体制の強化、(4)として安心した育児と子どもの健やかな成長を支える地域の支援体制づくり、(5)として「育てにくさ」を感じる親に寄り添う支援、(6)と虐待防止対策の更なる充実という課題があったかと思います。

 3つ目として、推進の取り組みをさらに充実するにはどうするべきかといった課題、大きくこの1、2、3という課題を最終評価の中でいただいたと考えております。

 こういったところを踏まえまして、では、次期計画は今後どうやっていくのかというところで、次の第3で、基本的な考え方をまず整理してはどうかと考えております。

 1つ目、基本的な視点になりますが、御議論いただいたところではございますが、21世紀の母子保健の主要な取り組みを提示するビジョンで、かつ関係者、関係機関・団体が一体となって推進する国民運動計画という現行の「健やか親子21」の視点をそのまま継続してはと思っております。

 次に、安心して子供を産み、ゆとりを持って健やかに育てるための家庭や地域の環境づくりという少子化対策の意義と、少子・高齢社会における国民の健康で元気に生活できる社会の実現を図るための国民運動とあります「健康日本21」のいわゆる母子の分野、子供の分野を担うという意義をあわせ持つ、こういった基本的な視点につきましては、現行の計画を踏襲してはどうかと考えております。

 その中で、現行の「健やか親子21」の取り組みの中で大きく3つ、達成した母子保健の水準を低下させないという視点、2つ目として、達成し切れなかった課題を早期に克服すること、特に具体的に挙げますと、乳幼児の事故死亡率や妊産婦死亡率の世界最高水準の達成というところもありますし、また、さらに20世紀の終盤に顕在化し、今後さらに深刻化することが予想される新たな課題への対応というものが、現行の「健やか親子21」の中で掲げられている取り組みです。

 加えまして、今後10年間を見据えた課題への対応として、今まで努力したけれども、達成が十分できなかったものとして、思春期保健対策、特に10代、高校生、中学生の女児の問題等々が上げられるかと思います。2つ目として、今後も引き続き維持していく必要があるものとして、先ほどありました乳幼児健診事業の推進でありますとか、妊娠届出時のアンケートといったような課題も、今後継続していく必要があるだろうと考えております。3つ目として、新たに顕在化してきたものとして、従来からも課題としては大きく取り上げられたところではございますが、今回重点的に取り上げてはどうかという課題として、今後新たな課題として取り組むものの例としては、児童虐待防止等といったものが上げられるかと思います。また、最後のカテゴリーになりますが、改善したけれども、今回指標から外すことで悪化する可能性のあるものにつきましては、カテゴリーとしては、参考とする指標と整理させていただければと考えております。

 次になりますが、計画期間ですが、平成27年度からスタートしての10年間を計画期間として考えております。中間評価は、中間年であります平成31年度を目安として実施してはどうかと考えています。また、目標は5年間を1つの目安として考えておりますし、5年ごとの評価を待たず、毎年のデータの推移を確認して公表するということも当然やっていきたいと考えております。

 そういったものを通じまして、では、10年後にどういった姿を目指すのかというところを御提案できればと考えております。

 続きまして、第4になりますが、個々の指標の説明をこの中でやっていきたいと思っております。

 特に、まず目標の設定と評価は、これまで繰り返し御説明させていただいているところで二転三転してしまった部分もございますが、指標の構成は大きく3つ、健康水準の指標、健康行動の指標、環境整備の指標という3つのカテゴリーに整理した上で、さらに「参考とする指標」を設けて整理してはどうかと考えております。

 また、現在の指標を整理して見直しを行っていきたいということを、当初御説明していたとおりでございますが、現行が69の指標74項目というところで、その中で、カテゴリー分けとあわせてどういったような指標を今後継続して評価していくか整理を行ってきたところでございます。

 また、特に医療施策に特化した指標につきましては、他の計画で対応することで、今回、具体的な指標として計画の中に盛り込まないものも、他の計画の中で充実していく必要があるだろうと整理をさせていただければと考えております。

 また、目標の設定は、これまで各個々の指標の説明の中で行ってきましたが、最終評価としての10年後の指標と中間評価としての5年後を1つの目安とした評価というところを御提案させていただいているところでございます。また、当初から御提案させていただいているのですが、20年という長期的な目標の方もまだ具体的なものは御提案できていないところでございますが、各委員からも御意見をいただきながら掲げられればという、まだ目標は捨てておりません。

 3つ目は、他の計画との整合性は当然指標の中でも図っていく必要があるだろうと考えており、特に「健康日本21」との整合性という意味で、重複する内容でありますとか、あわせて目標の設定を行っていきたいと考えております。

 また、今後評価するに当たっては、やはり既存の統計等を十分活用することによって継続的な評価が必要という視点も持ち合わせているところでございます。

 4ページ目をご覧ください。(4)の評価のところになりますが目標の設定と同じ考え方になりますが、中間評価を行うということで、5年目を目途に中間評価を行っていきたいと。それで、計画期間を10年ということで、最終評価についても10年達成する段階で、最終評価を当然行っていって、次期計画のさらなる次の次期計画に向けてどういうことができるのか検討は行っていきたいと考えております。

 次、2になりますが、課題ごとの具体的目標で、先ほど全体の説明の中で御説明いたしましたが、基盤となる課題と重点課題と大きく分けておりまして、基盤となる課題の方がA、B、Cとして、基盤課題Aのところで、学童期・思春期から成人期に向けた保健対策、基盤課題Bとしまして、切れ目ない妊産婦・乳幼児保健対策の充実、基盤課題Cとしまして、子どもの健やかな成長を見守り育む地域づくり。また、重点課題として2つございまして、1つ目、「育てにくさ」を感じる親に寄り添う支援、2つ目として、妊娠期からの児童虐待防止対策というカテゴリーで分けさせていただいております。

 最後、個々の指標ではなくて、第5ですが、国民運動計画を今後盛り上げていくためにどういうことができるかというところで、これまで推進協議会の総会等でもいただいた御意見も踏まえ、また、この検討会でもいただいたさまざまな御意見を踏まえながら、次期計画を盛り上げるためにはどうしたらいいか盛り込んでいければと考えております。

 その中で、やはり事業全体を着実に進めていくためには、1つ目として、実際に事業に取り組んでいただいております地方公共団体の取り組みをさらに推進していく必要があるだろうというところで、地域格差というものは、今回の最終評価の中でも顕在化してきたところでございますので、国の方でやれる役割、都道府県で担っていただきたい役割、また市町村で担っていただきたい役割というものを明確にして、それぞれが相互に協力し合って計画を進めていければと考えております。

 その中で、計画期間と達成すべき具体的課題を明確にした目標を設定するということで、国全体の一本の目標は掲げるところではございますが、各市町村、各都道府県の中でどういった目標の設定、指標の設定ができるかついても、今後検討が必要だろうと考えており、各自治体で御検討いただく部分も多分にあるかとは思っております。

 そういったものをどういうふうに解決していけるのか、また、推進協議会の御協力をいだたきながらこの活動を盛り上げていきたい。また、推進協議会以外の他の団体の御協力も得ながらこういったものを盛り上げていきたいと考えておりまして、現段階で特にこういったものがすぐに具体的にできるということはないのですが、どういう協力を得ながら、この取り組みを盛り上げていくのかについて方向性でも示せればと思っております。

 最後、当然ながら、普及を進めるに当たっては、広報戦略も重要になってくると考えておりまして、現行やっている内容をさらにどうやって見直しができるのかというところで、具体的には、ホームページ等の活用でありますとか、さまざまな媒体の活用、また、「健やか親子21」の全国大会も、今後どういう形でさらに盛り上げていけるかというような具体的なものも含めまして、この中で可能な限り御提案いただければと思っております。

 こういった内容で報告書を今後取りまとめの方向で御議論いただければと考えております。

 以上であります。

○五十嵐座長 どうもありがとうございました。

 それでは、今、御説明いただきました事務局のお話に対しまして、何か御意見、御質問ありますでしょうか。

○佐藤委員 この中の第2番目のところ、2ページ、母子保健事業の推進のための課題のところの(3)の「健康診査の内容や手技の標準化」と書いてあります。資料1の中でも、基盤課題Bのところの健康行動の指標の中で、乳幼児の健康診査の今後のあり方の検討という項目、具体的な取組方策の例示というところがあって、「疾病スクリーニングの標準化等」となっているわけです。乳幼児健診というのは、もちろん疾病発見も当然大事なわけですけれども、やはり生活習慣、それは、例えば食生活とか、それから運動であるとか、我々の組織に関係する歯の健康みたいなもの、こういった生活習慣の指針を立てていくことも非常に大事なのだろうと。すなわちそれは、疾病スクリーニングと同じ意味になるかもしれませんけれども、いわゆるリスク診断といいますか、そういったことから支援的な保健指導にシフトしていくような考え方、これがこれからの健診のあり方に関する視点として多分重要なのではないかと思いますので、その点は、今色々な研究も進められていると聞いていますので、そういった研究の中でお考えいただくような方向で取り組んでいただくことを要望させていただきます。

 以上です。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 他はいかがでしょうか。

○迫委員 ちょっと気になるところがありまして、母子保健事業の推進のための課題というところの中に「情報の利活用の促進」で、「問診内容等情報の地方公共団体間の比較が困難なこと」という、これに対しての基盤整備的な活動推進というか、そういう調整とかというところは盛り込む必要がないのかどうか。具体的な取組方策の例示の中にもしかしたら隠れているのかもしれないのですが、国の役割として、これがあってもいいのかなということを1点感じたところでございます。

 その関連で、同じ上の(1)のところで「地方公共団体の格差があること」という、この辺が、いわゆる母子保健計画の策定状況という大きな項目での格差というよりも、実際的に子供たちの状況がどういう状況にあるのか、そこのところの都道府県格差または地方公共団体格差、そういうものが示されると、母子保健事業は一気に展開が進むのではないかと思うところではあります。例えば「健康日本21」で健康寿命の都道府県格差が示されて、各都道府県が非常に色々な動きをされていると。そういうところにもつながってくるところかと思っておりますので、この辺の示し方が非常に重要になってくるのではないか。

 さらに、4ページになるのですが、前段のところで、先ほどのページでは「地方公共団体間の格差」という表現であって、第5のところの1では「地域間格差」という、この辺のところは、地方公共団体格差をブロック別のような形で地域格差とまとめていくのかそうでないのかというところあたりがちょっと理解できなかったところでございます。

 以上です。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 何かそれに対して今お答えできることがありますか。

○木下課長補佐 4ページの御指摘いただいたところは表現の整理の中できちんと、地域なのか、地方公共団体なのか、整理させていただければと思います。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 他にいかがでしょうか。どうぞ。

○山縣委員 2点あります。1つは、2ページの第3、基本的な考え方の中に、今回、地域の母子保健を担当する領域で、市町村、都道府県を含めて、ひょっとしたら国もそうかもしれませんが、子育て支援という言葉が児童福祉のほうに行ってしまって、例えばそういう予算に関して、こういう保健領域になかなか回ってこなかったり、何を本当に母子保健はやるのかといったようなことが、すごく今、課題になっていると思います。

 そこに当たって、母子保健領域というのは健康を支援するのだと、命を守ることを最終目標としながら、その健やかな親子の育ちのための健康支援をするのだということをここで改めてきちんと明記しながら、母子保健の役割というものを、国、都道府県、市町村が認識しなければいけないのだというようなことをやはり書き込むことが必要かなと思っております。

 最終的に、それは何を意味しているかというと、全ての子供に対してその目配せがあるということをこの中に記載する必要があるかなと思っております。

 2点目は、今、迫委員が言われたとおりで、この情報の利活用に関しては、やはり基盤整備がどうしても必要で、その方法論に関しては、実は厚生労働省の研究班で私どもずっとやってきて、こうしたらいいとか提案はしてきているのですが、なかなか市町村、それから都道府県のレベルでそれが実現できないのは、1つには、そういった基盤整備の費用とかその手順みたいなものが必ずしもうまくいっていないと。ただ、その前の段階として、やはり問診票のある程度の統一化みたいなものを、通達なりそういったものでしていくと。恐らく今、母子保健課ではそういう方向で研究班を立ち上げされているのだと思いますので、そのあたりのところは、やはりここにきちんと明記して、何年か先には、ある程度その母子保健、乳幼児健診等々でリアルタイムに子供たちの状況、妊婦の状況が入ってきて、それに即座に対応できるような仕組みを、少なくとも中間評価ぐらいまでにはつくっていくということをしていくために、何かここに書いておく必要がないだろうかと思っております。

 以上です。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 これにつきましてはどうですか。

○木下課長補佐 今、山縣委員から御提案がありました基盤整備をどう進めていくかというところは、方法論も含めて、当然ながら予算的な部分も必要になってくると思いますし、ちょっと御相談させていただきながら、なかなかすぐにはできないですが、一つの目安として、中間評価までにはという宿題もいただいているところでございますのでどういったものができるかというのは、報告書の中で書ける内容と今後やっていかなければいけない部分というところの課題を整理して、まとめていければと思っております。

○五十嵐座長 今後の課題になると思いますけれども、ありがとうございます。

 他にいかがでしょうか。どうぞ。

○中板委員 ここで述べてよいのかどうかわかりませんが、母子保健事業の推進のための課題(1)の母子保健に関する計画策定や取組云々で、地方公共団体の格差があるということで、「(母子保健計画の策定状況、母子保健事業の実施体制等)」となっているのですけれども、母子保健課あるいは「健やか親子21」の中で、母子保健計画を保健計画として自治体で策定するよう推進されるような方向でしょうか。平成17年度以降は、母子保健計画を 次世代育成支援 対策推進法に基づき策定する市町村行動計画の一部として組み込む とされ、次世代法の計画を策定する策定委員の中に保健師が入っていないという自治体も出てきています。母子保健離れの一つの要因になっているのではないかと考えますと、あえて、母子保健計画としてきちんと策定することを推進することはできないものでしょうか。

○五十嵐座長 即答はできないでしょうね。強い要望があったということでいいですね。

○木下課長補佐 他の計画の中でも、次世代法の中でも、まさにこの「健やか親子21」を踏まえた形でつくるようにということは厚生労働省から連絡等はさせていただいているところでありますので、今回この「健やか親子21」の計画をしっかりこの検討会で検討いただいた結果を踏まえて、次世代法の計画をつくる際にも、この趣旨を十分踏まえるというところは、強くこちらとしても各地域の方にお伝えしていきたいと思っておりますので、その意味で、どういった強いメッセージが出せるかというところが重要になってくるかと思っております。

○五十嵐座長 他はいかがですか。どうぞ。

○山縣委員 少し細かいことなのですが、第1の現状のところで、先ほど後ろの方では「地域格差の解消」という言葉が入っているのですが、地域格差そのものがどんなものかということをどこかに入れる必要があって、そこは、恐らくこの現状のところに入るのだろうと思います。例えば、1980年、乳幼児ゼロ歳~4歳までの人口10万人あたり死亡って250ぐらいだったのが、30年たった今、60と4分の1に減っているのですが、一方で、都道府県格差を見ると、上10、下10でまとめて比較しても、それが1.5倍あったものが、現在1.9倍、最大で以前は1.7倍だったものが2.6倍と、数が小さくなった分、少しばらつきがあるとはいえ、むしろ都道府県によってそういった乳幼児死亡率という最終的な指標ですら開いているのだということはやはりきちんと認識をし、それに対してどう取り組んでいくかということを本当に考えていかなければいけないという意味でも、ここで、これまで研究班でもかなり色々な最終的なステータスだけではなく、ビヘービアの部分も含めて健康格差が、地域格差があるのだということを出してきましたが、ここでかなり今回きちんとインパクトのある形で出していく必要があるかなとは思っております。

 以上です。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 どうぞ。

○秋山委員 私は地域格差ということをこの委員会に出て詳細に気づかせていただいたのですが、山縣委員がおっしゃった言葉の中に、「日本のどこで子供たちが生まれても同じように」ということが、非常にわかりやすくその地域格差をイメージさせていただいたので、そのような形を伝えていただければいいかと思います。

○五十嵐座長 目標はそこにあるということですね。

 他はいかがでしょうか。

○成田委員(木村東京都西多摩保健所長) この現状の母子保健の水準等のところなのですけれども、ここに子供の事故というのは入らないものなのでしょうかという意見です。

○五十嵐座長 御指摘ですね。

 一応、子供の死亡者数は減ってはいるのですね。減ってはいるのですけれども、しかし、死因別としては、各世代、1歳以降、1位とか2位とか、世代ごとに、年齢群ごとの統計をとりますと、おっしゃるように、子供の事故というか、今、外国では傷害と言うことが多くなっているのですけれども、子供の事故あるいは傷害による死亡というのが上位を占めていることはたしかですので、非常に重要な御指摘だとは思います。ありがとうございます。

 どうぞ。

○小林委員 福島県でございます。

 先ほどから地域間格差というお話がありまして、福島県としては、だいぶ耳の痛いところもあるわけでございますが、県レベルでできるものと、やはり国レベルでやっていただくものが当然あるはずなので、今回、医療関係については医療計画の方に指標等を持っていくということではございますが、先ほど山縣先生がおっしゃったような乳幼児の死亡率とかについては、まさしく医療体制の整備というものが基盤になるという話になってくると思うので、その辺の書き方についてはぜひ御配慮いただきたいというお願いでございます。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 どうぞ。

○山縣委員 今おっしゃるとおりで、原因が何かというのはかなり難しいところなのです。物によって固定化しているものと、変動しながらも地域間格差があるものとあって、固定化しているものに関しては、本当にそれが何なのか、なかなかむしろ難しかったりもするということがあって、これは同時に後ろに地域間格差がどうして出ているのかというものを、例えば都道府県別で見ることも大切なのですが、保健所管内とか、市町村格差みたいなものが、それはサービスなのか、文化的なものなのか、偶然なのか、それをきちんと明らかにする必要があると。

 これは、多分横山先生からも前に御指摘あったのですが、例えば低出生体重児のリスクとして喫煙はあるのだけれども、増えている要因ではないだろうと。むしろ喫煙率は下がっているわけで、そうすると、リスクであるということと変化にしている要因というのはまた別問題で、これを明らかにするというのは結構難しい問題で、ただ、それをやらなければ解決策はないと思っております。

 以上です。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 他はいかがですか。よろしいですか。どうぞ。

○青木委員 現状の(4)のその他で「子どもの貧困」とありますが、ちょっとイメージがつかめないのと、それどこで思春期に関することの現状が出てくるのかと疑問にいましたので、教えてください。

○五十嵐座長 子供の貧困につきましては、相対的貧困率という言葉を御存じかと思いますけれども、これが日本では現在15%を超えています。一方、イギリスではブレア首相のときに、ワーオン・チャイルドフッド・ポバティーというスローガンの元で、国を挙げて子供の貧困率を下げるための施策を積極的にとった結果、子どもの相対的貧困率が12%ぐらいにまで下がっています。

 日本や米国では、高齢者の方に国の予算が圧倒的に多く使われています。子供の貧困率が上がると、子どもの健康問題や心にも問題を起こしてくることが知られています。あともう一つは何でしたか。

○青木委員 思春期との関連の現状というところでちょっと見えないところがあります。

どこに入るのでしょうか。

○五十嵐座長 貧困ですか。どうぞ、補足をお願いします。

○山縣委員 この貧困の問題は、やはり数字をきちんと出して見てみるとすぐに御理解いただけるものだと思います。例えば、世帯別に見たときに、子供のいる世帯、高齢者のいる世帯で、その世帯所得がどうかというと、子供のいる世帯が実は高いのです。ただ、1人当たりにした瞬間に、高齢者の半分以下になってしまうような、そういう世界です。

 それから、OECDで言っている貧困率というのは、平均所得のさらに半分以下の世帯、それがどれぐらいいるか、これがすごく増えていると。そうなってくると、これは親の世帯ではあるのですが、子供がそれにすごく影響を受けていて、健康問題にまで発展していると。つまり世帯所得の低いところで生まれた子供たちは肥満が多くなるとかというのを、もう既に私たちは明らかにしていますし、これは、大人では国民健康栄養調査で、世帯所得を3分位に分けたときに、所得の一番低いところが喫煙率も高いし肥満率も高いしということが明らかになって、日本でも、ついに健康格差と経済格差というものがすごく関連してきたと。

 さらに、今、御質問の思春期とどう関係があるかというと、貧困研究をやっている先生方の見解では、経済格差が希望格差につながってしまっていると。つまり、競争社会の中で、どういう境遇に生まれても、希望だとか、頑張ることだとか、そういったようなことというのは左右されないはずなのに、もうそういう貧困家庭に生まれたことでそういうものを持てなくなってしまっている。「私だって」という気持ちが持てなくなっているのだと。つまり経済格差が健康格差につながり、その経済格差が希望格差で、希望のないところに健康は維持できないですよね。思春期のところの目標の中で書かせてもらった「夢の実現のために」というのはそういう意味で、何かを目標とできない人に健康の維持の理由がなくなる。なので、そういうことをやはりここでもう一度、その母子保健領域で考えていくことが必要ではないかと思っております。

 以上です。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

○青木委員 わかりました。ありがとうございました。

 教育では、経済格差が教育にも影響するとよく言うのですけれども、そういう考え、同じなのだなと思いました。

○五十嵐座長 他はいかがでしょうか。どうぞ。

○横山委員 格差の現状の示し方ということで、格差を縮小するために、まずは現状を認識することが非常に大事であるということはそのとおりだと思うのですけれども、その現状の示し方なのですけれども、「健康日本21」の関係では、厚生労働省が都道府県間の格差等のデータ、肥満者の割合とか、野菜摂取量とかを示したことで、非常に日本全国で認識、認知度が高くなったということがあると思います。

 実は、あれとほとんど同じ分析をその5年前に研究班としてもやっているのですが、全然認識していただけなかったということがありますので、示し方、誰が示すかというのは非常に重要なところで、ぜひ社会的にインパクトのあるような、日本全国に認知されるような形でその現状を示していただきたいと思います。

○五十嵐座長 どうぞ。

○佐藤委員 この際、私見として言っておけたらいいかなと思ったのですけれども、母子保健事業は、市町村が主体でやっているのですけれども、市町村あるいは市町村の中でもある地域というところで見ても、いわゆる医療費マップの利活用というものは余り進んでいないように思うのですね。都道府県においても、それぞれそれを活用することは可能なわけですけれども、今出ている社会的健康格差みたいな話も、所得も絡めて、やはり市町村ごとの比較というものは最低限必要で、それをしっかりと情報としてディスクロージャーすることによって市町村というのは、横並びはよしとしても、ブービー賞ぐらいになると相当気にすると。まして最下位などというのは大変なことになるわけですね。

 以前、新潟の話ですけれども、むし歯の数を12歳児で、当時113市町村があって、それを新聞の一面を使って棒グラフであらわした。途端に、最下位のところは歯科保健計画をつくりましたね。医療費マップの利活用には、ある程度予算、基盤整備も必要ですけれども、御検討いただけたらと思います。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 どうぞ。

○伊東委員 先ほどから地方の格差とかという話が出ていますが、今の先生のお話もそうですが、事業全体として、広報戦略とかそういうところになるのかもしれませんが、今、高齢者とか医療で見える化事業をどんどんやっていますが、こういう指標の、特に、恐らく都道府県格差というよりは、県内の市町村格差というものがもっと激しいと思いますので、そういう見える化事業的な戦略というものも広報の中で今後は必要なのかなとは思いますので、御検討いただければと思います。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 他はよろしいですか。はい。

 それでは、一応今日全体予定していたことにつきましてはこれで終わりにしたいと思いますが、最後に何か言い残したこととか追加したいことがございましたら。よろしいですか。どうぞ。

○市川委員 先ほどたしか山縣委員がおっしゃったのだと思うのですが、やはりネット依存の問題とか睡眠リズムの問題ですね。特にネット依存などは、不登校とか引きこもりと物すごく関係を持っておりますし、発達障害に陥りやすいとか色々関係しております。また、今回のテーマで言えば睡眠障害などは、朝食の欠食とも関係してきていると思うので、今後ぜひそういう視点も入れていっていただければと私も思いましたので、よろしくお願いします。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 他はよろしいですか。はい。

 では、今後の予定につきまして事務局から説明をお願いいたします。

○渡利課長補佐 五十嵐座長、委員の皆様方、ありがとうございました。

 次回の検討会の日程につきましては、追って連絡させていただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。

○五十嵐座長 それでは、本日の検討会はこれにて閉会といたします。

 御協力どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

雇用均等・児童家庭局母子保健課

電話番号: 03(5253)1111(内線7934)

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