ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(児童部会認定こども園保育専門委員会)> 児童部会認定こども園保育専門委員会(第3回)(2013年9月27日)




2013年9月27日 児童部会認定こども園保育専門委員会(第3回)

雇用均等・児童家庭局保育課

○日時

平成25年9月27日(金)10:00~12:30


○場所

中央合同庁舎第7号館第二講堂(旧文部省庁舎6階)


○出席者

委員

秋田座長、無藤座長、阿部委員、網野委員、岩田委員、榎沢委員、岡上委員、岡村委員、神長委員、上林委員、吉川委員、小枝委員、酒井委員、汐見委員、志民委員、柴崎委員、杉原委員、田中委員、民秋委員、寺田委員、野本委員、矢藤委員、渡邊郁美委員、渡邉英則委員

事務局

文部科学省 大槻総括審議官、義本大臣官房審議官、蝦名幼児教育課長、林幼児教育企画官、  津金教科調査官、湯川幼児教育調査官、冨森子育て支援指導官
厚生労働省 鈴木大臣官房審議官、橋本保育課長、南幼保連携推進室長、馬場保育指導専門官

○議題

(1)幼保連携型認定こども園保育要領(仮称)の策定について
   (関係団体からのヒアリング)
(2)その他

○議事

○無藤座長
 それでは、定刻になりましたので、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会認定こども園教育専門部会及び社会保障審議会児童部会認定こども園保育専門委員会の合同の検討会議第3回を開会いたします。
 本日は、御多忙の中、御出席いただきまして誠にありがとうございました。
 それでは、早速議事に入りますが、本日の議事は、幼保連携型認定こども園保育要領(仮称)の策定に関わる関係団体からのヒアリングでございます。本日お越しいただきました皆様方におかれましては、大変お忙しい中、誠にありがとうございます。
 まず、初めに、今回初めて御出席の委員がおられます。事務局より御紹介をお願いいたします。
○林幼児教育企画官
 本日司会をさせていただきます文部科学省の林と申します。よろしくお願いします。
 御紹介申し上げます。白梅学園大学・白梅学園短期大学学長の汐見稔幸委員。今日初めて御参加いただきます。
○汐見委員
 汐見でございます。今日から御一緒いたしますがよろしくお願いいたします。
○無藤座長
 ありがとうございました。
 それでは、議事に入ります。本日の委員の御出欠、日程につきまして事務局より御説明をお願いします。併せて配布資料の確認もお願いいたします。
○林幼児教育企画官
 初めに、本日の委員の御出欠状況について御報告申し上げます。柏女委員、河邉委員、帆足委員、増田委員が所用により御欠席とお伺いしております。本日は定足数を満たしておりますことを御報告申し上げます。
 次に、今日の日程でございますが、配布資料1を御覧ください。今日は八つの団体の方にお越しいただいております。この資料にお示ししております順番でそれぞれの団体の方から10分間御意見をお伺いしまして、その後5分間意見交換という形で進ませていただければと思います。それから、各団体の方から頂いた資料につきましては、資料2として発表の団体順にまとめております。御確認ください。資料3は、今日おいでいただいておりませんが、書面により意見を提出いただいている団体の方の資料でございます。こちらについては、時間がありませんが、最後に私の方から簡単に御紹介させていただきたいと思います。資料4は合同の検討会議におけるこれまでの委員の皆様方からの御意見をまとめた資料でございます。資料5でございますけれども、こちらは幼保連携型認定こども園保育要領(仮称)に盛り込むことを検討する事項につきまして、これまでのこの検討会議での御意見等を踏まえて、事務局でまとめさせていただいたものです。資料6が今後のスケジュール案でございます。資料7は3人の委員の方から頂いた御意見を資料としてまとめております。
 以上が本日の配布資料でありまして、そのほかに委員の方々の机上には前回までの会議資料や参考資料を準備させていただいております。
 以上でございますが、不足等ございましたら事務局にお申し出いただければと思います。よろしいですか。
○無藤座長
 ありがとうございました。
 それでは、議題1の関係団体からのヒアリングを始めたいと思います。御説明でございますけれども、先ほど申し上げたことでありますが、1団体当たり10分程度。大変恐縮なのですが、終了2分前と終了時間になりますと、事務局からお知らせがいくということで、御了承ください。
 それから、その後に質疑ということですけれども、この質疑につきましても5分で時間を切らせていただきたいと思っております。恐らく委員の皆様たくさんの質問、御意見あるかとは思いますけれども、それはまた次回以降なり、書面でお出しいただくなりということで、最小限お聞きになりたいことだけになってしまうかもしれませんけれども、その点も御了解ください。
 それでは、まず、特定非営利活動法人全国認定こども園協会の中山理事にお願いいたします。
○中山理事
 おはようございます。全国認定こども園協会理事の中山と申します。本日は発言の機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。
 お手元の資料の1ページ、2ページ、そして別紙の3ページでお話しさせていただきます。
 まず、1ページ。必要とされる視点ということで、基本的な視点として二つあります。一つが、赤字で書いてありますが、発達や学びの連続性。これは別紙でいきますと、併せて見ていただきたいのですが、縦の流れになります。もう一つが生活の連続性ということで、別紙で見ていただきますと、横の流れということになります。この二つの視点で総合的に子どもを丸ごと、そして、連続性と一貫性、一体性ということで捉えて保育に当たっていきたいという視点であります。
 そして、その後、縦の発達や学びの連続性に関係してくるところが、その下の2-1の6年間のスパンで捉える子どもの育ち・保育の在り方。そして、その後の2-2-aと2-2-b、裏面になりますが、これが生活の連続性、横の流れに関係してくるところということで御説明したいと思います。
 まず、2-1の6年間のスパンで捉える子どもの育ち・保育の在り方ということで、0歳から小学校就学までの育ちの固有性と連続性。これはそれぞれの時期のそれぞれに大切にすべきことを大切にしていくということで、別紙の3の縦の流れで見ていただきたいのですが、個別・家庭的関係性に基づく保育を土台に、集団を基本とした保育。これは乳児だから個別・家庭的で、幼児、5歳児だから集団ということではなくて、その時期その時期にこの両方が必要になってくるのかというふうに考えています。そして、これが小学校教育との連携・接続ということにつながっていくことが大切だと考えています。
 そして、その矢印が四つありまして、三つ目と四つ目の矢印は多様性とかインクルージョンに関係している視点です。三つ目の矢印が障害や貧困などが排除されない保育ということで、例えば、新制度になりますと、応諾義務とかということも非常に重要になってきます。そのときにこの辺がしっかりしていませんと、保育を受けるということが難しくなってしまう。例えば認定こども園をやっていて思うのですが、幼稚園児と保育園児、幼稚園籍の子と保育園籍の子で、そこに加配などで必要となる補助金の仕組みが違ったりして、なかなか難しいというところがありますので、その辺が排除されないということが大事なことかというふうに思います。
 それと、認定こども園の大きな特徴として、親の就労の有無ですとか、そういったことにかかわりなく良質な保育を提供したいということで、いろいろな保護者、親たちがかかわれて、実際にこれも保育していて感じるのですが、いわゆる専業主婦家庭といわゆる共働き家庭の親たちが交ざって、難しいことではあるのですが、それがうまく交ざるときに非常にいいものが生まれてくるということも感じています。
 ですので、まず一つ目は、6年間のスパンで子どもたちの育ち・保育の在り方を考えたいという視点です。
 それから、2-2-a、地域と園の連携・協働ということです。子どもたちはずっと長い歴史の中で地域コミュニティの中で育まれてきたわけです。その地域コミュニティというのは、例え話で言いますと、子どもがいっぱしの大人になるための人間のための生態系だと思うのです。話がちょっとそれますが、例え話になりますが、私の園の園庭に川が流れていてビオトープがあるのです。そのビオトープは生き物や植物たちの自然生態系を再生するための場です。例え話で続きを言いますと、今子どもが育ちにくくて、育てにくい世の中になっているというのは、人にとっての、子どもにとっての生態系が壊れてしまっている、地域コミュニティが壊れてしまっているからではないかと思いますので、それを新たな形で再生する必要があります。簡単に過去には戻れない以上、新たな形でこれを再生する必要がある。
 そう考えますと、認定こども園、特に幼保連携型認定こども園は、子どもや人にとってのビオトープではないのかというふうに例え話で言うことができるかと思います。そのようなかつてあった地域の大人たちのかかわり、残念ながら今の子どもたちは、大人というと親と先生しか知りませんので、地域のいろいろな大人たちとどうかかわって遊びを中心に仕事的な活動を展開しているかということをもう一つ大事な視点と考えたいと思います。
 それから、裏面にいきまして、2-2-b、保護者、親とのかかわりになります。このポイントは、もちろん今子育てがしにくい親たちをどう支えるかということで、子育て支援ということが大切になってきているわけですが、単に支援するだけではなくて、その親たちが保育に参画することの意義ということをちょっと強調したいと思います。実はこのポイントは日本総研の池本氏と去年、ちょうど1年前から何度かやり取りさせていただいて、諸外国の情報交換をさせていただいています。スウェーデンですとかイギリスですとかカナダですとかニュージーランドの話。池本氏の方から私たちが受け取る情報の方が圧倒的に多いわけですが、そのやり取りの中で、親が保育に参画する、親の組織を作って保育にかかわる、あるいはヨーロッパですと、親自身が経営者になることもあるわけですが、保育に参画することによって、その質が高められる。
 日本では、先ほど言いましたように、子育てが大変なので、それを支援するという視点は大変認められていると思うのですが、それに更にプラスして、親たちが保育にかかわることで保育の質を高めたいという視点も大事かということでお話しさせていただきました。
 そして、最後に3番といたしまして、この新しい保育要領が、親たち、保護者たちがどの園に、どの施設に子どもを入れても、そこで等しく質の高い保育が保障されるような、そういうもののために生かされたらいいのではないかというふうに考えます。同時に、そのためには、そこでの評価とか指導ということが大事になってくるかというふうに思います。そして、それが施設保育において大切であるだけではなくて、家庭とか地域での子育ての参考になる、ガイドラインになるということも期待したいと思っています。
 以上、認定こども園協会からの発言とさせていただきます。ありがとうございます。
○無藤座長
 ありがとうございました。それでは、今の御意見に対して御質問等あれば、いかがでしょうか。はい、お願いします。
○神長委員
 大変分かりやすく認定こども園の役割、また、実際等伺わせていただきました。ありがとうございます。
 それで、私、大変興味を持って伺ったことは、最初のところで、いわゆる幼稚園の在籍の子ども、保育所の在籍の子どもの保護者同士の関係が、どこの園でも課題であるという話はよく受け止めていたんですけれども、うまくつながっていくと、新しい形というか、力を持ってくるという、それがとても良いというお話を伺っていて、そのための配慮事項、組織運営上でもいいし、先生方、園長先生としての姿勢でもいいし、そのことについてどんなことに配慮なさっているかを伺わせてください。
○中山理事
 ありがとうございます。うちの場合、保護者会というのがありまして、それは、子どもが幼稚園籍、保育園籍にかかわりなく、やりたくてできる人が役員になったりとか、係になったりしています。あと、集まりも土曜日に、土曜日もお仕事の方がいるのですが、なるべくたくさんの人が集まれたり、あるいは、場合によっては託児をして、職員が託児に当たって親たちが話し合ったり活動したりするという、そういう配慮をしつつ、一番大切なのは、共同作業かと思います。
 一つだけ例を挙げますと、夏にお祭りをやっているのです。園側が全員、子どもも保護者も我々職員もお祭りをやる側になって地域から来ていただく。1,000人、2,000人ぐらい来るのですけれども、クラスごとにお店を出すのです。そこで模擬店で収益を上げて、子どもたちに劇を見せたりするのですが、その共同作業が非常に有効です。特に3歳、新入園時、新しく入った子どもの親たちは顔と名前が分からない。でも、3学期制ですが、1学期の終わりにそういった共同作業をすることで、誰々ちゃんのお母さんねとか、あと、父親ももちろんそこには参加するのですが、親同士が顔見知りになる。
 そして、共同作業をすることで、いわゆる専業主婦の御家庭でいろいろハンドメイドとか、ものを作ったりとか、看板なんかもすごく分かりやすく作ったりするような方とか、あとは、お仕事している方は、商品の仕入れとかそういうのが上手だったりとか、それぞれの良さがかみ合うということが非常にいいと思っていまして、そういうチャンス、共同作業という場を設けるということがちょっとポイントかと考えています。
○無藤座長
 ありがとうございます。いかがでしょうか。はい。では、汐見委員。
○汐見委員
 ありがとうございました。中山先生のところは、もともと幼稚園から認定こども園だと思うのですが、その場合に、0歳はやってないかもしれない、1歳や2歳児の乳児の保育というものを新しく始めなければいけなくなったときに、参考にされた指針というのでしょうか、今の保育所保育指針であったのか、あるいはもう少し何かを参考されたのか、そのあたりをちょっとお聞かせ願えますか。
○中山理事
 一番参考にしたのは保育所保育指針です。その辺を勉強し直して、結局、0歳もいるのですが、0歳、1歳、2歳の保育だけではなくて、本当に養護の部分とか、非常に3歳、4歳、5歳の方も見直すことができて、本当に認定こども園、幼保連携型で0歳から5歳までというのはそういう意味があるのだと、保育全体を見直すことにもなりました。
 ですから、もちろん幼稚園教育要領も非常にすばらしいものだと思うのですが、具体的なところで保育所保育指針はかなり役に立ったと思います。
○無藤座長
 それでは、中山先生、どうもありがとうございました。
○中山理事
 失礼します。
○無藤座長
 お二人目は、全国認定こども園連絡協議会の溜川会長でございます。よろしくお願いいたします。
○溜川会長
 貴重な時間を私ども当会に与えていただきまして、まずは御礼申し上げます。当連絡協議会は、現行認定こども園制度が平成18年度に始まる前、17年度に総合施設モデル事業というものが文科省・厚労両省によって行われました。そのときのモデル事業園が中心となって、特に私立の幼稚園等が中心メンバーとしては多く発足したというような経緯がございまして、これまで細々ではありますが、現行にまで至っております。
 それでは、説明いたします。まず、現在御承知のとおり、子ども・子育て会議で基準やその他、運用についてのお話がされております。それよりも増して、この保育要領というのは骨格になるわけで、本来理念ということが先んじられるべきと思います。子ども・子育て会議において委員各自の思いは違う部分もまだまだあるかと思いますが、ぼんやりとは統一されていると思います。
 そういった前提の中でお話を申し上げます。まず、そういった制度先行みたいな部分が少しございますが、是非現在行われている会議の中でも、今そこにお示ししましたように、1から2の(3)までのようなことを基盤に話合いがされておりますので、それとの整合性ということを冒頭に書かせていただいたものでございます。そして、更に大事だと思いますのは、この基本的考え方の一番下の2行ですが、幼保連携型認定こども園保育要領と解説書という、いわゆる解釈との中で、その辺のことについて、是非地域の実態や特殊性というものが生かされるように含めていただくことはできないのかということで、お願いしておきたいというのが基本的な考え方でございます。
 論点1でございますが、ちょっと読ませていただきます。「そもそも所轄官庁の違いにより定められている二つ(幼稚園教育要領と保育所保育指針)を一つにすることは難しさがある。特に教育と養護の部分は乳児の保育や幼児でも園で過ごす時間の長短によって配慮する点が大きく異なるなど、教育・保育の全体像が見える工夫が必要になる」と書かせていただきました。この部分でございますが、乳児と幼児3歳未満児と3歳から5歳児とによく分けられますが、3歳から5歳児は同じじゃないかというような考え方がどこかにあるような気がいたします。しかしながら、現在標準保育時間という言葉が使われていますが、長時間児が短時間児と共通の時間を過ごす、共通のプログラムを進めるということについては、基本的に、もちろんいいことだと認識しているから認定こども園をやっているわけなのですが、生活時間を保育施設というところで長時間にわたり預けられるお子さん、つまり長時間に生活するお子さんと、短時間でお帰りになる、親元に帰るお子さんとの間では、施設で過ごす濃密さ、緊張度というものがいささか違うのではないかと思います。
 したがいまして、100%全く同じプログラムが、いわゆる長時間児と短時間児とに行われるということがどうなのかという疑問が、実は仲間の中からも出ておりまして、その辺についての融通性と言いますか、子どもに合ったプログラムの在り方というものは御一考いただければと存じます。
 そして、何よりも、アンダーラインの部分でございますが、「この保育要領が日本の乳幼児の子どもの育ちを保障する基本的な枠組みになっていくことを念頭に、乳幼児に求められる教育・保育の在り方を明示してほしい。」ということについて強くお願い申し上げるものでございます。
 続きまして、次ページ、論点2に移ります。この中では、本文の上の方から6行目の、「コミュニケーション能力が身に付いていく」というところからのその先ですが、「そのためには、小さないざこざやトラブルを避けず、一見マイナスに見えるような子どもの姿も、子どもの成長には必要なことであることを保護者にも理解してもらえるように、子どもの育ちの道筋を保育要領で示す必要がある」と思います。ここを強調させていただきます。
 なぜなら、ややもしますと保護者に合わせがちな保育施設になるという傾向がなくはありません。そのときに、本当にその子どもの育ちにとってそれがいいことなのかどうなのかという視点を忘れないために、そして、保護者にも申し上げなければならないものは申し上げるという姿勢を保育者にとっても貫ける、そのバックアップをしていただきたいと存じます。その理論的なバックアップをこの保育要領の中でしていただけたとするならば、私どもはそれを一つのバイブルにいたしまして、お母さん、こういったことが書いてあるんです。だから、言いにくいけれども、私たちも申し上げるんですと伝えやすくなります。大変有り難いと思います。
 是非このところ、子どもたちのために本当にいいのか。よく最善の利益という言葉が使われますが、本当に子どもたちにとってそれがいいのかどうなのかという視点で、そして、また親のいろいろな状況というものを理解した中で難しい問題を保育現場は抱えておりますので、是非その点について御配慮いただきたいということを強調させていただきます。
 その論点2におきましては、保護者支援の在り方ということです。幼稚園の保護者会あるいはそこに参加しにくい意味での保育所の保護者の人たち、こういった状況の違う方に対する保護者支援というものを幼稚園と保育所との両者が求められております。幼稚園も4時間程度の教育時間以外はもういいという時代ではございません。家庭の生活の在り方、親の生活スタイルということを考えなければ進めていけないと思います。是非その親支援、保護者支援の在り方ということに入っていただきたい。より充実させていただければ有り難いと存じます。
 また、論点3につきましては、認定こども園はいろいろなものが今求められております。いろいろな問題に対して具体的な対応を求められております。それにおいて何よりも必要なのは、やはり人が育てるわけですから、人の配置であります。そして、融通性のある配置ということです。これは運営者として本当にお願いしたいのですが、いろいろなものについて携わる、そのためにはやはり職員の十分なる、ゆとりある保育ができるような体制、そして、いろいろな面で融通性が付けられるという人員配置をお認めいただきたいということをお願いいたします。
 銀行などは3時に閉まって、あの中で何やらいろいろ業務をやっております。保育所・幼稚園は閉めて、子どもたちを追い出してなんていうことはできません。しかしながら、銀行はATMという機械が代わっています。それで何とかなっています。しかし、私どもは機械によって代わることができません。どうぞ皆さん、その点についてお力添えを願いたいと存じます。
 最後に、自主自立とか、あるいは国家の目標とかにどう整合していくのかとか、いろいろな問題があろうかと思います。ここにお集まりの皆さんは各界で御活躍の第一線の方であると信じております。どうぞこの大統合が更に世界や日本でしっかりとしていく人材を育てられるように、この保育要領につきまして是非ともお力添え願いたいと御期待申し上げます。
 以上をもって発表とさせていただきます。ありがとうございました。
○無藤座長
 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明を受けまして、委員の皆様から御質問等があればお願いいたします。いかがでしょうか。
○榎沢委員
 ありがとうございます。最後の論点3のところで書いてくださっていることについてお聞きします。特に研修が重要だという認識を持っていらっしゃるそうですが、実際に認定こども園を立ち上げて運営されてきて、その重要性はどういうところに特に強く感じていらっしゃるのかを教えていただければと思います。
○溜川会長
 現行制度は幼稚園と保育所との、いわばパッチワークでございますので、どうしてもそこに制度的な差がありまして、また、職員においても意識の違いがございます。一番難しいのはその職員の意識の違いをどう合わせていくかということでございまして、幼稚園の方は十分な、先ほど銀行の例を出しましたが、園児の降園後に集まって教材研究やら、その他のことができます。しかし、保育所の方はなかなかシフト業務のこともあり、できません。
 そこで、幼保の先生方を、いわばどちらも保護者の保育参加のように、保育所の方に幼稚園の先生が行ってシフト勤務をしてみたり、あるいはそのシフト勤務者が幼稚園のクラスに入ったりと、お互いの立場が理解できるような場を作ったり、そういったことをしたい。また、試みをしております。是非そういった時間が取れるような仕組みにしていただければという願いでございます。
○無藤座長
 ありがとうございます。はい、お願いします。
○酒井委員
 ありがとうございます。教えていただきたいのですけれども、この論点3のところと論点2のところと両方かもしれませんが、幼保連携型認定こども園の、特に保護者支援の在り方についての固有性、つまり、保育所でも、幼稚園でもない、子育て支援をどのようにしていけばいいのか、一番ポイントを具体的なイメージも頂きながら教えていただければと思います。
○溜川会長
 先ほどここの中に書いてあることで申し上げなかったことに、子育て支援事業について、まだいろいろな決め方が曖昧ですというお話を申し上げました。子育て支援事業というのはどちらかと言うと保育所の方ではかなり充実していますが、幼稚園でもやっているのですが、なかなか制度的なバックアップが違います。この子育て支援事業が極めて認定こども園にとっては大きな意味合いを持つということをここで挙げておきたいと思います。
 通常の教育・保育以外の分野として子育て支援事業はあるわけですが、これについてはやはり現行の幼稚園・保育所よりも認定こども園というのは比重が大きいと思います。その点に固有性が一つあろうかと思います。それから、そこにかかわる保護者に、先ほどの協会さんのお話ではありませんが、やはり親のいろいろな生活スタイルの違いというものがありまして、そういったものが、いわば一つの施設に通われているようなものは現行認定こども園の抱えている固有性と挙げてよろしいのではないでしょうか。
○無藤座長
 ありがとうございます。どうですか。では、お願いします。
○岡上委員
 ありがとうございました。私がお伺いしたいのは、先ほど職員の意識の差ということで工夫をなさっているというお話がございました。確かに幼稚園の教諭が保育所の部分の保育に参加する。それから、保育所の部分の方が幼稚園に参加する。その中でどういう感想が聞かれていて、どういう改善につながっているのか、お互いの共通意識を作っていく基になっているものは何だとお感じになっているかということ。
 それから、もう一つは、やはり時間を作る工夫というのが大切なことかと思うんですけれども、そういったところで、時間を作り出すヒントはここだということがお分かりになってきたことがあれば教えていただければと思います。
○溜川会長
 前者の問題は、実は職員個人個人にもよるので難しいのですが、現行制度では幼稚園志向で初めから職員になっていく方と、保育所志向で職員になっていく方というのが現実はあると思います。教育制度が一体化していくことによってまた変わってくると期待したいのですが、具体的に申し上げます。とても普通のことです。幼稚園は夏休みがあるとかないとか、保育所は残業がないとか、幼稚園は結構見えない残業が多いものですから、そういったようなものが現実問題としてはあろうかと思います。
 それもその本人がどっちがいいのか、ただ、年休などは保育所の方がきちんと取れている実態がございまして、そういった部分があろうかと思います。小さなことで申し訳ないのですが、現場はそういうものでございます。
 それから、後者の方は大変難しくて、逆に先生方からいろいろアイデアを教えていただきたいと思います。時間を作る工夫としましては、やはりこれは休日なりとか、あるいは平日にどちらかがシフトを離れて共通時間を作ることになります。要するに、幼稚園の方はおかげさまで、一般の預かり保育以外のお子様はお帰りになりますので、時間が取りやすいわけですから当園の場合ですと、保育所の方から職員が来まして、幼稚園の中でいろいろな話合いをしたり、あるいは共通保育をしています。3歳児の保育所の担当者が幼稚園の3歳児の教室に入って、実際に3歳児を教育したりとかということを重ねていくということがございます。
○無藤座長
 溜川先生、どうもありがとうございました。
○溜川会長
 ありがとうございました。
○無藤座長
 それでは、3人目になりますけれども、公益社団法人全国幼児教育研究協会の宮下理事長にお願いいたします。
○宮下理事長
 全国幼児教育研究協会理事長の宮下でございます。どうぞよろしくお願いいたします。また、本日はこのような機会を作っていただきまして本当にありがとうございます。感謝申し上げます。
 全国幼児教育研究協会は創立62周年を迎えました。そして、本年4月に公益社団法人としての認可を受けることができました。本会の会員は、幼稚園教員、保育所の保育士、そして、教員養成大学の教員が中心となっております。本協会は、幼児教育に携わる教員、保育士の資質向上を目指した研究、研修を行うとともに、子育て支援の充実を図ることを目的として活動しています。そのような立場から、幼保連携型認定こども園保育要領(仮称)の策定に関しまして意見を述べさせていただきます。
 まず、第1に、子育て支援法の基本指針(案)には、全ての子どもの健やかな育ちを保障していくために、発達段階に応じた質の高い教育・保育が提供されることが重要であると述べられています。その理念に基づいて、新しい幼保連携型認定こども園において質の高い幼児教育の提供が保障され、実現するための基準となる保育要領の策定が望まれます。質の高い乳幼児期の教育・保育を提供するためには、その内容や方法を保育要領の中で明確に示す必要があると思います。また、子どもたちの遊びや生活の充実こそが豊かな学びにつながることを考えますと、乳幼児期にふさわしい環境を意図的・計画的に構成する大切さを示すものであってほしいと考えます。
 次に、今回策定される保育要領は、乳幼児期の新しい教育・保育の基準であることをはっきりと示すものであってほしいと思います。現在既に幼保一体化している園や認定こども園の先生方からよく聞くことは、幼稚園文化と保育所文化とは違いがあるということです。幼稚園も保育所も子どもの健やかな成長、発達を願い、子どもの最善の利益を見つめながら保育・教育していることは同じでございますけれども、これまで積み重ねてきた教育・保育の中で、それぞれが大事にし、重視してきたことに違いがあることは当然のことであると思います。
 それらを踏まえた上で、今回策定する保育要領は、今まで築いてきたそれぞれの文化を超えて、新しい幼保連携型認定こども園が子どもにとって真に豊かな生活の場となり、乳幼児期にふさわしい学びの場となるための新しい基準とならなければいけないと考えます。
 今後幼児教育の中心となるであろう幼保連携型認定こども園保育要領は、こども園の保育教諭同士が共通の理念や目標を持ち、子どもの発達過程や保育内容について共通理解し、子どもたちと充実した園生活を創り出すという使命感を持てるような文言を入れていただきたいと思います。また、教育・保育と家庭における養育支援が0歳から6歳まで一貫した理念の下で行われることが重要であり、保育要領の中にそのことを明確に示す必要があると思います。
 次に、幼稚園教育要領や保育所保育指針との整合性についてですが、教育・保育にかかわる内容や小学校教育との円滑な接続についての整合性を図っていただきたいと思います。また、評価等については、保育要領の中ではなく、解説あるいは参考となる資料を作成し、必要事項を記載していくことが良いのではないかと思います。
 一貫した理念の下に行われる教育・保育は、子どもの発達過程に応じたその時期にふさわしい生活が基本となります。乳幼児期はゆったりとした家庭的な雰囲気の中での生活が求められる時期と集団の中で体験を積み重ねることが必要となる時期があり、3歳未満と3歳以上の保育内容を分けて記載することが望まれます。
 しかし、教育と保育を分けて捉えるのではなく、教育・保育と家庭における養育支援が0歳から6歳までトータルに考えられ、一貫した理念の下に総合性が図られることが重要だと思います。一貫した理念の下、子どもたちがその時期その時期に必要な経験を丁寧に積み重ねることにより、子どもの自主自立や社会性、共同性が芽生え、それが小学校以降の学習への基盤となります。したがって、小学校教育との円滑な接続についても記載することが必要であると考えます。
 そのほかとして、幼保連携型認定こども園の固有の配慮事項についてですが、幼保連携型認定こども園では、子どもの1日の生活リズムや保育時間の長さによって、園内や家庭での経験に違いが見られると考えられます。したがって、それらの事情に配慮した事項を保育要領の中に盛り込むことが大切であり、子ども一人一人に応じた教育・保育が展開されるような記載をお願いしたいと思います。また、子どもの健やかな育ちを助長するためには、家庭との連携が不可欠であり、子どもを中心とした子どもと家庭との連携の在り方についても明確に記載すべきだと考えます。
 次に、保育要領の理解のための周知期間についてですが、保育要領に示されている趣旨や内容を全ての教員がしっかりと理解するため、それらの手続について時間を十分に確保し、周知を丁寧に実施していただきたいと思います。さらに、関係する行政担当者だけでなく、教員、保育士の養成機関等にも周知を徹底する必要があると思います。また、質の高い教育・保育の提供を続けていくためには、保育教諭の研修こそ必要不可欠です。全ての保育教諭に研修の機会が与えられ、資質向上につなげていくことができるシステムの構築が必要であると考えます。そして、更に保育教諭に対する教員免許状更新等についての整備も是非考えていただきたいと思います。
 新しい幼保連携型認定こども園は、学校及び児童福祉施設としての法的位置付けを持つ単一の施設でありますので、学校教育法に定める学校ではなく、法律に定める学校としています。幼稚園教育要領はほかの種類の異なる学校の学習指導要領との連続性を配慮して改訂されていますが、今後、各学校種の学習指導要領の改訂が検討される場合には、幼児期の教育と小学校教育の連続性を考慮して、幼保連携型認定こども園保育要領についても関連事項について改訂の必要性の有無を必ず確認、検討されるよう留意していただきたいと思います。
 今回幾つかの意見を述べさせていただきましたが、この保育要領が真に子どもの立場に立って策定され、子どもの幸せと喜びにつながるものであってほしいと願っています。
 以上です。
○無藤座長
 どうもありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に対して御質問等お願いいたします。どうぞ、岩田先生。
○岩田委員
 どうもありがとうございました。幼稚園文化と保育所文化がある、違いがある。それを単一の組織として、そのずれを埋めるために研修会やらそういうものが必要だと。それはそのとおりだと思うのですけれども、職員間に幼稚園文化と、それから保育所文化があるように、長時間保育児と短時間保育児の親にも相当ずれがあると思うのですけれども、先ほどから何回も出ていますけれども、家庭との連携とか、親の子育て支援とかを考える場合にその辺をどういうふうにお考えになりますかということをちょっと教えてほしいのです。
○宮下理事長
 私は幼稚園経営しかしておりませんので、保育所のことは現実はよく分からないでおりますけれども、やはり子どもを育てるのは親が一番大事だと思っています。保育所、認定こども園などに入れます親についても、やはり働き方への支援と助言、そういうこともやっていくべきだと思っています。よろしいでしょうか。
○無藤座長
 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
○網野委員
 どうもありがとうございました。今の御質問とも少し関係するかと思うのですが、8ページのそのほかのところで、最初に触れられた(1)のところです。正に今の御質問とお答えと関連するのですが、どのように規定に盛り込むかということで、ちょっと具体的に御質問したいと思います。
○宮下理事長
 難しいことだと思います。
○網野委員
 ちょっとよろしいですか。その場合に子どもの保育や教育の流れで保育を中心に盛り込む考え方もあるでしょうし、今の御質問やお答えのように、保護者とのかかわりの中で触れる部分もあるでしょうが、先生としてはどのあたりに重点を置いて、このことをお考えでしょうか。
○宮下理事長
 私はやはり保育ということも大事だと思いますけれども、保護者との連携というのは非常に大きなことだと思います。そしてまた、教育という部分にも、小学校教育へ続くという意味から考えましても、教育という部分もきちんとしていただければ有り難いと思っています。
○無藤座長
 ありがとうございました。それでは、ここまでとさせていただきます。どうもありがとうございました。
○宮下理事長
 ありがとうございました。
○無藤座長
 それでは、次でございますけれども、全日本私立幼稚園連合会の黒田教育研究委員会副委員長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○黒田副委員長
 おはようございます。全日本私立幼稚園連合会研究委員会の副委員長を仰せつかっております黒田でございます。本日は、大変恐縮ながら意見を述べさせていただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。
 私がお話しさせていただくことについては4点ございます。順次お話しさせていただきたいと存じます。まず、1点目は、環境による教育ということを一番の基本に置いていただきたいということでございます。幼稚園教育要領の最初に、幼児期の教育は幼児期の特性を踏まえ環境を通して行うものであるということを基本とすると書かれておりますけれども、このフレーズは、私は長い間幼稚園にかかわってまいりまして、とても重要な意味を持つフレーズだというふうに考えております。
 私の地域で、先日と申しましても5月ですが、福島に砂場を送るプロジェクトというものを立ち上げ、それに参画いたしました。私の園の保護者又は地域の幼稚園や保育所の皆さん、そういう方々と共に、九州の砂を福島に送ろうということで、大量の砂を福島の幼稚園に送った次第です。そうすると、先方の幼稚園の方々からかえって申し訳ないような丁寧な御報告を頂きました。DVDまで作成していただいて、子どもたちが砂場にどうかかわったかということを報告いただいた次第です。
 当地の園長先生やDVDを見る中で、私は驚いたことがありました。それはこの2年間砂場に全くかかわっていない子どもたちが砂場にかかわってどういう状態になるのかということです。園長先生からお聞きしたのですが、年長のクラスの子どもは砂場にかかわって、砂に足を取られて転ぶことが多いということ。それから、あの震災以後、幼稚園に入った子どもたちが、砂場に1度も触れていない子どもたちですが、砂の山に指をこう突っ込んで、先生、指が入る入ると言って、とても大きな喜びを示したということです。
 我々にとっては砂場で遊ぶことは当たり前のようなことが、たった2年間砂場に接していないというだけで、子どもたちの感動とか発見とか、そういうものが全然違ってくるんだということをしみじみ感じたわけです。砂場という環境一つとっても、新しい発見とか遊びの広がり、更にもっと言うと、運動能力や体の育ちまでを支える、そういう環境になっている。環境は乳幼児の大きな学び、大きな発達の源を作るのだとしみじみ感じた次第です。
 したがって、環境による教育ということを一番の基本に置くということはとても重要なことだというふうに感じております。
 二つ目に、遊びを通して総合的に行う教育という軸をぶれずに置いていただきたいというふうに思うわけでございます。最近とても気になることがあります。子どもの育ちと言えば、すぐさま何々ができるようになったという能力の定着をもって捉える傾向が強くなったような感じがしております。この傾向は、世間また保護者ばかりでなくて、保育者自身、当事者にも強くなっているような感じがしてなりません。
 先日、私の園に勤めていた教職員が久しぶりに訪ねてきました。その教職員は事情によってどうしても引っ越さなければいけなくなって私の園を退職し、引っ越した先の幼稚園に就職した次第です。その教職員と話して最初に言ったことは、先生、私は今度幼稚園に行って何も仕事がないのですと言うのです。え、どうして、どういう意味? と言うと、1時間目は音楽の講師が来て、2時間目は体育の講師が来る、3時間目は言葉の講師が来て、4時間目には英会話の講師まで来るのだ。私たちは子どもをトイレに連れていくこと、子どもに食事をさせること、そういうことしか仕事がないのだというふうな愚痴をこぼしておりました。
 これは一部のことだというふうに思います。しかし、そういうふうに何かができるという視点で幼児教育を考えますと、こういうふうな講師による教えるということを中心にした教育がまかり通ってしまうというふうなことに大変懸念を持っております。遊びを通して総合的に行う教育という軸をぶれずにその中に入れておいていただきたいというふうに強く思うわけでございます。
 第3点にまいります。長時間保育の在り方については、それが常に子どもの視点から考えられるものにしていただきたいということです。こども園になりますと、短時間保育、長時間保育の混合型ということにならざるを得ないと思いますが、これは長時間保育の在り方についての心配です。長く預かるというのが良いとか悪いとか単純な話ではないというのは私はよく分かっております。
 しかし、私の地元の保育所の園長さんと話したときに、ある園長さんがこういうことをおっしゃいました。乳幼児が朝7時から夜7時まで親から離れて暮らすことに本当に意味があるのか。また、私の隣接している保育所の園長さん、その園長さんは40年ぐらいもう保育所をなさっておられますが、昔の保育所と今の保育所と違った点が二つあるんだ。一つは、その園その園独自のその園しかできない保育ができにくくなったということ。もう1点は、親にノーということができにくくなったということです。
 長い間子どもを預かっている保育所、延長保育などもされている現場の保育者の方々とも話すことがあります。そのときに現場の保育者の方々が、登園して8時間を超えると、子どもが非常に膝を恋しがるのです。保育者の膝の上に乗ってくる。そういう状況があるそうです。我が園の方も預かり保育を行っていますが、預かり保育になぜ預けますかといったときに、保護者の方々は、先生、帰っても周りに同年代の子どもがいないのだ、外へ出て遊ぶことが交通事情等でできないのだ、だから、子どもの幸せとしては預かり保育がいいのだというふうにおっしゃいます。最初に申しましたように、長時間保育の在り方についてはそれが常に子どもの視点から考えられるものにしていただきたい。
 最後です。園生活の中で常に子どもの傍らにいる保育者は誰でもいいというわけではなくて、クラス担任という存在の大切さを考えていただきたいということです。この仕事に長く携わって、この仕事が好きな方はよく分かると思いますが、この仕事をするのに自分の技術的なこと、それから、知識の豊かさで子どもを意図的に動かしたり、子どもが意図的に育っていくことに喜びを持ってこの仕事をするわけではありません。この仕事に魅力を感じるのは、子どもとの深いきずな、つながりがそこに実感として分かるからです。言い換えれば、愛着とか信頼とかがそこに築かれることにこの仕事の魅力があると思います。私は、子どもにとってもそれは同じことだと思います。幼稚園に行きたいというふうに思うのはやはりその信頼と愛着の形成から始まると思います。
 したがいまして、子どもの傍らにいる人がしょっちゅう代わっている。誰でもいいというわけではなくて、クラス担任という役割、そういうものをとても重要視して考えていただきたいと思います。
 以上で私の意見を述べさせていただきました。ありがとうございました。
○無藤座長
 ありがとうございました。ただいまの御説明に対して御質問等をお願いいたします。では、矢藤委員から。
○矢藤委員
 基本的なことの確認なのですが、意見書として出されているものと先生のお話の構成が異なって、内容的にもちろん重なるところはありますが、異なっているかと思うのですが、これは連合会としての意見としておっしゃったのか、黒田先生御自身の、個人としての御意見か、ちょっと確認させてください。
○黒田副委員長
 これは私個人が現場で感じていることを主に発言いたしました。しかし、連合会としての意見と私の意見とが大きく食い違っているとは思いません。
○無藤座長
 よろしいですか。では、渡邉委員。
○渡邉(郁)委員
 先生、ありがとうございました。2点質問させていただきます。3番のところの幼保連携型認定こども園以外の施設との取扱いの整理をというところで、下から2行目、それから3行目の最後のところにかかわるのですが、「それぞれの要領と指針における関係(接続)して運用される箇所」というところの御説明をもしできましたらもう少し、私が聞き逃しているかと思うのですが。それと、「それぞれが区別して運用される箇所を整理して明確に示すべきである」というようなところで、例えば今度作られる保育要領の中のどういう部分にというような構想がおありになれば、少しお話を伺いたいと思います。
 以上です。
○無藤座長
 はい、お願いします。
○黒田副委員長
 認定こども園につきましては、幼稚園の理念と保育所の理念、そういうものが合体して一つの保育要領というものが作られていくというふうに思います。そこではどちらがいいということではなくて、私は、やはり先ほど私が申し上げました子どもを真ん中に置いた、そういう視点で是非全てにかかわって作っていただきたいというふうに思います。よろしゅうございましょうか。
○無藤座長
 では、お願いします。
○杉原委員
 現場の状況を踏まえた貴重な御意見ありがとうございました。前半のことについて少しお伺いしたいと思うのですが、環境を通しての遊びによる教育ということはこれまでも非常に、保育所保育指針でも幼稚園教育要領でも強調されてきたと思うのですが、先生のお話によると、それらが必ずしも現場では伝わっていないというか、むしろ逆の方向があるというような御指摘だったと思うのです。
 先生の個人的な御意見で結構ですので、なぜ保育所保育指針や幼稚園教育要領で書かれているのに、強調されているのにそういうふうになっていないのか。あるいはまた、環境による遊びを通して教育ということをもっと現場に徹底していくには、どういうふうにしていけばいいというふうにお考えになっておられるのか、そのあたりをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○黒田副委員長
 私は、まず遊びという捉え方がいろいろな園、様々な保育者によって微妙に違っている、そこが問題だというふうに思っております。もう少し我々は研修とか研究を通して、幼児にとっての遊びとは何かということを深く認識するという機会が必要ではないかと思っております。また、保護者、世間等に、遊びを通して行う教育というのはどういうものなのか。そういうものは一般の方々はなかなか分かりにくい概念だと思います。そういうところにプレゼンテーションしていくという、そういうことも必要だというふうに考えております。
 以上でございます。
○無藤座長
 ありがとうございました。では、ここまでにさせていただきます。どうもありがとうございました。
 次でございます。全国国公立幼稚園長会の荒木会長、よろしくお願いいたします。
○荒木会長
 おはようございます。全国国公立幼稚園長会の荒木尚子と申します。よろしくお願いいたします。資料を今回提出させていただいております。
 本会は、4,479名の国公立の幼稚園長、また、2万2,665名の教職員と共に幼稚園教育要領に基づいた小学校就学前教育・保育に力を注いでいる組織でございます。そして、現在行われております子ども・子育て会議、子ども・子育て会議基準検討部会等にも本会は委員として参加させていただいております。
 この新制度の理念として、子どもの最善の利益が実現される社会を目指すとの考えを基本に、子どもの視点に立ち、子どもの生存と発達が保障されるよう、良質かつ適切な内容及び水準のものとすることが必要とされているというふうに基準が出されていることに大変心強く感じているところです。そして、その中にも、また、保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本的認識の下に子育て支援が行われなければならないということも、基本指針の案のところに明記されていることにも敬服しているところです。
 そして、今これからの世の中を担っていく子どもたちのためには、本当に全ての子どもたちに発達の段階に応じた豊かな生育環境を整え、自他共に充実した人生を生き抜く力の基盤作りをしていくことが幼児期に大切なのではないか。そして、それを進めることが大人たちの使命ではないかというふうに考えているところです。
 今回の幼保連携型認定こども園保育要領(仮称)の策定に関して、私どもが考えているところは、ここに書いてありますように、6点でお知らせしたいと思います。1番目は、乳幼児期の発達に合った区分をしっかりと押さえていただきたいということです。乳児期、0歳児は、本当に身近にいる特定の大人との愛着形成により精神・情緒的な安定が図られるとともに、身体面の著しい発育・発達が見られる時期です。人に対する基本的信頼感が芽生え、情緒に安定が図られる大切な時期だというふうに捉えます。
 また、幼児期のうち、おおむね満3歳に達するまでの前半の部分は、前半は満3歳以下のところですけれども、そこは行動範囲を拡大させ、自我が育つ時期というふうに捉えます。子どもは自分のことを信じ、見守ってくれる大人の存在により、時間をかけて自分の感情を鎮め、気持ちを立て直すようになる、こういう中で自発的に活動するようになるという自我が出てくる時期だというふうに思います。そして、幼児期のうち、おおむね満3歳以上の時期は、ここはその後の生活や学びの基礎となる時期であって、今幼稚園が行っている学校教育としての幼児教育の部分でございますけれども、人間関係の面で急速に成長する時期です。発達に応じた適切な保育者、保護者のかかわりが質の高い教育・保育、子育て支援の安定的な提供ということで、子どもにとっては大変望ましい姿ではないかというふうに思います。ですから、発達に見合った区分をすることが大切だというふうに捉えております。
 それと同時と言いますか、その区分に併せて、特にこの2番のところに私どもの団体としては一番言いたいところがございます。学校教育としての幼児教育の質の低下をさせないために、3歳以上には幼稚園教育要領に今記されていることを大切にしてほしいという思いがあります。幼稚園教育要領と保育所保育指針のいずれにおいても、5領域のねらい、内容が記載され、ほぼ整合性は見られるのですけれども、ただし、幼稚園教育要領の各領域には、1ねらい、2内容、3内容の取扱いがあり、ここに書かれている3の取扱いに当たっての留意事項というところが教育の観点では大変重要ではないかというふうに思っています。
 幼児が環境にかかわって遊びを展開する具体的な活動を通して総合的に指導されるものであることを留意するために、3の内容の取扱いというものは是非記述してほしいというふうに考えています。
 3番目に、利用時間の違いの配慮ですが、幼保連携型認定こども園になりますと、長時間利用児と短時間利用児がいると思います。そこにおいて、子どもの1日の生活時間に配慮した計画がなされなければならないと思います。特に、3歳以上の学校教育の部分では、集団教育の中で身に付ける規範意識や自主性、主体性、社会性などの育成のためにも質の高い教育を確保できる正規の教員によるシフト制でない、学級担任制が守られなければならないというふうに考えています。
 利用時間についての、利用時間の違いによる子どもたちへの配慮のところでは、現在あります認定こども園設備運営基準に記述されていることが大変明確なので、それを継承していただければいいというふうに思います。
 4番目に、研究・研修の充実を通して質の確保をお願いしたいというふうに思います。もちろん常に学び続ける教師であるということが保育教諭にも当然必要なことだというふうに思います。免許更新制度や初任者研修、10年経験者研修なども適用されるというふうになっておりますけれども、本当は日々の保育の充実ということが質を確保するという意味では一番大切なことではないかというふうに思います。
 そのためには、園内共通の意思疎通を図る職員会議はもとより、園内研究というものが子ども個人個人を見合いながら、職員みんなで指導法を考えていく、どういうふうに育てていこうかということを考えていくことが大変意味のあることだと思いますし、教育内容の充実や指導力の向上につながるものというふうに考えています。研修・研究、話合いの機会、時間的な余裕の保障というようなことが必要だと思うんですが、そのためには人的配置が大変重要になりますので、その部分も併せて研究・研修が実施されることが大切だということを記述していただきたいというふうに思っています。
 5番目には、特別支援児と共に学び合う環境をということを忘れずに残していただきたいと思います。豊かな人権感覚を身に付けるためにも、幼児期からのインクルーシブ教育を進めるということは今国としても大切にしているところだと思います。当然新しい幼保連携型認定こども園の中にも特別支援のお子様は所属するわけですから、そこでは人的配置も含めて、個別対応がしっかりとできるようなことを必要事項、配慮事項という意味でも記載していただきたいというふうに思います。
 また、最後には、保護者の多様な生き方、地域で社会貢献して生きる姿を大切にするというふうに書きましたが、現在私どもがいるような幼稚園というものは、PTAと保護者と共に子どもを見つめ合おうというスタンスがかなり大きいと思います。そして、保護者がPTA活動を通して、自己充実感を持ったり、社会の一歩というところでも幼稚園に入ったところから、親同士の関係も広がっていくようなこと、そこが一つの自信になり、小学校、中学校、先へ上がっていってもPTA活動に参加したり、将来は地域の、社会の中で活躍していくというような保護者のリーダー的な人を育てる最初のところを幼稚園が進めているというふうに常に思っています。
 そういう意味でも、この新しい認定こども園の中でもPTA活動ということとか、それから、保護者が子どもとのかかわりの中で子どもと豊かな環境とか、豊かな育ちというものを見つめ合えるようなことを大事にするというような意味のことを記載していただけたら有り難いというふうに思っています。
 子どもの最善の利益のためにということを常に守りながら、質の高い学校教育と保育が進められたらいいというふうに考えております。
 ありがとうございました。
○無藤座長
 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に対しての御質問等をお願いいたします。
○吉川委員
 ありがとうございました。2、3の質問をさせていただきたいと思いますが、まず、項目の2点目に関する学校教育としての幼児教育の質の低下をというふうに触れられておりまして、幼稚園でも満3歳になれば入園するという実態もあって、どの程度の割合かは存じませんけれども、ほとんどの園がそのようなのかというふうに思っております。
 満3歳というのは、学級編成的に言えば2歳児クラスに当たるのではないかと思うのですけれども、その2歳児クラスにおける教育と3歳児クラスにおける教育についての、特に配慮事項とか、こんなことは違うというようなことがあればお話しいただきたいと思います。
 それと、もう1点は、教育課程に係る教育時間以後に行われる教育活動というふうに、預かりなんですか、その時間に行われる教育活動の中で、特に幼稚園として気を付けていらっしゃること、特別な配慮はこのようなことがあるということがあれば、お話しいただきたいことと、それから、ここでは触れていらっしゃいませんけれども、今食育の問題も各家庭で非常に大きな課題となっておりますが、幼稚園は大方のところがお弁当を持ってくるというような状況の中で、家庭における食育の課題であるとか、子どもの食育の課題であるとかというようなことを現場でどのようにお感じになっているかお話しいただければと思います。
○無藤座長
 はい、お願いします。
○荒木会長
 幼稚園で言う3歳児というのは、満2歳児ではなく、4月1日の段階で3歳を過ぎている、4月2日以降ですか。ですから、学齢からすると、6歳児が5歳児というような言い方になっていますか。満6歳の子どもたちが入学しますね。
○吉川委員
 2歳でも受入れが可能ということになっていますね。
○荒木会長
 はい。そうですね。2歳児、満3歳も受入れ可能というふうにはなっていますけれども、まだまだそれは数としては、大変国公立幼稚園の場合は少なくて、幼稚園教育要領の幼稚園といったときに、大方のところは3歳から3年保育だったり、2年保育だったり、1年保育というような形で行われております。全部が3年保育というものでもなく、国公立の場合は2年保育、1年保育もございます。
 ということは、集団教育としての学校教育という意味では、6歳の1年生に向かっていくところでは、だんだんと同年齢の集団、大きな子どもたちの集団の中でどれだけ自己を発揮していくかというような意味の集団教育の意味が大変あると思うのですけれども、3歳児の場合は、まだその辺が、大変大きな集団というところではなかなか難しい。個々がしっかりと自分を出し切る、その場に安定して出し切るというところで行っておりますので、幼稚園の中では定数が少なかったり、学級組織を作るときに35人で3歳児をすることが、1人の担任でというふうにしないで、補助の先生を付けるというようなこと。3歳の場合はもう少し少人数で丁寧にということも配慮していると思います。でも、そこで場になれていくことによって、4歳、5歳のところの大きな集団にどんどんと安定して学んでいける姿に連続性の中で育っていくと思います。
 それから、教育課程に係る教育時間終了後のいわゆる預かり保育のところですけれども、そこも全部の幼稚園が預かり保育をしているわけでもございませんし、標準時間の保育時間で帰るというようなところもございます。それから、実施しているところでは、やはり余りにも長時間という、子どもの負担が大きくならないようにということも意識していますし、それから、1日の流れの中で基本の標準時間のところで集中した課題やいろいろな盛りだくさんな遊びを集中してきたところの中では、後半の終了後の時間をもう少しゆったりと、子どもが疲労しないようにとか、そしてまたあしたへ続けるようにというようなことの配慮というものが大変必要なのではないかと思います。
 そのことは現在の幼稚園教育要領のところに留意事項として書かれていますので、大切なことだというふうに思っています。
 食育の件では、公立幼稚園でもお弁当は基本ですけれども、給食をやっているところもあると思います。今の食育というのは、給食をすることが食育ではなくて、やはり食べることに対して、楽しみであり、喜びであり、自分の体を育てる大切なものだということを子どもが分かること、そして、保護者もそれが分かることということが大切なのではないかと思います。お弁当は様々みんな違うものを持ってきますけれども、そのお弁当の時間に楽しい時間を過ごす、違うおかずが入っていても、話題になったり、こんなのはいいなというふうに思ったり、苦手な野菜を食べている友達を見て、自分も頑張ってみようかなんて思うような、その楽しい昼食時の雰囲気というようなものを大切にしていると思います。
 ですから、これから認定こども園は給食が基本かもしれませんけれども、もしかしたら、私は、保護者がお弁当を作る喜び、楽しさというものもどこかに残しておいてほしいというふうに思っていますので、例えば、幼稚園では今、入学前に学校に行って給食を食べるチャンスなんていうのも作って、みんなと同じものを嫌いでも頑張って食べようというようなこともありますけれども、逆に言えば、認定こども園の中で、お弁当デーみたいな、月に1回、2回、そんなものを作って、保護者が心を込めて作る時間みたいなものも親子のきずなの中には大切にしていただけたらというふうに思っています。
○無藤座長
 ありがとうございました。ここまでとさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
○荒木会長
 失礼いたしました。ありがとうございました。
○無藤座長
 それでは、次でございます。社会福祉法人日本保育協会の森田委員でございます。よろしくお願いいたします。
○森田委員
 よろしくお願いします。日本保育協会は、保育所保育の質の向上のために、全国の保育所長、それから、主任保育士をはじめとする保育所職員の研修を開催しています。また、全国の保育所の諸問題に関する研究・調査を行い、その結果を自治体にお配りしたり、それを踏まえて保育所制度の改善や保育所保育についての質の向上のための提言を国に対して今までも行ってきました。
 今回の新しい子ども・子育て新制度の策定に伴い、保育制度の在り方が検討され、幼保連携型認定こども園は幼稚園型、保育所型、地方裁量型認定こども園から独立し、新幼保連携型認定こども園として創設されます。この認定こども園についての学校教育及び保育内容などに関する事項は、就学前の子どもの教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律第10条により、幼保連携型認定こども園の保育要領は主務大臣が定めると規定されています。今回、この保育要領の策定に当たって、当協会のヒアリングを実施していただくことに深く感謝申し上げます。
 これまで保育所が積み上げた保育内容についての知識、技術及び経験を基に以下のことについて提言させていただきます。
 1番目として、3歳未満児の保育についての保育内容の充実を求めるということですが、新幼保連携型認定こども園は3歳未満児の入園が必ずしも義務付けられてはいませんけれども、待機児童の解消や過疎地などの乳幼児の現状を考慮すれば、必然的にこれからは増えていくのではないかと思われます。その3歳未満児、先ほども乳児、幼児というような分け方をされていましたけれども、3歳未満児と、また幼児の子どもたちとの特性というのは大きく違いがあります。
 特に健康・安全については保育を実施するに当たっては切り離すことができません。例えば乳児特有のSIDSの対応については、今保育所ではタイマーなどを使って生存確認、本当に生きているかという確認をするようなことをしております。それから、離乳食の進め方。ほとんどの家庭では、以前ではおうちで離乳食をするから保育所でもしてくれないかというようなところから始まったのですけれども、うちの職員を含めて、離乳食を始めるのは保育所に通っている子どもは保育所主導型になっているというような形になっています。そして、毎日保育所では離乳食なども展示することによって、お母さんがこんなものを食べているんだ、おうちでもこんなものを食べさせて、このぐらいの量なんだというようなことを伝えたりしております。
 それから、乳幼児に多いアレルギーの対応についてですが、特に小さいお子さんは、まだ胃壁などがしっかりしていないので、卵のアレルギーが多かったり、それから、最近のアレルギーでは、やはりアナフィラキシーとか、重篤なものもありますので、給食をしなければいけない保育所では現在では相当の対応をしております。事故のないように、どのような工夫をすればいいのか。食器を変えてみたりとか、子どもの席をどういうふうにしたらいいのか、親との連携はどうしたらいいか、お医者さんの見解をどのように親からまた伝えてもらったらいいか、特に保育所の場合は保護者の方が忙しいですから、随時情報を共有するというところを努力していかないと難しいというようなことがあります。そのために健康・安全などの整合を図ることと、今の保育所保育指針以上の充実ができていただければと思います。
 それから、2番目にやはり子育て支援の充実ということが、保育所ではまだ努力義務ではあるのですけれども、幼保連携型認定こども園は、子どもの学校教育・保育のほかに地域の子育て支援が義務付けられています。それなので、保育所保育以上に地域の子育て支援についての内容の充実が必要であると思われます。現在は家庭にいるお子さんたちがおうちに遊びに行くということが余りなくなったのです。今までは何とかちゃんのうちに親子共々遊びに行ってということだったのですけれども、広場とか子育て支援拠点のようなところに集まる。あと、それから、デパートなどの子どもの施設のところに集まって、変な話、冷暖房費もただになるみたいなところで集まることが多くなってきました。子育て拠点では友達同士が反対に、グループがそこで集まるなどというようなこともあるようです。
 保育所やこれからの認定こども園では、一番大きな支援のできるところは子どもがそこにいるということだと思うんです。子ども自身の育ちというものを見ていただける。そして、3歳未満、おうちで過ごすのに、どんなふうに保育所の子どもは過ごしているんだろうということを今現在も見ていただいて、あ、こんなことができるんだったらうちでもやってみようかというようなことをしております。
 現在、本当に子育てが多様化していまして、例えばおむつはいつまですればいいのかというのが分からない状態になっています。幼稚園でも紙おむつはしていっていいというふうにしないと、入園者がいなくなるという時代もありました。私どもの方で排せつの自立ということでのお話をすると、そのお部屋がいっぱいになってお断りするぐらいの人数の方が集まって、これほど関心があるんだというふうに思いました。
 いろいろなことがお母様たちのストレスにならないように、そんなに頑張らなくてもいいのです、もうちょっと楽にやっていいです。それは頑張っていたから言っていたことだったのですけれども、頑張る前に今言われてしまうということがあって、どこが頑張りようか分からない。子どもの育ちがどこのところでやることがもう分かっているのかが分からないというような状態があったりしますので、そういうところも伝えていけるような子育て支援をしていければというふうに思います。
 一時私たちも保護者支援と言うと、お母さんやお父様方の肩代わりをするというような支援をしなければいけないというふうに感じていたこともあったのですが、今はそうではなくて、教育基本法にも家庭教育の大切さがうたわれていて、家庭の教育力の向上を図る上でも家庭教育支援、子どもたちが家庭で育つために支援するというような言葉で記述された方が良いのか。そういう誤解が生じないのかというふうに思います。今のお母様たちは、自分が、我が子が生まれたときに初めて赤ちゃんを見るという方も多く、今プレママ、プレパパスクールなどでもちょっと先輩の、赤ちゃんが生まれた方も一緒に来ていただいて、ちょっと見てみるとか、子育て支援などもということになっています。
 3番目として保育時間が異なる1号認定の子ども、2号認定の子ども、3号認定の子どもに対する学校教育・保育における配慮を求めるということで、やはりこの時間がいろいろなお子さん、それから、集団保育に入る時期が異なるお子様たちへの配慮ということがやはりこの場ではこれからはとても大事になるのかというふうに思います。そして、集団保育だけではなくて、家庭の状況によっても個別配慮が必要になるお子さんもいらっしゃると思います。やはり虐待とか家庭のDVなどもありますので、そういうようなことからも幼保連携型も受け入れていくということが大事なのかと思います。
 それと、障害児及び特別な配慮を必要とする子どもの入園は今後も増加することが考えられますので、これらの乳幼児の学校教育・保育についての記述を求めます。特に0歳児から預かっていると、おうちでは気付かないで集団の中で気が付くということが多く、集団の中で気が付いていてもおうちではそんなことは分からないという状態が多いので、保護者との連携を取るためのものも必要なのかというふうに考えます。
 3歳未満児の保育と、特に教育面と3歳以上児の学校教育の連続についての記述も求めます。幼保連携型認定こども園の3歳未満児と3歳以上児との発達の連続性、特に3歳未満児の保育には育児支援も含めてと思います。
 それから、小学校教育との円滑な継続について。それから、幼稚園教育要領及び保育所保育指針との整合性。保育所保育指針は一生懸命考えられて、私たちもそれを指針として行っているので、是非それを参考にしていただきたいということがあります。それから、食育に関してもたくさんそこでも触れられておりますが、大事だと思いますし、栄養士の必置ということもこれからは考えていただければというふうに思います。
 そのほかに一つだけ。今就園前の健康診断というものが義務付けられていません。以前はやっていただいていることもあったんですけれども、それでいろいろなことが漏れてしまうことが多いので、これを義務付けていただきたいということです。
○無藤座長
 ありがとうございました。それでは、今の御説明につきまして御質問等お願いします。
○小枝委員
 どうもありがとうございました。大変勉強になりました。特に2番目の子育て支援の充実を求めるというところで、保護者の方にしつけとか、身辺自立のそういう、おしめを取るようなそういう講習というか、そういったようなものをすると大変たくさんおいでになるというお話がございましたけれども、それはおしめの話だけではなくて、それ以外のしつけとかについて、例えば保育所の方からそういう教室のようなものを開くと、保護者の反応というのはかなり良いものなのでしょうか。その辺ちょっと教えてください。
○森田委員
 そうですね。広場というものをやっていまして、1年間を通した講座というものも10年以上行っています。それは講座なので定員制にしていますけれども、本当に希望のときは並ぶこともあるようなぐらい入りたいという方がいて、1年を限りにしてくださいというようなことがあります。あと、講座というのを募集しますと、非常に多くの方が、着脱のこととか、それから、食事の、離乳食をそれこそ一緒に作ろうだとか、そういうような講座にはたくさんの方が希望されていらっしゃっています。
○無藤座長
 ありがとうございました。ほかに。では、秋田委員、どうぞ。
○秋田委員
 今時間がなくて十分お話を伺えなかったところです。幼稚園教育要領にあって、保育所保育指針にない「指導」という言葉について意識に差があることをお書きくださっているのですけれども、今後保育要領を作るに当たってどのような在り方が望ましいとお考えかをもう少しこのあたり、お聞かせいただけると有り難いと思います。
○森田委員
 変な話、保育所は指導という言葉を使うにおこがましいというか、援助という言葉を今までも多く使っておりました。でも、ここで幼保連携型が一緒になるということで話をしたときに、やはり教育基本法には指導という言葉があり、それも必要なのではないかというふうに思いました。
○無藤座長
 ありがとうございます。では、最後です。お願いします。
○寺田委員
 先ほどお話しいただいた中に、プレママ・パパ体験ですか、プレママ・パパ保育のその効果と、それから子育て支援の視点の効果と、さらに、3歳未満児の保育の中の充実ということ、そこを絡めて認定こども園に対する御提案のようなものが多分おありかと思うんですが、そこをお話しいただけたらと思います。
○森田委員
 認定こども園に入ってくる3歳以上のお子さんというのが、3歳未満のときにはおうちにいらっしゃるわけです。そこにいる子どもたちの支援ということがやはり大きな育児支援になると思います。それで、例えば今中学、高校ぐらいの多感な思春期の時期に子育て支援の場に訪れて、子どもたちと、それからお母さんと子どもが過ごしているような状態を見るとか。それから、プレパパ・プレママスクールのようなところで先を見越した、少し見通しの立つような子育てをするお手伝いということが今必要なのではないかというふうに思っています。その中に、子どもが過ごす、子どものことがよく理解できる施設の中でやるということにまた意義があるのかというふうに思っております。
○無藤座長
 ありがとうございました。どうも今日はありがとうございました。
 それでは、次の御発表をお願いします。社会福祉法人全国社会福祉協議会全国保育協議会の上村副会長でございます。よろしくお願いします。
○上村副会長
 ありがとうございます。全国保育協議会副会長、そして、全国保育士会会長の上村でございます。本日は、このような機会を頂きましてありがとうございます。
 それでは、私の発表は、皆様のお手元の資料の19ページから意見書を出させていただいております。ここにございますように、全体を通じた目標を設定する観点から。それから、幼稚園教育要領及び保育所保育指針との整合性の観点から。そして、3番目に幼保連携型認定こども園の固有の配慮事項の観点から。そして、その他事項として意見を集約させていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、全体を通じて目標を設定する観点からということで、乳幼児期の教育・保育の基本に関すること。私たちは、新幼保連携型認定こども園は児童福祉施設と学校の位置付けを併せ持つと規定されておりますことを認識しております。現在の保育所保育指針と幼稚園教育要領の双方に保育が位置付けられており、そこに「子」と書いてありますが、子どもの生命の保持と情緒の安定を保障する養護と心身の健全な成長・発達を助長する教育とが一体となった働きかけであるということは、学校教育法の第22条も含めて明らかになっているところでございます。園における子どもの生活では、養護的な側面と教育的な側面と1日を通じて不可分・不分離のひとつながりであり、保育がベースであると認識しております。
 上記のことから、現行の保育所保育指針を基本としながら教育課程を内包した保育課程の編成を含む幼保連携型認定こども園保育要領(仮称)が制定されることが重要です。保育所保育指針を基本とすること、最初の行にも書いてありますが、これらを重要だと考えております。
 2番目に、生まれ育つ場所によって、地域性や独自性・創意工夫の下に、子どもにとって不利益が生じないように。これは総則の中に保育の原理、保育の目標・方法、そして、ここには書いてありませんが、この新たな幼保連携型認定こども園保育要領の中に社会的役割、それから責任といったことも明記することが必要だと思っております。
 3番目に、誕生から就学前までの子どもの心身の発達過程と保育の目標を具体化したねらいと、それを達成するための内容を明記し、新幼保連携型認定こども園における教育的な側面がいわゆる早期教育の偏重に陥ることがないようにすることが必要だと思っております。
 4番目に、保育所保育指針及び幼稚園教育要領両方に生きる力の基礎を培うことを目標として書いてございます。そして、環境を通して行うとしております。目指すところは本質的に同様でございます。基本指針との整合性が十分に図られることが必要だと考えております。
 次に、幼稚園教育要領及び保育所保育指針との整合性の観点から養護に関すること。0歳から就学前までの子どもにとって、生命の保持及び情緒の安定を図るために保育士等が行う援助的かかわりである養護が特に大切であり、保育所保育指針でもそのことに触れています。このことを踏まえ、保育のねらい・内容と併せ、養護と教育、そして、それらが一体となった保育。一体が大切ですが、一体となった保育について明記することが必要です。
 発達や遊びの連続性に関すること。社会全体で子育てを行うという観点から、家庭はもちろん小学校や地域社会との連携は大変重要です。こうした家庭や地域の機関との連携について記載されることが必要でございます。次に、子どもの発達の連続性を確保するために、保育所における保育所児童保育要録と同様の内容が記載されたもの、育ちを支えるための資料でございますが、これを通じて一人一人の子どもの成育歴や留意すべき事項が小学校に引き継がれる。そして、それに基づき、小学校が必要な配慮等を行う体制の確立が必要です。
 途中入所で入ってくるお子さんもありますが、家庭でどう保育されたか、それらも含め、発達の連続性ということを大切にしていただきたいと思っております。
 次に、特別な支援を必要とする子どもの保育に関すること。また、特別な支援を必要とする子どもがいる保育に関することとし、保育所保育指針では、障害のある子どもの保育について一人一人の発達過程や障害等の状態を把握し、安心して生活できる適切な保育環境となるよう十分な配慮が必要であるとしております。また、子どもとのかかわりにおいては、一人一人の子どもに応じたかかわりと、集団の中の一員としてのかかわりを、統合保育等も含めてでございますが、大事にしながら保育を展開していくことが重要であると思っております。新幼保連携型認定こども園においてもこうした配慮を行うことを明記することが必要です。ここにおいては、障害児ということで例を挙げておりますが、被虐待児、そしてそのまた家庭支援、それらの家庭支援ということも含めて考えていかなければいけないことだと思っております。
 それから、健康・安全に関すること、食育に関することとし、衛生・健康・安全・食育は密接な関連性を持っております。これらの事項についても明記していただくということが必要です。特に食育は保育の5領域との関連性が深く、保育の柱でもあります。食育基本法の理念も踏まえ、全ての子どもに食育を行うということが重要です。残念ながら、例えば今アレルギーを持っているお子さんについても、事故の報告等々、皆様方も耳にされていると思います。これは食を作るだけではない、それでアレルギー対応が終わるというわけではありません。小さな子どもはお隣の子どものお皿からぱっと食べることもあるわけです。この食を提供するということにも私たちは配慮していかなければいけない。作るだけで完結ではなく、提供するまでが対応だと考えております。
 それから、保護者支援も含めた子育て支援に関すること。保護者への支援と協働、地域の子育て支援などの子ども家庭福祉の役割を明記することが必要です。個別の配慮が必要な子どもが増えています。11時間を超えて長時間の保育も増えてきています。一人一人の子どもの発達と生活を大切にしながら保護者と保育者が一緒になって生活と育みのデザインができるように、全ての子どもに個別計画を策定するということが必要だと思っています。
 それから、幼保連携型認定こども園の固有の配慮事項の観点から、認定こども園の特性に関すること。先ほどから出ております、いわゆる今後は支給認定において1号、2号、3号認定ということになります。生活時間が異なる子どもが存在することとなります。そのことで子どもへの影響が出ないよう、教育課程を内包した保育課程、集団の形成等について配慮することが必要です。ここには、ただ、子どもの心情というものをしっかりと考えていただいた保育の計画をどう作るかということも大切だと思っています。
 それから、入園時期の違いによる指導体制、保育体制。これもここに記述のとおり、職員間の共通理解が図られる体制を取ることができるようにすることが必要であると思っています。
 それから、その他の事項で、この認定こども園の特性や保育教諭の役割について、保育者だけでなく、保護者や社会が理解しやすい内容・表現とすることが必要です。これは社会にしっかり発信していただきたいし、保育所保育指針では保育士の役割や専門性が書いてあります。どうぞ保育教諭の役割ということもしっかりと考えて明記していただければと思っています。
 それから、保育所保育指針では一人一人と何度も出てまいります。この一人一人の意味をしっかりと、どういうことなのか、その背景も考えていただきたいということでございます。
 時間になりましたが、3番目にその評価ということも、ここに書いてございますように、整合性を図っていただきたい。今議論されていることの整合性です。
 4番目に、これを周知していただく。保育所保育指針のときも解説書等々で学ぶ機会をたくさん頂きました。併せてこの幼保連携型認定こども園保育要領でも周知と理解促進のための研修会の実施、研修をできる体制作りをお願いしたいと思います。
 以上です。ありがとうございました。
○無藤座長
 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明を受けまして、御質問等お願いいたします。
○榎沢委員
 丁寧に御説明ありがとうございました。実は、今の御発表だけではなくて、その前の方、それから、国公立幼稚園長会の荒木先生のお話にも関心持って聞いていました。特に保育所の場合には子育て支援ということが随分前から保育所保育指針に入っていて、力を入れていらっしゃると思います。ところが、幼稚園には今は子育て支援が入っていますが、特に子育て支援という形で保育者と保護者がかかわるよりも、PTAという組織でのかかわりが中心だったと思います。
 幼稚園では、PTAという組織で保育者と保護者がかかわります。一方、保育所にはPTAがありませんが、子育て支援という形で保育者と保護者がかかわります。PTAのかかわりと子育て支援のかかわりでは、両者のスタンスに違いがあるのではないかと思います。
 実際に子育て支援等やっていらっしゃると、いろいろな問題があると思います。今の御発表の中でも、保護者への支援と協働という言葉がありました。保護者との協働が今の子育て支援の取組の中でどれだけ可能になっていると思われるのか。それとも子育て支援という言葉を使うと、どうしてもこういう関係にならざるを得ないというようなことがあるとすれば、その辺のところを話していただければ有り難いです。と言うのは、つまり家庭と園との関係作りを考えることが必要ではないかと思うので、現状の子育て支援の取組の中で感じている園と保護者、あるいは保育者と保護者の関係をお聞かせいただければと思います。
○上村副会長
 ありがとうございます。これは保育所だけで子どもを育てるということではないと私たちは日頃の保育の中で思っているところでございます。1人の子どもを真ん中に置いて、保護者と保育者、また、保育所が一緒になって、この子どもを将来小学校につなげるときに、長時間の保育の子どももいらっしゃいますし、この子どもを中心にどういった生活のデザインをしていくのかということを一緒に考えていくということを大切にしています。
 ですから、学校に上げる保育要録の中でも私たちは共に考え、一つの行事にしてもお父さんやお母さんたちに協力を求めながら、地域に根ざしたということを非常に大切に考えております。そして、この子は何歳何か月だからどうだという発達ではありません。そのお子さんの発達の連続ということも親と共有しながら育てていくということは大変大切ですし、実際にどこの保育所でもやっていらっしゃることではないかと思います。
○無藤座長
 ありがとうございます。念のために申し上げますけれども、幼稚園教育要領の最後には、保護者の子育ての支援と明記されています。
○榎沢委員
 ありますね。それは知っています。
○無藤座長
 ただ、保育所保育指針の場合には、それが地域のということで、保護者等ですから、もう少し広がっているという違いかと思いました。念のために。
 ほかに御質問いかがでしょうか。
○上林委員
 1点お願いします。三つ目の誕生から就学までの子どもの心身の発達過程と保育の目標を具体化したねらいと、それを達成するための内容を明記するということで御意見を書いていただいているところです。発達の過程を単純な理解ではなくて、その過程というのを大切にしながら、その時期その時期に大切にしなければならないことをきちんと踏まえた形で示していくためには、どのように表現していくというか、示していくことが、例えば保育者の方々にとっては、分かりやすいものになっていくのか。
 それと、保護者の方が見たときにはどうなのかということについてお考えをお聞かせいただけたらと思います。よろしくお願いします。
○上村副会長
 ありがとうございます。現保育所保育指針がおおむねという形でその発達過程が示されております。これは保護者が見ても、一緒にその子の発達が今どこまでどう来ているということ、次はどうつなげていくのかということ、私たちは一人一人の個別計画を立てるときにも共に話し合って、いつ見ていただいてもいいように、また、園によっては一緒にそれを聞き取りをした中で、それをきちんと書き込んでいくというようなことを行っておりますので、是非この幼保連携型認定こども園においてもそういったものを基本として作っていただければいいと思っております。今の保育所保育指針を基本にしていただくと、そういったことも御理解いただけるのではないかと思っております。よろしくお願いいたします。
○無藤座長
 ありがとうございました。それでは、ここまでにさせていただきます。どうもありがとうございました。
 それでは、最後になるのですけれども、公益社団法人全国私立保育園連盟の藤森保育・子育て総合研究機構代表、よろしくお願いいたします。
○藤森代表
 藤森です。よろしくお願いします。
 皆さんは毎回こういう御審議をされて大変だと思います。こども指針のワーキングチームに入っているときも、なかなか意見が言えなくて、今回も10分しかないと言われたときに、委員でいるよりはたくさん言えるのではないかと言ったのですけれども。少し考えをお話ししたいと思います。
 まず、保育所という現場にいまして、保育所に今規制緩和が起きています。いろいろなところが起きているんですけれども、私は、規制緩和をするのであれば、もう少しきちんとした大綱化ではないカリキュラムというものを提示しておかないと、建学の精神とか、それから、独自性を重んじるということは分かるのですけれども、それだけで大綱化してしまうと、規制緩和が起きてしまうと、どうしても心配なことが多いので、解説書だけではなく、もう少し中にきちんと盛り込むべきこと、大事にしたいものを書いてほしいという思いでいます。
 それをどういうふうに書くかというと、これは今各国がいろいろな自国のカリキュラムを作っている中で、もう少し日本において、大きな意味で、日本人は一体どこから来たのか、どういうルーツで日本人が生まれて、民俗学的に日本人はどういう子育てをしてきたのか、そういうもっと広い視野から日本のきちんとした保育要領を議論していただければ。ちょっと時間がないので、なかなか難しいかと思うんですけれども、そういうことを感じています。これからのこともありますので、最近の研究はいろいろな研究がされていますので、是非その広い意味から考えてもらえればと思っています。
 その一つに、この子どもの権利条約を日本が批准したということを私はとても誇らしく思っています。それをもう少し具体的に、これを批准したということに対して、その中に盛り込んでほしい。子どもという権利をきちんと盛り込んでほしいということがまず一つあります。
 それから、よくこども園が学校教育法に入るということも議論されますけれども、私は学校教育法に入るとか入らないよりも、教育基本法の中にきちんと位置付けられるというのは評価すべきだと思うのです。ということは、教育基本法の教育の目的、私が提出した資料の23ページなのですけれども、教育基本法の目的には、まず一つが人格の完成です。もう一つが平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えていく。この社会の形成者としての資質を備えるという観点は非常に重要だと思います。ということは、もともと私たちの先祖であるホモサピエンスはあらゆるヒト属の中で、生存戦略を取った中で社会を構成して生き延びてきたヒト属なのです。ということは、社会があって、それから、社会の中で学んでいくヒト属であったということを踏まえたときに、社会の形成者としての状況、それが今の社会の中では非常に欠けてきている。少子化を含めて子どもたちが社会の中で生きていく学びが足りない中で、こういう施設での保育というのが非常に重視されてくるのではないかと思っていますので、そういう観点で考えてほしいと思っています。
 そのためにまず、今どういう状況でいるか。これが、過去のいろいろな方がいろいろなことで指針を作られてきましたけれども、大きく最近の社会の変化があると思います。これをまずきちんと踏まえて、まず一つが、これから知識偏重社会から変わってくるであろうということ。それから少子化である。高齢化であるということに対して、では、施設ではどういうふうに役目があるのか。それから、多様な文化が入ってくる。そういう中でどういうふうに子どもたちを育てるべきか。それから、これから産業とか市場はどういう人材を求めてき始めるのかということ。それから、いわゆるパソコンとかができたので、そういう中でどんな環境が多様化してくるか。そういう中で子どもたちがどんな学びをしていくのか。それから、子どもたちの成長過程において、家族の履歴が様々になってくる、多様になってくる。この多様な人たちを受け入れる。これは、保育所とか幼稚園よりもこども園というのはもっと多様化してくる。そういうことを踏まえた中で共通のものを考えていくべきだろう。
 そういう中で、どうも最近子どもによっていろいろな姿が変化し始めている。その大きなものが、ここでまた改めて、今年度ニートが非常に増えたというニュースもありますけれども、不登校とか引きこもりとか現代うつ病という、最近企業などで悩みなのですけれども。それから、最近の陰湿ないじめです。これらが増えてきている中で、どういうことに原因があるのかということを考えてほしいと思っています。それを考えたときに、先ほど話したように、人類は、私たちは社会を構成し、人とかかわる中で生存戦略を取ってきた。同じヒト属の中でホモサピエンスは人とかかわる中、そして、それを社会の中で協力するとか、社会の中でいろいろなことを学ぶ、社会的参照とか、そういう能力を持って脳を大きくしてきた人たちであるということをまず踏まえないと、一人一人が一人一人の力を蓄え、体力を整えてきた、例えばネアンデルタール人などは滅びてしまっているのです。それに対して私たちは何で生きてきたのかということを踏まえること。
 それから、民俗学的に考えたときに、私たちはどんな子育てを長い間してきたのか。それをもう一度見直す。これは最近の著書でも子育てに関して伝統的社会をもう1回見直そう、そういう動きがある中で、では、日本はどんな子育てをしてきたのかということを見直してほしいと思っています。
 それからもう一つが、今度違う観点なのですけれども、最近いろいろなことが発見されている脳科学の問題なのです。これはかなり大きな、遺伝子の発見より、DNAの発見より大きいと言われているのが、一つが1970年代にニューロンとシナプスは生まれて数年がピークである。あとは減っていくのみ。過去の、白紙で生まれ、そこに絵を描いていくことが育児ではなくて、子ども、赤ちゃんは生まれながら持ってくる能力をどう必要なものを残していくかという育児論に変わってきたこと。それから、今度は1990年代に分かった、発見されたミラーニューロンというかかわる力が必要な脳。
 こういうものをもっときちんと考えていくと、時間がないので飛ばしますけれども、そこに書かれているのは、最近の脳科学で言うと、乳児から子ども同士がかかわっている。そして、そのかかわる中から学んでいるということがいろいろな分野から分かってきて、これこそが人の力である。その乳児からかかわる力の環境が今なくなってきているということが非常に大きいと思っています。
 そういう中で、時間が短いし、いろいろ言えないので、最後のページなのですけれども、はっきり提案することをまとめてみました。一つは、子どもの権利条約を含めて、0歳から教育される権利がある。きちんと生まれながら登録されると権利条約に書かれているように、子どもは0歳から一つの人権を持った人として育てられていかないといけないのではないか。それから、二つ目は、子ども同士のかかわり。例えば、幼稚園教育要領です。1番目には主体的な生活、2番目は自発的な遊び、3番目が一人一人の特性と書かれていますけれども、これを項目立てで4番目として、子ども同士のかかわりの重視です。これをきちんと挙げてほしいと思っています。
 それから、三つ目は、先ほどのいろいろな脳科学とかいろいろな発見から分かっているのは、乳児からの育ちが非常に重要であるということで、幼小連携という幼児教育と小学校教育との連携をうたっていますけれども、私は、こども園に関しては乳幼連携という乳児と幼児の連携をきちんと丁寧にすべきだということを是非書き込んでほしいと思っています。そこをどうつないでいくかということが大事だと思っています。
 時間なので、意見、発表としてはそういうことですが、あとは御質問を受けます。ありがとうございました。
○無藤座長
 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明につきましての御質問等をよろしくお願いいたします。
○岡村委員
 貴重な御提言ありがとうございます。先生から私も、昔から何度も講演を伺いながら、保育をデザインするというふうなことを始め、いろいろなことを学ばせていただきましたが、今の御提言の内容は本当に心から賛同いたします。
 私も最初に子どもの権利条約を前提にということを申し上げてきましたが、本当に子どもの育ちが危ないという危機感の中でもう一度見直さなければならないものがたくさんあるというふうに思います。
 私から一つだけ質問させていただきたいのは、最後の提言の3番目に、乳児からの発達の連続性、そして、乳幼連携ということを先生はここで書いてくださったのですが、新しい幼保連携型認定こども園は、乳幼、0歳から6歳までの連続したというふうなことと一緒に、そのつなぎ目ということと同時に、家庭と施設のつなぎ目であるとか、あるいは小規模保育施設、地域型保育給付の対象になると思うのですが、そういう施設のバックアップ施設にもなるということの中では、施設と施設の連携というふうなことも具体的な事柄になってくるんだろうというふうに思います。
 その場合に、そういう小規模の施設では保育所保育指針を使って保育に当たるのか、どういう形になっていくのか、私は少しイメージが描き切れていないのですが、そういう施設と施設との連携であるとか、家庭と施設との連携であるとかというふうなことの中で先生はどんなイメージ、デザインをお考えでしょうか。
○藤森代表
 施設連携というとよく施設同士が仲良くなるとか、施設同士が行き来するということがあるのですけれども、これは幼少連携でも関係するのですが、私は、きちんと発達の連携、どういう育ちをしてきたかということを踏まえて、では、それに続いてどういうふうにしていこうか。これが今割と形骸化されている保育要録にも関係するのですけれども、もう少し発達をつないでいくという考え方を入れていかないと、ただ施設が仲良くなるのではなくて。
 ですから、様々な育ちの中の子どもを3歳から受け入れるときに、それまでの育ちがどうであるかということを踏まえて、必ずしも3歳だからこうするのではなくて、その子たちが今どこまで育ってきたから、ここでこうするという。そういうきちんとしたつなぎを大切にしようということをうたってほしいと思っています。
 特に3歳以上ということが定義付けられている施設ですので、そこのところのつなぎ方をもう少しきちんとと思っているのですけれども。
○無藤座長
 ありがとうございます。ほかに御質問いかがですか。
 では、ここまでにさせていただきます。
○藤森代表
 ありがとうございました。
○無藤座長
 どうもありがとうございました。
 ここまでで八つというヒアリングの今日の予定は終了いたしました。ヒアリングに御協力いただいた皆様、ありがとうございました。ヒアリング団体の皆様につきましては、貴重な御意見を頂戴しまして、本当に改めて御礼を申し上げます。今後の更なる審議に活用させていただく所存でございます。
 それでは、最後のところになるのですが、事務局より書面による意見があるということですので、御紹介をお願いいたします。
○林幼児教育企画官
 資料3を御覧いただければと思います。今日は今御発表いただきました八つの団体様以外に、表紙にありますように、一般社団法人全国保育士養成協議会、一般社団法人日本保育園保健協議会、それと、保育園を考える親の会の3団体から御意見を頂戴しております。もう時間も余りありませんが、簡単に私から御紹介したいと思います。
 おめくりいただきまして、一つ目が、全国保育士養成協議会からの御意見です。基本的にはこれは保育教諭の専門性という観点から幾つか御意見を頂いていますが、一つ目が、保護者支援、地域における子育て支援を行うために保育教諭の専門性の確保・維持、質の向上のための研修が重要であるというようなことを書いていただいております。二つ目、その他としては、全ての子どもに対する、これは障害児あるいは養護が必要なお子さんも含め、保育・教育目標を明確にするということ。それと、二つ目としては、子どもの成長発達保障の視点が重要であるということ。
 おめくりいただきまして、3歳未満児の保育の重要性と保育教諭の役割、その他、特別な支援の必要な子ども、健康・安全の関係、食育、危機管理などの明記することについて御意見を頂いております。評価、保育・教育の質の向上についても御意見を頂いております。
 二つ目の団体が日本保育園保健協議会から御意見を頂いております。これは保育所を中心とした保健という観点から御意見を頂いております。
 現状等々ありますが、御提言として、課題としては、保健室が必要でありますとか、園に看護師等の常駐が必要であるとか、あるいは、地域の専門職などの支援体制が必要であるということが挙げられております。具体的に幼保連携型こども園の保育要領に望むこととしては、職員配置、看護師・栄養士の話でありますとか、保健室の配置の話。地域の専門職などを含めた支援体制の確保、整備の話。子どもの権利の関係。あと、健康管理体制の強化ということで、健康管理台帳の標準化などの御提言を頂いております。
 おめくりいただきまして、三つ目の団体。保育園を考える親の会から頂いている御意見です。一つ目は、生活の場としての役割を充実させるということ。そして、1日をそこで過ごすお子さんと就労家庭が必要とする支援をきちんと配慮するということで、そういったお子さんが過ごす場所であるということを踏まえた内容にしてほしいということが大きく1点目に書かれてございます。
 おめくりいただきまして、二つ目としては、児童福祉施設としての使命を明確にするということで、多様な育ち、家庭の状況を受け入れる社会的責任を明記することということをうたわれております。三つ目としては、教育と保育の言葉遣い、用語についての御意見を頂いております。四つ目としては、保育所保育指針第2章ということで、乳幼児の発達観・過程を書いているところでございますが、この活用をすべきという御意見を頂いております。
 簡単でございますけれども、私から概略を紹介いたしましたので、後ほど委員各位でお読みいただければと思っております。
 以上です。
○無藤座長
 ありがとうございました。
 それでは、最後ですけれども、次回以降の日程について事務局より御説明をお願いいたします。
○林幼児教育企画官
 日程関係、資料6をお手元に御用意いただければと思います。次回につきましては、11月15日金曜日の、時間帯としては10時からを予定しております。議題につきましては、これは前回もお話しさせていただいたと思いますけれども、第1回・第2回でいろいろ御意見を頂きました。また、書面でもその後御意見を頂きました。ありがとうございました。その御議論の内容。そして、今日頂きましたヒアリングあるいは書面の意見提出等々を踏まえまして、事務局として取りまとめの案をお出しいたしまして、それについて御議論いただければというふうに考えております。
 その後、11月15日の御議論を踏まえて、来年1月ぐらいには報告、この会議としての取りまとめをさせていただければというふうに思っております。前回も申し上げましたとおり、今年度中には、保育要領、仮称でございますが、最終的な形でお示しする必要があるかと考えておりますので、御協力いただければと思います。また、この会議の検討状況につきましては、子ども・子育て会議、中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会、あるいは社会保障審議会児童部会に随時報告させていただくことを御報告させていただきます。
 その上で、今日は時間の関係で御議論いただく時間がありませんが、資料4と5です。資料4につきましては、これまで頂きました御意見をまとめさせていただいたものでございます。御覧いただきたいと思います。これらを踏まえまして、資料5でございますけれども、これまで頂いた意見を踏まえて、幼保連携型認定こども園の保育要領に盛り込むことを検討する必要があるというふうに考える事項、これは項目だけでございますけれども、かつ、今日のヒアリングは踏まえておりませんので、前回までの御意見を踏まえまして、一応項目出しをしております。ここに書いたように、大きく全体を通じた目標を設定する観点から、乳幼児期の教育・保育の基本に関すること。あるいは、幼稚園教育要領と保育所保育指針の整合性の観点からということで、養護に関すること、発達や学びの連続性に関すること、乳児保育や3歳未満児保育に関すること、特別な支援を必要とする子どもの保育に関すること、特別な支援を必要とする子どもがいる保育に関すること、健康・安全に関すること、食育に関すること、虐待防止も含めた危機管理に関すること、保護者支援も含めた子育て支援に関すること、家庭や地域との連携に関すること、保育者の資質向上に関すること、5領域(健康・人間関係・環境・言葉・表現)のねらい・内容等に関すること、指導計画等の作成に関すること。こういったものが必要ではないかと思っております。
 また、幼保連携型認定こども園の固有の配慮事項という観点から、認定こども園の特性に関すること、教育・保育の継続性に関すること、1日の生活リズムに関すること、保育時間の長さによる園内や家庭での経験の違いに関すること、入園時期の違いによる指導体制・保育体制に関すること、長時間・短時間双方の保護者との連携に関すること。こういったことは必要ではないかと思っておりますが、これらも踏まえまして、また事務局で案を作っていきたいと思いますが、今日はちょっとこれらについて御議論いただく時間がございません。恐縮でございますけれども、これらについて、更に盛り込むべき事項でありますとか、あるいは、個別具体的に御意見等々ございましたら、文書で御意見を事務局にお寄せいただければというように思っております。
 先ほど申し上げましたように、次回、11月15日に向けて、頂いた御意見を踏まえて事務局として案を作りたいと考えておりますので、大変恐縮ですが、10月11日の金曜日までをめどに事務局である文部科学省幼児教育課あるいは厚生労働省の保育課まで御提出いただければというように考えておりますので、よろしくお願いいたします。
○無藤座長
 ありがとうございます。特に最後のところ、10月11日までにというお願いについてよろしくお願いいたします。
 私のような立場で言うのは何ですけれども、今もう9月もそろそろ終わりになっていくのですけれども、当初の予定どおり3月告示ということですから、そのことを念頭に置いて、今の段階でヒアリングして、まだ漠然とした段階なわけです。相当後半の作業はてきぱきやらなければいけないという意味で、本来十分審議を重ねてということであろうと思いますけれども、それだけのことをこの会議場でやる時間は多分十分には取れませんので、論点について十分お出しいただきたいと思います。そういう意味で、書面での提出等よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、本日はここまでとさせていただきます。どうもありがとうございました。


(了)

雇用均等・児童家庭局保育課
03-5253-1111(内線:7919,7918)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(児童部会認定こども園保育専門委員会)> 児童部会認定こども園保育専門委員会(第3回)(2013年9月27日)

ページの先頭へ戻る