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2013年11月26日 第4回 地域の就労支援の在り方に関する研究会(第2次)

職業安定局高齢・障害者雇用対策部障害者雇用対策課

○日時

平成25年11月26日(火) 14:00~16:00


○場所

厚生労働省共用第8会議室(19階)


○出席者

【委員】

松爲座長、井口委員、石原委員、岡元委員、小川委員、金塚委員、菊池委員、眞保委員、鈴木委員、清家委員、高井委員、玉栄委員、中川委員、成澤委員

【事務局】

内田高齢・障害者雇用対策部長、藤枝障害者雇用対策課長、金田地域就労支援室長、松永調査官、新井地域就労支援室長補佐、近藤地域就労支援室長補佐、竹中地域就労支援室長補佐

○議題

1. 総論について
2. ジョブコーチの在り方について
3. その他

○議事

○松爲座長 

それでは定刻になりましたので、ただいまから、第 4 回「地域の就労支援の在り方に関する研究会」を開催します。カメラをお持ちの方は退席をお願いします。御協力のほど、よろしくお願いいたします。

 本日は全ての委員が出席ということで初めてのことになります。ただ、中川委員は少し遅れるということです。中川委員は初回の出席になりますので、来た段階で、皆様に挨拶をしてもらいたいと思います。また、前回同様に発言をされるときには手を挙げて名前を言っていただき、それから発言するという、この手順をそのまま継統し踏んでいきたいと思います。

 今、中川委員がお見えになりました。早速ですが、自己紹介を簡単にお願いいたします。

 

○中川委員 

遅くなりました。田園調布学園大学の中川と申します。今回から参加させていただくことになります。どうぞ、よろしくお願いいたします。

 

○松爲座長 

よろしくお願いいたします。それでは、本来の議題に入りたいと思います。本日は 2 つあります。報告書の作成に当たる第 1 回目になります。まず 1 つは「総論について」、 2 つ目は「ジョブコーチの在り方について」ということで議論を進めていきたいと思います。それでは、事務局から、議題 1 の「総論について」、資料の説明をお願いします。

 

○近藤地域就労支援室長補佐 

地域就労支援室の近藤でございます。よろしくお願いいたします。

 まず資料の説明に先立ち、机上の資料についてですが、先般、平成 25 年障害者雇用状況の集計結果が公表されましたので、御報告まで、机上に配布しておりますので、御査収ください。また、岡元委員から、 ( ) きものブレインの障害者雇用に関する取組状況等を委員の皆様に、御参考までに御提供いただいております。併せて机上に配布しております。

 それでは、資料について、御説明させていただきます。

 皆様にこれまでヒアリングを含め 3 回御議論いただき、たくさんの貴重な御意見を頂きました。頂いた御意見等については、参考 1 に、第 1 回で議論した論点に分けて記載しておりますので、適宜、御確認ください。

 資料の 1 ページ目、総論についてです。今回の研究会の背景ですが、今年度の法改正により、法定雇用率の算定基礎に精神障害者を参入することが決まったことから、今後、精神障害者の雇用が進む中、精神障害者への対応能力の向上が必要であること、また、精神障害者を含め障害者雇用が進むにつれ、定着支援の充実が必要であることです。これらを前提として、総論の論点は、地域の就労支援機関の役割、その中で、特に、ジョブコーチと障害者就業・生活支援センターをどのように位置付けていくべきかです。

 これに関連する御意見ですが、参考 1 から見ていただくのは大変ですので、資料に幾つかまとめております。

 まず、企業の役割の観点から、企業としては、障害者雇用で課題が発生した際には、まずは第 2 号ジョブコーチや、人事部などの社員の方が対処され、それでは対処しきれない場合に外部支援を活用していること。企業内の定着支援には、第 2 号ジョブコーチが大変有効であるとともに、企業の経営者などに、その点の啓発が必要であること。こういった意見が出ております。また、地域の就労支援機関の役割の観点から、ジョブコーチも障害者就業・生活支援センターも、それぞれの本来の役割を再確認することが必要であり、また、企業がどこを利用すればよいか分からないといったことがないようにすることが必要。ジョブコーチ、障害者就業・生活支援センターのほか、就労移行支援事業所、特例子会社などとの関わり方を視野に入れることが必要などの意見がありました。

 地域の定着支援ニーズへの対応の観点から、県内全域でくまなくジョブコーチ支援を行うためには、例えば、障害者就業・生活支援センターにジョブコーチを配置することが必要。障害者就業・生活支援センターは地元で近くにあるため、速やかな対応が可能。機構の配置型ジョブコーチは、第 1 号ジョブコーチの対応が困難な事例について、これは、質的なもののみならず、地理的に第 1 号ジョブコーチが不在であるなどの、量的な面も含んでおります。このような所への対応という意見を頂きました。また、地域のニーズに対応するジョブコーチが安定的に活動できるような委託方式等の検討も必要といった意見もありました。

 障害者就業・生活支援センターの在り方に関連しては、次回以後、更に個別に御議論いただくことになりますが、前回の研究会でも指摘されているとおり、そもそもの役割を明確にし、コーディネート機能を発揮させることの必要性が何度か言及されておりました。

 こうした御意見を踏まえて、本論点の結論の方向性として、企業の文化、形態、業種等に通じた者が支援を行うことが効果的であり、雇用する企業が自ら定着支援を行えるように支援することが必要。しかしながら、企業は生じた問題の内容、企業規模や障害種別等によっては、対応できない場合も当然ありますので、そういった場合にそれぞれのニーズに対応した外部支援機関を利用できるような体制が必要。

 振り返って外部支援機関を見ると、例えば、精神障害等への対応など支援能力の向上が必要ではないか。

 また、外部支援機関を利用する場合、企業としてはどこに連絡するのかが分からない状態は困るので、たらい回しにならず、迅速な対応をしてほしいというニーズがあります。

 こうした観点からは、まず事前の支援機関の登録がない場合には、地元にある障害者就業・生活支援センターが地域の相談窓口となり、問題の内容を特定し、例えば、ジョブコーチ支援が必要であれば、自ら行うという選択肢のみならず、第 1 号法人や地域センターに連絡をする。医療との連携が必要であれば連絡するなど、企業が迅速に支援を受けられるように取り計らうといったコーディネートを行っていくことが必要ではないか。

 また、既に就労移行支援事業所や、特別支援学校等の送出し機関を支援機関としていた場合は、企業からこれらの送出し機関に連絡が行くので、送出し機関が自らこれに対応するか、障害者就業・生活支援センターに連絡し、迅速な支援が提供されるようにすることが必要ではないか。これと併せて、地域センターの役割は、一次の研究会報告の内容に加え、地域の第 1 号ジョブコーチや障害者就業・生活支援センターでは、支援が困難な事例、これは質的に難しく、困難であるということのほか、量的に支援が難しく、そのままでは支援が遅れて課題が深刻化するなどの問題を生じることが疑われる場合など、量的な支援困難も含めて、重点的に支援を行っていくという位置付けでどうであろうか、とまとめさせていただきました。

 総論上は出ていませんが、障害者就業・生活支援センターが、こうした地域の窓口としての機能を果たすことに当たっては、現在の体制では厳しいということは、これまでの御議論の中で御意見が出ており、当然、認識しております。詳細は各論に出ておりますが、障害者就業・生活支援センターの体制強化の必要性と連動して対応されるものと、御理解いただいて結構です。

 

○松爲座長 

現在の総論は、報告書全体の方向性を決めることになります。したがって、抽象的な概念でも理念でもよいですが、皆様の活発な御意見をよろしくお願いいたします。否定的な面ではなく肯定的な面も評価していただく、いろいろな面で評価していただけるとうれしいですね。どうでしょうか、皆様の御意見は。何かありますでしょうか。

 

○岡元委員

 岡元です。よろしくお願いします。今の総論を伺って、まさに今、一番問われているのは、精神障害者、発達障害者の支援が経験が不足しているジョブコーチや人事担当にしても、会社としては難しい部分があります。そういうことでまず、ジョブコーチを質的に高めることも重要なことですし、量的にもうちょっと配置をしやすいようにしていただければいいかと思います。

 それは、ナカポツセンターにジョブコーチを配置する方法もありますし、職業センターにももっと手厚くする方法もあると思います。県の職業センター、新潟県は本当に地理的に長いのですよね。その長い地域を、こちらがニーズがあるからといって、計画的にお呼びすること以外、急にお願いしてお呼びすることは、なかなかできにくいことがありますので、地元でもっと充実することが必要かなと。それと同時に社内でも、解決できる適応力を身に付けるための勉強や学習、研修等の機会があればどんどん送り出したいと思っております。

 

○松爲座長

 なるほど。企業側として、ほか、どうでしょうか。

 

○井口委員

 高齢・障害・求職者雇用支援機構の井口です。総論の中で私ども地域障害者職業センターのことは、余り求められてはいないのかもしれませんが、今、事務局から説明のあった点について確認させていただきます。

 第一次の研究会の報告書では、ここに書いていただいているほかに、例えば、企業に対する支援や、企業の担当者への支援ノウハウを系統的に学習する機会を提供するとか、あるいは必要な就労支援機関には、協同支援や実習等を通じて必要な援助をさせていただくとか、そういう役割を書いていただいておりました。

 事務局の説明では、一次の報告書に加え、ということがありましたので、それは入っているという認識でよろしいわけですよね。

 

○近藤地域就労支援室長補佐

 井口委員のおっしゃるとおり、入っております。

 

○松爲座長

 それは当然、確認しておかないとね。ほか、どうでしょうか。

 

○金塚委員

 金塚です。この総論の中で、今回は、ジョブコーチとナカポツセンターが論点ですが、本来、ここに就労移行支援事業所というか、障害福祉課の担当になるのかもしれませんが、そこも含めた地域の在り方を考えていかないと、各論の部分も大事ではありますが、総論で、うまくまとまっていかないのではないかと思っております。

 

○松爲座長

 就労移行支援事業との絡みをどうするかですね。ほか、どうでしょうか。

 

○石原委員

 電機神奈川福祉センターの石原でございます。私、第 1 回から申し上げていることですが、就労移行支援事業所とナカポツセンターとの連携の問題とか、あるいは就労移行支援事業とジョブコーチとの関係とか、これは後の具体論の中でも出てくると思いますが、論議の仕方として、どの場で論議していったらいいのかを確認したいのですが。

 

○松爲座長

 ジョブコーチの在り方、これは各論のほうかもしれませんね。

 今ここでは、全体の総論ですから、もっと全体的な理念を含めた形のもので、大まかな章立て、構成立てとして、もうちょっと触れ込むことがいいのかどうか、という形の議論でやったほうがいいと思います。

 今言った就労移行支援事業等については、その後の各論のところで、ジョブコーチの在り方を含めたところ、そちらのほうで議論を進めていくというのが多分、効率がいいかなという気がします。

 今、全体の章の一番の頭の所ですので、研究会としての報告書の在り方や方向性、その大枠を皆さんで議論したらいいかと思います。

 

○藤枝障害者雇用対策課長

 障害者雇用対策課長の藤枝です。就労移行支援事業所については、御案内のとおり、障害者総合支援法に基づき、同法施行後 3 年を目途として、就労移行支援事業所の在り方そのものは、また障害部を中心として検討がなされていくという前提があるわけですが、今ここでは、そういうことも見通しながらですが、まずは今ある就労移行支援事業所の機能の中で、ナカポツなり、ジョブコーチとの形をどのように考えていくかを、議論していただくしかないなと思っております。

 全体の考え方としては、就労移行支援事業、ジョブコーチとか特別支援学校、いわゆる送出し機関についても、当然、抱えていらっしゃる支援者については、その機能の範囲内で定着支援をやっていただくことがあって、その上でのナカポツとの連携をしっかり取っていただくことで、そこは合意ができるのではないかなと私どもは思って、事務局案として、 2 ページ目の一番最後、「なお」書きの所には書かせていただいております。

 あるべき姿として、もう少しこのような観点を書いてほしいというのは御議論いただければと思っております。

 

○松爲座長

 それでは、ほかに枠組みとして、どうでしょうか。

 

○成澤委員

 成澤です。今の話にも出ましたが、当社は、全体では 3,500 人と規模的には大きいのですが、実際には、各店舗は各小型店もたくさんあり小規模です。これからはほかの企業もどんどん障害者、精神障害者を雇わなければいけないとか、企業規模としても 200 人以上から 100 人以上に納付金も課されてきます。そういった中で企業規模の大きさにかかわらず小さな所から大きい所まで、企業が本当に使いやすいジョブコーチ制度が必要であり、また支援センターに関しても、以前、私も障害者就業・生活支援センターと、通常の就労支援センターの区別も本当に分からない状態でしたので、小さな企業というのは、そこが分かりづらい。ジョブコーチもどうやって使っていいのか分からない。これから障害者を採用していかなければいけない企業が増えていく中で、ここで各企業が一番使いやすいジョブコーチや、センターの役割を決めていただけたら、企業としては、とても有り難いことだと思いますし、企業のニーズというものを規模の大きさにかかわらず、小さな事業所でも使えるように研究会で話し合っていただければと思っております。

 

○松爲座長

 私から 1 つ言わせていただくと、 2 ページ目の一番最初の所で、雇用する企業が自ら定着支援を行うよう、支援を行うことが必要となっている。そこに関しては、今までのいろいろな委員会を考えても、支援する、支援してもらうということが、かなり多くありましたよね。

 ところが、この前の審議会の議論を聞きましたが、恐らく支援する側だけではお金も含めて限界が、どうしても出てくるのですよね。先ほど来、強調している理念という意味では、実は、企業が障害者雇用をしたならば、本当は普通の雇用管理と同じような形で、どうしても雇用管理は行われるものですから、そういった意味の提言が第 1 番目に入っているのかと。これは私が見ていて、今までのいろいろな人材育成の報告書の中でも余り出てこなかった話ですね。

 企業側に対しては、こういうことに関して、ちょっと確認しておきたいのですよね。皆様の発言の所で、先ほどありましたが、企業が自分たちでいろいろやっているということは、いろいろ書いてあります。そして、皆さん自身が、委員の人たちは実際、自分たちでやっていらっしゃるのです。これをもう少し他の企業にも幅広くやってもらって、職場定着を含めた形で対応できるように支援する、そういった形のものが本当は理念として、入れるべきではないかなと、私の意見なのですが、どうでしょうか。ほかの人の御意見も併せてお伺いしたいと思いますが、どうですか。

 

○眞保委員

 眞保です。よろしくお願いいたします。今、松爲座長がおっしゃったように、例えば、中小企業では、普段の毎日の中では、やはり企業内の支援者が支援していくことになると思うのですね。中小企業の場合は 1 人とか 2 人、本当は 3 人、 5 人と雇っていただいたほうが定着の実績はいいと思いますが、まずは 1 人を雇うとしたら、企業内の支援者が、その方を同僚としてしっかりと支援していくと。それで、ときに企業内の支援者で難しい問題が起きたときは、外の支援機関から何らかのアドバイスを得ていく、そういう形が私も非常に効率がよいと思っています。また、雇用される労働者にとっても、企業内にしっかりと相談ができ、支援してくれて、そして、自らのキャリアも将来的には考えてくれるということがあると安心でき、企業内で戦力化してもらい、戦力化されることが自分たちも仕事を続けていくという意欲につながると思いますので、企業が雇用したら、戦力化していくという考え方は非常に大切だと思っています。今後、特に中小企業がこういうことができるような支援が必要になってくるのかと思っています。

 

○松爲座長

 ありがとうございました。実はこの議論というのは、後で各論に入ったときに、第 2 号ジョブコーチと相談員に全部引っ掛かってくる話なのです。そういった点では実は、頭に書いて打ち出したほうがいいのかなと思いますね。

 

○小川委員

 大妻女子大学の小川です。何か企業が自ら行う定着支援という、この言葉は初めて聞く言葉で、何かまだしっくり感がないので、報告書のときに少しここの言葉の使い方の辺りが、もう少しこなれるといいのではないかと思いつつ、適切な言葉が見つからないのですが、企業の障害者雇用力というか、雇用管理能力というか、そこの向上のための支援というのが、 1 つ重要な意味なのではないかと思います。

 実際に何を行っていくかということで、障害者雇用管理体制の整備や、現場の方の障害特性の理解であるとか、先ほど関係機関が、一体どれがどれだか分からないという話がありましたが、関係機関との連携の在り方とか、そういうことに関する全て含めた研修機会の提供や、この支援を行うことが必要ではないかという、支援というここの意味合いももう少しどういう内容なのかという辺りが、報告書の段階で、総論の一番最初の所で少し整理されると、松爲座長がおっしゃった、この後の第 2 号の研修の問題とか、様々なことが総論の一番書き出しの所とつながっていくのではないかなと思いました。非常に重要な書き出しではないかなと思いました。

 

○松爲座長

 それを更に追加。

 

○石原委員

 電機神奈川福祉センターの石原でございます。私も企業が一義的に定着支援というか、しっかり雇用管理するために支援を強化するというこの書き出しについてはとてもいいことだと思っています。

 現実に現場の意見を聞きますと、とは言え、障害者を雇用するとき支援にナカポツセンターが付くから安心して雇いなさいというセールストーク、あるいは紹介したら、後は知りませんというそういうスタイルで、幾つか障害者にまつわる雇用の労働市場における歪みを感じるときがあります。また、企業側も虐待の報告があったり、基準法違反とか、そういう虐待事例も起こっていて、ここにとても問題を感じるところがあります。

 何を言いたいかというと、周りの環境はなかなか企業に委ねるだけでは、力も付いていないところもあるので、そこはいろいろなサポートが必要だという、そういう認識は大事だと思います。

 

○松爲座長

 おっしゃるとおりだと思います。

 追加しておくと、小川委員が言ったように、企業の職場定着という概念では違うと思うのですね。そうではなくて、私たちの一般の企業内におけるキャリア形成で、そういった概念で捉えるべきだと思いますね。障害があるからキャリア形成があり得ない。じゃあ、障害を持たない人たちは、一般の企業内形成をずっとやっていくわけですよね。

 基本的な概念の考え方というのは、障害を持っている人たちでも、障害を持たない人たちと同じような形で企業内キャリア形成していくということの必要性を強調していいのではないかと思うのです。かなり個人的な意見で強引で申し訳ありませんが、報告書に書くことを是非とも、希望したいところですね。

 

○岡元委員

 松爲座長を応援する形で、私も。実際、当社の実例を前回お話いたしましたが、企業がたまたま障害を持っている人だったとか、女性であるとか、就職がちょっと困難だったり、差別までいかなくてもちょっとハンデを持っている分には、シングルマザーも一緒なわけですね。そういう多様な人を企業は受け入れるべきですし、受け入れたら育てないといけない。という意味で、キャリア形成というのは、たまたまその人が障害者だからということで、やり方を変えたり、もっと仕事が戦力化できるようにするには、会社の工夫や外部の人材教育講師を呼んでもいいと思いますし、様々な形を捉えて人材育成やキャリア育成していくことによって、彼らだって次のステップに上がれることが分かれば。

 

○松爲座長

 定着につながる。

 

○岡元委員

 そうなのです、定着できるのですよ。最初は、この仕事はできるできないから入りますが、その次また階段を上っていくと、自分のもっともっと遠い未来に対しての職業としての希望も湧いてくる。それがたまたま障害者だったという考え方に私は大賛成です。

 

○松爲座長

 ありがとうございます。

 

 ほかに何かありませんか。

 

○高井委員

3 つの企業の皆さんから、一労働者として、仲間として育てているということをこの研究会で言っていただいたことは、とっても有り難いなと思っております。

 先ほど、石原委員も言われましたが、職場開拓やマッチングするときに、マッチングした後は全部障害者就業・生活支援センターに任しておけば何とかなるので、と言われることがあるので、その辺はもう一度、ナカポツセンターの役割を、各関係機関が明確にしていかなければならないと思っております。

 この 2 ページの所では、ナカポツセンターの役割として、「コーディネート機能等を再確認する」と書かれておりますが、一方では、平成 18 年、 19 年の研究会、 24 年の研究会、そして、 20 年度からは職場定着支援が業務として明確に位置づけされています。また今回、精神障害者等、特定の障害への対応強化ということで生活支援も含めてしっかり支援するという辺りでは、ナカポツセンターの役割はどんどん増えてくるばかりです。この研究会では、特にトータルコーディネーターとしての役割をしっかり果たすというところを、もう一回整理していただきたいと思っております。このままでは限界です。是非、御考慮いただきたいと思いますし、関係機関の皆さんからは、「お願いしようと思って電話しても職員がいない」というように書かれているのは本当に悔しいし、残念だと思いますので、そうならないような支援体制にしていただきたいと思います。

 

○松爲座長

 事務局に確認しますが、次回はナカポツセンターに焦点を絞ってやるのではありませんでしたか。

 

○近藤地域就労支援室長補佐

 次回はナカポツセンターについてご議論いただく予定にしています。

 

○松爲座長

 今回に関しては、そういったものを見越した上で、ジョブコーチについて議論していきます。次回はナカポツセンターを中心に結構議論していくことにしましょう。よろしいですか。では、総論はそういう形ということで、ジョブコーチについての各論に入っていきたいと思います。事務局から説明をお願いいたします。

 

○近藤地域就労支援室長補佐

 事務局の近藤です。資料の 3 ページからのジョブコーチ関係について説明いたします。本資料の構成は、各論点について、これまで皆様からいただいた御意見からその対応の方向性を幾つか挙げています。

1 「質的課題」の (1) 特定の障害への対応強化についてです。精神・発達障害といった障害についての支援策は、従来の身体障害、知的障害への支援と質が異なり、単純に応用できるものではなく、それに合わせた研修ニーズがあること。このための支援スキル向上研修の見直しや障害種別に応じた専門的な研修の新設等が必要であることなど、研修の充実に関する御意見が 1 つのまとまりとしてありました。また、精神障害に関して、知識を有している方が就労に関する知識を得られるようにすることにより、専門的な支援の可能な方を増やす方法として、 PSW OT がジョブコーチになって活用できるような仕組みの必要性の御指摘がありました。これは、医療機関が就労について理解が不足しているという御意見への 1 つの対応でもあるかと思います。

 また、視覚・聴覚については、手話通訳や就労支援機器・ソフトの活用を含む事務作業環境の設定等に関する支援に専門的な知識が要る場合があるという御意見も頂いております。

 これらをまとめまして対応の方向として、点線囲みの 1 つ目の○、ジョブコーチに対する研修について、精神・発達障害に関する内容を充実するべきではないか。 2 つ目の○、特定の障害に専門性を有する方、これは精神について PSW 等の専門性を有する方がジョブコーチになりやすい仕組みを構築するべきではないかということです。 3 つ目の○、特定の障害に対応するための障害者支援機関の活用促進、これはジョブコーチ認定法人になるということの促進になりますが、そういった活用促進です。それから、専門家の活用促進として、ジョブコーチが支援の際に、例えばソフトの導入のために IT 技術者又は手話通訳の方を同行させられるようにするといった、専門家の活用を図ることが考えられるのではないかとしています。

(2) 「ジョブコーチの支援能力の向上」です。マル1支援能力の向上を図るためには、経験豊富なジョブコーチをどのように活用していくかです。こちらに関連しては、第 1 号ジョブコーチが単独でできる業務として、 1 号ジョブコーチによる単独支援、ジョブコーチ支援計画の作成、研修講師等が可能であるとの御意見がありました。ニーズの観点からは、第 2 号ジョブコーチは、必要なときに相談できる環境が必要であり、外部からのアドバイスやメンター的支援の提供がほしい。経験の豊富なジョブコーチが、地域に継続して配属されることが必要。県内全域でジョブコーチ支援を提供するためには、例えばナカポツセンターにジョブコーチを配置することが必要。また、ナカポツセンターにジョブコーチを配置すれば、企業ニーズへの対応が可能となる。ジョブコーチが地域で安定的に活動するための方式の検討が必要。こういった御意見がありました。

 こうした御意見を踏まえまして、 1 つの方向として、福祉圏域ごとに存在するナカポツセンターに経験豊富なジョブコーチを配置し、定着支援・ジョブコーチ業務に専任で取り組める体制を構築するとともに、経験豊富なジョブコーチに地域のジョブコーチ (1 号・ 2 ) への指導・助言を行う機能を持たせてはどうかとしています。

 マル2その他の支援能力向上について。これに関連しては、支援スキル向上研修の見直し、前半後半への分割と、実務を間に挟むことで、効果をより高めることができるという御提案、特に企業の立場を理解した支援を行えるように配慮が必要といった御意見がありましたので、こうした御指摘も踏まえつつ、支援スキル向上研修の効果的な実施を図っていくべきではないかとしています。

(3) 「企業ニーズへの初期対応」に関連しては、課題が発生した際にスピーディーに支援に入れることが必要であり、それを担保する必要があること。また、中でも既に支援を受けている精神障害者などは、障害者本人が慣れている方がスムーズに支援に入れるような工夫が必要であるといった意見がございました。また、企業から支援ニーズがあった場合に、迅速対応するという観点に対して、必要とされる支援が何であるか、ジョブコーチ支援であるのかどうかについて、的確な判断の担保が必要という御意見も頂いております。また、ナカポツセンターにジョブコーチを配置し、企業のニーズへの対応を可能としてはどうかという御意見もありました。

 これらを総合いたしまして、点線囲みの 1 つ目の○、経験の豊富なジョブコーチをナカポツセンターに配置し、企業からの最初の相談窓口機能を担い、職場で問題が発生した場合の初動を行い、その後必要な支援の内容に合わせて、適切な支援機関や医療機関等につなぐ役割を持たせてはどうか。 2 つ目の○、既に支援を受けていたことのある方に関するところとしては、フォローアップ期間経過後の再支援を迅速化してはどうかとしています。

 

○松爲座長

 質的課題の部分を先にディスカッションしたほうがいいかもしれないので、ここで簡単に皆さんの御意見をお伺いします。

 

○金塚委員

 金塚です。今回のジョブコーチの議論で、私はヒアリングの中でも申し上げたのですが、是非ここは今までの制度から変えていただきたいところです。 5 ページの上の部分、特に精神障害の方に対してのフォローアップの部分です。ジョブコーチ制度というのは職場適応援助者ということで、就職する前から就職後約 1 年間ぐらいを 1 つの目安にされているのかもしれません。その後も一応「フォローアップ」という名前は付いていますが、実際にはなかなか入りにくいという現状があります。精神の方の揺れるという部分を考えたときに、 1 年、 3 年、 5 年と就労継続していく上においても、課題が見えた時に、いかにスピーディーに支援に入れるかというのは、精神障害の方の定着を考えるときにはとても大きなポイントになってきますので、そこの部分の制度の柔軟性というか、スピーディーに入れるような形を是非考えていただきたいというのが、まず 1 点です。あと何点かありますが、まずその 1 点が申し上げたいところです。

 

○松爲座長

 井口委員にお尋ねしますと、「迅速化」といった場合には、職業センターで支援計画ができた段階でのフォローアップということで決まっているのでしたか。フォローアップは 1 号、 2 号ジョブコーチで独自にできるという話にはなっていないのでしょうか。

 

○井口委員

 高齢・障害・求職者雇用支援機構の井口です。助成金制度上のフォローアップというのは、当然フォローアップを始める前に、本支援が終了した段階でフォローアップ計画を立てて、それに基づいてやることになっています。多分、金塚委員がおっしゃっているのは、そのフォローアップの期間が助成金制度上は 1 年間に限定されていて、それ以降はフォローアップをしても助成金が払われないということに対する御意見だと思いますが。

 

○松爲座長

 金塚委員、それでいいのですか。

 

○金塚委員

3 年後、 5 年後に再度支援に入ることについて、企業なり御本人から SOS が出たときには、いかに早く支援現場に駆けつけるかというのが、先ほども申しましたが定着支援の 1 つの大きなポイントだと私たちは思っています。

 そのときに、改めて職業センターに支援計画を出す手続を終えて、支援開始までに 1 週間、 2 週間かかったりすると、実際にそれを待っていられないのです。待たずにすぐできるという制度を確立していただければなと。

 

○松爲座長

 そういったことが往々としてあるということですね。

 

○金田地域就労支援室長

 就労支援室長の金田です。金塚委員からは、ヒアリングの際にも同様の意見を頂いておりまして、フォローアップ期間経過後の迅速な支援ということで、電話や対面といった支援が必要という御意見を頂いております。

 考え方は 2 つありまして、助成金の対象とするか、そうでないかということがあろうかと思います。助成金の対象とした場合に、事後的な承認が、助成金という公的な資金を支給する立て付けである以上、何らかの事前の確認が必要なのではないかと思っております。そのため今回の案におきましても、機構の地域センターで、これまで迅速化を図っていたのですが、なかなか迅速に対応できていないという声もありますので、機構で一層の迅速化が図られるものかどうかが、 1 つの鍵となってくるものではないかと思っています。

 繰り返しになりますが、助成金の公的資金という立て付け上、性善説に立った支給が難しいところもありますので、何らかの確認が事前に必要ということを御理解いただければと思っています。

 

○藤枝障害者雇用対策課長

 障害者雇用対策課長です。補足させていただきますと、助成金という観点で申し上げれば、室長から説明したとおりなのですが、そこは制度をどのように仕組めるかを我々も検討しなければいけませんし、本当に助成対象として、公的な金銭ですので、どこまで確認が必要なのかというところがありまして、どうしても出せる出せないという部分は出てくると思います。

 それと助成金制度とは別として、精神障害者の方には波があって、 2 年後、 3 年後も援助が必要になってくることへの対応は、当然必要になってくると思います。ここは我々もそういう理解をしておりますので、 1 つの案として、そういったところは初動として、近くのナカポツセンターのジョブコーチや定着支援員が様子を見に行って、必要な支援機関に取り次ぐようなことは、ネットワークの仕組みとして明確化していったほうがいいのではないかと、皆様の御意見を踏まえると、そういうことも必要なのかなという形で、 5 ページの一番上の○に書かせていただいたところです。

 

○松爲座長

 菊池委員、どうぞ。

 

○菊池委員

 帝京平成大学の菊池でございます。前 2 回休みましたので追い付いていないかもしれないのですが、 (1) 「特定の障害への対応強化」のまとめの 2 つ目の○に、「特定の障害に専門性を有する者 (PSW ) がジョブコーチになりやすい仕組みを構築」とあります。もちろんそうだと思いますが、例えば PSW にしても OT にしても、ジョブコーチを取り始めている者が何人か出てはいるのですが、取ったはいいが結局診療報酬制度のことがありますので、活動できないのです。結局、病院から離れてしまえばその時間は診療報酬が請求できないということで、病院にとっては余り喜ばしくないということです。

 ですから、ジョブコーチになりやすいと同時に活動できるような、例えばあるクライエントに 3 回は外に出たときは、それが何らかの報酬として認められるとか、そういう仕組みも併せていただくことによって、迅速な対応というところが、ナカポツセンターと病院と企業と専門家と、うまく連携できるのではないかと思います。いかがでしょうか。

 

○金塚委員

 金塚です。今の意見に私も賛成です。精神障害のある方が就職をして、私たちはフォローをしますが、人によっては私たちの手からどんどん離れていく方もあります。しかし、その方たちが必ず通う所がある。医療機関なのです。そのときに、医療機関の PSW なり OT の方たちがジョブコーチの資格を持たれていて、今の意見のように、 1 回、 2 回とスピーディーに入れる、その後を私たちが支援を引き継いでいくということであれば、支援にロスがなくなるし、医療との良い連携ができると思います。

 もっと言えば、 PSW とか OT の方がジョブコーチ資格を取っていただくことによって、就労の共通言語ができます。共通言語がない為に話がかみ合わないところが医療機関の方とはありますので、そういうことも 1 つの付加価値として出てくるのではないかなと思っています。

 

○中川委員

 田園調布学園大学の中川です。今の菊池委員の意見に私も賛成です。よく医療機関の人は「就労に興味がない」「知識がない」とよく言われるのですが、大変興味を持ってやりたいと思っている人は幾らでもいるのです。ただ、今おっしゃったように診療報酬のせいで、医療機関は診療報酬がないと収入が全くなくなりますので、動きたくても動けないという現状があります。まず、経済的な基盤をどうしていくかという問題が一番重要になります。例えばジョブコーチを医療法人に配置できるような手法を考えていく。それで助成金を出すような仕組みを考えるとか。

 これはここの研究会で言うべきことではないですが、職域支援加算みたいな形で、職域に関わった場合に診療報酬として請求できるような制度を、今の診療報酬に設けていくべきです。今は全くのただ働きで、ハローワークに付き添いで行ったとしても全くのただ働きで、本人がやりたくても経営者の顔色を見るとできないということで、経済的な基盤をちゃんと考えていくということが重要ではないかと思います。

 

○松爲座長

 今の医療の診療報酬体系の中でそういうことを組み込めるのですか。

 

○中川委員

 そういう希望があるというのは、医療機関の就労支援をやりたいといっている人たちにあるのですが、ちょっと無理かもしれないです。

 

○松爲座長

 報告書に書きましょうよ。石原委員、どうぞ。

 

○石原委員

 用語の定義についての質問です。「経験豊富なジョブコーチ」の定義付け、運用、選出、処遇、その辺りについて、私にとっては新鮮な用語に映るのですが、定義が分からないところがあるので、事務局のお考えになっていることをお示しいただきたいと思います。

 

○金田地域就労支援室長

 「経験豊富なジョブコーチ」の具体的な基準を持っているわけではありませんが、支援の経験年数と支援実績を持たれている方というイメージを持って、具体的な基準については今後の検討に当たると考えています。

 

○高井委員

 全国就業支援ネットワークの高井です。医療機関の皆さんにも就労支援に関心のある方がたくさんいらっしゃると言われましたが、実は今年の 7 月に国立精神・神経医療研究センターと一緒に、全国就業支援ネットワークは315のナカポツセンターに精神障害者の就労支援の実態調査をしました。198センターから回答があり、「医療機関との連携が取りにくいことが、支援の中で一番負担を感じている」という回答が多数ありました。

 そういう意味では、今回このジョブコーチ支援の養成研修も含めて、医療機関の皆さんに受けていただけるような環境を是非つくっていただきたいと思っています。

 国立精研で、モデル事業として実際にそういうことをやっていると思うのです。

 

○松爲座長

 そうですね。

 

○高井委員

 そのモデル事業をもっとオープンにできるような方法を考えて、医療機関の皆さんにも啓発していただきたいと思っております。

 

○松爲座長

 医療機関を対象にした就労支援のコースというのは、精研でようやく始まったかもしれませんね。あれをもう少し広げていくべきかもしれませんね。

 

○高井委員

 はい。

 

○清家委員

 ワーキングトライの清家です。医療機関に関しては、東京都の委託事業で平成 21 年から4年間、精神科医療機関従事者に対して就労支援研修を実施するという事業を行いました。そのときに、医療機関の方にも委員として入っていただいて、どうやればうまくいくか相談いたしました。

 先ほどからもお話があったように、医療従事者の方たちが病院から一歩出ることが非常に厳しいため、どこかの会場で研修会をやるのではなくて、「病院の中で研修会をやってください」というオーダーがありました。何箇所かの病院で研修を行う中で、就労について医療機関の皆さんの考え方が大分変わってきたかなと思うのです。最初の一歩とは思いますが。

 ですので、是非私もジョブコーチの研修を医療機関に従事する OT さんやワーカーさんに受けていただきたいと思うのですが、そこをどうすればいいのかというところが、非常に大きな課題になるかなと思います。

 

○松爲座長

 ということは、例えばジョブコーチ研修ならジョブコーチ研修の在り方を含めてどう考えるかということなのか。出張などを含めた多様なメニューを作ったほうがいいかなという話になるのかもしれませんね。

 ジョブコーチを実際に研修する側としては、鈴木先生、小川先生はいかがですか。

 

○鈴木委員

 くらしえん・しごとえんの鈴木です。研修の問題でいきますと、最近も滋賀県で開催したときに、先ほどから出ていますように作業療法士の方、精神保健福祉士の方に受講していただく。そうすると専門的な視点をもって更に就労という大きな形で見るということで、非常に有効であると。それこそ今までも出ていますように、共通言語を持つということが非常に大事で、そこの場面において、雇用の現場における何が必要なのか、その上に立っての専門性は何なのかということ、逆に言ったら、自分たちの出番をきちんと理解してもらえるということで、研修に参加していただく。更に実際に地域での実践ということでいったら、本当に重要なことではないかなと思っています。

 

○小川委員

 今の御質問以外のところも少し入ってしまうのですが、「ジョブコーチになりやすい仕組み」という所で、前回も少し話題になりましたが、ジョブコーチ研修を受けた人を「ジョブコーチ」というのか、それとも職場適応援助者助成金の下で活動している人を「ジョブコーチ」というのか、最終的な報告書の段階では、そこを明確にして述べる必要があるかなと思っています。

 それで幾つか確認をしたい点があります。「特定の障害に専門性を有する者 (PSW) 等」の「等」に、手話や視覚障害の方への対応の専門性を有する方たちが含まれているという意味なのか、というのが 1 点です。

 それから、「ジョブコーチになりやすい仕組み」といった場合に、研修自体は特に門戸を閉ざしているわけではないと思いますので、ジョブコーチ研修は受けていただける状態に、今は民間の指定機関の場合はジョブコーチ研修を受けていただけると思っています。ただ、これまでの視覚障害や聴覚障害の方の団体からの御意見では、第 1 号職場適応援助者助成金の指定機関になる場合に、就労移行支援事業もやっていないし、ナカポツセンターもやっていないし、就労支援の求められる実績も、就労支援に特化した組織ではないので難しいということが挙がっていたので、「なりやすい仕組み」というのは、そこについての何らかの配慮、対応をするという意味に読み取ってよろしいでしょうか。

 もう 1 点は、この四角の枠の中ですが、「ジョブコーチに対する研修について、精神障害、発達障害に関する内容を充実すべきではないか」とあります。これはそのとおりだと思います。ただ、基本カリキュラムについてはかなり時間的にいっぱいいっぱいで、基本カリキュラムをあれ以上に膨らますと、逆に受講しにくいという状況が出てくると思いますので、ここは更に何らかのオプション研修というか、そういうことで考えていったほうがいいのではないかと思うのですが、そのような方向でいいかということです。

 

○松爲座長

3 ページの最初の枠ですね。事務局から補足説明していただけますか。

 

○金田地域就労支援室長

1 点目の「 PSW 等」の「等」の中に、視覚・聴覚が入っているかということに関して、その下の○の「特定の障害に対応するための障害者支援機関又は専門家の活用促進を図るべきではないか」と書いているのですが、事務局で考えていたのが、現在、視覚・聴覚の方がジョブコーチになりにくいという状況が、助成金の対象となりにくいということがあります。それはなぜかというと、助成金の認定法人となるための要件が厳しいのではないかという、これまでに要望も頂いたことがありました。

 それに関して、参考 2 13 ページにあります。参考までに申し上げますと、「職場適応援助者助成金の支給対象法人要件」です。支給対象法人となってジョブコーチ支援を実施したときに助成金が地域センターの認定の下に出ることになるのですが、例えば第 1 号職場適応援助者助成金の 3 つ目の■に、「障害者の就労支援の実績があること」とあります。 4 つ目・には、「当該法人の支援を受けた障害者で就職した者が過去 3 年間で 10 名以上であること、かつ当該法人の支援対象者について事業所等に依頼して行われた職場実習が過去 3 年間で 20 件以上であるか又は当該法人の支援を受けた障害者で就職した者が過去 3 年間で 20 名以上であること」としており、こういったことを要件としております。

 この要件があることによって、視覚・聴覚の団体の方がジョブコーチになりにくいといったこともありますので、先ほどの 3 ページに戻りますと、広い意味で「 PSW 等」の中には、視覚・聴覚も入っているといえるのではないかと思っています。

 ついでに説明させていただきますが、先ほどの資料の 13 ページです。第 2 号職場適応援助者助成金の支給対象法人要件として、 4 つ目の■の 1 つ目・です。「次のいずれかに該当すること」ということで、「障害者職業生活相談員の資格を取得した後、障害者の雇用に関する指導等の業務に 3 年以上就いていた者」がいるときに、 2 号ジョブコーチ助成金の支給対象となる、認定法人となるということで、併せてこちらの要件はどうなのだろうかという議論は事務局の内部でしておりました。

 

○松爲座長

 小川委員と鈴木委員に確認したいのですが、今の 13 ページの所で、こういった法人の要件を緩和するということで、質の担保というのはどう考えればいいのでしょうか。一方で、視覚障害、聴覚障害のそういった人たちがジョブコーチをできないから、何とか法人にやりやすいようなことをしていこう。ただ、例えば皆さん、自分たちが実際にジョブコーチ研修をやってみて、そういう格好で余りそういった経験のないところをばたばたとジョブコーチ研修もこういった対象に入れて、本当に質としてできるのだろうか。この 2 つをどう考えていけばいいのだろうか。どうでしょうか。

 

○鈴木委員

 くらしえん・しごとえんの鈴木です。養成研修の修了者というより、私たちの養成研修の中では、 1 号の職場適応援助者として活動する人たちが増えていくことは重要なことであると思っています。

 その場合に、 1 号のジョブコーチで活動するときにも、いきなりやるわけではありませんし、センターとのペア支援、共同支援、センターの計画であるとか、いろいろな形でジョブコーチは支援計画を立ててやっていくという、一定のものがあります。そこできちんと精査されていくべきものだろうと思います。それが 1 つで、そのような感じを抱いております。

 

○井口委員

 高齢・障害・求職者雇用支援機構の井口です。視覚障害者、聴覚障害者の支援課題について、前回のヒアリング時に私から説明させていただいたとおり、非常に重要な課題だと考えています。そういう支援の経験をお持ちの方をジョブコーチにという議論が 1 つあるのは、よく分かっています。

 それとは別に、そういう専門家を活用する事例を紹介いたします。参考資料 2 21 ページを御覧ください。私ども地域障害者職業センターでは、雇用管理サポート事業というのがありまして、「実施内容」にあるように、事業主の方に障害者職業カウンセラーが、事前に登録していただいた専門家である雇用管理サポーターの方と連携して、援助をするというスキームです。この中に専門領域が幾つかありますが、その下に「援助例」とありまして、例えば重度視覚障害者の支援について詳しい外部の専門家の方と一緒に、カウンセラーが連携して支援をするとか、聴覚障害者とのコミュニケーション課題のある方に、そういう専門家に活動していただくという方法があります。

 ただ、実態として、私どもでもジョブコーチ支援と一体となってこういうことができているかというと、そうではない部分がありますので、今後、聴覚障害者、視覚障害者等のジョブコーチ支援の中で、こういう制度がうまく機能できるようにしていきたいと考えています。

 

○松爲座長

 制度的には、ジョブコーチにくっ付いてサポーターが一緒にやっていても問題はないわけですよね。課題になりそうなことというのは、特にないわけですよね。

 

○金田地域就労支援室長

 カウンセラーと連携という形のスキームですので、そこをどういう運用をするかは検討させていただければと思います。

 

○小川委員

 大妻女子大学の小川です。先ほどの松爲座長からの御質問については、やや心配される点ではあるかと思いますが、例えば移行支援事業について、移行支援事業を行っていても就労支援実績がゼロの移行支援事業もありますので、視覚・聴覚・精神のところについて、あえてハードルを別途高くする必要はないと思います。その後、いろいろな方法で質を高めることが必要ではないかと思います。

 

○松爲座長

 もう 1 つですが、先ほどの高井委員の話で、ジョブコーチ的な研修を病院の中へ持っていくことが、今のジョブコーチの研修体制の中では可能なのですか、難しいですか。

 

○金塚委員

 金塚です。ジョブコーチ研修という形では、もちろん私たちはできないのでやっていませんが、私どもの法人として 4 5 年前から、「出前講座」と呼んで、私たちが医療機関のデイケアの中に入っていって、デイケアの患者さんのこれから働きたいけれども不安があるという方たちに向けて、「こういうことをやればいいのですよ」という連続講座を実施しています。また、そこに来ているコメディカルの人たちに向けて、「就労支援とはこのようなものなのですよ」ということを意識もして話しております。この 4 5 年で延べ 20 30 か所の病院、クリニックを回らせていただいているのですが、このような形で、 1 1 つジョブコーチ養成というのは難しいと思いますが、こちらから行くということ、こういうやり方は医療機関に受けていただける 1 つの形なのかなと思います。

 

○松爲座長

 そういった意味では、情報伝達研修ということは、職業センターにしてもナカポツセンターにしても、特に医療機関に対してもやっていける話だと思うのですが、清家さん、どうでしょうか。出前講座的なものというのは可能性はあるのですかね。

 

○清家委員

 清家です。私たちも金塚さんのところと同じように、出張学習会を行っています。病院は研修体制がしっかりしているので、その中に就労支援の研修会を組み込んでいただいて行っています。可能と思います。

 

○松爲座長

 そのときの報酬は病院から出してくれるのですか。

 

○清家委員

 頂いてはおりません。

 

○松爲座長

 そうなのですか。金塚委員は持ち出しですか。

 

○金塚委員

 金塚です。この発案をして大阪府に投げたら、大阪府の障害福祉課の人たちに事業化していただきました。現在は大阪府の事業としては終了したのですが、いろいろなところから助成金を引っ張ってきて継続しています。

 

○鈴木委員

 くらしえん・しごとえんの鈴木です。今の研修のこともそうなのですが、私たち養成研修機関としましても、まずこのジョブコーチ養成研修というのは、第 1 号、第 2 号で活動助成金を活用して活動する人たちを増やしていくというカリキュラムが大元に流れています。ですから、そこがベースとなっているということで、むしろ資料の 4 ページの真ん中のマル2の所に「支援能力の向上を図るために」とありまして、支援スキル向上研修のことにも関連するかと思いますが、私たちとしても、入り口で基礎的な雇用現場における、本日の総論の一番最初にありましたが、企業をどう支えていくのかのところのジョブコーチをまず養成していこうということが、ベースになります。

 そのために、 6 日間の研修の中では、専門性が高い、発達、精神、高次脳など、難しいと言われるような支援のスキルというのは、更にプラスの上に乗せるような、まさしくスキルの向上研修、現場での様々な難しい局面にぶつかり、それを更にケーススタディであるとか、そういう形の次の研修というのは非常に重要であると思っています。

 その中のスキル向上研修の中のオプション的なところで、特に地域におけるニーズが大きく出るようなことというのは、更にできていかれればというイメージを漠として持っております。その点については、後ほどの研修の量の問題とも関連すると思います。このようなことを思っております。

 

○松爲座長

 質的なところに進めていく中で、文章として起こすのは、点線書きの囲いです。そういった意味では、 4 ページの上の・について触れていないので、小川委員どうぞ。

 

○小川委員

 大妻女子大学の小川です。座長がおっしゃった 4 ページの点線囲いの所です。これまでのヒアリングの中でも、地域にジョブコーチを安定的に配置すること、そして地域に核になるジョブコーチが存在して、そのジョブコーチが兼任の 1 号ジョブコーチが多いのが現状ですので、そういうジョブコーチをサポートする体制を構築することが、とても重要だと考えていたところです。

 この四角の中に書いてある、福祉圏域ごとに存在するナカポツセンターに経験豊富なジョブコーチを配置し、しかも、定着支援・ジョブコーチ業務に専任で取り組める体制を構築する。地域のジョブコーチへの指導・助言を行う機能を持たせると、非常に重要なポイントがまとめてあると思いますので、これが実現することを切に願っております。

 ただ、地域に核になるジョブコーチがどこに所属するかについては、ナカポツセンター以外にも地域の就労移行支援事業で頑張っている所などもあり、そういう所の可能性も必要かとは思いましたが、やはり全国の制度を考えるに当たっては、やはりナカポツセンター、しかも経験豊富なジョブコーチを抱えているナカポツセンターに配置していくという優先順位が必要ではないかなと考えます。

 特に、「専任で取り組める体制」というところが今までの助成金の仕組みでは難しいので、これについて実現できるように、また具体的な案をお願いしたいと思います。

 

○金塚委員

 金塚です。今の小川委員の御発言に質問です。今、ジョブコーチが配置されているのは職業センターと地域では就労移行支援事業所、それにプラス、ナカポツセンターに配置するということですよね。それとも、就労移行には配置せずに、職業センターとナカポツセンターにジョブコーチを配置するということですか。

 

○小川委員

 この案の説明は事務局からされると思いますが、私が思っているイメージは、就労移行支援事業に、これまでと同様に 1 号ジョブコーチというのが存在し、さらにナカポツセンターに、安定して、継続して、専任で取り組めるジョブコーチが配置されることが書かれていると思って、これは一歩前進だなと理解していますが、その点も一緒に確認をしたいです。

 

○金塚委員

 金塚です。私も 2 回目のヒアリングのときに、「ジョブコーチをナカポツセンターに配置を」という提案をさせていただいたので、正にこの部分かなと思っていたのですが、今の発言の中で就労移行にはジョブコーチは置かずにという発言だったのかなと思いましたので、確認をしました。

 

○松爲座長

 事務局から回答をお願いいたします。

 

○金田地域就労支援室長

 小川先生がおっしゃったように、ナカポツセンターに単独で配置をして、並行して 1 号ジョブコーチが就労移行支援事業所等で活躍するという状況も想定されるのではないかと思っています。

 

○藤枝障害者雇用対策課長

 障害者雇用対策課長です。補足します。先生方から御意見があったように、地域で中核となるジョブコーチの存在が必要ではないかと。 2 号ジョブコーチも含めた、ほかのジョブコーチに対する指導とか、メンターとしての役割が果たせるジョブコーチを安定的に配置するべきではないかという御意見を踏まえて、それをどこに置くかについては議論はありますが、案としては、数的に障害福祉圏域に設置されているナカポツセンターに配置するのが、これまでのコーディネータ機能を果たしているという役割を踏まえて提示させていただいています。

 

○高井委員

 全国就業支援ネットワークの高井です。この案はとても有り難いと思っていますが、お金の種類は「助成金で」ということは絶対に受け入れられません。ナカポツセンター事業が不採算部門ですので、これが助成金であればもっともっと増大するわけですので、専門性のある人をきちんと配置できるような形で、是非付けていただきたいと思っております。切にお願いします。

 

○松爲座長

 事務局から回答はありますか。

 

○藤枝障害者雇用対策課長

 財源について留意しつつ、御意見の趣旨を踏まえて検討させていただきます。

 

○松爲座長

 よろしくお願いいたします。

 

○玉栄委員

 トーマツチャレンジドの玉栄です。今、議論されていることと違うことになるかもしれないのですが、私が通常 2 号ジョブコーチとして社内で定着支援しておりまして、 1 号の必要性は余り感じていません。

 というのは、機密保持が厳しいということで、 1 号に入っていただけませんので、私たちがやるしかありません。そこで、事務系が主ですので、その中でどのように構造化して、分析し、それをどのように定着させていくかということを考えてきました。

 その中で、 1 号ジョブコーチと 2 号ジョブコーチの足りない部分が明らかにあると思うのです。 1 号ジョブコーチは、企業の文化、企業の成り立ちに非常に弱いです。企業にとっては、障害の特性を理解が弱い、そこをマッチングさせていかなければいけなくて、そこを互いが補っていけるようなシステムが必要だと思います。

 今、私が障害者の面接をしていると、精神保健福祉手帳をお持ちの方が圧倒的に多いです。蓋を開けてみると、半分が広汎性発達障害、半分が鬱とか統合失調症ということが非常に多くて、それも名だたる大学を出ている方が非常に多いです。

 まず最初に頼られるのは、先ほどから出ているとおり、医療機関です。医療機関とかハローワークに行って仕事を探したときに、非常に連携の悪さを感じます。そこは医療機関が就労支援への意識をどこまで持っているのかが、私には分かりかねます。「こういうところに相談しなさい」とか、あるいは自分たちの病院で持っているのか、そういった情報が非常に不足をしていると感じます。

 あとは、ハローワークへ相談に行っても、就労支援機関を相談されずに、つい最近の出来事ですが、 2 社ほど受けて行き詰まり、すごく余裕のない顔で面接にいらっしゃった方がいました。私が、「つらいでしょう。聞いてくれる人はいるのですか」と思わず聞いてしまい、いないということで、自分 1 人で頑張っているということでした。親もどこまで理解できるかというと、できていない。そうなってくると、家にいるといろいろなことにとらわれるので 1 人暮らしを始める。そうすると、またサポートしてくれる人がいません。そうなってきて、 2 社ほど就職したのですが、結局は、我慢に我慢をして、耐え抜いて退職を繰り返している。

 私が、反対に相談機関を紹介する羽目になっているのです。私が就労支援機関で助けてあげたいと思うほど、本人が張り詰めた姿を見たときに、もう少し必要な連携体制、医療と就労支援機関と企業とハローワークの連携が、どれだけ必要かということを思い知らされました。

 あと大学です。最近は、キャリアセンターなどで相談を受けていると思うのですが、そういった所との連携、先ほどから役割分担が出ていますが、機関での役割の整理が必要だと思います。

 もう 1 つは、ジョブコーチについてです。私もジョブコーチの研修を受けてから 5 年ぐらい経ちますが、就労支援機関のジョブコーチが非常に頼りない場合が多いです。私のほうがよほど知っていると思うことが多々あって、頼れるところと頼れないところを企業は見分けていて、私が思うには、障害者の方は一生の中で退職したいと思うこともあれば、悩みは尽きることなく出てくる中で、一番付き合わなければいけないのは企業で、その中でジョブコーチの支援はすごく大切です。

 その中で、 1 号ジョブコーチに不足しがちな企業を理解するということ、私たちが不足している障害の特性を理解する、その辺をどのように協力しあってやっていかなければいけないかということが、議論される必要があるのではないかと思います。

 それと小川委員がおっしゃっていたとおり、プラスアルファ、専門性を持つ機会を適時に設けていただいて、企業が情報を求めていないせいもあるのですが、情報が流れてこないので、そこを厚生労働省にお願いしていかなければいけないのかなと感じています。

 

○松爲座長

 玉栄委員から、 2 号との関係も含めて、企業の立場から結構話がありました。 5 6 ページでは、 2 号のことが結構入りますので、この際議論をストップしまして、事務局から 5 ページ以降の量的課題について説明いただけますか。そちらのほうに、少し議論を移していきましょう。

 

○近藤地域就労支援室長補佐

2 「量的課題」についてです。 (1) 「ジョブコーチ養成研修の拡大」についてです。頂いた意見としては、養成機関として、講師確保が難しく、講師の質を落とすと研修の質が落ちることを懸念する、といった意見。とはいえ、数は不足しており、質とのバランスを図りつつ考えることが必要、といった意見がありました。また、開催地域は受講者から見れば身近でできるほうがよいという意見がある一方、地方に毎年開催するだけのニーズがあるかは疑わしいという意見があり、ニーズを増やす観点では、 1 号認定法人を増やしたり周知することで、企業からの依頼を増やす努力は同時に必要である、という意見。また、企業が第 2 号ジョブコーチを置くことについて、必要性や効用を企業の経営者等に啓発・研修することが必要という意見がありました。

 こうした意見を踏まえ、点線囲みの 1 つ目の○、研修の質を確保する視点を持ちながら、養成研修実施機関の要件の見直しを検討してはどうか。 2 つ目の○、ジョブコーチの量的拡大を図るためには、ジョブコーチの活用の重要性について理解を深めることが必要ではないか、としております。

 続いて (2) 「ジョブコーチの養成促進」です。マル1養成上の課題としては、受講者側から見て、参加費、交通費、時間等が課題となるのではないかというような趣旨の意見。養成研修が連続受講としていることの課題。第 2 号になっても、第 1 号にそのまま転向できないといった制度上の課題等について意見を頂きました。

 以上から、この論点については、 1 つ目の○、研修の柔軟化を検討。 2 つ目の○、受講経費に対する助成制度については、現在社会福祉法人、 NPO 法人を含む事業所が、キャリア形成促進助成金と対象となる条件、これは中小企業であることや、雇用保険適用事業所で、受講者も雇用保険被保険者であることなどいろいろありますが、これを満たせば、この助成金により受講経費と研修期間中の経費の助成を受けることができるので、こうしたことを周知するべきではないか、といった方向としております。

 続いて、マル2特に 2 号ジョブコーチの数が少ないが、企業の活用促進をどのように図るべきかについてです。関連する意見としては、まず、特例子会社を中心に研修ニーズが高まっており、研修としての第 2 号ジョブコーチ養成研修の価値を認めて、普及・促進を図ることが望ましく、その際に養成研修の受講要件が厳しく、整理が必要であること、といった意見がありました。また、第 2 号ジョブコーチと生活相談員の関係について意見があり、生活相談員も 1 回受けて終わりではなく、その後のフォローアップ研修があればもっと活用できるのではないかというように、継続的な活用に関する意見も頂きました。また、第 2 号ジョブコーチの助成金について、類似助成金との整理等が必要といった意見と、企業としては、助成金の有無より、その効用のほうに着目しており、助成金に余りとらわれ過ぎないようにすべきとの意見も頂いております。

 こうした意見を踏まえ、 1 つ目の○、第 2 号ジョブコーチ養成研修の受講資格要件の緩和。 2 つ目の○、障害者職業生活相談員の第 2 号ジョブコーチへの移行促進といった方向性を記載しております。

 

○松爲座長

 それでは、量的課題の部分について、皆さんの御意見を伺いたいと思います。

 

○成澤委員

 良品計画の成澤です。先ほどの量、質のほうにも入ってきますが、当社ではちょっと難しいといわれている精神障害の方が約 7 割で、今は 150 名ほどいるので、日々いろいろな相談事を受けております。その中で、当社では特に障害者職業センターの配置型のジョブコーチを利用させていただいております。精神障害者は初めて採用したのが 5 年ぐらい前なのですが、そのときは依頼をしたらすぐに来てくださったりしているのですが、やはり現在ですと、すぐの対応はむずかしい状況です。資料にも付いていたのですが、配置型のジョブコーチの人数が 4 年ぐらい前と現在が同じだというのは、多分そこに枠が最初からあって増やさないという何かがあるのかと思います。職業センター以外のところではジョブコーチの人数は着実に増えています。当社では 100 人以上のジョブコーチを利用しているなか、様々な方がいらっしゃいますが、職業センターのジョブコーチの方は、やはり一定の水準があります。すごくこちらも利用しやすいですし、企業の文化が入りにくいというのもありますが、実際には結局仕事をうまく職場でこなしていくことが大事なので、そのためにはやはりジョブコーチの数をとにかく今よりは少し増やしていただかないと、これから増えていく障害者雇用の中では厳しいのではないかと思っております。

 

○松爲座長

 ほかにはいかがでしょうか。

 

○井口委員

 高齢・障害・求職者雇用支援機構の井口です。御利用ありがとうございます。おっしゃっていただいたように、私どもはここ数年配置型ジョブコーチの人数はほとんど増やさずに、支援対象者を 5 年で 2 割ほど増やしてまいりました。そろそろ、支援対象者をこれ以上増やすことが難しくなってきています。私どもの方針として、今までは配置型ジョブコーチの数は増やさずに、 1 号ジョブコーチをできれば増やしていき、そのような方々と協同支援をする中でノウハウを移していき、地域の就労支援の裾野というか、支援ができる人を増やしていこうという考えでやってきたわけですが、予想以上に 1 号ジョブコーチが増えなかったということで、今回の検討にもつながっているのではないかと思います。今後については、全体の支援ニーズが増える中でどうするか、この研究会の議論も踏まえながら、私どもとしても考えていきたいと思います。

 

○松爲座長

 ほかにはいかがでしょうか。

 

○石原委員

 電機神奈川福祉センターの石原です。質、量も絡めて、意見というか感想的になるかも分かりませんが、一言発言させてください。今の 2 号ジョブコーチを配置しやすくする環境をつくって拡大していくことに対しては、我々としても期待を持って受け止めたいと。また、そういうジョブコーチを配置できないような中小企業などに対しては、我々支援機関が担っていくことは、重要だと思っております。

 それから、 1 次の特に経験豊富なジョブコーチは、 1 歩前進でよく、全然反対するつもりはないのですが、法人を運営する立場として、ずっと昔から援助センターや支援センターなどがいろいろな形で支援してきた歴史を持っています。その中で、ナカポツの仕組はでき、そして今もハンドリングされていると。そこに、経験豊富なジョブコーチを持ち込んだときに、どういう運営になっていくのかなという意味で、内部で育成していくのか、持ってくるのか。あるいは、地域の活動においても、地域におけるポジション、影響力との絡みで、この仕組をどのように運用していったらいいのか、少し悩ましいところもあるということをお伝えしておきたいと思います。

 ただ、私どもは就労移行支援事業を担っておりまして、私どもは送り出した働く障害者に対しては、私ども自身が定着支援をしていこうと思っておりますので、そのような就労移行支援事業所で制度を使うか使わないかは別にして、ジョブコーチ的な方々に頑張っていただく、支援をしていただく、これは非常に有効だと思っております。そういう点で、御理解をいただきたいところもあるかなと思っております。以上、意見です。

 

○鈴木委員

 くらしえん・しごとえんの鈴木です。特に、ジョブコーチ養成研修や量的な問題については、私どもの養成研修機関については、非常に重大な問題であるとは思っております。そういう意味で、特にジョブコーチの養成と研修機関の問題については、前回もヒアリングのときに報告いたしましたが、非常に悩ましい問題であると思います。私たちとしても、実際に研修の回数をもっと増やしていく、特に空白地域を埋めたいという必要性もあるかと思いますし、また身近な地域で受けられることも、もちろん重要だと思っております。ただ、実際問題、最近も研修が修了しましたが、やはり受講生の質というか、受ける方の様変りを感じているところはあります。特に何かというと、就労移行支援事業所であっても、やはり辞めてしまって回転が早くて、経験がないから、また新しく就労移行などに取り組み始めたので受けるとか、要するに当初ベースとして就労移行を 1 年とかやりながら、その上に立ってジョブコーチ研修というよりも、どちらかというと入門的な、これから始めていくので知りたいというような方。また、 1 つの法人などでも、前回受けてまた今回もというと、やはりその職員自体の異動など、実際広くやればやるほど毎年開催していくほど、それだけのニーズは果たしてあるのかというようなことで、だんだん質の問題が切実に、ジョブコーチが必要だ、質の高いジョブコーチがというようなところと相反するような状況も生まれてくるのも、今は悩ましいところだと思っております。

 ただ、そういう意味でいうと、どんどん 1 号で活動できるようなより安定したような専門的に活動できるという意味で、ナカポツにスーパーバイズができるようなジョブコーチが必要というのは、これはすごいことだと思っております。ですから、そのような形での質の担保の研修の質を確保する視点を持ちながら、なおかつ養成研修実施機関の見直しは、なかなか私たち自身もイメージが湧きにくいところは、正直あります。ただ、 2 番目にありますが、ジョブコーチの活用、養成について本当に必要になっているところは、もっと動きやすいような制度を作っていくことが重要だと、改めて思っております。

 

○松爲座長

 先ほどの小川委員の話にあったとおり、我々がジョブコーチと言っていても、いわゆる助成金対象になるジョブコーチと、現実的にはそうでないジョブコーチと。研修を受けながらもジョブコーチは実働稼働していないではないですか。その稼働していない側は、逆に言うと量的なうんぬんということよりも、地域の社会福祉資源に関する啓蒙活動とは言いませんが、何かそういう機能的なものがあるような気がするのですよね。そうすると、そういったものに分けて考えなければいけないかという感じもします。逆に言うと、啓蒙的なものは各障害者職業センターなどでやっていますよね。ああいうものを何かセットで考えていかないと、単なるジョブコーチ研修は高い金を使って研修しながら何の役にも立たないというか、現場は付いていないという、何かすごく効率が悪いような気がしますが、その辺りは小川委員、いかがですか。

 

○小川委員

 やはり、ジョブコーチの研修の一番の目的は、職場適応援助者として活動する 1 号ジョブコーチを増やすと。多分、ここでの量的課題と言われているのも、まず第 1 段階はそこにあると思います。そのために、養成研修実施機関の要件の見直しを検討してはどうかとなっているのかと思います。今回配布された資料の 9 ページに、職場適応援助者養成研修の開催地域の一覧があります。 10 ページには、ジョブコーチの配置の状況のグラフがあります。この中で、例えば長野などはジョブコーチの研修の開催の回数が多く、配置状況も多い地域になりますが、そのほか民間の厚生労働大臣指定研修機関がこれまで地方で開催している福島県、滋賀県、和歌山県、島根県、広島県の状況を見ると、必ずしも地方で数回開催したからといって、特段 1 号ジョブコーチの配置状況が多いというところの相関は強く見られません。ということは、確かに養成研修を実施することも必要ではありますが、イコール 1 号ジョブコーチの数が増えるということではなく、そこにはほかの要素も働いているのではないかと思います。そういうことで、養成研修を地方で数打てば 1 号ジョブコーチが増えていくという直接の相関関係を前提に考えるのはいかがなものか、これが 1 点です。

 そうは言っても、今回の様々なヒアリングで、各地方で養成研修が東京や大阪などではなく、地元で開催してくれると、旅費の点などからいっても有り難いという声はたくさん挙がっておりますし、私たちが地方で開催したときにも、本当に地方で開催してくれると有り難いという声を頂いております。今後、やはり空白地帯がないように、できるだけエリアとして見て、地方での養成研修の開催を積極的に行っていく必要はあるのではないかと思います。

 ただし、これも付け加えになりますが、ヒアリングの意見の中にも、毎年開催すると果たしてニーズがあるのかどうなのかという意見もあります。実際、地方で毎年開催すると、先ほど鈴木委員がおっしゃられたように、受講者の目的、就労支援の実務の経験が下がっていき、それは養成研修ではなく、ジョブコーチの入門研修でよかろうというような状態にもなってきますので、やはりジョブコーチの量と質を考えますと、必ずしも養成研修実施機関の要件を下げて、養成研修機関を増やし、ただ養成研修の数を多くすればいいということではないと、私は考えています。

 

○松爲座長

 とすると、あとは今お話がありました入門的なものは、もっと増やす必要があるのではないかと思いますが、そこはどうなのでしょうか。井口委員の所で、職業センターは、入門的研修は、どういう形でやっていましたか。

 

○井口委員

 高齢・障害・求職者雇用支援機構の井口です。ジョブコーチの養成研修とは別に、地域の就労支援の裾野を広げるという目的の下に、いろいろな関係機関の方が入門編を学べる就業支援基礎研修を、各都道府県で年間数回行っております。そこでは、受ける人の範囲を限定せず、福祉の方、教育の方、医療の方など、希望があれば受講できる形になっております。

 

○松爲座長

 先ほど、清家委員や金塚委員が言われた、医療関係者もそこには来ているのですか。

 

○井口委員

 数は多いわけではないとは思いますが、医療の方も受講していただいております。

 

○松爲座長

 分かりました。この文書の中で、研修の 1 番目はいいとして、 2 番目の 6 ページはどうでしょうか。

 

○岡元委員

 着物ブレインの岡元です。まず、生活相談員の話がありますよね。前回お話したのですが、生活相談員の研修をもっと活用すべきではないかとずっと思っております。生活相談員の修了者がジョブコーチの資格の応募要件なのですが、それを更にもう少しきめ細かく、特に当社は重度事業所でもありますので、支援者はたくさんつくることもできますし、もう少し高度な研修を。 1 回目の研修は入門編、 2 3 回目とランクを付けて高度な研修を受けた結果として、その先にジョブコーチの資格があるというような仕組で、オールオアナッシングでその差が余りにも激しいのかなというような、もっとハードルを下げたところから入ってだんだん上げていく。そうすると、先ほど石原委員が何回もおっしゃっていた経験豊かなジョブコーチとは何ですかという設問をされていましたが、そこに行き着くのではないかという気もいたしました。

 

○松爲座長

 それに関連して、企業の方々にお聞きしたいのですが、先ほど小川委員が指摘されたグラフを見ていても、 1 号ジョブコーチより 2 号ジョブコーチのほうが絶対数が少ないではないですか。むしろ、そう考えてしまうと、絶対数の多い、例えば 1 号ジョブコーチを 2 号という形で転換させるような仕組は難しいものですか。そういったものは、企業のニーズはないものなのでしょうか。

 

○岡元委員

1 号ジョブコーチの資格者が企業に入れば、それは即採用して配置いたします。非常に有り難いです。

 

○松爲座長

 それをやってくれると、 1 号の出口か先が見えてしまうのですね。単なる研修をしても、研修の先のものが見えないと、皆やる気がなくなってしまいますよね。

 

○岡元委員

 ですから、是非そういったニーズはあると思って。

 

○松爲座長

 そういった流れをつくっていいということですよね。

 

○岡元委員

 はい。

 

○井口委員

 高齢・障害・求職者雇用支援機構の井口です。今のお話の延長線上で、こういう事例を御紹介したいと思います。私どもの配置型ジョブコーチを経験した職員が退職して、 2 号ジョブコーチに転向した例が、少数ですがあります。それから、それ以外にも配置型ジョブコーチの経験者が、特例子会社などに雇用されるケースがあるのですが、その場合は 2 号ジョブコーチの助成金はもらってはいないのだけれども、多分そこは配置型ジョブコーチの経験を買われて、 2 号ジョブコーチのように障害者の支援を特例子会社等でやられている方も少なくないようです。

 

○松爲座長

 今聞いていますと、これから先、特に中小企業が増えてくるときには、折角養成した 1 号をきちんと活用できるような流れにもっとしなければいけませんし、企業も含めてそういった広報活動をもっとしなければいけないかもしれないという気がしますよね。ただ一方、 6 ページの一番上に、 2 号ジョブコーチが 1 号に容易に転向できるようにすべきと書いてありますが、これは小川委員、もう少し説明していただけますか。

 

○小川委員

 資料の 13 ページ、職場適応援助者助成金の支給対象法人要件、第 2 号職場適応援助者助成金のほうですが、 4 つ目の■で「次のいずれかに該当すること」の 4 つ目の・に、「地域センターの職場適応援助者として 1 年以上の実務経験がある者、第 1 号職場適応援助者として 240 日以上の実務経験がある者」という規定があります。逆に、第 1 号職場適応援助者助成金のほうでは、第 2 号職場適応援助者としての数日間の実務経験がある者は対象に含まれないので、ここが一方通行ではないかという指摘を企業の方等から受けることがあります。それについて、両方向の方向性があっていいのではないかと、ここでは述べさせていただいておりますが、その辺りの仕組みについて少し機構の方にも確認したいのですが、方向性は今のところは一方通行ということでよろしいでしょうか。

 

○井口委員

 高齢・障害・求職者雇用支援機構の井口です。今の逆のパターンで、例えば 2 号のジョブコーチの経験者が 1 号として活動しようとする場合ですが、実は養成研修の中では、私どもで、全ての研修を受けなくても補完研修だけを受ければ 2 号から 1 号に転向できるという制度があります。ただ、小川委員も御存知でなかったぐらいで、知られていないという問題があるようです。念のため、誤解のないようにお話しておきますと、 2 号の研修を受けただけの人が、 2 号の経験のない人が 1 号になろうとした場合は、 1 号の養成研修全てを受けていただかないといけないのですが、 2 号として経験があれば補完研修、これは地域研修 2 コマ、 210 分の研修だけを地域センターで受けていただければ、 1 号としての養成研修の修了証を出して、それをもって 1 号ジョブコーチに転向できることになっております。先ほど申し上げたとおり十分知られていない問題がありますので、それは担当部署にもお話をして、どうするかを検討させていただければと思います。

 

○松爲座長

 ちょっと、今のことを確認いたします。今度は、逆に 1 号で 2 号へ行くときには、補完研修のようなものはあるのですか。それは、特にないのですか。

 

○井口委員

 それは、ありません。

 

○松爲座長

 今の話で、もう少し量的な広がりといったときに、実は大学の先生方は多分御存じかと思いますが、就労支援サービス等々で社会福祉士の選択科目になっていますよね。あの科目の中では、結構就労支援に関わる、ジョブコーチに関するカリキュラムが幾つかというのは、全部代講できる可能性があるのですよね。ですから、逆に言うと例えば社会福祉士をやって就労支援サービスの単位を取っている人間に関しては、幾つかのジョブコーチ研修の科目を免除してよいという形は、ジョブコーチをやっている側としてはどうですか。研修側としては。これは、小川さんのほうが知っていますかね。就労支援サービスに関してのカリキュラム中身ですから。

 

○小川委員

 確かに、制度に関する理解等では、就労支援サービスと職場適応援助者養成研修のカリキュラムは一致しているところもあります。それから、職業リハビリテーションの理念などは、おっしゃるように共通しているところがあると思います。ですから、可能性としては検討に値すると思いますが、職場適応援助者養成研修を実施している運用でいいますと、一部の科目だけ、今はそういう科目がバラバラに入っておりますので、そのときだけ好きにどうぞ、散歩してきてくださいよというような形になりがちなので、今後もしそこを免除できるようにするのであれば、カリキュラムの組み方等も各機関が工夫しなければならないかと思いますね。

 

○松爲座長

 ただ、可能性としてはなきにしもあらずですよね。社会福祉士の中で、就労支援サービスを新カリキュラム対応の中で、ともかく選択だけれども結構たくさん取り始めていますからね。量的な拡大ということを考えていくと、可能性としても考えていいのかもしれません。

 

○小川委員

 大妻女子大学の小川です。今度は、大妻女子大学の小川として発言をさせていただくと、大学で社会福祉士の養成をしている立場からすると、社会福祉士に折角就労支援という科目が入って、それを取っていることのインセンティブが、例えば職場適応援助者養成研修を受けようとするときに、半日とかはそこについて免除であるというようなことがありますと、非常に社会福祉士の専門性が生きてきますので、必要な検討事項かと思います。

 

○鈴木委員

 くらしえん・しごとえんの鈴木です。実際養成をしている中で、実際養成したときに、そのあとに 1 号としてどこまで活動できるかというのは、やはり先ほど来石原委員もおっしゃっていますように、ジョブコーチの質というかスキルといった問題の場合、大学教育との一貫性はもちろん必要ですが、ジョブコーチとしてのキャリア形成、それこそその先があってというように、逆にそれなりの大学教育を受けて現場で本当に通用するジョブコーチは、かなりいろいろな要素があると思います。ですから、若い方もどんどんジョブコーチになっていくことはもちろん重要だと思いますし、それを受けて、それを引っ張り上げていく人たちの問題と対をなすものだと思っております。

 

○松爲座長

 以前も議論がありました、いわゆるシニアジョブコーチ的な新たなナカポツの地域による中核的なジョブコーチ、スーパーバイズできるようなものと抱き合わせのセットで考えていき、量的な拡大を考えていくという総合システムが多分必要なのかもしれないということになりますね。

 

○高井委員

 全国就業支援ネットワークの高井です。養成研修は結構たくさんの方が受けておられて、認定法人のジョブコーチとして活動していますが、なったあとの定期的な更新制度のようなものがないため、先ほど企業の方が、当てにならない人もたくさんいると言われる。企業から当てにされるようなジョブコーチを育てるという意味では、養成を終えたあとの定期的な研修、フォローアップもありますが、それ以上に相談支援事業の相談支援専門員は、 2 年ごとに現任研修をきちんと受けないと続けられない。そういったことをきちんと制度化していくことが質を高めるジョブコーチを育てることになると思います。

 もう 1 点は、前回小川委員から提出された資料にもありますが、私は認定法人の理事長ですが、法人が、専任のジョブコーチを置けるように助成金の問題を何とかする、若しくは兼任を認めるなどもっと条件を緩和しないとなかなか改善できません。その部分がここでは全く抜けてしまっています。それでは問題解決にはならないと思うので是非その部分は飛ばさないでしっかり入れていただきたいと思っております。

 

○松爲座長

 今の飛ばしてない所が「その他」の 3 番目なのですね。事務局から説明をお願いします。

 

○近藤地域就労支援室長補佐

 最後に、 3 「その他」です。こちらには、助成金に関連した項目で、 1 日に支援を複数回実施した場合の助成金の在り方や、対象となる業務の内容、その他いろいろと頂いております。また、ジョブコーチの安定的な活動を担保できるような形態の必要性等、いろいろと頂いております。これらについては、助成金の在り方について見直しが必要ではないかということで、まとめております。以上です。

 

○松爲座長

 ということなのですね。問題は、ここをどこまで文章として書き込むかです。 1 行というのは、きっと納得しないでしょ。せめて、あと 2 3 行増やすかと。そのときは、中身をどうするかですね。もう少し、皆さんの御意見を伺いたいと思います。どこまで私たちとしては書いたほうがいいのでしょうか。事務局としては、非常に辛いところなのですね。金をよこせというのは話は簡単なので、そうではない、お金がもともとない前提の下で、どういう形でこの助成金の在り方の見直しを、どういう中身を文章として膨らませていくか。これについて、少し皆さんの御意見を伺いたいのですが、いかがでしょうか。

 

○清家委員

 ワーキングトライの清家です。ワーキング・トライでは 300 人ほどの登録者のうち、約 9 割が精神の方たちです。フォローアップであったり、支援の入り方の話を行っていくなかで、現状のジョブコーチが稼働して助成金をもらう仕組には、これから増えるであろう精神の方たちの支援には、全くマッチしていません。ですので第 1 号になろう、第 1 号を雇おうという法人は出てこないと思います。

 

○松爲座長

 ほかは、いかがですか。

 

○岡元委員

 逆に企業としては、ジョブコーチは専任ではないのですね。ジョブコーチの仕事を朝から晩までしていることはありません。その日によって違いますが、何か問題が起きない場合には、 100 %自分の職業を持っています。ですから、給料も払えるわけです。補助金に頼る必要もないですし、自立しているというところで、逆に専門性が足りないので、その辺りをお借りしたいと思います。

 

○松爲座長

 そういう意味では、 2 号の場合と 1 号の場合は、かなり状況が違うのですね。

 

○岡元委員

 違いますよね。ですから、これを一緒にして議論が難しいのかなと感じました。

 

○松爲座長

 ほかは、いかがでしょうか。

 

○菊池委員

 菊池です。先ほど来の経験が豊富なということも踏まえて、ジョブコーチの中で一定の領域あるいは経験年数などいろいろなことを加味して、専門ジョブコーチのような制度を作って、専門が付くと多少加算があるとか、何かそのようなことはどうなのでしょうか。

 

○松爲座長

 前回、前々回出た、小川委員も含めて、やはりシニアジョブコーチ的なものの概念につながるかもしれませんね。ほかに、いかがでしょうか。

 

○成澤委員

 良品計画の成澤です。やはり、ジョブコーチの経験豊富なというところで、先ほど助成金をシニアはプラスアルファするといったところはもちろん大事だとは思うのですが、やはり一緒に育っていくということも大事だと思います。私もかなりの人数のジョブコーチの方とお会いしていろいろな問題を解決している中で、やはり最初は若いジョブコーチでも経験が足りなかったりしますが、企業と一緒にやっていく中で育っていく姿も見られるので、シニアにプラスアルファするとか専門を置くとか、先ほどお話に出たナカポツに専門を入れるという方法もありますが、それ以外に少し基本に戻って、お互いが育っていくことで、質が上がるのではないかと思います。またジョブコーチ研修の中でも学んでもらうところが必要ではないかと思います。

 

○松爲座長

 極端なことを言いますと、助成金制度に基盤を置いている以上はということになってしまうので、それを言ってしまうと身も蓋もなくなってしまうのです。ですから、逆に言うと、私はすごく思うのは、今出している助成金制度全体の見直しをして、もう少しメリハリを付けるべきではないかなという気がするのです。昔の身体障害者のときのいろいろな機器、設備は、もっと減らしていいような気がするのです。それは、企業が責任をもってやるべきであって。そうではなくて、時代に応じた精神や発達の人たちは、知的をやったときもそうですが、単なる機器、設備に対する助成ではなくて、マンパワーに対する助成ではないですか。そういった形のものに、恐らくパイが決まっているのですから、決まったパイをもっと形を変えていけるような提言をすべきではないかという気がするのです。そうしないと、やっていけないと思うのですが、いかがでしょうか。どういう形の書きぶりでやるかですね。

 

○小川委員

 大妻女子大学の小川です。この研究会でどこまで議論できるのかは非常に難しいところかとは思うのですが、今回出していただいた中間まとめでは、私はナカポツセンターに専任でのジョブコーチの配置がまずぎりぎりの 1 歩の前進で、そこを限られた財源の中で第 1 優先として考えたということだと思います。私たちも、前回のヒアリングの資料で、第 1 優先としてそれをお出ししたのは、正直財源の問題も若干頭に置きつつ、優先順位は何かと考えたところです。もし、そこの縛りがなければ、やはり助成金額を全体にアップして、民間の法人がゆったりとした財源の下で専任ジョブコーチを配置できるところを目指すべきだったと思います。やや、そういうところで、状況を鑑みすぎているのかもしれませんが、まず今回のこのまとめについては、その 1 歩について実現を目指すことが私は必要と考えています。

 あとは、やはりジョブコーチというキーワードは、これは 1 号、 2 号の区別はありますが、 1 号でいえば、職場に入って支援をして、企業と共同、協力して支援をするというのが、ジョブコーチの重要なキーワードです。それから、継続的に支援するというのも、キーワードですので、そこをどういう財源と制度でカバーしていくかについては、松爲座長がおっしゃったような助成金の見直し、労働の財源がまず 1 つです。そこで、可能性を更に追求していただきたいです。

 それから、就労移行支援事業については、これは障害福祉サービスですので、やはり障害福祉サービスの予算の中で、ジョブコーチ的な機能の支援をどのように作り出していくのか、就労移行支援事業の就労支援員が、自分の所から送り出した障害のある方たちが働くということを、企業に入り込んで企業と協力して、継続的にどのようにやったらいいのか、そこの財源の仕組みと、先ほど企業の方がおっしゃっているように、企業の文化を分かり、きちんと就労支援をできるような専門性をどうやって身に付けるかを、障害福祉サービスの枠組みの中でもより検討しなければならないと思います。そこについて、必要だということは、是非この研究会の中でも押さえておきたいポイントだと思います。

 

○松爲座長

 そうですね。助成金だけではなく、福祉の側がそういったものを含めて、きちんと見直しをしてくれということを、私たちとしては提言したいところですね。

 

○藤枝障害者雇用対策課長

 今、行政側にも御配慮いただいた発言をしていただき、ありがとうございます。先ほど小川委員もおっしゃいましたが、例えば助成金の金額を上げてくれというようなことは、我々も財政状況がありまして、なかなか全てに応えることはでき兼ねる状況もあることは御理解いただいた上で、先ほどお話いただいたように、例えば精神障害者が増えていく中で、どういった観点での見直しとか、あるべき見直しの方向性について、どういう観点で行政として対応すべきかという方向性を打ち出していただければと思います。具体的に、この助成金をこう上げろと言われると、なかなか厳しいものはありますが。

 

○松爲座長

 分かりました。

 

○井口委員

 高齢・障害・求職者雇用支援機構の井口です。助成金の話以外のことでもよろしいでしょうか。今回の報告のポイントは、小川委員がおっしゃったようにナカポツに経験豊富なジョブコーチを配置することだと思います。もし、それが実現された場合の支援ネットワークをどうするかという点について、一言意見を申し述べさせていただきます。

 ジョブコーチが増えるということで、例えば福祉圏域内の支援ニーズを福祉圏域内のジョブコーチが全て対応できるかというと、それはなかなかすぐには難しいのではないかと思います。それは、例えば前回のヒアリングで説明しましたように、私どもの配置型ジョブコーチが今、全体の支援の 8 割をカバーしている状況から見ても分かると思います。それから、ジョブコーチが増える中で、それぞれがバラバラに支援を展開するのかという問題があるかと思います。ですから、都道府県内の支援ニーズに適切かつ効果的に対応するためには、やはり都道府県レベルのネットワークも考えなければいけないのではないか。そういうときに、私ども地域障害者職業センターが中心になって、今もジョブコーチ支援推進協議会というジョブコーチが集まる会議をやっておりますが、そういう活動を更に拡充して、都道府県レベルのネットワーク全体で利用者、これは企業であり、障害者であり、関係機関だと思いますが、県内全体でジョブコーチがどこにどのぐらいいるという情報を、きちんと利用者の方に示しながら、支援ニーズをそれぞれが把握して、それを都道府県レベル全体で共有する。そうした上で、個々のコーディネートのことではないのですが、全体のどういう役割分担を都道府県の中でやっていくか、あるいはどういう協議をしながら協同支援につなげていくかという協議が、やはり都道府県レベルで必要ではないかと考えております。

 また、そのようなネットワークを支えるためには、私どもが今もやっておりますが、引き続きセーフティーネットとして、もしジョブコーチが足りない、あるいは支援が及ばない、難しいケースには、私どもで対応させていただいて、そのような機能を果たさせていただきたいということを、最後に付け加えさせていただきたいと思います。

 

○松爲座長

 ネットワークの問題は、先ほどありましたように、いわゆるナカポツセンターとの関わり、組織間との全体のネットワークですね。今回付きましたジョブコーチということに、かなり専門職の個人的な中身が入りましたが、いよいよナカポツになってまいりますと、ネットワークや全体の組織の在り方、組織間の関連の仕方のほうに言及していかざるを得ないかもしれませんね。今の話は、記録としてきちんと入れておきましょう。ネットワークの大事さは、皆さん御承知のことと思います。

 時間もまいりましたので、最後に事務局からその他ということでもしありましたら、よろしくお願いします。

 

○近藤地域就労支援室長補佐

 次回の日程について、第 5 回は 12 16 ( ) になります。

 

○松爲座長

 では、これをもちまして、第 4 回の研究会を終了いたします。今日は、非常に面白かったですね。感想です。どうもありがとうございました。


(了)

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