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2013年11月28日 平成25年度 第2回重症心身障害児者の地域生活モデル事業検討委員会議事録
社会・援護局 障害保健福祉部 障害福祉課 障害児・発達障害者支援室
○日時
平成25年11月28日(木)
14:00~17:00
○場所
厚生労働省合同庁舎5号館
専用第14会議室(22階)
○出席者
【検討委員】
岩城委員 | 大塚委員 | 杉野委員 | 田中委員 |
田村和宏委員 | 田村正徳委員 | 中川委員 | 福岡委員 |
松葉佐委員 | 米山委員 | 宮田委員 |
【厚生労働省】
阿萬室長 (障害児・発達障害者支援室長) | 川島補佐 (障害児・発達障害者支援室長補佐) |
大西専門官 (障害児支援専門官) | 田中専門官 (障害福祉専門官) |
【実施団体】
社会福祉法人 北海道療育園 |
社会福祉法人 びわこ学園 |
社会福祉法人 愛徳福祉会 |
社会福祉法人 三篠会 |
社会福祉法人 旭川荘 |
○議題
・平成25年度事業実施団体からの中間報告に対するヒアリング 等
○議事
【平成25年度 第1回重症心身障害児者の地域生活モデル事業検討委員会議事録】
○川島補佐 定刻となりましたので、ただいまより「平成 25 年度第 2 回重症心身障害児者の地域生活モデル事業検討委員会」を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、御多忙のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
本日は今年度第 2 回ということで、本事業の実施団体である 5 団体からの実施状況の中間報告に対するヒアリングなどを予定しています。事業内容がモデル事業の目的等に沿った効果的なものになりますよう、委員の皆様方からの御指導、御助言のほど、よろしくお願いいたします。
会議に先立ちまして、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課障害児・発達障害者支援室長の阿萬より、御挨拶させていただきます。
○阿萬室長 皆さんこんにちは、阿萬でございます。本日は御多忙の中、御参集いただきまして、ありがとうございます。本日の検討会も今年度 2 回目となりました。先ほど川島のほうから申し上げましたように、本日は個々の団体の中間報告ということで、皆さんの報告を先生方もお聞きいただいた上で、それぞれ専門的な御見地からアドバイスを頂ければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
また、 1 点御紹介させていただきますと、来年度の施行に向けて、重度訪問介護の対象拡大ですとか、グループホーム、ケアホームの一元化に伴う体制の強化などについて、いろいろ検討しているところです。大塚座長と、そして今日はまだいらしておられませんけれど、福岡委員のほうにも検討会に御参加いただいたりして、いろいろと準備を進めているところでありまして、重症心身障害児者の方々も含めた障害福祉の体制の強化を、今後とも進めていきたいと思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
○川島補佐 続きまして、本日の流れについて簡単に御説明させていただきます。お手元にお配りしています議事次第を御覧いただければと思います。
本日は第 2 回目ということで、先ほど申しましたが、本事業の実施団体である 5 団体から実施状況の中間報告に対するヒアリングを予定しています。終了予定時刻は 17 時を予定しています。長丁場になりますが、よろしくお願いいたします。
本日の委員の出席の状況ですが、まず、今年度の本検討会に初めて御参加いただいています、全国児童発達支援協議会副会長の宮田委員の御紹介をいたします。宮田委員につきましては昨年度の委員でもありましたが、今年度、新たに委員になられた方もいらっしゃいますので、改めて御紹介させていただきます。全国児童発達支援協議会副会長の宮田委員でございます。
○宮田委員 宮田でございます。よろしくお願いいたします。
○川島補佐 よろしくお願いいたします。
なお、日本相談支援専門員協会副代表の福岡寿委員につきましては、本日御欠席との連絡を頂いています。委員の皆様、本日はどうぞよろしくお願いいたします。
ここから座長に進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○大塚座長 はい、大塚です。今回もよろしくお願いいたします。
早速議事に入りたいと思います。本日の資料について、事務局から説明をお願いいたします。
○川島補佐 本日、御用意させていただいた資料については、 1 つに束ねておりますが、まず議事次第、資料 1 として「平成 25 年度重症心身障害児者の地域生活モデル事業中間報告書」です。大分後のほうに飛びますが、 83 ページの資料 2 「実施団体名簿」になります。次のページが資料 3 として、本検討委員会の開催要綱、次のページに資料 4 「座席表」、最後のページに本検討会の今後のスケジュール ( 案 ) を載せています。資料の不足等がありましたら、事務局のほうまでお願いいたします。
○田村 ( 正 ) 委員 この報告書は、事前にいただいたものから変更はありますか。
○川島補佐 変更はありません。
○田村 ( 正 ) 委員 はい。
○大塚座長 それでは議事の 2 「平成 25 年度事業実施団体からの中間報告に対するヒアリング」に入りたいと思います。実施団体の方の入室をお願いいたします。
( 実施団体入室 )
○大塚座長 よろしいでしょうか。各団体の方、御苦労さまです。第 2 回重症心身障害児者の地域生活モデル事業検討委員会に、お忙しい中お集まりいただき、どうもありがとうございます。前回お知らせしたとおり、今回は事業実施状況の中間報告として、モデル事業が一層効果的なものとなるように、委員の方々からアドバイスを頂くことを目的としています。御理解と御協力のほどをお願いいたします。
それでは、中間報告に対するヒアリングの方法について、事務局から説明をお願いいたします。
○川島補佐 中間報告に対するヒアリングの方法について御説明いたします。まず、 1 団体ごとに説明とその説明内容への質疑を行います。具体的には、 1 団体ごとに 10 分間で御説明をいただきまして、その後、各委員から団体の説明内容に関して疑問等があれば、 10 分程度の時間で御質問と実施団体からの御回答をお願いしたいと思っています。説明と質疑については、 5 つの団体で全て通して行った後に、委員の皆様方から各団体に対する指導・助言等について、所用時間 10 分程度で改めてお願いしたいと考えています。
なお、実施団体からの事業中間報告の説明時間について、残り時間の 1 分前と、質疑時間の終了間際についてベルで合図させていただきますので、円滑な議事の進行について御協力をいただきますよう、よろしくお願いいたします。
○大塚座長 それでは、各団体の方から説明をお願いしたいと思います。最初に「社会福祉法人北海道療育園」から、説明をお願いいたします。
○ ( 社 ) 北海道療育園 北海道療育園の林です。時間が限られておりますので、実施内容とその分析と考察、昨年度に引き続いての実施団体としての課題と認識を中心に述べたいと思います。まず、 1 つ目の「地域の実態把握状況」、これと 2 の「意識とニーズ調査結果報告」については、昨年度調査を行いましたので、大まかな概要だけを説明いたします。
対象地域である道北 ( 北海道北部 ) 、東部、オホーツク地域 65 市町村に居住する重症心身障害児者が 163 名おりまして、それぞれが各市町村に数名ずつ点在して居住しているという現状です。また、地域の福祉サービス事業所が提供するサービスと、必要とするサービスとのマッチ状況を検討しましたが、サービス事業所があっても重症児者や医療的ケアに対応できない所が多く、十分なマッチがしていないという状況でありました。
3 の「課題の分析と把握」について、課題は以下の 4 点と考えています。 1 つ目が、在宅重症児者とその家族を支える医療と福祉サービス資源、つまり、受皿の量的・質的な不足。 2 つ目として、重症児者を支援する地域の医療・福祉・教育等の連携不足と、重症児者を専門とする調整役、恐らく今後は相談支援専門員がこれを担うことになると思いますが、それが不足しているということ。 3 つ目に、重症児者をめぐる課題を解決する場がないということです。これは恐らく障害者自立支援法に設置が求められています自立支援協議会が担うべきところですが、これが設置されていなかったり、設置されていても十分に機能をしていない地域が多いというところがあります。 4 つ目として、広大で過疎、かつ冬期間は降積雪により陸の孤島と化し、移動にも危険を伴うという北海道特有の地理的な課題があるかと思います。
これらの課題の解決のために、この中間期までに 4 つの課題に対し、資料にお示しします達成目標を設定しました。ここは割愛させていただいて、次の 5 の「中間期までの事業の実施内容」について、到達点を説明いたします。 1 つ目の「重症児者受入れを目指した福祉サービス資源の実態調査」ですが、これは自治体、事業所、医療機関の問題点。すなわち、どうして重症児者を受け入れられないのか、あるいは受け入れるためには何が必要か等を明らかにしようとする実態調査です。対象と調査内容に関してはそこにお示ししてあるとおりで、 11 月 1 日現在の集計結果のみを報告します。自治体に対しては、重症児者に対する障害福祉施策や障害福祉計画の状況を調査いたしました。旭川市を除く 64 市町村のうち、重症児者がいると回答のあった 37 市町村に調査を実施しました。実際のところ、自立支援協議会が設置されている市町村が 18 市町村 62 %、設置されていない市町村が 11 市町村 37.9 %でした。
次に、福祉事業所における重障児者に対する福祉サービスの提供状況を、 315 事業所に対し調査をいたしました。回収率はまだ 50 %ですけれども、重児者に対するサービスの提供をしているという事業所が 23 事業所 14.8 %しかありませんでした。提供していない理由については、建物が適していない。すなわちバリアフリーではないとか、酸素の配管がないというようなこと、あるいは人員不足、医療的ケアに対応できない、重症児者を診たことがないというものが理由の中心でした。医療的ケアに対応している事業所については、これも僅かに 11 施設 3 %しかありませんでした。その理由としては、看護師や研修を受けた介護職員がいない、あるいはサービスの経験がないというものでした。ただ、この事業所に関しましては、私たちのような重症児者施設との連携を希望する施設が 80 施設 51.6 %もあり、この点については今後、希望がもてるかと思います。
訪問看護ステーションに対しても、重障児者に対して訪問看護を行っているかどうかを調査いたしました。旭川市と旭川市外の事業所に対して調査を行いましたが、重障児者への訪問看護をやっているステーションは旭川市以外で 7 ステーション、旭川市内で 7 ステーションありまして、数年前に小児の看護ステーションが探さなければなかった状況から比較すると隔世の感があるかと思います。また、今後、取り組んでいきたいというステーションも数多くあるのと、私たちのような重症児者施設との連携を希望する訪問看護ステーションも数多くありまして、訪問看護ステーションは重症児者の在宅支援に非常に前向きであるということが分かりました。
また、医療機関における重症児者の短期入所に関して、医療機関に対して調査をいたしました。ここでは短期入所をやっている医療機関が 6 施設、うち短期入所を事業として行っているのが 1 施設しかありませんでした。医療機関が短期入所を行えていない理由としては、やはり重症児者を診たことがないこと、対応する科がない、病床を確保できないというもので、今後、受け入れる予定がないという医療機関がほとんどで、医療機関は短期入所を初めとして、在宅重症児者支援に非常に消極的であることが分かりました。
次に、 2 「名寄市を対象とした地域支援体制モデルの構築」について。これは名寄市あるいは稚内市を中心に、こちらのモデル事業を積極的に働きかけて、重症児者支援の拠点の町になってもらうというようなことを計画したものです。名寄市に対しては、まず、市立総合病院に短期入所事業の受諾をお願いしましたが、これに関しては診療報酬よりも減収になるということから、医療機関として福祉サービスを提供することはできないということで、非常に困難な状況でした。ただ、名寄市の自立支援協議会には重症児者のための部会がなく、関係者の話を伺うと、関係機関が一堂に会する協議会が必要だということから、我々の呼びかけで、この 11 月 21 日に第 1 回の名寄地区の重症児者の地域支援を推進するための協議会が開催されました。また、稚内市に対しても名寄市と同様にモデル事業、このような協議会の設定を進めているところです。
飛ばしまして、 4 の「個別事例の検討」に関しては以下の 7 事例について検討いたしました。 5 番目の「事業所に対する支援」としては、 4 施設と私たちの施設とで契約を結び、研修もしくは技術支援のための当園への職員を派遣するということを行っています。具体的には、既に 2 施設に対して、当園の看護師の理学療法士を派遣したところです。
6 つ目の、情報通信技術を用いた「顔の見える」相談支援システムの運用に関しては、これまでどおり運用を続けていくことに加えて、より重症の方を対象としようということで、対象を 2 家庭増やしました。更に、タブレット型の PC とかスマートフォンの導入を加えてはどうかということのアドバイスを頂きましたので、これも導入し、新たに接続することになりました。追加になりました 2 家庭については、タブレット型 PC とスマートフォンを用いての接続を行っています。デバイスの移動が非常に容易で画像も鮮明ですので、また、受け手も場所を選ばないで返答が可能となったために、使い勝手が格段に向上いたしました。
また、市立稚内病院とも Skype で接続することになり、小児科病棟作業療法室と当園、更に 2 家庭が Skype で接続されて、 11 月 1 日から運用を開始したところです。また、トラブルに対する技術支援チームの立上げに関しては、稚内北星学園大学情報メディア学部から協力の申し出があり、学生を中心に「お助け隊」のチームを編成する予定です。若い学生と重症児者とが触れ合うことで、新たな効果が生まれるものと期待しています。
「中間期における分析と考察」に移ります。福祉サービス資源の実態調査に関しては、この調査によって、福祉サービス資源、あるいは事業所に対してどのような支援をすれば受皿となってもらえるのかを検討いたしております。今後は職員派遣あるいはレクチャー付きの見学会、研修会、技術支援講習会などの支援を実施する予定にしています。また、事業所によっては医療的ケアに対応できる職員の養成に人を割けなかったり、看護師配置がなかなか困難であるという事業所が多いことから、これに対しては、訪問看護ステーションから事業所に対して、看護師を派遣するといった連携が事業化されることが必要かというように考えています。
飛ばしまして、 ICT を用いた「顔の見える」相談支援システムに関する考察ですけれども、医療的ケアを多く必要とする超重症児の 2 家庭を増やしたことから、非常にこの 2 家庭からの期待は大きかったです。早速、胃ろうボタンの周囲の皮膚の状況を画像で相談してくるなど、利用価値は高いと思われます。また、市立稚内病院と接続できたことで、研修後のフォローアップ、市立稚内病院が短期入所を受け入れた時の遠隔支援、機能訓練科同士の連携などが行うことができて、今後の運用の展開が期待されます。タブレット型 PC 、スマートフォンの導入は、カメラの操作性に優れて非常に使い勝手がよく、受け手も場所を選ばないので、夜間当直帯が直接、当園医師が相談に応じることができるものと思われます。
最後に、 9 「 24 年度事業の検証結果を踏まえての平成 25 年度への新たな課題の認識」について説明いたします。いくつか課題を挙げられました。まず 1 番目として、遠隔過疎地と都市部とでは在宅重症児者の課題や置かれている状況が全く異なっており、同一に語ることができないという点です。対象人数が少ないために福祉サービス事業所が事業として成り立たないとか、相談支援専門医の確保も非常に困難ですので、私たちが過疎遠隔地における課題に特化した事業を展開し、同じ過疎地域で実施できるモデル事業化を目指そうと考えています。過疎遠隔地の在宅重症児者の支援の在り方を提示することが、我々の責務と考えています。
課題の 2 つ目として、資源の再資源化のために我々重症児者施設が培ってきたものを外へ向かって提供していく義務があると考えています。今回の実態調査でも明らかなように、福祉サービス事業所であるとか訪問看護事業所は我々の研修の場であるとか、培ってきたものの提供を非常に求めていますので、そういったものを提供していく必要があるかと思います。
課題の 5 番目として、コーディネーターを組織が行うことの評価をこのモデル事業を通して行おうと考えています。在宅重症児者に必要なサービスを提供し、課題を解決するためのコーディネーターが不足していますが、これに対して我々は、モデル協議会という組織でコーディネート業務を担うということを提案していますが、本年度はその是非について、すなわち、モデル協議会が行うことで自立支援協議会が活性化するかどうか、あるいは個人よりも組織で行うことがコーディネートとして機能するのか、あるいは有用なのかについての評価をしようと考えています。
課題の 8 番目は、提供するサービスの安全性や質をどのように維持し担保するか。また、サービスの標準化を進めることも 2 年を通して感じている課題です。これに関しては、私たちが導入しましたテレビ電話システムを用いて、技術支援や相談支援を行う ( 遠隔支援 ) をすることで、安全性や質を担保することができないか。あるいは、専門の看護師や相談支援専門員の養成、事業所への施設職員の派遣などを通して、サービスの標準化につながるのではないかということを考えています。
最後に、基幹病院が短期入所事業を進める上で課題となっています、病院が短期入所を実施すると診療報酬のことで減収になることがありますが、これに関しては、自治体等からの差額の補填などの支援がなければ、医療機関が短期入所を続けることが非常に難しいので、この点については、現在、北海道が「在宅医療連携推進事業」を進めていますので、それと協力しながら、今後も推進していきたいと考えています。以上です。
○大塚座長 御説明をありがとうございました。ただいまの説明内容について御質問等があれば、委員のほうからお願いいたします。時間の関係上、回答と合わせて 10 分程度でお願いしたいと思います。
○田村 ( 正 ) 委員 非常に緻密な活動報告をありがとうございます。病院のほうが短期入所に余り協力的ではないというお話ですけれども、重心の患者さんが施設においても在宅においても急変したときなどに、病院がそこをちゃんとカバーして、緊急受入れをしてくれているかどうかが非常に大事なところだと思うのですが、それがどういう位置付けになっていて、どの程度病院が協力的なのかというお話をまずお聞かせできればと思います。
それともう 1 つお聞きしたいのは、我々のところでいくと、 NICU とか小児科病棟の呼吸管理病室に、長期のレスピレーターが付いているような患者さんがずうっといるということが、緊急の入院を受けられない理由になっているものですから、そういう方が在宅に移行してくれたり、重心施設に移行していただくのは非常に有り難いはずですけれども、それにもかかわらず、こういう患者さんに対して、病院がそれほど積極的に在宅を支援する体制をとってくださらない理由はなぜでしょうか。
○ ( 社 ) 北海道療育園 まず稚内市と名寄市の基幹病院に関しては、急変時や医療的な治療が必要な場合には、積極的に受け入れていただいてもらっています。かつ、付き添いのない状態でも入院を受け入れてくれるように、このモデル事業を通して、 2 つの基幹病院は動いてくれていまして、その点では受皿としては非常にいい方向には向いています。ただ、短期入所事業として、福祉サービスとして医療機関で提供する場合に、サービス単価と医療による診療報酬との差額ができるので、その点がやはり 1 つのネックになっていると思います。医療機関が提供できない理由として。
それからもう 1 つは、調査の結果にも挙げましたけれども、やはり重症児者は診たことがないとか、どこで、どの科が担当したらいいのか分からない、そういったところが問題になっているのではないかと思っています。
○田村 ( 正 ) 委員 病院側としてはもっともなことですけれども、さきほど言いましたように、 NICU とか急性期の加算が取れる病床が在宅に移行することによって有効活用できる様になります。ですから、短期レスパイトを受け入れるという、そこだけを見れば確かに赤字かもしれないけれど、そういうお子さんが在宅に移行すること自体が、トータルでは病院にとってもプラスになっているということを、先生方だけが言うのではなかなか彼らも納得しないかもしれませんが、恐らく多くの、今、挙げられた病院は、自治体の病院ではないかと思いますので、行政を通じて、そういったことをしっかり病院の経営陣にも認識してもらうということと同時に行政からの赤字補填などの働きかけも大事かなと思います。
○ ( 社 ) 北海道療育園 おっしゃられたとおりだと思います。ありがとうございます。
○中川委員 今のことに関して、これは都道府県によって多少違いがあるのですが、短期入所を受ける場合には、要するに病院はそのベットを常時確保しなければいけない。例えば病床が満床の場合には受けられないと。短期入所を受けるためには、いつも何床か空けなければいけないという問題。むしろそちらが大きいのですね。ですからそれを、それも国レベルでの制度的な問題であって、例えば 50 床の病床に 50 床あっても、短期入所が 1 人来たらそれが受けられるというような制度にするのか、あるいは常時 2 床なり 3 床なりを空けてそのベット分を補償するのか、そういう制度的なことを解決しないと難しいと思います。
○大塚座長 そのほか、いかがですか。
○宮田委員 作年度から非常に注目して聞かせていただいています。ありがとうございます。介護サービス事業者の中で、研修を受けた介護職員がいないという理由で対応していない所が 144 事業所あったと思います。昨年から制度化されている医療的ケアの研修制度、この辺りは北海道ではどのような状況になっているのでしょう。
○ ( 社 ) 北海道療育園 実施されております。隣にいるヒロセもそのメンバーの 1 人です。事業所によっては先ほども述べましたように、研修に人を出したくても余裕がないので、研修に出すことができないというところも実はあるというように伺っています。
○宮田委員 50 時間のほうの非特定の分は、我々の施設でもなかなか出しずらいところがあるのですが、対象を固定すると 9 時間で済むコースがあります。それから遠くまで行かなければいけないのであれば、こういう事業の中で北海道庁と協議して、例えば先生方が派遣でやられるとか、というようなことは考えられないのでしょうか。
○ ( 社 ) 北海道療育園 すみません。特定のものの9時間研修で言いますと、やはり看護師との連携とかが必要になってきて、都市部の旭川市内では浸透しているのですが、郡部のほうでは、事業所が看護師と連携すること自体が難しい状態なので、今は浸透できていないかと思います。それを療育園、うちの施設としてそういう方向性でやっていくというところは可能かどうか。連携していく看護師もセットになって、その場を見ていかなくてはいけないと思うので、これから検討事項の 1 つになると思います。
○松葉佐委員 今の宮田委員のお話と関連します。吸引とか胃ろうケア等の医療的ケアの研修が行われていますけれども、実際はその事業所に今おっしゃったような看護師等がいないと、なかなかそこに指示書を出しておられないみたいです。ですから、本来の目的とちょっと違うような気がするのですが、その辺はやはり看護師がいないとどうも難しいという御見解でしょうか。
○ ( 社 ) 北海道療育園 そのとおりです。
○大塚座長 杉野委員、これが最後で次にいきたいと思います。
○杉野委員 タブレット型パソコンとかスマートフォンを導入して、遠隔地の地域の連携を進めておられて、去年もちょっと話題になったかと思うのですが、昨今、個人情報の保護とかで、この辺を配慮したということがあれば追加説明をお願いしたいのですが。
○ ( 社 ) 北海道療育園 一応、始めるに当たっては、御家族と契約をすることにはしているのですが、特に個人情報に関しては、特別に規定を設けているといいますか、そういった取り決めはしていなくて、個人が特定されることを避ける、例えば報道機関とかといった所に情報提供するときには個人名を伏せたり、あるいは個人が分からないような工夫をさせていただくというお話はしています。
○大塚座長 またアドバイスの時間がありますので、もう一周しますので、ある方は次にお待ちください。
続きまして、「社会福祉法人びわこ学園」からお願いいたします。
○ ( 社 ) びわこ学園 今回は、私が県の委託で重心ケアマネをさせていただいておりますので、その関係で実態把握のこと、あるいは医療との連携のことなどについてお話をさせていただきます。ケアホームのほうは、ケアホーム担当のタニから説明させていただきます。よろしくお願いいたします。
資料にも載せているのですが、滋賀県では重症心身障害児者ケアマネジメント支援事業があり、その担当を看護師である私がしております。その中で、専門的連携支援ということで、スーパーバイズ、医療連携、全域的な実態調査の把握、課題についての自立支援協議会での発言をさせていただいており、中間報告にも載せております。今年も、滋賀県で重症心身障害児者の実態調査の人数が上がってきております。それと、圏域ごとの調査として、湖東圏域、湖南圏域、東近江圏域で重心さんのアンケートを調査しております。湖南圏域に関しては、まだ集計中で出させていただいていないのですが、最終のところで出したいと思っております。
分析のところで書かせていただいております。平成 10 年と 20 年では、ジカソウやびわこや県が参加をして実態調査をしております。本年度も、県で実態調査をしております。その増加率等を書かせていただいておりますが、やはり平成 10 年に比べると 25 年まででは 1.5 倍です。今は 808 名という数字が出ているのですが、かなり増加をしてきております。その中で、平成 10 年では見られなかった低年齢層の方と、 50 代以上の方たちの増加が、かなり著明な感じで上がってきています。それから、未就学児などの重症化も深刻になってきており、 NICU からの生存率が上がってきていますので、そこから地域に返すために、滋賀県ではバックアップベッドを 12 床作っております。そのことも影響してか、施設に入れない方たちが地域に重症のままで帰っていかなければならないということで、かなり人数が増えているところです。
圏域の調査による分析としては、 3 つの圏域でも調査をしているのですが、医療的ケアの必要なケースの増加はすごく明らかで、重介護と医療的ケアの両方を抱えている重症児者においては、サービス資源も医療的バックアップも不足している現状ではあります。その中でも、介護者の負担軽減がすごく大きな課題になっております。今のところ、日中の預かりの場や、将来の住まいの場の課題が大きく、その辺りを少しアンケートを取っているのですが、大体半分から半分以上のところでは、地域で住みたいということで、グループホーム・ケアホームを考えたいという方が増えております。ケアホームに関しては、今後本当に考えていかなければならないなというところで、実態調査からも出ていることがいえます。
そのほかに、重心ケアマネでさせていただいているところは「事業の実施内容」に書かせていただいておりますが、地域で医療との連携を深くしていこうということで、湖南圏域では医療ネットワーク会議を設けております。医師会の主催で 11 月にフォーラムをしておりますし、開業医に重症児を診るために何が足りないかというようなアンケートもさせていただいております。これも、まだ集計が上がっておりません。
○大塚座長 すみません、 18 ページですか。
○ ( 社 ) びわこ学園 はい、 18 ページの 2 番を示しております。施設見学や、開業医の先生が分かるようにということで、そのようなことも実施予定になっております。それから、基幹病院との連携会議も行っております。滋賀県では、資料にも載っておりますが、小児保健医療センターや滋賀病院が重心の受入れや治療をしてくださっており、レスパイトなども頑張っていただいております。その病院とびわこで話をしながら、短期入所あるいはレスパイトでの受入れができる所で、できるように調整をしようというような会議をしております。かかりつけ医に関しても、私どもの病院では相談業務がありますので、私が看護師ですので、地域でかかりつけ医を付けるために、小児保健で主治医を持っておられる重心の方々のかかりつけ医をつなぐ活動もしております。
研修会や講演会については、湖南圏域では重症児、小児慢性難病基幹病院の院長による講演も実施していただいておりますし、湖北の圏域においても、自立支援協議会の重心検討部会からの依頼により、その先生に医師会での講義をしていただいております。ここには挙げていないのですが、今後、医療との連携をもっと広げていきたいということで、湖北圏域でフォーラムをしたり、滋賀県の自立支援協議会で医療のフォーラムをしようという動きも出ております。
今後の活動については、まだ集計が上がっていないアンケート等もありますので、その辺りの報告ができるようにと、フォーラム等、啓発事業に関しても少しまとめる形で、最終的に出したいと思っております。それでは、ケアホーム、お願いします。
○ ( 社 ) びわこ学園 資料 18 ページの 3 から報告いたします。まず「ケアホーム移行及び現在までの経緯」ということで、入所施設からケアホームへの移行プロセスとして、 (1) びわこ学園内で進路検討委員会を設置し、入所利用者全員対象に進路に関するアンケートを実施しました。大半は施設の入所継続を希望する回答だったのですが、数人からケアホームを体験してみたいという回答がありましたので、その希望があった利用者、家族に対して、定期面談の中でケアホームでの生活に関して思うことなどを聞き取りながら、意向を確認しました。そこから、体験実習を行い、 1 泊 2 日又は 2 泊 3 日の実習を実施しました。実習後に振り返りを行い、利用者、家族から感想を聞き取り、入居に向けて準備を行いました。
移行に伴う準備と、障害福祉サービスの利用なのですが、まず区分認定や日常生活用具に関しては、入所施設のケースワーカーが中心に申請や準備の支援を行いました。介護給付サービスの申請、利用に関しては、地域の委託支援相談事業所の相談員が担当し、サービス調整会議や行政との調整、支援計画の作成を行いました。
情報整理と申し送りですが、入所施設担当職員、家族、ケアホーム職員にて、個別に利用者の詳細な申し送りを行いました。入所施設からは、各利用者の医療面での留意点やその支援方法などについても文章にまとめて申し送りを行いました。あとは、直接ケアホーム職員と利用者、家族への聞き取り面談を適宜行いました。
移行した後にも、移行後の振り返りということで、入居後半年たったところで、びわこ学園、入所施設も入った上でケース会議をもち、移行後の生活の様子などをその場で振り返り、入所施設から何かアドバイス等があれば、そこで頂くような形になりました。
入所は 1 名の方で、今回は滋賀県大津市にホームが立ったのですが、大津市より単独の補助金が大津市在住の方は出るのですが、その 1 人の方は他市出身でしたので、補助金の利用ができないということで、ケアホーム内でヘルプの利用による職員体制の確保を行いました。そのために、個別調整会議を、出身地の障害福祉課担当の方にも来ていただき、本人の状況や介助の留意点を伝えつつ、ケアホームの運営や経営状況を報告し、ケアホーム内でヘルパーの利用について協議し、重度訪問の介護サービスの利用につなげました。 39 ページに具体的な時間数や計画を載せていますので、御参照ください。
次は、地域にお住まいの方のケアホームへの移行プロセスです。日々の相談から相談員が希望を把握し「住まいの場聞き取りリスト」に名前を登録し、今回ケアホームが立つに当たり、ホームの利用を希望したい方に対して説明会を行いました。移行に伴う準備としては、利用者の選定として、本人の心身状況、家族の状況を考慮し、行政と相談支援事業所、ケアホーム施設にて利用者を選定し、その結果を相談員より利用者、御家族に報告いたしました。障害福祉サービスの利用としては、地域の相談支援事業所の相談員が担当して行いました。情報整理と申し送りは、入所の方と同じです。
4 番目のケアホームにおける医療との連携は次のページです。報告の前に、「ケアホームともるの現状」を説明いたします。定員 10 名のうち、男性 7 名と女性 2 人と、体験枠です。内訳と職員体制、業務内容は、書いてあるとおりです。ともるのもう少し詳しい情報も 43 ページに資料を載せておりますので、また御参照ください。
実際にケアホームが開所し、そこの医療における連携なのですが、 (1) の医療体制加算を使っての月 2 回の医療相談訪問により、継続した状態把握が現在行われております。 (2) の個々の医療ニーズに合わせた訪問看護の契約と訪問実施で、相談日と合わせて連続訪問を可能としました。緊急時相談体制や特別看護指示書などにより、利用者の状態変化が起こったときにも、必要最低限のケア体制がホームでもとれるように随時検討しております。 (3) の医療機関との連携としては、びわこ学園でのバックアップと、もう 1 つは地域一般病院での緊急受入れ病院の連携構築を、途中ではあるのですが図っております。また、利用者が通所先などに看護師がおられる場合は、その看護師との連携をケース会議を開催し、その中で研修を行ったりしながら、医療ケアの深まりを設けております。そのようなことをしながらも、地域での医療的ケアを図っております。
実際、ある 1 人の方が毎日導尿処置が必要になりました。その通所先に看護師がおられたので、その看護師に導尿をしていただくにあたってケース会議を行い検討し、主治医からの指示書提示と、訪問看護師からの研修を行い、実施可能となったケースがあります。通所以外の日に関しては、週 3 回の訪問看護と、 24 時間体制で相談できる状況を作っていただき、ケアホームの職員が本人の訴えや状況を訪問看護師に相談し、必要な場合の指示を仰げるように体制を組んでおります。
ケアホームの現状と課題を幾つか出させていただきました。まずは、職員体制が常勤が 2 名しかおらず、臨時職員も月 1 、 2 回入る人から、もう少し入れる人がいるので、不安定さがあります。それから、体調不良時の利用者の日中対応が難しい。日常的な医療支援も、先ほど幾つか例を挙げたのですが、なかなか月 2 回の訪問相談日では全てを賄い切れないのと、生活の質の向上にも課題を感じているところです。以上です。
○大塚座長 それでは、質問等をお願いいたします。
○中川委員 滋賀県は、重心の在宅がものすごく進んでいる所で、恐らく全国で一番進んでいると思うのです。我々が興味があるのは、 2 、 30 年の歴史があるわけですが、どうしてこれだけ在宅が進むのかという視点です。多分、小児保健医療センターも在宅に向けて更に進めるという報告を先日聞きましたが、そういった小児医療センターやびわこ学園だけではできない地域のクリニックなどとの関係を、どのように築いているのかが 1 つです。
それだけで在宅が進んでいる中で、ケアホームが必要な患者は、一体どういう方がどういう形になってケアホームに入ってくるのか。例えば、施設から来るのか、在宅から来るのか。在宅から来るのであれば、どういう状態の人がケアホームを必要としているのかがもし分かれば教えていただきたいという気がします。
○ ( 社 ) びわこ学園 地域移行に関しては、今、かかりつけ医をつなぐところでやっています。主治医は基幹病院というか、難病の先生が主治医としておられる上でもう 1 人、地域の時間を過ごしているときに、その時間をフォローしてくださるかかりつけ医をつないでいます。それプラス、近くで例えば災害時であっても、お母さんが倒れても、受入れができる中核病院も、最大 3 つの機関と先生をつなげるように今動いております。割と、呼吸器を付けていても、全く動けなくても、自発がなくても、お母さんと 2 人暮らしであっても、それだけの訪問診療と主治医と何かのときに走れる救急体制の病院があれば、地域で暮らせることができるので、そういう方々が随分増えてきていると思っております。
それをつなぐために、小児保健医療センターがかなり協力をしてくださるので、情報提供などを地域の先生にスムーズに流していただけます。それから、成人になってから専門的に、例えば婦人科などを受けるに関しても、丁寧に提供書を出してくださる。そこに私たちが入って、お母さんが動けない部分をつないでいく動きができているので、重度でも地域では割と生活がスムーズにいけていると思っております。ケアホーム、お願いします。
○ ( 社 ) びわこ学園 在宅の場合はどういった背景からかといいますと、具体的にホームの方で年齢が高い方に関しては、やはり家族の高齢化で、なかなかこのまま将来的に本人の対応が難しいのが 1 つです。若い利用者もおられるのですが、各家族の事情で、おじいちゃん、おばあちゃんが本人の対応されていて、結局そこも高齢化になるのですが、引き続き本人の今後の生活が、おじいちゃん、おばあちゃんではしんどいかなという経過があり、ホームに入居されたということです。
○中川委員 家族の高齢化が一番大きな因子になっている、という理解でよろしいのですか。
○ ( 社 ) びわこ学園 はい。
○中川委員 それから、地域のクリニックとの関係はものすごく大切なので、恐らく重心の子供を在宅している人で、かかりつけ医を持っている人のほうが全国で見たら少ないと思うのです。その辺りの連携をどのようにやっているかは、非常に大切な要因にはなると思いますね。
○大塚座長 ほかにいかがですか。
○米山委員 今のことと似ているのですが、バックアップの医療機関はとても大事なのだと思います。今、二重にも三重ということですごいなと思いました。先ほど、各中核になる小児保健医療センターということでしたが、今回のケアホームの人数の年齢層を見ますと、皆さんもちろん 20 歳を越えていますよね。そうすると、よく小児医療センターは 20 歳までで切ってしまうことが多いので、その後が診られないというのは、例えば都内などを見ても、小児領域であれば救急でどこかお願いできるけれども、成人になってキャリーオーバーした方々はどこも診られないというようなところがあり、その辺りは今の小児医療センターの機能としては、成人になった方々もコーディネートなりをやっておられるのですか。
○ ( 社 ) びわこ学園 今、そこがすごく大きな問題になっていますので、小児医療保健センターの現状を、施設長の先生がいろいろな圏域に行って話をするところからまず始めています。例えば、近くに行こうと思うけれども行けない人が結構いらっしゃるのです。気持ちがあっても、なかなかどうして行っていいか分からない方がたくさんおられます。その意味で、主治医はまだ完全に切るわけではないけれども、近くの病院の神経科に、では 1 回行ってみましょうという試みをするところから、今年の 3 月ぐらいからそういう呼び掛けをして、今 11 、 12 件そのような試みをしながら、少しずつ慣れていってもらうようなことをしています。案外、行ってみて初めて大丈夫なのだなとか、向こうの先生の受入れがすごくいいという実感を持ってもらうところを積み上げていっている感じで、そんなに不可能ではないのだなと思います。まず、超重度の方を対象に行っているのですが、割とかなっているのだなと思います。
○大塚座長 また、次に移って再度ありますので。続いて「社会福祉法人愛徳福祉会」からお願いいたします。
○ ( 社 ) 愛徳福祉会 本日、本モデル事業担当者の船戸正久が、半年以上前から決まっておりました日本重度心身障害福祉協会西日本施設協議会総会のシンポジストとなっておりますので、本日出席できませんでした。今日はこのモデル事業に加わっております小児科部長の竹本と、前回出席させていただきました私、徳永が 2 人で出席させていただきましたので、御了承お願いいたします。報告は、徳永からさせていただきます。
まず、 45 ページから報告を始めます。「地域の実態把握状況」には、昨年 7 月の大阪府障害自立支援協議会重症心身障害児者地域ケア検討会の調査データを記載しております。昨年の大阪府の重症心身障害児者数は 7,916 名、そのうち施設入所者は 8 %の 659 名。ほかの 7,257 名、 92 %が在宅生活です。しかも、そのうち 50 %が何らかの医療的ケアを必要とし、気管切開者や人工呼吸器使用者の割合も在宅生活者が多いこと。また、 NICU や小児病棟で 6 か月以上の長期入院児の数は、平成 19 年の 115 名から平成 23 年は 43 名まで減少していることもこの調査で分かりました。このことからも、在宅者に対する医療的ケアの必要性がますます高まっていることが明らかになっております。
2 番目に、「意識とニーズ調査の結果報告」を書かせていただきました。ここには、平成 22 年度の大阪府が在宅の重症心身障害児者やその家族を対象に実施した、「地域で安心して暮らし続けるうえで必要と感じているサービス等」のアンケート調査を記載しております。記載数字は、一番要望が多かったのは、短期入所事業所の増が 60.2 %ですが、そのほかに 20 %以上の要望は、 2 番の専門医の増加が 52.7 %。それから医療機関による短期入所実施が 45.1 %。 4 番目が医療的ケアに対応できる事業所の増ということで、ホームヘルプが 40.8 %、ケアホームが 40.2 %、生活介護事業所、いわゆる通所事業が 37 %。 5 番目が、医療型障害児入所施設の増が 39.6 %。 6 番目は、相談支援体制の充実が 39.3 %。 7 番目は、訪問看護の充実。この中には、利用料の軽減が 26.6 %、事業所の増が 24.8 %となっておりました。
3 番目の、「課題の分析と把握」に移ります。当センターフェニックスでは、今から 36 年前に大阪府下 7 病院で立ち上げ、現在 28 病院からなる NMCS と協働して、 NICU( 新生児集中治療室 ) の後方支援事業として、 2 年前の平成 23 年 4 月から「小児在宅移行支援プログラム」を実施し、病院から在宅移行の中間施設としての働きを続けております。
その中で重要と思われるところは、「医療・福祉の三本柱」と書いてありますように、医療では重症児者に対応可能な訪問看護師・訪問リハスタッフ。 2 番目が地域かかりつけ医、訪問診療・往診を含む。 3 番目に、緊急時の受入れ体制などの確保であり、福祉では (1) レスパイトを含めたショートステイ・デイケア事業、 (2) 医療的ケアに対応可能な居宅介護事業、 (3) 相談支援事業などの充実と思っております。重症心身障害児者の地域生活移行のためには、最低限これらの支援が必須と考え、行政的にも支援体制の構築が必要であると考えております。
4 番目は、「中間期までの達成目標の設定」ですが、ここは省略させていただきます。 10 の項目を達成目標として設定しておりました。これに対する「中間期までの事業の実施内容」は、 47 ページに書いてあります。この中で、 3) 小児在宅生活支援地域連携シーツとありますが、全てこれはシートの間違いです。次の 5 番目でも 2 か所あります。 6 でもシーツと書いてありますが、全て「シート」です。
5 「中間期までの事業の実施内容」ですが、地域別在宅支援資源調査は、現在在宅支援情報マップを作成中です。それから、 2) 在宅移行支援プログラムの推進ということで、先ほども言いましたが、引き続き NMCS と協働して推進中です。 3) 障害在宅生活支援地域連携シートの活用ということで、現在もそれをもって行っております。
4) ショートステイの連絡協議会ですが、これは 8 月に大阪府の 6 療育施設及び大阪市委託事業のメディカルショートステイの 3 病院が中心に集まり、第 1 回目の会議を行いました。 27 施設から 83 名が参加しまして、現在この議事録を作成中です。 11 月に第 2 回目を開催予定と書いておりますが、この前の 11 月 23 日に開催いたしました。これにも、 70 数名の方が参加してくださいました。
5) 重症心身障害児者に関する介護研修ということで、大阪市の事業として委託を受け、大阪市内の居宅支援事業所から 184 名の介護士が参加し、 2 日間の医療的ケアに関する集中講義及びシミュレーション研修と、 1 日の現場見学研修を当センターで行いました。 6) は、訪問系在宅支援事業の推進です。このような強化型支援病院の登録を行うことを考えております。そして、次年度に向けて、医療的ケアにも対応可能な居宅介護支援事業所の設立を計画中です。
7) は、医学生・看護学生・リハ学生・介護学生の研修を、大学、研修医、それから看護師、リハ学生、心理学科学生などいろいろな所から受け入れて、研修を行っております。 8) の公開講演会の開催も書いてあるとおりです。 9) は、地域住民に対する啓発と災害時の協力体制。ここに書いてあるとおり、地域と連携して、これから協定書を結んだり、地域の行事に参加しております。 10) は、学術活動での広報ということで、いろいろな所で講演、学術論文の発表を行っております。
48 ページは「中間期における分析と考察」ということで、今このようなことを進めております。
50 ページは、中間期までの協議会や、私たちが中心となってやっております協議会等の出席や実施状況を書いております。 9 、 10 回目は、予定と書いてありますが、既に行いました。来年の 2 月には、ショートステイ連絡協議会第 3 回目をもとうとしております。
8 番目は「実施内容と手法等の修正」です。この前、皆様から頂いた御意見等を受けて、 8 つのことを今進めております。以上、発表を終わらせていただきます。
○大塚座長 それでは、御質問等があればお願いいたします。
○田村 ( 和 ) 委員 私が前回のときに聞き逃していることなのかもしれないので、失礼があればすみません。 1 番目で、平成 19 年にいわゆる長期入院児が 115 人から平成 23 年に 43 人にまで減少したというのは、もう半数以下なのですが、それは何があってそれだけ減ったのかが 1 つです。要は、このモデル事業の前の話になりますので、そこに何か今後のところでも、ほかの圏域でも大事にするポイントがあるのかなと思いますので、そこを教えていただきたいと思います。それから、その半減以下のいわゆる特に年齢層でいくとどの辺りが減少したのかがもし分かるようであれば、教えていただければと思います。
○ ( 社 ) 愛徳福祉会 これは、大阪府の事業で、退院支援コーディネーターという方を予算を取って配置しまして、主に NICU を持っている大阪府下の基幹病院、確か4病院だったと思うのですが、そこにナースの資格を持った支援コーディネーターを配置して、退院支援を事業として強化したのが一番大きな理由かと考えております。もちろん、いろいろなニーズの高まりもあると思うのです。 NICU の基幹病院からの退院なので、大半の方は年齢としては 1 、 2 歳以下の乳児若しくは幼児の退院だと認識しております。
○中川委員 今のことに関連して、これはいきなり在宅に帰ったという理解ですか。それとも、後方病床で全員病院に移ったという形なのでしょうか。
○ ( 社 ) 愛徳福祉会 大阪府下では、後方病床はまだほとんど機能しておらず、大半は在宅に、基幹病院の先生方が苦労して、地域とコーディネートして帰していただいていたと思います。
○中川委員 そうすると、 1 歳前後の子供も在宅に入ったという理解ですか。
○ ( 社 ) 愛徳福祉会 はい。
○中川委員 ある研究の報告で、 2 歳ないしは 3 歳ぐらいまでの在宅に入った後の予後がすごく悪いというレポートもあるのですが、そのようなことはないですか。
○ ( 社 ) 愛徳福祉会 恐らく、基幹病院がレスパイトも含めて、緊急時のかかりつけは必ず対応しているという努力の下に、ぎりぎり成り立っているような状況ではないかと。そこで、うちが一旦、在宅支援の退院促進事業として、間の 3 か月ぐらいうちに転院していただいて、ワンクッションの役割を果たしてというものを今進めていて、現在 17 名の実績があります。それ以前では、直接帰っていると思います。
○大塚座長 ほかにはいかがですか。
○田中委員 訪問看護ステーションに勤めていますので、訪問看護の立場から伺いたいと思います。 47 ページの 6) の訪問看護ステーションに HPS を兼ねた看護師を配置し、というのは、これは小児の訪問看護に長けた看護師を配置するという意味ですか。
○ ( 社 ) 愛徳福祉会 私どもは HPS に熱心に取り組んでいまして、それは看護部長の方針なのですが、静岡県立大学短期大学部の養成講座修了者(民間資格)、 HPS の資格を持ったナース若しくは保育士が5名常勤(その他非常勤1名)で在席しております。そのうちの 1 人を訪問看護に常勤で配置しており、あと 1 人か 2 人は非常勤で訪問もしています。遊びの指導をメインに、遊びの視点から何か訪問で御家族のお力になれることはないかと考えて、今トライアルとして取り組んでいるところです。特に、それでコストが取れるというのは全くないですし、付加サービスです。
○田中委員 ありがとうございます。
○田村 ( 正 ) 委員 先ほど修正がありましたが、小児在宅生活支援地域連携シートは、どこかに付録があるかと思い一生懸命見たのですが、ないようです。具体的に、どのような内容のものなのかを教えていただけますか。
○ ( 社 ) 愛徳福祉会 これは、大阪府の和泉保健所とタイアップして、和泉保健所が先頭に立って行っています。和泉保健所というのは、大阪府立母子保健総合医療センターの管轄保健所なのですが、府立母子保健総合医療センターは大阪で一番大きな NICU で、そこからの退院が一番多いので、その管轄保健所である和泉保健所がクリティカルパスのようなもので、例えば退院何か月前にかかりつけ医も含めて会議を開き、訪問ステーションも呼んでという一連の流れでパスを作り、それにのっとって退院支援をしていくという事業を 2 年ほど前から行っています。正式な報告書等は私も認識できていないのですが、そのような事業です。
○大塚座長 あとはよろしいですか。
○岩城委員 48 ページの文章の後半に、次のお子さんを出産できる。そのために、ショートステイがかなり役に立っているようですが、確かに重症の子供を授かると、次のお子さんに大変親が不安感であるとか、非常にナーバスな面が多いのですが、この場合には特にショートステイは一般に重症児、障害児者が使うショートステイとは、例えば使える日数が違うとか、特別に何か親が安心感をもてるようなものなのかを伺わせてください。
○ ( 社 ) 愛徳福祉会 出産時そのものに関しては、もちろん 1 か月、場合によっては 2 か月程度、必要に応じた長さをきちんとお預かりするのですが、それ以前の出産を考えている人は長めに預かりますよということはできていません。それまでは、全く普通の方と同じ均等の機会です。出産時は、制限なくではないですが、かなり融通を利かせて長くお預かりしております。
○岩城委員 ありがとうございました。
○ ( 社 ) 愛徳福祉会 今のことですが、私どもの所では 47 名でしたが、アンケートを取ったところ、平成 17 年から 25 年 9 月まで、大阪市には同じような重心の施設が 6 施設あるのですが、そこで合計しますと、 71 名の家族がこのショートステイを使って出産したという統計を出しました。
○大塚座長 次にまいりたいと思います。続いて「社会福祉法人三篠会」です。お願いいたします。
○ ( 社 ) 三篠会 重症児者福祉医療施設鈴が峰のノマと申します。「地域の実態把握状況」は、対象地域は広島市内の 8 区、全市内が対象です。
「意識とニーズ調査結果報告」です。まず、事業所向けアンケートと当事者アンケートの 2 種類を実施しています。事業者向けアンケートは既に集計をしております。当事者アンケートは今月の 8 日発送していますので、まだ集計はできておりません。
事業者アンケートについてです。 3 の「課題の分析と把握」にも書いていますが、訪問看護、居宅介護、通所支援などは重症児者のサービス利用実績はあるが、それ以外のサービスでは利用実績はありませんでした。また、訪問介護、居宅介護でも利用実績のある事業所は少なく、通所についてはほとんどが公設のデイサービスでした。
訪問看護、居宅介護では、残念ながら人員不足で派遣が難しい、経験がない、対応できるスタッフが少ないなどの意見が出ておりました。特に居宅介護のヘルパーは、医療的ケアの対応ができない又は難しい、研修を受けていないので痰吸引ができない、などの意見も多数出ておりました。
(4) で、相談支援については相談実績のある事業所も少なく、サービス等利用計画も実際に計画の依頼はまだ多くはなさそうでしたが、実績もまだ少ないです。また、サービス等利用計画を受けてもらえるかという質問についても、相談件数が多くて受けられない、重症心身障害児者の専門的知識がないという厳しい意見も出ておりました。重症心身障害児者を理解してもらうためにも、相談支援の研修も必要不可欠かと思います。
当事者アンケートについては、広島市内の対象地域は網羅していただきました。送付先については鈴が峰のサービス利用実績のある在宅重症児者、「 200 名」と書いておりますが、実際には 160 名です。あと市立の特別支援学校に通う在宅重症児 30 名、公設デイサービスの重介護利用者 70 名を対象としています。アンケートの内容については、広島市の障害自立支援課と協議の上、作成いたしました。それと、当初は予定していなかったのですが、県立の特別支援学校に通う方にも急遽アンケートを用意しまして、 100 通ほど学校にお願いをしてまいりました。
4 番目に、「中間期までの達成目標の設定」についてです。地域生活支援協議会を設置しまして、就任の依頼、協議会の開催を行いました。 10 月 22 日に第 1 回を開催、 12 月は 19 日に開催を予定しています。あと 2 月に開催をする予定です。
保護者向けアンケートについては、 11 月 30 日に締切だったのですが、先ほどの県立の特別支援学校のアンケートの送付が遅くなりましたので、 12 月半ばを締切としております。
事業者教室については、 11 月 29 日に開催させていただきます。講師に、うちの施設の医師、理学療法士、言語聴覚士、管理栄養士による講義を行います。対象は、事業者アンケートを行った事業所で参加希望を取り、 20 事業所ほどに参加していただくことになっています。介護者教室については、保護者向けアンケートで参加案内の有無を取らせていただきますので、それを集計次第行いたいと思います。
啓発研修会については、来年度に講師を招いて、当事者講演会と併せて開催する予定です。それと、巡回療育相談も実施する予定です。各区役所の障害相談窓口などにチラシを設置しましたが、今のところ問合せはありません。しかし、当事者アンケートに希望の有無を葉書で返していただくようにはしたので、そちらで 15 件ほどの相談を受けています。
「中間期までの事業の実施内容」については、事業所アンケートの実施。広島市内の障害福祉サービス事業所 599 事業所、相談支援事業所 27 事業所にアンケートを郵送し、調査をしております。重症児者へのサービス実績から、地域生活支援協議会への参加を要請しました。 2 つ目に、地域生活支援協議会の設置。委員を選任し、就任依頼を行い、全員に受託していただきました。メンバーは別紙参照ということですが、医師、医療ソーシャルワーカー、福祉サービス事業所、行政の方々に参加していただいております。 3 つ目に、自立支援協議会との連携ということで、広島市の障害者自立支援協議会の各区で行われる地域部会に参加させていただき、生活モデル事業への理解と協力を求めました。あと生活モデル事業のリーフレットを作成し、各相談窓口に配布したり、アンケートと一緒に送らせていただいております。
6 つ目は「中間期における分析と考察」です。 10 月に行った地域生活支援協議会で協議した課題ですが、詳細は別紙に付けております。 1 つ目に、重症心身障害の子が子供の中で育つ保障がないのではないかということで、重症児者が幼稚園・保育園に受け入れてもらうことは困難であり、通うことができても解決しなければならない問題も多い。幼い重症児は「母親がみて当然」という風潮もあり、母親の負担も大きい。
2 つ目に、家に帰れる医療体制が整っていない。一旦病院を退院したらもう戻れないという親の認識があるために、退院後も担保できるものが必要だ。ちょっとしたことを診てもらえる地域の医療機関が少ない。センターの医療機関と地域の医療機関 ( 小児科 ) の連携をしっかりしてもらいたい。
3 つ目に、レスパイトできる施設が不十分。呼吸器のある超重症児もショートステイや通所支援があれば家に帰ることはできるが、受入れ施設が少ない。また、受け入れてもらえる施設は大竹、東広島、呉など、遠方になります。実際には訪問看護頼りになって、サービス不足の部分は家族が補っている。
4 つ目に、サービスの質と量ということで、重症児者はたくさんのサービス利用が必要となるが、ケアの統一や足並みがそろっていない。また、重症児に対応できるサービス事業者が少ない。医療機関、福祉事業所、行政との連携強化が必要。
5 つ目に、親の孤立防止とワンストップの相談窓口。特に未就学前の親は孤立しやすい。民生児童員、保健師の「こんにちは赤ちゃん事業」の訪問を拒否するケースもある。そのため、重症児などの実態が分かりにくいこともある。サービスを利用する際に、どこに行ったらよいか分からない。情報が届かないということ。
6 つ目に、ヘルパーの医療ケア。痰吸引等の研修を実施しているが、市内で痰吸引のできる居宅介護事業所に偏りがある。また、地域によっては研修の周知も不十分である。こういった意見が出ております。
来月、協議会を行うのですが、その改善点として、ちょっとしたことを診てもらえる地域の病院が少ないとか、小児の中核病院と一般病院、小児病院との連携不足などの問題が上がっておりますので、広島市の小児科医会会長を次回の協議会に招いて、現状を知ってもらって連携を図っていこうということ。親の孤立化の問題を、次回の協議会に市の保健師から現状報告を受けましょうということ。 3 つ目に、入院している重症児の在宅生活に向けて、参加している小児中核病院の医療ソーシャルワーカーからケースを提示してもらおうということになっております。
8 番については発表した内容と重っておりますので、割愛させていただきます。
○大塚座長 御質問等があればお願いいたします。
○田中委員 56 ページの (6) の巡回療育相談です。非常に興味深く拝見したのですが、実際に 15 件の葉書でいらっしゃった方たちは、どういう形で巡回の療育相談を行うかということと、「障害者相談窓口などにチラシを設置依頼した」と書いてあるのですが、役所の窓口に行ける方、もしかしたら行くことすら大変な方たちが私たちが話し合っている方たちだと思うので、そういったところはどうしようかなという次のお考えがあるかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
○ ( 社 ) 三篠会 チラシについては、行政の窓口に置いているものと、当事者のアンケートにも全て入れさせていただいております。アンケートの中の返信の所に、具体的にこういった質問をしたいという内容は聞いていないのですが、こういった巡回相談を希望するかしませんかという内容のものを送らせていただいて、その葉書が返ってきております。大体 50 通ほど返ってきているのですが、そのうちの 15 通ほどは、巡回相談を希望するというもので、うちの施設からも非常に離れた箇所の方からの問合せはあります。締切が 11 月 30 日ですので、 12 月に入ってから実際に連絡を取って行っていく予定としております。
○大塚座長 そのほかにはいかがですか。
○田村 ( 正 ) 委員 コメントですが、今、小児科医会の会長とか、小児科の先生たちと連携してということを強く進めておられて、当然、小児の在宅医療を考えるときにはそこが非常に大事なのですが、埼玉での私たちの経験からいくと、今の開業している小児科の先生方たちはワクチンバブルで往診どころではないという方が多くて、私たちも小児科の先生だけとネットワークを作ってとやっていると、実際に往診していただける方を見つけるのは難しかったのです。今、埼玉県で新しい試みとして始めているのは、埼玉県医師会が非常に協力的になって下さいまして、埼玉県の場合は 32 の郡市医師会があるのですが、各郡市医師会の小児科のクリニックの先生と、在宅療養支援診療所の先生とでペアを作っていただいて小児在宅医療支援をするというプロジェクトが進行中です。実際に主に往診に行っていただくのは在宅療養支援診療所の先生なのですが、予防接種のこと、薬の量とか、具体的に困ったときなどには、ペアになっている小児科の先生に相談するということです。
初めは、埼玉医大総合医療センターは 24 時間 365 日小児救急をやっていますので、私たちが何かあったら相談に乗りますから、その代わり往診をお願いしますと言っても、在宅療養支援診療所の先生たちから見ると、日頃から交流のない大学病院の医師に連絡して相談するよりは、同じ地区の顔なじみの小児科の先生に相談するほうが相談しやすいということで、そういうことをやっています。
ですから、次のステップとしては、小児科医会の先生たちだけでなく在宅療養支援診療所を担当しておられる、主に今までは大人しか対象にしていなかった先生たちを一緒に巻き込んで協力していただくというのが、小児の在宅医療を進めるという点では役に立つのではないかと思いますので、参考にしていただければと思います。
○杉野委員 地域生活支援協議会を設置しているということですが、学校関係者は入っているのでしょうか。
○ ( 社 ) 三篠会 白紙だったので申し訳なかったのですが、学校関係者については、今回は広島市の特別支援学校の教頭先生に来ていただいております。
○杉野委員 分かりました。何でかというと、前の例もそうなのですが、医療的ケアの研修のこととか、もっと遡れば重心の子たちの障害理解とか生活像等について、お互いに地域の中で支えるという意味合いにおいては、学校もいろいろなソースを持っていますので、こういう委員に入っているのなら、その辺の活用もいいのかなと思いました。
○大塚座長 それでは、最後に「社会福祉法人旭川荘」からお願いいたします。
○ ( 社 ) 旭川荘 南愛媛療育センターの中間報告をさせていただきます。最初に、南愛媛療育センターの地理的状況をお伝えします。南愛媛療育センターは愛媛県の鬼北町という所にありまして、愛媛県南部の南予地方にあります。南予地方ですが、典型的な中山間地域であります。添付資料 (2) を見ていただくと分かると思いますが、内子町から愛南町までの愛媛県のおおよそ 2 分の 1 が南予地域になるのですが、山間部がほとんどで、海岸線も、リアス式海岸で非常に複雑な地形になっています。高速道路網等も整備はされつつあるのですが、まだまだ道路状況等は悪い所です。そのような中山間地域における基礎自治体での重症心身障害児者の在宅支援の在り方ということで、南愛媛療育センターは取り組んでいます。
今回モデル事業に当たり、 2 つの大きなテーマを掲げています。 1 つは南予地域で在宅生活を送っている重症身心障害児者及びその家族の生活状況、福祉サービス利用状況の把握です。もう 1 つが、重症心身障害児者とその家族が身近にある相談支援事業所、つまり地域にある相談支援事業所で相談できるように、相談支援事業所の重症心身障害児者に対する意識の啓発掲げております。
73 ページと 75 ページの添付資料 (1) と添付資料 (3) を御覧ください。南予地域は 4 市 5 町、人口 26 万 8,300 人で、愛媛県の約 20 %の人口が県のほぼ 2 分の 1 の地域の所に住んでいます。そこにおよそ 52 名の重症心身障害児者(周辺児者を含む)が現在在宅生活を送っていることが把握されました。
続いて「地域資源について」ですが、今回、愛媛県の障害福祉課との話合いにより、県下にある指定相談支援事業所 80 か所に対し、重症心身障害児者に対する取組状況についてのアンケートを実施することとなりました。 80 か所のうち南予にある相談支援事業所が 21 か所です。そのほかに、南予地域において重症心身障害児者が利用できる主な社会資源としては、 76 ページと 77 ページにありますが、入所施設が 1 か所 ( 定員 80 名 ) 、短期入所が 1 か所 ( ベット数 2 床 ) 、通園事業 ( 児童発達、放課後等、生活介護 ) 、 B 型巡回型が 1 か所、 B 型が 1 か所、それと訪問教育として 1 か所あります。南予地域には特別支援学校があるのですが、肢体不自由の部門がないので、訪問教育となっています。
続いて「意識とニーズ調査結果報告」です。実態調査については、現在 52 名に対して調査を実施中です。調査票は、 3 年前に愛媛県の東予地域( 4 市 1 町)で、「愛媛県の重症心身障害児者を守る会」が実態調査を行ってますので、比較ができるようそれを基に大学の先生などにアドバイスを頂き、南予版の実態調査票を作成しています。
続いて「地域資源について」です。先ほども申しましたが、県内の相談支援事業所 80 か所に対して、重症心身障害児者に対する意識や取組についてのアンケート調査を実施しています。現在のところ 60 か所から回答を得ております。その内容として、重症心身障害児者の定義についてきちんと理解している相談所は 29 か所 (48 % ) 、少しは知っている所が 23 か所 (38 % ) 、重症心身障害児者に関する相談を受けたことがある所が 28 か所 (47 % ) 、受けたことがない所は 32 か所 (53 % ) でした。また、相談を受けたことのない事業所で今後相談を受けた場合の対応としては、自分の事業所で対応するという所が 18 か所、他の相談事業所に依頼するという所が 11 か所、行政に依頼するという所が 4 か所、その他が 5 か所でした。
重症心身障害児者のサービス等利用計画書の作成をしたことがあるかについては、作成したことがある所が 19 か所、作成したことのない所が 37 か所です。また、作成したことのない事業所でも、今後依頼があれば作成していくという所が 23 か所、他の事業所に依頼するという所が 9 か所、未定が 6 か所となっています。
続いて「課題の分析と把握」です。相談支援事業所の詳細な分析はこれからですが、重症心身障害児者に関する相談を受けたことのある事業者の中で、その相談に対して解決ができなかった主な理由としては、「利用したいが資源がない」ということが挙げられました。重症心身障害児者が利用できるサービス提供事業所を今後どのように増やしていくか、が課題であるかと思います。また、医療行為が必要なため希望する進学先へ行けないことなども課題として挙がっていました。
そのほか、重症心身障害児者がよりよい在宅生活をしていく上での必要なものということで、自由回答をしていただきました。 80 ページの添付資料 (9) に必要なものを挙げています。地域の中でサービス提供所の問題から地域の問題まで、幅広く書かれています。地域の中でどのように重症心身障害児者に対する認識を高めていくか、サービスを提供する事業所を増やし、その技術力を向上させていくことが課題になっていくのではないかと思われます。また、南予地域は少子高齢化の進む中山間地域ですので、今後、他職種の連携、それも広域での連携が必要になっていくのではないかと思われます。
69 ページ、「中間期までの事業の実施内容」です。協議会の開催について、第 1 回協議会を 9 月 5 日に連絡協議会として開催しています。 81 ページの添付資料 (10) に参加メンバーが書かれていますが、当センターの職員を含めて 34 名が参加し、様々な意見を頂いています。また、重症心身障害児者や家族に対する支援として、療育キャンプを 10 月 19 日に実施しています。重症心身障害児者とその家族 40 名、ボランティアと職員を合わせて総勢 77 名で開催しています。地元の大学生にもボランティアで参加してもらいキャンプに賑わいをもたらしてもらうとともに、重症心身障害児者の理解となりました。
70 ページ、「中間期における分析と考察」です。協議会には、行政機関をはじめ、学校、医療機関、社会福祉協議会、守る会等様々な関連機関に参加していただき、今回のモデル事業に対して協力していただけるコンセンサスが得られたのは、大変大きな意義があったと思います。その後の実態調査に対する協力依頼もスムーズに運ぶことができています。
71 ページ、地域における支援機能の向上です。県下の相談支援機関に対するアンケートで、おおよそ県下の半分の機関が、これまでに何らかの形で重症心身障害児者に関わる相談を受けたことがあることが分かりました。 11 月 5 日、アンケート調査後に相談支援事業所・サービス提供事業所に対して、「重症心身障害児者セミナー」を開催しています。このセミナーには、これまで重症心身障害児者に関わったことのない事業所から、常日頃重症心身障害児者に関わっている事業所まで幅広い参加があり、それぞれに認識を深めてもらうことができました。
今後、実態調査を行っていくわけですが、できる限り 52 名全員に対して行っていきたいと思います。そのため、これまでに当センターとは関わりのない重症心身障害児者とその家族には、協議会の方々に仲介者として入ってもらい、調査への了承を頂き、実施していきたいと思います。今後の予定としては、地域の住民への啓発として地域セミナー等を開催することにしています。
○大塚座長 どうもありがとうございます。御質問等があればお願いいたします。
○松葉佐委員 重症心身障害児者の相談を受けたことのある所は 28 か所、計画を作成した所は 19 か所ということで、かなりいいと思うのですが、できなかった理由に「資源がない」と書いてあります。これはどちらがメインなのでしょうか。資源があって、計画を作成できたのでしょうか。ほかの地域では余りそうではないと思うのですが。かなり計画を作成できているので、かなり資源を利用できたのかなと。
○ ( 社 ) 旭川荘 計画そのものはできるのですが、実際に地域生活に役立つようなというか、利用計画を立てるにしても、毎日通園したり、訪問看護を利用したりという形で、フルに利用できるというのではなく、ところどころ埋めて、困ったときにはショートステイを利用するという形の計画にとどまっている所が多いと思います。
それから、根本的な問題としては、アクセスが悪いので、利用したくても場所が遠いとか、そこまで行く交通手段がないという問題があります。
○田村 ( 和 ) 委員 重症心身障害児者の対象とした人数のことで、今回は 52 名ということです。ということは、この圏域だと 30 人ぐらいの方が入所施設を利用しているという形になるのでしょうか。
○ ( 社 ) 旭川荘 愛媛県の人口割から言いますと、南予地域の重症心身障害児者の総数というのは 150 人ぐらいと想定されるのですが、実際の数はもう少し少なくて、おそらく 120 人ぐらいだと思います。うちの定員は 80 ですが、重症心身障害児者は 70 名ぐらいです。地域で暮らしている方が 50 人という勘定で、施設の 70 人と在宅の 50 人という内訳にになるかと思います。
○田村 ( 和 ) 委員 ということは、在宅の社会資源であったり、地域の社会資源の点在状況、アクセスのことも含めて、ほかの地域よりは、どちらかというと在宅になっている重症心身障害児者の数は少なめだという認識でよろしいのでしょうか。
○ ( 社 ) 旭川荘 そのとおりです。
○大塚座長 そのほかにいかがですか。
○岩城委員 67 ページ 3 「課題の分析と把握」の 2 段落目の「相談支援事業所から見る課題の分析と把握」の所に、「利用したい資源がない」とありますが、資源があっても利用できないというのも多いのですが、具体的にはどういう内容なのでしょうか。
○ ( 社 ) 旭川荘 「が」が抜けていまして、「利用したいが資源がない」ということです。例えばこれは東予地域になってしまうのですが、重症心身障害児者が通える特別支援学校もありませんし、入所できる施設、ショートステイできる施設もありません。そのため、この方々は中予地方の松山まで、入所とかショートステイの利用等をしなければいけないという状況になっています。また、学校に関しても、松山市まで高速道路を使って 1 ~ 2 時間かけて来るような状況になっています。そういうところで、「資源がない」となっています。
○岩城委員 ありがとうございました。
○大塚座長 前半ですが、これで実施団体からの中間報告の説明及び質疑等は終わらせていただきまして、 10 分間の休憩を取ります。その後、各検討委員からアドバイスを頂くことをお願いします。
( 休憩 )
○大塚座長 後半を再開いたします。あと 1 時間ですのでよろしくお願いいたします。各団体に御説明いただきましたので、それに対して委員の皆様から様々なコメント、アドバイス、御意見を活発にお願いいたします。最初に、北海道療育園さんの中間報告についてのコメントなどをお願いいたします。質問もあってもいいですけれども、宮田先生はありますか。
○宮田委員 いや、特にありません。
○大塚座長 大丈夫ですか。それでは田村委員どうぞ。
○田村 ( 正 ) 委員 これは、他の事業所の方にも共通するのですけれども、コーディネーターをどういう方にお願いするかということです。相談支援専門員が 1 つの候補になろうかと思うのです。相談支援専門員は、福祉や行政については非常に詳しい方が多いと思うのです。小児で在宅移行する方は、どちらかというと人工呼吸とか、比較的高度医療を持ったまま在宅という方が総体的に多いのです。そういう意味では、相談支援専門員が 1 人では本当のコーディネートができないのではないかと思うのです。先生方は会議でその辺を解消しようという御提案ですけれども、毎回毎回全ての個別の事例について皆さんが、特に先生方の所は非常に広い範囲をカバーしておられるので、全ての関係者に集まっていただいての会議というのは大変ではないでしょうか。先生方のテレビ会議をうまく活用すれば、そういうことも 1 つの解決法になろうかと思うのです。
それとは別に、そういうところに詳しくて、比較的動きやすい方でということになると、やはり訪問看護ステーションの方で、こども病院とか、大学病院みたいな所で重症の小児を見ていた方とペアにするというのが実際的ではないかと思うのです。そういうことは、先生の所ではお考えですか。
○ ( 社 ) 北海道療育園 具体的には考えていないのですけれども、先生がおっしゃるように子供が対象になると、発達だとか成長だとかそういう視点も必要だと思いますので、こども病院出身者だとか、 NICU 出身の看護師さんなりに加わっていただくのは必要かと思います。
ただ、おっしゃるように地域が広いものですから、そういう方々を確保できないこともありますので、私たちはこの間の検討では地域の保健師さんを活用するのが具体的ではないか、現実的ではないかと考えています。そういうところが確保できない所は、自立支援協議会なり、こういう協議会がサポートすることが現実的ではないかと考えています。
○田村 ( 正 ) 委員 確かに保健師さんだと良い点は、特に未熟児などの場合には、出生の時点、場合によっては妊娠の時から、お母さんのお腹の中でいろいろ診断が付いているような特殊な子供については情報をつかんでいることもあるので、確かに保健師さんを活用するというのは非常に良いアイディアかと思います。
もう 1 つは先ほども言ったのですけれども、先生方の ICT を活用されてはいかがでしょうか。患者さんと病院、重心と病院という所だけではなくて、先ほどのコーディネートするための会議を 1 か所に来なくても、それぞれの所で参加できるように活用するという計画はまだされていないのですか。
○ ( 社 ) 北海道療育園 計画はしていないのですが、家族同士のテレビ会議ということは今やっているので、それを協議会レベルに利用することは十分可能だと思いますので、検討したいと思います。
○米山委員 個別事例の検討の所を拝見していて思ったのですが、先ほど杉野委員からもありましたけれども、特別支援学校内に看護師を配置している所は幾つかあるのですね。愛媛もそうかもしれませんが、地域で医療的ケアだとか、そういうことができないときに、その支援学校の看護師などもコーディネートといいますか、その次の移行支援ということの中では、核になり得るものかとも思うのです。
私たち都内の特別支援学校の看護師でも、その具体的なケースへの対応に追われていてできないのですが、実際にその看護師さんとの協働といいますか、そういうことは今されているのですか。それと、学校は地域ごとにあるので、そういう核になり得るのかと思うのですが、その辺りの御意見を伺います。
○ ( 社 ) 北海道療育園 養護学校の看護師配置自体はありますけれども、養護学校のコーディネーターの先生方が加わっていただいたり、我々と相談させていただいているのが現実的です。委員おっしゃるように、看護師は現場の対応に追われていて、こちらまで入ってくるのは難しそうな現状です。ただ、確かにそういう現場で付き添われている看護師さんたちの視点なりは重要なことだと思いますので、加わっていただけるように進めていきたいと思います。
○杉野委員 9 ページのグリッド型情報ネットワーク基盤の図があります。特別支援学校も入っているのですが、例えば実践で挙がっているタブレットパソコンとか、スマートフォンの導入でかなり使途は最近進んでいますか。ハウツーもたくさん持っていると思います。個人情報の管理に関する規定等もかなり学校では厳密にやっておりますので、情報は山ほどあると思います。
それと共通して言える他の事例もそうなのですが、やはり研修等については、学校にはセンター的機能があります。私の学校もそうなのですが、例えば夏季休業中に医療提携研修をやったり、もちろん実技もやっています。摂食指導に関するものとか諸々やっています。もっと言えば、重度心身障害児の理解とか、家庭への保護者の悩みに答える研修とか、学校によってバラつきはあるかもしれませんが、これは間違いなくやっていますので、そういう所に地域の関係者もどうぞお集まりくださいという形で、かなり最近はオープンにやっています。支援会議の所で、その辺の情報等を仕入れていただいて、これは協力ではないのです、お互にそういう情報を共有し合うという意味合いで進めていくのも手かと思いました。
○ ( 社 ) 北海道療育園 はい、ありがとうございます。
○中川委員 先ほど意見を言わせていただいたのですけれども、課題 9 の所で、短期入所というのは本当に重要な事業になると思うのです。ここは基幹病院と書かれているのですけれども、今度は医療法改正等で病床区分が変わったりという問題も出てくるので、それにも影響されると思うのです。本当に診療点数だけの違いで、基幹病院は短期入所を受けないのかどうか。それでないとなぜ受けないのか、ということももう少し正確にレポートしていただけたら参考になるかなという気がいたします。
○ ( 社 ) 北海道療育園 医療機関に対して調査を行っていますので、その辺のところはこちらから問い合わせてでも確認したいと思います。
○大塚座長 それでは次に移ります。びわこ学園さんの中間報告に対してコメント、アドバイスなどをお願いいたします。
○米山委員 先ほど聞き忘れたのですが、びわこさんの所では、地域で本当にケアが進んでいる中で、小児保健センターのほうの核になることと、あとは医師会との関係というのを見ていて、小児科医会とか、小児だけではなくて、地域の医師会が動いてくださるというのは、すごく医療の連携のところは強みがあるのだと思うのです。実際その辺の協力はかなり強いのですか、医師会の勉強会と書いてありましたけれども。いかがでしょうか。
○ ( 社 ) びわこ学園 強いように働きかけをしている段階ということは言えると思うのです。湖南圏域においては、湖南圏域 4 市の医師会の長の方たちが、湖南に小児保健医療センターがあるのですが、そことの懇話会を通じて以前から話をしてきた中で、そういうネットワーク会議をしなければいけないので、医師会中心でやりましょうという声を挙げていただいたので、そこからの発信で他の圏域でもというところを広げていっている最中ではあります。 7 つある圏域の中で、どれもがということではないという現状ではありますが、広げていきたいと皆が動いているところです。
○米山委員 コメントで個人的なところではあるのですけれども、板橋地域は人口 54 万人なのですが、そこで在宅を、いろいろな情報を入れながらやってみようかといって、小児のほうだけで見たら全然手が挙がらなくて、広く在宅を全部、成人もとやった途端に 13 も挙がって、それは人口 54 万人の中で 13 挙がるというのはすごいなと、医師会の開業の先生がです。そのぐらい挙がるものですから、やはり先ほど田村委員もおっしゃいましたけれども、小児だけではなくて、どうしても重心というと NICU からとなると狭いのですけれども、成人も含めての医師会の活動の中に入ると、もっと良いネットワークができるかと思いました。
○田中委員 看護師さんがコーディネーション機能を担ってくださっているということですが、先ほども訪問看護でやるとか、看護師の起用というお話がたくさん出ていました。実際に今やっているお仕事を他にできる方というのは、もしかしたら今はたった 1 人になっているのですか。
○ ( 社 ) びわこ学園 委託されているのは私 1 人です。私は、びわこ学園の相談課に所属していて、その中には相談の専門医がおりますので、そこと協力してやります。小児医療保健センターの中には、保健指導部という県の組織があります。昨年までは、それが全部保健師さんで構成されていたのですが、去年、いろいろな話をする中で、今年度から小児医療の現場の看護師の長を 1 人保健指導部に入れていただいて、小児保健の医療の中と、県への働きかけと、地域への働きかけということで、保健指導部の看護師さんと、私のほうがかなり強いつながりというかパイプを持たせていただいた上で、医療の現場の方を地域に移行することであったりという活動が、とてもしやすくなったという現状があります。そういう関連の方たちは、他の病院の患者支援センターの中の方であったりというように広げていきたいとは思っているのですが、今のところまだそんなにたくさんはできていない現状です。ただ、話はすごく通りやすくなったというのはあります。先生のほうにも、看護師さんのほうにも。
○田中委員 実際に在宅で受ける場合にも、病院に NICU の看護師さんが、在宅支援を専門にやっているコーディネートの方がいると非常にスムーズなのです。私の地域にはいないのですけれども、もし地域にいらっしゃったらもっとスムーズになると思うことがあります。実際に我々訪問看護ステーションの看護師を、是非巻き込んでいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○松葉佐委員 ケアホームでの医療的対応のことで、週 3 回の訪問看護時に医療を行うと。それから、 24 時間体制の対象になっていて、導尿が必要な人に対応しているとあります。普通のケアホームだったら、 24 時間対応はなかなかできないと思うのです。一般的なケアホームでも役に立つようなモデル的なものを出していただくといいのではないかと思いました。
○大塚座長 今のケアホームでの生活支援計画書を見ると、医療的ケアは、重度訪問介護で通院介護というような形で、ケアホームに訪問看護を入れているということではないようなのですが、どんな形なのですか。これからは、モデル的なものとして形態が大切になってくると思うのです。
○ ( 社 ) びわこ学園 今入っているのは、個別に訪問看護と契約をしていただいて、週 3 回行っていただくことプラス、ケアホームへの相談ということで月 2 回行くことを兼ね合わせた状態で、例えば毎日の導尿であったり、頻回の吸引ということが入ったりした場合は、特別指示書を頂いて、取りあえずの 2 週間は毎日訪問ができる形にするとか、夜の対応ができる形にするなどを臨機応変に入れている感じです。
○大塚座長 モデルとして示していただくときには支援計画だと思うのですが、どんな実施をしたかということを詳しく書いていただいて、こんな医療体制や、介護によって支えられるというのを出していただくと、後の人たちにとって分かりやすいと思います。
○ ( 社 ) びわこ学園 はい。
○大塚座長 よろしいでしょうか。 3 番目は愛徳福祉会さんの中間報告についてコメントなどをお願いいたします。
○宮田委員 47 ページの大阪市委託事業「メディカルショートステイ」について教えていただきたいのです。前回欠席しているので聞き逃がしているのかもしれませんが。
○ ( 社 ) 愛徳福祉会 これは、大阪市が急性期病院、主に NICU 等を有する急性期、必ずしも NICU はないのですけれども、急性期病院の空床を利用して補助金を出してショートステイをしようという事業です。その空床に対しても、 1 日 4 万円程度の補償が出ていたと思います。今は 1 病院増えて、現在は 4 病院で、公的な病院もあれば、民間病院もあります。
○宮田委員 先ほど北海道でも課題になっていたと思うのですけれども、医療で入れたよりは 3 万円安くなるというところの解決策だろうと思うのです。これには、厚生労働省が 3 万円余分に給付額を設定するのか、若しくは市町村の責任でその部分を埋めていくのか、ということが大きな課題になると思うのですごく興味を持ちました。どうもありがとうございます。
○中川委員 先ほど議論がされたのですが、このホスピタル・プレイ・スペシャリストというのは、大阪ではたくさん養成しているというのは聞いています。いろいろな大学とか、いろいろな施設で今は養成施設があります。我々が知っている範囲内では、保育士の経験が何年間というのが、そこで最初に教育を受けるときにあったような気がするのです。これは、看護師でもなれるのですか。
○ ( 社 ) 愛徳福祉会 その資格そのものが統一された資格がないようです。大きくは静岡県立大学が中心にされている、静岡の大学がされているのと、もう 1 つ 2 系統ぐらいあるそうなのですが、私も詳しくは知りません。静岡の大学が主としてされているのは、特に保育士資格は求められていなくて、ナースでもある一定の研修を受ければ取れる仕組みになっています。
○中川委員 大阪は、母子医療センターでかなりたくさん動いていて、あの場合は保育士だったような気がするのです。確かに重心でもこのような資格を持っている人がいると、特に在宅では非常に役に立つと思うのです。その辺りも知らない施設というか、割とまだ知られていないので、そういうのをもう少し正確に詳しくしていただけたら参考になると思います。
○大塚座長 先ほどの話でこの HPS という方が、医療的ケアで一杯のところに、生活の質も含めて向上させようという非常に大きな観点があると思っておりますので、単にケアだけではなくて、より豊かな生活を在宅で保障していくという 1 つの可能性もあるかもしれないので、この事業の中でその実施、あるいは実施の評価、事業の評価みたいなのをしていただいて、こういう可能性もあるということを出していただくとつながるかと思います。
○ ( 社 ) 愛徳福祉会 ありがとうございます。
○田村 ( 正 ) 委員 それに加えてなのですけれども、こういう特別な事業としてやるというのが今の段階だと思うのです。それによりどういう利点が子供やその当事者だけではなくて、周りのスタッフの負担の軽減とか、実際問題として子供がどれだけそれでエンジョイできるようなことがあるのか、ということをある程度経済的に評価できませんか。その効果を何らかの形で客観的に示して、それを保険でちゃんとやるとか、福祉のほうからお金がきちんと出るシステムにしないと、あくまで余裕のある施設で、若しくはこういう事業があるときだけ使えるということになってしまうと思うのです。そのためにはどのぐらいのコストが必要で、でも、そのことによってどれだけ利点が家族や本人だけではなくて、社会的にも上がるのかという経済効率を計算することもしていただければと思います。
○ ( 社 ) 愛徳福祉会 ありがとうございます。
○松葉佐委員 医療的ケアにも対応可能な居宅介護事業所の設立を計画中とあります。これは、ナース等の医療関係者を置かないタイプのものを想定しているのですか。そこが大事だと思うのです。
○ ( 社 ) 愛徳福祉会 近くに家を借りて、そういう介護事業所を今計画中なのです。ナースを全く置かないのではなくて、もちろんナースもいるけれども、医療ケアができるヘルパーなり介護福祉士もいて、行く行くは訪問レスパイトというか、在宅レスパイトにつなげていければという願いはあります。
○中川委員 大阪府は、重症心身障害児者数を非常に正確にというか、 7,916 人と書いてあります。一方、広島ではほとんどつかめないと。恐らく県下的にいうとつかめない所が多いと思うのです。香川県も正確な数はつかめていないです。大阪は、どのようにしてこの膨大な数の重心の数をはじき出したのか分かりますか。
○ ( 社 ) 愛徳福祉会 私も正確には把握していないのですが、恐らく 1 級・ 2 級+療育手帳 A の数で自治体が計算してくれたと思っています。
○中川委員 1 級と丸 A を持っている者は基本的な重心の範疇には入るのですけれども、在宅だと意外とどちらかを持っていない人が多いのです。そういう県が結構多いので、それでお聞きしたのです。
○ ( 社 ) 愛徳福祉会 先ほども、フロアでもこの数字はちょっと多いのではないですかという御指摘も受けましたので、持ち帰って大阪府・市の担当者に計算方法とか、ひょっとしてお亡くなりになった方が紛れ込んだりしていないかとか、そういうことを 1 回尋ねて、また次回の会議でお返事させていただきます。
○田村 ( 和 ) 委員 私が関心を持っているのは、在宅生活地域連携シートです。先ほどもクリティカルパスに似たような様式でというようなことの説明がありましたが、主に NICU からの地域移行の所でのツールとして使われているのだと思うのです。先ほど来課題になっている、中核病院なり専門病院から「かかりつけ医」へつなぐ・連携というような、全体的な地域包括ケアの側面を、医療の側面からその仕組みを見るとそういう形になるわけです。その医療のクリティカルパス的なものと、いわゆる福祉のサービス利用計画、ないしはケアマネジメントとの関係性や、あるいは福祉サービスの計画を作っていくときのこのクリティカルパスみたいなシートの有用性みたいなものについて、少し議論していただきながら、何か御意見を載せていただけると有り難いと思います。
○ ( 社 ) 愛徳福祉会 ありがとうございます。
○大塚座長 よろしいでしょうか。それでは次は三篠会の事業計画についてのコメントやアドバイス等をお願いいたします。
○田村 ( 和 ) 委員 巡回療育相談を希望したいという方が 15 件、これからも増えていくのだと思うのですが、そこの分析を小まめにしていただけたらと思います。その方がどういうサービスを使っていたり、日中のサービスはどうしているかとか、過ごしがどうなっているかということも含めて、年齢構成だったり、使っているサービスだったり。どういう方がそういうアウトリーチで実際に自宅に来ていただいて、自分の不安な面を聞いていただきたいのかということの分析を、少し丁寧にしていただけたらと思います。
○ ( 社 ) 三篠会 ありがとうございます。
○松葉佐委員 重傷心身障害児者地域生活支援協議会は大変有意義なものだろうと思います。これを継続するために、主催する側がインセンティブを喚起するようなことが必要ではないか。こういうのは、最初は参加率がいいと思うのですけれども、皆さんお忙しいのでだんだん細っていくことが多いように思うのです。ちょっとそのように思いました。
○ ( 社 ) 三篠会 ありがとうございます。
○米山委員 今回は広島市内に限定していると思うのですが、その周辺には重心の施設もあるかと思うのです。それは市外への利用だとか、サービス資源利用というところは今回の中で把握というか、その辺りを市外にも利用されている方がいらっしゃるのかと思うのです。その辺は把握できるものでしょうか、いかがでしょうか。
○ ( 社 ) 三篠会 実際に実態調査をする中で、具体的に利用されているサービス事業所名を書く欄もありますので、その辺りの利用している施設だったり、市以外の施設の把握は次回の調査結果では分析して出せるかと思います。
○宮田委員 広島市については、公立の通所というか通園施設が 3 か所あって、かなり重い子供たちも通園していると思うのです。協議会への参加とか、地域支援のネットワークの中で連携はどのようにされていますか。
○ ( 社 ) 三篠会 実際に協議会のほうにも公設のデイサービスの職員に参加していただきました。公設でサービスができた頃というのは、やはり通う場所がない方を対象に随分歴史も長くしてきたのですけれども、実際は医療ケアが必要な利用者は現在はお受けできていないのが実際の現状でした。そういうところで、公設のデイサービスとして最初の、行き場所がない利用者をどうしていくかという原点に帰らないといけないのではないかということで、広島市のほうも、今回は共同で作業を進めているところです。
○大塚座長 訪問看護で、田中先生どうぞ。
○田中委員 57 ページの (2) の (2) 、 (1)-(5) から、親の孤立化という問題を次回の協議会に招き、市の保健師さんから報告を受けると書いてあります。実際に家に帰ってきてから、保健師さんが行ったら、「いや、うちはいいですよ」というようなことかと思うのです。こういう方たちというのは、もっとリスクがあった状態、例えばハイリスク因子の方の情報を保健師はすごく持っているはずです。要は、妊産婦健診の中で、そういう方たちはピックアップされていると思うので、そういうところまでもし広げて情報を得られたら、もしかしたら予測できることが、地域に帰ってくるときに予測できる方たちが、もう既に帰ってくる前に把握できるのではないかということを感じるのです。そういう話も保健師さんから聞いていただけたらいいかなと思いました。
○ ( 社 ) 三篠会 ありがとうございます。
○大塚座長 他はよろしいですか。それでは最後になりますけれども、社会福祉法人旭川荘の中間報告について、コメントやアドバイスや御意見などをお願いいたします。
○宮田委員 医療的ケアが必要な子供たちが、特別支援学校に受け入れてもらえなくて、訪問学級になっているということをお聞きしました。これは杉野先生にお聞きしたほうがいいのかもしれないのですが、人口の多い所で、たくさんの特別支援学校がある所は、役割分担をしてもいいのかと思います。しかし、特別支援教育がスタートしたときに、できるだけ身近な所で、どんな障害も受けていこうではないかという流れもあったと思うのです。この辺りは、今回の事業の中で巻き込んでいけないのかどうか。なかなか教育行政のほうでは難しい部分があると思うのですけれども、ディスカッションなどをされているのかどうかをお聞きします。
○ ( 社 ) 旭川荘 御指摘をありがとうございます。先ほど杉野先生がおっしゃいましたように、私も地域の支援学校が、地域の障害をもつ子供たちのケアの情報センターとなって、日常生活に必要なケアなどについて幅広くそういう情報を提供するという役割を担っていただけたらということを考えております。実は南予唯一の支援学校とは、先生にお会いする度にいろいろと、こういうこともやりますよ、学校で医療的ケアの講習会もやりますよということはお話しているのですけれども、やはり先生のお立場としては、それを受け入れるということは、愛媛が医療的ケアに向けてその一歩を踏み出すきっかけになるのではないかと。
もちろん愛媛県の中でもモデル校のように、そういう医療的ケアに取り組んではおりませんけれども、そういう学習を進めている所はあります。まだ、私どもの南予地域では残念ながら先生個人のお考えは別として、少し慎重な感じです。ただ、訪問教育に来てくださる、実際に訪問教育に行っていらっしゃる先生は、授業をしているときにいろいろと医療的ケアが必要な場面に遭遇されているので、やはりそういうことを学びたいという意識は強くお持ちになっていると思います。
○杉野委員 関連のある話題だったので。特別支援教育を肢体不自由のほうは、訪問も本校の教育と同じなのです。ただ、教員を派遣してやっているということです。本校へ通学できない子供に対しては、療育センターの中の分教室とか、個人宅にお伺いして指導するというのは指導要領上定まっていますから、そこも含めて考えていただきたいのが 1 つです。
医療的ケアについては、確かに私もいろいろ大会等で感じるのは温度差があるなと。ただ、これも法制度に基づいて動いているところで、昨年、法令改正がありましたので、地域によってはそこからより充実していこうという所もあるかもしれません。学校もその地域の関係機関と連携しながら、特に 69 ページにも実践がありますように、宇和特別支援学校のほうと摂食指導の研修をやったり、こういうのを地道に進めていく中で広がってくるものがたくさんあると思うのです。
私の所には療育センターがあるので、そこのドクターとよく話をすることがあります。やはり、教育の効果というのは常におっしゃってくださいます。もちろん我々もその恩恵を受けながら、療育センターの中での教育というのは、訪問教育もきちんとやれるわけですから、お互いにそこのところは子供中心ということで。連携というのは一口に言えば簡単なのですが、具体的にやるのは緻密な本当に日々の作業だと思っていますので、よろしくお願いいたします。
○ ( 社 ) 旭川荘 ありがとうございます。
○田村 ( 和 ) 委員 学校を卒業して、この社会資源の状況を見ると、 B 型の巡回方式から、法制化されて生活介護のサテライトか何かになっているのだと思うのです。そこの課題は何かというか、うまくやれているのかということが 1 つです。2つめは、近くでも、自宅からなかなか出られない方がいるのかどうか。いるのであれば、そこを通うことでサービスを利用するということで致し方なしという体系の課題、訪問療育の必要性みたいなこと、単に地域的な偏在型の社会資源の状況によるサービスの大変さだけではない通えない重症者・超重症の人たちの活動の保障という大変さが隠れているのであれば、是非とも出していただけたらと思います。
○ ( 社 ) 旭川荘 御指摘ありがとうございます。前回、御指摘を頂戴いたしましたように、私どもの施設が巡回型を始めさせていただいて 10 年間続けてまいりました。その 10 年間の総括も報告書に盛り込みたいと考えております。
今のは大変重要な点であったと思います。巡回型で県下の 2 か所に伺っているのですけれども、そこへもなかなか来ることができない在宅の重心の方がいます。私どもの、在宅重心の方の調査というのは、原則聞き取りをしておりますので、実際に親御さんにお目にかかって、毎日の困っていることを直に伺うことができます。そうすると、アクセスのことを言われます。連れてこられている親御さんにしても、子供をそこの会場まで連れていかなければいけない。本当は兄弟もいて、親御さんとしたらその時間は少し手を離したいのだけれども、送迎等でなかなか時間がつくれないという悩みもあります。そもそも、そこへ連れていくことすらできない、うちから連れて出ることが非常に困難であるというアクセスの問題があります。アクセスの問題というのは、在宅化を進めていく上において、特に過疎が進む地域においては、こういう社会資源の問題とセットで考えていただけたら有り難いと思います。
○大塚座長 それでは、各団体の皆様の中間報告に対するコメントやアドバイスはこれで終わります。少々時間がありますので、フリートーキングということで、団体の皆様も委員のほうに質問があれば、また委員のほうは言い足りなかったこと、様々なこと、更に付け加えたいコメントがあればお願いいたします。忌憚なく何でもお話いただければと思います。団体の方からはどうですか、こうやっているけれどもどうしたらいいかということはありますか。
○ ( 社 ) 旭川荘 今、ここでいろいろ御意見を拝聴できるのは非常に貴重な機会だと思います。例えば、大阪地区での取組と、うちの地区での課題は懸け離れているというか、毎日の生活をどのようにして充実させていくかというところに、既に重点が置かれている所と、利用したいのだけれども社会資源がないとか、アクセスが悪いということを話している地域があると思います。
現実問題を言うと、田村先生の御研究で、 NICU に入院している子供の数自体はだんだん減ってきてはいるのですが、その代わり呼吸器を付けたままで在宅に出る方の数が増えている、ということをお示しくださっています。まだ愛媛、特に南予地域において NICU から呼吸器を付けて、すぐに在宅へポンと出ることは非常に困難です。大阪のような地域の受皿はありません。今、私どもにこの機会を与えていただいて、まずその地域の資源に注目して、それから御指摘がありましたように、地域の訪問看護ステーションをどのように活用していくかを考えなければいけない、やっとその端緒に付いたところで、まだちょっと道程は遠いということを正直に感じます。
○大塚座長 もし何かアドバイスがありましたらお願いいたします。
○田村 ( 正 ) 委員 そういう意味では、大阪は非常にシステム化されていて、確かに NICU の長期入院児は減っています。あれは大阪だけのことではなくて、全国的には確かに NICU に 1 年以上入院している患者は減っているけれども、レスピレーターを付けたまま退院する患者がどんどん増えているために減っているのであって、従来であれば NICU に長期入院しているような患者が、恐らく直接のきっかけは、いろいろな所が、いろいろな働きかけをした結果だと思うのですけれども、やはり墨東事件だと思うのです。
墨東事件があって、お母さんが入院できなかった根本的な原因は、実は NICU のベッドが足りないために、 7 つの病院が断ったといったことが明らかになりました。そこで、いろいろな行政や病院側の NICU の長期入院児を早く出さなければという働きかけが行われる様になりました。ある意味では私たちが無理やり押し出してしまった結果が「呼吸器を付けたままで在宅に出る方の数が増えている」という結果で、それに対してそういう子供を送り出した以上は、ちゃんと在宅でもできるだけ安全で安心な在宅医療支援体制を何とか作り上げないと無責任ではないかということで、今 NICU の関係者も一生懸命やっているところだと思うのです。
愛媛県の場合は、私も愛媛県出身なのであの辺の地理的なことはかなり分かるつもりです。確かに南予というと、ほとんど医療資源が非常に乏しくて、それで大部分の患者はハイリスクの中でも、特に重症の患者は恐らく松山にある県立中央病院とか、松山日赤辺りに入院して、そこから南予のほうへ返したいと思っても返せないという話は、関係者からも聞いています。ただ、それに対してできることといえば、何とか家に帰って、緊急のときにはひょっとすると宇和島辺りでも済まなくて、松山まで運ばなければいけないかもしれませんけれども、家にいる期間を何か月か、それで何か月かは重心施設にいて、それでどうしてもというときは松山へという、そういうサイクルを作っていかないといけないのではないでしょうか。
そうすると、南予だけで完結するのは、愛媛県の場合はかなり難しいのではないでしょうか。だから、松山にある県立中央病院、日赤、愛媛大学という所も巻き込んでカバーする体制づくりを行政に働きかけることが重要ではないかと思います。
○大塚座長 広範囲にわたるわけですね。他にはいかがでしょうか。
○岩城委員 どうもありがとうございました。私は、こういう制度を使わせていただく親の立場の 1 人ですので、本日も改めて大変感謝申し上げます。昨年、今年と初めて重心に特化されたモデル事業ができ、私たちの大変期待の大きいところなのです。この検討会に 2 年間ずっと参画させていただいて、やはり重症心身障害は言葉自体が、まだ自治体にも浸透されていない。そして、子供たちに手がかかるがために、やはり事業所等がなかなか受け手もない、でも、そこにいろいろな問題があると思うのです。せっかくできたことが、やはりそこで止まらないように、後退してしまわないように、これは少しずつでも推進されていったらと。その中には診療報酬の話などいろいろあります。
どんなに重い障害の子供でも、みんな在宅で一緒に生活していきたいのです。私も、 34 歳の娘が最近二次障害で、これから医療的ケアに常に関わっていきますが、それでも私は可能な限り在宅で、それから現在ある福祉サービスを使いながら生きていきたいと思っております。多くの親がみんなそう思っているのです。
本日伺った中で、重心の理解が及んでいなくともモデル事業により結び付きができたら、施設であれ、病院であれ、そこから自分たちもできるのだというお考えも現してくださっています。保護者では私 1 人ですけれども、これがこれからの在宅の重症心身障害児者が豊かな生活が少しでもしていけるように御支援いただきたい。そして、このモデル事業が更に推進されたらと願っております。本当にありがとうございました。
○大塚座長 ありがとうございます。最後に言っておかないと帰れないという方はいらっしゃいますか。
○ ( 社 ) 愛徳福祉会 我々の所もショートステイはその質というか、 HPS とか、あるいはリハビリテーションを提供したりという質も今は目指しつつあるのですが、もう絶対的に数が不足していて、毎月 30 人以上のキャンセル待ちが出ています。年間の利用回数をこの間調査したのですが、年間 1 回とか 2 回しか利用できないというのが 7 割を超えるぐらいいます。 2 か月に 1 回ぐらい利用できる人は全体の 2 割以下ぐらいです。退院の数は増えているのですけれども、間違いなくその御家族の多大な労力というか、御苦労の上に成り立っている在宅生活であるのは間違いないです。
大阪は別に進んでいるわけでもないと思いますし、ショートステイのベッド数は明らかに不足しています。それを打開するのは、今、事業として始めている病院の空床を利用したメディカルショートであったり、あとはショートステイでも福祉に来られるのが 1 泊 2 日でもすごい大量の荷物を持ってこられて、移動だけでもすごく大変です。また、移動することで体調を崩される方、特に初めて利用される方はかなりの確率でそういうことが起こっているので、これからは訪問レスパイトというか、在宅にこちらから出向いて、その間御家族に自由な時間を作っていただくというのを、制度化して実現すればいいと考えています。
○米山委員 今の件にも関連するのですが、今のレスパイトを私どもの所でも 10 倍みたいな感じで当たったらよかったねみたいなのが現実にあります。そういう意味では、医療のほうのレスパイトという意味ではやはり診療報酬だとか、これは小児科学会でも平成 24 年度は 6,000 点、 6 万円をというようなことを申し立て、今回下げた上でもう一回多分駄目かもしれないのですが、そういう意味では平成 28 年度の改定に向けていえば、どのぐらいそういう単価でコストが取れるかというのは是非出していただきたいというのが 1 つです。
やはり、バックアップというのは大事で、都心は大丈夫かと思うのですが、私の患者も実は一昨日具合が悪くてということで入院を頼まれて、 11 病院目でやっと取れたというのがありました。 4 大学病院で断られ、 4 つの都立病院で断られ、やっと国立病院でなんとかというようなことが現状として都内でもあります。そういう意味で、その後方ということでは、その地域で生活できるその支援というと、やはり具体的に具合が悪くなったときの支援という、そこの連携を皆さん報告されていましたけれども、そこも是非作れるように何とか報告にまとめていただけるといいと思います。
○大塚座長 そろそろ時間なので、団体からのヒアリング及び委員からのコメントなどについては全て終了させていただきます。別に私から大きくまとめることはないのですが、改めて中間の所で報告をしていただいて、これからが本格化かもしれませんが、決裁が下りたのが遅かったと思います。
このモデル事業は 3 つの要素があって、人と、仕組みと、ツールなのです。人については、正に重心の専門のコーディネートをする、いろいろなサービスをコーディネートしたり、相談支援する人のどんな要件が必要とか、どんな仕事の内容が考えられるかということを研究していただいて、こういう仕事が専門的なこととして必要だ、その知識・技術はこうだということを明らかにしてほしいということが 1 つあります。
それとともに本日の話だと、これは誰が担うのか。保健師があるかもしれません、相談支援専門員の方があるかもしれません。成人の相談支援専門員がやるかもしれませんけれども、むしろ発達的観点からいくと、児童発達支援センターなどに所属している相談支援の方がやったほうがいいかもしれません。それは、いろいろなケースがあるので何とも言えないのですが、やはりその特色を生かした相談支援、コーディネートをする人とは何かということを明らかにしてもらいたいと思います。
仕組みは、地域で支えるような連携の課題です。保健、福祉、医療、教育などはみんな事業所です、訪問看護も含めて。どんな連携の仕組みの中で支えられるかを明らかにしていただくことにより、こういうモデルがあるということとともに、それぞれの役割は何か、連携におけるそこのキーワード、どう連携がうまくいき、誰がコーディネートすればいいという仕組み、支える仕組みということが大切かもしれません。そういう中では、自立支援協議会のことであるとか、支援会議のことであるとか、そういうことも含めて少し広めにこういうものを使いながら仕組みを作っていく。重心の方を地域で支える仕組みを作っていくことのモデルをもう 1 回考えていただければと思います。
ツールについては、本日は北海道も含めて、例えばインターネットを使った様々なコミュニケーションのツールによって重心の方の地域の支援ができる。シートという話も出ました。それから、個別の支援計画やサービスの利用計画もあるかもしれません。そういう中にきちんと落とし込むことによって、重心の方が支えられるようなツールとは何か。こういうものをいっぱい活用しながら、より安定的な地域生活ができるようなことを考えていただきたい。
人と、仕組みと、ツールについては、聞かせていただいて、本当に大変で、忙しくて、事業をこなすのがもう一杯の所もあって、大変さはよく見えるのですけれども、あとの半年については、モデル事業としての成果を出す観点から是非お願いいたします。私からはこれで終わります。今後の予定等について事務局からお願いいたします。
○川島補佐 本日はお忙しいところを熱心に御議論いただきまして、誠にありがとうございました。資料の最後のページの資料 5 を御覧ください。次回第 3 回検討会は、今年度本検討会の最後の回となる予定としております。開催については来年の 2 月後半から 3 月の間を予定しております。第 3 回については、本年度の実施事業の総括として、その成果物の案を各団体から御説明いただき、最後に最終報告としてまとめる際の指導・助言を頂く予定としております。各団体に作成していただく報告書の項目案については資料 5 の第 3 回検討会の下の点線の囲みに記載しているとおりですが、後日、この報告書のフォーマットを事務局から送付させていただきますので、実施団体におかれましては御準備をよろしくお願いいたします。第 3 回の具体的な日程については、後ほど事務局から日程調整表をお送りいたしますので、よろしくお願いいたします。
このモデル事業については、実施団体からの最終報告を踏まえ、厚生労働省としてその成果を全国に情報発信していくこととしております。最終報告を受け、それをどのようにまとめていくかについては、事前に座長と御相談の上、次回の検討委員会において、委員の皆様方から御意見を賜りたいと考えておりますのでよろしくお願いいたします。
○大塚座長 ありがとうございました。御苦労様でした。
<紹介先>
社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課
障害児・発達障害者支援室 障害児支援係
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