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2014年1月22日 第39回社会保障審議会児童部会議事録

雇用均等・児童家庭局

○日時

平成26年1月22日(水)10時00分~12時00分


○場所

厚生労働省省議室


○出席者

委員

大日向部会長   松原部会長代理      秋田委員     石津委員
大澤委員       小杉委員          才村委員     佐藤委員
土堤内委員     林委員            宮島委員

事務局

石井雇用均等・児童家庭局長  鈴木大臣官房審議官  定塚総務課長
小野家庭福祉課長  為石育成環境課長  橋本保育課長  桑島母子保健課長
中井職業家庭両立課長  竹林少子化対策企画室長  南幼保連携推進室長
川鍋虐待防止対策室長

○議題

(1)最近の児童行政の動向について
(2)その他

○配布資料

資料1 子ども・子育て支援新制度に関する検討状況について
資料2 認定こども園保育専門委員会での検討状況について
資料3 放課後児童クラブの基準に関する専門委員会での検討状況について
資料4 妊婦健診の「望ましい基準」について
資料5 小児慢性特定疾患児への在り方に関する専門委員会での検討状況について
資料6 ひとり親家庭への支援施策の在り方に関する専門委員会での検討状況について
資料7 「社会的養護の課題と将来像」に基づく施策の進捗状況について
資料8 子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について
資料9 次世代育成支援対策推進法の見直しについて
資料10-1 平成26年度予算の概要について(雇用均等・児童家庭局)
資料10-2 平成26年度税制改正大綱について(雇用均等・児童家庭局)

○議事

○大日向部会長 

定刻になりましたので、ただいまより第 39 回社会保障審議会児童部会を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、またお寒い中、お集まりくださいまして誠にありがとうございます。会議に先立ちまして、 7 月に事務局に異動がございました。御紹介をお願いしたいと思います。また出欠状況につきましても御報告をお願いいたします。

 

○定塚総務課長 

総務課長の定塚でございます。事務局に異動がございましたので御紹介をさせていただきます。育成環境課長でございます。

 

○為石育成環境課長 

育成環境課長の為石でございます。よろしくお願いいたします。

 

○定塚総務課長 

幼保連携推進室長でございます。

 

○南幼保連携推進室長 

幼保連携推進室長を拝命いたしました南と申します。よろしくお願いいたします。

 

○定塚総務課長 

虐待防止対策室長でございます。

 

○川鍋虐待防止対策室長 

虐待防止対策室長の川鍋でございます。よろしくお願いします。

 

○定塚総務課長 

少子化対策企画室長でございます。

 

○竹林少子化対策企画室長 

少子化対策企画室長の竹林と申します。よろしくお願いいたします。

 

○定塚総務課長 

異動は以上でございます。委員の出欠状況ですが、本日は奥山委員、矢藤委員、渡辺委員の三方が所用で御欠席と伺っています。また佐藤委員におかれましては遅れてご出席されます。石津委員におかれましては公務により途中退席をされると伺っています。以上でございます。

 

○大日向部会長 

ありがとうございました。それでは議事に入りたいと思います。前回の児童部会は、昨年 5 月に開催されたところでございますが、その後、児童福祉関連の各制度について、児童部会の下に設置されている専門委員会や他の審議会で検討が進められてまいりました。子ども・子育て支援新制度については、平成 27 年度に予定される本格実施に向け、内閣府の子ども・子育て会議で検討が進められています。また、児童部会の下の専門委員会で、幼保連携型認定こども園の保育要領、放課後児童クラブの基準、小児慢性特定疾患対策、ひとり親家庭の支援の見直し等について議論が行われ、とりまとめが行われております。

 本日は、これらの一連の検討状況やとりまとめ内容等について御報告を受け、委員の皆様に現状を把握していただくこととしておりますので、よろしくお願いいたします。それでは事務局から、まず子ども・子育て支援新制度に関する検討状況について御報告をお願いいたします。

 

○橋本保育課長 

保育課長の橋本でございます。お手元の資料 1 を御覧いただきたいと思います。一昨年の夏に成立した子ども・子育て関連 3 法ですが、この新制度は平成 27 年度からの施行を目指して、今、準備をしているところです。その施行状況の概略をお話させていただきいと思います。

1 ページにスケジュール表があります。この中で、施行準備の中でしていかなければならない事項を左のほうに列挙しています。本日、この後、御説明申し上げますが、まず基本指針で国としての基本的な考え方、あるいは自治体の事業計画づくりの策定指針になる内容を、昨年の夏に子ども・子育て会議でおおむねとりまとめをいただき、今、これを踏まえた各自治体における作業が進行中です。

 また、それ以下の認可基準の関係、あるいは保育認定の基準の関係などについて、昨年の末から今月の半ばにかけて、おおむねの考え方のとりまとめをいただき、これについては年度末頃の政令・府省令等の制定に向けた事務作業を、今、急いでいるところです。こういったものを踏まえて、今後、自治体における条例の策定をはじめ、実務的な準備が進行し、平成 27 年度からの施行に向けた、より具体的な準備に入っていきたいと考えているところです。

 また、こういった基準関係あるいは府省令制定関係の下の部分で、公定価格、利用者負担という欄があります。これについて新制度の施行に向けた準備として実態調査を行い、その実態調査の結果を受けた議論を、今、していただいているところです。年度内にこの会議でのとりまとめをしていただき、来年度の 4 月~ 6 月ぐらいの時期において骨格と併せて仮単価を提示しながら、また施設に対する意向調査等も踏まえながら予算編成をしていきたいと考えているところです。以下、個々の内容につきまして若干の御説明をさせていただきたいと思います。

3 ページは、子ども・子育て会議の開催状況です。子ども・子育て会議といういわゆる親会議を 11 回、公定価格あるいは施設の基準などを議論する基準検討部会を、全部で 12 回開催いただいているところです。

5 ページですが、最初の内容として基本指針の関係です。 5 ページは基本指針の内容の概略、アウトラインを書いたものですが、国のほうで定める基本的な指針で、子ども・子育て支援の意義とか、あるいは地方自治体の事業計画の作成指針になるものです。全ての都道府県、市町村において計画期間 5 年間の事業計画を策定いただき、この中で小学校に就学する前の子どもたちの子育てについて、トータルの計画を策定いただくということです。そのほか制度に関する基本的な事項、あるいは関係施策との連携などにもこういった内容を盛り込むことになっています。

6 ページに、市町村計画のイメージということで概略を書いています。一番上の欄にありますように、市町村子ども・子育て支援事業計画のポイントとしては、「量の見込み」をきちんと立てるということ。そして、その量の見込みに見合った施策としての「確保の内容」、それから、いつまでに取り組むという「実施時期」を明確に事業計画の中に位置づけていくことがポイントです。今、この策定に向けてニーズ調査をそれぞれの自治体において実施し、その計画化を受けて、いよいよ「量の見込み」あるいは「確保の内容」などの議論に入っていただいている時期かと考えています。

7 ページですが、都道府県に子ども・子育て支援事業支援計画を策定していただくことになっています。この都道府県計画の中においても、各市町村におけるニーズ調査を踏まえた量的な見込みを積み上げた、それぞれ都道府県内のエリアごとの量の見込みを立てていただくことが必要です。併せて、その際には都道府県としての広域的な調整をしていただくことも必要です。 7 ページの右側の下に幾つか○が並んでいますが、特に都道府県ということで考えたときに、上から 2 つ目の○にある保育教諭・幼稚園教諭・保育士等の確保、質の向上のために講ずる措置、いわゆる人材確保の関係の対応とか、 3 つ目の○の専門的な知識・技能を要する社会的養護等に係る支援、市町村との連携ということで、児相をはじめとする専門的な機関を有する都道府県としての様々な役割を、都道府県計画の中にきちんと位置づけていただくことが重要な要素と考えています。

8 ページですが、需給調整の仕組みです。これは今回の法改正の中で保育所の認可あるいは認定こども園の認可・認定について、より手続を透明化する改正があったわけです。 8 ページの下に仕組みということで図がありますが、この図の左側にありますように、需要に対して供給が追い付いていない状況にあるとき、そこに対して認可申請がなされた場合には、認可の要件に当てはまるものについては原則認可する形で、認可権者の責務ということで定められたわけです。それに対して、右側にありますように需要を上回る供給が既にある状況のときには、認可しないことができるという形で、認可権者に一定の判断の幅がある形になっているわけです。

 特に今回の改正の中で、大きく改正がなされた認定こども園制度に即して見ると、この認定こども園が既存の幼稚園あるいは保育所等からの移行ということを考えたときに、この図の右側にあるような状況、つまり需要を供給が上回っている状況の中で認定こども園に移行するとき、杓子定規に需給調整の仕組みを当てはめるとなかなか難しいといったことも議論になり、下に矢印で 2 つ書いてありますけれども、そういった既存の園が移行するときには需要に都道府県計画で定める数を加えて、これに達するまでは認可・認定する形で調整措置を講じています。その都道府県計画での数を定めるに当たっては、それぞれの施設の利用状況、移行の希望などを十分踏まえた上で設定することになっています。詳細は、地方版のそれぞれの子ども・子育て会議の中で議論して決めていただくことになっています。

9 ページで、保育認定の関係です。現行制度上においても保育所を利用していただくに当たっては、一人一人の子どもについて保育に欠けているかどうか判断いただくことになっていて、その要件が 9 ページの左側、現行の事由に書いています。就労とか妊娠、出産をはじめ、 6 つほどの事由があります。それに対して新制度における事由の設定についても、子ども・子育て会議でこれまで議論いただいた中で、おおむねの考え方がとりまとめられたところです。従来からあった1の就労から5の災害復旧までの事由については、基本的に従来の考え方を踏襲しながら、より明確にしていくということですが、6の求職活動から、9の育児休業取得時に、既に保育を利用している子どもがいて継続利用が必要であることまでは、従来、それぞれの市町村の運用に委ねられていた部分です。左側で言えば6のその他の運用の中で行ってきた部分ですが、こういったことをより明確に、法令上明示して全体としての運用の統一を図っていくということです。

 また、 10 ページにありますけれども「区分」ということで、従来ですと保育に欠けているか欠けていないかという、ある意味、オール・オア・ナッシングの判断だけをしていたわけですが、新制度においては主にフルタイムの就労をしている方を想定した時間区分と、主にパートタイムで就労している方を想定した区分と、この 2 区分を設けて、フルタイムを想定したものを「保育標準時間」、パートタイムを想定したものを「保育短時間」という 2 段階の認定にしています。その際には 10 ページの図にありますように、保育標準時間の認定を受ける 1 か月当たり 120 時間程度の就労、すなわち週 30 時間以上程度就労している方については、現行の制度上、保育所が開所している時間とされている 11 時間の開所時間の範囲の中で、今と同じように利用ができるようにということで、そこのところの認定をすることにしています。また、短時間の認定を受ける方については、一番右下にありますように 1 か月当たり 48 64 時間程度の就労をしている、こういったパートタイムのそれぞれの就労時間に応じて、原則的な保育時間である 8 時間の範囲の中で利用していただく形での認定をすることになっています。

11 ページですが、確認制度についてです。この新制度の実施主体は市町村ですが、そちらのほうから様々な財政的支援を受けるに当たっては、認可を受けた施設あるいは事業者が市町村との間で確認をすることが要件になっています。そして確認を受けた事業者においては運営基準というルールを遵守していただく。また、それらに関する基本的な情報は都道府県が利用者に対して公表する仕組みになっています。運営基準の中には、ここにありますように利用開始に伴う様々な説明、あるいは教育・保育の提供では教育要領なり指針に則った教育・保育を提供する。あるいは虐待の禁止をはじめとする適切な処遇、あるいは管理・運営等に関する基準として、様々な運営の方針、個人情報保護、事故防止及び事故発生時の対応、第三者評価を含めた評価、会計区分、撤退時の基準など、こういった様々なルールを遵守していただくということ。

 また、 12 ページにある情報公表の中で、施設の名称、所在地から始まり、様々な施設の情報、運営の方針を事業者から都道府県に登録し、都道府県から公表するという取扱いです。これを見て利用者の方々に施設事業者を判断していただくということです。

13 ページ、 14 ページが、幼保連携型認定こども園の認可基準についての中身です。一番上の基本的な考え方にありますように、今般の改正ですが、従来の認定こども園はあくまでも保育所の部分は保育所としての認可、幼稚園の部分は幼稚園としての認可を受けるということで、それぞれの制度体系を前提としていましたけれども、改正後の幼保連携型認定こども園はそういった区分けをするのではなく、一本の認可をすることによって幼稚園と同様に学校という法的な効果、また保育所と同じように児童福祉施設たる法的効果を与える仕組みです。そういうことで既存の施設からの移行も含めて基準の内容を整理したものです。

13 ページにある中身は、新規に新たな幼保連携型認定こども園を設置する場合の考え方です。この場合には幼稚園と保育所の高い水準を引き継ぐという考え方の下に、幼稚園についての様々な基準、保育所についての様々な基準の中で、より厳しいほうの基準に合わせる考え方を原則にして、それぞれの基準の中身を整理しています。

 また、 14 ページには既存の幼稚園・保育所からの移行を想定し、適正な運営が確保されている中では、幼稚園から移行するものについては幼稚園の基準を満たす、保育所から移行するものについては保育所の基準を満たすことを条件に、原則としてその移行を認めていくという考え方です。主にハード面の部分について特例措置を一部設けているということです。ただ、その場合には、この欄にありますように、確認制度の中でそういった特例措置が適用されているという情報を公表すること。また特例措置の内容については施行 10 年経過後に改めて検討することになっています。

 基準の中身ですが、 13 ページに戻っていただき、学級編制についての考え方、園長等の資格についての考え方は、それぞれここにあるとおりです。具体的な職員配置の基準については、今後の公定価格についての議論を煮詰めていく中で更に検討していくことになっています。園庭の部分では名称について議論があり、屋外遊戯場あるいは運動場といった名称ではなく、園庭という名称で呼ぶことにさせていただいています。食事の提供につても、保育の認定を受ける子どもについては必ず提供し、保育の認定を受けない子どもについては園の判断で提供する形になっています。

15 ページ、 16 ページにかけて、地域型保育事業についての基準です。今回の改正の中で、ここにあります小規模保育、家庭的保育、居宅訪問型保育、事業所内保育の 4 つの類型の地域型保育事業が、市町村が認可する事業として位置づけられていて、これを地域型保育給付という新しい給付の対象にすることになっています。

 この基準の中身について小規模保育の事業のほうから先行して検討し、 16 ページにある小規模保育については多様な実態があるところから移行してくることを想定し、それらをなるべく間口広く新制度の中に組み込み、全体としての質の向上を目指す考え方から、 A B C という 3 つの類型を設け、それぞれの基準を設けています。特に A 型、 B 型の部分については地域型保育事業が原則として 3 歳未満児を対象とする事業ですけれども、 0 歳児の 3:1 1・ 2 歳児の 6:1 という基準に基づく配置基準+ 1 名という職員数を加配することにより、全体としての質の向上、安全性の向上などを図っているところです。また C 型については、家庭的保育の延長線上から発展したものを想定していますので 3:1 、補助者を置く場合は 5:2 という職員数の配置にしています。また A 型については全員を保育士として、 B 型については多様な実態のところから移行してくることを想定して、 1/2 以上保育士という形にしているところです。

17 ページで、家庭的保育事業、事業所内保育事業、居宅訪問型保育事業の 3 つの事業の基準です。家庭的保育については、おおむね現状の家庭的保育事業の基準を引き継ぐ形で、事業所内保育については、 20 名以上規模のものについては保育所と同等の、定員 19 名以下の事業所内保育事業については、小規模保育事業 A 型、 B 型の基準と同等のといった考え方で整理しています。

18 ページは、地域子ども・子育て支援事業についてです。新制度の中で 13 種類の事業が法定されていて、市町村が、それぞれの判断の下に実施していく事業として位置づけられています。この中で特にいろいろ御議論いただいてとりまとめをいただいた中身ですが、利用者支援事業、一時預かり事業、放課後児童クラブ事業といったものについては、 18 ページの下にありますように、利用者支援については1基本型、2特定型の 2 種類のタイプを設け、多くの機能を取り込んだもの、行政の一部の機能を果たすものといった形に、それぞれ区分けをしたものにしています。一時預かりについても、1一般的なタイプ、2余裕活用という新しいタイプ、3幼稚園型という現行の私学助成制度からの移行を念頭に置いたタイプ、4訪問型という新しいタイプを設けることにして再編しています。放課後児童クラブについては後ほど別途説明がありますので説明は省略いたします。

19 ページ、 20 ページは、今申し上げたことの詳細な点です。 21 ページは放課後児童クラブ関係でこれも省略いたします。

22 ページ以降が、公定価格の関係です。 22 ページの下にイメージ図がありますが、新制度の中での施設型給付あるいは地域型保育給付といったものがあります。こういった給付費について黄色の部分を公費で給付する形になっています。また国会での修正によって設けられた委託費については、公費負担分と利用者負担分を合わせて、全体としての公定価格として算定されるものを委託費として支払う形になっています。

23 ページ、 24 ページは、この公定価格を定めるに当たっての基本的な考え方です。 23 ページの図にありますように、ある程度基本となるものと、加算という形でプラスアルファするものという要素に区分けして考えていくことになろうかと思います。また基本となるものの考え方の中には、保育の必要性等を考慮した認定区分、年齢別の年齢区分、保育の必要量という先ほどの標準時間と短時間という認定区分、地域ごとの地域差を踏まえた地域区分、利用定員に着目した規模の区分など、こういった要素を勘案しながら、また、その中でどういった費用をこの基本額の中に入れていくのかということで、人件費、事業費、管理費といった様々な要素を、この中に織り込んでいくということです。また、何か一定の特別な対応をした場合、特別な体制を組んだ場合、地域の特別の事情に対応する必要がある場合など、様々な要素に着目した加算額を設けていくことになろうかと思っています。

 これらについて、今、検討しているところですが、先ほど来、説明を申し上げた保育認定の基準、認可基準、確認制度といった、 24 ページの図の中で左側にある各種の要素を反映させながら、右側の公定価格の議論を、今、進めているところです。

 最後、 25 ページに公定価格の検討スケジュールがありますが、年度末までに子ども・子育て会議において、基本部分・加算部分・減算部分といった構造に当たる骨格を定めていただき、 4 月~ 6 月頃には骨格と仮単価の提示をして、概算要求等の今後の準備に入っていきたいと考えています。大変駆け足でしたが、以上です。

 

○大日向部会長 

ありがとうございました。ただいまの御説明について、委員の皆様から御質問、御意見がありましたらお願いいたします。

 

○土堤内委員 

ニッセイ基礎研究所の土堤内です。感想が 1 つと質問が 1 つあります。私は、最近、子育て支援の NPO の方とお話する機会がよくあるのですが、その中で、子ども・子育て支援と言いながら、現場に伝わってきているのは「子育て支援」のほうが非常に強くて、本当に「子ども支援」なのかという声がよく聞かれるのです。例えば延長保育の問題であったり、病後児保育であったり、あるいは、今、政府が言っている女性の活用、そのために仕事と子育ての両立、そして待機児童解消という文脈から子ども・子育て支援の話が耳に入って来るものですから、どうしても「子育て支援」のほうに流れが引き寄せられているようなことを、現場の方がよく言っていらっしゃる。私も実際、そういったことを感じることがあります。これが感想です。

 質問ですが、今回の事業計画の中で先ほど御説明がありました都道府県の役割についてです。これは広域調整という役割が 1 つあると思いますが、例えば需要と供給が市町村単位で見たときに多少のミスマッチ、つまり生活圏と行政界が異なっているためにミスマッチが起こる場合の調整が都道府県の中で行われることがあるのでしょうか。その点をお聞きしたいと思います。

 

○竹林少子化対策企画室長 

事業計画のところは少子化対策企画室でやっていますので、答えさせていただきます。今回の計画、資料では 7 ページにありますように、まずは市町村でそれぞれ計画を作っていきますが、市町村は自分の所の住民のニーズを把握するということです。そのニーズを把握して、それに応える施設の事業というとき、例えば越境して他の市の施設や事業を利用しているというのは現にあると思いますし、これからもあると思います。その部分については計画上、ニーズは自分の所、需要は自分の市の計画に書いて、その上でそれにどう応えるかというときに、何人分は我が市の施設事業でやる、何人分は隣の市の事業施設を使って応えていく。このような計画を作るイメージです。

 その場合、当然、 A 市だけがそう思っていてもいけませんから、まずは市同士、 A 市と B 市の間で「うちの市民のニーズの一部は、お宅の市でお願いします」と、こういう調整を市同士でやっていくということですが、それが市同士でうまくいかないときに、都道府県が乗り出して行って広域調整の機能を働かせる。その上で 7 ページに書いてありますように、ある程度生活圏などを念頭に置いたブロック、区域というものを作って、そのブロックの中で大体の需給を間に合わせていくというものを県の計画に書いていく。このようなスタイルになっています。

 

○大日向部会長 

ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

 

○宮島委員 

1 つ質問をさせていただきたいと思います。様々な施策が充実するんだなと期待感を持っていますけれども、それが本当に子どのためのものになるのか。また私が関心のある困難を抱えた子どもの御家族のためにもなるのかということで、お聞きしたいのですが、聞きたい内容はピンポイントです。今、新規でこれから明らかになる子ども支援事業は、正に子どもや困難を抱えた方が、こういった様々なサービスにつながるための制度なのかと期待を寄せますけれども、これはどういうところが実施主体になるのか。そして身近な実施場所で行うと書かれていますが、具体的にはどんな所が想定されているのか。また、いくらいい場所を作っても、良い人材がこれを担ってくれないと機能しないと思いますので、どんな人材にこれを担っていただくことを想定しているのか、お聞きしたいと思います。

 

○橋本保育課長 

御質問いただいたのは、今、御説明させていただいた資料の 19 ページに書いている利用者支援事業の関係ということでしょうか。

 

○竹林少子化対策企画室長 

それでは、利用者支援事業も少子化対策企画室から答えさせていただきます。この事業は、今回、新制度が創設されるものですから、これから更にいろいろ細部を詰めていく必要がありますけれども、これまでの関係者の業務の中では、 1 つは地域子育て支援拠点、いわゆるひろば事業と言われていたものの実践の中で、こういう様々な方々の御相談を聞いて、あなたの御家庭の状況であれば、こういう施設やこういう事業を利用することが考えられるのではないかと。そのときに支援法にあるにような保育所、幼稚園だけでなく、例えばちょっと気になる子どもであれば、社会的養護系あるいは障害児系の施設の御紹介なども含めて、やっておられるような実践があります。そういったものを独立した事業として発展させていくというのが 1 つのイメージです。

 ただ、要綱上は拠点事業だけに絞らずに、広く身近に敷居が低く相談がしやすい施設で、例えば保育所に付設される場合、幼稚園に付設される場合、児童館に付設される場合、こういうものも当然ありだと思っています。世の中にある実践例としては、 1 つは子育てひろばの中で熱心にされている所などが、 1 つのイメージとしてあるところです。

 その中でも人材の養成は非常に重要ですので、今、典型的な研修内容についてのプランを、専門家の中で少し議論していただいています。このとおり確実にやれということではないにしても、各自治体で研修を実施していただく際の参考になるようなモデル研修プランみたいなものを、今後、年度内に作っていきたいと思っています。

 

○宮島委員 

追加でよろしいですか。リクエストなのですが、要求する力が強い人のそういった要求を調整するということ以上に、いろいろなことを訴える力の弱い方のニーズを、是非、汲み上げるような利用者支援事業にしていただきたい。そのためにも単なる研修だけではなくて、相談援助の力を持った人を是非こういうところに充てる、社会福祉士とかですね。そういったことも考えていただきたいと思います。リクエストです。

 

○大日向部会長 

ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

 

○佐藤委員 

非常に漠然とした意見というか、厚労省としてのスタンスをお伺いしたいということですが、障害者の権利条約がようやく我が国でも批准されました。その権利条約の全くベーシックなコンセプトは、インクルーシブな社会をつくるということであるわけですが、子ども・子育て支援制度に関する検討状況についてというペーパーの中に、私の立場から言えば、残念ながら障害のある子どもたち、あるいはその子どもを育てる親御さんたちに対する支援のことに関して、具体的な文言としては一切ないわけです。

 一方、この間の法改正で児童福祉の文脈で障害のある子どもたちの発達支援に関わるサービスを考えていこうということは、整理がそれなりに進んできているわけです。しかし、現象だけを見ますと、そのもとで進んでいることというのは、全国に 2 種類のパターンがあるわけですが、いわゆる発達支援センターという、かつての障害を持つ子どもたちの通園施設であったり、あるいは小規模の通園事業であったりするものは、むしろ急速に増えていると言ってもいい状況があります。障害のある子どもたちが抱えているニーズというのは、その子どもたちがそれぞれ持っている発達の遅れなり障害なりに対応する、いわゆる専門的な支援であるという風潮がますます強くなり、そういうものを反映して依然として発達支援センターと言われる施設も少しずつ増え続けている。その結果として、学童期においては特別支援学校に在籍する児童数が、この 10 年でおよそ倍ぐらいになっているということがあります。

 もちろん、それぞれの子どもたちの特性に応じた発達支援なり、あるいは教育的な支援なりが重要であることは決して否定するものではありません。しかし、それは必ずしも別々の場で行うことでなければならないということでもないわけで、むしろ先ほど申し上げた障害者の権利条約などに貫かれている精神は、そういう言わばある種の特別なサービスを場を同じにして、障害のある子もない子も、あるいは大人も含めてですけれども、場を共有しているということが、重要なもう 1 つの課題であるという指摘もされていると思います。

 そこで、これは子ども・子育て支援制度に関する今の検討状況ですが、こういう検討状況の中で、今申し上げたような障害のある子どもたちに対する支援と、その子たちを育てていくための親御さんに対する子育て支援に関して、基本的な認識の問題として、そういう子どもたちをこの計画全体の中でどんな視野に入れているのか。あるいはその視野のどのあたりにそういう問題が意識されているのか。非常に漠然とした聞き方で申し訳ないのですが、そのあたりを少し聞かせていただければと思います。よろしくお願いします。

 

○橋本保育課長 

大変重要な御質問をいただきまして、ありがとうございます。先ほど大変雑駁な説明しかしませんでしたが、最初に申し上げた 5 ページから 6 ページにかけての基本指針の中で、今、おっしゃったような障害児の受止めについての考え方を丁寧に、この子ども・子育て支援の意義ということで、基本指針の中には書き込んでいます。障害児に対する保育所等での受入れと、また児童発達支援センターをはじめとする障害児に対する専門的な支援を行う機関との間で、しっかりとした連携をとりながら、それぞれの市町村の中できちんとした保育・教育が提供されるようにということを、この市町村計画の中でもきちんと位置づけをしていくことが、この基本指針の中での計画の策定指針の中にも相当きっちりとうたわれています。また、都道府県計画の中で、社会的養護の見地からの様々な都道府県としての取組なども、この中に位置づけられていますから、そういったところが 1 つの前提になるところです。

 あと、個々の仕組みに少し即して申し上げると、 9 ページからの保育の認定について先ほど御説明いたしました。この認定事由の中ではこういった形で出てくるわけですけれども、こういった認定を受けてくる子どもたちを、それぞれの施設で受け入れていただく上での優先判断といったものがあります。そういった優先利用をしていく中の 1 つの基準として、障害児についての優先的な入所の取扱いといったことも、事由の 1 つとして明確に位置づけているところです。

11 ページ、 12 ページのところに確認制度というものがあります。特に運営基準の中では、それぞれの施設がルールとして守らなければならない基準があるわけですが、政省令の中で定めていくこういった運営基準の以前に、まずこの子ども・子育て支援法の中において、確認を受けた施設は正当な理由がない限り利用を拒んではならないという、いわゆる応諾義務の考え方が法律上も規定されています。そういった法律上の規定を受けて、新たに定める運営基準の中においても、どうしても難しい場合には他の施設を紹介するとか、市町村のほうにそういった調整を委ねるといった様々な中身も定める予定です。

 それから、個々の障害児を支えていく現場での取組ということになると、それぞれ入所した施設における、障害児の対応の加配職員配置をはじめとする多くの事業があります。こういったものについては、過去の経緯の中で国としての補助事業の中から一般財源化されてきた経緯もありますけれども、引き続き先ほどの市町村計画の中での明確な位置づけを踏まえて、それぞれの自治体における積極的な取組を促してまいりたいと思います。

15 ページ、 16 ページ、 17 ページ辺りで御説明した地域型保育事業については、新たに今回創設された事業です。こういった中における小規模保育や家庭的保育などにおける障害児の受入促進を、どういうふうに考えていくのか。あるいはマンツーマンでのサービス提供となる居宅訪問型保育などについて、なかなかこれまでの集団保育の中で対応しきれなかったケースも含めて、こういった新しい事業が、そういった子どもに対するきめ細かい支援という役割も担えるのではないかと考えているところです。様々な面があってなかなか一口で申し上げられませんけれども、今、おっしゃったような強い問題意識を私どもとしても持ちまして、全体としての対応の整理をさせていただきたいと思っています。

 

○大日向部会長 

ありがとうございました。子ども・子育て会議のことに関しては、秋田委員も私も会議のメンバーに加えていただいています。先ほど最初に土堤内委員が、現場の方の声として子ども支援が足りないのではないか、子育て支援に偏っているのではないかという御感想をおっしゃって、大変重要な点だと思います。

 しかしながら、この会議の大前提は、全ての子どもの健やかな成長を保障するということからスタートしています。常にそれを前提として、いずれの委員の方も会議に参加し意見をおっしゃっていると思います。私は、子ども支援と子育て支援は決して分離・拮抗するものではなく、相重なるところが非常に多いものだと思います。その具体が十分伝わっていないとしたら、これから現場の皆様の御不安を除くように、説明する努力は続けていかなくてはいけないと思いますが、その子ども支援を大前提としているということは、ただいまの橋本保育課長の御説明の中にも入っていると思いますので、そのあたりはどうか御理解いただきながら、足りないところは今後とも見守っていただければと考えています。この議題に関してはこのあたりでよろしいですか。

 

○小杉委員 

1 つだけ教えていただきたいのですが、保育教員とか人の養成確保の話です。都道府県のところに 1 行書いてありますが、保育の現場を実際に担っている方々、あるいは放課後児童クラブなどはかなり不安定な雇用という話も聞いています。あるいは幼稚園教員などは非常に若い人たちが集中していて、長期的なキャリアにはなかなか結び付かないという話も聞いています。働く側、正にサービスを提供する働く側についての議論として、その人たちのキャリアをどうしていくか。その辺の議論は織り込まれているのか。この制度を安定的なものにするためには、現場で働く人たちについてのキャリアについても、ある程度考えていかなければいけないのではないかと思いますが、その辺の議論がここではこの 1 行しか見えなかったので、どんなふうにされるているのか分かったら教えてください。

 

○橋本保育課長 

大変重要な指摘で、担う人の問題を考えなければこういった事業は成り立ちません。保育を支えている保育士、また幼稚園教育を支えている幼稚園教諭、そういった方々について質の向上を図っていく上で、研修をはじめとする様々な要素というのももちろん大事ですが、それ以前の問題としてあまりにも処遇が低いということが、 1 つの大きな問題になっていることは共通の認識としてあります。そういった部分を改善していくためには処遇の改善が欠かせないということで、保育士の処遇の改善について平成 24 年度補正予算から本格的な取組を行っていますが、平成 26 年度予算案でもその特別な取組を継続し、さらに平成 27 年度以降、この新制度によって具体的に動かしていく中で、先ほど最後に 24 ページの図で御説明しましたが、右側の公定価格を考えていく上の 1 つの要素として、共通要素2の最初が人件費です。保育所でも幼稚園でも人件費がかなりの部分を占めていて、その部分をどのように充実させていくのか。これは人の配置を充実させていくという側面と、一人一人の職員の処遇を改善する側面の両方あるかと思います。

 今後、この公定価格を議論していく中で、そういった部分について、どのように消費税による追加財源をうまく活用して充実を図っていくかというところが、最大の議論のポイントだろうと思っています。大変重要な問題意識として受け止めさせていただき、今後の議論をさせていただきたいと思っています。

 

○大日向部会長 

ありがとうございました。皆様から貴重な御質問、御意見をいただきました。今後も子ども・子育て会議に関して、お見守り等、よろしくお願いしたいと思います。それでは、本日はたくさんの議題がまだ残っています。恐縮ですが次に進みたいと思います。次は、認定こども園保育専門委員会での検討状況です。これに関して事務局から御説明をお願いいたします。

 

○橋本保育課長 

続いて資料 2 を御覧いただきたいと思います。 3 法の法改正があった中で認定こども園制度の改正があり、幼保連携型認定こども園については、 1 本の認可でなされるという新しい施設体系に組み変えられたわけです。幼保連携型認定こども園における教育課程その他教育、保育の内容に関する基準ということで、保育所の保育指針あるいは幼稚園における幼稚園教育要領に相当するものとして定めるもので、平成 25 年度中に告示を目指しております。

 これについて検討するために、当部会においてこの部会の下に認定こども園保育専門委員会を設けていただきました。こちらと中央教育審議会の初等・中等教育分科会教育課程部会との間で合同会議を 5 回開催していただき、これまでに御議論いただいたものを、先般の 1 16 日の会議において取りまとめていただいたものです。委員の名簿については、別添に取りまとめの内容がありますけれども、こちらの最後のページに付いております。秋田先生と無藤先生に共同座長ということでしていただいたもので、ここにお名前の挙がっている委員の先生方から、様々な御意見をいただいたものを取りまとめたものです。

1 枚紙のほうに戻っていただきたいと思います。「策定に当たっての基本的考え方」です。まず、幼稚園教育要領と保育所保育指針との整合性を確保するという点が前提です。教育の内容に即して見ますと、今の幼稚園教育要領の中にある健康・人間関係・環境・言葉・表現といった 5 領域を維持しながら、それぞれのねらい・内容・内容の取扱いという形での構成にしております。また、保育に関わる内容については、今の保育所保育指針の内容をベースに策定しており、養護のねらいや内容、乳児保育、 3 歳児未満児の保育についての配慮事項なども、詳細に盛り込むということで書いております。

 それから、小学校における教育との円滑な接続への配慮もあります。創造的な思考や主体的な生活態度などの基礎を培うという考え方を盛り込んでいただいております。また、これまでの幼稚園と保育所それぞれの要領と指針を単に足すだけではなくて、認定こども園として特に配慮すべき事項も考慮しながら、議論をしようということで取りまとめていただきました。認定こども園の場合はそこにいる子どもたちの中で、どうしても入園時期や在園時間の違いがあります。こういったものに配慮しながら、生活の連続性や生活リズムの多様性に配慮した教育・保育を実施していくことが大事ですので、こういったことも取りまとめの中に書き込んでいただいております。今後は合同会議での検討結果の取りまとめを踏まえて、厚労省、文科省、内閣府共同で作業をして、告示を定めていきたいと考えております。

 

○大日向部会長 

ありがとうございました。ただ今の御説明について御質問、御意見をお願いいたします。

 

○秋田委員 

先ほど佐藤委員からも障害のインクルージョンのお話等がありました。冊子の 11 ページの特別支援教育や障害児保育という所でも、日常の生活の中で障害のある子どもとない子どもが活動を共にすることができるような配慮を、文言としてうたわせていただいております。また、特に認定こども園においては子育ての支援というのが、 1 つの重要な機能とされておりますので、そちらも書き込ませていただきました。補足として御報告させていただきます。

 

○大日向部会長 

他に御質問、御意見はよろしいですか。それでは次の議事に進みます。

 次は、放課後児童クラブの基準に関する専門委員会での検討状況に関してです。まず事務局から御説明をお願いいたします。

 

○為石育成環境課長 

それでは、放課後児童クラブの基準に関する専門委員会の報告書の概要について、御説明させていただきます。昨年の 5 月に設置して 7 回の検討を重ね、 12 25 日に報告書を公表しております。その内容は資料 3 に、報告書の概要としてまとめております。このうち 1 点目と 2 点目が従うべき基準です。 3 点目以降が参酌する基準で、 7 点目で基準以外の事項についても触れております。

 まず、 1 点目の従事する者が従うべき基準です。資格の基準は、児童厚生施設の職員の基準にある「児童の遊びを指導する者」であって、研修を受講した者とすることが適当ということです。これについてはそれまでの児童との関わり方や学んできた科目などが違うことから、包含的な研修を受けていただいて、質の水準を保ちます。実際にもう事業が動いていますので、実態を踏まえて、一定の経過措置を設ける方向で考えていくことになっています。

2 点目の員数についても従うべき基準で、安全面の管理が重要であり、複数配置を前提として検討を進めておりました。職員は 2 名以上配置することとし、うち 1 名以上は有資格者とすることが適当であるということになっております。

3 点目以降で参酌すべき基準です。まずは児童の集団の規模についてです。規模はおおむね 40 人までとすることが適当としています。これについては子ども同士の関係、あるいは職員等との関係で一番適切な人数規模として、この水準になっております。また、大規模クラブというものがあって、複数のクラブに分割して運営するというのが従来からの方向でしたが、 1 つのクラブの中で複数の集団に分けて対応するということにも、努めていただくという整理をしております。

4 点目は施設・設備で、参酌すべき基準です。専用スペースについて、事業の実施時間帯を通じて専用で利用できる部屋と捉えて、「児童 1 人当たりおおむね 1.65平方メートル 以上」とすることが適当としています。これは従来からガイドラインで示していた水準を維持するという形になります。

5 点目の開所日数・開所時間についてです。開所日数は、年間 250 日以上としています。平日の学校の放課後と長期休業の期間を合わせると 250 日以上になりますので、これを原則とし、開所時間については、平日につき 1 3 時間以上、休日につき 1 8 時間以上を原則とし、それぞれの地域の実情や保護者の就労状況等を考慮して、事業を行う者が定めることになっております。この「事業を行う者」というのは、市町村が設置者であれば市町村ですし、民間であれば民間の事業者が定めることになります。

 その他の基準については、「非常災害対策」「虐待等の禁止」「保護者・小学校等との連携等」「事故発生時の対応」等について、省令上定めることが適当となっております。

 その他の部分は市町村のあっせん、調整あるいは利用の優先順位の考え方などについて御議論をいただき、まとめをしていただいているところです。

 先ほどの障害児の関係ですけれども、本文の中にも規定がありますし、今後検討することになっているガイドライン、あるいは優先配慮にも、障害児についてこの報告書の中でまとめられています。

 

○大日向部会長 

ありがとうございます。ただ今の御説明について御意見、御質問をお願いいたします。

 

○秋田委員 

大変重要なおまとめをありがとうございます。 1 点だけあります。幼保連携等に関わっており、実は保育所と学校教育の連続性と同時に、やはり保育所から学童クラブへという連携が、子どもたちの発達の連続性、生活の連続性上において重要であると考えております。小学校との連携や地域の公的機関との連携ということは、先ほども述べられていたのですけれども、こうした乳幼児期から児童期への連続性、生活の場での連続性について、どのように考えておられるのかを伺えればと思います。

 

○為石育成環境課長 

重要な観点だと思います。小学校等との連携については、当然学齢期ということがありましたので、御議論の中で進めさせていただいたところです。特に共通認識を持って子どもに対応していくという観点、あるいは家庭との連続性の問題を御議論いただいております。保育所や幼稚園から児童クラブへ来ることもありますので、そこの辺りも含めて今後、ガイドラインの中で整理させていただきたいと思っております。

 

○大日向部会長 

ありがとうございました。ほかによろしいでしょうか。ないようですので次に進みます。次は妊婦健診の望ましい基準に関してです。これも事務局から御説明をお願いいたします。

 

○桑島母子保健課長 

資料 4 に基づき、御説明申し上げます。子ども・子育て関連法における妊婦健康診査 ( 妊婦健診 ) の位置付けということで、基準検討部会の中でも御議論いただきましたので御報告させていただきます。趣旨の所でお書きしたように、妊婦健康診査は、安全・安心な出産のために非常に重要なわけですが、子ども・子育て関連法の中でも「地域子ども・子育て事業」、いわゆる 13 事業の中の 1 つとして位置付けられております。そうした中で、市町村の計画においても見込み量等が義務付けられているわけです。そうした意味で着実に実施していただくために、一昨年、母子保健法の改正をしており、厚生労働大臣が妊婦健康診査の実施について「望ましい基準」という形で、それを策定することとされております。今までは母子保健課長通知で、そうした基準の内容をお示ししているところですけれども、大臣告知でお示しするという形になっております。

2 ページです。「望ましい基準」については、各市町村がその基準に基づいて妊婦健康診査を実施する場合の参考としていただくという形ではありますけれども、実質は今、各市町村で行っている、いわゆる母子保健課長通知に基づくものと、内容的には同等のものとさせていただきたいと思っております。具体的な中身についてはその下にお書きしております。まず、回数は計 14 回とあります。それぞれ 23 週までは 4 週に 1 回、 24 35 週は 2 週に 1 回、 36 週以降は週 1 回という形でお示ししたいと思っております。検査の項目については、1~3の問診・診査、診察等、検査等をやります。下にそれ以外の各種検査についてもお示ししております。こうしたものの背景となるのは、日本産科婦人科学会がこうした項目のガイドラインを出しておりますので、その科学的な根拠に基づいた検査項目の設定をさせていただいているところです。

3 ページと 4 ページです。 3 ページは、検討部会の中でいただいた御意見について記載しております。基本的には各自治体ごとに様々な実施事務で行っていただいておりますので、国が一律には申し上げにくいところですが、それぞれの利便性を図ってもらいたいという趣旨で、いろいろな御発言をいただいているところです。

 最後の 5 ページは、妊婦健康診査の公費負担の状況ということで、参考までにお付けしております。一番左にありますように、各市町村で実施回数を定めております。全市町村において、 14 回以上実施していただいております。特にその下の表の1を御覧いただきたいと思います。全ての項目を実施している市町村の割合です。平成 21 4 1 日の数字ですが、市町村数としては 596 42 %の市町村に全ての項目をやっていただいたわけです。 3 年後の平成 24 4 1 日においては 899 63.9 %の市町村において、全ての項目について検査を実施していただいているという状況です。平成 25 年度の数字は、まだ取りまとまっておりません。ただ、状況を見ますと 63.9 %を上回っているというように、私どもは認識しております。

 

○大日向部会長 

ありがとうございました。それでは御質問、御意見をお願いいたします。

 

○石津委員 

血液検査の風しん抗体検査の件です。昨年、大変大きな社会問題になりました。特にこれまでの国の予防接種の変更に伴って、風しんの抗体を持たない世代を中心に流行したと認識しております。この妊娠中の抗体検査に意味がないとは言いませんけれども、妊娠中ではないもっと前の時期に、谷間の世代に対してきちんと感染予防対策を取るべきと思っております。また、来年度の概算要求を見ますと、配偶者等のパートナーが検査から除外されていることも、 1 点問題だと思いますし、妊娠以前にこれらの対策が必要な方たちに対して、国として予防接種を行うべきと思っております。北本市では助成制度を設けて実施しましたし、埼玉県内でも独自に補助制度を設けて、急遽、ほとんどの市町村で対応したのですけれども、そういう場当たり的なことではなくて、国として一元的に対応すべきと思います。いかがでしょうか。

 

○桑島母子保健課長 

大変重要な御指摘だと思います。新聞等、マスコミ等でも、そういう論調でいろいろと書かれておりました。担当部局が結核・感染症課という健康局の部署にありますので、直接お答えするには責任を持ったお答えがなかなかできません。そうした意味で、今の御趣旨をお伝えして検討させていただきたいと思っております。

 

○大日向部会長 

ほかにいかがでしょうか。

 

○宮島委員 

妊婦健診がこういう形できちんと位置付けられているというのは、とても素晴らしいことだと思いますし、前進だと思います。私の専門から言いますと、妊婦健診はハイリスクな妊娠を発見する重要な機会だと思います。こういう位置付けのされ方がその発見に更に資するように、どういうことが考えられているのかをお聞きしたいと思います。

 あと、実際にあった事例ですが、妊婦健診を受けていないハイリスクな方が産婦人科から排除されるのです。きちんと妊婦健診も受けていない妊婦は、うちでは危険過ぎて受けられないという形で、たらい回しをされるような例を耳にすることがあります。困難を抱えた方が、なおさら困難なところに置かれるようなことが起きているように思います。これについて今すぐ何かという応答は難しいかもしれませんが、この辺りについても是非、留意していただきたいと思います。

 

○桑島母子保健課長 

ハイリスク妊娠というのは、やはり非常に大事な問題で、それをどうつかまえていくかというのは、私どもも非常に大きな問題だと思っております。そういう意味ではハイリスク妊娠、例えば多胎あるいは今までの家庭状況などの様々な条件を出して、行政サイドからのアプローチや医療機関からのアプローチを合わせて、ハイリスクをうまくつかまえて、様々な保健指導に結び付けていくということを充実していきたいと考えております。

 

○川鍋虐待防止対策室長 

妊婦健診未受診、母子健康手帳未発行、あるいは望まない妊娠といった妊娠期からの課題というのは、リスクが高く、支援に結び付くというか、要支援が高いと考えられます。もともとそういった方たちについては、きちんと把握して受診に結び付ける、あるいはきちんと手帳を発行して、必要なサービスに結び付けるという形で、後ほど説明しようと思っていましたが、一昨年、我々も通知を出していて、それについて現実には各自治体で取り組んでおられるということですが、それが実態としてどういう形でやられているかについては、調査をしようと思っております。

 

○才村委員 

今の議論に関連します。先ほど、多胎等のハイリスク妊娠についておっしゃったと思うのですが、確かに虐待事例などを見ていますと、望まぬ妊娠が非常に多いのです。ですから医学的なチェックだけではなくて、もう少し社会的・心理的なものを視野に入れたチェックと、そこで発見された場合に保健サイド、更には福祉サイドとの連携が大事になると思うのです。その辺りについて、お考えをお聞かせいただけたらと思います。

 

○桑島母子保健課長 

望まない妊娠については、私どももどこでどういうようにつかまえていくべきか、非常に大きな課題だと思っております。そういった方々において、行政というのは非常に敷居が高うございまして、なかなか相談に結び付かないと思っております。私どもの相談の窓口としては、女性健康支援センターというものを設けております。ここは女性の生涯にわたる、身体的・精神的な様々な相談を受け付ける所です。そうした所の間口を少し下げて、例えば来年度事業ですけれども、全国の統一番号を設けて、アクセスしやすい形にできないかと。

 あと、医療機関側からの様々な情報も、大事な話ではないかと思います。そういうものと、要対協などの福祉サイドの情報と、保健サイドの相談側の情報とがうまくミックスできないか、合わせられないかというのが、我々が一番考えているイメージですけれども、現場に行くとそれが必ずしもスムーズにいかないというところで、私どもの非常に大きな課題だと認識しております。

 

○才村委員 

未受診の問題もありますけれども、仮に健診に行かれた場合でも、医学的なところには目が行っても、現場のドクターの心理社会的な視点というものが、どうしても欠けがちだと思うのです。そういう意味で、もう少し妊婦の社会心理的な状況がどうなっているのか、という目から接することが大事だと思うのです。その辺の周知などはどうなのでしょうか。その辺りのお考えをお聞きしたいと思います。

 

○桑島母子保健課長 

これはやはり産科側の先生方と、よくお話しなくてはいけないのではないかと思います。もちろん御指摘のとおり、まずは医学的な側面のアプローチが重要で、妊婦の健康状態あるいは中の胎児の健康状態を知るのが第 1 の目的ですが、子育ての不安とか様々な心理的なアプローチは、一応一つ一つ、国からの課長通知の中に書いております。ただ、産科の中でどの程度実施していただいているのか。もちろん、そうした部分で助産師の活躍というのは、非常に期待されるところですし、保健師もそうです。そうした職種で十分に活躍いただきながら、その辺のアプローチをしていきたいと考えております。

 

○大日向部会長 

いろいろ重要な御指摘をありがとうございます。次に、小児慢性特定疾患への支援施策の在り方に関する専門委員会での検討状況に関して、事務局から御説明をお願いいたします。

 

○桑島母子保健課長 

資料 5 に基づき、御説明申し上げます。慢性疾患を抱える子どもとその家族への支援の在り方ということで、報告の概要の一枚紙です。この専門委員会は、社会保障審議会当児童部会の下に、平成 24 9 月に設置し、計 11 回の議論を経て、平成 25 12 月に取りまとめたところです。大きく 3 つの柱に分かれております。

1 つ目が公平で安定的な医療費助成の仕組みの構築です。括弧に書いてありますように、医療費助成を義務的な経費として位置付けたいということです。1は助成の対象ということで、現在は 514 の疾患が指定されておりますけれども、考え方としては疾患名と疾患の状態に基づき、基準を選定していこうということです。現在の 514 からおおむね 600 程度になるのではないかと検討している途中です。対象疾患の選定については、公正・透明の観点から、審議会の中で、この専門委員会の中で検討させていただきたいと思っております。

 助成の申請・認定の在り方については、現在は「指定医」という形を取っておりませんけれども、今後は学会の専門医等の資格を取得されている先生方に限定し、「指定医」に医療意見書を書いていただきたいと思います。審査体制についても、必要な認定審査のための様々な体制を取っていきたいと思いますし、関係学会の助言もいただけるような仕組みにしていきたいと思っております。

 3の給付の水準については、裏面に表を付けております。患者の自己負担額についてお示ししているところですので、御覧いただければと思います。

2 は、研究の推進と医療の質の向上です。1で指定医療機関を定めたいと思っております。現在も小児科を中心に、医療の給付として医療機関が医療を提供していただいているわけですけれども、基本的にそれと同じように、引き続き同じ医療機関で医療が受けられるように、設定させていただきたいと思っております。

 2は医療の連携についてです。 1 つ目の地域の連携と医療の質の向上に、中核病院の小児科等に中心になっていただき、そこから地域の医療機関に対する情報発信等を行っていただきたいと思っております。地域においては、各病院が地域の様々な保健や教育等の機関と連携を取っていただきたい。また、子どもの病気は非常に長く生きられるようになっておりますので、難病・成人の医療機関との情報共有等の連携をお願いしたいと思っております。

 3が研究の推進です。現在も様々な医療情報を登録していただく形を取っておりますけれども、そうしたものの精度を上げる意味において、指定医が直接オンラインで情報を登録する形を取っていきたい。そうしたことにより、経年的なデータの蓄積、あるいは大人の難病のデータとの連携を推進していけるように考えております。

 それから 3 です。慢性疾患の子どもたちの特性を踏まえて、子どもたちの健全育成や社会参加を促進するために、地域の中で自立支援を充実していこうと考えております。その 1 つ目として普及啓発推進ということで、ポータルサイトを設け、様々な情報を一括で収集することができるようにというイメージをしております。

2 つ目が、地域における総合的な支援の推進です。私どもは今回、ここが 1 つの大きな目玉だと思っております。医療・保健・福祉・教育関係の皆様方により、地域において協議会を作っていただきたいと思います。これは都道府県単位でお願いしたいと思っております。そうした中で患児・家族のニーズに応じた支援内容を検討いただき、地域の資源を大いに活用して、様々な事業を展開していただこうと。それから、今でも少しはあるわけですが、小児慢性特定疾患の患児の手帳を、今後はもっと充実していきたいということです。

 3も大事な問題で、成人移行の支援について書いております。子どもたちのこの仕組みは基本的に二十歳までですので、それ以降の医療費についてどうするのかということで、いわゆるトランジッションという問題も、非常に大きな問題として捉えております。ただ、今回は大人のほうの難病について、医療費助成の対象疾患の枠が大きく拡大するとか、あるいは自立支援医療、いわゆる障害者の医療へきれいにつなげることにより、そうした問題がある程度は解決できないかということも考えております。

 併せて、この 1 つ前で御説明した、地域の中で子どもたちが大人になるまでに、例えば就労や教育の問題も含めて、自立を促進するような仕組みを充実していきたいと考えております。そうした中で成人以降に向けて、様々な支援をしていきたいと考えております。それが 1 つ目の資料です。

 そうした報告を受けて、次の資料です。次の通常国会において児童福祉法の改正を考えており、その改正事項の案をお示ししております。いま御説明申し上げた内容を、大体この中に盛り込んでいるわけですけれども、 (1) として基本方針をまず定めさせていただきたいと思っております。 (2) として、小児慢性特定疾病に係る新たな医療費助成の制度について書いております。 (3) として、今の地域の中で子どもたちの自立を支援するという御説明を申し上げたところですけれども、それを法律の中で (3) で書いております。都道府県は相談支援など小児慢性特定疾病の児童に対する自立支援のための事業として、法律の事項として位置付けております。少し例示が書いてあります。子どもたちあるいは保護者に対する相談支援、又は必要な情報の提供、助言については、必須の事項として定めております。任意の事項としては、例えばレスパイト、相互交流というのがあります。これは小慢経験者で大人になられた方々と子どもとの交流、就労の支援、家族への支援といったことを位置付けて、展開させていただきたいと思っております。 (4) として、研究の推進という形で法律を考えております。

 施行については平成 27 1 月からです。これは大人のほうの難病と同日に施行させていただきたいと考えております。最後の資料は、専門委員会の報告書本体ですが、この説明は省略させていただきます。

 

○大日向部会長 

ありがとうございました。ただ今の御説明に関して御意見、御質問をお願いいたします。よろしいでしょうか。

 ないようですので、次に進みます。次はひとり親家庭への支援施策の在り方に関する専門委員会での検討状況に関してです。まず事務局から御説明をお願いいたします。

 

○小野家庭福祉課長 

資料 6 に沿って御説明いたします。ひとり親家庭への支援施策の在り方について ( 中間まとめ ) の概要です。こちらの専門委員会は、昨年 5 月に設置し、小杉先生に座長になっていただき、会議の開催を重ね、 8 月に中間まとめをまとめました。その中では、ひとり親家庭の現状について整理をし、自立と支援という基本的な視点を整理をし、さらに、施策について現状と課題を整理した上で施策の方向性を示したという構成になっております。

 現状編ですけれども、ひとり親家庭の平均所得の状況、あるいは就労の状況、正規・非正規の状況、また、就労していない方の就業意欲の状況、相対的貧困率の状況などを踏まえ、ひとり親家庭の子育てと生計を 1 人で抱える不利を再確認しました。

 その上で基本的な視点です。お子さんへの影響などの観点からもできる限り就業自立を目指すべきであって、そのためには一般の施策とひとり親家庭向けの施策と両方の充実が必要であること。他方、直ちに就労自立ということが困難な家庭もあるので、状態像に応じた、寄り添った形での自立支援が必要だろう。その他、多岐にわたった分野の連携が必要だろうということを指摘しております。

 以下報告書に沿い、支援施策の全体、実施体制の現状・課題と施策の方向性です。 2 ページは、ひとり親家庭支援施策の 4 本柱と言っている就業支援、子育て・生活支援、養育費確保の支援、経済的支援の 4 つについて整理をしております。

 その上で施策の全体を見直していく作業を私どもは秋以降開始しているわけですが、その状況についてまとめたのが 3 ページの資料です。 3 ページの左側にあるのが中間まとめで指摘された現状と課題です。まず総論というか、全体の現状と課題です。ここでは今の状況として、相談支援体制が不十分である。地域によってメニューにばらつきがある。支援施策が十分知られていない。父子家庭の経済的に厳しい状況もある。

 個別の支援分野ごとの課題ですが、就業支援としての現状として、非正規の方が多くて、稼働所得が低い方、就業を希望しても就業できない方も多数いる。就業・転職には資格取得が有効である。一方で訓練と子育ての両立が困難ということ。これは、子育て・生活支援の分野にも共通した課題です。そういう分野の関係では、お子さんへの影響 ( 貧困の連鎖など ) も懸念される。養育費、経済的支援の面でいくと、取決めや履行が十分に進んでいない現状。児童扶養手当と公的年金との併給制限の見直しであるとか、母子福祉資金貸付の父子家庭への対象拡大が検討課題となっていることが指摘されました。

 右側で具体的対応を整理しております。1は体制の構築です。 1 つ目の○は、総合的・包括的な支援を行うワンストップの相談窓口の構築、これは新規の予算で確保して今後進めていく。広報啓発活動の強化が 2 点目です。支援メニューの計画的整備が 3 点目です。 4 点目は父子家庭への支援の推進を進めています。「予」とか「税」「法」とあるのは、それぞれ予算案で確保したもの、税制改正が認められたもの、法律改正事項となるものです。

 2の支援メニュー、各論のメニューの充実のほうで、 1 つ目の○は、先ほど申し上げた相談窓口での就業支援の充実、 2 つ目、就業支援関連の事業の充実強化。また、資格取得のための給付金、これは現在課税となっているので非課税にするということです。次の子育て・生活支援、子どもへの支援ということですけれども、保育サービスの拡充など、又は児童訪問援助員、ピア・サポートをするためのこういう方々の派遣であるとか、学習支援ボランティア事業についての拡充も図ることを考えております。養育費の確保、経済的支援に関しては、養育費、面会交流に関する周知啓発であるとか、連携した相談体制を構築していく。児童扶養手当の公的年金との差額支給や、母子福祉資金貸付の父子家庭への対象拡大ということも、予算と法律で措置することを考えています。

4 ページと 5 ページは、そのうちの予算上の措置についての中で、今年度新規で確保したものと、充実を図っているものの説明です。 5 ページの絵のほうで、新規で確保しているところでいくと、今は母子自立支援員が母子家庭・父子家庭の方々の支援に当たっているわけですが、その方々にプラスして就業支援の専門の方を配置し、その方々と 2 人の体制で就業と生活支援の充実をしていこうという体制の確保を検討しています。 6 ページは税制です。これは給付金の非課税措置の説明などが書いてありますが、説明は省略させていただきます。

7 ページは法改正事項です。母子及び寡婦福祉法関係の改正事項、児童扶養手当法の両方の改正事項を今現在検討中です。内容については先ほど説明したこととほとんどダブリますので、若干言及が不足していた所だけ申し上げます。 1 (3) の父子家庭への支援の拡大ということで、法律名を「母子及び父子」というように「父子」という言葉を法律名に入れて、様々な事業の名称などについても父子家庭も対象であることが分かるようにすることを検討しています。法律の改正の施行期日は、母子・寡婦福祉法関係は今年の 10 月から、児童扶養手当法の関係については 12 月から施行ということで、実際の給付に反映するのは平成 27 4 月からということで現在検討を進めています。以下は中間まとめそのものの報告になりますので、説明は省略させていただきます。

 

○大日向部会長 

ありがとうございました。それでは、御意見、御質問をお願いいたします。

 

○宮島委員 

ひとり親家庭の支援のためには、ひとり親家庭の生活とそのニーズがはっきり分かることが大事だと思っています。ひとり親家庭の子ども、保護者のニーズが本当に理解されないと支援は的外れになってしまいます。今回の資料でその辺りがきめ細かく示していただいたことを感謝しています。そのために、相談窓口もきちんと今以上に整備する方向が出ていることについてはとても心強く思います。

1 点お聞きしたいのは、そういうひとり親家庭の子どもや家族が保育所や学童で受け止められている、また受け止められることが全体としてこれから取り組まれようとしているわけです。ただ、残念ながら保育所の先生方や、学童を担っていらっしゃる方々そのものが、ひとり親家庭の実態とか、そこで抱えるニーズについて十分知り得ていなくて困っている実態があるように感じています。研修の講師等で出掛けて、質問をあらかじめ出していただくと、保育所の先生方からたくさん、入所している方の中でひとり親家庭がとても多い、しかもお母さんが精神疾患をもっていて、本当に落ち込んでいて、そして送り迎えもできない。こういうお母さんとどう関わったらいいのかという質問がたくさん出てきます。

 保育所の研修で、ある時言われたのですけれども、担任する子どもが 10 人いると、そのうちの半分がそういった様々な課題を抱えている家族の子なのです。 DV で逃げている子どもが 2 人いて、施設から引き取った子どもが 1 人いて、病気を抱えている方の子が 2 人ですと。 10 人中 5 人はそういう方なのですという声を聞きます。こういったひとり親家庭の様々なニーズについて、窓口を充実させることも大事だと思うのですけれども、実際にたくさんのひとり親家庭のお母さんやお父さんが勤めている、それで子どもを預けているということだと思いますので、保育現場や学童の現場のほうで、これが十分に理解されて、それに手当てできる職員を保育所や学童に置くことが大事な方向性の 1 つにあるのではないかと思うのですけれども、この辺についてはどうお考えになっていらっしゃるかお聞きします。

 

○小野家庭福祉課長 

大変重要な御指摘を頂きました。見直しの全体像という 3 ページの資料の中で 1 つ漏れたかもしれません。相談支援体制の構築の中で、ニーズを踏まえた自治体内での支援メニューの計画整備ということで、今回の法改正の中では、それぞれ支援に当たる自治体のほうでのひとり親家庭への支援の施策の充実と併せて、そこでのいろいろな方への普及・啓発ということにも力を入れるよう法律の条文を今整理しております。

 御指摘を頂いたような視点については大変重要なポイントだと思いますので、様々な機会を通じ、実際に現場で支援に当たっていただける保育所の先生方などに対しても情報が行き渡るように工夫をしていただけるよう、普及というか、私どものほうからも積極的にアピールしてまいりたいと考えております。

 

○林委員 

経済的支援の所で、児童扶養手当と公的年金の差額の支給というのは、一定の所得を下回っているような公的年金に対しては、児童扶養手当を上乗せするというような議論はなかったのでしょうか。

 

○小野家庭福祉課長 

今回検討していることは、資料の 6 ページにある、手当よりも少額の公的年金の方も、今は公的年金をもらえるようになったら、手当のほうは止まってしまって、結果的に年金をもらう前よりも、もらう額の全体が低くなってしまうので、そういうことがないように、年金が出るようになっても児童扶養手当の差額分を出して、児童扶養手当をもらっていた時と同じ額の保障をしようということです。

 例えば、年金額が少ないは少ないのだけれども、児童扶養手当よりは多い方に対して、その年金額から上乗せをしようということに関しては、現時点では検討していないところです。

 

○大日向部会長 

ありがとうございました。あと 3 つ議題が残っておりますので進めさせていただきます。次は、「社会的養護の課題と将来像」に基づく進捗状況に関してです。事務局から説明をお願いいたします。

 

○小野家庭福祉課長 

「社会的養護の課題と将来像」に基づく施策の進捗状況ですが、現在、平成 23 1 月から発足した委員会で 7 月にまとめていただいた課題と将来像に沿って施策を進めています。今年度においては、様々な方々の協力を得て、ここにある 5 つの研究会や委員会を設けて取組を進めてきております。

1 つ目の、全国里親委託等推進委員会においては、里親支援専門相談員の活動の推進に資するための事例集の作成、あるいは里親さんのピア・カンファレンスの機会の運営の調査報告書の作成。また昨年 9 月に行われた IFCO2013 大阪世界大会での状況を踏まえた家庭養護に関する世界の動向の把握といった調査研究を行っております。

2 つ目は、養育者の住居に子どもを迎えて行う社会的養護の一類型であるファミリーホームの設置の推進を進めているわけですが、このワーキンググループにおいて設置の具体例や工夫などを収集し、設置のマニュアルを作成するとともに、設置類型ごとの事例集を現在作成を進めております。

 次のページで 3 つ目は、親子関係再構築支援です。ここのワーキンググループにおいては、昨年度、事例集を施設類型ごとに取りまとめていただきました。現在はその事例集を基に、支援のためのガイドラインの作成を進めていただいております。

4 つ目は、施設運営の手引書の編集委員会を設けています。これも、各施設種別ごとに委員会を設けているわけですが、平成 24 年度から 2 か年をかけて、それぞれの施設運営の指針に基づいた運営の手引書の作成を鋭意進めていただいております。

5 つ目は、第三者評価推進研究会です。社会的養護の第三者評価は、他の施設類型に先掛けて義務化されているわけですが、平成 26 年度で 3 年に一度義務付けが一巡することになりますので、次の 2 クール目に向けて評価基準の見直しなど必要な改善に関する議論をスタートさせています。

 なお書きの所ですが、家庭的養護の推進、あるいは施設の小規模化、地域分散化、里親委託推進に関しては、以前にもこの部会でも御報告いたしましたとおり、平成 24 11 30 日に局長通知を発出し、平成 27 年度から始まる 15 年間を推進期間とした小規模化の計画を、施設と自治体と両方において策定を進めていただいているところです。昨年 7 月に、その際に必要となる各自治体ごとの社会的養護の需要量の見込み方などの具体的な方法についての事務連絡を発出しております。この事務連絡の中では、先ほど保育課長から説明がありました、自治体における「子ども・子育て支援法」に基づき作成されることとされている計画との整合性に留意して作成することを示しています。

 「社会保障制度改革推進法」の少子化対策に係る条項において、社会的養護の充実ということが盛り込まれていることと併せ、今後の子ども・子育て支援施策の重要な一分野として各般の施策の推進に努めているところです。以下の資料は、それぞれの委員会の概要について紹介しているものですが、説明は割愛させていただきます。

 

○大日向部会長 

ありがとうございました。それでは、御質問、御意見をお願いいたします。

 

○松原委員 

この間、社会的養護も非常に動き始めていると思い、その点については高く評価をしております。こういうシステムがきちっと運用されていくためには、先ほども教育・保育の担い手のお話がありましたのと同様で、社会的養護の担い手の方たちの処遇改善がないと、本当に数年で辞めていくということで、子どもたちも戸惑いますし、質の向上にもつながらないということです。もちろん人員的な充実も必要だと思いますが、個々の職員の方々の処遇改善については、今後も一層策を講じていただきたいということをお願いいたします。

 

○小野家庭福祉課長 

私どもも同じ思いで、やはり職員の方々の処遇といいますか、いろいろなスキルアップの部分も含め、社会的養護は人材が宝ですし、一番大事なところだと思っておりますので、そういう方々の支援なりをいろいろな施策を検討してまいりたいと思います。

 

○大日向部会長 

他にはよろしいですか。それでは、次の議題に進みます。子ども虐待による死亡事例等の検証結果に関してです。事務局から説明をお願いいたします。

 

○川鍋虐待防止対策室長 

子ども虐待の死亡事例等の検証結果等について ( 9 次報告 ) の資料です。対象は平成 23 4 月から平成 24 3 月までの 12 か月間です。例数・人数はここに書いてあるように、 9 次報告では 85 例、 99 人です。参考として 8 次報告との対比になっていますが、数自体はそんなにどうこうということではないと思います。また、調査・分析の下の所に書いてありますが、 9 次報告の中から、自治体が検証を行った 4 つの事例について、検証委員の方に現地に行っていただいて、直接、個別ヒアリングをして分析したものがあります。

2 ページは、今回の事例の分析ということで、もう 9 回目になるわけですが、これまでの分析検証結果と比べて、大きな変化や際立った特徴は特にありませんが、依然として同じ課題が挙げられているものがあります。先ほどお話がありましたが、 1 の「心中以外の虐待死」の 3 つ目の○を見ると、やはり加害者は実母が多いわけですが、実母の抱える問題ということでお話が出ましたように、「妊婦健診未受診」「望まない妊娠」、あるいは「若年の妊娠」が多かった。次に、一番下に記載のある「 4 0 歳児の『心中以外の虐待死』」です。 0 日・ 0 か月児の事例においては、やはり実母の抱える問題ということで、同じように「妊婦健診未受診」 9 例、「母子手帳の未発行」 8 例。いわゆる母子保健での対応というか、早い段階での、こういう妊娠期での対応が非常に重要であるということは、これまでも言われてきましたけれども、今回も引き続きクローズアップされていることになります。

 もう 1 つは関係機関の問題として 3 番を見ると、要するに児童相談所や要保護児童対策地域協議会という関係機関が関与していたにもかかわらず防げなかった、亡くなってしまった事例が、実は、率としては今まで一番高くて、例えば要対協と言われている子どもを守る地域ネットワークが関わっていた事例の中で、心中以外であれば 14 例、 25 %が亡くなってしまった、防げなかったことになります。こういう課題があります。

 個別ヒアリング調査へ 4 事例行きましたけれども、その中で特に右側の「個別ヒアリング調査結果の分析」と書いてある縦長の所ですけれども、この 4 つの事例に全部共通して当てはまったのが 4 番の「児相と市区町村役割分担と連携の強化」、要するにきちっと役割分担ができていなかったのが、この 4 事例全部に共通して当てはまりました。 6 番は「きょうだい事例への対応」ということで、要するに兄弟のどちらかが一時保護され、そういう虐待を受けていた場合に、もう一方のきょうだいについても非常に率が高いわけですけれども、それについてきちっと対応できていなかったというのが、 4 事例の中の 3 事例でした。こういう課題が今回のポイントとしてあると思います。

3 ページには、今申し上げたように専門委員会の検証委員に課題と提言をまとめていただきましたけれども、それぞれ自治体への提言、国への提言というのが書いてあります。例えば、自治体への提言の前半はほとんどが妊娠期・出産期での対応についての話です。先ほどお話がありましたが、これをどうしていくかという中で、これは才村先生の御研究だったと思いますが、子どもを守る地域ネットワークに、産婦人科医を含めた周産期の機関がどのぐらい参画しているかを研究しているのですが、非常に低くて 30 %程度だったと思います。そうであれば、これは市町村のネットワークに周産期の関係機関なり、産婦人科の先生に参画してもらうようにしていくのも 1 つの方法でしょう。

 先ほどもお話がありましたが、産婦人科の先生とお話をすると、お母さんが精神的な問題を抱えている場合は、やはりそこについて産婦人科の先生がケアするというか、対応するのは非常に難しい部分があるのです。そこはどうするかというと、これは別の研究で、例えば精神科の先生にそこの部分はつないでちゃんとケアしてもらう、診ていただくようなネットワークが作れないかという研究をしています。多職種ネットワークという形で何かそういう仕組みができないかということは、その研究を見ながら私どももどういうことが、どの段階でできるのかを考えたいと思います。

 妊娠健診未受診とか、母子手帳未発行に加えて、転居を繰り返すケース、居場所がよく分からないケースがあります。これは非常にリスクが高いのですが、昨年末の報道でも居所不明児童 4,176 人というのがありました。このことも含めて、一昨年の 11 月に我が子を妊婦健診未受診の場合にはこういう所に確認して把握していってくださいということも含め、居所不明の話も含めて通知を出しています。それがちょうど 1 年たったので、先ほど申し上げましたが、実際に自治体がどういう取組をしているのかという実態を調査させていただこうと思っています。その時に併せて、自治体によっては非常に工夫をして先進的な取組をしている所もあるかもしれませんので、そういう事例も収集し、全国的に普及できるようなものであれば、それはきちっと紹介していきたいと考えております。

 

○大日向部会長 

ありがとうございました。それでは、御質問、御意見をお願いいたします。

 

○松原委員 

最後の発言は非常に大切だと思います。私も 1 次から 4 次までさせていただいて、いろいろな提言を出すのですけれども、それがその後どういう形で実現されていくかというところのフォローアップがなかなかできないということで、今のお話のような形で、提言を受けてこういう改革を地方自治体でしていますよという、そういう先駆的な取組事例の紹介をしていただくと、検証もより生きてくるかと思います。そういう試みをされるというのは素晴らしいことだと思います。

 

○才村委員 

私は、虐待死事例の検証の専門委員会の委員長をさせていただいています。過去のこの報告書を見ると、大体児相の対応というのは、児相だけではないのですけれども、結局同じような課題の指摘を毎年繰り返さざるを得ないのです。いつも同じ内容なのです。つまり、提言や指摘内容が現場に浸透していないというか、先ほど松原委員からも社会的養護における人材のお話がありましたが、児相を含め、どこも今はアップアップなのです。しかも事務職が多く、人事異動で 2 年ぐらいでコロコロ変わっていきますから、組織の中で専門性が蓄積されないのです。

 問題の 1 つは、本来児相はもっと丁寧に対応したくても、余りにも人が少なくて、忙しくて、個々のケースに丁寧に対応しきれないという量的な問題があります。もう 1 つは今申し上げたように、一般行政職の人がたまたま人事異動の一環で児童福祉司になるという実態があります。専門職の場合は自ら希望していますし、基本的な専門性もさることながら、やはり人事異動のサイクルが長いといいますか、少々人事異動しても、福祉をベースにしていますから、福祉の基本的な素養というのは持っていると思うのです。そういう意味で、専門職に切り換えていかないといけないのだけれども、なかなか専門職任用が進まずに、人がコロコロ変わっていく。したがって、同じような問題が繰り返される背景に、そういう構造的な問題があると思うのです。その辺りを厚労省としてどうお考えなのかを聞かせてください。

 

○川鍋虐待防止対策室長 

児童相談所の職員は自治体の職員でもありますので、基本的に厚労省には人事権の面では何もできるわけではないのですが、これは才村先生も御存じかと思いますが、かつて今後の家庭児童相談体制の在り方検討会が、平成 16 17 年頃にありました。その中でも言っていますが、専門性の確保の観点からいえば、きちっとした専門職としての登用が 1 つ大事ですねという話と、それから異動期間については専門性が獲得されるまでにはある一定年数が必要なので、そういうところは配慮してほしいという形では確かに出てきたと思います。それについて、まとめた報告書を各自治体に向けて発信したということだと思います。

 もう 1 つ言えば、これは平成 16 年改正のときに、 60 か所の児童相談所を直接訪問をして、我々は才村先生にも行っていただいていますし、他の先生にも行っていただいていますが、そのときの話として、人の確保について直接このように厚労省から、こういう助言なり、そういうアドバイスを頂いたものを使ってほしいということでかつてやったことがあったと思います。引き続き、私どももいろいろな会議の場に行った場合にも、そういう話はやっています。直接的に関わるとか、この面については難しいのですけれども、そういう状況だと思います。

 

○才村委員 

確かに自治体事務で、国としての限界はあると思うのです。その一方で、こういう厳しい公務員の定数事情の中で、地方交付税の積算基準もほぼ毎年のように変えていただいて、努力を払っていただいていることには非常に感謝するのですが、是非引き続き何とか専門職任用が浸透するように、今後も自治体のほうへの働きかけは強くしていただきたいと思います。

 

○大日向部会長 

それでは、次に進めさせていただきます。次は次世代育成支援対策推進法の見直しに関してです。事務局から説明をお願いいたします。

 

○中井職業家庭両立課長 

資料 9 に基づいて御説明させていただきます。 1 枚目に、次世代育成支援対策推進法の概要と見直しのポイントということで全体像をお示しています。 2 ページ以降は、昨年 12 10 日に労働政策審議会雇用均等分科会で取りまとめて建議された内容をお付けしておりますので、適宜そちらの内容も紹介しながら、主に 1 枚目に即して御説明いたします。

 次世代育成支援対策推進法は御承知のとおり、我が国における急速な少子化の進行等に伴って、少子化対策の一環として制定された法律ということで、平成 17 4 月から平成 27 3 月までの 10 年間の時限立法として、この間に集中的で計画的な取組を推進していくことになっているものです。

 その取組としては 1 枚目に出ておりますけれども、地方公共団体と事業主。この事業主というのは、一般ということで企業等、特定ということで国や地方公共団体が雇い主としての事業主ということになります。それに対して、次世代育成支援のための行動計画の策定を義務付けて取り組んでいくといったものです。全体の枠組みとしては、「行動計画策定指針」を作り、それに基づいて地方公共団体行動計画、それから事業主行動計画を策定する枠組みになっているものです。

 この法律は、 10 年間ということで今まで取り組んできたわけですが、時限ですので来年 3 月で失効する法律です。これについては一昨年成立した「子ども・子育て支援法」の附則で、延長についての検討規定が盛り込まれていたこともあります。昨今の状況でいうと、日本再興戦略、あるいは社会保障制度国民会議の中において、延長強化をしていくべきだと。女性の活躍や、社会保障、少子化対策という流れの中で検討してきたわけです。

 そうした中で、特に建議ですが、この中の一般事業主行動計画についての見直しということで検討したものが 2 ページ以降の内容になっています。一般事業主行動計画というのは、従業員の仕事と子育ての両立を図るために策定する計画ということで、それが仕事か家庭かという二択状態を解消する、子どもを産み育てながら働き続けられる環境整備を社会全体で作っていく観点から行動計画を策定して取り組んでいただいているものです。現在では、従業員 101 人以上の企業に対しては、行動計画の策定・届出が義務化されております。 100 人以下の小規模企業については努力義務になっています。

 取り組んでいただいた結果として、一定の基準を満たしていただいた所には、子育てサポート企業ということで、「くるみん」というマークを認定して、取得していただける枠組みになっております。そういう取組で推進してきたものです。

 全体的に見直す中で、これまでの取組は一定程度の効果はあったものの、まだいろいろと課題が多いと。出生率は一時期に比べて反転しましたが、本格的にそれが少子化の解消につながっていないとか、その環境整備ということでいえば、仕事と生活、子育てといった調和についてまだまだ課題が多い、男性の育児参加が進んでいない、長時間労働がある中で、より一層延長して強化し、取り組んでいく必要があるという内容の建議を頂きました。

 具体的にはその右側に出ておりますが、赤枠で囲んだのは法律で改正するもの、青枠で囲んだものは指針・省令ということでそれ以下のものです。法律については 10 年間延長する。行動計画策定指針の内容については充実強化をしていく。特に働き方の見直しであるとか、非正規雇用の方々への取組の強化をしていくことが言われております。

 行動計画の認定制度については、現行の認定制度についてもより一層その取組の裾野を広げるために充実していく必要がある。それから、社会的に取組が進んでいる企業、先進的な企業に対しては、新たなグレードの高い認定制度を設けて評価を高めるとともに、行動計画の策定・届出義務に変えて、実績公表の枠組みを設けるということで、いわゆる数値も含めて見える化していただこうと考えております。そういう企業に対して、取組の模範になっていただくことを考えています。そういう内容を取りまとめていただきましたので、次の通常国会提出に向けて今準備を進めている状況です。

 併せて地域行動計画と、特定事業主行動計画については建議の内容に含まれていないのですが、当然、法律全体としては 10 年間延長されるということで進めています。ただ、地域の行動計画については、一昨年 8 月に成立した子ども・子育て 3 法により、そちらのほうで子ども・子育て支援事業計画の作成が義務付けられることになっています。それに伴って、この策定については任意化されることになっています。また、この地域の行動計画については、子ども・子育て支援法で定める事業計画と一体のものとして策定することも可能になっています。

 また、特定事業主行動計画については、法律上の改正事項はないのですが、今後その行動計画策定指針を見直す中で、一般事業主行動計画に準じた見直しを行うことを考えております。この指針の具体的な内容については、この法案がこれから国会へ提出されて審議していただくわけですけれども、成立させていただいた後に、そういうことになれば労使あるいは省庁も含めた関係者において検討していくことになっています。説明は以上です。

 

○大日向部会長 

ありがとうございました。御意見、御質問がありましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。ないようですので、最後に資料 10-1 と資料 10-2 ですが、こちらは予算や税制に関する資料です。時間の関係もありますので説明は省略したいと思いますが、皆様から特段の御意見がありましたらお願いいたします。特に御発言がないようですので、これは御覧いただくことにさせていただきます。本日は、児童福祉関連の各制度に関しての検討状況や、取りまとめに関して事務局から説明をしていただき、委員の皆様に把握していただくことを目的として開催させていただきました。委員の皆様から、非常に貴重な御指摘・御意見をたくさん頂きまして本当にありがとうございました。本日はこれで閉会といたします。


(了)

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