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2013年11月13日 2013年11月13日 第10回中央訓練協議会議事録

職業能力開発局能力開発課

○日時

平成25年11月13日(水) 14:00~15:30


○場所

中央合同庁舎第5号館 6階 第23会議室


○議事

○今野座長 時間になりましたので、ただいまから第10回中央訓練協議会を開催いたします。本日お集まりいただいた方々の紹介については、お手元の座席表と参考資料1に出席者名簿がありますので、省略をいたします。

 なお、事務局に異動がありました。新たに尾形総務課長と、山田能力開発課長が就任いたしましたので、御紹介します。何か一言話されますか。

○尾形総務課長 よろしくお願いします。

○山田能力開発課長 よろしくお願いします。

○今野座長 それでは、議事に入ります。今回は、平成26年度全国職業訓練実施計画の策定に向けて、求職者支援訓練の訓練コース設定の在り方を中心に、意見交換を行います。事務局から、資料の説明をお願いします。

○小野寺職業能力開発局就労支援訓練企画官 資料1は、平成26年度の概算要求についての報告です。前回の協議会において、来年度の公共職業訓練の規模について、議論をいただいております。今後の実施状況や、雇用情勢の動向等を注視しながら、概算要求編成を行うことで結論をいただいておりましたので、それを踏まえて対応しております。その結果、公共職業訓練については、ほぼ前年同規模の16.3万人、それから求職者支援訓練については、実績を踏まえて3割弱の減ですが、10.2万人という要求をしておりますので、報告いたします。

 続いて、資料2以降についてです。本日、平成26年度の全国職業訓練実施計画の策定に向けた方向性について、議論をお願いしたいと思っております。来年度の全国職業訓練実施計画については、先ほど説明いたしました予算要求が成立した後に、本日御意見をいただいた結果に基づき作業をさせていただき、次回の協議会に計画案をお諮りし、年度末を目途に策定したいと考えております。

 資料2を御覧ください。こちらに、検討事項として4つ挙げております。1点目の基礎コースと実践コースの割合をどうするかですが、現在平成25年度の実施状況については、右側に書いてありますが、基礎コース30%、実践コース70%を上限としております。平成24年度の実施計画上は、基礎コースが20%でしたが、当時の申請状況が基礎コースが3割、認定状況で見ましても、基礎コースが25%であったのと、応募倍率、充足率ともに基礎コースのほうが高かった状況を踏まえ、今年度は基礎の割合を3割に引き上げてスタートしております。

 昨年度の議論においては、基礎コースの割合を引き上げつつも、その後の実績等を見まして、実践重視の原則を外して、更に基礎コースの割合を高めるか、基礎コースの割合を2割に戻すかは、今後引き続き検討というような議論になっておりました。

 次に、2点目の実践コースの内訳をどうするかです。今年度は、右側にありますように、介護系、情報系、医療事務系と、重点3分野について、それぞれ上限を設定しております。昨年度の議論では、実施状況等を踏まえてということで、介護系は現状維持、情報系は15%を10%に引き下げており、逆に医療事務系が7%を10%に引き上げたというような状況でした。また、全国計画では、実施分野の枠を確保するのはこの3分野としておりますが、その他営業、販売事務あるいはデザインといった枠を設定することを推奨するといったような意見がありました。これを、来年度どうするかが、2つ目の論点です。

3つ目は、新規枠の割合をどうするかです。新規参入については、訓練計画を申請する際に、同一都道府県内において過去1年間、同一分野で実施した求職者支援訓練の就職率があるかないかということで判断しており、ない場合に新規枠による取扱いとなってきます。実績を有する、ノウハウがある実施機関のほうが、恐らく安定的、効果的な訓練を実施できるであろうということで、訓練の質を担保するためにある程度新規の参入に歯止めを掛けているといった考え方です。現在は、基礎コース10%、実践コース20%を上限としており、被災3県については特例的に30%としております。昨年度は、これにそれぞれ下限値5%をおいておりましたが、地域によっては新規参入についてほとんど必要ないといった所もあり、今年度については地域の状況を踏まえて、より一層柔軟な設定を可能とするという意味で、下限値は外しております。ただし、新規枠を設けないということは不可としている状況です。以上が、新規枠の論点です。

 最後に、その他の部分です。これは、特定の対象者の特性・訓練ニーズに応じた訓練の取扱いに関する部分です。右側に記載しておりますが、現在東日本大震災の被災者、それから学卒未就職者それぞれに対するコースと、生活保護受給者等に対して実施しております就職・自立促進講習の受講終了者が、引き続き求職者支援訓練の基礎コースを受講する場合に、特別のコースを設定しておくといった3つの取扱いについてです。

 被災者に対する特別コースについては、今年度末までの特例措置として、いわゆる附則規定に基づくものであり、基本的には労政審での御議論となりますが、短期間の建設、重機に関する訓練コースの設定を可としているものです。それから、学卒未就職者の訓練は、必要に応じて各労働局の判断で、定員枠を別途確保することを可能としているものです。こちらは運用上の取扱いですが、昨年度は運用状況を見た上で、今後の実施を検討というような結論になっております。

 更に、就職・自立促進講習の受講後に設定する基礎コースについても、講習実施数に合わせて基礎コースのうちの定員を特別に確保しているものです。論点の説明は以上です。

 引き続き、これらの論点に係る資料の説明をいたしますが、資料2はお手元に置いていただき、必要に応じて参照いただければと思います。

 資料3以降です。資料31ページは、「基礎コースと実践コースの割合」について、幾つかデータを揃えております。1ページは、申請・認定状況についてです。上の棒グラフと折れ線グラフが重なったグラフを御覧ください。折れ線グラフが認定の上限値で、基礎コースは平成24年度までは認定上限値を大きく超えて申請が上がってきたことがお分かりいただけるかと思います。右側の実践コースは、逆に折れ線グラフ以下に申請が留まっている状況でした。基礎を3割に引き上げた平成25年度を見ていただきますと、両コースとも申請件数がおおむね認定上限値と一致するレベルに落ち着いてきている状況が分かるかと思います。また、下の円グラフについては、申請、認定ベースそれぞれの基礎と実践の割合を示しておりますが、いずれもおおむね基礎3割、実践7割となっております。

 次のページを御覧ください。各地域の状況です。基礎コースのほうが上限値を超えて、100%以上の申請になっている一方、実践コースが100%を下回っている、つまり基礎コースのほうにニーズの偏重がみられる地域について網掛けをしております。全体の10県ほどで、これが平成24年度は38都府県ありましたので、基礎と実践のバランスは全体として均衡してきています。

 次に3ページです。定員・応募・受講状況で見ております。基礎コースを2割としておりました平成24年度末までは、応募倍率、定員充足率いずれも、基礎コースが実践コースに比べて高い状況となっております。一方、中止率を見ますと、実践コースに比べて基礎コースが低くなっており、総じて基礎コースのニーズが高いことが見て取れます。これが、基礎コースを3割に引き上げた平成25年度上期で見ますと、おおむね両方同じレベルに落ち着いてきていることが分かるかと思います。

 最後に4ページには、就職の状況を挙げております。求職者支援訓練では、本来就職に資する訓練として、基礎レベルから実践能力を付与する実践コースを中心に設定する考え方に立っております。4ページの就職率で見てみますと、基礎コースと実践コースと比べて遜色ない状況となっております。現場の声ですと、基礎コースにおいては、職業横断的なITスキルなどを習得することから、就職先の幅が比較的広い状況があり、こういった結果になっているというような声も聞かれます。

 就職率の評価については、雇用期間や形態などを踏まえて精査すべき点はありますが、基礎と実践の割合を検討するにあたっては、いわゆる就職率で見ると基礎コースの訓練効果が著しく実践コースに比べて劣るといったような状況はないことが分かるかと思います。以上を踏まえて、1点目の論点の基礎コース、実践コースの割合をどうするかといったことについては、事務局としては平成26年度においても、今年度と同様に基礎コースの上限を3割の方向で考えたいと思っております。

 続いて、5ページの2つ目の論点、実践コースの訓練分野についてです。求人ニーズについて見ております。上が産業ベース、下が職業ベースで見ております。産業別で見ますと、医療・福祉の分野が最も多く、職業別で見ましても、多くの割合を占めている「サービスの職業」のうちの約3割が介護サービスで、これを全体の割合としてみても7.6%を占めていることになります。一方、今年度の割合を減らした情報系を見ていただきますと、産業で見ましても約3%程度ですし、職業別でも実践コースの情報処理、通信技術者ということで、専門的・技術的職業に該当しますが、全体の3割弱ということで、介護に比べても低い割合となっております。

 また、販売、小売り関係が一定の割合を占めているのが分かるかと思います。商品の販売、営業といったような分野のニーズは一定見られるのですが、実際に求職者支援訓練上の設定はそれほど多くなく、訓練を担う実施機関が地域によってあまりないといったような声や、店舗管理であればまだしも、いわゆる店員の方を育成するような訓練は訓練設定に馴染みにくいといったような声がある状況が見られます。

 次のページは、求職者側のニーズになります。67ページにわたり、それぞれの分野ごとに応募倍率と定員充足率を整理しております。今年度は、昨年度からそもそも訓練定員が減少しておりますので、総じて応募倍率、定員充足率は改善をしておりますが、6ページ右上の介護福祉分野と7ページの農林業分野、旅行・観光分野の3つが数値が低下しております。裏面の農林業と旅行・観光については、数自体が非常に少なく、率にすると非常に低下したように見えますが、状況としてはそんなに変わっておりません。6ページの右上の介護福祉分野については、受講者の減少も目立ち、また応募倍率、定員充足率も落ち込んでいるのが分かるかと思います。

 前回、この場でも報告しましたように、介護人材のキャリアパスが見直され、研修体系が変わったことが影響しているのかと思っておりますが、年度当初から介護分野の認定の滑り出しがやや悪いといったようなお話を申し上げたかと思います。これまでの、いわゆるヘルパー2級が、介護職員初任者研修に移行しており、これまでの介護職員基礎研修及びヘルパー1級が実務者研修に集約をされております。平成27年度以降は、実務経験者が介護福祉士の国家試験を受験する場合には、この実務者研修の受講が義務付けられるといったような整理がされております。

 そういった状況の中で、それぞれの資格、コースごとの応募倍率を見ますと、昨年度まではヘルパー2級と介護職員基礎研修いずれも、おおむね0.8倍ぐらいあったものが、今年度に入り、初任者研修が0.7倍を割り込むぐらいで、逆に実務者研修が1倍を超えているということで、介護分野の受講ニーズは全体として低下しているというよりは、実務者研修のほうのニーズは非常に高くなっている状況です。

 一方、実際の訓練実施、設定を見ますと、実施機関の声でもあるのですが、実務者研修が介護職員基礎研修に比べて、設備面や講師などの要件が厳しくなった、ハードルが高くなったという声もあり、なかなか設定が進んでいない状況にあるようです。実際の設定の状況は、今年度当初は、初任者研修、実務者研修ともども低調であったということで、前回報告しております。その後も、第2四半期になりますと、初任者研修はほぼ前年度以上に設定されておりますが、実務者研修は引き続き前年度の4割程度に留まっている状況です。

 このように、受講ニーズと訓練設定状況にミスマッチが生じていることから、全体としてうまく受講が進んでいないということで、介護分野全体で見ますと、この表にありますように、応募倍率、定員充足率ともども引き下がっているようなことかと分析しているところです。

 次に、8ページは、分野別の受講者の実績を載せております。昨年度は、情報1割、医療事務1割、介護3割以上というような受講になっております。今年度に入り、情報系、医療事務系についてはほぼ変わりなく、介護は先ほどのような状況もあり、割合は低下をしております。また、営業・販売・事務を見ていただきますと、今年度は2割近い実績になっております。これは、この分野において、従前設定されておりました営業スタッフや販売員あるいは経理事務等の訓練に加えて、今年の7月からOA事務科という設定が可能となった影響があるかと思っております。今までは、事務用のソフト、操作能力を付与する訓練は、いわゆる職種横断的な基礎科目として、実践コースの設定は認めておりませんでしたが、パソコン操作だけではなく、文書、資料、帳票などの作成など、いわゆる実際の仕事に即した作業を加えることで、設定を可能にしております。このようなこともあり、多少受講者実績が上がっていると思っております。

 ただ、これは「営業・販売・事務」というような括りになっておりますが、実際は純粋な営業・販売に係る訓練は5%程度で、残りは経理事務や総務事務、あるいは今申し上げたOA事務といった事務系がほとんどというような状況です。

 それから、下の表は中止率ですが、定員削減あるいはハローワークの誘導の努力等もあり、全体として中止率は改善しております。ただ、先ほど申し上げたような状況で、介護分野の中止率が前年度よりも比較的高くなっている状況です。

 次のページは、就職状況についてです。就職状況は、前年度とほぼ変わっておりません。いわゆる、介護福祉分野について、最も就職率あるいは関連就職率も高く、医療事務系がこれに次いでいる状況です。以上、分野別の状況について申し上げました。介護分野については、先ほど来申し上げておりますように、資格制度の見直しといったような特殊事情がありますので、直下の状況を踏まえ、割合を見直すといった状況ではないかと思っております。そうしたことから、平成26年度の重点3分野の設定についても、今年度同様に、介護については25%、情報については10%、医療事務については10%、残りをその他としたいと考えております。

 続いて、10ページの新規枠についての説明をいたします。制度創設時、このグラフには載っていないのですが、平成23年度下期の状況では、新規枠による申請が基礎コースでも13.3%、実践コースでも34.8%ということで、新規枠の上限を超えて、非常に多くの申請が上がってきた状況です。現状は、見ていただきますとお分かりのように、実践コース、基礎コース両方とも、新規枠の上限の中に収まっていることが分かるかと思います。下の訓練効果である就職率で比較しても、新規枠はいわゆる訓練実施機関の質の担保をするというようなことで、一定設定していると申し上げましたが、資格取得系の介護、医療事務については、実績枠と新規枠にそう違いがありません。一方で、その他の分野については、若干ですが、総じて実績を有する機関のほうが、就職率が高くなっている状況があります。以上から、新規枠の設定はこれ以上引き上げる状況ではなく、今年度同様、基礎コース1割、実践コース2割としたいと思っております。

 加えて、資料はありませんが、被災3県の宮城、岩手、福島で3割というような特例扱いをしておりますが、実際の実績を見ますと、いずれの県においても3割に張り付いている状況にはありません。ただ、宮城、福島からは、特に今後復興が進む中で、実施機関の体制も整ってくれば、新規参入の見込みもあるのではないかということで、3割としている特例扱いについて継続の要望が出ておりますので、被災3県においても、来年度も引き続き3割の特例枠を実施したいと考えております。以上が、3点目の論点です。

 最後に、その他の特別のコースについてです。これについても、特に資料は用意しておりませんが、実施状況について簡単に御紹介いたします。まず、震災特例のコースです。これは、青森、岩手、宮城、福島、茨城の5県において、10日以上1か月以下の短期訓練の設定を可能としております。訓練分野は車輌系の建設機械に限られております。受講実績を御紹介いたしますと、平成23年度の下期が224名、平成24年度は年間で360名、今年度は上半期のみですが266名と、やや増加しております。茨城県においては、これまでの実績はなく、宮城県も今年度はまだ実績がない状況です。就職率は、おおむね6割で推移をしております。

 地元からは、瓦れき処理が収束に向かう中で、車輌系建設機械というよりも、例えば玉掛けやクレーンといったような、いわゆる建築系のニーズに変わりつつあるのではないかといった声も聞かれております。いずれにしても、制度の見直しとして、審議会において議論をいただきたいと思っております。

 次に、学卒未就職者のコースです。これも平成24年度には、18都道府県において実施されており、受講者は203人おりました。平成25年度は15都道府県で実施をされており、158人と若干減少しております。9月開講までを認めておりますので、平成25年度もこの158名が確定値になっております。地域の訓練協議会などでは、学卒コースについては、特に学校関係者との更なる連携が必要ではないかといったような声も聞かれます。こういったことも踏まえながら、一定のニーズがありますので、来年度も引き続き枠を取れるような形で実施していきたいと考えております。

 最後に、就職、自立促進講習を修了した方々に対して、引き続き受講していただくための求職者支援訓練の基礎コースの取扱いです。この講習自体は、今年の9月から設定をされており、現時点で14都道府県、18コースが設定されております。そのうち、17コースが実施中で、8コースが残念ながら中止ということで、残りの3コースが開講前というような状況です。

 講習が中止となった場合には、その後の求職者支援訓練の基礎コースは、講習終了者に限定をしている場合には、そのまま中止となってしまいますが、受講者を限定していない場合には、通常どおりの受講者を募ることになります。この講習については、安定局の事業ですので、引き続き安定局には講習受講者の確保に努めていただくこととし、来年度においても安定局と連携して実施をしていくこととしております。4つ目の論点に関しては、以上です。

14ページには、求職者支援訓練の実績を参考として載せております。上半期は、4万人となっております。

 次の資料4については、今年度の全国職業訓練実施計画です。これは、参考までに、後ほどお目通しいただければと思います。

 資料5は、各地域訓練計画を一覧にしたものです。今回の論点としても挙げている、基礎と実践の割合を見ていただきますと、地域計画においては、基礎コースの設定を3割を超してはならないとしておりますので、各地で検討していただいた結果、基礎コース3割未満としている計画も幾つかあります。また、新規枠についても、先ほど説明した被災3県においては、上限枠を特例的に3割としております。例えば、宮城や福島においては、1020%ともう少し低い枠を設定している状況もあります。裏面の上から3番目を見ていただきますと、新規枠3.36.5ということで、新規参入を低く抑えるために、こういった設定もなされていたりもします。

 あるいは、「実践コース」の「その他」の分野においても、下から3番目の静岡の「農業・環境・観光」の分野、裏面の下から4つ目、大分において「調理」といったような地域ニーズの特性を踏まえたようなコースの設定もみられるところです。

 資料6は、地域訓練協議会で出された主な意見を抜粋して記載しております。例えば、コース、分野についての意見で見ますと、情報分野では即戦力の訓練の必要性がある一方で、基礎的なコースを望む声もあったり、地域の状況により、訓練ニーズも様々であることがうかがえるかと思います。また、裏面にありますように、地域特性を踏まえた訓練設定を期待する声も、各地域においてみられるところです。本省としても、例えば先ほどの静岡、大分の例を更に各地域で推進していく必要があると考えております。こうした特色のある訓練は、実施機関が限られていたり、訓練ニーズや設定の規模感として、必ずしも大きくはない状況にありますが、地域として打ち出していきたいと希望する声もありますので、是非推進をしたいと思います。また、こうしたコースは新規設定となる蓋然性が高いので、新規枠の狭き門の中で選定されないことも起こり得ますので、地域訓練協議会において、地域に密着したこういったコースを設定したいというような打ち出しをしていただいた場合には、いわゆる新規枠の上限を超えて設定することができるようにしてはどうかと考えております。

 論点の3つ目の新規枠をご検討いただく際に、地域の特性を踏まえた訓練について、新規の取扱い、柔軟化を図ることも併せて、御意見をいただければと思っています。

 資料7以降は、公共職業訓練の実施状況ですが、順調に推移をしていますので、後ほど御参考にお目通しいただければと思います。資料についての説明は、以上です。

○今野座長 資料2を見ていただきまして、先ほど説明がありましたように、4つの論点で整理ができていますので、この論点ごとに議論をしていただければと思います。まずは、基礎コースと実践コースの割合ですが、事務局からは、今年度と同様で基礎3割、実践7割としたいということです。御意見を頂ければと思います。

(全国中小企業団体中央会)小林労働政策部長 資料32ページが、先ほどの根拠となる基礎コース、実践コースの割合ということです。基礎コースは認定上限を超えた申請は結構あって、実践コースはかなり満たない状況もあるようです。

 この表を見ていて幾つか感じたのですが、かなり地域によってバラつきがあります。基礎コース、実践コースは主に専修学校、専門学校等に行っていただくのですが、学校が少ない所はその実績も少なくなっているという感じもしますし、被災地、特に岩手県などは実践コースは12.2%とかなり低い数字でびっくりしているところです。おおむね、割合は上限値に対して、申請の数と都市圏ではかなりの倍率になっていますが、学校の多い所は基礎も実践も多くなっているのですが、学校の少ない所はかなり少ない状況が見受けられます。

 基礎を30%、実践を70%というのは、おおむねこのぐらいの感じなのかなと思いますし、実践コースを重視していくという考え方は重要なのかと思うので、この考え方はいいのですが、懸念されるのが、地域によって学校の申請の数が少ない、認定に当たっての認定基準に達せずに認定されないところも多々見受けられるような感じがするのです。一方、求職者の講習を受けようとする方のニーズとマッチしているのかどうか。数が少なくて、人数のほうが多い、待ちの状況があるという問題は起きていないのでしょうか。

○小野寺職業能力開発局就労支援訓練企画官 御指摘にあったように、かなり地域格差があるのが事実で、例えば被災地では実施機関自体が被災した状況から脱しておらず、設定が進みにくいという声も聞かれます。そんな中で訓練のニーズがある場合には自治体と連携して、公民館などを場所として提供した上で、訓練を設定などしたという例もあります。訓練ニーズがある一方で、実施機関がなくて、設定が進まないものについては、いろいろな開拓をしつつ、あるいは自治体との連携もしながら、設定の努力も進めていっているという状況があります。

 また、個々に地域内においても実施機関の偏在もありますので、その辺は正に地域訓練協議会などでも、訓練ニーズをしっかりと捉えて、地域内においての設定のバランスをきちんと取るような努力を引き続きしていきたいと思っています。

(全国中小企業団体中央会)小林労働政策部長 もう1つ質問です。基礎コースの割合をもっと増やしてほしいという地域はないのでしょうか。ここに書いてあるように、実践コースの上限値に達していない所が多くて、基礎の申請の多い所も幾つか見られますので、30%を超えてもいいのかという所があるのかどうか。

○小野寺職業能力開発局就労支援訓練企画官 平成24年度の状況は、先ほど申し上げたような状況がありまして、各地域から基礎コースの割合について、2割からの引き上げという声が多く聞かれておりました。ただ、今年度に入りまして、3割に引き上げて以降は、余りそういったニーズも聞かれなくなっております。

 それともう1つですが、先ほど申し上げたように、いわゆるOA事務というものを実践コースで設定できるようにしましたので、この辺りも影響しているのかなと思っています。そういう意味では、おおむね全体の声としては、昨年度よりは基礎コースをもっと増やしたいという声は聞かれていないという状況です。

○今野座長 この点については、大分、調整が進んだという感じですよね。

(日本労働組合総連合会)新谷総合労働局長 資料32ページで教えてほしいのです。上限値に達していない申請が幾つかあると分析されているのですが、上限値に達していないが申請に対する認定率が低い所が結構あります。例えば京都府は上限値を超えているのですが、その他では、上限値には達していないが認定されない申請が、実践コースで500コースぐらいあります。

 なぜ実践コースは、上限値に達していないが申請に対する認定率が低いということになっているのか。資料32ページの数値は今年の上期の分ですが、県によってこういう傾向が続いているのかどうか。訓練機関として認定されない、地域による訓練の質の偏在があるのかないのかについて、分かれば教えていただきたいと思います。

○小野寺職業能力開発局就労支援訓練企画官 個々に地域によって状況が変わってくるかと思いますが、考えられるのは、いわゆる重点3分野ごとに上限値がありますので、申請は上回っているのですが、分野でバラつきがあって認定した結果、全体では上限値に達しないということが考えられると思います。

 そういう意味でいうと、その時期によっても、地域によっても、かなり状況としては一概には言えないのですが、一番大きな想定できる状況としてはそのようなところかと思います。

(日本労働組合総連合会)新谷総合労働局長 気になるのは、全部数字でコースの数、要するにボリュームについて把握して論議をしているのですが、訓練というような目に見えないサービスに対する質の統一、質の保証をどうされているのか。厚生労働省では、国際規格の「ISO29990」(非公式教育・訓練のための学習サービス-サービス事業者向け基本的要求事項)に基づくガイドライン(「民間教育訓練機関における職業訓練サービスガイドライン」)を作られていると思うのですが、訓練の現場では、あのガイドラインをどのようにコースの認定に際して使っているのか使っていないのか、教えていただきたいと思います。

○小野寺職業能力開発局就労支援訓練企画官 ISOだけではなくて、ISOを踏まえて厚生労働省でガイドラインを作っておりますので、このガイドラインを積極的に周知していくこととしています。来年度は全国的に実施機関を集めて、ガイドラインの講習を高障求機構にやっていただくような運びになっています。

 それらも含めまして、また制度の見直しの方になりますが、認定の段階でもそういったものをある程度踏まえていくような動きになっていて、正に御指摘のとおり、質を向上させていくというのが非常に大きな課題だと思っています。

○今野座長 ほかにいかがでしょうか。それでは、いろいろ御意見はありましたが、今回のこのテーマについての一番重要な、基礎3、実践7という割合については、事務局提案でいくということでよろしいですか。

(異議なし)

○今野座長 ということですので、次にまいります。次は、実践コースの重点を置くべき訓練分野、職種をどうするかです。先ほど事務局案が出ましたが、今年度は介護25%程度、情報10%程度、医療事務10%程度ということでどうか。この点について、御意見を頂ければと思います。

○武内社会・援護局福祉基盤福祉課福祉人材確保対策室長 先ほどの小野寺企画官の説明に補足します。資料36ページの介護福祉分野の応募倍率、充足率が下がっていることについて、2点補足します。

1つは、この理由について、介護人材のキャリアパスが過渡期であることが影響として出ています。介護人材の研修体系を見直すことが、今年度から本格的に行われて、実務者研修と初任者研修の2本立てになりました。ただ、今までの介護職員基礎研修を実施していた主体が、実務者研修に移行するのに手間取っていまして、その影響が出ていると思います。その理由は、実務者研修になることによって、教員の要件を少し高めましたので、それに伴う準備作業に少し時間がかかっています。実務者研修を開講しているのが去年の介護職員基礎研修と比較すると6割ぐらいのペースしかなくて、開講しているところは定員以上の応募者が出ているということで、非常に人気は出ているのですが、数的に追い付いてきていませんで、この点が強く出てきているものだと考えています。

2点目です。いつまで過渡期が続くのかについては、大幅に実務者研修を実施する法人が増えてきているので、早晩追い付いてくるだろうということです。去年の10月時点で実務者研修は17課程しかなかったのが、今年の101日では223課程まで上がってきて、4倍増していますので、早晩キャッチアップして、また戻ってくるのではないかと考えています。

○今野座長 ということは、来年はこの状況が改善されなかったら、違う理由だという話になりますね。また来年を楽しみにということになりますね。

 それでは、先ほど言いました実践コース内の分野構成で、介護系25%程度、情報系10%程度、医療事務系10%程度、これについて御意見を頂ければと思います。

(全国専修学校各種学校総連合会)関口常任理事総務委員会委員長 事前に御説明も頂いているのですが、例えば5ページの(1)「産業別有効求人数」の「卸売・小売」という所も一定の大きさがあって、これに対応する職業別の有効求人数というところでは、これは事務と販売を見ればいいのですかね。その具体的な営業・販売・事務について、先ほど別なところでのお話では、事務の割合が圧倒的に多くて、実際には営業・販売はわずかに5%というお話もありました。

 全体的に、ここの枠組みなどについて検討するというか、「営業」「販売」という言葉を入れていることに対して、これが就職に直結するような講座内容があるのかないのか。余り有効な資格というのはないのかもしれないのですが、分野そのものの扱いを何らかの形で検討していくという方向性はあるのでしょうか。重点化ということからは少し外れてしまうのですが、分野ということについてですね。

○小野寺職業能力開発局就労支援訓練企画官 実績を把握する上で、営業と事務を分けて整理をしていくという意味ですか。

(全国専修学校各種学校総連合会)関口常任理事総務委員会委員長 事務のほうが多いけれども、職種として確実に、営業とか販売という職はあるわけです。そういうことで採用されるということもあるのでしょうけれども、それを訓練としてやるというときには、どういう内容があって然るべきなのかというところから、そういう講座設定になっていてというような、本来のところの検討が要るのではないかと思うのです。

○小野寺職業能力開発局就労支援訓練企画官 この分野については、特に地域の協議会でも積極的に設定するという方向で御議論いただく分野になっていますので、その地域の中でどういうもの、例えば営業・販売が求められているかを踏まえた上で訓練の設定が必要であれば、その枠を用意して設定を進めていくということになるかと思うのですが、確かに、実態としては販売営業という設定が進んでいないというのは事実です。出口部分で見ると、訓練修了後の就職率は、明らかに販売営業のほうが高い状況になっています。

 ですので、どういった内容の訓練が良いのかなどは実施機関の有するノウハウも頂きながら、どういう訓練が必要なのかという議論と併せて進めていくことが必要なのかなと思っています。

(全国専修学校各種学校総連合会)関口常任理事総務委員会委員長 きちんと調べたわけではないのですが、専門学校のいろいろな学科がありますが、そういうところで「販売士」という商工会議所がやっている資格ですが、そういうものを部分的に導入しているというケースは、インテリアコーディネータの学科で販売士もやるというところは、いろいろな分野にあると思うのですが、それはインテリアコーディネータというところが勉強することの主なのだけれども、販売士という資格を持っていると複合的に就職に結び付くという、plus alpha的な学習というのが、営業・販売の講座の1つの性格でもあるのではないかと思うのです。だから、ほかの学んだらそこから就職という構造とは違う形を持っているので、なくしてしまうということではなくて、その性格のままで活かした設定、位置付けを考えてもいいのではないかと思うのです。難しい話なのですが。

○今野座長 今、おっしゃられたことは、販売の研修というのはいろいろな分野にまたがる基礎的な要素が強いという御趣旨ですか。

(全国専修学校各種学校総連合会)関口常任理事総務委員会委員長 そういう要素ですね。

○今野座長 ほかにはいかがでしょうか。

(一般社団法人日本経済団体連合会)高橋労働政策本部長 2点あります。1点目は、本日の資料6でも出されている声なのですが、建設分野に関する話です。最近、建設分野の技能労働者不足というのは深刻になっているというのです。しかも、高齢化も進んでおりまして、本日は国土交通省の方もいらっしゃるので御意見があればお聞かせいただきたいのですが、そうした建設分野における技能労働者の育成ということを、この求職者支援制度の面から重点化して、取り上げていくことも考えられるのではないかと思うのですが、その点についてどのようにお考えでしょうか。これが1点です。

 それから、251010の数字自体に異論はないのですが、その他の成長分野のところで、本日御提出の資料の中では農業関係は出ていますが、環境分野のデータはありません。環境分野における、求職者支援制度の開講数等のデータを教えていただければと思います。

○小野寺職業能力開発局就労支援訓練企画官 各地域訓練協議会での議論の経過を見ても、建設に対しての需要は結構ご意見として出てきています。ただ、これは実施機関のほうの問題があって、地域にそういった機関がなかなかないというところで、ニーズとしてはあるのだけれども、何らかの形で打ち出して重点分野として設定しておくということまでは難しいという結論になっております。今、特に震災特例の中では、建設系重機の部分で対応している部分はありますが、それを含めても全体としての設定割合はそんなに高くはなく、実施機関をどのように確保できるかというのが1つの課題かなと思っています。

 もう1つの環境分野の状況です。環境というところで打ち出している県もありますが、実際の設定は進んでおりません。平成25年度上半期の状況で見ると、今のところ「環境分野」という設定はまだないです。訓練計画上の打出しはしているのですが、実際の設定が進んでいないということです。

 昨年度についても全体でも定員自体が30ぐらい、定員充足率も2割ちょっとということで、設定も進みませんし、設定しても訓練生が来ないという状況でした。細かく訓練の中身を見ないと分かりませんが、就職先のイメージがなかなか掴めないのかなと思います。ですから、出口部分できちんとした具体的な就職先イメージを持たせれば受講者の獲得にはなるでしょうし、ただ、これも実施機関がどれだけあるのかというところで難しい部分かもしれないです。

 まだ、民間でこうした訓練分野を担っていけるような実施機関あまりない状況で、今、正に公共職業訓練のほうで、いわゆるエコ関係など、先進的な部分を高障求機構が中心となって、設定に向けてのノウハウを蓄積しておりますが、その部分が求職者支援訓練の方にはなまだまだ活かせていない状況にあります。

○今野座長 先ほど出た、前半の建設分野については、実施機関不足というのは、訓練コースを作るにはかなりの投資が要るということなのですかね。

○小野寺職業能力開発局就労支援訓練企画官 そういうことでもあります。重機など、いろいろそろえなければいけませんので。

○今野座長 マクロでいうと、建設労働者の人たちはガーッと減ってきましたものね。だから、それに沿って実施機関はグッと減ってきて、「急に増やせと言われても」という感じなのでしょうね。

 先ほど事務局から話がありましたように、事務局提案は現状維持でどうかということなのですが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

○今野座長 それでは現状維持ということにいたします。

3つ目の論点、「新規枠の割合について」です。この点についてはいかがでしょうか。特に、地域におけるニーズを踏まえた多様なコースの設定に向けて、新規枠の上限の取扱いを地域において柔軟に対応できるようにしたいという、基本的には従来どおりで、こういうことを考慮するような柔軟化をしたいという提案ですね。

○小野寺職業能力開発局就労支援訓練企画官 はい。

○今野座長 いかがでしょうか。

○小林労働政策部長 地域の特性を踏まえた訓練の新規枠を、地域特性があるものについては、これも新規枠から外してもいいのではないかという御提案ですね。

 これに関して、地域でニーズを見ているといろいろなニーズがありますので、地域独特のものについて新たに加えようということになると、それを新規枠の中で処理するというのは難しい側面もあると思うのです。私が感じるところによると、これは新規枠から外して、地域の特色をそれぞれ出していってもいいのかなという感想です。

 とは言え、新規枠というのは新たに進出する業者、学校等なので、これは慎重に捉えていただいて、それぞれの地域が十分に業種特性みたいなものを考えた上で、検討した上で決めていただければ問題ないのかなと思います。

○今野座長 完全に自由にしてしまうと、上限値というのは要らなくなってしまうから、原則としてはこういう上限値を設けておいて、取り分け何か起きたときには少し柔軟化してもいいという感じですかね。そういう要請というのはたくさん出そうなのでしょうか。例えば全都道府県が言ってきたら、この上限値は意味がなくなってしまいますよね。

○小野寺職業能力開発局就労支援訓練企画官 現場の声を聞きますと、例えば例にも載せましたが、家具の町なので木工をやりたいとか、そういった地域での打出しをしたいときに、なかなか新規枠があると開拓をしても新規の枠の中で選定されない可能性があるというような声もありまして、ただ、大々的に木工何人分と計画上取っておくのはちょっと厳しいので、打出しとしては打ち出しておきたいという声と、そのときになるべく優先的に選定してもらえるような形を取れないかという声はありました。

○(一般社団法人全国産業人能力開発団体連合会)谷治専務理事・総務委員長 新規枠の問題ですが、全く絞ってしまうと先ほどからずっと議論に出ている、例えばエコ関係あるいは営業の業種等、それに対する新しい講座の開発というものが全くできなくなってしまいますので、ある一定の新規枠というものを作っておきませんと、従来の中身のままで推移してしまうので、どうしても新しい、あるいは企画的なものに取り組むためには、一定のものが必要と考えます。

 ただ、ここを余り広げてしまいますと、就業に直結するというか、仕事に直結する教育というのは非常に重要だと思っていますので、一定限度の枠ははめたほうがいいかなという気はしています。

○今野座長 今の御意見は、今のところ原則は、例えば基礎コースは上限値10%となっていますが、これは維持しておいたほうがいいということですね。よろしいですか。

 では、先ほどの事務局の提案でやってみて、来年実績が出ますから、そのときにもう一度ウォッチングはするということにさせていただいて、そういうことも含めて事務局の提案でいこうということにさせていただければと思います。

(異議なし)

○今野座長 最後に、「その他」です。資料2にあるように、「特定の対象者の特性・訓練ニーズに応じた職業訓練の取扱いについて」ということです。これについて、何でも結構ですので御意見がありましたらお願いします。

(全国専修学校各種学校総連合会)関口常任理事総務委員会委員長 学卒未就労についてですが、先ほど口頭の御説明で、平成24年度の受講者数が203名、現在は15都道府県の158名でした。大学を卒業して未就労というか、35万とか37万の卒業生のうち、減ってきたとはいえ3万人ぐらいが未就労という中で、どこまでできるかということはあるにしても、この200150という数字自体が、学卒未就労への対応というところでどうなのだろうかということが、どう評価していいのかということが、まず1つです。少なくて増やさなければいけないということを考えるとすれば、資料6の地方のほうでの御意見の中に、1「コース、分野ごとの訓練設定に係る意見」の中に、「学卒未就職者コースはキャリア教育、キャリア形成という観点で学校等関係者がもっと強い連携をもって、選択肢の1つとして学生に提案していくような形を取るべきではないか」というお話があります。

 これは、間違っているかもしれませんが、例えば大学に十分な就職指導機能がない場合はハローワーが入っていくというような記事を新聞で見ましたが、そういう働き掛けというか、広報というか、そういう問題があるし、未就労者の内訳も、就職しようということで就職部と関わっていたけれども、就職できなかったという方もいると思うのですが、偏差値的に低い大学の場合は、最初から大学を通じた就職は諦めて、何とかなるだろうということで、大学が扱う求職者にも入らない人たちもかなりいると。私の知っている底辺大学だと、求職者が全体の5割しかいない。その求職者のうちの6割ぐらいしか就職できていない。全卒業者の就職率は30%ぐらいという実態が、低い大学にはかなりあって、就職部に来る人たちもいるけれども、全くそこに引っ掛からないで未就労者として、親に言われたから少しは働かなければという気持ちを若干持っている人たちもいる。いろいろだと思うのです。そういう状況に対して、どのようなアプローチがあるのかなということを思っているわけですが、いかがでしょうか。

○小野寺職業能力開発局就労支援訓練企画官 まず、200とか158という数がどうかということですが、もちろん学卒未就職者全体の母数に比べれば大変少ない数字です。ただ、学卒未就職者については、いろいろな支援の選択肢があるということで、学校関係者なり、ハローワークなどの支援機関としては、まずは正社員就職ですし、それがだめでも有期であっても雇用を目指してほしい、何とか雇用ということになりましょうし、それであってもなかなか雇用が難しいということになれば、訓練で少しスキルアップをして、あるいは自信を付けてというところで訓練という選択肢になりますので、それら幾つかの選択肢の1つとして地域でそれぞれのニーズを把握しながら、必要だとする地域で設定をしているという状況を踏まえれば、一定の成果は上がっているのではないかと思います。

 コース自体が4月~9月開講としていますので、4月、5月の段階で、いきなり就職していない卒業生がすぐに訓練という選択をするかというと、それも難しくて、本人の考えももちろんあります。

 学校と連携して集客したらどうかという話もありますので、地域においてはハローワークでも、今は「新卒応援ハローワーク」という学生を対象としたハローワークもありますし、あるいは大学にジョブサポーターという専門スタッフを配置して支援をしています。また就職せずに卒業した方も、例えば若者支援コーナーとか、いろいろなコーナーをハローワークとしても持っていますので、呼び込みのチャンネルは幾つかありますから、大学なり高校なりと連携と併せて、いろいろなチャンネルを使いながら周知をし、必要な方には受講をお勧めすることを徹底してやっていかなければいけません。

 もう1つは、先ほど先生からもありましたように、学校自体の就職支援からも離脱しているような方もいらっしゃるということもあります。これは特に学卒未就職者のこのコースに限らずに、求職者支援訓練全体をもっとハローワークなり学校なりの窓口に来ない利用可能性のある方にもお知らせするように、周知についてもう少し別の枠で徹底してやらなければいけない。正に、今月は職業能力開発推進月間といって、我々も行政をPRする月間でもありますので、幅広くこの制度についても広めていかなければいけないと思います。そういったことも併せもって、受講が必要な未就職者の方にきちんと受けていただくということを、まずやっていかなければいけないかなと思っています。

(全国専修学校各種学校総連合会)関口常任理事総務委員会委員長 いろいろな選択肢の中の1つとおっしゃって、それは理解できますが、そうするとそれぞれの方法、手立てというのが、全体としてはどのぐらいのゴールを目指して、それぞれがそのゴールの中の内訳として、このぐらいの目標値を持つということを定めていくのは難しいのですかね。

○小野寺職業能力開発局就労支援訓練企画官 その辺は能開の訓練部分だけではなく、安定行政のメニュー立ても含めて、地域においてどのように組み立てていくかということになりますので、全体の選択肢の中で整理をしなければいけないと思います。そういった必要性というのはあるかと思います。

○今野座長 いずれにしても、15労働局で152名、平均1労働局10人ですか。

○小野寺職業能力開発局就労支援訓練企画官 そうです。

○今野座長 もし、来年これが同じような状況とか、もっと人数が下がってくると、同じ御意見は必ず出て、「本当に機能しているのか」という話になるので。

○山田職業能力開発局能力開発課長 学卒未就職者がすべて学卒未就職者訓練コースに行くわけではありません。学卒未就職者訓練コースというのは、ソーシャルスキルなども含めて特別に誂えたコースなので、学卒未就職者が介護系のコースに行くこともあり、学卒未就職者自体をこの特別のコースですべて受け止めているわけではなく、したがって100人とか、200人とかという話では必ずしもありません。

 学卒未就職者への対応が我々も学卒未就職者がどういう道をたどる、純粋にハローワークできちんと相談して、訓練を経ずに就職しようとしている人とか、そういったところがどのような流れでいっているのかという全体の絵姿を見ながら、だけれども、この人たちは訓練が必要だという人たちに対して、ちゃんと受け止められるような形にしなければいけないというのは、確かに思います。

 正直、具体的にそのコースのどれにどのぐらい当てはまるのかというのは、事前に見い出すのは難しいかなと思いつつ、ただ、いろいろな思いを持っている人に対して、それぞれ対応していかなければいけないというのは、確かにそうだと思います。学卒未就職者でも、介護業界に就職でチャレンジしてもうまくいかなかったけれども、スキルを高めてもう一回挑戦しようというのだったら、学卒未就職者コースではなくて、最初から介護のほうに行かれると思います。

○今野座長 いずれにしても、今、課長が言われたようなことが大勢だったらこのコースは要らなくなってしまうので、来年同じような状況になったときに、もしこれを続けるとしたら、こういう合理性があるというのをもう少し整理していただいて、話をしていただいたほうが、本日御発言いただいた関口さんも、「おお、そうか」ということになると思いますので。

○山田職業能力開発局能力開発課長 恐らく、今、学卒未就職者コースを持っている都道府県に、このように改善したら人はもっと集まるという、制度の枠組み上の桎梏でもってうまく人が集まらないということがあれば、恐らく制度を見直して、我々としても再チャレンジするという話と思っています。

 正直、労働局で学卒未就職者コースについて話を聞くと、まだ試行錯誤している部分があって、9月までに開講しなければいけないけれども、本当にコースのスタート時期をどの辺りにすればいいのか、あまり早くすると、まだ就職ができなかったショックから立ち直り切れていなくて、すぐに訓練に行こうという発想になかなかならないので、あまり早くにやるということでもなさそうなのですが、あまりに離れすぎても難しい面があり、スタート時期をどの辺にするのかといったことも含めて、都道府県間でも情報交換しながらやっているようです。同じような状況が続くようであれば、我々としても制度の在り方について、一定の考えをもって御提案するという話になろうかと思います。

(全国専修学校各種学校総連合会)関口常任理事総務委員会委員長 前にもお聞きしたことがあるのですが、職業訓練全体でもいいのですが、求職者訓練の受講者プロフィールとして、学卒未就労者がどのぐらいいるのかを把握して、それがこの特別なコースだけではなくて、全体にどれぐらいいてということは、年齢別の把握はできるけれども、プロフィール的にそういうのは押さえられていないという話があったのですが、具体的な学卒未就労者対応ということをやる前提としては、どのぐらい全体で受講しているのかという受講者プロフィールの問題に手を付けないと、効果があった、なかったということも言えないのではないかと思います。

○今野座長 こういう意見が出ましたので、来年またこのテーマが出てくると思いますから、そのときには少し情報提供していただいて、ここで議論できるようにしていただければと私は思っています。

(一般社団法人日本経済団体連合会)高橋労働政策本部長 学卒未就職者訓練コースの設定に関しては、能開分科会のテーマなので、この中央訓練協議会で協議するテーマではないということを、まずあらかじめ申し上げた上で、能開分科会では私は一貫して、学卒未就職者訓練コースの設定に反対をしてきました。それは、今野先生も新谷さんもよく御存じだと思います。でも、取りあえずやってみましょうということでやってきた経緯があったということも、申し上げておきます。

 繰り返しになりますが、在学中にいかに就職に結び付けていくか、あるいは卒業した後も新卒ハローワークを最大限に活用して、就職に結び付けていくことを厚生労働省としてはまず追及すべきであって、「訓練がありますよ」と誘導していくのはおかしいと思います。

 よしんば、先ほど山田課長がおっしゃったように、目的意識がはっきりしていて、この分野の訓練の知識が自分には必要なのだということであれば、その実践コースに入っていけばいい話で、新卒未就職者訓練コースをわざわざ設定しておく必要はないと、引き続き申し上げておきます。この点について是非能開分科会のテーマとして取り上げていただいて、検討する。その際には、先ほど今野先生がおっしゃられたように、しっかりとデータを整理して出していただくというお願いをしたいと思います。

(日本労働組合総連合会)新谷総合労働局長 高橋委員がおっしゃることにもごもっともな点があるのですが、学卒未就職者の問題は職業能力開発行政だけではなく、職業安定行政も当然メインでやっていただかなければいけない問題だし、本日は文部科学省の方も来られていますが、文部科学省との連携もやらなければいけない分野だと思っているのです。

 これは、特に職業安定行政でも大分論議しまして、高校のような、学校とハローワークが連携して、かなり組織的な関与を強めたやり方を大学にも持ち込もうということで、ハローワークからも大学ごとに割当てを決められて、かなり関与を強めていると思うのです。同時に、大学の就職部も機能を強化していただかないといけないわけですし、先ほどもあったように、ボリュームをどのように捉えて、どのような対策をするのか、総合的に対策は打たないといけないと思っているのです。

 そういった意味でいくと、職業能力開発行政だけでやれる範囲というのは、当然限界があるのです。ただし、ここは高橋委員と違うところなのですが、いろいろと政策的に整備が進められている中で、いろいろな対策は打ったけれども、就職できなかった。それはどこに原因があるのか。コミュニケーションスキルに問題があるというのであれば、学卒未就職者コースを設けて、そこで基礎的なスキルを高めてもらって、就職に備えるというのも重要な施策ではないかと思っております。したがって、これは職業能力開発分科会で議論するテーマではありますが、本日は中央訓練協議会という、訓練の中身を議論する場でもありますので、学卒未就職者コースは設けて、どんどん活用していくべきではないかと思っています。

○今野座長 制度はどうあるべきかは能開分科会でやってください。我々は、その状況を見て「こういうアイディアはどうですか」という意見を言うというのは、必要なので、そのためにはもう少しさっき言ったような情報があったら、もう少し生産的な議論ができるかなということです。ほかにございますか。よろしいでしょうか。

 それでは、本日用意された論点は全て終わりました。全体を通して何か御意見はございますか。よろしいでしょうか。特に、本日の資料2に出された1から3までの論点については、先ほど順次皆さんの意見を踏まえて整理をしましたので、そういうことを踏まえて事務局におかれては、来年度の職業訓練実施計画の策定に向けて、作業をしていただきたいと思います。

 本日の中央訓練協議会はこれで終了させていただきます。次回については、別途事務局から連絡があると思います。ありがとうございました。


(了)

職業能力開発局能力開発課
企画調整係
03-5253-1111(内線5924)

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