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2013年5月29日 第2回再生医療製品患者登録システムの在り方に関する検討会 議事録

医薬食品局安全対策課

○日時

平成25年5月29日(水)13:30~15:30


○場所

厚生労働省専用第12会議室


○議事

○事務局 それでは、1分ほど前ですが、皆様おそろいになりましたので、第2回「再生医療製品患者登録システムの在り方に関する検討会」を始めさせていただきます。まず、開催に当たりまして、今回初めて御出席される構成員の先生を御紹介いたします。京都大学再生医科学研究所教授iPS細胞研究所副所長の戸口田淳也先生です。
○戸口田構成員 戸口田です。よろしくお願いいたします。
○事務局 続きまして、前回開催後、参考人の変更、事務局の異動がありましたので御紹介いたします。まず参考人でしたFIRMからのアステラス製薬の中島秀典先生が御辞退されておりますので、御報告いたします。また、事務局ですが、広瀬安全使用推進室長です。
○安全使用推進室長 広瀬です。よろしくお願いいたします。
○事務局 籔田係員です。
○事務局 籔田です。よろしくお願いします。
○事務局 また、本日の議題に関して新たな参考人を招聘しておりますので御紹介いたします。株式会社三菱総合研究所の冨田稔主席研究員です。同じく三治信一郎主任研究員です。同じく野村広之進研究員です。同じく浅野泰史研究員です。同じく宇佐美篤研究員です。紹介は以上です。それでは、議事進行を座長の澤先生にお願いします。
○澤座長 それでは、まず事務局から本日の配布資料の確認をお願いします。
○事務局 それでは、配布資料の確認をいたします。お手元に1枚紙で本日の「議事次第」があり、その半分から下に配布資料の一覧があります。「本日の席次表」、「第1回再生医療製品患者登録システムの在り方に関する検討会での意見を事務局で整理したもの」、議題2の資料ですが「再生医療の市販後安全対策にかかる調査事業」のパワーポイントのプリントアウト、「再生医療の市販後安全対策に関する調査事業最終報告書の要約版」があります。次に「薬事法等の一部を改正する法律案の概要」のパワーポイントの2アップの両面コピーの資料、同じく「再生医療等の安全性の確保等に関する法律案の概要」ということで、パワーポイントの2アップ両面コピーの資料。本日の構成員の名簿、「本検討会の開催要領」があります。前回第1回検討会の議事録を配布しております。また、委員の先生方におかれましては、先ほど御紹介しました報告書の要約版に加えて、最終報告書の本体もお配りしております。以上です。漏れ等がありましたら、お申し出ください。
○澤座長 よろしいでしょうか。それでは、議事に移りたいと思います。まず最初の議題は「前回会議の議論の概要と経過」で、前回からかなり時間が経過しておりますので、事務局から前回会議の議論の概要と、その後の経過について御説明ください。
○事務局 それでは、資料の「第1回検討会での意見(事務局で整理したもの)」という最初に御紹介した資料を御覧ください。
 前回の検討会でフリーディスカッションをしていただきましたが、先生方から頂いた御意見を事務局で整理して、ある程度の枠組みにまとめたものがこの資料です。2ページに、まず「検討の方法・留意点にかかる意見」ということで、既存の類似のシステムの問題点の検証に関する意見がありました。また、理想的なシステムの全体像は何かということ。薬事法改正等との関連性、システムの大きな枠組み、フィージビリティスタディによる改良といった御意見が出ております。
 3ページは、検討課題、今後議論いただく論点の候補になるかと思いますが、検討課題にかかる意見として、システムの運営資金をどうするのかという問題。患者登録の内容。これがいわゆるミニマムとしていくのか詳細としていくのかという話。患者登録のインセンティブをどうするかという御意見がありました。
 4ページは、国と学会等の役割分担についてどうするかという御意見。また登録症例の追跡期間について、システムのデータベースの品質保証について、システムの利活用を踏まえた設計について、ここに示されたような御意見があります。
 5ページには、取り扱う再生医療製品の範囲。すなわちデータベースに登録する症例の範囲ということで意見があります。また再生医療製品の安全性と有効性の評価(検証)方法について御意見がありました。
 最後のページには、今回、このあと御報告いただく実態調査について助言と要望を頂いております。これらも踏まえて昨年度の2~3月にかけて、このあと御紹介する三菱総合研究所に調査を委託して、実態調査をやっていただきました。今日はその結果を先生方に御紹介して、今後の議論にいかしていただくということで、質疑等を含めて、いろいろなポイントを教えていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。以上です。
○澤座長 先生方、よろしいでしょうか。前回の会議の内容について、もう一度思い起こしていただきながら、議論を進めさせていただきたいと思います。
 それでは「再生医療製品の市販後安全対策にかかる調査報告について」、事務局と本日参考人としてお呼びしました三菱総研の方々から、御説明をよろしくお願いします。
○事務局 それでは、準備をお願いします。進め方ですが、ほぼ90分ぐらいの時間を取っております。説明する時間が50分程度、質疑の時間を40分程度と見込んでおりますが、まず一通り調査の結果を報告いただき、その間、その都度質疑がありましたら、短い質問等であれば、その場でやっていただき、全部終わったあとに、一通り全体の議論をしていただければと考えておりますので、よろしくお願いします。
○株式会社三菱総合研究所 野村でございます。議題2の「再生医療の市販後安全対策にかかる調査事業」に関して、御報告したいと思います。議題2の資料ですが、皆様のお手元に印刷されたパワーポイントのプレゼンテーションがあるかと思います。こちらに沿って御説明したいと思います。
 まず1枚目は、本日お話する内容ですが、調査の目的とスコープをおさらいさせていただければと思っています。続きまして「既存の患者登録システム調査結果」で、今回、数多くの患者登録を行っている企業あるいはレジストリー機関に訪問調査をさせていただきました。その中で特徴的な患者登録を行っておられると思われる皆様方の7事例について、こちらで事例ベースでどのような患者登録が行われているかというのを、まず御紹介させていただきたいと考えております。そのあとに「各国調査結果概要」と書いてあるのが、各国の調査をさせていただく中で、そのレジストリーに関連するところ、あるいはそれ以外の部分でも、再生医療に全般的に当てはまるであろうという御要望とか、そのレジストリー本体にはかかわらない様々な背景要因もありますので、そちらを3つ目の「各国調査結果概要」で整理しております。最後に「患者登録システムについての仮説」ですが、こちらが既存のレジストリー、患者登録の結果と、もう1つは再生医療製品は非常に特殊性を持った製品であると認識しておりますので、それを踏まえた上で、どのようなシステムが考えられるのかを、情報の整理と弊社としての仮説という形で書いています。
 まずは「調査の目的とスコープ」から話をさせていただければと思います。本調査の目的は一言で申しますと、日本における再生医療製品使用患者登録システムの在り方を検討するに当たった示唆を得るということになろうかと考えております。1ポツで書いているのが、再生医療製品は、皆様御承知のとおり、かなり実用化に向けて様々な法制度の整備や技術の革新が起こっている分野で、今後より一層期待される分野であろうというところです。ただし、真ん中にある3つの点から再生医療製品の安全性・有効性は、従来の医薬品とは異なった視点から考えなければいけないという面を書いております。
 1つ目は、細胞を新たに利用するような製品であるということ。更にその細胞もこれまでの自家細胞から他家細胞、さらには体細胞から体性幹細胞であったものが、iPSやESというところにも進歩していく、技術的に進展していく動いているものであるというところです。
 2点目が製品としては不均一であるという特性を持っており、更に利用対象者数も非常に少ないという特性があることから、承認前に十分な臨床成績を得るのはなかなか難しいという部分です。
 3点目は、開発の主体が、おおよそベンチャー企業が多いということで、市販後の安全対策に十分対応できないおそれがあるという部分が3つの特徴だと認識しております。
 現在、導入が議論されている早期承認制度の整備と合わせますと、この市販後の患者登録というのは、これまで以上に重要性を増すものであろうと考えておりますので、それに対して先ほど申し上げたとおり、企業のみでは難しい。企業のみではなく、行政の支援や医療機関との連携を考える必要があるだろう。その一環として、この患者登録システムの構築を行うということですので、それに対する示唆を本日、海外の事例あるいは国内の事例から整理させていただいたのが、本調査の目的です。
 3ページです。本調査は、2013年2~3月の2か月間にかけて行いました。主に行ったのは訪問でのインタビュー調査で、それを補佐する形でアンケートでの調査あるいは訪問に関する情報を文献でも整理するという文献調査という形で行っております。
 インタビューとアンケートでは、この表に整理したとおり、大きく5つの対象に対して調査を行っております。1つ目がレジストリーと書きましたが、こちらは既存の存在するレジストリーで、患者あるいは疾患ベース、あるいは特定の医療機器ベースで既に患者情報が蓄積されている所に対して、どのように蓄積をしているのか、その仕組みそのものとか、市販後調査にはどういう在り方があるかの視点からインタビューを行っております。
 続きまして、研究者・有識者ですが、こちらは主に再生医療関係の視点でどのような特殊性を考慮する必要があるのか。再生医療だからこそ、このような市販後調査の姿があるべきではないかという視点から調査を行っております。
 3つ目は医療機関・医師・学会ですが、こちらは実際に入力をしていただく部分と、あるいは学会で既に幾つも作られているレジストリーがあると認識しておりますので、そこの背景の部分も併せてお話を伺った次第です。
 4つ目の企業と書いているのは、主には再生医療を販売している、扱っている企業で、こちらが既に自社で市販後調査を行っておられるということですので、そこの実態を伺ってまいったというところです。
 最後に規制当局ですが、こちらは御存じのとおり、直接運営にある程度携わっているレジストリーもありますし、あるべき市販後調査の姿をどのようにお考えでしょうかという視点でも規制当局に意見を伺っている次第です。
 続きまして、4ページです。次の章の市販後患者登録システムの事例を7事例と申しましたが、その事例を整理する前に、どのような市販後患者登録の目的があり、今回の調査ではどのようなものがスコープに入るのかを整理したものです。患者登録を誰がしているかという視点で申しますと、大きく目的ごとに考えますと、企業が行っているもの、もう1つは国・自治体あるいは学会・研究機関が行っているもの、最後に個々の病院・医療機関でされているものという形で3つに分かれると認識しております。
 企業が市販後患者登録を行う目的は、言わずもがなですが、主に新製品を承認された後に、規制当局との間での話合いを経て、何症例をどのぐらいの期間で集める必要があるというところで、市販後の調査という形で安全性・有効性を検証していきたいというのが企業の主な目的であろうと認識しております。
 補足的には書いていますが、今回、それが主な目的ですが、調べていく中ではそれとは関係なく、特に再生医療企業の場合は、特定の期間が終わったあとも症例を自主的に集めて続けている事例もありましたので、そちらも併せて少し御紹介したいと思っております。
 一方で国・自治体、学会・研究機関は、主に特定の機器、手術、疾患ごとに患者のレジストリーを構築しており、それぞれの治療成績を分析あるいは研究する。言い方を換えますと、その特定の学会に属しておられるドクターの方々の間で、より良い治療をするにはどうしたらいいだろうかというところを研究したり、そのデータという形で公表するということで、どちらかというと研究の部分に焦点が当たっているものが、2番目の患者登録の目的です。
 こちらも補足的になりますが、2ポツで書いているのは、一方で製品の使用条件として、国からレジストリー構築が最初から義務付けられて、それを基にやっておられる部分もありましたので、それを併せて補足で御紹介させていただきたいと思っております。
 最後は病院です。こちらは今回の再生医療の話のスコープの中で考えますと、個別の医院でやっておられる細胞治療や個別の病院において行われた治療を蓄積しているというパターンです。これは主に個別の病院内で治療を受けた患者の治療経過とフォローアップのために実施するもので、特段どこかに情報を出して、共有していこうという趣旨で作られたものではないと認識しております。
 本調査のスコープですが、主には市販後の安全対策を強化するという視点から、企業がやっているようなもの、あるいは国・自治体、学会・研究機関がやっているようなものが参考になろうという整理をしております。
 5ページ、次の章の「既存の患者登録システムの調査結果」です。先ほどプレーヤーとしては企業、学会・研究機関、あとは国・自治体ということで整理しましたが、それぞれの市販後患者登録のシステムの具体例とともに、どういうパターンがあるのかを整理したものが6ページの表です。こちらの具体例には合計で16個のレジストリーを報告書本体には記載しておりますが、本日、御紹介するのは横線で区切ったように、少し場合分けをして、その中で代表的な事例を1つずつ、計7個を御紹介できればと思っております。
 企業がやられるような市販後登録では、調査のスコープから考えると、大きく2つに分かれると認識しております。1つ目は、Viedoc/Viedoc Meと書いている所です。医薬品あるいは医療機器の市販後調査として、主に既に行われているような患者登録のシステムというのは、当然既存のものが存在します。Viedoc/Viedoc Meというのは後ほど御紹介しますが、CROが作っておられる患者登録のシステムとして販売しているようなもので、皆様がよく認識されている市販後調査のシステムそのもののことです。
 一方、再生医療という視点で見ますと、企業の2つ目の箱ですが、こちらは再生医療の市販後調査で、少し既存の医薬品や医療機器の市販後調査とは異なる部分がありますので、こちらは分けて御紹介させていただいております。
 その次に6つほどレジストリーの名前を書いておりますが、こちらは学会・研究機関が運営されているレジストリーで、主には学会内での情報共有や研究を目的として構築されたレジストリーです。
 その1つ下の箱の「造血細胞移植登録」ですが、こちらは確かに学会員同士の情報共有を目的として作られているものの、一般の研究者も申請すればデータの活用が可能というのを非常に前面に押し出していらっしゃるという形で、少し分けて事例として御報告させていただきたいと思います。また、国としても法律に基づいてこちらを助成していくという動きがあるということも、併せて御報告させていただきたいと思います。
 その1つ下は、National Clinical Databaseです。こちらは参加されている学会の数が19というように、非常に多く、更に医師であればデータの検索や閲覧が可能になっているという意味で、また更に少し公開の範囲が広がっていると考えております。こちらは後ほど御説明いたしますが、認定医制度等々との連携を含めて、先進的な取組をされていると認識しています。
 その下は、今度は国が主に運営に関与してくるという部分の具体例です。1つは皆様御承知のとおりのJ-MACSです。こちらはPMDAと企業が費用を負担して研究機関、企業、規制当局の間で情報を共有できる仕組みを構築しておられるというところで、事例として1つ取り上げさせていただきました。
さらにその下にまいりますと、スウェーデンのNational Quality Registryあるいは英国のNational Joint Registryというようなものがあります。上のNational Quality Registryは疾患ベース、Joint Registryは人工関節に関するレジストリーになっておりまして、こちらは国が主導的に構築するレジストリーですので、1個上のJ-MACSに比べて、かなり分厚い電話帳のようなアニュアルレポートを毎年のように発行して、ある意味で公のデータとしてそれを公開するというところが、上のJ-MACSなどとは異なると考えております。以上、ざっと御説明しましたが、この7つの枠組みに沿って、以降、事例を簡単に御紹介させていただきたいと思っております。
 1つ目がViedoc/Viedoc Meで、こちらが既存の医薬品を登録するようなシステムになっています。運営主体としてはPharma Consulting GroupというCROの企業が運営しており、そこが一緒に販売しているシステムがViedoc/Viedoc Meという名前で紹介するものです。登録する症例は、当然製薬企業から受託を受けて登録しますので、特定の医薬品、新規に認可されたり、追加の調査が必要になる医薬品について登録するというところです。費用は、当然製薬企業が負担することになるわけですが、少し変わった取組としては、Viedocというのはこれまでにあるもののとおり、病院のドクターとか医療現場の方が情報を入力して企業にその情報が行くことになるわけですが、Viedoc Meに関しては、タブレット、スマートフォンあるいは各自のPCで患者さんが御自身でQOLに関する情報を入力するというシステムになっており、こちらが少し特徴的な取組であろうかと考えている次第です。
 一般的な医薬品から、続いては再生医療に特化した市販後調査の事例です。こちらの運営主体は、韓国のある再生医療ベンチャーです。登録している症例は自家培養皮膚と他家培養皮膚と2つの製品です。参加している施設は、当然製品を使用した施設ですが、自家培養皮膚では全例の登録を基本としているのに対し、他家培養皮膚では、全体の10分の1程度を登録しているというのが実態でした。
 なぜこのようなことになるかと申しますと、下の症例数で少し書いていますが、条件付承認のとき、これは期間は5~6年ですが、通常再生医療製品は自家であっても他家であっても600症例の登録を求められています。ただ、自家培養皮膚の場合は600症例はとても集められないということで、再生医療企業が、韓国の規制当局の方と話をして、100件程度に減らしていただいています。100件集めるのもかなり大変なので、基本的には全例を登録しているというのが実態でした。
 一方、他家の方は600症例というのは集まっているというのが実態で、全件集めなくても、基本的には上に書いている10分の1程度の件数を集めれば、これで事足りるというところで、その程度の症例数を集めています。
 費用負担については当然再生医療ベンチャー企業が負担している部分で、インセンティブという形でこのように書いておりますが、条件付承認期間内は調査は義務化されており、その後は各企業の任意の形になっています。本当に登録されている方々のインセンティブという意味合いでは、この再生医療企業のMRとか市販後調査を担当されている方が、実際に病院に伺い、その場で紙にドクターから聴き取った結果を書いています。その書いた結果をもってドクターにお金を少し支払って、それで何とか症例数を全例集めてきているというのが実態のようです。解析については、各企業で解析を行い、規制当局にその結果をレポートするという仕組みになっています。
 続きまして9ページに「TARGET/新TARGET」と書いていますが、ここから運営主体が学会に移ってまいります。運営主体は日本血液学会です。どういう患者をこれに登録しているかと申しますと、特定の医薬品、グリベックという慢性骨髄性白血病などに使われる医薬品を使用した患者を登録しております。日本血液学会の会員施設において登録をしており、症例数としてはTARGETが5年間で大体1,200症例です。今、新TARGETに移向していますが、移向したあとで500症例ぐらいを登録しています。
 費用としては、学会が負担しているというよりは、グリベックを販売されているノバルティスファーマが委託研究の形で費用をきょ出しており、それを学会で分析しています。
 継続調査としては、TARGETではフォローアップ入力も実施しているというところと、登録インセンティブで一番大きいのは、慢性骨髄性白血病のタイプの診断をすることで、このデータベースに登録すると無料で遺伝子タイプの診断ができるというインセンティブを与えておりますので、ドクターも自分自身の患者に勧めやすいという形で登録して、遺伝子検査を受けてもらっているという、モチベーションにつながっていました。
 続きまして10ページの造血細胞移植学会、いわゆる骨髄移植の事例です。こちらの運営主体は造血移植細胞学会で、登録しているのは造血細胞を移植した事例です。1つ特徴的なのが費用の負担で、企業が学会に費用をきょ出していたということで、企業が負担していた部分が多かったのですが、近年では法律が一部改正されたこともあって、今後は一部分ですが、国による助成が始まる見込みです。
  登録インセンティブと書いているのは、こちらの学会ではお話を伺うと「我々は骨髄移植のプロフェッショナルであるという意識が非常に高い学会で、特にインセンティブはそこまで考えていないが、スペシャリストなので登録するのが当然なのではないか」という言い方をインタビューではされてしまったわけですが、その学会間の結束というか、中で症例情報を共有していこうという意識が高く、それが登録インセンティブに直接つながっているという事例です。
 続きまして、National Clinical Databaseで、先ほど申し上げた19もの学会が参加してやっておられるかなり大規模なデータベースの部分です。11ページですが、こちらの運営主体はNational Clinical Databaseという19学会で構成されているところです。手術と治療に関する情報を全件基本的には登録しています。症例数としても非常に多く、年間約120万件あり、費用の負担は最初の設立の部分に関しては、外科学会、消化器外科学会の臨床学会が基金を創出しました。運営費用としては、年間1億円程度を見ています。あとから学会が加わって、今、総計で19になっていますが、その間の費用負担は学会によって基本的な入会金だけ払われている所と、毎年きょ出されている所という形で少しばらつきがあります。
 登録インセンティブで冒頭にも少し触れましたが、専門医制度を採るために、その手術情報はNCDに登録した情報しか認められないということで、専門医制度とのリンクが登録のインセンティブとしては、かなり強く働いています。また、個別の医療機関としては、自身にデータがフィードバックされるということで、全国平均と比較した場合、自分たちの病院でどのような治療が行われているのかという実態が把握できる部分です。こちらには記載がない部分ですが、実態を伺いますと、それでも最初の1年間はかなり反発が出たと申しますか、これほど煩雑なものに登録するのは大変だという御意見もあったということですが、いざデータをフィードバックし始めてみる、つまり、年間データを蓄積したあとに実際にフィードバックが自分の所に来てみると、基本的にはそういう苦情はなくなったということで、データのフィードバックについても、かなり重点的に取組を行うということで、インセンティブとしているということでした。
 基本的なデータの分析結果は、今、申し上げたとおり、自動的にと言いますか、加入している学会の方には返されるわけですが、別途複雑な分析等々を依頼することもできます。その場合はNCDがそれを行うのですが、その際は別途依頼元から費用を徴収する形で行っています。
 12ページのJ-MACSですが、J-MACSの運営主体はJ-MACS運営委員会・業務委員会で、PMDAが事務局を担当しています。登録症例に関しては、植込型補助人工心臓の装着患者については全例登録することになっております。あるいは体外の設置の者についてはJ-MACS参加施設の症例を登録する形で運営されています。参加施設は22施設、症例数は176件がこれまでに登録されています。費用等々はこちらに記載されているとおりです。
 登録インセンティブに説明を移らせていただきますが、全施設のデータを基に集計した結果が、日常的に臨床医に活用して頂けるような形でフィードバックされています。また、1症例当たり3万円の調査報酬を企業が医療機関に支払う形でインセンティブがあります。さらに学会での実施施設の認定要件とも結び付いており、J-MACSへの参加、登録が実施施設の認定要件に含まれているというところも登録インセンティブになっております。こちらの解析としては、有害事象の発生や死亡、再入院、移植、抜去等のイベントという形で集計・解析を行っております。
 少し御説明に漏れてしまった部分もありますが、ここまでの範囲は基本的に2番目に紹介した再生医療ベンチャー企業以外を除いては、基本的にWebベースでのシステムが構築されていて、登録を行っている事例です。Webを使う理由としては、ドクターの使い勝手がそもそも良いというところと、システム自体がかなり入力しやすく、例えば選択式にするとか、異常な値を弾くことができやすくて、そういったポータルサイトを用いて行っているというところが得られた示唆でした。
 一方、再生医療ベンチャーの方は紙ベースで行っているわけですが、こちらは症例数がなかなか集まらない。それだけ少数の症例のためにWebシステムを構築するのは非効率なのではないかということで、そちらのみは紙ベースで集めているというのが実態です。
 13ページはNational Joint Registryというところで、英国で整備されている股関節、膝関節、肘関節、肩関節、足首のあらゆる人工関節を登録するというレジストリーです。こちらはHQIPという英国保健省が設立した非営利の組織で運営されており、参加施設が392施設です。150万症例がこれまでの蓄積で、年間16万程度増えているという状況です。登録率も80~90%、それ以上という形で、非常に高く推移しています。
 費用の負担方法が初期の設置費用、スタートアップの費用としては国費で負担していますが、運用面に関しては人工関節の1手術当たり20ポンドの費用を病院から徴収されています。実質的には病院はそれを患者に請求して、患者は保険で支払いますので、実質的には保険償還という形になるという仕組みを取っています。20ポンドのうち15ポンドがHQIPという運営団体に入るわけですが、1.5ポンドは製品をサプライしているメーカーに入ります。これはどういうことかというと、実は2011年から人工関節の手術をレジストリーに登録することが義務付けられたということがあります。その際に本当に登録しているのかというのをチェックする意味合いでもHQIPでは企業がどこの病院に幾つの人工関節を販売したのかという実績と、実際にその病院から上がってくるレジストリーに登録される症例数を比較して大体何パーセントの登録があるかという形で算出を行っているということでした。そのため、ある意味で企業に情報提供を求めるという部分の費用が1.5ポンドに当たる部分という認識です。
 費用負担の最後に書いていますが、下の図を見ていただくと、レジストリーに蓄積された情報は、各病院とか規制当局も見ることができ、また企業、研究機関、学会といった所、全てに矢印が伸びている図を書いていますが、レジストリー機関がブリストル大学と提携して、まず自身で集めた情報を基本的な解析はブリストル大学に依頼するという形になっています。そこの解析の結果からアニュアルレポートなりを作成して国民に広く結果を公開するということが1つにはあります。
 もう一方で、個別の研究機関、大学の先生方がこのデータを利用したいというときには、当然研究機関から申請を上げていただいて、審査した上で、では、どのぐらいのこの研究に必要な情報を渡しますという形で、そこからデータを研究者の方々にフィードバックする仕組みが機能しております。ここまでは無料で行われる範囲です。
 次に企業がこの情報を求めてきた場合については、それが完全に自社製品の場合は別ですが、他社の製品とか一般的な使用情報が含まれる場合は、企業に追加の費用負担を求めて、そこからも資金徴収を行っているというのが費用負担の最後のポツで書いてある意味合いです。そういった意味合いでは複数の費用負担、最初は国費で設立されたあとに基本的には手術費用から徴収され、更に企業が追加で用いたい場合は、そこからも費用を負担していただくという形で複数の資金源を持っているという形です。
 以上が7症例を、少し足早ですが、それぞれの特徴的となる部分を中心に説明させていただきました。1点、13ページの最後のレジストリーについて、ほとんどがWebで集めているとお話しましたが、ここのNJRは非常に大きなレジストリーでありながら、Webと紙ベースの情報も一緒に集めているという特徴も持っております。
 理由としては、紙ベースでなければ、心理的になかなか入れてくれない方々がいらっしゃるということで、どちらかというと、入れ手側が入れたい手段でデータを入力してくださいという形のスタンスを採っておりまして、Webも整理されていますし、あるいはホームページ上で報告書本体に付けていますが、PDFの資料が公開されており、それに入力して郵送していただいても構わないという方式を採っているようです。少し話が戻りましたが、7つの事例をおおまかに御説明させていただきました。
○事務局 一旦ここで短い質問等があればお願いします。
○澤座長 では、ここまでで御質問等がございますでしょうか。大体いろいろなパターンのレジストリー、登録システムについて御紹介いただきましたが、登録の主体が誰であるか、運営主体、誰が登録するのか、運営がどうなっているのか。誰がお金を出しているのか。あとどのようにフィードバックされているかという点が、それぞれに異なるという話ですが、何か質問はありますか。
 ないようですので、続けてお願いします。
○株式会社三菱総合研究所 続いて、14ページ、各国の調査結果概要の説明に移ります。ここまでのスライドでは、それぞれのレジストリーを事例ベースで見させていただきましたが、国による特徴、特性は当然あるわけです。そこについて、フォーカスを当てて載せているのが、ここ以降になります。特に、レジストリー、患者登録システムを少し離れて、再生医療製品ではかくあるべき、再生医療製品の場合は各国どうなっているのかという状況も織り交ぜながら、こちらの話を進めたいと思います。
 最初に、レジストリーの特徴として、今までのレジストリーの整理をしたいと思います。日本、米国、韓国、欧州の4地域について、今回調査を行いました。どちらかというと、日本については国主導、学会主導、研究機関主導など、多くのパターンのレジストリーが存在しているのが実態であろうかと認識しております。一方、再生医療製品ですと、日本の現状としては、現在承認されているものが2品目に留まる状況です。
 米国については、学会が比較的強い力をもっており、学会主導でのレジストリー構築が盛んです。国が関与するよりは、学会が力も資金も豊富に持っているので、そこの関与が大きいです。再生医療製品としては、9品目が上市されており、再生医療製品市場としても世界最大です。
 韓国は、再生医療製品に対する政策的支援は、御承知のとおり既に早期承認制度を取り入れている点、あるいは研究主導病院として取り組まれている部分等充実しているものの、市販後については、レジストリー構築は余り行われていないのが実態でした。再生医療製品については、既に14品目が上市をしております。
 欧州は、医療情報は公共の情報であるという認識が強く、国がかなり主導的な役割を担っており、個別の疾患や製品ごとのレジストリー整備に対して、積極的に関与していく姿勢が見られます。実は、先ほどNJRの所で紹介しましたHQIPという団体も、NJRだけではなく様々なレジストリーを運用しており、その代表事例がNJRです。そういった機関を国が設置をし、積極的にレジストリーを整備するのが欧州の特徴であろうと思っております。再生医療製品は、20品目程度上市されていますが、御存じのとおり個別の地域や病院といったホスピタルイグザンプションのような使い方が大半であろうということです。
 以降、少し国ごとにそれぞれの特徴をまとめております。日本、米国、韓国については、再生医療製品という視点で整理をしていますが、欧州についてはどちらかというとレジストリーが非常に発達している背景がありますので、こちらはレジストリーに主眼をおいて、以降の国ごとの整理を書いていることを、前置きとして述べさせていただければと思います。
 16ページです。レジストリーの事例を説明する中で重複する部分がありますが、市販後調査の全体像として各国で共通している部分は、第1に再生医療製品について公的な機関が運営するレジストリーは、今回調べた範囲では見つかりませんでした。どのように行っているかといいますと、先ほどの韓国の企業の事例のように、企業が規制当局と実施内容を協議し、企業責任において市販後調査を実施する、いわゆる一般的な医薬品と同じように実施されています。それを行う際には、データベース化されているシステムはなかなか存在しておらず、基本的には個別の病院に対して各々ドアノックをして、訪問して情報を収集するプロセスを踏んで、自社内にデータを蓄積して、それを規制当局に報告すると。言い換えると、その情報は自社内と規制当局の2つに蓄積されて、他には出ない仕組みになっています。
 個別に、国ごとに違う部分を説明いたします。日本の2ポツ目ですが、システム化、データベース化は進んでいないのが現状です。年間登録症例数が少ないのですが、1人当たりの患者の入力項目が多いので、企業側、医療機関側ともども負担が大きいという意見が、多くの方から聞かれました。また米国については、再生医療製品は移植によって1年以上体内に埋め込まれる製品というような扱いで、こちらも企業の責任で、その枠組みの中で再生医療が語られるというような状況です。
 韓国については、条件付承認の期間はKFDAが主導しますが、安全性・有効性の分析をして承認後は、市販後調査を行うかを含めて、企業ごとに本承認を得たあとは任せてくださいというスタイルになっています。欧州は国の関与が多いのは、前述のとおりです。
 続いて、17ページです。入力の利便性、あるいはインセンティブを確保するために、どのような取組をされているかです。共通項目として挙げられるのは、Webシステムを用いた場合は、選択性にする、あるいはシステム側で異常値が出た場合、例えば患者の基本情報を入力する場合に、身長が特定の範囲に収まるわけですが、そういったものが外れていたら弾く、あるいは血圧の異常値を弾くということで、1つはデータの品質を確保します。もう1つは、不具合があった所のみを入力するということで、ドクターの入力の手間を大幅に削減しています。すなわち、ほとんどの項目はドクターは読み飛ばしていて、少し気になる項目だけを入力するというような仕組みにすることで、かなり手間を減らすというようなやり方です。
 インセンティブについては、製薬企業の担当者が医師を訪問する方法、あるいは医師に謝礼をお支払いする方法で確保している場合が多く聞かれました。これは、製薬企業が実施している市販後調査の場合です。それに対して、国、学会で主導されているレジストリーについては、学会に所属する医師がかなり主体的にレジストリーを構築し、自分たちの中で非常に治療をより良くしていこう、特定の治療に関するデータの共有をしていこうといった意味合いが強く、それ自体がインセンティブになっている側面が強い部分があり、少し実施主体によってインセンティブが異なるところです。
 その下ですが、利便性確保とインセンティブの所を、少し細かく書いておりますが、日本と韓国である程度の金額の差があったり、看護師が入力したりという話もあります。それから、韓国の場合は、利便性確保とつながるかとは思いますが、市販後調査の項目をかなり減らしております。条件付承認として承認を得たあとは、臨床試験とはかなり違う量の情報を入力しています。具体的に言いますと、ペラ紙の両面ぐらいで収まるデータを集めて、それを市販後調査としているような部分です。基本的には、異常反応がないか、あるいは有効性として臨床試験と同じぐらいが期待されているかというような部分を中心に、市販後調査を行っていました。そのような意味でも、米国も実は安全性のみを調査しています。こちらも項目はその分少なくて済むという形で、利便性を確保していました。
 18ページは、有効性・安全性の検証です。再生医療製品に関して、どのぐらい有効性・安全性を市販後調査で取るべきかです。各国の記載を見ていただきますと、共通している部分をなかなか見つけにくく、どの国も難しい状況になっています。先ほど申し上げましたとおり、米国では安全性のみ、韓国では非常に簡略化した、臨床試験の情報からの乖離がないか。日本は、情報量としては多いという話も聞かれたのですが、有効性についてはなかなかエンドポイントをどこに置くかや、どのような手法で見るか、個人差や医師の技能の差があり難しいということで、ここはまだ決め兼ねている部分が各国では多いのかなというのが、調査の結果として浮かび上がってきました。
 19ページは、確保すべき症例数、期間です。こちらも、ケースバイケースで、それぞれの国の法令によって、日本では全件を登録して52週まで見まして、そのデータが30年保存されるという仕組みです。米国でも、ケースバイケースですが、5年程度の追跡が義務付けられています。韓国では、再生医療製品600症例が基本ですが、自家では現実的に困難という背景があります。欧州のみ、少し別の視点ですが、国が運営しているレジストリーという意味では、基本的には全数を永久的に記録することを目指しています。
 その他、これらの項目に当てはまらない部分ですが、再生医療製品をどのように考えたらよいかです。再生医療製品の特殊性と、その特殊性であるからこそ、こういったレジストリーをつくらなければいけないというような方向性として、主な意見を20ページでまとめています。再生医療製品の特殊性は、再生医療製品が新たな医療分野であること、情報を社会にオープンにして、患者等の理解を求めていく必要があること、それからベンチャー企業が少なくなくてやはり市販後調査の負担が重いということで、実施主体の観点からも費用面の観点からも、公的支援が必要という声が多いのが現状でした。
 製品について、不均一で対象症例が少ないという特殊性からは、安全性・有効性を分析するためには、まずは集めたデータをきちんとした品質で確保する、あるいは患者自信がデータが足りないのであれば、QOLという形で情報を入力するというアイディアもあるのではないかという示唆もいただきました。
 最後に、治療方法に関するノウハウが少ないということですが、こちらもやはりこれまでの治療経験が余りなく、特定の手法が確立されていないというところから、実際臨床研究を行った際のデータや、臨床試験のデータ、その他のデータベースで蓄積されている情報と連携を取りながら、それをいかして少しでも現場に対して役に立てたいという意見が伺われました。
○事務局 ここで、また短い質問等ありましたらお願いします。
○澤座長 よろしいですか。では、続けてどうぞ。
○株式会社三菱総合研究所 21ページ以降は、患者登録システムについての仮説です。これまでの状況を踏まえて、弊社なりに状況の分析と仮説の整理をしております。こちらの情報は、報告書の81ページ以降に、詳細なものが記載されております。ここでは、キーワードだけでなかなか意味が伝わりにくいところもあるかと思いますが、そちらも御参照いただければと思います。
 今回、レジストリーの構築について論点となっているのは、大きくは17個の視点があるのではないかというのが、ヒアリングの結果から分かったところです。1つ目は、どういった主体が運営するのかです。Aから番号が振ってありますが、誰が運営主体となって、運営の意思を決定するのが誰かという意味合いですが、誰が運営委員会を行うのか、どのように資金を調達するのか。そのほかにも、システム、データ分析、品質担保、ヘルプデスクという様々な機能を誰が持つのかという運営側の視点があります。左側が、入力主体の視点で、誰が入力するのか、どの範囲を入力するのか、期間はどのぐらいなのかという視点があります。利活用も、利用するのが誰であるか、MからQまでの視点があろうかと認識しております。第1回の検討事項のときに御指摘いただいた項目と少し照らし合わせてみますと、このような対応関係があるかと我々としては解釈しております。
 それぞれの視点に対して、既存のシステムではどうなっているのか。続いて、考慮すべき再生医療の特殊性としては何があるのか。最後に、それら2つを踏まえるとどのような仮説が成り立つのかという形で、情報の整理を行っております。これが、先ほど申し上げました報告書本体の81ページ以降からの構成になっております。こちらは掻い摘まんで説明したいと思います。上2つの既存のシステムからの示唆と再生医療の特殊性は、先ほどまでの発表の中で少し触れた所です。一番下の仮説の運営主体については、学会等の公共性の高い機関が適切であろうと弊社としては考えております。また、NJRの例にもありますように、時間軸に沿って運営主体も変化していく必要があります。例えば、立ち上げ時はやはりかなりの馬力、集中的なリソースが必要になりますので、国、その他公的な所がサポートをしつつ、ある程度整った段階で学会等に橋渡しをしていく仕組みが考えられるかと思います。
 また、運営委員会が意思決定を行う機関と認識しておりますが、ある意味再生医療学会を軸として、FIRMや厚生労働省、PMDA、更にはデータを解析している大学とデータベースの構築を行っているベンダーのような所も入れている事例がありますので、そういったところも交えていくことで、より密にデータの分析や不具合が生じたときの対応ができるものと考えております。
 資金調達の観点からは、ベンチャー企業が非常に多いため、産業支援の観点からも公的な負担を考慮すべきです。再生医療製品の普及に応じて、手術料金を上乗せすると。これは、どの段階かは議論があろうかと思いますが、そういった形でいずれは国から手離れをして、資金を獲得していく手段にシフトしていくようなところもあり得るのではないかと考えております。
 システム構築、データ分析、品質担保・教育ですが、こちらは26ページのヘルプデスクと合わせて、運営主体が主に持つべき機能であるとインタビューから示唆されたものだとお考えいただければと思います。システムの構築は、実際にシステムを構築されるベンダーとしての機能です。データ分析は、大学等と協力しながら、基本的に集まってきた情報の分析を行うものです。品質担保・教育では、システム側でのチェックのほかに、例えば施設責任者の方を設置されるとか、運営主体で人の手を掛けてチェックをする、あるいは入力者に対する教育等を行っていく部分を合わせて、かなり複数のチェック機能を持たせないと、データの品質の担保は難しいのではないかと考えております。
 続いて、入力主体に話を移します。28ページは、再生医療製品の特殊性として、現場のドクター、看護師のほかに、製造メーカーからの製造の情報も個別に再生医療製品の質が異なることを考えますと、そこも必要ではないかと考えております。また、話に出てきたとおり、QOLの情報については患者側の入力も考えております。入力対象として、承認済み、あるいは条件付承認の製品を軸として、こちらは検討中ではあろうかと思いますが、医療として実施されている細胞療法や臨床細胞療法、あるいは臨床研究や臨床試験等のデータリンクも考慮されるべきではないかと思います。入力のインセンティブについても、情報のフィードバックに加えて、またNJRの事例になりますが、入力を義務付けて行うことも選択肢に入るのではないかと考えております。
 29ページは、入力項目、入力期間です。入力項目については、患者の観察情報、あるいはQOLの情報は必須ですが、入力の労力を最小化する工夫は絶対に必要になると考えております。入力期間については、製品ごとに期間を設定し、少なくとも1年から数年程度の間継続して入力することが望ましいのではないかと考えております。
 最後に、利活用です。こちらは、利用主体で、レジストリーのいいものが整備されたとして情報が集まってくると、皆さんがその情報を使いたいと思われるわけで、ここをいかにディストリビュートするかが非常に大きな課題になろうかと考えております。具体的には、国の規制当局の方、あるいは企業、研究機関・病院、患者がこの情報を求めるところだと思いますし、そういった方々に公開していくべきであろうと。ただし、当然利用範囲は厳密に設定する必要があります。全ての方に全ての情報をというわけには当然いきませんので、そこは利用目的に応じてどこまでの範囲を公開するかを逐次先ほどの運営委員会の意思決定をする仕組みをもち、そこで検討していく必要があるかと思います。
 患者の追跡、あるいは市販後調査も記載のとおりです。市販後調査については、現在の状況としては、国が整備されているレジストリーのデータを企業が規制当局から求められている市販後調査のデータに用いることは、部分的に可能な事例は存在したのですが、完全に代替するようなことは、今回の調査の範囲ではありませんでした。実際に集めるデータとしては、安全性・有効性を分析するデータを集められるのであれば、その部分は企業、アカデミア問わずに利用して、市販後調査という既存の枠組みでも利用できるような形を目指すことが、企業の負担軽減という意味では重要ではないかと考えております。
 32ページは、臨床研究とのデータリンクです。こちらは、データリンクをすることが望ましい。疾患レジストリーとの共有も、治療のアウトプットを知る意味では、こちらも望ましいとするべきであろうと書いております。これらの仮説を合わせますと、これは少し仮説図にはなっているのですが、33ページのようなシステムの全体像が考えられるのではないかというのが、これまでの仮説を集めた1枚の絵になっております。こちらは、例えば企業の視点で見ますと、企業御自身で作られた再生医療製品の情報を、運営主体側のデータベースに入力すると、運営主体側から何が返ってくるかといいますと、自社製品のデータを得ることができます。その企業は、そのデータを用いて、規制当局に対する不具合の報告や審査に堪え得るデータを提出することで、従来の市販後調査と同じような扱いになろうかと思いますが、そういった形で利用することができます。以降、左下は病院、右上は学会・研究機関、右下が患者・国民となっており、それぞれの利用主体がどのようなデータを入力して、どのようなアウトプットを得るかというような関係が1枚で整理されておりますので、論点、視点としてはこちらも少し参考にしていただければと思っております。
 患者登録データベースの更なる活用イメージは、市販後調査、市販後の患者登録をいかにするかという部分に焦点が当たっておりました。何度か説明の中でも申し上げましたとおり、臨床研究や臨床試験のデータとのリンクをいかに図っていくか、あるいは再生医療製品以外の方法で治療された場合の疾患ごとに整理されるようなレジストリーとの連携をどう取っていくかも、この市販後の患者登録システムが発展していく上では重要な視点であろうと見ております。共通ID等の議論もありますが、このようなIDと紐付いたようなデータで管理することができれば、かなりここは実効的に行っていけるのではないかと。あるいは、市販後調査、登録データベースそのものにしても、全ての項目を入力するのではなく、一部は病院内で既に入力している電子カルテ等のデータを活用する方法も考えられるのではないでしょうか。市販後データベースのように閉じた範囲ではなく、ほかのデータベースとの連携は、更なる活用としては考えられるかと思います。
 35ページは、費用対効果の問題です。これだけのレジストリーをつくった場合に、どのぐらいの投資が必要で、それがその後どのように活用されるのかです。レジストリーの費用は、個別のレジストリーの項目で説明したとおりの金額ですが、その後どうなるのかという事例として、35ページに英国のNJRの事例を示しております。NJRは、前述のとおり、実際に国の費用で立ち上げられたものですが、その後は個別の手術ごとに料金を徴収し、その費用で賄われている仕組みです。少しNJRの中身が公開されておりましたので示していますが、収入が大体4.7億円程度です。それに対して、レジストリー運営費用等を合わせても、トータル4.25億円で、ある意味完全に自立して運営されているレジストリーです。NJRの方のインタビューでもあったのですが、こういった国が支援したレジストリーは長期間にわたって運用されていくことを前提にしており、初期の費用は掛かるという視点は、それぞれどのようなレジストリーでも掛かってしまいます。ただ、長期的に運用する視点を考えて、このような料金徴収の仕組みをしっかりつくれば、その先もずっと使われることを想定していくと、費用対効果が得られることは必然であろうと。特に、再生医療分野のようにこれから非常に伸びていく分野においては、それは必然であろうというのを我々の見たてとして記載いたしました。長くなってしまい、後半飛ばした所もありましたが、質疑で理解を深めていただければと思っております。
○澤座長 詳細な調査報告でしたが、やはりポイントは後半に出てきました運営の視点、入力の視点、そして利活用の視点を基に、いかにいろいろなデータベースを構築していくかかと思っております。最後に出てきましたが、継続的かつ自立的なデータベースレジストリーをうまく構築できれば、非常によいのではないかとも考えます。それでは、ディスカッションに入りたいと思いますが、御意見、御質問等ありますか。
○大和構成員 質問なのですが、一番最後のスライドにある支出の所で、スタッフコストが0.33億円ということですが、3人ぐらいしか中には人がいないということでいいのですか。
○株式会社三菱総合研究所 実は、これが12名おります。
○大和構成員 12名で3,300万円というのは、ちょっと考えにくいのではないですか。
○株式会社三菱総合研究所 これは、個別のNJRというレジストリーの中の会計になっているのですが、運営している団体は先ほど申し上げましたHQIPです。ここは、様々なレジストリーを持っている所ですので、その中の人員としては、トータルで12人というイメージです。ですので、個別のNJRに関わる人員としては分からない部分もあるのですが、そこの人員をうまく使いながらやっております。
○大和構成員 複数のレジストリーにまたがっているということですか。
○株式会社三菱総合研究所 おっしゃるとおりです。
○大和構成員 分かりました。一方で、Management of the Registryで2.16億円あり、これはイメージとしてはサーバーの管理などをサードパーティーに外注しているのではなく、中でやっても2億円ぐらい掛かるということですか。
○株式会社三菱総合研究所 いえ、これはサードパーティーです。
○大和構成員 参考までに教えていただきたいのですが、三菱総研さんの目で見て、この2億円は妥当なのか高いのか、日本でやるともっと高くなるのか、どんな感じですか。
○株式会社三菱総合研究所 大変難しい質問だと思いますが、扱っているデータがかなり大きいので、運用費用2億円は妥当なところかなと思います。全くの私見で恐縮です。
○大和構成員 J-MACSは何千万でしょうか。
○澤座長 J-MACSは数千万ですが、NJRは入力は誰がやっているのですか。
○株式会社三菱総合研究所 ドクターがやっております。
○澤座長 そこに、何か支払いは出ているのですか。
○株式会社三菱総合研究所 支払いはしておりません。
○澤座長 それは、どこに出ているのですか。支出の中のどのコストに入るのですか。
○株式会社三菱総合研究所 入力に掛かっているコストですか。
○澤座長 はい。
○株式会社三菱総合研究所 入力に掛かっているコストは、ドクターが入力される分にはお支払いしていないので、費用としては掛かってきません。
○澤座長 掛かっていないのですか。では、ドクターは何も支払われてなく。
○株式会社三菱総合研究所 支払われていない状況です。
○澤座長 自らで入力していて、この値段になるということですか。
○株式会社三菱総合研究所 はい。
○澤座長 では、マネジメントの費用2億円は、大体どのような内容になるのですか。
○株式会社三菱総合研究所 これは、先ほど説明しましたように、ベンダーに常駐していただく体制を取っております。それが、HQIPとは別のノースゲイト社という会社なのですが、そこのコストであろうとは見たてております。
○中村構成員 すごく詳細な報告でしたので、お聞きしたいことはたくさんあります。個々の争点を絞っていったほうが、有意義なディスカッションができると思うのですね。第1回の検討会の意見の中に、争点として候補が幾つか上がっています。例えば、システムの運営資金、運営主体をどこにするかも、今の報告を聞いていて、私見なのですが、やはり学会が主導権を持って、その上に規制当局として国が付いていると。具体的には、ベンチャーの体力が厳しい現実があるからこういった話が出ているので、立ち上げの段階でやはり国がサポートをして、それが軌道に乗ってきたら、時間軸とともに少し企業に移行していくと、当然、利活用に関しては、企業にもフィードバックがいくと。第1例目について言っただけですが。
 その次の項目に関しても、前回フィージビリティを考えると、詳細なデータで有効性・安全性をしっかり見るのも大事ですが、永続性を考えると、ミニマムリクワイアメントというような意見が出ました。この三菱総研さんの出されたものを見ますと、確かにすごくいい案だと思うのですね。企業が最低限の情報をしっかり入れて、登録は多分病院が主体になると思うのですが、病院に関してはやはり有効性・安全性まで数年間追い掛けられる。やはり、これはプロフェッショナルリズムで自分たちがやっているのだと、情報をしっかり入れて、最終的な評価の所に患者からのQOLを考えた項目を入れるのは、私はすごくいい案だと思って聞いていました。ここに書いてあるものを、1つずつつぶしていったらいかがでしょうか、という意見を持ちました。
○澤座長 確かに、1つずついきたいなとは思っています。中村先生がおっしゃったとおりで、その方向でいくのに、いろいろな御意見や御質問がありましたら、お願いします。
○西田構成員 個々の詳細は、当然ながら1つずつ検討しなければならないのですが、今聞いていて全体として参考になりました。理想的な形は、大体調査のあとの仮説の所でかなり出てきたと思います。その中で、問題点はサステナビリティーを考えますと、キャッシュフローですよね。この資金のフローがこれで本当に円滑に回るかという仮説が、まだ不十分ではないかなという点が、一番今の課題として大きいのではないかと思います。
 今、日本の医療機器の承認において、同じように学会と協調して市販後の安全性について検討してくださいというのを条件にして認めているものがあると思うのですね。その場合、恐らく企業がある程度負担を課されているのではないかという気がします。そうすると、今は再生医療はベンチャーの方が多いので、企業負担が難しいから国が負担するというのは、永続性から考えるとなかなか厳しいですし、登録をどのぐらいの期間にするかというと、かなりの期間にするとしたら、それもすごく負担になります。やはり、永続的な資金の回りが一番問題ではないかなとは感じますが、いかがでしょうか。
○澤座長 いかがでしょうか。大体同じような意見かとは思うのですが。坂井田先生、資金についてはいかがでしょうか。
○坂井田構成員 今、西田先生がおっしゃったとおりだと思いますね。日本では、ベンチャーで永続性は今のところは難しいので、アメリカのようにお金持ちの学会があればいくとは思いますが、最初はある程度国のサポートがいるのではないかとは思いますが。
○西田構成員 この中で、手術料にそういう資金を加えたらいいというような意見も書いてあったのですが、今の日本の医療費の現状を考えて、再生医療製品そのものを作るのに非常に高く、その分を保険収載に全部載せられるかも解決していないと思うのですね。更に、その上乗せでという部分を含める議論は、なかなか難しいような気もしますので、資金面はやはり国、企業の点からどのように計画していくのかは、もう少し詰めて詳しく議論しなければならないのではないかと思います。
○澤座長 そうですね。この辺りは、J-TECさん、いかがでしょうか。一応、市販後調査的には、今はレジストリー的にやられているのですよね、全例をフォローされていると。それも、現在では自己資金でやられているのでしょうが。
○大須賀構成員 はい。ジェイスに関しては、既に5年次を終わった時点で登録症例数が350症例強で、報告したのは200症例弱ぐらいは出しています。先ほど、これに掛かる人員は、イギリスのNJRの場合は12名ぐらいと言っておられたのですが、ジェイスだけで営業が実際ケースカードを集めてきますので、その数までは全部入れないのですが、安全管理やデータマネジメントなどをやる人間を併せると二桁にはなりますね。
○澤座長 それは、全部企業側が入力しているのですか。
○大須賀構成員 もちろんです。
○澤座長 ドクター側は何もしていないのですか。
○大須賀構成員 ケースカードは、基本的には先生に書いていただかなければいけないので、企業の人間が書いてはいけないのです。たとえ選択などでも、先生に書いていただくということで、特に熱傷の場合は救命救急の先生などはお忙しい中で書いていただくので、私どもの営業が行ってある種ケースカードを書きながら、先生も書き方を聞きたいとかいろいろあるのですよ。我々も、書き方について説明しなければいけませんし、切迫しているので時間的にも催促して書いていただかなければいけないので、なかなかWebではできません。1回書いていただいて、ケースカードを回収して、それについてまた質問もあるので、また行かなければいけないのですね。そういうものが、いろいろと厄介なところではあるのですが。
○澤座長 実際に、J-TECでは御自身でやられているということなのですが、確かにいろいろな製品がこれから出てくるとしても、まずシステムを作ってしまう立ち上げのところは、やはり国の力が必要ではないかというのが、大体の御意見かなとも思います。いつまでも国でやれるわけではないでしょうし、そこにどうやって継続性をもたせて、西田先生がおっしゃったようにフィーに入れていけるのかどうかも大変重要だと思います。継続性を踏まえるなら、コストに反映できるような部分がないといけないだろうということだと思います。J-MACSは、ここまではいっていないですよね。また、次回に議論があると思うのですが。
○医薬品医療機器総合機構・石井課長 そうですね、今議論に出ているとおりで、今後の国のサポートは徐々に予算も減っていきます。それは、米国のインターマックスでも同じで、もともとNIHが全額予算を使ってシステムの開発をしていたのですが、これからインターマックスも5年を掛けてコストシェアリングということで、病院とインダストリーとNIHでシェアしていくと。更には、NIHの資金はほとんどゼロに近づいていく予定を公表されています。J-MACSも、立ち上がってデータ入力が始まったばかりで、漸く100例ということで、今後しばらくは事務局の運営はPMDAでさせていただきますが、いずれは本日の議論のとおり、どこか関係の学会で安定的な継続した自立的なものをとは考えていかざるを得ない感じです。
○澤座長 運営主体についても、現在のJ-MACSの現状を報告いただきました。次回、もっと詳しく教えていただけるかと思います。そうしますと、検討課題のシステムの運営資金に関しては、海外例も含めて、初めは国の資金からだんだんシェアリングをしていくと。フィーにどこまで乗せていけるかが、継続性で重要であろうということでよろしいでしょうか。次は、患者登録の項目です。確かに精度を上げようとすると、非常に入力の項目が多くなり大変だと。先ほど紹介されましたNCDは、今56項目あります。私は、外科学会の副理事長をしていますので、大体詳細は分かっているのですが、目的が何かなのですね。その代わり、NCDは3か月間で、どこの県でどんな患者が発生していて、それがどこで手術されたかを、しかも3か月間の短期間ですが、全例登録という形で把握しようというのがNCDです。例えば、患者の住所の郵便番号を入力するのですね。それから、手術した所の郵便番号と、誰がどんな手術をして、3か月後のアウトカムを出すと。それだけで、大体公衆衛生的なものまで把握できるようになっており、それが56項目あります。心臓血管外科が、その上のサブスペシャリティーに載っているのですが、それは非常に詳細なデータを必要としていますので、300項目ぐらいあります。そうなると、大変なことになり、1例について1、2時間ぐらい掛かります。それを医者、しかも研修医がやると疲れ切って大変なことになるわけです。ですから、その辺りをどうするかの議論が必要なのですが。この辺りは、高戸先生いかがでしょうか。
○高戸構成員 前回も討論されたように、臓器によってもかなり差があると思います。これは、トータルで話をするのが難しいので、関係している臓器ごとに個別に討論をする必要があるのではないかと思います。
○澤座長 そうですね。生存率を出さなければいけない疾患と、そうでなくて治療効果を見るか、何を目標にデータベースを作るかによって明らかに違いますよね。
○高戸構成員 眼科と整形外科とは全然違うと思います。
○澤座長 眼科と整形と心臓外科は全然違いますから、我々は多分生存率が一番メルクマールになると思いますが。西田先生、いかがですか。
○西田構成員 難しいですが、詳細なデータを入れるようになると、やはり何らかのインセンティブがなければかなり労力がいるので、質の保証ができにくくなるのではないかが心配ですね。というのは、短期間で全部入れてしまおうと思うと、ある程度曖昧なデータでも書いてしまう危険性が出てきてしまうので、できるだけ選択性にして、入力は簡易的にするという工夫をして、あとはどこまでのデータを詳しくやるかは、先ほどの分野別によって変わってくるのではないかと思います。
○澤座長 やはり、ある程度分野を決めて、分野別にどうしていくかは大事だろうと思います。それと、インセンティブというか、お金というような意味ではなく、本当にこれをやる意義をどこまで認識できて入力するかが大事なのですが、この辺りは戸口田先生、いかがですか。
○戸口田構成員 やや疾患と病態によると思います、先ほどのお話が。私の整形外科などで関節軟骨の修復などを考えますと、方法による差は恐らく5年ぐらいから出てくる可能性があります。変形性関節症の発生率などはやはり一番気になるところで、骨髄からの細胞と脂肪からの細胞はどう違うのかというようなデータが見たいと。そのとき、5年間、同じ医者が本当にフォローできているかというのもあります。実は患者さんが動いたりすると。それから、入力する人間も変わったりするとまた変わるので、病院単位で入力システムを作るだけではなくて、患者さんを追い掛けていけるようなものにしておかないと、長期のデータはロスしてしまうような気がするので、そういうものが病態によっては必要かなと思うのです。
○澤座長 そうですね、それも重要ですね。多分大きな病院だと、紹介されてきて、また紹介先に返してしまいますから、そこでフォローアップができなくなる可能性もありますよね。その辺がまた、なかなか難しいところです。
 あと、やはり入れる側で。例えばNCDは専門医の認定資格に必ずその症例数を、症例がコンピューター化されていて、どの人が専門医の認定資格にまで到達したかというのがすぐ出るのです。そうなると入れざるを得ないのですよね。そういうインセンティブの付け方はこの再生医療製品ではなかなか難しいのかもしれませんが、いかがですか。
○高橋構成員 多分、再生医療製品は先進的なので、専門医の登録には関われないと思うのです。やはり、一番はその製品を使う資格をもらえるということだと思います。ですから、登録を怠っている所は使えなくなるということでいいのではないかと。
○澤座長 そうですね、何か、逆にそういう形で登録をやってもらうということもあり得るでしょうし。あと、その企業の方も、例えば承認条件に入れてしまうとか。そうすると入れざるを得ない状況になるかもしれないですが、そこまでの仕組み、縛りというのは厚労省側としてはなかなか難しいのですかね、承認条件としてしまうと、こういうのはレジストリーをしっかり入れるようにという。
○安全対策課長 今、J-TECさんがやっていただいている市販後の調査も承認条件として付いているものです。正にJ-TECさんから先ほど御説明がありましたように、先生方のところを回って情報を集めてきて入力をするというような形なので、多分、そのやり方だと、今後の再生医療のベンチャー企業に同じようにやってもらうというのは難しいのではないかと思います。新製品を開発していくに当たっても、市販後がこんなに大変なのでは、ということになってしまうといけないので、先生方の御協力も頂いて、その発生源の所でデータ入力を頂いて、先ほど御議論があったようにフォローもできていくようなシステムを作れたら、企業に全ての努力を課してしまうような形だけでない形にできるのではないか、というのがそもそもの発想です。
○澤座長 そうですね、はい。
○安全対策課長 J-MACSなどは保険と連動しているので、結局、登録しなければ保険の対象にならないというか、登録することが1つの施設条件にはなっているということで、登録せざるを得ないような形になっています。それがまた先生方の御負担にはなっているわけですけれども。
○澤座長 負担にはなっていますが、全例登録はされるというのは大きな強みになっていますよね。ですから、それをある程度条件にするのは1つかもしれないなと思うのです。
 あと、もう1つだけ私、個人的にというか、意見として事務局にお聞きしたいのは、これは市販後調査という義務付けと一緒にすることは可能なのですか。それは可能ですか。
○安全対策課長 はい。
○澤座長 むしろそうして。よく聞かれるのは、企業側は、両方、同じようなことはあり得ないだろうというようなことでよく言っているのですが、多分、レジストリーに統一してしまう方が圧倒的に精度が上がるのではないかと思うのです。
○安全対策課長 ええ、正にJ-MACSもそうです。人工心臓については、J-MACSで集めている情報自体が企業に課している全例調査になっており、全例の市販後の調査がJ-MACSのデータで集まってくるという形になっております。
○澤座長 ありがとうございます。
○高橋構成員 項目に関して、インセンティブにも関わるのですけれども。多分、国で、中央でやるのは安全性であって、効果については、「効いた」「効かない」「全然効かない」ぐらいでよくて、あとの調査項目は各学会に任せて、その学会が調べてみたい項目に全部任せて、緩い所もあれば詳しい所もあるでいいと思うのです。それを同じサーバーに入れ込むのかどうかという議論をしたらいいのではないかと。
○澤座長 なるほど。その辺りも先ほどの疾患別などを含めてですね。
○高橋構成員 もちろんそうですね、そこまで国がコントロールする必要はないのかなと。
○澤座長 となるとやはり、学会の主体性というか、次にある国と学会との役割ということだと思うのですが、この辺りについていかがですか。中村先生、何かありますか。
○中村構成員 先ほどから議論に出ているものは、全部賛成なのです。先生もおっしゃったように、多分、疾患ごとに患者さんのフォローアップ率やフォロー期間は全く異なります。例えば、それをここで全部統一するというのは意味が全くないので、各疾患ごとに学会が主体で検討すると。
 それと、先ほど高橋先生がおっしゃったことは私も大賛同なのですが、インセンティブは、やはりこういった先進医療をやる、製品を使えるという資格を認定病院として、これはこういった製品ですから病院とそこにいるドクターの質によって成績が全く変わってくるので、その人たちにそれが使えるということが正にインセンティブだと思うのです。
 ただ、項目が、先生がおっしゃったように、多分、300項目を若い先生がどんどん打つというのはなかなか厳しいと思うのです。私たちが実際に手術成績でやっているのは、iPadを使って項目を全部選択させるようにするのです。質の担保という意味でもそんなに曖昧なところがないのです。それは、サーバーの所に持っていったら自動的にデータが飛んでしまうのです。そうするとそのまま入っていくと。セキュリティもかなり厳重にしているのですが、質を担保する意味でもそういった、できるだけ。紙ベースでドクターの所とやり取りというのは、これは現実的には厳しいと思うので、そういうシステムをうまく使えば、よりフィージビリティが高くなるのではないかと思いました。
○澤座長 そうですね。先ほど先生がおっしゃっていたように、使用したということとか、最初の登録は企業の方でやってもらって、あとの認証のところは医者がするというような役割分担をしながらすると、医者がサボッているというのも分かるし、企業はまずそれをしないと保険としても、病院もそうでしょうけれども、収載されないとか、そこの縛りをしっかりしておいたら、とにかく全例は入るだろうと思いますよね。
○中村構成員 そうですね、はい。
○高戸構成員 難しいと思うのは、例えば心筋などは単一企業が製造する可能性がありますが、膝関節などに関して言えば、ジャックのようなゲル状の製品、シート状のもの、あるいは形状を持ったものなど色々な製品があります。それぞれ適応も違えば、もちろん、それに応じて年齢もかなり違います。そうした中で、余りにも細かい市販後調査の内容というのは非現実的です。また、どちらが有効であるかのような評価に用いられるかもしれませんので気を付けて行う事が必要です。やはり、それぞれの領域において十分討論して決める必要があると思います。
○澤座長 そうですね、整理は必要ですよね。
○高戸構成員 必ずしも細かいものが良いわけではないと思います。
○澤座長 ただ、どの製品も市販後調査というのは一応あるのですよね。これはしないといけないですよね。だから、そこをうまく整理しないと。先生がおっしゃるように、混乱しても困りますし、しかし、それぞれの製品の市販後調査をしっかりしないといけないところ、どうレジストリー、フィードバックさせるかですね。それが、1つの中に全部いろいろな製品が入るのも難しければ、たくさんの製品が出てきたときに、1個1個、全部レジストリーを作って、それぞれがどういう議論になるかというのも、またそこも若干微妙ですかね。その辺りは、今後、学会の方で整理すべきかなとも思っているのですけれども。
 あと、学会の方では再生医療の認定医制度を検討しているということですが、そういうところにもある程度レジストリーの登録ということも含めて、実際にどのように再生医療を実施しているか、実際、実施した後のレジストリーの登録を含めるのも1つかなと思うのですが、どうですかね。
○大須賀構成員 今、おっしゃるとおりなのですが1点。ここにおられる先生たちは皆さん、積極的なのでいいのですが、学会さんが必ず関与するというところを、これはある種、縛りが、縛りというか、お願いができるかどうか。残念ながらジェイスの場合は、熱傷学会さんの理事長さんに議題として挙げてもらったときに一部の先生からあった、一企業のために学会が動くのはおかしい、という意見の下に学会としては関与しないというのがありました。今度は、日本整形外科学会さんの方は逆に、岩本理事長から、これはやはり学会としてきちんとフォローしていかなければいけない、ということで学会の方で見ていただけるというようなことがありました。なかなか企業としても、その辺をある種ルールとして定めていただければ有り難いということがあります。
 それからもう1点。我々は当然、義務として市販後調査で安全に関することを出さなければいけない。そうすると、有害事象とか。ジェイスの場合は、前までは医療機器なので不具合とか、そういったものを決めなければいけない。そうすると、承認を下ろすに当たってはPMDAさんといろいろと話をして、そのあともPMDAさんといろいろやるのですけれども、学会さんの方でいろいろと助けていただけるということになると、その辺のいろいろなルールをPMDAさんと学会さんと企業の三者でいろいろ決めていかないと。先ほど言われたように、個別の事例が余りにも違い過ぎるのでそういった運営委員会みたいなものがかなり要るのです。そういう意味で学会さんの方にもかなり負担をかけるので、そういった負担。
○澤座長 そうですね、学会によって温度差があるかもしれませんが、やはり再生医療学会としてはやっていこうという話ですし、熱傷学会さんのお考えは分からないのですが、やり出して世の中の流れがそのように行って、かつ、いろいろな製品が出てきた場合にはその方向に行くのではないかとも思いますので。最初、J-TECさんは苦労されて、いろいろな面で苦労されているようですが、やはり良い流れに持っていかないといけないとは思っています。
 その他、登録症例の追跡期間なども、これもなかなか、大体、どれぐらいがいいのかという話もあります。ちなみに、J-MACSは何年でしたか。
○医薬品医療機器総合機構・石井課長 J-MACSは基本的に心臓移植の到達までですので、今、大体3年ぐらいです。それか、死亡されるまでということです。
○澤座長 それも疾患によるかもしれませんね、どこまで追うのか、心臓の場合はかなりJ-MACSに近い感覚ですが、それ以外の領域では必ずしもそうではないということですので。その辺りもやはり学会の中で整理して、ある程度の疾患の中でひな形を作って、それを各製品でやっていただくというような形なのかなと。
○高橋構成員 それもやはり、国で最低として2年なり3年なりというのを引いておいて、あと、長期やりたい学会はやったらどうですか、というのでもいいかとも思うのです。でも、再生は危険だから10年見る、というのでもいいのかもしれません。
○澤座長 製品が余りないので、今、スタートするのにここが非常に重要ですが、そのあと、たくさん出てきたときに、今後どうやって継続性が。特に、最初は国の資金が入るとしても、いつまでもということになってきたときに、いろいろな製品がワッとこぞって出てきたときのサステナビリティーというか、本当に自立してやっていけるのかどうかということもよく考えておかないといけないだろうと。そういう意味で保険との連動とか、その辺り、余り無理のない形だけれども、やはりきちんと守らないといけないということをルール化しておくというのが大事だろうと思っているのですが。
○西田構成員 安全性については、ある程度統一した期間として設けた方がいいと思います。有効性についてはそれぞれの学会に任せる。
○澤座長 そうですね、安全性と有効性ということもよく議論した上でやらないといけないと思っています。いろいろな議論が出てきますが、次回もまたこういう論点から、ブラッシュアップしながら議論を進めさせていただきたいと思っております。ほかにどうでしょうか、その他の観点で。
○高戸構成員 質問ですが、今度の法律改正で届出制の第3種にはがん免疫療法などが含まれていて、、美容外科の脂肪幹細胞注入なども、第2種か第3種になるのでしょうが、それらは再生医療製品ではないという解釈でよろしいですか。、今度の改正で、医師法の下での加工業が入ってくると思いますが、それらも製品とは別に、何らかのフォローアップ体制は必要かもしれませんが、リンクしないでいくということでよろしいのですか。
○澤座長 そうですね。今回の議論はとにかく製品ということでしたので、治験を踏まえた薬事法下の議論ですが、先生、ここは確かに大事ですよね。ですから、そこはまた。それもやはり再生医療学会の中で考えないといけないのか、再生医療学会だけではなくていろいろな学会が関係してきますので、その辺りはそれぞれの学会若しくは関係する医師が努力しないといけないのですが、今回の法律ではそこまで規定していませんよね。
○高戸構成員 そうですね、市販後調査ということで薬事法に適用されたというものだとは思います。ただ、経産省から出てくるデータなどを見てもがん免疫療法などが将来、圧倒的になるのではないかと考えられていますので、今後、検討はひつようになってくるかもしれません。
○澤座長 伸びるという話はありましたね。
○高戸構成員 はい。現実的には、美容の再生医療などにも今度の届出制で縛りが入ってくる可能性があります。すると美容やがん免疫療法などが、認定された加工業者を使うことが生じるかもしれません。将来的にはそれらの医療がかなりの市場を占めていくようなことがあれば、そこにもやはり何らかのフォローアップ体制は必要かもしれないということを頭の隅に入れておいた方がいい良いと思います。
○澤座長 そうですね、大変重要な議論です。荒木室長、いらっしゃいますか。その辺り、考え方というか、議論はそこまでいっていないと思うのですが。
○研究開発振興課・荒木室長 新法についてはあとでお話をさせていただこうと思っておりましたが、多分、先生方は逆によく御存じで。だからこそ、そういう御質問と思いますし、今回の調査事業の報告書にあるインタビューの中でも、薬事承認ではない、既に医療として行われている再生医療、正におっしゃったがん免疫療法みたいなもの、そういうものについても、フォローアップが必要でないのかというような御意見と拝聴いたしました。
 まずは最低限、高戸先生がおっしゃいましたように、実態の把握のために届出をする。それは届出を、開始のときにしていただくだけではなくて、定期的な報告も義務付けます。実施中には、有害事象が起これば、それの報告も求めていく。定期報告の際にどういうことを求めるかというところで、ある程度のデータが上がってくるのかなと思っています。個々の医療の質のところまではなかなか、製品とは違って難しいかもしれないのかなと思っています。最低限、安全性確保のためにどれだけ有害事象がある、何人の方にどういうことをやってどうだったというような状況報告は各提供医療機関から受けると思っております。すみません、回答になっていないかもしれませんが。
○澤座長 ありがとうございます。まだまだ議論があるかと思いますが、次の議題に移りたいと思います。
○高橋構成員 前も聞いたと思うのですが、この会議の目標というか、タイムテーブルをもう1回教えていただきたいのです。具体的に何年まで話し合うのか、あるいは考え方だけを決めるのか、いつまでにというのを教えていただけますか。
○澤座長 事務局からお願いします。
○事務局 この検討会は今年度いっぱい開催いたしまして、その在り方についての報告書を取りまとめるという作業を行います。その報告書には、今、議論いただいている各論点について、こういう方向性というのを示していただいて、それが基本となって、次年度から予定しています仕様の設計につながっていきます。仕様の設計に使われるシステムの方向性の結論を出していただくのがこの検討会の役割です。
○澤座長 運用が来年度以降に始まるのですかね。
○事務局 今年度はこの検討をいたしまして、次年度から仕様の設計に入るというスケジュールになっております。
○澤座長 ありがとうございます。次に、周辺動向について事務局から御説明をお願いします。
○事務局 まず、お配りしている「薬事法等の一部を改正する法律案の概要」という資料について説明いたします。これは閣議決定された薬事法等の一部を改正する法律案ということで、再生医療製品に関係する規制の構築が中に含まれております。
 具体的には、1枚目の半分から下の部分に書いてありますが、再生医療製品というものを新たに定義して、医薬品・医療機器とは別個の位置づけとしてまず扱うということがあって、再生医療製品の承認等につきましては、これを踏まえて条件及び期限付きの承認制度を導入する。具体的には、その有効性が推定されて安全性が確認されれば条件及び期限付きで特別に早期に承認できる仕組みを導入する。その場合に、承認後に有効性と安全性を改めて検証するというものです。
 裏面を見ていただきまして、その際に、当然、安全対策等の整備がセットになるのですが、条件・期限付承認という形での市販になりますので、医師等においては製品の使用に当たって患者さんに適切な説明を行って使用の同意を得るように努める、ということが規定されます。また、使用成績に関する調査、使用の対象者等に関する記録の保存などについて安全対策を講じるということ。また、健康被害に対しても措置を講じるということです。また、このあと荒木室長から一部お話があると思いますが、製造所における製造管理又は品質管理の基準というものを作成して、品質・安全性等を確保する。いわゆる加工に関する部分についての改正事項です。
 この半分から下に、今説明した条件・期限付承認制度についてのポンチ絵が示してございます。上が従来の承認までの道筋で、下が一部改正の法案に基づく早期の実用化に対応した承認制度となります。このように、まず有効性の推定と安全性の確認によって条件・期限を付して承認をして、そこから市販に入るのですが、市販後に有効性と安全性を検証する。その際には、患者さんにはリスクを説明して同意を得るということが求められる。症例が集まった時点で期限内に再度、承認申請をして、そのあと、本承認をして、引き続き市販と、こういう流れになっております。簡単ですが、以上です。
○澤座長 ありがとうございます。続けてよろしくお願いします。
○研究開発振興課・荒木室長 引き続き青い方の紙ですが、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律案の概要」というものがあります。こちらは、今、吉田補佐から説明がございましたような薬事法等の一部を改正する法律案等と一緒に先週の金曜日に閣議決定され、国会に提出されたものです。こちらの方は薬事法の製品ではなくて、その前段階である臨床研究、あるいは実際に自由診療等を含めて医療として提供されています再生医療につきまして、その迅速かつ安全な提供を図るという目的です。
 法案の内容ですが、大きく項目としましては2つです。すなわち、1としましては再生医療等の分類をするということです。リスクに応じた第1種から第3種の分類をいたしまして、それぞれの提供に係る手続を定めていくというのが1つ目の項目です。2に書いておりますように、第1種(一番リスクが高いと思われるもの)につきましては、提供計画について特定認定再生医療等委員会、これは地域あるいは基幹医療機関のような所に置いていただきまして、そこで意見を聞いた上で厚労大臣に提出して実施する。一定期間の実施制限期間、今は90日を法律上書いておりますが、90日間の一定制限期間中に厚労大臣がしっかりと提供計画を見て確認をするということを考えております。
 第2種につきましては、特定認定再生医療等委員会の意見を聞いた上で、あとは届出だけをしていただくというものになります。
 第3種として考えられているもの、一番リスクが低いと思われるものにつきましては、特定ではなくて、普通の認定再生医療等委員会の意見を聞いた上で提出していただきます。基本的には細胞を用いるものを対象にいたしますので、すべからく、実態把握も含めて登録をさせていただきたいということです。
 今回の検討会の目的と少しリンクする部分としましては3番の「適正な提供のための措置等」です。医療としては、インフォームド・コンセント、個人情報の保護は当然のことですが、例えば、疾病等の発生のときにはしっかりと報告をしてもらう。あるいは、4マル目にありますように「厚生労働大臣は、定期的に再生医療等の実施状況について把握し、その概要について公表する」ということですので、再生医療を提供する提供計画どおりに進んでいるかどうか、そういうものを定期的、1年に1回程度報告を頂いて、そこのデータベースというか、あるいは、その状況について概要を公表していきたいと思っております。
 そしてもう1つの法制事項が、4番目にありますように、「特定細胞加工物の製造の許可等」です。医療機関外においても細胞培養・加工を委託することを可能とする。そのときの基準はしっかり定めるとともに、実は、細胞培養・加工施設についても定期的な報告をしていただきます。先ほどの高戸構成員の御指摘の部分についても、どういう機関からどういう受託をしてどのぐらいの培養実績があるというようなことについても、定期的に報告をしていただくというように思っております。
 そのあとはポンチ絵ですので、御参照いただければと思います。こちらが再生医療等の新法の概要です。
○澤座長 ありがとうございます。既に成立しました再生医療推進法に続いて、再生医療等安全性確保法と薬事法の2つが既に閣議決定されたということです。これは、再生医療の推進に拍車をかける非常にすばらしい法律だと思っています。先ほどの高戸先生の御質問もこの中で、今、御説明いただいたことで守られていくような方向に行くのではないかと思っています。この2つの法律に対して御質問等はございますでしょうか。
○鮫島参考人 質問といいますか、前回もちょっとお話したのですが、条件・期限付承認ということと今回の登録システムとの関係というのは。前回はまだはっきりしていなかったですが、条件・期限付承認ということになりますと、その後の市販の時点でこの登録システムが使われるというように認識すればよろしいのですか。
○事務局 はい、そういう認識です。
○鮫島参考人 そうなりますと、登録する中身は有効性の推定の項目になるのかなと。もちろん安全性の確認もそうですが、品目ごとで有効性の推定を登録すればいいのかなと思います。そういう理解になりますか。
○澤座長 そういう理解ということでいけますかね。ですからそういう意味では、今後、承認が予定されている品目も含めて、どのような内容でレジストリーを作っていくかというのは、先ほど議論。今回、精度を上げる、安全性と有効性をしっかり見ていくというのが早期承認で条件として重要だということになっていますので、その辺りの兼ね合いが非常に議論のあるところで、この辺り、今後、議論していかないといけないことだと思います。その他、御質問等はございますか。
○大須賀構成員 確認なのですが、今の話と関係しているのですが。条件付きで承認と、その後に市販後調査をやるということなので、保険収載を提出するのはこの条件付承認が終わった後に保険の対象になるということですよね。
○安全使用推進室長 保険は承認後の話なので、条件付きの承認が付された時点で、恐らく保険も含めて検討ということではないかと思いますが、本格承認の前の段階なので。
○安全対策課長 そこは、どういう保険の付き方になるかは決まっていないというか。
○坂井田構成員 これは中医協の場での議論、値付けの問題ですので。
○澤座長 ここでは確定的なことは言えませんが、イメージとしてはそういうこともあるということですよね。条件付承認のときに保険に収載されることもあり得るわけですよね。そこは議論でしょうね。
○大須賀構成員 やはりそうしていただかないとこれは、それこそ。
○澤座長 もちろんそうだと。
○大須賀構成員 症例数が多いものを「なしでやれ」と言ったらそれは、ほとんどできないですよね。ベンチャー企業だったらそれで終わってしまいますよね。
○澤座長 その辺りが重要だということは認識されていると思います。ほかはいかがですか。よろしいですか。本当に、このような法案が出来て、より一層この委員会の重要性は認識していただけたかと思います。それでは、その他の議題に移りたいと思いますが、その他の方で何かございますでしょうか。
○事務局 簡単に今日のおさらいをしたいと思います。今日、まず三菱総合研究所さんから実態調査の結果ということで、既存の患者登録システムの調査結果、各国の調査結果の概要、それを踏まえたシステムについての仮説の発表をしていただきました。それを踏まえて御議論いただきまして、いろいろ御意見を頂いております。
 まず、こういったレジストリーを作るときの資金源についてどうするかというところに関して、キャッシュフローがきちんとしていないと永続性という意味でそのシステムの運営につながらないという御意見があったと思います。また、その際に1つのモデルとして、立上げ時は国のサポートが必要だけれども、その後、資金シェア、あるいはフィーなども含めて別のやり方に移行する、こういうことによって継続性を保っていく、そういった提案もあったかと思います。
 あと、インセンティブに絡むところです。実際、システムに登録するインセンティブを考えたときにどういったことを考えればいいかということで、再生医療製品の場合、その製品を使用できる資格を病院若しくは医師等に与える、こういった仕組みを作るといいのではないかという御意見があったかと思います。また、実際にこういった製品を承認するときに、市販後調査の義務付けと一緒にこういったレジストリーの登録を一緒に義務付けるような仕組みも考えるということについても御意見があったと思います。
 入力する項目等については、例えば最初、企業と実際の担当される医師の入力の分担等について御提案があったと理解しております。また、実際にどういう項目を入力するのか、その各領域で必須の項目というものがある一方で、一定の期間、きちんとした市販後調査をやらなければいけないということで、これについては学会の方で整理をする必要があるのではないかということでした。また、特に有害事象とか、不具合等も含めましてこういった基本的なルールについては、製品とも絡みますが、規制当局・PMDA、学会、企業の三者間で一定のルールを決めておく必要があるのではないかということです。
 また、追跡ですが、やはり疾患によって、当然、追跡する期間は違ってくるということです。ただ、標準的な、何年という期間を決めておく必要があるということから、これについては学会の方である程度の整理が必要なのではないかという御意見がありました。また、製品だけではなくていわゆる加工業というものに対して、今後、拡大していくことが予想されますので、製品とは別に、こういった加工業に対してこういったレジストリーではどういう扱いにするのかということも議論しなければならないという御意見を頂いたところです。
 最後、動向ということで、薬事法の一部改正法案と再生医療新法についての説明をしたところです。
○澤座長 ありがとうございました。今日の論点についてまとめていただきましたが、その他、追加などはございますでしょうか。
○西田構成員 次回以降の議論の点で。再生医療の不均一という話がありました。今、医療側の登録という話に集約されていたのですが、製造の部分ですね。autoの場合などでは製造の部分で少し、うまくできる場合と少し不完全な場合というのも出てきますので、そういう製造。つまり、企業側の登録というところは考えていくのかどうかと。製造の部分の作る側ですね。そういう点は、次回以降、また議論した方がいいのではないかと思いました。
○澤座長 それは、実際に治療に入る前の製品のクオリティコントロールみたいなイメージですかね。
○西田構成員 例えば、有効性を判定するのにその製造のクオリティがどうであったかというのが影響すると思うのです。その情報がなければ。
○澤座長 製品の幅があると。
○西田構成員 ええ、その情報がなければ有効性に影響が及んでいるかどうかが分からない場合があるというところです。
○安全対策課長 薬事法での承認を受けた製品ですと、製品の品質管理についての基準に基づいて工程の記録が残るのと、製品の保存サンプルとしても一定期間の保存が義務付けられることになります。それはそれで法律で確保されることになるかと思います。
○西田構成員 今回のレジストリーはかなりオープンにするという話があるので、どこまでその部分の、1つの企業の製造の工程のそれをどれだけオープンにしてという話にも。
○安全対策課長 そのデータをオープンにということですか。
○西田構成員 そうです。今回のレジストリーを外部オープンにするという話が出ていたので、そういう議論が必要かなと。
○高橋構成員 例えば色素上皮で考えると、最終製品のスペックの数値というのを企業が登録するときに入れておくというようなことは、多分、データとして欲しいだろうなと思います。そういう登録の仕方はあるかなと。
○澤座長 その点も次回以降に踏まえてどのような形で。今日もイメージは三菱総研の方から出ていましたが、それを築いていくときに議論の中に項目として含めておいていただければと思います。ありがとうございました。ほかにないでしょうか。ないようでしたら少し、5分過ぎましたが。
○高戸構成員 高橋先生の追加ですが、出荷されてからの保存期間というのも大事だと思います。例えば私たちの軟骨だと、保存期間が2週間で、海外の発注にも対応できるようにしているのですが、そのような際の決まりも必要になると思います。たとえば、企業から出すときと受けた時のチェックシステムなど、適切な制度が出来そうですよね。
○澤座長 そこは、薬事法というか、製造過程での話だと思うのですけれども。ありがとうございました。そろそろ終わりにしたいと思います。最後に、事務局から何かございますでしょうか。
○事務局 では、事務的な連絡をいたします。まず、今日の会議ですが、速記録が出来次第、先生方に連絡し、確認、修正を得てから厚労省のホームページに掲載する予定です。
 次回の予定ですが、7月26日(金)の17時から19時を予定しております。(注:その後の再調整で18時~20時に変更。)次回は、今日御紹介いただきました、幾つか既存のレジストリーの事例がありましたが、それをもう少し詳しく幾つか取り上げて御紹介するとともに、後半は、論点のリストアップを行っていただく予定でおります。近くなりましたら、また正式に御連絡いたします。
○澤座長 それでは、これで本日の会議を終了したいと思います。活発な御討議、ありがとうございました。


(了)
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