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2013年10月21日 第2回地域の就労支援の在り方に関する研究会(第2次)

職業安定局高齢・障害者雇用対策部障害者雇用対策課

○日時

平成25年10月21日(月)10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎第5号館職業安定局第1・2会議室(12階)


○出席者

【委員】

松爲座長、井口委員、石原委員、岡元委員、小川委員、金塚委員、眞保委員、鈴木委員、清家委員、高井委員、玉栄委員、成澤委員

【事務局】

内田高齢・障害者雇用対策部長、藤枝障害者雇用対策課長、金田地域就労支援室長、松永調査官、新井地域就労支援室長補佐、近藤地域就労支援室長補佐、竹中地域就労支援室長補佐

○議題

1.委員からのヒアリング
(1) ジョブコーチ(第1号・第2号)からのヒアリング
金塚 たかし 氏(NPO法人大阪精神障害者就労支援ネットワーク統括所長)
玉栄 清美 氏(トーマツチャレンジド株式会社業務管理部長)

(2)障害者就業・生活支援センターからのヒアリング
石原 康則 氏(社会福祉法人電機神奈川福祉センター理事長)
清家 政江 氏(社会福祉法人JHC板橋会障害者就業・生活支援センター長)
高井 敏子 氏(NPO法人全国就業支援ネットワーク代表理事)

2.その他

○議事

○松爲座長 

おはようございます。定刻となりましたので、ただ今から、第 2 回「地域の就労支援の在り方に関する研究会 ( 2 ) 」を開催いたします。

 ここでカメラ撮りは終了とさせていただきますので、御協力のほど、よろしくお願いいたします。

 本日は、前回欠席されていた委員で、御出席いただいておりますので御紹介させていただきます。株式会社きものブレイン取締役副社長の岡元眞弓氏です。

 

○岡元委員 

どうぞよろしくお願いいたします。

 

○松爲座長 

また、本日欠席されている委員は菊池委員及び中川委員です。前回同様に発言をされるときには手を挙げて名前を言っていただき、それから発言するようにさせていただきたいと思います。

 それでは、本日の議事に入ります。皆さんのお手元の資料のとおり、議事次第では、まず委員からのヒアリングが 2 件ございます。地域支援の在り方、特に障害者の雇用の促進とジョブコーチ制度と障害者就業・生活支援センターについて、 5 名の委員からヒアリングを行いたいと思っております。

 最初の発表は金塚委員です。第 1 号ジョブコーチ関係法人の立場からです。次に玉栄委員です。第 2 号ジョブコーチ関係法人の立場からです。また、石原委員、清家委員及び高井委員は、障害者就業・生活支援センター関係法人の立場から御発表をいただき、その後にまとめて質疑応答の形に流れていきたいと思っております。

 各発表の皆さんには、御提出していただいた資料に沿って御発表いただきますようよろしくお願いいたします。

 なお、発表いただく委員の皆様にお願いしたいことがございますが、発表後の意見交換時間を十分に確保し、よりよい議論にしたいと思っておりますので、申し訳ありませんが、発表時間は最大限でも 20 分を守っていただきますよう御理解願います。

 それでは、ヒアリングに入りたいと思います。最初に NPO 法人大阪精神障害者就労支援ネットワーク統括所長の金塚たかし委員です。よろしくお願いいたします。

 

○金塚委員

 御紹介を頂きました大阪精神障害者就労支援ネットワークの金塚といいます。どうぞよろしくお願いいたします。

 私どもの法人は、この法人名のとおり、精神の方に特化した就労移行支援事業所を大阪府下 4 か所で実施しております。私たちの法人の目指すところは就職ではなくて、その先の働き続けることをを目標にしております。今現在、 170 名ぐらいの方が就職をされ、そのうち約 8 割の方が継続をしているという現状にあります。

 その継続就労の中のポイントは、いくつかあろうかと思いますが、その中でもやはりジョブコーチの存在はとても大きな存在、要因であると考えております。法人としては今現在、 5 名のジョブコーチが専任で活動をしています。今後、ジョブコーチがより効果的、効率的に活動をするために、今回は現場の声を聞いていただき制度に反映していただけますようよろしくお願いいたします。

 資料 1-1 、「1 質的課題」から話に入っていきたいと思います。「特定の障害についてのジョブコーチ支援で課題を感じることがありますか。解決策には何が必要だと思いますか」。私どもの法人は先ほど言いましたとおり、精神に特化をして活動をしております。視覚・聴覚は実体験が少ないのであまり触れることができませんが、課題は大きく分けて 2 つあると考えております。

1 つ目は「障害特性の理解」です。精神の方の障害特性は見えない障害。パッと見て外から障害が見えないことが 1 つ特徴にあります。その中の 1 つに当事者自身の障害、病気に対する理解という部分。この部分の理解がとても不足をしているのかなと思っております。私どもは先ほど言いました就労移行支援事業所を実施をしておりますが、その中で私たちが訓練生、精神障害の方に伝えていることは、ビジネスマナーというよりも、障害の理解、病気の理解及び自分の仕事の能力等の自己理解をとても力を入れて訓練をしているという中で、この病気、障害の理解が働き続けることに大きな要因があるというようなことを感じております。

3 年前ぐらいに私どもの法人で、「就労継続について」というアンケートをとりました。 2 年以上働き続けている精神障害の方 80 名。就労したことはある、働いたことはあるが 2 年以上働いたことがないという精神障害の方約 80 名です。いろんな項目でとった結果です。一番大きな差が出たのは病気の理解、障害の理解の 2 点です。やはり 2 年以上働き続けている方たちの障害、病気の理解がとても高い数字が出ました。

2 点目は、企業が障害に対する無理解から来る不安。正しく理解されていない。マイナスイメージがとても強いから、正しく理解されてない中からくる不安でありましたり、病気・障害がある精神障害の方が本当に労働力になるのかという価値みたいなものを企業の方に理解していただけてない。

3 点目は、ここが大きいと考えており、支援者ジョブコーチ自身が精神障害の方を正しく理解されていないのではないかと思っております。支援者自身が正しく理解されてない関係で、企業に正しく障害・病気のことを伝えない。障害の部分なのか、性格の部分なのか、病気の部分なのか等々、そういう知識不足であったり、経験不足がとても大きいのか。この 3 点が障害特性の理解での課題かと思っております。

2 つ目は「作業支援以外の支援」です。精神障害の方の支援の中で、コミュニケーションを含めた社内での人間関係作りみたいなことであったり、障害当事者自身の言動というようなことについての相談支援がとても多いです。そこの部分について、 1 つ課題があるのか。生活支援についての課題。仕事以外の相談がとても多いと今言いましたが、両親の高齢化からくる家族の問題、家庭の問題、男女の関係、健康管理というようなところで、結局、その課題がそのまま仕事というところに影響してくるため、生活支援のところの課題も大きくあるのかなと思っております。

 その対策です。「1 障害特性の理解」という部分に対しては、「教育と連携」が 1 つのキーワードかと思っております。 JC 養成講座の中に精神関係のカリキュラム、講座・実習をもっと増やしていく必要があるのか。もう少しいえば、精神障害に特化したコースも考えていかないといけないのかなと思っております。今後、いかに専門性を上げていくかが、精神障害の方に対するジョブコーチの大きなポイントであると考えております。

 「連携」の部分で、「医療機関との連携」がよく言われておりますが、実際、医療機関の就労に関する意識が低いのはたしかではありますが、ここにきて、医療発信の就労支援がどんどん広まってはおります。実際に病院から、クリニックから外に出て就労移行支援事業所を始めているところもあります。デイケアの中に、「就労プログラム」というものを作っている病院関係、診療所関係もたくさん出てきております。実際に今年はモデル事業として、医療と連携した精神障害者の就労支援モデル事業というものが始まっております。全国で 10 か所の医療機関等がこれを受けて実施をしております。

 先週も千葉でこれを受けたところの研修会に私は参加しましたが、医療から就労支援をどんどん発信している。その中でしっかり連携を作っていっているようなモデルを見ました。大阪では、大阪精神科診療所協会が委託を受け、私ども大阪精神障害者就労支援ネットワークがそれに協力をさせていただいております。 実際には、出前講座といい、病院、診療所のデイケアに私たちが出向いて行って就労準備等の向上を図るというようなことをさせてもらっています。大阪府下で 5 か所の診療所、病院で実施をさせていただいておりますが、大きな反響がありますし、実際、そういうことを考えると、医療もデイケアを持っている所は押し出していく、通過型のデイケアを目指しているところも増えてきておりますので、その通過型を考えたときには必ずやはり就労ということが入ってきます。私たちのほうから、福祉側からもっともっと医療にアプローチしていく必要があるのではないかと思っております。

 「2 作業支援以外の支援」で、キーワードはコンサルティングと考えております。企業に対する提案力の養成第 1 号ジョブコーチと第 2 号ジョブコーチの専門性を考えると、特に精神障害者の就労支援ジョブコーチを考えたときには、直接的に仕事を教えるというよりも、企業の中に入って仕事を教えるのは第 2 号ジョブコーチの役割で、第 1 号ジョブコーチは、先ほども言いました生活の部分も含めて、いろいろな課題が出てきますので、そういう課題を含めたときの解決策の提案力という部分です。ジョブコーチがそういう提案をどんどんしていけるのかどうなのか。そういうことを身につける必要があるのではないか。あとマネージメント力を養成するということです。ジョブコーチは 1 人で仕事を完結する支援者ではない。チームで支援をするかをいかに意識できるか。チームで支援をしようと考えたときには、地域の、あらゆる関係機関と繋がりを持ってマネージメントをしていくことがとても大事なのかなと思っております。これが 1-1 です。

 次に、「 2 ジョブコーチ支援能力の向上」です。「1 法人内で新任のジョブコーチの質を向上させるためには、どのようなことをしていますか」。冒頭にお話をしたように、 5 名のジョブコーチを法人で抱えております。専任でジョブコーチ部門というものを作っております。そういうところが 1 点あります。 5 人のジョブコーチは、 4 つの施設に分かれて配置しておりますが、毎月月末に 1 回集まりジョブコーチ定例会を実施しております。そのときにいろいろな情報交換と、ジョブコーチは定期的に異動があり、新人のジョブコーチに対しては先輩のジョブコーチがスーパーバイズをするという仕組みを作っております。

 あと、「ケースカンファレンス」です。事業所の中で 2 か月に 1 回カンファレンスする。これは訓練部門もあったりしますので、就職するまでの課題のケースカンファレンスであったり、まさにジョブコーチの仕事になりますが、継続支援という部分のカンファレンス。後は拡大ケースカンファレンスも実施しており、 3 か月に 1 度地域の関係機関、ハローワーク、就ポツ、医療機関、発達障害者支援センター、 B 型等の関係機関に集まっていただいてカンファレンスの実施をしております。もう 1 点は、地域職業センター主催のジョブコーチ研修会にも参加しております。

 次です。「2 現行のジョブコーチのうち、経験の豊かな者について、 ( ) 高齢・障害・求職者雇用支援機構の関与がなくとも、単独でできると思われる業務はありますか」。私たち法人の中では概ね関与がなく遂行できると考えております。

 「 3 フォローアップ期間経過後の一時的な支援を含むジョブコーチ支援の要否の判断についてどのようにすべきと考えますか」。今回いろいろ話をしていく中で、ここは特に私としては強くお話をさせていただきたいなと思っております。精神障害者の就労継続を考える上では、本当にここの部分はとても重要だと思いますし、是非、これは必要であると。精神障害の特性を考える中で、できるだけ柔軟に対応してほしいことがあります。何年経っても病状の揺れからくる仕事に対する波が出てくるということに対し、できるだけ早くスピーディに支援に入れるように。このジョブコーチというのは職場適応援助ということなので、職場定着援助という制度も含めて是非考えていただきたいと思っております。

 「職場適応援助」と「職場定着援助」を考えるときに、精神障害は定着について新たな制度、同じことを言いますが、現行のジョブコーチ制度を柔軟に活用しなければ定着支援に難しさを感じていますし、企業も定着支援を望んでいるというところで、参考資料スライド 10 ページを見てください。いろいろ資料を入れておりますが、時間の関係で 10 ページのところだけ説明させていただきます。「企業から見た就労支援者の必要性」。私どもで取ったアンケートで、企業の方に、「どういう支援が必要ですか」という質問で一番多かったのは、特に調子をくずした後のジョブコーチ。まさに定着の部分です。何年か経った後に調子をくずしてしまった。そのときに直ぐにジョブコーチに入ってほしいという意見が一番多かった。次には、実習中のジョブコーチ、彼らを受ける前にどういう人たちかを企業の方はよく分からない。理解できない。そこについては手厚い支援がほしいと。今、私が話をした定着の部分に関しては、是非とも考えていただきたいところと思っております。

 「2 量的課題」です。「自法人の職員をジョブコーチにするための養成研修を受講させる際の課題は何ですか」。連続 6 日間の参加に少し課題があるのか。そう言いながらも、私たちの法人のスタッフ 6 7 割ぐらいが養成講座を修了しております。特定の地域の開催で、遠くからジョブコーチ養成を受けるに当たっては参加費、交通費、宿泊費みたいなことを考えると、できれば身近でそういう講座があるのが望ましいのかなと考えております。

 最後に、「3 その他」で 4 点あります。 1 点目の「経費について」です。ジョブコーチの稼働率がとても低い。ここの数字は小川先生のほうから出るのかなと思いますが、養成されたうちの 2 3 割ぐらいしか稼働していない。その一番の大きな要点は、この経済的な部分だと考えております。実際にそのジョブコーチをプロとして育てていこうと思ったときには、経済的担保は絶対的に必要になるのではないかなと思っております。

2 点目も、経費の件で引き続き、ジョブコーチ経費は、 1 3 時間以上の稼働と 3 時間未満によってお金が違ってきますが、仮に 1 3 時間以上の支援に 2 か所入ったとしても、 1 回しか支援費請求ができないこと。支援の対象は面談、電話対応まで認められないのかなと思っており、これは精神の方のジョブコーチをしている中の割合が多く、しかしながらとても重要な部分と考えます。これも別紙を見ていただくと、ジョブコーチについての支援内容の内訳で、これは「回数」と「時間」とあり、実際にジョブコーチ支援として、支援費が取れるのが時間は 41 %、回数は 29 %になっております。それ以外の部分に関してもジョブコーチ的支援はさせていただいておりますが、支援費の対象にならない。ジョブコーチ支援以外のところの、先ほど言いました電話、面談、事業所に訪問しての面談であったり、仕事が終わってから私たちの施設に戻ってからの面談、また家に帰ったあとの電話の対応が相当数あります。

 次に、「単価が上げられないのなら相談料という設定はできませんか」という 1 つ提案です。何度も先ほども言いましたが、職場定着援助コースを是非、設置していただきたい。この部分に関しては、定着を考えたときに就業生活支援センターとの絡みというものができてくるとは思いますが、ジョブコーチということだけを考えたときにこの制度が必要ではないかと考えております。

 「ジョブコーチの質の向上」と、先ほどは法人内の新人の質の向上でありましたが、ジョブコーチ全体の質の向上を考えたときには、やはり定期的な研修を義務づけ、更新制度みたいなことを行ってレベル維持を図る必要があるかなと思っております。「ジョブコーチをより身近なものに」で、 1 つの提案としてジョブコーチを就業・生活支援センターに配置できないのか。前に就ポツを担当されている3人の委員の方が座ってましてとても言いにくいです。まだ、就ポツに何か持ってくるかみたいなところで、目線が怖いですが、現在、配置をされているのは職業センターに配置されており、アクセス的な問題を考えたときには、やはりより身近な就ポツにジョブコーチを配置するのが適当であるのかと思い、今後、就ポツの在り方の中で定着を考えたときに就労移行支援事業所と連携をしながら、どうジョブコーチを有効活用していくかは総合的に考えていく必要があるのかなと思っております。

 最後に、「精神障害に対応できるジョブコーチ」。今回就ポツとジョブコーチが論点ですが、その中の大きな 1 つとして、精神障害ということが何となく言われております。そのようなことを考えたときに、精神の方に対応できるジョブコーチとして、医療機関のコメディカルスタッフ、特に福祉系のスタッフを PSW とか OT の方に養成研修を受けていただけるコースを設置してはどうかを提案させていただきます。そうすることにより、精神障害の方に対応できるジョブコーチの養成がスムーズに進むのではないか。医療機関の方にジョブコーチ養成研修を受けていただく、就労支援の基礎を学んでいただくことは、医療機関との連携を考えたときにもとても大きなメリットがあるのではないか。医療機関の方と就労の話をするときに、なかなか共通言語として話ができないという現状がありますので、「ジョブコーチ養成研修」というものを受けていただいて共通言語が図れれば、より連携もスムーズになるのではないかなと思います。なんとか 20 分までに終わりました。ありがとうございました。

 

○松爲座長 

ありがとうございます。続いて、トーマツチャレンジド ( ) 業務管理部長の玉栄清美委員、よろしくお願いします。

 

○玉栄委員 

トーマツチャレンジ ( ) の玉栄と申します。よろしくお願いします。

 私どもは有限責任監査法人トーマツの特例子会社です。大きな特徴の 1 つは、事務系が非常に多いということと、親会社の中に入って、いろいろな障害の特性を活かしてチームを組んで、各部門に入って一緒に仕事をしているというところかと思っております。

 まず、「1 質的課題」です。皆様のようにまとめていなくて、申し訳ありません。私がジョブコーチ第 2 号を受けるきっかけとなったのは、ミッションとして障害者を採用しなければならないというところから始まり、必死にやりくりしている中で、第 2 号ジョブコーチというのがあるらしいと聞き、 1 回受けてみたらどうかということで受けたのがきっかけです。ですから詳しい障害の特性とか、システム的なものなどは殆ど理解しないまま受けたというのが実情です。

 障害の特性の理解の深さと経験値の少なさが、企業では大きな課題になっていると思います。ここにいろいろな例を書きましたけれども、企業は生産性がないものに関しては力を入れない。やはり生産性を上げるものに関してはお金を費やそうとするのが基本ですので、障害者を採用することに関してスムーズに企業が進んでいくかというと、やはりそこにはいろいろな葛藤があるというのが現実です。

 私などはまさに経験の中で学んできたことが殆どでした。聴覚障害者はただ耳が聞こえないだけで、あとは何の不自由もないだろうと思っていましたが、私たちは聞いたり動いたり、いろいろなことで情報収集をしているのだなということが実感として分かり、本人たちの苦労が改めて分かったり、発達障害者は 1 つの業務に関してとても優れていること。コミュニケーションが非常に苦手とよく言われておりますが、うちの会社に於いては、周りが理解してさえくれれば、コミュニケーションを取りたい人もたくさんいるということが分かったり、教科書の中の知識が全てに活かされるわけではないということを深く学びました。

 ここに具体的な例を出しています。非常に自閉傾向が強い方が第 1 期で入社して、私たちは非常にてこずりました。エレベーター 1 つ乗るのも怖がって、行ったり来たりを繰り返して、どうやったら乗れるようになるかということを 1 か月間一緒にやったら、そこに 100 円玉のハゲができたりしたことがありました。すごいストレスを与えてしまったのだなということを後悔したり、いろいろなことがありました。

 また、精神の方などは夏季休暇を 1 週間取った後に、「まだ休暇が必要なんです。もうちょっと休暇がないと業務には戻れません」と言われたのです。支援機関の方に御相談をしたら、彼は休み中に、この給与でやっていけるのかとか、結婚はできるのかとか、将来のことをいろいろ考えたら、余計に疲れてしまって、この 1 週間の休暇で疲労を増してしまい、翌週も、「もう 1 週間休ませてあげてください」というお話でした。「一体いつ戻ってこられるのか」と聞いたら、「分かりません」という答えをいただきました。企業としては、勤怠が安定している人が一番採用していて楽であるというところからすると、精神障害の方というのは非常に難しいと手を挙げる企業が多いと思います。

 それで彼が 3 年たったときに、この辺でもう少し気合いを入れたいと思う出来事があり、私は彼と 1 1 で面接をしました。随分成長して休暇が短くなってきたので、そのときに、このままでいいのか、将来的に自分でもっと活躍したいと思うのであれば、自分が力を付けていく必要があるのではないかという話をしたのです。今では指導スタッフの副リーダー的存在として活躍するようになっています。しかし、これは全員に言えることではなくて、タイミング、又は彼の成長をじっと見つめてきたことによる成果だと思っています。

 うちの会社は設立当時、ナカポツセンターに非常に御協力いただいて、全く知識のないところからやりました。ジョブコーチとしての知識がない中、助けていただいて設立できました。私たちがジョブコーチの資格を取ったとしても、第 1 号ジョブコーチと比べて、障害の特性の理解は低いと思います。私もこういう立場にならなければ、全く興味もなければ、勉強もしなかったというのが本音です。採用してみたら非常にかわいくて、接していて、彼らの素晴らしさというものが分かって、その実体験の中で初めて裏切れないという好意が私の中に芽生えました。

 この役割を引き受けたときに、やりがいがあるかどうかさえも分かりませんでした。やってみて成功し会社の中で評価を受けているのでやる気が増しました。彼らと直に接してみないと、障害者の良さというのは分からない。精神の方も、「大変だ、大変だ」と言われるのですけれども、接してみると、案外かわいいところがあったり、発達障害のカナーの方も、正確性などで職業に活かせるものを持っていたりということを経験の中で学んできたので、私たちは第 1 号ジョブコーチのような専門的なものではなくて、経験とスーパーバイザーやメンターといった方によって助けられているのが事実だと思います。会社にはそれぞれ文化も違えば、やっている業務内容も違いますので、第 1 号ジョブコーチから引き継いでくるときに、就労支援機関等々にもその辺を理解をしていただきながら、当事者に勧めてもらう就労前に少しでもスキルアップをしていただけると、よりスムーズにいくのではないかと感じています。

 特に企業に入社すると、長期にわたる定着が必要になってきています。例えば高校卒業で入社した場合、うちは 65 歳が定年ですが、それまでに加齢に伴って、この業務をずっと続けていけるのだろうか、あるいは業務が慣れてきたら異動しなくてはいけないのではないかとか、いろいろなところでジョブコーチの役割があり、第 2 号ジョブコーチの必要性というのは、非常に高いものであると思っています。うちの会社は構造化がよく進んでいるとお褒めいただきます。その構造化も、ジョブコーチの研修に行って学ばなければ、やはり構造化をもっと進めようという気にはならなかったと思います。

 質ということでは先ほどおっしゃっていたように、 1 回研修受けたら終わりというのではなくて、専門性です。精神あるいは発達、いろいろな分野においての研修が繰り返されていくことが、本人を高める 1 つの意識改革になるのではないかと思います。レポートを提出するといったことを課題として与えなければ、いつまでたっても企業が障害に興味を持つとか、勉強するという意識はなかなか芽生えてこないという感じがいたします。

 特に最近感じているのは、精神保健福祉手帳をお持ちで面接を受けに来る方が多くいますが、その中には統合失調症、うつ、広汎性発達障害という診断を受ける方が非常に増えています。それも高学歴の方も多くいらっしゃって、果たしてこの人たちを指導していけるのだろうかと、企業側の指導スタッフがへこみそうになるときもあります。そういった方を受け入れできるくらい専門分野には詳しくて、それを活かしていく企業がなかなかないのではないかと感じています。また、発達障害や身体障害の方も、 2 次障害を受けて精神を患っていることも非常に多いと感じています。

 次に、「 2 経験の浅い第 2 号ジョブコーチの育成にあたり、どのような支援が必要だと思いますか」というところです。現在、広汎性発達障害という診断を仰いでうちに入社した人がすごく喜んで働いています。給与は多分以前の半額になっているであろうという方がいらっしゃいます。その方たちが「今は多岐多様にわたった仕事をさせられていて、一遍に 1 つのことができなくなって付いていけなくなり、非常に苦しい思いをしてきた」とおっしゃいます。障害者雇用は、企業にとって、理解がまだ低いのだと思うのです。特に大企業になるとやり易さもあると思うのですけれども、中小に関してはいろいろな仕事を合わせて 1 人分を創出するとなると、1つの障害特性を活かし切ることがなかなか難しいと聞きます。ラインに乗ってやる仕事だと、ある程度できるかもしれませんけれども、事務系などのように、 1 日に相当するものを 1 人の特性を活かして出せるかというと、なかなか難しい。その辺で中小に対する手厚い支援がもっと必要ではないかと思います。

 企業への理解を進めていくことが第一だと思います。企業担当者同士で情報交換のできる場としてのネットワーク、支援機関やメンター等とのネットワーク作りや研修の機会が必要。もっと企業に情報提供してほしいのです。また、 OJT として先輩が指導するというのは、大企業ならできますけれども、中小だと企業にジョブコーチが 1 人しかいないといったことがありますので、そういったネットワークができる研修システムをもう少し作って、お互いを理解できるようにしてほしいと思います。

 「 3 2 号ジョブコーチが企業内で活動するための支援としてどのようなことが必要だと思いますか」という問いは、私は特例子会社なので、親会社あるいは一般企業に対して、障害者が働くことの素晴らしさを理解させる啓発運動をもっとしてほしいと思います。兼務とか、そういった状況の中で進めていくことが第一歩になっていくのですけれども、本来の業務をやっていくほうが評価されて、障害者の業務は誰にでもできるという観念で役割を与えられがちなのです。年を取った方のほうが経験豊かでいいのではないかということで、第一線で活躍するエースを置いてくれる企業は、本当に少ないと思います。

 うちは第一線で闘うエースを置いてくれたので、非常に柔軟な考えを持った若い男性が引っ張ってくれていました。親会社は公認会計士の集団ですので、非常にフラットで、フィールド的には障害者を受け入れやすい環境だったと思います。しかし個々人を非常に尊重しておりますので、トップダウンで始まるということではありません。

 ただ、そのエースが話をしたときに企業秘密が漏れないかとか、そういうことが非常に危惧されて、知的障害者を入れることはどうなのかというのが大きな話題になったと聞いております。それはうちだけではなく、今は機密保持が非常に騒がれている世の中ですので、その辺も非常に大きなネックになっているのではないかと思っています。ですから、うちではそこの点を特に気を付けています。パソコンのセットアップをやっているのですけれども、パソコンのセットアップというのは、パスワードを入れ続ける作業です。それが社会に漏れてしまったらどうしようかとなったときに、本人たちに、「絶対言ってはいけません」と言うと絶対に言わないのです。そこも非常に正確です。そこを発達障害の方にやっていただいたら、外部に出すよりも非常に有効的にできております。

 「2 量的課題」は、私には分かりかねる分野です。ただ、私が思うのはやはり企業がやる気を出さないと就職先が見つからないという点では、障害者雇用へのやる気、必要性、興味を引き出さないと、やはり本来業務が中心になってしまって、私たち素人が学びに行く時間を取りづらいということがあるので、やはり啓発は進めていただきたい。あと、第 2 号ジョブコーチとして、その存在の価値というものが知られていないということがありますので、第 2 号ジョブコーチがどんなに必要かということをもっと訴えていただきたいのです。

 それから、「 2 養成研修の開催地域について」です。うちの会社は全国にあり、今回 NPO 法人に御協力いただいて、地方の事業所が障害者雇用を勧められたという経緯がありました。それは何がきっかけだったかというと、ジョブコーチの養成研修です。大阪、福岡、名古屋の NPO 法人に御協力いただいて、大阪に障害者雇用のネットワークを作ることができました。そういった意味では全部が個々に分かれてやることが良いことだけではない。 1 つの拠点に集まって、全国にネットワークを作っていくことによって、全国に広まっていくこともあるのではないかと思っています。

 私がジョブコーチネットワークに出て非常に驚いたのは、「過疎地」と呼ばれている所からもいらっしゃっていたことです。「受け入れる企業が全くないんです」という中で頑張っている姿を見たときに、いろいろな環境によって障害者雇用の捉え方、考え方、今何が起きているのかということの捉え方に、大きな差があると思いました。ですからある程度の大都市で行われるのがいいのではないかと思っています。地方で開かれて、いろいろ拡散していくことについては、少し検討の余地があるのではないかと考えています。

 「 3 2 号ジョブコーチを企業内に置くこと」に関しては、是非置いていただきたい。これは第 1 号も望んでいるのではないかと個人的には思っています。就労支援機関にもナカポツにも第 1 号はジョブコーチを置いていただきたいということと、第 1 号と第 2 号の連携が非常に必要であると思っています。第 2 号ジョブコーチもこの養成研修である程度の知識をいただいて、第 1 号から引き継いでいくという認識を持っているわけですが、そういった状況のほうが第 1 号の良さが活かし切れていないのではないかと感じます。

 うちは全員、ジョブコーチの資格を受けようと思っております。それは会社で必要だと思っているからです。第 1 号が提案してくれたことが第 2 号でスムーズに受入れできるかどうか、それによって障害者の負荷が軽くなっていくと思っています。企業の中で工夫をしていくことも、第 2 号がどんどん専門性を持って企業の中で提案していけるようになっていけたらと思っています。

 「3 その他」ということで先日、特例子会社としてどうかというお話があったので、少し書かせていただきました。特例子会社を設立するためには、全く知識のない所にナカポツセンターから、知識や制度的なものを教えてもらったり、うちの会社がうまくいっているかどうかは分かりませんが、私がうまくいっていると考えて思うのは、資源を使うことがとても上手くできたところです。職業センターにこういったことをお願いすれば、 SST の講師を招くことができたり、ナカポツセンターにこんなことをお願いすれば、こういった提案をいただける、支援機関で発達障害に詳しい所があればそこに相談する、精神に詳しい所があればそこに相談をする、そういったメンター的な存在が、私の中には非常に明確に存在しておりました。その方々に相談すれば解決策をいただけるというのが非常に大きく、うちの会社が何となくやってこれたということです。

 もう 1 つは、「指導スタッフ」という立場で第 2 号ジョブコーチを置いておりますが、全員は未だ取得しておりません。 1 チームに 1 人付けるような形で採用しています。最初の 2 3 年は会社の理解を得るまで相当かかりましたけれども、今やもうジョブコーチを置くべきであるという会社の考えになっております。弊社でいう指導スタッフの人選を私は非常に大事だと思っております。第 2 号ジョブコーチが成長しない限り、障害者の成長もあり得ない。ですから第 2 号ジョブコーチはいかに障害者のいろいろな特性を笑って過ごせるかというところに、重点を置いて採用しています。深刻になってしまったらおしまいです。そこを良いところだと思って、業務に結び付けていく観点を持っている人を採用するようにしています。そこでお互いが語り合って、またやっていくようにしています。

 今、 1 1 の面談を毎月させていただいております。それで障害者が今まで生きてきて、非常に疎外感を受けていることを多く聞きました。そこで、「うちの会社にとってはあなたが大事な存在である」ということをメッセージとして送りたいと思って、 1 1 の面談を決めました。あとは、支援機関等を見習ってケース会議を行っております。

 最後に、今は関連会社からコンサルティング的に相談を受けることが非常に多くなっています。やることが非常に多岐多様にわたっていて、私も混乱するような状況ですけれども、新しい挑戦として、関連会社に精神障害を中心とした採用を勧めています。 12 月までに 17 名の精神障害者を採用しようと思ってトライしています。支援機関から御協力いただいて、今 15 名程度の採用が決まりました。人柄が良くて、コミュニケーションが取れる人という人選をしました。もちろん定着させていきたいというところで、精神保健福祉士を 2 人ほど配置しようと思っております。それと臨床心理士を 1 人、サブ的に置こうと考えています。

 皆さんからの提案次第ですが、ピアカウンセリングという体制も整えていきたい。その中で最初はゆっくりだけれども、後で大活躍できるようなことを想定して、新しいものをまた世の中に示せないかという挑戦となっております。大学を卒業してから広汎性発達障害と診断された方や精神保健福祉手帳の方がフルタイムで働ける、生き生きと働いていける職場提供をまた新たに創設していきたいと、今考えて挑戦しているところですので、成功するかどうかはまだ分かりません。今後、頑張っていきたいと思います。ありがとうございました。

 

○松爲座長

 どうもありがとうございました。続いて、社会福祉法人電機神奈川福祉センター理事長の石原康則委員、よろしくお願いします。

 

○石原委員

 電機神奈川福祉センターの石原でございます。資料 1-3 に基づき、御説明させていただきたいと思います。

 当法人は湘南と川崎のセンター、並びに横浜市の単独事業である、横浜南部就労支援センターを運営してきました。今年 9 1 日現在で、法人全体の数は 751 名の就労者、 361 名の求職者を支援しています。なお、センターの支援対象は、以前は知的障害者が圧倒的に多かったのですけれども、ここ数年は精神障害者が急増していて、図 1 のとおりです。さらに発達障害、高次脳機能障害、難病など対象者は多岐にわたるようになってきております。センターとしてもこれらに対応していくために、専門性を高める「質」の向上に対する努力を行わないといけないと思っているところです。神奈川県を「大都市」と呼べるかどうかは別にして、大都市のセンターとしての「量的課題」として支援対象者の数が多くなってきているという現実に対して、職員配置等が検討されない以上、質的課題の解決もなかなか困難であるという立場です。

 次に、「1 質的課題」です。「 1. 精神障害者・発達障害者に対するセンターでの支援について、課題を感じることがありますか。解決には何が必要ですか?」という問いです。「課題」の 1 つ目は、そもそも就労に対する射程に入っていないにもかかわらず、相談相手をしないといけない現状があります。生活支援センターの「生活」という名称イメージによって、生活の相談は全て乗ってもらえるのではないかという立場で、定義付けも曖昧なところがあるために、就業者への生活支援よりも、そもそも病状が安定していない求職相談者への相談支援に忙殺されるということが 1 つあります。

2 つ目は、医療機関との連携です。金塚委員がいらっしゃる中で大変申し上げにくいのですが、医療機関との連携という意味では不可欠ですけれども、就労支援の方向性とか、就労の定義に、「ずれ」を感じているということが 2 つ目の課題です。

3 つ目は、企業において精神障害者や発達障害者を理解してもらうことが非常に難しいということです。そもそも社内においては、精神障害者の対応に企業は苦慮されておりますので、「新規の雇い入れは考えられない」と言う企業が多くいらっしゃる。発達障害者についても、障害そのものを企業が十分に理解していないということがあり、そこへの対応の問題があります。もちろん、当事者や親の障害受容も低いというケースがありその対応に苦慮しているということです。

 次に 2 ページの 4 つ目です。「量的課題」にも連動するのですけれども、正確なアセスメントが実施できないのです。アセスメントの重要性を理解しているのですけれども、新規相談者や滞留者の増加により、アセスメントを十分に行える余裕がありません。

5 つ目は、専門性のある人材を育成しにくい環境があります。専門性のある人材を確保又は育成することが必要だとは認識しているわけですが、相談者の量が多いため、なかなか取りかかることができないという課題があります。

 これらに対する「解決策」という意味で、 2 つ申し上げたいと思います。まず増加する相談者に対しては、第一次スクリーニング機能やアセスメント機能を強化することにより、何でもかんでも持ち込まれるということではなく、相談者の振り分けができるようにする。そこで量的な問題を軽減することによって、質の問題解決につながってくるということが 1 つ目です。 2 つ目は、医療機関の「就労」に関する方向性を合わせるために、地域の協議会やネットワークを通じて、ここを重視して個別に研究していくことが非常に重要だと認識しているところです。

 次に、「 2. センターとして、職場定着支援を進める上で課題と感じることはありますか。解決には何が必要だと思いますか」という問いですが、「課題」には大きく 2 つの側面があると思っております。 1 つは定着支援対象者そのものの増加という問題です。 2 つ目は、雇用している企業への支援の在り方という問題です。まず、対象者の増加という問題です。新規の就労者数に加えて、特別支援学校、就労移行支援事業所、就労継続 A 型・ B 型、当事者・家族、関係機関、企業等というように、定着支援の依頼元が非常に多岐にわたっていて、その数も年々増加傾向にあるということです。

 1が特別支援学校からの定着依頼の増加についてです。特別支援学校からの就労率は、間違いなく増加傾向にあります。卒後の支援をセンターに依頼されることが多くなっており、数が多いために引継ぎやマッチングに課題があり、結果的に後々その対応に追われるケースが多く存在します。これが1の課題です。

 2が就労移行支援事業所からの定着支援の増加です。就労移行支援事業所における就労実績のある事業所が当然増加しております。事業所の中には出て 6 か月経過後にセンターに登録することが多いわけですが、移行支援事業所から出てくる対象者や企業との信頼関係の構築の問題、出てくる私どもの利用者であった本人の状況の問題、就労に至るまでの経緯の把握に時間がかかっているということで、時間的な困難が多くあり、マッチングのずれから、就労継続が困難なケースも発生しているところです。

 3がいわゆるサポート校からの定着支援の依頼の増加です。手帳を取得している、又は、在学中に取得をして、その後就職してからセンターへ引き継がれるケースが多くなっています。特別支援学校に比べて、当事者、親の障害受容が低く、その支援に苦慮しているという現実があります。

 「課題」の 2 つ目の側面は、「雇用している企業への支援の在り方」という意味で、雇用先の担当者が交代される。交代されると、雇用管理等の引継ぎや、問題発生のときの対応についてセンターにコールが掛かるということで、依存されているケースが多く見られ、その支援に忙殺されているという課題です。

 これらに対し、【解決に必要なこと】ですが、●の 1 つ目にありますように、関係機関との役割分担を明確にして、定着支援における正確な引継ぎやミスマッチ等の課題をしっかり共有化し、解決に向けた取り組みを行う必要があるのではないかというのが 1 つ目です。

2 つ目は、就労移行支援事業所については、出身の事業所がフォローアップをすることがより高い定着をしているという傾向が見られます。これは私どもが平成 24 年度障害者総合福祉推進事業の調査 ( 一般就労後の職場定着フォローアップに関する調査 ) を担当させていただいたときに、その調査結果からも明らかになっております。出身事業所が定着支援できる仕組みが必要となっています。

3 つ目は、企業における第 2 号ジョブコーチを配置しやすい、活用しやすい仕組みを作ることです。こういうものを作ることによって、企業が障害者雇用に関して自主的に解決できるというか、対応できるようにする必要があるのではないかと。

 次に 3 ページに移ります。 4 つ目は定着のデータを収集・公表していただいて、長期的に雇用を実現している企業に対して評価するといいますか、インセンティブを付与することで職場定着について企業内での意識を高めてもらうという施策が有効ではないかと考えています。

 「 3. センター間で実績に差があるという指摘がありますが、どのような原因が考えられますか。また、どのような対応が必要と考えますか」という問いです。これは【原因と対応】について、一緒に報告させていただきたいと思います。

 1ですが、地域性の違いです。産業構造や歴史的な背景を要因とする地域のネットワーク、あるいは福祉サービスを中心とした社会資源に、それぞれの地域に違いがあるわけです。そういう違いがある中で、センターは圏域に 1 か所ですから、地域において運用が柔軟に対応できるようになっていないという課題があると思います。したがって、地域性に応じた柔軟で適切な対応ができるように制度を再検討いただきたいということです。

 2ですが、実績報告を提出するセンター側と受け止める労働局側に認識のズレがあって、実態が正確に把握されているかどうかが不明なのです。私もこの実績報告のフォーマットを見ましたけれども、非常にきめ細かい詳細な項目を報告するようになっております。その項目に対する定義付けと言いますか、根拠がセンター間で統一されていないという状況があります。これは私どもの現場から上がってきた意見です。「頑張っているのにこの程度の評価しかしてくれないのか」という現場の思いがきっとあると思うのです。したがって、監査を強調するわけではないのですが、事業監査において各センターの支援実態や支援内容を正確に把握できる努力を行政側にしていただきたいということです。

 3です。各センターや運営法人が、センターの役割や機能を十分に理解していないという自らの反省点です。ここは全国就業支援ネットワークの高井さんが担当されたと聞きました。平成 21 年の厚生労働省障害者保健福祉推進事業の中で、「障害者就業・生活支援センターにおける支援の在り方を探る」という報告書が提出されております。その中で、センターの役割や機能等のあるべき姿について触れられており、ここに自己チェックシートという提起があります。この自己チェックシートを活用して、当該センターの役割や機能を定期的に棚卸しする必要があるのではないか評価する、検証する必要があるのではないかということです。

 続いて、「2 量的課題」の 1 番、過疎地域の問題です。国の事業ですから、サービスを同様に受ける権利は過疎地域の障害者にも当然あるわけです。そういう意味では、一概に過疎地域というよりも、人口規模や地域に存在する就労移行支援事業所などのような資源、これらの分布というか、配置を考慮して、実情に応じた予算配分を行って、過疎地に対しても合理的な設置基準を設定したり、柔軟な対応を求めたいということです。

2 つ目は、大都市圏でのセンターの在り方です。やはり人口の多さや福祉サービスの多さ、自治体独自の支援機関を持っておられたりということで乱立状態にありますから、ここの交通整理が何といっても必要ではないか。大都市圏では、センターの役割を明確にしていただいて、様々な機関のコーディネート役をどこかが担う、ナカポツが担うということが重要だと考えます。

 また「量的課題」に起因して、正直言って、人材育成やアセスメント、マッチング、定着支援等「質」の低下を招いているという現実があります。国の事業においては、福祉圏域内におけるサービスを同様に受ける権利を有するのですが、圏域 1 か所であれば、公平に享受することが困難です。ここは人口比に応じた設置数を望みたい。設置する場合には自治体独自の就労支援機関の設置状況等にあわせて、別法人に委託するのか、既存のセンターの人員を増配して、支店あるいは出先機関を作ってその地域をカバーするのか。これらの方策については、柔軟に地域の実情を見て判断するのがよろしいのではないかと思っているところです。

 また、就労場所や企業の多い大都市圏では、周辺の福祉圏域から就労を希望されるケースが少なくありません。国の方針としても、それらの求職者や定着支援者を受け入れることは「可」としているために、 1 か所の設置ではやはり多くの負担があるので、負担軽減策として大都市圏では複数の設置が望ましいと考えております。

 最後に、「3 その他」です。前回の研究会でも発言させていただきましたが、ジョブコーチやナカポツセンターの位置づけを論議するときに、就労移行支援事業所とのかかわりは当然出てくるでしょう。また、地域の就労支援全体の枠組みを考える場合に、労働行政と福祉行政の一体化というテーマが前提となってくるのではないでしょうか。したがって、本研究会が開催されるにあたり、私どもの仲間である全国就労移行支援事業所連絡協議会の加盟事業所 ( 就労実績のある事業所 ) に連携状況に関わるアンケートを配布し、回答をいただきました。その結果をそこに資料として付けています。検討においては是非、この調査結果も吟味いただいて、考慮していただきたいと思います。

4 ページの囲みで書いていますが、「障害者就業・生活支援センターは地域の中核として極めて重要である。圏域という範疇ではなく、地域において実績のある就労移行支援事業所との連携を鑑みながら、役割分担の明確化が必要である」というのが 1 つ目です。

2 つ目は、「福祉事業所からの就労者の職場定着支援において、第 1 号職場適応援助者の役割は極めて重要である。役割の重要性にもかかわらず、現状で事業所の人件費負担が大きく、かつ、制約が多いため、実質的に活用されていないに等しい。障害者の就労を推進する上で、財源確保及び運用上の柔軟性は必須である」ということです。

3 つ目は、「現状の支援実態を鑑み、また、支援者のスキルアップのために、就労支援プロセスをスーパーバイズできる経験者に対して何らかの措置を講じ、適切な処遇、モチベーションを上げることを検討して頂きたい」ということです。

 私からのヒアリングに対する御報告は以上です。御清聴、ありがとうございました。

 

○松爲座長

 ありがとうございました。続きまして、社会福祉法人 JHC 板橋会障害者就業・生活支援センター長の清家政江委員、よろしくお願いいたします。

 

○清家委員

 ワーキング・トライの清家と申します。よろしくお願いいたします。ワーキング・トライは東京 板橋で活動しております。特徴としては、母体法人が板橋で 30 年ほど精神障害者の地域での自立生活支援を行ってきた団体ですので、現在、 300 名ほどの登録者がおりますが、その約 9 割弱が精神障害者です。中には精神保健福祉手帳を持った発達障害者や高次脳機能障害者もおいでですが、大半が精神障害者です。今回、精神障害の話題がこの中でも多く取り上げられていますが、現場で、精神障害の方たちといろいろ取り組んでいるところで話ができればと思っております。よろしくお願いします。

 では、「1 質的課題」からいきたいと思います。 1 、「センターでの支援について、課題を感じることがありますか。解決には何が必要だと思いますか。」というところで、 2 点挙げさせていただいております。 1 点が精神・発達・高次脳機能障害者の方が増えております。加えて、若年化の傾向にあり、大学生や大学を卒業したての 20 代前半の方たちの利用が増えています。こういった利用者一人一人の障害特性を的確にアセスメントしていくことが支援を行う上でとても重要であり、課題になっていると思っています。

 先ほども金塚さんが「こういった障害は目に見えない」とおっしゃっていましたが、目に見えない障害であるので、本人自身が障害を受容することも、周囲の者、家族、私たち支援者、雇用側などが理解することもとても難しいです。しかしながら、私たち支援者は様々な支援の中で、働く上で「得意なこと・できること」、「苦手なこと・課題」はどんなことなのか、というところを当事者と共有しています。苦手や課題に関してはどのように工夫をすればいいのか、職場にはどのように伝え、対応してもらえれば、働き続けることができるのかなど、一人ひとりの障害特性を具体的にしていく支援を行っています。アセスメントと言いましても、支援側から見立てをするという一方的なことではなく、支援者と障害者の方が一体的にアセスメントを共有できるような支援がとても大事になってきます。支援力が問われるところと思います。

 第 2 点としては、地域の就労支援体制の変化が挙げられます。先ほどもサポートという話題が出ておりますが、発達障害者や高次脳機能障害者の方の増加によって、今までネットワークの中に入ってこなかったリハビリテーション病院、大学教員、キャリアセンター職員などとのかかわりが増えネットワークが広がっており、これまで以上に、私たちのコーディネート力が問われるという状況になっております。ネットワークを構築していく中、支援者の独り善がりにならずに、どの立場の方とも共通に理解し合えるよう障害特性を分かりやすく伝える力、課題に関して地域のどの機関と連携すればいいのか、どう連携していけばいいのか、情報を取捨選択する力、また社会資源がなければ、それを作り出していく力量が必要になってくると思います。

 このような「課題」に対しての解決策ですが、センター職員の支援力の向上を上げさせていただきます。センター職員の研修は担当者研修、スキルアップ研修、主任者研修など整備されているとは思うのですが、数年に 1 回という形なので、もう少し支援事例に基づいた事例検討、支援者に対するスーパービジョンなどを継続的に行うという体制を作っていただきたいと思っています。また、そのスーパービジョンを行うスーパーバイザーの養成も急務ではないかと思っております。

 ここで研修体制の話をさせていただいていますが、どのように研修体制が充実していても、その身分が不安定では人は育ちませんし、センター職員の定着も厳しいものと思います。私たち職員は制度の中では、謝金扱いになっております。退職金の掛金も認められておりません。必然的に法人の持出しとなっています。就労の最前線で働いている私たちセンター職員が一番不安定な身分だと、法人の他の職員からは言われております。是非、安定した身分にしていただければと思っております。委託事業の見直しで、単年度事業を継続的な事業にしていただければというところを研修体制の充実とともに解決策として挙げさせていただきました。

2 、「センターとして、定着支援を進める上で課題と感じるところがありますか。解決には何が必要だと思いますか。」先ほども申しましたようにワーキング・トライは登録者の約 9 割が精神障害者です。精神障害者が雇用率にカウントされるようになって、障害をオープンにして就職をされる方が増えてきた平成 19 年の頃から、ワーキング・トライの相談支援件数のうち、就職に係る件数よりも定着支援の件数が多くあります。それは現在も同様となっております。個別相談、企業訪問、関係機関とのケア会議や情報交換、働いている利用者のグループ支援等々、定期的にそして利用者の状況に応じかかわることで必然的に一人の利用者に対して多くの支援を行っています。ワーキング・トライの 1 年間の定着率ですが、 80 %超えという形です。できれば 90 100 %に持っていきたいと思います。精神障害の方たちの定着は難しいとのご意見が多くありますが、関係性を構築し、しっかりアセスメントし職場とのマッチングを行っていくことで多くの方が働き続けています。

 しかし一方で、近年の定着支援の中で課題と感じるところを 2 点挙げさせていただいています。 1 点は定着からの支援依頼、特に、職場で問題が生じたところからの支援についてです。関係性のない中での課題解決ですので、支援力が大いに問われるところです。精神障害者や発達障害の方は求職活動をするにおいても、ハローワークを利用するだけでなくて、非常に様々なところから求職活動を行っています。インターネットのウェブサイトから就職活動を行なったり、派遣会社から紹介をされて、就職されている方も多いようです。障害者も企業も互いに安心して雇用継続できるようにするためには、やはり支援機関の利用を勧める広報を行っていかなければいけないと思っています。しかし、これは痛しかゆしというところです。やればやるほど相談者が増えて、いっぱいいっぱいというところもあります。

2 点目は「就労移行支援事業所等との定着支援の連携、及び、バトンタッチについて」です。やはりここ数年、就労移行支援事業所が非常に増加しています。定着支援の考え方も施設ごとに異なっており、支援の現場で混乱しています。支援や連携の在り方など、根気よく話し合いながら進めていければと思います。具体的にどのようなことをしているかは、後ほどまたお話をしたいと思います。

3 、「センター間で支援実績に差があるという指摘がありますが、どのような原因が考えられますか。また、どのような対応が必要と考えますか。」原因としてはそれぞれの地域性、センターの成立ちやそれぞれのセンターの特色などから、数字というのはいろいろと変わってくるかと思います。数字の上からのみ判断するのは非常に危険かと思います。例えば相談からすぐ求職活動に移行して就職でも 1 件。相談、基礎訓練、企業実習を経て、一つひとつ丁寧に支援を行い、数年かけての就職も 1 件。数字に捉われすぎてしまいますと、本人を見ずして、事務的に就職につなげる機関になりかねません。これは自分たち、センターに向けて書かせていただきました。ただ、一方で地域の状況、かつ、センターの状況をよく知っている地方自治体の担当の方、労働局の方などはどのようにこの数字を捉えているのか。これは逆に話を伺いたいと思っております。

 対応としては、センター同士の連携の必要性を挙げさせていただいております。 1 つは都道府県ごとの連携です。ちなみに、東京では、年 3 回から 4 回、東京地区のセンター連絡会議を開催し、支援の実績やどのような支援を行っているか情報交換しながら、切磋琢磨をさせていただいています。全体的には経験交流会が開かれていますが、少々これは形骸化しているのではないかと思われ、交流会の開催形式を変えてみてはどうかを提案させていただきました。例えば地域性別、設置の年数別、支援障害の特色別などという形で、もう少し柔軟に交流会が開けたらと思っています。

 続きまして、2 量的課題に関してです。1、「過疎地などを中心としたセンター未設置地域の取り扱いについてどのように考えますか。」非常に難しいテーマですが、未設置の地域の状況、障害者数や企業数等は、センターを置く必要がある状況なのかどうか。今年度小規模センターを設置という資料がありましたが、小規模センターを置くのであれば、その他の欄に書かせていただきましたように、労働系のみの考えではなくて、その地域に必要な、若しくは既に設置されている相談支援事業所、就労移行支援事業所、 B 型施設などと連携を取りながらの、設置を希望しています。包括的な検討を是非お願いしたいと思っております。

2 、「大都市圏でのセンターのあり方についてどのように考えますか。」東京の実情を少しお話させてください。東京都には圏域がありません。ナカポツセンターセンターは 6 か所設置されています。また、各市区町村には都事業の就労支援センターが 56 センターあります。障害者、企業、支援機関が多く存在する中、私たちセンターは東京都からコーディネート機関として、ネットワークの構築を期待されております。ネットワーク構築に向けて、ワーキング・トライでは地域支援機関の支援の底上げを図るために、その時々の課題に応じた研修会を実施しておりますし、先ほども申しましたような事例検討やスーパービジョンの機会を、毎月定期的に開催しており、各就労支援機関の職員の方々が参加しております。

 また、就労移行支援事業所、就業継続支援 B 型事業所等の施設、病院・クリニック・保健所等のデイケアなど、そこを利用している障害者や職員に向けて、出張して就労準備学習会を行っています。就労支援や制度、企業について知っていただこうと思っております。

 医療機関のことは先ほどからもお話が大変多く出ておりますが、 3 年前より医療機関に直接出向き、そこで働いている医療従事者に向け研修会を行っております。そういった活動の中から、ある病院で相談窓口を開かせていただいております。病院の中に入っていって、そこで就労相談をするということを今年から取組みを始めております。

企業の方に向けては、研修会や懇談会を実施させていただいております。また、精神障害者や発達障害者が今後、企業に多く雇用されていく中では、企業内担当者に向けてコンサルティングを行うことも私たちに求められており、障害者の個別相談からかなり幅広い形でいろいろな取組みを行っています。

 

 最後に「3 その他」、何か御意見があればということで、書かせていただきましたが、「就業・生活支援センター」というように就業と生活の間に「・」があるように、縦割りになっていると思います。就労支援は縦割りではなくて、非常に包括的なものと考えています。そして私たちセンターは就業と生活を繋ぐ役割を期待され、それを担っているところはあるのですが、今後いろいろな施策や制度を考える段階から、包括的で統合された就労支援になるよう考えていただければということを要望して、最後にしたいと思います。どうもありがとうございました。

 

○松爲座長 

ありがとうございました。粛々と進んできて、最後になりました。 NPO 法人全国就業支援ネットワーク代表理事、高井敏子委員からよろしくお願いいたします。

 

○高井委員 

全国就業支援ネットワーク並びに加古川障害者就業・生活支援センターの高井でございます。

 はじめに、センターが誕生してもう 10 年が経過するのですが、この間センターの業務は年々増加する一方です。そして、求められる役割や立ち位置もどんどん変化してきているように思います。しかし、私たちの置かれている支援体制には全く変わりはなく、明らかにマンパワーが不足しているような状況です。この課題を解決しなければ、質の向上はあり得ないと思っています。

 全国就業支援ネットワークでは 210 の会員がおりますが、その多くが就業・生活支援センターの会員です。現場で実践者としてそれぞれが悩みながら活動しております。現場の生の声を本日聞いていただいて、制度設計の見直しに反映していただければ幸いかと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 では、「1 質的課題」についてです。大きく分けて 6 つの課題があると感じております。「課題1」は精神障害の人を対象とする場合、メタ認知の不足や不十分さから特に時間をかけた丁寧な関わりが必要だということです。考えられる解決策としては、短期間で信頼関係が深められるようなセツルメント力を私たち自身が身につけなければならないということです。

 また、「課題2」、同じようなことですけれども、本人の障害の理解や受容に関することもやはり丁寧に時間をかけなければなりません。解決策として、失敗も含めて、長期間係わっていく中で本人が変わっていくことに付き合っていくことだと思っております。

 「課題3」ですが、医療機関との関連に関することです。精神科医や医療関係者の多くの方はまだまだ精神障害の方が会社で働くというイメージを持っておられません。まして、就労支援施策や制度のことを御存じない方が多いです。ですので、支援者と主治医との間で見解が相違したり、方向性にずれが生じることがとても困る状況です。解決策としては、私たちが医師や病院のワーカーと連携を強化することがとても大切だと思っております。ですが、ただ医療機関に情報をもらう、助言をいただくということではなくて、「知ってもらう、わかってもらう、理解してもらう」ための提案や働きかける力をつけて、いかに医療機関を巻き込んでいくかが重要だと思っております。

 そのために、大きい病院だったら、 PSW のような方がいらっしゃいますけれども、小さい病院ではそういった人がいらっしゃらないので、私たちは精神保健福祉士協会であるとか社会適応訓練事業所の会議等に足を運び、地域に応援団を作っていくような活動もしているところです。

 「課題4」は障害が固定しないことです。長年安定して働いておられても、急に体調を壊される方がいます。そのような時に建て直しに入ってもどう声をかけていいのか、しばしば悩むことがあって、支援者としてのスキル不足を感じております。解決策としてはやはり医療機関との連携、そしてセンター内で職員が 1 人で抱え込んでしまうのではなく、事例検討しながら新たな視点で意見を出し合うことが大切だと思っております。

 「課題5」です。基礎訓練に繋がりにくい人の相談が非常に増えています。このような場合、センター独自に職業評価を実施したり、協力事業所において体験実習や制度等にとらわれずオーダーメイドの支援が求められると思っております。解決策としては、何よりも地域で協力事業所との繋がりを強力にすることです。そして、地域に独自の人脈やネットワークをつくっていくことが重要だと思っております。私自身も会員も、中小企業家同友会に所属したり、商工会議所に所属しながら地域の応援団を増やしていく活動をしております。

 「課題6」です。本人支援と家族支援が必要な方がとても多いです。解決策としては、家族の抱えておられる不安や困りどころを一つひとつ丁寧に聞き、少しでも取り除くことが必要ですけれども、なかなか時間が持てないということです。以上 6 点ですが、本人、家族も含めて就労準備が整っていない人の未登録相談が非常に多く、時間と労力がとても必要だという状況です。

 次に〔質的課題 -2 〕です。〔質的課題 -1 〕と重複するところもありますが、「感じる課題1」として、職業準備性の欠如や確認不足から離職する場合があります。客観的に本人の状況を把握してマッチングすることが必要ですので、基礎訓練の場が必要です。解決策としては、やはり本人が行きたいと思うような魅力的な基礎訓練の場が質、量とも必要だと思います。

 「課題2」です。有機的な他機関との連携が必要です。 1 人の人の定着支援をするためにはいろいろな支援機関が入ることが必要です。けれども、それぞれが多忙なため連絡を取り合うことすら難しい状態です。解決策としては、定期的な支援会議を開催することだと思っております。これはまさに、センターが求められているコーディネート機能だと思いますが、高いスキルも必要ですし、何より時間や人手がなく、うまく調整できていないのが現状です。

 「課題3」です。会社との協力関係のとり方です。当たり前のことですが、「会社で働くのは本人」です。「雇うのは会社」です。雇われる会社には障害者雇用に対するスタンスは様々だと思います。全て会社がやるから放っておいてくださいという会社、全て支援者に任せ切り、もう 1 つは雇用率の関係だけで雇う会社といろいろありますが、精神障害の方を受け入れてくださる会社は非常に少なく、消極的で偏見を持っておられる会社が多いです。

 解決策としては、私たち自身が会社を味方にして、いかに障害のある方への理解を深めるか、理解してもらうために具体的な提案や働きかけをする力を磨く工夫をすることだと思っております。その中で、専門性の高いジョブコーチの活用も有効かと思われます。

 また、今、定着支援のことが議論されていますが、もちろん 1 つの会社に長く働くことも大切かと思います。でも、退職にはいろいろな理由があると思います。ですので、転職がマイナスとは限りません。私たち、ナカポツセンターの職員の役割は、いかにうまく繋いでいくかというところにもあるのではないかと思っております。

 平成 20 年度から通達により、職場定着支援はセンターの業務として明確に位置づけられるようになりました。ですから、一層、定着支援の対象者は増えております。平成 25 年度から職場定着に対する加配の支援員が 30 センターに付けられておりますけれども、これでは焼け石に水の状態です。もっと増やして下さい。

 定着支援で困っていることは、精神のこともさることながら、先ほど石原さんや清家さんからもありましたように、一般校の方、定時制等、障害受容が親子ともできていない人たちの支援が増加しています。また特別支援学校も、今まででしたら、重い人をどう支えるかというような状況でしたが、発達など多種多様の障害の方がいて、特に今、生活支援が必要な方がたくさん来られています。そういった人たちが束で毎年やってきます。また、企業で在職中の方の SOS です。生活面での問題が非常に大きいですし、もともと信頼関係がなく、情報もない人たちの定着支援というのは非常に困難を感じているのが現状です。

 [質的課題3]センターの支援実績の差ですが、様々な原因が考えられます。ただ、センターの実績の数字だけを見て差があるととらえることは不適切だと思っております。地域の状況はみんな違うので地域差があって当然だと思います。

 それよりも何よりも、この事業は人材育成をするための制度設計が不十分だと思っております。一体的支援が特徴である事業です。そして、生活支援をちゃんとしなさいということをたびたび言われているにもかかわらず、私たちが医療系や福祉系、権利擁護や成年後見や生活支援に関する研修会に行きたくとも、対象経費として認められていないということです。毎年、監査を実施されています。研修内容をしっかりチェックしていただき、その必要性を認めてください。それが必ず人材育成につながるものと思っております。

 必要な対策としては、先ほども言いましたように一番身近な労働局の皆さんが毎年監査をされています。会計面のこと細かい数字だけを追うのではなくて、事業の中身をしっかり監査していただき、原因を検証しながら共同で改善策を見い出していくことが必要なのではないかと思います。

 それから、ブロック別で経験交流会があるように、都道府県単位で「センター連絡会」をシステム化することが大切だと思っております。顔の見えるセンターが集まることによって、各センターが切磋琢磨して、それがレベルアップに繋がるものと思っております。

 〔質的課題 - 共通〕ということで勝手に付けました。就業・生活支援センターの相談支援の内容は職業リハビリテーションとソーシャルワーカーという両方のスキルが必要です。今後、ますます増えてくる、対応の難しい人たちに対応するためには職員一人ひとりが力量を高めていくことが急務です。専門性の高い、実務経験のあるスタッフをきちんと配備できるようにしていただきたいと思っております。

 今回、私たちは国立精神・神経医療研究センターと全国就業支援ネットワークが共同で、「精神障がいを持つ方に対する就労支援の実態調査」を松爲先生にも御指導いただきながら現在進めております。この調査の目的は、先ほどからも医療との関係は切っても切り離せないというお話がたくさんありましたように、就労支援には「生活支援」「就労支援」「医療支援」が密接な関連をしていますが、地域連携や精神障害のある方の就労支援にこれまで関心が少なかった医療機関に対して、是非、今回答えてくれた 198 センターにおいて、精神障害のある方の就労支援の最前線で活動している人たちの実態を知っていただくということがこの調査の目的であって、医療機関と就労支援機関と協力体制を築くための第一歩と思っております。現在、この調査は分析中ですけれども、自由記述の中で、精神障害のある方の支援の困難さ、医療機関との連携の困難さ、定着支援の課題の対策について載せておりますので、是非御参照いただきたいと思います。

 次に〔量的課題 -1 〕、考え方としては過疎地の人口は確かに少ないですが、社会資源が少ない分、 1 件の支援に係る人的、時間的コストは膨大であると思います。地域の実情に合わせて、是非柔軟に設置していただきたいと思っております。

 〔量的課題 -2 〕は大都市圏のことです。人口が多い分、相談者も連携機関も多く、皆さん、マンパワーが不足して本当に困っておられます。全国一律圏域 1 か所ではなく、今、大都市圏では加配職員が置かれていることは確かですけれども、窓口が 1 か所ではなかなか対応が困難です。基準を決めて、複数箇所の設置を是非認めていただきたいと思っております。

 「3 その他」。是非お願いです。〔人的配置に関すること〕です。何をとっても、とにかく就業・生活支援センターはマンパワー不足で、動くことが出来にくくなっております。是非、専門職員の配置をお願いします。ただ、片手間にできるような職員ではなく、専門性の高い職員の配置が重要です。

2 つ目に〔事務管理の職員配置〕です。現在、全国では基本の基準配置は就労支援ワーカー 2 名、生活支援ワーカー 1 名が基準となっております。でも、その少ない人数の中で経理事務を兼務している人たちがたくさんおります。事業には必ず事務が発生するのが当然です。ですので、センターは基本 3 名プラス 1 名体制にして、事務も含めて対応できるような体制をまず考えていただきたいと思っております。

 次に〔業務内容に関すること〕、 1 つは国とセンター間の直接的な情報交換の場を是非設置していただきたいと思っております。センターの現場では、国の新しい情報が不足して混乱しております。経験交流会はありますけれども、ほとんど発信されていないのが実態です。年に 1 回程度でもよろしいですので、創設時の理念や制度の意図、センターの役割、委託費の管理に関するルール、そして毎年されている監査の結果も含めて確認、周知するための場が必要だと思います。このことがひいては資質の向上につながるものと思っております。

 次に近年、私たちの事業を核にした制度設計が増えております。期待されることはとてもうれしいことですが、今、まさしく現場では何でも屋状態です。「就職」と名が付けばセンターにつなごうという状態です。これでは本来業務ができません。

 今、移行支援事業や様々な就労系の事業ができています。センターができて 10 年が経過しております。それぞれの役割をしっかり整理する時ではないでしょうか。そして、センター事業がコーディネーターを中心とした、そういった改変も含めて考えるべきなのではないかと考えております。

 最後に〔運営に関すること〕です。先ほど清家さんもおっしゃいましたけれども、委託費の使途制限の見直しです。単年度委託、謝金という扱いです。私たちの身分は保障されていないと同然です。また、研修制度にしても、国が定める研修しか対象経費として認められておりません。これでは人材育成に繋がっていきません。

 職員の身分保障についても、私たちは人の定着支援をしているのに、自分のセンターの職員が辞めてしまうなどという、そういう実態が全国にはとてもたくさん発生しております。ですので職員の身分保障に関わる、特に退職金積立を対象経費として認めていただきたいと思っております。これは 10 年間、ずっと言い続けてきましたけれども、委託費では駄目だといつも御回答いただいております。駄目という御回答ではなく、どうすれば可能になるのかということを是非検討していただきたいと思います。単年度委託であることは事実です。でも、実際には継続事業としてやっているわけです。退職金の積立ても人件費の一部として是非認めていただいて、職員が胸を張って働けるような体制を作っていただきたいと思います。以上です、ありがとうございました。

 

○松爲座長

 どうもありがとうございました。皆さん、ほぼ時間を守っていただきまして、御協力ありがとうございました。今お伺いしていて、実際の現場に即した生々しい情報がたくさん入っております。一方では皆さん似たような、共通のテーマというか、認識を持っていらっしゃる部分もあるかと思います。

 余り時間がありませんが、ただ今の発表につきまして質疑応答を行いたいと思います。質問はポイントを絞ってお願いしたいと思います。また、一人一人の発表ということよりも、時間が限られておりますから、何でもありということでいきましょう。最初に手を挙げた人が勝ち、その人を議論の中心にしていくということにします。どなたでもどうぞ、御指摘いただけるとよろしいかと思います。どうでしょうか、何かありますでしょうか。どの部分でも結構です。

 

○井口委員

 高齢・障害・求職者雇用支援機構の井口でございます。金塚委員が御説明された内容について意見と質問があります。「その他」のところ、ジョブコーチを就業・生活支援センターに配置という御説明がありました。その時に「職業センターはアクセスの問題がある」とおっしゃったように聞こえたのですが、こういう議論になりますと、私どもの地域障害者職業センターは県内に 1 か所しかなくてという話になりがちです。確かに、利用者が私どものセンターに通っていただくという意味では、そういう問題は確かにあるかも分かりませんが、ジョブコーチは御存じのように、私どもが支援の場所まで出かけていって行うものです。例えば都道府県内、 1 号ジョブコーチの支援が届かないような所であれば、私どものジョブコーチが片道 2 時間以上であっても行って支援をする、セーフティネットの役割を持っていると思います。

 そういう意味では、アクセスの問題があると言われるのはちょっと誤解ではないか。特に大阪でと言われると、私も大阪で勤務をしたことがありますが、支所もありますし、非常に交通網も発達しておりますので、アクセスの問題と言われるのはどうかというのが 1 点です。

 もう 1 点、質問は、もし仮にジョブコーチがナカポツセンターに配置をされた場合、見かけ上は、例えばナカポツセンターを運営する法人がナカポツセンターのジョブコーチと 1 号ジョブコーチの両方を使うということも制度上は可能になるかも分かりません。その辺の関係をどうするか、何かお考えがあればお聞きしたいと思います。

 

○金塚委員

 金塚です。アクセスの問題と言いましたのは大阪とか東京とかの大都市圏と言うよりも、都道府県に 1 か所という配置の下、今、井口委員が言われたように、利用者がそこに通うことの難しさと実際に地方の支援者の声を聞いていると、なかなかジョブコーチをうまく使えていないという声も聞きます。実際、ジョブコーチが現場に行くのも高速を飛ばして 2 時間かかるとか、そういう状況の中でジョブコーチをなかなかうまく使えていないという声を聞きましたので、大阪というよりも、地方でという味を込めてアクセスというように発言をさせていただきました。

 もう 1 点、就ポツに配置ということに関しては、これは中でもお話させていただきましたが、実際に就ポツに配置をするということにおきましては就ポツと就労移行支援事業所、あとジョブコーチ、この辺の役割分担のようなもの、定着をする上での考え方を整理していかないといけないとは思うのですが、先ほど言いましたように、より身近な、地域でジョブコーチを有効的に活用するというように考えた時、その視点だけで考えた時にはジョブコーチの方々を就ポツに配置するのはどうであろうという意味で発言をさせていただきました。

 

○井口委員

 高齢・障害・求職者雇用支援機構の井口です。すみません、こだわるようで恐縮ですが、多分アクセスの問題ではなくて、例えば 1 号ジョブコーチの中には地域センターのジョブコーチが使いにくいとか、そのような声があるのかもしれません。そういうお話を聞いたことがありますので、今年度の第 1 四半期の各都道府県の地域センターのジョブコーチが具体的な支援の要請を受けて、支援の待機をさせたようなことが私どもの事情であったのかどうかを内部で調べてみました。

 そうしたら、 4 月から 6 月までの全ての支援件数の中で、私どもの人的体制の都合で 2 週間以上支援の開始を待たせたというケースは全体の 4.1 %という結果が出ております。それについてはいろいろ評価があると思いますが、私どもとしてはそういう内部調査を行ったところです。

 

○松爲座長

 ありがとうございました。

 

○小川委員

 大妻女子大学の小川です。次週、井口委員からのヒアリングがあると思いますので、回答はその時で結構ですが、確かにアクセスと言うと、ちょっと語弊があるかもしれません。地方で支援をした場合、配置型の方のいわゆる出勤の起点、地域障害者職業センターから移動を始める時が出勤の起点になって、 2 時間、 3 時間かけて現場で仕事をされて、地域障害者職業センターで仕事を終了されるのが 5 時半とかいうことなのか、現地直行で現地で仕事をされる開始が勤務の時間帯なのか。配置型のその辺の仕組みをよく存じ上げませんので、少しその辺の配置型の動きについて、次回、ヒアリングの時に含めていただければ幸いです。

 

○松爲座長

 よろしいですか。

 

○井口委員

 はい。

 

○松爲座長

 次回、その情報も合わせてお願いいたします。ほかに意見はどうでしょうか、どのような事でも結構です。今お話がありましたナカポツにジョブコーチを配置することに関して、ほかの委員の方、確か大体同じような格好で御意見があったような気もしますが、それに関してどうでしょうか。何か問題点、あるいは又可能性としては。

 

○眞保委員

 高崎健康福祉大学の眞保です。今のお話に続く形になってしまうのですが、地方ということですと、私の地元は群馬県高崎、前橋という所なのですが、本格的に地方かというと難しいところかもしれません。ナカポツは圏域で 8 か所整備されているわけです。配置型ジョブコーチは大変お世話になっているところではあるのですが、ただ私どもで聞いてみたところ、勤務時間が 8 45 分から 17 時ということで、私どももやはり移動時間が 2 時間、 3 時間かかる所もあります。そうすると、企業側で、就業から、ラジオ体操するところから最後まで見てほしいとなると、なかなか勤務形態上難しいということはちょっと伺っているところです。

 また、ペアで支援されていくわけなのですが、特に知的障害者や精神障害者の場合は、先ほど来関係性が築けないというお話がありました。配置型の場合、雇用前支援ということはできませんので、もう来週からスタートのような形で支援がスタートしていくと、なかなか関係性が築けず、 3 か月終了した後に問題が発生してくるケースもある。そうしたところから、私の地元のナカポツセンターなどとこの会議前にヒアリングしてきたわけですが、ナカポツへの配置もお考えいただければ、あるいはナカポツの職員は今 3.5 、生活 1.5 、就業 2 だと思うのですが、ジョブコーチとの兼務ということはできませんので、群馬県の場合、就労移行支援事業所が 1 号ジョブコーチ支援をしているかというと、非常に件数が少なくなってきておりますから、そうしたところが実質的にあるのではないかと考えております。

 

○松爲座長

 ありがとうございました。配置型、それから 1 号・ 2 号、特に配置型と 1 号との関係が移動時間との関係でありました。配置型につきましては次回、井口委員の方でもう少し丁寧にお話いただけると思います。少し焦点を絞りまして、 1 号、 2 号に関しての問題、あるいはナカポツに関しての問題について焦点を絞りたいと思います。

 

○小川委員

 大妻女子大学の小川です。今日のジョブコーチに関するヒアリングは現場の様子が大変よく分かりました。ありがとうございます。

 「ジョブコーチ」と言った時、やはりこの会議は 1 回目も、今後も続くと思いますけれども、研修修了者としてのジョブコーチ、それから助成金稼働者としてのジョブコーチ、両方の意味がその文脈によって意味が違って使われる傾向があるかと思っています。そのことはジョブコーチの量を拡大していくのか、それとも質を担保していくのか、これにも非常に重要に関わる問題ではないかなと思っています。

 例えば 2 号ジョブコーチの場合、おそらく研修修了者としてのジョブコーチを幅広く増やしていったほうが支援側との共通の話題であるとか、あるいは企業の中での専門性の向上などがある、そこが利点であるという、玉栄委員の御報告であったかと思っています。

 金塚委員のお話の中で、例えば先ほどのナカポツに配置ということ、それからデイケアにもジョブコーチがいた方がいいということ、これについて助成金稼働者あるいは修了者という意味で整理されるとどういうようになるでしょうか。

 

○松爲座長

 よろしいですか。

 

○金塚委員

 金塚です。デイケアのジョブコーチに関しては研修修了者、もう 1 点は何でしたか。

 

○小川委員

 ナカポツへの配置。

 

○金塚委員

 ナカポツに関しては、出来れば、今の制度ではなくて、経費をもう少ししっかりと担保した上での謝金になるのかどうなのか。経費的担保をされた上でのジョブコーチという意味合いです。

 

○小川委員

 分かりました、ありがとうございました。

 

○鈴木委員

 くらしえん・しごとえんの鈴木です。今の小川委員の発言と関連するかもしれませんが、特に 2 号の方の玉栄委員、 2 号のジョブコーチの修了者、もう 1 つは障害者職業生活相談員との兼ね合いとか、そこら辺は研修でどのようにされているのか 1 点お聞きしたいと思います。

 

○高井委員

 高井です。先ほど、金塚さんがナカポツにジョブコーチをと言われたのですが、人的に増えてくるということは非常にありがたいですけれども、実はナカポツセンターは不採算部門です。毎年何百万も、法人が持ち出しているところがたくさんあります。不採算部門の事業にあえて不採算部門のジョブコーチを配置するということはもう成り立っていかないという設計になると思います。もしそういうことが議論されるのであれば、両方の事業が不採算部門でないような制度設計でお願いしたいと思います。

 

○金塚委員

 金塚です。先ほど言いましたように、ある一定の経済的担保を置いた上での就ポツに対してジョブコーチを配置するという意味で発言をしました。ジョブコーチの不採算部門は我が法人でも大きな問題ですので、その部分の改善はということでございます。以上です。

 

○玉栄委員

 玉栄です。助成金関係に関しては本当に詳しくなくて申し訳ありません。両方ともみんな資格を取ってもらおうと思っております。というのは、特例子会社で今まで、従来私が JC-NET に参加した時に非常に思ったのは、清掃やお皿洗いとか、バックヤードの仕事が障害者の仕事としてとらえている人が非常に多かったのです。うちの会社はそれが成り立たない会社だったので、事務系を私が何とか創出したいということで、地道な努力のお陰で、今は業務が溢れ出て追いつかない状況もあります。

 そういったところで、第 2 号として勉強させていただいて、いかに自分は知らなかったかということを学びました。私たちは養成研修を受けて、やはり障害者の理解と障害者に対して負荷をかけずにどういうように仕事を覚えていただくか。それと、その良さがいかに会社で役立っていくか。会社にとって何がいいのか。会社も win 、障害者も win 、私たちも win 、その関係を作らないと発展していかないということを非常に思いました。

 実はご家族の方からもものすごく感謝をされているのですが、 1 つは全員がスキルアップしているところが大きいと思います。最初に依頼された仕事よりも内容が濃くなっている。それはやはり、ジョブコーチの研修を受けたおかげかなと思っています。

 ただ、先ほど高井さんも清家さんもおっしゃっていたように、企業も変わりなく、賃金という意味で言うと、身分はもうちょっと保障されているかなと思いますが、ハローワークで出されている平均的な医療あるいは福祉関係の賃金等を鑑みて、それで企業というのはある程度の査定をして給料を決めていくといった背景もあり、身分向上を是非してほしいということを思っています。でないと、良い人材はやはり福祉関係には来ないと思っています。賃金も然りですけれども、社会的身分とでもいいましょうか。

 例えばこの間厚生労働省の方にもお話をさせていただいたのですが、ボーダーラインの人たちが働けるような職場も必要ですし、かと言って福祉関係を専門職として、きちんととらえて社会形成されていくという必要もありますし、いろいろな方がきちんと身分保障されて働けるような世の中ができるようにもっと考えていかなければいけないと思っています。

 

○松爲座長

 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか、もう時間もまいりましたが。あとお一方、どうぞ。

 

○岡元委員

 きものブレインの岡元です、よろしくお願いします。高井さんが先ほどおっしゃったことで非常に気になったことがあります。運営費ですが、退職金積立引当金が出せないということでした。私、まず成り立ちが分からないので、原資というか、委託金だけで運営しなくてはいけないのか、それとも、もし可能であれば収益事業とかやれるのか。その辺は全く素人なので申し訳ありませんが、教えてください、財源を出すために何か方法はないのでしょうか。

 

○高井委員

 財源は国の委託費です。不足分は法人本部から出しなさいということです。対象経費というのは国のほうで、事細かく決められています。それ以外の支出については、例えば生活支援関連の研修に行った経費は認められていないので対象外経費つまり法人本部で出しなさいと決められています。ナカポツセンターで収益事業をすることは許されておりません。

 

○松爲座長

 ありがとうございます。すみません、まだいろいろ御質問や御意見等あるかと思いますが、予定時間を過ぎております。本日はこのあたりで終了したいと思います。御発表の皆さん、どうもありがとうございました。次回も引続き、委員からのヒアリングを行いたいと思います。日程等につきましては、事務局の方から御説明をよろしくお願いいたします。

 

○近藤地域就労支援室長補佐

 事務局です。次回は第 3 回、 11 1 日(金)になります。引続き、委員の皆様からのヒアリングを予定しております。ヒアリングにつきましては株式会社きものブレイン取締役副社長岡元眞弓氏、株式会社良品計画業務管理部長成澤岐代子氏、 NPO 法人くらしえん・しごとえん代表理事鈴木修氏、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業リハビリテーション部次長井口修一を予定しています。

 また、ヒアリングの後、第 1 回研究会の際に小川委員よりご意向のありました発表の時間をとらせていただきたく考えておりますので、合計 5 名の皆様からのヒアリングとなります。

 

○松爲座長

 それでは、これをもちまして第 2 回の研究会を終わりにしたいと思います。お忙しい中、どうもありがとうございました。


(了)

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