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2013年8月19日 薬事・食品衛生審議会 指定薬物部会 議事録

○日時

平成25年8月19日(月)
16:00~


○場所

厚生労働省共用第6会議室


○出席者

出席委員(9名) 五十音順

 石郷岡   純、 桐 井 義 則、◎鈴 木   勉、 関 野 祐 子、
 曽 良 一 郎、 成 瀬 暢 也、 花 尻 瑠 理、 宮 田 直 樹、
○和 田   清
(注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(3名) 五十音順

 妹 尾 栄 一、 鍋 島 俊 隆、 藤 岡 淳 子

行政機関出席者

今別府 敏 雄 (医薬食品局長)
成 田 昌 稔 (大臣官房審議官)
赤 川 治 郎 (監視指導・麻薬対策課長)
稲 川 武 宣 (監視指導室長・麻薬対策企画官)

○議事

○監視指導・麻薬対策課長 定刻となりましたので、ただ今から薬事・食品衛生審議会指定薬物部会を開催させていただきます。

 本日は大変お忙しい中、委員の先生方には御出席頂き、誠にありがとうございます。本日は、妹尾委員、鍋島委員、藤岡委員から欠席の御連絡を頂いております。現在のところ、当部会の委員数12名のうち、関野委員は遅れていらっしゃいますが、現在8名の御出席を頂いておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。

 事務局に人事異動がございましたので、御紹介いたします。7月2日付で、医薬食品局長に今別府が、大臣官房審議官に成田が就任しております。監視指導室長に稲川が着任しております。また、私は同じく7月2日付で、監視指導・麻薬対策課長を拝命した赤川でございます。

 それでは、開会に当たりまして医薬食品局長の今別府から一言御挨拶を申し上げます。

○医薬食品局長 医薬食品局長でございます。私は昭和の終わりから平成の初めに当時の薬務局に籍を置いておりまして、当時、麻薬取締法に向精神薬の取締りをしなきゃいけないと言うので、向精神薬を付け加えるという、そういう法律改正をした記憶がございます。それから、当時、新条約と言っていましたが、マネーロンダリングに対応するための条約を、ちょうど締結する会議まで行うというような時代でありましたが、20数年ぶりに戻りますと、もう脱法ドラッグの問題でございます。今日も7物質を新たに追加すべく御審議を頂くわけでありますけれども、引き続き御支援のほどをよろしくお願いいたします。

○監視指導・麻薬対策課長 本部会の公開・非公開の取扱いにつきましては、総会における議論の結果、会議を公開することにより、委員の自由な発言が制限され、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあると判断されたことから、非公開とされています。また、会議の議事録の公開については、発言者氏名を公にすることで、発言者等に対して外部からの圧力や干渉、危害が及ぶおそれが生じることから、発言者氏名を除いた議事録を公開することとされておりますので、あらかじめ御了承頂きたいと存じます。

 それでは、以後の進行は、鈴木部会長にお願いいたします。

○鈴木部会長 それでは、最初に、事務局より資料の確認をお願いいたします。

○事務局 資料の確認をいたします。本日の資料ですが、資料1と2、参考資料が1~3まで、参考文献は1~6までございます。事前送付しておりました資料のほかに、資料2-6(補足)と参考資料1を本日配付しております。以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございます。資料がお手元にない場合には、お知らせ願います。よろしいですか。

 それでは、議事に移ります。本日の議題は「指定薬物の指定について」です。審議物質について、事務局より説明をお願いします。

○事務局 今回御審議を頂きたい物質につきましては、国や都道府県で試買調査をいたしまして、製品の分析を行った結果、国内で流通実態が認められた物質になります。

 資料1は各物質の名称、別名、構造式が1~7まで、それぞれ記載しております。これらの物質について、指定薬物として指定をし、規制対象とする必要か否かについて、御審議を頂きたいと思っております。資料2は、各物質について行われた、国内外の各種動物実験や基礎研究等のうち、中枢神経系への影響を中心として取りまとめたものです。

 まず、初めの3物質について、まとめて説明をさせていただきます。資料2-1を御覧ください。「α-PHPP」という物質です。構造類似物質として麻薬のα-PVP、指定薬物のα-PBPを挙げています。【中枢神経系への作用等】として、運動活性に対する影響を調査した報告がございます。マウスに本物質を腹腔内投与して、投与後180分間の運動量を測定した結果、著明な運動促進作用が発現し、本物質が中枢興奮作用を有することが明らかになっております。また、この運動促進作用は、ドパミン受容体拮抗薬SCH23390の前処理によって有意に抑制されております。

 続きまして、資料2-2「MPHP」という物質です。構造類似物質として、向精神薬のピロバレロン、指定薬物のデスエチルピロバレロンを挙げております。【中枢神経系への作用等】については、ただ今説明いたしましたα-PHPPと同様の試験が行われておりまして、本物質の投与によって著明な運動促進作用が発現しております。本物質が中枢興奮作用を有することがこれによって明らかになっております。また、この運動促進作用は、ドパミン受容体拮抗薬SCH23390の前処理によって有意に抑制されております。海外での流通について報告がございまして、2012年にスウェーデンにおいてこの物質の流通が確認されております。

 続きまして、資料2-3の「4-MeO-α-PVP」です。構造類似物質として麻薬のα-PVP、麻薬のMDPVを挙げております。【中枢神経系への作用等】として、モノアミン(ドパミン、セロトニン、ノルエピネフリン)トランスポーターを発現させたヒト胎児由来腎臓細胞(HEK293細胞)を用いて、本物質によるモノアミン再取込阻害作用について検討した報告がございます。50%取込阻害濃度(IC 50 )を算出した結果、コカインと同程度のドパミン、ノルエピネフリンの再取込阻害作用が確認されております。

 以上、この3物質については、いずれも指定薬物に指定して差し支えないと考えますが、御審議のほどをお願いします。

○鈴木部会長 ありがとうございます。まず、事務局より説明のありました3物質について、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。

□□委員 この3物質が指定されることに異存はないのですが、一つ教えていただきたいのが、物質の1番と2番で、□□先生が報告書を書かれています。そのときにSCH23390を使われているのですが、これはD1の選択的な拮抗薬、阻害薬なので、あえてD1を使われたのはどうしてなのでしょうか。むしろ、D2の画期的なものを使われた方が応酬効果を見るのがより良かったのではないかと思うのです。例えばラプロプライドのようなものを使われる方がいいと思ったのですが、その辺りを少し教えていただけたらと思います。

○事務局 すみません。こちらではなぜD1の阻害薬を使ったかという所までは確認しておりませんので、□□先生に確認して、後ほど御報告させていただきたいと思います。

□□委員 □□□□□□□□□□□□で行っているインターネットの試買調査の結果において、これらの化合物がどの程度の製品から検出されているか簡単に御説明したいと思います。

 まず「α-PHPP」です。こちらは、この春から検出されていまして、全部で44製品から検出されています。内訳としては、液体や粉末の製品が最も多く、数例から乾燥植物細片の製品からも検出されています。

 2番目の「MPHP」ですが、こちらは今年に入って2月頃から検出され始めた化合物で、全部で63製品から検出されています。こちらは主に乾燥植物細片や液体、また、粉末から検出されています。

 3番目の「4-MeO-α-PVP」も今年1月頃から検出され始めた化合物で、全部で16製品から検出されています。こちらも主に液体若しくは粉末製品などから検出されています。以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

□□委員 指定することに何の問題もないのですが、□□先生に教えていただきたいのですが、形状の問題です。液体、粉末、結晶はいずれも分かるのですが、乾燥植物と言ったとき、植物自体は問題ないわけですね。その植物にどういう形状のものが入っているのですか。要するに、物質に混ぜられているわけですね。

□□委員 はい、混ぜられています。

□□委員 見た目には植物に見えるけれども、俗に言う、その成分自体は何らかの形状ですか。

□□委員 完全に溶液状にして噴霧されていると考えられる製品もあり、多少ネバついている製品もあります。粉末として混ぜられて、明らかに見た目で粉末の結晶が見えている製品もあります。また、粉末も、溶液状のネバッとしたものもなく、見た目は乾燥の植物細片なのですが、抽出して分析してみると明らかに合成化合物が検出される事例も多くあります。

○鈴木部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。発言が出尽くしたと思いますので、審議をまとめます。

 ただ今御審議頂いた3物質は、いずれも薬事法第2条第14項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。ありがとうございます。

 引き続き、事務局より説明をお願いします。

○事務局 続いて、残りの4物質についてまとめて説明いたします。資料2-4を御覧ください。「QUCHIC」という物質です。構造類似物質として指定薬物のQUPICを挙げています。【中枢神経系への作用等】として報告があります。カンナビノイド受容体の結合親和性に関する報告では、本物質と陽性対象物質を用いて、CB受容体に対する本物質のdose-response curveを作成して、トレーサーとレセプターの結合を50%阻害する濃度、IC 50 を算出しています。その結果、本物質は、麻薬に指定されている合成カンナビノイドのJWH-018、MAM-2201よりも強い結合親和性を示しています。

 次のページです。運動活性に関する報告ですが、マウスに本物質を腹腔内投与して、投与後24時間の自発運動量を測定した結果、投与後4時間後まで有意に自発運動量の減少が認められ、合計自発運動量についても、投与後6時間後までの累積の運動量を有意に減少させています。

 同様の試験を行った麻薬のJWH-018では、より長時間にわたり運動量が抑制される結果が得られていますが、これと比較すると、作用は弱いものの、抑制作用を有することが示されています。また、実験動物に対して投与した結果、歩行失調、四肢の硬直、無動状態が観察されています。

 続いて、資料2-5の「5F-QUPIC」です。構造類似物質としては、指定薬物のQUPICを挙げています。【中枢神経系への作用等】として、ただ今説明しましたQUCHICと同様の方法により、カンナビノイド受容体の結合親和性に関して調べた報告と、運動活性に関して調べた報告があります。IC 50 を算出した結果、本物質は、麻薬指定されているJWH-018、MAM-2201よりも強い結合親和性を示しています。

 運動活性に関する報告は次のページです。こちらでは、マウスに本物質を投与して、投与後の自発運動量を測定しています。投与後11時間後まで有意に自発運動量の減少が認められています。また、合計自発運動量についても、投与後6時間後まで、それから6時間後から12時間後までの累積の運動量も有意に減少させています。同様の試験を行った、麻薬のJWH-018と比較すると、作用はやや弱いものの、抑制作用を有することが示されています。また、歩行失調、四肢の硬直、無動状態、痙攣及び挙尾反応が観察されています。

 資料2-6の「NNE1」です。構造類似物質として、指定薬物のAPICA、QUPICを挙げています。【中枢神経系への作用等】として、資料2-4QUCHICと同様の方法により、カンナビノイド受容体の結合親和性に関する報告と、運動活性に関する報告があります。結合親和性に関する報告でIC 50 を算出した結果、本物質は、麻薬指定されているJWH-018よりも強く、MAM-2201と同等の結合親和性を示しています。

 運動活性に関する報告では、マウスに本物質を投与して、投与後の自発運動量を測定していますが、低下傾向は見られたものの、有意な差は見られていません。一方、指定薬物のQUPIC、麻薬のJWH-018と同様の歩行失調、四肢の硬直及び無動状態が観察されています。

 また、本日配布しました追加の補足の資料ですが、こちらは、ヒトCB受容体を発現させたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を用いて、本物質とCB受容体との親和性を測定しているものです。その結果、 pKi 値で示されていますが、8.9と求められています。 Ki 値に換算して比較すると、NNE1の Ki 値は1.3nMで、Δ -THCの Ki 値からすれば約32倍の親和性を有すると計算されます。

 資料2-7の「5F-NNE1」です。構造類似物質としては、指定薬物の5F-APICA、QUPICを挙げています。【中枢神経系への作用等】については、本日御審議頂いているほかの合成カンナビノイドと同じ方法により調べている報告があります。カンナビノイド受容体の結合親和性に関する報告では、IC 50 を算出した結果、本物質は、麻薬指定されているJWH-018、MAM-2201よりも強い結合親和性を示しています。

 運動活性に関する報告では、マウスに本物質を投与して、投与後の自発運動量を測定していますが、投与後2時間後まで有意に自発運動量の減少が見られ、合計自発運動量についても、投与後6時間後までの累積の運動量を有意に減少させています。同様の実験を行ったJWH-018と比較すると、作用はやや弱いものの、抑制作用を有することが示されています。また、歩行失調、四肢の硬直及び無動状態が観察されています。

 以上、これら4物質について、いずれも指定薬物に指定して差し支えないと考えますが、御審議のほどをお願いいたします。

○鈴木部会長 事務局より説明のあった4物質について、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。

□□委員 □□□□□□□□□□□□で行っている試買調査の結果について簡単に御説明したいと思います。まずはQUPIC若しくはBP-22と呼ばれる化合物ですが、こちらは昨年の11月頃から検出し始めて、今年の3月までに33製品から検出されています。また、次のQUPICのN-(5-fluoropentyl) analogですが、こちらは今年の2月頃から検出され始め、2013年の前半で最も検出が認められた化合物で、105製品から検出されています。

 次のNNE1に関しては、今年の3月頃から検出が認められて18製品から検出されています。また、NNE1のN-(5-fluoropentyl) analogについては、今年の5月頃から検出が認められ、5製品から検出されています。なお、5-Fluoro-QUPICは、2013年前半に最も流通が認められた化合物ですが、本省の資料にもありますとおり、各県の県警から事故を起こしたことが疑われる化合物として、何件か問合せがあった化合物でもあります。以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

□□委員 本日の物質は大体アフィニティが強くて、「自発運動に対する効果は、これまでと同等か、やや弱いということでした。こういうものを指定するときの考え方なのですが、確かこれまで、アフィニティが強いというデータしかなくて指定したものもあったように思うのですが、こういう、両方の間で必ずしもパラレルではない場合にどのような考え方で指定しているかというのは、ある程度定めておかないといけないと思ったので、そういう統一された考え方は、この委員会でありましたか。

○鈴木部会長 事務局よりお願いします。

○事務局 指定薬物を指定する際に、薬事法の規定で中枢神経系に作用するおそれがあるというようなところで、そのおそれをどのように評価するかということかと思います。これまでは、受容体の結合力が強いということをもって、そのおそれが強いと見なしていたということで、今回、それに付属して出てきた動物試験の結果はありますが、必ずしもそれはパラレルではないですが、中枢神経系に作用があるということについてのおそれを評価するという点については、十分評価できるものではないかということで、今回、この資料を出させていただいたところです。パラレルでなかったとしても、ヒトに対して影響があることについては十分評価できるものと考えております。

□□委員 その場合、影響があるというのは、例えば運動に対する影響が一定以上などという基準も、特にないのですね。

○事務局 そこはございません。

□□委員 そこの辺りの判断をどうしたらいいのか迷ったもので。

□□委員 それに類似した質問ですが、資料2-6の9ページです。「自発運動の結果には有意な差ではなかった。しかし、陽性対照とした合成カンナビノイドと同様に、歩行失調、四肢の硬直及び無動状態が観察された」とあるのですが、この記載は、これだけのはっきりした無動状態や四肢の硬直、歩行失調があって、自発運動に全く有意差がないという所には、若干、観察事項の矛盾を感じるのです。そうすると、後半の部分の根拠を挙げておかないと、中枢作用の蓋然性みたいなものがはっきり示せないのではないかと思っているのですが、それについていかがでしょうか。

○事務局 ここの所で、有意差は出なかったのですが、低下傾向が認められたという所と、そこの所は、動物試験で十分な結果が出ていないのではないかという所は御指摘のとおりではあるのですが、これまで指定してきた根拠として、受容体の結合力という所で評価してきた部分がありますので、それで評価頂きたいと考えていたところです。

 これはマウスのものなので、ほかの動物でどうかという所についてはまたあるかと思いますけれども、今回、ヒトの受容体を発現させた細胞でもって Ki 値を求めた文献を別途補足しておりますが、これでもって、これまで評価してきた所で、ヒトに対してもこの評価でヒトへの作用が評価できるのではないかということで、補足の資料を出させていただきました。

□□委員 まず、最初のインビトロとインビボのデータが必ずしもパラレルではないという御意見ですが、これは個人的な意見ですが、今回、QUPICやNNE1というのは、今までのJWH-018などの薬物と違って、カルボキサミドや、カルボキシレートの構造を持っていますので、体内に入ったときに代謝(加水分解)されやすいということが考えられます。実際、QUPICなどは、加水分解を受けた代謝物がヒトの尿中から最も検出されます。バイオアベイラビリティがどのぐらいあるかということも考慮しなくてはいけないので、ビトロとビボでのデータが必ずしもパラレルになるわけではないということは言えると思います。

5F-QUPICに関しては、使用後の事故が多く発生していますが、これについては、動物のロコモータアクティビティを見たときに、ほかの薬物と比べても作用が発現するのが非常に速いという結果が出ています。使用してすぐに作用が出るということもあり、事故が多かったのではないかと考えております。

 次に、ロコモータアクティビティで有意差が出なかったという点ですが、かなり時間軸を大きく取っていますので、0~6時間で有意差はつかなかったのですが、例えば最初の30分などの短時間では、有意差がついた可能性はあります。従って、必ずしもこのデータとパラレルになるということは言えないと考えております。

□□委員 パラレルではないことがあること自体はそれで説明できると思います。ですから、どの辺りのデータを我々が重視して指定するのかとか、あるいは先生がおっしゃったようなことが十分、合理的に推定が可能なのであれば、それはそれでいいと思うのですが。

□□委員 そういう状態は、実験している人間としては十分に想像できるのですが、例えば明らかに「自発運動に有意差がない」という記載と、「歩行失調がある」とか「無動が観察される」という記載が同時にあるのは、非常にサイエンティフィックに不自然に感じるので、そこの所を、もし時間軸で違いがあるのであれば、ごく初期に、主に直後にこういう行動が観察されるというような記載を加えていただければ、それは説得力があることだと思います。この記載は明らかにサイエンティフィックに矛盾を感じるということですので、そこは、やはり根拠として挙げるためには、少し気を付けられた方がいいと思うので、よろしくお願いします。

○鈴木部会長 文献5で、歩行失調、四肢の硬直、無動状態が観察されたということですね。これは、時間的な経過はいかがなのでしょうか。

□□委員 投与後ごく初期のことです。

○鈴木部会長 それを明確にして、運動量の方に、6時間は余りにもスケールとしては長過ぎて、その変化をとらえきれていないという見解でよろしいでしょうか。

□□委員 はい。NNE1に関しては、ほかの薬物と比べて低い結果となっていますが、特有の硬直状態などが認められるということは確かですので、それに関しては、また、少し詳しいデータを出す必要があるかと思っております。

○鈴木部会長 □□委員、今のような投与初期の変化であって、運動量の変化に関しては6時間という長い時間での変化なので、観察されたものがこの結果には出なかったというような解釈でいかがでしょうか。

□□委員 その解釈には矛盾はないと思います。

○鈴木部会長 それでは、その部分に関してはそのように解釈頂いて、□□委員の方からお話のありました、基準すなわち、幻覚、中枢抑制あるいは中枢興奮、その蓋然性を証明しなければいけません。これまでは、今回見ているような運動量やバインディングの実験などで評価をしてきたわけですが、その辺りはいかがでしょうか。蓋然性ということで、余り明確にどれぐらいと決めるのも、また難しい面があると思います。

□□委員 何かしらの問題が起きている個々の指定された物質なり麻薬なりがあって、それと多少なりとも近い影響があるのであれば、それは弱くても、「おそれあり」とすることは問題ないと思いますが、何か比較するというか、参照できるものがあるといいと思いました。

○鈴木部会長 今のところ、流通実態が□□委員の方から報告されていますし、流通実態があるということと、特に本日の物質で問題は、資料2-6が問題ではないかと思うのですが、行動変化としてはカンナビノイド特有の行動が見られています。あとは、バインディングとしては、本日、補足として配布された資料にあるように、CB受容体にJWH-018と同等の結合を示すという、このぐらいの根拠があればよろしいのではないかとも思うのですが、その辺りは委員の先生方はいかがでしょうか。

□□委員 CBに関しては、やはりバインディングのデータが根拠になることで包括指定されていますから、問題ないと思います。

○鈴木部会長 ありがとうございます。□□委員、いかがでしょうか。明確に基準というのは難しいと思うのですが、今回の場合、CBに結合するということは明確であって流通実態があると、そういう所で蓋然性ということに結び付けて判断ということではいかがでしょうか。

□□委員 個人的にはそれでよろしいと思いますが、これからもそういう基準で判断するのだということで、取りあえず用意していただければよろしいと思います。

○鈴木部会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

□□委員 本質的ではないのですが、5F-QUPICの化学構造式で、資料2-5の方は正しいと思うのですが、資料1の構造式はFが抜けていると思います。

○事務局 失礼しました。資料1の方はFが抜けております。

□□委員 もう一つ教えていただきたいのですが、物質名訳のときに5F-QUPICの例でいいのですが、「キノリン--イル」の後に等号(=)を使ってありますが、これは、この指定薬物の物質名の日本語訳のときにはこうするというルールが確立しているということになるのですか。

○事務局 指定薬物の名前を付ける場合には、このルールで現状はやっているということです。

□□委員 前回に参加させていただいたときに、過去の資料を頂いた中で、QUPICは確かに前の資料の中にも等号を使ってありました。そういうので確立しているのですか。

○事務局 名前の付け方が昔と変わってくる場合もあるとは思うのですが、省令で指定されているものなので、そこの所は変更せずに、そのときどきの新しいやり方で付けていくということで考えてやっております。昔のものは等号が入っていないものもあると思います。

○鈴木部会長 よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。ありがとうございました。発言が出尽くしたと思いますので、審議をまとめます。

 ただ今御審議頂いた4物質は、いずれも薬事法第2条第14項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。ありがとうございます。

 それでは、事務局より、本件に関わる今後の手続、スケジュール等について説明をお願いいたします。

○事務局 本日の結果については、9月26日に開催予定の薬事分科会で報告させていただく予定です。本日の結果を受けてパブリックコメント、WTO通報等の必要な手続を行い、指定薬物を指定するための省令改正の手続を進める予定です。

 また、いわゆる正規用途については、今回審議頂いた7物質については、化学合成用途・医療用途等で使用されている実態は、今までのところ聞いておりません。いずれにしても、パブリックコメントの結果を受けて、可能な限り適正使用に支障を来さないように対応していきたいと思います。

○鈴木部会長 ありがとうございました。本日の議題は以上です。

 事務局から、その他の連絡事項があればお願いいたします。

○事務局 次回の部会は、既に御案内しておりますが、9月17日の16時からを予定しておりますので、よろしくお願いいたします。また、本日の部会の資料は回収させていただきますので、そのまま机の上に置いていただければと思います。以上です。

○鈴木部会長 委員の先生方、本日は御審議ありがとうございました。

 以上をもちまして、平成25年度第2回指定薬物部会を閉会いたします。ありがとうございました。


(了)

備考
本部会は、公開することにより、委員の自由な発言が制限され公正かつ中立な審議に著しい支障をおよぼすおそれがあるため、非公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 監視指導・麻薬対策課 課長補佐 渕岡(内線2779)

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