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2013年10月28日 第3回「健やか親子21」の最終評価等に関する検討会

雇用均等・児童家庭局母子保健課

○日時

平成25年10月28日(月)13:00~16:00


○場所

中央合同庁舎5号館 厚生労働省 省議室(9階)


○出席者

委員

五十嵐委員(座長) 青木委員
秋山委員 出石委員
市川委員 伊東委員
川崎委員 小林委員
迫委員 佐藤委員
島田委員 成田委員
久永委員 山縣委員
横山委員

オブザーバー

健康局がん対策・健康増進課 塚原課長補佐
医政局指導課 田中救急・周産期医療等対策室長
社会・援護局障害保健福祉部障害児・発達障害者支援室 日詰専門官
雇用均等・児童家庭局 川鍋児童虐待防止対策室長
雇用均等・児童家庭局 竹林少子化対策企画室長

事務局

鈴木大臣官房審議官
雇用均等・児童家庭局 桑島母子保健課長
雇用均等・児童家庭局 小宅母子保健推進官
雇用均等・児童家庭局母子保健課 渡利課長補佐
雇用均等・児童家庭局母子保健課 内山課長補佐
雇用均等・児童家庭局母子保健課 木下課長補佐

○議題

(1)「健やか親子21」最終評価について
(2)その他

○議事

議事録

○渡利課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第3回「『健やか親子21』の最終評価等に関する検討会」を開催いたします。

 委員の皆様には、お忙しい中お集まりいただきましてまことにありがとうございます。

 本日は、今村委員、鵜養委員、奥山委員、佐藤委員、中板委員の5名は御欠席ということで連絡をいただいております。また、1名の方に代理の出席をいただいております。成田委員の代理人、全国保健所長会副会長・荒川保健所長の倉橋様に御出席いただいております。

 なお、市川委員は本日遅れて出席という予定になっております。

 また、今回、母子保健課の桑島でございますが、公務のため中座いたしますので御了承ください。

 カメラの撮影はここまでとさせていただきます。

 傍聴される皆様におかれては、傍聴の注意事項の遵守をよろしくお願いいたします。

 それでは、議事に移りたいと思います。座長、よろしくお願いいたします。

○五十嵐座長 皆さん、こんにちは。これから議事に入りたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 資料につきまして事務局から確認をしていただきたいと思います。

○渡利課長補佐 それでは、お手元の資料でございますが、議事次第と座席表がございます。そのほか、資料1といたしまして「健やか親子21」最終評価報告書(案)でございます。それに付随資料が参考資料として1から13までついております。そのほか、参考資料の1と2の2点がございます。また、前回までの資料をお手元のファイルにとじてございます。

 資料は以上でございますが、不足等がございましたら事務局までお申しつけください。

○五十嵐座長 足りないものはありませんか。大丈夫ですか。

 それでは、議事に入りたいと思います。

 議題1の「『健やか親子21』最終評価について」ですけれども、前回の検討会までにまだ検討していない指標が1つ残っております。それは、資料1の参考資料7の85ページにあります指標1-4ですが、これは15歳の女性の思春期やせ症の発生頻度について、事務局からまず説明をしていただきたいと思います。

○木下課長補佐 事務局でございます。

 お手元の資料の参考資料7を御用意ください。参考資料7の85ページ、指標1-4をお開きください。

 こちらは、調査が各学校の夏休み期間を利用したということもございまして、今回結果が取りまとまりましたので御報告いたしたいと思います。

 まず、1-415歳の女性の思春期やせ症の発生頻度ですが、策定時の状況として、思春期やせ症2.3%、減少傾向へと目標としておりました。今回、最終評価におきまして1.5%と総合評価は改善したという評価をいただいております。

 結果の欄ですが、策定時に比較すると最終評価は減少していた。策定時から第1回中間評価にかけて半減し、第2回以降も第1回同様に低い割合で、ただし、今回最終評価におきましては中間評価に比較すると上昇したという傾向にございます。

 分析といたしましては、思春期やせ症は、不健康やせ症の中から見つかることになる。策定時から最終評価時までを比較した場合、不健康やせは特に中学生で大幅に増加した一方で、思春期やせは若干の減少が見られた。

 その理由として、1つ目は、集団で見る限り、不健康やせの増加減少と思春期やせの増加減少には関連が低いこと、また2つ目としまして、小学生のころの思春期やせ症が増加している可能性があると分析いただいているところでございます。

 調査・分析上の課題になりますが、思春期やせ症の頻度は中学1年生から高校3年生までの体重データの解析で得ていますが、小学生における思春期やせ症の顕在化の可能性については現在の判定方法からは評価ができないことが分析上の課題として指摘いただいているところでございます。

 これらに対応するため、今後データをもとにした判定方法そのものの開発も必要ではないかという御指摘をいただいているところでございます。

 残された課題といたしまして、思春期やせ症のリスクは、家庭環境、ストレスといったさまざまなものが挙げられております。これらのリスクに対しまして、その要因がどの程度関与しているかという部分に関しましてはまだ研究途上にあるということも含め、今後こういったものの予測モデルの確立ということも必要性を指摘いただいているところでございます。

 また、思春期やせ症が顕在化する時期の低年齢化につきましては、先ほど申しましたように、実態を含めた基礎的なデータの収集も含め、今後検討が必要というところを課題として御指摘いただいているところでございます。

 以上になります。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 ただいまの説明に対しまして御質問はありますでしょうか。よろしいですか。

 それでは、最終評価報告書(案)の検討に入りたいと思います。この報告書は非常に大量ですので、章ごとに区切って検討していきたいと考えております。

 まず、資料1の「第1 はじめに」と「第2 『健やか親子21』について」の2つについて事務局から説明をお願いいたします。

○木下課長補佐 お手元に「『健やか親子21』最終評価報告書(案)」を御用意ください。

 目次にありますように、大きく第1から第7までの7つの章に分けて構成しています。この章に沿いまして御説明をしてまいります。

 まず、1ページ目をお開きください。「第1 はじめに」になります。

 「はじめに」は、まず、「健やか親子21」の策定の経緯を簡単に書いております。2つ目のパラグラフにつきましては、その課題の達成に向けて、指標を設けるだけではなくて各団体がどういった支援を行うかという中身を今回の計画の「健やか親子21」で盛り込んだという経緯等をお示ししています。

 また、それ背景としまして、昭和61年のオタワで開催されましたWHOのヘルスプロモーションの基本理念でありますとか、そういった内容をこちらのほうに記載させていただいています。

 最後のパラグラフになりますが、今般、この最終評価を行った目的に関しましては、これまでの第2回にわたる中間評価で新たな課題を設定したこと、この計画期間の中でどういった課題が出てきたか、さらに、次の27年度以降の次期計画に課題を明らかにした上で反映していくという位置づけを記載させていただいています。

 続きまして、2ページになります。「第2 『健やか親子21』について」という章は、まず、「1 『健やか親子21』の概要」をまとめているところです。

 「健やか親子21」の概要としては、これまで御説明させていただいているところで、内容について細かく御説明するところではございませんが、まず(1)としまして「基本的な考え方」、「ア 『健やか親子21』の性格」というものを記載させていただいております。策定時には10年間という計画期間を置いておりましたが、その間、各種施策の見直し等に向けまして計画期間が26年まで延長しているという旨を記載させていただいております。

 続きまして「イ 基本的視点」。

 「ウ 『健やか親子21』の課題設定」では、主要な4つの課題を設定して、この間取り組みを進めていたというところを整理しております。

 具体的にいいますと、課題1に関しましては思春期の保健対策の強化と健康教育の推進、課題2としまして妊娠・出産に関する安全性と快適さの確保と不妊への支援、課題3としまして小児保健水準を維持・向上させるための環境整備、課題4としまして子供の心の安らかな発達の促進と育児不安の軽減といった課題に分けてこれまで取り組みを進めていただいたところでございます。

 また、エとしまして推進方策、先ほど申しました基本理念に沿った形でこれまで進めているところでございます。

 3ページをお開きください。3ページ以降は、主要課題ごとに問題の認識、取り組みの方向性、具体的な取り組みをこれまで計画の中で記載していたものを転記しているところで、今回、特に改めて書き足したりしたところはございませんので、これまでの整理という形で御理解いただければと思います。課題1から課題4につきまして、これまでの取り組み状況を整理しているところでございます。

 続きまして、6ページ。「健やか親子21」での推進方策を整理したのが(3)からになりまして、関係団体の取組内容の明確化や推進協議会の設置という「健やか親子21」の位置づけ等々を整理しているところでございます。

 7ページの、「目標の設定」は、この間の目標はどういう考え方で設定したかを整理しているところで、これまでの第1回、第2回の検討会の中でも御紹介した内容を改めて記載・整理しています。

 続きまして、8ページになります。8ページからは「『健やか親子21』策定後の経過」を整理しています。

 「健やか親子21」は、この間、中間評価を2回行っております。具体的には第1回目の中間評価の内容を(1)から整理させていただいております。平成17年に第1回目の中間評価を行っており、達成状況は、当時の58の指標について評価を行いまして、41の指標はよくなっているという結果を得られております。こちらのほうが70.7%のよくなっているという指標の割合になっております。

 第1回中間評価のときには、次の9ページになりますが、課題ごとの重点取組を改めて設定しています。課題1から4につきまして各課題の重点的取組というものを設けており、四角囲みで記載している内容になっております。

 続きまして、10ページに参ります。10ページから第2回中間評価の概要をまとめています。

 平成21年3月から中間評価の第2回目を行っていまして、第2回中間評価の結果としては、11ページをごらんください。その時点で評価が可能であった64の指標(69項目)について評価を行って、第2回中間評価段階におきましてもよくなっている項目が51項目(70.8%)という結果を得られております。第2回中間評価時点におきましても、ウとしまして課題ごとの重点取組を改めて設定しているといます。

 重点的な取組につきましては、12ページの表の中でまとめているところでございます。

 第1と第2の説明は以上になります。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 ただいまの事務局からの御説明に対しまして、何か御質問がございますでしょうか。よろしいですか。

 それでは、次に進みたいと思います。

 次は、「第3 『健やか親子21』と母子保健に関する計画等について」につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。

○木下課長補佐 お手元の資料の13ページをお開きください。また、参考資料2をお手元に御用意いただければと思います。

 これまでの第1回、第2回の検討会におきまして、「健やか親子21」と母子保健計画に関する計画につきましては、お手元の参考資料2を使いまして簡単に御説明してきたところではございますが、今回改めてどういった他の施策の動向があるかというものを文章の形で整理させていただいたところで、少し丁寧に御説明させていただければと思います。

 まず、13ページの「1 『健やか親子21』に関連する他の施策の動向」としまして、この間、合計特殊出生率に関しましては長期的な少子化の傾向が継続している。そういった中で、さらに多くの方が結婚したい、子供を生み育てたいと希望しているにもかかわらず、さまざまな事情からそういった願いをかなえられないというところで、希望する結婚や出産を実現できる環境づくりが重要になっている。

 こうした背景を踏まえまして、この間、どういった施策が講じられてきたかと申しますと、まず1つ目としまして、平成22年に「子供・子育てビジョン」が策定され、平成22年から26年までの具体的な数値目標が掲げられております。また、平成24年には「子供・子育て支援法」、その他関係する法律等が整備されまして、地域の実情に応じた幼児期の学校教育・保育、地域の子供・子育て支援を総合的に推進することとされております。

 また、さらには平成15年に制定されました次世代育成支援対策推進法については、26年度末までの時限法でありましたが、今後同法の延長について検討が進められることになっております。

 また、平成25年8月には社会保障制度改革国民会議の報告書が取りまとめられ、その報告書におきましては、妊娠・出産・子育てへ連続的支援を実現するために、関連する施策を有機的に束ねた上で強化することが必要であることが記載されています。

 特に市町村の母子保健担当、児童福祉担当を中心として、さまざまな関係機関の関係者がそれぞれの役割、機能の連携、情報の共有の強化を図り、妊娠期から総合的相談や支援をワンストップで行えるといった取り組みを検討する必要があるとまとめられております。

 また、保健分野につきましても、この間、健康増進法でありますとか、食育基本法に基づいた各種施策が進められており、特に「健やか親子21」がその一翼を担うと位置づけられています「健康日本21」は、平成24年に第1次が終了し、本年から第2次の「健康日本21」が開始されています。

 また、「2 『健やか親子21』と母子保健に関する計画等について」は、まず、「健やか親子21」については、母子保健の主要な取り組みを提示するビジョンとして、関係者、関係機関・団体が一体となって推進する国民運動計画という位置づけになっております。

 また、「健やか親子21」が策定される以前から、当時の厚生省児童家庭局母子保健課長通知に基づきまして、各市町村において母子保健計画の策定をお願いしているところでございます。

14ページに参りますが、これらの計画に関しましては、その目標が共通することがある他の計画もございます。特に平成15年に成立いたしました次世代育成支援対策推進法に基づきましては、平成17年度からの全市町村における市町村行動計画の策定が義務づけられ5年間の計画となっており、現在、平成22年度から後期の5か年計画が推進しているところでございます。この計画と母子保健計画との内容には重複する部分もあるということで、平成17年以降につきましては母子保健計画を市町村行動計画の一部として位置づけてよいという整理をさせていただいております。

 繰り返しになりますが、時限法でありましたが、現在、延長について検討が進められているところでございます。

 また、平成24年には子供・子育て支援法等が成立いたしまして、地域の実情に応じた幼児期の学校教育・保育、地域の子供・子育て支援を総合的に推進することとされております。この法律におきまして、各市町村が法律に基づきまして事業の見込み量の計画を策定することとされておりまして、他の法律、他の計画等の連携・協働、さらには役割の分担といったものも今後検討が必要と認識しております。

 いずれにしましても、各種施策との連携を強化する中で、母子保健計画「健やか親子21」が次世代の子供を担う計画として、どういった位置づけでどういう役割を担っていくかという検討を進める必要があるとまとめさせていただいております。

 ここまでは以上になります。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 これにつきまして御質問はいかがでしょうか。特にありませんか。

 では、次の「第4 最終評価」について御説明をお願いいたします。

○木下課長補佐 それでは、15ページをお開きください。報告書の主要な部分はここからになっておりまして、15ページからの最終評価につきましては、これまでの第1回、第2回で各委員からいただきました御意見につきまして評価シートで分析された内容を網羅的にまとめているところでございます。

 まず、15ページにつきましては、これまでの第1回、第2回の確認という形になりますが、まず、最終評価の目的は、これまでの第1回、第2回の中間評価に設定されました目標、この間の取り組みがどういうふうになっているかを整理して、平成24年度からの次期計画に課題を整理した上で反映していくことが主眼になります。

 その評価方法につきましては、これまで御確認いただいているところではございますが、69の指標の74項目につきまして、各指標ごとに最終評価・分析シートというものを作成いたしまして、第1回、第2回で御検討いただいたところでございます。

 評価シートは、お手元の参考資料7になっております。

 その際に大きく4つの評価をしていまして、基本的に、下に書いてありますように「1.改善した」「2.変わらない」「3.悪くなっている」「4.評価できない」と大きく4つのカテゴリーを設けまして、特に「改善した」という項目につきましては「目標を達成した」もしくは「目標に達していないが改善した」という形で分析・評価をお願いしたところでございます。

 また、この4つの評価に当てはまらないものとして考え方の整理を行ったものや、過去の指標や数値等に修正が必要なものもあったため、参考資料3、もしくは4にまとめて整理しています。

 また、(2)としまして、個別の指標ではなくてこの間の関係者の取り組みにつきましても、推進協議会、地方公共団体、それに連携する関係省庁の取り組み状況については参考資料5で取り組みを整理しています。

 続きまして、16ページをお開きください。最終評価の結果につきまして、まず全体像をお示ししています。

 先ほど、第1回、第2回中間評価の際も同様の形式で評価を行っているところでございます。今回、最終評価69の指標(74項目)について分析を行ったところ、課題別の達成状況につきましては表1のようになっております。「改善した」の項目につきましては、74項目中60項目、割合にしまして80%を超えているという状況になっております。また、個々の評価につきましては後ほど御説明いたしますが、「悪くなっている」という評価になった項目が2項目となっております。全体としましておおむね目標を達成したり、改善したというカテゴリーの中に入っています。

 次の17ページは、第1回、第2回中間評価をまとめておりまして、第1回で67%、第2回は約70%で、評価を経るごとによくなっている、もしくは改善している割合が増加している傾向が見てとれます。

 全体の状況につきましては以上になります。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 それでは、質疑を受けたいと思いますが、今、15ページから17ページまで御説明いただいたのですね。この3ページに関して何か御質問はありますか。

 それでは、次に行ってください。お願いします。

○木下課長補佐 それでは、ここから各指標の分析に入っていきたいと思います。

18ページをお開きください。まず、課題1から順に整理をしていきたいと思います。

 御検討いただきました分析・評価シートの主要な部分を抜粋する形で整理させていただいております。また、整理するに当たりましては、関連する指標は1つのグループでまとめて整理しています。

 まず、18ページ、課題1になります。課題1は16の指標がございます。この中で改善したものが4つ、達成していないけれども改善したものが9つ、変わらない、もしくは評価できないものが1つずつ、悪くなっている指標の2つのうち1つが10代の自殺率になっております。

 まず、「(ア)子供の自殺について」は、重点取り組みとして10代の自殺率が設定されておりますが、どの年代においても上昇し、特に15歳から19歳の自殺率の上昇が大きかったという状況にございます。

 また、子供の自殺を防ぐための地方公共団体、専門機関、学校の有機的な連携のもと、この間さまざまな取り組みが進められ、連携づくりのきっかけとなります学校保健委員会の設置の割合でありますとか、スクールカウンセラーの設置の割合というものは改善しておりますが、引き続き関係団体の積極的な取り組みが求められるという整理にさせていただいております。

 また、次になりますが、地方公共団体の取り組みの割合につきましては改善したという評価をいただいているところではございますが、思春期の心の健康対策は極めて重要と認識していただきながら、取り組みを行っていないという地方公共団体が約4割存在することも明らかとなっており、こういった地方公共団体における取り組みを支援する体制はどのようなものができるかということを今後の課題に書いております。

 また、本人もしくは保護者からの相談に応じる体制につきましても、体制は整ってきているところではございますが、利用される方がどの程度満足されているかを把握する質的な評価も今後必要とまとめております。

 続きまして、「(イ)人工妊娠中絶及び性感染症について」ですが、この間、各種指標につきましては着実に減少を認めています。その背景としまして、経口避妊薬の流通でありますとか、性行動の停滞傾向による可能性があるという御指摘をいただいております。また、日本産婦人科医会の調査によりますと、妊娠判明が予期しないことであったとしても、その後の支援によって生むという選択をする可能性もあることが示唆されておりまして、これまで「望まない妊娠」と呼ばれていた事象を、妊娠判明時から選択に至るまでのプロセスで提供された資源・支援に関する状況を分析していって、どういうふうに変わっていくかという評価も今後必要ではないかという御指摘をいただいております。

 次の10代の人工妊娠中絶率につきましては、都道府県の格差が大きいことがこの間改めて認識されているところではございますが、一つの傾向としまして隣接する自治体で高い傾向が見てとれるということもありますので、少し広域の近接している都道府県間での協働した取り組みが必要であるという分析もいただいています。

 また、10代の性感染症罹患率につきましても着実に減少しているところであり、その背景として、19ページになりますが、地方公共団体や国におけます各種啓発、学校での保健学習といったものが大きく寄与しているということが考えられます。

 やや各論になりますが、性器ヘルペスの減少の割合が他の性感染症に比べて低いということもあり、その背景としましては、無症候性ウイルスの排出といったウイルスの特徴、感染症の特徴というものを踏まえる必要があるだろうという御指摘をいただいております。

 続きまして、「(ウ)喫煙・飲酒、薬物乱用防止教育について」の項になります。こちらにつきましても10代の喫煙率につきましては着実に減少しており、その背景には健康増進法におきます受動喫煙防止施策、また、学校におけます敷地内禁煙が推進されたこと、それ以外にもタスポの導入でありますとか年齢確認の実施、たばこ税の引き上げといったものが影響しているというふうに考えられます。

 また、たばこにつきまして、目標の「なくす」を達成するためにはさらなる取り組みが必要と考えられますが、10代に入る以前からのたばこに対する規範意識といったものを形成していく必要があるだろうという御指摘をいただいております。また、家族の喫煙状況に影響されるということもありますので、そういった点にも留意が必要であろう。また、今、「なくす」という目標を立てているところでございますが、具体的に評価するという視点を踏まえまして、長期目標だけでなく短期目標、例えば5年間に何割減といった目標もあわせて設けるなどの工夫も今後必要ではないかという御指摘をいただいております。

 続きまして、10代の飲酒率につきましては、たばこ同様、策定時から着実に減少しております。その中で、減少してはいるのですけれども、平成20年度以降、中学3年生の男女の飲酒率が逆転して女性の割合が男性を上回ったという傾向が見てとれます。その中で、さらに平成22年度には中学3年生の男子はさらに下がっているのに対しまして女子は横ばいという状況にございます。また、高校生においても、男女の逆転はないのですけれども、男女間の差が縮小している、こういったものに関しては特に女子に対する飲酒対策の必要性が取りまとめられています。

 たばこ同様、お酒につきましてもこの間、年齢確認や未成年者が容易にお酒を購入する機会をなるべく防ぐという取り組みはやっているところでございますが、家庭内に購入してあるお酒の飲酒というものの問題という課題も明らかになっています。また、先ほど申しましたように、男子のみならず女子の飲酒対策をさらに進める必要があるということで、地域におけます家庭、特に女性の場合は母親、もしくはお姉さんといった同性の家族への啓発を中心に展開していく必要があると考えており、また、その背景としまして親の未成年の飲酒に対する受容度といったものも地域差も含め調査が必要ではないかという御指摘をいただいています。

 3つ目になりますが、薬物乱用の有害性を正確に知っている割合につきましてもこの間改善しています。特に中学校以降におきましては、薬物について学んだ場所というところで「学校の授業」を挙げる生徒が他の回答に比べまして多くなっており、学校教育の現場で薬物乱用防止の重要性が認識できると考えております。

 一方で、小学校6年生は「学校の授業」よりも「テレビ」と回答した割合が男女ともに多くなっており、今後、学校での授業以外の多様な媒体を通じてどのような啓発活動ができるかという取り組みの推進が必要とまとめられております。

 最後になりますが、思春期保健対策に取り組んでいる地方公共団体の割合は、重要性を認識していながら取り組んでいない自治体のほうが4割以上あることも明らかになっており、学校における保健学習・保健指導との連携強化というものが必要であろうと考えております。

 続きまして、「(エ)食育、生活習慣、体格について」の項になりますが、朝食欠食率が年齢層によって改善状況が異なっております。

20ページになりますが、男子の1-6歳及び女子の7歳以上で悪くなっている傾向が見てとれます。

 朝食の状況は、年齢が高くなるにつれ保護者からの影響が総体的に小さくなって、本人の生活や意思、生活行動に左右されることが多くなる。特に7歳から14歳という小学校の低学年が含まれる年齢階級では、保護者の朝食状況といった家庭環境によるものか、もしくは本人の生活習慣、意思というものが混在してこの結果に影響しているというところで、こういったものを分けて今後見ていく必要もあると考えています。

 また、次に、地方公共団体の取り組みの割合につきましては、学校現場においても自分で簡単な朝食をつくろうとする態度や調理に関する知識・技術を身につけるなど食育を引き続き行っていき、自律的な環境づくりも行っていく必要があるだろうということが書いてございます。

 続きまして、先ほど評価いただきました指標1-4につきましてはさまざまな問題点があるだろうというところですが、背景には不明な点が多く、1つとしましては、先ほど申しました思春期やせ症の発症時期の低年齢化ということも考えられるのではないかということを記載させていただいております。

 思春期やせ症が減少する一方で、不健康やせにつきましては中高生で大幅に増加しているというところで、こういったものの関連性の研究がさらに必要であろうとまとめております。

 続きまして、肥満児の割合につきましては、指標は改善したと評価いただいているところでございますが、その背景としましては、学校における保健指導が充実したことが考えられると記載しております。一方で、やせ志向の低年齢化という傾向も見てとれるので、今後も注視していく必要があるだろうと考えております。

 課題1に関しましては以上になります。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 では、18ページから20ページの真ん中あたりまでのところで御質問はいかがでしょうか。

○成田委員(倉橋副会長) 保健所長会の倉橋でございます。

 今の課題1では、中期的には子供の自殺や性感染症等があるのですけれども、長期の効果を見るということでは、私は個人的には喫煙と薬物が現在よりも問題となっていくのではないかというふうに考えています。

 現状としての、最近は格差という形で地域も年代もそういうところで格差を是正していこう、あるいは状況を分析して年代別の対策をとっていこうという対策が有効とされておりますので、この評価とともに次の計画に生かす意味でも地域格差あるいは年齢格差みたいなもので、分析はされているのですけれども、今考えられるようなポイント、そして、今後どういう具体的対策が考えられるかといったところがあればお聞かせいただきたいと思います。

○五十嵐座長 これは、山縣先生、何か補足はございますか。それでは、事務局のほうはどうですか。

○木下課長補佐 今すぐにどういった答えがということではございませんが、後ほど御説明させていただこうと思っています30ページ以降の今後の課題という中で、今御指摘いただいた地域間の格差も視野に入れた分析の必要性はまとめております。その中で、県という単位においては今も研究班のほうで分析いただいているところはあるのですけれども、さらにもう一歩踏み込んでという形はデータ数という問題もありまして難しいという認識は持っております。

 具体的に今後やっていくに当たっては、各自治体でこういう取り組み、こういう評価をやったら分析できますよという評価手法といったものにつきましては、研究班と協力させていただきながら開発していって、各自治体に還元して、評価いただくような仕組みづくりができないかと考えているところでございます。

○五十嵐座長 よろしいですか。

 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○青木委員 葛飾区立新小岩中学校の校長の青木孝子と申します。よろしくお願いいたします。

 課題1については、学校教育にかかわることが大きくて、その重責をこの結果からもうちょっと頑張らなければいけないなと思っております。やはり学校教育でいかに取り組むか。学習指導要領で保健の授業、そのほか学校の特別活動等でいろいろ取り組むことの必要性を特に感じておりますが、特に心の問題について、文科省からつい最近出ましたけれども、道徳の授業を教科に移行していく、評価をしない教科ということで、今、検討されておりますが、やはり道徳の授業をまず充実させることというのはとても大切なことと思っております。週1時間の道徳の授業が確実に実施されているかどうか、あるいは、道徳実践力の育成の指導にまでつながっているかどうかというところで道徳の授業の心のあり方というか、心の持ち方についての指導をもっと強化しなければいけないと思っています。

 それから、小学校、中学校、高校で「心の健康」を保健の授業で取り扱ってはいるのですが、まだまだそれでは十分ではないようです。

 そのほかにも学校ではスクールカウンセラーが東京都では週1回、葛飾区では、それにプラスしてもう1日、区で独自に予算をつけて2日いるのですが、できれば毎日学校に常駐してくれればどれだけ助かるだろうな思うことがあります。本人や保護者、担任に対応してくれていて、もっとスクールカウンセラーがいてくれるといいなというのが学校現場の要望です。

 本校では、学校全体で教育相談週間というのをやっています。本校では年間1回なのですが、2学期初めに、夏休み明けに不登校を少しでも減らしたり、心の悩みを聞いてあげるということで、全教職員で子供の希望によって先生が分担して全員の夏休みの過ごし方とか、今悩んでいることとかを聞くようなことをしております。そのようなことで早期の心の状態を知り、早期に対応することで自殺の予防に少しでもつながっていけばいいなと思います。

 それから、子供たちにもっとキャリア教育というか、生き方の指導とか職業観とかボランティア活動などをさせて、もう少し自己肯定感とか自尊感情とか自己有用感、このようなことを育てていかないといけないと思っております。

 ちょっとまとまりませんけれども、道徳授業の充実とか、保健の授業、そのほかスクールカウンセラー、それから、子供たちのいろいろな活動を通じて生命尊重とか自己肯定感等の育成、いじめ対策についても防止法ができましたけれども、もう少し詳しく子供たちに知らせながら、保護者と協力をして進めていかなければいけないと思っています。ただ、年齢が進むにつれて、保護者というよりも子供本人の考え方がだんだんと大きく影響してきますので、中学校以降はもっと子供たちに指導していかなければいけないと思います。どの項目についても、やはり保護者との連携や保護者への啓発が必要です。問題を起こす子供の保護者については学校教育について非常に非協力的な部分もありまして、保護者会にも来ない、いろいろな文書も目を通していないという状況があります。保護者への啓発がなかなか難しいのが現状です。そうすると、中学校以降については、やはり子供に直接指導していくことがとても大事と思っておりますので、学校教育の充実さらに重要考えます。

 以上です。

○五十嵐座長 どうぞ。

○迫委員 日本栄養士会の迫です。朝食について、各論のお話をさせていただきます。今説明いただいたのが各指標の分析結果という形になりますので、少し細かい文言についてお伺いしたいと思っております。

20ページの冒頭のところ、「朝食状況」という言葉で、項目の指標としては朝食欠食の問題、それをここで「朝食状況」という言葉に置きかえられたということが、欠食の有無ということだけではなくて、朝食をいつ、どこで、誰と食べるのかとか、量とか質とかそういうふうな幅広いものを視野に置いて次の対策につなげていくために「朝食状況」という言葉に置きかえられたのかなと考えているところでございます。

 この言葉に置きかえられたことが、単に朝食を欠食しているというだけではなくて、その周辺のものもきちんと含められるということでは非常に意味のある表現の仕方であると思っております。

 そういう中で、やはり生活リズム、これはお子さんたちの、特に思春期では子供たちの生活リズムの乱れというものが大きく問題になっているところでございますので、それを是正するための一つの方策として規則正しく朝食をとっていくということの重要性というところにつながっていくのではないかと思っております。

 もう1点ですが、一番下のポツのところ、肥満児の割合という中で、「平成10年国民栄養調査でも若い女性のやせ志向が重要な問題とされており」と、この辺の表現が分析シートのほうでは「ここで指摘され、それ以降、若い女性のやせ志向が重要な問題と継続している」というふうな書きぶりになっていたかと思うのですが、この平成10年に単独で問題にされたわけではなく、それ以降、若い女性のやせ志向、最近では子供のやせ志向の低年齢化というところなど、これは長期的なスパンの書きぶりのほうがいいのではないかと思っております。

 以上2点でございます。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 そうすると、事務局、ここのところはどうしましょうか。

○木下課長補佐 御指摘を受けまして、評価・分析シートの記載に合わせたいと思います。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 どうぞ。

○市川委員 JDDネットの市川でございます。遅れて来まして申しわけございません。

 子供の自殺の件なのですが、先ほど校長先生からもお話がありましたけれども、学齢期の子供さんの自殺が起きますと、必ずというのは言い過ぎかもしれませんけれども、保護者と学校が対立関係になってしまう、それがますます学校の腰が引けてしまうという原因にもなるというようなこともありまして、今後は保護者と学校が一緒になってこの問題を取り上げるという方向がないとまずいと思いますので、ぜひそういう視点を入れていただけるとありがたいと思います。

○五十嵐座長 御指摘ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○島田委員 日本助産師会の島田です。

 人工妊娠中絶及び性感染症のところの5行目、人工妊娠中絶選択割合の低下の1つの原因として、若年者本人が妊娠に気づく週数のおくれによる可能性というのが指摘されていると思います。今、各県の助産師会でも、こういった形で若年者本人が妊娠に気づく週数が遅れて、出産になって非常に問題になっているケースが報告されておりますし、あと、これから後にあります児童虐待防止のほうの虐待死亡というのに関しましては、出産当日に実母によって殺されるという形の死亡例が減っていない状況から、さらなる課題として上げていく必要があるのではないかと思っているのですが、いかがでしょうか。

○五十嵐座長 いかがですか。それについての、これは課題として取り上げてありますでしょうか。

25ページに「日齢0日児の心中以外の事例において、望まない妊娠であること等」という記載は多少ありますね。

 また後で課題として御指摘いただきたいと思います。それでよろしいですか。

○島田委員 はい。

○五十嵐座長 ほかはいかがでしょうか。どうぞ。

○小林委員 福島県の小林でございます。

 人工妊娠中絶の関係で私の意見を申させていただきたいのですけれども、下から2つ目のポツですが、人工妊娠中絶について都道府県格差が大きくて、必ずしも居住地域で計上されていないということから、都道府県単位の取り組みだけでなく、広域の近接している都道府県での共同した取り組みが必要だというお話なのですが、何かこれだけ読むと論理が飛躍し過ぎているのではないか。要するに、各県で一生懸命人工妊娠中絶の減少に向けて仕事をしているわけなので、それが余り評価されていなくて、そうではなくて、もっと広域的なところがないとだめなのだというところに持っていく論理構成としてはどうなのかなというふうに思ったのですが、いかがでしょうか。

○木下課長補佐 前段の最初のポツのところで、いずれのこれらの指標についても着実に減少しているというところを受けて、さらに掘り下げていくとこういう傾向がありますよという記載ぶりにはなっておりますが、今の御指摘も踏まえまして、全体的に各県の取り組みが着実に進み、減少しているもののといった記載ぶりを追加させていただければと思います。

○五十嵐座長 この文章の意味は、東京都の方が埼玉県へ行って人工妊娠中絶をしてしまうという意味ですか。

○木下課長補佐 という意味と、分析では、例えば福岡県、もしくは佐賀県、熊本県といった近接する地域で高いケースでありますとか、もしくは四国でいいますと高知県、愛媛県という近接するところで高いという傾向が見てとれたというところを踏まえて、こういった分析をいただいているところでございます。

○小林委員 福島県も、このデータを見ていただくとわかるように、人工妊娠中絶は高いのです。我々、何で高いのだろうということでいろいろ分析したのですが、そのときに、今おっしゃられたように、近県から福島県内の医療機関に来て人工妊娠中絶をやられる方もいらっしゃるのだろうなということで、それを調べたことはあるのですが、そうでもなかったということもありますし、九州のほうは意外と地域性が見られるのですけれども、そのほかのところは特にそういった地域性がないのではないかと思いまして、先ほどの質問をさせていただきました。

○五十嵐座長 では、対応をよろしいですか。

○木下課長補佐 記載ぶりを検討させてください。

○五十嵐座長 お願いします。

 ほかはいかがですか。よろしいですか。

 では、20ページから22ページのところに行きたいと思います。御説明をお願いいたします。

○木下課長補佐 20ページをお開きください。

 「イ 課題2 妊娠・出産に関する安全性と快適さの確保と不妊への支援」の項を説明してまいります。

13の指標のうち12の指標が改善した。そのうち半数の6つにつきましては目標達成、残りの6つにつきましては達成していないものの改善したという評価をいただいています。

 産婦人科医・助産師数は、個々に推移を見ていくと助産師数は増加傾向にあるものの産婦人科の医師数は策定時と変わらず横ばいという結果になっております。

 個々に見ていきますと、「(ア)妊娠・出産に関する安全性について」は、まず、妊産婦の死亡率につきましては上下しているものの、中間評価時と比較しても若干上昇を認めているというところでございます。今後については、死因別の推移を含めて注視が必要であろうと取りまとめをいただいているところでございます。

 次に、妊娠11週以下の届け出の割合でありますとか、母性健康管理指導事項連絡カードを知っている割合、助産師数は改善を認めている。また、周産期医療ネットワークの整備につきましても全ての都道府県で達成しているところでございます。

 また、これらの分野に関します人材の確保という項目に関しましては、助産師数については増加傾向が続いているものの、産婦人科の医師数は変わりない。また、今後、特に産婦人科の医師数は、分娩施設の数等も含めまして推移を見ていく必要があるだろうという評価をいただいているところでございます。

21ページをお開きください。今申しました産婦人科の医師数につきましては、全体の数のみならず、やはり地域偏在というものが顕著であるという傾向が見てとれます。助産師数に関しましては、繰り返しになりますが増加傾向は見てとれるものの、関係学会や団体が推計した直近の値と比べまして、その需要を満たしているかはなかなか評価が難しいところでございます。

 一方で、就業場所の地域偏在、施設偏在という課題も明らかとなっておりまして、その背景としまして、病院における混合病棟化、本来の助産業務に専念できない状況が起きているというところも御指摘いただいているところでございます。

 また、産婦人科の医師数は、短期間の必要数の確保は見込めないものの、地域偏在でありますとかを解消していく取り組みが引き続き必要であろうというふうに御指摘いただいております。

 続きまして、「(イ)妊娠・出産に関する快適さの確保について」については、満足している者の割合につきましては、策定時と比べて増加を認めているという状況により、その中身を見ていきますと、具体的に満足している内容としまして、スタッフの対応、設備、夫の援助などの家庭環境、不安への対応、母親学級といったところはこの10年で大きな改善が認められているという状況にございます。

 一方で満足していないという方が1割以上いらっしゃる項目としましては、出産体験の振り返りでありますとか、産後退院してからの1か月程度のケア、周囲の人がたばこを吸わないようにしてくれたといった項目は満足していないという方が1割以上いるという結果になっております。

 こういった満足度につきましては、設備などのハード面ではなく、スタッフの対応といった人とのかかわりのあるような項目を見直すことによってさらなる満足度が上がるのではないかという状況にございます。

 また、第1回評価以降も改善されていない項目としては、きめ細やかなかかわりでありますとか、産後うつ、虐待予防につながるであろう、そういった支援のスタートにあるこういった項目は切れ目ない支援が必要であろうというところを取りまとめていただいているところでございます。

 また、出産後1か月時の母乳育児の割合も、目標に達してはいないところでありますが改善している状況にございます。ここにつきましても支援が切れ目なく行われ、母乳育児の割合が増えていくということが望まれると取りまとめいただいております。

 マタニティマークは、第1回中間評価において新たな項目としているところでございます。その中で目標であります普及啓発という観点に加えまして、マタニティマークを利用し効果を感じた母親の割合も、さらに第2回の中間から項目を追加していますが、直近では目標を達成したという状況ではございますが、引き続きマタニティマークの周知の継続が必要であろうと考えております。

 続きまして、「(ウ)不妊に悩む者への支援について」は、不妊専門相談センターの整備、また、カウンセリングが受けられる割合につきましては、この計画期間におきまして増加して改善しているという状況にございます。

 また、不妊に関する相談のニーズが増えている中におきまして、この設置という目標は達成していますが、22ページの上になりますが、体制に加えまして、相談員の質の確保、相談システムの工夫といったさらなる改善が必要で、そういったハード面ではなくて質の評価が今後必要であろうという御指摘をいただいているところでございます。

 課題2につきましては以上になります。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 課題2につきまして、20ページから22ページの上から2行目までですが、何か御質問、御意見はございますか。

 どうぞ。

○山縣委員 1つコメントです。妊産婦死亡率に関してですが、改善してきてはいるのですが、実は我が国の母子保健の水準というのは世界トップクラスにありながら、妊産婦死亡率に関しては残念ながら余りよくないということがあります。トップクラスは1.3とか1.5というレベルのものが4台というのは、ここはしっかり考えていかなければいけないというふうに思います。

 第1回目の会議に座長の五十嵐先生から少し御質問があったと思うのですが、この妊産婦死亡に関しては、いわゆる直接死亡というのは我が国ではそんなに多くなくて、間接に関してもそうでもなくて、いわゆる基礎疾患の悪化によるものが多いというふうな分析もありまして、それは高齢出産によるものかというのがあったのですが、実はOECDのデータを見ますと、我が国は決して高齢ではなく、スウェーデンやそういうところのほうがさらに高齢で、妊産婦死亡率との相関を見ると、これはもっと社会的な状況の影響が大きいと思うのですが、若年の出産が多いところのほうが多いというようなこともございました。

 よって、この妊産婦死亡率に関しては、非常によくはなっているけれども、国際的な視点から見たときにもう少し頑張らなければいけないというようなところがあってもいいかなというふうに思いました。

 以上です。

○五十嵐座長 補足ありがとうございます。

 ほかは何かありますか。よろしいですか。

 それでは、課題3の御説明をお願いします。

○木下課長補佐 22ページをお開きください。「課題3 小児保健医療水準を維持・向上させるための環境整備」につきましては、22の指標、26項目のうち、8つの項目につきましては達成した、16の項目につきましては目標に達していないが改善したとなっております。

 最初に申しました2つの悪くなっていると評価された項目の1つがこの課題3の中にございまして、それは低出生体重児の割合になります。

 (ア)から説明をしてまいりたいと思います。

 「(ア)周産期から乳幼児期の保健水準について」になります。周産期死亡率、新生児死亡率、不慮の事故による死亡率、虫歯のない3歳児の割合は目標を達成しております。また、SIDSの死亡率、幼児(1~4歳)の死亡率は目標達成には至っていませんが、順調な改善が認められています。

 一方で、今申しました指標のうち幾つかにつきましては、近年においてその改善している割合、改善率が小さくなってきているというところで、これらの指標は改善の限界に近づきつつあるのかもしれないという分析もいただいています。

 また、不慮の事故による死亡率の減少については、交通事故、水泳プールでの死亡といった項目につきましては減少が目覚ましく、関係機関の努力の効果が顕著に出ていると考えられています。

 一方で、低出生体重児の割合は全体で悪くなっている2つのうちの1つになっております。ただ、平成12年から17年の当初の5年間はこの割合が増加していますが、その後はほぼ一定となっております。その要因としては、若い女性のやせ志向、もしくは喫煙といった問題があって、これらの課題要因につきましては改善に向けた努力が必要であろうとまとめていただいております。

 一方で、この間の周産期医療の進歩によって、従来お亡くなりになっていた児が助かっている場合も考えられますし、胎児や母体の異常に対して早目に帝王切開を行うといった対応もあるということで、この指標が高いことが必ずしも悪いということではないだろうというような指摘もあるところです。

 続きまして、(イ)に行きまして、まず1つ目、両親の自宅での喫煙率、また、妊娠中の飲酒率、これらの指標は順調に改善していますが、さらなる改善が可能と考えられるので引き続き努力が必要とまとめております。

 また、子供のいる家庭においては、母親だけではなくて父親の喫煙に対する対策も重要であるとまとめております。

 次に、かかりつけの小児科医を持つ親の割合は改善している一方で、休日・夜間の小児救急医療機関を知っている親の割合は横ばいという結果になっております。

 その背景として、小児救急の医療体制が従来よりも広域的な整備が進められ、そういった影響もあり、知っている割合が変わらないということで周知をしっかりやっていく必要があるだろうと考えております。

 次に23ページをお開きください。

 続きまして、事故防止対策を実施している家庭の割合、乳児期の寝かせ始めるときにうつ伏せ寝をさせている親の割合は、目標値には達成していないものの改善している状況にございます。一方で、風呂場のドアの工夫をしている家庭の割合、心肺蘇生法を知っている親の割合につきましては、改善はしているものの、まだまださらなる伸びる余地があるだろうというところで取り組みの必要性を指摘いただいています。

 また、予防接種に関しましても、この間、大幅な改善はしているものの、さらなる目標の達成に向けた努力が必要であろうと普及啓発の必要性がまとめられています。

 続きまして、「(ウ)小児医療等の提供体制について」の項になりますが、こちらにつきましては小児救急の医療体制につきましては、都道府県の割合というものは二次、三次小児救急医療体制につきましては100%達成しているという状況にございます。

 一方で、小児科医の疲弊や財政負担といったものも考慮した取り組みが必要ということで、地域の交通事情といったものも踏まえながら、例えば電話相談による体制の整備といったものも組み合わせて広域的な視点でさらに体制整備というものをとらえていく必要があるだろうという指摘をいただいております。

 続きまして、事故防止対策を実施している市町村の割合に関しましては、実際に乳幼児健診の際に事故防止対策に特化した指導を行っている割合を計上しておりますが、実際の市町村のほうではパネルの展示やパンフレットの配布といったものも含めますと9割程度の市町村で取り組みをいただいていいます。

 次の小児科医・新生児科医師・児童精神科医師の数は、この計画の十数年間で改善というところで、目標に対しましても達成しているという状況にございます。

 さらには、患児に看護サービスを提供する訪問看護ステーションや一時預かりをする施設の整備は、まだまだ目標に達していない状況にありますが、改善傾向を認めております。しかしながら、さらに財政的に困難な面もあるので着実に一歩一歩進めていく必要があるだろうとまとめていただいております。

 課題3につきましては以上になります。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 それでは、課題3の御説明に対して何か御質問はいかがでしょうか。

○秋山委員 日本小児科医会の秋山です。

SIDSの死亡率は改善しているということと、乳幼児期の寝かせ始めているときにうつ伏せをさせている親の割合というのも改善しているわけですけれども、SIDSの事故は家庭だけではなくて保育施設などでも見られています。今後は、この事故防止などに関しては家庭だけではなく、子供が存在する施設に関しても目を向けていただければと思っています。

 以上です。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○小林委員 23ページに記載してございます小児医療等の提供体制の関係でございますが、先ほど産婦人科医師等については地域偏在がある、施設偏在があるという記述があったわけでございますが、小児科医、新生児科医師、特に児童精神科医師は顕著だと思うのですが、地域偏在という問題意識は持っていらっしゃらないのでしょうか。

○木下課長補佐 問題意識がないということは全くないところでございます。今回、分析の中で地域偏在まで分析できていなかったかと。当然御指摘いただいたように、特に児童精神科医に関しましては地域格差、都道府県間の差が大きいという認識は持っておりますので、それは、分析で追加記載できるかどうか、研究班と相談したいと思います。

○五十嵐座長 恐らく新生児科の医師も地域偏在があると思います。数値を資料として出せるかどうかですね、それは検討していただきたいと思います。

 ほかにいかがですか。よろしいですか。

 それでは、課題4をお願いします。

○木下課長補佐 23ページをお開きください。

23ページ、「課題4 子供の心の安らかな発達の促進と育児不安の軽減」という課題になります。

課題4は、特に21世紀の初頭前後から注目され始めました比較的新しい課題に対する取り組みを評価しているところで。この中で育児不安の軽減に向けた育児支援に重点を置いた乳幼児健診を行っている自治体の割合や、虐待予防の視点での生後4か月までの全乳児の状況把握に取り組んでいる市町村の割合という項目は改善が見られております。

 中でも情緒障害児短期治療施設数は倍増、また、親子の心の問題に対応できる技術を持った小児科医の数も増加しており、支援体制は徐々にではありますが充実に向かっていると考えております。

 また、住民自らの行動の指標の中で、育児に参加する父親の割合でありますとか、一緒に遊ぶ父親の割合、また、出産後1か月時の母乳育児の割合は改善を認めています。

 一方で、母親の主観的評価になりますが、子供を虐待している親の割合につきましては改善を認めていないところで、また、法に基づく児童相談所に報告があった被虐待児以外につきましても、全て「変わらない」という評価になっています。

 これらを踏まえまして、行政、関係団体の取り組みの指標や住民自らの行動の指標が改善する傾向は認めていますが、保健水準の指標の改善にはつながっていないのではないかというところが課題と考えております。

 個々に見ていきますと、まず「(ア)子供の心と育児不安対策」は、親子の心の問題に対応できる技術を持った小児科医の数は改善していますが、児童相談所において心の専門的な診療ができる医師の割合については変わらない状況もございます。ただ、直接子供の心の安らかな発達の促進を評価する項目が現在含まれていないこともありまして、実際そういったハード面がどういうふうに結果につながっているかということが不明という御指摘もいただいております。

 続きまして、育児不安対策という観点は、「育児に参加する父親の割合」でありますとか、「子供と一緒に遊ぶ父親の割合」は改善を認めております。一方で、母親のほうの育児に関する指標であります「子育てに自信が持てない母親の割合」「ゆったりとした気分で子供と過ごせる時間がある母親の割合」「育児について相談相手のいる母親の割合」は、いずれも変わらない状況でございます。

 また、これらの結果のほか、健診の時期別に集計した指標から見ますと、どの評価時期においても子供の年齢が上がるとともに母親の育児に対する認識が困難になるという傾向も示されています。

 また、「育児について相談相手のいる母親の割合」は変わらないという状況で、その相談相手を見ていきますと、夫婦間、祖母(祖父)、友人と回答した割合が増加にある一方で、全体に占める割合は少ないものの、かかりつけの医師、保健師や助産師、保育士や幼稚園の先生の割合も増加しております。一方で、近所の人につきましては割合の減少を認め、また、都道府県格差も認められたという状況にございます。

 また、相談相手にインターネットとの回答も増加しており、インターネットを介した相談も、今後、対面式との相談の違いについてどういった工夫ができるか、もしくはどういう課題があるかと今後検討が必要であろうと認識しております。

 また、乳幼児を保護して育てる専門的知識や技術を持つ保育士の活用でありますとか、NPO、さらにはボランティアの子育て支援に関する取り組みの活用を通して、今後母親の集い、育児についての喜びや悩みを共有するといったさまざまな取り組みを活用していくことも必要であろうと考えており、どういったものが活用できるか、もしくはどういった連携の方法があるかということについては引き続き検討が必要と考えております。

 また、現在の経済状況と父親、母親の育児の状況を尋ねた指標につきましては、どの健診時点においても明らかな関連が認められておりまして、経済状況が育児状況に影響を与えているところも見てとれます。

 次、25ページをお開きください。

 「(イ)児童虐待対策」になります。まず1つ目の指標であります児童虐待による死亡数は変わらないという評価で、関係する指標のほとんどが減少傾向は認められないという状況にございます。

 2つ目の、報告があった虐待児数は増加を認めており、その背景としまして、この間の法律の改正による通告義務の範囲の見直しでありますとか、さまざまな普及啓発によって社会的関心の高まりの結果もありますし、一方でそういった虐待が疑われる子供の増加という可能性も否定できないという分析をいただいております。

 次の乳幼児健診未受診児など生後4か月までに全乳児の状況把握に取り組んでいる市町村の割合や情緒障害児短期治療施設数は改善と評価しているところでございます。

 また、育児不安・虐待親のグループの活動の支援を実施している保健所の割合につきましては、評価自体、割合自体は減少しているところではございますが、この間、保健所の事業のみを対象としていたところで、県の保健所では割合は減っていると考えておりますが、市町村での取り組みを評価できていないという評価面の課題もございます。

 一方で現実的な部分としては、各育児不安や虐待親のグループの活動の支援というものにつきましては広まっている可能性も高いと考えております。

 また、この間の制度改正の一つとしては、児童福祉法の改正によって要保護児童対策地域協議会の設置でありますとか、平成20年には乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)といった取り組みが進められておりまして、この間、関係団体や関係機関によります取り組みは着実に充実していると考えられます。

 また、子供を虐待していると思う親の割合も改善は認められているところでございます。こういった主観的虐待観は、市町村の虐待予防策が連携して実践されていることと関連しているという評価もいただいています。

 また、子供を虐待していると思う親の割合と現在の経済状況との関連を見ますと、どの健診時点においても明らかな関連が認められているところで、主観的虐待観には経済状況が影響しているところで、今後、経済状況の変動も気をつける必要があるところでございます。

 先ほどお話がありました日齢0日児の検証につきましても、望まない妊娠であるということを理由に誰にも相談できないまま出産に至る事例でありますとか、母子健康手帳の未交付や妊婦健康診査の未受診といった事例も認められております。こういったものを対応するために相談体制の充実でありますとか、妊娠期・出産後早期からの養育支援を必要とする家庭への保健機関、もしくは医療関係機関との連携・協働した支援の充実といったものが提言としてまとめていただいているところでございまして、こういったものも踏まえつつ、今後さらなる母子保健分野の担うべき役割の重要性が明確化されておりまして、関係機関との連携というものが必要と考えております。

 続きまして、妊娠期からの妊娠・出産・子育てに関する相談体制の整備も今後さらに進めていく必要があると考えており、母子保健分野と児童福祉分野が連携して特定妊婦や要支援家庭への妊娠期を含めた早期からの支援が求められると御指摘をいただいております。

 課題4につきましては以上になります。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 課題4の23ページから26ページの上のほうまでですけれども、何か御質問、御意見ございますか。

 どうぞ。

○山縣委員 今ありましたように、実は課題4は、評価できないとか変わらないというのが最も多いところで、その一つの原因は、目標値としてなかなか評価しづらいものになったのだろうと。次回から次期プランに関してなのですが、いずれもこの4に挙がっているものは非常に重要だと思われる指標ではあったのですが、でもそれを客観的に評価したりすることが難しかったということは、次回のプランの指標を立てるときに十分検討していく必要がある項目だというふうに評価した側としては認識しております。

 以上です。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 どうぞ。

○迫委員 1点、24ページの最後の行のところになります。「『現在の母親の就労』との関連では、母親の育児(4-34-5)は」と、4-3が「育児に自信が持てない母親」、4-5が「ゆったりとした気分で子供と過ごせる時間がある母親の割合」ということで、「就労していない場合が低い傾向」というここなのですけれども、就労している母親の場合、「育児に自信が持てない」が低い傾向、「ゆったりとした気分で子供と過ごせる時間がある母親の割合」は、就労していない場合が低い傾向ということですので、「就労していない場合が低い」というところに矛盾を感じるのですけれども、この辺を確認させていただきたかったのです。

○山縣委員 このとおりであります。その分析として、これまでもこういう調査をやると大体このような傾向が出ていまして、働いていないお母さんのほうがずっと子供と一緒にいることによるストレスといったものがあるということは、これまでの幾つかの研究でも明らかになっているところであります。

○迫委員 ありがとうございます。

○五十嵐座長 どうぞ。

○出石委員 全国保健師長会、出石です。

 今の話題に関連しまして、今後の目標値の設定というところなのですが、「(ア)子どもの心と育児不安対策」の上から3つ目の項目ですが、「子どもの年齢が上がるとともに母親の育児に対する認識が困難になる傾向が示された」というあたりについても、子供が大きくなれば楽になるのではないかという、反対のイメージを皆さん持たれるのではないかと思います。 “ゆったり”とか“自信”と同じような理由で主観的表現にならない根拠となる理由がもう少し具体的に見えるようになると、目標値の設定に結び付くのかなと感じました。いかがでしょうか。

○五十嵐座長 どうぞ。

○山縣委員 ゆったりした気分、虐待をしているのではないかという親の意識、子供の育てにくさ、いずれも相関のある指標でありまして、育てにくさは今回ないのですが、それは乳児期、1.6、3歳に上がるに従って、いずれも全部増加していきます。やはり子供が動いたり、子供が言うことを聞かなくなったりということが、例えばこういう質問の仕方をしたときには明らかにきれいに出てくるということだろうというふうに思います。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 ほかにいかがですか。よろしいですか。

 では、26ページからお願いいたします。

○木下課長補佐 26ページをお開きください。

 「(3)『健やか親子21』関係者の目標達成に向けた取組状況の評価」をここから取りまとめております。

 まず最初に、「健やか親子21」推進協議会の参加団体の取り組みをまとめております。平成20年度に85団体になり、現在も85団体のまま推進協議会を構成いただいています。

 (イ)としまして推進協議会参加団体の取り組み実績は、これまで第2回、第1回でも、リーフレット、パンフレットの配布数は、最終評価で2,500万枚以上の配布を報告いただいているところで、これまでトータルで見ますと6,600万枚の配布をいただいています。この間、紙媒体だけでなく、インターネットといったさまざまな媒体を通じて取り組みをいただいているところで、実際にはこれ以上の普及啓発に関する取り組みをいただいていると認識しております。

 また、さまざまな事業も取り組みをいただいておりまして、74団体中32団体では、共催事業等の実施をいただいています。

 また、中間評価以降もさまざまな地方公共団体、関係学会、企業との連携を通じて取り組みをいただいています。

 参考資料の8ページ等をごらんいただければと思います。

 次に27ページをお開きください。取り組み状況に加えまして、さらにプロセスチェックも各中間評価のときにも取り組んでいます。関連事業の各団体の年次計画に取り組んでいただいている割合は7割程度になっております。

 一方でアウトカム指標やアウトプット指標の設定は3割程度で、第1回中間評価、もしくは第2回中間評価以降と大きく変わっていないところです。背景としまして、データを収集するためのシステムといったものもないというところもありまして、各団体に取り組んでいただいているところではございますが、その取り組み状況を評価・分析するまではなかなか難しいのかなというところが見てとれるところです。

 続きまして、「イ 地方公共団体の取組状況について」になります。

 地方公共団体の取り組み状況は、まず都道府県は多くの取り組みについて高い実施率が認められています。特に県の立場として、医師(特に小児科医、産婦人科医)の確保・育成でありますとか、食育に関する取り組みは、この間、中間評価以降も含め増加しています。

 また、政令市・特別区に関しましては、妊娠期から産後までの継続した支援体制の整備については、中間評価以降もその取り組みが増加している状況にございます。

 一方で、在宅医療の支援体制でありますとか、育児不安・虐待親のグループ活動の支援といった項目は3割程度にとどまっている傾向も見てとれます。

 いずれの項目につきましても策定当初から取り組みが十分進んでいるところもありまして、引き続き取り組みを推進していただきたいと考えております。

 続きまして、28ページになります。一番上になりますが、市町村につきましては、さまざまな取り組みをいただいているところでございますが、割合自体は増加している傾向にございます。一方、医療に関する部分は県の取り組みが中心で、独自に取り組みをいただいている自治体も一定程度あるという状況にございます。

 全体としまして、今後それぞれの組織の役割でありますとか、実施しやすい取り組み、連携しやすい事業というものは異なるということも踏まえまして、各自治体の特性を踏まえたり、地域の特性を踏まえた役割分担と目標設定を今後行っていく必要があると考えております。

 例えば都道府県におきましては、繰り返しになりますが医療提供体制の整備といったものを中心に取り組んでいただいた上で、さらには、その中で医療計画や食育基本計画といった他の計画との連携も充実していく必要があるだろうというふうに考えております。

 一方で政令市・特別区、さらに市町村におきましては、母子保健サービスを担う事業を中心に御提供いただいている立場から、どういった取り組みができるかというところを明確にしていって、それぞれの地方公共団体の役割を意識した目標設定や事業評価というものを今後やっていきたいと考えております。

 「ウ 国の取組状況について」でございますが、年1回の「健やか親子21」全国大会の開催でありますとか、各種関係省庁との連携、調査研究等に取り組んでいるところを参考資料10に取りまとめております。

 また、「エ 取組に対するアウトカムの変化」もまとめております。29ページをごらんいただきますと、各事業の寄与度でありますとか、2人目以降のお子さんの出産希望については助産師の専門家の支援や、夫や家族の理解、妊娠出産の満足度の高い人といったものが2人目以降のお子さんを希望するかどうかというところが1.3倍から2倍ほど高いというところで、今後注目していく必要があると考えております。

 最後の、妊娠・出産の満足感といったポジティブなイメージを伴う行動の推進事業は効果が出やすい。一方で、禁煙、禁酒といった抑制を伴うようなネガティブなイメージのある事業はなかなか効果が出にくいという経過もこの間見てとれるところでございます。

 また、それぞれの特性を踏まえた事業の取り組みでありますとか、複数の事業の連携といったものも考えながら、今後、組み合わせも考えて総合的な支援が必要であろうと考えております。

 以上になります。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 それでは、ただいま御説明いただきました26ページから29ページまでですけれども、御質問いかがでしょうか。

 山縣先生、補足もありませんか。

○山縣委員 1つだけ。最後のところに、こういった取り組みがどういうふうにこの指標に影響を与えたのかということは極めて重要な点でありまして、こういうことをやったのでこうなったという、ここにありますように、いろいろな取り組みに関して直接目に見える形で改善しているものと、改善しているのかしていないのかがわからない、つまり評価が非常に難しい点がありまして、これの最大の要因の1つは、柔軟的な追跡調査なり、そういったもののデータというのが非常に限られているということが要因でして、ぜひそういった乳幼児健診が、例えば乳児期、1.6、3歳と続けてリンケージされて評価できるようなこと、それから、各地域で何かをやったときにそれがどう変わるかという、その取り組みとのリンケージができるような形の統計解析の基盤整備といいますか、そういったものが必要だということを感じました。

 以上です。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 ほかに。どうぞ。

○成田委員(倉橋副会長) 28ページの真ん中辺、イの最後のところに、政令市・特別区は市町村でもあり都道府県でもあって、ちょっと混乱しているというような書きぶりで書かれていて、今後は役割を意識した目標設定や事業評価が必要であるというのはそのとおりなのですけれども、私は実際に特別区にいるものですから、確かにそのような指摘はあるのですが、逆にメリットも多いというふうに感じています。確かに書き方によっては市町村を支援しなさいという立場にもなり、かつ、支援される側の市町村の実施主体でもあるというところはあるのですけれども、別に悪いことであるという認識はなくて、むしろメリットのほうが多いなと思っています。何か具体的に不都合な部分というようなもの、あるいは整合性がとれないようなところというのは何か分析されて出てきたのでしょうか。

○山縣委員 特にそういうわけではございませんで、この位置づけというのをどういうふうにそれぞれが考えながらやるかということだと思います。今先生が言われたとおりでありまして、むしろ、今、母子保健の状態というのは市町村に全てのことが行っているという意味からすると、都道府県との連携ができにくい状態にあるときに、それが一体化していることのほうがメリットがあるということはございますので、これは必ずしもネガティブな書きぶりだと私は見ていないのですが、そういうふうにとれるようなものがあるようであれば事務局のほうから少し書きぶりを変えてもらう必要があるかとは思います。

 以上です。

○成田委員(倉橋副会長) ありがとうございます。都道府県のほうが関係なくなってしまったゆえに現場がわからないことがあるので、むしろその連携をきちんとするということが、情報を上げるなりなんなりの連携を密にするということのほうが大切かなというふうに思います。

 ですので、「立場を意識して」と書いていただけるのであればそのほうがよろしいですし、一体化してやることが望ましいというようなニュアンスの形でやっていただけるとよりよいかと思います。

 以上です。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 ほかはいかがですか。よろしいですか。

 それでは、まだ第5というところが残っているのですが、これは時間がかかりますので少しお休みをとりたいと思います。40分まで休憩にします。40分から始めたいと思います。よろしくお願いします。

(休 憩)

○五十嵐座長 それでは、後半に行きたいと思います。

 資料1の「第5 検討会において指摘された今後の課題」について、事務局から御説明をお願いいたします。

○木下課長補佐 残りの第5の課題の整理と、第6の次期計画に向けての提言とを整理させていただいています。

 次期計画につきましては第4回以降、具体的な計画づくりの中でさまざまな御意見をいただきたいと考えておりまして、若干第6のところは薄目に書いているところでございます。

 一方で第5につきましては、まさにこれまでの計画の課題という部分を抽出していきたいところでございますので、積極的に御意見をいただければと考えております。

 それでは、30ページ、第5から説明をしてまいりたいと思います。

 第5、まず、「1 母子保健事業の推進のための課題」を整理させていただいています。第4で御説明しました個々の指標ではなくて事業全体を進めるための課題を最初に記載しています。

 まず、(1)母子保健に関する計画策定や取組・実施体制等に対する格差があることに関しまして、アとして母子保健計画の策定状況は、各種計画の中で今お取り組みをいただいているところでございますが、一方で策定状況は都道府県では進めていただいていますが、市町村で策定が進んでいないところもございます。

 イ、母子保健事業の実施体制は、現在、母子保健計画の策定は努力義務であるため策定していない一部の市町村もある状況にございます。今後さらに事業を実施していくためには計画を立案し、取り組む必要があると考えており、さらに実施体制そのものも各自治体で格差があると考えております。

 その背景としまして、母子保健事業の実施主体がこの計画期間におきまして都道府県から市町村へ変更になったこともあり、必ずしも市町村において事業の実施に当たっての体制が十分でない場合でありますとか、各種計画の関係上、母子保健計画の策定部署と関連する事業の担当部署が異なっている場合でありますとか、そういったケースにおきましては特に各地方公共団体の中における連携が重要というような御指摘もいただいております。

 また、事業の移譲につきまして、市町村における母子保健の業務範囲が広くなり、増加した業務に対応するだけのマンパワー不足や保健師の養成・確保といった専門職種の育成が十分でないといった御指摘もあるところでございます。今後、母子保健事業を推進するためにはそういった実施体制も整えることが必要であろうと認識しております。

 また、母子保健計画を作成いただくに当たっても、現行の「健やか親子21」の指標が全国値のみをお示ししていることもあり、各事業を実施する地方公共団体において必ずしも使い勝手がいい指標ではないものもあるかと認識しております。

 今後事業を実施した場合にその評価、また、事業を実施する場合の検討に活用できるであろうということでさまざまな指標の見直しもしていく必要があると考えております。

 続きまして、「(2)新たな課題の出現等による『母子保健』関係業務の複雑化」をまとめております。

 平成13年に「健やか親子21」を策定してから10年以上が経過しております。この間、例えば不妊治療の生殖補助医療に関する技術の進歩でありますとか、それに関連する倫理的な課題、また、平成16年には発達障害者支援法の成立を受けまして、発達障害が障害として定義されて、さまざまな支援サービスが提供されるようになったこと、また、それに関連する支援体制でありますとかさまざまな課題が顕在化してきたということもございます。

 従来の母子保健の周辺の課題が大きくなってきていると考えており、そういった関連する事業、関連する課題を解決するに当たりましては、母子保健分野と他の分野との連携の重要性が増していると認識しており、今後計画をつくるに当たりましても、そういった各種制度と連携をとりつつ、一方で従来母子保健が担ってきた役割というものも変わってきている部分もありますので、そういった部分を踏まえた計画づくりが今後引き続き重要になってくると考えております。

 (3)としまして、途中何度か課題として出てきておりますが、さまざまな情報の利活用をまとめているところです。

 情報の利活用の背景として、1つ目に、健診の内容や手技が標準化されていないことで、例えば乳幼児健康診査におけます問診の内容、もしくは健診時の手技といったものの標準化がないということで結果が大きく変わる場合でありますとか、例えば前回の検討会でお示ししましたように、判定結果が市町村で大きく異なっている場合というような傾向も見てとれます。こういったものが今後続きますと、健常発達の範囲内にある場合であっても「所見あり」というようなケースも出てきますし、そういった場合は、当然ながらその後の不要な精査につながっていくこともあります。逆にいえば、そういった所見があるものを見逃しているということも考えられるので、適切な支援に結びつくような体制づくりというものを支援していく必要もあるだろうと考えております。

 また、イとしまして、さまざまな母子保健分野は、乳幼児健診、予防接種といったような乳幼児の状況を把握する機会もありますし、把握すべき情報もたくさんあります。そういった状況をさまざまな機会をとらえて把握し、その結果を収集し分析することでさまざまな取り組みの事業を評価することもできるのですが、そういったものがなかなか利活用できていないのではないかという問題意識を持っております。

 まず、(ア)としましては、先ほど申しました問診の内容につきましても各自治体で把握している情報が異なっているというところで、各自治体、自分のところではやっている事業を、なかなか自ら評価することも困難ですし、市町村間、自治体間での評価をすることもできないという状況がございます。

 (イ)として、情報が集まったとして、その情報を十分利活用できていないということで、収集・分析・活用といった一連のプロセスがなかなか実行されていないということも前回検討会でお示ししたところです。

 また、都道府県から情報を提供されています市町村で受け取った側になりますが、なかなか使えていないという状況もありますし、その背景としまして、人口規模が小さいほど利活用が困難になっているという状況も把握できているところでございます。

 今後、情報の利活用に対しましてどういう取り組みができるかという課題、さらには次期計画に向けた提言の中で御説明していきたいと考えております。

 (ウ)としまして、関係機関の間での情報共有が不十分なこともわかっております。例えば、都道府県もしくは市町村といった各地方公共団体の中の情報共有というものも当然必要なのですが、例えば特定妊婦といったリスクの高いケースにつきましては、把握する端緒であります妊婦健康診査の情報を医療機関で把握した場合であっても、地方公共団体と十分共有ができているかどうか。また、予防接種に関しましても接種状況を把握した上で、もしくは小児慢性特定疾患の利用状況といったさまざまな情報に関しましても、各医療機関、もしくは各施設のほうでは把握していたとしましても、さらに地方公共団体とで共有できているかどうかというところで、さまざまな母子保健に関する情報がある一方で、関係機関との情報共有が十分でないといった指摘もあるところです。

 続きまして、32ページからは今まで分析いただいた各指標から見えた課題で、先ほど御説明した内容と重複する部分もございますが、次期計画に向けてどういった課題が考えられるかという視点から整理させていただいております。

 ここでは大きく6つの課題に整理させていただいております。

 1つ目が「思春期保健対策の充実」、2つ目が「周産期・小児救急・在宅小児医療の充実」、3つ目が「母子保健事業間の有機的な連携体制の強化」、4つ目としまして「安心した育児と子供の健やかな成長を支える地域の支援体制づくり」、5つ目としまして「『育てにくさ』を感じる親に寄り添う支援」、6つ目としまして「児童虐待予防対策の更なる充実」という6つに整理しております。

 まず「(1)思春期保健対策の充実」は、思春期保健対策は次世代の健康づくりに直結する重要な課題であると位置づけまして、行政、教育機関、医療機関等の各団体での単独の取り組みでは限界があり、関係機関の連携の強化が必要不可欠であると考えております。そのプロセスの中におきまして、誰が、どの機関がどのような役割を担うべきかを明らかにした上で取り組みを充実していくことか必要と考えております。

 (1)の思春期保健対策の中において注視すべき指標につきましては、10代の女子というところで、10歳から14歳女子の自殺率でありますとか、中3女子の飲酒率が減少しているものの男子と逆転している、また、朝食の欠食割合の増加がございまして、こういった課題は思春期保健対策の中でもさらなる取り組みが必要と認識しております。

 続きまして、「(2)周産期・小児救急・在宅小児医療の充実」に関しましては、これまで周産期医療ネットワークの体制の整備は各都道府県で整備できているところでございますが、その中でさらにセンターの機能の充実強化、各センター間の連携といったネットワークが十分に機能しているかどうかというところで質的な評価も今後必要ではないかと考えております。次年度、周産期医療体制整備指針の改定を予定しておりますので、連携し、もしくはそちらで充実いただく必要があると考えているところでございます。

 また、産婦人科医や助産師等の地域偏在という課題につきましても、なかなかすぐには解決できる課題ではありませんが、課題と十分とらえた上で取り組む必要があると考えております。

 また、助産師につきましては就業場所の偏在としての地域格差、また、施設間格差もありますし、助産師出向システムといった人材活用の新たな課題に取り組む必要もあるだろうと考えております。

 また、病気や障害を抱えながら生活するお子さんの背景には、近年の早期産でありますとか、低出生体重児の救命率の上昇といったことも考えられますが、医療機関での入院を終えた患児とその家族が安心して地域で生活できるような体制整備というものも、今後、地域の資源というものを有効活用しながら進めていく必要があるだろうと考えております。

 続きまして、「(3)母子保健事業間の有機的な連携体制の強化」につきましては、妊婦健診とか乳幼児健診、予防接種といったさまざまな母子保健事業や、それにかかわります医療関係者、保健の関係の方々のさまざまな情報を得る機会が多いというところで、関係機関が多いというメリットがある一方で十分な情報の共有ができていないという課題もありますので、こういったものをどう有機的な連携体制が構築できるか、また、今ある関係をさらに強化していく必要があるだろうと考えているところでございます。

 続きまして、「(4)安心した育児と子供の健やかな成長を支える地域の支援体制づくり」に関しましては、育児不安の背景には少産少子化、核家族化、雇用形態の多様化といったような母子保健を取り巻く環境の変化が非常に大きく生じておりまして、実際育児に取り組んでいただいています親、特に母親の孤立化、仕事と子育てによる過剰な負担といったものが大きな課題と認識しております。

 そういった課題に対しまして、子育て世代の親を孤立させない支援体制の整備と、育児を親だけの負担にせず、社会全体で健やかな成長を見守って支えていく環境づくりが課題であると考えております。

 また、その一つの例示としましては、近年のIT技術の発達に伴いまして、相談相手としてインターネットと回答している母親の割合が多いということは先ほど分析の中でも紹介いたしましたが、それらのものを活用してどういった支援ができるかということも視野に入れながら、さまざまな方法を通じて母親の孤立化を防ぐというような相談の支援体制の整備が必要と考えております。

 また、地域全体の支援体制の一つとしまして、女子中学生の飲酒状況の背景に、母親や同性のきょうだいというところもありますので、本人のみならず地域全体でそういったものに対する家庭内の飲酒が関係しているというような問題に対する本人へのアプローチに加え、親、もしくは地域全体に対するアプローチも含めて実効性のある方策を今後考えていくことが必要であろうと考えております。

 続きまして、「(5)『育てにくさ』を感じる親に寄り添う支援」につきましては、先ほど住民の行動の中でもさまざまな指標をお示ししたところでございますが、母親の主観に基づく指標が明らかな改善を認めていないという課題が大きくあるかと考えております。

 (4)と関連するところでもございますが、育児に取り組む親の孤立化という課題に対しましてどう対峙していくかというところが大きな課題と考えております。その中で、近隣における人間関係の希薄化や、妊産婦や子供に触れる機会のないまま御本人が妊娠・出産を経験し、親になっていくということも最近見てとれる傾向にございます。こうした社会的な背景の変化というものも踏まえて、親となる方の子供に対する発達・発育過程の知識不足や経験不足というものを原因としまして、子育てに関しまして育てにくさを感じるという要因となっている指摘もございます。

 また、この間、父親が積極的に育児参加するケースも増えているということもあり、参加いただいていること自体は大変重要なことと考えているのですが、参加することによって逆に育児疲れや育児不安に陥る父親が増えてくる可能性も今後10年間の間には考えられるので、当然、母親に対する支援に加えまして、父親に対しましても準備段階を含めて子育てに参加する支援も必要であろうと考えております。

 また、今申しました親が感じる「育てにくさ」にはさまざまな要因が考えられまして、1つとしては子供の心身の状態や発達・発育の偏り、また、遅れに起因するもの、また、親の要因としまして、子育て経験の不足、知識不足、また、場合によっては親の心身状態の不調といったさまざまなものが考えられますので、そういったものに関しまして、家庭や地域など親を取り巻く環境面での支援不足といったものも踏まえて多面的な要素を踏まえ、どういった問題があり、それに対するどういう支援が必要かというところにつきましては少しきめ細やかな取り組みが必要であろうと考えております。

 また、次の34ページに、母子保健分野に関しましてはさまざまな乳幼児健診でありますとか、健診の一時点のみならず母子保健事業全体を通じてそういった課題を的確に把握して評価し、対応をとっていく必要があるだろうと考えております。

 (6)に関しましては、「児童虐待予防対策の更なる充実」ということで1つ柱を立てております。児童虐待の課題につきましては、1.発生予防、2.早期発見・早期対応、3.子供の保護の支援、4.保護者支援というものがございまして、このうち特に1.2.を念頭に置いて現行の警察庁調べを基礎としましたこういった数の把握が本当に現行のままでよいのか、また、それ以外にもふさわしい指標はないかというところは検討が必要と考えております。

 一方で、死亡に至らないまでも虐待時の年齢が上がったことによって虐待を受けているというようなケースにつきましては、情緒障害を含め、どういった障害があるのかという点についても今後考慮していく必要があるだろうと考えております。

 「3 国民運動計画としての更なる周知広報の実施」につきましては、これまでも関係団体の御協力を得ながらさまざまな周知活動を行っているところではございますが、現在、各自治体から御協力いただいています公式ホームページのアクセス数でありますとか、掲載している取り組み状況に関しましても、若干さまざまな地域差というものはありますし、課題ごとの差というものもございますので、どういった方法を活用して、さらなる有効な周知活動というものを展開していきたいと考えております。

 以上であります。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 それでは、5の今後の課題につきまして今御説明いただいたのですけれども、御質問、御意見ありますでしょうか。

 どうぞ。

○伊東委員 宮崎市の伊東です。

 第5の最初のところの土俵の問題なのですが、母子保健計画の策定状況とその他の話がございました。ここで「健やか親子21」の最終評価をやって、次回に向けてという取り組みのところなのですが、実際26年度に全ての市町村が何かしらつくらないといけないという認識自体が非常に薄れているような状況だと思っています。要は、子供・子育て支援法に基づく計画と次世代育成支援行動計画をつくる部署が別で、さらに今回の母子保健計画というか、「健やか親子21」の計画をつくるところは部署が別で、途中で次世代育成支援計画に乗せてもいいということをやった関係上、どこがつくっていいかというにらめっこをやっているような状況が市町村でありまして、ここで書く課題なのかどうかは別といたしまして、行政では26年度の予算要求も最終段階に入っているのですが、この計画をつくるという意識自体が薄れているような感じがしますので、その薄れているということ自体も課題だとは思うのですが、いまひとつ厚労省のほうからそもそもの26年度はそういう作業があるのだということの周知が必要なぐらいこの計画の存在が薄れているような認識があるのですが、いかがでしょうか。

○五十嵐座長 事務局、いかがでしょうか。

○桑島母子保健課長 委員御指摘のとおりでございまして、私どもは、その部分の問題意識は非常に持ってございます。そういう意味では、策定をしていただいているのは4分の3でございまして、今、予算の話も出てまいりましたけれども、ぜひ私どもからも強くメッセージを投げないと来年の作業に結びついていかないというのは問題意識として持ってございます。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○市川委員 この第5のところに発達障害という言葉を何か所か入れていただいたということはありがたいと思うのですが、例えば32ページの「思春期保健対策の充実」のところの3行目から4行目にかけてなのですが、「うつ等の健康問題を原因とした十代の自殺や発達障害、児童虐待」というのは、因果関係が医学的には逆でありまして、発達障害が存在するのでうつになりやすいというのが一般的なので、これは逆かなという気がいたします。

 それから、同じことでありますけれども、34ページの「(6)児童虐待予防対策の更なる充実」の最後のところに、「虐待を受けることで情緒障害を含めた精神疾患が起こる場合か多い点」というのはそのとおりでありますが、33ページの一番下に「『育てにくさ』の概念は広く、一部には発達障害を含めた障害や病気が原因となっている場合がある」ということで、実はこれがイコール虐待を受けやすい原因になっているというのが今の一般的な考え方なので、そういう視点を入れて書き直していただければと思います。

○五十嵐座長 事務局、いかがですか。対応できますか。

○木下課長補佐 後でまた具体的に修文案を御相談させていただいてもよろしいですか。

○市川委員 発達障害は多分今回のところには入っていないので、ここから入れていただくという意味で書いてくださったのだと思いますので、それはありがたいと思いますけれども、それはよろしくお願いいたします。

○五十嵐座長 では、後ほど具体的な文章を提示していただければ幸いです。よろしくお願いします。

 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○迫委員 32ページになります。「思春期保健対策の充実」というところで、先ほどの御説明の中でも10代の女子に対しての問題、課題が非常に大きいというお話があったかと思います。その中で3点、自殺率と飲酒と朝食欠食という問題があったのですけれども、先ほどの評価の中でも女性のやせの低年齢化の問題、この辺のところが基盤としてここに入れておくべきことなのではないかと思いますので、可能であればもう一つ項目を入れていただければありがたいと思います。

 もう1点、ちょっと視点が違ってくるかもしれないのですけれども、育てにくさを感じる親に対してというところの整理でございます。ここの内容というのが虐待等とつながる親子関係の中での表現であるのかなというふうに思われるわけですけれども、そういう意味で、親子の課題として全てのものがそれぞれの核家族としての親子の課題として書き込まれてきている。そういう中で、育てにくさを感じるのは社会環境の変化、例えば核家族化で高齢世帯の増加、音に対する過敏な反応、幼稚園、保育園、学校に対して子供の声や音に大きなクレームが寄せられる社会、そういうふうな社会環境の変化、その子供の声や音に対してのクレームが近所からも寄せられるということが育てにくさというところに影響しているのではないか。特に先ほどもお話がありました就業していない方々の育てにくさというところは、そういう日常的なものが影響しているのかなというふうにも思われますので、その辺のところが次の対策というところにつながってくるかもしれないのですけれども、そういう社会環境的な要素の書きぶりがあってもいいのではないかと思いました。

 以上です。

○五十嵐座長 これは検討していただけますか。

○木下課長補佐 検討いたします。

○五十嵐座長 ほかはいかがでしょうか。どうぞ。

○秋山委員 その育てにくさに関してなのですけれども、育てにくさが発達障害のサインであったり、環境のものであったりします。育てにくいから、またそれが虐待につながったりもしています。例えば発達障害ということの早期発見をしようとしたときにさまざまなチェックリストがありますけれども、それらを使っても保護者の日常の生活の言葉と一致していないためにチェックリストでもなかなか拾い上げられないというところがありまして、今、委員がおっしゃいましたように、保護者が日常の生活の中で感じている言葉で聞いて拾い上げなければ問題というのは出てこないというのが私の印象でございます。

 ですから、育てにくいということを幅広くとらえて、日常の生活の中の言葉で受け取っていくというシステムが必要だと思っています。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 ほかにいかがですか。どうぞ。

 

 

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 ほかにいかがですか。どうぞ。

○出石委員 全国保健師長会です。

 土壌の話に戻ってしまって恐縮なのですが、30ページの「母子保健事業の実施体制等」のところに記載がありますが、私ども保健師職能も、項目で言うと上から2つ目の下のほうですが、「マンパワーの不足や保健師等の専門職種の育成が十分でないとの声もあり」という記載がございますけれども、実際、小さな市町村等では人不足というところで、痛切な声が聞こえてきております。

 そんな中で、それぞれの職員が、母子保健が全ての基本になるという認識はあるのですけれども、なかなか動きがとれないという声も聞こえてきておりますので、ぜひこの母子保健を推進するためには実施体制を整えるというところを強調していただきたいと思います。さらに何か具体的な工夫をしていかないとなかなか改善が望めないのかなという印象もありますので、ご配慮をお願いしたいと思います。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 どうぞ。

○川崎委員  ちょっと細かなことで恐縮なのですが、 34 ページの「児童虐待予防対策の更なる充実」というところについて、基本的にこの趣旨はこれでいいかと思うのですけれども、1つは、「子どもの保護の支援」という意味がちょっと通じにくいかなという気がします。子どもの保護や子どもに対する支援という意味なのかどうか表現を少し考えていただければというふうに思います。

 それと、これも細かなことで恐縮なのですけれども、その下から2行目に「被虐待児の年齢が上がるほど、死亡には至らないものの」という点について、年齢が上がるほど精神疾患が起こる場合が多いという意味なのか(年齢が上がるほど死亡には至らないということなのか)よくわかりませんでした。

 「情緒障害を含めた精神疾患が起こる場合が多い」ということについては先ほども御指摘がありましたけれども、(被虐待児の場合)精神疾患に限らず心身にさまざまな影響がありますので、そういう意味で言うと、ここは限定し過ぎかなと思います。情緒障害短期治療施設の増設というのが目標の一つにあったからかも知れませんが、子ども本人に対する影響についてはもう少し表現を工夫していただければなという気がいたしました。細かなことですが、よろしくお願いいたします。

○五十嵐座長 もしよろしければ、後で修正案みたいなものを提示していただけるとありがたいと思います。よろしくお願いします。

 ほかはいかがですか。どうぞ。

○島田委員 21ページ等で評価されている「妊娠・出産に関する快適さの確保について」というような指標の評価を反映した課題というのは、この課題の中のどちらに入っているのかというのが見えにくいのではないかというふうに思っております。次の次期計画に向けた提言では、37ページの「4 母子保健事業間の有機的な連携体制の強化」のところに、「今後は、『地域における切れ目ない妊娠・出産支援の強化』といった総合的な支援が重要と考えられる」ということなので、こういった提言には入っていると思うのですが、課題としてどこからこういった提言が出ているのかというのが見えにくいのではないかといふうに感じているのですが。

○五十嵐座長 どうですか。

○木下課長補佐 委員御指摘のとおり、(3)で今整理しております32ページの下から33ページの上段にかけての部分で、先ほどの前段のときにはいろいろな分析をいただいたところですが、ここに対する課題としての抽出が若干薄いかなと認識しておりますので、もし後でここの部分に追記できたらいいかなと思います。

○五十嵐座長 お願いします。

 ほかはよろしいですか。どうぞ。

○秋山委員 32ページの「思春期保健対策の充実」のところですが、恐らく行政、教育機関、医療機関などのところに含まれているかもしれませんが、改定された学校保健安全法では校医が心の相談を受けるというのが義務づけられています。そこが今まだ校医の仕事として十分活用されていないのではないかと思いますので、ここの思春期対策にはぜひ校医の部分も含まれているということでお願いしたいと思います。

○五十嵐座長 よろしいですか。

 どうぞ。

○市川委員 今の御発言にちょっと加えてなのですけれども、先ほど私、ちょっと申し上げたのですが、家庭と学校との関係を保健のほうで何とかうまくやれる方法がないのかなと。今、校医のお話とか養護教諭のお話というのがあると思うのですけれども、そういうのをちょっと視点として入れていただければありがたいなというふうに思います。

○五十嵐座長  先生、これももし具体的な文言がありましたら後で結構ですから提示していただきたく思います。よろしくお願いします。

 それでは、最後の35ページの「第6 次期計画に向けた提言」というところを御説明いただきたいと思います。

○木下課長補佐 35ページをお開きください。「次期計画に向けた提言」という形でここからまとめさせていただいています。

 第5の課題を受けた形で提言にまとめておりますが、具体的に次期計画の中で課題を整理していくかということにつきましては、第4回以降の中でさまざまな御意見をいただければと考えておりまして、ここの部分は若干書き方が足りないのではないかという御意見がたくさん出るかと思いますが、今後具体的なものは第4回以降で策定していくというところにつなげていければという視点で整理させていただいております。

 まず、「1 地域間格差解消に向けた国・都道府県・市町村の役割の明確化」で、これまでさまざまなところで御指摘させていただいているところもございますが、都道府県においてさまざまな状況を比較検証して、市町村で取り組んでいます各事業をどう評価していくかという視点が今後必要かと考えております。また、事業の実施主体であります市町村におきましては、さまざまな事業におけます情報の収集、さらには利活用というところが必要であろうと考えております。

 1つ目として、「国の役割」としてどういうことが考えられるかというところで、向こう10年間の次期国民運動計画の方針を策定すること、また、策定に当たりましては広く研究者からの意見を踏まえ、整理していくことが必要であろうと考えております。

 当然ながら、さまざまな指標、目標を設定するに当たりましては、関係者の意見、この間のいろいろな知見というものを踏まえた上で設定していくという取り組みが必要だろうと考えております。

 さらには、各地方公共団体における母子保健事業の取り組みについて評価が定期的にかつ適切に実施できるようさまざまな指標を定めるとともに、評価の具体的な方法も含めてツール等を作成して地方公共団体に提供することが国の役割であろうと考えております。

 2つ目としまして、「都道府県の役割」として市町村、医療機関、学校教育機関等の一体的な取り組みを推進する観点から、県での母子保健計画の策定をお願いし、それを踏まえて関係者の連携の強化という役割をお願いしたいと考えております。

 また、都道府県の役割として各市町村で策定いただく母子保健計画の策定の支援も役割であろうと考えており、それに当たりましては、市町村ごとの分析というものも必要であろうと考えて、市町村間の健康格差の是正に向けた目標の設定ということも計画の中で取り組んでいただきたいと考えております。

 また、そういった各市町村のデータでありますとか、県内の事業のデータというものの分析を市町村のほうに還元し、市町村への評価支援を行っていくとともに、結果については県民のほうに情報提供いただきたいと考えております。

 具体的には、まず、さまざまな指標について全国の数値の比較、また、都道府県全体として見た場合の母子保健事業の評価というものを行っていただきたいこと。2つ目としまして、各指標について市町村ごとでどう差があるかというところと全国における数値との比較というものを通じまして事業評価を行っていただきたいこと。また、3つ目としまして、その結果につきまして、もし大きなばらつきがあるということであれば、どういった問題がその背景にあるかというところの分析のサポートをいただきたいということを考えております。

36ページに、そういった取り組みを行うに当たりましては、地域保健における広域的・専門的かつ技術的な拠点であります保健所の担う役割は非常に大きいものと考えております。

 「(3)市町村の役割」をまとめておりますが、母子保健事業の主たる実施者は市町村であります。その中で、都道府県と連携した上で、都道府県の役割を市町村でどう受けとめるかというところが重要になってくるかと思います。その中で、各市町村におきましては地域の実情を踏まえた指標の設定、評価というものが必要になろうと考えております。

 具体的には、母子保健計画、当然作成いただいた上の計画の進捗管理に関しましては、自らの各市町村の中でやるのみならず、結果を都道府県と共有することによって自らの市町村がどういう位置づけにあるのかというところにつきましては、都道府県と連携の上で必要な助言等を受けながら、その結果につきましては住民に公表いただきたいと考えております。

 また、各市町村の規模に応じてなかなか評価が難しいという御指摘もあることから、どういった事業の適切な評価ができるかという観点から評価ツールというものを研究班と協働の上検討してまいって、活用いただきながら各市町村において自己点検に取り組んでいただきたいと考えております。

 また、先ほどと重複する部分もございますが、技術的な助言に関しましては保健所の協力を得ながら事業の評価を行っていただきたいと考えております。

 続きまして2からにつきましては、先ほど課題で整理いただいた各項目につきましてどういった取り組みが考えられるかというところをまとめさせています。

 まず1つ目としまして、「思春期保健対策の充実」に関しましては、例えば地方公共団体における対策の充実の一つとしまして、性に関する健康教育の開催状況、もしくは親への普及啓発の実施状況といったものを具体的な指標として取り組み状況を評価するということが考えられるのではないかと考えております。

 また、うつ等による自殺対策、発達障害、児童虐待など複雑多岐にわたるアプローチが求められるさまざまなものにつきましては、これまでに取り組んで協力いただいています関係団体とさらなる連携というところで、現在、学校と地域との連携につきましては、地域の精神科の先生や産婦人科、また、助産師など地域のさまざまな関係者と連携して、さらには他の機関との情報共有というところもどういった具体的な情報共有ができるか検討していく必要があるだろうと考えております。

 「3 周産期・小児医療・在宅小児医療の充実」につきましては、体制整備という部分では進んでいるところもございますが、さらには、そういった体制の中でどういった医療提供が行われているかというところで、例えば患者の受け入れ実績など、その具体的な提供体制の中身が把握できるような指標というものも今後必要ではないかと考えております。

 基本的には医療計画に基づいて整備を行っているところでございますので、医療計画の中の各種指標との連携というものも通じてやっていく必要があるだろうと考えております。

 また、体制整備に加えまして、周産期、小児医療、在宅小児医療と関連する取り組みが一体的に質の向上が図られるような働きかけも必要であろうと考えております。

37ページをお開きください。「4 母子保健事業間の有機的な連携体制の強化」を掲げております。「地域における切れ目ない妊娠・出産支援の強化」というところで総合的な支援が必要と考えております。具体的に申しますと、産前の妊婦健康診査、また、出産後のケア、新生児の訪問とか乳児家庭全戸訪問事業といった各事業を取り組んでいるところでございますが、切れ目なく連携した支援となるよう連携体制を強化していく必要があると考えております。

 また、それに加えまして、妊婦健診や乳幼児健診、予防接種等、各事業の結果や取り組み状況という情報に関しましても、行政機関のみならず、医療機関、もしくはそれ以外の関係機関とどういった情報の共有ができるかという点を含めまして連携の強化をさらに図っていく必要があるだろと考えております。

 「5 安心した育児と子供の健やかな成長を支える地域の支援体制づくり」につきましては、孤立しがちな子育て世代の親というものを意識しながら、地域にあるさまざまな民間団体やNPOというような子育て拠点、また、そういったところで取り組んでいただいていますピアサポート活動というものも通じまして、子育てについて親同士で対話する機会や、また、育児不安について子育てを経験された方と一緒に考える機会というものもさまざまな地域で取り組んでいただいているところではございますが、より行政とも連携することによって地域にあるさまざまな資源を活用していくことが必要であろうという視点もここに記載させていただいております。

 「6 『育てにくさ』を感じる親に寄り添う支援」でございますが、親が感じています子供の育てにくさに気づき、育てにくさの要因がどういうところにあるのかを見極めた上で、親の気持ちに寄り添いながら助言・指導を行っていくといったサービスが必要なのではないか考えております。

 その中で、家庭や地域における親子を取り巻く環境の整備というものを図っていく必要があるだろうというふうに考えております。その中で、ライフスタイルや価値観の多様化という点も踏まえなければならないと考えておりますし、先ほども申しましたように、今後10年を見据えた上では女性のみならず、男性に対しても今後父親となるための準備段階を含めてさまざまな支援というものを充実していく必要があるだろうと考えております。

 また、育てにくさの背景の中には発達障害を含めたさまざまな障害や病気が潜んでいるということを想定して、乳幼児健康診査でありますとか、さまざまな母子保健事業を通じてお子さんの状態を把握するということを今後も頑張っていく必要があるだろうと考えております。

 また、「7 児童虐待予防対策の更なる充実」に関しましては、「子供虐待による死亡事例等の検証結果等について(第9次報告)」の中から引用させていただいているところはございますが、望まない妊娠に対する相談体制の充実でありますとか、妊娠期、出産後早期からの支援のための医療機関との連携強化、養育支援を必要とする家庭の把握・支援のための体制整備、4つ目としましては、乳幼児健康診査や予防接種を受けていない家庭等への対応というところで、これまで他の課題のところでも申しておりますが、母子保健事業と他の事業との連携の充実・強化というものが引き続き重要なポイントと考えております。

38ページ、「8 更なる推進の取組の充実」で、普及啓発を含めました周知活動、広報活動の充実に加えまして、(2)として母子保健分野、「健やか親子21」推進協議会の中でこれまで取り組みを進めていたところではございますが、それに加えまして関係団体の御協力というものが必要不可欠であろうと考えております。特に各課題、指標の分析につきましては、学術団体の御協力を得ながら、また、普及啓発、もしくは具体的な活動というところに関しましては、民間団体やNPOといった地域におけるさまざまな資源を活用させていただきながら、母子保健事業全体をさらに盛り上げていく必要があるだろうと考えております。

 以上です。

○五十嵐座長 どうもありがとうございました。

 それでは、第6の提言につきまして御意見、御質問をお願いいたします。

 どうぞ。

○久永委員 日立ソリューソンズの久永です。

37ページの「6 『育てにくさ』を感じる親に寄り添う支援」というところで、男性に対してもいろいろな支援をしていくということを書かれているのですけれども、企業においては、結婚する・子供を持つということだけが、全ての人がそういうふうに生きていくわけではないので、広く、結婚しない、結婚しても子供を持たないという方に対する意識啓発なども行っていただきたいなというふうに思っております。

 以上です。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○小林委員 第6で次期計画に向けた提言ということでまとめていただいているわけですけれども、その最初に地域間格差解消に向けた国・都道府県・市町村の役割というふうに持ってきているのはどうなのかなと、私はちょっと違和感を感じたのです。というのは、6つの課題認識があるわけですね、その課題を解消していくというのがまず基本にあるべきであって、地域間格差解消というのはそのツールの一つではないのか。ですから、あくまでもその課題を解消するための計画であって、その課題解消に向けて国なり県なり市町村なり関係団体が一生懸命やっていく。その中で有力なツールとして地域間格差も是正していきましょうというのがストーリー的にはいいのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○木下課長補佐 順序に軽重を設けたという趣旨ではなくて、先ほどの第5の30ページから今後の課題の整理をさせていただいた際に、まず1つ目としまして地域間格差の課題があるということを前段に持ってきたということで、今回の第6につきましてもその平仄を合わせる形で整理させていただいているところで、どちらが上、下という関係ではなくて両方大事という趣旨で書かせてはいただいておりますが、もし違和感があるということであれば、全体の構成も含めて修正することは先生方の御意見を踏まえて対応させていただきたいと思います。

○小林委員 できれば検討いただければというふうに思います。

○五十嵐座長 どうぞ。

○山縣委員 地域間格差に関しましては、今回、私どもこの最終評価に当たりまして、これまで約130の市町村を1回目、2回目、最終として調査をして、それをオールジャパンのデータとして提示しているわけですが、一方で「健康日本21」でも非常に重要なキーワードとして上がっています地域間格差に関して、健康格差に関しても評価するために全国で470の市町村、各都道府県10区市町村で調査をさせていただいたときに、やはり一番気になったのがこれでございました。既に第2回目のときにも提示されていますが、例えば3歳児の虫歯の有病率が都道府県として2.5倍あるとか、アウトカムでもそういう差があり、それから、例えば母子保健領域での行動、母乳育児といったようなものに関しても、47都道府県で40%から60%の間の1.5倍の格差があるとかというのは、今回いろいろな先生と評価をしたのですが、実は私にとって非常に衝撃でして、市町村格差だとかそういうのは非常にあるだろうと思っていたのですが、47都道府県でこれだけ格差があるというのは、ある意味、どこで生まれてどこで育つかによって健康や母子保健に関する行動がかなり決まってしまうようなデータでもあって、やはり日本どこで生まれどこで育っても同じように健康状態がサポートされ、行動が伴っていくようにしていくことは、今の我が国の母子保健にとってはかなり重要で喫緊の課題であろうかという認識を持ちました。そういう意味で、今、順序は関係ないという事務局のお話でしたが、私は非常に重要な課題としてここに明記されたというのはよかったのではないかというふうに思っております。

 以上です。

○五十嵐座長 ありがとうございます。よろしいですか。

 ほかに。どうぞ。

○成田委員(倉橋副会長) 相談するのにインターネットが大分多くなってきたということもあり、第5のほうでは33ページでインターネットを活用する時代となっており、その支援体制の整備が求められていると書いてあるのに、第6には余り書いていないのかなというところがあります。ICTの活用といいますか、そこら辺もどういうふうに活用するかというのは非常に問題で、対面が要らないと言っているわけではなくて、これが基本だというのは承知の上で、そういうきっかけ、あるいは多くの人は普通は検索を使いますよね、そこら辺のことも含めてホームページを充実させるなり、相談に誘導する方策として積極的に考えるとか、そういうような文言を提言として入れてもいいのかなと思います。これは10年使う計画をつくるのに、今後の10年間でそれに余り触れていないというのはちょっと不足かなという気がします。ただ、どういう方向性になるかが正確にはわからないので、いろいろな活用を図るというような記載にはなるかと思うのですけれども、方策を探るか、事務局で適切な表現はしてもらいたいと思いますけれども、活用するという趣旨のものが必要なのではないか。それと同時に、個人情報そのほかの、今、ネットを利用するに対しての注意もありますね、それを考えて活用するというような記載が必要なのではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

○木下課長補佐 委員御指摘のとおり、第5の課題に応じた形で提言の中にどう盛り込めるかということで、今いただいた御意見を踏まえて少しさせていただければと思います。

○五十嵐座長 ITの活用ということですね。

 ほかに。どうぞ。

○青木委員 今インターネットのことが出たのですが、思春期保健対策の中にもネットへの依存の対策ということが必要ではないでしょうか。今、中高生の半分以上がそういうふうになってきているということを危惧しております。ネット依存への対策や配慮が必要なのではないかと思っておりますが、いかがでしょうか。

○木下課長補佐 今の御指摘は、これまで10年間の評価の中からなかなか出てきていなかったところですので、次の次期計画の中で具体的に盛り込めればなと思っているところで、今回の第5のところから出てきた課題に対する提言という形ではつなげにくいなという問題意識があったところで、できますれば次の第4回以降の次期計画の中で具体的に盛り込んでいくほうがいいかなと事務局のでは思っているところです。

○五十嵐座長 今回出さなくても、次回また検討するということでよろしいでしょうか。

 ほかはいかがですか。どうぞ。

○伊東委員 この次期計画に向けた提言の中で、2番から特に7番は第5を受けてのところだと思うのですが、母子保健計画を策定するのは市町村なのですが、3番の「周産期・小児医療・在宅小児医療」だけは、恐らくは市町村にはなじまないところだと思うのです。「健やか親子21」の国全体としては要ると思いますし、ただ市町村が書けないというラグがあると思うのです。できるかどうかはわからないのですが、できれば都道府県の役割のところで、後述する3については都道府県が主体となってやるべきであるし、その中で県の計画の中で市町村がどういう連携がとれるかといったものを市町村と連携しながら進めるというような文言があってもよいのかなというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○木下課長補佐 役割の位置づけということでは整理もできるかと思います。ただ、今後つくっていきます「健やか親子21」の次期計画の中で、同じような重要な柱の一つかなと考えておりますので、各市町村で作成いただく計画に向けてどういう形で整理するかというのは、今御指摘いただいたように、基本的に医療提供体制は県の役割であろうと認識しております。

○五十嵐座長 どうぞ。

○伊東委員 ここに書いてあるように、恐らくは医療計画で整備されるというふうに思うのですが、医療計画を策定するときに「健やか親子21」を念頭に置いていないで医療計画は策定されているというふうに思うのです。都道府県の方がいらっしゃるので聞かなければわからないですが、そういうことを踏まえれば、やはり県にも「健やか親子21」をやる役割があるのだといったところは認識していただくのが県全体、国全体のことになるのかなというふうに思いますが、次回以降の中で御検討いただければというふうに思います。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 ほかはいかがですか。どうぞ。

○横山委員 国立保健医療科学院の横山です。

 1番の役割の明確化のところですが、ここでPDCAサイクルを回して事業を改善していこうということを書かれているのですけれども、情報を活用してPDCAサイクルを上手に展開していくというのは、言葉で言うと簡単なのですが、実際に自治体の方がこれをやろうとすると、ちゃんとトレーニングといいますか、それなりの人材を育成しないとこれを実行に移すのは難しいのかなという気もいたします。

 それで、国の役割で4つ目のポツのところで「ツール等を作成し地方公共団体に提供する」と書いてあるのですが、提供するだけではなかなか活用のところまではいかないのかなと、ほかの分野での経験からいうと、私ども、自治体の方々向けの人材育成をやっているので、提供しただけだとなかなか活用というところまでいかないと思いますので、国の役割のところにそれを活用できるような人材育成とか、そういった言葉が入っていたほうがいいように思うのですが、いかがでしょうか。

○木下課長補佐 人材育成は必要な取り組みと考えますが、ツールの活用に向けた研修等は、まさに保健医療科学院の先生方の御協力も得ながら研修等をできればなと思います。

 また、地域においては人材の育成は、保健所との連携等も図りながら、県全体もしくは地域全体でどういうことができるかということにつきましては引き続き検討していきたいと思います。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 私から1つだけ。学術専門団体との連携のことが書いてあって大変いいと思うのですが、その1つの例として31ページにあるように、健診内容あるいは手技が標準化されていないと問題意識がありますので、関連学協会に働きかけて健診の標準化を促進するような働きかけも厚労省はやっていただけると、関連学協会、小児科学会とか小児保健協会は今それをやっておりますけれども、厚労省が積極的にそれを支援するような形もいただけると事業が大変進むと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、意見が大分出ましたので、最後の「第7 おわりに」について事務局から説明をお願いいたします。

○木下課長補佐 39ページをお開きください。

39ページは、この報告書の最後という形で「おわりに」としてまとめさせていただいております。「健やか親子21」につきましては、推進協議会を始め、学校や医療機関、企業、医療研究機関、NPO、地方公共団体、国などの取り組みによって、これまで8割の項目が改善した。このうち達成したものにつきましては約4分の1で、さらなる取り組みの充実が必要であろうと考えており、次期計画において現実的な目標の設定、あるいは段階的な目標値の設定といった工夫も必要であろうと考えております。

 さらに、今後、次期計画においては、優先的に取り組むべき重点事項を示すとともに、誰が、いつまでに、どこと連携して、何を行うのかといったような具体的な行動計画でありますとか、地域、地方公共団体の特性に応じた行動計画が立案できるような指針に準じたものを今後策定していくことが求められる。また、国民や地域のニーズに応じた母子保健サービスが適切に提供されるよう、母子保健事業の評価を国、都道府県、市町村、それぞれの立場で適切に行える情報の利活用の体制づくりも求められるというまとめにさせていただいております。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 これにつきまして、第7の「おわりに」につきましてはいかがでしょうか。何か御意見ございますか。よろしいですか。

 それでは、1から7まで討議いたしましたけれども、何か言い残したこととか、どうしても言っておきたいこととかございますか。

 どうぞ。

○成田委員(倉橋副会長) 母子保健は、保健所なり市町村なりの現場でいいますと保健活動の基本ではあるのですけれども、行政の常として何も起きないところはお金と人間を絞ってしまうくせがございまして、成績のいいところが絞られ、問題となったところに人間とお金が配属されるという嫌いがございます。

 どこの文言に何を入れろとか、そういう文言を入れろとかいう具体的な考えは持ち合わせていないのですけれども、ぜひそのような基本的な保健の、しかもライフステージの初期のころから全世代の全てにわたっての基本である母子保健について、人材はもちろん、予算ももちろん、必要な予算はきちんと手当をし、必要な人材は養成するといったようなニュアンスの文言をぜひどこかに入れてほしいなと思っております。

 以上です。

○五十嵐座長 御要望ということで、検討してください。

 ありがとうございました。

 それでは、積極的な御意見も含めましてたくさんいただきました。これできょうの議論を終了したいと思いますけれども、きょうと今までの御意見も含めましてですけれども、最終評価報告書(案)を多少修正しなければいけないと思いますけれども、この修正は座長一任とさせていただきたいのですけれども、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○五十嵐座長 反対の方はいないみたいですので、それでは、私と事務局で対応したいと思います。皆様のおかげで本日は、最終版ではないですけれども大まかなところはまとめることができましたので、大変感謝申し上げます。

 これからの予定につきまして、事務局のほうから説明をお願いいたします。

○渡利課長補佐 五十嵐座長、委員の皆様方、ありがとうございました。

 次回からは次期計画についての検討をしていくこととなります。次回の検討会の日程につきましては追って連絡させていただきたいと考えております。よろしくお願いします。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 それでは、本日の検討会はこれで終了したいと思います。御協力いただきまして本当にありがとうございました。


(了)
<雇用均等・児童家庭局母子保健課>
電話番号: 03-5253ー1111(内7934、7938)

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