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2013年11月11日 第5回疾病・障害認定審査会身体障害認定分科会議事録

社会・援護局障害保健福祉部

○日時

平成25年11月11(月) 17:00~19:00


○場所

経済産業省別館1階114号会議室


○議事

○森岡課長補佐 定刻になりましたので、ただいまから「第 5 回疾病・障害認定審査会身体障害認定分科会」を開催させていただきます。私は、社会・援護局障害保健福祉部企画課の森岡です。どうぞよろしくお願いいたします。委員の先生方におかれましては、大変お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。本分科会は参考資料 1 にありますとおり、自治体からの障害認定にかかる疑義についての諮問機関としての役割を担っております。また、自治体が手帳交付事務を行う際のガイドラインである身体障害認定基準等の改正等においても、必要に応じて医学的・専門的見地から審議を行うこととしております。

 なお、本会は全委員の過半数の出席をもって成立することとされておりますけれども、本日は 17 名中 12 名の委員に御出席していただいており、本日の分科会は成立しておりますことを御報告いたします。それでは、開催に当たり、障害保健福祉部、蒲原部長から御挨拶をお願いいたします。

○蒲原障害保健福祉部長 今御紹介いただきました障害保健福祉部長の蒲原と申します。この 7 月からこの部長職を拝任いたしております。会議の開催に当りまして一言御挨拶を申し上げます。本日は、大変お忙しい中、ご参加いただきまして本当にありがとうございます。障害者の分野は、一般的な制度の関係で言いますと、障害者総合支援法という法律が障害者自立支援法から改正されて成立しまして、その施行がこの 4 月から始まっているという状況でございます。また、一部来年 4 月分も含めて円滑な施行に努めているという状況でございます。一方で身体障害者の手帳制度でございます。ここは、身体に一定の程度以上の障害が存在して、それが永続しているものを対象にするということで基本的な考え方を持っているわけでございますけれども、具体的な基準につきましては、専門の先生方に集まっていただいた上で決めていくことになっております。

 今回の御議論の関係ですが、 1 つは心臓機能障害におけるペースメーカ等植え込み者の障害認定です。また、もう 1 つが肢体不自由における人工関節等置換者の障害認定です。いずれの案件も、技術が進んでいく中で、社会生活などに大きな支障がない程度に ADL が改善する場合が多いという指摘があって、こうした指摘を踏まえ、それぞれ専門の先生方にもお集まりいただきまして、ワーキンググループを開催してまいりました。そうしたワーキンググループで、一定の改正案を取りまとめたわけでございます。これを踏まえまして、本日先生方に御議論いただきたいという趣旨でございます。どうか、よろしくお願いいたします。

○森岡課長補佐 続きまして、本日御出席の委員の皆様の御紹介をさせていただきます。資料 1 として、名簿を添付しておりますのでお名前のみ御紹介させていただきます。赤川安正委員、飯野靖彦委員、和泉徹委員、伊藤利之委員、奥野妙子委員、加藤達夫委員、葛原茂樹委員、坂谷光則委員、白阪琢磨委員、中村耕三委員、早川正道委員、本江純子委員です。なお、前田委員ですけれども欠席との御連絡をいただいております。なお、葛原分科会長から事前の御承認を得まして、オブザーバーとして国立障害者リハビリテーションセンター顧問江藤文夫先生に御出席いただいております。江藤先生は、本日の議題に関し、ワーキンググループの座長として御尽力いただきました。

 続きまして、事務局の紹介です。蒲原障害保健福祉部長、井上企画課長でございます。なお、本分科会の会議は、疾病・障害認定審査会運営規程第 5 条第 1 項により、原則公開となっております。本分科会での審議内容は、厚生労働省のホームページに議事録として掲載される予定ですので、あらかじめ御了解くださいますようお願いいたします。それでは、以後の議事進行につきましては、葛原分科会長にお願いいたします。

○葛原分科会長 では、以後の進行をやらせていただきます。今日は皆様お忙しいところ、しかも午後 5 時からという遅い時間にたくさんの方に集まっていただきまして、どうもありがとうございます。それでは、議事に入る前に事務局から資料の確認をお願いします。

○森岡課長補佐 それでは、資料を確認させていただきます。資料 1 疾病・障害認定審査会身体障害認定分科会委員及びオブザーバー名簿、資料 2 心臓機能障害及び肢体不自由の障害認定基準の見直し、資料 3 「身体障害者障害程度等級表の解説」の改正 ( ) 、資料 4 「身体障害認定基準等の取扱いに関する疑義について」の改正 ( ) 、資料 5 「診断書・意見書」の改正 ( ) 、資料 6 「身体障害者障害程度の再認定の取り扱いについて」の改正 ( ) 、資料 7 心臓機能障害の認定に当たっての留意事項について、参考資料 1 身体障害認定分科会について、参考資料 2 身体障害認定基準等について、参考資料 3 厚生労働科学研究費補助金障害者対策総合研究事業、障害認定の在り方に関する研究報告書でございます。資料は以上ですが、お手元にございますでしょうか。

 また、机上のみの配付資料として、厚生労働科学研究「障害認定の在り方に関する研究」報告書、不整脈の非薬物治療ガイドライン (2011 改訂版 ) 、身体活動のメッツ (METs) (改訂版)です。

○葛原分科会長 お手元に資料は全部そろっているでしょうか。それでは、これから本日の議事に入らせていただきます。まず、本日の議事について、事務局から御説明をお願いいたします。

○森岡課長補佐 それでは、本日の議事について御説明いたします。資料 2 心臓機能障害 ( ペースメーカ等植え込み者 ) 及び肢体不自由 ( 人工関節等置換者 ) の障害認定基準の見直しについて、ワーキンググループの開催状況、見直し案の概要について御説明させていただき、御質問をいただいた後に、資料 3 から 7 の具体的な通知の改正案について事務局から御説明し、審議をいただく予定でおります。

○葛原分科会長 まず資料 2 について御説明いただくということで、どうぞよろしくお願いします。

○森岡課長補佐 それでは、資料 2 を御説明いたします。「心臓機能障害 ( ペースメーカ等植え込み者 ) 及び肢体不自由 ( 人工関節等置換者 ) の障害認定基準の見直しについて」の資料を御覧ください。現在の取扱いですが、心臓機能障害における身体障害者手帳の認定では、ペースメーカ等を装着している者は、一律に 1 級ということで一番重い級として認定しております。肢体不自由における人工関節の置換術を行っている者については、股関節・膝関節に人工関節等を置換している場合は一律 4 級ということで、その機能が廃絶しているとみなして、その中で一番重い級に認定をしております。また、足関節についても同様に、人工関節等を置換している場合は一律 5 級ということで、機能が廃絶しているものとみなして、その中で一番重い級に認定をしております。

 しかし、医療技術の進歩等により、社会生活に大きな支障がない程度に日常生活能力 (ADL) が改善している方が多いと厚生労働科学研究の報告等で指摘されております。今般、専門家によるワーキンググループを開催し、見直し案を取りまとめましたので、そちらを御説明いたします。

 次のページは、ワーキンググループの構成員名簿です。左側に人工関節等の障害認定の評価に関するワーキンググループの構成員名簿、右側にペースメーカ等の障害認定の評価に関するワーキンググループの構成員名簿があります。人工関節等のワーキンググループについては、江藤先生に座長、伊藤先生に座長代理を務めていただいております。また、ペースメーカ等のワーキンググループについては、江藤先生に座長、和泉先生に座長代理を務めていただいております。

3 ページは、具体的な見直し案の内容についてお示ししております。人工関節等の障害認定の評価に関するワーキンググループを平成 24 11 月に開催しており、見直し案の主な内容を取りまとめております。人工関節等については、置換術後の障害の状態、関節可動域等の評価をして、股関節、膝関節については、 4 級から非該当のいずれかに、足関節については、 5 級から非該当のいずれかに認定を行うとしております。つまり、置換術後の障害の状態を評価するということです。また、制度改正後、新たに申請する者に対して適用し、遡っての適用はしないというものです。

 次に、ペースメーカ等の障害認定の評価に関するワーキンググループを今年 6 月から 9 月にかけて 3 回開催し、見直し案の主な内容を取りまとめております。こちらは、心臓機能を維持するためのペースメーカや体内植込み型除細動器への依存度と、日常生活活動の制限の程度の 2 つを勘案して、 1 級から 4 級まで認定を行うとしております。また、一定期間 (3 ) 以内に再認定を行うことを原則としております。先天性疾患により植え込みをしたものや人工弁移植・弁置換については、従来どおり 1 級としております。また、再認定の徹底を図るため、診査年月を手帳にも記載します。これについてはペースメーカ以外の再認定についても適用されます。また、制度改正後、新たに申請する者に対して適用することとしております。

4 ページは、先ほど御説明しましたペースメーカ等への依存度や日常生活活動の制限の程度がどういうものかという解釈をお示ししております。等級の基準についてのところの、《植え込み直後》を御覧ください。まずペースメーカ等への依存が絶対的なものは 1 級とするという解釈です。また、ペースメーカ等への依存が相対的なものであって、メッツ値が 2 未満のものについても 1 級とします。絶対的、相対的とはどういうものかですが、※ 1 に書いておりますが、絶対的というのは、日本循環器学会のガイドラインにおけるエビデンスと推奨度のグレードが「クラス 1 に相当する状態」に対して植え込みを行った場合とします。相対的というのは、同ガイドラインの「クラス 2 以下の状態」に対して植え込みを行った場合としております。

5 ページの下半分の参考を御覧ください。こちらに日本循環器学会のガイドラインのエビデンスと推奨度のグレードを載せておりまして、クラス 1 については、有益であるという根拠があるものとされております。クラス 2 以下については、有益であるという根拠はないが、意見が多いものなどとなっております。また、メッツ値は運動時に酸素消費量が安静時の何倍に相当するかを示す運動強度の単位で、 2 メッツ未満はベッド等で安静が必要な状態と記載しております。 1 級については以上です。

 次に 3 級の解釈です。ペースメーカ等への依存が相対的なものであって、メッツ値が 2 以上 4 未満のものとしております。 5 ページの参考の 2 メッツ以上 4 メッツ未満については、平地歩行ができる状態とされております。

 次に 4 級ですが、ペースメーカ等への依存が相対的なものであって、メッツ値が 4 以上のものとしております。 5 ページの参考では、 4 メッツ以上については、早歩きや坂道歩きができる状態とされております。

 次に 3 年以内に行う再認定の基準です。これについては、メッツ値のみで認定していくとしています。 1 級についてはメッツ値が 2 未満のもの、 3 級についてはメッツ値が 2 以上 4 未満のもの、 4 級についてはメッツ値が 4 以上のものと解釈しております。

 先ほど、再認定の徹底を図るため、診査年月を手帳にも記載すると説明しておりますので、 4 ページの下の「再認定の徹底について」というところで、診査を実施する年月を身体障害者手帳にも記載することとしております。また、この措置については、ペースメーカ等に係る再認定の場合に限らず、すべての再認定に適用するとしております。

5 ページは、認定に当たっての留意事項 ( 別途課長通知 ) です。特に認定に当たって注意をしていただきたい点について、課長通知でお示ししたいと思っております。○の一番上の 1 つ目ですが、特に植え込みから 3 年以内や 3 年後の再認定の後に、手帳交付者から症状が悪化するなど状況が変動したということで再交付の申請があった場合には、適切に対応していただきたい旨を通知したいと思っております。また、そのときの基準ですが、認定から 3 年以内であれば植え込み時の基準、 3 年以上後であれば再認定の基準を適用するとしております。

2 つ目ですが、メッツ値の値が、症状が変化していくということで、重くなったり軽くなったりする場合は、症状がより重度の状況、メッツ値で取ると一番低い値を採用するということを示したいと思っております。

 また、先天性疾患の定義は、 18 歳未満で心疾患を発症したものとします。

 次に、 ICD (植込み型除細動器)を植え込んだ者であって、 3 級又は 4 級の認定を受けた者であっても、手帳交付後に ICD が作動して、再交付の申請があった場合は、 1 級と認定します。 3 級と 4 級は、基本的には循環器疾患の一次予防に入れた場合となっておりますが、実際一次予防で入れた後に不整脈が起こって、除細動器が作動して二次予防と同じような状況になったときには 1 級と認定するということで、留意事項で示したいと考えております。なお、これについては、再交付から 3 年以内に再認定を行うこととしております。資料 2 の説明は以上です。

○葛原分科会長 何か御質問ありますか。具体的な御意見については、後でまとめて検討することになっておりますので、今説明があった資料についての御質問があればしていただければと思います。

3 ページの下から 2 行目に、ペースメーカ以外の再認定というのは、弁置換や人工弁などの心臓に関する別のことを指しているのですか。ペースメーカ以外というのは、具体的には心臓に関することなのですか。

○森岡課長補佐 これは全ての身体障害について考えています。

○葛原分科会長 では、人工関節など、いろいろなものも含めて。

○森岡課長補佐 はい。そういうことです。

○葛原分科会長 そういうことですか。この場所だと何か上の「弁置換など」だけを受けているのかなと見て思ったのですが。これは別の枠外にでも書いておいたほうが分かりやすいのではないでしょうか。あと何か御質問ございますか。

 これは、今後は 3 年後には必ず再診査を受けるという決まりになるのですか。

○森岡課長補佐 はい。

○葛原分科会長 再診査を受けずに放っていた場合はどうなるかというのは、またその後に説明があるのですか。切れてしまうのですか。

○森岡課長補佐 認定時に受けていただくよう説明するということで設定したいと思っています。

○葛原分科会長 あと何か御質問ございますか。そうしましたら、最後にまた同じような形で御意見頂ければと思います

 次に資料 3 7 について説明をお願いいたします。

○森岡課長補佐 それでは、まず資料 3 から御説明いたします。「身体障害者障害程度等級表の解説 ( 身体障害認定基準 ) 」の改正案ということで、部長通知で身体障害認定基準をお示ししておりますが、そちらの改正のイメージをお示ししております。

 まず 1 ページの下線の引いてあるところを御覧ください。ここについては、いつまでに申請のあったものについては、従前の取扱いのとおりとするということで、施行日以降申請のあったものに新しい基準が適用される旨の改正です。

 次に 2 ページを御覧ください。肢体不自由の身体障害認定基準の現行と改正案をお示ししております。現行については右側を御覧ください。中ほどの「 2 の各項解説」の (2) ( ) のところですが、「全廃」 (4 ) の具体的な例は次のとおりであるとして、「股関節に人工骨頭、人工関節を用いたもの」としておりまして、これによって 4 級とされております。また、ウのところの膝関節の機能障害については、 ( ) の「全廃」 (4 ) の具体的な例は次のとおりとするとしておりまして、膝関節に人工骨頭、人工関節を用いたものも入っておりますので、これによって 4 級と認定しております。足関節については、エの ( ) のところですが、ここにも同じような文言が入っておりまして「全廃」として認定されています。

 左側には今後どうなるかという改正案を示しております。 2 ページ 1 (6) の下線部を御覧ください。人工骨頭又は人工関節については、人工骨頭又は人工関節の置換術後の経過が安定した時点の機能障害の程度により判定するということで、術後の経過が安定した時点で判定するという改正です。そして、解説のところにありました股関節に人工骨頭又は人工関節を用いたものというのを削除しております。

 また、肢体不自由について 1 点追加の改正がありまして、現行のウの膝関節の機能障害のところを見ていただけますでしょうか。 ( ) b のところには、現時点では高度の動揺関節となっておりますが、 3 ページの左側の並びのところを見ていただくと、 c の高度の動揺関節に高度の変形というのが付け加えております。高度の変形が生じていて、関節可動域が 10 度以下は全廃としておりますが、もし 10 度を超えていても高度の変形がある場合は、 4 級として認定したらどうかと検討会で意見があり、付け加えております。足関節についても 5 級の「全廃」の解釈として、高度の変形を付け加えております。

 次に、 4 ページの心臓機能障害の認定基準の改正案についてです。まず右側の現行のところですが、 1 の心臓機能障害の (1)18 歳以上の者の場合のアの等級表 1 級に該当する障害は次のいずれかに該当するものをいうとしておりまして、 ( ) 人工ペースメーカを装着した方は 1 級として認定されるという運用を行っております。左側の改正案では、等級表 1 級に該当する障害を次の ( ) のように改正したいと考えております。具体的にはペースメーカを植え込み、自己の身辺の日常生活活動が極度に制限されるもの、先天性疾患によりペースメーカを植え込みしたものと考えております。また、ペースメーカへの依存度や日常生活活動の制限の程度に応じて、 1 級、 3 級、 4 級と認定していきますので、 3 級と 4 級のところにも文言を付け加えております。具体的には、 3 級ですとイの ( ) ペースメーカを植え込み、家庭内での日常生活活動が著しく制限されるもの、 4 級については、ウの ( ) ペースメーカを植え込み、社会での日常生活活動が著しく制限されるもの、と付け加えております。日常生活活動が著しく制限されるなどの表現ですが、解釈については、この後の課長通知でお示ししております疑義に関する通知でお示しする予定です。部長通知の改正については以上です。

 次に、資料 4 「身体障害認定基準等の取扱いに関する疑義について」の改正案ということで、課長通知でお示ししております疑義解釈についての通知です。右側に現行、左側に改正案をお示ししております。

 まず、肢体不自由の部分です。現行ですと、 7. 人工骨頭又は人工関節について「全廃」として認定できるかということで、可能と考えられるなどの回答をしておりますが、こちらについては、術後の状況を勘案して判断するということで、ここについては削除したいと考えております。

 次に、左側の改正案の 7. 膝関節の機能障害において、関節可動域が 10 度を超えていても、高度な屈曲拘縮や変形により、支持性がない場合、「全廃」として認定することは可能か、ということで、高度な変形等についての解釈として、支持性がない場合ということを挙げて質問しております。回答としては、支持性がないことが医学的・客観的に明らかな場合は「全廃」として認定することで差し支えないということをお示ししたいと考えております。

 次に、 2 ページの心臓機能障害についての疑義解釈です。左側の改正案を御覧ください。質疑の 4. のところですが、日常生活活動が制限されるという解釈についてお示ししております。回答ですが、 (1) 植え込み直後の判断については、具体的には、 1 級とは、日本循環器学会のガイドライン (2011 年改訂版 ) のクラス 1 に相当するもの又はクラス 2 以下に相当するものであって、身体活動能力 ( メッツ ) 値が 2 未満のものをいうとしております。 3 級とは、同ガイドラインのクラス 2 以下に相当するものであって、身体活動能力の値が 2 以上 4 未満のものとしております。また、 4 級についてはガイドラインクラス 2 以下に相当するものであって、身体活動能力の値が 4 以上のものとしております。

 次に 3 ページです。左側の改正案の (2) で、 3 年以内の再認定を行う場合の解釈をお示ししております。調査員の判断については次のとおりです。 1 級とは、身体活動能力が 2 未満のもの。また 3 級については身体活動能力の値が 2 以上 4 未満、 4 級はメッツ値が 4 以上のものとしております。

 次に、同じく 3 ページの 5. ペースメーカを植え込みした者、又は人工弁移植、弁置換を行った者は、 18 歳未満の者の場合も同様かということで記載しております。先天性疾患により、ペースメーカを植え込みした者は、 1 級として認定することとしております。その先天性疾患とは、 18 歳未満で発症した心疾患を指すということになっておりますので、ペースメーカを植え込みした 18 歳未満の者は 1 級として認定することが適当であると考えております。また、弁移植や弁置換を行った者については、従来どおりですので、年齢にかかわらず、いずれも 1 級として認定することが適当であると考えております。

 次に、 4 ページの改正案の 6. 体内植込み型除細動器、 ICD を装着したものについては、ペースメーカを植え込みしているものと同様に取り扱うのかということで、従来どおり同様に取り扱うことが適当であるということでお示ししております。

 次に、 7. 発作性の心房細動のある徐脈頻脈症候群への症例に、ペースメーカを植え込んだが、その後心房細動が恒久化して、事実上ペースメーカの機能は用いられなくなっているという場合、再認定等の際の状況をどのように判定すべきかということです。従来からペースメーカを装着した者の規定には該当しないということで、その他の心機能の基準によって判定することが適当であると従来はしていました。今回は従来の基準が変わったので、そこの文言を修正して、ペースメーカの基準ではなく、それ以外の心機能の基準によって判定することが適当であるという回答に修正をしております。

 次に、資料 5 を御覧ください。「診断書・意見書」の改正案 ( 心臓機能障害抜粋 ) です。ここについては、 6 7 の項目を追加したいと考えております。具体的には、ペースメーカの適応度について記載をする欄、身体活動能力 ( 運動強度 ) を記載する欄を追加したいと考えております。

 次に資料 6 「身体障害者障害程度の再認定の取り扱いについて」 ( 部長通知 ) の改正案です。 3 (2) ですが、再認定に係る具体的な取扱いを示しておりますが、診査を実施する年月については、手帳に記載するとともにということで、ここに追加をしたいと思っております。

 次に 7 ですが、法別表に該当する障害の状態が、更生医療の適用等により変化することが予想されると認められる場合は、当該身体障害の症状に応じ、障害認定日又は再認定実施日から 1 年以上 5 年以内の期間内に再認定を実施することとしております。しかし、ペースメーカについては、 3 年以内の期間内に再認定を行うこととしたいと考えておりますので、ただし以降の文章を追加をしたいと考えております。

 資料 7 を御覧ください。「心臓機能障害の認定 ( ペースメーカ等植え込み者 ) に当たっての留意事項について ( 課長通知案 ) 」です。これについては、改正ではなく新規に通知をするものです。 1 ページの下の 1. のところですが、ここについては、手帳交付日から障害の状況が悪くなるなどして、状況が変化したということで再交付の申請があった場合には適切に対応していただきたいという旨の文書です。その際に適用される基準は、 3 年以内ですと植え込み直後の基準、 3 年以上ですと再認定の基準が適用されるということを記載しております。

2 ページの 2. のところです。症状が変動していく場合ということで、一番低いメッツ値、より重度の状態を用いるということを述べております。

 次に、 3. のところですが、先天性疾患によりペースメーカを植え込みした者は、引き続き心臓機能障害 1 級と認定することとなるが、先天性疾患等は、 18 歳未満で発症した心疾患を指すものであることとしております。先天性疾患の解釈を具体的にお示しをしております。

 次に 4. のところですが、 ICD を植え込んだ方で、 3 級と 4 級の認定を受けた後に不整脈が起こって、実際に除細動器が作動したということであれば、 1 級として認定してほしいという旨の文書です。これについては、再交付から 3 年以内に再認定を行うことということで記載をしております。資料 3 から 7 についての説明は以上です。

○葛原分科会長 全体を通じて御質問や御意見、あるいは何名かの方は、実際の見直しに携われた方もいらっしゃるかと思うのですが、御意見や御質問はありますか。

○加藤委員 小児ですが、先天性心疾患等は、 18 歳未満で発症したものをいうとか、資料 3 の心臓機能障害のところで、内臓の機能障害も、 18 歳以上の場合ということが、これは前も 18 歳以上と書かれていることに伴い、今度は資料 4 3 ページに、それでは 18 歳未満のものはどうかという質問が出てきてしまうことに対して、このような説明をしなくてはならないような文言になってしまっていることは、若干複雑ではないかと感じます。その 2 点について、お尋ねいたします。

○森岡課長補佐 参考資料 2 13 ページです。現在の部長通知を示しております。そちらでも、 13 14 ページに 18 歳以上と 18 歳未満ということで記載をしておりますが、 18 歳以上の場合のところに、人工ペースメーカを装着したもの又は人工弁移植、弁置換を行ったものと記載をしております。ここについては、内部でもどうして 18 歳以上だけを記載していて、 18 歳未満のところは疑義解釈で運用しているのか確認をしたのですが、明確な理由は見つかりませんでした。ただ、もともとペースメーカを入れたときは、特に 18 歳以上の方に適用されることが多く、もともと部長通知を先に改正して、小児への適応が拡大されるに伴い、そのあとに疑義解釈で 18 歳未満の例を示したのではないかということで、対応の時間差があったのではないかと考えております。

 従来の書きぶりを踏襲した形で、こちらでまずは 18 歳以上の部長通知を改正するということにしました。その次に、 18 歳未満については、疑義解釈で示すというような方向で、我々もこれまでと同様の方法で改正をさせていただいています。もし、 18 歳未満のところで、逆にきちんと部長通知に記載をしたほうが分かりやすいのではないかということがありましたら、我々でも検討したいと思います。

○葛原分科会長 できるだけ、現場で余り混乱しないような方法がいいと思います。心臓の先生は、これをお読みになったら、スッと理解できるような内容ですか。

○和泉委員 リアルワールドで混乱が起きないためには、このような記載にしたほうが、むしろよろしいと思います。と申しますのは、先ほどからありますが、ペースメーカというのは、ここ 20 年ぐらいで急速に進歩しており、今はデバイスという判断をしておりますが、間もなく人工臓器になるというようなことで、今のところは 10 年に 1 回の交換で済むような技術になってきました。初めの頃は、とてもそんなものは 1 年とか 3 年とかで、ペースメーカを入れられるだけで 1 級の障害者としてやはり妥当であった時代は当然あるわけです。今は、 10 年に 1 回になりますと、その恩恵をフルに受けて、非常に社会的な活動が高くなってきている方がいらっしゃり、その状況に合わせて、デバイスの発達に合わせて、改正すべきであるという指摘は、もう十数年前より始まっていることです。現場との混乱との整合性を図り、この問題は慎重に取り扱ってきた経緯があります。

 特に、私たちが慎重に取り扱わなければならないのは、 18 歳未満でペースメーカを入れなければならないような患者の場合には、それ相応の理由があります。それは、やはり 1 級に相当する話であろうということで、従来から 18 歳未満、 18 歳以上という形で運用されているこの規定を使わせていただいて、そこの識別をしたほうが、混乱は少なかろうということで、答申したものです。

○葛原分科会長 加藤先生、大体よろしいでしょうか。

○加藤委員 皆さんに分かりやすければ、それでよろしいと思います。

○葛原分科会長 私もお聞きしていて、 18 歳未満発症と書いてありますよね。手術をするのは、 25 歳でも 30 歳でも、発症したのが 18 歳未満ならば、何歳であっても適用するという意味なのですか。

○森岡課長補佐 そのように考えております。

○加藤委員 もう 1 つ気になるのは、資料 7 2 ページの 3 番の先天性心疾患の定義にあたると考えられますが、先天性疾患とは 18 歳未満で発症した心疾患を指すものであるということと書かれておりますが、必ずしもそうではないと。 30 40 歳になって、例えば ASD のようなものが出てくることはこの頃分かっておりますので、これは余り記載しないほうが、あえて書かなくてもいい文章だと思いますので、その辺りが少し疑問に感じます。

○葛原分科会長 その辺りの 2 つは、和泉先生、私がお聞きしたことと、今、加藤先生のことと、何かお答えはうまくできますか。

○和泉委員 先天性疾患というのは、心臓にかかわらず、やはり議論していかなければならない問題で、従来心臓では 18 歳未満ということをやってきたわけです。ただいまありました ASD などについては、これはある意味で、 18 歳未満に発症しているだろうということは想定するのは、そんなに難しいことではありませんので、その方に不利益が発生することはないと思います。これは、これから先天性疾患とは何ぞやということは、やはり研究班を立ち上げて、この障害者の問題を論ずるときに、しっかりやっていただかなければならない問題です。歴史的な経緯としては、心臓疾患ではこれが適応しております。ですから、今のところはこれをもってしていかざるを得ないということです。先生がおっしゃるとおり、しっかり議論をしなければならないポイントだと思っております。

○葛原分科会長 そのような病気であれば、私が聞いたのは、 30 歳になろうが 50 歳になろうが、もしこのようなペースメーカを植え込む場合は、 18 歳未満の人と同じで、 1 級という扱いをするということですか。

○和泉委員 学術団体に属している私たちは、余り違和感がない、それを認めていただいております。しかし、文書の記載のところは、非常にマイノリティーな話ですので、それは部長通知の中や Q&A の中で処理していただければ済むことではないかと思っております。

○早川委員 基本的な質問ですが、判定する場合には、心臓の内科医あるいは外科の専門家の先生がされるので、齟齬はないと思うのですが、植え込み直後、 4 ページの心臓障害認定基準のところで、ペースメーカの依存度が相対的なものであっても、メッツの値が 2 未満のものということで、そこはベッド上の安静が必要な状況という形になっています。参考資料の 2 番目の 13 ページで、いろいろと胸部エックス線がどうの、心電図がどうのと書いてあり、次のいずれか 2 つ以上の所見が要ると書いてあります。ここのところは、必ず齟齬がないということですね。メッツ 2 以下でしたら、必ずこの条件は満たすということで、よろしいのでしょうか。

○和泉委員  2 メッツ未満というのは、簡単なことをいうと、布団の上げ下ろしができるかできないかという、家庭内での穏和な生活しかできない方ですので、これは医師でなくても、一般人でも非常に分かりやすいメッツ 2 です。

○早川委員 そうすると、なぜこのように具体的に条件を列記しなければいけないのですか。

○和泉委員 これは、やはりそのあとの 4 メッツのところがむしろポイントになってくるだろうと思います。 2 メッツ、 4 メッツを周知させていただくためには、やはり何かの基本的な記述をせざるを得ないということではないでしょうか。

○葛原分科会長 そのほか、いかがでしょうか。ペースメーカや心臓のことは先に終わって、次は関節にいきますか。これは、最後に課長補佐にお聞きするのか、それとも心臓の先生にお聞きするのか、診断画像メッツ表というものが付いていますが、実際の判定のときには、これでやるのですか。それとも、今、先生がおっしゃったような布団の上げ下ろしとか、散歩というグローバルな生活機能評価でやっていくのですか。それは、いかがでしょうか。

○森岡課長補佐 分かりやすい一覧を示したほうがいいのではないかということで、ワーキンググループのときに意見が出ておりましたので、そちらをお示しするように今、事務局で作業を進めております。

○葛原分科会長 では、このぐらいの機能ならメッツ表の幾らに対応するということで、いちいちこの表を見なくても可能だということなのですね。

○森岡課長補佐 はい。

○葛原分科会長 分かりました。

○和泉委員 このメッツという考え方は、もう少しこの少子高齢化時代では浸透してよろしいのではないかと。特に、障害者のことを審議するときには、私はこれをもっと重要視していいのではないかと思います。これは、そういう意味では、グローバルな中でやられているわけで、日本の生活にもっと属して、適している、あるいは北の地方、南の地方、それぞれに適しているという中で、この中から最も適しているものを引っ張ってきて、換算表を作っても、私は構わないのではないかと思います。

○葛原分科会長 そのほか、いかがでしょうか。ここに書いてあることなのですが、関節のほうもペースメーカのほうも、この新しい通知以降の人に適用して、それ以前に認定された人は従来のままということなのですね。これは、問題が起きないのですか。

○森岡課長補佐 申請主義の制度ですので、その申請時点においてどうだったかということと、不利益を過去に遡って逆に適用されることも問題だと思います。基本的には、施行後に申請があったものに適用すると考えております。

○葛原分科会長 しかし、過去に身障手帳を受けた方たちを含めて、何年かごとに全部再評価をやっていっているわけですね。

○森岡課長補佐 そうですね、更生医療などで障害の程度が軽くなる可能性のある方や、子どもの場合に再認定があることもあります。

○葛原分科会長 いや、私が委員をしております難病対策委員会でもそういう問題が検討されたことがあり、やはり過去の制度と新しい制度が異なると不公平状態が出てくるので、 3 年ぐらいの移行期間を置いて是正すべきだという意見、全てを新しい制度に合わせるべきだという意見がむしろ主流でしたので、少し違和感があるのですね。

○坂谷委員 私は呼吸器の担当なのですが、呼吸器の障害の 1 級、 3 級、 4 級は、このメッツと同じように、著しく日常自分の身の周りのことができない程度が 1 級、家庭内での生活がしにくいのが 3 級、 4 級とあります。それだけではなく、呼吸機能検査や 6 分間歩行など、幾つかの客観的な検査値の数値で裏付けしたもので等級の判断をすることになっていますが、同じようなことが心臓機能障害でもできないかと思うのですが、いかがですか。

○和泉委員 それも、もちろん議論いたしました。どこかに資料として出ているはずですが、心臓機能と身体能力というのは、必ずしも高齢者社会の場合は一致しないことは、もう明らかになってきております。もちろん参考とはいたしますが、なかなかできません。それから、先生が御承知のとおり、 6 分間歩行は非常にいい検査だとは思いますが、これも 1 つは広く行き渡っていない問題と、もう 1 つは行う検査の担当をしている方によって、ばらつきが非常に大きいという問題があり、まだ技術的な克服をして 10 年間経って、このリアルワールドでしっかり受け入れられている方法論としては、なお問題があろうということです。また、この問題もどこかで更に議論をされるのでしょうが、そのときに安定した方法で見られるもので見ていくことになっていこうかと思います。

 もう 1 つの問題は、ペースメーカで保護されている、恩恵を受けている方々には、非常に高齢者がいるわけで、その ADL そのものを測定するときも、例えば SPPB というのは非常にいいようなケースがありますが、それさえもまだ世の中にはなかなか一般的になっていません。ですから、 10 年を経て安定した方法でこれからは見ていくと。幾つかの候補は当然俎上に上がりましたが、やはり 10 年以上社会が受け入れて、ガイドラインに 2 回以上乗ってきて、それが認められているというような方法論で、今回は固めております。

○坂谷委員 分かりました。呼吸器のほうは、労災やじん肺など、生活補助や医療保障など、お金が絡んでくる場面がありますので、自己申告といいますか、客観的なデータがない、自分はこれだけ苦しいのだとおっしゃることだけではないのですが、それを判断の材料の大部分にしてしまうと、問題になることがありますので、少し違うかもしれませんが、心臓に関してはありませんか。

○和泉委員 そういう危惧はあります。ですから、これをまとめ上げたときも、私は個人的な意見として、江藤先生に何度も申し上げたのは、やはりこれを発動すると同時に、ナショナルデータベースを立ち上げて、やはりこの改革が妥当なものであったと。それで、是正すべき次のポイントは何であろうかを、きちんと見ていくような形でやっていったらどうだろうかということを何回も申し上げておりますし、その記載も載っておりますので、御参照いただければと思います。

○葛原分科会長 そのほか、いかがでしょうか。ペースメーカや弁置換なども一部含まれていますが、身体障害の心臓機能障害に関しては、この辺りでよろしいでしょうか。本江先生、専門の立場から何かありますか。

○本江委員 和泉先生がほとんどおっしゃって下さったので、特にないのですが、現場としては、先日のペースメーカを植え込んだ方が 91 歳の方であったりなど、非常に患者が多様になってきているということで、なかなか一概に判断できない部分もあります。それから、例えばそのような身体障害の書類を書く立場からすると、いきなり一見さんがこうだから書いてくださいと渡されることはまずなく、やはりそういう患者を治療し、ケアして、フォローして、いろいろな検査結果も踏まえた上で、実際に書くことになるかと思います。確かに、分かりやすい目安として 6 分間歩行などがあるとは思いますが、そういう意味では、やはり患者のバックグラウンドをある程度知った上で書類は書くというようなことをしておりますので、現時点ではそのままでよろしいかと考えております。

○葛原分科会長 そろそろよろしいでしょうか。今のお話の患者さんの年齢からすると、機能障害は心臓だけではなくても来そうな感じもしますね。もう少し、身体障害もグローバルに全身を診るような、老年科の総合診療ではないですが、何かそういう時代も来そうな感じがします。とりあえず、心臓機能障害は、全体としてこのような内容でよろしいでしょうか。(異議なし、了承)

それでは、皆さんに一応質問もいただいたのですが、おおむね御了解いただいたということで、次は人工関節等に関してはいかがでしょうか。私の友達にも人工関節の手術を受けて、普通に運動までできるようになりました。今回の改定は、多分そういう医療機器の進歩を反映して、昔とは随分違って、全く普通の生活もできるようになっている方もたくさんいらっしゃる時代になったことの反映だと思います。

○中村委員 おっしゃるとおりだと思います。これは、もう大変な福音で、不公平感が出るのもやむを得ないという状況だろうと思います。一方で、例えば膝ですと正座ができないなど、可動域にどうしても制限があります。股関節ですと、例えば和式トイレなどに座るようなことはできません。人工関節の構造上脱臼しますので、できないというような制限がありますので、その状況に応じた判定をするのが大事だと思っています。

 それから、先ほど 10 年という話が出ておりましたが、そういうオーダーでいいますと、やはり摩耗の問題があり、摺動面が摩耗しますので、やはり再認定等の予定はしっかりしていなければいけないということがあろうかと思います。しかし、基本的には賛成です。

○葛原分科会長 中村先生、この文書の中に変形やぐらつきがあったのは、これは人工関節の話ではなく、もともとの膝のほうの話ですか。

○中村委員 そうですね。人工関節で、そんなに動揺関節になるということではありません。要するに、基本的には関節というのは難しいところがありまして、しっかり支持ができなければいけないと同時に、動かなければいけないという二面性があるわけです。その両方を満足しているのが普通の状況ですが、そういうものができないと非常に動くのだけれども、実は安定していなくてぐらついて立てない、支持性がないということが起こります。変形も、例えば極端な X 脚、あるいは極端な O 脚をイメージしていただいて、これらで普通の支持性がないということになれば、それは仮に可動域がある程度あっても、それは使えないということになるので、是非それらは入れるべきだと思います。

○葛原分科会長 今度の改定では、人工関節であれば一律にかなり悪いレベルであったのが、新しい医学の進歩に合わせて、比較的普通の機能ができる人から重いところまでに分けたということですね。当然といえば当然の進歩の反映だとは思いますが。

○中村委員 そうですね。先ほど、ここ何十年非常に進歩したというお話がありましたが、人工関節も日本でかなり使われるようになってから、 30 年ぐらい経っていますので、非常に長足の進歩ということですね。ただ、一方で昔は余り長く持たないのではとの危惧もありましたが、かなり早く入れるようになりまして、そして高齢化がありますので、先ほどと同じ問題があり、非常に若く使ったときに 20 年後は大丈夫かという話で、スパンでいえば問題がないわけではないと思います。逆に、非常によくなり、手術の侵襲も少なくなったので、先ほど言ったように、 80 歳の方でも人工関節をお受けになる方がいるというように、広がってきたことがあろうかと思います。ですから、障害の程度とその後の経過で再認定をすることを保障しておくことは、是非必要だと思います。

○葛原分科会長 ほかに、何か御質問はありますか。

○伊藤委員 人工関節については、以前からいろいろと批判をされていたわけですね。特に、整形外科の先生方からは、 5 級の人に人工関節を入れてよくしてあげると。よくしたのに 4 級となると。これは何だというようなお叱りをずっと受けてきたところです。これは、どういう考え方できたかといいますと、人工関節は「装具」という考え方できました。外部の装具というのは、それを外した状態で判定をすることになっていますので、内部の装具という考え方をしています。内部の装具ですから、人工関節の場合は、関節を切ってそこに入れますので、切った状態が要するに装具がない状態になります。したがって、全廃という考え方になっていたわけですね。

 今後は、このように人工関節のような医学の進歩がありますと、ではそれをどう考えるべきかということがあります。先ほど和泉先生がおっしゃいましたが、もうデバイスという考え方から人工臓器というような考え方に変わっていかざるを得ないのだろうと思いますので、この点についても今後きちんと議論をしていく必要があるだろうと思います。

○葛原分科会長 確かに、哲学は昔と今と変わったということですね。白内障の手術をしても、今はすごくよくなられて、眼鏡が要らなくなったという話も聞きます。しかし、あれは眼球を取ったのと同じ状態だと判定しては、却って悪くなったということになりますので。中村先生、何かありますか。

○中村委員 人工関節をたくさんやっておられる方に伺いますと、いや、まだまだ足りないのだという考えは一方であるわけですね。例えば、正座ができる人工関節も必要でしょうとか、和式トイレが使えるような人工関節が必要でしょうということもあり、そういう方からみると、そういうことはきちんと評価してくださいというのは、一方の意見だと思っています。もう一方は、今、伊藤委員が言われたこともあろうかと思います。

○葛原分科会長 確かに、手術をして機能がよくなったのに、逆にグッと障害度が上がるような書類になってしまうのは、全く理屈に合わないですよね。

○中村委員 そうなのです。 4 級の全廃のもの、例えば筋力テストが 2 、重力に抗して手があがらない、足があがらないというもの、あるいは角度が 10 °というようなものと比べると、著しく不揃いの状況だと思います。

○葛原分科会長 心臓のほうが、少し考えは古いような感じもしますね。

○和泉委員 とんでもございません。心臓のほうも、そのような悩みをずっと抱えてきているわけで、多分このあと人工心臓や臓器移植を今はもう一律 1 級として見ているわけですが、これはやはり技術の発達としては妥当性に基づいているわけです。先ほどのように、 10 年見渡せる、 20 年見渡せるとなれば、やはり人工臓器という考え方で今度は考えていかなければいけないと考えておりますので、決して劣っているとお考えいただかないようにお願いいたします。

○葛原分科会長 ペースメーカを入れて心不全が治ったのに、障害度は術前よりも上がったということは起こり得るような気がしましたので。やはり、時代とともにこういう考えは随分変わっていく必要があると思います。医学の発展を反映させた考え方に、委員の方や我々もそうですし、国民の方をもそういう形で啓発していく必要があり、健康な状態に自信をもっていただくことが必要なのではないかと思います。そのほか、いかがでしょうか。

○加藤委員 少し論点がずれてもよろしいですか。級数によって与えられる給付的なものの違いが書かれているところは、どこか資料にありますか。それを知りたいと思ったのですが。患者にとっては、それが大きな問題になると思いますので、級数がよくなってしまったので級数が下がる可能性が出てくるというお話だと思いますので、どのぐらい、どの程度、どのようになるかは、どこかに書いてありましたか。

○森岡課長補佐 私の手元に資料があるのですが、委員にお見せしてもよろしいですか。例えば、旅客運賃割引きや、 NHK の公共料金の割引きなどは、少し軽くなればその分負担が重くなる状況があると思います。それから、自治体の医療費助成制度は、自治体は独自にやっているものですが、大体 1 2 級が普通なので、そこから外れると少し医療費の負担等も出てくることなのかなと思います。

○葛原分科会長 私が関係しているのは、肢体不自由や平衡障害なども、 3 級まででしたらある程度恩恵があるけれども、それよりも軽いと余り恩恵がない感じはしますね。その辺りも、少し頭を切り替えていただくことも必要かと思います。ほかには、いかがでしょうか。

○坂谷委員 些細なことを申し上げます。資料 2 5 ページ、「認定にあたっての留意事項」 ( 別途課長通知 ) 、植え込みから 3 年以内や 3 年後の再認定の際、手帳交付者と書いてあります。普通、手帳交付者と聞けば、我々が手帳を交付する側のもののことを頭に浮べると思うのですが、交付や認定というのは、認定をするのも認定ですし、認定を受けるのも認定という単語でやるわけですね。ですから、手帳を括った中の 4 つ目の○の ICD は植え込んだものであって、 3 級又は 4 級の認定を受けた者と書くのが分かりやすいというか、即ち 1 つ目の○の手帳の交付者というのは、手帳の被交付者あるいは手帳の交付を受けた者とするのが、正しいのではなかろうかと。細かいことを言いますが。

○葛原分科会長 それは、確かにそうですね。交付者というのは都道府県になると思うのですね。ですから、手帳の所持者あるいは被認定者あるいは交付を受けた者と、今、先生がおっしゃったようなものだと思いますので、そのほうが日本語としては正確ですね。そのようなことも含めて、何か御意見はありますか。これを交付されるときには、きちんとした内容で分かりやすく、正確にということが必要でしょうから。そのほかには、よろしいでしょうか。もし何か全体のことについても御発言がありましたらお願いします。今回は心臓、人工関節のことなのですが、折角おいでくださっている先生で、発言がまだの方、よろしいですか。

○飯野委員 腎臓専門なので、やはり腎臓はいろいろ問題があるとは思うのですが、今回の場合は非常にスムーズに納得できる内容だと思います。ただ、これは疾病・障害認定ですから、弱者に対する補助ですから、それを切り取ることは基本的な方針としては避けるべきだと思います。そして、この改定がどういう影響があるかは、先ほど質問もありましたように、経済的な面が 1 つあると思うのですね。そこを、どの程度患者あるいは国がどのぐらい軽減されるのかというデータも絶対必要であるという改定になります。もちろん、多ければ多いほど、患者にはメリットはあるわけですが、公平、公正にこれを判断して給付するという姿勢をもたなければいけないと感じております。

○葛原分科会長 赤川先生、何かありますか。

○赤川委員 ペースメーカの再認定は 3 年ということは明確ですが、人工関節の方は明確に再認定の期間を決めなくてよろしいのですね。

○中村委員 通常、問題が起こる脱臼などは、手術後の組織侵襲から 6 か月、 1 年経ちますと、基本的には大きな問題は起こりにくいと思いますね。ですから、通常は 5 年の間には安定しているかどうかが決まってしまうように思います。それ以降は、非常に安定した形になりますので、数としては少ないと思います。ただ、よくなくなった人については、多分必ず病院で診察をお受けになって、術者のところに戻られますので、そこでまた考えていただければいいのではないかと思います。何年ごとにやらなければいけないとは、通常はそのようになっていないと思います。

○葛原分科会長 奥野委員、専門分野は違うかもしれませんが、何かありますか。

○奥野委員 私も、症状の軽快に従って、認定が軽くなると、非常に納得のいく本日の議題だと思います。

○葛原分科会長 白阪委員、何かありますか。

○白阪委員 今日のお話の中で、 1 つ分からなかったところは、これによって等級が軽くなるという考えでよろしいのでしょうか。場合によっては、身体障害手帳の発行を停止するというか、それを返さないといけない方も出ることがあるのかどうかをお伺いしたいと思います。

 それから、ペースメーカあるいは人工関節が入っているということは、やはり身体障害者であるという認識でいいのでしょうか。 3 つ目は、デバイスあるいは人工関節等が入っている方は、今のメリットはおっしゃるとおりなのですが、入っていることによるデメリットについての検討が余り聞かれなかったと。患者自身の負担等についての配慮も一応していただけたほうがいいのかなと思いましたが、総論としては今日のお話は非常に納得ができましたので、異論はありません。

○葛原分科会長 最後の話は、江藤先生が検討されたときに、デメリットのことは検討されたのかという質問でしたよね。あとは、等級が軽くなったり、外れる人があるかどうかは、森岡補佐辺りからかと思うのですが。江藤先生、何かその辺りの検討はありますか。

○江藤オブザーバー デメリットに関しては、今回の改正では、やはり既に既得権のある人に関しては、新たな申請者ということなのですね。それで比較した場合には、御本人がよくなっている方が申請して軽くするのは、本当は制度的にはあるのですが、余りないのですね。ただ、そういう意味では、不公平感が以前にあったものよりはずっと解消されてくるのだろうと思います。ですから、個々には年金制度の等級や労災の等級とはまた別なのです。ただ、医療費の補助などに関して、自治体によってかなり差があるのですが、その辺りで少し不満をもたれる方は出る可能性はあるかと思います。

 それから、障害をどのように捉えるかということ自体が、今、かなりホットな課題で、国際的にも議論がされています。身障法ができて、もう随分になるのですが、内部障害を加える段階で、例えば 1 級、 3 級、 4 級で日常生活の制約をされているわけでもないという表現があります。しかし、実質的には、心臓に関しても、心電図や胸部レントゲン写真でという形にしています。労災や年金に関しては、大分また改定がされているのですが、心臓に関して、あるいは呼吸器は大分改定されているかもしれませんが、現在もいろいろな検査法があるわけですね。そういったものも反映した医学的な診断も含めて、今回非常に明確なものに関して一応答申させていただいたのですが、課題はいろいろあるなと感じておりますので、こういったテーマの研究は継続される必要があるかと思っております。

○葛原分科会長 あとは、 2 つのことについて、お願いします。

○森岡課長補佐  1 つ目の質問の答えですが、ペースメーカについては、最もよくなったとしても 4 級です。人工関節等については、かなり回復をして判定を受けた場合は、非該当になる可能性もあります。

2 つ目ですが、身体障害者福祉法の障害者の定義は、手帳を受けていることですので、人工関節を入れていることをもってイコール身体障害者ではないということです。

○葛原分科会長 人工関節についてもよろしいですか。私などは、今、難病の審議をしていて、ある病名が付けばすごいメリットがあるけれども、同じような障害も病名が付いていないとメリットがないというのは、非常に不公平だという声は多いのですね。ですから、このようなものは、先ほど飯野先生がおっしゃったように、障害のある方をできるだけ社会でサポートすることと一緒に、同じような障害があるものの中で差別感を生むようなことは、避ける必要があります。この 2 つのことは、常に勘案して決めていかなければいけないと私は思っています。早川委員は、何かありますか。

○早川委員 この 2 つに関してだけですね。

○葛原分科会長 基本的にはそうですが、もしどうしても言いたいことがあればどうぞ。

○早川委員 私は、膀胱、直腸機能障害担当なのですが、これは正にどこへ行ってもいろいろ意見が出ます。同じ症状あるいは障害、 ADL でも、原因疾患によって切られています。要するに、子宮がんの手術や放射線による尿路の障害、排便の障害、高度な排尿障害にもかかわらず認定されないという現状があり、 2 つ問題が起きています。 1 つは、今回もガイドラインなどで出ていますが、結局自治体の担当者に身体障害者の手帳交付に関して責任があるわけです。そうすると、自治体によって差が出てくる可能性があります。

 もう 1 つは、実際に裁判が行われています。この疾患で症状がひどいのにどうして認められないのだといったときに、裁判所の見解などは、これは法的な拘束力がないのだと。そして、例えば子宮がんの手術を除外していることの正当性を説明せよと言われたときに、ではそれを誰が出て行って説明するのかという問題もあります。是非膀胱、直腸もそのうち俎上に乗せていただき、検討していただきたいという希望は非常に強いので、そういうことをお伝えしたいと思います。

○葛原分科会長 今、早川先生がおっしゃったのは、私も前に委員長として相談されたことでもありました。確か、あれは二分脊椎などの先天性の病気による場合はいいのですが、今言ったような骨盤部の癌などのいろいろな手術で、膀胱ろう(瘻)ができたり、失禁になった場合などは、障害はひどいのに救済の対象にならないということでした。ですから、私が先ほど言いましたように、病名による差別がすごくあります。そのような点からいいますと、本来の趣旨に反するのではないかと思うようなことがたくさんあり、早川先生から説明はできませんよね。

 というようなことが、実際にいろいろな分野にあるということで、もちろん厚労省の方もよく御存じのことなのです。ですから、是非法の中にいわゆる障害を全部含めて、これならいい、これなら悪いというのではなくて、公平性の確保をやらなければいけない時代になっているのではないかと感じています。そうでなければ、説明責任を果たせない感じもしておりますので、是非部長さん以下、そのような意見もあるのだという現場のことも、少し心にとめておいていただければと思います。そのほか、何かありますか。

 江藤先生、実は最初に先生からこのことを言ってもらえばよかったのかもしれませんが、最後になってしまいました。まだ追加はありますか、もうよろしいですか。

○江藤オブザーバー 病名による差別のことは、もともと制限列挙方式で挙げてきているやり方なので、その辺りも含めて将来的に障害認定を抜本的に考え直す時代に来ているのだろうとは感じております。それは、かなり膨大な作業になるかと思います。

 それから、膀胱直腸障害、二分脊椎に関しては、例えば膀胱ろう(瘻)が作られているケースですと、そういう形から実際に障害認定ができるようにもなってきていますので、かなり解消はされてきていると思うのですね。ただ、やはり身障福祉法そのものが昭和 24 25 年なのです。やはり、社会の構造、医学がものすごく進歩しています。それから、いろいろな生活をサポートする基金あるいは環境の面も随分変わってきていますので、課題が多いなということは非常に実感しております。

○葛原分科会長 昭和 24 年ですか。ですから、 60 年前の制度でやりくりをしているのですから、やはりなかなかスムーズにいかないところはあるのだと思います。そういうことも含めて、またこういうことがまとめて検討できるような機会があればと思います。よろしいでしょうか。

 今日のお話をお伺いして、随分身体障害のことも変わったという気がしました。最近、リハビリの本を読むと、以前は何ができないという基準で WHO などもやっていましたが、今は何ができるかという基準でやっているので、人工関節の話などは正にそのような気がします。要するに、このような障害の方をどのように社会で支えるかは、まだいろいろと欠けている部分もあるかと思いますが、それと一緒に現在の医学を反映して、身体障害者の方々が、自力でできるようになった機能に関しては、障害ではなくて、むしろ体の一部ということでどんどん活躍できるような、そういう身体障害法であってほしいという気もいたします。ということで、これで終了してよろしいですか。

○森岡課長補佐 それでは、人工関節の見直し案についてもご了承をいただいたということで進めさせていただきます。 1 点報告事項があります。呼吸機能障害の認定に関して、作業を進めております。といいますのも、予測肺活量を測るための計算式が、身体障害者の認定の基準と、じん肺の被害者救済のための基準と異なっております。じん肺のほうが新しいということです。日本呼吸器学会にその計算式を作っていただいているのですが、そちらのほうの基準を導入できないかということで、今、厚労科研の特別研究班に、新しい計算式に替えた場合のいろいろな影響についてシミュレーションをしていただいているところです。この結果を踏まえて、また見直しを検討することになると思いますので、その際は御審議をよろしくお願いしたいと思います。

○葛原分科会長 それは、また 1 2 年ぐらいのうちに出るのですか。

○森岡課長補佐 特別研究は今年度一杯ということで、報告書は来年度早々に出てきて、それを確認してということになると思います。

○葛原分科会長 ペースメーカの報告書が出た時期から判断すると、時間がかかりそうではないですか。関節のものが出たのが、去年の 11 月と書いてありましたから、出てから 1 年ぐらい経ったらこのような会があるかということで、そのときにもまた皆様のかなりの部分はお話できる機会もあるかもしれません。

 本日は、本当に遅い時間から長時間、非常に熱心な、なかなか機械的なことだけではなく、考え方まで含めて、皆様の御意見をお伺いできて、私にとっても勉強になりました。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

障害保健福祉部企画課人材養成・障害認定係
(代表電話)03(5253)1111(内線3029)

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