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2013年9月4日 第25回医薬品・医療機器等対策部会 議事録

医薬食品局安全対策課

○日時

平成25年9月4日(水)


○場所

厚生労働省 専用第23会議室(6階)


○議事

○事務局 開会に先立ちまして、傍聴の皆様にお知らせいたします。傍聴に当たっては、既にお配りしております注意事項をお守りくださるよう、お願いいたします。また、本日の部会は従来の取扱いと同様、公開で行うこととしております。カメラ撮りは、議事に入る前までとさせていただきますので、マスコミ関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をよろしくお願いいたします。

 定刻になりましたので、ただいまから「第 25 回医薬品・医療機器等対策部会」を開会いたします。本日御出席の委員の先生方におかれましては、御多用のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。本日は、本部会委員 14 名中、 12 名の出席をもちまして、部会を開催いたします。なお、寺井委員、望月委員は御欠席との連絡をいただいております。原田委員は、少し遅れていらっしゃいます。

 初めに、委員の交代がありましたので、御紹介いたします。公益社団法人日本歯科医師会の溝渕先生の後任として、瀬古口先生に御就任いただいております。

 続いて、 4 月以降に事務局で人事異動がありましたので、新たな着任者を紹介いたします。医薬食品局長の今別府です。審議官の成田です。医薬食品局安全対策課長の森口です。同じく、安全対策課安全使用推進室長の広瀬です。独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監の山本です。同じく、安全第一部長の渡邊です。
 これ以降は議事に入りますので、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。この先、議事進行は外部会長にお願いいたします。

○外部会長 九州大学麻酔・蘇生学の外です。進行役を務めさせていただきます。どうぞ、よろしくお願いいたします。

 それでは、初めに事務局から資料の確認をお願いします。

○事務局 配布資料の確認をいたします。座席表、議事次第、委員名簿、配布資料一覧を綴じております。配布資料一覧に従って、資料の確認をいたします。資料 1 「ヒヤリ・ハット事例等収集結果 ( 医薬品 ) 」、資料 1 の別添資料、資料 2 「ヒヤリ・ハット事例等収集結果 ( 医療機器 ) 」、資料 2 の別添資料、資料 3 「薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業等収集結果」、資料 4 「医療安全関連通知」、資料 5 PMDA 医療安全情報」です。続いて、参考資料として、参考資料 1 3 は、それぞれ資料 1 3 に対応する参考資料となります。参考資料 4 「医療事故情報収集等事業について」、最後に参考として、当部会の設置要綱等が付いております。

 また、本日は委員の机上のみになりますが、当日配布資料があります。資料は以上となります。不足等ありましたら、お申し付けください。

○外部会長 資料はよろしいでしょうか。それでは、議事を進めてまいります。本日の議事は、検討事項が 3 つと報告事項となっております。本日は、検討事項に入る前に、本部会の位置付けの再確認も含めて、日本医療機能評価機構の医療事故情報収集等事業について説明をいただけるということですので、事務局より説明をお願いします。

○事務局 資料の最後に付けております「参考 1 」の当部会の設置要綱を御覧ください。本部会の位置付けについて、改めて御確認いただければと存じます。本部会の設置目的は、医療安全の専門的事項に関する審議を行うため、「医療安全対策検討会議」の下に設置するとされております。次のページの「参考 2 」に、その関係が図に示されております。また、本部会の検討事項は、医薬品・医療機器等の物の要因に係る安全管理対策に関する事項とされております。一方で、人が原因で発生したヒヤリ・ハット事例や事故事例の方策について検討するのが、親検討会の下に当部会と並んで位置付けられています「ヒューマンエラー部会」という整理となっております。こちらについては、現在、医政局総務課の所管する事業として、日本医療機能評価機構が実施する医療事故情報収集等事業として対応されているところです。この役割の整理の下、本部会の資料構成について、今回一部変更しております。

 資料 1 の表紙を御覧ください。後ほど御報告します調査区分の 4 区分のうち、「ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例」及び「情報不足等のため製造販売業者による対策が困難と考えられた事例」については、資料とは分けて参考資料としております。なお、「情報不足等」については、表紙の注釈にありますとおり、本調査・検討は、医薬品・医療機器の使用方法及び名称・包装等の物的要因の観点から、安全管理対策に関して検討することを目的としておりますが、医療事故の再発防止を目的として実施されている医療事故情報収集等事業において収集した情報を活用して検討を行っているため、医薬品等に係るヒヤリ・ハット事例及び医療事故事例を分析するには限界があり、物の観点からの対策は困難と整理された事例となります。

 本日は、本調査・検討の情報源である医療事故情報収集等事業の概要について、医政局総務課から御説明いたします。お願いいたします。

○事務局 参考資料 4 「医療事故情報収集等事業について」に基づき、説明いたします。まず、医療事故情報収集等事業とは、平成 13 年に医療安全対策ネットワーク整備事業として、ヒヤリ・ハット事例の収集等事業が開始されております。こちらについては、現在、医薬品医療機器総合機構になっております。そして、平成 16 年に医療事故情報収集等事業が開始されており、現在の登録分析機関が日本医療機能評価機構となっております。

 本事業の目的ですが、医療機関から事故情報及びヒヤリ・ハット情報を収集し、更に学会等からも幅広く事故防止に有用な情報を収集いたします。それらについて分析を加えた上で、改善方策等を広く社会に提供し、また医療機関からの相談に応じて、必要な助言・支援を行うことを目的としており、総体的に医療事故の発生予防、再発防止を促進することを目的とした事業になっております。これらの情報については、匿名化して取り扱うこととしており、懲罰的な取扱いはしないことになっております。

 次に、下のスライドを御覧ください。医療法施行規則の中で、この医療事故情報収集等事業の対象について、イ、ロ、ハと書いております。この医療事故情報収集等事業の対象になるものとして、イは、誤った医療又は管理を行ったことが明らかであり、その行った医療又は管理に起因して患者が死亡、あるいは患者に心身の障害が残った事例、あるいは予期しなかった若しくは予期していたものを上回る処置その他の治療を要した事案が対象になっております。

 ロは、誤った医療又は管理を行ったことは明らかではないが、行った医療又は管理に起因して患者が死亡、それ以降は、イと同じ文言になりますが、ロも対象になっております。

 ハは、上記のイ及びロに掲げるもののほか、医療機関内における事故の発生の予防及び再発の防止に資する事案です。これらのイ、ロ、ハについてが医療事故情報収集等事業の対象になっております。

 次のページには、当該事案が発生した場合には、原則として 2 週間以内に登録分析機関にその旨を提出しなければならないと書かれております。対象となる医療機関ですが、報告義務がある医療機関があり、特定機能病院、国立ハンセン病療養所、独立行政法人国立病院機構の開設する病院、大学病院、そして国立高度専門医療研究センターといった病院が、報告の義務がある医療機関となります。ほかにも、参加登録申請医療機関として、上記の報告義務の対象医療機関以外でも、参加を希望する医療機関については、必要事項の登録を経てこの事業に参加することができるとなっております。

 次のページが、 2012 12 31 日現在の参加医療機関の数です。1から7まで分けておりますが、トータルで事業参加の医療機関数が、現在 1,322 医療機関あります。そのうち、ヒヤリ・ハットのほうに参加をしている医療機関については、 1,092 医療機関あります。そして、事故参加医療機関については、義務の医療機関が 273 、任意については 653 医療機関となっております。

 その次に、情報収集・分析から成果の還元についてまでの流れです。まず、医療機関から医療事故があった場合には、1報告義務、2任意参加の医療機関から Web で報告をしていただくことになります。その内容については、1選択項目と2記述項目があり、 Web 報告を通じて日本医療機能評価機構に報告をしていただくことになります。そして、評価機構の運営委員会、総合評価部会、事務局の中で評価を行い、下の矢印にありますように、報告書の年報の作成や医療安全情報の作成、事例データベース、研修会に還元をしていくような形になっております。ヒヤリ・ハットについても同様で、このように評価、分析、成果の還元を行っているところです。

 次のページは、報告方法と報告内容の一例です。医療機関が Web にアクセスをし、こういった報告をすることになっております。例えば、 1. 事故の起こった発生年月日、 2. 医療の実施の有無、 3. 事故の程度及び事故の概要、 4. 発生場所、 5. 患者の数や患者の年齢及び性別、 6. 事故の内容、発生要因等について、合計 28 項目ありますが、これらについて情報を Web で記入していただき、報告をする形になっております。

 医療事故事例報告数の推移ですが、平成 17 年から平成 24 年まで、報告件数が伸びております。その要因としては、この医療事故情報収集等事業の制度の趣旨について、医療機関でも理解が深まり、医療機関からの報告数が増えているものと理解をしております。

 次のページは、ヒヤリ・ハット事例報告の総件数の推移です。こちらも、同様に報告件数が上がっています。報告書・年報の作成ですが、こちらに示したように報告書が作成されております。これまでに報告書が 32 回、年報が 7 回作成されており、その内容の構成としては、事業の概要や集計をした分析の結果、テーマごとの分析の記載もされております。そして、再発・類似事例の発生状況についても、この中で記載がされております。

 次のページは、医療安全情報の配信です。パンフレットのような形で、例えばこちらですと、手動式の肺人工蘇生器の組立て間違いで、イラストを挿入して分かりやすく医療機関にアナウンスをしております。下のほうが、 Web による情報提供のアクセス件数です。こちらも、この情報収集等事業の趣旨への理解が深まり、アクセス件数についても年々伸びております。 Web でも、いろいろ報告書等も公開をしておりますので、 Web からの情報提供も 1 つの有意義な情報となっております。簡単ですが、医療事故情報収集等事業について、説明いたしました。

○外部会長 委員の先生方は、既にこの部会の位置付けは御存知だと思いますが、もう一度再確認ということで説明していただきました。参考資料 4 にありますように、医療事故情報収集等事業は平成 13 年に開始されました。当時は、いろいろな医療事故が起きており、それに関して国でもいろいろな対策を打つ一貫の流れの中で、平成 13 年に医療安全対策ネットワーク整備事業として、医療情報の収集が始まりました。まさに、 PMDA を中心として、医薬品・医療機器に関するいろいろな手を打ってきた流れがあります。

 一方では、平成 16 年の収集事業が、新しく日本医療機能評価機構の立ち上げとともに、全国から多くの事案を集め、更に検討していく流れができたわけです。本日は、その詳しい説明をもう一度していただきました。現在までに、どのような事故報告数であったのかという推移、最近の Web の利用等の説明もありました。参考 2 の追加資料でも提供されている図ではありますが、一番上に「医療安全対策検討会議」があり、その下に「医薬品・医療機器等対策部会」があるのだということが示されております。そして、この部会には直接 PMDA の検討会で検討した結果が報告され、委員で再検討が行われているわけです。

 一方の流れとしては、「ヒューマンエラー部会」が位置付けられており、今、説明がありましたように、こちらについては日本医療機能評価機構で分析をし、いろいろな対策を打っていく流れがあります。ただ、この委員会でいつも議論になりますが、この部会としては物に特化していろいろな対策を立てていくことの議論を進めているわけですが、人と物はもちろん分けられるものではありません。必ず、物を使うのは人ですので、物だけの議論ではなかなか不十分だということで、いつも人の問題も取り上げられるところではあります。ただ、人、あるいはヒューマンエラーについては、日本医療機能評価機構で具体的な対策まで検討していく流れがありますので、この検討部会は飽くまで医薬品・医療機器の物に関する問題点、あるいは改善点を検討していくことを再認識するというようなことで、本日このような説明があったのではないかと思います。そのような流れで、今回、ヒューマンエラーに起因する問題については、参考資料として示され、委員の皆さんには前もってその部分について目を通していただくことにはしております。その中で、特に物との関連として取り上げたほうがいいことについては、これまで同様、是非御指摘をしていただき、何らかの対応を話し合うことができるのではないかと思っています。

 全体の流れについてはお分かりいただいたと思いますが、この点に関して何か御質問やコメント等があればお願いします。よろしいでしょうか。

 それでは、議事次第に従って、議事を進めていきたいと思います。まず、 1 番目の「医薬品ヒヤリ・ハット事例等収集結果について」、事務局より説明をお願いします。

○事務局 資料 1 を御覧ください。 1 枚おめくりください。今回の報告の調査対象は、 1) 医療事故関係については、日本医療機能評価機構 ( 以降、「評価機構」という ) による医療事故情報収集等事業第 31 回・第 32 回報告書中の記述情報、及び評価機構ホームページ上の公開データから抽出した平成 24 7 1 日~ 12 31 日の間に報告された事例、 2) ヒヤリ・ハット事例関係については、当該報告書中の記述情報から抽出した平成 24 7 1 日~ 12 31 日の間に報告された事例、 3) その他については、当該報告書中の記述情報から別途抽出した医薬品に係る事例となります。

 これらの、医薬品に起因するヒヤリ・ハット等の事例について、医薬品の使用方法及び名称・包装等の観点から安全管理対策に関する専門的な検討を行うため、各医療関係職能団体代表等の委員から構成される PMDA における医薬品・医療機器安全使用対策検討会で検討された結果を報告いただいたものです。

 今回の調査報告では、次のページの上の表にあるように、合計 159 件について調査を行っています。結果は表に示す 4 つの区分のとおりで、「医薬品の安全使用に関して製造販売業者等による対策が必要又は可能と考えられた事例」が 0 件、「製造販売業者等により既に対策が取られているもの、もしくは対策を既に検討中の事例」が 6 件、「ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例」が 129 件、「情報不足等のため製造販売業者による対策が困難と考えられた事例」は 24 件でした。

 検討結果については、次の 1 ページから御覧ください。「製造販売業者等により既に対策が取られているもの、もしくは対策を既に検討中の事例」の 6 事例について、簡単に説明します。この一覧表は、評価機構の公開データに対して、一番右側の列に PMDA における検討会の結果が追記されたものとなります。この No.1 No.4 は、 PTP 包装シートの誤飲事例です。いずれも入院中の患者で服薬については自己管理ができていたとの患者ですが、 1 錠ずつに切り分けた薬を誤って PTP シートごと内服してしまったという事例です。

PTP シートの誤飲については前回も報告しましたが、別添資料の 4 9 ページにあるように、平成 22 9 15 日付けの国民生活センターによる報告書を踏まえて、同じく別添資料の 1 3 ページ、参考 1-1 の同日付け「 PTP 包装シート誤飲防止対策について」により、誤飲防止に関する医療機関や薬局への注意喚起がなされるとともに、製造販売業者に将来的な技術の進歩を見据えた包装の改良及び改善のための研究開発の継続を行うことが要請されています。

 業界団体により、ミシン目を 1 方向のみとし、 1 錠ずつに切り離せないような構造とするなどの工夫が行われているところですが、 PMDA における検討会においても、業界団体の委員より、シートの大きさや硬さの変更や溶ける材質等のアイディアはあっても、実際には薬剤の吸湿性等の問題から、現在も対応が難しい状況にあるとの報告がありました。また、バラ錠があっても、バラ錠とシートの 2 つのアイテムを採用するのは、病院側としても難しいのではないかといった御意見もありました。

 資料 1 3 ページを御覧ください。この 5 番については、内服液剤の処方箋の書き方によるヒヤリ・ハットの事例です。処方箋には「デパケンシロップ 5 15ml 1 3 ( 毎食後 ) 」との記載から、 1 回量は 5ml のところを 15ml と勘違いして薬剤を多く準備したという事例です。

 内服薬の処方箋の記載方法については、別添資料 11 ページ、参考 1-2 のとおり、平成 22 1 29 日付け「内服薬処方箋の記載方法の在り方に関する検討会報告書の公表について」の中の 20 ページに、「『分量』については、最小基本単位である 1 回量を記載することを基本とする」と示されています。

 資料 1 4 ページを御覧ください。この 6 番はグリセリン浣腸による直腸穿孔の事例です。別添資料 41 ページ、参考 1-3-1 のとおり、 PMDA 医療安全情報 No.34 において、「グリセリン浣腸の取扱い時の注意について」により注意喚起されており、また、製造販売業者においても、別添資料の参考資料 1-3-2 の患者への使用法の説明文書や、参考 1-3-3 の添付文書等により注意喚起が行われています。

 参考資料 1 については、事前に委員に送付しており、特に事前のコメント等はありませんでしたので、説明は割愛します。資料 1 については、以上です。

○外部会長 医薬品に関する事例についての結果報告をしていただきました。昨年 7 月から 12 月までに報告された事例の中から検討したものです。既に対策が取られているもの、あるいは既に検討中のものが 6 事例あったということでした。これから対策が必要、あるいは可能と考えられた事例はゼロでしたので、既に取られている対策についての説明だったかと思います。 1 つは、 PTP 包装シートの問題が指摘されました。もう 1 つは、薬品の記載、処方箋の書き方によってヒヤリ・ハット事例があったということでした。もう 1 例はグリセリン浣腸のことで、これもこれまで指摘された事故例かと思います。今、報告がありました医薬品に関する事例等収集結果について、何か御意見があればお願いします。いかがでしょうか。土屋委員、コメントをお願いします。

○土屋委員 新たに対策はないものの、 PTP の誤飲は極めて医療機関にとっては悩ましい問題ですが、これの発生頻度は極めて小さいと思うのです。我が国の国民が飲む回数は 1 年で恐らく何億回とかだと思いますが、何億回分の幾つという頻度で発生する。ただ、医療は何せゼロを求められるものですから、そこら辺が難しい。しかも特色が、例えば認知症であるとか、そういうある種の方だけに起きるのならば、それはそれで対策の取りようがあるのですが、必ずしもそうではなくて、通常、自己管理をされている方でも起こしてしまうという意味でも、その対策が非常に難しいものなので、これは国民への啓発活動をどんどん徹底していく必要があります。

 もちろん、ここの別添資料にあるように、 PTP の誤飲をしないように気を付けましょうというパンフレットとか、そういうものを出したりとか、対策はしているわけですが、全体としてこういうことを考えていくためには、本当に教育をきちんとする。でも教育をしていて知識があっても、ついうっかり、本当に患者としてヒューマンエラー的に起きてしまう。物の対策というと、アメリカのように目茶苦茶に 1 錠が絶対飲めない大きさにするとか、あるいはバラ包装で PTP を使わないこともあるのですが、そうすると、今度は品質保証からいったときに、なかなか難しいですし、アメリカの 10 錠シートなどは、もともと製薬会社が余り作らずに、リパッケージというパッケージングだけをやっている業者が向こうはやっている。だから、そのために偽薬があるのではないかという気がするのです。そうすると、大体 30 錠ぐらいのシートですと、 iPad よりも大きいのです。ですから、 1 錠のシートの大きさがバイアルより大きいものですから、それは確かに絶対飲めないのですが、我が国でそのようなことをやれるかといったときに、これは現実問題として無理かと思うので、品質保証という話もあり、この誤飲事故の対応はなかなか難しい。また、 PTP シートに糖尿病用薬とか糖尿病の薬ですよとか書いてあることで、患者さんに注意喚起をすることもできるものですから、何でもバラにしてしまって 1 包化すればいいという話でもないと思います。

 ここら辺については、どうしても啓発活動をやっていく。私などは、テレビで製薬会社があれだけ CM を流されるのだったら、最後のところでついでに「 PTP を誤飲しないように気を付けましょう」と、「医師・薬剤師に聞きましょう」と必ず入れるという啓発活動をあれぐらいの頻度でやっていただくと、かなり気を付けるようになるのかという気もします。これは本当にいろいろな所で対策を取って、それでも恐らく報告そのものはずっと余り減らずに出てきてしまうという気がするので、是非ここは。「みんな PTP は誤飲しないようにしましょう」と言われたら、「そんなのするわけないでしょう」と、皆さんは自分でそう思ってしまうものですから、そこのところを本当にどうするかがなかなか難しいというのがあるので、ここは新たな対策とすると、本当に国民啓発活動をきちんとやるという話であって、物で対応するという話では余りないという気がします。

 もう 1 件、 5 番の、 1 日量を 1 回量と思ったという事例ですが、内服薬処方箋の記載の報告書の 6 ページにもあるように、「短期的方策」の 2) では、 1 回量と 1 日量を併記しろというようになっているのです。将来的には 1 回量だけれども、今は移行期でもあるし、短期的対策としては 1 回量と 1 日量を併記するということですが、実はこれは毎年、医療情報学会の連合大会のときに、この経過について各ベンダーから報告があるのですが、昨年度の報告を見ると、大手の 5 社は全て標準パッケージとして 1 回量と 1 日量の併記をできるようにもうなっていると。

 もともと 1 回量と 1 日量を併記するのは、現在の保険の通知でも併記しなくてはいけないことになっているのですが、ほとんどの人が守っていなかったということです。分量としては 1 日量の内服薬は書くけれども、用法として 1 回量を書けということが書いてあるにもかかわらず、誰も守っていなかった。だから、それを遵守することにしましょうという新たなルールではなくて、その現行の保険のルールを遵守しましょうというのが、この短期的方策の所に書かれている併記なのです。

 ですから、そこが実は標準パッケージになっているのですが、病院からそれにしたいという希望がない限り、その設定をしていないという、ベンダーのほうはそういう対応をとっているのです。むしろ、そこを併記していれば、今回のものは 1 5ml 1 15ml と必ず書かれるわけですから、そういうことが大事なのかという気もするのです。一般名処方のことがあったので、最初のプログラムから見るとこれが全体に 2 3 年遅れているのです。ですが、そういった意味で、まず必ず全体で現在の保険の通知を遵守して、 1 回量と 1 日量を併記するということで、この手のものは防げるのかという気がします。

 物としての対策はないのですが、そこのところをだんだん徹底していく形で、もともと内服薬処方箋の記載のときは、後ろを切るべきであるという意見が委員から出たのですが、何せお金がないから強制的にすることができないので、リプレースのときに変えられるようにしましょうと。当時、リプレースは 5 年ぐらいかと言っていたのですが、景気が悪くなって、今、リプレースは大体 7 年とか 8 年で変えるとなってきているものですから、あるいは、ソフトだけ変えてハード的には変えないとか、いろいろなことがあって、もう少し時間がかかるのかと思います。この短期的方策をきちんと遵守することがこれの対策であって、物の対策を取るという話ではないという気がします。

○外部会長  PTP の問題について、今、御指摘がありました。これを無くすというわけにはいかないので、やはり啓発活動が大事であるという御意見でした。

○森委員 今の PTP の問題で、これは病院の事例が報告されていますが、在宅での報告はまだ挙がってきていないようですが、病院同様に心配なところです。特にいろいろな施設ができてきて、そこでもこのような問題が起き得ると思います。そういうことを考えると、在宅を含めてきちっと対策、啓発が必要だと思います。ただ、現状、在宅での報告が挙がってきていない理由の 1 つとして、在宅で療養している患者の場合、自己管理が難しい患者が多いので、多くのケースで一包化しているためと思われますが、このような事故は、在宅でも起こり得るので対策が必要だと思います。

 もう 1 点、事故 No.2 で、 PTP シートを切り離してしまったという事例ですが、これは確かに切り離すことによるリスクがあるのに切り離してしまったことも、事故の原因ですが、もう 1 つは、患者が自己管理をしていた方法を変えたことによって誤飲が発生してしまったのではないかと思います。何が言いたいのかというと、例えば入院中の薬剤の管理方法から、退院されて外来・在宅療養になった患者に投与するときに、入院中にどのような医薬品の管理をしていたのか、どのような出し方をしていたのか、そういう情報のやり取りをしていますが、連携が非常に重要で、連携によって事故が防げると思います。

○松月委員 浣腸については、注意喚起を行っています。左を下にした側臥位が望ましいと基準書に書いてありますが、手順は余り問題ではなかったけれども右を下にした側臥位で、実際こういう事例があったとなると、これから高齢者が増えてくる中で、看護師としてこういう事例をどう対処すべきか考えます。腸管粘膜が非常に弱くなっている方であったりとか、昔から痔があったりとか、そういう傷が付きやすい方は多くなってくるわけですので、確かにこの添付文書のとおりなのですが。何か追加するとしたら、例えば、これから高齢者が多くなるので、「適用上の注意」の「投与時」の所に一言、特に高齢者の場合は非常に粘膜が弱くなっているのでというようなことを書き込むという対策も考えられます。この事例で発見されるまで 5 日ぐらいかかっていることを加味すると、多分、直後に安全かどうかを内視鏡で覗いたとしても分からないという微妙な事例でしょう。このようなものはヒューマンエラーとして片付けるレベルとも言えるのでしょうが、物で対策となると、これはなかなか難しく、また、物ではなく、例えば教育でと考えても難しい事例だと思って読ませていただきました。委員の先生方の中で、このような対策があるのではないかという御意見があれば、頂けると非常にありがたいです。

○外部会長 今の御指摘はいかがでしょうか。なかなか物の改善については、できるだけのことをやった上で、なおかつ、そこにプラスアルファのいろいろな教育、情報周知、啓発活動の全てがかかわってくることだと思います。何か御意見はありますか。 PTP のこういう問題は、薬局レベルではかなり情報提供はやられているわけでしょうか。

○森委員 情報提供ももちろんしていますが、患者の状態等を見て、自己管理ができるかできないか、できないときには 1 包化をする、また、家族の協力を得るなどは、やっています。

○土屋委員 切らない文化を、シートから出しながら飲む文化をどう作っていくかという話だと思うのです。その前に、実は今度は医療安全のためにバーコードが PTP シートにも付くようになるというか、一部のものは既になってきていますが、平成 27 7 月以降は全部になるのですが、そういったときに、例えば 1 錠に 1 個バーコードが付いているということは、実は切ったときにもう分かるようにということで付けられているのですが、その前提をやめなくてはいけなくて、シートは切るものではないと。

 今、縦か横のスリットしか無いようにはなっているのですが、薬剤部長にそういう質問が来て、「 1 錠に 1 個あったらいいですか」と聞かれたら、恐らく皆さんが「あったほうがいい」と答えると思うのです。それは現実、実態として 1 錠に切っているから。だけど、それを無くさなくてはいけない。 PTP シートのバーコード表示は、ルールは 1 シートに 1 か所となっているので、私はむしろそういうのが本当は良い。ただ、アンケートを取って 1 錠に 1 個あったほうがいいかと聞くと、そうなってしまう。

 病院薬剤師会でそのアンケートの取り方について調査をしたのですが、 1 錠に 1 個バーコードを入れたらこのようになりますと。それでもあなたは 1 錠に 1 個を要求しますかと質問すると、「それは要らない」と言うのです。ですから、ただ希望だけを聞くアンケートの取り方をするのではなくて、実態を見せながらやると、内容が変わることがあるので、そういうことも含めて、本当に切らない文化をどう作るか。実際、この例でもほかのものは 1 包化していても、臨時で出たものはどうしても 1 錠だけ切るとか、そのときにいちいち角を丸くするかといったら、そのようなことはやっていられないのが現状ですので、そこら辺を含めて言えば、これは本当に切らない文化をどう作るかを検討していかなくてはいけないという気がします。恐らく物として対策をとるとすれば、その気にさせない包装、印刷方法などは考えていかないといけないというのはあります。

○外部会長 よろしいですか。これという決定的な対応というわけには、なかなかいきませんが。

○目黒委員 物のことではないのですが、参考資料 1 の医薬品のことを読んでいて、「臨床工学」という名前が見えたので気になって読んでいたら、今後新たにこういうことが起こりうるという事例がありました。医薬品のヒューマンエラーですが、 63/93 ページの 1 番です。中心静脈カテーテルの、麻酔科医がいるので手術室かどこかで、臨床工学技士とか、その他に、この前の事例にも CRC コーディネーターが関係する事例があったので、医療行為を行う現場の中に我々臨床工学技士とか、他の職種の人たちが入ってきている事例の問題です。これはヘパリン原液を吸ってしまったという事例。通常、いつも臨床工学技士がやっている血圧のトランスジューサのチューブに水を満たすところですが、そこのシーンの中でいつも臨床工学技士がやってくれるところを、その臨床工学技士がちょうどいなくなって、看護師がヘパリン原液を渡してしまったという事例です。

 これが医薬品の所に出ていたものですから気になって、こういう薬剤の取扱い、あるいは運用に関しては、今度は医師・看護師だけではなく、そこの中に入っているスタッフ全員で、薬剤の使い方、運用の周知をしていかなくてはいけないことになってきたかと。我々臨床工学技士も、手術室の中で業務を行いますが、業務指針が出来てやることが変わってきているので、そこを注意しなくてはいけない部分になってきていることを感じています。

 次に、その下の 2 番に、例えば心臓カテーテル検査室、あるいは冠動脈の治療をやる場所で、ヘパリンの入れ忘れとか、これは重篤な問題につながってくる。我々も実は経験があるのですが、これは医師・看護師・放射線技師もいて、臨床工学技士もいてということになってくるのですが、それが全員で周知する。要するに、今は手術などでもタイムアウトということでやって、いろいろなことを声を出して確認しながらやることがあるのですが、こういう過剰投与、あるいは入れ忘れみたいなものは、この医薬品の「ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例」の中にいっぱい出てくるので、医療の中にいろいろな人たちが入ってくると、そういう人たちを含めた教育、周知、運用を考えていかなくてはいけないと感じました。

○高杉委員 今の話とは話題が少し違うのですが、 PTP シートに関して、それほど考えてやっても無駄が多過ぎると私は思うのです。薬は飲み過ぎだし、逆に言ったら、飲まなくてはいけない薬を忘れることもしょっちゅうある。 PTP シートの事故をどうやって防ぐかは、これは全く薬の品質とか何とかは別で、それは渡した途端に医療より外へ出てしまう。病院で飲ませるときはまた違いますが、それは若い人でもテレビを見ながら飲むことはあるわけで、例えば、これはお年寄りの場合は飲ませ方は、考えなくてはいけないだろうと思います。

 例えば分かりやすく言ったら、今はピロリ菌の除菌は、きちんと朝、昼、晩、寝る前に中に入って指定していますよね。ああいう工夫があれば、お年寄りは 1 週間分はきちんと渡している。それだと飲み忘れも分かるし、 PTP シートの解決もできるしと、ほかのサイドの工夫のほうが大切だろうと。業界にこれ以上言うのも無理だし、この PTP は個人責任できちんとどうやるか。できない人は、それは薬を飲ませるときにどうするかという。そこまでをこの産業界で全部カバーするのはとても不可能だと思います。この論議は分かるのですが、 PTP シートに関しては、注意喚起で周りが気を付けることしかないだろうと。それを医療界で全部責任を背負ってやるのは、この問題だけはちょっと質が違うのだと、ほかのことは分かりますが。

 今のチームで病院の中でやることは、これは組織を挙げてやらなくては仕様がないわけです。そこには患者はただ寝ているだけで、我々の医療スタッフが考えなくてはいけないことです。これをごちゃ混ぜにすると、どこが安全か分からなくなってしまう。議論は、 PTP シートに関しては別の枠で考えたほうがいいだろうと思います。

○外部会長 毎回ここに議題として PTP が挙がってくるもので、現実の医療現場ではかなり、特に食道を傷つけると重症例も出てくるので、もしそういうことが改善できればとは思います。現時点では、これという手が打てていないのですが、できるだけのことをやっているということではないでしょうか。医薬品については、よろしいですか。また後ほどありましたら、御意見を頂ければと思います。先へ進みます。 2 番目の検討事項です。「医療機器ヒヤリ・ハット事例等収集結果について」、事務局より説明をお願いします。

○事務局 資料 2 を御覧ください。本報告書は、医薬品と同様に医療機器について分析し報告するものです。 1) 医療事故関係については、医療事故情報収集等事業第 31 回・第 32 回報告書中の記術情報及び評価機構ホームページ上の公開データから抽出した平成 24 7 1 日~ 12 31 日の間に報告された事例です。 2) ヒヤリ・ハット事例関係については、当該報告書中の記術情報から抽出した平成 24 7 1 日~ 12 31 日の間に報告された事例です。 3) その他は、当該報告書中の記術情報から別途抽出した医療機器に係る事例です。医薬品と同じく、医療機器に起因するヒヤリ・ハット等の事例について、医療機器としての観点から安全対策に関する専門的な検討を行うための PMDA における検討会の結果を報告したものです。

 今回の調査報告では、次のページの表にあるとおり、合計 177 件について調査を行っています。医薬品と同じく 4 つの区分に分けて件数を掲げています。今回は、「製造販売業者等による対策が必要又は可能と考えられた事例」はありませんでした。「既に対策が取られているものもしくは既に対策を検討中の事例」が 16 件、「ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例」が 112 件、「情報不足等のため製造販売業者による対策が困難と考えられた事例」は 49 件でした。

 資料 2 1 ページから、検討結果についてです。「製造販売業者等により既に対策が取られているもの、もしくは対策を既に検討中の事例」について説明いたします。なお、評価機構のホームページ上で製品名が確認できたものについては、薬事法に基づく企業の不具合報告の有無等についても確認がされています。

 資料 2 1 ページ、 1 番です。人工心肺装置の動作停止の事例です。当該事例については薬事法に基づく不具合報告が行われており、解析の結果、エラー履歴より、コントローラの故障が考えられ、基板の交換がされています。

 資料 2 2 ページ、 2 番は、人工呼吸器の動作停止の事例です。 ICU で人工呼吸器管理されていたところ、突然、連続警報音とともに換気動作が停止したため交換したが、同様の状況が継続した事例です。解析の結果、熱又は過電流による電源ユニット内のコントローラの故障が確認され、当該電源ユニットの交換が行われています。

3 番は、麻酔器の回路誤接続の事例です。別添資料、参考 2-1 3 ページを併せて御覧ください。添付文書の「使用上の注意」には、 ACGO ポートに患者回路を接続しないことと記載されています。また、別添資料 9 ページに示すとおり、製品には警告ラベルを貼り注意喚起されています。しかしながら、同様事例の発生を受け、別添資料 7 ページの参考 2-1-2 のとおり、平成 25 6 月から適正使用のための情報提供文書を配布しています。

 続いて、 3 ページ、 4 番は、植込型補助人工心臓システムの電源外れの事例です。植込型補助人工心臓装着中の患者において、コントローラ部に接続されていた 2 本のバッテリーの電源コードが両方外れシステムが停止した事例です。別添資料の 11 ページ、参考 2-2-1 を併せて御覧ください。当該事例については薬事法に基づく不具合報告が行われています。同様事象が複数認められていたことを踏まえ、別添資料 12 ページの参考 2-2-2 による注意喚起とともに、対策として、参考 2-2-1 のとおり、コントローラと電源の接続を固定するためのプロテクトカバー、コネクタロックが配布されています。

 続いて、資料 2 4 ページ、 5 番は、内視鏡下手術時の不十分な照明の事例です。腹腔鏡下での手術中に術野モニターが暗く、光源の交換を行った事例です。出血により視野が悪くなることを周知されていなかったとのことですが、添付文書には、内視鏡先端部に血液等が付着した場合には、適切な照明を得るために、これらを除去してから使用することと記載されています。

 続いて、資料 2 4 ページ、 6 番は、組織圧排用器具の破損事例です。腹腔鏡下での手術中にディスポの鉗子が破損した事例です。当該事例については薬事法に基づく不具合報告が行われており、解析の結果、過度の負荷により破損したと判断されています。添付文書にも、別添資料の 14 ページ、参考 2-3-1 にあるとおり、過度の負荷による破損等の可能性について記載されています。また、別添資料 15 ページ、参考 2-3-2 のとおり、当該企業により注意喚起のための情報提供文書が配布されています。

 資料 2 5 ページ、 7 番は、 MRI 検査時の高周波ループによる熱傷の事例です。ほかにも同様の事例として、 9 11 ページの、 13 16 番の 4 事例があります。これらの事例については、別添資料 18 ページ、参考 2-4-1 の右下にあるとおり、添付文書にも、高周波ループによる火傷の恐れと、皮膚同士が接触する場合にタオル等を挟む予防方法が記載されています。また、別添資料 22 ページ、参考 2-4-2 のとおり、 PMDA の医療安全情報 No.25 を作成、配信し注意喚起を実施しています。

 続いて、資料 2 5 ページ、 8 番は、縫合針の破損事例です。当該企業に確認したところ、当該事例を特定できないが、縫合針の孔柱部に近い部分を持針器で持ったことにより破損させてしまったものと考えられるとされています。なお、添付文書には、糸孔部分の端から針先までの 1/3 から 1/2 の部分を把持することと記載されています。

 資料 2 6 ページ、 9 番は、縫合糸の断裂事例です。術中に不意に針が糸から外れ所在不明になったとのことですが、手術終了と同時に足元の床に発見されたとの事例です。当該事例については薬事法に基づく不具合報告が行われており、解析の結果、糸の一部が何らかの器具にて損傷を受けたことにより切断され、糸の針が外れたと判断されています。添付文書には、手術器具で糸を押し潰したりして縫合糸を傷つけないことと記載されています。

 続いて、資料 2 7 ページ、 10 番は、皮下植込み型ポートのカテーテル外れの事例です。当該事例については薬事法に基づく不具合報告が行われており、解析の結果、カテーテルがセプタムポートのコネクタの根元まで挿入されておらず、嵌合不足により離脱してしまった事例です。なお、別添資料の 25 ページ、参考 2-5-1 のとおり、添付文書の「警告欄」の 2 点目に、確実に差し込む旨の記載がされています。同様事例の発生を受けて、別添資料の 30 ページ、参考 2-5-2 のとおり、同様の注意を記載したラベルを貼付し出荷されています。

  続いて、資料 2 8 ページ、 11 番は、中心静脈カテーテルのスタイレット抜去忘れの事例です。当該事例については薬事法に基づく不具合報告が行われており、スタイレットを抜去せずカテーテルを切断、固定した事例です。同様事例の発生を受けて、別添資料 31 ページ、参考 2-6 のとおり、警告タグを取り付けて出荷されています。

 資料 2 8 ページ、 12 番は、皮下植込み型ポートのカテーテル断裂の事例です。同様事例の集積を受けて、別添資料 32 ページ、参考 2-7 のとおり、平成 23 5 25 日付け「皮下用ポート及びカテーテルに係る添付文書の改訂指示等について」が発出されており、また、これら製品の添付文書においてもカテーテル断裂について注意する旨を記載し、医療機関へ情報提供するようお願いしています。資料 2 については、以上です。

○外部会長 医療機器に関連する事例の収集結果報告がありました。既に対策を取られているもの、あるいは既に検討中の事例がほとんどでしたが、いかがでしょうか。かなり際どい事例があるように思います。これについて委員から御意見ありましたらよろしくお願いします。

○目黒委員 かなり広範囲で、 CV IVH 等は私たちの範疇から超えるので、かえって実践でやられている先生方のほうが分かる部分もあると思います。これを見ていて今回改めて重要だと思ったのは、人工心臓の動作停止の事例です。私からも聞きたいのですが、人工心臓の 2 個のバッテリーが簡単に外れてしまうというのは、作るときにもいろいろと対策は考えていたのだろうし、日本で作られた製品ですからスマートにはできていると思うのです。もしかしたら、諸外国はもっと頑丈にがっちり作るような気がしますが、その辺の情報について三田委員が何か情報を持っていれば聞きたいと思います。気になっているのですが、どうでしょうか。

○外部会長 お願いします。

○三田委員 本製品はアメリカで作られている製品で、それを日本に持ってきています。これは事実関係です。コネクタも、外れやすいとは言いつつ、入れて回すという一般的なコネクタの形にはなっていたので、それで十分だと思っていたのですが、不幸にしてこういう事故が相次いでしまったので、必ずそこにロックを掛けるとか、そういった改良を行ったという経緯です。

○外部会長 これについては、生命維持装置と言いましょうか、外れたら即心停止ですので、絶対にあってはならないことだと思うのです。この対応で、今後それが防げているのでしょうか。

○三田委員 その後の発生というか、そのときに、必ず注意喚起をして、埋め込んでいる数もそう 300 400 もあるわけではありませんので、全てにおいてこういう取扱いにしてくださいという注意喚起とともに、使用方法について確実に説明をして対応してきたことになっています。

○外部会長 よろしいですか。

○目黒委員 そのほかにも、例えば 3 番の、 GE ヘルスケアの麻酔器の接続ポートを間違ってしまうというものについて、実はこれに関しては、私もオペ室担当の者に聞いたら「うちでもある」という話でした。焦ってしまったりするとポンと入れて、すぐにそれに気が付いて、またすぐに正常な所に差し換えることはあったと思います。それが、いろいろと場所が変わったり、小児など、患者さんの容態が非常に悪くて、やっている人の気が動転するような状況になると、これがそのままになってしまったのではないかという気がする事例です。やはり、機械が多様なので、いろいろな所にいろいろなコネクタやらチューブがあって大変で、医療現場では大変なことになります。基本的にきちんと理解していないと、ということですね。

 それから、これは症例がたくさんあって、私もざっと見たのですが、結局、人工呼吸器などはかなり重篤になります。人工呼吸器に関してはヒューマンエラーの部分でもかなりたくさん出てきています。今回は別添資料には提示されていませんが、機械ですから当然トラブルが、壊れることもあるし、前回も話したと思いますが、人工呼吸器が壊れたら、機械にもきちんと呼吸補助用のバックバルブマスクなどを付けて、患者対応ができるような形にしている。それは段々きちんとやられるようになってはきています。ただ、本日の報告ではありませんが、ヒューマンエラーの所を読んでいると、 ICU など集中治療室のような慣れた場所でのトラブルに関しては、かなり周知されて、皆さん動けるようになってきているのですが、どうも一般病棟に行くと、なかなか使う機会がない機械が来たとか、いつもと違う機械のために操作を間違ってしまったなどが出ているので、これはやはり呼吸器の事故は減っていかないのだろうという印象を併せて受けています。何が言いたいかというと、一般病棟でエラーがあったときに、技士さんが 24 時間対応してくれないというような内容もあったので、そういう生命維持装置、例えば人工心肺や IABP 、補助循環、人工呼吸器等が常時動いているような所では、そういう機械に対応できるような体制、技士が 24 時間いるとか、そういう体制もまず作っていきながらやっていかないと。機械は止まったりトラブルは起こるのですが、それをどうやって解消するかというのは、いろいろなパターンがありますから、その辺を熟知した人たち、理屈をきちんと理解して対応できる人たちがその場にいて、いろいろなサジェスチョンというか、提言してあげないとうまくやっていけないのではないか。人工呼吸器の事例をヒューマンエラーの所で見ていて思いました。

○外部会長 いかがでしょうか。麻酔器に関しては私の専門ですが、この麻酔器は潜在的に事故を起こす可能性を持った麻酔器だということで、非常に不適当な麻酔器だと認識しています。どの施設でも研修医が麻酔をすることは多いですし。もちろんチェック事項を全部クリアしていれば気付くのですが、接続ができる以上、誤接続は必ず起こる、慌てている状況では起こり得ることです。今回は患者さんが低酸素血症で、亡くなる直前で発見されたからよかったと思いますが、これは死亡例が出てもおかしくないような医療機器だと認識しています。このようなステッカーというか、注意書きだけでは、それは防げないので、誤接続防止装置が必ず必要だと思っています。今は業者のほうでかなり動いて、接続口にはまらないように、 1 回パッキングを行って、それを外してからでないと接続できないように工夫されているようです。是非それを全国的に徹底するようにしていただきたいと思っています。

 それから、腹腔鏡で使う器具について、それが破損してお腹の中に落ちて無くなってしまった、患者さんはそれがお腹の中に残ったままずっといなければいけない状況になっているのです。これについて注意喚起で済ますのかについて、私としてはこれは非常に問題ではないかと思います。 3 5mm 大の機器。過度の負荷を加えたらこうなりますよ、では駄目で、過度の負荷はどれぐらいなのかというのは誰も分からない。そういう負荷で折れるような物が医療現場にあるというのは問題です。それがやむを得ないとしても、これの問題点は、それが探せないということです。医療者は必ず手術後に器具をチェックしますので、無くなったことに気付くのですが、ではお腹の中のどこに落ちたのか分かっていれば探すことができますが、それが写真に写らないというコメントがここに書いてあるので、これが問題ではないか。必ず写真に写るような材質に変えてもらうか、何らかの対策を取ってほしいと思いました。

 これを含めて、医療機器全体に対して、御意見いかがでしょうか。

○目黒委員 もう 1 点よろしいでしょうか。 MRI の火傷の事例ですが、これが多いので。資料 2 の別添の 22 ページの、 PMDA さんが作っている図は分かりやすくて、 MRI 以外にもよく使うのですが、頻度が多いので、こういうものを大きなシールのような感じで、メーカーさんが医療機関に渡して大きく貼ってくれというようなものを作ればいいのではないかと私は思っていました。普通の人が火傷してしまうのは、磁場というのは目に見えないですから。その辺を分かっているのは技士あるいはメーカーですから、こういうもの、大きいシールを作って、分かりやすく貼るようなものをメーカーさんが提供してくれればいいと思います。

○外部会長  PMDA でこういう分かりやすい図を作っていただいていますが、これの情報は、自由にアクセスして使ってくれという形で流しているのですか。

○安全管理監 はい、そのとおりです。

○高杉委員 病院は怖い所だ、病院は事故がいっぱい。非常に衝撃的なことがいっぱいありますが、それにもいろいろな段階のレベルがあると思います。 MRI の事故などは、これはもう可視化して MRI の現場にピチッと貼っておけば済むことで、できるだけ情報は可視化すべきだろうと思います。人工心肺装置の事故などは、これはもう絶対起こってはならないので、これはこんな注意喚起の文書だけで済むわけがない。特殊な分野で起こっていることは特殊な分野にパッと通達してきちんと対策を立てるということで、委員会でこのこと報告しているような話ではないと思います。特殊な医療現場で使われる特殊な機器に関しては即刻対応でやられないと患者さんを殺していくようなものですから、これに対する対応の甘さというのはこの委員会で非常に感じます。もっときちんとやってほしいと思います。お薬の間違いなどとは全然異質なものですから気を付けてほしい。同じように、注射などの誤投与や過量投与などとこれは同じことです。できやすい対策で、起こり得る所はきちんと押えていく。滅多に使わないような機械の分野では、起こったらすぐですから、起こる前にきちんと確認しなければ医療者の責任になるだろうと思います。変な機械が出たね、これを改善の申入れでなどと、そんな悠長なことを言っておられる場合ではないだろうと。急ぐ、緊急性と迅速性と火急性をうまく区別して対策を立ててほしい。それをやりましたという報告なら、この委員会の意味があるのだろうと思いますが、どうもお国の対策としてはいかがなものかと思うようなことが聞こえてきますので、きちんとしてほしいと思います。

○外部会長 今の御指摘について、特に補助心臓については非常にクリティカルな問題です。一応この対策が取られているということですが、これのフォローはどうなっているでしょうか。再度このような事例が起きないような、しっかりした対策だとみなして、その後のフォローについて説明していただきたいのですが、いかがですか。

○三田委員 これは製品自体の改良が必要だったので一部変更申請を出しました。それに対して当局でもきちんと審査をしていただいて、これならいけるであろうということで承認を下ろしていただいて、それでこの形になったものです。ですから、先ほど高杉先生からも御指摘がありましたが、今回の報告は、これはこういう形でやりましたという報告です。当時、起こったときには、既に全ての病院に、こういう事例が起こったのでということで翌日ぐらいに注意喚起をしました。それは何回かやっています。発生した度に病院ごとに必ず注意喚起をしています。その資料をいちいち付けてはいませんが、今回は、最後にこういう対策を取りましたという報告になっていると御理解いただきたいと思います。

○高杉委員 少し引っ掛かるのですが、発生した度にですか。

○三田委員 そうです。

○高杉委員 何回も起こっている、防げていないということですね。

○三田委員 はい、そうです。

○高杉委員 それでは、対策が甘いということです。

○三田委員 そうですね。

○高杉委員 それは恐ろしいことです。

○安全使用推進室長 対策を取られた後も起こっているということではないのですよね。対策を取られる前に、その過程で複数の病院で起きていたということでしょうか。

○三田委員 そうです。最初のコネクタも、入れて、カチッと回して、カチッという音がして止まる。その位置を合わせてきちんと見てくださいという形になっていたのですが、それで起こってしまったので、それを完全に止めるための検討に時間が掛かったという事実です。

○高杉委員 そういう場合は、その機械を使用ストップしておいて改善するぐらいの激しいことをやらないと、また同じことが起こるでしょう。

○三田委員 はい。確かにおっしゃるとおりですが、外してしまうとそのまま亡くなってしまうような装置ではありますので、その場では注意喚起で啓発を行ったという形です。

○高杉委員 啓発では生易しいのではないですか。

○安全使用推進室長 これは体の中に埋め込んでしまっているものなので、取り出して使用中止や停止するというのは少し難しかったのだと思います。

○高杉委員 素人には分かりませんから。そんな機械がまかり通っているというのはおかしいと思いますし。

○外部会長 そうですね。本来は、販売承認の時点でそういうリスクを全部取り除くべきことではあったと思います。不幸にしてそういう被害があったということで、今後このような対策を取って、そういうことはほぼゼロの状況に現時点ではなっていると認識しています。ほかに、医療機器全体に関していかがでしょうか。

○三田委員 先ほどの、 PMDA さんから出されている医療安全のものについては、そのまま使うことは問題ないということで PMDA さんから御了解を頂いていますので、日本医療機器工業会の中でも、こういうものが出たのでメーカーの MR なりを使って「配っておいで、皆に見せておいで」ということは、常日頃、宣伝というか、そういった形で啓発活動をさせていただいているというのが、現状で行っている内容です。

○外部会長 是非、業者の人も、シール状に作り換えて貼っていただきたいと思います。現場で有効利用していただきたいと思います。全体的にはよろしいですか。

 それでは、次の検討事項に移ります。「薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業収集結果について」、事務局から説明してください。

○事務局 それでは資料 3 を御覧ください。本報告書は評価機構が公表している薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業の平成 24 7 1 日~ 12 31 日の間に報告された 3,259 事例のうち、「規格・剤形間違い」、「薬剤取違え」、「その他」に関する 1,492 例、「疑義照会」に関する 430 事例、及び医療事故情報収集等事業から認められた院外調剤での 3 事例について、 PMDA における検討会の結果を報告したものです。調剤報酬の算定誤り等を除いた 1,215 事例を調査した結果について、 4 つの区分に分けた件数を示しています。

 「医薬品の安全使用に関して製造販売業者等による対策が必要又は可能と考えられた事例」及び「製造販売業者等により既に対策がとられているもの、もしくは対策を既に検討中の事例」はありませんでした。

 「ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例」が 980 件、「情報不足等のため製造販売業者による対策が困難と考えられた事例」は 235 件でした。また、次のページに、疑義照会に関する 430 事例について、その照会理由等を分類した結果が、延べ件数で示されています。

 本日、「ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例」については、事前の御意見等、特にありませんでしたので、資料が膨大となることから、参考資料 2 は含めていません。

 資料 3 1 147 ページの一覧表に戻りまして、こちらは疑義照会の 430 事例の調査結果となりますが、本日はこの中のいくつかを御紹介します。資料 3 11 ページ、事例 33 番を御参照ください。こちらはクラビットで副作用があった旨、薬歴に記載があった患者に、同成分のレボフロキサシン錠が処方されたため、疑義照会をしたところ、処方削除となった事例です。

 続いて 81 ページの事例 223 番を御参照ください。こちらは 8 歳の患者に、ムコダインシロップ 5 %、 1.5ml との処方であったが、体重から用量が少ないと判断し、疑義照会をしたところ、ムコダイン DS50 %、 1.5g の誤りであることが判明し、処方変更となった事例です。

 続いて資料 3 109 ページ、事例 309 番を御参照ください。こちらは Do 処方の患者で、処方日数が 35 日分から今回 56 日分に変更となっていたが、その処方中でプレドニゾロン錠が 8 日分、フォサマック錠 35mg 1 週間に 1 回の投与の薬剤で 56 日分の処方であったため、処方日数が逆になっている可能性が考えられたことから、疑義照会を行ったところ、処方変更になった事例です。

 続いて資料 3 117 ページ、 333 番の事例を御参照ください。こちらはテオドール錠 200mg の処方であったが、お薬手帳を確認したところ、テオドール錠 100mg が処方されていたことが判明したため、疑義照会をしたところ、処方変更となった事例です。

 御紹介は以上となります。これ以外の事例については、時間の関係で説明を割愛させていただきますが、今後、同様事例の集積を行い、対応を検討していきたいと考えています。資料 3 については以上です。

○外部会長 薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業の収集結果について、御説明していただきました。特に対策がとられているものや、検討事例というのはないということで、いくつかのヒューマンエラー等に起因するものについて、紹介していただきました。この薬局ヒヤリ・ハットの分析結果について、何か御意見、コメントはありますか。

○森委員 資料 3 2 ページ目の裏に、今回の疑義照会の全体の結果が出ていますが、最近の傾向を見ていると、 1 枚の処方箋の中での疑義照会から、薬歴やお薬手帳を使うことによっての疑義が増えてきたという印象を持っています。

 その中でお薬手帳ですが、実は 60 例ほど、お薬手帳を使うことによって、いろいろな重複投与であるとか、患者禁忌が分かった事例もあれば、お薬手帳に記録しているのに、医師に見せなかったり、又は適切に使っていなかったために、ヒヤリ・ハットが起きているというものもあります。もう一度、啓発と言いますか、きちんと使い方を指導する必要があると感じています。

 それからもう 1 点、 18 ページ目の事例 57 番を見ていただければと思います。直接この事例に関係することではないのですが、これからの物の対策ということで、少し心配なことがあります。この事例、エックスフォージ配合錠とユニシア LD 配合錠の成分の重複投与という事例なのですが、配合剤に関しては、そこに入っている複数の成分、含量に関しての確認が必要となるため事故防止の点で非常に心配していましたが、特許期間が切れて、今後このような配合剤の後発品が出るということが言われています。後発品の名称に関しては、「単一の有効成分から成る後発医薬品については、原則として含有する有効成分に係る一般的名称を基本とした販売名とする」というルールが、平成 17 年に出されています。

 配合剤に関しては、今、厚生労働省のほうでもパブコメを取られていると思うのですが、配合剤に関しての後発医薬品の命名のルールというものはなくて、今後こういう配合剤の後発品が出たときに、かなり多くのブランド名が出ることも予想されます。そうなると、現場はかなり混乱するのではないかと思います。いろいろ難しい面もあるのでしょうけれど、ブランド名を後発品メーカーのほうで共有してはいけないというルールはないと聞いています。最後に屋号を付けて、医薬品名とするような対策をとっておかないと、非常に現場が混乱し、事故に結びつく可能性があるのではないかと心配しています。以上です。

○外部会長 ありがとうございます。配合剤でこのように重複してしまうということを、薬剤師さんが気付いたということで、疑義照会になった症例でした。何か薬局ヒヤリ・ハット全体について、御意見はありますか。

○土屋委員 今の森委員の話の続きですが、やはり配合剤というのは、いわゆる通常の単味剤と違って、一般的名称がない、書けない。それがために、ブランド名を後発であっても付けていいというルールになっているわけでして、ところが保険局が出している一般名マスターには、配合剤もみんな一般名にしている。一般名というか、一般的名称の欄があるのはありますけれど、でも、例えばプロメタジン1.35%等配合非ピリン系感冒剤なんていう、そんな一般名があるものかと思うのですが、これは実は PL 顆粒の一般名として、厚労省がマスターとしてお出しになっているのです。

 配合剤とか、あるいは徐放性で 24 時間持続とか 12 時間持続という一般名にしていますが、それは学問的に見たら明らかにおかしい話ですので、そういうことが、部局が違うといえば違うのですが、やはりそこのところは、そもそものルールがそうなっているというのは、一般名で書けるのだったらそのようにしているわけですから、そうではなくて、配合剤の後発品に対してブランドを与えることを許しているというのは、書けないから許しているということからいくと、一方でそういう一般名が載ってしまっているというのを、同じ厚労省の中で出してしまっているというのは、私は少しいかがなものかと思います。この一般名処方に関して、そこが無理矢理付けてしまっているものですから、そこは少しいかがなものかというのがあります。

 先ほど森委員がおっしゃったように、そもそも配合剤の後発品がいっぱい出るなんていうのは、あまり考えたくもないのですが、現実としてお出しになるときには、森委員がおっしゃったように、なるべく業界でというか、会社で統一したブランドを申請して、それで現場がこれ以上配合剤のことで混乱することをなくしていただくというのは、せめてもの現場に対する配慮。そもそも出すなと本当は言いたいのですが、きっとこの国ではそういうことは言えないでしょうから、そういった意味で対応策としては、そういうことをやっていただいて、余分なブランド名がバラバラ出てくるということをやめていただけたらという気はします。

○外部会長 ありがとうございます。厚労省から今のことで、何か御意見はありますか。

○安全使用推進室長 この件については、一応ジェネリック医薬品協会さんのほうと、お話はさせていただいています。なかなか行政側からは、「紛らわしい名前を付けてはいけない」ということは指摘できるのですが、いろいろな名前の選択肢がある中で、これでなければいけないという指導は、難しい状況もありまして、実際の商標権とかその他の問題も絡んできているものですから、対応には苦慮しているという状況はありますが、一方で、ジェネリック医薬品学会さんのほうが、そういうブランド名をなるべく統一して出していこうという動きがあるように伺っています。そこは、賛同される企業のほうは、統一された形でのブランド名を御利用されることになっていくのかなとは思いますが、若干、運営にお金がかかっているところもありますので、その辺の取扱いが少し難しいなとは思っていますが。私どもも土屋先生が御指摘のように、同じ配合剤の後発品でたくさんの名前が出てきてしまうと、確かに現場も、それを管理するのも大変だと思いますし、また間違えの元になってもと思いますので、対応については引き続き検討していきたいと思っています。

○外部会長 今の薬局では、配合剤でこういう重複があるような所のチェックは、ほとんどの薬局が可能になっていると考えてよろしいのですか。

○森委員 調剤するときには、その配合剤にどういう成分が入っているのか、規格なのかを必ず確認して調剤することを原則としています。

 ただ、怖いのは、もう既に成分等覚えてしまっていると、記憶に頼る面があります。記憶に頼らないで行うことは医療事故防止のための原則ですが、そういう意味では、見逃すことがあるかもしれません。基本的には、多くの薬局で一覧表を使って、きちんと成分等を確認することが、手順になっていると思います。

 もう 1 点、土屋先生が言われたように、一般名処方を国のほうで進めていますが、一般名処方の配合剤をどうするかということが、今後配合剤が多く出てきたときに、問題になってくると思います。

○土屋委員 一般名処方は昨年度、今の診療報酬改定で、一般名処方をすると 2 点という話はあるのですが、あれは 1 品目でも入っていれば算定できるので、わざわざ先ほどのような、無理矢理配合剤に一般名を付けて、それをやるというよりは、配合剤はもう書いて、逆に言えばサインをしなければ、後発に切り替えて大丈夫ということにはなるわけですから、やはり実際に医療機関では、販売名で選択をして、プリントアウトだけ一般名にするということが行われていますので、そうすると実は名前がそのようになってしまっているということを、現実としては分からないままいってしまうと、その名前で疑義照会をかけると、それはという話にもなりかねないので、やはり何でもかんでも無理矢理、一般名が基本的にはないものまでも、一般名にはしない。例えばアダラート L CR なんていうのは、「ニフェジピン徐放錠」で 12 時間製剤と 24 時間と書いてあるのですが、これをもし書き間違えたり、何とかというエラーもありますので、一般名に無理矢理はしない。できるものは当然していいけれど、一般名にそもそも学問的にできないもの、あるいはなぜ「配合」という名前を付けたかというと、配合錠であったら、先ほど委員長がおっしゃったように、中身を確認する。やはり 2 種類掛ける 2 種類で 4 種類まで出てしまっているものもありますので、変に記憶をすると危ないので、「配合」と付くことで注意喚起をする。要するに中身を確認しながら調剤するとか、そういう仕組みになっているわけですから、そこのところはやはり徹底していかないといけないのかなという気がします。

○外部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。それでは、次に行きたいと思います。報告事項について、「その他」です。事務局よりお願いします。

○事務局 資料 4 を御覧ください。こちらは前回の本部会以降に発出されました医療安全関連の通知となります。資料 4 1 ページからは、「再使用可能な手動式肺人工蘇生器の添付文書等の自主点検等について」です。こちらは前回の部会開催日の 3 27 日の前日の発出で、部会では当日配布資料の扱いでしたので、今回改めて資料に盛り込み、御報告いたします。

 再使用可能な手動式肺人工蘇生器において、誤って組み立てられた状態で使用し、患者の換気が十分にできなかった医療事故が報告されていることを受けて、資料 4 2 ページからの別添のとおり、製造販売業者に対し、添付文書や取扱説明書等に組立て方法及び動作点検方法が分かりやすく記載されているか自主点検を行い、その結果に応じて添付文書等の改訂を行うとともに、医療機関等への情報提供を実施するよう指示した旨をお知らせするため、医療機関の医療安全管理者等向けに発出したものです。

 続いて資料 4 5 ページからは、「医療用医薬品への新バーコード表示に伴う JAN/ITF コード表示の終了について ( 周知徹底及び注意喚起依頼 ) 」です。医療用医薬品のバーコード表示については、 5 ページ以降の平成 24 6 24 日付けの通知、「「医療用医薬品へのバーコード表示の実施要項」の一部改正について」により示したとおり、平成 27 7 月、特段の事情があるものは平成 28 7 月以降、製造販売業者から出荷される医療用医薬品については、全ての製品の調剤及び販売包装単位、特定生物由来製品及び生物由来製品の元梱包装単位に新バーコードによる表示が行われることとなり、併せて現在、販売包装単位に新バーコードとともに並記されている、いわゆる JAN コード、及び元梱包装単位に並記されている、いわゆる ITF コードが表示されなくなります。

 旧コードと新コードの並記が行われる期間の終了が近づいてきており、平成 25 10 月以降の並記は任意となるため、改めて医療期間等へ周知徹底をお願いするとともに、これらのバーコードを業務上利用している医療機関等にあっては、業務に混乱のないよう必要な対応が行われるよう、注意喚起のため発出したものです。

本部会の参加の委員の皆様方におかれましては、本通知の内容を周知いただけますよう、お願いします。資料 4 については以上です。

 続いて資料 5 を御覧ください。こちらは前回の本部会以降に発出されました、「 PMDA 医療安全情報」となります。資料 5 1 3 ページ、資料 5-1 PMDA 医療安全情報 No.37 「インスリン注入器の取扱い時の注意について」です。インスリン注入器やカートリッジの取り違え事例が発生していることから、複数の患者のインスリン注入器の準備の際には、患者ごとに確認しながら行うこと、在宅等で投与する場合には、患者さん自身、投与前にカートリッジの薬剤名を確認することなど、取扱い時の注意点を紹介しています。

 資料 5 5 9 ページ、資料 5-2 PMDA 医療安全情報 No.38 「蘇生バッグの組立て間違いについて」です。緊急時の組立て時の注意点、蘇生バックの構成部品や仕組みの説明とともに、実際に組み立てて使用する蘇生バックの製品を、写真入りで紹介しています。資料 5 については以上です。

 また、 6 月に日本医療機能評価機構から、医療事故情報等収集事業の第 33 回報告書が、評価機構ホームページで公表されています。公表の際は、都道府県をはじめ、関係団体等へ報告書の公表を連絡するとともに、同様の事例の再発防止及び発生の未然防止のために、報告書の内容を確認の上、共有すべき医療事故情報等の内容に留意するとともに、注意喚起を促すよう、周知を依頼しました。

 この報告書中、並びに評価機構ホームページ上で公表されているヒヤリ・ハット事例記述情報等の中から、 PMDA が医薬品・医療機器に起因する観点から、専門的な評価、対策の検討を加えた報告書を、次回の部会で審議いただきたいと思います。以上です。

○外部会長 資料 4 の医療安全関連通知、資料 5 PMDA からの医療安全情報について、御説明をいただきました。これについて、何か質問等はありますか。

○北澤委員  PMDA の医療安全情報は、大変参考になるのですが、特にインスリンの取扱い時の注意だとか、先ほどの MRI のときの姿勢だとかは、医療従事者にはもちろん知っておいていただきたいのですが、患者自身も知っておくほうがいい情報だと思います。これはインターネットで公開されているというのは承知しているのですけれども、もう少し一人一人の患者さんにこういった情報が周知されて患者自身が点検できるようにしていただきたいと思います。

○外部会長 貴重な御意見、ありがとうございます。患者の側へも情報を広めるということでした。

○高杉委員 可視化というのは、非常にいいことです。インターネットに載っているということは、病院あるいは診療所が患者さん向けにダウンロードしてお見せすれば、非常に利用しやすいということです。

 それから医療安全通知の文書に、これは日にちが違うから仕方ないでしょうけれども、 3 26 日発出の「再使用可能な手動式肺人工蘇生器の添付文書等の自主点検等について」、これは見ても読む気がしない。ところが、資料 5 の絵ならすぐ分かる。だから、これを併せてやらなくては、医療安全にはつながらないということになるだろうと思います。文書の通知で「はい、通知しました」ではなく、もう 1 つフォローがいるのだろうと思います。

○外部会長 厚労省としては、こういう通知にならざるを得ないのかと思いますが、 PMDA のほうで補完して、このような図で説明していただいているということだと思います。ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。

 以上で本日予定していた事項は、全て終了となります。全体を通じて、ほかに御発言等はありますか。

○目黒委員 始まる前に土屋委員や三田委員と少し話したのですが、これは薬と機械の両方に関わるものですから、輸液ポンプと抗がん剤関係なのです。それ以外でもあるのですけれど、過大投与や薬の間違えはよく当施設の報告書に載ってくるのですが、過少投与というか、最近はあまり載ってこないので、多分これは挙がってこないのかと思います。薬によって、最近輸液ポンプで、かなり輸液を行うようになってきて、その原因をいろいろ聞いてみたところでは、電子カルテでいろいろなものが出てきたときに、時間単位で入れるということが起こってきたからだと思うのです。当院では昔からあるのですけれど、滴下制御型と流量制御型という輸液ポンプがありまして、通常、今までは 1 滴の粒の大きさでもって、それが 1 滴が 1/60cc 1/20cc という形であるのですが、その抗がん剤の中で界面活性剤、詳しいことは私もよく分からないのですが、粒が小さいと一定の時間内に入らない薬品が結構あるのです。

 そういう問合せが多くなってきて、添付文書上で流量制御でなければいけないものというのがありまして、そういう内容に関して、インフォメーションに関する部分が、添付文書にあまりきちんと記載されていないものがありますので、先ほど書いてほしいというお願いをしたところです。今後話を進めてほしいということで、土屋委員に少しお話をさせていただいたのです。そういうときに、要するに 1 滴の粒が小さいためになかなか入らなくて、当院では今度は輸液ポンプ、あるいは輸液回路を選択するときに、間違った選択肢でやられるということが起こってきているので、少しこんがらがっているのですが、そこら辺を医薬品メーカーのほうででも、滴下制御で落とした場合には流量誤差が出ますよというのを、なるべく添付文書上で記載してほしいというお願いをしたかったのです。

 例えば流量を 1 時間 20cc でやって、 100cc 入れる場合には 5 時間くらいかかります。そうすると、それが 5 時間ではなくて、 7 時間とか 8 時間以上かかるとか、そういうことで問合せが多いものですから、できるだけそこら辺を、書けない理由が何かあるのか、大変なのだとは思うのですが、少し考えていただきたいというのがありまして、今日は発言させてもらいました。

○外部会長 何かこの点で、 PMDA は情報をキャッチしているのでしょうか。

○事務局 今、目黒委員が御指摘の抗がん剤などの医薬品に含まれる界面活性剤により、 1 滴の粒がかなり小さくなる。それによって滴下制御タイプの輸液ポンプでは、時間どおりには落ちない事例などに関しては、 PMDA 医療安全情報、 2011 1 月の No.21 でも、イラストや写真等で紹介させていただいています。

 また、そういった界面活性剤等を多量に含むような抗がん剤に関しては、その添付文書のほうに、滴下制御タイプの輸液ポンプを使うと、うまく流量がコントロールできないことがある旨や、違うタイプである流量制御型の輸液ポンプを御使用ください等といった、使用上の注意が記載されていると思いますが。

○目黒委員 実は書いてあるものもあるのですが、ないというのは、このヒヤリ・ハットでも載っていたのですが、 5-FU という薬剤で、少し長くなるという話があったものですから、ただ、それは界面活性剤とか、内容がよく分からないという部分もありまして、そこら辺の部分、各薬剤のメーカーさんのほうで、やはり事前に少し調べて、なるべくインフォメーションを出せるような形にしてほしいというのが、ユーザー側としてのお願いです。

○外部会長 ありがとうございます。今後も情報収集をお願いしたいと思います。ほかにいかがでしょうか。なければ、事務局から追加で何かありますか。

○事務局 次回の部会開催の予定については、委員の先生方の日程等を調整し、御連絡させていただきます。また、本日の議事録については後日送付させていただきますので、内容の御確認をお願いします。

 なお、修正、御確認いただいた後は、厚生労働省のホームページに掲載いたしますので、よろしくお願いします。以上です。

○外部会長 それでは、これで閉会します。どうも御苦労さまでした。


(了)
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