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2013年12月25日 第4回高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員会 議事録

医政局研究開発振興課

○日時

平成25年12月25日(水)17:00~19:30


○場所

航空会館(7階大ホール)


○出席者

【委員】

森嶌委員長 稲垣委員 桑島委員 曽根委員 竹内委員
田島委員 田代委員 花井委員 藤原委員 宮田委員
森下委員

【事務局】

原局長 (厚生労働省医政局)
成田審議官 (厚生労働省大臣官房)
宮嵜課長 (厚生労働省大臣官房厚生科学課)
土生課長 (厚生労働省医政局総務課)
一瀬課長 (厚生労働省医政局研究開発振興課)
城課長 (厚生労働省医政局経済課)
赤川課長 (厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課)
河野治験推進室長 (厚生労働省医政局研究開発振興課)
板倉課長 (文部科学省研究振興局ライフサイエンス課)

○議題

1 滋賀医科大学、名古屋大学及び千葉大学からのヒアリング
2 その他

○配布資料

議事次第 議事次第
座席表 座席表
参考人名簿 参考人名簿
資料1 委員名簿
資料2-1 滋賀医科大学作成資料
資料2-2 名古屋大学作成資料
資料2-3 千葉大学作成資料
資料3 医療機関・研究機関による臨床研究の適切な実施に係る自主点検の追加実施(案)
参考資料1 医療機関・研究機関による臨床研究の適切な実施に係る自主点検の結果概要
参考資料2 Lancetへの匿名投書について

○議事

○一瀬課長 定刻となりましたので、「第4回 高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員会」を始めたいと思います。

 委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、本検討委員会に御出席いただきましてありがとうございます。

 また、本日山本委員から御欠席との御連絡を頂いております。花井委員が少々遅れられているようです。また、本日、関係大学において実施された実施調査の現状説明のため、滋賀医科大学、名古屋大学、千葉大学から、それぞれ参考人として御出席いただいています。

 次に配布資料の確認をさせていただきます。

1枚紙で議事次第と配布資料を記載したものがありますので、それに沿いまして御確認下さい。

 資料1として「委員名簿」、資料2-1として「滋賀医科大学作成資料」、資料2-2として「名古屋大学作成資料」、資料2-3として「千葉大学作成資料」、資料3として「医療機関・研究機関による臨床研究の適切な実施に係る自主点検の追加実施()」。

 参考資料1として「医療機関・研究機関による臨床研究の適切な実施に係る自主点検の結果概要」、参考資料2として「Lancetへの匿名投書について」です。参考資料2については、中間取りまとめの32ページに記載していた2011Lancetの匿名投書の件で、投書された本人である京都大学の由井氏から情報を頂きましたので、こちらを付けています。以上です。不足や落丁等がありましたら事務局までお願いします。それでは、撮影はここまでとさせていただきます。以後は、委員長にお願いいたします。どうぞ、よろしくお願いいたします。

○森嶌委員長 前回、930日に開催された第3回検討委員会において、中間取りまとめについて委員の皆様に御議論いただいたところですが、その後、滋賀医科大学、名古屋大学、千葉大学から、本事案に関して調査結果が公表されたところであり、本事案に関係する5大学の調査結果が全て出揃ったところです。

 今回は、関係する3大学の方に参考人として御参加いただいていますので、順番にそれぞれが主体となっている調査結果について状況をお聞かせいただければと思います。

 それでは、資料順に発表をお願いします。

 それでは、まず、資料2-1に基づき、滋賀医科大学の服部参考人から説明をお願いします。時間は20分程度に、よろしくお願いします。

○滋賀医科大学服部参考人 滋賀医科大学です。資料2-1を御覧ください。これを基に御説明をします。まず、調査開始の経緯等ですが、この論文が2007年に出まして、この研究の端緒は、ノバルティス社員の一方がお見えになって、本学の第3内科のK教授と相談されてこの研究がスタートしました。その方は、大阪市大の所属になっていた方です。

 この問題が出てから、調査委員会を作り、そのメンバーで調査を行いました。母体は行動規範委員会というもので、規範委員会を調査委員会にしたわけです。外部委員1人が入っています。専門委員として、各々薬理学、循環器、統計学の方を専門委員として入れています。

 委員会が行った調査ですが、下にあるような論文の内容の調査とノバルティスの社員の関与についての調査を行いました。まず、調査結果の前にノバルティスの関与ということで、5ページの6.SMART研究へのノバルティス社員の関与ということです。今、申し上げたように、この研究はノバルティスのA氏が、20038月頃に本学の内科学のグループに持ち込んだものです。

A氏は、研究の計画等作成の助言はしたのですが、その後は一切大学には来ていません。研究を引き継いだのは部下であるB氏です。この方は、それからずっと3年間滋賀医科大学に来て、いろんなデータの処理あるいは病院での研究のやり方等を担当医師に指導をされたということです。

 データの処理において、数値の操作等はできた立場ではあるが、ヒアリングを行った結果は数値の操作、自分がその数値を故意に触るようなチャンスはなかったとのことで、B氏は主張しました。また、研究グループもB氏がデータそのものを触ったということの証言はありませんでした。むしろ、SMARTの研究者の3名の者がデータ解析を行ったということを申しています。

 したがいまして、A氏とB氏というノバルティス社の人、もちろん関与はしてるわけですが、直接的にデータを触ったということはありません。2006年に終わりましてからの2007年に論文が発表されたところですが、A氏に関しては論文が発表されたことすら知らなかったという証言でした。B氏は、もちろん論文のこの発表は知っており、その後、この方は滋賀医科大学の大学院に進んで別のテーマで学位も取得しているところです。

 したがいまして、関与に関しては、もちろんノバルティスの社員が3年間も滋賀医科大学へ労働提供の形で、論文の研究に参加したこと自体が大きな問題ですが、他の大学で言われているようなデータそのものを操作したということはなかったわけです。

 論文の内容の調査を行ったところですが、これが5月に問題が表面化してから、調査委員会を作ってやってきたわけですが、717日にカルテデータの提出を得たところです。カルテデータの提出を得て、その後は論文の内容等について調査をしていったわけですが、表2に、バルサルタン群とアムロジピン群で上のほうがカルテデータとして回収できたものです。

 下のブランクになっている所は、データとしては回収できていませんが、これは合計バルサルタン群で6割、アムロジピンで7割のカルテデータが出揃ったところです。もちろん、その残りはありませんので、正確なことは分かりませんでした。

 論文の内容について、いろいろ吟味していくと多くの問題点が出てきました。その問題点が4ページの所に問題点として書いてあります。この研究そのものは、2002年にCIRCULATIONというジャーナルにMARVAL STUDYというもので発表されたものの単なる追試でした。日本人を対象としたということについてのNOYESはあるわけですが、論文の内容、これは、もちろんやり方と結果も全く同じものでした。

 ただ、患者さんのリクルートの数とかそのようなものが、多少、異なっていました。データを調べていくと、まず問題になったのがプロトコール通りに研究が行われていなかったということが判明しました。

 表の2を御覧いただくと、この研究が尿に出るアルブミン、微量アルブミンの値が薬剤の投与で、その後どのように変化していくかということを見たものです。アルブミンとクレアチニンの比量で取りまして、その数値を6か月まで経過を追っていたという研究です。まずは、個々の患者さんでベースラインの設定をしなければなりませんが、そこにあるように実測値が3回あります。ベースラインの設定時には3点平均でデータを取るとのことだったのですが、実際、このグループは2点のデータしか取らずに平均を中間値とそれに近い値からベースラインを設定したということです。

 ここに操作の一つのものがあるということになりました。もちろん、それには理由があるわけでアルブミン値が非常に大きく変動するものですので、まずベースラインをどうするかということに非常に苦労をされたようですが、まずはプロトコール通りにはなされなかったということが一つの問題でした。

ACR値、これはアルブミンとクレアチニンの比の値ですが、その不一致がたくさん見つかったということです。表2を御覧いただくと、色を付けた数値が不一致の数値です。ベースラインの問題はいまさらですが、真ん中の所には1M2M3M(Visit)と書いてあるが、5か月までこのように経過は追われています。最終評価が6か月目ですが、今度は6か月目にはどういうふうにデータを取ったかということですが、そこでは実測値は3点あるが、3点の平均として今度は使っています。

 したがって、ベースラインの設定とファイナルの時点でのポイントの取り方が異なっていたということです。これも、もちろん問題でした。1か月から5か月、これは経過観察ですが、ここは1点観測しかなされておりません。正確に申しますと、ベースラインのときの3点のデータとファイナルの所の3点のデータ。これと比較することはできないというデータでした。大きくバラつくものですから、バラついたものが1点しか評価されないということが大きな問題として残っていました。

 表1に、不一致の値を数値化していますが、バルサルタン群では12.5%。アムロジピン群では8.1%不一致が出たところです。表2にある不一致の理由は、誤入力としてデータを間違って入れたという申告です。黄緑の所は外れ値と申しまして、大きく数値が変動したので適当な調和平均値というものを設定して、新しい数値の設定を行ったというところで、これも整合性のある説明のないデータの取扱いでした。

 もう一つ大きな問題は、6か月目のデータですが、ここも誤入力と外れ値の設定で数値が変更されているわけで、ここで6か月目にそこに矢印で示しているのは数値が実測より大きいか、小さいかという表示ですが、ここのバルサルタン群で、6か月目にはほとんどが小さな値に変更されているところです。

 表3を御覧いただくと、同じようにアムロジピン群では、逆に6か月目の評価で、多くのものほとんど全てが大きい数値に変わっていたということです。ここにデータ操作の恣意性があるということが否定できないという結論です。

 もう一つは、表2に戻っていただきますと経過観察の1か月から6か月目にかけて、ほとんどデータが大きな数値が小さくなっていることにお気づきだと思います。95%がこういう処理です。ところがアムロジピン群では、大きくなっているのと小さくなっているものが1か月から5か月では五分五分です。これは、ランダムに誤入力が起こったかもしれないという結論になるわけですが。しかし、残念ながらバルサルタン群では、一方に数値が偏っているということです。

 論文作成者は、これは全部データの誤入力と説明しております。ただ、誤入力が本当にどういう理由で起こったかということは最終的には解明はできなかったところです。しかし、全体の傾向を見ると、やはり恣意性のあるデータ操作があったということは否定できないというのが結論でした。

 このように、ごく僅かな症例の数ですが、カルテデータから何も処理をせずにプロトコール通りに、グラフの経過をグラフ化すると図の1にあるように、上のようなグラフになります。これはベースラインの設定も3点平均。数値の変更も何も行わずにやれば、そこに書いたようなグラフです。

 これは、回収された98例のデータのうち、92例のデータのみです。全体は反映していませんが、カルテデータからは、そのようなグラフにならざるを得ないということです。しかし、下のほうはSMART研究のグループが実際に数値を操作したというか、確証はないのですが、彼らの数値からグラフを書くと下のようなグラフになります。

 ここの所で、6か月目の有意差検定も問題であり、カルテデータのみではP=0.07でした。彼らの論文に使われた数値はP0.0003という値になっていました。ここのディスクレパンシーをどう説明するかということで、我々も結論的にはやはり恣意性のある操作が行われたと考えざるを得ないということです。

 もう一つ、血圧に関してですが、血圧は表5にあります。血圧に関しては、本学のSMART研究の場合には、腎臓のアルブミンとクレアチニンの比が数値が全てです。したがいまして、今回の研究では血圧は大きな問題にはなってきませんが、血圧のデータを見てみるとバルサルタン群では欠損値が多かった。アムロジピン群では少なかったということで、血圧のデータに不一致はあったわけですが、血圧には大きな問題はなかったということです。表4に不一致率を示していますが、このようなものです。

 最後に、血圧のグラフが出ていますが、これもほかの大学と同じような経過観察のグラフです。彼らの研究は、血圧を合わせておいて、そこから患者さんのアルブミンを測ったということで、血圧そのものが操作されたということは、私どもの研究ではなかったわけです。

 そのようなことから、総合的に考えると、結局、論文の評価としては、かなり問題がある。そのようなことに判定せざるを得ないという結果でした。

 今、論文に関しては、マスコミ報道があった後、Diabetes Careというアメリカの糖尿病学会の雑誌ですが、そちらから大学に問合せがきており、私どものデータは全てお送りしまして、今、編集委員会でretractionwithdraw、どうするかというようなことで、今検討を願っているところです。SMARTグループは、結果が同じなので自分たちは、そんなに悪いことをしてないということをまだ主張をしていまして、SMARTグループ研究者のほうは、erratumという形でこの論文の処理をしようとしているようです。

 大学としては、この論文は科学的論文としては不適切という判断にしています。今後、これはDiabetes Careというアメリカの糖尿病学会の雑誌社との間で、我々は取り下げよ、という権利はありませんので、このデータを見ていただき雑誌社に評価をお願いするという段階で、今進んでいます。以上です。

○森嶌委員長 ただいまの御説明について、御質問などがありましたらよろしくお願いします。3大学からの御説明が終了した後に、また改めて御質問の時間を取ろうと考えていますので、今、何か知っておきたいのがありましたら、10分か15分ぐらいいかがでしょうか、確認ということで。

○曽根委員 非常に詳細に調査をしていただき、かなり全貌が見えてきたのですが、今回のSMART試験について、実際、当該研究に使われた研究費はどのくらいだったのでしょうか。

○服部参考人 ノバルティス社から6,500万円というお金が入っています。ほとんどはそういう経費として、まだ足りなかったと研究者は申しています。ですから、コンピューターを買ったりとか、あるいはCRC、コーディネーターを採用したりとか、そういうことで寄附金としてもらった6,500万円は全部使ったと、そういう証言です。

○曽根委員 他施設を含めた大規模な臨床試験となっていますが、大学以外の施設への配分は適正にされていたのでしょうか。

○服部参考人 コーディネーターが大学からそこに派遣されていまして、そういう形で人件費に使ったということを聞いています。それと、研究の開始時に中央にコンピューターを設置して、そこにwebで入力できるようにしていたということで、そのようなものの経費に1,000万円ほど使ったということを聞きました。

○曽根委員 誤記入という言葉と恣意的、意図的という言葉はかなり違いがあると思うのですが、臨床研究、臨床試験におけるデータの収集、入力という過程で大きな問題を含んでおり、臨床研究に対する理解、それが施設間で、あるいは研究者間で大きな温度差があったと、そういう理解でよろしいでしょうか。

○服部参考人 誤入力に関しては、本当のところは分からないのです。ただ、これをいろいろな方に聞きますと、45%ぐらいの誤記入とか間違いが、誤記入ではないですが、間違いというか不一致があるのは、こういう臨床研究ではあるということの証言はありました。ただ、本学の場合、12%とか、少し高過ぎますので、それは少し不自然ではないかという結論です。

○曽根委員 もう一つよろしいですか。

○服部参考人 はい。

○曽根委員 研究責任者は、臨床試験、特に大規模臨床試験、それに対する実施体制あるいは管理体制という意味で非常に責任が大きいと思うのですが、当該研究者は今回のバルサルタン研究以前にも大規模臨床試験の経験があったのでしょうか。

○服部参考人 これ以前はないと思います。それと、それをいろいろ聞いたのですが、まだ10年ほど前ですので、大学として大きな組織ができていなかったという言い訳をしています。

○曽根委員 分かりました。

○桑島委員 図2の血圧の推移ですが、上段での血圧の推移でバルサルタン、アムロジピンで5か月目まではかなり差が付いているのですが、6か月後に急に近付いているのですね。これが奇異な感じがするのです。例えば、6か月の時点での症例数が落ちたとか、外れ値が多かったとか、誤入力が多かったということはありませんか。

○服部参考人 それはその以前のグラフを見ていただいたらいいと思うのですが、これで欠損しているのがあるのです。だから、欠損しているのがどういう理由か分からない。

○桑島委員 6か月の時点での急激な接近は不自然です。

○服部参考人 それは今先生がおっしゃったように、やはり不自然は不自然だと思います。ただ、この場合、血圧ではないので、飽くまでも尿のアルブミンのデータで、ですから、もちろん先生がおっしゃった。

○森下委員 1つ質問ですが、この試験のデータ解析部門といいますか、東亜交易からK教授にデータが渡った後、このデータを触れた人は「データ解析担当者」という表現がされているのですが、何名いらっしゃったかを教えてください。

○服部参考人 それが一番の問題でして、プロトコールでもう1つ違反があったのは、これをプロトコールでは「第三者機関でデータを解析する」とはっきりと書いているのです。ただ、これを始めたときには、大阪市大のA氏には全然データを送らずに、本学の3名で解析したということです。

○森下委員 担当者は3名の先生方と。

○服部参考人 3名。

○森下委員 あと、B氏も触れたと。

○服部参考人 B氏も関係した。

○森下委員 4名ですね。

○服部参考人 4名です。ただ、B氏は、いろいろな指示を受けてグラフを書いたりいろいろなことをやったけれども、数値そのものは触れる立場にはなかったということです。また、研究者の3名も、数値は自分たちが扱ったと証言しています。

○森下委員 東亜交易の立ち位置が、少し微妙かと思いました。

○服部参考人 ただ、東亜交易は、コンピューターソフトを開発したのみでして、入力しただけでして、それは10年も前なので、6年ぐらいのところで消去したということでした。ですから、東亜交易そのものは、今回は全然問題にはなってきていません。だから、データは東亜交易から抜かれたデータがK氏のほうに渡ったということです。

○竹内委員 これは中間検討会はされているのですが、何回されたのでしょうか。

○服部参考人 中間検討会は、2回ほどやっていると聞いています。

○竹内委員 それは100例で2回されて、その結果の。

○服部参考人 中間検討会のときの症例の数は、私たちは把握していません。

○竹内委員 ただ、2回されていて、その発表資料を作るときには、B氏は関与していたという報告があるのですが。

○服部参考人 それはグラフを作ったりしたことに関与したということ。

○竹内委員 結果は、試験の最中にはB氏はノバルティス社の方ですので、要は試験の結果が全て企業の方には分かってしまっている状態になっていると理解してよろしいでしょうか。

○服部参考人 ただ、この最後の結果のグラフの比較を見せましたら、B氏も驚いていました。このようにデータがなぜ生データから数値が変わってこのようなデータになったかに関して、彼も全く初めて見るという証言でした。ですから、B氏そのものは、中間検討会でもグラフそのものの作成には関与は一切していないという印象を受けました。

○藤原委員 データの解析というよりも、臨床研究のプロトコールとか、インフォームド・コンセント、倫理審査委員会の体制がその当時しっかりしていたかというところを確認しておきたいのですが。平成15年当時の臨床研究倫理指針でも、プロトコールの中、同意説明文書の中には利益相反の開示はしなさい、資金源の開示はしなさいと書いてありますし、ヘルシンキ宣言2000年版にもそういう規定はあります。最近でも多くの大学で、倫理審査委員会の申請書がそのままプロトコールであるかのように取り扱われ、そのまま審査されて通っているのが、結構、行われているのですが、この当時の滋賀医大のプロトコールは、しっかりとした記載があったのか、そういう抜け落ちた所はなかったのか、文書同意とかはしっかり取られているのかは確認されたのかを教えてください。

○服部参考人 倫理委員会の審査は受けておりまして、しっかりした研究の計画書になっていました。ただ、その中でそのとおり行われていないことが大きな問題でした。それと、患者の同意は全てそろっていました。

○森嶌委員長 よろしいですか。また、後でお伺いするかもしれませんが、どうもありがとうございました。続いて、資料2-2に基づいて、名古屋大学の藤井参考人から御説明をお願いします。

○名古屋大学藤井参考人 資料2-2に基づいて説明をさせていただきます。カラー刷りかと思いますが、一番後ろのほうに資料123が入っていまして、それも参照しながらやりたいと思いますので、よろしくお願いします。

 最初のページですが、これは前回、8月に報告したものと基本的に同じでして、糖尿病、耐糖能異常に高血圧を合併した日本人の患者を対象として、2つの薬で比較研究したことを述べています。試験デザイン等は(前向き・無作為化・オープンラベル・エンドポイント盲検化)等でして、20042010年、1,150例です。

 最も重要な一次エンドポイントである複合心血管イベントとしまして、下のほうに書いてありますが(心筋梗塞、脳卒中、冠動脈血行再建術、心不全による入院、心臓突然死の総計)の発生は、バルサルタン群とアムロジピン群で有意な差はなかったことは、前回、報告しました。

 各イベント別に見ると、心不全による入院は、バルサルタン群で有意に少なかったと。それ以外は両群間で差がなかったということで、これは先行研究と酷似していたということです。心不全の抑制に関しても基本的には同じ結果になったということで、先行研究と差が出なかったという結果です。

 ここに述べてあります一番最初の論文については、責任著者は研究代表者です。論文の筆頭著者は村松という者です。この中ではバルサルタンの元社員の方はアクノレッジメントの所に名前が入っていまして、そこには所属等は入っていません。ただ、役割は書いてあると。それは、ほかの方も全部そういう形で統一してありました。この論文の前にデザイン論文が『ジャーナル・カディオロジー』というものに2010年で出ていまして、その中に元社員については、その当時の社員ですが、統計解析ボードのメンバーとして記述されていまして、そこに大阪市大所属ということが書いてあったということです。

 次のページに行っていただきまして、前回、研究資金の流れ等は説明しましたが、こちらのオフィシャルな記録が残っているという所では、このようになっています。平成2022年度が各3,000万円、平成23年度が1,500万円、平成24年度が500万円です。

 その下に今回新たに加えたのは、研究開始の2004年から2010年までの間、大体年間2,000万円程度の費用がかかったという証言を得ています。これはエンドポイント委員会及び安全性勧告委員会委員への謝金(1回当たり1万円)ですが、それとClinical Research Coordinator、データマネジメントグループの雇用に係る経費、それからNAGOYA HEART Studyに参画の医師の方のうち、学外者のみに症例1登録5,000円の謝金を支出していたということです。これについては、全て学内の費用で出しておりまして、経理簿等を確認することができました。

 本研究に関わっていたCRC等以外の方には手当、謝金等は支出していませんで、委員会等は全て大学内で開催しており、使用料等も発生していなかったということです。

 これまでの経緯のところでは、前回は、この右側の3ページの89日までを説明しましたが、その後に研究代表者、関係者の教員、実際のデータマネージメントをやっていました学生、リサーチコーディネーターとデータマネージメント、ノバルティス社元社員、データのwebページを監督しました神戸CNSの方々に複数回求めまして、ヒアリングを行ったことが書いてあります。

4ページに行っていただきますと、1129日に調査をお願いしました公益財団法人先端医療振興財団臨床研究情報センターから中間報告の報告書を受領したということです。ここには書いてありませんが、1213日に中間報告を行って、記者会見を行ったことになっています。

(4)に行きますが、全症例は1,150例でして、そのうち連結表が確認できたものが18施設、446症例です。そのうち名大病院141例ということで、前回のこの検討委員会でまずこれをやることを申し上げてもらったところです。

 全症例1,150例の固定解析データの再解析についても、第三者の外部調査機関に委託をしました。資料1のポンチ絵を見ていただきますと、どういう構成になっていたかが書いてありますので、それも参考にしていただきたいと思います。

 関係者のヒアリングについては、先ほど申し上げたとおりですので省略しますが、5ページの(5)の「これまでの調査結果」を説明させていただきます。このセンターでやったことは、研究管理体制のチェック、2番目として、1,150症例におけるweb入力データからエンドポイント委員会審議、解析用データまでの検証、3番目として、カルテとの連結が可能な446例のうち、名古屋大学病院分の141例について、カルテからweb入力データ、エンドポイント委員会審査、解析用データの検証について、この3つを行いました。

 調査においては、中段ですが、臨床研究実施計画書、プロトコールの定義と論文の定義に一部異なる点がありました。これは下のほうに主要評価イベント項目が述べてありますが、そのところで・で記したもので、後でまた説明します。

 全データ調査では、1点を除いて一貫して計画書の定義に従ってデータの収集、エンドポイントの判定、解析用データの作成、解析と論文の結果取得が行われていました。この定義の異なる1点と申しますのは、総死亡をプライマリーからセカンダリーに変更されたということです。これについては、資料3を見ていただけますか。時系列の年表を作りましたが、一番上が研究開始とか研究承認という項目と登録の終了(2009131)、データの入力締切り(2010731)、データの固定(116)と、こういう流れです。

 次のものが、エンドポイントでイベントについて判定をする所です。1回目は顔合わせですが、実質的な1回目は2007125日から計10回行っています。その下に安全性勧告委員会がありまして、ここでは中間解析も含めて検討するわけですが、実質的な1回目は20081210日に行われています。*が付いている所が、中間解析の結果を基に議論した所です。

 今、申し上げましたプロトコールの変更がいつ起きたかですが、一番下の欄にありますが、2005128日以前ということが判明しています。これはClinical Trials.govというNIHの登録にその書類が残っていまして、ラストアップデートが2005128日と、そこにセカンダリーアウトカムスの表示があったということで、それ以前に少なくとも変えたことが分かりました。ということで、実はこれはデータを見る安全性勧告委員会中間解析等をやる2年ぐらい前に変えているということでした。ただ、これ自体は本来は計画の変更手続を行うべきものですので、それは行われていなかったということです。

 その下に幾つか載っていますが、今、総死亡を説明しましたように、2005128日以前に副次的なセカンダリーに変わったということです。その下に、心疾患による死亡は、論文では「心突然死」と表記されていました。その次は急性心筋梗塞、突然死、急性心筋梗塞の発症、狭心症の発症。心不全の発症の部分は、悪化による入院と悪化による追加治療がプロトコールでは書いてありましたが、論文では「悪化による入院」と表記されていました。ただ、先ほど申し上げましたように、こういう表記は変わっていますが、データの収集、解析等は全て当初のプロトコールのとおりに進んでいたことは、センターで確認したということです。

 その下の「研究管理体制」ですが、これもセンターでチェックをお願いしましたが、倫理委員会、エンドポイント委員会、安全性勧告委員会は、計画書に定義した役割を果たしていたことが確認されました。web入力データ、解析用データ、エンドポイント委員会で使用した資料は全て存在して、手順を経てwebデータから解析用データが作成されていたことも確認できました。

 計画書に定義されたイベントは、エンドポイント委員会の判定を受けて、解析用データに正しく記録されていたと。管理体制については、こういう結果がセンターから出されています。

 「データの検証」ですが、全体の1,150例について、webデータに入っているものをその後のものと比較して、解析用データ等と比較しました。これが6ページです。資料1を見ていただきますとポンチ絵がありますが、今申し上げた所は、○1のこの部分から○2の紫色に至る所が担当医が入力する所でありまして、○2の紫色の所からイベントについてはエンドポイント委員会でチェックをしていただいて、その結果を基に解析用データを作って、最終的に固定すると、○2、○3、○4という順番に移動することになっています。

 その中で今比べましたのは、○2と○3と○4を比べたということです。実際に1,150例中web入力データと解析用データとのイベントに30の差異がありました。そのうちの22例は、エンドポイント委員会の審査で削除とか、追加とか、変更されたものでして、これについてはエンドポイント委員会のファンクションですので、問題ない変更であると判断しました。

 事務局の判断で削除されたものが8例ありました。これについては6ページの2つ目のポツの所ですが、8つのうち○1~○3は、安全性勧告委員会の勧告によって調査終了日が2010731日と決定しましたが、それ以降に発現した事象であったということで、期限の後に発症したということで、イベントとして取り合わないことを事務局で決めたものです。これについては、アムロジピン群が3イベントありました。これ自体は、8イベントのうちバルサルタンは1例で、後7例全てはアムロジピン群だったということです。○4は狭心症でも条件がありまして、PCIとか、CABGを行っていないことを確認して、これについては対象ではないことで、報告をエンドポイントに挙げなかったものです。これはバルサルタン群でした。

 そのほか、ここに書いてありますように、プロトコールの定義に合わないもの、期日を過ぎたもの等削除されたものが7例です。ただ、6ページの一番最後の○8は、1例、狭心症の発現日は2010715日があったのですが、担当の医師は入力を行いましたが、事務局のミスでエンドポイントに行かなかったものがあるということです。本例は、バルサルタン群ではなくてアムロジピン群の症例がここで削られてしまったということです。

 資料1で見ていただきますと、今そこで書いたのが右下のほうの所でして、1,150例中○2と○4での違いということで、エンドポイント委員会でやられたものが22例で、これは問題がないと。事務局で削除したものが8例で、バルサルタン群が1例で、アムロジピン群が7例であったと。先ほど申し上げました一番最後の所が、本来エンドポイントに行くべきものが行っていなかったということで、一番下に書いてありますように「1点を除き問題がなかった」というのは、そういう意味です。ただ、それはアムロジピン群が除かれていたということです。実際の解析については全てやりましたが、問題はなかったという結果になっています。

 血圧のデータですが、あと、HbA1cについても、ほぼ論文と一致していました。カルテとの照合、その下に書いてありますのは、先ほど申し上げたように表記が変わっていた所をまた再度ここに載せています。

 これは、今、全部のデータの先ほどの資料1-2以降のプロセスですが、カルテとの照合の141例について、6ページの一番下から説明します。これもセンターにお願いしたものですが、7ページを見ていただきますと、2)に「イベント」とありますが、実際にプロトコールの定義に従ってイベント発生の有無を確認しました。違っていましたのが、(結果)でして、一般的にはCRFで報告されたイベントは、全てカルテに記載されていて、適切にエンドポイント委員会へ報告されて、その結果が適切に解析用データに反映されていたという結果を頂いていますが、その中で2例問題があったということです。

webデータに報告されていない例が1例ありました。これは狭心症によるPCIの施行を行っていましたが、それがwebページに入っていなかったということです。これはバルサルタン群であったということです。

 次のページの内容について説明したいのですが、8ページの中段に「なお、上記2)イベントで」ですが、当時の担当医に確認したところ、その試験では当初バルサルタン群を服用していましたが、血圧コントロールが悪いためにCCBACE-1に変更して、その後約1年後に狭心症を発症している例でした。その後担当医が交替になったこともありまして、そのイベントを薬は変わっていても報告しなければいけなかったところを、バルサルタンを服用していなかったこともあって、担当医の引き継ぐミスも重なりまして、報告が漏れていたことが判明しました。

 もう1つ、先ほどの所に戻っていただきますと、あとは発現日が実際の発現日と解析用データで異なっているイベントが1件存在し、バルサルタン群であったことがありました。これについても、また8ページの真ん中の先ほどの下ですが、当時の関係教員に確認したところ、研究開始から発現日までの経過日数を入力する際に、誤って研究終了日までの日数を入力したことを確認しました。ということで、これは誤入力ですが、こういうふうに違いがあったことを報告させていただきます。

 お手数ですがまた7ページに戻っていただきまして、血圧については141例のものについて調査をさせていただきました。センターの結論は、一番最後の「実際に恣意的なデータの操作は行われていないと判断した」ということです。実際の差があったものは、センターは血圧を取る日をその期間のちょうど真ん中のところで取って、それと値を比べたわけですが、担当医は必ずしもその日を取っていなくて、その周辺で取っていたために差が出たということです。実際の値自体は、カルテの中に存在していたということです。そのずれも、プラス・マイナスがほぼ同じに分布しているということで、恣意的な操作ではないと判断しています。

HbA1cも同様でして、差があったのは、取った日がセンターが真ん中と決めた日と担当医がHbA1cを測定して入れた日が違っていたということで、その周辺の値を入れたということです。これについても、カルテ内にその値自体はあったことが報告されています。これについても8ページを見ていただきますと、恣意的なデータの操作は行われていないという結論になりました。これはセンターの結論です。

 その真ん中の所は先ほど説明しましたので、8ページの下のほうの「関係者へのヒアリング」を説明します。研究代表者ですが、どのような経緯で行ったかを確認しましたが、これについては企業から依頼されたものではなくて、アカデミックな興味より実施したものであることを確認しました。実際にまず別の試薬でやろうとして、そちらは提案が受け入れられなかったということで、この薬を使ったということです。

 ノバルティス社元社員については、研究開始前に統計の専門家としてノバルティス社から紹介されたことを確認しました。研究責任者ら本研究参加者の一部は、本人に直接確認したことはなかったのですが、2009年頃にはノバルティス社の社員であることを認識していたことを確認しました。ノバルティス社元社員は、研究計画の段階から試験組織、統計的事項について、アドバイスする立場にあったということです。

 ノバルティス社元社員には、web入力システムのIDは付与されておらず、パスワードも出されていませんでしたので、web入力システムにアクセスすることはできませんでした。ノバルティス社元社員は、エンドポイント委員会等にオブザーバーとして出席していました。データベースは名古屋大学の試験事務局が管理していまして、ノバルティス社元社員は中間解析時、先ほど安全性勧告委員会の所でお示ししましたが、そこのときに固定データを受領していたということです。最終解析は、ノバルティス社元社員と当時の大学院生2名が共同で行っていたということです。両社のヒアリングで、ノバルティス社元社員には、論文投稿前に最終原稿を確認させていなかったということです。

 先ほどの資料1にもう1回戻っていただきますと、そのまとめとしまして、パスワード管理については、私たちの公正研究の調査専門委員会が調べて、センターではありませんで、私たちが調べましたが、パスワードの管理表、web入力データには誰が入力したかというログが残っていまして、それを全て確認しました。また、関係者の聴き取りもしましたが、いずれからもweb入力データには担当医しか書き込みができなかった、修正もできないことを確認しました。間違いがあったときには、CRCの人たちが病院に行って、医師の立会いの下に、そこで入力をし直していたということでした。

 「パスワードの管理」の2)ですが、ノバルティス社元社員のS氏はパスワードを持っていませんでした。また、入力の記録もありませんでした。そういうことから解析用データを作るまでのプロセスは、上のほうの図で言いますと、○1から○4までですが、プロセスに関与することは不可能であったことを確認しました。一方で、S氏は解析用データの提供を受けて、中間解析も含めてデータ解析には関与していました。ただし、先ほど説明しましたように、解析結果自体は正しかったことが客観的には確認されています。

 論文における利益相反についてですが、2010年の論文では「Funding and conflict of interest」という所、2012年の論文では「Sources of Funding」と「Disclosures」の双方が論文に投稿規定がありまして、これらについては記載をされていました。ただ、論文掲載に際して、ノバルティス社元社員の所属にノバルティス社を併記しなかったことは不注意であったと委員会では判断しています。両論文とも投稿規定には反していないことを確認しましたが、ノバルティス社員が研究に加わっていたことの是非等について、引き続き調査の上、利益相反については最終的に判断をさせていただきたいと考えています。

(6)の公正研究委員会及び調査専門委員会の判断ですが、これまでの調査、これは中間報告になっていますが、恣意的なデータの操作はなかったと判断していますが、引き続き調査の上、本研究の妥当性について判断したいと思っています。

 今後の調査予定ですが、データの検証としましては、資料1で見ていただきますと、今やりましたのは緑の「名古屋大学」という部分でして、連結可能なデータ、カルテとしましては、後17施設305症例あります。その下の704例は連結表がなくてチェックできない部分ですが、それについて調査可能な305例について、カルテとweb入力データ、解析用データとの照合調査をして、両群のイベント及び血圧値等が適切に報告されたかどうかを調査することとしました。また、論文に関する調査に並行しまして、利益相反についても先ほど申し上げたように調査を行っていまして、この点についても調査結果を報告させていただく予定です。

○森嶌委員長 ただいまの御説明について、御質問はありますか。

○曽根委員 良く調査されています。臨床試験が2004年から2010年の期間なされていますが、その当時の倫理審査委員会の機能は、先生から見てきちんと果たしていたかどうか、あるいは問題点をどのように総括されているのでしょうか。

○藤井参考人 倫理委員会の申請自体はきちんと行われていて、記述もしっかりしていると判断しています。ただ、実際にこういう変更があったときに、それが反映されていないことは、周知が徹底されていなかったのではないかと判断しています。実際にはデータの後の処理とか、全てについて記述は正常にされていたと考えています。それは医学部の生命倫理委員会でチェックをしていますが、それについては特段問題はなかったとは、その当時としては思っています。

○曽根委員 臨床試験について、研究代表者が名古屋大学所属の場合、他施設を含めて適正に行える臨床研究体制になっているかどうかの審査もしなければならない。被験者として大学に来る患者も他施設の患者も同じですから、人権保護の視点からの必要ですね。

○藤井参考人 そうです。

○曽根委員 特に問題と思われるのは、連結ができないケースは7割と言われましたか。

○藤井参考人 はい。

○曽根委員 そのこと自体、臨床試験の仕組みが根本的に欠陥している。また、臨床試験の運営体制や管理体制が機能していないこと、もう1つは大学側にきちんと審査する体制がない。そこに企業側が不適切な形で介入してきたという実態が見えてくるのですが、そのように理解してよろしいでしょうか。

○藤井参考人 申し訳ありませんが、まだそこまでしっかりとした認識とチェックはしていませんが、プロトコールの中には全ての資料等は研究終了後廃棄という項目がありまして、私たちの当初の判断は、先生が今おっしゃった連結表については、研究が一応終わっていますので、恐らく廃棄されたものと解釈させていただいたのですが。それは、プロトコールの中に資料も含めて全て廃棄というので、一応それに従っているのではないかと判断しました。

○曽根委員 カルテの保管期間は、法的に5年ですね。

○藤井参考人 はい。

○曽根委員 臨床研究、特に介入型の臨床試験では、終了後何年間保管すべきか、あるいは臨床研究の結果の論文発表をしてから何年間、保管をすべきかを検討しておかないと、今後、こういった問題が起こったときに遡って解決できないと思います。そういう議論は調査委員会でなされたのですか。あるいは、実際に調査する中でどのぐらいの年数、保管しておいたほうがいいか、具体的なところがあれば教えてください。

○藤井参考人 委員会では、まだそこまで議論していません。今回、専門家が来ていますので、もし御意見があれば。

○名古屋大学植村参考人 当調査専門委員会の植村と申します。名古屋大学医学部に所属しています。今、曽根委員から御指摘がありました点については、医学部内では、今、検討を開始したところです。1つは、倫理委員会の審査は、研究開始の時点では書類上は不備はなかったのですが、こういう事態が起こったという点に鑑みますと、監査といいますか、要するにモニターという機能をどのように持たせるかということと、これが審査に関する倫理委員会における機能です。もう1つ、利益相反については、今、曽根委員が言われていましたように、企業からの寄附金で行われていた研究については、契約型にすることを次年度から行う。つまり、収支が明確になるようにする。ここら辺までは検討が既に済んでいるところです。

 今、先生が言われた3年が適当かどうか。つまり、論文発表後何年が適当かと。これについては、全国の医学部長病院長会議等々、公的な機関からサゼスチョンを得ていますので、それに準じて、今考えていますのは、3年を1つの目安とはしていますが、まだ決定までは至っていません。今、医学部での検討状況は以上です。

○花井委員 非常に緻密、かつ精密な調査をされると思うのですが、2ページのお金の流れの話ですが、病態内科学講座循環器内科分野にマルメで入っていて、いろいろな寄附金が入っていますと。当然、出納者は大学の人がやっているのですよね。そうすると、お金を出したと言えば、必ずそれに対応する領収書とかは大学に提出されていて、確かに研究に幾ら使ったか、大学側では把握できないかもしれないけれども、例えば研究に携わった研究者若しくは教授名で出納されていれば、そこは大体そういう書類を精査すれば、この先生にこういう人で幾ら出したというのは、内部で調査可能なのではないですか。

○藤井参考人 実際にほとんどの経理簿が残っていまして、例えば委員会にどういう人が出て、幾らお払いしたかとか、担当医に幾らお払いしたかは、全て分かっています。雇用とか、そういうものも分かっていますので、本研究にいくら使ったのかについては非常にアバウトでありますが、大体1年間2,000万円程度使ったというのは、そういう意味で述べさせていただいています。ただ、例えば初年度にデータ収録のwebシステムを作るとか、大きいお金が入っている所もあるので、それも入れて、これは各年で割った数字ですが。

○花井委員 今回、それは費目も含めて割と精査されたという理解でもいいでしょうか。

○藤井参考人 はい。

○花井委員 分かりました。では、それに関しては基本的にその出納の中身を見る限りは、ちょっと不自然な意図があるとか、そういうことはないと、こういう理解ですか。

○藤井参考人 はい、そういう理解です。

○桑島委員 これはPROBE法で行われているわけですが、我々側から見ると、PROBE法の問題は御存じだと思うのですが、客観性に乏しいものをエンドポイントに入れないということが原則ですが、本研究では心不全による入院がエンドポイントに入っているわけですよね。

○藤井参考人 はい。

○桑島委員 しかも心不全による入院で両群にものすごく差が付いて、これを論文では強調しているわけですよね。

○藤井参考人 はい。

○桑島委員 その入院が実際に心不全の中身は医学的に見ても本当に適切であったかどうかと。そういう点はお調べになっていますか。

○藤井参考人 はい、この点については、手良向先生から。

○名古屋大学手良向参考人 外部委員の手良向と申します。今の点については、名古屋大学の141症例の中に心不全発症というイベントを起こした症例は4例ありまして、その4例については全て医学的に正しいことは一応確認しています。それ以外については、まだこれから調査することになっています。

○森嶌委員長 結局、トータルとしては18例が分かっていて、その中身4例ですね。

○手良向参考人 そうです、その中の4例です。

○藤原委員 8ページで、ノバルティス社の方から紹介されて元社員に会われたと。慈恵とか、京都府立は、その当時のブロダーとマネージャーが大体全部仲介していらっしゃるのですが、今回の名古屋大学のケースについては、どなたが仲介されたかとかは、ヒアリングされたのですか。

○藤井参考人 名前自体は分からないのですが、営業の方と聞いています。

○竹内委員 資料3についてお伺いしたいのですが、2010年、2009年で非常に頻繁に中間解析が行われています。少し多過ぎると判断できます。4か月ごとにやっていますので、時間がかかります。今、ここの解析はノバルティス社の方と大学院生の2名でされていたと。このときより毎回毎回p値が変わってきますので、そこまでしっかりした統計解析はされたのかが1つ疑問点です。

○手良向参考人 ヒアリングから推測するに、そこまで細かい解析をしていませんで、イベントの数だけを数えて、それで2×2の表を作って、有意差が有る、無いと、それだけをやったと聞いています。

○竹内委員 ということは、この時点でノバルティス社の方が入っていますので、どちらの群にどういうイベントがなぜ起こったかについて、1,150例については企業の方が全て分かっていたという理解でよろしいのですか。

○手良向参考人 固定されたデータを名古屋大学からその方がその度に受け取って、それで数を数えていますので、それは全て分かっていたということです。

○宮田委員 その当時の名古屋大学のCOIのマネジメント体制についてお尋ねしたいのですが、どのような管理をやっていらっしゃるのですか。それから、9ページで「ノバルティス社員を併記しなかったことは不注意であった」と書いてありましたが、それは不注意ということで、そちらが認識していらっしゃるわけですか。

○藤井参考人 不注意、かつ不適切であったと考えています。実際にこれはどうしてここに入れなかったかは、ヒアリングを何回もやりまして、統計解析という形で入っていたということで、最後までそういう形で入っていたという認識だったということが一番で、あと、その当時の所属自体が幾つかありましたが、私立も含めて3つぐらいあったわけですが、その一番上が実は大阪市大、先ほどの大学だったものですから、それを得たということ。それから、他の論文、この4大学の研究とは関係ない論文でも、この方はかなりauthorになっていまして、そこのところも大阪市大の所属になっていたということもあったということで、そういう感覚でやったと本人は言っていました。

○宮田委員 それで管理体制はいかがですか。その当時のCOIのマネジメント委員会は、いつできていたのですか。

○植村参考人 医学部に関して言いますと、実は2008年までは倫理審査、つまり研究倫理審査にその申請書を出した際に、同時にチェックを行うという体制でした。現在は20088月から利益相反マネジメント委員会を別個に設置しまして、そこで倫理審査の前提という場合もありますし、あるいは、倫理審査そのものにある1つの要件として、利益相反を別個の委員会で行うようになっています。

○宮田委員 お尋ねしたいのですが、最近、利益相反というとお金の流れだけに注意を取られるのですが、今回の事案でも明確ですが、労務提供とか、実際、研究に違う肩書で参加しているとか、そういうこともきちんとチェックなされるようになっていますか。

○植村参考人 これは役務提供についても申告するようになっています。それで、倫理審査に際して行うものと、名古屋大学本学といいますか、本部全体で全ての研究者が年に1回あらゆる利益相反状態を報告すると。ただ、これは現状でして、この研究が開始された当時は、そのようなシステムはまだありませんでした。ちなみに、役務提供については、現在のところの1つの基準が年間に提供される役務として、年間総額200万円を超えるものを申告するという形になっています。

○宮田委員 分かりました。それで、20088月に医学部でCOIのマネジメント委員会ができたというと、この研究は2010年に論文が出ていますよね。ですから、その扱い、つまり走っている研究に関しての扱いはどうなっていますか。

○植村参考人 先ほどの曽根委員からの質問とかぶるのですが、それが今の私どもの倫理委員会がカバーしている部分の欠点といいますか、欠落しているところでして、モニター、あるいは、場合によってはオーディットという機能が、現状のところは年に1回の研究申請者からの研究報告を行っていますが、これも実質的には2010年度からになっています。

○宮田委員 要するに、取りあえずは新規ばかりをやっていたということになりますか。

○植村参考人 そうなります。

○宮田委員 分かりました。

○森嶌委員長 よろしいですか。それでは、どうもありがとうございました。引き続きまして、資料2-3-2に基づいて、千葉大学の横須賀参考人から御説明をよろしくお願いします。

○千葉大学横須賀参考人 千葉大学です。資料2-3に基づきまして報告申し上げます。まず、VART studyの公表論文に基づく概要ですが、目的は本研究が高血圧患者の薬物治療としてバルサルタンとアムロジピンを使用した場合、真の治療効果である心血管イベントの抑制効果が、バルサルタン群がアムロジビン群と比較し、40%上回るという仮説を証明することを目的として実施されたものです。対象患者は新規に高血圧と診断された患者又は既に降圧治療を受けている患者を対象としております。

 治療スケジュールは、バルサルタン群では、バルサルタンを80ミリグラム/日から開始し、降圧目標に達しない場合は160ミリグラム/日まで増量し、また、アムロジピン群ではアムロジピンを5ミリグラム/日から開始し、目標に達しない場合は10ミリグラム/日まで増量した。両群とも増量後も降圧不十分な場合はアルファ遮断薬、ベータ遮断薬又は利尿薬などを必要に応じて追加したというものです。

 研究デザインはPROBE法です。評価項目は、主要評価項目(一次エンドポイント)ですが、全死亡、脳血管、心血管、腎の複合イベントとしております。

 副次評価項目としては、以下の5項目です。心左室重量係数とその変化量、血清ノルエピネフリン濃度の変化率、心縦隔比の変化率、尿中アルブミンクレアチニン比の変化率、糖尿病新規発症頻度で、最小化法による無作為割り付けで割り付けをされています。実施医療機関は千葉県内を中心とする医療機関による多施設共同試験です。

 実施の経緯としては、千葉大学医学研究院倫理委員会で答申され、教授会で承認されたのが2002513日で、最初の症例登録は200272日、最後の症例登録は2007920日、データロック日が2009727日でした。

 実施体制としては、VART study事務局を医学部附属病院内のオートロックが付いている循環器内科カンファレンスルームに置きました。メンバーは循環器内科の医師と事務員です。患者割り付けはUMINのシステムを用いて、患者データ入力システムは外部企業に依頼した入力システムを用いております。運営委員は事務局のメンバー8名、イベント評価委員会の委員は本学以外の医師4名がメンバーで、学外で2回開催されております。効果・安全性評価委員会は、本学以外の医師3名がメンバーで、データ解析は事務局メンバーが行いました。

 研究結果ですが、組み入れ被験者はバルサルタン群510例、アムロジピン群511例、計1,021例で予定症例数3,000例の3分の1でした。

 登録時の患者背景は、年齢、性別等、両群間に大きな差は見られませんでした。

また、研究期間中の血圧推移は、バルサルタン群、アムロジピン群、両群ともに十分かつ同等の降圧効果を示しております。

 次に評価項目です。一次エンドポイントでは、複合イベント発生数はバルサルタン群で21(4.1)、アムロジピン群で21(4.1)であり、2群間で有意差を認めておりません。つまり、本研究においては、両群いずれにおいても同等の治療効果であり、バルサルタン群がより良い治療(生命予後)効果を示すことを証明し得なかったという結論です。

 二次エンドポイントでは、心左室重量係数とその変化量はバルサルタン群でアムロジピン群に比して有意に低下した。血清ノルエピネフリン濃度の変化率も、バルサルタン群で有意に低下した。心縦隔比の変化率では心筋シンチグラムで行ったものですが、バルサルタン群でアムロジピン群に比し、有意に上昇した。血中尿中アルブミンクレアチニン比の変化率もバルサルタン群で有意に改善した。糖尿病新規発症頻度は両群では有意差は見られなかった。

 つまり、本研究においてはバルサルタン群の方がアムロジピン群に比して、生命予後の改然効果が大きいという結論には至らなかったが、二次エンドポイントとした心左室肥大の抑制、血清ノルエピネフリン濃度の変化の抑制、心交感神経活動の活性化、腎機能保護に関して、これらの臨床検査を行い得た症例においては、バルサルタン群の方がアムロジピン群に比してより良い治療効果が見られましたが、糖尿病の発症頻度では両群で差が見られなかったとの結論でした。

 研究成果の公表です。Hypertension Research誌の論文受付が201067日、受理が71日、公表が107日です。

 奨学寄附金は、医学部における外部資金の受け入れ記録では、ノバルティスファーマ株式会社から20072009年度の3年間で9,100万円が千葉大学大学院医学研究院循環病態医科学への奨学寄附金として記録されていました。ノバルティスファーマ株式会社は20022009年度(小室一成教授が大阪大学へ異動する)までの8年間に24,600万円の奨学寄附を行ったと報告しております。

 千葉大学研究活動の不正行為対策委員会による調査の経緯ですが、2013517日に不正行為対策委員会の設置が決定され、5月、6月にそれぞれ予備調査委員会が開かれ、620日に第1回の不正行為対策委員会が行われ、内部調査を開始するとともに、第三者機関に調査依頼をすることを決定しました。78日から内部調査を開始。また、712日から関係者からの事情の聴き取りを開始しております。827日に第2回の不正行為対策委員会で、外部調査の委託機関を決定しました。930日に本臨床研究の責任者などからの意見聴取を行い、123日の第4回の不正行為対策委員会において、これまでの内部調査結果に関する中間報告を作成しました。

 内部調査の概要です。本研究に関する論文におけるデータ改ざんなど不正行為の有無に関しては、最終的には第三者機関による調査結果を待つ必要がありますが、第三者機関による調査結果が明らかにされるには時間がかかると判断されたために、620日の第1回不正行為対策委員会の決定を受け、症例データベースの中で附属病院の症例データ(論文データ)と患者カルテデータ(カルテデータ)との比較検証を行いました。また、同時に本論文の作成に携わった者に各種委員会の開催状況などを事情聴取とともにアンケート調査を実施しております。

 論文データとカルテデータの比較検証です。論文に使用された症例データベースにおける附属病院の患者109名分から108名の患者カルテを特定しました。残り1名分は症例データベースにID番号は登録してあるが、該当するカルテを発見できず、患者を特定できませんでした。なお、その症例に関するデータベースにおけるデータは登録時の性別、年齢、生年月日と当日の血液データのみの記載でした。

 一次エンドポイントに関してイベントの発生数ですが、論文データではバルサルタン群が脳卒中、心不全、血清クレアチニンが2倍になった症例が、それぞれ1件、2件、1件で、計4件。アムロジピン群は脳卒中3件、心不全1件で、合計4件でした。カルテデータはそれぞれ脳卒中で2件、心不全が1件、血清クレアチニンが1件で、計4件。アムロジピン群はそれぞれ3件、1件の計4件で、イベント合計数に関しては論文データとカルテデータとに相違は見られなかったと判断しました。脳卒中と心不全にて1例ずつの違いが見られたのは、検証しますと1名の患者で心不全にて入院され、最終的に脳卒中にて死亡した症例に関して、論文データでは心不全、カルテデータでは脳卒中にカウントしたことによると見られます。また、バルサルタン群において、検査追跡期間を過ぎた46か月目に脳卒中を起こした1例が見られたが、経過観察期間である36か月を経過した後でしたので、イベントとカウントしなかったということです。

 降圧効果ですが、今回、照合し得た108例の全件数1512件中、65(4.3)において論文データとカルテデータとに相違が見られました。また、論文データとカルテデータとの相違箇所についても、バルサルタン群がアムロジピン群より優れている方向への偏りは見られませんでした。

 二次エンドポイントに関してです。二次エンドポイントの4つの項目に関して、今回調査したカルテデータと症例データベース(症例論文データ)における論文データとの間に相違が見られた症例データベースの値をカルテデータに置換して解析しました。

まず、心左室重量係数とその変化量ですが、カルテデータの全件数(281)5.0%において、論文データとカルテデータとに相違が見られました。

 心左室重量係数ですが、表のごとく、バルサルタン群、アムロジピン群ともに症例論文データ、カルテ置換データに記載してありますように、数値において大きな違いは見られませんでした。また、心左室重量係数の変化量においても、表のように、症例データベースの値をカルテデータの値に置換えた上での解析結果では、数値において大きな違いは見られませんでした。

 次に血清ノルエピネフリン濃度の変化率です。カルテデータの全件数(278)中の19(6.8)に論文データとカルテデータとに相違が見られました。置換えた値での係数では、その表のごとくで、症例データベースの値をカルテデータの値に置換えた上での解析結果では数値において大きな違いは見られませんでした。

 心縦隔比の変化率はカルテデータの全件数(101)中、8(8)において論文データとカルテデータとに相違が見られました。この表のごとく、両群において、症例データベースの値をカルテデータの値に置換えた上での解析結果では、数値において大きな違いは見られませんでした。

 尿中アルブミンクレアチニン比の変化率は、カルテデータの全件数(263)中の20(7.6)において論文データとカルテデータに相違が見られました。症例データベースの値をカルテデータの値に置換えた上での解析結果では、表のごとく大きな違いは見られませんでした。

 糖尿病新規発症頻度です。登録時における糖尿病患者数は論文データではバルサルタン群3例、アムロジピン群4例ですが、カルテデータによりますと、それぞれ5例、7例です。増えた5例のうちバルサルタン群2例、アムロジピン群2例はHbA1c高値の見落としの可能性があります。残りのアムロジピン群1例は新規発症患者と誤認されていた可能性があります。

 新規発症者数ですが、バルサルタン群、アムロジピン群それぞれ論文データでは0例、3例。カルテデータでは0例、2例です。カルテデータで減ったアムロジピン群の1例は登録時のHbA1c値の記載のない患者でしたが、この患者は登録6か月後に初めてHbA1cを測定したところ高値だったため、新規発症とカウントされたようですが、実際には登録時から糖尿病を発症していたと思われるので、カルテデータでは除いたというものです。

 以上の結果より、症例データベースの値をカルテデータの値に置換えた上での解析結果では、数値において大きな違いは見られませんでした。

 次に本論文の作成に携わった者への事情聴取とアンケート調査から明らかにされた本臨床治験のきっかけと経緯です。本臨床研究のきっかけについては、責任者である小室教授はマウスを用いた基礎研究で発見したアンジオテンシン2の心不全や血管障害の発症や心肥大における作用を自ら臨床面でも証明したいと考えたことがきっかけとのことです。

 本臨床研究の経緯ですが、米国留学中に臨床研究を行っていたK講師が、帰国後、小室教授の下で本臨床研究のプロトコールを作り、研究を開始しました。K講師はノバルティスファーマ株式会社元社員S氏が研究の支援を申し出たとき、S氏がノバルティスファーマ株式会社社員であることを知っていたため、S氏が研究に参加することは利益相反に当たると判断し、研究活動には一切関わらせませんでした。20027月より県内を中心とした96施設110名の医師からデータを集め始め、2007年頃まではK講師が独自にデータの解析を行っておりました。しかし、K講師が2007年に大学を退職して他の医療機関に転出したため、T講師がK講師に代わり本臨床研究を引き継ぎましたが、臨床研究を開始してから52か月経過した時点で3,000例に達するのは難しいのではないかと考え、約1,000例で終了した。その後、20097月にデータをロックして、当時大学院生だったN医師がSPSSソフトを使って統計解析を行い、論文を作成し、論文は20107月に受理され、10月に公表されております。なお、小室教授及びT講師は、論文作成時はS氏がノバルティスファーマ社社員であるとの認識がなかったと回答しております。

 中間まとめです。千葉大学の研究活動不正行為対策委員会においてはVART studyの問題点を以下の4点とし、これまでの内部調査結果と本委員会における責任者らへの質問調査結果を基に、それぞれの問題点に関して中間まとめを行いました。

まず1.利益相反です。VART studyの開始後にノバルティスファーマ株式会社から多額の奨学寄附金を責任者の教室が受領しておりました。しかし、論文には利益相反はないと記載されていました。そこでその記載理由を責任者等に質問調査しました。その結果、VART studyを開始した2002年当時は、まだ利益相反という概念が一般化していなかったことや、利益相反委員会も組織されていなかったため、倫理委員会の答申に基づく教授会の承認を得て臨床研究を開始した。また、2011年当時には論文を受理したHypertension Research誌には、論文を受理するに当たり、必要とされる利益相反の規程がなかったからという回答を得ました。

 本委員会は、VART studyにおける利益相反に関する開示が必要であったと判断しました。そのため、公表論文において利益相反を開示することを求めるものです。その理由として、本学は2008年には利益相反のポリシーを作成し利益相反委員会を設置しており、その時から本学及び医学研究院・附属病院の職員に対して周知し、かつ教育を行ってきており、論文を投稿した2010年には、本臨床研究においても利益相反状態の開示をすることは常識であったと判断するからです。

 2.ノバルティスファーマ株式会社の元社員の関与です。N社の元社員が統計解析において関与したことが論文に記載されていました。そこで、この元社員による関与について責任者らに質問調査しました。その結果、公表論文にはデータ解析をS氏に依頼したとの記載が見られるが、実際には研究者達自身で解析を行っていたという回答を得ました。

 公表論文への記載理由としては、本臨床研究の研究者達自身での解析結果ではデータ解析の中立性が疑われる可能性があることから、当時類似の研究論文で統計解析を担当したと記載されている大阪市立大学の非常勤講師のS氏に解析を依頼したと記載したとの回答でした。しかし、実際にはS氏にデータロック後に統計解析に関するアドバイスをしてもらっただけであり、アドバイスの内容も一般的な手法に関したものであり、元社員はデータの解析には関与していないという回答を得ました。

 本委員会は、元社員の論文作成における関与が解析データの固定後であったという回答とデータの内部調査結果を基に、現時点では元社員がデータの改ざんなどに結び付く関与は見いだせなかったが、更に正確性を期すため、第三者機関での調査結果を待って最終的な結論を出すことといたしました。

 3.CRF等の廃棄です。事務局に保管・管理していたCRF等の個人情報を含む資料等の紙媒体は20114月頃に全て廃棄されておりました。そこで、この廃棄の理由を責任者等に質問調査しました。その結果、小室教授が大阪大学に(20104)に異動した後に事務局として使用していたカンファレンスルームを他の部署に引き渡すこととなりましたが、個人情報保護の上で安全な資料の保管場所が見つからなかったことと、論文作成に用いたデータは電子媒体で保管していたということでした。

 本委員会は、回答内容とデータの内部調査結果からは、データ改ざんなどの隠蔽のための故意による廃棄の可能性を示す内容は見いだせませんでした。しかし、臨床研究の意義を軽視した著しく軽率な行為であり、責任者に厳重注意を喚起するとともに、学内に再発防止の規程等の整備を要望するものです。

 4.データ改ざんの可能性です。内部調査により109例の附属病院による論文データとカルテデータを照合したところ、副次評価項目について58%の相違が見られました。そこで、患者データの入力システムなどを責任者等に質問調査しました。その結果、インターネットを介した直接入力は全体入力の20%程度であり、残りはCRFからの事務局メンバーによる手入力であるという回答を得ました。また、内部調査結果においては、一次エンドポイント、二次エンドポイントとも、症例データの値をカルテデータに置換えた上での解析結果では、数値において大きな違いは見られなかったことを確認しました。

 本委員会は、現状、今回調査した「論文データ」に関し意図的にデータ操作が行われたことを示す内容は見いだせなかったが、更に正確性を期すため、第三者機関での調査結果を待って、最終的な結論を出すことといたしました。

 今後の調査予定については、現在、第三者機関による症例論文データとカルテデータの照合に関しての契約が整い、調査を実施中です。附属病院内データに関しては2か月程度で終了する予定です。更に学外の医療機関に残っている患者カルテデータとの照合を継続して調査することとしています。なお、調査結果がまとまり次第、不正行為対策委員会を開催し、第三者機関の調査結果を踏まえて最終報告をまとめることとしております。

 次に千葉大学の取組状況です。臨床研究のデータの信頼性確保と利益相反のマネージメントに関する今後の方策ですが、今回の事案を受けて、千葉大学では本年7月より学内の調査委員会でその対応策を検討してきたが、特に「高血圧症治療薬の臨床研究事案を踏まえた対応及び再発防止策について」に記載された具体的な5つの対応策を基に、取組を更に強化するものとしています。

1 倫理審査委員会の機能強化及び透明性の確保です。現在、行っているプロトコール検討会を更に機能を強化する。

2 研究責任者の責務の明確化と教育・研修の徹底は、現在、年間14回の教育セミナーを開催しており、また、試験開始までに7時間30分の講義の受講と、3年ごとの更新を義務付けており、新たにこれを認定制度として利益相反を含めた教育・研修の徹底を行うものとする。

3 データ改ざん防止対策の強化ですが、臨床研究データセンターを来年1月より新たに設置し、全ての臨床研究のデータを研究者と独立した第三者が管理する体制とするということで、関係者が直接データベースにアクセスすることを防止するものです。

4 臨床研究関連資料の保管義務ですが、臨床研究関連資料については試験終了後、5年以上の保管期間を義務付けるとともに、症例報告書等については、臨床研究データセンターで中央管理を行うということです。

5 研究機関と製薬企業の利益相反の管理体制については、利益相反委員会の機能強化を行う。特に研究者と資金提供者の関係について開示し、審議をすることに加えて、データの管理及び解析について研究者自ら行うのではなく、第三者が実施することを試験計画書に明文化する。また、利益相反に関する教育を徹底する。

 本不正行為対策委員会の委員名簿ですが、徳久委員長のほか、外部委員として、東京医科歯科大学宮坂名誉教授、東京理科大学の吉村功名誉教授に委員会に入っていただいています。以上です。

○森嶌委員長 それでは、ただいまの御説明に対して、御質問をお願いします。

○桑島委員 学内調査の対象は107例ということですが、試験そのものは1,021例が対象ですから、ちょっと少なく、ほんの一部しか調査していない訳です。この問題の最大の問題は「医事新報」などでも指摘されているように、到達血圧値が対象群とディオバンが完全に一致しているということが、Kyoto Heart StudyJikei Heart Studyと同じだということです。それは非常にまれだということが論点になってくるのです。その点に対するような回答ができていないということは問題だと思います。

 もう1つは、その中で降圧効果で6ページに書いてありますように、106例中の全件数、カルテデータと論文データというのは、論文になったものではないですね。千葉大学のデータだけという意味ですね。

○横須賀参考人 はい、論文を作成する上で用いられたということです。

○桑島委員 千葉大学の血圧データと、論文に掲載されている血圧データが違いすぎてこれは比較にならない。例えばベースラインの血圧が、千葉大で調べたのが148.9mmHg147.3mmHgということですが、それが論文に掲載されている対象の血圧値は158mmHg158mmHgで、薬10mmHg違うのです。ですから、この集団というのは実際に論文になった集団とは全然別のものを見ているような奇異な印象です。論文になっているのはベースラインが158mmHgなのです。お調べになったのは148mmHgなのです。その辺はどう捉えていらっしゃるかということです。

○横須賀参考人 内部調査はあくまでカルテデータと論文に用いられたデータとの整合性を見ているというものですが、その照合の結果では、意図的にデータ操作が行われたという証拠を見いだすことはできなかったということです。

○桑島委員 そういう意味では、これはそういう場合は「問題なかった」という結論を出すのは早いと思います。これは前回の報告とほとんど変わってなくて、千葉大学の問題ないという結論だけを出しているわけですが、時期尚早だと思います。

○横須賀参考人 あくまで今後、第三者機関の結果を待って報告したいと思います。

○桑島委員 ただ、ケースカードをもう廃棄されているということで、第三者機関に回したとしても、これ以上の調査は難しいのかもしれませんが、やはりケースカードを捨ててしまったということは大きな問題ですし、血圧値が一致してしまったという問題が残るということでは、まだ疑義の多い試験だと思います。

○横須賀参考人 私どももCRFが廃棄されてしまっていたということは、非常に問題である、あるまじき行為であると思っています。

○桑島委員 それならば、千葉大学の結論としては、そのような結論に持っていくべきではないですか。そういうのはおかしいということは、十分な調査とは言えませんよね。それはお認めになるでしょう。

○横須賀参考人 はい。あくまでも内部調査です。

○桑島委員 症例が少ないということで、ほかの施設は慈恵などでも、同じ1割でも300例で、症例数が多いということです。先ほどの滋賀などでも150例中の100例やっているわけで、かなり症例数が多い中での調査ということで、非常に症例数が少ない中でのこの調査というのは、不完全だと言わざるを得ないから、千葉大学の結論としても「不完全である」と持っていくべきだと私は思います。

○横須賀参考人 あくまでも現状の内部調査の結論でして、最終的には第三者機関、これは名古屋大学で行われている機関と同じ所ですので、同レベル以上の検討をさせていただいて、この結果で最終的な結論を出すべきものと私どもは思っています。

○桑島委員 千葉大学の佐藤先生が途中で医事新報に反論を書いていて、その中に3か月、6か月という期間別の平均血圧値が書いてあります。その中に非常に奇異なポイントが1つあります。24から36か月の時点でstandard deviationがストンと下がっているのです。それまでは非常に大きかったのが、ディオバン群だけがストンと下がっている。これは非常に奇異なデータなので、これを今後の検討課題にしていただきたいと思います。

○横須賀参考人 はい。用いられた薬の投与法がバルサルタン群とアムロジピン群で最初は行っているわけですが、最後のほうになりますと、血圧が下がらない場合はアルファブロッカーでもベータブロッカーでも何を使ってもいいというプロトコールになっていますので、後半の部分はかなり問題があるかなと思います。

○桑島委員 standard deviationが小さくなっているところが問題で、急に小さくなったということは、ディオバン群のかなり高い症例が、記入ミスか、あるいは脱落してしまったか、そういうことでstandard deviationが縮まったという可能性が非常に高いのです。これは今後検討していただきたいと思います。

○横須賀参考人 第三者機関にお願いして、そのような検討を是非させていただきたいと思います。

○曽根委員 CRF、記録した症例ファイルの紛失という事実については、個人レベルで管理され、保管ルールがなかったということを、真摯に受け止められて、今後は適切な対応ができる仕組みを作っていくことが重要ではないかと思います。

 今回、中間まとめの中で利益相反問題、特に企業側労務提供について、かなりきちんとした形で記載されたことは、私は高く評価したいと思います。また、利益相反状態として、企業との金銭関係について適切に開示しなかったことは良くないという結論はよいのですが、2000年の世界医師会の「ヘルシンキ宣言」改訂版を見ると、当然、日本医師会も入っているわけで、全ての医学研究者は、いわゆる介入型の臨床試験を実施する場合、資金提供者やスポンサーに関する情報を倫理審査委員会に当然報告すべきであり、それから患者にも説明すべきであり、刊行物にも記載すべきだということが明確に記載されており、遵守すべきであります。その後3年遅れて初めてわが国から2003年に「臨床研究に関する倫理指針」が公表され、2006年に文科省検討班から、各医系大学にCOI指針を策定してくださいというガイドラインが6年遅れて公表された経緯があります。

 わが国の臨床研究がグローバルという形で国際的にどんどん展開される中で、研究者側は行政も含めて、大学も全ての人が人権問題あるいは企業との連携の倫理的な重要性についての国際的な動向を理解せず、取り組みが遅れていたという反省が必要だと思います。「ヘルシンキ宣言」や「臨床研究に関する倫理指針」、特に利益相反の開示の必要性について、また、2006年の文科省の「COI策定ガイドライン」。それから2011年の日本医学会による「医学研究に関するCOIマネージメントのガイドライン」の公表、最近では1115日に全国医学長病院長会議、これは国公私立大学の医科系大学をカバーする組織ですが、「医系大学・病院を対象に医学研究のCOIマネージメントガイドライン」を公表しています。医学・医療の発展には産学連携推進が大前提であり、今話されている問題もそれらのガイドラインに取り上げています。今後はそれらをいかに周知していくかが課題であり、それらを是非、最終のまとめに明記していただきたい。

 もう1つは、ノバルティスファーマ社の元従業員が5大学のバルサルタン研究に大なり小なり関係しており、労務提供に関しては製薬協側及び医療用医薬品製造販売業公正取引協議会(公取協)も、そのあり方について当然対応すべきと思います。企業のアカデミアへの労務提供は、研究者に対して利益相反状態の1つを起こしていると思います。労務提供も産学連携医活動の1つですが、臨床試験に介入して結果的に疑惑が発生すれば、資金提供と同じ問題を起こすわけで、そこもきちんとした対応策なり方向性を出していただきたい。

 それから、臨床研究の支援方法として、奨学寄附金は駄目だから、委託受託や共同研究としての資金提供を契約の形で提供すれば良いという考えがありますが、契約すれば全て良いとは思いません。企業に不当な形で利益を生み出すような契約はあってはならないことです。この点についてもよく議論し、是非、最後の報告書に記載していただきたいと思います。

○横須賀参考人 ただいまの曽根先生の御意見を報告に反映させていただこうと思っております。どうもありがとうございました。

○花井委員 先ほども同じことを聞いたのですが、千葉大の場合は、お金の出納は一元的に大学当局がやっていたという理解でよろしいのですか。

○横須賀参考人 はい。

○花井委員 とすると、24千何百万円というかなり大きなお金について、研究に幾ら掛かったという出方はしないまでも、何に使われてということは完全に大学側が掌握しているという理解でよろしいですか。

○横須賀参考人 本研究に関してですか。

○花井委員 まず本研究に関してはいかがですか。

○横須賀参考人 寄附金の趣旨としては、高血圧の臨床研究に関してという趣旨で受け取っており、特にバルサルタンの研究に関してとか、そういう支出の記載はありませんので、詳細については、かなり把握できないところはあります。

○花井委員 先ほどの名大のケースは全体として入っているから、むしろ研究にという名前すら書いておらず、全体の中に潜っていると、今のおっしゃりようだと、確かにざくっとした目的でこのぐらいとなっていますが、その研究にこれだけ使うという名前、印が付いているわけではないという説明だと思いますが、出納自体は全部把握しているという理解ですね。そうすると、関与している先生とか、CROが分かっていれば、それを繰れば大体幾ら何に使われているというのは調べることは可能ということですね。

○横須賀参考人 調べることは可能ですが、この研究に使われたかどうかということまで確定するのは難しいので、責任者の先生が一番把握されておりますが、実際にその研究に携わっている方は、一体どのぐらい自分たちがその研究に支出しているかは把握できていないところがありました。

○花井委員 細かい話ですが、となると、これは明らかに研究以外で支出したというのも、寄附金なのだから、全体の中ではあるわけですね。

○横須賀参考人 あると思います。

○花井委員 そういうのは、どういうことに使うのですか。例えば研究費を1億円ドンともらいました。事務経費として2割ぐらい事務局がもらうとして、残りは8,000万円です。研究は6,000万円で、あとは個人の基礎的なこととか、学生の教育上使うということが大学の場合だったら、実態としてはあると思うのですが、そういうのは交通費とか、そういう形のものが多いのですか。一般論でいいのですが。

○横須賀参考人 一般論とは。

○花井委員 知りたいのは24,500万円の中身なのです。

○横須賀委員 かなり基礎的な臨床研究というか、臨床を裏付けるような基礎研究などにも使用されたのではないかと思います。

○花井委員 そこはノバルティスファーマ社から特に注文は付いてないということですね。

○横須賀参考人 大学としてはそういうことでは受け取っていません。

○花井委員 分かりました。

○稲垣委員 今回、13ページで意図的なデータ改ざんがあったかどうかはともかくとしても、データの誤記入なのか、誤入力なのか、エラーが多いというのは臨床試験の信頼性の観点からは考えるべきところかと思っております。

 そこで教えていただきたいのは、2段落目の入力でインターネットを介した直接入力というのは、実際に誰が入力したということなのか。直接入力というと、CRFを作らずにそのままCRFと同時に入力したということなのか、どういう意味合いなのかというのが1点です。

 あとは試験のプロトコール上というか、規程上はデータがどの段階で、誰が入力するような話になっていて、かつそれが実施できなかったということがあったのかどうか、その点を教えていただけますか。

○横須賀参考人 実際はインターネットの画面の上にCRF用のものがあって、そこに患者を診た医師が打ち込むということです。

○稲垣委員 手書きをしないでそのまま打ち込むということですね。

○横須賀参考人 はい。それがあったというのが20%です。診療に忙しい医師達が結構多くて、CRFに手書きで値を書いてもらって、それを回収して事務局のメンバーあるいは事務の方が打ち込んだのが8割ぐらいです。

○稲垣委員 つまり、インターネット入力によるCRFと紙のCRFを介した入力の両方があって、プロトコール上はどちらもオーケーになっていたということですか。

○横須賀参考人 基本的に両方オーケーだったと思います。

○稲垣委員 それで事務局が入力した。CRFが残っていませんので、どちらの入力でエラーが多かったかというのは分からないかと思いますが、何かかんがえはありますか?

○横須賀参考人 今後はその辺りも第三者機関の方々と御相談して、なるべくその辺を詰めてみたいと思います。

 それから、誤りのパーセンテージが多いのではないかという御意見でしたが、確かに先生のおっしゃるとおりで、ダブルでデータをチェックして入力すれば、もう少し誤入力とか、そういうのは減らされたのではないかと思っております。

○稲垣委員 当時、ダブルチェックできる体制が整っていたかということもありますね。

○藤原委員 3点ほど。2つぐらいほかの大学にもお願いしておきたいのは、初版のプロトコールとIC文書は一緒に見ておきたいのです。何も書いてないことが、ほかの大学なども多かったので、初版のプロトコールとIC文書を見せていただければ、大体試験のクオリティと、それを指摘できなかったかもしれない倫理審査委員会のクオリティはよく分かるので、それはお願いすることにします。

 もう1つ、統計解析をやった社員が、誰が小室先生に紹介したとか、いつもプロダクトマネージャーが出てくるのですが、それが共通して出てくるのだったら、それが分かるように第三者委員会のヒアリングなどのときにお願いしておいていただきたいと思います。

 もう1つは、名大は529日に第三者機関設置を依頼して、1129日には報告書を受領しているのですが、千葉大は620日に第三者機関に調査依頼をすることを決定してから、未だに報告書受領ができていないというのは、結構長い期間、フリーハンドに研究者の所に置いているので、証拠隠滅というか、ちゃんと第三者機関が見られるのかというのは非常に不安なので、どうしてこんなに長く時間がかかったのかを教えていただきたいのです。

○横須賀参考人 まず、初版のプロトコールに関しては、第三者機関で、その初版のプロトコールを見たいということで提示してあります。

S氏の紹介については、更にS氏から、あるいは事情聴取において、紹介の事情などについて、より詳細に詰めさせていただければと思っています。

 名大の調査は進んでいるのに、千葉大は時間がかかりすぎなのではないかという御指摘は誠に申し訳ないと思っております。本学としては大学の規程に基づいて公正、かつ慎重に調査を行い、社会に対し真実をしっかりと説明させていただくことが何より重要と考えて、第三者機関において検証作業を進めていただいているところですが、時間がかかっており、誠に申し訳ないと思っております。

 なぜそのように時間がかかるのかということですが、第三者機関による調査に関連して、このVART studyは高血圧学会で独自に調査をされておりますが、その詳細な内容を知りたいという第三者機関からの御依頼があって、高血圧学会からその独自調査に関する開示の許可契約を得るまでにかなり時間がかかったということがあります。

 具体的には日本高血圧学会が解析を外部機関に委託した際の秘密保持契約があって、その解析結果を千葉大学及び第三者機関に対して開示するという了解を得ること、またそれに関する日本高血圧学会と千葉大学との間での秘密保持契約を締結するまでに時間がかかり、第三者機関から提示された調査計画書についての検討、その後第三者機関との委託契約の締結などがあって、調査期間前、開始までに時間がかかってしまったものです。このように第三者機関との調査開始にあたり多数の確認や契約が必要との認識が十分でなかったことを反省しております。

○宮田委員 2つ伺います。1つは今回の調査結果は、極めて限られたデータをただ照らし合わせて、その数値が一致していたことを根拠に、その研究は正当に行われたと言っていますが、もう少しスコープを広げて頂いて、論文に書かれていることと、今手に入る最大限の証拠との整合性がどう取られていくかが一番重要だろうと思いますので、まず第1点はその点でプロトコール違反があったかどうかを検証して頂きたいと思っています。

 というのは、S氏の名前を使ったこと自体が重大なブロトコル違反で、要するにやってもいない人が論文の共同著者みたいな形になっています。しかも、自分たちが内部でデータを解析して、それの見映えが悪いから、その人の名前を借りたという報告書になっていますが、基本的に研究自体が正当に行われていない感じがしておりますので、是非名古屋大学ぐらい精密に、プロトコールにそもそも違反していなかったかどうか、研究者たちが本当に誠実にやっていたかどうかの検証が必要だと私は思っています。

2番目の問題は、責任研究者が異動してしまうという、ほかにはない事態がここにあります。そうだったときに、例えば先ほどのCRFの保存のような基本的な責任を誰が負うべきかが実に曖昧になってしまうのです。大学は人事が流動的なことは、私は非常に素晴らしいことだと思っていますが、一体誰が臨床研究の正当性を主張できるような証拠とか、論文の根拠のようなローデータのようなものを保全するのか。どういう認識を千葉大は持っていたかを是非、私は知りたいと思っています。これは全国の大学でも起こり得ることなのです。

 今の日本の法大系からいうと、先生の専門でしょうが、機関が責任を負わなければいけないのですが、実際に臨床研究の舵取りをしているのは責任著者であって、論文では責任著者が責任を持つという複雑な関係になっているので、その辺を整理しないと、今後も混乱が起こると考えています。千葉大ではどういう認識だったのでしょうか。

○横須賀参考人 最後の今後の方策に書いてありますが、今後はそういうデータをデータセンターで管理して行うことにしております。当時のデータの保存に関しては、2008年頃からは教育に関しても、かなり口を酸っぱく指導しているところですが、個々の研究者が責任を持ってそういうデータを持っていたことは問題があったのではないかと思っております。

○宮田委員 ということは、今後は機関が明確に責任を持つということですか。

○横須賀参考人 今後はそういう予定です。それからデータは確かに先生方がおっしゃるように、まだ109例分ですので、今後、更に症例数を広げて、千葉大以外の検討し得る関連の実施医療機関においても調査を進めていこうと思っております。

○桑島委員 稲垣先生がおっしゃったような数字の結果の不一致が血圧値で4.5%、二次エンドポイントは58%で、それはかなり多いとおっしゃいましたよね。ですから、それは中間発表の結論としても、少なくとも意図的な操作があったかどうかは別として、やはり杜撰であったという結論だけは出しておいたほうがいいと思います。そうでなければ学問の場としての大学の研究の場としてのプライオリティは保てなくなるわけです。大学がこんなことを言ってしまってはおしまいです。これから「このぐらいのデータの誤りは当たり前だよ」と言うのと同じになってしまうのです。

○横須賀参考人 先生のおっしゃるように、そういう齟齬が少なくなるように全体のシステムを考えていかなくてはと思っております。

○桑島委員 是非ともお願いします。

○曽根委員 1つ確認ですが、先ほど臨床研究、臨床試験の最終責任は誰が持つのかということについて、私の理解は、施設、機関の長が当然最終責任を持つべきであり、そのために倫理委員会に諮問し、倫理委員会から答申を受けて決定しているという点は間違いないですね。

 実際に臨床研究試験をした人が責任をどう取るのかという点が現在問題であり、今回の京都府立医大にしても慈恵医大にしても、何か曖昧な形で研究代表者が辞職、退職という形で幕引きが行われているところに問題があると思います。是非そういったことがないように、道義的、社会的な責任を個人、研究代表者が取るべき制度を是非作らないと、同じことが今後とも起こってくるのでないかと思います。

○森下委員 繰り返しになってしまうのですが、読んでいて全体的な印象として、研究実施のプロセスが分かりにくいという印象を持ちました。特に今回のケースで思ったのが、1S氏が御自身で支援を申し出たときには拒否、これはまずいということで講師が止められているのですが、7年間の空白期間があって、今度は貴学からS氏にアプローチをしている、でも、その結果は一般的な手法に関するアドバイスということになって、そのあたりのプロセスが分かりにくいと思いました。今まで委員の先生方がおっしゃったのと繰り返しになるのですが、次の報告のときにはその辺りも丁寧に調べられるほうがいいかと思いました。

○横須賀参考人 先生の御指摘はもっともでして、最初、K講師がS氏のことを知ったのはインターネットとかそういうものでどうもS氏はN社の人ではないかというのを知ったため、もう来るなということで排除していたと。ところが、K講師がお辞めになって、T講師がそのあとをやったのですが、そこの引き継ぎが十分ではなかったということも、そういうことを生んでしまったことではないかと思いますが、その辺は先生の御指摘のように、S氏に関しても十分な調査をさせていただこうと思います。

○藤原委員 1点だけ追加です。11ページに「倫理審査委員会の答申に基づいて、教授会の承認を得て臨床研究を開始した」と。2002年当時なのですが、その当時は千葉大の仕組みとしては、臨床研究機関の長というか、病院院長とか医学部長の承認ではなくて、教授会の承認があればスタートできたということなのかを確認したいのです。

 先ほど曽根先生もおっしゃったように、臨床研究機関の長が承認しているので、教授会の承認だからと言ってスタートするわけではないのですが、その辺は今は是正されているのかどうかをお聞きしたいのです。

○横須賀参考人 2002年当時は、倫理審査委員会で、このプロトコール等について検討して、それでよろしいかということで教授会に提出し、教授会がよろしいだろうということで、教授会として認めたということに理論的にはなるかと思います。

 現在ではIRBはじめ、倫理審査委員会等、かなり詳細にプロトコールについて検討しています。後ほど花岡からお話をいたしますが、生命倫理審査委員会、IRBで、そのプロトコール等について検討して利益相反等がないということで、認めるという動きになっています。花岡から御説明させていただきます。

○花岡参考人 千葉大学の花岡と申します。現在は施設の長の最終的な承認ということで、諮問機関として大学には4つの倫理審査委員会がございまして、それぞれいろいろな規程あるいは省令等に基づいて委員会が設置されているところです。

○田代委員 田代です。今の点に関することですが、取組状況に関して一応書かれてはいますが、恐らくこの研究が始まった2002年当時と現時点で、かなり千葉大学の取組みは変わっていると思います。ですがここでは、現時点では防げるものと、現時点でもまだ足りないものとの違いがはっきりとは分からないような記載になっているので、その点でもう少しはっきりと書いていただくと良いのではないかと思います。つまり、現時点ではこういうことはないと思われるけれど、それでも足りない要素としてこれを加えるという形で、今後の取組みのところをはっきりさせていただくと、より分かりやすいかと思いました。

○横須賀参考人 できるだけ明確になるような御報告をさせていただこうと思います。

○花岡参考人 田代先生御指摘のように、千葉大学ではここ数年様々な取組みをしているところでございまして、各研究者教育あるいはプロトコールのディスカッション等については、書かせていただいたように詳細なディスカッションをしています。一方で、データの管理、あるいは所有権等の議論がございましたが、それについては全ての臨床研究を大学で一括管理しているわけではございません。この点についてはやはりきちんと反省し、全体をきちんとマネジメントするような、なおかつ研究自体が抑制されないような方策を取らないといけないと思っているところです。この点の全体のバランスをとりながら進めていくことが重要と認識しているところです。

○森嶌委員長 大分時間もたっております。先ほど申し上げましたが、一応名古屋大学も含めて、3つの大学が終わったところで、全体についてそれぞれ追加の御質問なり、あるいは御意見を承りたいと思います。こちらにお引き取りいただいても、まだ質問が飛んでいくかもしれませんが、どうもありがとうございました。

 先ほどから責任ということばが出ております。例えば、曽根先生がおっしゃいましたけれども、最終的には大学の最高責任者が責任を負っているということなのですが、そうなってくると、極端なことを言えば、全部が無責任になる可能性があるわけです。しかし、例えば、臨床研究を担当している教授なり、責任者は、どういう事柄について、何と何について責任を負うのか。データの管理については誰が、どういう責任を負うのか。倫理委員会はどういうことについて、例えばプロトコールのチェックについてどういう責任を負うのかということをはっきりさせる必要があります。

 先ほど名古屋大学の報告で、名古屋大学自身もお認めになりましたが、幾つかまだ問題があるとおっしゃいました。どこで何をやって、かつてはこうで、現在はこうだというように。既に終わった京都府立大学も、慈恵医科大学も含めて、ここで最終的な報告書のまとめをするまでに、各大学について、かつてこうであったと。それで、どこがどういう責任といいますか、どういうことをやることになっていて、どこが足らなかったか。そして現在こういう対策なり、誰がこういう責任を負っている、権限を持っている。しかし、まだこの点が十分ではない、ということについて明らかにする必要があります。

 名古屋大学の話を伺っていても、まだ十分でないとおっしゃっています。せめて今日の名古屋大学が報告されたものを御覧いただきながら、名古屋大学の十分でないとおっしゃったところも含めて、各大学に対して、これは今日来ておられない京都府立医科大学、慈恵会医科大学も含めて、もう一度きちんと総括をしていただきたい。

 今日の話を聞いていて、第三者委員会がやったからと言って、内部できちんとできないものが、第三者委員会で魔術のように出てくるはずはないと思います。内部できちんと総括をした上で、それを第三者委員会がレビューするということになるのだろうと思うのです。内部で分からないものが第三者委員会に出てきたら、突然いろいろなことが分かってくるはずはない。というのは、いろいろヒアリングをしても、私ども自身もこの検討委員会で経験していることです。是非とも各大学は、自分たちのところで、まずしっかりと総括をし、それを第三者委員会で、自分たちの総括が十分であったかどうかをチェックしてもらって、その上で、その結果を、中間ではなく、とりまとめたものをここに出していただいて、私どもが全体としてとりまとめできるようにしていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。ほかに御質問があればどうぞ。

○花井委員 全体としてなのですが、先ほどから聞いているのですが、私がこれまで分からないのは、奨学寄附金という名前で呼ばれているお金が、一般的にどう説明できるのかと。幾つかの施設聞いても、必ずしも分からないのです。通常どんな組織でもそうですが、年度に事業があって、最終的には決裁して決算するわけですね。その中で、事業体に入る、大学に入るお金であれば、その中で大学の単年度会計の中で、全て科目があって、名目がある整理になるので、そうなるものなのか。もしくは、何となく教授とかそういう口座にお金が入れば、その教授の自由裁量で、そこはブラックボックスになっていて、割とポケットマネーのように使えているのか。私たち大学の内部でいたことがない人間からすると、分からない。要は、今後奨学寄附金というものをどう考えるのか。もちろん今は企業はなるべくそういうのはやめていこうと、大学も委託研究にする契約にするとはおっしゃってはいるのですが、やはり奨学寄附金という性質のお金が何なのかということは、この委員会としても整理し、今後はそういうことを是非、必要なお金かもしれないわけですが、そういうこともある程度触れたい。できましたら、お金の流れについて、出納がどうで、会計報告はどうなっているというところを、整理して報告していただけると、助かります。よろしくお願いします。

○曽根委員 今の御意見に対してですが、臨床試験の重要性というか、臨床試験の推進の意義と必要性を考える必要があります。というのは、医師主導の臨床試験は、医薬品の承認申請のための治験とは違います。過去10年あまり、同種同効薬とか異種同効薬が数多く承認される中で、臨床の現場では、それらの医薬品について適正な使用をどうしたら良いのか、どのような組み合わせが良いのか。そのような疑問に答える根拠作りには臨床試験が絶対必要です。しかし、それを実施するための資金をどこに求めるのかというと、現状では当該企業からの寄附金になってしまっている。それが大規模になればなるほど、今回のバルサルタン研究のごとく高額の寄附金に依存する状況です。販売促進という観点から、そこに企業が介入してくるということで、疑惑、不正という形で出てきたと思います。

 今回、寄附金の問題に集中というよりは、医師主導の大規模臨床試験を推進するには、どういう資金をどのように提供できるかという仕組みについて議論をしないと、適正な産学連携の推進にならないのではないかという懸念を持ちます。できれば委託受託、共同研究というより、社会ニーズの高い承認後医薬品の臨床試験を公的な研究助成で適切に実施できる機関の設立や、支援組織を作ることだと思います。また、透明性を確保するために、同種同効薬、異種同効薬で併用などの比較試験を実施する上で研究者か企業が計画書を提案し、公募の形で応募した研究者の実施計画書を競争原理の下に審査を行い、施設・機関に交付するという仕組みを作るべきではないかと思います。寄附金問題は少し違う次元の対応が必要で有り、臨床試験とは連動して考えるべきではないかと思います。

 もう一つ、問題点として思ったのは、特に大規模臨床試験を行う資格、あるいは能力の問題であり、この点は非常に重要だと思います。例えば研究代表者の資格として、しっかりと研修を受け、分担研究者として大規模臨床試験を35程度経験をすれば代表者になれるが、そうでない場合はなれないなどのルール作りを医療機関や学会等で検討すべきではないかと思います。そうしない限り、研究の質、信頼性という点で同じ問題が起こると、私は懸念しています。

○森嶌委員長 花井委員がおっしゃったのは、寄附金になるか、委託か契約かともかくとして、企業から出たお金が臨床研究をやるような場合に、どういうふうに会計上透明性を持って処理をされるか、その仕組みについて、説明をきちんとしてくれということだと、私は思いますが。

○花井委員 うまく説明できなかったので、誤解をされたのかもしれないのですが、こういうことなのです。ノバ社の説明を聞いても、これは自由に使ってもいいですよと言われており、更に名大に至って言えば、前段の中に潜っているわけですよね。そうすると、純粋な、例えば今回のサイエンティフィックな興味のクエスチョンからすれば、むしろバルサルタンの他のARBも含めてやるデザインのほうが、どう見たってサイエンティフィックに、この仮説からしても、この先生の研究内容からしてもいいはずではないですか。それが、バルサルタンしか使えないというのは、ほかのARBそこに入れたら、次の年には何をやっているんだと言って、もらえないとか、そういうことがあるでしょうと。それは、既にもうバイアスが掛かっている利益相反の圧力なのであって、そういうことなのかと直感的には思うのです。そうなのか、そうだったらどうなのかというところを、何かモヤモヤとしたまま、私らは素人だからちょっと分からないのですね。字面だけ読めば、別にバルサルタン使わなくてもいいはずですよ。そうノバルティス言っていたではないですか、公けに。ましてや、一般的な全体に会計が入っていれば、では他のARBも入れようというデザイン、私が素人でも考えますよ。だって、このクエスチョンであれば。

 ところが、そうではなくて。やはりバルサルタンとカルシウム拮抗薬の2つでしか、プロトコール書けないというのは、やはり何かそれでしかできない理由があるということですよね。だから、そういうことです。よろしくお願いします。

○森嶌委員長 これ、具体的な話なので、今十何年前のことを聞かれても困るかもしれませんが、大学のこのような委託、あるいは寄附金の処理ですが、工学部とか理学部とかそれぞれあると思うのですけれども、特に医学生はほかとは違うのかもしれませんが、それについて、何か今の時点で、大枠のお答えがありますか。そう丼勘定ではないことは確かで寄附金がパっと大学の一般会計に入ってしまうわけではなくて、大学としては一定の、20%とか管理費を取った上で、それぞれのプロジェクトの一定の枠の中できちんと処理をしていると思います。その場合に、例えば、これしかできないことにするのか、それとも、もう少し柔軟なものにするのか。これは、私は医学部のほう分かりませんが、一般的に言えば、一定の目的で委託なら委託で入ってきた範囲内でしょうが、その範囲がそれがどれぐらいのものなのか、フレキシビリティがあるのかということは、分かりません。だから花井委員がおっしゃるように、余りぎりぎりしてくると、正に製薬会社の指示どおりに動かないと、研究が進まないことになります。それでは、おかしいではないかというお話になるかと思います。その点で、ちょっと私もよく分かりません。

○花井委員 誰も紐付きとおっしゃらないのですよ、自由ですと。出している方も言い、こちらも、それは何も言われてないと言っている。なのに、相手を察してやっているがごとくの流れになっている。表向きそうおっしゃってくれれば、それ期待してますとか、ノ社としても、みたいな話が、そうはおっしゃらなかったので。やはりそれは表面の議論と違う実態があると思うので、やはりそういう意味で奨学寄附金というのはどういうものだったのかというのを1回総括しておくことは必要かなと。そういう趣旨です。

○森嶌委員長 それは私も伺いたいと思いますが、およそ、丼勘定で勝手に使ってもいいというものではないと思います。ただ、使うときに、今言ったようなノバルティス社が指定したような範囲内だけにしか使えないのか、それとも、もう少し基礎研究なども含めて、関連はあるがもっと広いところまで使えるのか。私は学部が違いましたし、医学部とかそういう学部とは別のやり方があるのかもしれませんから分かりませんが。

○曽根委員 寄附金自体の問題よりは、その額なのです。寄附金については、文科省検討班のCOI策定ガイドライン(2006年)及び日本医学会のガイドラインでも、開示基準額は200万円以上としています。しかし、当時、一つの企業からの寄附金額が年間3,000万円、6,000万円という額は想定しておりませんでした。今、日本医学会も、今回の事案をきっかけにCOIマネージメントガイドラインの改訂をしているところです。マネジメントの改善策としては寄附金を200万円以上、500万円以上、1,000万円以上と、額をいくつか設定して、その額によってマネジメントの仕方を変えていこうという考えを持っています。当然医系大学の対応も同様に必要だと思います。しかし、企業からの寄附金提供方法については、社会環境もかなり変わってきたと思います。2000年以後、承認薬が数多く出てきています。それとともに、企業間の競争も激化し、寄附金額も多くなってきており、2000年代初めとその後ではかなり違ってきたのではないかと思います。ノバルティス社にしても、ほかの外資系企業にしても、サイエンティフィックアフェアーズなどを設けて、寄附金提供を取り扱う窓口を販売部門から独立させていくという方向にあります。従って、今回のバルサルタン事案を契機に、恐らく寄附金提供のあり方が一気に変わるのではないかと思います。しかし、それで全てが解決するのではなく、先ほど言いましたが、治験薬の適正化や治療の標準化という点で市販後薬の医師主導臨床試験は極めて重要であり、そのための原資確保はどうしたらいいかということも真剣に考えていかなければいけません。また、現在、国策として進められている日本版NIH構想のもとに、産官学が連携して医療イノベーションを進めるには臨床試験の質と信頼性を確保する仕組みが前進しなければならないと思います。

○森嶌委員長 やや思いつき的なところありますが、今回のことについて、奨学寄附金に関して、それぞれがどのような使途で使われたのかについて、細かいことはともかくとして、それぞれの大学で、どのように取り扱われたかについて御報告いただきたい。

 それから、今後の問題がありますから、それについては必ずしも5つの大学だけではなく、藤原先生のところも、曽根先生のところも、ほかの先生のところもそれぞれの所で、こういう委託研究あるいは奨学寄附金、そういうものが臨床試験などで使われる場合に、どういうふうにして資金が管理されているのか。あるいは管理すべきなのかということについて、お考えがあれば、メモでも結構ですから、今後の方向性をこの委員会が最終的に出すときに必要なことですので、この委員の中からお考えを出していただければ、とりまとめの際に、考えていきたいと思いますので、是非お願いしたいと思います。

 それでは、ほかに、3大学に対して。

○田代委員 倫理委員会の役割についてですが、前回までの2つ、つまり慈恵会医科大学と京都府立医科大学に関しては、どちらかといえば開始時点での問題が中心でした。それに対して、今回の3大学とも恐らく開始時点ではそれほど大きな問題はなかったけれども、むしろプロトコールからの逸脱や重大な変更が一切確認されないまま、かなり自由に進んでいった結果、問題が生じた可能性もなくはないわけです。

この点について、先ほど名古屋大学からは、さらに踏み込んだ提言という形で、今後は倫理審査委員会がある種のオーディット的な機能も担っていくというようなことをおっしゃいました。ですので、全体として考えたときに、恐らくそういう一旦始まった後の研究計画をどう管理していくのか、その役割をどこが担うべきかについて、この委員会で少し考えてもいいのかなと思いました。以上です。

○宮田委員 関連します。先ほども申し上げましたが、臨床研究をサイエンスにしないと、やはり日本の臨床研究が信頼されないのです。そのための枠組みをどうするかを整理して、皆さんの反省という形で提言をいただきたいと思っているのです。例えば、先ほどの誤記の問題とか、ああいうルーズな感じで、なおかつ、プロトコール違反ってたくさんあるわけですね。ですから、そもそもそういうようなことで再現性のあるデータなんか本当に期待していたのかというところも含めて、臨床研究に対する甘さというのをどうやって削っていくか。自分たちにカセをはめて、再現性のあるデータをなるべく取れるようにするという、これは統計学的な意味でもですね。例えば、統計学的な信頼限界は5%と考えているのに、あんなに誤記があって。それはランダムに、均一に誤記が起これば、それはそれでいいのかもしれませんが、そんな馬鹿なこと期待して、科学研究ということはあり得ないと思うのです。そこを、まず徹底的に検証していただきたいと思っています。

 ですから、まずはプロトコールの話と、もう1つは、主任研究者が本当にそれだけの科学研究を遂行できるだけの能力とか、その教育を受けていたのかも、実は教えていただきたいと考えています。

 それから先ほど花井先生がおっしゃった奨学寄附金の問題ですが、その背景にあるのは、お金をいただいたことで何らかの利益相反関係が生じているはずなのに、奨学寄附金というマネーロンダリングの仕組みで、それを見えなくしている。見えなくした結果、それでは本当に主任研究員が自由にやっていればそれはいいのですが、どれだけ心理的にも、物理的にも制約されていたかを裏付けるようなデータが欲しいと思っております。例えば、今回主任研究員になった所に、N社だけではなくて、どういうような企業がお金を入れているのかとか。そういうようなことも含めて、奨学寄附金の全体像というものを、少なくとも今回、ディオバンの事件に関係している主任研究員に関してはもうちょっと全貌を明らかにしていただきたいと思っています。

○森嶌委員長 なかなか難しいお話で、分かりました。ほかにありますか。本来ならこれで終了の時間なのですが、まだ議題がございます。

○曽根委員 1つだけ、厚生労働省の担当の方にお聞きしたい。今回バルサルタン臨床研究事案で、たくさんの方々が調査し、議論もしてきたのですが、結論的に、法律違反が問えるかどうかという点で、壁に当たっています。1週間前に、マスメディアで、ノバルティス社を厚労省が薬事法違反で刑事告発という記事が出ていました。どういう進捗状況になっているか、担当部局課から説明をお願いしたいと思います。

○赤川課長 医薬食品局の監視指導・麻薬対策課でございます。新聞報道にありますような、厚生労働省において告発する方針を決めたという事実はございません。ただいま、薬事法上の問題については調査を進めているところでして、薬事法に違反する事実が判明すれば厳正に対処してまいりたいと思っております。

○森嶌委員長 それでは、次の議題に移ります。次の議題は資料3にありますが、事務局から、臨床試験の適切な実施に係る自主点検の追加実施ということで、よろしくお願いします。

○河野治験推進室長 事務局です。お手元の資料3に基づき、説明させていただきます。臨床研究に関する追加的な自主点検についてです。臨床研究の指針に反する事案を踏まえて、本年8月に、臨床研究を実施する主な医療機関等を対象として、平成214月以降に開始した侵襲性のある介入研究について、自主点検及びその結果の報告をお願いしたところです。

 今般、更にこの調査期間を遡る形での調査をお願いしたいと考えております。対象となる機関については、前回と同様、主な臨床研究を実施する機関として117施設。対象とする臨床研究としては、ご討論いただいている高血圧症治療薬の臨床研究事案が平成14年以降に開始されている状況も踏まえ、平成124月以降平成213月までに開始した侵襲性のある介入研究を対象にしたいと考えております。

 自主点検の内容としては、データのねつ造改ざん等、データの信頼性に関する疑念が生じている臨床研究について、本格的な調査を実施したものがあるかどうか、その件数、内容についての報告をお願いしたいと考えております。また、本格的な調査を実施することが適当だったと考えられる臨床研究についても、その報告を求めたいと考えております。該当する案件があった場合については、公費助成を受けているかどうかの別であるとか、その後の対応状況とか、その臨床研究の結果が製薬企業による広告等に用いられたかどうかについて、報告をお願いしたいと考えております。

 これに関連して、お手元の参考資料1は、前回、平成214月以降に開始した侵襲性のある介入研究についての自主点検の結果について、927日時点での報告状況の概要をとりまとめて、中間とりまとめの報告書にも添付しているところです。927日時点では、ごく一部調査が継続しているところもありましたので、その後の調査の結果を踏まえた最終的なとりまとめの状況について、まとめているものです。事務局からは以上です。

○森嶌委員長 ということでございまして、前回は比較的最近ということで、平成21年の4月以降に開始した研究ということでしたが、今度は今回問題になっておりますディオバンの臨床試験が開始されました平成14年頃、それより、もうちょっと遡ってということで、平成12年の4月からということです。資料の3に書いてありますような、自主点検をしてもらいたいということですが、何か御意見ございますか。あるいは御注文等ございましょうか。

○花井委員 確認です。侵襲性があると書いてあるのですが、侵襲性の度合いはいかがでしょうか。

○森嶌委員長 侵襲という言葉ですね。

○河野治験推進室長 事務局ですが、一般的には介入研究が、これの対象になると考えておりますので、全般的に、自主点検をお願いすることになろうかと思っております。

○曽根委員 遡ってはなかなか難しいと思います。企業との金銭的な関わりを調べることは難しいですか。寄附金の場合は、使途が自由だから難しいのですが、依頼、あるいは何らかの形で、契約でもいいですが、その点についてはいかがでしょうか。

○河野治験推進室長 事務局です。この臨床研究の質の確保という観点からしたときに、過去に遡る際に、質に問題があったかどうかという観点での調査をまず考えるということで、前回の自主点検についても検討をお願いしたところです。

 今回、更に遡るということになりますと、倫理指針についても、改訂以前のものになりますし、現場に対して、可能な限りの調査をお願いするにしても、記録等がどこまで保管されているかという問題も生じるかと思いますので、この範囲で、我々としてはお願いしたいと考えているところです。

○森嶌委員長 何かございましょうか。

○曽根委員 我々アカデミアからの要望ですが、製薬協で過去5年を対象に、傘下企業の介入臨床研究への依頼状況、あるいは支援という形での調査は難しいのでしょうか。医療機関と企業の両者を調査しないと、問題解決にならないのではないかと思いますが。

○稲垣委員 結局、臨床研究の質をどうやって担保するかという話の論義の中で、質に問題があった試験が出たときに、では何でそこに問題があったのかというところで、例えば企業が何か関わったのかどうか。あるいは、ここの話でも後半にあります宣伝に使ったという何らかの意図が最初から出ていたかという辺りについては、確かに中で考えてみる必要はあるのかなと、今回の話聞いて思ったところではございます。ただ、単純に過去のやった試験を5年前まで全部ということになると、どこまで記録が残っているのかなというのが、正直分からない。何かしら正式に依頼したような事案であれば記録はあるが残っているかもしれないけれども、臨床研究の支援では様々なレベルのものがありますので、研究費を出していなくても、薬剤の提供とか何らかの協力を行っている場合では記録が残っているかわかりません。そういうレベルも含めて研究支援について調査するとなると、現実的にはかなり難しいと思われます。

○曽根委員 厚労省の調査で、全国の117基幹病院を対象に過去5年間で、24,400件の介入臨床研究があるというのは、私も驚いたのです。我々が知りたいのは、利益相反のマネジメントという視点から、どれだけの臨床研究が企業との関わりで動いているのかを知りたいということです。今回のバルサルタン事案にしても、一医師の告発から、Lancet発表論文のデータがおかしいというところから出てきています。要するにバルサルタン事案だけではなく、ほかの臨床試験でもあるかもしれない。しかし、それを問うというのではなく、今の現状、つまり、臨床研究の信頼性確保という視点から臨床研究がなされているかの実態を、アカデミアサイドだけでなく、製薬協も一緒になって現状を把握していくことが、改善改革を進めていく上で大きな原動力になるのではないかという意味で、質問しました。

○河野治験推進室長 事務局ですが、調査の範囲をどうするかというところについてはなかなか難しい問題でもあり、全く懸念がないところにいきなり調査の網をかけてしまうことについても、これは非常に大変な話だと思っております。したがいまして、例えば、今回質の問題を中心に調査を行いますが、そこの時点で何か問題が生じているというような実態があれば、それに関連するという形での更なる調査という可能性はあるとは考えておりますが、いかがでしょうか。

○曽根委員 この件については、本委員会から、あるいは厚生労働省から製薬協への調査依頼ではなく、製薬協が自主的にデータを出すことが重要です。産学連携は対等に行われるべきであって、その適正化を図る上では、過去5年間でもいいですから企業サイドも実態を把握して、議論したほうがいいのではないかということで、お願いした次第です。

○森嶌委員長 別に曽根委員に反対するわけではないのですが、私は自然科学というのは社会科学より優れていると思っていたのですが、最近の様々な問題を見ていると、自然科学も、社会科学よりそれほど優れているとは思わなくなってきました。社会科学で調査をするときには、まず仮説的な調査をやってみるのですね。やってみると、存外こういうこともあったのかというのが分かってきて、その段階でいろいろ次の手を考えればいいわけです。

 この調査を見せていただくと、ここ5年でも、それこそ鳴物入りでいろいろな問題が出た後になってからでも、中身を調べてみると実は大した問題ではないのかもしれませんが、不適切なというのが137件あります。どの程度不適切かはともかくとして、これも1つの手掛かりになると思います。多分今から10年前のことを調べても、その当時は倫理指針もないわけですから、きちんとした結果が出てくることはないというか、難しいとは思います。それでも、その段階で答えてくださった中に、何か更にもっと調べる手掛かりが出てくるかもしれません。この調査で不適切なものが出てきたから、すぐ刑事告発をしようなどということではありませんので、実際に臨床試験をやっておられる先生方は、またこんなことをやって、痛くない腹を探られるのかと、あるいは思われるのかもしれませんが、そうではなくて、今までそのままになっていたものを、少しでもいいから手掛かりを得ながら、より良いものにしていくにはいろいろなことをやってみようということなのなのです。私は何年も社会調査をやってみますと、最初は不完全だなと思いながら、でもやるところに意味があるということがわかります。ましてや、普通なら予算もつかないところに、この調査の費用がどれぐらい掛かるのか知りませんが、厚生労働省がやろうと言うのですから、私はやったほうがいいと考えています。別に委員長の職権を濫用するわけではありませんが、特に積極的にこういう理由があるから反対だということでなければ、折角厚生労働省が提案をしておられるので、もう少しこういうことを、ここまでやったほうがいいとか、こういうことならばもう少し分かるとかいうような御提案があれば、後ほど是非、事務局のほうにお寄せいただきたいと思います。時間も8時近くになりますので、一応事務局の御提案に御賛同いただければと思いますが、よろしいでしょうか。

 それでは時間切れをねらってやっているわけではありませんが、事務局のほうとも更に具体的な内容は詰めることにして、この資料の御提案のような方向で進めさせていただきます。この後の予定等について、事務連絡です。

○一瀬課長 長時間にわたりまして御議論いただきまして、ありがとうございました。今後の日程については、また後日事務局から連絡させていただきたいと思います。また、本日の議論の中で、藤原委員から御意見のありました初版のプロトコール、または説明同意文書については、本日おいでいただきました3大学については、事務局のほうにお手数ですが、提出をお願いいたします。ほかの委員からもありましたが、奨学寄附金の話について、また事務局から5大学のほうに連絡をして、報告をいただきたいと考えております。本日の議事録については作成しまして、皆様に御確認をお願いし、その後公開させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。事務局からは以上です。

○桑島委員 今日の結果を受けて、まとめておいていただきたいのですが、前回はある程度ノバルティス社の一種の介入があったことが明らかになりましました。しかし、今回の各大学の調査委員会報告はこの点、かなりばらばらです。今後、どのような方向でこの委員会をやっていくかという方向性だけは示していただきたいと思います。

○森嶌委員長 はい。一応各大学、京都府立も慈恵医科大学も、本日の3大学も、ややばらばらですが、まだ最終的でないので、いつ最終的なものが出てくるのかはともかくとして、至急に今日御質問のあったことも含めて出していただいて、どういう形でヒアリングなどを更に進めるのかは検討いたします。

○桑島委員 それはどこで検討しますか。今回の検討の意見のヒアリングを受けて、どこに問題があったかということを深く追求していただきたいと思います。

○森嶌委員長 いずれにしても、ここでやることになります。どういう形でやるかということについては、これはまた委員の御意見も聞かなくてはなりませんが、ここでたった今、では次どういうふうにしましょうというのは、今の段階では決めかねますので、私のほうで事務局とも相談をいたしまして、委員の御意見も伺った上、次回のやり方を決めたいと思います。いずれにしても、今日のは3大学とも中間です。前の2つも、中間です。我々は、今までに分かってきたことを踏まえて、さて次に我々として何をやるかということを早急に決めていかなければなりません。さきほどの話ではないですが、第三者機関に調査を委ねておいて、いつまで掛かっているのだ大学には言っておいて、こちらの検討委員会のほうではいつまで掛かっているのだと、それこそ怒られそうですので、至急にそれは決めていかなければなりません。今日ここで、次はどういうふうにして誰を呼んで、こうしますというのは今の段階ではお答えできませんが、至急に事務局と検討させていただきます。委員の御意見も伺うようにいたします。委員会を開くのではなく、何らかの形で御意見を伺うようにいたします。それではよろしいでしょうか。大分予定よりも遅くなりましたが、長時間にわたって、ありがとうございました。以上で閉会といたします。


(了)
<問い合わせ先>

医政局研究開発振興課担当:高江、本間

電話: 03-5253-1111(内線2542、2590)

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