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2013年11月22日 中央社会保険医療協議会 総会 第259回議事録

○日時

平成25年11月22日(金)8:56~11:02


○場所

厚生労働省専用第18~20会議室(17階)


○出席者

森田朗会長 印南一路委員 関原健夫委員 牛丸聡委員 西村万里子委員 野口晴子委員
矢内邦夫委員 花井圭子委員 花井十伍委員 石山惠司委員 
高智健康保険組合連合会理事(白川委員代理) 田中伸一委員 伊藤文郎委員
鈴木邦彦委員 安達秀樹委員 中川俊男委員 万代恭嗣委員
長瀬輝諠委員 堀憲郎委員 三浦洋嗣委員
丹沢秀樹専門委員 宮島喜文専門委員 福井トシ子専門委員
保険医療材料専門組織・渡辺委員長代理
<事務局>
木倉保険局長 神田審議官 宇都宮医療課長 佐々木医療課企画官
竹林保険医療企画調査室長 近澤薬剤管理官 田口歯科医療管理官 他

○議題

○医療機器の保険適用について
○歯科医療(その2)について
○平成24年度診療報酬改定結果検証に係る調査(平成25年度調査)について(精神医療)

○議事

○森田会長
 皆さん、おはようございます。定刻には達しておりませんけれども、おそろいになりましたので、ただいまより第259回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
 まず委員の出席状況について御報告いたします。本日は、白川委員、藤原専門委員が御欠席です。そして、白川委員の代理といたしまして、健康保険組合連合会の高智理事に御出席いただいております。よろしくお願いいたします。
○高智委員(白川委員代理)
 よろしくお願いいたします。
○森田会長
 なお、本日は、諸般の事情で、11時に終了ということにさせていただきたいと思いますので、御協力をよろしくお願いいたします。
 それでは、早速、議事に入らせていただきます。
 初めに「○医療機器の保険適用ついて」を議題といたします。
 本日は、保険医療材料専門組織の渡辺委員長代理にお越しいただいております。渡辺委員長代理より御説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○渡辺委員長代理
 それでは、説明いたします。
 中医協総-1-1をごらんください。
 1ページ目にありますのが、製品の一覧表です。今回、医療機器の保険適用は、C1が2製品3分画、C2が3製品4分画です。
 2ページ目をごらんください。1つ目の製品は、リストアセンサーSure Scan MRI、プライムアドバンストSure Scan MRIです。
 4ページ目の製品概要をごらんください。本品は知覚神経系に電気刺激を与えることにより、各種疾患に伴う疼痛を軽減することを目的とした、植え込み型疼痛緩和用スティミュレータです。撮影可能条件に適合する1.5テスラのMRIに限り、MRI検査を行うことが可能です。
 価格につきましては、リストアセンサーSure Scan MRIは、087植え込み型脳・脊髄電気刺激装置(6)疼痛除去用(16極以上用)充電式・体位変換対応型を類似機能区分とし、既に保険適用されているMRI対応型のペースメーカー等は、改良加算5%と評価されていることに倣い、本品も同様に5%を加算し、207万といたしました。
 外国平均価格との比は0.86です。
 また、プライムアドバンストSure Scan MRIの価格につきましては、087植え込み型脳・脊髄電気刺激装置(4)疼痛除去用(16極以上用)を類似機能区分として、同様に5%を加算し、168万といたしました。
 外国平均価格との比は1.12です。
 2つ目の製品は、5ページ目のNiti-S胃十二指腸用コンビステントです。
 7ページ目の製品概要をごらんください。本品は、PTFE製のカバーを2つの金属製ステントで挟み込んだ三層構造の胃十二指腸用ステントです。悪性腫瘍等による胃十二指腸狭窄を有する患者に対して使用し、腸管内の開存性を維持します。
 既収載品は、ステント表面がカバーされていないアンカバードステントであるのに対し、本品は表面がカバーされたカバードステントです。
 価格につきましては、157消化管用ステントセットを類似区分とし、既存品と比較して、再狭窄率の軽減等の有意性をデータで十分に示すことができなかったために、補正加算なしとし、25万8,000円といたしました。
 外国平均価格との比は1.08です。
 3つ目の製品は、8ページ目の着用型自動除細動器LifeVestです。
 10ページ目の製品概要をごらんください。本品は、心室頻拍、心室細動のリスクがある患者が着用し、患者の心電図を監視し、異常心電図を検出した際に、自動で除細動治療を実施する着用型自動除細動器です。
 本品は、植え込み型除細動器の適用の可否が確定するまでの期間など、植え込み型除細動器の植え込みを行うまでのいわゆるつなぎの期間に着用します。
 価格につきましては、特定保険医療材料としては算定せず、新規技術料として評価することが適当と判断いたしました。
 このため、外国平均価格との比はありません。
 4つ目の製品は、11ページ目のPDレーザBTです。
 12ページ目の製品概要をごらんください。本品は、原発性悪性脳腫瘍を対象とし、光線力学的療法に使用する手術用医療機器です。
 手術前に光感受性物質を注射しておき、開頭して腫瘍を摘出したところに、レーザーにより腫瘍細胞を照射します。
 価格につきましては、特定保険医療材料としては算定せず、新規技術料にて評価することが適当と判断いたしました。
 このため、外国平均価格との比はありません。
 5つ目の製品は、13ページ目及び15ページ目のエンボスフィア、ヘパスフィアです。
 17ページ目の製品概要をごらんください。本品は、多血性腫瘍または動静脈奇形等を有する患者に対する動脈塞栓療法に使用する非吸収性の塞栓剤です。
 エンボスフィアは、子宮筋腫に対しても適用があります。
 ヘパスフィアは、水溶性薬剤が膨張性能を持つために、抗がん剤等の薬剤を含浸した上で、塞栓療法を行うことができます。
 価格につきましては、本品と同様の機能を持つ製品がなかったことから、原価計算方式といたしまして、エンボスフィアについては2万6,500円といたしました。
 外国平均価格との比は1.12です。
 また、ヘパスフィアにつきましては、9万9,000円といたしました。
 外国平均価格との比は0.95です。
 続きまして、中医協総-1-2をごらんください。
 この資料は、本年3月13日に中医協総会にお諮りし、継続審議となった案件について、保険医療材料専門組織で検討を行い、再度、御審議いただく製品となります。
 C2が1種類で、製品はサーモガードシステムです。
 後ろにあります、中医協総1-2参考として、前回お諮りした資料を御用意しておりますが、本製品が継続審議となるに当たり、何点か指摘事項がございました。
 中医協総1-2の2ページ目にお戻りいただきまして、指摘事項の具体的な内容でございますが、本品の有用性、低体温療法の取り扱い及び本品の適応疾患の明確化が主な指摘事項になります。
 本品を使用する有用性ですが、解熱剤や冷却用のブランケットのみで体温管理を行う場合と比べて、本品は中心静脈に留置したカテーテルを介して、直接一定の温度で熱交換を行うことができることから、患者の体温の上下動を少なく抑えることができ、安定したコントロールを行えることが特徴であります。
 また、前回議論となった低体温療法の取り扱いですが、薬事承認の段階で、低体温療法は本品の適応外である旨が明記されておりますので、引き続き、エビデンスを収集することとなっております。
 次に本製品の適用疾患でございますが、頭部外傷、重傷熱中症及びクモ膜下出血を想定しております。
 頭部外傷ですが、2ページの下の図をごらんください。これはラットにおける体温の脳挫傷の容積等を比較したものですが、受傷後の対応を平温に保つと、脳の挫傷範囲が縮小する傾向が見てとれます。
 同様に頭部外傷における体温と予後の関係を人で示したものが、3ページの上の図となります。受傷後の体温を低くコントロールできると、予後不良症例の割合が減少していくことがおわかりになると思います。
 これらのデータから、頭部外傷後の発熱症例については、本製品の適用となるのではないかと考えます。
 次に熱中症ですが、従来の冷却用ブランケットを用いる方法だと、体表を中心に冷やされる形となることから、一度体温が下がった後にシバリング等が起こりやすく、その結果、再度の体温上昇を来しやすくなります。本品は、血管内から冷却することにより、これらの現象を避けることができ、良好な体温管理を行うことが可能となります。
 続いて、脳卒中における諸外国のガイドラインを見ますと、いずれもクモ膜下出血に限り、血管内から物理的に体温管理を行うことが推奨されております。これらをかんがみますと、日本国内においても、クモ膜下出血後の発熱障害に対して、発熱管理を行うことは、本品の適用として問題ないと考えております。
 なお、参考までに前回議論となりました、低体温療法でありますけれども、American Heart Associationのガイドラインにおいても、推奨レベルが低くなっており、本品が発熱管理に限って薬事承認されていることに矛盾がないものと考えております。
 今回、説明をいたします内容は、以上でございます。よろしくお願いいたします。
○森田会長
 どうもありがとうございました。
 事務局から補足があれば、お願いいたします。
○佐々木医療課企画官
 医療課企画官でございます。
 特段補足はございません。
○森田会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問、御発言がございましたら、どうぞ。
 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員
 医療機器のほうですが、サーモガードシステムは前回保留になっており、今回、若干説明が違うということなのですが、2ページ目の上の「本品を使用する有用性」のところで「従来の解熱薬とブランケットを用いる方法と比べ」と書いてあります。これは比べるわけですから、解熱薬プラスブランケットか、この方法かということだと理解したのですが、3ページの下を見ると「留意事項案」のところに「解熱剤、冷却用ブランケット等の補助として使用した場合に限り算定できる」と書いてあります。補助というと、両方使うこともあると思うのですけれども、その辺はどのようになっているのですか。
○森田会長
 それでは、企画官、どうぞ。
○佐々木医療課企画官
 医療課企画官でございます。
 今、御指摘の点ですが、薬事の承認内容を確認したところ、本品は解熱剤とブランケット等の補助として使う場合に効果を示すことになっておりますので、そのような使い方を想定した留意事項案としております。
○森田会長
 よろしゅうございますか。
○鈴木委員
 わかりました。
○森田会長
 ほかにいかがでしょうか。
 安達委員、どうぞ。
○安達委員
 時間を使うつもりはありません。今、最初の承認のときの経緯も御説明いただきましたが、この中身ではということでペンディングにされる御意見は、前任の嘉山委員の御意見でございました。我々は嘉山委員がおられないから何も言わないというわけではなくて、今、御説明がありましたように、適応症等についても、適切な表現に変わっていると思いますので、これならば承認でもよろしいのではないかと思います。
○森田会長
 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 他に御発言がないようですので、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしいですね。
(「異議なし」と声あり)
○森田会長
 ありがとうございました。それでは、ただいま御説明のありました件につきましては、中医協として承認することにいたします。
 渡辺委員長代理におかれましては、御説明ありがとうございました。
 それでは、本件に関する議論は以上といたします。
 続きまして「○歯科医療(その2)について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、事務局より御説明をお願いいたします。歯科医療管理官、どうぞ。
○田口歯科医療管理官
 歯科医療管理官でございます。
 それでは「歯科医療(その2)」といたしまして、在宅歯科医療を除きます、歯科医療全般につきまして、中医協総-2に基づきまして、御説明をさせていただきます。
 2ページは、本日の目次であり、3つの対応について、御議論をお願いしたいと考えてございます。
 3ページ、4ページの図でございますが、これは前回の中医協のときにもお示しをさせていただきましたが、歯科治療の需要の将来予想をイメージとしてお示ししたものでございます。
 3ページの図にお示しをいたしましたように、健常者に対しまして、歯科需要は減少いたしまして、4ページにお示ししたように、高齢者に対しましては、需要そのものが増加をいたしまして、高齢者の中でも、自立度の低下した方や全身的な疾患を有する方への歯科治療が増加するイメージを示したものでございます。
 本日は、黄色の枠で囲んだ部分を中心に御議論いただければと考えてございます。
 6ページ目に全身的な疾患を有する者への対応ということで、課題と論点をお示しさせていただきました。
 1点目でございます。前回の改定で新設をされました、周術期等の口腔機能管理でございます。これに係る課題といたしましては、平成25年度の検証調査の結果から、周術期口腔機能管理を行うことの効果といたしましては、術後の感染予防、口腔機能管理の重要性に関する効果が高いという回答をした医療機関が多かった。
 また、歯科を標榜していない医科病院で、地域の歯科医師と連携をいたしまして、周術期の口腔機能管理を実施しているケースは、約7%と少なかったということ、こういった課題に対応するために、医科の医療機関で手術を予定されている患者さんに対しまして、適切に周術期の口腔機能管理を提供するために、医科の診療報酬上の評価等について、どのような対応が考えられるかといった論点を挙げさせていただいております。
 2点目につきましてですが、歯科診療で特別な対応を必要とする患者、いわゆる障害のある方への対応についてでございます。平成24年度の検証結果等から、特別対応が必要な患者につきましては、時間がかかるということ、また、特別な対応が必要な患者の歯科治療を積極的に行う医療機関が算定できます、歯科診療特別対応連携加算というものがございますが、この届け出の施設要件が、現行では特別対応加算を算定する患者数が月平均20名以上となってございますけれども、一般の歯科医療機関に比べまして、特別な対応が必要な患者を受け入れていながら、この届け出をしていない医療機関の月平均の患者数が約15名であるということで、この人数要件のために届け出ができないといった課題が示されてございます。
 こういった課題に対応するために、歯科診療の質の担保を確保しつつ、診療に時間がかかる場合等の課題に対応するために、施設基準や当該施設で行われました長時間の歯科診療について、どのように対応が考えられるかといった論点を挙げさせていただいおります。
 3点目といたしましては、歯科の外来診療環境体制加算への対応でございます。歯科の外来診療の特性を踏まえまして、患者にとって、安全で安心できる歯科医療の環境整備の評価を行うために、平成20年度に歯科外来診療環境体制加算が創設をされてございます。これにつきましては、前回の改定で、初診料の加算に加え、再診料でも加算ができるように見直しを行ったところでございますが、その結果、届け出医療数が増加をしていることから、この改定の一定の効果が見られましたが、そういった中でも、全体の医療機関の10%弱にとどまっているということです。
 一方、この加算と歯科医師の臨床研修施設の施設基準がほぼ一致していった課題が示されてございます。こういった課題に対応するために、患者に対しまして、安心な歯科医療を提供する観点から、財政影響を考慮しつつ、再診時の歯科外来環境体制加算の評価についてどのように考えるか。
 あわせて、この加算の施設基準につきまして、歯科医師の臨床研修施設であることを考慮してはどうかといった論点を挙げさせていただいてございます。
 8ページ目以降は、今、お示しをさせていただきました、3つの論点につきます、それぞれの資料でございます。
 周術期におけます口腔機能管理につきましての資料でございますけれども、8ページは、前回の改定で新設をされた項目につきまして、示させていただいてございます。
 9ページ目でございますが、周術期における口腔機能管理の状況ですけれども、25年度の検証調査におきましては、左のグラフになりますが、歯科を標榜している医療機関におきましては、医科歯科併設病院において取り組みが進んでいることが示されてございます。
 また、右のグラフでございますけれども、先ほどの課題のところで述べさせていただいたように、医科病院のうち、実施している医療機関はわずか6.7%であったという結果でございます。
 10ページ目でございますが、歯科を標榜する医療機関で、この管理を実施するきっかけを示したものでございます。歯科の診療所では、手術を予定している別の保険医療機関からの依頼・紹介、また、医科歯科併設病院では、手術を予定している同一の医療機関からの依頼・紹介が最も多いという結果でございました。
 11ページ、12ページ目は、それぞれ歯科医療機関、歯科を標榜していない医科の医療機関で、この管理を実施していない理由を示したものでございます。
 11ページ目は、歯科医療機関でございますけれども、実施していない理由といたしましては、医科の医療機関からの要請がないということです。
 12ページ目の医科の医療機関におきましては、受け入れ体制の問題でありますとか、この管理の内容等について、よく承知をしていないといった回答が多い結果でございました。
 13ページ目、14ページ目に、歯科を標榜する医療機関と標榜していない医療機関での管理の効果を示したものでございます。効果につきましては、それぞれ術後の感染予防でありますとか、医科医療機関との連携などが多いという結果でございました。
 15ページ目には、この管理の満足度を患者に聞いた結果でございますが、9割以上の患者が、この管理に満足しているという結果でございました。
 17ページ目以降は、特別な対応が必要な患者さんに対する資料でございます。
 特別な対応が必要な患者の歯科治療の特性といったものを、17ページに示させていただいております。
 また、参考といたしまして、下のほうになりますが、歯科の診療報酬上におきまして、特別対応が必要な患者さんに対する例示を示させていただいてございます。
 18ページ目は、歯科診療で対応が必要な患者に対します、現行の診療報酬上の評価を示したものでございます。
 上段は診療内容に関する評価でございまして、初・再診料におけます加算、などの評価を行ってございます。
 下段のほうは、一般の歯科の医療機関と専門に実施している医療機関との間の連携についての評価を示したものでございます。
 19枚目でございますが、特別な対応が必要な患者を受け入れる上での課題につきましては、いずれの医療機関からも、診療に時間がかかる、あるいは医療職の負担が大きいなどの課題が高いといった結果でございます。
 20ページは、特別な対応が必要な患者についての診療時間について示したものでございます。
 左のほうは、一般に健常者と言われるような方々に対する診療時間と、特別な対応が必要な方との診療時間の比較をしたものでございますけれども、特別な対応が必要な方ではより多くの時間を必要とすることが示されてございます。
 また、右のグラフにございますように、専門的に実施している施設では、治療が60分を超えるようなケースもあるといった状況が見てとれるかと考えてございます。
 21ページ目は、特別な対応が必要な患者に対して、医療を提供している医療機関であっても、患者数が足りずに、施設基準を満たすことができないといった状況を示したものでございます。
 22ページでございますけれども、先ほど申しました、加算の要件を満たすことができないといったことで、届け出ができないといった理由を示したグラフであります。
 24ページ目からは、3つ目の課題でございます、歯科の外来診療環境体制に係る資料でございます。
 24ページ目は、診療報酬上の評価と施設基準を示したものでございますけれども、先ほどお話をさせていただいたように、24年度の届け出数は、これまでと比べまして増加しており、再診時の評価の新設が影響しているのではないかと考えてございます。
 25ページ、26ページは、歯科の初・再診におけます加算を参考までに示させていただいてございます。
 27ページ、28ページでございますけれども、これはこの加算にかかります患者の評価を示したものでございまして、加算の施設基準を満たしている医療機関で治療を受けることで、安心感があるとか、こういった施設で診療を受けたいといった回答が多かったということを示しているものでございます。
 29ページ目でございますが、本加算と先ほどお話をさせていただきました、歯科医師の臨床研修での施設基準を比較したものでございますけれども、歯科の場合、臨床研修は多くが診療所で行われているのが現状でございますが、そのうち、単独型、管理型の施設基準といいますものは、今回の加算と人員の要件あるいは体制面で一致をしているといったことから、歯科医療の総合的な環境が整備されているのではないかと考えているところでございます。
 続きまして、2つ目の課題でございますけれども、ライフステージの口腔機能の変化に着目した対応ということで、31ページ目からになります。
 口腔機能の変化に着目した対応につきましては、課題として3つ挙げさせていただいております。
 1つは乳幼児期におけます課題、2つ目は、成人期以降における口腔機能の維持・向上を目的とした課題、3つ目といたしまして、現在、診療報酬上で評価されているようなものについても、評価体系が複雑なものがありますので、そういったものを少し簡素化してはどうかといったことを考えているところでございます。
 こういった課題に対応するために、まず小児期におきましては、乳歯の喪失等について、どういった対応が考えられるかといった論点でございます。
 成人期以降におきましては、例えば舌接触補助床等に関します調整を含めた訓練の評価や、歯周治療用装置の要件について、どう考えるかといったことでございます。
 3つ目といたしましては、有床義歯、いわゆる入れ歯の管理あるいは調整等、口腔機能の維持・向上に着目した評価につきまして、患者の視点を踏まえつつ、どのような対応が考えられるかといった論点を挙げさせていただいております。
 33ページ以降は、それにつきましての資料でございます。
 33ページは、加齢に伴います口腔機能の変化をイメージしたものでございます。
 下のグラフになりますけれども、生涯を通じた口腔機能の獲得と変化をグラフでイメージ化したものでございます。赤の実線につきましては、乳幼児期に適切な口腔機能を獲得し、成人期に至った後、加齢に伴い機能が低下していく、いわゆる正常な場合をイメージしてございます。
 例えば左のほうの点線になりますけれども、乳幼児期あるいは学齢期に歯科疾患、あるいは全身疾患に伴います口腔内の症状が生じまして、歯科の適切な介入が行われなかった場合には、機能低下が起こるといったイメージを想定しているところでございます。
 34ページは、いわゆる口腔機能障害がどういったものかということを、小児期、成人期以降に分けて示したものでございます。
 37ページ目は、乳歯の早期の喪失症例を示したものでございます。左は乳歯が通常よりも早く喪失した場合、右は先天的な疾患に伴い、後継永久歯の欠如が原因で、小児期における口腔機能障害を引き起こした例を2つの写真で示してございます。
 こういった症例の中で、乳歯の喪失に対します治療の評価、あるいは右のほうにございますように、子供の入れ歯の評価は、現行では一定の基準を設けた上で、保険給付の対象となってございますが、そういった対象者を少し拡大してはどうかという御提案でございます。
 39ページ目以降は、成人期以降の口腔機能の維持・向上に着目した、現行の評価の例を示させていただいてございます。
 39ページは、脳血管障害等に伴います咀嚼障害等を有します患者さんに対しまして、いわゆる舌の機能障害を補助する、舌接触補助床という装置を評価してございます。現行では装置の製作を評価したものでございまして、その後の管理あるいは訓練に関しては、評価されていないという現状になってございます。
 40ページ目は、歯周治療用の装置の概要を示させていただいてございますが、歯周治療用装置につきましては、現行では歯周外科手術が前提となってございます。
 41ページ目は、学会が示している考え方でございますけれども、この装置の装着に当たっては、必ずしも歯周外科手術が必須とまでは言えないという提案がございますので、こういったところをどう考えるかということで、御提案をさせていただいてございます。
 43ページ目でございますが、これにつきましては、現行の有床義歯、いわゆる入れ歯の装着後の管理に関します、報酬上の評価を示したものでございますが、現行の評価では管理と調整が混在してございまして、評価体系が複雑だということから、機能に着目した新たな評価体系を構築することが必要ではないかと考えてございます。
 45ページ目以降でございますが、歯の喪失リスクの増加に伴う対応でございます。
 これにつきましては、課題を3つほど示させていただいております。
 1つ目は、歯周病のメンテナンスを想定いたしております、歯周病安定期治療につきましては、歯の数によらずに、1口腔単位での評価体系となってございます。
 2つ目の課題といたしましては、未処置の根面齲蝕、いわゆる処置がされていない根っこの虫歯ですけれども、これは歯の喪失リスクになることが示されていることから、治療あるいは重症化予防等を考慮いたしまして、評価ができないかということを考えているところでございます。
 3つ目の課題といたしましては、歯の神経を治療いたします、根管治療と言われるものにつきましては、実際は4つの根の管、いわゆる4根管の治療が行われてございますけれども、診療報酬では3根管以上として評価されているといったこと、あるいは治療途中で行われます根管貼薬処置といったものにつきましては、平均5回程度行われてございますが、不適切な処置が繰り返し散見されているといった課題がございます。
 こういった課題に対応するために、論点といたしまして、歯周病安定期治療の評価体系の見直しを含めまして、歯周病治療の評価の見直しについて、どう考えるかということ。
 それから、根面齲蝕に対する非侵襲的な処置を含め、高齢者におけます歯の喪失リスクへの対応について、どう考えるかということ。
 3つ目といたしまして、歯の保存に資する根管治療に4根管の評価を新たに設定することなど、歯内治療の評価について、どう考えるかといったことを論点として挙げさせていただいてございます。

 48ページ目は、歯周病の罹患状況を示したものでございます。
 49ページ目でございますが、歯周病治療におきましては、歯周の治療に加えまして、症状が安定した後の安定期治療の有無におきまして、その後の歯の喪失に差が認められるといったことが言われており、安定期治療が重要と示されております。
 50ページになりますけれども、診療報酬上、現行では歯周病安定期治療というものを評価させていただいてございますが、これにつきましては、包括的な評価ということで、歯の本数に関係なく、同一の点数で、評価をさせていただいております。
 51ページ目をおめくりいただきますと、現行の歯周病の検査、あるいは治療におきましては、個々の項目あるいは診療実態に応じまして、歯の数や顎単位、いわゆる顎を1つの算定単位として評価をされている項目もございますので、歯周病安定期治療につきましては、歯の本数に応じた形での評価を取り入れてはどうかと考えているところでございます。
 53ページ以降は、高齢者におきまして、虫歯が歯の喪失のリスクになるといったことを示したものでございます。
 54ページ目でございますが、根面齲蝕、先ほども申しました歯の根っこの齲蝕が、高齢者の喪失リスクであるということを示した研究でございます。
 例えば70歳以上の高齢者を5年間追跡した結果、治療を行っていない齲蝕を有するような場合には、有意に喪失のリスクになるといったことを示しているものでございます。
 55ページ目につきましては、学会から出されておりますガイドラインにおきましても、根面齲蝕につきましては、非侵襲的な治療と管理の有効性が示されてございますので、診療報酬上評価してはどうかという御提案でございます。
 57ページでございますが、歯の根っこの治療でございます、根管治療の概要を示させていただいてございます。根管治療といいますのは、先ほどもお話をしましたように、虫歯が歯の神経に達したために、歯の神経を除去し、歯の神経が通っている管を封鎖する、いわゆる根管充填までの一連の治療過程を示すものでございます。
 神経が通っている管の数といいますのは、歯の種類によって異なります。例えば一番奥歯であります、大臼歯につきましては、治療の難易度が高い4根管以上の歯が約3割あるとなってございまして、58ページにありますように、現行の評価では3根管以上は包括をして評価されています。
 57ページの真ん中になりますけれども、根管治療のうち、薬剤を浸した綿栓などで根管を消毒いたします、根管貼薬処置というものがございます。頻度といたしましては、平均5回程度になってございますが、長期にわたります、繰り返しの処置が行われる事例も見られるといったことから、患者の負担軽減等も考慮いたしまして、その評価のあり方を考える必要があると思います。
 少し長くなりましたが、事務局の説明は以上でございます。
○森田会長
 どうもありがとうございました。
 本日は、堀委員と丹沢専門委員からそれぞれ資料も提出されておりますので、資料の御説明をそれぞれお願いしたいと思います。
 まず堀委員からお願いいたします。
○堀委員
 ありがとうございます。
 それでは、お手元の資料について御説明を申し上げますが、基本的に歯科はたくさん問題意識がございますが、今回の資料は、特にこれまで中医協におきまして、委員の皆様から資料を出すようにという要請があったところに限定をして、提示をさせていただいております。
 具体的に1ページから3ページは、がん治療を中心とした医科歯科連携はどうなっているのかということで、そこのところを御説明する資料であります。
 周術期口腔機能管理に関連して口腔ケア等の有効性は、後ほど専門委員から資料があるということで、本資料では割愛をいたしております。
 静岡の県立がんセンター等で、先駆的にがん治療を中心とした医科歯科連携の取り組みが行われておりましたが、3年前の2010年に日本歯科医師会と国立がん研究センターとの間で、医療連携事業計画書を取り交わしました。これをきっかけに、医科歯科連携については、2015年までの5カ年計画で、全国規模で推進をしているところであります。
 2ページをご覧いただきたいんですが、これはことし6月に日本歯科医師会で実施をしました、全国におけるがん診療連携拠点病院と地域の歯科医師会との連携状況に関するアンケート結果でございます。
 これは5月末時点のものでありますが、そこにありますとおり、例えば都道府県がん診療連携拠点病院につきましては20件、そのほか、地域がん診療連携拠点病院につきましては61件ということで、連携が進んでいます。この時点で、今後、連携を予定しているというお答えもたくさんございましたので、さらにこの数はふえていると理解をいたしております。
 3ページは、地区の歯科医師会等から御提供いただきました資料の一部でありまして、特に左上の写真につきましては、連携推進の大きなきっかけとなりました、日本歯科医師会と国立がん研究センターとの連携合意の調印式の写真でありまして、嘉山前中医協委員にはこの分野で大変御尽力をいただいたということで、感謝を申し上げているところでございます。
 4ページから5ページでございますが、ここは嘉山前委員から、中医協の場で、がん連携の推進を図っていくべきだということ、あわせて携わる者の質の向上ということで提言がございました。それにお答えする資料として、現在、全国がん診療医科歯科連携推進事業計画の中で実施をしております、研修の内容を記載してございます。
 5ページは5つ●がございますが、3つ目の講習でございます。3つの講習に分かれておりまして、講習1については、現在6万5,000の会員の中で、約1万名が既に履修済みでありまして、ここは27年度までに、さらに8,000名の増加を目標としているところであります。
 5つ目の●のとおり、現在はナショナルテキストが完成しておりまして、今後はそれを使っての研修に移行する状況にあるということでございます。
 6ページ以降は、過日、花井圭子委員から御要請がありました、在宅歯科診療等について、地域で連携がうまくとれている例があれば、資料を出してほしいということに応えての内容でありまして、4件提示をさせていただいております。簡単に御説明いたします。
 7ページは、東京の大田区の居宅への取り組みの例でありまして、大田区では、大田区民あるいはケアマネジャー等の申し込みによりまして、まずは行政の歯科衛生士が訪問をいたしまして、聞き取り調査を行います。その結果、依頼に基づきまして、地区の歯科医師会が訪問する歯科医師を紹介します。そこで健康診査から始まりまして、必要に応じて歯科訪問診療への移行、さらに高次機能機関への紹介などを行う仕組みであります。
 原則として、在宅で療養をしている65歳以上の高齢者であって、大田区長が認めた者について対応するということで、セーフティーネット的な役割を果たしていると承知をいたしております。
 8ページは山梨県の塩山での取り組みでありまして、山梨県の塩山市民病院は歯科がない病院でございますが、そこと地区の歯科医師、衛生士のチームの連携で行っているということです。
 右側の上の黒囲みの中で、4つ目の●で、3万人の「街」とありますが、これは甲州市です。甲州市自体が3万人の人口ということで、3万人の「市」と御理解いただきたいと思いますが、そこでの対応であります。
 11名の歯科医師となっておりますが、これが地区の歯科医師の約7割を占めているということで、コンパクトな対応になっていると理解できると思います。
 そこにありますとおり、ファックスによる依頼書や評価表のやりとりを通じまして、歯科がない市民病院に対して訪問介入いたしまして、医師、看護師、管理栄養士、ST等でチームを組んで対応して、これは入退院が繰り返されても、ターミナルを含めて、シームレスに継続をするという仕組みであります。
 24年度実績で年間60件の新規依頼があり、今年度は既にそれを超えていると聞いております。
 9ページでございますが、これは岩手県の奥州市での取り組み事例であります。岩手県立胆沢病院は、351床の急性期病院でありまして、歯科がないところであります。ここのNSTに歯科医師が参加することから始まったということであります。
 奥州歯科医師会が窓口、中心となって事業展開をしているということで、急性期病院からさらに回復期病院や在宅に移行した場合にも、ケアマネとの連携をとる中で対応しているということで、参加歯科医療機関、依頼件数とも年々ふえていると聞いております。
 最後の例は10ページ、山口県の周南地域の事例であります。ここは歯科口腔外科の併設がある徳山中央病院との連携でありまして、特徴としましては、急性期病院の中で実施をしている口腔管理を、回復期病院あるいは療養型病院、在宅へ移行する際に、脳卒中地域連携パスの中に口腔管理アセスメントを添付することで、そういった情報を途切れなく連携していくという仕組みになっていると聞いております。
 脳卒中患者を対象としまして、山口県と山口県歯科医師会の委託事業として、平成24年1月から14カ月行われたということで、転院があった281件中、64件に歯科の介入があったと聞いているところであります。
 11ページ以降でございます。ここに2010年に日本歯科医学会が実施をいたしました、歯科の外来診療にかかわるタイムスタディー調査の一部を記載してございます。
 日本歯科医学会は、1996年と2004年にも同じ調査をいたしまして、今回はさらに精度を上げた内容になっているという認識をいたしております。
 概要は12ページに記載しておりますが、これは基本的に外保連試案と同じような考え方に立っていると理解をしております。
 細かい説明は、時間の関係もあり省略いたしますが、一例を13ページに記載してございます。
 左から3つ目の縦の列、保険点数が現行の点数評価でありまして、右から2番目の列の人件費が調査結果から算出された費用の額ということで、一番右に0.63と書かれているような数字が、必要とされる費用に対する現行の評価の割合を示したものになっております。
 現在の歯科臨床現場では、先ほどあった根管治療等を含めて、基本的な技術が低いという声が強くありまして、財源がついたら、この評価をお願いしたいと思っておるんですが、一方で、財源がついた場合でも、特別な技術革新がないものを引き上げるということは、いかがなものかという御意見があるのも重々承知をいたしておりまして、ここは意見がかみ合わないところと承知をいたしております。
 それでは、どういった基準で技術評価をするのがいいかというところの客観的な評価、あるいは科学的な評価をどうするのかということで、日本歯科医学会では、長年これを検討してきた結果と理解しておりますので、今後どういった観点で歯科の技術評価をするかというときに、これが全て正しいとは思っておりませんが、こういったデータを吟味した上で、こういったものを使って検討することが必要ではないかということで、御提示をさせていただきました。
 以上でございます。
○森田会長
 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、丹沢専門委員から御説明をお願いいたします。
○丹沢専門委員
 お願いいたします。
 私から提出した資料は、千葉大学医学部附属病院において、介入試験を以前から行っておりましたので、その結果の一部を御紹介するものです。
 その目的は、先日の事後の調査のほうで、周術期の口腔機能管理、先ほど管理官から御説明があったような、効果がどのぐらい上がったかというときに、一番興味があるのは、医療経済的には平均在院日数の短縮とか、投薬期間の短縮だと思いますけれども、ここの部分については、回答をよく見ると、把握していないと不明で3割ぐらいです。効果があったというのも20~30%ぐらいの間で、私どもの感覚と全くずれています。
 これはどういうことかと考えたときに、きちっと数字を扱った回答であれば、もう少し出ると思いますが、毎日の診療で短くなったという感覚で答えているのではないかという感じで、回答者の問題があるのではないか、感覚的な回答ではないかということで、きちっとした数字で管理したものを御提示したいと思いました。それが目的です。
 口腔機能管理というのは、口腔清拭とか、口腔ケアと表裏一体のものですけれども、混ぜこぜになっていると思います。この統計で非管理分というものがありまして、これは何もされていない群ではないのです。自分で清掃をしている人もいれば、そういうことができない、不十分な人に対しては、看護師さんが非常に熱心にやられているということで、口腔ケアということに関しては、看護師さんが今までやられていたことに対して、私どもは否定するものではないので、非管理群という言葉になっていますけれども、その辺は御了承ください。
 口腔の機能の管理というのは、診断が大事で、単に汚いというだけではなくて、歯周ポケットの問題もありますし、そういうところから排膿がある場合、骨の中にまで病気があって、根の先に病気があるために、臓器移植が延期されるとか、そういう話もありまして、専門的な診断と計画に基づいた口腔の管理ということで御了解ください。
 何しろ今回入った周術期口腔機能管理というのは、新しく入ったわけですから、従来のものと何が違うのかというところを御理解いただければと思います。
 あとはかいつまんでいきます。
 2ページ目を見ていただきますと、手術だけではなくて、化学療法などでも、在院日数の削減効果がありました。30%とか半分のところもありますけれども、押しなべて丸めると、我々の感覚としては、数がふえてくると、15%から20%ぐらいに集約するのであろうと思っております。
 3ページ目ですけれども、これは放射線治療の場合を見たときに、口のがんの手術の跡とか、そういうところにかけるとか、そういう場合ですけれども、入院期間が短くなるとともに、何が短くなっているのかというと、放射線が終了してから回復する治癒期間です。ここが短縮の大部分を占めている。このことに御注目いただきたいのです。回復を早めるということです。単に誤嚥を予防しているとか、合併症を予防しているということではないということです。
 4ページを見ていただきますけれども、これは病原細菌の検査です。やり方についての注意などは左側に書いてあります。
 厳正なやり方をした結果が5ページにあります。口腔内の拭い液と喀たんについて、手術をやった場合と放射線化学療法の場合とを比較したときに、どちらも病原菌、特別な病原性を有する菌の検出率が下がった。細菌は45分ぐらいすると倍にふえるものですから、菌数で比較するのではなくて、菌の種類で比較しております。問題になる病原菌の検出リスクが下がる。口の中の唾液と気管からの痰でございます。
 6ページは、抗菌薬の投与期間が実際に短くなりましたという話です。271例に対して、210例と十分な症例数があると思います。
 7ページは、何でこんなに効果があるのかということで考えたときに、問題になるデータです。口腔とか、消化管に関係のない心臓血管外科の手術をわざわざ取り上げました。これは手術侵襲だけに関して、口腔ケアがどういうふうに効果があるかということを見るためのデータだと思ってください。
 CRPという炎症性のたんぱくの発現というよりも、正常化するのが早くなるという読み方をしていただきたいのです。というのは、人によって反応が違いますので、最初にどれだけ高くなったかという読み方よりも、早期に戻るということを考えています。ですから、誤嚥という問題だけではなくて、侵襲に対する過度な代謝の亢進を抑えることによって、回復を早めていると言えると思います。
 最後のページですけれども、これは非常におもしろくて、COPDという、主に喀出する能力が落ちた人とそうではない人で比較して、呼吸器リハというのは、喀出をしやすいように、術前に長い箱の中で息を吹いたり、胸を押さえて深呼吸させたりするようなリハをやるのですけれども、それに対して、口腔機能管理単独例、呼吸リハの単独例、併用例とを比較すると、COPDを持っていない人では、喀出能力がもともとありますから、リハを併用しても口腔機能単独と有意差はないのです。
 口腔機能管理というのは、日常に起きている微量の誤嚥とか、そういうものに対して、この場合は非常に効果があります。それに対して、COPDのほうでは、呼吸器リハをやれば、ある程度喀出ができますから、垂れ込んだものは吐き出せる。それから、口腔機能管理のほうは、微量に垂れ込んできたものがきれいである。喀出ということではなくて、きれいであるということによって、効果があるということがわかるデータでございます。
 これをトータルに見ていただいて、今まで口腔機能の管理とか口腔ケアは、肺炎を中心にした誤嚥とか、あるいは創部の清潔ということで、効果があると考えられているかもしれませんけれども、侵襲がある程度以上大きくなったときに、体が正常な状態、恒常性を保つために非常なエネルギーを使っているわけです。あるいはそのための反応として、過度な代謝の亢進などが起きて消耗するわけです。そういうことを抑制している可能性があります。
 腸管、腸管栄養食とか、あちらのほうでは、常識的な項目として、大きな効果としての4項目ぐらいに入っていることです。これは外科医であれば、皆さん御存じだと思います。ですから、単にきれいにして、肺炎が起きないということではないのだと理解をしていただきたいと思います。
 以上でございます。
○森田会長
どうもありがとうございました。
 ただいまの御説明につきまして、御質問等がございましたら、御発言をお願いいたします。
 堀委員、どうぞ。
○堀委員
 先ほど管理官から御説明のあった資料について、発言をさせていただきたいと思います。
 全体としまして、これまでの歯科における改定、超高齢社会における歯科の役割を踏まえた方向性であると、おおむね評価をして、了解したいと思いますが、一方で、今回の資料を拝見しますと、特にごく一部の分野のニーズを取り上げているような、ある意味ちょっと視野が狭いようなところが何カ所かありますので、そこは臨床現場の混乱を避けるという意味で、再考いただきたいという意見を申し上げたいと思います。
 以下、資料に沿って、意見と質問を幾つかさせていただきたいと思います。
 9ページから12ページの周術期口腔機能管理でありまして、先ほど管理官から説明があったとおり、前回の改定で入ったばかりですので、まだ認知度も少ないということで、特に歯科がない病院におきましては、なかなか取り組みが進まないといった意識は共有しておりますので、本改定では、特に歯科併設がない病院等での連携が進むような工夫を求めたいと思っております。
 今、口腔機能管理の有用性については、専門委員からお話がありましたが、私も非常に興味を持って拝聴いたしました。
 18ページでございますが、いわゆる障害を有した方の歯科治療に対する評価であります。これも超高齢社会におきまして、認知症等が多く出てくるということで、歯科においても大変重要な分野であると理解をいたしております。
 18ページには評価が記載されていますが、基本的に歯科治療の特性を考えますと、十分な評価かどうかということには少し疑問があります。また、これだけ加算等があっても、歯科においては、縛りが多過ぎて、取り組みが進まないと考えておりまして、そういった算定頻度については、事務局がどうお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
 その中で、この部分の充実については異論がないんですが、20ページでは特に長時間かかるケースについての資料が出ておりまして、道北口腔保健センターという1件のデータだけで議論されておりますが、どういった施設なのか、1つの資料だけで議論していいのかどうか、このあたりのお考えもお聞かせいただきたいと思います。
 基本的に、歯科治療は、障害のある方には長時間かけないという原則がございまして、61分以上というところに丸がついておりますが、そういった意味では、大変特殊なケースについての提示ではないかと思っておりまして、ここに手当をしても、障害者医療の推進にはならないのではないかと思っていますが、その辺はどうお考えかということです。むしろ特別対応加算の加算率自体の見直しの方向等が必要かと思っております。
 それから、過日、発言いたしましたが、困難加算、100分の50加算がございますが、これについては、診療室では認められているにもかかわらず、より困難な在宅で行いますと、通知の解釈で困難加算が算定できないという、常識から外れた解釈をしている地区があると聞いておりますので、ここはしっかりと整理をお願いしたいと思っております。
 24ページの外来診療環境体制加算でありますが、これは歯科の特性に配慮した加算と評価をしておりますが、去年の段階で届け出が7,000件に満たないということで、取り組みが少ないということで、例えば歯科衛生士が足りなくて、配置が難しいといったこともありますので、引き続き検討をお願いしたいと思っております。
 29ページは、意味がわからないところもあるんですが、臨床研修施設を施設基準に加えたらどうかという御提案だろうと思うんですが、臨床研修施設はある意味別のものだと思っておりますので、それを算定要件に持ち出すということの考え方自体が適当かどうか。現時点では慎重に御検討をお願いしたいとだけ、申し上げておきたいと思います。
 25ページ、26ページに基本診療料の加算が書いてありまして、これを見ますと、あたかも歯科は加算が多いような書きぶりでありますが、算定頻度は非常に少ないと思っております。その辺はどのようなお考えになっているか、お聞かせいただきたいと思います。一部で、歯科は自由診療の比率が多いから、例えばこういった保険上の基本診療料の評価は低くても成り立つのではないかという誤解につきましては、一昨日の総会の資料で御理解を求めたとおりでございます。
 基本診療料につきましては、圧倒的に個人の診療所が多い歯科におきましては、経営の基盤になるところでありまして、非常に重要だと思っておりますし、繰り返し中医協でもお願いしておりますが、歯科医療に携わるスタッフ全てが誇りを持って働けるように、歯科だけが評価が低いという現状については、改善を強く求めたい、重ねてお願いをしたいところであります。
 32ページからライフステージの口腔機能が出てきておりまして、高齢者における口腔機能の低下、これは要介護者も含みますが、そこが喫緊の課題だと思っておりますが、この資料にあるように、生涯にわたって口腔機能管理を見ていこうという視点については、賛同いたしたいと思います。
 ただ、冒頭に触れましたが、必要性が極めて限定された評価を示唆するところがあるということで、申し上げます。
 それから、この資料では、成人期の機能にも触れております。例えば顎関節症という疾患が、今、非常に出てきているということで、ここについては、臨床現場でいろんな対応をしておりますが、評価が極めて限定されておりますので、そういったところについても、口腔機能の維持・回復という視点から検討していただきたいと思っております。そういう視点があるかないか、考えがあるかないかをお聞かせいただきたいと思います。
 37ページの小児の口腔機能障害の要因であります。先ほど管理官からも御説明がありましたが、今、齲蝕は激減をいたしておりますので、齲蝕によって早期に乳歯が喪失して、不正咬合が生じるということ自体は減少していると思いますので、そういった意味では、ここもある意味まれなところを取り出しての御提案のように印象を持っております。むしろ先天性の要因であるとか、環境的な要因、例えば舌のくせであるとか、口の周りの筋肉のくせ、あるいは鼻呼吸ができないといったところの指導管理、機能訓練の評価を検討するべきではないかと思っておりますが、その辺はどのようなお考えかをお聞かせいただきたいと思います。
 37ページの左の資料などは、ひょっとすると、今、矯正治療で行っているようなところの装置と関連するところにスポットを当てているように見えますので、そういったところの限定的な装置の評価よりは、今、申し上げた機能訓練等にしっかりと対応してもらいたいとお願いをしたいと思っております。
 40~41ページに歯周治療用装置の話がありまして、これは歯周外科とは関係がないということで歯周外科の有無を要件から外すことを検討をする、これは賛成をいたします。
 これに関して、1点、臨床現場から要望がございまして、歯科ではこういった歯周治療用装置にかかわらず、例えば有床義歯であるとか、ブリッジ等の装置をつくりまして、つくった段階で、装着前に患者さんが来院できなくなったようなケースについては、一定期間経った後で、装着料を差し引いて、本体は未来院請求として請求をする仕組みがあります。これは医療保険制度の根幹をなすところだと思っておりますが、これについて、紙レセプトの請求から電子請求になる段階で、これは明らかに通知の不備で、電子請求コードが存在しないということで、未来院請求ができないという混乱が一部に生じました。
 これは前回の改定で全て解決をしたという理解でいたんですが、まだ一部にそれが残っていた。この1つが歯周治療用装置でありまして、現在これは未来院請求ができない扱いになっております。これは保険制度の根幹にかかわるところですので、改定にかかわらず、明確化を早期にお願いしたいと思っております。
 前回の改定で明確化したところも、審査会によりましては、一部では、明確化する前は認められないという、あり得ない運用をしていると聞いておりますので、早急に適切な対応を求めたいとお願いしたいと思います。
 33ページの義歯管理料も、いろんな不合理があることは承知をいたしておりまして、見直しには賛同いたしますが、ただし、過去におきまして、何度もこれは見直しを繰り返しておりますので、そのたびに新しい不合理が出てきております。そういったことを踏まえて、同じことの繰り返しにならないようなことを、要求したいと思っております。
 もうちょっとあるんですが、疲れました。とりあえずここで質問の回答を得て、続きをコメントしたいと思います。
○森田会長
 それでは、回答をお願いいたします。
○田口歯科医療管理官
 それでは、幾つか御質問と御要望、御意見をいただきましたが、まず、18ページ目になりますが、特別対応が必要な方への加算の頻度というお話がございました。24年度の診療行為別調査を見ますと、例えば18ページの下に点線で囲んだ部分の○5がございます。歯科診療特別対応連携加算につきましては、279回という形になってございます。これはいわゆる一般の診療所から専門の医療機関に紹介をされた患者について、専門の医療機関で加算が取れるという点数でございます。
 ○6は歯科診療特別対応地域支援加算となってございますけれども、これも算定状況は24年度の初回診療では「-(バー)」ということで、ほとんど算定がないという形になってございます。
 左上は診療情報提供(I)の加算となってございますけれども、これも「-(バー)」という形になっておりまして、一般の診療所から専門へ出すときの加算については、算定がないという形になってございます。
 一番右下ですけれども、診療情報提供料(I)の加算ということで、これは専門の医療機関から一般の医療機関、地域へ送り出すときのいわゆる逆紹介のときに、専門の医療機関が取れる点数になってございますが、この算定の回数が518回になっております。
 全体的に見ますと、数としては非常に少ないと考えられますが、いわゆる専門の医療機関での受け入れ、あるいは専門の医療機関から一般の医療機関への逆紹介といった形については、一定程度行われているものと考えられます。診療行為別調査自体が抽出調査であることから、件数が少ないところがあるのではないかと考えてございます。
 ただ、23年度におきましても、特別な対応の方々につきましては、調査を行っておりますけれども、患者の立場からしますと、専門性の高い歯科医療機関で安心して治療を受けられる環境が非常に望ましいと考えている患者が約64%いらっしゃる一方で、他方、どこの医療機関でも安心して受けられる環境が必要ではないかと考えられている患者が、これも約6割近くいらっしゃいます。
 こういう調査を踏まえ、紹介、逆紹介という形で、現在、連携の評価をさせていただいておりますけれども、関係機関、特に歯科医師会等の協力も得ながら、医療機関間の連携が円滑に進んでいくように考えていきたいと思っているところでございます。
 20ページになりますが、右のグラフになるかと思います。資料にあります、道北口腔保健センターにつきましては、旭川の歯科医師会が、昭和55年に道北県内の障害者の方々の歯科診療機関として設置をしている医療機関でございます。基本的には心身障害者の歯科診療、あるいは休日等の救急診療を中心にやられている施設でございまして、例えば障害者でありますと、水曜日の午後、金曜日、土曜日の午前・午後、週に2日半積極的に診療を行っている施設になってございます。
 29ページ目の臨床研修施設を施設基準に加えてはどうかについて、、少し唐突感があるのではないかという御意見がございましたが、これにつきましては、歯科医師の臨床研修施設を新たに評価したいという話ではなくて、結果的に臨床研修の単独あるいは管理型の施設の基準が、外来環境体制加算の要件と合致しているということを考えまして、その点を考慮いたしまして、現在の診療報酬上の加算の施設基準の要件の中に組み込んではどうかということを御提案させていただいているところでございます。
 25ページ、26ページでございますけれども、初・再診に係る頻度というお話がありました。細かいところまでは、今、手持ちがございませんので、わかっているところだけ申し上げます。
 今回の論点では、特別対応ということでお話をさせていただきましたので、例えば25ページ、26ページにあります、著しく歯科診療が困難な患者が、初診あるいは再診のときに、初診料、再診料に加算して取れるという点数は、右上のほうに、著しく歯科診療が困難な場合の加算ということで175点とございます。下の再診料のほうにも、同じように再診料の加算ということで、175点がございます。
 これは頻度ということでいいますと、例えば23年度、初診料の加算の頻度は、診療行為別調査で見ますと、2万5,000回程度、24年には同じように2万5,000回程度ということです。
 それから、再診料での頻度といいますと、12万4,000回だったものが、24年度には16万7,000回になってございます。
 資料でいいますと、17ページになりますけれども、診療報酬上の特別対応が必要な患者というものを、多少明確化をさせていただいた部分がございますので、こういったところが、加算の伸びにつながっていると考えてございます。
 32ページ以降の口腔機能の管理に関しまして、1つ、堀委員から、顎関節について視点はあるのか、顎関節症に対する診療報酬上の評価についての視点があるのかという御質問がありましたが、これにつきましては、現在、医療技術評価分科会に対して、学会から御提案をいただいている項目の中に、顎関節症に対するいわゆる機能評価、管理についての御提案がございますので、分科会での評価の動向を見ながら、考えてまいりたいと思っているところでございます。
 37ページ目の小児の部分でございますけれども、確かに前回の歯科診療(その1)のとき、7月下旬のときには、堀委員がおっしゃりましたように、鼻呼吸といいますか、例えば口唇が十分に閉鎖できないような患者さんに対する考え方も、1つ示させていただきましたけれども、その後、事務局でいろいろ状況等を調べさせていただきました結果、いわゆる口唇の閉鎖でありますとか、そういったものに対して、十分に検査を行うような器具、医療機器は、薬事法上承認を取られていないとか、そういったことがございました。学会においても、明確なガイドラインがないという現状もございましたので、今回につきましては、一定程度、学会の中でもコンセンサスがとられているようなものにつきまして、御提案をさせていただいたところでございます。
 41ページ、歯周治療用装置という話がございました。この部分で未来院請求というお話がございました。基本的には今の診療報酬上の評価では、患者が理由なく来院しなくなった場合とか、あるいはお亡くなりになった場合、既に入れ歯等の作成が行われているにもかかわらず、装着ができなかった場合には、製作物の所定点数と材料料の請求を行うことができる形になってございます。
 委員に御指摘いただきましたように、どのような製作物が未来院請求の対象物として適切かというのは、多くの方々の御意見を聞きながら考えていきたいと思ってございますが、1点だけ、先ほど堀委員から、紙レセから電子レセが普及した場合に、取れなくなったということがございましたけれども、事務局といたしましては、基本的にはもともと取れなかったものが、紙レセから電子請求になったときに、問題として顕在化をしたと考えてございますので、その辺のところは、先ほども申しましたように、今後どういったものが対象となるかということを考えていきたいと思っています。
 以上でございます。
○森田会長
 ありがとうございました。
 堀委員、どうぞ。
○堀委員
 ありがとうございました。
 算定頻度につきましては、今、いろいろお聞きしましたが、せっかくつくっても、取り決めがゼロといったことがあるのは、なぜかということも検討いただきまして、今後、議論していただきたいと思っております。
 未来院請求につきましては、今、管理官から、どれが該当するか検討するという話がありましたが、これは当然全て請求できるものだと理解しておりました。これは準委任契約で行います保険診療の基本だと思いますから、もしこれができなかったら、最初に契約書を交わすとか、前金で負担金を調整するとか、そういうことになります。考え方として、これがもしだめだとなれば、大きな問題になります。従来、紙レセプト等では、全く問題なく通っていたところなので、我々は明らかな通知の不備であると思っておりますので、ここは引き続きしっかり議論させていただきたいと思います。
 続きまして、残ったところをコメントさせていただきます。
 48ページからのSPTでございますが、これは歯周病安定期治療といって、平成20年改定で導入された比較的新しい概念でありますので、実態と合わない取り組みだということは理解をしております。
 ただ、50ページを拝見しますと、現在、包括化されているものを細分化していこうという説明がありましたので、SPTは当初から包括評価で導入したもので、財源見合いでかなり低く抑えられているところでありますので、取り組みを進めるためのインセンティブをつけるということであれば、これは結構だと思いますが、いたずらに現場の混乱を生じないように、検討をお願いしたいと思っております。
 53ページの根面齲蝕につきましては、今の御説明で聞きましたが、これはフッ化物塗布に限定した提案のように拝見いたしましたが、そういったことでいいのか。高齢者、化学療法を受けている患者さんに特有な口腔機能とも関係するところで、医学管理、つまり指導管理等ともあわせて評価をお願いしたいと思っていますが、その辺の方向性をお聞かせいただきたいと思います。
 それから、現在、小児だけにフッ化物塗布が認められていますが、これも医学管理の加算になっています。こういったところもあわせて検討していただきたいと思っていますが、その辺はいかがでしょうか。
 最後に57ページの根管治療であります。今回の資料の中で、ここが一番よく理解できませんし、恐らく無用な混乱を招くのではないかと思っております。そもそもタイトルに歯内治療に係る根管治療とありますが、私どもは歯内治療も根管治療も一緒だと思っていますが、何かここで区別があるのか、お聞かせいただきたいと思います。
 57ページの上の囲み、2つ目のパラグラフで、4根管以上の歯が大臼歯で3割あると書いてございますが、これは大臼歯の中でも、上顎の第一大臼歯に限った数字だと理解いたしますが、その考えでいいのかどうかということをお伺いしたいと思います。
 4つ目の根管は、極めて細いところでありまして、マイクロスコープ等で初めて認識できることが多いところだと思っていますので、そこに治療が必要になった場合は、労力を要するんですが、これも極めて特殊な状況の議論ではないかと思っております。私どもが把握している中で、たくさん臨床現場から要求がありますが、これまで出てこなかったところだと思っていますので、そこを評価していただくのは、特に異論はございませんが、問題はこれを拝見しますと、その抱き合わせで、回数を超えた根管治療の評価を下げるといったこととセットのように見えますが、これは臨床現場では了解できない。
 なぜかといいますと、58ページの資料がわかりやすいと思うんですが、根管貼薬処置とあるがいわゆる普通の治療処置でありまして、一番高い評価で40点ということです。大臼歯の根管治療は40点であります。再診料と合わせて、歯科の場合は82点でありますから、窓口負担で3割でも200円そこそこ、1割だったら100円もしないということで、これを請求しますと、患者さんから窓口で何か計算違いがあったのではないかと言われるくらい、低いところの評価だと思っています。
 一方、どうしても疼痛が引かない、症状が引かない、あるいは根管の拡大ができないということで、これを長期間やらざるを得ないところがありまして、これは低評価であっても、日々臨床現場では何とか歯を残そうと頑張っているところであります。先ほど管理官は漫然とした処置が行われていると言われましたが、誰もこんなところで苦労してまでやろうとは思っていないので、そこは考え違いだと思っております。こういった低い点数の評価をさらに減らそうということは、我々は全く理解できないところであります。
 もう一つ確認したいのは、57ページの根管治療、根管貼薬の回数を示すデータですが、そもそも35年前のデータでありますし、さらに学生実習でこうだったという数字でありまして、こういったデータまで持ち出して、なぜ議論するのか到底理解できないということで、ここは臨床現場の意見も踏まえて、しっかりと再考をお願いしたいと要望しておきます。
 以上でございます。
○森田会長
 ありがとうございました。
 どうぞ。
○田口歯科医療管理官
 歯科医療管理官でございます。
 SPTに関してでございますが、50ページになりますが、これにつきましては、先ほど堀委員からもございましたけれども、現行では全体的な包括的な評価ということで、歯の本数によって考えていきたい。その際には、堀委員からお話があったようなことも考慮しつつ、考えていこうと思ってございます。
 55ページ目、根面齲蝕に関するフッ化物歯塗布でございますけれども、今のところ、フッ化物の応用を考えてはございますが、管理が必要であれば、そのようなものを少し考えていきたいと思ってございます。
 小児の場合、フッ化物の塗布が指導管理に入っているという御指摘がございました。これにつきましては、機械的な歯面清掃が指導料の加算になってございましたが、前回の改定で処置のほうに移してございます。そういったことを考えますと、実際にフッ化物を歯面塗布するというのは、処置行為でございますので、そういったところは、次の改定で見直していきたいと考えてございます。
 最後の歯内療法でございますけれども、基本的には歯内療法というのは、いわゆる覆髄も入ると考えてございますので、範囲としては、歯内療法のほうから広いと考えております。その中で、1つ、根管治療という形でも入ってくると事務局としては考えているところでございます。
 57ページの最後に御質問がございました、論文の件でございますけれども、確かにこれは1979年と非常に古いデータで、根管治療の回数を示すようなものを、大分探してはみたんですけれども、なかなかなくて、このデータを使わせていただきました。
 見ていただくと、先ほど堀委員からもございましたけれども、学生実習の報告を考慮する必要はあるんだろうと考えてございますが、私どもとしては、三十数年経って見ると、当時から比較しますと、歯科の材料もかなり変わってきていると考えられますし、また、実際に臨床現場でやられている先生方というのは、歯科医師免許を取得した先生方がやられるので、学生よりも回数としては低くないということを考えて、無理な理由もありましたけれども、今回この論文を出させていただきました。
 4根管については、マイクロスコープ等で初めてできる部分ではないかという御指摘もございましたけれども、これにつきましては、分野の専門の先生にお聞きしたところ、少なくとも4根管性の大臼歯については、上下顎を問わずあるということで、多くの場合には、マイクロスコープ等を使わなくても、できるのではないかという回答を頂戴しているところでございます。
 最後になりますが、大臼歯の4根管が3割ということでございますけれども、これは多少の幅はあるんだろうとは思いますが、1つの論文で非常に申しわけないんですが、大臼歯全体で4根管が約3割という形で示されたものを引用させていただきました。
 以上でございます。
○森田会長
 堀委員、どうぞ。
○堀委員
 ありがとうございました。
 根管のパーセントは異論がありますが、最後に申し上げたいのは、今回の改定に当たって、充実を図る部分と合理化・適正化を図る部分が求められております。それは承知をしております。歯科は合理化・適正化の部分は少ないと思っておりますが、そういった方向性がある以上は、これに真摯に対応しようということで、日本歯科医師会の社保委員会を通じまして、臨床現場でどういった技術等が古くなっているか、新しい技術に置きかえるかということについて検討しておりまして、幾つか案も出てきております。これを中医協の場で出すのか、細かければ、事務局に御提案いたしますが、この辺につきましては、机上で臨床現場の話を無視して、こういった適正化・合理化を図るのではなくて、臨床現場の意見も聞いた上で対応していただきたいと、最後にお願いしたいと思います。
 以上です。
○森田会長
 ありがとうございました。
 ほかにいかがでございましょうか。高智代理、どうぞ。
○高智委員(白川委員代理)
 ありがとうございます。
 スライドの6番を始めといたしまして、3つの事項について、まとめて申し上げたいと思います。
 6番ですが、歯科外来診療環境体制加算についての私どもの見解です。初診料から再診料に加算の比重をスライドするとなりますと、半ば自動的に財政影響が表面化するものと考えられるわけでございます。
 ちなみに、現行の配点でありましても、加算算定施設がふえていく傾向にございまして、現行どおりの扱いにとどめることが合理的かつ納得性の高い対応の仕方と判断しております。私どもといたしましては、懸念材料の一つとして捉えているということを表明しておきたいと思います。
 次に、スライド43と44でございます。有床義歯の管理・調整の取りまとめ資料を拝見しての意見と受け止めていただきたいと思います。
 43の下に書かれていますが、管理と調整が混在しており、評価体系が複雑とあるとおりでございます。これをわかりやすく簡素化するとともに、点数設定につきましても、適正化の視点に立った対応をお願いしたいと思います。
 また、学会のガイドラインとの兼ね合いからも、御検討いただく余地があるのではないかと考えておりますが、御異論があれば、お聞かせいただきたいと思います。
 44のスライドでございます。有床義歯の管理や調整など、口腔機能の評価についてですが、私ども組合管掌分のレセプトを見ておりましても、中には管理料が二重に評価されている、ダブルマークの事例が目にとまるという実態もあるわけでございます。そこで提案でございますが、実際の診療現場における手間等を反映した、わかりやすい点数設定とすべきだと思います。
 最後にスライド57について申し上げます。根管治療についての意見です。
 資料にありますように、先ほど堀委員からお話がございました。併せて、管理官からは材料といえども、この間、大分変容をしているというコメントもあったわけでございますが、私ども保険者として、また患者の立場からして申しますと、学生の臨床実習においてすらという言い方をさせていただかざるを得ません。抜髄が平均4.25回、感染根管治療では平均5.55回とのデータが示されております。
 私ども傘下の健保組合に請求されてくるレセプトを見ましても、極端に回数が多く、同様に治療期間も長い事例が少なからず存在しています。このような事例が垣間見られるという実態を踏まえますと、極端な事例をそもそも発生させない評価体系のあり方につきまして、計画的に検討していく必要があるものと考えております。これは主張でございます。
○森田会長
 ありがとうございました。
 万代委員、どうぞ。
○万代委員
 全部主張でよろしかったんでしょうか。
○森田会長
 時間の問題がございますので、後でまとめてやります。
○万代委員
 失礼いたしました。
 私は丹沢先生になんですけれども、よろしいですか。
○森田会長
 そうですか。わかりました。後にいたします。
 これについて、堀委員、どうぞ。
○堀委員
 もし異論があればというお話でしたので、2点だけです。
 義歯管理料につきましては、私どもはたくさん問題意識がありまして、代理が言われたような管理と調整等についての問題意識もありますし、回数制限、いろいろな問題があって、出ておりますので、整理については、それで結構だと思います。また、ガイドラインにもありますので、それを参考に議論していただきたいと思います。
 ただし、これは何回も改定をやりながら、繰り返し同じことをやってきて、新しい問題が出てきておりますので、そういったことを踏まえて、対応させていただきたいと思っております。
 それから、根管治療は全く意見が違うところでございますが、先ほど言ったとおり、非常に評価が低い中で、臨床現場、自分の経験もそうですけれども、どうしても症状がとれないケースは、幾ら不採算であっても、これはやろうという決意を持ってやっている医療機関が大多数だと思いますので、いたずらにこれを伸ばしているわけではないというのは、御理解を頂戴したいと思っております。
 以上です。
○森田会長
 今の件、事務局はよろしいですか。
○田口歯科医療管理官
 はい。
○森田会長
 わかりました。
 丹沢専門委員、どうぞ。
○丹沢専門委員
 根管治療の学生実習については、誤解があると思います。学生実習には、ライターという経験豊富な助手がついていまして、根管治療に学生が苦しむと、その人が手を入れてくれたり、いろいろするので、逆に二重、三重に診られているので、学生実習といえどもというお考えは捨てていただきたいのです。
 それから、回数については、すごくこじれてしまう症例と、そうでない症例があります。我々は特定機能病院の歯科ですので、こじれてしまったものを治療するわけですけれども、そうすると12回とか、そういうことは幾らでもあります。根管の中だけではなくて、骨が傷つけられてしまっている場合もあります。ですから、根管の中だけの問題でしたら、回数が何回というのはわかるんですけれども、周囲にまで影響が及んだ場合にはちょっと厳しいと思います。
 消毒経費のほうがかかるような点数で、貼薬は1回が赤字なんです。時間のこともありますし、材料費のこともあります。だから、そんなにこれで点数を取ろうとしている人はいないのではないかと思います。
 以上でございます。
○森田会長
 ありがとうございました。
 先ほどは失礼いたしました。万代委員、どうぞ。
○万代委員
 丹沢先生のデータは、今後の診療報酬上、口腔ケアを考える上で非常に重要なデータだと考えております。
 時間の関係で幾つかございますけれども、1つずつお答えいただいたほうが短いかと思います。
 この研究は、前向きか、後ろ向きかという点ではいかがでございましょうか。
○丹沢専門委員
 これは期間が10年になっております。これは臨床研究の宿命というか、口腔機能管理をやってくれということで、各科から依頼されますと、その患者さんをランダマイズするわけにはいかないのです。同等の患者さんとか期間で、過去の5年と最近の4年8カ月というやり方だと御理解ください。ランダマイズは臨床の場ではではできないのです。
○万代委員
 1ページ目の最後で、歯科医師及び歯科衛生士の方がかなり強く関与するということを管理群とされていますけれども、2004年から歯科のほうでは、こういった方が口腔管理をすることが非常に重要だという認識で、この介入試験を始めたんですか。そんな理解でよろしいでしょうか。
○丹沢専門委員
 我々は世の中で口腔ケアと言われる前から、これをやっております。
 例えば一番よくわかるのは、脳外科の下垂体腫瘍の経鼻手術などときに、根尖に病巣があるために失敗することも中にはあるということで、その辺は特定機能病院ですから、各科との関係でやっておりました。
○万代委員
 次のページに管理群の効果が非常にいいということで、在院日数が短縮するというデータがございますけれども、そうしますと、逆な質問で恐縮ですが、最近はチーム医療ということで、STも含めまして、看護師さんのそういうケアも重要ではないかと考えている中で、歯科医師と歯科衛生士が強く関与しないと、これだけの効果が出ないと考えなくてはいけないんでしょうか。
○丹沢専門委員
 どう考えるかは別なんですけれども、従来のやり方に比べて、これだけの効果がありますという話で、一般的にはそういう話しか出ていないのですが、細菌を検査したりしたときに感じるのは、嫌気性菌などの病原菌が多いのは歯周ポケットの中です。ですから、そういうところを掃除するというのは、従来はなかったと思います。
 あとは、菌のことだけではなくて、機能的なこととか、刺激をしたりとか、そういうことも一応トレーニングはしていますけれども、それがどのぐらい効果があるかはわかりません。
○万代委員
 8ページの最終のページでございますが、余り細かな反論をするつもりはございませんが、ここのデータで、COPDのない人とある人とを比べて、口腔リハの併用の効果の有無について御提示いただきましたし、グラフの長さを見れば、下から2番目のポツの結論は納得いたしますが、本来であれば、COPDにしろ、非COPDにしろ、口腔機能管理に呼吸器リハを加えたものとの両者の有意差を見ていただいたほうが、より説得力があると思いましたが、いかがでしょうか。
○丹沢専門委員
 一応グラフのほうには出ていますけれども、私が言いたかったのは、健常人であっても、微量の誤嚥はいつもあるのです。ですから、気管の繊毛などが一生懸命運び出してくれている。そういうことに対しては、口腔機能管理は良いのですけれども、たんを喀出するとか、大きくぽんと汚いものを出すとか、そういう能力に関しては、口腔機能管理は関係がないわけです。急性期の周術期だけではなくて、慢性的な状態の寝たきりの人とか、あるいは口腔が乾燥してしまっている人とか、そういう人にも効果がある。そういう含みもあります。
○万代委員
 最後に確認でございますが、先生が最後に強調されたように、私などの認識としましては、微量の誤嚥によって高齢者の不明な発熱であるとか、あるいはそれが肺炎に引き続くということがあるのではないかと思いましたけれども、先生のお話では、口腔に感染があること自体が全身反応を及ぼして、それが全身に悪影響を及ぼすとおっしゃったということでよろしいんでしょうか。
○丹沢専門委員
 バクテリアのデータしかないので、明確にお答えできないのですけれども、経腸栄養食と経静脈栄養とを比較したときに、粘膜が委縮して菌が入りやすくなるとか、そういうデータも出ています。
 同じように、口腔の中の細菌が粘膜を越えると、縦隔炎まで落ちたりするのは、日常の診療であるわけです。ドクターはちゃんとわかっていると思いますけれども、皆さんが考えられているような健康であるということは、当たり前のことではなくて、体がかなりの対価を払っているわけです。ですから、大きな侵襲が加わったときに、そういう対価を払えなくなった状態のときに、効果があるのだろうと思っています。ですから、小さな手術などでは、全く差がないと思います。
○森田会長
 ほかにございますか。
 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員
 同じく丹沢先生の研究ですけれども、これは口腔内の細菌を調べていらっしゃるということですが、菌数ではなくて、種類を見たということです。しかも、好気性菌だけです。実際は嫌気性菌のほうが、腸内と同じように圧倒的に多いと思うのですが、嫌気性菌の動向は見ていないと思うんですが、それについては、この結果からどのように考えられると先生は判断されたのか、お聞かせいただきたいと思います。
○丹沢専門委員
 その他のところに入るくらい、嫌気性菌はもともと検出率が低いです。その他のところには、ペプトストレプトコッカスとか、そういう嫌気性の菌も幾らか入っておりますので、好気性菌のほうが常在菌としては多いですし、嫌気性菌も大きな病気を起こすときには関係があるということで、そういうものを抑制していると考えております。これではっきり提出できていません。それは認めます。
○鈴木委員
 口腔内の細菌叢も嫌気性菌のほうが圧倒的に多いと思うのですけれども、そちらを見ないで、好気性菌の検出率だけですべてについて言うのは、言い過ぎの部分もあるという気がしました。
○丹沢専門委員
 済みません。その他の中には少し入っています。
○森田会長
 関原委員、どうぞ。
○関原委員
 私も今の質問に関係するんですけれども、素人なんですが、2ページにあります外科手術の管理群と非管理群で、こんなに差が出るわけです。
 7ページは、血管外科だからバイパスみたいなものだと思うんですけれども、CRPは半分ぐらいに薄くなってしまう。もしこういうことだとしたら、医療費を削減するのは、物すごく大きな効果がある話なので、こういう話はもっと大きい場でちゃんと議論して、今、1~2日の入院を減らそうとか、ぐちゃぐちゃやっているわけですから、これは10日とか、そういう単位の話なものですから、そういう意味で、こんなにあるのは本当なのかということを万代先生なり中川先生に聞きたいと思います。現場の実感として、いかがでしょうか。
○森田会長
 ありがとうございました。
 何となく学会のような雰囲気にもなってきましたけれども、簡潔にお願いいたします。
 中川委員、どうぞ。
○中川委員
 丹沢先生、率直な感想を申し上げますと、データがきれい過ぎる。失礼な言い方で、根拠もなくて言っています。
 これは千葉大のデータですが、ほかの大学も同じようなデータがあるでしょうか。
○丹沢専門委員
 CRPや細菌に関してはほとんどないのですけれども、在院日数については、毎年、口腔ケア学会とか、そういうところで、私どもよりもかえっていい数字がいっぱい出ていて、私どもは逆に今の質問みたいに、眉につばをつけているんです。もともとLancetなどで出た論文では、合併症が半分になるとか、すごく極端な数字が出ているのですけれども、収束するところは1割5分から2割ぐらいだと思っております。
 それから、経済的効果については、病院の経営の戦略室があって、そこで我々は管理されています。非常に効果が見込めるということで、うちの病院は900床弱の病院ですけれども、最大限にやったら、年間30億円ぐらいの節約になるのではないか。だけれども、実際にはそうはいかない。現在、こういう数でやっていると、3億円とか、4億円の効果があるという話にはなっております。
○中川委員
 わかりましたが、例えば回復が早くなるとか、改善が著明であるというまとめのほうがいいと思います。在院日数を短くするとか、医療費を削減するとか、そうなると、せっかくの研究が少し生臭くなると思いますので、おまとめのときは御考慮いただきたいと思います。
○丹沢専門委員
 在院日数については、従来の論文がそういうようにできているものですから、比較をしているわけです。
 回復が早くなるということに関しては、化学療法に関しても、口腔内の色とか、粘膜の損傷状況なども、やったほうが確実によくなりますので、それは自信を持って言えます。
○関原委員
 中川先生、私は生臭い話を聞きたかったんです。
○森田会長
 簡単にお願いします。
○万代委員
 簡単にいたします。
 現場的にはこういった効果があると思っております。
 具体例を申し上げますと、例えば高齢者の患者さんがもうすぐ退院というときに、急に熱が出ましたとか、そういうものは、大抵こういったことが原因です。確かに真剣に議論する必要があるところだと思います。
○森田会長
 矢内委員、どうぞ。
○矢内委員
 6ページの論点のところです。
○森田会長
 事務局提出資料のほうでございますね。
○矢内委員
 そうです。事務局提出資料の6ページの論点に、歯科診療特別対応連携加算とあります。論点の(2)であります。ここで月15人程度の実績がある一方で、この加算の要件である20名が達成できないことから届出ができないところがあるということで、これをどう評価するかという論点です。言いかえれば、こうした努力をしているところを評価して、裾野を広げていったらどうかという提案ではないかと理解いたします。
 一方、21ページを見ますと、この加算の届出状況というのは、全体で増加傾向にあるという数字が出ております。このデータからですと、20名以上の要件を達成しているところが、着実に増加しているということではないかと思うのですが、この状況をどう評価されるのかというのが1つであります。
 それから、15名程度の実績にとどまっているところが多いということですが、こういったところは、経営面で相当無理をされているとか、あるいは地域の格差があるのではないかなど、経営面の実態が分かると、なぜ15名位のところでとどまっているのかが分かるのではないかと思うので、その辺の実態について教えていただけないかと思います。
○森田会長
 歯科医療管理官、どうぞ。
○田口歯科医療管理官
 歯科医療管理官でございます。
 これは平成24年度の検証調査の結果をもとにやってございますので、項目からすると、経営状況等までは、こちらとしては把握できていません。
 もう一つ、地域の格差でございますけれども、分母を何にして、分子を何にして、どのぐらいの割合かというのは、非常に難しいんですが、全体的に見ると、大都市圏では数としては多いという傾向はございます。地方にいきますと、1とか、2とか、そういった数があるという現状だと思ってございます。
○矢内委員
 1つ、最初の質問ですが、20名という施設基準を満たしているところが増加傾向にあることに対して、どう評価されていますか。
○田口歯科医療管理官
 歯科医療管理官でございます。
 確かに数としては増加傾向にございますけれども、先ほど調査結果をお話させていただきましたが、患者さんからしますと、専門の医療機関、専門性の高いところで受けたいという御希望もありますので、この数自体が、実際に需要を満足しているかという問題もございますけれども、事務局といたしましては、専門性の高いところを、全体的に底上げをして、数をふやしていきたいと考えているところでございます。
○森田会長
 大分時間も押してまいりましたが、ほかに御発言ございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、本件に係る質疑はこれぐらいにしまして、本日の議論を踏まえて、次回以降さらに議論を深めていきたいと思います。
 時間が残り少なくなりましたけれども、最後の議題に入ります。「○平成24年度診療報酬改定結果検証に係る調査(平成25年度調査)について(精神医療)」を議題といたします。これは報告事項でございます。
 診療報酬改定結果検証部会の牛丸部会長より御報告をお願いいたします。また、引き続きまして、事務局から補足をお願いいたします。
 どうぞ。
○牛丸委員
 検証部会長の牛丸です。
 本日御報告いたしますのは、平成25年度に実施いたしました検証調査のうち「慢性期精神入院医療や地域の精神医療、若年認知症を含む認知症に係る医療の状況調査の結果概要(速報)(案)」になります。
 まずは速報(案)の作成において、中医協委員の皆様には、短い期間で内容を御確認いただきましたことを、この場をかりて、厚く御礼を申し上げます。
 その都度、同じことを申し上げますが、25年度調査は本報告書を作成する時間がありませんので、このような結果概要(速報)(案)という形で提出させていただきます。
 本概要(速報)(案)をまとめるに当たりまして、この分野に詳しい方々に参加していただいた、調査検討委員会を11月6日に開催いたしました。そこで、まとめに向けての御意見をいただきまして、それを反映させて、まとめ上げたのが、この概要(速報)(案)であります。
 でき上がりましたものを、事前に持ち回りという形で検証部会委員、すなわち公益委員に内容を確認していただきまして、了承いただいております。
 25年度調査はまだ2つ残っております。残りの2調査につきましても、速報(案)を鋭意作成中ですので、まとまり次第、御報告いたします。
 それでは、今回のこの概要(速報)(案)の内容につきまして、事務局より説明をお願いいたします。
○森田会長
 お願いいたします。
○竹林保険医療企画調査室長
 保険医療企画調査室長でございます。
 ただいま御紹介のございました調査の概要を幾つかかいつまんで御紹介いたしたいと思います。
 目次のページを飛ばしていただきまして、1ページ目でございます。
 「1.目的」でございますけれども、そこに3つございますように、慢性期精神入院医療や認知症に係る医療の実施状況の把握、精神科病棟における職員の配置状況の変化の把握、精神科患者の地域への移行状況等の把握でございます。
 「2.調査対象」といたしましては、施設調査につきましては、精神療養病棟入院料、または認知症治療病棟入院料のいずれかの施設基準の届け出のある病院977施設、悉皆調査でございます。
 さらにそれらの施設に、病棟調査、患者調査の票を送付しております。
 7ページ目をごらんいただきたいと思います。「2.施設調査の結果」でございます。調査対象の枠の中にございますように、977施設の中で294施設に回答いただいたということで、回収率としては、約3割でございます。
 同じページの下のほう、図表3でございますけれども、回答いただきました病院種別につきましては、約8割が精神科単科の病院であったという状況でございます。
 12ページ目をごらんいただきたいと思います。図表14でございますが、表の一番上のほうに精神病床とございまして、右側は平成25年6月の状況でございますが、精神病床の平均値としては92%という状況です。
 下の図表15でございますけれども、推移を見ますと、精神病床で、23年6月に471日だったものが、25年6月には460日に短縮しているということです。
 精神病床の中の下のほう、精神療養病棟入院料に関しましては、23年1,323日であったものが、25年には1,155日に短縮している状況です。
 その下、認知症治療病棟入院料につきましては、531日だったものが、506日に短縮しておりますけれども、1つの要因として、24年改定で、認知症治療病棟入院料につきましては、入院30日以内の評価を充実させたということも考えられる状況でございます。
 20ページ目でございます。図表41でございますけれども、こちらにつきましては、24年の改定で精神科救急の患者につきまして、精神科救急医療機関で受け入れた救急患者を60日以内に他院に紹介した場合、紹介側に1,000点、受け入れ側に2,000点の加算を新設したこととの関係でございます。
 図表41の紹介加算の届け出状況のほうは、12.9%でございます。
 21ページ目の中ほど、図表44でございますけれども、こちらは受け入れた場合の受け入れ加算の届け出状況です。こちらは49.3%ということで、高い率になってございます。
 25ページ目でございます。上の図表54でございますけれども、こちらも24年の改定で精神療養病棟に退院調整加算500点を新設したこととの関係でございますが、グラフにございますように、退院調整加算の届け出状況は28.6%となってございます。
 36ページ目でございます。下の図表88をごらんいただきたいと思いますけれども、こちらも24年の改定で、認知症につきまして、夜間に手厚い体制で看護を行っている場合に算定できる認知症夜間対応加算を新設したこととの関係でございますが、グラフにありますとおり、加算の届け出状況は19.4%でございます。
 56ページ目以降が「3.病棟調査の結果」でございます。
 57ページ目をごらんいただきたいと存じます。図表140でございますけれども、主たる疾患別患者数でございます。こちらは精神療養病棟の入院料の関係でございますけれども、こちらにつきましては、統合失調症などの患者が非常に多くを占めている状況です。85.5人でございまして、非常に多い状況でございます。
 図表141でございますが、これにつきましては、在院期間別で1施設当たりの平均人数を見てみますと、25年6月、23年6月は同じでございますが、下のほうから2つ、1年超5年以内、あるいは5年超の方々が非常に多くて、1年以上在院している患者さんが非常に多いという状況でございます。
 60ページ目でございます。精神療養病棟入院料算定病床におけます、退院した患者さんの退院先でございます。右の25年6月の平均値で見ていきますと、自宅に退院された方は2.34人でございますが、自院の他病棟に対する転院が1.63人、あるいは他院は1.02人でございまして、転棟あるいは転院している方々も多くおられる状況でございます。
 64ページ目をごらんいただきたいと思います。見ていただきたいのは、中ほど図表152でございます。24年改定で、身体合併症加算を350点から450点に引き上げたこととの関係でございますが、図表152にございますように、精神療養病棟における患者数として、身体合併症の重症な患者の方々がふえたという回答が、55.9%を占めていたという状況でございます。
 65ページ目の図表154、こちらも身体合併症の関係でございますけれども、精神療養病棟における身体合併症の重症な患者さんに対する主な対応といたしましては、グラフの中ほどでございますが、他院の一般病棟に転院させるでございますとか、精神科を持つ総合病院の一般病棟に転院させるということで、そういった対応が多くを占めている状況でございます。
 最後に患者調査の関係でございますけれども、87ページ目をごらんいただきたいと存じます。
 上の図表209でございますけれども、退院後に生活を継続するために必要な支援といたしまして、回答の中には、医療サービス、あるいは福祉サービスによる援助・指導も必要な支援として多い状況でございますが、そもそも将来の退院を想定できないという回答も39.5%に上る状況でございます。
 88ページ目でございますけれども、図表211でございます。退院した場合の支援として重要なものという質問に対する回答といたしましては、一番上の看護師・ケースワーカー・ヘルパーなどによる援助指導85.4%。その中で、24時間体制での対応が必要というのが40.9%。下から4番目ですけれども、1週間で数回の訪問が必要というのも16.5%という状況でございます。
 89ページでございますけれども、図表212、現在退院できない場合の理由でございますが、これは複数回答でございます。入院を要する状態が続いているためというものが46.1%と多いわけですが、他方で、下のほうでございますけれども、家族の受け入れ困難または介護者不在というのが64.8%で、率としては最も多かったという状況でございます。
 続きまして、精神科デイ・ケアの関係の患者調査結果でございますが、107ページ目をごらんいただきたいと存じます。
 図表261が中ほどにございますけれども、精神科デイ・ケアの利用開始からの期間でございまして、グラフの右のほうでございますが、5年を超える方々は39.9%ということで、利用期間が長期にわたっていることがわかったということでございます。
 113ページ目からの一連の図表でございます。精神科デイ・ケアは、社会生活機能の回復を目的とするものでございますけれども、図表274から図表281までごらんいただきますと、利用患者さんのADLの状況あるいはIADLの状況がございますが、ADL区分で言えば1、IADLに関しては、問題がないという方々も相当程度利用者の中には含まれているということがわかったということがございます。
 今後、このようなデータも踏まえて、精神医療の26年度改定に向けた議論を進めていただきたいと存じます。
 以上でございます。
○森田会長
 ありがとうございました。
 時間も余りないんですが、御発言をお願いいたします。
 長瀬委員、どうぞ。
○長瀬委員
 48ページの図表123ですが、疾患に応じた診療計画に基づくプログラムの実施による、患者の地域移行の効果は、前回の診療報酬改定でプログラムをしっかりしなさいと言うことになっておりまして、これにつきましては、「とても効果がある」が2.7%「効果がある」が37.5%で合計40.2%となり効果が認められたで、よかったと思います。
 プログラムの内容は119ページ、図表290にありますように、対人関係を回復し、仲間をつくるためのプログラムは67.3%です。精神科にとっては大きいことであります。
 15ページの図表22ですが、精神科医、精神保健指定医、看護師ですが、ほとんど横ばいで、相変わらずこの人たちが不足しています。看護助手に関しては減っている状況です。
 精神療養病棟ですが、80ページ、図表188ですが、患者の状態像等でのGAFスコアです。GAFスコアというのは、前々回の診療報酬改定で入ってきたもので、前回の診療報酬改定では30~21が算定できるようになりましたが、精神療養病棟の30~21の人が52.5%、50~41が48.2%、精神症状が重症である患者が入院していることがわかります。
 これは精神療養病棟の入院をする状態が続いているため、退院できない人が89ページに出ています。図表212で46%います。
 このほかに退院の見通しで、先ほどお話がありました、支援体制が整えば退院可能な人が23.2%です。これは87ページの図表210にあります。
 退院した場合、支援として重要なものは、看護師等の援助・指導が85.4%必要でありまして、そのうち、24時間体制での対応が必要な人が40.9%もいます。
 認知症治療病棟でも同様の傾向が見られまして、104ページの図253を見ますと、現在でも受け入れ先が整えば退院可能が45.6%いますが、援助・指導を必要としている者が87.8%あります。そのうち24時間体制での対応が必要な人が62.7%あり、これは受け皿の問題だと思います。受け皿がなくて、それも重症な人、精神保健施設というような、精神療養病棟に準じた施設が必要なのではないかと思います。長くなっている方々が退院するためには、どうしても受け皿がないと、今、厚生労働省の方針も退院促進ということになっておりますが、なかなかできないと思っております。
 医療計画では、5疾病の中に精神科疾患が入ったこともありますし、今回、精神保健福祉法の改正がありますので、政策医療的な面から見ても、診療報酬で考慮してほしいと思います。
 医療経済実態調査でも、精神科病院は損益比率0.8%マイナスであったことから、この点をしっかり考えて、診療報酬を考えていただきたいと思います。
 よろしくお願いいたします。
○森田会長
 ありがとうございました。
 これは御意見として承っておくということで、よろしいでしょうか。
○長瀬委員
 はい。
○森田会長
 ほかにございますか。
 高智代理、どうぞ。
○高智委員(白川委員代理)
 84ページと85ページをごらんいただきたいと思いますが、全体を通しまして、精神病を取り巻く厳しい状況がわかったわけでございますけれども、85ページに薬物療法で使用している抗精神薬剤の種類、84ページにおきましては、診療内容ということで、診療内容としては、薬物療法が9割を超えております。また、投与剤数では、85ページに出ておりますように、非常に多剤という傾向が見てとれます。
 先般、国際比較の統計が出たかと思いますが、ここは適正化というよりも、むしろ正常化を目指した対応が必要だと思います。このような方向に進展しますよう、お取り組みいただきたいと思います。
 以上でございます。
○森田会長
 ありがとうございました。
 それでは、時間が参りましたので、まだ御意見等もあろうかと思いますけれども、本日はこれくらいにさせていただきまして、後日また議論の機会を設けたいと思っております。ありがとうございました。
 それでは、最後になりますけれども、次回の日程について、事務局からお願いいたします。医療課長、どうぞ。
○宇都宮医療課長
 医療課長でございます。
 次回は11月27日を予定してございます。よろしくお願いいたします。
○森田会長
 それでは、本日は進行に御協力いただきまして、ありがとうございました。
 総会はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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