ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(科学技術部会遺伝子治療臨床研究に関する指針の見直しに関する専門委員会)> 第4回遺伝子治療臨床研究に関する指針の見直しに関する専門委員会議事録(2013年10月4日)




2013年10月4日 第4回遺伝子治療臨床研究に関する指針の見直しに関する専門委員会議事録

厚生労働省大臣官房厚生科学課

○日時

平成25年10月4日(金)14:00~16:00


○場所

三田共用会議所 大会議室C~E


○出席者

(委員)

山口委員長 谷委員長代理
位田委員 伊藤委員 今村委員 梅澤委員
小野寺委員 中畑委員 那須委員 本田委員

(事務局)

厚生労働省:三浦技術総括審議官 宮嵜課長 中山研究企画官 許斐課長補佐 松倉専門官
文部科学省:伊藤安全対策官

○議題

1.前回(第3回)委員会での主な議論について
2.遺伝子治療臨床研究に関する指針の見直しにおける検討事項について
3.その他

○配布資料

資料1 第3回委員会以降の専門委員会での遺伝子治療臨床研究に関する指針の見直しにおける検討すべき事項の主な議論
資料2 遺伝子治療臨床研究に関する指針の見直しにおける検討事項
資料3 ベクターの品質・安全性に関する基準について
資料4 臨床研究と治験の整合性について
資料5 海外の規制との整合性について
参考資料1 海外規制当局の遺伝子治療指針の比較
参考資料2 ベクターの品質・安全性に関する基準について
参考資料3 遺伝子治療臨床研究に関する指針と遺伝子治療用医薬品の品質および安全性の確保に関する指針の比較
参考資料4 日米欧遺伝子治療ファースト・イン・ヒューマン(FIH)での非臨床試験比較

○議事


○中山研究企画官
 それでは「第4回遺伝子治療臨床研究に関する指針の見直しに関する専門委員会」を始めます。
 本日はお忙しいところをお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。本日の委員会は辰井委員、中村委員から御欠席の御連絡を頂いております。
 次に配布資料を確認させていただきます。資料1は第3回委員会以降の主な議論です。このうちの「遺伝子治療の定義」に関する論点について、後で再確認をいたしますが、その際の参考として、委員の皆様には「検討用メモ」が1枚あるかと思います。資料2以降が、1つの束になっております。資料254枚綴りものがあります。参考資料14があります。いつものとおり、基本資料となるものはファイルに綴じてあり、これは毎回申し上げておりますが、会議が終わった後、机の上に残していただければと思います。過不足などありましたらお知らせください。それでは山口委員長、以降をよろしくお願いします。
○山口委員長
 それでは早速議事に入ります。議題1について、前回委員会での議事内容について、事務局より説明をお願いします。この中に、前回委員会ではまとまらなかった事項もありますので、これについて本日御意見を頂ければと思います。事務局からよろしくお願いします。
○許斐課長補佐
 前回の専門委員会での遺伝子治療臨床研究に関する指針の見直しにおける検討すべき事項の主な議論について御説明します。
 「1.遺伝子治療の定義および指針の適用範囲について」です。1-1では、遺伝子治療の定義について御議論を頂きました。現行の指針では、「疾病の治療を目的として遺伝子又は遺伝子を導入した細胞を人の体内に投与すること」となっております。組換えの有無や遺伝子発現について、特に記載はされておりません。遺伝子治療に関する現行の定義の解釈では、遺伝子組換えを行っているものが、本指針の対象として扱われており、組換えを行っていないものは対象外となっております。「検討用メモ」では、遺伝子治療について、遺伝子の組換えの有無、遺伝子導入の有無で整理しました。ここで言う遺伝子導入とは、発現させたいものの遺伝子を細胞内に投与することです。このように整理すると、組換えの有無に関係なく、遺伝子導入を行うものが遺伝子治療となります。これは表中のIIIに当たりますが、現状ではIIに相当するものはありませんし、想定されていないと思われます。
Iについては、遺伝子+ベクターによる治療や、組換え型の腫瘍溶解性ウイルスによる治療が入ってくることになります。
 一方、自然変異型の腫瘍溶解性ウイルスによる治療は、IVに該当する遺伝子導入も組換えもない治療となります。
 更に予防の概念を取り入れた場合、DNAワクチンはIに該当することになります。
 そこで、前回の議論です。まず、定義について、自然変異型の腫瘍溶解性ウイルスによる治療は、現行指針の定義の解釈では本指針の対象とされず、臨床研究に関する倫理指針で扱われております。本指針を参照して、自然変異型の腫瘍溶解性ウイルスは、施設内倫理審査委員会(IRB)で審査することは可能。自然変異型の腫瘍溶解性ウイルスについては、米国食品医薬品庁(FDA)や、欧州医薬品庁(EMA)のガイドラインでは対象となっていないが、実質的に評価が行われている。自然変異型の腫瘍溶解性ウイルスそれ自体のリスクを考えると、自然界のものだから安全ということにはならない。一方で、本指針を遺伝子組換えといったリスクを伴った治療を対象としてきたので、改めて遺伝子組換えを行っていない自然変異型の腫瘍溶解性ウイルスを用いた治療を指針の対象とするかどうかについては整理の必要がある。こういったものがありました。
 これらのまとめとして、今までの遺伝子治療では、組換え技術を用いた治療しか実際に行われてこなかったことから、組換え技術を用いた研究のみを実際に対象としてきた。近年、組換え技術を用いていないものとして、自然変異型の腫瘍溶解性ウイルスによる治療が行われるようになり、このことを踏まえて新たに本指針の対象を整理することが必要となってくる。以上です。
○山口委員長
 今、御説明を頂きましたように、海外の規制当局は、自然発生型の腫瘍溶解性ウイルスについては、遺伝子治療とはしていないのですが、海外では臨床研究もFDAEMAが見ますので、結局、その場合に参考にしているのは遺伝子治療のガイドライン、更には腫瘍溶解性ウイルスに関するICH-considerationsというものがあり、その中にも、そういう視点で見るということが書かれております。そういう意味では、割と同じ視点で審査が行われていることになります。ただ、日本の場合には臨床研究として、もし本指針の対象に含めないとなると、施設内IRBでのみ審査が行われることになると。その点が大きな違いとなって出てきます。この点について御意見を頂ければ有り難いと思いますが、いかがでしょうか。
○中畑委員
 そうしますと、今、実際に行われた医科研の腫瘍溶解性ウイルスを使ったがんの治療をやられていますが、あれは施設内の倫理委員会をパスしたということだけで、国は一切関係なく行われているわけですね。
○山口委員長
 はい、自然変異型の腫瘍溶解性ウイルスを使った臨床研究は今まで名古屋大学で行われたことがあります。それは名古屋大学のIRBで審査が行われて、実施されたと聞いております。
○谷委員長代理
 医科学研究所のほうは組換えウイルスを使った臨床研究ですので、遺伝子治療指針の対象となるほうです。
○中畑委員
 遺伝子治療のほうで通っているわけですか。
○谷委員長代理
 山口先生にお聞きしたいのですが、例えば、自然変異型の遺伝子治療を用いる場合には、いわゆる文部科学省等の大臣承認が必要になってくるのでしょうか。
○山口委員長
 その場合には組換えではありませんので、例えば、カルタヘナ法に基づくような規制の対象にはならないと思います。
○谷委員長代理
 増殖をかなり伴う場合でも、特に大臣承認の必要はなくて、研究ができるということですか。
○山口委員長
 そうですね。
○谷委員長代理
 ありがとうございます。
○山口委員長
 中山さん、その辺は御存じですか。
○中山研究企画官
 自然発生型の生ワクチンでも、別にそういうのは見ていないと私は思うのです。基本的には対象にしていないということでいいですか。
○谷委員長代理
 そうですね。
○小野寺委員
 なかなか難しい点だと思いますが、基本的に、定義から言えば入れないほうがいいとは思います。ただ、果たしてこれの審査を各IRBで行えるかと言われると難しい。今、FDAのように、IRB側からこちらに問合せという方法とか、そういうことは駄目ですよね。
○山口委員長
 恐らく遺伝子治療の定義に含めるか含めないかという話と、定義に含めないとしても、例えば、遺伝子治療並びの中央審査をするかしないか。この辺が議論のポイントかと思うのです。二層性でお考えを頂ければ有り難いと思います。
○谷委員長代理
 先ほどの質問を踏まえて、どこかでしっかりした審査が必要になってくると思います。ただ、遺伝子治療の範囲には含まれないというのは、定義上明白のようですので、それに準ずるものとして、同等の委員会での検討をしておいたほうが、将来的にはいいような印象を持っております。私自身もその分野の研究者の1人で、そのほうが私としても安心して臨床研究のアプライができると考えております。
○山口委員長
 伊藤先生、お願いします。
○伊藤委員
 全くの素人というか、患者として分からないことがあるので、そのことも含めて御質問したいと思います。
1つは、今の御説明を聞いていると、「自然変異型」と言いますと、一般的には国民は自然に変異したと受け止められるのですが、それは少し違うような気がして、もう少し分かりやすい表現がないのか。一般的に学者の皆さんは自然変異型でお分かりになるのかという問題が1つです。
 審査の問題でも、「IRBで審査することは可能」と議論の中では書いてあります。一方、次のFDAEMAのガイドラインに関しては、「実質的に評価が行われている」と記載されています。評価が行われているというのは事実を指したのだと思いますが、実質的に評価が行われているということと、審査することは可能ということの間には何があるのですか。ちょっと分からないので御説明ください。
○山口委員長
 「審査することは可能」というのは、規制上どう取り扱うかという話があります。事務局も、その辺をもう少しフォローしていただければ有り難いのですが。1点目ですが、自然変異型というのは、いわゆるin vitroで培養しながら弱毒化を図ることも含めて自然変異型と言っています。もう少し正確に言えば、非組換えというだけの話です。組換えは行っていないが、弱毒化したり、あるいはある特定の性質だけを選択する。手は加えていることになります。もちろん、完全な野生型のものを自然から採るということがありますが、一般的には、それをそのまますぐ使えるわけではなくて、in vitroで培養したりといったことは経ますので、人工的な手は加わりますが、組換えているかいないかという所が明確な差だと思います。
 実質的に評価が行われてというのは、結局、アメリカやEUでは臨床研究を始める前に、必ずアメリカではFDA、ヨーロッパでは治験のときは各国の規制当局になりますが、そこで人への投与に対する審査が行われます。そのときは実質的に遺伝子治療の視点から見るということが書かれています。「審査することは可能」というのは、施設内だけでやることも可能ですし、また中央審査へ持ってくることはシステムの問題かと思います。
○中山研究企画官
IRBで審査することは可能というのは、今現在は、ガイドラインを示して国で審査をするパターンと、あとはガイドラインもなく施設内の倫理審査委員会で審査するというパターンのどちらかがあります。ここで言いたいのは、例えば、ガイドラインを示して、自然変異型の腫瘍溶解性ウイルスに対しても適用しますよと言って、IRBでガイドラインを参照して審査してもらうこともあり得るのではないか、という意見があったという意味です。
○今村委員
 今、議論になっているように、専門家の方々の意見は意見として、ただ、国民側から見て、こちらのほうはこうで、自然溶解型のほうはどうというのは、非常に分かりにくい感じがします。リスクとして、必ずしもこちらのほうが低いわけでもないということであれば、定義は定義として、施設内のIRBというよりは、同じような審査体制のほうが分かりやすいのではないかと思いました。
○小野寺委員
 私たち研究者としては、自然変異型というのは慣れていて扱いやすいのです。一番簡単な例が、お米で掛け合わせて寒さに強い。あれが俗に言う自然発生型、変異型です。私たちが今考えている遺伝子治療というのは、遺伝子組換えの大豆に相当するようなものが遺伝子治療ということです。実際、自然界で掛け合わせたり、自然界で起こっているという意味で、自然変異型ということであり、多分、日本においてもその辺はかなり線引きはされていると思います。そこで、遺伝子治療においても線引きをするべきではないかという点が1点です。
 今のことを考えますと、遺伝子治療の定義に普通の腫瘍溶解性ウイルスを入れるのは何らかの問題が起こると思いますので、できれば施設のIRB側が中央審査に依頼できる体制を作っていただければよろしいのではないか。これは飽くまでも私の考えです。
○中畑委員
 今村先生の言われたことは非常に重要だと思います。私は、以前ヒト幹細胞を用いた臨床研究の指針を位田先生と一緒に作ったのです。そのときに、各施設の倫理審査委員会と中央審査と2段階の審査という形にしたのです。そのときに議論になったのは、確かに今の日本の現状では、各施設の倫理委員会のレベルが必ずしも非常に高いレベルにどの施設もあるわけではなく、そういったことの背景を考えると、新しい医療というのは中央の審査、2段階の審査をしたほうがより質の高い、患者さんのために保障されるのではないかということで、中央審査という形になったのです。
 今回の自然発生型のウイルスを使った場合、本当に安全性が、施設の倫理委員会の審査だけで担保できるか。非常にレベルの高い専門家がいるような施設はきっちり議論が行われると思いますが、そうではない施設で乱暴なやり方でやってしまうことがあるとすれば、もしそういうことが起こる可能性があるとすれば、それは絶対に防がなければいけないと思います。そういった意味で、何らかの方法で遺伝子治療の中央審査にかかるような方策を考えるべきではないかと思います。
○位田委員
 遺伝子治療の指針の対象にするかどうかという話と、審査をどうするかという話は別々の話だと思います。それぞれについて理由が必要だと思います。「検討用メモ」の枠組みで、真ん中の欄のIIIが遺伝子治療の臨床研究の対象だということです。ひょっとしたら私の理解が違うかもしれませんが、遺伝子治療の臨床研究だけを別枠で通常の臨床研究から外してここに入れていることの理由は、要するに遺伝子レベルで何らかの影響を与えるような形での治療だからリスクが大きいと。したがって、通常の臨床研究ではなくて、国もコントロールできる形でやりましょうという話だと思うのです。
 そうであるとすると、例えば、自然変異型の腫瘍溶解性ウイルスが人に投与されたときに、それは遺伝子レベルで影響するのか、あるいはそうではなくて、先ほど御説明があったように、確かに腫瘍溶解性ウイルスそのものは掛け合わせると、そういう形で遺伝子レベルで変化をしているかもしれないが、患者さんに入れたときに、患者さんの遺伝子レベルで何らかの影響があるのかどうかというのは、私もよく分からないところがあります。その辺りはいかがでしょうか。
 そこの話が分かれば、単に遺伝子を導入するかどうかではなくて、使うものが確かに遺伝子を用いて作られた何らかのものであって、それが患者さんの体内に投与されたときに、患者さんの遺伝子レベルで何らかの治療が行われると。これが基本ではないかともともと思っていたのです。それが正しいかどうかお尋ねしたいのです。
 もう1つ、国レベルの審査に付するかどうかというのは、仮に遺伝子治療臨床研究の指針を参照しながら通常のIRBで審査できるかどうかというのは、あるIRBはできるが、別なIRBではできないという、別個の取扱いができてしまうといけないので、それでは国の審査を入れましょうと。そうすると、なぜ国の審査が必要なのか。つまり、この臨床研究の指針の対象にならないのに国の審査が必要だと言うのだったら、それはそれである意味では規制が強くなるので、その理由が必要です。それは遺伝子治療の形ではないが、通常の臨床研究よりはリスクが高いから、特別にこの部分については、国の第2段階の審査が必要なのですよと。リスクでいいのか、若しくは別の理由が必要なのか分かりませんが、そこの理由をきっちりしておかないと、何となく危ないからという話だけでは、国の第2段階審査というのは少しやり過ぎかなと思います。
○山口委員長
今の位田先生のお話は、多分、いわゆる人工的という意味での遺伝子導入でないものと、普通の遺伝子治療のときに何らかの差異があるのか。その辺の点かと思います。もう1つの点は、遺伝子治療にしなくても中央審査で見るのであれば、その理由付けが必要だろうという、この2点だと思います。
○谷委員長代理
 私の私見ですが、最初の御質問に関しては、非組換えの場合、すなわち自然発生の場合は、いずれも病原性のあるウイルスの株から採ってきているものですから、病原性が基本的にあります。ただし、ヒトで感染しているものなので、少なくとも患者様の病像というのは把握できているということです。
 組換えて新しく作る場合は、感染像は明確ではありません。それは1つの大きな違いだろうと思います。
○伊藤委員
 全くまた訳の分からない話で恐縮です。私もヒト幹細胞の研究指針の見直しとか、再生医療の検討会にも加わったのですが、ヒト幹細胞や再生医療よりも、遺伝子の問題のほうが、一般的に素人としては、ものすごく段階としては高度な、より人類に与える影響の大きなものという印象は受けてしまうのです。
 ヒト幹細胞でも再生医療でも規制を掻い潜って、勝手に臨床で使ったりということも実はあるわけです。そういう意味でも、この委員会で議論していることは、ものすごく大きなことのような気がするのです。ですから、厚生科学課で担当しているのだと思います。
 それから比べたら、本当に素人の印象ですが、ヒト幹や再生医療の審査よりも、遺伝子の審査というのは、もっと厳密でなければ何となく納得できないなという感じもするのですが、その辺りは、技術としてはもう既に大丈夫ということが前提になっているのかどうかも含めて、分からないので教えていただければと思います。
○谷委員長代理
 先ほどの御質問の2番目ですが、基本は、我々が遺伝子治療を始めたときは、ウイルスは複製不能でないといけないというのが大前提でしたが、それは今、御質問があった安全性がはっきりしていないということです。複製不能に関しては、ある程度の安全性と危険性が、従来事前から予測されていた範囲ではありますが、ヒトでも不幸にも証明されてしまったという歴史が2000年初期にあるわけです。
 ある程度それを解決する糸口も見つかってはきており、それでより安全性が高まっていることは考えられますが、ただし完全ではありません。複製可能の増殖性のウイルスに関しては、遺伝子治療の最初の段階で、遺伝子治療の形態として考えますと、恐らく誰もが認可しない状態ではなかったかと思います。
 ただ、ある程度時を経たということと、先ほどの自然発生のウイルスについての臨床試験は随分積み重ねられてきたわけです。それは遺伝子治療ではない形で、歴史的にウイルスを使った治療法というのは、1970年ぐらいから実際に行われてきたのは確かです。その辺の知見等も組み合わせられて、複製可能で、しかも組換えについては恐らく2000年代の初期ぐらいから認可がなされてきていると思います。複製可能の組換えに関してはまだ分からないこともあります。もちろん、自然発生のものは全て病原のウイルスですので、Aさんから分離したものがBさんにかかった場合に何が起こるかというのは、いわゆる多型性がありますので予測ができない範囲です。そこに関しては、基準としては同一のレベルで検討していくほうが、当初はよろしいのではないかというのが、私の私見です。
○位田委員
 今の御説明を聞いて、100%分かったかどうか分からないのですが、基本的には遺伝子を導入することによるリスクというのはもともと高いので、これについてはちゃんとコントロールが必要だと。
 プラスして、リスクの大小というか、高い低いというか、リスクに関する予測可能性について、まだ確実なものではないので国がコントロールする。IVをそれに入れるかどうかという問題なのでしょうか。
○山口委員長
 これはICHの場面でFDAEMAと議論したときに、腫瘍溶解性ウイルスの基になっているウイルス、例えばアデノウイルスにしろ、これは割と自然に感染するものです。自然に感染するという意味では、それだけは特別なことかと言われると、そういうことではないだろうと。ただし、腫瘍溶解性ウイルスの狙いは、腫瘍の中で特別にコンディショナリーに増幅してしまうというところにあるという、その辺が1つのコンサーンになっているとは思うのです。
 先ほど言いましたように、普通のウイルスであれば、当然感染するし、ある一定の比率で組換えは起こるかもしれないが、それは自然に感染するような状況です。腫瘍の場合には、腫瘍に特別に感染させて、その中で増やそうという、1つの人工的な導入に近いものがある。そこから出てくるコンサーンが幾つかあるという話になるかと思います。
○位田委員
 今おっしゃったのは、だからリスクが高い可能性があるという意味ですか。
○山口委員長 
 そういう感じにつながってくるのです。
○位田委員 
 そうすると、普通のリスクよりは高い可能性があるので、IRBだけではなく、国もちゃんとコントロールしましょう、という理由付けですか。
○山口委員長
 それはICHのほうでも議論されましたということです。
○小野寺委員
 一番最初の質問だと思いますが、腫瘍溶解性ウイルスが患者さんに感染したときに、遺伝子変化が起こらないかという質問でしたが、多分起こると思います。それは別に薬を使おうが、細胞を使おうが、患者さんにおいては何らかの遺伝子変化は起こると思います。ですから、遺伝子治療の定義は、飽くまでも患者さんに入れた後の遺伝子変化ではなく、遺伝子を入れる前の細胞に遺伝子の変化を起こしている。ですから、再生医療とか、当然薬に関しても、多分、患者さんの体の中では何らかの遺伝子変化を起こしているということで、そこをある一定の治療という概念で定義したときに、遺伝子治療においては使う細胞別に遺伝子変化を起こした細胞を使うと。そこが遺伝子治療の定義の一番ですので、その意味で腫瘍溶解性ウイルスは、やはり遺伝子治療の定義には入らないのではないかという視点だと思います。
○位田委員
 分かりました。確認ですが、そうすると、遺伝子組換えなり遺伝子導入した細胞を患者さんに投入して治療をしようとするので、それ自体がリスクが高い。したがって、それは別口で臨床指針みたいな形で扱っているというふうに考えてよろしいのですか。
○小野寺委員
 先ほど谷先生もおっしゃられたのですが、今ではかなりそこにコンセンサスが得られるか分かりませんが、当時は新しい生物を作るという概念が非常に強かったのです。ウイルスが本来は持っていない人の遺伝子を入れたり、何か遺伝子を入れたときに、新しいウイルスができてしまう。それを患者さんに感染させるということは、実際正常にあるウイルスが感染するのと全く関係ないウイルスというか、新しく人間が作り上げたウイルスを感染させる。危険性という意味で遺伝子は別に扱おうと始まったのではないかと思います。
○山口委員長 
 いろいろ意見を頂きましたが、このようにまとめられるかと思います。1点目は、自然変異型の腫瘍溶解性ウイルスについては、遺伝子治療という概念には多分入らないだろうと。これはコンセンサスが得られるものではないかと思います。遺伝子治療というカテゴリーに当てはまらないのですが、コンサーンをいろいろ考えると、遺伝子治療と同じように中央審査をしたほうがいいのではないかという意見が強かったように思いました。
 ただ、そういう整理でよければ、ここでの多くの意見がそうであったとまとめさせていただく。ただし実際に審査するとしたら、どういうふうに中央審査するかとか、その辺は行政的な整理も必要のような気がします。それは事務的に詰めていただくということでいかがでしょうか。
○中山研究企画官 
 仮に国の審査にするとした場合は、このガイドラインが遺伝子治療のガイドラインであることは間違いないのですが、このガイドラインが適用となる対象が遺伝子治療のみならず、自然変異型の腫瘍溶解性ウイルスも含まれるという形で、ガイドラインを見直さなければいけないことになるので、そこはどうやるかということが1つあり得ると思います。
 もう1つあるのは、例えば「検討用メモ」のIVに「自然変異型の腫瘍溶解性ウイルス」だけが入っていますが、先ほど先生がおっしゃった腫瘍で増幅するところからのコンサーンがあるという1つの線引きのヒントがありましたが、例えば、そういった所で線を引くと、それと同等なコンサーンがあると思われるものとして他にどういったものがあり得るかということも洗い出さなければいけないことになると思います。
 既に実施されている自然変異型のものもあり、そこをどう整理するか。これは既にやってしまっているので、このガイドラインの見直し以降から適用される整理もあり得ると思いますが、その辺もどう整理するかとか、幾つかの課題があると思います。
○山口委員長
 そういうことも含めて事務局で検討していただいて、その検討結果は、また御報告を頂くという形にさせていただければと思います。
○伊藤委員
 例えば、このメモはIIVまでありますが、これは専門の方々は既に御承知ということで何にも書かれていないのか、このIIIは何だろうとか。IIの「現在行われていない」というのは分かるのですが、この場合のIIIIIというのは、何か書くことができるか、表現することができるのか、何かあるのか、分かったほうが理解はしやすいと思いますが、いかがですか。
○山口委員長
 多分、こういうふうな形で作っていただいたのだと思うのですが、組換えで導入遺伝子がないというのは、組換え操作はするが、ヒトに導入すべきタンパクの遺伝子はコードしていない。導入したけれども、ヒトの中に入ったとしても、普通の遺伝子なら目的とするタンパク、例えば第8因子であったりとか、そういうものが発現して治療効果があるのですが、そういうものがないようなものもあるということです。
 ある特定の遺伝子だけを削ってしまうとか、そういう遺伝子組換えもありますので、IIIがそういう所に相当して、FDAはそういうものは遺伝子治療に入れていないのです。導入遺伝子がなければ遺伝子治療に入れていない。非組換えで遺伝子導入ありというのは、非組換えでなければ自然の生態から採ってきたDNAとか、RNAを入れることになるかと思います。実際、遺伝子治療の概念からしたら、そういうことをやってもサイエンスとしては余り意味がないので、これはほとんどないだろうと思います。よろしいでしょうか。
○中山研究企画官 
 同じようなことになると思いますが、組換えを行ったプラスという所は、基本的に遺伝子を導入するために組換えをプラスにするはずなので、組換えを行ったけれども遺伝子導入しないというのは、事実上は意味がないというか、あり得ないということになります。
○山口委員長
 例えば、遺伝子を削っていくだけの操作があるのです。藤堂先生の所はまた別の遺伝子を入れてはいるのですが、実際に削っても組換えということは組換えですので、人工的にそういうものを削っていくこともあります。その辺は実際事例を説明するのはなかなか難しいとは思いますが。
○位田委員 
 そうすると、横長のメモの注1で、遺伝子を導入せず、除去のみを行った腫瘍溶解性ウイルスはIVに該当すると書かれているので、今の話ではIIIになるのでしょうか。そこがよく分からないのですが。
○山口委員長
 もう1つややこしいのは、自然に起こるような、例えば、自然の中で遺伝子の欠損というのは起きるわけです。これはナチュラルオカレンスと言っています。そういうものは遺伝子組換えには入らないのです。明らかに人工的にこういう特別な構造になる場合のみ組換えということです。
○伊藤委員
 何もないのは何なんだというだけの話です。
○山口委員長
 次に1-2の議論をさせていただきたいと思います。1-2について、事務局から御説明をお願いします。
○許斐課長補佐
1-2「予防も適用範囲として含めるか」という論点がありました。ここでの議論は、まず、適用範囲について。適用範囲に予防を含めてよいのではないか。予防という概念については、再発予防と一般的な予防で分けるべきだ。再発予防は三次予防に当たり、ワクチン投与は一次予防に当たるとの御意見がありました。ここで、次のページですが、一次予防、二次予防、三次予防についての各段階について、(1)予防医学における疾病予防の各段階。(2)健康保険法に基づく保険事業の実施等に関する指針における各段階をお示ししております。一次予防はいずれも発症予防であり、この中にワクチン投与といった予防接種が含まれています。一方、三次予防は発症した疾病の増悪防止や機能の維持及び回復を目的として、適切な治療を行うことになっていますので、再発予防は三次予防とすることができると思います。
 前のページに戻ります。FDAではがんの再発予防は治療に含まれているが、DNAワクチン投与による予防は遺伝子治療の指針とは異なる指針で扱われている。一方、EMAではDNAワクチンによる予防も遺伝子導入用医薬品指針に含まれている。組換え技術を用いたプラスミドベクターによる治療薬と予防薬ワクチンの違いは、発現するものが治療薬では治療に必要なタンパク、ワクチンでは抗原となるタンパクで、プラスミドベクターの構造に大きな違いがない。リスクを考慮することも重要で、プラスミドのベクターを用いたワクチンを臨床研究に関する倫理指針で扱うにはリスクが高いのではないか。IRBによる審査ではプラスミドの安全性等の判断が難しいのではないか。本指針の対象として評価するほうが適切ではないか。といった御議論がありました。
 指針の名称について。疾病に対応するのが治療で、未発症に対応するのが予防。予防を含めるのであれば、遺伝子治療から遺伝子医療にしてはどうか。医療とすると診断や検査も含めることになる。このため、医療という言葉を使うには留意が必要である。治療と記載すると予防を含めるのが難しいので、言葉の使い方は検討する必要がある、といった御議論でした。
 まとめになります。治療だけでなく、予防、いわゆる一次予防も適用範囲に含め、その際、遺伝子治療等とはヒトへの遺伝子導入により疾病の治療や予防であることを明記してはどうか。再発予防、いわゆる三次予防は治療の一連と考えるため、新たな定義は行わないといたしました。以上です。
○山口委員長
 前回の議論で予防と再発予防の議論をしていただきまして、適用範囲に含めるというような御意見が多かったと思います。再発予防に関しては治療の一連の過程にあるものとして、「まとめ」にあるようなこのまとめ方ではいかがかという御提案をいただいています。これについてもし御意見等がありましたらお願いいたします。
 よろしいでしょうか、恐らくこの議論は前回の議論を受けて、割ときちんと整理をしていただけたと思いますので、それでは、このようにまとめさせていただきます。
 次に、対象疾患について事務局からお願いします。
○許斐課長補佐
 4ページ-2「対象疾患について」です。ここでの検討項目は、遺伝子治療開始後20年ほど経過し、有効性、安全性についての情報量が増えてきた状況の中、対象疾患について、現行指針の要件のままでよいかといったものでした。議論の内容は、治療によるリスクがある程度分かってきたので、新規性のないものは対象疾患を緩めてはどうか。3つの要件のうち、この「3つの要件」は下の関連条文の所に記載していますけれども、2つ目の遺伝子治療臨床研究による治療効果については現在可能な他の方法と比較して、優れているものだけでなく、同等以上であることが十分に予測されるものも対象とすべきである。治療効果が同等であっても、低侵襲であれば、患者にメリットとなる。といった御意見がありました。また、治療効果が同等でもリスクが高いか低いか、安全性も判断材料となる。新規性のあるベクターは今までの要件が必要となるとの考え方でよいか。疾患で限定するのではなくて、ファースト・イン・ヒューマンとなるものは厳格な判断が必要なのではないか、といった御議論がありました。
 まとめになります。新規性のあるものは、従来の3要件を全て満たすことを基本とする。ただし、上記2の治療効果については、現在可能な他の方法と比較して同等以上であることが十分に予測されるものとする。新規性のないものは上記23の要件にいずれも適合するものとする。ただし、上記2の治療効果については現在可能な他の方法と比較して同等以上であることが十分に予測されるものとする。3つ目として、新規性の判断基準や予防における対象については検討を要する、といたしました。以上です。
○山口委員長
 対象疾患に関して、前回議論していただいたものをこの「まとめ」にあるような形で整理していただきました。ファースト・イン・ヒューマンのものについては従来の123を適用するけれども、2の所で比較して優れているものだけではなく、同等以上であればいいとしていいのではないかと、それが大きく異なることかと思います。それ以外については、23が適合していたらいいという、この辺について、前回の議論を踏まえた整理をしていただきました。この点について御意見がありますか。
○小野寺委員 
1番の件ですけれども、先ほどの同等性とリスクのことを考えたときに、その新規性をどのように定義するかによってかなり違うと思うのです。例えばベクターがほぼ同じで、使う遺伝子をちょっと変えるという場合を新規性と認めたのであれば、その使った遺伝子は、今ここに書いてあるかなり重篤な疾患以外には使えないということになってしまうわけです。そうなると、新規性といったときに、まったく新しいウイルスを使ったときはかなり限定をかけなければならないと思うのですが、そうでないときに、例えば単に遺伝子を変えただけの新規性であってもこの重篤な疾患に限定するとなると、その対象疾患がかなり限定されます。また、予防の場合をどうするかという問題も非常にあると思うのです。予防をどのように当てはめるかは難しいと思いますから、私は逆に、ここで対象疾患という概念で限定するのではなく、新規性をもった、つまりファースト・イン・ヒューマンにおいて限定するという方向性で、ファースト・イン・ヒューマンの各項目と疾患とのリスクとベネフィットを考えていくという方法のほうが、遺伝子治療において範囲が広がっていくのではないかと、これは私見ですけれども、そう思っています。
○山口委員長 
 新規性の基準がどうかというところに多分大きく関わってくるのかなという気がしたのですが、恐らく、今おっしゃっていただいたように、ウイルスベクターそのものが変わらず、非常によく使われたベクターであって、中に入れる遺伝子も、もちろんそれが初めてというものであったとしても、その遺伝子について分かっているとか、そういうことが非常に理解が進んでいるということであれば、ファースト・イン・ヒューマンにしなくてもいいのではないかと、そのようなことですね。
○小野寺委員
 ファースト・イン・ヒューマンにしたときに、ここに書いている疾患以外は対象とはできないのは問題ではないかと。
○伊藤委員 
 またまた素人の話で申し訳ないのですが。「厳格な判断が必要だ」という、「厳格な判断」というのがどの程度のものか分からないのですが、その厳格な判断が必要なものの対象がファースト・イン・ヒューマンということだそうですけれども、どうもこのファースト・イン・ヒューマンというのをみんなは分かるのでしょうか。これをもう少し分かりやすい適切な言葉に置き換えることができるのか、私はこのファースト・イン・ヒューマンというのがよく分からないので、的確な判断はできないなと思うのです。
○山口委員長
 それはちょっと定義をもう少し分かりやすくさせていただければというようには思います。私の理解、説明がよければと思うのですが、今まで使われていないまったく新しい概念での遺伝子治療薬を、例えば、今まで使われていなかったような新しいウイルスを用いて、それに適切な目的とする遺伝子を登載するようなケースで、そのウイルスについては今まではほとんど経験がないというものがファースト・イン・ヒューマン、要するに最初に人に投与されるという、そのような意味です。ただ、適切な日本語はあるのでしょうかね。
○中山研究企画官
 ちょっと探してみます。
○位田委員 
 ファースト・イン・ヒューマンがなぜ問題なのかというのが今の御説明だと思うのですが、要するにリスクが高い可能性がある。もしくはリスクが予想がつかないということで、だからファースト・イン・ヒューマンが問題なのですね。そうするとファースト・イン・ヒューマンそのものではなくて、むしろリスクで全部、基準としては切れるのではないかと思いますので、その観点から新規性のあるものは3つの条件を満たすということですが、「まとめ」の1つ目の○の「上記2の治療効果について、現在可能な他の方法と比較して同等以上である」、これはもちろん必要だと思いますけれども、それにプラスして、リスクが高いものをこっちに入れる。同等以上であって、かつリスクが低ければ、ここから外すことも考えられるのではないかと思います。
○山口委員長 
 位田先生の御意見は、リスクの概念をそこに持込むことによってわりと整理できるのではないかということだと思うのですが、いかがでしょうか。多分、小野寺先生の御意見と同じようなことになるのではないかと思います。これについてはほとんど異論がないのかなと思いますが、よろしいでしょうか。そういう概念を取り込むような形で修文させていただいて、これは事務局と詰めさせていただくということでよろしいでしょうか。よければそのようにさせていただきたいと思います。
○許斐課長補佐
 予防の対象をどうするかに関しては、特に今御意見がなかったのですが、予防を適用範囲に含めた場合に、その対象疾患等を考えるときに、何か予防について留意すべきことはないか等の御意見がもしあれば、お願いします。
○山口委員長 
 恐らく健常時に投与されるというケースが想定されると思うので、もしその辺について、特に留意すべき点があれば御意見をいただければと思います。
○小野寺委員 
 やはり先ほどの議論から出ているリスクだと思うのです。どういう感染症に対するワクチンなのか、がんに対するワクチンなのかによってかなり違いは出てくるし、遺伝的背景によって非常にがんに罹りやすい人に対してのがんワクチンなのかということもありますので、余りそういう予防とか治療とかというところで限定をかけるのではなくて、正にファースト・イン・ヒューマン、新しく使うものがどれだけその被験者に対してリスクがあるのかを、そこから得られるベネフィットとの比較で見ていかないといけません。ですから基本的に、予防を含めて、ファースト・イン・ヒューマン、新しいものに関してはそのような疾患で限定する、その対象疾患との兼ね合いで最終的に決めていくほうが、整理しやすいのではないかと思います。
○山口委員長 
 今の考え方は、例えば健常時に投与するようなケースもそれで考えて、そのリスクが非常に低いということがちゃんと予測可能であると、先ほど位田先生にご意見をいただきましたように、リスクの概念を持ち込むことによって整理できればと思うのですが、よろしいでしょうか。
 それでは、前回の検討事項の最後のiPSについて、事務局から御説明をお願いいたします。
○許斐課長補佐 
6ページの3、「iPS細胞を用いた臨床研究の取扱いについて」です。ここではiPS細胞を用いた臨床研究の取扱いについて、本指針の適用範囲や審査体制をどのように整理するかについて御議論をいただきました。議論としては、ヒト幹細胞を用いる臨床研究においては、iPS細胞以外にヒト幹細胞に遺伝子導入することがある。よってiPS細胞に限らず、ヒト幹細胞に遺伝子導入する臨床研究と範囲を広げたほうがよい。ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する審査委員会だけでなく、今後、再生医療等の安全性の確保等に関する法律、すなわち再生医療新法が施行されると、特定認定再生医療等委員等の審査委員の構成などについて、政省令で定められる可能性があるので、そちらと齟齬のないように整理する必要がある。遺伝子治療臨床研究を別々の委員会で議論をするのは避けるべきである。現状ではiPS細胞を用いた臨床研究は、ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する審査委員会で審査できている。iPS細胞の遺伝子を修復し、そのiPS細胞を分化させ治療に用いると、遺伝子治療の占める割合が高くなるので、遺伝子を修復したiPS細胞を分化させる治療に用いる場合には、本指針の対象とすべきか検討が必要ではないか。遺伝子導入した体細胞も再生医療新法の対象になる、といったご意見をいただきました。
 そこで「まとめ」ですが、iPS細胞だけでなく、遺伝子導入を行ったヒト幹細胞を用いた臨床研究については、特定認定再生医療等委員会で審査することとし、遺伝子治療の専門家が審査委員に加わることを明確化するよう調整を図る。上記審査体制については本指針に示すとともに、対応するその他の指針等と齟齬のないようにする。とさせていただきました。
 特定認定再生医療等委員会の構成などにつきましては、研究開発課のワーキンググループで現在検討中であり、その構成委員として遺伝子治療の専門家が抜けないよう、調整中です。以上です。
○山口委員長 
 これは前回かなり議論になったところかと思います。まとめていただきました、審査する体制の問題と指針の問題と2つあるかと思いますが、法律で規定される部分がありますので、これで特に御意見はありますでしょうか。
○中畑委員 
 非常にきれいにまとめていただいたので、私はこれでいいのではないかと思います。
○山口委員長
 よろしいでしょうか、それではこのような形で進めさせていただきます。できるだけこちらの今までの審査とうまくスムーズにいくようにしていっていただきたいと思います。
 引き続き、議題2に移りたいと思います。資料2を御覧ください。今日は、論点の123について、前回の議論のまとめをかなり整理させていただきました。これ以降、本日の検討課題が46の品質・安全性についての議論です。これについては前回の委員会の最後にお話させていただきましたように、遺伝子治療の品質・安全性に関して専門的な議論が必要と思いますので、そのためにサブグループをつくって、まずそこでたたき台を作っていただくということで御了解を頂けたと思います。そのサブグループのメンバーについて、「専門委員会におけるサブグループ委員名簿(案)」として、私を含めて4人の先生方のリストを配布していただいています。これについてもし御意見等がありましたらお願いいたします。特段御意見がなければ、この委員会でまずたたき台を作る形で進めさせていただければと思います。必要に応じて外部の参考人なども呼びまして、このサブグループの中で素案を作らせていただきたいと思います。
 次に、本日の今回の検討事項について、詳細な部分ではなくて、基本的な事項について議論をいただきたいと思います。議論の内容については、このサブグループのほうで、議論を受けた形で、その素案を作っていただくというような形にさせていただければと考えております。
 今回の検討事項である品質・安全性に関して、資料35まで事務局のほうから御説明をお願いいたします。
○許斐課長補佐 
 資料3です。検討項目4「ベクターの品質・安全性に関する基準について」です。その検討項目としては、「ベクターの品質・安全性に関する基準について、指針においてどこまで示すか」があります。まず<現状と課題>ですが、遺伝子治療臨床研究で使用するウイルスベクター等の品質・安全性については、遺伝子治療用医薬品の品質及び安全性の確保に関する指針(遺伝子治療用医薬品の指針)のように指針には具体的な基準が示されていません。そこで、検討のポイントですが、「ウイルスベクター等の品質・安全性に関する基準について、臨床研究の質を担保しつつ、研究を遅延させることのないよう基準を定める場合、どこまで求めるのが適当か」としました。
<見直しの方向()>ですが、ウイルスベクター等の品質・安全性に関する基準については、「臨床研究の質を担保できるよう、一定以上の基準を設けることとする」としました。現行の指針では、実際の品質・安全性については、下記のごとく、こちらは関連条文をお示ししていますが、詳細に書かれておりません。こちらは、指針の第1章「総則」の第四、第五という所で書かれています。ここで、参考資料2を御覧ください。1ページは、今お話したように、現行の指針の本則に書かれている部分です。
23ページです。ここで示している記載事項は、本則ではなく、通知のほうで別表として書かれている部分で、この中の事項の67に、品質や安全性についての記載が含まれています。ですので、少し見にくい構成となっています。
4ページです。こちらが遺伝子治療用医薬品の品質及び安全性の確保に関する指針における、主に品質・安全性に関する記載です。より具体的な項目ごとに記載されており、7ページ以降には、それぞれについて具体的な内容が詳細に記載されています。
 また資料に戻っていただいて、資料4を御覧ください。検討項目5「臨床研究と治験の整合性について」です。検討すべき事項として、遺伝子治療臨床研究から治験への移行を円滑にし、遺伝子治療の実用化推進等のため、本指針と遺伝子治療用医薬品の指針との整合性をどのように図るか、というものがあります。検討のポイントとしては、臨床研究から治験への移行を円滑にするために、品質・安全性についての基準を策定する場合、遺伝子治療用医薬品の指針との整合性をどこまで意識すべきか。現在、遺伝子治療用医薬品の指針についても併せて見直しが行われているため、互いに連携を図るべき、です。そこで、<見直しの方向()>ですが、「遺伝子治療用医薬品の指針の見直しと併せて、本指針においても品質・安全性についての基準を作成し、整合性を図る」とさせていただきました。
 資料5です。6「海外の規制との整合性について」です。検討すべき事項は、「遺伝子治療についても近年、国際共同研究の動きが進んでいるが、我が国も国際共同研究に円滑に参加できるよう、海外の規制とどのように整合性を図るか」です。ここでの検討のポイントですが、「海外の規制と整合性を図り、国際共同研究を推進するため、指針の見直しにあたり新たに規定すべき、あるいは留意すべき事項はあるか」とし、<見直しの方向()>については、「海外の規制と整合性を図り、国際共同研究を推進していくため必要と考えられる事項、例えばベクターの品質・安全性についての基準等は海外のそれらと齟齬のないよう、留意しながら作成する」とさせていただきました。以上です。
○山口委員長 
 今、事務局から説明していただいた点等を含め、更に参考資料について私から説明をさせていただきます。
 参考資料3です。遺伝子治療臨床研究の指針と遺伝子治療薬の品質及び安全性に関する指針の比較ですが、どういうことが書かれているかについて、今、事務局から説明いただいたのですが、それを比較表にしてみました。次のページの左側が医薬品のほうの指針で、研究のほうの指針は右側です。左側で「規格及び試験方法並びに製剤設計」という項目になっているのですが、医薬品開発の場合には、製法で特性解析、非臨床安全性試験というのが、治験に入る前に実施しなければならない様々な解析なのですが、臨床研究のほうはそういう整理の仕方がされていないということがあります。例えば、安全性についての評価という、意味としてはそれなりに分かることなのですが、整理の仕方が遺伝子治療薬と少し異なっている点があります。また、実際にここで右側に書かれていることは、先ほどの参考資料2の別表で書かれていることの項目だけが記載されていて、具体的な中身がないということになります。具体的な中身に関しては、遺伝子治療薬の指針のほうでは、実際にどういうことをやるべきか、どのような試験を実施すべきか、ということがある程度書かれています。そういう差異がある点を御注目いただきたいと思います。ここで右側で薄字になっているのは、例えば左側の規格試験法と横並びで比べてみた場合に、規格試験法にはないような項目なので、ここはちょっと薄くしてほかの所に行ったほうがいい項目であろうという意味です。ただし、例えば右側に「細胞の安全性」と書いてあるのですが、培養した、例えば遺伝子導入をした細胞の純度や細胞の遺伝子型、表現型などについては、遺伝子治療薬の品質のうちの一部と考えることができるわけです。
 次のページです。ここは、製造方法から見たときにどう考えられるかということで、この辺りについては治療薬のほうでも臨床研究のほうでもかなり整備されていると思うのですが、製造方法に関してベクターごとの製造方法の違いについてはほとんど書かれていませんし、また、あえて関連付けるとすれば、そこに書いてある丸3( i )などが関連する所になると思います。
 製造方法の所を飛ばして、5ページの「非臨床安全性試験」の所です。非臨床試験というのは、例えば安全性の試験と効能試験あるいは薬理学的な試験があるのですが、そういうふうに横並びで見てみると、赤字で書かれている部分に関しては安全性試験として重要項目なのですが、これについて幾つか必ずしも左と合っていない部分があります。例えば免疫原性の試験がなかったりするなど、そういう記載がない所などがあります。
6ページです。「効能試験」について、遺伝子治療薬の効能、どういう臨床的効果が期待できるかに関して、臨床研究の指針では、今までその施設においてどのような試験が実施されてきたか。非臨床的な観点、動物を用いたり、あるいはin vitroの培養細胞を用いてどういう試験を実施してきたかという観点で書かれています。具体的にどういう項目の試験が必要かということが少し明確でないところがあります。これが臨床研究と遺伝子治療薬指針の差異について比較したものです。
7ページ以降が、海外のガイドラインにはどのようなものがあるかということです。例えば7ページにはFDAのガイドラインがあります。FDAのガイドラインは、一番最初は1998年に細胞治療及び遺伝子治療としてガイドラインが出されています。それ以降、FDAはかなり多くのガイドラインを出しているのですが、一番最初の指針を補強するような形でどんどん出されてきています。例えば、ヒトに最初に投与するファースト・イン・ヒューマンまでに必要なデータなどを含めて出されてきています。8ページにありますが、EMAFDAと同じように2001年に最初のガイドラインが出された後、数多くの補強するようなガイドラインが出されてきています。EMAのほうは、途中で遺伝子治療の品質・安全性についての最初の指針の改定も行っています。ですので、かなりの補強をするような形の指針が出されています。数多くの指針によって、いかに遺伝子治療薬でどういうことを記載し、どのようなデータを得ておくべきかということが示されています。
 次に、欧米で共通する指針項目ということで、例えば遺伝子治療を実施した患者の欧米で共通した指針項目として、長期フォローアップやファースト・イン・ヒューマンの非臨床試験などが共通して書かれているのですが、こういうものについての日本独自の指針はありません。
 ただ、最後のページですが、ICH considerationsということで、ICHという医薬品の承認申請に関する規制と調和動向に関する会議で、この3つの見解については日本を含めて作成したものです。ですから、この辺りについては日本も関与して作成したもので、必要に応じて、これは参考にできるという位置付けになっています。
 後は、実際に臨床研究を始める前に、ファースト・イン・ヒューマンまでにどういうデータが必要かということについては、先ほど言ったように、FDAEMAも、最近、ガイドラインを出しています。それをまとめたものが参考資料4です。これについては中身は細かく申し上げません。何を見ていただきたいかというと、こういう最初にヒトに投与するまでに非臨床試験としてどのようなデータが必要かということを、6ページにわたってかなり詳細に提示しております。一番左側に書いてあるのが日本の遺伝子治療薬の指針なのですが、これについてはざっと見ていただければ分かるのですが、詳細さが少し足りないところがあります。この指針に関しては非常に古い指針ですので、ある意味、今までの遺伝子治療薬の経験を生かして、改定する作業は進んでいると聞いています。私のほうからの説明は以上です。
 これらを含めて、本日、遺伝子治療臨床研究における品質・安全性について、どういう観点でこれを整理していったほうがいいか。要するに、具体的にどう書いていったほうがいいのか。あるいは、その具体性を書くためには何が必要かなどについて御意見を頂ければと思います。
○本田委員 
 完全な素人なので、見方を教えてほしいのです。例えば、参考資料32ページなどを御説明いただいたのですが、ちょっとよく分からなかったのです。例えばこの臨床研究の指針のほうの「安全性についての評価」で薄字になっている所がありますよね。
○山口委員長
2ページですね。
○本田委員 
2ページでも4ページでもいいのですが、この薄字になっている所は、臨床研究の指針にはこういう項目は書いていないという理解なのですか。
○山口委員長 
違います。
○本田委員
整理の仕方が違うという意味ですか。
○山口委員長
 整理の仕方が違うという意味です。製造方法という横を見ていただけると、遺伝子治療薬の指針のほうでは、製造方法というふうに書かれています。その製造方法と合わせる形で、品質の所などを眺めていくと、ここは違うところなのだけれども全部一緒にここに入ってしまっているので、ここは整理し直したほうがいいだろうということです。
○本田委員
 並び方が違うなどということで、この項目が一切入っていないということではないということですね。
○山口委員長
 一切入っていないということではないということです。
○本田委員
 もう2点質問があります。参考資料37ページやそれ以降なのですが、このFDAのガイドラインにしろEMAにしろ、一番後ろのICHの出しているものにしろ、これは全部、臨床研究という概念は多分日本のものだと思うので、みんな治験に関してのことでこういうことをやっているというものを並べてあるということですか。
○山口委員長
FDAEMAも、臨床研究も治験も同じガイドラインを適用することになっていますので。
○本田委員
 一緒ですよね。
○山口委員長
 日本のように別々のガイドラインではなくて、1つのガイドラインの中で全て見ていることになります。
○本田委員
 そういうものが出ているということですね。
○山口委員長
 ただ、FDAは、治験に入るとき、あるいは臨床研究に入るとき、同様に見るのですが、ヨーロッパは、ガイドラインは1つなのですが、治験に入るときはEMAが見るのではなく各国の規制当局が見ることになります。
○本田委員
 その場合、FDAは臨床研究も治験も同じガイドラインで見ていますよね。EMAも同じガイドラインで見ているのですか。
○山口委員長
 同じガイドラインの概念で見ています。
○本田委員
 その上で、一言だけ一般人としての感覚として、意見として、こんなことを言ったらここでの議論ではないかもしれませんが、そもそも同じ共通概念のものにおいて、治験の指針と臨床研究の指針があること自体が分かりにくいとずっと議論されている中で、これだけ違うというのと、薄いという、まあ構成が違うだけなのかもしれませんが、臨床研究の指針がちょっと薄いように見えるということもあるので、基本的には、品質・安全性についての部分は同じにしていただいて、臨床研究のほうが治験と同じにしたらこんなに困るんだ、こんなに進まないんだという理屈が付くものは、ちゃんと理屈を示していただいて変えるという形にしていただくほうが、国民としては納得いくと常々感じています。
○山口委員長
 ありがとうございます。どうですか、那須先生。
○那須委員
 私も全く同感でして、私自身13年近くこういう仕事をしてきて、始まった当初は、とにかく将来の実用化などを余り意識せずに、とにかく患者さんに投与しようという意識でやってきたわけですが、昨今はやはり、こういう先端医療についても、実用化を考慮し、しかも安全性を担保してということを考えたら、このダブルスタンダードというか、先ほど本田委員がおっしゃったことは当然で、私ども研究者としても実感しております。
 特にこういう先端医療で、患者様に投与するこういう生物製剤において、安全性の観点から基準が違うということは当然説明できない内容だと思っていますので、今後のこの検討においては、両者の違いはできるだけ一致させる方向だと思いますし、現実的に、では今までやってきたいろいろなベクターがどうだったかといえば、私どももそうですが、ほとんどが海外で作成して、海外の試験でも使える形のものを日本に持ってきて投与していたのが現実です。そういった品質のものが実際は使われていたということも、一言申しておきたいと思います。
○山口委員長
 ありがとうございます。今、那須先生からおっしゃっていただいたように、海外で作られたものが導入されたケースは結構あり、FDAなどで審査されていて、その基準に沿っている。ただ、逆に言うと、もし日本で作り始めるとすると、今まで指針の中での詳細さというか、その辺りの説明が十分かという議論が必要だという気がします。
○位田委員
 今のお二人の御意見と関連すると思うのですが、参考資料3の、今2つ並べていただいている遺伝子治療用医薬品の指針というのは薬事法に基づいていて、したがって法的拘束力のある指針ですね。
○山口委員長
 はい。
○位田委員
 他方で、遺伝子治療臨床研究の指針は当然、法的拘束力のない、いわゆる臨床研究の指針になっていると。同じ指針という名前を使っていますが違いますよね。まず、その確認なのですが。それで、FDAEMAはそれぞれ、ガイドラインという、言葉使いは違うのですが両方とも法律に基づいているガイダンス、ガイドラインですよね。
○山口委員長
 ガイダンスとガイドラインはちょっと違うみたいです。ガイドラインのほうがより強制力がある。ガイダンスに関しては、ちょっと参考にしたら、という感じの書きぶりで、ガイダンスの最初の所にはいつもそういうふうに書いてあるのです。
 もう1つは、ガイドラインというのはto be considered、要するに、こういうふうに考えてみたらどうかという、海外はそういうスタンスで書かれているところがあります。
○位田委員
そうであっても、法律に基づいてto be consideredというのか、法律に基づかないでto be consideredというのかでは、かなり重みも違うので。かつ、国によって、ガイダンスは法的拘束力があるけれどもガイドラインは法的拘束力がないのだという国も、確かイギリスだったかアメリカだったかであったかと思います。日本では全部ガイドラインと言っているのですが、国によって、その法体系によって、ガイダンスと使うときは意味があると思いますので、FDAは、このガイダンスの基になる法律が何かあるのではないかと思うのですが、その辺りははっきり知らないので。御存じでしょうか。
○山口委員長
 確かEMAEU指令というのがありまして、これは要するに法です。
○位田委員
 これは法的拘束力がありますので、それに基づいてこのガイドラインを作っていれば、多分作っているはずなのですが、そうすると、基は法的拘束力があって、したがってこのガイドラインも法的拘束力があるのだけれども、要するに「考慮しろ」という義務がかかっている。法的義務がかかっている。恐らくガイダンスのほうも、ガイダンスと書いてあるけれども、基本的にはアメリカの法律があって、薬事法なり国家研究法に基づいてガイダンスが作ってあって、したがって法的拘束力はあるのだけれども、しかし内容はそんなにギチギチあるのではなくて「こういうことを考えて審査をしましょう」という話なのだろうと思うのです。ですから私が申し上げたいのは、要するに、アメリカもヨーロッパも両方とも法に基づいてガイダンスなりガイドラインなりが定められていて、日本の場合には、薬事法の部分は確かに法的拘束力があるこの遺伝子治療用医薬品の指針なのですが、今我々が議論している「遺伝子治療臨床研究の指針」だけは法に基づいていない。
 実は、そこから先が私が申し上げたいことなのですが、例のバルサルタンの問題で検討委員会を今やっていますが、この間、930日に出された中間まとめでは、確か冒頭の所に、臨床研究も、つまり今までやってきたいわゆる臨床研究も、治験と同じように法制化しろという提案が出されていたと思うのです。中間まとめなのでそこがどこまで行くか分かりませんが。そうすると、我々のほうも、当然そういうものとして考えていって、つまり一本化する。薬事法の治験と、今までやられてきた臨床研究を一本化して考える方向で、今回の指針の見直しだけの話ではありませんが、そういうことも念頭に置きながら議論をしていって、したがって、遺伝子治療用医薬品の指針とできるだけうまく整合性をとりながら見直しの規定を考えていくべきではないかと思うのです。すみません、長くなりました。
○山口委員長
 法的な位置付けについて、事務局から補足があればお願いします。
○中山研究企画官
 今、位田先生がおっしゃったとおりだと思います。ガイドラインが法的な拘束力が直接あるかどうかは、各国のやり方がいろいろあると思うのですが、基本的に共通なのは、日本であれば薬事法というものがあって、そこで審査に出すものについてはこのガイドラインに従っていることが原則になるので、当然のことながら法的拘束力的な位置付けはあるということだと思います。
 臨床研究のほうも、いろいろな動きがどうなるか、まだ分かりませんが、ただ、そういった治験との整合性を踏まえた上での検討は必要だと思います。
○今村委員
 今の薬事法に基づく場合、いわゆる治験に持っていく場合と、いわゆる臨床研究の場合、やはり重たさは違うと思うのです。一方、今の議論が、この遺伝子治療に限ってだけ議論するのか、あるいはそのほかの臨床研究と治験にも、当然のことながらこの議論は影響を及ぼしてくると思うので、そこのところをきちんとしておかないと、ほかの臨床研究と治験の場合にも全て同等の法的な規制を同じぐらいにしろということになると、相当、研究者なり臨床家の間から抵抗が強くなるのではないかという懸念もあると思うのです。
○山口委員長
 恐らく今、ここの場では、遺伝子治療臨床研究に特化した議論でいいのだと思うのですが、位田先生がおっしゃるように、もし今別に検討されているものがこちらに影響してくることを土台とした上で、という話であれば、多分その時点でそれを取り込んだり、あるいはそれを参考にしないといけなくなると思っているのですが、そういう理解でよろしいですか。
○中山研究企画官
 すみません、もう一度言っていただいていいですか。
○山口委員長
 現時点での議論は遺伝子治療臨床研究に特化した議論をすればいいと思うのですが、例えば、もし例のバルサルタンの件で今検討されていることによって、この遺伝子治療も含めてそういうことの網がかかるのであれば、その時点でまたもう一度再考すればいいのではないかと思うのですが。
○中山研究企画官
 臨床研究一般の取扱いについては、また別途な場で検討されている状況ですし、バルサルタンの報告書の中でも、EUが一時期、一律に同じ規制をかけようとしたときに臨床研究が滞ったという指摘もされているので、その辺りはいろいろな慎重な検討が必要だろうと思います。
 ここでは、飽くまで遺伝子治療の臨床研究という立場で、それを遺伝子治療医薬品のガイドラインとの整合性を踏まえてどうあるべきかを検討いただくということだと思います。
○山口委員長
 ありがとうございます。それでは、ちょっと議論を整理だけさせていただいて、ここで御意見を頂きたいのは、1つは、最初に説明していただいたように、指針と通知の別表みたいな形になっているものの2つの構成になっているのですが、そういう形が本当に分かりやすいのかどうか。その辺りも含めて御意見を頂ければと思います。
○小野寺委員
 先ほどから出ているのですが、現在、臨床研究の指針には詳細なことは記載されていないわけです。ここに書かれているように、飽くまでも治験の指針を参考にしろと、遵守せよと書かれていると思うのですが、基本、先ほどのダブルスタンダードのことを考えると、個人的な意見ですが、ここの指針の中に詳細なことを書いてしまうと、多分、今後、治験と臨床研究の指針の齟齬が出てくる可能性が高いと思います。かといって、では全ての臨床研究を治験レベルでやるかと言われたら、先ほど出ていたように、多分、臨床研究が進まなくなるということで、個人的には、1つのガイドラインを治験側で作って、それを参考にするという方向性のほうが問題は起こりにくいのではないかと思います。
○山口委員長
 別に作るという意味ではなく。
○小野寺委員
 飽くまでも、臨床研究の指針は概念や定義を記載することにして、具体的な内容に関しては治験側の指針に記入すればいいのではないかと思います。
○山口委員長
 そうすると、品質、製法などの部分については遺伝子治療薬のほうの指針を参照するということでしょうか。
○小野寺委員
 先ほど山口先生から提出いただいた資料の項目については、基本、同じ形でいいと思うのです。もちろん文言は若干違うとしても、例えば資料356ページに書かれていますが、かなり近い内容の非臨床のところが出ています。非臨床に関して言えば、こういう項目を11に合わせておく。ただ、ではこの内容を今回の臨床研究の指針の中に盛り込むかとなると、やはりそこは、今かなり科学はアップ・トゥ・デイトですので、書き込めば書き込むほどまた齟齬が出てくると思いますので、基本、日本においてはどこかに1つスタンダードを置いておいて、それを臨床研究の指針側から参考にすると。項目は大きなところは変わらないと思うのですが、その方法や具体的なところを参考にするようにしたほうが、非常にフレキシビリティが高いというのも変ですが、扱いやすいのではないかと思います。
○山口委員長
 ありがとうございます。
○那須委員
 基本的に賛成なのですが、次の5の「治験と臨床研究との整合性」という所に関わってくると思うのですが、私の個人的な意見としては、使う治療薬はやはり治験であろうと臨床研究であろうと、品質は同じものであるということが患者さんの安全性を担保する上では、当然であるのです。その研究をする途中のプロセスが、治験のようにデータマネジメントなどというものが、アカデミアがやるというところで多少の差は出てきますが、昨今、その点についても質の高い臨床研究をやりなさいという厚労省の施策等で臨床研究中核病院等があって、質の高い臨床研究、治験に近いレベルのものをやろうという流れですので、私の個人的な意見では、もうそういった施設で今後はこういった研究が行われていくと考えています。
○山口委員長 
 ありがとうございます。今の那須先生のお話は、製法も含めて同じ品質のものを使っていくとしたら、そういうもので使われたデータでないとまずいだろうということかと。恐らく、ちょっと差が出てくるとしたら、非臨床試験などでも、遺伝子治療は必ずしもGMPでできるとは思わないのですが、GMPで全てというふうにできるだけ適用するとなると、臨床研究ではなかなか大変なことになりますか。
○那須委員
 多少そういうところはあると思いますが、やはり昨今、こういうオリジナルないろいろな遺伝子治療の製剤を作った場合、その自施設だけで完結したり、論文を書くだけで終わることは、まずあり得ないので、開発戦略を立てた場合には、治験に近いものでいくという研究に、これからなっていかざるを得ないのではないかと考えています。かつてのように、ただ打って、数名の患者さんに使って、それで論文を書いてというところから、少し時代が変わってきているのを感じています。
○谷委員長代理
 この遺伝子治療の臨床研究の指針の改定版が出来たときには、既に遺伝子治療用医薬品の指針も出来ていたと思うのですが、それにも関わらず、両方を並べたときには、先ほど御意見があったように、随分抜けが多いような印象を受けるというのは、歴史的な問題なのか、それとも、その当時の遺伝子治療の推進をしたいという1つの意図があったのかは、ちょっとこの場では議論できないので、その辺りは事務局のほうで、その当時のいわゆるフィロソフィーというようなものを次回にでも聞かせていただければと思います。
 実際に具体的な内容で、例えばGMPグレードで作るなどといった場合に、まだ基本的に薬剤のGMPと比べて、こういった細胞製剤、ウイルス製剤のGMPは、薬剤ほどは基準が決められていないのが現状です。我々も施設内のGMP施設で作ろうと意気込んでやっておりますが、では実際にどのスタンダードに合わせたらいいのか、では薬剤と一緒なのかというと、とんでもないレベルの差がまだあるのが現状です。ですから、もしそういった基準を一緒に盛り込むのであれば、かなりハードルは低くしていただかないと恐らく遺伝子治療はできませんし、細胞製剤に関しても、いわゆる薬剤GMPの基準しかない現状において、そこにスタンダードをどういうふうにして付けていくかに関しては、恐らく我々のこの会議では解決がつかない、もう少し時間の掛かるもののような印象を受けております。
○山口委員長
 ありがとうございます。今、最初の頃のことを再度事務局のほうから、というお話があったのですが、お願いできますか。
○中山研究企画官
 今、ちょっと私の手元には持ち合わせていないので、いつかのタイミングで。
○谷委員長代理
 多分、島田先生や小澤先生にお聞きいただければ分かると思います。
○位田委員
 現在の遺伝子治療臨床研究の指針は、先ほど御案内のあったように、参考資料21ページで、品質等の確認は省令に定めている水準に達している施設で作られているものうんぬんと。その具体的な中身としては、結局は実施計画書でそういうことを全部書き上げろという形になっていますよね。
○山口委員長
 はい。
○位田委員
 これを、今回の見直しのときにこちらの臨床研究の指針のほうに入れ込むかどうかという議論と考えてよろしいのでしょうか。
○山口委員長
 最初にちょっと事務局のほうから案として出していただいたのが、例えば品質・安全性に関する基準については、臨床研究の質を担保できるような一定の基準を設けて、それを記載して、読んだ人がちゃんと分かるような形にする。そういう意図で提案していただいていると思うので、そういう方向でどうでしょうかということだと思います。
○位田委員
 恐らく指針そのものに余り書かれていなくても、この実施計画書に全部書かないといけないということになれば、実質的には同じことなのだろうと思うのです。ただ、今、委員長がおっしゃったように、外から見て指針にもきちんと書いてあるというやり方をするのであれば、では、これは現場の目から見てどこまで書き込めば妥当であって、どこから以上は余りに細か過ぎて、余りギチギチ指針に書いてしまうと、今度はそれこそ研究が進んだときに指針をまた変えないといけないことになります。それが別表ぐらいであれば指針を見直すうんぬんの議論をしなくても研究の進展に合わせて、別表で調整ができるということになりますので、その辺りは、もし中身が同じであれば、つまり書き込んでも書き込まなくても中身が同じであれば、そこは重要性いかんで、若しくは現場の目から見てどちらのほうがやりやすいか、外から見ていてどちらが適当かということで考えていただければいいと思うのです。
 もう1点質問なのですが、遺伝子治療用医薬品の指針を使って遺伝子治療用の薬剤を作ると。それを遺伝子治療で使うというケースの場合は、つまり、どこか外で作って持ってくる場合は、当然、薬事法がかかると思うのですが、現場の先生が自分の所で遺伝子治療用の薬剤を作って、自分の所の患者さんに使う場合には、恐らく医薬品のほうの指針は働かないと思うのです。もしそうであるとすると、そういうケースの場合は、かなり緩和された条件で、現実にはおやりになっている可能性もあり、他方で、ほかの所で作って持ってくる場合には非常に厳格な基準でやっている。そこの擦り合わせをうまくやらないと、みんな自分の所で作っている、若しくはその先生がほかへ出掛けて行かれて自分で作って持って来られるという形で、う回されてしまうことになるので、その辺り、実際に今臨床研究を行われている現場の先生の感覚としては、どこまで厳格にできて、どこからが薬事法では余りにもきつ過ぎるという形になるのか、その辺りが明らかにならないと、書き込んでいいかどうかという問題はなかなか解決しにくいと思うのですが。
○山口委員長
 多分、これは施設外の話。
○中山研究企画官
 薬事法がかかるというのは、外部の製造会社が製造販売する行為をしたときにかかるのです。遺伝子治療の場合は、施設内で培養しようが、委託する形で共同研究として外部で製造してもらって治療に使うかは問わず、全体が、それは臨床研究として扱われることになっています。
○位田委員
 共同研究の枠に入れてしまえば問題はないはずなのですが、つまり共同研究ではなくて、ある意味では便宜的に共同研究にしてしまえばいいのですが、本当にそういう形でいいのかというのが若干の疑問なのです。
○小野寺委員
 これが正しいかどうか分かりませんが、先ほどの質問で、多分、今、遺伝子治療の、例えば海外で作ったウイルスに関して言えば、日本では医薬品としては認可されていなくて、飽くまでも薬品というのですか。
○中山研究企画官
 個人輸入の医薬品。
○小野寺委員
 でも薬価は要らないですよね。
○中山研究企画官
 はい。
○小野寺委員
 だから飽くまでも、薬の認可にはならないので、PMDAとか、薬の縛りには入らない。
○中山研究企画官
 一応全体として言うと、医師が主導して行う臨床研究についてということになるのですが、そういうものについては、必要な分、臨床研究に用いる分を外部に作ってもらって、それを導入して治療に使うということまで薬事法の違反という行為にはしていないという整理です。ただ、そこは微妙で、それが余りたくさんの医療機関に、製造販売しているがごとく売れば、それは医薬品の製造販売と一緒じゃないかというようなことを言われる場合もあり得るのですが、ただ、ある研究機関が自分が行う臨床研究に使うために必要な分だけを作ってもらっていることまで薬事法の違反とは言っていないということです。
○山口委員長
 ですからそこは、業となっていないという要素は絶対に必要なわけですよね。
○中山研究企画官
 はい。
○山口委員長
 おっしゃっていただいた指針本体と通知の関係というか、指針本体に書き込んでしまうとなかなかフレキシビリティがないのではないかという御意見は、確かにそうだと思います。そういう意味では、どこまで書くかという問題もありますし、本体よりもむしろ通知のほうに必要なことは書いていくという考え方もあろうかと思うのです。
 もう1つは、小野寺先生から御提案いただいたように、例えば品質・安全性に関して、医薬品のほうでもう書かれているものがあれば、それを引用するという考え方もあるかと思います。ただ、その辺りについて、全部それでいいのか、あるいはやはり臨床研究は臨床研究で、例えば資料3に書いていただいているように、ミニマムリクワイアメントとしての記載というか、臨床研究に用いるべきウイルスベクター等の品質・安全性についてこういうことをやってくださいというのを、独自にこちらで書くか。この辺りの議論を頂ければ有り難いと思います。
○小野寺委員 
 これは私の経験論からなのですが、遺伝子治療の臨床研究においても、例えば5ページを見ると、かなりかぶっている部分があるのです。ただ、治験を行う場合はほとんど自前で実験しなければならない。多分、治験の場合は本当にここに書かれている安全性検査を全てその施設で行わなければならないという点であるのですが、指針の場合は、参考資料というか、例えばどこかでの同じ臨床研究をやっている所のデータを使えるとか、そのデータの使い方がかなり緩いところで臨床研究が行えるということなのです。今の日本の遺伝子治療はほとんど海外での安全性の基のデータを使って申請しているわけですが、治験と同じような形にすると、もう一度、一からやり直して日本でやらなければならない。ですから、多分、安全性という項目自体はかなり近いのですが、それをどの程度本当に自前でやるのか、あるいは参考資料としてでも認めてもらえるのかによって、かなり違ってくるのではないかと思います。
○山口委員長
 ありがとうございます。ほかに御意見はありますか。
○中畑委員
 今の治験で行う場合、自前でやるということは必ずしも要求されていないと思うのですが、そういったことがちゃんと保証できるような機関できっちり評価をされているということで、その点では別にこの両者の間に大きな差がない。臨床研究でやるにしても、きっちり評価できるような所で検査を受けて、安全性が担保されているということが保証されることが大事で、先ほどもちょっとあったできるだけダブルスタンダードにならないように、両者の間を、もし遺伝子治療用医薬品の指針を引用できるような項目で、細かい所はそちらを参照すると。ただ、遺伝子治療の臨床研究の指針で、山口委員長が言われたように、最低限これだけは確保しなければいけないという項目立てはしっかりしておいて、その細かい所は、もし参考にすることがあればそちらを参照するという形の文章にしていくのがいいのではないかと思います。ほかの指針でも、恐らくそういう形で、既にほかの所で出ている医薬品のほうから出ている項目は、そちらのほうを用いるなどといろいろな形で今まで通知が出ていると思いますので、できるだけそれと齟齬のないような形で援用していくのがいいと思います。
○山口委員長
 ありがとうございます。今頂いた中で、資料3の所で提案いただいたウイルスベクターの品質・安全性に関する基準については、一定基準を設けるということ自体には恐らく異論がないところだと思います。多分、記載に関しては、細かい所まで書くのではなくて、むしろ同じ項目の列挙、あるいは、こういうことについて記載するという書き方でもいいのではないかという御意見であったような気がします。そういう理解でよろしいでしょうか。
 そう考えたときに、例えば、参考資料32ページの左側ですが、細菌や感染性因子の安全性やエンドトキシンの安全性、その辺りは臨床研究のほうには書かれていないところかと思います。ですから、こういう抜けているところをきちんと整備することが重要だという御意見だったと思うのですが。
○谷委員長代理
 那須先生もおっしゃったように、多くは現実にはカバーされているので、それを文章化することは可能だとは思います。ただ、その場合に、一般的な薬剤の基準よりは少し緩やかになっているような形にしておかないと、なかなか進まないとは私も思います。
○本田委員
 全ての議論が分かっているとは思っていないのですが、基本的に書き方とか参照の仕方などはフレキシブルにやっていただいて、臨床研究が進むようにしていただくほうが私たちもいいと思っているのです。ただ、やはり品質や安全性に関しては、臨床研究であろうが治験であろうが、受けるその人とその家族にとっては何ら違いはなくて同じなのです。ですから、品質・安全性というものは確保していただきたいという根本的な考え方で、治験ほど厳しく書き込んでしまうといろいろな手間がかかるとか、自施設で作っていないものがうまくいかないとか、そういうことは別に構わないのですが、その本質のところをきっちりやっていただきたいと感じました。
○山口委員長
 ありがとうございます。非常に重要なポイントだと思います。ヒトに投与するまでに求めておく、明らかにしておくべきデータについては同じではないかというところかと思います。
○小野寺委員
 今のは非常に重要な点だと思います。ただ、あとの問題点は、多分、資料5に書いてある海外とのハーモナイゼーションのところです。つまり、日本の持っているPMDAの指針とEMAが認可する指針やFDAの持っている認可の指針が、かなりとは言いませんが、違う部分があったときに、その差異を、治験であればそこは話合いになると思うのですが、臨床研究の場合は比較的向こうで使われた、承認されたものをそのまま日本に持ってきて使うことがかなりいけるのです。ただ、逆に、海外で作った産物が果たして治験のレベルで承認できているかというと、そこはかなり曖昧なところがあるので、安全性は極めて重要な点だと思うし、品質の問題も重要なのですが、日本の治験のレベルに合わせてしまうと、多分、日本の臨床研究では日本で作ったものしか使えないということになることは、1点、危惧したいと思います。
○山口委員長
 それは向こうとのずれというか。
○小野寺委員
 簡単に言えば、例えば、私らは主にウイルスなどをヨーロッパやアメリカから共同研究の形で持ってきているのですが、そこで使われているウシの胎児血清に関して言えば、BSE、狂牛病に関しては、アメリカはもちろん自前のウシ胎児血清を使っていますが、日本でアメリカのウシ血清を使えるかというと使えないわけです。となると、日本の研究者はアメリカに、日本やオーストラリアのウシの血清を使って作ってくださいと。そういう話になってしまう。ですから、もちろん、日本人にとっては、安全性ということを考えればそれが一番安全ですので、そうやっていかなければならないのです。ただ、やはりそのときにハーモナイゼーションというか、では果たしてオーストラリアのウシ胎児血清を使用して作ったウイルスとアメリカで作ったアメリカのウシ由来の血清を使用したウイルスが同等かと言われると、そこが非常に難しくなってしまう。多分、治験ではこれは認められないと思うのですが。ですから、その辺りの臨床研究と治験の違いというのは、多分そういうところに出てくると思います。
○山口委員長
 狂牛病問題が出てから、日本は少し薬事法上、生物由来原料基準というものの中で、ウシ由来製品に関してちょっと上乗せのハードルをかけていますので、そういう意味では、その部分は日本は海外よりも更にハードルは高いということは言えると思うのです。逆に言えば、治験の中でデクレアすることによって使えないわけではないような気がします。要するに、アメリカ産ウシを使っているということをインフォームドコンセントを取りながら使うこともできる。ただ、それが薬事法と臨床研究を同じレベルにするのかどうかという話はまた別問題で、この点については、多分、検討する必要がある気がするのです。その辺りは、薬事法上はそういう理解でいいのかなと。中山さん、何かありますか。
○中山研究企画官
 特にありません。
○山口委員長
 分かりました。今触れていただいたのですが、海外の規制当局との整合性を図ることは、国際共同治験を今後やっていくとしたら、その辺りは当然必要になってくると思います。同時に、正しく今言っていただいたように、もし海外で開発された、あるいは逆のケースもあるかもしれないのですが、同じ1つの製品を使って同時に臨床研究をやるとしたら、当然、ある基準をハーモナイズしていないと研究そのものの推進が難しい一面があると思うのです。その点はできるだけ整合性を図るような形でもっていくという理解でよろしいでしょうか。まあ、書いていただいているとおりかと思うのですが。
(
異議なし)
○山口委員長
 ありがとうございます。資料4について、遺伝子治療用医薬品の指針に合わせてというか、それを参考にしつつ、あるいはそれと整合性を図りつつと言ったほうがいいのかもしれません。できるだけ、余り大きな齟齬のないようにという形かと思いますが、品質・安全性について基準を作成し、その作成する中身については、意見を頂きましたが、どこまで深く書くかはちょっと考慮する。あるいは、その項目立てだけでもいいのではないかという御意見も頂いたような気がします。その辺りについては、できるだけ整合性を図っていくというまとめでよろしいでしょうか。
( 異議なし)
○山口委員長
 ありがとうございます。ほかに全体を通して御意見はありますか。では、この点に関しては、今後ワーキンググループで、本日頂いた意見を踏まえて、少なくとも品質・安全性についての4から6に関して検討していただいて、適当な段階で、まとめていただいたものをまたこちらに上げていただきます。上げていただいた上で、ここで再度検討していただくことにさせていただければと思います。
 議論については本日はここまでだと思うのですが、ほかに事務局から何か連絡はありますか。
○中山研究企画官
 本日の議事録ですが、また先生方に御確認の後、公開ということにさせていただきたいと思いますので、御協力よろしくお願いいたします。
 次回は、1115日の10時からこの場所でということになっております。正式な連絡は改めて御連絡いたします。よろしくお願いいたします。
○山口委員長
 本日はどうもありがとうございました。またよろしくお願いいたします。


(了)
<問い合わせ先>

 厚生労働省大臣官房厚生科学課
 担当:情報企画係(内線3808)
 電話:(代表)03-5253-1111
     (直通)03-3595-2171

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