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2013年11月29日 第71回社会保障審議会医療保険部会
○日時
平成25年11月29日(金)15:58~16:44
○場所
厚生労働省 講堂(低層棟2階)
○議題
平成26年度診療報酬改定の基本方針(案)について
○議事
○遠藤部会長 それでは、定刻より少し前でございますけれども、委員の皆様御着席でございますので、ただいまより第71回「医療保険部会」を開催したいと思います。
委員の皆様におかれましては、御多忙の折、お集まりいただきましてどうもありがとうございます。
それでは、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
本日は岩村委員、岩本委員、岡崎委員、齋藤正寧委員、福田委員、森千年委員、横尾委員、和田委員より御欠席の御連絡をいただいております。
続きまして、欠席委員のかわりに出席される方についてお諮りしたいと思います。
福田委員の代理として近藤参考人、森千年委員の代理として藤原参考人の御出席につき、御承認をいただければと思います。よろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、議事に入らせていただきます。本日は前回に引き続きまして、平成26年度診療報酬改定の基本方針案についてを議題とさせていただきます。これまで基本方針に盛り込むべき論点について御議論をいただいてきましたけれども、本日はこれまでの議論を踏まえた基本方針の取りまとめ案を提出していただいております。本日の議論にもよりますけれども、そろそろ予算編成が本格化する時期を迎えることもありますので、でき得れば本日部会としてのおおむねの取りまとめを行いたいと考えております。
また、参考資料として平成26年度診療報酬改定について、自民党社会保障制度に関する特命委員会、医療に関するプロジェクトチーム及び公明党社会保障制度調査会においてまとめられ、それぞれ11月21日に田村厚生労働大臣に提出されたものを配付しております。
それでは、事務局より御説明をお願いしたいと思います。医療課長、お願いいたします。
○宇都宮課長 医療課長でございます。
まず先に参考資料1をごらんいただけますでしょうか。来年の診療報酬改定に向けて、こちらの医療保険部会と医療部会で基本的な考え方をおまとめいただくことになるわけですが、参考資料1は9月6日の時点でおまとめいただきました社会保障・税一体改革関連部分についての基本的な考え方ということでございます。
この後に、一体改革分以外の点を中心に医療保険部会では10月23日、医療部会で10月11日に御議論いただきまして、それを骨子としてまとめさせていただきました。それは参考資料に入ってございませんが、こちらのファイルに骨子が入ってございますので、必要に応じてごらんいただければと思います。
11月8日に両方の部会で骨子について御議論いただきまして、それを踏まえて今回、基本方針の案をつくらせていただきました。それが資料1でございます。
参考資料2と3は、これまでの医療部会と医療保険部会の各委員の発言要旨がございますので、適宜御参照いただければと思います。
それでは、資料1について御説明させていただきます。
この基本方針案につきましては、先ほどごらんいただきました参考資料1をベースに、あと、基本方針の骨子案を組み合わせまして、あと、これまでいただいた御意見を組み合わせて作成したものでございます。
まず1ページ目でございますけれども、平成26年度診療報酬改定に係る基本的考え方の「1.基本認識」でございます。こちらの文章は先ほどの参考資料1の文章と基本的に変わってございません。ただ、一部、ウの部分でございますが、2行目のところで「2025(平成37年)に向けて、医療提供体制の再構築、地域包括ケアシステムの構築を図る」こういうものを追加させていただいております。
その他、文言について適宜修正しているところがございますが、時間の関係がございますので、それは省略させていただきます。
2ページ目「2.重点課題」。今回、重点課題については一体改革分についてのものを重点課題とさせていただくということで、2ページ目の2(1)医療機関の機能分化・強化と連携、在宅医療の充実等。この部分につきましては参考資料1の2ページ目のところを基本的に持ってこさせていただいております。それがア、イ、ウ、エ、オになってございますが、アの部分については骨子から引用したものでございまして、上記のような基本認識のもと、一体改革において消費税率を引き上げ、その財源を活用して、医療の機能強化と、同時に重点化・効率化に取り組むこととされている中で、こういった機能分化・強化と連携、在宅医療の充実等に重点的に取り組むべきである。こういう文章を入れているということでございます。
「3.改革の視点」でございますが、こちらについては9月6日以降の御議論を中心に書いてございまして、これは骨子からこの分野について(1)充実が求められる分野を適切に評価していく視点、(2)患者等から見てわかりやすく納得でき、安心・安全で質の高い医療を実現する視点。これは骨子では生活の質にも配慮したと書いてありましたが、御意見をいただきまして生活の質にも配慮したというのを、質の高い医療というような書きかえをさせていただいております。
3ページ(3)医療従事者の負担を軽減する視点、(4)効率化余地があると思われる領域を適正化する視点ということで記述させていただいてございます。
「2 平成26年度診療報酬改定の基本方針」。
「1.重点課題」。
(1)医療機関の機能分化・強化と連携、在宅医療の充実等ということで、こちらにこれまでの項目をもう少し詳しく書かせていただいているところでございます。
まず入院医療についてでございますが、高度急性期・一般急性期についてということで、これも9月6日の先ほどの参考資料1の文言を基本的に持ってきております。変更はほとんどございません。
2の慢性期(長期療養)でございますが、これにつきましてはもともと長期療養となってございましたけれども、分類が病期になっているということで、それに合せまして慢性期(長期療養)というように書いてございます。あとは基本的に変更はございません。
4ページの回復期、地域特性あたりは変更ございませんが、5の有床診療所における入院医療について、ここにはイとして地域包括ケアシステムの構築を目指していく中で、有床診療所の評価について検討を行う必要があるというものを追加させていただいております。
外来医療については参考資料1と基本的に変更ございません。在宅医療もそうでございます。あとは医療機関相互の連携や医療・介護の連携によるネットワークについても、ほぼ同じ記述でございます。
5ページの一番下の「2.改定の視点」でございますが、ここで(1)充実が求められる分野を適切に評価していく視点。この辺は骨子に書いてあるものを基本的に引用してございますが、若干肉づけをしてございまして、例えば1つ目のポツですけれども、がん医療の推進というものが骨子でございましたが、ここに緩和ケアを含むという文言を入れたり、その次は精神病床の機能分化、自殺予防等の観点からという文言を入れて、精神疾患に対する医療の推進。認知症対策では若年性認知症を含むというものを追加してございます。
6ページ、これについては4つ目のポツのかかりつけ薬局機能を活用し、患者個々の薬歴を踏まえた的確な投薬管理・指導の推進というものを追加してございます。
(2)患者等から見てわかりやすく納得でき、安心・安全で質の高い医療を実現する視点。ここにつきましては2つ目のポツの患者に対する相談指導の支援。2つ飛んで入院中のADL(日常生活動作)低下の予防が追加されております。
その後は6ページの下のほうの「3 消費税率8%の引き上げに伴う対応」ということでございまして、ここについては骨子から抜いてきてございますけれども、少し書きかえておりまして、平成26年4月から消費税率8%の引き上げが予定されているが、これに伴い、医療機関等に実質的な負担が生じることのないよう、消費税率8%の引き上げ時には診療報酬とは別立ての高額投資対応は実施せず、診療報酬改定により対応することとすべきである。
イですが、診療報酬による対応においては医療経済実態調査の結果等を踏まえ、基本診療料・調剤基本料への上乗せによる対応を中心としつつ、個別項目への上乗せを組み合わせる形で対応することを基本とすべきであるというようにしております。
「4 将来を見据えた課題」については、アとウは基本的に骨子と余り変わらないのですが、今後の課題として、まずアとしては地域包括ケアシステムの構築について直ちに完成するものではないということで、26年度の改定以降も引き続き医療機関の機能分化・強化と連携、在宅医療の充実等に取り組んでいく必要があるということ。
イは追加されたものでございますが、その際には改正医療法に位置づけられる病床機能報告制度の運用状況や、地域医療ビジョン等の取り組みと連携を図りながら、地域の実情に応じて、地域全体として必要な医療機能がバランスよく提供される体制が構築できるよう検討していく必要があるということです。
ウはイノベーションについてでございますが、こういったイノベーションの進展によって、より高い治療効果等が期待される医療技術が選択できるようになる一方で、費用の大きな医療技術の中には、必ずしも治療効果等が十分に高いとは言えないものがあるという指摘がある。これらの課題も踏まえ、医薬品、医療機器等の医療技術の費用対効果について検討を行っていく必要があるということでございます。
エは追加されたものでございまして、さらに「地域完結型」の医療提供をしていく中で、ICTを活用して病院、診療所、薬局等における医療情報の共有を推進し、より円滑な連携を図っていく必要があるということでございます。
資料1については以上でございます。
○大島課長 続きまして、参考資料4と5も簡単に御紹介させていただきたいと思います。
参考資料4は、自民党からの社会保障制度に関する特命委員会医療に関するプロジェクトチームから、厚生労働省に対しまして11月21日に提出された意見でございます。簡単に御紹介します。
総論で、民間が主体となって日本では医療を効率的に提供しているという実態ですとか、近年の診療報酬改定で大病院に手厚かった。こういったことを踏まえまして、総論の一番下の○ですけれども、時期診療報酬改定においてはこうした背景や、官民の役割分担を踏まえながら地域包括ケアシステムの構築を目指し、急性期医療の機能の明確を図るとともに、急性期後の受け皿となる民間の中小病院、有床診療所、在宅医療等の重点的な評価を実施することが喫緊の課題であるとしまして、各論としまして、1つ、7対1入院基本料理見直し。ページめくりまして2つ目、地域における在宅医療等の充実と介護との連携。3つ目、有床診療所の評価。4つ目、消費税問題。消費税対応を明確になるようにせよといったことが御意見として出されております。
また、中期的な課題についても検討事項が記されております。
参考資料5、こちらは公明党の社会保障制度調査会から厚生労働大臣に対しまして提出されました要望書、意見書でございます。
基本的な考え方としまして、患者が必要な医療を受けられないことが生じないように、急性期から慢性期までの病床の整備ですとか、地域に密着した病床、有床診療所のあり方。それから、地域完結型の医療を実現するということを基本的な考え方といたしまして、重点的な取り組み事項としまして6つあります。
1つ目が、消費税引き上げに伴う改定率を別途明確にすべき。
2つ目としまして、受け皿となる病床の整備。
3点目としまして、在宅医療と介護サービスの連携。
4点目としまして、有床診療所の機能に応じた適切な評価。
5つ目としまして、一貫したリハビリによる在宅復帰。
6点目としまして、早期発見・早期治療の観点から早期受診を促すといったことが記されてございます。御参考までに御紹介いたします。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、資料1及び参考資料4、5に関して御意見、御質問があればと思います。
藤井委員、どうぞ。
○藤井委員 2点ございます。
まず2ページ目のエ、医療機関の機能分化・強化と連携に当たってはの項目で、診療報酬と補助金の特性を考慮しながらということですが、この補助金について政策効果の検証も必要という旨の記載をぜひ追加していただきたいと思います。
6ページ目(4)の後発医薬品の使用促進についてですが、投薬量などの薬の処方の仕方といった投薬管理を含む後発医薬品の使用促進ということにしていただきたいと思います。後発医薬品は確かにコストが安いわけですが、単価政策だけでは十分ではないと思います。
以上でございます。
○遠藤部会長 了解いたしました。御意見として承りました。
最初の話は補助金についてですか。
○藤井委員 補助金については、政策効果の検証も必要だということを加えていただきたいと思います。
2個目は、6ページ目以降の投薬管理を含む後発医薬品の使用促進ということです。
○遠藤部会長 御意見として承りましたが、補助金に政策効果をという背景というか、お考えは何かあるのですか。
○藤井委員 確かに補助金というのは必要なわけですが、本当に効果的に使われているかどうかということについて検証すべきということです。
○遠藤部会長 診療報酬の基本方針の中で、果たして言う話かどうかというのは微妙なところがありますけれども、御意見として承りました。ありがとうございます。
それでは、まず菊池委員からお願いいたします。
○菊池委員 4ページの外来医療についてですけれども、糖尿病などの慢性疾患患者がふえる中で、病気の進行をできるだけおくらせていくということが、QOLの観点や医療経済的な観点からも重要だと考えております。4ページの外来医療の部分につきまして、重症化予防に資する療養相談等の強化も検討事項にしていただきたいと考えます。
以上です。
○遠藤部会長 確認のためにもう一度、そこのところだけおっしゃっていただければと。追加のところ。
○菊池委員 追加ですか。重症化予防に資する療養相談等の強化ということを加えていただきたいと思います。
○遠藤部会長 わかりました。ありがとうございます。
それでは、高橋委員、どうぞ。
○高橋委員 連合の高橋でございます。ありがとうございます。
私からは2点、意見がございます。
6ページ、明細書についてということで(2)アのところです。患者等から見てわかりやすく、納得でき、安心・安全で質の高い医療を実現する視点という中のポツで、上から3つ目のポツで明細書無料発行の推進という部分でございますが、これについては平成22年改定で原則無料発行が義務化されていることを踏まえた対応をすべきだと考えておりまして、前回の改定で正当な理由があれば、希望する患者だけに発行すればよいとされていた例外規定について、400床以上の医療機関には来年度から例外を認めないということにされております。その上で今回の改定では400床未満の医療機関に対しても、そのような例外を廃止する方向で対応するように要望したいと思います。
2点目、5ページ3の在宅医療のところなのですけれども、前回の部会のことでも意見を申し述べましたが、入院後に褥瘡が発生しているケースが見られるということを指摘してまいりましたけれども、さらに入院するときにも既に褥瘡があったという患者が多いことへの対策も必要だと考えておりまして、そのため介護の側からだけでなく、医療の側からの褥瘡対策の充実を在宅医療の項目に明記すべきだと考えます。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
森昌平委員、お願いします。
○森昌平委員 ありがとうございます。
先ほどの藤井委員の発言に反対するわけではないのですけれども、現場では当然、投薬管理をすることを前提として後発医薬品の使用に努めています。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、武久委員、お願いいたします。
○武久委員 4ページですけれども、3イの「他方、在宅医療の急性増悪には急性期病床が対応すべきであり、また、亜急性期という」と書いてありますが、その在宅患者の急性増悪というところですけれども、5の有床診療所のところに機能として病院からの早期退院患者の受け入れ機能、在宅患者の急変時の受け入れ機能と書いてあるのですが、病院の亜急性のときにはこういう御意見があったのかと思いますけれども、有床診療所は医師が割合1人程度でやっている医療ですが、ここで在宅患者の急変時の受け入れはよろしいと言っていながら、病院の亜急性のところには急性期の患者を入れてはいけない。ここにディスクレパンシーがあるように思うのですが、前の9月のときにもこの資料があったのですけれども、その後、中医協でいろいろ2カ月も十分やっていたわけですから、何か整理されたのかなと思いましたけれども、有床診療はOKというのを私はおかしいということ。
それと5ページですが、今、委員がおっしゃいましたように在宅医療の後方病院が在宅療養支援診療所と支援病院となっていますけれども、その次のポツで「以外の医療機関による」と書いてくれてありますのでいいかと思いますが、ともすると在宅医療支援病院はどちらかと言うと慢性期が中心かと思いますが、200床未満とかなっていますが、実質は地域の210床とか300床の病院が在宅の後方病院となっている場合もございますので、この辺のところをもう少し具体的に書いていただけたらと思います。
もう一つは、大島課長がおっしゃったことで関係ないと言えば関係ないのですけれども、総論のときの3つ目のところで、多分、地域医療再生基金のことを言っていると思うのですが、この報告書の中でも補助金というものと診療報酬と2つ言っているのですけれども、地域医療再生基金は県が全部使っている県があるのです。民間医療には何の相談もないし、何の情報公開もない。これは都道府県が自由に使って良いというふうに認識している知事さんもおられるようなので、自民党のほうからこういうことが出てきたということは非常にありがたいのですけれども、補助金のここに書いてあるのは民間医療機関が多いと書いてありながら、補助金はほとんど公的なところが使っているという現状について、もう少しお考えいただきたい。
以上でございます。
○遠藤部会長 ここで出てくるのは基本的には診療報酬の基本方針でありますから、診療報酬とタイアップしながら補助金も使うという意味合いで出ているものですから、補助金の使い方ということについて、ここになじむかどうかという問題もありますので、その辺はまた考えさせていただければと思います。御意見としては承りました。ありがとうございました。
近藤参考人、お願いします。
○近藤参考人 細かいところで恐縮なのですけれども、文章表現に関しまして気になったところを3点ほど指摘させていただきたいと思います。
1つは1ページの基本認識のアのところに、超少子高齢社会という言葉が使われておりまして、これは4ページ目ア、7ページ目アの3カ所ほど出てきます。この表現ですと超という部分がいわゆる高齢部分だけではなくて少子にもかかってくる。御案内のとおり高齢化については7%×3で多分21%を超えると超を使っていらっしゃると思うのですが、少子化そのものは定義がないので、超少子化というのは余り聞いていないといいますか、使われているようなのですけれども、どうかなと思いまして、人口構造の変化、さらなる高齢化の進展によります慢性疾患の増大といった疾病構造の変化を念頭に置いた表現だとすれば、ここの文脈では超高齢社会で十分ではないのか。もしくは超を入れるとすれば少子超高齢社会なのかと思いました。
もう一つは、2ページ目の2(1)オに効率化余地がある領域という表現がございまして、これも全体を見回してみましたら3ページ目の3(4)のアのところ、6ページの2(4)アのところに出てきまして、効率化余地がある領域という今の表現のほかに適正化余地のある領域もしくは効率化余地があると思われる領域という異なる表現がされておりまして、ほかの項目のバランスを考えますと、思われるという表現をあえて入れる必要はないのではないか。効率化余地がある領域で統一すべきではないかと思いました。
もう一つは小さいのですが、3ページの下から4行目、いわゆる社会的入院とありまして、社会的入院についてもいろいろと議論のあるところで明確な定義がない。それが6ページの2(4)アで見ますと、項目の中で社会的入院の是正とございますので、この辺も表現を合せるべきではないか。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、樋口委員、お願いいたします。
○樋口委員 質問でもあるのですけれども、5ページ目の在宅医療についてでございます。基本的に地域完結型の医療にというのは、特に高齢者の場合、大切なことと存じますけれども、今、有床診療所のお話も出ましたが、私は有床診療所について余り知識がないので見当はずれなことを申し上げるかもしれませんけれども、在宅へ帰されたとき急変時などにベッドのある医療機関が身近にあってくれたら、ひどく安心だなという思いはいたします。何かの機会に有床診療所がどのぐらい全国に分布されていて、たしか前回も経営が苦しくて成り立たないなんて言われているのはどういう理由か。機会があるとき、後で結構ですから教えていただければ幸いでございます。
そして、地域完結型とおっしゃるならば、ぜひそのことの確保、入退院時の受け皿というか、患者の行き先の確保という言葉があったので少し安心したのですが、患者の視点からということは書いてございますから結構なのですけれども。私も7対1病院が多過ぎる。その上でもう少し高齢者の特性を考えますと慢性期の病棟をふやしていく。その方向は大賛成なのでございますが、しかし、その点が患者の側から言ったら本当に医療難民にならないですむのか、現実に遠くのほうの病院ならあるが、近くの病院、まさに地域完結型という言葉とはおよそ遠いようなところでしか受け皿がない。あるいはひとり暮らしも多い中で、1人ではとても現在の介護保険の供給量では足りないというあたりを、ぜひ今度の改定で、特に身寄りの少ない高齢者が行き先不明にならないように御留意いただきたい。これは1つお願いでございます。
その上で在宅医療の連携です。まさに連携が一番大事だと思うのです。イの2番目のポツ、在宅療養支援診療所、病院以外の医療機関による在宅医療の推進と言うと、この病院以外の医療機関と言うとき、例えば何が入るのですか。有床診療所以外の医療機関の中に入るのでしょうか。これは質問です。
○遠藤部会長 それでは、事務局お願いします。
○宇都宮課長 医療課長でございます。
今の御質問でございますが、診療報酬の上で在宅療養支援診療所とか在宅療養支援病院というのは、一定の要件が決められてございまして、それを満たさないと在宅療養支援診療所あるいは病院となれないということがございます。ところが、いろいろデータをとってみますと、そういう要件を満たせていないのですけれども、在宅の看取りですとか、在宅の患者さんの急変時の対応とか、結構対応していらっしゃるような医療機関もあるということで、必ずしも要件を満たしていなくても、そうやって頑張って地域の役に立っているようなところについては、ちゃんと評価していくようなことも考えたらどうかということでございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
それでは、鈴木委員、一番最後に手を挙げられましたけれども、もしかして有床診療所のことについてコメントされるというのであるならば関連しますので、申しわけありませんが、鈴木委員からお先にお願いしたいと思います。
○鈴木委員 有床診療所といいますのは、少人数で非常に献身的な診療を地域において続けているところでございまして、急性期から慢性期まで幅広く、その機能に応じて対応するという、文字どおり地域密着型の医療施設でございます。急性期を見るということは、急変時の受け入れをするということで、先ほど武久先生からお話がありましたが、イの部分の議論はかなりしたところであり、急変は急性期ということで決着した話でございますので問題ないと思います。
もう一つ、5ページの在宅療養支援診療所、病院というところですが、これは在支病は200床未満ということで決まっておりますので、かかりつけ医機能を持つということとの整合性もありますので、200床未満というのが1つのラインだろうと思いますし、それ以外もというふうに樋口先生から言っていただきましたが、こういった在支診、在支病以外の医療機関が、有床診療所も含みますが、地域において緊急往診や看取りの3割以上を担っているという事実がございますので、ここの在宅医療を評価することにより、在宅のすそ野を広げることが非常に重要になると思います。
以上です。
○遠藤部会長 どうもありがとうございます。
それでは、お待たせいたしました。柴田委員、小林委員の順番でよろしいでしょうか。よろしくお願いします。
○柴田委員 ありがとうございます。
方針の文言については特に異論はございません。
お願いでありますけれども、自殺予防対策についてこの前、申し上げましたけれども、きょうの午前中の中医協の資料を見ても私の見方が悪いのか、理解が足らないのかわかりませんが、どの辺がどうかかわっているのかがわかりにくいところがありましたので、またその辺がわかるような形で整理していただくとありがたいなと思っています。よろしくお願いします。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
事務局、よろしくお願いします。何かコメントございますか。よろしいですか。
それでは、小林委員、お願いします。
○小林委員 前回も申し上げましたが、限りある医療資源の有効活用に当たっては、緩やかな形でのフリーアクセスの制限を実現することは極めて重要であり、その一つの手段として、大病院の外来受診に対する一定額の自己負担導入の議論があります。これは国民会議でも具体的に議論された内容であり、基本方針には是非とも反映すべきだと考えますが、その記載がありません。これについて事務局のお考えをお伺いしたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
医療課長、どうぞ。
○宇都宮課長 今の御指摘は、大病院の外来受診の自己負担の話は、昨年の改定で一部大病院について紹介率、逆紹介率の低いところについては報酬を下げて、それ以上の場合は選定療養ということでやったわけでございますが、今後そもそもその初・再診料自体についてどうするかというお話も出ているところでございまして、それはむしろ診療報酬というよりも医療保険部会で御議論いただいて法改正になる話だと思いますので、それぞれの役割分担というか、また少し違うところだと考えております。
○遠藤部会長 ありがとうございます。そのとおりだと思いますので、中医協でできるのは選定療養に入れるのかどうかという議論と、診療報酬そのものをどうするのかということだけでありますので、自己負担の話は医療保険部会マターという形になります。
白川委員、どうぞ。
○白川委員 3点、意見を申し上げたいと思います。
全体といたしましては、事務局でまとめていただきました基本方針については異存ございませんし、ポイントをよくまとめていただいたと感謝申し上げます。
指摘したい点の1つ目は、前回も発言をさせていただきましたが、3ページの一番上の(3)で、医療従事者の負担というのは余りにも幅が広いので、例えば前回のように病院に勤務する医療従事者とするなど一定の範囲を指定すべきではないか。再度意見として申し上げたいと思います。
2つ目は、6ページ目(4)の効率化余地があると思われる領域の適正化する視点でございますが、実は私のほうにもいろいろな情報が入っておりますし、この間の医療経済実態調査においても、調剤薬局の中でいわゆる20店舗以上を持つ大型のチェーン調剤薬局の利益率が、ほかのところに比べるとかなり高いレベルの利益率になっている。それから、聞いておりますと、いわゆる未妥結のまま物だけおさめて保険薬局で売っている実態もかなりあると聞いておりまして、商取引の話なものですから、我々が余り口を出す内容ではないかもしれませんが、卑しくも公的保険の適用をうける薬品でございますから、そういう一般では考えられないようなことが行われ、しかも、それで利益を上げているとしたら問題だと、私どもとしては考えておりますので、そういったことの適正化をここの(4)の中で入れていただくことを検討いただきたいというのが2つ目の意見でございます。
3点目でございますが、きょうは特に説明はなかったのですが、参考資料を読みますと、かかりつけ機能という言葉が出ておりまして、これは医療保険部会でもかかりつけ医なのか主治医なのか総合診療医なのかいろいろ議論がございましたが、一応、中医協では主治医機能ということになっているといいますか、それで検討している状況でございます。日本医師会がかかりつけ医という言葉を使っていることを否定するつもりはないのですが、混乱する可能性もございます。今回の事務局の案では、主治医機能あるいは主治医という記載になっておりますので、この表現を支持したいと思っております。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
以上、3点承りました。
ほかに何かございますか。鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 白川先生の御意見は、後半の調剤の件に関しましては全く同意見でございます。前半の部分に関しましては、「病院に勤務する」と入れたらどうかという3ページの(4)のアのところですが、これは診療所にも非常に厳しい環境の中で働いていらっしゃる医療従事者がたくさんいらっしゃいますので、今回は「病院」という言葉をあえて入れる必要はないのではないかと思います。実調の結果を見ても年収で公立の病院などに比べて看護師では、医療法人で年収で100万、診療所では200万も低いということでございますので、そういう厳しい環境の中で頑張っていらっしゃる方に対する配慮もあっていいと思います。
また、あわせまして自民党の意見を見ますと、民間病院への手当が不十分であったとか、民間の中小病院、有床診療所、在宅医療等への重点的な評価を実施してほしいということが書かれております。今回、我々は改革には協力するという方針のもと、診療報酬による前倒しも認めているわけでございますので、これは別にこの中に入れろということではないのですが、改革の目標というのが2025年となっておりますので、改定だけでもあと6回あるわけですから、最初にも申し上げましたように、現場を混乱させるような性急な改革は避けるべきでありますし、ましてや改革に協力したために経営が成り立たなくなるというような医療機関が1件でも出るようなことがありますと、改革が先に進まなくなるということをよくお考えいただきまして、今後の審議を進めていただくように御配慮いただきたいと思います。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
ほかに何かございますか。堀委員、どうぞ。
○堀委員 全体として異論はございません。
気になりますのは、先ほどから御意見を聞いていて、かなり細かな御指摘が出てきているので、これは多分、部会長のほうで選択されると思うのですが、例えば明細書の発行等につきましては、私はこの表現で議論されてよろしいのではないかと思います。いろいろと小規模の診療所であるとか問題意識はありますが、それはしかるべき場所で御議論をさせていただいたほうがよろしいのではないかと思いますので、その辺のことにつきましてはよろしく御検討お願いしたいと思います。
○遠藤部会長 了解いたしました。ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。基本方針の策定につきましては何度か御意見を頂戴いたしましたので、おおよそのところは大体御同意を得ているのだろうと思います。
本日もいろいろとお話がございました。中にはその真意をもう少し詳しくという必要性もあるようなものもありますので、場合によっては事務局からお話を確認させていただくようなこともあるかもしれませんから、その際はまたよろしくお願いいたします。
これからきょうのお話の中には対立しているものも若干ございましたし、基本方針として盛り込むのにふさわしいかどうかというものもございましたので、それらを少し判断させていただきたいと思いますので、いかがでございましょうか。一通り部会長一任という形にさせていただければと思います。といいますのは、この部会だけではなくて医療部会のほうでも議論がされますので、そちらとの調整ということもありますので、部会長一任という形に文案作成をさせていただければ大変ありがたいわけでございますけれども、そういう段取りでよろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、一通り診療報酬改定の基本方針につきまして、2段階に分けてやったわけでございますけれども、社会保障・税一体改革関連とそうでないものということをやらせていただいたわけですが、大変積極的な御議論ができたかと思いますので、御礼申し上げたいと思います。
それでは、事務局と相談しながら最終案について方向をまとめていきたいと思います。
事務局、何かコメントはございますか。
○宇都宮課長 特にございません。
○遠藤部会長 それでは、そのようにさせていただきたいと思います。
当初予定していた時間よりも若干ございますけれども、本日はこれまでにさせていただきたいと思います。
次の開催につきましては、追って事務局より御連絡したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
本日は御多忙の折、お集まりいただきましてどうもありがとうございました。
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