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2013年11月13日 第3回労働市場政策における職業能力評価制度のあり方に関する研究会議事録

職業能力開発局能力評価課

○日時

平成25年11月13日(水)10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎第5号館 専用第12会議室(12階)
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号)


○出席者

参集者

今野参集者(座長)
大久保参集者
北浦参集者
笹井参集者
谷口参集者
内藤参集者

事務局

杉浦職業能力開発局長
尾形総務課長
伊藤能力評価課長
篠嵜主任技能検定官
小野能力評価課企画調整専門官
牧野職業安定局派遣・有期労働対策部企画課雇用支援企画官
岡労働基準局労働条件政策課労働条件確保改善対策室長

○議題

1 検定に関わる企業・業界団体からのヒアリングについて

2 その他

○議事

○今野座長 ただいまから、第3回「労働市場政策における職業能力評価制度のあり方に関する研究会」を開催いたします。本日は、検定に関わる企業・業界団体からのヒアリングを行って、議論をいたします。その後に時間の範囲内ですが、事務局から追加資料の説明をしていただき、それをめぐっても議論をしていただきます。まず、事務局から本日の出欠状況等についてお願いいたします。

○小野専門官 本日は、阿部委員、黒澤委員、松浦委員から欠席の御連絡を頂いております。続いて配布資料の確認をさせていただきます。本日は大きく分けて、ヒアリング企業・団体の資料と、事務局提出資料の2種類です。ヒアリング関係は御説明いただく順番に、資料1A社様の説明資料、資料2a協会様の説明資料です。資料1で補足ですが、P29と書かれているペーパーについては、事務局で作成したペーパーですので、ヒアリングの際に質問等がある場合、こちらについては事務局に質問をお願いいたします。資料3から資料5については、後ほど事務局から説明させていただきます。資料3は前回の議論の概要です。資料4は、前回の議論を踏まえて事務局で作成した検討のターゲット設定の考え方です。資料5は、事務局にてヒアリングをした一般社団法人情報サービス産業協会の資料です。資料の取扱いですけれども、資料1及び資料2は非公開です。資料3から資料5については後日公開の取扱いとさせていただきます。

○今野座長 ヒアリングを始める前に、前回、事務局からお話がありましたように、今回のヒアリングについては非公開とさせていただきます。なお、議事録については、企業・団体名を特定できないように伏せた上で、後日全体を公開することにさせていただきます。

 資料の順に従ってヒアリングを始めますが、1社当たり発表は15分ぐらい、質疑応答を25分ぐらいという感じで進めます。最初に、A社様からお願いいたします。

 (A()人事グループB氏、C氏入室)

○今野座長 本日はお忙しいところありがとうございます。全体で40分ぐらいを考えておりますが、お話は15分ぐらいにしていただき、その後25分ぐらい質疑応答ということにさせていただければと思います。それでは、自己紹介からお願いいたします。

A()人事グループ部長B氏 私は、A株式会社人事グループのBです。隣に座っておりますのは人事グループのCです。資料1に基づいて御説明させていただきます。「A株式会社の概要」を簡単に御紹介いたします。『設立、資本金及び所在地を説明。』事業の概要としては、ホテル・レストラン・婚礼・宴会ということで、観光業というべきものです。具体的にはホテルDなど、全国に60施設ぐらい展開しております。本日お配りしている中に、6月までの半期の事業報告書があります。3ページと4ページに、当社の主な施設についての紹介が簡単に出ておりますので、後ほど御覧ください。

 資料1に戻ります。『社員数を説明。』A以外にも、当社の100%子会社や関連会社もありますが、そういうものも含めたAグループとしての社員数です。ここには数字を載せておりませんけれども、『有期雇用者を説明』。

 続いて「採用形態」です。新卒の採用が中心で、公募による中途採用は特に行っておりません。ただ、有期雇用の方を毎年社員に登用することを行っています。年によって幅はありますが、1530人ぐらいの者を毎年社員に登用しています。有期雇用から無期雇用として採用しています。有期雇用者は、Aという本社の採用ではなくて、各事業所別に、例えばホテルDであれば、ホテルDで採用しています。以上が会社の概要です。

 続いて3ページで、「企業として重視する職業能力の要素・側面」は何かということです。採用選考の局面と、人事管理の局面の2つに分けています。採用選考の局面では、本人の能力とか、人物などを総合的に評価して判断しております。資格等があれば、もちろんそれは評価の参考にはいたしますけれども、資格があるイコール採用という形では運用してはいません。これは、どちらの会社でも同じだろうと思います。

 具体的にはどんな観点があるのかということですが、筆記試験を行ったり、学業成績を参考にしたり、語学力はどうかといったことを、面接を通じて、これまで何をどのように学んできて、今後どのようにそれを生かしたいのかということを確認して、学生本人の資質を見極めた上で採用しています。

 人事管理の局面ですが、調理師免許など、業務遂行上不可欠と思われる資格もありますので、業務内容と資格との関係、もっと広く言えば能力ということになるのですが、そういう関連性を考慮して人事配置を検討しております。

4ページは、「検定制度等の活用実態(1)」です。まず、採用選考での活用実態ということで、これは繰り返しになりますけれども、お手元の資料の11ページにエントリーシートがあります。これが、採用のときに学生から出していただいている紙になります。履歴書のようなイメージです。真ん中辺りに「資格・特技」という欄があります。学生等が資格や特技を有していればここに記入してもらいます。11ページは4年制の大学生を対象にしたエントリーシートです。13ページは調理部門、15ページが料飲サービス部門ということで、職種をある程度限定した募集をしております。ほぼ同じなのですが、特技の所が、「資格・免許等」という表記になっているということで若干の違いがあります。あるいは、アルバイトの経験等を記入していただいています。

4ページに戻って、「課題」としてはどんなことがあるかということです。例えば、採用時の募集要項に検定等の資格保有を条件として明示する。こういう条件を満たしている人を募集いたしますとしたとすると、結局応募者の母集団、資格は持っていないけれども有能な人を切り捨ててしまう懸念がありますので、なかなか大胆には取り入れにくいものがあります。

5ページで、活用実態の2つ目として、教育訓練でどのような活用をしているかということです。17ページは、社内の通達のコピーです。これは、「『国家資格:専門調理師・調理技能士』取得奨励について」ということです。有期雇用、無期雇用、全社員に対して呼び掛けをして奨励をしています。目的の3行目に、「全社レベルでの従業員の能力・スキルの向上を図るため、貴事業所におかれましても資格取得の奨励及び援助をお願いいたします」ということで呼び掛けをしております。

 具体的な会社の援助としては18ページで、費用の負担です。試験に合格した場合は、受検料を会社が負担します。試験の日は出張といいますか、業務の一環として試験を受けてもいいですよということでフォローをしております。以下同様に、19ページには、E技能士の奨励、21ページでは和食検定の受検の奨励、日本語検定の受検奨励ということで、通達をベースにした受検の奨励としてはこの4種類を実施しております。

 自己啓発の仕組みの中で、資格取得を幅広く奨励しております。これは「通信教育講座のご案内」という冊子の中に、従業員の皆さんに奨励している通信教育、あるいは通信教育を通じて資格が得られるコースがたくさん掲載してあります。12ページに「資格取得」とあり、ここにあるような資格を取得した場合には、右側に割引受講料、修了奨励金とありますが、奨励金を差し上げますということで、従業員に対するインセンティブを与えています。

14ページに「職種別資格取得一覧」ということで、職種別にこのような資格がありますということもアナウンスして、従業員の啓蒙に努めております。

 資料1に戻って5ページの「成果・課題」としてどういうことがあるかということです。これは自己研鑽、受検に向けて自分で努力することによって、個々人の業務遂行能力であったり、お客様へのサービスが向上するということが成果としてあります。一方、課題としては受検者の裾野の拡大をもっとしていかなければいけないと考えております。

6ページで、人事評価とか人事配置等での活用はどのようにしているかということです。実態を申しますと、目標管理制度というのが社内にあります。従業員それぞれが期初に今年の目標を立てるわけですが、その中に「チャレンジ目標」という項目があり、その中で私はこういう資格の取得に今期は取り組むんだというようなことを目標に立てて、それに取り組むということがあります。また、それをちゃんと達成すれば評価するということで、人事評価に結び付いていくということが一部分としてはあります。

 人事配置においても、業務に関連する資格の有無は当然考慮しております。ただ、社員の職系というのは1つです。先ほどのように職種を限定したような募集もしておりますけれども、社員としては一本ですので、例えば調理の専門の方が、別の職系であるというわけではありませんで、事務系の者と全く同じ、社員一本ということです。そういうことを考えると適材・適所ということで、適材の人を適所に配置することが飽くまで基本ですので、成長を促す。いろいろな経験をさせて、その人の職務能力を向上させることを考えながら配置をしております。資格がその中で大きなウエイトを占めているかと問われますと、必ずしもそれほど大きなウエイトではないと思っています。

 人事評価については、業務遂行上の発揮能力、どれだけの能力を発揮しているかが評価されます。資格を保有していても、例えば仕事でそれが発揮されていなければ、それは評価の対象にはならないということです。例えばこんなことは珍しいですけれども、調理師の免許は持っているのだけれども全然違う仕事をしていると、その調理師の免許はその評価の対象にはならないことになります。

7ページで「検定制度等の活用実態(4)」です。企業の立場での意識という意味合いです。意識としては、資格取得や自己啓発を幅広く奨励する目的というのは、先ほどの通達にもありましたけれども、社員の「自己研鑽」を促し、能力やサービス向上を図るということです。その結果、お客様へのサービスが向上して、業績や業界全体のステータスが向上していくことが期待されることを意識しております。

 会社として、この検定制度に対してどのような貢献をしているかということですが、例えば「E技能検定」がありますが、ここには当社の社員が約9名検定委員を務めております。実技試験の会場として、東京であればホテルD、大阪であればFを会場として提供しております。この他にも、一般調理師免許の所では監督官であるとか、試験問題の編集委員を務めております。あるいは、専門調理師の監督官を務めています。

8ページで「検定制度等の活用実態(5)」です。検定以外の職業能力評価の方法、活用ということです。当社としては、全従業員を対象に、技能・技術の基礎力向上を目的として、毎年「技能コンクール」を開催しております。25ページに、「Aグループ技能コンクールの実施について」という通達が付いています。これは年に1回やっていて、今年も8月から9月にかけて実施いたしました。内容は27ページにあるように、施設部門、料理部門、サービス部門の3つの部門があります。例えば施設であれば、傷の補修を決められた時間内にきちんとできるか。調理の部門ではスープであるとかデザートというものを実際に作って、それを食べて仕上がりを評価する。サービスではEであるとか、フロントサービスの実技をやって、それの優秀者を表彰するということをやっております。

 それが当社における特徴といいますか、他の企業でもやっている所があるかとは思いますけれども、従業員向けのコンクールということで、技能の向上を図ろうとしております。

9ページです。「検定制度の今後の拡充、活用促進に対する展望」ということです。ここでは定性的な話になってしまうのですが、ホテルやレストラン等を運営し、お客様にサービスを提供する企業としては、技術とか技能といったものの伝承というものは非常に重要な課題だと認識しております。従業員一人一人が努力・研鑽をし、資格検定などにチャレンジすることに対しては今後も奨励したり、あるいは支援をしたりということは継続していきたいと考えております。

 それから、先ほども触れましたが、非正規社員の社員登用を今後もやっていくつもりですが、こういう所においては現場での業務遂行の評価に加え、こういう検定とか資格といったものの有無も重要な判断の材料になると考えております。

10ページで、「検定制度の今後のあり方に関する認識(2)」です。行政に対する要望として、技能検定等の認知度向上を更に推進していただき、個人の技術の向上であるとか、資格取得が更に促進されて、それを企業が採用や人事評価の局面で評価できるような好循環が生まれてくればより良いということを期待しております。簡単ですが、以上で説明を終わらせていただきます。

○今野座長 ありがとうございました。それでは、何でも結構ですので御質問、御意見をお願いいたします。

○大久保参集者 23お聞きします。確認なのですが、新卒採用のときの資格については参考程度であるという理解ですね。

A()人事グループ部長B氏 はい、おっしゃるとおりです。

○大久保参集者 資格を持っているからといって、直接評価・処遇が上がるわけではないということですね。

A()人事グループ部長B氏 はい。

○大久保参集者 飽くまでも資格取得を支援するのは、自己啓発とか、広い意味での人材育成の一環としてやっていると。

A()人事グループ部長B氏 はい。

○大久保参集者 あとは、モチベーション対策ということもあるかもしれませんが、そういうことのためにやっていらっしゃるのですか。

A()人事グループ部長B氏 はい、おっしゃるとおりです。

○大久保参集者 非常にインパクトがあると思ったのは、有期雇用の人たちを社員登用するときには、資格取得状況をかなり考慮しているということなのですが、この考慮しているというのは、かなり重視しているという認識でよろしいのですか。つまり、実際に私が関心があるのは、日々の業務におけるパフォーマンスとその資格というものを、どのぐらいバランスを考慮しているのかという辺りを伺いたいのです。

A()人事グループ部長B氏 正確に何パーセントという数字で申し上げるのは大変難しいのですけれども、今の御質問にお答えするとすれば、やはり日頃の業務でのパフォーマンスとおっしゃった、その部分がほとんどだと思います。その上に資格を持っていれば、プラスアルファとして評価するというイメージで捉えていただいたほうがいいかと思います。

○大久保参集者 そうすると、やはり参考指標という感じに近いのですか。

A()人事グループ部長B氏 そうです、参考指標に近いと思います。

○大久保参集者 もう1つは、Aさんでは中途採用はしていないのですが、新卒採用では最初から資格を求めづらいところが多分あるのだろうと思います。ですから、内部育成の中のプロセスで資格を取らせるということだと思います。実際には、同じ業界の会社では中途採用をやっている所もたくさんあるわけです。本日はここだけで外には出ないと思うのであえてお聞きするのですが、Aさんを辞めて他の会社へ転職する方もいるのだろうと思います。

A()人事グループ部長B氏 はい、おります。

○大久保参集者 業界の実態としては、資格を持っているかどうかということが、中途採用においては考慮されて採用されているという認識かどうかをお聞きします。

A()人事グループ部長B氏 それは、正直言って正確なところは分かりません。ただ、逆に我々が中途採用しようとしたときに、その人を評価する際に、やはり中途採用の方は他の企業で5年なり10年なり勤務されていて、その部分は我々には見えていませんので、それを見る1つの指標として資格とか、例えば当社のようなコンクールみたいなことをその会社がやっていて、そこで優勝したことがありますというようなものがもしあれば、大変プラス評価の1つの項目にはなるのだろうと思います。

 ただ、そうであったとしても、よほどこちらがスペスィフィックに、この業務をやる人を採りたいのであれば、経理の仕事をやる人を採りたいときには、例えば、会計士の資格を持っているとか簿記の資格を持っているというのは、かなり必要な条件になりますので、そういうケースでは資格というのが非常に重たくなってくるのかと思います。

 そうでない、一般的なサービスなどの部分では、そこがちょっと弱くなってくるというか、ウエイトとしては小さくなってくる。資格の有無というのが仮にあったとしても、参考プラスアルファ程度の評価になるのではないかと思います。そこはケース・バイ・ケースでウエイトが違ってくるのかと思います。

○大久保参集者 資格の中でも、スタッフの経理などは別にして、基本的なサービスの中で、調理師は免許のウエイトが結構高いと思うのです。それに対して一般の料飲サービスだとか、サービスの現場の人たちは資格とか検定が大きなウエイトを占めているイメージがないのですけれども、中の職域によって資格との関連性の強弱は相当ありますか。

A()人事グループ部長B氏 サービスについては、E技能士という資格がありますが、これを当社では100人ぐらいの者が取得していて、かなり多いです。サービス全体をやっている従業員の数からするとそれほどではないかもしれませんが、3桁の数字にいっているということなので、サービスについては「皆さんサービス技能士の資格を取りましょうね」みたいなことで奨励もしていますし、現場もそのようなことで対応しているのかと思います。

○北浦参集者 2つほどお聞かせください。1つは配置の関係です。業務に関連する資格の有無は考慮ということであるけれども、適材・適所でローテーションを組んでいると。それは資格の種別によって違うということでしょうか。例えば、調理のようなマストの資格の場合には、やはりそこの所と、それ以外の、例えば語学系であるとか、そういう意味で資格の評価に違いがあるということなのかどうかの確認をさせていただきます。

A()人事グループ部長B氏 それは、おっしゃるとおりです。そういう使い方で、おおむねしております。

○北浦参集者 そのときに、配置に関しての自己申告、例えば、自分自身はこういう資格を取ったのでこういう所へ行きたいというようなところについては、認めているような人事配置が行われているのですか。

A()人事グループ部長B氏 従業員に対して、定期的にアンケートを取っております。自分はこういうことをやりたいのだ、だからこういう努力をしているのだということを申告させて、それを参考にして人事配置をすることは行っております。併せて資格もそうです。

○北浦参集者 結構それが反映されることもあるのですか。

A()人事グループ部長B氏 あります。全くないわけではありません。

○北浦参集者 参考ですね。

A()人事グループ部長B氏 はい、参考にして、これだけ努力しているのだから、こういうことをやらせてあげようというようなことは当然あります。

○北浦参集者 いずれにしても、処遇への反映のところは能力発揮度だということなので、そこで見ていくのだという考え方ですね。

A()人事グループ部長B氏 はい。

○北浦参集者 資格手当みたいなものはあるのですか。

A()人事グループ部長B氏 手当はありません。取得したときにかかった費用を補助するということです。

○北浦参集者 学習支援だけですね。

A()人事グループ部長B氏 はい。

○北浦参集者 もう1点は国への要望の所で、技能検定をいろいろ奨励されているようですが、その技能検定についての認知度向上を推進していただきたいと、非常に一般的に書かれています。特定企業だけのというよりは、社会的にというような感じがしたのですが、この辺の意味合いとして、技能検定制度については、社内的に、せっかく取ったのだけれども、こういう点が問題だとか、そういう点はありますか。

A()人事グループ部長B氏 今回いろいろな問題提起を頂いた中で、資格というものを企業も人も有効に機能できるような、例えばジョブ型正社員みたいなことを、今後を展望したときには、そういうジョブの証として資格みたいなものが使われていく。資格を持っている人が、いろいろなジョブにそれを生かしていけるというようなことを展望した場合に、先ほども申しましたように、資格イコール業務の発揮度ではない部分はどうしても残りますので、そこのギャップを埋めるには、この資格を持っていると、もうこれぐらいの仕事は当たり前にできるのだみたいな、そういう安心感みたいなものがより醸成されてくれば、企業のほうもそれを評価の物差しとして使いやすくなりますし、資格を取る人にとっても、それがあればかなり評価してもらえるというインセンティブになるのではないか。そういうことが循環として回っていけば、より向上していくのではないかという問題意識です。

○北浦参集者 企業としての職務といいますか、企業として求める職能というものと、その資格が作り出す職能と、それは必ずしもイコールではないというところをもっと埋めていく努力が必要だということですね。

A()人事グループ部長B氏 はい、そうです。

○笹井参集者 1つ質問させていただきます。キャリア形成というか、専門性の形成という観点で、例えば調理師免許を持っている人は、Aさんのいろいろな職場を異動する場面で、レストランだけ異動するのでしょうか。Eの資格を持っている方は、例えばウエイターとかウエイトレスで、サービス関係だけ施設を転々として異動されるのでしょうか。

A()人事グループ部長B氏 結果的に1つの職種をずっと長くやっている社員はおりますが、先ほど申しましたように社員としては一本ですので、総合職という言い方になるのでしょうか、どんな業務でも、どんな勤務地でもやりますという雇用契約になっていますから、転勤もありますし、職場の変更もあるということで、ローテーションで動いている人もたくさんおります。

○笹井参集者 そうすると、ウエイターをやっていて、調理もやってみたいという人は調理師の免許を取って、そういう資格を取ったことによって調理の仕事の希望を出せば回してもらうこともできるということですか。

A()人事グループ部長B氏 そうです。調理などは、確かにそういう側面が強いと思います。

○谷口参集者 それぞれの分野ごとの従業員の検定の受検率といいますか、検定合格者率といいますか、例えば主な分野として調理師部門だったら、従業員何人に対して検定保有者は何割ぐらいとか、大雑把な数字で結構なのですが教えていただけますか。

A()人事グループ部長B氏 正確な数字は持っていないのですが、実数で申し上げますと、調理師の免許を持っている人間は280人ぐらいいます。専門調理師は20名弱です。調理の仕事をしている者は、ほぼ100%近く調理師の免許を持っているのではないかと思います。

○谷口参集者 資料に和食検定とありますが、これは社内検定に相当するものではないかと。社内検定といいますか、Aさんが設定したものとか。

A()人事グループ部長B氏 いや、これは何かありました。

○谷口参集者 19ページの資料は、社内の通達の文書のためでしょうか、対象がA及び子会社に在籍する正社員・契約社員となっています。私が勘違いしたのかもしれませんが、こういうことから、Aさんが設定された検定試験なのかなと思ったのです。

A()人事グループ部長B氏 いいえ、試験は国家試験ではないですけれども。

○谷口参集者 協会のような。

A()人事グループ部長B氏 公開している試験です。

A()人事グループ教育課長C氏 まだ、始めてから23年ぐらいだったと思いますが、和食はもっと勉強したほうがいいのではないかということでやらせてみています。

○谷口参集者 こうした調理部門で、こうした検定の保有者の率は分かりませんか。

A()人事グループ教育課長C氏 率はまだ。

A()人事グループ部長B氏 まだ始めたばかりですので。

A()人事グループ教育課長C氏 この和食検定自体も始めたばかりで、「受けてみないですか」というような呼び掛けがあって受けさせています。

○内藤参集者 2ページ辺りで私が聞き落としたのかもしれませんが、有期雇用の社員を登用する場合には、例えばホテルならホテルといったような、その事業場ごとの採用をするというように理解いたしました。その場合に、有期雇用に関しては前職等を参考として、言わば前の経歴等をどう評価して採用するのか。中途採用という表現を使うのかどうか分かりませんが、例えばホテルならホテルという事業場ごとであったとしても、採用した場合の評価といいますか、有り体に申しますと、どういう地位といいますか、どういう場所に配置するのか。つまり、新入社員と同様に扱うのか、あるいは前職を評価し、ある程度中間の地位に入れるのか、その辺りを1点伺います。差し支えのない範囲で、もしもそれがある程度真ん中に入るのであれば、その場合の評価はどのような形でなさっているのかを聞かせていただけますか。

A()人事グループ部長B氏 有期雇用を各事業所で採用しているわけです。高校とか大学の新卒者を採用するケースもあります。内藤先生がおっしゃった、他の会社で仕事をしていて転職してくるようなイメージの方もいますし、それはいろいろです。有期雇用者については、無期雇用の者のような全社統一の評価制度はありません。各事業所ごとに、例えば賞与を出すという契約をしている場合には、賞与を査定するときに評価するというようなことで、その方々のパフォーマンスを評価していくのが実態です。

 契約ですので、契約社員と呼ばれている方々は1年間の雇用期間を月収いくらということ、あるいは賞与は別途みたいなことを契約して更新していくわけです。パートナー社員だと1年の契約の中で短時間勤務であったり、短日数勤務であったりということで、時給換算で契約をしているケースもあります。そこも、いろいろバリエーションがあります。

○内藤参集者 今の話だと、つまりは管理職といったような、ある意味でマネジメントをする地位に有期あるいはパートナーという方々を使うことはないという理解でよろしいのですか。

A()人事グループ部長B氏 そうです、基本的にはないです。ただ、職場のリーダー的な役割とか、現実にはいろいろな方が職場で働いている中で、そこでリーダー的な役割をしている、正社員でいえば管理職一歩手前みたいな役回りを実際にはやっているケースはあります。

○内藤参集者 今のお話にありました、かなり能力の高い有期あるいはパートナーの方が無期雇用への転換を希望できる制度をお持ちですが、その資格としてはどういう、例えば何年働いたら可能というような、転換の資格のようなものはありますか。

A()人事グループ部長B氏 明記はされていませんけれども、基本的には1年以上勤務を続けている方というのが最低条件だと思います。あとは、職場の場長の推薦、職場ごとの推薦があって、その推薦に応じて応募があります。それで正社員にする場合には面接とか筆記試験とか、それなりの関門をくぐっていただいて採用するというステップを踏みます。

○今野座長 今の有期雇用の方の件ですが、お話を聞いていると契約社員とパートナーの人はちょっと違いそうです。パートナーというのは、いわゆるパートの人のことについて聞いたほうがいいと思いますが、その人たちが正社員に上がろうとするときに、この検定制度を使って勉強したり、それが働く意欲に影響を及ぼしたりというのはどうですか。そういう意味の効果はどうですか、正社員と比べて。

A()人事グループ部長B氏 どうでしょうか、そこはちょっと一概には。

○今野座長 感覚でいいです。

A()人事グループ部長B氏 感覚的には、検定という切り口で申し上げると、そういう意識は高くないかもしれません。

○今野座長 例えば私がパートで入って、正社員になりたいと思ったら、それでは検定を取るかというようなのはどうですか。そういう意味ですけれども。

A()人事グループ部長B 氏 その努力をするという意味合いの1つの証として、そういうものに取り組むというインセンティブが働いている部分はあるかもしれません。そういう努力をしていれば、当然会社はそれを認めます。マイナスにはならなくて、プラスの評価にしかならないということです。

○今野座長 また違うのですけれども、こういう仕事だったら、こういう検定というのがあるのだというのは分かったのですけれども、例えばこういう職種の中で、このランクの人はこの検定という対応関係は作っていますか。

A()人事グループ部長B氏 それは特にないです。

○今野座長 これがありますけれども、これは検定のコースと、検定に関係ないコースがありますね。

A()人事グループ部長B氏 あります。

○今野座長 どちらが人気がありますか。

A()人事グループ部長B氏 人気があるのは一般のほうですかね。例えば語学とか、英語のヒアリングマラソンみたいなものは必ず何人かは受講しています。

○今野座長 検定をやって受かると名前をもらえるわけでしょう、何々士とか。

A()人事グループ部長B氏 はい、そうです。

○今野座長 そういう意味では、おいしそうだからみんなここへという感じはないのですか。

A()人事グループ部長B氏 逆に言うと、検定のような試験を受けて、例えば国家資格になるとハードルが高くなります。

○今野座長 高すぎるのか。

A()人事グループ部長B氏 それもあると思います。仕事が忙しいということもあるでしょうし、なかなかそこのハードルを越えようという意欲は難しいのかと思います。積極的に奨励していればあれなのですけれども、自己啓発ということで、自分でやりなさいと言ったときに、そこまでハードルを越えてくれる意思を強く持ってくれるかというのはちょっと難しいのかなと思います。

○今野座長 いろいろな資格取得というか、検定取得を奨励されているわけです。それで自己啓発で、頑張って勉強してもらって、能力開発をしてもらって、能力を上げてということです。なかなか答えにくいと思いますけれども、これがなかったらどういうことが起こるのだろうか。

A()人事グループ部長B氏 うーん、そうですねえ。

○今野座長 なかったら、社内でも別の教育をしますか。例えば、調理でもいいですし何でもいいのですけれども、究極的にはサービスを上げようとして資格取得を奨励しているわけですけれども、なかったらどうしますか。

A()人事グループ部長B氏 先ほど技能コンクールみたいな事例を紹介させていただきましたけれども、そういうものに準ずるような、従業員のスキルなり能力を向上させるための仕掛けは考えることになるのでしょうね。

○今野座長 それは、社内的にも、しようがないから考えると。

A()人事グループ部長B氏 しようがないということではないのですけれども。

○今野座長 代替策がないから。

A()人事グループ部長B氏 そうですね、飽くまで目的は、技能の向上だったりサービスの向上ですので、そのために必要なスキルは何だというようなことに当然なってきます。私どもも人事の基準書みたいなものがありますので、この等級だったらこれぐらいのことができるよね、この等級だったらこのぐらいはできるよねという基準があります。それを越えていくことを当然期待して従業員に頑張ってもらいます。それを評価するための何か仕掛けみたいなものを。資格があったからそれができているというわけではないのですけれども、資格がもし全くなければ、何かそれに準ずるようなものを検討する可能性は高いのかという気はします。

○今野座長 今おっしゃられた、この等級だったらこういうスキル要件というのは持っているわけですね。

A()人事グループ部長B氏 はい。

○今野座長 先ほどのお話を聞いていると、このスキル要件にはこの検定というようにはなっていないのですね。

A()人事グループ部長B氏 はい。

○今野座長 本当は関係がありそうですよね。

A()人事グループ部長B氏 はい、関係はあります。ただ、それをダイレクトにはやっていないということです。

○大久保参集者 やはり分からないのは、社員の人たちが資格・検定を取ることの動機が今ひとつよく分からないのです。例えば、E技能士の資格を取るということに、なぜ社員はモチベートされるのだろうか。取っても処遇は上がらないわけですよね。

A()人事グループ部長B氏 そうです、ダイレクトには上がらないです。

○大久保参集者 そうすると1つの想像としては、例えばそれを取ることによって、希望する部署に異動できるとか、要するに社員から見ると昇進・昇格のときにそれが考慮されているような気がする。あるいは名刺とかネームプレートとか、どこかに書けるというようなインセンティブとか、あるいは反対に、取らないと肩身が狭いとか、あるいは無理やり目標に組み込まれてしまうとか、そのモチベーションを教えていただきたいのですが。

A()人事グループ部長B氏 例えば、E技能士の1級とか2級がありますけれども、これは考えると従業員個人の向上心というと言葉がきれいすぎるかもしれませんが、自分がどれぐらいのレベルなのだということを知りたいという欲求を人間誰しも持っていると思いますので、そういう本源的な向上心みたいなものがまずあるのだと思います。

 それから、職場の先輩の誰々さんはあの資格を持っていると。先輩が、これを頑張ってみろよと指導しているというようなことで、後輩がそれをキャッチアップしていくというような、職場全体でのモチベーションアップみたいなこともあるかと思います。

 もっと言ってしまえば、例えば転職するようなときに、その資格を持っているから有利だよねというような意識もあるかもしれません。そこは個々人によって分かりませんけれども。そういう意味では、インセンティブとしては個々人によっていろいろあると思うのですけれども、本源的には自分がどれぐらいのレベルにあるのかを知りたい、それを仕事に生かせば評価される。当然そういうことです。そういう前向きなモチベーションで皆さん取り組んでいるのかと思います。

A()人事グループ教育課C氏 付け加えますと、私は今は人事におりますが、以前は接客の現場におりました。そのときに、Eに特定して、例えばバッジが頂けます。ソムリエもそうですが、そういうものを付けていると、やはりお客様からの信頼が厚いということがあります。先ほど、認知度向上の推進ということをおっしゃっていましたが、私ども営業の側面になりますが、そういうことがお客様に認められる。ここは安心してサービスを受けられる所なのだなというような意識を従業員が持っています。そのバッジが欲しいという意識があるとは思います。

○今野座長 ちょっとオーバーしてしまいましたが、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。

A()人事グループ部長B氏 十分な答えになっておりませんで申し訳ございませんでした。ありがとうございました。

(A()人事グループB氏、C氏退室)

)

○北浦参集者 先生がおっしゃった、こっち側の格付けをしないと駄目ですね。B級だとか、こっちの格付けをしないと。全米資格協会とか。

○今野座長 そうですね。現場のマネージャーは対応させているかもしれないですね、取れと。

○北浦参集者 だから、IT関係は全部分かっていますよ。結構分かっています。

○今野座長 これは難しそうです。ビジキャリとか。それでは、次にa協会様をお願いいたします。

(a協会b氏、c氏入室)

○今野座長 今日はありがとうございます。お聞きだと思いますが、15分ぐらいの短い時間ですがお話を頂いて、あと、こちらから25分ぐらい質問させていただければと思っております。最初、簡単に自己紹介をしていただいて、内容の御説明をお願いいたします。

a協会総務・企画統括部企画部長b氏 今日はこのような機会を与えていただきまして、ありがとうございます。私どもはa協会の事務局で教育事業を担当している者でございまして、私は企画部のb、こちらは一緒にやっております業務部のcでございます。

 早速ですが、私どもでやっておりますd資格制度の内容につきまして、cから資料に沿って説明をさせていただきます。

a協会業務部教育担当c氏 では早速、御説明させていただきます。「d資格制度における活用実態について」ということで、a協会の団体概要、当協会の販売資格制度であるd資格制度、各社における活用実態について御説明いたします。

 『団体の目的、会員企業、店舗及び従業員数、正社員・非正規社員(契約社員・パート社員・定年再雇用職員を含む)の内訳、業界内のガバレッジについて説明。』

 次に「職業能力評価基準について」ですが、2年間職業能力評価基準策定の事業を進めてまいりました。参加の経緯としては、小売店の中でも様々な職種があり、一概に1つの物差しで能力を測ることは難しいのですが、その中でも売上げを作る中心的な役割を担っている職種である販売員に焦点を当てて、評価基準の作成をしてよろしいかと打診したところ、了承を頂きましたので、販売員については10年前から資格制度を通じて、その資格レベルに合った認定基準を検討していましたので、よりその審査基準を明確にしていきたいという気持ちがあり、お受けすることといたしました。

 また、どのように反映したかですが、具体的には審査基準への反映は特にしておりませんが、各社教育担当者に取りまとめた冊子を頒布していますので、各担当の中で、d資格が求める人物像について、より明確にできたのではないかと考えておりますし、このことは資格試験の公平性の担保にもつながっているものと考えております。

 次に、「d資格制度について」、少し御説明いたします。資格は記載したとおり、eアドバイザー、fアドバイザーがあり、レベルに応じて13級に等級分けしております。eアドバイザーについては、ファッション衣料の販売において、お客様の御要望にお応えするだけではなく、お客様の体型にぴったりフィットしたスタイリングアドバイスを提供できる知識・技術を認定しております。具体的には接客販売の基本マナーから素材、品質表示、お手入れ方法、採寸、お直し、補正まで学習いたします。

fアドバイザーについては、販売においてお客様の御用途、目的に応じて的確にアドバイスできる知識・技術を認定している資格です。具体的には冠婚葬祭、年中行事の依頼、進物体裁、進物好適品などを学習していただきます。

 次に各等級ですが、3級は知識中心の基礎レベルです。まずは知識を身に付けてもらうということで通信教育講座になっています。2級については、スクーリングを設定し、3級プラスアルファの知識と実際にフィッティングやピン打ちなどのトレーニングをしていただきます。こちらは、ある程度お客様の要望に応じた接客販売ができれば合格というレベルになっています。1級は、その接客の立ち居振る舞い、例えばメジャーが格好よく使えているかとか、お客様と会話をしながら楽しんでいただく雰囲気を作っているかとか、お客様にワクワク感とか、ドキドキ感を感じてもらえているか。また、この人に接客をしてもらいたいと思ってもらえるようなレベルとなっております。

d資格の最大の特徴としては、実際の現場で必要な能力である接客販売シーンを組み込んだ試験になっていることです。具体的には、ロールプレイング試験を導入しています。仮想の接客販売のシーンを用意して、お客様役に対して接客販売をしてもらうことで、顧客視点だったり、ニーズチェック、商品提案力やコミュニケーション能力あるいは会話力を審査しています。筆記試験だけですと、頭でっかちになってしまいますので、実際に必要なスキルとしては、学習した知識をきちんと咀嚼してコンサルティングセールスに結び付けることができるかどうかを、一番のポイントに置いた資格となっています。

 課題としては、一人一人のロールプレイング試験について、複数の審査員が審査しますので、時間、労力がかかるということ。それに付随して複数の審査会場等を設けなければなりませんので、コストもかかるということが挙げられます。

 また、現在各社の教育担当者に無償で審査員として御協力いただいており、受験者が多くなれば、それに見合った審査員も必要になりますので、審査する側の人材の確保についても課題になっております。そうなりますと、審査員によって多少なりとも審査の採点の甘辛も発生し、時間、労力、コスト、人材確保と、総じて運営体制の整備が課題になっております。

 次に導入の背景ですが、いわゆる資格理念としては、小売店がより魅力ある産業になるために何をすべきかというテーマについて、2ページの図のように3つの視点から検証を進めて、価値観が多様化する中で、小売店が魅力を持ち続けるためには業界共通の尺度づくりが必要だと考え、それをd資格に見出していこうということでスタートしております。表については記載したとおりですので、省略させていただきます。

d資格については、職業能力の要件ということで、記載したとおりお客様の多様なニーズに応えられる販売員として、「知識・技術」だけではなく、お客様を満足させる「接客実践力」やその取組姿勢であるモチベーションの部分も保有していることが求められます。具体的には記載しているとおりです。「導入している検定制度等の種別・概要」については、先ほど御説明したとおりですので省略いたします。

3の開発の主体等、組織体制については、g委員会という各企業の人事部長クラスの組織があって、23ページですが、その下部組織として実務を担当する「d資格制度運営部会」があります。これは現場の責任者だったり、役職でいうと課長クラスの方が該当しますが、そこが実務的な企画運営を行っています。

 また、先ほど申しました2級についてのスクーリングについては、大手企業に教育事業会社がありますので、受験者が幾つかある教育事業会社の団体からスクーリング団体を選択します。また、審査会の運営については、協会自体が少人数の団体ですので、審査会の運営や顧客管理を行っている「事務管理センター」を設置し、業務委託という形で実施しております。

 次に、「検定制度等の活用実態」ということで、採用選考での活用実態ですが、記載しているとおり、業界団体の資格といえども、各社それぞれ採用選考の基準がありますので、それぞれ求める人材像が企業によって異なり、採用に関しては資格自体のプレゼンスが必ずしも有効に働いているわけではないのが現状です。課題としては、小売店企業内での価値向上だけではなく、お客様視点での資格の周知やプレゼンス向上が重要となってくるのではないかと考えています。

 次は「教育訓練での活用実態、成果・課題」です。こちらはロールプレイング試験の導入など、より現場力に特化した実践的な資格で、各社の教育訓練では、かなり活用されています。1級については、基準を表すツール、テキストなどは特に今のところはない状況です。1級はビデオを作ってはどうかなどいろいろな意見は出ましたが、抽象的な基準、例えば華麗なる振る舞い、隙のない動き、絶妙なトークなど、日々の接客経験から得られるものが多いこと。また基礎的な部分の上に、その人の個性が結び付いて作られるものだと思います。いわゆるステレオタイプ化されたものではないと考えますので、ここまでのスキルを持っていたら合格であると。それを、いかに企業間で同じレベルを持った基準として審査していくかということが課題になっております。

4ページの「人事評価、配置等での活用実態、成果・課題」です。これについては、各社の戦略的な部分がありますので、協会で実施したアンケートでは、特に人事評価、配置がえには関連付けなしという回答をした企業が多くなっています。

4の検定制度の意義・課題認識については、a協会としては全国各地に小売店がありますから、どこの小売店に行っても、お客様が満足する一定レベル以上のサービスを提供していかなくてはなりません。そのためにもd資格をもって、業界の価値向上に努めなければならないと考えています。

(2)の課題認識としては、受験者が減少する中で、もっと多くの方に資格をアピールし継続的な資格としていかなければいけませんし、運営体制の強化、つまり資格試験の開催地域等は、現在は都市圏中心となっていますが、地方都市でも開催していかなければならないと考えています。

 また調査では、取得後のモチベーション維持・向上に不安を抱えている取得者が多いことから、モチベーション維持向上に努めていかなければならないと考えています。その1つの取組として、現在は協会主催で資格者同士、企業を超えた情報共有の場を提供したりするよう、d資格サークルという名の会を設けて取得者のバックアップをしております。その他、資格取得者に対する、例えばインセンティブの問題等、各企業にはこれからも積極的に働き掛けをしていかなければいけないと考えています。

4ページの検定制度の今後の拡充についてです。小売店社員を中心に、資格取得者を拡大してきましたが、各売場で、メーカーに御協力をいただき販売している取引先販売員に資格を強制的に受けさせることはできませんので、資格の趣旨を納得していただき、多くの方に受けていただけるような資格にしていかなければいけないということです。

 では、どういう環境、前提が整っていたら活用が進むかということになりますが、2つあると思います。1つは資格価値を向上させることです。具体的に見ますと、厚生労働省推奨の資格であるとか、国のお墨付きを頂ければ、資格の価値は向上するのではないかと考えられます。

2つ目は、地方都市でも受けやすい資格にすることです。つまり運営体制の強化が必要であるということです。現在の状況を見ますと、受験者数が少なく、採算が合わない開催都市では、試験開催地として選定することはできない状況になっています。小売店は各地域に住む方たちの生活全般に携わり、その解決の役割も担っていると考えております。ここに行けば、いろいろな商品を購入できるだけではなく、販売員との触れ合いを通じて心の豊さを提供する相互扶助的な社会、地域社会の構築をする場でもあると考えておりますので、その豊かさを提供する能力を持った人材を育成することが重要ですので、何かしら、運営面でのサポートをお願いできればと考えています。

 そうなりますと、次のステップとして、検定の共同化はできないのかということが考えられますが、現在、3級については、業界外の方でも資格を受けることができます。1級、2級については、運営体制の問題とか小売店業界の結集したノウハウを外に提供することに対して、現在のところはイエスともノーとも言えない状況ですし、飽くまでも業界団体の資格ですので、根本的な目的に対してどうなのかなということもあるかと思います。これについては諸条件が整った段階で、内部で更なる検討が必要になってくるかと思います。

 最後に、国に対する要望について5ページに記載しています。先ほどお伝えしているように、資格価値向上につながるサポート、国のお墨付きをお願いしたいということと、運営体制の、特に地方の活性化につながるサポートをお願いしたいという2点です。長くなりましたが、以上です。

○今野座長 それでは、皆さん、どうぞ。

○谷口参集者 それでは、1つ伺います。加盟している企業の検定への受験に対する支援体制は、企業によって一概には何とも言えないかもしれませんが、大体のところで、例えば費用を何割か支援するとか、受験の際の時間については勤務扱いするとか、そのような支援制度はいかがですか。

a協会総務・企画統括部企画部長b氏 基本的にa協会というのは、会員小売店の会費で成り立っている組織ですので、d資格制度の運営についてもその会費を充填しているということで、そもそも小売店側の会費で運営しているというのが1つあります。

○谷口参集者 受験料や時間に対する個人への支援。

a協会総務・企画統括部企画部長b氏 受験料は、お店によって違うのですが、基本的に会社が負担している所もありますし、自発的に個人で負担している会社もあります。大体が会社が負担しています。

a協会業務部教育担当c氏 あと協会で人材育成助成金制度というのを作っておりまして、特に協会の事業に積極的に参加した企業については、年間35万円まで補助するという制度も、地区によってですが、関東地区、中部地区、近畿地区では行っております。

○谷口参集者 もし、御存じでしたらお聞かせ願いたいのですが、先ほど大雑把に、加盟の企業で従業員数が全体で9万人ぐらいで、約半数が非正規ということで紹介されました。非正規の中にもベテランの再雇用の方が相当数含まれていると思いますが、非正規の方に対するそういった支援というか、受験への推奨は傾向としてはどんなものですか。

a協会総務・企画統括部企画部長b氏 お店によって違いますが、パートの方でも会社の経費で派遣をしてくるというケースもあるようです。

○谷口参集者 ありがとうございました。

○北浦参集者 それでは、2つほどお聞きします。今の制度、こちらの表現によれば、いわゆる業務に直結した資格制度であるということで、中を拝見しますと、大変丁寧に作られていると思ったのですが、1級、2級辺りでは、かなりロールプレイを重視して、いわゆる実技という部分のウエイトが高いことによって、より近付けているのだと思いますが、それでも実際に現場に行ったときに、その資格と現場で求めることとの乖離は相当大きいのか、かなり近付いている線まで行っているのか。あるいはグレードによって、上まで行けば完全に近いが、下だと乖離しているとか、その辺の具合いはどうですか。

a協会総務・企画統括部企画部長b氏 基本的には、各小売店の教育会社、指定団体とありますが、そちらにも入っていただいたり、実際に、小売店の現場に若い頃立っていた方が後半になって人材担当になられたりして、そういう方の意見を聞きながらやっております。ロールプレイについても現場の実態というか、そういうものを反映して作っておりますので、乖離はないと考えています。

○北浦参集者 そういうことであれば、その資格を取って、もし取れれば、かなり現場の職務に近いわけですから、処遇への反映がもっと強くなるはずですよね。そういうものが、例えば賃金などに。養成されているということですが、実態としてかなり反映しているのですか。

a協会総務・企画統括部企画部長b氏 これも店によって違いますが、社内の評価のポイント制度に反映している会社も数多くありますので、これを取ったから幾ら上がるとか、そういうことは言えませんが、一応評価の基準にはなっている、参考にしています。

○北浦参集人 参考にするというのは、一般論としてみんな参考にしています。多分参考の度合いがかなり強くなる可能性もあるということですね。

 もう1つは、正にこれは個性とも関わるという話でしたが、この辺について、受験をするに当たって教育ということは可能なのですか。これは現場の中でのOJTの中でやってきたものを効果として確認をしていくという形ですか。テキストがないという話ですね。

a協会総務・企画統括部企画部長b氏 取得前、試験を受ける前ですか。それはお店によって、集合教育のような形で人材担当が対象者を集めて勉強会などを開いております。

○北浦参集者 そういうのは、教室内実習的にやっているのですか。

a協会総務・企画統括部企画部長b氏 そうです。それもありますし、普段はOJTはもちろんありますが、人材担当が音頭を取って自発的な勉強会のようなものをするというケースもあります。

○北浦参集者 OJTの中で、例えばこういう受験を意識して、こういうところに注意しなさいという、OJTそのものが対応を考えていることはありますか。

a協会総務・企画統括部企画部長b氏 ありますが。あと大きな問題として、実際に小売店の社員自体が販売に当たっていないケースも多い業界ですので、資格を取りつつも、店の販売に当たっていないという方もおられますから、その辺はOJTをやりづらい部分もあります。

○北浦参集者 そういう問題もあるわけですね。もう1つですが、3級は業界内でオープンになったという話ですが、取引先というと、どんな所が受けられるのですか。実態的にはかなり受けられているのですか。

a協会総務・企画統括部企画部長b氏 商品の取引先です。

○北浦参集者 はい。結構オープンになって受けられているのですか。

a協会総務・企画統括部企画部長b氏 こちらとしては、もちろん商品の取引先に最も受けていただきたいのですが、実態はなかなか進んでいないということで、3級で外で受けているのは学生が中心になると思います。

○北浦参集者 オープンにしてから、まだ日が浅いわけですね。

a協会総務・企画統括部企画部長b氏 日が浅くはなく、設立からやっています。

○北浦参集者 ただ実績としては、そういうことですね。

a協会総務・企画統括部企画部長b氏 はい、そうです。

○大久保参集者 2つお聞きします。d資格を業界で立ち上げることに関して、a協会に加盟している各社、100%の会社が大賛成というわけではなかったのだと思います。温度差も会社によってはあって、中にはそういうものは必要ないという会社、あるいは実際にこの制度ができて以降、この資格制度の検定の取得に従業員を送り出していない会社などがあるのかなと思うのですが、それはどうですか。

 例えば販売の現場において、顧客サービスを、特に小売店がその会社の強みとして、ほかの小売店と差別化を図っている会社は、余り共通の基準がなくて、自社独自でやることに価値があるということをおっしゃる所があるのではないかと想像するのです。そういう意味で今の話をお聞きしたいのです。

 もう1点は、この資格制度を作った目的ですが、先ほど採用とか処遇に取り入れているわけではないというお話だったのですが、それをもともと資格制度として狙っていたのかどうか。現在の実態は、どちらかというと現場におけるOJTとか訓練みたいなもの、本来は中でやるものをこの場を使って外で効率的にやってもらうという、訓練の一部として活用しているというのが実態だろうと思うのですが、その辺は、狙いと現状の実態というのはギャップがあるのかということをお聞きしたいのです。

a協会総務・企画統括部企画部長b氏 まず1点目、当該業界の全店がこれに賛同してスタートしたのかどうかですが、設立の段階で表立って反対をしたお店はありません。特に人材育成には力を入れる業界ですから、大枠で全店に賛同していただいていると捉えております。

 それから、こちらに資格取得の人を送り出していない店があるのではないかということですが、それはもちろんあります。その理由の1つとして、審査会自体を東京、大阪あるいは福岡、札幌のような大都市で開いているということがありますので、地方の店で、交通費も含めて、出したくても出し切れないというところはあると思います。だからといって、これに賛同しないということではない。非常に経済状況が厳しい中ですので、その中で出したくても出せないという実態はあると思います。

○大久保参集者 ということは、自分の所でやっているからいいという反応は余りないということですね。

a協会総務・企画統括部企画部長b氏 そうですね。自社の販売員の教育訓練に非常に自信を持っている会社もあります。自分の会社は他社と比べて特別だという意識を持っている店であっても、こちらを受けにきていただいていますので。

 それから採用とか評価面での資格制度取り入れですが、設立段階ではもちろんそういう意識を持ってやっております。その実態は、なかなか一致しないところもあります。1つの理由としては、婦人の担当の方がeアドバイザーを取る。取ったはいいのですが、配属が変わってしまったとかいうのもあって、なかなかダイレクトに直結できていないという実態があります。

○笹井参集者 d資格制度の中身についてお聞きしたいのですが、eアドバイザーの2つ、fアドバイザーの3資格があります。セールスという仕事は結構いろいろな作業があると思いますが、eとかfに着目したというのは、そこを資格化しようとした理由というのは何かあるのですか。

a協会総務・企画統括部企画部長b氏 正に小売店の主力アイテムということです。衣料品が中心ですので、eということで婦人とメンズからまず立ち上げて、あとは小売店の強みというとfになりますので、fアドバイザーを立ち上げました。要するに、最も主力の所から立ち上げて、行く行くはほかのものにもアイテムを広げていこうという趣旨もあったのですが、それもなかなか広げ切れない部分もあって、今のところはその3つの資格を運営しているという状況です。

○笹井参集者 分かりました。アドバイザーとしてのやり方、例えばマニュアル的なものではないかと想像するのですが、それの1つのアドバイスのモデルというのは、小売店の業界では通説的なというか、今のアドバイスはいいよねというような、共通理解があるものを資格化したという理解でよろしいのですか。

a協会総務・企画統括部企画部長b氏 そうですね。各社によって異なる部分はありますが、それを、集まって検討しながら、最大公約数的にまとめて挙げているものです。

○笹井参集者 そうすると、これを作るときに、個々の小売店にも御協力いただいて。

a協会総務・企画統括部企画部長b氏 もちろん主体は。私どもは事務局ですので、実際にg委員会とかd資格制度運営部会に、各小売店の教育担当の方とか、現場の担当者に来ていただいて作り上げたテキストになっています。

○笹井参集者 分かりました。最後に1点ですが、活用あるいはd資格を持っている人の評価というのは、それほど高くないという話だったと思いますが、今、申し上げたように、中身に関しての問題は特にないと理解してよろしいというか、問題は特にないが、マネジメントのほうに若干課題があると理解してよろしいのでしょうか。

a協会総務・企画統括部企画部長b氏 中身に問題があれば、店の側から、ここは改善したほうがいいとかという要望が入りますので、随時改善していると考えています。

○笹井参集者 分かりました。ありがとうございました。

○内藤参集者 今、既に多くの委員から御質問のあった点の繰り返しになってしまうかもしれませんが、例えば、既に御説明の中にありましたように、この資格を取ったとしても、異動とか昇進・昇格的なものに特に影響がないというか、それがリンケージしていないと言われる企業、レジュメの4ページに62.5%という数値が出ています。そういった形で、失礼な言い方をしますと、特に関連付けがないにも関わらず、それに対して小売店側、加盟店側が人を送るメリットは何でしょうか。あるいはその個々の労働者、当該販売員に当たる方が、それを受験するインセンティブのようなものはどこにあるのかという点が1つです。

 加えて少し視点が変わりますが、先ほどの御説明ですと、ある資格を取っても、内部の配置転換等の異動が行われますので、資格が使えない場合もあるというお話を伺いました。逆に小売店というある程度異動する広さのある企業の中で、もう少し汎用性のある、それが例えば異動等の影響を受けずに使えるような教育の形態、あるいは類型は考え得るのでしょうか。それともそれは無理なのですか。その2点を教えていただきたいと思います。

a協会総務・企画統括部企画部長b氏 最初の質問は何でしたか。

○内藤参集者 最初の質問は、異動や配置換え、その他に決してメリットにはならないというか、リンクしていないにもかかわらず、それに対して加盟店、小売店が送るインセンティブあるいは労働者個人が受けるインセンティブというか、そのメリットはどこにあるのでしょうか。

a協会総務・企画統括部企画部長b氏 小売店サイドで言いますと、資格取得者自体を、例えばある店では顔写真付きでお店に貼り出して、うちではこういう資格を持った販売員が担当していますという形で、お客様にアピールすることができるというのが1つメリットになります。

 あと受験する側としては、全く評価とは直結していないということであっても、1つのポイントにはなりますので、そういう面でのメリットはありますし、さらに、これを受けることで自分のスキルアップというか、知識アップというか、そういうものを長期的な視点に立って得られるというところがメリットだと考えております。

 あと横断的な資格というのは、分野別に分かれてやっていますので、今のところ、そういうのは考えていません。

○内藤参集者 そうしますと、貴協会で力を入れておられるのは、特化した形で販売というスキルの向上ということが一番の資格であって、それ以外のものについては特に類型はないということですか。

a協会総務・企画統括部企画部長b氏 今のところはそうです。

○内藤参集者 ありがとうございました。

○今野座長 先ほど言われていましたが、各企業がやっている教育訓練の一部を担当するような感じだということでしたね。特に3級と2級については基礎の部分なので、会社にとって共通性があるので、そういう点でそうだということだと思うのですが、そうすると、その後、もしお宅が3級、2級の資格が取れる訓練コースを作れば、各社はその中の訓練はしなくて済むという状況になるのですか。つまり最終的に企業は、そうなればメリットが出ますよね。社内でやらなくて済む。

a協会総務・企画統括部企画部長b氏 3級は通信講座で、2級は各小売店の教育会社で指定団体というところを認定していまして、そこがやっている講座があるのです。そこで勉強して講座を実習した上で、最後に試験があって認定されると。

○今野座長 もう少し言いますと、例えば販売員になります。最初は基礎ですから、3級程度の能力が要ります。我が社では教育しませんと。このコースに関連のあるものは全部受けてくださいと。そうすると、社内的な訓練コースは作る必要はありません。もう少しランクが上がると2級レベルになります。それも社内的には訓練しません。社外で使ってくださいというと、会社にとってメリットがありますよね。そこは社内で用意しなくていいので、という状況になっていると考えていいのですか。つまり、最終的には会社にとって何のメリットがあるのだろうかというのが分からないので、そういうことがあったら、すごくメリットがありそうなのですが。

a協会総務・企画統括部企画部長b氏 会社にとって一番のメリットは、先ほど言いましたように、お客様へのアピールというか、そういう部分になってきます。

○今野座長 それはいいのですが、今の部分はどうですか。

a協会総務・企画統括部企画部長b氏 そうですね。もちろんそういうことも言えますが、そうは言っても会社で違う部分が出てきますので、そこの部分の教育というのは外せないと思います。

○今野座長 ここでは、2級、3級は基礎的なので共通性が高いと書いてあったので、そういう質問をしたのですが。

a協会総務・企画統括部企画部長b氏 共通項目を最大公約数的に作っているものですから、異なる部分が当然あるので、そこの部分は教育をしないというわけにはいきませんから。

○今野座長 ちょっとしつこいのですが、共通部門については、各社は教育していないと。

a協会業務部教育担当c氏 地方店は自分で教育。

a協会総務・企画統括部企画部長b氏 そうです。特にお店には大小がありますので、小さな会社でそこまでの余裕がない所は、こちらに任せるというのはメリットがあると思います。

○今野座長 そういう会社はあるのですか。比較的大手はそんなことをやらないで自分の所でやってしまうと。

a協会総務・企画統括部企画部長b氏 そうですね。両方、両立しながらやっています。

○今野座長 分かりました。では、時間ですので、よろしいですか。ありがとうございました。

(a協会b氏、c氏退室)

○今野座長 それでは、これまでの議論を事務局で整理をしていただいておりますので、それを御説明いただいて、残った時間は30分ぐらいなのですが、フリートークをしたいと思います。

○伊藤課長 時間の制約もありますので、簡潔に説明します。資料3以下の説明に入る前に、ただいまのヒアリングの内容に関わりまして、当方の事業制度との関わりで、誤解のないように念のために2点ほど補足をさせていただきたいと思います。a協会に関して、最初に職業能力評価基準について策定という説明がありましたが、これは御理解いただいているかと思いますが、厚労省事業である職業能力評価基準の整備事業の一環として、このa協会の協力を得て、今日もやり取りがありましたように、小売店におけるメインの分野での販売職種にターゲットを当てて、評価基準の整備をしたものです。

 説明がありましたd資格は、10数年前からスタートしていて、説明がありましたように、特に1級の能力要件がいささか不明確なままに検定がスタートしていたと。そこの裏付けを補強したいというa協会からの申し出を踏まえて、こちらの評価基準を整備をし、これを参照しながら1級の補強を図ったというのがその経過です。d資格制度に関しては、現状では純粋な民間型の業界検定ということで、第1回で説明申し上げた、その他の公の位置付けには、今現在は全くなっていないということです。

 それから、A社のヒアリングの中で、もともとはE技能検定を主たる着眼点に協力をしたのですが、調理に関わる資格について、念のため補足をしますと、調理に係る資格に関しては、調理師法に基づく調理師があり、同法に基づくよりアドバンストな資格として専門調理師があって、今日の説明の中で、調理技能士が出てきておりますが、こちらは当然、能力開発法に基づく技能検定、技能士の一種別ですが、実際の運用としては、今ほど申し上げた調理師法に基づくアドバンスな資格、専門調理師と、能開法に基づく技能検定の一種別である調理技能検定については、同一団体によって一体的に運用・行使されています。ちなみに技能検定は単一等級です。3つの資格の関係について、念のために補足をしておきます。

 続きまして、後半のほうで準備させていただいている事務局資料について説明いたします。資料3は前回頂戴いたしました御意見のポイントを、私どもで簡単にまとめたものです。特に第2回は私どもがお示しをした、本研究会のターゲット設定の考え方、たたき台の概念図などを踏まえまして、多岐にわたる御意見を委員の皆様から頂戴したところです。企業内、同一作業内、企業間等の労働移動形態ごとの能力評価活用のニーズの捉え方といった視点からの幾つかの御意見。この能力強化、キャリアアップツールとして活用する企業の観点から見た場合のニーズ、労働者の観点から見た場合のニーズの関係、プライオリティー。それから、前回中心的に御議論いただいたプライオリティー付けの基本的な考え方について、私どもが提示したたたき台に関して、本質的な観点から、幾つかの回答があるものを1つの平面に並べ過ぎているのではないか、といった観点からの理論的な整理についてのいくつかの提言、それから、もともと資料の中に明示されていない視点の中で、こういった点も重要ということで年齢等の視点。さらに、今日のヒアリングの中で出ている能力評価の仕組みの設計や運用にも直接関わるような視点として、スキルを労働者教育訓練機関、企業、それぞれ異なる立場でどう捉えるのか。それから、第1回の資料でもお示ししておりますが、ここで御議論いただいている業界内での共通スキルと企業特殊スキルの関係について、どのように考えるべきなのかといった点。次回、ヒアリングを計画していますが、諸外国の職業資格制度をにらんだ場合に、特にアングロサクソン系とコンチネンタル系でそれぞれの資格制度の着眼点。主に企業の視点なのか、個人の視点なのか、そういった大枠の視点の違いがあるのではないかといった、それぞれ大変重要な点の御議論を頂戴したところです。

 資料4ですが、第1回、第2回において御議論いただいた内容のうち、とりわけこの研究会での検討のターゲット設定に関わるような部分を中心にして、できるだけ頂戴した御意見を踏まえる形で、なおかつ第1回、第2回でも御説明申し上げている、本研究会開催の端緒となっている日本再興戦略における職業能力の見える化の基本的な位置付け、多元的で安心できる働き方実現という観点から、業界検定の活用等を通じ職業能力の見える化、キャリアアップ実現を図っていく。また、その基本の部分も踏まえた上で、改めて考え方の整理をしたのがお手元の資料4です。

 前回御議論いただきましたように、もともとのたたき台につきまして、本来いささか次元が違うものを同じ平面に並べて足し算、引き算をしていたというきらいがあったということで、その施策の必要性・緊急性の観点、2の施策の有効性の観点、3の施策の実効性の観点、つまり、有効かもしれないけれども、実際に運用可能かどうか。大きくは3つほどの視点に立って考え方を整理をし、各項目とも下のほうに具体的な記述が書かれておりますが、その要点に相当するものを表題の下の枠囲みで書かせていただいています。

1点目の施策の必要性・緊急性。政策目的の観点で見た場合、今ほど申し上げた再興戦略の要請を踏まえるならば、労働者、企業、教育訓練機関等ある中で、とりわけ労働者、更にはキャリア形成上の重要・重大な課題を抱える非正規雇用の労働者などをターゲット設定とすることが考えられるのではないか。

 そうだとするならば、こうした層が集積をする、また、中途採用での就職可能性の高い、いわゆる「ジョブ型労働市場を形成する業種・職種」で、労働移動の形態に関して、強いて言えば、「業種・職種固有かつ業界内共通の知識・技能」、こういった分野を重点とすることが考えられるのではないか。また、こういった重点設定の下で整備された仕組みに関して、非正規雇用労働者以外にも、教育訓練を受講した新規求職者、子育て女性、転職を目指すミドルであったり、再就職を目指すシニア等、それぞれ意味は異なりますが、キャリア形成上の課題を抱える各層にも可能な限り活用が図られ、当然のことながら再興戦略の目的に鑑みましても、産業界・企業の求める人材の確保・養成にも資するといったことが期待されるのではないかというのが1点目です。

2点目は、再興戦略の中で、「業界検定」等ということで、ここは例示をされていますが、これを手法として、中心的なものとして前提に置いた場合に、エントリーレベル以上、おおむねミドルまでのレベルが中心になるのではないか。企業内キャリアアップや同一業種・企業間の労働移動といった分野では、少なくとも一定の有効性があるのではないか。分野としては、前回のポンチ絵にも入れさせていただいていますが、ジョブ型労働市場分野として、具体には免許分野を除く対人・対事業サービス分野であったり、ものづくり技能分野であったり、学卒採用、メンバーシップ型を除く事務系分野などが、非常に大雑把で恐縮ですが、重点として想定されるのではないかといった点。

 3で、次ページの施策の実効性ですが、実際にやれるかどうかという観点で考えますと、今申し上げた2の方向性と結果としては大体対応するのではないかと思っておりますが、例えばいわゆるハイエンド層であれば、標準化された課題評価基準の開発や、先ほどの話にもありましたが、評価者の確保が難しい。あるいはできたとしても非常にコストが高いだろう等々の理由から、今申し上げたハイエンド層であったり、あるいは共通能力設定が難しいと考えられる産業・職業間の転職の適用には、困難を伴う場合が多いのではないだろうかといった点をお示ししています。

 それ以外にも、非常に重要な御指摘を前回いただいておりまして、それらについては4で、例えば、高齢者や有期雇用の方については、企業の立場で能力評価のインセンティブが働きにくい、裏返すと、本当に必要性があるのであれば、そこに公的な支援を行う必要があるのではないか。業種・職種固有で、しかも業界内共通の知識・技能以外の能力要素、例えば企業特殊能力や、いわゆるソフトスキルが重視される分野では、業界検定などとは別のこれに適した評価手法を採用すべき。あるいは、場合によっては検定との組み合わせといったことが考えられるのではないか。今日のヒアリングでもいろいろな御指摘をいただいていますが、教育訓練機会と能力評価の一体的な整備が効果的ではないか。それから、業界検定といった場合、今日のa協会などがその典型ということになるかと思うのですが、業種別業界団体等が一般的には想定されるわけですが、業種横断の職業能力をどう捉えるかといった御議論も頂いておりまして、その場合には、例えば職能団体など、しかるべき受皿を整えることで、検定等の整備の可能性があるのではないかといった点について、非常に雑駁ですが、このペーパーで改めて整理をしました。

 前回の委員の皆様方の御意見、御指摘、十分に正確にまとめ切れていない部分もあろうかと思いますし、今後、より具体的な評価体系とか、あるいは評価手法の設計・運用のあり方について御議論いただく中で、またこちらのターゲット設定の御議論にお戻りいただく部分もあるかと思いますが、今申し上げたような内容、整理の仕方について御確認いただければと思います。

 資料5です。前回、10ほどの様々な検定に関わる団体、企業の事例を御紹介しましたが、委員の皆様方からいろいろサジェスチョンを頂きながら、事務局でも追加的なヒアリングを行っております。その1つの事例として、一般社団法人情報サービス産業協会、JISAと呼ばれる法人です。こちらの聞き取りの概要を紹介しております。一言で申し上げますと、ITSSITSSに基づく情報処理技術者試験のユーザー団体です。ITSSそのものに関しましては、委員の方々御案内の通り、IPA主体で運用している仕組みですが、これを利用する広い意味でのベンダー企業が参集している団体です。この団体の事業として、ITSSの活用以前に、IT人材ニーズにに関しての非常に幅広い調査分析を行っているというのが1つの特徴で、IT分野における主要な要素技術をピックアップをした上で、単純に現在の需要というような平面的な捉え方ではなくて、今後の需要見込みも把握をする。とりわけ必要な能力要素がどんどん変わっていくという前提で、そうした立体的な職業能力の見える化、どの要素技術が今、研究期なのか、普及期なのか、衰退期なのか。こういった分析をかなり掘り下げて行っているというのが1つの特徴です。

 それから、ITSSの活用実態については、多分、委員の皆様も御承知かと思いますが、中途採用の場面においては、ITSS及びこれに基づく情報処理技術者試験。ITパスポートであったり、ITスペシャリスト試験が相当程度活用されています。他方、今日の前半のヒアリングにも同じような話がありましたが、それが当然全てではないと。クライアントとの交渉等、いわゆるコンピテンシー等が求められる場面もあり、それをいろいろ組み合わせながらそれぞれの企業のやり方で評価をしているといった点。あるいはITSSだけではなくて、ユーザー側のスキル標準(UISS)、あるいはこれは個別の能力として今、大変重視されています、組込みスキル標準(

ETSS)、これらを統合した「共通キャリア・スキルフレームワーク」、IT分野の共通フレームワークの統合について、JISAIPA等を中心に作業が進められ、来年度にもこれを取りまとめ、公表の見込みであるといった点を、今回把握をしたところです。これ以外にも、委員の皆様方の御提言、御指摘も踏まえて、専門学校等、追加的なヒアリングを今、計画をしていますが、取りあえずこの研究会での御議論に資する事例として、本日はこのJISAの事例について1点、追加紹介をさせていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。

○今野座長 あとは自由に。1つだけいいですか。黒澤さんの意見を聞かなければいけないのですが、ターゲット設定の基準として、必要性・緊急性、有効性、実効性という3つの基準はいいのですが、外部性の問題がありますね。有効性と外部性はある意味では同じことというか、裏表で、有効であるのは、訓練するとどこでも使えるということです。要するに外部性があるということです。そういうところは企業は投資しないので、社会的に投資をしろというのが黒澤さんが言っていたことで、これは多分、同じことではないですか。前に入れてあげたほうがいいかなと。

○伊藤課長 今現在は外部性は4の前半の部分で、1から3と別口で整理をしているのですが、今の座長の御指摘は。

○今野座長 黒澤さんにも聞いてみてください。私はそう思うのですが。

○伊藤課長 後日、黒澤委員にも今日の状況を説明しようと思っています。そこはまた、アドバイスを頂きながら更に工夫をしてみたいと思います。

○今野座長 こうやってみて、この整理は、ターゲット層はキャリア形成困難な人とジョブ型労働市場、この2つということですか。

○伊藤課長 1プラス2や3、有効性、実効性の視点を踏まえても、非常に大まかに言うと、今、座長がおっしゃったようなターゲット設定。ここは外せないという意味ですね。そこに限定をするということになりますと、評価の仕組みが、むしろ十分普及しない、市場性を持たないということになりますので、活用可能性はそのポイントを押さえた上で、更にそれぞれを企図広げたほうがいいのではないかと書かせていただきました。

○今野座長 そう考えると、私はジョブ型労働市場って何を言っているか分からないのです。

○伊藤課長 今、座長がおっしゃいましたが、必ずどこかで議論が出てくるだろうなと思っておりました。私どもなりの考え方、たたき台を整理して御議論いただかないといけないと思うのですが、ここでの整理上は、ジョブ型といってアプリオリに雇用形態の特定をしているわけではなくて、このペーパーで述べているところの業種・職種固有で、かつ業界内共通の知識・技能といった観点で、主に評価等の企業内の人事管理が行われるようなタイプの業種・職種に属する労働者であったり、その市場というぐらいの、非常に大まかなイメージで、ここでは使っているということです。

○今野座長 どうぞ、皆さん。あと10分ぐらいありますから。発言はありますか。

○大久保参集者 今日のヒアリングを通じても改めて思ったのですが、検定を使って、社内で行っている訓練を一部それで肩代わりをする。訓練を促進するために使うということに関しては、割とできそうだと思うのです。

 もう1つは、その訓練を受けたと。その検定を取った人が、何らかの認定を受けて、そういう人たちが、うちではサービスをしますよといって顧客にアピールするというところはできそうだと思います。これは難易度としては、そこそこ現実的で易しい。そこからそれを処遇・採用に使うとなった瞬間に、急にハードルが上がるということなのだと思うのです。これはこの検定制度を作る目的とも非常に密接に関連するところなのですが、いわゆる能力開発とか自己啓発を促進していくという目的だったら、難易度の低い易しいほうのレベルとの関係でも実現できるのですが、例えば、それがいわゆるエンプロイアビリティーとしてほかに転職をするとか、そういうことまで考えるとか、あるいはその人のキャリアアップとして処遇が上がっていくことにまでつなげていこうとすると、結構なハードルになるのだろうと思うのです。つまり、どの辺のところを現実的にできる範囲として、業務・業界検定の目的とするのかということは考えなければいけないと思います。採用や処遇に活用することの難易度というのは、伝統的な産業分野と新規成長分野とでは当然違うはずで、やはり長い間積み重ねているところは、その業界なり社内で、ある程度の技術が蓄積されているので、そこに外部から作った検定を評価のときに使わせようとするのは結構敷居が高いのですが、新規成長分野の場合は、そこが準備できていないので、逆にそれが先行的にあれば、可能性があるのではないかと思います。

 サービス業の世界で考えてみるときには、有期で働いている人の職域だったり求められるものと、正規で働いている人の職域とか求められるものの間に、非常にギャップがあるのだろうと思います。例えば今日の施策の中で、フィッティングがいくらレベルが高くなったとしても、社員登用には関係ないと思うのです。そういう問題があって、かなり分離しているので、じゃあ、フィッティングのレベルを上げたとして、有期の人たちの後押しになるのだろうかと。何かちょっと違うような感じがするのです。あと、業種にもよるのだと思います。例えば服のフィッティングの話が出ていましたけれども、靴のシューフィッティングのほうだと、あれはすごく奥深い世界で、かなりのベテランの人がどんどんレベルが上がっていて、最終的には健康の領域にまでいくような人が小売店の看板になることもあるようです。業種によっても比較的短い期間に熟達して、もうそれ以上深みを求めない領域と、すごく深みを求める領域で違うのだろうと思うので、もしそれがすぐにある程度きちんとサービスができるようなレベルになって、ポンポンと異動していくような分野であれば、訓練のために使うということ以上には考えにくいのだろうなということで、どのように作るのか。もともとは職業能力評価基準が、fアドバイザーとかeアドバイザーとなっているかどうか知らないのですが、そのようになっていれば、そんな深みが出てくる領域ではない。そうすると、やはり処遇・採用につながる可能性は極めて低いということになると思いますので、その関係もあると思います。というのが感想です。

○笹井参集者 それに関連して、私も先ほどa協会のことで質問した中で、なぜそこに焦点を当てて資格化したのかということに関連して、セールスというのは広がりとか深さとかがあって、その一部分だけ資格化したのではないかと思ったのです。ある意味でコンポーネントというか、フラグメントというか、断片、部分だけ資格化した。だからトータルとしてのセールス能力の評価につながっていかないのではないかと思って、聞いたのです。もともとサービス産業のようなものはすごくプラクティカル、実務的というか、経験がものをいう世界ですよね。だから、客観化されたスキルというものを、例えば製造業を見ても、身に付ければ、ある種の能力が評価できるというものではなくて、経験を積み重ねてホスピタリティーとか何かも含めてやっていかないと、うまくいかないようなところがあるのだろうと思います。

 業態というか、業種といいましょうか、スキルがどこまで見える化できるのかというようなところと、スキルが高度になっていくための過程がどうなっているかというところも考慮して資格というものができていないと、現実に市場で評価されるものにはならないのではないかと思います。

○伊藤課長 今のことで若干コメントさせていただきたいと思います。大久保委員の御指摘に関しまして、今日のヒアリングを通じての印象は私も全く同様です。その上で、1つ例示として取り上げられた、a協会のe資格について、実際に私は検定の場面も見て、基準についても関係資料を見せてもらったのですが、今日はいささかフィッティングの部分が強調された説明ではあったのですが、実際にはかなり多数の服をぶら下げた上で、売場での接客であったりとか、デザイン、カラーなども含めて、あるいはどういうTPOで活用するかということをうまく聞き出した上での提案、そういった部分に、実際の評価上はかなり重きを置いている。ただ、客観要素がないと、なかなか検定としては成立しにくいものですから、寸詰めの採寸の正確性とか、かなり現象的な部分も確かに取り入れて、説明上は、ややそこに重きを置いたプレゼンになっているのですが、実際にはもう少し幅の広い能力を評価しているというように私どもとしては受け止めているところでございます。ただ、いずれにしても、実際に外部市場で評価される能力の本質とか深みがどうなのか。それが更に正社員の場合と、有期を始めとする非正規雇用労働の場合とでは当然違うということがあり得るということを、より意識した上での設計なり運用が必要だということは、私も横で話を聞いていて改めて感じたところです。

 それから、笹井委員の御質問に関しては、私なりの立場で補足しますと、例えば小売店の中でも基幹分野としては、今日説明があった2つの分野以外に食料品というのが当然あるわけなのですが、食料品の場合には、小売店のいわゆる直接雇用をしているスタッフが対応しないケースが多いというようなことで、a協会等としてはプライオリティーが低いということで、そこは除けて、更に今御指摘になっているように、私も本質的には特定の売場に固有ではない、共通のセールスの職業能力というのがあり得るというように観念していますが、ただ、そこは能力評価基準整備の中でも、一定踏み込めてはいるものの、それを具体的な検定として整備をするというところまで共通能力の抽出、あるいは具象化に至っていないというのが正直なところでございます。恐らくそれは、業界単独では非常に難しい。あるいは外部性を持たせようと考えた場合に、今日、正に説明がありましたように、コストに関しても結果的には会員小売店企業がほとんど全て負担をしているという中で、外部の人に重きを置いた場合には、投入コストを小売店業界としては回収できない可能性が高まってしまうわけです。

 先ほどの御指摘ではありませんが、検定の運用上の内部性・外部性、あるいはコストの問題をどのように整理するのかということで、ある種パッケージでターゲット設定についても考えていかないといけないのではないかと、今の御質問を通じて改めて感じました。

○北浦参集者 感想めいた話になってしまうのですが、やはり先ほどの座長のヒアリングのときの質問に関連するのですが、やはり、教育訓練がどこまで外部化されているかということと大きく関わると思うのです。やはり日本の場合において企業の中の要素が強いし、いかに外の講座を受けても、最終的に仕上がりは企業の中でやっていく。あるいは資格を取ったといっても、その先にまだ工程があって、それで完成させていくというd資格を取っていくと、やはり資格というものの存在というのは余りハードなものにはなりにくいという。

 完全に外でしかできないというのであれば、これはもう完全に資格として成り立っていく。能力評価で出てくるのは資格なのか、そういうようなものを目指すのか。ソフトに目指すのかというと、現状的にはかなりソフト的なものが多くなっている。ただ、その中で、この中の問題意識にあるように、ハード的なものを抽出することがどこまで可能かということで、ハードと思っているジョブ型というのは私もよく分からないのですが、それが本当にそういう世界があり得るのかどうか。多分あるのかもしれないので、そういうものと混在する形で、この能力評価制度ができあがっているので、どちらで完成するということにはならない。将来的にはどうあるべき論があるのですが、実態論的には混在するかなという感じがいたしました。そういうふうに考えたときに、ここには書いていないのですが、技能検定制度は一体どこへ行ってしまうのだろうということも、問題意識に入れておいてもらったらいいと思うのですが、私が見ている限り、技能検定制度、ないし、それに準ずるような公的な制度も、実はハード的なものにかなり近いものとソフト程度の能力評価的なものと混ざっているような感じがするのです。そこのところが混在した形で技能検定は運用されているのですが、そこの交通整理をしていくということができないのかなと思いました。あとのアイディアは分かりませんが、取りあえず感想です。

○今野座長 どうですか。もう終わりにしますか。また、この資料をゆっくり読んでいただいて、趣旨が違うということがあるかもしれませんので、それを含めて御検討いただいて。でも、ここまではきていますよという整理ですので、大変有効だと思います。それでは、今日はこの辺で終わりにさせていただいて、次は国際的な動向についての有識者からのヒアリングを行います。有識者には谷口さんも入っているのですが、有識者からのヒアリングということでやりたいと思います。次回について説明をお願いします。

○小野専門官 第4回につきましては、既に委員の先生方に御連絡しておりますが、1213()10時から12時の開催を予定しております。場所等の正式な案内は追ってさせていただきます。先ほど座長からお話がありましたが、次回は国際関係のヒアリングということで、イギリスの取組に関して、JILPT国際研究部の天瀬次長と樋口調査員から、ドイツ、アメリカの取組に関して谷口委員からお話を頂く予定としております。なお、第4回につきましては、議事、資料ともに公開とさせていただきます。

 また、少し先にはなりますが、第5回につきましては、年明け1月中旬頃の開催を予定しております。これにつきましては、日程調整等、少し早いのですが、御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。

○伊藤課長 今、小野のほうから申し上げました、次回の国際関係の前半のヒアリングの後の持ち方ですが、今座長とも相談中です。本日、次回の国際関係に関連しての事例やデータを、御出席の各委員から関連する材料などをもし御紹介等いただけるのであれば、個別に、もう御相談をお願い申し上げている部分もありますが、是非ともお願いをしたいと思います。それから、事務局のほうでもこれまでの議論を踏まえ、若干の補足資料を予定しています。等々を考えますと、事前の御案内では、次回は10時から12時ということで御案内しているのですが、これから進行を組んでみたいと思うのですが、12時を若干オーバーする可能性もあると、現時点で事務局としては考えています。また予定時間につきましては、正式に御案内したいと思いますが、取りあえずお心積もりだけいただければ大変有り難いと思います。

○今野座長 遅れるのだったら思い切って遅れたほうがいいですね。では、今日はこれで終わりたいと思います。ありがとうございました。


(了)

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