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2013年11月18日 第11回肝炎治療戦略会議 議事録

健康局疾病対策課肝炎対策推進室

○日時

平成25年11月18日(月) 10:00~12:00


○場所

厚生労働省 共用第8会議室(19階)


○議事

○久永肝炎医療専門官 それでは、定刻でございますので、ただいまより第11回「肝炎治療戦略会議」を開催させていただきます。

 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 本日は現時点で8名の委員に御参集いただいており、会議の定足数に達しておりますことを御報告いたします。

 道永委員におかれましては、御欠席の連絡をいただいております。

 会議の開催に当たりまして、佐藤健康局長から御挨拶を申し上げます。

○佐藤健康局長 皆様おはようございます。本日は第11回の肝炎治療戦略会議を開催いたしましたところ、朝からお集まりをいただきまして本当にありがとうございます。この場を借りて厚く御礼を申し上げます。また、平素より肝炎対策についてはお力添えをいただいていることについて、これも厚く御礼を申し上げる次第でございます。

 私が申し上げるまでもありませんけれども、この肝炎治療戦略会議、平成20年度より有識者による専門的な検討を行う場所として開催されております。これまで肝炎研究7カ年戦略、さらにはそれを見直しまして10カ年戦略ということで、新たな肝炎治療薬の安全性、有効性について評価をいただくということでこれまでやってまいりました。

 私どももこれまで肝炎治療に関する研究の推進あるいは医療費助成の拡充に努めてまいりました。平成26年度予算の概算要求ですけれども、対前年度7億円増の195億円を要求いたしまして、さらなる推進を図ることといたしております。

 これも申し上げるまでもありませんけれども、新たなプロテアーゼ阻害剤であるシメプレビルにつきましては薬事承認をされ、さらには中医協で御審議をいただきまして、薬価の審議ということで薬価収載されることが決定されました。これにつきましてシメプレビルを使いまして新しい療法、併用療法も含めて治療法が保険適用となります。医療費助成制度においてもこういう新しい薬が出てきて、新しい治療法が出てきたということで、どう取り扱うか。医療費助成制度においてこれをどのように取り扱うかということを御審議いただく必要があります。

 本日の会議では、この基礎的な部分から今後の展開まで含めて御議論いただき、プレゼンもいただくことになっております。どうか限られた時間ではございますが、御審議、御検討のほどよろしくお願いいたしまして、簡単ではございますが、冒頭の挨拶にかえさせていただきます。どうかよろしくお願いします。

○久永肝炎医療専門官 カメラ撮りはここまでとさせていただきます。

(カメラ退室)

○久永肝炎医療専門官 それでは、議事に入ります前に配付資料の確認をさせていただきます。

 まず議事次第と配付資料一覧、座席表がございます。

 資料1「ウイルス性肝疾患に対する新規治療法に関する検討について」。

 資料2「C型慢性肝炎に対するシメプレビル+ペグインターフェロン+リバビリン3剤併用療法の有効性と安全性」。

 資料3「C型慢性肝炎に対するシメプレビルを含む3剤併用療法の有効性、安全性等について(案)」。

 参考資料1「肝炎治療戦略会議開催要領」。

 参考資料2「肝炎治療戦略会議名簿」。

 配付資料は以上でございますが、不足等はございませんでしょうか。何かございましたら事務局へお申し出ください。

 また、ここからの議事の進行を林座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○林座長 おはようございます。それでは、どうぞよろしくお願いいたします。

 本日の議事は、ウイルス性肝疾患に対する新規治療法についてでございます。その他、何かございましたら後ほどお聞きしたいと思っております。

 まず1番目の議題でございます。ウイルス性肝疾患に対する新規治療法についてでございますが、先ほどもお話がございましたように、C型慢性肝炎に対する治療薬でございますシメプレビルの薬価について審議が行われました。これに関しまして本日の検討事項について、まず事務局より御説明をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

○井上肝炎対策推進室長 資料1に基づきまして御説明させていただきます。

 背景といたしましては、本年1113日に開催されました中央社会保険医療協議会総会におきまして、シメプレビルの薬価について審議され、その結果、1119日に薬価収載されることになりました。これによりC型慢性肝炎に対するペグインターフェロン、リバビリン及びシメプレビル3剤併用療法が保険適用となります。したがって、医療費助成制度においてどのように取り扱うべきか、対応方針を検討する必要があるというのが背景でございます。

 検討事項としては大きく2点でございまして、1点目は医療費助成制度の対象とすべきかどうか。

 2点目、対象とする場合、条件を設定する必要があるか。具体的には対象患者の条件、治療回数の条件、その他の条件、こうした条件を設定する必要があるか。こうした点について検討いただきたく会議を開催した次第でございます。

 以上でございます。

○林座長 どうもありがとうございます。よろしゅうございますでしょうか。

 それでは、本日の進行でございますが、まずシメプレビルを含む3剤併用療法の有効性、安全性につきまして、国内臨床試験のデータにつきまして泉先生からプレゼンをしていただきます。その後、事務局よりここに添付してございます資料の説明をお願いいたしましてから、意見交換をさせていただきたいと思っております。

 それでは、泉先生、どうぞよろしくお願いいたします。

○泉委員 それでは、よろしくお願いいたします。

 私はC型慢性肝炎に対するシメプレビル+ペグインターフェロン+リバビリン3剤併用療法の有効性と安全性ということで報告をさせていただきます。

PP

 御承知のとおり、従来からC型肝炎についてはインターフェロンという注射薬が基本薬として用いられておったわけでございます。これに最近、C型肝炎を直接抑える飲み薬が開発されてきているということで、この2つの薬剤が大きく作用機序が違うということをまず御説明させていただきたいと思います。

 インターフェロンという注射薬は、体の抗ウイルス蛋白を誘導したりとか、免疫を誘導するということで、いわば間接的にウイルスを排除するという役目を担うものであります。したがいまして、体によって反応の仕方が違う。例えばIL28Bによって大きく抗ウイルス蛋白の誘導が違うということなので、体質によってインターフェロンの効果は影響を受けるというのが大きな差でございます。

 ところが、このウイルスにはプロテアーゼとかポリメラーゼとかNS5Aといったウイルスがふえるときに必要な蛋白がございますが、これを内服で直接抑えてしまおうという飲み薬が開発されてきているというわけでございます。今、発売されているプロテアーゼ阻害薬のテラプレビルが、最初にこれが認められたものになるわけであります。

 そうすると、体に対しては遺伝子に影響は受けないということになるわけでありますが、このウイルスがダイレクトにこういった蛋白に作用いたしますので、蛋白側に感受性、例えば耐性変異のようなものがありますと、薬剤の効果に影響するということが特徴となっております。現在はこのインターフェロンと内服薬をうまく併用して、ウイルスを排除するという効果を高めようということが行われているわけであります。

PP

 この中で登場してきたのがシメプレビルとなります。これは第2世代の経口プロテアーゼ阻害薬ということでありますが、ゲノタイプ1型のC型肝炎におきまして国内第2相治験が行われました。そうしますと1日1回の内服で抗ウイルス効果が強いということが認められておりますし、安全性のプロフィールが非常に高いということがわかっております。従来のものと違いまして、大環状型という少し分子が大きなものになっております。

PP

 我が国におきましては2009年から第2相試験が行われております。DRAGON試験というのが林先生が中心で行われたものでございますけれども、国内において第2相試験が行われまして50ミリと100ミリのシメプレビル比較が行われ、我が国におきましては100ミリが安全性と効果が高いということですので、以降、第3相は100ミリのシメプレビル、1日1回の内服で行われております。

 第3相は4つの試験が行われまして、1~3がペグインターフェロンα-2aを対象にしたもので、CONCERTO-4となっておりますが、これがペグインターフェロンα-2bを用いたものであります。

 1~3の違いでございますが、CONCERTO-1というのは初回治療、初めて治療をお受けになる患者さんを対象にしたもの。CONCERTO-2が前治療無効例。CONCERTO-3は前治療再燃、つまり一旦ウイルスが消えた患者さんと一度もウイルスが消えなかった患者さんを対象にしたものであります。我が国は最も順調に試験が進みまして、今回11月に承認に至ったというわけであります。欧米は少しおくれまして、アメリカの方では来年1月ぐらいに承認になるだろうという見込みでございますので、この薬は日本が世界で初めて承認して使用できる国になったというわけでございます。

PP

 まず、初回治療の患者さんケースを御説明したいと思います。

PP

 これは林先生が今年6月に行われました日本肝臓学会総会で御発表なさったものであります。患者さん全体、2群間2対1に無作為化に分けまして、1群の患者さんはシメプレビル100ミリ1日1回にペグインターフェロンα-2aとリバビリン3剤併用療法を12週間行います。その後、ペグインターフェロンα-2bとリバビリンの2つの治療を行うわけでありますが、ウイルスの反応性のいい方、すなわち4週で1.2Log未満または陰性化して12週でウイルスが消えている方は24週でストップ。それ以外の方は48週の治療をするということを決めておりますが、実際、48週間治療になった方は1人だけで、全ての患者さんは24週で終わっております。

PP

 こちらはプラセボでございますが、ペグインターフェロンα-2a、リバビリンだけであります。これは48週間まで治療をするという基準で試験が行われております。

PP

 背景でございますが、シメプレビル群とプラセボ群には大きな差がなかったというデータであります。欧米と違いまして日本では1a型の患者さんは極めて少ない。大多数の患者さんは1b型であるという患者さんでございます。

PP

 このシメプレビルの特徴は、完遂例が非常に多いという点でございます。123人が治療をお受けになって、24週で完遂できた方は113人。1人だけ48週間になりましたが、完遂できております。完遂率は123分の11492.7%であるという完遂率になります。

 一方、ペグインターフェロンのリバビリンは48週間治療をいたします。60人治療をお受けになって完遂できた患者さんは45人で、完遂率は75%であるということになりますので、シメプレビルの方が完遂率はよかったというデータになっております。

PP

 ウイルスの消え方に大きな違いがあって、プラセボ群、ペグインターフェロンの2剤に比べましてシメプレビルは早くウイルスが消えるということで、2週で非常に効率にウイルスが消えるというのが見てとれるわけであります。

PP

 最終的にウイルスは消えて、いわゆるSVR24、治療が終わって24週間でウイルスが消えている。いわゆる治ったと言われる患者さんでございます。シメプレビルは88.6%でありまして、ペグインターフェロン+リバビリン2剤の56.7%に比べて優位に高かったというデータが出ております。

PP

 治療中にブレイクスルー、つまり再び治療中にもかかわらず、ウイルスが増えてきてしまった患者さんは、シメプレビルでわずか1例でございます。治療が終わって再燃する方は118分の9で7.6%であったというデータでございます。

PP

 今回70歳までが対象になったわけでありますが、我が国で問題になります高齢者のデータであります。このシメプレビル45歳以下のウイルスが消えた患者さんは87%、4565歳が89.7%ですが、65歳以上70歳までが22人中19人ウイルスが消えておりまして、86.4%の治癒率になっております。

PP

 体の遺伝子のIL28B別の効果を見たものであります。プラセボ、ペグインターフェロン、リバビリンだけですと、インターフェロンが効きやすい患者さんは早期にウイルスは消えますが、インターフェロンが効きにくい体質の方はなかなかウイルスが消えないということになります。結果としてプラセボ群、ペグインターフェロン、リバビリンだけではインターフェロンは効きにくい体質の方で治った患者さんは22.2%ですが、インターフェロンが効きやすい方では71.4%になります。

 一方、シメプレビルを加えると早期からウイルスが陰性化をいたします。インターフェロンが効きにくい患者さんも早期から陰性化するということで、結果的にシメプレビルの患者さんでSVR24を達成した患者さんは、体の遺伝子がインターフェロンが効きやすい患者の93.9%、効きにくい遺伝子を持った患者さんでも78%であったというデータですので、このシメプレビルを加えることによって体の遺伝子の影響は余り強く出ないことが確認されております。

PP

 有害事象であります。シメプレビルはブルーで、プラセボ、ペグインターフェロン、リバビリンだけのものはグレーでございます。そういたしますと、シメプレビルを加えて有意に上昇したものはない。むしろペグインターフェロン、リバビリンの方が有害事象が多かったということですが、これは治療機関がペグインターフェロンが48週間であるということに関係していると思います。

PP

シメプレビル群とプラセボ群でこういった有害事象を比べておりますが、両群間で大きな有害事象の差がないということになります。むしろ発疹だとか脱毛がシメプレビルは少なかったというデータでありまして、これは治療機関がシメプレビルは24週間と短いということも大きく影響をしております。これは48週間というわけであります。

PP

 全体で見られました有害事象でございますが、ソブリアードというのは商品名でございます。プラセボ群と大きな差があったものはなかったというわけであります。食欲減退などはむしろ軽いぐらい。それから、精神神経症状の不眠とか、こういうものもむしろ治療期間が短いので、こちらの方が低い、シメプレビルの方が低いというデータになっております。また、胃腸障害もほぼ同じでございますので、特にシメプレビルを加えたので強く出るということはないというわけでございます。

PP

 さらに発疹、脱毛、掻痒感、これまでの第1世代のプロテアーゼ阻害剤は少し問題になったわけでございますが、これらの発現頻度はプラセボ群、ペグインターフェロン、リバビリンよりもむしろ低いぐらいでございます。したがいまして、プラスアルファの出る副作用というのはなかったということが証明されているわけであります。

PP

 唯一認められたのがビリルビンの上昇であります。中央値0.7だったビリルビンが治療を始めまして1週から2週で上昇いたします。2週間で0.9ぐらいまで上昇いたします。しかし、内服継続にもかかわらず、そのまま維持されまして、そして内服が終わりまして12週間後にはペグインターフェロン、リバビリンのレベルまで戻るということでございます。グレード3以上の、ビリルビンが5以上の症例は見られなかったというデータになっているわけでございます。

PP

 このビリルビンの上昇は第2相のときに認められております。このビリルビンの上昇というのは5ぐらいまでビリルビンが上昇する患者さんがいらっしゃったわけですが、グリーンの方が間接型ビリルビンであります。そうすると、このビリルビンの上昇はほとんど間接型だということで、黄色いラインはALT、肝機能であります。ビリルビンが上昇しても肝機能は上昇しないので、これは肝障害によるビリルビン上昇ではなくて、ビリルビンが肝細胞に取り込まれるところのトランスポーターをシメプレビルを抑えるためだと理解されております。したがいまして、このビリルビンが上昇することには余り心配はないので、そのまま治療を継続しても構わないということで第3相が行われているわけであります。

PP

 第1世代で問題になりました貧血でございます。ヘモグロビンは減るのですが、これはペグインターフェロン、リバビリンの減り方と全く同じでございます。したがいまして、シメプレビルを加えて貧血が進行することはないですし、高度な貧血、グレード3以上のものは一例も見られておりません。

PP

 発疹関連事象も第1世代のときに大きな問題になったのですが、これはむしろシメプレビルの方が軽い発疹も少ないし、グレード3以上の高度な発疹はなかったということですので、ペグインターフェロン、リバビリンプラスアルファの副作用はないということになろうかと思います。

PP

 次に、インターフェロンの種類を変えたCONCERTO-4の御説明をさせていただきたいと思います。ペグインターフェロンα-2bを用いた試験であります。

PP

 これは3つの試験が行われておりまして、初回治療が24人、前治療再燃、一旦ウイルスが消えた患者さんが29人、前治療無効例、一度もウイルスが消えなかった方は26人という試験でございます。12週間の3剤併用療法を行って、初回治療と再燃の患者さんはレスポンスガイドセラピーで24週から48週ということになっておりますが、前治療無効例は48週間治療をするというプロトコルで行われております。

PP

 最終的にウイルスが消えた患者さん、24週間後もウイルスが消えている患者さんは初回治療で91.7%、前治療再燃例、一旦ウイルスが消えた患者さんは96.6%であります。前治療無効例は38.5%というデータが出ております。

PP

 有害事象も比べられておりますが、初回、再燃、無効につきまして有害事象、グレード3以上のものが認められたものは、好中球減少が初回治療で重篤なグレード4が出ております。あとは再燃例で認められたものは高ビリルビン血症、末梢性Tリンパ腫というものが認められております。あとはアレルギー性皮膚炎が認められただけということであります。

PP

 そして、このCONCERTO-4のインターフェロンα-2bで用いた試験での有害事象というのは、3群ともほぼ同じでございまして、特に変わったものは見られなかったというデータでございます。

PP

CONCERTO-23というのは再治療のデータでございます。CONCERTO-2は前治療無効例、3が前治療再燃例でございます。

 前治療無効の患者さんは2群間に分けまして、12週間のシメプレビルとペグインターフェロンα-2aとリバビリンあるいは24週間の3剤併用療法を行ったというものであります。

PP

 前治療再燃例、一旦ウイルスが消えた患者さんは12週間のペグインターフェロン、リバビリンとシメプレビル3剤併用療法12週間を行った後に、レスポンスガイドで12週間の2剤あるいは48週間まで治療を続けるかどうかというプロトコルで行われております。

PP

 この定義でございますが、前治療無効例というのは一度もウイルスが消えなかった患者さん、あるいはベースラインと比べて12週でウイルスの減少が2Log未満だったために、インターフェロン24週までに中止した患者さんが前治療無効例としてCONCERTO-2の治験に入っております。

 前治療3は一旦ウイルスが消えた患者さんがCONCERTO-3の治験に入っているわけでございます。

PP

 背景でございますけれども、前治療無効例ではもともとウイルスが消えにくいので、インターフェロンが無効例はIL28BTTの効きやすい患者さんが少なくて、TGGGの患者さんが多いというのが背景でございますが、それ以外の背景は3群間に変化はないわけであります。

PP

 そして24週間後にもウイルスが消えている患者さん、再燃例で89.8%になっております。そして前治療無効例でございますけれども、12週間治療で50.9%、24週間3剤で治療すると35.8%ですから、24週間治療する必要はなくて12週で十分であるということになろう。この差は、この背景が少し違うということに起因していると思われます。

PP

IL28Bの影響を見たものであります。前治療再燃におきましてはTTであろうが、TGGGであろうが、インターフェロンが効きにくいか効かなかろうが、ウイルスが消えた患者さんは91.4%と85.7%で差がなかったというデータです。前治療無効例でもTGGGでは42.9%、インターフェロンが効きやすい体質の患者さんは50%と差がなかったので、ですから再治療のときにはIL28Bを調べるというよりは、むしろ前治療でウイルスがどのぐらい減ったかということを調べたほうがいいだろうというデータになっております。

PP

 ブレイクスルーは前治療無効例、全くインターフェロンが効かない患者さんで13.2%。11.3%で認められております。再燃例ではゼロでございます。そして、治療が終わった後にまた再びウイルスが出てくる再燃は、前治療無効例で38.6%と51%に認められています。前治療再燃の患者さんで再燃した患者さんは8.2%でやるという非常に少ないデータとなっております。

PP

 有害事象でございます。これは全部シメプレビルが入っている有害事象でございます。重篤なものはなくて、好中球、白血球減少が見られておりますが、それ以外の有害事象はなかったということですので、これはインターフェロンに関連した有害事象であろうと思われます。

PP

CONCERTO-2、無効例、再燃例、CONCERTO-3の試験の有害事象でございますが、いずれも際立ったものは認められなかったというデータでございます。

PP

 1つだけ、耐性変異だけは気にしなければならないことでございます。資料でこの後、治らなかった患者さんで耐性変異42人の方が耐性が認められております。特に第2世代のプロテアーゼ阻害剤の耐性であります168Vを含む変異が非常に多いということでございまして、この耐性変異が認められた患者さんが35例は168番の単独の耐性変異であったということになります。したがいまして、今後この168番の耐性変異ということは十分に注意すべきであろうと考えられているわけでございますが、欧米で言われているような治療前にQ80Kという変異があったら効きにくいということは、我が国ではないということだというわけであります。

PP

 以上をまとめますと、このシメプレビルの成績でございます。初回治療は88.6%あるいは91.7%、前治療再燃の患者さんは89.8%と96.9%と極めて高いウイルスが消える率となっております。前治療無効例では50.9%と35.8%あるいは38.5%となっております。

PP

 最後でございますけれども、この添付文書でございます。添付文書に書かれていることは、1番、2番は従来書かれているとおりでございます。3番にインターフェロンを含む治療法のうち、ほかのプロテアーゼ阻害剤に対する既治療例に対する治療経験はない。つまりテラプレビルを投与された患者さんでは投与経験はないと書かれております。これらの患者さんについてはウイルス性肝疾患治療に十分な知識、経験を持つ医師が前治療の種類、前治療に対する反応性、耐性変異の有無、患者さんの忍容性などを考慮した上で、本剤投与の可否を判断することと記載されているわけであります。

 以上でシメプレビルの御紹介を終わりたいと思います。

○林座長 どうもありがとうございました。

 ここで御質問がございましたらお受けいたしますが、よろしいでしょうか。

 それでは、続きまして事務局から欧米の成績等を含めた成績を、資料3で御説明いただければと思います。よろしくお願いします。

○井上肝炎対策推進室長 事務局でございます。資料3をご覧ください。C型慢性肝炎に対するシメプレビルを含む3剤併用療法の有効性、安全性に関して案として取りまとめてございます。

 ただいまの泉委員の御発表及び海外と日本の治験データが報告された論文をまとめた上で、1つには有効性、2つ目には安全性、それらを総合した上での助成制度の対処方針についてまとめたものでございます。

 簡単に概要を御説明いたします。まず一番最初、有効性及び対象については資料3の41ページ、枠内でまとめたところでございます。

 1点目としてはセログループ1、ジェノタイプ1のC型慢性肝炎に対するペグインターフェロン、リバビリン及びシメプレビルを含む3剤併用療法の治療効果(SVR率)は、初回治療例、再治療例ともに既存のペグインターフェロン、リバビリン併用療法と比べて高い。それから、RGT基準を適応することにより、多くの症例で治療期間短縮が可能であったと報告をされております。

 2つ目、ほかのプロテアーゼ阻害剤を用いた3剤併用療法の既治療例に対する治療成績は明らかになっておりません。前治療の反応性や中止に至った経緯によっては、シメプレビルに対する感受性を維持し、再治療の有効性が期待できる場合があると報告をされております。

 3つ目、RGT基準に適合する症例に比べて、適合しない症例におけるSVR率は概して低値にとどまります。また、インターフェロン療法による前治療無効例のSVR率も、初回治療例、前治療再燃例に比較すると低い状況です。一方で、インターフェロン療法の無効例については、RGT基準を用いて治療期間短縮を行った試験と比較をし、RGT基準を用いず治療期間48週とした治験の再燃率が低い傾向にあったという報告もございます。

 以上が有効性及び対象に関する、その後のページに掲載しておりますさまざまな論文の要約として、私ども事務局でまとめたものでございます。

 引き続きまして46ページ、安全性に関しては46ページの上に3点ほど、これまで発表されているデータを取りまとめて整理をしているところでございます。

 1つ目といたしましては、シメプレビルを含む3剤併用療法は、ペグインターフェロン+リバビリン併用療法と比較して、倦怠感や掻痒感、頭痛などの主な副反応の発生頻度・程度に差を認めない。

 2つ目として、シメプレビルを含む3剤併用療法では、光線過敏の頻度がやや多いと指摘されています。

 3点目として、シメプレビルを含む3剤併用療法において、一過性の血清ビリルビン値上昇が認められることがあります。通常は他の肝機能異常や臨床所見を伴わず、投与終了とともに軽快するが、その判断を適切に行う必要があるというのが安全性に関する、その後、掲載しております各種の論文の要約でございます。

 最後に48ページに移りまして、これらの有効性、安全性に関する各種の公表データを踏まえた上での事務局としての助成制度の対処方針案に関して、4点にまとめたものでございます。

 1つとして、C型慢性肝炎に対するシメプレビルを含む3剤併用療法を医療費助成の対象とする。

 2つ目として、対象患者は、HCV-RNA陽性のC型慢性肝炎で、肝がんの合併のない者とする。

 3点目として、テラプレビルを含む3剤併用療法の治療歴のある症例に対しても、担当医により再治療を行うことが適切であると判断される場合は、シメプレビルを用いた再治療を改めて助成の対象とする。

 最後に、助成対象となる治療期間は24週を原則とするが、インターフェロン療法の前治療無効例に限り、最大48週までの治療に対する助成期間延長を可能とする。

 事務局の整理案としては以上でございます。

○林座長 どうもありがとうございました。

 それでは、まず資料3の前半の有効性と安全性のところの記載で何か御質問等ございましたらお受けさせていただいてから、最後の対応案を御議論いただきたいと思いますが、最初の有効性と安全性のところの記載はよろしゅうございますでしょうか。

○八橋委員 確認というか、質問ですが、41ページの3つ目の○の箇所の「一方で、インターフェロン療法の無効については、RGT基準を用いて治療機関短縮を行った試験と比べて、RGT基準を用いず治療機関48週とした危険の再燃率が低い傾向にあったとの報告もある」記載されていますが、これは海外からの報告でしょうか。

○久永肝炎医療専門官 これは国内のCONCERTO-4のスタディを用いております。CONCERTO-4においては前治療無効例を一律に48週のシメプレビル、インターフェロンα-2b、リバビリンで治療されておりまして、そのスタディの結果、シメプレビル後の再燃率が低い傾向にあったという報告がありました。

○八橋委員 それは具体的に何パーセントと何パーセントですか。

○岡上委員 それは先ほどのスライドに出ていました。

○林座長 これは厳密な比較試験ではないので、先生のおっしゃるようにここに記載すべきかどうかについては御議論いただければいいと思うのですが、単に数字の比較上だけのことなので、2群間でこの比較をしているわけではございませんので、それについては先生のおっしゃる疑義というのはあるかもわかりません。

○久永肝炎医療専門官 45ページの一番下のところに、私の方でもCONCERTOスタディの概要をまとめておりまして、45ページの最後の方にCONCERTO-4の再燃率を26.7%ということで記載をさせていただいております。

○岡上委員 よろしいですか。無効例で今回の治療で著効になった例と著効にならなかったのは、168の遺伝子変異以外にほかに何か因子が見つかっていますか。

○泉委員 解析はされているのですけれども、唯一あったのがパーシャルレスポンダー12週で100分の1になったかどうかは多少影響があるのですが、しかし、全くヌルレスポンスでも著効例になっている症例もあって、明らかなものはなかったです。

○岡上委員 あと線維化の進展とか。

○泉委員 余り関係なかったです。

○林座長 ほかいかがでしょうか。

○泉委員 今の八橋先生の御質問なのですが、CONCERTO-2の試験がα-2aでレスポンスガイドでやっていて、CONCERTO-2bがα-2bでこれは一律48週やっているという治験の比較において、48週間のが再熱が低かったというデータです。

○八橋委員 今、確認したところ、CONCERTO-4の再燃率26.7%と比較しているのは、CONCERTO-2の再燃率38.6%と51.1%という数字なのですね。

○林座長 ただ、比較すべきでないと言われればそのとおりだと思います。

 ほかいかがでしょうか。

○熊田座長代理 1aだけの成績は出ていますか。

○林座長 1aだけの成績は今日の中には出ていません。

○熊田座長代理 わかっていますか。

○林座長 日本のですよね。正式に覚えていないですが、数例あるかないかだと思います。

○熊田座長代理 成績は出ていないですか。

○林座長 成績として分けたものは出ておりません。分けられるほどの症例数がないということでございます。

 それ以外いかがでございましょうか。よろしゅうございますでしょうか。

 それでは、これをもとにして、一番重要なのが先ほど最後に御紹介いただきました48ページの対応方針案でございます。今日はこれをお決めいただきたいということでございます。

 まず1番目のC型慢性肝炎に対するシメプレビルを含む3剤併用療法を医療費助成の対象とする。この件はよろしゅうございますでしょうか。それでは、これは御承認いただいたものとして、次の3点を御議論いただければと思います。

 まず1番目が、対象患者は、HCV-RNA陽性のC型慢性肝炎で、肝がんの合併のない者とする。これはいかがでございましょうか。

○泉委員 「ジェノタイプ1型の」を入れておいたほうがいいと思います。

○林座長 そうですね。

○久永肝炎医療専門官 わかりました。2年前にテラプレビルのときも同じ記載で、この上で添付文書の記載に沿ってということだったので、そのときはこれ以上記載はなかったようですが。

○林座長 テラプレビルでは1型は入りませんでしたか。

○久永肝炎医療専門官 最終的なところでは入っていないようです。添付文書の中でもうそれが書かれているのでということだったのですが。

○林座長 添付文書上で既に制限がかかっているので、1型以外には投与ができないということで、これには入れなかったのですね。

○久永肝炎医療専門官 はい。その当時は入っていなかったと記録されています。

○林座長 厚労省から各都道府県に出した文書については、1型の文字が入っていますかね。

○久永肝炎医療専門官 1型の文字は認定基準とかの中では入っておりません。診断書の中で記載をしていただいて、審査をしていただくという形になってございます。

○林座長 よろしゅうございますでしょうか。肝がんの合併のところもこれでよろしゅうございましょうか。ありがとうございました。

 次は3番目でございますけれども、テラプレビルを含む3剤併用療法の治療歴のある症例に対しても、担当医により再治療を行うことが適切であると判断される場合は、シメプレビルを用いた再治療を改めて助成の対象とするという記載でございます。これは添付文書の先ほどの2番目の文章に、インターフェロン関連の治療で再燃無効例については一応対象とするということが根拠になっておりますが、いかがでございましょうか。

○泉委員 要するにテラプレビルが不十分治療ということではなくて、十分に治療を受けても対象になるということですね。

○林座長 今のところ添付文書ですと、そこのところの記載がありませんので、十分な治療が行われたものも、行われていないものについても対象になるというのが添付文書上の記載になっていると思います。

○岡上委員 テラプレビルを含む3剤併用療法でヌルレスポンダーでも、主治医が適切と思ったらこの治療を行っても良いのですか

○林座長 これは事務局の方もそれもございまして、担当医に再治療を行うことが適切であると判断された場合はという記載は、事務局が恐らく考えられて、この文章を入れられたのだと思います。ただ、添付文書上で制限がかかっていないので、制限を書きにくいということで。

○岡上委員 ヌルレスポンダーはこの治療で著効になる可能性は極めて低く、治療適応から外した方が良いと思いますが如何ですか。

○林座長 ただ、日本の臨床試験上、ノンリスポンダーとパーシャルレスポンダーを分けていないのは、前治療でウイルス量をはかっている症例が非常に限られているのです。それで臨床試験も分けられずに無効としているので、前治療でパーシャルレスポンダーかノンレスポンダーか判定できない症例が非常に多いので、この記載を恐らく事務局も入れていないのだと思います。

○岡上委員 計っている人はわかりますね。

○林座長 ノンレスポンダーと確定されているものはわかります。

○岡上委員 というのは、私は医療費の無駄だと思うのです。ほとんど治る可能性がないわけだから。

○熊田座長代理 そうすると、41ページのプロテアーゼ阻害剤の3剤既往例に対する治療は明らかになっていないが、期待できる場合があると報告されているというのは、報告というのはあるのですか。

○久永肝炎医療専門官 in vitroになるのですが、国内ではないです。海外の7のin vitroのデータで耐性のプロファイルがテラプレビルとシメプレビルとで異なるからという。

○熊田座長代理 これがOKということであれば、最後も整合性がないですね。

○林座長 これは欧米のほうにも成績はありません。当然ないのです。

○熊田座長代理 ないのだけれども、vitroでは期待できると報告されているということをとった以上は、やはり前治療無効例のところもやってみないとわからないけれども、多分、岡上先生が言われたとおり、かなり厳しいことは事実だと思うのです。ですから前のところと後のところは一体になっているはずですから、vitroOKということであれば、やはり後ろは前治療無効でも再治療OKにしないと、話としては合わなくなると思うのです。

○林座長 ここのところはいろいろな経緯がございまして、添付文書上ああいう記載になったのは、当局からの要望もございまして、ここのところは緩和されました。最初のメーカー側からの申請については少し厳しい記載をしていたのですが、そこは緩和されたという経過がございます。

○熊田座長代理 助成だからなるべく幅広いほうがいいだろうという。

○林座長 担当医がそこのところを十分判断すべき。あるいは各都道府県で制限をかけると当然出てくると思いますけれども、それはそれぞれに任せてしまって、最初から余り制限をかけないでおこうというのが、恐らく事務局の御判断ではないかと思います。

○熊田座長代理 あと、vitroと書いておいたほうがいいと思うのです。誤解を招きます。

○林座長 では前の方はvitroを入れさせていただきましょうか。この後、この文章をもとにして各都道府県に通知が回りますので、各都道府県は各都道府県の事情で何らかの制限をかけている場合が多うございます。だから恐らく厚労省としては余り制限をかけてしまうと、各自治体のいろいろな制限について、制限を逆にかけてしまうということなので、かなり幅広く助成をしようということで、この文章を恐らくつくられたのだと思っております。添付文書で制限がかかったらそれは絶対だめなのですけれども、添付文書上にそこの制限がかかっておりませんので、こういう記載になっているということでございます。

 この点、3点目いかがいたしましょう。どちらにしてもすぐ成績が出てくると思いますので、どのぐらいの有効率かはすぐオープンになると思います。有効性が低かったら実際に治療する人はいなくなるだろうと思っています。ただ、今のところ成績はゼロですので、我々も効くとも効かないとも言えない状況です。よろしゅうございますか。ここのところはそのまま残していただいて、原則主治医の判断にさせていただくということにさせていただきたいと思います。

 4番目でございます。助成対象となる治療期間は24週を原則とするが、インターフェロン療法[(ペグ)インターフェロン製剤単独またはリバビリンとの併用療法]の前治療無効例に限り、最大48週までの治療に対する助成期間延長を可能とする。ここのところが一番どう書かせていただいたらいいのか、先生方の御意見をぜひお聞きしたいと思うのです。これは先ほどございましたように、ほとんどのところは24週治療で治療が終わっています。ただ、α-2bの無効例についてはプロトコール上48週になっていますので、48週間の治療がされておりまして、それが承認されていますので、添付文書上は48週まで当面は可能であるという記載になっておりますので、こういう記載を事務局がお考えになられたと思いますが、いかがでございましょうか。これは御意見があるところだと思っておりますが、いかがいたしましょうか。どうぞ。

○八橋委員 添付文書上は、24週か48週かについての規定はないですね。

○林座長 添付文書には48週まで投与が可能で、48週を超えて投与はできないと言っています。

○八橋委員 具体的に、このような症例は48週可能とは書かれていないですね。

○林座長 書かれていません。

○八橋委員 私は、主治医が48週の治療が必要と判断した例を助成することは良いと思っています。ただ、その判断として、前治療無効例だけを許可するのか、初回治療例、再燃例に関しても、実際治療をしてみて、リバビリンの総投与量が少なくなってしまった例などでは、少し期間を延長して治療をしたい例も臨床上はあるのではないかと思うのですけれども。私は、もう少し基準を緩和できないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○林座長 いかがでしょうか。これは御議論のあるところだと思います。

○泉委員 前治療再燃の患者さんというのは90%です。この90%がさらに48週間まで治療として、著効率が上がるかどうかというのはなかなか現実的には難しいのではないか。ですから前治療再燃まで含めて48週間というのは余りエビデンスがないかなと思います。

○熊田座長代理 私もこのプロテアーゼを含む3剤併用療法は期間が短いというのが特徴なのに、助成も48週にするという価値が減ってしまう、無効例では価値があるかもしれないのだけれども、再燃例が96%とか91%治癒しているのに48週にしたら100になるかというデータは何もない。

○林座長 上積みの1%か2%を追求するか追求しないかというところに恐らく。

○八橋委員 ほとんどの例は治療中にウイルスは陰性化しますので、24週で治療を終わる例が大多数だと思うのです。ただ、前無効例の方の方が、治療中にウイルスのブレイクスルー例が出てきますので、それだけを許可するみたいな矛盾点もあります。48週の延長投与について、前治療の反応性だけで判断するのか、今回の治療中の反応性を評価する方が良いのか、その点を疑問に思っています。

○金子委員 私も治験で再燃例を含めてレスポンスガイドをしたわけですから、レスポンスガイドをして48週というのはありだと思います。無効例に限らずです。前治療再燃例であってもレスポンスガイドで例えば48週が。

○林座長 RGTの概念に合致しないものについては48週投与を認めると。

○金子委員 はい。治験でそういうものをしたわけですから、そのほうが筋だろう。

○熊田座長代理 だけれども、レスポンスガイドをやって前治療再燃例で4週以降の例は1例もないのです。だから現実にはなかったわけで、あったものを比較するならわかるのだけれども、治験で再燃例でレスポンスガイドをやった例で4週以降に消えたという例は1例もないのです。

○林座長 それがナイーブ例で1例延長されただけなので、実際、延長された例がほとんどなかったので事務局もそれを考えられていると思います。

○岡上委員 この治療で全て終わりではなく、今後より安全でかつ著効率の高い薬剤が次々と出てくるわけで、著効率を1%、2%上げるためにそのような延長投与をする必要はないと思います。私はそういうことをする必要はないというふうに、熊田さんおっしゃったとおりと思うのです。

○林座長 そうです。ペグインターフェロン、リバビリンを入れて24週ということです。延長しても有効性は上がらなかったので。よろしいですか。

 では、今の御意見からいくと、実際問題RGTを適用しています。非適用症例が数例しかなく、本来から治験をやっていますので、それで48週をまで認めるのは当たり前なのですけれども、日本ではナイーブ例で1例しかなかったというので、例外的なことだろうということで、原則24週とさせていただく。無効例についは今の有効率は低いですし、中には48週まで延長して有効になる例も出てくる可能性は当然のことながらあるのと、一番の根拠はα-2bの併用がもともと48週で設定されていますので、無効例については48週投与する。

○金子委員 その疑問として実際にスタートして、助成の対象だなと思ってスタートして、レスポンスを見たらまだウイルスがいた。そのときに助成が打ち切られてしまうのかという問題が起きるのではないかと思ったのです。

○林座長 起こりますね。だから助成制度は逆に言うと対象は少なくても幅広くやっておいたほうが安全であるという考え方も成立すると思います。

○八橋委員 多くの症例は24週で治療を終えると思います。しかし、実際治療をしてみると、ウイルスの消えるポイントが5週目、6週目であった場合、延長投与が必要と考えるのではないでしょうか。この場では、狭く規定せずに、各都道府県の審査会で、反応性をきちんと審査するシステムにすればいいのではないかと思います。

○林座長 逆に前治療無効例というのは、既に前治療歴のある人と広げるだけではいかがですか。ナイーブ例ではなくて。ナイーブ例ははっきり言って無効な人も次の治療を考えますね。次の治療を考えると思うので、少し幅を広げて前治療無効例のかわりに既治療例に少し広げるかどうかというところぐらいではないか。実際は無効例しかほとんどされないと思いますけれども、金子先生おっしゃるように実際問題やりかけて、ただ、熊田先生おっしゃるように再治療例は著効率が高いですから。

○金子委員 恐らく非常に少ないのですけれども、陽性だった場合に助成を主治医が48週したいんだと思ったときに切れるかという話です。

○泉委員 今の金子先生の話は初回治療も含めてということですね。

○金子委員 治験がしてあるので、やはり再治療例に限るのだと思いますけれども。

○林座長 治験でRGT対象症例がもう少しあると、そこについてはそういう議論になると思うのですが、実際は1例しかなかったというのが、引っかかっていると思います。ただ、このままやるか、既治療例まで広げるか、ナイーブ例まで広げるか。48週の治療を認めるときに何か制限を入れるかどうか。

○坪内委員 その1例というのはSVRになったのですか。

○林座長 なっています。

○泉委員 その1例を救済するかどうか。

○岡上委員 保険でなら延長投与が出来るわけで、対象者はほんの数人なわけで、保険でカバーすればよいと思いますが。

○林座長 これはなかなか難しい。

○熊田座長代理 世界でもほとんど経口2剤の方にどんどん進んでいます。今回の発表もその発表しかオーラルがないくらいですから。

○林座長 実際にナイーブ例で無効だったらインターフェロンフリーの治療でいくという可能性が大きいので、そこであと24週間インターフェロン治療を続けるのは患者さんにとってプラスかマイナスかという判断は難しいと私も思います。

○坪内委員 それとResponse Guided Treatmentにしたときに、それを一々都道府県で審査するのも大変困難な状況にあるのではないかと思います。

○林座長 だから、とりあえずこの原案でいかがでしょうか。実際問題そういうことで多くなれば、そこのところはもう一度、実は来年、新規治療薬があって何回か開く必要がありますので、そのときに広げさせていただくというのも考慮するということでいかがでしょうか。

○八橋委員 わかりました。前治療無効例で導入される例は恐らく少ない、該当例は少ないと思います。ただ、私は、もう一文追加記述いただきたいと思います。そうでないと前治療無効例だったら全部48週延長というふうに手続上なってしまいますので。

○林座長 そこは実はそうなりませんで、あとの申請用紙にどう記載するかなので、事務局、何かお考えはございますでしょうか。

○久永肝炎医療専門官 今のテラプレビルが24週で最初から診断書が印刷されていますので、24週でしかまず最初、申請できないようになっていますし、今回のシメプレビルも原則24週ということであれば同じようにしようと思っています。その上で、今回のシメプレビルの治療経過の中で判断というわけではないのですが、過去のインターフェロン治療の治療歴を記載していただいて、途中で延長申請をとっていただくという形が一番自治体等の手間とか考えれば差し障りはないのでは。過助成を抑えるという意味でも、まず24週で申請していただいて、途中で48週への延長を出していただくという手続がいいのではないかと考えております。

○八橋委員 ただ、その延長手続というのは、前治療が無効というのをチェックするようなシステムになりますよね。

○久永肝炎医療専門官 そうですね。

○八橋委員 私は、それに加えて、主治医が投与期間を延長することが有効と判断した、という一文をチェック項目として追加していただきたい。そうでないと、前治療無効例であれば、審査上のそれにチェックされれば、自動的に延長を許可するようになります。チェック項目として、治療期間を24週から28週に延長することが有効と判断するとか、そのような一文を入れていただきたいと思います。

○熊田座長代理 でも主治医が出してくるのでしょう。

○八橋委員 審査、判断する者は、書類の記載状況で判断します。

○熊田座長代理 でも、主治医が判断して出してくるわけだから、主治医が判断すると入れたって入れなくたって、出してくる人はみんな主治医ですから同じだと思うのです。

○八橋委員 実際、審査をしていると、結局、延長の制度があって、その基準を満たしているので、とりあえず延長投与の手続を先に済ませてしまう先生方は少なくないと思っています。

○林座長 実はこれは今日お決めいただいたら、この文章をもとに事務局の方で各都道府県に送付する文書を作っていただきますが、申請書のモデルを作るのですが、結局、各都道府県で変えられるのです。厚労省からお送りするのはモデルの申請用紙なので、それぞれの都道府県で申請者に限定をかけている都道府県とか多くございますので、それぞれの都道府県でまた違うことを考える可能性があるので、今ここで余り細かいことを言っても、各都道府県が違う方に変えてしまうと意味がなくなる。

○八橋委員 わかりました。では都道府県の対応にしましょう。

○林座長 各都道府県の対応になると思います。

○八橋委員 わかりました。

○林座長 今、今日のこの対応案というのは大原則ですので、これをもとに実際の事務はテラプレビルの文書もございますので、それと整合性の合うように申請の文書とかいろんな文書を整えていただくことになりますので、よろしゅうございますでしょうか。あと制限の文書は入れなくてもよろしゅうございますか。このままで文章を。よろしゅうございますでしょうか。各都道府県によってはそれにさらに制限を付け加える都道府県が出てくる可能性はございます。

○金子委員 インターフェロン療法(ペグ)とありますけれども、この中には当然テラプレも入るわけですね。

○林座長 入ります。

○金子委員 その確認だけです。

○林座長 どうぞ。

○坪内委員 これも確認ですけれども、2番目の対象患者は肝がんの合併がないものとするというこの記載なのですが、これは肝がん根治例はいいということなのでしょうか。

○林座長 事務局いかがですか。

○久永肝炎医療専門官 これまでも既治療例も認められていたと思います。

○坪内委員 それは大丈夫ですね。

○久永肝炎医療専門官 はい、大丈夫です。

○林座長 ほかよろしいでしょうか。これで一応御承認していただいたということで、事務局から各都道府県へ出す文書は違う形の文書になるわけですね。これをもとにして文書をつくられるわけですね。それが各都道府県にまいりますので、各都道府県で申請用紙等を作成されるということになると思います。よろしゅうございますでしょうか。

 あと事務局、何かこれ以外に決めることはございますでしょうか。

○久永肝炎医療専門官 ありがとうございます。

 ちょっと確認ですが、先ほどの対応方針の4つ目の○のところも、主治医が適切であるとかいう記載は特にここでは不要でもいいですか。こちらにも改めて、テラプレビルの3剤の既治療例の方には、担当医により再治療を行うことが適切であるという文章を入れておいたのですが、先ほどのお話の中で主治医の判断とかいうことがあったのですが。

○林座長 どうしましょうか。入れても入れなくても余り変わりないので、入れていただいていいですか。入れても何も拘束はかかりませんので事務局で。

○久永肝炎医療専門官 ただ文章的に気持ちが悪かっただけです。すみません。

○林座長 ありがとうございました。

 そうしたら、これでシメプレビルの医療助成については終わります。

 それ以外に何か先生方、せっかくお集まりいただいておりますので、何かここで審議することがごさいましたら審議したいと思いますが、何かございますでしょうか。実際に今、運用されているもので何か困っていることがありましたら御議論いただけますか。よろしゅうございますでしょうか。

 なければ1時間で終わってしまいましたけれども、今日お認めいただいた文書をもとに、事務局から各都道府県に文書を送らせていただくということにさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 今年はこれで大丈夫だと思いますので、来年は何回か開かなければならないかもわかりませんが、また御協力よろしくお願いいたします。

 それでは、本日はどうもありがとうございました。


(了)

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