ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(年金記録問題に関する特別委員会)> 第7回年金記録問題に関する特別委員会議事録(2013年10月31日)




2013年10月31日 第7回年金記録問題に関する特別委員会議事録

○日時

平成25年10月31日(木) 17:00~18:31


○場所

中央合同庁舎第5号館 9階 省議室


○出席者

(委員)

磯村委員長、岩瀬委員、大熊委員、大戸委員、金田委員、喜田村委員、斎藤委員、白石委員、三木委員

(日本年金機構)

水島理事長、薄井副理事長、矢崎理事、深田理事、松田理事 ほか

(厚生労働省)

樽見年金管理審議官、赤澤事業企画課長、梶野年金記録回復室長、大西事業管理課長

○議事

(磯村委員長)

 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第7回の年金記録問題に関する特別委員会を開催したいと思います。

 では、事務局の方から予定の資料、議題に従いまして、よろしくお願いします。

 

(梶野年金記録回復室長)

 それでは1枚目の座席表の後ろに本日の議事次第があります。本日はこの3つでございます。それから、次の資料、これはいつも出させていただいております、取り組み事項の全体構図です。本日はこの赤いところ、それから社会保険労務士の方々にアンケートをさせていただいた、その結果をご報告させていただくということでございます。

 それでは、続きまして資料1を遠藤部長の方からお願いします。

 

(日本年金機構遠藤総務部長)

 総務部の遠藤でございます。私の方からは資料1の「日本年金機構の法人文書の管理について」に沿ってご説明をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 今回の資料の構成ですが、1ページをお開きください。4月の当委員会でお示ししました資料部分、これを網掛けとさせていただいております。2ページをお開きいただきたいのですが、その網掛け部分に対しまして、大きな矢印をつけて、その後の対応状況等を記載させていただいております。本日は対応状況を中心にご説明をさせていただきます。

 それでは、2ページからですが、2ページの下の方になりますが、既存文書の整理の中で、行政文書として国に移管すべき文書につきましては、26年4月に行政文書移管目録を厚生労働省に提出し、移管の指示を受けたいと考えております。

 次に3ページでございますが、3ページは文書管理方法の統一につきまして、行政文書の移管や文書廃棄に当たりましては、要領、それから手順書を作成し、9月に周知をしております。

 また、外部倉庫委託基準や文書編綴(へんてつ)基準につきましては、9月に各ブロック本部の文書管理担当者を招集しまして、説明、それから意見聴取を行いました。見直し案を各拠点に対して、11月に意見照会を行う予定としております。

 4ページをお開きください。この10月から、既存文書の整理に向け、文書目録の一覧表と箱整理票が紐付くよう、そのツールとして各拠点に対しまして、文書検索システム、これはエクセル形式でございますが、これを提示しております。その際に、検索の容易化の検討に当たりましては、使いやすさを十分に考慮し、検索キーの設定につきましては、多様なニーズに対応できるよう幅広にするなど、対応をしております。下の方に米印で書いてあるとおりでございます。

 続きまして、5ページをお開きください。5ページの各種文書のペーパーレス化、それから電子化の促進ですが、毎年増加する文書を貴重な情報源として活用するため、電子媒体で保管すべきであるとのご意見をいただき、同時に電子化し保管するに当たって、現行法令に抵触することはないのかとのご意見をいただきました。

 6ページをお開きいただきたいと思います。既に主要な届書につきましては、電子申請、または電子媒体による受付を実施しておりまして、これに伴い、届書等の管理保存も紙媒体から電子媒体へ移行していく方向で検討をいたしております。中ほどですが、機構が保有する文書の電磁的記録による保存の検討でありますけれども、公文書管理法及びe-文書法により、書面の保存に替えて、電磁的記録の保存を行うことが認められておりますので、適切に保存するための技術要件など、具体的手法につきまして検討を進めることといたしております。

 原本性の確保のための対応といたしましては、6ページの下の方に3項目記載しておりますが、ちなみに3項目につきましては、機構担当者が日本画像情報マネジメント協会に訪問しまして、規定、運用管理、ITシステムの中で通常業務として電子化されていることが正しい電子化プロセスの証明につながると教えていただいた内容でございます。

 なお、紙文書の画像保存における原本性の確保につきましては、行政機関の状況を継続調査中でありますが、新たな取り組みでございますので、問題点等の調査、検証を十分に行ってまいりたいと考えております。

 文書の電子化活用ガイドも参考に技術要件の検討を進めますが、その技術要件が7ページの参考1でございます。見読性、完全性、機密性、検索性になります。十分に検討してまいりたいと考えております。

 続きまして、参考2でありますが、現在の届書の受付時の媒体種別ごとの状況であります。現在は受付時の媒体を処理後、そのまま倉庫等で保管している状況でございます。

 8ページをお開きいただきたいと思います。参考3は行政機関等における文書の画像化の状況であります。現在までの調査では、紙文書については、これを電子化、画像化したものを原本として扱っている例はなく、保存期間内は紙文書を原本として保存している状況でございます。今後、他の行政機関等の状況につきましても、紙文書の保存期間との関係にも留意しつつ、調査を行うこととしております。

 9ページをご覧いただきたいと思います。9ページは年金局への移管、それから、整理対象文書に係る廃棄手順についてでありますので、省略をさせていただきます。

10ページをお開きください。26年3月までの6カ月間で、集中的に行うこととしている既存文書の整理の進捗管理でございますが、これにつきましては、本部の担当者が各拠点に赴き、進捗状況を確認することといたします。

 次に11ページ、12ページは、4月の委員会の内容でございます。永年保存すべき文書の整理につきましては、13ページでございますが、13ページの下段に主な届書の例を記載してございます。

 永年保存すべき文書の選定につきましては、年金記録の形成や個人の権利の保護に関する文書とすることを考えておりますが、慎重に選定をしてまいりたいと考えております。

 永年保存以外の文書の保存期間の見直しにつきましては、15ページでございます。見直しに当たりましては、全届書等、約3,000種類ございますが、各法令やお客様からの照会等も勘案し、各拠点に対して11月に意見照会を実施した上で、検討決定していきたいと考えております。

17ページをお開きいただきたいと思います。文書整理の検討に当たっての留意点の再確認でございますが、下の丸でありますけれども、永年保存すべき文書の整理、それから、永年保存以外の文書の保存期間の見直しとともに、文書保有量の減少についても検討が必要でございます。保存期間満了時に利用実績等を踏まえ、保存期間の延長の要否を判断し、保存期間の延長や廃棄などを適切に行っていきたいと考えております。

 続きまして、19ページをお開きください。19ページにつきましては、18ページの整理対象文書につきまして、厚生労働大臣の許可を得まして、9月に機構の文書管理細則別表に追加をさせていただきました。現時点で保存期間経過後に廃棄可能な文書は19ページに記載されております別表3と追加した文書でございます。

 次に20ページをお開きいただきたいと思います。返送郵便物の取り扱いについてでございます。本来、返送時の対応は、住所を確認の上、再送付や再発行などでありまして、返送状況を把握する必要はありますが、返送郵便物の保存までは不要と考えております。今後の取り組みとしましては、25年度から郵便物の様式を統一し、バーコードを印刷するためのシステム改修を進め、26年度にバーコード情報を管理するシステムを構築しまして、システム稼働は27年度以降になる見込みであると考えております。

 既存の返送郵便物のうち「ねんきん定期便」、それから、「ねんきん特別便」などにつきましては、既に返送状況をシステム管理いたしております。また、年金証書など、現物を再送付する必要があるものにつきましては、年金事務所に回付するなどして対応をしてございます。

 それ以外の既存の返送郵便物につきましては、当面、保管することとしまして、現物の保管の必要性、廃棄のリスクなどを十分に精査した上で、廃棄の時期を検討していきたいと考えております。

23ページをお開きいただきたいと思います。21ページ、22ページは4月の資料と同じでございます。23ページ、参考3をお開きください。これは機構が保有する文書の電子化・画像化のイメージでございます。上の方を見ていただきたいのですが、横軸として左側から右側へ現在から今後と、見直し前から見直し後という流れになってございます。上段の方が永年保存すべき文書の考え方、それから、下の方が永年保存以外の文書の考え方でございます。

 続きまして、24ページ、参考4でございます。これにつきましては、文書量と保管費用のイメージでございます。ラインが3本ございますけれども、マル1は何も対応策を講じない場合、現状のままの場合でございます。それから、2本目のラインですが、マル2は電子化はしませんが、見直し後の保存期間経過後に廃棄する場合、それから、マル3は電子化を行い、かつ見直し後の保存期間経過後に廃棄する場合のパターンをイメージしたものでございます。

25ページ以降は、それの前提状況と考え方による資料です。

 以上でございます。

 

(磯村委員長)

 ありがとうございました。エッセンスだけのご説明ですが、委員の皆さん、いかがでございましょうか。

 どうぞ。

 

(三木委員)

 電子化をどんどん進めていくということは非常にいいことだというように思うのですが、電子化をする際に一旦スキャニングしてしまって、その精度というのをどのくらいとるのか、また、どういうフォーマットで保存していくのかということに関して、こちらでも書いてあるとおり、よく検討することが必要だというように思います。その際に、過去の日本年金機構は紙台帳検索システムをJPEG2000で作っているので、一応基本的には紙台帳検索システムで過去不都合があったかどうかというようなことは、機構内の見解としても得ることができると思いますし、また、JPEG2000を開くためのアプリケーションであったり、そういうものについても一応機構内のパソコンに入っているという状況にはなっているはずなので、そういう意味では、過去のものとの親和性というようなところも含めて検討していただければいいかなというように思います。

 

(磯村委員長)

 いかがですか。

 

(日本年金機構遠藤総務部長)

 十分に検証してまいりたいと考えております。

 

(磯村委員長)

 三木委員、よろしゅうございますか。

 ほかの皆さん、いかがでしょうか。

 それでは、前回4月のこの委員会のお話と本日のお話と、少し話し言葉で確認をさせていただきたいのですが、こんな理解でよろしいでしょうか。機構で現在保存しているもの、あるいはこれから出てくるであろう文書、とにかく膨大な量になるが、その中身は大別すると、記録問題関連とそれ以外の一般分とがある。それで、これをそれぞれ今後、現在あるものに、これから発生するものも含めて、捨てるものと残すものに区分けをしなければいけないと。それで、残すものについては紙だけでは大変で、かさばるから、なるべく電子化、もしくは電子媒体化して残していこうと思っているが、そうすると、今度は原本性と検索性という問題が出てくると。では、この原本性、検索性、ほかの省庁でどこまでやっているのかと言って、調べたところ、どこもまだやってはいない。一応認められてはいるけれども、まだ実施に移されてはいない。そうすると、これは年金機構が初めてこういうことをやることになるということです。

 したがって、記録問題のものは少し後にして、まず一般分について、原本性の確保や検索の効率性が確保できるのかというところを実務的な検証をやってみた上で、その辺の様子を見ながら、年金記録問題についてもどうするか、これから考えていきます、ということで理解してよろしいでしょうか、前回と今回と合わせまして。

 

(日本年金機構薄井副理事長)

 基本的にはそういうことだと思います。ただ、各省庁を見たときに、やっぱり紙の文書をずっと保存するということに必ずしもなっていないんですね。一方で、年金の記録というのはそれらに比べると、やっぱりずっと持っておいて、どこかで確認できるようにしておかないといけないものが多いだろうとも思いますので、その辺との兼ね合いを見ながら、少しよく他の事例も見ながら、考えていきたいと思います。

 

(磯村委員長)

 昔、安易に捨てていたから、「おい、大丈夫かね」と言われないようにしなければいけないと、こういうことですね。

 

(日本年金機構薄井副理事長)

 そうですね、特に記録のところは。安易かどうかは別として、今、残っていないものがあるということは議論になりましたので。

 

(磯村委員長)

 そうですか。わかりました。

 その辺の記録問題についての本日のような細目のご説明というのは、一つは時間がかかりますね。やっぱり半年ぐらい先になりますか。

 

(日本年金機構薄井副理事長)

 現場の実態も含めて、少し私どもも確認しなければいけないし、それから、他の事例ですが、そこら辺も少し研究をする必要があると思いますから、少し時間がかかるだろうと思います。4月の議論を受けて、例えば採用書類とか、こういうのはもう捨てるということでやらせていただいていますので、その次のステップについては、よく現場の実態、それから、世の中の実態というのを踏まえて対応していく必要があると思っています。

 

(磯村委員長)

 という今の話し言葉のやりとりで委員の皆さん、いかがでございましょう。

 どうぞ。

 

(斎藤委員)

 慎重にアプローチしていただいているというのは、大変心強いことなのですが、そろそろ物、紙に頼るというメンタリティを変えていく時代だと思うんです。明かりが蝋燭から電気になり、今は半導体のLEDになっていったように、記録の媒体も変わりつつあると思います。紙は劣化しますし、燃えますし、水で溶けて流れるかもしれない。それからすると、電磁媒体の方がよほど保存をするという意味では適した媒体になっていると思います。ですから、それを紙から電磁媒体にどのようにきちんと移して、それを管理するかというところに神経を使っていただき、原本の管理には余り時間とお金を割いていただきたくないなというのが、私の思っているところでございます。

 

(磯村委員長)

 いかがですか、今のようなご意見。

 どうぞ。

 

(日本年金機構薄井副理事長)

 おっしゃるように、最初のステップから、これは三木委員もよくおっしゃっていますけれども、紙ではなくて、電子で申請を受け付けるとか、あるいは電子媒体で申請を受け付けるというのは、そもそも紙がない状態で私どもに情報が入ってきているものもあるわけですね。それを電子の状態で例えば年金の被保険者の原簿として記録を残していくというところがありますから、そういう入り口の話も含めて、できるだけ効率的に、かつ、ミスが起こらない格好で進めていく必要があると思っております。

 

(磯村委員長)

 よろしいですか。ほかはいかがでしょうか。

 本当にどこもやっていないことを、大掛かりな作業になると思うんですけれども、後の細かい点につきましては、またどこかしかるべき場でご報告なり、ご審議をいただくということでよろしゅうございますか。では、一つあとはよろしくお願いいたします。

 では、続いて次の議事へ参りたいと思います。

 

(日本年金機構鈴木厚生年金保険部長)

 厚生年金保険部長の鈴木でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 私の方からは、資料2でございます。「厚年適用(法人単位)(法人番号含む)」という資料について、ご説明させていただきます。

 まず、資料本体の中に入ります前に、少しこの資料、後でもお話ししますけれども、概略を申し上げますと、今の厚年の適用主体は、事業所主体になってございますけれども、それですと、同じ法人内でも異動があった場合に、資格喪失届、取得届とか、手続が煩雑になって、もしその手続に瑕疵(かし)があって問題があれば、加入期間に穴があくとか、そういう問題も起きかねないという話、あるいは、手続の簡素化といったようなこともありまして、一括適用制度、あるいは本社管理制度を推進していくということが考えられるのではないかというような論調でございます。

 そのためにも、少し一括適用、あるいは本社管理、どう違いがあるのか、何がどうなっているのかということを少し冒頭にご説明させていただきたいと思います。資料の中の4ページに簡単な図を用意させていただきましたので、これでまず、概略を説明させていただきたいと思います。

 一括適用につきましては、定義を簡単に申し上げますと、2つ以上の適用事業所の事業主が同一の場合に厚労大臣の承認を受けて、2つ以上の事業所を1つの事業所として適用できる制度と、あるいは、本社管理につきましては、本社で支社等の従業員も含めて、人事、労務等の管理が行われている場合に支社の従業員についても本社適用とすることができますと。定義を聞きますと、すぐにはわからないと思いますので、その絵でご説明させていただきます。

 一応単純化するために簡単な図で同一法人内における被保険者の転勤事例に係る届出の対応がどうなるかということで書かせていただいています。3つの転勤事例を一応考えてみました。

 まず、転勤マル1でございます。本社から支社AにXさんが転勤する場合。この場合はXさんの人事・給与管理は本社が行っていると。それから、転勤マル2の場合、支社Bから本社にYさんが転勤と。この場合、Yさんの人事給与管理は本社の方ではやっていないということでございます。それから、転勤マル3で、支社Aから支社BにZさんが転勤した場合、これもYさんと同じように、本社ではやっていないという類型で考えてみました。

 少し間を飛ばしますけれども、一番下の囲みのところ、資格喪失届・取得届の必要性の有無というところをご覧ください。それぞれの転勤のパターンでやはり違いがございます。一括適用を活用している場合には、それぞれの場合で資格喪失届・取得届が不要になります。

 一方、本社管理の場合は、転勤マル2、マル3の場合は引き続き必要になるんですけれども、本社で管理されているXさんにつきましては、届出が不要になるということになってございます。そして一番右のところ、本社・支社とも適用事業所というのは、今までの通常のパターンですと、全ての場合において必要になるということになってございます。

 あと少し説明を飛ばしましたけれども、間に昨今の企業形態の多様化との関連ということで書いてございます。少し申し上げましたとおり、同一法人内における被保険者の転勤事例ということで、典型的な一番簡単な図を書かせていただきましたが、ただ昨今、企業形態もいろいろ変わっていますので、こういったパターン、すぐに思いつくようなものについて、2つほど簡単に書いてございます。

 外国法人の子会社たる日本法人の場合、適用関係はどうなるのかということですけれども、外国法人とは法人が要は別でございますので、日本法人が適用事業所となるということでございます。なお、日本法人の海外子会社においては、日本法人で人事・給与管理等がされている日本人については、二国間協定により免除されない限り、国内法と国外法が適用されます。

 それから、持株会社関係ですけれども、持株会社グループはそれぞれ別法人があるということで、一括適用、本社管理の対象となりません。見ていただくとわかるとおり、一応、一括適用制度、あるいは本社管理制度は、法人格を超えて、別法人の間では適用されないということはおわかりいただけるかと思います。

 大体このような簡単なご説明をさせていただいた後で、資料の説明に入らせていただきたいと思います。まずは表紙をおめくりください。

 ここには、全体のまとめみたいな形で記載させていただいています。ペーパーの趣旨と申しますか、まとめみたいな形がございます。現在の厚生年金保険における適用主体は、一部の一括適用または本社管理を除き、事業所を単位とされています。このため、同じ法人内でありながら、本社、支社間で転勤があった場合には、被保険者の資格喪失届、取得届の手続が必要になり、適正に手続が行われないと、厚生年金加入期間に空白が生じる恐れがあります。

 一方で、先の制度改正によりまして、2810月から短時間労働者の適用拡大が法人を基準として実施されることとなっており、法人単位での適用の管理が必要となってくると。501人以上という話でございます。

 それから、また、社会保障・税番号制度が実施された際には、法人ごとに固有の番号が付されるとともに、行政機関等はこれらの番号を利用するということ、それから、法人単位とすることで、事業所においては、資格取得等の手続が不要になるなど、事務の簡素化となることから、このような状況を踏まえ、法人単位での適用の拡大を図ることが、将来のあり方ではないかと、そんな考えがあろうかと思います。

 それから、最後の丸でございますが、今後、厚生年金保険の適用事業においては、まずは一括適用制度、本社管理制度の推進をしていくことが必要ではないか。その上で、法人単位による管理のさらなる推進については、法令面の整備、事務処理体制面の構築、システム改修などに係る諸課題についての検討が必要になろうかと思います。

 2ページ目でございます。まず上の段は、これまで私どもがやってきた、一括適用制度、本社管理制度の推進、これまでの取り組みを書かせていただいてございます。一括適用や本社管理を推進することによりまして、届出漏れの防止を図ることにつきましては、1番でございますけれども、過去に24年9月ですけれども、チラシを配布してございます。また、25年、これからですけれども、11月送付分の納入告知書にも同封する予定でございます。

 また、2番のところでございますけれども、一括適用や本社管理ということは、事業主にとりましては、被保険者の喪失届や取得届の提出が必要なくなるということ、機構にあっては、繁忙期、特に転勤の3、4月の届出が減少するといった、お互いにメリットがあると想定されるかと思います。

 それから、(3)は、これまでの実施状況、どんな感じなのかということを数字で書いています。平成26年度の算定基礎届の提出時期に現況を調査するところでございますけれども、一括適用事業所は618代表事業所、1万225社が活用しているということでございます。

 それから、本社管理の方ですけれども、これは限定された数字ですけれども、25年度に実施した調査事業所の中の限られた話でございますけれども、本社が30社、ぶら下がっている支社が87社というような実施状況になってございます。

 2番目は、推進していくに当たって、今後の検討事項等ということで書かせていただいています。まず、1.でございます。一括適用あるいは本社管理の現状と問題点ということで、現状でございます。まず、一括適用の仕組みは法律で定められておりまして、本社において支社の社員に係る人事、労務及び給与の管理が行われている場合に、大臣の承認のもとで適用されているということがございます。

 比較でございますが、一方で本社管理の仕組みでございますが、18年に社会保険庁の、要は通知で定められておりまして、人事労務及び給与の管理を本社で行っている被保険者について限定し、事業主が年金事務所に申し出ることにより、適用されているということでございます。

 問題と方向性ということでございますが、マル1本社におきまして、本社・支社の社員全ての人事、労務及び給与が管理されている場合、一括適用も本社管理も実質的な差異がないにもかかわらず、一方は承認、もう一方は申し出のみで適用されるといった不整合がございます。また、現状の本社管理の仕組みでは、依然として資格喪失・取得届が必要になる場合があるということ、それから、2番目でございますが、そこで記録問題に配慮しつつ、一括適用または本社管理をさらに推進させるためには、例えば一括適用において簡便な手続で認めることはできないかというようなことを書かせていただいています。

 3ページ目でございます。将来的な検討課題ということで、(1)と(2)、(1)の方は短時間労働者への適用拡大を契機とした一括適用の推進ということでございます。中身の概要でございますけれども、短時間労働者への適用拡大、これが2810月から実施されますけれども、これを機に機構が管理する適用事業所情報に、登記簿に記載されている会社等の法人番号を組み込むことを考えてございます。適用事業所の法人単位での整理が可能になることにより、複数の事業所を持つ法人を特定して、勧奨ができるのではないかということでございます。

 それから、対応事項と当面の工程表、法人番号による突合等を可能とするためのシステム改修及び法人登記情報からの法人番号の取り込み、算定基礎届の時期を活用して、取り込めなかった番号を収録するというような手があるかと思います。また、法人番号の記載の義務づけ、これは省令様式ですので、様式に書かせるということでございます。また、その際は経済団体を経由して周知するなど、広く事業主に周知することを検討すると。

 それから、もう一つでございます。一括適用、あるいは本社管理の仕組み自体の見直しということで、課題を法令面、それから人員、事務処理体制の見直し、システム改修と3つに分けて書いてございます。法令面の検討事項ですけれども、承認、申請手続等の見直しということで、承認行為の廃止、一括適用における簡便な手続及び承認基準の緩和ができないか。

 それから、2番、人員・事務処理体制の見直しということで、年金事務所の調査権限の見直し、一括適用により、一の適用事業所になっている事業所の支社については、適用事業所とはなされないため、支店の存する年金事務所には調査権限がない。そこで、当該支店の存する地域の年金事務所が当該支社を調査できるような仕組みにはできないかということ。

 それから、人員体制の見直しで、調査権限の見直しに伴い、広域にわたる調査の企画・事務所間の連絡調整を行う担当部署が必要ではないかと。

 それから、システム改修、一括適用事業所(あるいは本社管理)の管理方法の見直しによるシステムの改修が必要なのではないかということで挙げてございます。

 あとすみません、説明していなかったのですが、一番最後のページに、あくまでこれはまだ検討中でございますけれども、一括適用制度の推進に係る工程表ということで、まだまだ検討中で、本当に粗々なことしか書けていませんけれども、こんなイメージで検討を進めていってはどうかというようなことで、今、私ども考えている最中でございます。

 資料の説明は以上でございます。

 

(磯村委員長)

 ありがとうございました。

 ご意見、ご質問、ございませんでしょうか。

 どうぞ。

 

(金田委員)

 基本的には私の認識と少し違うところがあるものですから、確認方々、意見を言わせていただきます。記録問題、転勤による空白期間の問題、これは今までの事例の中でも例えば25日に本社、5日間の待機期間というのですか、引っ越し等があって、支店には1日に行く命令が出たと。本社の事務は26日喪失、支店は1日に入社と。こういう手続が、もちろんこの手続は間違いなわけですけれども、もろもろ発生していたと。実はこの転勤の取得・喪失の取り扱いというのは、紙台帳管理方式のときの産物であろうと、このように思っているんです。オンラインになったら、転入届でいいんですよね。1日に支店に転入したと、そうしたら、オンラインで見られるわけですから、空白のないように継続した取り扱いができると。年金記録問題発生以降、そういう事務改善にまず取り組んできたのかどうかというところに指摘を申し上げたい。というのは、この本社一括制度というのは、再発防止策という範疇では捉えられないというか、大変大きな問題を含んでいると、このように理解をしているところです。

 というのは、適用拡大の法律がもちろん、これによると2810月、適用拡大というのは、法律ができたから、それに従って、各事業所がどんどん出してくるわけでも何でもなくて、特に短時間労働者に対する適用拡大をするときは、まずはその労働者に対する啓蒙活動、事業所に対する啓蒙活動。というのは、利害が一致してしまうわけです。非正規労働ですので、低賃金の中で保険料が発生してくると。会社も会社負担分が発生してくると。そういう中で、適用基準をクリアしながら、クリアしていないような方向で取り扱いしてしまうというのがどうしても起こると。適用拡大で一番大事なのは、やはり現場主義なんですよね。実態がわかっているところがきちんと管理をしていく。例えば、今までの方式ですと、全国にある年金事務所が適正で、公平な手続が行われているかどうか、これを確認していかなければならないと。そういう意味では、記録問題の再発防止策ということではなしに、これから社会保障の充実、それと国民皆保険、皆年金、これを短時間労働者に拡大していくという政策の中で、やはり現地、現場をきちんと押さえなければ。

 それと今、本、支店関係で権限移譲されていますよね。というのは、非正規労働のことをいちいち本社に報告しませんよ。そういう中で、どこに責任を持たせるか。だから、本社はもう支店の申告のために届けましたと。事務の軽減化につながるというけれども、今まで本社に報告する必要のなかったものを、本社に報告して、そして届けさせると。こういうことですよね、一括適用というのは。事業所単位で適用されていたものであれば、実態もそこにある。実態調査もできる。公正、公平な適用を推進することができるという、これは年金機構の記録問題云々ではなしに、厚生労働省の社会保障制度全体にかかわる大変大きな案件だと私は思うんですよね。そういう意味では、安易に一括適用を進めるということは、もう少しやはり実態を調査する等々、慎重な審議の上に対応していく必要があるのではないかと、このように思うんです。

 ですから、この1ページ目にある、今後の厚生年金保険の適用事業において、まずは一括適用制度、本社管理制度の推進をしていくことが必要であると、こういう結論が出るかどうかという問題だというふうに認識をしていますので、ぜひ先ほどのご説明でも、これはコンプリートされたものではないというご指摘もございましたので、慎重な対応をぜひお願いしたいと思います。

 

(磯村委員長)

 どうぞ。

 

(日本年金機構鈴木厚生年金保険部長)

 おっしゃるとおりで、一応その一括適用制度そのものが電子組織等を使って、本社にちゃんと情報が集約されているというのが前提にはなっていますが、それをちゃんと担保しなければならないということが当然ございますし、慎重にというのはおっしゃるとおりかと思いますので、引き続き検討させていただきたいと思います。

 

(金田委員)

 基準の緩和というのは、要するに人事労務管理、給与がきちんと本社で管理されている。当然、非正規雇用も含めて、パートアルバイトも含めてという実態があればというのが今までの取り扱いで、それを緩めるということは、逆に現場でそういう対応ができなくなるということですから、やはりあわせて慎重な対応をお願いしたい。

 

(磯村委員長)

 今の点はよろしいですか。

 どうぞ。

 

(日本年金機構白井記録管理部長)

 一括適用という基準をどのように緩めるかというところの議論はいろいろ出てこようかと思いますが、1点、当初、金田委員の方で最初にご認識をおっしゃられた中で、そういう異動のところですき間が出るのは紙時代であって、オンライン後は転入届1つで済んで、そういうことは発生しないというご指摘がございましたが、相変わらず、オンライン後も適用事業所が別々である限りは、同じ会社の支店、営業所間の転勤であっても、喪失あるいは取得という届出で処理をしてございます。それは電子で出ようと、紙媒体で出ようと、その媒体の種類には関係なく、届出の法律上の問題といたしまして、資格喪失届と資格取得届が相変わらずオンライン後も必要となってございますので、その辺のご認識はよろしくお願いしたいと思います。

 

(金田委員)

 その辺は私、一番最初に申し上げているので、要するに記録問題発生以後、手続の改善をしてこなかったのではないですかということを申し上げて、転入の届出で対応するということにすれば、今後、空白は発生しないのではないですかと、こういう提案もあわせて申し上げているので、今の仕組みを継続したら、空白が出るのが当たり前ですから、認識の違いで空白が出てきてしまうわけだから、それが出ないような手続を考えるのが先ではないかと、こういうお話を申し上げた。

 

(磯村委員長)

 どうぞ。

 

(日本年金機構白井記録管理部長)

 その辺の手続のところにつきましては、一括適用になれば、適用事業所、個々の営業所支店が適用事業所自体でなくなるわけでございますので、その間の異動につきましては、一括適用であれば、取得届・喪失自身がなくなるということでございますので、あわせてそのすき間も当然、自動的になくなるという認識で、一括適用が承認されている場合につきましては、制度上もそのようなすき間が生じないというふうな制度でございます。

 

(金田委員)

 わかりますよ。一括適用したらすき間が生じないというのは重々理解をしながら、一括適用の問題点を、私は指摘して、解決方法としては転入とか、そういう取り扱いがあるのではないでしょうかというふうに申し上げたと。

 

(磯村委員長)

 どうぞ。

 

(日本年金機構薄井副理事長)

 厚年法上でいう適用事業所、事業所という概念をどう考えるかということを金田委員はおっしゃっているんだと思うんですね。今は本社管理なり、いわゆる一括適用となれば、一つの事業所として見ていますと。そうでないときは、それぞれということなんですけれども、結局、Aという本社からBという支社に移ったときに、つながっているということを認めるためには、これが一心同体だということが言えないといけないわけなので、今の仕掛けは事業所ということですけれども、これは法律の根っこに絡む話だと思いますけれども、そういうご指摘があって、それが法令上どう整理できるかというのは年金局も含めて整理をしていく必要がある課題だろうなと思っております。

 

(磯村委員長)

 よろしいですか。

 

(金田委員)

 ぜひ法律改正等々が必要であれば、それはそういう対応になろうと思いますけれども、いずれにしろ、一括適用推進というのはかなり問題を含んでいると。再発防止であれば、再発防止策の一環としての対応をお考えいただければという趣旨でございます。

 

(磯村委員長)

 ありがとうございました。

 少し聞いていますと、金田委員のご質問のところと、そちらのお答えとが、少し微妙な食い違いがあると思います。恐らく推察いたしますに、金田委員のご質問の中身は、せっかく転入というその手続があるのに、何でそれを先に検討しないのかということのように受けとめたのですが、いかがですか。そんなことでよろしいですか。

 

(金田委員)

 いや、ないんですよね、今。

 

(磯村委員長)

 ないんですよ。

 

(金田委員)

 だから、ないからつくられたらどうですかと。再発防止のために。

 

(磯村委員長)

 その辺はどうですか。

 

(日本年金機構矢崎理事)

 それは薄井も答えましたけれども、今の厚生年金保険法の事業所単位というのは法律事項であり、金田委員もよくご承知のとおり、それは事業所単位では、支店から本店とか、支店間の移動もいわば厚年法では別の会社というか、別の事業所と位置づけているわけです。その法律構成自体を変えるかどうかということであり、単なる転入手続は存在しませんから、それは非常に大きな、厚生年金保険法体系自体の問題だと思いますので、それはまずは年金局の方でも十分お考えをいただくことだと思います。

 ただ、いずれにしても、重要なのは現行法を前提としても、いろんな会社の事情で一括適用とか、本社管理とか、やらないところも当然ありますし、やる以上は金田委員が言われるように、いろんな条件をクリアする必要というのがあると思います。それぞれ事業所ごとの適用があるという現行体系の中で、まず事業主さんによく制度の仕組みを知っていただいて、無意味に空白を生じなくするというのがやっぱり今の段階で取り得る再発防止ということではないかと思います。

 

(磯村委員長)

 せっかくですから、どうぞ。

 

(金田委員)

 やはり一括適用の基準緩和というところ、時代的には今、本社では一括管理できない状況になっているんですよ。非正規雇用等々が出て、それの適用拡大は短時間労働者に適用拡大していこうという方針の中で、一括で責任と言っても、本社は全く責任を持ちませんよ。だから、やはり今までの仕組みを生かした全面適用対応というのが最も施策としては大事ではないかと。記録問題の再発防止だから、一括適用を推進するんだという論理が本当にそれでいいのかという疑問を申し上げたと。

 

(磯村委員長)

 いかがですか、そちら。

 

(日本年金機構矢崎理事)

 もちろんいろんな側面があると思います。記録問題の再発防止という観点からこの問題を論ずるのか、それとも、別にこの委員会、今までの守備範囲、記録問題を狭義に捉えるか、広義に捉えるかというのは随分前から議論のあるところですが、そういう意味では記録にかかわる広い問題の中で、これをどういうふうに考えていくのかということだと思います。おっしゃるように、パート適用の問題がある中で、この問題をどう考えていくのか、そういうもう少し広い視点も必要でしょうし、それから、やはり大事なのは、金田先生のおっしゃられますように企業の実態というのをよく見据える必要もあると思います。いずれしても、今後、もちろん先ほど申し上げましたように、制度論、年金局マターもありますので、年金局とも相談しながら、また、専門家としての社労士会のご意見も聞きながら検討していくというのが妥当なところではないかなというふうに、大分個人的感想も入りますが、お話を聞いていてそう思いました。

 

(磯村委員長)

 よろしゅうございますか。ほかには。

 どうぞ。

 

(白石委員)

 今、回答が出たところに追加でお話ししていいかわかりませんが、基本的に今、適用事業所のお話で、厚生年金だけが少し一種独特の適用事業所みたいなおっしゃり方をされていますけれど、雇用保険においても適用事業所で、それぞれやっています。基本的に個人の番号、例えば雇用保険番号で届出を出しても、前社で資格喪失をしていなかったり、だぶっていたりしたときには、全部弾かれたりするわけですね。でも、年金の方は会社の番号で出しますから、前の会社が資格喪失していない、だぶっていても、入ってしまうという現実問題があります。これは確かに一括適用の方が、多分そういう漏れはないと思いますけれども、そこで一つ、その一括ではない違う事業所に就職したときの問題にも出てくると思いますので、ある部分、年金番号で資格取得したときチェックが入るような仕組みを考えていただいた方がよろしいと思いますし、あともし一括適用されるのでしたら、今、健保協会の番号、事業所に振り出されている番号もあって、厚生年金は厚生年金で番号が振り出されるとか、いろいろなところで、1つの会社において番号がいっぱい出てくると、やはり会社としては管理し切れない部分がありますので、そういうことも少しご検討していただきたいと思います。

 

(磯村委員長)

 その部分はいかがですか。

 

(日本年金機構鈴木厚生年金保険部長)

 そこについては、今、急にこうという答えは出せないと思いますけれども、ご意見として承らせていただきたいと思います。

 

(磯村委員長)

 検討課題ということでよろしいですか。

 ほかはいかがでございましょう。よろしいですか。

 何か今まで出ましたお話、年金機構の部分と法制度の問題、両面あると思います。何か年金局の方から特段、今のところはございませんか。

 ほかにご意見がないようでしたら、今の金田委員のご意見も白石委員のご意見もありましたので、それも加味しながら、記録問題だけの範囲で取り上げるということでも多分この問題はおさまらないと思いますし、かといって、いきなり全部コンピュータで管理しているんだったら、全部一括適用だとか、全部本社管理だというわけにも参りませんでしょうし、いろんな選択肢を残しながら、少しずつお互いにメリットのある事務処理誤りの少ない効率のいい方向を選択できるという余地を残しながら、この方向で行っていただくのはいかがかなと思うんですが、いかがでしょうか。何か金田委員、ご意見がさらにございますでしょうか。いや、全くこれはやめた方がいいと。

 

(金田委員)

 今、ある制度ですから、それはそれとして。ただ、やっぱり今、余り進んでいないというのは、実態がないからという部分もあるんですよね。要するに広報していないから進んでいないという理解も一方でありつつ、実態は現場がきちんとして、本社は関与していないと、現場の非正規労働等々について。ですから、終身雇用制度のときと、今、社員がこうやって異動するのももちろんあるんですけれども、現場採用、現場退職というのが非常に多くなっています。非正規雇用が3分の1を超えているという時代ですからね。そのあたりは、本社に採用されて、それが地方にどんどん回っていくのが大体8割、9割だみたいな昔の認識だったとすれば、それは少し違うのではないかなということを申し上げます。

 

(磯村委員長)

 どうでしょう、今のご意見、何かコメントございますか。

 

(日本年金機構鈴木厚生年金保険部長)

 特にあるわけではないですが、ただ、冒頭、おっしゃられたとおり、ちゃんと実態を見てということかと思いますので。

 

(磯村委員長)

 まだまだ実は検討課題もたくさんあると思いますので、では、これも先ほどの議題と同じように、どこかしかるべき場でいずれまたご報告やらご審議を願うということになると思いますから、本日のところは、今のようなご提案の方向で進めていただいて、しかるべき場でまたご報告をお願いすると、こんなことにしたいと思うんですが、よろしゅうございますか。今ある制度をどの程度ウエイトを持って進めていくかということで、一言付言いたしますと、ここに書いてある本社管理の数字が非常に少ない点については、これは事務局からお答えしにくいだろうと思いますので、私の方でお答えいたしますと、もうここ1年半近くこの数字を調べてくれということを頼んでおりました。なかなかつかまえられなかった。実はこういう制度があるということを、ほとんどの現場の人が知らなかったという一幕がございましたので、ご参考に供しておきます。

 事務局、何か異論がございますか。ということだそうでございます。

 では本件、以上でよろしゅうございましょうか。

 では、次の議事へ参ります。

 

(日本年金機構北波記録問題対策部長)

 それでは、資料3をご覧いただければと思います。記録問題対策部の北波でございます。どうぞよろしくお願いします。

 「社会保険労務士アンケート結果と対策の検討」ということで、本年の6月、当委員会から全国社会保険労務士会連合会に依頼がなされまして、それでアンケートをしたということでございます。社会保険労務士の皆様は日ごろより年金機構の事業、事務にご協力とご支援をいただいていると。その忙しい中で、385件の回答をいただきましたこと、また、取りまとめ等につきまして、多大なご努力をいただきました連合会の皆様に対しましては、まずはお礼を申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。

 この385件の回答につきまして、委員長のご指導のもと、どのような形で取りまとめるかということで、今回の資料を作成させていただきました。まずはここに、最初の表紙に書いてございますとおり、普遍的で具体的な提案、問題提起のあるものについて、現在の考え方を、これは日本年金機構、そして厚生労働省の考え方を記載させていただくというふうな形で資料を整えたものでございます。385件の中に個別の案件もございましたので、その案件につきましてもと思ったのですが、一つは普遍的なもの、問題提起があるものを中心にということで、この中では56項目を挙げさせていただいております。

 ただ、全てを説明しますと、大分時間がかかりますので、この中でかいつまんで、同趣旨の意見が多かったもの等につきまして、まずはピックアップしてご説明をさせていただきたいと思います。資料のところ、少し先回りでございますが、星印をつけている項目について説明をさせていただければと思います。

 まず、最初のカテゴリー、記録問題の対応のところの1番、項番1というところでございます。ここでのご提案というものにつきましては、年金記録、年金の請求時において、まさに記録の探索につきまして、担当者間で非常に記録発見のレベルの差が生じているのではないかと。そのような相談担当者のレベルにより、記録発見に差が出る可能性について、どのように対応しているのかと。また、この具体的なご指摘はございますが、店舗名、屋号と、そして適用法人名が違うとか、そういうふうなケースについて、また、それによって本人の記憶と実際の名称が違っているという場合があることについては、どのように対応するのかというご指摘がございました。

 考え方が右の欄でございます。私ども日本年金機構では、ここの1行目のところにございますが、「年金請求時等における記録の確認手順」というものを、統一的な調査手順という形で定めさせていただいております。ここの中では、やはり記録探索につきまして、必要に応じて幅を持たせて調査することなど、担当者間でレベルの違いが出ることのないように取り組みを進めておるというふうなことでございます。また、機構のLANでさまざまな情報を掲載しておりますが、その中でも各年金事務所からいただきました、屋号とその法人との対照であるとか、そういうような記録発見の参考とする資料を掲載して、そして現場で使うようにしているというところでございます。

 1枚めくっていただきまして、項番6でございます。ここにつきましても、同趣旨のご意見が5件あるということで、遺族、特に個人の場合の記録の確認というのはなかなか難しいと。これにつきまして、どのような配慮を行っているのですかというふうなご指摘でございます。右側をご覧いただければと思いますが、亡くなられた方の記録の確認というのは、ご遺族の記憶です。もしくは生前の資料などによって、確認をしていく方法とならざるを得ないという現状がございます。ご相談の際にもそのような資料等をご持参いただくよう、お願いをしているというものでございます。また、ご案内のとおり、「ねんきんネット」でも、ご遺族の方でも未統合記録の検索というのができるような形にもしております。

 申し訳ないのですが、なお書きでございますが、やはりそういうものが全くない場合というのは残念ながら統合することはできないということは、ぜひともご理解いただきたいというふうなことで書かせていただいております。

 引き続きまして、カテゴリーとしてはローマ数字2番になります。5ページ以降の再発防止への対応のところをごらんいただければと思います。

 1番でございます。これはご提言でもございますので、再発防止は制度の周知からというようなことで、まさに制度を知って、自分でチェックをするというふうな環境を作っていくことが大事ではないかと。その中で、学校教育等でそのような拡大を図っていくと。制度の周知を図っていきましょうというふうなご意見でございます。同趣旨のご意見が4件ございます。

 右側でございますが、現在も公的年金制度の周知につきましては、まさに「ねんきん定期便」、封筒で送るときにはパンフレットを同封するであるとか、また、各年金事務所が地元の大学や高校でお時間をいただいて、説明会を開催するとか、このようなことを行っております。さらにそういう取り組みはやはり地道な活動として推進をさせていただきたいと考えております。

 なお、ここにございます、学校教育の活用というものにつきましては、現在、厚労省としても重要な課題と認識されているということでございまして、ここに書いております、社会保障の教育推進に関する検討会、こういうものもございますので、そういう意見も踏まえつつ、あり方について検討を進められるということと伺っております。

 続きまして、7ページをご覧いただければと思います。項番の5でございます。これはあと数年後に迫りました、個人番号制度の導入に当たって、年金の業務が追いつくのかというご指摘でございます。ここに書いてございます、まさに番号制度の導入に関しては、個人番号というもので業務を進めるということになりますが、個人番号と基礎年金番号の紐付け作業などに必要な準備期間が足りないのではないかというご懸念をいただいております。

 また、個人番号を活用した適用業務というものを具体的に検討していただきたいというご指摘でございます。

 右側でございますが、機構では、かねてより住民票コードというもの、これは個人番号になったときは、住民票コードを一定のロジックで個人番号に変換されるわけでございますが、この住民票コードと基礎年金番号の紐付け作業というものを進めているところでございます。受給者の方につきましては、ほぼ全員、被保険者につきましても約9割の収録率ということでございます。今後も番号制度導入を控えまして、その取り組みを進めて、なるべくこの収録率というのを上げていこうということで考えております。

 実際、28年で番号制度を導入したときでも、なお、紐付けられないという方がおられますが、それにつきましても、29年に本格的に各種届出で利用できるまでの間で、なるべく個人番号の紐付けというものを進めていきたいと考えております。期限があることでございますので、取り組みは万全を期したいと思って頑張っているというところでございます。

 個人番号を活用した適用業務等につきまして、これは最後の段落、今後というところでございます。番号制度全体の動向も踏まえつつ、検討はしていきたいと思いますし、具体的な事務処理につきましては、随時年金事務所等への情報提供を行っていきたいと考えております。

 引き続きまして、8ページをご覧いただければと思います。8ページの8番でございますが、届書の入力に際して、この入力ミスというものをいかに防ぐかというところのご提言でございます。ダブルチェック、トリプルチェックなど、チェック体制の強化が必要であると。また、単なる入力作業ではなく、重要なことであるという認識のもとやるべきであるというご意見で、同趣旨のご意見が13件あるというところでございます。

 右側でございますが、届書入力、もちろんダブルチェックを行う旨、マニュアルを整備し、チェック体制の強化というものを日本年金機構としても図っているというところでございます。まず職員に対して、マニュアルの遵守の徹底を図っていきたいということでございます。

 また、なお書きでございますが、健康保険や厚生年金保険適用関係の届書につきまして、パンチ入力を外部委託しているという実態がございます。ここでも2度打ちをする機能を活用して、入力誤りの防止を図っているという現状の説明をさせていただいております。

 引き続きまして、9ページ、項番の11をご覧いただければと思います。これは適用事業所、また、新規の適用事業所での担当になられた方に対して、社会保険、この年金制度につきましての事務、そういうものについて、きちんと周知徹底を行うべきではないかというご意見でございます。事務担当者が変わった事業所に対しては、資料配布や説明を徹底しなさいというご指摘、また、事業主に対してということで、取得届提出時の厳格な本人確認と、このような同趣旨の意見が多数ございましたが、及び配偶者の確認を指導するというふうなご提言をいただいております。同趣旨が6件ございました。

 右側でございます。事業主、事業主という具体的な適用事業所の事務担当者がございますが、この方々を対象にした事務講習会というのが、基本的には毎年各年金事務所単位で会場を確保して実施をしております。ぜひご参加をいただきたいということでございます。また、新規の適用の事業所に対する事務講習会、この必要性も日本年金機構としては認識はしておりますが、まだなかなか取り組みが一部の年金事務所にとどまっているというところでございます。実施体制をどのように整えているかということも含めまして、検討をしていきたいと考えております。

 また、本人の厳格な確認でございますが、これはご紹介になります。2410月から、資格取得届提出時等に、基礎年金番号等でご本人や配偶者の確認ができない場合というのは、また、資格取得届は事業主の方に差し戻し、返戻をしまして、処理をしないという取り扱いにしているところでございます。

 続きまして、カテゴリーで言いますと、13ページからのカテゴリーの3番目でございます。事務改善への対応についてのご意見というのもいただいております。項番で1でございます。3号不整合記録に関してのご意見でございます。まさにこれは制度自体、被用者年金制度の配偶者という定義が浸透していないため、3号喪失の届出の勧奨も届出に結びついていないという実態があるのではないかということです。

 勧奨によっても、届出がされないものにつきましては、職権で喪失させる現行の処理を徹底してほしいということでございます。考え方については、右でございますが、24年2月から勧奨を行っても、実質的な届出がない方につきましては、ここに書いてございますとおり、事象発生後4カ月後に職権により3号から1号に種別変更の処理を行っているというものでございます。今年の国会でも成立をいたしまして、今般公布されておりますけれども、厚年法等の改正法におきましては、第3号被保険者であった方に対しましては、配偶者の扶養から外れた場合は、その旨を事業主を経由して届け出ることを義務化する規定を盛り込み、また、これにつきましては、平成2612月の施行の予定になっているというところでございます。

 引き続きまして、15ページをご覧いただければと思います。項番ですと、8番でございます。これは会社の業績悪化等によって、どうしても社会保険料の納付が困難になった事業所につきまして、一時的に事業主負担分を免除にするとか、そのような柔軟な対応ができないかというご指摘、ご提言でございます。

 これは右側でございますが、保険料というのはやはり納めてもらうことが必要でございまして、ただ、やはり納付が困難な事業所、そういう実態があることも認識しつつ、保険料の計画的な納付ということで、分割納付など、個々の相談にはきめ細かく応じているということでございますし、法律上、可能な範囲での柔軟な対応というのは当然とっていくべきだということで、ここに書かせていただいております。ただ、一番最後のところにございますけれども、ご質問のような例外を認めるというのは、社会保険制度のルールの根幹にかかわるものということでございます。

 引き続きまして、17ページをご覧いただければと思います。13番でございます。これは配偶者加算金、加給金に対するご質問、ご意見でございます。共済組合期間が混じっているという場合につきまして、過払い防止や加算漏れが生じないよう、共済組合からの情報提供によって、自動的に対応するようにしてほしいということでございます。

 現在におきましては、共済年金受給者については機構側で、このご指摘の中にも入っておりますが、受給額を把握できないため、このような不都合が生じているということでございます。

 右側でございますが、現状ではやはり共済組合からの情報を受けて、支給停止等の対応を行うというのはなかなか難しいということで、現時点におきましては、受給者ご本人から、この状況、加給年金額支給停止事由該当届書というものを提出していただいて、対応するということにならざるを得ないということでございます。

 ただし、なおということで、一元化法が施行されます平成2710月以降は、共済組合の加入期間も厚生年金期間に統一されて、判定をされるということになりますので、ここのところでは、年金情報を自動的に把握するための仕組みを共済組合とともに構築しようということで、取り組んでおりますということでございます。

 最後になりますが、19ページをご覧いただきたいと思います。「ねんきんネット」についてでございます。今後、「ねんきんネット」の普及を推進していくという方向の中で、もっと機能、使いやすさの充実を図っていくべきではないかというご意見でございます。

 右側でございます。「ねんきんネット」につきましては、さまざまなサービスを提供しておりますが、今後も第5次リリースというものを控えておりますので、届出の作成支援、また、スマートフォン対応というものを含めまして、さらなる機能の拡充や改善を実施予定ということで、できるだけ魅力あるネットづくりということで取り組んでいきたいということでございます。

 駆け足でございますが、全てを紹介できないということにつきましては、お詫びをいたしつつ、資料の説明としては以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 

(磯村委員長)

 ありがとうございました。本件、ご意見。

 どうぞ。

 

(三木委員)

 7ページの5番の番号制度に基づく紐付け云々という件なんですけれども、この紐付け自体というのは順次やっていけばいいんだというように思うんですが、非常に重要なのは、新しい制度の導入後に本人確認を確実に行いと書いてあるわけです。ここで一番大事なのは、何をもって本人として特定するかという本人を同定するための条件設定を新制度の後でどうするかということを機構としてきちんと決めるということが最も大事だというように思います。

 今までであれば、一応本人しか知らないであろうという前提で、氏名、生年月日、性別、住所の4条件が同じであれば本人であるというように、例えば電話で問い合わせがあっても、窓口に来ても、同定していたということなわけです。ところが、今後この新しい制度が入ったときに、本人確認を確実に行いと書いてあるものの、別に個人番号が入ったからといって、本人しか知り得ないものということであるかどうかというのは、個人番号自体が別にパスワードということでも何でもなくて、単にIDでしかないので、少なくとも事業主は知っているわけです。そういう意味では、別人になり切ることはできないかもしれないですけれども、いる人を、例えば奥さんとか誰かを自分の従業員だということに書きかえてしまおうと例えば思ったとして、もし、番号を知っていれば、そういうことをすることも可能という可能性もあるわけです。一番大事なのは、例えば住所なんかに関しても、今後は住基ネットから自動的に転記するというようなことで、確認しなくていいというようなことになるのかもしれないんですけれども、確認しなくていいというのは、結局、では何をもってキーとして、どの条件で本人と同定するかというのは、少し今までと違う条件を持たなければいけないはずなわけなんですね。そこについて、きちんと早期にポリシーを決めて、システム面にも反映しないといけないですし、オペレーションも検討しなければいけないと思います。

 実際、例えば考えられるものとして言えば、これは義務化はされているわけですから、事業主が住民票で確認するという、そういう建てつけになっているので、住民票を出させると。それは間違いなく本人だということを同定することができる方法の一つです。

 ただ、それは負担があるとか、いろいろな個人情報の問題があるということで、無理だったとすると、もう一段、引いた策としては、本人も確認をしましたということを、しかも本人にその加入を通知しますというようなことを、表明保証みたいなものを一届出ごとに事業主に出させるというような方法、また、3つ目の方法としては、事後的に、今は事業主にしか加入のお知らせは行っていないはずなんですけれども、届出の居所でもいいですし、住民票の住所をどちらにするかというのはあるんですけれども、郵送で、あなたはこれこれの厚生年金に加入しましたよという加入のお知らせのレターがお客様に直接行くと。事業主でなくてというようなフローで、間違った手続をすれば、おのずと個人個人、一人一人の加入者がわかるという、そういう仕組みにするというようなワークフローで、そういう間違いを起こさないようにするというようなことも考えられると思います。そういったことについて、ぜひともきちんと検討していただきたいと思います。

 もう一つ付け加えると、個人番号制度自体というのは、実は私の個人的な認識としては、過渡的なもので、やはりパスワードと乱数表に基づくカードのセキュリティというのがないと、実務上は本当は運用は回らないというように思っています。そういう意味では、今はそういうものがないから、一応国の制度だから、それに乗っていけばいいんだということになっているような認識でいるのですが、実際は恐らく一番最初に走り出す大規模な、お金に関係するシステムというのは、この機構のシステムであるわけであって、そこで後々になって、何でちゃんと確認しなかったんだと。結局、宙に浮いた年金問題と同じようなことがまた起きるというようなことが絶対にあってはいけないという認識ですので、そこはできるだけ国の制度だからということで、思考停止に陥らず、普通の民間企業であれば、IDとパスワードにセキュリティの乱数表のカードがなくて、何かの人に関してのお金のトランザクションを書きかえるというのは基本的にほとんどあり得ないと思うので、きちんと検討していただきたいというように思います。

 

(磯村委員長)

 本日はこの基礎年金番号、個人番号の議論の場ではないので、お答えはしにくいかもわかりませんけれども、何かあればどうぞ。

 

(日本年金機構矢崎理事)

 個人番号導入に伴って、どんなことを今検討していて、今、どういう状況だということは、11月にこの委員会でご説明する予定でありますので、詳しくは11月のときにまたご質疑願えればよろしいかと思います。

 まだ我々も検討中の部分は多いのですが、例えばどうやって情報の定義をどうするかという議論も当然その中にありますし、それから、その本人確認、これはその個人番号が入ろうと、入るまいと、例えば電話での応対のときに、どういうふうに本人確認をするかというのは、番号だけでいいのかという問題は当然、今後も残りますので、それはまた、どういう対応のオペレーションをするかということだと思います。

 それから、加入のお知らせという点では、ある意味、現在でも、定期便を送っていますので、ある程度それで代替はできると思います。要するに、加入時にいちいちお知らせをするということの、やはりコストベネフィットも考えなければいけないので、またその議論はする必要はあると思います。いずれにしましても、今、ご指摘の点、もろもろ11月のときにまたご報告したいと思いますので、そこでじっくりご議論いただければと思います。

 

(磯村委員長)

 よろしいですか。ほかは。

 どうぞ。

 

(大戸委員)

15ページの厚年関係の8なのですが、この意見は私どもも常々現場でこういう状況にある会社にいつも対面しているわけなんですけれども、法律は変えられないということなんですが、一方で、医師国保だとか、建設業関係は、国民健康保険片方で、厚生年金だけの負担でいいという会社があるんですね。そういうような会社と、両方入っていてもう業績が悪化して、なおかつ、延滞金を払いながら保険料を払っている会社と、何かその辺が不平等な感じがいたします。ずっと前からの事例としてそうなっているんでしょうけれども、片方はある程度、国民健康保険は事業主は負担しないで、厚生年金だけで、随分小さな会社でも、健康保険も厚生年金も会社が半分負担しているという会社が現実にあるわけですから、その辺を何か不条理に感じるんですけれども。やっぱりそれはそのままずっと、それは生きていくのでしょうか。

 

(磯村委員長)

 お答えできそうですか。

 

(日本年金機構矢崎理事)

 ご指摘はまさに制度論ですので、むしろ年金局それも年金課等の制度立案の担当課がいないと、多分お答えが的確にはできないかと思います。かつてそこの部局にいた私の個人的見解からすると、確かにそういうお声は聞くのですが、やはり被用者年金は被用者年金の体系の中で、労使折半の中で保険料をいただくというのが基本的な姿だろうと思います。それから、こういった議論に関しては、例えば小規模な事業所についての厚年適用自体をどう考えるかと、そもそも5人未満法人のところはどうかという議論もあろうかと思います。これについては、日本年金機構としても、我々の現場の一線からもこういう声を私達はもらいますので、何か考えられませんかという制度要望を23年3月に年金局の方に出しており、前回の制度改正の際の審議会でも、機構側で審議会で意見を述べる機会を頂いたので、私の方から現実問題として、小さなところでの厚年適用自体の考え方の見直しはどうでしょうかという問題提起をしました。しかし、まさにパートまで適用する中で、そういうことを言うのは時代逆行であるというのが審議会の先生方の大勢のご議論でありました。いずれにしましても、この点はまさに制度の根幹にかかわる企画立案の部分ですので、少なくともこの委員会の中で、なかなか結論を見出していくのは難しいのではないかと思いますが、年金局はそれでよろしいでしょうか。

 

(樽見年金管理審議官)

 すみません、具体的にどういうケースということを少し教えていただいて、私ども、まさに年金課の方に、これが終わった後でもいいのですが、教えていただきたいと思います。

 

(大戸委員)

 例えば、歯科の歯医者さんで、厚生年金には入っていて、片や健康保険は国民健康保険、医師国保というのがあるんです。それでなおかつ今度は建設業も土建国保というのがあります。それぞれ片肺で、厚生年金だけはとにかく入っている。だから、健保協会との兼ね合いもあるんでしょうけれども不公平な現状があります。

 

(梶野年金記録回復室長)

 確かに医師とか、建設業とか、弁護士さんは一部国保組合があります。それで、先ほど矢崎理事からもありましたように、厚生年金の世界で、ある一定の考え方でこれを適用していくという考えがあって、医療の方では経緯もあって、少しばらばらな点もあるということで、いずれにしても、ただ、実際としてはその負担の不平等があるということで、年金の方なのか、医療の方なのか、そこは少し引き取らせていただきたいと思いますけれども。

 

(大戸委員)

 わかりました。いつも私たち現場ですごく感じます。二、三十人の会社で、もうフーフー言いながら両方を払っているところと、片や10人ぐらいのお医者さんが半分で済んでいるという、何かおかしいなとずっと前から思っていました。健康保険も結構今は高いですから、両方を負担するというのは、本当に事業主は大変ですよ。よろしくお願いいたします。

 

(磯村委員長)

 社会保障審議会の一分科会なんですけれども、なかなか微妙な問題ですね。今のお話ではなかなか委員のご納得はいただけそうもありませんが、本日のところは、これはアンケートの取り扱いでございますので、なるべくその範囲内で少し対応したいと思うのでございますが、ほかにはいかがでしょうか。

 どうぞ。

 

(白石委員)

 アンケートの問題提起について、それぞれ考え方を記載していただいていますけれども、例えばこの一番最初の1番でみると、手順などについて窓口担当者によって結果が異ならないようにしていると言い切っていますけれども、現実問題として、相当対応者によって異なっているというのが現実なんですね。ですから、ここら辺のやはり現場サイドの教育なのか、そこら辺の、ここに出席されている職員の方と現場で大分温度差があると思います。そこら辺を今後きちんと、どこを切っても同じ回答が出るような職員教育をしていただきたいというのが要望です。

 

(磯村委員長)

 どなたかお答えになりますか。

 

(日本年金機構北波記録問題対策部長)

 日本年金機構も研修部というのを設けておりまして、計画的に研修をする、もしくは技能の向上に各年金事務所単位でも努めていただくということが大事だと思います。ここでは、していると書いていますけれども、今後はと書いていますので、していきたいというところも含めてお汲み取りいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 

(磯村委員長)

 そういうきれいな答弁でご納得いただけますか。

 ほかはいかがでしょうか。

 いろいろご意見もありましたように、とりあえずのところ、せっかくこうやっていただいた三百いくつのご意見に対して、今の委員の皆さんの質問の裏には何か本当にそれでいいのかという感じも見え隠れしていますよね。活字に書くとこういうことになるんでしょうけれども、少しところどころまだ、ポキッポキッと体言止めになっているようなところもありますよね。今さらこれを書き直すということではなしに、むしろ中身を伴わしていただくということで。あと本件については、これからどういう対応になるんですか。社労士会連合会さんの方に、何か正式にご返事をするわけですか。

 

(日本年金機構北波記録問題対策部長)

 これをまとめて、本日ここで、この委員会でご報告させていただきまして、それで時期を見て、お届けをしようと思っております。

 

(磯村委員長)

 そうですか。では年金局の方から連合会の会長さんにご返事をしていただくという段取りになるんですか。何かその辺、腹案はございますか。

 どうぞ。

 

(日本年金機構北波記録問題対策部長)

 いずれにいたしましても、年金局ときちんと相談して、きちんとした形で、こういう形で取りまとめておりますということと、それから、そういう形でお持ちをするということはする予定でおりますので。

 

(磯村委員長)

 そうですか。本日は議論が紛糾するだろうから、まだそこまでの手続は考えていなかったと。そうですか。

 

(日本年金機構北波記録問題対策部長)

 貴重なご意見をいただいておりますので、これをできるだけ私たちも現場からいただきました専門家のご意見として踏まえまして、できるところは可能な限り努力をさせていただく。これは基本方針でございますので、それとともにお伝えをして、ご報告にお伺いするような段取りを考えたいと思います。

 

(磯村委員長)

 金田委員、そういうことだそうでございますので、ほかの委員の皆さんもそんな方向で運んでいただいて、よろしいでしょうか。

 あと、これは年金機構のホームページなんかには掲載するんですか。そこまではまだ考えていないのですか。

 

(日本年金機構北波記録問題対策部長)

 いえ、これから。

 

(磯村委員長)

 これから考えると。そうですか。そういう話でございます。

 

(日本年金機構矢崎理事)

 ホームページ掲載は考えますし、この委員会で作成予定の報告書の中でも位置づけて、きちんと掲載をすることも考えられると思います。いずれにしても、それぞれ貴重な現場のご意見であり、これをしっかりちゃんと血が通うような検討をするようにという要請を本日の委員会で我々にいただいたというふうに受けとめてやらせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

(磯村委員長)

 血を通わせるだけではなしに、中身をつけてください。

 

(日本年金機構矢崎理事)

 わかりました。

 

(磯村委員長)

 よろしくお願いします。

 あとホームページその他、ご検討いただけるようでございます。また報告書にも載せる準備をしてくださるそうでございますので、こんな運びでよろしゅうございましょうか。

 それでは、一応3つの議事は予定どおり終わったわけでございますが、後は何か事務局の方からございますか。

 

(梶野年金記録回復室長)

 いろいろご意見いただいて、ありがとうございました。先ほどいろいろいただきましたご意見はそれぞれ担当部署にいろいろ伝えていきたいと思います。

 

(磯村委員長)

 1つお願いなんですが、いろいろ出ましたことは、やっぱりちゃんと項目を整理して、どれが終わって、どれが終わらないか、少しここ二、三回、それが抜けていますよね。ちゃんと整理しておいてくださいね。よろしくお願いします。

 そんなことで、本日は珍しく早く終わったのですが、これでお開きにしたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。

 では、どうも長時間ありがとうございました。事務局ご苦労さまでした。

 

(梶野年金記録回復室長)

 すみません、次回の日程だけ。次回は1126日の火曜日の3時からです。

 

(磯村委員長)

 それでは、よろしくお願いいたします。


(了)

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