ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(科学技術部会再生医療の安全性確保と推進に関する専門委員会)> 第9回科学技術部会再生医療の安全性確保と推進に関する専門委員会 議事録(2013年12月20日)
2013年12月20日 第9回科学技術部会再生医療の安全性確保と推進に関する専門委員会 議事録
医政局研究開発振興課
○日時
平成25年12月20日(金)16:00~18:00
○場所
厚生労働省 18階 専用第22会議室
○出席者
【委員】
永井委員長 | 位田委員 | 伊藤委員 | 今村委員 | 梅澤委員 |
掛江委員 | 佐藤委員 | 澤委員 | 辰井委員 | 花井委員 |
前川委員 | 松田委員 | 宮田委員 | 大和委員 | 山本委員 |
【事務局】
原医政局長 | 佐原医療統括管理官 | 城経済課長 | 一瀬研究開発振興課長 |
堀再生医療研究推進室長 | 佐野研究開発振興課長補佐 |
佐藤医薬食品局審査管理課長 |
○議題
1)再生医療の安全性確保と推進のための枠組みについて
2)その他
○議事
○堀室長 それでは、定刻となりましたので、第9回「再生医療の安全性確保と推進に関する専門委員会」を開会いたします。
先生方には、お忙しい中お集まりくださり、ありがとうございます。
本日、中日新聞社の野村由美子委員より、御欠席の連絡をいただいております。それから、辰井先生、花井先生、少しおくれていらっしゃるようですけれども、16名の委員のうち15名の委員に御出席いただくことで御返答いただいておりますので、本会議は成立しておりますことを申し上げます。
頭撮りはここまでとさせていただきます。ここから、委員長の永井先生に司会をお願いいたします。
○永井委員長 では、最初に事務局から本日の資料の確認をお願いいたします。
○堀室長 それでは、お手元にお配りさせていただきました資料をご覧ください。
まず、議事次第、座席表、委員名簿があり、続けて資料となります。
本日の資料は、資料1から7番でございまして、資料1については、1-1、1-2、それから、最後の資料7については、7-1、7-2、7-3と3種類ございます。
また、参考資料といたしまして、1から8を紙のファイルで机上に配付させていただいております。参考資料につきましては、委員会終了後、机上に置いたままで、お持ち帰りにならないようお願いいたします。
過不足、落丁等ございましたら、事務局までお申し出いただければと思います。
以上でございます。
○永井委員長 では、早速議事に入りたいと思います。
前回の専門委員会で、再生医療等安全性確保法の政省令制定のため、研究班を設置し検討いただくこととされておりました。本日は、研究班における検討結果の御報告をいただきまして、本委員会として政省令案についての議論を行いたいと思います。
議論に先立ちまして、再生医療等安全性確保法が成立しておりますので、今後のスケジュールを含めて事務局から御説明をお願いいたします。
○堀室長 それでは、お手元の資料1-1、それから1-2を御説明させていただきます。
まず、資料1-1「再生医療等の安全性の確保等に関する法律の概要」です。通常国会で継続審議となっておりましたけれども、臨時国会で成立しております。スライドの1枚目でございますけれども、施行の期日ということで、薬事法の一部を改正する法律の施行日にあわせるということで、公布が11月27日にされておりますので、これから1年を超えない範囲で定める日ということになってございます。
それから、ちょっと中身は飛ばさせていただきまして、資料1-2をご覧いただければと思います。今後のスケジュールですが、11月27日に法律が公布されておりまして、法律の施行、来年の11月ごろを予定しております。これに先立ちまして、来年の6月ぐらいには政省令を公布したいと考えておりまして、それに先立ちまして、4月、ないしは5月ごろに政省令案に対してのパブリックコメントを行いたいと思っております。本日は、それに先立ちまして、本専門委員会で政省令の案について御検討いただければと考えております。
それから、【補足】として3つほど挙げさせていただいておりますけれども、来年11月ごろの法律の施行前に、準備行為として、ここに挙げられたようなことができるということになります。法律の施行前においても、再生医療等委員会を設置するものについて、認定を受けることができる、また、特定細胞加工物を製造しようとする者は細胞培養加工施設ごとに許可を受けることができる、こういった準備行為ができることになっております。
それから、<施行後について>ということで、経過措置ですが、例えば現在、ヒト幹指針に基づき行われております臨床研究につきましては、法律の施行の際、現に行われているものにつきましては、施行日から1年を経過する日まで、この法律の関係の条項は適用されないということで、1年以内に切り換えていただくということ。また、細胞培養加工施設につきましては6カ月の経過措置というものがございます。
それから、最後でございますけれども、現在、ヒト幹指針に基づいて研究を行っていただいておりますけれども、法律の施行に伴って、この指針自体は廃止させていただくということで、今日御議論いただく政省令の中にヒト幹の指針を参考にさせていただいた点が多くあるということでございます。
以上でございます。
○永井委員長 ありがとうございました。それでは、これまでのところ、御質問、御意見ございますか。
どうぞ、大和委員。
○大和委員 ヒト幹を廃止するということになっておりますけれども、現行、既にヒト幹指針通って、臨床研究継続していて、その終了日が26年11月以降になっているものも多々あると思いますけれども、それの扱いはどのように考えるのでしょうか。
○堀室長 そういった研究につきましては、新法施行後に、先ほど申し上げたように、1年の経過措置ありますけれども、新法に基づいてそれぞれの手続を再度踏んでいただく必要があるということになります。
ただ、現行、ヒト幹の了承を一度受けているものにつきましては、そういったものとして取り扱っていただけるように、簡素な審査でやっていただけるような形を検討したいと考えております。
○永井委員長 ほかにいかがでしょうか。
もしよろしければ、続いて、再生医療等安全性確保法の政省令制定のための研究班における検討状況につきまして御報告をいただいて御議論いただきたいと思います。まずは再生医療提供基準等の検討状況についての報告であります。事務局から御説明をお願いいたします。
○堀室長 それでは、資料2から3、それから4まで一続きで御説明させていただこうと思います。3つのワーキングを研究班の中に設定いただきまして、そのうちワーキングの1で議論いただいた内容が資料2から資料4になります。内容は澤先生におまとめいただいたものでございます。
まず、資料2をご覧いただければと思います。資料2につきましては、法律の適用となる再生医療等の技術の範囲を政令で定めるということになっておりまして、法律の二条にその規定がございます。政令の案ですけれども、当初、厚生労働省側としては、ポジティブリストとして、こういった技術が対象になるということを書くことを想定していたわけでありますけれども、ワーキングの議論の中で、むしろ今回の新法の対象にならない技術をネガティブリストとして抜き出すべきではないか、という議論をいただきまして、除くべき医療技術ということで、ここに5つほど例示させていただいております。
1番目でございますが、造血幹細胞移植として、造血幹細胞の機能に改変を加えない造血幹細胞ということで、骨髄移植、末梢血造血幹細胞移植、臍帯血移植。
それから、2番目といたしまして輸血ということで、赤血球、血小板等の輸血、自己血の輸血等がこれに当たります。
また、3番目といたしまして生殖補助医療ということで、体外受精等の生殖補助医療についても対象から除くべきということでございます。
それから、4番目でございますけれども、臓器移植ということで、臓器移植法の対象になるような技術もございましょうし、また、生体からの移植といったものについてもこの法律の対象外とする。
それから、5番目、組織移植ということで、組織に対し簡易な操作のみが加えられるものということで、血管のグラフトですとか皮膚の移植等の用手的な操作ですとか、簡単な操作のみが加えられたものについては新法の対象外としてはどうかということでございます。
続けて、資料3をご覧ください。新法の中で、医療技術をリスクに応じまして3つに分類して、それぞれごとに必要な手続を定めるということですが、このリスク分類を省令で定めることになっています。ワーキングの中の議論では、やはり臨床の先生方にもわかりやすい形で、1枚おめくりいただきまして2ページですけれども、こういったツリー図、デシジョンツリーの形でまず議論して、これで同意が得られれば役所のほうでその省令に書き下してはどうかということで、図の形式で議論いただきました。
まず最初に、一種を分けた後に、次に今度は二種を分けて、最後に残るものが三種ということになっていますが、まずES/iPS細胞を使ったものは当面は一種、それから、細胞内に蛋白を導入して未分化の状態にするような技術があった場合については第一種、また、遺伝子治療や遺伝子導入したものについては第一種、また、ヒト以外の異種の動物細胞を使ったものについては一種、また、自家、他家という切り分けから申しますと、他家由来の細胞を使った場合には一種にしてはどうかということでございます。
次に、幹細胞を利用しているかどうかというところで1つ分岐がありますが、幹細胞を利用しているもので、さらに培養を行っている場合、現在、例えばヒト幹の臨床研究の多くがここに当たりますけれども、これについては第二種、さらに培養を行っていない場合で、Homologous useと書いておりますけれども、この相同利用、採取した細胞組織が患者さんの適用部位の細胞組織と同様の機能を持つ投与方法、例えば脂肪の細胞をとってきて脂肪として使うといった場合については第三種、そうでない場合については第二種ということです。
それから、幹細胞を利用していない場合につきましては、ヒトの身体の構造又は機能の再建、修復又は形成を目的としている場合については第二種、そうでない場合で、また、Homologousかどうかということで、Homologousの場合については第三種、そうでない場合については第二種ということで、この左側の一番下、第三種に当たるところにつきましては、例えばがんに対する活性化リンパ球療法等がここに当たると考えております。
それから、資料4を続けてご覧いただきまして、資料4は「再生医療等提供基準」ということでございます。再生医療等提供する医療機関は、この基準に沿った提供計画を委員会に提出しまして審査を受けていただくことになります。
1枚おめくりいただきまして、4つのグルーピング項目がありますけれども、まず人員、構造設備に関するところが2ページ目ということで、人員につきましては、実施責任者を置いていただくこと。実施責任者は医師又は歯科医師であって、対象となる疾患や関連する分野について十分な科学的知見や経験、知識を有している方であること。
構造設備につきましては、急変の対応ということで、救急医療を行うために必要な施設を有していること。また、小さなところでやるということも考えられますので、そういった設備がない場合につきましては、連携してやっていただくことでもいいのではないかということでございます。
それから、3ページ目の2.をご覧いただければと思いますが、次のグループが細胞の入手の方法、それから、特定細胞加工物の製造、品質管理の方法ということで、ここに規定している項目の多くにつきましては、現行のヒト幹指針からその内容を参考にさせていただいて設定しているものでございます。医療機関の要件といたしまして、採取する医療機関が満たすべき要件、採取の適切性の確保等の規定がございます。
1枚おめくりいただきまして、ドナーの方からのインフォームドコンセントに関する規定が4ページに記載がございます。項目自体はヒト幹指針を参考に設定させていただいておりますけれども、例えば四の同意の撤回に関する事項ですとか、六の費用に関する事項については、原則的な項目なので、インフォームドコンセントに関する項目の中に書き込むのではなくて、その原則をきちんと書き込むべきであるという御意見をいただきまして、次のページをご覧いただきますと、11)に同意の撤回ということを書かせていただいておりますし、また細胞の無償提供ということで、再生医療に用いられる細胞は、必要な経費を除き、無償で提供されるといったことで、項立てをして書き直しているということでございます。
それから、1ページおめくりいただきまして15)を見ていただければと思います。これはワーキングの1番で議論いただいたものではなくて、CPCの設備基準等を議論いただいた最後の班で議論いただいた内容でありますが、この作る細胞につきまして、どういった細胞を作るのか、概要書というものを作成して、細胞培養を行う施設に対して指示するということで、その際には法律の四十四条の製造、それから品質管理の基準を守らせて作るということで規定しております。
7ページ以降が3つ目のグルーピングで、安全性の確保に関する事項ということで、この項目につきましても、基本的にはヒト幹指針を参考に設定させていただいております。
また、8ページには、患者さんのほうへの説明、同意の規定がございますが、これはドナー側への説明・同意と同じような観点から見直しを行っております。
9ページ目の下、11)でございますけれども、試料の保管ということで、ドナーに関する試料の保管。
また、1枚おめくりいただきまして、患者さん側、再生医療を受ける方の試料の保管ということで、行った日から一定期間保管するという規定を置いております。
それから、安全確保の上で重要な、重大な事態が起きた際の措置ということを14)に規定しておりますけれども、イとしまして、再生医療を行った医師又は歯科医師は、そういった有害事象が発生した際には、この再生医療提供機関の管理者にその旨を報告すること、その報告を受けた管理者は、医療を中止するとか、その他必要な措置を講じるように指示すること、また管理者は、その細胞を製造した特定細胞加工物製造事業者に対して発生した事態及び講じた措置について周知してくださいという項目を置いてございます。
それから4.といたしまして健康被害の補償という規定でございます。まずイのほうにつきましてはドナー側への健康被害の補償。これにつきましては、研究なのかそうでないのかということにかかわらず、保険への加入、その他必要な措置を講じていただく。また、ロにつきましては、患者さん側でございますけれども、当該再生医療の実施に伴い生じた健康被害の補償のために、保険への加入その他の必要な措置を、研究として行われた場合に限るということでございますけれども、講じていただくという規定でございます。
その他、12ページにつきましては、倫理配慮、教育訓練、苦情への対応、個人情報の保護といった規定を置いてございます。
以上、駆け足でございますけれども、資料2から4の説明でございます。
○永井委員長 ありがとうございます。それでは、これまでのところで御質問、御意見をいただきたいと思います。
伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 ちょっと説明でも伺ったのですが、資料4の11ページですが、ここで言う保険への加入というのは、施設側が民間の保険に加入をしておくという意味ということでよろしいでしょうか。
○堀室長 そのとおりでございます。
○伊藤委員 患者側が入るとかいうことではないのですね。
○堀室長 患者ではなくて、提供する機関が行うべき措置です。
○永井委員長 ほかに。
宮田委員、どうぞ。
○宮田委員 確認なのですけれども、資料3の裏のデシジョンツリー、リスク分類のツリー図の中で、幹細胞というのはやはりかなり重要なリスク分けの位置を占めていますけれども、この幹細胞をどう定義するのかというのを少し伺いたいという気がします。なかなか難しいと思うのです。
○堀室長 ワーキングの中でもここについてはさまざまな御意見があったと思いますけれども、引き続きその各用語の定義も含めて通知等で規定していく作業が必要になると思いますので、引き続きここは先生方から御意見いただきながら検討していきたいと考えております。
○宮田委員 これは第三種の例としてがんに対する活性化リンパ球などとおっしゃっていますけれども、それは本当にこのリスクツリーから第三種になるのですか。その根拠はどういうことですか。特にHomologous useというところに関して。
○堀室長 当然、さまざまなところで除外、横に分かれていく可能性がありますので、その横に分かれていく要素がなければということになろうかと思いますけれども、例えばその遺伝子を導入するようなものがあったりということであれば、当然そこはそういったところで分かれていくことになろうかと思いますが、それ以外の場合につきまして、多くのものがそこの下のまっすぐ落ちてくるところに入るのではないかとは考えております。
○宮田委員 ですから、がんに対する活性化リンパ球がそうだという例示は僕は適切でないと思うので、今後そこは使わないでいただきたいなと思っています。
それから、もし仮に、この法律の外に出ていますけれども、そういったものが効くという根拠もないのに効くというふうに例えば表示する場合はやはりほかの法律で規制されるということになりますね。それはちょっと確認させていただきたい。この法律は範疇を出ていますけれども。
○堀室長 今年に入りましてからも、広告の関係は対応いろいろさせていただいておりますけれども、そういった面では引き続き同じような対応が必要になるかとは考えております。
○宮田委員 それを確認させていただきました。それで、ぜひとも幹細胞と培養という言葉、これをきちっと定義しておかないと混乱が残ると思います。あるいはQ&Aなどで少し具体的に記述したほうがいいと思います。
○永井委員長 澤委員、どうぞ。
○澤委員 今の幹細胞の話ですけれども、たしか委員会では、やはりヒト幹で現行で、あのヒト幹をつくるときも、たくさんの議論の中で、一応指針としては走っておりますので、あのイメージでいくという話だったように私は記憶しているのですが、それをうまく書き込んでいただくということで、よろしくお願いします。
○永井委員長 掛江委員、どうぞ。
○掛江委員 資料4の8ページの代諾者のところですけれども、2点質問がございます。1つ目は、6)の二項のところで、「代諾者は、再生医療等を受ける者の意思及び利益を最もよく代弁できると判断される者であり」と書いてあるのですが、これは判断できるとどなたが判断するのかということと、判断できるのだと思われれば別にお友達でも誰でもいいと、そのように理解できるような文章なのかというところの確認というか、質問と、あと、三項のところで、16歳、未成年者の場合についてですけれども、「当該者が16歳以上のときは、その同意を受けていること。また、16歳未満のときは、理解を得ていること」とあります。これはゲノムの指針からの横滑りかなと思っているのですが、こちら、法に基づく政令ということで、根拠がきちんとあったほうがいいのかなあと。
16歳の基準というのも、もともと指針の運用の時点でも、どうして16歳だったかなあというような疑問をふと持ったこともありましたので、今回できれば根拠を教えていただいて、本当に16歳が妥当なのかというところも確認していただければと思います。
○永井委員長 いかがでしょうか。
○佐野課長補佐 先に2番目の御質問ですけれども、なぜ16歳かというところですが、これは、御指摘いただいたように、現行のゲノム指針ですとかヒト幹指針が16歳となっているわけですけれども、その16歳としている根拠というのを調べてみましたら、義務教育を終了した年齢であれば、ある程度医者の説明について理解して判断できる能力があるということを踏まえて16歳以上ということにされた経緯があるようでございます。
○堀室長 済みません。最初の御質問、代諾者のところにつきましては、基本的に今のヒト幹の表現をそのまま引いてきておりまして、ちょっと即答が今難しいのですけれども、位田先生、もしコメントいただけるとありがたいのですが。
○位田委員 これだけ読むと確かにお友達でもいいように見えますけれども、例えばお友達を選んだときに、それが妥当な判断であったかどうかという問題は当然出てきます。未成年者であれば親権者というのがまず最初に来るでしょうし、例えば認知症等の方であれば、その家族、配偶者であったり、多分、親はおられないと思いますが、子供であったりする。それが客観的に見てやはり最もよく代弁できると考えますので。ただ、御本人が家族とはほとんど没交渉で、どなたかパートナーと一緒に住んでおられるというときには、血縁関係はなくなりますけれども、その場合にはその方が最もよく代弁できるということになるかもしれません。
それを、余りきちっと、親権者でないといけないとか、保護者でないといけないとかいうことを書き込んでしまうとかえって硬直してしまって、具体的なケースに対応できないので、こういう書き方をして、要するに、それが本当に最もよく代弁できると判断される、誰が判断するかというのは当然現場のお医者さんで判断せざるを得ないと思いますけれども、それが妥当な判断であったかどうかというところでコントロールできると思っています。
○永井委員長 ほかにいかがでしょうか。
どうぞ、花井委員。
○花井委員 先ほど、効かないのに効くなどということがあり得るという話が出たのですが、8ページの、受ける者に対する同意のロのニにこれが書いてあるわけですね。「再生医療等の実施により予期される効果及び危険」と書いてあって、その効果の説明の中身が、これは必要だということなのですが、例えばもう実証された効果があるという場合、それから、機序から推論した期待する効果、それから、がんであれば、他の部位のがんはあったけれども、この部位でも論理的にする可能性があるみたいな、いろいろあると思うのですけれども、心配するのは、要するに業として、研究よりも一般にもやられる場合、ちょっと心配があって、だから、この書き方でもいいのかもしれませんが、どこかでこの説明の仕方について、ちょっとガイドラインというか、ここはちゃんと言っておかないといけないみたいなところがあったほうが、単なる効果とリスクというだけではちょっと足りない気がしていて、うまく今のことが括弧書きで書けるならここに入るのがよろしいでしょうし、うまく入らないようであったら、こういう説明が必要だというようなガイドラインか何か、そういうのがあったらいいかなと思いました。
以上です。
○永井委員長 それは私も感じまして、説明のところと、あと終了後の措置ですね。フォローアップ、これは9ページの9)の「再生医療等の提供終了後の措置」の中に、安全性の確保から、治療による副作用についてフォローすることと書いてあるのですが、これは、「安全性と科学性の確保の観点から、治療による副作用と有効性について適当な期間フォローすべき」としたほうがよいと思います。効かない人も当然出るので、効果は確率的です。ある人には効いてある人には効かない。では、どの程度効くのだということを必ずフォローして、データをまとめて示さないと、効いたのか効いてないのかわからないけれども、処置はしたのだからお代はいただきますということが起こってくるわけです。そこをきちっと排除しておかないと、この手の治療は危ないところがあると思います。今村委員、いかがでしょうか。
○今村委員 今、委員長おっしゃるとおりで、実はこの第三種の再生医療というところが一番問題になってくるのではないかと思うのですよ。ここはレベルの低い審査委員会でいいということになっているのですけれども、ここが本当に注意しなければいけない。そして、このことによって再生医療が国民の信頼を得られないということになる可能性は極めて大きくて、次の認定委員会のところでお話ししようと思ったのですけれども、そこの第三種のかかわりようというのをきちっとしていかなければ本当にいけないと思いますね。どのように質を担保していくのか、そして、説明と同意というところをどのようにしてとればいいのか。効かないこともあり得るのだということが余りに拡大解釈され過ぎて、効かなくても、それは了承したことではないかなんていうことになってくると、これはもう本当にぐちゃぐちゃなことになってしまうので、この点についてはやはりこの委員会できちっとした対応を決めておいたほうがいいと思いますね。
○永井委員長 そういう意味では、科学性を担保するということですね。そこはまたさらに御検討いただければと思うのですが。
そうしますと、まだほかの項目もございますので、続いて、認定再生医療等委員会の検討状況についての報告をお願いいたします。
○堀室長 それでは、資料5について説明させていただきます。研究班の2つ目のグループは、この認定再生医療等委員会のさまざまな基準について御検討をいただきました。
1ページ目に法律の規定を書いてございますが、2ページ目以降が省令案の概要ということでございます。
まず、2ページ、一番最初でございますが、どういった団体がこの委員会を設置することができるのかという設置主体についてでございます。治験のGCP省令を参考に議論をいただきまして、一部追加していただいておりまして、1)から8)に挙げるようなものを設置の主体としてはどうかということでございます。
また、2番でございますが、こういった委員会を設置していただきまして、その構成要件、どういった方が委員になっていただくべきかということでございます。委員会につきましては、一種、二種を審査していただく特定認定再生医療等委員会と三種のみを審査するような認定再生医療等委員会とありますが、まず一種、二種を審査する特定認定再生医療等委員会の要件から書いてございます。
まず、委員構成といたしまして、2ページ下からですけれども、○1から○8に掲げるような方を重複なく、つまり、兼任することなくそれぞれ入れていただくということで、分子生物学、細胞生物学、遺伝学、臨床薬理学又は病理学の専門家、再生医療等の専門家、臨床医、それから細胞培養加工に関する識見を有する方、法律に関する専門家、生命倫理に関する識見を有する方、一般の立場の方、それから、生物統計家その他の臨床研究に関する専門家ということでございます。
それから、2)といたしまして、男性及び女性がそれぞれ2名以上含まれること、それから、3)につきましては外部性の担保ということで、同一の医療機関に所属している方が半数未満であること、それから、4)として、設置者と利害関係を有しない方が含まれていること、そして5)、審査が適正かつ公正に行えるよう、その活動の自由及び独立が保障されていること、こういった要件にしてはどうかということでございます。
それから、次の○ですけれども、こういった本委員に加えまして、委員会の設置者は、この審査を適切に行っていただくために技術委員を複数確保してやってくださいということで、例えば各診療科の専門領域の専門家といったものを、事前にリストをいただきまして、それぞれの審査をする際にそういった案件が出てきた場合に、この技術委員の中から当該分野の専門家に参加していただくということではどうかということでございます。
それから、3ページ下側が三種のみを審査するような認定再生医療等委員会ですけれども、こちらは5名以上。それから、上記○2ということで、再生医療についての十分な科学的知見及び医療上の知識を有する方を含む2名以上の医学・医療の専門家で、同一医療機関でない方が少なくとも1名含まれて、少なくとも1名は医師であること。それから、法律等の人文社会科学の有識者、それから、一般の立場の方から構成され、3)ですが、設置者と利害関係を有しない方が含まれる。4)として、男女両性で構成されている。こういった規定を置いてはどうかということでございます。
それから、4ページ目の3.です。実際に会議をやっていただく際にどういった方が参加いただいた際に成立するかという、成立の要件等の議事の運営に関する規定であります。
まず、一種、二種を審査いただく特定認定再生医療等委員会の審議に際しては、過半数の委員が出席していること、男女それぞれ2名以上が含まれていること。「かつ」ということで、ここが1つ欠けてもだめだということで、再生医療の専門家、対象疾患に対する技術委員、細胞培養加工に関する識見を有する方、法律に関する専門家又は生命倫理に関する識見を有する方、一般の立場の方がそれぞれ1名以上出席していないとこの委員会としての成立要件にならないということであります。
また、外部性の担保ということで、「また」以下でございますけれども、審査対象医療機関と利害関係を有しない方が過半数含まれていなければならないということでございます。技術委員については、意見書の提出をもって出席とみなすことができるということであります。
それから、第三種のみを審査する委員会については、過半数。ただし、最低でも5名以上の委員の出席が必要で、男女両性が含まれ、かつ、医療の専門家、人文社会科学の有識者、一般の方がそれぞれ1名以上出席していること、また、その中に設置者と利害関係を有しない方が入っていること、ということであります。
それから5ページ目ですが、この判断につきまして原則としては委員の全員一致を目指して議論していただくわけでありますけれども、やむを得ない場合につきましては、出席委員の大多数、ただし、最低でも5名以上の意見をもって委員会の意見とするということで、技術委員につきましては、議論には参加していただけますけれども、こういった判断に際しての投票はできないということであります。
それから、次の○ですけれども、審査対象となる提供機関の長ですとか、審査対象となる医療の責任者及び担当者がその審議、判断には参加してはならない。ただし、その求めに応じて会議に出席して説明することはできるということでございます。
それから、次が記録の公表・保存等でありますが、この会議の記録の概要につきましては、やりとりがわかるような形で作成をいただきまして、支障のない範囲で公表いただく。
それから、次の○ですけれども、設置者はこの会議をどのように運営するのかという手順書、それから委員の名簿を公表していただく。
それから、3つ目の○ですが、再生医療の提供が終了した日から少なくとも10年以上の必要とされる期間、この審議に関する記録等を保存していただくということでございます。
それから、次、事務局を設置していただいて審査を行っていただくということでございます。
それから、次のページをご覧いただきまして、「7.認定再生医療等委員会の責務」ですが、点線で囲まれている1)から4)に関しましては、法律の規定そのままでございますので、内容を確認させていただきますと、まず1)、この提供計画が提供基準に照らして、基準に沿ったものとなっているかを審査していただく。2)が有害事象の報告を受けて意見を述べる。3)については、定期報告を受けて、それに対して意見を述べる。4)につきましては、その他必要と認めるときに意見を述べるという、これが法律の規定でございます。ワーキングの議論の中で、意見を委員会側から医療機関にしたにもかかわらず、医療機関が適切な対応をとらなかった場合ということがもしあった場合に、厚生労働省に対してそういった項目について報告するルートをつくっておいたほうがいいのではないかという議論をいただきまして、5)としてそのような規定を省令上設けることを案として提示させていただいております。
それから、次の7ページでありますけれども、主な項目のみ説明させていただきます。「9.認定再生医療等委員会の意見を聴く際の手順」ということで、自施設に設置された委員会で審議をいただく場合には必要のない項目になりますけれども、他の医療機関なりに設置された委員会の意見を聞く際については、あらかじめこの委員会の設置者との間に契約を締結するということで、GCPを参考にさせていただいて、例えばどのぐらいの期間で審査をいただくのか、また秘密の保全等について契約を結んでいただくといったようなことを規定しております。
主な項目については以上でございます。
○永井委員長 ありがとうございます。それでは、御質問、御意見をいただきたいと思います。
○位田委員 細かいことで申しわけないですが、4ページの「3.認定再生医療等委員会の議事運営」のところで、「かつ」の下、2つ目のポツで技術委員がここに入っているのですけれども、ほかの方々はある意味では正規の委員で、技術委員というのはそれから地位が少し違いますので、並べ方だけですが、この技術委員は一番下に持ってきたほうがいいのではないかと思います。判断に参加しないということですから。
それからもう一点、5ページで、これは確認なのですが、「記録等の公表・保存」のところの1つ目の○で、会議の記録の概要は、審議の過程及びやりとりのわかる記録と書いてあって、それから、3つ目の○の一番最後のほうに、「委員会の審査の過程に関する記録及びその概要」とあるのですが、これは両方とも同じことですね。つまり、審議のやりとりのわかるような記録をきちっと10年間保存するということでよろしいですね。しばしば、概要と言ってしまうと、こういう研究計画が出てきて、それを承認したというのを概要として扱われるケースがあるので、そこの言葉の使い方の確認なのですが。
○佐野課長補佐 基本的に同じ意味でございます。ちょっと表現ぶりはあわせたいと思います。
○永井委員長 宮田委員、どうぞ。
○宮田委員 確認なのですけれども、6ページの7.の5)に「認定再生医療等委員会の設置者は」何々と書いてありますけれども、この場合、この委員会は多分医療機関の中にもできると思うので、医療機関の管理者と設置者の関係はどのように捉えているのでしょうか。というのは、次のページで、「認定再生医療等委員会の意見を聴く際」というので、管理者はそれを聞くことになっていますので、設置者と管理者がもし一緒になってしまった場合はどうなるのかなという懸念を抱いているのです。
○佐野課長補佐 この法律上、認定再生医療等委員会の設置者というのは医療機関の開設者になりますので、違っている場合には開設者と管理者は違いますけれども、今、御指摘のあった7ページの9番、契約の締結のところにつきましては、ちょっと細かいですけれども、1つ目の○のほうで、「再生医療等提供機関の管理者は、認定再生医療等委員会(当該再生医療等提供機関の開設者が設置した認定再生医療等委員会及び当該再生医療等提供機関を有する法人が設置したものを除く)」ということですので、自らが設置したところで審査する場合には、当然その契約というものは生じませんので。
○宮田委員 そこはわかりますが、例えば自らが設置したところで意見を聞いて、もしその意見がそんな再生医療すべきでないという意見だったときに、要するに、医療機関の管理者はそれを厚労省に報告することになっていますね。
○佐野課長補佐 今回御提案している内容では、その認定委員会で出た意見を尊重して、必要な措置を講じなさいということでございます。
○宮田委員 ですから、この6ページの7.の5)で、認定再生医療等委員会の設置者は、継続することが適当でない旨の意見を述べた場合において、安全性の観点から必要があると認めるときは、当該意見を述べた旨を厚生労働大臣に報告しなければいけないのですね。そうすると、医療機関の管理者とこの委員会の設置者というものが同一人だと何となくこれがスムースにいかないのではないかという懸念を持つのですけれども。
○佐野課長補佐 そこは確かにおっしゃるとおりですけれども、この法律上、少なくとも年1回は定期的な報告をさせて、その定期的な報告の際に、それぞれに認定委員会がどういった意見を述べて、それに対してどういった措置を講じたかということを報告させることにしていますので、そういったところを通じて、特に同じだった場合ですけれども、その認定委員会の意見に対して医療機関がどう対応したかという実態は適切に把握はしたいと考えております。
○宮田委員 少なくとも、先ほど今村先生もおっしゃっていましたけれども、三種ってこういう例が多いだろうと思っているので、それはもうちょっと適切に事情を把握できるような仕組みを入れるというのと、もう一つは、コンフリクト・オブ・インタレストそのものになるような気がするので、ここはやはりちょっと排除する仕組みを、あるいは記述、規定を設ける必要があると私は思います。
○永井委員長 今村委員、どうぞ。
○今村委員 今、宮田委員もおっしゃっていたのですけれども、特に第三種のこの認定委員会というのはかなりの数出てくることが考えられますね。これについては一定の手続によって厚労大臣が認定するということになるのですけれども、実際には誰がそこに行ってというか、都道府県の保健所のあれがとか、どのような人がどのようなやり方でこれを認定するのかというのはちょっとわかりにくいですね。ここのところ、おおよそのところ考えられているのでしょうから、ちょっと教えていただきたいです。
○堀室長 第三種のみを審査するような認定再生等医療委員会につきましては、各地方厚生局のほうで認定することを考えております。
○永井委員長 安全性のことはよく書いてあるのですけれども、科学性をうたうわけですから、始める前の科学性、理屈とアウトカムとしての科学性ですね。そこのチェックをしないと意味のない治療が行われ続ける可能性があります。6ページの7.の5)のところに「再生医療等の安全性と有効性の確保の観点から必要があると認めるときは」というような、常にチェックをしておかないといけないと思いますし、そのための報告は受けるべきだと思うのです。実施して、問題はありませんでしたという話と、ある程度有効性があったかなかったかという両方の視点が必要だということです。
今村委員、どうぞ。
○今村委員 本当に委員長が言われるとおり、ここが非常に問題となって、実際にもう問題が起きつつありますね。ここの部分というのは、例えば地方厚生局が行くなら行って、そして、どのような書類審査をする、あるいは実地調査をする、そして、委員の点検をちゃんとするとか、そして、年に1度は毎回その書類の提出を求めてやるとか、ここのところの厳しいものをやる。それから、例えば標榜するやり方にしても、再生医療科などというのはないわけですから、こういうものをどのようにして患者さんにこうやって知らしめているのか、そういうところで医療法の問題はないのかどうかというようなことまで丁寧にやらないと間違いを起こすもとになると思いますので、よろしくお願いいたします。
○永井委員長 位田委員、次いで伊藤委員、どうぞ。
○位田委員 そのところですけれども、この7.の5)というのは、一旦承認されて、実際に再生医療が提供されているのだけれども、それを継続するというときに、いや、継続しないほうがいい、という意見が出たときにどうするかという話ですね。そうであるとすると、先ほど厚生労働省の事務局のほうから御説明があった年に1回の報告というのでは遅過ぎる可能性があるので、やはり継続することが適当でない旨の意見を述べた場合においては、速やかに厚生労働大臣に報告する、そういう少しスピード感がないと、何か問題が起こってからでは困ると思います。それから、再生医療等の安全性の確保の観点から必要があれば、ということですが、安全性確保の観点から必要があるかどうかを決めるのは設置者ですから、先ほど宮田委員がおっしゃったような懸念というのは常にあり得ると思いますので、この「必要があると認めるときは」という条件は要らないのではないかと思うのです。
○宮田委員 昔、もう大分よくなったのですけれども、倫理委員会の審査というのを文科省のオーダーメード医療実現化プロジェクトで調べたことがありまして、あのときに一番問題になったのは、病院長が倫理委員長をやっていて、プロジェクトが病院長の管理下にあって、申請者も病院長だったのを倫理委員会がゴーサイン出しているという構図が相当多かったのですよ。これ、ひょっとしたらこれにそっくりだと思っていて、特に懸念のあるところではこれは問題になるだろうと私は思っていますので、ここの透明性、第三者、客観性みたいなのをどうやってとるかというところは一工夫なされたほうがいいような気がします。
○位田委員 委員長が倫理委員長であってゴーサインが出るという話は、宮田委員おっしゃったとおり、そういう状況はありましたけれども、今、臨床研究にしろ、ヒト幹の指針にしてもそうですけれども、機関の長が倫理委員会の委員であるということについては否定されています。ただ、副院長とか、要するにナンバー2が倫理委員会に入っていて、かつ、倫理委員会の委員長になっている場合がある。そうすると、一応規定には抵触しないのですけれども、実質上は問題があるかなと思うのですが、ただ、それを規定に書き込むのはなかなか難しいので、とりあえずは機関の長が倫理委員であるということは今は排除されているから、少しはましかなと。
○宮田委員 わかります。ただ、ここの設置者と管理者という関係は。
○位田委員 そっちはまた別の話だと思います。
○永井委員長 伊藤委員、いかがですか。
○伊藤委員 ちょっとわからないところなのですが、2ページで「認定再生医療等委員会の設置主体」とあるのですけれども、ここに幾つか挙げてありますけれども、法人ってこれだけなのかなあと。例えば社会福祉法人という場合もあるでしょうし、それはどうなるのかということと、もう一つは、4)で医学医術に関する学術団体というのはどこまでの団体のことなのか、法人格持ってなくてもいいのかどうかというのがわからないので、教えていただきたい。
あともう一点は、2ページ以降、たくさん「一般の立場の者」というのが出てくるのですけれども、「一般の立場の者」というのは一体何なのかというのがよくわからないのです。それと、一般の立場の者というのが、全く第三者性を持った人がこういうところに呼ばれるといいますか、声をかけられるというのは、一体どういう人が、どういう場合が入ってくるのかというのがよくわからない。
特に、3ページの下にあります、第三種再生医療等のみを審査するというところになりますと、ぐっと規模は小さくなるわけですから、本当に第三者性を持った人が一般の立場の者という、何かよくわからない立場で参加するということがあり得るのか、どういう役割を果たすことになるのかというのはわからないので、これはこういう表現でいいのか、あるいは第三種のところはもう少し説明がほしい。「一般の立場の者」という、括弧付きですけれども、そういう人を供給するようなシステムというのを持たなくていいのか。あくまでも設置者なり委員会の長なりという人が自分でどこかから見つけてきて、あなた、一般の立場の者よということで配置すればそれでいいのかということがちょっとわからないので、これはどういうことになるのか教えていただきたい。
○佐野課長補佐 最初の御質問の設置主体の関係ですけれども、今回御提案させていただいている設置主体につきましては、現行のGCP症例において治験審査委員会の設置主体として認めているものでございまして、世の中に法人というのは、おっしゃるように、ほかにもございますけれども、現行の治験審査委員会の例を参考にさせていただいたということでございます。
それから、医学医術に関する学術団体につきましては、個人、法人といった切り分けはしておりませんけれども、下のところの○の2つ目で、「上記2)から4)に掲げる者が設置する認定委員会が満たすべき要件」ということで、一定の中立性ですとか、その委員会を運営する基盤がきちんとあるかとか、こういったところの要件を求めることによりまして、適正な委員会運営ができる団体であれば認めてもいいのではないかと考えております。
○永井委員長 いかがでしょうか。
○伊藤委員 何かよくわからなかったのですけれども、いろんな法人があるのですけれども、大体こんなものでいいということであれば別に問題はないのですけれども、ただ、そういう、例えば社会福祉法人で立派に医療機関を経営しておられて、さまざまな高度な医療をやっているところもあると思うのですが、それはここの表の中になければだめなのかどうかということです。
○佐野課長補佐 いいえ、社会福祉法人でも医療機関を経営している場合には1)で対応できますので、そこは病院の開設者として設置していただくということです。
「一般の立場の方」というのは、御指摘のように、どういった方なのかというのは非常に難しいところもありまして、現実の運用でも、例えば病院の関係者の方が入っていたり、そのあたりの運用がまちまちなところもございますので、現行の倫理委員会の運用などをもう少し見ながら、ガイドラインなどで少し補っていきたいと思っております。
○永井委員長 そのほかいかがでしょうか。
先ほどの有効性のチェックというのは、何らかの形で委員会がしてないといけないと思うのですけれども、それは書き入れることは可能ですか。
○堀室長 先ほど資料4のほうを説明する際に少し飛ばしてしまったのですが、資料4に戻っていただきまして、安全性の確保等に関する事項ということで、2番目でございますけれども、医師又は歯科医師は、再生医療を行うに当たっては、その妥当性について、科学的文献その他の関連する情報及び十分な実験結果に基づき、倫理的及び科学的観点から検討していただく。それから、3)のところでございますけれども、こういった医療を行うに当たっては、医療を受ける方にとってそういった受けることによって得られる利益が不利益を上回ると十分予測されるものか慎重に検討いただくといったことを提供基準上は記載させていただいているところです。審査側では当然こういったことを満たしているのかということを審査いただくということかと思います。
○永井委員長 始めるに当たってはみんなそう思っているのですね。始めてみたら意外とそうでもないということが起こるので、フォローアップが必要だということなのですね。当然、始めるときには科学的妥当性があると思うのです。でも、現実というのは非常に複雑で、予測しなかったことがいろいろ起こりますので、そこを常に反省しながら続けないといけないという意味です。
松田委員、どうぞ。
○松田委員 今、永井委員長がおっしゃられたことは、この再生医療の定義のところにさかのぼりましたね。再生医療、細胞治療とどう違うかというところの議論の、私は関連性のあるポイントだと思うのですね。そういう意味において、そこはぜひやはり記述すべきではないかと思います。原点に立ち返って。
○永井委員長 そうですね。ですから、それは委員会のほうに毎年成績を報告していただいて、それをチェックして、これはどう見ても有効性がないと判断した場合には、委員会は中止を命ずることもできるというぐらいの権限を与えるべきではないかと思います。それは頻度の問題でもあり、もちろん100%に効くということはないと思うのですが、10%ならどうなのか、5%ならどうなのかとか、これはたくさんの症例を積み重ねないとわからないと思いますが。だから、1例でも効かないのがあったらすぐ中止ということではなくて、やはり症例数をたくさん集積してくださいということだと思います。後で検証しようと思って、全然わからないのですということでは困ると思うのですが、いかがでしょうか。
○佐原医療統括管理官 済みません。事務局ですが、若干先生方の御意見と違うことを言わなくてはいけなくて申しわけないのですけれども、昨年度からずっとやっていただきました議論の中では、4月にまとめていただくに当たって、今回の法律的な枠組をつくるとした場合のスコープというか、それはどこまでなのかということはたくさん議論をしていただきまして、4月8日にまとめていただいた文章でも、次のように書いてあります。今回の法的な枠組というのは、再生医療及び細胞治療の実施に際しての安全性確保が主目的であると。ただし、有効性や実際に再生しているかどうか等について学術的に評価するような仕組みというのもあわせて考えていかなければいけないという御指摘はいただきました。
ただ、今回の法的な枠組の基本は安全性だということでおまとめいただきまして、この法律のほうも先月成立したわけですが、その第1条で、この法律は再生医療に用いられる再生医療等技術の安全性の確保及び生命倫理への配慮に関する事項について、これを提供しようとする者が講ずべき措置を明らかにするということですので、まずそこに今回はフォーカスがあるということは御理解いただいた上で、付加的にこれを、法律上の義務ではスコープからちょっと外れますので、どういうことをやっていくのかというのはプラスアルファで議論することはあると思いますけれども、一義的にはまずそこに今回の法律の焦点があるということは御理解を改めていただきたいと思います。
○永井委員長 ただ、きょうの議題は「安全性確保等推進のための」なのですね。推進のためとなると、これは倫理性と科学性の問題ということになります。そういう意味でお話ししているのです。推進するためにはやはり科学性がなければ推進はできないはずですね。
○佐原医療統括管理官 事務局ですが、きょうは、特に今回成立しました法律のもとでつくっていく政令とか省令では何を書くかということをまず御議論いただきたいと思っておりますので、そういう点に留意して議論していただけると大変事務局としては助かります。
○位田委員 多分、辰井先生がおっしゃるのだと思いますけれども、委員会の名前は確かにそうかもしれませんが、これは法律を省令に落とす、政省令に落とすという話なので、法律では有効性の話は出てこないわけですね。「安全性の確保等」としか書いてないので、その「等」の中に何が入っているかというと、有効性ではなくて生命倫理的な配慮というのが入っている。
私も、心証的には永井先生と一緒ですけれども、法律の枠内で政省令をつくろうと思うと、こういう形にしかなり得ない。そうであるとすると、有効性とか科学性をせいぜい報告させるというぐらいの、もしくは何らかの形の客観的な評価の仕組みをプラスアルファでつくるということぐらいしかできない。有効性がないのにやっているのだから、それはやめろということはこの法律ではできないだろうと思います。安全だけれども、有効性がないよというケースですね。
○永井委員長 そこには費用が発生するわけですから、これはある意味では倫理の問題になると思いますけれども。
○宮田委員 位田先生の御意見もわからないわけではないですけれども、そんなきれいに切り分けることはできないと思います。それに、もし有効でもないものを知らされないまま、その患者さんなりが信奉して続けると、例えば、そういう意味では、客観的に見ると治療機会を失うことにもなるし、無駄なお金も払うことになりますので、それは確かに法律の性格はあるし制限もあるのだけれども、そういうことを完全に許すみたいなことをこの表層の議論でここで言うこと自体はやはりちょっと間違っているので、法の枠があるとしても、それを最大限どうやったら皆さんが、そういう効かない再生医療みたいなもので実質的な被害みたいなものが及ばないようにするのかということはちょっと議論しなければいけないのですね。
そうすると、法の制限を知りつつ唯一言えることは、報告、公開でしょう。これは前の前の前のずうっと前に皆さんと議論したことがありますけれども、消費者というか、医療を受ける方が自主的にもっと賢く判断できるような情報をどうやってこの法律の下で集めて公表していくかということが1つ、私たちがここででき得る、この法という全くいやらしい枠組の中ででき得る最大のものだと思うので、さっきから報告事項にこだわっているのはそこにあるのですね。
それをぜひお酌みおきの上、最大限法律の枠を利用していただいて、皆さんを啓発するような仕組みがぜひ欲しいのです。そのためにはやはり再生医療等の委員会でどうやって報告させて、それも安全性だけではなくて、科学性みたいなものも含めて報告いただいて集約して、それをどう公表するかということはやはり皆さんと共有しておいたほうがいいと私は思います。
○永井委員長 それは、「再生医療等」となぜ「等」とついたかというと、再生しないかもしれない細胞治療が入っているからなのですね。そこのところを明確にしないと倫理的にもやはり問題が起こってくるということなのですね。
辰井委員、どうぞ。
○辰井委員 きれいに切り分けられないというところはおっしゃるとおりだと思います。ですので、全く効き目がなくなったという場合には、それはリスクベネフィット評価において明らかに行うべきでない治療だということになりますから、そうならないように定期的に委員会でチェックを行うべきであるということについては賛成です。しかしながら、それを科学性の観点から国に情報を集約して何とかコントロールしようというところまで行かれますと、少し今回の法律の枠組からは問題が出てくると思います。
それは、例えばすごく理想的なことを言うと、今回の委員会相互の連絡会みたいなものができたりして、そこでいろいろ情報集約していきましょうというような自主的な形で行われる、それで学術的な専門家の間で評価がなされるというような仕組みが組まれるとそれは大変すばらしいことだと思います。
○永井委員長 ですから、少なくともデータがないと議論にならないのです。やはり報告は私は必要だと思うのです。
今村委員、どうぞ。
○今村委員 再生医療というのは非常にこれからの医療技術として期待されているものなのですね。いわゆる代替医療であるとか補完医療であるとか、こういったものとはやはり違うのですよ。とすると、有効性なり科学性なりが求められるというのは当然のことで、だからこそ国としてこのような大きな委員会をつくってやろうという決意を示されたものだと思いますね。そこの有効性、科学性の担保をきちっと判定するところだからこそ、この認定委員会の重要性、第三者的な透明性が求められるわけで、そういう議論をやはりこの場ではしていくべきだと思います。
○掛江委員 質問なのですが、法律のほうで「安全性の確保及び生命倫理への配慮、以下、安全性の確保等という」とまとめていただいていますけれども、ここの、今の議論のもとになった6ページの5)のところですか。永井先生が御指摘されたところは、「安全性の確保の観点から」と、「安全性の確保」しか載っていないのですけれども、ここは使い分けの意味をお持ちなのでしょうか。
というか、法律の枠組と変えられないというところは非常によくわかるのですけれども、法律のところの原文に「そもそも安全性の確保及び生命倫理の配慮」というワンセットで書いてあることが、なぜかこちらでは安全性の確保、安全性の確保と「等」も消えてしまっているところがちょっと違和感を感じているのですが、そのあたりはどうなのでしょうか。
○佐野課長補佐 ワーキングで議論いただいたときには主として安全面の観点からこうした措置を講ずべきだという意見が多かったものですから素直にこう書いたのですけれども、特に法律とその観点をたがえるということを意図したものではありませんので、表現については具体的に省令に落とす段階ではそこはあわせる形で対応したいと思います。
○掛江委員 もし直していただくのであれば、その生命倫理への配慮の中で、辰井委員もおっしゃいましたけれども、ベネフィットがあるかどうかという判断等は当然必要なことになってくるのかなあというところで、そういった観点も、永井先生おっしゃるような科学性の観点というところも、委員会から厚生労働大臣に報告するときの観点の中の一つに含まれてくるのかなあと考えるのですけれども、どうなのかなということ。
あと、この後御説明いただく資料7-2の定期報告の中に、当然その結果を評価できるような項目をもともと挙げていただいているので、評価すること自体は委員会もできるのかなあと、情報をきちんとまとめて評価することはできるのかなあと考えているのですけれども、確かにできるように設計してあるのだけれども、文言として「安全性の確保」としか書いてないというところは、もし是正できるのであればしていただければと感じます。
○前川委員 CPCというか、施設の基準のところでも少しお話をしようかなと思っていたのですけれども、伊藤委員、それから今村委員がおっしゃるように、この3種に分けた委員会の中で一番人選の大事なのは第三種の委員会だと思います。第一種、第二種では、かなりの議論があるでしょうけれども、第三種の委員会がある程度、こう言っては何ですけれども、素通りするような格好の委員会では非常に困るので、そこでやはり安全性と有効性もある程度議論できるような人員を選んでいくべきだろうと私はそう考えます。それも含めまして、後でこれは施設基準のところでも申しますけれども、できるだけ施設基準のほうからもそういうところをちょっとチェックができないかと考えて、ワーキングで苦労してきたところであります。
○永井委員長 よろしいでしょうか。
ぜひその点は、大事なところですので、御検討いただきたいと思います。ほかにいかがでしょうか。
それでは、続きまして、細胞培養加工施設に関する検討状況についての御報告をお願いいたします。
○堀室長 それでは、資料6の説明をさせていただきます。研究班の3つ目のグループは、細胞培養加工施設の構造設備の基準、それから、細胞培養加工物を製造する際の製造品質管理の方法の基準について御検討いただきました。ワーキングの座長は前川先生にお願いしておりました。
まず、1ページ目ですが、法律の四十二条で、この細胞培養加工施設許可認定届出をする際の基準ということで、構造設備の基準に適合したものでなければならないということです。薬事法の薬局等構造設備規則というものを参考に議論いただきまして、基本的に薬事法の再生医療等製品を製造する製造所の構造設備基準とあわせた形での検討結果となっております。
内容を御説明させていただきますが、備えるべき設備として、当該細胞培養加工施設の特定細胞加工物を製造するのに必要な設備、器具を備えていることですとか、資材の混同及び汚染を防止し、円滑かつ適切な作業を行うのに支障ないよう配置されており、清掃、保守が容易なもの、三番としまして、必要な衛生設備を有すること。それから六番目以降としまして、作業所のそれぞれの規定、また作業所の中での作業室の規定といったものが七番、それから、1枚おめくりいただきまして、作業室、作業管理区域の規定といたしまして、作業所のうちさらに清浄区域ですとか無菌区域に関しての規定が九番といったようなこと。
それから、次のページに移りまして、最後ですけれども、試験検査の設備及び器具を備えていること、ということで、こういった形での省令案になってございます。
それから、次の4ページでございますけれども、これは先ほど第三条の提供基準の中でも少し御紹介させていただきましたが、薬事法と非常に違う点といたしましては、この再生医療新法につきましては、医療機関のほうからどういった細胞をつくるのかという指示を受けて細胞を培養・加工等をしていただくということでございまして、医療機関側から、4ページに掲げているような事項については指示をしていただくということでございます。
1番目、つくる細胞の内容について記載していただいたこの概要書というものを作成いただいて、これを細胞培養加工施設側に指示していただく。また、その事業者に対して法律の四十四条の規定に基づく製造、品質管理を行わせなければならない。また、特定細胞加工物の製造品質管理の方法は、この四十四条に規定する承認に従って行われるものでなければならないということでございます。
まさにその四十四条に規定する基準というものの概要が5ページ目以降でございます。
9ページ目以降に省令の案というものを全て記載させていただいておりますけれども、非常に長いため、概要のみここで御紹介させていただきますが、まずは1番としまして品質リスクマネジメントをやっていただく。2番といたしまして製造部門、品質部門をそれぞれ設置いただきまして、このそれぞれの部門は独立していることを省令上位置づける。それから、管理者の規定、それからそれぞれの作業をやっていただく職員についての規定、十分な人員を確保してやっていただく。それから、概要書に基づきまして、5番ですけれども、標準書というものを作成・保管していただきまして、品質部門の承認を受けていただく。それから、6番目、手順書でございますけれども、衛生管理、製造管理、品質管理、その他各種の手順書を作成して、これを保管いただくこと。それから、必要な構造設備を持っていただくこと。
それから、おめくりいただきまして6ページですけれども、製造管理といたしまして、製造部門は製造の指図書に基づき細胞培養加工物を製造する。それから、各種の記録を作成いただきまして保管していただく。また、配送につきましても、必要な措置をとっていただいた上で記録を作成・保管いただく。また、職員の衛生管理を適切に行っていただくということでございます。
それから、9番目、品質管理でありますけれども、採取した検体に試験検査を行うとともに、その記録を作成・保管すること。それから、試験検査に関する設備、器具を定期的に点検整備するとともに記録を作成・保管していただくこと。また、検体の混同、交叉汚染等を防止するために、検体を適切な識別表示いただいて区分すること。それから、微生物による汚染された全ての物品を保健衛生上の支障が生ずるおそれのないように処置すること等を規定しております。
それから、1つ飛ばしまして11番ですけれども、検証・確認ということで、新たにこういった細胞の製造を開始する場合においては、この施設側の構造設備並びに手順、工程その他品質管理の方法などにつきまして検証や確認を行った上でやっていただくということ。それから、そういった検証又は確認の結果に基づきまして、必要な改善があった場合については所要の措置をとっていただくとともに、記録を作成・保管していただくこと。
それから、12番といたしましては品質の照査ということで、つくられたものの規格の妥当性について検証することを目的として、定期的に、又は随時、この品質の照査を行っていただくこと、またその記録を作成・保管していただくこと、ということでございます。
それから17ページ、変更の管理、それから14番の逸脱の管理、それから不良品等があった場合の処理ということで、13、14、15でございますけれども、それぞれ所要の処置をとっていただくということで、具体的には、指示をして細胞をつくらせている医療機関に適切に報告していただくことを省令上位置づけてはどうかということでございます。
それから、16番といたしまして、重大事態報告等ということで、この細胞加工物の製造業務の安全性の確保に重大な影響を及ぼすおそれがある事態が生じた場合については必要な措置をとっていただくとともに、その旨を医療機関、また厚生労働省に対して報告をいただくということでございます。
それから、自己点検、教育訓練と続きますが、最後に文書及び記録の管理ということで、文書及び記録を作成の日から一定期間保存することということで、ここだけ省令のほうを少し見ていただければと思いますが、資料の一番最後、20ページが文書及び記録の管理ということでございます。
具体的に、その記録の期間につきましては、三というところに記載がありますけれども、作成した日から次に掲げる期間、保管していただくということで、一部の特定細胞加工物に当たっては30年ということで、具体的には他家由来のものですとか、原料に動物の血清などを用いた場合については30年、それから、それ以外のものについては10年間ということではどうかということでございます。
以上でございます。
○永井委員長 ありがとうございます。それでは、御質問、御意見をいただきたいと思います。
○前川委員 質問ではないのですけれども、ワーキングの議論をここで少しお話ししたいのですけれども、ワーキンググループ3というところでこの施設基準をやっております。都合、今までで7回やっていまして、最初2回は一回の会議が約4時間に及ぶという会議でありました。4時間というのはなかなかしんどいものがありますけれども、それで、一番苦労いたしましたのは、薬事法との絡み、それから、細胞と医薬品の違い。薬事法から、整合性を持たせるという格好で新しい基準を決めていくというところに非常に苦労いたしました。
それともう一つは、企業、アカデミア、一般病院、それから一般の診療所というところまでいろいろあります。それぞれレベルが違いますので、それをどのようにして持っていくかというところに苦労いたしました。ただ、基本的な原則としては、一般の診療所もできるだけボトムアップを図っていただこうという考え方であります。
それから、先ほど有効性のチェックがありましたけれども、それは、先ほど申しましたように、第三種の委員会のところでもやっていただこうと。恐らく第一種、あるいは第二種のところに来るものは、有効性では当然チェックをされるものでありますけれども、第三種のところも、そんなに物すごく厳しいことを書いているわけではないのですけれども、一般の診療所ではなかなか難しい場合も出てくる可能性はあると思います。
ただ、私の個人的な考えといたしましては、そういう一般の診療所は恐らく企業へ委託していただけるとそのようなことはなかなかなくなるだろうと思っています。ただ、一般の診療所も、再生治療に関する製造、品質管理ということに関する知識はやはりある程度持っていただかないと、と思っております。
そのようなことを念頭に置いて、ワーキンググループ3では皆さんで長時間にわたる議論を今までしてまいりました。
以上です。
○永井委員長 いかがでしょうか。
大和委員、どうぞ。
○大和委員 全部最後まで読んだわけでないので、どこかに書いてあるかもしれないのですけれども、いわゆるインスペクションに関しては省令レベルで何か書いてあるのでしょうか?
○佐野課長補佐 行政による細胞培養加工施設の立ち入りということでしょうか。
○大和委員 行政あるいは第三者的な学会でも良いかもしれませんが、実際にきちんとやっているのかに関して立ち入り検査についてはいかがでしょうか。
○佐野課長補佐 法律上、厚生労働省には当然、立ち入り検査の権限ですとか報告徴収の権限がありますので、何か問題を把握した場合には直接細胞培養加工施設に対して立ち入りをするという権限はございます。
○大和委員 よく分かりました。一方、例えばアメリカのアイバンクは、アイバンクが多数あり組合を作っています。この組合が自発的に互いにアイバンクの運営をチェックしています。アイバンク全体として安全に運用されているということを自らコンファームしています。このチェックの部分は非常に重要なので、ぜひよろしくお願いします。
○堀室長 当然、その許可をするに際しては調査に入って許可するわけですし、また、許可自体も更新が必要になりますので、一定の期間には見に行くということになろうかと思います。
○永井委員長 松田委員、続いて前川委員。
○松田委員 前川委員のほうで長時間議論された中で、こういう議論があったかどうかということを確認させていただきたいのですけれども、先ほど来議論になっていますように、第三種のケースで一番危惧されるようなことが起こるのではないかということですが、この委託、受託についても、私は責任の所在ということを非常に明確にしておく意味においても、一般の診療所から丸投げで例えば加工業者に委託したと。どちらかにも、指示した側に問題がある、あるいは製造した側に明らかに問題がある場合は責任の所在は明確なのですけれども、往々にして、いや、言われたとおりにやったと、いや、つくったほうが責任だと、このような責任の所在が曖昧になるケースというのは私はたくさんあるのではないかと思うのですよ。
そういう意味で、委託したらもう出てくるまでは関知しないというのではなくて、以前も申し上げたのですけれども、製造過程ですね。プロセスマネジメントにむしろ力点を置くべきで、頼んでから出てくるまで関知しないのではなくて、今どういうプロセスで細胞加工が行われているとかいうような情報共有を常にしていかないとトレーニングにもならないし、両方にやはり責任があるわけですから、そういうことは議論されたのでしょうか。
○堀室長 そこはかなり議論の対象になったと考えております。そういう意味で、資料6の4ページのようなところが、新たに法律の四十四条の規定ではなくて、提供する医療機関側にかかるような、提供基準のほうに細胞培養加工施設側に対して医療機関から指示する内容としてこういうものをちゃんと書くべきだろうと。当然その責任としては最終的には投与した医療機関の責任ということになりますけれども、そこはやはり丸投げではまずいだろうという議論が当然ありまして、どういったものをどのようにつくって、その品質管理をどうするのかといったことについては医療機関側からちゃんと指示をして、品質管理についても、四十四条の規定に基づいてやらせるということを提供基準に規定してはどうかという議論であったと承知しております。
○永井委員長 よろしいですか。
○松田委員 そうだと思うのですけれども、加工業者のサイドからも情報提供をきちんとしなければいけないということを申し上げたかったわけです。
○永井委員長 前川委員、どうぞ。
○前川委員 今、松田委員の言われたことはそのとおりでありますし、特に議論の過程で、医療機関側と、それから加工業者側とのコミュニケーションが非常に重要だということは、そういう意識を持って議論をしてまいりました。ただ、医療機関側がさてどれだけ完璧な知識を持っているかということに関しては、なかなか難しいところもありますので、それは企業として、加工業者としてかなりの知識を持っておられる方がある程度指導するというか、コミュニケーション持ちつつやっていくというところは避けられないところではないかと思います。その点に関しては、かなり逸脱事項とか、そのようなこともいろいろ含めて議論をして、なかなかおさまりがつかなかったところでもあります。
それともう一つ、先ほど大和委員からありました査察の面に関してですけれども、これは今現状のヒト幹細胞の審査委員会でも書類審査のみであります。それで、実際にはその査察に行くべきなのでありましょうけれども、これは人員の問題とかいろいろ多分出てくるだろうと思いますので、これはまた事務局、あるいは行政のほうとしてやはり考えていただかないといけないようになるかもわかりません。
ただ、かなりの数になりますので、全部見に行けと言われますと、私、日本全国駆け回らないといけないという格好になりますので、それはやはりいろんなところの方が協力して、そういう制度はある程度これから必要になってくるだろうと思います。でも、当面の間は、書類審査を、ヒト幹細胞なんかでもかなり厳しく見ておりますので、そういうところで担保を何とかしているというのが現状であります。
以上です。
○永井委員長 宮田委員、続いて花井委員、どうぞ。
○宮田委員 その件についてですけれども、製造物責任法というものがあると思うのですけれども、この場合、要するに加工業者はその対象になると思うのですけれども、でき上がったものを移植した場合は医療機関の責任において行うという構図ですね。概要書というのはまさに医療機関が注文をして、受託機関が培養をして、納められた商品を患者さんに移植するというのですけれども、ちょっと気になるのは、医療機関が果たしてそれが品質管理できるかどうかなのですね。受け取った細胞を、ではこれを患者に移植していいという判断を、つまり最終判断することになると思うのですけれども、それが本当にできれば、今言ったようなことは理想的に進むと思うのですけれども、そうでないところに、例えば概要書も含めて、業者が手順、パッケージで売り込みに行って、先生、ここにサインしていただければ、そのとおりつくって、そのまま移植すればいいのですよみたいな業が成り立った場合、私は被害が大きくなると考えています。ですから、そういう意味では、前川先生が全国飛び歩くのは確かにお気の毒ですけれども、業として複数の医療機関の受託を受けるようなところに関しては、査察、あるいは査察に準じたことが必要になるのではないかと。そうでなくて、院内でCPCみたいなものをやって、それをどうやってつくられているか、どういうリスクがあるかということを熟知している先生が自分のところやるのだったら、それはある程度、まさに書類審査でもいいかなと思うのですけれども、業としてやるところを書類審査というのはちょっと私には納得がいかないところです。
○永井委員長 では、前川委員、どうぞ。
○前川委員 例えばある細胞を、こういうものを作ると言うSOPを医療機関側から出します。できてきた細胞がわずかに機能が足らない、そのような場合に、それを移植するかどうかに関しては、医療者サイド、要するに、この細胞しか、この患者さんにとってはないのだという場合に、それは医療者の判断で、少し細胞の数が足らないけれども、これは患者さんのためにとっていいと思ってやるべきだと考えます。
例えば、今、臍帯血移植なんかでも、2×107/kgという一応の基準があります。そのときに、やはり1.98×107/ kgというのも出てくるのですよ。ただ、HLAなどの条件をいろいろあわせていると、これしかない。そういう場合には、患者さんに対して医療機関のほうから、少し細胞が足らないのだけれども、これでいきますということで説明してもらった上で、臍帯血バンクのほうからシッピングをして、それは医療者の責任において移植しています。それで、ちょっと足らないから成績が悪いかといえばそんなことは決してなくて、そのあたりは医療者の医療機関の判断が少し入ると思います。
○宮田委員 わかります。ただ、そういう判断できる先生方であれば全然問題はない。ただ、今私がとにかく正しくやりたいと思っているのは三種のところなので、一種とか二種という、かなり高度な医学研究が背景にあるところの申請というのはある程度御信頼申し上げていいと思うのですけれども、三種に関してはセーフティハーバーみたいなことを考えなければいけないので、そのときに、私が仮に企業で、少し売り上げを上げたいなと思いましたら、概要書も含めて一緒に持っていくのではないかと思うのですね。
そのようなことが多分加工業者の方々も努力なさるだろうと思うので、そうなったときに、細胞が返ってきたときに、この細胞は本当に大丈夫なのだろうかとか、あるいは予想されたような治療効果があるのだろうかということを判断できるか。その場合、さっき松田先生がおっしゃったように、加工施設とのコミュニケーションがあって、先生、今言ったように、ちょっとこれ、ふえが悪いですけれども、安全性に関してはまあ問題ないので、先生がもう一度顕微鏡で細胞かなんか見ていただいて判断していただくとか、そういうことがないとなかなかうまくいかないのではないかと思います。
○永井委員長 数があっても効かないかもしれません。ですから、この品質管理というところをどう捉えるかだと思います。
9ページの品質リスクマネジメントというのは、品質とリスクのマネジメントということですか。ここもはっきりさせないと、さっきの議論になるのですね。品質管理については、細胞の機能、あるいはアウトカムを見ないとわからないわけでしょうから、やはり効いたか効かないかということを製造業者にもフィードバックしないと、適正なのかどうかわからないですね。格好と数だけつくればいいのかという話になるわけで、そのあたりのマネジメント、どうしたらいいのかということになると思います。
花井委員、どうぞ。
○花井委員 まさに今の一連の議論の話を確認したいのですが、先ほど薬事法との整合ということが議論されましたが、一、二はいいのですよ。研究は今までもある程度研究施設同士で、しかも、CPCといっても大学のCPCで複数の大学が共同でやっている。そこはそんなに心配をそもそもしてなくて、事実上、例えば三の場合、有効性がちゃんと確かめられるのだったら薬事承認して、例の再生医療等製品としてプロダクトにすればいい。
さて、有効性が確認できるかどうかわからないけれども、人気の商品、これだったら、わざわざ薬事承認とらなくても、このまま商売は成り立つという場合が問題になる。そのときに、薬事の場合であれば、スペックの保証はメーカーがするわけです。今回の道具立ては、恐らくスペックの保証も含めて、自由診療なりしている医療機関がやって、スペックの保証は医療機関に対してこの施設がするという構成になっている。
なので、宮田委員の議論どおりで、そんなスペックを自由診療なりしているところで保証するという道具立てでいいのかという議論で、だから、多分、今回このCPCに関しては、そういう法律上の整理だけれども、ある程度スペックに安心なものができるように一応施設基準を定めて、見に行って。多分、見に行くのは必ず見に行くと思うのですね。先ほど書類審査でいいかと。それはあり得ない話で、これは、施設基準に合っているかどうか、書類審査だけでなくて、これは後で確認ですけれども、必ず見に行くと思うのですね。
そうすると、薬事であれば、市販後安全対策というのは、つくった側、製造者側にうるさくいろいろかかっているわけですね。だから、先ほどおっしゃった本当にこうなのかというのは全部製造業者にやられて、だから、製薬企業は文句を言いながらもやるわけです。今回はそこまででなくて、あくまで自由診療なり医療行為にそこを委ねているというところがあって、三の場合は事実上、患者から言うと、昔であれば薬事法違反になったわけですね。それを今回はこういう整理で、薬事法違反でない形にして再生医療を推進するということなので、そこの議論はある程度整理しないと、法律としてはもちろん自由診療した医療者が責任をとると。だから、スペックもちゃんとできたかどうか確認するのは当然義務として医療者側に全部かかっているのですが、それ、できるのですかというところとの関係で、若干加工施設と、それから施術する機関との役割分担については、ぎりぎり法律でやればもちろん医療者になるかもしれませんが、そこをちょっと教えていただけませんでしょうか。患者から素朴な質問なのですが、事実上、薬事の脱法的に可能になってしまうわけで、そのときに、薬事との整合性で、やはりちょっとそこは説明していただかないと。だから、大丈夫だと事務局に説明してほしいということが僕のお願いです。
以上です。
○永井委員長 いかがでしょうか。
○堀室長 まず、花井先生、宮田先生からちょっと御指摘あった部分で、再度説明させていただきますけれども、細胞培養加工施設につきましては、院外でやる場合については許可が必要になります。ここにつきましては、PMDAに見に行っていただきまして許可をするということでありますし、また、許可の更新も当然同じような形で行うということになります。
院内で行う場合については届出でいいということで、基本的には同じルールがかかりますけれども、届出をしていただくということになっております。
○永井委員長 位田委員、どうぞ。
○位田委員 先ほど前川委員もおっしゃいましたけれども、業者に委託して加工してもらうのだったら、業者を押さえればいいのでまだ品質は管理できると思いますけれども、院内でやるというときに、自分のところで全部つくってしまうわけですね。そこの品質管理というのはどこまで本当に管理できるのでしょうか。
現実の話としては、第三種でやるようなクリニックが、今の現状で、外に加工を委託して、そこからでき上がってきたものを受け取って実際に使っているのか、もしくは自分のところでとって、自分のところで培養して使っているのか、どちらのほうが多いでしょうか。大学病院は別だと思いますけれども、問題は要するに第三種で、まちの小さなクリニックで、再生医療、うちはできまっせというようなところが問題ですね。
○堀室長 私が答えるのがいいのかというのはありますけれども、かなり技術によってそれは異なるというのがお答えになるのかなと思います。培養してやっているものの中には、外に出してという形態も当然あり得るでしょうし、院内で完結するような形でやられているような技術もあるでしょうということで、技術による差がかなりあるかなとは思っております。
○位田委員 だから、要するに院内で全部始まって終わっている分の管理をどうするかというのは恐らく一番難しいのではないか。現実に本当にそれができるか。別にそこは査察に行かないわけですね。どうするのですか。
○花井委員 さっきの答えをもらってないのですけれども、要は、業者で委託されてデリバーしているものは限りなく薬品に近いわけですね。感覚的には。そこは、基準としては薬品の場合はGMPという基準があって、それと比べて、そういう場合はそれ並みに安心できるよう、これは専門的過ぎて、素人だから比較できないのですけれども、でも、GMPと比べても遜色なく安心できるのですよということになっているという理解でいいのですかね。そういう委託される業者に関しては。
○堀室長 そういう意味では、前川先生の班で議論いただいた際には、医薬食品局のほうとも一緒に議論させていただいておりましたので、基本的にそろえられるところはそろえるということでございます。ただし、法律の構成上、やはり新法のほうでは医療機関側から指示を受けてやるという形態にならざるを得ませんので、そういう法律の違いによるところについては書き分けをしておりますけれども、基本的な項目については、構造設備もそうですし、製造、それから品質管理の項目についてもあわせるところはあわせるといった形で検討を進めてきたという経緯でございます。
○花井委員 となると、今おっしゃられて、相当、半分ぐらい、院内でやられている実情があるとなると、結構、この法律が施行されたら落っこちるところがあるという理解になるのですか。これはもしの話なのですが、どうもそうなりそうな気がするのですけれども、これは答えてもらえるのかどうかわかりませんが、どうなのですかね。
○前川委員 個人的な意見かもわかりません。施設基準のところで、例えば製造の管理者と品質の管理者を分けろというふうにしています。ということは、ある程度の大きさがないと、例えば一人で患者さんを診て、一人で培養して、一人で同じ者がやっているというところではこういう形態を多分とれないのですね。そうなってくると、そういうところは恐らくちゃんとした企業にやはり委託していっていただきたい。それから、過渡的には、そういうところの問題がやはり、これはどのようになるかわかりませんけれども、出てくる可能性はあると私は思っています。でも、そうでないと、ここを緩くしてしまうと今までと余り変わらないようなものが跋扈する可能性があると思っています。
○永井委員長 よろしいですか。
そうしましたら、またほかの議題もありますので、御意見があれば後ほどお寄せください。それでは次に、有害事象報告、定期報告、記録・保存についての報告をお願いいたします。
○堀室長 それでは、資料7-1から7-3を御説明させていただきます。これまでの資料の中で説明させていただいた項目が非常に多うございますが、横串ということで、まず有害事象の報告について、7-1で御説明させていただきます。
1枚目は法律の規定でございますので、一枚おめくりいただきまして2ページをご覧いただきますと、絵で記載しておりますが、まず医療機関で医療提供した際にこの有害事象が発生した際については、医療機関から認定再生等委員会への報告、それから厚生労働大臣への報告といったものが法律上規定されておりまして、報告を受けた委員会は必要な措置をとる、また報告を受けた厚生労働省としては必要な措置をとるというのが法律上の規定でございます。
また、細胞培養加工施設側で何か重大事態が発生した場合ということにつきましては、先ほどの四十四条の基準に基づきまして医療機関側に報告していただく。また、医療機関側で何か問題を感知した場合につきましては、CPCのほうにその情報を周知していただく。また、共同研究などをやられている場合には他の医療機関についてもそういった情報を周知していただくということを省令上規定する予定でございます。
また、細胞培養加工施設側から厚生労働大臣への報告もルートとしてはつくっておりますので、またそれに基づき必要な措置があれば、厚労省として行政指導、改善命令、緊急命令、許可の取り消し等の規定を置いております。
具体的に報告事項ということでございますけれども、3ページ目をご覧いただきまして、まず、医療機関側から厚生労働省なり委員会のほうに報告をいただくものにつきましては、7日以内に報告していただくものについては極めて重篤なものとしまして、死亡・死亡につながるおそれのある症例ということ。また、15日以内に報告していただく事項といたしましては、次に掲げるものということで、入院・入院期間の延長が必要とされる症例、障害、また障害につながるおそれのある症例、重篤な症例、または先天性の疾患又は異常等について報告をいただくということです。
また、2.といたしまして、60日ごととして、これは委員会側への報告ということで、それ以外のものについても報告をいただいてはどうかということです。
それから、3番でございますが、CPCというか、細胞培養加工施設等への周知ということで、医療機関側からそういったルートについての周知のルートを設けております。
それから、一番下でございますけれども、細胞培養加工施設側から厚生労働省に対して、又は提供医療機関に対して重大事態の報告をいただくこととしてはどうかということです。
それから、資料7-2が定期報告でございます。ここは、1ページおめくりいただきまして、また絵をご覧いただければと思いますが、2つのルートの報告がありますけれども、1つは医療機関側から委員会なり厚生労働省に毎年報告をいただくもの、それからもう一つは、細胞培養加工施設から厚生労働省へ毎年報告いただくものというルートです。
その項目の案ということで、3ページです。まず、1番目といたしまして、医療機関から認定再生医療等委員会へ報告、毎年いただくものとしては、再生医療等提供した患者さんの数、健康被害の発生状況、その後の経過、それから安全性についての評価、研究の場合については、その研究の進捗状況、研究が終了した場合については、その結果や概要を報告いただいてはどうかということであります。
それから、厚労大臣への報告事項。基本的には同じですが、ニというところにさらに追加しておりまして、委員会への報告をどんな内容にしたのか、またそれに基づいて委員会が述べた意見の内容も報告いただいてはどうかということであります。
それから、次が細胞培養加工施設からの定期報告の概要ですが、まず1番目は製造に関する事項ということで、どれぐらいの件数をやっていただいているのかというボリュームの情報、2番目といたしまして苦情・有害事象に関するものとして、イ、ロに規定しているようなことを毎年報告いただいてはどうかということでございます。
それから、資料7-3が記録・保存の関係です。これは2つございますが、まず1ページ、医療機関側での記録の保存として、医療の提供を受けた方の名前ですとかそういった情報、病気の情報、それからどんな再生医療を提供したのか。それから、提供したことによってどういう結果だったのかという評価、細胞の入手先、それから、委託した場合については委託先とその業務の内容、それから、どこで行ったのか、また提供を行った医師の名前等についてということで、保存期間につきましては、現行のヒト幹指針を参考に少なくとも10年ということではどうかということです。
それから、1枚おめくりいただきまして、細胞培養加工事業者における記録・保存として、細胞培養加工施設側では、その細胞の加工の種類ですとか、細胞加工物をどこの医療機関に提供したのか。委託を受ける場合については、委託を受けた日時、それから原料となる細胞に関する事項としまして、細胞の種類、採取した施設、採取年月日、それから、適切なものであるという検査等の結果、それから、加工物の製造に関する事項といたしまして、製造の経過ですとか、検査により適切であると判断したその結果、それから、輸送に関する事項等を保存してはどうかということで、ここに数字が書いておりませんが、保存期間につきましては、先ほどの資料6の最後の20ページに書いてありますとおり、一部の特定細胞加工物については30年間、それ以外は10年間ということで、改正薬事法の再生医療等製品の製造所における保存期間と整合性を図ることを考えております。
以上でございます。
○永井委員長 ありがとうございます。御質問いかがでしょうか。
大和委員。
○大和委員 7-2の3ページのニとホですけれども、「研究の場合には」というのが2回出てきますが、これが非常に悩ましい表現で、先ほどから有効性がわからないとか結果について不明な点があるのであれば、全て研究だと考える立場もあると思いますし、逆に、医士が、これは研究だけれどもこちらは研究でないと言って主観的に議論できるような要素を残しているのか、事務局の御意見を正直なところ伺いたいです。私はこの問題は非常に悩ましいと考えています。
○永井委員長 7-2のどこでしょうか。
○大和委員 3ページのローマ数字2の1のニと2のホです。
○堀室長 事務局として想定しておりましたのは、例えば現行のヒト幹の指針のもとに行われているような臨床研究については研究として報告いただくということを考えていたということでございます。
○大和委員 一種、二種は研究で、三種は研究でないということでいいですか。
○堀室長 そこは必ずしも一種、二種だからということにはならないだろうと思いますけれども、研究としてプロトコールがあり、臨床研究として提供計画が提出されたものという理解でおります。
○大和委員 こだわるようですけれども、三種で本当に効いているのかどうかわからないにもかかわらず研究でないとみなす一方で、二種にあたるヒト幹の臨床研究の延長では研究とみなすというのが問題になると思います。ヒト幹の場合、プライマリエンドポイントが安全性だったとしても、10例、20例でそれなりの有効性が示唆されている状態で、それを継続する場合、やはり研究だとみなすのか、あるいはそうでない、次のフェーズに入っているとみなすのかは、申請者、医療者側が決めていいのか、あるいは相談事なのかとかいうことはどうでしょう。
○佐原医療統括管理官 研究かどうかということについては、4月まで御議論いただいた中では、基本的にこの法律のスコープは、研究であろうが、診療であろうが、そこを区別することなく広く対象とするということで議論がされていますし、この法律の構成も、研究であるとか、いわゆる診療であるということについて分けることなく、全て提供基準に従ってやらなければいけないし、細胞培養加工をやるのであれば、それはどちらも同じ基準を満たさなければいけない。ただし、補償のところだけ、研究の場合に限るというふうに使い分けています。
ではどういう場合が研究に該当するのかということについて、これは4月までの委員会では明確な議論はなかったのではないかと思いますし、正直、そこはまだ十分詰まってないのではないかなと思いますが、ただ、一方で、何を研究と言って、何を研究でないと言うかをあらかじめ決めておくというのも非常に難しいような気もしますので、事務局としては、つまり、再生医療等委員会とか、そういう専門家が審査する中でこれは非常に研究的なものではないかとかいうことを判断するのかなと思っております。
○永井委員長 宮田委員、どうぞ。
○宮田委員 多分そういう整理になるとは思いましたけれども、ただ、この場合って倫理委員会をパスできる道を開いてしまいましたね。この法律はそうではないのですか。
○佐原医療統括管理官 倫理委員会をパスできることではないです。これはつまり、主治医の方が、これは研究ではない、診療だと言ったとしても、この細胞を使う医療をやる場合には、この法律に基づいた一連の手続をしなければいけないと。
○宮田委員 わかります。ただ、今、既存のこういう研究に関して知見が集まっていて、そこを審査していた倫理委員会とは別の委員会ができるわけですね。そこで、その人たちが、これが研究で、これが医療だという判断をするという構図ですね。それが本当に適切にできるかどうかという吟味は必要になります。
それともう一つ重要なのは、これは別に「研究」というのを外してもいいのではないかと思っていて、それはなぜかというと、ここの今議論された事項ですけれども、資料4の9ページの8番の「再生医療等の中止」、あるいは9番の「再生医療等の提供終了後の措置」というところで、「治療による副作用について適当な期間の追跡その他必要な措置を講ずるように努めること」と書いてあるので、要するに僕は研究と医療の差は何かとさっきから頭の中で考えてみると、研究は結果を得るために、患者さん、フォローアップしなければいけないではないですか。でも、三種の再生医療なんて、ひょっとしたら患者さん戻ってこなくなりますね。特にちょっと事故なんかあったら余計来なくなってしまうのではないかと思って。ですから、むしろ三種で我々が気をつけなければいけないのは、きちっとフォローアップしなければいけないということを義務づけなければ、報告を幾らこの仕組みでつくったとしても、フォローできない。
だから、再生医療を行うに当たっては、ここにちゃんと書いてありますから、三種においてもきちっとフォローアップするという。それで安全性と、さっき永井委員長がおっしゃった科学性に関して我々は情報収集する。その仕組みがないと、報告の枠組があったとしても意味がないので、そうなりますと、科学と医療を分ける必要はないのではないかなあと思っています。
○永井委員長 そうですね。この3ページの2の1)のハのところですね。安全性についての評価というところに、やはり安全性と有効性の評価をフォローアップして知らせると。その意味はあるのではないか。
澤委員、どうぞ。
○澤委員 その安全性、有効性のところの前の宮田委員のお話ですけれども、ただ、医療と研究とここで分ける必要がどこまであるのかなというのをよく考えると、我々、外科手術というのは、医療であり、研究面もかなりあって、手術を重ねながら、かつ、それをフィードバックしているという意味においては、医療であり研究なのですね。そうやって医療を考えたら、常に研究の要素が高いので、まして再生医療というのは確立されてないということであれば、もちろん、まず安全性が第一義で、かつ、有効性を検証していけるようなデータを集めていくと。ですから、有効性のデシジョンをここでするのはちょっと難しいかもしれませんけれども、評価、もしくは報告をしっかりさせるというのが重要ですし、まず安全性については即座に報告する。そして、医療と研究はもう分けないというのがやはり一番クリアーではないか。
でないと、これは医療だ、これは研究だと誰が言うかとか、そういう議論をずうっと私たちのワーキング1でもされてきたのですね。それで混乱、コンフュージングなので、どうして分けないといけないかなということも考えたり、一種、二種、三種も、何となく逆の不公平感が出たりするようにも見えたりする部分を考えると、そのようにもうやっていただいたほうがいいのではないかなと私は思います。
○宮田委員 ただ、保険、そこは明確に、片方は医賠責でやるでしょうし、片方はこれから臨床研究のための保険みたいな、損害賠償権、そこだけ違うので、報告とかそういったところでは分けることはないのではないかと思います。
○佐原医療統括管理官 保険のところだけ分けるというのは、もう既に法律である意味決まっていますので、逆に言うと、それ以外は分けないということで法律はできていますので、その下にある政令とか省令も基本的には分けないのかなと思いますし、今の御指摘の方向で少し直したほうがいいのかなと思いました。
○澤委員 そうですね。文章の部分部分でちょっと出てきたり出なかったりする、そのような統一感がないので、ここは委員会としてはぜひ統一した考え方でやっていただきたい。
○松田委員 最近、医療のデータベース化ということがよく議論になりますけれども、せっかくここまでシステマティックに議論して取り組んできている、非常に注目度の高いジャンルですから、いろんな情報がこれからどんどん集積すると思うのですけれども、それをデータベース化して管理するということについてはいかがでしょうか。
○堀室長 先生の御指摘は個々の患者さんについてということになるのでしょうか。
○松田委員 ええ。
○澤委員 まず、薬事法下のほうは、これはもう既に委員会が立ち上がっていて、再生医療製品患者登録システムというのが今進んでいるのですね。松田委員がおっしゃるのも、私も賛成で、むしろ臨床研究のほうですね。これをどうすべきかというのは、先ほど来の議論の中で有効性を判定していくには物すごく重要ですので、これはぜひ厚労省のほうで考えていただきたい。学会のほうは、これをぜひやりましょうという方向では議論しているのですけれども、ただ、ディテールを言うと、実際には非常に難しいのは、かなり細かくいろんな診療科が入られて、それぞれにまた少しずつ違うような治療も入ってくるので、そこをどう整理するかですけれども、そこはもちろん議論しながらですけれども、ぜひその方向でやるのが私も妥当ですし、学会もそういう意見であります。
○永井委員長 最後に、宮田委員。
○宮田委員 7-3の記録事項の中ですけれども、これは前川先生に伺わなければいけないのかもしれませんけれども、細胞の安全性を確保するためにはやはりロット番号みたいな概念が、ロットという概念がどうしても必要だと思うのですね。それで、受託業者のロット、あるいはマスターセルバンクみたいな概念は何となくわかるのですけれども、院内の細胞製造に関してロットという概念で品質管理をして記録されるという仕組みはつくられているのですか。
○前川委員 要するに、細胞製品と言うよりも、特に自家の場合はロットを構成しない場合がやはり出てくる可能性があります。でも、それは記録としてちゃんと残しておれば、それと、自家の細胞に使った細胞、あるいは培養上清自体も保管して、何か問題が起こったときに遡及調査もできるという体制にしておけば良いと思います。
○永井委員長 事務局、いかがでしょうか。
○佐野課長補佐 具体的な記録のやり方というのは、四十四条の基準のほうで今回御提案させていただいているわけですけれども、その中でも、ロットを構成する場合はきちんとロットごとに、ロットを構成しない場合はこういう形でということで、いずれにしろ、そのつくるものの形に応じて適切に記録はしなさいということは義務づけておりますので、そこはロットを構成しようがしまいが適切に記録はしてくださいという形にはしております。
○宮田委員 それで、その資料7-3のローマ数字2の1の記録事項の中に、移植した細胞の記録をやはり項目として別立てにして入れておいたほうがいいような気がするのですけれども、それは僕の読み間違いでしょうか。
○堀室長 先生、もう一度場所を、部位というか。ごめんなさい。
○宮田委員 資料7-3の1ページのローマ数字2の1の記録事項。これだと患者さんのお名前とかそういうことと病名、再生医療の内容及び評価というところで細胞を記述しようとしているのですね。だから、それをもうちょっと明確化しておいたほうがいいと思う。そこの細胞の記述様によってトラッキングできなくなってしまう可能性もある。
○堀室長 確かに、再生医療の内容というのがちょっと広過ぎるかと思いますので、御指摘踏まえてちょっと検討いたしたいと思います。
○永井委員長 掛江委員、そして位田委員。手短にお願いします。
○掛江委員 2点、1つはお願いなのですけれども、先ほどの報告の安全性の評価というところですが、さきの議論のときに、こちらで報告されるので、患者さんの効果があったかどうかについても判断できるのではないかというような発言を、私、してしまったのですけれども、今、見せていただくと、安全性についての評価しか出てこないのであれば効果はやはり判断できないので、やはりここは効果が評価できるような結果をきちんと挙げていただくような形に検討していただけないかなというのが1つ。
それに関連して、こういった委員会で持っている情報というのを、社会は、一般の方々はアクセスすることができるような仕組みになっているのかなあというところで、データベースみたいなものがもしあって公開されれば、患者さんは、こういう治療はどのぐらいの治療効果があるのかということを調べることができるかと思うのですけれども、データベースなり何らかの情報が公開されるような仕組みがセットになっていていただきたいなというのを思います。
あと、済みません。これは文字の問題だけなのですけれども、有害事象報告のほうで、医療機関から細胞培養加工施設への矢印は「周知」になっているのですね。周知って、広く知らせると、辞書を引いたら出てきていて、「報告」でもいいのかなと思ったのですけれども、もし医療機関と加工施設の関係において何か意図があって使い分けているのであれば、せめて「通知」なのかなあと思ったりするのですけれども、ちょっと言葉のところ、広く知らせるという感じではないので、御検討いただけないかなと思いました。
済みません、以上です。
○永井委員長 では、位田委員、どうぞ。
○位田委員 先ほど掛江委員の御質問の前に議論されていたことの続きなのですけれども、加工業者は資料7-3の裏側の細胞に関する細かな記録・保存というのは求められているのですけれども、提供医療機関はその辺の細かなことは書いてないわけですね。だけれども、同じ細胞、事業者の場合にはかなり細かく記録しておかないといけない。ところが、院内でつくる場合には、そのことは少なくとも、反対側の7-3の1ページ目を見るだけでは、先ほど少し御案内ありましたけれども、「再生医療等の内容及び評価」という形でしか入ってないので、多分同じ細胞をつくるわけですから、事業者に求めている品質と同じことをやはり院内の場合にも書き込むべきだろうと思いますが。
○堀室長 今、位田先生から御指摘いただいた部分につきましては、細胞加工物製造事業者というのがわかりにくいのですけれども、これは院内の場合についても事業者に該当しますので、院内であっても同じ記録の保存が必要になります。
それから、先ほどの掛江先生の御指摘でありますけれども、複数の先生から御指摘いただいた、有効性という言葉なのか、科学性という言葉なのかというのがありますけれども、そこについては検討させていただいて記載させていただければと思います。
それから、定期報告で集めた情報については、基本的に厚労省のほうで集約いたしまして公表していきますので、求められる情報が適切に提供できるように、公表のあり方もちゃんと検討していきたいと考えております。
「周知」についてはちょっと検討させていただきます。
○永井委員長 ありがとうございます。
それでは、まだ御意見おありかと思いますが、お気づきの点はメール等でお寄せいただくということで、まずはきょうの御意見を踏まえまして事務局に政省令作成作業を進めていただくということでよろしいでしょうか。
これはまだ議論する委員会は何回か開催されるわけですね。4月から5月にかけてパブコメということですので、1月、2月、議論は続くということでよろしいでしょうか。
○堀室長 本日の御指摘を十分踏まえさせていただきました上で政省令の作業をさせていただければと思っておりますので、特に差し支えなければ、今回でということにさせていただければと思いますけれども。
○永井委員長 そうすると、政省令案は各委員にフィードバックされると。
○堀室長 修正後、またフィードバックはさせていただきたいと思います。
○永井委員長 そういうことでよろしいでしょうか。
○伊藤委員 今回で最後になるというのでしたら一言だけちょっと言わせてもらいますが、ここで第三種のところの議論がちょっと弱かったと思うのですね。立派なところは立派なところでよくなったと思うのですが、何となくそこをなおざりにしてきたというか、置き去りにしてきたというか。しかし、一番たくさんの患者さんが困惑になりそうなところはやはり三種のところだと思うのですね。それから、委員会からは、病院との間のやりとりはあっても、厚労省へのルートがないとか、そこあたりで若干懸念が残るなあということを最後に言っておきたいと思います。
○永井委員長 もう一回開いたほうがよいのではないですか。
○堀室長 検討させていただきます。
○永井委員長 まだ時間あると思いますけれども。
○堀室長 次回、1月の末に、それでは開催させていただければと思いますが。
○永井委員長 では、そういうことでよろしくお願いいたします。
本日はどうもありがとうございました。
<照会先>
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TEL: | 03-5253-1111(内線2587) |
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