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2013年10月25日 第2回社会保障審議会年金部会年金保険料の徴収体制強化等に関する専門委員会 議事録

年金局事業管理課

○日時

平成25年10月25日(金)14:00~16:00


○場所

全国都市会館3階 第2会議室


○出席者

宮武委員長 内田委員
菊池委員 佐々木委員
杤原委員 平川委員
堀江委員 宮里委員
望月委員 和田委員

○議題

(1)年金保険料の徴収体制強化等について(現状と検討事項2)
(2)その他

○議事

○大西事業管理課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第2回「年金保険料の徴収体制強化等に関する専門委員会」を開催いたします。

 委員の皆様におかれましては、御多忙の中、また、本日は天気の悪い中お集まりいただきまして、ありがとうございます。

 本日は、第1回の委員会では御欠席でございました宮里尚三委員が御出席でございます。

 原委員からは御欠席という御連絡をいただいております。

 議事に入る前に、資料の確認をさせていただきたいと思います。

 本日の資料は、資料1「前回の委員会でのご指摘について」、資料2「平成23年度国民年金保険被保険者実態調査結果の概要」、資料3-1と3-2に分かれておりますけれども、「年金保険料の徴収体制強化等について」、資料4「原委員提出資料」、最後に、参考資料「平成25年8月末現在 国民年金保険料の納付率」をお配りしております。よろしゅうございますでしょうか。

 それでは、これからの議事運営につきまして、宮武委員長、お願いいたします。

 

○宮武委員長 それでは、早速議事に入ります。

本日は、まず前回の会議で皆様から御質問等がございましたので、事務局より資料が提出されております。それについて説明の上、御議論をしていただきたいと思います。

その後、年金保険料の徴収に関しての「現状と検討事項」について事務局から説明をいただいた上で、意見交換をしたいと思います。

では、事務局より前回資料及び実態調査結果の概要、このあたりの御説明をお願いします。

 

○大西事業管理課長 お手元の資料1「前回の委員会でのご指摘について」をごらんください。

前回、議論の中でいろいろ御指摘いただきました点について、私どもで今回の会議に間に合う範囲で資料を整理させていただいております。

 1ページ目をお開きいただきますと、「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律の概要」という資料がございます。

こちらは、この前の議論では、国民年金の保険料の収納事務を機関委任事務として市町村長にやっていただいた時代から、国の事務に切りかえたことについての御議論がございましたので、御用意したものでございます。

機関委任事務廃止のときの考え方でございますけれども、この資料にありますとおり、当時の地方分権の推進という中で、国と地方公共団体が分担する役割を明確化することが課題とされていました。

1の3にありますが、国は、全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動、あるいは全国的な規模、全国的な視点に立って行われなければならない施策や事業、そういうものを重点的に担い、身近な行政は地方公共団体に委ねるのを基本とするという考え方に立ちまして、年金の事業は国の事業であるという形で整理がなされたということでございます。そのときに機関委任事務という制度があわせて廃止されまして、また、社会保険では、それに伴いまして、都道府県に保険課、国民年金課が置かれていた地方事務官制度も廃止をされたという経緯でございます。

2ページ目は、その関連で、平成12年までは国民年金の適用関係、毎年度の保険料の徴収などを機関委任事務として市町村が行っていたのですけれども、今日ではその大部分を年金事務所が担当しているという状況をお示ししております。

続いて、3ページ目、免除の関係は制度が幾つもありまして、その関係等について御議論がございましたので、整理をいたしております。

学生納付特例制度というのが図の真ん中の右寄りにございますが、こちらは申請免除や若年者納付猶予と対象者が一部重なる場合がございますけれども、重なった場合であっても学生納付特例制度が優先的に適用されるということでございます。申請免除の世帯に学生さんがいらっしゃる場合でも学生納付特例のほうが適用されるということになります。

一方、申請免除と若年者納付猶予も対象者が重なっておりますが、申請免除ですと、給付が国庫負担分2分の1が反映され、若年者納付猶予が適用されると給付のほうは反映されないという違いがありますので、重なった場合は申請免除のほうに行かれる方が多いと思います。一部の方は若年者納付猶予のみが適用される場合があるということで、申請免除では本人、世帯主、配偶者の所得を基準に適用するのに対しまして、若年者納付猶予では、本人と配偶者のみの所得を基準としているということで、こういうずれが生じるということでございます。

その次のページは関係の条文で、法律上そういうたてつけになっているということをお示ししてございます。

次のページは、日本年金機構の体制についての御議論がございましたので、この表で整理をしております。日本年金機構におきましては、正規職員のほかに、この表にありますような有期雇用職員が3類型ございます。

上の准職員は、正規職員と同様の事務を行っておりますけれども、雇用契約期間としては最長で3年、継続はできますが、一番長くなった場合でも7年までということで定められております。

一方、特定業務契約職員は、業務の内容は特定の業務ということで、ここにありますような戸別訪問活動等による年金制度の説明、届け出、勧奨に関する業務とか、年金相談に関する業務とか、記録整備に関する業務をそれぞれ担当するということで定められている方々ということでございます。こちらも契約期間としては最長3年までということになっていますが、延長される場合でも最高5年までということになっております。

最後の箱のアシスタント契約職員は、一般事務の仕事をしていただく方で、最長3年ということで定められております。

次の6ページです。前回の委員会では、歳入庁創設によって、厚生年金・健康保険の未適用者が適用されるようになれば10兆円増収が見込まれるという主張があるけれども、それについての考え方はどうかという御質問でございました。

その試算を我々のほうで精査させていただきますと、国税庁の統計上の民間給与所得の数を用いて未適用者が1,146万人ぐらいいるというふうに推計されているわけですが、私どもとしては、その1,146万人の中には厚生年金の対象にならない方が多数含まれているのではないか。例えば下の1、2とありますけれども、30時間未満の短時間労働者の方ですとか、厚生年金の適用がない個人事業所、農林業、宿泊業等で雇用されている労働者、こういうものも計算に入れてしまっているため、過大な推計になっているのではないかと考えております。また、こういう10兆円の増収分があれば消費税を上げる必要がないということを指摘される場合がございますが、ここにございますとおり、保険料が増収になっても、それは社会保険の給付に充てるということでございますので、消費税増税のかわりになるものではないということで考えております。

 国民健康保険と国民年金の関係が前回議論になりましたので、まず一つは、国民健康保険料と保険税の違いというものをまとめたのが7ページの表でございます。

 国保税の創設の経緯は、保険税にしたほうが保険料よりも徴収が容易になるということで、後から地方税法上の制度として創設されているという経緯がございます。また、徴収権の時効が2年と5年とか、徴収権の優先順位が地方税よりも保険料のほうが劣後しているということとか、不服申立の手続も違うというような違いがございます。

次のページには保険者数、被保険者数の比較がございます。前回の会議で私より国民健康保険料の対象になっている人が多いのではないかということを申し上げましたが、きちんと統計で調べてみますとこのようになっております。保険者数で見ますと、保険税のほうが86.7%で、圧倒的な数になっております。被保険者数で見ましても、保険税の方のほうが53.6%、保険料の方が46.4%で、保険税の方のほうが多いという数値になってございます。

次のページでは、国保税と国民年金で年齢階級別の収納率がどうなっているかというのを比較してございます。国保料でも国民年金でも年齢が上がれば納付率が高まるという傾向がございますけれども、特に国保料のほうでは、年金からの特別徴収、いわゆる年金天引きが行われているため、非常に徴収率が高くなっておりまして、国民年金とは大きく差がつくという形になっております。この関係は後で別の資料でも御説明したいと思っております。

 次のページは、保険料の免除の申請手続の書類が非常に複雑なのではないかという御指摘をいただきましたので、すぐれた自治体の取り組み事例を御紹介させていただいております。

これは横須賀市さんの例ですけれども、実際に市民の方に御記入いただく資料自体は、このように非常に大きく見やすい形でおつくりになっていて、実物はカラーで、色がついていて、年によって色を違えたりするなどの工夫がなされていまして、大変わかりやすくつくっていただいて、市民の方に記入をしていただいている。これを市のほうで受け取ると、次のページにある国が定めているほうの字が小さい申請書の様式にシステム的にデータが入力され、打ち出されて、手続が先へ進められる。こういう流れになっているということでございます。その次のページですが、手続をいただいた方には申請の控えを渡して、そういう中で、免除の手続の結果は日本年金機構からお知らせが行きますよとか、来年度も申請の手続はいつごろしてくださいというお知らせ、問い合わせ先なども含めて、きめ細かく記入されているというものでございます。ただ、全ての自治体がこういうすばらしい取り組みをしているわけではなくて、多くの自治体は、この前わかりにくいと御指摘をいただいた国のほうの申請書をそのまま使っているであろうと考えております。

15 ページは、「社会保険料における強制徴収手続と督促との関係」という資料になります。国保と国民年金の強制徴収手続を比較しようということで、16ページが「国民健康保険の徴収業務の流れ」についてです。

保険料の額を決定して、それを納付してくださいと通知をした後、納付相談などをなさった上で、それでも納期限までに納められないという方に督促状が発行され、さらに納付相談をしても応じられないという場合には、財産調査をした上で、差押のほうに行くということで、国保のほうでも手続が進められるということになっております。

この点は、国民年金でも、督促状が出て、調査をして、差押という流れは同じということでございますが、多分自治体のほうが住民と身近なところできめ細かい納付相談などをおやりになっているのかもしれないなと考えております。

国民年金の納付の実態に関する御質問がございましたので、本日の資料2、これは前回説明を省略した「関連参考資料」から抜粋をしてきた「平成23年国民年金被保険者実態調査結果の概要」という資料でございます。

これは3年に一回厚生労働省年金局のほうで実施している調査なのですが、この中で所得の状況とか働き方の状況等に比べて納付状況がどうなっているかということを分析しております。

例えば4ページ目は納付状況ということですが、平成17年、20年、23年と3年置きの調査で、納付者の割合が徐々に低下している。滞納者の割合が徐々にふえている。最近の納付率の傾向を反映してこのような姿になっているということが示されております。

6ページの図2「年齢階級別1号期間滞納者の状況の変化」というグラフを見ますと、滞納者の割合が多いのは、30代前半層がピークで、それ以前の若い年齢の方々は学生納付特例などを受けているので、滞納率自体はそれより低くなっているという姿があらわれています。

8ページ目「納付月数の状況」というのがありますが、納付している方の納付状況を見ると、12カ月納めるという方か、それとも1カ月も納めないというふうに二極分化しており、納める方は全部納めるし、納めない方は全く納めないという形になっているというのがうかがわれるということでございます。

9ページ目以降が就業状況との分析です。

国民年金の被保険者は「無職者」が非常に多くて、それに次いで「臨時・パート」という就業状況の方が多いというのが、男女あるいは納付状況を問わずほぼ共通した傾向として見られます。

10 ページ目は年齢別の状況ですけれども、同じく「無職」が多くて、「臨時・パート」がそれに次ぐという傾向がございます。

11ページ目に図6「就業状況別保険料納付状況」というのがあります。一番右側の黒くなっているのが滞納者の方々の割合ということで、常用雇用、つまり、厚生年金に入れないようなところで働いていらっしゃる被用者の方で見ますと、35.6%が滞納者になっているということで、これが一番多くなっているということ。それに次いで臨時・パートの方が滞納者の割合が多いということ。無職の方は、免除を受けている方が非常に多いということ。完納している方の割合は自営業あるいは家族従業者という方が多いということでございます。

16 ページ目は保険料納付状況の所得の分布を見たものでございます。16ページ目の図9のグラフが納付している方の所得の分布、図10のほうが滞納している方の所得の分布ということです。滞納者の方が低所得、図の左側の方が多い割合でいるということですが、高所得の方、右側のほうに行くと1,500万とかいう層もありますが、そういう層でも滞納している方がいるということがうかがわれます。

18 ページ目、図11「世帯の総所得金額階級別保険料納付状況」ということですけれども、先ほどと同様ですが、「1,000万円以上」という上から2つ目の横棒グラフ、所得が1,000万円の世帯でも、1号期間滞納者、24カ月保険料を納めていないという方が10.5%いらっしゃるというような統計になっております。押しなべて言えば、完納している人は高所得の方に多く、滞納している方は低所得の方に多いという傾向がございます。

25ページ目に保険料の納付方法との対比というのがございまして、図20をごらんいただきますと、完納している方では口座振替を御利用の方が62%で、一番多くなっている。一方、一部納付の方は、コンビニで納める方が46.1%を占めているということでございます。

 コンビニ納付というのは最近、どんどん多くなってきているのですが、26ページ目の表17を見ますと、若い世代の方ほどコンビニを利用される方が多いという傾向が出ております。

30 ページ目以降には保険料を納付しない理由に関する調査結果が出ております。

この前の会議でも御紹介しましたが、「保険料が高くて、経済的に支払うのが困難である」という理由を掲げていらっしゃる方が一番多くて、滞納者の7割ぐらいはそういう理由。それに次いで「年金制度の将来が不安・信用できない」ということを理由に挙げていらっしゃる方が多くなっています。

32 ページ目に年齢階級別で納めていないことについての意識を聞いた統計がございます。「もう少し生活にゆとりができれば保険料を納めたい」という方々は、どの年齢層でも6割から5割ぐらいいらっしゃるということで、特に若い方々などもそういう意識でいらっしゃるということが見てとれます。

33 ページは、免除とか猶予とかを受けた方の追納についての意識です。免除とか猶予を受けた方でも追納できるという制度がありますけれども、「全部追納したい又は全部追納する予定である」あるいは「一部だけでも追納したい又は一部だけでも追納する予定がある」と答えていらっしゃる方を合わせると4割ぐらいはいらっしゃるということで、追納についてのニーズもあることがわかります。

34 ページ目は、国民健康保険との対比です。34ページ目の一番下の表31をごらんいただきますと、国民年金の保険料を完納している方で見ますと、97%は国保の保険料も全月納付している。一方、国民年金の1号期間滞納者、24カ月全く納めていないという方でも、56.4%の方が国保料は全月納付しているということになっております。

35 ページ目からが生命保険・個人年金の加入状況です。生命保険、個人年金、あるいは両方に加入していらっしゃるという方が5割ぐらいいらっしゃいまして、表32で見ますと、1号期間滞納者でも49.6%は生命保険または個人年金に加入していらっしゃるという統計になっております。

また、納めている額も、36ページ目をごらんいただきますと、1万2,000円とか、かなり国民年金の保険料に近い額を納めていらっしゃるという統計になっております。

37 ページ目以降が周知度に関する各種調査でございます。37ページ目の上のほうは、25年掛けないと年金がもらえないということを知っている方がどういうふうになっているかということです。近年、3年ごとの調査を比べますと、徐々に低下している傾向、周知度が下がっているという傾向がうかがわれます。

下のほうの物価スライド制についての周知度とか、以下、障害年金についての周知度、国民年金に国庫負担があるということの周知度、高齢で任意加入することができるということに関する周知度、社会保険料控除が受けられる、税制上の優遇があるということについての周知度、いずれも近年の調査では低下している傾向が出ております。

 一方、43ページ目から免除・猶予制度に関する周知度というのがあるのですが、押しなべて申しますと、こちらのほうは、保険料免除があることとか、学生納付特例という制度があることについての周知度は、最近の調査が一番高くなっているということで、比較的改善傾向にあるというデータが出ております。

長くなりましたが、以上でございます。

 

○宮武委員長 ありがとうございました。

それでは、ただいまの事務局からの回答及び説明について、何か質問がございますか。どうぞ。

 

○菊池委員 御説明ありがとうございました。

 2点あるのですが、まず1点目は、資料1の1ページ目の地方分権との関連で前回も問題になりましたけれども、ただいま御説明がございましたとおりで、前政権のもとで地方分権一括法などが制定されていますが、しかし、考え方としては、御説明がありましたように、本来地方でやるべきものに国が口を出すべきではないとか、地方がやるべきものは地方がやるという流れで進んできておると思います。

 年金というのは、国が保険者になって本来行うべき事務でありますので、その事務を地方におろすというのは、国と地方との関係の大きな流れからいくとちょっと難しい。年金だけを特例的に変えていくというのは難しいと思います。

もう一点ですが、3ページの学生納付特例、若年者納付猶予制度との関係については整理されて、理解できましたが、私は法律改正をしたほうがいいと申し上げているわけでは全くなくて、今回の徴収体制強化の一つの趣旨が、仮に若年者、若者の徴収体制をどうやって立て直すか、あるいは若者の低所得や貧困に対して、どうやって年金権を確保するかといった面もあるとすれば、現在の仕組みについて、学生納付特例が設けられた当時の立法事実、立法者意思というか、その辺を確認されるとよろしいのではないかと思います。

つまり、前回の改正のときの趣旨を基礎づける、どういう認識のもとに改正したのかというあたりを確認された上で、その立法事実が現在においても合理的なのか、合理性があるのかと。今回改正の、先ほど申したような趣旨との関連で、なお、現在の制度がこのままで優先されるべきなのか、そのあたりをちょっと整理されるといいのではないかという気がいたしました。

以上です。

 

○宮武委員長 菊池委員のほうは、これは御回答というよりも宿題としてでいいですか。

 

○菊池委員 はい。

 

○宮武委員長 どうぞ御自由に御質問なり何なり御発言ください。どうぞ。

 

○和田委員 岐阜市の和田です。

全国の800都市が会員の全国都市国民年金協議会というものを持っておりまして、毎年、全国の事務担当者が一堂に会して議論とかいろいろするのですけれども、その中でも、今、菊池先生がおっしゃってみえたみたいに、年金の事務は本来国の事務であるということで、できれば地方の事務を返上して国のほうで一括してやっていただきたいという要望を持っています。

ただ、それは現実的には無理ではないかと思っておりまして、当面は協力ができるような体制をお願いしたいということで、要望をいろいろさせていただいています。

前回もありましたが、日本年金機構さんになられて、かなり准職員の方も見えますけれども、基本的に3年ということなので、知識を得られる前にやめられてしまったり、近年ですと、障害年金のほうの申請が多いのですが、そういったところもかなり難しいものがありますので、そういった知識が蓄積されたころにおやめになられるということがありまして、機構さんのほうと密接に関係している都市のほうは、かなり苦労しながら事務を行っているという現状です。

そういったところについて、年金機構さんの機関事務のほうをかなり充実してやっていただければ存続もできるのかなと思っています。

あと、今回の強化の関係でも、年金事務所のほうに聞きましたところ、1カ月の未納者の方に対しても特別催告書を出してみえるということです。

前回のときにもその特別催告書の用紙の文言はかなり強烈なことが書いてありましたので、そういったものをもらった方がどういう意識を持たれるかというところも、今後長く納付していただく状況の中で、若い方に強制というよくないイメージを年金のほうで持ってしまわれると、今後の納付には結びついていかないのではないかなと思っているのですけれども。現場としては、どうしてもこういった課題に対して、数字を上げなくてはいけないということで、上から言われるままにというか、そういう形でやってみえるのですが、本来であればもう少し年金事務所さんにお任せして、対策を練っていただいたりするのもいいのではないかなと思っています。

以上です。

 

○宮武委員長 どうぞ御発言ください。

 御説明いただいた横須賀市の届け出書類はとても簡便でわかりやすく、書きやすいと思いましたが、現実にその届け出書類があることによって例えば具体的な効果が出ているかどうか。例えば4分の3とか4分の1免除というのはほとんど利用されていないのですが、横須賀では割と多いとか、そういう具体的な効果があるのかどうか。もしわかればまた教えていただけませんでしょうか。

 

○大西事業管理課長 わかりました。

 

○宮武委員長 もしなければ、次に参ります。後から御質問なり御意見でも結構でございます。

年金保険料の徴収に関しての「現状と検討事項」について、事務局から説明をお願いいたします。

 

○大西事業管理課長 それでは、お手元の資料3-1と3-2を突き合わせながらごらんいただきたいと思います。

まず、資料3-1の1ページ目「論点の全体像」という表紙の次のページでございます。

本日は、前回の委員会からの続きで、2の「(2)関係行政機関等との連携強化」、以下の3、4のところについて御議論をいただくということにしております。

次の2ページ目「国税庁への滞納処分権限の委任制度の活用」でございます。論点整理の中では、「現状の分析を行った上で、運用方法の見直しや委任要件の緩和を検討すべき」ということで御指摘をいただいています。

参考資料3-2という縦の目次がついている資料のほうをお開きいただきますと、最初のページが「財務大臣(国税庁)への滞納処分の権限の委任(概要)」となっております。

平成22年1月1日からこのような法律上の規定が整備されまして、厚生労働大臣から財務大臣(国税庁)に滞納処分の権限を委任できるという制度がスタートしております。

委任の要件です。

滞納月数が24カ月ということで、長期にわたる滞納がある。

厚生年金の場合ですと、1億円という非常に多い滞納額になっている。

国民年金の場合には、所得が1,000万円以上という高額所得の方である。

悪質性、処理困難性、こういうことを要件として定めているところでございます。

次のページは、そういうものについて実際どういう形で年金機構と国税局で連携しているかということなのですが、毎月1回国税局と年金機構のブロック本部の担当者同士が打ち合わせをして、定期的に情報交換をするということで、ブロック本部のほうから委任の候補などを挙げまして、それについて、国税局といろいろ打ち合わせをしながら詰めていくということでやっているということでございます。

資料3-1のほうにお戻りいただきますと、こういう形で緊密な連携を図りながらやっておりますが、国民年金につきましては滞納額が余り大きくないことや、国税庁に委任しますよと対象になる方に説明すると、自主的に納付してしまうということで、国民年金の場合は、委任の実績はありません。

厚生年金につきましては、これまで4件という実績がございます。

また、国税局の職員の方々に対しまして、公的年金に関する知識などの研修ということも年に1回実施をしているということで、連携を図っておりまして、今後ともさらなる緊密な連携を図ることによってこの委任の促進も図ってまいりたいと考えております。

次が資料3-1の3ページ目「市町村との情報連携強化」ということでございます。

論点整理で指摘されておりますのは、社会保障・税番号制度が導入されると、情報提供ネットワークシステムを通じてさまざまな情報交換が可能になるので、それを活用して国民年金でも効率的で利便性の高い行政事務ができるのではないかということでございます。

参考資料の3ページ目、4ページ目のほうは、前回も御説明した資料の中に入っておりましたけれども、現状でも所得情報を市町村から御提供いただくということをやっているのですが、今でも6市町村からは情報提供をいただけていないということとか、あるいは3ページ目の下のほうにございますけれども、情報提供の手法も紙だったり、磁気だったりということで、市町村によって違っている。あるいは4ページ目にありますけれども、扶養に関する情報については、いただける場合といただけない場合があるということで、ばらつきがあるという現状にございます。

 そして社会保障・税番号制度が導入されたらということなのですけれども、5ページ目に「社会保障・税番号制度の概要」という資料がございます。個人番号につきましては、市町村長が住民票コードを変換して番号を付すということになっていまして、個人番号の利用範囲というのは法律に規定されて、現在では社会保障、国税・地方税の徴収、災害があったときの防災ということで、法律上縛りがかかっているということになっております。5ページ目の真ん中あたりに「個人番号カード」というのがありますけれども、住民から申請があれば、市町村長は顔写真つきの個人番号カードを交付するということも予定をされています。

次の「個人情報保護」の2つ目の○ですが、個人番号を内容に含んでいるような個人情報のことを「特定個人情報」と言っていますけれども、そういう番号を含む個人情報につきましては、原則としてその提供はできないのですが、情報提供ネットワークシステムを利用して使用する場合など、法律で定めた場合には提供ができるということで、利用に厳しい制限がかかっております。

 最後に、「法人番号」というところがございますが、これは国税庁長官が法人番号を付して、原則としてオープンな形で、民間でも利用できるようになっているという違いがございます。

年金制度におきましては、個人番号のほうは専ら国民年金で利用を考えてございますし、法人番号のほうは厚生年金で利用できるのではないかと考えております。

6ページ目にロードマップ案がございます。

現在のところ、法律の成立を受けて、政省令の整備というところに入っております。この資料の中に「別表一、別表第二の事務、情報を定める主務省令の制定」とありますけれども、要は、この省令の中でどういう事務に番号を利用するかということを、厳密に一個一個規定をしていくということが必要になっていまして、何の事務にどういう情報を使うかということの精査をしています。

また、別表第二においては情報連携、どういう機関からどういう機関に、どういう事務に関してどういう情報を渡すかということを省令で定めなければならないことになっていまして、その精査をしているというのが現状でございます。

平成2710月から個人への番号の通知が開始されて、28年1月から番号の利用が始まり、年金でも年金相談などにその番号を使っていくということで予定をしております。

さらに、行政機関同士での情報提供ネットワークシステムを使った情報交換につきましては、平成29年1月、マイ・ポータルの運用開始とともにこの情報提供ネットワークシステムの稼働が始まる予定ということになっております。

次のページは「個人番号の利用範囲」ということで、社会保障ですと、年金で資格確認等に使うということを別表一では規定しているということです。

8ページ目は、具体的にその番号を活用した事務のイメージということです。今のところ、例えば「1 国民年金の収納対策や継続免除に係る所得確認事務の効率化」ということで、市町村がお持ちの所得情報を情報提供ネットワークシステムを活用して入手することによって、免除、収納対策、そういうもののスムースな事務が進められるということ。2のほうは、雇用保険の情報を情報提供ネットワークシステムを通じて入手することによって、効率的に失業者の方の免除の適用ができるということ。9ページ目の3は生活保護についてですけれども、生活保護の受給をしているという方に対する法定免除の適用漏れを防止するということも可能になってくる。4番目が、厚生年金のほうで先ほどの法人番号というものを活用しまして、効率的な適用対策を進めるということが可能になると考えています。こういうことで、積極的に社会保障・税番号制度を活用してまいりたいと考えております。

次が資料3-1の4ページ目「免除勧奨等における関係機関との連携強化」というものです。免除勧奨などにおきまして、論点整理の中では、ハローワークとの連携、学生納付特例事務法人というのは学校法人などですが、学校との連携というのをテーマに掲げております。

 参考資料3-2の10ページ目に、失業された方の場合には、本人所得を除外して免除を適用する特例免除という制度があるということの説明があります。11ページ目に、特例免除の適用に関しましてハローワークと年金事務所で連携をとってやっているということを示しています。具体的には、ハローワークにおいて、雇用保険の受給者の方に説明会などが開かれるときにチラシを配ったり、ハローワーク職員あるいは年金事務所職員から免除に関する説明をする、あるいは届書を用意して、手続をしていただくということで連携をしております。

その実施状況が12ページ目ということでございまして、被保険者の届け出の手続とか、納付猶予、あるいは免除の申請書の受付とか、口座振替の納付の受付とか、かなりの実績を上げることができているということですけれども、これもなお一層増やしていきたいと考えております。

次は学校との連携です。13ページをお開きいただきますと、「国民年金保険料の学生納付特例制度の概要」というタイトルの資料があります。

学生さんの国民年金保険料の納付特例につきましては、学生納付特例事務法人、要するに、学校なのですが、大学、短大等が承認を受けて、学生にかわって手続ができるという仕組みがございます。

14 ページ目にその件数などを挙げておりますけれども、平成24年度で見ますと、160法人、申請書の取り扱い件数は1,454件ということでございます。徐々に数が増えてきている傾向にはありますが、全体の学生数に比べますとかなり少ないということで、これをどうやって普及させていくかが課題であると考えております。資料3-1にありますけれども、学校には申請1件当たり30円の手数料を払っているのですが、そういったお金の問題というよりは、むしろ学校において事務的な負担が大変であるということが課題になっていると伺っております。

資料3-1の5ページ目「短時間労働者への厚生年金の適用拡大」です。参考資料3-2の15ページ目に現在の社会保険の適用基準がございまして、働いている時間、所定労働時間が同じ事業所の通常の就労者と比べまして4分の3以上であれば厚生年金の適用、4分の3未満ですと、扶養に入っているかいないかによって1号ないしは3号ということで分かれてまいります。

4分の3というのは、つまり、労働時間が週40時間ですと、30時間相当ということになりますが、この前の社会保障・税一体改革の年金制度改正の中で、16ページにありますような形で適用拡大を図っています。現行ですと、先ほどの30時間以上というところから、右の図のほうにありますけれども、週20時間以上、月額賃金8.8万円以上、勤務期間が1年以上、学生でなくて、従業員が501人以上の会社におられるような方が25万人いると推計していますが、こういう方に適用を拡大していこうということで、2810月から施行を予定しております。

なお、この法律の中では、3年以内、つまり、平成31年9月末までに検討を加えて、その結果に基づいて必要な措置を講ずるという検討規定も設けられているということでございます。

参考資料の17ページ、先般まで開催されておりました社会保障制度改革国民会議の報告書の中では、短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大につきましては、国民年金被保険者の中に被用者性を有する被保険者が増加していることが、本来被用者として必要な給付が保障されない、保険料が納められないというゆがみを生じさせている。こういう認識に立って、被用者保険の適用拡大を進めていくことが必要なことだということを指摘されているわけでございます。このような状況でございますので、適用拡大の施行とこの検討規定に沿った検討ということが課題であるということになっております。

 次は資料3-1の6ページ目「事業主との連携強化」という課題でございます。

 論点整理の中では、「事業主の協力を得ながら臨時・パート等の従業員の納付を促進する仕組みを検討してはどうか」ということが求められております。

先ほどの統計の中にもありましたけれども、1号被保険者の中にパート・臨時雇用の方が増大しているという傾向を踏まえまして、こういうことが論点として指摘されているわけですが、具体的にどういう形で事業主の協力を得られる事項があるのか、あるいは年金事務所側では、第1号被保険者の方がどういう就業状況なのかということは、データとしてはないので、そういったことが制約になること等が検討課題であるということでございます。現行の国民年金制度の中で、団体等の協力を得て納付を図っていくというスキームが幾つかございまして、参考資料の18ページ目に納付受託者という制度がございます。これは被保険者から保険料を預かって、銀行のほうにかわりに納めてくれるという制度で、厚生労働大臣の指定を受けて納付受託者になるわけですが、コンビニエンスストアのほか、国民年金基金とか国民年金基金連合会という団体も納付受託者として指定されているということでございます。

次の19ページ目に「国民年金事務組合の概要」がございます。これは資格取得の手続等を本人から委託を受けてやっていただけるという組合でございます。これも厚生労働大臣の認可を受けることになっておりますが、20ページ目にありますとおり、現在、事務組合としては、東京都個人タクシー国民年金事務組合のみということで、余り利用が進んでいないということでございます。

21 ページ目は「保険料納付確認団体の概要」です。これは平成20年からスタートしておりますけれども、厚生労働大臣の指定を受けて、被保険者からの照会に応じて、かわりに年金事務所等に保険料の納付状況などを問い合わせてくれて、その結果をお知らせしてくれるという団体でございます。

これにつきましては、22ページ目に団体一覧がございまして、社労士会、歯科医師会、薬剤師会等々の団体が納付確認団体となっていただいているということでございます。

 こういう既存のスキームを含めて検討していきたいと考えております。

 次が資料3-1の7ページ目「公的年金制度に対する理解の促進」という項目でございます。効果的・戦略的な広報の実施について検討すべき等々の御指摘をいただいております。

これにつきましては、現状の御紹介として、資料3-2の23ページ目、広報の現状ということで御紹介をしたいと思います。年金広報予算ということなのですが、厚生労働省の年金広報予算につきましては、平成20年度は4億7,000万、平成21年度は3億4,000万という経費を計上しまして、年金教育あるいは広報ということを実施してございましたが、平成22年度からは予算額ゼロということで、全額廃止しております。これは、行政刷新会議での事業仕分けにおいて廃止すべきという結論を出されたことを踏まえて、そのようなことになっているわけでございます。

次のページに、その刷新会議での評価に関する資料を添付しております。大きな指摘のポイントは、当時の広報予算の中で行われている広報の内容について、費用対効果が不透明なのではないかという御指摘が多かったと認識をしております。したがいまして、費用対効果というものをどう考えるかが重要な課題だということで考えています。

参考資料の25ページ目以降は、予算がない中でのいろんな取り組みということでございます。一つは「ねんきん定期便」とか「ねんきんネット」、個人に直接その情報をお知らせするという制度を今、積極的に取り組んでいるということで、郵送とかインターネットというものを通じて加入期間や年金見込み額もわかるようになっているということでございます。

26 ページ目に「『ねんきんネット』のポイント」という資料があります。

御本人が「ねんきんネット」を通じて、下の表示画面のイメージがありますように、各年度、制度に入っていたということだけでなく、どういう会社で、厚生年金基金に入っていたかどうか、そのときの標準報酬月額はどうなっていたかということも表示されるということで、きめ細かくいろんな情報を自分で見ることができる。これを通じまして記録の漏れや誤りを発見するのが容易になっています。さらに持ち主がわからない記録というものを検索できるような機能も備えておりまして、記録問題の解決にも大きく役立てたいと考えております。また、「サービスの向上」と右側に書いてありますが、各種試算条件を入れて年金見込み額を算出するということも可能なようになっております。

次の27ページ目は、同じ内容ですが、チラシの形で日本年金機構のほうでつくっているものを参考としておつけしております。

28 ページ目に「ねんきんネット」の利用手続というのがあります。年金機構のホームページからクリックすれば、比較的容易な形でこのような流れでユーザーIDを取得して、自分で年金記録などを確認できるようになっているということで、積極的に御利用いただきたいと考えております。

29 ページ目は、その他の年金機構で行っている年金制度の普及啓発関係の取り組みを書いております。一番上のほうに書いていますのは、事業仕分けで廃止した年金教育推進員というのは、かつては学校とか中学校を回って生徒さんたちに年金について教えていただく。学校の先生のOBなどの方に委嘱してやっていただいていたのですが、現在ではこれはやっていません。

30 ページ目にありますが、「地域年金展開事業」を新たに構築しまして、この中でセミナーなどの開催もしています。平成25年3月から8月で延べ421回、約3万8,000人の学生の方がセミナーに御参加いただいており、毎年11月を「ねんきん月間」と位置づけまして、その期間に納付相談会などを初めとした取り組みを積極的にしております。

31 ページ目は「ねんきん月間」の取り組み実績を掲げさせていただいております。

32 ページ目に「年金委員の概要」というのがございます。日本年金機構法に基づいて厚生労働大臣が委嘱する年金委員がいらっしゃいます。職域型と地域型の2つがあり、会社の中で同じ職場の方の相談に応じて、年金についての知識の普及や、こういうときはこういう手続が必要といった助言などをしていただけるという職域型の年金委員と、自治会などで活躍されている地域型の年金委員がいらっしゃいます。地域型はボランティアでやっていただいているということで、非常にありがたいわけですが、近年では高齢化等に伴って人数がなかなか確保できないという課題もございます。平成25年度からは厚生労働大臣がそのような年金委員を表彰するということもスタートしまして、年金委員の普及に努めていくということを考えております。

それから、前回の会議でも教育の問題についてかなり御指摘をいただきましたが、33ページ目以降に、今、厚生労働省の別の部局で取り組んでいる「社会保障の教育推進に関する検討会」の検討状況を資料としておつけしております。慶應大学商学部教授の権丈先生に座長をお務めいただいて、34ページにありますような形で平成23年からいろんなことを御議論いただき、成果を上げていただいてございます。

35 ページ目は、その検討会の中の資料でございます。

社会保障でこういうことを若い方々に教えたらいいのではないかという学習項目をまとめています。例えば資料の真ん中辺に「公的年金」とありますけれども、公的年金というのはこういう意義があるとか、あるいは仕組みがこうなっているということを教えることとされています。

36 ページ目以降にワークシートというのがありまして、学校の先生方が公的年金についてどういうふうに教えたらいいかというのは、すぐにはわからないわけでして、そういう場合に、これにのっとって授業を進めていけばうまく教えられますよということで、ワークシートというのが36ページ目から40ページ目までございます。左側が具体的に授業でやることで、「ねらい」が右側のほうに書いてあるということで、わかりやすくできております。

41 ページ目、42ページ目、43ページ目は、授業で使える教材として、ファクトシートをおつくりいただいているということでございます。

以上が、「公的年金に対する理解の促進」で御議論いただきたい広報とか教育の問題という点についての参考資料でございます。

資料3-1の8ページ目から10ページ目は、厚生年金の適用促進という次の論点でございます。厚生年金の適用促進につきましては、本来適用すべき事業所を見つけてきて、それに対して厚生年金に入っていただくことを働きかけていくかということが課題ということでございます。

参考資料で申しますと、44ページ目以降になります。

44 ページ目は大きな流れです。上のほうから申しますと、日本年金機構で持っている事業所に関する情報のほかに、雇用保険とか法人登記簿情報というものをもとに、調査をする事業所を選定し、その事業所の規模、雇用保険の被保険者数などを基準にしまして、委託業者あるいは年金事務所が直接文書、電話、訪問によって加入の勧奨をしていくという流れになっているということでございます。

45 ページ目が「適用調査対象事業所の把握(運用のイメージ)」です。左上にありますような雇用保険のデータを毎年いただいたり、あるいは法務省から毎月いただいている法人登記簿データを適用事業所のデータと機械的に突き合わせをして、不一致が出た事業所に対しては調査に行って、46ページ目にもあるとおり、雇用保険被保険者50人未満の事業所につきましては外部委託事業者、50人以上ですと、年金事務所がみずから優先度をつけて調査に行って、適用をしていくという流れでございます。

47 ページ目にデータがございます。

上のほうの「適用状況の推移」という表で申しますと、3段目の「適用調査対象事業所数」が、平成18年度は9万7,427事業所でしたが、平成23年度、24年度は大幅に増加していまして、雇用保険などのデータを積極的に活用した結果、事業所数が増えているということでございます。

こういう事業所の中には、実際に適用が必要なケースも、適用しなくてもいい休眠法人等のケースもあるわけですが、適用が必要な場合に先ほどのようなスキームで適用を進めた結果、下にあります「保険料収納率等の推移」を見ますと、98%の事業所では保険料を納めていただいているということで、収納率は良好な状態にあると考えております。

48 ページ目は適用促進策の実施状況でございます。外部委託の実施分あるいは年金事務所の職員による実施分、いずれにつきましても近年大幅に強化している方向にあるということでございます。

49ページ目には、そういう中で、悪質な検査忌避をするとか、人数規模が多いとか、そういう要件を満たす事業所につきましては、刑事告発して、公表するという基準を設けているのですが、実際にここまで至った事例は今のところはないという実績でございます。

50 ページ目は、社会保険の適用がある事業所について、ホームページで公表していこうという取り組みでございます。平成22年から労働保険の適用事業所はホームページ上で検索できるようになっているのですが、厚生年金でも、個人情報保護法上の法令の手当てをした上で、こういった形での公表をしていきたいと考えております。

51 ページ目には「立入検査等の認可申請の流れ」という図がございます。社会保険庁時代にはこういうことは行われていなかったわけですが、日本年金機構は民間法人であるため、行政的な公権力の行使というものについては厚生労働大臣の認可を受けなければならないということが法律上定められているということで、現在、年金事務所が立入検査をするという場合には、郵送の関係とかもあって大臣の認可書が届くまでに1週間ぐらいかかってしまうのですが、そういった手続をやっているという流れを示しております。

52 ページ目は、同じく強制調査権限で、滞納処分の関係です。これも毎月10日ごろに保険料の納付状況が機構本部でわかって、滞納している事業所に対する督促状の作成にかかるというところから始まって、一方で、認可の手続は地方厚生局でやっていますけれども、滞納処分をすることについての認可を得る手続を督促状の発行と同時にスタートさせておりますが、認可に至るまでは30日ですので、約20日間かかって認可を行っているという実態がございます。

53 ページ目は、そうはいっても、非常に緊急な場合、厚生年金の適用事業所が急に解散したとか、破産手続が急に始まったとか、国税庁の滞納処分が始まったという情報が察知されたときには急いでいかなければいけないということで、繰り上げ徴収というのを実施するのですが、それでも事前の認可は必要だということになっていまして、現場の判断だけではなくて、やはり手続をしないとこういうことができないということで、適用促進に当たって現場では苦労しているということで、課題になってございます。

次が資料3-1の10ページ「関係機関との連携強化」というテーマでございます。厚生年金の適用に当たって、国土交通省が持っている貨物運送の許認可、あるいは旅客運送の許認可、あるいは建設業の許認可等の機会を通じて、社会保険の加入状況を地方整備局、地方運輸局などでチェックしていただいて、日本年金機構のほうに加入していない事業所についての情報をいただき、適用促進をしていくということで、今、連携強化を図っております。労働者派遣業の許可の関係で労働局でも同様の取り組みをしていただいているということで、このように関係機関と連携を拡大していきたいというのがもう一つの課題ということになっております。

資料3-1の11ページ目と12ページ目に利便性の向上策関係の資料があります。

11 ページ目は「提出書類の省略」という論点でございます。大きく2つありまして、1つは番号制度の導入があれば、年金のさまざまな手続で戸籍、住民票、所得証明のような申請者の方に求めている添付書類などを大幅に簡素化できるのではないかということでございまして、それについては番号制度の導入の際に検討して、積極的にそういうことをやっていきたいと考えております。

もう一つ、ここでは住民税の申告不要な方について、国民年金の保険料の免除の手続の際、所得証明書の提出を不要とすることを検討してはどうかということが課題に挙げられております。資料3-2の55ページ「第三百十七条の二」という下のほうの規定ですが、所得割の納税義務を負わないと認められる者のうち当該市町村の条例で定めるものについては、市町村長に申告書を提出しなくてもよいということが地方税法上定められてございます。ある市の条例の例が次の56ページ目にありますけれども、個人の均等割が非課税になるような方の場合には申告しなくてもよいということが条例で定められております。これは自治体によっては無収入でも住民税の申告が必要という場合もあり、条例によって分かれてくるということでございます。

しかし、こういう住民税が非課税になるような低所得の方は免除を受けられるわけでございまして、そういう場合に、現在ですと、年金事務所側では所得情報を確認できないので、所得証明をつけていただきたいということでお願いするわけですが、実際に地方税のほうでは申告は不要であると税制上定められていますので、その点を簡素化することを、検討していきたいと考えております。

最後、厚生年金保険料と労働保険料の一括徴収という課題でございます。行政効率化、利便性向上という観点から検討してはどうかということでございまして、現状に関しましては、平成15年以降、厚生年金と労働保険でここに書いてございますような説明会を共同で開催するとか、書類の提出期限を合わせるとか、さまざまな工夫をしてなるべく効率化できるように取り組んできております。

一方、滞納整理事務の関係では、かつて社会保険庁時代には、社会保険事務所の職員と労働局の職員を併任して、社会保険事務所の職員でも労働保険料を取れるということで、共同で事務を実施していた時期がございましたけれども、現在は年金事務所職員が非公務員となってしまいましたので、労働保険料を取り扱えなくなっているということがございます。検討事項として、なるべく効率化できる部分はないかということでございますが、ここでは、例えば財産調査の関係の情報を年金と労働保険で共有することによって、調査する事務の軽減にもなりますし、調査を受けるほうの企業の負担の軽減にもつながるということで、そういうことができないかということを検討していきたいと考えております。

長くなりましたが、説明は以上でございます。

 

○宮武委員長 ありがとうございました。

 大変多岐にわたる説明であったわけですが、残り時間については御質問を含めて御自由に御発言ください。お願いいたします。どうぞ。

 

○佐々木委員 委員の佐々木と申します。

大きく2点ほどあります。1つ目が地域差という視点からの質問です。2つ目が先ほどの横須賀市の事例で、社会保障・税番号制度と関連する質問です。

第1に、年金未納理由の地域差と、地域レベルでの取り組みについてです。国民年金の納付率を高めるということを考えるときに、なぜ未納者になっているかという年金未納理由を考える必要がありますが、地域によって未納理由が違う点があるのではないかと思います。

例えば景気がいい地域、悪い地域など経済環境の違いがありますし、若い人、中高年者が多い、少ないとか、世帯人数の違いとか、家族内扶養の程度の違いとか、地域によっていろいろな違いがありますので、そういった違いから年金未納にもかなり差が出ていると思われます。

ですので、最適な徴収体制の構築を考えるときに、国全体の体制とあわせて、地域としての体制と申しますか、地域の事情や状況に応じて取り組んだほうがよいのではないかと思います。

未納対策や、納付率を上げる上で、国全体としてやっているような取り組みではなくて、地域ごと、例えば都道府県単位などで、ユニークな試みが行われている事例があれば御紹介いただきたいというのが1点目です。

 

○町田日本年金機構国民年金部長 日本年金機構国民年金部の町田でございます。

 今、お尋ねをいただきました地域で何かをということにつきましては、資料3-2の30ページに「地域年金展開事業」というのがございまして、こちらにつきましては、各都道府県で、要するに、今、地域性というのがございますので、地元の方を中心に委員会等をつくりまして、例えば商工会の方、教育関係者の方を入れて、その地域ではどういうふうにやっていけば年金の制度が普及していくのか、要するに、効果的な広報などをどのようにしていくのかということで、制度の普及という観点からいろいろな取り組みをしております。

そういう中で、ここにありますように、地域によりましては、地域に応じた年金セミナーを開催する。あるいは、高校とコラボして、大型商業施設で書道展を開いたときに年金の御案内をさせていただくなど、日本年金機構では地域に展開して細かくやっていく、このような事業展開を今、始めたところでございます。

収納のほうにつきましては、まだそこまで至っておりませんで、まず全国的な取り組みといたしまして、若い方、若年層の方、収入のある方ということなどをセグメントいたしまして、その状況に合わせてターゲットを絞りきめ細かくお知らせをお送りしています。先ほど特別催告状というお話がありましたが、その地域でどういう人に未納が多くて、納めていないのか。地域の特性に合わせてそれぞれの地域で展開するという取り組みを始めたところでございます。

以上でございます。

 

○佐々木委員 地域でいろいろな取り組みをされているとのことですが、前回の委員会のときに配布された日本年金機構の組織図で、現行では本部が1つあって、その下にブロック本部が9カ所、年金事務所が312カ所あるということでした。

地域単位で取り組みをしていくときに、都道府県単位で取り組むというのが考えられると思うのですが、現行ではブロック本部というのが9つあって、その次は年金事務所で312カ所になってしまって、かなり小さくなってしまうと思うのです。

これを、例えば9カ所の下に47個の各都道府県ごとにある程度束ねるような中間的な組織を置いて、そこでまとまった取り組みと申しますか、地域でしっかりした活動をやろうと思えば、地域単位で中くらいの規模があったほうがいいと思います。9つのブロック本部の下に都道府県単位の組織を置かれる予定や、お考えがあるかどうかというのを伺いたいです。

 

○町田日本年金機構国民年金部長 今、お尋ねをいただきまして、前回お示しした図の中では年金事務所は312ということで、全部フラットな形で表示をしておりますけれども、この312年金事務所の中に都道府県を代表する代表事務所というのがございます。

代表事務所は何かと言いますと、県内の取りまとめ、要するに、県全体としてどういう仕事をしていこうかというときに、中心になって取りまとめをする機能を設けておりまして、代表年金事務所が中心になって事業を展開しています。

例えば先ほど申し上げました「地域展開年金事業」につきましても、代表事務所が事務局をし、県内を1つとして取りまとめをやっておりまして、さらにその代表事務所だけでは限りがございますので、それを先ほど話がありましたブロック本部がサポートしております。9ブロック本部がそれぞれの管内の代表年金事務所をサポートし、さらに本部がそれぞれの地域をサポートしている。そういう仕組みで進めておるところでございます。

 

○佐々木委員 ありがとうございました。

 第2に、先ほど御紹介いただいた横須賀市の申請書は非常にユニークな申請書だと思いました。

横須賀市の申請書に関連して、社会保障・税番号制度が導入されたらどうなるかということで伺いたいのですけれども、先ほどの横須賀市の書類を拝見しまして、国がされているものと比べて相当簡素化されて記入しやすいものになったと思うのです。

ただ、横須賀市のものでも、例えば免除の審査の順番の箇所であったり、あるいは配偶者氏名の欄や、世帯主の氏名の欄など、自分には該当しない項目であったり、用語の意味が若干わかりにくい箇所などもあります。省ける箇所はもっと省けないかなと思います。

先ほどの社会保障・税番号制度が導入されれば省けるような項目があるのかどうかというのを教えていただきたいです。

 

○大西事業管理課長 番号制度の関係は、詳細まではまだ決まっておりません。結局、番号制度が利用できるかどうかというのは、誰が誰にどの情報をと細かく省令に規定しなければいけないということで、制度上、自由に個人番号を書かせてはいけないとなっていますので、現時点ではどうなるかというのをまだ見きわめ切れていないというのが現状です。

 

○佐々木委員 ありがとうございました。

 横須賀市で独自の申請書をつくっているということだったのですけれども、把握できる範囲で結構なのですが、独自に申請書をつくられている自治体がどれぐらいありますか。また、独自につくっている自治体群と通常の国の共通のフォーマットを使っている自治体群で未納率に差があるかを分析すれば、わかりやすい申請書にすることで納付率の向上につながるかどうかが検証できると思います。

 

○宮武委員長 回答されますか。

 

○大西事業管理課長 先ほどの説明で漏れがございまして、資料4「原委員提出資料」という表紙のものがございます。

きょう御欠席の原委員からの御提案でございまして、表紙をおめくりいただきますと、「金融機関との連携による口座振替促進のご提案」ということで、金融機関の御協力を得て口座振替を積極的に広げていったら推進できるのではないかということが原委員からの御意見の一つでございます。

次のページに年金教育についての御提案をいただいております。社労士として非常に多くの回数の年金セミナーなどを実施された御経験をもとに、自主納付をする人を育てるという観点で年金教育は非常に重要だという御意見をいただいております。

具体的には本やパンフレットというよりはセミナーをやる。わかりやすい年金教室の動画を日本年金機構のホームページで見られるようにしてはどうかというのが2ページ目の御提案でございます。

 3ページ目「国民の年金教育についてのご提案2」でございます。テレビで「年金教室」、1日10分間の番組をつくってやったら、年金不信みたいなものを原因とした未納問題を減らすのに役立つのではないかという御提案をいただきました。

最後のページは「若い世代向け保険料納付促進策ご提案」ということです。ポイント制で、期日どおりに払ったら5ポイントとかいうことで、納付した方にポイントをつけていって、ポイントがたまるとプレゼントがもらえるというふうにすると、若い世代などの保険料納付促進に役立つのではないかという御意見をいただいております。

御欠席のかわりにこういうことで貴重な御意見をいただいておりまして、御礼申し上げます。説明を忘れてしまって申しわけございませんでした。

 

○宮武委員長 どうぞ。

 

○内田委員 2点伺います。

 資料3-1の6ページ「事業主との連携強化」のところで、「事業主の協力を得ながら臨時・パート従業員の納付を促進する仕組みを検討してはどうか」とありますが、これをどの辺のレベルまでお考えになっているかということを伺いたいと思います。

極論すれば、1号被保険者の3分の1が被用者であることを踏まえますと、私などは、事業主の方に国民年金保険料といえども半分程度負担をしていただくということだって将来的には視野に入れてもいいかと思いますし、そこが難しいということであれば、被用者に限って天引きをするという方策も、協力というのであれば考えられたほうがいいのではないかと思います。

これは別に私のオリジナルの意見ではなくて、5年前、平成20年(2008年)11月に年金部会のほうがまとめた中間的な整理に向けた議論をする中でそういった意見はございましたし、当時、委員でいらっしゃった宮武座長の前でちょっと恐縮ですけれども、事業主による天引きの代行納付受託についてのフローチャートのようなものを年金局御自身が資料として作成されて、平成201119日の年金部会に提出された「参考資料集 第3分冊」の12ページから14ページぐらいのところにあるかと思います。実際に検討してそのまま5年間放置されておりますので、こういうことを議論されるのであれば再考していただければと思います。これが1点目。

2点目は、12ページの「厚生年金保険料と労働保険料の一括徴収」というところです。

やや空想的な主張になるかもしれませんが、行政効率化の観点から徴収を一括して行うということであれば、ちょっと乱暴かもしれませんけれども、厚生年金保険料の標準報酬月額、今、短冊状になっているものをやめてしまって、上限、下限は設けるとしても、労働保険料と同じように完全に所得比例にする。それがもしも効率化に寄与するのであれば考えてもいいのではないかと思わないではありません。

そこが実務上難しいのかどうか、御回答があればお願いします。

以上です。

 

○宮武委員長 2つ目のところはかなり議論があるところですし、難しいのでしょうけれども、お答えいただけますか。要するに、賃金総額で払っている労働保険との違いです。

 

○大西事業管理課長 厚生年金では標準報酬という制度で今までずっとやってきて、労働保険のほうは個人の給料ではなくて、事業所としての賃金総額に労働保険料を賦課するという形で課しておりますので、考え方としては、今、内田委員から御指摘があったとおりだと思います。

標準報酬制もこれまでずっとやってきておりまして、それを実際の賃金額を使うという仕組みに変えるのは、いろんな意味で大きな課題であろうということで、今、にわかにやるとか、やれないというのは言いにくいなと思っております。

 

○樽見年金管理審議官 済みません、いわずもがなかもしれませんけれども、結局、労働保険と違って年金のほうは給付に結びついてきますので、個々人の賃金の実態に応じて給付をする。その辺を類型化して事務を単純化するという形で標準報酬という仕組みができておりますので、そことの関係です。

 ただ、事務のいろんなシステム等も発達してきておりますので、そういう中でどういう形が効率化かということと、その制度の運営の単純化あるいは安定化ということと両立できるかということの検討になると思います。

 前のほうの事業主の協力のところについては、まさに事業主負担を求めるということになりますと、これは実は厚生年金のほうに適用するというのと同じことになりますので、きょうの別のところで出していますパートとかの厚生年金適用拡大というところの文脈の話になるのかなと思っております。

そういう意味で言いますと、今、お話が出ました天引きみたいなところも含めて、これも実は事業主の方々に事務的負担をかなり強いるという形にもなってくるということもあって、それをどの程度やっていくのかということ、まさにこの会で御議論いただく内容の一つであろうと思っております。

 

○宮武委員長 内田委員、どうぞ。

 

○内田委員 標準報酬については、現場の実務を知らないので想像なのですけれども、短冊状に標準報酬があるというのは、手作業で一つ一つ適用を考えていたときに有効であったのかもしれないのですが、労働保険の総賃金との考え方の違いはあるにせよ、制度論に立ち入ることになりますけれども、そのようにしたほうが、現代のテクノロジーであれば、むしろ事務の効率化になるのではないのかなと思ったので申し上げました。

 事業主負担については、別に私のオリジナルの知識ではなくて、当時の年金部会の議論の中で、ドイツの例を参考に、事業主には負担をしていただく、本人負担分については税財源を使った軽減という措置をとるというような発想をやっている他の国があるという紹介があったのを思い出したので、触れたまでです。

 

○宮武委員長 本当に御自由に御発言ください。

 

○望月委員 望月です。

 質問と、実務家として自分で考えている意見を話させていただきます。

まず、質問ですが、資料3-2の14ページに学生納付特例事務法人の指定状況ということで、取り扱い件数が載っているのですが、平成24年度の46の鹿児島は、1法人で402ということなので、1つの法人で402枚の取り扱いがある。全国で突出しています。

この取り組みをどのようにやっているのかということと、これだけ成功しているのであれば、それをもとにして、全国に鹿児島のスタイルを広めることはできないのかなと思いまして、どのように推進しているかお聞きしたいです。

 

○大西事業管理課長 鹿児島のこの学校法人については、詳細まではわかっていないのですが、高校や専門学校などを運営している学校法人さんで、学校としてこの手続をとることに関して意識が高くて、24年に限らず、毎年学生に非常に積極的に働きかけていただいていると聞いています。今度もう少し詳しく調べて、御報告したいと思います。法人の姿勢が非常に進んでいるということでございます。

 

○望月委員 ありがとうございます。

 幾つか気付いた点とお願いしたい点があります。

まず、資料3-2の25ページから「ねんきんネット」の仕組み等が書いてあります。「ねんきんネット」は画面も非常にきれいで、なれれば使いやすいと思います。

これに関して、今、アクセスキーを即日発行しているのですが、この期間が3カ月という区切りがあります。これはちょっと短いと思いますので、延長が可能であれば延長していただきたいです。

私は年金事務所の窓口で年金の御相談をさせていただいているのですが、年金の請求をされる方に「ねんきんネット」の御案内をしています。そのときに、パソコンを持っていないとか、インターネットをやっていないとか、その環境が整っていないという方が多い。考えてみれば今、60歳以降の方ですから、もしかしたらそういうこともあるかもしれないです。

そうなると、せっかくすばらしい制度でも、普及という意味では年金受給世代も非常に重要ですので、その方々がアクセスできるほかの方法を考えていただきたいと思います。

ある金融機関では、デモ画面みたいなものを店頭に置いて御案内しているところもございますので、そういうものを幾つか設置して、高齢者の方にも「ねんきんネット」を使っていただける環境、あるいは御案内できる環境を整えていただけたらというのがまず1点です。

同じ資料の32ページに年金委員さんのことがありまして、年金委員さんについては余り知られていないことが多いです。非常に優秀な方が多いですので、もう少し活用していただく方向でお願いしたいと思います。

実は今、60歳以降の方というのは、高年齢雇用継続給付とか在職老齢年金ということで、雇用を継続した場合、年金をどのようにもらいながら、どのように仕事を選んでいくかというのが非常にポイントになってきています。こういうところについてコンサルティングとかアドバイスできる年金委員さんを活用していただけたらよろしいのではないかと思います。

同じ資料の16ページに短時間労働者の件があります。これは平成2810月からということで、導入までまだ時間があるのが残念なのですが、今でも短時間労働者の方は厚生年金保険と健康保険に加入する条件を御存じなくて、第3号被保険者にとどまったり、あるいは第1号被保険者の手続をとらない、あるいは事業主さんが第2号被保険者の手続をしていないというケースが見受けられます。

できましたらこちらを徹底していただいて、ただ保険料徴収だけではなく、短時間労働者の方が第2号被保険者になったときのメリット、例えば育児休業中の保険料も免除になりますので、そういうところをPRする。

現在は育児休業の直前の標準報酬月額がそのまま維持されて将来の年金額になるというすばらしい部分がありますので、そういうところをPRしていって、もう少し短時間労働者の方の厚生年金保険と健康保険の手続が進むようにと思います。

最後になって恐縮なのですが、資料3-2の44ページから未適用事業所に関しての御説明と資料がございます。

私は、社会保険労務士として社会保険、労働保険の手続をしているのですが、もし未適用事業者のリスト等がありましたら、社会保険労務士でやりたいという者が、リストを持って未適用事業主を訪問して適用に向けて勧奨させていただくというのもできるかと思います。

ここで言いたいのは、日本年金機構の年金事務所の職員さんも人数に限りがありますので、係る業界団体とか同じような方向を向いているところを活用していく。未適用事業所というのは従業員さんに一番マイナスになりますので、なくすような方向で考えていただけたらと思います。

以上です。

 

○宮武委員長 ありがとうございました。

お答えできるところを。

 

○町田日本年金機構国民年金部長 貴重な御意見ありがとうございます。大変参考になると思います。

その中で、私のほうから「ねんきんネット」のアクセスキーの件と年金委員の件につきまして、現状を御報告させていただければと思います。

確かにアクセスキーは3カ月ということになっておりますが、これは個人情報を扱っている関係で、いわゆるリスクをどこでとるか。今、「ねんきんネット」を利用する場合はID・パスワードを取得することになっています。

アクセスキーを3カ月としておりますのは、短過ぎますと、お客様にとって御不便になりますし、仮に長過ぎますと、万が一どなたかがそのアクセスキーを拾われて、情報を見られて、本人に成り済ましてIDを取得されるということになりますと、個人情報の漏えいにもつながりますので、総合的に判断いたしまして、現在、機構のほうで3カ月ということで判断をしておるわけでございますが、今、御意見もいただきましたので、長くすべきかどうか、担当部のほうに伝えてまいりたいと思います。

ただ、今、申し上げましたとおり、そういうリスクがあるということを御理解いただければと思います。

2つ目の年金委員につきましては、我々も重要だと思っていますので、ぜひ前向きに取り組んでいきたいと思います。

 

○宮武委員長 どうぞ。

 

○平川委員 何点かございます。

最初に、今、言われました厚生年金適用が可能であるにもかかわらず適用されていない短時間労働者がいると思いますので、それはどのくらいの実態があるかというのがもしわかれば、多分推計になると思うのですけれども、教えていただければと思います。

確かに未適用事業所に対して、なぜ適用しないのだという指導は必要でありますが、短時間労働者は自動的に厚生年金の適用にならないと勘違いしている方が多い可能性もありますので、そういう周知も必要ではないかと考えております。

もう一つは市町村との関係です。残念ながら市町村との関係についてはなかなか深く連携がとれていないというのが実態ではないかと考えているところです。

今回、情報連携という観点で提案されております。これは当然のことですし、生活保護法改正案では、福祉事務所の側が例えば年金事務所に対して給付があるかどうかということについて質問した場合の回答義務が付されるという内容が今国会で審議されると思います。

そういうことから言えば、努力義務でなくて回答義務ということを明確にしていく。社会保障・税番号制度が導入されればまた別の展開になりますけれども、それまでの間、回答義務ということも含めて検討していくということが重要なのではないかと思っているところであります。

市町村の側にとって大きな課題は、国民健康保険の納付率の問題とか、例えば格差、貧困の問題ということで、生活困窮者自立支援がどうなっていくのかということです。

ある自治体においては総合的な困窮者支援ということで、市役所全体で困窮者支援をやっていこうというところもございます。

ただ、そういう取り組みのネットワークの中に年金事務所も入れるような仕組みがうまくできないかと思っているところであります。これは県や市にとってみれば、中長期的に言えば将来の無年金者を生まない、無年金者を生まないということは、例えば生活保護に陥る可能性を少しでも減らしていけるということでもあります。したがって、ある意味、自治体の生活困窮者とかさまざまな住民相談のネットワークの中に完全に入るのはなかなか難しいかもしれませんけれども、一定程度情報交換ができるようなものが必要ではないのかと考えているところであります。

残念ながら全国に年金事務所は312カ所しかありません。

私は北海道出身でございますので、北海道のことを言いますと、旭川と稚内は距離が二百何十キロありますが、年金事務所は旭川と稚内にしかありません。どう考えても物理的に厳しいですし、一方で、ハローワークや税務署はもうちょっと数がありますので、そういう物理的なものをどうカバーしていくかという意味では、自治体の協力と、先ほど言いました年金委員の協力が必要ではないでしょうか。

そして、税務署でしたら納税団体とのつき合いというのがかなり多くあるかと思います。ちゃんと確認していませんけれども、新たに税務署の署長に着任した方は、その地域の納税協力団体とまずあいさつをする。このようなことを通じて、納税意識の向上を図っていくというのを国税のほうではやっていると聞いておりますので、そういうことも必要だと思います。

ただ、残念ながら年金事務所は大変忙しくて、なかなか余裕がないと聞いていますが、できればそういうことをできるような職員、例えば副所長がそういう地域のつながりの中で活躍していただく取り組みというのも必要なのではないかと思っているところであります。

最後に、国民年金法の九十六条の四に市町村に差押が委任できるという項目もあります。それは使ったことがないと聞いておりますけれども、それができるかどうかも含めて検討していただければと思っているところでございます。

以上でございます。

 

○宮武委員長 ありがとうございました。

 あとわずかしかございません。どうぞ。

 

○菊池委員 また大きな話になって恐縮なのですけれども、1つ具体的な論点についてお話した上で、全体の枠組みにかかわるようなお話を述べたいと思います。

具体的な論点に関しては、私は実は年金委員になりたいなと思っているのです。広報・教育というのは、前回も多くの委員の皆様からここはちゃんとやるべきであるという御意見が出ていたのですが、きょうの資料3-1の4ページ、学生にどうやって納付特例制度を知らせていくかというのは大事なことだと思います。

一方で、中高生のほうも大事ですし、そこで年金機構さんも一生懸命やっておられるということなのですけれども、学校側にインセンティブを与えて、手数料を引き上げてどの程度効果があるかわかりませんが、一方でそういう働きかけをしつつ、大学等にはたくさん専門家がいるわけですから、そういった教員等を使って働きかけて学校の中で進めてもらう。少なくとも私は手を挙げたいと思いますし、そういう方はたくさんおられるのではないかと思うのです。

年金委員は名誉職なので、社労士の先生方のような専門職がボランティアでやることがどうかというのは、ちょっと考えなければいけないことだと思いますけれども、少なくともそういった活用の余地はあるのではないか。地域型の亜種みたいな感じで、そういう検討可能性があるか、ないかということが1つあります。

もう一つは全体の枠組みにかかわるのですけれども、そもそも論になって恐縮ですが、これは前回確認すればよかったのですけれども、この委員会の設置の趣旨を見ますと、納付率向上策、適用促進策、利便性向上策、かなり技術的なことになっていて、検討項目には一応縛りがあるのです。

それとの関係なのですが、しかし、検討チームの論点整理には、まさに「制度に対する理解の促進」という項目があって、徴収体制強化そのものよりはちょっと広いのかなと思うのです。

ここで確認したいのは、一方で社会保障国民会議から今、プログラム法案へと進んでいる一連の流れの中で、この委員会での検討というのは、その流れの中にあると考えていいのか、必ずしもそうでないのか。多分全体の枠組みの中での議論だと思うのですけれども、この委員会をどう位置づけるかでどこまで議論できるのかというのが決まってくる面があると思うのです。

仮にこれは一体改革の枠組みの延長の中で議論するのだということであれば、委員長はその委員でいらっしゃいましたが、国民会議の報告書でも「持続可能性」といった観点から考えていくと、もちろん財政面もそうですけれども、制度を支える意識といった面も報告書に書かれています。

多分3つぐらいあると思うのですが、そうした制度を支える意識の涵養のためには、まずは制度改正、年金制度をどう維持していくか、制度本体の制度論があります。ただし、それはこの場の議論ではないと思うのです。

2つ目は、その制度を支える国民の意識をどう涵養するかということで、まさに広報とか教育の問題だと思うのです。

もう一つが、ここで取り上げているしっかり皆さんに払ってもらいますよという部分です。

そういう捉え方ができるとするならば、私は徴収体制強化だけを集中的にやると、国民の皆さんがどう受けとめるのかと危惧されるものがあって、そこは広報・教育とある程度バランスをとりながらまとめていかれないと、うまく理解を得られない可能性があるのではないかなと危惧する部分があります。

そういう意味では、ちょっと大きな議論ですけれども、ここでの検討のまとめにもかかわるのですが、どういう枠組みでいくのかということです。

 

○宮武委員長 私も全く同じような考え方だったものですから、この役を引き受けるときに、徴収の強化という問題を論議していれば、当然ながら制度の矛盾とか、制度の持っている課題とか、あるいは改善策とか、そういうものに議論が及んでいくわけですから、縛ったって縛った中に入りませんよ、そういう意味では自由に議論をさせてくださいということで引き受けましたので、恐らく皆さんも同じではないかと思うのです。

 ですから、提言は、具体的に与えた論点に対して回答で出していくわけですけれども、枠ががっちり決まっていて、それ以上の議論をしてはいけないというわけでは全くありませんし、自然に今、菊池委員がおっしゃったようなところへ及んでいくと思いますので、全く御遠慮なく議論してください。

私が間違っていたら、事務局のほうから御回答いただければと思います。それでよろしゅうございますか。

(事務局 うなずく)

 

○宮武委員長 それでは、佐々木委員、時間がございませんので、どうぞ。

 

○佐々木委員 2点あります。1点目が免除、猶予に関すること、2点目が年金広報に関連して御質問させていただきたいと思います。

第1に、免除、猶予に関しまして、10年とか20年のような長期の全額免除になっている方が今、どれぐらいおられるかという数字がわかるようでしたら教えていただきたいと思います。

全額免除が10年とか20年のような長期に及んだ場合には、老後の年金額が、該当する期間に関しまして、本来の額よりも半額に減額されます。全額免除が長期に続くことになると、老後の低年金につながります。

現状では全額免除を受けた場合、該当期間は老後の年金額を一律半額にするという仕組みになっているのですが、例えばやむを得ない事情で全額免除がかなり長期に及んだという場合には、全額年金をお支払いするという案など、事情や期間に応じて、低年金を防ぐという目的から、幾つかの選択肢というか、給付をある程度きちんと手当てするという方向が考えられないかということを御質問させていただきたいです。

また、現在、免除の所得基準は、ひとり暮らしだったら幾らとか、4人世帯だったら幾らという形です。免除基準額の妥当性、最初設定されたときから年数が何年かたっていますので、2013年という今の時点の中で免除の基準になる所得額が妥当かどうかの検証というのもあわせて行ったほうがいいのではないかと思います。

免除、猶予のところでもう一つあります。

若年者納付特例に関しまして、現在、30歳未満という年齢で境界線が引かれていますが、今の非常に厳しい雇用情勢を考えますと、30歳で境界線を引いても大丈夫なのかという問題があると思います。

当事者の方から見ると、29歳、30歳、31歳という時間の経過のなかで、御本人が努力されても今の厳しい雇用情勢のもとで十分な収入が得られにくいという問題があると思います。30歳という年齢で境界線を引いている理由や根拠はそもそもどういったものがあるのか。状況に応じてこれを緩和したり、年齢制限を40歳に引き上げたり、あるいはそもそもこの年齢制限を取っ払って、納付猶予制度というものを若年者に限定せずに、59歳まで幅を広げるようなお考えがあるかどうかについて伺いたいです。

第2に、年金広報に関しまして御質問させていただきたいことがあります。

今、学生に関しては学校を通じて、また、社会人の方に関してはハローワークなどでかなりアプローチされています。ハローワークに関しては、皆さんが行くとは限りませんし、自分の家の近くにハローワークがあるとも限りません。先ほど日本年金機構が地域の取り組みとして、ショッピングセンターなどでユニークな企画をされているということでした。単発的に、1年の中で何回かだけそういうショッピングセンターで広報するのではなくて、もう少し常設的な感じで、例えばショッピングセンターやスーパーマーケットなど、誰もがアクセスしやすい場所で、毎日でなくても、例えば土・日だけであったり、週1回でも構いませんので、常設のような形で広報や相談窓口を置けないかと思うのですけれども、このあたりはいかがでしょうか。

 

○宮武委員長 では、簡潔にお答えいただけますか。それとも次回に宿題として残しますか。

 

○大西事業管理課長 時間ですので、次回、全部資料をお出ししたいと思います。

 

○宮武委員長 まだまだ議論が尽きないのですが、どうしても1回目、2回目は制度の仕組みと現状の説明を受けなければいけませんので、皆様から御意見を承る時間が非常に短くなりました。3回目以降はかなり制約が解けまして自由に議論ができると思いますので、次回、佐々木委員からの最後の御質問に対する回答をいただくことにいたします。

平川委員、どうぞ。

 

○平川委員 この委員会の趣旨と若干ずれるかもしれませんけれども、現在、内閣官房のほうで年金積立金について、リスク性の高い投資をしていこうというふうな議論がされているかと思います。

 ここに関して言うと、リスク性の高い投資というのは、経済をよくしていこうとか、いろいろあると思いますが、私たち連合としましては、安心安全の年金制度という観点から見ると、リスク性の高い投資というのは、失敗した場合、大きな問題になるということもあります。したがって、これについては厚生労働省としても十分配慮していただけるようにお願いをしたいと思っています。

 話題と違うことを申し上げて申しわけありません。よろしくお願いいたします。

 

○宮武委員長 それでは、事務局から次回の連絡をお願いします。

 

○大西事業管理課長 次回は11月6日14時からを予定しております。場所等の詳細につきましては、追って御案内させていただきます。

 

○宮武委員長 本日はありがとうございました。

これにて本日の審議は終了いたします。御足労をかけて恐縮でございました。


(了)

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