ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医薬・生活衛生局が実施する検討会等> 薬害を学び再発を防止するための教育に関する検討会> 第12回薬害を学び再発を防止するための教育に関する検討会議事録(2013年10月1日)




2013年10月1日 第12回薬害を学び再発を防止するための教育に関する検討会議事録

○日時

平成25年10月1日(火) 14時00分~16時00分


○場所

厚生労働省専用第23会議室(6階国会議事堂側)
東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館


○議題

1 薬害教育教材に関するアンケート調査(平成25年度)の結果について(報告)
2 学校教育における薬害の取扱いについて(報告)
3 薬害教育教材の活用について
4 薬害に関する資料等の調査について
5 その他

○議事

 ○衞藤座長 皆さん、こんにちは。大分久々になりますが、定刻になりましたので、ただいまより、第12回「薬害を学び再発を防止するための教育に関する検討会」を開催いたします。

 皆様には、お忙しい中の御出席、まことにありがとうございます。

 本日は、花井先生及び望月先生が欠席となっております。

 まず、本日は、薬害教育教材についての今年度分のアンケート結果も踏まえながら、今後の薬害教育教材の活用について議論を進めていきたいと思っております。

 続きまして、薬害に関する資料等の調査について、現在の状況等を事務局に御報告いただいた後、今後の進め方について御議論をいただきたいと考えております。

 なお、薬害資料調査の関係で、本日は、法政大学大原社会問題研究所・金准教授にお越しいただいております。金先生は、アーカイブズ学を専門とされており、今回の厚労省の資料調査に関する研究に携わっておられます。金先生には、後ほどこの研究の進め方について御説明いただく予定です。

 議事に入ります前に、構成員の交代について御紹介いたします。

 大杉構成員におかれましては、異動に伴い退任をされまして、後任として大正大学特命教授の館様に御就任いただくことになりました。

 また、くすりの適正使用協議会の河野構成員の異動に伴い、同協議会副理事長の藤原様に交代していただくことになりました。

 館様と藤原様から一言ずつ御挨拶をお願いいたします。

○館委員 大正大学の館と申します。

 学校現場の経験もありますので、そのあたりで何らかの貢献ができればいいかなと思っております。よろしくお願いいたします。

○藤原委員 くすりの適正使用協議会で副理事長をしております藤原と申します。

 くすりの適正使用協議会は最初からメンバーとして参加させて頂いており、私は今回からこの検討会に加えて頂きました。今、協議会のほうでは、薬教育ということで中学校、高校で義務化がなされましたので、その関係する先生方の支援を積極的に行っております。その経験をもとに、この薬害教育のほうでも少しでもお助けになればと思って参加させていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。

○衞藤座長 よろしくお願いいたします。

 また、7月に事務局の人事異動があったということですので、事務局から御紹介いただけますでしょうか。

○医薬品副作用被害対策室長補佐 事務局の人事異動について御紹介させていただきます。

 まず、本日、所用により欠席させていただいておりますが、医薬食品局長として今別府が着任しております。

 同じく、本日所用により遅れて参加させていただきますけれども、医薬担当の大臣官房審議官として成田が着任しております。

 それから、総務課長の鎌田でございます。

○鎌田総務課長 鎌田でございます。よろしくお願いします。

○医薬品副作用被害対策室長補佐 医薬品副作用被害対策室長の須田でございます。

○医薬品副作用被害対策室長 どうぞよろしくお願いいたします。

○医薬品副作用被害対策室長補佐 医薬品副作用被害対策室の室長補佐の額田でございます。

○医薬品副作用被害対策室長補佐 額田でございます。よろしくお願いいたします。

○衞藤座長 また、本日は薬害教育教材の議題がありますので、前回に引き続き、文部科学省の方にも参加いただいております。事務局から御紹介をお願いいたします。

○医薬品副作用被害対策室長補佐 文部科学省初等中等教育局教育課程課の千々岩課長補佐でございます。

○文部科学省初等中等教育局教育課程課長補佐 千々岩と申します。よろしくお願いいたします。

○医薬品副作用被害対策室長補佐 スポーツ・青少年局学校健康教育課の中野係長でございます。

○スポーツ・青少年局学校健康教育課係長 中野と申します。よろしくお願いいたします。

○衞藤座長 ありがとうございます。

 それでは、資料の確認をお願いいたします。

 事務局から御説明をお願いします。

○医薬品副作用被害対策室長補佐 では、お手元の資料を御確認いただいてもよろしいでしょうか。

 まず「座席表」が別途あると思います。それ以外はクリップ留めになっているかと思いますけれども、一式御覧ください。

 まず「議事次第」ということで表紙にございます。

 おめくりいただきまして「検討会名簿」ということで、構成員の方の名簿でございます。

 資料1-1がアンケート調査の結果となっております。

 資料2-1は横置きの資料になっておりますが、こちらは文部科学省からの報告資料となっております。

 資料3-1は「薬害教育教材の活用方法等について」という資料でございます。

 資料4-1は「薬害に関する資料調査等について」という資料でございます。

 その後ろが金准教授からの報告資料でございます。カラーのパワーポイントの資料になっておりまして、資料4-2ということで御確認いただければと思います。

 その後ろの「参考資料」は、以前の検討会でも資料として出させていただいたものですけれども、「薬害に関する資料の所在状況等に関するアンケートについて」という資料になっております。

 ここまでが配付させていただいた資料でございます。

 あと、机上配付資料として、今年度、各中学校に送付しております薬害教育教材を配付させていただいておりまして、教材本体と、教材に同封して各中学校に送付しております「活用の手引」、あと学習指導要領、それからワークシートを一式、お手元のほうに置かせていただいております。

 資料について特に不足しているもの等ございましたら、お知らせください。

○衞藤座長 特に不足はないでしょうか。

 それでは、本日の議題に入りたいと思います。

 最初の議題は「薬害教育教材に関するアンケート調査(平成25年度)の結果について」です。事務局において、昨年度に引き続き、薬害教育教材に関するアンケート調査を実施したとのことですので、その結果について事務局から資料の説明をお願いいたします。

○医薬品副作用被害対策室長補佐 それでは、お手元の資料1-1「薬害教育教材に関するアンケート調査(平成25年度)の結果について(概要)」を御覧いただければと思います。

 昨年度の検討会におきましてもアンケート調査の結果について御報告させていただきまして、アンケート調査として実施するのはこれが2回目となります。

 昨年度は、中学校に教材を送付するのと同時にアンケート調査も同封しまして、全国の中学校を対象として調査を実施していたのですけれども、今年度は教材の送付と時期が少しずれまして、教材を送付した後に別途調査を行うという形になりました。対象も東京都内の中学校のみということで、昨年度と比べるとやや小規模になっております。対象が869カ所。昨年度は全国の中学校1万2,000カ所程度が対象だったのですが、対象が少し少ないということで単純には比較できないものなのですけれども、昨年度の結果もあわせて御覧いただければと思います。

 「調査結果の概要」としては、回収率は29.2%、約30%という形になっております。結果の概要については次の2ページ目から御覧ください。

 「調査結果一覧」ということで表にして載せておりますけれども、質問の内容につきましては、使用状況、それから、その中でどの教科で使用したかとか、使用した時期について聞いているのと、問2として、わかりやすかったかどうかというところを聞いている部分については、昨年度と同じ調査項目になっております。問3の「授業での活用方法、工夫した点等」につきましては、昨年度は、使用するに当たっての問題点とか改善点という形で聞いていたのを、少し形を変えて、活用方法という形で聞いております。

 具体的な結果について数字を御覧いただければと思います。

 まず「使用状況」につきましては、授業で使用したかどうかというところと、ただ配付のみというところと、使用・配付予定はないという3パターンに分けて聞いておりますけれども、授業で使用したところが65校、約26%ということです。矢印の右側に載せている数字が去年のアンケート結果の数字となっておりまして、先ほど申し上げたとおり、母数にかなり違いがありますので、単純に比較はできないと考えているのですけれども、参考の数字としてあわせて御覧いただければと思います。

 2の配付のみというところがパーセンテージとしては昨年度と同じぐらいになっているのですけれども、一番多いところとなっておりまして、約68%となっております。

 使用・配付の予定はないというところが約7%ございまして、この理由としては、下の*印のところにも載せておりますけれども、特別支援学校であったり、その他、生徒への配慮、教員の意向、誤って廃棄等といったような理由が挙げられておりました。

 実際に使用した教科につきましては、「社会科」か「保健体育科」か「その他」という形で聞いておりますけれども、結果としては、「その他」となっているところが過半数を占めております。この「その他」というのは、具体的には総合的な学習の時間ですとか、道徳、学級活動等の回答が寄せられておりました。

 それから、「保健体育科」がそれに続く形になっておりまして約41%、「社会科」が約10%ということで、数字で比べると、社会科の数字が昨年度からかなり減っているという結果になっております。

 使用時期につきましては、「1 24年度(2、3月)」、時期で言うと平成25年2月とか3月ということになるのですが、こちらが一番多くなっております。こちらのほうはまた後ほど具体的な事例も御覧いただきたいと思いますけれども、実際には25年度用の教材として配付しておりますので、本来であれば25年度のどこかのタイミングで使っていただくものが、送付してすぐのタイミング、24年度中に使われているというところで、現場とこちらの意図との相違が見られるところでございます。

 2番目の「わかりやすさ」というところに移っていただければと思います。こちらのほうの結果としては、「全体にわかりやすい」が約92%でございまして、大半の学校で「わかりやすい」と考えていただいているという結果になっております。「わかりにくい」という理由につきましては、こちらは母数がかなり少ないですので、これが全体の傾向ということはなかなか言えないかもしれないのですが、「特別支援学校等のため」といったような理由が9件で一番多い数字になっておりまして、その他は、全体的に難しい、聞きなれない語句ですとか専門用語が出てくるといったような理由が続いております。

 こちらのほうもまた具体的な事例は後ろのほうで御覧いただければと思います。

 問3のほうに移っていただきまして、「授業での活用方法、工夫した点等」につきましては、授業等の中で副教材ですとか参考資料として使っていただいたというところが21件となっております。

 それから、次の「薬物乱用防止と併せて活用」というところがかなり多くなっているのですけれども、こちらのほうは、昨年度のアンケート調査の結果でも見られたものでございますが、薬害と薬物乱用防止を混同しているおそれもあるところでございまして、こちらについてはまた後ほど議論させていただければと思います。

 それから、配付のみとか、特別支援学校等において活用したというような事例がございます。

 それでは、主な内容ということで3ページ目以降を御覧いただければと思います。

 先ほどの問2の「わかりにくいと思った理由」について、具体的にどういう回答が寄せられたかをこちらで御覧いただければと思います。先ほど申し上げたように、1番目の理由としては「特別支援学校等のため」ということがあるのですが、一方で「わかりやすい、役に立った」というような意見も多数寄せられております。

 具体的な内容は下の部分を御覧いただければと思います。

 わかりやすい理由としては、次の4ページ目にもございますけれども、「薬害の歴史等がよくわかる」とか「教科書には記述があまりされていないので、知識を深めるのにとても役立った」とか「写真がわかりやすい」というような肯定的な意見も寄せられています。

 次に、問3のほうの具体的な記述を御覧いただければと思います。次の5ページ目のところでございます。「授業での活用方法、工夫した点等」ということで、少し趣旨が伝わりにくい質問だったのか、回答もいろいろな内容のものが見られました。この表の中で3分類しておりますけれども、一番上のところが活用事例ということで、何らかの授業で活用していただいたり配付したという事例でございます。

 それから、「送付時期に問題」以下のところが、実際には、活用方法というよりも、活用に当たっての問題点といった内容で寄せられていた回答でございます。

 それから、「その他」ということでそれ以外のものでございまして、3パターンに分けて整理させていただいております。具体的な記述といたしましては、授業の中で副教材ですとか参考資料等として活用していただいた事例が21件ということで、それぞれ社会科、保健体育科、その他ということで分けておりますけれども、今年度から配付しましたワークシートが役に立ったというような意見も寄せられています。

 次の「薬物乱用防止と併せて活用」というところですけれども、6ページ目を御覧ください。こちらは13件ということで、昨年度のアンケート調査結果でもこのような結果が数件見られたのですが、今年度の結果を見るとちょっと目立つのかなという印象でございます。「『薬物乱用防止』に関する授業の一環として取り扱った」とか「薬物乱用防止教室の資料として使用しました」というような回答が寄せられております。

 それから、「配付のみ」が8件ということ。あと「特別支援学校等における活用事例」ということで、先ほど配付しなかった理由として、特別支援学校、特に知的障害がある場合には難しいということがあるかと思うのですけれども、使用しなかったという例もあるのですが、一方、特別支援学校においても教員がかいつまんで説明をしたといったような、工夫をして使用していただいている例もあるという紹介でございます。

 以上が活用事例ということになります。

 次の「送付時期に問題」から下が、問題点とか改善点ということで具体的に寄せられた御意見です。「1 送付時期が早すぎる」というものもございまして、こちらは25年度に活用するという前提として、24年度中に送られたことによって、年度をまたいだことで保管が難しかったり、引き継ぎミスが起こったりということで「送付時期が早すぎる」というような御意見も寄せられているのですけれども、「2 送付時期が遅すぎる」という御意見もございます。こちらは、先ほど御紹介したように、本来25年度に活用いただくことを想定してお送りしているものについて、24年度中に使用するものだと学校のほうで思われたのだと思いますけれども、こんな年度末に送られても使用できないといったような御意見が寄せられています。

 「3 その他」ということで、早過ぎるとか、遅過ぎるとかという御意見のほかにも、きちんと毎年同じ時期に配付してくださいというような御意見があることにも御注目いただければと思います。その他は、「特別支援学校のため、活用が困難」とか「補助資料が必要」ということで、「動画等での資料があるとよい」といったような意見が寄せられております。

 その他の意見は御覧いただければと思います。

 事務局からの説明は以上でございます。

○衞藤座長 それでは、ただいま調査結果について御説明いただきましたけれども、それに関連して御質問や御意見がございましたら、お願いいたします。いかがでしょうか。

 では、高橋浩之委員、どうぞ。

○高橋(浩)委員 詳細な説明をありがとうございます。

 前年度のものと対象が違うので比較ができないということはあるのですけれども、私が非常に気になるのは、教科として、保健の、特に薬物乱用と混同して使われることは好ましくないということで、社会に位置づけるというところを強調したはずなのに、現実には、むしろ社会科で使われるケースが減っている。比較はできないのですけれども、いずれにせよ、非常に低い割合であるということについて、我々がしっかり考えなければいけないことだと思うのです。

 事務局、あるいは委員の方でも結構なのですけれども、これをどのように解釈しているかということについてちょっと御意見を伺いたいと思うのです。

○衞藤座長 いかがでしょうか。

○医薬品副作用被害対策室長補佐 今回の調査結果で見られた問題点ということで、昨年、「活用の手引」を皆さんにも御議論いただいて、今年度送付しました。そこにも主に社会科で使っていただくことを想定していると書いているにもかかわらず、このような結果になっているということで、「活用の手引」の見直しといったようなことについて、後ほどの議題でも御議論いただければとは思っているのですけれども、それ以外にも、例えばこういうことが考えられるとか、こういう事情で現場で混同が見られるといったようなことで、各構成員の方からも何かお知恵なり御意見なりを頂戴できればと思っております。

○衞藤座長 どうぞ。

○高橋(浩)委員 館先生、今日いらっしゃったばかりで早速であれなのですけれども、具体的に消費者というようなことが書いてあって、ぜひ中学校の社会科の公民分野でということがあるのに、実際に見て、この教材というのは実際には社会ではなかなか使いづらいものなのでしょうか。

○衞藤座長 館委員、お願いします。

○館委員 「薬害教育教材の活用の手引」の2枚目に中学校学習指導要領の解説があります。下のほうの部分を見ていただけるとありがたいのですけれども、四角に囲まれた上から3行目「(2)私たちと経済」の「イ 国民の生活と政府の役割」というところに「消費者の保護」という内容があります。そこの具体的な扱い方も含めて書かれているのがその後なわけですけれども、消費者の自立の支援なども含めた消費者行政を中心に取り扱うというような記述になっているのです。その辺のところを考えますと、いわゆる薬害問題自体をストレートに扱うかということに関しては、現場の教員としては若干扱いにくさを感じる面があります。また、教科書にこの薬害のことがそのまま載っているケースは、ゼロとは言いませんし、載っているのですけれども、今、言いましたような学習指導要領の方向性といいますか、取り扱いの注意の内容からしますと、先ほど言いましたように、中学校の授業で取り上げにくい面があるのではないかと思います。

 それに対して、高校のほうは明確に「薬害問題などを扱い」という解説の文言がありますので、教科書にも丁寧な記述がなされており、授業でも取り上げられているのではないかと感じております。

 明確なお答えにはなっておりませんけれども、今、感じた点をお伝えいたしました。

 それに対して、高校のほうは明確に「薬害問題などを扱い」という解説の文言がありますので、教科書にもかなり丁寧な記述がなされているのではないかと感じております。

 はっきりしたお答えにはなっておりませんけれども、今、感じた点をお伝えいたしました。

○衞藤座長 ありがとうございました。

 ほかにいかがでしょうか。

 栗原委員、どうぞ。

○栗原委員 栗原です。

 配付時期の問題から、今の扱っている教科の問題とか、問2の「わかりやすさ」とか、かなりの複数の部分で、昨年の調査結果との違いがかなり大きいという印象は間違いなく持ったのですが、今の高橋先生の社会科で扱いにくいのかどうかというあたりも、まだ、今後の具体的な実践の中で広がりを期待したいという面から、今回の調査はこうだったのか程度で、これからどう変わっていくかを見守っていくというあたりが必要かなという気持ちも反面持ちました。

 とりあえず、以上です。

○衞藤座長 では、大平委員、どうぞ。

○大平委員 今、先生方のお話を伺いまして、一つは、医薬品について薬の教育と、こういった薬物の問題というのが、教える側のほうとしてどのような認識があるのかよくわからないところがここでは見受けられるのではないかと思うのです。ふだん、健康を保つためのお薬の問題と、薬物乱用のほうの薬物の問題、その分け方というのが、教育現場では混同されて同じレベルの中で教えられているのか。それとも、そこはきちっと分けて、健康教育の中で医薬品、薬の問題として扱われている問題と、犯罪的な要素がある薬物乱用の問題についてと、一つはそこのモラルの問題、一つは健康増進の問題、そういったものが中学校レベルではどのように認識されているのか、そこがちょっと知りたいと思いました。これがいつまでも続くようでしたら残念ですし、せっかく医薬品の問題の中で薬害の問題を取り上げられているので、そこが同レベルな感じでしたら本当に残念だなと思います。

○衞藤座長 どなたかにお答えいただくようなことではないですね。

○大平委員 ええ。感想なのですけれども、ただ、教育現場ではどんな感じなのかなというのをちょっと知りたいと思いました。

○衞藤座長 どなたか教育現場の状況を。

 館委員はいかがですか。

○館委員 私、中学校の社会科の現場に長くいたのですけれども、今のお話は主に保健体育科における薬教育の内容だと思うのですが、そこに関しては、私も、どのような形で扱われているのかつかみ切れていない面があるのです。すみません。ちょっとそこはわかりかねます。

○衞藤座長 栗原委員、どうぞ。

○栗原委員 再三すみません。

 先ほど「見守る」などという物言いをしましたけれども、現場と離れたこの場であまりこういう議論をしても、さて、意義があるのかなという思いを持ちながら今聞いているのです。

 昨年3月22日のこの場で立命館宇治の本庄先生から報告していただきました。あわせて、望月委員の甲府市薬剤師会の取組、2本報告をいただいたわけです。あれは、たしか検討会議事録の中に埋没しているのですね。ウエブ上の情報としては。例えば、あの実践を議事録の中に埋もれさせないで、それをぐっと目立つように、「薬害を学ぼう」のサイトに、より多くの現場の先生たちから見てもらえるようなつくりに変えて、こういった手引の中でも紹介をしていただくということとか、具体的な実践をどこかでやっていただいて、それをほかの学校の先生たちから見ていただけるような仕掛けをむしろこういうところで議論して、実践の数を増やしていくことが大事なのではないかと思うのです。

 それと、この教材の表紙のどこかに「社会科」という3文字を入れたらどうかなと思ったりもしているのですが、そんな話はともかく、具体的な実践を増やすという議論ができたらいいかなと。

 ちなみに、立命館宇治では、報告いただいたのが初年度の取組で、2年目が行われて、来年1月に3回目の3時間構成の授業がまた試みられるという状況になっています。

 以上です。

○衞藤座長 それでは、この調査に関してほかに御発言ある方。

 矢倉委員、どうぞ。

○矢倉委員 今のに関連してですけれども、どこで指導するかということが教師にはわからないというのが当然だろうと思います。

 というのは、学習指導要領には、社会の分野、保健体育の分野というふうな記述があるわけです。消費者の問題とか。ところが、ここに出しております厚労省の「薬害教育教材の活用の手引」は「教師の皆様へ」ということなのですけれども、「学習指導要領等との関連について」というようなことがきちんと理解できていないために、送る時期が早かったとか、遅かったとか、相反する記述が出てきているわけです。例えば薬物乱用なども、ここで教えたら教えやすいのではなかろうかとかいうような、「薬物」「薬」というのが出てくるので、ついそこでしか教えることができなかったというような、教師側にとっては全く暗中模索の状態です。確かに栗原さんがおっしゃったように、どこかで具体例をつくっていくというのは大事なことだと思うのですけれども、これは文科省が厚労省ときちんと話し合いをされて、どこでどういうふうに指導していったらいいのだろうかという観点を学校側にきちんと伝えていかなければ、これはいつまでたっても時間の浪費だけでちょっともったいないという感じがします。

 以上です。

○衞藤座長 ありがとうございました。

 ほかに御意見ございますか。

 どうぞ。

○高橋(浩)委員 御意見ということなのでちょっと申し上げます。

 あまり早まったことを言ってはいけないと思うのですけれども、私が思うのは、栗原委員がおっしゃるのはそのとおりだと思いますし、もともとこの会で義務教育までにこういうことを学ぶということが重視されたのは確かなのだけれども、子供の学ぶステップとか、今まで学んできたこと、あるいは理解することを考えると、あと、学校の中の学習内容から考えると、中学校では苦しいところがあって、私が思うのは、かなり工夫されて教材自体はよくなったと思うのですけれども、一方で、例えば社会だったら「薬害」という言葉が入っていて、こういうのがあったらすごく喜ぶ先生とかクラスがある。あるいは、保健でも、高校だったら、中学の医薬品についての勉強を背景に、社会のシステム、健康な社会をつくるという面での学びも保健体育の中で始まるわけですね。あと、高校の保健の先生というのは結構社会派というか、社会のいろいろな問題にも目を向けて1年間通して授業をするので、この薬害の問題などにすごく関心がある方も中学よりはずっといらっしゃると思うのです。

 そう考えると、なかなか響かない中学校のところで、それでも頑張らなければいけないのかもしれないのだけれども、一方で、高校ではもしかしたらこれがすごく活用されるかもしれないのに、我々は高校にはアプローチをしていない。全くではないのだけれども、そこがちょっと歯がゆいというか、考えることはできないのだろうか。これは私は前から言っていることなのですけれども、そのようなことが実はちょっと気になるところなのです。

○衞藤座長 ありがとうございました。

 この後も議題が続いておりますので、この資料についての質疑応答はここで一旦終わりとします。この後の議題とも関連しますので、関連するような場合には、その都度また御意見、御質問として出していただくということで先へ進ませていただきたいと思います。

 次の議題は「学校教育における薬害の取扱いについて」です。薬害教育教材に関連して、文部科学省より、学校教育において薬害がどのように取り扱われているかについて、直近の状況を御報告いただきたいと思います。

 それでは、文部科学省からの御説明をお願いいたします。

○文部科学省初等中等教育局教育課程課長補佐 失礼いたします。文部科学省の教育課程課の千々岩と申します。

 お手元の資料2-1を御覧いただければと思います。

 まず、学習指導要領等における薬害などの取扱いについての資料を入れさせていただきました。こちらにつきましては、先ほど館委員から御説明があったことと重複いたしますので、詳細な説明は割愛させていただきたいと思いますが、現在、先生方御案内のように、中学校は学習指導要領並びにその解説の中で、消費者の問題等々の関連の中で薬害について取り扱うこともできるという形になっているものでございます。あわせて、保健体育の中では、医薬品の記載があるといったところでございます。

 次のページを御覧いただければと思います。こちらも先ほど御説明がございましたが、高等学校の学習指導要領並びにその解説の状況でございます。下のほうの解説を御覧いただければと思いますが、下線を引かせていただいておりますように、公民分野におきましては薬害の取扱いについて指導要領解説の中に記載を入れておるところでございます。この解説は、高等学校学習指導要領は今年度から年次進行で実施されておりますが、今回の改訂の中で初めて薬害問題を明記したといったところでございます。

 また、保健体育のほうでは医薬品関連の記載があるといった状況になっているところでございます。

 この学習指導要領の記載を受けまして教科書の記述がどうなっておるかといったものが次のページに入れさせていただいている紙でございます。「薬害に関する教科書の記述状況」の本年度の情報でございます。中学校につきましては、社会科・公民分野では、全部で7点教科書がある中で、5点に薬害についての記載がございます。保健体育につきましは、4点ある中の3点に薬害についての記載があるといった状況でございます。

 一方、高等学校につきましては、公民、現代社会ないしは政治・経済、保健体育科、全ての教科書に薬害の記載がなされているといった形になっている状況でございます。

 それから、資料のほうに入れていないのですが、文科省として最近行っていることにつきまして補足させていただければと思います。後ほど厚労省さんからもお話があろうかと思いますが、この「薬害を学ぼう」を配付する際に、文科省としてもこの教材の活用を呼びかけるために、都道府県教育委員会などに対して事務連絡といった形で周知の依頼をしておるといったところが1点ございます。

 それから、全国の教育委員会の指導主事という、指導を担当する担当者を集める会議を年2回開催しているのですが、昨年の11月、それから本年7月にあったこの指導主事会におきまして、薬害教育の教材について御紹介をさせていただいたところでございます。

 資料のほうを続けさせていただきまして、1枚おめくりいただきますと「子どもと社会の架け橋となるポータルサイト」といった資料を入れさせていただいております。こちらは、文科省のほうでサイトをつくりまして、学校がいろいろな支援を求める際に、その支援を提供できる者がいろいろな形で呼びかけてマッチングをするためにサイトを用意しておるものでございます。

 この中で情報を提供すれば、学校は必要なときにその場面をクリックして、必要な教材ないし外部からの支援を求めることができるといった形になっておるサイトでございます。

 全体としてはこうなっておるのですが、一番最後の紙に、実際に厚労省さんのほうで掲載させていただいた情報について記しております。これにつきましては厚労省さんのほうから。

○医薬品副作用被害対策室長補佐 では、厚労省から補足で説明させていただきます。

 昨年度の検討会の際にも紹介させていただいたのですけれども、このポータルサイトは昨年の夏にオープンしたものと承知しておりますが、文科省さんからも御連絡いただきまして、早速こちらのほうの教材を掲載させていただいております。今年、表紙の見直し、また題名の見直し等もございましたので、改めて掲載をし直しておりますということで、現場の先生方にはいろいろなツールでアクセスできるような形を整備させていただいているということでございます。

 以上でございます。

○衞藤座長 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問や御意見がございましたら、お願いいたします。

 藤原委員、お願いいたします。

○藤原委員 今、ポータルサイトの御説明をいただいたのですけれども、実は私どもも、今年の4月からこのサイトに薬教育ということで載せたのですが、1件もコンタクトがないという状況なのです。どのぐらいの訪問数というのですか、わかるようになっているのでしょうか。

○文部科学省初等中等教育局教育課程課長補佐 このサイトが実は訪問数がわからないような形になっていて、結論から申しますと、ちょっとわからないというところではございます。

○藤原委員 サイトはいいものをつくっているのですけれども。実は別の審議会でも、この手のものはなかなか閲覧されていないので、では、どのように閲覧してもらうかと検討したことがあります。そういう意味では、私ども、実は4月に出してまだ1件もコンタクトがないということなので、残念ながらなかなか使われていないのかなと思われますあとは、先ほどの話にちょっと戻ってしまうのですけれども、中学校のどの教科の先生が教えるのだということをどこかにしっかりと明記しないと、逆に私が教える立場だったら教えられないかなと思います。先ほど来出ていましたように、高校には「薬害」という言葉が完全に入っていますけれども、中学校の中には薬害という言葉がなくて、ただ、学習指導要領の中で社会編と保健体育編となっています。教える立場の人間からすると、どっちだ、どっちだということで、これは中学校の薬教育をいろいろ御援助させていただいたときに、養護の先生と保健体育の先生と、どの先生にコンタクトすべきなのかとか、いろいろやらせていただいたのですけれども、そういう点でもなかなか難しいというところがあるので、この薬害に関してもどこが教育をするのだということはある程度きちっと方針を出してあげないと難しいのではないかという気がしております。

○衞藤座長 ありがとうございます。

 ほかに御意見ございますか。御質問でも結構です。

 倉田委員、どうぞ。

○倉田委員 ポータルサイトなのですが、それの記載の最後のところに、もしできましたら、「教師の皆様へ」という別添のところに薬被連のいしずえの連絡先が出ています。こういうものもポータルサイトに出していただけるとよろしいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○衞藤座長 そういう御意見です。

○医薬品副作用被害対策室長 御指摘いただきました点につきましては、今、お名前をいただいた関係者の方と相談をさせていただいて前向きに検討したいと思います。

○衞藤座長 どうぞ。

○倉田委員 なぜかといいますと、先ほど来、まだ教師の方たちのほうが薬害と薬物の乱用とを混同していらっしゃるような感じではないかと思うのです。両方の違いがはっきりわかっていないからこそ配付をやめてしまったりするのではないかとちょっと思いました。ですので、こちらのいしずえの方たちに出前をお願いすれば、わからない教師の方が教えるよりは、いしずえの方に連絡をして1時間なり2時間なり時間を割いていただいてやっていただくほうがよろしいのではないかと思うのです。

○衞藤座長 ありがとうございます。

 そのほかございますか。

 それでは、また何かありましたら、次の議題のときにまとめてお願いできればと思いまして、議題を進めたいと思います。

 次の議題は「薬害教育教材の活用について」です。来年度、教材配付に向けてさらなる教材の活用方法について御議論をいただきたいと思います。

 まずは、事務局から資料の説明をお願いいたします。

○医薬品副作用被害対策室長補佐 お手元の資料3-1を御覧ください。「薬害教育教材の活用方法について」ということでございまして、アンケート結果ですとか、あと、学習指導要領、それからポータルサイトも踏まえて、今も既に少し御議論いただいているところでございますけれども、事務局からの御提案ということで資料を準備させていただいております。

 資料3-1の構成ですけれども、最初の1、2ページのところが25年度の教材配付についての報告と、来年度の教材配付に向けての見直しの方針となっております。それから、「別添1」ということで、25年度から教材とあわせて送付しております活用の手引の見直し案でございます。それから、別添2は、こちらも3回目になりますけれども、アンケートについての見直し案ということで入れさせていただいております。

 以上のような構成についてとりあえず御説明させていただきましたけれども、中身について、再び1ページ目を御覧いただければと思います。

 まず「平成25年度の教材配付について」ですけれども、送付時期は、昨年度の検討会のときにも前倒ししたいということで御議論いただきまして、24年度中の1、2月にかけて、全国の中学校約11,200カ所に送付しております。

 前回の検討会のときに、例えば、被害者の方の写真をきちんと表紙に載せるべきではないかといったような御意見をいただいたことを踏まえまして、教材の名称及び表紙のデザインの変更を行ったということが大きな変更点として挙げられます。構成員の皆様には既に送付したときに報告させていただいている内容ではございますが、表紙と名称を変更したということです。

 それから、教材の送付に当たって、送付時期の前倒しですとか、新たに活用の手引やワークシートを送付させていただいたということがございます。

 それから、教材の配付とあわせて厚生労働省のホームページを改訂しまして、この見直し後の新たな教材ですとか、ワークシートを編集可能な形式で掲載しております。

 その下が文部科学省との連携という形でございますけれども、教育課程課さんを通じまして、全国の都道府県・指定都市教育委員会等に対して、中学校における教材の活用が図られるように周知をお願いするとともに、先ほど少し御意見をいただいたところでございますけれども、前回の検討会におきましても、高等学校における教材の活用について御意見があったということを踏まえまして、当面の対応としまして、同様に教育委員会等に対して、高等学校における教材の活用について周知を図っていただくということを事務連絡でお願いをしております。

 以上が25年度の教材配付についての御報告でございます。

26年度に向けて、今、御説明したアンケート結果等に基づいてどういった見直しが考えられるかということなのですけれども、先ほどのアンケート調査のほうで、特に教材の使用時期ですとか、薬物乱用防止との混同等について少し顕著な傾向が見られたところでございますが、こういった教材の趣旨や狙いが十分に伝わっていないと思われるような部分につきまして、「活用の手引」の見直しを行いまして、充実を図り、教材の使用時期ですとか、薬物乱用防止等との違いについて現場がわかりやすいように記載するといったようなことが考えられるのではないかと思います。

 それから、教材の送付時期については、アンケート結果では、早過ぎるとか遅過ぎる等の意見も寄せられましたけれども、例えば、拙速にその見直しを行ってまた送付時期を変えるということになりますと、さらに現場での混乱を招いてしまうところでもございますので、来年度につきましては、平成25年度と同時期の発送、すなわち平成26年の年明け1、2月ぐらいの時期に送付させていただくという形でどうかと考えております。

 「(2)アンケート調査項目の見直し」でございます。アンケート調査については、来年度の教材発送に合わせて配付するという前提で考えておりますけれども、教材の送付時期ですとか、活用の手引のわかりやすさなどについて調査項目を増やして、より効果的な教材の活用方法の検討に資することができるようにするということが考えられるのではないかと思います。

 「(3)文部科学省との連携」でございますけれども、引き続き、文部科学省のホームページ、先ほどのポータルサイトのほうに教材を検討させていただく。いろいろと御意見をいただいた部分について多少見直しの余地もあるものと考えておりますが、ポータルサイトへの掲載を引き続き行わせていただくということ。さらに、アクセスできるツールを増やすということで、文部科学省のほうに消費者教育を担当している課があるということで、そちらと連携をしまして、学校における消費者教育という観点から活用できるように消費者教育ポータルサイトというものがございまして、ポータルサイト自体は消費者庁になるのですけれども、このポータルサイトにも教材を先月9月下旬に掲載したところでございます。例えば、こちらは「医薬品」とか「薬害」とか「副作用」といったキーワードを入れていただけると、この教材が出てくるような形で掲載させていただいております。

 別添のほうも具体的に御説明させていただければと思います。まず「活用の手引」の見直し案ということで「別添1」を御覧ください。こちらの赤字になっていますところが、平成25年度版からの追加を検討している部分でございます。下線についても、今回、新しく全体的に追加しまして、現場の先生が少しわかりやすいような形にしたいと考えております。

 赤字のところを御覧いただければと思いますけれども、まず、2パラグラフ目のところです。対象として、平成26年度の教材であるということを強調することによって、例えば平成25年度中に送付したからといって、すぐにそのまま25年度の中学3年生に配付するということはないようにということで、使っていただく対象者がわかりやすいような形にしてはどうかと考えております。

 それから、「(1)学習指導要領との関連について」というところですけれども、先ほどから出ている薬物乱用との混同についてということで、※印のところを追加するような形で、薬物の乱用と薬害問題がイコールであるといったような誤ったイメージが伝わらないようにしてくださいというような注意書きを加えて、再度、現場の先生に注意を促していくといったようなことが考えられるのではないかと思っております。

 1枚おめくりいただきまして、こちらの手引の2ページ目のほうでございますけれども、(3)を追加してはどうかと考えております。特別支援学校において活用が難しいといったような御意見が多数見られたところでございます。特別支援学校は、特に知的障害の方がいるような学校において、これをそのまま理解してくださいというのはなかなか難しいことかと思います。活用事例にもあったように、例えば教員の方にかみ砕いて説明をしていただくとか、いろいろな活用事例は考えられると思いますけれども、学校や生徒の状況等に応じて可能な範囲で活用してくださいといったようなメッセージを伝えるということを考えております。

 参考のところにはポータルサイトの話なども載せているのですけれども、この消費者教育ポータルサイトを新しい情報として入れさせていただければと思っております。

 以上が手引の見直し案でございます。

 それから「別添2」のアンケートの見直し案も続けて御覧いただければと思います。こちらも赤字のところが主な修正事項、追加事項の案でございます。質問2のところで教材の発送時期に関する御意見を伺いたいと思っております。教材の発送時期について手引のほうにも書いてありますが、アンケートにも書くことで、対象が平成26年度の中学3年生であるということを先生に再度認識していただいた上で、それを踏まえて発送時期がどうかということと、早過ぎたり、遅過ぎたりという場合には、その適切な時期についても御意見を伺いたいと思っております。

 1枚おめくりいただきまして、2ページ目の4を追加したいと考えております。教材に同封している「活用の手引」が役に立ったか、わかりやすいものだったか、役に立たなかった場合には改善点についても現場の先生にお伺いしたいと考えております。

 以上、「活用の手引」ですとか、アンケートの見直しということで案を出させていただいております。

 最初の資料3-1の2ページ目のほうにお戻りいただきまして、(4)として「その他、教材の活用に向けた取組」ということで書かせていただいております。アンケート調査のほうでも、デジタル動画等の補助教材があるとよいのではないかといったような御意見がありました。これは来年度すぐにということは難しいかもしれないのですけれども、映像教材などもあわせて作成しまして、現場の先生がより使いやすいようなものにしていくということも考えられるのではないかと考えておりまして、こちらについても先生方の御意見を伺いたいと思っております。

 それから、映像教材とあわせて教材本体の見直しでございます。今年度は事前に各構成員の方に御意見を伺ったところ、栗原構成員から書きぶりについて少し御意見をいただいたところでございます。今年度はスケジュールの関係もございますので、大幅な見直しということは少し難しいかと考えておるのですけれども、今後改めて栗原構成員の意見についても御議論いただいた上で、修正意見について伺った上で議論させていただきたいと思っております。こちら映像教材ですとか、教材の中身の見直しということについても今後御議論いただきたいと思っておりますけれども、こうした26年度の教材発送に向けた方針について御議論をお願いできればと思います。

○衞藤座長 ただいま事務局より御説明のありました今後の薬害教育教材の活用方法等について、御質問や御意見がございましたら、お願いいたします。

 高橋委員、どうぞ。

○高橋(寛)委員 高橋です。

 この中学校に送るアンケートなのですが、これですと、去年と比べてというデータは吸い上げられると思うのですが、なぜ社会科で行わないかとか、実際の現場でどのような問題が起きているかという情報の吸い上げがなかなかできないのではないかと思います。つまり、この後、どういうことを聞きたいかをもうちょっと議論してアンケートに反映させたほうがいいのではないかと思います。

 つまり、スタンスとしては、薬害のパンフレットがやっとできました、これを中学校に送ります、それでやってくださいということを周知しますというだけでは、今、現場は動けないと思うのです。それは、誰が悪いという議論をするつもりはないのですけれども、やはり受け取った方ですね。学校の中で、校長先生が受け取るのか、教務主任かわかりませんけれども、誰が受け取るかによってそこで判断されてしまうと、ここで議論している趣旨がきちんと伝わっているかどうかというところの確認が必要だと思うのです。

 先ほど言ったように、これは大事だよねという方は恐らく一生懸命やる。一生懸命やった人たちが今回のアンケートに回答してきているのではないか。そのため結果として、すごくいいものだという評価のような気もするのです。問題は、いいところはいいのです。でも、やってくれないところがやる方向に向いてもらうためには何が必要かというところを吸い上げない限り、薬害のパンフレットを毎年送っているのです、でも、現場はやってくれないのですということを毎年やっても前に進まないかなというのが意見です。

 ですので、できればアンケートに、次の方策が得られるような、原因が見えるような項目を。今、具体的には言えませんけれども、例えば、学校でどのような議論で保健体育にしたのですかとかいうところがもうちょっと見えれば、さっき言ったように、周知の仕方が悪いのか、中学校の指導要領の記載の仕方が悪いのかというところも含めて議論ができるのではないかというのがまず1点です。

○衞藤座長 今のことに関連して何かリアクションはありますか。

 大平委員、どうぞ。

○大平委員 資料1-1のアンケート調査としては、大変わかりやすいという回答がかなりのウエートを占めていて、それはとてもいいことだろうと思うのですね。そういうことを踏まえて、昨日、違う調査会のほうで話があったのですけれども、もうちょっとポジティブ志向で行こうよねというところで、こんなにアンケートを配付していただいた学校がありますということで、これをもっと伸ばそうということで、それをお願いの文書の中で盛り込めるような形の配付の仕方も考えたほうがいいのではないかと思うのです。こんなにいろいろとやってくださっている学校もあります、そういうのを踏まえて、皆さんが協力していただけると、もっともっと伸びていきますというような感じのアピールの仕方とか、そういうのが本来は伸ばす方向としては必要なのではないかと思っていまして、そういった点をぜひ盛り込んでいただいて、アンケートのとり方のことについても、どこが問題点ということを抽出するよりは、これだけ伸びているので、それをもっと伸ばすための方法とか、そういうのをぜひそこで考えるという形も考えられるのではないかと思いました。

○衞藤座長 ありがとうございました。

 アンケートのことに限らず、教材の活用方法等について、御質問、御意見、どうぞ。

 手嶋委員、どうぞ。

○手嶋委員 肝炎の手嶋です。

 今、この「活用の手引」をずっと読んでちょっと気になるところがありました。とても簡潔にちゃんと書かれているとは思うのですけれども、私が感じたところによると、※印に「違法な薬物の乱用がもたらす健康被害問題は、医薬品による副作用とは全く異なる問題です。薬物乱用=薬害問題という誤ったイメージが伝わらないようにご留意下さい」と書いてあります。この中で簡単に書かれていますけれども、「医薬品による副作用とは全く異なる問題です」。医薬品による副作用というのが薬害問題かというと、これはまた違うのではないか。内容がわかっていない人が書いたのかなと一瞬思いました。

 薬害問題と薬物乱用というのは一緒くたにしてほしくないというのは、こういう薬害被害者の私たちが思うことなのですけれども、一つだけ同一のところがあります。社会的犯罪。これは今まで薬害問題であまり言われていないと私は感じております。

 私は、自分の肝炎の被害は犯罪だと思っております。皆さんはあまり御存じないかもしれないけれども、HIVやC型肝炎の問題は、外国からの輸入血液製剤というのが根本にあったと思いますし、それがどういうところから採取されたかというのも本当に問題だったと思います。今までの裁判とかではそういうことが全然追及されておらず、日本の国や製薬会社が批判されてそれで終わりになっているので、私はそこだけがもっと調査してほしいなと。はっきり言って、資料館設立のほうの原本としても要求しております。

 あと、資料1-1の4ページの上のほうに「国の責任についてあまりにも他人事のような記述になっている。HIVについては授業でも扱っており、今の内容では国の責任逃れの印象となり逆効果。明確に自己批判的な記述にすべきであると考えます」という意見が出ています。こういうことを載せていただいたというのは、厚労省もどんどん変わってきているなと思っておりますし、当初からしたら中身も洗練されてちゃんと書かれてきてはいます。こういうことを考えて、記述をもっと考えていただきたいと思っております。

○衞藤座長 ありがとうございました。大変大切な指摘だったと思います。

 ほかに御質問,御意見ございますか。栗原委員、高橋委員の順でお願いいたします。

○栗原委員 今の手嶋さんの医薬品の副作用云々というところの指摘は私も当初から感じておりまして、全く同感です。ここは、薬害問題と薬物乱用をイコールにするなという後ろの表現でもって統一すべきであると思います。

 それから、映像教材の作成の検討という記載がありましたが、現場としては、かなりニーズの高いことではないかと思うのです。例えば、既存のものを利用するという点でいきますと、矢倉さんがいらっしゃるところで私が言うのもなんですが、197912月につくられている「人間の権利 スモンの場合」というスモンのドキュメンタリーがありまして、著作権問題が整理されていて団体さんのほうでお持ちだということで、私たちの連絡協議会の催しのときに、もともと2時間物を50分ぐらいの映像に短縮したりして使っているのですけれども、実はその映像の頭10分というのが、手を加えなくてもかなりコンパクトに伝えられる可能性のあるつくりになっています。そういったものを活用できないかどうか。授業に向けた動画の一つとして関係団体と協議いただくというあたりも方法としてあるかなというのを一つ思っています。

 それから、ここで言っていいのかどうか、さっきちょっと御紹介いただきましたけれども、教材の修正意見。私は一つ希望を述べさせてもらっているのですが、実は、教材の表紙をめくったところの2ページに年表があります。私は、裁判がもう終結したイレッサの問題をこの中のどこかに。ますます情報量が増えるわけですけれども、事実ですのでここに記載すべきではないかという考え方を持っています。

 例えばクロロキンの問題を見てみると、たしかこれは国の責任を問われなかったのですね。そういったケースがここにある。あるいは、一番古いジフテリア事件も、国賠訴訟の準備が進んだけれども、途中でポシャってしまった。刑事事件化はしましたけれども、要するに国の責任ではなくて企業の責任だけ刑事事件で問われたのです。あるいは陣痛促進剤などは国賠訴訟は全くないわけですね。かなりいろいろなタイプの事件が入っているわけです。厚生労働省のお考えもそういう幅広の見方でこの教材がつくられているだろう。

 そういう点からいきますと、イレッサの問題も大きな社会問題になったことは事実ですし、それによって抗がん剤の適正使用というか、安全対策というか、そのあたりで非常に大きな影響を持った出来事だっただろうということで、そんな考え方を持っております。

 以上です。

○衞藤座長 高橋寛委員、お願いします。

○高橋(寛)委員 教材の活用方法に関しては具体的になってきていいなと思います。もちろん、社会科でやる全体のボリュームからすれば、薬害を教える時間というのは少ないので、これだけ見ているわけでもないのですけれども、実は明日、高校生相手に授業をさせてもらうのです。そういうきっかけをつくっていくという段取りがまずできたことが一つです。

 そのときに、いわゆる保健室の養護の先生に言いますと、薬害の教材の活用方法というものがあることすら知らない。それを知らせていくという役割でもあるのですけれども、それをどのように授業をされますかと聞かれたときに、高校生を対象にした授業をしたことがない者にとっては、レベルをどの辺の深さにしたらいいかというのもあるのです。前、立命館でやられたワークシートをちょっと加工してやるという話にしていますけれども、その私であっても、何を言えばいいか。40分という時間の中で薬害全部は言えないのです。

 何を言いたいかといいますと、まず、参考になるこういう教材があるということをホームページに載せてもらいたいのです。皆さん専門家なので、ネット検索すればすぐわかるだろうと思うかもしれませんけれども、これを見た人は、できるだけここから知りたいわけです。ですので、ホームページとか、こういう教材がある。あとは、レギュラトリーサイエンス財団でしたか、5,000円なのですけれども、6巻本でDVDもあるのですね。そういうのも調べて初めてわかるというところなのです。ですから、そういう情報があれば、ぜひこれに載せて、こういうものを参考にしてくださいと。授業をやりたいと思った人がすぐ動けるようなところまでできれば仕上げてもらえればなと思います。

 この本を別に宣伝するわけではないですけれども、これをなぜ買ったかというと、CDがあってスライドが入っているのです。そういう情報提供も込みでやってあげないと、現場の先生はなかなか動けないのではないかと思いますので、新たにつくるのではなくて、既存のものをもうちょっとつけ加えていただいて、ぜひ配付をしていただきたいと思います。

 もう一つは、現場の薬剤師。中学校でも高校でも学校薬剤師がいます。この学校薬剤師全てが薬害に精通しているとは言えませんけれども、この薬剤師に協力を求めるとか、一緒にやるとかということを、明記しろとは言いませんが、そういうのをぜひ御検討いただきたいと思います。

 以上です。

○衞藤座長 ありがとうございました。

 ほかにございますか。

 それでは、今後の薬害教育教材の活用に向けた取組につきましては、本日皆様にいただいた御意見も踏まえながら、事務局の案に沿って進めていただくことにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 それでは、次の議題に移ります。

 本日、もう一つの大きな議題であります「薬害に関する資料等の調査について」に移ります。

 昨年度の検討会で事務局から報告がありましたとおり、平成25年度予算により、薬害に関する資料等の実態調査の取組を進めているところです。まず、事務局から資料調査の概要や現在の状況につきまして御説明いただき、その後、冒頭に御紹介させていただきました金先生より資料調査に関する研究の具体的な進め方について御講演をいただきたい。そういう手順で進めたいと思います。

 まず、事務局からの資料の説明をお願いいたします。

○医薬品副作用被害対策室長補佐 それでは、資料4-1を御覧いただければと思います。「薬害に関する資料調査等について」という資料になります。

 一番最初に、今、座長から御紹介いただきましたが、平成25年度の厚生労働省における予算の関係について御説明させていただきます。

 「薬害に関する資料調査・目録作成費」は、厚生労働省本省の予算となっております。事業概要につきましては「薬害に関する資料を教育等に活用するとともに後世に伝えていくためには、どこにどのようなものがどの程度あるのか、実態を把握し、資料を整理する必要がある。被害者団体等が保有する薬害に関する資料の名称、内容、保管場所等を調査し、目録を作成する」という事業概要になっております。

 予算額は1,1639,000円。

 具体的な事業内容としては、実態の把握のための調査、被害者団体の事務所等の調査、未整理書類等の分類・整理の補助、最終的には目録を作成していくという予算になっております。

 これだけではいろいろ調査ができませんので、厚生労働科学研究費におきまして、先ほど座長から御紹介いただきました金先生にお願いをしておりまして、具体的な調査を行っていただいているところでございます。

 研究の概要としましては「被害者やその家族の高齢化や文献等の関連資料の散逸が進んでいることから、貴重な資料や関係者の証言が失われてしまう可能性が高い。被害者団体が所有している資料等の状況・実態について調査を行い、資料等を統一的・体系的に分類・整理・保管するための手法を検討し、それを実践する。資料等の亡失を防ぎ、今後、薬害に関する啓発や教育、研究等への効果的な利用、被害者等対策への検討材料として活用することができるようにする」という研究概要となっております。

 研究期間は、平成25年度から2カ年、25年度の研究費につきましては500万円になっております。

 研究者は、先ほど御紹介いただきました法政大学大原社会問題研究所准教授の金先生になっております。

 具体的な研究内容につきましては、資料等の実態調査。これは、現地調査、聞き取り調査。それを経まして、統一的な体系的な整理・保管方法を検討していただきます。その検討していただいた内容のマニュアル化。マニュアルを作成していく。このマニュアルを被害者の方々、被害者団体等へ配付して、そのように統一的に整理していただく。必要に応じて、そのマニュアルについては修正を加えていく。あと、作業の確認と助言と指導を行っていただくというような内容になっております。

 具体的にどのような調査をしていくかというのは、後ほど金先生から御説明をいただけることになっております。

 1枚めくっていただきまして、進捗状況につきましては、8月24日に薬害団体の方々にお集まりいただきまして資料調査のための会合を開催いたしました。今回の資料にも入れておりますが、「薬害に関する資料の所在等に関するアンケート」に基づきまして、各団体の方々から資料の状況を聴取しました。それで、各団体の方々の資料調査の担当の方の窓口を確定させております。金先生から資料保管の重要性及び方法等の基礎的な知識について御講演をいただき、そのときに各団体への実態調査の協力依頼をしていただきました。

 今後は、この金先生がやっていただいている実態調査を引き続きお願いしながら、その調査と並行しまして、未整理書類等の分類・整理の補助等を本省の予算を使ってやっていくという予定になっております。

 以上でございます。

○衞藤座長 ありがとうございました。

 続きまして、金先生より御説明をお願いできますでしょうか。10分程度でお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

○金参考人 今、紹介いただきました金慶南と申します。2013年、今年から来年度まで「薬害資料等の調査・管理・活用に関する研究」をやることになりました。

 資料4-2を御覧いただければと思います。

 この人は1949年にスモン病にかかった人で、静岡スモン友の会のメンバーです。私が3年前にインタビューをとったものです。こういうインタビュー調査が現地調査の一つの課題になっております。

 基礎的なことについてまず説明をして、それから研究体制について報告させていただきます。

 薬害資料とは、薬害被害にかかわる全ての文書、視聴覚、モノ資料、電子資料を含めた記録と記憶を言います。その事例として、サリドマイドやスモンやHIVなどと関連した資料が薬害資料と言えます。「資料」は英語で「アーカイブズ」と言いますけれども、過去の資料、アーカイブズは未来の実をつくる種ということで、すごく重要性があるということです。

 その資料を管理するところをアーカイブズと言います。日本では、資料館、文書館と言われます。

 それから、薬害資料の必要性と重要性は、裁判のときの証拠資料としての価値とか、歴史資料ですね。過去のいろいろな間違ったことに対する認識と反省は、現在と未来をつくっていく種として歴史資料としての価値を持っています。

 あとは、行政です。行政資料と言えば、厚生労働省の資料がありますけれども、薬害資料もその中のつながりがあるのですね。それで、行政補充的な価値を持っているということです。

 あとは、国民啓蒙のための基礎資料としての価値を持っているということで、薬害資料は非常に重要だということです。

 スライドの5番です。薬害資料管理の現状を見てみると、資料管理を専担している機関はないのです。それから、現用資料として、専門用語で言えば「レコード管理センター」と言いますけれども、それぞれの今使っている記録管理センターですね。センターと言えないけれども、とりあえずそういうところが、厚生労働省、法務省、内閣などが行政機関、薬害関連会社は薬剤会社、あとは薬害市民団体・被害者等、全部現用記録管理の現場でございます。

 その後、永久保存のためには、歴史記録管理というものでアーカイブズになっております。法政大学の大原社会問題研究所の、今、私が管理している環境アーカイブズというものがあります。あとは、立教大学とか、埼玉大学などで歴史記録管理をやっているところがあります。

 6番はちょっと飛ばします。行政機関における資料管理のシステムは、法律に基づいて国立公文書館がアーカイブズ管理を行っております。

 各国の公文書館は、日本は国立公文書館が1971年に開館しまして、韓国は国家記録院というところが1969年に開館して、2000年からすごく進んでいます。アメリカは1937年に開館されて、アメリカの行政機関の全ての記録を管理しております。それをナショナルアーカイブズと言います。

 8番はアメリカのイェール大学の資料館ですけれども、その資料に基づいて研究をしている方々の姿です。この人たちは資料の中で必要な部分を撮影とかコピーを撮って研究に活用する。教育の教材とかにもこれを使っております。

 イェール大学は、日本と関係がある資料はABCCの原爆関連資料です。1945年8月にあった広島と長崎の原爆事件に対する調査記録が、全部ではないけれども、ここに残っています。デーリング先生が持っていた資料がこちらにあって、9番に載せているものがその資料です。

10番のスライドに載せているものは写真類です。フィルムとかスライドとか写真は全部一つのファイルの中に入れて保存されております。

 その外観ですけれども、外で見るとすごく立派です。それで、こっち側がアーカイブズでこっち側が展示室です。イェール大学は、研究機能、閲覧機能、展示機能を持っていらっしゃいます。図書館と別にこういうアーカイブズというものが幾つかあるのがイェール大学の特徴です。これは非常にいい資料館だと思います。

 さまざまな資料管理の方法があります。国レベルの資料管理と民間レベルの資料管理、あと、資料を持っている所有者と専門家チームの共同資料管理というのがあります。私も、原子力資料情報室の資料は目録がなかったので、そこに我々のチームを組んで1年間目録をつくりました。ファイルレベルなのだけれども、今、大分終わっています。

 今回の薬害資料管理の課題としては、薬害資料に対する概要調査を私を中心にしてやって、被害者及び被害者団体の資料管理状況の把握が必要なのです。それは、薬害被害11団体を対象にします。

 2年目から資料の作成、保存方法などのマニュアル作成、それから、勉強とか、目録作成などに入りたいと思っております。

 2年間の研究資料管理体制は、まず、レコード資料センター。センターとは言えないけれども、とりあえず、そのような機能の構築が目標です。それから、2年目はマニュアルを作成することです。その後、薬害11団体が資料を管理することです。

2013年度の研究目標は、先ほど言いましたように、薬害被害者団体11カ所の資料管理状況調査です。それで概要作成をやっております。

 今回のこの研究体制の特徴と言えば、民間大学の共同体制だと私は思っています。民は薬害被害者団体で、官は厚生労働省。大学は、今、法政大学を中心にして学習院大学とか立教大学とかの各分野の研究者が協力しているという特徴を持っています。

17番は調査対象の団体一覧です。これは、サリドマイド訴訟とか、大阪HIV訴訟とか、東京HIV訴訟も含めて、11団体です。

17番と18番がその調査対象の団体一覧です。

19番は私の研究室のメンバーと担当役割です。私が総括をして、そばにいる齋藤柳子さんが長年レコードマネジメントとしてやっておりました。その2人を中心として、事務局の牧野さんを中心に現地調査やインタビュー等を行って研究をすると思います。あとの研究協力者たちは、いろいろなマニュアル作成とか、薬害資料の所在調査とか現地調査などに協力してもらうつもりです。

 研究日程としては、7~8月はもう終わりましたけれども、研究体制の構築と薬害被害者団体への説明と質疑応答をやっていました。

 それから、研究会の開催ということ。法政大学に環境市民活動アーカイブズ資料整備研究会がありますが、それと合同で、8月24日に薬害資料研究会という研究会を行いました。

 それから、9月~10月には、被害者団体の現地調査を行って、11月~12月は関西地域です。1月~2月は各団体の追加調査で報告作成ということになります。

22番は、本学の環境アーカイブズの資料整理の姿です。

 このように中性紙の保存封筒に入れて管理をしております。真ん中に赤い色のシールがあります。これは個人情報が入っているから非公開となっております。

 以上が今の研究体制の概要といろいろな基礎知識です。

 その次は、昨日薬害訴訟団体事務所を訪ねて行きましたが、その管理の現状について齋藤さんから報告させていただきます。

○齋藤参考人 今、御紹介いただきました齋藤柳子と申します。

 私は、今、学習院大学のアーカイブズ専攻の博士後期課程の学生ではありますが、金先生の研究協力委員としてこのたびのプロジェクトに参加させていただいております。

 私は、30年ぐらい、レコードマネジメントのコンサルタントをしておりましたので、文書の現地調査というのは大変慣れております。

 では、これから御説明いたします。

 まず初めに、通常、文書の調査といいますと、行政機関等の場合ですと、組織がどうなっているかという調査から入るのですが、今回のプロジェクトでは、組織というものは非常に難しいので、患者さんを中心とした周りの相関関係、それがどういう関係で文書の発生とつながっているかというところをまず観点として押さえなければいけないということです。

 ここにある1から5の文書は、実はここにいらっしゃる栗原先生が京都スモンの会とかMMRの被害者団体の会の御報告を今年の9月にされましたところからちょっと拝借いたしました。「5つの願い」として「被害の現状と原状回復に至る過程の明確化」「該当する医療情報を入手し、真相解明」「国・製薬会社からの謝罪の獲得」「国・製薬会社・医療機関への損害賠償を求償」「再発防止のための情報公開」ということが最終的に達成されればいいということですが、こういうことは全て記録があってこそ実証できると私は考えております。

 情報の入手とか記録発生の過程をまず把握するということです。普通の行政の文書でしたら、業務フローということを捉えるわけですが、今回は業務フローということは考えられませんので、患者さんがどのように苦しみに至っているかという過程をまず分析して、その中で発生している文書の入手。年月日とか、作成者が誰とか、いつ発行されたかとか、資料名を明確化して記録化していくことによって現状が把握できるということになります。

 実は、昨日、薬害肝炎訴訟の鮎京法律事務所を調査いたしました。私どもがこれから調査をしていくのは、金慶南先生のパワーポイントの17から18ページに「調査対象団体一覧」というのがありますが、この団体について今年中に全て調査をしようという計画になっております。手嶋さんとか矢倉さんのところにお伺いするかもしれませんが、どうぞよろしくお願いいたします。

 どういうことを調査するかということですが、まず、こちらの薬害肝炎訴訟に関しては、新小岩にあります鮎京法律事務所のほうに保管されているということで、実は昨日伺ったのですけれども、そこにある資料室がどのようになっているかを調査いたしました。

 今、1枚の写真がありますけれども、ほとんど満杯の状態なのです。インタビューをさせていただいたのですが、どういうインタビューをしたかといいますと、この1から10に関して現在どんな文書をお持ちですかということをまず口頭で聞いて、その聞いた内容から現物を見ていくという手順を踏んでおります。

 現実はこんな状態で、量的には26.2ファイルメーターしかないとおっしゃいますが、部屋が大変狭いところですし、はみ出している率が14%もありまして、1段の棚に前後2列に入っていますから、検索もなかなか大変な状況です。

 ファイル名表示は、こちらは法律事務所でありましたのでアシスタントの方がいらっしゃって、その方がファイル名をきちんとつける努力をされていたので、非常に良好な状態でした。私は、これが全ての訴訟団体の状況ではないと予想しているのですが、もっとぐしゃぐしゃになっているのが現状ではないでしょうか。こんなにきれいに整理してあるところは珍しいと思います。ただし、ここでも廃棄可能文書が少々あったり、写真などは紙ファイルでは持ち切れないのでパソコンの中に保存しているとか、または、機密文書管理は誰が行っているかとか、そういう体制を調査させていただきました。

 今後の課題ですけれども、資料量の増加に対応するためには、可能な限りPDF化できるものは電子化していこうというようなお話を伺いました。それから、今、適切な分類方法というのを試行錯誤状態ですので、私どもが調査した段階で、ある程度、各団体さんの共通項を見つけて分類を考えていきたいと思っております。それから、一番大事なのが個人情報保護の管理強化ということです。最終的には、記録管理マニュアルの作成をするということを課題としております。

 大きな将来の展望としては、最終的な保管管理者は誰になるのか。皆さん、だんだん高齢化されて、資料の管理も及ばなくなってきたときに、最終的にそれをどこで預かっていくのか。やはりアーカイブするところを検討しないといけないと思います。それから、先ほど教育の問題が出ましたが、保存・展示コーナーというのをつくりまして、小・中学生、高校生などに具体的な事例を見ていただくようなコーナーを設置するべきだろうと思います。それにはやはり資料が必要になります。それから、研究者をサポートするために資料検索システム、データベースを構築するということ。あと、話し合いの場、被害者や他訴訟団体と交流する場というのが必要なのではないかと私は思います。

 こういうことを達成するために、まず、記録管理をしっかりするということでお手伝いさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

○衞藤座長 ありがとうございました。

 それでは、先ほどの事務局の説明及びただいまの金先生の御説明に関して、御意見、御質問等ございましたら、時間は15分少々ですけれども、いかがでしょうか。

 手嶋委員、どうぞ。

○手嶋委員 すみません。先ほどの分でなくて、栗原委員が申した分ですけれども、厚労省の方たちのほうで来年の副教材にイレッサの薬害を載せるということについてはどのようにお考えなのでしょうか。

○衞藤座長 お願いします。

○医薬品副作用被害対策室長 イレッサの話は、今初めてお聞きをいたしました。栗原先生から事前にいただいたものはちょっと違う話でしたので、今いただいた話について、すみませんが、まだ検討ができておりませんので即答しかねます。

○衞藤座長 どうぞ。

○手嶋委員 イレッサも薬被連の団体の一員なので。それと、やはりあれだけ社会的問題になった薬害をこのまま国として、厚労省として教材の中に入れないということは、後々の歴史から振り返って見た場合、これは欠陥として見られる、そうやって思われるようになる。先のことを考えたら入れておかれたほうがよろしいと私は思います。

 あれだけの問題だったので、また副教材に入れないということになると、大部分の国民の方たちも、この副教材は目に触れることがあるので、何で入れていないのだろうと。反対に、そういう国や厚労省の物の考え方に批判的に思われると思うのです。そこら辺はよく検討されて入れていただきたいと思っております。

○衞藤座長 矢倉委員、どうぞ。

○矢倉委員 同じ意見です。

 イレッサは確かに裁判において負けました。負けましたけれども、今後の添付文書の問題とか、そういうことについてかなりの課題をきちんと残しておりますね。ですから、単に負けたからこれはあれなのではないということではなくて、その課題がいかに大きかったか。社会問題になって、大きな課題もきちんと残してくれたということについて、やはりイレッサは記録すべき問題ではないかと思います。

○衞藤座長 金先生、どうぞ。

○金参考人 この調査の対象の中で、それぞれの被害者団体の事情があるのです。なので、今、コンタクトをとっている最中なので、もしかして、この中でも1カ所とかは見学だけやって調査はできない可能性もあります。その話はもちろん入れるべきだと私は思っています。

○手嶋委員 ありがとうございます。

○衞藤座長 ほかにいかがですか。

 栗原委員、どうぞ。

○栗原委員 金先生、齋藤先生、今日お話を伺って、イメージがかなり具体的に湧いてきて、頑張らないとだめだなという気持ちにさせていただきました。とりあえず、その感想です。

○衞藤座長 そのほかいかがですか。

○高橋(寛)委員 高橋ですけれども、今日は説明をありがとうございました。

 最初のスライドのところに「薬害資料等の調査・管理・活用に関する」という題で入っているのですけれども、順序立てて保管するというところまではわかったのですが、この活用に関する部分に関しては何があるのか。今日はそこがちょっとよく見えなかったのです。

○金参考人 まず、1年目は資料調査中心です。なので、来年度以降、マニュアル作成するとき、各団体とか、ほかのところもあるかもしれないけれども、どういうものが必要かというのが出てくると思います。そのとき、資料をどのように管理するかを含めて、活用の部分も。とりあえず、これは資料の提供。だから、あちらこちらに分散されている資料を調査をして、それを提供するという形になるから、その活用の部分は、課題として、その次の3年目から積極的になるのではないかとは思います。

○高橋(寛)委員 では、ちょっと別な切り口から教えてもらいたいです。

 イェール大学の原爆に関することですか、よくわかりませんけれども、いろいろな展示とかがあると思うのですが、いわゆるアーカイブをすることによって、それが電子的な保存になって、そこにいかなくてもそこへアクセスするようなというところもかなり進んでいるのでしょうか。

○金参考人 目録はかなり進んでいます。今、こちらでイェール大学のホームページに入って、アーカイブズに入ったら、目録は全部見られます。

 もし薬害でそれができれば、活用は、その後すごく進んでいるのですね。この写真とか、この写真とかを特化して。

 あと、もう一点、私からちょっと言うと、今、法政大学の大原社会問題研究所の環境アーカイブズの中では、今もデジタル化をして、家でそれをダウンロードするようにつくってあります。そういうシステムが一番いいのだけれども、やはりお金がたくさん要るからちょっとあれですね。

○衞藤座長 そのほかいかがですか。

 それでは、薬害に関する資料等の調査に関しましては、本日の御議論も踏まえながら事務局から説明のあった方針で進めていきたいと考えております。また、事務局では、この検討会の調査の進捗状況等について、適宜、また御報告、御相談をお願いしたいと考えております。

 それでは、そろそろ時間が来ておりますので、特に御意見がなければ、このあたりで本日の会議を終了させたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

 次回の日程等、事務的な連絡事項に関して事務局からお願いいたします。

○医薬品副作用被害対策室長補佐 次回の日程については未定となっておりますので、事務局から日程調整について追って御連絡をさせていただきたいと思います。

○栗原委員 ちょっとよろしいですか。

○衞藤座長 どうぞ。

○栗原委員 再三、すみません。毎回のようにお話ししているのですが、一番早い時期の検討会の段階で、厚生労働省の「薬害を学ぼう」のサイトに指導者向けの補助的な資料をアップロードして活用してもらえるようにしようと。それについてはほぼ全体の合意事項であったのではないかと記憶しているのですが、そこが未着手のまま。実践を広げてもらうためにはいろいろな資料を提供するというお話が先ほどありましたけれども、そういう点で、当初の議論、合意をもう一度振り返って、確認の上で、具体的に進めていただきたいと思っています。

 以上です。

○衞藤座長 では、よろしくお願いします。

 全体を通してほかにございませんか。

 もしよろしければ、本日はこれで検討会を終了といたしたいと思います。長時間ありがとうございました。


(了)
<連絡先>

厚生労働省医薬食品局総務課
医薬品副作用被害対策室
TEL 03-5253-1111(内線2718)

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