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2013年10月10日 厚生科学審議会疾病対策部会 第32回難病対策委員会 議事録
健康局疾病対策課
○日時
平成25年10月10日(木)10:00~12:00
○場所
都道府県会館 101大会議室(1階)
○議事
○小澤疾病対策課長補佐 定刻となりましたので、ただいまから厚生科学審議会疾病対策部会第 32 回難病対策委員会を開会いたします。委員の皆様にはお忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
まず、本日の委員の出欠状況を確認させていただきます。道永委員、山本委員、五十嵐委員、小幡委員、小池委員、広井委員、本間委員、益子委員から欠席の御連絡を頂いております。
それでは、カメラの撮影はここまでとさせていただきます。傍聴される皆様におかれましては、傍聴時の注意事項の遵守をよろしくお願いいたします。
以降の議事進行につきましては金澤委員長にお願いいたします。
○金澤委員長 それでは、第 32 回の難病対策委員会を始めたいと思います。最初は資料の確認を簡潔にお願いします。
○小澤疾病対策課長補佐 では、資料の確認をさせていただきます。資料 1 「医療費助成の仕組みの構築について」、資料 2 「国民の理解の促進と社会参加のための施策の充実について」、資料 3 「効果的な治療方法の開発と医療の質の向上について」の 3 つの資料。
参考配布として、「第 30 回・第 31 回の難対策委員会における主な意見」をまとめて、配布しています。こちらの意見のほうは、実際の御発言と何か異なることがありましたら、御指摘いただければと存じます。
それから、前回の会議で御要望のあった資料として、委員と事務局には「難病のある人の就労支援のために」というパンフレットを席上配布させていただいております。以上ですが、資料の欠落等がございましたら、事務局までお申し付けいただければと思います。以上です。
○金澤委員長 それでは早速、議事に入りたいと思います。最初の議題は、資料 1 にありますように「医療費助成の仕組みの構築について」です。事務局から説明してください。
○小澤疾病対策課長補佐 まずお手元の資料 1 に沿って御説明いたします。資料 1 は、医療費助成の仕組みに関する資料です。前回、前々回と御議論いただいておりましたが、今回はそれを踏まえた上で、方向性について御議論いただけるよう資料を準備いたしました。
資料 1 で議論していただきたい主な項目は 2 つあって、 1 つ目が、「医療費助成の対象となる患者の認定基準について」、 2 つ目が「患者負担の在り方について」です。
それでは、 1 の医療費助成の対象となる患者の認定基準について、御説明いたします。 2 ページですが、論点として、対象患者の認定基準となる「症状の程度が重症度分類等で一定以上等であり、日常生活又は社会生活に支障がある者」を具体的にどのように考えるかとしております。これについては 9 月 3 日の委員会でも論点として提示させていただいています。平たく申し上げれば、日常生活又は社会生活に支障のあるような方について、医療費助成の対象としていくということで、日常生活に支障のない軽症の方については、医療費助成の対象にならないと考えています。今回はこれまでの議論を踏まえて、具体的にこれを展開させていただきたいと考えています。
まず、資料の論点の下の 1 つ目の○ですが、医療費助成の対象となる全ての疾患に対して重症度分類等を適用してはどうかという考えです。
3 ページに現行の 12 疾患を載せてありますが、これが現在の医療費助成の対象である 56 疾患のうちで重症度分類等を規定しているものです。現在、助成の対象となっているほかの疾患あるいは新規の疾患についても、こういった重症度分類等を適用してはどうかということを御議論いただきたいと考えています。
戻って 2 ページの 2 つ目の○です。現在、重症度分類等が設定されていない疾患について、重症度分類等の設定に当たっては、各疾患の特性を踏まえて、次のような方法によって設定してはどうかとしており、主な方法としては現行の医療費助成のうち重症度分類等を勘案している 12 疾患のように個別に設定する方法とか、疾患横断的な重症度分類等を設定する方法があるのではないかと思いますが、御議論をお願いしたいと思います。現行の 12 疾患のような個別の設定については、例として現行のものを 4 ページと 5 ページに掲載してあります。
一方で、今回提示している方法の 1 つとして、疾患横断的な重症度分類等を設定する方法はこちらにあります。これについては 6 ページに例示を記載しており、循環器領域における国際的な NYHA 分類、あるいは肝臓領域における Child-Pugh 分類など、それぞれの疾患領域で用いられている重症度分類等があります。疾患によって、このような分類が適切な場合には疾患横断的な、このような重症度分類等を用いてはどうかということで考えており、こういったことに関して、御議論いただければと考えております。 2 ページに戻って、 3 つ目の○ですが、こちらはどのような重症度分類等を用いるか、あるいは重症度分類等のどの範囲を医療費助成の対象とすべきかについては、疾患ごとにどうするかを決めていかなければなりませんが、いずれにしても医療費助成の対象となるかどうかの基準については、「日常生活又は社会生活に支障がある者」という考え方に照らして、医学的な観点から評価・検討して、その上で第三者的な委員会で決定するのがよいのではないかということで、記載しております。以上が対象となる患者の認定基準についての説明です。
次に、 2 つ目の患者負担の在り方について、資料の説明をさせていただきたいと思います。以前の委員会においても、この論点については御議論いただいてまいりました。 8 ページを御覧いただきますと、こちらはこれまでに委員会で御提示いただいた提言の該当部分を抜粋しているものです。
9 ページは患者負担の在り方に関する基本的な考え方について、これまでの議論を踏まえて事務局としての考え方を整理してます。最初の●ですが、難病患者への新たな医療費助成の患者負担については、医療保険制度における高齢者の負担の在り方を参考に、難病の特性を考慮して、所得に応じて負担限度額等を設定してはどうかと記載してあります。これについて、 10 ページに現行の難病医療費助成と高齢者の医療保険における高額医療費制度、障害者の自立支援医療 ( 主に更生医療 ) などの医療の範囲について比較した表を載せています。
まず、難病の特性として、比較的若い時期から長期にわたって医療費がかかると考えられることから、難病患者の方々の医療費助成に関しては、特別な配慮が必要と考えております。難病患者の治療については、表の左下の備考欄にありますが、治療方法が確立していないため、対症療法を含む、広い範囲が助成の対象となっており、対象患者に係る合併症や治療による副作用に対する医療も助成の対象です。ということで対象となる医療の範囲については、対象疾患やそれに付随して発現する傷病に対する医療であれば、どのような医療でも幅広く受けることが可能となっています。
次に、表の真ん中の高齢者の医療保険における高額療養費制度についてですが、備考欄の記載を見ますと、高齢者は若年者と比べて医療費が高く、受診頻度も高いということで 70 歳以上の者について、自己負担限度額を引き下げて負担の軽減がされているという制度です。また、対象となる医療の範囲についても、疾病又は負傷に対する医療ということで、非常に広い範囲が設定されています。
一方で、表の右にある障害者の自立支援医療 ( 主に更生医療 ) は、その目的が身体の障害を除去・軽減するためとされていることから、対象となる医療の範囲についても、障害を除去・軽減するために確実な治療の効果が期待できる医療に限られています。
難病患者の方々に対する医療については、その症状の変動、多様性によって、様々な治療行為を組み合わせることが多いことと考えており、制度としては示させていただいた障害者の自立支援医療よりも高齢者の制度のほうがより近いのではないかと考えております。また、難病患者の方々については、先ほど申し上げましたとおり、医療需要が非常に高いということもありますので、こういった点などを踏まえて、医療保険における高齢者の患者負担を参考にしてはどうかという考え方を整理してます。
それから、資料には記載しておりませんが、医療費助成の要件、例えば原因不明であるとか、治療方法が未確立であるといったことを満たさないような疾患の患者の皆様もいらっしゃると思いますが、疾患が治らずに、長期療養が必要となる方もおられるわけで、そのような方は通常の医療保険制度における高額療養費制度の限度額まで負担をしておられます。そのような方々との均衡についても考慮した上で、難病の特性や配慮の仕方を考える必要があるものと考えています。
9 ページに戻り、先ほど申し上げた基本的な考え方としては、医療保険制度における高齢者の患者負担を参考にしてはどうかと整理していますが、こちらは飽くまで難病の医療費助成の患者負担のあるべき姿を定める原則的なものを整理しており、新規の認定者に対しては、この原則を適用することを想定しています。
一方で資料の 1 つ目の●の但書で記載している既に認定されている方、既認定者と書いていますが、こちらの取扱いについては、これまで予算事業で給付が行われてきたこともありますので、これまでの給付水準も考慮して別途の対応を考えてはどうかという考え方です。
次の●は所得についてです。現行の事業においては生計中心者の所得を把握することにしていますが、現在、生計中心者の考え方を用いている類似の制度はなく、改めて整理するのはなかなか難しいことです。対象となる患者数の増加が見込まれることもあって、実務上も整理していくのは難しいということがあります。難病の医療費助成についても、医療に関する制度ですので、こういったことを考慮して医療保険制度と同様に世帯単位の考え方を採用することにしてはどうかということで、考え方を示しております。
次の●は、医療費助成の対象としては委員会で提示している提言を踏まえて、症状の程度が一定以上等の者とすることを記載していますが、その際、高額な医療を受けていることにより軽症を維持している方の取扱いについてどのように考えるか。何らかの対応が必要かについては、引き続き御議論いただければと思います。
最後は※の部分です。これも委員会での提言にあるとおり、他制度と同様、入院時の標準的な食事療養及び生活療養に係る負担については、患者負担とすることと共に、薬局での保険調剤にかかる自己負担については、月額限度額に含めることとすることを記載してあります。以上が事務局としてまとめた患者負担の考え方です。
そのほか参考資料として、以前に御指摘のあった現行の階層区分について、収入の目安を記載した資料を 11 ページに付けています。それから、それぞれの階層の受給者証の所持者数と構成割合についても 12 ページに参考資料ということで付けています。簡単ですが、以上です。よろしくお願いいたします。
○金澤委員長 いろいろなことを説明してくれましたが、いかがでしょうか。資料 1 に関する説明があったわけですが、よく分からなかったということがあったらいけませんので、最初に質問を受けます。
○駒村委員 収入の目安はどのように計算されたか、簡単に教えてもらえますか。
○田原疾病対策課長 それはどちらのほうですか。
○駒村委員 11 ページです。
○田原疾病対策課長 ここの収入の目安については、書いてはありませんが、夫婦 2 人で、お子さんがおられない御家庭を念頭に整理をしております。
○駒村委員 夫婦 2 人の現役世代ということですか。
○田原疾病対策課長 そのとおりです。
○駒村委員 分かりました。そのお二人は障害もなく、収入としては、別に年金があるわけでもなくて、いわゆる現役の普通の方ですね
○田原疾病対策課長 いわゆる一般的なというか、特殊な事情があるということではなくて、一般的な御家庭の収入ということで目安を示したものです。
○駒村委員 分かりました。
○金澤委員長 これは私がお願いしたのだと思いますが、課税のことばかりを言われても、収入がどのぐらいあるか分からないではないかということで無理やりに書いてもらったので、正確なものではなく大まかな目安でしょう。目安と書いてありますが。余り外に出すべきものではないですね。
○田原疾病対策課長 備考欄の 6 に、先ほど申し上げた収入は、夫婦のみの世帯をモデルとした場合の目安の値とあって、御家庭によって、また家族構成によって変わります。先日、口頭で申し上げましたが、それだとなかなか分かりにくいということで、このように具体的にお示ししました。
○金澤委員長 無理やりに書いてもらったものなので、そこは了解してください。ほかにはいかがですか。
それでは、御質問はないようですので、御意見を頂戴することにしましょう。 2 つありましたが、最初のほうです。 2 ~ 6 ページにかけての「医療費助成の対象となる患者の認定基準について」から入りましょう。むしろ、ここで議論していただきたいのは、原則であって、細かい所を御議論いただくのではないと理解しています。何々を適用してはどうかとか、そういう問い掛けについて、この委員会として意見を提示するということだと思います。
○伊藤委員 この 3 つの○についての考え方ですが、全ての疾患に対して重症度分類等をというのは公平性からいってもあり得るかと思いますが、 2 番目にある疾患横断的な重症度分類等を設定する方法というと、様々なたくさんの疾患がある中で、それを横断的にというのは、果たして現実的に可能なのか。どんな方法を用いればいいのかというのが分かりませんので、余り現実的ではないのではないかという気がしました。
3 つ目はちょっと具体的になっていく可能性があると思っているのですが、この場合の「日常生活又は社会生活に支障がある者」と。日常生活や社会生活に支障があるという考え方、あるいは把握の仕方というのは、かなり社会学的な見方というか、一般社会の見方が反映されなければならないのです。それを医学的な観点から反映させるということを第三者委員会で決定と言いますが、日常生活又は社会生活というのは、個人や家庭によっていろいろな影響がある、就労しているかいないかということの中でも、非常に大きな差異が生じる部分です。これを医学的な観点からということで反映させるというのも、可能なのかどうか。その辺で別のことも考えておられるのかどうか、そこをもう少しお伺いしたいと思います。それによって第三者委員会の性格も決まってくるのではないかと思います。
○西嶋疾病対策課長補佐 伊藤委員から御質問いただいた疾患横断的な重症度分類という考え方ですが、 6 ページに、このような例があるということを御紹介させていただきました。個別の重症度分類を用いるのがいいのか、あるいは疾患によっては各領域ごとに既に重症度分類というのがあれば、それを運用していくのがいいのかということを第三者的な委員会で決めていただくという考え方だと思いますので、それぞれの疾患で医学的に整理されている重症度分類がどういう形で用いられているのかを、今、研究班で把握していただいている最中ですが、それを用いて委員会の中で御議論いただくことにしてはどうかと思っております。
2 点目は日常生活又は社会生活の支障をどのように判断するのか、反映していくのかという御質問だったと思いますが、例えば 4 ページのパーキンソン病の重症度分類については、いわゆる医学的なパーキンソニズムがあるかどうかという Yahr の重症度という表 1 の部分と、表 2 の生活機能障害度ということとで、両面から判断をして、最終的な医療助成の対象の範囲を定めているところだと思います。例えば、疾患横断的な考え方の 6 ページの上でも、循環器の NYHA の分類においても、例えば呼吸困難がある。例えば1度では「身体活動には特に制約がなく日常動作により」と書いてありますが、日常的な生活の中で、どういう症状になるのかという形で、こういった分類が既に医学的にも整理されているものもありますので、そういったものを活用してはどうかと考えています。
いずれにしても、医療費助成の対象疾患、対象の範囲を定める際に、独自のものを導入するよりは、今、医学的にどういうものが使われているかを調査していますので、それを念頭に第三者委員会でお考えいただいてはどうかと思っています。
○伊藤委員 ここのところは患者にとっても非常に大事な部分ですので、もう少しお聞きしておきたいのです。例えばパーキンソンの分類などがありますが、パーキンソン病の分類についてはそれはそれで正しいのかと思いますが、神経難病のような領域の疾患あるいは整形外科的な筋骨格系での制限、社会的な制限、日常生活の制限と、 6 ページにあるような循環器での様々な医学的な分類ということと、日常生活における影響にはかなり違いがあるのではないか。これはみんな分かる話なのですが、それを難病対策全般に 1 つの基準を作っていくということですと、ちょっと心許ないので、ここは医学的な観点というだけではなく、明らかに書いてあるように日常生活又は社会生活に支障があるかどうかという観点を加えて反映させていくことが望ましいのではないかと思います。
疾患横断的なというのも、同じような系統の疾患だったら可能でしょうが、これだけ幅広いものというのは相当検討しなければならないので、その辺はもう少し考え方について具体的なものを示していく方向が必要ではないかと思います。もう少し検討をお願いしたいと思います。
○金澤委員長 おっしゃるところは分かるのですが、私も実は同じ疑問を持ったので聞いたのです。結局、領域別の疾患特異性なのです。病気全部にというのではないのです。言葉が悪いのですよね。 6 ページの上の方の循環器領域で用いられるというのは、明らかに領域別の横断的なものですよね。こういう考え方だと受け取ればいいのではないですか。これでも駄目ですか。
○伊藤委員 領域的なのは、いいのですが、ここではそういうことは書いてなくて、疾患横断的ということで、全部同じように書いてある。
○金澤委員長 だから、領域別と考えていいわけでしょう。
○西嶋疾病対策課長補佐 そうです。領域ごとにという考え方です。
○伊藤委員 では、そのように書いていただかないと。
○金澤委員長 そうですね。きちんと書かないと。
○福永副委員長 難病と言っても、特に疾病数が拡大した場合に、特性は種々様々だと思います。そういうことで、難病に指定する場合には煩雑になることになるかもしれませんが、疾患ごとに重症度分類を決めざるを得ないのではないかと思っています。
○金澤委員長 分かりました。今の福永先生のお話にレスポンスというか、反論するのですが、既にある 12 の疾患の認定対象の考え方は、症状をきちんと捉えているのですか。例えば、 3 ページの下から 2 つ目のバッド・キアリの門脈圧亢進所見のある症状というのは、臨床症状があるとか、ないとか、これでは分からないのです。日常生活にどうだこうだということは、これは所見なので、大丈夫ですか。私は分かり難いのですが。基本的には多くの人が分かる日常生活あるいは社会生活での障害という形が分からないと具合が悪いと思うのですが。
○西嶋疾病対策課長補佐 ここについては、門圧亢進の所見に視点を置いて、それを限定しているということですので、その障害の程度が、きちんと必ずしもできないかもしれないです。
○金澤委員長 そこもちゃんと見なければいけませんね。その上で先ほどのような御質問、御意見があるわけで、どうしましょうか。
○福永副委員長 ただ、神経疾患というのは、多くの場合生活障害でというか、それが非常に大きく関与しますが、例えば内臓疾患などの場合には、ほとんど異常がない人も多いわけです。そういう意味では疾患ごとに決めざるを得ないのか、あるいは領域別に決めざるを得ないのかなという気がします。
○金澤委員長 そうなのです。おっしゃるとおりだと思います。だから、今のことを敷えんすれば、「日常生活あるいは社会生活に支障がある者」というだけでいいのかどうかです。既にある重症度分類を尊重するということであれば、必ずそうするだけではないのです。何らかの形で重症度分類は各疾患ごとに基本的に班の方々の御協力も得ながら、大急ぎで作らなければいけないでしょうね。
○千葉委員 どちらのことも非常に重要だと思いますが、例えば金澤先生から御指摘のあったバッド・キアリなどの場合は、私の専門領域ですが、結局食道静脈瘤があるとか、 pancytopenia 、つまり汎血球減少症があるということです。それは直接的には患者自身の症状にはつながってこないわけですが、重大なことが起こり得るという予測も含めて、非常に重症度としてはそこがポイントになる。だから、本人が痛いとか苦しいというところと、本当の意味での重症度というのは、必ずしも一致しないことがあり得るわけです。ですから、その辺をどう組み合わせるかは、 1 つのポイントだろうと思います。
例えば私どもの領域で言いますと、 6 ページの肝臓領域で用いられている Child-Pugh スコアというのは、基本的には、そういう患者の生活に対する障害の程度と、本当の病気としての重症度というか、食道静脈瘤の破裂が迫っているとか、肝不全の危険性が高いという本人には分からないような、あるいはパッと見て分からないようなものも含めて、うまくこれで収まる非常にいい分類なのです。そういうこともありますので、そういう場合にはこれを個別に、アドリブはあると思います。「ただし」というようなことは当然入れていかなければいけないと思います。例えば、自己免疫性肝炎、伝播性単純性肝硬変、硬化性胆管炎、その他の肝硬変、バッド・キアリもそうでしょうし、恐らく全てに適用できる。そういう分類もありますので、そういう場合は、是非、そういうことを挙げていくのがよろしいかと思います。
○金澤委員長 よく分かりました。併用ということですね。
○千葉委員 そう思います。
○春名委員 身体障害とか精神障害、内部障害、例えば心臓機能障害の障害認定基準には、生活上の制限、社会生活上の制限についての基準がありますが、実際の認定に当たっては、医学的な基準で客観的に認定することになっています。それと同様であれば、他の障害との並びになっていいと思います。ただ、難病の場合は、今までの固定された障害とは違った生活上の支障があるのだというところを、きちんと反映できるような医学的な基準を明確にする。その基準では、症状が固定しなくて、生活上の支障がある、例えば疲れやすい、痛み、無理をすると体調が悪化しやすい、障害が進行してしまうとか、症状の安定のために治療が継続的に必要であるということも踏まえた上で生活上の支障があるのだということを、医学的な観点からきちんと基準を定めていくことが必要なのではないかと思います。
○金澤委員長 ほかにいかがですか。
○葛原委員 前回も少し申し上げたことですが、 2 ページの下に書いてある「日常生活又は社会生活に障害がある者」ということと、 9 ページの 3 つ目の●で「医療費助成は、症状の程度が一定以上等の者を対象とする。その際、高額な医療を受けていることにより軽症を維持している者の取扱いについて、どのように考えるか」という辺りの問題についてです。今では、難病も昭和 47 年に決めた頃とは随分、様変わりしていて、どんなことをやっても治療法がなくて、ある程度進行していく病気と、一定の治療をすれば、かなり日常生活あるいは社会生活が維持できる病気があり、免疫性の病気のかなりのものはそうなっていると思います。ただし、変動するという問題はあります。維持的治療をしない限り悪くなってしまうわけですが、治療をしていれば、社会的な活動もできる状態を維持できる病気の方たちを、どうやっても治らない病気と一緒の基準で扱うのは非常に無理があると思いますので、その辺は疾患群ごとに決めていかざるを得ないのではないかと思います。
例として出ているパーキンソンの重症度もありますが、これもパーキンソン病ですと、 Yahr の重症度が 4 度ぐらいの人でも、若い人だったらドーパを使えば、ほとんど症状がなくなる時期がありますが、ほかのパーキンソン症候群では、例えば進行性核上性麻痺などは薬が効きませんので、どんなことをしていても、どんどん悪くなってしまう。同じパーキンソンという群の中にも、随分変動するタイプと、そうではないものがありますから、その辺をどうするかは、ある程度決めておかないと難しいのではないかと思います。
○金澤委員長 後のほうの問題は、後でもう一度出てきますので、各疾患ごとにきちんと考えたほうがいいだろうという御意見は、そのとおりだと思います。
○眞鍋委員 基準自体は専門家の目と、日常生活・社会生活の障害の程度というので決めていただけばいいと思います。運用する立場としてはなるべく分かりやすく、説明しやすく、それは患者にとっても理解しやすいということだと思いますが、クリアに運用できる基準になることを望みます。
○伊藤委員 今、難病対策についても、時代が変わってきて、様々なことが変わってくるという、そのことですが、例えば障害年金とか福祉の支援もそうですが、障害年金などでも、病気をどう判断するかということが話題になっているわけです。ここでの重症度や生活の支障がどうかという問題は、障害年金や福祉の制度を活用するときにも大きな影響が出てくるのだということを念頭に置いて、重症度の問題も検討願いたいということです。
○金澤委員長 時間がなくなってしまいましたが、いずれにしてもこの認定基準については、疾患ごとにきちんと考えてということが原則ですが、千葉先生がおっしゃったように、領域別の疾患、そういうのを疾患横断的と仮に呼ぶとすれば、そういう分類も適用になる場合もあってもいいのではないかという御意見だったのではないかと思います。いずれにしても全ての疾患に対して、重症度分類等に相当するようなものを適用しようということに関しては御了解を頂いたものと理解いたします。どうもありがとうございました。
それでは、 2 番目の 8 ページ以降の患者の負担の在り方についてです。これについての御意見を頂戴いたしますが、いかがですか。先ほど葛原先生からそれに類似した御意見を頂きましたが。特に 9 ページの 3 つの●ですね。
○伊藤委員 これも患者にとっては大変関心の高いところですので、 2 点ほどお願いしておきたいと思います。「広く国民の理解を得られる公平かつ安定的な仕組み」となるようにということが 8 ページに書いてありますが、これは自己負担においては、公正、公平ということは言っても、生活を支えるためには支出だけではなく、収入が必要ですから、そこでの仕組みの公平性とか公正性も担保されなければ、自己負担のところだけで議論されるのは納得できないと言っておきたいと思います。
あとは前回も出ておりましたし、今回も出ている高額療養費を参考にという話でしたが、例えば 14 ページには低所得者1、2でも、自己負担の限度額が 8,000 円です。外来でもそうですし、全体になれば 1 万 5,000 円とか 2 万 4,000 円という金額と、特定疾患の現在の金額は 11 ページに収入の目安というのがありますが、市町村民税が非課税が 0 円の場合、生計中心者の所得税が非課税の場合の入院 4,500 円、外来 2,250 円という金額から見たら、 8,000 円とか 1 万 5,000 円、 2 万 4,000 円、 4 万 4,000 円というのは大変高い金額で、いきなりこういう高額な負担をしなければならないという状況に直面する患者はどう考えるのか。こういう大きな違いがある。しかもその前段で説明があったそれぞれの対策には目的があって、目的が高額療養費にしろ、障害者の福祉にしろ、それぞれ違うわけですから、それをもって、他の制度を参考に、いきなり大きな負担額にならないようにお願いをしておきたいと思います。
○金澤委員長 最初におっしゃった部分がよく分からなかったのですが、もう一回お願いします。
○伊藤委員 公平・公正の問題ですか。つまり、ここで議論されている患者負担のことでの公平・公正と言ったら、負担額について言われているわけですが、前回言ったように、収入とか社会保障での支え方については、ほかの制度と必ずしも同じではないので、医療費の負担額だけでの公平・公正ということを見られるのは、納得し難いという話です。
○金澤委員長 具体的にはどのようにしたらいいですか。よく分からないのですが。
○伊藤委員 例えば、障害者の制度にしても高齢者にしても、様々な税金の控除や障害年金の対象になるとか、老齢年金の対象になるとか、いろいろな制度がいっぱいあります。それがこちらのほうはないわけですから、ということです。
○田原疾病対策課長 今ここで御説明するというよりは、少し御議論いただければ、それを踏まえて整理をしたいと思います。
○金澤委員長 分かりました。
○駒村委員 今の議論は参考資料の 2 ページの下のほうにあります。前回に私も同趣旨の話をしました。比較するときには、高齢や障害はそれぞれ政策制度があるのですが。今、伊藤委員がおっしゃったことの私の理解は、ほかの制度と比較するときに、それぞれほかの制度には対応すべき政策が行われているということも考慮しなければいけないという点です。
また、税制の話は事務局にも確認させていただきたいのですが、比較している制度あるいは高額療養費もそうかもしれませんが、税制の所得水準で比較しているわけですが、それぞれ年金には控除があり、障害者には税制上の優遇があるわけです。難病関係については所得税の税制上の優遇みたいなものは現状であるのかどうなのか、そこを考慮しないと、所得と言っても、見ているものが違うので、簡単に比較はできないのではないかと思います。先ほど「所得の目安というのはどういうことなのですか」と聞いたのは、そこにつながる話なのです。難病関係で税制上の優遇措置があれば教えていただきたいと思います。なければ、その辺を考慮しなければいけないのかと思います。
○金澤委員長 実はそうなので、伊藤さんが言われたことは、私は正確にはよく分からなかったのですが、駒村さんが説明してくれたので。私も、そこはそうなのですかということを聞きたかったのです。よく分からないのですが、本当にそうなのですか。
○小澤疾病対策課長補佐 駒村先生の御指摘にありますとおり、障害者は所得税の控除などがありますが、難病の患者さんに関しては、現時点では控除のようなものはありません、というのが現状です。
○駒村委員 もしかしたら先ほどの重症度の話と連動して、それに該当する人は税制上の優遇措置が何か付いてくるようなことに、連動して議論につながっていく。あるいは厚生労働省が税制上の優遇要望みたいなものをどう出されているか分かりませんが、そういう議論も頭に入れておかないと、単に所得と言っても、課税範囲が違うとなると、違うものを見ていることになるということです。
○金澤委員長 それは宿題にさせていただきましょう。
○春名委員 9 ページの 3 番目の●は、先ほども少しお話をしたのですが、「高額な医療を受けていることにより軽症を維持している」の「軽症」というのは、あくまでも症状とか、機能障害のことを言っているわけですが、その前の「症状の程度が一定以上の者を対象とする」という場合の「症状」は意味が違う。例えば症状としては軽症だけれども、病気を治療しなければ悪くなってしまうというのは、病気の状態としては決して軽症ではない。医療費の助成とか、社会的支援の対象となる範囲というのは、病気の状態としての重症度を問題にしなければいけないと思います。「症状」と言うと、いろいろな意味が混ざっているように思いますので、ここをうまく整理しなければいけないのではないかと思います。
○金澤委員長 症状の程度が一定以上ではないので、対象にならないという意味で、一応軽症という表現を使っただけだと思いますが、中身は理解していただけると思います。ほかにいかがですか。
○福永副委員長 繰り返しになるかもしれませんが、先ほど葛原先生が言われたように、最近、神経疾患などでもそうですが、高額な治療費というか、高価な薬品を使うことによって、軽症を維持できる患者が増えています。ただ、これを軽症になったからと言って認定から外して、そういう薬が使えなくなって、また悪化してしまうと、かえって全体の医療費としては高くなるわけです。だから、個別の疾患ごとに細かい基準が必要になるかもしれませんが、基本的には治療によって軽症になった部分に関しては、認定患者として続けるという方向がいいと思います。
○葛原委員 私が言いたかったのはそのことです。結局、社会的な障害度だけで分ければ、治療して良くなった人が外されることになると、結果的に全体としては何となく逆向きの動きになるのではないかということです。そういうのは高額療養費でどこまでカバーできるのかということと、もう 1 つは 2 種類の制度を組み合わせて一緒に使うのか、それとも別口で使うのか、いずれにしてもそういう方たちには治療を続けていただけるような制度できちんと保障することは必要だと思いますので、そのように発言しました。
○金澤委員長 これは噂ですが、どうせ国の費用でやるのだから高いのを最初から使えばいいということを聞くことがあります。それは非常に困る。そうではなくて、本当に医療上、必要だということで高額な医療を受けざるを得ないということを、多くの方々が納得することが、ある意味では大事なことで、国のお金を使って治療をしてくれているのだということを患者も理解されるでしょうし、その辺はお互いに信頼し合ってやっていただくしかないと思っています。まさか今、効いている薬を高い薬だからやめようなどと言う人は医師にしても患者にしてもいらっしゃらないと思いますが、そこは是非、お互いに信頼し合ってやってもらいたいと思います。余計なことを一言言っておきます。
○千葉委員 金澤先生がおっしゃるところは非常に重要なことで、私自身も 3 番目は本当にどうしたらいいのかと迷うところもあります。
先生がおっしゃられるように、基本的には、高かろうが安かろうが薬できちんと維持できている人で、軽症になった方は軽症であるというのは基本的には間違っていると思いますし、それで維持できている場合にはそれをしっかり補助していくことが非常に重要だと思います。
一方で、ついこの間、私どもの学会があったのです。例えば炎症性腸疾患などの場合には、これは非常に高いものですが、今は生物製剤で軽症を維持されておられる方がおられます。実は学会のときに、本当の専門家に「あなたの患者さんに何割それを使っていますか」という質問をしたら、 2 割ぐらいだったのですが、一般のオーディエンスの先生方、これは専門家ではありますが一般の消化器の先生に、会場で質問すると、 5 割という回答が返ってきました。本当の専門医は、そういう生物製剤を患者に使っているのが 20 %で、一般の方は 50 %という現実があるわけです。私自身は難病患者にとっても、恐らく 20 %でよいのだと思います。そういうところで 50 %になっていること自体は、難病患者自身にとっても、決して良くないことだと、よいことではないと思っていますし、国の医療行政から考えても、非常に大きな問題だと思います。
はっきり言って、このシステムが高額の薬の乱用を変に助長することがないようにすることが大切で、これはこういう会で言うのが適切かどうかは分かりませんが、そこは非常に注意すべきであると認識しています。
○金澤委員長 私の言いたかったことはそれです。
○伊藤委員 今、千葉先生がおっしゃったようなことは学会なり、そういう所の先生方の御尽力をお願いしたいと思います。
委員長がおっしゃったような、使わなかったとか、やめたという実例はあるかということですが、私どもが聞いている範囲内では、特に免疫系の疾患の方、膠原病とかリウマチでは、使うのをやめたらどうなるかという問題もありますから、使うのを医師に勧められていて、年収、その他を考えて、使うことに踏み切れない。 1 度使ったら、ずっと一生使い続けなければいけないということで、同じ医師にかかっていながら、症状の重い人同士でも、使う人と使わないという選択をする人が出てきている。本当に使わない、途中でやめたという話も聞いたのですが、本当にそういうこことが可能なのかどうか分かりませんが、そういう話なども聞いてはおりますので、治療に必要ではないから使わないという形ではないような事例が起きているという印象があります。
もう 1 つは、先ほどの話に戻って恐縮ですが、 10 ページにあるように、いろいろな制度での目的が違うということも、もう一度強調しておきたいと思います。特定疾患では、特定疾患に関する医療の確立・普及が大目的で始まっていて、続いて医療費の負担軽減と。ほかは全部医療費の負担軽減あるいは障害の除去・軽減が目的です。明らかに特定疾患対策は特定疾患対策としての目的をはっきり持っているわけですから、そこの観点に立って、医療の範囲あるいは医療費の助成ということも検討していただきたいと思って、あえて付け加えておきました。以上です。
○金澤委員長 ほかの●については、余り御意見がありませんでしたが、 9 ページの 3 つ目の●についてはかなりいろいろ御意見を頂戴したと思います。 2 番目の●は前回で大体認めていただいたと思いますので、生計中心者というのではなく、世帯単位という形にさせていただくことでよろしいかと思います。
○伊藤委員 そこのところでも、もう 1 点ですが、世帯単位というのはいいのだと思いますが、生計中心者という制度があったときには、生計中心者の収入を判断して、自己負担が 2 分の 1 になる、更に 2 分の 1 になるという 2 段階の仕掛けがあったわけですが、それは世帯単位を認めた場合でも起きるのかどうかということです。
ついでに、もう 1 点言えば、最初の●で、既認定者の取扱いについては、別途の対応を考えるということでは、具体的にどんなことを考えておられるのか。今、事務局でお分かりの範囲があれば教えていただきたいと思います。
○田原疾病対策課長 生計中心者について、上限額が今は半分になっているという取扱いについては、もし世帯単位で考える場合は、そういうルールはやめていくという考えを念頭に置いております。
○伊藤委員 それは患者が世帯主であってもですか。
○田原疾病対策課長 そうです。患者本人が生計中心者であるかどうかは関係なく、世帯単位で収入を把握するということを念頭に置いております。それを踏まえた上で、それぞれの自己負担の上限額はどのようにしたらいいのかということを御検討いただければいいと思っています。
既認定者の取扱いについては、まだ、ここの場で十分御議論いただいていないと思いますので、その御議論を踏まえながら、我々として整理したいと思っております。
○金澤委員長 2 番目のことに関して、 2 番目の●については伊藤さんの御意見は承りましたが、基本的に世帯単位でということに関しては、御了解を頂いたものとみなさせていただきます。
最初の●に関しては、今、御意見がありましたが、まずは、これから認定を受ける方と、既に認定を受けている方との扱いを変えることに関してはやむを得ないと、これは御了解いただけますか。それが実は前提で、どのように既に認定を受けている方を扱うのかというのは、また次の話で、まずはこういうことをやるということに関して、そんなにたくさん例はないので。よろしいですね。
それでは、その上で別途の対応を考えるということですが、今ここで決めるわけではありません。この次ぐらいに少し具体的な案を出してもらおうかと思っていますが、いずれにしても皆様方から御意見を伺わなければならないのですが、いかがですか。
○伊藤委員 意見があるかないかというよりも、現状ではなかなか見えてないので、考えにくいけれども、激変緩和ということもあるのでしょうが、それがどこまで続くのか、ずっとそうなのか、様々な問題がそこにあると思いますので、今の段階では何とも意見も難しいと思います。
○金澤委員長 考えると、いろいろあると思います。例えば可能性だけの話ですから、余り大きく考えないでいいと思いますが、今の人たちはそのままという考え方もあるかもしれませんが、段階的にこれからの人たちと同じレベルにまで何年かを掛けて持っていくというやり方とか、いろいろ考え方はあろうかと思います。その辺の御意見を伺いたいのです。
○葛原委員 実際の患者さんを診ていると、難病であるか難病でないかも含めて、差別を強めることは私は賛成ではありません。そういう点から見ますと、同じ病気で同じような障害がある人の差がずっと続くというのは、後から参入した人のほうがもしサービスが低ければ、必ずそれ自体が問題になると思いますので、段階的に解消していくべきだと思います。いつ認定されたか、どんな病名かで、ものすごく差別をつけられるというのは、実際の現場の人間にとっては非常に苦痛なことですから、できるだけ差は少なくしていただきたいと思います。
○伊藤委員 私もそれはそのように思います。ただ、今のこの表現でいくと、そういう激変緩和とか段階的解消をしなければならないほどの負担が多くなるのかなという危惧がありますので、そういうことを考えなくてもいいぐらいの負担額を検討しておいていただきたいと思います、ということでお願いをしておきたいと思います。
○金澤委員長 御意見は承りました。ほかに御意見はいかがですか。
○眞鍋委員 自治体としても激変緩和という趣旨は分かるのですが、 2 つ存在すると説明に非常に苦慮します。扱いも違って間違いが起こる可能性もありますので、激変緩和しながらも、なるべく早く 1 つの方向に行くのがいいのかと思ってはいます。
○本田 ( 麻 ) 委員 私も患者さん同士のことを思うと、同じ病気で違うということが分かりづらいと思います。かと言って、初めから全部一緒にということは、今までこういう形でやってきた人にとって、急に変わるのは覚悟とか準備の上でもいろいろあると思いますので、どのぐらいかというのは私も分かりませんが、年限を区切って将来的には一緒にするほうが分かりやすいと思います。
○福永副委員長 私も全く同じ意見です。事務処理としても 2 つの方式が長くなると、間違ったり、いろいろな面で不都合が出ると思います。そして医療現場では同じ負担をするにしても、不公平感というのはいろいろな厄介な問題を生みますので、できるだけ早く解消していただきたいという意見です。
○金澤委員長 ほかにいかがですか。
○本田 ( 彰 ) 委員 私の場合は訪問看護をやっていたので、その辺りで患者さんに説明をしたり、そこで実質掛かる経費のやり取りなどをするときに、現場レベルの人たちがどのように説明できるかまでに、どのぐらいの期間が必要なのかということも、ある程度周知徹底の期間も考慮しながら、変化の内容というか違いの程度が分かりやすく提示されることを一番に望みます。
○金澤委員長 よろしいですか。ある程度、以上の御意見を頂戴したと思いますので、この問題をそろそろ終わりにして、次に行きたいと思います。この患者の負担に関しての結論と言いましょうか、まとめとしては、今日示された 9 ページの 3 つの●で、医療保険制度における高齢者の負担の在り方を一応参考にしながら、もう少し具体的なことを、次回に、今日の議論を踏まえてきちんと提示していただくことにしましょう。
○伊藤委員 1 点追加をお願いします。 15 ページの医療費負担の自立支援医療についてです。低所得 1 と 2 がありますが、 1 については 2,500 円になっています。同じ参考にするのでしたら、高額療養費の 8,000 円だけではなくて、こういう金額も是非参考にして検討していただきたいと思います。
○金澤委員長 御意見を頂戴しました。次は資料 2 の「国民の理解の促進と社会参加のための施策の充実について」です。簡潔に説明をお願いします。
○西嶋疾病対策課長補佐 資料 2 です。まず 1 点目として難病に関する普及啓発についてです。 3 ページに、前回までのこの委員会での論点を上半分にまとめております。難病について、それぞれの立場の方々にどういった普及啓発を行っていくべきなのか、あるいは、難病情報センターでの具体的な情報、どういった情報を充実させていくべきかということを御議論いただきました。
下半分に、そういった御議論を整理させていただいています。 1 点目、難病情報センターにおいては、患者や患者と関わる者及び一般国民が研究の最新情報を入手できるように、研究班から提供を受けて掲載をきちんと行うこととしてはどうか。 2 点目として、その際には、医療従事者向けには適切な判断の根拠となるような記載をすることに加え、別途、医療従事者以外の方にもきちんと御理解いただけるように平易な言葉での記載を行うことが望ましいのではないかということです。 3 点目、疾患に罹患している患者が適切に自己管理できるように、生活上での留意点、病状の変化で注意すべき点と対策についての情報を充実させてはどうかということです。
次のページを御覧ください。難病患者の社会参加のための支援についてです。まず 7 ページに参考資料として、「企業における難病患者について」という調査がありますので、簡単に御紹介させていただければと思います。これは独立行政法人労働政策研究・研修機構が平成 24 年 11 月に企業 2 万社に対して郵送によるアンケート調査を行ったものです。約 6,000 社から回答をいただき、回答率は 3 割ぐらい、そこから抜粋をしたデータです。
左半分が疾患罹患後の離職率について、主な疾患群をまとめたものですが、どの疾患についても基本的には正社員よりも非正規社員の方が疾患をきっかけとして離職する方が割合として多いと言えます。ところが、難病の場合はメンタルヘルス、脳血管疾患、がんと同様の離職率であるということが、この表によっても分かるのではないかと思います。
一方で、右半分は、企業にとってそれぞれの疾患の対策が会社の経営、あるいは労務管理上重要な課題と認識されているかどうか。メンタルヘルス、あるいは糖尿病性の高血圧、がん等について、最重要課題、あるいは重要課題として認識をされている割合が、どちらかというと多いです。比較をすると、難病については同じような離職率にも関わらず、必ずしも重要な課題と認識をされていないという現状があるということがこの調査で分かります。
5 ページにお戻りください、下半分の●の 1 つ目に、そのことを記載しています。難病患者は疾患に罹患した後に離職をしている割合が比較的高いにも関わらず、多くの企業では今後の対策の重要性が低いと認識されているということで、企業への難病対策の重要性をきちんと周知していくことが更に重要ではないかということが言えるのではないかということです。
また、 6 ページの絵を見ていただければと思いますが、「新たな難病患者を支える仕組み」です。これまで、この難病対策委員会で様々な御議論をいただきましたので、それをポンチ絵でまとめております。真ん中の円の所は二次医療圏で、生活圏に視点を当てて患者がどういうことを望んでいて、それに対してどういうアプローチ、政策があるのかということをまとめております。例えば、適切な医療を受けたいということについては難病医療地域基幹病院、あるいは指定難病医療機関 ( かかりつけ医 ) を設けて適切な医療が受けられるようにする。また、その右側にありますが、都道府県レベルでは新・難病医療拠点病院というものがバックアップ体制としてあるということです。快適に暮らしたい、在宅療養したい、あるいは不安である、働きたいという患者の思いに対して、それぞれのサービスをきちんと連携して行えるようにすべきではないかということをまとめております。
5 ページ目に戻っていただきますと、 2 つ目の●にそれを書いています。症状の程度等に応じて在宅療養、福祉サービス、ピアサポート、就労支援などの取組をきちんと推進してはどうか。また、その際に都道府県レベルである難病相談・支援センターを有効に活用してはどうかということです。
残り 2 つ半分は「医療受給者証」と、「登録者証」について書いておりますが、医療受給者証を交付されていた患者の病状が軽症化し対象とならなくなった場合には登録者証を交付するとあります。以上です。
○金澤委員長 どうもありがとうございました。この点はかなりクリアですが、いかがでしょうか、何かございますか。
○伊藤委員 一つは、このように頑張っていただきたいと思うのですが、 3 ページ目の 2 番目の●医療従事者以外も理解できるようにということは非常に大事なことなのですが、「別途」とあるのは何か別に作ることなのか、専門用語の部分と平易な表現と並列にするのか。そのようなことをしなくても、全部分かりやすく書いてくれればいいように思います。これは質問です。
5 ページ以下についてですけれども、それぞれ良いのですが 2 点ほどお願いしたいと思います。 1 つは難病相談支援センターの活用ですが、大いにできるように、予算もうんと増やしていただきたいというお願いをしているわけです。従来、相談支援センターが始まった時もそうなのですが、国は 1 カ所当たり一定の額を用意していた、確か 2,000 万円ぐらいだったと思います。それが自治体と国で半分ずつの負担であったために、自治体の方が財政事情等を考えて自治体の額を減らした場合、国のほうの支出額も減るという現象が起きてきました。今回も相談支援センターを有効活用するということで、予算を増やして支援をしようとしても、自治体側が「いや、うちはそこまで出さないよ」と言って、十分な額を用意しない場合、同額ということになると減額になっていくのか、それとも自治体の財政に関わらず国がしっかりと一定の額を保証するのかということについてお考えを聞いておきたいと思います。
次に登録者証の話ですが、これは何度も言っていることですけれども、重症化した人は軽症化した時に登録者証を出す。これはいいにしても、病気になって困惑し、混乱し、仕事の上でも非常につらい状態に陥っていく方はどちらかと言えば軽症の人が多いのではないか。重症になれば様々な所から様々な支援を受けられるわけですけれども、軽症の方の苦しい病気でありながら、社会生活をそのまま続けていかなければならない方々への社会支援ということを考えると、ずっと自治体側から大変な負担がかかると言われていますけれども、やはり軽症の患者に対する支援の証しみたいなものもどこかできちんと用意しておかなければならないのではないかということについてお願いしておきたいと思います。
○西嶋疾病対策課長補佐 まず 3 ページの●の 2 つ目、「別途」ですが、現在の難病情報センターのホームページを見ていただきますと、医療従事者向けのページと一般の方向けのページとに分けて記載してあります。書いてある内容は基本的に一緒なのですが、論文など医学的な専門用語が使われている医療従事者向けのページと、それとは全く別にかなり平易に書かれているページとあります。それを踏襲しながら、それぞれの内容をさらに充実させていくという趣旨で書いております。
もう一点、難病相談支援センターのことについてですが、現在自治体と国それぞれが半分ずつ運営費をみています。前々回のこの委員会でも御説明させていただきましたが、この難病相談支援センターについては、その予算を拡充するということで我々も今頑張っているところです。
基本的には自治体と国が半分ずつ運営費を拠出するという考え方は今後も踏襲していく形になると思います。ただ、一方で伊藤委員から御指摘のあった、自治体の状況によってかなり全体が左右されるということですので、自治体、都道府県の方々に我々からも理解を求めていくことは必要なのではないかと思っております。
○金澤委員長 軽症の方については最初から、また別個に議論したいと思います。
今の点についてちょっと聞きたいのですが、自治体ごとに額が違うのですか、それとも同じなのですか、人口が全然違うのだけど。
○西嶋疾病対策課長補佐 違います。
○金澤委員長 基本的にどういうようにやっているのですか。
○西嶋疾病対策課長補佐 先ほど伊藤委員からもありましたように、基本的に、都道府県によってかなり難病相談支援センターに対してどれぐらいサポートするかという状況もかなり違いますし、それに応じる部分は多分にあると思います。
○金澤委員長 私はよく分からないのでお聞きするのですが、まずは国から提示されるわけですか。
○田原疾病対策課長 いや、そうではなくて、都道府県の方からこういう形でやりたいというようにして、その半分を国が補助するという形になっているわけです。都道府県によっては今、医療費助成の超過負担があり、医療費助成をかなりやっているので、相談支援センターに対する一般的な補助金は、これ以上はなかなか難しいという事情があるのではないかと思います。
今回、医療費助成について超過負担を解消して、消費税等の増収を充てるということが可能になってくれば、都道府県としてもいろいろ財政的なことも、ある程度余裕が出る可能性があるのではないかと、我々としてはそういうことを期待したいと思っております。
○眞鍋委員 よく把握していただいてありがとうございます。そのとおり、やはりちょっと超過負担が多く、財政的には難病担当というのは肩身が狭い思いをするのが多いと聞いています。そのとおりだと思います。そこは是非、今回の消費税アップも含めてしっかり応援していただければありがたいと思います。
実は、どこで御質問をしようかと思っていたのですが、今回消費税が上がることが決まりました。まだ報道ベースでしか知らないのですが、社会保障の充実にも一定程度お金が振り分けられる。その中に難病と小児慢性特定疾患が入ったことについて本当にありがたいと思っています。この 2 つは明確に入ったのですが、これで超過負担が解消される方向に行くのかどうか。
もう一つ、今、私どもの県でも来年度予算の議論を始めています。そうすると、どの程度かという話は、そろそろ実際の方でも示していただかないと、なかなか来年度予算に乗っていかないのではないか、スケジュールを共有していただいて準備に資するような情報を聞かせていただけたらと思っています。これは今日の議論というよりは、冒頭にお聞きするか最後にお聞きするか迷っていたのですが、そういうことです。
○田原疾病対策課長 我々としては、都道府県の超過負担の解消を目指して新しい法律を出していくという考えでございます。なるべく、都道府県の方にも我々の進捗状況をお知らせして、都道府県でも予算が組めるように進めていきたいと思っております。
○駒村委員 資料の 7 ページ、大変興味深いのですが、罹患後の離職率の高い割には管理上の重要課題としては認識されていないという状況です。これからこういう分野をより充実するために、 2 点ぐらい教えてもらいたいと思います。 1 つは企業規模とか産業別とか、職種別に何か大きな特徴があって、特にこういう分野は理解が少ないということなかどうか、離職率が高いのかどうかという情報があるのか。それとも全部どこも離職率が高いのか。こういう点を確認したいと思います。
それと助成金や支援センターがあるわけですけれども、こういう施策に関しての周知度みたいなものも、この調査で行われているのかどうか。この 2 点を教えてください。
○春名委員 少し追加で発言します。例えば、難病の方の離職率が高いというのは職種によってもかなり影響されますし、職場内での配慮の状況によってもかなり影響されますので必ずしも病気だけに依っているわけではないということがあります。今回挙げていただいたような難病、がん、メンタルヘルスなど比較してみますと、実感としても「こんなものだろう」という実感はあります。ただ、難病というのは数が少ないとか、難病を隠している方が多いということで企業側の認知なども少し低くなっているのではないかと。そういう要因もあるのではないかと思っています。
○西嶋疾病対策課長補佐 先ほどの一点目についてですが、この調査においては建設業から始まって製造業、情報通信業、卸売業、金融、不動産、サービス、それぞれの業種からアンケートを収集できているという調査です。しかし、この調査結果においてはクロス集計が必ずしもされていません。結果を見る限り、どの職種で難病の離職率が高いかどうかということは公表されていない状況です。
○葛原委員 私も、この 7 ページの参考資料についての感想なのですが、私自身が持っている実感とはかなり違うような気がしますので質問します。まず、他の比較対象の病気に比べると、多分、難病の患者というのは絶対数が少ないと思うのです。ですから、出来たら絶対数も含めてどういう問題があったのかが分かれば教えていただきたい。
もう一つ、難病の患者というのは、私が知っている神経難病の方で、直ぐに離職した人はいないのです、大体がずっと仕事は続けているわけです。これは病気によっても多分違うと思うのですが、そういうことを考えた場合、右の表の「企業における重要課題」についても、好意的に考えれば別に難病になっても全然問題がないから余り認識がないという考えもあるわけです。私が知っている方は皆続けていますから、教員とか会社員とかです。そういう種類のことなのか、数が少ないから余り問題がないのか、認識度が低いのか。もし中身が分かれば、もうちょっと詳しいことを教えていただければと思います。必ずしも、認識が低いからと決めつける必要はないのではないかという気がしたものですから。
○春名委員 こちらの 7 ページの物は企業側への調査ですので、なかなか企業側としては認識できないものがあると思います。患者側への調査をした結果がパンフレット(「難病のある人の就労支援のために」)の 16 ページ、 17 ページ、 18 ページ、 19 ページぐらいにありますけれども、病気により仕事を辞めている人は結構いらっしゃいますし、仕事によっては本当にちゃんと続けられている人もかなりいる。もちろん、疾患によってかなり傾向が違ってきていますし、それにプラスして職種によってもかなり影響があるという状況が分かっています。
○金澤委員長 例えば罹患して、どれぐらいたってからの離職なのかというのは分からないですね。大変大事な資料ではあるけれども、一つ一つ細かく言っていくと、いろいろ難しい点もありましょう。
○伊藤委員 難病相談支援センターのことで、もう少し発言しておきたいと思います。金澤先生が御質問された、人口が多いか少ないかでどうなのかということについて御回答いただいていないのですが、私の印象としては人口の大小と県の難病に対する認識や予算というのは余り連動していないように思います。人口が少なくてもしっかりとやっている所もありますし。ただ全体から見れば、予算が増えていった県というのは聞きませんね。毎年削減されていくという話はたくさん聞きますけれども。そういう意味でも、ここで自治体の超過負担が解消されるからといって、きちんと自治体が取り組むという保証もないので、何か仕組みを作っておく必要があるのではないかと思います。是非、その点をお願いします。
○金澤委員長 分かりました。私も先ほど質問したことに答えていないではないかと言わなかったのは、地方自治体の方からの申し出によって国が協力をしてということですから、私としてはもうそれで理解したのです。しかも、西嶋さんが言うには、この大改革を機会に自治体に対して考え方をきちんとしてくださいということを言おうとしているわけだから。ということでしたので、私はそれで答えは得られたと思いました。
○本田(麻)委員 大したことではないかもしれないのですが、患者という視点だと、情報の提供というのは患者会とか、いろいろな所があるかもしれませんけれども、やはり情報の提供というのはとても重要です。特に軽症の方の不安、費用の面もあるかもしれませんが、情報や見通しとか、生活ということはとても重要になると思います。そういう中で、この難病情報センターの充実は絶対に欠かせないと思います。ここに書いてあるような研究のことなども、自分の病気の研究がどうなっているのかというのは大変重要なポイントです。最近、がん対策情報センターなどは臨床試験のことまで書くようになりましたので、
そういうことを入れていただいた方がいいのではないか。それも患者とか、市民に分かるような言葉をちゃんと付けることが重要だと思っています。
もう一つ、知らないので変な質問になってしまうかもしれませんけれども、難病相談支援センターというのは、制度の相談支援とか、医療費の相談支援以外にも生活の相談支援や見通しなど、同じ病気を持っている人はどういうように生活されているのか。例えば、そういうようなことを患者会と一緒にやっているとか、そういうこともきっちりやられているのでしょうか。そういうことが広まっていくことがとても重要だと思います。別に都道府県だけで全てをやっていくのではなくてと思っているのですが、それが進んでいるのならいいのですが。
○伊藤委員 おっしゃるようなことは非常に大事だと思っています。地域や県によっては患者団体と一緒に、様々な交流をしたり企画を立てたりして一緒に取り組んでいる所もあります。ただ、県によっては患者団体を入れない、まるまる行政ベースとか、病院だけとか、保健所だけでやるとか、いろいろなパターンがありまして必ずしもそうなっていない。ある県では難病相談員を採用するに当たって福祉職は要らない、制度や話を聞くなどというものは要らない。「指導」と言っていましたが、指導など我々はしてほしくないのだけれども、その指導もきちんとできないような所もあって、相談支援センターに対する受け止め方や考え方はまちまちです。そして、特定疾患の費用で小児慢性特定疾患の事業をやるなと言っている所もあります。非常に幅広くとらえて様々な支援もするし、患者団体のパワーも利用するし、あるいは育てるというところまでやっている所と、極めて限定的な立場でやっている所とがあります。その辺もこれから総合的な難病対策をやっていくに当たって、社会の参加や理解の促進ということから言えば、都道府県から申し出があった範囲内でやるというのではなく、もうちょっときちんと位置付けをして方針を示すべきだろうと思います。また、情報センターにつきましても外国のように患者同士の交流サイトなど、アメリカやヨーロッパではあるわけですから、そういうものも含めたもの、あるいは患者団体の存在や機関誌などに、実は初期の頃の患者のいろいろな悩みとか困難だったことを自分たちの機関誌にたくさん書いているわけです。それがここの情報センターからも見ることができるとか、そういうような形で難病情報センター、あるいは難病相談支援センターというのは、これからの難病対策の上でもっと重要視されるべきだろうと考えておりますので、そういうお願いはこれからも続けてまいりたいと思います。
○金澤委員長 ありがとうございました、非常に大事なことです。最後にどうぞ。
○福永副委員長 ちょっと、登録者証のことについてよろしいでしょうか。
○金澤委員長 いや、そのことをこれからやらなければいけないと思って「最後」と言ったのです。これでしょう、個人票のことでしょう。
○福永副委員長 はい。
○金澤委員長 そうなのです、これが宿題になっていたので。最初から軽症の方をということについて、皆さんの御意見を伺わなければと思っていました。
○福永副委員長 恐らく軽症の登録者証の場合にも、重症の人が軽症になった場合ははっきりした数字はわかりませんがデ少ないのではないでしょうか。実際、現場では重症化した人が軽症となった場合でも、もう次からは認定を出しませんよというケースは少ないのではないかと思います。たとえばパーキンソン病でいえば Yahr1 度、 2 度の人たち、その軽症者の人たちが自ら進んで登録しようという制度の、言わばメリットというか、登録することによって患者さんに何かメリットがなければなかなか登録してくれない。登録しなければ創薬、あるいは薬の開発にも支障を来すということで、是非、この軽症者の登録者証をどういう形で活かしていくかを考えてほしいと思います。
○本田(彰)委員 すみません、前の話になるのですが、難病相談支援センターについて、十分考えてこの辺の充実という点で動いていただいているとは思います。 6 ページの「新たな難病患者を支える仕組み」の中で患者の窓口として、一番最初の取っかかりになってくる所として、支える所に難病相談支援センターがどういう形で位置づけられるかという点で、患者にしてみれば、もうひとつ分かりにくいです。まず登録に行く所と言ったら保健所になりますので、そこで患者の相談を受ける保健師など、そういう人たちの役割が重要ではないかと思います。そこが難病相談支援センターだとか、あと情報センターの方もそうなのですけれども、そことの関連がもっと密になるとよい。まず難病ではないかと思って困った時に難病相談に行ったり、そういう事業をやっている所は保健所になりますので、そことの関連の図がもう少し見えると、実際の患者が、どこにまず頼ればいいのかが見えるような仕組みの図になるのではないかと思いました。その辺で保健所、難病保健医療専門員(仮称)あたりの位置づけ、関連性などというところを今後どのように考えていくかをお伺いしたいと思います。
○西嶋疾病対策課長補佐 今、本田委員からありましたように保健所、特に難病保健医療専門員を今後配置するということですが、保健所の役割というのは非常に大きいと思っています。
ただ保健所が難病患者に対して、今どの程度、サポートできているのかということは地域によって、あるいは保健所によってかなりバラつきがあるということが、この委員会でも御議論があったところだと思います。なので、なかなか保健所が関与できていない所をいかに難病患者に対してサポートできるようにするのかという意味では、難病保健医療専門員が 1 つ大きな役割を果たすのではないかと思います。
また、先ほど難病相談支援センターがどういう相談を受けているのかというお話もございました。これまでの資料の中では、第 25 回難病対策委員会の資料の中にあるのですが、これまで難病相談支援センターは、療育の関係や病気そのもの、あるいは福祉のサービス、就労など、それぞれいろいろな項目を受けているという実績があるようです。患者からしてみれば、まずは身近で言うと保健所ということかもしれませんけれども、気軽に電話等で御相談できるという意味で言えば難病相談支援センターということもあるでしょうし、様々なチャンネルを患者さんに用意しておくという観点も必要になるのではないかと思います。本田委員からの御指摘も踏まえながら今後、この図を少し、全体として患者目線で、患者がまずどこに行けばいいかを少し整理していきたいと思います。
○金澤委員長 ありがとうございました。確かに 6 ページの図に、保健所がどこかにあった方がいいね。
○西嶋疾病対策課長補佐 保健所は右下、二次医療圏の上、ちょっと字が小さいのですが。
○金澤委員長 ああ、あった。分からなかった。了解しました。
○千葉委員 御承知のように、がんの場合がん拠点病院というものがあって、がん相談というのがありますよね。もともとは拠点病院に「がん相談室」が設けられていたのですが、最近、各都道府県が別の所に置くという話で実際に、もう置かれているわけです。
はっきり言って、都道府県によってうまく行っている所と行っていない所がある。行っている所と行っていない所の大きな違いは、やはり拠点病院と密接に連携をしているか、していないかというところです。やはり、これは病気に対する専門的な知識と支援をするという意味での社会的な援助という、この二本立てでないと絶対いかんわけです。例えば、そこには専門医の関与というのは必ず要るわけです。
そのリンクを付けようと思ったら、例えばこういう難病拠点病院という話もありますけれども、そこはともかくとしても、専門医、あるいは専門医がいる病院と保健所なり相談所がしっかりリンクしないと、結局、絵に描いた餅になる。実際、がんの相談なではそういうことが起こっているということがあります。それが一つ重要だと思っています。
○金澤委員長 ありがとうございました。先ほど伊藤委員から出て、福永先生からも御意見を頂戴したのですが、最初から軽症の人の個人票をどうするかという話について、御意見をください。
○田原疾病対策課長 委員長、もしよろしければ、最初から軽症の方の対応というのは次の資料 3 にも少し書いていますので、そちらを説明させていただいてから。
○金澤委員長 分かりました、お話を頂戴したということにして次に進みましょう。次の資料 3 「効果的な治療方法の開発と医療の質の向上について」ですが、これが非常に膨大で、あと 20 分ぐらいしか残っていなくてやり切れるわけがないので、多分、次回にまではみ出すだろうと思います。でも、今日、出来るだけの議論をさせていただきたいと思います。資料の説明をお願いします。
○西嶋疾病対策課長補佐 説明させていただきます。資料 3 、 2 ページ目に、データの活用ということでまとめていますが、前回この委員会で御指摘がありましたので若干修正しています。上の点線のところ、「難病指定医 ( 仮称 ) 」と、「かかりつけ医」等を入れています。患者さんを診断するということで「難病指定医」、そして治療をするのは「かかりつけ医」ということで、それを少し分けています。また 3 ページ目以降ですが、データの登録に当たって難病指定医 ( 仮称 ) という役割をどのように考えるかということで、前回までに指摘、意見、議論いただいたことをまとめています。
まず難病指定医の役割は、難病の医療費助成の対象となる患者を正しく診断することとしてはどうかということです。また難病指定医は、難病医療に関して専門性を有する医師であることを指定の要件として都道府県が指定するということで、※のところに書いてありますが、専門学会に所属し専門医を取得している医師、又は専門学会、日本医師会、拠点病院等で実施する一定の基準を満たした研修を受講した医師等としてはどうかということです。また新たに医療費助成を申請する際に添付する新・臨床調査個人票 ( 新規 ) についてですが、早期に正しく診断することが重要ということで、難病指定医が発行することとしてはどうか。一方で医療費受給者証の更新を申請する際に添付する新・臨床調査個人票 ( 更新 ) 版です。これについては、患者さんの日常の経過の推移を正確に反映することが重要であることから、かかりつけ医等が発行することとしてはどうかということです。また、その更新時ですが、都道府県の認定審査会における審査の結果、医療費助成を行うかどうかを判断するに当たって、専門性の高い判断がさらに必要だという判断が認定審査会であった場合においては、難病指定医が新たに関与することとしてはどうかということです。いずれにしても、データ登録の負担をできる限り軽減するという、入力者側の配慮も必要ではないかということをまとめています。
次のページですが、先ほどの御指摘も含めて論点を整理しています。医療費助成の対象疾患に罹患している方でも医療費助成の対象にならない患者さんのデータの収集の在り方についてどのように考えるか。今、御議論いただいた点とかぶっていますが、難病患者さんのデータ登録の目的については、もう一度確認しますと、症例が比較的少ない疾患に対して一定の症例を確保して研究事業に結び付けることとしてはどうかということです。本データの登録については毎年、 1 年に 1 度行われるものであり、以下のような目的で用いられることが想定されます。 1 つ目は疾患の疫学的な研究、 2 つ目は診断基準やガイドラインの作成で、患者さんの実態把握、あるいは治療法の分析にも使えるのではないか。 3 点目が創薬の研究です。
一方で治験などの個別のプルトコールに基づいた詳細な検査結果項目等については、こういったレジストリーに仕組みを使うというよりは研究班ごとに必要に応じて別途に収集する等、本登録の仕組みの目的、方法とは区別をして考えることが必要ではないかと思っています。先ほどの件ですけども、患者データ登録システムで、医療費助成の対象疾患に罹患しているけれども、医療費助成の対象とならない患者さんのデータをまず登録できるような仕組みを用意しておくこととしてはどうかということです。先ほど議論していたところですが、また一度も医療費助成の対象となったことがない患者さんのうち、データ登録に協力いただいた方に対して当該疾患に罹患していることの証明書を難病指定医が発行するという仕組みを検討してはどうかということで論点をまとめています。
5 ページ目、医療体制の整備についてです。これは希少な疾患をまず診断するための医療提供体制はどうあるべきかということで、 1 点目ですが、どこに行っても診断がつかない、治療経験のある医師が見つからない等の難病患者さんが医療を受けるための困難に対応するために、高い専門性と経験を有する病院を「新・難病医療拠点病院 ( 総合型 ) 」として、都道府県が三次医療圏ごとに原則 1 か所以上指定する。その拠点病院においては、なるべく多くの疾患の診断が可能となるような体制を整備するとともに、それでも十分な診断がつかない疾患については、全国的な対応を行うとしてはどうか、難病医療ネットワークを活用してはどうかということです。それを活用して専門性の高い施設への検査依頼、あるいは患者さんの紹介等を通じて正しい診断ができる、オールジャパンの体制を整備してはどうかということで、それを模式的に示しているのが 6 ページです。基本的には二次医療圏で地域の基幹病院が患者さんとかかりつけ医と連携をしながら診断しますけれども、それでなかなか難しい場合には新・難病医療拠点病院に紹介いただき、拠点病院の先生が難病医療支援ネットワークを活用しながら正しい診断に結びつけていくというスキームです。
7 ページですが、患者さんの日常的な診療体制はどうあるべきかということです。難病指定医の役割は正しく診断を行うことですので、患者さんのアクセスも考慮しますと、日常的な診療を含む難病患者さんの治療については、従来どおり指定医とは限らず、かかりつけ医等でも行うこととしてはどうか。一方で難病患者さんは高頻度に入院治療が必要になるという特性を考慮して、都道府県が難病医療地域基幹病院を二次医療圏におおむね 1 か所程度を指定し、かかりつけ医等と連携して入院医療の確保等を行うとしてはどうか。また長期にわたって在宅での療養が必要な難病患者さんや家族が、安心して療養できるようなレスパイトの仕組みを今後とも継続する必要があるのではないかということです。
8 ページ目からは研究についてですけれども、この難病対策委員会でも医療費助成の対象の範囲よりも研究の範囲を幅広く捉えるべきではないかという御指摘がありましたので、それを 8 ページにまとめています。また特にまだ実態の解明が行われておらず疾患の概念が確立していない疾患についても研究を行う必要があるということで、 9 ページ目にその模式図を示しています。「一般的なイメージの難病」と「研究の対象疾患」とがありますが、研究をした結果、いわゆる 4 要素を満たすかどうか、あるいは診断基準がきちんと確立していただけるかどうかをもって、そういった成果をもとに第三者的な委員会で定期的に医療費助成の対象疾患を見直すということで、研究と医療費助成の対象疾患の見直しが有機的に連携ができる仕組みができるのではないかということを模式的に示しています。
10 ページですが、実際にそれぞれ難病対策に関する研究の位置付けをどのように考えるかということです。 1 点目は病態解明を行い、医薬品、医療機器等の開発につなげるための研究をきちんと推進すべきではないか。 2 点目としては難病の研究で確立された診断基準を医療費助成の対象疾患で用いる認定基準の一つとして考慮してはどうか、診療ガイドラインについては、医療費助成の対象となる医療の範囲の目安として考えられるのではないかということです。診療ガイドラインについては、 Minds の手引きを用いるなど、妥当性の高い手順で作成することを求めてはどうか。疾患概念が確立されていない疾患を対象とした分野は、きちんと設けて研究を別途に進めるべきだということです。次の点は先ほど議論いただいたことと同じですが、研究内容については、医療従事者あるいは一般の方々に、それぞれ分かりやすく情報提供すべきだということです。 11 ページ、 12 ページは、それぞれ模式的にまとめています。
11 ページは研究事業です。その中で、左下にあります領域別基盤研究分野で、疫学調査をし、診断基準あるいは各種ガイドラインを作成して、そこにさらに患者さんのデータベースの活用もしつつ作成して、それを医療助成の対象疾患の定期的な見直しに有機的に活用する仕組みを考えてはどうかということです。
12 、ページには、実用化の研究を推進すべきだということで、現在文科省とも連携しながら iPS の研究も含めて、創薬につながるような研究を行っておりますので、例示も幾つか示しています。引き続き、これを推進すべきだということです。
また 13 ページには右上半分には新規治療薬の開発の例を示しています。 PMDA の薬事相談とも連携しながらやるということです。下半分は未承認薬・適応外薬についてです。厚労省には「医療未承認薬・適応外薬検討会議」というのがあります。学会、患者団体、個人等がそういったものに対して要望を厚労省に提出し、厚労省の検討会議で医療上の必要性を評価した上で、適宜、開発要請を企業に対して行う。企業側はそれに対して要望をして、適応外薬、未承認薬の開発につなげていくというもので、右側に少し開発要請例ということで難病関係でもいくらか、このスキームを作って新たにその難病の治療法が確立した例を 4 つほど示していますけれども、こういったスキームも有効に活用するということです。以上です。
○金澤委員長 どうもありがとうございました。非常に広い範囲の話ではありますが、何か。
○福永副委員長 2 点ですが、 1 つは細かい点ですけども、 3 ページの [4] ですが、更新の場合に恐らく難病指定医が更新することも多いのではないかと思います。かかりつけ医等が発行することとしてはどうかのところを、かかりつけ医等も発行できるというか、平行して指定医と、かかりつけ医と両方が更新に当たると思いますので、この表現は変えたほうがいいのではないかなと思います。それからもう 1 点は、難病の日常的な診療体制はどうあるべきかの部分ですが、いわゆる領域型の難病拠点病院の記載がないのですけれども、例えば重症難病患者の入院確保事業を実際に受け持っているのは現状では領域型の難病拠点病院が多いですので、そこの部分を何らかの形で触れることが必要ではないかと思います。
○西嶋疾病対策課長補佐 1 点目についてですが、更新の場合は、かかりつけ医としてはどうかということですが、更新の場合に、かかりつけ医の先生がたまたま難病指定医でもあったということは十分にあり得ると思います。しかし難病指定医に限定をしないという意味で新規の場合とは違うのだということで、こういう書きぶりを一応しているというところです。それを前回この委員会で議論がありましたので、それを反映した形にしております。
○金澤委員長 図に書いてしまうと、この間の山本先生が言われるような誤解を招くことは確かなのだけれど、ここはむしろ逆の意味で指定医であっても、かかりつけ医である人は確かにいるわけだから、そこは考慮したほうがいいかもしれませんね。福永先生がおっしゃるような点はよく分かりますね。かかりつけ医でないといけないようにみえてしまうからなのですよね。普通の意味ではですよ。
○伊藤委員 今の点のことが一つですが、それは新規の申請と更新のときは状況が違いますし、長く日常を診ている医師がいいということもありますので、ここは表現の問題もあるのでしょうけれども、「かかりつけ医が」ということではいいのではないかと思います。あと時間がないと思いますので 1 点だけ言っておきたいと思うのですが、登録者証のことで先ほど前の段階で議論になってましたけれども、ここでは 4 ページの一番下に、一度も医療費助成の対象とならない患者、つまり軽症の患者だと思いますが、一度、データ登録を行った者に対して当該疾患に罹患していることの証明書を発行するということであれば、これが登録者証であってもいいのではないかという気がしますので、さらに何か発行するというよりも一緒に考えたほうが楽だと思いますので、これは何とかこの場で議論のタネにしていただきたいと思います。
○眞鍋委員 眞鍋です。 3 ページですけれども、かかりつけ医というのが出てきまして、データ入力もかかりつけ医が行うとなると、そういう方々に対するトレーニングも必要になって結構、かなり負担が増えるのではないかなと思うので、そこはうまく仕組みを作ることが必要だと思います。 3 ページの下から 2 つ目の●ですが、今、審査会をやっていますけれども、データが足りないときは、ちゃんと患者さんやかかりつけのお医者さんに聞いてデータを保管して、認定、あるいは更新するようなことはしています。わざわざこうやって書くと、患者さんによっては他県まで受診されている方もいらっしゃいますので、このように明文化してしまうことはいいのかどうか。先生同志のやりとりで何とかなっていることもありますし、ここはここまで書くことがいいのかどうかみたいな話は疑問としてはあります。今、更新の中でデータが足りないときは何らかの方法でデータを得るようにはしています。先ほどの軽症の方で一度も対象となったことがない方にも登録者証を発行してはどうかという話に関しては、これは前回も申し上げましたけれども、そもそも登録者証の目的や活用の範囲、そういうことをきちんと整理しないと、安易には。事務が増えることに関しては県や自治体としては、これはネガティブであります。
○金澤委員長 今、言われた 3 ページの下から 2 つ目の○についてはどうですかね。
○眞鍋委員 必ずしもここまで書かなくてもとは、そういう意味です。
○金澤委員長 ですね。
○眞鍋委員 ええ、確かに。
○葛原委員 先ほどから問題になっている更新時の話ですけれども、これは以前から討論の中では、できる限り更新に関しても専門医が書くほうがいいという話があったわけですね。その理由というのは、例えばパーキンソン病というのは簡単に診断できる病気のように見えると思いますが、線条体黒質変性症という病気でも最初の数年間はパーキンソン病と全く一緒の症状のことがあります。検査にも、どちらも同じような異常が出てくるということで、同じ症状から始まった場合でも、数年診ていた後に、別々の難病だと判明することがあります。初回だけの診察では確定診断できない病気もあるので、 1 年に 1 回は専門医が診る必要があるだろうということです。もう 1 つは治療に関しての必要席からです。千葉先生がおっしゃいましたけれども、専門医ならば、より安全でより安くてより普遍的な治療から始めて、だんだんと高額で、これしか効かないという薬にしぼっていくという形の使い方を一般的にはすると思います。そういう場合に、 1 年目は普通の薬を使っていたけれども、 3 年目ぐらいからは反応が良くなければ薬を変える必要があるとか、そういう問題が出てきます。このような対処を、かかりつけ医に全部任せていいのかどうかということがあるので、私は、患者さんにとっても、やはり年に 1 回ぐらいはきちんと診断と治療の評価を専門の方にしてもらうという保障が必要と考えます。このような点も含めて、もう少しきちんと専門医の役割を入れたような書きぶりをしたほうがいいのではないかと思っています。以上です。
○千葉委員 同じ意見ですが、前回欠席しておりまして、どういう議論があったか存じ上げてないのですが、患者さん側の立場からすると、特に地域の場合に利便性とかいろいろな意味で専門医にかかりにくいという話があって、それは十分理解できますし、そこの配慮が非常に必要だと思います。一方で専門医に定期的に、 1 年に 1 回というような形で診てもらうという動きは必要です。これは患者さんにとっても絶対に必要だと私は思っています。というのは、今、難病治療というのは本当に年々変わってきているところもあるわけですよね。そこをキャッチアップするためには、専門医にかかるというのは患者さんにとっても非常に重要だと思います。それから、データの連続的な集積という観点からも、これは研究につながるわけですけれど、やはり質の高いデータを得るという意味もあって、やはり流れとして、あまり安易に、 1 回申請したら、かかりつけ医でいいのだというような雰囲気になるのは良くないので、そこの配慮は十分していただきたいと思います。
○本田 ( 彰 ) 委員 7 ページの日常的な診療体制のことで。
○金澤委員長 今のことではない。
○本田 ( 彰 ) 委員 違います。
○金澤委員長 ちょっと待ってください。今のことで、もうちょっと意見いただけませんか。
○田原疾病対策課長 今のことで、このように整理した趣旨を少し申し上げます。今、葛原委員や千葉委員からお話があったように、 1 年に 1 回は専門医に診せたほうがいいという意見がある一方で、患者さんが年に 1 回、遠くの医療機関に行くというのはなかなか難しいだろうという意見もある中で、全ての方に対して 1 年に 1 回専門医のところに行くということではなくて、その更新のときに、この患者さんは専門医に診せたほうがいいだろうと審査会で判断されるような方については、専門医の方に診ていただいて、そして更新をしてはどうだろうかというような趣旨でここに書いております。ですから、先ほど眞鍋委員のほうから、データについてかかりつけ医に問い合わせをして保管をすればいいと言われたのですけれど、そういう趣旨ではなくて、医療の内容や診断、そういったものについて、より専門医に診せたほうがいいという判断が県の審査会であるような場合、そういうことに専門医が関与できるような仕組みにすればいいのではないかという趣旨で書いています。
○千葉委員 審査会がそこまで機能を発揮できているかというと、できていないと思います。私は非常に懸念するのは、我々専門医として、京都もいろいろな地域がありますので、京都以外もありますけれども、そういう相談に来られる患者さんについて言えば、やはり専門医が定期的に診るべきだという、随時、反省が見られる患者さんといいますか、そういう方が結構いらっしゃる。やはり患者さんのためにも定期的に専門医に診てもらうということは必須だと私は考えるのですよね。治療法がどんどん変わるということと同時に、知識といいますか本当に変わっていますから。我々でも、例えば 2 、 3 年勉強していなければ本当に変わっちゃってるというような時代ですからね。そこは専門家としては非常に強調しておきたいと思いますね。
○眞鍋委員 都道府県が行っている認定審査会ですけれども、今、千葉先生がおっしゃったとおりで、そこまで深く、一人一人の患者さんに対して治療はどうだというところまでは審査できてなくて、そこはいまの基準に合ってるかどうか、個人が要件を満たしているかどうかという、そういう、ある意味形式的なチェックになっていますので、今、事務局の説明を聞いて意図は理解しましたが、そこまでは無理かなと思っております。
○金澤委員長 分かりました。少なくとも課長が御説明いただいた趣旨が、ここで十分表現されているかどうかに関しては甚だ疑問がありますので、いまの議論を聞いていただいた上で、恐らく患者さん側の意見もあろうかと思いますが、もう一度この表現は少し出し直してみてくれませんか。原則として、やはり専門医が診るということにした上で、例外を設けるというのが、多分現実的なのではないかなという気はしておりますけれど。そこは現実的な部分もないといけないのだろうと思いますから、次回これを継続審議ということにさせていただきましょう。司会の不手際でどうも時間が過ぎてしまいました。改めて、またこの続きをさせていただくことにして、一旦事務局に返そうと思います。
○小澤疾病対策課長補佐 委員の皆さま方、本当にお忙しい中、ありがとうございました。次回の難病対策委員会は 10 月 18 日の金曜日に開催ということで、今まで御議論いただいた内容と、今日の積み残した分も含めて、また資料を提示させていただいて議論していただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。
○金澤委員長 どうもありがとうございました。終わりにいたします。
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