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2013年4月26日 薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会 議事録

○日時

平成25年4月26日(金)
15:00~


○場所

厚生労働省共用第8会議室


○出席者

出席委員(16名) 五十音順

  小 川     聡、 奥 田 晴 宏、  加 藤 総 夫、  神 田 敏 子、
  佐 藤 田鶴子、 鈴 木 邦 彦、 豊 見 雅 文、  野 田 光 彦、
  林     邦 彦、 平 石 秀 幸、  古 川    漸、◎松 井    陽、
○松 木 則 夫、  村 田 美 穂、 本 橋 伸 高、  山 田 清 文
(注) ◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(5名)

 木 村    剛、 佐 藤 雄一郎、 武 田 正 之、 手 島 玲 子、
 増 井    徹

行政機関出席者

平 山 佳 伸 (大臣官房審議官) 、
赤 川 治 郎 (審査管理課長) 、
俵 木 登美子(安全対策課長) 、
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長) 、
森    和 彦 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監) 、
佐 藤 岳 幸 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役) 、
中 野    惠 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)  他

○議事

○審査管理課長 定刻になりましたので、「薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会」を開催させていただきます。本日はお忙しい中、御参集いただきありがとうございます。本日の委員の出席については、木村委員、佐藤雄一郎委員、武田委員、手島委員、増井委員より御欠席との御連絡をいただいております。現在のところ、当部会委員数21名のうち16名の委員の御出席をいただいていますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。それでは、松井部会長に以後の進行をお願いいたします。
○松井部会長 皆さんこんにちは。本日の審議に入ります。まず事務局から配布資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告してください。
○事務局 それでは資料の確認をさせていただきます。本日席上に「議事次第」「座席表」「当部会委員の名簿」を配布しております。議事次第に記載されている資料1~12をあらかじめお送りしています。このほか、資料13「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料14「専門委員リスト」、資料15「競合品目・競合企業リスト」を配布しております。
 続きまして、本日の審議事項に関する「競合品目・競合企業リスト」、資料15について御報告します。各品目の競合品目選定理由については次のとおりです。
資料15の1ページ、ルナベル配合錠については、本品目は「月経困難症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 2ページ、イーケプラについては、本品目は、「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する抗てんかん薬との併用療法」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 3ページ、トピロリック錠及びウリアデック錠については、本品目は、「痛風、高尿酸血症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 4ページ、ビソノテープについては、本品目は、軽症から中等症の「本態性高血圧症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 5ページ、イーフェンバッカル錠については、本品目は、「強オピオイド鎮痛剤を定時投与中の癌患者における突出痛の鎮痛」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 6ページ、アンカロン注150については、本品目は、「電気的除細動抵抗性の心室細動あるいは無脈性心室頻拍による心停止」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 7ページ、ヒュミラ皮下注40ミリグラムシリンジ、0.8mlについては、本品目は、「既存治療で効果不十分な腸管型ベーチェット病」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を開発中の薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 8ページ、ozanezumabについては、本品目は、「筋萎縮性側索硬化症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上です。
○松井部会長 ただ今の事務局からの説明に対して、何か御意見のある方はいらっしゃいますか。よろしいでしょうか。この競合品目・競合企業リストについては、委員の皆様の御了解を得たものといたします。それでは、委員からの申出状況について、事務局から報告してください。お願いいたします。
○事務局 各委員からの申出状況については、次のとおりです。
議題1「ルナベル配合錠」、退室委員及び議決には参加しない委員なし。
議題2「イーケプラ」、退室委員なし。議決には参加しない委員小川委員、野田委員、平石委員、松木委員、村田委員、本橋委員です。
議題3「トピロリック錠」及び「ウリアデック錠」、退室委員なし。議決には参加しない委員、平石委員、松木委員、本橋委員です。
議題4「ビソノテープ」、退室委員は野田委員です。議決には参加しない委員は小川委員、林委員、平石委員です。
議題5「イーフェンバッカル錠」、退室委員なし。議決には参加しない委員は小川委員、加藤委員、野田委員、林委員、平石委員、村田委員です。
議題6「アンカロン注」、退室委員は小川委員、野田委員です。議決には参加しない委員は平石委員です。
議題7「ヒュミラ皮下注」、退室委員なし。議決には参加しない委員は林委員、平石委員です。
議題8「ozanezumab」、退室委員なし。議決には参加しない委員は野田委員、平石委員、松木委員、本橋委員です。以上です。
○松井部会長 本日の審議事項は、8議題、報告事項は3議題、その他が1議題となっております。この審議の順番は、各委員の申出状況を踏まえて、1、2、3、その後5、4、6、7、8の順で進めたいと思います。よろしいでしょうか。それでは審議事項、議題1に移ります。議題1について、医薬品医療機器総合機構から説明をお願いします。
○機構 審議事項議題1、資料1「医薬品ルナベル配合錠LDの製造販売承認事項一部変更承認の可否について、並びにルナベル配合錠ULDの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、医薬品医療機器総合機構より説明させていただきます。
 審査報告書の3ページ~4ページを御覧ください。月経困難症は、子宮内膜症や子宮筋腫等の器質的病変を有する器質性月経困難症と、器質的病変を有しない機能性月経困難症に分類され、いずれもルナベル配合錠のような黄体ホルモン及び卵胞ホルモンの配合剤が有効であるとされています。
 ルナベル配合錠LDは、合成黄体ホルモンであるノルエチステロン1.0ミリグラム及び合成エストロゲンであるエチニルエストラジオール0.035ミリグラムを含有する経口剤であり、2008年4月に「子宮内膜症に伴う月経困難症」の効能・効果で承認され、更に2010年12月に、「機能性月経困難症」の効能・効果が追加されている薬剤です。
 今般、国内臨床試験の成績等を基に、ノーベルファーマ株式会社により、月経困難症患者全般に使用可能となるよう、効能・効果を「月経困難症」に変更する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。
 また、ルナベル配合錠ULDは、ルナベル配合錠LDに含有されるエチニルエストラジオールを0.02ミリグラムに減量した薬剤です。ノルエチステロンは、月経困難症の改善作用を有しますが、投与中に不正出血の副作用が現れることがあるので、これを抑えるためにエチニルエストラジオールが配合されています。一方で、エストロゲンによる血栓症等の副作用発現リスクを考慮し、1970年にFDAより「ピル1錠中のエストロゲン量は0.05ミリグラム未満が望ましい」との勧告が出されて以来、エストロゲンを低用量化した製剤の開発が行われ、現在、欧米ではエチニルエストラジオールを0.020ミリグラムにまで減量した卵胞ホルモン及びエストロゲンの配合剤も開発・販売されています。以上を踏まえ、ノーベルファーマ株式会社により、月経困難症患者全般を対象とした臨床開発が行われ、今般、ルナベル配合錠ULDの医薬品製造販売承認申請が行われました。
 なお、ルナベル配合錠LDに含有されるエチニルエストラジオール0.035ミリグラムは、世界的に低用量と位置付けられており、血栓症や乳癌の発現リスクは臨床的に許容される範囲内であると考えられます。
 本剤の審査に関して、専門委員として資料14に記載されている委員が指名されました。
 本剤の審査の概略につきまして、臨床成績を中心に説明させていただきます。なお、審査報告書におきましては、ルナベル配合錠LDを「ノルエチステロン1.0ミリグラム/エチニルエストラジオール0.035ミリグラム配合剤」と記載しており、ルナベル配合錠ULDを「ノルエチステロン1.0ミリグラム/エチニルエストラジオール0.02ミリグラム配合剤」と記載しております。
 まず、有効性につきまして、審査報告書6ページの下から7行目、1)第III相比較試験の項を御覧ください。本試験では、器質性月経困難症及び機能性月経困難症患者を対象に、ルナベル配合錠ULDの有効性及び安全性を検討することを主目的としたプラセボ対照試験が実施されました。
 審査報告書7ページの表2に、主要評価項目の結果を記載しております。主要評価項目は、月経困難症スコア合計のベースラインから、最終観察周期までの変化量とされ、ルナベル配合錠ULD群とプラセボ群との間に有意差が認められました。
 続いて、ルナベル配合錠LDについては、本申請に当たり、有効性の検証を主目的とした臨床試験は実施されていません。しかしながら、審査報告書7ページの表3にお示ししたとおり、ルナベル配合錠ULDの第III相比較試験では、参照群としての位置付けではありますが、ルナベル配合錠LD群が設定され、ルナベル配合錠ULDの成績と大きな齟齬がない結果が得られました。また、審査報告書の13ページの下から14行目より、第III相比較試験のルナベル配合錠ULD群における器質性病変の種類別の有効性について記載しております。月経困難症の改善作用を示すノルエチステロンの含量が、ルナベル配合錠LDと同一であるルナベル配合錠ULDでは、この項に記載したとおり、器質的病変の種類により、有効性が大きく異ならないことが確認されました。更にルナベル配合錠LDが既に「子宮内膜症に伴う月経困難症」及び「機能性月経困難症」に対する適応を取得していることなども踏まえて、ルナベル配合錠LDが月経困難症全般に対して有効性が期待できるものと判断しました。
 続きまして、安全性について説明します。審査報告書の16ページ、不正子宮出血の発現状況の項を御覧ください。国内第III相比較試験の成績から、エチニルエストラジオールの含量が少ないルナベル配合錠ULDの投与群では、ルナベル配合錠LD群と比較して、不正子宮出血の副作用の発現割合が高いことが示されました。以上を踏まえ、添付文書では、両製剤の特徴として、不正出血の発現状況を情報提供した上で、症状や治療目標に応じて治療薬を選択する旨、「重要な基本的注意」の項で注意喚起することが適切と判断しました。
 その他の副作用については、ルナベル配合錠LDの既承認時の臨床試験成績と特に異なるものではなく、エストロゲン/プロゲスチン配合剤として、未知の副作用も特に認められなかったことから、月経困難症患者に両製剤を投与したときの安全性は、臨床的に許容可能と判断しました。
 最後に、製造販売後調査について、審査報告書28ページ、6.製造販売後調査についての項を御覧ください。ルナベル配合錠ULDについて、目標症例数を1,000例、観察期間を投与6周期とした使用成績調査を実施し、不正子宮出血の発現状況、ルナベル配合剤ULDから、他剤へ切り換えた症例における経過等を情報収集する予定です。
 以上の検討を行った結果、ルナベル配合剤LD及びULD共に、月経困難症の効能・効果で承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会において御審議を頂くことは適当であると判断しました。ルナベル配合錠ULDについては、再審査期間を4年と設定することが妥当であり、製剤は毒薬及び劇薬に該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございます。器質性及び機能性月経困難症の両者に使えるように変更するとともに、新たな配合の割合の製剤を追加するということですが、御質疑をお願いします。
○佐藤(田)委員 添付文書のことでお伺いします。こういう薬が出てくることは、女性にとっては有り難いことだと思い、こういう時代になってきたのだと思っております。禁忌という所が極めて広範囲というか、もちろん心血管系、子宮内膜症等の治療に関して言えば、子宮からの出血というよりも、それ以外の心血管系の出血など書かれて、多岐に渡っていると見えるのです。しかも、副作用でなく、禁忌としてあげられていることは、本薬ではなく、今後、類薬が出てきた際もこのような禁忌がこれほど多数出てくるのでしょうか。教えていただきたいと思います。
○松井部会長 いかがですか。
○機構 禁忌については20個ほど記載されていますが、既にこれは、既承認の同じような治療薬でも同様の記載がされております。やはり、黄体ホルモンやエストロゲンに関しては、古くから使用されております。いろいろなリスクに関する報告が多数ありますので、何か臨床試験で副作用が出たというよりも、こういったリスクを考慮して、既承認の類薬では禁忌として設定している背景があると考えております。
○松井部会長 いかがですか、よろしいですか。ほかにはありますか。
○山田委員 関連して、添付文書の2ページ、「重要な基本的注意」の(7)定期的な内診及び超音波検査等を実施してとありますが、この「定期的」という表現がよく使われますが、何か想定している期間等があるのでしょうか。
○松井部会長 頻度ということですか。
○山田委員 はい。頻度というか、もう少し具体的に書いていただいた方が、実際上はやりやすいと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
○松井部会長 いかがですか。「定期的」というのは、しばしば使われるということで。
○機構 御指摘いただきましたように、「定期的に」という表現はよく使われておりまして、かつ、既承認の類薬でも同様の記載が既に「定期的に」ということで書かれております。
 (7)の注意喚起については、器質的疾患の経過を慎重に追うという意図でありますが、器質的疾患の種類や患者さんの症状によっても、どのような頻度で内診・超音波検査等を行うかというのが、一律に決めることが困難な状況と考えておりますので、このような表現にさせていただいております。
○山田委員 ケース・バイ・ケースで判断してということですか。
○機構 そうです。
○松井部会長 担当医の判断ということでしょうか。ほかにはいかがですか。
○小川委員 先ほどの禁忌の所ですが、前例にならってということだとは思うのですが、例えば、20個あるうちの4、7、8、14、15辺りは、血栓塞栓症のリスクに関連した記載ですが、もう少しこれを整備し直して、血栓塞栓症を起こしやすい病態として、幾つかをまとめて記載するとか、これはバラバラに出ているので、この順番もどういう経緯でこうなったのか分からないので、その辺りを工夫する方が、実際に使われる先生方にとって分かりやすいのではないかという気がしますが、いかがなものでしょうか。
○機構 御指摘をありがとうございます。先ほども申しましたように、この記載は、類薬である、こういった配合剤と同様の記載をしておりまして、この薬だけを修正すると、他の類薬との差があるのかと思われてもいけません。御指摘の点については、おっしゃるとおりの部分もありますので、今後他の類薬も含めて、修正できるのか、できないのか、検討させていただいて、もし必要であれば、これも1社の話ではありませんので、全体で調整できるか検討させていただきたいと思います。
○小川委員 せっかくの機会なので、従来のものも含めて統一して、分かりやすいようにした方がいいと思います。いろいろな副作用を起こす、本当に危険な状況なので、一つでも見落とさないようにという意味では、そろえてまとめた方がいいと思います。
○松井部会長 ありがとうございました。重要な御指摘だと思います。ほかにはいかがでしょうか。特にございませんか。それでは、本議題について議決に入ります。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。御異議はありませんか。
御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告いたします。
それでは議題2に移ります。機構から概要を御説明ください。
○機構 審議事項議題2、資料2「医薬品イーケプラ錠250ミリグラム及び同錠500ミリグラムの製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について、並びにイーケプラドライシロップ50%の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
 本剤の有効性成分であるレベチラセタムは、UCB社において開発された抗てんかん薬であり、海外では2013年1月現在、てんかん患者の部分発作に対する他の抗てんかん薬との併用療法について、103の国または地域で承認されており、そのうち、小児てんかん患者の部分発作に対する他の抗てんかん薬との併用療法については、88の国または地域で承認されております。
 本邦では、2010年7月に、「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する他の抗てんかん薬との併用療法」の効能・効果で承認されており、成人てんかん患者に対する用法・用量が設定されております。2009年9月より、小児てんかん患者を対象とした臨床試験が開始され、有効性及び安全性が確認されたとして、今般、製造販売承認事項一部変更申請が行われました。
 本申請の専門委員としては、資料14に記載されている4名の委員を指名しております。審査内容について、臨床成績を中心に説明させていただきます。
 まず、有効性については、審査報告書7ページの表4、他の抗てんかん薬で十分な効果が認められない小児てんかん患者を対象に、他の抗てんかん薬に本剤を上乗せした際の有効性及び安全性が非盲検非対照試験により検討されております。主要評価項目であるFASでの治療期間における観察期間からの週あたりの部分発作回数減少率は43.21%であり、投与前と比較して改善が認められました。また、部分発作回数減少率の95%信頼区間下限値26.19%が、海外第III相試験のプラセボ群における部分発作回数減少率の中央値16.3%を上回りました。以上より、小児てんかん患者において、他の抗てんかん薬に本剤を上乗せしたときの有効性が示されたと判断しております。
 次に安全性については、審査報告書12ページの表8、小児と成人における本剤の有害事象発現状況を比較しております。傾眠の発現割合が小児患者で高い傾向が認められ、投与開始直後の増量期間での発現割合が高かったものの、増量により、発現割合が高くなる傾向は認められず、ほとんどが軽度または中等度であり、処置なし、または減量により回復しております。以上から、現行の添付文書における注意喚起で対応可能と判断しております。また、審査報告書17ページの表17、海外臨床試験において、非精神病性行動症状、すなわち攻撃性に関する有害事象の発現割合が、成人と比較して小児で高い傾向が認められましたが、プラセボ群と比較したときの相対的なリスクは、小児と成人で同様と考えられます。ただし、米国で実施された小児での認知機能及び神経心理学的症状を検討する試験において、攻撃性の悪化を示唆する結果が得られていることも踏まえ、これらの事実を添付文書において適切に情報提供することが適切と考えております。なお、本邦の製造販売後における攻撃性を含む精神症状の報告状況については、現在、厚生労働省安全対策課及び医薬品医療機器総合機構安全第二部において検討されているところであり、当該検討と併せて、本申請の承認までに添付文書における注意喚起の内容を確定する予定です。
 次に用法・用量について、審査報告書21ページの16行目、「機構は」で始まる段落です。国内外臨床試験は、いずれも20ミリグラム/キログラムから投与を開始し、60ミリグラム/キログラムまでの増量を必須とする試験デザインで実施されており、小児患者における用量反応性の検討には限界があると考えておりますが、小児患者に対する用法・用量は、成人患者との薬物動態パラメータの類似性に基づき設定されていること、成人では、複数の臨床試験において、小児における20ミリグラム/キログラムに相当する1,000ミリグラムから有効性が確認されていることなどを踏まえると、小児患者に対する維持用量として20~60ミリグラム/キログラムと設定することは可能と考えております。以上の審査を踏まえ、本剤の「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する抗てんかん薬との併用療法」における小児の用量追加を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議を頂くことが適当と判断いたしました。
 本申請は、イーケプラ錠については、新用量医薬品、イーケプラドライシロップについては、新用量医薬品及び剤型追加に係る医薬品であり、再審査期間は、成人てんかん患者に係る効能・効果を承認した際の期間の残余期間の平成30年7月22日までとすることが適切と判断しております。また、イーケプラドライシロップについて、製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製剤及び特定生物由来製剤のいずれにも該当しないと判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。以上です。よろしく御審議のほどお願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございます。従来の効能・効果に小児用量を追加するとともに、ドライシロップ剤を追加する。そのことについての審議が中心と考えますが、先生方の御意見、御質疑をよろしくお願いします。いかがでしょうか。成人では1,000~3,000ミリグラム/日、これに相当するのが、20ミリグラム/キログラム/日ということですね。
○機構 御指摘のあったとおりで、対応する表としては、審査報告書の7ページの表3を御覧ください。「最終評価時における投与量分布」を書いておりますが、同じ行に記載されている20ミリグラム/キログラムが、体重50キログラム以上の小児と成人における1,000ミリグラムに相当し、40ミリグラム/キログラムが2,000ミリグラム、同じように60ミリグラム/キログラムが3,000ミリグラムに相当します。
○松井部会長 いかがでしょうか。村田先生はどのようにお考えでしょうか。
○村田委員 データ上からも、小児での安全性も確認できていると思いますし、PKも特別小児で、特別なパターンではないと思いますので、特に問題はないかと思います。
○松井部会長 ありがとうございます。ほかには御意見はございませんか。山田先生もよろしゅうございますか。ほかの先生方もよろしいですか。松木先生、どうですか。よろしいですか。特段の御意見がないようですので、議決に入ります。小川委員、野田委員、平石委員、松木委員、村田委員、本橋委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただきます。本議題につきまして、残りの先生方、承認を可としてよろしいですか。
御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告いたします。
議題3に移ります。お願いします。
○機構 審議事項議題3、資料3-1、3-2「医薬品トピロリック錠20ミリグラム、同錠40ミリグラム、同錠60ミリグラム、ウリアデック錠20ミリグラム、同錠40ミリグラム及び同錠60ミリグラムの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、医薬品医療機器総合機構より御説明申し上げます。
 本剤は、キサンチン酸化還元酵素を選択的に阻害することで、尿酸生成を抑制し、血清尿酸値を低下させる尿酸降下薬です。本邦で使用されている尿酸降下薬には、尿酸排泄促進薬と尿酸生成抑制薬があり、本剤と同じ尿酸生成抑制薬として、アロプリノールが1968年12月に、フェブキソスタットが2011年1月に承認されております。本剤は2013年2月現在、海外において開発されておりません。
 本品目の専門協議では、資料14に示す先生方を専門委員として指名させていただいております。以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
 有効性については、審査報告書48ページの表37を御覧ください。痛風、高尿酸血症患者を対象とした第III相試験において、主要評価項目とされた治験薬投与終了時におけるベースラインからの血清尿酸値低下率について、アロプリノール群に対する本剤群の非劣性が示されました。
 安全性については、審査報告書59ページの表52、表53、60ページの表54を御覧ください。国内二重盲検試験及び長期投与試験における有害事象及び副作用の発現状況は、審査報告書60~66ページに記載したように、痛風関節炎、肝機能障害、腎・膀胱関連の有害事象、皮膚関連の有害事象を個別に検討した結果などから、本剤の安全性は許容可能と判断しました。
 製造販売後調査については、76~77ページの(5)「製造販売後調査について」の項に記載したように、痛風関節炎、肝機能障害等の安全性に関する情報や腎機能障害患者、肝機能障害患者及び高齢者などにおける安全性及び有効性に関する情報が収集される予定です。
 以上のとおり、機構での審査の結果、「痛風、高尿酸血症」を効能・効果として本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。本剤の再審査期間は8年とすることが適切であり、原体及び製剤はいずれも毒薬・劇薬に該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
○松井部会長 ありがとうございます。痛風・高尿酸血症を効能・効果とする薬剤ですが、いかがでしょうか。御質疑をお願いいたします。非常にラフな言い方ですが、これまでのアロプリノールやフェブキソスタット両方のメカニズムを併せ持つような薬のように思います。いかがでしょうか。
○豊見委員 基本的な質問なのですが、形状から考えて、このように同じものが、錠剤を作っている所も同じではないかと思われます。刻印だけ変えて、メーカー違いで出てくる。こうして二つの名称が全く違う名称で出てくるというのは、そちらの方で、何か指導やサゼスチョンのようなことができないものでしょうか。
○機構 基本的に禁止はできないと考えています。
○審査第一部長 御指摘ありがとうございます。この品目は共同開発のような形で2社で申請されましたので、私どもの方で1社だけの名前にしてほしい、などということがなかなか言えない状況です。確かに、規格も含めるとかなりの数になるという御懸念の点は重々分かっているのですが、私どもの指導できる範囲は、少々超えているということがございます。
○松井部会長 そういう御返事です。仕方がないということでしょうか。
○豊見委員 せっかくジェネリックで、一般名とメーカー名とできちんと整理ができている所で、新薬がずっとこういう状態だったら、いつまでたってもこのような状態が続くのかと、非常に残念な思いをしています。
○松井部会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
○山田委員 添付文書の併用禁忌薬のことについてお尋ねしたいのですが、同じキサンチンオキシターゼ剤のアロプリノールの併用禁忌薬が、この薬剤では併用注意になっているようですが、これは併用禁忌にせずに併用注意にした理由が何かあるのでしょうか。
○機構 アロプリノールでは、併用注意になっていまして、「臨床症状措置方法」の所になりますが、メルカプトプリン水和物、アザチオプリンの用量を減量するということになっています。
○松井部会長 すみません、ページ数を指摘してもらえますか。
○機構 1.7の「同種同効薬」の所を御覧ください。
○松井部会長 何ページですか。
○機構 1.7の3ページです。こちらでは、アロプリノールの添付文書では併用薬剤(メルカプトプリン水和物、アザチオプリン)の用量を3分の1~4分の1に減量すると記載されていますが、本剤については、同じような減量の目安を示すことができないということで、もう一つの類薬のフェブキソスタットでも同様に、メルカプトプリン水和物などと併用禁忌とされています。フェブキソスタットの併用禁忌ですが、そちらは1.7の10ページを見ていただければ分かりますが、メルカプトプリン水和物を併用禁忌としています。ですので、アロプリノールではメルカプトプリン水和物やアザチオプリンの用量を3分の1や4分の1に減量すれば安全だということが、本剤については確認されていないということで、メルカプトプリン水和物などは治療用域が狭い薬剤になりますので、併用禁忌ということにさせていただいています。
○松井部会長 今の御説明でよろしいですか。
○山田委員 アロプリノールでは併用禁忌にではないのですね。
○機構 アロプリノールの方が併用注意になっておりまして、本剤については。
○山田委員 分かりました。
○松井部会長 ほかにはいかがでしょうか。
○加藤委員 第II相試験と第III相試験の母集団について教えていただきたいのですが、審査報告書の45ページの一番下の48の所に、第II相試験の選択基準というので痛風発作の既往がある場合は尿酸値7ミリグラム以上、高尿酸血症の場合には9ミリグラム以上、ほかに合併症がある場合には8ミリグラム以上と、母集団の値がかなり違うものが混ざっていると思うのです。それが、第I相試験の、47ページの対象患者の選択基準も、やはり同じように患者によって7ミリグラム、8ミリグラム、9ミリグラムと三つの違う選択基準が使われていて、これがどのように報告されているかというと、例えば48ページの表37を見ても全群の平均値です。これは、普通の非劣性t検定を行っているということで、例えば、この本剤群、アロプリノール群の中に、先ほどの基準の違う、例えば痛風発作の既往がある場合の7ミリグラム/dl以上とか、あるいは9ミリグラム以上とか、基準の違うものがどのぐらい混ざっているのかによって、かなり母集団の分布が均質ではないのではないかと思うのです。これを、全部ひっくるめた平均値でこの群とこの群の内訳などを問題にせずに、ただ、どれだけ下がったということで検定をするということでいいのかどうかということをお聞きします。
○松井部会長 バイアスが掛かっていないかということですか。
○加藤委員 バイアスや、そのバランスが極端に違う場合には、恐らく統計的にも違う意味をもってくるのではないかと思うのですが。
○機構 まず、選択基準ですが、こちらは国内の治療指針に基づいて、痛風関節炎、痛風結節がある場合には、血清尿酸値7ミリグラム/dl超で薬物治療開始となっていまして、選択基準は、今の治療指針に従って選ばれています。
 では、痛風結節がある人と痛風結節や痛風関節炎のない、高尿酸血症のみの無症候性の有効性ですが、こちらについては審査報告書の58ページを御覧ください。表51に二重盲検試験の併合解析における痛風結節ありと無症候性の高尿酸血症のそれぞれについて、血清尿酸値の低下率を比較したところ、いずれにおいても有効性が変わらないという結果が得られています。したがって、痛風、高尿酸血症のいずれにも有効性を示すと考えております。
○松井部会長 以上ですか。いかがでしょうか。林先生から何か御意見はありますか。
○林委員 今の御質問の点なのですが、一つは、ベースラインの効果というかエフェクトをなるべく消すように、例えば、率にするなど様々な解析をされていると思うのですが、多分、先生が御心配されている、群と群との間でそのエフェクトが違うのではないかといったようなことは、これはランダム化されているので、そういった偏りも込みで5%の有意になるかどうかという形でランダム化されていると思います。恐らく、ベースラインは両群では同じような値をとっているだろうと想像されます。答えになっているかどうか分かりませんが、よろしいでしょうか。
○松井部会長 妥当な説明であるというお考えですね。
○林委員 はい。
○松井部会長 この点については、ほかに御意見のある方はいらっしゃいますか。加藤先生、よろしいですか。
○加藤委員 今の御説明で分かりました。確認しますけれども、要するに、痛風発作の既往がある場合のグループ、それから、高尿酸のグループ、それぞれの中でランダム化して薬剤割り付けをしているということでよろしいのでしょうか。
○機構 全体でランダム化しております。
○松井部会長 全体でですか。
○機構 試験全体で入ってきた人に対して、無作為に割り付けをしています。
○加藤委員 先ほどの、個別に統計を取ったときに、きちんと有効性があるというので納得をいたしましたが、何かこのようにまとめるときに、ベースラインの値を構成する群というのも治療上の意味があるのではないかと思うので、何かそれなりの記述を伺えると有り難いと思います。
○松井部会長 ほかにいかがでしょうか。特にありませんか。
○野田委員 読んでいて少し理解できなかった所があるので御説明をお願いします。1.5の「起原、または発見の経緯及び開発の経緯」の5ページの一番最後の段落の「したがって」の所ですが、2行目の「病型分類の頒雑さにとらわれない治療選択肢が提供できる」というのはどういうことを意味しているのでしょうか。
○松井部会長 5ページですか。
○野田委員 1.5の「起原、または発見の経緯及び開発の経緯」の5ページ、化学構造式の上の、最後の段落の上から2行目です。「病型分類の頒雑さにとらわれない治療選択肢が提供できる」という所がよく分からなかったのですが。
○機構 恐らく、先ほどと同様で、痛風結節の既往例、また、痛風関節炎の既往例も、無症候性の高尿酸血症のいずれにおいても、尿酸産生過剰型の患者には使えるという意図で記載されていると思われます。こちらは企業が作ったものですので、恐らくその意図で記載をしているとは思われます。
○野田委員 それだと病型分類がありますので、ちょっとまだ理解していないのですが。
○機構 これは企業が作成したもので。
○野田委員 分かります。企業が作っているわけですね。これを見ると、前段の方に治療ガイドラインの話が書いてあって、「病型分類に応じた薬剤選択が」と書いてあって、尿酸排泄低下型、尿酸産生過剰型ですね。これと、この最後の段の病型分類の所との兼ね合いがよく分からないのです。
○機構 恐らくですけれども、申請者の意図としては、尿酸排泄低下型については、基本的には尿酸排泄促進薬を使うことになると思いますけれども、それでも、腎機能障害患者の中等度などの方においては、主に尿酸生成抑制薬を使うことになっていることもあるというのが、その前の文章の「腎機能に応じた用量調節が必要なく、また、病型分類の頒雑さ」という所につながっていると思います。
○野田委員 余り納得はしていないのですが、納得というか、つまり、実際は私も臨床の場では基本的に尿酸産生過剰型対応の薬剤を用いているわけなのです。実状はそれで理解できるのですが、この段落ごとの対応が、間に記述をつなげるリンクが欠けているような気がします。最後のまとめを出すのに、もし途中がそういうことであれば、先ほどのような内容で書いていただかないと理解できないと思います。
○機構 申請者に、分かりやすい文章の指導と、情報提供の際にも、より分かりやすい説明をするように指導させていただきたいと思います。御意見ありがとうございます。
○野田委員 なんとなく、ここにメーカーのアピール臭があるような気がして、ちょっと気になりました。
○松井部会長 よろしくお願いします。
○機構 ありがとうございます。
○松井部会長 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは議決に入りますが、平石委員、松木委員、本橋委員におかれましては利益相反に関する申出に基づきまして議決への参加を御遠慮いただきます。残りの先生方、本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは、承認を可として薬事分科会に報告といたします。
次は、議題4の前に議題5を審議いただきます。議題5について機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題5、資料5「医薬品イーフェンバッカル錠50μg、同バッカル錠100μg、同バッカル錠200μg、同バッカル錠400μg、同バッカル錠600μg及び同バッカル錠800μgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
 本剤は、強オピオイドであるフェンタニルクエン酸塩を有効成分として含有するバッカル錠であり、上顎臼歯の歯茎と頬の間に挟み込むように置き、溶解させて使用する薬剤です。本邦において、フェンタニル、またはフェンタニルクエン酸塩を有効成分とする経皮吸収型製剤が、既に癌性疼痛に対して承認されており、本剤はそのような強オピオイド鎮痛剤を定時投与中のがん患者における突出痛に対する治療薬として開発されました。
 海外では、本剤は2006年9月に米国で承認されて以来、2012年2月までに33か国で承認されています。本邦においては、□□年□月より臨床試験が開始され、今般、本剤の癌性突出痛の鎮痛に対する有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認申請が行われました。
 本申請の専門委員としては、資料14に記載されている7名の委員を指名いたしました。審査内容について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
 有効性について、審査報告書17ページ、表9の下の文章を御覧ください。1日1~4回のオピオイド鎮痛剤によりコントロールされている突出痛を有する日本人癌性疼痛患者で、持続性疼痛治療薬としてオピオイド鎮痛剤の1週間以上の投与経験がある患者を対象とした第III相試験、#040試験において、主要評価項目である治験薬投与後30分の疼痛強度変化量について、本剤投与時のプラセボ投与時に対する統計学的な有意差は認められませんでした。この要因として、患者が有効性評価に十分に慣れておらず、評価のばらつき等が影響した可能性が考えられたことから、有効性評価に関するトレーニングの実施等による患者教育、評価回数等の有効性評価方法の見直しを行い、新たな第III相試験、#060試験が実施されました。
 審査報告書19ページの上から1行目の文章を御覧ください。#060試験において、主要評価項目である治験薬投与後30分の疼痛強度変化量について、本薬投与時のプラセボ投与時に対する統計学的有意差が認められ、本剤のプラセボに対する優越性が示されました。
 次に安全性について、審査報告書24ページ、表16を御覧ください。国内外の臨床試験では主にオピオイド鎮痛剤に特徴的な有害事象の発現が認められ、海外試験と比較して、国内試験では傾眠の発現割合が高い傾向にあるものの、傾眠の重篤例、投与中止例は認められませんでした。国内臨床試験において、臨床上大きな問題となる事象は認められていませんが、本剤を含むオピオイド鎮痛剤は呼吸抑制等のリスクを有しているため、これらのオピオイド鎮痛剤に特徴的な有害事象の発現状況については、製造販売後調査において引き続き検討する予定としております。
 次に、本剤の用法・用量について説明させていただきます。審査報告書28ページ、図2及び29ページ、図3を御覧ください。モルヒネ製剤やオキシコドン製剤をレスキュー薬として使用する場合には、定時投与されているオピオイドの用量に基づき投与量が決定されます。一方、本剤は図2の海外試験、図3の国内試験において、定時投与オピオイド量と本剤の有効用量に強い相関性が認められなかったことから、低用量から漸増を行い、患者個々に有効用量を決定する用法・用量となっており、モルヒネ製剤やオキシコドン製剤と異なることから、その旨を添付文書において注意喚起しております。
 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。
 本申請は、1-(5)「新剤型医薬品」、1-(6)「新用量医薬品」であることから、再審査期間は4年、製剤は劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。
 また、事前に加藤委員より「アクレフ口腔粘膜吸収剤と一部用量設定が異なるほか、効能・効果は同じであり、これらの臨床的位置付けの差異についてどう考えるのか。また、用法・用量に関連する使用上の注意の記載は、用法・用量と同じ情報を分かりやすく繰り返しているのか。そうであれば、投与間隔に関する記載は必要ないのか」との御質問を頂いております。
 まず、御指摘いただいたように、本剤とアクレフ口腔粘膜吸収剤は共にがんの突出痛に対して用いられるフェンタニル速放性製剤であり、臨床的位置付けに差異はありません。しかしながら、本剤とアクレフ口腔粘膜吸収剤のバイオアベイラビリティーは異なっており、同一用量を服用した場合に本剤の方が血中のフェンタニル濃度が高くなります。したがって、本剤とアクレフ口腔粘膜吸収剤の開始用量や漸増幅は異なります。また、同一用量の本剤とアクレフ口腔粘膜吸収剤を切り替えて使用することはできません。この点については、添付文書の「用法・用量に関連する使用上の注意」、開始用量の(2)において、他のフェンタニル速放性製剤から本剤に変更する場合でも、必ずフェンタニルとして1回50、または100μgから開始することと注意喚起しております。
 また、製剤学的な特性や服用方法も異なっており、本剤は発泡性を有し、頬と歯茎に挟み込むことで溶解させる一方、アクレフ口腔粘膜吸収剤は、持ち手部分の付いた製剤であり、頬と歯茎の間に含み、持ち手部分を上下に動かすなどして溶解させて使用します。したがって臨床現場では、個々の製剤の特徴を踏まえて製剤選択が行われると考えております。
 次に、添付文書における用法・用量に関連する使用上の注意の記載についてですが、一部用法・用量と重複する内容もありますが、本項には本剤の使用方法、用量調節等、本剤による治療時に特に注意を要する事項を記載しております。
 例えば用法・用量では、開始用量は50、または100μgとしていますが、それに関連する注意として開始用量の(2)には、定時投与の強オピオイド鎮痛剤の用量による本剤の開始用量の考え方、(2)には他のフェンタニル速放性製剤から切り替えて使用する場合も、50、または100μgから開始することを記載しています。御指摘いただいた投与間隔については、専門協議での議論を踏まえて、用法・用量において「4時間以上あける」と明確に記載することが適切と判断しており、これに関連した用法・用量に関連する注意に記載すべき事項は特にないと考えております。以上です。よろしく御審議のほどをお願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございます。まず始めに、加藤先生、御質問に対していかがでしょうか。
○加藤委員 一つ目の点は、口腔粘膜吸収剤が既に同じフェンタニルであるのに、一体、臨床で、結局、これが出たときにどういうふうに使い分けたらいいのかが、やはりよく分からないのです。こういうときにこれが使いやすいとか、こういう適応の場合にはこちらが有効だとか、その辺のそれぞれの存在意義の特徴が幾ら読んでも分からない。特に開発の経緯に関しては、この薬のことも口腔粘膜吸収剤と普通に扱っていて、今までのものとどこが違うのだということは、やはりよく読んでも分からない。一言で言うとどういう臨床にとっての新しい有益性があるのかが、今の説明だけでも少し分かりにくかったというのが、まず第1点目の話です。
 2番目に関しては、非常に細かいことなのですが、添付文書2ページの「用法・用量」の所ですが、「用法・用量」という所と、「用法・用量に関する使用上の注意」ということで枠で囲んである所があって、専門協議の最後の所に用法・用量の枠で囲んでいない所の一番最後に書いてある「前回の投与から4時間以上の投与間隔をあけ」というのは、記載がなかったのを、最後に加えたということが報告書の中にあるのですが、これは、海外の添付文書を見ると、みんなかなり大きく書いてあるのです。最後に加えたということをこの文書の所に書いてあるのですが、この四角の枠の所に加えてもいいのではないかというのが私の意見です。
○松井部会長 左のページの一番下の所ですね。
○加藤委員 そうです。2ページの一番左下の所の下から8行目ぐらいです。「4時間以上の投与間隔をあけ」というのも、これは最後に加わったという審査経過の御報告があったのですが、枠の中に重要なことを書いたという先ほどの説明でしたら、これも書いていいのではないかと私は思ったということです。
○機構 機構より御説明します。まず2点目の、先ほど御指摘いただいた用法・用量関連注意における4時間以上あけて使用することとの記載についてですが、当初、申請者が申請したときには用法・用量に関連する使用上の注意において「4時間以上あけることが望ましい」との文章が入っていました。しかしながら、これについては必ず守るべきということで、用法・用量に記載することが適切と専門協議において判断しましたので、「用法・用量に関連する使用上の注意」ではなく、「用法・用量」において記載することとしております。
 なお、ほかの項について、一部重複する内容もありますが、こちらの項について更に何か補って情報を追記するようなことは特にないのではないかと考えておりますので、今、特に使用上の注意の方の記載は必要ないと判断しております。
○松井部会長 よろしいですか。3番目は何でしたか。
○加藤委員 3番目はなくて、1番目の臨床で、一体これは今まで存在するフェンタニルとどういうふうに使い分けたらいいのかという問題で、3番目はないと思います。
○松井部会長 失礼しました。
○機構 機構より御説明します。アクレフ口腔粘膜吸収剤との使い分けですが、海外では少し経緯がありまして、やはり、後から開発された方が、このイーフェンバッカル錠になりますので、使いやすいのはどちらかと言われると、イーフェンバッカル錠の方が、持ち手部分が残らないなど、簡便に使用できるということはあるのかもしれませんが、それぞれの製剤の特徴がありますので、その点を考慮して判断いただくことになるのではないかと思っております。明確に有効性が違う、安全性が違うという情報が、今のところあるわけではないことは勘案していただければと思っております。
○松井部会長 よろしいですか。ほかに何かございますか。
○佐藤(田)委員 二つ質問があるのですが、審査報告書の31ページの下段の所です。先ほどと同じように、1日当たりの投与量の所がよく分からないので、クリアに教えていただきたい。まず1番、口の中に入れて吸収させる薬のCmaxのグラフはどこかに載っているのでしょうか。もしなければ、どのぐらいの速さでCmaxにたどるのかということが一つ。
 もう一つ、関連があるのですが、3)「本剤の1日当たりの投与回数について」という所で、読み方が悪いのかもしれませんが、3行目辺りに「臨床的評価を行うとともに、定時投与オピオイド鎮痛剤の用量を考慮する必要があると考えられる」とありますが、突出痛で4回以上必要になった場合、4回で止めてくれということですね。そのときには、定時オピオイド量の下の行ですが、「4回を超える突出痛が発現する場合には、定時投与のオピオイド用量を見直すように記載されていること」ということは、減らすということではなくて、定時用量を増やすということであれば、それでカバーできるのであれば、何も突出痛と言わないで、通常のオピオイドの用量を増やせばカバーできるのではないか。この薬が要らないというと語弊がありますが、あえて、なぜそこに被せていく必要があるのかと。少し痛いのが起こってくるときにはいいかもしれませんが、もっと強くなったときには定時オピオイド量を増やしてコントロールすれば、あえてこれでカバーすることはないのではないかと思うので、その2点について教えてください。
○機構 機構より御説明します。まず、Cmaxについては、審査報告書の13ページ、(3)「患者における検討」という所で癌疼痛患者における単回投与試験」という所がありますが、そこでCmaxを示しておりまして、大体1時間から1時間半ぐらいになっています。
○佐藤(田)委員 では、立ち上がりが低いということですね。2時間ということは、割と遅いということですね。緊急に使う、この突出痛は急激に起こってくるからすぐ抑えてあげたいのだけれども、Tmaxが2時間ということは、カーブからすると、かなりゆっくりということですね。
○機構 Cmax自体はそうなのですが、立ち上がり自体はかなり早くて、その前の投与後30分ぐらいから血中濃度自体はかなり高くなってきます。
 添付文書の5ページの「薬物動態」の項の(2)で「癌性疼痛患者における血清中濃度」という図を示しております。
○松井部会長 これは先ほどと同じではないですか。
○佐藤(田)委員 どこですか。数字で教えてください。
○機構 5ページの(2)です。
○松井部会長 表3ですか。
○機構 そうです。表3と図2です。図2に血清中フェンタニル濃度の経時的推移があります。
○松井部会長 委員の先生方、お分かりでしょうか。1.8の添付文書の5ページの左側です。(2)の所です。
○佐藤(田)委員 分かりました。かなり急激に上がるということですね。
○機構 はい。十分な濃度が得られれば有効性が期待できるということになります。
○松井部会長 割と早く効いてくるということでしょうか。よろしいですか。2番目の質問は定時投与を増やせばいいのではないかということでしたが。
○機構 2点目の、突出痛の考え方ですが、体動等により普段と違う痛みが発生する場合と、定時投与オピオイド鎮痛薬が切れたときの切れ目の痛みと二つがありまして、基本的には体動などの急襲な所で使っていただくと思っているのですが、切れ目の所で痛みが発生するものと分けて考えることは、なかなか難しいので、回数が増えてくると、切れ目の痛みが多く起きているのではないかと考えられるので、その場合には定時投与オピオイド鎮痛薬の用量を増やすことが適切だということで、今回このような文章を記載させていただいております。
○古川委員 この添付文書の4ページですが、「適用上の注意」の5番に「本剤には小児に致死的となり得る量の成分が含有されていることを知らせる」と書いてあります。これは多分、呼吸抑制などだと思いますが、この書き方がこの場所でいいのかどうか。もう少し目立つ場所に書くべきではないかという気がしますが、いかがでしょうか。
○機構 機構より御説明します。御指摘ありがとうございます。我々としても、小児に対する注意喚起は非常に気にしている所で、できるだけ目立つように書きたかったのですが、特に今決められている添付文書の記載の中で記載する箇所がなかなか難しく、もう一つは、小児の適用とはなっていない所で警告欄に書くこともなかなか難しい所もありますので、この項に記載させていただいて、今回は特に太字で書かせていただいて目立つようにしております。
○古川委員 適用とか、そういう問題ではなくて、子どもが飲んでしまうということの危険性などいろいろありますね。もう少し前の方に注意喚起すべきではないかと思うのですが。
○機構 小児に対する注意喚起に関しては、添付文書では記載箇所の関係でこのような形になっておりますが、資材の方ではかなり目立つような形で記載をしておりますので、その所で対応させていただければと思っております。
○古川委員 対応していただけるのですね。
○機構 この点については、安全部門とも調整の上、添付文書の記載を含めて対応を検討させていただきたいと思います。
○松井部会長 厚生労働省の姿勢にもかかわることですので。
○古川委員 そうです。
○松井部会長 よろしくお願いします。ほかにございませんか。よろしいですか。
 ほかに御質疑がなければ議決に入りますが、小川委員、加藤委員、野田委員、林委員、平石委員、村田委員におかれましては利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮ください。そのほかの委員の方に伺います。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。
ありがとうございます。御異義がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告いたします。
 次は議題4ですが、恐れ入りますが野田委員におかれましては議題4と次の議題6の間、別室で御待機いただきたいと思います。
— 野田委員退室 —
○松井部会長 それでは議題4を機構から御説明ください。
○機構 審議事項議題4、資料4「医薬品ビソノテープ4ミリグラム及び同テープ8ミリグラムの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、医薬品医療機器総合機構より説明いたします。
本剤の概要は、審査報告書の3ページです。本剤の有効成分のビソプロロールは内因性交感神経刺激作用を有さない選択的β1遮断薬であり、本邦ではビソプロロールのフマル酸塩を有効成分とする経口製剤が、本態性高血圧症、狭心症、慢性心不全などの効能・効果で承認されています。降圧薬の経皮吸収型製剤は血中薬物濃度を持続させ、24時間にわたる安定した血圧コントロールが得られること、嚥下困難をはじめとする経口投与が困難な状態にある患者への投与が容易になることが期待されます。降圧薬の経皮吸収型製剤を開発するに当たり、比較的経皮吸収性が良好であるβ遮断薬が候補とされ、さらにその中で経皮吸収量と貼付部位の皮膚安全性の面から、最も適していると判断されたビソプロロールが選択され開発が行われました。
 本剤の開発はトーアエイヨー株式会社及び日東電工株式会社により行われ、今般、国内の臨床試験成績を基に、製造販売承認申請がなされました。なお、現時点で本剤は海外において、承認取得及び販売は行われていません。本品目の専門委員として、資料14に記載されている委員を指名しました。
 それでは本品目の審査の概略を説明します。有効性について審査報告書31ページ中段のプラセボ対照用量探索試験です。軽症~中等症に該当するI度またはII度の本態性高血圧症患者を対象とした臨床試験において、有効性の主要評価項目のトラフ時坐位拡張期血圧、資料ではDBPと記載しております。及び副次評価項目のトラフ時坐位収縮期血圧、こちらはSBPと記載しております。これら二つの評価項目の変化量を次のページ、32ページ表9と表10にそれぞれ示しております。これらの表の変化量の欄に記載されているように、今回、申請用量とされた本剤の4ミリグラム及び8ミリグラムを含むいずれの用量群でもプラセボに比較し有意な降圧効果が認められ、またその作用は用量依存的でした。
 続いて、審査報告書33ページ中段以降の第III相検証試験です。先ほど御説明した用量探索試験に加え、さらに別途実施された第II相試験及び薬物動態試験の結果から、既承認の、ビソプロロールフマル酸塩経口製剤の通常用量の5ミリグラムと同程度の降圧効果が期待できる用量として、本剤の8ミリグラムが選択され、経口製剤5ミリグラムに対する本剤8ミリグラムの非劣性を検証する目的で二重盲検比較試験が実施されました。主要評価項目のトラフ時坐位DBPの変化量を34ページ表12に示しています。本剤群と経口製剤群の変化量の群間差の95%信頼区間の上限値が1.4mmHgであり、設定した非劣性マージンを超えなかったことから、本剤8ミリグラムの経口製剤5ミリグラムに対する非劣性が検証されました。なお、本試験ではプラセボも比較対照群として設定されており、本剤群のプラセボ群に対する降圧効果の優越性も確認されております。また、副次評価項目のSBPの変化量においても35ページ表13に示すとおり、DBPと同様の傾向が確認されております。
 安全性については、審査報告書36ページ表14に示しているように、本剤群で経口製剤群より多く認められた有害事象はほとんどありませんでした。なお、審査報告書46ページ上段、1行目から記載しているように、貼付剤特有の副作用として適用部位における有害事象が比較的高い頻度で認められておりますが、臨床試験で認められた適用部位の有害事象の重症度は高くなく、また発現した症例でも適切な対処によって、回復または軽快していることから、添付文書上で適切な注意喚起を行った上であれば、許容可能なリスクであると判断しました。
 また、ビソプロロールの成分自体のリスクとして、既に明らかになっている過度の血圧低下や徐脈性の不整脈のリスクについては、経口製剤と同様に添付文書で注意喚起を行う予定です。さらに経口製剤は本態性高血圧症以外の効能・効果、冒頭で申し上げた狭心症や慢性心不全などがありますが、そうしたほかの効能・効果も有するのに対し、本剤の効能・効果は本態性高血圧症のみであることから、経口製剤と本剤では一部有する効能・効果が異なっているということを使用上の注意の解説など、医療関係者向けの情報提供資材を利用して情報提供を行っていく予定です。
 製造販売後調査については、審査報告書50ページ中段と53ページ後半に記載しております。審査報告書50ページに記載しているように、製造販売後調査として、観察期間12週間の使用成績調査とさらに長期投与時の安全性、有効性を検討する観察期間1年の特定使用成績調査を実施し、血圧低下や徐脈に関連する有害事象、適用部位の有害事象の発現状況、ほかの降圧剤から本剤に切り替えたときの安全性、有効性ならびに腎機能、肝機能障害を有する患者や高齢者における安全性などについて情報収集を行う予定です。
 以上のような検討を行った結果、本剤を「本態性高血圧症(軽症~中等症)」の効能・効果で承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会において御審議いただくことが適当であると判断しました。原薬は劇薬に該当し、製剤は劇薬または毒薬のいずれにも該当せず、また生物由来製品、または特定由来生物由来製品にも該当しないと判断しております。再審査期間は8年とすることが適当であると判断しております。分科会では報告を予定しております。以上、御審議のほどよろしくお願いいたします。
○松井部会長 御質疑をお願いします。いかがでしょうか。
○本橋委員 開発の経緯を拝見すると、24時間にわたって安定した血圧が維持できるということですが、本剤は経口剤と比較して特性のようなものは示されたのでしょうか。
○機構 ただ今の御質問に対して、結論から申し上げると、一部イエスで、一部はノーということになります。まず安定した血中濃度が維持できているかに関して、審査報告書19ページから御覧ください。審査報告書19ページの図、経口製剤と本剤をそれぞれ投与したときの血中濃度の推移が記載されており、さらに続く表4で反復投与したときの経口製剤と本剤の血中濃度の比較をしています。表の14日目のC24と書かれている項目が、投与24時間後の血中濃度になり、本剤群で、経口製剤群と比べて高い血中濃度が維持されていることが分かると思われます。
 一方で降圧作用の持続に関して、経口製剤と本剤とを比較した表が30ページに記載されております。こちらの表の見方が見にくいですが、本剤群と経口製剤群が上下に書かれており、それぞれ24時間の血圧、24時間は昼間、夜間、早朝あるいは24時間の平均と区切って、ここに書かれている本剤群と経口製剤群は用量がそれぞれ先ほどと同じ8ミリグラムと5ミリグラムになっておりますが、ここでのSBPやDBPの変化量を比較していただくと、経口製剤群と本剤群とでは同じようになっておりまして、結果的にはどちらでも同じ程度の降圧作用が維持されていることが分かっております。
○本橋委員 要するに、経口摂取できないような方にはメリットにはなるだろうけれども、経口摂取できる方にとっては副作用も貼ることによって増えたり、徐脈の頻度も少し増えるのでしょうか。
○機構 徐脈自体はほぼ同程度と考えております。
○本橋委員 そうしますと、普通に経口で使っている方にとっては、メリットはない薬と結論できるのですか。
○松井部会長 いかがですか。
○機構 御指摘のように、基本的に経口製剤がきちんと服用可能で、コンプライアンスも問題ないということであれば、あえて本剤を使用していただく必要まではないと考えております。一方でやはりどうしても状態が悪い患者さんなどで嚥下投与が困難であったり、あるいは何らかの理由で経口製剤では良好なコンプライアンスが維持できないような場合に、この薬の選択を考慮していただく必要があると考えております。
○松井部会長 ほかにいかがでしょうか。
○小川委員 先ほど御説明があったのですが、確認です。経口剤は心不全に適応が取れている。この貼付薬は心不全には適用が取れていない。そこでこの貼付剤を心不全のケースに使用しないようにする記載は添付文書には書いてあるのですか。それとも今後検討するということですか。
○機構 まず添付文書に記載するかどうかですが、こちらは効能・効果の大前提として、本剤には本態性高血圧症のみが記載されているので、それ以上に何かほかの効能・効果に対して使用してはいけないという所まで記載すると、かえって混乱されるのではないかということで添付文書には記載しませんが、先ほど御説明した医師にお配りする使用上の注意の解説、情報提供資材では、きちんとこちらについては本態性高血圧症のみの効能・効果ですから、使用する際にはその点にも注意して選択するかどうか御検討いただくような注意喚起を行う予定です。
○小川委員 ただ使い慣れた臨床医にとっては、先ほど御指摘があった経口摂取のできない患者さん等については、どうしても手が出てしまう。そこはもう想定内と機構はお考えで指導はきちんとしていただくのでしょうが、現場では混乱が起こるような気がするのですが。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○機構 その点については、基本的に8ミリグラムが経口製剤の5ミリグラムと同程度の効果を有するとあくまで試験上確認できたのは、降圧作用に関してのみということで、結局ほかの効能・効果に対して同様に5ミリグラムと同じ効果が期待できるかまでは確認されておりませんので、面と向かって使ってはいけないというように書くと、逆に注意すれば使っていいのかとも取られかねませんので、そこはこちらとしては添付文書に記載した効能・効果に従って使用していただく、適正使用として勧めて、それは企業にも適切に指導していきたいと考えております。
○松井部会長 よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。
○松木部会長代理 本剤の安全性は問題ないと思うのですが、審査報告書の書き方です。審査報告書8ページ、安全性、薬理試験の1)中枢神経系に及ぼす影響ということで、これは提出された資料の概略ということの説明としてこの文書があるのですが、読んでいくと、用量に依存しない覚醒度の低下があったり、排尿数の増加、着地開脚幅の減少などがありましたが、これはよく見ると本剤投薬前から同群で、あったから関係ないだろうというような、これは何か言い訳みたいです。この「考えられた」の主語は何ですか。審査の概略は例えば機構がそのように判断したと主語が書いてありますが。
○機構 分かりにくい記載で申し訳ないです。
○松木部会長代理 分かりにくいというか、申請者がそう言ったのを見て、機構がそのように考えたのか、ただ申請者がそのように言ってきたことをそのまま書いたのかが分からないので。
○機構 審査報告書の試験概略においては、基本的に申請者の考察を記載しており、またその考察がこちらとして明らかにおかしいものでなければ、そのように記載しております。
 一方で主語が分かりにくいということで、例えば毒性試験などでは無毒性量の判断として、主語として申請者がそう判断したと明確に記載している部分もありますので、その辺りの記載に関しては、今後もできるかぎり分かりやすいようにしたいと考えております。
○松木部会長代理 申請者がそのように考えて、機構に対して説明し、それに対して特に機構としては異存はない、という表現ということですか。
○機構 はい、そうです。
○松木部会長代理 主語が分かるようにしておいてもらえばと思います。
○機構 了解しました。
○松井部会長 ほかにはいかがでしょうか。特にありませんか。それでは質疑は以上として、議決に入ります。小川委員、林委員、平石委員におかれましては利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただきます。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議ありませんか。
それでは異議なしと認めます。承認を可として薬事分科会に報告いたします。
それでは議題6に移ります。恐れ入りますが、小川委員におかれましては、議題6の審議の間、別室で御待機いただきたいと思います。
               — 小川委員退室 —
○松井部会長 それでは議題6について、機構より説明をお願いします。
○機構 審議事項議題6、資料6-1及び資料6-2「医薬品アンカロン注150の製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、医薬品医療機器総合機構より御説明します。
資料6-1、審査報告書5ページです。本剤の有効成分のアミオダロン塩酸塩はカリウムチャネル抑制作用をはじめ、ナトリウム及びカルシウムチャネル抑制作用並びにβ受容体遮断作用を併せ持つ既承認の抗不整脈薬であり、Vaughan Williams分類のIII群に分類されています。本邦では2007年に「生命に危険のある下記の不整脈で難治性かつ緊急を要する場合、心室細動、血行動態不安定な心室頻拍」を効能・効果として承認されております。今般、サノフィ株式会社から「電気的除細動抵抗性の心室細動あるいは無脈性心室頻拍による心停止」の効能・効果を追加する、医薬品製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。本申請は「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」により再審査期間中であることから、公知申請には該当しないものの、新たな臨床試験を実施することなく、既存の情報を用いて申請することが適切と判断されたことに基づく申請です。本品目の審査に関して、専門委員として資料14に記載の委員が指名されました。
 審査の概略について御説明します。海外では院外心停止患者を対象としたARREST試験とALIVE試験が実施されています。審査報告書8ページ、ARREST試験では心室細動または無脈性心室頻拍による院外心停止で3回以上の電気的除細動後に蘇生しなかった患者を対象に、本薬300ミリグラムまたはプラセボを投与しました。有効性の主要評価項目とされた自発循環による生存入院率は本薬群で44%、プラセボ群で34%でした。
 続いて審査報告書9ページ、ALIVE試験では心室細動による院外停止で電気的除細動抵抗性を示す患者を対象に、本薬5ミリグラム/キログラム、またはリドカイン1.5ミリグラム/キログラムを投与しました。有効性の主要評価項目1とされた生存入院率は本薬群で22.8%、リドカイン群で12.0%でした。以上のように、いずれの試験においても心肺蘇生に対する本薬の有効性が示されております。
 続いて審査報告書13ページ、こちらにはイギリス及びフランスにおける本剤の効能・効果及び用法・用量を記載しております。イギリス及びフランスではARREST試験及びALIVE試験を検討用法・用量に基づき、300ミリグラムまたは5ミリグラム/キログラムを急速静脈内投与し、心室細動が継続する場合には、150ミリグラムまたは2.5ミリグラム/キログラムを追加投与する用法・用量が承認されております。
 審査報告書17ページ表1、こちらには国内臨床報告における各薬剤の投与量と有効性を示しています。本薬の成績は各報告のAMDと記載されている行です。本薬の用法・用量について、国内臨床報告で検討された症例数は少ないものの、約70%の症例が300ミリグラムの急速静注もしくは300ミリグラムの急速静注に150ミリグラムの追加投与、約10%の症例が5ミリグラム/キログラムと多くの症例で海外の承認用法・用量と同様のものでした。
 また、有効性についても症例数が少なく、厳密な評価はできませんが、除細動成功率、自己心拍再開率、生存退院率、社会復帰率といった各評価項目についていずれの報告においても対照とした実薬と比較して同等もしくは高い傾向が示されており、海外臨床試験の成績と齟齬がない成績だったと考えました。
 以上より、既承認効能・効果では海外の承認用法・用量に比べ、本邦ではやや低い用量となっておりますが、本申請内容では本邦の臨床現場でも海外と同様の用法・用量で使用されている実態があり、当該用法・用量により日本人患者でも心肺蘇生時の有効性が期待できると考えました。これらのことを踏まえ、救命目的の際には、まずは安全性よりも十分な有効性が得られることが重視される状況であることも考慮し、海外と同様の用法・用量とすることが適切と判断いたしました。
 以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。本剤の再審査期間は残余期間とすることが適当であると判断しております。また薬事分科会で報告を予定しております。
 続いて毒薬または劇薬の指定の要否について御説明します。アンカロン注150はこれまで御説明のとおり、電気的除細動抵抗性の難治性心室頻拍・心室細動、それらに伴う心停止といった緊急時に使用する薬剤です。本剤は毒薬に指定されており、貯蔵の際に鍵をかけることなどが定められていますが、緊急時にこのような管理上の問題から使用が遅れる懸念があるとして、日本循環器学会より本剤の毒薬指定解除の要望が提出されております。現在、アンカロン注150は薬事法施行規則において原体及びその製剤が毒薬に指定されております。しかし、資料6-2の中程、「2.毒薬・劇薬への該当性について」にあるように、アンカロン注の静脈内投与時の概略の致死量を現在用いられている毒薬劇薬指定基準で評価した場合、アンカロン注150は毒薬に該当せず、劇薬と判断されます。
 以上から、本剤については緊急時に使用され、使用される施設及び医師も限定されることが添付文書の警告上に記載されていることも踏まえ、毒薬の指定を解除し、劇薬に指定することが適切であると考えております。以上、御審議のほどよろしくお願いいたします。
○松井部会長 二つ審議事項があるわけです。まず、一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について議論したいと思います。何か御意見、御質問はございますか。よろしいですか。それでは毒薬または劇薬の指定の要否について、松木先生、御意見、御質問ございますか。
○松木部会長代理 緊急性を要するときに使用するということですので、毒薬の指定解除で構わないと思います。
○松井部会長 この点についていかがでしょうか。山田委員、いかがでしょうか。
○山田委員 今の使用量を考えると、劇薬指定で構わないという御説明だったと思いますが、緊急性も考慮するとそのような指定のあり方が適切かと思います。
○松井部会長 ほかに御意見ございませんでしょうか。前半部分についてでも結構です。よろしいですか。特段の御意見がなければ議決に入ります。いかがですか。それでは平石委員におかれましては利益相反に関する申出に基づき、議決を御遠慮いただきます。そのほかの先生方、本議題について承認を可としてよろしいですか。
御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告といたします。それでは別室で御待機されている小川委員と野田委員にお入りいただいてください。
            — 小川委員、野田委員入室 —
○松井部会長 それでは議題7に移ります。機構から概要を御説明ください。
○機構 それでは審議事項議題7、資料7「医薬品ヒュミラ皮下注40ミリグラムシリンジ0.8mLの製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」、医薬品医療機器総合機構より御説明申し上げます。
 ベーチェット病は口腔粘膜アフタ性潰瘍、皮膚症状、眼症状及び外陰部潰瘍を主症状とし、急性炎症を繰り返しながら慢性的な経過をたどる原因不明の全身性の炎症性疾患です。ベーチェット病の症状のうち、回盲部潰瘍に代表される消化器病変が前面に立つものが腸管型ベーチェット病とされ、腹痛、腹部不快感、下痢等の消化器症状が出現します。なお、本邦ではこれまでに腸管型ベーチェット病の適応を有する薬剤はありません。
 アダリムマブ(遺伝子組換え)(以下、本薬)はヒト型の抗TNFα抗体製剤であり、既に本邦で関節リウマチ及びクローン病に対する効能・効果で承認されています。
 申請者はベーチェット病友の会からの早期治験実施の要望書等を踏まえ、腸管型ベーチェット病患者を対象とした国内臨床試験を実施し、今般腸管型ベーチェット病患者に対する本薬の有効性及び安全性が確認されたと考え、承認申請に至りました。
 なお、海外においては、本薬は関節リウマチ等に対し2013年3月現在、海外84か国で承認されておりますが、腸管型ベーチェット病の適応を有している国はありません。本品目の専門協議では、本日の配付資料14に示します専門委員が指名されています。
 以下、本薬の有効性、安全性について臨床試験成績を中心に御説明させていただきます。主な臨床試験成績としては、国内第III相試験が提出されております。
 有効性に関してですが、報告書10ページを御確認ください。主要評価項目である投与24週時の時点で消化器症状の総合評価及び内視鏡所見改善度がいずれも1以下となった患者の割合は45%であり、事前に設定した有効性判定基準である25%を上回ったことから、腸管型ベーチェット病に対する本薬の有効性は期待できると考えました。
 安全性に関してですが、同じく報告書10ページ、有効性の下の段を御確認ください。国内第III相試験では全例に有害事象が認められたものの、多くは軽度、または中等度でした。また、本邦における既承認の他疾患との有害事象発現率の比較については、報告書16ページの表9を御覧ください。本薬の既承認の疾患における臨床成績と比較しても、腸管型ベーチェット病患者で特異な事象及び発現傾向は認められませんでした。以上より、腸管型ベーチェット病に対する本薬の使用に際しては、既承認の効能・効果に対して行われている安全対策と同様の対策を講じることにより忍容可能であると考えました。ただし、腸管型ベーチェット病患者に対する投与経験は現時点で限られていること等から、製造販売後には本薬が投与された全症例を対象として、1年以上の長期にわたる製造販売後調査を実施し、有効性及び安全性等について確認することが必要と考えました。
 以上のような機構での審査の結果、本薬の既存治療で効果不十分な腸管型ベーチェット病患者に対する有効性は期待でき、必要な安全対策を講じることで安全性は許容可能と考えられることから、全症例を対象とした製造販売後調査に係る承認条件を付した上で承認して差し支えないと判断し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。
 なお、本薬は新効能・新用量医薬品に該当することから、再審査期間は4年とすることが適当であると判断しています。薬事分科会では報告を予定しています。御審議のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○松井部会長 ありがとうございます。委員の先生方から御質疑をお願いいたします、いかがでしょうか。腸管型ベーチェット病の効能・効果を追加するものです。
○平石委員 審査報告書の13ページ(2)「主要評価項目の結果について」という段落ですが、国内第III相試験において有効性を事前に規定した25%で判断したということです。この25%設定の根拠がその下の段落に書いてありますけれども、この基準は類薬である、例えばレミケードとかいった薬剤にも同じように使われていると理解してよろしいでしょうか。
○機構 機構より回答させていただきます。レミケードの方でどのような基準が設定されているかまでは確認していないのですが、今回のこの25%の設定に際しては医学専門家の先生と御相談した際に、レミケードの臨床試験成績等も勘案して設定したとは聞いております。
○松井部会長 平石委員、これは妥当な数字だとお考えですか。
○平石委員 ここに示してある「根拠に基づいて」ということですので、妥当だとは思われます。ほかの類薬との整合性を図るという意味では重要な点かと思って質問いたしました。
○松井部会長 ありがとうございました、ほかにはいかがでしょうか。
○林委員 細かな点で恐縮なのですが、11ページの1)の1.「今回比較対照を置かない研究をした」という所の7行目、「対照群の設定は困難であり」とあります。これはやはり「非比較の試験若しくは非対照の試験デザインを取るとすることとした」ということだと思うので、必ずしも盲検をかけたかどうかではないかと思います。非常に細かな所で恐縮ですが、先ほど研究のデザインの話が出てきたので発言いたしました。恐らく、まず対照群を置くか置かないかというように研究デザインが決まって、対照群を置くのであれば、先ほど御質問が出たようにランダムに割り付けるか割り付かないか、という話になる。ランダムに割り付けるのだったら、中身を知らせないような形の盲検にするかしないかというようにDepsが変わっていくと思います。多分、ここは単に対照群を置かないという意味での記述だと思いますので、細かなことで恐縮です。
○松井部会長 そうすると、これは変えた方がいいということですか。
○林委員 非盲検試験ではなくて、多分非対照の試験ということだと思います。細かなことで申し訳ありません。
○機構 先生がおっしゃるとおりですので、以後、報告書作成の際には気を付けたいと思います。どうもありがとうございました。
○松井部会長 ほかにはいかがですか。
○平石委員 まず、腸管型ベーチェット病に対する薬剤は、資料15の7ページの最下段にありますように、本邦では腸管型ベーチェット病の診療においてという意味で、「効能・効果を有する薬剤はない」という非常に重要で深刻な状況にあります。これが一つです。
 次に、腸管型ベーチェット病ではクローン病に病態が類似しているであろうという考えからステロイドやサラゾピリン、メサラジンといった5-ASA製剤、最近では抗TNFα抗体などが経験的に用いられている状況です。日本では保険適用の問題があって、実際にはこういった薬は使えないというのが現状であります。今回、「ベーチェット病友の会」という患者さんの集まりから、国内第III相試験の実施を要請され、その結果、本薬の有効性が示されています。さらに本症に対する有効な治療選択が極めて少ないこと及びベネフィットを考慮すると、安全性も許容範囲であると思います。
 もう一点、臨床試験での症例数は非常に少ないのですが、これはベーチェット病自体が希少疾患であることから止むを得ない背景もあり、製造販売後調査が実施される予定であると聞いていますので了承可能であると判断いたしました。以上です。
○松井部会長 コメントということでよろしいですか、ほかにございませんか。それでは、議決に入ってよろしいですか。この議題に関しては林委員、平石委員におかれましては利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただきます。本議題につきまして承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告いたします。
 議題8に移ります。議題8について事務局から概要を御説明ください。
○事務局 審議事項議題8、資料8「ozanezumabを希少疾病用医薬品として指定することの可否」について事務局より御説明いたします。資料8の「事前評価報告書」を基に御説明します。
 申請者はグラクソ・スミスクライン株式会社です。希少疾病用医薬品の指定要件の対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性の3点について順に説明いたします。まず、本剤で予定されている効能・効果は「筋萎縮性側索硬化症」となっています。1ページの下方において、本邦における筋萎縮性側索硬化症(ALS)の発病率は人口10万人当たり0.4~1.9で、日本の総人口1億2,805万人から推計される本邦のALS患者数は約2,500~9,000人となります。また、特定疾病医療受給者交付件数は、平成22年度は8,406人、平成21年度は8,492人等と報告されていることから指定要件の「5万人未満」を満たすと考えられます。
 次に医療上の必要性について、ALSは上位及び下位運動ニューロンの段階的な障害及び進行性の変性・消失を特徴とし、重度の神経学的障害を来し、最終的には死に至る重篤な神経疾患とされています。
 ALSの治療、病勢進展の抑制に対し、医薬品リルゾールが承認されていますが、国内第III相二重盲検試験において主要評価項目である一定の病勢進展、または死亡までの期間についてプラセボに対する本剤の有効性は検証されておらず、新たな治療法が望まれており、本剤の医療上の必要性があると考えられます。
 最後に開発の可能性ですが、欧米において実施された患者を対象とした第I相試験が実施され、ALSの機能評価尺度等に改善傾向が見られていること、また、国際共同II相試験等が開始され、その後第III相試験の実施も予定されていることから、本剤の開発の可能性はあると考えられます。これらのことから、希少疾病用医薬品の指定要件を満たすと考えております。以上です。
○松井部会長 ありがとうございます。先生方から御質問、御意見をいただきます。いかがでしょうか。
○加藤委員 非常に細かい点です。2ページの所、「弧発性」という言葉が2回出てきますが「弧」が間違っていると思います。「孤独」の「孤」です。2ページの「2.医療上の必要性について」、上から6行目ぐらいと10行目ぐらいです。
○事務局 次回以降、訂正させていただきます。
○松井部会長 お願いします。
○加藤委員 すみません、細かいことで。
○松井部会長 ほかにありますか。
○村田委員 希少性疾患であることに全く問題はないので、是非進めていただきたいと思っています。
○松井部会長 ありがとうございます。ほかにございませんでしょうか。それでは、議決に入ります。野田委員、平石委員、松木委員、本橋委員におかれましては利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮ください。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。
本議題について御異議がないものと認め、指定可とし、薬事分科会に報告いたします。
 報告事項に移ります。事務局、お願いします。
○事務局 報告事項議題1、資料9-1~9-3「医療用医薬品の再審査結果について(ピロカルピン塩酸塩:頭頸部の放射線治療に伴う口腔乾燥症状の改善)、(ピロカルピン塩酸塩:シェーグレン症候群患者の口腔乾燥症状の改善)、(メチルフェニデート塩酸塩)」、まとめて報告いたします。資料は9-1~9-3で、これらはいずれも「医薬品再審査確認等結果通知書」です。
 資料9-1~9-2は、一般的名称は「ピロカルピン塩酸塩」、販売名は「サラジェン錠5ミリグラム」です。資料9-3は一般的名称は「メチルフェニデート塩酸塩」、販売名は「コンサータ錠18ミリグラム、同錠27ミリグラム」でございます。
 これらの品目につきまして、製造販売後の使用成績調査、特定使用成績調査等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、薬事法第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はないカテゴリー1と判定したものです。議題1に関し、説明は以上です。
○松井部会長 伺っていいですか、資料9-1と9-2はどういう関係になりますか。
○事務局 資料9-1の方でございますが、まずこちらの方の再審査の対象疾患は資料9-1の1ページの上の枠内、「1.頭頸部の放射線治療に伴う口腔乾燥症状の改善が対象」となっております。
 続きまして資料9-2ですが、1ページの上、2.「シェーグレン症候群患者の口腔乾燥症状の改善」が再審査の対象となっております。そのため資料が分けられております。
○松井部会長 ありがとうございます。
○事務局 続きまして、報告事項2もまとめて説明させていただきます。
○松井部会長 よろしくお願いします。
○事務局 報告事項議題2、資料10「希少疾病用医薬品の指定の取消しについて(球形吸着炭)」、御説明いたします。
 届出者は株式会社クレハ、医薬品の名称は「球形吸着炭」、販売名は「クレメジン」です。本剤は平成11年3月、クローン病における瘻孔の改善を予定される効能・効果として希少疾病用医薬品に指定されました。本剤はその後、本効能・効果について、日本及び欧米において第III相臨床試験を実施しましたが、いずれの試験からも本剤の有効性は示されませんでした。
 更に届出者は、現在の医療環境下において、抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤等の普及により、本剤の有用性が低くなったと判断し、今般、本効能・効果開発中止を正式に決定したことから希少疾病用医薬品試験研究中止届が提出されたものです。よって、本剤の本効能・効果に係る希少疾病用医薬品の指定を取り消すことといたしました。以上、御報告いたします。
○事務局 報告事項議題3、資料12「ヨウ化カリウム丸50ミリグラム『日医工』の製造販売承認事項一部変更承認について」、説明させていただきます。本剤はヨウ化カリウムを有効成分とする錠剤であり、現在、甲状腺機能亢進症を伴う甲状腺腫等の効能・効果で承認されております。
 今般、日医工株式会社において、「放射性ヨウ素による甲状腺の内部被爆の予防・低減」の効能を追加する新効能・新用量医薬品としての製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。報告事項の議題の説明は以上でございます。
○松井部会長 何か、御質問はございますか。
○本橋委員 一つ確認したいと思います。コンサータ錠のことなのですが、確か承認の時、乱用の問題も起こり得るのではないかということが話題になっていたかと思います。その点については流通経路を厚生労働省がきちんとコントロールすることで問題は起こっていないのかを確認したいと思います。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○事務局 コンサータ錠に関しましては、製造販売業者の方から定期的に流通の管理等の状況について説明を受けております。その説明に基づき、現時点で特段の問題を生じていないと判断しております。
○松井部会長 よろしいですか、ほかにございますか。
○松木部会長代理 議題3のヨウ化カリウムですが、安定ヨウ素剤はいろいろなメーカーが出しているのではないかと思います。これは日医工だけということですか。
○事務局 今般申請されましたのは日医工ということになります。
○松木部会長代理 多分、今、いろいろな自治体が備蓄でいろいろなメーカーの物をそろえていると思うのですが、その中で日医工だけを承認するということですか。
○事務局 丸剤としては日医工、ヨウ化カリウム丸としては日医工株式会社しかお持ちでないということです。
○松木部会長代理 そうですか、なるほど。緊急性・公共性が高い医薬品です。それから、データが十分ないのですが、用量が高ければ高いほど多分効果があるはずです。欧米人に比べると、日本人は海産物を食べているせいか、ヨウ素剤に対しての耐性が強いと言われています。ですから、必ずしもこの50ミリ、100ミリにこだわる必要はないのではないかと思いました。ただ、これは感想です。
○松井部会長 ほかにございますか。それでは、ただ今の報告につきましては御承知いただいたということにいたします。その他についてはいかがでしょうか。
○事務局 その他議題1、資料11「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において公知申請を行うことが適当と判断された適応外薬の事前評価について」御説明いたします。
 まず、ヨード化ケシ油脂肪酸エチルエステルについて、シアノアクリレート剤であるヒストアクリルを用いた胃静脈瘤の治療における調製用剤としての効能を追加する公知申請への該当性について、検討会議での検討結果を御説明いたします。
1ページを御覧ください。日本消化器内視鏡学会及び日本インターベンショナルラジオロジー学会より、ヒストアクリルの重合時間の調節と注入部位の可視化のため、本剤の効能・効果にヒストアクリルを用いた胃静脈瘤の治療における調製用剤としての使用を追加する要望が出されております。
 本剤は現在、リンパ系及び子宮卵管の油性造影剤として承認されています。また、ヒストアクリルは平成25年4月12日に胃静脈瘤の内視鏡的血管塞栓材料としての使用目的が承認されております。
 報告書の2ページから21ページに海外での承認状況や国内外の公表文献・成書等の概略をお示ししております。これらの資料より、国内外の教科書やガイドラインでヒストアクリルと本剤による胃静脈瘤の内視鏡的治療が推奨されていること、海外試験成績、国内における相当程度の使用実績が確認されております。以上より、本剤で調製したヒストアクリルを用いた胃静脈瘤の内視鏡的治療の有用性は医学薬学上、公知であると判断されました。
 安全性につきましては、22ページの(2)の第1段落に示していますように、治療時には目的とする血管以外への流入による塞栓、静脈瘤周辺組織への接触による潰瘍、穿刺針の静脈瘤との固着等に留意する必要があると考えられました。
 一方、その下の第2段落に記載していますように、胃静脈瘤以外の疾患の治療に対する本剤の臨床使用実態に対して調査がなされたところ、脳動静脈奇形や静脈瘤に対し、ヒストアクリルと本剤を用いた治療が行われており、そのほかに肝細胞癌に対する肝動脈化学塞栓療法において抗悪性腫瘍剤と本剤を混合して使用されている実態が確認されています。
 23ページを御覧ください。要望のありましたヒストアクリルを用いた胃静脈瘤の内視鏡的治療のほかにも、それぞれの治療法において調製用剤として本剤が使用されている実態があることから、本剤の効能・効果は医薬品または医療機器の調製、24ページ用法・用量は「適量をとり、医薬品または医療機器の調製に用いる」とすることが妥当と判断されました。
 ただし、添付文書の効能・効果に関連する使用上の注意には、本剤を用いて調製した際の有効性及び安全性が評価された医薬品または医療機器の名称を明記し、「用法・用量に関連する使用上の注意」には治療の主体となる医薬品または医療機器の添付文書を必ず確認する旨を記載することとしております。以上のような添付文書における対応の下、本用法の内容については本邦において医学薬学上の公知に該当すると検討会議で判断されております。
続きまして、資料29ページを御覧ください。「クロミプラミン塩酸塩に『ナルコレプシーに伴う情動脱力発作』の適応を追加する要望に係る報告書」について御説明します。
 30ページを御覧ください。「3.欧米4か国の承認状況等について」に記載しておりますが、英国及びドイツでナルコレプシーに伴う情動脱力発作に関連した効能・効果について承認されており、それぞれの承認用量は10~75ミリグラム/日、25~75ミリグラム/日となっております。
 38ページから5.(1)の項で要望内容に係る無作為化比較試験の結果等がまとめられています。海外において様々な用量で投与した結果が報告されていますが、10~200ミリグラム/日の用量範囲で情動脱力発作の消失及び改善が報告されています。
 42ページの下段から日本国内の状況がまとめられています。日本国内においては臨床試験成績が報告されていませんでしたが、症例報告等の公表文献において、ナルコレプシーに伴う情動脱力発作に対してクロミプラミンが使用されていることが報告されています。
 44ページから国内外の教科書、ガイドライン等の記載がまとめられています。ナルコレプシーに伴う情動脱力発作に対する標準的な治療法の一つとして、10~200ミリグラム/日の用量範囲で記載されています。また、47ページ、一番下から日本睡眠学会により行われた使用実態調査の結果が記載されています。国内では主に10~75ミリグラム/日の用量範囲で使用されていることが確認されました。
 以上を踏まえまして、50ページから要望内容に関する有効性と安全性について検討を行った結果がまとめられています。海外での承認状況、国内外の教科書・ガイドライン等に標準的な治療法として記載されていること、国内での使用状況、既に知られている副作用を除き日本人においてクロミプラミンをナルコレプシーに伴う情動脱力発作に用いた場合、特に安全性上の問題は認められないと考えられることなどから、ナルコレプシーに伴う情動脱力発作に対してクロミプラミンを投与した時の有効性・安全性は医学薬学上公知であると判断されました。
 52ページの効能・効果につきましては要望どおり、「ナルコレプシーに伴う情動脱力発作」とすることが妥当と判断されています。また、用法・用量につきましては英国及びドイツで承認されている最大用量はいずれも75ミリグラム/日であること、国内ガイドラインでの推奨用量や使用実態調査の結果等を踏まえ、「通常、成人にはクロミプラミン塩酸塩として1日10~75ミリグラムを1日1~3回に分割投与する」ことが妥当とされました。説明は以上です。
○松井部会長 ありがとうございました。ただ今の御説明に対し、御質問その他はありますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、御確認いただいたものといたします。
 以上をもちまして議題は終了いたしました。事務局からそのほかに何か、お知らせはありますか。
○事務局 次回の部会ですが、5月24日(金)、午後3時から開催させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 これにて閉会します。どうもありがとうございました。


(了)

備考
 本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 審査管理課 課長補佐 益山(内線2746)

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