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2013年10月16日 中央社会保険医療協議会  保険医療材料専門部会(第60回) 議事録

○日時

平成25年10月16日(水)9:54~11:02


○場所

於 厚生労働省専用第15・16会議室(12階)


○出席者

印南一路部会長 関原健夫委員 森田朗委員 野口晴子委員
白川修二委員 花井圭子委員 石山惠司委員 伊藤文郎委員
嘉山孝正委員 鈴木邦彦委員 堀憲郎委員 三浦洋嗣委員
森清一専門委員 昌子久仁子専門委員 田村誠専門委員
<業界団体>
日本医療機器産業連合会 中尾浩治氏 水谷利栄氏 岩田貴氏 宮野淳氏 池谷保彦氏
米国医療機器・IVD工業会 島田隆氏 諸岡健雄氏
先進医療技術工業会 フィルエイグレス氏
欧州ビジネス協会 杉山純男氏 西牟田実代氏
<事務局>
木倉保険局長 神田審議官 宇都宮医療課長 佐々木医療課企画官
竹林保険医療企画調査室長 近澤薬剤管理官 田口歯科医療管理官 他

○議題

○ 医療機器業界からの意見聴取について

○議事

○印南部会長

 ただいまより、第60回「保険医療材料専門部会」を開催いたします。

 まず、委員の出欠状況について御報告します。

 本日は、嘉山委員が欠席です。

 関原委員及び野口委員は、遅れて出席すると聞いております。お二人を入れなくても定足数は満たしているそうなので、この会議は成立するということを確認します。

 また、医療機器業界からの意見聴取に関しまして、日本医療機器産業連合会から中尾浩治さん、水谷利栄さん、岩田貴さん、宮野淳さん、池谷保彦さん。

 米国医療機器・IVD工業会から島田隆さん、諸岡健雄さん。

 先進医療技術工業会からフィルエイグレスさん。

 欧州ビジネス協会医療機器委員会から杉山純男さん、西牟田実代さんに御出席いただいております。

 それでは「医療機器業界からの意見聴取について」を議題としたいと思いますので、御説明をお願いします。

 なお、質疑、意見交換については、一通りの御説明をいただいた後、まとめて行うこととさせていただきます。

 それでは、30分以内で、よろしくお願いします。

○日本医療機器産業連合会(中尾)

 皆さん、おはようございます。日本医療機器産業連合会、医機連と申しますけれども、中尾のほうから少しお話をしたいと思います。

 前回は、5月15日に意見陳述がありましたが、今回もこのような意見陳述の機会を頂戴し、まことにありがとうございます。

 意見としては、機器、材料、流通と3つの部分に分けて意見を述べたいと考えます。

 時間の関係もありますので、早速資料に基づいて話を進めたいと思いますが、スライドの3ページ、4ページについて、少し私のほうから全体観ということで、お話をしてみたいと考えます。

 資料の3は、全体の国民医療費に対して、医療機器は、どんな関係であったかというのが、このグラフでございまして、05年から10年、もう少し最近の数字が、若干まだ固まっていないということで、この5年間をとりましたけれども、全体、この期間ですと、国民医療費が2.5%の伸びに対して、医療機器は1.9%ということで、医療機器も全体の国民医療に対して、それ相応の貢献をしているということが、この数字からうかがえるというふうに考えます。

 次に、スライドの4ですが、前回たしかイノベーションとは何かという御質問がありました。これは、なかなか、ある意味では定義の難しい話なのですが、少し具体論として、誰がどう考えても、これはイノベーションだろうということで、左の下にちょっと写真をつけていますが、例えば、心臓の冠動脈の疾患、心筋梗塞等々の疾患になるわけですが、今までであれば、と言いますか、今でもあるのですけれども、過去は100%、いわゆる胸を開けて開胸手術ですね。バイパスをやるということです。

 ところが、今は、この開胸手術よりもマジョリティーは、インタベンションということで、カテーテルを使った治療が主になっています。それも、以前であれば、足のつけ根から動脈を穿刺してやっていたのですが、今は、手首の動脈からアクセスしてやるということなのですね。

 物すごく簡単に言いますと、開胸手術であると、全身麻酔をして、ストレッチャーに乗っかって入って出てくる。それで、なおかつ2週間から、長い場合は1カ月ぐらいの入院ということになるのですが、このインタベーションでカテーテルの治療をやりますと、それこそ全麻ではなくて、局所麻酔、その局所麻酔も針を刺すところだけなのです。

 ですから、日本もそうですし、海外もそうなのですけれども、ほとんど車椅子で入って、車椅子で意識も覚醒したままで出てきて、痛みかゼロとは言いませんけれども、ほとんど痛みがなくて、欧米では本当に日帰りの治療が一般になっています。日本では、多分2、3泊するのでしょうかね。ということで、これはひとつ、イノベーションだろうと思っています。

 もう一つ、細かい話なのですけれども、私はこの業界の仕事に携わって、まだ短いのですが、言葉でちょっと違和感を持ったのは、この材料という言葉ですね。確かに、昔は材料的な面が非常に強かったと思うのですが、今、治療機器は、我々はディバイスと呼んでいますけれども、これなしでは治療はできません。単純な道具ではなくて、今、ディバイスは治療そのものなのです。

 ここにちょっと書いていますけれども、医療機器というのは、車で、その運転をお医者さんがする。ですから、この車がなかったら運転できないというのが今のあれなので、そういうことについて、材料という言葉は、本当に適切なのかなというのは、私は新参者として、ちょっとそんな印象を持っています。

 さて、具体的に、これから機器、材料、流通について話を進めていきたいと思います。

 まず、材料のほうからよろしくお願いします。

○日本医療機器産業連合会(水谷)

 日本医療機器産業連合会の材料保険委員長の水谷でございます。

 最初に、前回提案させていただきました機能区分内複数価格帯制度に関しまして、次に次回改定における業界からのイノベーションの評価に関しまして、さらに前回示されました専門組織の意見書に対する意見に対して、また、最後に外国価格調整についての順番で説明させていただきます。

 なお、詳細につきましては、別添の資料を参照ください。

 5ページをご覧ください。現状の機能区分制度下のB区分申請では、保険収載までの期間が短くなるなどのメリットがありますが、同一機能区分内に市場からの評価が異なる製品が混在しております。そのため、ビジネスの予見性及び持続可能性が低くなっており、結果として機器のさらなる改良改善への継続的な再投資が困難となってきています。

 また、市場競争のあり方と、医療財政の観点から製品の性能や質の違いによる本来あるべき市場での競争のあり方をゆがめる場合もあり、早急な制度改善が必要であると考えています。

 6ページをご覧ください、市場からの評価に差がある製品が、同一機能区分内に混在している場合、実勢価格帯に応じた複数の償還価格を設定することにより、ビジネスの予見性が高まり、もってイノベーション創出に向けた企業の開発投資力が促進されます。

 さらに、より実勢価格に応じた償還価格が設定されることにより、医療費がより適正化されるものと考えています。

 現行制度と提案制度の比較をお示しいたします。仮に償還価格X円の機能区分のもとに、4つの異なる材料、PQRSが存在し、2年に1回の償還価格改定のときに、2つの償還価格帯に分離する場合です。

 例えば、P及びQについて、これら両者の実勢価格から償還価格XI)円、また、R及びSについても同様に償還価格XII)円になります。実勢価格に応じた償還価格を設定するという現行制度の基本的な考え方を軸としつつ、実勢価格帯に基づき、同一機能区分内に複数の償還価格を設定する形に改めることにより、前述の目的を達成できるものと考えています。

 実勢価格帯に応じた複数の償還価格を設定する際の考え方について、7ページに図で示しました。

 これは、先のケースと同様、縦軸に販売数量、横軸に実勢価格で示しましたPQRSの分布です。改定時における実勢価格に応じた複数償還価格帯制度を設定する方法を模式的に示したものです。

 現行制度と比較すると、より付加価値の高い製品が含まれる価格帯については、開発への再投資に資する償還価格となり、もう一方の価格帯については、より実勢価格に見合った償還価格となります。

 8ページに制度設計の具体的な手順をお示しいたします。

 機能区分内複数価格帯制度は、現行制度の範囲内での改定手続に言及した制度です。さらに全ての機能区分を対象とするのではなく、実勢価格の分布が、この制度になじむ機能区分を対象とします。

 前回、委員の方からデータがないと検討できないとの御指摘もございました。不十分かもしれませんが、可能性を検証するため、調査をいたしましたので、後ほどお示しいたします。

 次に、具体的な手順を説明いたします。

 国内実勢価格調査の結果に基づきまして、各製品の加重平均値をそれぞれ求めます。今までどおり、機能区分内全体の加重平均値を求めます。この全体の加重平均値に4%を加えたものが新償還価格となります。全製品の新償還価格と旧償還価格から乖離率が決まります。乖離率の2倍のところを基準にして、実勢価格帯XI)とXII)に分けます。

 9ページをご覧ください、機能区分の実態を業界で調査いたしました。機能区分制度の実態に関しましては、平成23年度の国内実勢価格調査用製品リストより、各機能区分への参入会社数をグラフにしたのが右の図です。

 縦軸は機能区分数、横軸が参入会社数になります。768機能区分のうち5社以上参入している機能区分は、赤丸の部分、255機能区分ありました。

 複数価格帯制度の具体的な調査のため、例えば次のような条件でトライアルをしてみました。

 前回の改定時の下げ率が10%以上、参入会社数が5社以上、新償還価格の単価が5,000円以上、この条件でサンプリングした20区分に関しまして、医器販協の150社の協力により、第三者機関を通じまして調査した結果、本制度の対象になりそうなケースが2例ございました。

10ページは、最初のケースです。機能区分Xは、全体の加重平均値85%、2倍ですと70%のところが境界になります。

 この場合、A社とB社の加重平均値が実勢価格帯XII)となります。

11ページが、次のケースです。機能区分Yの場合、同様に全体の加重平均値は78%、境界は56%になり、A社の加重平均値が価格帯XII)になります。

 今回は、限られた時間での業界による調査のため、調査内容も各社単位となり、十分ではありませんでしたが、我々が提案します材料銘柄による複数価格帯制度の対象となる機能区分があることが示せたかと思います。

 次回改定には、本制度の試行を行い、価格帯を分けた結果、適正な競争が保たれ、イノベーションに対する効果があるのか検証をお願いしたいと思います。

12ページをご覧ください、安全性に係る費用の評価についてです。

 原価計算方式の場合は、保険適用希望書提出時に、市販後調査の費用、新製品の導入研修、教育等の費用を含めて、償還価格の申請ができるようになりました。

 しかし、類似機能区分比較方式の場合は算定できません。類似機能区分比較方式であっても、このような評価を受けられる仕組みをお願いいたします。

13ページをご覧ください、次も類似機能区分比較方式についてです。新材料価格算定の場合、基準材料価格をベースに計算しております。

 医療機器の場合、複数の医療機器の機能を新しい医療機器で兼ねることにより、手順の簡略化、低浸襲化などの効果が期待できます。

 このような既存の機能を複数兼ね備えた医療機器または同一の機能区分に属する複数の機器を使用する必要のあった治療が1台で可能となる医療機器などの新償還価格算定方法について検討していただきたいと思います。

14ページをご覧ください、9月25日の中医協で、イノベーションの評価について、保険医療材料専門組織から幅広く取り上げていただき、感謝しております。

 業界の意見は、詳細を別添に記載しておりますので、ここではポイントについて述べさせていただきます。

 専門組織意見書、2.1)です。前回導入していただきました迅速な保険導入評価について、昨年スタートした本制度により、今日まで5製品が評価されました。本制度の効果検証のためにも制度の継続を要望いたします。

15ページをご覧ください、業界といたしましては、賛成いたします。また、一定の間に関しましては、3回の改定を経るまで維持することを希望いたします。次回の改定では、この条件に該当する既存の機能区分に対しましても、適応をお願いしたいと思います。

16ページをご覧ください、前回、中医協委員から出ました質問です。有用性加算、改良加算等の項目の明確化、見直しにより、改定ごとに新規の区分Cの保険収載は増加してきております。平成24年、25年に関しましては、年度は終わっていませんが、既に昨年より多くなってきております。

○米国医療機器IVD工業会(諸岡)

 では、引き続きまして、AMDD諸岡より、外国価格調整について御説明を申し上げます。

18ページ、医療材料の提供にかかる内外コスト差について、前回の意見陳述の際に御質問をいただいたところでございます。

 歴史的には、薬事、流通、在庫管理、情報提供その他、医療機器を提供するコストの違いが価格に反映されてきたという経緯がございます。

 この図をごらんください。左側は、日本と欧州の心臓血管の医療機器についてのコストの相違をお示ししたものでございます。右側については、同じく日本と欧州での整形外科系の医療機器の提供コストの比較をしたものでございます。

 この棒グラフの上から御説明申し上げますと、この紫色の濃い色に染まっておりますところが、在庫関係費でございまして、日本と欧州で非常に大きな差がございます。

 また、うぐいす色になってございます、製品及び適正使用情報提供・営業費、また、緑色になってございます、治験・薬事・品質管理費、こういったところに非常に大きなコストの差があり、それが歴史的には、価格の違いとして反映されてきたという経緯でございます。

 より具体的に御説明をいたしますけれども、例えば製品及び適正使用情報提供・営業費の差について、その一部を構成すると思われますのが、19ページにございますとおり、日本と欧州における症例の集約の度合いの差でございます。

 ここにお示ししてございますのは、PTCAバルーン、それからベアメタルステントを使用しております症例の医療機関ごとの症例数を割合としてお示ししたものでございまして、例えば、日本、一番上の横棒におきましては、年間200症例以下の症例を診療していらっしゃる医療機関が約6割を占めてございます。

 その一方で、欧州各国におきましては、例えば、一番右側、赤い色でお示ししたところでございますけれども、年間801症例以上を診療している医療機関が非常に大きな割合を占めるということでございますので、欧州と日本において症例の集約の度合いが非常に大きく違うということでございまして、これが最終的には製品の適正使用、情報提供等のコストに反映されてきているものと考えてございます。

20ページ、いわゆる内外価格差が問題であるとされてきた機器に関しても、その内外価格差自体は解消する方向に向かっております。

 ここにお示ししておりますのは、PTCAカテーテル、それから2種類のペースメーカーにつきまして、2001年から2012年までの間に保険償還価格がどのように推移してきたかというのを示してございます。いずれも大幅に償還価格が低下しているということが示されております。

21ページ、一方で新しい医療機器に関しましても、いわゆる内外価格差は既に解消の方向に向かっております。ここにお示ししてございますのは、C1/C2決定価格と外国平均価格の比率の分布と平均を改定サイクルごとに分けてお示ししたものでございます。

 平成22年から23年度あるいは24年度から25年度にかけてのC1/C2決定価格の外国平均価格比は、既に1.0を下回った状態で推移をしております。

22ページ、再算定制度の全般的な問題点について、これまでの御説明を受けて、ここにまとめてございます。3点ございます。

 再算定制度は、我が国において、医療機器の市場性の予測可能性を著しく損ねていると捉えております。

 また、再算定制度は、国内で発生するコストの変化と関係のない外国為替と連動しており、とりわけ過去2回の改定においては、急激な円高と相まって国内医療機器産業に対する大きな打撃となりました。

 さらに、毎年の外国価格調査への協力にあたっての私どもの負担は、非常に大きいものでございます。

 こうした状況を踏まえまして、23ページに、材料専門組織からの意見に対する私どもの考え方を2点述べさせていただきます。

 1点目は、いわゆる外れ値を除外すべく提案されている方法についてでございますけれども、最高価格が除外されることになるか否かの予測が極めて困難だと考えております。

 また、除外された場合の償還価格の下落幅の大きさと相まって、償還価格の予見可能性を一層損なうことになると思いますので、適用には反対をしているところでございます。

 また、既収載品の再算定における価格上限の変更につきましては、中医協におけるこれまでの倍率引き下げの議論を否定するものではございませんけれども、その一方で、急激、大幅かつ予測不能な価格切り下げが事業に与える悪影響に鑑みて、導入の時期及び倍率の変更等について、特段の御配慮をいただきたくよろしくお願いいたします。

 最後に25ページでございますけれども、同じく材料専門組織からの意見の中に、後発医療機器として承認を得た製品について、A1A2及びB区分で申請することを基本とするという御提案がございました。

 これにつきましては、薬事法の改正を控えてございますので、審査区分及び申請区分を含めた制度の見直しが行われる可能性があるということから、改正後にまた改めて御検討いただければと考えております。

 では、ここで先進医療技術工業会のフィルエイグレスより一言コメント申し上げます。

○先進医療技術工業会(フィルエイグレス)

 私、米国医療技術工業会、AdvaMedのフィルエイグレスと申します。

 保険医療材料専門部会委員長、印南先生、産業界の意見を共有させていただく機会を賜りまして、まことにありがとうございます。

 今、話のありました産業界からの提案をAdvaMedとしては完全に支持する旨、確認をさせていただきます。

 特に外国価格調整制度についての提案ですが、将来のイノベーション促進のために、企業にとって予見可能性が大変重要であるということを再度強調させていただきます。

 したがって、部会、委員の先生方には、ぜひ産業界の希望する有効な緩和措置を十分御検討いただきますようお願い申し上げます。

 発言の機会をありがとうございます。

○米国医療機器・IVD工業会(島田)

 最後にAMDDの島田のほうから、概括して一言お願いを申し上げます。

 まず、この間、一連のイノベーションを評価するという観点からデバイス・ラグを縮めた場合の加算であるとか、さまざまな施策を講じていただきまして、厚く、重ねて御礼を申し上げておきたいと思います。

 こういうことが産業の活性化につながることが間違いないと思いますので、大変にありがたいことだと思っております。

 それと、基本として申し上げたいことは、今、AdvaMedのフィルエイグレスさんがお話しされたとおりですけれども、私ども業界としましては、事業あるいは市場の予見可能性ということが大変重要です。そこがはっきりしないと、なかなか事業計画が立てにくいということでございます。

 したがいまして、さまざま大きな変動があった場合の激変緩和の措置ですとか、あるいは予測可能性を高める、そういう措置を今後ともよろしくお願いしたいと思っております。

 特に為替で申し上げますと、昨今の安倍政権になりましてから、異常な円高が戻って、ようやく正常化してきたと政府も評価をしておられるようでございますので、そういう異常事態に対する対策ということで、いろいろ御配慮いただいたこと、重ねて御礼を申し上げておきたいと思いますし、これからも、将来何が起こるかわかりませんが、いろいろと御配慮をいただければありがたいと思います。

 もう一点、こういう議論をしておりまして、常々どちらかというと、財政論が先行して、国の財政の範囲内にどう収めるのかという話になりがちなのですが、同時に、今、まさしく安倍政権がおっしゃっておられますように、医療機器をもって、これから一つの産業として活性化していこうということもございます。産業を育成するという観点から、やはり非常に肝要なことは、イノベーションをどのように刺激し続けるかということが大事かと思いますので、そのような観点からいろいろと施策を今後とも継続していただければ大変にありがたいと思っております。

 以上でございます。

○日本医療機器産業連合会(岩田)

 引き続きまして、医療技術に関する提案について、日本医療機器産業連合会の機器保険委員長の岩田が述べさせていただきます。

 これにつきましては、医機連、AMDDEBC、3団体を代表して述べさせていただきます。

 まず、3ページをごらんください。

 医療機器のイノベーション評価に関する提案でございます。現行制度の問題点としまして、C2申請に関する予見性が全般的によくないと認識しております。

 幾つか問題点を挙げますと、(1)C2申請された医療技術に対し、具体的な算定点数案が示されないため、企業にとってはビジネス上の予見性が悪い。

 (2)低浸襲、合併症の減少、入院日数の削減等、改良・改善がなされた技術に対して、現状は適切に評価されていない

 (3)現行ルールでは、新規医療機器と既存の医療機器を改良・改善した医療機器がC2申請の対象となるかどうかが明確ではないといった点がございます。

 そこで提案でございますが、(1)C2申請者に対し、算定点数案を諾否可能な形で事前に提示していただきたい。

 (2)真に医療に貢献する改良改善を経た医療技術に対しては、既存の技術よりも高い評価をしていただきたい。

 (3)新規性の高い医療機器だけではなく、既存の医療機器を改良・改善した医療機器もC2申請の対象であることを通知文で明確にしていただきたい。

 この3つを提案させていただきます。

 4ページ、医療機器の安全管理についての提案でございます。医療法での機器の保守管理が義務化され、6年目を迎えております。保守点検計画等の届け出の要件化により、保守点検実施率が上がり、安全・安心確保の効果が向上している事例もありますが、依然不十分な機器もあるのが現状でございます。

 患者様の安全・安心のさらなる確保の上で徹底できていないことを改善するために、例えば、医学管理料における医療機器安全管理料の適用拡大や、特定保守管理医療機器全体の安全性向上のため、通則において「保守維持管理コストは含まれる」と明文化する等の対応も必要と考えております。

 5ページ、安全管理のうち感染防止に関する提案でございます。感染防止は、基本的に全ての医療機器に共通していることですが、具体例としまして、データがまとまっております内視鏡について提示させていただきます。

 医療機器の安全管理において洗浄・消毒も重要な項目であると認識しております。

 現状の問題点としまして、内視鏡の洗浄・消毒が医療現場で行われていますが、使用する消毒薬は作業者への安全性に配慮し、また、消毒時間の短縮等、作業性に配慮したものに変更になってきております。

 このため、お示しするように、診療報酬上の評価と費用にアンバランスが生じ、医療現場で逼迫、弊害が生じております。このアンバランスから生ずる、さまざまな状況を打開するために、医療現場の実態に合わせ、最新・最善の消毒薬を用いた洗浄消毒がより進むように診療報酬上の手当を御考慮いただきたいと思います。

 診断治療にかかわる医療技術は、日々改良・改善が行われ、国民の医療の質の向上に貢献しております。今回、御提案した制度が整備されることにより、国民の医療水準の向上に寄与するものと確信しております。

 本日は、貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。

 私のほうからは、以上でございます。

○日本医療機器販売業協会(宮野)

 日本医療機器販売業協会の会長をしております、宮野でございます。本日は、このような発言の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 それでは、説明に入らせていただきます。

 まず、1ページでは、医療機器販売業協会としては、3つの面から御説明させていただきたいと思います。

 1つ目は、医療機器、材料についてインフラ機能として安定供給、安全性の確保、多品種少量多頻回搬送など、中間流通である医療機器販売業は提供しております。

 特に、災害時あるいはパンデミック時こそ、医療機器、材料の流通の確保が重要になる点についてが、第1点目であります。

 2つ目は、医療機器の特性に合った適正使用支援を医療材料とともに提供していくということであります。この点に関しましては、後ほど、また説明させていただきます。

 最後に医療機器販売業の現在の経営状態について御説明をしたいと思います。

 引き続きまして、2ページ目をごらんいただきたいと思います。

 東日本大震災の教訓から医療機器販売業協会では、災害対策マニュアルを作成いたしました。これを全協会員に徹底を図るべく取り組みを開始しております。

 また、協会員への徹底はもちろんのことではありますけれども、外部にも説明を行い、現場で中心となるDMATへの説明等、意見交換を行っています。現実には、3県でそういう協力を行いました。

 3ページ、災害時の流通経路というのは、どういうシステムで行われるかということの概念図であります。後ほど、見ていただければと思います。

 4ページは、それの連絡網の連携体制のあり方というのを図面で表示しておりますので、これも後ほど見ていただきたいと思います。

 5ページですけれども、適正使用支援の流れということで、適正使用支援を行っているのかを具体的に示した流れになります。

 医療機関の場合、ほとんどの場合は、現場の医師、看護師さんから直接連絡が入りまして、手術、検査等、必要な機材を用意いたします。販売業者で用意できる場合もありますが、多くの場合は、メーカーにも必要な機材、材料を手配し、そろえて医療機関に持ち込みます。

 その後、手術、検査が行われ、未使用材料、貸出機材等を引き上げる一連の流れを適正使用支援となります。

 6ページは、その言葉の説明ですので、後ほどごらんいただきたいと思います。

 7ページ、これは、整形外科の人工骨頭置換術の一例であります。

 左の写真は、手術に使用する機器と材料の一式をあらわしております。材料は、種類とサイズをそろえるため、大変多くなっております。

 中央の写真は、一症例でこれだけを用意しておりますという実例であります。

 右側は、実際手術で使用されたもの4点であります。未使用の材料と貸し出し機材は引き上げることになります。

 こういった適正に御使用いただくための支援を全国の医療機関に対して行っております。これらは、医療機器、材料の特性から必要と考えております。こういった流通の実情も御理解いただきたいと思います。

 次に、主要販売業の経営状態を8ページに示しております。

 売上利益率というのは、年々下がってきております。販売費・一般管理費というのは、ほぼ横ばいということで、売上高利益率というのは、減少傾向にとどまっております。

 ちょっとこの資料は古いのですけれども、その後のものは、今、調査中であります。

 9ページ、卸売業における利益率の比較という他業界の比較をちょっとしてみました。医療機器とか材料の利益率というのは、他業界に比べて極めて低いと、半分ぐらいしかないということを一応御理解いただきたいと思います。

 最後に、我々にとって一番関心のある消費税について、我々の問題というか、意見を述べさせていただきたいと思います。

 結論的に言いますと、消費税をめぐる議論の複雑化を避けるためには、価格交渉は、本体価格で行い、妥結後、その税率に消費税を加算して請求し、消費税を預かるという本来の形にしていただければと思います。そのためにも、消費税特措法の周知徹底と運用のほうをお願いしたいと思います。

 以上です。どうもありがとうございました。

○印南部会長

 ありがとうございました。それでは、何か御質問、御意見があれば、お願いします。5分ほど時間をオーバーしてしまったのと、そもそも時間が限られておりますので、恐縮ですが、発言の冒頭で、御質問なのか、御意見なのかをおっしゃってください。

 また、医療機器の業界団体の方の御発言につきましても、各団体で原則お一人の方にお願いしたいと思います。発言は、簡潔にお願いします。

 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員

 質問と意見があります。この分野は、現在も非常に成長が期待されている分野でありますので、イノベーションが求められているということは理解しておりますが、だからと言って、何もかもイノベーションとして認めろというわけにはいかないということだと思います。

 我々はイノベーションというと、画期的なものを考えますが、これだと改良とか、改善とか、そういった類いのものも含まれる感じで、ややそのイノベーションの範囲が広いと考えられます。

 それから、意見陳述資料の、最初の13ページでございますが、複数の機能区分の機能等を併せ持つ新たな機器の評価についてのところで、この中の複数の機能区分を持つものとか、あるいは複数の機器を使用するもの、この辺が文章として書かれているだけなので、具体的な例のイメージがなかなか浮かばないので、どういった例を言っているのか、教えていただければと思います。

 同じ資料の9ページのところで、区分内複数価格帯制度ですが、これもデータを出していただいたのはいいのですけれども、私からすれば、当然こういったデータを出した上で提案をされていると思うので、もし、そうでないとしたら、随分ずさんな提案ではないのかという気がいたしました。

 それから、19ページのところですが、これを見ますと、日本は集約化が進んでいないのでコストがかかるのだということですが、逆に総医療費から見ますと、日本は先進各国中対GDP比で最も低い部類になりますので、そうすると、総医療費が低いのに材料等の価格が高いということで、それだけ我々の技術料は低く抑えられていると受け取ることになります。

22ページのところですが、円高で大分打撃を受けたというお話ですが、現在は、当時に比べれば、大分円安傾向になっていますから、今は利益になっていると思います。実際、以前にもお話ししましたけれども、円高で影響を受けることもあれば、円安で得することもあるというのが業界だと思いますので、今回は、一々円安、円高でどうこうということは、どうなのかなと改めて思いました。

○印南部会長

 たくさん出ましたので、一旦、質問が1つと、それから、意見が4つぐらい出たと思います。

 まず、質問のP13の具体例ということからお答えいただきたいと思います。

 よろしくお願いします。

○米国医療機器・IVD工業会(諸岡)

 複数の機能区分の機能等を併せ持つ新たな機器等の評価について、御質問をいただいたところです。

 具体例でございますけれども、複数の機能区分の機能及び使用目的を併せ持つ機器については、例えば両心室ペースメーカー(CRT-P)と植込型除細動器(ICD)を組み合わせた、両心室ペーシング機能つき植込型除細動器(CRT-D)等がございます。

 また、同一の機能区分に属する複数の機器を使用することに相当する機能を有する機器については、例えば、従来品の2倍の電池寿命を有する植込型機器等がございます。

 御質問については、以上でございます。

○印南部会長

 今の回答でよろしいですか。

○鈴木委員

 ぜひ、リストのような形で出していただければと思いますけれども。

○印南部会長

 業界のほうから、御意見に対しては、別にないですか、よろしいですか。

○米国医療機器・IVD工業会(島田)

 全てお答えするわけではありませんけれども、イノベーションと改良というお話が冒頭にございまして、おっしゃるとおりだと思いますが、一言御理解いただきたい点があります。即ち、医療機器の特性として改良を積み重ねながら徐々によくしていく、それが積み重なって相当大きな、時を置いて見れば飛躍になっていく。これが業の特性でございまして、そこの改良自身の重要性も一つ委員に御理解いただければと思っております。

 それと、円高もあれば、円安もある、それもおっしゃるとおりでございまして、当然両面ありますので、そこは御趣旨よくわかります。

 ただ、御理解いただきたかったのは、安倍政権になって、一時期異常だと言われた円高がようやく是正されて、今、正常なレベルになってきているということでありますので、その段階に関して、特段の御配慮をいただいたことは大変よかったなと思っているということでございます。

○印南部会長

 どうぞ。

○鈴木委員

 御意見、ありがとうございました。ただ、そういった細かい改善とか改良を全部価格に反映しろというのは、やはり無理な話だと思いますので、その辺の切り分けが必要かなと。

 普通の電化製品とかでも改良しても値段は、むしろ売れてくれば下げるわけで、一々値段を上げたら売れませんから、その辺がやはりどうなのかなということ。以前もお話ししたかと思いましたけれども、改めてそういうふうに感じました。

○印南部会長

 ほかに、御意見、御質問等、白川委員、お願いします。

○白川委員

 ありがとうございました。質問を幾つかさせていただきたいと思っております。

 1つ目は、今回提案いただいた同一の機能区分内で複数の価格帯という最初の提案ですが、例えばシートの7番に実勢価格帯に応じた価格決定の考え方を踏まえたモデルが出ておりますが、実際には同一の機能区分でございますから、価格帯というのは、かなり狭い範囲で収まると考えるのが普通だと思います。なぜ、全体の加重平均値の2倍を超えるような価格差が発生するのか、幾つかの要因があるのでしょうが、どういう要因なのかということが1つ目の質問でございます。

 2つ目は、内外価格差、外国平均価格の調整でございますが、シートで言いますと、18以降でございます。

 これも、私の資料の読み方が間違っているかもしれないのですが、18のシートによれば、日本では非常に流通等でコストがかかると、したがって、欧米に比べるとコストが高いのだと、こういう説明でございました。

 一方、内外価格差は、ほぼ解消したのだというのが、その後のシートで出てくるのですが、ここのところの論理は、どうなっているのかというのを説明していただきたいというのが2つ目でございます。

 3つ目は、それに関連するのですが、シートの20で、内外価格差は、問題になっていた機器に関しては解消する方向に向かっているということで、2001年を100とした指数が出されておりまして、確かに下がってはいるのですが、これは、多分、日本における実勢価格だろうと思うのですが、比較対照する欧米のほうは、相変わらずリスト価格なのではないか。また、2番目の質問との関連で申せば、リストプライスに対して内外価格差が解消しているとおっしゃっているのか、実勢価で差がなくなってきているとおっしゃっているのか、その辺を教えていただきたいというのが3つ目の質問でございます。

 4つ目は、前回質問したかどうか、よく覚えていないのですが、今、費用対効果評価について専門部会を設けて中医協で議論されているわけですが、費用対効果評価という考え方を、材料分野に入れた場合、どういう入れ方があるのかが、我々としては非常に大きな課題と考えているのですが、その件に関して、業界として何か意見あるいはアドバイスといったものがあれば、ぜひとも伺わせていただきたいというのが4つ目でございます。

○印南部会長

 ありがとうございました。質問が4つほどありましたけれども、では、最初の質問に対して、どうぞ。

○米国医療機器・IVD工業会(諸岡)

 今、4点御質問をいただきました。まず、1点目でございますけれども、同一機能区分内の製品間の実勢価格の差が発生する主な要因は何かという御質問でございました。

 臨床上の使い勝手等を含めた性能の差、また、臨床データを含めた情報提供のあり方の相違等に起因いたしまして、結果として市場からの評価、すなわち実勢価格の差となっているものと考えております。

 こうした差は、必ずしも機能の差として定義されることにはなじまない場合、また、機能区分の細分化による対応を行うまでに極めて長い期間を要する場合等に発生するものと捉えております。

○印南部会長

 白川委員、どうぞ。

○白川委員

 最初の質問なのですが、機能区分内で実勢価格に基づく公定価格の見直しというのが2年に1回行われますね。その後、次の改定までの2年間に、今、説明のあったような市場による評価と言いますか、それがそんなに大きく価格差に表れるのかがよくわからないので、私は質問させていただいたのですが、その点については、いかがでございましょうか。

○印南部会長

 お願いします。

○米国医療機器・IVD工業会(諸岡)

 臨床上の、例えば使用があって、使い勝手等を含めました性能の差と言いますのは、必ずしも機能区分の差として定義されることになじまないというふうに考えております。

 プレゼンテーションの中で、例としてお示しをしたものがございますけれども、例えば、10ページ、11ページのような機能区分の場合には、複数の要因があろうかと思いますけれども、例えば、こういった使い勝手の差というものが、市場からの評価の差として価格の差に反映されているというふうに捉えております。

○印南部会長

 よろしいでしょうか。

○白川委員

 いや、よく理解できませんが、結構でございます。

○印南部会長

 それでは、2番目の質問に、内外価格差についての質問に対してお答えください。

○米国医療機器・IVD工業会(諸岡)

 2番目の御質問でございます。いわゆる内外価格差が流通等の差に基づいて発生をしているという現状について、それが実際、内外価格差が縮小傾向にあるというデータとの整合についての御質問でございました。

18ページ及び19ページでお示しをしてございますのは、歴史的な経緯を含めたコストの相違が現に存在をしているということを御説明しているものでございます。

 その一方で、20ページ、21ページにお示しをしてございますのは、この間、実際に保険償還価格でございますが、これが低下をしているということでございますので、その要因と実態として、内外価格差が縮小の方向に向かっているということを別々にお示ししているというものでございます。

 これが、3点目の御質問とも関連するところでございますけれども、2001年から2012年までの間の償還価格の推移について、これの比較対照が何であるかという御質問でございました。

 日本の価格につきましては、ここにお示ししてございますように、保険償還価格の推移でございます。

 外国の価格につきましては、委員御指摘のとおり、リストプライスであるケースが多いものと捉えております。

 そういう中で、リストプライスと償還価格の比を見ているということでございますけれども、先ほども申し上げましたとおり、これまで中医協の中で議論をされております、外国価格の平均価格を用いた制度についての議論を否定するものではございませんので、そういった議論については、激変について十分御配慮をいただければと思います。

 最後に、費用対効果に関する御質問でございました。この費用対効果の手法が、医療機器にどのように適用可能と考えるかということでございました。

 費用対効果の考え方を用いた評価自体は、必要なものであると捉えておりまして、決してその評価の導入自体に反対するものではございません。

 その一方で、QALYを用いた費用対効果の評価につきましては、部会でも御議論いただいていますとおり、医療技術の価値を包括的に評価できるか否かという点において懸念があるところでございます。

 我が国への、この手法の適用については、海外の手法を直輸入するのではなく、独自の方法論を検討すべきだと考えております。

 なお、医療機器の評価に当たっては、考慮されるべき特有の事情というものもございます。例えば、無作為化した臨床試験データが存在することがまれであって、保険の収載時に費用対効果の評価を課すことが必ずしも現実的ではないこと。あるいは、保険の収載後にデータ収集することは理論的には可能ではあるものの、3、4年後には製品の世代が変わってしまう可能性があること。また、使用者の、いわゆるラーニングカーブの問題がございまして、同一条件下の比較が困難であること等の制約があって、費用対効果の手法の議論に当たっては、こうした点に十分な御配慮をいただければと思っております。

 以上でございます。

○印南部会長

 白川委員、どうぞ。

○白川委員

 2番と3番目の質問、内外価格差の関連ですが、何度も申し上げているとおり、18ページのシートでいわゆる流通とか営業とか、そういったことで日本のコストがかかっているのだという主張され、一方で、流通のほうは、非常に懇切丁寧な、きめ細かな配送、流通を保っているために利益率が低く、ますます経営が厳しくなっているのだというプレゼンテーションがございました。現状は、私も少しは認識をしておりますが、申し上げたいのは、我々患者側としてみたら、もちろん、病院の先生方もそうですが、なるべく安い、しかも良質の医療材料、医療機器の提供を期待しているわけですが、従来から日本の、こういった材料機器は、欧米に比べて高いという漠然とした印象がいまだに残っている。

 それにはいろいろな要因はあるけれども、日本の国内的要因のほうが大きいのだというふうに、18ページの資料からは見えるわけです。ですから、本当はどうなのですかということが、我々にもよくわからない。はっきり言えば、たしか、前回だったか、手術のときには、病院側にいろいろな種類の在庫を持っておいてもらって、その中から業者がピックアップして、手術のものを一式そろえて入れるというようなことをやっていますというプレゼンテーションがあったかと思います。

 それから、本日のテーマでも、日本の場合は、フリーアクセスが行き過ぎてしまって、非常に症例が少ない全国の病院に、薄く、広く流通、供給しなければいけないという問題もある。

 したがって、申し上げたいのは、内外価格差の問題は、国内でのいろいろな改善もやらないと進まないのかなというのが、きょうのプレゼンテーションの結果だと私は思っておりまして、そのためには患者側、あるいは医療機関側も少しは我慢すると言いますかと、工夫をすると言いますか、そういうことをしないと、この内外価格差というのは縮まらないと、私は感じましたので、意見として申し上げます。

○印南部会長

 時間も押していますので、最後に関原委員の御意見と御質問を、簡潔にお願いします。

○関原委員

 今の内外価格差の話ですが、先程の資料の1819の中で、日本の流通コストが非常に高い要因として、中小病院も含めてETCなどを使っているのが外国に比し非常に多いためという御説明でしたが、逆に日本の流通業者の数自体は、つまり流通業者の数が多過ぎて、コストがかかり過ぎているのではないか。流通業者の各国の違いというものを教えていただけたらと思います。

 もう一つは、内外価格差が縮まっている、例えばPTCAのケースです。この間の使用量です。すごい数量増のはずですよ、私は量とセットで御説明をぜひいただきたい。

 最後に、流通の話で、白川委員からも、日本の流通業は、ほかの産業の流通に比べて極めて利益が低いのだというお話があったわけですが、逆にメーカーのほうは、ほかの産業に比べて極めて高いのではないかと思います。だからもうちょっと流通を育成するためにバランスも考えたら、そんなに低利益を訴えるような話ではないのではという気がいたします。

 これは、意見です。

○印南部会長

 最初の2つの御質問と言いますか、半分は意見だったと思いますけれども、数字が必要になろうと思いますけれども、今、すぐお答えできますか。

○日本医療機器産業連合会(中尾)

 いや、数字というか、全体観をちょっと、もし機会があれば、発言したいと思います。

○印南部会長

 では、簡潔にお願いします。

○日本医療機器産業連合会(中尾)

 白川委員の御発言は、私はまさにそのとおりだと思っています。ただし、ちょっと誤解があるといけないのですが、流通と言った場合に、卸ということに今、話が行っていると思うのですけれども、これは、決して卸さんだけの話ではありません。流通というのは、例えば、病院の症例数が、いろんなところに広く、薄くなっているということもあるのですけれども、例えば、物すごく典型的に違うのは、欧米と言っても、欧州もまたいろいろあるのですけれども、例えば、ドイツとかアメリカは、入札がほとんどです。それも単年度ではなくて複数年度です、ですから、これはなかなか熾烈な競争です。その結果として、価格は、やはりあるところに収れんしていく。例えば病院が3年、4年で入札をやるわけです。日本は、それがないのです。ですから、これは1つだけの問題で片づけるのは、なかなか難しいと思います。

 それから、卸さんの件は、いろいろ議論があると思うのですけれども、ぜひこのことだけは頭に、我々は忘れるべきではないというのは、震災のときなどは、卸さんに病院さんが物すごくお世話になっているのです。だから、よけいなコストだと考えてしまうと、では、その場合はどうするのですかと、これはやはり日本の特殊事情があると私は考えます。

 それから、先ほど量の話が出ましたけれども、確かに日本ではふえているのですけれども、世界的に見ると、日本はせいぜい15%ぐらいですね、アメリカに比べて大体4対1、ボリュームが全然違うのです。ですから、日本の市場規模という問題もあるという全体観を持つ必要があるというふうに私は考えます。

○関原委員

 人口が、アメリカは日本の3倍ぐらいですし、もともと高脂血症も含めてずっと患者数が多いわけですから。

○日本医療機器産業連合会(中尾)

 それは、別にステントとかだけではなくて、一般的に大体市場規模は4対1ぐらいですからね、4対1といったら量産についてはコストが全然違う。

 もう一つ、今まで価格差というと、全てが日本は高いのだと言うのですけれども、実は逆のケースも結構あります。ですから、日本のほうが逆に安いというケースもあります。これは、今まで問題になってきていませんけれども、そういう意味では、ちょっとフェアーという観点もそろそろ入れないといけないのかなという感じがしております。

 以上です。

○印南部会長

 今のは、一応、発言はお一人ということなのですけれども、とりあえず、鈴木委員からの御質問を聞いて、それからまとめてお答えをいただきたいと思います。

○鈴木委員

 主に意見ですが、今の震災対応についての話は、医療機関も別に診療報酬が高いから支援するとか、低いからしないとかではなくて、そういうことを度外視して全国から駆けつけたわけなので、あまりそういう話とリンクさせないほうがいいのではないかと思います。

 それと、意見陳述資料の別添のほうの30ページにある、3の「原価計算方式における原料費の透明性の確保について」ですが、これは両論併記なっていまして、国内の団体が賛成、海外の団体は反対ということで明確に分かれています。これを見ると、国内のメーカーにとっては得だし、海外のメーカーにとっては損なのだろうと思うのですが、この御時世ですから、高くても国産を買えというのは、なかなか難しいと思いますので、コストを考えて判断せざるを得ないのではないかと考えます。

 医療技術に関する提案のほうの4ページにある、保守維持管理コストの明確化ということですが、我々が医療機器等を購入する場合は、複数のメーカーで価格を競わせることができますが、一旦買ってしまうと、そのメーカーの保守を受けるかどうかということになるので、ここが非常に高コストであるということは、問題だと思います。こういうことをおっしゃるからには、その部分のコストをどうやって効率化するかということも併せて考えるべきだと思います。

 それと、最後に、内視鏡の洗浄消毒に関する評価ですが、これは消毒剤のコストは上がってますが、よりすぐれた製品になりましたので、こういったものの評価は必要だと思います。

 それから、卸の方の御意見でございますが、9ページのところの卸売業における売上総利益の比較ですけれども、確かにこれを見ると、医療機器材料の卸さんは低いように見えるのですが、我々医療機関も売上総利益という形で出るかどうかわかりませんが、低いという意味では負けないと思いますので、余り低い、低いというのを売りにされても、我々も低いので同じですねということでしかなく、我々のほうはもっと低いかもしれませんので、余り意味がないと思いました。

 以上でございます。

○印南部会長

 時間ももう20分ほどオーバーしていますので、最後に業界の方からお一人だけお願いします。

○米国医療機器・IVD工業会(島田)

 済みません、先ほどの御質問にお答えする数字を御提供申し上げたいと思います。

 これは、あくまでも推定値なので、公式統計等はありませんので、御参考までということです。先ほど関原委員がおっしゃいましたように、例えばインタベーションの症例をとりますと、これは、ステントなんかを留置するもの、それからペースメーカーを入れる、あと、脳外科の領域、多分、このぐらいだと思うのですけれども、恐らく症例数でいくと、日米の比較で言うと、恐らく日本では70万症例ぐらいかなと言われております。アメリカが270万ですから、ほぼ関原委員がおっしゃったような1対4ぐらいの関係に、多分になっている、人口比より、少しアメリカのほうが多めということだと思います。

 それを扱っている病院数ですけれども、我々の推定では、日本で1,350病院ですか、そこが加点の機械として大体1,900台ぐらいあるのではないかと見ております。

 アメリカが1,300病院で、2,000台ぐらいということですから、台数は、大きく変わらないということで、要は1台当たりの稼働は全く違うということで、その辺が、恐らく白川委員御指摘の、ある意味で、熟練度等、いろんな面に響いてくるのだろうと思いますので、フリーアクセスなんかも1つの要因かもしれませんが、こういう現状がそれなりの理由になっているのだということではないかと思っております。

○印南部会長

 関原委員から出た質問は、業者の数のほうもあって、すぐには出ないと思いますので、それは業界として出すことは、可能なのでしょうか。

○日本医療機器産業連合会(中尾)

 何を出すのですか。

○印南部会長

 各国の流通の業者数ですね、あるいは会社数だと思いますけれども。

○日本医療機器産業連合会(中尾)

 ちょっとわかりませんけれども。

○印南部会長

 御検討していただきたいと思います。

○日本医療機器産業連合会(中尾)

 ちょっと、イエスとは言えないので。

○米国医療機器・IVD工業会(島田)

 欧米では、結構、直取引しているケースがあったりしますが、そもそも該当していないケースもありますので。

○印南部会長

 それでは、時間もありますので、本日の議論は、このあたりとしたいと思います。

 次回の日程について、事務局のほうからお願いします。

○佐々木医療課企画官

 医療課企画官でございます。

 次回の日程は、未定でございます。また、御案内申し上げます。

○印南部会長

 それでは、本日の保険医療材料専門部会は、これにて閉会といたします。

 薬価専門部会は、5分間の休憩の後、開始したいと思います。


(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第2係

代表: 03-5253-1111(内線3277)

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