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2013年9月4日  第2回「健やか親子21」の最終評価等に関する検討会

雇用均等・児童家庭局母子保健課

○日時

平成25年9月4日(水)9:30~12:30


○場所

中央合同庁舎5号館 厚生労働省 省議室(9階)


○出席者

委員

五十嵐委員(座長) 青木委員
秋山委員 出石委員
市川委員 伊東委員(坂上医監)
今村委員 奥山委員
川崎委員 小林委員(仲沼保健福祉部次長)
迫委員 佐藤委員
島田委員 成田委員(矢内理事)
久永委員 山縣委員
横山委員

オブザーバー

医政局指導課 中林小児・周産期医療専門官
社会・援護局障害保健福祉部障害児・発達障害者支援室 日詰発達障害専門対策専門官
竹林少子化対策企画室長
健康局がん対策・健康増進課 塚原課長補佐
川鍋虐待防止対策室長

事務局

鈴木大臣官房審議官
桑島母子保健課長
小宅母子保健推進官
渡利課長補佐
内山課長補佐
木下課長補佐

○議題

1 開 会
2 議 題
(1)「健やか親子21」最終評価について
(2)その他
3 閉会

○議事

議事録

○渡利課長補佐 定刻となりましたので、ただいまから第2回「『健やか親子21』の最終評価等に関する検討会」を開催いたします。

 委員の皆様には、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 本日は、鵜養委員と中板委員は御欠席との連絡をいただいております。

 また、3名の方におかれましては、代理で出席いただいております。

 小林委員の代理で、福島県健康福祉部次長の仲沼様でございます。

 伊東委員の代理で、宮崎市健康管理部医監の坂上様でございます。

 成田委員の代理で、全国保健所長会理事の台東区保健所長の矢内様に御出席いただいております。

 カメラ撮影はここまでとさせていただきます。

 傍聴される皆様におかれましては、傍聴時の注意事項遵守をよろしくお願いいたします。

 それでは、議事に移りたいと思います。座長、どうぞよろしくお願いいたします。

○五十嵐座長 皆さんおはようございます。

 これから議事に入りたいと思います。

 初めに、資料につきまして、事務局から確認をお願いいたします。

○渡利課長補佐 お手元の資料ですが、議事次第と座席表のほか、資料1から資料6の6点を用意させていただいております。

 参考資料として、参考資料1と2の2点でございます。

 本日御欠席の中板委員提出資料をその後に提出させていただいております。

 また、前回までの資料はお手元のファイルに綴じてあります。

 資料は以上です。

 不足等がございましたら、事務局までお申し付けいただければと思います。

○五十嵐座長 資料の不足はございませんか。よろしいですか。

 では、議事に入りたいと思います。

 まず、議事1の「『健やか親子21』の最終評価について」であります。

 前回の検討会にも提示がありました資料1につきまして、事務局から追加事項の説明をお願いいたします。

○木下課長補佐 お手元の資料1をごらんください。

 前回、第1回の議論で資料1につきまして評価の考え方を御確認いただいたところでございます。基本的な考え方に関しましては、4段階で評価するところに変更はございません。

 続きまして、今回変更した箇所を、二重下線を引いているところを中心に御説明させていただきます。

 まず、本日評価をお願いするところでございますが、1-16に関しましては、年齢別、男女別の指標項目は設定されておりますけれども、6つをまとめて1つの形で評価をお願いしたいと考えております。

 続きまして、2ページ、指標4-13につきましては、指標策定が第1回中間評価時、評価に当たりましては、第1回の中間評価と今回の直近値とを評価して最終評価としていただきたいと考えております。

 続きまして、3ポツになりますが、策定時とデータの集計方法が異なるため、単純比較ができない指標が幾つかございます。

 その一つとしまして、前回積み残しになっておりました指標3—20に関しましては、小児科医と新生児科医、児童精神科の3つがございますが、新生児科の医師に関しましては、集計方法が同じである第2回と直近値の2つでもって評価をお願いしたいと考えております。

 また、児童精神科につきましても、集計方法が同じであります第2回中間評価と直近値との比較でお願いしたいと考えております。具体的な評価につきましては、後ほど個別のシートでお願いしたいと考えております。

 続きまして4ポツ、前回お示ししたときに、主たるデータと研究班等で集めていただいているサブデータの評価が異なる場合の方法について御検討いただいたところでございますが、こちらにつきましては、本日課題4の中で指標が幾つかございます中で、まとめて取り扱い方法についてお諮りしたいと考えております。

 具体的には後段になりますが、6ページ、今、申しました主たるデータとサブデータが入れかわっているものとしまして、特に今回の課題4の中に幾つかございます。4-3から4-4、4-5、4-7、4-8、4-11とこれらのデータにつきましては、策定時には、ここにありますように減少傾向へという目標を設定したのですが、第2回中間評価の段階で具体的な数値というものを目標として再設定しております。

 これらにつきましては、評価するに当たって目標値を設定したことによって、使えるデータのほうが異なってきていることもございまして、本来でありますれば策定時のデータを使いたいところではあるのですけれども、第2回中間評価以降で目標値を見直したこともありまして、研究班で集めていただいていましたサブデータを評価に用いたいと考えております。

 若干複雑な説明で申しわけございませんが、扱いを事務局から御提案させていただいているところでございます。

 ページが前後いたしますが4ページをごらんください。

 本日、評価をいただくシートの中で、何点かデータの修正を行っているものがございます。

 指標1-3の十代の性感染症の罹患率につきましては、中間評価のときに当時公表されておりました暫定値のほうで評価をいただいていますが、今回確定値が出ているということで、確定値に修正しております。

 また、引用の誤りがございましたので、修正をお願いしたいと思っております。具体的には、平成20年の感染症発生動向調査のデータの引用元が平成19年だったので、修正をお願いしたいと思っております。

 5ページ、指標3-20ですが、策定時のデータにつきましては、修正前、修正後がありますが、5.76.6の%をいずれも削除をお願いします。

 こちらはデータが修正になった理由といたしまして、策定時は研究班のデータを用いておりましたが、最終評価に当たりまして、学会の御協力が得られまして、医師会員データを御提供いただけたことで、策定時の値につきましても、こちらの医師会員の人数でもって算出し直しているために、データが5.7から6.6に変更になっております。

 続きまして、新生児科医師の数ですが、分母にあります小児の人口の値を調査年次のものに置きかえたために6.4から6.5に変更になっております。

 続きまして、児童精神科医師の13.6から8.1の修正ですが、こちらにつきましては、中間評価の段階におきましては、日本児童青年精神医学会員の値を用いておりましたが、こちらには医師以外の会員の方も含まれていたということで、今回、正確な指標とするために医師のみの会員数で改めて算出し直したところ、13.6から8.1に変更になっております。

 新生児科の医師に関しましては、5.7の算定の際には非常勤の医師を含む総数で評価を行っておりましたが、今回、非常勤を含まない専任の医師のみで評価をするということで、前回の値も同様の集計方法で集計し直し、5.7から4.3に変更となっております。

 その際、下段の児童精神科医師に関しましては、分母となる小児人口の値を当該年度に直したということで、10.6から10.70.1ポイント変更しております。

 資料1に関しましては、以上になります。

○五十嵐座長 どうもありがとうございました。

 ただいまの御説明につきまして、御質問はございますか。

 特にございませんか。よろしいですか。

 それでは、資料2に移りたいと思います。説明をお願いします。

○木下課長補佐 続きまして、資料2をごらんください。

 今回、課題の1と課題の4を中心に評価をお願いしたいと思っております。その中で幾つかございまして、課題1-4「15歳の女性の思春期やせ症(神経性食欲不振症)の発生頻度」につきましては、調査を夏休み期間中を利用して行っていることもございまして、本日集計が間に合っていないところでございます。そのため第3回で御検討をお願いしたいと思っております。

 裏面、課題3-20に関しましては、前回、評価の集計が間に合っていなかったために、今回、評価をお願いしたいと考えております。

 課題4までが本日の評価を個別のシートでお願いしたいと考えているところでございます。

 資料2につきましては、以上です。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 御説明がありましたけれども、質問がありますでしょうか。きょうの大筋の方向性について御説明いただいたのですが、よろしいですか。

 では、本題の評価に入りたいと思います。

 資料3につきまして、事務局と山縣委員から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○木下課長補佐 資料3を御用意ください。

 資料2でお示ししましたとおり、各関連のある項目、指標をまとめて御説明させていただきたいと思います。

 課題1の保健水準の指標ということで、1-1から1-5をまとめて御説明させていただきます。

 まず1-1「十代の自殺率」に関しましては、策定時10歳~14歳が1.115歳~19歳が6.4という策定時の現状値に対しまして、減少傾向へという目標を立てておりました。

 最終評価におきまして、10歳~14歳が1.315歳~19歳が8.5となっておりまして、総合評価といたしましては、悪くなっているという結果をいただいております。

 具体的に中身を見ていきますと、結果の欄でございますが、15歳~19歳で上昇。男子の15歳~19歳も悪化傾向が続いている。女子の15歳~19歳は策定時が3.8、第2回中間評価で6.8まで上昇したが、その後、第1回中間評価時まで改善しているという状況になっております。

 分析といたしましては、警察庁の統計等によりまして「学校問題」「健康問題」が続いていますが、平成20年の段階におきましては「学校問題」と「健康問題」がほぼ同じ割合になっている。

 近年、平成24年のデータでは「学校問題」の占める比重が「健康問題」よりも相対的に大きくなっているという分析をいただいております。

 特にこれら「学校問題」でありますとか「健康問題」を原因・動機とする自殺への予防対策が重要という評価をいただいています。

 次のページ、調査・分析上の課題といたしまして、警察庁のデータにおきましては、平成20年が2.623年が2.7で横ばいということがデータ上出ており、調査対象でありますとか、調査時点が異なることでデータの値が異なることがございますので、そういったデータの特性を踏まえた検討が必要という御指摘をいただいているところでございます。

 具体的な違いにつきましては、参考の欄をごらんいただければと思います。

 残された課題といたしまして、十代の自殺の中で「学校問題」や「健康問題」を動機とした割合が高い。それらの詳細について研究を進める必要があるという御指摘をいただいているところでございます。

 また、取り組みを進めるに当たっては、省庁を超えた取り組みが必要という御指摘もいただいております。

 直近の平成25年の母子保健課において調べました各自治体の取り組みにつきましては、都道府県で40%、政令市・特別区で22%、市町村で14%ということで、これら取り組む自治体の割合を向上させていく必要があるという課題をいただいております。

 こちらにつきましては、中板委員からも御意見をいただいているところでございますので、お手元の資料をごらんいただければと思います。

 続きまして4ページ、指標1-2「十代の人工妊娠中絶実施率」になります。

 策定時の値が12.1、目標が6.5に対しまして、最終評価は7.1となっております。

 総合評価といたしましては、目標に達していないが改善したという評価をいただいております。

 十代の人工妊娠中絶率につきましては、お手元の6ページのグラフを見ながら御説明させていただければと思います。

 平成5年前後から、6年から8年の間に急激に増加し、その後、平成13年前後にピークを迎え、その後は一貫して減少しているというところですが、平成20年以降その減少の傾向が弱まりつつあるという状況にございます。

 結果としましては、平成5年前後のレベルまで低下してきていると分析いただいているところでございます。

 分析に当たっては、十代においてどれだけの妊娠が生じているかを見る概算妊娠率でありますとか、人工妊娠中絶を選択する人の割合を見る概算人口妊娠中絶選択割合といったものもあわせて評価することが必要ですが、それらにつきましては、平成12年以降減少が続いている状況にございます。

 これらの低下の原因としましては、経口避妊薬の流通、緊急避妊薬の利用等の影響、性行動の停滞傾向といったものが関連していると考えられるという結果をいただいております。

 また、調査・分析上の課題といたしまして、衛生行政報告例では、平成15年以降、15歳未満、16歳、17歳と年齢別の統計が公表されるようになり、詳細な状況の把握は可能となった一方で、その背景的な要因を把握する枠組みというものがないので、こういったものも把握する取り組みが必要であろうという課題をいただいております。

 5ページの残された課題といたしましては、十代の人工妊娠中絶実施率につきましては、都道府県の格差が大きいということ。また、近接する福岡、佐賀、熊本といった県でありますとか、高知、愛媛といった近接する県において高いという傾向も示されておりますので、そういった傾向を踏まえると、より広域での共同した人工妊娠中絶に対する取り組みが必要という課題をいただいております。

 また、日本産婦人科医会の調査を踏まえた考察といたしまして、妊娠がわかった時点で「嬉しかった」と思われた方が31.6%、産みたいかという質問に対しまして「産みたかった」と回答いただいているのが39.3%といった調査結果も踏まえまして、従来望まない妊娠と呼ばれていた事象を、妊娠判明時からのいろいろなプロセスを経て分析していく必要があるという御指摘もいただいているところでございます。

 続きまして7ページ、指標1-3「十代の性感染症罹患率」になります。

 そちらにございますように策定時、4つの性感染症に対して減少傾向へという目標を立てておりました。今回の最終評価の値を踏まえまして、改善したという総合評価となっております。

 結果の欄でございますが、4つの感染症全てにおいて減少している。ただ、その傾向につきましては、一貫した減少ではなくて、平成15年(第1回中間評価時)に最も高い値となって、それ以降減少が続いているという結果となっております。

 これら減少した要因としましては、各種感染症対策や、平成10年の学習指導要領の改定において性感染症が盛り込まれたことで、十代に対する周知状況が影響していること。また、同時期に、先ほど御説明しました人工妊娠中絶率も低下していることで、十代の性行動の停滞化といったものも影響しているといった考察をいただいているところでございます。

 これら4つがいずれも減少しているところではございますが、特に性器ヘルペスにつきましては、評価の中で減少の幅がほかよりも小さいという御指摘いただいておりまして、その要因の1つ目として、性器ヘルペスはが再発を繰り返すことでありますとか、根治が困難であること。また、無症状でウイルスを排出している場合が多いこと。そのために、気づかないままうつしていることがあるといった課題があり、繰り返し再発するといったウイルスの特徴を踏まえた対策が必要であるという御指摘をいただいているところでございます。

 8ページ、調査・分析上の課題は、定点把握となっていることで、全数把握をした場合の変動との違いについての検証が必要という御指摘をいただいてございます。

 また、長期的な変動を把握することも必要であろうということで、継続的な調査の必要性を御指摘いただいているところでございます。

 残された課題に移りますが、中学校の教科書におきまして、病原体と症状が図表化され、教育現場においても周知が向上しているということがございます。さらに学校現場での周知を向上させていく必要があるという御指摘をいただいております。

 また、研究班の調査としましては、これらの4つの感染症につきまして減少とはいえ、ここ数年では罹患率が横ばいというところも御指摘をいただいているところで、引き続き注意が必要との御指摘をいただいているところでございます。

 長期的な変動に関しましては、9ページのグラフをごらんいただければと思います。

 こちらのグラフは、伝染病統計調査の昭和57年から平成10年のデータでございますが、平成6年以降緩やかな増加傾向が認められているという状況にございます。

 続きまして10ページ、指標1-5「児童・生徒における肥満児の割合」になります。

 こちらは、第1回中間評価時に策定された指標となっております。

 目標として減少傾向へということで、今回、最終評価8.5%ということで、策定時及び第2回中間評価、今回の最終評価と順調に減少が認められているところでございます。

 分析に当たりましては、こういった改善した理由としましては、学校現場における保健指導といったものの、努力のたまものであると考えられるとの分析をいただいているところでございます。具体的には、中央教育審議会の答申を受けまして、子供の肥満の増加が重要な問題と指摘されたことを受け、さまざまな対策がこの間実施されています。

 一方で、もう一つの「やせ志向」の問題もあるのではないかという御指摘をいただいているところでございます。

 調査・分析上の課題といたしましては、肥満児の具体的な内容というところで、医療的な対応が必要なケースでありますとか、一方で医療的な対応ではなく、家族全体の生活習慣の改善といったさまざまなケースがあるというところで、そういった関連する背景でありますとか、要因に対する分析というものも必要ではないかという指摘をいただいているところでございます。

11ページの残された課題のところに移りますと、医療的な対応が必要なケースに関しましては、やはり専門であります小児科の専門医との連携並びに学校関係者、保護者といった地域全体での取り組みが必要であろうというところも御指摘いただいているところでございます。

 さらには、どのように食べているかを含めた総合的な食行動の改善でありますとか、日常の生活習慣の改善といった教育的アプローチ、またこれらの取り組みに関しましては、養護教諭でありますとか、栄養教諭、担任の先生といった学校のみならず地域の専門職といった関係者が、共同で取り組んで参画できる必要性を御指摘いただいているところでございます。

 また、近年、妊娠期の喫煙等が子供の肥満に影響しているという報告もあるので、そういったアプローチも同時に展開される必要があるだろうと御指摘いただいているところでございます。

 以上になります。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 山縣委員から補足説明はございますか。

○山縣委員 では、少しだけ。

 まず1点目は、1-2の十代の人工妊娠中絶の実施率についてですが、ここにもありますように、例えば資料の6ページを見ていただくと、昭和30年からの推移があって、今こういう大きな波の中の下降傾向にずっとあったものが、やはり少し下げどまりの感があって、こういう全体の傾向を見ながら対策が必要であろうと。改善はしているのですが、今後さらに改善させるためにはどうするかということが必要であろうと思います。

 2点目ですが、1-5の肥満児の割合。

 これも約10%から8.5と改善はしてきたのですが、これはまた資料5の説明のときにも指摘をしたいと思うところですけれども、地域差が非常にあるということが課題で、オールジャパンでの傾向とともに、地域についても考えていかなければいけない課題の一つだと思います。

 以上です。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 それでは、この保健水準の指標1、2、3、5につきまして、御意見、御質問はございますか。

 どうぞ。

○今村委員 人工妊娠中絶の問題であるとか、あるいは性感染症の問題。これは望まない妊娠、あるいは虐待とも非常にかかわってくる問題ですけれども、これについては、学校現場の性、あるいは生命教育というのが非常に大事だということは以前から指摘されているところなのです。

 私ども産婦人科の医師が、学校現場でそういったものにかかわろうとすると、非常に現場とのあつれきがひどい。これは以前から指摘されている問題で、実は日本産婦人科医会では、ことし34回目になる性教育指導セミナーというのを全国で展開しているところなのですけれども、第1回目から全く変わらぬ重要な課題というのが学校現場とのあつれきなのです。

 実際私どもは指摘し、あるいは提言するだけでは何もならないと思って、文科省の担当の方と何度かお会いしたのですけれども、その担当官がおっしゃるには、学校指導要領というものがあるので、それに沿った教育を学校現場にお願いをしている。それから外れたものについてはだめだという非常にかたくななといいますか、硬直したといいますか、そういう態度が見られて、これでは幾ら厚労省でどうのこうのとか、あるいは私どもがいろいろなことを申し上げては無理ではないか。省庁を超えた対応というのが提言されていますけれども、実際はその気がないのではないかという気がして、本当に厚労省なり何なりがそういうことに力を入れるということであれば、お役人同士がお話し合いになって、本当の意味での省庁を超えた対応というものをやっていかなければ、これ以上の改善は難しいのではないかということを思いました。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 大変貴重な御指摘だと思います。学校指導要領は10年に1回しか改訂されません。現場の先生方、これにつきまして何かございますか。

 どうぞ。

○青木委員 葛飾区立新小岩中学校の青木と申します。

 学校現場の立場から言うと、非常に性の問題は難しくて、先生方の立場からすれば、指導し過ぎても逆に火に油を注ぐところがあったりと懸念をするところも実際はあります。もっと開かれたというか、具体的に指導すればいい部分も確かにありますけれども、学校現場としては躊躇する場合があります。

 保護者からも賛否両論があって、もっと教えてほしい、逆に余り教えないでほしいという意見もいろいろあるわけです。私たちは学習指導要領にのっとって教科書やいろいろな資料を使いながら授業をするわけですが、その現状としては、小学校4年生で学習する育ちゆく体のところで、初潮とか精通とかの話が入ってきます。中学校ではどうかというと、保健の授業で、思春期には妊娠が可能になることを理解するとか、性衝動の高まりや性情報への対処などの性に関する適切な態度や行動の選択が必要になることを理解できるという程度なのです。高校の保健の授業では、人工妊娠中絶の害についても取り扱っているという状況です。それにのっとって私たちは現場で授業をすることになっています。

 でも、それだけでは私たちも心配だなと思い、特に中学校3年の卒業前に助産師さんとか保健所とかに依頼をして、性について講演会を実施することがあります。うちの学校も実施しています。十代で妊娠するとこんな困ることがあるよとか、性感染症はこうだよという話を専門家を呼んでやっている状況はあります。

 それから、私も実際自分が教員時代はこういうことをやってきたのですが、養護教諭等の意識の高い人が、保健の授業や学活とかで妊娠とか中絶についての講話をすることもありました。

 最近私が思うには、女の子のほうがどちらかというと漫画とか携帯小説などを読んだ影響で、非常に性へのあこがれが強いという感じがしています。しかし、現実妊娠してしまうと、途端に慌てるという状況があります。責任ある行動や判断ができるように指導することがとても大事かなと考えています。

 策にはならないのですが、十代の妊娠とか、人工妊娠中絶の危険性についてさらに啓発していくことが大事だし、保健の授業、保健指導、特別活動としての学校での取り組みと同時に、やはり売春とか援助交際の取り締まりの強化とか、社会全体で母体の保護の重要性についての取り組み、少子化の歯止め、出産することの価値観の啓発などをやっていかなければいけないかなと考えています。

 以上です。

 

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 どうぞ。

○山縣委員 今の問題に関しまして、両委員のおっしゃるとおりだと思います。

 実は先週、和歌山で日本思春期学会がありまして、そこのシンポジウムのテーマに性教育のあり方、地域と学校のギャップというものがございまして、そこで座長をする機会を得まして、2時間の中で2点のことを感じました。

 1つは、この20年間で取り組みはそんなに変わっていない。ただやっていないのではなくて、今おっしゃったようにいろいろなことをされているという点。ただ、それでどういう効果が出ているかについて、どう評価するかというところまで至っていないのではないかという点が1点。

 2点目は、一方で、いわゆる子供たち自身がそれを自分たちで考える。いわゆるピアの活動というのは結構盛んになっていて、そこでも大阪の松原高校のルルクメイトによるピア活動というのが紹介されまして、この子たちはクラブのような形でそういうものをつくって、自分たちの学校だけではなくて、いろいろな小学校や中学校や、ときには大学まで行ってそういう活動をするといったように、結構そういう活動というのが出てきているという点で、こういう問題は、教育するということも正しい知識を提供するという意味では専門家が行くことは不可欠だと思うのですが、一方で、それを実際に子供たち自身が行動に移すまで、自分たちで実際に考える機会を十分持つという意味では、こういった活動というのをどう学校や地域、家庭も含めて取り組むかが重要だと思いました。

 以上です。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 どうぞ。

○出石委員 全国保健師長会です。

 今、ピアのお話もありましたけれども、私ども保健所では、性感染症等の検査等を無料で実施しているところでございます。

生徒さん自らが、「学校で習って心配な心当たりがあるので、友達と相談して来ました。」と、制服のまま来られたという実績があります。やはり保健所の現場ではそういった学校での教育がきっかけになって、山縣先生がおっしゃったように、お友達同士で相談し合いながら正しい行動がとれる子供たちの力というのをひしひしと感じておりますので、社会全体として教育していくことが必要と思います。文科省と厚労省の課題ということもございましたけれども、ここは一歩踏み込んで対策を練っていく時期なのかなと感じております。

○五十嵐座長 奥山委員、どうですか。

○奥山委員 地域で子育て支援をしておりますNPOです。

 最近では、「赤ちゃんとのふれあい事業」ということで、地域のほうで私たちのような家庭支援をしているところに来ている親子さんに中学校や高校に行っていただいて、出産のお話だとか、赤ちゃんと触れ合うという経験を通じて、命ということに触れ、また自分自身もそうやって育まれてきたのだということを振り返る授業が増えてきております。

 ぜひ学校現場のみならず、地域の人たちも積極的にかかわって、子供たちの経験をふやす場に参画していくことが重要ではないかと感じました。

 ありがとうございました。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 別の問題でも結構です。どうぞ。

○仲沼保健福祉部次長 福島県です。

 震災以降、原発事故直後から皆さんに大変御支援いただいてありがとうございます。

福島県は一歩一歩復興に向けて進んでおりますけれども、汚染水の問題等がありまして、まだまだ被害が進行形という中で、やはり子供の健康とか、心のケアとかが大変これからも重要になってくるのではないかと感じております。

 その中で指標にもあります肥満の問題です。

 全体の評価としては、10ページになりますが1-5。改善したということで評価してありますけれども、福島県の場合は、特に放射線の影響ということで、屋外で遊べない。校庭でも十分な運動ができないという中で、この文科省の学校保健統計の中の調査によりますと、2010年と2012年を比較すると、福島県だけが突出して肥満傾向児の出現率が高い状況になっております。

 県といたしましても、これは大きな問題と捉えております。肥満と関係して体力についても、文科省の統計では低下しているとあらわれております。一番重要な子供の体の形成時期の中でこういう傾向については、今後、福島県もどうなっていくかなと心配しておりますが、その中で医療と私たち福祉、教育部門が一緒になってどう対応したらいいのか。制限のある中で、肥満児の対策、体力の向上のためにどうやったらいいかということを考えております。皆様の御協力、御支援を得ながら、この辺につきましても、今後とも取り組んでまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 どうぞ。

○市川委員 児童青年精神医学会の市川でございます。

 1-1の自殺率の問題。これは悪くなっているという結論ですけれども、余りにもマスメディア的にはいじめの問題ばかり取り上げられてしまっているのですが、実際は小児の鬱あるいは鬱病、鬱状態の問題をきちんと取り上げていかないと、多分今後解決していかない問題かなと思っております。

 実際、私は東京都でその関係ですけれども、やはり高校の養護教諭の先生などは、精神科医と産婦人科医の学校医化を非常に求めておりまして、東京都の場合は医師会のバックアップで、校医といっても必ずしも完全な校医とは言えないのですけれども、今、精神科医が都内の学校の半分以上、五十数校に精神科の校医を予算を何とか組んでもらって入れるようにしておりまして、そういうことをやっていかないとなかなか解決できない。

 というのは、先ほどの性的な問題と同じで、自殺の問題に教育現場は非常に取り組むのに対して後ろ向きです。それはやはりいじめの問題と結びつけられて、学校に責任を押しつけられると感じているからで、そうでなくてやはり医療的な問題があるというふうに、入っていかないとなかなか入りにくい問題になってしまっていると思うので、このあたりをぜひ具体的な検討をお願いできればと思います。

○五十嵐座長 十代の子供たちのメンタルヘルスの問題、特にデプレッションは先進諸国における共通した大きな問題になっています。米国では年に一回子供たちは必ずドクターを受診する制度があります。一方、我が国ではありませんので、そのようなチェックがしにくいという状況にあります。

○迫委員 日本栄養士会の迫でございます。

先ほど福島の先生のほうからお話がありましたけれども、1-5の肥満児の割合というところについて1、2申し上げたいと思っています。

 先ほどおっしゃられましたように地域格差、特に被災地での肥満児の割合が増えているところは、学校保健統計の中で数値が出ております。

 この災害という状況を考えずに評価してしまっていいかどうかというところ。これは子供の問題ですので、今後とも災害の影響、健康に対する影響というのはどうしても出てくるものだろうと思われますので、特記的なところで少しつけ加えてもいいのかなとは思っています。

 それから、同じ学校保健統計の中で肥満の状況別に割合が出ております。都道府県別に出ているのですけれども、肥満児の割合が減少したといっていても、その辺の分布の状況がどうなっているのか。この辺は今後の課題として考えていかなければいけないところではないかと思っております。

 もう一点、分析のところに若い女性の痩せ志向という問題が出ておりまして、これはかなり前から十代の女性の痩せ志向が言われておりまして、その世代がちょうど親の世代に差しかかってきているのではないかと思われます。

 そうしますと、親の痩せ志向が子供の痩せ志向へと循環していく可能性、ループになっていく可能性ということも考えていく必要があるのではないか。そういたしますと、肥満児の割合というのは、今回の指標ですのでこういう評価で行った上で、次につながるところで、痩せの状況。親と子の痩せというものもつないで考えていく必要があるのではないかと思います。

 以上です。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 では、もう一つお願いします。

○山縣委員 今の肥満の問題は非常に重要で、震災の影響があるのかもしれないのですが、ここは慎重にしたほうがいいと思うのが、実は東北は昔から肥満が多いのです。

 ただ、今回福島に関してはちょっと頭が抜け出てしまった。それは確かにあって、都道府県別に見ると、一番低いところが6.2で一番高いところが17.1と、都道府県別に見てもこれだけの差があるということがある。ただ、肥満の多い順トップ5は全部東北なのです。ですので、東北地方でどうして高いのかといったことを、これまでも大体そういう傾向にありますので、ひょっとしたら冬場の運動不足が4、5、6で測定するものなので、そういった影響があるのかもしれないということも含めて、慎重に検討したほうがいいと思います。

 以上です。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 まだ御意見があるかもしれませんけれども、そろそろ時間も足りなくなってまいりましたので、次に移りたいと思います。

 「住民自らの行動の指標」ということで、6から9までお願いします。

○木下課長補佐 資料13ページをごらんください。

 指標1-6「薬物乱用の有害性について正確に知っている小・中・高校生の割合」になります。

 総合評価につきましては、改善した(目標に達していないが改善した)という総合評価をいただいております。

 結果でございますが、策定時から第1回中間評価時にかけて大きく改善。第1回中間評価から最終評価におきましては、小学校6年生で横ばい、中3、高3ではともに改善という結果をいただいております。

 分析になりますが、文部科学省におきまして、平成24年度の意識調査を行っていただいたところ、そういった指導を行っている学校の割合は高くなっているという結果が得られております。

 同調査におきまして、学校の授業で学んだと回答する生徒のうち、特に中学校1年生以降では、その割合が年々増加している傾向が認められております。さらに中学生以降になりますと、学んだ場所として「学校の授業」を挙げる生徒がほかの回答に比べて多いという結果を得ており、学校教育の重要性が確認されたところでございます。

 一方で小学校6年生では「学校の授業」で学んだという割合が、平成18年から24年にかけて減少し、一方で平成24年の調査では「テレビ」と回答した児童の割合が増加していることが得られておりまして、テレビ等の学校以外の普及啓発の重要性を指摘されているところでございます。

14ページ、調査・分析上の課題としては、平成17年度調査と今回の24年度の調査におきまして設問を少し変更しているということで、比較の際には留意が必要という点を御指摘いただいております。

 また、その調査の時期につきましては、先ほど御指摘ありましたように、卒業の前にこういった教育をやっている傾向もあるということで、調査の時期が平成17年度調査につきましては18年の2月。今回につきましては、12月から1月と若干でございますが、調査の時期が異なったことが、結果に影響があるのではないかといった御指摘もいただいているところでございます。

 また、残された課題のところに移りますが、薬物について学んだ経験については、小・中・高いずれにおいてもおおむね95%を超えてきているところで、薬物乱用防止に関する指導を行っている学校の割合は高くなっている。その一方で、学校の授業で学んだと回答する児童の割合が、小学校6年生で減少するといったこともございますので、一層の指導の充実が必要ではないかという課題を御指摘いただいております。

 こちらにつきましては、中板委員のほうからも御意見をいただいているところでございます。

 続きまして16ページ、指標1-7「十代の喫煙率」になります。

 こちらにつきましては、目標をなくすとしておりましたが、今回、減少はしているものの、目標に達していないが改善したという総合評価をいただいております。

 分析のところでございますが、平成15年の健康増進法の受動喫煙防止対策に位置づけたことを受けまして、学校の敷地内禁煙が推進されていること。また、喫煙防止教育の推進、タスポの導入、この間のたばこ税の引き上げといったものがさまざまな今回の喫煙率の減少に影響しているという分析をいただいております。

 また、文部科学省におかれましては、喫煙等の問題について総合的に解説する啓発教材を作成して、全ての小学校5年生、中学1年生、高校1年生に配布し、啓発の取り組みを進めていただいているところでございます。

 自治体の取り組みとしましても、都道府県で50%、政令市・特別区でも50%、市町村で19%という取り組みが行われているところでございます。

 調査・分析上の課題におきましては、2年~4年に一度、厚生労働科学研究において継続的にデータの把握が行われているところでございますが、国民健康栄養調査の中でも喫煙率については把握を行っているところですが、こちらについては未成年に対しては実施がされていないこともありまして、こういったデータを把握するには、研究班での取り組みを継続的に行う必要があるだろうという御指摘をいただいております。

17ページ、残された課題のところでございますが、十代に入る以前からのたばこに対する態度、規範意識でありますとか、脅威の認識、ライフスキル等を形成する必要があるという御指摘をいただいております。

 また、家族の喫煙状況に影響されるということもあります。そういったものに対する家族支援を行っていくことの重要性を指摘いただいているところでございます。

 父親の喫煙率に関しましては、子供、乳幼児の年齢にかかわらず高いのですが、母親の喫煙率につきましては、乳幼児の年齢が上がるごとに高くなっているという結果も得られているところでございます。

 こういった意味でも、子供のいる家庭での喫煙の割合を減少するという取り組みを、どのように行っていくかということが重要との御指摘をいただいております。

 全国の学校における受動喫煙防止対策の推進という取り組みも進んでいるところで、現在のところ市町村、教育委員会が総数のうち67.1%のところで取り組みが進んでおりまして、17年度調査結果24.5と比較しますと、その割合が非常に高くなっていますが、さらなる取り組みを進めていく必要があるだろうと御指摘をいただいております。

 また、これまでの喫煙防止対策というものが、未成年者に対して喫煙させない取り組みが中心であったところでありますが、やはり20歳以降、成人した以降であっても喫煙を行うことがよくないことであるという御指摘もあり、それに対する取り組みの必要性も御指摘いただいており、今後20歳以降に喫煙を開始させないための取り組みというものも、未成年者に対しても必要という御指摘をいただいております。

 続きまして19ページ、指標1-8「十代の飲酒率」になります。

 目標をなくすとしていたところで、いずれの学年においても減少していますが、目標に達していないが改善したという総合評価をいただいております。

 分析としましては、中間評価では、策定時よりも男女差が縮小する傾向にあり、平成20年の調査におきましては、中学3年生において男女の飲酒率が逆転したという結果が得られております。さらに平成22年には男子の値は下がっているにもかかわらず、女子の値は9%台を保っているという傾向が認められております。

 また、高校生におきましては、最終評価の中では2.5%まで男女の開きが縮小してきているという結果が得られ、特に女子における飲酒の状況への対策が必要との分析をいただいているところでございます。

 調査・分析上の課題につきましては、先ほどの喫煙率と同様に、国民健康栄養調査では未成年の部分が把握できないということもありまして、研究班による継続的な把握が必要という御指摘をいただいております。

20ページ、残された課題でございますが、まず1つ目としまして、飲酒防止教育を受けた記憶と、飲酒の害の知識と飲酒の状況には関連がないという御指摘をいただいているところでございます。

 この間の取り組みとしましては、コンビニエンスストアにおける年齢確認の実施といったものが減少に寄与しているところではございますが、家庭内における飲酒の問題というものが、残る課題として指摘されているところでございます。

 細かく見ていきますと、中学校女子の飲酒状況には、同性の家族、母親でありますとかお姉さんといった家庭内の飲酒状況が強く関連している傾向が認められております。

 一方で中学生の男子の飲酒に関しましては、父親の飲酒の寄与、母親の飲酒の寄与といったそこにお示ししてある値となっておりますが、中学生の女子に関しましては、同性の家族の影響を強く受けるところがあり、それらに対する対策が重要であろうという御指摘をいただいているところでございます。

22ページ、1-9「性行動による性感染症等の身体的影響等について知識のある高校生の割合」です。

 こちらにつきましては、第1回中間評価時に策定いただいているもので、目標としましては増加傾向。結果としまして、改善したという総合評価をいただいております。

 分析でございますが、教育基本法は平成18年に改正され、その中で教育の目標において生命を尊ぶ態度を養うことが盛り込まれたところでございます。

 そういったこともございまして、学習指導要領の中においても自他の生命を尊重する心を育てることを重視するといったことが盛り込まれ、この間、多様な道徳教育の支援でありますとか、各種教材の活用等が進み、こういった命を大切にする心を育成する道徳教育の推進が図られるところでございますが、さらなる推進が必要であろうという分析もいただいているところでございます。

 また、この設問に関しましては、性への行動の慎重さを予測する設問ではございますが、これらにつきましては、やはり人工妊娠中絶の低下や、性感染症の減少といったものも影響があると考えられ、先ほど評価いただきました1-2の関連ということにも十分注意が必要であろうと考えております。

23ページ、調査・分析上の課題で、回収率が前回の89%から83%に低下していることもございまして、調査の時期や方法については再検討が必要との御指摘をいただいております。

 また、残された課題では先ほども御指摘がありましたが、男子と女子の差が見られるというところで、残された課題としましては、妊娠が女子に生じる事象であるということに加え、性行動の経験率というものも男子よりも女子が高いという調査結果。そういったものがこういった行動に及ぼす影響、または意識にも十分注意が必要であろうということが指摘されております。

 こちらは中板委員からも御意見をいただいているところでございますので、資料を御確認いただければと思います。

 以上になります。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 山縣委員から補足はございますか。

○山縣委員 特にはございません。

○五十嵐座長 それでは、この課題1の6~9までにつきまして、御質問・御意見がございましたらお願いします。

○矢内理事 喫煙についてでございます。

 子供がいる家庭での喫煙状況がその後の喫煙につながるということは、各保健所でも認識が強いところでございまして、例えば新生児の全戸訪問あるいは乳幼児健診、そういった機会を捉えての家族の喫煙の防止、禁煙教育といった形での指導は行っているところでございます。

 今後必要とされる課題のところにも記載がございますけれども、こういった未成年の喫煙に関しては、地域ごとに状況をはっきりと把握することは非常に難しいという実情もあると聞いておりますので、ぜひ全国レベルでのある程度の数を持った継続的な調査が実施されるように希望しております。

 あと1点は、学校での受動喫煙防止教育でございますけれども、やはり学校での受動喫煙防止というよりは、実際に敷地内禁煙を全面的に進めていただきたいということで、ぜひ国を挙げての取り組みという形でお願いをしたいと思います。

 特に高校での喫煙の状況というのは、成人後の喫煙の開始、あるいは喫煙の再開につながる大きな要因ではないかと考えておりますので、学校、特に高校での全面禁煙といった形の取り組みが進むように希望しております。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 ほかにいかがですか。どうぞ。

○佐藤委員 今の喫煙のことに関連するのですが、学校の敷地内の全面禁煙措置の状況について出ていますけれども、健康増進法のもとに受動喫煙というテーマになっていますが、それはそれでベースとして大事なことですけれども、これはほぼ努力義務という範疇に入るのではないかと。したがって、100%敷地内禁煙にならないのです。

 学校教育現場において、敷地内禁煙が100%にならなければおかしな話だろうと私は思うのです。そういう意味では、学校保健安全法にしっかりと義務という形で今後位置づける。そんな取り組みが国としても必要なのだろうと思います。

 そのことが、いわゆるほかの施設における施設内全面禁煙ということにつながるのだろうと考えます。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 どうぞ。

○青木委員 今、本区では校の敷地内は禁煙状態。大分前から敷地内で一切吸えない状況にあります。教員も吸う人が中にはいるわけです。どうしているかというと、吸う人は近くの公園に行って吸っています。学校の外に行って吸うとか、校門外で吸うとか、かえって問題かなと思うのですが、そんなことをして努力はしています。大分それは浸透してきています。

 飲酒の問題も喫煙の問題も薬物の問題も、小・中・高で保健の授業ではもちろん取り扱っているわけです。特別活動においても薬物乱用防止教室とか、養護教諭が喫煙の指導をするとか、そういうことをずっと積み重ねているのですが、やはりたばことお酒という何となくライン引きがあって、たばこは体に絶対よくないけれども、お酒はちょっとくらいだったらという社会全体の風潮がそこにあるのではないかと思います。

 最近では、母親が社会進出しているので、そうすると飲む機会が多くて、飲むほうがかっこいいという風潮がちょっとあって、家庭にフルーツ系缶チューハイ等ジュース感覚でいっぱい買い込んで置いてあるという家庭があります。女の子などに「家で飲めばいいよ」という母親などがいます。家庭で一緒に飲んでいるのが現状として、本当にあります。

 やはり学校でこういう指導をしながらも、家庭教育での協力がないとよくなっていかない。そういう意味で、家庭啓発がとても私は大事かなと考えます。特に母親への指導が必要です。母親に対しての健診のとき等に、本当に母親に対して子供を育てる上でのいろいろな啓発とか、父親の協力とかが、とても大事だという指導をしていくことが必要と感じています。

 以上です。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 よろしいでしょうか。

 それでは、課題1-1014に移りたいと思います。お願いします。

○木下課長補佐 課題の1-1014に参ります。資料の24ページをごらんください。

 1-10「学校保健委員会を開催している学校の割合」になります。

 策定時の状況が72.2%、目標を100%としておりましたが、今回最終評価で91.6%となっております。

 結果としましては、策定時と比較をして増加しているが目標には届いていない状況にございます。

 学校保健法の運営をより効果的にさせるため設けられているものでございますが、この間、文部科学省や日本学校保健会等々の働きかけが行われているところでございます。その結果を受けまして、開催している学校の割合は向上しているという結果が出ております。

 調査・分析上の課題として、都道府県格差といったものを把握した上で、さらなる働きかけをやっていく必要があるのではないかという御指摘をいただいております。

 さらに残された課題としまして、その開催に当たっての障害となる因子が何か。またどういったものが阻害要因なっているかということについても調査が必要という御指摘をいただいているところでございます。

 特に都道府県格差でありますとか、開催していないところに注目して重点的に取り組んでいくということも必要ではないかという御指摘をいただいているところでございます。

 続きまして25ページ、1-11「外部機関と連携した薬物乱用防止教育等を実施している中学校、高校の割合」になります。

 こちらにつきましては、目標を100%としておりましたが、目標に達していないが改善したという総合評価をいただいております。

 結果ですが、策定時から比べまして、最終評価において、警察職員との連携は大きく上昇しております。また、麻薬取締官との連携は中学校において大幅に上昇。一方で高等学校においてはほぼ横ばいという結果が得られております。

 分析になりますが、薬物乱用防止教室の開催状況は、平成24年度においては中学校で84%、高校でも88%と非常に高くなっております。

 また、年間計画の中に位置づけた取り組みをしている割合も、中学校で77%、高校で84%と高くなってきている結果が得られております。

 こういったことを踏まえまして、より計画的な展開が行われている状況と分析いただいております。

 一方で外部機関との連携の割合には増減が見られるところで、例えば学校薬剤師等の連携は、平成17年と24年を比べますとほぼ横ばい。

 中学校におきましては、16.3%から26.6%に増加といった高校と中学での違いというところも分析をいただいているところでございます。

26ページ、調査・分析上の課題になりますが、調査の時期というところにつきましては、調査の中で計画も含めた状況について把握しているところではございますが、若干影響するところについては、臨時に開催されたものにつきましては、この調査時期の影響が多少あるのではないかと御指摘をいただいているところでございます。

 連携先につきましては、今後外部機関の別を問わない連携割合の算出も必要ではないかという御指摘をいただいているところでございます。

 残された課題につきましては、学校における薬物乱用防止教室が計画的に取り組まれ、外部機関との連携の増減は見られるものの、一定の取り組みは進んでいるというところでございます。

 こういった外部の方との連携の増減の背景といったものを分析した上で、さらなる教育活動を展開していく必要があるだろうと御指摘いただいているところでございます。

 中板委員から御意見をいただいているところで、ごらんいだたければと思います。

 続きまして28ページ、指標1-12「スクール・カウンセラーを配置している中学校(一定の規模以上)の割合」になります。

 策定時が3学級以上の公立中学校を分母としまして22.5%、目標を100%としておりましたが、今回の最終評価におきましては、1学級以上の公立中学校を分母としまして、83.2%で、総合評価は、目標に達していないが改善したという結果をいただいております。

 結果のところではございますが、今、申しましたように分母の部分が策定時は、3学級以上の公立中学校としておりましたが、今回1学級以上の公立中学校となっておりまして、分母が異なるところではございますが、分母が大きくなっている状況で、割合が増えているというところで改善はしているという評価をいただいているところでございます。

 分析ですが、今回、割合としては増加しているものの、未だに未配置の学校があるというところにつきましては、地域性や学校の実情に応じた配置を認めているということもあるので、一律に数字のみで評価するのも難しいというところをいただいております。

 また、調査・分析上の課題は、今後、配置の割合が大きくなっているので、さらに詳しく見ていくという意味では、学校の規模別といったものも必要ではないかという御指摘をいただいているところでございます。

29ページ、残された課題といたしましては、平成18年の文部科学省の調査においては、都道府県の配置状況の差が指摘されております。

90%以上配置が14都道府県ある一方で、50%未満が13あり、人材不足や偏在、財政状況等の影響によって地域の配置状況が大きく異なっていることが御指摘いただいています。

 また、スクールカウンセラー配置状況につきましても、限られた曜日と時間の中で、スクールカウンセラーの方々の効果を最大限に上げるための取り組みが行われているところでございますが、さらなる工夫に向けた調査・研究を行っていく必要があると御指摘をいただいているところでございます。

 続きまして30ページ、1-13「思春期外来(精神保健福祉センターの窓口を含む)の数」になります。

 策定時が523カ所、目標として増加傾向へというところで、最終評価が1,359カ所になっておりますが、比較するに当たって調査の方法が異なるということで、第1回中間評価と今回を比べて変わらないという総合評価となっております。

 分析ですが、子供の心の健康課題に関する取り組みは拡充してきており、指標4-15で、そういった医師のいる児童相談所の割合も増加していることがございます。

 また、思春期の心の健康対策について、取り組みを充実させた自治体の割合は、他の部局や市町村と連携している都道府県も増えているという状況もございます。

 自治体における思春期に対する精神保健対策は、重点化が進展していると読み取ることもできると分析をいただいております。

 今回の分析に当たって、数値を見ていただきますと、第1回が1,374、第2回で増加し今回減っているという状況ですが、こちらの設問の中の関係で担当部局、調査を行った先におきます設問に対する解釈というものが、若干ブレがあるというところで数の増減があったのではないかと考えております。

 調査・分析上の課題ですが、指標の解釈の相違が出ないように、どういったものが思春期外来との定義を明示した上で把握することが必要との御指摘をいただいております。

 また、数のみならず相談内容についても評価する必要があるだろうという御指摘をいただいております。

 残された課題では、体制のみならず、相談の質の問題として、開催状況や、医療機関とのアクセスの向上といったものを今後図っていく必要があるだろうという御指摘をいただいているところでございます。

 続きまして32ページ、指標1-14「思春期保健対策に取り組んでいる地方公共団体の割合」になります。

 第1回中間評価時からの指標となっており、目標100%に対しまして、目標に達していないが改善したという総合評価をいただいております。

 都道府県におきましては100%の実施割合、政令市・特別区では変動はしているものの、90.9%から現在86.7%。一方市町村につきましては、その割合が増加している状況にございます。

 分析ですが、都道府県は全ての自治体で取り組んでいただいているところでございます。

 政令市・特別区につきましては、90%前後で推移。市町村では過半数に届かないところではありますが、増加しているという結果を得られております。

 また、ブロック別での評価も行っており、その割合は、全てのブロックにおいて増えているという状況にございます。

33ページ「残された課題」でございます。

 政令市・特別区におきましては12、市町村は992で取り組みが行われていない状況でありますが、都道府県との連携を強化するなどして、取り組みをさらに進めていく必要があると考えております。

 また、思春期の保健対策に関する対策としては、表の1にありますように、極めて重要と認識していながらも、実際対策を取り組んでいない自治体が4割ぐらいございますので、そういった自らやれない場合であれば、他との連携でありますとか、重要性を認識しながら取り組みを行っていない自治体で、どういった要因があるのか、課題として今後把握していく必要があるとの御指摘をいただいているところでございます。

 以上になります。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 山縣委員から補足はございますか。

○山縣委員 では1点だけ。

 1-10の学校保健委員会でございます。

 これは印象的に覚えておりまして、ベースラインのときに学校保健委員会が開かれているのが7割強くらいということで、ちょっとショックなデータだったと思うのですが、そのときにもありましたけれども、恐らく地域の学校医をされている医師会、歯科医師会、薬剤師会の専門先生たちの御尽力もあったのかと思っておりまして、ここまで上がってきたということでとてもよかったと思っております。

 これも含めていろいろな会が開催されるとか、スクールカウンセラーが配属されるとかか、そういったことについては、とりあえず数の面では何とかよくなったと思うのですが、次は質の評価ということが次への課題かと思っております。

 以上です。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 それでは、この課題1014につきまして御意見はいかがでしょうか。

 どうぞ。

○佐藤委員 今の学校保健委員会のことに関連して、まず事務局にお伺いしたいのですけれども、割合というのは小・中・高全部を含めての数ということでしょうか。

○稲畑係長 文部科学省でございます。小・中・高全てです。

○佐藤委員 私の地元の感覚から言うと、高校の設置率あるいは開催率というのは極めて低いのではないかという認識なのですけれども、その辺の小・中・高の差については何か資料とかありますか。

○稲畑係長 今、手元にはないのですけれども、調査はしております。

○佐藤委員 恐らく小学校ではほぼ100%に近いのではないか。中学校もかなり高い。しかし、高校は相当低いという認識ですし、この数字は恐らく設置率なのだろうと。実際の開催は、ないところがかなり多い数字になっているのではないかという気がします。

 質はもちろん大事なことですし、開催ができない要因というのも、それなりに今の山縣先生のお話のとおりだろうと。

 開業医は昼間に開催されてもなかなか出ていけない。私も校医をしているのでよくわかりますけれども、そういったところの工夫は、今後学校現場としっかり取り組みを考えていくことになると思います。

○五十嵐座長 御指摘ありがとうございました。

 ほかにいかがですか。どうぞ。

○市川委員 市川でございます。

 1-12のスクールカウンセラーを配置している中学校というのは、多分目標を設定するころは中学校が中心だったのだと思うのですけれども、現在、高校でもいろいろ配置されてきていますので、調べるのであればそういうのも指標にしていただいたほうがいいと思いますし、たしか文部科学省はスクールソーシャルワーカーというものの設置を始めているはずで、要するに子供さんだけを見ていても無理で、その背景にいる御家族も含めてということを考え出しているはずなので、中学校のスクールカウンセラーだけを調べているというのは、若干物足りない気がいたしますが、いかがでしょうか。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 ほかはいかがですか。秋山先生、どうぞ。

○秋山委員 日本小児科医会の秋山です。

スクールカウンセラーに関してなのですけれども、以前は校内暴力の課題があった時期からカウンセラーの設置が始まったと思いますが、今は学校内では発達障害の二次障害とか、虐待に関する問題が多くなってきています。

 そういう意味では、スクールカウンセラーの業務内容。例えば今、市川先生がおっしゃいましたようにソーシャルワーカーのような働きも、一部こなさないといけないのではないかという印象があります。

 そこでスクールカウンセラーの設置と同時に、業務内容も一緒に調査・研究していただければと思います。

 以上です。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 どうぞ。

○島田委員 日本助産師会の島田です。

 これらの指標で学校保健委員会の開催だとか、思春期保健対策に取り組んでいる地方自治体の割合というのがあって、それぞれ非常に努力されている状況だと思うのですが、今、特に御指摘があった高校などでは、養護教諭の先生にお聞きすると、やはりキャリア教育ということが中心になっている。でもキャリアを積んでいくには、いかに健康も留意していかなくてはいけないかとか、将来自分が子供を産むとか、そういったリプロダクティブヘルスに関してどう考えていくかというのが、ごっそり抜け落ちているのではないかという御指摘もありますし、事実そういったことで妊産婦の痩せだとか、ハイリスク妊娠というのも増えております。思春期というのは生涯の健康を決めていく大きな重要な時期だと思いますので、できれば指標や対策というのも講じていただきたいと思っております。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 思春期医学、医療は先進諸国の中で日本は非常に遅れております。また、それを担う医療関係者も非常に少なく、心の問題等に対応する医師も不足しています。現在、小児科学会や小児科医会が努力していますが、十分な対応ができる状況にはなっていません。

 他に御意見は?

 どうぞ。

○今村委員 今のような議論を踏まえて学校医、あるいは学校協力医の中に精神科のお医者さんと産婦人科のお医者さんというのは必ず入れてほしいと思います。学校医である眼科あるいは耳鼻科に比べて、必要性が劣るとは全く思いませんので、非常に大事なことだろうと思います。

○五十嵐座長 非常に貴重な御意見だと思います。ありがとうございます。

 どうぞ。

○仲沼保健福祉部次長 それも関連しますけれども、113の思春期外来の数なのですが、分析とか課題にもありましたとおり、その定義というか解釈によって数字が変わってしまっているということで、実情を申し上げますと、我が県につきましても、担当者の把握している数という形で、担当が変われば把握している数も変わってしまうという状況の中での数字を出させていただいている状況にあります。

 また、当然今、お話がありましたけれども、精神科、特に児童精神科の先生が少ないものですから、精神科だけではなく、産婦人科のお医者さんにも思春期の相談をしていただいていますし、福島県で思春期相談マップというのを以前からつくっておりますが、小・中・高校の養護の先生を中心に配っているのですけれども、その中には相談窓口として産婦人科とか、泌尿器科も含めて出しておりますので、今後定義を考えていただくときには、いろいろその旨も考慮していただければと思います。

 以上です。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 よろしいでしょうか。

 それでは、課題1の1516をやりたいと思います。お願いします。

○木下課長補佐 35ページ、指標1-15「食育の取組を推進している地方公共団体の割合」になります。後ほど4-14でも同様の指標を御議論いただきます。

 第1回中間評価から策定しており、目標を100%としておりました。今回、総合評価として、目標に達していないが改善したという結果が得られております。

 都道府県、市町村、それぞれ指標は着実に増加しているところでございます。

 分析になりますが、2005年の食育基本法の制定などを受けまして、市町村における保育所・幼稚園との連携でありますとか、学校の取り組み、農林漁業、食品産業との連携した取り組みというものが進んでおりまして、住民組織・団体との連携の取り組みも約80%近くとなっているところ。

 調査・分析上の課題として、食育の推進が「健康日本21(第二次)」の中でも重要な課題と取り上げられているところで、今後「健やか親子21」の中で、どういった特徴的な項目を各自治体の計画の中に反映していていくかというところには、検討が必要であると課題が掲げられているところです。

36ページ、残された課題ですが、幼稚園や学校との連携は80%弱で、さらに連携を進めていくことが必要である。

 また、子供の心身の健康の増進と豊かな人間形成のため、食育の機会がさらに増えることを期待したいという御指摘をいただいております。

 続きまして37ページ、指標1-16「朝食を欠食する子どもの割合」になります。

 こちらは第2回中間評価時に策定されたものでございますが、目標はなくすというものに対しまして、今回は総合評価として、評価できないという結果になっております。

 その理由としましては、男子の7歳~14歳、15歳~19歳、女子の1歳~6歳ではその割合が改善している一方で、男子の1歳~6歳、女子の7歳~14歳、女子の15歳~19歳でその割合が悪くなっている。

 特に15歳~19歳の男子につきましては、10%を切って改善しているのですが、同じ年代の女子では10%を超えて悪化しているというところで、一概にこの評価をすることができないという結果をいただいているところでございます。

38ページの分析のところになりますが、朝食を欠食する因子としまして主に3つ挙げられております。

 生活のリズム、保護者の状況、本人の意志というものが挙げられておりまして、各年代においてそれらの3つの要因がさまざまに影響しているという分析をいただいております。

 生活のリズムの夜型化というところで、小学生では朝食べる時間がないという状況が生まれ、中学生では食欲がないという状況が生まれていることが推測されること。

 加えて、本人の意志に関しては、いわゆるダイエットの体型を気にするということで、朝食を欠食する割合が、女子の7歳~14歳、15歳~19歳において悪化傾向の1つの要因となっているとの分析です。

 調査・分析上の課題として、こういったものの把握がされているところでございますが、文部科学省におきます把握と、今回の国民健康・栄養調査における傾向が必ずしも一致していないこと、欠食の定義とに違いがあることを課題として御指摘いただいています。

 また、平成17年の乳幼児栄養調査結果におきましては、保護者自身の朝食の欠食を含む朝食の習慣というものが、特に年齢の小さい子供については、子供の朝食の欠食に影響しているという可能性も示唆されており、こういったものもあわせた検討が必要という御指摘をいただいております。

39ページの残された課題は、身体的な健康の視点に関しては、夕食や夜更かしをしている間の間食といったもの。また、精神的な健康の視点では、夜更かしの理由の中に、昨今メールでありますとか、SNSの頻回なやりとり、さらにはストレスの関係といったものについての調査・研究が必要との御指摘をいただいております。

 就寝時刻の問題や、インターネット・携帯メールの利用時間、などさまざまな要因となって寝不足の理由といった、生活習慣という前提の中の課題という位置づけがされており、特に女子に対してそういった支援策の検討が必要という御指摘をいただいているところでございます。

 また、朝食の状況は年齢が高くなるにつれ、保護者からの影響が小さくなる一方で、本人の意思でありますとか、その生活に左右されることが多くなっているというところが課題として御指摘いただいております。

 これらを踏まえまして、食育にさらに取り組んでいくとともに、自律的な健康生活を育む基礎として、ちゃんと課題として取り上げることが必要であろうという御指摘をいただいているところでございます。

 以上になります。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

○迫委員 食育に関しての取り組みが行政機関を中心にいたしまして、さまざまな食育推進計画、またその中で地域での連携等について進められていることは大変ありがたいことだし、これをより一層強化していかなければならないことだと思っております。

 そういう中で、朝食を欠食する子供の割合という指標について、今回評価できないという本当に残念な結果に終わっているわけですけれども、ここの部分というのは、先ほども御説明がありましたが、生活習慣に対して時代がいろいろな悪影響を及ぼしていること。生活習慣の問題が、即朝食というところにひずみとして出てきているのではないかというところ。

 もう一つは、同じような形でそういうひずみの部分が思春期という問題につながって、そことも関連してきているという形で、いろいろなことが繋がっていき過ぎてしまっているというのでしょうか。そういう意味で評価がし切れないなという感じがしているところでございます。

 子供たちが朝食を食べるための取り組みというのは、さまざまな分野でされております。

行政機関もそうですし、学校も保育所も、生産の現場である農水産関係の方々も、食育というつながりの中で子供たちにどうやって食事を食べさせるか。特に朝食を食べさせるかというところでの取り組みが進みつつあるところだとは考えておりますので、この評価の仕方というものを一つ考えていくことが大事なのかなと思います。

 朝食についての定義というところで、定義の仕方が違うところが問題であると出てきているわけですけれども、定義と同時に子供たちの調査に関する例数が、特に1歳~6歳までの例数が非常に少ないというところで、その把握がし切れていないのではないかと思うところであります。

 親と子の関係も含めて、調査の指標とするべきものは何なのかというところをもう一度考え直す必要があると思います。

 もう一点は、食育の取り組みが進んできているとはいえ、その中でどういう項目が取り組まれているのかという具体的な取り組みの内容について、次は指標としていくべきかと思っております。

 以上です。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

○矢内理事 まず食育に関してですけれども、取り組みが進んできたということは非常によいことだとは思います。ただ、各自治体での取り組みについては、まず所管がさまざまな部署にまたがっている、あるいは所管が教育分野であったり保健分野であったりばらばらであるということも実態としてございます。

 そういった中で、何を食育の大きな目標にするかということがなかなかわかりにくくて、取り組みがぼやけてしまうということもあるように実感しておりますので、食育の目指すところが何なのか、取り組むべき課題をきちんと年次別に分けて、経年的に目標の達成状況を評価していくといった評価の視点が必要ではないかと思っております。

 あと1点、朝食の欠食状況について今回評価ができないとなったことは私も非常に残念だと思っております。ただ、国民健康・栄養調査につきましては、先ほどもお話がありましたけれども、調査数自体が非常にこの年齢でも少なくなっているという実態がございます。

 文部科学省の実施した調査と乖離があるという指摘でございますけれども、何を調査の主体とするかということについて、再検討が必要ではないかと考えております。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 どうぞ。

○奥山委員 ありがとうございます。

食育に関しましては、やはり保護者として見たときも小・中学校に関しては、かなり保護者の意識も高くなってきているのかなと朝食の部分については感じております。

 ただ、やはりここでも出ているように高校生については、家庭の影響というよりむしろ自分の理由ということが増えてくると感じております。例えば最近ですと高校生向けには、スポーツ選手等がやはり体をきちんつくるということが、スポーツをやる上でも非常に大事であるということで、子供たちの関心を引かれるような方々が来てやっていくということもありますし、高校においては、自分でお弁当をつくる日を定める等学校で啓発するようなキャンペーンを年に何回かやるという試みもしているようです。そういった意味では、学校種別に分けて検討していくことが必要ではないかなと思っております。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 どうぞ。

○青木委員 今、ご指摘のとおり、小・中学校では、早寝、早起き、朝御飯が大分浸透してきたかなと思います。ただ、朝食の摂取率は高まったけれども、内容がいま一つ課題と思っております。

 「食育」は、「知・徳・体」を支える基本でと。生きる力のもともとの一つの要素として、本当に食育というのは大きな力があるのではないかと思っているのです。そういう中で、区市町村でも東京都でもいろいろ進めてはくださっています。

 東京都は特に、学校に食育コーディネーターを設置することになっていて、校長が指名をして、食育コーディネーターを中心に進めてはいるのですが、現実問題、学校組織としての食育の推進はなかなか難しいです。

 文科省からは、関連教科との絡みの中で食育を進めるようにといわれています。学習指導要領総則3にも「学校での食育の推進」が明記されましたが、中学校などの場合は、食育そのものをやる時間の確保がなかなか難しいのです。そうすると、学活で取り組むか、あるいは教科と連携しながらやっていくかということしかないので、なかなか組織的に進めることが難しいです。

 食はもともと家庭の問題かなと思っております。

 家庭での生活、特にネット依存というか、このところ話題になっている、女の子は特にメールをすぐ返さなければいけない。年がら年中手元に携帯を置いているということで、本当に時間をとられて、食事もろくにしない、寝不足になるような状況が見られます。

 ちょっと前は塾の問題とか、夜型の問題があったのが、今はネット問題のほうに発展しているのではないかなと思います。あわせて女子のダイエット志向も大きな問題になっています。

 このように、今本当に女子の課題が山積していますので、女子に対する、あるいは保護者に対する同じような啓発というのがとても大切ではないかなと思っています。

 以上です。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 よろしいでしょうか。

 では、課題3に移りたいと思います。お願いいたします。

○木下課長補佐 41ページをごらんください。前回の課題3の中で残っておりました3-20になります。

 3-20「小児人口に対する小児科医・新生児科医師・児童精神科医師の数」の指標になります。

 結果は、小児人口10万単位の小児科医師数等は着実に増加しており、目標を達成しているという総合評価をいただいております。

42ページ、分析のところでございます。

 こちらに3つ指標が入っておりますので、順に御説明していきます。

 まず、小児科医師数の総数自体は増加しているものの、その勤務形態等も踏まえまして、病院勤務の小児科医師の推移も検討が必要であろうという御指摘をいただいております。

 また、卒後数年以内の若い年齢層での小児科医師の推移も検討が必要という御指摘をいただいております。

 次の新生児科医師の数につきましては、増加はしているものの、勤務形態を十分評価する必要があるという御指摘をいただいております。

 さらに児童精神科医師の数も着実に増加というところで、こちらにつきましては、この分野に興味を持って対応したいと思っている医師の増加が考えられるという分析をいただいております。

 調査・分析上の課題につきましても、3つに分けて御説明していきたいと思います。

 小児科医師数につきましては、策定時と直近値を同一の調査方法で、正確な統計と考えられる。

 次の新生児科の医師につきましては、第2回と最終評価につきましては、専門の医師数を評価しているので、この2つについては十分な評価ができるだろうという認識でおりますが、その中でよく見ていきますと、やはり新生児科の医師につきましては、一般の小児科を兼ねていることもありますので、実際の配置状況と調査結果等については、乖離が生じている可能性があるという御指摘をいただいております。

 また、児童精神科の医師につきましては、先ほど資料2で御説明いたしましたが、その定義というところを今回明確なものとした結果、過去の策定時及び第1回中間評価の見直しも行っております。定義を明確にしたことで評価は十分行えると考えております。

 さらに全体的な背景になりますが、小児人口が減少しているという点につきましては、実際の数の増加以上に指標のほうが改善して見えるという性質もあるので、その点については留意が必要という御指摘をいただいております。

 残された課題になりますが、小児科、新生児、児童精神といったものを志望する医師が増える包括的な対策が必要である。

 また、小児科につきましては、女性医師の割合が多いところに問題もありますので、そこに対応した女性医師が働きやすい環境整備も重要であるという御指摘をいただいております。

43ページですが、1カ所誤植がございまして訂正をお願いしたいと思います。

 ※1の2行目の一番最後になるのですけれども「平成20年及び平成25年調査」となっておりますが、こちらは「平成24年調査」の間違いですので、訂正を1カ所お願いいたします。

 以上になります。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 いかがでしょうか。御質問・御意見はございますか。

 どうぞ。

○仲沼保健福祉部次長 福島県です。

 数的には増えているということだと思いますけれども、現実的に見ますと、地域的な偏在ということもありますので、その辺も残された課題の中にも踏まえていただきたいですし、これから少子化対策とか、いろいろな問題の中で国を挙げて小児科、新生児、児童精神科のお医者さんが増える対策を、もっと強力に推し進めていただきたいと思います。

 特に児童精神科のお医者さんにつきましては、福島県の場合もほかも同じと思いますけれども、発達障害の子供さんの関係。気づきという部分で多分だんだん増えているとなってくると思うのですが、今、発達障害の診断を受ける、判定を受けるのに6カ月とか1年待ちという状況が続いておりますので、この辺はもっと力を入れてやっていただければと思っております。

○五十嵐座長 どうぞ。

○市川委員 今のお話と似ているのですけれども、私も児童精神科を例にとると、あくまでも増加傾向へという目標を達成したと書いてあるのですが、地域差が非常にあったり、あるいは先ほど新生児科の先生が小児科と重なっているとおっしゃっていましたけれども、児童精神科の医者も大人の精神科と重なっている人もかなりおりますし、多分小児科医と同じくらい女性の比率は非常に高い部門なので、そういうところも考慮していただいて、今後、違う目標を設定して、本当にまだまだ足りないということで、今後も指標を追っていただければありがたいと思います。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 山縣先生、何か補足はございますか。

○山縣委員 平成12年から10年間の小児科医師数自体が10%強増えているのですが、全体の医師数も10%強増えておりまして、それを反映している。

 そうなってくると今、御指摘のように、どういう医療にどういう専門の医師が必要なのかということが一つあって、それに対して達成できているかどうかといったことを今後考えていく必要があろうかと思います。

 以上です。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 ほかにないようでしたら課題4に移りたいと思います。1から5までをお願いいたします。

○木下課長補佐 お手元の資料の44ページと45ページに同じものがありまして、大変申しわけございません。45ページから御説明をしていきたいと思います。

 4-1「児童虐待による死亡数」です。

 策定時の状況が44人。目標は減少傾向へというところで、今回の総合評価は、変わらないという評価となっております。

 結果ですが、策定時と比べますと減少しておりますが、第1回中間評価時に増加、第2回中間評価、最終評価時点において増加は認められないというところで、総合評価としては変わらないとなっております。

 分析のですが、社会保障審議会の検討委員会の報告を見ても、減少傾向は認められないという分析をいただいております。

 評価ですが、やはり年度ごとのばらつきが大きい現状では、減少傾向へという目標は達成していないという評価とすべきなっております。

 調査・分析上の課題ですが、本指標は、警察庁の調べを基準としているところですが、厚生労働省の審議会の報告等もあるので、今後どのような調査結果を指標に反映させるかの検討が必要という御指摘をいただいております。

 残された課題ですが、この指標につきまして「健やか親子21」の計画の開始後に、主に福祉分野からさまざまな施策が今、実施されて、福祉分野と母子保健分野の連携施策も推進が行われているところではございますが、指標の状況は変わらないことを踏まえますと、まだ十分な成果が得られているとは言いがたいという御指摘をいただいているところでございます。

 対応として、母子保健分野と福祉分野のより強い連携による予防対策が必要という御指摘をいただいております。

 中板委員からも御意見をいただいているところでございます。

 続きまして47ページ、4-2「法に基づき児童相談所等に報告があった被虐待児数」になります。

 今回、策定時におきまして、増加を経て減少へという目標設定をしたところでございますが、結果としてこの間、3倍以上の増加になっております。

 分析ですが、策定当時、発見が喫緊の課題であったため「増加を経て減少へ」という目標を立てておりました。その理由としましてはまず、社会認識を広めることで発見数が増加し、発見数が増加すれば、それぞれ十分な支援が実施できるとの期待のもとで、その後、発見数は減少するであろうとの期待を含んだ目標設定となっておりました。

 しかし、現時点においてはまだ相談件数が増加というところで、増加の原因がなかなか今調査のみでは特定することはできませんが、他の指標4-3、4-5、4-6なども余り改善していないということを踏まえますと、さまざまな個人的な要因と社会的な要因が改善されていない状況もあるのではないかという分析をいただいております。

 評価ですが、この間、乳児家庭全戸訪問事業や、養育支援訪問事業等々、さまざまな分野で母子保健と児童福祉分野の施策が実施され一定の効果を上げていると考えられますが、他の要因等もあり、直接的に報告数の減少にはまだつながっていない状況という評価をいただいているところでございます。

 地域、社会での虐待に関する意識が高まっていることも考えられる一方で、実際虐待が疑われる子供の増加という可能性も指摘いただいているところで、評価としてはなかなか達成できていない、課題に対する達成を評価できないという状況でございます。

48ページ、調査・分析上の課題では、この指標の中には、市町村におきます要保護児童対策地域協議会への報告事例が含まれていないため、今後どうしていくかというところも必要であろうとの指摘をいただいています。

 中板委員からも御意見をいただいているところでございます。

 続きまして49ページ、指標4-3「子育てに自信が持てない母親の割合」になります。

 数値目標を明確にしたということもございまして、中間評価時の数値の比較ではほぼ同程度の割合、ベースラインと比較しますと、母親の割合が減少している状況にございます。

 分析ですが、福祉施策など、市町村の取り組みが今後より一層進むことで、さらに目標の達成に近づくことが期待されるとなっております。こちらは3~4カ月児で低くて、子の年齢とともに子育てに自信が持てない母親の割合が高くなってきているというところは、子供の成長に伴ってその行動や社会性の変化が、子育ての自信に影響していると考えられるという分析をいただいております。

50ページ、残された課題になりますが、4-7~9などの住民の行動の指標や、4-1012、行政や関係団体の取り組みといったものが改善している一方で、この母親の主観に基づく指標が明らかな改善を認めていないという乖離が問題ではないかということから、この乖離の原因を分析して、さらなる事業展開につなげる必要性を御指摘いただいています。

 中板委員から御意見をいただいているところでございます。

51ページ、指標4-4「子供を虐待していると思う親の割合」になります。

 結果ですが、3~4カ月児では横ばい、1歳6カ月児では減少、3歳児では、第1回目よりも減少するも第2回目とほぼ同様の結果となって、目標値には達していない結果となっております。

 分析ですが、子供の年齢が高くなると、子供を虐待していると思う親の割合が高くなる傾向は、どの調査時点でも同じという傾向がございます。

 本指標が改善傾向にあることと、4-1、4-2の指標においては改善の兆しを認めていないところに乖離があることが分析上の課題として指摘されております。

 今回の評価におきましても、行政や関係機関の取り組みは改善の傾向を認めるものが多く、この取り組みが今後指標の改善と関連している可能性を指摘されているところでございます。

52ページ、残された課題になりますが、この指標で得られる主観的虐待観が保健水準の指標として適切であるか、今後検討が必要との御指摘をいただいております。

 指標4-4につきましても、中板委員から御意見をいただいているところでございます。

 続きまして53ページ、指標4-5「ゆったりとした気分で子どもと過ごせる時間がある母親の割合」になります。

 こちらは、変わらないという総合評価をいただいております。

 こちらの指標につきましても、数値目標を明確にした第2回中間評価以降の評価となっております。

 3~4カ月児ではやや増加、1歳6カ月児で横ばい、3歳児ではやや増加というところで、目標には達していない状況にございます。

 設問に対しまして「いいえ」の頻度は全ての年齢で徐々に減少を認めていますが、1%程度にとどまっているという結果になっております。

 分析ですが、子供の年齢が高くなるほどゆったりとした気分で過ごせる時間がある親の割合が減少する傾向は、いずれの時点でも同じであるというところになります。

 この本指標に加えまして、行政や関係団体の取り組みの多くは改善する傾向を認めていますが、これらの施策が十分に行き届いていないのではないかという御指摘をいただいております。

 また、都道府県別の集計の結果、約2倍の差があるというところも今回の結果から得られているところでございます。

54ページになりますが、評価として指標の数値はわずかながら増加しているものも達していないという結果になっております。

 調査・分析上の課題は先ほど申しましたように、都道府県の比較をする場合には、やはり件数の少ない部分もございますので、考慮する必要があるという御指摘もいただいております。

 残された課題ですが、保健水準の指標として、子育ての中心にいる母親がゆったりとした気分で子どもと過ごせる時間を持てると感じるような支援の内容、質の向上が求められます。また、子育て支援策などの自治体の福祉サービス等のアウトカム指標となり得るものであるので、さらに検討し、事業の構築に生かしていく必要性があるだろうという御指摘をいただいております。

 以上になります。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 山縣先生、何か補足はございますか。

○山縣委員 特にありません。

○五十嵐座長 どうぞ。

○今村委員 子供の虐待防止の問題ですけれども、虐待死の最大の原因というのが望まない妊娠であることは間違いがないです。

 特に出生ゼロ日、あるいはゼロ歳児の実母による虐待死の問題というのは非常に悲惨な問題であるということで、日本医師会は23年度から都道府県医師会並びに民間団体と協力いたしまして、市民公開フォーラムというものを開催しているところです。

 その中で特に出生ゼロ日の虐待死の対応として、特別養子縁組のあっせんというものを今後展開しようと考えております。

 御案内のように、一部民間団体による高額な寄付金の徴収というのは、言ってみれば人身売買まがいのことであって到底容認できるものではないと考えております。

 実際、妊娠の管理と出産に当たる産婦人科の医療機関を中心として、このあっせん事業を展開したいと考えております。

 具体的には全国各ブロックに拠点の産科医療機関というものを設置したい。そしてその中で登録制です。それは恐らく将来出自を知る権利ということにも結びついてくると思いますし、当然のことながら継続的な対応というのが必要になってまいります。連絡網の整備等にも着手しなければならないと思っております。

 現在のところ、産婦人科医療機関の持ち出しによる事業の展開というものを考えておりますけれども、ずっと赤字のままこういうものを継続していいということはありませんので、黒字運営ということは全然期待しませんけれども、こういうものの事業、あるいは法人化というものにも、恐らくある程度の金銭的なものというのは必要になってくると思いますので、それに対する国、あるいは地方公共団体への助成というものをぜひ考えていただきたいと思います。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 どうぞ。

○市川委員 市川でございます。

 虐待関係につきまして、亡くなった被虐待児数ということで非常に心が痛むのですけれども、実は年齢がもうちょっと上にいきますと、死には至らないけれども、激しい精神症状や行動障害を来す方が随分おりまして、これは多分子供の精神患者をやっている医療機関ではそれなりの数字を持っていると思いますので、そういうのも指標にしていただければありがたいと思います。

 また、そういう場合というのは、実は積極的に医療しようとしても保護者が認めないというケースが非常に多くて、私は4-4のこの割合は何を調べているのかなと。本当に虐待している親御さんは、果たしてうんと言うのかなという気がして、これは疑問に思います。

 もう一つ、虐待のケースというのは、地域によって若干違いはあると思いますけれども、児童相談所で扱っているケースが非常に多くて今、福祉司がバーンアウトとしてやめていってしまうケースが非常に増えてきておりますので、例えば虐待を扱っている児童相談所の福祉司一人当たりの数とか、そういうのをぜひ表にしていただいて、虐待に対する対応が積極的に進むようにしていただけたらありがたいなと思っております。

○五十嵐座長 どうぞ。

○川崎委員 4-2の虐待の件数がなかなか評価できないということで確かに難しいのですけれども、少し前提条件を考えておく必要があるかなと思います。

 策定時の現状で1万7,000件という数字が出ていまして、第1回中間評価、第2回中間評価となっているのですけれども、注意しておく必要があるのは、平成16年に児童虐待防止法が改正されて、虐待の定義の部分が少し変わった点です。一つは、同居人の行為を放置することをネグレクトとして規定したということ、もう一つは心理的虐待にDV行為を目撃するというものが入ったことです。

 それを念頭に以後の件数をみると、誰が通告をしてきたのかという経路別件数では、警察からのものが非常に増えています。警察がDV相談をしたときに、その家庭に子供がいると児童相談所に通告をするということです。そういう意味で言うと、定義の変更と通告件数の増大というのは非常に大きな関係がしていると思いますので、評価するときに考えていく必要があると思います。

 それともう一つ、経路別で特徴的なのは、近隣住民の方の通告というのがかなり増加している点です。定義の変更とあわせて、重大事件などによって社会的な関心も高まったかもしれませんけれども、広報啓発活動が近隣住民の通告の増大につながっていると思うのです。定義の拡大、社会的な認知の広がり、広報啓発活動などが影響して増えていると考えてもいいかと思います。

 もう一つ、厚生労働省が児童相談所につながる全国共通ダイヤルを開設しているのですけれども、月別件数を見てみますと、11月が過去3年間非常に高いのです。つまり、11月は虐待防止推進月間になっていまして、広報啓発が特に行われる。その月にかなりの件数があるということは、逆に言うとこの件数が今後減るかというと、広報啓発活動がさらに強まれば増加していく可能性があると思います。

 中板先生が、虐待対応件数の増加をふまえて「悪化している」と評価されています。虐待の実数そのものを確定することはできませんが、これだけの件数とか深刻な事態を考えると、虐待そのものの件数が増えている可能性は高いと思います。が、同時に啓発活動が進んできているけれども、まだ不十分だということもあるかと思います。というのは厚労省の死亡事例検証で、事前に通告のあった件数というのは、過去8次報告まで2割を超えたことがない。今回の第9次報告では、事前に通告があった件数が(心中以外の虐待死で)2割を超えてはいますが、死亡事例のような、もっとも重大な虐待事例でもまだまだ通告がされていないという事実を考えると、さらに広報啓発をしていく必要があるということです。

 それと先ほどちょっと出ていましたけれども、目標の設定の中で、増加を経て減少へということで、件数が増えてきて対応すればそれなりに減っていくのではないかということなのですが、これだけの通告への対応の中で児童相談所が本当に丁寧に全て対応できているかというと、なかなか大きな問題がありますし、市町村のほうも小さな自治体では体制ができていない、十分でないところもあるかと思いますので、この件数にあわせて、やはりどういう対応が行われているのか。その対応の内容についても評価をしていかないと、本当の意味での虐待対策にはなりにくいのではないかなという気がいたします。

○五十嵐座長 出石先生どうぞ。

○出石委員 私のほうからは、指標についての意見を述べさせていただければと思うのですが、4-3「子育てに自信が持てない母親の割合」ということが書いてございまして、資料にも、お母様の主観に基づく指標ということで指摘していただいているのですが、やはり最初から自信を持って子育てできる方はいらっしゃらないと思いますので、このあたりの指標の置き方を今後検討していけたらいいのかなと感じております。

 あとは、市川先生からお話がありました、子供を虐待していると思う親の割合というところですが、本当に虐待している方で「はい、私はやっています」という方は恐らくいらっしゃらないと思いますので、今回は国民運動ということですから、子供の心の安らかな発達の促進と育児不安の軽減という目的ではどうかなという思いがあります。少し指標の表現の仕方を検討していくと、国民の皆さんがもっと豊かな子育てをしていける指標になれるのかなと感じました。

 以上です。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 どうぞ。

○奥山委員 子育てひろば全国連絡協議会の奥山です。

 指標の4-3「子育てに自信を持てない母親の割合」です。

 健診時に調査をしていると思いますが、3歳未満のところのお子さんの状況というのは、まだ全国平均で言えば7割から8割が在宅です。2割から3割にかけて保育所という形だと思うのです。そういうことを考えますと、ここの自信が持てない母親というのが、保育所に入所している方とそうでない方に差があるのかどうかというのは、少し気になるところかなと思っています。

 それと、すでに実施されていてデータがありますが、経験を聞くという指標です。おむつをかえたりミルクをあげたりした経験があったかどうかみたいなものも、大分低くなっているという指摘がありますので、どういう指標でこれを捉えていけばいいのかというのは、皆さんがおっしゃるとおり、少し再考が必要ではないかなと感じたところです。

 それは、もしかしたら4-5のゆったりとした気分で子供と過ごせる時間があるかどうかということで言えば、在宅で育てて、お母さん24時間待ったなしという中で育てていることもあるので、そのあたりで差があるものなのかどうかというのに少し関心がありました。

 以上です。

○五十嵐座長 秋山先生、どうぞ。

○秋山委員 秋山です。

 この虐待死亡に関しては、やはり周産期と母子保健と児童福祉の切れ目のない支援が必要かと思います。今村先生がおっしゃいましたように、新生児死亡が多いことから産科と小児科の連携は必至で、具体的には特定妊婦の支援の内容だとか、1カ月健診の取り組みの状況なども把握することが必要かと思います。

 現在、1カ月健診を含めた乳幼児健診を小児科三者協の健診検討委員会というところで議論を始めているところです。

 もう一つ、子育てのそばにいる小児科医として感じますところは、相談ができないお母さんたちは、やはり背景に育児の孤立化があるように思います。核家族によって身近に相談する人がいない、あるいは相談することに慣れていない、育児の物差しがない。例えば早寝早起きをしなければいけないなどという物差しがなければ、育てにくいということを感じることもなくて、何を相談したらいいかわからないというお母さんたちもいます。

 そして、相談する相手がいないためにインターネット、スマホを利用するお母さんたちも増えています。それの延長線上で現在、子育てをスマホでしているお母さんたちも多く見られてきています。育児の現状を把握していく必要があるかと思います。

 以上です。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 よろしいでしょうか。

 では、2時間になりましたので、ここで10分間休憩をしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。40分から始めたいと思います。

 

(休  憩)

 

○五十嵐座長 皆さんおそろいのようですから、再開したいと思います。

 課題4-6~8までよろしくお願いします。

○木下課長補佐 55ページ、指標4-6「育児について相談相手のいる母親の割合」になります。

 結果ですが、策定時と同一の方法で集計した最終評価の値につきましては、ほぼ同じ。

 第1回中間評価から実施した健診別の集計において、3~4カ月児は増加、1歳6カ月や3歳児では減少した後にわずかに増加という結果になっております。

 分析ですが、回答の総数から「誰もいない」または「無記入」を引いた割合を「相談相手がいる」割合として集計しています。「誰もいない」の頻度につきましては、策定時の0.8から最終評価時の0.7とほぼ同じとなっております。

 一方で、この間「夫婦で相談する」が72.7%から78.9%。「祖母(または祖父)」に相談するのが50%から66.8%。「友人」につきましても増加を認めております。

 一方で「近所の人」への相談というのが19%から13.5%へ減少している傾向が認められております。

 さらに「インターネット」の頻度というものが0.8%から9.6%へと大きく増加しており、また3~4カ月児で18.4%、1歳6カ月児で9.6%、3歳児で6.7%と大きな違いを認めている状況です。

 「電話相談」につきましては、ほぼ同じ割合ということで「インターネット」とは対照的な動きを示したという分析をいただいております。

56ページの評価につきましては、相談者が「誰もいない」という頻度が策定時から極めて少なかったこともあり、増加傾向は認められないという評価になっております。

 また、先ほど申しましたように「インターネット」の増加やその普及状況を考えれば「インターネット」の部分が増えたことも当然と考えられるという評価です。

 調査・分析上の課題は、相談相手が誰かというものに加えまして、今後どのような相談内容なのかといったものを加味した分析が必要ではないかという御指摘をいただいております。

 残された課題ですが「誰もいない」と回答したグループは、ハイリスクアプローチの充実が必要であろうという御指摘をいただいています。

 また「近所の人」の割合につきましても、都道府県別の分析が必要であり、「近所の人」に相談できる環境の地域差は、子育て支援のためのソーシャルキャピタルを考察する上で重要な指標となる可能性があるという御指摘をいただいています。

 続きまして57ページ、4-7「育児に参加する父親の割合」になります。

 結果ですが、いずれの時点でも「よくやっている」という割合が増加しており、その割合は、3~4カ月児、1歳6カ月児、3歳児の順に多く「時々やっている」は、逆の傾向を認めています。

 また、幼児健康度調査で「よくしている」と回答した者の割合は策定時と最終評価時の比較でも増加しているという結果を得られております。

 分析ですが、育児・介護休業法の改正でありますとか「イクメンプロジェクト」といった、子育て支援策が徐々に浸透していることの傍証と考えることができるとの分析をいただいております。

 子供の年齢とともに父親の割合が変化したことは、他の指標の母親の状況が、子供の年齢が上がるとともに変化することと関連していると考えられるとの分析をいただいております。

 ただ「よくやっている」と「時々やっている」を合わせた割合というものは、3~4カ月で横ばい、1歳6カ月児と3歳児でわずかながら減少しているところを踏まえますと、育児に参加しない父親の割合は変わっていないと言えるのではないかとの分析をいただいております。

58ページ、評価では「よくやっている」という割合は改善を認めた。

 調査・分析上の課題として、こういった子育て支援の総合的な評価の1つとして、引き続きモニターしていくことが望ましいとの御指摘をいただいております。

 残された課題になりますが、父親が参加する育児の内容について、子供とのかかわり方や父親自身の満足度に注目した、より充実したものであることが望まれる。また、参加しない父親に焦点を当てた分析や評価に目を向ける必要があるとの御指摘をいただいております。

 続いて59ページ、4-8「子どもと一緒に遊ぶ父親の割合」になります。

 結果として、第1回中間評価時と比較して増加。また「よく遊ぶ」の割合も先ほどと同様ですが、3~4カ月児、1歳6カ月児、3歳児の順に多く、「時々遊ぶ」という割合はその逆であったとの結果を得られております。

 先ほどと同様ですが「よく遊んでいる」と「時々遊んでいる」を足すと、中間評価も含め、全ての調査で9割を超え、多くの父親が子供と遊んでいたという結果が得られております。

60ページ、分析ですが「よく遊ぶ」と「時々遊ぶ」の分布と、指標4-7の父親が育児参加をやっていると同じ傾向を示している。ただ、その中で10ポイントほど差が開いているというところで、遊ぶことについては負担感を伴う育児への参加よりも高くなるのは当然かもしれないという分析をいただいております。

 その一方で、母親の育児不安の軽減に寄与する程度が小さい可能性も指摘いただいています。

 調査・分析上の課題は、4-7の指標とほぼ同じ傾向を示しているというところで、こういった指標については整理することも課題として挙げられるのではないかという御指摘をいただいております。

 また、残された課題のところでございますが、子供と遊ばない、もしくは遊べない父親に焦点を当てた分析、評価というものの必要性を御指摘いただいております。

 以上になります。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 山縣委員、何か追加はございますか。

○山縣委員 特にはありません。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 御意見、御質問はいかがでしょうか。よろしいですか。

 それでは、次に行きたいと思います。

 課題4-1013にかけてお願いいたします。

○木下課長補佐 4-9は、前回2-12で評価をいただいているので今回は割愛させていただきます。

63ページ、4-10「周産期医療施設から退院したハイリスク児へのフォロー体制が確立している保健所の割合」になります。

 結果ですが、策定時と第1回中間評価時は、二次医療圏単位での割合を調査して、85.2から98%へと増加しておりました。

 今回、第1回中間評価からは保健所の割合を調査して、都道府県の保健所の割合は97.9%と高かったという結果が得られておりますが、第2回中間評価時では87.5%に減少しており、今回最終評価で改めて89.8%となっております。

 また、政令市・特別区では実数が増加、市町村ではその割合が着実に増加したことを踏まえて、目標に達していないが改善したという結果を得られております。

 分析ですが、政令市・特別区の調査で第1回中間評価では64カ所、第2回中間評価で72カ所、今回の最終評価時において76カ所と増加を認めており、市町村の調査におきましては、箇所数は1,059から今回の1,111と増加を認めております。

 背景としましては、低出生体重児の増加を背景として、現場のニーズが取り組みを増加させる要因となっている可能性を御指摘いただいております。

64ページの評価に行きますと、多くの都道府県の保健所管内でフォロー体制が確立する方向に向かっていることが評価となっています。

 また、都道府県に加えまして、政令市や市町村の基礎自治体での取り組みの増加が認められていることは評価に値する。虐待予防や子育て支援の視点から、妊娠期から医療機関との連携体制を構築して、特定妊婦や要支援家庭を含めた支援が望まれるという御指摘をいただいております。

 残された課題ですが、この間、養育医療等が市町村に権限移譲されたことで、母子保健事業に対する都道府県の役割が問われている。また、今回の指標を見ましても、広域的な地域の課題について、都道府県が重要な役割を果たすことが引き続き重要であるということを御指摘いただいているところです。

 続きまして65ページ、4-11「乳幼児の健康診査に満足している者の割合」になります。

 結果のところですが「とても満足している」及び「満足している」の回答が、1歳6カ月健診で87.3から88.8、3歳児健診で85.8から87.6となっております。

 参考値として示しています第1回、第2回の中間評価時では、1歳6カ月児、3歳児はいずれも横ばい、もしくはわずかながらの減少を認めています。

66ページの分析ですが、研究班の調査におきまして「とても満足している」もしくは「満足している」と回答した者の割合が、いずれの健診時においても80%後半で、関係機関や、関係職種の皆様方の熱心な取り組みの成果と言え、大変評価できるという分析をいただいております。

 調査・分析上の課題として、健診の満足度とはその定義が難しいという御指摘ですが、残された課題で、満足度が伸び悩む理由の調査、今の80%後半からさらなる伸びを期待した場合に、その調査・分析が必要となっております。

 また、親にとって健診が「子育ての評価を受ける機会」から「子育ての応援が得られ、エンパワーされる機会」であるといった、社会認識の転換が必要との課題も御指摘いただいております。

 続きまして67ページ、4-12「育児支援に重点をおいた乳幼児健康診査を行っている自治体の割合」になります。

 結果は、目標値である100%に達しないものの増加していたという結果になっております。

 分析は、多くの関係者が育児支援に重点を置いた乳幼児健診の実施に注目しているところで、策定時と比べて増加は認めているものの、第1回中間評価以降、ほぼ同様の比率で推移しているとの分析です。

 評価ですが、社会保障審議会の報告書の中でも、乳幼児健診の中で、育児支援や児童虐待の早期発見機能の強化が目指されており「疾病の発見から子育て支援へ」また「指導から支援へ」と、従事者側の意識の転換が順調に定着してきていると思われるという評価をいただいております。

 残された課題ですが、生後のより早い段階で乳児全数の状況を見極めることが必要であり、その効果的な機会として乳児健診が改めて見直されている。今後、さらに保険と福祉の連携等を検討していく必要があるという課題を御指摘いただいております。

 続きまして69ページ、4-13「乳児健診未受診児など生後4か月までに全乳児の状況把握に取り組んでいる市町村の割合」になります。

 こちらの指標は、第1回中間評価時に策定された目標で、第2回、最終評価ともに増加しています。

 分析ですが、早期の介入が求められる中で、把握の必要性の認識が高まってきている。その中で、政令市・特別区では第2回中間評価時よりも減少しているという結果となっています。

 また「取り組んでいない」と回答したのは50カ所「無回答」が11カ所ございまして、乳幼児を早期に把握する取り組みが認められない自治体があるという結果も得られております。

 評価は、高い割合で目標に向かって増加して、改善が認められたという結果になっています。

 調査・分析上の課題は、保健サービスの量的な評価だけではなく、量と質のバランスも重要であり、今後家庭の持つそれぞれのニーズに応じた適切な支援が行われているかどうかといった分析も必要との御指摘をいただいております。

70ページの残された課題は、早期からのハイリスク児の発見には、医療機関との連携が有効であること、医療機関側の協力には施設間の温度差があること。情報の利活用には、福祉担当部局と保健担当部局の連携が必要であることといったことが御指摘いただいています。

 また、乳幼児健診の未受診者の把握を評価するための国や都道府県の取り組みについても残された課題として指摘がされています。中板委員からも御意見をいただいています。

71ページの4-14は、指標1-15と同じですので、割愛させていただきます。

 以上になります。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 山縣委員から追加はございますか。

○山縣委員 特にありません。

○五十嵐座長 御意見、御質問はいかがでしょうか。

 どうぞ。

○島田委員 4-13ですけれども、やはり状況把握なのですが、中板委員の御意見にもあるように、誰が行っているかということで、保健師や助産師等、状況がわかる方がされているかどうかということと、民生委員の方など、一般の方々がされているという状況も聞いています。その場合にも問題を把握することというのは十分あるかと思うのですが、そうした場合に、どのように組織にその問題を報告していくシステムになっているかということも、把握しておく必要があるかと思います。

 新生児訪問をしている助産師さんからお聞きしますと、地域によっては新生児訪問と、こんにちは赤ちゃん事業の全戸訪問が一体化している形で行われているところがあって、新生児訪問という形で1カ月前後に訪問する必要性が余り認識されず4カ月までに全部状況把握をすればいいという意識にすりかわっている場合もあると聞いております。やはり新生児訪問は、家に帰られた後の育児の状況を早期に把握して必要な支援をするということで、また、改めて3~4カ月までの状況を確認するという全戸訪問ということで、それぞれの事業の目的を踏まえて、早期の把握、4カ月までの把握という形でされているかどうかという状況の確認も必要かと思っております。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 ほかはいかがですか。どうぞ。

○秋山委員 乳幼児健診の満足度と、育児支援についての件ですけれども、乳幼児健診は今、個別健診と集団健診があります。それぞれにメリット・デメリットがありますが、虐待防止や育児支援に関しての両方の違いといいますか、それを調査、研究していただければと思います。

 以上です。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 今村先生どうぞ。

○今村委員 母子保健行政が権限の移譲ということで都道府県から市区町村に移ってきたことに伴いまして、都道府県と市区町村の連携というのが非常に大事になってきているなと思います。

 例えば、都道府県に配分されております「安心こども基金」の使途。

 これは使い勝手が非常によいものだと私は評価しております。ただ、市区町村によっては、この使途について非常に厳格過ぎる適用を言ってくることがあるということなので、そういうことからしますと、特定妊婦あるいは要支援家庭またはハイリスク児への対応等について、この基金の使い勝手を非常によくしていただきたい。そういう意味では、厚労省が都道府県に対して指導、あるいは助言という形でやって、市区町村にこういうことをやるのだよときちんと説明しておく必要があるのではないかと思っております。

 「安心こども基金」については、大変ありがたい制度だと思っております。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 ほかはいかがですか。どうぞ。

○坂上健康管理部医監 宮崎市の坂上です。

 乳幼児健診等の未受診児の把握なのですけれども、宮崎市としても未受診者を訪問したりとか、幼稚園や保育園に行く機会などに確認などいろいろしているのですが、それでもなかなか確認できないケースが5%未満、3~4%あるのです。

 というのは、最近訪問してもいらっしゃらないとか、電話をかけても出ていただけないとか、住基登録されている住所にいらっしゃらないとか、そういう難しいケースが増えてきておりまして、市単独で対応するのが困難なケースが増えきております。今のところ打開策をなかなか思いつかないところであるのですけれども、そこを打開できるような仕組みを検討していかないといけないのかなとは考えております。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 どうぞ。

○矢内理事 4-10の「周産期医療施設から退院したハイリスク児へのフォロー体制が確立している保健所の割合」です。

 保健所としては、より一層このフォロー体制の確立に向けて努力をしなくてはいけないとは考えておりますけれども、フォロー体制の内容として、例えば妊娠中からの妊婦健診などの活用、あるいは未熟児養育医療の申請情報の活用、または地域の医療機関と専門医療機関との連携といった形。また、フォローを行う、支援を行う資質の向上と、まだ内容にはかなり課題があると認識しておりますので、今後そういったフォロー体制の充実に向けて、どういった資源が必要なのかということについても、ひとつ考慮の視点にしていただければと思います。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 大変重要な御指摘だと思いますが、いかがですか。どうぞ。

○出石委員 同じく4-10の課題につきましてですが、こちらの資料にも書いてございますけれども、市町村への移譲というところがあり、今後、どのようになっていくのか。昨今から地域格差ということも言葉として出ておりますけれども、やはり都道府県が市町村に対して、具体的にどんなフォロー体制をしていくのかという部分についても明確にしていかないと、医療機関との連携や、ハイリスク児へのフォローといったところが手薄になってしまってはいけないなと心配をしております。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 では、ほかに御意見がないようですので、最後の1518をお願いいたします。

○木下課長補佐 73ページ、指標4-15「子どもの心の専門的な診療ができる医師がいる児童相談所の割合」になります。

 第1回中間評価からの指標で、第2回中間評価で集計方法が変更されたため、第2回中間評価と最終評価で比較しています。

 児童相談所に勤務する常勤の医師は13.4から13.7、非常勤の医師は67.1から69.9となっています。政令市・特別区ではそれぞれ37%、76%と都道府県よりも高い割合となっています。

 これらの割合が7割程度に達していることは、児童相談所にかかわる子供の処遇に医療的対応を必要とする場面が増加していることや、児童相談所における処遇で生活上の問題のみでなく、発達障害や虐待によるトラウマといった、子供の心の問題が増えていることを反映している可能性があるとの分析をいただいています。

 評価ですが、3割程度の児童相談所には子供の心の診療が可能な医師がいない。また、常勤医師は13.7%にとどまり、児童相談所における医療的な対応の充足は十分とは言えない。数値上の増加もわずかであり、目標に向けて状況は進んでいないのではないかという評価をいただいております。

 また、調査・分析上の課題ですが、地域の医療資源が活用されている場合、そういった場合の連携状況の調査や「子どもの心の診療拠点病院」の設置数など、別の指標の検討も必要という御指摘をいただいております。

 残された課題は、勤務する医師の給与体系等々の問題を解決することが大きな課題との御指摘です。

 続きまして75ページ、指標4-16「情緒障害児短期治療施設の整備」です。

 目標として、全都道府県での整備を掲げていました。

 結果として、目標に達していないが改善している状況です。

 最終評価時におきまして、30の道府県で38の施設が設置されています。

 策定時と比べますと増加という状況になっています。

 分析ですが、被虐待児童の急激な増加に伴い、施設設置の必要性が広く認識されたことが増加の要因と考えるとの分析をいただいております。

 評価ですが、全都道府県の設置には至っていないものの改善したと評価できる。一方で、17の都道府県では未設置の状況であるという評価となっております。

 調査・分析上の課題ですが、情短施設の定員数に対しまして、在籍者数が少ないという報告があるところで、数値上見ますと空きが認められるところですが、これが実態を反映しているかどうかについての調査が必要との御指摘をいただいています。

 残された課題として、情短施設以外にも同様の機能を有する施設があり、それらの施設も評価に含めるかどうかの検討をする余地があるとの御指摘をいただいています。

 また、施設型のケアだけでなく、それ以外の制度の充実といったこともあるので、指標の変更も視野に入れた検討が必要という御指摘をいただいております。

 続きまして77ページ、指標4-17「育児不安・虐待親のグループの活動の支援を実施している保健所の割合」になります。

 目標を100%としてましたが、第1回中間評価では、育児不安や虐待親への支援のための地域資源が不足している状況が認識され始め、自治体での活動の支援自体は、策定時と比較すれば増加している。

 ただ、第2回中間評価時では減少に転じて、さらに最終評価ではさらに減少したことを受けまして、総合評価は評価できないとなっています。

 分析ですが、この指標は、都道府県の保健所のみの活動を対象として策定したけれども、一方で政令市・特別区の調査において、第1回中間評価で54、第2回で60、今回70と増加を認めております。

 一方市町村では、その数が減少しているところで、政令市・特別区では着実に増加を認めていますが、より身近な地域での実態、自治体での実施につながっていったという可能性もあります。

 ただ、母子保健活動におきます都道府県の存在感が弱まる中で、予算化が困難となるなどの要因も働いた可能性も否定できないとの分析をいただいてます。

 評価は、都道府県の保健所事業のみを対象とする指標の立て方に起因していますが、現実には、そういったグループの活動の支援が広まっている可能性も高いため、「評価できない」とすべきとの結論をいただいております。

78ページ、調査・分析上の課題では、母子保健活動における都道府県と市町村の重層性を考慮するならば「いったん増加した後に減少」との目標が適切であったという振り返った視点での御指摘をいただいています。

 また、育児不安対象者へのグループと、虐待をした親へのグループの地域活動については、運営上区別して実施されている場合もあるので、両者を分けた調査が必要と御指摘いただいております。

 また、残された課題として、新規の健康課題に対しては、都道府県の広域的な支援が有効との認識を現場の関係者が持ち続けることが望まれるとの御指摘をいただいております。中板委員からも御意見をいただいています。

79ページ、指標4-18「親子の心の問題に対応できる技術を持った小児科医の数」になります。

 増加傾向へという目標に対して、総合評価は改善したという結果を得ております。

 ベースライン調査時との比較で、最終評価時において112名の増加という結果になっています。

 分析は、親子の心の問題に対する対策として、プライマリー診療を担う小児科医による対応が求められたことから、実際の登録者数は増加の傾向にありますが、日本小児科医会のアンケートにおいては「ある程度は対応できても、それ以上は児童精神科へ」という回答が60%。また、医療連携を望む声も多く、そのような中で同時に「送る場所がない」という回答が約20%あり、また送る場所はあるものの数カ月かかるという御意見も15%あり、連携体制構築の困難さが明らかとなっています。

 また、専門機関と地域の連携、今、申しました医療連携の課題については、他の調査においても指摘されています。

 評価は、増加傾向という目標値を達成したことは意義深いとの評価をいただいております。

 調査・分析上の課題は、現時点での調べにおきましては、小児科医会の会員でない方の数が把握できていないということで、小児科医会以外の研修についても考慮が必要ではないかという指摘をいただいております。

 最後に80ページ、残された課題は、親子の心の問題への小児科医の参画は必要であるが、小児科医が担える部分は一部分であるということで、指標を再検討する必要があるという課題を御指摘いただいています。

 以上になります。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 山縣委員のほうから追加はございますか。

○山縣委員 この課題4に関しては、今まで全部やってきたのですが、残念ながら変わらないとか評価ができないという指標が多いところが第4課題の課題でありまして、それも含めて御意見をいただければと思います。

 以上です。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 いかがでしょうか。

○出石委員 全国保健師長会です。

 指標4-17「育児不安・虐待親のグループの活動支援を実施している保健所の割合」というところがございますが、こちらの評価のとおり、母子保健に関しましては市町村の移譲等、いろいろな動きのある中で評価できないというところになったのかと思っております。

 現場では、母親に当たる方たちのコミュニケーションの取り方も変わってきておりますので、このグル—プ活動のみの評価といったところも現状評価の指標として、なかなか厳しいものがあるのかなと思っております。

 先ほどのsnsによる情報の交換だったりとか、そもそも相談するという体験がないお母様もいらしたりして、そのあたりでは、グループ支援のみではなく、今いろいろな手法を子育て中のお母様たちが工夫して実践されているところもございますので、今後の課題の評価として、インターネット上にそういう情報交換の場所に参加したことがあるとか、お母さんたちが育児不安の解消を図れる場をうまく利用できているのかといった具体的な指標も入れていく必要があるかと思います。行政の役割としまして、こちらにも書いてありますが、都道府県と市町村が密に連絡をとりながら、さまざまな方法で育児不安の解決を図っていくというところの指標を、後半で検討できればいいかなと思っております。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 どうぞ。

○奥山委員 子育てひろば全国連絡協議会の奥山です。

2~3カ月の赤ちゃんから、幼稚園、保育園に入所前の家族連れが日々かなり多く来てくださっております。

 その中で感じることは、やはりインターネットの問題がありましたけれども、情報をキャッチするのはかなりの意味で携帯ですとかsnsなのです。そういう意味では、行政の施設等につきましても、かなりitとかホームページの充実だとかをして、親たちが入口のところで選びやすくしていくことも大事だなと感じております。

 また、個別の子育て家庭を見ておりますと、なかなか本音で話ができる関係性をつくるには非常に時間がかかります。そういう意味で日常的に通ってこられる中で信頼関係ができて、初めて相談につながるということもありますし、そういう意味では個別の相談体制というのがいろいろなところに必要だと思います。

 また、多くの親御さんはピアサポートというか同じ立場の親たち同士の話し合いの中で解決を図られるというケースも非常に多くて、私どものような地域子育て支援拠点事業の中で、ノーバディズ・パーフェクトのプログラムですとかベビープログラムとかいろいろなプログラムがありますけれども、グループでいろいろなことを安心した中でちょっとファシリテーターが入った形でやることで、かなり仲間づくりができるというケースもあります。

 そういった意味で、多分地域のほうでいろいろ活動しているグループなどもあると思いますので、指標をつくるときにその辺の広がりのところも拾えるものをつくっていただけたらいいかなと思っております。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 どうぞ。

○秋山委員 課題4-18です。日本小児科医会の秋山です。

日本小児科医会の秋山です。課題4-18についてです。

 子どもの心の相談医の増加傾向がとどまっているということを、医会としても精査しております。実際に研修を受けて相談医の資格があっても、申請しない医師が中にいることがわかってきました。背景には、相談医を持っていても実際の診療には影響しないというところがわかってきたからだと思います。

 実際に今、子どもの心相談医の研修会だけではなく、厚労省で行っておられる子どもの心診療医の研修会、あるいは日本神経学会が プライマリーケア医のための子どもの心の診療セミナー など、さまざまな機会がありますので、実際は増加しているのではないかという印象を持っております。ですから、今後、指標を検討していただけるといいのではないかと思います。

 以上です。 

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 どうぞ。

○矢内理事 先ほども議論になった4-17ですけれども、都道府県の動向については分析があったとおりかなと思っております。

 例えば政令市、特別区、市町村も含めて、こういったグループ活動支援を行っている機関はほかにもできていっている。もちろんお話のあったインターネットを活用した育児サークルなどもありますし、あるいは保健所以外の例えば児童館の子供家庭支援センター、または保育園といったところでのこういったグループ支援といった活動もかなり盛んになってきておりますので、この指標の取り方に関して、さまざまな資源について捉えるということと、実際にグループに参加している利用者側の意見といったことも捉えていただければと思っています。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 よろしいでしょうか。これで一応きょうの評価・分析シートに対する御説明と皆様から御意見をいただいたわけですけれども、何か特別ございますか。どうぞ。

○市川委員 きょうのお話と直接関係ないのですけれども、これだけいろいろな指標をつくっていただいているのですが、最近非常に発達障害の方が増えてきているのです。この背景にあるのだと思うのですけれども、直接的には出てこないのです。

 恐らく文科省から出したデータだと、通常学級に6.5と特別支援教育に1.4、あわせて8%ぐらいだと、恐らく1億2,000万の人口とすれば1,000万ぐらいの数がいるだろう。全員支援が必要ではないのですけれども、考えると、今後例えば厚労省がつくっている子供発達支援センターとかそういうのがあれば、そういう指標を今後つくっていただけたらありがたいと思います。よろしくお願いします。

○五十嵐座長 次の指標づくりのときに参考になる御意見だったと思います。ありがとうございました。

 ほかはよろしいですか。

 では、資料4の御説明をお願いしたいと思います。

○木下課長補佐 資料4、前回と今回評価をいただきました集計結果をまとめさせていただいております。

 本日の評価におきましても、変更がなかったということで、本日いただいた結果を反映した結果となっております。

 「改善した」の割合を見ますと、1項目だけまだ評価ができていないですが、80.8%改善したという結果を得られております。

 裏面のほうに過去、中間評価の1回目、2回目の状況を記載しております。

 こちらは若干集計方法が異なっていますので、直接の評価はできないところでございますが、今回、最終評価としましては約80%を超える改善を認めている結果になっております。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 これについてはよろしいですか。

 では、続いて資料5について御説明をお願いいたします。

○木下課長補佐 資料5、今回の最終評価の過程で、母子保健事業を今後推進していくに当たって、課題と思われる事項を事務局と山縣先生の研究班の御意見を伺いながらまとめています。

 大きく2つありまして、1で今後の推進に当たっての母子保健計画のあり方、2つ目としまして、推進していくための情報の利活用という大きく2つのカテゴリーに分けています。

 現在の母子保健計画の策定状況について、各自治体にお尋ねした結果になっております。

 まず最終評価を行うかどうかは、多くの自治体の中で「他の計画の一部として行う」という回答が多くなっております。

 また、そもそも母子保健計画を策定しているかどうかという状況は、約8割の自治体で母子保健計画の策定がなされている。逆に言いますと、22%は策定がされていないという状況にございます。

 続きまして3ページ、参考の丸2でございます。

 母子保健計画と関連するその他の計画を前回御説明したところでございますが、策定に当たって、母子保健の担当課のほうで意見が反映されているかどうかを示したのがこちらの各計画になっておりまして、多くのものにつきまして、緑の部分でありますが、主に作成している部局から意見を聞かれた、もしくは赤の部分であります他の部局との共同で策定を行ったという状況になっております。

 健康増進計画につきましては、母子保健を担当する部局が主体となって取り組んだという割合が市町村の場合は多くなっております。

 食育推進計画も、市町村においては主体となって取り組んだ割合が多くなっているという状況になります。

 都道府県が策定いただいています医療計画につきましては、緑の割合が周産期医療に関しましては意見を聞かれた。小児医療も意見を聞かれたという割合が多くなっていますが、小児医療は、ほとんどかかわっていない割合も一定程度あることが結果としてわかっています。

 今後は、さらに計画づくりを進めていくに当たりまして、今回やはり地域格差という御指摘をいただいているところでございます。

 資料の4ページ、参考丸3をごらんください。

 まずデータの修正がございまして、右の緑で囲まれている全国の市町村の数ですが「134」ではなくて「363」に修正をお願いいたします。また、その下の4行目にありますが「富山県」ではなくて「福井県」が少なかった自治体になっております。「富山県」を「福井県」に修正をお願いします。

 内容の御説明に移りますが、今回得られたデータをもとに都道府県間の差を見たものです。その中で一部のデータを今回お示ししていますが、まず上段になります。

 妊娠判明時の母親の喫煙率を3~4カ月健診時でのデータとして見た場合に、大きく5つのグループに分けたところで最も割合が高かったところと、最も低かったところで約2倍の開きがあるという結果です。

 また、下段になりますが、生後1カ月児に母乳を与えていた母親の割合を見た場合でも、一番少ない割合と一番多いグループで約1.5倍の開きがあるという結果です。

 続きまして、参考丸4になりますが、今後母子保健事業を推進していくに当たりまして、この十数年の間に母子保健の分野と他の分野が非常に密接にかかわり、かつ重複してその境がわかりにくくなっているという御指摘もあり、他の計画や他の部局、他の事業と連携しながらやっていく。その重要性が増してきていると認識しています。こちらの参考4には、それを概念的にお示ししたものと、関係する他の計画とのかかわり、重なりぐあいをお示したものです。

 6ページから、今回母子保健事業を進めるに当たり、情報の利活用ということの重要性を再認識したところでございます。

 特に若干不鮮明になっておりますが、まず上の表になりますが、こちらの項目は、各市町村に対しまして、データベースへの入力をそもそも行っているかどうかというものをお尋ねしているところです。

 入力している割合も一定程度ありますが、最下段にありますように、データの集計、分析を行っていない割合が一定程度あり、調査はしているもののデータの利活用はできていないという実態が今回明らかとなっています。

 また、下の囲みになりますが、都道府県から提供されているものについて利活用しているかという状況につきましては、「利用できている」は40%強にとどまっておりまして、やはり自治体の体力という部分もあるかと思いますが、人口規模が小さいところでは、データの利活用ができている割合が少なくなっているという状況も把握できているところでございます。

 7ページ、実際にデータの中でどういった差があるかというものを研究班でまとめていただいたものの一例になります。左上になりますが、頚定の割合になります。

 愛知県内の市町村を並べ、まず大きく2つポイントがあるかと思っております。一番高い自治体につきましては、他の自治体と比べましてはるかに大きくなっているというところで、1つの市町村の中で見ていると、この違いというものがなかなか気づきにくい。恐らく40%を超える結果が得られていることにつきましては、何らかの問題が明らかにあるだろうと思いますが、ずっと同じ結果を一つの市町村で抱えていると、こういうことにも気づかないであろうということが一点指摘できるかと思います。

 また、それを除いた場合であっても、2番目の自治体は10%を超え、30番目以降につきましても恐らく数%ということで、一番外れたところを除いても頚定に関しまして市町村間の差があるだろうというところで、ここにどういった原因があるのかというところにも分析が必要でありますし、市町村間の差を埋めていくためにどういった取り組みが今後必要かという課題があると考えております。

 また、右の半分に行きますと、各市町村で行っている事業が、どう実際の結果につながっているかというものの一例をお示ししたものになります。

 実際に1歳6カ月健診の前に、歯科保健事業を実施している市町村と、そうでない市町村の虫歯の状況を比較したところでございますが、当然の結果という御意見もあるかと思いますが、事業をやっていれば、有意差を持って虫歯の数、もしくは有病者数が減っているという結果が得られています。

 最後、8ページになりますが、課題に対しまして、今、研究班を中心に取り組みを進めています。

 大きくは1つ目としまして情報の収集の問題につきましては、どういった問題を集める必要があるかというところの、最低限必要な項目等の整理を行っているところ。

 2つ目につきましては、先ほど申しましたように、健診の場における差というところで、場合によっては乳幼児健診の手技、内容に差があるのではないかというところで、標準化に向けた取り組みを日本小児科学会、小児保健協会、小児科医会の健診審査委員会のほうで今、取り組みを進めていただいています。

 また、研究班でもスクリーニング及び健康診査の効果、効果的な実施に関する研究も進めています。

 得られた情報の利活用は、山縣先生を中心に今、現在取り組みを進めているところです。

 資料5につきましては以上になります。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 母子保健事業を推進する上での課題等について今、御説明いただいたのですけれども、御質問等はございますか。

○佐藤委員 今、愛知県の資料で参考丸6のところで右側に出されていたのは、当然と言えば当然のことなのですけれども、法定では1歳6カ月、3歳というところが義務化されているということなのですが、実際には市町村歯科保健事業として、1歳児の健診がかなり進んでいるのです。そういった場での歯科保健指導、あるいはフッ化物応用、主にフッ素塗布ということがここに結果として明らかにあらわれているということだと思います。こういったことを、一つずつほかの事業に関しても実証していくことは大事なのだと思います。

 以上です。

 

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 ほかはいかがですか。よろしいですか。どうもありがとうございました。

 それでは、議題3の「『健やか親子21』最終評価報告書骨子案」について御説明をいただきたいと思います。

 資料6をお願いいたします。

○木下課長補佐 資料6をごらんください。

 前回及び今回、最終評価を各シートで行います。今後報告書という形にまとめていきたいと考えております。

 資料6は、大まかな枠というか目次に当たるようなものを今、お示ししているところです。

 1枚おめくりいただきまして、前回の第2回の中間評価の骨子に沿った形で、今回、最終評価の報告書の骨子案を事務局からお示しさせていただいているところでございます。

 大きく変更となっているところが、今後の取り組みにつきましては、第2回で見ますと、指標の見直し、今後5年間の重点取り組みといったものがありましたが、今回は最終評価ということで、残された課題と次期計画に向けた提言という形にまとめさせていただいています。

 次期計画に向けた提言は、先ほどの資料5等の今回の評価の中でわかった問題、課題等について御意見をいただきながら盛り込めればなと思っています。

 資料5は、もし後でお気づきの点、御意見等がありましたら事務局にお寄せいただければと思います。

 以上になります。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

事務局に質問しますが、きょういろいろ意見を出していただきました。特に指標につきまして改善してもらいたいということもたくさん出たと思います。4の今後の取り組みのところに取り入れていくという基本的な方針であることは間違いありませんか。

○木下課長補佐 いただいた御意見は次の指標の中に盛り込んでいきたいと思っておりますし、この中で具体的な指標を固めるというよりも、どういった視点で見直すかという御意見をいただきながら、次のプランを策定する際に具体的な指標や見直しについては内容を詰めていければと考えています。

○五十嵐座長 わかりました。ありがとうございます。

 そういう基本的な方針でやっていただけるということですけれども、いかがでしょうか。何か特別御質問はございますか。どうぞ。

○山縣委員 1点だけです。

 この次期計画に向けた提言といいますか、先ほどからいろいろな指標についての評価をしていったわけですが、やはり乳幼児期、小児期特有の課題と、それがライフステージを通じて後々に影響がある問題と、ある程度きちんと分析しておく必要があろうかと。

 例えば先ほどの肥満の話で言うと、生態学的な関連で、例えば47都道府県で小学生の肥満の割合を横軸にとって、縦軸に20歳以上69歳までの肥満の割合をとると、やはり相関します。0.6ぐらいで相関するのですが、ただこれはばらつきがある中での0.6という数字で、小児期は多いけれども、成人期は少ないとか、そういうところも含めてこういう問題は考えていかなければいけないし、乳幼児期の指標は悪いけれども、例えばそれに関連するであろう指標は大人になっても変わらないようなものということも次のときに考えていく必要があるかなと思いました。

 以上です。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 ほかに何かございますか。

 それでは、きょうの予定したことは全て終わりました。長時間にわたり御協力いただきまして大変ありがとうございました。

 今後の予定につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。

○渡利課長補佐 委員の皆様方、ありがとうございました。

 次回の検討会の日程につきましては、追って連絡させていただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。

○五十嵐座長 どうもありがとうございました。

 長時間にわたりまして御協力どうもありがとうございました。


(了)
<雇用均等・児童家庭局母子保健課>
電話番号: 03-5253-1111(内7934、7938)

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