ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医薬・生活衛生局が実施する検討会等> 食品製造におけるHACCPによる工程管理の普及のための検討会> 第2回 食品製造におけHACCPによる工程管理の普及のための検討会(2013年9月26日)




2013年9月26日 第2回 食品製造におけHACCPによる工程管理の普及のための検討会

医薬食品局食品安全部

○日時

平成25年9月26日(木)13:00~15:00


○場所

都道府県会館4階会議室 401号室


○議事

○山本座長 定刻より少し早いですが、委員の先生方がおそろいになりましたので「食品製造におけるHACCPによる工程管理の普及のための検討会」を開催いたします。

本日は、池戸委員、山田委員が所用のため御欠席とのことです。また、オブザーバーとして、農林水産省食料産業局企画課食品企業行動室の横田室長に御出席いただいております。さらに参考人として、山口大学の豊福教授、大和食品工業株式会社の竹内社長に御出席いただいております。よろしくお願いいたします。

それでは、議事に入る前に、事務局から配付資料の確認をお願いします。

○事務局 それでは、配付資料の確認をさせていただきます。お手元にお配りしております資料は、議事次第、配付資料の一覧、その後、資料1が「HACCPとは、特徴、利点、普及に求められる課題等」ということで、豊福参考人からいただいております資料になってございます。

資料2が「食肉加工施設におけるHACCP導入の取組」ということで、本日お話しいただく大和食品工業株式会社社長からいただいております資料になってございます。

資料3が「食品製造におけるHACCPによる工程管理の普及のための検討会 第2回」でございます。

参考資料1でございますが、前回の検討会での御意見をとりまとめたものになっております。

参考資料2が「食品等事業者が実施すべき管理運営基準に関する指針(ガイドライン)」になっております。

参考資料3が、コーデックス資料でございます。この参考資料3につきましては、著作権の関係がございまして、配付しておりますのは委員限りとなってございますので、御了承ください。

参考資料4「小規模及び発展途上の企業におけるHACCP適用の障害及びそれらを克服するためのアプローチ」という資料になっています。

参考資料5が「平成20年度HACCP導入状況全国調査報告書」でございます。これは前回、川崎委員から御発言があったものでございます。

参考資料6は、前回第1回の資料でございます。

以上でございますが、資料の不足等はございませんでしょうか。

○山本座長 よろしいですか。

それでは、議事に入りたいと思います。前回委員の方々からいろいろと意見をいただきました。本日は参考人の方から国際的なHACCPの状況、実際に取り組んでこられた状況についてお話を伺った後、今後の方向性について議論いただきたいと思います。次回には方向性についてとりまとめを行いたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

それでは、まず初めに、資料1「HACCPとは、特徴、利点、普及に求められる課題等」について、山口大学の豊福教授にお話をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○事務局 初めに、事務局から先生の御紹介をさせていただきます。

豊福先生は、山口大学の共同獣医学部病態制御学講座の教授でいらっしゃいます。

1985年、北海道大学獣医学部を修了された後、当時の厚生省に入省後、厚生省生活衛生局乳肉衛生課輸出水産食品査察官、生活衛生局乳肉衛生課課長補佐を歴任され、1999年から世界保健機構(WHO)の食品安全部、JMRA事務局に勤務されました。

帰国後の2004年、国立医薬品食品衛生研究所安全情報部主任研究官。また、国立保健医療科学院研修企画部第2室長を経て、2013年4月から現職でいらっしゃいます。

また、2009年より、内閣府食品安全委員会微生物ウイルス専門委員を務めていらっしゃいます。

本日は、どうぞよろしくお願いいたします。

○豊福参考人 丁重な御紹介ありがとうございます。山口大学の豊福と申します。今の紹介でわかりますように、私はもともと厚生労働省の人間で、最初にHACCPのトレーニングを今から20年前にアメリカで受けました。その後、EUへの水産食品の禁輸を受けてのEUと合同のインスペクションをするとか、その後、EUの再開に向けてHACCPを日本の水産業界に伝えるとか、それから、恐らく話題になっていると思いますけれども、マル総(総合衛生管理製造過程)の創成期には実際に審査のプログラムをつくるチームのメンバーに入っておりましたし、実際に初期のころには査察もしておりました。そこからWHOに行きまして、今日お話しするかなりの部分は、当時私が行っていたころにWHOがつくったトレーニングマテリアルの一部を使っています。ということで、私が今まで20年間、日本や海外でHACCPをいろいろやってきた話を今日はお話ししたいと思います。

一応内容としましてはHACCPの復習、それから、7原則12手順、さらにHACCPのメリット、それから、現在の世界的な潮流、それと実際に入れている国、例えばEUもそうですけれども、導入に当たってはフレキシビリティーという柔軟性がどうしても求められてきますし、それから、アメリカでもシーフードHACCPなどが義務化されていますけれども、それをどのような形で支援しているかという話をさせていただきたいと思います。

まず、定義の再確認ですけれども、HACCPというのは、A system which identifies, evaluates, and controls hazards witch are significant for food safetyということで、食品安全にとって重要なsignificantなハザードを特定して評価して、それをコントロールするためのシステムです。これはリスクマネジメントの一つツールです。

 簡単に言うと、このHACCPというのがHazardAnalysisCriticalControlPointで、まずは、原材料品や工程にどんなハザードが存在するのかということを特定した上で、そのハザードはどこで発生するだとか、ハザードのレベルがふえる、ハザードになるようなものが混入するか、本当は死んでくれる、または除去できると思うけれども、ハザードがどういう理由でどこで生き残ってしまうか、あるいはそのまま残ってしまうのかを特定した上で、どのようにそれらのハザードを排除または許容できるレベルまで制御するかといったコントロールの方法と場所を決めて、それを実施していることをモニタリングして記録するというのが簡単に言うとHACCPです。

これがコーデックスの現在のガイドラインにあります7原則12手順です。最初の5段階が実際にHACCPをつくるまでの準備で、この中でも恐らく中小企業にとっては問題になるようなこととしては、例えば、HACCPチームをつくるに当たって、工程に関する知識、ハザードに関する知識、または工場内のユーティリティーに関する知識などが結構必要になってきます。そういった知識がないと、後で話しますけれども、ハザード分析が適切にできないことになりますので、そうならないように、コーデックスのガイドラインでは外部のコンサルタントあるいは保健所なりの専門家からの意見をもらうということも書いてあります。

次に、製品に関する記述をして、用途を確認して、フローダイアグラムをつくり、それをさらに現場で確認するという準備をした上で、この7手順をやっていくということになります。これについては、また追々話をしていきますので、ここでは余り触れないでおきます。

定義で話したように、HACCPとは原材料に由来するハザード、工程に由来するハザードを特定するわけですが、そのハザードもいわゆる腸管出血性大腸菌やサルモネラといった生物的なハザードもありますし汚染物質やコンタミナントのような化学的なハザードもありますし、主に金属異物のような、人間が食べて口の中を切る、あるいはのどに刺さるというような物理的なハザードもあります。もともとHACCPは生物的なハザードをコントロールするために考えられましたが、現在では生物的、化学的、物理的なハザードすべてをコントロールするシステムになっています。

HACCPというのは、最終製品に健康被害を起こすような量のハザードが存在しないように、特定された原材料由来、また工程由来のハザードを予防あるいは工程での混入、汚染、増殖・増加を防いで、製品から排除、例えば、微生物であれば殺す、あるいは化学物質であれば除去、または許容レベルまで低減させるような予防措置を導入し、実施し、その実施状況を継続的にモニタリングして確認する、これがHACCPというシステムです。

絵で描きますと、例えば、穀類だとかいろいろな原材料の中にあるハザード、それからシステムの工場の工程由来のハザードというものがあります。ハザードの種類もウイルスみたいなもの、カビや微生物、あるいはネズミや昆虫が持ち込むようなハザードもありますし、化学物質としての貝毒みたいなものとか、アフラトキシンみたいなものもありますし、金属異物のようなものとかいろいろ物理的なハザードがあります。これらの原材料と工程で由来するハザードを特定し、それを除去あるいは許容レベルまで下げる防御措置を実施するのがHACCPです。

適用の目的としましては、最終的には、より効果的な食品安全コントロールシステムになります。その因子としては、当然ながら食品由来の疾病の予防が一番大きなものになりますし、今までのような最終製品の分析に依存するシステムよりも、継続的にコントロールがうまくいっているかどうかを見るということですから、分析コストを下げることができます。それから、製品回収やロスなどが少なくなりますから、それによるロスは減るだろうと考えられます。また、継続的に安全な食品をつくることができますので、評判やブランドイメージを守るということにもつながってくるということです。

従来の食品安全システムというのは、一般的な衛生管理と言われているGMPGHPプラス安全性を保証するための最終製品の検査に依存していましたけれども、これだけではなかなか十分とは言えません。従来はどちらかというと製造環境をきれいにする、床、壁、天井、工場の施設、機械器具を清潔にし、従業員のトレーニング、従業員は衛生的な衣服を着て、手洗いをして工場に入るというものでしたけれども、どうしても食品中に存在するようなハザードをコントロールするためには、これだけではなかなか十分ではないということで、今までの一般的な衛生管理、若干その中でHACCPにつながるようなものはありますけれども、さらに加熱殺菌の要件のようなものがあり、さらにその上でHACCPシステムが乗っていくということで、これによって食品安全の保証のレベルがだんだん上がっていくというのが一つのイメージになるかと思います。

今、食品衛生の一般原則という話が若干出ましたが、このスライドに示したものが今の総合衛生管理製造過程のいわゆる一般的な衛生管理プログラムの10項目でございます。これ自体はコーデックスの食品衛生の一般原則に入っているものとほぼ一緒でございます。施設設備の衛生管理、従業員の衛生教育、それから、設備等機械器具の保守点検、そ族昆虫のコントロール、使用水の衛生管理、排水や廃棄物の衛生管理、従事者の衛生管理、それから、実際に8番がHACCPにつながっていくと思いますが、食品等の衛生的な取り扱い、さらに9番の回収プログラムと10番が試験検査に用いるGLPの保守点検、これが一般的な衛生管理として現在の総合衛生管理製造過程の通知に示されています。

HACCPの特徴としましては、これは科学に基づくものです。それから、段階的なステップを追っていき、まずはハザードの特定をし、それから、そのハザードを排除または許容レベルまで下げる制御措置、コントロールメジャーを導入、そしてそれを実施するということで、事故が起きてから反応するのではなくて、プロアクティブに事前に前もって予想して、そのハザードによる健康被害を防ごうというシステムです。当然考えるときには、人の健康被害の発生リスクを考えて、それに基づいてこういうシステムをつくっていくことになります。

これも既に先ほど申し上げましたが、従来の最終製品の検査に依存しないで、工程管理で安全性を確保しようということです。最終製品の検査の一番の問題点としては、ハザードは一様に分布しているわけではないわけで、特に微生物の場合はそうです。それから、汚染頻度または濃度によって、例えば、1検体とって検出されなくても、それはほとんど意味がないということです。ある程度の濃度があれば見つかるかもしれないけれども、低濃度ではサンプル中で見つからない可能性は大きいですし、汚染レベルを下げようとすれば、かなり大量の検体をとって検査する必要があります。

当然、検査に用いた食品というのは通常廃棄または破壊されます。一部残った部分を再生に回すことはあるかもしれないけれども、商品化は無理ですから、当然この部分はロスという形になってくるということで、HACCPを行うことにより、こういった最終製品検査の問題点を避けることができます。

それと、特徴としては原材料から包装資材、さらに、それを加工製品化して包装し、流通に出すまで一応全体と考えてシステムをつくっていくというものでございます。

これは、こちらに座っていらっしゃる方は当然おわかりだと思いますけれども、一つの例として考えますと、例えば原材料、生乳。この中に可能性があるハザードといえば、サルモネラとかカンピロバクター、Q熱リケッチアといったようなものが特定されます。

制御装置はというと、一つの方法として加熱です。

では、クリティカルコントロールポイント、重要管理点は何かというと、鍋・フライパンで加熱をすることです。

クリティカルリミット、このコントロールが正しく行われているかどうか判断する一つの方法としては、温度をはかるというのが一般的だと思いますけれども、もっと簡単な方法としては、ここに膜ができてくる、これができれば加熱十分と見なすことができる。

そうだとすると、モニタリングというのは何かというと、被膜が形成されていることを目視で確認することになります。

 検証は、モニタリングをしたときに、このモニタリングでいいかどうか、クリティカルリミットでいいかどうか、検証としては被膜の形成というのは、例えば、7515秒以上の加熱の条件がないとこれができない。これだとサルモネラとかカンピロバクター、Q熱リケッチアというのは、初期レベルによりますけれども、ほぼ存在しないレベルに達することが確認できると。この3段論法で言えば、皮膜の形成をクリティカルリミットにして、これをモニタリングするというものもありになります。

 またHACCPを実施するときには必ずその食品の使用法も考えなければいけません。仮に二次汚染していても、その後の増殖を防ぐために熱いうちに飲むという使用法を考えるというようなこともあります。すごく簡単に言えば、これもHACCPモデルに成り得るということです。

HACCPの効果としては、当然生産者の人には安全で、できるだけ汚染の低い原材料をつくっていただくということで、通常HACCPをやるのは製造加工者の施設が行います。それから、当然、使用用途に応じてHACCPをつくっていきますから、消費者の方がどのように保管して、どのように取り扱って喫食していただくかについては、ある程度表示や消費者に対する教育が必要になってきて、この生産者、加工者、消費者の皆さんで安全性の責任を共有するという形になります。

実際に、フードチェーンの中でハザードというのは必ずしも工場の中で発生するわけではなくて、例えば、一番上の食用動物や魚あるいは動物の段階で既にハザードを持っている可能性がある。その幾つかは場合によっては、もっと前の段階からハザードが来る可能性もあります。ですから、こういったハザードを管理するためには、一般的な衛生管理だけではなかなか十分ではないということで、このハザードをだれがどこの段階でコントロールするかを常に考えていかなければいけないという形になります。

これはカンピロバクターのモデルですけれども、こちらについても、こういった食用動物あるいは他の環境にいるような動物がカンピロバクターを保菌していて、これがと畜・解体工程あるいは鶏肉の処理工程でも生残する。これが人の口に入るということで、どの工程でハザードが発生して、どの工程で制御したらいいかということをHACCPの場合には考えなければいけなくなります。

では、どのようなメリットがあるかということで、いろいろサーチをかけましたが、例えば、これはアイルランドの食品安全庁のウェブサイトにあったものですけれども、後で大和食品さんからもお話があるかもしれませんけれども、長期的には資金が浮くのではないかと考えられます。

それから、当然、顧客が食中毒になるのを防ぐことができますし、食品安全のレベルも上がります。

それから、EUHACCPが義務づけられていますから、遵守することを保証することになりますし、品質レベルももともとHACCP自体はFood safety hazardをコントロールするためのものですけれども、当然同じようなシステムを品質管理にも行っていれば品質レベルも上がります。

それから、工程管理がしっかりできるようになり、また、従業員がチームワークを持って効率的に作業をすることができるようになってくる。

また、仮に裁判になった場合にも、正当な弁護の証拠として提供することができる。記録がしっかりつきますので、それを規則正しい衛生管理あるいは工程管理をしていたという証拠として提出することができるということです。

ここから先はWHOがつくったものを持ってきたのですけれども、これも既に話したように、まずは、今までの最終製品検査の限界を克服できるということで、今までやっていたような大量の検体数を集めて検査する必要がなくなるので、そのコストが要らなくなるし、時間の無駄もなくなる。

それから、最終製品の検査で何か出たとしても、どこに問題があるかというのはなかなかすぐにはつかめないのですが、そういったこともなくなる。

それから、今までの監視というのは、どちらかというと立ち入ったときのスナップショット的な感じでしたけれども、HACCPの記録を見ることによって、そのときにどんな問題がどのような原因で起きたかをシステム的に検索できるというベネフィットもあります。

それから、HACCPシステム自体は、すべての考えられる合理的に予想されるハザードを特定し、過去にそんなことはなくても事前に予測する。それから、新しい操作などをするときにも事前予測をしてシステムをつくれるというベネフィットがあります。

さらに例えば、機械器具のデザイン変更、加工手順の改善や技術が進歩したときも、それに対してシステムを修正することができる。

これも結構大きなことだと思いますが、いろいろな製造工程の中で、どの部分に財政的あるいは人的なリソースを集中して管理することができるかというめり張りをつけることを支援することができますし、加工業者の方、食品衛生監視員あるいは消費者や顧客とのコミュニケーション、システムの内容を通じて話し合うことによって、お互いの相互理解が深まることにもなります。

HACCPはシステムが文書化されていますので、企業が食品安全を保証するためにどういう防御措置をとっているかを示すことができて、また、食品監視活動の助けにもなります。

HACCP自体はWHOも推奨していますし、コーデックスでも認められているシステムですので、世界中どこでも行われているものです。この食品安全コントロールシステムを標準化・均一化することによりまして、結果として輸入時の留め置きや輸入を禁止される、あるいはその結果として廃棄するといったことが減りますので、食品安全に関する信頼性を向上することにより国際貿易を推進することにもつながります。

これも何度も言っていますように、フードチェーン全体が対象になっているものです。

これはイギリスのサーベイの結果で、上はシステムをやったことによる利点として、例えば、食品安全に係る手順をスタッフがよく認識するだとか、食品安全に関するスタッフの知識が上がってくる。やはり、スタッフ自身がモニタリングをするとか、一般的な衛生管理の重要性を認識する部分があるのだと思います。あと、施設の衛生管理全体の向上にもつながるということがベネフィットとしてありました。

なぜすぐれているかということで言えば、これも繰り返しになりますけれども、生物的、科学的、物理的なハザード、原材料や工程由来のハザードを特定して、そのリスクをコントロールするということ。通常、ハザードというのは前提条件プログラム、一般的な衛生管理プログラム、またはCCPでコントロールすることになります。そのCCPを継続的にモニターし、記録を維持していくという点ですぐれているということになります。

その結果として、食中毒の予防や食中毒リスクが低減することにより、企業からすれば食中毒や顧客からのクレームが減るということで安心できることになります。

それから、輸出の機会も当然ふえますし、大手の小売業への納品の機会もふえるだろうと考えられます。

そらに、実際に一度HACCPのメリットを従業員が理解すると、従業員が真摯に取り組んで、上からの押しつけではなくて自主的に実施するようになります。そうなってくると、だんだん施設の衛生的な環境もよくなってきて、従業員のモラルの向上にもつながります。それでブランドの資産価値なども上がってきます。その結果としてビジネスリスクも下がる。それから、顧客との関係もよくなるというメリットがあると一般的に言われています。

これはオーストラリアのHACCP雑誌から引用したものですけれども、なぜHACCP認証を受けるかという理由のトップ5として挙がっていたのは、例えば、外部による検証・認証というのは、製造者が食品安全基準を維持しているという明確な宣言になるとか、あるいは流通するための市場の開拓になり得る。それから、オーストラリアでは少なくともHACCP認証を受けていない製造者からは買ってくれなくなる。

それから、ビジネスの達成及び認識にもなるし、輸出機会の増大にもつながるし、食中毒や食品回収のリスクも減らせるというメリットがあるために認証を受ける企業が多いということです。

また、そのほかとしては水産業界の雑誌から持ってきたものですけれども、廃棄を減らすことによる採算性の向上、それから、一次生産から消費まで大きな全体像を描いた上で品質システムに移行することができる。

これも先ほど述べましたけれども、どこに一番お金やリソースを費やすべきか、その重要な工程はどこか、どこが投資の必要がない工程なのかをはっきりめり張りつけることができるということ。

訴訟があったときの正当性・妥当性を示すことにより、自分の会社を守ることにもなる。

それから、食品安全に関する予防的なアプローチであり、食品事業者に対して何が起こるか、またそれが起きる前に何をすべきかを考えることを求めています。

結果的には、顧客が賞賛するような安全な食品を製造することにもつながるというベネフィットがあるということです。

世界的な流れといいますと、既に第1回でも恐らく議論されたと思いますけれども、FAO/WHOでは推奨していますし、コーデックスでも推奨しています。

欧州では原則すべての食品事業者に対して義務づけています。

米国では、水産食品に義務づけ、それから、ジュースのHACCPもありますし、食肉・食鳥肉も既に義務づけられています。

さらに、現在規則案が出されていますFSMAFood Safety Modernization Act)、近代化法案の中では、ほぼHACCPに近いものがすべての食品事業者に義務づけられることになるだろうということです。

オーストラリア、ニュージーランドも現実的には既にほぼ実施されているということです。

そうは言いつつ課題も認識されていまして、特にFAO/WHO、コーデックスでは小規模事業者に対する導入の課題が問題になりまして、きょうの皆様のお手元の参考資料4がFAO/WHOの専門家会合で98年に出された課題でございます。それを受けまして、コーデックスのガイドラインも2003年に修正が行われまして、例えば、HACCPチームの中の外部のコンサルタントや、あるいは外からいろいろ助言をもらうようなことも導入されています。

これは『HACCP and ISO 22000』という雑誌に掲載されていたのですけれども、課題としては、導入に当たってサポートがない限りそれなりの費用負担はあるだろうと言う点です。ただ、よく誤解されるのは、一般的な衛生管理の整備とHACCPが一緒になってくると、すごい費用負担がかかるイメージがありますけれども、HACCP自体はそんなに費用そのものはかからなくてもできると思っています。

また、当然効果を検証する必要があります。そのシステムで本当に安全な食品ができるかどうかの検証は必要になってきます。

あと、プロセスの中でわずかなバリエーションでハザードがどのように変わるかというのを予測するのはかなり難しいので、常に細心の注意と更新が必要になってきます。

それから、それなりに技術的な知識は必要になってきます。

あと、特に中小規模の企業においては非常に複雑だと思われる部分があると言われています。特にもともとはアメリカから入ってきたものですから、日本の場合には言葉がわからないというなり部分があって、それは我々の責任もあるのだろうけれども、できるだけわかりやすい、きれいな日本語に直す必要があるかもしれません。

それから、トレーニング不足ということで、HACCPを知らないとか、あるいは本当のHACCPのベネフィットをなかなか理解していただいていない部分もあるかもしれません。

実際にはHACCPに基づいて効果的なコントロールをして維持するための手順について、十分な知識がまだない部分もどうしてもあるかもしれません。

HACCPを実施するにおいては従業員のトレーニングが非常に重要ですけれども、食品業界の場合は結構ターンオーバーが激しいということもあって、継続的にはコスト高になってくるかもしれないというのが問題点としては指摘されています。

先ほど言いました参考資料4にありますFAO/WHOsmall and/or less-developed food businessにおけるHACCPの適用に関する政府に対するガイダンスという文章の中でも、例えば、食品事業者なりの課題ということでインフラや施設、これは世界を対象にして書いていますから、この部分としては例えば、安全な水が供給できないとか、排水や電気が来ないということも入っていますが、やはり実際に工場が行う上での安全な水の供給というのは非常に重要で、日本でも大事な部分かと思います。

基本的な衛生管理としては、洗浄・消毒が容易でない施設というのは問題になってくるだろうと考えられます。あるいは、従業員関係のところが一番難しい部分だと思いますが、例えば、従業員の中におけるHACCPの概念の理解度あるいは必要な専門知識、あるいは教育訓練の部分、それから、HACCPを行う上での技術的な支援、それから、トレーニングにかかるような人員的なリソースの部分、さらに、どうしてもHACCPというのは非常に難しいのではないかという心理的な因子だとか、いろいろな初めて聞くような言葉にそれだけで避けられてしまう部分を何とかしなければいけないだろうということもあります。

導入するためにはそれなりの支援環境が必要だろうということで、一つは財政的な問題、さらに政府が一貫して導入することに対するコミットメントが必要だということをこの文書では示しています。

あとは、法規制というのは義務化あるいは推奨の問題なども影響してきますし、業界団体の支援に対する認識度あるいはどういう支援をするかという態度なども影響してきますし、あるいは消費者側の認識などもHACCP導入の課題としては挙がってくるということがこの文書では書いてあります。

次にこれはオーストラリアのHACCPプログラムを実施するための課題ということですが、どうしても時間が問題、日々の業務に時間がかなり割かれていて、それプラスアルファのHACCPを維持するための時間がとれないとか、あるいは技術的な能力、キャパシティビルディングの問題、それから、シニアマネジメントから自ら取り組もうという姿勢がないとなかなか入っていかない。あるいは、導入が強制的でないと、なかなか入らないという指摘もあります。

それから、政府あるいはそのほかの業界団体などからのサポートがなかなか得られないと導入は難しいとの指摘もあります。

あとは、実際つくったとしても、例えば不十分なシステムであるとか、あるいは実務的ではないようなシステムの場合には、かえってHACCPの邪魔になる可能性もあるということが指摘されています。

 さらに、実際プランの落とし穴としては、例えば、食品安全のポリシーだとか目的、HACCPプランをやることのゴールや責任が決まっていないと、なかなかうまくいかないであるとか、一般的な衛生管理(PrP)が効果的ではない、あるいは準備段階の5段階や7原則が適切に遂行されないとHACCPシステム自体が正しく動かない。

また、施設単位でのコミュニケーション不足ということで、1人で全部やろうとしても無駄で、工場内でみんなが当事者意識を持って、トップのコミットメントを含めて工場内で一致団結して進めようというコミュニケーションがとれないと、なかなかうまくいかない。

実際の製品や工程、ハザード及びコントロールを正確に反映させたプランになっていないと、当然正しいシステムとして動いていかないという落とし穴もあります。

実際に導入のための支援やフレキシビリティーについて世界はどうしているかということですけれども、先ほどから何回も言っているFAO/WHOのガイダンスではSLDBsmall and/or less-developed food business)に対しての支援としては、財政的な支援の重要性あるいはいろいろなガイダンスドキュメントや、いろいろな説明資料を提供すること、それから、HACCPトレーニングの提供、これはいわゆる大手企業用のものプラス中小企業に特化したようなトレーニングなども必要ではないかと指摘されています。

また、枠組みとしてはボランタリーでやるのか、あるいは強制的な枠組みの両方があると思いますけれども、それぞれの利点・欠点なども議論されています。

HACCPの認証制度というものの重要性もこの中に入っていますし、いろいろなコンサルタント、その他のアドバイザーによる技術的・専門的なアドバイスの提供もHACCP実施のサポートとしては非常に重要な部分だと指摘されています。

HACCP実施上のフレキシビリティーについては、先ほどちょっと言いましたが、EUでは既にHACCPは義務づけられているのですけれども、この規則の中でHACCP原則の適用においては、すべての状況において十分なフレキシビリティー、柔軟性を適用すべきであるということで、その中で例えば、ある種の飼料ビジネスにおいてはCCPを特定することはできないであろうとか、あるいは優良な取り扱いというのですけれども、グットプラクティスという言葉を使っていますが、これをやることによってCCPのモニタリングに置き換えることもできるのではないか。それから、先ほどの被膜の形成という例を見せましたけれども、必ずしも管理基準は数値である必要はないと規則に書いてありますし、それから、文書の保管も小規模事業者の負担になってはいけないと。これは後でもうちょっと簡単に御説明しますが、その企業に合わせた文書管理もできるのではないか。このシステムに関する文書は、営業の性質や規模を考慮に入れてどこまで求めるかを考えるべきだとなっています。

これは、ECが出しているHACCPガイダンスドキュメントから持ってきたものですけれども、例えば、ハザード分析においても可能性のあるハザードを、例えば前提条件プログラム、一般的な衛生管理でコントロールすることができるのだったら必要としませんよと書いていますし、例えば、前提となる食品衛生の要件がすべてのハザードをコントロールできることを示している場合には、これもハザード分析は必要ないとか、ある程度ハザードが事前に決まっているような標準的な場合にも必要ないですよというようなことが書かれています。

さらに、管理基準の設定につきましても、ベストプラクティスという常にある程度決まっているような、例えば、6330分みたいなものはそのまま決めてもいいですよとか、あるいは国際的な文書、コーデックスの規格などがあればそれを使う。それから、ECがつくっているGuide to good practiceの数値をそのまま持ってきてもいいですし、必ずしも数値でなくてもいいだろうということを書いています。

 また、モニタリングも非常に単純な方法でよくて、例えば、目視観測でもいいし、温度計の目盛りを読むだけでもいいとしており。別に自記温度計がついていなければいけないなどということはどこにも書いてありません。

それから、システマチックに行う必要もなくて、特に、標準的な加工手順を行っている場合にはシンプルにしてもいいだろうということも書いてあります。

それから、文書化が問題になると思うのですけれども、例えば、記録についてもここまで許していいのかという議論の余地は若干あるかもしれませんけれども、例えば、例外的なものだけ記録する。通常温度を記録するに当たっても、6330分というのを常に書かなくても、問題があったときだけ記録するとか、不適合措置のみを記録するということもEUは認めているようです。

それから、いわゆる日誌タイプ、きょう一日の作業を日誌のような形で書いて記録するとか、チェックリストでチェックしていくというようなものも認めている可能性もあるということです。

それから、記録の維持につきましても、できるだけ企業の負担にならないようにということで、賞味期限の2カ月までで、そこから先は捨ててもいいだとか、企業のつくっているものや企業の規模に応じて記録の維持期間もいろいろ考えるべきだということになっています。

 今のはフレキシビリティーですけれども、実際にいろいろな国がHACCPを義務づけている中でもいろいろな支援をしていますという例を御紹介します。

アメリカのFDAの水産食品のHACCPでは、アメリカの場合はHACCPと8分野の衛生標準作業手順書によるモニタリングですが、例えば、SSOPの記録用紙というのは標準例が提供されていますし、Seafood HACCP allianceによるトレーニングも行われていますし、政府がつくっているHazard And Control Guideというものがありまして、この中で例えば、この原材料を使った場合にはこのハザードを考えてくださいねとか、この工程がある場合にはこのハザードを考えてくださいねということで、ハザードをある程度特定していますし、CCPの設定やCL設定の根拠も提供しています。それから、モニタリングの手順や検証の手順も支援するためのいろいろなガイドが、この中には含まれています。

それから、簡略化ということで言えば、ハザード分析自体は文書化は規則の中では求めていないということで、アメリカの場合はかなりいろいろな支援を手厚くトレーニングとハザードアンドコントロールガイドでやっています。

 最後になりますけれども、例えば、イギリスのFOOD STANDARDS AGENCY、食品基準庁が中小企業者のために考えたのが、safer food,better businessというもので、これをやればEC規則で求めているHACCPの要件を満たすことと判断されているということです。

 これはこういうパッケージになっていまして、安全にするための方法と問題が発生したときにどのような対応をとるか。それから、とった記録を日誌形式で記録するような記録様式も入っています。

 実際に中身としては、交差汚染の防止、洗浄、冷却、加熱、メンテナンスということで、例えば始業時のチェックだとか、スタッフのトレーニングや監督、どんな供給業者からどんなものを買ってくるか、日記のいろいろなモデル、白紙の様式があって、それをコピーしてそのまま書き込むようになっています。こういったものをつくって、これをやればHACCP規則を満たすというような形で一つの例としてやっています。

 結論としましては、HACCPというのは科学に基づいた食品由来の疾患を予防するためのツールです。原材料及び工程において発生する食品安全ハザードを防止措置でコントロールして、それをモニタリングするシステムです。

 実際このHACCP自体は、一般的な衛生管理を実施した上で効果的にその機能が発揮されるもので、世界的にもHACCP自体の有効性は認識されていまして、コーデックスなどでもHACCPをやるというのは、ほぼ前提として議論が行われています。

 ただ、適用に当たっては柔軟性が求められるということはECなどでも認識されています。

FAO/WHOの専門家会合やEUなどの議論から考えると、特に中小の事業者に対する支援はファイナンシャルだけではなくて、技術的・専門的な知識を含めた支援が必要になってくるだろうというのが現状の認識でございます。

駆け足ですけれども、私の話はこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。

○山本座長 盛りだくさんのお話を短時間でまとめていただきまして、どうもありがとうございました。

ただいまの説明に関しまして御質問がございましたら、お願いいたします。いかがでしょうか。五十君委員どうぞ。

○五十君委員 柔軟性をかなり認めているという部分なのですが、これは一般的に公的なものとしてEUの場合、この辺まではいいよというガイド、附帯文書はいろいろあると思いますが、そういう形でまとめられているのでしょうか。それとも、どちらかというと審査という形で実際に現地での解釈をやりとりして、柔軟性を確認していくというやり方をしているのでしょうか。

○豊福参考人 規則上は例えば、その工場でつくっている製品の性質や規模に応じてフレキシビリティーを考えなければいけないとなっていて、実際に運用については、その国や監視員の力量・判断にかなり委ねられている部分があります。実際に私はEUの監視員と一緒にHACCPのトレーニングを受けたことがあるのですが、例えば、いろいろな業種体を例示に挙げられて、どこまで求めるかをアンケートみたいにやったのですけれども、かなりばらつきがあるんです。例えば、小規模のと畜場で、食肉に対する殺菌工程みたいなものがないときには、限りなく一般的な衛生管理だけみたいになってしまうとか、食品の保存だけをしているような施設も、どちらかというと一般的衛生管理だけでいいのではないかという監視員もかなりいました。ですから、その部分ははっきりここまでは必要だというのは実際には存在しません。かなりの部分は食品衛生監視員の知識と、実際にその業態においてどのくらい本当にハザードがあって、HACCPで管理しなければいけないかという判断は監視員の力量にかなり任されていると思います。

○五十君委員 お聞きしたのは、部分的には本当に一般衛生管理とHACCPの区別というのは余りつかないようなところが出てくるのではないかということなのですけれども、ヨーロッパやアメリカの場合は比較的そういうところが柔軟に運営されていても、動いているという解釈をすると思いますが、日本の場合は大幅に状況が違っていて、非常に正確にやってしまうという言い方は変かもしれませんが、そのあたりの柔軟性が見えにくいところがあって、運用がどこまでうまく動くのかなと思います。

○豊福参考人 ただ、最後にも言いましたように、基本的にHACCP自体は一般的な衛生管理システムがある程度しっかりした上で初めて機能してきますので、ハザード分析をしている段階で上がってくるようなハザードのかなりの部分というのは、一般的衛生管理でコントロールすべき部分だと思います。それでコントロールできないような、もともと原材料に入っているようなハザードを除去するとか、あるいは許容レベルまで下げてくるという部分だけがCCPとして残ってくると思うので、そうするとCCPの数自体は限定されてくるはずなのですよ。だから、HACCP自体の技術的な支援というよりも、一般的衛生管理の充実の部分がどうしても重くなってくる部分があるので、HACCPは大変だというイメージでとらえられていると思うのですが、HACCP自身はある程度behavior changeというか、考え方の切り替えは必要かもしれないけれども、やってしまえばそんなに難しい話ではないと認識しています。

○山本座長 高谷委員どうぞ。

○高谷委員 質問していいのかよくわからないのですけれども、フレキシビリティーに運用するという話のときは、それぞれの製造工程に精通した人でないと対応できないのではないかと思うんです、監視をするにしても。だから、魚屋さんが肉屋さんのところに行ってやろうとしても無理かなということだから、やるときに監視する側もそれぞれのプロフェッショナルが行かないと、ここはこの程度でいいかなという判断ができないと思います。だから、査察する側もトレーニングしないと無理かな、そこまでいかないといけないのかなと。

○豊福参考人 それなりの製造工程に関する知識なり、ハザードのコントロールに関する知識は当然監視する側には求められてくると思います。

あと、例えば、支援する方も食肉製品出身の人が魚屋さんに行くのはかなり厳しくなると思うので、同じような業態の経験と知識を持った人が同じような業態を支援するというのが一番よくわかっていてアドバイスもしやすいと思います。最後に紹介したsafer food, better businessではマンツーマンシステムで支援しています。つまり、講習会は受けるけれども、そこから先、個別の企業がsafer food, better businessを導入するときには、例えば、マンツーマンで1カ月のコンサルトを受けるとか、あるいは週1回来店してもらうとか、そういう形を支援を行っているようです。それもできるだけ監視員OBというよりも、業界OBの人で知識を有する人に入ってもらう。そうすると、お客さんがわからないこともわかるわけです。そういうことが進められているみたいです。

○山本座長 ほかにございますか。

フレキシビリティーの部分というのは、今後日本でも考えなければいけない一番重要な問題になってくるかと思います。どうしても形にとらわれて、そのままの形で運用しようということとか、基本的には一般的衛生管理のレベルをどこまで上げていけるのかというのがあるのかなと思いますので、HACCPとなるとCCPということで、それだけではもちろんいかないので、逆に言うと一般的衛生管理の部分をどれだけ見ていくかということになってくるのかなと思います。

ほかに御質問・御意見ございますか。前回いただいた意見もありますけれども。

特にないようでしたら、続きまして、大和食品の竹内社長から話をいただきたいと思います。資料2に基づきまして、食肉加工施設におけるHACCP導入の取り組みについてお話しいただきたいと思います。

事務局から竹内参考人の御紹介をお願いいたします。

○事務局 本日、大和食品工業株式会社の竹内裕嗣代表取締役社長にお越しいただいております。

大和食品工業株式会社の品川にございます施設が、平成1011月に、先ほども講演の中でマルソウ、マルソウと御紹介がございましたけれども、総合衛生管理製造過程の承認を取得されております。会社の概要等につきましては、後ほど社長から御紹介いただけるとお伺いしておりますので、本日は承認取得、その後の維持につきまして貴重なお話をいただけるものと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

○竹内参考人 こんにちは。御紹介いただきました、大和食品工業の竹内でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

最初に、簡単に私どもの会社の自己紹介をさせていただきます。

私どもは東京都品川区東品川でハム・ソーセージ工場を経営しておりまして、この工場はちょうど昭和56年に建設しましたので、比較的年数のたった工場です。創立は昭和32年です。業歴は50年強になりました。

カイゼルハムブランドで、主に百貨店等々で自社の店を持って販売させていただいております。

総合衛生管理過程の許認可を取得いたしましたのは平成10年でございまして、今から14年前ということになります。

本日は時間をちょうだいいたしましたので、総合衛生管理過程の導入時の様子や取得して10年になりますが、現在どのように活用させていただいているかを簡単に御説明させていただきます。

平成10年当時、ちょうど私の記憶では食品の輸出に対する気運が高まっており、当業界の中でも欧米への牛肉の輸出を行うために、HACCPが必要との認識が出始めたころでした。また、この時期は食品に対する安全の気運が消費者からも高まり、食品事故を一度起こすと企業の存続にも影響を及ぼすというようなことがわかってきた時代でもありました。

そういった時代背景の中、私どもの所属する業界団体である食肉加工協会では、大手企業のみならず、中堅中小企業まで幅広く衛生強化を行おうという方針のもと、加工協会事務局が情報を集め、マニュアルのたたき台をつくり、講習会を行い、中小企業でも平等に参加できる体制をつくりました。私どももスタート時は加工協会にかなり協力・指導してもらいましたので、何とかスタートラインに立つことができました。

中小企業においては、こういった新しい取り組みを行う際一番重要なのは、そのシステムが企業にとって必要性があり、また導入するメリットがあることを事業者自らが理解しているかどうか、これに尽きると思います。私どもの会社では当時、アメリカの外資系の外食チェーンと取引がありまして、アメリカはHACCPの考え方を導入した大元でございますので、HACCP導入以前から取引条件として重要管理点の設定と記録管理、一般衛生管理のマニュアル化が義務でしたので、衛生の重要性をすんなり受けることはできたのですが、食品に係るすべての企業の経営者が利益を上げることと同様に同じ位置づけで、事業の継続性の観点から衛生管理が義務であることを再認識することが一番重要であると思っております。

そういった意味では、衛生管理は経営者にとっては一番苦手であり、それでいて一番やらなければいけない義務だと考えております。

食品の場合、経営者の大部分が文系営業職で、私も文系の営業職なのですが、衛生管理は一番苦手で当たり前で、しかも、直接利益に結びつかず、むしろ人的にも物的にもお金がかかってきますので、やはり経営者の倫理観と衛生管理が義務なのだという強い意志をどう鼓舞していくか。これが導入時の動機づけの最重要課題だと思っております。

平成10年導入時の苦労した点について少しお話ししたいと思います。ちょっと写真も入れてみました。非常に手づくりなのでみっともないところもあるかと思いますが、まず、第一に、加工業界につくっていただいた、たたき台の書類に目を通し大変だなと思いましたのは、ふだん行っている作業工程を衛生の側面でとらえた場合、余りにもやることが多いなということでした。CCP管理と一般衛生管理(PP管理)を組み合わせると、マニュアル量は膨大になりまして、きょうちょうど1冊持ってきているのですが、これが総合衛生管理過程の提出書類です。あと、これに一般的衛生管理も入ってきますので、かなりの書類量になります。

私どもは当時要領が悪かったので、大きなバインダーで4~5冊つくったんです。手分けをしてやることにしました。書類づくりでは、これは管理職しかわかりませんので、管理職2名で大体残業して4~5カ月かかりました。設備の見直しもありまして、経営サイドにかなり負担がかかります。これはお金の面もあるのですが、実は時間の面と許認可ですので全体を見直さなければいけないので、工場を全部チェックし、古い設備の更新、壁・床の補修、鉄部分のステンレス化、エアコンや電気系統の老朽改善など項目が多岐にわたりました。修繕計画を立てて取引予算と打ち合わせをし、見積もり・施工まで約1年は時間がかかったと記憶しています。

HACCPを導入するためには、与えられた衛生のテーマを組織的な管理にして、設備や構造物を修繕し、おおよそHACCP基準をクリアーするまでに1年がかり、中小企業としてはまず1年がかりだと思ったほうが間違いないと思います。さらに、これは許認可をいただくので経営者もかなり慎重になります。落ち度がないようにやらないといけないということもありますので、完璧にしなければいけないという意思も働きますので、私どもの設備費は大きかったんです。当時5,0006,000万円見ました。HACCPを導入する準備資金として、それぐらい用意したと記憶しています。

設備の面で特に気をつけたのは、異物混入を避けるために飛来昆虫を防御する壁をつくりました。中小企業の場合は当時、プラットホームに壁がないことが非常に多かったんです。これでは飛来昆虫の問題は防御できませんので、プラットホームに遮断の壁をつくりました。

それと、商品と人の交差汚染が一番問題になりますので、動線管理をしやすくするために、それまではハムとソーセージを同じフロアで生産していたのですが、うちはビル型なので3階と4階に分けてフロア構成をしました。そこでハム・ソーセージを分けますので、必然的に商品ごとに原料の入荷から製造出荷までワンウェイになる。ビル型のワンウェイというのは非常に難しいのですが、一応ワンウェイにしなければいけないだろうということで、それを行いました。

 当時は包装室と梱包室が混同していたんです。これはよくある話ですけれども、商品を包装した後すぐに段ボールに詰めますので、段ボールが包装室の中にあるわけです。そうすると、それが一番まずいということになって、包装室と梱包室を完全に部屋分けをしようと。これも当時一緒にやりました。

それと、清浄区域と非清浄区域を分けていかなければいけない。これは決まり事の中にありますので、特に清浄区域をきれいに分断するために壁の補修をしたということもありました。それから、その当時にエアシャワーの設置もしました。

また、排水溝や壁の巾木、あと構造物が結構鉄ででてきているんです。昭和56年当時はステンレスはありませんので、ほとんどの構造物が鉄製なんです。鉄があると金属のさびが落ちますので、これを何とか少しずつステンレス化しなければいけないということで、ステンレス張りを進めていきました。やはり資格をちょうだいするとなると一遍に、1年間で設備投資をしなければいけなかったわけです。今になってみると、そこまでは必要なかったのかもしれませんが、投資が一定額必要になりました。

そのとき特に設備について思いましたのは、工場の設備を全部チェックして、少なくとも中小企業は4~5年の猶予をかけて順番に直していく。これは投資の金額も当然年割りにしていきますので、そういうことが中小企業では合理的なのではないかと。そのときに、清浄区域、非清浄区域の壁による区分け、投資は床と壁が一番かかりますので、その区分けの低投資、簡単に部屋分けをすればいいですとか、そういう低投資の方法、その他補修については資格をいただいた後に、一定期間猶予をちょうだいして直していくということが配慮いただけると大変やりやすいかなと思います。

私どもの工場のステンレスを張った部分の写真を撮ってまいりました。柱周りは、ハム・ソーセージ工場は水を使いますので昔の工場はタイルです。タイルは角が大体ぶつけますので割れます。そうすると硬質異物が入ってくるということもあるので、これはお金がかからない低投資の一番いい方法ですが、ステンレスで壁に枠をつくりました。これは非常に効果的です。 それと巾木も、昔の工場は巾木がみんな鉄製です。特に包装室は優先順位をつけてステンレスを張っていきました。

エレベーターも当時は割と鉄の部分を多く使っていたのですが、内側からステンレスを張ってゴム止めをして、ぶつけて壊さないようにということでこういう改善をしたり、昔の工場は扉が鉄製だったんですね。扉はそんなに高いものではありませんので、1枚記憶していますのは1015万円です。この扉をステンレス製に切り替えるということで、徐々に鉄の部分を排除していくというようなことをやりました。

次に、CCPPP管理におけるマニュアルづくりですが、これも大変苦労しまして、先ほどもちょっとお話ししましたけれども、経験のある管理者が手分けをして、2人で残業しながら4~5カ月かかっていますけれども、当時はノウハウや相談すべき人間も非常に少なかったと記憶しています。食肉加工協会さんにたたき台のマニュアルをつくっていただいたのですが、形式が画一的なので、それを自社工場の製造方法に自前で当てはめていくのにかなり労力を使ったことを記憶しています。

CCP管理マニュアルついては、危害分析が広範囲、これも聞いたことがない言葉が多いんです。先ほど豊福先生もおっしゃっていましたが、まず、HACCPって何だというところから始まりますので、うちは職人がみんなやっていますので英語なんか全くわからない。マニュアルって何だという話があったんです、それぐらい当時は言葉が進んでいないんです。こういうこともありまして、これが一番専門的な知識が要りますので、これも食肉加工協会さんのほうでつくっていただいたものを参考に当てはめていったのですけれども、特に病原菌以外に残留農薬とか抗生物質、飛来昆虫、硬質異物、これが一番の問題になりますが、これはCCPPP管理に最初に分けていくんです。ほとんどやってみてCCPって何なのだと思ったのはPPが多いんです。ですから、先ほど一般衛生管理が基本というお話が先生方からありましたが、実は中小企業はHACCPをやろうという気がないと、PP管理もやらないんです。HACCPをやろうと思って初めて、そこにPP管理がくっついてくるんです。今ちょうどもう1冊PP管理の本もあるのですが、PP管理のほうが厚いんです。こちらのほうが実はマニュアルをつくるのが非常に難しくて、作業量は一般衛生管理のマニュアルをつくるほうがはるかに多いです。なので、文書化するのにこのぐらい時間がかかる。

今は民間でもHACCPを管理指導していただくところが結構あるんです。私どもも取引先の中で独自に皆さん取引先の衛生基準がありますが、昔は取引先の担当者の方が一生懸命来てやられていたのですけれども、今はそういった検査会社の方が衛生基準にのっとって、工場に来てチェックして点数をつけていただくという時代になってきていますので、かなり民間でもそういうノウハウは蓄積されているということもありますので、マニュアルは民間の方の力をお借りする手もあるかと思います。

導入後の問題点も数点お話ししておきます。

始めて2~3年は記録の不備がかなりありました。先ほども言いましたが、あくまでも中小として考えていただきたいのですけれども、肩書きはみんなありますが職人です。そうしますと、極端な話、当時字が書けない人がいたとか、そういうこともあります。多分、和菓子の職人さんもそういうところがあるかもしれませんけれども、非常に字が読みにくいとか、ふだん余り文章を書いていないという人たちがやっていかなければいけないのでの、記録の不備がかなりあった。

また、管理者が最終チェックするのですけれども、記録紙がフロアごとに分かれておりまして、原料導入もしたりですとか、漬け込み、加熱、全部記録紙は管理者が最終チェックをすることになっていました。真面目に一日の分を見ますと、少なくとも1時間半ぐらいかかります。そういった意味では管理者も負担がかかった時期もあります。

また、できたマニュアルが現場作業と実際に合わない。先ほども豊福先生がおっしゃっていましたけれども、やってみないとCCPをどこに位置づけていいかわからないんです。私ども実は最初、保管というものをCCPに入れていたんです。製品ができ上がった後に温度管理が必要でしょうと。だから、保管もちゃんとCCPに入れておかなければいけないのではないか。でも、冷静に考えますと、保管はCCPにしなくても完全に加熱してありますので、それほど大きな問題はないわけです。そうすると、それを後で厚生労働省さんともお話しして外させていただいたりということで、だんだんCCPのポイントが絞られてきたということもあって、変更申請を行わせていただいたこともありました。

 実際にスタートしてしまえば、どんどん慣れていきますので、そういった時期を超えますと、実はHACCPというのはかなり効果が出ます。実際に体験していて、かなり効果が出ると私は思っています。毎日の生産工程を組織的にチェックする、組織をつくるのに役に立つんです。それもありますので、衛生だけではなくていろいろな部分に効果が出てくるのですが、衛生面においては温度の異常やその措置方法、措置は当然必要になりますので、イレギュラーが出たときに記録がありますので、その場ですぐ管理者がチェックできるんです。そうすると、その場ですぐ措置をしてしまう。記録紙にも実は措置方法を文書化して入れてあります。ですから、担当者が忘れることはありません。加熱不足であれば加熱時間を延ばします。これは非常に重要なことなので、そういった記録紙のつくり方も実は長年時間をかけて文章を入れてということもありました。

また、記録とマニュアルに沿った生産管理の習熟もできますし、異物混入防止に関する従業員の意識は間違いなく高くなります。異物と温度の問題を中心にものを話していますので、管理者のみならず社員、アルバイト・パートさん含めて異物に対しては非常に敏感になります。これだけは間違いないと思います。実際に現場力が上がっていきます。

次に、現在、総合衛生管理過程がいかに活用できているかをお話ししておきます。

まず第一に、HACCPは経営者にとって大変ありがたいシステムです。これは事業者、責任者ととらえていただければいいのですが、先ほどもお話ししましたけれども、私も文系営業職で、食品の場合は文系営業職はかなり多いです。当然食品会社は中小企業が多いので、2代目、3代目、4代目の方も結構いらっしゃいますので、文系も多いです。ふだん工場には入りません。私も年に2~3回しか入りません。そうしますと、何かトラブルがあったとき、この製造記録がほぼ生命線です。現場のものを見るよりも記録が生命線になります。特に、異物などによるトラブルは、問題商品の製造ロット限定が非常に早いです。記録は全部日付ごとに原料の導入から製品の出荷までロットに分かれています。このロットに頼って1週間分くらいの原料入荷から出荷までを全部見られますので、ロット限定が極めて早いです。また、素早い回収指示が当然必要になりますので、HACCPの記録がないと実はお手上げだという状態です。

大手の取引先の回収判断はこのところ非常に早くなりまして、消費者の方のニーズも高いので、問題が起きてから2~3時間です。前は2日でした。今は2~3時間の結論を求められます。そういうことを考えますと、非常に早い結論を要求されるので、取引の問題上も、また衛生問題は当然メーカーですから責任がありますので、最小限に食い止めなければいけない。皆さんそれで早く動かなければいけないということでスピードが要求されるので、記録が以前にも増して非常に重要になっています。

次に、衛生とはちょっと関係ないのですが、HACCPを導入したことによって副産物の効果も得られました。利益率が非常に正確になります。HACCPの記録はすべて一日単位で保管されます。私どもは生鮮品を扱っていますので、昔からちょっと過剰ですが、月に2回棚卸をやっています、その際に現地で実地棚卸というものをやるのですが、昔は仕掛り品が相当抜けました。仕掛り品については工場も実は在庫を重要視していませんので、そういうことがあったのですけれども、今は仕掛り品のチェックを全部します。添加物の量も全部はかります。こういうこともありますので、HACCPの記録は非常に正確なので利益率がほとんどぶれないという状況が今、工場の棚卸ではあります。

それから、品質にもかなり効果があります。ハム・ソーセージ製品は漬け込み商品です。職人さんに肩書きがついた会社ですから、そうしますと、昔よく言ったのは目分量、それから、感覚です。こういうもので伝統製法の商品をつくっているわけです。当然頑固です、非常にプライドも高いです。HACCPを導入した後、マニュアルに沿って決められた分量、決められた味つけ、決められた漬け込み日数、特に日数は重要なのですが、日数をすべて記録するわけですから、勝手にスペックを変更できなくなります。個人の関与する余地が非常に少なくなります。いいところと悪いところがあるのですけれども。ただ、間違いは極端に少なくなりますので、均一な品質が生命線の食品においては、むしろ中小企業のほうが特徴があって手づくり感のある商品を求められていますから、多品種少量の企業においては、品質を均一化するには効果が非常に高いです。

導入によって得られた効果の2番目として、本来の目的である衛生面の進歩があります。従業員の衛生レベルがパート・アルバイトさんに至るまで格段に進歩しました。HACCP委員会というものがあります。これを定期的に月1回行います。当然委員長、副委員長がいて、HACCPの委員がみんな集まってやるのですが、衛生の周知も徹底しますし、何より現場に記録がオープンになっていますので、だれでも閲覧できますし、また、ごまかしがきかないんです。個人の関与が非常に少なくなるんです。そうすると、たくさんの人に記録が見られているよという話になりますと、ちょっと言葉は悪いですけれども、お互いに牽制し合うと。いいかげんなことをしないということですね。皆さんが全部閲覧できますから、そういうことになってきますので、記録による生産情報の共有化ができるととらえていますけれども、まさにコンプライアンス上も含めて非常に向上すると思っていただければといいと思います。

大企業さんは組織が非常にしっかりしています。当然、品質管理の担当者の方もたくさんいらっしゃいますし、生産情報の管理者も多数いますので目が多いんです。ところが、中小企業は少人数です。場合によっては製造の管理者と品質管理を兼任している場合もあります。こういう状況からスタートしますので、そのラインについては実はほぼ担当者に任せっ切りです。管理者が少ないです。ですから、HACCP導入以前はトラブルの発生した場所が非常にわかりにくかったんです。都合の悪いことを自ら言う人はいませんから。そういうことがありますので、これを導入してロット管理しますから、そのロットごとに全部温度もわかりますし、量もわかりますし、添加した添加物もわかりますし、私どもの業界ですと亜硝酸根の残存もわかります。こういうこともありまして、この点が最大に効果的です。

ですから、この仕組みは大企業さんよりもむしろ、私は中小企業びいきではございませんけれども、中小企業の管理に最も適していると思います。実感ですけれども、事業者・経営者の負担は今言った話のとおりでございますので、精神的な負担がかなり減ります。

次に、できるだけ多くの企業さん、ちょっと僣越でございますけれども、せっかく時間をちょうだいしましたので、HACCP取得を目指していただくためのポイント、私見で大変恐縮ですが、簡単に述べさせていただきたいと思います。

まず、企業側のメリットについてお話しします。

現状では、食品事業者は衛生を義務としてとらえていることが多いです。投資配分や人的配分、企業としてはそういう配分をしていきますが、そこからかんがみても、よほど意識が高くないと導入には消極的だと思います。営業面でも大企業に比べて弱いですから、どうしても経営者は営業面に配分を、私の感覚では7割ぐらいの力を入れざるを得ないということになってきますので、HACCPについては冒頭でも述べましたが、経営者次第のところがありますので、ぜひ保健所さんも含めて啓蒙活動をしていただければと思います。この啓蒙活動は非常に重要だと思います。これもちょっと言い方が悪いのですが、現実問題として多少プレッシャーをかけませんと義務の側面がないと動けないんです。やらなければいけないな、これは絶対やらないと世の中についていけないなとか、そういう危機感がないと、衛生はまず取り組まないと思いますので、これはひとつお願いしたいと思います。

次に、流通や外食産業さんにもお願いがありまして、HACCPを取得しているメーカーは数的には結構あるのですけれども、HACCPに準じたメーカーにつきまして、ぜひ一定の評価をちょうだいしたいと思います。流通や外食産業さんは独自の衛生基準と評価方法を持っていらっしゃいますので、お取引先各社によっては衛生管理の提出書類等々やり方が全部違います。全部対応します。HACCPまたはこれに準じた管理が共通になってくれば、これは衛生面ではないですが、メーカーがチェーンストア協会さんに対してチェーンストア統一伝票というものをやっています。やらざるを得ないのでやっています。皆さん足並みをそろえています。このようにちょっと義務的なところがあれば、メーカーも足並みをそろえる可能性はあると思います。それに加えて、私どもの業界団体、日本食肉加工協会のように、業界ごとに中小企業も含めて真剣に取り組めば、取得率はかなり向上してくると思われます。

また、一気にHACCP体制の構築が困難な企業では、最初はHACCPに準じた管理、これは豊福先生も何度もおっしゃっていましたが、また、企業も目標がないとどうしようもないので、あなたはAランク、Bランク、Cランクと。もうちょっと頑張ってよというふうに進捗段階である程度評価をいただけるとよいと思います。

大変よい仕組みですので、販売する企業さんのチェック項目にもこういった基準を取り入れていただけるように、ぜひ御活用いただければと思います。

行政の方へもひとつ、せっかくの機会なのでお願いしたいと思いますけれども、長々とお話ししましたが、中小企業は初期にすべての条件を満たすのは、経験則から言ってもかなり厳しいです。また、古い会社が多いものですから、経営者の年齢的な問題もあります。それから、当然規模の問題もあるということで、消極的な方もいらっしゃいます。HACCPと保健所にちょうだいしている食品衛生許可の間に位置するHACCPに準じた許認可が具体的にあれば、当然ステップとして活用できると思われます。

また、業界団体の情報交換の場ですので、業界団体ごとに進めていただければ比較的参加しやすいですし、より合理的であると考えています。

また、総合衛生管理過程をクリアーできる業界はまだかなり少ないと思います。豊福先生もおっしゃったとおり、畜産でHACCPが適用できるのかとか、加熱しない場合にはどういうふうにCCPをクリアーすればいいんだという問題もありますので、実は私どもの食品業界でも今言ったハム・ソーセージ以外に総菜類、あと野菜を使った加工食品なども販売量がふえてきていまして、製造する商品が工場でも多様化しています。この多様化した商品の特性に沿ったHACCP、また、これに準じた管理といったものも考えていただけると非常にありがたいと思います。

最後になりますが、事業者にとってHACCPを正しく理解して活用するのは、実は自らの身を守ることになりますし、また、消費者の皆様の信頼を得ることにもなります。これがイコール競争の原理ですので、事業の拡大にもつながると私は思っております。食品業にとって事故を起こさないことがイコール長期的に継続できる必須事項です。私どもは今ちょうど50年強ですが、食品は歴史が長い会社も多くございますので、できれば100年、150年と継続いたしたいと思っておりますので、今後もHACCP管理を徹底していきたいと思っております。

本日はお時間をちょうだいいたしまして、まことにありがとうございました。まとまりがなくてお聞き苦しい点もあったかと思いますが、御容赦賜りたいと思います。

以上で、私からの話を終わらせていただきます。

○山本座長 どうもありがとうございました。総合衛生管理製造過程導入の経緯、また、そのときの御苦労をお話しいただき、そこからすばらしい提言があったと思います。今後、考えていく上で大事なのは、企業にとってのメリットを皆さんにどう伝えていくか、それによってこの導入を図っていくきっかけをつくっていかなければいけないのだろうという御意見。それから、このシステムを導入することによって、衛生面だけではなくメリットが出てきているんだという、経営面でのメリットについてもお話しいただいたと思います。

最後の御提案の部分ですが、ここはこれから議論をしていくべきものだと思いますし、HACCPという言葉に何か画一的なイメージを持ち過ぎていて、ただ、HACCPに準じたシステムが一体どういうシステムなのかという議論も本当はあるのではないかと。CCP管理をしないということもあり得るわけですよね。結局、ハザード分析をすることによって、CCPではない部分しかないというような食品製造もあり得る話ではないかと思いますので、そういうところも含めて考えていかなければいけないのかなということを深く考えさせられた御発表だったと思います。どうもありがとうございました。

皆さん方からただいまの御説明に関しまして、御意見・御質問がございましたら御自由に御発言いただければと思いますが、いかがでしょうか。内堀委員どうぞ。

○内堀委員 業界としての取り組みが結構重要になるのかなという感じもするのですけれども、例えば、食肉加工業界さんですか、今までHACCPについての業界としての取り組みというのはあったのか、それともなかったのか。何か動きとして動きつつあるのか、その辺を教えていただけますか。

○竹内参考人 ちょうど平成10年に私どもは取得しましたが、冒頭でもお話ししましたとおり、アメリカからHACCPの考え方が入ってきて輸出産業、ほかのものもあったかもしれないですが、特に牛肉の輸出にとって必要だということで最初のその辺から話があって、それからHACCPをやろうという話になったのですけれども、全体的に衛生は極めて重要なものだと。食肉加工業界の場合は加熱をするという加熱食肉製品でございますので、もともと衛生管理は比較的高い業界になります。その中でHACCPがあるということになりましたら、食肉加工業界を中心に当時の理事長もそうでしたが、やろうではないかということで、業界のほうで検討してくれということで業界の中にチームをつくって、全部書類を用意していただいて、講習会も実は1年がかりで何回もやっていただいたんです。かなり業界でまとまってやったなという記憶があります。

あと、このところ気になっていますのは、14年たっていますので、ちょっと言い方は悪いかもしれないですが、その当時の熱が落ちているんです。要するに、JASマーク等々も含めてHACCP認証マークをつけて、消費者の方にここはちゃんとやっているよというメリットがあると。当時はそういう思想の中でやっていましたので、これをつけないと大企業さんに負けてしまう。中小企業も平等にちゃんと教えてくれないと困ると、ざっくばらんに言うとこういう話でした。それで一斉に足並みをそろえてHACCPをやってみようということになって、大体7~8年かけてそこそこ進んだという状況だと思います。

○山本座長 ありがとうございました。

やはり業界の力というか、1社だけではなかなか進められないだろうということかと思いますので、その辺も各食品群ごとに集まって考えていくのが大事かなと思いました。

ほかにございますか。五十君委員どうぞ。

○五十君委員 導入の状況を少しお話しいただければと思うのですが、導入前の衛生管理という面では、どういう状況からHACCPに進んだのかということが1つ。

それから、HACCP導入の一つには海外にも輸出したいということがありHACCPがないとだめだという議論もあったと思います。その議論と加工協会で、ほかの業者もHACCPをやるなら、自分のところもやらなければいけないというモチベーションという言い方をしたらいいのかわからないでが、協会自体が非常に推進していたため、最終的にうちもやろうという判断が社長のトップダウンだったのか、それとも皆さんで議論されて、これは必要だということでそのような方向性になっていったのかというところ。

3点目は、導入に関してメリットの議論があったのかというところを教えていただければと思います。

○竹内参考人 まず、御質問の1番目の導入前の状況ですが、多分、日本全体の衛生がそうなのでしょうが、最終で防御する、これが一番ポイントだと思います。実は、最終防御があってその後にこういった記録管理が来るから効くのであって、記録管理があって最終防御がだから必要だよというのは積み上げ式の論理になると思うので、日本の場合には割と現実的ですから、最終防御をどうやるのと。では、熱をかけようじゃないか、金属探知器もちゃんと入れておこうよという歴史だと私は認識しています。私どもの導入前は記録は一切ありませんでした。一般的な生産日報、ものを何キロつくったというのはあるのですが、実はHACCPが一番すぐれていると思っているのは記録です。むしろ記録だけあればいいぐらい。その記録を習熟するのが、これを本気でやれば、今もここにHACCPの書類があって、さっき記録をちょっと見たのですが、一生懸命こつこつフロアごとに記録の用紙をつくったのですけれども、中の項目を御参考までに読み上げますと、商品名称、ロットナンバー、製品重量、機械のどこでやったか、開始時間、燻煙の有無、蒸煮のスタート時間と最終時間、6330分の確認チェック、初回測定の温度、シャワーのあるなし、記入者、改善措置の項目、スモークハウスの点検項目、結構多岐にわたるんですよ。この1枚の紙で要するにマニュアル化されているわけですから、見やすい、わかりやすい。全部埋めてしまえば、それで管理になるわけです。だから、みんな慣れてしまえば安心してそれをやると。だから、HACCPということでちょっと難しい言葉ですが、記録をどうとるのかと。私どもグループの中に実はまだHACCPを導入していない工場もあります、後からグループに入った会社ですが。私が最初にやったことはHACCP記録を全部とれと。HACCPの許可はいただいていませんが、記録用紙を全部同じフォームで。そうすると、同じことをやっていますのでできます。その記録を習熟すると相当の効果があるなと思います。導入前はそういう意味では最終チェックと生産管理記録ぐらい。あとは当然、衛生検査もしますので衛生検査記録とか亜硝酸の記録はありました。

2番目は、どのような御質問でしたか。

○五十君委員 恐らく、輸出ということを企業が考えるときには、アメリカに輸出する場合はHACCPをやっていないとどうも売れそうもないねということがあるかと思うんです。それでHACCPを導入したという流れなのですか。

○竹内参考人 変な話ですけれども、前向きな企業はみんな新しいものが好きです。ですから、HACCPを導入しようという話になって、まずHACCPとは何だという論理から始まりますので、組合の加入会社さんたちは比較的お取引先も大手さんとお付き合いをしていることが多いですし、当然スーパーさん、百貨店さん、外食産業さんということもありますので、こういった仕組みを入れた場合には、心理的には大手さんにシェアを全部とられたくないという心理が働くのと、先ほどもちょっとお話ししましたが、HACCP認証制度のHACCPマークを張ることによるシェアの拡大を図ろうという気持ちは皆さんありました。HACCPをうまく衛生の武器にしようという考え方があって、かなり積極的にやったということがあります。ですから、先ほどもちょっとお話ししたとおりですが、HACCPをうまく広告宣伝していただいて、マーク中心でも結構なのですが、もうちょっと消費者の方にわかっていただけると、取ったかいがあるということになると思います。せっかくきちんとした制度ですので、できるだけそういう形でHACCPはすばらしくて、きちんとした衛生管理なのだということを消費者の方に広くアピールしていただけると大変助かります。

○山本座長 よろしいですか。導入当時、関係者でいらっしゃった高谷委員どうぞ。

○高谷委員 当時をよく知っているので少し発言させていただきます。

お役所の方が発言したほうがいいのかもしれませんけれども、当時、法律改正に関与したものですから。平成7年の法律改正で総合衛生管理製造過程の制度が導入されました。そのときに、この総合衛生管理製造過程はどこが所管するか。当時、食品保健課、乳肉衛生課、食品化学課というのがありまして、それぞれこの条文はどこが管理するかとやっていたときに、総合衛生管理製造過程については乳肉衛生課が所管するということで、特に総合衛生管理製造過程は製造基準のあるものについて適用する。画一的な製造方法の基準でなくても製造できるようにするための条文だということで、乳肉衛生課が一番それにかかわる部分が多いからということでした。だから、最初は牛乳から、乳業協会を指導して普及に努めたと。次は、きょうも来ていらっしゃいますけれども、食肉加工協会を指導してハム・ソーセージを指導しようということで、これは製造方法の基準のある食品についてのみ適用ということですから、それ以外のものについては適用がないわけです。

そこで当時、業界団体はこれはややこしい、面倒くさいことをいっぱい言っているけれども、何かメリットがあるのかないのかということで、国に何とか認証マークをつけさせてくれないかという話があったのですが、国としてはそれはできんと、一々総合衛生管理製造過程の承認を受けたぞというマークをつけるなんてとんでもない話だということで却下したのですが、業界団体の中ではそれぞれ何らかの印をつけたりして、そういう普及を図ったという認識をしております。

そういう意味では、メリットは何かという話になると、今のように普及を推進するためには、メリットがある方法が何かないかということで動いたのは確かですけれども、ただ、このものの考え方は製造基準があるものについて特に画一的な製造方法だけではなくて、ほかの製造方法であってもいいではないかと。例えば、6330分をどうしても守らなければいけないのかと。5010分ではだめなのかということも含めて、なぜそういうことができるかというと、衛生管理をしっかりしていけば、工程管理をすれば、それほど必要ないのではないかということから始まりました。

ただ、本音のところは、どうしてあんなに塩辛い生ハムなのか、もっと塩辛くない生ハムを食べさせるにはどんな方法があるのかというところから始まった話ですけれども、そもそもはそういうことで、今の御説明のように製造方法の基準のないものにあってもHACCPの考え方で工程管理をして、衛生管理をしていく必要があるのではないか。だから、それを普及するにはどうしたらいいかというのが、大和食品の社長さんの御提言だろうと最後は聞いていたのですけれども、製造方法の基準のないものだって、こういう衛生管理をきちんと進めていくには、特に中小で進めていくためには、何かメリットを持たせてあげたほうがいいのではないかという提言ではなかろうかと認識しました。

○竹内参考人 そのとおりでございます。

○山本座長 よろしいでしょうか。

今は5品目しかないというところをさらに拡大していくのも、この委員会での提言の中にはあるのかなという気はしていますが、そのときにどういう考え方をしなければいけないか。

私から1点だけ社長さんに聞きたいのですが、HACCPに準じた制度というものの意味ですけれども、どのようにお考えになっていますか。

○竹内参考人 ちょっと言いにくいところもありますが、先ほど管轄の話も出ましたが、食品の事業者にとって一番身近な衛生の御指導をされる役所は保健所さんです。私どもがHACCPを導入した際に厚生労働省様からいただいて、保健所さんと一緒にいろいろな取り組みをして、実は豊福さんもうちの工場に何度も来ていただきました。こういう場でお話ししていいかどうかわかりませんが、取得後5~6年の間に地方の保健所の先生方が毎年5060人来られました。中小企業のHACCPをどういうふうに導入すればいいのか、HACCPって何よと。保健所の先生方も実はそこまでまだ習熟されていない時代でしたから、そういうふうに先生方も来られたということがあります。

お話し過ぎて御質問の趣旨を忘れてしまったのですが、もう一度お願いします。

○山本座長 御自由に御発言いただいて結構なのですが、HACCPを導入するのに中小だと、マルソウはちょっと大きいというか。そうではなくて間の話を。

○竹内参考人 保健所の先生方に見ていただくことになってきますと、事業規模に応じて、また業種に応じて、ある程度一般衛生も含めたHACCPに近いような、CCPの重要管理点を一般衛生に近いものでもいいので、言葉は悪いですが、それをやらないとだめですよというようなことがないと事業者は動けないんです。実は今は、食品衛生法の中の許可だけで事業者は商売をさせていただいています。当然ほかの許可もあるのですが、衛生の分野においてはそのこともありますので、そういった形で義務的なことが間に1枚入ってくると、かなり普及をするのではないかと、私見ですがそう思います。

○山本座長 ありがとうございました。

HACCPのシステムそのものをいきなり全部に当てはめるというのではなくてということだと思いますけれども、その辺が逆にHACCPそのものの理解の妨げになっているのかなということで、ハザードアナリシスというのはどんな管理をするのかということが非常に基本になる分析なんですよね。だから、その中で結局ここはCCP的に管理しなければいけない最後のとりでだぞというのがわかるとか、それ以外はそこまでのCCPの管理をしなければいけないという、ハザードアナリシスを充実させる形で皆さんがやっていければというのが私見としてはあるのですけれども、ただ、そのシステムとしてどういうふうに国が取り入れていくかというのは、今後、方向性を議論しておかないとまずいだろうなということで、この会をやっていただいているということでございます。

川崎委員どうぞ。

○川崎委員 豊福先生のところで質問させてもらえばよかったのですけれども、今ちょっと議論になったHACCPに準ずる制度ということに関して確認なのですが、豊福先生が御紹介しておられたECの規則とか、EUのいわゆるフレキシビリティーという話は、HACCPに準ずる制度とかそういうことではなくて、HACCPそのものの話ですよね。

○豊福参考人 そのとおりで、HACCPそのものを実際にするときに営業の規模や業態に応じて柔軟性が必要だというのがECの考え方です。

大和食品さんには私は何回もお邪魔しているのですけれども、非常におもしろかったと思うのは、ハザードアナリシスをやってHACCPをやらないと一般的衛生管理もしないというコメントは非常に興味深かったです。

それと、もう一つは、記録の重要性ということで、恐らく記録だけとるだけで、管理ができるだろうということで、記録の重要性というのがコメントととしてあったのは、まさしくHACCPの重要性を認識されているなということで興味深くお聞きしました。ありがとうございました。

○山本座長 ありがとうございました。ほかにございますか。

      事務局どうぞ。

○事務局 せっかくですので、前回の資料の中にもあったのですが、従業員の教育や先ほどおっしゃられたような記録をつけるということを非常に大変に感じていらっしゃる方が多くて、大きな課題として挙げられる例が多いのですけれども、その辺で御苦労されたこととか、取り組まれたことなどがございましたら御紹介いただけるとありがたいのですが。

○竹内参考人 中小企業事業者ですから難しい言葉は使えないですが、まさしくけんかです。一番大事なのは、社長でも役員でもいいですが、製造の責任者と膝詰めで話し合うこと。これがスタートの一番重要なところで、結局、責任者がHACCPの重要性を理解しない限りものは進みません。先ほどもちょっとお話ししましたが、私どもはHACCP委員会なりHACCPチーム、最初はHACCPチームをつくるのですけれども、余りにも横文字が多いので若手の大卒をメンバーに入れます。そうしますと、当時非常に思いましたのは、会社の組織とHACCPの組織と2つ組織ができます。何が起こったかといいますと、幹部と若手の社員がけんかします。

結論といたしまして、やはり事業者、経営者がよく人事も掌握しないといけないと。そして、私もそうでしたが、工場の製造者に任せっ切りでは、とてもではないけれども工場は運営できないと。HACCPでこういう勉強をしまして、それがだんだん2年、3年たっていくうちに、幹部も習熟し、理解するようになり、その下の入ってきた部下もHACCPの重要性をそこの責任者がきちんと指導していきますので、先ほど豊福先生の資料にもあってなるほどなと思ったのですが、年数を積んでいきますと、より会社的・組織的にそういうものが継承できるようになってくるんです。導入の一番の苦労は社員、幹部、アルバイト・パートさんへの説得です。

○山本座長 ありがとうございました。

いろいろと御意見が出ておりますけれども、次に移らせていただいて、資料3を使って事務局から御説明をいただきたいと思います。

○事務局 それでは、お手元の資料3に基づいて御説明させていただきたいと思います。

前回も御議論いただいたこれまでの施策の問題点、論点について、前回いろいろコメントをいただいております。今後の方針の案として記載させていただいております。

まず、1つ目が食品衛生法上の位置づけとして、問題点として前回記載しておりました、総合衛生管理製造過程にこだわるあまりHACCPの段階的な導入という視点が欠けていたのではないかという点でございます。いろいろと御意見がございました。一般衛生管理の実施が重要であるとか、国際標準への準拠、それから、導入率の向上そのものではなくて安全性の向上を重要視する必要があるとか、従来の総合衛生管理製造過程を導入するとなかなか回らない点もあるという御意見をいただいております。

具体的な方針案として記載させていただいておりますけれども、HACCP導入型基準というものを設定してはどうか。段階的な導入を図る観点から、コーデックスのHACCPのガイドラインに基づく基準、HACCP導入型基準と記載しておりますけれども、これを設定して食品衛生法第50条第2項の基準、従来の管理運営基準がございますけれども、これと選択ができるという形で運用してはどうか。それから、食肉・食鳥肉についても同様に検討する。

 対象食品としては、もともとの管理運営基準が食品全般にかかっているものですから、当然のことながら食品全般にかかる。ただ、コーデックスのガイドラインそのものだとわかりにくい点もありますので、品目別に具体的なマニュアルを順次作成する。

それから、HACCP支援法の融資対象とする。導入したHACCP導入型基準についても、導入のための施設・体制整備も支援法の融資の対象となるように整合性を検討するというものでございます。

次のページから、そのイメージとして記載しております。左側が現行で管理運営基準、ソフト面がございますけれども、これは厚生労働省でガイドラインを策定して、それぞれ第50条第2項に基づいて各自治体で条例で規定されております。すべての食品関係事業者が対象になっておりますけれども、そのガイドラインについてHACCPを導入した基準、HACCPを含めた管理運営基準のガイドラインを策定して通知する。従来の管理運営基準といずれかを選択するという形で運用するというものでございます。

次のページにまいりまして、さらに具体的な内容になりますけれども、左側が従来の管理運営基準の項目になっています。特に、第2の食品取扱施設等における衛生管理の中の6番、食品等の取り扱い。それから、関連する項目として責任者であるとか記録、管理運営要領の作成等、このあたりを引用しましてHACCPの7原則、もしくはそれらの手順を導入する。

2として、その他の項目は原則として維持しますが、画一的な方法によらず、科学的根拠に基づく対応も可能とすると。

 3は先ほど申し上げましたけれども、品目別に具体的なマニュアルを策定していくというものでございます。

 次のページに、さらに具体的なものを記載しておりますが、左側が従来の管理運営基準、第2の6番の食品等の取り扱いの抜粋になります。

()として、食品の製造、加工また調理においては、病原微生物またはそれらの毒素が完全にまたは安全な量まで死滅・除去されていることという記載がございます。

()は、特に影響があると考えられる工程に十分配慮する。

(12)は、自主検査を行って製品への検査を行って記録するという項目がございます。これらの管理運営基準は、すべての食品を対象とした全般的な管理ということになります。これらに基づいて管理を行うと、やはり網羅的な管理で非効率的であろうと。ともすれば、過剰な対応になりがちになろうと。

 右側の導入型基準は、この食品等の取り扱いのところにHACCPの7原則を明記して従来のものと選択にしてもらおうと。HACCPに基づく管理を行うわけですから、自ら危害分析を行って、重要管理点を重点的に管理していただく。当然、施設、製品に応じた効率的な対応が可能になろうと考えております。

従来の管理運営基準とHACCP導入型基準の両方を示して選択してもらうことを考えておりますけれども、当然HACCP型をできるだけ選択していただく必要があろうかと考えております。そのための施策として、次のページになりますけれども、導入する支援として、よりきめ細やかな支援が足りなかったという点を踏まえて、HACCPの普及機関等による導入の支援、自治体、先ほどもお話がありましたけれども、保健所の職員であるとか、団体等の研修によって、よりその施設でつくられる食品に合った指導が可能となるように、指導者もしくはアドバイスをされる方の研修を行っていきたいと考えております。

次のページにまいりまして、メリットという点が挙げられておりますけれども、具体的な方針としては、根本的な安全性の向上という点について改めて周知・普及をするとともに、輸出の促進、輸出施設の認定の促進であるとか、導入施設の公表、マークの検討といったことについて検討していきたいと考えております。

以上でございます。

○山本座長 ありがとうございました。

これにつきまして、各委員の先生方から御意見をいただきたいと思うのですけれども、かなり具体的な提案ということになろうかと思いますが、いかがでしょうか。

川崎委員どうぞ。

○川崎委員 HACCP導入型基準というものをガイドラインに入れられるということだと思いますが、7原則がここに記載されるということは、これ自体はHACCPの導入と違うのでしょうか。

○事務局 そのものです。

○川崎委員 ということは、要するに選択制というのは、一般的衛生管理事項とHACCPの導入という、この2つの選択という意味でとらえていいのでしょうか。

○事務局  もちろん従来の管理運営基準は、PPによる管理のものが主流でございますけれども、従来あった管理運営基準による衛生管理のものとHACCPを導入した管理の選択ということになります。

○事務局 ちょっと補足しますと、1回目の検討会で種々御意見をいただきまして、HACCPを普及していこうというのは皆さん方共通した認識だったと思いますけれども、その手段としてどういう手があるだろうかと。1つは、これまでの食品衛生法で総合衛生管理製造過程という承認制度。ただ、これは先ほど高谷委員からありましたように、製造基準が定められている食品に限定されています。その承認を受ければ一律の基準に寄らなくてもよいという枠組みがあります。例えば、この総合衛生管理製造過程の承認品目をどんどんふやしていくというやり方もあるでしょう。例えば、冷凍食品なども製造基準がありますけれども、そういったものに広めていくというやり方もあるでしょう。ただ、総合衛生管理製造過程という制度のまま対象食品を広げても、国際的な動きなどを見ると、それでも品目は限定されるわけですし、それから、承認制度というシステムが先ほどから話題に出ていましたようなフレキシビリティーを勘案するのもなかなか難しいのではないかと。そうすると、食品衛生法の第50条という話が出ましたけれども、これは対象品目は関係なく、あるいは営業許可の有無関係なく、すべての食品の製造施設等々に適用されるものです。これは衛生管理のソフト面での基準を国がガイドラインを示して、それぞれ自治体が条例化して、食品営業施設に義務づけているという枠組みですけれども、では、従来型の網羅的な管理運営基準にHACCPの考え方を導入した新しい管理運営基準をつくったらどうかと。ただ、それを全部一本化してしまうと、中小も含めてHACCPをすぐに導入することは難しいでしょうから、当面は従来の管理運営基準のままでもいいですし、新しくつくったHACCPの考え方を取り込んだ管理運営基準。これは営業者がどちらの基準に基づいて管理をしますかということを、そういう意味で選択していただいて、選択した場合に今度は保健所が監視指導に入るときに、おたくは新しい基準で管理していますか、あるいは従来のやり方でやっていますかということを聞いた上で、それに基づいて管理されているかどうかを指導するということを広めていけば、HACCPによる食品の製造管理がより広まっていくのではないでしょうか。当然、欧米並みにいろいろな食品に義務づけるということも将来の課題としてはありますが、それまでの環境づくりの一環として、こういう手段を使ったらどうかという提案です。まだほかにもいろいろやり方はあろうかと思いますので、そのあたりは御議論いただければと思っております。

○山本座長 ありがとうございました。いかがでしょうか。

      工藤委員どうぞ。

○工藤委員 今までいろいろお話を伺いまして、HACCPの重要性というのはいろいろな側面からのお話ということで参考にさせていただいております。消費者サイドとしまして、例えば、これからの方針かもしれませんけれども、マークがついたものとついていないものとの違い、また、マークがついているものを購入するに当たっては、HACCPとはどういうものなのかを理解する必要があると思います。HACCPは、どちらかというと工場内でのことが中心と理解していますし、消費者は工場見学をする以外はなかなか知るすべもないというような状況でもあります。先ほど豊福先生のお話の中で、HACCPシステムの恩恵というのはフードシステム全体に及ぼすのだということがございました。その中には、調理から消費までというところもありまして、消費者が購入して煮たり焼いたり冷凍したりというところまで及ぶのかというところが新しい認識なのですが、その辺もうちょっと御説明いただきたいのと、やはりHACCPを導入することで、こういう違いがあるということが消費者にわかりやすく伝わることも必要なのではないかというのが感じるところでございます。お願いします。

○豊福参考人 今のことに関して言いますと、HACCPをつくる準備段階として意図される用途の確認というのがあるんです。つまり、これはHACCPをつくって実際にやって、ハザードを除去するあるいは許容水準まで低減するときに、当然考えるのは意図される用途とはどういうものなのか。例えば、加熱してから食べるものなのか、あるいは一般の人が食べるものなのか、あるいは高齢者が食べる、あるいは幼児用の食品なのかによって当然ターゲットとする、目標とするハザードのレベルが変わってくるということで、営業者の立場からすれば対象とする消費者のグループ、食べ方を考えた上でプランをつくりますから、それから外れてしまうと、そこまでは当然営業者も対応できないということで、そうすると、表示に明確に、これは例えば加熱してお召し上がりください、これぐらいの時間加熱してから食べてくださいという話が出てきます。そうすると、それが表示された場合には、その部分はあくまでフードチェーンで考えていくのだけれども、実際、ハザードのほとんどの部分は生産段階あるいは加工で排除するけれども、ある程度消費者の方にやってもらわなければいけない部分も当然ありますよということでお話ししいたしました。

○工藤委員 そうしますと、当然消費者もHACCPを理解しなければいけないということですよね。

○豊福参考人 そうですね。これは恐らく我々も含めて20年間、若干その部分の努力が足りなかった部分もあるかもしれないです。

○工藤委員 ありがとうございました。

○山本座長 事務局よろしいですか。

○事務局 先ほどの川崎委員の御質問に言葉足らずだったような気がするので補足させていただきますと、必ずしもPPHACCPの選択という意味ではなくて、当然HACCPをやる際にはPPが必要なわけで、より危害分析に基づいた重点的・効率的な管理が可能になるものと。従来のものは基準自体が網羅的な基準ですので、それをすべてやるような形になっていますから、そういったものの選択になると理解いただければと思います。

○山本座長 今のことに関連しますと、従来型の管理運営基準だと書いてあることはすべてやらなければいけないけれども、ハザード分析によってある程度やらなくていい部分が出てくるという解釈もあり得るということでよろしいですか。

○事務局 重点的にやるべき項目と。

○山本座長 ということなので、かなりハザード分析を重視した形で、ちゃんとしたHACCPを導入しましょうという方向と、従来型の管理運営基準の選択ができると。今度新たに選択する基準というのは、まさしくHACCP導入と言ってもいいのではないかという気がしますけれども、その点いかがですか。

○事務局 そのとおりで、HACCPを導入するということになります。

○川崎委員 もう一言だけ。事業者から見ると、その辺が整理されていないと、また基準がふえてしまうのかなという混乱が起きると思うので、そこは今、座長がまとめてくださったようなことをはっきり共有すべきと思います。その上で、きょう豊福先生がいろいろ御教示いただいた、それをきっちり考えていく上でのフレキシビリティーというのがあるんだということを普及して、いわゆる国際標準のHACCPに取り組みやすくしていくという趣旨であれば、理解できます。

○山本座長 ありがとうございました。ほかにございますか。

      五十君委員どうぞ。

○五十君委員 2点ほど確認したいのですけれども、まず、第1点は、これまでの総合衛生管理製造過程と今回のHACCPの位置関係をどう整理されるのかなというのが1点。

      もう一つは意見なのですが、お配りいただいた資料の2ページの「HACCP普及のため方針(案)」の具体的な方針で、非常に重要なポイントを3つ挙げていただいたのですが、前回の議論の中で経済的支援というよりも、むしろHACCP自体の指導とかソフト面、情報提供といった面が非常に重要だというお話があったかと思います。例えば、先ほど出てきたような消費者へのHACCPの理解、情報提供や、HACCPを導入する普及機関へのアシスト、例えば、6ページの具体的な方針にはそれが一番下に書いてあって、研修とか専門家の派遣をしたり、相談窓口を設けるようなことが書いてあると思うので、大前提のところにもそういった情報ないしは、そのような協力体制に関する項目を示したほうがいいのではないかという2点です。

○山本座長 事務局よろしいですか。

○事務局  従来の総合衛生管理製造過程は法律上の規定にありますように、先ほどの説明でもありましたように、第11条の規格基準、製造基準に寄らない方法でもつくることができるという規定になっておりますので、当然例外承認の形としては存続していく形になろうかと思います。

      先ほどありました2ページと6ページ、7ページにもありますけれども、前回大きく3つに分けて御議論いただいた問題点として、政策的な話と普及の話とメリットという形で記載を便宜上分けさせていただいておりますので、別にそれを除外しているというものではないです。

○山本座長 高谷委員どうぞ。

○高谷委員 本当は田崎さんが発言しなければいけないのかなと思って気になってはいるのですけれども、管理運営基準を2つつくるということになると、条例化するのは都道府県がやるわけですよね。2つとも条例化するということかなということと、大変混乱するのではないかと思うんです。ここは何とか1つになる工夫はないのかなと。従来のものをもっと衛生管理のしやすいほうに変えるんだよというふうにしていかないと、都道府県が大変だろうと思います。そこで詰まってしまうのではないかという気がしています。いいことだとは思いますが、二本立てはきついのではないかと思います。

○山本座長 田崎委員、いかがですか。

○田崎委員 第50条第2項に基づきということなので、これは言わずもがなかもしれないですけれども、厚労省の考え方といえば、こちらの新導入型についての手続等について自治体がやっていくと考えます。実際にHACCPのバリデーションはだれがやるのか、いつやるのかとか細かい実務面があると思います。

詳細はこれからと理解していますが、自治体の実務についてもう少し詳細にお話いただければと存じます。

      それから、先ほど委員からお話がありましたけれども、前回もお話ししましたが、自治体の認証制度がございます。この資料の中にも2ページの第1回の検討会の意見の中で、自治体HACCPとの整理が必要なのかということで、先ほど社長から話もありましたけれども、段階的な導入もあわせ含めて、そういった自治体HACCPそのものの位置づけをどこに置くかというところです。

      考え方として、スキームをどうするかというところですけれども、例えば、GFSIのベンチマーク、同等指定という考え方があったと思いますけれども、その中で一定の食品安全規格を指定してベンチマークをつくって、新たに作成するガイドラインと自治体の認証制度の対照表のようなものをつくり、それが一つのベンチマークと考えればよいと考えます。今後、お示し頂けるものと思います。御意見も含めてお話を伺いできればと思います。

○山本座長 この段階でお答えいただけますか。

○事務局 当然、方針として決定した後の話になるのだろうと思いますけれども、バリデーションといいますか、ベリフィケーションになるのかもしれないですが、従来の総合衛生管理製造過程でも同じかもしれないですが、年間計画に基づく立ち入りや、もしくは営業許可の更新時のチェックといった機会をとらえて確認をしていくことになっていくのだろうと考えています。

      もう一方では、現在も既にやられている自治体での認証のHACCPがございますけれども、取り組みの仕方も多々自治体によってあるのだろうと思います。それは、段階を追ってやられているところもあるかもしないですし、特に厳しいものをつくっていらっしゃるところもあるかもしれないですけれども、中身としては基本的にはコーデックスのHACCPが国際的にもHACCPというものですので、HACCP自体はそこにそろっていくのだろうと考えていますけれども、そこまでの取り組みとして、それぞれの自治体でも今まで取り組んでこられた一歩手前、二歩手前の取り組みというのは、従来どおりあってしかるべきだろうとは考えています。

○事務局 補足させていただくと、1つは、自治体の関与の仕方についてですけれども、監視指導という中でもございますし、普及していくには事業者団体と同じように近い存在の保健所の監視員が事業者の相談に乗る、あるいはきめ細かな指導をしていくことが支援につながっていく方法だと思っていますので、そういう関係のあり方などを今後議論していきたいなとは思っています。

      それから、自治体HACCPの今申し上げたような取り組み状況については、自治体によってもいろいろな目立つ方向が違うということもございますし、一方で事業者等々からは、いろいろなものがあるので統一すべきではないかという御意見もあるということでございますので、そういう点ではHACCPについては原則にのっとったものがHACCPですよということで、一つのものに収束していくことが将来的にはいいのではないかと思っています。

      ただ、そういう点では、それ以前の段階の取り組みが重要だというのは、さきの議論でもありましたように、そういったところを目的しているところは尊重していくわけですが、また、いろいろな取り組み、先ほど言ったような乗り入れ、既存のやっているところについては足らない部分をやっていくとか、導入に当たってはそういう方法も考えられますので、そういう点も議論していきたいと思ってございます。

○山本座長 ほかにございますか。

今回、管理運営基準の別バージョンということで導入を図っていこうという案が提示されているわけですけれども、運用面の問題を今の段階で議論するのは難しいのですが、そこもある程度見据えておかないと、そちらの方向に走ったときに混乱を生じる可能性がありますので、そこはあと1回ぐらいの議論なのですけれども、しっかりと皆さんのお考えを聞かせていただきたいなと思っております。

それから、導入への動機づけという意味でのメリットを紹介するとか、また、消費者への啓発活動をしっかりやることによって、日本の食品の安全についての機運をさらに盛り上げていくような活動は必要だろうということで、厚生労働省が音頭をとるのだと思いますけれども、自治体が中心となった活動と、業界団体の方たちの間での議論を今後高めていただきたいなと、今の議論を聞いていて感じているところです。

あと1回で大体方針を決めていかなければいけないのですが、なかなか難しいと思います。意見としては、その2つの方向をとるのか、ややこしいので、やはり一本化して動かしていったほうがいいのではないかという御意見が2つ出ているとは感じております。

ほかに御意見ございますか。横田室長どうぞ。

○横田室長(農林水産省) 農林水産省です。オブザーバーという立場なので、農林水産省の考えといいますか、留意点を述べさせていただきたいと思います。

HACCPを導入していこうというのは厚生労働省さんとともに農水省でも、やはりこの機会に中小企業も含めてこういった製造工程管理を進めていきたいという気持ちがありまして、HACCP支援法も共管でやっているところです。

きょうの議論にもありましたけれども、やはりいろいろなことを考えていく上で中小では、農水省の調査では売り上げが1~50億円の間の企業さんでいえば、まだ27%にとどまっているということですので、先ほど来段階的な導入ということがございましたけれども、そのあたりの状況を踏まえていただきたいという点が1点ございます。

 あと、段階的なという意味で、先ほど竹内社長からのお話にもありましたけれども、HACCPの前段階の取り組み、一般的衛生管理といったものを取り組んでいくということが重要だという話もございましたが、そこは今回HACCP支援法で前段階の部分だけの支援についてもできるようになりまして、きょうのお話の前段階かもしれませんけれども、そういった段階的な支援もぜひ活用していただきたいなと思っております。

あと、1点だけ、消費者に対するPRという話がございましたけれども、この点についても農水省としても消費者への認知度の向上を課題と考えておりまして、ことしから消費者に対するセミナーや工場見学といった取り組みでも努力させていただきたいなと思っております。

 以上です。

○山本座長 どうもありがとうございました。

いろいろ御意見をいただきましたけれども、きょう出てきた方向性の案につきまして十分お考えいただいた上で、次回に最終的なとりまとめに向けての御意見をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 そのほかに事務局から何かございますか。

○事務局 事務局から今後の予定でございますけれども、次回は10月末から11月で開催を予定しておりますけれども、後日改めて先生方の日程調整をさせていただいて決定させていただきたいと思っております。

○山本座長 ありがとうございました。

      それでは、本日の検討会はこれで終了いたします。私の不手際で少し時間が延びてしまいましたことをおわびいたします。長時間の御議論、どうもありがとうございました。

 

 


(了)

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