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2013年9月13日 第32回医療部会

医政局

○日時

平成25年9月13日(金)10:00~12:00


○場所

三田共用会議所 3階大会議室


○議題

○医療政策企画官 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第32回「社会保障審議会医療部会」を開会させていただきます。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席くださいましてまことにありがとうございます。
 まず、本日の御出欠について御報告申し上げます。
 大西委員、田中委員、花井委員、藤原委員から御欠席との連絡をいただいております。また、今村委員はおくれて御出席との御連絡をいただいております。
 それでは、議事に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。
 お手元に、議事次第、座席表、委員名簿。
 資料1「社会保障制度改革推進法第4条の規定に基づく『法制上の措置』の骨子」。
 資料2「病床機能報告制度及び地域医療ビジョンについて」と別紙。
 資料3「在宅医療・介護連携の推進について」。
 荒井委員提出資料をお配りしています。
 また、参考資料として、参考資料1、参考資料2-1から2-3までをお配りしております。
 不足がございましたらお知らせください。
 なお、本日、総理官邸での急な会議が入りましたため、医政局長は、この後、退席させていただきますので、御容赦いただきますようお願い申し上げます。
 それでは、議事に入りますが、以降の進行は部会長にお願いいたします。
○永井部会長 まず、委員欠席の際に、かわりに出席される方の扱いにつきましては、これまで事前に事務局を通じて部会長の了解を得た上で、当日の部会において承認を得ることにより参考人として参加し、発言をいただくことが認められております。
 本日の会議につきましては、花井委員の代理として小林参考人、藤原委員の代理として酒向参考人の御出席をお認めいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○永井部会長 ありがとうございました。
 では、議題に移りたいと思います。
 先日、社会保障制度改革推進法第4条の規定に基づく法制上の措置の骨子が閣議決定されております。まず、この内容につきまして事務局から説明をお願いいたしたいと思います。
〇総務課長 それでは、お手元の資料1、縦長の資料でございます。今、部会長から御紹介がございました「社会保障制度改革推進法第4条の規定に基づく『法制上の措置』の骨子について」。先般、国民会議の報告書は御報告させていただきましたけれども、それを踏まえまして、8月21日に骨子という形で閣議決定されたものでございます。前文のところに考え方が載っておりますけれども、全体といたしまして、受益と負担の均衡がとれた持続可能な社会保障制度の確立を図るため講ずるべき改革、これを社会保障制度改革ということで定義をしております。
 この骨子に基づきまして、政府といたしましては、社会保障制度改革の全体像及び進め方を明らかにする法律案、プログラム法案という言い方をされることもございますけれども、そうしたものを次期国会冒頭に提出する予定でございます。
 「講ずべき社会保障制度改革の措置等」につきましては、1ページの下段以降、数ページにわたりまして記載をされております。
 2ページ目を見ていただきますと、まず「少子化対策」、さらには当部会と一番関係が深い「医療制度」、さらには5ページになりまして「介護保険制度」、最後に6ページには「公的年金制度」、こういった国民会議の報告に沿った立て方になってございます。
 2ページから3ページにかけまして「医療制度」ということでございますけれども、当部会との関係で申し上げますと、3ページの(3)に医療提供体制の改革についての検討事項ということで整理されているわけでございます。効率的で質の高い医療提供体制を構築する、あるいは今後の高齢化の進展に対応し、地域包括ケアシステムを構築することを通じまして、地域で必要な医療を確保することで、ここに掲げられております事項に加えまして、診療報酬に係る適切な対応のあり方等について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることになっているところでございます。
 検討事項につきましては「1病床の機能分化・連携及び在宅医療・在宅介護を推進するために必要な次に掲げる事項」でございます。病床機能情報を都道府県に報告する制度の創設、地域医療ビジョンの策定及びこれを実現するために必要な措置、新たな財政支援の制度の創設等々となっております。
 また「2地域における医師、看護職員等の確保」あるいは「3医療職種の業務範囲及び業務の実施体制の見直し」という検討項目になってございまして、順次、当部会におきまして具体的な議論を深めていただきたいということでございます。
 ちなみに、この1の関係でございます報告制度の創設、あるいは地域医療ビジョンの策定、さらには在宅医療・在宅介護の推進を、本日の議題とさせていただいているところでございます。
 (5)に政府としての予定が書かれております。次期医療計画の策定時期が平成30年度であることを踏まえまして、先ほど御紹介いたしました検討結果に基づく措置を平成29年度を目途に順次講ずるということでございまして、その一環といたしまして、必要な法律案を来年の通常国会に提出するということでございます。まさにそのための基礎になります御議論をこの医療部会で御審議いただくことになってございます。
 最後に「その他」のところを御紹介いたしますと、「財源の確保」に加えまして、7ページ「地方公共団体等との協議」ということでございます。先ほど御紹介しました病床の機能分化、あるいは医師等の確保、医療保険の関係では国保の見直し、こうしたものは地方自治に重要な影響を及ぼすことでございまして、関係者と十分な協議を行うといった項目も盛り込まれてございます。
 事務局からの説明は以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明に対しまして、御質問、御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
 中川委員、どうぞ。
〇中川委員 3ページの(3)3に「医療職種の業務範囲及び業務の実施体制の見直し」とありますが、昨日、規制改革会議から看護師業務の拡大を検討するのだと。厚労省の検討会は永井先生を中心にいろいろ検討されて議論が進んでいると思いますけれども、この規制改革会議の見解についてどのように捉えているのか、位置づけているのか、お伺いしたいと思います。
○永井部会長 事務局からお願いします。
〇総務課長 規制改革会議におきましては、現時点では、私どもも正式に何らかの検討結果をいただいているわけではございませんけれども、報道によりますと、中川先生がおっしゃるようなことが、規制改革会議の中で今後の検討項目として議論されているやに聞いております。
 その検討項目は、規制改革会議の責任で正式にお決めになることではございますけれども、どういった審議のプロセスになるのか、私どもといたしましてはそのこともまだよくわかりません。通常でございますと、関係省庁とのヒアリングとか、そういったことが予定されているわけでございますので、そうした中で、当部会での議論の状況も踏まえまして、私どもとしてはしっかりと議論し対応していくことだと思っております。
 ちなみに、ここの「医療職種の業務範囲」ということでは、既にチーム医療推進会議で看護師の特定行為を中心に取りまとめていただいている状況でございますので、この医療部会におきましては、そうした状況を追って御報告いたしまして、最終的な御議論をいただきたいと考えているところでございます。
 また、規制改革会議の動向等につきましては、わかり次第御報告させていただきたいと存じます。
○永井部会長 では、先にどうぞ。
〇中川委員 専門家が入った議論とは到底思われないので、厚生労働省としては揺るぎない姿勢で臨んでいってほしいなと思います。よろしくお願いします。
○永井部会長 邉見委員、どうぞ。
〇邉見委員 「一 講ずべき社会保障制度改革の措置等」というところで、1番目に「少子化対策」というのを挙げていただいたのは画期的だと思うのです。いつも少子というのは後ろのほうになって、高齢化対策ばかりが今まで言われてきたわけです。少子・高齢化という言葉は、少子は高齢化の枕言葉か、意味がないのではないかと私はずっと思っていたわけです。「たらちねの母」というのは、「母」だけがあれで「たらちね」は何もないのではないかと思っていたわけです。子は国の宝と。看護師確保対策にしろ、このままいくと、男女共同参画ですから男も看護師になりますけれども、女性がなるとすれば、クラスの女の子の5人に1人がならなくてはもっていかないという試算もあるのです。このままいきますと、物すごくたくさんの子供が必要になります。そうしないと、看護師はいつまでたっても足らない。田舎ではとても足らないということになります。
 私は、兵庫県では35年前からずっと、もっと子供のほうにということを言っていたのですけれども、子供には票がないから。老人は票があって投票率も高いですから、どうしてもゴールドプランばかりにいく。エンゼルプランというのは、ここにもちゃんと書かれていますけれども、シームレスな就労、結婚、妊娠、出産、育児というふうに、言葉はきれいですが、実際にはこの1、2、3はどうかなと思うのです。何か画期的な新しい取り組みというか。これはみんな見たことがあって、余り効果を上げていないように思うのですが、いかがでしょうか。どなたでも結構です。
〇総務課長 役所的に言いますと、担当者が来ていないということだと思いますけれども、承知している範囲で申し上げますと、既に新システムといいますか、特に保育サービスを中心とした改革というのは既に法律も通りまして、それに向けて準備をしているということでございます。
 それから、国民会議全体とすれば、私も解説する立場ではございませんけれども、消費税増税という財源を裏打ちにした具体的なサービスの充実策を盛り込んだというところ、それから、先生がおっしゃいましたとおり、少子化対策につきまして非常にプライオリティーを持って取り組むといったような、これは委員さんのコンセンサスから一番最初に書かれたということでございます。
 具体的なところについては済みません。
〇邉見委員 場違いな発言だったかもわかりません。ありがとうございました。
 小児がん拠点病院とか、いろいろやっていただいたのはわかりますし、加藤委員がいつもおっしゃっておりますように、キャリーオーバーの方の診察とか処遇、あるいは療養といったら老人ばかりでなく子供の長期慢性療養もあるとか、いろいろなことを考えていただいて、よろしくお願いいたします。
○永井部会長 樋口委員、どうぞ。
〇樋口委員 私も一言だけ発言をしようかなと努力しようと思って。ただ、専門性がないのであれですが、今の邉見さんのでちょっと元気が出ました。つまり、ここは医療部会なので、関係の方もおられないから、少子化対策のところで発言するのがどうかなとまず思ったわけです。しかし、いろいろな方が取り次いでくださるだろうから。
 これは新聞ネタで恐縮です。私はそれ以上の情報を持っているわけではないですが、少子化対策で最近私が注目したのは、医師会がちゃんと介在して産婦人科医のところで特別養子縁組をという動きがある。つまり、産みたくても産めない人と、育てられないのに妊娠してしまったというところをうまくかけ橋をしてあげるというのは、少子化対策で当然出てきていい話なのですね。でも、こういうところで何も出てこない。特別養子縁組という制度がありながら、そういうのをどう活用していくのかという話がこういうところにも出てきていいと思うのです。そういうものを医師会その他と協力して、厚生労働省はもう少し前面に立てていくべき時期なのではないかと思っているので、ここにせっかくありますので、一言。
 2つ目は、今度は医療制度のところ。これも新聞ネタに乗っているだけという感じがしますけれども、在宅医療・在宅介護、あるいは訪問医療を推進するというのは、まことにそのとおりで賛成なのですが、この前から朝日新聞でそれに関して何だかんだという話があります。ああいう話というのはきょうの話とどう関係するのだろうということで、一言だけ教えてくださるとありがたいと思います。非常に問題なのか、それとも過渡期の現象ということなのかということです。
○永井部会長 どうぞ。
〇審議官 御指摘の、新聞に出ました患者紹介ビジネスということで、高齢者が収受しているようなサービス付高齢者住宅などの患者さんを紹介するということで、お金をもらった上で紹介ビジネスをしているというような話が出ております。これにつきましては、既に全国的にその実態調査をしておりますし、問題となった大阪ですとか関西において、どのような実態にあるのか保険者を通じて調査をするとか、そういう取り組みも始めております。
 問題としては2つあると思っております。
 1つは、あるサービス付高齢者住宅に入ってしまうと、最初から特定のお医者さんに決まっているということで、医療保険法ですと、療養の給付というところに患者さんが選んだ医療機関で医療を受けるのだと書いてありますので、患者の選択をゆがめているのではないかというのが1点。
 それから、訪問診療をするというのは、基本的には外来に来られない方、通院が困難な方のところに行くと診療報酬とかでは書いてありますので、住宅にいると、外来に来られる人のところにも押しかけ的に行くとすれば、それも問題があるのではないか。
 患者の選択という点と過剰な診療になっていないかという2つの点から問題があるのではないかということで、全国的な調査と問題となる事例の調査をあわせてしている状況でございます。それに応じてどういう対策が必要かということも検討していきたいと考えています。サービス付高齢者住宅側の指導についても、必要があれば、国土交通省などとも連絡をとりまして対策を講じていきたいと考えております。
○永井部会長 小林参考人。
〇小林参考人 今のお話しは、今日私も触れようと思っていた点でございます。少し話題がそれるので申しわけないのですけれども、サ高住のことをお話しいただきましたが、そのあり方に問題があるとすれば、この医政局だけの問題ではありませんし、老健局、国土交通省も関係するでしょうし、保険局、医政局、そういった縦割りではなく、厚生労働省全体として、今おっしゃったような引き続きの取り組みを続けていただきたいと思っております。実態把握の結果については、この部会でもぜひ報告いただければと思っております。もしその結果から、医療機関へのチェックや指導・監査のあり方など、もし何か改善すべきところがあるのだとすれば、そこもぜひ改善していただければと思っております。
○永井部会長 藤本委員。
〇藤本委員 この資料の3ページの(3)1に「在宅医療・在宅介護を推進するために必要な次に掲げる事項」としてイからニまで書いてありますが、在宅介護という視点から見た場合には、例えば財政支援ですとか医療法人間の合併といったところが介護と絡んでくるのだろうかと今、読んでおりました。介護保険制度という項目が5ページのほうにあるのですけれども、ここを見ると、ほとんど財源のこととか保険料といったところが多くて、実際にサービスを提供する介護者、介護職種のサービスというか介護の提供のあり方みたいなところが、この文面からは読み取れないのです。
 3ページに戻りまして、3の「医療職種の業務範囲及び業務の実施体制の見直し」というのは、永井先生が座長をしておられるチーム医療推進会議で今いろいろと議論がなされているところで、この間、会議の最後のところで、ここのチーム医療推進会議の場所に介護の職種の方も一緒に入っていただいて、これからは医療・介護の業務ということで連携していかなければいけないのだという御発言が委員の方からあったところでもあります。
 そういうことを踏まえますと、長くなって申しわけないのですが、この3ページの(3)3のところは「医療職種及び介護職種の業務の実施体制の見直し」ということも入ってくるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○永井部会長 これはいかがですか。
〇総務課長 それぞれの施策でどういうことを具体的に課題として取り組むのかというのは、まさにこれから御議論いただくということで、きょうも、この後、在宅医療・在宅介護の推進ということで御議論いただくことにしております。
 御指摘の点のところは、この立てつけで言いますと、「在宅医療・在宅介護を推進するために必要な次に掲げる事項」というのは、一応、この全ての事項に係っているということでございます。財政支援制度ということにつきましても、在宅医療・在宅介護の推進、それから、どこまでの職種というのはあるとは思いますけれども、いわゆるマンパワーの確保ということにも関連していると理解しております。
 ただ、ここの医療職種の業務範囲の見直しというのは、いわゆる医療の国家資格に関係するということでございます。先ほど縦割りではいけないといった御指摘もございましたが、医療と介護の連携のあり方ですとか、両計画をどのようにやっていくのかということにつきましては、またこの部会でも御議論いただく機会があると思います。その手始めとして、本日は在宅医療・在宅介護のところを御議論いただくということでございます。
 この骨子というのは、繰り返しになりますけれども、国民会議の報告を踏まえた主要な検討項目を整理したということでございまして、医療法等の改正につきましては、それ以外についても当然御議論いただくべきものと思っております。
○永井部会長 時間の関係で次の議題にまいりたいと思います。
 本日の会議以降、医療法等改正に係る各論の議論を順次行ってまいりまして、11月末に本会の意見書として取りまとめることを目指したいと思います。
 本日は、病床機能報告制度及び地域医療ビジョンについて、また、在宅医療・介護連携の推進について御議論いただきたいと思います。
 まず、病床機能報告制度と地域医療ビジョンについて議論し、その後で在宅医療・介護連携の推進について御議論いただきたいと思います。
 では、事務局から資料の説明をお願いいたします。
〇総務課長 資料2「病床機能報告制度及び地域医療ビジョンについて」ということで、一体の資料でございます。
 表紙をおめくりいただきまして、まず報告制度でございます。
 2ページは、23年12月の医療部会の意見書の抜粋でございます。病床機能分化の強化につきまして、その機能を国民・患者に明らかにしていく必要がある。法制化を含め、こうした方向性を明らかにして取り組むということでございます。病床区分のあり方を検討するに当たっては、地域の実情を踏まえ、地域に必要な医療機能とは何かという観点からも検討する必要があるという意見をいただいてございます。
 次のページは急性期医療に関する作業グループの整理でございまして、医療機能及び病床機能を報告する仕組みの基本的なあり方、あるいは報告すべき内容のコンセプトについて整理していただいたということでございます。国民会議の報告書は前回御説明したとおりでございまして、まず、改革の第一弾の取り組みという位置づけで、早急に導入する必要があるという御指摘をいただいているということでございます。
 4ページは、先ほど御紹介いたしました法制上の措置ですので、説明は省略させていただきます。
 こうした状況の中で、5ページは「病床機能情報の報告・提供の具体的なあり方に関する検討会」ということで、当部会からも多くの委員に御参加をいただきまして、学習院大学の遠藤先生に座長をお願いいたしまして、現在、この報告制度の具体的なあり方について御検討いただいてございます。
 検討事項につきましては、3つ並べております。医療機能の具体的な内容について、報告事項について、情報の提供についてという3点の主要な検討事項で御議論いただいてございます。
 6ページは、その検討会の開催状況でございまして、総体的な議論を行っていただいた後、各構成員の方からのプレゼンテーションを経まして、具体的な病床機能情報の報告のあり方について、徐々に取りまとめに向かって議論をいただいている状況でございます。
 第8回は9月4日に開催させていただきました。その状況でございますけれども、7ページの資料でございます。病床機能情報の報告・提供の具体的なあり方について集約に向けた御議論をいただいたという状況でございます。
 まず、医療機能の報告のあり方でございますけれども、急性期医療に関する作業グループの整理も踏まえまして、病棟単位で、現状、さらには今後の方向を都道府県に御報告いただくということでございます。
 また、その医療機能の名称及び内容につきましては、その箱で4つに整理をされています。高度急性期機能、急性期機能、回復期機能、慢性期機能ということでございます。なお、最後のところは、事務局案では長期療養機能ということで提案させていただきましたけれども、検討会における議論で、慢性期機能のほうがよりわかりやすいということで修正が加えられたものでございます。
 医療機能の内容につきましては、その右の欄に整理をされております。高度急性期機能につきましては、急性期の患者に対し、状態の早期安定化に向けて診療密度が特に高い医療を提供する機能。急性期機能につきましては、急性期の患者に対し、状態の早期安定化に向けて医療を提供する機能。回復期機能につきましては、2つの項目ということで、急性期を経過した患者への在宅復帰に向けた医療やリハビリテーションを提供する機能。その中で、2つ目の〇でございますけれども、特にということで回復期リハビリテーション機能というものを定義として盛り込んでございます。慢性期機能のところも2つに分かれておりまして、長期にわたり療養が必要な患者を入院させる機能、それから、長期にわたり療養が必要な重度の障害者、筋ジスあるいは難病患者等を入院させる機能でございます。
 注にございますとおり、一般病床及び療養病床についてこういった機能、具体的な項目を御報告いただくということでございます。
 下から2つ目の◎でございますけれども、病棟が担う機能を上記の中からいずれか1つを選択して報告するということでございます。検討会の中でも実際の病棟にはさまざまな病気の患者が入院されているということでございますので、そうした提供されている多様な医療の内容が明らかになるように、具体的な報告事項を引き続き検討するとなってございます。
 また、先ほど御紹介したものはいわゆる定性的な判断基準になっているわけでございますけれども、病棟単位の医療情報が不足している現段階では、具体的な数値等を示すことは困難でございますので、制度発足当初はこういった定性的な基準を参考に医療機能を選択していただきまして、都道府県に報告することとするということでございます。
 8ページ、先ほど申し上げました2つ目の検討事項と3つ目の検討事項、具体的な報告事項、あるいは病床機能情報の提供のあり方につきましては、こういった機能区分を踏まえまして、さらに検討会におきまして検討することになってございます。
 それから、恐縮ですが「別紙」と書かれました縦紙の一枚紙を見ていただければと思います。「第8回病床機能情報の報告・提供の具体的なあり方に関する検討会の主な意見」でございます。先ほど申し上げましたとおり、9月4日に、医療機能につきましてはおおむねこういった方向性でというところでございましたけれども、まだなおさまざまな意見がございました。部会長のほうから、そういった意見も付してこの医療部会に報告するようにという御指示をいただいたわけでございまして、その指示を踏まえまして、前回の9月4日の検討会での主な意見をこの一枚紙で整理をしているということでございます。
 まず、区分全体に関する意見でございますけれども、この区分では、在宅介護施設からの急性増悪の患者が急性期機能に集中するのではないかといった懸念。そういったことも含めまして、機能分化をしていく姿が明確になっていないのではないかといったような御懸念も表明されてございます。そうした懸念もあることから、今後、具体的な報告事項について十分議論すべきという御指摘もございました。
 高度急性期機能につきましては、診療密度が特に高いということだけではまだ具体性に乏しい、その辺のところを患者・国民にもっとわかりやすく示すべきといったような御意見でございます。
 慢性期機能につきましては、先ほど申し上げましたとおり、検討会の議論でそうした名称に変更されたという経過でございます。
 さらに、慢性期機能のところをめぐりまして、一般病床との関係が相当議論になったわけでございまして、この案で申し上げますと、障害者あるいは特殊疾患の患者さんも含まれておりますので、長期療養機能のほうがいいのではないかといった御意見もね議論の経過の中ではあったということでございます。
 一般病床と療養病床の関係では、両方同じ名称では混乱するのではないかといったような御指摘。その点につきましては、最後の〇にございますとおり、報告制度の中でそれは明らかにすればいいのではないかといったような御指摘。
 裏面にまいりますけれども、報告事項のところでそういった点は十分に整理をすべきといったようなことでございます。下から2つ目の〇にございますとおり、一般病床、あるいは療養病床につきましては、既に医療法上、病床区分という形で整理をしているということで、一般病床についての機能分化が主要な課題となる中で、この慢性期機能というのを一般病床にも導入することについては、納得できないといった御意見もあったわけでございます。
 最後に、有床診療所に関しまして、特に全体がケアミックスになっている場合等、1つの機能というのはなかなか選択困難。仮にそうするのであれば、報告事項の中で多機能であることがわかるような報告項目とすべきといった御指摘をいただいてございます。
 繰り返しになりますけれども、具体的な報告事項を含めまして、引き続き検討会で御議論していくということでございますが、1つの節目ということで、こういった意見も添えて医療部会に報告をさせていただいたということでございます。
 横長の資料に戻っていただきます。続きまして、地域医療ビジョンについての資料の御説明をさせていただきたいと思います。
 10ページでございますけれども、急性期医療に係る作業グループの中で、医療機能の分化と連携を適切に推進するための地域医療ビジョンを、地域ごとに策定をするということ。国民会議の報告書では、先ほど申し上げました報告制度の次のステップの施策として位置づけられてございまして、地域の将来的な医療ニーズの客観的データに基づく見通しを踏まえた上で、地域医療ビジョンを策定することが求められているということ。それから、次期医療計画の策定時期は平成30年度でございますけれども、それを待たずに速やかに策定し、実施していくことが望ましい。具体的なあり方については、国と策定主体である都道府県とが十分協議をする必要があるということ。さらには、地域医療ビジョンを含む医療計画と、市町村が策定されております地域包括ケア計画を踏まえた内容にするなど、医療提供体制の改革と介護の改革が、一体的・整合的に進むようにすべきであるといった指摘がされております。
 11ページ、消費税増収分の活用の前提として、こうしたビジョンのありようが示されることが大切である等々の報告がなされてございます。
 12ページは法制上の措置です。先ほど御紹介いたしましたので、説明は省略いたします。
 13ページ、本日御議論いただくべき点といたしましては、前提といたしまして、今、るる申し上げましたとおり、医療計画の一部として地域医療ビジョンを導入していく方向になってございます。具体的な内容につきまして、まだ大まかなイメージでございますけれども、3点あると思っております。
 まず、2025年の一定の将来ということでございますけれども、医療需要ということで、入院・外来別・疾患別患者数等。さらに2点目は、それに伴いまして目指すべき医療提供体制といたしまして、二次医療圏あるいは在宅医療・地域包括ケアということの関連では市町村ということだと思いますけれども、そうした地域ごとの医療機能別の必要量。そういった目標を掲げまして、それを実現するための施策ということで、機能分化・連携を進めるための施設整備あるいは医療従事者の確保・養成等、この点についてはさらにいろいろなものが考えられるわけでございますが、そうした実現するための方策という、いわば3段構成で検討してはどうかということでございます。
 なお、先ほど医療情報報告制度のところで申し上げましたとおり、最初は定性的なものから報告制度の客観的な定義というものが、将来的には検討されていくということでございますので、地域医療ビジョンにつきましても、それを踏まえて見直す、あるいはより精緻なものになっていくことは当然考えられることではないかと思っております。
 14ページ、そうしたものを具体的に検討していくためには、やはり専門の検討会というものが必要ではないかと思っているわけでございます。関係者等の参画を得まして検討会を設置して、具体的な検討を行うこととしてはどうかということ。それから、大きな方向性といたしまして、そこでガイドラインというものをつくっていただきまして、先ほど申し上げました医療ビジョンの内容を具体化するための標準的な計算式、あるいは都道府県の業務負担も考慮いたしまして、必要なデータ、グラフ化等の可視化といった支援措置も考えるということでございます。また、計算式につきましては、当然、地域事情もございますので、そうした地域事情を勘案した補正というものも配慮してはどうかといったところでございます。
 こうした点全てを踏まえますと、具体的な今後のスケジュールということで、最後の15ページに整理をさせていただいております。これまで提示してきたものを、御意見を踏まえまして修正したものでございます。現時点では、一番左の「病床機能報告制度の具体的な報告項目の検討」というのが、まず今後の重要事項でございますけれども、そうしたものを具体的に報告していただくシステム整備をどのようにするかということも、同様に重要であるわけでございます。
 来年の国会への法案提出ということでございますので、順調にいったとすれば、26年度の後半になろうかと思いますけれども、報告制度の運用開始が可能になるのではないかと思っているところでございます。そうした報告制度の運用を踏まえまして、先ほど申し上げました検討会というものをつくらせていただいて、その報告制度の現状も踏まえたガイドラインの検討をお願いしたいということでございます。現時点では、そのためのさまざまな準備につきましては、並行して事務局のほうで作業をしていきたいと考えているところでございます。
 そうしたことになりますと、26年度中に何とかガイドラインをつくることができるのではないかということ。そういたしますと、実際の地域医療ビジョンの策定というものは、早いところで27年度、あるいは28年度となっている自治体も当然出てくる。できる限り早い対応の中で、こういったスケジュールで考えられるのではないかということで、事務局案として提示させていただいたものでございます。
 事務局からの資料説明は、ちょっと長くなりましたが、以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 議論に入ります前に、荒井委員から意見書が出されておりますので、御説明をお願いしたいと思います。
〇荒井委員 恐縮でございますが、今の資料の少し後に一枚紙の縦長の資料がございます。簡単に御紹介、御説明を申し上げます。
 現時点での総論的な意見でございますが、まず、先週9月6日に厚労省と都道府県の間で事務レベル会議が開催されまして、3回目でございますが、大変建設的でございました。議論が真摯であったように思いまして、高く評価し、感謝を申し上げたいと思います。厚労省と協力して、実りのある、よりよい医療法改正の実現に向けて努力をしてまいりたいと思います。改めて申し上げたいと思います。
 その上で、2つの点について現時点での総論的な感想を申し上げたいと思います。
 病床機能報告制度でございます。今回の医療法改正において最も重要な事柄でございますが、1つには、病床の機能分化を中心課題とした地域医療ビジョンの策定と、そのための病床機能報告制度の導入だと認識しております。ともに都道府県に大きな役割と責任が発生いたしますけれども、どのように病床機能報告制度を設計・運用すれば、どのように病床の機能分化が図られ、どのように望ましい地域医療ビジョンが策定・確立するかについて、都道府県を含む国及び医療関係者だと思いますが、明確で共通の体系的理解が必要だと思います。報告制度だけがあれば済むという話ではないというのは当然のことでございます。
 (2)でございますが、地域医療ビジョンの策定のための報告制度だと認識いたしますと、必要な情報は把握可能なものもございます。都道府県の中でも差がありますが、そのような現時点での情報を持ち寄って、厚労省とともに、どのような情報をもとに、どのような地域医療ビジョンを策定すればよいのかについて、シミュレーション作業を至急実施したい旨、実務者会議で提言いたしまして、そのように動きたいと思います。
 3つ目でございます。法律に基づく報告制度でございますので、報告内容は公表ということでございますが、医療機関の意向の報告ではなしに実績の報告であるべきと当然考えますので、付記させていただきました。
 地域医療ビジョンについての意見でございます。今の報告にありましたように、25年の医療需要とそれを達成する実施方策が基本的な内容ということは理解申し上げまして、賛同いたしますが、前回の医療部会とも絡む議論になっておりますが、医療の役割が拡大しているように思います。治すこと・救うことから、癒やすこと・支えることまで拡大しているように思いますので、目指すべき医療提供体制は地域包括ケアと切れ目なくつながるもの、介護提供体制、生活支援提供体制と整合性のとれたもの。また、可能であれば、今はそのような法律がないわけでございますが、一体的なものになればいいと思っております。今後の法改正は医療法改正が中心でございますが、医療から見た医療・介護・生活支援を一体的に推進する体制を確立・整備されることを強く要望したいと思います。
 裏面でございます。今、策定スケジュールを御紹介されました。段取りとして、報告制度を整備、2番目にガイドライン策定、3番目に地域医療ビジョンという流れでございますが、このままでいきますと、平成27年度中に策定する。都道府県の担当者からも「うちは大変だ」というような声が上がっております。地域医療計画においてもばらばらとでき上がってきたものでございますが、策定時期を急ぎますとコピービジョンになってくる。地域医療計画もコピー計画だと言われる県も実はあるわけでございます。ガイドラインをコピーするだけの地域医療ビジョンをつくる県が多くなるのは余り望ましくないと思いますので、都道府県が積極的に考えて実行する体制になるように工夫をしたいと思います。
 他方、2025年に向けての地域医療のあるべき姿を描くのは、社会保障の今の少子・高齢化が随分急激に進んでいる世界に例のない我が国でございますが、喫緊の課題でございます。意欲的な都道府県がガイドラインを待たずに、他に先駆けて地域医療ビジョンを策定する先行モデルを法体系の中で許容していただくのも一つの考えだと思います。
 最後に(4)でございます。国のほうは、都道府県の業務は大変でしょうと言う御親切なところもあろうかと思いますが、地域の医療事情は千差万別だと言われております。県の能力の差もございますし、地域の医療関係者のメンタリティーの差というのも随分あるのが実情でございます。この国のガイドラインは、よほど優秀なのができても、それを全部移すというのは余り実効性がないようになりますし、地域医療の確立は、市町村もそうですが、都道府県が積極的な役割を果たすことを駆り立てるという大きな目標もあろうかと思います。地域医療ビジョンは、自立的に策定・実行できるように、国のガイドラインが過度に拘束的にならないように、国の地域医療ビジョンではなくて地域の地域医療ビジョンになることを期待したいと思います。
 以上でございます。ありがとうございました。
○永井部会長 ありがとうございました。
 それでは、皆様から御意見をいただきたいと思います。
 中川委員、どうぞ。
〇中川委員 今の荒井知事の御発言、大変結構だと思います。特に(2)と(4)は全く同感です。
 それで、事務局にお聞きしたいのですが、資料2の10ページ、下から2つ目の〇に「地域医療ビジョンについては」というところがありますね。「次期医療計画の策定時期である平成30年度を待たず速やかに策定し、直ちに実行に移していくことが望ましい」というふうに書いてあるのをここに抜粋していますが、国民会議報告書から抜粋したということは、医政局として、これは正しいというか、賛成して抜粋しているのですか。率直にお伺いします。
〇医療政策企画官 「法制上の措置」のほうをごらんいただければと思います。3ページ(3)で地域医療ビジョンの策定が検討事項として挙がっているわけですけれども、(5)で「(3)に掲げる必要な措置を平成29年度までを目途に順次講ずる」ということが閣議決定されてございます。
〇中川委員 今の資料1の3ページ(5)を考えると、これは急ぎ過ぎていませんか。
 それと、今の資料2の15ページ、地域医療ビジョンの策定が27年度になっていますね。そして一番最初、医政局が考えていたのは地域医療ビジョンの作成が29年度だったのです。整合性がとれないと思います。そして、今の荒井知事の発言で、現場としては、27年度に策定しなさいと言われても困るのだという御意見も考えると、やはり現場の実情を考えていないのではないかと思いますが、いかがですか。
〇永井部会長 どうぞ。
〇総務課長 スケジュールもきょうの議題になっているところでございますので、さまざま御意見をいただければと思いますけれども、私ども事務局の提案としましては、先ほど最後に御説明いたしましたとおり、まさに15ページのスケジュールを、これまでの議論、国民会議の報告も、法制上の措置として当然踏まえて検討するということでございます。もちろん不可能なことは当然できないわけでございますけれども、可能な限りどういうことができるのかということで、15ページに整理をしたということでございます。
 それから、「27年度~」と、若干、気持ちで「~」がついているのですけれども、当然、知事会からも、27年度というのは難しい、全てということではないと承っておりますが、そこは自治体によっても差があるだろう。あるいは意欲的な自治体についてはもっと先行して取り組むということもあるのではないかということで、そこについては自治体の中でのさまざまな御事情もあるだろうということでございます。私ども事務局の案では、27年度から28年度にかけてといったスケジュールが、実現可能な一番早い対応として考えられるのではないかということで提示したものでございますので、また部会の中でいろいろ御意見をいただければと思っている次第でございます。
〇中川委員 はい、済みません。
○永井部会長 では、中川委員、続いて。
〇中川委員 プログラム法案が国民会議の報告書を踏まえて出されていますね。ということは、スケジュール的に上書きされていると思うのです。ですから、荒井知事の御発言のように、都道府県が国のガイドラインのコピーになったらだめだと。地域の実情によって、47都道府県あれば47通りのビジョンができるのだろうと思うのです。それには時間がかかるということをぜひお考えになって、拙速にならないようにしていただきたいと思います。
○永井部会長 荒井委員、どうぞ。
〇荒井委員 拙速にならないようにというのは中川委員のとおりなのですが、私の意見は、策定時期については、地域の実情に応じて幅を持たせるようにしてくださいということで、おくらせてくれという気はございません。早くできるところは早くして。その点が中川さんと大分違うと感じました。
 といいますのは、早くできる都道府県もあるのです。我々は国のガイドラインを見習うのか、他の地域の優秀な似たような府県を見習うのか。大都市と地方では随分違うわけです。同じ県の中でも二次医療圏の差が随分あるわけです。それは都道府県で医療計画としてまとめるわけですけれども、似たような県の事情、頑張っている県は、我々、しょっちゅうベンチマークしています。国の動きをベンチマークしても動きがなかなか遅いので、失礼ですけれども、それをまねてもいい地域医療ビジョンはできないのではないか。29府県のモデルができればいいですけれども、なかなかそうもいかない。標準モデルになると思いますが、少なくとも大都市と地方では違う。いいモデルが先行的に出れば、それをまねる県が出てくると期待しております。だから、いいモデルは早くつくりたい、幅を持たせて早くつくりたいということでございますので、意見は大分違うところがあると思いました。
○永井部会長 中川委員、どうぞ。
〇中川委員 病床機能の報告制度と、それを分析して都道府県ごとのビジョンを策定するには、早くできるところは早くするべきだという御意見は、それはそれなりに受けとめますが、どんな都道府県でも時間をかけなければだめだと思います。そして、しっかりとつくっていただきたいという意味です。
 それから、ちょっと違う質問をさせていただきます。
 今の資料2の7ページに4区分で報告をするとあります。そして、参考資料2-1の3ページ3イに「医療機能に着目した診療報酬上の評価を行う観点から」というふうに書いてありますね。まず、報告制度でこのように地域医療ビジョンを策定して実情に合わせたものをつくっていくという段階で、次回の診療報酬改定で具体的に診療報酬上でこのように機能分化を進めていくとなっていますが、医療提供体制をきちんと構築していこうとしている間に、診療報酬上で余りにも急ぎ過ぎると整合性がとれなくなるのではないかという心配があると思います。医療課長がお見えになっていただいていますので、ぜひその辺のところの見解をお話しいただければと思います。
○永井部会長 どうぞ。
〇医療課長 医療課長でございます。
 今、お尋ねの点ですけれども、先ほどから御議論ありますように、こちらの医政局の医療機能の報告制度による区分というものは、実際、制度化されるのが、先ほどのスケジュールにありますように、地域医療ビジョンなども含めますと、少なくとも平成27年度以降。しかし、診療報酬のほうは来年の平成26年に改定をするというスケジュールが決まっているという点が1点でございます。そういうことから、診療報酬を先に議論を進めざるを得ないということがございます。
 その中で、診療報酬としては、現在、亜急性期入院医療管理料という枠組みがございまして、そういう現存の枠組みも含めて、中医協の中の入院医療分科会などで議論した結果、診療報酬上はこういう区分になってきているということがございます。もちろん、今後、こういった地域医療ビジョンの制度が走り出したときに、当然、診療報酬と不整合になってはいけないということがございます。例えば高度急性期ですとか、回復期、慢性期、あるいは急性期の一部、その辺は恐らく今でも整合性がとれるというか、変わらない部分があると思いますので、そういうところは整合性を維持しつつ、多少流動的なところは、今後、中医協でも議論していただくわけですけれども、将来的に不整合とならないようなことを検討していただこうということではないかと思います。
○永井部会長 藤本委員、どうぞ。
〇藤本委員 質問と意見と混ざった発言になってしまうのですけれども、地域医療ビジョンというものをつくって、結局、一体何がしたいのかということが私はよくわからないのです。といいますのは、いろいろなデータをもとに予測をして、その必要なものを出すというところは、簡単な言い方をしてしまうと、こういうビジョンなのだという絵を画くわけですね。でも、実際問題としましては、そこにその医療を提供することのできる医療者、特にドクターがいないとその医療を提供できないという現実的な問題があると思うのです。
 このビジョンをつくった結果、資料10ページの社会保障制度改革国民会議報告書の中の4つある〇の中の2つ目の〇は、アンダーラインが全然引いていない〇なのですけれども、私は、実はこれがすごく難しい問題であり、一番重要なところなのかなと思っているのです。「医師・診療科の偏在是正や過剰投資が指摘される高額医療機器の適正配置も視野に入れる必要がある」と書いてあるのですが、これを目指してビジョンをつくると理解してよろしいのでしょうか。
○総務課長 きょう、地域医療ビジョンの3つの柱だけを提案させていただいているところでございますので、今の事務局の提案については13ページでございますけれども、2025年というものを一つの目標にしまして、その地域の医療ニーズがどういったところにあるのか、それを入院・外来別・疾患別患者数、医療機能別の必要量ということですので、これは今、報告制度のところで議論いただいております医療機能別ということになると思いますけれども、必要量。
 それから、今御指摘がありましたとおり、当然、絵を描くということも大変重要ですけれども、それをどうやって実現するのか。それはハードを変えるという場合もあると思いますし、今、御指摘ございましたとおり、医療従事者の確保・養成も当然必要になってくるということでございます。
 今、御指摘いただいた点、当然、国民会議の報告も踏まえて、どういう施策が必要なのかということにつきましても、前回お示ししました検討項目の中では、さらに財政支援措置ということもございますので、またそれはきちっと時間をとって御議論いただく機会を設けたいと思っております。きょうの時点でこういうことはぜひ盛り込むべきということがあれば、そこは御発言いただければ検討していきたいと考えております。
○永井部会長 山口委員、どうぞ。
〇山口委員 少し戻りますけれども、私も荒井委員のご意見を賛同しながら聞かせていただきました。意識が低い行政、各都道府県という言い方は失礼かと思いますが、国でつくったガイドラインにそのままのっとっていればいいというあり方ではこれからはだめなのだと思います。
 さらに言いますと、例えば、今、報告制度で報告が上がってきた現状を踏まえたとして、現在と2025年の姿とそれほど大きく違わない地域もあれば、かなり大きく変動する地域もあるのではないかと考えますと、住民の立場からしても、各都道府県の実情とこれからの将来ということに見合ったビジョンをつくっていただきたいなと思いながら聞かせていただきました。
 そこで荒井委員に質問なのですけれども、ガイドラインをつくることではコピーになってしまうこともあって、できればリーダーシップをとる都道府県を参考にしながら、実情を踏まえたあり方が望ましいというような御意見とお聞きしました。今回の事務局提案としては、ガイドラインをつくる検討会を立ち上げてはどうかというような御提案があるのですけれども、荒井委員のおっしゃるリーダーシップをとれるようなあり方のために、さらに踏み込んだ理想像みたいなもの、実情を踏まえた地域としてのビジョンを立てていくことができるのだというものがあれば、教えていただきたいと思います。
○永井部会長 どうぞ。
〇荒井委員 全国の誰もが参考になるようなモデルビジョンというのはなかなか難しいし、それをガイドラインで追求されるのはなかなか難しいのではないかという気持ちはございます。ただ、地域、地域で差があるのは実情で、奈良県が優秀だということではなくて、むしろおくれているので一生懸命になっているだけなのですけれども、とてもすぐれた医療担当の部長、あるいは知事がおられるととても進むのです。だから、それはすごく尊敬して参考にしようと。それは、地域の実情に需給、供給をどう合わせるか、サービスの体系を合わせるか、あるものでどれだけ工夫をするかという工夫の固まりなのです。だから、それは大いに参考になると思っております。そのようないい例を幾つでも示して、それが情報になるように。この報告制度は、医療関係者か県が報告というよりも、県がいろいろつくるのを各県で参考にしてもらうという意味もあろうと思って、基本的な賛成をしているのです。
 もう一つ、国の役割として、地域に差があるということをむしろはっきりと。国ができる分析で一番大きいのは地域差分析ですので、それを明示していただくのがありがたい。みんなこれにならえというよりも、こんなに差があるよ、いいところはどこか自分で探して見習えといったような姿勢のほうが、我々としてはありがたいと思っております。
○永井部会長 相澤委員、それから尾形委員。
〇相澤委員 基本的な考え方をちょっと教えていただきたいのですが、昭和60年に地域医療計画というのが法律で決まりまして、それ以降、医療機能の分化と連携を医療計画によって進めていくというのが一貫してずっと書かれているのです。しかも、そこには、都道府県に主体的に医療計画をつくってやってもらうということが書かれています。それで、ずっとやってきた結果が現状になっているというのが現実であります。
 そこで、前回の医療法改定のときに画期的だと私が思ったのが、医療機能情報を徹底して公開して、住民の方が医療機関を選ぶことによって、その地域の医療機能の分化を進めていって、その結果、それに基づいた連携を進めていくということ。恐らく、社会保障改革国民会議でもそこのところを危惧していて、このような一文があったと思います。日本の医療を提供しているところが、医療法人が主体であるがために、ヨーロッパのように公立病院が主体でやっていて、法律でえいとやれない、だから日本の医療提供体制の機能分化と連携は難しいのだというような一節があって、それがために違う仕組みを入れなければならないと書かれていたと思います。
 私は医療法人なので、この見解に対しては非常に反発があるのですが、医療法人というよりは設立主体が多様であることが問題だと思っています。問題である一方、それだけの多様性があるので、それをいかに利用して日本の医療をすばらしい医療にするかが大切なことだと思っています。
 そのときに、医療情報を徹底して住民に公開して、住民の方々が病院を選択するような仕組みをつくっていくということを言ったのにもかかわらず、また今回になって、都道府県を中心に、医療計画だと思うのですが、医療提供ビジョンをつくってやっていく。前回言ったことをまたここでもとに戻すというのは、どういう考えでなっているのかを聞きたいということが1つ。
 それから、これまで都道府県に任せてうまくいかなかったのは、恐らく、都道府県にさまざまなステークホルダーの綱引きがあってうまくいかなかった。特に邉見先生もいて申しわけないのですが、こんなことを言うと怒られてしまうのですが、特に市町村の事情とエゴといいますか、そういうのがあってなかなかうまくいかなかった。そこに日赤だとか、済生会だとか、医療法人病院が絡まってなかなかうまくいかなかった。この糸をほぐしていくのは、私はこの医療計画では難しいのではないかと思っています。大体の方向は示せても、むしろそのエンジンとなって回していくのは、医療情報提供を徹底してやって、そしてそこで住民の方々が選択をしていくということが基本にないと、難しいのではないかと私は思っています。
 中川先生は、住民はそんなことは十分知っていて、適切な医療を自分たちで選んでいるのだとおっしゃいますが、私はそうではないように感じておりますので、一言つけ加えさせていただきます。
 以上です。
○永井部会長 尾形委員。
〇尾形委員 地域医療ビジョンについて2点ほど意見と、1点、質問というか確認をさせていただきたいと思います。
 まず意見ですが、この資料2の13ページから14ページにかけて地域医療ビジョンについての検討項目が示されています。これは主として、その前の12ページの「『法制上の措置』の骨子」のうちの(3)、1ロに対応するものが掲げられているのだろうと思うのですが、もう一つ大事だと思うのが、ハに「新たな財政支援の制度の創設」というのがあります。ビジョンを達成するためのインセンティブといいますか、ビジョンを絵に描いた餅にしないためには、こういう財政措置をどう考えるのか。これは補助金だけではなく、診療報酬も含めての話だと私は思いますが、その検討が重要ではないかと思います。
 2点目は、14ページのガイドラインの検討ということで、一番上の〇に「都道府県や医療関係者等も参画する検討会を設置し」と書いてありますが、この「医療関係者等」の中には医療提供側だけではなく保険者も含むべきだと考えます。これは意見でございます。
 それから、質問です。あるいは確認と言ったほうがいいかもしれません。12ページの一番下の(5)は「必要な法律案を平成26年通常国会に提出することを目指す」となっているわけです。それと15ページのスケジュール(案)とを対照してみますと、地域医療ビジョン策定というのは27年度からということですので、大変ですけれども、法改正が間に合うだろうという想定のもとに書かれていると思うのですが、報告制度の運用開始は26年度となっています。これは相当タイトなスケジュールではないかと思います。
 確認したいのは、この報告制度というのは、法改正の実施を待たずに運用開始ということもあり得るのか。それとも、あくまでも法改正を待ってから運用を開始するということなのか。その点、確認をさせていただきたいと思います。
○永井部会長 事務局、お願いします。
〇総務課長 まず、最後の点ですけれども、これは法律に報告制度を盛り込むということですので、そういう意味では、法律に基づく運用というのは法改正の施行後に行うということだと思います。相当タイトだという御指摘もそのとおりだと思っておりますけれども、来年の通常国会、具体的には2月ないし3月に法案を提出する。通常国会の会期は通例6月中ということですので、何とか成立させれば、報告制度のところはできる限り早く施行する。実態的な準備ですとか、そういったところは並行して実施しておいて、ぎりぎり早く実施して、こういうスケジュールが書けるのではないかということでございます。そのためには、今申し上げました、そもそも法律を提出するとか、法律が成立する、施行するといういろいろなハードルを乗り越えて、一番早く実施をして、こういう点だということで、そういうものとして見ていただければありがたいと思います。
 それから、ほかの2点は御意見ということでございますけれども、財政支援措置も当然重要でございます。まだ消費税の引き上げ判断自体がこれからという状況の中で、私ども概算要求では事項要求という形にさせていただいておりますので、追って、そうした財政支援のあり方についても御意見をいただく機会を設けていきたいと思っております。また、ガイドラインの検討会につきましては、当然、医療部会の全ての委員の皆様が納得できる委員構成にする必要があると思っております。
 以上でございます。
○永井部会長 ちょっと時間が押してきました。高智委員、安部委員、菊池委員、西澤委員、小林参考人、これで一段落とします。荒井委員もですか。では、手短にお願いします。
〇高智委員 資料7ページです。
 1つの結論が出てしまいましたけれども、遠藤先生が座長をお務めの検討会におきましても様々な意見を述べさせていただきました。この意見の一部は、先ほど事務局から御説明いただきました別紙「第8回病床機能情報の報告・提供の具体的なあり方に関する検討会の主な意見」にまとめられていますが、冒頭部分が私どもの意見でございます。
 再度、確認のために申し上げさせていただきますが、今般、医療機能を4区分に整理するという方向性は、2025年を目指した機能分化の方向性とはかなりかけ離れたものという判断に立っております。あえて申し上げれば、医療提供体制におけるゆがみ、ひずみの象徴と言われております7対1問題が露呈しております実態を、少しでも正常化させていく糸口といいますか、その契機を十分生かすことにつながらなかったのではないかという認識を持っております。非常に残念に思っております。
 それから、先ほど尾形先生が述べられました地域医療ビジョンのところで、保険者も参画をと言われたことに感謝申し上げます。私もそのとおりだと思っております。今後、この地域医療ビジョン策定のため、ガイドラインを作成することと思いますが、その際には法制上の措置として必要な病床の適切な区分の設定が求められるわけでございます。そこで言う適切な区分と今回の4つの区分とは、必ずしもリンクしたものとはなっていないと理解しております。したがって、ガイドライン作成の議論の際には、2025年を目指した機能分化の方向に沿う形での病床区分とすることが適切と考えております。
 事務局にお尋ねしたいと思いますが、今申し上げました私の見解と符合するのかどうか、端的にお答えいただければありがたいと思います。
 以上でございます。
○永井部会長 いかがですか。
〇総務課長 最後の点かと思いますけれども、まず、この報告制度の区分と「法制上の措置」の骨子でも、必要な病床の適切な区分の設定ということについては、もちろん関連はいたしますが、別の検討事項としまして病床の適切な区分とはどうあるべきかというのは、議論いただくべきものだと考えております。
〇高智委員 ありがとうございます。
○永井部会長 では、安部委員、どうぞ。手短にお願いします。
〇安部委員 資料2の15ページの図について、質問させていただきたいと思います。
 時期的なものは、今、種々御議論がありましたので触れませんが、病床機能制度の仕組みを取り入れて、またガイドラインを検討して、地域医療ビジョンを策定するという説明に関しては、この図で一定理解できると思っております。
 一方、国民会議の議論でありますとか、閣議決定の中で示された地域包括ケアを踏まえつつ、ビジョン、医療計画をつくっていくといったことは非常に重要なポイントでありますけれども、今後、医療と介護の提供体制の改革を一体的また整合的に進むようにすべきということがこの図の中にはちょっと見え切れない、書き切れていない。つまり、今後、地域の情報を、逆行して医療計画ですとかビジョンのほうに持ってくるのは大変な作業だと思うのですが、そこがこのスケジュール(案)の中のどこかしらに入るべきではないか。今後つけ加えていただければよろしいかと思うのですが、それがないと、この部分だけが進んでしまって、整合性がとれなくなってしまうことがあろうかと思いますので、このところはぜひそういったところも勘案して、スケジュール(案)の図をつくっていただければと思います。
〇医療政策企画官 13ページのところで、地域医療ビジョンの概要が出ているわけですけれども、「2.2025年に目指すべき医療提供体制」の二次医療圏のところに括弧で書かせていただいています。こちらで「地域包括ケアについては市町村」ということで、地域包括ケアのあり方についても我々としては念頭に置いているところでございます。
 あと、日程についてです。荒井知事から御指摘いただいているようですけれども、我々としましては、この内容ですと、報告制度の前に、医療需要ですとか医療機能については議論できる部分があるのではないかということですので、そういった部分については早目に議論を進めていきたいと考えております。
○永井部会長 では、邉見委員。
〇邉見委員 相澤先生のときに名前が出ましたので、ちょっといいですか。半分肯定、半分否定です。
 公立病院同士、住民のエゴ、あるいは市長さんのエゴとかでうまく連携できない、合併できない、統合できないというのは事実ですが、私のおります兵庫県は、三木・小野市民病院の合併、加古川市民病院と神戸製鋼加古川病院の合併、柏原赤十字と県立柏原病院の合併とか、いろいろ無理をして統合しております。住民へのサービスを落とさないように。
 それと、総務省の公立病院改革プランがことしで終わります。公立病院に関しては、それと、この財政措置とかこのビジョンとうまく合わせていただきたいなと思うのが1つです。縦割りはやめていく。公立病院は総務省の管轄下ですので、うまくやれば。
 もう一つだけ。先ほど藤本委員がおっしゃいました10ページは、ほかの3つの〇はみんな下線がついていますが、2つ目のはついていないのです。一番大事なのは「すべきである」という一番下です。これをやれということです。2番目は「必要がある」です。3番目は「求められる」です。4番目は「視野に入れる必要がある」です。これはほとんど重視していないのです。国民会議は、医師・診療科の偏在是正とか高額医療機器の適正配置はできないと思っているはず。だから、視野にだけ入れておきなさいと。私はそのようにとっています。今までずっとできなかったのです。
 というふうな意見でございます。
○永井部会長 菊池委員、どうぞ。
〇菊池委員 病床機能報告制度につきまして、7ページで示された医療機能区分に異存はございません。この報告制度で明らかになりました各医療機能区分の医療内容が、制度を実施することで各地域でより明らかになっていくと思われますので、その実績をもとにさらに検討を進めて、病床機能分化を促進していく方向で進むのがよいかと思います。
 以上です。
○永井部会長 西澤委員、どうぞ。
〇西澤委員 この厚労省の資料についての感想と幾つかの意見です。
 この病床機能報告制度と地域医療ビジョンは一体化だと思っています。この制度があって初めてビジョンがつくれると思っています。その中で今回、病床機能報告制度と地域医療ビジョンを明確に分けて整理してあり、頭の中では非常に整理しやすいと思っています。
 さらに13ページで、今まで地域医療ビジョンとは何なのかを余り明確にされていなかったのが、ここで文章化されて、これも頭の整理が少しできたと思っています。
 そういうことで言いますと、一部の、書きぶりですが、報告制度の3ページの一番下に「社会保障制度改革国民会議報告書」が載っていて、2(1)に「病床機能報告制度の導入と地域医療ビジョンの策定」の中の報告制度のことだけ書いています。ここと、実は10ページ「地域医療ビジョンに係るこれまでの議論」の下の四角の中の一番上の〇の「地域ごとの医療機能の現状」というのは、1つの文章を2つに分けています。実はこの間の、10ページの「地域ごとの」の上に「次いで、同制度による把握される」と入っています。ということは、ここの上に「病床機能報告制度により把握される」ということが入っています。
 この書き方でも間違いではないのですが、ここにも「報告制度によって把握される」とぜひ入れてもらいたいと思います。それによって関係がより明確になると思っております。
 それと、先ほど言った地域医療ビジョンについて、13ページの一番上の〇は非常に簡素化した文章ですが、どちらかというと役所的な文章で、私から見ると、社会保障制度改革国民会議の10ページの〇のところのほうがわかりやすいので、ここの文章を少し変えていただいたほうがいいかなと思っています。
 そういうことを踏まえまして、一番最後ですが、地域医療ビジョンの策定スケジュール。これは、当初、29年までということが27年に変わりました。最初は1本のレールだったのですが、実は途中で報告制度と地域医療ビジョンが2つに分かれて2本のレールになっていた。それに対して私は、これはできるだけ1本のレールにしていただきたいと要望を出していたところでございます。今回のはまさしくそのとおりにしてくれたということで、この図でいいと思っています。ただ、先ほど荒井委員等々からもいろいろ出ているように、このスケジュールはかなりきついということで、終わりを決めてやるより、このあたりは地域の実情を考えながら柔軟にやっていただきたいと思っております。
 一番上ですが、今回「地域医療ビジョン策定スケジュール」になっていますが、今までは「報告制度の導入と地域医療ビジョン策定までの流れ」と書いていました。前のほうがいいと思います。ここに書いてあるのは地域医療ビジョン策定だけではない、報告制度も書いていますので、一番上の見出しも変えていただければと思います。
 それから、この報告制度というのは、都道府県が中心になってしなければならない。ですから、国の役割と都道府県の役割というのはきちっと整理したほうがいいと思います。今回、都道府県は今まで何もやってこなかったということですが、国が全てをしてしまって、都道府県に余り権限を与えなかったからできなかったのではないか、やらせればできるのではないかと思っています。この際、思い切って都道府県にある程度の権限と責任を持たせば、都道府県の公務員の方々も優秀な方がそろっていますので恐らくできると思います。しかしながら、行政だけではできない。各都道府県におきましても、行政と医療提供側、保険者、それに地域住民を交えた中で検討して、本当に地域の実情に合ったものを将来に向けてつくっていきたいと思っています。
○永井部会長 最後に、小林参考人。
〇小林参考人 簡潔に申し上げます。
 まず、地域医療ビジョンそのものについてですが、それは今、先生もおっしゃったとおり、患者、提供者、保険者、支払う側、そういった人皆が納得して、共有されるべきものだと思っております。重装備の医療提供体制を地域に幾らでも構築できるというのであれば心配は全く要らないのかもしれませんけれども、仮に公費と診療報酬とを組み合わせてやっていくという流れであったとしても、財源は無制限ではないという中で、いかに皆が納得できるか。そういう意味で、地域で暮らす人にとっては、わかりやすい指標を示す必要があるのではないかと思っております。
 例えば、妊産婦健診や分娩する医療機関に何分でたどりつく体制を目指していくのか。他にも、病院からの退院後はどうなるのか。そういったイメージしやすいような指標を提示する必要があると思っております。それを実現するためにはどのような提供体制をつくっていかなければならないのか。どのぐらいの財源投入が必要なのか。どのぐらいの効果、あるいは負担が想定し得るのかといったことなど、財政面での見通しといった項目を追加できないかと思っております。そういったことが皆の納得につながるのではないかと思っております。
 13ページになお書きがあります。全部は読みませんが「将来的に見直す」ということが書かれています。この点は重要だと思っていまして、むしろ、ビジョンの内容について「将来的に」とするよりも「定期的に」見直すとする方が良いと思いますし、この間、議論でずっと念頭に置かれてきた一般病床の機能分化を進めるというこの部会の意見も踏まえた観点での見直しを図るというふうに言葉を追加すべきと思っています。
 あと、最後に、検討会について、保険者が入ることについては賛成いたします。
 以上です。
○永井部会長 荒井委員、最後に手短にお願いします。
〇荒井委員 相澤先生が大変重要なことをおっしゃいましたので、ぜひ発言したく存じます。
 それは公民の区別をどのように県政的に役立てるかということ。7割もの病院が民間で経営されている国は高く評価したいと思います。これは私設も同じですが、私設があるのは世界で日本だけです。ところで、私設と公営は、大阪はだめ、東京はうまくいっているわけですが、どうしてか。公営がメトロと都営が中心地で相互直通をしているというのが東京ですが、大阪は相互直通しない、市営は市営で頑張る、民間は民間でやるというばらばらなのが大きな差であります。それぞれの地域の利用者がいいか悪いか。だから、JRも含めて公・民が一緒になってやる東京タイプがいいということを一つ念頭に置いて。
 医療ビジョンでは機能分化というのが大きなテーマですが、公私の役割というのは機能分化でも大事です。今まで医療計画では公私の役割というのは余り正面切ったことではない。といいますのは、都道府県がつくる地域医療ビジョンは公立病院ビジョンであってはいけないということであります。都道府県は、7割もある私立病院も含めた地域の医療ビジョンをつくる役割を担わされているという意識を強く持たないと、公立病院ビジョン、公立病院のあり方というように偏りがちでありますが、そうでないようにしたい。そのためには、国でつくられるガイドラインにおいても公私の役割というのをより強く意識してほしいということでございます。
 といいますのは、医師の提供機関は、民間もありますけれども、国公立が大きな役割を果たしております。医療資源の配分について診療報酬一辺倒ではなしに、いろいろな補助金の内容にも関係いたしますが、入力の仕方が変わってくる。これは民間に対しても同じですけれども、公私の役割・区分をもう少し意識する。関西では、民間の医療機関は診療報酬一辺倒で、診療報酬改定ばかり気にして、地域医療ビジョンなどには関心を持たないのが実情なのです。地域医療に目を向けるように我々の議論ももう少し深められたらという思いで発言させていただきます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 まだ御意見おありかと思いますが、次に進めさせていただきます。
 「在宅医療・介護連携の推進について」、事務局から説明をお願いいたします。
〇指導課長 それでは、お手元の資料3につきまして簡潔に御説明したいと思います。
 おめくりいただきまして「在宅医療・介護の推進について」ということで、現状と課題、対応方針をまとめております。上のほうは省略しまして、下半分の「施策を総動員し」のところで「予算での対応」。また「制度的対応」としまして、今年度からの医療計画に新しく在宅医療についても達成すべき目標や医療連携体制について記載ということで、昨年の3月に指針を出して計画づくりを進めていただきました。これについては、今度の医療法の改正では、在宅医療というのを医療法上も位置づけるということは以前の説明の中でも想定しているところですけれども、さらにこの在宅医療の法的位置づけを含めた医療法改正にはどういったことが必要かというところでの検討課題があると思っております。
 あと、報酬の話。あるいは組織につきましても、省内に保険局や老健局とともにプロジェクトチームをつくりまして、後ほど在宅医療連携拠点事業の扱いなども御紹介しますけれども、局省横断的な議論を進めているというところです。
 3ページは背景ですが、時間があれですので省略をいたします。
 4ページですけれども「在宅医療連携拠点事業(平成24年度まで)」と書いてございます。訪問診療を行う、あるいは訪問看護を行う、退院時の調整を行うといったことへの報酬上の評価を行って、点としての事業体をふやしていくことも必要ですけれども、それだけではなくて、2つ目のところですが、関係する機関が連携して、医療と介護のサービスが包括的かつ継続的に提供されるようにしていくことが必要であるということでの問題意識、認識のもとで、23年度から在宅医療連携拠点事業ということを、23年度は10カ所、24年度は105カ所という形で全国的に行っております。
 モデル事業として設定した拠点のイメージは、この大きな吹き出しに書いてあるような内容で、絵にすると左側の絵のようなことです。
 具体的に拠点というところでどういった事業をやっていただいたか。次の5ページをごらんいただきますと、105カ所の実施主体を区分しますと、左側にありますけれども、自治体14カ所等々。どういった内容かといいますと「(1)地域の医療・福祉資源の把握及び活用」。どういったところに医療・福祉資源があるかというマップをつくるということ。右のほうの(2)で会議の開催をする、下のほうの(3)で研修の実施を行う。次のページの左上の(4)で、24時間365日の体制づくりの調整といったことを行う。下の(5)で患者・家族、あるいはケアマネ等への相談窓口をつくる。右のほうの(6)で情報共有を行うための取り組み、(7)で地域住民への普及啓発。こういったことをやる拠点を地域につくっていくということを行いました。
 7ページで、24年度の在宅医療連携拠点事業の中間まとめということで、近々、全体のまとめも整理する予定ですけれども、この事業については、長寿医療研究センターに全体の評価をお願いしております。105カ所でやりましたということで、3つ目の■で「地域包括ケアシステムの構築に寄与した」ということで、ケアマネの質の向上にも寄与しているだろうということです。一番下の■で、さらに面的にこれを広げていくためには、地域全体を見渡せ、中立的な立場で関係者間の調整を行える市町村が中心となり、医療側から他職種も含めて地域全体に働きかけやすい医師会等の理解と協力を得て取り組むことが重要であると。そして「都道府県が市町村を支援する体制を整えることも重要である」といった評価がされているということです。
 8ページは、連携拠点事業として行われた事業の事例ということで、市町村や医師会が中心となった事例を掲載しています。105カ所の事業内容につきましては、厚生労働省のホームページに105カ所分全てにつきまして、それぞれの事業体を10枚ぐらいずつのスライドで紹介させていただいてございます。
 9ページ、モデル事業として2年間行って、その情報は整理し、公表したわけですけれども、25年度、今年度からは都道府県の事業として市町村や地区医師会が主体となる事業という形でやっていこうということ。そのための財源として、24年度補正で地域医療再生基金の額を確保いたしました。全体500億円でしたけれども、その500億円というのは、災害対策ですとか、医療従事者の確保、在宅医療等に活用してくださいということで、各県に規約をつくっていただき、9月の上旬に交付決定したわけです。
 現在、それに基づいて各県は具体的な規約をつくり直しているところで、それは、現在、私どものほうで精査しております。24年度は105カ所でしたけれども、実施する県は数カ所ぐらいずつ事業を想定しておりますので、箇所数としてはかなり大幅にふえていくという形になろうかと思っております。
 この事業につきましては、再生計画自体は25年度までですけれども、25年度に開始したものはその目標達成まで若干延ばせるということで、25、26年度ぐらいにつきましては、この事業によって事業の財政措置を行っているところでございます。
 その先の話になりますけれども、次の10ページからは、8月28日の介護保険部会に提出した資料でございます。「在宅医療・介護連携の推進について」ということで、上の「現状と課題」のところは説明を省略しますが、3つ目の〇あたりに在宅医療の拠点の中で介護・医療との連携は大事だと。なかなか十分にできていない面があるということであります。
 「論点」として、地域医療介護連携拠点の機能について、現在の地域包括支援センターによる包括的支援事業や地域ケア会議に留意しつつ、介護保険法の中で制度化してはどうか。それらを都道府県、市町村の取り組みの推進のために都道府県が積極的に支援することが必要ではないか。そして、一番下の〇で「医療計画との調和も図りながら、介護保険事業計画に記載することとしてはどうか」ということが論点として示されたところです。
 11ページです。国民会議の報告書の中でも、この地域包括ケアのところで、「また」以下4行ありますけれども、これまで取り組んできた在宅医療連携拠点事業について、地域包括推進事業、法律の言葉で言うと地域支援事業でありますけれども、制度化をして、地域包括支援センターや委託を受けた地域医師会等が業務を実施することとすべきだというような問題提起がされ、それを受けて介護保険部会でも、次の12ページですが、これまでの事業成果を踏まえて介護保険法の中で制度的に位置づけて全国的に取り組むことにする。
 ただ、従来の地域支援事業というのは地域包括センターに一括委託ですけれども、この部分については別な事業体に委託という新たな仕組みとしてやってはどうかということが提示をされたということ。13ページはそれを1枚にしたもので、連携拠点事業として行われたようなものが、参考とされる取り組みの例として記載されているところです。
 なお、これにつきましては、8月28日の介護保険部会でも、これを27年度から直ちに全市町村で必須でやるというのは現実になかなか難しい面もあるのではないか。段階的なやり方とか、やり方の内容とか、しっかり議論があるのではないかというような御意見もあって、これについては整理をして、10月の介護保険部会でも再度議論という話になっていると承知してございます。
 14ページです。ここまで在宅医療連携拠点事業に関するこれまでの流れや今後の方針等についての説明ですけれども、在宅医療はそれだけではございません。モデル事業でやった拠点事業でも、小児を対象とした地区もあったわけですが、小児等の在宅医療連携拠点事業ということで、これは新たな国のモデル事業ということで、来年度も継続予定しておりますけれども、今年度、右下にありますとおり、8カ所で具体的にどのような拠点体制が必要かということについての研究をしていきたい。モデル事業をやっていきたいということ。これも、こども病院であったり、障害児施設であったり、さまざまな拠点の種類がありますけれども、そういった形で今年度から行っていく予定にしております。
 15ページは、多職種協働での在宅チーム医療を担う人材育成事業という形の研修も引き続き行っていこうということです。
 16ページからは、関係する事業ということで、訪問看護推進事業。これは訪問看護への参入を促していこうということでの予算事業です。全国の三十幾つかの地区で実施をしてございますけれども、市町村、医師会、看護協会、訪問看護ステーション等から成る会議の設置をして、訪問看護事業所で働いている方が医療機関で、あるいは医療機関で働いている方が訪問看護事業所で研修するというような相互研修などの支援を行ったりしているということ。
 17ページは、訪問看護サービスの利用状況ということで現状の数値を紹介しています。
 後ろのほうの27ページ以降に、参考資料ということで、訪問診療・訪問看護等のデータをつけさせていただいております。
 戻りまして18ページは、在宅高齢者への歯科保健医療対策ということで歯科の関係を整理しております。上のほうに必要性の数字を記載してございますけれども、20年度以降、在宅歯科医療、口腔ケア等を推進する歯科医師、歯科衛生士の養成講習会ですとか、それを終わった方への歯科医療機器の補助事業。あるいは22年度からの連携室整備事業につきましては、文書がここにありますけれども、絵は19ページに記載しております。また、24年度からの在宅介護者への歯科口腔保健事業につきましては、次の20ページにそのための設備整備の関係の事業を紹介しております。
 21ページは、在宅医療における薬剤師の関係ということで、チーム医療に関する検討会の報告書の中でも、薬物療法が高度化しており、薬剤の専門家である薬剤師が主体的に薬物療法に参加することが有益だと。在宅医療でも同じなのだけれども、薬剤師が十分に活用されていない場面も少なくないので、業務を明確にして、改めて活用すべきというようなことが記載をされているところです。
 次の22ページですけれども、こうした課題の解決のために、25年度、今年度は薬物療法提供体制強化事業を行っているということで、その事業内容を紹介しています。メニューとして、真ん中より右のところに「関係職種が一体となった効率的な薬物療法の提供」以下、4つの事業を記載しております。これらによりまして、関係職種が一体となった薬物療法の提供ですとか、抗がん剤等の在宅提供の支援、地域に応じた在宅薬局体制確保などのモデル的な取り組みを進め、さらにこれを広げていきたいと考えているところです。
 23ページは、国民会議の報告書の中で、これの関係でどういった記載があるかということですけれども、2つ目の・で、次の介護保険事業計画を地域包括ケア計画と位置づけてはどうかということですとか、一番下の・は、先ほど紹介したことの再掲でございます。
 24ページは「医療と介護の連携と地域包括ケアシステムというネットワークの構築」。先ほど来、委員の中からもビジョンには介護部分が不足しているのではないかという御指摘もありましたけれども、国民会議の中でも、都道府県が策定する地域医療ビジョンや医療計画というというのは、市町村が策定する地域包括ケア計画を含めた内容にするとか、一番下に、将来的には、これらの計画というのが一体的なものと言い得るほどの連携の密度を高めていくべきだといったようなことが、国民会議から言われているところです。
 25ページは推進方策。上のほうの診療報酬、介護報酬は事業への評価報酬ということで、これは従来からのものとして今後の検討会でもありますけれども、下のほうにあります拠点事業としてのモデル事業、そして、地域医療再生基金を活用した推進事業として行われているものを、27年度以降、介護保険法の地域支援事業に位置づけるということではどうかという検討を進めているところです。
 最後の26ページですけれども、論点ということで3つ掲げさせていただきました。在宅医療、あるいは地域包括ケア、介護保険というかサービスという観点からですけれども、医療計画の中での市町村の役割を明確に位置づけていく必要があるのではないかということが1つ。
 また、在宅医療・介護の連携を図り、これらの事業の推進を図るためには、市町村の介護保険事業計画に記載された目標が達成できるように、医療計画、地域医療ビジョンでも在宅医療の必要量等の推計、目標達成のための施策等の推進体制といったことを確保していくことがよいのではないか。
 また、在宅医療提供体制等への関与が少なかった市町村への支援として、国のほうで引き続き在宅医療連携拠点事業で蓄積された知見やノウハウ等の整理し、情報提供するとともに、例えば市町村や地域医師会等における連携のコーディネーターとなるような人材育成等に関する支援が必要ではないか。
 こういった論点を掲げさせていただきました。この点につきまして御意見、御議論をお願いしたいと思います。
○永井部会長 それでは、御意見。
 今村委員、遠藤委員、加藤委員。
〇今村委員 2点ございます。質問と要望です。
 まず、在宅医療連携拠点事業について御質問させていただきます。
 これは国民会議においても、この事業の評価をされた長寿医療センターの大島先生から、こういった事業を行ったこと、特に医師会がかかわって行ったことによって非常に成果が出た、こういうことを進めていくべきだというお話をいただいております。今回、御提示いただいた例を見ると、もともと地域の医師会の中でもこういう在宅の医療、介護にすごく熱心な地域が手を挙げてこれをやっておられるわけです。私は、全国的な地域医師会、あるいは市町村でこういうことが行われるべきだと思っておりますが、先ほどの事務局の御説明によりますと、次年度も、例えば都道府県で数カ所というようなお話がありましたが、東京や大阪で数カ所というと、ほとんどできないところが大部分ということになりますので、今後の事業がどのように進んでいくのかという将来的な展望について、ちょっとお話をいただければと思っています。
 もう1点は、さまざまにこの事業があるわけです。在宅医療というと、当然、高齢者だけではなくて小児だと。したがって、こういう小児の事業もやりますということですが、それぞれの事業の仕組みというのがちょっとずつ違っていて、地域の住民から見られれば、どういう事業がそこにあるかなどということではなくて、どうやって安心してそこで医療ができるか、受けられるか、生活できるかという話なので、できるだけ事業はまとめていただきたい。人材の養成についてもそうだと思うのです。行政がやられるので、予算があるからということで、どうしても何々事業、何々事業、何々事業ということになるのだと思いますけれども、そこは工夫をして、できるだけわかりやすく一つの形で地域の中でいろいろなことができるようにしていただきたいというお願いでございます。
○永井部会長 では、遠藤委員、どうぞ。
〇遠藤委員 町村を代表いたしまして参加しておりますので、一言申し上げます。
 今後の在宅医療・介護の連携を、医療・介護の両面から制度化するという方向性は理解できるものであります。しかし、これまで在宅医療の提供体制に余り関与してこなかった市町村からしますと、どういった役割を具体的にどのように果たしていくのかというイメージがしにくい面がございます。説明では、平成24年度における在宅医療連携拠点事業の実施箇所は全国で105カ所にとどまっておりまして、このうち自治体が実施主体となっている事業はわずか14カ所しかないわけであります。これでは市町村としてどれだけ知見やノウハウが得られたのか、心もとないなというのが自治体の状況でございます。
 また、小規模の市町村にとっては、医療機関が少ない中で担い手が確保されるのか、調整が円滑に実施できるのかなど、実施体制の整備が大きな課題であろうと考えております。市町村が一定の役割を担うのであれば、人材確保の方策や医療介護関係者が具体的にどのような方向で連携を図るかなどについて詳細な検討を行い、国として丁寧な制度設計をお願いしたいと申し上げます。このために、拙速を避け、十分な準備期間を設けて丁寧に進めていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 以上です。
○永井部会長 加藤委員、和田委員。
〇加藤委員 8ページに拠点の事業の事例が幾つか出ておりますけれども、これは計画だけなのでしょうか。これは実際に地域医療が行われたということではないのですか。
 それに関連して、小児のことがついに出てきてありがたいと思っておりますけれども、14ページも25年度の予算で拠点事業として書いてありますが、これは計画だけですか。実際に地域医療をやってみるのですか。いかがですか。地域医療というか在宅医療ですね。この参考資料8ページのところでは、在宅医療を実際に行ったのかどうか。それから、小児についても、計画を立てるだけなのか、在宅医療を実際に行うところまでやるのかどうかということの御質問です。
○永井部会長 どうぞ。
〇在宅医療推進室長 8ページにつきましては既に行っているもの、実際に成果を上げているものを事例紹介しております。
 14ページも、ベースがあるところです。これは先ほど今村委員から御指摘がありましたけれども、ベースがあるところが今後さらにやっていくこととして、実質的にはもう既に始まっているものを拠点事業として位置づけているものでございます。よって、計画の段階よりは実行の段階というものの御紹介でございます。
○永井部会長 では、和田委員。
〇和田委員 歯科のほうから発言をさせていただきたいと思います。
 先ほどの地域医療ビジョンの部分も、国民会議の中で、いわゆる地域包括計画も含めて地域医療ビジョン、医療計画をということになっておりますが、今の御報告の中でも、医療の部分と歯科医療の部分、ある意味区分けをしてあるという部分が見てとれます。これから医科・歯科の連携だとか、あらゆる専門の職種が本当に地域包括ということであれば、ちゃんと連携をする、あるいは一元化をしていくことは大変大事なことだと考えていまして、そういう意味で医科医療の部分に関するもの、あるいは歯科医療に関するもの、あるいは薬剤に関するもの、てんでんばらばらで、本当に包括という発想でこれから先やっていけるのだろうか。地域医療ビジョンを進めていく中で、この発想のままでは私は大変不思議だという気がします。
 医療であれ、歯科医療であれ、薬剤であれ、あらゆる職種の部分を全体の中で位置づけていく。その中でそれぞれを見ていくということは大変大事な気がいたしまして、これはこれ、これはこれと言っている補助事業にしても、別々にやっている限り、本当に包括になるのかという思いがします。これから、いわゆる治す医療というか、治し支えるというのであれば、口から食べることも話すことも大変重要な項目だと考えていますので、特別に歯科をひっつけるという発想ではなくて、全体の中に医療も歯科医療もみんな含めていくという、ばらばらではなくて統合されたものとして、これからのビジョンをつくっていただきたいという思いがいたします。
○永井部会長 では、尾形委員、相澤委員、菊池委員、お願いします。
〇尾形委員 1点意見と1点要望です。
 26ページに示されている論点ですが、これはこれで結構だと思います。特に「医療計画の中での市町村の役割を明確に位置づけるべきではないか」というのはそのとおりだと思います。一方で、都道府県が医療計画を策定するに当たって、市町村との連携とか協働というのは非常に重要だと思うのですが、これまで必ずしもそこが十分行われていなかったように思います。
 その1つの理由として、医療計画と介護保険事業計画の時期が微妙にずれているわけで、医療計画は5年に1回見直され、介護保険事業計画は3年を1期とするということになっています。そこで、1つの提案ですけれども、例えば平成30年度からは医療計画を6年単位にしてはどうか。そうすると、6年間の医療計画期間のうちに2期の介護保険事業計画が含まれることになります。そういったことも含めてその辺の検討をぜひしていただきたいと思います。
 ちなみに、余計なことですが、診療報酬と介護報酬も、一方が2年に1回の改定で、他方が3年に1回の改定、同時改定は6年に1回ということになっていますが、なぜそうなのかはよくわからない。これだけ医療と介護の連携ということが言われているわけですから、私は3年に1回、常に同時改定をすべきだという意見です。
 それから、要望です。ここに書かれているもので、特に在宅医療、あるいは在宅療養へスムーズに移行するためには、病院側の対応というのは非常に大事だと思います。そういう意味で、病院サイドの退院支援とか退院調整の体制というのは重要だと思うのです。かつては退院調整の担当者の配置が一般病院の3分の1ぐらいしかないというデータを見たことがあるのですが、昨年の診療報酬改定で退院調整加算等、随分重点的に評価されているので、その後、その退院調整加算の状況、あるいは担当者の配置状況などがどうなっているかというあたり、次回以降で結構ですので、データでお示しいただければと思います。これは要望です。
○永井部会長 では、相澤委員、どうぞ。手短にお願いします。
〇相澤委員 地域においては、急性期をある程度やっている病院が、急性期から回復期から療養から、そして在宅の診療所まで自分たちでつくったグループで在宅医療までやっています。そうすると、そこに入られた患者さんはそのグループの中で完結してしまうのです。そういう病院グループが4つも5つもある地域では、それを統合してやることは非常に難しいです。そのグループ自体でもう成り立ってしまっているのです。私たちも在宅医療連携拠点事業というのを受けてやってみたのですが、そのグループが違うと、その人たちを統合してやるのは物すごく難しいです。
 私事で申しわけないのですが、私たちはそういうグループ化することは反対で、なるべく開業医の先生にお返しをして、開業医の先生が在宅医療をやりながら困ったときに、私たちの急性期病院がサポートするという仕組みをつくってきたのですが、それでやっていくと、今度、在宅をやっている事業者が物すごく多様で、物すごくレベルの差があって、それを調整するのが物すごく難しいです。かなりの時間とかなりの人手を要さないとこれが統合できない。これを市町村にやれといって本当にできるのかなという、私は非常に問題点が多いと思います。では、全体の仕組みとしてどうつくっていくのかというのを、私たちはもう一度考え直す必要性があるのではないかなということを申し上げたいと思います。
 以上です。
○永井部会長 では、菊池委員。
〇菊池委員 26ページの論点2につきまして賛成なのですけれども、在宅医療の必要量の推計に当たっては、訪問看護が医療保険と介護保険の両方にまたがっておりますので、全体を見渡して訪問看護の需要と供給、訪問看護師数などを推計していただきたいと思います。
 もう一点、論点3について要望です。医政局における連携コーディネーター育成支援と、老健局における地域包括ケアセンターを中心とした包括的支援事業及び在宅医療・介護連携拠点によるネットワークと、一つ一つはわかるのですけれども、全体としてどうなっているかというのが理解しにくいのです。次回で結構ですので、在宅医療・介護連携に関する全ての施策とその関連を、1枚の図にして示していただければありがたいと思います。
 以上です。
○永井部会長 それでは、西澤委員、小林参考人、酒向参考人の順でお願いします。
〇西澤委員 今の菊池委員の意見とも通じますが、ここで書いてあるのは、在宅医療・介護の連携ということで提案されています。片方では、在宅医療連携ということも一つ書いています。この関係を明確にしていただきたいと思っています。
 それと、この26ページの論点の参考のところですが、介護保険部会の最初の◆で、在宅医療・介護連携拠点の機能について介護保険法の中で制度化と書いています。片方で、今、在宅医療の拠点事業もあるわけですし、介護保険の中に在宅医療が取り込まれると言ったらおかしいですが、そのようなイメージがあります。そうではなくて、少なくとも在宅医療に関しては、我々医療提供側が主体的に責任を持ってやらなければならないとすると、こちらの医療部会のほうで在宅医療・介護連携拠点についてしっかり議論して、我々医療提供側としてどういう形が望ましいのか、介護保険法の中だけでいいのか、あるいは医療法のほうでは要らないのか、そのような議論も含めて一回していただきたいと思います。
 以上です。
○永井部会長 小林参考人。
〇小林参考人 まず、市町村が果たすべき役割を強調されている点は非常にわかるのですけれども、介護保険部会の議論も紹介されましたが、そこでの議論では、たしか、市町村がどこまでやり切れるのかを心配する意見が相次いだと認識しております。市町村の役割を強調すると同時に、人員体制や財源の確保に対する支援が必要ではないかと思っております。そういう意味では、市町村だけではなく、国・都道府県との緊密な連携ということをどこかに言葉として追加していただけないかと思っております。
 また、かかりつけ医なのか、総合診療医なのか、家庭医なのか、いろいろ定義なり言葉が異なるので私どももちょっと混乱しているのですけれども、引き続き丁寧な議論を進めていただきたく思っております。
○永井部会長 では、最後に酒向参考人。
〇酒向参考人 本日、介護保険部会での議論の御紹介もいただいたのですけれども、介護保険部会のほうで、第6期、平成27年度からの計画策定に合わせて、2025年までの地域包括ケアの実現に向けた見通しを策定するという方向性も示されております。先ほど、ビジョン策定を急ぐべきでないというご指摘がありましたが、ビジョンの策定の中にも地域包括ケアというものが盛り込まれる。また、介護保険事業計画の中にも、将来見通しも含めて入るということでございますので、それぞれ時期がずれないように連携して進めていただければと思っております。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございました。
 最後に、邉見委員、どうぞ。
〇邉見委員 時間をいただいて済みません。
 1つは言葉の問題です。「地域包括ケア」というものに対して「地域包括医療」というのはないのか。といいますのは、私たちの大先輩であります公立みつぎ病院の山口昇先生は、「地域包括医療・ケア」というので国保診療所施設協議会というのと自治体病院協議会では平成19年から地域包括医療・ケア認定施設とか、認定医とか、認定専門職とかをたくさん認定しています。それをこのようなものに入れてほしいなと思います。今度、総合診療医ができたときに、また専門医ということで東京一極集中になってしまう。今、現場でやっているかかりつけ医とか、こういうのは地方のほうが医師会も病院も診療所もよけいにやっているのです。ほとんどの医療は東京から田舎に来るわけですが、こういうところの医療連携というのは田舎のほうが先なので、それを見習ってほしい。支える人は総合診療医が中心になると思いますので、それを今までの専門医と同じように、難しいハードルにしてまたつぶしてしまわないように。今、徐々に伸びていっているのです。ぜひそのような方向でお願いしたい。
○永井部会長 ありがとうございます。
 まだ御意見はおありかと思いますが、また事務局へお寄せいただければと思います。
 本日の議論の内容につきましては、11月末の意見書取りまとめに向けて事務局で整理いただきたいと思います。
 では、事務局から補足事項等をお願いいたします。
〇医療政策企画官 参考資料2-1としまして、8月の医療部会と医療保険部会で御議論いただき、取りまとめ、9月6日に公表しました「次期診療報酬改定における社会保障・税一体改革関連の基本的考え方について」を配付しておりますので、御確認をお願いいたします。
 次回の開催につきましては追って御連絡いたします。よろしくお願いいたします。
○永井部会長 それでは、本日はこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。

(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(医療部会)> 第32回医療部会(2013年9月13日)

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