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2013年9月12日 厚生科学審議会疾病対策部会 第31回難病対策委員会 議事録
健康局疾病対策課
○日時
平成25年9月12日(木)13:00~15:00
○場所
全国都市会館 第2会議室(3階)
○議事
○小澤疾病対策課長補佐 定刻となりましたので、ただいまから厚生科学審議会疾病対策部会第31回難病対策委員会を開会いたします。委員の皆様におかれましては、お忙しい中、お集りいただきまして誠にありがとうございます。
本日の委員の出欠状況を確認させていただきます。本田麻由美委員、葛原委員、小幡委員、小池委員、千葉委員、広井委員から欠席の御連絡をいただいております。また、五十嵐委員と本間委員からは途中退席されるとの御連絡をいただいております。カメラの撮影はここまでとさせていただきます。傍聴される皆様におかれましては、傍聴時の注意事項の遵守をよろしくお願いいたします。以降の議事進行については、金澤委員長にお願いいたします。
○金澤委員長 それでは、最初に資料の確認を簡潔にお願いします。
○小澤疾病対策課長補佐 資料1、2、3とございます。資料1「難病対策に関する患者団体等との意見交換会でいただいた御意見について」。資料2「今後の難病対策の改革を進める上での論点について」、これは前回の難病対策委員会の資料3の抜粋です。資料3「今後の難病対策の改革を進める上での論点について」です。資料の欠落等がございましたら、事務局までお申し付けください。
○金澤委員長 それでは、早速議事に入りたいと思います。最初の議題は、難病対策に関する患者団体などの御意見を頂くための会が何回か開かれましたが、そこでのまとめから入ります。事務局から資料の内容の説明をお願いいたします。
○西嶋疾病対策課長補佐 資料1です。難病対策に関する患者団体等との意見交換会でいただいた御意見についてです。昨年、中間取りまとめ以降、提言をまとめるまでの間、昨年8月と11月に患者さんにお声掛けをし2回の意見交換会をさせていただきましたが、それ以降、提言がまとまり、今年6月に第3回目の難病対策に関する意見交換会を開催させていただきました。こちらは東京で開催をして、難病患者団体さん等、39団体の方々に御参画をいただきました。
また、東京以外でもこういった意見交換会を開催してほしいという要望もございましたので、今年7月から8月にかけて、全国で11か所に我々のほうからお邪魔させていただいて、地方で意見交換会を開催させていただいている状況です。計12回の意見交換会の中で出てきた主な御意見という形で、2~3ページ目にまとめております。基本的には提言の柱に従って、おおむね分類をさせていただいておりますので、簡単に御紹介させていただければと思います。
第1「効果的な治療方法の開発と医療の質の向上」についてです。まず難病の研究については、これまで以上に加速してほしいという御意見です。難病の患者データについては、その治療方法等の研究に有効に活用して、その成果を患者さんにきちんと還元してほしいという御意見があり、その際には患者のプライバシーをきちんと守ってほしいという御要望もありました。また、医療の質の向上、医療体制については、どこに住んでいても難病医療が受けられる医療体制を整備してほしいという御意見がありました。
2つ目の柱の「公平・安定的な医療費助成の仕組みの構築」については、まず、対象疾患及び患者の考え方では、公平に選定される仕組みになるのかという御質問がありました。これは前回、御議論いただいたところかと思います。また、患者さんの実態をきちんと考慮してほしいという御意見もありました。
対象患者の認定等の考え方については、今回、指定医、あるいは指定医療機関制度が提言の中でありますが、それによって患者がかかりつけ医で診療ができなくなってしまうようなことは避けてほしいという御要望がありました。
また、給付水準についての考え方ですが、自己負担限度額については患者本人の所得に応じて決定する仕組みにしてほしい、あるいは食事療養も治療の一環と認識して、体制整備等を含めた対策を推進してほしいという御意見がありました。
第3の柱は、「国民の理解の促進と社会参加のための施策の充実」についてです。特に遺伝性の疾患や痛みという観点も踏まえ、難病について普及啓発をこれまで以上に推進をしてほしい。あるいは患者会や家族会の活動支援をしてほしいという御意見がありました。また、民間企業との協働の促進という御要望も強かったように思います。
福祉サービスの充実ですが、障害者総合支援法の対象範囲の拡大を図るとともに、障害程度区分を改善してほしいという御要望。「当面の措置」として130ということになっていますが、今後、いつどのように検討されるのですかという御質問もありました。
就労支援の充実については、慢性疾患を抱える患者が就労継続できるような環境整備、あるいは合理的な配慮を明確にしてほしい、それを社会に訴えていくべきだという御要望がありました。また、難病を持つ子供等への支援の在り方についても、医療費や医療機関の連携という観点から御要望がありました。主な意見は以上でございます。
○金澤委員長 どうでしょうか。御質問があれば優先したいと思いますが。これは何らかの形で我々に伝えていただくことが大事だったと思います。何か御意見ございませんか。また、何かありましたら随時おっしゃってください。
第2の議題に移りたいと思います。資料2「今後の難病対策の改革を進める上での論点について」ですが、前回のこの委員会の資料3の抜粋です。少し時間が足りなかったので、もう1回ということです。では説明をお願いいたします。
○西嶋疾病対策課長補佐 計3ページございますので御覧いただいて、まず1ページ目の所で前回の難病対策委員会で出させていただいた論点ということで、医療費助成の対象についてということと、患者負担についてということがありました。
そのうち前回、主に対象についての所で時間をかけて御議論いただき、2つ目の患者負担についてはなかなか御議論いただけませんでしたので、今回、そこに限定して、以下、2~3ページに前回の資料を抜粋させていただいております。
2ページ目には基本的な考え方、仕組みについてどのように考えるかということで、高齢者の特徴、自立支援医療の特徴を記載しておりますが、それとの関係をどのようにするかということです。また、低所得者への配慮ということで、所得等に応じた月額限度額をどのように設定していくかを論点として挙げておりました。
3ページ目は、前回の資料のほとんど最後のページでしたが、その他の患者負担の仕組みについてで、1つ目が、対象患者本人が生計中心者である場合の取扱いについてどのように考えるかということでした。現在、対象患者さんが生計中心者である場合には、自己負担限度額が通常の2分の1となっております。そういった現状がありますので、今後どのように考えていくのかということです。
2点目は、介護保険における医療系サービスを利用した場合の患者負担についてです。現在、介護保険の医療系サービスの自己負担分も難病の医療費の助成の対象になっていますが、それらについて今後どのように考えていくかということでした。以上です。
○金澤委員長 確かに前回、患者さんの負担に関する基本的な考え方、あるいは仕組みということについての議論がやはり少し足りなかったように思います。その辺に焦点を絞って、今回、少し御議論を追加していただきたいと思いますが、一般的にというよりも、まずは2ページですね。2ページと3ページを分けて議論していただいたほうがいいと思いますが、2ページの患者さんの負担の基本的な考え方や仕組みということ。他制度との均衡、あるいは低所得者への配慮など、どこからでも結構ですが、この点に関して御意見をください。
○伊藤委員 まず、この患者の負担をどう考えるのかについては様々な考え方があると思います。今度、消費税なども導入されて、いろいろと負担が増えていくのですが、前提になるのは、そのことだけではなく、他の制度を使うときにも一定の負担が生じるのです。介護保険にしても、今の総合支援法によるサービスを使うにしても、それぞれ必ずあるのです。それ以外にも、通院なり、公的なサービスで不足している分など、様々な負担が患者にきます。これは病気の種類によって違うのですが、一般的にそういうことが言えるのです。所得が少なくて様々な負担がある。それに更に労力的な負担なり精神的な負担も加わっている中で、ほかの制度と比べてそれと同じようにと言っても、それは違うのではないか。たくさん負担がある中で、難病対策による医療費の支援というのは非常に大きな意味を持っていると思います。この難病対策での自己負担だけではなく、ほかの制度などでもどの程度の患者負担があるのか、そういうことも加味して御検討いただきたいと思います。
もう1点は、所得についてです。難病患者とその家族は所得が低い人が多いのですが、年収130万円を超えたら中所得なのか、500万円を超えたら中所得なのか、どこからが低所得でどこからが中所得なのかをきちんと念頭に入れないとならないと思います。例えば、月の収入に直すと10万円、11万円という金額で暮らしている人たちは、医療費の1割などの負担があった場合に、そもそも生活していけない中で、さらに、難病対策での医療費の自己負担がそれに追い打ちをかけるようなことは、私はあってはならないと思うのです。本日は具体的な金額が出ていませんので、考え方としてだけですが、そういうことも加味して御検討いただきたい。これらを要望しておきたいと思います。
○金澤委員長 2つのことを言われましたが、最初の点については、前回、確か駒村さんもコメントされたように思います。ほかのものと比較するのがいけないと言われると、なかなか難しい話ですね。どうでしょうか。この辺に関しては前回にも議論が出ましたね。それでは、これはいいということにしましょう。
2点目の、低所得者というのは一体どの辺からかということに関して、月10万円の人がうんぬんという話がありました。表がないので分かりませんが。こちらを見ればいいのですね。月10万円以下の人が低所得者なのでしょうか。
○田原疾病対策課長 前回の、第30回資料の18ページを御覧いただきますと、現行の医療費助成における患者負担の一覧があります。現在、例えば階層区分Aでは、「生計中心者の市町村民税が非課税の場合」また、その上の段階の「所得税が非課税の場合」といった辺りを低所得者とする考え方があると思いますが、ここについては御議論いただきたいと思います。
○金澤委員長 なるほど、これは大事です。誰かが言ったかもしれませんが、正直言って、税金の額を言われてもピンときません。どれぐらい引かれるのかというのは決まっているのかもしれませんが、我々には分かりかねるのです。
○田原疾病対策課長 また改めて資料が必要であればお出しすることになると思いますが、例えば、Aの区分で見ますと、夫婦のみの世帯をモデルとした場合の目安としては、156万円以下ぐらいとなります。Bでは、156~163万円ぐらいというような収入ではないかと思います。
○金澤委員長 Gでは所得はどれぐらいになるのですか。
○田原疾病対策課長 Gは、夫婦のみの世帯をモデルとした場合の目安として、402万円以上と試算しています。
○金澤委員長 402万円ですか。
○田原疾病対策課長 若干、いろいろな計算の仕方で具体的な数字は違うと思いますが、おおよその目安にしていただければと思います。
○金澤委員長 厄介なことを言って恐縮ですが、Cはどれぐらいですか。
○田原疾病対策課長 Cは163~183万円ぐらいです。
○金澤委員長 183万円ですか。
○田原疾病対策課長 Dは220万円ぐらいまで、Eは303万円までで、大体100万円刻みぐらいでしょうか。それで、Fが402万円までという、そういうイメージです。
○金澤委員長 大体のイメージが分かりました。現在の難病の方々というのはAやBが圧倒的に多いのでしょうか。
○田原疾病対策課長 A区分の方が23%ぐらい、Gの方も23%ぐらいです。この2つが多い区分です。
○金澤委員長 分かりました。そういうことを前提に御議論いただきます。
○駒村委員 今の考え方は、最初の2つの所にありました。今の制度と同じような、応能というのは1つの考え方だと思います。それと、その刻みですね。どういう刻みでいくのか、1つ階段を上がるとどのぐらい上げていくのかということ。また、世帯の収入単位でいくのかどうなのか。今の金額は今の制度の金額ですから、税制改正があったり、若い人と高齢者では控除の部分の大きさが違いますので、状況は違ったり動くとは思います。世帯単位なのか、その辺をどうするのかということは議論を深めなくてはいけない点です。
また、参考として入ってくる高齢と障害の負担との比較においてどう考えていくのかということがあります。高齢・障害ともに参考にはなりますが、留意しなければいけないのは、高齢は年金があること。普通、多くの方には年金があるだろうということです。障害の方も年金を持っている方も多ければ、障害雇用の対象になっていることもある。御自身、本人の収入があるという点について、難病では、年金がどのように出ているかというのは障害とは違うのでケース・バイ・ケースですし、障害雇用についても難病はまだ不十分だと思います。本人の所得が高齢・障害の年金と比較してどうなのか。例えば、2人世帯で、本人が100万円、家族が200万円あって合計300万円ある世帯と、本人はゼロで家族は300万円ある世帯を同列に扱うかどうか。そこは気兼ねの問題なのか何なのか。
本来、難病の方の雇用政策や難病の方への障害年金の在り方がある程度充実していれば、その気兼ねもなくなってくるのですが、世帯で見たときに、気兼ねの問題をどう考えていくのかということがあるだろうと思います。
また、世帯で考えるときには、世帯の累計です。世帯全員で使う医療や介護など福祉サービスの累計額を考えなくてもいいのかという点も少し考慮しなければいけない。国民会議では、総合合算制度で、世帯で合計して、世帯の皆さんが病気になったり、介護なり福祉を利用して、その合計額が重たくなるならば、それは少し軽減していこうというアイディアもあるにはあるのですが、社会保障・税番号が動き始めないと本格的には機能しないことになっています。それとの関係で、世帯全体の負担も考慮することも、難病だけではないかもしれませんが、1つの切り口ではないかと思って今のお話を聞いておりました。
○伊藤委員 もう1点、付け加えさせてください。課税額でいくと、障害者手帳を持っていますと、所得税の障害者控除があるのです。これは課税額を計算するとぎりぎりの層にあるときは、障害者控除というのは大きく助かるというか、支援になるのです。難病の場合には難病控除がないので、その辺りも不利に働く可能性があります。
○金澤委員長 ほかに今の点に関連しても、そうでなくても、どうぞ。
○山本委員 確かめたいのですが、前回の患者さん団体との話で、患者さんの御要望として、2ページに「患者本人の所得に応じて決定する仕組み」と書いてあります。この「本人」という意味は、患者さんの世帯をイメージされているのか、それとも御本人のことが重要だと言われているのか、その辺はどういうニュアンスだったのでしょうか。
○田原疾病対策課長 ここは、世帯収入というよりは患者本人の収入で判定するということです。世帯の中でほかに収入のある方がいらっしゃる場合に負担を多くするのではなく、患者さん本人に収入がなければなるべく負担を減らしてほしいという趣旨だと理解しています。
○山本委員 疾患にもよりますが、圧倒的に女性が多い疾患も免疫関係では結構あります。その方たちは、やはり、世帯の収入ということよりも、御自身に収入がないことについての負担を感じていらして、それによって治療の選択を御希望されないこともままあります。この辺についてどう考えるか難しいのです。
○金澤委員長 それならば、こちらを先にしませんか。
○山本委員 いや、これに関係したことなのでポイントアウトしたのです。
○金澤委員長 そのことなのです。今までは生計中心者という考え方できたわけですが、これは先回の議論では、これをやめて世帯でいきませんかという話になっていたと思います。ところが、今お聞きしているような、本人の、ということになると、また話が別なのです。先ほどの駒村さんの話にもありますので、3ページの、生計中心者という考え方をどうするかということを先に議論していただこうと思います。今、2つの意見がありましたが、どうでしょうか。
○伊藤委員 生計中心者の負担を2分の1にするという考え方は、ほかの制度には余りありません。世帯の収入だけでは捕捉しきれないので、それを緩和するために、生計中心者という考え方を用いて負担を少なくしたのだと思います。その考えはいいと思うのですが、それでいくのか、それとも、全部を本人収入でいくのかという選択をしろという話ですね。全部を世帯総収入でいくというときには、生計中心者の負担軽減ををやめるということなのか、これはこれで残すことなのかも議論しなければいけないのではないでしょうか。
○金澤委員長 やめると理解していましたが。
○田原疾病対策課長 そこは、ここでの御議論を踏まえて考えるということですが、生計中心者がほかの制度にないので技術的にも難しいのであれば、生計中心者という概念はやめて、世帯収入でという考えになるのではないかとも思って伺っています。そこはまた議論いただきたいと思います。
○金澤委員長 そう理解していたのですが、どうも違うようなので、改めて議論しましょう。
○伊藤委員 実際には、生計中心者で2分の1になっている世帯は、どのぐらいの割合になっているのでしょうか。
○小澤疾病対策課長補佐 患者さん全体では37%ぐらい、大体それぐらいだということです。
○金澤委員長 分かりません。患者さん全体では何が37%なのですか。
○小澤疾病対策課長補佐 生計中心者の自己負担限度額が2分の1になるというスキームを活用している方が、助成の受給者全体の4割弱です。そのぐらいの方が活用していると認識しています。
○金澤委員長 そういうことだそうです。
○伊藤委員 37%も利用して2分の1になっているものが全部なくなって世帯総収入で計算する方法だけが残ると、これはすごく負担増になるのではないでしょうか。それをどのようにするのでしょうか。
○眞鍋委員 長野県の眞鍋です。生計中心者という取扱いについては、所得を細かく把握してきめ細かく段階を作っていこうという趣旨だと思いますが、運用する自治体としては、運用の仕方が自治体ごとに少し変わっていたり、捕捉が難しいところもあるのです。横並びの制度として世帯でやっている制度もあるので、我々としては、それに合わせていただいたほうが制度としては非常に運用しやすいと前回私から申し上げました。
○金澤委員長 ほかの方々、いかがですか。
○伊原総務課長 補足させていただきます。まず1点目は、今回、新しい難病の制度を作ることになりますと、対象者の方が非常に増えることになります。したがって、先ほどお話がありましたように、実務として、今までのように個別に一人一人やっていたというやり方が成り立つかどうかを考えなければいけません。もう1点は、基本的に医療保険の高額療養費を適用したその上で、次に埋めていくという仕組みなので、実務的なことだけを申し上げると、医療保険のスキームに乗ったほうが作業的には非常に容易になるということが確かにあります。さらに、もう1点として、先ほど、負担が増えてしまうのではないかという話がありましたが、現在受けている方の問題と、これから新しく大勢の方が受けるという問題は別々の問題としてあります。現在受けている方の問題と、今後、新しく疾患が広がってやる方をどうするかという問題は分けて考える必要があるのではないかと思います。
○金澤委員長 いや、実を言うと、その問題が大きいのです。いろいろなやり方があるのです。「考え方」「仕組み」と書いてあることでお分かりのように、一言で言えば、今後のサスティナビリティ(sustainability)です。継続性を考えたときに、どこまでやるのか、やれるのか。今、将来的に考えた場合に、それをまず考えた上で今の人たちをどうしようかという考え方が1つの方向だと思います。私はそのように考えて今までここに座っていたつもりです。冷たくやるという意味では決してありません。今やれるからやってしまえということでは、下手をすると将来性はなくなるということを危惧しているのです。申し訳ありませんが、そこを配慮に入れた上でお考えいただきたいと思います。
それから、できれば、ほかの制度との整合性も考えていただきたい。というのは、継続性とともに公平性ということがこの会議の大事なキーワードだと思います。ここは少し伊藤さんと意見が違いますが、公平性というのは、難病の方々の中だけでの公平性だけではなく、ほかの病気の方々との公平性もあるはずだと私は思っています。そういう2つのキーワードを是非忘れないでいただきたい。そう考えたときに、さあどうしようかということです。基本的にはどうでしょうか。
○伊藤委員 これは、何かシミュレーションしたものが出てこないと、それぞれが思い描いているイメージや対象が違って、ばらばらのイメージを持っていながらでは議論しにくいのではないでしょうか。この委員会でほかのいろいろな議論をやってきまして、おおむね1つの方向性はできていると思うのです。その中で、対象疾患の拡大、その基準の問題が前回かなり整理されたとすれば、あと残るのはこの問題だと思うのです。これは余り大雑把な議論ではなく、少しきめ細かな議論をしていかないとならないのではないかという気がします。何かそういうものを出していただきたいのです。できるかどうかということもあると思いますが、例えば、こういう考え方に基づくとこういうものが出てくるとか、これだとこのような具合になるというものがあれば、時間が掛かってもその資料を見ながらお話したいと思います。いかがでしょうか。
○田原疾病対策課長 そういう材料は、行く行くは我々も準備したいと思っていますが、それを準備するに当たって、まずはどういう考え方で整理すればいいのか。そこはいろいろとやりとりがあると思いますが、まず、考え方として幾つか、こういう考え方があるということを御議論いただく。そういった御意見を踏まえて、この考え方ではこうなるということをお示しして、それについて具体的に御議論いただくというように考えています。基本的な考え方について自由にいろいろな御意見を頂ければ、それを我々が整理して、具体的なものをお示ししながら御議論できるように準備したいと思います。
○本間委員 この生計中心者というのは、基本的に、高度成長期時代からの、男は仕事、女は家庭という分業体制の中から出てきた制度です。難病の助成対象に限りませんが、いろいろな体制の中で「生計中心者」あるいは「主たる家計の担い手」という言い方で出てきます。しかし、御存じのように、もうそういう時代ではない。しかも、難病の場合はスパンが長いので、ある時期には生計の中心者であるにしても、途中から生計中心者ではなくなる時代もあって、最後に介護施設に入ったりすれば完全にそうではなくなるという、波というかステージというか、そういう違いが出てくるわけです。そうしますと、その度に扱いが変わる、助成のやり方が変わるというのはおかしい。やはり、ここは時代に合わせて、生計中心者であるかないかは別にして、患者個人1人に対する助成、あるいは、その世帯に対する助成という形で考えるほうが、これからの時代には合っているし、サスティナビリティという意味でも持続性はそのほうが高いのではないかと思います。
○金澤委員長 この問題については、方向性が出せれば出してしまいましょう。少なくとも生計中心者という考え方は、これはやめませんか。その代わりに何を持ってくるかです。世帯中心という考え方もありましょうし、御意見としては、個人という御意見もありましょう。私が分からないのは、山本先生が言われた、免疫性の疾患に女性が多くて収入がないから困るという、それがよく分かりません。
○山本委員 患者さんが言われることを説明しているだけです。
○金澤委員長 患者さんがおっしゃっているのですか。
○山本委員 はい、言われているのです。それがあるので、そこを考えると、女性の立場は同じ世帯の中でやはり発言力が違うのです。非常にいい雰囲気の家庭の方と、そうでない方はたくさんいらっしゃるのです。それを考えると、御自分が所得を得ていない方が世帯の中で非常に苦しい思いをされるということもあって、こういうことを言われているのではないかということを、ここでも認識していただきたい。
○金澤委員長 そういう解説だったのですか、分かりませんでした、ごめんなさい。それから、先ほどの課税の話は個人ではなくて世帯ではありませんか。
○田原疾病対策課長 そうです、世帯収入に対する課税です。
○金澤委員長 どうでしょうね。取りあえず、世帯にしておいて、先ほど伊原さんが言われたように、個別の問題に関してはケアしていくということを考えたらどうでしょうか。ほかに、個人の収入でうんぬんという制度はありますか。あることはあるのですか。普通、世帯の収入でやるのではありませんか。
○伊原総務課長 保険料に関しては個人の資格の仕組みはあります。介護保険料は個人の単位です。ただ、このような高額療養費など、医療費の負担や介護費の負担については、基本的には世帯で考えるということが基本です。
○金澤委員長 どうでしょうか。話を進めるためにも、これは一応、世帯ということにしておいて、配慮すべき点はあることを承知の上で、その配慮は後できちんと議論しましょう。それでどうでしょうか。
( 異議なし)
○金澤委員長 では、そういたします。では、2ページに戻ります。先ほど、年金の話などもありました、基本的な考え方についてどうするかです。障害者年金は確かにありますが、難病の方で障害者の認定を受けておられる方は当然年金があるわけです。確かにそうなのですが、いかがでしょうか。その点以外の所についても、どうでしょうか。
○福永副委員長 医療費助成についてでもよろしいですか。
○金澤委員長 結構です。
○福永副委員長 助成についての基本的な範囲というか、考え方についてです。現状においては、病気に関する医師の裁量権の中で、ある意味では拡大解釈の中で、合併症などは当然含まれると思います。例えば、こういうことを言っていいかどうか分かりませんが、パーキンソン病の患者さんで歯科の治療がほとんど助成されている所が多いのです。パーキンソンと歯科の治療は関係がないわけではないかもしれませんが、これは例ですが、そこまで拡大解釈していくと、ほとんどの病気についての関連する福祉的補助というか、ほかの病気もほとんど医療費助成の対象になってくるとなると、やはり大きな問題になってくるのではないか。今回、医療費助成に関しては、各疾患ごとにある程度きちんとした範囲というか、それを定めることが必要ではないかと思います。
○伊藤委員 質問です。最近、口腔ケアということがよく言われています。口腔ケアをきちんとすることによって、肺炎など様々なことを防げる、感染を防げるとか、噛み合わせを良くすることによって様々な能力が向上するなど、主に歯科の先生方がそうおっしゃっておられます。そのことと、疾患での歯科治療との関係はどのように捉えるのでしょうか。
○福永副委員長 伊藤さんがそうおっしゃられると、確かに重要な部分ではあります。私は例に取って言ったのですが、ただ、今、56の疾患がありますが、その中で1つの疾患のどの範囲まで医療費助成の対象とするかということについて、ある程度の範囲を示しておかないと、現場の医師の裁量権だけで決めていいものかということもあります。私は特定疾患の事務をやっている所にいますが、質問が多くて非常に困っているのです。少しきちんとできないだろうかというのが希望です。
○金澤委員長 分かりました。それに関しては、こうしませんか。いずれ第三者委員会ができることは、先日、決めていただきました。そこでラインを決めていただいた上で、Q&Aを必ず作っていただくということにしてはどうでしょうか。ここでこれを議論し始めると切りがありませんので、そうしましょう。骨格を話し合いましょう。
先ほどの伊原さんのお話を受けて、「配慮」という言葉を使いましたが、その内容についても第三者委員会でよろしいですね。どうでしょうか。ここでやるというのは難しいと思います。基本的に配慮するということで投げ掛けるということでいかがでしょうか。
○駒村委員 今の「配慮」というのは、現行制度から変わっていく移行過程のような配慮をするという意味ですか。
○金澤委員長 それを含めてです。
○駒村委員 分かりました。それから、先ほどの話で、必要な診断・治療内容かどうかは第三者委員会できちんとルールを決めるということですか。
○金澤委員長 2つが一緒になってしまいましたが、最初に言ったことは、治療内容に関して、第三者委員会で決めてもらってQ&Aをやろうということです。2番目に言ったのは、現代世代と将来世代とのギャップの問題で、これも今ここで具体的に決めるのは難しいので、少なくとも現在の世代に配慮しようということを、附帯決議ではありませんが、付託しようという意図です。
○伊藤委員 なかなか言いにくいことですが、今まで、第三者委員会の性質として、対象疾患を選定するに当たって第三者委員会で検討していただいて、全体はこの難病対策委員会で関与しようという話だったと思うのです。それが、中身までやるとなると、少し違ってきて。病気のことなので患者会は余り入らなくてもいいという話でしたが、そこまでの話になると、言わなければいけないことがたくさん出てくるという気がします。
○金澤委員長 いやいや、直接、配慮を受ける側なのですから、それはいいのではないですか。
○伊藤委員 でも、制度上のことまで第三者委員会に任せていいのかということです。
○金澤委員長 配慮の内容までここでやるのですか。例えば、今の人たちは5年ぐらい掛けてとか、2年、3年掛けて少し難しい状態にいくとか、あるいは、今の人たちをそのままにするとか、そういう具体的なことをここでやるのですか。それは無理だと思います。
○伊藤委員 煮詰まってきて大変でしょうけれども、やはりここでやるしかないのではないかと私は思います。
○金澤委員長 内容に立ち入るのですか。
○田原疾病対策課長 配慮の内容をどこまで議論するかについては、いろいろあるとは思いますが、まず、あるべき姿というか、先ほど委員長からお話のあった、将来の継続性のことを考えた場合の安定的な医療費助成制度について御議論いただく。ただ、その次の段階で、配慮するという話があったときに、第三者委員会で議論するというよりは、制度の中身の話なので、ここでできるだけの話をしていただく。それでもいろいろと限界はあると思いますので、それ以上のことは我々も整理したいと思います。
○金澤委員長 了解です。その代わり、時間を変えて、タイミングを変えて、シミュレーションなどがもしできるのであれば、そういう資料を出してということにしましょう。
○田原疾病対策課長 はい。まず最初の大きな骨格を議論していただければと思います。
○金澤委員長 本日は、配慮するのだというところまででいいですね。
○田原疾病対策課長 はい。そこまでだけ確認していただければ。
○金澤委員長 それでいいですね。それでいきましょう。駒村委員、どうでしょうか、それでよろしいですか。
○駒村委員 はい、大体そのとおりで。まず基本的な部分は、先ほど委員長がおっしゃったように、財政的にも制度的にも持続可能性があるようにしなくてはいけない。それには公平性と透明性が大事であるということです。負担については、税財源で補足的に給付を行うものですから、再分配について着目しなければなりませんので、世帯収入にある程度着目する必要があるだろうと思います。ただ、第三者委員会に認められたような治療内容については、当然、きちんとアクセスが保証される程度の負担でなければいけない。そのことによって受診が抑制されるような水準にしてはいけない。その一方で、移行期間を用意して、その移行期間の内容は別途議論するということであれば、1つの方向性ではないかと思います。先ほど申し上げたのは、多少考えておかなければならないのは、高齢・介護はそれぞれ本人所得について一定の政策があるのですが、難病はそれらと完全に同列とは言えないという部分で、何か配慮しておく必要があるかもしれないということです。
○金澤委員長 分かりました。非常に分かりやすいお話だと思います。まとめとしても大変有り難いと思います。このぐらいで、いかがでしょうか。
○春名委員 1点、追加してよろしいでしょうか。医療費の自己負担が大きいがために、無理をしてでも医療費のために働かなくてはいけないという方がいらっしゃるので、それを解消するためにも、自己負担の軽減は非常に重要なことですが、働いて収入が上がったときに、また自己負担額が上がっていくことになって、病気を持っていても働いていこうという方に水を差すことにならないような配慮なども必要ではないかと思います。
○金澤委員長 ありがとうございました。働きの話はまた次に出てくるのではないかと思いますが、そろそろ次の話題に移らないと時間がなくなってしまったので、すみません。次の議題は資料3に基づいて、「今後の難病対策の改革を進める上での論点」です。事務局から簡潔に説明してください。
○西嶋疾病対策課長補佐 資料3です。ページをおめくりいただきますと、今まで2本目の柱ということで御議論いただきましたが、1本目の柱、3本目の柱について、今回論点を挙げさせていただいています。1つ目としては3本目の柱ですが、1「国民の理解の促進と社会参加のための施策の充実」ということで、難病に関する普及啓発、難病患者の社会参加のための支援について、論点案とさせていただいています。
2番目としては、2「効果的な治療方法の開発と医療の質の向上」ということで、データの話、医療体制、研究について以下のページで論点を挙げております。
3ページです。「難病に関する普及啓発について」です。難病については、難病患者及びその家族、関わる者ということで雇用主、介護・福祉サービス提供者、医療従事者等、それ以外の一般の国民の方々に対して、どういった普及啓発を行っていくことが必要か。また、難病情報センターについて具体的にどういった情報を充実させていくべきかという論点を挙げさせていただきました。
4ページに、難病情報センターのホームページを紹介しています。その中には病気の解説、国の難病の対策、難病患者がどういったサービス・制度を受けることができるのか、あるいは患者会の情報についてもリストアップしています。また、難病の研究班の情報もあります。ホームページの平均アクセス件数は、月130万件ということで、かなりのアクセスを頂き、医療従事者、患者さんなど、様々な方々がホームページを活用しているという現状がありますので、ホームページを更に充実させるためにはどういった情報が必要かという観点です。
5ページです。「難病患者の社会参加のための支援について」です。論点として、現在利用できるサービス等が十分に活用できていないというような現状もありますので、それを有効により活用されるようにするにはどうしたらよいか。2つ目には、症状の程度等に応じて、それぞれどのような社会参加のための支援が必要なのかという論点です。3つ目には、この提言の中で引き続き検討が必要とされていた「登録者証(仮称)」の交付対象者について、どのように考えるかという論点を挙げております。
6、7ページは提言についての内容で、7ページ目には登録者証の交付対象者についても引き続き検討が必要であるという、なお書きがあります。8ページには、患者への支援対制のイメージ図ということで、これまでの資料ですが、載せています。
また、9~11ページにわたつて、「障害者総合支援法」の概要を記載しています。10ページ目には障害者の範囲の見直しとして、今年4月1日から障害者の定義に新たに難病等を追加し、障害者サービスの対象としています。その範囲については、当面の措置として、130疾患プラス関節リウマチということで、新たな難病対策における医療費助成の対象疾患の範囲等に係る検討を踏まえて見直しを行うとしていますが、その具体的な対象疾患が次の11ページに記載されています。
12~14ページは、雇用、就労支援についての参考資料です。12ページの左側の緑色の所は、難病患者を対象とした支援施策、右側には難病患者が利用できる支援施策ということで、7つの事業を記載しています。難病患者を対象とした支援施策の1つ目、2つ目については、次のページ以降に具体的に資料を付けさせていただいています。1つ目の「発達障害者・難治性疾患患者雇用開発助成金」は、常用労働者として難病の患者を受け入れた場合の雇用主に対する助成ということです。「難病患者就職サポーター」については、昨年、この難病対策委員会でも御報告があったかと思いますが、今年は15か所のハローワークにおいて、そのサポーターを配置しています。
15ページは、「現行の事業と新しい患者を支援する体制の比較」ということで、この委員会でこれまでおまとめいただいている表を付けさせていただきました。
16ページ以降は、「効果的な治療方法の開発と医療の質の向上について」です。17ページは「難病患者データの精度の向上について」で、論点が2つあります。1つは、精度の高いデータを登録するに当たって、難病指定医(仮称)の役割をどのように考えていくか。2つ目は、対象疾患に罹患していても医療費助成の対象にならない患者のデータの収集についてどのように考えていくか。これは前回の委員会でも少し御議論があったかと思います。
19ページは「医療の質の向上及び医療体制の整備について」です。2つ論点があります。1つ目は、極めて貴重な疾患を診断する際の体制をどのようにすべきか。2点目は、患者のアクセスも考慮し、難病の日常的な診療体制をどのようにすべきか。診断と日常診療に分けて2つ論点を掲げています。
20、21ページには、これまでこの委員会で御議論いただいた医療提供体制のイメージ、また、難病医療支援ネットワーク(仮称)のイメージを参考資料として付けさせていただいています。
22ページは最後の論点ですが、「治療方法の開発に向けた難病研究の推進」ということで、論点は2つあります。1つ目は、難病対策において研究の対象とする疾患をどのように考えるか。具体的には、医療費助成の対象疾患との関係について、研究の対象とする疾患をどのように考えるかということです。2つ目の論点としては、23ページのとおり、これまで難病の研究のスキームをこの委員会でまとめていただいていますが、実用化研究、病態解明や治療ガイドラインを作成するような研究、診断基準が確立されていない疾患を対象とする研究、疾患の横断的な研究ということで、大きく4つのカテゴリーをこの委員会で御議論いただきましたが、それぞれの研究についてどのように位置付けていくかという論点です。簡単ですが以上です。
○金澤委員長 前々回までのところでいろいろ議論をしていただきましたが、積み残しというか、問題点があるねと言いながらそこに残した問題を、今改めて論点という形でまとめてもらっています。残念ながら余り時間がないのですが、それでも皆さんからできるだけの御意見を頂戴したいと思います。まず3ページ、難病に関する普及啓発について、何か御意見をいただけませんでしょうか。
難病情報センターというのは、本当にすごいですよ。1日にアプローチが平均で4万件超えているのです。非常に興味を皆さんお持ちですし。
○五十嵐委員 質問です。私も時々勉強させていただいているのですが、この対象130疾患のうち、いわゆる診断・治療ガイドラインは全て整備されていると考えてよろしいのでしょうか。それがまず1点です。
2番目は、その場合に、診断・治療ガイドラインの質というのはどうなっているのか。最近はガイドラインを作るための作法というのがありまして、Mainds(マインズ)というのがあって、それにのっとって作るようにと2007年ぐらいから言われています。次回にでも教えてください。よろしくお願いします。
○金澤委員長 今のところで分かっている範囲で。
○西嶋疾病対策課長補佐 実は診断基準や治療のガイドラインといったものは、今後、医療費助成の対象疾患を選定するのに非常に重要なものだと思っています。今日は千葉委員が御欠席なのですが、松谷先生の研究班に千葉委員が入っていらっしゃって、それぞれの疾患でどういったガイドラインがあるのかということを収集していただいています。その中でまず、今、先生がおっしゃったように、ガイドラインでも様々なものがありますので、そういったものを疾患の概要も含めて収集をした上で、個別な疾患について御議論いただきたいと思い、研究班に準備をお願いしています。
○山本委員 ここで言っておきたいのは、難病の患者さんというのは希少疾患が対象なので、本来はガイドラインは簡単には作れないということを、もう一度確認していただかないと。ガイドラインがないからこの疾患はよく分かっていないというのではなくて、エビデンスが作れないのです。そこは普通のありふれた頻度の高い疾患とは違うというように、まず認識していただきたい。
○金澤委員長 ガイドラインのクオリティーに関しては、最近ちょっとアメリカなどで言われていて、残念ながら非常にクオリティーが低いと言われているのです。理由はCOIだそうです。ほかにどうですか。
○伊藤委員 3ページの部分ですが、普及啓発などをどうしていくべきかと言われてもみんな分からないのです。これは是非、普及啓発の中に当事者性のようなものも取り入れた取組を御検討いただきたいと思います。例えば難病情報センターについても、当事者同士のネットワークとか、あるいはお互いの援助は大変大事な時代ですので、患者会がある場合などは患者会の機関誌に載せるとか、患者も自ら立ち上がっていく力になるものも紹介するような普及啓発を御検討いただければということだけ、一言申し上げます。
○金澤委員長 ありがとうございました。難病情報センターについて一言だけお願いをしておきたいのです。難病情報センターは一生懸命やってくれていると思いますが、それでも少し最新の情報というのは難しいかもしれませんね。もうちょっと患者さんにとって分かりやすい表現にしてあげたほうがよいという気はします。
それでは、5ページ、社会参加のための支援についての論点ですが、どうでしょう。
○本田(彰)委員 8ページのイメージ図について、どのようにこれから進めていくかというところもお伺いしたい点です。支援センターなどは、都道府県でいろいろ整備されていると思うのですが、具体的に動いていく難病対策地域協議会に当たるようなものも、今現在もあると思うのですが、各地域によってかなり取り組み方の格差がある中で、保健所の機能も強めていくというようなことも念頭に入れて、そこに難病保健医療専門員(仮称)というところで配置するように計画されていると思うのですが、実際に保健師さんたちの活動というのは、専念して長くそこに仕事として就いていない、異動でほかの仕事をやったりということがあるのです。この場合、ここにどれだけの専門的な人員を配置していって、この体制を強化していく心積もりというか、見通しがあるのかということをお伺いしたいのですが。
○西嶋疾病対策課長補佐 前回、この協議会について、この委員会の中で御議論いただいたときに、1つは、似たような協議会が地域に既にある場合には、その実態も考慮するべきではないかということもありましたので、実態を考慮した上で、あるべき論といいますか、そういったものがない地域においては、こういった難病対策について地域でステークホルダーが集まれるような場を持つべきではないかということで、こういった協議会が必要だということも、この委員会の中でも少し議論があったところかと思います。
また、先ほどの保健師のことについて、異動があるという現状はありますが、難病について保健所で取り組まれている保健師さんをバックアップするという意味においても、こういった専門員という形を付与したほうが、より活動しやすくなるのではないかということは、委員会の中でも御議論があったように記憶していますので、そういう観点からもこういった仕組みは必要なのかと思います。
○本田(彰)委員 保健師の活動の在り方などもいろいろと出ていると思うのですが、その中で、難病に関して継続的に、より専門的に人材育成をしていくというところも必要になってくると思います。
○眞鍋委員 質問が2つと意見が2つあります。1つ目の質問は、ハローワークの難病患者就職サポーターは良いことだと思うのですが、今、15局で実施されているというのは事務局の説明にあったとおりですが、法制化された後はどの程度までを整備の目標としているのか、今、もし分かれば教えてください。
それから、平成26年度予算で、難病相談・支援センター事業が1.4億円から3.2億円と増額されていますが、具体的にどのような事業の拡充を想定されているか、もし今分かれば教えてください。
あと意見ですが、今行われている雇用支援施策は、新しく雇用された場合に対象となると。就職された方が1回難病の状態が悪くなって、それで辞められて、その方をもう1回というときには対象にならないと。そういうところは改善したらいいのではないかと思っています。
最後ですが、障害者総合支援法では、障害者の雇用促進、就労支援に係る国の責務と確か書いてあると思うのですが、今回、難病についても法制化された暁には、難病患者の就労支援について、国もちゃんと責務があるということを明記すべきではないかなと思っております。これは意見です。以上です。
○金澤委員長 何か質問を受けていましたね。
○職業安定局障害者雇用対策課 職業安定局の障害者雇用対策課です。よろしくお願いいたします。先ほどハローワークの難病患者就職サポーターについて、15局ということで、この先について御質問いただきましたが、これからも増やしていく方向で考えておりますが、最終的に幾つというようなことまではまだ考えておりません。
○金澤委員長 13ページですね。私もハローワークについてちょっと質問しようと思ったのですが、確か、もう始まっているのですよね、違いますか。
○職業安定局障害者雇用対策課 はい、始まっております。
○金澤委員長 ですよね。半年ぐらいになりますか。
○職業安定局障害者雇用対策課 まだそこまでは。今年度は予算の成立が遅れましたので、そこから採用ですので、今始まってきているところでございます。
○金澤委員長 15人はまだいないということですか。
○職業安定局障害者雇用対策課 15人はおります。おりますが、活動状況とかそういったところがまだ完全に波に乗った状態ではないということです。
○金澤委員長 今のところで何人か相談が来ているのですかね。まだ名前を知られていなくて余り来ないですか。
○職業安定局障害者雇用対策課 申し訳ございません。まだその辺りについてはこちらのほうも情報が来ていません。
○眞鍋委員 実は長野は置いていただいているのですが、非常によく活動していただいて有り難いと思っています。
○金澤委員長 そうですか。
○眞鍋委員 良いので、是非、全県にと思っているのですが。
○金澤委員長 伊藤さん、患者団体のほうで利用具合いはどうですか。
○伊藤委員 まだ始まったばかりで各県でばらつきがありますが、かなり期待されているということと、何箇所か分からないという話ですが、最低限47都道府県は必要だと思います。ハローワークはたくさんあるので、そのたくさんあるハローワークの中で1カ所だけでいいものかというような、将来的にはそんな希望も持っていますが。
○金澤委員長 個人的な希望なのですが、ハローワークの中でも少し特別に考えてくださらないと、普通の健康人に対するハローワークと同じ考え方では難しいと思うのですよね。特に、自宅でできる仕事を何とか意図的に組み込まないと、なかなか出てこないと思いますが。各企業に小まめに回ったりして努力をしていただけると有り難いと思います。
○本間委員 前にも申し上げたのですが、今、委員長がおっしゃったように、ハローワークだとちょっとノウハウの点で厳しいですね。むしろ民間で、障害者雇用を盛んに進めている人材ビジネス会社は随分多いのです。特例子会社を作ったり、自分の所で雇用したり、企業への橋渡しをしたりということで。この次から、もう何年か先ですが、障害者の中では精神障害者を雇用することが義務化されるのですが、そこで雇用審議会で一番問題になったのは、精神障害者の場合は症状が一定していないので、企業としても雇いにくいという意見がすごく強かったのです。それにもかかわらずやろうということになったのですが、ある意味で身体障害と精神障害は、それほどノウハウに違いはないので、もし精神障害上の雇用管理のノウハウがある程度できてくれば、それが難病患者にも十分適用可能だと私は感じたのです。そういう意味では、前から議論になっている雇用法定率に難病患者を含めるか含めないかという問題と、もう1つは、ハローワークに限らず民間のビジネスを活用したほうが難病患者の就労には大いに資すると思います。ノウハウや全国的なネットワークは相当独自のものを持っていますので、これはかなり使い勝手はいいと思います。
○金澤委員長 国でせっかく始めたのだから、両方うまくいってもらわないと。
○春名委員 難病対策の提言でも、難病の就労支援というのは、ただ社会参加というだけではなく、治療の効果を上げるための意義があるとされています。難病の特徴は、完治できないのだけれども、服薬や自己管理をしていれば何とか症状は安定させることができる人たちが多いことです。しかし、仕事に就いてみると、通院が必要なときにできなくなってしまうだとか、無理な仕事をしてしまうなどがあります。企業には安全配慮義務がありますが、実際上は、仕事をすることで病態が悪化してしまうような人は働かせてはいけないことが強調されがちで、本人側としても雇ってもらえないとか解雇される心配から難病のことを説明できないという状況になっております。患者さんは病気を隠して働いて、病気を悪化させて辞めてしまうという悪循環があります。現状は、就労支援がないために治療効果が上がりにくいし、それで社会参加も進みにくいという状況にあります。
今回の就労支援の検討というのも、今のところ、うまく働けない人に福祉的な意味合いで働く場を作るというような議論が中心かと思うのですが、ちゃんと通院ができるようにするとか、無理のない仕事に就けるようにするだとか、治療と仕事を両立できるような支援として、提言に挙がっているハローワークと難病相談・支援センターの連携の事業であるとか、職場でのいろいろな配慮の義務化などは全てそういう意義があるものです。今まで医療的な観点からこういう配慮が必要、こういう就労支援が必要なのだということの議論が余りなかったと思うのですが、是非、そういう観点からも、こういう症状の人にはこういう就労支援が必要なのだということをはっきりさせていかないと、企業側としても就労支援が今後進んでいくときに、そこが課題になってくると思います。
○金澤委員長 ありがとうございました。「登録者証(仮称)」については何か意見はありますか。
○伊藤委員 就労のことで1つお願いしておきたいのですが、正規雇用ということだけではなくて、今の福祉の施策の中でも、様々な就労支援、あるいは就労に結びつけるための施策もありますので、いきなり正規雇用の話だけではなくて、是非、福祉的な就労支援のところにもここでは触れておいてほしいなと思います。
もう1点は、先ほど眞鍋委員が質問されたことでまだ答えられていないことがありますので、私たちも聞きたいので、それをお願いしたい。
それから、8ページの図の中で、先ほど本田(彰)委員がおっしゃったことなのですが、難病相談・支援センターも絡むことになっているのは大変良いのですが、もう1つ、難病医療コーディネーターというのがあると思うのですが、それとの連携などはどうなるのか、聞いておきたいと思います。
○金澤委員長 支援センター。
○伊藤委員 8ページに都道府県の難病相談・支援センターというのがあるのですが。
○金澤委員長 一番左にね。
○伊藤委員 このほかに拠点病院に難病医療コーディネーターを置くことになっていますよね。
○金澤委員長 分かりました。それを少し説明してください。
○西嶋疾病対策課長補佐 まずは眞鍋委員からの御質問の中で、難病相談・支援センターの予算、何を上積みしたのかということだったと思います。実はこの難病対策委員会において難病相談・支援センターについて御議論いただいたときに、非常に体制が薄いという話と、もう1つはセンター間で相談能力にかなりばらつきがあるという御指摘がありましたので、それを踏まえまして、1つは体制を強化するということと、もう1つは研修事業などをより強化していくということで、こういった額で予算を出させていただいているという状況です。
先ほど伊藤委員からありましたコーディネーターとの関係については、拠点病院の中にコーディネーターが置かれています。おおむね都道府県に1箇所の拠点病院の中のコーディネーターですので、恐らく職種は医療従事者のいずれかになるのだろうと思いますが、医療の知識をベースに都道府県内の難病患者の医療福祉の支援を行う。地域では、保健所の保健師さんが実際は動いている。そのような医療従事者同士のコミュニケーションを取りながらやっていただくというのがコーディネーターであって、相談・支援センターのほうは、必ずしもそういうバッググラウンドではない方々だと思いますので、お互いに足りないところを補っていただくようなことが、連携として考えられるといいと思っています。
○伊藤委員 連携にコーディネーターを入れてほしい。
○金澤委員長 確かにこれは8ページにコーディネーターを入れたほうがいいかもしれませんね。ぐしゃぐしゃしてしまうかもしれませんが、無理のないところで。
○伊藤委員 図では相談・支援センターと一緒でも構わないと思います。
○金澤委員長 はい、積み残してしまったのだけど。
○駒村委員 資料6ページには雇用率制度の対象に加えてもらいたいという意見があったのですが、雇用率のほうは徐々に今上げていくわけで、難病の方もなるべく早く対象にしてもらいたいわけですが、先ほども春名委員からもコメントがあったのですが、安全配慮義務のような問題があると思うのですが、もちろん民間企業ですから、健康な人のほうが望まれてしまうのは当然やむを得ない部分もある一方で、やはり安全配慮義務だとか、あるいは場合によっては病気がちな人を雇うと医療保険料が高くつくのではないかとか、いろいろ思っているかどうか分かりませんが、難病患者に対する新規雇用がなかなか進まないことについて、何か雇用者側に対する調査というのは、今どういうものが。今まで30回の中でそういうものがもし出されていれば、私の資料の読み込みが足りないと思うのですが、そういう調査みたいなものはあるのでしょうか。まず、雇用率制度にいく前に、どういうところに何かできる部分があるかどうかということを、もし調べていたら教えてもらいたいなと思うのですが。
○金澤委員長 なるほど。分かりますか。障害者のはあるのだそうですね。
○職業安定局障害者雇用対策課 難病患者の雇用に関する事業主の啓発、理解促進のために、ガイドブックとかそういったものは作成して配布させていただいております。その作成に当たりまして、研究などのまとめたものはあります。
○金澤委員長 あるのであれば、この次にでもちょっと出してください。
○職業安定局障害者雇用対策課 分かりました。
○金澤委員長 ほかにどうですか。次の段階に進むについて、登録者証のことについてどのように考えるかといってそのままになっているのです。意見をきちんと出していただかないと。
○伊藤委員 どのような議論になってくるのか分かりませんが、患者団体の側としては、従来の説明ですと、重度だった人が良くなっていったら登録者証というような考え方で示されたと思いますが、就労支援だとか、福祉の制度の利用などを考えれば、軽度の人にも始めから登録者証を出しておいてほしいという声が患者会の中からたくさん出ているということはお伝えしておきたいと思います。
○金澤委員長 ほかにはどうですか。
○眞鍋委員 そういう意見がおありだということは重々承知をしているのですが、対象疾患が広がる中で、どのぐらい事務的な負担が増えるのかとか、ではそれがどのぐらい活用されるのかとか、制度設計でそもそも登録者証の目的にそういうことがあるのかどうかも含めて整理をしないと、単にたくさん登録者証を出すだけで、それが業務として増えてくるので、まず理念を整理していただかないと、自治体としては全員出しましょうということに、すぐ「はい」とは言い難いところがあります。
○山本委員 研究面だけを今回は言わせていただきますが、ある診断した疾患の患者さんで、どれだけの軽症の方、すなわち医療費の交付を受けなくてもいい方がいらっしゃるかということの事実は、非常に重要なので、どういう形にしても、患者さんが意欲を持ってこの登録者証をもらうシステムにしていただかないと、恐らくは全体の疫学調査は進まないと考えます。
○金澤委員長 なるほど。ありがとうございました。両方の御意見を頂戴しました。
最後の話題になります。16ページ以降になりますが、「効果的な治療方法の開発と医療の質の向上」です。17ページに論点が出ています。この論点に関していかがでしょうか。
○伊藤委員 そこまで行く前の話でいいですか。
○金澤委員長 はい。
○伊藤委員 実はこれも、いろいろ説明を受けていながらも、分かるのですが分からないというところなのです。例えば、14ページにありますように、雇用開発助成金の対象は130疾患に「筋ジストロフィーを含む」なのです、難病としても大変重要な疾患なのですが。ところが、総合支援法では、筋ジストロフィーは入らないでリウマチが入るのです。雇用開発助成金のほうはリウマチが入らないで筋ジストロフィーなので、この辺りのややこしさは何とかならないものでしょうかという、両方とも、免疫疾患にとっても筋疾患にとっても大事な疾患だと思いますが。
○金澤委員長 なるほど。理解しましたということですか。
○田原疾病対策課長 内容は理解しておりますので、この議論を踏まえて、また整理をしたいと思っております。
○金澤委員長 いい機会だと思いますので是非。では、元に戻りましょう。17ページ、お願いします。
患者さんたちの中には、誤解をされているようで。難病指定医があると、その人にずっと診てもらわなければいけないと誤解されている向きもないわけではないようなのです。決してそのように申し上げているのではないので、その辺はよろしくお願いします。
○福永副委員長 当初の議論は、難病の精度を上げるために難病指定医を決めるということでした。その定義については、一応、各学会の専門医あるいは研修を受けた者ということだったと思います。最初の段階で、まず診断するというか、最初の1回目に臨床調査個人票を書く、いわゆる診断する医師は、私は難病指定医であってほしいし、であるべきだと思うのです。
あと、これも議論になったのですが、ずっとこの経過のフォローを1年ごとにする、あるいはそうしたときに、そこまでずっと難病指定医であるべきかというと、アクセスとか、あるいは難病指定医がいない所もありますし、そういうところを考えたときには、その更新等を分けて考えていいのではないかとも思うのです。例えば更新の場合にはかかりつけ医とか、あるいは何かそういう形で、専門医に限ることはないのではないかと思うのですが、どんなものでしょうか。
○伊藤委員 大きな誤解なのとか、初めはそうだったのでしょうけれども議論の中で大分変わってきたわけですが、相変わらずここで「指定医」と書いてありますから、医師は指定医と指定されるのですよね。ですから、それがその治療にも全部関わるかという受け止め方があるのはここの表現の問題もあるのではないかと思います。
○山本委員 そういう議論と少し違うのですが。ここは、患者さんの立場は重要なのですが、それと別に研究の質をどう担保するかという非常に重要なところなので、がっちりと議論していただきたいと思うのです。今まで、このシステムが出来て個人調査票を毎年書いていた者として、これがほとんど研究に役立っていないという事実をきちんと認めなくてはいけないと思います。全く役立っていないわけではなくて、どのぐらい患者さんがいらっしゃるかという概数はそれで分かったのですが、それ以上のことは分からない。その理由は、患者さんがそれで助成を受けるかという権利とその個人票が一緒だったという事実なわけです。そこを今回はどうしても分離しないと、いつまでたっても変わりません。難病指定医といっても、みんないい人ですから、患者さんが、私はやはり重症で、今、医療費助成を受けたいのです、と言われたときにはそれを尊重せざるをえないことが生じます。ですから、そこのシステムをそのままキャリーオーバーしたのでは駄目だというのがあります。
1つ、国にものすごくお金があれば、例えばアメリカの政府の機関がやっているように、コンピューターに全部自動的にアクセスして、そのデータが全部患者さん個人個人の、個人情報なのですがそれをプロテクトしながら、それを全部リアルタイムで持ってこられるシステムを導入すれば一番いいわけですが、なかなかそれはいかない。そこは別に、そうでなければいけないというわけではないのですが、幾つかの方法で、この日本の難病の患者さんのデータは世界に出しても恥ずかしくないというものを作らないといけないと思うのです。これだけのエネルギーを割くのだったらば、そうしないと患者さんにも失礼ですし、研究が進まない。
そういう意味で言うと、どのようにしたらいいかという議論をここでやはり、WGでもいいのですが、やっていただきたいと思います。そうだとすれば例えば難病指定医というのは、かかりつけ医というか、普段その方を診る医師ではないほうがいいわけです。患者さんの治療に直接関わらない第三者の医師のほうがいいわけです、ある意味で言うと、違う立場で診て、毎年1回だけその方の病状についてジャッジメントをする。又は、途中で急に悪くなられたらそこに行って、またはリアルタイムのデータを第三者的に見て、そこでジャッジメントをする、というようにしたほうがいいというのは1つの考え方です。
あとは、難病の患者さんのデータを集約して、ということはどこかのサーバーに全部入れるわけですよね。入れたときに、きちんとしたアクセス権を持った人がそこに入っていって。例えば、その患者さんが災害に遭われて元の病院が潰れたときに別の医師がそこに入っていってもそのデータをきちんと見てすぐに治療を継続できるというのは、リアルタイムで正確なデータが入っていなければできないわけです。そこをやるのだったら、それは、医師は必ず、患者さんにどう言われても正確なデータを入れざるを得ないので、それをやるとか、今、そこで全部議論してもしょうがないのですが。とにかく、今、患者さんにとって一番重要な、リアルタイムの重要なデータはそこに入っているというシステムにしないと患者さんのせっかくのデータベースが無駄になるので、そこだけは、何重かにそれを担保するようなシステムにしていただきたいと思います。このポンチ絵だけではそこの担保にならないので、そこだけ、よろしくお願いします。
○金澤委員長 非常に大事な御指摘ですが、1つ非常に困ったことがあります。それは、山本先生が診ていらっしゃる膠原病の患者さんは誰が診るのかという話です。
○山本委員 だから、これの登録データのときには私がいつも拝見する患者さんは別の病院の指定医の所に行っていただいて書いていただかなくてはなりません。
○金澤委員長 いや、そこまで覚悟しているのだったら理解します。分かりました。
○大澤委員 その場合にその患者さんの登録に必要なデータは、例えば、診察の1時間前に行って採血などの検査をしたら、その1時間後にデータが出て、それも全部書き込んで帰す、そういう形になるのですか。
○山本委員 それを書き込んで、例えば、「指定医の所に持っていってください」と。「私も指定医だけれども、私がいつも診ている患者さんについては書く権利がないので別の指定医の所に行ってください」と言うということです。
○大澤委員 例えば抗アセチルコリンレセプター抗体などは、その日のうちには結果が出ないです。そうすると、患者さんは何度か通わなくてはいけないと。
○山本委員 そうですね、そこのところはどういう形にするか、電子情報でもいいと思いますが。
○金澤委員長 それはかかりつけ医がある程度まで準備をして、そして送るということになるのではないでしょうか、ある日にね。何回も指定医の所に行ってもらうということはないと理解します。
○大澤委員 ではあらかじめ。
○金澤委員長 そうでしょうね。
○大澤委員 紹介。例えば山本先生が御自分の患者さんのデータをお書きになって、それを別の指定医にお出しになって別の指定医がお書きになる。
○山本委員 そうです。
○金澤委員長 私の理解は、今のはセカンドオピニオンを求めていることと同じだと思います。多分そうでしょう。
○山本委員 それを絶対やらないとダメと主張しているわけではありません。しかし、患者さんの情報の正確性を担保するには例えばそういう方法があって、その1個だけでは不完全なので、幾つかの方法で、要するに、とにかくデータの精度を高めるシステムを作らないといけないというコンセプトです。
○金澤委員長 ぎりぎりに突き詰めていくとそうなるということですよね。
○山本委員 はい。
○金澤委員長 もう1つ、患者さんのことを考えると、いわゆるへき地におられる方々のことを考えると、私は巡回ということをやってもいいと思っているのです。専門医が巡回をすることです。北海道などは特にそうですよね。
○大澤委員 今のことと多少関係するのですが。難病指定が、最初の診断のときには必ず難病指定医が書くということ、先ほど委員長がおっしゃったようなことが必要だろうと思うのですが、病状が進んでいったときに状況によっては、すなわち患者さんが呼吸器を必要としている、あるいは寝たきりになっておられる、という状況があって、その患者さんが地方におられて、離島におられるような場合にはその指定医の所に行くのに飛行機に乗っていかなければならないということは現実問題としてあり得ないので、そこは、ITを駆使するなどの、の形態をとっていくようにしなければならないのではないかと思います。
○山本委員 私もそうだと思います。今のは象徴的に言っただけで、患者さんの負担を担保する仕組みは、それも幾つか作らなければいけないというのは間違いないと思います。
○伊藤委員 これも、山本先生や皆さんの考え方も、もちろん我々としても分かりますし、いい研究を進めてもらいたいと思うのですが、典型的な症状のある人で、そういう診断、誰が見ても間違いないという人はいいのですが、微妙な場合が結構ありますよね。そういうときに別の先生の所に行ったら、「いやあなた、この病気でないですよ」と言われたら患者はどうしたらいいのかと。単なる病名の違いではなくて、何か進路上の、人生上の迷いに直につながってしまうようなことというのはやはりいっぱいあると思うのです。今までも、ALSだと、あれだけ大変な病気だと言われていて行ったらそうではなかったとか、全然違う病気だと言われていたのにALSだったみたいな、非常に重篤な食い違いというのもあるのです、往々にしてというか、結構あるのです。ここなども今のようなシステムで大丈夫なのでしょうか。
○金澤委員長 だから指定医が必要なのではないですか。
○山本委員 そういう意見をもらうだけでも、その患者さんにとってマイナスにはならないですよね。
○伊藤委員 いや、なる場合とならない場合が。
○山本委員 一般的には専門家である限り、複数の意見の方が診断の精度は上がると思います。
○眞鍋委員 長野県の眞鍋です。今回の難病の改革は、そういう研究データの精度を上げていこうという趣旨は非常によく理解しておりますし、評価
反省
しております。ただ、今、山本委員がおっしゃったようなことを突き詰めたシステムになると。現場のお医者さんからの質問とかクレームは、大体、県の保健所が受けることになるのです、何でこんなややこしい制度なのかとか。
我々としては、これは事務局にも御質問したかったのですが、患者さんのデータ登録システムについて、まず、システム開発をきちんとしなければいけないと。今の1次判定のような仕組みをもう少しグレードアップさせるのかなぐらいは思っていたのですが、きちんとそのスケジュールを示していただいて、我々もその技術にキャッチアップしなければいけませんし。それから、指定をするといっても、まだ基準が出ていませんが、指定をした上でも研修などが多分必要なのだと思うのです。そういうスケジュールをなるべく早めにお示しいただきたいと思っているのと。なるべく現場の保健師さんなり現場の指定医がついていけるシステムにしていただかないと困るかなと。もちろん理念はよく分かるのですが、実地の段階のこともお考えいただきたいと思っております。
○福永副委員長 あと、今回鍵を握るのは、いわゆる指定医が書くときの煩わしさをなくすというような意味を含めて、やはりITをどれだけうまく活用できるかということだと思うのです。ですから是非このITを使って入力する、あるいはそこから今度は審査会に送るのを含めて、そういうきちんとした仕組みをできるだけの範囲で作ってほしいと思います。そういうことによって書くほうからすれば労力が軽減されます。特に今回、特に指定医が例えば大学病院とかになると、特殊な疾患の先生方は忙殺されると思うのです。そういう意味から言うと、できるだけ簡便化するためにはITをうまく使うということと、必要な情報だけを取り込んでいい加減ということはないのですが、それほど必要でない情報は思い切って削っていくようなこともやはり考えてほしいと思います。
○金澤委員長 ほかに。17ページの「論点」の2番目のマル、先ほどから山本先生が非常に重要視されている所ですが、在り方についてどう考えるか。これは、大事だということは分かるのだけれども具体的にどうしたらいいのだろうという話だと思います。
○山本委員 よろしいでしょうか。
○金澤委員長 どうぞ。
○山本委員 例えば先ほどの登録者証と同じように。登録者証があるということは、一旦、専門医がその病気であるということを認定したことと同じと考えればいいですね。その方が重症になられて医療費の対象になるかもしれないというときに極めて速やかに、重症度さえ認定すればいいことになりますから、その患者さんにとっても有利になりますよね。それが1つのシステムですが、それは医療費助成だけではないいろいろな、患者さんにとってのメリットのあるシステムがあれば、社会がそれをサポートするというシステムがきちんと活用できれば、むしろこの医療費の助成の対象になっていない患者さんにとっても年に1回は必ずこのデータを入れるということについて協力していただけるのではないかと思います、それを100%というのは難しいにしても。
○伊藤委員 そういう科学的なデータの話にはならないのですが、患者の立場から言えば、そういう病気だと言われて非常に困惑しているというような状況のときに、良くなった人あるいは軽度の人のことをいろいろ聞くというのはとても大事なことですし、励ましになる。そういう意味でも、医療費助成ということだけを見て軽症の人を外す、助成で外すにしても、データというか、そういうものがあることをきちんと示していただくということも大事なことなのかなとは思っています。
○金澤委員長 そうですね、そのとおりだと思います。一方で、眞鍋さんがよく言う、現場の事務処理のことも同時に考えつつ、両方がいいようにしないといけないのです。1つは、例えば、研究班できちんと把握することも必要だろうし、信頼できる統計の対象になるようなことも必要だろうし。例えばホームページなどで、難病財団の情報センターからの情報で、それにアプローチすると登録できるとか、何かいろいろ、工夫ができないことはないように思うのです。ここは考えどころだと思います。ただ、この2番目のマルは大事だということは、恐らく皆さん、反対される方はないと思うのです。具体的なことに関しては実行可能なように考えるしかないでしょうかね。
さて、19ページの2番目、「医療の質の向上及び医療体制の整備」はどうでしょうか。これは、今までのところで少し議論はありました。ただ、余りきちんとした議論ではなかったように思います。「極めて希少な疾患を診断するための」。要するに、診断がつかない、どうも難病らしい、今まで誰も余り見たことがないというようなものがあったときにどうするかということです。これは、患者さんたちはここに非常に期待されているのです。
これ、余り時間がないだろうから私、言ってしまいますと。21ページを見ていただきたいのです。私は実はここに期待しているのです、難病医療支援ネットワーク。つまり、今までこれがなかったのです。難病に対する研究班でしょう。それから、ナショセンですよね、国立高度専門医療研究センター。それと各分野の学会。残念ですが、この3つが手を組んだことがないのです。だからこれを何とか、ネットワークと称して。分からない。それはプライドを傷つけられるかもしれないけれども、これ、見たことがないし、非常に珍しいと思うのだけれども、診断がつかないのだけれども知恵を出してくれないかということをどこかに載せる、そのときにそれにきちんと意見をくれる、そういうシステムを作っておくということだと理解します。これは匿名でやっても構わないですし、やり方はいろいろあるのです。しかし、こういうことをやると言うかどうかということだと思うのです。その辺はどうですか。
これはものすごく大事なことだと思います。今、M3とか何とかいうのがありますよね。あれは結構いい加減なのです。まともなものもありますが、いい加減なものも多いのです。だからきちんとしたものを、答える人はきちんと名前を入れてきちんとやってくれないと困るのだけれども。これはどうでしょうか。いいですよね。
○福永副委員長 すごくいいと思うのですが。
○金澤委員長 結構。
○福永副委員長 いいと思います。ただ先生、いろいろな学会とか研究班とか、その人たちがみんな協力することが非常に前提になるのではないかと思います。
○金澤委員長 そうだと思います。だから、ここから呼び掛けるしかないのではないですか。
○山本委員 あと、よろしいでしょうか。
○金澤委員長 どうぞ。
○山本委員 このネットワーク等を絡めての関係ですが。これから難病の研究を進めていくときに、例えば患者さんの血液のサンプルを頂くとか、ゲノムを解析させていただくとか、そういうことをやっていかないと研究は進まない。それから、特に薬の開発等に関わる企業の方たちにもそういうサンプルが使えるようにしないと。要するに、臨床医だけが使えるというのではなくて、研究に携わっている方たちがきちんとした手続を踏めば患者さんのサンプルを使えるという体制にしないと研究は進まないと思います。
○金澤委員長 ちょっと待ってください。それはどこにそう。
○山本委員 いや、そのネットワークも含めてでよろしいので。
○金澤委員長 そうなのですか。
○山本委員 そういう中でネットワークが作れればオールジャパンでそれを共有できるので。これは、必ずしも医師の免許を持っていない人が入っても構わないし、ある一定のクオリファイされた人であればいいというように考えれば。そういうネットワークの中に患者さんの、特にまれになればなるほど、日本で10人ぐらいしかいないというのであればそれは、その患者さんにもお話をしてサンプルを採らせていただくというような形になれば、どんどんその改善が進むのだろうと思います。蛇足ですがそういうところが。
○金澤委員長 次のステップですね、確かに。
○山本委員 はい。
○金澤委員長 確かに。ほかにどうですか。
○道永委員 今のネットワークの所ですが、極めて希少ということが書いてあるのでよろしいのかもしれませんが、難病指定医のいる医療機関、難病医療拠点病院・基幹病院との間のネットワークも必要だと思っています。一方通行だけでなく、そちらも必要かなと思っています。
あと、18ページです。難病指定医というのはこの会の議論で私的には理解しているつもりなのですが、今、このポンチ絵を見ますと、患者さんと難病指定医の間に「受診」があって「診断・治療」があるので、これで勘違いされるのだと、今気が付きました。
○金澤委員長 本当だ、これはまずいな。私も全然気が付きませんでした。
○道永委員 これで多分患者さんが。
○金澤委員長 本当だ、本当だ、これはいけない。
○道永委員 飽くまで治療はかかりつけの先生あるいは。
○金澤委員長 これは主治医が抜けていますね。
○道永委員 そうですね。
○金澤委員長 おっしゃるとおりです。ありがとうございました。
○道永委員 今、気が付きました。
○金澤委員長 これは鋭い。そのとおりです。これはうっかりしていました。抜かりました。御指摘、ありがとうございます。
○山本委員 いや、先ほどの難病指定医にというのもたまたま10秒前に気が付いただけなのです。だからまだまだ、じっくり考えればもっといろいろなシステムがあるはずだと思います。
○金澤委員長 そうですね。ありがとうございました。
それでは22ページにいきましょうか。最後の論点です。知恵を振り絞って。どうですか。何ですか、これは。また改めてこれを考えるのですか。
○西嶋疾病対策課長補佐 1点目は既に前回。
○金澤委員長 そうですね。
○西嶋疾病対策課長補佐 はい、前回の委員会の中で医療費助成の対象疾患の研究を広い範囲できちんとやるべきだという御意見を頂いたと思いますので。一応、それでよければ。
○金澤委員長 そうですね、これはもういいです。終わりました。どうもありがとうございました。
全体を通じて言い落としたとか、あるいは改めて気が付いたとか、何かありますか。
○伊藤委員 今、途中のところで、製薬企業とか、そういう所でも資料を取れるようにというお話がありましたが、新しい難病対策ではそれ以外にも創薬での研究助成金も、助成金なのかどうか分かりませんが、その予算も多く取ってありますよね。そういうことも合わせていくと、医療者と行政と患者だけの関係ではなくて、そこに創薬を通じた企業がどう関わってくるかというのも非常に大事になってくると思います。その辺りもどこかに、端っこだけではなくて、こういうことで創薬研究も一緒に進めるというようなことを何か書いておいてほしいという気がするのです。これは一番最後、24ページですと、「希少疾病用医薬品等の開発支援」という所と関わるということですね、先ほどのネットワークの資料とともに、データの活用とともに。ここの所をもう少し具体的に書かれたらいかがかと。
○金澤委員長 分かりました。
○大澤委員 23ページの図のことです。この図の黄色で囲まれた部分には機能別の疾患のことが書いてありまして、緑の部分が横断研究分野となっていますが、神経・筋、血液、免疫、内分泌、皮膚、そういった、どういう難病であってもその方の人生という観点から考えたときには、乳幼児期、小児期、学童期、思春期、青年期、成人期、老年期、それぞれの人生のライフスパンにおける特徴が、それなりに新たな問題点の出る部分もあると思うのです。それは、緑の2段目の右側に「難病患者QOL指標の開発等」というのがあるので、ここにそれが含まれるかもしれませんが、年齢区分に従った患者さんの問題点があり、それと密接に関係して患者さんの心の問題があるということは意識していただいたほうがいいのではないかと思います。
○金澤委員長 ありがとうございます。そのとおりだと思います。このシェーマを作ったときにはどういう考え方だったのですか。今のは入っていたのではないですか。
○西嶋疾病対策課長補佐 このシェーマを作ったときには、まず、赤い所と黄色い所をきちんと分けるべきだという御議論がありました。つまり、診断基準がきちんとあるようなもの、あるいはある程度概念がしっかりしているようなものから、ないものもあるので、まだ十分に疾患の概念が分からないようなものについても研究をやるべきだと。赤い所です。黄色い所も、疾患ごとに研究をやるというよりは領域である程度まとまって効率的にやったほうがいいのではないかという御議論があったと思います。また別途、先生がおっしゃったような緑色の横断的な研究の必要性も、委員会の中でも御議論があったと思っております。
○金澤委員長 おっしゃるとおりで、大変大事な御指摘だと思います。多分それは、一番下の緑の帯の中で理解しつつ進めるべきだと思います。ありがとうございました。ほかにどうですか。いかがでしょうか。事務局から、今後の予定についてどうぞ御説明ください。
○小澤疾病対策課長補佐 委員の皆様方、ありがとうございました。次回の難病対策委員会ですが、これまでに御議論いただきました医療費助成や総合的な対策の内容について更に資料などを御提示させていただきまして、御議論を深めていただきたいと存じます。日程につきましては追って御連絡させていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
○金澤委員長 どうもありがとうございました。これをもって本日の難病対策委員会は閉会といたします。御協力、どうもありがとうございました。
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