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2013年9月20日 第1回レセプト情報等の提供に関する有識者会議 審査分科会 議事録

○日時

平成25年9月20日(金)16時30分~18時45分


○場所

厚生労働省17階 専用18~20会議室
東京都千代田区霞が関1-2-2


○議題

[議事]
1.DPCデータの提供のための模擬審査
2.申出審査:基本方針等について
(休憩)
3.申出審査:個別審査(非公開)
4.その他(非公開)

○議事

○佐久間室長 それでは、定刻をかなり過ぎてございますけれども、ただいまより第1回「レセプト情報等の提供に関する有識者会議審査分科会」を開催させていただきたいと思います。

 本審査分科会につきましては、本年6月に開催されました有識者会議の御議論を踏まえまして、レセプト情報等の提供に関する申出書の審査を行うことを目的として設置をされているものでございます。今回は第1回ということでございますので、構成員の先生方を簡単に御紹介させていただきたいと思います。

 お手元の名簿でございますが、2枚目の裏側に審査分科会の構成員の名簿がございますので、こちらに基づきまして御紹介をさせていただきたいと思います。

 名簿順で御紹介いたします。

 日本医師会常任理事の石川広己構成員でございます。

 全日本病院協会副会長の猪口雄二構成員でございます。

 筑波大学医学医療系教授の大久保一郎構成員でございます。

 国民健康保険中央会企画部長の加藤宏治構成員は、本日御欠席でございます。

 埼玉県後期高齢者医療広域連合事務局長の小林一彦構成員も、本日御欠席でございます。

 日本薬剤師会常務理事の近藤剛弘構成員でございます。

 名古屋市立大学大学院薬学研究科医薬品安全性評価学分野教授の頭金正博構成員は、本日御欠席でございます。

 日本歯科医師会常務理事の冨山雅史構成員でございます。

 全国健康保険協会本部企画部調査分析グループ長の仲津留隆構成員でございます。

 産業医科大学医学部公衆衛生学教授の松田晋哉構成員でございます。

 健康保険組合連合会参与の松本義幸構成員でございます。

 東京大学大学院医学系研究科医療経営政策学講座特任准教授の山本隆一構成員でございます。

 続きまして、事務局の紹介をさせていただきます。

 医療費適正化対策推進室室長の安藤でございます。

 保険システム高度化推進室室長補佐の加藤でございます。

 医療費適正化対策推進室室長補佐の同じく加藤でございます。

 本日、医療課からも来てございまして、医療課企画官の佐々木でございます。

 次に、審査分科会の座長の選出をお願いしたいと考えてございます。

 座長につきましては、お手元の方に有識者会議の開催要綱がございます。こちらの審査分科会の座長の関係でございますが、開催要綱の3「構成」の(3)の規定に構成員の互選ということになってございますけれども、よろしければ事務局から御提案をさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

〇佐久間室長 そうしましたら、有識者会議の座長も務められております山本構成員に座長をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

〇佐久間室長 ありがとうございます。

 山本構成員に座長をお願いしたいと思います。以降の進行につきまして、山本座長によろしくお願いいたします。

〇山本座長 ただいま座長に御指名いただきました山本でございます。これの親会議といいますか、有識者会議の座長をしております。

 今回からといいますか、今年度の提供から、こういった提供の審査等は分科会で行って、有識者会議はもう少し大きな方針を決めるというふうに役割分担をいたしました。ここでは実際に、提供する提供しないみたいなお話をしていかなければなりませんので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 まず、本日の会議の進め方について事務局から説明をお願いいたします。

〇佐久間室長 資料の1枚目の議事次第をご覧ください。

 まず、本日の議事運営でございますけれども、本日は1つ目の議題として、DPCデータの提供に当たっての模擬申出・審査について御議論をいただき、引き続きまして、2番目に申出の審査、基本方針等について御議論いただきたいと考えております。その後、休憩を挟みまして、議事を非公開といたしまして、個別申出の審査を行いたいと考えてございます。

 事務局からは以上でございます。

〇山本座長 ありがとうございました。

 特に御異存がなければ、そのように進めたいと思います。

 それでは、早速、議事に入らせていただきます。

 まず、本日の議題1「DPCデータの提供のための模擬審査」へと話を進めてまいりたいと思います。なお、これらの模擬申出は全て、伏見先生を代表とする厚生労働科学研究の「診断群分類を用いた急性期医療、亜急性期医療、外来医療の評価手法開発に関する研究」研究班のメンバーから提出されているものです。

 一方、この研究班のメンバーには、当有識者会議の審査分科会の構成員である松田晋哉先生も加わっておられます。今回、松田先生は、模擬申出には直接関与していないとお聞きしておりますので、DPCデータに関して広い知見を有しておられる松田先生には、活発な審査を行うためにも模擬申出の議論に加わっていただくこととしてはどうでしょうか。

 ただし、利益相反につながる可能性がありますので、実際のデータの提供を決定する際には、松田委員には直接関与していただかないということで進めたいと思いますけれども、よろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

〇山本座長 ありがとうございます。

 それでは、議題1「DPCデータの提供のための模擬審査」について、事務局から説明をお願いいたします。

〇佐々木企画官 医療課企画官でございます。

 資料1を用いまして、DPCデータの提供にあたっての模擬申出・審査について御説明をさせていただきます。

 まず、めくっていただきまして「DPCデータの提供のための模擬審査」のスライド2でございます。今回の模擬審査の経緯、概要から御説明をいたします。

 6月7日に開催された前回の「レセプト情報等の提供に関する有識者会議」の中で、厚生労働科学研究の伏見班から、第三者提供を行う上での問題点等について研究結果が報告されております。その中で、個票データについては、未解決の問題も残っているため、試行的なデータ提供を試みて、課題・問題点を明らかにすることが望ましいとされてございました。そのため、今回この会議におきまして、研究班からの模擬申出・模擬審査を通じて審査基準の明確化等を検討することになったという経緯でございます。

 スライド3は、事務局で作成しました「審査方針の基本的な考え方(案)」でございます。「データ提供にあたり審査の必要となる背景」としまして、DPCデータ提供に当たり、患者個人、医療機関、保険者、医師個人等に不利益にならないよう配慮する必要としています。審査の観点としまして、申出者の適格性、申出目的の妥当性、研究デザインの妥当性等ありますが、5番目の「提供データの安全性」という観点について、今回の模擬申出を通じて検証を行うということとしております。

 その下にありますのが参考資料で、前回の有識者会議で報告された研究班からの報告書の内容の概要でございまして、これは説明を割愛させていただきます。

 スライド5の「審査基準(案)」でございます。前回の有識者会議において、今後模擬審査を進める上で、たたき台でもよいので何らかのガイドラインがあった方が良いという御指摘をいただいておりますので、事務局で審査基準(案)を作成しております。今回の模擬審査におきましては、当該審査基準(案)に照らし合わせて審査を行うこととしてはいかがかということでございます。たたき台の構成としては、5ページ目下段にお示ししております「基本的な考え方」から「審査方針」という構成でございます。

 具体的な中身でございますが、スライド6でございます。まず「基本的な考え方(案)」でございますが、審査の視点ということで「DPCデータを審査する際は、『患者』『医療機関』『保険者』『医師個人』等にとって不利益な情報が公開されないよう、以下の視点から審査を行うことが必要であると考えられる。」としておりまして、留意すべき個別事項として、患者情報であれば、郵便番号、生年月日等。医療機関情報であれば、毎年公開されている集計表との組み合わせなど。保険者情報であれば、比較的小規模な保険者など。医師個人では、医師コードなどでございます。共通事項として、希少な疾患や術式・処置、薬剤・医療材料なども留意すべきとしております。

 「特定性について留意すべき点」としましては、患者、医療機関等の特定は、それぞれがその他の者の特定につながる可能性があることに留意する必要があるということでございます。

 スライド7「全般的な事項」でありますけれども「DPCデータ特有の基準」としております。「DPC導入の影響評価に関する調査」は略して「退院患者調査」と言っておりますけれども、結果報告において毎年公表される集計内容がございます。これはMDC別・救急医療入院とか診断群分類ごとの集計等々をやっておりまして、これと重複する申請については既に公開をされていることもあって提供は行わない。もし必要とする場合は、その理由が明確に申出書に記載されていることを確認した上で、慎重な審査を行うということです。

DPCデータ以外の情報、申出者が保持する情報等と結びつけて集計を行う申出は慎重な審査を行う。退院患者調査の公表以上に患者・医療機関等が特定される恐れがある申出は慎重な審査を行う。提供対象医療機関はDPC対象病院までとし、DPC準備病院、DPCに入りたいということで準備している病院と、出来高算定病院、これもデータを提出すれば加算がとれるという仕組みに平成24年度からなっておりますので、そういうデータもございますけれども、それは提供を行わないということです。

 あとは、ナショナルデータベースデータと同様の基準ということで、こういうものもそのまま引用させていただいております。

 スライド8でございますが、「DPCデータ提供・公表にかかる審査方針(案)」の「2提供に関する審査」ということで、生年月日については年月まで。入院年月日・退院年月日については在院日数・術前日数の提供も可とする。郵便番号も二次医療圏単位とする。あとは、施設コード、コード識別番号提供については原則行わない。保険者番号も原則提供を行わないというようなことでございます。

 「3公表に関する審査」としましては、生年月日については5歳刻みで、85歳以上については同一の集計。入院年月日等も年月まで。患者の公表単位は二次医療圏単位。医療機関の所在地の公表は都道府県単位。保険者の公表についても4制度単位とする。あとは、最小集計単位は、研究の成果物において、1つのセル当たりの集計値が患者の数が10を下回る場合や、医療機関の数が5を下回る場合はその数値をマスクするとしております。

 スライド9はテキスト入力されている項目。DPCデータには主傷病名などコードではなく、テキスト入力している項目がございまして、これらの項目については、例えば「〇〇との合併症」とか「〇〇に転移」であるとか、名前、生年月日など個人につながるような情報が入力されている恐れがございまして、提供に当たっては慎重な審査を必要とするとしております。

 具体的には、様式1、Dファイル、EF統合ファイル、外来EF統合ファイル、様式4でございます。

 以上のような審査方針(案)、きょう御審議をいただきたいと思っております。スライド10以降は、DPCの参考資料でございますので、御参照いただければと思います。

 なお、本日審査をしていただくに当たりまして、先生方に御了承いただきたい事項がございます。今回、伏見研究班による模擬申請書を4本御提出いただいておりますが、事前にデータ提供のためのデータ切り出しの作業の負担の程度を事務局で確認させていただきました。その結果、4本全ての申請に対してデータを提供するというのは業務量的に大変難しいということが判明しております。

 前回、6月7日の有識者会議の本会議で御報告させていただいておりますが、現在、国ではDPCの診療報酬改定のデータベースということで保有はしていますけれども、第三者提供のDPCデータベースは構築をされていない状態でございます。したがいまして、今回の模擬申請では、診療報酬改定用のデータベースから切り出し作業を行って、データ提供するということとなります。この分科会終了後、26年3月の有識者会議での検討報告に向けてデータ提供を行うことになりますが、26年4月に向けた改定の作業も控えており、そのデータを使っての診療報酬改定作業とデータ提供の作業の時期が重なってしまうということで、この4つの全ての申請に対してデータ提供を行うのは非常に厳しい状況であり、、事務局としてはそういう状況をまずお伝えさせていただきたいということでございます。

 特に個票の申請につきましては、切出しに多大な作業負担がございまして、4つの申請が来ておりますけれども、もし可能であれば、集計1つ、個票1つを提供するという形でお願いできないかと思っております。まずはその点を踏まえて御審議いただいた上で、方向を決めていただければと思っております。

 御説明は以上でございます。

〇山本座長 ありがとうございました。

 ただいまの審査方針と期間が限定されていることを踏まえて、提供件数をあらかじめ、集計表1、個票1に限定したいという御提案ですけれども、そういう方針でよろしゅうございますでしょうか。

 松本先生。

〇松本構成員 基本的にはこれでいいと思います。特に公表に関する審査のところについては、この考え方でいいと思います。

 ただ、2点ほど意見がございます。DPCデータ、特にスライド番号7の「全般的な事項」の「DPCデータ特有の基準」4番目のポツで「提供対象医療機関はDPC対象病院までとし」ということでありますけれども、出来高算定病院のDPCデータについては、質の高い情報を提供していただくことについて診療報酬を算定できるよう決めたと理解しておりますので、やはりこの出来高算定病院のDPCデータ提供も対象としてはいかがかというのが意見でございます。

 それと、DPCデータの提供に係る審査方針の「2提供に関する審査」でございます。「患者住所地域の郵便番号については、原則提供を行わない」ということでありますけれども、過去のいろいろな医療データで非常に狭い地域のデータがあったことでわかったと。例えば、大分県佐賀関で肺がんの方が集中していて、その原因が日鉱佐賀関製錬所からの排煙だと分かった、環境による発がんが見つかったというのがあります。そういう点が出てくるかどうかはわかりませんけれども、せっかくのデータですので、場合によっては早く発見するということを考えれば、患者住所地域の郵便番号については提供を行うということでいいのではないか。ただ、発表については十分考慮しないといけないと思いますが、少なくとも分析するときにおいては提供するということで、最初から提供しないということを言わなくてもいいのではないかという意見であります。

〇山本座長 ありがとうございます。

 どうぞ。

〇佐々木企画官 今のご指摘はスライド7とスライド8に関してのものと思います。

 まず1点目の出来高算定病院のDPCデータの取り扱いでございます。これは、データ提出を評価する点数が24年からスタートしたところであり、対象となる病院が少ないということもあって、対象外という書き方をしておりますけれども、この分科会や有識者会議の方で対象とするというような御議論であれば、そういう方向もあり得るかなと思います。

 また、スライド8の郵便番号の取り扱いにつきましても、これはあくまでも事務局としてのたたき台ということですので、この会議の御議論でその取り扱いを決めていただければと思っております。

〇山本座長 ありがとうございます。

 この件に関してほかに御意見ございますか。どうぞ。

〇仲津留構成員 1点確認です。

 今回のDPCデータの提供は、医療課の作業の観点から2点程度ということなのですけれども、本来この審査であれば、ある要件を満たせば出すということだと思うのですが、今後の審査においても事務局の作業量を考慮して何件までという前提を置いての審査になるのか、それとも今回に限って2件程度という条件なのか、確認させてください。

〇山本座長 どうぞ。

〇佐々木企画官 これはあくまでもDPCの部分だけの回答になりますけれども、先ほど御説明させていただきましたとおり、DPCデータに関しましては診療報酬改定のために集めるということで、集めておりまして、データベース化してきちっと公開できるような体制がまだできておりません。今、予算要求等々もしておりますけれども、将来的にそういうものが整備されてくれば、事務局の手間があるというようなことを条件にすることも必要なくなるかと思いますが、現時点では、事務局に相当負荷が全てかかるということでございます。

〇山本座長 よろしいですか。

〇仲津留構成員 はい。ありがとうございます。

〇山本座長 ほかはいかがでしょうか。

 石川先生、どうぞ。

〇石川構成員 先ほどの郵便番号の件でございます。

 今までレセプトのデータについては、連結可能、連結不可能でさまざま論議してきましたけれども、現状、レセプトのところでは、なるべく照合する等、個人の特定をしないようにということで、医療機関コードについても原則提供しないことになっております。地域的なそういう狭いところでの疾病構造だとか、いろいろな研究があると思いますけれども、現状としては、このレセプトの提供のところとごっちゃになってしまいますので、DPCについても今までの議論の延長上で、郵便番号だとかそういったものについてはなるべく出さないような形で御議論いただきたいと思います。

〇山本座長 ほかにいかがでしょうか。

 一応この方針でよろしゅうございますか。

 それでは、そのように進めさせていただきたいと思います。

 郵便番号も、ここに書かれているように、経年データ分析等を行うために必要な場合は、二次医療圏まではとりあえず提供するということにルールとしてはしていますので、それ以上の詳細な場合は、やはり特例としてここでしっかり審査をすることにさせていただきたいと思います。

 それでは、事務局からの提案どおり集計表情報1件、個票の提供1件ということで審査を進めてまいりたいと思います。

 引き続いて、事務局から説明をお願いいたします。

〇事務局 事務局でございます。

 今回提出された4つの申出書について、簡単に御説明したいと思います。資料の9ページ目に申出書の一覧がございます。A・B・C・Dと4つございまして、A・Bが集計表の申出書、C・Dが個票の申出書となっております。

 まず、Aの方から簡単に御説明したいと思います。

 Aの研究は「DPC毎の退院時転帰および退院先に関する記述疫学研究」。

 内容は「地域や施設によって特性の異なる医療の質を継続的に向上させるためには、各医療機関が自院のDPCデータを含めた診療情報を分析して結果に基づきPDCAサイクルを回していくことが必要であることから、自院データの分析結果を全国平均等と比較するためのベンチマーキング指標を作成する」。これを目的としてDPCごとの退院時転帰を集計するという申出となっております。

 用いるものは、様式1とDファイルとなっております。

27ページに、このセルの中に値が入ったものを提供するという集計のイメージ図がございます。こちらにつきまして、事務局での確認した事項ですが、集計表1と2の2つの集計表という申出となっておりますが、そのうちの集計表1につきましては、既に厚労省の退院患者調査の結果報告で毎年公開されている内容となっております。

 資料を戻りまして、6ページ目の参考資料に毎年公開されている退院患者調査の結果報告の簡単な一覧がございますが、医療機関別集計及び診断群分類別集計というのが毎年公表されておりまして、その中で、退院時転帰を集計したものは既に公表されており、したがって、今回の申出の集計表1の内容につきましては、既に公表されている内容であることを事務局で確認いたしております。

 続きまして、Bの申出につきまして御説明いたします。「DPCデータを用いた若年性胆管がんの記述疫学研究」。

 内容は「印刷事業所における有機溶剤暴露による職業性胆管がんの発生が社会的問題となっているが、胆管がんは50歳未満での発症・死亡例は極めて少なく、その疫学的特性に関する情報は充分には把握されていないことから、疫学特性を明らかにするため様式1の情報を利用して胆管がんの年齢・地理分布等に関する疫学的記述を行う」。このような申出となっております。これは様式1の集計表を提供する申出となっております。

 こちらにつきましても希望する集計表のイメージがございまして、4751ページが希望する3つの集計表となっております。

 こちらの申請につきまして事務局で確認させていただいた内容ですが、例えば47ページで「患者数のトータル」のデータと「うち男性患者数」ということで2つ希望がありますが、これを最小集計単位で仮にマスクしたとしましても、患者数から男性患者数を引いたら女性の数がわかる可能性があります。例えば患者数が100人、うち男性患者数が99人ということですと個別のセルの値はマスクされないですが、引き算すると女性が1人ということがわかってしまう可能性があるということですので、この集計表の出し方については再度申請者に確認して修正が必要かと考えております。

 続きまして、Cの研究。こちらは個票の申請で「急性期入院におけるDPC分類に基づく患者の受療行動とアクセシビリティに関する研究」となっております。

 「有効な地域保健医療計画を策定し急性期入院医療の提供体制の実態評価と改善を行うため、地域における患者の受療行動(医療へのアクセス)を洗い出す必要があることから、急性期入院医療における患者の受療行動について分析を行い、都道府県及び2次医療圏単位で傷病別の患者の移動及び運転時間区分に基づくアクセシビリティの観点からその実態を明らかにする」という研究でございます。

 こちらにつきましては、様式1が申請されております。

なお、資料の修正がございます。75ページになります。こちらが「集計4」となっておりますが、正しくは「集計1」で、机上の方には修正したものをお配りさせていただいております。ホームページで新しいものが公表されておりますので、そちらを御確認ください。

 こちらの研究につきましては、提供及び公表の基準を事務局としましては満たしていると考えております。

 最後に、Dの申出ですが、こちらも個票の申請になります。「循環器系疾患急性期医療のパフォーマンスと資源との関係」。

 「医療の施策・政策において、地域で真に必要な医療資源を確保し、患者視点での効率性、公平性を含む医療の質の保証を考慮した医療提供体制を構築するためには医療パフォーマンスを可視化し医療資源との関係性を明らかにすることが重要であることから、3疾患(脳梗塞、急性心筋梗塞、急性心不全)を用いた医療提供体制、各地域における医療パフォーマンスと医療資源の関連性を分析することで医療の質の維持向上及び医療システム再構築を行うための基礎資料を作成する」。これが目的となっております。

 こちらにつきましては、様式1とEFファイルの提供が申請されております。

 研究内容ですが、97ページにどのような公表を行うのかというイメージ図が記載されております。分析(1)(2)(3)の3つにつきまして、図に書いてあるような公表を行うことを予定しているものでございます。

 こちらにつきましても、提供及び公表の基準については満たしているものと考えております。

 事務局からの説明は以上です。

〇山本座長 ありがとうございました。

 それでは、今の御説明につきまして討議を進めてまいりたいと思います。Aから順番にまいりたいと思いますので、Aの申出に関しまして御意見がありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。

 松田先生、どうぞ。

〇松田構成員 Aの申出ですけれども、厚労省で公開しているデータの集計表が出ていますので、あえてこれを集計する必要はちょっと乏しいのではないかと思います。

〇山本座長 ありがとうございます。

 先ほどの資料1の、スライド番号で言うと11番目ですね。既に集計されているところに、全てではありませんけれども、あるということで、特段新たな意義がないのではないかという御意見ですけれども、ほかはいかがでしょうか。

 よろしゅうございますか。

 それでは、Bの申出に関しましてはいかがでしょうか。

 松田先生、お願いします。

〇松田構成員 Bについては、実は研究班でも少しやったことはあるのですけれども、このDPCというか、ナショナルデータベースも含めて将来的な活用を考える上で重要な研究だろうとは思います。先ほど松本委員が言われたことに対応するような内容だと思いますけれども、一応やってみて、胆管は特に若年性の場合にはまれな疾患になってくると思うのですが、それをこういう形で集計したときの個人の同定可能性といいますか、識別可能性みたいなものを検証する。今回のDPCの模擬申請の目的は、安全性の検証というのがかなり大きなあれだと思いますので、そういう意味ではこれをやってみる価値はあるのではないかと思います。

〇山本座長 ありがとうございます。

 ほかに御意見ございますでしょうか。

 どうぞ。

〇石川構成員 これは希少疾患といいますか、珍しい疾患と考えていいと思うのです。それを全国的なNDBを使う、あるいは全国的なDPCデータを集めたもので検証する、研究する意味というのが、ほかのことでも起こっているのかとか、ほかの年齢でも分布が違うのかとか、そのような研究目的でなければ、将来的な研究にしてみても余り意味がないと思うのです。それよりは、がんの研究だとかそういったことであれば、例えばNDBではなくて、別のがん登録の問題できちんとやるべきだと。そちらの方がより詳細な薬の効き方だとか、そういったものが研究できるのではないか。希少疾患に対してのNDBの利用という意味がどのぐらいあるかというのは、考えなければいけないと思います。

〇山本座長 ありがとうございます。

 がん登録は、現状では網羅性にまだ問題があるのですね。そういう意味ではDPCデータ。DPCデータに網羅性があるのかというと、これまた問題があるのですけれども、少なくともレセプトデータベースの方はほぼ網羅している。そこには、DPCレセプトも入っているということを考えると、網羅性を求める研究というのはある程度は進めていかざるを得ないと思うのです。ただ、その際に、その特定性をどう考えるかということだろうと思います。

 先ほど事務局の御説明にありました47ページの集計表で、恐らく圧倒的に男性が多いので、患者数と男性患者数の両方を出すと、女性患者数が少ない数で、本来はマスキングしなければならないものが全て出てしまうということになりかねないということで、もし公表するならばここは一工夫していただく必要はあります。

 いかがでしょうか。模擬申出でこれを活用して、さまざまな問題点を抽出していくという趣旨ですので、集計表の申出はこのA・Bの2つでございますので、Aは既に半分ほどは公表されているということから考えますと、今回はBでこのDPCデータ提供のいろいろな問題点を検証していただくとしたいと思いますけれども、それでよろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

〇山本座長 ありがとうございます。

 それでは、引き続いて、Cの申出に関しましてはいかがでしょうか。

 お願いします。

〇松田構成員 これは非常におもしろい研究だと思っています。これはできるのですけれども、問題は2つあります。

 これをされようとしている石川先生の方で、郵便番号と医療機関との間の距離に関する、あるいは時間に関するテーブルはもう作ってあるので、それを使っていただいて、事務局の方でそのテーブルに紐づけの作業をすることもあり得るのかもしれませんけれども、考えてみると、ナショナルデータベースの方ではほかのデータと組み合わせて分析してはいけないことになっていますので、そのルールに違反してしまいます。

 届出者で分析をするということは可能なのかもしれないのですけれども、組み合わせの問題で考えてみると、ナショナルデータベースというのは認められていない。他のデータとの組み合わせをやることになってしまう。薬剤のマスターとか医療材料のマスターのように既に公開されているマスターがあるのであれば問題ないと思うのですけれども、考えてみると、マスターを別に準備しなければいけなくて、それと組み合わせなければいけないということで、ナショナルデータベースを分析するという視点におけるルールからちょっと外れてしまう。

 それと、やはり郵便番号を使うということで、これは全疾患対象になっていますが、個別識別性が高いと思うので、現時点では少し難しいのかなという気はしています。

 あと、個票を出す上で、DPCのところで一番問題なるのは、EFファイルを使うということだと思います。そこのところの危険性というか、慎重な取り扱いが必要だということを検証する意味では、様式1だけではなくて、EFファイルも組み合わせた分析の方が望ましいのではないかと思います。

〇石川構成員 ありがとうございます。

〇山本座長 郵便番号に関しては、事務局から何かございますか。

〇事務局 現時点での提供の基準につきましては、どちらの申請も郵便番号は二次医療圏単位の提供となっていますので、基準を満たしていると考えております。

〇山本座長 Cに関しましては、ほかはいかがでしょうか。

 研究の意義とか価値とかは別として、今回の模擬申出の目的であるこういった提供の安全性等を確認していただくという意味では、様式1だけというのは我々としてはちょっと寂しくて、本来のDPCらしいところを個票で提供するのに、確認すべき事項が減ってしまうという可能性はあると思います。

 それでは、先にDの検討に進みましょうか。Dの申出に関してはいかがでしょうか。

 Dの模擬申出は、83ページにありますように、種類は様式1、EFファイル、外来EFファイルと、これぞDPCというデータの申出をいただいております。

 どうぞ。

〇松田構成員 これに関しては、対象となっている疾患も脳梗塞、急性心筋梗塞、急性心不全ということで、非常に多い疾患であるということと、行われた医療行為の分析に関しても、分析の粒度を確かめる意味で非常にいい素材だと思いますので、どちらか一つを選べというのであれば、私はこのDの方が模擬申請の材料としては適切ではないかと考えます。

〇山本座長 ありがとうございます。

 ほかに御意見ございますか。

 松本先生、どうぞ。

〇松本構成員 先ほどから松田構成員あるいは山本座長からありましたけれども、この模擬審査の目的からしますと、とにかく早い段階でいろいろな問題点だとか課題を見つけ出すということですので。このDの方は様式1でなくて、EFファイル、外来EFファイルと多くのものをやりますので、そこでいろいろなまぜ物が出てくる。そのまぜ物を早く出してちゃんとした対応をとるという点においては、やはりDをやった方がいいのではないかと私は思っています。

〇山本座長 ありがとうございます。

 ほかに御意見ございますでしょうか。

 それでは、このCとDに関しましては、Dの申出を模擬申出としては採択さしあげるということでよろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

〇山本座長 ありがとうございます。

 それでは、模擬申出の審査の結果、集計表はB、個票の提供はDの申出を今回は採択をして、これからその安全性等の検討に御協力をいただくということにさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

 続きまして、議題2はレセプトデータベースですけれども、申出審査の「基本方針等について」ということを、事務局より説明をお願いいたします。

〇佐久間室長 資料2をご覧ください。今の資料1の分厚いファイルの下に「申出審査:基本方針等について」というホッチキスどめの2枚紙がございます。

 1ページめくっていただいて2ページ目「今回の審査方針について」です。

 「概要」として、申出自体は7件ございます。レセプト情報(特別抽出)の提供の申出が4件、特定健診等情報(特別抽出)の提供の申出が1件、サンプリングデータセットの申出が1件、集計表情報の申出が1件とございます。

 「審査方針について」ということでございますが、こちらも平成24年9月5日に開催されております本会議での審査方針を踏襲する。特に個別審査については今までと同様でございますけれども、有識者会議における申出の個別審査時と同様に非公開の形式で行うということ。

 「審査の省略について」は、先ほどの有識者会議の親委員会の方で、今後、ガイドラインどおりに行うということでございますけれども、(2)に書いてございます「厚生労働省の各部局が、その所掌する事務の範囲内で作成し、公表する統計資料の作成のために利用する場合」に該当する申出については、有識者会議における審査を省略するという方針でいきたいと思っております。

 「主な審査方針」ということで、今回1回目で、初めて参加されていらっしゃる構成員の先生方もいらっしゃるので確認させていただきます。

 2ページ目は「研究内容・抽出について」でございます。

 1つは、個人の識別可能性を下げるという原則がございます。ということでございますので、対象者が極めて限定される可能性がある申出については慎重な審査を行う。

 2つ目でございますが、多数の項目を用いた探索的な研究ですとか、一部のレコードの傷病名レコードの傷病名コード、また診療行為レコードの診療行為コード、医薬品レコードの医薬品コードなど、こういったものについて、どれか一つでも全て求めるといった御要望の申出についても慎重な審査を行う。

 3番目でございますけれども、複数の研究が1つの申出に盛り込まれている場合についても慎重な審査を行う。

 研究の中で、抽出する項目の指定ですとか、研究の目的と抽出項目との関連性が薄いものもあると思うのですが、そういったものについては慎重な審査を行う。

 また、集計表の作成の依頼がある場合がございますけれども、こちらも単純なクロス集計であるもののみを対象として、例えば複雑な集計表の場合については不承諾とするとしてございます。

 セキュリティ要件の関係でございますが、こちらも情報セキュリティマネジメントシステムの、申出者個々の研究環境に応じた合理的な対応の実践を求めているということがございますので、独自のセキュリティ規程が一部もしくは全て欠けているような事例については不承諾。

 また、入退室の管理が不十分であったり、利用者以外のアクセスが可能な場所でレセプト情報等が利用される事例も不承諾。

 研究者の所属施設、研究施設が複数にまたがっているような事例についても、セキュリティ対策実践の難易度が上がると想定されるため、この対応についても慎重な評価を行っていくということ。

 また、技術的な対策です。ID管理ですとか、外部ネットワークとの接続などが不十分という事例についても、不承諾といったような方針がございます。

 4ページは承諾の形式について、でございます5つございまして、無条件承諾と意見付承諾、条件付承諾、審査継続、不承諾というカテゴリーがございます。無条件承諾は、特に改善等の必要なしということで提供が可能ということでございます。意見付承諾についても、全体として申請の内容ですとか抽出要件に特段の不備はないということで、注意喚起等の意見を付すだけで提供が可能だと思われる申出についてはこういう評価。

 条件付承諾は、一定の条件の修正を行った上で提供が可能だというような申し入れについては条件付承諾。

 有識者会議には、これは分科会になりますけれども、条件変更について事後の報告を行わせていただくということでございます。

 審査継続でございますが、こちらも抽出条件について一定の改善が必要だというようなこと、特に不備が疑われるようなものということでございまして、こちらは条件の修正につきまして申出者と調整がつけば、その内容を踏まえて審査を継続して、継続した議論の結論については座長に一任をいただくという形でございます。

 そのほか、提供しないということで不承諾。

 このようなカテゴリーになってございます。

 審査方針、基本方針についての御説明は以上でございます。

〇山本座長 ありがとうございました。

 今の方針に関しまして御意見ございませんでしょうか。

 では、このような方向で今回の審査を行いたいと思います。

 それでは、ここで一旦休憩にさせていただきます。次は非公開で議事を進行することになりますので、5~6分休憩ということでお願いをいたします。


(了)

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